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1961/10/11 第39回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第039回国会 本会議 第8号
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1961/10/11 第39回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第039回国会 本会議 第8号

#1
第039回国会 本会議 第8号
昭和三十六年十月十一日(水曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十六年十月十一日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2
  号)
    ―――――――――――――
   午後三時五十六分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 昭和三十六年度一般会計予算補正
  (第1号)
 昭和三十六年度特別会計予算補正
  (特第2号)
#3
○田邉國男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(清瀬一郎君) 田邉國雄君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、右両件を一括しで議題といたします。
    ―――――――――――――
#6
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長山村新治郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔山村新治郎君登壇〕
#7
○山村新治郎君 ただいま議題と相なりました昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第2号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本補正二案は、去る九月二十七日予算委員会に付託され、十月二日より審議を行ない、本日討論、採決されたものでございます。
 予算案の内容の詳細につきましては、先般、大蔵大臣より、本会議場において説明がありましたので省略いたします。
 本予算補正は、当初予算編成後に生じた理由に基づき、緊急やむを得ない最少限度の経費について補正の措置を講じたものであります。
 一般会計予算においては、本年八月以前発生の災害に対する災害対策費、公務員の給与改善費、食糧管理特別会計への繰り入れ等、合計九百九十七億円が追加計上されております。この財源といたしましては、租税及び印紙収入の増収見込みが予定されております。
 特別会計におきましては、一般会計予算補正及び公務員の給与改善に関連して所要の補正を行なうほか、日本輸出入銀行に対する出資金八十億円が追加されております。
 また、財政投融資におきましては、さきに述べました日本輸出入銀行に対する出資八十億円のほか、資金運用部からの融資百二十億円が予定され、また、災害等に伴う資金需要に応ずるため、地方債百十一億円の追加、及び中小企業対策として、中小企業金融三機関に対して合計三百五十億円の資金手当が行なわれておるのでございます。
 次に、予算委員会における審議の経過について申し上げます。
 国際的には東西の緊張の度が強まり、国内的には経済運営にいろいろの問題が生じつつある現在の情勢を反映して、質疑は内外の諸問題、すなわち平和確保の問題、領土問題、日韓交渉、中国代表権の問題、物価並びに貿易の自由化の問題、石炭産業対策、中小企業対策、農政、労働問題等、多岐にわたって、連日真摯熱心なる論議が展開されたのであります。それらの詳細につきましては会議録でごらんを願うことといたしまして、ここでは、その二、三について申し上げたいと存じます。
 まず、北方領土の問題につきましては、与・野党より特に活発な議論が展開されました。
 なお、経済問題につきましても、経済成長政策の是非、国際収支及び経済全般の見通し、来年度予算の編成方針等に関して活発な質疑がありました。
 なお、食管制度の問題につきましては、野党の諸君からも活発な質問がございまして、いわゆる河野構想を中心にして、あらゆる角度かち議論が展開ざれたのでございます。(拍手)詳細は先ほど申し上げました通り、速記録をごらん願いたいと思います。
 もとより、本予算は災害予算ともいうべきものでございまして、政府は、本予算に当面必要な対策費を計上しておりまするが、災害頻発する現況にかんがみまして、治山治水の根本的方策を早急に確立し、被災者救助に万全を期すべしという野党の諸君、並びに与党の諸君の意見にこたえまして、災害対策基本法案を本国会に提出し、なお、中小企業、農民等の個人災害についても融資をもってこれを救済し、あるいは保険制度の拡充について検討する等、でき得る限りの処置をなす意向を表明されたことを付言しておきます。(拍手)
 しこうして、本日質疑終了後、日本社会党及び民主社会党より、それぞれ本予算補正の編成替えを求めるの動議が提出され、その趣旨説明が行なわれた後、政府原案と一括討論に付し、採決の結果、二つの動議は、いずれも否決され、本予算補正二案は、政府原案の通り可決された次第でございます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
#8
○議長(清瀬一郎君) 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)外一件に対しては、井手以誠君外十五名から、両件の編成替えを求めるの動議が提出されております。
  〔発言する者多し〕
#9
○議長(清瀬一郎君) ただいま予算委員長山村新治郎君から、委員長報告補足の申し出がございます。この際、これを許します。予算委員長山村新治郎君。
  〔山村新治郎君登壇〕
#10
