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1961/09/28 第39回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第039回国会 本会議 第3号
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1961/09/28 第39回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第039回国会 本会議 第3号

#1
第039回国会 本会議 第3号
昭和三十六年九月二十八日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  昭和三十六年九月二十八日
   午後一時開議
 一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 池田内閣総理大臣の施政方針に関する演説
 小坂外務大臣の外交に関する演説
 水田大蔵大臣の財政に関する演説
 議員請暇の件
    ―――――――――――――
   午後一時七分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#3
○議長(清瀬一郎君) 内閣総理大臣から施政方針に関する演説、また、外務大臣から外交に関する演説、大蔵大臣から財政に関する演説のために発言を求められております。順次これを許すことにいたします。内閣総理大臣池田勇人君。
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#4
○国務大臣(池田勇人君) 第三十九回国会に臨み、補正予算を初め当面処理すべき案件の御審議を求めるにあたり、私は、先般の梅雨前線豪雨並びに今次の第二室戸台風により、不幸にして罹災せられた方々に対し、深甚な哀悼と同情の意を表したいと思います。(拍手)政府といたしましては、災害対策事業につき二百七十億円に上る補正予算の編成を初め、各般の特別立法措置を講ずるとともに、災害対策基本法案その他恒久対策の確立に万全を期する所存であります。罹災者におかれましても、この打撃に屈することなく、力強く復興に立ち上がられまするよう心からお祈りいたします。(拍手)
 この機会に、私は、最も国民の関心と注目を引いておる外交と経済に関する当面の問題につき、政府の基本方針を申し述べ、国民各位の批判と協力をお願いいたしたいと存じます。
 現下の国際情勢を見るに、ベルリン問題をめぐる東西の確執に加えて、事態は、ソ連の核実験再開とこれに続く米国のそれへと発展し、国際緊張は、一そう激化の様相を示しております。しかも、これを有効に制止する方途が、容易に見当たらない状況にあることも、御承知の通りであります。また、内にあっては、経済が、われわれの予想以上の成長を遂げつつある反面、国民の精神生活の面は、各層各界に健全な方向への自覚と努力が芽ばえつつありますものの、今なお戦後の混迷を十分脱却し得ない状況にあります。
 かかる内外の情勢に対処して、わが国がよく平和と安全を維持し、国民生活の物心両面にわたる充実をはかりつつ、世界平和の確立に積極的役割を果たすためには、内政外交を通じ、決意を新たにして臨まなければならないと存じます。私は、ここに思いをいたして、政府と与党との陣容を一新し、内外にわたる難局打開に当たることといたしました。同時に、私は、野党各派並びに国民各位の良識に期待しつつ、相協力して国会の正常な運営に努力を傾けるとともに、行政の清潔かつ能率的な執行を通じて、国民諸君の期待にこたえなければならないと決意いたしております。(拍手)
 私は、ちょうど十年前の昭和二十六年九月、サンフランシスコ講和会議に、全権団の一人として参加するの光栄をにないました。そのとき調印された対日平和条約は、その理念において、その寛大さにおいて、当時の国際環境のもとで望み得る最上のものでありました。その後わが国は、よく平和を確保し、友邦との間に経済と文化の活発なる交流を営み、国民経済と国民生活は目ざましい発展と向上を遂げる
 ことができました。もとより、これは、善意で勤勉な多くの国民の営々たる努力のたまものでありますが、他面、われわれの選んだ外交路線が正しかったことを立証するものであると考えます。(拍手)
 最近、ソ連は、核実験を再開いたしましたが、これは、平素ソ連が宣伝するいわゆる平和共存政策と矛盾するのみならず、全世界の平和を愛好する諸国民の失望と怒りを招いたものであります。ソ連の実験再開により、米国もついにその再開を決意するに至ったことは、これまた遺憾しごくのことであります。わが国としては、ソ連に深甚な反省を求めるとともに、米国に対してもその自制を強く要請するものであります。(拍手)同時に、私は、米ソ両国を初めとする核保有諸国が、世界の世論に従って、すみやかに核実験停止協定を締結するよう、重ねて強く要求するものであります。(拍手)なお、今回、列国議会同盟会議において、わが方の核実験禁止決議案が圧倒的多数をもって可決されたことは、われわれの勇気を鼓舞するに足るもので侮ります。もとより、国連においても、この目的達成のために、さらに精力的に努力する所存であります。
 ベルリン情勢は、依然不気味な混迷状態をたどっておりますが、米ソともに交渉開始の契機を探索し始めております。私は、いわゆる話し合いにより、本問題解決の糸口が見出されることを心から希望しております。
