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1961/10/26 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 社会労働委員会 第8号
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1961/10/26 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 社会労働委員会 第8号

#1
第039回国会 社会労働委員会 第8号
昭和三十六年十月二十六日(木曜日)
   午前十一時三十二分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
本日委員相馬助治君辞任にっき、その
補欠として曽祢益君を議長において指
名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     谷口弥三郎君
   理 事
           鹿島 俊雄君
           村山 道雄君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委 員
           勝俣  稔君
           佐藤 芳男君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           吉武 恵市君
           横山 フク君
           久保  等君
           小柳  勇君
           藤原 道子君
           石田 次男君
  国務大臣
   労 働 大 臣 福永 健司君
  政府委員
   調達庁長官   林  一夫君
   調達庁労務部長 小黒  玲君
   労働政務次官  加藤 武徳君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   外務省アメリカ
   局安全保障課長 魚本藤吉郎君
   労働大臣官房労
   働統計調査部長 大宮 五郎君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働情勢に関する調査
 (駐留軍労務者問題に関する件)
 (労働行政の基本方針に関する件)
   ―――――――――――
#2
○委員長(谷口弥三郎君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日付をもって相馬助治君が辞任され、曽祢益君が選任されました。
   ―――――――――――
#3
○委員長(谷口弥三郎君) 本日の委員長及び理事打合会の事項については、ただいま申し上げたようなわけであります。
 それでは、労働行政に関する調査の一環として、駐留軍労務者問題に関する件を議題といたします。
 本件に関し、ただいま林調達庁長官、加藤労働政務次官、その他の方はおっつけ見えると思います。
 どうぞ御質疑を始めていただきます。
#4
○小柳勇君 九月の十三日板付空軍基地管下のブレディ基地の警備及び山田弾薬庫の警備に対して、十月一日から、従来の四十八時間制を四十時間制に切りかえるという通告をなされたのでございます。これは、この勤務時間短縮によってそれ相当の賃金が引き下げられ、一人当たり三千円ないし一万二千円、平均約五千円の賃金引き下げになるのでございますが、現地のほうでも、県知事が現地の司令官に交渉したり、また、本部のほうでは、調達庁の担当官が第五空軍司令官などと会っておられるようでありまするが、現在における交渉の経緯について調達庁長官からお話を承りたいと思います。
#5
○政府委員(林一夫君) この時間短縮問題は相当大きな問題でありますので、調達庁といたしましても、さっそく第五空軍のほうに折衝するとともに、さらに在日米軍司令部の担当官とも折衝しまして、円満に解決するように現在努力をいたしておるのでございます。まだ結果のほうははっきりいたしておりません。
#6
○小柳勇君 先般来再三会っておられるのですが、今どういうような話になっているのですか。
#7
○政府委員(林一夫君) この問題につきましては、調達庁の主管部長でありまする労務部長が、第五空軍並びに在日米軍司令部に参りまして、担当官と折衝しておりまするから、労務部長からその折衝の経過をただいま説明いたさせます。御了承願います。
#8
○政府委員(小黒玲君) この問題は、米軍の福岡におります小倉の部隊、それからキャンプ・ブレディの部隊におきまして、ガードが合計百六十人ばかり先月の二十六日から、これはキャンプ・ブレディでございますが、キャンプ・ブレディが二十六日から無期限ストライキに入り、小倉部隊の方は、最初は間歇的なストライキでございましたが、中途から無期限ストライキに切りかえて、事態が紛糾をして今日に至っておるのでございます。
 問題の焦点は、今まで四十八時間制でやっておりましたのを四十時間に切りかえる。そういたしますると、毎月のペイが二割減収になる。また、今後四十時間のもとにおいて退職をいたしまする場合には、退職手当が基本給が下がりますことによって当然に二割減収になる。こういう、労務者の収入上には非常に大きな影響があるという措置を米軍がとって参りましたことによって、これに対する労務者、労働組合の反対がこういった事態に発展をして参ったわけでございます。事件が起こりまして以来、県当局はもちろんのこと、調達庁といたしましても、事態の円満解決にあらゆる努力を払って参りました。まあ、軍の申しておりますのは、福岡県は非常に炭鉱等の関係で失業者がたくさんおる。予算その他の関係でどうしてもこの際、軍としても何らかの措置をとらなければならないということになっておる関係上、これを人員整理をやるか、あるいはそういった時間短縮による予算の節減ということをはかるかという二者択一を慎重に考慮いたしました結果、失業者の多い福岡県に協力するという意味におきまして、人員整理を取りやめて、時間短縮によって経費の節減をはかる、こういう措置をとったわけでございます。したがいまして、軍といたしましては、県の行政に協力をし、あるいは労務者の人員整理というような一番極端な方法をとらずにやったという、穏健な措置をとったと、こういう考えを持っておるわけでございます。それに対しまして、労務者あるいは労働組合といたしましては、こういう物価高の現状下において、賃金が二割下がる、あるいは退職手当が二割減収になるというようなことでは、とうてい承服することができないということで、問題がこじれて参ったのでありますが、県あるいは調達庁といたしましては、軍の言うことも一応の理屈ではございますけれども、何分にも、一挙に毎月の収入を二割下げ、あるいは退職手当が下がる結果になるということは、あまりにも極端なやり方であるということで、何らかこれを緩和する措置をとるべきであるという観点のもとに、軍折衝を今日まで続けておるわけでございます。一カ月近く事態が紛糾をして、今日なおストライキが続いておるということでありまするから、私自身といたしましても、第五空軍に数回にわたって折衝をし、また、在日米軍司令部に対しましても、これの円満なる解決方を要請しておるのでございますが、今日現在、軍が何らかの緩和措置をとるというような点について、県なりあるいは調達庁の意向に沿った線が出ないということで、問題の解決が遷延をしておる、こういう状態でご
 ざいます。
#9
○小柳勇君 事情はよくわかりました。米軍が山田のほうで八十九名、福岡のブレディのほうで五十七名ですか、それだけのわずかな人員に対して、二割も賃金を引き下げなければならぬほど、予算を切り詰めてきたということが、私はまだ実はよく理解できないんです。それは、莫大な、たくさんな人員であれば、予算の縮小という観点で一応わかりますけれども、わずか百五十名くらいの人間に対して、しかも物価がどんどん上がる現在、平均五千円の賃下げということについては、ただそれだけの理由からだと、なかなか理解しにくいのですがね。それで長官、その五千円引き下げられる労務者の気持を考えて、一体これをどうしようとされるか、長官の決意をお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(林一夫君) おっしゃるとおり、この時間短縮ということ、これに基づく収入減というものは、非常に大幅なものでございますので、私どももこれを重要視しまして、現在まで直接の上級機関である第五空軍、さらにその上の在日米軍司令部に参りまして、よく事情を話し、折衝いたしてきておるのであります。私どもとしましては、この実施を延期する等、今後いろいろの方法を相談しまして、円満に解決するように努力して参りたい、こういうふうに考えております。