○山村新治郎君 ただいまの委員長報告につきましては、問題点について、時間の関係上、政府側の答弁のみを報告いたした感がございまして、いささか公平を欠くおそれがありますので、右答弁をも速記録に譲ることとし、これを取り消します。
#11
○議長(清瀬一郎君) ただいまの山村君の申し出については、議長は速記録を調査いたしまして、適当な整理をいたすことにいたします。
    ―――――――――――――
#12
○議長(清瀬一郎君) 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)外一件に対しては、井手以誠君外十五名から、両件の編成替えを求めるの動議が提出されております。
    ―――――――――――――
#13
○議長(清瀬一郎君) この際、その趣旨弁明を許します。楯兼次郎君。
  〔楯兼次郎君登壇〕
#14
○楯兼次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第2号)に対し、組み替えを求める動議の趣旨説明をいたしたいと思います。(拍手)
 まず、動議の内容を申し述べます。
  今回政府の提出した補正予算は、
 災害対策、公務員給与改善、食管会
 計繰入れ、地方交付税等を主体とし
 たもので、経済政策失敗による国民
 生活のぎせいの救済については、ほ
 とんど予算措置がとられていない。
  よってわが党は、政府に昭和三十
 六年度一般会計予算補正(第1号)及
 び昭和三十六年度特別会計予算補正
 (特第2号)を次のとおりすみやかに
 組替えることを要求し、その大資本
 本位の政策を転換することを求め
 る。
  〔拍手〕
 ただいま申し述べましたごとく、政府案には災害対策その他の予算措置はありますが、経済政策失敗によりまするところの犠牲者救済措置が全然含まれておらないのであります。これではせっかく一カ月余にわたりまして臨時国会を召集しながら、国民の要望の半ばをも達しないということになるわけでありまして、われわれ社会党は組み替え動議を提出し、皆さん方の御協力を得たいと思うゆえんでございます。(拍手)
 わが党組み替え案は、災害対策費を増額いたしますとともに、池田内閣のただいま申し上げました経済政策の失敗の結果、そのしわ寄せを受けて苦しむ中小企業への諸対策、医療費値上がりによる国庫負担の増額、物価高騰に苦しむ低所得者階層の生活擁護、緊急を要する炭鉱労務者の雇用安定、公務員給与の改善等、一日もゆるがせにできないこれら犠牲者の救済について予算措置を講じたいと思うのであります。
 以下、その要綱を簡単に申し述べたいと思います。
 まず、歳出についてでありますが、災害対策費については旱害対策費を追加いたします。第二室戸台風被害対策の最も緊急な予算を計上いたしたいと思います。特に、わが党がここで強調をしておきたいのは、個人災害について、今日政府与党には十分なる救済対策がございません。従って、われわれ社会党は、罹災者援護法等を制定いたしまして、その必要予算を計上することといたしたわけでございます。右により約百億円を増額支出いたします。
 次には、物価騰貴によりまする低所得者階層の生活水準低下を防止し、かつ、これを積極的に引き上げるため、生活保護基準及び失対労務者賃金をそれぞれ一〇%引き上げることといたしまして、約十五億円を増額いたしたのであります。政府案では物価値上がりによりまして、当初われわれ社会党が忠告をいたしましたように、所得格差がますます拡大をいたしておりまするので、ほおかむりのできなくなりました政府がしぶしぶではございますが、生活保護基準五%の引き上げを行なっております。われ、われ社会党は、とても五%ではこれらの人たちの生活を擁護することができませんので、さらに五%をば追加いたしたいと思います。
 その次には、政府がこれは計上をお忘れになっていたと思われるのでありまするが、失業対策費の増額がございませんので、わが党はあわせて一〇%の失業対策費の計上を行なったのでございます。(拍手)
 次には、医療費の問題でございますが、医療費の値上がりによる社会保険の被保険者、患者等の負担増を軽減いたしたいと思います。すなわち、国民健康保険につきましては、前の三十八国会で池田総理が内諾をわれわれ社会党議員にも与えております。これは先刻予算委員会でも問題になったわけでありますが、ぜひこういう予算は補正予算に織り込んでいただきたいと思うのでありますが、とにかく約束はされましたけれども計上がございませんので、国庫補助率五分を引き上げたいと思います。
 さらに今回の改定による社会保険の医療費増を国が負担することといたします。また、小児麻痺絶滅のためのなまワクチンの無償投与を引き続いて行なうことといたしまして、これによって約百十億円をば計上いたしたわけでございます。
 次には、政府の無計画なエネルギー対策の犠牲は、今日炭鉱労働者のみにしわ寄せをされまして、深刻な状態に追い込まれておるわけでございます。また単に労務者ばかりでなく、この産炭地域の苦境は、ここに私が多くを申し上げる必要はない状態でございますので、当面炭鉱労務者の雇用安定のための諸施策、あるいは該地域振興等の対策費といたしまして、百二十二億円を増額支出することにいたしたわけでございます。
 その他歳入の組み替えによる三税収入の増加に伴い、地方交付税交付金約百四億円を増額することと相なるわけでございます。
 公務員給与改善費につきましては、公務員関係労働組合が要求をいたしておりまするように、給与の不合理の根本的是正をはかり、交渉の最終的結果について所要予算を計上することといたしたわけでございます。
 次に申し上げたいのは、財政投融資の問題でございます。
 大資本の過剰設備投資を抑制するために、開発銀行等の大企業向け融資を約百億円削減することにいたします。
 中小企業への金融引き締めのしわ寄せを防止し、かつ、設備近代化を促進するため、中小企業向け投融資をさらに五百億円増額いたしまして、合計八百五十億円といたしたいと思います。予算委員会等では自民党の議員等も、この点につきましては御要求が強いようでございまするので、賛成をしていただけることであろうと思うわけでございます。
 次に、災害対策の促進のために、地方債の起債ワクをさらに百億円拡大いたしまして、合計二百十一億円といたします。
 以上総計、政府案より四百五十一億円の増加と相なるわけでございます。
