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1961/10/24 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第6号
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1961/10/24 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第039回国会 大蔵委員会 第6号
昭和三十六年十月二十四日(火曜日)
   午前十時二十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十月二十日委員野本品吉君及び西川甚
五郎君辞任につき、その補欠として青
木一男君及び太田正孝君を議長におい
て指名した。
十月二十三日委員上林忠次君、二見甚
郷君及び森元治郎君辞任につき、その
補欠として加藤武徳君、竹中恒夫君及
び戸叶武君を議長において指名した。
本日委員加藤武徳君及び成瀬幡治君辞
任につき、その補欠として上林忠次君
及び占部秀男君を議長において指名し
た。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理 事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           市川 房枝君
   委 員
           大谷 贇雄君
           岡崎 真一君
           梶原 茂嘉君
           木暮武太夫君
           堀  末治君
           前田 久吉君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           戸叶  武君
           天田 勝正君
           須藤 五郎君
   衆議院議員   石田 宥全君
  政府委員
   総理府総務長官 小平 久雄君
   総理府特別地域
   連絡局長    大竹 民陟君
   大蔵政務次官  堀本 宜実君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   外務省欧亜局東
   欧課長     都倉 栄二君
   水産庁漁政部長 林田悠紀夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○畜産物価格安定特別会計法案(衆議
 院送付、予備審査)
○昭和三十六年産米穀についての所得
 税の臨時特例に関する法律案(衆議
 院送付、予備審査)
○北方地域旧漁業権者等に対する特別
 措置に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。十月二十三日付をもって委員上林忠次君、二見甚郷君が辞任され、その補欠として加藤武徳君、竹中恒夫君が委員に選任されました。本日付をもって加藤武徳君が辞任され、その補欠として上林忠次君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(大竹平八郎君) 右の異動の結果、理事が一名欠けることになりましたので、この際、委員長は、前例に従い、理事に上林君を指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(大竹平八郎君) まず、畜産物価格安定特別会計法案、昭和三十六年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、以上両案を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。石田衆議院議員。
#6
○衆議院議員(石田宥全君) ただいま議題となりました畜産物価格安定特別会計法案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
 最近におけるわが国の畜産の発展は、まことに目ざましいものがありますが、その反面、従来から畜産物の価格安定に対する適切な施策に欠けていたため、経済の変動等につれてしばしば牛乳、乳製品、食肉等の価格が低落し、生産基盤の弱体な生産農民はそのために大打撃をこうむり、ひいては農業経営の安定、畜産の振興及び国民経済の発展を阻害して参ったのであります。
 しかして、今日、新しいわが国農業の発展のにない手として、畜産が重視せられ、いよいよその抜本的な振興対策の確立が強く要請せられておるのであります。
 よって、この際、われわれ日本社会党といたしましては、畜産物の生産農民に対する畜産物の価格が、生産費及び所得補償の原則によって決定され、時価がそれより低落する場合には、国が直接これを買い入れることによって、生産農民の所得を確保することが、畜産振興上最も有効適切な施策と認め、これがために、別途畜産物価格安定法案を提案しておるのでありますが、このうち、畜産物の国による買い入れ、売り渡し、交換及び保管等につきまして、その経理を一般会計と区分し、もって、この事業の収支並びにその成果を明確にすることが適当と認め、そのために、畜産物価格安定特別会計を設けることどいたし、本案を提出した次第であります。
 以下その概要について申し上げます。
 第一に、この特別会計は、畜産物価格安定法に基づく乳製品または食肉の買い入れ、売り渡し、交換及び保管並びに生乳生産者団体等に対する助成に関する経理を行なうことを目的とするもので、農林大臣が管理することとし、一般会計からの受入金をもってこの会計に生ずる損失を埋めることとしております。
 第二に、この会計の歳入は、乳製品及び食肉の売り渡し代金、借入金、一般会計からの受入金並びに付属雑収入とし、歳出は、乳製品及び食肉の買い入れ代金、乳製品及び食肉の買い入れ、売り渡し及び保管に関する経費、乳製品及び食肉の交換に伴う支出、生乳生産者団体等に対する助成に要する経費、借入金の償還金、一時借入金及び借入金の利子、事務取り扱い費その他の諸費としております。
 第三に、この会計の予算及び決算に関して必要な事項のほか、利益及び損失の処理、余裕金の預託等について必要な事項を定めることとするとともに、この特別会計の設置に伴って必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。
 以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、御可決下さいますようお願い申し上げます。
  ―――――――――――――
