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1961/10/05 第39回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第039回国会 内閣委員会 第3号
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1961/10/05 第39回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第039回国会 内閣委員会 第3号

#1
第039回国会 内閣委員会 第3号
昭和三十六年十月五日(木曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 中島 茂喜君
   理事 内田 常雄君 理事 草野一郎平君
   理事 宮澤 胤男君 理事 飛鳥田一雄君
   理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
      伊藤 郷一君    内海 安吉君
      小笠 公韶君    小澤佐重喜君
      辻  寛一君    藤原 節夫君
      緒方 孝男君    杉山元治郎君
      田口 誠治君    原   茂君
      松井  誠君    山内  広君
      山花 秀雄君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 藤枝 泉介君
 出席政府委員
        総理府総務長官 小平 久雄君
        総理府総務副長
        官       佐藤 朝生君
        調達庁長官   林  一夫君
        総理府事務官
        (調達庁総務部
        長)      大石 孝章君
        水産庁長官   伊東 正義君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (総理府特別地
        域連絡局長)  大竹 民陟君
        総理府事務官
        (調達庁総務部
        総務参事官)  藤本  幹君
        総理府事務官
        (調達庁総務部
        総務課長)   松下 敏郎君
        総理府事務官
        (調達庁総務部
        補償課長)   久保田栄一君
        外務事務官
        (アメリカ局安
        全保障課長)  魚本藤吉郎君
        外務事務官
        (欧亜局東欧課
        長)      都倉 栄二君
        外務事務官
        (条約局外務参
        事官)     東郷 文彦君
        大蔵事務官
        (主計官)   赤羽  桂君
        大蔵事務官
        (理財局国庫課
        長)      稲村 光一君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      林田悠紀夫君
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
十月五日
 委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として松
 井誠君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松井誠君辞任につき、その補欠として柳田
 秀一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法
 案(内閣提出第五号)
 北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関す
 る法律案(内閣提出第二二号)
     ――――◇―――――
#2
○中島委員長 これより会議を開きます。
 特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法案及び北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内広君。
#3
○山内委員 ただいま議題となりました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案についてお伺いするわけでありますが、これはもう私から言うまでもなく、前の国会で同じものが提案されまして、ほとんど審議は終わりに近かったわけであります。ところがああいう政情下におきまして、ついに日の目を見ることができなくて、再提案ということになったものであります。そういうことで、あえて詳しく繰り返してお尋ねする点もあまりないわけであります。けれども、主務長官は新たに就任されましたし、また関係の大臣もおかわりになりましたので、一応前の重要な点で再確認を必要とするような大きいものと考えられます点について、再度お尋ねをし、またその後若干情勢も変わっておる点もありますので、それらについてお尋ねしておきたいと思います。まず最初にお尋ねしたいのは、政府がこの北方地域から引き揚げてこられた人たちの生活の問題を考えて、十億の交付を決意されたわけであります。ところがこの前の国会においても、この十億の性格は何だということが非常に議論の対象になりました。それから法案を読みましても、このものの性格をはっきりしておきませんと、将来長い間には、十億の使い方についていろいろめんどうな問題が起こりはせぬかという心配を非常に感ずるわけであります。この法案を通じて流れる考え方は、漁業権の補償というものに重点を置いておるわけであります。ところが前の長官のお話をだんだん聞いていきますと、そうでもない。漁業権の補償というよりは、むしろ困っている引揚者の方々への生業資金といったようなものに重点を置いた考え方をしておられるわけであります。そういう救援の十億なのか、また見舞金なのか、見舞金であればこの十億を按分して配付すればいいことなんでありますけれども、それでは政府の意図するところが達成されないということで、救援資金といったような考え方を前の長官も強く主張されております。そういうことで、今度おかわりになりました新しい長官は、この十億というものの性格をどういうふうにお考えになっておるのであるか、関係大臣のお考えもあろうと思いますけれども、一つ政府の統一的な見解をまずお聞きしておきたいと思います。
#4
○小平政府委員 今回設立しようとする北方協会の資金十億円の性格のお尋ねでありますが、お話のうちにもございましたが、今回北方協会を設立して十億の資金をもってやろうということが計画された理由と申しますか、根拠としては、北方地域の漁業権者等が置かれておる特殊な立場というものが一つの根拠にはなっておるとは思いますが、しかしこの十億そのものの性格は、本法の第一条にもうたってございます通り、旧漁業権者等の生活の安定をはかり、あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかる、こういう目的に使わるべき性格のものである。従って、漁業権補償そのものという性格ではありませんし、また見舞金といった性格でもなかろう。端的に申せば、前長官も申したように、やはり旧漁業権者等の生活安定の援助資金であり、兼ねてまた北方問題解決のための資金である、こう御理解いただいたらばよろしかろうと思います。
#5
○山内委員 ただいまの御答弁は、前の長官の御答弁と、語句は相違いたしましても、全く同じ御回答なわけであります。前の長官も、これは見舞金とか漁業補償ではないとはっきり言われておるわけであります。ところが、さっきも私ちょっと言葉の中で申しましたけれども、この法律の内容はどこまでも漁業権の補償という建前で書かれたように思うわけです。まずその一つの証拠を申し上げますと、第二条の第四号には、漁業権を持っておった人が引き揚げてきた、そうして死んだ場合には、その遺族に対してその漁業権を補償しておくという一項目もあるわけです。そのほかいろいろ事業計画、そういうものを見ましても、これは漁業権というものをどこまでも生かしておく、こういう建前でやっておるのだろう、私はこう思うわけです。そこでこれは少し私の方から誘導質問のわけではありませんが、前にもだいぶ議論されたことですから、私はこういうふうに政府の見解を理解していいかどうか、誤っておったら一つ御訂正いただきたいと思います。それは漁業権の補償、こういう建前でいろいろやったのは、十億というものの算定を一応やる上においてのめどである、そういうことで前には漁業権の場合は七億五千万円という積算を出しておるわけです。これは私どもはいろいろ別な見解を持っておるので、この金額についてはもちろん承服するわけではありませんけれども、一応この十億というものをしぼるために、二億五千万は生業資金の性格であり、七億五千万は漁業権という考え方をしておる。しかしこれはさきも長官の答弁をいただいた通り、見舞金でもなければ漁業権でもないのだ、これをミックスして一緒にして生活の困っている人を生業につかせたい、こういう親心だという答弁です。ところが今のこういう法案の形で法律になりますと、これはいろいろ受け取り方のニュアンスというものは違ってくると思う。特にこれは私は初めて国会に来てこの問題を聞いたわけですけれども、これには長い歴史がある。何年も前からいろいろな角度から要求があったものを、こういうふうに最終決定した。そういうことでこの法案が出ると、何十万という漁業補償を受けられるので喜ぶ人もあるかもしれない。またおやじは死んだけれども子供にまで遺産が残りそうだから、これは何万円飛び込んでくるという考え方を持つ人もあるかもしれない。いろいろなことがあっても、最終的にはこれは漁業権の補償でないのだ。しかしこれはこの法案ができて十億が決定したからといって、前に持っておった漁業権は消滅したのではないのだ。ではいっこの漁業権がものを言ってくるかということになれば、少しくどいような言い方になって恐縮ですけれども、島に帰る事態が来た、そして問題が解決した場合には、もちろん七億五千万円は問題になりませんから、再検討してこれを基礎にした漁業権の復活ということを考える。ですからそのときまで、領土が返ってくるか、また任務が終わった、十年後に現地に帰って政府の方針で何か考えるというときまでは、一応主体になるものは生業的な資金である、こういうふうに政府は考えておると理解してよろしいものでしょうか。
#6
