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1961/10/18 第39回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第039回国会 農林水産委員会 第9号
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1961/10/18 第39回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第039回国会 農林水産委員会 第9号

#1
第039回国会 農林水産委員会 第9号
昭和三十六年十月十八日(水曜日)
   午前十時二十五分開議
 出席委員
   委員長 野原 正勝君
   理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君
   理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君
   理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君
   理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    飯塚 定輔君
      金子 岩三君    仮谷 忠男君
      草野一郎平君    倉成  正君
      小枝 一雄君    坂田 英一君
      田邉 國男君    谷垣 專一君
      寺島隆太郎君    内藤  隆君
      藤田 義光君    本名  武君
      松浦 東介君    米山 恒治君
      足鹿  覺君    片島  港君
      川俣 清音君    北山 愛郎君
      東海林 稔君    中澤 茂一君
      楢崎弥之助君    西村 関一君
      山田 長司君    湯山  勇君
      稲富 稜人君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 河野 一郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  中馬 辰猪君
        農林事務官
        (大臣官房長) 昌谷  孝君
        農林事務官
        (農林経済局長)坂村 吉正君
        農林事務官
        (農地局長)  庄野五一郎君
 委員外の出席者
        議     員 芳賀  貢君
        農 林 技 官
        (農林経済局金
        融課長)    立川  基君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十月十八日
 委員西村関一君辞任につき、その補欠として川
 俣清音君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員川俣清音君辞任につき、その補欠として西
 村関一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業近代化資金助成法案(内閣提出第一八号)
 農業信用基金協会法案(内閣提出第一九号)
 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二六号)
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
 六号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六七号)
 農産物価格安定法の一部を改正する法律案(芳
 賀貢君外十一名提出、衆法第四号)
 飼料需給安定法の一部を改正する法律案(芳賀
 貢君外十一名提出、衆法第六号)
 畜産物価格安定法案(芳賀貢君外十一名提出、
 衆法第七号)
     ――――◇―――――
#2
○野原委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題として、まず政府に提案理由の説明を求めます。河野農林大臣。
#3
○河野国務大臣 農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 農地法は、農村における民主化の促進、農業生産力の増進、農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的として行なわれた農地改革の成果の維持の役割を果たしているものであることは言うまでもありません。ところで、近時、わが国経済の発展の過程において農業とそれを取り巻く諸条件とには著しい変化が生じてきております。この変化に対応して、農業が産業経済の重要な一部門として他産業に遅れをとらないように生産性を向上し得るようにするとともに、農業従事者が他産業従事者と均衡する生活を営み得るようにいたしますためには、農業基本法に掲げましたような諸般の施策を総合的に進めて参ることが必要と考えるのでありますが、その最も重要な一環として、農地保有の合理化と農業経営の近代化とをはかることが緊要であると存ずるのであります。
 むろん、農地保有の合理化と農業経営の近代化という構造改善への道は必ずしも容易なものではないと存じます。しかしながら、近時、農業技術水準の向上が見られ、他方労働力需要の増大の傾向が現われ、構造改善の可能性も生じているのであります。法人組織により農業経営を行なおうとすること等も、農業経営の合理化、近代化に対する農業者の意欲の現われであると考えられるのであります。
 従いまして、この際、農地制度につきましても、農地改革以来十余年の施策の成果を維持し、これとの調和を保ちながら、諸般の施策と相待ちまして、農地保有の合理化と農業経営の近代化に資するような法制的措置を講ずべきものと考える次第であります。
 すなわち、農地法は、農地改革の成果を維持することを主眼といたしまして、農地等の権利移動の統制をし、小作地等の所有制限をし、その他小作関係の調整をいたしておりますが、この基本趣旨をそこなうことのないような配慮のもとに、家族農業経営がその経営規模を拡大しようとする場合、あるいは家族農業経営の補完と発展に資するため一定の要件を備える法人組織により農業経営を行なおうとする場合、あるいは農業協同組合が農地等の信託を引き受けてその農地等の有効利用をはかり、農業経営の改善に寄与しようとする場合等に必要な農地等の権利移動をこの際容易にしたいと思うのであります。このような趣旨から政府はさきの通常国会に農地法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、審議未了となりましたので、今回これと同一の趣旨のこの法律案を提出した次第であります。
 次に法案の主要点につきまして御説明いたします。
 主要な改正点は三点ございまして、第一は、家族農業経営に関しまして農地等の権利取得の最高面積制限を緩和することであります。すなわち、現行法のもとにおいては、農地等の取得は、取得後の経営面積が、農地は内地平均三町歩、採草放牧地は内地平均五町歩になるように各都道府県別に定めた制限面積をこえることとなる場合は、原則として許可できないこととなっているのでありますが、最近の農業技術の発展、農業就業人口の減少の動向にかんがみまして、経営規模の拡大をより容易にするため、この際、農地等の取得後の経営面積がこの制限面積をこえる場合であっても、農地等の権利を取得しようとする者がその取得後において主としてその自家労力によって効率的に経営することができると認められるときは、許可できることを原則とするように改正することとしております。
 第二は、個々の家族農業経営の規模の拡大ではなく、これらが共同して規模の拡大ないし資本装備の高度化の経済成果をあげるため、法人組織により農業経営を行なおうとする場合の農地等の権利取得につきまして規定を整備することであります。
 まず、農業経営を目的とする法人の農地等の権利の取得については、家族農業経営を補なうものとしての協業化を助長する趣旨のもとに、農業協同組合法の改正により設立されることとしております農事組合法人のほか、合名会社、合資会社または有限会社であって、農業の共同経営体としてふさわしい要件を備えるものに限り、農地法上所要の改正を行なうことといたしました。すなわち、このような農業化産法人につきましては、最高面積の制限を設けないこととし、その常時従事者たる構成員に限って在村地主の保有限度をこえた貸付け、創設農地等の貸付け、または借受け小作地等の転貸を認めることとしております。なお、農業生産法人につきましては、所有権、賃借権等の取得を認めることといたしております。
 次に、農業生産法人がその要件を欠くに至りました場合または農業生産法人の常時従事者たる構成員が構成員でなくなった場合の措置でございますが、農業生産法人がその要件を欠くに至りました場合には、一定期間内にその要件を満たすための措置を講じさせ、なお要件を満たさない場合には、その法人が所有する農地等は他に譲渡させ、その法人の借りている農地等は返還させることとし、この場合の賃貸借の解約等につきましては、これを許可することとしております。なお、一定期間を過ぎましてもなお所有または貸付けのまま残っております農地等は国が買収することとしております。一方、農業生産法人の常時従事者たる構成員が法人から脱退した場合や常時従事することをやめた場合におきまして、在村地主の保有限度をこえる貸付け小作地等や創設農地等が依然としてその法人に貸し付けられたまま残っておりますときは、一定期間内にその小作地等または創設農地等をその法人に譲渡するか、または返還を受けさせることとし、その期間を過ぎましてもなお貸付けのまま残っております農地等は国が買収することとしております。なお、構成員が法人から脱退し、主として自家労力で農業経営を行なおうとする場合の賃貸借の解約等につきましても、これを許可することとしております。
 第三に、農業協同組合法の改正により、新たに農業協同組合が農地等の貸付けまたは売渡しにかかる信託の事業を行なう道を開くことといたしておりますが、これを円滑に行ない得るよう、信託の引受けと信託の終了の際の農地等の権利移動については許可を要しないこととしております。さきにも申し述べましたように、この制度の活用により、農地等の有効利用とさらに家族経営の健全な発達、自立経営の育成、農業経営の協業化に寄与するような農他移動がはかられることを期待しているわけであります。
 以上がこの法案のおもな内容でございますが、なお、この際次の改正を行なうこととしております。すなわち、現在自作農創設特別措置特別会計に所属する土地等で自作農創設または土地の農業上の利用の増進という買収目的を喪失したものの旧所有者への売払いは、現行法では所有者一代限りとなっておりますが、これらの一般承継人に対してもこの売払いを行なうことが現行法の趣旨を生かすゆえんであると存じますので、この際この売払いの対象を旧所有者の一般承継人にまで拡大することといたしております。
 なお、以上の農地法の改正に伴いまして、土地改良区の組合員である法人の業務を執行する役員を土地改良区または土地改良区連合の役員に選ぶことができるようにし、農業生産法人の構成員に農業委員会の委員の選挙資格を与え、また、農業生産法人が都道府県知事より果樹園経常計画の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫から所要の融資を受け得るよう、附則で関係法律の規定を整備することとしております。
 農地法の一部を改正する法律案の内容はおおむね以上の通りでございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 さきに成立いたしました農業基本法におきましては、農業構造の改善をはかるため、農業生産行程についての協業の助長、農地等についての権利の設定または移転の円滑化をはかること等を要請しているのであります。
 この農業基本法の要請に沿い、その趣旨の実現をはかるとともに、あわせて農業協同組合及び農業協同組合連合会の業務の運営につき整備措置を講じようとするのが、この法律案を提出いたしました理由であります。
 なお、この法律案は、第三十八国会に提案いたしました同一の題名の法案と関連を持つものでありますが、前回の法案の内容をその後検討いたし、農村の実態に即応せしめつつその目的を達成するために、これをかなり修正いたしまして、ここに新たな法律案として提案いたした次第であります。