 次に、ただいま議題となりました昭和三十六年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 米穀についての所得課税の特例措置は、米穀の供出を促進し、食糧の確保をはかることを目的として、昭和二十六年に議員提出によって立法化されたことに始まり、自来二十九年まで、毎年、ほぼ同一内容の法案が提出され、米穀の超過供出奨励金、早期供出奨励金、供出完遂奨励金等の各種供出奨励金を非課税とする臨時措置が講ぜられてきたのであります。
 しかして、昭和三十年からは、奨励金制度が廃止されて、米価の一本化をはかるとともに、米穀供出制度にも画期的な改正が加えられ、いわゆる予約供出制度が採用されるに及んで、売り渡された米穀の代金の一部を非課税とする特例措置に切りかえられ、同時に、法律案の提出も内閣から行なわれることとなり、今日に至っておりますことは、各位のすでに十分御承知のところであります。その間本制度が、農家経済の安定と国民食糧確保の上に果たして参りました効果に見るべきものがあったのであります。予約供出制度の実施以来今日までの問、政府が米穀の集荷に当たり、農民の協力を得てほぼ所期の目的を達して参りましたのも、実は、予約米に対する減税措置があづかってこれを推進したからであると断定しても過言でないのであります。
 ところが、政府は、さきに 昭和三十六年米の予約減税廃止の意向を明らかにしております。また、自民党は米価の決定の際にあわせて検討するという態度を表明したのでありますが、すでに米価が決定し、売り渡しの予約期限も到来した現在において、今なお、決定するに至らず、すこぶるあいまいな態度に終始しているのであります。しかして、米作農家としましては、予約減税の制度は従来どおり存続されるものと理解して予約を行なっているわけでありますから、政府がこの特例措置を廃止するようなことがあれば、政府は米作農民をだましたこととなるのでありまして、われわれは政府のかかる不信行為を強く糾弾せざるを得ないのであります。
 政府が、予約減税を廃止する理由としてあげているところのものを見ますと、まず、この制度が予約売り渡しを推進する上に果たして来た効用はほとんど失なわれたということであり、さらには税負担に関連し、三十六年度税制改正によって農家の負担が著しく軽減され、所得税納税農家数も激減するから、予約減税制度の廃止による負担面の影響は、きわめて軽微であるということのようであります。しかしながら、われわれといたしましては、政府のこのような一面的な考え方には全く同意いたしかねるのであります。その理由の第一は、予約減税は、その制定の経緯から見ても明らかに米価の一部をなすものであります。一昨年度において政府が予約減税振りかえ分として一石当たり七十五円を計上したる事実がこれを証明しております。
 また、三十六年度税制改正は所得税の減税が中心であり、したがって、所得税に関する限りにおいては農家の負担も相当に軽減されるので、特例廃止による影響もあまり目立たないことは事実でありましょう。しかし、ここで特に注意しなければならない点は、農家の税負担の構成についてであります。すなわち、農家の税負担においては所得税よりも地方税の方が圧倒的に高い比重を持っており、地方税負担額は所得税のそれのほぼ五倍程度となっているのであります。しかも、本年度の税制改正における地方税の軽減措置はほんの申しわけ程度に行なわれたにすぎないのでありまして、特例措置の廃止が農家に与える影響は、所得税のみをとってみますと比較的少ないといたしましても、地方税におきましては、住民税所得割、国民健康保険税所得割等の形で大きくはね返って参るのであります。このような地方税へのはね返りを考慮しますると、特例措置の廃止は米価の実質的な大幅引き下げを意味すると申さざるを得ないのであります。
 予約減税制度を廃止しようとする政府の意図、動きないしはその企ては、もとより今に始まったことではなく、この制度の発足当時から大蔵及び自治省当局は、課税の公平化をたてにとって、本制度の廃止を強く主張していたことは隠れもない事実でありますが、その真意は米作農家に対する税の増徴にあることはこれまた天下周知の事実であります。
 政府は、一方では、一部大企業に対し巨額に上る各種税制上の恩典を残してその利益を擁護しているにもかかわらず、農民に対しては既得権ともいうべきささやかなる特例措置をも剥奪して顧みないのであります。税の公平化の見地からいいますならば、このような巨大企業に対する租税上の特例措置の全面的整理とか、法人と個人間の課税上のアンバランスの是正とか、その他、国税と地方税、直接税と間接税を通ずる税制並びに税務行政の抜本的改正こそまず実行いたさるべきであります。それ以前における一方的な予約税制度の廃止に対し、農民が強い不満を抱くのもまことに当然と思われるのでありまして、それがひいては農民の政治に対する不信となり、予約売り渡し制度に対する非協力を招来することとも相なれば、それははなはだ悲しむべき事態と申さねばなりません。
 以上の観点に立ちまして、われわれは、三十六年産米穀に対しても、従前どおりの税法上の特例措置を継続すべきものと認め、ここに本案を提出した次第であります。
 以下本案の内容について申し上げます。
 昭和三十六年産米穀につき、その生産者が、事前売り渡しの申し込みに基づいて売り渡した場合においては、従来と同様、同年分の所得税について、その売り渡しの時期の区分に応じ、玄米百五十キログラム当たり平均千四百円を非課税とする措置を講ずることといたしております。
 以上、本法律案を提案する理由及びその概要を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第でございます。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(大竹平八郎君) 次に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
 なお、政府側のただいまの出席は、大竹特連局長、林田漁政部長、稲村国庫課長であります。
#8
○木村禧八郎君 この際、ちょっと資料を要求いたします。租税特別措置法の一部改正に関する資料でありますが、二つ御要求したいのです。一つは、租税特別措置法の実施以後、最近までの減収額の累計です。それを項目別、年度別に資料を出していただきたい。もう一つは、租税特別措置ないしは税制を、景気政策として運用している外国の事例です。ありましたら、イギリスその他――われわれ承知しているのはイギリスだけなんですけれども、そのほかにもどこかあるかもしれませんが、事例、ございましたら、提出していただきたい。よろしゅうございますか。
#9
○委員長(大竹平八郎君) よろしゅうございますね。
#10
○政府委員(堀本宜実君) はい。
#11
○大矢正君 この法律に「主務大臣」という言葉があるのですが、これは主務大臣というのは一体だれになるのですか。
#12
○委員長(大竹平八郎君) 総務長官は今閣議に入っていて、間もなく来ますから……。
#13
○大矢正君 それでは御質問のしょうがない。