○小平政府委員 先ほど申しました通り、今回の北方協会の基金に充てらるべき十億円というものの性格は、漁業の補償金あるいは見舞金といった性格ではない、かように解しておるわけですが、北方地域にありました漁業権というものについて、内地で行なわれたような漁業制度の改革に伴う補償が行なわれなかったことも、これまた事実でございます。そこで北方にありました漁業権につきましては、これは内地のような補償を行なおうとしても行なえない状態であるということも、これまた御承知の通りであります。そこで将来これらの地域が回復いたし、わが国の施政権が及ぶという状態になった場合を考えますならば、この際におきましては、やはりこれらの地域の漁業権に対しても何らの措置をとらなければならないであろうということも考えられるわけであります。しかしその際においてどうするかということは、これはまたそのときに考慮しなければならぬ問題であろうと思います。従ってこの基金をもって直ちにそのままその補償に充てるのだ、こう今申し上げるわけにもいかぬと思いますが、しかしいずれにいたしましてもこの基金は、北方協会が解散をするというような場合におきましては、また別の法律を作って処置する、こう法律案の中にもうたってあるわけでありますが、その回復の時期においてどういう処置をとるか、また解散時にどういう法律案になって現われるか、これはもっぱらそのときの情勢に従って行なわれるというほか、現段階においてはいたし方なかろうかと思います。
#7
○山内委員 今の御答弁で大体そうなければならぬと思うのですが、私この点で確認をいたしましたことは、運用上においてはっきりした政府の見解が出てきたことです。というのは、この法文にあります通り、個人の貸付もやる、組合にもやる、会社にもやる、市町村にも拡大するということになっておる。そこで今政府の方針通りの考え方でやるとすれば、もうこの市町村とか大きな会社、もちろん組合というようなものは、順位がずっと遠のいてしまう。今の御答弁の中からすでに生業資金といった性格が先に出ていく、こういうことを私どもは感じ取るわけであります。そうしますと、この二十二条でしたか、貸し出しの順位といったようなもの、あるいはさき申しました通り、算定上の七億五千万と二億五千万というものの見解はすでに消えていく、こういうふうに理解する。そういう意味で非常に大事な御答弁だったと思いますが、そう受け取ってよろしいですか。
#8
○小平政府委員 先ほど来すでに御指摘がありましたように、今回の北方協会の基金十億円というものをどうしてはじき出したか、こういう点についてただ目安というわけにもいきませんので、かりに旧北方地域の漁業権について内地と同様な補償措置をとったとすれば、およそどのくらいになったであろうかというようなことをやってみました結果が、今七億五千万というふうになった。その他一般の引揚者等の関係も見て十億、こうきめたということでございまして、これがこの七億五千万あるいは二億五千万という金額でありますが、将来残有財産を処分する場合に、かりにこの計算の方法そのままで配分されるというか、使用されると申しますか、そういう残有財産処分の際の基準には別段ならない、これにとらわれないもの、かように解しております。
#9
○山内委員 今の問題は大体それで了承いたしまして、第二点のお尋ねをいたします。
 政府の御答弁でもありましたし、それからあのときいただいた主務省令の規定見込事項というものの中にもあるわけですが、それは「法第二十二条第三号の主務省令で定める法人は」ということで、引揚者の旧漁業権者等が五〇%をこえるものとか、あるいは株主総数の九〇%をこえる、こういうようにこの貸し出しの対象になるものに一つのワクを加えておるわけであります。これはワクももちろん必要なことで、やむを得ない措置とは思いますけれども、この結果がどういうことになるかという一つの心配を感ずるわけです。たとえば今ここに一地域にA、B、Cというような組合がある。その三つを統合して新たな組合を作るということになりますと、この適用を受けて貸し出しを受ける対象になるけれども、現在の組合の実情ではならぬという場合、その組合を脱退して新たな組合を作るという動きができはしないか、あるいはまたその組合と二重の加盟をした新たな組合ができはしないか、これはたしか水産庁でも漁業組合というものを統合してなるべく多数作らない、既存のものも統合を指導しているときにこういう決定をしますと、金を借りたいばかりに組合の組織に離合集散、いろいろなものが起こってきて、政府の指導方針と矛盾した結果ができはせぬか、この点に対してはどういうお考えを持っていますか。
#10
○伊東政府委員 先生の御心配になる点もわかるのでございますが、私どもとしまして、この法律の建前からいきまして、なるべくそういう北方地域の旧漁業権者等の方々を中心にいたしまして、この北方協会の基金を運用していくということを中心に考えますと、そういう方々が入っておられる率の非常に低い組合までにこれを運用していくということをやりますと、これは基金の額の問題もございますが、この法が考えております趣旨と反してくることも起きてきはせぬかということを考えますので、団体なり法人としましては、やはりこういう引揚者の色が非常に濃いという人だけの組合に運用していきたいというふうに実は考えます。この一、二、三、四、五とございますが、どれに金が一番よけい運用されますか、今後の運用の問題ではございますが、私はこの三が中心になって運用されていくということは非常に少ないのではなかろうか。やはり一とか二とか、そういう生業資金の問題とか、そういうようなところに非常に多くなるのではなかろうか。これは見込みでございますが、先生のおっしゃいましたように、薄めますとこれは法の趣旨にも反して参りますので、先生の御心配もわからぬではないのでありますが、この点はやはり煮詰めて参りたいというのが私の考えであります。
#11
○山内委員 これは見解の相違になると思いますけれども、薄めれば数がふえる、ところが煮詰めれば少ないことはわかりますけれども、この該当を受けるために既存の組合の間に組織がえとか新たな組合ができるような混乱が起きるのではないか、それに対して政府はどういうような手を打つのか、そのことをお聞きしたい。
#12
○伊東政府委員 これは実は私どもの方の調査で、そういう人が五〇%以上の組合は幾らかというようなことをまだ十分調査しておらないのでありますが、数がどういうことになりますか、ここで数では御回答いたしかねるのでございますが、今先生のおっしゃいましたような、たとえば組合でございますと、五〇%にならぬので、そういう組合を作っていくというようなことでございますと、非常にまずくなりますので、漁業法の中でいきますと、法人といっておりましても生産組合その他いろいろございます。なるべく先生のおっしゃいましたような事態が起こらぬように、私どもとしましては組合の構成その他については考えて参りたいと思っております。
#13
○山内委員 これは調査もまだ十分できていないというので、これはまたあとの調査におまかせすることにしまして、その次に、ちょっと小さな問題ですが、今気がついたのでお聞きしておきたいと思います。
 それは第二条の四号、先ほど私申し上げました漁業権の相続の問題ですが、これが三号の場合、漁業権を持っておる人はもちろんいいわけですが、漁業権のない者でも、昭和二十年八月十五日までそこに生活の本拠を置いた者を適用させて、この前のお話では技能の修得とか、あるいは奨学資金なども見てやりたいというような御答弁もあったように記憶します。ところが、この漁業権に対しては、遺産相続がありますけれども、この二条の三号によりますと本人だけで、本人の子供は適用を受けられないことになりますが、これは矛盾しておりませんか。
#14
○伊東政府委員 先生は、四号で漁業権の相続というような意味でおっしゃっておりますが、これは漁業権の相続ということとは全然関係がございません。そういう権利ということではなくて、四号に書いてございますのは、一号、二号の権利があった人が対象になっておるわけでございますが、その人の死亡しました場合に、そのうちだれか一人だけを対象にしたらどうかということで考えておるわけでございますが、三番目は全然漁業権と性質が違うことでありまして、これは当時六カ月以上ここに本拠を有していた人ということで、これは権利者だけでなくて、われわれ広く考えておるわけでございます。一号、二号で参りますと、これは権利を持っていた者あるいは貸付を受けた者という個人、一人という観念になるのでありますが、この三で参りますと、本拠を有していた者でございますので、これは広く一家の中でも二人も三人もということになって参ります。それで、その関係と三号、四号はバランスをとろうではないかということで、こういうことになっておるのでありまして、三号は、一人でなくて、家族でございますれば何人もこれに入るということで、一、二より若干範囲が広くなっておりますので、その関係で一、二を救いますような意味で四が入っておるわけであります。
#15
○山内委員 私は頭が悪いのでわからぬのかもしれませんが、今おっしゃった第四号というのは、一号と二号の場合をはっきりうたっておるわけですね。そうすると、あえてこの規定がなくても民法上の財産の相続もできると私は思う。ところがこの第三号は現に昭和二十年の八月十五日までに六カ月以上そこに生活の本拠を有していた者と限定されておるわけです。家族には及ぼしていない。これはまだ四号がなければ民法上の遺産相続で漁業権を継承するということが考えられるけれども、これに対してはうたって、三だけをうたっておかなければ、あなた自身は広い解釈をしたといっても、明文からいったら明らかに本人だけでしょう。どこにひっかけて家族までも広く見られるか、その点を御解釈いただきたい。
#16
○伊東政府委員 私先ほど申し上げましたように、一号、二号は漁業を営む権利を有していた個人ということで、これはあくまで権利を持っていたその人、あるいは権利の貸付を受けてやったその人というふうに、個人々々で呼んでいるわけでございます。三号は「北方地域に生活の本拠を有していた者」ということで、これは一家の主人一人で、あとは全然入らぬというふうには、私ども解釈いたしておりません。そういう関係で一、二はこれは権利を有していた者という個人に限定しましたので、四号で、三号との、バランスの問題もあり、そのうち死亡した場合にはだれかをその対象にしたらどうかということで、これは入れておるわけでございます。
#17
○山内委員 どうもしつこいようですが、この第三号はそうはとれないのです。もう一ぺんそこで事務的に御検討いただきたいことは、この生活の本拠を有している者及びその家族とか何かうたえば文句はないです。これだけでできますか。本人だけに限定されていると私は思うのですが、これからこういうふうな解釈でやるのだという御指導があればまた別ですけれども、法文としてはそういう拡張解釈はできない。
#18
○大竹説明員 ただいま二条の第二項の三号でございますか、「北方地域に生活の本拠を有していた者」、これの解釈の点につきまして、生活の本拠を有しておった者、この表現だけでは、いわば世帯主だけしか含まれないのじゃないかということでございますが、先ほど水産庁長官から御説明ございましたように、世帯員全部を含むという解釈でございまして、これと同様な表現は、実は先般成立をいたしました引揚者給付金等支給法というのがございます。あれも海外からの引揚者全部、別に世帯主だけに限っておらないのでございます。そのときに同様な表現を使っております。