 中国代表権問題は、昨年第十五回国連総会以来、わが国のみならず、世界の関心と注目を引くに至りました。われわれとしても、本問題は、その性質上世界的規模を持つ重要な問題としてこれを取り上げ、あらゆる角度から検討を加えて参りました。特にわが国の立場からは、本問題に関連して、中国大陸の国民に親近感を感じつつも、すでにわが国と平和条約を結んで友好関係にある中華民国の将来に、至大の関心を持たざるを得ないのであります。従って、この重要案件が国連において十分討議され、世界世論の納得のいく公正な解決を期するため、わが国としてもさらに努力を傾ける所存であります。(拍手)
 韓国の政治経済の安定と日韓関係の改善は、わが国にとって重大な関係を持つものであることは申すまでもありません。私は、大局的見地から、誠意をもって韓国との間に懸案打開の方途を講じ、国交の正常化を通じて、日韓の間における経済と文化の交流が活発に行なわれ、相互の繁栄が確保されることを強く期待するものであります。
 私は、去る六月、米加両国政府の招請に応じて両国を訪問し、ケネディ米国大統領、ディーフェンベーカー・カナダ首相を初めとする両国政府首脳と、わが国と両国間の問題にとどまらず、広く世界の情勢につき検討を加える機会を持つことができました。また、世界の平和と繁栄を達成するために、それぞれの果たすべき役割と高度の協力関係につき、有益な意見の交換を行ないました。私は、この会談を通じ、世界政治におけるわが国の地位と責任が、まことに重大であることをあらためて痛感いたしたのであります。
 私は、また、来たる十一月中旬より、インド、パキスタン、ビルマ及びタイの諸国を訪問する予定であります。私は、この機会に、これら諸国の首脳者と、アジア諸国共通の問題につき、忌憚のない意見交換を行なうとともに、これら諸国との一そうの友好関係の増進をはかりたいと考えている次第であります。(拍手)
 わが国は、今や世界平和の確立について、重い責任をになうに至りました。われわれは、自由国家群の一員であるとともに、いわゆるAA諸国の一員でもあります。われわれは、この立場に立って、わが因みずからの存立の基礎を固めるとともに、進んで、いかにすれば世界平和の達成に建設的に貢献できるかという、より高次の理念を堅持しつつ、あらゆる国際問題に対処していく所存であります。世界各国も、また、わが国の役割に大きい期待を寄せております。私は、わが国の立場と責任に対する国民的自覚を期待しつつ、冷静に国際政治に対処し、わが国の安全と繁栄を守り抜いて参りたいと存じます。(拍手)
 わが国の経済は、昭和三十三年以来、引き続き旺盛な拡大を続けて、本年度の国民総生産は十六兆数千億円に達する見込みであります。これは、昨年度の実績に対し、実質約一O%、所得倍増計画に予定した昨年度のそれに比し、実質約一七%余りの成長に当たり、経済拡大の速度は、われわれの予想をはるかに上回っておるのであります。このことは、わが国民のたくましい成長力を物語るものであり、わが国の産業構造と就業構造が、非常な勢いで高度化しつつあることを示すものであります。これによりすべての国民に、より高い生活を可能にし、その能力を十分に発揮し得る機会と条件が形成され、わが国経済の国際的競争力が強化されるのであります。私は、われわれがとっている成長政策の根本は、その意味において、正しい方向を指向し、時代の要請にこたえるものであることをかたく信じておるのであります。(拍手)
 本来、経済の成長は、当然に経済諸要因に変動をもたらすことはいなめないことでありますが、近来の成長率が予想以上に著しいものであるため、輸送、通信、金融、労働力、特に技術者等の面に隘路を生ずるとともに、物価、国際収支等の経済要因に異常な緊張を生みつつあることも事実であります。
 われわれの当面する課題は、この現状を正しく把握し、もし過度に走り、過熱に及ぶことありとせば、これを調整しながら、長期にわたって忍耐強く、経済の成長を確保することにあるのであります。(拍手)私は、この見地に立って、物価と国際収支の二点に焦点をしぼりつつ、政府の基本的見解を明らかにいたしたいと存じます。
 まず、物価について申し上げます。
 卸売物価は、ここ数年間、供給力の飛躍的充実にささえられて、木材を除いては、おおむね安定した動きを示しております。そしてこの供給力は、技術革新をてことした旺盛な合理化投資により、ますます充実する方向にありますので、景気抑制策の浸透と相待って、卸売物価の基調は、おおむね弱含みに推移するものと判断いたしております。従って、政府としての施策は、特に供給の弾力性を欠く木材等の供給力の増加に、その重点を指向して参る所存であります。
 消費者物価は、近来、住居費、雑費、食料費を中心に上昇傾向をたどっております。一方、国民の実質所得は、引き続き着実な増加を見ておりますとはいえ、消費者物価の動きは、われわれにとっては大きい関心事であります。御承知のように、消費者物価は、生産性向上の容易でない第一次及び第三次産業部門の状況を反映するのみならず、生活内容の向上にも左右せられます関係上、経済の成長過程においては、その上昇傾向を押えることは、必ずしも容易なわざではないのであります。政府は、内外にわたる消費物資の供給力の増加、流通秩序の改善等を通じて、極力その上昇を押える措置を講じつつあります。
 サービス部門は、生産性向上の弾力性に最も乏しい部門でありますが、この部門をになっている中小企業者とその従業員の方々にも、経済成長の果実が一様に均霑されますよう配慮することは、政府の責任であるとともに、わが国経済の健全な発展を期待するためにも必要なことであります。(拍手)従って、政府としては、適正な料金の改善を容認するとともに、一部便乗的な値上げは、これを規制する措置を講じておるのであります。