 次に、歳入について申し上げたいと思います。
 年間約二千億円に上りまするところの大法人向け租税特別措置は、大資本の過大設備投資を促進しておる最大原因であると同時に、著しく租税公平の原則に反しますので、交際費課税の特例、あるいは貸し倒れ準備金等、七項目につきまして、廃止または縮減をすることといたしまして、約二百億円の歳入増加をこの項からはかりたいと思います。また、石炭対策のために、石油輸入関税を引き上げまして約三十三億円、その他諸税の自然増により約二百十八億円の歳入増加をはかり、合計四百五十一億円の歳入増加と相なるわけでございます。
 さらに、この組み替えと合わせまして、われわれ社会党の政策目的達成を一そう有効ならしめるために、政府に次の四つの措置をとるべきことを要求いたしたいのであります。
 その第一は、設備投資の規制をし、過剰投資を抑制することであります。二つには、中小企業金融の拡大のために、中小企業信用保険公庫の保証による貸付に対し、日銀融資の道を開くことであります。三つには、銀行法を改正し、大企業への集中融資の規制、中小企業に対する歩積み、両建貸付の禁止を行なうこと、四つには、貿易市場構造を是正するために、中国、ソ連一北朝鮮等との対岸貿易を、政府間協定により、飛躍的に拡大することの四点であります。(拍手)
 以上、わが党組み替え案の要綱を申し上げましたが、私は、この際「この補正予算の実施の前提といたしまして、一言池田総理に申し上げまして、この説明を終わりたいと思うのであります。
 昨年十二月、池田内閣は、所得倍増計画を中心にいたしまして、高度成長政策を唱え、国民に大きなバラ色の幻想を抱かせながら、非常にはなばなしく出発をいたしたのでございますが、わずか半年にいたしましてそのまぼろしは消え、日本経済は重大な危機を今日迎えるに至ったことは、御案内の通りでございます。しかも、われわれ社会党は、三分の一であるとはいえども、前国会以来、この所得倍増、高度成長計画というのは、大資本本位の経済成長政策であり、必ずや、物価騰貴あるいは国際収支の逆調、そして所得倍増計画とは反対に、格差は一そうの拡大をもたらすであろうことを、再三警告いたしたのでございますが、総理は、経済のことは私におまかせ願いたい、こう言って耳をかされなかったのであります。しかし総理の言明にもかかわらず、現実はその意図とは反対に一大きく悪化の方向に速度を速めて参りました。池田総理は、党内における政治的思惑からかあるいは面子上からかは存じませんが、少なくとも、表面では何げない楽観的態度を装い、早期治療を怠ったために、日本経済はついに回復までに相当の長期療養を要することとなり、いまだに来年度経済の見通しすら発表できないという状態に陥ったのでございます。(拍手)
 ところが、予算委員会で、この反省をわが党委員が入れかわり立ちかわり促しましたところが、総理は、皆さんも御承知のように、高度成長政策は誤りでない、ただ、三十五年度の総生産が十三兆六千億であるべきはずが十四兆五千億にふくれ上がった、従って、ふくれ上がった経済が悪いので、私は間違っていないと、その責任を転嫁されておるのでございます。(拍手)
 なるほど、総理は、まれに見る数字の権威者でございます。この点につきましては、国民一人として敬服をいたさない者はないと思います。しかし、数字の権威者必ずしも経済の権威者でなかったことは、せんだって発表になりました企画庁の試算、あるいは今日暴落を続けておりまする株の実情をごらんになりましても、明らかであると思うのでございます。(拍手)今日では、総理が、高度成長政策に誤りなし、こう言って胸を張って叫ばれる姿は、若輩の私が、はなはだ口が悪いようでございまするが、引かれ者の小うたにも今日は見られるのであります。(拍手)一方では楽観説、他方では引き締め強化、こういう心の迷いが、今日経済の混乱を起こしておる相当大きな原因だと考えざるを得ません。(拍手)この点につきまして、総理は率直に今日までの誤りを認め、倍増計画の手直しを行なうことこそが、日本経済を安定せしめるまず第一の条件ではないかというふうに私どもは考えておるのでございます。
 この点を総理に十分考慮していただくことを申し上げまして、最小限度この臨時国会に必要なる補正予算を、保守政権下においても十分実施可能な点を考慮いたして社会党案として提案を申し上げましたので、何とぞ各議員の賛同をお願いいたしまして、私の趣旨説明を終わりたいと思います。(拍手)
#15
○議長(清瀬一郎君) これより補正予算二件に対する討論と、編成替え動議に対する討論とを一括して討論に入ることといたします。通告に基づいて順次これを許します。保科善四郎君。
  〔保科善四郎君登壇〕
#16
○保科善四郎君 ただいま議題となりました昭和三十六年度一般会計、同特別会計補正二案に対しまして、私は自由民主党を代表いたしまして、政府原案に賛成し、日本社会党提案の組み替え案に反対するものであります。(拍手)
 最近におけるわが国の経済は、目ざましい躍進を遂げまして、国民生活の向上、雇用の増加、産業の近代化等、顕著なる成果をおさめつつあります。しかしながら、一面、国際収支の悪化、物価の上昇等、景気過熱の憂うべき現象が出て参りましたことも事実であります。これらの現象の根本的原因は、民間設備投資の急増に基づく経済成長のテンポが、予想を上回る速度をもって行なわれて参りました結果でありまして、国際収支の均衡を回復し、物価の高騰を抑制するためには、一方において強力に輸出の振興をはかり、他面、内需の抑制によりまして、経済成長率のテンポをスロー・ダウンしなければならないのでございます。政府においては、すでに金融の引き締め策を初め輸入担保率の引き下げ、輸出金融の優遇措置等、景気調整のための一連の措置を講じまして、現事態に対処しておりますことは、まことに適切妥当なる処置と言わざるを得ません。(拍手)
 さて、今回の補正予算は、かかる状況のもとに、当面緊急措置を要する災害対策、公務員給与の改善、食糧管理特別会計への繰り入れ、生活保護基準の引き上げ等を補正の対象事項とし、財政需要の追加をできるだけ小さくするために、補正の規模を極力圧縮することに努められました。これはまことに景気の鎮静と国際収支の均衡回復という至上命令に即するものと信じまして、私は賛意を表する次第でございます。