#19
○山内委員 世帯主ばかりではなくその家族も含むということは、解釈上で私はできると思うのです。ところが本人は今まで同居しておったが、本拠を有した御本人がなくなった。まだ家族が残った場合はどうするか。特にこの第四号との関連においてそういう疑いを非常にはさむではないか。漁業権に対してははっきり遺産相続を認めておるのですから、こういう広い三号のような解釈も、残った家族にも及ぶのだということを明らかにしていただけぬか、こういうことなんです。何も法文を正誤してもいいのじゃないですか。無理に固執せぬでも、場合によっては議会側で訂正してもいいでしょう。
#20
○大竹説明員 水産庁長官が申し上げましたところをもう一ぺん繰り返して申し上げるようなことになるかもしれませんが、第二条第二項の第一号、二号、これは漁業権者という個人のとらえ方をしてあるわけでございます。三号は、これは島におった者というとらえ方をしておるわけでございます。そういたしますと、島におった人たちを見ますと、漁業権者であった者と、その家族というものまで含まれるわけでございます。一方北海道の側に居住して入漁権を持っておられた方がおるわけです。その北海道側に居住しておられました入漁権者の家族は第三号にはまらないという結果になりまして、そこで島におられました方と若干不均衡があるのじゃないかという意味を含めまして、この漁業権の権利者については、そういった意味の三号に該当するような家族がない場合は、その相続人と申しますか、それをいわば資格者に見ておる、こういう意味合いでございます。
#21
○山内委員 これは私も何か勘違いをしておるようで、私の質問もよく徹底して理解してもらっていないようでありますから、この次まで私も研究してきますし、一つあなたの方でも、もう一ぺん法文を読み直して、不公平のないような取り扱いのできるようにしていただきたいと思います。
 その次に移りまして、先ほど長官もちょっとお話がありましたが、今度は個人にばらばらに見舞金とかそういう形で出すのではなくて、一つの生業が成り立つように個人にいくものを集めて指導したい。これは前の藤枝長官のときも明快な御答弁があったわけです。そこでこれは北方協会が誕生をして、協会自体が指定することとは思いますけれども、こういう制度を生むところの政府としては、一体どういう仕事をさせようと思うのか、先ほど技能の修得と、それから奨学資金のことは私が申し上げたところですけれども、そのほかどういう事業をお考えになっているのか、こういうことをお尋ねしたいと思うのです。
 ただその前に一つ前提としてお聞きしたいことは、これは本会議でも私の方の多賀谷真稔氏が質問をされておりますけれども、最近大手筋の大きな事業家が、本来の業務でないものにどんどん進出をしておる。漁業会社がくだもののカン詰を作るとか、いろいろな例をあげて言っておられました。北海道にも実は大手筋の大きな漁業家が進出していることを私よく承知しております。しかし数字的にも確実な資料を私持っておらないので、そういう大手筋の大きな漁業家が現在どういうふうにして仕事をやっているのか、北海道だけでけっこうですから、本来の仕事から逸脱してどういう仕事に進出しておるのか、将来どういう計画を立ててやっておるのか、それに対する設備投資等の額などがおわかりになったら、その現状を一つお聞かせいただきたい。
#22
○伊東政府委員 この法律とは若干違う御質問かもしれませんが、今先生のおっしゃいましたように、水産会社のことがよく言われているわけでございます。大体やっています仕事は、先生のおっしゃいましたように、くだもののカン詰でございますとか、あるいは畜産関係、あるいはミンクの飼養でございますとか、そういうようなことを水産プラパーの会社が実はやっております。こういうものの資金でございますが、実は大部分これは会社が市中銀行から手当をしてやっているわけでございまして、特に公庫からそういうものに金を貸すとかいうようなことは私の方といたしましてはその世話はいたしておりません。これはその会社独自の金融機関との取引関係でやっておるような次第でございます。
#23
○山内委員 あまり資料もお持ちのようではないので、その程度のものであれば、私もお聞きするまでもなく承知しております。せっかくこういう制度を作って、零細な人たちを集めてもっと事業をやらせよう。ところが現在非常に大手筋がいろいろなことをやっております。たとえば今お出しになったミンクの飼育というのは、実は私、道議会に席を持ったことがありますけれども、あれなども沿岸漁民、零細漁民の人たちを何とか助けようということで、道が金を出したり、あるいはまたあなたの方からいただいたりして、アメリカから飛行機へ乗せてミンクを持ってくる。そうして子返し制度でどんどん飼育の助成保護をして、沿岸漁民の生活に寄与しようとしたわけです。ところがもうかるとなったら、今言った大手筋がどんとそういうものを計画して、りっぱな設備を入れて、そういう漁民のせっかくのものをとってしまう。現在みんな豚を養っている。鶏を養っている。これがよその会社なら私はまだわかる。しかし同じ水産会社が、いかに資本があるからというて、こういうことをやって、零細な漁民が息ついているものの根っこを断つようなことに対しては、もう少し主管庁のあなた方は資料をとり、私も実はよそのところからいただいてきたのですが、それを見て私びっくりしておる。これは全国のケースでありますけれども、大へんなことであります。こういうことでありますと、せっかくこういう計画をして何か事業をやろうと思っても、なかなか手が出ないのではないか。そういう意味で、どういうことを今現実におやりになろうと計画しておるのか、もしあったらお聞きしたい、こういうことです。
#24
○伊東政府委員 この法律の二十二条で、一体どういう業務をやってそれに融資していくのだという御質問でございますが、ここに書いてございますように、一番は個人に直接貸すもの、二番目は組合ですが、全体の組合でございますので一、二については大体同じでございます。これはきょうお配りいたしました資料にもございますように、現在引き揚げてきました人が、従来は七〇とか八〇とか非常に漁業に多かったのでございます。パーセンテージで参りますと三〇数%までが漁業で、これが一番多いわけでございますが、そういう人につきましてはたとえば漁業の転換をするとか、あるいは同じ漁業をやっておりましても、船を大きくしたいのだとかいうようなこともございましょう。またそれ以外の人でございますれば、これは何の事業をやるものに対しては融資をする、こういう事業は融資せぬというふうにはまだきめておりません。その点は一つ広く考えていこうというふうに思っております。「生活に必要な資金」は、これはもうお話しする必要もないわけでございます。
 三番に参りますと、法人自身がやる仕事でございます。たとえば協同組合でございますれば倉庫を作るというようなこともございましょうし、あるいはいろいろな事業をやる場合の運転資金を組合から貸してやるという場合もございましょう。四番に参りますと、これは市町村がたとえば漁港を作るとか、あるいは漁港の背後に道路を作るとか、そういうような公共的な事業をやるような場合も入ってくるのだろうと思います。
 それで今こういうふうな事業をやるというふうにきめまして、それがたとえば畜産関係をやりたいという場合に、大手筋の水産会社の問題等が起きますれば、私どもとしましては大手の水産会社と話し合いをしまして、これは農業に水産会社が入りまして畜産をやる場合にも同じでございますが、その地区の協同組合と会社で団体契約と言ってはおかしいのでございますが、団体交渉的なことをやりまして、原料を供給するとか、いろいろな契約を実は結んでおります。でありますから、仕事が競合するというようなことが万一起こります場合には、私どもとしましては、そういう水産会社と、こういうところから金を借りて、あるいは漁業協同組合なり農協が何かをやるというような場合には、道庁にも応援を頼み、われわれも中に入りまして、その辺の仕事はうまくやるようなことを指導して参る、そういうふうなお世話をしたいというふうに考えております。
#25
○山内委員 なかなかうまいことを言われておるようですけれども、私はあまり賛成しない。ということは、そういうことはできないのです。今水産庁長官がお話しになりましたが、たとえば大手筋がミンクを養うとか豚を養うとか、いろいろなことの設備に対しては政府は別に融資しておらぬ、市中銀行から自分の力で借りてやっておる、だから知らぬというお話でございますけれども、ああいう大きなものになれば、何十億という計画を立ててどんどん金を出すことはそうめんどうでないと思う。ところが政府はどうですか。設備投融資が行き過ぎだから日本銀行と話し合って一割融資を削ろうとしておる。ところがかえって今度は逆にこういうものには直接ではなくても、市中銀行からどんどん流れていっておる。私はこの場合こういうことを言うのは場所が悪いかもしれませんが、実は勘ぐってこういう疑いを持っております。御承知のように米ソの関係が険悪になって、あの北洋の海域というものは非常に危険になってきた。いつ魚がとれなくなるかわからなくなってきておる。そういうことでどんどんそういう大手筋に対しては、今後はもう魚だけに依存できないのだから、くだもののカン詰をやれとか、あるいはハム、ソーセージを作れとか、そういうような裏面指導をして、独占の大きなこういう漁業会社に対しては適切な指導をしておる。今首をひねっておられますが、私は決して架空で申し上げておるのではない。こういう事実がある。ところが今度は実際の零細な沿岸漁民はどうですか。ああいう米ソの関係が悪くなると、北方は今までの公海すらも危険区域ということで海上保安庁が指導して、禁止区域をみずから拡大しているではありませんか。そうすると今まで魚をとっていた公海も禁止区域になってあまり入れない。侵していくと拿捕されてしまう。先月も二十三隻の拿捕があり、学校の生徒を含むああいう問題が起こって騒がせた。幸いお聞きしますと、きのう全員釈放され、船も全部帰ってきた。これは非常に異例の取り扱いだそうでありますが、これはやはり国民の世論、地元の熱望というものが実った結果だと思います。しかしこういう措置にいつまでもおぼれて期待をかけておるわけにはいかない。こういうふうに政府がやっておる施策は、独占のああいう大手筋には非常に有利であるけれども、沿岸漁民はますますこういうことで苦しんでおる。この十億の貸付もさることながら、こういう米ソの関係が深刻化していって、今の政府が今のようなやり方をしていくならば、これは大へんな事態がくる。まだまだ大きな施策をやっていただかなければ、沿岸漁民というものは救済できない。そういうことを強く私は考えておるわけであります。これは漁民ばかりでなく、丘では農民がみんな困ってきておる。そういうことを政府が何かの形で抑制するようなことをやりませんと、会社と団体交渉をしてあなた方がおやりになって話できめますと言ったって、そんな甘いことでこういう人たちの政策を一みずからの会社にしても、もし魚がとれなくなれば会社自体がつぶれますから、自衛の手段としてこういうことを講ずることは会社もやむを得ないと思うが、そういうことに対する政府の規制のお考えはないか、もっと適切にして効果的な、そうして直接沿岸漁民の救済になるようなことをお考えになっておらないのか、一つ新任長官の御意見を聞きたい。
