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1961/10/26 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第7号
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1961/10/26 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第039回国会 大蔵委員会 第7号
昭和三十六年十月二十六日(木曜日)
   午前十一時二十一分開会
   ―――――――――――
 委員の異動
十月二十五日委員占部秀男君辞任につ
き、その補欠として成瀬幡治君を議長
において指名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           成瀬 幡治君
           市川 房枝君
   委員
           太田 正孝君
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           木暮武太夫君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           野溝  勝君
           天田 勝正君
           原島 宏治君
           須藤 五郎君
  政府委員
   総理府総務長官 小平 久雄君
   総理府特別地域
   連絡局長    大竹 民陟君
   大蔵政務次官  堀本 宜実君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   水産庁漁政部長 林田悠紀夫君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○北方地域旧漁業権者等に対する特別
 措置に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会をひらきます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。十月二十四日付をもって委員成瀬君が辞任され、その補欠として占部君が委員に選任されました。二十五日付をもって占部君が辞任され、その補欠として成瀬君が委員に選任されました。
   ―――――――――――
#3
○委員長(大竹平八郎君) 右の異動により、理事が一名欠けることになりましたので、委員長は、前例に従い、理事に成瀬君を指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   ―――――――――――
#5
○委員長(大竹平八郎君) 次に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行なうことにいたします。
 まず、小平総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。
#6
○政府委員(小平久雄君) まず最初に、一言おわびを申し上げておきたいと思います。と申しますのは、先般御説明申し上げました本法案の提案理由の説明におきまして、委員各位にお配りをいたしました資料の中に、理由説明の最初の方でございますが、「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、わが国固有の領土であるにもかかわらず、昭和二十年八月ソビエト社会主義共和国連邦により占領されて以来事実上同国の支配下にあり、わが国の施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。」、こういうことになっており、本院の速記もさようになっておるのでございますが、私といたしましては、あの説明の際に、ただいま申し上げました部分のうち「昭和二十年八月以来わが国の施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。」と、こう実は私自身はここで申したのでございます。このことは衆議院におきましても同様に申し上げたのでございます。ただ、委員各位にお配りをいたしました資料では、ソビエト云々と、このところが抹消せずにお手元にお配りをいたしてしまっておった、こういう手違いがございました。この点はなはだ恐縮に存じますので、委員各位のお手元の資料も御訂正をいただきたいと存じまするし、速記の方も、これは私としてはここで申し上げなかった個所なのでありまして、どういう事情で速記の方がそうなったかは存じませんが、この点はひとつ、以上申し上げたとおりの事情でございますので、御了承をいただきたいと存じます。
 なお、二点といたしまして、提案理由の中に「わが国固有の領土であるにもかかわらず」云々という字句がございますが、これは別段領土問題の議論に対しまして何らかの決定づけをしようといったような格別の意図があって申したのではございません。この点もひとつあわせて御了承をいただきたいと存ずるのでございます。
#7
○成瀬幡治君 ただいま小平長官の方から一点、二点についての御説明がございましたですが、一点については、まあこれは事務的な手続の間違いであるとして了承いたします。
 第二点の問題については、先ほど理事会等でもいろいろと議論があったわけでございますが、要は、衆議院においてこういう提案がなされておる、それで参議院でこれを変えることはできない。元来ならば、変えてもらいたい。また、あなたのほうもそれに応ずる用意があるけれども、そういうことができないから、まあ今そこで釈明をいただきましたような格好な取り扱いにする、こういう点でわれわれのほうも了承せざるを得ないと思うのです。時間的な進行状態において了承するわけですが、少なくとも「固有の領土」というような定義が非常に不明確であり、しかも意見の分かれておる問題についてこういうところに載せられるという点は、非常に私どもも遺憾であり、軽率な扱いであったというそしりは免れないと思うのです。そういう点についてやはり遺憾の意を表せられたというふうに了承してよろしゅうございますか。
#8
○政府委員(小平久雄君) ただいまお話のございましたとおり、「わが国固有の領土であるにもかかわらず」云々という点は、さっき申しましたとおり、衆議院の提案理由にも申し上げましたところでございまして、その関係から申しましても、本院の提案理由が衆議院のそれと異なる、こういうわけにも参らねと思います。遺憾ながら、これを取り消すということはできかねるのでございます。この点もあわせて御了承をいただきたいと存じまするし、またただいまの御発言につきましては、私どもといたしましても、今後こういう表現につきましては十分ひとつ注意をいたして参りたい、かように考えております。
#9
○大矢正君 それでは、総務長官にお尋ねをしますが、この法律の名称は北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案となっておるんですが、ところが、この目的の中には、後段に「あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的とする。」と、こうなっておるんだが、「あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的とする。」ということなのか、その点をお答え願いたい。
#10
○政府委員(小平久雄君) この本法のねらいといたしまする問題が、四つの島に住んでおった人々の置かれておる特殊な事情にかんがみて、これらの人々を援助してこの際参ろう、こういうことでございますので、その援助の仕方としては、むろん政府が直接やることもございましょうししまするが、しかし政府が直接やらぬ問題につきましても、たとえば身辺の問題であるとかそういったような点につきましても、今度できまする北方協会をしやらしていこう、こういうことで、ごく一般的にそういう表現を用いたわけでございます。
#11
