1961/09/25 第39回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第039回国会 本会議 第1号
#1
第039回国会 本会議 第1号昭和三十六年九月二十五日(月曜日)
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議事日程 第一号
昭和三十六年九月二十五日
午前十時開議
第一 議席の指定
第二 議院運営委員長の選挙
第三 会期の件
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○本日の会議に付した案件
日程第一 議席の指定
日程第二 議院運営委員長の選挙
日程第三 会期の件
永年在職の議員船田中君に対し、院議をもつて
功労を表彰することとし、表彰文は議長に一
任するの件(議長発議)
佐伯宗義君の故議員三鍋義三君に対する追悼演
説
議員請暇の件
午後二時五十四分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) 諸君、第三十九は本日をもって召集せられました。これより会議を開きます。
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日程第一 議席の指定
#3
○議長(清瀬一郎君) 衆議院規則第十四条によりまして、諸君の議席は、議長において、ただいま御着席の通りに指定いたします。――――◇―――――
日程第二 議院運営委員長の選挙
#4
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、議院運営委員長の選挙を行ないます。#5
○田邉國男君 議院運営委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。#6
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。議長は、議院運営委員長に福田一君を指名いたします。(拍手)
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日程第三 会期の件
#8
○議長(清瀬一郎君) 日程第三、会期の件につきお諮りいたします。今回の臨時会の会期は、召集日から十月三十一日まで三十七日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間とするに決しました。――――◇―――――
永年在職の議員船田中君に対し、院議をもつて功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
#10
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。本院議員として在職二十五年に達せられました船田中君に対して、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。ここに議長の手元において起草いたしました文案があります。これを朗読いたします。
議員船田中君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた。
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する。
〔拍手〕
この贈呈方は、議長において取り計らいます。
この際、船田中君から発言を求められております。これを許します。船田中君。
〔船田中君登壇〕
#12
○船田中君 つつしんでごあいさつを申し上げます。私が満二十五年の間、本院議員に在職いたしましたことに対し、ただいま院議をもって御丁重な表彰の御決議をいただきましたことは、私にとりましてまことに身に余る光栄であります。感激これに過ぎるものはありません。
私が初めて本院の議席を汚しましたのは昭和五年でありまして、わが国内外の情勢ようやく多事ならんとするときでありました。その後三十年余の変転きわまりなき多難の時期に当たり、わが国会も幾たびか激しい試練を経たのでありますが、幸いに、それらを克服して今日に至りました。しかのみならず、敗戦のとうとい犠牲によってかち得た民主政治は、いよいよ国民の身について、将来の発展が期待されるに至ったのであります。その間に処して、私は議会人として終始微力をささげて参ったのでありますが、誇るに足る何ものもないのであります。
しかるに、わが国は、戦後の復興著しく、史上まれに見る経済成長を来たすとともに、独立後追放解除となり、私もまた、昭和二十七年以来再び本院に議席を汚すこととなりまして、今日の光栄ある日を迎えることができたのであります。これ、全く先輩並びに同僚諸賢の御懇篤なる御指導と御鞭撻のたまものでありまして、衷心より感謝を申し上げる次第であります。(拍手)
戦後すでに十六年を経ておるにかかわらず、わが国現下内外の情勢は、必ずしも無事平穏ではありません。私は、ここにいよいよ決意を新たにし、諸君の驥尾に付して、民主政治確立のために一そうの努力をいたしたいと存じます。諸君の相変わらぬ御支援を切にお願い申し上げます。
ここに重ねて感謝を申し上げ、ごあいさつといたします。(拍手)
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#13
○議長(清瀬一郎君) 御報告いたすことがございます。議員三鍋義三君は去る八月十四日逝去せられたのでございます。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
同君に対しての弔詞は、議長において、去る八月十九日贈呈いたしました。よって、これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は議員正五位勲三等三鍋義三君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をさきげます。
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佐伯宗義君の故議員三鍋義三君に対する追悼演説
#14
○議長(清瀬一郎君) この際、弔意を表するために、佐伯宗義君から発言を求められております。よって、これを許します。佐伯宗義君。〔佐伯宗義君登壇〕
#15