#11
○小柳勇君 解決されることについては決意を聞きましたが、十月一日からとすでに通告されておりまするが、賃下げの分の給与を政府などから公務員として別途めんどうを見るというような考えはございませんか。
#12
○政府委員(小黒玲君) 駐留軍従業員の給与につきましては、御承知の基本労務契約によりまして調達庁がそれを払って、それを米軍が償還する建前になっておりますので、調達庁といたしまして、米軍が承知をしない給与を調達庁限りで払うということは、従来もございませんでしたし、そういう措置はとりかねる次第でございます。
#13
○小柳勇君 外務省にお伺いしたいのですが、私は先日、十月二十一日に、外務大臣に会いまして、アメリカ局長から、大使館のほうに交渉してもらって、どうもやはり国際的な問題としなければ解決せぬのではないかというようなことで交渉をお願いしましたが、その交渉の経緯について御答弁願いたい。
#14
○委員長(谷口弥三郎君) 外務省はすぐ参りますが……。
#15
○小柳勇君 それでは、今のは外務省から見えてから、質問します。小里部長、交渉してなかなか解決しない、そういう一番の壁の中心はどこにあるのですか。
#16
○政府委員(小黒玲君) 壁は、先ほども申し上げましたように、米軍としては、福岡県の一般的な状況なり、県の行政を十分勘案した上で、とった措置である。それに対して、労働組合なり、あるいは労務者なりが納得をしてくれないというところは、どうしても米軍としてよくわからない。もちろん米軍としましても、賃金を下げ、あるいは退職手当が下がるという結果になるということはとりたくない措置ではあるけれども、しかし、予算の関係上、あるいは仕事の運営の関係上、どうしても措置をとらなければならないとすれば、最も影響の少ない、全部の労務者で負担を分け合ってもらう、こういう措置が一番妥当であるということで、とったのにもかかわらず、これがよく理解されないというところに、米軍として、最切の方針を変更するということをためらっているところがあると思うわけでございます。
#17
○小柳勇君 四十八時間勤務していたのを、四十時間に切り下げるというところに無理があるのですから、たとえば四十六時間とか、四十四時間とか、やむを得ないということのそういう譲歩交渉の余地があるものと私どもは理解するのですが、そういうことについて、現在まだ話は全然進んでおりませんか。
#18
○政府委員(小黒玲君) 県なり、あるいは私どもといたしましても、もちろん一挙に二割削減ということはひど過ぎる。したがって、これを、あるいは四十四時間、あるいはそれ以下でも、四十時間まで一挙に下げないようにしたらどうかという話し合いは、ずっと続けてきているわけでありますが、これも四十時間に切り下げましたそもそものゆえんは、米軍の人力調査、あるいは労働力調査という一つの監査をする機構がございまして、現地の軍でやっておりまする仕事の運営なり、あるいは予算の効率的な運営なりということを監査をいたしまして、その結果、小倉の部隊、あるいはブレディの部隊で、四十八時間制をとる必要なし、四十時間にすべきであるというような監査の結果が出たわけであります。その監査結果に基づいて、現地軍としてはその線に沿った今後の運営を考えなければいけない、こういうことで、四十時間に切り下げたというわけであります。
#19
○小柳勇君 五千円平均下がりまして、平均賃金が幾らくらいになりますか、それから平均年令とそれから家族構成、わかっておれば発表願います。
#20
○政府委員(小黒玲君) ブレディなり小倉部隊の平均の賃金の数字を私持ち合わしておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねまするが、大体駐留軍従業員全体の平均が、月収入全部の平均が二万九千円くらいでございますから、そういたしますれば、平均にもらっておるといたしますれば、それから五千円引かれただけが毎月の手取りになる、こういうことになると思います。
#21
○小柳勇君 労働政務次官いらっしゃるので、これは今お聞きのとおりです。米軍が四十八時間の首切りよりも四十時間にしようということで予算を節約するのだという話でございまするが、そのために二万九千円平均の人が五千円賃下げになる。人事院の勧告がございましたけれども、公務員はなおこれで不満で五千円の一律賃上げの要求をしているようなときに、逆に五千円の賃下げがなされようとする。それであとの二十六日から無期限ストライキをやっておるのです。こういうような事態、これは直接の官庁は調達庁でございまするけれども、労働行政を扱われる官庁として、こういうことが起こるということは、今後も心配があると思うのですが、労働省としての御見解をお聞きをしたい。
#22
○政府委員(加藤武徳君) 先ほど来、小柳委員の質問に対します調達庁側の答弁も伺っておったのでございまするが、労働時間の短縮につきましては、原則的にはわれわれ賛成でございます。今後の大方向、大方針といたしましては、逐次労働時間は短縮さるべきものである、かような基本の態度を持っておるのでございます。ところが、労働時間の短縮に伴いまする労働条件の低下ということは、これは当然避けるべきであるというのが前提なのでございまして、したがって、先ほど来のお話のブレディなりあるいは小倉部隊におきます警備員の労働時間の短縮に伴いまする手取り賃金の減少ということは、もちろんこれは好ましくない形なのでございまして、調達庁とされても、今後ともずいぶんと努力をされて、そして駐留軍との交渉を重ねることによって円満な解決を願いたい、かように考えておるわけであります。
#23
○小柳勇君 長官がおかわりになりまして、社労で私は初めて見解をお聞きしますので、一昨年以来、私がたびたび調達庁長官に申し上げておることをもう一回申し上げてみたいと思うのですが、米軍から使われておる日本の労務者が、犬、ネコが捨てられるように首切られていったり、人員削減されるというような現象がございました。それは日本の調達庁が間接的に雇用いたしておりますから、その分では若干のクッションもございますけれども、私どもの考えるところによれば、司令官の考えによって強引に調達庁に押しつけられるような印象を受けるわけです。調達庁も非常につらい立場にございましょうけれども、たくさんの人が生活いたしておりますから、しかも、国際的な関係もございますから、断固として労務者を守るという立場をおとり下さいませんと、今後もこのような問題が起こって参りまして、軍の都合によって勝手にこうやられるというようなことがあってはならぬと思うのですが、長官から一つ御見解をお願いしたいと思います。
#24
○政府委員(林一夫君) ただいま小柳委員からのお言葉、その他各社会党の諸先生のいつもお言葉によりまして、私どもはもう少し主体性を持って米軍に当たらねばいけないということを言われてきておるのであります。私どももそういう点は十分考えなくてはならないと、そういうつもりで今までやってきておったんでありますが、さらにこの際、強く主張すべきところは大いに強く主張して、譲るべきときは譲るということで、大いに主体性を持って今後当たって参りたいと、こういうふうに考えております。本問題につきましても、今後は十分話し合いを進めまして、なるべく早く円満に解決したいと、こういうふうに考えております。
#25
○小柳勇君 外務省から見えましたからさっきの質問を繰り返しますが、去る十月二十一日に私は外務大臣に会いまして、今のこの山田部隊並びにブレディの警備員の賃下げの問題は、国際的に若干感情的の面もあるのではないかと思うから、ひとつ大使などに会って、そういう面からもこの問題の早期解決に御尽力を願いたいということで外務大臣にお願い申し上げておったわけです。その後、外務省でどのような交渉がなされておるか、お聞きいたします。
#26
○説明員(魚本藤吉郎君) お答え申し上げます。大臣から御趣旨のお話を承りまして、われわれ事務当局としましては、今の段階で大臣から大使に直接お話をされるというのは、日米合同委員会の事務局が私どものところにありますので、そのアメリカ側の合同委員会の代表代理、グローブ大佐、この方が民事部長であり、かつ、労務を担当しておられる、その方に直接本件に関する善処方を要望するのが一番適当ではないかと思いまして、外務省の田中参事官、――これはわが方の代表代理でございます――田中参事官からクローブ大佐にさようなことを申し入れてあります。それから私は事務当局でございますが、私から向こうの事務長のファイスナー氏にも申し入れをいたしておるような状態でございます。
#27
○小柳勇君 申し入れだけでは解決しないのですが、どんな返事があったんでしょうか。
#28