 次に法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農事組合法人についてでありますが、農村の実態に即応し、農民の共同の利益の増進をはかるため、農民によって組織された農事組合等の団体の育成をはかり、これらのものが農業経営及び共同利用施設の設置等の事業を行なう場合には、農事組合法人として法人格を取得し得る道を開いて、農業生産についての協業を助長するために必要な措置を講ずることとしたのであります。
 この農事組合法人は、共同利用施設の設置、農作業の共同化に関する事業または農業経営を行なう協同組織でありますから、員外理事の禁止、剰余金配当方法の制限等必要な制限を設けますとともに、その設立、管理等を極力簡素化し、組合員相互間の緊密な結合による業務の円滑な運営を期待しております。
 なお、この農事組合法人に関連しまして、別に提案しております農地法の一部を改正する法律案に所要の規定を設けております。
 第二に、農地等の信託の引受けの事業でございますが、農業の近代化のためには、農地についての権利移転が自立経営の育成、協業の助長等農業構造の改善に資するよう行なわれることが必要であります。そこで、農地法の基本理念を堅持しながら、農業構造の改善に寄与し得るよう、農地の権利移転について農地法の規制を緩和して参りますために、農民の自主的な協同組織としての農業協同組合が農地等の貸付け及び売渡しを目的とする信託の引受けの事業を行なう道を新たに開くことといたしました。また、農業協同組合が信託を引き受けた農地等の貸し付けまたは売り渡す場合には、組合員等の農業経営の改善に資することとなるよう配意してしなければならないものといたしますとともに、その他所要の規定を設け、その事業の健全かつ円滑な運営を確保することとしております。
 以上の措置に加えまして、農事組合法人等農民の共同の利益を増進することを目的とする団体が農業協同組合の一員となり得るようにすることがその育成上適当であるとの趣旨のもとに、これらの団体について農業協同組合の組合員資格を明定する等組合員資格につき整備するほか、員外利用制限の緩和、剰余金配当方法の改善、総会における議決権及び選挙権の代理行使等の制限の緩和等の措置を講ずることとしておりますが、これらは、いずれも、最近における農業事情その他の事情の推移に対処し、農業協同組合組織の機能を強化し、その事業の健全な運営を確保するための措置であります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○野原委員長 次に、芳賀貢君外十一名提出、畜産物価格安定法案、芳賀貢君外十一名提出、飼料需給安定法の一部を改正する法律案、及び、芳賀貢君外十一名提出、農産物価格安定法の一部を改正する法律案を議題として、まず提出者に提案理由の説明を求めます。芳賀貢君。
    ―――――――――――――
#5
○芳賀委員 ただいま議題となりました畜産物価格安定法案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 戦後、農業経営の安定向上及び国民食生活の改善等のため、畜産の振興が強調せられ、農民諸君の熱意と相待って種々の施策が講ぜられて参りました結果、わが国の畜産の発展はまことに目ざましいものがあるのであります。すなわち、その状況を見ますならば、主要家畜の飼養頭羽数においては、すでに昭和二十八年に戦前の水準を突破し、その後経済の発展につれてますます進展し、なかんずく乳牛、豚及び鶏の飼育の伸長は著しく、三十六年には乳牛八十八万頭、豚三百万頭、鶏約八千万羽を算し、乳牛は戦前の五倍以上の、また豚及び鶏は過去五ケ年間に六割以上の増大を示し、最近では多頭羽飼育の傾向はいよいよ強まってきているのであります。しかして、牛乳の生産量は、二十八年に三百八十万石程度であったものが、三十五年にはついに一千万石の大台を突破する等、飛躍的な伸びを示し、従って、これらの畜産物の生産額が農業総生産額のうちに占める割合におきましても年ごとに増大を示し、三十四年の農業生産額一兆六千五百九十五億円のうち畜産の生産額は二千百二十八億円、その割合は一二・八%をあげるに至っているのであります。また、消費の面を見まするに、厚生省の栄養調査によりますと、最近の十カ年間で牛乳は七倍、鶏卵は五倍、食肉は三倍半の伸びを示しているのであります。
 しかしながら、このような発展にもかかわらず、一たびわが畜産業の内部に眼を転じますならば、そこには多くの混乱と矛盾が見られ、数々の不安定要因が横たわっておるのでありまして、国民生活の向上と相待って今後ますます需要の増大が見込まれる畜産物の円滑な供給をはかると同時に、農民が安んじて生産に精励することができる畜産業を打ち立てる上には、すみやかに解決を要する幾多の諸問題をかかえていると申さざるを得ないのであります。すなわち、畜産の生産基盤の未整備、飼料価格の割高、畜産物価格の不安定及び家畜畜産物の消費流通機構の未整備等の現状は何人の眼にも明らかであり、さらに、最近においては、水産会社等の巨大資本の畜産部門への進出により、豚小作、鶏小作等、生産農民に対する新たなる収奪が懸念されるに至っているのであります。しこうして、これらの畜産の振興を最も阻害している要因は、流通飼料の価格の割同と畜産物価格の割安という事態であります。たとえば、昨年来の豚肉の大暴騰にもかかわらず岳産農民は何らその恩恵にあずからず、かえって、昨年秋以降の飼料の大暴騰によって、生産費をすら割る始末であったのであります。かくて、今日飼料及び畜産物の価格の安定対策こそ最も早急に解決すべき課題と申さねばなりません。
 しかるに、前国会に制定を見た政府提出の農業基本法中において畜産業は選択的拡大の対象とされておるにもかかわらず、これを裏づける具体的施策の面においては何ら有効適切な措置が講ぜられておらないのでありまして、畜産振興のかけ声はまだから念仏の域を出ていないと断ぜざるを得ないのであります。政府は、前国会にわずかに畜産物の価格安定等に関する法律案を提案しましたが、審議未了となり、今国会に再び若干の訂正を加えた法案を提出して参りました。われわれ社会党といたしましては、政府案を慎重に再検討いたしましたところ、遺憾ながら、今回の政府案をもってしても、畜産の飛躍的な発展と畜産経営の安定とをはかる上の抜本対策とはなりがたいとの結論に達したのであります。すなわち、政府案によれば、畜産振興事業団を設け、この事業団が農林大臣の定める畜産物について安定価格による買入れ及び売渡しを行なうこととされているのでありますが、この案の致命的欠陥としては、まず第一に、買入れの下位価格の算定基準が不明確であり、生産農民の生産費及び所得を補償することとなっていないことであります。農林省の予算の示すところを見ますると、三十六年度の買入れ予算単価は、指定乳製品の生乳換算一升当たり価格四十四円、豚肉一キロ当たり二百十五円、三十七年度要求予算では、指定乳製品四十六円八十銭、豚肉二百三十五円となっておりますが、農林省調査による三十四年の生乳生産費五十玉円二十六銭、全国農協中央会の算出による三十六年の七十四円二十七銭より著しく低いのであります。また、豚肉一キロ当たり全国農協中央会の三十六年の調査による三百八円九十五銭よりきわめて低いものとなっているのであります。第二に、買入れ方法等が不明確であり、予算規模のいかんによって、銘柄、規格等を通じて買入れを不当に規制されるおそれがあることであります。第三に、輸入の規制が弱いことであります。第四に、生産者団体に対する自主調整保管等の施設の拡充措置が何ら講ぜられていないことであります。
 従って、わが日本社会党といたしましては、この際、畜産の飛躍的な振興を期する上に、その抜本的な措置を講ずべく、畜産物の価格は生産費及び所得補償の原則によって決定し、流通飼料を規制して農民に安価な供給を確保し、取引の適正化のために卸売市場を国の管理下に置き、国はその責任において総合的な施策を講ずるに必要な予算等の確保をはかること等、わが党が年来主張しております畜産農業振興のための基本政策の線にのっとり、ここに畜産物価格安定法案を提出することとした次第であります。
 なお、畜産物の価格の安定をはかるために、価格が基準価格より低落する場合、国が生産農民の組織する農業協同組合等から直接畜産物を買い入れ、また売渡しを行なうため、国に畜産物価格安定特別会計を設けることとし、本案と表裏の関係において別途特別会計法案を提出いたすこととしております。また、流通飼料の需給及び価格の安定を期するために、これまた前国会において審議未了となった同一趣旨の飼料需給価格安定法の一部を改正する法律案を提案いたすことを付言しておきます。
 以下本案の内容について申し上げます。
 まず第一に、この法律は、主要な畜産物の価格の安定をはかることにより、畜産の健全な発達と農民所得の向上に資することを目的といたしております。
 第二に、農林大臣は、毎年度、年度開始の日の一ヵ月前までに、畜産物価格安定審議会の意見を聞いて、生乳、飲用牛乳及び指定乳製品、指定食肉並びに鶏卵について、前年度からの繰越し数量、生産見込み数量または輸入見込み数量、国内消費見込み数量、政府買入れ見込み数量、輸出見込み数量、翌年度への繰越し在庫見込み数量等を内容とする需給計画を定め、これを告示することとし、毎年度この法律の対象となる畜産物の需給の動向を把握し、これを公表することといたしております。
 第三に、農林大臣は、毎年度、年度開始の日の一ヵ月前までに、畜産物価格安定審議会の意見を聞いて、生乳、飲用牛乳、指定乳製品、指定食肉及び鶏卵についての基準価格を定め、そのうち、生乳、指定食肉または鶏卵の基準価格は、生産費を基準とし、物価その他の経済事情を参酌、生乳、指定食肉または鶏卵の再生産を確保することを旨として定めることとし、この場合、生産費に含まれる自家労働の価額は、他産業に従事する労働者の賃金の額と同一水準のものでなければならないこととし、もって、生産費及び所得補償の原則を打ち出しているのであります。
 なお、飲用牛乳または指定乳製品の基準価格は、生乳の基準価格に処理または加工に要する費用等を加えて定めることとしております。
 また、乳業者が、生乳の基準価格に達しない価格で生乳を買い入れ、または買い入れるおそれのあるときは、農林大臣または都道府県知事は、その乳業者に対し、基準価格に達するまで引き上げるべき旨の勧告ができることをも規定しております。
 第四に、指定乳製品等の生産等に関する計画についてであります。
 まず、生乳の生産者が直接または間接の構成員となっている法人で農林省令で定める生乳生産者団体は、生乳の価格をその基準価格まで引き上げ、またはその基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までに、その構成員の生産する生乳を原料とする指定乳製品の生産(他に委託する生産を含む)、保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。
 次に、乳業者、乳業者が組織する中小企業協同組合または乳業者たる農協もしくは同連合会が直接もしくは間接の構成員となっている農業協同組合連合会(乳業者等)は、指定乳製品の価格をその基準価格まで引き上げ、またはその基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までに、その者またはその構成員の生産する指定乳製品の保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。
 次に、指定食肉にかかる家畜または鶏卵の生産者が直接または間接の構成員となっている法人で農林省令で定める指定食肉生産者団体または鶏卵生産者団体は、その構成員の生産する家畜にかかる指定食肉または鶏卵の価格をその基準価格まで引き上げ、またはそれらの基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までに、その構成員の生産する家畜にかかる指定食肉または鶏卵の保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。
 次に、農林大臣は、右の生乳生産者団体の指定乳製品の生産、保管または販売の計画、乳業者等の指定乳製品の保管または販売計画、指定食肉年産者団体または鶏卵生産者団体の指定食肉または鶏卵の保管または販売の計画が、それぞれ農林省令で定める基準に適合すると認めるときは、その認定をするものといたしております。
 なお、農林大臣は、生乳生産者団体が、指定乳製品の生産、保管または販売の計画を定め、農林大臣の認定を受けて他に委託して、その生産の計画を実施しようとする場合に、当該乳業者が正当な理由がないのにその生産の委託に応じないときには、その生乳生産者団体の申し出により、その乳業者に対し、その委託に応ずべき旨を命ずることができることとしております。