○佐伯宗義君 ただいま議長から御指名を受けました通り、私は、諸君の御同意を得て、去る八月十四日逝去されました故衆議院議員正五位勲三等三鍋義三君に対し、議員一同を代表して、君が民主憲法を守り、世界の平和と国民の幸福をもたらさんがため、一身を国事に尽くされたことに対し、つつしんで哀悼の意を表するものであります。(拍手)三鍋君とは同郷であるとはいえ、政治上の立場を異にしていた私が、数多くの先輩、同志の間から選ばれ、今この議場において君に対する追悼の辞を述べますことは、まことに感慨無量、痛惜の念にたえぬものがあります。
君は、明治三十一年富山市に生まれ、富山中学を経て京都武道専門学校に学び、卒業後も引き続き同校研究科に在籍され、大正十年四月富山県立神通中学校に赴任以来、昭和二十七年呉羽中学校長を辞任されるまで、実に三十有余年子弟の薫陶に専念されたのであります。この間、教育界において、はたまた、スポーツ界において大なる社会的貢献をなされたことは、県民のひとしく認むるところであります。
君が専攻されたスポーツは、そのフェア・プレーを媒介として、人類の交流、友愛を導き、しかも、教育は人間創造の母体を形成するものでありまするから、君の生涯は世界平和への大事業に献身されたものといわなければなりません。
このような君の偉大なる功績は、君の薫陶を受けた青年が今日すでに社会の原動力となっており、君が一たび政界に立つや四回連続当選の栄を得られたことを見ても、君の三十有余年の功績が万乗の花と咲き誇っているのでありまして、君の偉業は君の子弟の相継ぐところとなり、君の社会人としての天職はすでに全うせられて、遺憾なしというべきでありましょう。(拍手)
しかるに、君は戦後におけるわが国の国情のただならざることを憂え、君の長きにわたる経験と残る半生のことごとくを国事にささぐるの決意を持って、衆望にこたえられ政界に身を投ぜられたのでありますが、このときすでに君は今日あるを深く胸に刻んで社会的苦悩と戦われた心情を思うとき、まことに尊敬の念のわき出るのを禁じ得ない次第であります。
私が君と相知るに至ったのは、君が政界に立たれた後でありますが、君の思想とは古くから交流して、最も接近していたのであります。私が民主憲法第一回の国会に出て参りましたときは、君の同志である矢後君とくつわを並べて当選したものでありまして、国民のすべての思想が国政に参与する民主憲法の尊厳を喜んだ次第であります。しかるに、次の総選挙において矢後君が落選せられたため、地域の総意を反映しない、国民の思想を封鎖した政治のおそるべきことを痛感いたした次第であります。このときにあたり、君がみごと当選の栄冠をかち得られましたことは、私としましては、旧友に再会したように感じ、民主政治のため喜びにたえなかったのであります。ここにおいて、来たるべき総選挙には君の同志が県民の信託を受け、再び君の空席を埋めて君の思想を生かし、もって立憲政治の実をあぐることを期待してやまないものであります。(拍手)
君に対し最も尊敬する点は、金力にこびず、権力に屈せず、しかも、政治のすべては権力の座につくことにありとするあこがれを捨てて、あすへの国民の幸福のため全力を打ち込まれたことであります。(拍手)
君が国家を憂え、常に信念としておられましたことは、古来、わが国の経済政策は、生産に厚く生活に薄い政治体制をとれる結果、不公正な輸出方式によって世界平和を撹乱した歴史的事実を指摘しておられたことであります。君のこのような卓見は、わが国の産業構造が二十世紀的な規模を有するに反し、道路、河川等の生活環境の動脈骨格が十八世紀的な封建の残滓である現実をもってしては、世界の資源を尊重するとは言い得ません。世界の資源の尊重なくして、世界資源の公正なる配分を要求する基本権はあり得ないのであります。
さらに、君は、わが国の民主憲法は、自然につちかわれた国民常識とその慣習によって空文化されつつあり、このままでは、再びわが国をして破局に導いた旧轍を踏ませるおそれがあると憂えてやまなかったのであります。(拍手)これまた、民主憲法の原則とする国家権力とは対等であるべき地方自治が、その本旨を忘れ、封建時代さながらの江戸屋敷を築いて、権力崇拝の陳情政治に明け暮れている現実を顧みても、君と憂いをひとしくせざるを得ないのであります。(拍手)このことは、長きにわたる伝統的な風習が旧態依然として、生活基盤に不均衡な経済成長政策となり、これは世界が相互に共通の利益を尊重する、平和を理想とした高原景気に逆行している所産であることに、深い反省を加えねばならないと思うのであります。
特に君が憂えられていたことは、わが国の立憲政治は、二大政党のもとに両極相打つ形態をとっていることでありまして、その原因は、多数の量が少数の質にまさるものであるとする古い制度にあるとし、質を解せない絶対多数に対しては、集団的な自然現象によって対処せざるを得ないことの悲しみを切々と訴え、最後までこの病根の解消に粉骨砕身しておられたのであります。君の死を早からしめた一因はここにあると考えまするとき、われわれといたしましては、その責めの一端をになうべき深い苦悩を感ずるものでありまして、政見を異にするとはいえ、神聖なる国民の議場を常に乱舞の場としたその責任は、数に比例してになうべきものであって、多数を有するものがみずからを正さずして他を責むることのできないことは、三鍋君の言われる通りで、この千古の金言を銘記し、日本政治の指針たらしむることが、君の霊に対する供養かと存ずる次第であります。(拍手)
君の病あらたまると聞いた私が君の病床を見舞いましたときは、君がすでに、天命を知り、永遠の眠りにつかれた二日前のことでありました。御令室と一粒種の御令嬢の手厚い看護に守られていた君の姿が、今もなお私のまぶたにまざまざと残っているのであります。最愛の人たちに見守られて自己の思想に殉じられた君は、人間としての天命を全与せられ、まさに、死してなお生けるものといわなければなりません。しかも、今ここに、全国民を代表する同憂の諸君が、えりを正して、国権の最高権威の殿堂から君への哀悼の意を表することは、政治家としての君の本懐またこれにまさるものはありますまい。君、もって瞑せられんことを。
ここに、つつしんで哀悼の意を表する次第であります。(拍手)
――――◇―――――
議員請暇の件
#16
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。議員倉石忠雄君から、英国の政治経済事情調査のため、九月二十七日から十月十日まで十四日間請暇の申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。――――◇―――――
#18
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。午後三時十四分散会