 わが国は、本年に入りまして、冬季風浪、融雪、三陸フェーン等の災害に続きまして、六一七月の梅雨前線の豪雨、七、八月の集中豪雨、さらに九月には第二室戸台風による災害の発生を見まして、公共土木施設、農林水産施設等の被害額は、八月末の現在ですでに一千百二十億円に上っておるのであります。
 この際、私は、まずこれらの災害による犠牲者の方々に対しまして、衷心から哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に対しましては深く御同情申し上げ、一日も早く立ち直られるように、心から祈願をいたしておる次第でございます。(拍手)
 以下、私は今回の補正予算に対しまして、若干の見解を申し述べまして、賛成の理由といたしたいと存じます。
 まず、災害対策についてでございます。本年に入りまして、相続く災害の頻発にかんがみまして、本院においては、すでに七月四日に災害対策特別協議会を設けまして、災害の調査並びにその対策等について種々検討を加え、政府に対して必要にして十分な措置を講ずるよう、要請いたして参りましたことは、御案内の通りでございます。政府におきましても、これらの要請にこたえまして、積極的に施策の充実をはかり、復旧の迅速を期して、被災地における民生の安定に格段の意を用いておることは、御同慶にたえないところであります。(拍手)すなわち、災害対策の策定にあたりましては、おおむね一昨年の伊勢湾台風時の特例措置に準じまして、各種事業の国庫負担率及び補助率の引き上げ等の措置を講ずるほか、被害農林漁業者に対する貸付金の貸付限度の引き上げ、商工組合中央金庫に対する利子補給、地方債の追加を行なう等、万全の措置を講じておることは、まことに適切なる措置と存じまして、賛意を表する次第でございます。(拍手)
 しかし、私はここに痛感いたしますことは、戦後における日本の大きな不幸事は、台風による被害がきわめて多いことでありまして、年々数千億円の国富の消失を見ておる次第でございます。日本の近くで発生する台風の数は年間約二十に上っております。そこで、台風は宿命的にわが国土と共存しておるような感じがいたすのでございますが、これら毎年の災害に対する政府の施策も逐次充実して参っておることは、これを認めるにやぶさかではございません。しかしながら、経済の飛躍的成長に伴いまして、幾多の工場が臨海地帯に密集して参りまして、特に、地盤沈下等の憂うべき現象も出て参っておる際でありますから、台風による被害も漸次拡大化の傾向にあることも、疑いのない事実でございます。そこで、政府におかれましては、これらの実情を十分に検討されまして、かりそめにも災害を天災として不可抗力視するようなことなく、進んで災害の発生を予防する対策について、格段の考慮を傾倒されんことを切望してやまない次第でございます。(拍手)
 かかる意味合いにおいて、政府は今国会に災害対策基本法を提案し、今後の災害に万全の措置を講じようとする積極的の企図に対しては、満腔の賛意を表するとともに、国民とともにすみやかなる成立を期待するものでございます。
 次に、公務員の給与改善について申し上げます。公務員給与については、昨年度民間給与との間の格差を是正するために、その引き上げを行なって参ったのでありますが、その後、民間給与に著しい上昇が見られるに至りまして、民間給与との間に相当の格差を生じて参りました。すでに、人事院においては、八月八日に公務員給与の改定について勧告をいたしておるところで、政府においては、この勧告を尊重されまして、改善措置を講ぜられたことは適切なことと考えるとともに、その内容についても初任給の引き上げ、技術系職員に対する優遇等、現下の情勢に対して妥当なものと考えるのでございます。世論の一部には、公務員の給与引き上げ以後の状況にかんがみまして、公務員の給与引き上げは、民間給与の引き上げを誘発し、官民相互に賃金引き上げの悪循環を起こすから、この際公務員の給与引き上げを見合わしたらどうかという意見もございます。また、給与は能率に基づいて決定さるべきものであるにもかかわらず、公務員についてはこの点考慮が払われていないというような批判を加えておるものも見受けられるのであります。これらの論評はそのまま是認することはできないのでございますが、他面見のがすべからざる一面もあると考えるのであります。すなわち、政府が人事院の勧告を尊重し、給与引き上げ措置を講じましたことは、公務員の争議権禁止という規制措置のあることもさることながら、公務員に対し、国民の公僕たる責任を十分に果たさしむるとの考慮に基づくものと考えるのでありまして、民間企業においては、賃金の引き上げは、生産性の向上という裏づけによってこれを行なっておることは御承知の通りであります。サービスを主軸とする第三次産業においても、なおかつ、生産性を目安としていることも明らかな事実であります。この際、公務員諸君に対しまして、国民の税負担の上に安住しておるという非難を受けないように、国民大衆への忠実なる公僕として、能率の増進に一そう邁進せられんことを要請するものでございます。(拍手)
 次に、食糧管理特別会計への繰り入れについて申し上げます。これは本年産米麦の買い入れ価格が当初予算の見込みを上回って決定されたことと、本年もまた昨年を上回る豊作によりまして、買い入れ数量見込みが増加するに至りました等によりまして、食管会計への繰り入れの必要を生じたものでございます・当初予算に計上された三百九十億円と今回の三百億円とを合わせて六百九十億円の繰り入れ額は、いわゆる食管の赤字として世上でいろいろ論議を呼んでおることは御承知の通りであります。しかし、食管の赤字は、一般の企業会計の赤字とはその本質を異にするものであることも事実であります。しとろして、この赤字問題は、結局するところ、農業の近代化を目標とする総合施策の一環として検討さるべきものと信ずるのでありまして、かかる意味合いにおいて、今回の繰り入れ措置は、しごく当然の措置と考える次第でございます。
 次に、生活保護基準の五%引き上げ、文教施設の一部及び公営住宅等の補助単価の改定措置は、最近における物価の動向にかんがみまして、適切妥当な措置と考えるのでございます。