#14
○委員長(大竹平八郎君) 特連局長では……。
#15
○大矢正君 実は、この法律の具体的な項目に入る前に、私、根本的に聞きたい問題があるのだが、それは提案理由の中にこういうことがあるのですね。「歯舞群島、色丹島」……。
#16
○委員長(大竹平八郎君) 総務長官、見えました。
#17
○大矢正君 総務長官にお尋ねしますが、提案理由の中に、「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、わが国固有の領土であるにもかかわらず」云々と、こうなっている。わが国固有の領土というのはどういうことなんですか。それからまずお聞かせ願います。
#18
○政府委員(小平久雄君) この四つの島につきましては、歴史的な事実等からいたしまして、わが国の本来の領土である、こういうものでございます。
#19
○大矢正君 私は不勉強でよくわからないが、歴史的な事実とは、具体的にどういうことなんですか。
#20
○政府委員(大竹民陟君) 歴史的事実ということでございますが、これらの地域にはかって外国人が主として居住したというふうなこともないわけでございます。歯舞、色丹は、御案内のように、日本の北海道の一部であるというふうにいわれております。歯舞、色丹は、今申しましたような意味合いにおきまして、日本固有の領土であるというふうに、従来政府といたしましては主張しておる島というふうに私ども了解いたしております。
#21
○須藤五郎君 関連して。歴史的事実と言っているけれどもね、それじゃサンフランシスコ条約においてこの島々を日本が放棄したというものも、これも歴史的事実だと思うのですよ、僕は。その遠い昔の歴史的事実のみを歴史的事実と言って、最近のサンフランシスコ条約における歴史的事実は、歴史的事実としてあんたたちは認めないのですか。
#22
○政府委員(小平久雄君) サンフンシスコ条約で放棄した島というところがどこまでであるかというようなことにつきましては、これはむしろ私どもの主管でなくて外務省の関係でございますので、そういう点についてはむしろ外務省のほうの考え方をひとつお尋ねいただきたいと思っております。
#23
○大矢正君 歯舞、色丹は北海道の一部だと、こういうことは常に聞いてはいるんだけれども、国後、択捉というものと歯舞、色丹というものとは、やはり区分けをしているんじゃないですか。歯舞、色丹というのは北海道の一部だ、国後、択捉というのは、日本人以外にあそこに住んだことがないというだけで言っているんですから、ここでいう固有の領土という考え方の中にもおのずから違いがあるんじゃないかね。どうですかね。
#24
○政府委員(大竹民陟君) 外務省から参りましたから、ひとつ……。
#25
○委員長(大竹平八郎君) ただいま外務省から、都倉東欧課長が見えております。
#26
○説明員(都倉栄二君) 国後、択捉と歯舞、色丹の地理的な意味においては、これは若干違いがあると思いますが、日本の固有の領土であるという見地からは、私ども同様のものである、同性質のものであるというふうに考えているわけであります。
#27
○大矢正君 あなたの言う地理的という意味はよくわからないけれども、北海道本島から離れているとか離れていないとかいう意味合いからいけば、歯舞だって国後だってそんな大きな違いがないのです、地理的には。それから同時に、固有の領土とはどういうものかということを聞いているのです、固有の領土とはどういうことなんだと。
#28
○説明員(都倉栄二君) 固有の領土と申しましても、なかなかむずかしいのでありますが、とにかく歯舞色丹はもちろんでございますが、日本人以外にかつてそこに住んでいた者がないという厳然たる事実が、固有の領土としての一つの最も強い根拠であろうと考えます。
#29
○大矢正君 歯舞、色丹は北海道の一部であると。しかし、国後、択捉というものは、これは日本人以外が住んだことがないんだという立場からだと、これは二つ、おのずから違うわけでしょう。同じ固有の領土であるという考え方であっても、別々なもんなんでしょう、立場上からいけば。片一方は日本人以外に住んだことがないから、だから日本のものなんだと言うし、片っ方はそうじゃなくて、北海道のいわば群島の一つだと、こういうわけですからね。それと、住んだことがないというんじゃ、違うわけだね。その点はどうですか。
#30
○説明員(都倉栄二君) ただいま申しました日本人以外に住んだことがないというのは一例でございます。これはもう先刻御承知のように、条約上、法律上、一八五五年の日ソ通好条約にいたしましても、その後の七五年の千島樺太交換条約にいたしましても、そういう条約面から、法律面からいたしましても、国後、択捉というものは、われわれの固有の領土であるという主張でございまして、日本人以外に住んだことがないのも強い論拠でございますが、その他にもそういう法律上の論拠というものは種々あるわけでございます。
#31
○大矢正君 総務長官、その歯舞、国後の問題は問題として、ウルップ以北の十八群島ですか、十八島ありますがね、もっとせんじ詰めていけば南樺太もそうだけれども、結局これらの島々は、日本が武力によって獲得したものではなくて、交換条約によって手に入れたものなんですね。そこで、今度の特別措置にはウルップ以北は入らない、もちろん南樺太も対象にはならないという理由はどこにあるのですか。
#32
○政府委員(小平久雄君) ウルップ以北の通常いわれております北千島あるいは樺太の居住者と今回区別をいたしておるのであります。今回取り上げました四つの島の者につきまして、私どもといたしては実態を調査したわけでありますが、一応対ソ外交関係等におきまして、政府といたしましては、この四つの島の返還というようなことを従来主張しておったわけであります。私どもといたしては、そういう趣旨に沿いまして、今回の措置をとっているということでございます。
#33
○大矢正君 よくわからないけれども、どうしてそれから以北はやらないのですか、ウルップ以北は。四つの島の措置をとっていることはわかるのです、ここに出ているのですから。どうしてウルップ以北はやらないのかという、それがわからないのですよ。
#34
○政府委員(大竹民陟君) 一面から申しますと、ウルップ以北の北千島におりました者の数は、実態といたしまして私ども承知いたしております範囲ではきわめてわずかでございまして、ほとんど何名かという程度のものでございます。また、一方から申しまして、先ほど申しましたように、対外折衝におきましては、ここにあげました四つの島を返還してほしいというふうに主張いたしており、その主張の事実もございますので、一応この四つの島に今回は限ったということでございます。
#35