○大矢正君 これは前段のほうで、たとえば生活に必要な資金を低利で融資をしたり、あるいはまた事業経営やその生活の安定をはかるのだ、こう書いてあるから、これだけで事が足りると思うが、「あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的とする。」となっておるわけだね。北方地域というのは、御存じのとおり、現実にはまだ日本の国には戻ってきていないというか、主権が及んでいないというか、日ソ共同宣言によって歯舞、色丹は云々という話し合いはあるけれども、事実上まだ主権が及んでいないという問題がありますが、その主権の及んでいない「北方地域に関する諸問題の解決の促進に資する」と、こうなっているが、それはどうも私にはわかららない。主権の及んでおらないのに、「問題の解決の促進に資する」というのは、一体何をさしているのか。あなたは、そこに住んでおられた人々の生活云々ということを言われるのだが、それなら前文で全部終わっているわけです。にもかかわらず、それが出ているという問題とそれから、これらの人々は現に北海道もしくは本州に住んでいる人々であって、国内問題である。純粋な国内の諸地域の問題であって、北方地域の問題じゃないのに、それらの人々を対象にして北方地域と呼称するあなたの立場がどうも不明確だ。何かほかに、たとえば安全操業の問題だとか領土の返還問題だとか、そういう問題があるように私には感じられる。
 それから、もう一つは、具体的にこの法律の中にいきますと、「啓もう宣伝」だとかいうような言葉が出てきますね。「必要な調査研究」あるいは「啓もう宣伝」というのは、一体何のことか、それをお聞きしておきたいと思います。
#12
○政府委員(小平久雄君) ここでも申しておりますように、「あわせて北方地域に関する諸問題」というのは、国が当然やるべき性格の、今御指摘の外交的な問題等を扱うという気持は、意図はないわけであります。これらの今対象になるべき北方地域の旧住民というものにつきましては、それらの地域でこれらの人々がもともとどういう生活態様であったかというようなこと、たとえば土地なら土地につきましても、実際どういうふうに所有関係等がなっておったのかといったようなことにつきましても、これからいろいろ調査等もして参らなければなりません。そういう関係のことをここで「北方地域に関する諸問題」、こういう表現でいたしたのでありまして、別に外交的な問題をやろう、こういう趣旨ではございません。
 なお、「啓もう宣伝」ということでございますが、これにつきましては、これらのもとの住民というものの間の連携等を緊密にさせて、また一方、一般の国民にもこういう特殊な立場に置かれているこれらの人々の姿というものを承知をしてもらうといいますか、よく理解してもらう、こういうことをやらして参ろう、こういう趣旨でございます。
#13
○大矢正君 どうも、総務長官の答弁は私には理解ができないのだが、たとえば調査するとか研究するというのであれば、あなたの言われるように、かりに北方地域とあなたが呼んでおられる四つの島に関しての漁業権の問題や、土地の問題や、そういう点についての過去における経緯とか、そういうものを調べられるということで問題が済むのだが、「諸問題の解決の促進」というと、これはどういうことになるのですか。たとえば、そうすると、あなたがさつき漁業権の問題とか土地の問題とか言われたが、この漁業権の問題や土地の問題は北方協会が扱われるのですか。これは私の聞いている範囲においては、漁業権の問題や、それから国後、択捉、歯舞、色丹、この四島における土地の問題とか、そういう問題については、まだ政府の方針すらきまっておらないと私は解釈しているのですが、政府の方針、態度すらきまっておらないのに、北方協会に対して「問題の解決の促進」をさせるのですか。そうすると、北方協会というものは明らかに政治団体になってしまうのですね、そういうことをきめるのであれば。
#14
○政府委員(小平久雄君) ただいまも申しましたとおり、外交的なこと、あるいは今お話しの政治的な問題、それを新たにできようとする北方協会に扱わせようとするのではもちろんございません。ただ、お話の点につきましては、漁業権の問題にいたしましても、今後政府としてももちろん調査もしていかなければなりませんが、同時に、旧住民等につきましても、あるいは北方協会におきましてもそういうものにつきましての調査研究と、こういうことも当然これは政府の仕事に協力願うという立場において、調査研究の範囲においてはこれはしてもらうことになろうかと思います。
#15
○大矢正君 おかしいですね。調査研究なら調査研究をすると書いておけばいいのに、「諸問題の解決の促進に資する」と、こう書いてある。「諸問題の解決の促進」、何を解決するのだと聞いている。「地方地域に関する諸問題の解決」、何を解決するのか。調査研究なら、北方地域に関する調査研究なら調査研究でいいじゃないですか。それを諸問題を解決するという。何か問題があってそれを解決する……。何を解決するのです。そうなれば、たとえば安全操業の問題とか、領土の問題とか、大きくいえばそういう問題もあるでしょう。小さくいえば、個々の漁業権の問題や土地の取得の問題があるでしょう。こういう問題を北方協会で扱うのですか。それを聞いている。
#16
○政府委員(小平久雄君) これは、この「諸問題の解決の促進に資する」と、こう申しておるのでありまして、解決自体に当たるというのではもちろんございません。政府のやるべきことに磁力をしていただいて調査研究等もしてもらう、こういう趣旨でございます。
#17
○大矢正君 それじゃ、総務長官、円ソ共同宣言によれば、歯舞、色丹というのは平和条約の締結と同時にソビエトはお返ししますと当時は言いましたね。最近は、安保条約があるからこれは返すことができないと、こう言っておる。かりにこれからの外交が好転をして、日ソ間で取りきめができて、歯舞、色丹か国後、択捉か、いずれを問わず、日本が希望していた領土というものが戻ってきた場合に、日本の主権が及ぶということになった場合に、結局これらの島々に対する具体的な法律との関係はどうなるのですか。
#18
○政府委員(小平久雄君) この四つの島が、まあ島全部なりあるいは一部なりが返った場合に取り扱いがどうなるかという点ですが、その場合に、今度の事業が、北方協会というものを作りまして、これを中心にもとの住民にやっていこう、こういうことでございますが、これは日本としては、いずれにしても日本が希望しておるところが施政権も及ぶ、こういうことに相なると思いますので、一般の内地と同様な扱いになっていく。ただし、北方協会のほうにつきましては、そういう事態になれば、当然これは解散ということになるだろうと思います。解散のときにどうするか、財産その他についてどうするかということは、また別に法律でそのときの情勢に応じて定める、こういう建前に今なっております。
#19
○大矢正君 まあ、なかなか提案理由や目的の中には疑義がありますけれども、最後に、私は総務長官に私のほうから聞いて、そういう考え方がいいのか悪いのかということを、あるいはそういう解釈が正しいのかどうかということを念を押しておきたいと思いますが、「あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的とする。」云々という言葉と、それから二十二条の「業務の範囲」にある「北方地域に関する諸問題の解決の促進を図るための必要な調査研究及び啓もう宣伝を行なうこと。」云々という言葉は、特定な政治意識に基づいて、領土問題や安全操業の問題や、あるいはもっと具体的にいえば、四つの島に関する漁業権の問題や、あるいはまた土地その他の問題や、そういう点について北方協会がみずからの判断に基づいて意見を述べたり、あるいはまた意思の発表を行なったり、そういう特殊な運動をするとか、そういうものでないことは確かですね。念を押しておきます。
#20
○政府委員(小平久雄君) そのように理解をちょうだいしてけっこうだと思います。
#21
