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1961/10/11 第39回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第039回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1961/10/11 第39回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第039回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第039回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和三十六年十月十一日(水曜日)
   午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 前田 正男君
   理事 齋藤 憲三君 理事 西村 英一君
   理事 山口 好一君 理事 岡  良一君
   理事 山口 鶴男君
      安倍晋太郎君    秋田 大助君
      菅野和太郎君    佐々木義武君
      塚原 俊郎君    松本 一郎君
      石川 次夫君    西村 関一君
      三木 喜夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       山本 利壽君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   島村 武久君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    杉本 正雄君
 委員外の出席者
        科学技術会議議
        員
        (日本学術会議
        会長)     和達 清夫君
        科学技術会議議
        員       内海 清温君
        科学技術会議議
        員       梶井  剛君
        科学技術事務次
        官       鈴江 康平君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局科学調査
        官)      森尾 洋一君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局計画課長) 高橋 正春君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(科学技術基本法
 に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○前田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、科学技術基本法に関する問題の基本構想について、科学技術会議議員より説明を聴取し、その後、科学技術庁並びに科学技術会議議員に対して質疑に入りたいと存じます。
 それでは、科学技術会議議員で、同時にこの基本法の部会長であります梶井剛君の説明をお願いいたしたいと思います。梶井科学技術会議議員。
#3
○梶井説明員 御指名によりまして、科学技術会議における基本法の審議の経過について、御報告を申し上げます。
 科学技術会議におきまして、第一号答申の際に、科学技術に関する基本法並びに総合行政体制の強化ということにつきましては、さらに検討するということになっております。従って、まず第一に、基本法の問題につきまして、新たに総合部会のもとに分科会を設けまして、そうして基本法の審議を始めたわけであります。
 第一回の分科会の委員会は六月三十日に開催いたしまして、委員長は新技術開発事業団の理事長の井上春成先生、もとの工業技術院の院長でありますが、委員の数が二十一名でありまして、第一号答申の基本法の関係事項の抜粋を、まず一応皆様方に御説明いたしました。そして、それを土台といたしまして、自由討議に入ったわけであります。それが第一回で、一応自由討議だけで終わりまして、第二回は七月十三日にやりまして、このときも、また自由討議で終わりました。第三回は七月二十七日にやりまして、またさらに自由討議で終わりました。大体三回自由討議をやりましたので、ここらで原案を作ってさらに審議に移りたいということになりまして、昨日、十月十日に一応議案の骨子になるようなものを出しまして、さらに討議に入ったわけであります。