#26
○小平政府委員 お話のうち、大企業に対して政府筋と申しますか、そういう方から指導して、これが本来の事業以外の方向に進出するようにというような指導をしておるかのごとき御発言でありますが、別段そういう事実はなかろうと思います。しかしそういう大企業が、特に漁業会社等が陸でのいろいろな事業に進出をし始めておることも、われわれ承知をいたしております。しかしそれと同時に沿岸漁業の救済という問題は、またおのずから別個の問題であろう、かように考えまして、これは言うまでもなく水産庁を中心といたしまして、いろいろ従来から施策をとっておるところでございます。今後もできるだけ政府としても力をいたして参りたい、かように考えております。
#27
○山内委員 まあ新任の長官で、まだこういう問題に触れる機会はあまりなかったと思いますので、一つこのことをチャンスに十分御研究いただきたい。これは水産庁の方からお聞きになればわかりますけれども、北海道の漁民の窮乏というものは実にひどいのであります。これは全国的にも私も承知しておりますけれども、特にひどいことを肝に銘じて対策の万全を期していただきたいと思います。
 この前の国会のときに議論になりました焦点は、運営の資金の問題がだいぶ議論されました。これは説明するまでもなく、十億の国債に対して六分の利子をかけて、その利子で運用する。これには初年度において一番困るわけです。金が入ってきませんので、それで前の長官もそれに対しては何か適当な方法を講じたいという意味の御発言がありました。これにはいろいろ繰り上げ償還をするとか、一時借り入れをするとか――まあこの法案の中にも一時借り入れば許されておるわけですけれども、これはよほど上手にやりませんと、あのときのどなたかの説明にもありました通り、借り上げればそれには高い金がかかります。また繰り上げ償還といっても、今度はその六千万というものを当て込んでいる利子が入ってきませんから、いろいろなことでプラス、マイナスはあると私は思います。そういうことで、南方同胞援護会のように、特に初年度の場合には何らか補助の道を講じて、非常に期待して、早くこういうものを作ってほしいと待望しておる人たちにこたえていただきたい、こう思うのですが、長官はいかにお考えになっておりますか。
#28
○小平政府委員 その点も、ただいまお話がありました通り、第一年度においては資金が十分でないことはもう明白でございますので、法の許しております一時借入金等によってやるとか、そういうことでなるべく地元の御期待に沿うようにやって参りたいというふうに考えております。
#29
○山内委員 それからもう一つ利子の点ですが、これは貸し付けた場合の利子なんですが、あの当時の要望としては低利の民生のような三分程度の利子、そういう要望が強く出たわけですけれども、当時は大蔵省との話し合いがつかぬということで最終的な決定には至っていなかったわけですが、その後もしお話し合いがつきましたら、どういうふうにこの利子をお考えになっているか、漏らしていただきたい。つかなければけっこうです。
#30
○伊東政府委員 先生のお手元にきょう資料として配付されてあると思うのでありますが、この最後に金利等につきまして書いてございます。事業資金でございますと、この三番目に利率としまして中期なり長期のもの、十年以内のものでございますが、これは年五分ということにいたしております。それから生活資金でございますと、その次にございまして三分、これは母子福祉資金とか世帯更生資金とかいう金利と同じ三分というふうな金利で話し合いがつきまして、こういうことでこの法案が御審議いただければ、業務方法書を作りまして運用したいというふうに考えております。農業方面では御承知のように、生活資金等に使います自作農資金等ありますが、あれは実は五分でやっております。まあそれらから見ますれば比較的有利ではなかろうかというふうに考えております。
#31
○山内委員 いただいた資料、ちょっとまだ目を通すひまがなくて、失礼しました。実はこの特殊法人である北方協会に対しては、もちろん主務大臣の監督の責任もあり、いろいろ罰則規定も設けて、協会自体に対するいろいろな義務も負わせておるわけです。私不勉強でちょっとわからないのですが、これは協会と所管の省との関係はそうですか、一体国会と協会との関係――もちろんこれは国債を出して利子が入りますから、予算の面ではその点はわかってくると思います。しかしこういう特殊法人は、協会の出したいろいろな事業報告書というようなものは、国会に提示する義務をあなたの方では持っておるのかどうか、その点の国会との関係が私わからぬのですが、ちょっとお知らせいただきたい。
#32
○大竹説明員 一般にこういう場合におきましては、お話しのように、予算の関係で御審議をいただくことになっております。通常の監督は、それぞれの所管大臣が行なうことになっております。決算などの関係でまた御審議をいただくという機会もあり得るのではないかというふうに考えております。
#33
○山内委員 もうだいぶ時間も過ぎておりますので、また質問の機会もあろうかと思いますから、最後に、これは希望になるか、あるいは答弁を求めることになるか、一点だけちょっと申し上げておきたいと思います。それはさっきもちょっと大手筋の最近のいろいろな動向から申し上げたのですが、政府のとっております現在の反ソ的な政策、これは決して北海道の農民にとっては幸福をもたらさぬということだけは、私ははっきり申し上げられると思います。現に地元の漁民大会等におきましてもいろいろな決議をいたしておりますけれども、それらはあげて、日ソの平和条約を早く結んでほしい、安全操業をやらしてほしい、これは十億の金額よりも基本的にはそっちを望んでいるのがほんとうの地元民の声だと思います。そこで、今回の法律を生みました領土の問題は、これはどうしても本質的に触れなければならぬ問題かもしれませんけれども、ただいま予算委員会で議論もされておるわけです。そういうことで、私はここでその領土の問題に触れることは当分見合わせたいと思います。ただ一つだけ長官にお伺いしておきたいのですが、今度の法律案も前回と全く同じであります。それから提案されました理由の御説明も同じと聞きましたが、たった一点だけ違っておるところがあります。長官はそれを御存じでございますか。この配付されました演説の中で、それは私の聞き違いかもしれませんけれども、四行目から五行目の上の方を削除しておられる。たしかお読みにならなかったと思う。提案理由の説明の中の四行目の「昭和二十年」というところからです。これはたしか長官は、別に読み落としたのでなくて、意図されて避けられたと思います。それはいろいろこういう複雑な領土問題の議論が出ておるときでありますから、その配慮だったと思うのです。四行目はたしかお読みにならなかったですね。私の申し上げた通りですか。そうですか。
#34
○小平政府委員 そうです。
#35
○山内委員 とすれば、長官はずいぶん配慮しての措置だったと私は思う。それはよろしいのですが、そこまでお考えになったら、もう一行前から実は読んでいただきたくなかった。しかしそれはもう済んだことだから別にそれを訂正するとかなんとかいうわけではありません。ただこの法案も、できれば一日も早く待望している方々にこたえなければならぬという法律案だということは、私もよく承知しておる。そこでこういう提案理由がなされ、それから法案の第一条の目的のところですね、これは文章も非常に苦心されて練られた案だと思います。そういうことでいろいろ、まあこれは条文や提案理由の説明を議論することになりますと、ずいぶん問題も出て参りますけれども、今まで長官と私の間あるいは政府の説明員の方々との質疑応答の中からも、これは一つのいわば漁業権というもの、十億というものの積算の基礎に使ったものであって、実はあたたかい救済の手を伸べたのだ、そこに重点を置いたものであって、これを認めたからといって私たちの基本的な考え方を変えたとかなんとかいうことではないのだ、そのことだけはこの際明らかにしておく必要があると私は思う。そういうことで長官の申されました提案理由の最初のところを今確認もし、そして私どもの態度も明らかにしておかぬと、あとでこれまたどうしても日の目を見ないようなことにならざるを得ないことも考えられるから、その点を申し上げておきたいと思います。しかしいずれにせよ予算委員会あるいは外務委員会でこの領土論議はやっておりますので、その結果として必要があればこの内閣委員会でも私さらに申し上げて、次回に再質問をいたしたい、そのことを保留して、きょうは私の質問を終わりたいと思います。
#36
○中島委員長 松井誠君。
#37
○松井(誠)委員 私は特殊海事損害の賠償の請求に関する特別措置法、この法律案についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、この前の国会で飛鳥田委員から基本的な問題を主としていろいろ御質問もございましたので、私はなるべく重複を避けましてお尋ねをいたしたいと思うのです。
 そこでまず第一に、この法律案の立法の基礎になりましたいわゆる地位協定の十八条の五項の(g)、これと前国会で問題になりました口上書との相互の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、これは外務省の方にお願いをいたしたいのですけれども、この(g)項というのは軍艦もしくは公船、そういう船舶による被害ということでありまして、従って船舶による被害であれば海上における被害であろうと陸上における被害であろうとこの(g)項には含まれるものなのか、あるいは海上における損害だけしかこの項の請求権というものには含まれないのか、まずその点。
#38
○東郷説明員 ただいまの点はこの協定にございますように、船舶の航行もしくは運用から生じた損害ということでございまして、これがたまたま水の上でなくても、港の施設等において起こったものも含むわけであります。
#39
○松井(誠)委員 それから口上書の一、二、三、四、海産動植物の増養殖に対する損害とか、その他、四点をあげておりますけれども、これはこのような被害がそういう船舶による被害であろうとあるいは船舶以外の、たとえば空軍なら空軍というようなものによる被害であろうと、とにかくこのような被害であればこの口上書というものは含むのだ、こういうことでありますか。
#40
○東郷説明員 これは船舶による被害の場合だけであります。
#41
○松井(誠)委員 この口上書自体を拝見いたしますと、こういう損害が船舶による被害だということはどこから出て参りますか。