 また、政府は、生乳生産者団体等がそれぞれの生産、保管または販売の計画の認定を受けた場合には、それらの団体に対し、その計画の実施に要する経費について必要な助成を行なうことといたしております。
 第五に、指定乳製品または指定食肉の政府の買入れ、売渡し及び交換についてであります。まず、政府の買入れは、生乳生産者団体がその構成員の生産する生乳を原料とする指定乳製品の生産、保管または販売の計画並びに指定食肉にかかる家畜の指定食肉生産者団体の構成員の生産する家畜にかかる指定食肉の保管または販売の計画について農林大臣が認定した指定乳製品または指定食肉について、生乳生産者団体または指定食肉生産者団体の売渡しの申し込みにより、それぞれの基準価格に金利、保管料等に相当する額を加算した価格で、かつ、数量につき無制限で買い入れることとしております。
 次に、政府の売渡しについては、政府が買入れもしくは輸入した指定乳製品または指定食肉の売渡しは、これらの需給事情を勘案し、それらの時価がその基準価格の水準において安定するように売り渡すものといたしております。
 なお、政府の売渡しは、一般競争入札の方法によることを原則としておりますが、学校給食その他特定の用途に売り渡す場合には、随意契約その他の方法によることができ、時価よりも低い価格で売り渡すことができるものといたしております。
 次に、政府の保管する指定乳製品または指定食肉が品質の低下により損失を生ずるおそれがある場合は、これと同一規格及び数量によって交換することができることとしております。
 第六に、乳製品または食肉の輸入についてであります。
 国内産の生乳、乳製品、指定食肉等の価格を定安せしめるため、これらの輸入には当然制約を加えるべきものでありますので、乳製品または食肉のうち政令で定めるものに限り、これらの輸入は、農林大臣の許可を受けることとし、また、これを輸入した者は、農林大臣が定める価格により全品を政府に売り渡さなければならないことにしております。
 第七に、飲用牛乳の時価がその基準価格をこえて著しく騰貴し、またはそのおそれのあるときは、農林大臣または都道府県知事は、飲用牛乳にかかる乳業者等に対し、時価が基準価格の水準において安定するため必要な勧告ができることとし、飲用牛乳の消費者を保護することといたしております。
 第八に、農林大臣は、この法律を施行するために必要があるときは、生乳生産者団体、乳業者等、指定食肉生産者団体、鶏卵生産者団体または乳製品もしくは食肉の輸入業者等から必要な事項の報告を徴し、またはその職員をしてそれらの者の事務所、事業所、倉庫等に立ち入らせ、帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができることとしております。
 第九に牛乳、乳製品、食肉及び鶏卵の需給の安定、流通の改善、消費の拡大及び価格の安定等に関する重要事項を調査審議し、あわせてこれらについて関係行政庁に建議するため、農林省に畜産物価格安定審議会を設置することといたしております。この審議会は、委員十七名で組織し、衆議院議員のうち衆議院の指名した者五人、参議院議員のうち参議院が指名した者三人、生乳生産者団体、乳業者等、指定食肉生産者団体、鶏卵生産者団体等を代表する軒六人以内、学識経験のある者三人以内といたし、また、審議会に専門の事項を調査するために専門委員を置くことができることとしております。
 以上が本法案の提案理由及びその内容であります。何とぞ慎重審議の上御可決下さいますようお願い申し上げます。
 次に、飼料需給安定法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 飼料需給安定法は、政府が輸入飼料の買入れ、保管及び売渡しを行なうことによって、飼料の需給及び価格の安定をはかり、もって畜産の振興に寄与することを目的として、昭和二十八年三月より施行され、その後、昭和三十一年に、政府の保管する輸入飼料について、その品質低下のおそれがある場合、これを買換えまたは交換できることとする一部改正が行なわれ、今日に至っているのであります。本法の基本的な性格は、前述したところにより明らかでありますように、政府が輸入業者の輸入する飼料を買い付けることによって飼料の国内供給を確保するとともに、売渡しにあたってはその用途、価格、数量、時期、地域等各般の事項にわたって規制を行ない。間接的に国内の飼料の需給及び価格の安定をはかることにあるとされ、自来九年間この線に沿って法の運用がなされて参ったのでありますが、その間、家畜飼養頭羽数の著しい増加に対応して、需給計画の規模は拡大し、政府の取扱い実績も増大し、昭和三十三年度をとってみますると、第一回の計画に比しおおむね二倍の数字を示しているのであります。
 しかるところ、三十四年頃より、特に鶏、豚、乳牛等の多頭羽飼育ないしは集団飼育等の動きが急速に高まり、飼料事情はこれに伴って急激に変化して参ったのであります。かくいたしまして、三十五年秋には需給の逼迫は憂慮すべき状態にまで立ち至ったのであります。すなわち、三十六年二月のトン当たり飼料価格を見まするに、前年同月に比し、トウモロコシを除き、輸入ふすまは二〇%、国内ふすまは六%、脱脂米ぬかは二三%、大豆かすは一般品で三七%、魚かすは五%、澱粉かすは九四%というふうに、いずれもはなはだしい高騰を告げたのであります。政府は、かかる事態に対処すべく、三十五年度の当初需給計画を大幅に改訂したのでありますが、これをもってしても及ばず、本年三月には急遽、飼料緊急対策を講ずることとなり、三月以降、ふすま、油かす等はもとより、食糧として買い入れた大・はだか麦の大量放出を行なうこととし、辛うじて当面の非常事態を脱しましたことは、各位のすでに充分御承知のとおりであります。
 このように飼料をめぐって非常な混乱を生じた原因は政府の飼料対策の不手ぎわにあることはもちろんでありますが、より根本的には、現行の飼料需給安定法が、適切かつ機動的な飼料行政を実施して飼料の需給と価格を安定せしめる上に数々の欠陥を蔵していることを見のがすわけには参らないのであります。すなわち、一、食糧行政と飼料行政との関係につき政府部内にしばしば意見の不一致が生じているのでありますが、特に食糧として買い入れた大麦等を飼料として払い下げる場合の根拠規定が欠けているため、敏速な飼料行政を実施する上に少なからざる障害となっていること、二、政府が飼料需給計画を策定する場合の前提となる家畜飼養頭羽数の把握が不十分であり、また、これと関連して、自給飼料、流通飼料ないしは輸入飼料を通ずる飼料需給の見通しが的確でないのみならず、総合的な飼料需給計画の作成の義務が課せられていないこと、三、製粉業者や配合飼料業者等の思惑的な買いあさりにより国内の飼料の価格が不当につり上げられた場合等において、政府がその対応措置を講ずるための規定が不備であること、四、政府が輸入飼料または政府所有大麦等を売り渡す場合に国内の畜産物の価格とつり合いのとれた価格でこれを行なう配慮に欠けていること、等であります。
 わが農業の飛躍的発展を期する上において畜産農業の果たす役割がいよいよ重大となっております今日、飼料問題の解決は、養畜農民の死命を制する重要条件であり、飼料対策の改善は刻下の急務であると信ずるのであります。
 以上の趣旨にかんがみ、前国会に飼料需給安定法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、遺憾ながら審査未了となりましたので、その後検討を加えた結果、若干の点を加えた同一趣旨の飼料需給安定法の一部を改正する法律を今回再び提出することとした次第であります。
 以下本案のおもな内容について申し上げます。
 第一点は、現行法による飼料需給計画は、輸入飼料についてのみこれを作成することとなっておりますが、国内飼料を含む総合的な視野のもとに飼料需給計画を作成するよう改めたことであります。
 第二点は、現行法によれば、飼料の売渡しは、一般競争入札を原則とし、特別の場合に指名競争契約または随意契約の方法によることとせられておりますが、政府の保管する輸入飼料は、本来、実需者団体である農業協同組合または農業協同組合連合会に売り渡し、もって中間利潤を極力排除すべきものでありますので、そのように改正することといたしました。
 第三点は、政府の所有にかかる飼料を売り渡す場合の価格は、国内の飼料の市価その他の経済事情を参酌して定めることとなっておりますが、畜産物の価格を第一義的に参酌して決定すべきが当然でありますので、そのように改めたことであります。
 第四点は、現行法第七条に規定する「飼料の需給がひつ迫した場合の特例措置」についてでありますが、政府がこの条項の発動に遅疑逡巡している間にふすまの価格は暴騰した最近の事例にかんがみまして、政府は、その所有小麦を製粉業者等に売り渡す場合には、一般的に、ふすまの譲渡使用に関し、地域指定、時期指定、価格制限等を行なうことができることとし、しかも譲渡価格を制限する場合には、製粉業者等の超過利潤を制約するため、小麦の政府売渡し価格、製粉費用、小麦及びふすまの市価等を参酌して最高価格を決定するように改めたことであります。
 第五点は、過般政府が大・はだか麦の緊急払い下げをいたしましたように、飼料の需給が逼迫しました場合における政府所有の大・はだか麦の実需者団体である農業協同組合または農業協同組合連合会に対する売渡しの特例措置に関する根拠規定を新に設けたことであります。
 第六点は、飼料需給安定審議会の委員の構成が適当でないので、これを改めたことであります。すなわち、現行法によれば、審議会の委員は三十人以内をもって組織し、その会長は農林大臣をもって充てることになっておりますが、今回、委員は二十人以内とし、会長は委員のうちから互選することに改めました。しかして、委員の構成についてでありますが、現行法によれば、衆参両議院議員が八名、関係行政機関の職員のうちから農林大臣の任命した者五人以内、飼料に関し学識経験のある者、農業者の団体を代表する者、飼料の消費者を代表する者、その他飼料の関係者のうちから農林大臣の任命した者十七人以内、計三十名以内となっておりますが、今日までの経験によりますと、このような委員構成では、しばしば飼料業者に有利な蠢動の場を与える等弊害を起こした例も少なくないと考えられますので、行政機関の職員は全員削除し、また、農林大臣の任命する飼料に関し学識経験のある者のうちからは三人以内、実需者団体を代表する者のうちからは六人以内、輸入飼料の輸入業者または飼料の生産者を代表する者のうちからは三人以内に、それぞれ改めることとしたのであります。さらに、新たに、専門の事項を調査させるために、審議会に専門委員を置くこととしたのであります。
 その他、これらの改正に伴い若干の条文整備を行なっております。
 以上が本案提出の理由と内容の大要でございます。何とぞ御審議の上すみやかに御可決賜わるよう希望いたす次第であります。
 次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定されまして以来、今日まで、米麦に次いで重要な農産物であるイモ類、菜種及び大豆について、生産者団体が行なう自主的な調整販売と相待って、これらの農産物等が正常な価格水準から低落することを防止して参り、農業経営の安定をはかる上において相当の効果を発揮してきたことは疑いのないところであります。なかんずくイモ作農家の経営の安定のために寄与した役割については見るべきものがあったと存ずるのであります。
 しかしながら、政府は、さきに制定された農業基本法を基軸として、今後、主要な農畜産物につき、その生産の選択的な拡大と縮小を実施して参る過程において、価格政策面ではいわゆる需給均衡価格を中心とする価格形成方式を大幅に取り入れ、また、政府の買入れ、売渡しによる安定制度の運用は、逐次これを縮小し、終局的には廃止する方針のようにうかがわれるのであります。そこには、農畜産物の国内自給度を向上せしめつつ、農家所得を引き上げ、他産業との所得格差の均衡化を期するという積極的かつ建設的な意欲に欠けているのみならず、他の有利な作物に転換すべく有効適切な技術的、資金的裏づけを持たない大多数の中小農民を切り捨てることによって農業の資本家的転換をなし遂げようとする政策意図が潜在していると断言してはばからないのであります。その端的な事例は、政府から今回提出された大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案と大豆なたね交付金暫定措置法案であります。