 また、財政投融資計画において、国際収支改善のために、日本輸出入銀行への出資八十億円、及び融資百二十億円の追加、また、年末金融対策等のために、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫等に対する三百五十億円の財政資金の手当を行なうことといたしていることは、現下の経済情勢に対処する適切なる措置と信ずるのであります。(拍手)しかし、中小企業に対しては、今後の経済情勢を勘案いたしまして、積極的に弾力的な措置を講ずるよう、政府に対して格段の配慮を希望申し上げておきたいと思います。
 以上述べました趣旨によりまして、私はこの政府原案に対し賛意を表する次第であります。
 次に、日本社会党の提案による組み替え案について一言申し述べたいと存じます。
 日本社会党の組み替え案は、補正の規模は政府原案に対して四百五十一億円の増加と相なっております。単に経済全体と、財政のバランスの面だけから考えますならば、経済の規模が著しく拡大されている現在、追加される予算規模がかなり大きくとも、均衡を失するおそれはないということも申せましょう。また年度当初以来の租税収入の好調が、民間資金にかなりの圧迫を加えている現在、大型の補正によってこれを緩和する方向に向かうべきだとの論も、一応うなづけるかとも考えますが、現に経済の成長に行き過ぎが認められ、過熱の状態に陥らんとしているきざしが見えますときに、財政需要のいたずらなる増大は、この過熱傾向に一段と拍車をかける結果となり、経済の安定的成長を阻害する懸念なしとしないところで、私どものとらざるところでございます。
 なお、補正の要因として列挙されている諸項目のうちには、最終的には国が負担せざるを得ない経費もございますが、その支出については、必ずしも現在補正予算をもって措置しなければならないという性質のものとは認められないのでございます。
 なお、日本社会党の提案によれば、公務員の給与について団体交渉の最終的結果を待って所要の予算を計上するというのでありますが、かかる措置は、公務員に団体協約権を認めろという違法な議論でございまして、私どもは公務員の給与は、人事院の科学的合理的公平なる判断に待って、政府がこれを尊重するといろ立場をとるものでございまして、社会党のごとき、法を無視する態度には、あく言で反対しなければなりません。(拍手)
 大要以上の趣旨にまりまして、私どもは日本社会党提案の組み替え案に反対するものであります。(拍手)
#17
○議長(清瀬一郎君) 堂森芳夫君。
  〔堂森芳夫君登壇〕
#18
○堂森芳夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております昭和三十六年度補正予算の政府案に反対し、日本社会党の組み替え案に賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 昨年七月、池田内閣が成立と同時に掲げました高度経済成長政策、所得倍増計画に対しまして、わが党は、いち早くこの政策は、日本経済の二重構造を踏み台にしました独占の高度成長政策であり、必ずや所得格差の一そうの拡大と物価騰貴、国際収支の逆調をもたらすであろうことを指摘して参ったのでありますが、われわれの指摘は不幸にして計画の初年度において早くも的中いたしたのであります。
 すなわち、本年度は所得倍増計画の第一年度でありますが、最近の経済情勢は、この計画がすでに破綻に瀕しておることを示しておるものであります。この点につきましては、わが党の同僚議員が今次臨時国会開会以来、政府との論議を通じまして明らかにしている通りであります。政府は、これに対しましてただ空虚な言葉を並べ、きびしい現実の上にベールをかぶせ、国民の目をごまかし、今日になりましても、なお甘い幻想をまき散らし、無責任なその場当たりの政策を続けているのでありまして、国民を愚弄するもはなはだしいといわなければなりません。(拍手)このような政府の態度を最も雄弁に物語るものが、このたび提案されました補正予算案と申すことができるのであります。
 すでに、本年度の当初予算編成の際に、自民党政府は、当初は、社会保障、減税、公共投資の三つの柱をもって貫くと宣伝しながら、いざ予算案ができ上がってみますると、社会保障と減税とは見る影もないほどやせ細り、ひとり公共投資の柱のみが太くなりまして、また、池田総理の経済見通しに対する手放し楽観論は、いたずらに民間設備投資のむちゃくちゃな独走を招く刺激剤と相なっておったのであります。その結果、国際収支と物価との二点におきまして、政府の見通しは全くはずれ、最近になりまして、あわてふためきました政府は、国際収支改善対策を打ち出さざるを得なくなったのであります。ところが、国民生活に最も影響のある物価につきましては、何ら対策を持たないばかりでなく、運賃、郵便料金その他公共料金の値上がりを次々と認めておるのであります。
 このような情勢のもとでは、所得倍増計画のしわ寄せを受けました階層に対しての手当に重点を置いた補正予算を組むことが、第一の目標でなければならぬのであります。今回政府が提出いたしました補正予算には、そのような目標が全くぼけていると断定せざるを得ないのであります。(拍手)このため、わが党は組み替え案を提出いたしまして、補正予算の欠陥を修正することを政府に要求いたしたのであります。
 この組み替え案におきましては、生活保護基準及び失対労務者賃金をそれぞれ一〇%引き上げることを初めとして、医療費国庫補助、小児麻痺絶滅のための支出、炭鉱労務者の雇用安定のための費用、災害対策費の増額などを計上いたしておりまするが、これらは、いずれも金額もわずかでささやかな要求でありまして、保守党政府といえども、やる気さえあれば実行できるものばかりであります。(拍手)
 特に、災害対策費に対する政府の補正に一書触れなければなりません。先刻、自由民主党を代表しての討論をお聞きしましたが、進軍ラッパのようなきわめて威勢のいい演説ではありましたが、まことにその内容が、われわれとしてはどうしてもがまんのならないものであることを私は感じたのであります。と申しますのは、五月のフェーン災害、六−八月の集中豪雨、九月の十八号台風を加えまして、現在、査定済みの復旧費に対する補正は、少なくとも三百五十億円程度は必要といわれておるのであります。しかるに、補正は百四十九億、予備費百二十億の今次補正予算では、不足することが当然でありまして、特に看過できないことは、特別立法はおのずから制限されます。伊勢湾台風と同等の復旧措置をとると政府は言明しておりますが、これでは政府の公約は実現できないのでありまして、全く罹災者を欺瞞しておるといわなければならぬのであります。断じて許すことはできないところであります。(拍手)