 次に、国際収支、特に経常収支の問題について申し上げます。
 本年に入ってから、輸出は、前年同期に比し五%程度の増加を見ておりますが、輸入は、約三〇%という著しい増勢を示し、経常勘定は、大幅の赤字を記録いたしました。また、自国船腹の不足と輸入の増大による運賃支払いも、大きい赤字要因になっておるのであります。他面、資本取引面における巨額の黒字にもかかわらず、外貨準備高は、逐月減少の一途をたどりつつ今日に至りました。しかも、輸出入の先行きを示す信用状は、八月に入ってようやく黒字に転じたものの、その回復歩調は順調でなく、近い将来に明るい見通しを期待することは、容易でない状況であります。もとより、これは、一つにはわが国経済の予想以上の成長の結果であり、二つには特に自由化に備えての旺盛な合理化投資によるところが多いのであります。このことは、企業体質の改善を通じて、わが国の国際収支のより高い水準における均衡を具現する原動力であって、それ自体憂うべきことではないのであります。
 しかしながら、これがため、当面、国際収支の動向をめぐって経済界に心理的不安を醸成していることも事実であります。従って、政府は、従来とも、経済の行き過ぎにつき、しばしば一般の注意を喚起いたして参りましたが、経済成長政策の堅実な遂行を期するため、さきに輸出金融を中心とする当面の輸出振興措置を実行し、七月下旬には、日銀の公定歩合の引き上げに続き、一割程度の設備投資の抑制を経済界に勧奨してその協力を得ております。さらに、去る九月十人目から、輸入物資に対する輸入担保率の引き上げを断行し、あわせて最近においても、
 一連の国際収支改善方策を決定いたしました。すなわち、金融、税制、保険、経済外交等、各分野にわたる輸出振興策に配するに、財政、投資、金融、消費等の規制による輸入抑制策を実行することにいたしました。あわせて、これらの措置により打撃を受けるおそれのある中小企業者に対しましては、特別の措置を講じましたが、なお、今後の事態の推移に応じ、さらに一そう周到な配慮を加えて参る所存であります。(拍手)私は、これらの措置につき国民諸君の協力を得れば、明年中には国際収支の均衡を回復することができるものと信じておるのであります。(拍手)なお、これらの臨時的措置は、事態の好転とともに、緩和ないしは撤廃すべきものであり、私は、国民各位の自覚と協力によって、その時期の一日も早からんことを期待いたしております。
 この際、私は、国民諸君とともに思い起こしたいことがございます。それは、昭和二十八、九年並びに三十二年において、それぞれ国際収支の危機を招きましたが、国民の忍耐強い努力と政府の果断な措置により、これを克服することができました。このことが、一面わが国の国際信用を高めることに役立つとともに、その後のわが国経済の成長を一段高い水準に推し進める力になったのでございます。(拍手)
 わが国をめぐる内外の情勢は、きわめて多端であります。私は、国民諸君の一そうの理解と協力を得て、当面の事態を処理しつつ、相ともに新たなる英気をもって、内政と外交にさらに堅実な前進を続けて参りたいと存じます。(拍手)
   〔発言する者多し〕
#5
○議長(清瀬一郎君) 外務大臣小坂善太郎君。――静粛に願います。
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#6
○国務大臣(小坂善太郎君) 第三十九回国会に際しまして、当面の外交問題について申し述べたいと存じます。
 過般の通常国会以来、世界情勢は、ベルリン問題、ドイツとの平和条約問題をめぐって、さらに緊張を加え、軍縮及び核兵器廃止を求める人類の希望に反して、軍備拡張の動きが強まったのみならず、ついには、核実験、長距離ロケットの発射試験も繰り返し行なわれる事態にまで進展し、国際的な危機感が地球上をおおうに至っております。口に平和共存を唱える強国が武力を振りかざし、さらに人類の福祉に使われるべき最新科学の知識と成果を他
 国に対するおどしのために用いるようなありさまでは、この地上に理想の平
 和をもたらすことは容易ではないのであります。(拍手)平和は偏見と強制と不信の中には存在しないのであります。われわれはあくまで正義と自由と協調に基づく真の平和を達成するように絶えざる努力を傾けなければならないと存じます。
 政府が国際連合を尊重し、これを強化しなければならないと考えるゆえんのものは、ひとえにこのような真の平和を欲するからであります。私はこのたび国際連合に使いいたしましたが、このたびの国連総会は、ハマーショルド事務総長のまことに悲劇的な突然の死去によりまして、非常に重苦しい、沈痛な空気の中に開かれました。私は、同僚議員各位とともに、ここに重ねて平和のために殉じた故ハマーショルド事務総長の遺功をたたえ、もってその冥福を祈りたいと存じます。(拍手)かくて、後任事務総長の問題も新たに加わりまして、国連総会は、いよいよ重大な局面に逢着いたしておる次第であります。これを打開いたしまする道は、究極のところ、いかなる問題についても、各国が国連憲章にうたわれている世界全体の調和ある進歩のために相助けて努力すること以外にはないと存じます。それにつけても、私は、世界平和を維持するためにとりわけ重い責任を持ち、安全保障理事会において拒否権を有するような大国が、軍縮の問題をいたずらに宣伝に利用することなく、誠意をもってみずから進んで軍縮を実行する必要のあることを強調いたすものであります。(拍手)