○大矢正君 それから、この法律の主管というのは、総理府の総務長官のところと、それから農林省ということになるわけですが、いずれが中心になってこれは主管されるわけですか。共管ということに解釈はなるのですが、そうすると、共管ということになると、農林省と総理府のあなたのところと、必ず意見が一致しなければ物事は進んでいかないことになりますね。その点はどういうふうになりますか。
#22
○政府委員(小平久雄君) お説のように、主務大臣としては総理大臣と農林大臣ということに相なっております。財政面等につきましては大蔵大臣に協議することになっておりますが、そこで総理大臣と農林大臣のどちらにウエートがあるかという点のお尋ねと思いますが、これは両者の共管ということでありますから、どちらにウエートがあると、こう申しかねると思いますが、ただ事実問題としては、問題によって農林大臣のほうの意見が強く反映する場合もあるでしょうし、あるいはまた問題によっては総理府のほうの意見というものが強く反映する場合も、実際問題としてはあるだろうと考えております。いずれにいたしましても、この両大臣の意見がどこまでも最後まで一致しないというようなことは万々あるまいと、かように考えておるわけでございます。
#23
○大矢正君 この法律は必ずしも、昔の、戦前の漁業権、戦争が終結する以前の漁業権を持っていた人々に重点を置いてこの法律が実施をされるのではないのじゃないか。それももちろん入りますけれども、根本的にはやはり四つの島におった人々の現状と将来に対して、この法律というものを作り、生活の安定をはかってやろうと、こういうことに解釈すべきだと私はそう思うのですが、そうなると、農林省といったって水産庁ですね、事実上は。水産庁が意見を述べるということになると、どうしてもやはりこれは漁業権者を中心にしたものの考え方になると思うのです。そういう意味では、明確にやはり総理府なら総理府においてこの法律の主たる運用といいますか、主たる立場というものは明らかにして、もちろん水産関係にもかなり影響のあることでありますから、水産庁というものは総理府に対してその業務の実施運営上における意見を述べるという程度で、最終的な判断はやはり総理府が持つべきじゃないか。私はそう思うのですが、長官、どうですかね。
#24
○政府委員(小平久雄君) そういう御意見も一応あるかと思いますが、御承知のように、四つの島のもとの住民というものは、資料も差し上げてあると思いますが、約八割程度はもともと漁業に従事しておった。その大部分は北海道に現在引き揚げておるわけでありますが、それでもなおかつ三割程度はやはり漁業に現に従事をしておる。こういう関係もございまして、それらのことも考慮に入れて、今後、この北方協会の活動につきましても、漁業関係の人、あるいは現に従事しておる人、それらに対する援助というものが、やはり大きなウエートを占めていく、こういうことになると思いますので、それらを全般的に考慮して、総理大臣及び農林大臣が主務大臣と、こういうふうにいたしたいと考えております。
#25
○天田勝正君 私が先般質問いたしました、四つの島に限る、以外のウルップ以北の諸島に居住していた人たちの保護はどういうことになりますか。
#26
○政府委員(小平久雄君) ウルップ以北の引揚者の取り扱いで、ございますが、それらにつきましては、他の方面からの一般の引揚者、これと同じ立場においてただいまのところば考えて参りたい。一般引揚者の問題として、さらに考慮すべきものがあれば考慮をいたして参る、さように現在のところは考えております。
#27
○天田勝正君 そういたしますと、平等の原則からして、この四つの島の人たちも、一般の引揚者としての保護を受けるほかに、この北方協会設立によって金融措置等特別な保護措置が講ぜられるわけであって、どうしてもそこに差ができるけれども、その点は差ができてもやむを得ない、こういう考えですか。
#28
○政府委員(小平久雄君) 一般引揚者につきましては、御承知のとおり、引揚者給付金等が交付されておるわけでございますが、これらはもとの居住地にいわゆる復帰と申しますか、そういうことができないという立場において、このいろいろの施策が行なわれて参っておるわけでございます。この四つの島については、またいわゆる領土問題等に触れることになってしまうわけですが、四つの島の住民というものは、これにぜひ復帰したいという非常な希望を持っておられる。また、日本としても返還をしてもらいたい、こう希望しておるという関係にございますので、ここに若干性格が異なるところがあると、かように考えておるのでございます。
#29
○天田勝正君 私は、この法律審議当初から、領土問題に触れようと思っていないわけです。領土問題に触れないが、ただ四つの島の人が、他方やはり一般の引揚者と同じような処遇をなされておって、そうして今回この北方協会によってここにプラス・アルファができる、そこに他の島々の人、あるいは満州なり中国なり、そういうところがら引き揚げた人と、それだけでも差ができるのじゃないか、こう指摘しておるのです。領土問題に触れますと、とても長くなって審議できませんから……。そこにどうしても差ができるけれども、その点はどうもこれはしようがないというようなお考えですかと、こう聞いておる。
#30
○政府委員(大竹民陟君) 差別がつきますというふうなことでございますと問題でございますが、御案内のように、これらの地域から引き揚げました者、ほとんど大部分が北海道に居住しておりまして、かつて自分たちが使っておりました地域を十分に使えないというふうな事情もございます。先ほど長官から御説明申し上げましたように、島に早く帰りたいというふうな事情もございます。あるいはまた、かつての漁業権補償も受けられなかったというふうな事情もございます。そういうふうな事情も総合的に判断いたしまして、今回の措置を一応この島に限って行なったのであります。
#31
○天田勝正君 つまり、これはこう解釈してよろしいですか。一般の引揚者としては引揚者としての処遇をしてきたけれども、しかし、その処遇のうちには漁業補償というものは入っておらなかったから、その分は他とそこに差ができるようになっておる、どうもこれは放置しておいたのを手当するだけで、別段ここに差ができるものでない、こういう解釈でなければ、平等の原則にはどうしても反してくる。でありますから、それならば、その漁業権に関する限りは、むしろウルップ以北のほうが永久に返りそうもないということが想定されるので、そこでウルップ以北の人たちにも同様なこの措置を与えるべきじゃないかというのが、過日来の私の考え方なのです。その点はいかがですか。
#32
○政府委員(小平久雄君) 大体、先生の今お述べになられた方向の考えと私も理解をいたしておるのでありますが、したがって、今回の措置をとるという理由の大きな一つというものが、漁業制度の改革に伴う補償等も行なわれなかったということも、これまた大きな理由であることは間違いございまません。むろん、ただそれだけということでもございません。そうなると、それじゃ中千島あるいは北千島の関係がどうなるかということでございますが、現在のところは、この四つの島にしろ、あるいは中千島、北千島等にいたしましても、あるいは漁業権の補償をしようとしても事実上できない。やっても、これは意味がないと申しますか、そういう状況に置かれておるわけであります。将来この四つの島についても、かりにわが国に返還されるということがありますならば、その際においてはそのときの情勢に応じて漁業権等についても何らかのこれは当然考慮をしなければならぬだろうと思いますし、また、かりに中千島、北千島等についてもそういうことがかりに起こるとすれば、やはり同様に扱わるべきものだろう、さように考えておるわけであります。
#33