 特に、大豆なたね交付金暫定掛額法案によりますと、現在農安法の対象となっている大豆及び菜種は同法の適用から除外されることと相なるわけでありまして、しかも、この法案は貿易自由化が農家経済へ与える悪影響から大豆、菜種の生産農家を保護することをねらいとしておるにもかかわらず、実質的には、現在の農安法が保証する最低価格は最高価格にすりかえられておるばかりか、さらにその保証価格は漸次引き下げられていくものと予測されているのであります。かくて、現行のきわめて不満足な農産物価格安定制度はいよいよ大幅な後退を見ることとなるのであって、さきの国会において政府提出農業基本法の審議にあたりわれわれが指摘した安上がり農政の現実の姿はいかんなくここに露呈されて参ったと言わざるを得ないのであります。
 われわれは、このような政府の政策に強く反対するのみならず、むしろ農畜産物の価格安定方策の改善強化をはかることこそ、農民の所得向上のための最も重要かつ基礎的な要件であると確信し、さきの第三十八国会においてわが党が提出した農業基本法案におきましては、その第十四条に、「国は、米麦等の管理制度を維持改善し、生産費及び所得補償方式の原則に基づき、主要農畜産物の価格を支持してその安定に努めなければならない」旨を規定したのであります。しかして、この生産費及び所得補償方式による価格支持政策は、米麦はもちろんのこと、さらにその範囲を拡大して、農産物価格安定法の対象農産物や、牛乳、果実、食肉、たばこ等に対しても順次拡充して参る所存であります。そこで、われわれは、わが党の農畜産物価格安定対策の基本性格をせん明した農業基本法案の精神を具体的に展開するため、別途、畜産物価格安定法案、畜産物価格安定特別会計法案を提出するとともに、ここに本改正案を提出し、農産物価格安定法の対象品目として新たに小笠、インゲン等を加えるとともに、食管特別会計を通ずる農産物価格安定政策を一そう強化して、二重価格制を採用し、また、農産物価格安定審議会の設置をはかること等としたのであります。
 以下本改正案の主要な内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、現行法によって政府が買い入れる対象農産物は、カンショなま切りぼし、カンショ澱粉、バレイショ澱粉、菜種及び大豆の五品目となっておりますが、新たに小豆その他政令で定める豆類を政府買入れの対象に加えることといたしました。しかして、政令で定める豆類としては、とりあえずインゲンを予定しております。
 すなわち、小豆、インゲンは、大豆と同様、北海道が主産地となっておりますが、内地においても広く栽培され、それらの生産額は年間百八十億円にも上り、しかもその八割以上のものが市販され、農家経済ときわめて密接な関係を持つ畑作物であります。しかして、その価格はきわめて不安定でありまして、これら生産農家は絶えず不安な状態に置かれており、かねてからこれら農産物に対する価格安定対策の確立が要望されて参ったのであります。そこで、今回これら農産物を農産物価格安定法の対象品目に加え、その価格安定をはかろうとするものであります。
 第二に、農産物等の政府買入れ価格は、現行法では、農業パリティ指数に基づき算出した価格、生産費及び需給事情その他経済事情を参酌して算定する建前となっておりますが、生産費及び所得補償方式によりこれを算定するよう規定を改めることといたしました。
 第三に、農産物等の売渡し価格についてでございますが、現行法では、新規の用途または販路に向けるため必要がある場合等の例外的な場合を除き、売渡し価格は買入れ基準価格及び時価を下回ってはならないこととなっているのであります。従いまして、現在のところ、この例外規定を適用して、政府手持ちのカンショ澱粉を結晶ブドウ糖用に売却する場合に限り、買入れ基準価格より幾分安くしているのであります。しかしながら、一方においては、政府手持ち澱粉が累増し、他方においては年間四十万トンにも達する水あめ、普通ブドウ糖工業が原料高製品安に悩み、これらの関連中小企業が危殆に瀕している等の現状において、これら製品の一そう積極的な消費拡大策を推進する必要性が著しく高まっておりまするし、また、大豆の輸入の自由化が強行された場合には、国産の大豆及び菜種につきましては、その生産と需給の現状より判断して、当然政府による相当量の買入れ及び売渡しが現実に行なわれざるを得ない事態に立ち至るものと推測せられますので、今後は、これらの農産物については二重価格制を採用することとし、政府が買入れ基準価格を下回って売却しても差しつかえがないよう規定の改正を行なうこととしたのであります。
 第四に、農林省に新たに農産物価格安定審議会を設置することといたしております。すなわち、農産物価格安定法運用上の最も重要な事項の一つは、農産物等の買入れ数量及び価格を決定する機構でありますが、現行法の規定によりますと、政府が生産者団体の意見を聴取し、それを尊重して決定するという仕組みと相なっておりますことは御承知の通りであります。しかして、米麦の価格決定にあたりましては、農林大臣は米価審議会に諮った上でその決定が行なわれておりまして、この点に関しては、イモ類、菜種、大豆は、米麦に準ずる重要農産物でありながら、生産、流通、消費の各方面の関係者あるいは学識経験者等の意見を徴する機構に欠け、単に生産者団体の意見だけを聴取してその決定を行なうことといたしておりますことは、行政上全く片手落ちな措置と申しても過言でないと存ずるのであります。これにかんがみ、この際、農林大臣の諮問機関として、生産者団体のみならず、国会議員及び学識経験者等をも含めて構成される農産物価格安定審議会を設置することといたしたのであります。しかして、審議会は、農林大臣の諮問に応じ、農産物等の需給の安定、流通の改善、消費の拡大及び価格の安定に関する重要事項を調査審議するとともに、必要に応じ、如上の事項について関係行政庁に建議することができること等としております。
 なお、専門の事項を調査するために、審議会に専門委員を置くことができることとし、専門委員は、学識経験のある者のうちから審議会の推薦に基づいて農林大臣が任命することといたしております。
 最後に、附則において、この法律は公布の日から施行すること、その他農林省設置法に所要の改正を加えることといたしております。
 以上が農産物価格安定法の一部を改正する法律案の提案の理由とおもな内容であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決下さるよう希望する次第であります。
#6
○野原委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#7
○野原委員長 次に、農業近代化資金助成法案、農業信用基金協会法案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案を一括議題として、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
#8
○楢崎委員 私は新米でして、初めて実力者の農林大臣に御質問をする光栄に浴したわけです。一つ親切に教えてもらいたいと思うのです。
 まず第一番に、私は、今提出されております農業近代化資金の今後の農業基本法施行上に占める位置づけと申しますか、そういうものについて以下御質問をいたしたいと思うのです。
 そこで、今度の農業近代化資金がはたして今後の農業施策の方向に適合したものであるか、つまり、現在の農業が抱えておるいろいろな諸問題についてそれが適切に適合しておるかどうか。そうしますと、現在の農業の諸問題とは一体どういうところにあるのか、そういう観点から論理的に進めていきますならば、結局、現在の農業というのは、池田内閣がとっております高度成長の中の農業ということになってくるわけです。この点につきましては、衆議院の本会議において、わが党の代表質問の中で、いろいろと、高度成長のひずみといいますか、ゆがみについて同僚議員が質問をいたしておりますが、これに対して、池田総理は、この高度成長は誤っていない、ますます続けていくという答弁をしております。従って、今後の農業というものも、この池田総理の高度成長の中でやはり続けていかれる。だから、この高度成長の中の農業というものをもう一ぺん浮きぼりにして、特に農林金融と関連があると思われる問題点について再確認する必要があるのではなかろうかと私は思うわけです。
 そこで、七月十四日に、三十六年度の年次経済報告書が企画庁から出ておりますが、この白書は政府が出しておるもので、この白書の統計を一応の基礎にして考えますと、高度成長が農業に果たしてきた影響あるいは農業が現在の高度成長に果たしておる役割というものがこの白書の中ではある程度私は浮きぼりにされていると思うわけです。
 そこで、私は、まず農業が現在の高度成長政策の中に果たしておる役割を、簡単に白書が指摘しておるところによってたどりますと、一つは、やはり農業が低賃金労働の供出の場であるということ。そして、いま一つは、農業が高度成長の市場の場を果たしておること。生産的消費の点においては、御承知の通り、肥料あるいは農薬、農機具、こういうものの消費が非常に増しておる。農機具のごときは前年度よりも三〇%も増しておる。こういう生産的な消費の面で非常に大きな役割を果たしておる。それから個人的な消費の面でも非常に消費がふえておる。テレビのごときは十戸に一個とか、あるいは電気せんたく機も十一戸に一個というような割合で進んでおるということも言われておるわけですが、その半面、金融市場としても、農村から吸収される貯蓄というものはすごい成長率を示しておる。きのうのお話でも、農協段階で八千億、信連段階で四千億、中金で二千億という膨大な貯金がある。しかも、結局、それが農村に返される率というものは非常に少なくて、農外に出ておる場面が非常に多い。この農村の貯蓄率が非常に高くて、そうして相対的に消費が少ないということは、やはり現在の高度成長の一つのささえとなっておる。このように思われるわけです。こういう点が農業が高度成長に果たしておる役割であると思うのです。
 その反面、高度成長が農業に与えておる影響は、実に、これはまた、深刻なひずみというか、ゆがみを出しておる。その一番はっきりした点は、私は、現在も大へん指摘をされておりますように、農家人口は減っておるけれども農家戸数が減ってないという現象。つまり、人口の流出は、挙家離農という点が進まずに、在宅通勤あるいは子供だけが外に出ておるというような状態。これは在宅通勤は前年度の一九・八%増しておるということが言われておる。しかも十年間に三百五十万人口が流出しておりますから、一カ年に直しますと三十五万の流出。農家減少率は二・八%という非常に小さい率が示されておる。
 それから、もう一つは、これも農村金融上考えなければならない問題です。つまり、農家の経済の問題ですが、現在も、高度成長に一番順応して生活が伸びておるのは、実は、第二種兼業というか、農業が家庭蔬菜に近づいておる三反以下のもの、それと二町歩以上くらいの農家がこの高度成長に順応しておって、実際にこの高度成長に経済が順応し切れないでおるのは、実は、五反から一町を中心とした、三反歩以上、一町五反以下というこういう統計がこの白書の中に出ておるわけです。
 そこで、私は、この点で一番問題になりますのは、やはり、この高度成長の結果として、現在日本農業が非常に兼業化が進んでおって、しかも一方農業の労働力は老朽化しておるという状態、つまり、農業の生産力が低下をしておるという点、そして、二番目には、機械化は進んでおるが、非常に機械化貧乏となっておる、非常に収益性が低いという問題、それから、いろいろな経営のための諸要素が、価格は上昇しておりますから所得は上がっておっても、所得率、利益率が非常に下がっておる、そういう点に私は集約されると思うのです。これは政府が出された白書が指摘しておるところですから確実であろうと思う。従って、こういう問題点に適切にこの農林資金が動かされないと、私は、この農林資金というのは基本法上宙に浮いた資金になってしまう、こう思うわけです。
 そこで、以上のような点を確認しながら、私は、まず、その資本を投下する場合に、現在のような日本の農業の経営規模の拡大を伴わないで資本が投下されるということは、非常に資本の効率、経済的な効果、そういうものが非常に弱くなる、そこで、経営規模の拡大を伴わない資本の投下というものについて、一体どのように近代化と関連してお考えになっていらっしゃるか、これをお伺いをしたいわけです。
#9