#42
○東郷説明員 この口上書はもともと十八条五項(g)の解釈としてあるものでありまして、口上書が扱っている問題は十八条五項(g)で扱っている問題であります。すなわち船舶による加害、その加害から生じた被害ということについてのことを扱っておるわけでございます。
#43
○松井(誠)委員 そうしますと口上書のこういう損害というものは、船舶による被害だけの問題である。そうしますと船舶以外の、たとえば空軍なら空軍というものによってこのような損害が生じた場合には、これはどういうことになりますか。
#44
○東郷説明員 その場合には十八条の五項で(g)から(f)までの、十八条の通常の規定、十八条の手続でその請求を処理するわけであります。
#45
○松井(誠)委員 そうしますとこの口上書というのは、形式の規定としてはむしろ(g)項の例外というか、(g)項の解釈という形ではなくて、この書き方によりますと(g)項から(f)項までの規定の適用を受けるという書き方であります。従ってすなおに読みますと、(a)項から(f)項までの適用の解釈として口上書ができた。むしろ(g)項の解釈としてではなくて、(a)項から(f)項までの解釈としてできたというように、この口上書自体からは読まざるを得ないと思いますけれども、どうでしょうか。
#46
○東郷説明員 この点は前回の国会のときにも御説明があったはずと思いますが、もともとこの十八条の五(g)というのは、行政協定改定交渉にあたって、いわゆるNATO方式を採用した結果、入ってきたものであります。ただNATO条約において十八条五(g)というような規定がございますのは、その対象は海上における船舶事故の処理措置でございまして、通常被害額も非常に大きいし、技術的に非常にむずかしい問題も含むので、こういうのはこの地位協定あるいはNATO協定に定めた特殊な手続によるのは適当ではない。これが普通の手続に従ってやる方がいいという趣旨でございますが、それを日本の場合にそのまま当てはめますと、日本では沿岸にたとえばノリの養殖とか、あるいは小さい漁船がたくさんいる、こういうヨーロッパにはない特殊な事情があるので、そういうものにはもともと適用するつもりはない。いわば陸上損害の延長といいますか、そういったような場合には、もともと十八条五(g)は適用するものではないのだという意味でこれができておるわけでございますから、それを運用上の問題として、ただそれをはっきり解釈を決定した、こういうのがその口上書でございます。従ってただいまのお話のように、あるいはそれだけ(a)項から(f)項までの適用が広がるという意味においては、ただいまのお話のように、こちらの解釈ということもいえるかと思いますが、口上書の趣旨はそういういきさつでございますので、(g)項の解釈ということで作ったものでございます。
#47
○松井(誠)委員 今までのいきさつは、この前いろいろとお聞きをしておりますのでわかりますけれども、私のお尋ねするのは、実質的にこれが(g)項の例外ならば、この(g)項を適用しないという、そういう形で口上書を作るべきであると、われわれの常識では思うわけです。それを(g)項から(f)項までを適用するという形にしたのは、今のいきさつと何か関係があるのか。−実は私がお聞きしたいのはそれなんですけれども、そういう意味で(g)項から(f)項までを適用するという形式を私はむしろわざわざとったのではないかと思うものですから、そこで、(g)項を適用しないという形式をとらなかった理由は、一体どういうことなのかということをお尋ねするわけです。
#48
○東郷説明員 その点は特別な意味は実はございませんので、(g)項自身がこういう場合にはこれを適用しないと書いてあるわけでございまして、それをまた適用しないということにいたしますと、かえってわかりにくくなる。従って、3∴項から(f)項まで適用があるということは、すなわち(g)項を適用しないということと実際は同じ意味で、むしろその方がわかりいいということで、そういう表現になっているわけでございます。
#49
○松井(誠)委員 それでは、その点はまたあとでお尋ねいたしますけれども、ここで、それでは一つこの口上書というものの性格について、やはりどうしても先にお尋ねしなければならないと思います。これはもう言うまでもありませんけれども、この五項(g)というものと口上書というものとは非常に密接な関係があるわけでありますし、この口上書の運命というか、口上書の適用範囲、そういうものはこの五項の(g)に直接の影響を持ってくるわけでありますので、そこで口上書についてお尋ねをしたいと思います。
 この口上書について、先般の前国会で飛鳥田委員から二つばかり宿題が出ておりまして、一つはこの口上書を国民に周知徹底させる、そういう手続をとらなかったということについて追及があったわけでありますけれども、その点はその後何か処置をとられましたか。これは調達庁から……。
#50
○林(一)政府委員 口上書の第四項に「類似の損害」というような規定もありまして、その類似の損害につきましては、本年九月七日に合同委員会で合意をいたしまして、そういうものを含めまして、本年の九月二十八日に調達庁告示を官報においていたしました。これで一般に周知徹底せしめたと考えます。
#51
○松井(誠)委員 そうすると、今私のお尋ねしたのは、この口上書というものの存在自体の問題であったわけですけれども、そのときにやはり問題になりましたのは、この口上書に書いてある四番目の「類似の損害で合同委員会を通じて合意されることのあるもの。」ということで、これの合意は一体なされておるのかどうかという問題があったわけです。その二つの問題を、今のお話ですと、調達庁の告示ですか、そういう形式で周知をさせた、こういうことなんですが、そういう告示で周知をさせるこの告示は、一体どういう意味で告示をされたのかということを、これは外務省と調達庁と両方にお尋ねをしたいと思います。
#52
○林(一)政府委員 こういうような小損害による被害についての賠償請求というようなことにつきましては、やはり広くこれを知らしめることが必要であるというようなことで、合同委員会で類似の損害というような合意を得ましたので、それを含めまして、一般に知らしめる意味において、官報でもって告示をいたした次第であります。
#53
○東郷説明員 今回の告示は、ただいま調達庁長官からお話がございましたように、この前の口上書及び新しい内容の合意をあわせて告示したものでございます。その意味は、まさしく今調達庁長官のお話になりましたように、これが新しい権利義務を設定する条約、そういうものでございますと、外務省から告示する形になりますが、この問題は協定の実施の問題ということで、調達庁の方から告示をお願いしたわけでございます。
#54
○松井(誠)委員 調達庁にお尋ねしますけれども、この告示は、そうしますとこの口上書なりあるいはその合意書なりの何か有効の要件といいますか、そういう意味でされたのか、あるいはそうじやなくて、元来しなくてもいいのだけれども、いわば周知徹底をさせた方がいいのだという建前でされたのか、その点を一つ……。
#55
○林(一)政府委員 これが口上書の法律的効果とか、そういうものには関係はなく、このような執行上の手続規定でありますので、一般に周知するのが適当であるというような行政上の立場から、この告示をいたした次第でありま。
#56
○松井(誠)委員 外務省の方にお尋ねをしたいのですが、この口上書というものを、先ほどのお話では、実質的には五項の(g)の適用の問題だというようにおっしゃいましたけれども、われわれの常識では、この五項の(g)に非常に重要な新しい例外を作るわけであります。従って、これは国民の権利義務にその意味で常に大きな変動を及ぼすことになるわけです。ですから、これは単なる適用ということではなくて、少なくともこのいわゆる地位協定と同じ比重を持っておるというよう、に解釈をすべきものじゃないかと思いますけれども、外務省の方から伺いたいと思います。
#57
○東郷説明員 先ほど申し上げましたように、この五項の(g)の規定自身が、最初からこういう日本の特殊な場合には適用するつもりはないという趣旨でできておりますので、それを明らかにするために口上書で具体的にこれを示したわけでございます。このような意味でございますから、これは協定の修正ないしは新しい権利義務の設定というふうにはわれわれは解さないのでございます。ただいま実施の問題と申し上げまたのは、ただその日本のそういう場合には適用ないのだというだけでは、これは日常生活上非常に関係ある問題でございますから、それだけでは意味をなしません。具体的に口上書ではっきりいたしまして、それを調達庁の方からこういうような措置をとっていただいた、こういうことでございます。
#58
○松井(誠)委員 私の聞き違いかもしれませんけれども、今のお話ですと、五項の(g)はこの口上書の部分については初めから適用はしないという、そういう趣旨でこの五項の(g)を作ったのだ。従ってこの五項の(g)を作ったときに、初めからそういうことは、日本の政府の意図だけではなくて、アメリカもおそらく了承したのだ。ですからそれを口上書という形で文書に表わすというだけだから、権利義務に変動はないのだ、こういう趣旨に今の御答弁は解釈してよろしゅうございますか。
#59
○東郷説明員 先ほどから申し上げておりますように、この口上書は五項の(g)解釈ということで作っておりますので、さような趣旨になるかと思います。
#60
○松井(誠)委員 それならばこの五項の(g)を作るときに、初めからこのようなものを除外するような形式でどうしてできなかったのですか。
#61
○東郷説明員 この規定自体は、交渉の過程におきましては、NATOの形をとってくる。いろいろいきさつがございましたけれども、ともかく協定自体の(g)としてはそのままの形にしておいてもらいたい。しかし日本の特殊事情に合わせて解釈する、こういうことであるから、もしこの(g)を特に変えると、また相手方としてはいろいろ関係が生ずるから、協定の(g)としてはこういうことにしておこう、そういうことがありましたので、協定自体はこういう(g)になった次第でございます。ただその場合も、日本の特殊事情に合わせて解されなければならぬということははっきりしておりましたから、それを後日になってはっきり文章にしたということであります。
#62
○松井(誠)委員 そうしますと、とにかく地位協定の表向きの形式は五項の(g)そのまま通してもらいたい。いろいろの事情というのは、よくわかりませんけれども、アメリカの国会の関係あるいはNATO諸国との関係、そういうこともあるので、五項の(g)はこのまま通してもらいたい、しかし裏には別の了解があるのですよ。われわれがよく裏契約といいますが、裏約束といいますか、そういうものをやるのと同じような形式で、最初からこの口上書の内容というものは確定されておったと考えてよろしゅうございますか。
#63
