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1961/10/30 第39回国会 参議院 参議院会議録情報 第039回国会 社会労働委員会 第9号
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1961/10/30 第39回国会 参議院

参議院会議録情報 第039回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第039回国会 社会労働委員会 第9号
昭和三十六年十月三十日(月曜日)
   午後二時二十三分開会
   ――――――――――
   委員の異動
十月二十七日委員曾祢益君辞任につき、
その補欠として相馬助治君を議長にお
いて指名した。
十月二十八日委員泉山三六君辞任につ
き、その補欠として堀本宜実君を議長
において指名した。
本日委員堀本宜実君辞任につき、その
補欠として紅露みつ君を議長において
指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     谷口弥三郎君
   理事
           鹿島 俊雄君
           村山 道雄君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委員
           勝俣  稔君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           吉武 恵市君
           横山 フク君
           相澤 重明君
           久保  等君
           小柳  勇君
           藤原 道子君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           石田 次男君
   衆議院議員   小沢 辰男君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
  政府委員
   厚生省年金局長 小山進次郎君
   厚生省児童局長 大山  正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省保険局次
   長       山本浅太郎君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○環境衛生関係営業の運営の適正化に
 関する法律案(衆議院提出)
○医師及び歯科医師の免許及び試験の
 特例に関する法律案(衆議院提出)
○医師国家試験予備試験及び歯科医師
 国家試験予備試験の受験資格の特例
 に関する法律案(衆議院提出)
○国民年金法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○年金福祉事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○児童扶養手当法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○通算年金通則法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○通算年金制度を創設するための関係
 法律の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告します。十月二十八日付をもって泉山三六君が辞任され、堀本宜実君が選任されました。十月三十日付をもって堀本宜実君が辞任され、紅露みつ君が選任されました。
   ――――――――――
#3
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、提案理由の説明を願います。発議者小沢辰男君
#4
○衆議院議員(小沢辰男君) ただいま議題となりました環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明申し上げます。
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の適用対象である環境衛生関係の営業は、いずれも国民の日常生活にきわめて深い関係があり、国民衛生にも重大な関係を有する営業でありますため、古くから衛生的見地よりする規制の対象とされてきたのであります。しかるに、これらの営業は、比較的少ない資本によって開業できることなどのため、営業者の数がきわめて膨大でありますばかりか、その多くは零細企業の範疇に属し、経済的な基盤は、まことに脆弱なものが多いのであります。このような理由から、これらの営業者相互間の過度競争のため、ややもすると、衛生上の措置がおろそかになるおそれが大でありますので、業界の自主的組織を通じ、この種の営業の経営を安定に導く措置を講ずることによって、環境衛生の向上をはかることとして、自由民主党、社会党及び民主社会党の各党共同提案になりまして、昭和三十二年にこの法律が制定されましたことは各位も御案内のとおりであります。自来、十七業種に及ぶこの法律の対象となる業界は、着々この法律の趣旨に沿って自主的組織を育成し、その活動を始めてきているのでありますが、この組合の事業活動の経験などにかんがみまして、この法律の所期いたします衛生状態の改善向上を目途とした自主的組織活動をより健全に発展させて参りますためには、なお制度上の整備を要する点が生じて参りましたので、この法律案を提案いたした次第であります。
 すなわち、改正の第一点は、環境衛生同業組合の事業として組合員の福利厚生に関する事業を加えることであります。
 改正の第二点は、環境衛生同業組合連合会の事業として、会員たる組合の組合員の福利厚生に関する事業及び営業に関する共同施設を加えることであります。
 改正の第三点は、組合及び連合会の行なう共済事業の規定を整備することであります。
 改正の第四点は、一定の限度内で組合及び連合会の行なう事業に員外者利用の道を開くこととしたことであります。
 改正の第五点は、出資制度を設けることによりまして、組合及び連合会を出資組合と非出資組合に分け、共同施設、組合員に対する資金のあっせんまたは貸付及び共済事業について、出資金を裏づけとして、事業の活発な進展をはかることができることとしたことであります。
 改正の第六点は、適正化規程が実施された場合において、組合員以外の者の事業活動により営業の健全な経営が阻害されている事態が存し、かつ、このような事態を放置しては適正な衛生措置の確保に支障を生ずるときは、厚生大臣は、中央環境衛生適正化審議会に諮問した上で、当該組合員以外の者に対し料金もしくは販売価格または営業方法を改めるよう勧告することができることとしたことであります。この場合において、特定の事務所または事業所の従業員のための福利厚生施設であって、当該従業員以外のものの利用に供しておらず、かつ、その事業活動が営業の健全な経営の阻害、衛生措置の確保に支障を生ずる事態と関係ないものに限り、勧告の全部または一部を受けないものとすることができることとしたことであります。
 改正の第七点は、規制命令につきましても、厚生大臣は、特定の事務所または事業所の従業員のための福利厚生施設であって、ただいま勧告の点で申し上げたのと同じような理由で、その事業活動が一般店舗と競争関係にないと認めるものに限り、その全部または一部の適用を受けないものとすることができることとしたことであります。
 改正の第八点は、附則において、非出資組合である組合及び連合会について、所得税、法人税及び法人事業税の非課税措置を講ずる等、所得税法、法人税法及び地方税法の一部を改正することとしたことであります。
 以上がこの法律案を提案するおもな理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、医師及び歯科医師の免許及び試験の特例に関する法律案及び医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案を一括して議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#6
○衆議院議員(小沢辰男君) ただいま議題となりました医師及び歯科医師の免許及び試験の特例に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 終戦前に満洲国、朝鮮、台湾、樺太等の地において、その地の制度によって、医師または歯科医師の免許を持っていた者で、終戦により、日本に引き揚げた人々につきましては、医師等の免許及び試験の特例に関する法律により、特例措置が講ぜられて参りましたが、この措置は昭和三十五年末をもって期限が切れたのであります。
 しかるに、現在なお、これに該当する者が若干名実在しておりますので、従来と同様の特例措置を昭和三十七年
 十二月三十一日まで認めまして、医師
 または歯科医師となり得る道を残し将来の希望を持たせることが適当と存じまして、本法律案を自由民主党、社会党、民社党共同で提出いたした次第でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
   ――――――――――
 なお、引き続きまして同様三党の共同提案といたしました医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 終戦前に外地において医師免許または歯科医師免許を受けた者あるいは終戦前満州方面向けの医師の養成を目的として内地に設けられた医学校を卒業した者等については、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律によって、国家試験予備試験の受験資格が与えられておりましたが、この措置は昭和三十五年末をもって期限が切れたのであります。
 しかるに、現在なお、これに該当する者が若干名実在しておりますので、当分の間、従来と同様に受験資格を認め、将来の希望を持たせることが適当と考えまして、本法律案を提出いたした次第でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(谷口弥三郎君) ただいま提案理由の説明を聴取しました。
 以上の三件の質疑につきましては、後ほどこれを行なうことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。
   ――――――――――
#9
○委員長(谷口弥三郎君) それでは次に、国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案、通算年金通則法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#10
○坂本昭君 先般、今回の新しい年金法の改正について詳しい説明をいただきましたが、今度の改正で予算的にどういうふうな変化が起こるか、その予算的な内容についての御説明がこの間なかったように思いますので説明していただきたい。
#11
○政府委員(小山進次郎君) 今回の国民年金法の一部を改正する法律案で予算の関係のございますのは、いずれも福祉年金関係のものでございます。
 まず、福祉年金関係では、一つが準母子福祉年金が今回この法案によって創設されるわけでございます。これは予算上、本年度予算に所要額一億三千三百五十二万円計上してございます。これは年間所要分の八カ月分を計上したものでございます。対象人員は約一万五千足らずのものでございます。
 それから第二が、本人所得による支給制限の緩和といたしまして、これまで十三万円の所得のほかに義務教育終了前の子供を扶養しております場合に、一人について一万五千円を加算したものを所得制限の基準額として扱っていたのでありますが、今回の案によりましてその一万五千円を三万円に引き上げることにいたしております。これはすでに御説明申し上げましたように、前の国会におきまして衆議院で修正可決されましたものを、そのまま受け入れたものでございます。これによりまして、約一億円金額が必要になるわけでございます。これも八カ月分でございます。この分も過般成立をいたしました補正予算の際に、福祉年金関係の給付費約七億を使えるようにいたしまして、それで、処理をするというふうに計上済みでございます。これは対象人員が約一万と見込んでおります。
 それから第三は、これまで二十五才以上の子供と生計を同一にしておりますと、母子福祉年金につきましては、特別の場合を除きましては一応支給停止になっておりましたのを、今回の法案におきましてこれを撤廃いたしまして、ほかの老齢福祉年金なりあるいは障害福祉年金の場合の世帯所得の制限と全く同じに扱うということにしておるのでございますが、この関係で本年度の予算で二億六千百万円、八カ月分でございます。対象人員は二万八千人でございます。
 予算に関する部分はそれだけでございます。
#12
○坂本昭君 今回の改正で、若干従来より改められた点もあることについては、これは国民のために喜ぶべきことであると思うのですが、やはり何といっても一番の問題点は、この年金の額が問題だと思うのです。これは将来の拠出制の年金についても、また、現在の福祉年金の額についても、この年金額の決定の問題が一番私は当面の問題として、ほんとうに福祉年金をもらいながらもそれが実際に生活を福祉の目的に引き上げているかどうか、そういう点で、この際もう一度この拠出年金の額の三千五百円あるいは福祉年余の金額、それについての根拠をお伺いし、同時に、この生活保護法は今度の補正予算で五%の引き上げをやっておりますが、この年金についてはそういう措置をいつおとりになるか、その辺の事情について御説明いただきたい。
#13
○政府委員(小山進次郎君) まず福祉年金の額、つまり老齢福祉年金については月千円、それから障害福祉年金につきましては月千五百円、母子福祉年金については子供を一人扶養している場合月千円、これは社会保障制度審議会の御答申になりました金額を、そのまま受け入れたわけでございます。それで社会保障制度審議会はこの金額を出されます場合に、一応この二倍に当たるものが当時議論されたときに、拠出を含めまして一応妥当な年金額というふうに算定をされまして、さしあたり福祉年金についてはその半分だけを出すということにしよう、こういうことでただいま御説明申し上げました金額を出されたのだと思うという説明でございます。当時政府としては、それをそのまま受け入れまして、ただ母子福祉年金の場合に、子供の数によって金額がふえない、子供が何人おりましても月千円というのは、少し極端過ぎやしないかというので、はなはだ軽少ではございましたけれども、子供一人について二百円だけ加給をしていくという措置を、政府自身の発意でやりまして、今日の制度をきめたものでございます。
 この金額を、生活保護の基準も引き上げられていくことでもあるし、どうするかという問題でございますが、現在のもくろみといたしましては、御承知のとおり、あまり高くない金額につきましても、いろいろの制限の措置、その最もおもなものは所得による制限でございますが、これがございます。そういうような事情もございますので、まずこれらの制限のうちで無理なものをこの際努めて解いて、なるべく無理のない範囲までこの受給の範囲を広げて参りたい、そういう考えをもちまして、大体明年度におきまして各種の所得制限関係の無理なものは一応解決をしてしまう、こういう考え方でございます。それで、厚生省の長期計画の検討においては、明年度でこの所得制限その他各種の制限措置といわれるもののうちの、目ぼしいものは一通り解決をして、明後年あたりから年金額の引き上げについて考えていくという考え方がもとになって、あの長期計画ができているのでございます。最終年次におきましては、七十才から、現在千円になっておりまする老齢福祉年金を二千三百円に持っていく。なお、これとともに現在の七十才という年令を、何とか最終年次には六十五才に引き下げることをからみ合わせて、したがって、年金額の引き上げと年令の引き下げというものを何とかからみ合わしていくということで、おのずからそこに一種の繰り上げ減額支給のような構想を入れつつ両者の目的を達するようにしていこうということが、いろいろ検討されているのであります。これは今後の具体的な研究に待つ問題でございますが、あの計画を取りまとめましたときに、議論のもとになりましたのは、大体一年おきに月三百円ないし五百円程度の引き上げというものを実現していく、あまりに少ない引き上げ、たとえばパーセンテージで申しますと、一五%とか、二〇%というと、ずいぶん多いように聞えますけれども、月にならしますと、これは百円ないし二百円ということで、あまりこれではどうもいかぬ。少なくとも引き上げの最低の単位は、三百円くらいのところに置いていきたい、こういうようなことが、あの考え方の骨子になっております。
 若干くどくど申し上げましたけれども、そういう事情で明後年から、福祉年金の年金額の引き上げには着手をいたしたいという考え方がもとになっております。
 それから拠出年金につきましては、三千五百円という現在の老齢福祉年金の額につきましては、社会保障制度審議会が答申をされました額と一致しておりますけれども、考え方は、現在の国民年金制度をまとめますときに政府がとった考え方は、一致してないのであります。御承知のとおり、社会保障制度審議会が、月三千五百円という額をきめましたのは、あの当時における国民の最低の生活水準が、月二千円あればよかろうというようなものを生活保護基準をもとにして算定をされ、これを四十年間に一・五%ずつ引き上げていくというようなことで、あの額を出されたものであります。したがって、あの考え方は、実際上四十年たったときに三千五百円出すというような考え、方になっているわけであります。ただ、もしその間に違いが出るとすれば、毎年の経済成長を一応二%と見込み、そのうち一・五%を年金額に反映させようとしているその考え方のもとが違ってくれば、これを調整するということはありますけれども、考え方としては、実際に四十年先にもらうものを頭に置いてきめたという額になっているのであります。で、現在の政府案の三千五百円というのは、考え方におきましてはそれと違うのでありまして、今日この時における年金額というもの、三千五百円というものが、老齢年金額として適当なものだという考え方に立っているのであります。ただ積み立て方式という方引をとらざるを得ないという技術的な事情から、今日においてはまだ完全に成熟したその完全年金といわれるものが出ない、それまでの間は経過措置になっているという考え方であります。したがって、将来における経済成長があれば、当然三千五百円をもとにしてこれを引き上げていく、こういう考え方になっているわけであります。この三千五百円という額は、その当時におきましての国民の――成年の一人当たりの生活費が大よそ四千六百円程度になっておったというような事情、それから厚生省で実施しておりまするところの社会保障基本調査における高齢者の生活費というものが、ほぼ四千円を二、三百円こえるようになっておったという事情、こういうようなものを考慮に入れまして、そのうち厚生省の高齢者調査における二人世帯と一人世帯との差を見ると、大体二五%程度の違いがあるというようなことを考慮いたしまして、その分を落としてまあ三千五百円、正確に申しますとたしか三千六百円前後の額になったと思いますが、それを三千五百円と押えてきめたわけであります。
 なぜそういうふうなやり方をしたかと申しますと、一つはやはり年金額の目標としては、最低生活ぎりぎりというだけの考えは無理だろう、やはり普通、並みの生活ということを目ざすべきだということが一つでございます。
 それからもう一つは、今日において四十年もあるいは四十五年もの先を見越して、経済成長が何パーセントときめ、そのものを全部織り込んで年金額に組み込んでしまうということは、必ずしも適当じゃない、もしそういうことをやるのだとしたならば、それに対応して保険料も四十年先までどういうふうにしていくのだということをこれはきめておかなくちゃいかぬわけであります。これは非常に無理なことなのでありまして、やはりそのときそのときの事情に応じて、両者の対応関係というものがきめられていくものである。特にその当時におきまして、年率平均して二%という経済成長の見方は、だれが考えても無理があった、そういった無理な前提における組み立てというものは、将来において年金制度をかえってくずすもとになる、こういうようなことからいたしまして今のような仕組みにしたわけであります。なおいずれ、これは衆議院の際にも御議論いただいたのでありますが、三千五百円というのがもし今日このときにおいて必要な金額としてきめられたならば、なぜ十年間の拠出にもそれを出さぬかという問題があるわけであります。これは私ども、当然それは問題だということは意識しておるわけであります。ただ、これは先ほど申し上げましたように、積み立て方式という一つの技術的な構成からくるやむを得ない事情でそうなっておる。したがって、将来、年金額を引き上げます場合においては、平均的に引き上げをねらうということはもちろんでありますけれども、なるべく経過措置において、短縮された期間で老齢年金がもらえるようになっている人々の分を、より割合よく引き上げていって、なるべく早い機会に目標とした三千五百円に、四十年なり、四十五年の先ではなくして、十五年なり、二十年でもらえるようにしていく、こういうふうにしようということが現在の年金の基本になっておるわけでございます。で、過般発表いたしました厚生省の十年先の計画における考え方も、そういうことがもとになっているわけでございます。
#14
○坂本昭君 今の三千五百円の金額の決定について、社会保障制度審議会と厚生当局との考え方の相違を今局長さんから詳しく説明をいただいたのですが、確かに、今日このとき必要なこの三千五百円という考えについては、私は世間においてもずいぶん多くの誤解もあるし、それからまた、この三千五百円ということについては、生活保護やあるいは最低賃金や、そういうこととの関連においてももっと明確にしておく必要がどうしてもある、こう思うのですが、ひとつ大臣に伺っておきたいのは、最低賃金とそれから年金と、それから生活保護、これらのものの間にどういうふうな金額の面における、あるいはものの考えの上における一つの比率というものを考えるのがいいか。これはもちろん最低賃金というと労働問題になります。しかし、とはいいながら、これはやはり労働者の生きる最低の賃金であって、憲法二十五条に保障された内容を――労働してそうして賃金として獲得していく、その最低が最低賃金であるので、当然これは厚生省としても、生活保護の基準を考える場合、あるいは年金というものを考える場合に、私はこの三つの問題は同じ一つのカテゴリーの中で、それぞれ働く者と働けなくなった者と、そのほか特別な条件にある者には金額が違ってくるのは当然ですけれども、これについて、まあ一般的なものの考え方としてどういうふうなお考えを持っておられるか、この際ひとつ伺っておきたいと思います。
#15