○説明員(魚本藤吉郎君) 実はわれわれがこういう問題に、調達庁はもちろん外務省も関心を持っておりまして、できるだけ円満かつ早期解決されることが望ましいということを希望しておると、そういうことを向こう側に申し入れてあるのでございますが、それに対しまして、もちろん即席にこういう解決をするという、そういう具体的な回答を得たわけではございません。ただ、われわれの要望を十分考慮いたしますと申しましょうか、お話はよくわかったと、そういうことを申しておるということでございます。
#29
○小柳勇君 よく返事がわかりませんが、私が外務大臣に頼んだのは、側面的にこの問題解決に努力してもらいたいということでして、ただ申し入れだけでは意味ないわけです。したがって、課長から今聞いてみましても、まだ向こうの方から軍に対してどういう働きかけをやったかという返事も得ておられぬようですから、もう一度強硬に申し入れをしてもらって、軍の方ヘアメリカ大使館の方からひとつ話をしてもらって、両方から問題早期解決のために努力してもらいたい、もう一回私はこの席でお願い申し上げておきたいと思います。
#30
○藤田藤太郎君 関連。日米合同委員会の正式メンバー、それと事務局交渉、これ、ちょっと聞かせていただきたい。
#31
○説明員(魚本藤吉郎君) 日米合同委員会の日本側の代表は外務省アメリカ局長でございます。それから代表代理といたしまして調達庁長官、外務省アメリカ局参事官、農林省農地局長、防衛庁渉外参事官、法務省民事局長、大蔵省財務参事官、以上でございます。
 それから事務局は外務省アメリカ局安全保障課。
#32
○藤田藤太郎君 相手は。
#33
○説明員(魚本藤吉郎君) アメリカ側は、向こう側の代表がアドミラル・プライス、それから陸海空から代表代理が一名、それからグローブ大佐、これは民事部長です。それから大使館から二人、参事官と書記官、それから軍事顧問が一人。それから事務局はファイスナー、以上でございます。
#34
○藤田藤太郎君 これは日本語でいうと……。
#35
○説明員(魚本藤吉郎君) これは予備役大佐……。
#36
○藤田藤太郎君 いやいや、機構上の役割、アメリカ軍の機構上の役割は店…。
#37
○説明員(魚本藤吉郎君) 事務局長です。
#38
○藤田藤太郎君 それは何か兼職持ってないで、これだけの事務局だけに来ているわけですね。責任者はアメリカ局長ですか。
#39
○説明員(魚本藤吉郎君) 日本側はアメリカ局長です。
#40
○藤田藤太郎君 だから、委員会の座長はアメリカ局長と向こう側と交代でやるわけ……。
#41
○説明員(魚本藤吉郎君) さようでございます。
#42
○小柳勇君 その日米合同委員会でも強力に、これは一つの小さい問題としてでなく、今後も起こり得る問題であるのです。こういうことがひとつ早期解決するように合同委員会などでも努力してもらいたいと思うのです。それから長官にもう一つは、先般から問題になっておりました労務契約が変わって参ったのですが、その交渉の結果について、まだ当委員会で聞いておりませんでしたので、労務契約の交渉の問題、それから軍直雇用の切りかえの問題、円満に現在なされたかどうか、その後の経過について、二つの点を御報告願いたいと思うのです。
#43
○政府委員(林一夫君) いわゆる直用の間接雇用への切りかえでございます。これにつきましては御承知のように、諸機関従業員労務協約というものにつきまして、米中と折衝して参ったのでありまするが、本年の七月の末に至りまして、その基本協約につきまして大綱がほぼまとまりました。で、現在はその手直しもほぼ済みまして、また、米本国政府の承認も得ましたので、その実施の準備を進めておる段階でございます。現在のところ十二月一日に実施する目途で努力いたしております。
#44
○小柳勇君 もうずっと先般来の問題でして、七月ごろももう妥結するような見通しであったわけです。それが今日までなお妥結できてない、そういうところにも日本人労務者をばかにしたとは国際上言えませんけれども、そういうようなものを感ずるのです。基本契約も政府と完全に契約もしないまま、たくさんの労務者を雇っておると、これはまあ政府が雇うのですけれども、間接に雇っておるというようなところにも問題があると思うのでして、まあ人を雇用する基本契約ですから、早急に妥結してもらいたい、そうして労務者を守ってもらいたいと思いますが、同時に職員の、雇われる人たちの意見も十分に聞いてこの労務契約の中に取り入れる努力をしてもらいたいと思うのです。あと二カ月もございますから、そういう点について長官の見解を聞いておきたいと思います。
#45
○政府委員(林一夫君) この諸機関労務協約の米軍との折衝にあたりましては、その折衝の過程において、関係労働組合の意見を聞きながら行なってきたようなわけであります。十分関係労働組合の意見を聞いて進めて参りました。現在のところは、早くこれを実施してもらうというところに目標をおきまして軍と折衝を行なっております。
#46
○小柳勇君 最後ですが、現地のほうで県知事や副知事などが司令官と会ったり努力いたしておりますが、調達庁からも相当の人が現地に出向いていただいて、現地の司令官にも調達庁からも行って会っていただくというような努力を払ってもらいたいと思うのですが、今までやっていただいたのか、あるいはもしやっておられなければ、早急にそういう手を打ってもらいたいと思うのですが、いかがでしようか。
#47
○政府委員(林一夫君) 今後そういう点も十分考慮しまして、できるだけそういうふうにいたしたいと思っております。
#48
○小柳勇君 質問を終わります。
#49
○藤田藤太郎君 先日、私は予算委員会でこの問題を聞いたんですが、十月一日に直用を政府雇用に切りかえるということを言いながら、もさもさしていまだにできていない、十二月一日には必ずするということである。たとえば労務基本契約も、その直用のところは非常にまちまちでばらばらだから、これも政府雇用にやるときには明確に労務基本契約を作ってもらいたい、こう申し上げておいたのです。それは少しはっきり今直ちに返事ができないということでありましたが、これは防衛庁長官と外務大臣、問題はだな……。私は調達庁長官がおかわりになって今度の長官に非常に期待をしているわけなんですけれども、しかし、十月一日に全部切りかえると言っておきながら、ずるずると知らぬ間に国会の予算委員会やその他で詰められて、十二月一日だと言うけれども、これも実際守られるやら守られぬやら、こっち側としたら非常に不安だ今度間違えたら政治責任ですから、たいへんなことになると思うのですが、しかし、そういうものを一切おやりになるのは日米合同委員会、あわせて直接調達庁長官が間接雇用の駐留軍労務者の雇い主なんですから、会社で言うたら要するに、会社の責任者ですよ。政府で言うたら大臣みたいなものです、調達長官というものは。その上には人事給与の責任者として防衛長官がありますけれども、しかし、調達長官というのは自分が雇っているのだ、それでその労働者が労働力を通じて社会に生産に貢献をしているのだ、そのためには私はどうも今までの調達庁のやり方というのは、何か事務的な存在として調達庁があるというような認識、そうでないだろうと思いますけれども、私らの受ける感じはそうなんです。そういうことのないように、私はきちっとやってもらわないと、こんなことをごたごたといつまでもやっていることは困ると思うのですよ。だから、たとえば政府間接雇用に切りかえるという問題はきちっとやる、それから労務基本契約に基づいてきちっとやる、その十二月一日には基本契約に沿った契約が全部できるように、この点は調達庁としては実際重大な責任を持ってやってもらいたいという感じを持っているのです。だから、それらの問題について長官の御所見をひとつこの際承っておきたいと思います。
#50
○政府委員(林一夫君) 調達庁としましては、先ほどから申しましたように、米軍に折衝いたします態度というものは別に遠慮した態度をとっているわけではないのであります。主体性を持ちまして、ことに労務の問題につきましては、雇用主という立場に立って、また、同じ日本人であるという立場でもって、十分その立場を理解して折衝に当たっているわけです。この雇用切りかえの問題につきましても、これは労働委員会におきまして再三早く実施するように督促をいたしております。私も在日米軍司令部に出かけまして、あそこにおる海軍少将のプライスさんにお目にかかって、直接この問題について解決するようにお願いしておるわけです。いろいろの方法によりまして、十二月一日にはぜひ実施できるように現在努力いたしておるわけです。
#51