 また、わが国が特に大きな関心を持っております核実験停止の問題については、ジュネーブにおける四大国の交渉半ばにして、ソ連は、突如として一方的に核実験の再開を宣言するばかりか、矢つぎばやに十数回にわたる実験を行ない、核実験競争再開の端緒を開いたのであります。政府は、先般来の核実験に対しては、国のいかんを問わず、放射能の有無にかかわらず、厳重な注意を喚起し、抗議して参りました。私は、関係諸国が人類将来の進歩並びに幸福を第一義的に考えて、効果的な核実験の停止に関する協定をすみやかに締結するよう強く希望いたしております。また、そのゆえに、去る九月二十二日、国連総会の一般演説におきましてもこれを訴えたのでありますが、この趣旨の決議が今次国連総会において採択されますよう努力する所存であります。
 私は、全世界の諸民族が真に平和のうちに共存し得る日がすみやかに来たることを衷心より希望するものでありますが、一挙にしてかかる理想の世界が実現され得ないとすれば、戦後十六年にわたって強国間の武力的対決を阻止する土にあずかって力のあった東西間の均衡が破られないように努力することが、世界の平和を保障する現実的な方法であると信ずるものであります。(拍手)私は、ベルリン問題の危機も、ひっきょうするに、一方的行動によって世界の均衡関係を自己に有利にしようとする動機から作り出されたものと思わざるを得ないのであります。(拍手)私は、ベルリン市民、ドイツ民族自身の自由に表明された意思を十分尊重しつつ、四大国間の話し合いによりまして、この問題が平和のうちに解決されることを希望するものであります。
 現在の世界の均衡を保ち、世界平和に貢献するために、わが国は自由民主主義を堅持しつつ、米国及び西欧諸国と緊密に提携することが必要であると信ずるものでありまして、この点については、つとに国民大多数の理解と支持を得ているところであります。(拍手)わが国は、全国民あげての努力によって戦前よりもはるかに豊富な経済力をたくわえ、国民生活も着々向上いたして参りました。それに伴いまして、わが国の国際的地位も次第に高く評価されるようになりましたが、これはまた同時に、わが国の国際社会における責任も加重されたことを意味するものでありまして、政府と国民はこの点を十分自覚して行動しなければならないと存ずるのであります。(拍手)
 私は、去る六月池田総理大臣に随行して米国及びカナダにおもむいて、これら両国政府首脳との会談に列し、次いで七月初旬、イギリス、フランス、イタリア・ヴァチカン・西独の諸国を歴訪し、各国首脳とも胸襟を開いて会談して参りました。私は、これらの訪問を通じてわが国の国際社会における役割の重大さと、国際的地位の向上したことをあらためて痛感したのでありますが、同時に、この機会にこれらの諸国との政治的、経済的、文化的連携の強化に貢献し得たものと信ずるのであります。
 国際的地位の向上に伴いまして、わが国の責任は、アジアの一国として、特にアジアにおいてますますその重要性を加えつつあります。わが国と隣国であります中国との関係は、その歴史的背景から見ましても、また、極東における平和と安定を維持する上からも、はたまたわが国将来の運命にかかわりまする重大な問題でもありますから、政府の最も重視するところであります。今次国連総会においては、中国の代表権問題が討議ざれる予定でありますが、本問題は、現在の国民政府並びに中共政権それぞれの立場に徴しても、また、国連憲章との関係においても、その解決は決して容易ではないのでありまして、わが国としては慎重に行動することが必要であります。私は、この問題について、今次の国連総会においてあらゆる立場から十分な論議が尽くされ、少なくとも解決への一歩前進の道が見出されることを期待するものであります。わが国としては、この問題に対してわが国の有する重大なる関係と、本問題が極東の安定、ひいては世界の平和に重要なる影響を与えることを念頭に置きつつ、国連における討議において建設的な貢献をしなければならないと存ずるものであります。
 次に、わが国にとり最も近い隣国である韓国との関係につきましては、多年にわたり両国間の懸案解決のための交渉が続けられたのでありますが、去る五月同国において政変が発生し、交渉は中断するのやむなきに至りました。韓国の運命は直ちにわが国の運命に影響すると申しても過言ではないのであります。この意味において、韓国新政権の動向については至大の関心をもってこれを注視していたのでありますが、その後同政権は政情の安定と民心の収撹に鋭意努力し、さらに、去る八月には、二年後における文民政権への移行の意思を宣明いたしました。同時に韓国政府は、日本との国交正常化に対する熱意を示し、交渉の再開を申し出てきた次第でありまして、政府としましては、韓国側の申し出に応じ近く交渉を開始する所存であります。交渉に際しましては、日韓関係の今後に及ぼす重大なる影響を十分に念頭に置きつつ、合理的にしかも互譲の精神に基づいて懸案の解決をはかり、すみやかなる国交回復に努力したい所存であります。
 最近の世界経済の動向を見まするに、一時案じられたアメリカの景気も急速に回復に向かいつつあり、また、ヨーロッパ諸国の経済も依然活況を呈している反面、アジア・アフリカ等の諸地域において今なお経済的にも社会的にも未開発の分野が多く、先進諸国との生活水準の格差が増大しつつあることもまた否定し得ざる事実でありまして、わが国が、国際連合においてもこれを強く訴え、また経済協力の推進に格段の努力を払いつつあるのも、この事実の重大性を認識しているがゆえであります。本年春以降においても、政府は、開発援助グループの第五回総会を東京において開催し、インド及びパキスタンの債権国会議においても、それぞれ相当額の長期借款を与える等経済協力について着々効果的な施策を講じて参りました。また、タイ及びビルマに対しても懸案を解決すべぐ話し合いを続けておるのでありまして、これらが解決の上は、両国との一そう緊密なる関係が期待ざれるのであります。