○天田勝正君 この問題だけで長い時間といっても仕方がないので、最後に私は希望をしておかなければならぬと思うのですが、私の受け取り方と総務長官の考え方と著しく違うのですね。つまりこの四つの島は、ことによれば返還され、再び今対象になりますこの漁業権者等が帰っていかれるというかすかな望みもある。そこにかすかな望みもあるのですが、ウルップ以北だとその望みはほとんど絶無だ。こういうことになれば、絶無の方がよりよけい補償されなければならぬという立場に私は立たざるを得ない。ですから、将来返るようになったら厚い手当を加えるというのではなくて、逆に、返るあてのないほうへ厚い処遇をいたし、そうしてやがて返るかもわからぬというほうは放置しておいていいというわけではありませんけれども、これはそれほどでもない、こういうことが言えるんじゃないかと思う。ですから、ここで行ったり来たりしましても、いつまでたっても平行線でしょうから、私は希望しておくことは、ウルップ以北もあなた方の調査でも五十人とかあるいは二十一人とか、ごく少数だが、そういう人たちにも今後ひとつ検討されて何か処置をとってもらいたい、こういうふうに要望しておきます。もう一点だけ質問しますが、この北方協会に対して国債の交付で、その利子が六分である、こういうことになりますと、この金融機関に代行せしめたりなどしながら、これらの旧漁業権者に対しての融資というものは、おそらくそうすると一割くらいの利子ということになると思うのですが、そういうことですか。どの程度予定しているんでしょうか。
#34
○政府委員(小平久雄君) これは国債の、基金になっている十億の国債、これの利子は六分、こうなっていますから、年間六千万入るということになります。これはいわば資金コストはゼロ、こういう金でございます。したがって、この貸付の利子というものもずっと安くなるわけでございますが、それはお手元に資料が差し上げてあると思いますが、短期の場合、あるいは長期の場合、それから生活援助的な場合、事業資金的な場合、それぞれ違うことと思いますが、詳細は事務当局から説明いたさせます。
#35
○天田勝正君 それは、私、勘違いしていたから、よろしいです。
#36
○須藤五郎君 小さい問題ですが、ちょっと伺っておきますが、これは六分で年六千万円利子が入る。その利子を今度は引揚者に貸す、こういうわけですが、その貸す場合の利子等が、私ちょっと調べても見当たらないのですが、幾らで貸すんですか。
#37
○政府委員(小平久雄君) ちょっと事務当局から説明させます。
#38
○説明員(林田悠紀夫君) お手元にお配りしてありまする法律案参考資料の最後の(5)の北方協会業務方法書の主要規定見込事項というところに、この資金を事業資金と生活資金に分けまして、それらを中長期の場合と短期に分けまして、貸付の相手方、利率、償還期限、貸付限度というふうに規定してございます。その利率は……。
#39
○須藤五郎君 おれんところへ来ていないんだ。利率はきまっているわけでしょう。それを言って下さい。
#40
○説明員(林田悠紀夫君) 事業資金につきまして、中長期と短期とございまして、中長期につきましては年五分を予定しております。短期につきましては日歩二銭程度、年にしますと七分三厘くらいになりますが、その程度を予定しております。それから、生活資金につきましては年三分、特に生活資金の中で修学資金については無利子で貸したいということを予定しております。
#41
○須藤五郎君 そうすると、六千万円でいって、それを貸して利子を取っていくと。そうすると、毎年その貸し出し金額というものはふえていくという計算なんですか、どうですか。
#42
○説明員(林田悠紀夫君) そういうことでございます。
#43
○須藤五郎君 貸し出す場合に、この法案では何か事業主とかなんとか書いてありますが、個人にもそれは貸し出すことになるのですか。
#44
○説明員(林田悠紀夫君) さようでございます。
#45
○須藤五郎君 その個人に貸し出す場合に、何か条件がつかないのですか。
#46
○説明員(林田悠紀夫君) 個人の貸付の場合、これは北方地域の旧漁業権者等といいますものを第二条で規定しておりますので、それで旧漁業権を持っていた者とか、あるいはそのほか六カ月以上北方地域に生活の本拠を有していた者とか、そういうような個人に貸し付けることにいたしております。もちろん、貸し付ける場合にはよく審査をして必要な人に貸し付けていく。と申しまするのは、もう担当金を持っておってそういう必要もないというような人は除きまして、まず困っている人から貸し付けていくというようなことを考えております。
#47
○須藤五郎君 そうすると、金のある人には貸さないで困っている人に貸すというのですが、その貸す場合に無条件で無担保で困っている人には貸すというんですか。これは北方協金という名がついているけれども、実際は何だか北方協金と名のついた銀行のような感じがするんです。私たち、これは銀行だと思っている。銀行業務です。だから、貸す以上は、その金の回収ということもあなたたち考えているのだろうし、そうすると、貸したものが取れないというふうなことを心配すると、そこに担保を取るとかなんとかいう条件がついてくると思うんですが、そういう条件はついていないんですか、どうですか。
#48
○説明員(林田悠紀夫君) 担保の点につきましては、たとえば貸付対象事業で、漁船を建造するとか、あるいはほかの施設を作るとか、いろいろそういうことがあると思いますが、そういうものを担保に、作りましたものを担保に取りましたり、あるいは保証人を取るとか、そういうようなことが行なわれると存じます。生活資金のように、特に生活のために貸さなければいかぬというような場合におきましては、そういう物的担保よりもむしろ人的の保証の方を採用するというようなことになると存じます。
#49
○須藤五郎君 生活困窮者に貸すということと今のあなたの答弁とは、やっぱり矛盾した点ができてくると思うのですよ。ほんとうに生活困窮者に貸す金ならば、やっぱり無条件で貸さなければ、そういう生活困窮者の保証をするというような人、そういう篤志家があるかどうかという問題ですよ。それから、生活困窮者が担保に入れるようなものを持っている道理がないわけです。ですから、そういう点、私は非常に矛盾があると思うのです。最初、この金はこういうふうに現地では理解をしておったんですよ。ここに資料があるわけですがね。現地からの声があるわけなんですが、政府は今度われわれ生活困窮者に、引揚者に十億の金を出して見舞金をくれるのだ、というように最初理解しておったのです。それで喜んでおったのです。ところが、それがいつの間にか北方協会という名前になってしまって、結局帰すところは北方協会という名前の銀行だ。銀行になってしまったということなんです。銀行と名はつかないが、内容は同じだ。そうすると、実際にはわれわれ生活困窮者は何らの恩恵に浴することがきないじゃないか、結局この十億円という金、それから六千万円という金は、大きな組織を持ったところ、漁業会社とかなんとかそういうところの資金にこれが回されるのであって、個人的な生活困窮者にはこの金は一文も回ってこない、こういうふうに今現地では理解している向きがあるわけなんです。
 ひとつ読みますが、根室市の代表的商社高本商店社長で日ソ協会支部理事長の高本正一氏とい方の話ですが、「北方協会という銀行をつくって、そこが金を貸すようなものだ。金を貸す以上引きあわないものには一銭も貸しませんよ。そうなったら一番困っている引き揚げ者は絶対借りられませんよ。引き揚げ者を愚ろうするにもほどがある。結局は根室では、相当反政府的な動きが強いので、見舞金という名前で、この動きに水をかけておしつぶし、金はどこか別なところに流してやる腹としか考えられません。政府も現地を愚ろうするにもほどがあります」、こういうふうに全然不満を述べている。今の政府答弁を見ましても、やっぱりほんとうの生活困窮者はこれによって何ら潤うことができないという結論が出ると思うのですよ。どうですか、その点。
#50
○政府委員(小平久雄君) 今回の措置というものは、いわゆる補償でもなければ見舞でもない、こういう見解をとっております。いわば事業なり生活なりの援助のためにやるのだ、いわゆる援助資金というように申しまするか、そういう考え方を持っているわけでございまして、今先生の御指摘のような生活の困窮者、まあこれにもいろいろございましょうが、一般にいわれている生活扶助、これとは生格を若干異にいたしているわけであります。そこで、ほんとうの困窮者の場合には生活保護法の適用もこれはあるわけでございましょうし、それとは一応別個の立場において旧北方群島の住民を援助してやるという趣旨であります。そこで、非常に困った人の場合にはこの援助が受けられるかどうかという問題だと思いますが、その点は、先ほども御説明をいたしましたとおり、必ずしも物的担保を必要とするものでございません。その間、またこれは必ずしも直接個人にだけやるというものではなくて、組合等を通じても貸していくという関係になっておりますので、この資金の本来のねらいといたしているところにはもちろん一挙には参らぬと思いますが、相当資金も――資金といいますか、援助資金が流れていくと、こういうことになり得ると思います。われわれも、今後北方協会ができましてからの運営上も、そういう点を十分注意をして運営してもらうように気をつけていきたいと思います。