○河野国務大臣 ただいまのお話を承っておりましても、われわれがいろいろな面において解釈に苦しむ、もしくはそれを解釈した方がいいか悪いかという問題にぶつかると私は思うのであります。たとえて申しますと、一方において農村の貯蓄が、吸収という言葉をお使いになりましたけれども、私は、それは強制であるか進んでやっておるかそれはいろいろ場合があろうと思いますが、いずれにしても農村の蓄積が相当に強く進んでおる。その反面において融資の問題が起こっておる。これらは、いずれも、下から上がってくるものの最終的な金利と上から下がってくるものとの間には、むしろ農村のためにはプラスになっておると思うのであります。たとえば、それが中金の段階におきましても県の連合会の場合におきましても、これを融資いたします場合に、今の市中金利で融資されておると思うのであります。そういう点をどういうふうに掘り下げていいか、どういうふうにやっていいかということにつきましても相当の考慮を払う必要があると思うのであります。これを要するに、私は、これからの農村を考えます場合に、現状を維持しつつ、現に行なっております保護政策を堅持しつつ、その中において、将来の構造、将来の計画を立てていく、これに農村の諸君に御協力願うということで農村問題を扱っていくべきものだと考えるのでございます。でございますから、一方において現状を否定していくわけには、農村に関する限りは参らぬと私は思うのでございます。でございますから、一方において、私は、農村全体の構造改善を企画しつつ、また、一面においては現状の予算をそのまま保護政策を現状のままにおいて続けて参る面が必要である、こう考えておるのであります。
 でございますから、これを議論の対象としていたします場合に、今御指摘になっておりまする合理化資金にいたしましても、たとえば現状を維持しつつ七分五厘の金を、――金利は決して安くございません。安くございませんが、構造改善の場合にはこれをまぜ合わせて五分の金利の金をもって構造改善の基本的な施策をやっていくということにして、将来の農村に対して一つ方向を見出していく。そして、これが完成されました上においては、農村のある姿はまたそこに新しい日本の農業というものが生まれてくる。その間に、おおむね五年かかるか八年かかるか、全体をやります場合には相当の年月がかかります。従って、今ここにすっきりした御答弁は申し上げかねますけれども、とにかく、相当かすに時をもっていたしまして、そうして到達するところにわれわれの理想の農村を生み出していきたい、こう考えて参らなければならない条件にあるのではなかろうか。でございますから、今お話がございますように、農村の労力が老齢化しておるのではないか、その通りでございます。その通りでございますが、一面において、老齢化しておると申しますけれども、今、都市で働いておりまする若い世代の諸君がまた、新しい畜産なり果樹園芸なり将来の農業として近代化された農業というものがそこに企画され実施されるときに、そこに新しい若々しい労力が入ってくるということになるべきものだと思って、せっかく私は農村の構造改善なり近代化施策というものを企画いたしておるのであります。
#10
○野原委員長 ちょっと委員長からお願いしますが、大臣があまり長くおれないようですから、なるべく簡潔に、御質問を要点にしぼっていただきたい、そうお願いいたします。
#11
○楢崎委員 私は、特に最後に申し上げておりますように、現在のような経営の狭隘性では資本を投下しても効率が上がらぬのではないか。たとえば、トラクターにしても、採算がとれる利用時間というものは二百時間、それが現実には八十時間くらいしか稼働していない。そうすると、採算線から見ると四〇%じゃないか。あるいは耕転機にしても、採算がとれるのは八十日と言われておる。ところが、二町の農家の場合は一日三反やっても七日間で済んでしまう。こういうふうでは、いかに農機具を入れても、現在のような経営面積の狭隘性では資本の効率が悪いから、経営面積を広めるということを同時に伴わないと、資本をいかに投下してもだめではないか、これを言っておる。
 そこで、この経営規模、特に経営面積の増大について、大臣の具体的なお考えがあったら、見通しがあったらお聞かせを願いたい。
#12
○河野国務大臣 お説の通りでございます。お説の通りでございますから、きょうお願いいたしました農事実行組合というようなものによって共同して施設をする、共同してトラクターの買い入れをする、共同して使うというような方向にいくべきじゃなかろうか。
 ただ、一言お断わり申し上げておきたいと思いますことは、世界の農業を見て参りましても、耕地面積の広いところ、それから相当に狭いところに資本を投下して施設を非常に盛り上げておるものと、二通りあると思うのであります。必ずしも土地の広いところにだけ農業が発展するものじゃない。土地が狭ければ狭いなりに、そこに施設を増大して参る。たとえば岡山のブドウのように、狭いところに温室ブドウを軒並みにやりまして、十分やっていく、岡山の一部にありますような鶏と桃を組み合わせて五反歩でけっこうりっぱにやっておるというような特殊な農業が全国にそれぞれ現にあります。これらのものを十分に施策を検討した上で、これをどういうふうに拡大して参るか、それにはどの程度の資金が要るかというようなことも考えられると思うのでございまして、日本の将来から考えまして五町歩なければいかぬとか三町歩なければいかぬというようなことだけでいきますと、そこにそれでは余った農民はどうするかという問題が出て参ります。私が、日本の農村の現状にかんがみまして、現状維持をしつつ、そこに理想を打ち立てていくということを申し上げたのはそのためでございます。
#13
○楢崎委員 以下の点は、第三十八国会のときにわが党の北山委員から質問されて、池田総理あるいは当時の周東大臣からも満足なるお答えが得られなかったわけですが、つまり、今の経営面積の拡大について、二町五反以上のもの百万戸を作るということになると、現在二町以上の農家が約三十八万だから、従って、百五十万町歩くらいの農地が移動しなくちゃならない、そうすると、一反平均二十万円とすると、大体三兆円くらいの金が動くではないか、その際の移動資金というものは政府としては一体どのように考えておるのか、これを大部分農家に負わせるということになると、今言われておるように、片一方では近代化するのに肥料とか農薬とかあるいは農機具を買わなければならぬ、従って片一方でたんぽを買うのに一反二十万円から三十万円の金をつぎ込めぬではないか、一体どうなるのだという質問が出されたときに、実は満足なる回答が得られなかった。そういう点も含めて、それらの経営規模拡大についての資金上の政府の考え方を、ございましたら一つお聞かせを願いたいと思います。
#14
○河野国務大臣 私は、さしあたってそう急激に資金をもって経営規模を個人的に拡大するということは、はたしてどれだけの効果があるだろうかというところに実は多少疑問を持っております。まず農地の交換分合が先じゃないかとか、先に施設し準備しなければならぬという問題がたくさんあると思います。ただし、いつまでもそれでいくんじゃない。そういう必要が起こってきた場合には、当然私は考えなければならぬと思います。それには、御承知の通り、デンマーク等で行なっております組合金融、非常に長期にして低利な組合金融等も考えられるものだと思います。私は、それを考えなければならぬ時期が来たら当然考えなければならぬと思います。
#15
○楢崎委員 今の高度成長の結果、一番如実に現われている事実の一つとして、兼業化が進んでおるという問題。しかもこの兼業農家の増収が農業全体の所得増の大きな部分を実は占めておる。だから、結果として農業所得は上がっておるから、大へんけっこうだ、兼業もけっこうだ、兼業で所得が上がるならけっこうだという、そういう考えでは、この兼業農家の増加と関連をして農家戸数は減らない。そういう点ともからみ合わせて、私は、兼業農家の整理ということが実は問題になるのではなかろうか、このように思うわけです。この兼業農家の増加についての政府の評価について一つお答えをいただきたい。
#16
○河野国務大臣 私は別の機会にも申し上げたと思うのでございますが、今お話の兼業農家は、実は、一般産業の労賃が高騰いたしまして、世界各国この傾向にあると考えております。ひとり日本だけじゃない。アメリカに参りましても、サンフランシスコの郊外、カリフォルニアの農村に参りますと、相当遠いところの青年はみな兼業で働いておるのが現状であります。しかし、この現実が国際的であるから日本でもよろしいという結論ではございません。世界の農業が将来どういうふうに変わっていくか、どういう姿になっていくべきものか、また、日本の農業にいたしましても、将来の世界の方向が、自由国家群と共産圏、自由経済のもとにおける農業、共産圏における農業がそれぞれどういうふうに変遷していくかということは、非常にむずかしい問題だと私は思います。ただ、日本農業の現状においては、私は、農林大臣として、今申し上げた通りに、現状の保護政策を堅持しつつ、そこに基本的に構造改善の施策を講じて、そして農民諸君をして将来あるべき姿を一応この方向でということを今施策しておるのでございます。今お話しの通り、兼業農家は適当でない、これは、今私も申し上げた通り、世界的の傾向でございまして、産業界の一部における農業、この地位等を考えまして、どういう方向にこれがいくべきものか、欧州共同体の中における農業についても御承知の通りであります。また、アジア全体が一つの経済圏になる場合があるかどうかというようなこと、いろんな世界的な動向、世界的な動きの中における農業というものを想像すれば、いろんな農業が想定できるわけでございます。しかし、それらは少し飛躍し過ぎますから、私は今これをとろうといたしません。日本の農業を管掌いたします農林大臣としては、現状においての保護行政を堅持しつつ、将来の農業のあるべき構造を想定して、そこにいくことを施策いたしておるのでございます。兼業農家直ちに適当でないという結論に立って施策をとらず、それは地方々々によって違うということもあり、構造改善を企画いたします場合に、全国総括してこの方針でというわけには参らぬと思うのでございます。
#17
○楢崎委員 私が兼業農家を問題にしておるのは、外国の農業における兼業農家ではなしに、日本の農業、特に農業基本法が指向しておる方向においてこの兼業農家をどう考えるべきかということであります。一番その問題があるのは、先ほどから申しておりますように、経営規模を拡大するという方向から見ますと、この兼業農家というものは、農業基本法が考えておる合理化の方向の阻害になっておると見ざるを得ぬのではなかろうかと思います。なぜならば、政府案では農業用地の拡大にそう重きを置いておられない。せんだってもわが党の基本法で三百万町歩の農業用地の拡大を出しておるのは、その辺に意味がある。そこで、政府が出されておる農業基本法の自立した家族経営農家を中心とするという方向から言うと、この兼業農家は当たらない。戸数が減らないから、その農地が移動しないではないか。しかも、今度の高度成長下の農業で一番問題になっておるのは、兼業のうちの第二種兼業がふえておるという事実です。つまり、家庭蔬園になっている。こういう事実について、明確な方針がないと、基本法が言っておる経営規模の拡大については問題がある。
#18
○河野国務大臣 私たちも経営規模の拡大に反対するのじゃございません。経営規模の拡大はあるべき姿でございます。しかし、経営規模の拡大が最終の目的ではございません。農家所得を拡大して、農家経済を安定して、そうして農民の所得を他産業との間に均衡をとるということが最終の目的でありまして、決して経営規模を拡大するということが農業基本法の最終の目的じゃない。でございますから、ただいま私が申し上げましたように、この日本の、北から南へ、東から西へ、また大都市の周辺、山間地と非常に条件の違いました農業におきましては、それぞれあるべき姿が違うものと私は思います。また、今お話しの通りに、蔬菜がふえてはいかぬとは私は考えておりません。大都市周辺において蔬菜菜園がふえることはけっこうでございます。そこで、われわれといたしましては、農業の中に新しいものを取り入れて、そして農業経営を多角化して農業所得を増大して参る。そのためにわれわれとしては構造改善に重点を置いていきたい。そして、構造改善のねらいとするところは、ただいま申しました通りに、農業基本法の線を忠実に実行していくために、まず第一に基本的な構造から直していきたいというところを私は考えておるわけでございます。
#19
○楢崎委員 大臣の言われることもよくわかります。そこで、私が問題にしておるのは、今度の近代化資金というもののねらいは、やはり私は成長部門の拡大をねらっていらっしゃると思うし、あるいは機械化、特に中心的にはある意味では選択的な拡大資金というような性格を持っておる。ところが、ねらっておるけれども、内容はそうならぬのではなかろうかということを、私は周囲の条件から言っておるわけです。そこで、今の点も、私が問題にしておるのは、先ほども言っておりますように、今、中堅層の農家、つまり一町から一町五反くらいの農家が一番困っておる。そうして、人口流出の点でも、三十年から三十五年までの間に百三十五万人という人口が実はこの中層農家から流出をしておるわけです。従って、労働人口が減るから、機械化をやっておるのは実際はそのクラスが一番多いんですね。ところが、経営が狭隘だから、機械を入れておるけれども一番収益が悪くて困っておる。これが現実なんです。そこで、私は、幾ら近代化資金でそういうものをねらっても、経営規模が今のような状態であれば、その趣旨が生かされぬではないかということを重ねてお聞きしておきたい。