 さきに申し上げました去る六月の池田総理大臣訪米に際し、日米貿易経済合同委員会の設置を見るに至りましたことは、まことに有意義なことと存ずるのであります。この合同委員会は、両国の関係閣僚が毎年会合いたしまして、両国が関心を有する重要な経済・貿易問題について忌憚のない意見の交換を行なうものでありますが、その第一回会議は、来たる十一月初旬箱根において開催することになっております。私は、この合同委員会が、日米両国の経済・貿易政策に関する相互理解の増進に大いに貢献するものと信ずるものであります。(拍手)
 さらに、先般の西欧諸国訪問に際し、私は、各国首脳に対し、戦後特にわが国に対してとられたガット三十五条援用を初めとする通商上の差別待遇について、アジアにおいて最も工業的に高度に発達した唯一の国であり、かつ、自由陣営の有力なる一員であるわが国に対する処遇として納得し得ないものがあるとして、これが撤廃を率直に要望してきたのであります。各国の首脳もこれについて理解を示し、今後折衝を続け、せっかくこれが改善に努力する旨を表明いたしました。最近わが国においては、輸出振興はますます緊要な問題となっておりますので、これが障害となる通商上の差別待遇を改善し、わが方の貿易自由化の促進と相待って、経済外交を一そう強力に推進していきたいと考えております。政府はざらに過般の国会以後、ペルー及びインドネシアとの間に通商航海条約を締結いたしましたが、引き続いてなるべく多くの国との間にこの種条約を結んで、通商関係を安定した基礎に置くよう努力いたす考えであります。
 現下の国際情勢は複雑微妙なものがありますが、この中にあって平和を求める心は、いかなる民族といえども異なるものではないと存じます。平和を求め、生活のしあわせをこいねがう日本国民の声を世界に徹底させなければなりません。世界平和の維持のためにわが国の果たすべき役割はまことに重要であります。政府は外交機能をますます充実いたしまして、わが国外交の成果をあげるよう努力いたしたいと考えておりますので、国民各位の強力な御支持と御理解を得たいと念願いたす次第であります。(拍手)
#7
○議長(清瀬一郎君) 大蔵大臣水田三喜男君。
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#8
○国務大臣(水田三喜男君) 一昨日、政府は、国際収支改善のための一連の総合的な政策を決定、実施することといたしました。また、九月十八日には、輸入担保率の引き上げを行ないました。これよりさき、すでに去る七月に、民間設備投資の繰り延べの要請と、公定歩合の引き上げが行なわれたのでありますが、なお逆調を続けております国際収支に対し、さらに強力に対処するため、今回、各般の措置を講ずることといたした次第であります。
 最近における国際収支の動向を見ますと、昨年末以来増加の傾向を示しておりました輸入は、本年度に入り、一段と高水準に推移いたしております。反面、輸出は、対米輸出の不振や旺盛な内需に伴う輸出余力の減退から伸び悩みを見せ、本年度初来、大幅な経常収支の赤字を続けておりまして、その額は、八月までに累計八億二千九百万ドルに達しております。五月以降におきましては、総合収支でも赤字を記録するに至り、一時、二十億ドル余を数えました外貨準備も、八月末では十七億二千百万ドルになっており、このままで推移いたしますときは、やがては、困難な事態に直面することも予想されるに至ったのであります。
 このような国際収支の逆調の根本的な原因といたしましては、国際経済環境の変化もありますが、高水準の民間設備投資を中心とする内需の強調があげられます。とりわけ、民間の設備投資は、一昨、昨年度と二カ年にわたり急増いたして参りましたが、本年度に入りましても、その投資意欲は依然として根強いものがあり、設備投資の現在の規模は、経済全体との関係から見ますと、均衡を失している水準にあると申すべきでありましょう。また、消費その他の内需も、行き過ぎの感を免れないのでありまして、これらの要因が相待って、輸入を増大させ、輸出の停滞をもたらしているのであります。
 このような内需の動向に顧み、今回とられました対策も、経済を引き締め、内需を抑制することを一つの重点といたしております。すなわち、政府は、まず、みずから措置できる施策を行なうこととし、官庁営繕の一部を繰り延べるとともに、財政投融資及び公共事業費等についても、その一部の繰り延べを行なうことといたしました。金融面におきましては、従来講じて参りました各種の金融引き締め政策の効果と、今後における各般の情勢を勘案しながら、産業面の行政指導の強化等と相待って、金融の引き締めを強化していくことといたしております。特に、ビル建築等を含む設備投資に関しましては、不急の融資を抑制するよう、金融機関に対し行政指導を行なう方針であります。さらに、消費節約の一環として、貯蓄増強を一そう推進することといたしたのであります。
 国際収支の改善をはかりますためには、以上のような内需抑制策と並行して、積極的にわが国商品の国際競争力を強化し、輸出を振興することが肝要なことは申すまでもありません。そのため、従来の施策に加えて、新たに・税制面においては、輸出所得控除制度を簡素化して、控除額算定基準を、原則として、所得基準のみとするほか、輸出産業について特別償却制度の創設を検討することといたしました。また、輸出金融を特に優遇するとともに、輸出保険につきましても、保険料率の引き下げなど、所要の改善をはかることといたしております。