#51
○須藤五郎君 それでは、総務長官、こういうふうに理解していいんですか。これは結局、これの目的は、生活困窮者を援助するという、生活援助という性格ではなく、要するに北方から引き揚げてきた人たちが事業をするのに困るという場合に、事業資金としての貸し出しをするのが目的である。個人の生活保護を目的としたものじゃないんだ、こういうふうに理解していいんですか。
#52
○政府委員(小平久雄君) その点はそうではないのであります。私、言葉も足りなかったと思いますが、先ほど利子に関連して申し上げましたように、事業資金、生活資金、それのどちらについてもこれは援助するという建前をとっているわけでございます。
#53
○須藤五郎君 そうすると、生活資金となれば、やっぱり生活資金を借りに来る人は非常に困窮者が多いと思うんですよ。その場合に、私さっき条件がついていないかと言ったのはそこなんで、生活資金借りに来るのにはやっぱり保証人が要り担保を取るというような、そういう条件をつけるとなると、実際にはほんとうに生活に困って何か立ち上がる資金を貸してほしいと思っておる人が、実際にこの恩恵に浴すことができない。これを借りることができないという、こういうことが起こってくると思うのです。そのとおりだと思うのです。そこで、実際に生活に困っている人が、おれは見舞金十億円を分配してもらったほうがいいのだ、おれたちの考えと全く違うじゃないか、こういう考え方を実は現地で持っておるわけなんですだから、そういうやはりほんとうに生活困窮者を救うような、援助するような、そういう運営の仕方をしなかったら、私はこの北方協会というものが全くおかしいものになってしまうのじゃないか、こういうふうに私は理解するのですよ。ところが、そういう道が講じられていないように思うのです。今の政府の答弁によると。
#54
○政府委員(小平久雄君) ただいま先生のお話の生活の立ち直りの援助ということは、この協会の一つの大きな事業であります。ただ、この家族構成等によってどうしても立ち直りのできない、いわゆる生活保護の対象になっておられるというような向きに対しましては、もちろんこれは生活保護法の適用を受けることになると思いますが、この法律ではあくまでも、一方においてはもちろん事業関係を含みますが、それと同時に、あるいはそれ以上に、生活の立ち直りの援助をする、こういうことを大きなねらいにいたしておるわけなんでありますから、その方向にこの資金が流れていくように、事実問題としてはいろいろなケースがあると思いますが、それらの点については十分ひとつ配慮をしながら運営ができますように、監督においても十分気をつけて参りたいと、こう考えております。
#55
○須藤五郎君 総務長官、生活困窮者は生活保護法によって守られているとおっしゃいますけれども、現在の生活保護法の内容は御存じのとおりなんです。はなはだお粗末なもので、決してあれは生活保護の目的を達していないと私たちは思っておるようなものなんです。特にこの法案を作るのには、北方から引き揚げてきた人は特殊な事情があるということで、これが用意されたものだと思うのですよ。だから、生活困窮者は生活保護法で守られているからこの法の対象にならぬというような、そういう言辞は、私たち受け取るわけにいかないのです。やはりそこに特殊事情というものがあって、ほんとうに困っておる人たちが多いだろうと思うので、やはりそういう生活困窮者はこの法案の対象になるというその建前を、あくまでも貫いていただきたいと思うのです。それには、先ほど事務当局から言ったように、そういうむずかしい、しちめんどうくさいような条件をつけていけば、結局その人たちは北方協会からの貸し出しがら締め出しを食うという結果が来るわけです。それでは私たちが目的とするところの北方協会の趣旨というものは徹底しないことになってしまう。それを現地の人たちみな察知して、北方協会は何だ、銀行業務じゃないか、おれたちに何ら助けにならぬじゃないか、実際生活に困っておる者が助けを受けることができなくなるということで、実は反対をしておるわけであります。そういう点をよく考えてもらいたいと思います。
#56
○政府委員(小平久雄君) 生活保護を受けておられる者がこの北方協会の貸し出しの対象にならぬという意味で、私も先ほど申し上げたわけではございません。そういう方の、やはり立ち直りの資金ということでこの資金が十分活用されるべきだと、もちろんわれわれはさように考えております。なお、先ほど来申し上げますように、先生の御心配の点につきましては、この会が発足後に運営上十分気をつけるように、ひとつ私たちといたしましても監督指導いたしたいと思っております。
#57
○須藤五郎君 もう一つ、運営に気をつけるとおっしゃいますけれども、実際に無担保でも金を貸すのか。無担保でもですよ、保証人がなくても、実際生活困窮者には北方協会が金を貸すのか、そこをはっきりしておいて下さい。
#58
○政府委員(小平久雄君) ただいま、何といいますか、事務的に一応考えております業務方法書、これはもちろん正式には、言うまでもなく、会ができてから会がそれを作って、こちらの当局の認可を得べきものですが、一応今考えているところでは、この担保及び保証人については次のようにしたらどうかと、こういうことを考えているわけであります。すなわち、原則として、保証人及び担保またはこれらのいずれか一方を必要とする。ただし事情やむを得ないと認められる場合におきましては、これらを求めなくてもこれはやむを得ないだろう、かように考えております。
#59
○大矢正君 これは、この法律が実施された以降に疑義が起きても困るし、法律を作った趣旨のとおりに運営をされない場合に、私ども非常に残念ですから、そういう意味を含めて実は質問をしたいと思うのです。
 そこで、この法律が国会を通過し、しかも施行をされて動き出すにあたりましては、当然これは政府から債券が交付される。しかし、債券は交付されるけれども、現実的には、手持ちの金は一銭もないというところから出発するわけですね。そうすると、当然、手持ちの資金がないから、いずれかから融資を仰がなければならぬ。まず第一年度は金を借りて始める。第二年度からは、これは金利が入ってくるからなんだが、第一年度は金を借りる。そうすると、実際問題として、第一年度というものは、かりに資金運用部の金を借りてみたところで、五分、六分という金利ですから、結果としては、これは交付公債の金利がついたと仮定しても、第一年度はこれは結局それだけ赤字になっているわけですね。そこで、第二年度に移った場合に、初めて手持ちの資金ができ上がるということになってくると思いますが、当然この長期の資金を貸し付けるのと一年きりの短期資金を貸し付けるのと、内容によって違いは出てくるでしょうけれども、一番需要が多いと言っちゃ言葉の表現が悪いかもしれませんが、資金を貸してもらいたいという意欲が強いのは、私、初年度だと思うのです。初めて法律ができるのですから。そうしてこの法律の対象になる人々、言うならば借りる権利を持つ人々は、初年度から結局あるわけで、むしろ一年々々これは借りる権利のある人というものは減ってくるわけです。ふえるわけはない、減ってくるわけですから、それからいきますと、初年度はそういう形で出発をすると、借り入れ、借り入れでもって、二、三年まかなわなければならぬような結果が出てくる危険性が計算上出てくると思いますね。その場合、これは一体どうするのか。かりに十億の債券を担保にして金を借りたとしても、借りれば金利がつくから、なかなか思うにまかせない。しかし、借り入れ希望は初年度あるいは二年度に集中をする。当然、私はこの公債償還とかなんかを通じて北方協会の資金量というものは確保しなければならぬという問題が必ず出てくると思うのですがね。これは大蔵省に関連をする問題で、これは課長さんに聞いてもしようがない話で、これは政務次官、どう思いますかね。今私が申し上げたことを、大蔵政務次官は。