#20
○河野国務大臣 お話しになることもわからぬではございませんが、一つ、農村のことでありますから、そう性急に緒論から結論まで一ぺんにおっしゃっても、そうは参らぬ。たとえば、農業基本法をこの六月制定した、そうしてもう農業基本法が完成しておるような議論をされても、そうは参らぬ。でございますから、せっかく当時も法案をお願いしたが、そこまでいかなかった。この国会においても農業基本法実施に伴って最小限度これだけ早くやりたい。たとえば、今申し上げました通りに、共同して農機具を入れて、そうして共同施設はこういうふうにしてとか。われわれの方としては、経営規模を拡大することもけっこうでございますが、拡大しない場合には信託してやる場合も認めましょう、協業して法人格を与えてやる場合も認めましょう、そういうことによってお説の通りな結果と同じようなものを求めていきたいということを考えて、それを考えておるだけじゃない、方法も用意し、そういうものを想定してやっておるのでございます。でございますから、現実はあなたのおっしゃるのとは違うとは決して私は申しません。その通りである地方もたくさんあります。ありますが、そういうものじゃいかぬから、われわれはこうしていきたいということを考えておりますということを申し上げておるのであります。
 もう一つ申し上げておきたいと思いますことは、そこで、将来の農村に対しましては、われわれは、近代化資金と申しましても、一応私が先ほど申し上げた通りに現実における保護政策はこのまま続けて参りますが、近代化資金で所要の費用は満たしていくつもりでございます。しかし、一方において、基本的に構造改善をして、そして農村の将来のあるべき姿においては金利も五分にしていきたいと思っております。じゃ同じ資金で違うのか、――違いはしません。こちらの方については水増しをして無利息の金を与え、そうして構造改善の個人的な設備についてはやって参るつもりでございます。共同のものについては補助率を上げた補助金を出しまして、そうして町村ごとに構造改善をして参るつもりでございます、こう申し上げておるのでございまして、こういうものをだんだん積み上げて、農業基本法にいうところの農村をわれわれは夢みておる、こういうことでございますから、その点一つ御了承いただきたいと思います。
#21
○楢崎委員 それでは、今大臣が申されました大臣の今後考えておられます構造改善のもう少し具体的な青写真を今出していただければ出していただきたい。
#22
○河野国務大臣 これは、先般も申し上げました通りに、私としては考えております。しかし、党の了承も得なければなりません。また、大蔵省との折衝もございます。従って、ここで結論的に御説明申し上げる段階になっておりませんので、もうあと一、二カ月のことでございますから、一、二カ月お待ちいただきますれば、詳細を御説明申し上げることができると思います。
#23
○楢崎委員 それでは、今予算上わずかに出ておる構造改善費というものと、今まだ河野構想の段階にある構造改善とのつながりはどういうふうでございますか。
#24
○河野国務大臣 本年度予算でお願いをいたしましたものを取り入れまして、そうして、この前は九十何地区のモデル地区を作っていこう、こういうことでございましたが、そういうことではなく、全体の農村を対象にしてこの際いっそ一気にいく必要があるということを考えまして、積極的に拡大してこれを全国的規模においてやっていきたいと考えて、明年度から着手していきたい、こう考えております。
#25
○楢崎委員 そうしますと、今はまだ構想の段階で、二、三カ月するとその全貌が明らかにされるということになるわけでしょうか。
#26
○河野国務大臣 これは食管法と違いまして、食管法の改正は私の個人の構想で、全部各方面の御意見を承って政府案をきめる。この方は、すでに私の構想の域を離れて、そうして農林省として大蔵省に予算の要求をいたしましたし、それを党の方でせっかく最終的なおまとめを願っておる段階でございますから、明年度予算が決定いたして御審議を願うときに、詳細を御説明申し上げて御審議を願うようにしたい。従って、来年の正月には詳細を申し上げられることになると思います。
#27
○楢崎委員 実は、ただいまいろいろ疑問点を投げかけましたが、それについて何となく構造改善の構想がいろいろな疑問点にこたえる一つの手のように見受けられるわけです。それだとするならば、正月構想ではなしに、もう少し早くその全貌を明らかにしていただきませんと、やはり私どもの検討上非常に困るのではなかろうかと思うわけです。
 それから、やや内容に入っていきたいと思いますが、この近代化の目的とするところが、実は長期・低利、しかも資本装備の高度化、農業経営の近代化と、非常に大ぎょうな目的を前面に出されております。しかも、その具体的な内容としては、農業施設の充実、そしてその間接的な効果としての組合系統資金の改善合理化というふうに昨日の委員会で明確になったわけですが、しかし、現実に出されておる資金の点では、昨日もはっきりしましたように、これは農業近代化資金と名はついているが、資金ではなしに、系統が出す資金に県が利子を補給する、その利子の一部を補給するというような、内容は名前と非常にかけ離れた措置のように見受けられるわけです。しかも、資金量三百億からいくと、きのうはっきりされた対象からいきますと、農協が三万、そうすると一農協が百万、農家が六百万戸ですから、一農家にすると五千円、しかも、貸付けのワクというものは、農家では百万とか二百万とかいわれる、これは全くナンセンスではないかということをきのう言われたわけです。しかし、それについての経済局長のお答えは、いやそれは重点的にやるんだと言われるわけです。重点的にやるとしても、二百万で割ったとしても農家にしますと一万五千円です。政府のねらいの百万戸からしても三万円ですか、非常に少ない。その点については少のうございますというお答えがあったわけです。そこで、集中的にやるということになりますと、今の近代化資金が、農家の場合大体どの程度の階層の農家がこれを借りて利子を払っていけるか、大体どういう階層をねらいとされておるか、また、どういう階層が借りられるか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
#28
○坂村政府委員 御指摘のように、資金量といたしましては、当初の年でございますから大体三百億ということで計画をいたしております。いろいろ昨日申し上げましたように、重点的にやっていくということで、私どもといたしましては当初運用していかざるを得ないのじゃないかというように考えておるわけであります。階層といたしましては、いろいろ実態を見てみますと、どちらかと言いますと、先ほどお話がございましたように、経営の機械化をしていく、あるいは共同で養鶏をやっていくとか養豚をやっていくとか、あるいは果樹の方にある程度仕事を広げていくとか、そういうような面でだいぶ資金の需要が強いのでございます。必ずしも階層によってこういう階層が資金需要が強いということは、現在の段階では言い切れないと思うのです。ですから、実際の運用を見まして、どういうところに予定するかということは、だんだんわかってくるのじゃないかというように考えております。
#29
○楢崎委員 自創資金の農家への貸し出しのワクを今度三十万円にされた。その基礎で説明された点から見ましても、私は、この近代化資金を借り得る農家というものはごく上層農家に限られてくるのじゃなかろうか、このように思うわけです。従って、そういう金融の点から、やはり農業基本法のねらいとする集中の政策の現われだと思うわけです。
 次に、大臣がおられますから、大臣と関係ある点をちょっとお伺いしたいのですが、貸付け対象の中の特に四番目の点で、農業共同会社を予定されておる。この農業共同会社を予定されておる理由について伺いたい。
#30
○坂村政府委員 ここに予定いたしておりまするのは、共同会社という言葉は使ってございませんが、農民あるいは農協等が主たる構成員として発行済みの株式の過半数に相当する株式を持っている会社であれば、そういう会社に対しても融資の対象にしたらどうか。そういうことを考えておりますのは、たとえば農産物の加工とか資材の生産とか、そういうような面に農民が積極的に参与する、こういうような意味からいたしまして、今後のいわゆる農業経営の改善にも役立つ、こういう意味でこれを一応対象に取り上げております。
#31
○楢崎委員 今の点でもう少し質問を続けたいのでありますが、大臣が外へ出られるそうでありますので、一つだけ大臣の関係の点で伺っておきますが、主務大臣の指定の分が要綱で列挙主義になっているでしょう。そういう点の弾力性というものは考えられないかどうか。今後そういうものに当てはまらないいろいろな形の総合的な要求が出て参ると思うのです。そういう点で、弾力性というものについて伺いたい。
#32
○河野国務大臣 お説の通り、新しいいろいろな角度から問題が出て参ると思っております。もし必要があればさらに直す場合もありましょうが、大体は弾力性を持って運用いたします。
#33
○楢崎委員 最後に、これも途中の感じですが、構造改善のためのいろいろな資金が、近代化と関連があって別のものではないという。そうしますと、構造改善の具体的な内容がはっきりしてきませんと、この近代化の検討に非常に影響があると思うわけですが、その点どうでしょうか。
#34
○河野国務大臣 たまたま近代化資金の方の金利が七分五厘で高い高いという話も出ましたので、実は、構造改善の方は五分にいたして、水増しをして出しますということを答えたのでございます。直接の関係があるということではございません。この近代化資金は近代化資金としてやっていきます。
#35
○野原委員長 午後一時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時七分開議
#36
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
#37
○楢崎委員 午前中の質疑を通じましていろいろ大臣の所見を承ったわけですが、どうも、御答弁の内容から見ますと、大臣が就任されてから表明されました農基法プラス・アルファというそのアルファ、つまり、大臣の構想が非常に中心となって、プラス・アルファの方が大きく浮かび上がって、それが中心になって動いていくというような感じを私ども持つわけでございます。しかし、今後のいろいろな施策の方向が表明されました。構造改善というその内容をめぐって今後いろいろ発展をしていくというふうに承るわけです。その中で、特に来年度からは資金の点についても無利子の分を含めて五分程度にやっていくという点はやや明るい見通しを与えられておるわけですが、一つ最後にお伺いしておきたいのは、系統資金の系統外への貸し出しが非常に多いという点について、現在池田内閣のとりました引き締め措置、――公定歩合の引き上げあるいは輸入担保率三五%の設定、そういう状態と関連をいたしまして、この系統外への貸し出しが、そういう市中金融の引き締め状態から見て、減る方向ではなしに、ふえやしないか、そういう点についての大臣の見通しを一つ伺いたいと思います。
#38
○河野国務大臣 別に具体的にふえるというようなことは考えておりませんが、いずれも農業経営上農産物の価格を維持するというような意味において一時貸し出しがある場合もあるかもしれませんが、それのほかにそういうことは考えておりません。
#39
○楢崎委員 それでは、大臣に対する質問はこれで終わります。
#40
○野原委員長 湯山勇君。大臣の御都合があるそうですから簡単に願います……。
#41
○湯山委員 簡単にという委員長の御注意でございますから、要点だけお尋ねいたします。
 近代化ということと構造改善というものとは、これは非常に密接な関係のある問題だと思います。近代化資金は近代化資金、構造改善の資金は構造改善の資金ということだと、一体どちらがどうなのか判断に苦しむわけなので、農業の近代化というものはどういうものだ、それからその中で構造改善というのはどういう役割を果たすのだというようなことについて、大臣のお考えをまず伺いたいと思います。
#42
○河野国務大臣 御承知の通り、わが国の農家はここ数年来あらゆる角度から農業の経営の近代化に努力をいたしておられるわけであります。その農家の経営の近代化に努力いたしておられるのに対して御協力申し上げようというのがいわゆる近代化資金でございます。