○藤田藤太郎君 どうもそこのところあたりは私の感じで、感じですよ、これはちょっとぼけたような感じがするのです。十二月一日に実施できるように努力をしている。実施できなければどうなるかということになるわけですから、私はやはりきちっと政治責任を持ってその日には実施するんだということをはっきりおっしゃっていただきたいし、労務基本契約の問題も、私はやはり今のばらばらな労務契約の問題が早急に、これは十二月一日には少し無理だとおっしゃるからそう無理は言いませんけれども、早急の機会にこの問題がきちっと労働組合、労働者との間にできるように、そこのところあたりは努力をすると、最大の早急に努力すると言うならいいと思いますけれども、十二月一日には努力するということではちょっと何か、私の印象ですよ、何かぼけたような気がしたんだがな。
#52
○政府委員(林一夫君) 現在十二月一日に実施できるように最大の努力を払っておるのであります。現在の見通しでは、私の見通しでは、現在の進行経過からいって大体十二月一日には実施できると考えております。
#53
○委員長(谷口弥三郎君) ほかに御質問ございませんか……。ちょっと速記とめて。
  午後零時十六分速記中止
   ――――・――――
   午後零時四十九分速記開始
○委員長(谷口弥三郎君)速記を始めて。
 まず、質疑のある方は順次御発言を願います。
#54
○藤田藤太郎君 私は大臣に質問をしたいのでありますけれども、大臣は就任後われわれの委員会に所信の表明をしていただき、しかし、私はやっぱり一番問題になるのは、労働大臣としてやっていただかなくちゃならぬのは、予算委員会でも少し触れたと思いますけれども、これだけ生産が向上してきた、それでいて労働関係を見ると、たとえば雇用の問題を一つあげると、学卒は大体求人と求職との関係は一七・八〇%であって、しかし、この皆さんの出しておられるこの労働指標を見ましても、高年令の就職の問題は二〇%くらいなんですね。求人と求職との関係は出ていますけれども、実際に解決をした求職の問題は二〇%ぐらい。これはもう、いわれている中高年の失業対策だと思うのです。それに加えて、最近の炭鉱の労働者の失業というのは、私は、何といっても中高年層なんですね。この方々をやっぱり就職の場につけていくというのは、そういう受け入れ条件というものを社会が作らなければどうにもならぬ問題ではなかろうかと私は思います。たとえば労働時間の問題を見ても、これは外国の統計がここにありますけれども、たとえば四十時間労働アメリカを中心にした、カナダもそうでありますし、四十時間労働、それで四十三時間か四時間働いておりますけれども、その他の国で働いておりますけれども、これはオーバ・タイムを含んだ時間なんですね。基礎をなしておりますのは、土曜、日曜休みということで、完全雇用の道というものは、アメリカは今たくさん失業者がございます、ございまするが、何としても、アメリカの問題は別におきましても、私はやはり、完全雇用という方式がどうすればできるか、こういう問題と合わせて石炭離職者対策というものを立てなければいけませんし、また、そうでなく、そればかりでなしに、いろいろのところから出てくる失業者を、受け入れ態勢をしなければなりません。また、農民の今日の深刻さというようなものは、もうたいへんなことだと私は思うのです。六百万戸のお百姓が順次兼職農家になっておりますけれども、しかし、その兼職たるや、不安定な身分、不安定な状態で、日雇い、臨時という域を出ている人は少ない。新しい学卒から入っていった人はこれは別ですけれども、そういう者もかかえている。こういうものは、私は、やっぱり大きくは経済の問題ですけれども、しかし、経済政策の中で生産と消費のバランスをとるということで、完全雇用の問題と社会保障で生産と消費のバランスをとるという大筋の問題は少しこの前議論いたしましたからきょうはいたしませんけれども、しかし、労働省としては、その問題にもっと身の入った考え方を出していただかないと私はいけないのじゃないかということを考えているわけでありますから、ぜひ賃金の、最低賃金を今後どうしていくか。今の業者間協定の最低賃金というような格好では実効の上がらないことは、これはもうだれがいってもそうなんですから、だからその面を含めて労働大臣の所信をひとつ承りたいと思うのです。
#55
○国務大臣(福永健司君) 藤田さんは幾つかの点について触れられつつ私の所見を言えと、こういうお話でございますが、全体といたしまして、私は完全雇用を期し、労働者の労働条件を向上せしめる、これは労働省といたしまして施策の中心であらねばならぬ、こういうふうに考える次第でございます。
 そうした見地からいたしまして、たとえば中高年層の相当の数の者が失業をしている。一方において若年労働者、ことに学卒の者が非常に足りないと、こういうような現象等をにらみ合わせて、適切な対策を立てていかなければならないわけでありますが、まあ労働時間短縮というような点にも触れられました。で、私どもは、率直に申しまして、失業者が出ないようなことになるということは、これはもう非常に望ましいわけでありまして、そういうような観点から、労働者全体の労働時間も短縮されていって、そうして一面に、藤田さんの仰せのごとく、そういう面からも労働というものを広く日本の労働者全体にあまねく機会を与えるような方向へ持っていくことによって、積極的に失業等もなくせしめるようにというような意味の示唆もなされたのであります。このことは私は原則的に同感であり、望ましいことであると思う次第でございます。現実問題といたしましては、日本の場合、企業別に見ましてもいろいろの事情があって、一気にここへ行くということはなかなか容易ではなかろうかと思いまするけれども、容易でないというので、拱手傍観するということでなくて、弾力的にかつ漸進的にではありまするが、お説のような方向に行くように、われわれも積極的な努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。これには、どうしましても、経営者側のこういったことに関する深い理解も増進させなければならない次第でございまして、こういう面における啓蒙についても今後一そう努力していきたいと、こういうように存ずる次第でございます。
 ことに、緊迫いたしました石炭産業の事態等と関連して考えますと、お説のように、何とか受け入れ条件をよくして、こういうような産業から出てくる中高年者をなるたけすみやかに、なるたけいい職場に送り込むこと、また、受け入れられるような態勢を作るということは特に留意をしなければならぬ問題の一つでもあろうと、こういうように考える次第でございまして、そういった面から、従来やっておりました一連の施策を、この際、緊急に強化するというような意味におきまして、ごく最近の閣議におきましても、そういった措置についての決定をいたし、財政的の措置も講ずるようにいたしましたのでありますが、一方、できるだけすみやかに、新たなる立法によるところの新たなる措置も講ぜなきゃならない。これらにつきましては、せっかく今鋭意検討中でございます。問題の性質上、できるだけすみやかに結論を出し、すみやかに施策を講ずるということにいたしたいと存ずるわけでございまして、ただいまのお説の点、一括いたしまして御趣旨に沿うようにせいぜい努力をいたしたいと、こういうように考えておる次第でございます。
#56
○藤田藤太郎君 私の今申し上げましたことの趣旨について賛成だということですから、私は、今口で言うばかりでなしに、それではもう一、二触れてみたいと思うのですけれども、そういうものは何でしたら書類によって、きょうは時間がありませんから、ひとつ出しますから、十分に御検討を願いたいと私は思うのです。たとえばここに労働経済指標の中に週間就業時間というのがあります。労働大臣ごらんになってもわかりますように、週に一時間から三十四時間、三十五時間から五十九時間、六十時間以上と、こういう分類がしてあるわけであります。私は、この基準法で四十八時間という制限を加えておきながら、なぜ三十五時間から五十九時間というようなところへこれを持っていっておられるかというのは不思議でしょうがないのです。これはどういう考え方でこういうことをされるのか。五十九時間、それから六十時間以上働いている人が両方合せて一千万をこえる。一千百万からになっておるわけですね。この統計をごらんになったらこのとおりなんです。これは単にこれだけやむを得ず働いているということの理由の中には私は二つあると思うのです。その企業者が働かすというものも一つあります。しかし、働かなければ食えないというから長く働くという条件がある。だからこれだけ長く働くには二つの条件があって、これだけ長く働いているというのは、外国の統計をごらんに――大臣はまだ日が浅うございますから私は深く追及いたしませんけれども、しかし、外国の統計を見ても、六十時間以上一週間に働いているという国がどこにあるか。五十九時間も働いている国がどこにあるのか。