○大矢正君 総務長官、念を押しますがね、数が少ないから今は考えておらぬと、こういうお言葉なんです、それが一つ。それからもう一つは、返還を求めているのは、どこに向かって返還を求めているのかということは言っておられないが、おそらくソ連だと思う。四つの島だけだ、だからほかのことは考えないのだという、そういう御答弁なんですがね。それはそのとおり聞いてよろしゅうございますか。それは中千島以北は全然、そうすると政府は頭の中にないわけですかね。あわせて一つ御答弁いただきたい。
#36
○政府委員(小平久雄君) ただいま特連局長から説明申し上げましたとおり、ウルップ以北の島々にはほとんど定住の住民というものがなかったと、こういう事実、それから特に御指摘のとおり、対ソ折衝当時におきまして、この四つの島について従来返還を求めておったと、こういうことから、今回の法律といたしましては、この四つの島のもとの居住者を対象として措置すると、こういう措置をとったわけでございますが、たとえ少数といえどもいわゆる北千島に定住しておったというような人々に対しましては、将来の状況によりましてさらに検討をいたしたいと、かように思います。
#37
○大矢正君 そうすると、それじゃひとつ参考のために、各島の住んでいた人の数字をちょっと教えてくれませんか。
#38
○政府委員(大竹民陟君) 今手元に数字を持ち合わせておりませんが、私ども北海道の関係者その他から得ておりますところによりますと、定住者といたしましては、北千島全部合せまして数十名の範囲であるというふうに承知をいたしております。
#39
○大矢正君 そんなばかなことはない。それはあなたの間違いだ。これは実際問題としてほんとうにあれですよ、あなたがさっきから言われた北千島という言葉を使われているのは、あなたの解釈からいくと、国後、択捉、歯舞、色丹、四つの島以北は全部北千島という解釈をされてるんだから、ウルップ以北十八島全部の中に数十名しかいなかったというあなたの御答弁、これで間違いないですかな。そのとおりですか。北海道に聞くのはおかしいじゃないか、政府が提案をしているのに。
#40
○政府委員(大竹民陟君) 私がただいま申し上げましたものよりももう少し少なくはなかったろうかというふうに考えております。
#41
○大矢正君 総体どのくらいですか。
#42
○政府委員(大竹民陟君) これは昭和三十四年に行ないました調査でございますから、若干相違があると思いますが、その当時、ただいまお話しの島々から引き揚げまして北海道に居住しておる者を主として調べたわけでございます。大体あの地区のほとんど大部分の者は北海道に引き揚げておるというふうに承知いたしておりますが、そのときの調査によりますと、十一名という数字があります。
#43
○大矢正君 これ、どうやって調べられるのですか。最終的に住んでいたか住んでいなかったかということですね。
#44
○政府委員(大竹民陟君) 一方で、戦前におきます北海道庁の調べというふうなことも聞いておるわけでございます。ただいま申し上げました数字は、千島、歯舞引揚者の連盟というようなものがございます。そういう団体の協力などを得まして、実態に基づいて調査いたしております。
#45
○大矢正君 総務長官、ウルップ以北の島については、日本はこれは返してもらう必要性がないというふうに考えているのですか。それとも、返してもらいたいと考えているのですか。
#46
○政府委員(小平久雄君) 先ほど申しますとおり、領土の問題につきましては総理府の所管でございませんので、外務省から来ておりますので、外務省からお答えいただきたいと思います。
#47
○説明員(都倉栄二君) ウルップ以北の千島につきましては、御承知のように、サンフランシスコ条約でこれを日本政府は放棄したわけであります。しかしながら、何国にこれを放棄したということははっきりしておらぬわけでありますし、将来機会が参りますれば、これらの島々をわれわれは貪欲やカイロ宣言の主義で取ったものではないということで、返還してほしいという要請をすることは可能であるというふうに考えておるわけであります。
#48
○大矢正君 どこへ。
#49
○説明員(都倉栄二君) これは、もし機会がございますれば、たとえばサンフランシスコ条約に調印した連合国の会議等が開かれる、そういうものを開くことを要請するということの可能性は、これはないわけではございません。もしそういう国際会議が開かれたような場合には、それに対して要請をするということは可能なわけでございます。
#50
○大矢正君 今のあなたのお話からいけば、ソビエトは入らないことになるのですね。
#51
○説明員(都倉栄二君) これは連合国でございませんから、ソビエトは入らないわけでございます。
#52
○大矢正君 ソビエトが占有している領土に対して、ソビエトが入らない国際会議というのはあるのですか。そんな会議できめてどういう効果があるのですか。
#53
○説明員(都倉栄二君) これは法律的にもいろいろ先例も――先例と申しますか、法律的にこれは可能なことであります。事実問題としては解決は非常にむずかしいということができるわけでありますが、そういう会議を招集し、われわれの領土に関し返還してほしいと要請するということは、法律的には可能だと思います。
#54
○大矢正君 あなたの言われている法律法律というのは、国際法のことでしょう。それはわれわれしろうとだって、国際法というものと国内法というものは現実的に違うのだということぐらいは、これはわかっているのだよ。国内法というものは明らかなものであるから、絶対に犯すべからざるものであると思いますけれども、国際法なんというものは、もちろんあるにはあるけれども、そのときどきの政治情勢やお互いの国と国との力関係やら、そういうものによってある程度きまるのでしょう、国際法というのは現実には。ですから、国際法上からいえば云々といっても、現実の政治ではむずかしい話ですよ。と同時に、これはもう一つ念のために聞いておきたいが、あなたは、ソビエトが入らない国際会議においても北千島が返ってくる可能性もあるのだ、こういう答えだったが、北千島、いわゆるウルップ以北というものはどんなことがあっても絶対返ってこないのだということではないのでしょう。返ってくる場合もあるという考え方をあなた方は持っていられると思うのです。どうなんですか。
#55
○説明員(都倉栄二君) そのとおりです。
#56
○大矢正君 そうすると、小平長官、将来、これは四つの島に限らず、北千島の一部もあるいは返ってくるかもしれないと言っているわけだ、国際情勢の推移によって。それなのに、なぜ北千島の数十名かなにかわからないけれども、私は数十名じゃないと思うのですよ、ないと思いますが、政府の資料によると数十名だという。たとえその数十名にしても、特別措置の中に入れられないのか。
#57
○政府委員(小平久雄君) 先ほども申しましたとおり、将来の機会に応じて検討をいたしたいと考えております。
#58