 また、公務員給与改定の態度であります。政府の無謀な政策の犠牲となっておりまする公務員諸君の給与は、民間企業とは著しく不均衡となっておるのであります。公務員関係の労働組合が要求しておりまするごとく、給与の不合理の根本的是正をはかり、政府と労働組合の交渉によって得ました最終的結果によって決定すべきものと考えるのであります。これがどこに不合理があるのでありましょう。しかるに、政府は、下に薄く上に厚い不合理きわまる人事院勧告すら完全実施を行なわないのでありまして、言語道断と申さねばならぬのであります。
 さきに通常国会におきまして、本年度当初予算に対し、わが党は二百億円の防衛費削減分を財源として、これを学校給食費補助増額、医療費国庫補助など、国民の切実な要求を盛り込みました修正案を提出しましたが、自民党政府は、これさえも拒否してしまったのであります。このたびのわが党の組み替え案も、その内容はさきの本予算の修正案と同様、国民の切実な要求のみを盛ったものばかりであります。政府・与党は、さきにわが党の予算修正案を拒否しました愚を再び繰り返すことなく、保守党政府として一歩前進した姿勢を示すべきときであります。
 このような姿勢をとる決意がない限り、高度成長も所得倍増も、結局は、二重構造の再生産と所得格差の拡大に終わるでありましょう。この数年来、わが国の経済は、幸い好況を続けておりますが、最近この好況は一変して、再び景気が下降する方向に向かいつつありますことは、株価の暴落を見ましても明らかなところであります。昨年、未曾有の好況であるといおれましたが、安保闘争という、これまた未曾有の大規模な大衆行動が巻き起こりました。これは根本的には、日米安保体制に大きな矛盾が存在するからでありますが、それと同時に、わが国の社会構造、経済体制の中にひずみがあり、大衆は慢性的な不満と不安とにさらされているからであります。(拍手)この一年の間に東京の山谷、大阪の釜崎というような、いわゆるドヤ街におきまして警察署の襲撃事件が起こりました。これは氷山の一角にすぎないのであります。心ある政治家は、どのような事件に対しましても、その背後にひそんでいる民衆の動向を見のがしてはならぬのであります。スラム街の暴動が、未曾有であるといわれる好況のもとで続発しましたことは、所得倍増といつ空虚なスローガンにみずから酔う政治家にとっては、まさに頂門の一針であると言わざるを得ないのであります。(拍手)今日になりましても、経済見通しを誤り、過熱投資をあおり、物価値上がりムードを盛り上げ、国際収支の悪化をもたらしました当の責任者であります池田総理は、その政治的責任の重大であることを感じておられるかどうか、私は終始予算委員会に出席いたしておりまして、心から疑わざるを得ないのであります。
 去る十月四月の東京新聞が、当面の危機をどう受け取るかという世論調査の結果を報道しておりました。これを引用してみましょう。「所得倍増計画は国民生活を向上させたと思いますか、それとも苦しくなったと思いますか」という質問に対し、生活を向上させたと返答を送っているのはわずか七・九%であります。生活を苦しくさせたという返事が三五・四%であると報道しております。また、一部の人の生活は向上したが、一部の人の生活は苦しくなったという返答が三二・一%、そうしますと、生活が向上したというのはわずか八%足らず、苦しくなったというのが六七・五%でありました。また、「物価上昇はどう思うか」という質問に対して、やむを得ないという返事が二〇%ありまして、行き過ぎがあるというのが五一・九%であると報道いたしているのであります。(拍手)また、「日本の貿易をどう思うか」という質問に対し、心配をすることはないという返答がわずか八・三%で、すぐ手を打たなければならないといつ返答が三七・三%である、こついつ報道であります。この世論調査の結果を見ましても、すでに池田内閣の経済政策には、国民の大多数が大きな不信の念を持って迎えていることを銘記すべきであると思うのであります。(拍手)今後不況局面に入りました際、どのような事態が起こるかは想像に余りあるといわなければなりません。私は重ねて申しますが、池田内閣の大資本本位の経済政策は、すでに破綻いたしまして、わが国経済は重大な危機を迎えつつあるのであります。
 わが党は、大法人向け租税特別措置はこれを廃止または縮減し、大資本の過大設備投資を促進している要因の一・つを除去し、また、中小企業金融を拡大し、貿易構造を是正するため、中国、ソ連、北朝鮮などとの対岸貿易を、政府間協定により飛躍的に拡大することなどの措置をとるべきことを一補正予算組み替え要求と同時に、政府に要求するものであります。
 以上をもって私の討論を終わるものであります。(拍手)
#19
○議長(清瀬一郎君) 佐々木良作君。
  〔佐々木良作君登壇〕
#20
○佐々木良作君 私は、民主社会党を代表いたしまして、主として政府提案の本年度補正二件に対しまして、わが党の組み替え趣旨を明らかにしながら反対の討論を行なうものであります。(拍手)組み替えの趣旨が入りますので、ちょっと時間をとるかと思いますが、御了承いただきたいと存じます。さて、わが党は、今回の予算補正にあたりまして、まず第一に、単に当初予算編成の後に必要となりました災害対策費などの増額のみを行ならにとどまらず、政府の所得倍増政策の誤りによって国民経済に与えておる被害についても対策を講じ、予算補正を行ならべきであり、第二に、政府が補正財源に充てている租税自然増見込み額は、おおむね政府の当初予算編成に際しての歳入見積もりの誤りによって生じたものであって、本来は当初予算の財源として計画さるべき部分が大部分を占めております。従って、今回の予算補正には、災害対策費などの当然補正のほかに、租税自然増部分の納税者への直接還元、及び当初予算の補給是正のための補正措置も講ずべきである。こういう基本的な態度をとるものでありますから、政府の方針とは根本的に異なるものでありますけれども、政府案に対しまして、わが党の具体的な修正内容を明らかにしながら論議を進めて参りたいと存じます。