○国務大臣(灘尾弘吉君) 生活保護基準と、いわゆる最低賃金、私はやはりこれをきめます場合には、相互に深い関係を持たなければならぬと考えております。かりに、現在最低生活、最低賃金制度が確立せられておると申しますか、そういうふうな状態があるといたしまするならば、やはりこれと見合って適当な生活保護基準というものがおのずから考えられるべきであろう、こういうふうにも考えられるわけでございますが、現在そういう状態になっておりませんので、私はまあ、前から申し上げておりますように、生活保護の基準というものは、その時代、そのときの国民生活、あるいは国民所得、こういうふうなものともちろん関連を持ってきめていかなければならぬと思います。これが最低の生活基準。かといって確定したものを出すということはなかなか困難なことじゃないか。もちろん、かりに一つの線を現在引いておるといたしまするなら、私はやはり国民生活の基準というものの最低、底というものは、国民生活全体が上昇するにつれてこれは上がっていくという考え方を当然なすべきじゃなかろうかと思うのです。ただ、生活保護基準だけが先走りをするというわけにもこれは参らぬと思いますけれども、国民所得がふえてくるにつれて、これを引き上げていくという方向で私どもも考えて参りたいと思っております。現在もそのつもりで努力をいたしておるようなわけでございますから、できるだけ――幾ら最低生活を保障すると申しましても、その間にやはりきょうのいわゆる最低生活と、あすの最低生活との間にもっと開きがあってほしい、ことしよりも来年はもっと、同じ最低生活という言葉で言われたとしても、その内容というものがより充実し、より充実し、より向上するというような姿に持っていきたいという念願のもとに、仕事をいたしておるようなわけでございますが、お話しのとおり、最低賃金とか、あるいは生活保護の基準というものは、もちろん相互にお互いに見合って考えていかなけりゃならぬ点があると思います。ただ、私は率直に申し上げますけれども、現在働いておる家庭の所得の状況と、働く人を持たない家庭の所得の状況との間にかなり開きがあるように思うのであります。この開きを何とか縮めて参りたいというつもりで、これからもできれば年々でも基準を引き上げて参りたい、こういう心持でおります。同時に、この生活保護の基準をもっと確実なものにしたいという心持もございまして、それから、保護世帯の生活実態というふうなものについても、もっと正確な資料を得たい、こういうつもりで調査も進めてみたり、考えておるようなわけでございます。
#16
○坂本昭君 今まあ大臣の御答弁なさった中で、私は問題の点が二つあると思いますね。一つは、これはもう池田総理がしょっちゅう指摘しているところの、日本の二重構造をなくすためにはとにかく国民所得を全体として引き上げて、いささか非難を受けるほどの高度成長を、経済成長をやらにゃいかぬ、これはもう総理のいつもの主張であります。ところが、なるほどその日本の全体の、特に二重構造の底辺におる貧困な人たちを引き上げるために国全体が富を増すということは、これはもちろん当然のことですけれども、その増される富というものが、実は底辺のほうにきていない、これがまあわれわれがずっといろいろな数をあげて今まで主張してきたところなんです。たとえば、この今最低賃金の問題が出ていますけれども、日本の経済成長の中で、いわゆる付加価値の中に占めているところの日本の賃金の率というものは非常に低い。そして、いわゆる企業が利潤として得る分が非常に多いので、そういうものがまたこの設備投資へ回って、ことしのような有史以来の大きな、三兆億、ほかの公共事業だとか、住宅を合わせると六兆億に近いというような、そういう過剰な設備投資の状態が生まれてきている。われわれとしては、第一の目標はやはりチープ・レーバーという、日本の国際的に非難を受けているこの状況を是正するということ、これはもちろん労働問題の一番の基本になるでしょう。そしてさらにほかの数を見ても、たとえば個人消費の支出を見ても、かつて昭和三十一年ごろは総需要の中で五二%程度を占めておったのが、経済の成長はどんどん伸びながら、三十五年度の個人消費の支出では四七%になっている。しかも、古い、戦争の前を見ても、たとえば昭和九年−十一年、このころでさえも、五三%を国民の個人消費の支出というものが占めておる。ところが、今戦争が済んで、もう戦後の時代も済んだと言われているにもかかわらず、そうした日本のいわば軍国主義の一番盛んなころよりも、個人の消費支出というものは非常に低下している。これはいわば低賃金、そのための一つの具体的な現われとして出ている。しかもこれは去年の厚生白書にも実は出ておったのですが、日本の一般の人たちの貯金の問題、貯金の内容を調べてみても、日本ほど貯金をしている国はない。そしてこれは日本銀行の貯蓄についてのいろいろな調査を見ても、日本の場合は貧乏人ほど貯金をしている。そしてその貯金をしている理由を、日本銀行自体が説明しておりますが、それによると、病気その他の不時の災害に備えてというのが、これが貯金の目的として一番多いのであります。それからあと子供の教育費あるいは生活改善のため、あるいは老後の生活安定のためというふうに、こういうふうに理由としては、病気、災害のときの保障、老後の保障、教育、こうしたことのために日本の貯蓄率が先進諸国に比べて数段高い。外国で貯金するのはお金が余って貯金をしている。日本の場合はお金のない人が、いわば社会保障が不十分なためによけいに貯金している。そういうことでさらに個人の消費率というようなものもずんずん低下している。こういうふうにせっかく所得倍増計画をされても、いわゆる低所得層の人たち、二重構造の底辺におる人たちはいつまでたっても問題が解決されない。しかもその解決されないところの行政をなさっているのが、いわばつまり厚生行政なので、したがって、こういう点で私は今の日本の二重構造を根本的に直すということが、これは厚生大臣としての、やはりその行政の任務を果たす一番大事な眼目であるということが一つ。
 それからもう一つは、具体的には、この底辺にいる人、ここには非常に低いチープ・レーバーもある。あるいは生活保護もあればボーダー・ラインの人たちの生活もある。したがって、厚生省としてはこの一番低いところの底上げをしていく、そういう点で基準になるのは生活保護と年金である、私はそういうふうに考える。少なくとも今日一般労働者の賃金については、数年前には最低賃金わずか八千円というふうな考えを持っておりましたが、もう今日では、たとえば去年から今年の初めに病院ストライキが行なわれて、あのときに医療労働者の場合に、一つ確立したのは、大体一万円という線であります。これは東京都内における場合一万円。こういう一つの基準というものが労働賃金として、これは法律によらないでいわば労働者の力によって権利を獲得する運動によって確立されたこの最低賃金の一万円というものに見合わせて、しからば働けなくなった老人の方に対しては、年金は大体どの程度のパーセントでいけばよろしいか。また同時に、生活保護ではどの程度でいけばよろしいか。そういうところからおのずから一定のパーセントというものが出てきていいのではないか。今まで厚生省の生活保護基準を作る作業を見ていると、なかなかこまかく国民栄養の立場からカロリーを計算し、また、物価を計算し、あるいはまた、さらに、さるまたが月に何枚とかというようなことを計算し、中にはある保護課長さんのごときは、これは高知県の話ですが、私高知県なんですが、高知県の山の中ではふんどしははいておらぬだろう、だからふんどしは除外してもよろしいと言って、だいぶわれわれにとっちめられた人もおるのですが、そうしたこまかい一つ一つから生活保護の基準を出すという出し方ももちろんあるでしょう。が、また同時に、労働賃金の最低を押えた場合に年金というものは大体どの程度でいけばいいか。これは年もとっておられるし、働くこともできない。もちろん働くこともできないということについてはあとでまたお尋ねしたいのですが、障害年金のように本人だけではない、もう少しはたから背後の手段も要るという場合もあるでしょう。がしかし、少なくとも働けない年とった場合の年金のパーセント、あるいはまた、今度は生活保護のパーセント、私は何か一つの数字が出てきているのではないか。私はいろいろ外国の例などを見ておって、年金は大体最低賃金の六割から八割、それから生活保護というものは大体最低賃金の四割程度というような感じを持っているのであります。これはまあアメリカの統計などの中にも一部出ているし、また、学者によっては最低賃金の四割を生活保護とするのは高過ぎるというようなことを、たしか末高教授などは議論したことがあるのです。これは何かこういう一つの大ずかみなめどというものがあってしかるべきではないか。むしろ現在の日本の二重構造の中で私は池田総理大臣にあまり期待しないのです。あの人は大きな企業のほうはどんどんふやしていくけれども、貧乏人のほうはほったらかしているので、それはやはり期待は灘尾厚生大臣に期待せざるを得ないのですね。だからそういう点では大臣が明確な信念を持って、もうけの金を厚生省にふんだくってくる。それにはいろいろな理論的根拠というものを持っていなきゃならぬと思うのです。そういう面で私は年金の額というものも、皆さんの作業を見るというと、ことこまかな作業をしているけれども、もっと大きな日本の二重構造を直してしまうという点で生活保護とともに私は大事な金額だと思うのです。まあその辺について若干私は数をあげましたので、大臣並びにきょうは年金局長さんも来ておられるし、それから社会局長は来ておられぬのですが、ひとつ御意見を聞かせていただきたいと思います。
#17
○国務大臣(灘尾弘吉君) 前にちょうどおいでの藤田さんからもお尋ねがございましたが、私は、この経済の高度成長をはかり、国民所得の増大をはかっていくということが現内閣の大きな任務となっておるわけであります。私考えまするに、ただ日本の経済が高度に成長した、国民の総所得がふえたという数字でわれわれは満足するわけにはいかないのじゃなかろうか。やはりそれを通じまして国民生活全体がいわゆる向上していく、充実していく、より豊かになっていくということでなければせっかくの政策は本来の意味を達しない。こういう考え方に立っておるわけであります。したがいまして、政府の今度の経済成長政策にいたしましても、いわゆる所得倍増の政策にいたしましても、その間にいろいろな意味における格差がありますことは御指摘のとおりでございます。そういうふうな格差の解消をはかっていこうという気持を持って事に当たっていることは、しばしば御説明を申し上げているところでございます。その間国民生活のうちでも比較的低い所得によって生活をしておる方々のことを心配しなければならない厚生省といたしましては、特にその点を重視いたしまして、そうしていわゆる格差というものをできるだけ縮めていくという方向に向かって努力すべきことは当然だと思います。なかなか一挙に思うようには参りませんけれども、また同時に、国民生活全体とのいろいろな振り合いということもございましょうが、その間においてそういう方向でもって施策を進めていかなければならぬということだけは強く自覚をいたしておるつもりでございます。生活保護の引き上げの問題にいたしましても、また、国民年金その他の年金の額にいたしましても、これでもって十分である、これでもって満足すべき状態であるというわけには残念ながら申し上げるわけには参りません。やはり私どもとしましては、これらの充実ははかっていくということに今後の努力を傾注しなければならぬ、さようにまあ考えておるわけでございます。産業の二重構造といううちに、それにもまだかなわない、そこまでも至らないという生活保護世帯があると、これがあとへ取り残されるというふうなことがあってはこれはたいへんだと存じますので、せいぜい駑馬にむち打ってその辺の改善向上のために今後努めて参りますと同時に、全体を通じましていわゆる二重構造といいますか、それによって生ずる格差というものの解消ということについてはどこまでも努力して参らなくちゃならぬことと存じております。数字にわたるようなことにつきましては、また政府委員からでも答弁いたします。
#18
○政府委員(小山進次郎君) 坂本先生が仰せになりました数字についての直接のお答えではないのでありますけれども、考え方の問題といたしまして、年金について申し上げますと、坂本先生がおっしゃっているほどのところまでを今厚生省部内で考えているわけではございませんが、ごく大まかな考え方といたしまして、とにかく現実の問題として日本に、これは先般藤田先生からも御指摘いただいたのでありますが、国家公務員の共済組合の退職年金とか、あるいは各種共済組合の退職年金という制度がありますが、これらの制度ではとにかく三十年間そこで組合員として過ごしておるならば、先生がおあげになりました最低賃金にやや近い感覚であると思いますけれども、おおむねそのときにもらっておった賃金の半分程度は年金としてもらえるということになっておるわけでありまして、それに対しまして、厚生年金の場合はほぼ同じ期間いろいろな企業で過ごしたといたしましても、俸給に対しましては二割足らずしかもらえない、こういうことになっておるわけであります。そうだといたしますならば、少なくとも現実にある日本の共済組合系統の退職年金の高さまではこれはいかなくちゃならぬはずのものでありますし、また、いけるはずのものだということが大まかに言えるだろうと思います。そういう意味においてそこまでは持っていくようにいたしたい。そうなりますというと、国民年金のほうは同じ働く者でありましても、これが条件の低い人を含んでおる点、それから何といっても一番多いのは農民層でございまして、現金支出に対する依存度がやや厚生年金の対象と違いますので、厚生年金は、つまり引き上げられた厚生年金ほどではないにいたしましても、やはり今の金額よりも相当上回ったところをねらわなくちゃならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。これを今後十年間の間に実現できるか、あるいはもう少しあとまで持ち越すかということがまだ厚生部内で十分消化されきっておらないわけでございますが、ねらいはさしあたりそういうところに重点を置いて年金額の引き上げということをこの十年間における最大のねらいにして参りたい、こういう考え方でございます。
 それから年金と生活保護との関係についてでございますが、実を申しますと、これは先生も御指摘になったことでありますが、現在の生活保護の制度には非常に無理な負担がかかっているわけであります。正常な姿といたしましては先生のお話にもありましたように、およそまともに働いている人が生活保護を受けなくちゃならぬというような賃金であってはならぬはずなんであります。事実雇用の状態が完全雇用に向かっていっている西欧諸国では、働いておって生活保護に類するような保護を受けているというような国は非常に少ないわけであります。そういうふうになって参りますというと、現在の生活保護の中にある約六割ぐらいでありますけれども、働きながら生活保護を受けているという人々が生活保護を受けないでも生活が十分していけるという程度までいく、これはおっしゃるように、最低賃金の問題になってくると思います。そういうふうな状態になった場合には、生活保護に課せられている負担がずっと減るわけであります。同時に、そのときは現在これも費用の上で六割以上を占めている結核とか精神とかというようなものも、これも元来は生活保護で処理するというのはこれはあまり望ましいことではないのでありまして、それぞれの精神衛生の対策なりあるいは結核の対策で方向としては逐次公費の負担率が高まっていく方向であると思いますけれども、それで解決する、そうなりますと、十年先の日本の生活保護というものもそのもくろみどおりに進んでいけば相当よけいな重荷を背負わされないやや正常に近い救貧制度になり得るかと思います。そうなるというと、おそらく生活保護の基準というものは今よりも相当引き上げられた姿を想定することができると思います。そういう事情からいたしまして、あの十年計画では二倍半程度、これもどちらかというと、最近は三倍までのところをねらおうじゃないかという考え方が逐次強まりつつあるわけであります。もしも生活保護の基準がそういうふうになりますというと、現在の年金と生活保護の転倒した関係がやや調整されて参ると思います。年金額は先ほど申し上げましたようなところまで上げられましても、おそらくそれは生活保護の基準よりもやや低目なものになるであろうと思うのであります。それはそれでやはり諸外国の例を見てみますといいわけなんであります。生活保護の基準というものはやはりその程度に上げられてしかるベきものだ、大体こういうような相互関係か頭の中に描かれながらあの十年先の姿というものが一応まとめられたと、こういう経緯になっているわけでございます。
#19
○坂本昭君 まあ今いろいろとお話を伺うと少しわれわれの考えることと、少しというよりもだいぶ違う点もあるのですね。たとえば生活保護と年金、将来十年後に上げられたとしても、生活保護には年金の額が及ばないであろう、また、及ばなくても当然であろうというふうな考えは、非常に私としてはおかしいと思うのです。これはどうしても年金というものがやはり最低賃金にくっついて考えられるべきものだ、私はそういう点で生活保護よりも年金のほうが金額の上において当然大きくなければならないし、将来もまた、今日現在でもそうあるべき姿をわれわれとしては考えなければならないと考えます。そこで先ほど大臣と少し議論をした中で、日本のいわゆる低所得層の一千万人を含む一番多いグループ、これは国保とそれから年金の対象者であると、そうして国保のほうは今たしか四千六百万人くらい、それから年金は二千百万そこそこだと思うのです。もちろん国保のほうは小さい子供などを含みますから、おそらく国保の世帯主と年金の世帯主とは大体同じものではないかと思うのです。この点についてはあとでひとつ局長から御説明いただきたいのです、大きな食い違いがあるかどうかですね。大体、国保の場合も年金の場合も、世帯主は大体同じ人が対象となっており、この前、これは保険局長からは、四千六百万というと日本の人口の半分であります、そうして国民所得の上ではどれくらいかと言ったら大体四分の一くらいだ。これはこまかい計算をすればできぬことはありませんし、予算委員会では木村委員が、かなり、階層別の所得構成を説明をし、また、質問しておられるようですが、大きく言って日本の人口の半分を占める国保の対象者、同時にその世帯主は国民年金の対象者であるわけですね。これは数の上で二分の一を占めながらその所得を合わせると四分の一程度、そしてこの中にもいろいろ貧困や疾病や、そういったもろもろの日本の底辺にある多くの社会的な不幸というものが沈澱をしている。そこには農民もあるし、あるいは零細企業もある。そういうふうに私は見ていって、さらに、御承知のとおり、ことしの春からは皆保険であり皆年金制度で、これも局長から説明いただきたいのですが、私の大ざっぱな見当では、国保は二戸当たりもう四千円をこの春からはこしております。地域によっては五千円をこしておるところもある。まず四千円を下らない平均の額であり、また、年金についても、これは家族構成によりますが、平均して三千円から四千円くらいで、合計をして八千円から一万円くらいになる。そうしてもうこの金額というものは市町村における町村税に匹敵し、あるいはこれをこすというような状態に来ている。しかもこの一番低所得の人たち。ですから、私はこの年金の額を上げるということは非常に重大な意味を持っておる。これはもう福祉年金を問わず、拠出年金を問わず、今の低所得層を対象とした国民年金であればこそ、なおこれを上げ、さらに――きょうは国保は当面の問題ではありませんが、実は先般国民健康保険の問題について質問しようと思っておったのですが、機会がなくなったのですが、これは当然同日に論じなければならない問題であって、この国保と国民年金の対象の低所得層の人たちに対して、経済成長が倍になり三倍になるというこの中で、日本国全体としての所得を再分配してやるべきではないか。その再分配のやり方は、賃金、これは、労働者でないから、場合によれば米価ということにもなるでしょうし、あるいは、農村における日雇いの賃金を引き上げるということにもなるでしょうが、一番大事なことは、少なくとも厚生大臣の任務として大事なことは、社会保障の面で、医療とこの年金の、しかもこの国保と国民年金、これについて十分な再分配をする必要があるのじゃないか。たとえば国民健康保険については、国保のことしの予算はたしか千三百億くらい、千五百億に足らなかったと思うのですね、総医療費が。それも日本のことしの総医療費がたしか四千五、六百億という計算であります。したがって、数の上では半分を占めながらこの国保の対象の人たちの医療費というものはずっと低いのであります。言いかえれば、安上がりの医療をしているというか、あるいは医者にも十分かかっていない面もある。そう見ることができる。ところが、この千三百億の医療費に対して、ことしの国庫負担、これは医療費に対する二割、それから調整交付金の五分、それから事務費、それから保健婦に対する補助、全部合わせて四百十六億程度であったと思います。千三百億の総医療費に対して国庫負担は四百十六億にしかすぎない。で、私は、この四千大百万の人に、医療という名前で一千億ぶち込んでも、ちっともおかしくないと思うのです。そのくらい入れてあげても所得の分配という点で、決してアンバランスでないのです。一千億入れることによって、おそらく世帯主の十割給付はできるかもしれない。あるいは平均して全部を通じて七割の給付ということもできるだろうと思います。私はこういうような施策を国保についてもすべきであるし、また、国民年金については、特に農村の老人の人たちは、封建的な家族制度の中で、また、その労働力を失って非常に貧困なんですから、もちろん千円でもありがたいわけです。けれども、こういうところに、ことしの予算を百十六億でしたか、それどころじゃない、もっとたくさんぶち込んでも、この国民所得の再分配という面では決して出し過ぎたということには私はならないと思う。そういう点では、国保の今回の措置について、並びにこの年金に対する今の金額の点について、われわれとしてはきわめて不満であります。ひとつ、国保と年金と合わせて、日本の低所得層に対する施策として灘尾大臣の御見解をひとつ伺っておきたい。
#20
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せのとおり、社会保障のうちでも、国保と国民年金というものが二つの大きな柱をなすものであるということは私もさよう考えるわけであります。それにしては、現在の国保の状況あるいは国民年金の状況というものが、決して完備したものでないということも、これは認めざるを得ないところでございます。国民年金にしても国保にいたしましても、国民全体にこれが適用になるというような状況になったのは、ごく最近のことでございます。漸次これが改善充実をはかって参りたいということを前々申し上げておるとおりでございますが、国保につきましても、御指摘のように、かなり財政的には脆弱な状況にあると私も考えるのでございます。この財政的な基盤をもっと確実なものにしたいという方向でもって検討をいたしておるのが今日の段階でございます。国民年金につきましては、先ほど来局長からいろいろ御説明を申し上げましたが、これにつきましても、漸次その内容を改善充実していくということで、いろいろ検討をいたしておるわけでありまして、この二つが国民生活を保障するという上においてきわめて重要なものであるということについての認識は持っておるつもりでございますが、さりとて今一挙にこれを解決するということも、なかなか諸般の事情から考えまして困難でございますが、極力その方向において努力して参りたいと存じます。
#21
○坂本昭君 これは局長からまた御答弁をいただきますが、今非常に大事なことを大臣言われましたから、これだけ明らかにしておいていただきたい。それは国保と年金について十分な関心は持っておられるが、一挙にこれは解決できない、そう言われましたね。そのとおりなんです。私も一挙に解決はできないと思います。これはもう、小山局長は私の意見は知っておるのですが、一挙に解決しようとしたところに私は皆さんの失敗があったと思うのです。つまり国保を先に解決をして、それから年金にすべきであった。それを皆保険と拠出制の年金とを一挙にこの春に強行しようとしたこと、それが私は間違っておったと思うので、したがって、大臣の言われるとおり、一挙は無理であるから、私は国保に対して当面重点を置く、それから年金については、拠出でなくて、無拠出に対して重点を置く、そういう方針をとられた方がすっきりして国民としてはもっと幸福を得るのではないか。今の一挙という問題について私はそう考えるのですが、いかがですか。
#22
○国務大臣(灘尾弘吉君) この実態から申しまして、私も大体、お話と言いますか、お尋ねの心持はわかるような気がいたすのでございます。国保は、とにかく当面の病気をどうするかという問題でございます。また、福祉年金のほうは、現に給付をするという問題でございますから、現実的な立場から考えますれば、この両者に十分な関心を払って、そしてこれは解決をしていくというお考えについては、私も大体そういうことで考えております。ほかの、まあ年金は何と申しましても、まだ先の長いことでありますし、その間に、だんだんと現実に給付をするまでの間に、いろいろ改善する道もあろうかと思いますが、当面の問題をどうするかという問題については、確かにそのとおりのことを考えていかなければならぬと存じております。
 国民保険につきましては……。
#23