#60
○政府委員(堀本宜実君) ただいま大矢委員の御質問のとおり、やはり初年度には利子が入って参りません。ただ、国債の利子の支払いは普通年一回となっておるそうでございます。これが二回にそういう意味で分けたのだそうでございます。で、やはり借入金によって当初第一年度はやっていくよりほかに方法がないということのようでございます。
#61
○大矢正君 だから、私の言うのは、まず第一に初年度に借り入れ希望というものは集中するというのです。そうでしょう。だから、金に限度があるんだから、当然これは希望があっても全部を認めるわけにはいかないでしょうし、中には事業資金を借りるにしても担保がないとか保証人がないという人もあるだろうから、それは百パーセント借り入れ希望を受け入れるわけにいかないと、そう私も思いますけれども、しかし、一番集中するんですから、その一番集中する一年目、二年目あたりには、それ相応の処置をしなきゃならないんじゃないか。極端なことをいえば、二年目あたりでもって国債の償還は一億でも二億でもやって、その金で運用するというような考え方がなければ、非常にこの法律の意味というものは将来に持ち越されてしまって、法律ができた当時の肝心の一年、二年、三年目あたりは大して効果があがらないという結果が出てきはしないのかと、こういう質問なんです。
#62
○政府委員(上林英男君) 国債の利払いは、今回の国債につきましては年二回を予定いたしております。また一方、貸付につきましては、いろいろお申し込みがあると思いますけれども、所定の手続を経まして順次やって参るわけでございまするし、さしあたりは借入金をもって泳がなければなりませんが、一方におきまして利子も入って参りますることでございますし、貸付手続も要することでございますので、順次資金的には見合って、円滑に貸し出しをやっていくということになるものと考えているわけでございます。
#63
○大矢正君 もっとせんじ詰めていくと、大蔵省で途中の債券の償還ということを考えて、北方協会の資金的な運用の問題をある程度ゆるやかにしてやるという考え方があるのかないのかという質問については……。
#64
○政府委員(上林英男君) この北方協会に対しまして国債を交付いたしましたのは、北方協会の基金を形成いたしまして、それによりまして法律に規定されておりまするような業務を行なうことを考えているわけでございます。したがいまして、現在におきましては主としてその利子によりまして業務を行なうということを考えておりまするが、将来、北方協会のいろいろな趣旨が徹底いたしましたり、業務の運営の推移に応じましては、またさらに検討をするということになると考えておるわけでございます。
#65
○大矢正君 それでは、総務長官にお尋ねしますが、初年度は大体どの程度の貸し出しを見込めるんですか。
#66
○政府委員(小平久雄君) 初年度にどの程度の貸し出しになるかというお話でございますが、実はこの協会の発足ができましても、おそらくこの借り入れの希望を調査するというようなことのために、少なくとも五、六カ月は事務的にかかるのではないかという気がいたします、設立してからでございますから。その間の必要経費というものは、これは言うまでもなく大体事務費と、こういうことになるわけで、これは当面借入金でまかなっていくはかなかろうと思います。大体事務的の推定では五百万円程度でよろしかろうと思っているわけでございますが、したがって、それらの調査等が大体できてからいよいよ緩急に応じて貸し出していく、こういうことになると思いますが、先ほど来お話もございましたが、借り入れの申し込みというものが実際問題としてどういう種類のものがどの程度になってくるかということについては、今のところ明確にはなりておりません。これは発足して調査してみないと、明確にわからぬと思います。
#67
○大矢正君 あなたのほうからいただいた資料によると、北方在域にもと居住していた人々の職業の状況調べというのが出ておりまして、これを見てみますと、単純労働者というのが三百九十六人、これはもうほんとうに純粋の意味の私は労働者だと思う。それから、事務従事者といわれる方が、人に雇われている、言うならば、いい言葉でいえばサラリーマンといわれる方が三百五十六人、それから職のない人が三百十六人いる、世帯主に計算して。それからさらに、漁業者及びそれに従事する者が八百三十二人おりますが、その中で漁業労務者として働いている人も当然この中に入り、かなりあろうと思います。それからさらに、それ以外のこまかいところをずっと拾って参りますと、自分みずから事業しているのではなくて、人に使われて生活しているという人は、二千五百四十二人の三十二年九月一日現在における世帯主数において、かなりのパーセンテージを占めることになるわけです。
 そこで、事業資金と生活資金の二つに分かれて金が貸されることになりますけれども、事業をやっている人は一口百万円ということで、百万円まで借りる権利が発生をする。それから、生活資金のほうは十万円だ。こういう計算になって参りますと、結果論的には、たとえば漁業をやっている人、特に人を使って大きな船を持って漁業をやっている人々やそれに類似の人々が金の大部分を借りて、働いておられる人々はほとんど対象にならないという結果が私は出てくるのではないかと思う。当然、これは事業資金という内容の金の貸し出しというものは、これはかなり私は多いと思います。そういう面から考えて参りますと、この法律の趣旨はどこにあるのか、私よくわかりませんが、漁業権の補償ということ、あるいは見舞、そういうことでこの法律は生まれたのではないということを、あなたもさっき言われている。言うならば、かって四つの島におられた方々はお気の毒だからこの際やりたい、こう言われている。そうすると、片一方には非常に金融の面が恵まれるという結果が出て参りますが、片方の他人に使われる人は生活資金を借りるにしてもなかなか困難という現象が、特に資金量の少ない初年度、二年度、あるいは三年度あたりには現われてくる危険性が出てくると思います。それからもう一つは、担保を中心としてものを考えますから、事業資金を借りる場合には、担保力のある大きな引揚者が金を借りられて、ほんとうに沿岸漁業をささやかにやって、ミトンやそこらの船を作るのにも事欠く人々にこの資金が行き渡らない結果が出てくると思うのです。そういう点について総務長官はどうお考えですか。
#68
○政府委員(小平久雄君) 北方協会の業務のやり方いかんによっては、ただいまお話のありましたような傾向があるいは起こるんじゃないかという心配も、これは当然出て参ろうと思います。したがって、先ほどお話しのとおり、ことに当初のうちは資金も少ないわけでございますから、事業資金と生活資金と、こう二つに大別いたしました際におきましては、まずやはりこの両者のいずれが優先するかということになれば、生活資金のほうが優先して運営さるべきだと、私ばかように考えております。また、事業資金の場合におきましても、大体事業資金については、この法案中にもありますように、もちろん個人には貸さぬという意味じゃございませんが、しかし大体この組合等を通じてやはり組合の事業資金といったような形で行く場合がむしろ大部を占めるんじゃないかと、こう私は考えております。そういう関係で、なるほど形の上では事業資金ということになるかと思いますが、しかしその属しておる組合の事業が活発化することによってやはりそこに従事しておる方々もその恩恵に浴していく、こういうことになろうと思いますので、いずれにいたしましても、今後のこれは運営の問題でございますから、われわれとしてもお話のような点は十分警戒をしながら今後運営されるように努力をいたして参りたいと考えております。
#69
○大矢正君 水産庁の方どなたか来ておられるでしょう。
#70
○委員長(大竹平八郎君) 漁政部長。
#71