○天田勝正君 一言関連して。人の発言を引き取っちゃ悪いから一問だけにしておきますが、もともとこの法案というものは領土問題を審議すべきものではないのです、もともとは。いいですか。そこをあなた方聞き違えているのじゃないかと思う。ですから、大矢さんの質問されておることは、領土問題をここに特に説明にうたっておるからこれがひっかかりになったのだけれども、それよりも、国後、択捉、歯舞諸島、こういうものはこの措置に入っておるけれども、それ以北に、現実にあなた方の資料においても数十名というものはすでに引き揚げておられる。どうしてそれを除外したか。そこなんですよ、まず。それはどういうわけなんですか。将来返してくれとか、国際会議を開くとか、そういうものとは別に、現実に帰っておる者をこの特別措置から除外すると、これはどういう理由なんですか。
#59
○政府委員(小平久雄君) 水産庁のほうからお答えさせます。
#60
○天田勝正君 いやいや、根本的な内閣の方針ですよ。どういうわけでそこに差別をつけるのか。
#61
○説明員(林田悠紀夫君) 実は、これは漁業者のほうの側から申し上げますると、今回の措置は、北方の地域につきまして北海道の漁業者が操業をする、しかしながら特にこの千島の南のほうの島々につきまして十分な操業ができない、安全に操業ができないという問題がございまして、漁業者のほうからは何とかして安全に操業できる措置をとってもらいたいということをいつも要望をされておるわけでございます。それで、特に漁業で重要な地帯といたしましてはこの千島の南のほうの島々の地帯でありまして、どうしてもその辺で操業をしないと生活が困るという事態があるわけでございます。したがいまして、操業が十分できませんので、それに対する措置としましてこういうふうに北方協会というものを作りまして、それに国が公債を交付しまして、その利子によって、あるいは他に転業をいたしましたり、あるいは北海道において漁業をやる場合に他の漁業をやったり、あるいは沖のほうまで出ていくというような、そういうふうな生活上の別個の措置をとりまして、現在困っておる人たちを救っていこうというふうな考え方からやったような次第でございまして、それで特に南のほうが問題でございましたので、安全操業の見地から南のほうを取り上げて救うことにすることにしたわけでございます。
#62
○天田勝正君 そういう質問をしておるのじゃないのだ。
 委員長、議事進行上ですね、質問と全く異なる答弁をされたときは、ひとつ御注意願って、時間を節約をしてもらいたい。今、内容の説明をされておるのですけれども、そういう質問を私はしておるのではありません。領土問題を、言うならば、今主たる質問者に大矢さんですから、それが済んでからまたあらためて伺うといたしまして、私はこの特別措置をするというのは、今言われたように、従来北方で漁業を営んでおった方々が引き揚げて、さらに今日漁業あるいはその他の職業につくにしても、まことに困難である、これを何らかの措置を講じなければならないというのが、この法律の趣旨であることは間違いない。そこで、今漁業を営んでおる人云々というので言われておりますけれども、ウルップ以北の人であっても必ず漁業を営んでいたはずだ。また、いないと仮定をいたしましても、それじゃ、今何部長か課長か知りませんけれども、よくこの法律の第二条を見てごらんなさい。それだけにとどまっておりません。すなわち、二条二項の三号、「前二号に掲げる者のほか、昭和二十年八月十五日まで引き続き六月以上北方地域に生活の本拠を有していた者」、こう書いてある。しからば、漁業をしない人でありましても、この特別措置によってその生活の安定を得るように措置をしよう、こういうのです。でありますから、ウルップ以北の人々であっても現に引き揚げておられる方たちは、この特別の措置によって何か救いの道を見出してあげたい、こういうのがこの法律の趣旨でなければならないのに、そこに住まっている場所によって差別をつけたのは一体いかなる理由か、これなんですよ。そのものずばりでひとつ答えて下さい。
#63
○政府委員(大竹民陟君) 先生の御発言にもございましたように、この法律自身といたしましては、あらためて日本の領土がどこまでであるかということを積極的にきめていこうというふうな考えを持った法律でないことは明らかであります。今回の措置をとりましたのは、先ほど私申し上げましたように、これら四つの島々は、政府といたしましては対外的にも従来日本の固有の領土であるというふうに主張しておった地域でございます。また農林省からも御発言がございましたように、これらの地域の引揚者は早く島に帰りたいという希望を持っておりますけれども、今日までなおその希望はかなえられておらないというふうな事情もございます。またかって行ないました漁業権補償にも漏れておる、あるいは安全操業も阻害されておる、これらの島々のただいま申しましたようないろいろな関係を総合いたしまして、今回の措置といたしましてはこの四つの島に限る、こういう考えをとったわけでございます。
#64
○天田勝正君 関連して長く言っちゃ悪いから、もう一ぺん念を押しておきますがね。今の答えはまた筋違いなんですよ。総合的に考えればですね、北千島であろうとどこであろうと、せっかくこういう特別措置をするからには、何人にもその救いの手が伸びられるようにと、このほうが総合的なんです。そこに差別をつけるほうが一向総合的じゃないのです。
 それで、漁業のところだけ説明されますけれども、この法律の目的自体が、定義にちゃんと書いてあるように、そういうものじゃないじゃないかという私は指摘をしているのです。それは、主として千島の南にいる方は漁業で生計を営んでいる人のほうが数が多いと、それが事実でありましょう。事実であるけれども、漁業者以外は全然この法律では救わないという趣旨のものではない。その三号にちゃんと、六カ月以上そういう北方地域にいた人はこの措置で何らかの救いの道を講ずるのだ、こういうのでありますから、それならば、なおさらもってこの択捉、国後まででなく、ウルップ以北の十八島も全部含めて救いの道を講じられたらどうか。これはどうです、総務長官、御訂正になる御意思がありますか。
#65
○政府委員(小平久雄君) この法律では四つの島の元居住者ということに限っておるということについてのこの政府の考え方は、先ほど来申しておるとおりでございますが、また四つの島以外のいわゆる千島の住民がたとえ少数といえどもあったじゃないか、こういうなぜ差別するのか、こういう御趣旨と思いますが、そういう御質問につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、将来の状況によって考慮いたしたい、検討いたしたいと存じますが、ただ、従来まあ政府の考え方からいたしますと、いわゆる北千島は平和条約におきましてこれを放棄をいたした、こういう立場にございますし、実は国全体として考えますと、ほかにも同様に放棄をしたところがたくさんあると、そういう関係からいたしまして、わが国が放棄をしない固有の領土である、かような見解を持っておった島に今回の措置は一応限ったと、こういうことです。
#66