○坂本昭君 そうしてくれたらいい。
#24
○国務大臣(灘尾弘吉君) なかなかこれが一度に参らないところに悩みがあるのでございまして、国民保険につきましても、たとえばこれに対する国庫負担率をどうするかという問題もございまするし、また、今までの五割自己負担という関係をいかにして緩和していくかというふうな点が、今後の私は大きな問題点だろうと思っております。そういう面については、極力、まあ努力をいたしまして、漸次改善していきたいという方向で検討を進めているわけでございます。
 福祉年金につきましては、先ほど局長が申しましたように、現在、お渡しする金額の問題もございますけれども、このお渡しをするのについていろんな制限がある。まずもって、ひとつその制限の緩和のほうから手をつけていって、次第に金額のほうにも及んでいこうという考え方のもとに進んでおるようなわけでございます。
 いずれにいたしましても、この二つが当面の問題としてわれわれが真剣に取り組まなければならぬ問題であるということについては同感であります。
#25
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど先生がおっしゃいました第一の点、つまり国民健康保険の世帯主はおおむね国民年金の被保険者と考えていいかという点。これはおっしゃるとおりの事実になっているようでございます。食い違いはほとんどないと考えていいようであります。まま、国民健康保険の世帯主で年をとっているとかあるいは何らかの関係で過去にどこかの年金に属しておって、現に年金をもらっているというふうなことではずれる人がありますけれども、まず大局に立った場合に、一致しておるという前提でけっこうだというような事実のようでございます。
 それから国民健康保険の保険料のほかに、国民年金の保険料を納めることになるが、一世帯平均どれくらいかという点。これはちょうど二人くらいになっているようでございます。ですから、先生仰せのとおり、まず年令構成その他からいって、合わして三千円程度に集まっているようでございます。
 それから第三の国保との関係については、ただいま大臣からも申し上げたのでありますが、現在もそういうふうに実施されております。国民健康保険の保険料と国民年金の保険料が、事実上、競合するわけであります。そういう場合には常に国民健康保険の保険料なり保険税というものを優先さしていく、国民年金の保険料は免除をしていく、そういうようなことも考慮をいたしまして、三割近いものは免除をしていくというかまえで初めから制度が作られているわけで、その気持は、どちらかというと、先生おっしゃったように、まず国保の地固めをすっかりして、そこで年金に入る。実際問題といたしましても、ただいま申し上げましたように、無理だと思われるものは全部免除して参っておりますから、拠出の面から国民健康保険の進展をさまたげる因子は、実のところはあまりないのであります。むしろ現実の問題としてぜひ充実したいという福祉年金のほうは、これは何としても金が非常にかかるわけで、その面で、国民健康保険の国庫負担もふやしたいし、福祉年金のほうの金もふやしたいということで、若干せり合う面があるわけであります。まあ、それも両方を考えて調整をしていく、こういう考え方で行なわれておるわけでございます。
#26
○相澤重明君 ちょっと関連質問。いずれあとで、数字については決算委員会でよく聞いておきたいと思うのだけれども、社会労働じゃ初めてだから、ちょっと大臣に聞いておきたいのだけれども、国民健康保険の七割なり十割なりの支給については、一体、十割支給すると幾らの金がかかるか、あるいは七割にしたらば幾らの金がかかるかということを端的にひとつ答えてもらいたい、端的に、国保……。
#27
○説明員(山本浅太郎君) ただいまのお尋ねでございますが、現在国保は地域によって違いますけれども、五割給付が大部分でございまして、若干の所が、世帯主について七割給付をやっておるような状況でございます。これはただ単に五割を七割にした、さらにそれを十割にしたという機械的数字だけじゃございませんで、御承知のように、長瀬理論とか、いろいろ保険の専門の方が言いますけれども、給付が上がるに従いまして受診率が上がるということは、各社会保険の歴史を通じまして出るところでございます。したがいまして、今日かりに、世帯主あるいは全国保の被保険者を十割給付にした場合に、どれだけの給付になるかということは、今日の情勢上、的確には申し上げられない非常に大きな変動がございまして、ただ単に五割が七割、七割が十割という機械的なものでは測定できない、こういうように考える次第であります。
#28
○相澤重明君 灘尾大臣に聞いておきたいのだけれども、今のような事務当局の答弁で政府はいいかな。今のように、機械的に七割とか十割というようなことで数字が出ない、数字が出ないということはやっていない、やっていないということはやる意思がない、そういうことなんだ。そんなふざけた答弁があるか。何のために厚生事務当局は国保について五割でどのくらい、七割ならばどのくらい、そういう基準が出せないのか。そんなことが答弁できないようでは事務当局の答弁にならぬ。初めからやり直せ。だれだ、そんなこと言うのは。
#29
○説明員(山本浅太郎君) 現状を申し上げますというと、国民健康保険につきましては、総医療費はこれは本年度予算の見込みでございますが、千二百七十三億でございます。そのうち国庫負担がこの前の一〇%引き上げ、それからさらに二・五%の引き上げが七月にございました。それからついせんだって、緊急是正を生じまして二・三三%さらに医療費が上がりましたので、そういうものの国庫負担をどうするかということが現在わかっておりませんが、ただいま申しましたように、総医療費といたしましては千二百七十三億強でございます。
 なお、これはことしの予算でございますが、現に最近の医療費の動向を見まするというと、この予算ではとうていまかない切れないような医療費の増高が数字としておそらく見込まれるだろうと思います。これもごく荒っぽい推定でございますが、おそらく本年はこの予算のほかに五十億ぐらい不足するのではないか、こういう現状でございますので、そういうところから御推察をいただくほかないのではないかと存じます。
#30
○相澤重明君 今の説明の千二百七十三億について、本年七月に二・五%か、それに先日の二・三三%か、上がったやつについては、どう措置をしたということ、どういうふうに具体的にしたのか。それの説明はできないのか。
#31
○説明員(山本浅太郎君) 御承知のように、現在法律の規定によりますというと、国民健康保険につきましては、二割の国庫負担をする。そのほかに五分の調整交付金を交付するということになっておるわけでございます。しかしながら、先ほど来坂本先生のお尋ねにもございましたように、今日国民健康保険の医療費の増高に伴いまして、それから被保険者の負担になる面が患者負担としてございますので、いわゆる保険者負担として、保険料または保険税の形でさらに被保険者の負担にかぶらすということは、実情上適当でないというので、本年の当初一〇%引き上げ予算に対しまして、特別対策分として十五億計上せられたわけでございます。しかしながら、その十五億を特別国庫で負担するといたしましても、なお九億は保険者負担分が残るということが一つ、それをどうするかということが懸案になっております。そういうあとでございますので、七月一日に行なわれました一〇%をこえる分、並びに今回の二・三三%の分についても、厚生省といたしましては、全額保険者の負担過重にならないように、国が特別対策として計上してもらうべく現在財政当局と折衝いたしておるところでございます。
 なお、これに関連いたしまして、御承知のように、先般、衆議院の社労で、本年度の医療費の増高については、これを保険者負担増に向けないようにという決議がございます。また、これを受けまして、三党の国会対策の方でも話がまとまりまして、これを年度内に特別措置する、別途措置するというような申し合わせができましたので、私どもといたしましては、そういう国会の御意向に沿った財政措置が今後とられるものと信じておるところでございますが、現在の段階では、まだ最終的に具体的な数字について、財政当局と事務的にかっちり合ったというところまでいっていない現状でございます。
#32
○相澤重明君 話を聞いていると、何しろ歯がゆくてしょうがない。何かわかったようなわからぬような話なんだけれども、特別措置、特別措置というのだから僕は聞いている。一体特別措置とは、具体的にどうするのだ。
 それからさっきの話の九億というものについては、まだ実際に特別交付をすることができない、どういうわけでできない。措置をすることができないというのは、どういうわけなんだ。この前もたとえば日赤の看護婦さんの給与の問題についても、世論が高くならなければ、政府はなかなか本腰を入れてやらない。そういうことで、昨年から本年にかけては、医療問題等懇談会も持たれた。そういうことがわかっておりながら、すでに必要経費というものも十分関係者から言われて、そして政府自身も十分必要だということを言っておる以上、あなた方自身が言っておるでしょう、特別措置をする、年内にすると言って、どういうふうにする。臨時国会はここで終わっちゃって、十二月にならなければ通常国会は開かれない。そうすると、厚生大臣が省令でやるとか、あるいは運用でやるとか、こういう形になってくるわけだ。そういうふうなことなのか。今言った、少なくとも三党の国対委員が国会において、それぞれの各党派が話し合ってやったならば、国会の中でそういうことは明らかにすべきであって、国会がなくなっちゃってから、あれは厚生省の判断でやりましたというようなことじゃさっぱりわからぬじゃないか。だから、そういうところで、特別措置というのは一体どうするのか。こういう基本的な考え方だけくらいは明らかにしなければ、この医療費の問題について、非常な関心を持っておる国民に対する、いわゆる誠意を持った回答にはならぬ。だから国会議員も聞かれたってわからぬということになって、一部の厚生省の官僚がわかっていたって、これは何にも意味がない。それよりもやはりそういう事務当局が考えておることを率直に私はやはり大臣が政治家として、国務大臣としてあなたはおるのだから、どういうふうにします、こういうぐらいは、常任委員会だから言ってもらわなければ困る。大臣の答弁を求めるよ。それくらいの話ができなくてどうする。
#33
○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっとものお尋ねでございますが、医療費の問題につきましては、御承知のように、本年度は当初予算において、医療費を一割ほど上げるということで予算をお願いしております。同時に、特別措置として、特別対策費として十五億円ほどいただいておるわけであります。それに基づきまして、医療費の引き上げについての具体的な案を中央医療協議会において御審議を願ったわけであります。その結果といたしまして、一割ではまかなえないというものが出て参りました、これが約二・五%と言われている数字であります。その後また中央医療協議会におきまして、当面特に考えなければならないだろうというような事項につきまして、御審議をわずらわしまして、その結果、さらに二・三%ばかりの引き上げを必要とするということになりましたわけでございます。したがいまして、当初の予算から申しまするというと、今年度内に財政的な措置をしなければならぬというふうな事態になってきておるわけでございます。その措置の仕方につきましては、年度内に解決をするつもりで、政府は今検討をいたしております。財政当局ともいろいろ話し合いをいたしておりますが、この国会で御審議を願うところまで参らなかったのでございますが、年度内には解決しよう、その解決の仕方といたしましては、ただいま政府委員からお答えを申し上げましたように、先般衆議院の社労の委員会においてもこれに関係する御決議があったわけであります。われわれといたしましては、この御決議の趣旨を尊重して、それが実現をはかるために努力をしていくことは当然のことでもありますし、厚生省当局といたしましては、その御決議の御趣旨に対しまして何ら異存はないのであります。そういうようにむしろわれわれも考えているのであります。かように申し上げてよろしいと思うのでありますが、その際に当然法律上持つべき、国が持つベきものは、これは当然予算に組むわけでございます。その低かに、たとえば国民健康保険というような財政力の比較的弱い方面につきましては、特に保険料を引き上げて、これをまかなっていくということではなくて、国が特別にこれを援助しよう、こういう考え方に立って、国会のほうもそのお考えであり、私どももさような考え方のもとに、財政当局と折衝しよう、いずれ補正予算を組む機会が必ずあることと存じておりますから、私どもといたしましては、来たるべき国会におきましては、こちらからお願いしてでも補正予算を組んで、この問題を解決したいと考えております。
#34
○相澤重明君 大臣にいま一度念を押しておきたいと思うのだが、そうすると、とにかく特別措置をしたいということは、大蔵当局と財源の問題できちっときめたい。そうして年内に解決するというのか。あなたの言っておるのは年度内ですか。年内ですか。
#35
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国会の開会の関係もございましょうし、私はここで申し上げることは、年度内になるべく早く解決したい、こういうようなつもりでおります。したがって、年内ということは、国会開会の関係から申しましても困難ではないかと存じますが、来年に回りましてなるべく早い機会に補正予算を組んでいただく、こういう方向でもって極力話し合っております。
#36
○相澤重明君 今大臣の努力するということについては、あなたの全く純情な立場を私もよく了解します。そこで、それじゃ具体的に大蔵省関係、いわゆる財務当局が難点を示しているのか、それともそのことについては大筋として了解をしているのか、もっと突っ込んで言えば、事務当局のほうで大蔵省と話し合いをして、大蔵省は完全に了解をしておる。大筋としては了解をしておるのだが、具体的に厚生大臣と細部については話をして実施に移したいということなのか。ただ国会の意向があるから、そして厚生省の案としてそれは考えておると、こういうことなのか。大蔵省との交渉というものはどういうふうになっているのですか。その点いま少し話して下さい。
#37
○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題は、今申しましたように、実際のやり方といたしましては、補正予算で解決する以外にはない。したがって、現在大蔵省との関係におきまして、幾ら幾らの金をどうするというようなところまでは参っておりません。これはこれから十分事務的に検討いたしまして、状況に合ったような数字を出して参らなければならない。ただ一つの方向といいますか、方針としましては、今私が申し上げましたような方針には私は大蔵大臣にそう大きな異論があろうとは考えておりません。大蔵大臣も国会の御決議の趣旨は十分承知でおられるわけでありますので、その方向において特に開きがあろうとは実は思っておりません。最後的な結論を出しているわけではございませんけれども、政府といたしましては、誠意をもって国会の御意思に沿うように努力をして参りたいと思います。
#38
○坂本昭君 関連質問が少し長くなりましたが、私もそのことを聞くつもりでおったところが、相澤委員から質問が出たのですが、少し事情がこんがらかっているようなので――。それは私はつまり国保の年金の対象者が同じ低所得層のグループだから、これに十分な配慮をしてやらなければいかぬというところから話を進めたところが、大臣は、当面の国保の大事な方向について何もすると言われなかったものだから、相澤委員のほうからあんな質問が出てきたのです。これは私も非常に不満なことです。国保のほうは一挙にむずかしいのだから、小山局長言うように、掛金でも国保の方は優先させて取り扱っていきたい、そういうことを言っていられる以上は、国保に対して何らかの措置をすべきである。そこで今確認しておきたいのは、衆議院の決議というものの中には医療費引き上げに伴ってこの二次の補正予算の中で特別措置をとるということも衆議院で決議されたのか。それとも国保に対する国庫負担二割五分ということを決議したのか、そこを明確にしていただいて説明いただきたい。
#39
○国務大臣(灘尾弘吉君) 衆議院の社労で御決議になりました御趣意は、両方、つまり療養給付に対する国庫負担率の引き上げという問題については通常国会で御審議を願う、通常国会へ出すという御趣旨なんです。いま一つ、今回の今年度の医療費引き上げに伴う特別対策といいますか、特別措置については年度内に解決せよ、こういう御趣旨のように私ども考えております。
#40
○坂本昭君 それではあとで附帯決議の方は委員部の方で緊急に取り寄せていただきたい。いいですな、委員部。正確なものをひとつもらいたいのです。
 それから、それではさらに申し上げますが、大体一方の二割五分の方は通常国会で審議してくれということは、つまり来年度の予算の中における措置ということでしょう。来年度の予算の折衝をするのにすでに二割五分という定められたワクを臨時国会で決議をしたというのは、これは他院をとやかく言うのは内政干渉かもしれませんが、こういう一体例があるのですか。そういう弱いことなら一つ一つ生活保護についても、児童の措置費についても、何もかも両院が委員会において附帯決議して締めていかないというと、厚生省は予算がとれないのですか。私はこういう実例があったかどうか伺いたい。
#41
○国務大臣(灘尾弘吉君) 附帯決議というのではないのでございまして、衆参両院の御希望と申しますか、そういうものの御決議のように私は伺ったのでありまして、別に厚生省がお願いしてやったわけでも何でもございません。厚生省は厚生省といたしましてこの問題についての解決をはかっていくつもりでございますが、ただ御希望といいますか、そういう御決議の御趣意というものは、これは国会の御意思でございます。私ども十分尊重して善処したいということを申し上げたわけでありまして、政府は政府として、ことに厚生省は厚生省として、この問題の解決には極力努力いたしまして御期待に沿いたいというつもりでいるわけでございます。国会でそういうふうな御決議がありましたことについて私どもかれこれ言う筋は少しもないと思います。
#42
○坂本昭君 僕のほうがかれこれ言いたいんですよ。そんな決議をしなければ厚生省ががんばってくれないということでかれこれ言いたいんですが、それはそれとして、もう一つ年度内に解決をする今の医療費の引き上げに伴う特別措置、これは一番措置しなければならない対象はやはり国保の対象だと思います。これはもうおそらく百億ぐらいかぶるんじゃないかと思うのですがね。だからどうしてもこの際、国保に対して何らかの措置をしなければならないが、今の特別措置の金額ですね、具体的な金額、今目下折衝中だと言うけれども、あなたの方でこういう理由でこれだけの金額を要求しているというその内容を明らかにして下さい。
#43
○説明員(山本浅太郎君) 実はきょう国保の御質問がないと思いまして資料を持っておりませんが、多分間違っていないと思いますけれども、ことしの予算を基礎にして考えてみますると、まず二口先ほど申したようにあるわけでございます。まず第一には、さきに七月に改訂いたしました一〇%をこえるもの、まずこの一〇%の際に、先ほど申しましたように、実は一〇%の引き上げに対応いたしまして十五億円の対策費が予算に計上されたわけでございますが、全額医療費の値上げを保険者の負担に一切しないということにしますと、先ほど申しましたように、さらに九億計上しなければいけなかったのでございますけれども、本年度予算を計上する一番どん詰まりのときでございましたので、さきの大臣のときにおきまして十五億を計上するということで一応九億は打ち切られたかのようなふうにもとれるような予算が計上されているわけでございます。したがって、その九億をどうするかということは今後の一つの問題であろうかと思いますが、それを差しおきまして一二・五%引き上げましたので、その二・五%に対応するものがまず第一に残っているわけでございます。この二・五%に対応する額は、まずそういうふうに医療費が上がりますと、先ほど申しましたように、現在の法律の規定によりまする国庫負担が約八億ぐらい自然に入る。自動的に入ることになりますので、特別対策の国庫負担といたしましては、約八億さらに計上してもらわなければならないということになるわけでございます。
 それから今回の二・三三%に対応いたします額といたしましては、法定分が、先ほど言いました法律の規定によりまして三億六、七千万は自動的に入りますので、残り三億七千あるいは三億八千ぐらいの特別対策を講じてもらえばいいということになるわけでございます。しかしながら、これは先ほど申しましたように、あくまで本年度の予算を基礎にして一応計算できる金額でございます。ところが、最近の医療費の傾向は予算に計上いたしましたものよりも相当増加している傾向がうかがわれます。で、これはおそらく本年の十一月ごろまで見ますると、本年度の実績が相当程度つかめますので、その実績をもとにいたしまして根っ子の数字の方を、まずどのくらい給付費がかかったかということを測定いたしまして、その上に立ちまして今の二・五%なり二・三三%といったようなものを計上しなければならないだろう。したがいまして、今日の段階でこの予算を一応基礎にせざるを得ないかと思いますが、この予算を基礎にいたしました先ほど申しました金額は、年度の末ごろにおいて現実に補正する額とは違い得るわけでございまして、その辺は実績をはじいた上で今の比率に応じまして措置をしてもらうということが必要だ、こういうふうに大蔵に話しておる状況でございます。
#44
○坂本昭君 ただ、そこで大事なことは、全額、全部必ず見るというその基本方針は貫けるかどうか、その点だけひとつ御返事いただきたい。
#45
○国務大臣(灘尾弘吉君) まだ私としましては、国保――国民保険とか、あるいはきわめて貧弱な弱小の組合であるとかいうようなものに対しましては、今回の医療費引き上げに伴う負担はかけたくないというつもりで折衝を現にいたし、また、これからもするつもりでございますが、今ここでその結論を、これは相手があることでございますから申し上げるわけには参らぬと思いますが、そういうつもりで努力をして参るということでございます。今日の段階においてはその程度でひとつ御了承おきを願いたいと思います。
#46
○相馬助治君 今坂本委員の質問したことは非常に大事です。それで、大臣は努力したいと言いますが、私どもはそれは当てにならぬということを言いたい。灘尾さんの時代でなくて、前の大臣のことですが、今年度の予算を見ると一〇%上がる。したがって、患者にかぶせないなら二十四億要るということが明瞭なんだ。にもかかわらず十五億しか計上できなかったのです。それで九億というのは流されたような形になっている。しかし、これは予算の上では流されていても、これはだれが背負うかということになると結論的には患者が背負うような形になって現に現われている。そこへもってきてあと二・五%七月一日に上がり、今度の緊急増高で二・三三上がってきたので、目の子算をしてきても、このままで積み上げていきますと、二十億からこれは患者がかぶる、被保険者がかぶるという数字が出てくるのです。そうすると、当初予算の中においてすら二十四億要るところを厚生省の当時の腕前では十五億しか取れないで、わけのわからない九億というものが患者負担の形で残っていたのだから、その手でやりますというと、この二十億というものが全部取り得るというふうにはわれわれはまことに失礼な話だが信頼しかねる。坂本委員がおっしゃっていることもこの点なんです。ここでわれわれがよく銘記しなければならないことは、国保の政府が出す金というのは決算づらができてから処置しているということなんです。いわゆる実態ができて、赤字になってからそれをずっと埋めてきているということであって、こういう予算の配分では最初からもう赤字が出てくる、赤字というか、患者負担というか、それが出てくるようにできているのであります。したがって、それらのことを含めてさっき声を荒げて相澤委員も本気で大蔵省と交渉しているのかと言った点はおそらくここだと思うので、このままで行けば、とっても今の厚生省の腕前では、失礼な話だが、十分金を取り得ないのではないかということをおそれるので、坂本委員の質問に対して厚生大臣はやるつもりだとおっしゃったのですが、これらの数字を見合ってもう一度はっきり明言をされておいていただきたいと思うのです。