○大矢正君 今総務長官の御答弁によれば、生活資金が先だという御答弁である。それはそのとおり確認していいですか。
#72
○説明員(林田悠紀夫君) 総務長官御答弁になりましたように、当面生活資金を考えまして、やはり生活を向上させるためにはどうしても事業をやらなければいけませんから、事業資金もその後考えていくということにいたしたいと存じます。
#73
○大矢正君 そうすると、あなたの解釈からいくと、これは私は善意に解釈するのかどうか知らないが、かりに労働者を使って漁業をやっているようなそういう人々には、当面金を貸すなどということは考えないで、たとえば沿岸に住んでおられて船があることによってその人の生活の将来が成り立つというような人には金を貸すとか、こういう、かりに事業資金を出すにしてもそういう方向でいくんだと、こういうふうに解釈していいですか。あなたの答弁からいくと、私そういうふうに受け取らざるを得ない。
#74
○説明員(林田悠紀夫君) 実は、動力船の場合に一トンの船を作るのに十万円要りまして、十トンの船でございますならば百万円というようなものでございます。したがいまして、一人の漁業者は船を作る場合にどうしても五トンくらいのものは作らなければいかぬということになると思いますから、それくらいはないと生活ができないんじゃないかということが出て参りまするので、まあそういうふうな見地から百万円を最高といたしたような次第でございまするが、これは最高でございまして、できるだけ生活に困っておる人の事業を助けていくというような見地から運用は当然すべきであるというように考えております。
#75
○成瀬幡治君 本法の第一条の目的のところに「特殊事情」ということが書いてございます。引揚者に対する表現が、ここに特別に北方地域の方たちに対して特殊事情があるから、あるいは「特殊な地位等にかんがみ」ということが書いてございますが、どういうことでこの人たちだけを特別に扱いをされるか、その理由を承りたいとともに、なお、先ほど天田委員からも指摘しておりましたけれども、ウルップ以北の方たちもそうか、あるいは南洋とか小笠原関係の人もあるのですが、そういうところに対しては今後こういったようなワクを広げられていくつもりか。たとえば朝鮮から引き揚げてきた人も、北方だけやって、おれも朝鮮にいて漁業に従事していたがどうだというようなことが出てくるのじゃないか。あるいは台湾にいた。そういうところは今後どういうふうにされるのか。
#76
○政府委員(小平久雄君) 第一条に申しております特殊な事情でありますとか、あるいは特殊な地位ということにつきましては、提案理由のうちでも申し上げたわけですが、これらの四つの島が、政府の従来の考え方からいたしますと、これは放棄をしておらぬという見解をとって今申し上げておるのであります。しかし、実際問題としては施政権が及んでいない、こういうこと、特に漁業権者等につきましては内地では漁業対策に伴う補償等もありましたが、そういうことも何ら行なわれておらない。また、全般的に申しますならば、旧島民というものはもとのところに帰りたい、こういう熱望を持っておるわけでありますが、これもかなわぬでおる。こういったようなことを総合的に考えまして、「特殊な」という表現をいたしたわけであります。
 そこで、今回のような措置をこれらの四つの島についてやる以上は、他の朝鮮であるとかその他の戦争の結果失った地域のもとの住民に対しても同じことをやるのか、こういう御趣旨かと思いますが、現在のところはそこまで考えておりません。先ほど申したような理由で、この四つの島以外のところとこの島というものが事情が違っておるというふうに考えておるわけでございます。一般引揚者の問題につきましては、これはすでにある程度の処置はいたしておるわけでありますけれども、これを全般的にどうするかという問題は、また別の立場から考慮さるべきものだろうと思います。
#77
○成瀬幡治君 これを今議論してしまうとおかしくなるから、私も遠慮しいしい言っている。少なくとも公平でなければならぬと思うのです、政治は。不公平なことをやってはいかぬじゃないか。事実、取り扱いは不公平だと思う。ですから、その措置に私は理由がなければ、理論の裏づけがなければならぬと思うし、国民が納得しなければならぬと思う。国民から見れば、金をもらうわずかの一万五、六千名の人が納得しても、一億の人たちが納得するような提案をしなければならぬと思う。したがって、今の御説明で私は実は納得しかねるものがありますけれども、ということはそれとしてやめまして、少なくともこういうことをおやりになる以上は、私は、何と申しましても、あの農地の問題もやろうというような問題が出て、おかしなことが出てきておりますから、農地旧地主に対するそういうような補償の問題も出てきておりまするから、そういうことをやります前に、私たちはやはり引き揚げられたお方たちに対しては、なお生活の谷間にあえいでいる人が多いわけですから、そういう人たちを先に取り扱われるような趣旨において、私もこの問題についてはそれほど異議は申し上げたりしないのですけれども、今回こういうような方向でこういう問題は処置していただきたいということにして、あまりこの問題については議論することはやめます。
 次に、お尋ねしたい点は、今大矢君が指摘しておりましたが、金を借りる人はどうも事業資金のほうに多く回ってしまって、個人の方に回り方が少ないじゃないかと。なるほど今後もっと調査してやるのだとおっしゃいますが、大体初年度ないし二年度には、六千万円なら六千万のうちで、大ざっぱにいって、六千万のうちにこのくらいは事業資金このくらいは生活資金の方に回していくのだというような大ワクはきめておいでになりませんか。それとも、これは調査後出てきた数字とにらみ合わしてやっていきたいというふうに考えておられるかどうか。その点が一つと、それから市町村を通してお貸しになると思いますが、市町村に対しては補助金を、そういう事務に対しまして何らかの人が要ることでございますが、交付税等そういうふうな問題について、何か――あるいは交付税でどうこうするというわけにはいかぬと思いますが、何か考慮しておいでになるのかどうか。市町村は事務を担当されるにあたって非常にしわ寄せされると思いますが、そういう点についてばどういうふうな措置をされるのですか。事務当局のほうに御答弁願います。
#78
○政府委員(大竹民陟君) 第一点は、現在のところ事業資金、生活資金の割合を何か検討しておるかということでございます。私どもといたしましても、一番関係が深いのは北海道でございますから、北海道地元の方々とよく話し合いを内々では進めまして、事務的な検討は一応進めておりますけれども、しかし、やはり先ほど御説明にございましたように、実際始めてみませんと、なお資金需要がどのくらいあるかというようなことも判明しないかと思いますので、一応の検討程度でとめておるのであります。趣旨といたしましては、先ほど長官が御説明になりましたような趣旨で運営をいたしていきたいというふうに考えております。
 それから、第二点の町村の事務費の問題でございますけれども、これは先ほどからもたびたびお話に出ましたように、さしあたって資金の量が非常に窮屈な状態でございますから、引揚者がたくさん住んでおります市町村が引揚者のために事業をする場合に、その市町村の事業に対して貸すということになっておりますので、通常この引揚者に貸します場合に市町村を通して貸すという意味ではないのであります。何か引揚者のための特定の事業、たとえば住宅を建てるというようなことでも将来起こりますならば、その際に市町村にも貸せるという意味でございまして、特にさしあたって事務費のめんどうという点までは実は考えておりません。
#79
○成瀬幡治君 これはただ、この役員のことなんですが、会長、副会長、理事七名以内、監事二名を置く、主務大臣が任命するということになっております。大体どういうような範囲内から選んでこれを任命されることに実際はなるでしょうか。
#80