 以上、今回とりました諸措置について申し述べましたが、その実効を上げますためには、何と申しましても、経済界を初め、国民全体の良識と協力に待つところが大でありまして、私は、国民各位に、この点を強く率直に訴えたいのであります。なお、今次の国際収支の赤字は、主として実需の強調に起因しているため、対策は持続的に実施する必要があるのであります。従いまして、明年度にわたりましても、予算、金融その他各般の分野において引き締めの方針を堅持し、忍耐強く対処していかねばならぬものと考えております。
 私は、このたび、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の年次総会に出席し、加盟諸国の財政金融関係の首脳者と親しく意見を交換する機会を得たのでありますが、その際、痛感いたしましたことは、自由主義諸国間におけるわが国の国際的地位が年を追って高くなり、国際金融経済の面におきましても、わが国の動きが、あまねく諸国の注目を引くところとなったことであります。このことは、もとより、わが国経済の目ざましい発展によるものでありますが、なお、私が特に申し上げたいのは、昭和二十八、九年及び三十二年の両度の国際収支の危機に際しまして、わが国民が、よく耐乏と努力とをもって事に対処し、政府の施策と相待って、その難関をみごとに克服したことが、かえって、諸外国のわが国に対する評価を一段と高からしめたことであります。
 申すまでもなく、企業の自発的活動と勤労者の不断の努力を発展の起動力とする経済社会におきましては、経済成長の速度にかなりの変動を生ずるのは避けがたいところであり、国民所得倍増計画におきましても、年々の成長率には高低のあることを予想いたしているのであります。倍増計画の目標設定の基礎といたしました昭和三十五年度の経済規模は、すでに計画作成当時の予想を大幅に上回っております。さらに、昭和三十六年度におきましても、実勢のまま推移いたしますときは、その成長の伸びは、当初の予想を相当上回ろうとしているのでありまして、倍増計画の想定するところと比較いたしますと、現状におきまして、すでに計画の予定した水準をはるかに越えているのであります。今回の措置により、今後成長の速度が一時的には若干鈍化することとなりましても、これによりまして、経済の各面の均衡が回復されますならば、将来の成長は期して待つべきものがあります。(拍手)しかして、均衡の回復が早ければ早いほど、将来の成長は円滑となるのであります。昭和二十八、九年及び三十二年の場合を顧みましても、これらの危機を乗り切りました後においては、常に、わが国経済は飛躍的発展をなしてきております。これらを考えあわせまして、私は、今後、国民所得倍増計画の所期する目標の実現には、いささかの不安もないものと確信いたすものであります。
 以上、わが国経済の現状と経済運営の基本的態度について申し述べましたが、次に、今回提出いたしました昭和三十六年度補正予算の大綱と、当面の財政金融政策について御説明いたします。
 初めに、補正予算について申し述べます。
 補正予算の編成にあたりましては、ただいま申し述べました最近の経済情勢にかんがみまして、補正いたします経費は、緊要にしてやむを得ない最小限の事項にしぼることといたし、その規模につきましても、極力圧縮することに努めたのであります。
 すなわち、一般会計予算におきましては、本年発生災害に関する対策、国家公務員等の給与の改善、食糧管理特別会計への繰り入れ、生活保護基準等の引き上げ、公立文教施設の一部及び公営住宅における建築補助単価の改定並びに地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金について所要の経費を追加することとし、これに応じて、法人税等租税及び印紙収入の自然増収を見込むことといたしております。その総額は九百九十七億円でありまして、これにより、昭和三十六年度一般会計予算総額は、歳入、歳出とも二兆五百二十四億円と相なるのであります。
 まず、歳出追加の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、災害対策費であります。
 去る、六、七月の梅雨前線豪雨、九月の第二室戸台風等、本年発生災害の規模はかなり大きいものとなり、これによって各地に大きな損害の発生を見るに至りました。これに対し、すでに政府は、現行法令及び既定の予備費をもって応急の措置を講じて参ったのでありますが、今回、被害激甚な地域の復旧事業等について、各種の特例措置を講じますとともに、災害対策費として百四十九億円を追加計上することといたしたのであります。このほか、新たに追加される予備費百二十億円も、主として災害対策に充てられることとなる見込みであります。
 私は、この機会をかりまして、これらの災害により被害を受けられた方々に対しまして、深く御同情申し上げますとともに、被災者各位がすみやかに復興に立ち上がられることを衷心から希望いたす次第であります。
 第二は、給与改善に関する経費であります。
 国家公務員の現行給与水準は、前年度におきまして、民間給与との間の格差を是正するため、その引き上げをいたしましたにもかかわらず、その後の民間給与の上昇に伴い、再びこれとの間に相当の格差を生じております。このため、先般の人事院勧告の内容を尊重いたしまして、本年十月一日から所要の改定を行なうこととし、これに要する経費として総額百八十四億円を計上しております。