#47
○国務大臣(灘尾弘吉君) 明言したいところでございますが、事の性質上ここで確言するわけには参らない。厚生省としてはそういう方向で極力努力する。国会の御意思もそこにある。大蔵大臣と十分折衝して御期待に沿いたいということを申し上げる以上のことは、この段階においてはひとつ御了承願いたいと思います。
#48
○坂本昭君 それでは、これは各党各派の意見がおそらく一致すると思いますから、後ほどに委員長にこれは提案したいと思いますが、われわれも今の御答弁によっては非常に不安心でありますから、われわれ参議院の決議をもって、ひとつ責任あるわれわれの立場を言うということで、その案文については後ほど委員長にお示しして御相談いたしたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)この問題について続いて質問がありますので、とりあえず今の国保に対する医療費引き上げの分、また、医療費の現在二割の国庫負担を引き上げることについても、参議院社会労働委員会としてのひとつ決議をまとめることを後ほどお願いしたい。その点委員長の御返事をいただきたい。(「委員長異議なし」と呼ぶ者あり)そでは次に……(「質問の前に委員長から」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#49
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて、
  〔速記中止〕
#50
○委員長(谷口弥三郎君) それじゃ速記を始めて。
 ただいまの坂本委員の御提案は、きわめて適切な御提案と思いますので、賛成をいたしますが、その案文がで好ましたら、またあとで案文を読み上げまするからして、それまでこの件はお待ちを願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#51
○坂本昭君 それでは、先ほど来いろいろと審議をした中で、まだ問題点が二、三残っておりますので伺いたいのであります。
 国民年金の問題でございますが、局長を通じての説明の中で二つ問題点があったと思うのであります。
 一つは、今回の措置によっていろいろと所得制限なぞをゆるめていく、そして低所得の人にはできるだけ免除の手段を講じていく、そういうような説明がありました。これについて確かめておきたいのでありますが、それは、保険料の免除基準についてこの春の通常国会以来いろいろと審議をされた中で、局長自体の答弁を通じて、勤労者の場合には年所得二十万円まで、状況に応じて二十二万円まで、農民、商工業者の場合は年所得十八万円まで、状況に応じて二十万円まで引き上げるというふうな説明があったのであります。従来は、一律に五人世帯年所得十三万円まで、状況に応じて十六万円までとしてあったのが、免除の基準が引き上げられてきております。このことをこの際確認すると同時に、こうした基準の引き上げということは、行政的に各地方に十分徹底しているかどうか。そのことを伺っておきたい。
#52
○政府委員(小山進次郎君) 先生仰せの前段の点については、そのとおりでございます。先生のおっしゃったとおりに違いございません。それから、地方に対しては、十分徹底させるように措置をしております。ただ、私今非常に努力をしておりますことは、どうもそういう基準を設けて、免除は無理をしないでひとつするものにはするようにという考えを持って臨んでいるわけでございますが、現実に免除の申請をして参っておりますものが、もちろんわれわれが相当ゆとりを持って見ておったためもありますけれども、それにしてもあまりに少な過ぎる。大体今八%ないし九%程度しか出て参っておりません。私どもの感じから言えば、まあ大体今のところであるならば一五%近くまで出てくるのが正常な姿ではないか。三〇%と申し上げておったのは、それくらいのゆとりを持って臨まないと、どうしても現地で無理が出る。また、いろいろ財務当局との関係もあって、この点は思い切りゆとりを持った制度にしておくことが財政上の制約を受けないで制度を健全に伸ばす上において必要だということで三〇%のいわばワクをとったわけでありますが、そのうち一五%ぐらいまでは来るはずだと思っておるのが、まだ一〇%足らずということでございますので、これは今後さらに趣旨を徹底さして、あまり隣近所がどうかというようなことにこだわらないで、無理があったならばどんどん免除の申請をしてもらう。また、市町村なりあるいは社会保険出張所としては、そういうものをすなおに受け取って措置をする、こういうふうにしたいと思って努力を続けているところでございます。
#53
○坂本昭君 ただいまの局長の御答弁は明確で、私もこれを了承いたしましたが、実はこれは大臣も聞いていただきたいのですが、私はこの夏以来ずっと各地を回っております。農山村を回りますというと、年所得十三万、十五万、こういうところが私の故郷の山間地に行きますと大半なんです。そこで、十五万ぐらいのところを切りますと、八割くらいは免除の基準に入ってしまうですね。ところがやはり町村の当事者は、最初に出された十三万というようなことで行政的な指導を受けているので、なかなか免除の申請を出してこないのであります。むしろ、場合によるというと、早く出せ早く出せ。それは、村や町で印紙を購入していますから、それはやっぱりある程度はかないというと困るというお考えもあるのでしょうか、そういう点もあって、私は、回るたんびに、こういうふうに局長も説明して基準を上げている、ことにだんだんと農山村は貧困になってきているから、遠慮しないでひとつ免除の申請を出しなさいということを言っているのでありますが、これは特に先ほど来繰り返して議論したとおり、国民年金の対象の人たちがいよいよ低所得化しつつあるという現状にかんがみて、この点は行政的にも十分徹底させていただきたい。この際、大臣として今の免除申請者に対して十分な考慮を払うおつもりだと思いますが、ひとつ確かめておきたい。
#54
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま年金局長が答えましたとおりでございます。
#55
○坂本昭君 もう一つの問題は、なるほど今回の改正で若干よくなりましたが、それでもまだまだ救わなければならない非常に気の毒な人たちに対するあたたかい援護の手というものができていない。たとえば、具体的に申し上げていきますが、内部疾患の人たちと国民年金の障害年金の関係、これについてはどういう方針をとっておられるか、まずこの点を伺いたい。
#56
○政府委員(小山進次郎君) 内部疾患に基づく障害を国民年金の障害年金の支給対象にするかどうかという問題につきましては、これはやはり筋道としてはすべきものである。問題は、そのために解決をしなければならぬいろいろな技術的な問題がありますので、それを解決した上で実施するということで、昨年の六月以来専門の人々を国民年金審議会の専門委員に委嘱をして現在研究をしてもらっております。構成は、結核関係の専門家が二人、精神関係の専門家が二人、ほかが一般の従来身体障害を扱っておった人、こういうような組み立てで六人の人々にやっていただいているわけであります。
 現在の進行状況を申しますと、大体基礎的な部分の議論を一通り終えまして、そろそろ取りまとめにかかっているところでございます。この問題については各方面から非常な督促をいただいておりますので、ぜひ年度内にはまとめたい。まとめなくても、中間報告をして、どういう点に問題があってどういう問題が解決すればこれができるか、また、これをやるためには一体どういう条件を整えていくことが必要かということがどなたにもわかっていただける程度にはまとめ上げたい、こういうことでやっているわけであります。
#57
○坂本昭君 内部疾患の問題については、確かに非常に専門的な結核だとか、あるいは胃腸の切除だとか、あるいはさらに精神障害だとか、いろいろなものが入ってくるので、非常にむずかしい点もありましょうか、大体外国の例では身体障害者というと、日本のように指が一本ないとか、二本ないとか、片足がないとか、そういう外形的なことではなくて、つまり機能的なことに重点を置いております。たとえば心臓病で弁膜症があるような人、あるいは胃切除をしたような人、こういう人たちも身体障害者の中に入っておる。あるいは精神障害の人も入れて扱っておるのがこれが外国の原則であります。さらにそれほどむずかしくない問題で、私は少し考慮されていないのは、ハンゼン氏病の場合の知覚麻痺、いわゆるらい性麻痺、これは今の内部疾患という……、かなり明確なものだと思うのです。ある者は外形に麻痺の状態でも出てくる。もちろんそのまま見たのではこれが感じがあるかないかということは見たところではわかりません。しかし、本人に知覚がないのですから、火に焼けて火傷を負うこともあるし、さらに実際の日常の仕事ができない。たとえばこういうものをつかむのにわれわれだと十秒でつかめるのに非常に長い時間かかる。四倍も、五倍もかかる。これまさに私は機能障害だと思うのです。ことにらい性の麻痺の場合だというと、菌の特性のためにあちらこちらにいろいろな症状を起こしている。尺骨神経の麻痺あるいは耳の耳殻神経の麻痺、そうしたことでいわゆる複合障害といいますか、障害があちらこちらに出てくるわけです。そうしたものが一人の個人にハンゼン氏病という非常に気の毒な形で現われてくる。こういう人の障害の認定、こういったものが今一体どうなっているか。これはいやしくもらい予防法により、また、厚生省が主管している国立の療養所を通して、いろいろな援護の手は差し伸べられてはおりますが、特にこういう人たちの問題について、この国民年金を施行するにあたって私は十分考慮していただきたいと思う。この現在の扱いの方針、現状について、これは局長から御説明いただきたい。
#58
○政府委員(小山進次郎君) ハンゼン氏病の患者につきましても、現在の国民年金法に定めている障害に該当している者は扱っておるのでございます。大体現在でも在所している人で年令に該当している人は六割近くが福祉年金を受けている実情でございます。それで先生が仰せになったのは、おそらく現在の障害のきめ方に該当しない分も筋道からいって当然扱うべきじゃないか、こういうお話じゃないかと思います。これは先ほど来申し上げております内部疾患に基づく障害の問題と関連してくる問題であろうかと思います。すでにこういった問題がどこかで一つの基準で解決しておりますならば、国民年金もそれにあっさり乗っていくと非常に楽なのでございます。御承知のとおり、こういった問題は、現在の身体障害者福祉法では初めから除いておる。その点におきましていわば国民年金が新しい道を開いている。先ほど来いろいろ御議論願ったように、実は年金制度自体の問題で解決しなければならぬ問題が山ほどある。そういう状況で今度はそういった問題もあわせて解決していくのはなかなか容易ならぬことでありまして、また、こういった問題について、十分な技術的な解明を加えないで軽率にやっていくこともこれは控えなきゃならぬし、第一解決しようとしても解決がつかないわけであります。そういう事情からいたしまして、まず一番典型的だと思われる結核について一つの基準を考えていく。これはもう先生は十分御存じのことでありますが、問題の実態はほかの身体障害者の場合であるならば、こうすることができるできないという判定で済むわけであります。ところが、結核に基づく障害は、一時的には無理にやらせればできるかもわからぬ、しかし、やらしちゃいかぬというところに問題があるわけであります。そうなると、ものの考え方、つまり障害年金に関連してできておりますいろいろな仕組みを相当変えていかなければならぬという問題があるわけで、それをまず結核についてある程度解決をしてみる。次いで、先生仰せのようなほかの内部疾患にも及ぼしていってそういうものをまとめ上げていきたい。こういうことでございまして、そういう場合に、私知識が十分ございませんので、先生仰せのハンゼン氏病の者が同じような部類の中に入るかどうかということについては検討してもらわなくちゃいかぬと思います。当然、もし同じように扱うべきものでありますれば、現在すでに、たとえらい療養所におりましても、これは障害年金の対象にしているわけでありますから、そうなれば入ってくる。こういう筋合いになると思います。
#59
○坂本昭君 こういう人たちは、普通の場合にも、非常に社会福祉の面で恵まれていない方たちでありますから、特に今あなたのほうで内部疾患の検討を進められているならば、その中にこうした専門的なものを扱っている方も入れていただきたい。結核の場合は、普通は肺結核あるいは骨結核、脊髄カリエスという形で出ますが、ハンゼン氏病の場合にはもっと複雑な形で出てくるので、その認定というものが、つまり総合的な認定、そういう形をとらざるを得ない場合もあろうと思うので、この今の特殊な審議会といいますか、委員会の中にはこの方面の専門家もひとつぜひ加えていただきたい。その点いかがでございますか。
#60
○政府委員(小山進次郎君) 結論としては、いずれ必要があれば加わってもらうつもりでおります。で、順序としては、まず結核と精神についてうまくできるかどうかを今やっているわけであります。これが一通りまとまりますというと、今度はそれにならって仰せのようなところまで広げましてまとめをしていく、こういうことになりますから、必要な時期になれば当然加わってもらうことになると思います。
#61
○藤原道子君 関連して。私ハンゼン氏病の知覚麻痺の問題が、これが内部疾患として扱うべきだろうか――その辺おかしいと思うのです。現実に知覚麻痺しているんですね。ところが、外見的にはわからないけれども、知覚が麻痺しているからやけどするとか、あるいは引っくり返るとか、あるいは何か物が手に持てない。完全にそこに障害状況が現われているんですね。ただ見た目が、知覚が麻痺しているかどうかがわからないというだけで、現実にそういう悩みを持っている人たちがたくさんいるんだから、これは結核と精神を検討なさるときに、直ちにこれも一つ加えるように検討してもらいたいのですよ。それはその身にならなければわからない苦痛と思うのです、私は。あまり社会から問題にされない人、気の毒な立場にあるのですから、これはぜひとも局長におかれましても十分お考えをいただいて、現実にもう麻痺しているんですよ。手がいうことをきかない。手がついているというだけ、足がついているというだけで、用を足していない人たちが内部疾患としてやられているということは、私はどうしても納得いかないので、ぜひともこの点は調査してぜひ加えていただきたい。そうたくさんの人でもないのでございますから、ひとつお願いを申し上げます。
#62
○政府委員(小山進次郎君) 専門に属する事項でございますので、あまり確定的なことは申し上げかねると思いますけれども、私の感じでは、おそらくその点は、現在認定に当たっている人人は十分考慮していると思います。おそらく現実の問題になっているのは、御承知のとおり、障害福祉年金の対象になる障害というのは非常に障害の程度が高いわけであります。したがって、知覚麻痺という程度の人の場合には、そこまでいっていないという意味で、対象になっていない人が多いのだろうと思います。なお、この点は、仰せのとおり、十分研究させていただきたいと思います。
#63
○藤原道子君 手がついているかついていないかだけで認定されては困るのですから、その点は、見たところ五体満足だ、しかし、全然手も足も役に立っていないというような人が、現在見のがされているのですよ。私もよく承知しておりますので、それはどうか外見にとらわれないで、ほんとうに真剣に考えていただきたいということを強く要望いたします。
#64
○坂本昭君 もう一つの問題点は、今のハンゼン氏病の療養所の状況についての説明がありましたが、一級障害だけしか対象にしないという問題ですね。これが現実の問題としては非常に気の毒な結果をもたらしている。二級、三級――人数にして三十万人程度じゃないかと思うのですね。しかも、この中で年金の対象にどの程度なるか。ずっと私は数は減ってくると思う。ただ、二級程度の障害の人、あるいは、たとえば左の片足が切断されている、この人だと三級になりますかね。そういう二十五才の人が今あるとすると、この人に対しては、将来右の足がなくなって、そして両足がなくなって一級になったときには、障害年金をくれるけれども、今のままだったらいつまでたってもくれない。つまり、併合認定という立場からいうと、もう一本の足もなくしてしまいなさいということになってきて、そういう人はいつまでたっても障害年金をもらえないのではないか。この点で、障害一級というところに固定させないで、もっと広げる必要があるのではないか。こういう点は、何もハンゼン氏病の療養所だけではなくて、一般を通じてそういう問題が起こると思うので、これは非常にこまかいと言えばこまかいけれども、やはり国民年金法という法の新しい精神から言えば、やはりこういうこともひとつ考えていただきたい、この点いかがでしょう。
#65
○政府委員(小山進次郎君) 現在の障害福祉年金が一級だけを対象にしているという問題、これはもう全く原資の問題でございます。できるならばこれは二級まで広げる、あるいはさらに三級まで広げるということが望ましい点は、仰せのとおりだと思います。ただ、これはもう先生方十分御承知のとおり、この問題は障害年金にだけあるわけではなくて、同じように母子福祉年金についても、子供が中学校までというのは、これは何としてもそこに物足りなさがあるのでありまして、せめて高等学校に行くくらいまでの間を養っていくならば、やはり母子福祉年金の対象にすることが望ましいという問題があるわけです。同様にまた、七十才老齢福祉年金という考え方も、できるならばもう少し下げるという問題があるわけです。つまり、全部相互に関連しつつ、つり合いをとっていかなければならぬわけでありまして、いずれ将来の問題として、老齢福祉年金についても、七十才の年令を逐次引き下げるという方向へ歩み始めるときは、おのずから障害福祉年金についても範囲を広げる。母子福祉年金についても、せめて中学校ではなくて、十八才未満くらいまでに上げていくと、こういう問題として考えられるわけでありまして、先ほど申し上げました十年先の計画の場合には、いつごろそれをやるかというような問題が、今後に残された問題として事務当局の間でいろいろ検討されているわけでございます。
 それから第二に申されました問題、これは先生おっしゃるように、私ども決して小さい問題とは思っておりません。今のような問題がありますのは、結局それぞれの年金制度がそれぞれなわ張りを持ちまして、自分のところでめんどう見るのは自分のところの被保険者になってからのけがだ、それが保険というものだというふうにかまえているところにあるわけであります。もしこれが、そういうことではなくて、国民は全部どれかの年金制度があるのであるから、どこで受けたけがであろうとも、それぞれの年金制度はそれを前提としてものを考えるということになりますれば、この問題はだいぶほどけてくるわけであります。この点は、先生御自身が委員をやっておられます社会保障制度審議会で、国民皆保険という時代になるというと、障害年金の考え方というものは変えなければいかぬじゃないかということが議論に出ているわけでありまして、私ども方向としてはそういう方向が望ましい。ただ、これをいよいよそういうことでまとめようといたしますと、実は私どもが持っているのは国民年金の分野だけでございまして、通算の問題についても、われわれが声をかけまして全部持ってくるのにやはり二年間近くかかったわけでございます。
 いろいろ言っておりますけれども、いざとなるとそれぞれの制度は、既存のものは侵されたくない、全額国庫負担でやるならば別だということで、一向話が進まない。まあそこをそうは言わないでということで持っていかなければならぬ、こういう問題があるわけでございますけれども、これは厚生省としてやはり積極的にほかを引っぱっていって、今の問題の解決に近づくようにいたしたい、かように考えております。
#66
○藤田藤太郎君 それでは私も、具体的な問題に入っておりますから、具体的な問題で一、二お伺いをしたいと思う。
 第一の問題は、障害福祉年金の対象になる身体障害者は、私の推定では、十分な把握はできませんが、肢体不自由者が大体六十五万から八十万、それから盲人が二十万、それからろうあというのが十万、こういうことになっていると思うのです。これは間違いがありましたら指摘していただきたいと思うのですが、その三つの身体障害者の中で、福祉年金がどれだけ対象になっているか。今一級、二級だが、三級までふやせばどれだけ対象になるか。それから、その身体障害者が非常に今生活上お困りになっていると思うのです。これに対して厚生省はどのような対策をお考えになっているか、こういう点をひとつ聞きたい。
#67
○政府委員(小山進次郎君) 現在対象になっておりますのは一級でございまして、これで年金を受けておりまする者が大体十九万ございます。それで、これをもし二級まで伸ばすということになりますというと、およそ三倍程度にふえるであろうと思います。
#68
○藤田藤太郎君 だから、私の言っているのは、身体障害者の中には三つある、三つある数が私の言ったのでいいのか、あなたの実際に把握されている数が幾らか、その三つの各クラス別に福祉年金をもらっている人がどれだけずついるかということ、それからどれだけずつふえていくか、そこの調査はどうですか。
#69
○政府委員(小山進次郎君) 現在もらっているのは一級だけでございます。したがって、二級、あるいは想定される三級に類する人は、現在もらっていないわけでございます。もし現在の一級を二級まで広げるということになれば、およそ三倍程度の人に広がる。金額もおのずからその程度に広がる。それから、想定される三級まで伸ばした場合にどうなるかというのは、ちょっと私手元に持ち合わせておりませんので、これはお答えはできかねますが、大体の感じといたしましては、二級と三級というものはそうは違わない、かように考えていいと思っております。
#70
○藤田藤太郎君 そこでその身体障害者の二級、三級もらっていない方々、もらっていても非常に額が少ないのですが、もらってない方々の二級、三級ぐらいまでの人の生活状態というのは、厚生省はどう把握されておりますか。
#71
○政府委員(小山進次郎君) これは、私ちょっと担当でございませんので、即答は申しかねますけれども、生活状態というのは母子世帯と身体障害者の生活実態の調査というものがございまして、これに現われておりました内容から申しますと、母子世帯の生活実態というのは、生活水準の上においては一番低いという結論になっております。統計はやや古いのでございますが、四、五年前の調査でございまして、母子世帯の平均の生活費というものが一万円をやや割っているという程度の低いところにございます。それから身体障害者の生活は、これは身体障害の程度によって非常に違いがございます。三級程度の身体障害でございますというと、これが生活の上に顕著な傾向をもって現われてくるといったふうにはおそらくなっていないのじゃないかと思います。それから一級のものは非常に状態が悪うございまして、このうち目の悪い人であんま等をやっております人の一部にはかなりいい生活の人もありますが、ならして言えば一級の人々の生活状態は、これだけを取り上げて申しますというと、母子世帯の平均の生活状態よりずっと悪い多くの人々が他の人に依存してかろうじて生活をしておると、こういうような状態であります。それから二級の生活状態は、これはそのような資料を私見ておりませんけれども、今申し上げたようなことから類推いたしますと、生活実態は、ややこれは三級の人の生活実態に近いのじゃないか。特殊の人々の場合は非常に生活が苦しいという状態になっていると思いますが、幸いにして就業できて働いておる人の場合には、まあまあ普通の生活に近いところにいっておる、こんなふうに現われていたと思います。
#72