私はこれは議論する必要はないと思うのです。その六十時間以上働いている人が一千百万からおる、農民、非農民を含めて。それで片方では失業者がおる。一時間から十四時間働いておる人が、それは自己の都合で働いている人があるかもわかりませんけれども、それだけ仕事がなくてそれだけしか働けない人もあるわけです。これが大体八百万をこえるということなんですね。私はそういうところを大臣はよくこれを見ていただきたいと思うのです。特に国際的には議会同盟の日本の代表者として国際的な問題については造詣が特に大臣は深いようでありますから、ILOがどういう役割を果たしておるかということも十分にひとつお考えをいただきたいと、こう思うわけです。これは労働時間の問題、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、生産と消費のバランスをどうとっていくか、そこで日々経済の発展をどう察していくかというのが、たとえばヨーロッパの各国がOEECというような格好できちっと各国が申し合わせて完全雇用をとっておる。こういうかまえを日本でしなさい、そうしたらガット三十五条は援用しませんというのは向こうの言い分なんですよ。そういうところへ日本の経済が突き当たりながら、国内の問題については自由主義経済でございますといっていろいろな問題にはお触れにならない。何といっても規制できるものはたくさんある。最低賃金しかりであります。労働時間は労働基準法で規制ができるわけであります。社会保障しかりであります。そういう工合に規制ができる。また、しなければならぬのです。そういうところには力が十分に入っていないというところにこれはこういう問題が出てきて、この中で会社は最近の傾向としては身分不安定な臨時雇いとか、そういうところに雇用の問題をむしろふやしていこうという格好になってきておるわけです。だから、そういう本雇、臨時雇という関係で問題があるなら、日本の賃金陶係はどうあるべきだという問題をむしろ追及されたらいいと思うのです。年功序列賃金がいかぬというのなら、いかぬようにどうすればいいかということを労働省はもっと追及したらいい。そして労働力がやはり生産を通じて社会に貢献するという、みんなの持っている労働力を通じて社会に貢献するという問題、こういうことを私は労働省はお考えになったらいいと思うのです。そういうことは一切目をふさいでおいて、そうして今の私たちが――これは言い過ぎかもしれませんけれども、労働行政の課せられておる任務は、失業者の出てくるのを受けておって何かで処理しておくということしか、どうも労働行政のワクというものはそういうところに置かれているというところに労働大臣としては奮起してもらわなければならぬという、私は一大原則があるのじゃないか、私はそう思うわけでございます。これから何といっても、これだけ生産が高まって参って、経済がウナギ登りに上っているのに、裏側の需要の問題や、人権の問題や、それから労働再生産に対する労働者の所得、賃金、生活の問題というようなことになってくると、これは落ちてくる一番下は生活保護法でやっていく、こういうことになっておるわけであります。ところがもう一つ矛盾の出ておることは、大臣御承知のとおり、失対事業なんですね。失対事業の賃金というものは、あの緊急失対法で八割から九割だときめておいて、それで労働はさす、仕事はさすけれども、めんどうは見ない。各地域に行きますと、何にもせぬで生活保護をもらっておる人の方がよっぽど収人がいいという現象が今日出てきているわけですね。そんなことでいいのか。私は生活保護法で生活している人は日本の国の中で一番不幸な人だと私は思っておる。自分の身に合う仕事をしてそうして勤労しながら勤労の喜びの中で人生を全うしていくというところに喜びを感じておられる。一歩でも喜びを感じて失対事業でも何でも仕事につこうという人の収人よりじっとして生活保護を受けておる方が収人が多いなんということは、これはどういう間違いかということは、これはだれが聞いてもわかる問題だと私は思うわけです。だから、そこらの関連について前段の問題は十分に――この労働時間の問題、統計局長から、なぜこんな調査を確保しているかというひとつ釈明もお聞きしたいわけですけれども、後段の失対賃金の問題ですね。なぜ今のような状態なのか、失対専業その他についての構想をひとつお聞かせ願いたい。
#57
○国務大臣(福永健司君) 御質問に加えて御激励をいただき、恐縮に存じますが、労働時間の問題はこれは詳細にわたりましては、政府委員からいろいろ申し上げることにいたしますが、私の理解いたしまする限りにおきましても、この統計の数字は、家族従業者のような人たちも全部含めての数字であり、したがって、一部の産業におきましては、季節的にある時期はうんと働く、で、また別のときには非常に暇ができるというような事業もあることは日本の実態であります。したがって、さような面からの数字も現われておると思いまするし、それからただいまのところでは労使が話し合いをいたしまして、所定の労働時間以外に延長するというようなことも割合に簡単にいくようになっておりまするので、そういうことから、御指摘のように、必ずしも好ましい事情ばかりではなくて、時間が延びているというような事情等もあろうかと存ずる次第でございます。全体として望ましからぬ傾向に対していかにすべきかということは、政府としては常に考えていかなければならないところでございまするから、さような観点からのただいまの御注意は承って善処したいと存じます。
 第二点。生産と消費のバランスと関連して御所見が述べられ、私からも考え方をというお言葉でございますが、まあ若干の消長はありましても日本の産業全体はだんだん生産性を向上せしめてきており、したがって、この生産性向上の成果なりないしは企業の所得の増大なりというものをいかにしていくかということになりますと、これはまあ申すまでもなく、私といたしましては、そのある部分は労働者への労働条件の向上ないし賃上げというような形において報いらるべきであり、また一面、その企業それ自体の体質改善等にも向けられるべきであると存じます。さらにはまた、そういうことだけでなくて、消費者、国民全体へ価格が下がるというような方法においてその成果が一部そういう方向でもたらされると、こういうようなことが私は望ましいと思うわけであります。また、そのほかにもより違った意味の社会奉仕的な面でというようなこともありましょう。これはまあ別といたしまして、いずれにしてもこの三つのような方向で考えられるべきであると思うのでありますが、しかし、労働大臣たる私といたしましては、先ほど申しました三つのうちでも、労働者へいかにあるべきかということに大いに重点を置いて考えていきたいと、こういうように考える次第であります。したがって賃金問題等についても、ただいままあ藤田さんは、どうもこういう点について労働省は萎縮しておるという表現をなすったのであります。これは私、その言葉が当たっているように思うのであります。ただし、萎縮しっぱなしじゃいけませんが、伸びる前に縮むというようなこともございます。そこで、ただいまのお言葉はありがたく拝聴いたしまして、まあ縮みっぱなしでなくて、これから伸びるために――ためにというか、ただいまは縮んでおるのであるから今度は伸びるというような考え方で今後に処していかなければならない、こういうように存ずる次第でございまして、そこで日本の資金はいかにあるべきかということを追求せよというお言葉であります。まことに私としてはありがたいお言葉であり、労働省はまさにそういう使命を果たしていかなければならない。従来ややともすればまあいろいろの条件で失業者が出るからこれを始末しろ、あそこがごたごたがあるから何とかしろというような、要するに、跡始末ないししりぬぐい的な使命に追われっぱなしでありました。労働省の姿がそれでよろしいかということになりますと、これはこれのみであってはならぬ。もちろんそういうこともしなければなりませんけれども、さらに今御指摘のようなことをよく考えて、積極的な労働行政をやらなければならない、こういうように考えておるわけでございますので、決して賃金統制とかなんとかというような考え方ではなくて、今お話のような御趣旨の点も十分考慮に入れて、今後善処していきたい。したがって、新年度の予算にはこういう面からの要求をただいまいたしておるわけであります。財政当局との折衝では、なかなか今のところでは、この種の方向へいくということについての新財政措置等も容易でないようにも見えておりますが、一そう努力をいたしまして、労働者のためにも労働省のそうした使命を果たしていくように措置していきたい、こういうように考えておる次第でございまして、最低賃金につきましては、私どもといたしましてできるだけこれを普及していくという方針のもとに、三年間二百五十万目標の普及措置をとっておるのであり、現在百五万程度にまではいっておりまするけれども、これは一そう馬力をかけていかなければならないし、また、藤田さんの仰せのごとく、適用人員がふえたということだけで満足していてはならぬと思います。ずいぶん初めのほうにできた最低賃金は今の常識と違うようなもの等もできておりまして、その後何十かのものが改定されてはおりまするものの、なお、実勢と相隔っておるもの等もありますので、その点も考慮しなければならないと存ずる次第であります。