 第三は、食糧管理特別会計への繰り入れであります。
 昭和三十六年産米麦の買入価格が当初予算における見込みを上回って決定され、また、買入数量見込みが増加するに至ったこと等によりまして、食糧管理勘定における損失が大幅に増加する見込みとなりましたので、同勘定の損益を調整する資金に充てるため、調整勘定へ追加繰り入れを行なう等、三百億円を追加計上いたしております。
 第四は、生活保護基準等の引き上げであります。
 生活保護基準につきましては、三十六年度当初予算におきまして大幅な改善を行なったのでありますが、最近における物価の動向に顧みまして、さらに生活扶助基準を五%引き上げ、被保護者階層の生活保障に特に配慮することといたした次第であります。また、この趣旨に即して、児童福祉施設における収容児童の食費等につきましても、所要の改定を加えるごとといたしており、これらに要する経費は六億円であります。
 第五は、公立文教施設の一部及び公営住宅における建築補助単価の改定であります。
 最近、建築費はかなり上昇するに至っておりますが、国内経済情勢に顧みまして、この際、建築関係経費の追加は、原則として行なわないことといたしたのであります。しかしながら、公立文教施設の一部及び公営住宅につきましては、事業の性質上、既定の計画を確保する必要がありますので、その補助単価を改定し、これに必要な経費二十三億円を追加計上することといたしております。
 最後に、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金二百十三億円であります。
 これは、所得税及び法人税を歳入に計上いたしますことに伴い必要となる経費であります。これによりまして、地方公務員の給与改善が国家公務員に準じて行なわれる場合の所要財源は確保されるものと存ずる次第であります。
 なお、以上の一般会計補正に応じ、災害対策等に伴う地方公共団体の資金需要の増加に充てるため、地方債についても所要の追加を行なうことといたしております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 以上、申し述べました歳出に対する財源といたしましては、租税及び印紙収入の自然増収をもって充てることといたしております。当初予算におきましては、一兆六千六百四十八億円の租税及び印紙収入を見込んだのでありますが、経済規模の予想以上の拡大を反映いたしまして、法人税等において、当初見積もりに比し、相当程度の増加が予想されることとなりましたので、さきに申し述べました歳出需要の増加に対応して、現在確実と見込まれます法人税等九百九十七億円の増加を見込んだものであります。
 次に特別会計予算の補正の大要について申し述べます。
 まず、産業投資特別会計におきましては、現下の経済情勢における輸出振興の重要性にかんがみまして、日本輸出入銀行に対し八十億円の追加出資を行ない、政府資金による融資百二十億円の追加と相待って、輸出金融の充実に万全を期している次第であります。このほか、主として、一般会計予算の補正及び公務員給与の改善に関連して、食糧管理特別会計等の特別会計について、所要の補正を行なうことといたしております。
 以上、昭和三十六年度補正予算の大綱を御説明いたしました。何とぞ政府の方針を了とせられ、本補正予算に対し、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
 次に、租税について申し述べます。
 租税につきましては、すでに、本年度当初予算におきまして、中小所得者の負担の軽減をはかり、企業基盤の強化に資するため、所得税及び法人税を中心として、国税だけで平年度千百三十億円に及ぶ減税を実施したのでありますが、なお、国民の租税負担は、戦前ないし諸外国と比較して決して軽くないと考えております。従って、今後においても、引き続き適切な減税措置を講じ、国民の租税負担の軽減に努めて参りたいと考えている次第であります。
 なお、輸出振興のための税制改正については、すでに申し述べましたが、このほか、最近における木材価格の値上がりが、わが国の経済及び国民生活に与えている影響に顧みまして、木材の伐採を促進し、その価格の引き下げに資するため、二年間を限り、山林所得課税の軽減の特別措置を講ずることといたした次第であります。
 次に金融政策について申し述べます。
 金融政策の基調に関しましては、すでに申し述べました通り、引き締めの方針を堅持いたしますとともに、その運用にあたりましては、日本銀行との緊密な連携のもとに、機動的、弾力的に対処する所存であります。もとより、金融政策が円滑にその成果を上げますためには、政府の行ないます経済諸政策が、これと歩調を合わせて進められることも必要でありますが、何よりも、国民各位の協力が肝要であると考えます。特に、経済活動のにない手である産業界が、経済の現状に即した大局的判断により、金融界との連絡協調に当たられることを心から期待いたすものであります。
 なお、今後の金融政策の推進にあたりましては、中小企業金融対策に特に留意して参らなければならないものと考えます。すなわち、財政金融を通ずる引き締め政策の進展に伴い、政府が最も意を用いておりますのは、中小企業等、経済的に弱い面にしわ寄せが起こらないようにすることであります。これがため、従来とも、中小企業金融については格別の配意を加えて参ったのでありますが、今後、年末における資金の需要等をも考慮いたしまして、政府関係におきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対して、総額三百五十億円の資金の手当を行なうとともに、情勢に応じて、市中金融機関の中小企業向けの融資を促進するために、総額二百億円の金融債等の買い入れを考慮するなど、時宜に応じた対策を順次実施して参る所存であります。(拍手)民間金融機関におきましても、中小企業金融に対し、今後とも、従来に増して、一そうの努力を尽くされますことを期待するものであります。