○天田勝正君 これは、私は領土問題を議論していたんではとても果てしはないので、そういうものじゃなくて、私は引揚者の――どういう理由であろうと、施政権がもとどうであったろう、今どうであるとか、あるいは固有の領土であったとかなしとかにかかわらず、引揚者に対して何らかの措置をしなければならないという法律の私は一環だと思っている。そういう観点から質問している。でありますから、他の引揚者の特別の措置にいたしましても、それが満州であろうと中国本土でありましょうとも、南方諸地域でありましょうとも、そういうことには関係なしに、ずっと今まで扱ってきた。今回の法律だけそこに、特にもとの固有の領土であったと政府が解釈をする島だけに限っている。他のものは排除する。これは一体どういうわけか。それは入れた方がいいんじゃないかと思う。入れても別に、国際的に何らの差しつかえはないんだし、もし日本で救いの手を伸べて、それが領土の――日本の主張する領土と関連をするというならば、満州引揚者に対して何かの措置をとった、南方の引揚者に対して何かの今まで措置をとってきた、こういうことにも、外国は神経をとがらすはずなんだ。ウルップ以北であろうと、樺太引揚者であろうと、それに対して日本国内において救いの道を講ずる、特別措置を講ずるということに、何ら今までも外国から文句をつけられたためしもないんだし、現在こういう法律によってその措置をとったっても、決してそれはけちをつけられるべきものじゃない。私どもはそう解釈する。ですから、それであるのにウルップ以北だけは、まあ冷たく扱う、その根拠がどうしてもわからない。だから、その根拠が何かあるはずなんだ。あるんでしょうから、それをひとつぜひお示し願いたい。
#67
○政府委員(大竹民陟君) 先ほど長官御説明になりましたように、引揚者という観点から申し上げますと、朝鮮、満州、あるいは各地区からの引揚者があるわけでございまして、これらの人に対しましては、なおその処遇を十分にする必要がございますならば、これはまたその観点から、所管の厚生省というようなものもございますので、そういうところで十分に検討をしなければならぬというふうに考えるのでございます。
 この地域に限りましたのは、先ほど来しばしば申し上げましたように、対外関係におきましても、政府といたしまして、固有の領土であるというふうにこの地域につきまして申してきたわけでございます。私どもといたしましては、そういう事柄に基づいて今回の措置をこれに限っておるということでございます。
#68
○戸叶武君 この問題は北方におけるところの生業に携わった人の苦境を救うということが目標なのに、この特殊な今の日本外交の官僚主義的な考え方で、北方地域というのを俗に外務省で南千島といわれているような四つの島に制約して問題を取り扱っているところに、北方におけるところの日本の人々を救うということよりも、何か四つの島ということに、固有の領土だとかなんとかいうものにこだわっているところに問題が紛乱しているところがあるんじゃないかと思いまして――政府は勝手に四つの島というふうに制約しておりますけれども、私が固有の島だというのは千島全体と思っているんで、まだこの問題は一つの、はっきり国際的な会合においても明確化していないので、政府がひとりよがりで、政府の独断的な判断で四つの島というものにこだわって、何かこんなことをしてもしょうがないので、今まで日本人が、かつて日本の領有していたところの南千島から千島全体において居住して生業を営んだ人たち全体をどう救うかということが対象になるべきなんで、それを北方地域というものを四つの島というふうに規定して、とりあえず救うという形で、ほかと区別しておるという点が、この法案の非常に不明朗な点だというふうに突かれていると思う。それで、ここで何の必要があってこの四つの島というところにだけばか力を入れて力んでいるのか。みなこれは誤解を増すだけであって何にもならないと思うのですが、ここのけじめをもう少しはっきりと、概念規定からなっていないのですけれども、そういう外務省の官僚の頭にだけ通用する概念的な規定であって、国際的な関連性のある問題、しかもこういう日本の北方の島に住んで生業を営んでいた人を救うという問題、こういう問題を混乱させている。この法案自体が私は議論にならぬと思う。もっとはっきり解明して下さい。
#69
○政府委員(大竹民陟君) 先ほど申しましたように、この法案で領土問題自身を規定するという考えは全然ありません。ただ、この対象をどの範囲にするか、具体的な措置をどの範囲に及ぼすかということを明確にいたしますために、かつ、法律上の取り扱いといたしまして四つの島に限るということを書いてあるわけでございます。この四つの島だけに限って、特にこれにつながっております千島のほかの部分の島に及ぼさないのはどういうことであるかということでございます。御案内のように、終戦によって引き揚げました者は各地域から非常に多いわけでございます。私どもといたしましては、それら全般につきましての政府の対策と申しますよりも、今回は、ただいまここに規定してございますような島から引き揚げてきた人、これは主として北海道に居住いたしておりまして、いろいろな困難に遭遇しておるその実態をおもに重視いたしまして、今回のような措置をやっておるわけでございまして、お話のように、外交上の問題は今後あるいはいろいろと変わってくることもあり得る、そういうふうに考えられるわけでございます。そういう点につきましては、総務長官御説明になりましたように、そういう事態に応じましてさらに検討をするという考えでございます。
#70
○戸叶武君 簡単に。問題はだいぶしぼられてきたのですけれども、依然としてわからないのは、領土問題にこだわる必要はないし、質問者も先ほどから言っているとおり。だが、現実においてあなたの方でこだわって、四つの島というふうに制約してウルップ以北の千島の問題と差別待遇をしておる。その差別待遇をしなければならない根拠がどこにあるかということが明確化していないのです。その根拠として、日本の固有の島としてこの四つの島をどうこうという議論をやるから、領土問題に関連した議論というものの掘り下げになっておる。なぜその必要があるのか。四つの島に制約してウルップ以北と差別待遇しなければならぬという根拠は、同じ日本人に政府の独断的見解によって、戦争の悲劇として同じような被害をこうむっていながら、なぜそういう差別をしなければならないか。その差別の規定が明確でないのではないですか。失礼ですよ。
#71
○大矢正君 関連して、同時にお答えしてもらいたいのは、私はこの領土問題をここで議論しようという気持はないですよ。ただ、わざわざ「わが国固有の領土であるにもかかわらず、」、提案理由にこれがなければいいんですよ。これが全然なくて、とにかくこの四つの島に限って、漁業権があったものを中心にしてこの際特別の措置をするというなら、それでいいのだ。四つの島だけやっている。われわれがなぜやれないかと言えば、それはまだ考えていないと言えば話は済むけれども、「わが国固有の領土であるにもかかわらず、」云々という文字が入ったから、特別の固有の領土だからやるんだ、こういう出発から問題が出てくる。「わが国固有の領土であるにもかかわらず、」云々という、この二行か三行を削れば問題は簡単に済むので、ここで領土問題の議論も何もしないで済むんだ。小平総務長官、どうお考えになりますか。