○東郷説明員 どうもその、表でこうやって裏でこうしたというつもりは全然なかったわけでございます。当時いかなる具体的な表現でこれを規定するかというところまで、一々例をいろいろあげまして話し合ったわけでございますが、一般的に日本の特殊事情ということで了解されておったわけでございます。
#64
○松井(誠)委員 日本の特殊事業をどういう範囲にまで認めるか、あるいは認めないかということは、これは日本の国民にとっては非常に重要な影響があるわけなんですけれども、それを口上書という形にしたということが、われわれはどうしても割り切れない。せめて、たとえば交換公文というような形式でこの口上書の内容というものの合意を取りきめる、そういうことにはできなかったのですか。
#65
○東郷説明員 これがもし条約の内容を実質的に変えていくということでありますれば、むしろ交換公文あるいはもっと重い形をとる必要があったかもしれませんが、われわれとしては、先ほどから申しますように、初めから意図したところをはっきり具体的に解釈するものだからということで考えておりましたので、口上書という形が最も適当だと考えたわけでございます。
#66
○松井(誠)委員 おかしいと思うのですね。あなた方はそういう交渉の経過、いきさつをよく御存じだから、あるいはそういう御答弁をなさってもちっとも矛盾は感じないかもしれない。しかし国民といたしましては、五項の(g)というものをいきなり出される。そうして口上書というものはなかなかわからないわけです。従って五項の(g)の中には初めからそういう日本の特殊事情は考慮するのだということが入っておるということは、五項の(g)自体からは全然わからない。従って、そういうものは初めから入っておるのだから、それは解釈だというようには国民の側からはとうてい受け取れない。そうでなくて、国民が受け取るときには、五項の(g)に対する口上書は新しく非常に重要な例外をなすものだ、あるいは五項の(g)に対して非常に重要なる例外を作ったのだというふうにしか受け取れない。あなた方、今までのいきさつをよく知っておるから、初めからこれは既定の事実としてあったのだということが頭の中にあるから、それではあまり矛盾を感じないかもしれませんが、国民はそういうことはわかりませんから、従ってそういう意味ではこの口上書というものは、国民としては五項の(g)の重要なる変更だというように受け取らざるを得ないと思うのです。そういう点、いかがですか。
#67
○東郷説明員 どうも同じことばかり申し上げて恐縮でございますけれども、交渉のいきさつからいたしまして、この(g)はNATOの協定からとったもので、その中には日本の実情に合わぬ点があるということで、事後にはなりますけれども解釈をはっきりしたわけでございますので、われわれといたしましてはそういうふうに解釈するものでございますから、これは口上書という形でよかったのだというふうに考えておる次第であります。
#68
○松井(誠)委員 これが解釈の問題であるかどうか、大事な問題でありますけれども、私は、この口上書というものの一般的な性格といいますか、そういうものについて今度あらためてお尋ねをしたいわけですが、その前に、この地位協定はいわゆる安保国会のときに、国会の承認を求めるために提案をされたわけですけれども、国会の承認を求められた根拠はどういうことなんですか。
#69
○東郷説明員 旧安保条約には、第三条において駐留軍隊の地位に関する規定は政府間の行政協定できめるという一種の授権規定があったわけでございますが、新しい日米相互協力及び安全保障条約は、さような規定がなくて、駐留軍隊の地位に関する問題は別の協定で定めるという形になっておる点が、形式的には一つあったわけでございます。またこの地位協定の内容は、日本に駐留する軍隊の特権その他を規定するとか、あるいは裁判権の問題を扱っておりますとか、当然国会の承認を得なければならぬ内容を含んでおりますから、御承認を求める手続をいたしたわけでございます。
#70
○松井(誠)委員 その内容において国会の承認を求めなければならない事項を含んでおる、というのは、今例示されたようなことがあるから、それは国会の承認が必要なんだ、こういう意味ですか。
#71
○東郷説明員 政府間の約束にはいろいろな形がございます。あるいは条約とか、協定とか、交換公文、口上書、この中でも国家間の権利義務を設定するもの、またその内容において予算を含むもの、あるいは立法事項を含むもの、こういうものは当然国会の御承認を得なければならぬわけでございます。中には全く事務的の連絡というようなものもございます。たとえば旧行政協定時代の例をとりますれば、防衛分担金を払うというようなのは協定自体の方でございます。政府としましては、年年の予算がきまりましたら、あとは事務的に毎年払うわけでございます。払う場合に、こういうお金を払うという通告をして向こうが受け取った、こういうようなものはやはり政府間の文書であるには違いございません。そういった場合には、条約協定という形ではなく、たとえば口上書というような形ではなく、たとえば口上書というような形で事実の通報をやるとか、あるいはその他いろいろな要求を伝達するとか、そういったような形をとるわけでございます。
#72
○松井(誠)委員 どうも私のお尋ねをすることに直接お答えいただけないものですから、問題がだんだん回りくどくなってしまいますけれども、われわれは、形式上の条約だけではなくて、二国間の合意というものは、実質的な条約というものは全部国会の審議を経なければならないのだ、そういう立場でありますけれども、政府の立場は必ずしもそうではなくて、今言ったような形式上の条約だけとは言わないけれども、しかし予算を伴うものとか立法が必要なものとか、そういうものに限っては国会の審議、承認が必要なんだというような原則的な建前とっておられる、簡単にいえばそういうことになりますか。
#73
○東郷説明員 これは非常にむずかしい問題でございますが、そういう今のような形のもの、あるいは政治的に非常に重大なもの、こういう場合もあると思いますが、大体そういう考えになると思うのです。
#74
○松井(誠)委員 この地位協定を国会の承認を求めたということは、もとよりそうしなければならなかったと思うのですけれども、この口上書というものも、先ほど来申し上げておりますように、われわれ外から見た限りにおいては、少なくとも五項の(g)の重要な例外をなす、地位協定の一部を変更することになる。ですから、地位協定と同じ国際的なあるいはまた国内的な比重を持っていなければならぬ、このように考えるわけです。ところが外務省のお話ですと、これは初めからいわば合意があったので、ただそれを文書化したのだというように簡単にいわれますけれども、これからあとも重要なこういう協定なり何なりというものを解釈という形で国民の目、国会の前を素通りをしていくということになりますと、これは私は非常に重要な問題だと思う。そこで一体政府としては口上書あるいはまた交換公文――文書の形式、名称はどっちでもよろしゅうございますけれども、いわゆる形式上の条約だけでなくて、口上書の文書の中で国会の承認を得るというものは一体どういうものなのか、その点をもう少し明確にお答えをいただきたいと思います。
#75
○東郷説明員 先ほど申し上げましたように国と国との間で権利義務関係を設定する、あるいは約束する、その内容においてあるいは立法事項を含む、あるいは予算措置を必要とするといったようなものは、政府限りでできるはずはないわけでありまして、これはもちろん国会の御承認を得なければ、そういうものを締結することはできないわけであります。その他そういう行政府の権限限りできる、内閣の外交処理という範囲内でできる問題でありましても、政治的に非常に重大であるという情勢があるような条約であれば、それもまた国会の御承認を得る、こういうふうに考えております。
#76
○松井(誠)委員 政治的に重要であるかどうかという判断は、政府の判断によるわけですか。
#77
○東郷説明員 内閣の外交処理として、これは内閣にあると思います。
#78
○松井(誠)委員 この問題はこれ以上深入りしないで先へ進みたいと思いますけれども、私が口上書の形式を問題にいたしましたのは、これはあるいは私の思い過ごしかもしれませんけれども、五項の(g)の例外だという形で口上書の内容を作ると一だれが見ても例をわざわざおとりになったのではないか。このように考えるわけですけれども、重ねてその点……。
#79
○東郷説明員 その点は実は先ほど申し上げました以上に全く他意はございませんので、五項の(g)が例外規定という形で書いてありますので、またその例外だという形をとるよりも、五項からはずれる、すなわち(g)からまで(f)の適用を受ける、これは全く同じということでございますので、さような表現をとった次第でございます。
#80
○松井(誠)委員 一点だけ口上書について念を押しておきたいのでありますけれども、繰り返しますが、この口上書というものは合意の経過から見て単なる解釈なんだという、外側からはうかがいしれないような事情を申し述べて、それがやっと(g)項の解釈だという説明をなされる。これからあともやはりこういう条約なりあるいは協定なりいろいろなそういうものについて、その合意の経過からこうなんだからこれは口上書でいいのだ、国会の審議を必要としない、承認を必要としない形式をとってもいいのだというふうに、これからあともやはり今の御答弁ですとおやりになる可能性、危険性があると思いますけれども、これはやはりそういうように考えざるを得ないわけであります。
#81
○東郷説明員 協定ができてからあと実質的にその内容を変える、その場合には条約なり協定なりの修正でございますから、当然もとの条約と同じ手続をとらなければならぬわけでございます。しかしこの場合にはもともと最初から意図されていたところを具体的に明確にするのだ、こういうことでございますので、実質的修正ではないという立場から、こういう解釈をしたということになるわけでございますが、いろいろそういう問題があれば、条約の文章の中に書くのがもちろん普通でございます。この協定の場合には先ほど申し上げましたようなわけで、すでにでき上がった(g)をとりつつそれを日本に合わせていく、そういう特殊の事情がありましたので、こういう格好になったわけでございます。従ってわれわれといたしましては、ある条約を作って、それを解釈という名のもとに内容を変えていく、そういう考えは毛頭ございません。
#82
○松井(誠)委員 重ねて念を押しますけれども、こはNATO協定をそのまま引き写しにするという特殊な事情があったので、こういう特殊な形式をとらざるを得なかった。しかし一般的にいつもそういうようなことをやるというつもりはないのだというように聞いてよろしゅうございますか。
#83
○東郷説明員 そういうつもりはございません。
#84
○松井(誠)委員 それでは一つ水産庁の方にお伺いをしたいと思いますけれども、口上書ができる経緯についてはもうあえてお尋ねはいたしませんが、口上書の内容によって日本の沿岸漁業、沿岸漁民の今までのアメリカ軍による被害のどれくらいが救われるといいますか、口上書のこういう規模の中にはどれくらいが含まれるか。