 構造改善は、先ほどの機会に御説明申し上げました通り、来たるべき予算の編成におきまして、明年度から農村の各村単位に一つ企画を設計、計画をして参ろうということを考えて、これを名づけて構造改善と言うておるのでありまして、いずれも、今お話しの通り、どれが近代化でどれが構造改善かとおっしゃいましても、われわれは、これは客観的に、これからやろうというものを構造改善していこうと考えております。
 近代化の方は、今申し上げました通り、これまで努力しておられます農村の御努力に対して御協力申し上げるというふうなものが近代化資金ということになるわけであります。
#43
○湯山委員 そこで、今のと関連してお尋ねいたしたいのは、近代化資金の貸付けのあらましの見通しが農林省の方から資料として出されております。それで見ますと、五年向こうでは大体二千六十億程度というような資料になっておりますが、これで参りますと、大体町村数が三千余り、この近代化資金も、そのうち償還されるのもあるわけですから、大体三千億程度というように見て参りますと、一町村一億という大臣が腹づもりとしておっしゃったことと、この近代化資金の見通しとはある程度一致するわけです。そうだとすれば、この近代化資金の構想と、それから今の構造改善の資金の構想というものとは、相当重複してくるのじゃないか、こういう感じを持つわけですが、それと全然別個であれば、どういう別な考え方に立っておられるのか、それを伺いたいと思います。
#44
○河野国務大臣 ただいま御説明いたしましたように、近代化資金は全国的に現に農村の要求しておられます要求にこたえていこうということでございます。構造改善の方は、一村ごとに企画をいたしまして、そして設計をいたして、それに対して事業を進めていく上に放出する資金であります。しまいにいきますと多少ダブる場合が起こってくるかもしれませんが、初めは全体の農村を対象として資金計画が立ててある、一方の構造改善の方は一村ごとにいっておる、こういうことであります。
#45
○湯山委員 そのやっていく内容は、構造改善の中でも、たとえば選択的拡大をはかっていくとか、あるいは土地の拡大・造成をやっていくとか、そういう内容から、先ほど大臣おっしゃったように、集約的な高度の農業をやっていくということであれば、対象というものは、近代化資金も大臣の今構想の中にある構造改善の資金も同じようなものに向けられるということになるのじゃございませんか。
#46
○河野国務大臣 構造改善をいたします特定の村に対しては同じになります。構造改善を初年度三百やれば、その三百についてはダブる場合があります。その構造改善の対象にならぬ村には近代化資金。そういう資金は行かぬかというと、全体の村に近代化資金が行くわけでございますから、構造改善の対象としておる村と、そうでない村との関係で、ほかの村にも近代化資金は全部行く。構造改善を指定してある村は、これは一緒になってダブる場合があるわけであります。
#47
○湯山委員 その構造改善の資金がはっきりしないから、的確な質問ができにくい面があるわけですけれども、昨日指摘いたしましたのは、この近代化資金というものは、毎年よくても大体五百万ぐらいしか単協当たり行かないわけです。六人以上の協業等には一千万も貸し付けるという規定になっておりますけれども、実際はこの程度の資金では目的はとうてい達成されない。こういう点に対する農民の不満というものは相当大きなものがあります。だから、結局、構造改善資金というものもそれと重なり合って、金額的に言えば近代化資金が二つ重なるというような形になってしまうのじゃないか、こういうことがお示しいただいた資料から言えるわけなんで、そうだとすれば、ことさらにそれを分けて考える必要はなくて、一本化して集中的にやっていくならやっていくというようなことも考えられるのじゃないかと思うわけです。そういう点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
#48
○河野国務大臣 計算をなされば、一戸当たり幾らじゃないかとおっしゃいますけれども、実際問題として、三百億、五百億という資金が流れていった場合に、それを全部の農家がお借りになるわけじゃなしに、そういうふうに準備を整えて、設計をされて、企画をされて借り、いざ使うということになりますれば、過去の実績に徴しましても、資金として三百億、五百億というものが農村に流れていくということは、相当にこれは効果をあげておりますことは御承知の通りであります。それ以外にそれではほかの資金はないのかと言えば、いろいろ資金がないことはないと私は思います。つまり、農協の方面にも資金があるわけであります。それから個人々々も資金を持っております。そういうことでございますから、ほかに農村に金が全然なくて、それだけで農業経営を一切改善していくのだというわけでもなかろうと私は思うのであります。でございますから、近代化の資金として三百億出します、だんだん準備ができて、農村の要求がだんだん大きくなれば、大きいのにこたえて増額して参ります、こういうことでございます。一ぺんに初めの年に計算して、これではひどい、二戸当たり五万円、十万円じゃないかとおっしゃっても、そういう計算は計算、しかし、さて行政上実行してみれば、相当の効果をあげて、相当の期待にこたえることができる、こういうふうに考えております。それは、今も申し上げた通り、全体の農村から御要望のありますものにこたえなければならぬ。一方において、構造改善をするにいたしましても、三千の町村を二度にやるわけではございません。それは今言うように一度にやれば幾らじゃないかということになりますけれども、そんなことは一度にできるものではございません。三千のうちまず三百ヵ町村ぐらいはやっていこう、そうして順次成績によって拡大していこう、十年間でやろう、五年間でやろうということでございます。今の近代化資金にいたしましても、一年でいたすわけではありません。やはりおのずからその間には緩急の度合いもございましょう。また地方の熱意もございましょう。そういうものにこたえていくわけでございますから、全体の農民の何パーセントの人が初年度から御希望になる、そしてその準備ができるということになるのでございますから、私はこの程度で相当に農政の能率は上がるものと期待しております。
 だから、今申し上げるように、国全体の要望にこたえるのが近代化資金、それから、一部の農村を対象にしているのが構造改善の資金ということでやって参る、こういうつもりでおります。
#49
○湯山委員 平常の場合であれば大臣の言われる通りだと思います。三百億、五百億の金が大きな働きをするということについて、それはそうでないということを申し上げてはおりません。ただ、近代化資金の中でも、六人以上の協業農家の場合には一千万貸し付けるという政令が出る。しかし、そういう操作が実際はこの資金のワクではできないというようなことになっておるわけです。それは、近代化資金は近代化資金としてこま切れになっておるし、今の新しい資金は新しい資金で同じような額のものがまた別になっている、そういうところから来るものもあります。そういうことについては、やはりこの際そう複雑な形にしないですっきりしたものにする、そして、これは近代化のために使うんだ、構造改善に使うんだということを明確にした方がいいのじゃないかということについて御答弁いただいておるわけです。
 それと、今大臣がおっしゃったように、それはそれだけの金が役に立たないということは私申し上げておるわけではございません。しかし、今度の構造改善ということは、日本の農業にとっては非常に画期的な重大な仕事であるわけなので、そういう重大なことをやっていくのに、それは従来一千億が役に立ったじゃないか、あるいはそれだけでも役に立つじゃないかというのではなくて、一体この構造改善というのはどういうふうになされていくのか、そういう構想の中でこれらの資金がどういう働きをして、それによってこれだけのことができていく見込みである、こういうことの御説明をいただければ私も納得が参りますけれども、ただこれだけの資金でも役には立つじゃないかということだけでは、構造改善とか近代化とかいう画期的な農政の上で果たす役割というものの御説明にはならないんじゃないかと思いますので、重ねてお伺いいたしたいと存じます。
#50
○河野国務大臣 私は、午前中にも申し上げました通りに、私の考える農政といたしましては、基本的に現状を維持し、保護農政を強化しつつ、農業の構造を改善し近代化をはかっていくということを建前にしていきたいと思うのであります。つまり、現状において保護農政を維持して参るという、その現状という言葉が適当でなければ、近代化を意図しつつある農村の意欲にこたえてという意味でございます。その意欲にこたえて今近代化資金を出しましょう。御承知の通り、一方において局地的に十万羽養鶏というものがございます。しからば、これを見て、養鶏をやっていらっしゃる方がみんなそういう企画をなさるかといいますと、なかなかそうは進みません。全国でどれだけ進むかといいますと、なかなか遅々として進みません。ですから、今一千万円を限度としてと申しましても、全国で一千万円を要求されるところは非常に少なかろうと思うのでございます。でございますから、共同でやるとおっしゃっても、なかなかその共同が困難で、共同で企業をする、共同で酪農をやるとおっしゃっても、なかなか進みません。そういうことを一方において構造改善の場合に計画を立てて、個人資金も出し、共同の資金の補助もするというて、まとめて一つずつ逐次直していこう、積極的に示唆し企画をして、そうして御協力を願っていこうというところに私は構造改善の目標がある、こう思っておるのでございます。そこで、今申し上げるように、近代化資金は構造改善をやる部面とは全然方向が違う、こういうふうに御説明を申し上げておるのでございます。
#51
○湯山委員 私どもは、先般の農業基本法の中に書かれてありましたように、構造改善の中に農業経営の近代化というものも含まれておる、こう解釈しておるわけです。そうでなければ構造改善ということの意味がなくなるわけですから、そう考えていくと、大臣が今言われたように、それとこれとは別個に考えていくのだというようなことだとすると、今私どもの把握しておるものと違っているような印象を受けるものでありますから、それで、大へんしつこいようですが、この点はやはりはっきりしておく必要があると思いますので、重ねてお尋ねしておるわけです。
#52
○河野国務大臣 お話でございますが、近代化するために構造改善をいたすのでございます。でありますから近代化という名前がついております。そこで、資金が近代化で、構造改善の方は近代化ではないのかとおっしゃいますが、今申し上げるように、構造改善は、全国で初年度大体三百町村と想定しております。それだけのものは初年度でやる。従って、その町村に対しては近代化の施設を政府が協力してやっていただく。それには資金も出しましょう、補助金も出す努力をしましようと言うて、その地区に関する限り、農業基本法の精神によって、これで一つあなた方立ち上がって下さいということを目安にして持っていきたい。ところが、三百町村だけ農林行政をやればよろしいというわけにはいきません。従って、全体の三千の農村に対して、それぞれの村におられる農民の諸君がそれぞれの意欲によって近代化を企画され、農機具を入れられ、設計をされ、設備をされるというものを、その村の番が回ってくるまでほうっておくわけにはいきませんから、その方はその方で全国的にやるのであります。それは近代化資金を利用して各地区にやっていただくのでございます。こういう考え方であります。
#53
○湯山委員 大臣の御答弁は、大臣の考え方による経営の近代化、構造改善、こういうことでお答えになっておられるので、そこで食い違いが出てくると思います。私がお尋ねしておるのは、そうじゃなくて、基本法の中に定義づけがしてあります。それはどうなっておるかというと、経営規模の拡大、農地の集団化、家畜の導入、機械化、農地保有の合理化、経営の近代化、これらを総称して構造改善という法律の条文にありますから、そこで、この条文に基づいて私はお尋ねしておるのです。しかし、大臣は、そうじゃなくて、一般的な概念の近代化、あるいは一般的な概念の構造改善、こういう立場でお答えになりますから、それで食い違って、さっぱり了解がいかないわけであります。
#54
○河野国務大臣 わかりました。今のそれぞれのものを組み合わせて全国のそれぞれの実情に合うべく農業基本法で近代化して参る、新しい時代に応ずるような目的を達成するということが農業基本法の精神であると私は解釈いたします。従いまして、そのすべてを取り入れたものによって近代化するということは考えておるのではない、こう御了承いただきたいと思います。
#55
○湯山委員 すべてのものを取り入れてやるのではないというのは、具体的にもう少し御説明いただきたいと思います。
#56