#72
○政府委員(小平久雄君) ただいま、先ほどから申しておりますように、この法案自体は、別に領土問題をどうしよう、こういう意思でないことは御承知のとおりでございます。ただ、さきにも申しましたとうり、政府の立場からしますと、これら四つの島については、従来から固有の領土である、こういう建前で対外折衝等も行なって参った。いわゆる北千島等につきましては、サンフランシスコ条約において、ほかにも同様に放棄した領土がございます。そういう関係で、そこにいわば、少なくとも本法の建前から申しますと一線を画したと申しますか、一応の区別をしてこの法案を考えた、こういうことでございます。
#73
○大矢正君 これはサンフランシスコ条約で、いわば四つの島――ウルップ以北は南樺太も含めて放棄したのだ、だからそれはだめなんだ。したがって、わが国固有の領土云々ということで、あなた方が四つの島と限定をされてくると、政治的に意見の合わない問題がそこに出てくるわけです。だから、これからいくと、社会党、お前らの言っていることは間違いなんだ、おれたちの言っていることが正しいのだから、北方領土問題についてはお前たちはおれたちの言うことを確認せい。その前提で法律を審議しなければならない。だから、この条項がなければ私ども黙って賛成します。こういう提案理由があるということは、ことさらに今の北方領土問題の政治的な混乱を国会の場に求めてくる、こういうことに解釈せざるを得ないわけだ。これがなければ、私ども何にもこんことは言わない。内容だけで審議して、賛成でございますと賛成したい。そういうことがわかっていただけると思うのです。どうですか、長官。
#74
○政府委員(小平久雄君) お話しの点はよく理解ができるのでございますが、ただ、この法案自体としましては、いわゆる北千島等につきましては、これが固有の領土であるとかないとか、そういった領土についての考え方というものには全然いわば触れていないわけでございます。したがって、お答え申しますような立場において、この法律においては四つの島を政府が今まで考えておったような立場で取り上げた、こういうことでございます。
#75
○須藤五郎君 聞いておれば聞いておるほど、だんだん不思議なことになってくるが、最切に、今領土問題に触れていないと言うけれども、政府の説明者がちゃんと固有の領土だということをはっきり言っているのですから、これは領土問題ですよ。領土問題じゃないということは言えないと思うのです。この四つの島は固有の領土だから、こういうふうに入れた、そしてこの四つの島に住んでおった人を特別扱いしているのだということを、はっきり言っておるのだから、領土問題に触れていないのだというようなことは、総務長官、言えないと思うのですね。そうでしょう。どうですか。まずそれから伺います。あなたたちの答弁しておることと総務長官の言うことは矛盾しておるわけです。固有の領土だからこういうふうに扱ったんだと言っている、政府の答弁は。総務長がそうじゃない。それはおかしいですよ。どうなんですか。そこを明らかにしないといかぬですよ。これは大矢君も言うとおり、けんかぶっていることになる。
#76
○政府委員(小平久雄君) 私の申しておりますのは、この四つの島については、従来から政府が、固有の領土であると、こういう建前をとっておることは御承知のとおりです。その建前に立って今度のものはできている、法案も考えておる、こういうことを申しておる。ただ、この四つの島以外の島のことにつきましてはこの法律は何ら触れていないのだ、こういうことを言っておるのです。
#77
○須藤五郎君 だから、四つの島については固有の領土だ、いわゆる領土権を主張して、そのもとに立ってこの法案を考えられている、こういうことははっきり言えるでしょう。
#78
○政府委員(小平久雄君) その点はそのとおりだと思います。
#79
○須藤五郎君 そうすると、先ほど総務長官が領土問題には触れていないのだとおっしゃったのと矛盾してくると思う。やっぱり四つの島という、領土問題を観点に置いて、この法律案はなっておる。だから、大矢君の言うとおり、領土問題はわれわれは自民党と考え方は違うのだ。そうすると、この領土問題の考え方のもとに立った法案であるから、そうすると問題が起こってくるのだ、こう大矢君は言っておる。そのとおりじゃないですか。
#80
○政府委員(小平久雄君) 私が領土問題に触れていないというあるいは表現をしたかもしれませんが、私の言わんといたしましたところは、この法案というものは、これによってわが国の領土の範囲を決定するとか、そういったことを本来のねらいとしておるのではなくして、もっぱらこれらの島で漁業を営んでおった人であるとかその他の人の救済援助であるとかといったことをねらいとしておる、そこに主眼があるのだということを申し上げたかったわけです。
#81
○戸叶武君 今やっても際限がないと思いますが、簡単に言うと、提案理由の趣旨説明に問題点がある。小平長官の説明を聞くと、「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、わが国固有の領土であるにもかかわらず、昭和二十年八月ソビエト社会主義共和国連邦により占領されて以来事実上同国の支配下にあり、わが国の施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。」、この数行を否定するわけですね。これを取り消すんなら、問題がなくなるのですよ。今の説明を聞くと、これを否定した御議論のようですが、言葉としての答弁だけでわかりませんから、この数行にわたっての提案説明を取り消すということを明確に小平長官が言えば、またここにおいて一歩前進して話は進むと思いますが、その言葉としてのあれでなく、文字に表わされたものに対して明確な御答弁を願います。
#82
○政府委員(小平久雄君) まあせっかくのお言葉ですが、先ほど来繰り返して申しておりますように、政府の従来の立場から申して、事実を事実としてそこには述べてあるわけでございまして、何ら別に他意があるわけでもなんでもございません。したがって、提案理由を今取り消すというわけにも参らぬと思います。
#83
○須藤五郎君 大矢さんも言うとおり、この提案理由説明書の最初三行ですね、三行というものはぼくらにはやはりかつんと来るわけですよ。だから、これがある以上やはり議論が尽きないと思うのですよ。