 次に、為替、国際金融政策について申し述べます。
 最近における国際収支の逆調と、これが対策につきましては、すでに申し述べたところでありますが、高水準の輸入と輸出の伸び悩みとに根本の原因があることに顧みまして、貿易・為替面におきましては、去る九月十三日に、外国為替銀行に対し、現地貸付についての所要の規制を行なうとともに、九月十八日には、輸入担保率の引き上げを実施いたした次第であります。関係業界の格段の御協力を切望いたすものであります。
 次に、輸出の振興につきましては、かねてより着々対策を講じて参りましたところに加え、今回、さらに、諸方策を決定、実施することといたしました。業界におかれましても、輸出増進のため一そう意欲を高揚され、不断の工夫を尽くされますことを強く要望いたすものであります。幸いにして、アメリカの景気も本格的な立ち直りを見せてきつつあるときでありますので、私は、このような国をあげての輸出への努力が、必ずや大きな成果をおさめるものと確信いたすのであります。
 なお、これと関連いたしまして、私は、いまだ、わが国に対し、ガット三十五条を援用する等の差別的措置を行なっている国があり、これがわが国の輸出に好ましくない影響を与えていることをはなはだ遺憾に思うものでありまして、今後とも、強力に差別待遇の早期撤廃に努める所存であります。
 次に、貿易・為替の自由化について申し上げます。
 政府は、従来から自由化を進めて参りましたが、本年七月、わが国の貿易自由化率を明年九月末までに九〇%程度に引き上げることを目途として、これをさらに促進する方針を決定した次第であります。わが国のこのような自由化への努力にかんがみ、先般の国際通貨基金当局との年次協議に関する理事会の決議におきましても、現在の貿易・為替の諸制限を直ちに撤廃すべき旨の勧告はなされなかったのでありますが、政府といたしましては、ただいま申し述べました方針に基づき、自由化のわが国経済に与える影響等を考慮しながら、その具体的な推進をはかって参りたいと存ずるのであります。
 以上、わが国経済の現状と当面の財政金融政策に関する所信を申し述べました。
 私は、このたび、ウイーンに参りましたおり、欧州経済共同体の六カ国が、多年のわだかまりを捨て、幾多の障害を打破し、英断をもって経済統合の実現に努め、着々その実効を上げ、著しい発展を遂げつつある実情に触れたのであります。また、英国がきわめて根の深い同国経済の危機に直面し、これに対処してとることとした思い切った対策を知り、万難を排して難局を克服せんとする同国朝野のかたい決意に、非常な感銘を受けたのであります。
 幸いにして、わが国経済は、若さに恵まれ、そこに蔵された伸びんとする力にははかり知れないものがあります。現在、わが国は、発展途上に横たわる一つの起伏に直面したとも言い得るのでありますが、やがて、国民各位の努力によりこれを乗り越えて、輝かしい成長と国民所得倍増への大道を歩むものとかたく信ずるものであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#9
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたすことがございます。
 議員黒田壽男君、同小林進君、同中嶋英夫君、同穗積七郎君から、海外旅行のため、九月二十人目から十月十日まで十三日間請暇の申し出がございます。これを許可するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#11
○田邊國男君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、明二十九日本会議を開きこれを行ならこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#12
○議長(清瀬一郎君) 田邊國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 明日の開会時刻は、公報をもって通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後二時十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
        通商産業大臣  佐藤 榮作君
        運 輸 大 臣 斎藤  昇君
        郵 政 大 臣 迫水 久常君
        労 働 大 臣 福永 健司君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 川島正次郎君
        国 務 大 臣 藤枝 泉介君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  大平 正芳君
        総理府総務長官 小平 久雄君
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ソース: 国立国会図書館
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