○藤田藤太郎君 私は、最近身体障害者の団体が会合されるときによく行って、いろいろの厚生行政のわれわれの立場を聞いてくれということで、社会労働委員会委員ですからよく出るわけです。しかし、実態は今小山さん言われたような実態ではないわけでありまして、非常に悲惨な生活をしておるわけであります。その事実上の問題としては、この前ここで公聴会がありましたときに、日々身体不自由者というのはふえているのだ、その人がほんとうに困った生活をしておるということをここで公述されたと思います。私も最近皆さん方に触れてみて、身体障害者というのは一人前の職場では働けない、身体障害者雇用法というものができたけれども微々たるもので、むしろ場所によってはせっかく働いているのに足を引っぱってやめなければならぬという事態も、あの率からいくと出てきているのが事実なんであります。だから、そういう意味からいって、私は本来言えば仕事につけるといったとこころで一人前の健康体じゃありませんから、非常に不自由な方であっても働いていこうという意欲があるわけで、それが使い手がない。一つの家族の中に生活しておれば家族全体が暗い状態で暮らしていく、こういうのが事実だと思うのです。どの人の話を聞いてみても働く道がない。それから他の家族に対する気がねとかそういうもので非に一生人生が暗い。何か私たちに向く仕事があったり、それからまた家族から離れて、独立して生計が何らかの方法で立てられるならば、それがほんとうによいというのが相当な数でした。まあ百パーセントではないと私は思いますが、またはそういう家族が守っていこうというようなところもあるかもわかりませんが、それが相当なそこにおられる方々のみんなの意見だった。そうすると、結局それを家族からはずしてしまえば生活の手段がないわけでしょう。だからこそ私は身体障害者というのは、あなたそう三級は苦労していない、二級の方も。両手両足がない人、全然見えない人が一級でしょう。片足とか片手があっても二級以下に下がる。そういう人はどうして仕事をするか、どうして所得の道を講ずるか、これは私は講じられないと思うのです。だから私のお聞きしたのは、そういう人がどういう生活状態だと言ったら、あなたのようなお答えが出てくることは非常に私は残念だと思うわけであります。ですから、これはひとつ厚生大臣にお願いしておきたいのですけれども、こういう身体障害者全体で八十何万と推定されておりますけれども、日々ふえておりますから、もっと多いかもしれない。この実態把握を私はぜひしてもらいたいということが一つでございます。それから、その上に立って、まあ調査してみなければわからぬというお話になるかもしれませんけれども、大体生活が非常にお困りになっているというのが現実ではなかろうかと私は思いますから、一つの面では、やっぱり福祉年金の問題であるとか、生活保護という問題もございます。しかし、何か独立して生計が、お互いに共同的なような仕事でその方々が生活できるような道を立ててあげるとか、何かの方法がなければいけないし、根本的には私はやはり福祉年金の額をふやして、そしてワクを拡大して、その中に入れることではないかと思うわけでありますが、そこらの点について大臣の御所見を承っておきたいと思います。
#73
○国務大臣(灘尾弘吉君) 身体障害者の生活の実態について、これを把握するという御趣旨には私も同感でございます。ことに、身体障害者に対する福祉法も出ていることでございます。この福祉保護の趣旨の徹底をはかっていかなければならぬという立場から申しまして、当然のことだと思います。せいぜいそのほうに努めて参りたいと思います。なお、生活の実態について、先ほど来藤田さんがおっしゃいましたが、私も大体そういうことではなかろうか。とにかく一人でもからだの不自由な人が家庭の中におれば、もうその家庭全体がやはり大きな悩みを持つということにもなって参ります。しばしば藤田さんのおっしゃるように、何かそこに仕事でもあって、そして仕事を楽しみつつやっていけるという姿であることが一番望ましいと思うのでございますから、そういう面についても、厚生省としましてももっと積極的にいろいろ検討をされていかなくちゃならぬ。この問題については、いろいろ工夫してみましても、そう思うような結論がなかなか出るとも思えませんけれども、しかし、積極的な意欲をもって、そういう方向について勉強するということについては、私は全く同感でございます。なお、生活保護の問題あるいは福祉年金の問題、福祉年金についても先ほど来局長も答弁いたしておりますが、やはりその福祉年金の充実といいますか、向上といいますか、そういう方向においても、私どもさらに検討さしていただきます。できるだけ早くこれが充実するように、向上するように努力して参りたいと存じます。
#74
○藤田藤太郎君 特にこの問題は、御理解をいただいておかなければならぬことは、軍人恩給、要するに傷害軍人です。あの方々との関係です。これは戦争の犠牲になられた気の毒な方なんですが、その傷害軍人の障害恩給というものは少しずつ上がって参りましたので、だんだんだんだんと日にちがたって参りますと、十五年も十六年もたちますと、軍人の障害恩給というものは大体千百億あまりあるわけですが、この種の身体障害者には何にもないわけですね、何にもお手当がないわけです。その人にうらみ言を言うわけではないのだけれども、家庭の中においては片方は最低五万三千円の恩給がついている。こちらは一銭もない。不幸にして交通事故であるとかなんとかでなられた方や、目が見えなくなった方々の実態というものを見ると、そういう問題も最近は家庭内に出てきているようであります。そういうものが言うに言えない非常な暗さを持っているのだということを、身体障害者の方が口をそろえて言っておられるわけであります。しかし、自分がちょっとしたけがをしたとかいうような人は、たとえば肢体不自由者の場合には、そういうのは少ないと思います。何らかの事故であるとか何らかの病気であるとか、何らかによってそういう工合に、自分自身の努力によってもどうにもならないで、そういう格好になられた方がほとんどなんでございますから、そういう点は私は国家的見地から十分にめんどうを見てあげなければならぬのじゃないか、所得保障をやっぱりしてあげるということがもっと努力されていいんではないか。特にそれをつけ加えてお願いをしておきたいと思うのです。
 それからその次お尋ねしたいことは、保険料の免除を受けた場合に、年金がもらえないということですね。この法の一番肝心なところではなかろうかと私は思う。先ほど言われておりました免除になるのが一五%でしていたところが、八%くらいしか、むしろ少ないくらいだと見ている、こうおっしゃるけれども、免除を受けたものが年金はもらえない、これは私は年金の所得保障の趣旨から言ってたいへんなことではなかろうかと思う。いずれ政府は政府なりにお考えがあるのだと思いますけれども、法案が通って二年目でそして手直しをされるという今日の事態に、なぜここで手をおつけにならなかったか、私はその根本的の考え方を聞きたいのです。
#75
○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねになりました事柄は、実は私どものほうでも問題といたしておるところでございます。保険料の免除を受けられました方たちに対しましても、本来国が負担すべきものは国として負担をいたしまして、そうしてその時期がくれば年金給付をするというふうにやってしかるべきじゃないかという考え方のもとに、ただいま検討を進めておるところでございます。なるべく早い機会にこれは実現したいと思いまして、せっかく努力をいたしておるところであります。
#76
○藤田藤太郎君 なるべく早い機会というようなお話で、それはよろしくお願いしますと言えば、事はこれで済むのだけれども、私は年金局長にお尋ねしたい。大臣はそれで大臣の御努力をお願いしますということで済むのだけれども、二年たって今度改正されるときに、なぜこれに手をおつけにならなかったか、それを聞いておるわけですよ。今度の改正でなぜそれに手をつけなかったか、局長からひとつ……。
#77
○政府委員(小山進次郎君) 今回改正することにいたしましたのは、制度を始めるときから明瞭に懸案になっていたものと、それから実施した結果早急に直さなくちゃならぬという手直しに関するものを措置するということにとどめることになったわけでございます。それで国庫負担をつけて免除を受けた場合でも年金を出すようにするという問題、これは大臣からお答え申し上げましたように、私ども厚生省としてはぜひ実現をさしたいと考えている問題でございます。この問題は実はその意味におきましてもう先生方の仰せと私どもの考えが一致しているわけでありますが、実は従来の保険というものに固執するという立場から言えば、非常に変わったやり方であります。おそくら従来の社会保険学者だとかなんかは、これはものを知らないからそういうことを考えるのだという感覚で見るに違いない問題なんであります。その証拠とでも言っていいと思いますが、社会保障制度審議会において、国民年金についての答申をいたしました場合におきましても、実はこの免除に類するようなことは全然考えられていなかったのであります。いろいろ今日、あの答申をまとめられました学者の中では、現在の国民年金が、いわば評判が悪いので、いかにもおれが言ったのと違うというような顔をしておられる方があるわけなんでありますが、実はこの問題に関する限りは、やはりあの答申よりも現在の国民年金のほうが一歩前進しているのでありまして、その違いはどこが違うかというと、あの答申では、免除を受けるような者は、免除というか、保険料が収められないのは一割くらいだと推算されておったのでありますが、私どもは三割というふうに推算しておったわけなんです。しかも、あの答申では一割の保険料を納められない人を一体国民年金でどう取り扱うかということについては、何ら積極的な対案はなかったのであります。あげてこれは事務当局が考えろという態度であったわけでございます。問題は決してそんな問題じゃなかったはずなんでありまして、先生方仰せのとおり、この問題をどう取り扱うかということが低所得層を多数に含む国民年金の問題の一つであったわけであります。そういう意味におきまして、厚生省側としてはいろいろ検討いたしました結果、これらの人々を制度の外に排除してしまったのでは未来永劫解決の道がなくなってしまう。その意味で、とにかく制度の中に取り込んでおく、それから保険料が収められないという実態はすなおに認めて、これを従来の保険理論と何とか調和させるように考えなくちゃならぬということで、かろうじてやりましたのが、十分ではないけれども、免除を受けるような場合には少しでも有利な条件で取り扱われるようにするということをしたわけでありますが、しかし、何といっても、このための財源の用意はしておりませんので、幾分ほかのほうから回してもらうという程度でありますから、やれることにはおのずから非常に低い限度があったわけでございます。その後いろいろ検討いたしました結果、これはやはり別建ての国庫負担というものを要求していいのだ、日本で国民年金ほど低所得層を集中的に引き受けている年金制度はないのだということになるとすれば、この人の分が制度の中に入っている、たまたま少し所得の多い人に全部持たせるということは無理じゃないか、これは国民全部にしょってもらっていいはずだということになれば、ここでは当然国庫負担という筋が出てくるというので、いろいろ検討いたしました結果、従来の保険の理論との調和その他を考えて、今年の夏ころに態度をきめて、先ほど仰せになったように、来年度の予算においてこの分を要求している、こういうわけでございまして、もし、これが来年度から実現するということになりますと、これは今年度分にさかのぼって要求する仕組みでしておりますので、制度の発足当時から免除を受けた人々はその利益が受けられるというふうなことになりますので、その意味では、確かにもっと早ければという考えはあるわけでありますが、かろうじて時期を失しない、ぎりぎりのときに実施できたということになりますので、その意味においても、来年度においてはぜひこれを実現させたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#78
○藤田藤太郎君 今年金局長の言われたことは大臣の厚生行政の方針だと思いますから、繰り返しませんが、来年度に実現して今年度分にさかのぼってやるということをお聞きしまして、私はそれは非常にけっこうだと思います。ただこの前も議論いたしましたように、たとえば学者の議論がどうこうあったというそこらは、なかなか小山年金局長に私は敬意を表してあるところですけれども、措置の上においてはみんなが勤労の喜びを感じながら人生を送っていくという精神をそこに入れられたような気がするので、それは非常にいいことだと私は思う。ただしかし、問題は、今ここに出ておる三年目においてもこれが出ていないから、私はそういう質問をせざるを得ないのでありまして、その点はひとつ大臣も心していただいて、必ず来年度実現をしていただいて、今年にさかのぼってやっていただくということをぜひお願いをしたいと思います。
 たとえば問題はどこにあるかという点なんです。今、年金局長はどんな人にも入っていただくんだというこの精神、それは全体的な大きな流れとして、私は非常によいお考えをお持ちだと私は思うのです。ただしかし、それじゃ年金が一番底の国民にまで、一番零細な国民にまで、全体にそうなっていくのだという思想は非常にいいのでありますが、しかし、負担の問題になると、高額所得者にはおのずから限界がそれはあると思いますけれども、今の百円、百五十円ぽっきりでいくというところに問題がありはせぬかということが言いたくなってくるわけです。その思想をくるっと裏返しますと、前段の思想は非常にけっこうだと私は思うのだけれども、その思想が、それだけはっきり構想をお持ちになって、ここでお立てになるということはありがたいのですけれども、それをくるっと裏返した裏側はどうなるかというと、百円、百五十円、非常に格差の激しい状態の中で百円、百五十円の一律制でいいのかどうかというところに、私はやっぱり問題が出てくるということも、前段の思想に関連して、ひとつ厚生省は御考慮いただかなければいかぬのじゃないかということを考えるわけであります。これはもう説明しないでもよくおわかりだと思うのです。非常な裕福な人と非常に苦しい人との差というものは、機械化――オートメーション化といいますか、こういう形の中でだんだん貧富の差が開いていくというこの実態というものは、私はやっぱりよくお考えをいただかなければいかぬのじゃないか。だから全部を入れていくという思想はけっこうですけれども、裏返して実態に即した保険料の問題といいますか、まあ年金保険料の問題はこれでいいかどうかということもあわせて、その前段の思想を生かしてもらうと同時に、その裏側の問題についても考慮をしていただきたい。これも来年には実施されるときに十分に考慮をしていただきたい。だからその少ないようでありますけれども、三人家族一世帯の中で、たとえば三人だといたしますと、夫婦二人ともう一人というようなことになると、月どうしてもやはり四百円くらいの金を出さなければいかぬということになるわけですね、最低のところでも。その金は相当な私は負担だと思うのです。収入の低いところでは相当な負担だと思う。しかし、収入の高いところになりますと、三百円、四百円の負担というのは一%にもならない収入の人があるのだが、または収入の低いところでは五%もそれがなるようなところもあるわけであります。五%も八%も。だからそこらあたりのやはりおのずから保険料の高さにおいて限度はむろんあると思います、国民全般にやる問題ですから。しかし、下のほうは特別な考慮をもう一段と私は考えていただかなければならぬのじゃないか、これをぜひこの検討の際にお願いをしておきたいと思うわけであります。
 それからその次の問題は、この老齢福祉年金の開始の年ですね、七十才からですね。今七十才から老齢福祉年金は千円ということなんでございますけれども、これはどうなんでしょうか。家族の中における制限もつけておられるわけですけれども、この考え方は将来といいますか、私はもう少し下げて、もう少し額をふやすというところに力をいたされていいのじゃないかと思っているのですけれども、大臣のお考えと事務当局の全体の構想、日本の経済その他の関係に立って、どうあるべきかということをひとつお聞かせ願いたい。
#79
○国務大臣(灘尾弘吉君) まず保険料の問題でございますが、現在の保険料はまあ均一制と申しますか、そういう形なんでございます。制度の開始に際しまして均一制をとるに至ったのには、それぞれの理由もあったことだと思うのですが、しかし同時に、藤田さんのおっしゃる御趣意もわれわれとしましてもこれは検討すべきものだというふうに現に考えております。したがって、今後この保険料について均一制を維持していくか、あるいは今のような所得に比例したような要素を入れるか、こういう問題につきましては十分検討させていただきたいと思っているわけでございます。
 それから老齢福祉年金の開始の時期につきましても、御意見のあるところは私どもにも了解できるのでございますが、漸次やはりそういう点についても改善をはかって参りまして、開始の時期等につきましても、もう少し老人のためになるように、何と申しますか、開始の時期を早めると申しますか、そういう点につきましても、今後の問題といたしまして、はっきりいたして参りたいと存じております。
#80
○政府委員(小山進次郎君) ただいま大臣からお答えがありましたように、保険料を所得に応じて取るという問題、私ども真剣にこれは現在研究しております。それでむしろ考え方としては、厚生省当局としては技術的な条件が整備するならばなるべく早く実施に移したい、しかもその条件としては、これはかなり、もう三年前から明瞭に申し上げているつもりなのでありまして、現在の市町村民税の課税方式ではどうもその上に乗っかれない、これが一つの障害になるのだということを申し上げておったのでありますが、その障害もことしから地方税法が改正されまして、市町村民税の課税方式がほぼ同一の方法に統一をされて、しかもなまの所得をつかむという方式に移って参ることになりましたので、そうなればこの問題を技術的に考えることはかなり楽になる、こういう気持でいるわけであります。ただ、これも言いわけを申し上げるつもりではないのでありますが、ここでは非常に私どもそういう考え方ではっきりと進めたいという気持を申し上げるのでありますが、実はこれについても日本の社会保障学者の中には今なお、フラット制がよろしい、お前たちそんなに勢いのいいことを言ったって技術的にできるものではない、それから将来とも、とにかく国民年金みたいに農民を対象にした年金はフラットのほうがいいのだ、この議論が実は相当強いわけなのであります。しかもそういう人々の考え方の中には、今の三分の一の国庫負担というのは二分の一に上げることが望ましい、そのことさえ実現するならばフラットでよろしいのだ、こういう考え方があるわけであります。ただ、これも私ども吟味を要すると思うのでありますが、国庫負担が三分の一ならば所得再配分の機能がなくて非常に悪い制度であって、国庫負担が二分の一になったらとたんに所得再配分の機能が非常に出ていい制度になるというものじゃないと思うのでございます。その意味におきまして、免除の問題は免除の問題として片づけて、次いで所得比例の制度を導入することによって、おっしゃるように所得のより多い人の分をより少ない方に回すことによって、全体の内容を充実して所得再配分の機能を多くする、こういうふうにということで、この時期が早ければ五年先の改正の際といたしたい。しかし、おそくも十年先の改正のときにはこれを実現させるようにいたしたい、こういう考え方なんでありまして、どうも先生のお気持ではそんなにのんびりしてはというようなことをお考えのようでありますが、やはり諸般の準備を考えますと、早くて五年先というのが私どもいろいろスケジュールを組んでみましてぎりぎりのような気がいたしますが、なお、この点は先ほど申し上げました根本論について、だいぶ私ども帰って社会保障制度審議会における学者諸公と議論をしまして、だいぶわれわれの言い分を通さなきゃならぬ部分がありますので、まあそれから取りかかりたいと思います。
 それから福祉年金の分については、先ほど大臣申し上げたとおり、いろいろ私どもこれも計画を練っております。将来の方向としては、十年先になったならば今の七十才というのを六十五才まで下げるところへ持って参りたい。金額も七十才で千円というのを二千三百円ぐらいまで上げるようにいたしたい、こういう計画を持っておるわけでございます。
#81
○藤田藤太郎君 そうすると大体、私はきょうはあまり質疑しませんが、私なりに政府の厚生省の皆さん方のお考えを理解するとすれば、来年中に厚生年金の改正を出して三十八年度に厚生年金の改正をする。それから二番目には今の払えない方々の、要するに免除になった方々の分は、来年度に完成してことしまでさかのぼる、これは来年度からやる。それから今の所得に関する問題は、これは三十八年度から五年先という話は、再来年の三十八年度の改正をやるときに今の問題あわせて考えるということに理解していいわけですね。
#82
○政府委員(小山進次郎君) 免除の問題につきましては仰せのとおりでございます。それから厚生年金の問題につきましては、三十八年度改正でございますから、三十七年度中に案を固めて諸般の準備をする、こういうことでございます。それから国民年金については、これは五年先というのは四十一年になりますから、所得比例に移すということになりますと、若干の余裕を見なくちゃならぬと思いますので、おそらく三十九年ぐらいにもう骨子がすっかり固まって、事実上各方面に御審議をいただくというふうな運びにしなければいかぬと思っております。
#83
○藤田藤太郎君 それは少しちょっと長過ぎるんじゃないですか。四十一年だというたら……。これは何でしょう、五年ごとというのは一昨年から出発して五年じゃないの、ことしから先五年ですか、四十一年というのは。どういうのです。
#84
○政府委員(小山進次郎君) 五年々々と申し上げておりまするのは、拠出につきましてことしの四月一日を起点にして五年でございます。
#85
○藤田藤太郎君 しかし、まあその議論はまた次の国会でもいたしましょうが、しかし、もうちょっとやはり熱意を持っておやりになった方がいいじゃない、やってもらいたいですね。私はことしから五年先の日本の経済がどうなるか、ちょうどあなた方がお出しになった資料、私が作りました資料の問題をこの前の委員会で申し上げたとおりでございます。外国がいかに所得保障、医療保障について力を入れているかという実態を、これはもう私が言わなくても皆さんよく御存じなんですから、やはり何ですね、日本はアジア一の産業国といわれ、五大産業国といわれている日本の厚生行政というものは、それは法律で五年先になっているからということ、それはそれなりにあなた方は法律に基づいて発言されることでございましょうけれども、熱意のところはやはりそういう一ぺん法律できめたらそれだというようなことであっては私はいけないのではないか、この法律を作るときにわれわれが国会で資疑をしたのは、どの経済条件の上に立っておるかということを議論しました。日本の経済がノーマルな状態で五%ぐらい平均成長していくものと思います。そういう状態の中でこの年金というものを構想に立ててそしてやったという議論になっている。それから所得倍増論が出てきたのは昨年の一月ごろでございます。しかし、その前の三十四年度は実質一八%も経済が成長をしていると、四倍近く日本の経済が伸びている、昨年も一五%、それでまあ所得倍増論で七・二%というのが今のような状態でことしも一〇何%伸びている。たとえ一〇%にしても三年合わしますと四〇何%、五〇%近く三年の間に経済が伸びたということになるわけです。勤労国民の生活実態はどうかという議論になると長くなりますから言いませんけれども、そこがあなた方が指摘されている貧富の差が大きくなっておるというところだと思う。そこのところあたりは私は敬意を表しまするが、その状態の中でこれが進んできている、法律にこう書いてあるからという機械的な考え方だけでは、私はやはり政治の面ではやれないところへくるのではないか、そういう意味でまあ法律に基づいてあなたが発言されることは、それはそれで申し上げませんけれども、日本の経済全体の上に立って、私はもうあまり長くやりませんが、問題にいたしましたようなところは、今の日本の経済、この法律ができてきた経緯、そういうところから考えて、あなた専門家でございますから、十分ひとつ勘案をしていただいて御努力をしていただきたい、これをお願いしておきたい。
#86