#85
○林田説明員 この口上書の内容によりまして、沿岸海域におきます海産動植物の増養殖に対する損害と申しますものは、たとえばノリしびとか、あるいはカキのいかだとか、そういうふうな養殖、増殖の施設に対する損害についてでございます。それから第二は漁網に対する損害でございまして、おもに定置関係の漁網でございます。それからその次の二十トン未満の船舶に対する損害で、一件二千五百ドル以下の請求にかかるもの、これは現在大体三十七万隻ぐらいの漁船がございます。そのうちで二十トン未満が三十五万五千程度を占めておるわけであります。それで日本の漁船の相当数が二十トン未満の漁船ということになりますので、これによって相当数カバーできるということになると存じております。それからその次の合同委員会を通じて合意されたものとしましては、二十トン未満の船舶の荷物に対する損害でございますとか、それからエビかごとか、タコつぼ、はえなわのように、沿岸漁業者が沿岸において使用しております捕獲のための施設でございますが、大体これによりまして沿岸において漁業をやっておるものの損害の大半は救われるということになると存じております。
#86
○松井(誠)委員 二十トン未満の船の全体の中に占める割合というのはわかりましたけれども、これは御承知のように、二十トン未満の船の損害であれば全部入るわけではなくて、一件二千五百米ドル以下というもう一つの条件がくっついているわけです。従って、二十トン未満の船でも二千五百ドルを上回れば、この口上書の範囲には入らないということになる。ですから、そういう金額の点も含めて、今までの経過からいいますと大体どのくらいが救われることになるのか、伺いたい。
#87
○林田説明員 先生のおっしゃいますように、一トンの船を作りますと、無動力船でございましたならば五万円くらいかかる次第でございます。あるいは動力船でありますと、その倍くらいかかるというようなことになっておりまして、これは一件当たり九十万円でございまするから、動力船ですと大体五トン以下くらいの新造ということになるわけです。しかしながら船は全部新しいものばかりでもございませんので、あるいは修理という場合もございますから、新しいものを作るという場合には、そういうふうに五トンくらいのものよりカバーできないという次第でございます。
#88
○松井(誠)委員 それで調達庁に一つお尋ねをいたしたいのでありますけれども、今までのこのような海上の損害船舶だけでよろしゅうございますけれども、この船舶の米軍による損害についての統計の中で、二十トン未満の船舶の被害と二十トン以上の船舶の被害という統計はございますでしょうけれども、今言いましたように二十トン未満の船の損害で、しかも一件が二千五百ドル以上というのは大体どのくらいあるのか、あるいは逆に二十トン以上の船の損害で二千五百ドル以下の損害というものはどれくらいあるか。いずれもこの口上書には含まれていないわけですけれども、そういうものの明細をお持ちですか。
#89
○藤本説明員 ただいまの先生の御質問の資料は手元にございません。今までに発生いたしました事故件数、あるいはそれに対する損害額というものにつきましてはここでお答えできると思います。ただいま先生のおっしゃいましたような二十トン以上の船で一件が二千五百米ドル以下の損害はどのくらいあるか、あるいは二十トン未満の二千五百米ドル以上の損害はどのくらいあるかということにつきましては、ただいま資料を持っておりません。
#90
○松井(誠)委員 今水産庁の方が言われたような二十トン未満と二千五百ドルと二つの条件に縛られますと、新しい二十トン未満の小さな船で、しかも二千五百ドル以上を上回る損害というものが、非常に大きいという可能性があるわけです。そういうものがあげて口上書から除外をされるということになりますと、具体的に沿岸漁民のそういう特殊な事情ということを考慮して口上書を作ったと言われますけれども、その中から相当大きなものが抜けていくのではないか。ですから、具体的な数字はわからなくても、大体の今までの見当、大よそのパーセンテージでもけっこうですけれども、それくらいおわかりになりませんか。
#91
○藤本説明員 ただいまの御質問でございますが、地位協定発効後の今日までの実績で申し上げますと、二十トン未満の船舶、九十万円以下、二千五百米ドル以下の船舶の被害というものは、実際に口上書に該当しますのが五件ということになっております。被害の実績でございます。
#92
○松井(誠)委員 今のは地位協定ではなくて、行政協定ですか。地位協定の発効後ですか。
#93
○藤本説明員 ただいま申し上げましたのは、地位協定発効以後の問題でございます。
#94
○松井(誠)委員 私のお尋ねしたいのは、この二つの条件を満たす被害はどれくらいあるかということよりも、むしろ二十トン未満の船で二千五百ドル以上上回った損害というものがどれくらいあるのか。およそのパーセンテージどれくらいあるのか。これは地位協定というのは最近のことですから、行政協定以来の統計で一体どれくらいになるのか。
#95
○藤本説明員 行政協定当時の被害の実績から申しまして、二十トン未満の船舶の被害の実績の平均は約七十四万円でございます。沈没の場合は七十四万円でございます。損傷の場合が約五万六千円、こういう補償額になっております。
#96
○松井(誠)委員 そこまでは大体の資料はあるのですけれども、その二十トン未満の船の被害で、平均としては七十四万円くらいだ、その中で九十万円以上のものがおよそ幾らぐらい、九十万円以下のものはおよそ幾らぐらいという見当は、およそのパーセンテージとしてはつきませんか。
#97
○藤本説明員 正確な資料は手元にございませんけれども、ただいま申したように沈没の場合は平均いたしまして約七十四万円でございますけれども、これは被害がこれ以下で、たまたま大きい被害があるというものが入りまして、平均が七十三万円になっておると思いますが、ほとんど九十万円以下でカバーできるのじゃないかと思っております。
#98
○松井(誠)委員 たしかそれは行政協定以来のものを、いつの時価で評価されたのか知りませんけれども、おそらくそのときそのときの解決されたときの時価の平均だと思うのです。そうしますと現在の物価高ということを考えてみますると、それはこれから一体同じような比率でいくかどうかということになりますと、非常に違ってこざるを得ないのじゃないか。そういう点について今までは七十四万円平均でありましたけれども、これからあともやはり二千五百ドルということで大体押えられるだろうというお見込みでありますか。
#99
○藤本説明員 ただいまでは大体過去の実績でいけるというふうに考えております。
#100
○松井(誠)委員 それはさっき水産庁の方の御説明ですと、むしろ二千五百ドル以上になる場合の方が多いような印象を私は受けたのですけれども、問題はちょっと横にそれますけれども、この二千五百ドルというのを、たとえばこの地位協定の十八条の二項の(f)には、為替相場に著しい変動があった場合にはこの額の調整をするという、そういうことをわざわざ入れてありますけれども、この二千五百ドルについてはそういうことを入れなかったのはどういうわけなんですか。
#101
○東郷説明員 もともとこの口上書の趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、日本の特殊事情に合わせた改正をするというこういうことでございますので、ただいまお話のように為替相場が大いに変動したというような事態があれば、当然これはそのとき修正さるべきものと考えます。お話のようにその点まで書いてございませんが、それはさような事態が起これば当然そのときに修正しなければならぬと思っております。
#102
○松井(誠)委員 私のお尋ねしておるのは、それは当然修正してもらわなければなりませんけれども、その地位協定にはこういうような規定の仕方がもうすでにあるのに、そういうことが当然予測されるのに、その口上書には入れなかったというのはなぜかということです。
#103
○東郷説明員 もしそういう事態が起こりますれば、それはもとの解釈と矛盾した事態とほかならないわけでございます。そういう場合には、一々書いておかなくとも当然やるのだというつもりで、そこまでこまかく書いてないわけでございます。
#104
○松井(誠)委員 そうしますと、この口上書の性格というものが、ますますやはり問題になってくると思う。この口上書には二千五百ドルと書いてある。しかし為替相場に変動があれば、これは解釈の問題として、それはそのときに解釈の問題として当然変えられるのだということになりますと、一体国民は何を基準にしてどこをたよってどうしたらいいのか。これは口上書というのは、御承知のように裁判所に訴えて出るときに、アメリカに行かなければならないのか、日本の裁判所でいいのか、裁判所の管轄の問題を含んでおりますから、従ってそういう問題があるのに、外務省がそれは解釈ですからそのときに変えられるのですよということを言われましても、口上書自体からも五項の(g)からも全然そういことは出てこない。これはそうすると、そのときには口上書を変えるという手続さえもとらないで、口上書のまた解釈として適用されるわけですか。
#105
○東郷説明員 そういう事態を想定いたしますれば、その事態においては現在の口上書自体が解釈に合わぬということでございますから、それに合わせた解釈をすることが、理屈を申せばそういうことになるかと思います。
#106
○松井(誠)委員 この一番問題なのは、二十トン未満と二千五百ドルという二つの条件で縛ったということが一番問題だと思いますけれども、一体このような口上書で例外を設けたというのは、いろいろな先ほど来の外務省のお話ですと、日本のそういう沿岸漁業という零細な漁業という特殊事情があるのだ。そうしますと、むしろ二十トン未満の船舶に対する損害というものは、その額のいかんにかかわらず全部入れるというようにした方が、むしろ実質的にNATO並みになるということになるのじゃございませんか。
#107
○東郷説明員 十八条五(g)は、実際の運用の場合におきましていろいろ問題が起こるわけで、その解釈の基準のとり方もいろいろあり得るわけでございます。これを非常に拡大しますれば、そのもとの五(g)の規定を入れてきた趣旨にまた抵触すれば、いろいろ検討いたしまして、最も適当なる基準としては二十トン未満、二千五百ドル以下というところが適当であるというふうに解するわけでございます。
#108