 これと、それから僕のほうとすれば、提案理由の中の、参考資料の中の、北方地域としてやはり歯舞、色丹、国後、択捉はソ連邦に占領されておるという表現がある。この占領されておるという表現、これがやはり私たちには問題になるわけです。(「それなら、あれはどうなっておる」と呼ぶ者あり)そこで私は、占領じゃないです。合法的な問題ですよ。(「へー、妙な話を聞くね」と呼ぶ者あり)そこで、外務省の方に質問しますが、先ほど大矢さんの質問に対して、ソ連邦が参加しない国際会議においてこれを解決しようと、こういう意図をあなたは持っていらっしゃるようなんです。そんな夢物語のようなこと実際できるのですか。あなた、できる方法があるのですか。どういう方法でそれを解決しようというのです。ソ連邦はサンフランシスコ条約によってちゃんと譲渡を受けた。その島を、ソ連邦の参加しない国際会議においてこれを解決しようというのは、一体どういうことなんです。
#84
○説明員(都倉栄二君) ただいまサンフランシスコ条約でソ連に譲渡されたという仰せでございますが、これは私事実に反すると思います。これらの島島の帰属は、現に放棄はいたしましたけれども、決定していないわけでございますから、その放棄の事実を、ともにそこで調印した国々がその帰属を決定する会議を行なうということは、これは法律的に可能なことでございます。現実のきびしい国際情勢でこれが近い将来にどうこうということはもちろん申しませんし、非常な困難を伴うのでございましょうが、法律的にはそういう会議というものは可能であるということを私ども申しておる次第でございます。
#85
○須藤五郎君 この問題は、もう衆議院、参議院の予算委員会においてもたびたび論議されたことですね。私はここで何もそれを蒸し返そうとは思わないんですよ。しかし、やはりこういう法案が出てくると、この問題に引っかかってくるわけなんですが、重光外相は、あの日ソ共同宣言の批准のときに、日ソ共同宣言発効後は不法占拠ではない、歯舞、色丹については言うまでもなく、国後、択捉についても日ソ共同宣言に調印した立場から決して不法占拠とは言えないということをはっきり言い、そしてこの問題は日ソ間の話し合いにおいて今後解決すべき問題だということをはっきり言っておるわけです。それならば、いまさら国際会議に持ち出すとかなんとかいうばかな不可能なことを言うよりも、やはり日ソ間の話し合いにおいてこの問題は解決するという方針に立ったほうが私は正しいんではないかと思うんです。どうですか。重光外務大臣、時の全権の言ったことは間違いなんですか。それとも現政府はそれを認めぬというのですか。どうなんですか。
#86
○説明員(都倉栄二君) これはもっと高いレベルの方から御答弁願うのが至当と存じますが、もちろん日ソ間で話し合いがついて解決すればこれに越したことはないと思います。政府もその努力はずうっと続けて参っておるわけでございます。
#87
○須藤五郎君 努力を続けているなら、その努力を続けるべきであって、その方向と全く正反対な方向の国際会議に持ち出して云々というようなことをいまさら何のために言う必要があるんですか。これは全くおかしいことだ。ヤルタ協定においても、ちゃんとその問題は話し合いの結果こういうことになってきているんです。だから、今さらそんなことを蒸し返して、そうしてできもしないことを言ってやっているというのは、政府の意図はやっぱりこれは報復主義の立場に立って国民に反ソ反共の思想を吹き込む一つの手段として領土問題を取り扱っているというように、われわれ理解せざるを得ないんです。ほんとうに平和の立場に立って話し合いで解決しようと思っているなら、こんな方法をとる必要がない。そのほうが実現する可能性がある方法なんです。まず、日ソの平和条約を結ぶというところから始めていかければ、実現の可能性のない問題だと思うんですが、どうですか。きょうは実は大臣の出席を要求しておったわけですが、大臣は来ないわけです。どうですか。
#88
○木村禧八郎君 大臣に一ぺん領土に関する……。
#89
○委員長(大竹平八郎君) 外務大臣ですか。
#90
○木村禧八郎君 ええ、外務大臣。
#91
○須藤五郎君 外務大臣でも総理大臣でもいいですね。
#92
○大矢正君 私は、この法律には決して反対じゃなくて、賛成をしたいし、通したいという自分の意思は持っておりますけれども、その意味では共産党の須藤さんとちょっと意見は最終的には、領土問題では違うと思うのだけれども、しかし、こういう項目が提案理由の説明の中にあって、そうしてサンフランシスコ条約の経緯であるとか、あるいはまたわが国固有の領土というものは四つの島に限定されるとかいうようなことをお前ら認めれ、認めた上でこの法律を通せというような提案理由の仕方というものは、私どもとしては賛成するわけにはいかないわけだから、ですから、そういう形から来るとすると、私どもは、それじゃ固有の領土というのは四つの島しかないのか、それじゃ北千島や南樺太というものは全然わが国の領土じゃなかったのか、こういう問題にもやっぱり議論が発展していくし、ですから私はきょうはこれ以上ここで議論してもしようがありませんし、いずれ理事会でもその問題を相談して、次の委員会等で結論を出しながら具体的な法案の内容を審議することにして、きょうはこの辺で終わっていただいて、ほかもあることですから、次回に譲っていただければ幸いだと思います。
#93
○木村禧八郎君 今の大矢さんの発言に関連して、それじゃ二つの点を明らかにしてもらいたい。一つは、「固有の領土」云々の提案理由、これを削るか削らないかという点が一つなんです。さっき、削らない、削れないということを言いましたが、できるのかできないのかということが一点。それから、ウルップ以北の人の救済の問題です。これが非常に漠然としているんですが、これがまた一つわれわれも割り切れない点なんですよ、救済について。数十人とか、幾らか人数はわかりませんが、これは国民が常識としてどうしてもおかしいと思うですよ。数十人で人数が少ないといったって、差別されるについてはどうもおかしい。北方協会にそういう人も含めるというならいいですよ。北方協会の適用を受けるというなら。だから、歯舞群島、色丹、国後、択捉等とか、「等」かなんか入れて、そうしてそういう人たちも救い得るような道はやはり講じておくことがいいのじゃないかと思う。そうすればすっきりすると思うんですよ。この二点について明らかにしてもらえれば、問題はかなりすっきりしてくるのじゃないかと、こう思うんですが。
#94
○委員長(大竹平八郎君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#95
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 本日はこれにて散会いたし、質疑は後日に譲ります。
   午前十一時三十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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