○相澤重明君 ちょっと関連。途中ちょっと抜かしたのですが、身体障害者のことで大臣にひとつ伺っておきたいのだが、身体障害者を雇用した場合、労働大臣はきわめて親切にこういうことはよいことだということで雇用主を表彰しておるのだな。ところが、先ほど藤田委員の言うように、なかなか身体障害者をどこでも使ってくれるというような状態にはない、国では奨励しておっても事実上なかなかない。そこで厚生大臣がそういう身体障害者等の人たちにはできるだけ希望を持たして、そして働いた者にはひとつ何といいますか、本人を激励をしてやる、こういうようなことが労働大臣賞と同じように厚生大臣は考えることはできないのか、これが一つ。
 いま一つは、敗戦によって終戦後電車や汽車の中で白衣の人がまあ金をもらって歩いておる、こういうことが終戦直後とは違うけれども、今日でもなお残されておる。しかもそれは年金をもらっておる人だと思うのですがね、記章をつけた人も中におる、しかし、おらないのもおる、こういうことは文化国家という名による建前から言えば決して好ましい存在では私はないと思う。そういうことから考えてくると、厚生省というものは一体年金の話をすると、だいぶ該博な知識のようなことを言っておるが、現実にはやっていないじゃないか、まあ僕らが諸外国を歩ってもあまりああいうのを見ない、電車や汽車の中でもって白衣の人がカバンを下げて、何ですか、アコーディオンをひいているなんというのは、あまり外国には例がない、そういうことからいくと、厚生行政というものはそういうところは見ないのか、しかし、あなた方自身は電車や汽車に乗ってみればこれはぶつかることだと思う。乗らないといえばそれまでだけれども。そういうことで、一体そういう面について、年金をもらっておる傷病兵と言われた人たち、あるいはそういう谷間に生活をしてあえいでおる人たち、こういう者に対して厚生省はどういう救済の措置をするのか。この点はきわめて私ども日常市井の中におる者としては大事なことなんです。大衆とともに進む政治家であってほしいわけです。厚生大臣に所信を伺っておきたい。
#87
○国務大臣(灘尾弘吉君) 身体障害者の福利を増進するということは、これは厚生省としての大きな仕事だと思います。先般も身体障害者に対する福祉法の立法も行なわれておるということでございますので、その趣意に従いまして法を運営し、法の趣旨の徹底をはかっていくということは、これは当然厚生省として考えなければならぬことでございます。この方面の行政は、私はどちらかと申せば、やはり比較的おくれておると思うのであります。したがいまして、いろいろな施設等につきましても、まだ決して十分とは言いがたいものがある。それからそういう方たちに対する職業上の知識あるいは技能というふうなものを授けていく、そしてできるだけ働く機会をたくさん作って上げるということについても施設もまだ十分とは申しがたいと思うのであります。できれば何か適当な職についてそうしてその人たちが明るく暮らしていただくということが一番望ましいことだと思うのでございます。また、一面においては、そういう施設もまだ十分でない点もございますし、同時にまた、からだの不自由な人でありますから、なかなか適職を発見するということもできない、そういうような点で制約もございますけれども、何とかしてこういう人たちが少しでも明るい生活をして行くことができるように、こういう趣意でもってできるだけ施設の整備充実をはかって参りたいと思うのでございます。同時にまた、生活問題ということにつきましては、傷痍軍人の方たちに対しましては、だんだんとその面のことも改善されて参っております。国民年金はようやく発足したところでございますけれども、これにつきましても、先ほど来のお話にも出ておりまするように、決して現在の状態が十分とは申しがたいと思います。これは、国民所得の増大等につれまして政府としましても、財政負担等についても十分考慮をいたしまして、その方面の充実をはかっていく。方向においては私どもぜひそうありたいと思って考えておるような次第でございます。今後の努力ということに相なろうかと思います。
 また、汽車や駅頭で白衣の人がいろいろやっておりますけれども、このほうは、私は実質的に考えました場合に、必ずしも傷痍軍人であるとかなんとかいうものではないというふうに実は考えるわけであります。これらの人たちのああいう姿は、御本人はどういう心持でやっておられるか知りませんけれども、私どもから見ると、いかにもいたましいという感じもいたしますし、同時に、あまり明るい風景とも思えないのであります。こういうふうな人たちがほんとうにいわゆる正しい仕事に従事できるような方向に、これは私ども努力をいたします。雇用の問題というような点になれば労働省で御尽力を願わなきゃなりませんけれども、そういう職業につくためにはいろいろ便宜をはかってあげなくちゃならぬと思うのであります。そういうような点において、厚生省といたしましては、福祉増進と、こういう立場で今後一そうの努力をやって参りたいと思っておるような次第でございます。
#88
○相澤重明君 先ほど身体障害者の一級の受給者は十九万人と厚生省が発表していますね。そのうちどのくらい就職をしておるんですか。私が特に今申し上げたのは、労働大臣は、毎年、身体障害者を雇用しておる工場主、経営主に対しては、優秀な者にはいわゆる表彰をしておるわけだ。ところが、身体障害者については厚生行政なんだな、これは。だから、そういう福祉関係とか年金関係とかあらゆる面で努力していくのが厚生省の立場だと思うんだ。したがって、労働行政だからそういうものは労働省にまかせるというようなことではなくして、今大臣の言うように、やはり身体障害者については、厚生省としても、政府自体としてもこれは努力しておるところなんだ。したがって、具体的に十九万人のうちどのくらいの人が実際の完全就職をしておるのか。あるいは半就職と言うとおかしいが、あまりもらっておらないのか。あるいは年金でそういう生活をしておるのか。こういうことは私ども国会におる者としてはきわめて大事な問題だと思うんですよ。そこで、そういう点をひとつわかったらお知らせをいただきたいことと、いま一つは、身体障害者がとにかく普通の人からあまり蔑視されないであたたかい手をもって仕事ができるような措置を、さっき大臣が言うように、施設とか整備とかいろいろありますが、そういう面も国が助成をしてやるようにしてやる。そうしてそういうところで身体障害者の人が五年でも七年でも十年でも働いた場合は、せめて労働大臣と同じように厚生大臣が表彰してやったらどうですか。そのくらいの気持に立ってあたたかい気持でいわゆる身体障害者の人たちを激励をすることは、私はきわめて好ましいと思うんですよ。だから、そういうことは厚生大臣の表彰規程というようなものは別に作らなくちゃできないものなのかどうか、この点もあわせてお答えをいただきたいと思うんです。これは身体障害者の使用の問題。
 それから二つ目の白衣の車内における人たちの問題ですが、私はこういう人たちも、決して自分が無理に大ぜいの中でああいう皮の手袋をはめたり足をそういうふうにしてアコーディオンをひいておるわけじゃないと思うんですよ。生活ができ得るならばそういうことはやはりたくない。これは人情だと思うんですね。そこで、戦後一時は多かったけれども、傷痍軍人の人たち自身が反省をしたことと、国家の手を伸べたこともあってよくなったことは事実でしょう。しかし、まだ現実にそういう人がおる。だから、本来はいわゆる電車にせよ汽車にせよ、乗車券を買わなければ乗れなくとも、そういう人が乗っておる場合もあるのじゃないか。あるいは観光の上から言っても決していいことではない。こういうことになれば、それはやっぱり厚生行政の中でできるだけ私は愛の手を差し伸べるべきだ、こういうふうに思うのだが、大臣として具体的にそういうようなことをどういうふうにやったらいいのか、お考えになったことがあれば私はひとつこの際お答えをいただいておきたい。私としてはかなり具体的に突っ込んだ話をしているんですが、そういう面、厚生大臣の愛情のあるひとつお答えをいただきたいと思う。
#89
○国務大臣(灘尾弘吉君) 就職の機会をなるべく多くする、できるだけ何かの仕事についてもらうということが一番望ましいことでございます。今、現在の就職状況がどうなっているかという数字について、ちょうど係の者もおらないようでございますので、はっきりしたことを申し上げかねますけれども、私、ごく大局的に申せば、就職状況は決してよろしくはないというふうに考えている次第でございます。厚生省としましては、そういうふうなからだの不自由な人に幾らかでも何と申しますか、指導することあるいはからだについての手当をすることによりまして働きやすくしてあげる、こういうふうなことについてはできるだけ援助していかなくちゃならぬと思っているわけでございます。その意味におきまして各種の施設の整備をはかりまして就職上幾らかでも有利な条件を与えるようにいたしたいと、かように考えている次第でございます。
 なおまた、そういうふうな方たちの勤労に対して表彰をするかどうかと、こういう問題でございますが、御趣意は私はよくわかりましたので、十分ひとつ考えさしていただきます。
 それから白衣の問題につきましては、私はああいう姿が日本の至るところで見られるというふうなことは、これは漸次減少はしたと思いますけれども、決して好ましい情景ではないと存じます。先ほどお答え申しましたように、何とかしてそういう人たちが普通のいわば健全な姿において働いていただけるように持っていきたい。これが私どもの任務だと考えますので、できるだけの努力をいたして参りたいと存じておりますが、中にはまあいわば手に負えないと申しますか、そのつもりで指導して参りましても、やはりああいう生活になれているといいますか、そういうふうなことで、むしろ御本人が望んでやっておられる方がある、それを善導するということがなかなかむずかしいというふうな事情もあるやに聞くわけでございますけれども、できるだけその方面のことにつきましても、お話のとおりにああいうふうな姿が日本の社会から消えていくように、やはり厚生省としては努力していかなくちゃならぬ、こういう心がまえでもって臨んで参りたいと存じております。
#90
○藤原道子君 私は、先ほどの藤田委員の御質問に関連して、ちょっとお伺いしたいのですが、局長は専門家でいらっしゃるから、これはまあ均等割ではだめだということはよく承知していらっしゃると思うのです。先ほど来伺っていると、比例制にするという問題は五年先ぐらい、早くて、それから老齢福祉年金、この問題は十年後に二千三百円ぐらいにしたいとおっしゃったのは、私の聞き間違いじゃないのでしょうね。そこで大臣に伺いたい。この福祉年金の場合の算定基準が、農村地帯における生活保護者の基準をとられたということは、この間も私、伺ったわけなんです。ところが、生活保護はその後幾回となく引き上げられているのです、基準が。ところが、福祉年金に対してはそういう配慮がなされてないんですよね。しかもそれが十年後に二千三百円ぐらいに引き上げたい考えでいる、こういうことなんですけれども、ほんとうにそれが今の経済状態から考えて妥当だと大臣はお考えになっているかどうか、これを私は伺いたい。算定基準にしたものはそれがどんどん引き上げになっているのです、不満足ながらも。ところが、その老齢年金に対しては十年後に二千三百円というのじゃ、私聞き間違いじゃないかと思っているんですが、大臣のお考えを率直に聞かしてほしい。
 それから所得の比例制にしては、これに対して審議会の中にも学者が反対する人もある、こういうことを局長言いましたね、さっき。だけどもそれはおかしいと思うのですよ。全部の学者じゃないんでしょう、一部の学者だろうと思うのです。それで局長はこれの不合理性は認めていらっしゃる、これが比例制にならなければほんとうの年金にはならないようなことを説明していらっしゃるのですよね、局長は。しかも専門家なんですよ、あなたは。よく承知しているんですよ。それだのにこれが何年かたたなければそれができない、いろいろむずかしいからできないとおっしゃるのだけれども、私はさっきあなたもおっしゃったように、税制の改革もあるし、こういう点からやろうと思えばやれると思うのですよ。あまり社会保障、社会保障と言って希望を持たせておいて、がっかりするような答弁はあまりしないでほしいと思うのです。これは大臣どうお考えですか、国民年金の持つ趣旨から言って。こんなことでいいんでしょうか、大臣のお考えをまず伺いたい。
#91
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民年金の現在の状況というものを、まあ欧米の先進国と申しますか、そういったふうの諸外国の実例に比べてみますというと、よほど著しく見劣りがするということはこれは認めざるを得ないと私は思うのであります。まあ日本におきましても長年の問題であったわけでございますけれども、だんだんおかげさまで経済状態も改善せられてきた、国民所得もだんだんふえてきた、池田内閣は今度所得倍増とかいうふうなことを言うような段階にまでなってきたというので、実は思い切って福祉年金の実施に踏み切りましたわけでございます。現在の日本の経済状態といいますか、国力と申しますか、そういう点から申しますというと、まだまだとてもヨーロッパ並みのところまでこぎつけていけるわけはないじゃないかというので、やきもきしているようなわけでございますが、できればもちろんわれわれとしましては、国民年金の内容の改善充実ということに努力を傾注するということは当然のことでございますけれども、さりとて日本の今の全体から申しまして、この方面にのみ非常に多くの財源をさくというわけにも参らない、こういうふうなことで、不十分をお互いに感じておるようなわけでございます。この点はひとつ、これからだんだんよくしていくということで御了承をいただきたいと思うのでございます。
 それから福祉年金の額の問題でございますが、これも数字を聞いただけで、お互いに非常にたくさんやっていると思う人はもちろんだれもいないと思います。月に千円でどうだと言われて、千円で食えるかと言われれば、私は千円で食えるというようなことを申すだけの勇気はございません。したがって、現在の福祉年金は、千円なら千円でもって、その方の生活を保障するというだけのものには私はなっておらぬと思うのです。そういう趣旨で福祉年金というものが創設もせられていなかったのじゃないかと思うのでございますが、ただし、この千円というもので十分だからというふうな心持は毛頭ございませんけれども、これまたやはりわれわれの力がつくにつれまして、これをふやしていくという方向でやって参りたいということは、しばしば申し上げているとおりなんでございます。今直ちにこれを二倍にするとか三倍にするとかというだけの準備は、私は政府にもないと思っております。やはりいろいろなことを、やらなくちゃならぬことがたくさんございます。ですから、一ぺんには片づきませんけれども、向こう十年なら十年のうちに、せめて現在の二倍なり三倍にしたいという心持で、努力いたしておるところでございます。できることなら、もっと早くやりたいということは、これは申し上げてよろしいと思うのでございますけれども、一応の厚生省の計画としましては、今後十年を期して現在の二、三倍にはしたい、こういうふうな気持で進んでいるわけであります。この点を一応御了承願いたいと思います。やはり一ぺんにはなかなか解決いたしません。漸次国力がつくにつれまして、また、所得を再配分するというようなことを通じまして、こういうふうな問題について改善をして参りたいという念願のもとに私ども努力いたしておるわけでございます。また、一そうの御鞭撻をいただきたいと存じますが、そういう方向でやっているということだけは、ひとつ御了承願いたいと思うのでございます。
#92
○藤原道子君 特に大臣に伺いたかったのは、そういう言いわけじゃないのです。基礎になった基準が引き上げられたのに、これがそのままに据え置かれていることが正しいとお考えですが、なぜそれが改正できないか、この点を大臣から伺いたかったのです。
#93
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほどちょっと申し上げましたように、この福祉年金というものによって、これだけで生活をしていただきたいというような気持は私は毛頭ないわけであります。したがいまして、福祉年金はやはり生活費の一部補給と申しますか、そういうふうな役割をいたしているものと考えるわけでございます。これを上げないということを私は申しているわけじゃございません。先ほど来申しておりますように、この福祉年金については、現在まだいろいろな制約があり、まずそういうものから取っ払って、いって、それから次には増額ということも考えなければいけません。こういうような考え方のもとに仕事を進めて。いるわけでございます。生活保護基準はおかげさまで、この国会におきましても若干の引き上げの御承認を願ったわけであります。来年もまた引き上げていきたいということで、せっかく努力いたしておるところでございますが、これと直ちに並行して考えなければならぬというふうには考えません。とにかく段階を追いましてまずいろいろな制限を撤廃して、なるべく広くこれに均霑する人ができるようにし、さらにまた、財政力に応じまして増額をはかっていこう、こういう心組みでもって進んでおりますので、どうぞそのように御了承賜わりたいと思います。
#94
○政府委員(小山進次郎君) 所得比例制のことについてお話がございましたけれども、これは私も先生の仰せのとおりに考えていただきたいと思います。先ほど申し上げたのは、私がここで申し上げますというと、もう世の中の考え方が全部そうなって、すぐにでもできるのだというふうな誤解を与えてはいかぬと、私はぜひそういうふうにしたいし、いろいろ意見があっても、十分議論を戦わしてそこまで持っていきたい、これはもう前々から考えているわけでございます。ただ、ここで私非常にえらそうに申し上げておるわけなのでありますが、やはり社会保障制度審議会その他、そういう学者の多いところへ参りますと、これはなかなか骨の折れる問題でございまして、ああいう方々は生涯をささげて社会保険をやっておられる人々でありますし、私どもは、わずか二、三年そのときどきに仕事としてやっているので、基礎的な素養が非常に違いますので、なかなかこれを論破することは骨が折れるわけであります。ただ、方向としては、前々から申し上げておるとおり、今国民年金について一番批判されている点が、所得再配分の機能がないということであるならば、これは何をおいてもいかにしてそれをつけるかということを考えるべきでありまして、技術的な問題云々ということは、学者諸公よりもむしろ事務屋のほうがよくわかっておるわけでありまして、事務屋のほうが多少苦しくてもそうしようというのであれば、技術的なことは障害にならぬ。そうしますと、将来の年金の姿というものをどういうふうに考えるかということが問題になるわけであります。ちょっと端折って申し上げたのですが、学者諸公がお考えになっているのは、国民年金というものを基本的な年金にして、厚生年金というもののフラット部分と国民年金というものを常に同じにしようという一つの考え方があるわけなのであります。その上に所得比例的なものを乗っけようと、できるならば将来どの年金制度もそういうふうにしようという一つの構想を持っておりますので、国民年金がフラットでなくて、それ自身が所得比例に直るというと、その構想が成り立たないという面から、国民年金は将来ともフラットであることがよろしいと、こういうふうに言っているわけなのであります。そこいらは今後十分論議を尽くしたいと思っております。
#95
○小柳勇君 他の委員の質問と重複してもいけませんので、一つだけ伺いますが、この保険が発足しました直後もこの委員会で質問したのですが、最近調べてみますと、やはり同じようなことをやっておるようですが、この拠出制年金の保険料の取り立てです。やはりいなかに参りますと、隣組長、部落長などが近所を回って取り立てておるということです。したがって、何ヵ月分か集めて自分で保管しておって、これを正規の手続は、みんなにかわって一人が代表して納めているというものを見ておるのですが、こういうような前近代的な手続について早急に直しませんと、集めた金の紛失とか、流用とか、いろいろ起こって参ると思いますが、この前も質問したのですが、今どのようなお考えか聞いておきたいと思います。
#96
○政府委員(小山進次郎君) この問題については、小柳先生仰せのような危険は十分あり得るわけであります。現在やっておりますのは、それぞれの市町村で一番実際にかなったと思われる方法をやってもらっておるわけであります。多くの場合、現在あります納税組合に乗っかって一緒に仕事をやってもらっているというところがだいぶあるのであります。そういうところのうちの一部に、先生がおあげになったようなところがあるのだと思います。この問題は、そういうふうに隣組長に義務を負わせてやるというふうになったのではいかぬわけなのでありまして、やはり納める者のお世話をそういう方がみんなの相談の上でなさるということであれば、私どもそれは一つの方法だと思っております。ただ、その場合には、おのずから相互の関係について十分な仕組みが確立しておらなくちゃいかぬわけでありますので、その点は個個の事例について、各市町村が十分間違いがないようにしてもらうように、今どういうやり方でやっているかというのを全国的に整理して調べている、こういう実情でございます。
#97
○小柳勇君 その方法について、厚生省の一つの具体的な案、やり方ですね、こういう基準だという基準があるかどうかということ、それから、現在のやり方を認めているとするならば、その中における損失補償的なものが考えられなければならぬと思うが、その点はどうか、三番目は、そのようなことを国にかわって代行される方に対する報酬などについてはいかように考えているか、三点について答弁を願います。
#98
○政府委員(小山進次郎君) 現在厚生省は、このやり方でやるようにといったような基準は示しておらないのであります。それは現在のやり方は、建前から申しますと、個々の被保険者が市町村当局の示したところまで来て、そうして切手をはって検認を受けると、これが基本になっているわけであります。ところが、これを型どおりにやっている市町村というのは、非常に少のうございます。わざわざ市町村までやってくるのは非常に手間がかかって困るということで、多くの場合、納税組合のあるところは納税組合で集める、あのやり方に乗って一緒にやるように、これはそれぞれの市町村のそういった被保険者が相互に申し合わせをしてやっているというようなやり方でやっているわけであります。したがって、そういうやり方でやる場合には、先生仰せのような間違いが起こらないように気をつけてやっていくということが特に必要でありまするので、その点を十分注意するようにしているわけであります。
 それから、そういうふうな仕事をやった場合の報酬の問題につきましては、私どものほうでは特に基準をきめておりません。市町村の事情に応じて、御承知のとおり、印紙の取扱いについて三%の手数料があるわけでありますが、この三尾の手数料を全額そういう人々に渡しているところもあり、そのうちの一部を渡しているところもあり、あるいは、非常に少ない例外でございますが、納税組合等につきまして五%程度報酬として渡しているということの関連から、市町村交付金のうちの一部をこれに加えまして、それに準ずるものを渡しているというようなところがあるようであります。
 それから、そういうふうな取扱いをしているときに何か金が紛失するようなことがあったらどうなるかというような問題でございますが、これは、実際に市町村にお金を持ってきてもらって、そこで検認をすることが済まない間は、いわば保険料として納められていないわけであります。したがって、それ以前に万一問違いがありまするならば、それは相互の間において調整をしてもらうということになるわけであります。それだけに、今のようなやり方をする場合に間違いを起こさないようにということを特に注意しているわけでございます。
#99