○松井(誠)委員 どうもくどいようですけれども、先ほどのお話ですとこの五項の(g)というのは、形式的にNATO並みにしなければならないのだということで、これを入れざるを得なかった。それは間違って入れたのか、圧力で入れたのか別としまして、ともかく入れた。しかし入れますとNATO諸国の実情と日本の漁業の実情というものとの違いから、かえってNATO並みでなくなった。それを形式的にはNATO並みであったけれども、むしろ実質的にはNATO並みでなくなった。そこでそれを実質的にもNATO並みにするために口上書というもので例外を作ったのだ。もしそのように考えるならば、一体日本の沿岸漁業の特殊性というのは何かというと、小さい二十トン未満という船が非常に圧倒的な多数だ、そういうところに日本の沿岸漁業の特殊性、日本の漁業の特殊性というものを求めなければならぬ。金額の大きいか少ないかということではないと思う。NATO諸国だって、大きな船でも小さい損害もあり大きな損害もあるわけです。しかし小さい損害でもNATOの場合には、この五項の(g)というものでやっておるわけですね。本質的な違いは金額の大きいか少ないかということではなくて、船が大きいか小さいか、そして小さい船の比重が一体どれだけかということが本質的な違いじゃないかと思う。そうすると、そういう特殊性というものを口上書の中にそのまま移すとすれば、これは二十トン未満の船の分については全部(g)をはずすのだ、そういう書き方にしなければならないし、それがむしろ考え方の自然じゃないですか。そうすることによって実質的にNATO並みになる。大きな船の損害は、これは決していいことではありませんけれども、少なくとも二十トン未満の船で二千五百ドルをこえるものは、全部アメリカへ行けということよりも私はいいと思うのですけれども、大きな船の損害については金額のいかんにかかわらないということにする方が、あなた方のNATO、NATOと言われるそのNATO並みに実質的に近づく道じゃありませんか。
#109
○東郷説明員 今の上限と申しますか、二十トンあるいは二千五百ドルを非常に上げて解釈するということになりますと、もともと十八条五項(g)というものを、海上の事故については通常非常に多い場合もあるし、また技術的にむずかしい事故も起こるので、通常の手続によった方がいい。十八条の特別な手続は適当でないということでできておるところと、また今度は本質的に食い違って参りますので、そこまで広げるということは解釈上の問題としては許されない。一方日本の過去の実績をいろいろ考えて研究してみると、この程度の限度においてこれを十八条にまた拾い上げるということが、最も日本の実情に即した解釈である、こういうふうに考えたわけでございます。
#110
○松井(誠)委員 どうも形式的な御答弁でわが意を得ませんけれども、それでは少なくともこの二千五百ドルというものが、先ほどのお話にありましたように、行政協定締結以来現在までの平均でさえも七十四万、現在の物価高ということを考えますと、平均九十万をおそらく上回るだろうということはお考えになりませんか。
#111
○東郷説明員 その辺になりますと、どうも私直接強い意見を持っておるわけではございませんが、先ほどのお話も過去の実績においては全損の場合七十何万、また全損に至らない損害の場合の平均はそれよりだいぶ低いように承知しておりますが、そういう事情からいたしまして、大体この見当でカバーできるのではないかと考えたわけでございます。
#112
○松井(誠)委員 どうでしょう。水産庁としてもやはりこの二千五百ドルということでかりに全損の場合に限らず、一部損害の場合にしても、この二千五百ドルということで大半がカバーできるというふうに一体お考えなのでしょうか。
#113
○林田説明員 ただいま申しましたように、全損の場合は二十トンのものはカバーできないわけでございまするが、二十トンが半分ぐらいの損害があったということになりましたならば、大体カバーできるということになるわけでございます。それでは十トンと二十トンの隻数はどれくらいあるかと申しますと、大体八千隻くらいのものでございます。それでほとんどが十トン未満の漁船、それからまた無動力船が非常に多いわけでありまして、十トン未満では六〇%ぐらいが無動力船になっております。そういうような実情でもございまするので、大体九十万円というところでカバーができていくのではないかというように考えておる次第であります。
#114
○松井(誠)委員 私はこの五項の(g)というものを新設をしたということ自体に問題があると思うわけです。従って、その跡始末としてのこの口上書というものは、できるだけ五項の(g)というものを、まあ言ってみれば有名無実にするような、そういう形で口上書の範囲というものをできるだけ広げていくことによって、このあやまちを直すという以外にはないのじゃないか。そういうことをやはり水産庁ももう少し本気になって考えていただかないと、この漁民をせっかく救おう一というわけじゃないのですけれども、漁民にしわ寄せをしようということを、どうにかこの地位協定の改悪によって防ごうという、こういう趣旨というものが貫かれていかないことになりませんか。水産庁の基本的な心がまえとしては、この口上書の範囲というものを漁民のためにできるだけ広げていこう、そういう基本的な態度をおとりになっていただきたいと思うのですけれども、どうでしょう。
#115
○林田説明員 先生の仰せられるように、そういうふうな基本的な態度ではございまするが、やはり先ほど外務省から答弁のありましたように、この行政協定の成り立ちをも考えなければなりませんし、それから、九十万円以上の損害のあった場合に、国内においてただいま提出しておりまするような法律上あるいは予算上の措置をとりまして、これを救済するということを考えておりまするので、水産庁としましては、そういう大きい損害につきましては、この法案を通過させてもらいましたならば、それによって救済していきたいというように考えております。
#116
○松井(誠)委員 結局この法律案というのも、日本にきわめて合わない五項(g)というものを作ったということで、口上書で例外を作り、それでもまだ足りないからこの法律案で何とかお世話をしようということで、どうも聞いておりますと、ボタンを一つつけ違えると最後までつけ違えるとかいうことわざがありますけれども、五項(g)の間違いというものは、そういう形でずっと尾を引いてきておると思わざるを得ないわけなんです。
 そこで私は最後に一、二点こまかい点についてお伺いをして終わりにいたしたいと思いますが、この口上書の四項についての合意ですね。これは調達庁にお尋ねしますけれども、この合意の中で、二項の「漁業者が使用する類似の装置に対する損害」ということで、漁網その他の損害ということで、ここで一応入るわけでありますけれども、この口上書によりますと、口上書の一の「沿岸海域における海産動植物の増養殖に対する損害」ということになっておって、増養殖の施設に対する損害も含まれるのか含まれないのか、必ずしもはっきりしないわけでありますが、何か政府の資料ですと、その施設の損害も入るように、それを前提にした文章がありますけれども、これは増養殖の施設の損害も当然含まれるのだというふうに解釈してよろしゅうございますか。
#117
○大石政府委員 ただいまの御質問の点に関してお答えいたしますが、御見解の通り、増養殖の施設に対する問題も含むというふうに解釈いたしております。
#118
○松井(誠)委員 この法律案について一点、この前飛鳥田委員の質問に答えて、一体そのあっせんにアメリカが応ずる義務があるのかどうかということについて、アメリカがあっせんに応ずる、そういうことになっておる。それを文書では確認をしていないが、文書でいずれ確認をしたいというような御答弁がありましたけれども、その取り扱いはその後どうなっておりますか。
#119
○大石政府委員 前々からお答えいたしました通り、内々の、非公式の取りきめでは、あっせんを受けて立つというふうになっておりますが、なお本件につきまして、外務省においてこれを文書で確認いたしました結果、はっきりと四月五日付で同意の旨の回答をとっておるわけでございます。
#120
○松井(誠)委員 それは資料としていただいておりませんけれども、その文書の内容はどういうことですか。全文をお持ちなんでしょう。あっせんに応ずるということを確認をした文書なんでしょう。
#121
○大石政府委員 非公式に、あっせんを申し出た場合に、米側の機関はこれを受けるということを今まで確認しておったわけでございますが、それをなお念を押して外務省においてこれを確認したというふうに聞いておるわけでございます。
#122
○松井(誠)委員 前国会の問答のやりとりでは、文書による確認をしたいのだということでありましたので、文書による確認ということについて、その後どういうことになったかというようにお尋ねをしでおるのであります。
#123
○魚本説明員 お答え申し上げます。実はこの前事務当局で調べましたところ、三月二十三日の日本側の照会に対して、四月五日付で文書でこれに同意するという回答がアメリカ側からあったわけでございます。
#124
○松井(誠)委員 それは確認をするというのは、あっせんに応ずる義務があることを確認するという趣旨ですか。
#125
○魚本説明員 おっしゃる通りであります。
#126
○松井(誠)委員 最後に一点、施行令案についてお尋ねをしたいのですけれども、この施行令案の二に、「その他関係資料の収集整備」というのがございますが、この関係資料の収集整備の費用は、これは立てかえではなくて、国家が支弁をする、そういうことになるわけでしょうか。
#127
○大石政府委員 御見解の通りでございます。立証資料その他関係資料の収集整備は、国の行政事務として実行いたすわけでございます。
#128
○松井(誠)委員 この二の「関係資料の収集整備」ということと「法律上の助言」ということとをうまく適当に運用すると、私は、大体の訴訟事務の準備ということくらいはこれでやっていただけるのではないか。ただしかし関係資料の収集整備というものに非常に手を抜いて、金のかかることは収集整備をしないのだという建前でやられますと、せっかくの援助というものがむだになってしまいますけれども、そういう多額の費用というものも惜しまないで、関料の収集整備というものをやっていただければ、これは法律上の助言というものの運用よろしきを得ることと一緒になって、相当役に立つのではないかと思いますけれども、その際、これはもう費用がたくさん要るのだから、予算がないから、関係資料の収集整備はこの辺で打ち切って、あとはそちらがやれというような、そういう形でこの取り扱いをされなくて、できるだけ、先ほど来から申しますけれども、五項の(g)を作った、そういうあやまちを直すという意味で、この援助というものをできるだけ漁民のために運営していただきたい、そういうように考えるわけですけれども、その点についての心がまえだけを最後に一点お伺いして、−終わりとしたいと思います。
#129
○大石政府委員 本法律案を御承認いただきました場合は、御要望の趣旨に沿いまして、できるだけ手厚い親切な事務を執行して参りたいというふうに考えております。
#130
○中島委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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