 石炭につきましては、過般、中央最低賃金審議会へ私の方から検討を願うようにいたしたのであります。昨日その審議会が開かれまして、労・使・公益三者構成によるところの小委員会にこの問題が付託されておるのであります。そこで御検討、御勉強を願いまして、よい結果の出ることを私は心から期待しておる次第であります。この成果を見ましてこれについての措置もしなければならぬ、こういうように考えておる次第でございます。
#58
○藤田藤太郎君 今、大臣から、縮むとき縮んで、また伸びるというようなお話がございましたが、しかし、労働省の出しておられるこれを私は見てみまして、ことしの三月の労働生産性は三十年に比べて一六八ですね。賃金は一一三、実質賃金は二・六%です。これはどのようになるのですか。縮んでまた伸びるとおっしゃるけれども、そういう格好で賃金構造はあるわけですよ。これは一つ参考のためにあとで見ておいていただきたいと私は思うのです。それからたとえば投資に対する云々というお話がありましたけれども、しかし、外国のやっているのは生産性向上と賃金上昇率を同じにして物価横ばいというケース。物価が、サービス料金が上がるから賃金上昇率がみな高い。これはもう予算委員会で総理大臣が答えているわけです。それでいて一六八の労働生産性があって実質賃金は二・六%だ。それは期末で給与は重なっていますけれども、こういうこれはうそをつけませんから出さざるを得ないのでありますが、こういう格好なんですよ。で私はあまり時間がないようですから、またいずれ日をあらためていろいろの詳しい問題は少し労働大臣にお願いし、議論もしたいと思いますからやめますけれども、しかし、ここでこの問題の二、三だけは一つ所信を聞かしていただきたいと思う。
 業者間協定を中心にした最低賃金制というものを改めなければならぬ時期にきているのではないか、私はそう思う。今までここの論議で何とか検討を加えなきゃならぬということをおっしゃっておりました。大臣はどういう工合にこの最低賃金の問題をお考えになっていくかということをひとつお聞かせ願いたい。
 二番目の問題は、日雇い賃金でありますが、予算委員会の審議のときには、もう数日待ってもらえれば何とか結論を出すと、日雇い賃金の対処の問題はそういうお答えがございました。あれからもう数日たっていますから、日雇い賃金をどういう工合に処理いたすか。生活保護法と見合っての議論をいたしましたから、それでもけっこうですから、最低賃金の問題の処理をどういう工合にされておるか。
 三番目は、日経連が賃金ストップを言っているわけです。私は時代逆行だと思うんです。ああいうことでいいのかどうか。ちょうど戦前の資本家連中が言うたことと同じことを繰り返している。この前の日経連の総会では、総理大臣や労働大臣は、そうでないんだ、生産性向上率と賃金との外国がやっているようなバランス、そういうものを日本もつけなきゃいかぬ、国民所得の中の勤労所得の比率の問題も、やっぱり勤労所得を引き上げていかなければならぬ。だから、単に賃金、高いとか安いでなしに、むしろ経済が上がるんだから賃金も上げなければならぬ。予算委員会では、総理も、むしろ生産に応じて賃金を上げなきゃ所得倍増はできませんとまで言っておられるわけですけれども、自民党、また、今の池田内閣はやっぱり財界との関係が非常に強いんでありまして、そこの財界が賃金ストップを言っているということでいいのかどうか。
 それから四番目の問題は、定年制の問題がございます。定年制というのは、ちょうど昭和の初め時分に、労研の中で労働者の握力とか牽引力とかそういうものを中心に労働力のいいところだけ取ろうということで定年制の問題をきめられた。で、五十才、五十五才になっておった。だけれども、その時分の退職金というものは、非常によい会社においては一生何とか食っていけるだけの退職金を出すという仕組みになっておった。今はそうでなしに、労働者の唯一の老後の保障は、民間労働者の厚生年金、これはフラットが二千円でございます。一番高い給料の人でも二十年かけてやっても月に六千円くらいにしかならない。共済年金のほうは、三十年も働けば給与の五割五分もらえる。これは一つの例でございます。それから外国の例を見ても、どこの例を見ても、大体最終給与の三割五分から五割、スエーデンのごときは六割ということで老後が保障されているわけであります。それからもう一つは、今の労働者国民の栄養度というものは高まっておりますから、五十五才では、退職すると食べられないという格好で定年制で首を切られたら生活に困っておるという人が非常に多いと思う。そういう方々の定年制というものをこれは延ばしていかなければならぬと思うんです。これは、労働力を十分に持っている人を定年制で首を切っている。昔のような思想なら昔のような思想で、一生食っていけるような方法を年金とか退職金で講じてもらわなきゃいけませんから、こういうことについてどうお考えになっているか。
 それから五番目は、石炭労働者に今いろいろ努力をしていただいていることは私は敬意を表しているわけですけれども、エネルギー対策の問題と離職者対策、再就職の場合問題の、それからその離職間の生活保障の問題、訓練の問題、そういういろいろの問題についてどういう工合にお考えになっているか。
 さしあたり五つお聞きしたいと思います。
#59
○国務大臣(福永健司君) 最切の最低賃金について業者間協定を中心とした現在の行き方を改めてはどうかというお話でございますが、先刻も申し上げましたように、まあせっかくこれが普及については努めておるところでありますが、それとともに、今後の運営をいかにするかという点もお説のごとく留意しなければなりません。そこで、この最低賃金運用の今後の基本方針について検討するために中央最低賃金審議会にそのための小委員会を設置して今御審議を願っております。これらの結論等を待って、また、ただいまのお説等も参考にいたしまして処していきたいと考える次第でございます。
#60
○藤田藤太郎君 いつ結論が出るんです。
#61
○国務大臣(福永健司君) これはなにさま今お願いしていることで、私のほうでいつまでにというわけにも参りませんが、早ければ早いほどいいというように私は考えております。
 それから第二番目の失業対策事業就労者の賃金の点でございますが、すでに幾たびか私はお答えしていてそれでいてまだ正式に発表にならないことについては、たいへん遺憾に存じます。この前にお答えしたときに、もうよかろうと実は正直なところ考えておった。この速記のつくところでだれがどうということはちょっと言いにくいのでありますが……。
#62
○藤田藤太郎君 それなら速記を落として言って下さい。
#63
○国務大臣(福永健司君) まず速記のままで申し上げますと、私のほうでは話がついたと、こう見ておるのでありますが、まあこの間も申し上げましたように、いずれにしても何らかの方法でこの種の方々の所得を増す方法をという意味で御理解をいただきたいんですが、その措置について関係者間でいろいろ話し合いをいたしておりまして、必ずしも私の主張に全面的に賛成する者ばかりでもないのでありますが、政府部内として実は目安をつけた上である方面にもうまかしあるのであります。そこで、私はもういいと思っているのでありますが、現在までに発表になっていないので、まことに残念でございますが、これはいずれにしましてもこの間申し上げましたときに数日中と申しましたが、数日実はたっちまったので、おしかりを受けてもこれは仕方がないんですが、なお数日と申し上げると、これはどうもなんでございますが、いいかげんなことを実は申し上げたのではないのでございまして、私は私なりに確信をもって申し上げたのでございますが、しかもなお、今日発表になっていないのは残念でございますが、これから委員会が済みましたら直ちにまた催促をいたしまして、すみやかに発表できるようなことにさらに一そうの努力をいたしたいと存じます。