○小柳勇君 話を聞いていると、少し感覚のズレといいますか、頼母子講を扱うような印象を受けるわけです。簡易保険にしましても、郵政省のほうではちゃんと集金人が出ておって、それ相当の保管をしているが、この国民年金を厚生省が今なおそのような感覚で保険料の取扱いをやられるということについては、危険ではないかという気がいたします。したがって、早急に基準を定めて、現在の実績を早急にとってもらって、保険料が確実に徴収できて、安心してこれが国にまかせられるように、年間今年だけでも三百億の積み立てになるようでありますが、そういう金でありますから、被保険者が安心してまかせられるような仕組みにしていかなければならぬ。それから、未加入のところにその組の代表の人が加入の勧誘的なことをやっておられるようなことを聞きました。それから、苦情がある場合――社会党の委員がいろいろ質問したと思いまするが、そのような国民年金自体に対する不平不満、そういうものを、保険料を集めに行くと、その人にぶちまけてくる、そうして金を納めるのを非常に渋られるというような苦情も聞きました。そのようなことであっては、せっかく厚生省が考えている保険というようなものと違うのではない。私どもは国民年金に対して相当の改正意見を持っておりまするが、それはそれとして、発足した以上、もっと政府がやるという意欲的なものを手続の中でとらす必要があると考えますので、これ以上答弁は要りませんが、三たびこういう質問が出ませんように、早急に具体的な対策をお考え願いたいと思います。
#100
○坂本昭君 今ちょうど小柳委員から出ました年金の保険料の掛金の徴収の問題を、ちょっとお尋ねしたい。ただいままで徴収額がどの程度になっておられるか。それは予定の金額のどの程度であるか。ごく最近の数を示していただきたい。
#101
○政府委員(小山進次郎君) 今手元にありまする一番新しい資料は、九月末日現在の収納状況でございます。九月末日現在で、印紙を張ることによりまして納めましたものの総額が五十七億でございます。それから、前納として現金で納めましたものが六億八千九百万円でございます。したがって、両者を合わせまするというと、約六十四億程度が九月末で納められておるわけでございます。
#102
○藤原道子君 時間を急ぐようですから、一つだけ伺います。老齢年金のことですが、これは夫婦で受給を受けるとき減額給付になるのですね。これに対して、私はそれは無理だと思うのですが、減額を廃止して、やはり全領給付、夫婦そろって給付を受けられるというように改正はできないものですか。そういうお考えはございませんか。
#103
○政府委員(小山進次郎君) 結論から申し上げますと、現在では、厚生省としては、全く先生の仰せと同じに考えております。来年度から、これはぜひ今の減額措置をやめたい、こういう考えでございます。これは御承知のとおり、社会保障制度審議会が答申いたしましたときに、拠出、無拠出を通じて、その旨の答申が出て、私どもも一応それに乗っかってやったわけであります。ところが、実態を調べて見ますというと、夫婦でそろってもらっているというような老齢者の場合は、これは夫婦だけで生活しているときはもちろんでございますが、そうでなく家庭の中にある場合に、どうもそういう世帯のほうが、一人だけで家庭の中におったり、あるいは一人暮らしの生活をしている老人の場合よりも、傾向として気の毒な生活状態に属している場合が多いということが、実態調査の結果わかったのであります。そうしますと、常識的な感覚として夫婦がそろってもらうのだから少し減らしてもいいじゃないかということでやっておったことが、実は非常に酷なことをやっておったのだということがわかりましたので、明年度においてはそれをやめたい、こういうことで予算もそういうふうに要求して努力をする、こういうことにしておるわけでございます。
#104
○坂本昭君 ただいまの収納状態によると六十四億ということでございますが、年度末に国民年金の積立金は国庫の負担と合わせて一応三百億という目標を見ておられ、かつ厚生年金のほうの積立金は千四十億という目標を立てて予算を組んでおられましたが、この国民年金の積み立ての目標、これは大体達せられる見通しでございますか。
#105
○政府委員(小山進次郎君) この十月の末が第二回目の基準月になるわけでございますが、その基準月に全体の四五%程度を収納いたしたいという目標で今走っておるわけでございます。その後の状況、半月分ごとをとって検討しておるわけでありますが、まだ全国の趨勢はわかりませんけれども、十月の末では四五%にどうも四、五億足りないようであります。この分だけが後半に持ち越す。しかし、十一月から一月にかけて、これは出来秋の代金も入りますので、今の考えでは財政投融資の原資として見込んでおった保険料の二百億、国庫負担を合わせて三百億、これはいけるのではないか、ぜひともいきたいというふうに考えておるわけでございます。
#106
○坂本昭君 それで次に大臣に伺いたいのですが、今の年金の積立金の三百億、それから厚生年金のほうも、これは一千億を私はだいぶこすだろうと思うのですね。雇用労働者の数がふえてきていますから、これは予算よりふえるだろうと思いますが、この積立金の厚生年金、国民年金と別建てに特別勘定とする、こういうふうな方針を前の古井厚生大臣からもずっと出しておられましたが、この問題は例の郵政省の扱っている郵便年金、それから簡易生命保険の積立金、これらがいわゆる郵政省の自主管理運用というふうに昭和二十八年からか変わってきております。厚生大臣としてはこの厚生年金と国民年金の積立金の運用についてどういう見解を持っておられるか。また、これを運用する場合の審議会、運営委員会と申しますか、こういうものに対する代表者の扱い、こういうものにどういう御見解を持っておられるか。さらに現在は二五%を厚生省に大蔵省のほうから一応還元をしております。この二五%という問題、これは将来どういうふうに拡大していくおつもりであるか、さらに拡大していった将来に、これらの各種の年金の積立金、これは年金だけではないと思います。その他の基金――ファンドの問題も出てきますが、これは一括してどういうふうに扱っていかれるおつもりであるか。これは大臣としての一つ基本的なお考えをこの際承っておきたい。
#107
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民年金、あるいは厚生年金、こういうふうなものの積立金は、私といたしましてはまずもって被保険者の福祉増進のために重点を置いて使うべきである。かりに直接被保険者でないにいたしましても、少なくとも国民生活に密接なつながりのある方向においてこれらの積立金が活用せられる、こういう考え方、すなわち現在の厚生省のとっております考え方に従ってやって参りたいと思っておるわけでございます。その資金につきましても、資金の管理と申しますか、運用と申しますか、今申し上げましたような目的を達成するために、何らかの方途を考えなければならぬというのが昨年特別勘定を設定するという話となって出たわけであります。この特別勘定の問題につきましては、御承知のような経過で実現することができなかったのであります。大体今のやり方で一応の目的は達せられたということで落ちついておるわけでありますが、私はなおこの特別勘定については望みを捨てたわけではございません。したがいまして、今後大蔵省当局との問題についてこれを話し合いを進めて参りたい、かように考えておりますが、要はせっかく積み立てたものがなるべく一つ被保険者あるいは国民大衆のためになるような方向で活用せられるために、厚生省は積極的な意欲を持って努力しなければならぬと思うのであります。二五%の問題もございましたが、これらの問題も漸次私は拡大して参りたい、こういうつもりでおるわけでございます。
 また、資金の積立金の運用に関する審議会の問題でございますが、これもその運用の審議会の委員のメンバーの中にやはり国民生活、あるいはこの年金制度というふうなことに明るい人に入ってもらうということで、そのメンバーは新しく委嘱と申しますか、任命すると申しますか、そういうふうな措置をとって参っておりますので、今後の積立金運用の審議会については、われわれの考えておりますような考え方というものが十分反映されるのではなかろうかと、かように期待をいたしておるようなわけでございます。
#108
○坂本昭君 この年金の積立金、これはほかにも各種の社会保険にはいろいろと積立金というものができてくるのですが、特に今問題として出る国民年金あるいは厚生年金、この積立金の所有権、管理権はだれにあるというふうに大臣は思っておられますか、ひとつ大臣の御意見を聞かして下さい。法律論です。
#109
○国務大臣(灘尾弘吉君) まあ形式的なことを申し上げますれば、政府が管理しておるということになる、だろうと思うのであります。ただこれが実際の運用につきましては、厚生大臣も十分発言し、間違いのないようにすべき責任があると私は考えております。
#110
○政府委員(小山進次郎君) この問題は、この前の国会のときに坂本先生から宿題をいただいておった問題でございますが、その後研究をいたしましたのでございますけれども、少なくとも法律論なり本質論としては前回申し上げたとおり、やはりこれは所有権は政府にある、こういうことに変わりはないのであります。ただその一種の保険経済論といたしまして、この種のものは被保険者が構成している一つの団体を想定する場合、そういう団体に所有権があるのだというふうに考えられるのじゃないかという経済論があるわけでございます。そういった保険論があって、そういう保険論をこの場合にも適用する余地があるのじゃないかという問題があり得るわけでございます。この問題もいろいろ専門家と相談をして検討してみたわけなんでありますが、やはりどうもそう言い切るのは無理があるだろう。したがって、帰するところ、理論としては前回に申し上げたように一種の発言権があるという問題だ、こういうふうな結論になったわけであります。いずれいろいろ検討いたしました結果は文書にしておりますので、後ほどお届け申し上げたいと思います。
#111
○坂本昭君 非常に賢明なる小山局長もこれはなかなか答えにくいかもしれないと思うのですね。この問題の回答いかんによってはこれは政府はひっくり返ってしまいます。財政投融資の原資がなくなってしまい、えらいことが起こって今日の日本の政治というものはおそらくひっくり返ってしまいますから、これは小山局長さんもほんとうのところはこれは実はお役所さんに所有権があると言いたいのだろうけれども、なかなか言いにくいだろうと思う。しかし、これは大臣は、初めからあなたは、政府のこれは所有権に属し政府が管理するのがあたりまえだというように思っておられますが、これはとんでもないことであって、これはもう全部厚生年金の場合は労働者と企業主が一応半々で出しているとはいいながら、出してしまったあと、これを受け取る権利のあるものは労働者なんですね。一定の条件はあります。老齢になった場合、労災の場合には労務災害を受けた場合、失業保険の場合は失業になった場合という一定の条件はあるけれども、これは企業主が受け取ったりあるいは厚生大臣が受け取ったりするものではなくて、あくまで労働者が受け取るということですね。そういう点では私ははっきりした目途があり、また、そういう点では所有権もある意味では明らかではないが。これはむずかしいことを言うよりも、一つのこれは政治的な力関係になるかもしれませんが、この点は非常に大事なことであって、何も私はだから厚生大臣にいろいろな運営のことについてさわるなということを言うのじゃないのです。われわれとしては、第一段階として大蔵省から厚生省へ全部持ってきたいのです。そうして厚生省の考えで、厚生福祉のためにこれを貸しつけていくという、そういう態度をどうしても作っていきたい。ことにこのILO条約の中でも、こういうふうな社会保険の基金については、労働者の代表を入れなければならぬということはもう明示されていますし、後ほど小山さんからその集められた資料をいただきますが、そういう点も実は十分触れられてあると思うのです。そういう点で、私は厚生大臣としては、もっとひとつ自信を持って大蔵省からぶんどってもらいたいのですね。二五%くらいではとうてい私は納得しません。一〇〇%国民年金の積立金が厚生省にきたときには、私も現在の政府の国民年金法に協力をしたいと思っているのですが、それまではなかなか協力をしにくいということをひとつ申し上げておかなければならないのですね。それはきょう先ほど来、国保と年金の対象の人たちが非常に低所得の人たちである、したがって、所得再配分という面で考えてもらわなければならない、これらの人たちは低賃金であるというようなこともずっと触れてきましたが、さらにこういう積立金が、再配分の面で低所得層の人たちに配分されることが少ないという点、これはもう経済の問題で、今ここで厚生大臣とこのことだけを議論しておるわけにもいきませんが、財政投融資という政府から民間への資金援助の面についても、それからまた、先ほど貯金のことを申しましたね、この一般の貯金が大企業に対して振り向けられていく、率からいっても、あるいは減価償却という形で利潤が留保されるという点についても、いろいろの面で私はあまりに零細な人たちが踏んだりけったりされている。そこへ持ってきて、こうして強制的に集められてくるところの金額、これは積もり積もって将来幾らになるかということは、おととしから議論し尽くされてきましたから、金額は申しませんが、ただそういうものがまだわずかに二五%しか使われていないということ、これは私としては一番遺憾に思っていることなんです。ただこの中から、今回年金福祉事業団というものが一応発足してきたということで、この事業団がしからばこういう目的の線に沿ってほんとうに運営されているかということをこれから少しお尋ねをしていきたいと思うのでございます。
 そこで一番最初に、この今回の事業団は五十億の資金計画を持っていますが、その中で国民年金からくる分が十億であります。そしてこの金額は、先ほど局長が説明された目標約三百億の中から振り向けられていく計画ですが、もしこの収納が著しく悪かった場合、あるいは予定の費用に足りなかった場合に、この事業団に対する資金というもの、十億というものは減額をされたり、あるいは特別な措置を受ける、そういう可能性、そういうおそれはないかどうか、この点ひとつ事務当局から伺っておきたい。
#112
○政府委員(小山進次郎君) 私どもは現在立てておりまする見込みはそれほど狂うとは考えておらないわけでありまするので、今の先生の前提でお答えすると非常にお答えしにくいのでありますが、少なくともたかが十億程度のものについてこれをさらに削るとかなんとかいうことはあろうはずはないし、あっちゃならない、こういうことを考えているわけです。
#113
○坂本昭君 先ほど私はこの管理運営をする場合の審議会の代表について、これを掛金を払った人たちの代表を入れるべきであるということを申し上げたのに対して、大臣のほうはこういうことに詳しい人ということで格別に、つまり農民の代表、あるいは厚生年金の場合は労働者の代表ということになりますが、特に国民年金の場合は農民の代表あるいは零細企業主の代表ということになりますね、こういう人たちを民主的な運営のために審議会のメンバーにする、そういう考えは持っておられませんですか。
#114
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど大臣が申し上げましたのは、国の資金計画全体を審議する資金運用審議会のことを申し上げたのであります。七名の学識経験者からなっている中に、今回特に厚生年金の立場を十分に反映する人、国民年金の立場を十分に反映する人というので、それぞれ一名ずつを加えたわけであります。で、従来からそれ以外に年金の事情を承知いたしておる人々がおりますから、七名のうち純粋の意味での社会保障関係の方が三名、そのほか関係のあった人が一名――非常に高い比率になったわけであります。それから実際に貸付をいたします年金福祉事業団のほうにおきましては、これは運営上運営協議会というようなものを設けまして、それには先生仰せのような人々の代表にも参画していただいて、この事業団の運営がよくいくようにしようと、こういう考え方でいるわけでございます。
#115
○坂本昭君 しかし、運用部資金の運営審議会には、それはなるほど詳しい人であるけれども、その人は労働者の代表あるいは農民の代表という立場ではない。そういう立場で、いわば労働者の利益を代表する、農民の利益を代表する、そういう代表を送る、そういう考えはないんですか。
#116
○政府委員(小山進次郎君) 資金運用審議会に反映する立場というのは、先生がおっしゃった労働者の立場あるいは農民の立場、事業主の立場という考えよりも、むしろ資金を提供している立場と、こういうことになるわけであります。その意味において厚生年金の立場、あるいは国民年金の立場、こういうものを十分に反映をさせる、こういう考え方がとられているわけであります。で、全体の学識経験者については特に何々代表という考え方はとらないという建前で現在の資金運用審議会は構成されているわけでございます。
#117
○坂本昭君 これは大臣に伺いたいんですけれども、私が先ほど繰り返して申し上げたとおり、カイゼルのものはカイゼルに返せという言葉がありますね。労働者や農民が出したものは労働者や農民にこれを使う権利があり、まあそれを運営する義務がある。だからそういう点で、今局長はばく然と、厚生年金を代表するというけれども、何を代表するのかさっぱりわからない。実際はこれを出した多数の人たち、そうしてそれを将来受け取るべき労働者なり農民の代表が、これに参画するというのが私はほんとうに民主的な運営の基礎を作ると思うのですが、大臣はどう考えられますか。
#118
○国務大臣(灘尾弘吉君) それも一つのお考えだろうと思うわけでありますが、現在の資金運用審議会の建前と申しますか、これは先ほど年金局長がお答えいたしましたような建前できておるわけであります。今日私どもといたしましては、この建前を変更するかどうかということになりますと、これはよほど検討を要する問題だろうと思うのでございますが、さしあたって私はやはり厚生年金あるいは国民年金とかいうふうなものの立場を十分反映し得るだけの方がおられれば、あの審議会はあれでよろしいのじゃなかろうか、こういうふうな考え方をいたしておる次第でございます。
#119
○坂本昭君 これは非常に大事なことで、私は二つ考えているんです。それはこの年金というものは、あくまで福祉のためのものである。そしてその福祉行政を扱っているのは厚生省であるから、行政的には厚生行政の中で使われるようにすべきである。したがって、だから行政的な管理はこれは厚生省にひとつやってもらいたい。しかし、この金の基金のいわば所有権と管理権は、私は労働者と農民にあると考えているから、労働者と農民がそれに参画して、そうしていろいろこれは農民の場合、労働者の場合、中小企業の場合、それから使う場合にも住宅の場合、病院の場合、保育所と、いろいろあるわけですね。だからそういうことについて、行政的な知識は厚生省が提供し、そうしてそれについて、今回は、今住宅は労働者の住宅が非常に足りぬから労働者の住宅を建てていこう、そういうふうな意見が労働者から正しくこの審議会に反映されるように、労働者の代表を出すべきだ。私の考えはだからそういうふうな考えですから、反面においては厚生行政を私は支持している。しかし、全部これを大臣におまかせする、局長におまかせするというのではなくて、厚生省に全部おまかせするが、同時に今度は労働者の代表、農民の代表がいって、そうしてこの厚生行政の中のウイーク・ポイントを補うように使う。もちろんこれは貸付金ですから、いわゆる補助金ではありません。そういう点も、これは行政の衝に当たる人が十分知識を与え指導する必要もあろうと思います。が、私は今のような二段がまえで考えているので、これはある面ではどうも大臣と意見がかわって、しかしある面では大いに厚生省を私は支持しているつもりなんです。その点大臣将来どういうふうにお考えになっておられますか。厚生省へみんな持ってくるけれども、労働者や農民など、そんなものは要らない、局長で全部きめる。まさかそういう考えではなかろうと思うのですが……。
#120
○国務大臣(灘尾弘吉君) 被保険者の方々の御要望なり御意見なり、また、必要性ですね、重要といいますか、そういうふうな問題を、十分積立金の管理運用にあたって考えなければならぬことは、これは当然のことと思うのであります。決してそれを無視して、いわゆる独善的な考え方でもってやっておるのではないという御趣旨につきましては全く同感であります。ただお話しになりました資金運用部の審議会の構成というふうなことになりますと、やはり国の、何といいますか、資金の一元的運営という立場も考えなければならぬと思います。私はそれについての構成問題ということになりますと、なおひとつ研究さしていただかなければ、にわかに御返事をいたしかねるということでありますが、この資金を、厚生年金の立場からあるいは国民年金の立場から、御趣旨に沿うような方向において活用していくということについては、十分被保険者側の皆さんの御意見というものにつきましても尊重してやっていかなくちゃならぬ、こういう点においては全くお考えと変わりはないのであります。その点はひとつ御承知おき願いたいと思います。
#121
○坂本昭君 それで今度できた年金福祉事業団は、厚生年金の積立金から四十億、それから国民年金の積立金から十億で、五十億で運営していくことになります。そこでこの事業団の運営について、並びに厚生年金の還元融資の従来のいわゆる転貸形式、転貸しの形をしておったそのやり方、これは一体今後はどういうふうな方向に向けていくのか、事業団のほうで今度は直接貸付をしていくという一つの新しい形式が生まれているが、厚生年金の還元融資の中には従来と同じ――今度は百五十五億ですか、百五十五億の還元融資は従来の転貸形式をとる、それから厚生年金の還元融資のうち四十億は事業団を通じて直接貸付という形になっている。で、これは今後一体どういうふうな比例となっておりますか。比例というか形でいくか、今後の方針について御説明いただきたい。
#122
○説明員(山本浅太郎君) お答え申し上げます。
 従前いわゆる転貸制の形をとっておりましたやり方につきましては、おそらく先生のお気持の中にいろいろ不合理な点があるというお気持だろうと思います。現に地方におきまして相当実際の需要があるにもかかわらず、第一義的な償還責任を地方公共団体が持つというようなことで、県によりましては実際われわれとしてももっと受けてほしいというようなところに参らない、いわゆるくつを隔ててかゆきをかくというようなきらいが確かにあるわけでございます。したがいまして、今回事業団の発足を見ました後におきましては、少なくとも明年度以降、住宅につきまして、できるものならこの事業団で扱うようにしたい。それが一番的確に中小企業その他の需要者にいく方法ではないかというふうに考えておるのでございます。しかしながら、これはまた御推察のように、建設省との関係でいろいろ調整を要する点がございます。したがいまして、今後事業団ができました後、建設当局ともよく話し合いをいたしまして、できるならば今申しましたような希望が達せられるようにせっかく調整に努めたいと、かように考えております。
#123
○坂本昭君 そうしますと、大臣に伺っておきたいのですが、今回こうした事業団を通じて、今までよりももっと合理的なかつおそらくは被保険者に有利なような貸付ができるということは、私は従来よりは一歩前進だと思いますし、また、還元融資並びに特別融資のワクを、ことしこそ二五%でありましたが、まあ来年は大臣の努力によって五〇%になるかもしれない。そうするとこのワクがずっと広がってくるわけですね。その広がってきた場合に、事業団の活動について、これはまことに喜ばしいうれしい悲鳴も起こってくるかもしれない。したがって、それらについて来年度はどういう方針で進むつもりか。今の転貸制の形をよけいにするか、あるいはこの事業団のほうはことしの五十億でこれは十一月から発足をする、時間が非常に短いのですが、来年は何百億ぐらいにするつもりか、その辺の基本的な方針をひとつ説明していただきたい。
#124
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私といたしましては、この国会において事業団の法案が成立いたしますれば、すみやかに準備を整えまして活動に移したいと思うのであります。