 まず、災害対策費、公務員給与改定経費、食管会計赤字補てん経費などの、いわゆる当然補正部分についてでありますが、政府案は、これに対しまして災害対策費を約百五十億円計上しておるにとどまり、防災施設不備のために喪失された人命、個人財産に対する補償費を含んではおりません。また、梅雨前線災害、第二室戸台風災害の大きな特徴でありました狭い地域に壊滅的な災害をもたらした事実を深く調査して、激甚地指定を行なったかどうかにも疑問があります。この点、私は政府案の執行に対して不安と不信を抱くものでありまして、これらを含めて、少なくとも五十億円を追加して、二百億円を計上すべきものと信じます。(拍手)
 また、公務員給与についてでありますが、政府は人事院勧告を十月一日より実施するよう補正措置を講じておりますけれども、人事院勧告は五月一日よりの実施を勧告しております。人事院勧告は、本年四月分給与について、民間給与が公務員給与より七・三%上回っている事実を認め、国家公務員の全職種平均の給与水準をおおむね七・一%引き上げることを勧告したのであります。政府がこれを十月分より実施する場合には、四月から十月までの民間給与水準との格差の拡大、その期間における消費者物価の値上がりを参酌いたしまして、勧告プラス・アルファをもって給与引き上げとしなければならぬのは当然であります。元来、わが党は、人事院勧告が常に民間給与の上昇と物価上昇のあとを追っかけることにとどまりまして、公務員給与はいかにあるべきかという根本的な問題について、一度も徹底した意見を発表したことのないことをきわめて遺憾といたしておるのでありますが、特に、今回の勧告は、現在の自民党政府といえどもそのまま実施できるような妥協的勧告とも称すべき、きわめて不満足なものでありました。しかしながら、勧告は勧告として尊重されなければなりません。本年度予算に十分の余裕財源が認められる現在、勧告通り五月一日より実施すべきは当然であります。従って、私は、このための経費といたしまして、さらに百五十四億円の追加増額を主張するものであります。
 今回の補正は、以上のような当然補正のほか、冒頭に述べましたごとく、景気後退が迫っておる現時点に立って、政府の所得倍増政策の誤りによる国民の被害に対していかなる緊急措置を行なうか、また、今後の景気後退によって国民のこうむる被害をいかに防止するか、この二つの対策を予算化することこそ最も必要な措置であったと存じます。(拍手)政府案がみずから最近の物価値上がりめ事実を認めて、生活扶助基準を五%引き上げ、養護施設などにおける児童の飲食費などの単価を引き上げ、かつ、文教施設、公営住宅の建築単価の引き上げ措置を講じたのは、いずれも、政府の所得倍増ムードが、消費者物価、卸売物価の双方を引き上げた政策の失敗をみずから告白しているものと言って過言ではありません。(拍手)私は、政府が生活扶助基準の引き上げを行ならならば、同時に、日雇い登録労務者の給与も引き上げるのが当然でありましょうし、また、建築単価の改定を必要と認めるならば、公共事業費全般にわたって予算単価の引き上げを行ない、実施機関たる地方公共団体をして物価高による事業難に陥らしめないように、補正措置をとるべきが当然であると存じます。(拍手)
 私は、この考え方に立ちまして、政策失敗に基づく物価上昇に対して、日雇い登録労務者の給与を十月一日より一日平均二十八円引き上げて四百四十円にするため約九億円を計上すること、並びに公共事業のそれぞれの単価を平均五彩引き上げるために約百七十三億円を計上することを主張するものであります。これら最小必要限度の補正措置を怠っては、今回の補正予算編成の成立条件を欠いておると言わざるを得ません。
 次に、今回の政府案の大きな特徴は、九百九十七億円余の歳出補正増額の財源を、すべて本年度税収の自然増をもって充てようとしているところにあります。本年度租税印紙収入の伸びは、七月末をもって予算額の三七・二%を収納いたしております。これは、三十五年度の七月末が三二・一%であったのに比べれば、四月より七月までの四カ月間に五・一%の伸びを示しているのでありまして、今日までの企業活動、個人所得の伸びをもってすれば、八月以降の徴税最盛期を考慮すれば、年度末には、予算に対する収入歩合は二〇%近くに達し、自然増は三千億円近くに達することは明らかであります。このような大幅な自然増は何ゆえに生じたのか。われわれは、当初予算審議に際しまして、政府の所得倍増ムードが企業活動を刺激し、かつ、個人消費を刺激して、法人税、関税、物品税などの税収は政府案をはるかに上回る、従って、政府歳入予算は見積もり過少であると警告をいたしました。このようなわれわれの予見通りに、税収は、年度末には三千億円の自然増をあげるテンポで進んでおるのであります。このような過大な自然増は、政府の経済刺激の行き過ぎによって生じたものでありますが、同時に、政府のとってきた政策の当然の結果でもあります。従って、これらの財源は、単に当然支出の補正財源に充当するだけではなくて、当初予算に計上さるべき財源でありますから、本来、政府が当初予算において計上すべきであった歳出経費に充当するのが、また当然となってくるのであります。
 われわれは、この見地に立ちまして、今回の補正は、医療保険関係予算並びに農業対策関係予算の双方において本年度予算の根本的補強を行ない、かつ、所得税の年度内減税を行なうべきであると考えるのであります。すなわち、第一に、国民皆保険が実現した現在、診療費の値上がり、医療内容の充実が国民の医療費負担を重加しないよう、各医療保険会計予算に対する国庫負担率を引き上げるべきであります。第二に、貿易自由化に備えて、農業近代化を急がなければならない現在、農業系統資金をフルに活用するように、制度化された農業近代化資金の原資を、当初予算の三十五億円程度より積極的に大幅引き上げを行なうべきと信じます。私は、各種医療保険に対する国庫負担率の引き上げを十月一日より実施するために、約三百二十七億円を計上し、農業近代化資金関係に六十五億円の追加増額を行なうべきであると主張するのであります。