 それから第三の点の、日経連で賃金ストップ的な表現をした。これはまあ私あのときの話は直接聞いてもいないし、それから新聞で概略見た程度なのでございますが、もうこれ以上あまり賃金を上げる余裕がないとかいうような表現だったかと思うのでありますが、まあそれはいずれにいたしましても、日経連のある人の見解であります。藤田さんの表現では自民党も関係が深いしと言われるが、これは見方でいろいろに批判はできると思うのでありますが、そう神経を使っていただくほどのことはないと思うわけでありまして、政府としてはまあ世間にいろいろ賃金について説が行なわれる、これをどれがいいとか悪いとか、いろいろこれはそういうことは言うべきでないのでありますが、この間もお答え申し上げましたように、労働大臣といたしましては、生産性向上と見合いつつ適当に賃金が上がっていくことは望ましい、ことに所得倍増等を国民に申しておりまする政府といたしましては、特にそうあらねばならぬと、こう考えておりますので、この日経連のある人の語りましたこと、これが政府の賃金政策等に影響するというようなことは、さほどお気に病んでいただくことはない、こういうふうに、少なくとも福永健司労働大臣である限り、さような考えではございません。事実、日本の各産業等は賃金等も千差万別でございまして、したがって、一がいに言えないのでありますが、全体として、日本は決して高賃金とは言えないのであります。したがって、先刻来申し上げておりますような考えであることを御理解をいただきたいと思います。
 それから定年制についてのお話でありますが、私も藤田さんのおっしゃったようなことと考えを同じゅうするものでございます。昔は人生五十年というふうなことを申しましたけれども、このごろは人類全体の寿命もたいへん延びまして、まあ昔のような考え方では現実に合わぬというように私もつくづく感ずるわけであります。現に議員などは、立場がだいぶ違いますけれども、五十五才というと、議員の中でも平均年令よりも若いほうじゃないかというふうな、しかも五十五才くらいになるとちょっともうろくしてくるかというと、さようなことではないのであります。大いにこのくらいの年令からあとが油が乗ってくるという気もいたすわけであります。これは議員の場合でございますけれども、このことは一般産業等においても、作業の性質によってもいろいろでございますけれども、五十五才程度で定年にしてしまうということでは、最も油が乗ってきたころに仕事を奪うというような感も一部にはあると思うのでありますが、そこで最近定年も、この五十五才をもう少し年令を上げなきゃいかぬというような考えで改めている事業もあるようでございます。そういう観点からいたしまして、この点につきましては私も同感である。したがって、これは直接、立法等で定年制をきめているわけではありませんので、どうこうと言うわけではありませんけれども、労使間の協定等にこういうことが表現されているものが多くありますだけに、私どもも関心を持って、この点につきましては、日本ないし、日本人の実情に即したように改まっていくことが望ましい、こういうように考えております。
 第五の石炭対策の点につきましては、申すまでもなく、石炭産業安定というような見地から、諸般の恒久措置も講じていかなければならぬし、同時にまた、この深刻な事態に処しての緊急対策も講じていかなければならぬ。この両面から考えまして、緊急措置の幾つかにつきましては、すでに私どももある程度の措置を講じまして発表もいたし、現にそれを対策として実施をいたしているところであります。なお、それ以上にさらに一般の強化を期していきたいと存じておりますが、先ほど新たなる立法でという表現をいたしましたのでありますが、一部やはり立法をして措置すべき対策があるわけでございます。これは恒久対策についても緊急対策についても言えることでありますが、恒久対策については特により多くそういうことが言えると思うのであります。例におあげになりましたエネルギー総合対策等についてのことは、これは一応現在通産省の所管といたしまして、通産省の関係でそういう審議会でございますか、協議会でございますか、正確な名前は知りませんが、エネルギー総合対策関係の審議会的なものがあるわけでございますが、現在のままでよろしいかどうかというようなことにつきましては、これは議論のあるところでございまして、ないしは現在のままにしても、その機能をより高度に発揮せしむべきではないかというような意見もあるわけでございますが、いずれにいたしましても総合的に対策を立てて、その中での石炭産業の安定ということを考慮しなければならないことは申すまでもないところでございまして、私どもといたしますと、そういうことが確立されて離職者が出ないようになること、これまた私どもの究極の意味において特に希望するところでございまして、もとより出ます離職者に対してどうするかということは万全の策をとっていかなければなりませんけれども、その前に、なるたけそういう離職者が出ないような措置ということを、政府施策全体の中から生み出していくようにしなければならぬということは、労働大臣として強く感ずるわけでございます。それらの点につきましては、今後とも御趣旨のほども体しまして、ただいま石炭関係の関係閣僚会議等もしょっちゅうやっているのでございます。なお一そう強調していきたいと存ずるわけでございます。
#64
○藤田藤太郎君 もう時間がありませんから言いませんけれども、問題は、一番最初に申し上げましたように、日本全体が雇用の仕組みが不安定な雇用というものをふやそうというような傾向の中では、石炭の離職者は、一定の離職者対策が終われば潜在失業者、半失業者にしていくということしか約束できないような対策でなしに、やはりきちっと身分の保障されたところへ、その離職者対策とあわせてそこで雇用就職が確約されていく、こういう条件を私は作らなければ実効が上がらないのではないかということを考えておりますので、また、大臣もそうお考えだと思いますから、ぜひそういう点は一定の手当か何かをやっておいて期限が過ぎたらどこへ行こうがわしは知ったこっちゃねえというような格好の離職者対策でないように、私はぜひ強くお願いをしておきたいと思います。一時半までという約束ですからあまりもう言いませんが……。
#65
○小柳勇君 一言だけちょっと簡単に。ほかの問題はまた別の機会にいたしますが、石炭の最賃が、中央最賃にかかっているのですが、要求は一万二千円の最賃制の確立でしたが、これがよろしいかどうかという御諮問でございましょうかという点と、いつごろ諮問の結論が出る見通しでございますか、この二点だけ質問をしておきたいと思います。
#66
○国務大臣(福永健司君) 私どもが中央最賃審議会に検討をお願いしましたのは、今お話のような数字がよろしいかどうかという形ではなくて、当然にそういうことも含むのでありますが、まあ石炭産業の最低賃金はいかにあるべきかというような形においてでございます。しかし、具体的にはもちろんこの一万二千円という要求等も出ておりますので、そういうことについて御検討を願うものと私は期待しておるのでありますが、石炭産業の最低賃金というものについてはいろいろ議論も出ておるだけに、小委員会がすぐに作られて検討がスムーズに進むことについて衷心期待しておりました私としましては、多少の危惧の念もございましたが、非常に円滑にこれがそのほうへ行っだということを喜んでおります。したがって、今後の審議ないし検討しいうものにつきましてもう割合に順調にすべり出しましたから、私はそんなにおそくならぬだろうと思うのでありますが、私のほうではいつまでにというわけにも参りませんので、そういうことは言っておりませんのでありますが、なるだけ早くお願いしますということは実は言っておるのでございます。今日直ちにいつということはちょっと申し上げかねますが、できるだけ早く結論が出ることを期待し、かつまた、適当な方法でそういうことになるようにわれわれもしかるべき方沖をとっていきたい、こういうふうに存じております。
 それから先ほど藤田さんがおっしゃいました点につきましては、私ここで一緒にお答えさせていただきたいと思いますが、はっきりそういう言葉は使わなかったのでございますが、雇用保障ないし雇用奨励的な措置については、実は現実には私ども強い主張をして今折衝をいたしておりますので、何らかの成果が得られるのじゃないかというように私も考えております。
#67
○藤田藤太郎君 大臣はもう約束ですからけっこうですが、調査部長さっきの答えをまずして下さい。
#68