○政府委員(小平久雄君) この北方協会の事業事体が、いわば局地的と申しますか、大体もとの住民が北海道に住んでおられるという関係もございますから、そういう点を十分考慮をいたしまして、これらの方々に関係の深い方面から、もちろん北海道に住んでおる以外は多分富山だと思いますが、あちらに北海道に次いでの引揚者がおられる、こういう関係になっておりますが、何と申しましても主力は北海道でございますから、北海道、特に従来は北海道庁が主として世話をして参ったことでございますから、そこらの意見も十分聞いて、ひとつ選任をして参る。なお、詳細につきましてはひとつ特連局長から答弁いたさせます。
#81
○政府委員(大竹民陟君) 地域別というふうな点も、もちろん考慮しなければならぬと思います。いろいろな島から引き揚げてきておられますから、その地元の事情に明るい方、それからまたがってのお仕事、あるいは現在の職業というようなことにも精通しておられる方、いろいろな関係者団体もございます。そういうところともひとつ相談をいたしまして、また実際におきましては北海道に非常に多くの者が居住しておられますので、北海道庁関係の方に御相談できるというふうな仕組みにして参りたいというふうに考えております。
#82
○成瀬幡治君 十五条に役員のこと少し書いておられるのですが、私らがちょっと見ますると、引揚者の中からじゃなくて、このお方たちはほとんどが今おっしゃるような者で、たとえば知事さんを持ってきて当てるとか、あるいは副知事というような、どうも役員の方を当てられるのじゃないかということも考えられる。そういうようなことを実際おやりになるのか、そうじゃなくて、何人かは引揚者の人たちがこの中に入ってくるのだというのか、その辺のめどが聞きたいと思うのです。任命されるのは、主務大臣が、全然引揚者に関係ない――引揚者には関係があるという程度、引揚者それ自身の中から役員が何人か出られるようなことを考えておみえになるのかどうか。
#83
○政府委員(小平久雄君) この協会の仕事の対象というものが引揚者でございますから、その引揚者の中からやはり相当の役員に出てもこうということにいたしたいと思っております。
#84
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 この際、委員長より政府に一言申し上げます。本法案の第二十二条、北方協会の業務範囲中、第五号「北方地域に関する諸問題の解決の促進を図るため必要な調査研究及び啓もう宣伝を行なうこと。」については、領土問題等政治的な活動をしない趣旨であると説明されておりますが、なお不明確な点がありますので、今後本法の運営にあたっては、絶対に政治的な活動をしておるという批判が出ないようにすることを要望をし、御注意申し上げます。
#86
○政府委員(小平久雄君) 委員長の御発言に対しましては、政府としても全くそのとおりと考えております。
#87
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きた本のと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#89
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして、この法案に反対の意思表示をするものです。
 先日来、領土問題についていろいろ紛糾いたしました。本日、小平総務長官から、その真意のあるところはこうだということで、この提案理由説明書にある「昭和二十年八月ソビエト社会主義共和国連邦により占領されて以来事実上同国の支配下にあり、」云々というこの条項は、衆議院においては実は提案理由説明のときに読まなかった、削除されておった。それがたまたま参議院の速記録に載ったということで、この点はカットしたも同様だというふうな趣旨の弁明があったと思うのです。それから、その前の「わが国固有の領土である」という点につきましても、領土問題の議論に決定づける意思ではないのだ。しかし、この点は衆議院の速記にも載っておるので、この点は削除することはできない、こういうまあ了承を求められたわけです。
 私たちも小平総務長官の意のあるところは了承したわけでありますが、しかし、たまたま政府の意思のあるところがこの文字に現われて表明されたのであって、紙面から字句を削ることは、これは簡単なことでありますが、しかし、心の中からこの考え方を削除ということは、これは容易なことではなく、私は幾ら小平総務長官が弁明を尽くされましても、政府当局の考えの中にはやはりこの問題は生き続けるもんだと私は考えるのです。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)やはりそのとりだという声が自民党内からあるごとく、小平総務長官がせっかく了承してもらいたいといってこういう意思を述べたにもかかわらず、やはりああいう不心得者があるということが、これがそのことをはっきり私は示しておる。だから、いかに弁明されても、私はこの点に対して了承することができないわけなんです。
 北方協会などという協会を作って、そして今委員長も申されましたが、やはりこの協会を中心として北方問題のいわゆる政治的な問題についてもこれからいろいろな作業をしていこうというこの意図が私は隠されておるように思います。ほんとうに引揚者の生活困窮者を救おうとするならば、彼らたちが心から望んでおるところの、いわゆるソビエトとの間に平和条約を結んで、日本がほんとうに平和の立場に立つならば歯舞、色丹をソビエトは返そうと言っているのですから、そういうことが実現できるような条件を私は国内に作り上げることこそが、私は北方から引き揚げた人たちの真意に沿うことだと、こういうふうに考えるのです。そういう方向に行かないで、こういう協会を作って、そして表面生活困窮者に援助を与えるがごとく言いながら、その実はいろいろ、政府答弁の内容でもわかりますように、これは困窮者に生活資金を与えるのではなく、やはり結果的に見れば大資本を援助するという結果になるようなこういう法律を作っていくということに対しましては、私たちは賛成することができないのです。前の通常国会におきましても、私はこういう立場に立ちまして、この法案に反対したものでありますが、今回も私は同じ趣旨に立ちましてこの法案に反対をするものであります。
#90
○大矢正君 私は、社会党を代表して、ただいま議題となっております法律案に賛成をいたしたいと思います。
 ただ、私どもが賛成をするのは、この法律案の目的ないしは具体的な内容に対して全面的に賛意を表し、その上に立って賛成をしているものではなくて、言うならば消極的な賛成の域を出ないものだと思っております。なぜ消極的にしか賛成ができないかと申しますならば、まず、北方領土の問題は現在各党の間におきましていろいろ意見の相違する点もありますし、その際かような問題が議題となって一つの方向がきまるということは好ましいことではありませんし、特にまた、この法律の内容の中に多分に政治的な活動も行ない得る余地が残されたような危険性もありますから、そういう意味で実は心配をしております。さらに、第二点といたしましては、この法律の趣旨は先ほど来の質疑を通じて明らかになりましたが、生活に困っている人々を中心とした将来への生活設計が中心となっておるものと私どもは解釈しておりますが、政府もそう答弁をしておりますが、事実この法律が施行された以後における運用上においてはいろいろ疑義がありますし、保証も確実に得られない中で、私どもとしては全面的にこの法律案に賛成することができないのであります。
 しかし、先ほど来の審議を通じまして、政府からも、私どもが質問をいたしました、また述べました趣旨を十分了とされて、公正なる運用を期するという考え方の披瀝がございましたので、消極的にではありますけれども、本法案に賛成をした次第であります。
#91
○委員長(大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#95
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午後一時四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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