 まあ事業団を作りました趣旨は先ほど来御承知のとおりであります。なるべく今までの不合理な点、あるいは非能率な点等も改めまして、直接必要な向きに対して融資ができるようにいたしたいという趣旨でございますので、これが出ればかなり、被保険者ないしいわゆる中小企業方面なんかには、相当お役に立つのではなかろうかと、こういう考え方をいたしているわけでございます。この全体のワクにつきまして私ども増額もはかりたいと思っておりますし、また、事業団に対する今度の五十億というのは将来はもっともっとふやして参りたいという考え方に立っておるわけでございますが、詳細な点につきましては、政府委員からお答えいたさせます。
#125
○政府委員(小山進次郎君) 先ほどお答え申し上げたことでございますが、もう一回筋を申しますというと、二五%の金はこれは全部還元をする、こういう考え方であります。還元の方法といたしまして、直接貸し付けることを必要とする対象の分は全部年金福祉事業団を通じて貸し付けをする、直接貸し付けをしないで地方公共団体が仕事をするというそれに貸し付けをする部分だけを従来どおり地方債として残す、こういう考え方なのであります。
 ところが、ことしそういう考え方をとりましても二つ問題があったわけであります。一つは、昨年度民間の団体等で仕事をやります場合に、一たん地方公共団体に貸し付けをいたしまして、そこから貸し付けてもらうと、こういう方法をとったもののうちに継続事業を持っておったのがあったわけであります。この分だけはことしも一応地方公共団体を通じて貸さざるを得ないというので、その分が、本来事業団に行くべきものが、ことしは地方債に若干残ったということが一つあったわけであります。
 それからもう一つは、先ほど保険局次長からお答え申し上げましたとおり、住宅の問題が、これは所管の関係ですっきりしないので、一応ことしはやむを得ず地方公共団体を通じて貸し付けるという変態的な方法をとったわけであります。
 明年度からこの二つの問題は同時に解決をする、こういう考えでございまして、今私どもが大蔵省と折衝を始めました案では、来年度厚生年金はおよそ百九十億程度事業団を通じて貸し付けをする、したがって、地方債分はずっと圧縮されて、ほぼこれと同額あるいはちょっとこれを上回る程度に、これと前後する程度にとどめて、考えとしてはなるべく将来資力を年金福祉事業団のほうへ置いておく、こういう考えであります。それから国民年金につきましては、ことし十億であったものを来年度二十億にふやす、残りは地方公共団体に貸し付ける。これは国民年金は対象の性質上、どうも直接貸しに適するものが比較的少なうございます。これも需要がありさえすれば年金福祉事業団にどんどん向けるつもりでありますが、さしあたりは市町村のほうに需要が多うございますのでそれに向ける。根本の考え方は、将来の方針としては、まず年金福祉事業団を通じて貸し付けるものを優先的に考えていって、こちらに需要がある限りはなるべくそちらに多く振り向けていく、こういうことで運用しようという、こういう方針を立っているわけでございます。
#126
○坂本昭君 そこで、融資についてのいろいろと条件が出ております。たとえば還元融資については保険料の納入成績といったものによって一つの条件を出している。あるいは住宅の建設費とそれから保険料総額との比率、こういったもので融資の条件を出しておられるようですが、何かこれは一つの基準というものを明確に作っておられるのでありますか。
#127
○説明員(山本浅太郎君) お答え申し上げます。
 従前の還元融資の思想は申すまでもございませんが、やはり本来こういう老齢年金等のためにたくわえておく金がこの金の本質でございます。しかしながら、そう長い先の希望だけでなく、現実勤労者の福祉に役立つことをまのあたり見てもらうということもこの厚生年金保険事業の運営を円滑にするゆえんであるというような見地から、還元融資の制度が設けられました。そういうことでございますので、これは単なる金貸しではなくて、やはり全体といたしましては厚生年金の運営が円滑にいくということが基本であることは申すまでもございません。したがいまして、非常に多く需要のございます中で、具体的にどういうところに現実貸すことにするかというような判定をいたします場合に、基本的には、たとえば、住宅でございますれば住宅事情が非常に逼迫して当該企業の勤労者の住宅が十分でないというような点に着目いたすわけでございますけれども、そうした厚生年金保険の運営とのからみでこういう制度が設けられておる趣旨にかんがみまして、やはりただいま御指摘のように、保険料の納入がいいものであるというものに着目せざるを得ないわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、ここずっと一つの基準をとっておりますが、保険料につきましては過去三年間において保険料の納入成績が良好のものというものを一つの基準にいたしておるわけでございます。これは具体的には過去三年間におきまして滞納がない、あるいは一カ月おくれぐらいはあるけれども、それ以外のものはないとか、県によって多少違いますけれども、私どもとしては県への大体の配分の均衡ということを考えますから、甲の県と乙の県の具体的な配分の際にぴしっとその基準どおりには参りませんが、基本的には保険料の納入成績、過去三年間を見て、それがよろしいところを一つの条件にいたしておるわけでございます。
 それから融資額でございますが、これもやはりそうした思想の流れをくみまして、保険料の年間の収納料の二十五倍を限度といたしております。これは償還期限との見合いでそういう基準を一つ設けた次第でございます。
#128
○坂本昭君 そこで、第十七条のこの「(業務の範囲)」、そこで、資金の貸付の対象が出て参りますが、「貸付けを受けることができる者」、この中に、資料の四十四ページには、一応三番目に「消費生活協同組合」というものが、ここには出ております。出ておりますが、十七条の中はこれは入っていない。これはただ、この代表だけ、「農業協同組合」これだけあげて、あとはもう政令としてまかせるのであって、その意味は農業協同組合それから漁業協同組合、消費生活協同組合、これは同等にあなたのほうではお取りになっておられるのかどうか、御説明いただきたい。
 それからなお、「政令で定めるもの」とありますが、この政令がもうすでにできているならばひとつ示していただきたい。
#129
○説明員(山本浅太郎君) 前段につきましては、先生のお考えのとおりでございます。単なる十七条は例示というふうにお取りいただきたいと思います。
 それから政令案でございますが、実は内々事務の間で検討いたしておりますが、前回事業団が通ると思っておりましたところ流れたようないきさつもありますので、まあ今回は通ってからひとつ本腰を入れてやろうということで、大体の成案は、心組みは持っておりますが、ただいま発表できるほど整理されたものとして用意いたしておりません。
#130
○坂本昭君 そうしますと、十七条の二号の八のところですね、このところに、「被保険者等である者で組織された」云々の八のところですね、八の中に労働組合を入れることは、これは政令の中かどこかで明確に示されるのでありますか。
#131
○説明員(山本浅太郎君) お答え申し上げます。労働組合につきましては、いろいろ問題があるように承知いたしておるのでございますが、この法案を国会に提出するまでのいろいろのいきさつにおきまして、直ちに貸付の対象に含めるのは適当でないというようなことで、現段階としては考慮いたしておりません。
#132
○坂本昭君 しかし、この「被保険者である者で組織された」法人、それが福祉を行なう場合に、その労働組合を対象からはずすということはこれは非常におかしいではないですか。これは大臣どういうふうにお考えになりますか。
#133
○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題につきましては、さきに通常国会に提出いたしまする際にいろいろ検討せられた問題のように伺っておるのでございます。その当時の考えといたしましては、労働組合について融資を認めるかどうかということについては、大体消極的な考え方が支配的であったように伺うのであります。まあ労働組合につきましては、私も詳細よく存じませんけれども、第一、法人格を持っておるものも少ないのじゃないか、こういうふうに思いますし、同時にまた、多くの労働組合がそういったふうな福祉施設をやっておられるところもきわめて少数じゃないか、かようにも考えられるわけでございますので、今直ちに労働組合に対して直接貸すことが適当であるかどうか、こういう問題については十分検討をする必要がある。かようなことで、従来消極的な態度でもっておるように私も承知するのであります。この問題については、私自身といたしましては、なおひとつよく実情等についても調査もいたしまして、検討をしてみたい一つでございます。今までのところはただいま政府委員から申し上げましたような態度で、前国会以来厚生省としては御答弁申し上げておるような状況でございます。
#134
○坂本昭君 どうも大臣は労働組合というものの目的を、何かいつでもストライキでもやるというようなことばかりに限定して、御理解がないようなんですね。これはとんでもない認識不足であって、たとえば社会主義の国のソビエトあたりで、保育所だとか、そういった福祉施設を運営しているのは、労働組合ですね。こういうことは、私は民主的な施設だと思います。何も労働組合が、現在そういうものが少ないということは事実かもしれませんが、しかし、われわれは、労働組合がそういう福祉事業を行ない、そしてまた、労働組合の労働者が拠出したところの金でありますから、その人たちが福祉のために使うという場合には、当然私は労働組合を対象として買し付けても私はちっとも不都合ないと思う。今労働組合に対して貸付の対象としない理由は、法人化されていないということですか。それとも労働組合が福祉事業をやっていないから、貸し付けた場合にほかの目的に使われる、そういう懸念があるから反対の気持を持っておられるのですか。
#135
○説明員(山本浅太郎君) お答えする前に、私の先ほどの答弁を補足しておきますが、先ほど大臣も仰せのように、労働組合を今直ちに対象ときめておるという段階ではございませんが、労働者の自主的な事業団体、これは融資の相手方として考えたい。たとえば社団法人等の法人格を持っておりまして、債務の償還能力も十分あるといったようなものがございます。こういうものにつきましてはもちろん対象としていく考えでございますが、労働組合につきましては、これは数字はあまり的確には承知しておらないのでございますけれども、先生の御指摘のように、現在の労働組合におきまして福祉施設というものを直接設置経営している組合は非常に少ない。これは労働省から聞きました結果でございまするが、また、法人格につきましても先生の御指摘のように、きわめて全体の総数におきましては、法人格を持ったものが少ない。それで私どもといたしましては、せっかくそういう勤労者の方々の御要望もございますので、自主的な法人格を持った、償還能力も的確にある、こういったものを努めて融資の対象に選ぶことによりまして、勤労者諸君の御要望にも可及的にこたえていきたい。こういう考えでございます。
#136
○坂本昭君 それではつまり貸付の対象として責任がとれる、また、償還能力を持ち得る状態になるならば、貸し付けて労働者の福祉を促進するためにこの事業団の事業をどんどんやっていくつもりはある、そういうふうに理解してよろしいのですか。
#137
○説明員(山本浅太郎君) まあ労働組合という面でなくて、実態的にそのようなただいま申し上げましたような形及び内容の整ったものには十分考慮していきたい、こういうふうに考えております。
#138
○小柳勇君 関連して。労働組合がたとえば託児所とかそういうものを施設しておって、これは法人格の取れる資格もありましょうが、そういうものが法人格があれば、そろえばこの法律に適用されますか。
#139
○説明員(山本浅太郎君) 先ほど申し上げましたように、やはり労働組合ということになりますと、他の労働組合一般との均衡が出ることは必定だと思います。したがいまして、労働組合という面をとらえるのでなくして、他の勤労者の自主的な集まりである法人格を持った、また、償還能力もある団体に努めて回したいということで考慮していきたい、こういうことでございます。
#140
○小柳勇君 そうすると、この八ページの、これは要項の第四の一のロの(4)ですが、算用数字の(4)のところに「前三者以外の被保険者等の福祉の増進に必要な業務を行なう法人で政令で定めるもの」とありますが、そのところの説明では、公益法人、社会福祉法人及びその他の法人でという御説明がございましたが、そうしますと、公益法人、社会福祉法人だけでなくて、その他の法人でもこれに類するようなものであれば厚生大臣が政令で定めればこれに貸し付けができる、こういうことですか。
#141
○説明員(山本浅太郎君) 先ほど申しましたように、法人格を持っているということは償還の点から見ましても絶対不可欠の要素でございます。具体的にどういうものを政令に織り込みますか、これは社会保険審議会の厚生年金部会等でもよく相談することになっておりますので、具体的な点はその段階で考えていきたいと考えております。
#142
○小柳勇君 さっきの坂本委員の質問にも関連するのですが、業務方法書は厚生省が政令で定めると書いてございますね、これに。それからこの法律が通りますと、公布の日から実施なんですね。そうしますと、私はあとで坂本委員の質問が終わったら細部について質問するつもりだったのですが、役員の問題も、業務方法書の問題も相当腹案が厚生省にもうあらなければ、これがこの法案が今度の国会を通りましてもすぐ実施にならないと思いますが、いま少し厚生省がこの政令で定めるというところの腹案を御説明されませんと、ただいまのような問題が解明されないのですから、もう少し説明して下さい。
#143
○説明員(山本浅太郎君) 先ほど申し上げましたように、最終的な整理をしたものでございませんが、せっかくお申しつけでございますので、ごくラフなものでございますが、まず事業団の施行令という政令が出るわけでございますが、これには、これは例文でございますが、まず登記事項というのが出ます。それから第二には事務所の移転の登記等のこと。第三にはそうした登記を変更する場合の措置。それからどこへ登記するかという登記の管轄を記す事項、あるいは登記の手続を書いたもの、あるいは登記の期間を定めるもの、こういうものが例文としてまず出ます。これは問題ないところでございます。次に貸付の対象を具体的にどうきめるかという貸付対象の施設を書く必要があるわけでございますが、これは現在のところ考えておりますのは、老人福祉施設、二番目が療養施設、それから三番目が休養施設――休むというリクリエーションの休養でございます。それから四番目に体育施設、五番目に教養文化施設、それから六番目に共同給食施設、まあこの辺までは問題なかろうと思うのでございますが、その他いろいろこの厚生年金及び国民年金それぞれその土地の事情に応じましたバラエティのあるその地方の実情に合致したもろもろの施設を考える必要があると思います。これを一々政令で書き上げますことはとうていできませんので、抽象的に被保険者の「福祉の増進を主たる目的とすると認められる施設で厚生大臣が指定するもの」といった、最後はどうしてもそういうその他といった書き方にならざるを得ないと思います。それが貸付対象でございます。
 次には貸付を受けることができる法人はどういうものであるかという内容があるわけでございますが、これは大体要項に書いてあるような線に沿いましていろいろの組合等の名前を拾わなければいかぬのでございますが、事業協同組合以下大体この要綱に合っておりますようなものをもろもろ集めたいと考えております。以上がこの事業団の政令の内容になるのではないかと考えております。先ほど申しましたように、社会保険審議会にもこれはお諮りするようになっております。
 それから次に、ただいまお尋ねの業務方法書でございますが、これも大体国民金融公庫等、こうした種類の業務方法書の例文を今見習っているところでございます。第一には、一般的な例文のような総則。第二は、貸付の区分。それから貸付対象。それから貸付資金をどういうふうに使うかという使途。それから利率、これは年六分五厘を予定しておりますが、それから償還の期限。これは二十五年以内、あるいは軽微な設備品の購入資金については、十年以内といったような償還期限。それから据置期間、これは五年以内を予定いたしておりますが、そうした償還期限。それから償還の方法、これは一時払い、あるいは分割払いというようなことでございます。それから担保は原則といたしまして取る。不動産、動産その他の資産をもって担保に充てたい。それから、この担保を徴しますことが著しく困難である、あるいは不適当であるといったようなときには、これを徴しないこともある。それから保証人に保証人は原則として立てていただくということ。それから業務委託の基準でございますが、これは厚生大臣が認可いたしました金融機関に対しまして業務の一部を委託するといった、これはどの機関にもございます例文のようなものでございます。そういうことを何するわけでございますが、ただいま御指摘のように、この法案が通りますというと、理事長たるべき者及び監事を厚生大臣が指名いたします。それから別に設立委員の発令がございまして、それらの人々がただいま申しましたような内容のことにつきまして登記までの手続をいたします。登記を済ませましたあと、理事長たるべき者が正式に理事長になり、他の理事が任命され、そこで業務方法書がその事業団の責任者において検討されまして、厚生大臣の認可を得て、具体的に発足する、かようになると存じております。
#144
○坂本昭君 今幾つか貸付対象施設が出ていましたが、この中でちょっと問題になる点があるのですが、結核のコロニー、こういうものは対象になるのかどうか。それから保育施設というのが資料にはあがっていますが、保育施設というのは、これは保育所とは違うでしょう。この二点をちょっと説明して下さい。
#145
○説明員(山本浅太郎君) 結核コロニーにつきましては、先ほど申しました一般的な償還能力が十分期待されるというようなことの条件に該当いたしますれば、当然考えていい対象と考えております。それから保育施設につきましても、保育所ではございませんで、その他の保育の施設、俗にお考えいただいてけっこうです。
#146
○坂本昭君 そうしますと、保育施設ということは社会事業振興会と、なんと言いますか、競争するというような、そういう対象ではないと思いますが、もう一つ療養施設について――病院でありますが、これを見ていきますと、病院については十七億の予算が出ていますが、これと医療金融公庫との今後の関係はどういうふうになっていくか。社会事業振興会とそれから医療公庫との関係について御説明願いたい。
#147
○説明員(山本浅太郎君) 先ほどの答弁、訂正いたしますが、保育所は含みます。訂正いたします。
 それから社会事業振興法との関係でございますが、御承知のように、この事業団で扱うものは相当の、なんと言いますか、利子を取るわけでございますので、やはり振興会でやります以上の低利でやらなければやれないといったようなものは、当然そちらのほうでまかなってもらわざるを得ないという結果になると存じております。
 それから医療金融公庫との関係でございますが、これは御承知のように、医療金融公庫は、私的医療機関に対します貸付でございますので、それ以外の医療金融公庫で見てもらえない分野の医療施設につきましてこちらのほうで見る、こういうふうに考えております。
#148
○相馬助治君 今、坂本委員が質問していることに関連して貸付を受けるもの――受けることができるものという規定の適用について一点伺いたいと思いますが、中小企業団体法並びに環境衛生法で規定されている同業組合は、貸付の対象になるかどうか。私はなり得ると思いますが、なるとすれば、その同業者がたとえば理髪業なら理髪業というものが、リクリエーションを目的とした宿泊所を作ろうとすれば、貸付の対象の業種に入るかどうか。
#149
○説明員(山本浅太郎君) ただいま御指摘の環境衛生同業組合あるいはその連合会が、ただいまお示しのような趣旨にかなった施設を考えるならという場合には、われわれとしては対象に入れたい――入れるものと考えております。
#150
○相馬助治君 私は具体的に言うたのですが、リクリエーションを目的とした宿泊設備はどうなるのか。
#151
○説明員(山本浅太郎君) 対象として該当するものと考えております。
#152
○坂本昭君 次に住宅の問題ですね、住宅は厚生年金の還元融資で今年から新しく労住協とかいろいろなものが事業主体として認められてきましたが、この事業団では住宅の扱いを将来どうするか、つまりこの十七条の二のところの福祉を増進するために必要な施設の中に住宅ということをこれは入れるおつもりでしょうか、入れないおつもりか。
#153
○説明員(山本浅太郎君) 本来は正直に申しまして法律に入れなかったのでございますが、先ほど来お話し申し上げましたように、この計画ができましたときは本年――年度終わりでございまして、十分建設省と思想統一ができなかったわけでございます。したがいまして、当時としては入れておらないわけでありますが、将来の方向といいますか、それにつきましては年金局長が先ほど答弁したとおりでございまして、そのような方向で将来善処していきたい。ただ政令の中に共同宿泊所といったような程度のことぐらいは入れたいと考えておりますが、この辺につきましても、今後建設省と若干の調整を要します施設でございますので、でき得ればそのように政令で書きたいという希望だけを申し上げます。
#154
○相馬助治君 私がさっき言ったのは、環境衛生法によって規定されている連合会がやる共同宿泊所のことを聞いたのです。坂本委員の質問に対してはだめだと言うが、私のさっきの質問についてはよろしいというのはどういうわけですか。
#155
○説明員(山本浅太郎君) 実体的には、そうして先生の御指摘のあれは入れるという方向でございますが、それを法律または政令で表現します場合は、建設省との法制上の何といいますか、トラブルが正面に出ないような施設という読み方で、そういうものも実際に扱うということを申しておるわけでございまして、実態につきまして先ほどお答え申しましたとおり、私、は変えるということを申しておるわけではございません。
#156
○坂本昭君 住宅問題は非常にむずかしい問題でして、とにかく建設省がりっぱな住宅は住宅公団や何かで作りますけれども、、ほんとうの労働者の住宅を作らないで、これは日本の今一番大きな問題なんです。これをどこでやるかということについて、これはまたあしたでもこの問題だけゆっくりひとつ検討してみたいと思います。
 そこでただ一つ、先ほども業務委託基準の中に委託金融機関というのがありますが、この中に労働金庫は入れますか。政令の中でも文書をもって入れることにされますかどうか。
#157
○説明員(山本浅太郎君) なるべく系統金融機関と申しますか、そういうものは活用するのが、この場合適当と存じております。ただいまの御指摘の点につきましては、入れる方向で考えたいと思います。
#158
○坂本昭君 それからこの今度の事業団のこれは非常に大事な問題ですが、事業と金融とを今度は目的として一緒にしておりますが、これは社会保障制度審議会でも、いわゆる分離せよというような意見を受けておりますが、将来どういう御方針ですか。
#159
○政府委員(小山進次郎君) これは社会保障制度審議会にもそういう御意見がありましたし、それから国民年金審議会にもあったわけでございます。やはり将来の方向としては、金融は金融、事業は事業というふうにそれぞれ発展をさしていきたい、こういう考えでございますが、ここ一、二年の間は、とにかくこれで動き出して、固めてからそういう発展を考えたい、こういうことでございます。
#160
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて、
  〔速記中止〕
#161
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。
 それでは午後八時に再開することにいたしまして、これをもって休憩いたします。
   午後七時四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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