○説明員(大宮五郎君) 先ほど藤田先生から若干の技術的な問題についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げたいと思います。まず労働時間の関係の問題でございますが、先生がお手元にお持ちになっております週間就業時間別の就業者数の時間の区切り方の問題について申し上げます。この統計は御承知のように、総理府統計局の労働力調査の結果でございますが、この調査は就業状態全体の調査でございまして、就業者数の過半を占めます自営業主、家族従業者を含めた全体の就業者の状態を調査する、さらに農林業やまた自営業主、家族従業者だけでやっておる、すなわち雇用労働者のいないような零細な経営の非農林業の就業状態もあわせ調査する性質のものでございます。したがいまして、その時間の調べ方もそれに即応いたしまして雇用労働者に対する就業時間の調べ方とはやや範囲を広げまして、非常に短時間のものから長時間のものにわたって区分して発表しておるわけでございます。なお、実際に集計しておりますのは、ここに掲げました区分よりはもう少しこまかくなっておりまして、一番下の区分が一時間から十九時間、その次が二十時間から三十四時間、その次は三十五時間から四十八時間、その上が四十九時間から五十九時間、一番上が六十時間以上、こういう形で発表しております。私どもの指標にこのように簡単に載せましたのは、もっはら紙面の都合上集約して載せたものでございます。しかし、これでは確かに雇用労働者の時間を調べるものとしては不適当な点があるわけでございます。そこで、雇用労働者に関する時間の調査といたしましては、別に毎月勤労統計による実労働時間の調査、さらに労働時間制度調査によります想定労働時間に関する調査を行なっております。毎月勤労統計によります常用労働者に対する調査の結果によりますと、全体の平均は一カ月約二百二時間、今年の一月から七月までの平均の数字でございますが二百二時間になっておりまして、これをかりに週当たりに直してみますと約四十八時間くらいになるわけでございます。しかし、これでも実際の労働時間でありますから、もう少し制度的な面からも調べませんと、労働時間に対する各種の考え方というものの基礎資料としては不十分になりますので、想定労働時間についての調査も別に行なっておるわけであります。御参考までにその数字を申し上げますと……。
#69
○藤田藤太郎君 時間がないから資料で……。
#70
○説明員(大宮五郎君) 労働時間制度調査というものでやっております。たとえばその数字によりますと、七時間制の所で働いております労働者が全体の約四五%、それから八時間制の所で働いておりますのが二五%、それ以外がその中間のものでございます。若干七時間以内のものもございますが、これはごくわずかでございます。こういうふうに労働時間の問題は、雇用労働者に関しましては別に労働省独自のものとしてやっているわけでございます。
 それからなお、生産性と賃金の問題につきまのては若干数字の見方につきまして補足させていただきますと、御存じのように、賃金は夏期と年末に多額の賞与が支払われるわけでございます。したがいまして、年間のある特定の月だけを取り出しまして生産性と賃金の位置を比較しますのは不適当になるわけであります。たとえばお手元の資料によりまして昨年の十二月の数字を見ていただきますと、製造業の労働生産性は、昭和三十年を一〇〇といたしまして一五四・〇%、それに対しまして製造業の賃金は名目で二六九・四実質で二四七・六、こういうふうに非常に高くなります。しかしその前の月の十一月をとってみていただきますと、生産性のほうは一四八・一、賃金のほうは名目で一一七・六、実質で一〇八・八、こういうふうになるわけであります。そこで両者の関係を見ます場合には、年間の合計あるいは伸び方についての前年同期との比較、こういう形で見るのが適当ではないかと思います。従来の生産性と賃金の推移につきまして、製造業を取り出して申し上げてみますと、たとえば昭和三十五年の平均は生産性のほうは前年に対して一〇・四%の上昇でございまして、これに対して賃金は八・〇%の上昇、しかし、昭和三十三年のようなケースをとりますと、生産性のほうは三・七%の減少、賃金のほうは二・三%の上昇、こういう時期もあるわけでございます。なお、ことしに入りましてからの状況を、一月から七月までの平均として前年の同期と比べてみますと、生産性のほうは一〇・〇%の上昇、賃金のほうは九・五%の上昇となっております。これが製造業の生産性と賃金の関係でございまして、製造業は、国民経済全体の分野からいたしますと、生産性の上昇率が最も高い分野の一つでございます。その場合に、ある部門だけの生産性と賃金の関係だけを議論するのはなかなかいろいろの問題がからまってくるわけでございまして、生産性と賃金の場合は、生産性があまり伸びないようなところの部門における両者の関係等もあわせ考慮した全体としての生産性と賃金との推移、しかもそれをかなり長期にわたっての関係として見るのが適当ではないか、こういうふうに私ども思っております。
#71
○藤田藤太郎君 それは今調査部長がおっしゃいましたけれども、そんなことは私もわかって質問申しております。それで、問題は昨年十一月が一〇八で、十二月二四七、それで実質賃金は年度計をとると一二四ということになって、製造業だけを見ても名目賃金一三四ということになっておりますけれども、しかし、問題はこういう高い不安定な臨時工とか、社外工とか日雇い賃金というものはもう年末とか期末に給与が入るというためしがないわけですよ、実際に。でありますからして、完全に身分を保障されているところだけがそういうものがあって、臨時工とか社外工とか日雇いという者にはそういうものがないのです。そういうこともよく考えていただいて月々の賃金の実質上昇というものが月々の生産性の傾向だからずっと見ますと、そう下がっているわけではない。年度平均で見てもそういう格好のものから見て、傾向として極端な例を言っただけで、それはよくわかって言っておるわけですけれども、しかし、たとえば労働時間の問題にいたしましても、人に雇われる者だけは四十八時間、雇う者はそれ以上何時間を働いてもいいということは、今日、近代社会においてそういう気持を労働省が持っておるとしたらこれはたいへんなことです。みんなが四十八時間、労働基準法できめられた四十八時間で働くというならば、みんなが四十八時間でからだを守り、人生を楽しみ、そうしていくというのが大筋なんです。いろいろなものが入っているから高くなっているわけでございますというような理屈じゃない。雇用労働者であろうと、だれであろうと、外国へ行ってみなさい、あなたも外国へ行ったと思いますが、土曜、日曜は休んで、みんな休んでいるじゃありませんか。商売人も業者も休んで人生を楽しんでいるじゃありませんか。生産が上がるに応じて、そういう思想というものが入ってくる。ここで議論を私はしませんが、そんなところに今のような世の中にそんな理屈をつけるのではなくて、基準法は四十八時間以上働いている人を守るという基準であって、商業もみな入っている、三十五時間から五十九時間だ、それが入っているからこういうように数字が高くなっておりますというようなことでは困る。われわれは雇用労働者だけを言っているのではない。むろん雇用労働者は雇用の関係ですから、賃金の関係から問題の主点でございますけれども、みんなが労働基準法できめる最高四十八時間にして、みんなが人生を楽しんでいくという格好をつけていくというところに労働行政を今後進めていく筋があるのではないか。私はそう思う。ですから、それはそれで雇用労働者というのはわかりますけれども、本筋というものはそういうものではない。そういうことをひとつ御理解いただけば、もう時間もおそくなりますから、これでやめますけれども、しかし、そういう配慮はこの調査統計をお出しになるときにも十分していただきたいと思う。そういうことでいいかどうか。労働基準法関係からも労働基準法がどう守られているかどうかということをこういう統計なんかでも検討して下さい、お願いしておきます。
#72
○委員長(谷口弥三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#73
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を起こして。
 本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと存じます。
 明日は、水資源の対策について、建設委員会との連合審査会が午後一時から開会されますからどうぞそのおつもりで。
 それから次回の社会労働委員会は、十月三十日月曜日の午前十時からやりたいと思いますから、その日は時間のあるだけ十分利用いたしまして、厚生方面から出ておりまする十一件ばかりの議案がございますから、これはぜひひとつ御質疑を願ったり御討議を願おうと思っておりますから、どうぞひとつその日は、御迷惑ですけれども、十時御参会の上に終日おいでを願いたいと思います。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後二時一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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