 まだ、所得税の基礎控除と配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるよう、明年一月より実施するように主張いたします。これによる税収の減少は五十億円程度に達しましょうが、これは、本年度の自然増をもって優にまかない得るのであります。このような政策補強を行なうことこそ、今回の補正予算の大きな任務と信ずるものであります。
 さらに、私は、ここに注意を喚起いたしたいことがございます。すなわち、政府は、医療費値上げに伴う補正措置を第二次補正に持ち越し、その他の、私が述べた必要緊急補正をすべて見送ることによって、補正規模を一千億に三億円足りない九百九十七億円に押えて、これで景気に対する刺激効果を回避し得たとしている政府の責任回避的な態度についてであります。
 政府は、閣議決定をもちまして国際収支改善策を打ち出し、その中において、官庁営繕費や公共事業の不急部門を繰り延べる方針を明らかにしておきながら、なぜ、これを今回の予算補正の中に具体化しないのでありましょうか。このことは、政府は、一方では、設備投資の膨張抑制、輸入金融抑制のために金融引き締めを行ないながら、みずからは、財政面の不急不用費の節減の努力目標すら、具体的に掲げないことを意味するものであります。これは、中小企業金融は締めるけれども、官庁事務費、行政費用はたっぷり予算そのままにしておこうという官僚独善の標本的態度であります。私はこの際、本年度下期において、一般会計予算の三彩相当額を節減ずるよう予算補正を行ない、行政当局がみずから行動をもって国際収支改善政策に努めることを提案いたすものであります。(拍手)この程度の財政努力すら示し得ないとするならば、そのような政府の態度こそは、現在の経済情勢に対して全く真剣ならざるものと断定せざるを得ません。
 今やわが国の経済情勢は、池田総理の答弁のいかんにかかわらず、刻々と景気後退に向がいつつあります。前回の三十二、三年の景気後退に際しましては、三十二年五月に金融引き締めを始めて、十月には国際収支は黒字に転じました。三十二年の国際収支は総合収支で五億三千三百万ドルの赤字を生じましたけれども、主十三年は五億一千百万ドルの黒字になりました。デフレ政策に転じて一カ年半で国際収支は均衡し、黒字幅転じたのであります。当時の外貨危機は、思惑輸入による在庫投資を急激に引き締めることによって、一カ年半の期間で国際収支改善を遂げたのでありますが、今回は単なる在庫投資の行き過ぎではなく、設備投資の行き過ぎが原因で、金融引き締めは、過剰生産、過剰供給をもたらすおそれが三十二年不況よりはきわめて増大しております。しかも、政策転換は、政府が公定歩合を引き下げた一月に、逆・に公定歩合引き上げをもって開始すべきであったのであります。政策是正は半年から九カ月もおくれていると言っても過言ではありますまい。従って、国際収支が黒字に転ずるのが明年末でありましょうし、国際収支の均衡を回復するのは、早くても明後年の春以降でありましょう。政府はこうした経済見通しを隠して、これから金融難に向かう中小企業に対して、わずかに三百五十億円の財政融資を行なったにとどまっているのは、むしろ中小企業金融の危機を隠蔽しているものと言わざるを得ません。
 かかる見地に立って、われわれは、本年度の財政投融資計画は、開銀関係の大企業向け融資の繰り延べを行なう一方、はっきりと中小企業向け財政融資として七百億円の追加増額を行なうのが至当と考えるのであります。これが財源には、資金運用部資金と簡保年金の財布の底を傾けて充当して可なりと思うのであります。今回の財政投融資計画の改定は、このような決意と危機感をもって当たるべきなのであると信じます。
 以上申し述べて参りました私の主張は、いずれも現在の時点における予算補正が当然なすべき最小限かつ緊急なる措置のみでありまして、これに必要な額を合計いたしますと、政府案の九百九十七億一千四百万円に対しまして、財政投融資計画分を含めて二百八十億円の増額と相なります。私は、この程度の補正が実施できないようでは、池田内閣はこの経済危機を乗り切ることはもちろん、明年度予算をさえ満足に編成し得ないのではないかと存ずるのであります。
 私は、以上の趣旨により政府案に反対し、政府が私が主張いたしました趣旨に基づいて組み替えを行なって再提出するように要望するものであります。同時にわが党の組み替え内容を明らかにすることによりまして、社会党提案の組み替え動議にも反対の意思を明らかにして、討論を終わります。(拍手)
#21
○議長(清瀬一郎君) どれにて討論は終局いたしました。
 よって、これより採決に入ります。
 まず、井手以誠君外十五名提出の昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)外一件の編成替えを求めるの動議につき採決いたします。
 井手以誠君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#22
○議長(清瀬一郎君) 起立少数。よて、井手以誠君外十五名提出の動議は否決せられました。
 次に、昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)外一件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#24
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
        通商産業大臣  佐藤 榮作君
        運 輸 大 臣 斎藤  昇君
        郵 政 大 臣 迫水 久常君
        労 働 大 臣 福永 健司君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 川島正次郎君
        国 務 大 臣 藤枝 泉介君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        内閣官房長官  大平 正芳君
        総理府総務長官 小平 久雄君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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