○河野国務大臣 たとえば、大都市の周辺の農業の場合には、大都市周辺の農業としての適応性を持った近代化をする。たとえば、大都市の周辺において、いたずらにというと言葉は過ぎますが、経営規模を大きくする必要がない場合もある。そういうときには経営規模の拡大ということが第二義的になりましょう。そうではなくて、先ほど申し上げましたように、そこに集約的な農業を計画する、そうして都市の需要にこたえる、そうして収入を拡大するということもございましょう。さらに、北海道等におきましてはすでに相当の経営規模になっておりますが、経営規模が相当のものになっておる場合には、そこにどういう農業を企画するかということもございましょう。従って、それは地域々々によってその計画される農業が違ってくる。従って、そこに例示されておるものはどれにウエートを置くか、第一義的に考えるかということが、それらを取り入れ配合してそこに新しい村を作っていくということが、私は、それによって農村と都市の所得の格差をなるべく縮めていく、要するに農家所得の拡大をはかるというところに農業基本法の最終的な精神がある、こう解釈しておるわけです。
#57
○湯山委員 お考えの方は大体わかりましたが、近代化する、あるいは構造改善をやっていくためには、おのずから順序があって、ばく然と経営改善をやっていくのだとかあるいは近代化していくのだということではなくて、その着手するものには緩急があると思います。たとえば家畜の導入だとか機械を買うとかということなどはあとでもよくて、まず、経営規模の拡大しなくていいところは拡大しなくていいとしても、そういう経営規模を大きくしていくとか、あるいは新しい技術を持った者を養成していくとか、そういうことがやはり早くやられなければならないことだと思います。そういうことをやっていくためには相当大きな資金が必要である。この近代化資金でそういうことをやっていくということは、際はほんの一部分しかできない。それとからみ合わせて構造改善の資金ということも考えられるという点ですが、大臣のお考えでは、大体その二つで近代化あるいは構造改善というものは少なくとも資金面においては全部やっていける、そういうお考えなんでしょうか。まだほかにお考えになっている面がおありでしょうか。
#58
○河野国務大臣 これは、議論になりますとはなはだ恐縮でございますから、私は議論をする意味はございません。意味はございませんが、私は湯山さんと根本的に考え方が違うようです。私は、日本農業の場合には、経営規模を拡大し耕地を拡張するということは非常に困難性か伴う、――結果においてそういうことが出てくる場合はむろんけっこうでございます。それが悪いと言うのじゃございません。この耕地狭小の農家戸数の多いところで経営規模を拡大し、その社会党の皆さんがお考えになるように非常に大きな開墾をして新たに農地を造成してということは、非常に困難性があるように私は考えるのでございます。いずれにしても、資本の投入は非常に大きなものを必要とします。その資本を耕地を拡大する方に使うことも一つの方法でありましょう。しかし、私は、現在の土地に対して資本を投入して、土地と資本との合作によって収入を上げるという方法があるのではなかろうか、そういうふうにして現状を維持しつつそこに資本を投入することによって収入を上げる道はないだろうかということをさしあたり考えていきたい、私の考えはこういうことでございます。そこで、交換分合といい、経営規模の拡大といい、やらなければならぬとは思いますけれども、非常に困難性を伴います。困難性を伴いますだけではなくて、ただ単に金で片づかない問題もございます。そういうことでございますから、その間にこれに無理を加えないで自然のうちにそういう方向に結論づけられることはけっこうでございます。望ましい姿でございますけれども、その望ましい姿が生まれるまで待つわけに参りませんから、現状の、――ときによれば大都市周辺におきましてはその一部の農民は都会に労力が出るということもけっこうだと思います。ただし、それらに対しては、機械の補給であるとか、設備としてたとえば温室を作るとかそのほか家畜の厩舎を作るとか、家畜を導入するとかというような資金をプラスすることによって資本をふやしていく、そこに近代的な需要にこたえて供給をしていく余力を作っていくということを私は意図いたしております。そこで、第一に、今申し上げますように構造改善をやって、これで完全に行き得るか。私は行き得るとは思いません。順次また再び農村の設備がおくれてくることがある。一回りも二回りも三回りも日本農業としては回って、そして初めてある程度の農業になり縛るのじゃなかろうか。明治以来非常に設備施設のおくれた、投下資本の少ない農村が急激に一ぺんに欧米の農業と競合できる体制になるということは困難性があるという気持が私はいたします。でございますから、これじゃ少ないとおっしゃっても、その多い資本をすぐに消化する力も私はときによればないのじゃないかと思うのであります。でございますから、その現状を維持するという言葉はその意味において使ったのであります。そういうような気持でやっていきたいという意向でございます。
#59
○湯山委員 最後にもう一つ今のことでお尋ねいたしたいと思います。それは、大臣が言われるように、交換分合もむずかしいし、土地の拡大ということもむずかしい、こういう前提にお立ちになってのお話ですから、それはそれで了解できると思います。しかし、実際は、近代化、構造改善の内容には、自立農家の育成ということで二・五ヘクタール程度の自立農家を育成するのだ、こういうことも政府の方針として発表されておるところです。しかし、それは実際問題としてはむずかしい。私どもも基本法の審議のときにそれはむずかしいのではないかということを申しましたので、そういう意味で大臣も私どもと同じようにお考えになるならば、これはあまり議論にならないと思うのです。しかし、総理大臣や前農林大臣は、やはりやっていくのだ、こういうことでございましたから、私はあえてこういうことをお尋ねしておるわけで、もしそういう中でいわゆる農地の拡大ということをやっていくとすれば、そういうことが先行しないと、現状のままへ幾ら融資しても、その人がはたしてあとずっと農業をやるのか、あるいは五年後に離農するのか、そういうことさえわからない状態で、今の近代化資金にしてもあるいは構造改善にしても、そういうところに持っていったのでは、これはむだ金と言っては悪いんですけれども、そうなるおそれもあるし、効率も発揮できない。そこで、こういう資金を出される場合には、その辺の見通しがよほどしっかりしておらなければならぬし、そうして、この前国会で御答弁になられたことと、今また農林大臣がおかわりになって言われることとの間にそういうふうに違いがあったのでは、私はこれはやはり問題が残ると思うわけです。そういうことで今のことをお尋ねしておったわけですが、大臣自身のお考えはそれでわかりましたけれども、大臣自身のお考えがわかればわかるだけ、今度は、さきの自立農家の育成とか、今の構造改善の問題、その今まで言ってこられたことと今のお話とのつながりがまた問題になって参りますので、その点だけ明らかにしていただいて、質問を終わりたいと思います。
#60
○河野国務大臣 総理並びに前農林大臣は、農業基本法の審議でございますから、基本的なお答えをしたと思います。(湯山委員「十年間でやるという」と呼ぶ)十年間ということで基本的なお答えをしたと思います。私は、申し上げますように、望ましい姿である、それを決して、そういうことはいたさぬ、考えないというのではございません。ございませんが、それでは十年待っておっていいのか、待っておるわけには参りませんので、現状に即応しつつ、理想を持ちつついく、こういうことでございます。でございますから、そうは申しましても、この十年先にまたどういうふうに世の中が変わってくるかわかりませんから、どこまでも、私は、農業に関する限り、まず現状をどうしていくか、現状においてどういうように農村を匡救するかということを考えつつ、その間に理想を持って指導して参らなければならぬと思うのでございます。だから、総理の申された、農業基本法の精神によって将来はこういうふうに経営の規模を拡大していくというその答えもその通りでございますが、私は、農林大臣としてその責任において申し上げますることは、来年はどうするか、再来年はどうあるかということを考えていかなければなりませんから、その意味において、全国の農民諸君のこの要望にこたえて、近代化資金も必要でございます。また一面において構造改善もやっていかなければなりません。また、これについては、申し上げる通り、構造改善については、現に農政審議会の諸君の御意見を今承っておるところでございます。また、党の意見も十分聞いておるところでございます。従って、これら各方面の意見を承って、そうして初めて結論をつけて、皆さんに御協議いただきたい、こう思うのでございます。その辺のところはしかるべく御了承いただきたいと思います。
#61
○野原委員長 これにて三法案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#62
○野原委員長 これより三法案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、農業近代化資金助成法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#63
○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、農業信用基金協会法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#64
○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#65
○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
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#66
○野原委員長 ただいま議決いたしました農業近代化資金助成法案に対して、楢崎弥之助君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者にその趣旨説明を求めます。楢崎弥之助君。
#67
○楢崎委員 私は、自民党、社会党、民社党、三党を代表いたしまして、農業近代化資金助成法案に対する附帯決議を付する動議を提出いたします。
 以下案文を朗読いたします。
   農業近代化資金助成法案に対する附帯決議
  農業における資本装備の高度化、経営の合理化等その近代化を推進するためには、長期低利資金を確保することが極めて肝要である。よって政府は、農業金融制度一般を拡充改善することは勿論であるが、特に農業協同組合系統資金の積極的活用を図るため、本制度金融については昭和三十七年度より左の各項に関し所要の措置を講ずべきである。
    記
 一 系統農業協同組合の整備合理化を促進し、特に単協自体における貸出態勢の強化と貸出金利の低下を図ること。
 二 農業近代化資金の資金枠を大巾に拡大しこれに伴う政府の利子補給を引上げ、末端金利が五分以内になるようにすること。
 右決議する。
 以上でございます。
 その理由につきましては、すでに委員会における質疑を通じて明白になっておりますから、省略をいたしたいと思います。
 何とぞすみやかに御審議の上御可決あらんことをお願いいたします。
#68
○野原委員長 これより採決いたします。
 楢崎弥之助君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○野原委員長 御異議なしと認めます。よって、農業近代化資金助成法案に附帯決議を付することに決定いたしました。
 ただいまの附帯決議について、政府の所見を求めます。河野農林大臣。
#70
○河野国務大臣 御決議の趣旨を尊重いたしまして、できるだけの処置をとる考えであります。だんだん、ただいまお話のありました通りに、質問に対するわれわれの答えにおいても御了承をいただいておると思いますが、私といたしましては、農村に対する資金の現状におきましては、将来ともに経営上非常に困難があるということを深く了承いたしておりますから、できるだけ努力をいたすつもりでございます。
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#71
○野原委員長 ただいま議決いたしました三法案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○野原委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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