 この間、一回、二回、三回の自由討議の間においてどういうことが多く議論になっているかと申しますと、元来、この基本法を作るのにつきましては、科学というものが非常に不明確である、科学ということを言う以上は、これは人文科学、社会科学、自然科学全部を含めておるものと考えられる、もしこれがさらに自然科学並びに技術というのであれば、そういう言葉を、はっきり定義を与えないと誤解が生ずるからどうだろうかということが、しきりに言われました。同時に、これが自然科学と技術であるというこちらの答弁に対しまして、それでは困る、人文科学、社会科学が取り残されてしまう、だからして、むしろ、人文科学、社会科学及び自然科学の全部の科学を同時に研究を進め、かつ振興すべき性質のものと思われるからして、むしろ、人文、社会、自然を全部含んだ研究基本法というものを作るべきであるという説が出たのであります。しかし、この点は、われわれこの科学技術会議というものの性格から申しますると、第一に、科学技術会議が審議すべき範囲というものが、およそきめられておるのであります。科学技術会議設置法の第二条の第一号に、「科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)」ということで、その科学技術一般に関する政府の諮問に対して答申するのであるということになっておりますからして、自然われわれとしましては、自然科学及び技術に関するものを審議するのであって、そうして、それに関連した人文科学や社会科学があるならばそれにも言及はするけれども、主体は自然科学及び技術であるということをしばしば説明したのでありまするけれども、しかし、どうしても、自然科学ばかり振興されたのでは人文科学、社会科学が取り残されてしまう、勢い予算などが自然科学の方に集中していくならば、人文科学や社会科学の方にしわが寄っておろそかにされるおそれがあるから、どうしてもこれを一緒にすべきである。ことに、基本法として憲章的なものを作れという意見もありました。従って、憲章的なものになるときには、その中に人文科学、社会科学をも一応含めるべき性質のものじゃないだろうか、これが世間の人の科学という言葉に対する解釈からいって、当然そうでないとはっきりしないじゃないか、また、本来ならば、これは自然科学と技術の基本法を作るならば、基本法ばかりじゃなく、さらにその振興方策等についても基本法の中に書くべきである、だからして、その理念と同時に、振興方策等についても、一緒にした一つの基本法を作るべしという意見もあります。それに対して、そうじゃなくて憲章的な基本法を作るべきである、そして、そのあとで、振興法は別に法律案として作るのがよろしいじゃないかという説もありました。そういうふうで、いろいろと人文科学、社会科学の問題から、憲章にすべきかあるいは振興法まで入れたものにすべきかということで、三回の委員会というものは、ほとんどそういう文字の問題で論議されてしまったわけであります。で、議案の内容に入ることなく、つまり基本法の内容に一つも入りませんで、大部分はそれによって終わってしまいました。
 究極、昨日の会議におきましても、いろいろと論議が重ねられましたけれども、大体におきまして、科学というと自然科学、社会科学、人文科学も入るから、従って、基本法じゃなく、前文にそういうことを一応書いて、あとは自然科学及び技術のことを憲章として書こう、振興法になりますと、これは科学技術だけの振興法になり、あるいはまた、人文科学、社会科学の振興法というものも出てくるかもしれない、だからして、一応振興法というものは、新たに自然科学や技術のものとして作っていこうというような方針に大体経過はなってきております。次回までに一応憲章的なものを作ろうということになっております。一応骨子としては、その格好は作ってあるのでございますけれども、しかし、この法は、一応作ったものをさらにあらためて憲章的なものと、さらにつけ加えて振興法に関係するものも続いて作ろうというような意向のもとに、事務当局において目下検討を進めておるわけでございます。
 以上でございます。
#4
○前田委員長 次に、科学技術会議議員で、同時に、日本学術会議の会長であります和達清夫君に、従来の経過等の説明をお願いいたしたいと思います。科学技術会議議員和達清夫君。
#5
○和達説明員 ただいま梶井議員から経過の御説明がありましたので、私は、ただ学術会議の会長をいたしております関係上、学術会議の意向だけをお伝えいたしたいと思います。
 学術会議は、この基本法のことに関しまして数次慎重に審議いたしました結果、昭和三十六年五月十八日、学術会議から総理大臣あてに勧告が出ております。この勧告の要旨をここで御紹介いたしますことが、学術会議の意向を御説明するということになると思います。
 この勧告の中の「科学技術に関する基本法の制定について」という部分がございますが、この要旨を申しますと、「第一に、わが国の科学技術は画期的に振興する必要がある。しかし、基本法の立案に当っては、科学技術の振興のみに限定せず、広く人文科学、社会科学、自然科学の全般にわたり、科学研究を推進するため、」「基本的理念ならびに方策を明らかにする科学研究基本法とし、科学技術の振興のために必要な諸措置、例えば、そのための法的措置等は以上の精神に基づいて行うべきである。」この基本的理念並びに方策ということを申しましたが、それはどういうものであるかということが、そのあとに書かれております。
 この勧告には八項目出ておりまして、第一は、「科学の研究は、世界平和の確立、人類の福祉の増進、文化の向上のためになすべきものであること。」第二は、「科学の研究は、その全領域にわたって推進させるべきものであって、必要に応じ特定の分野の研究を特に推進する場合においても、他の分野の貧困化によって行なってはならないこと。」第三に、「科学の研究の成果は、原則として公開すべきものであること。」第四に、「科学の研究については、研究者の意志が尊重され、また反映されなければならないこと。」第五は、「大学における自由な、かつ、自主的な研究が尊重されなければならないこと。」第六は、「科学の研究費の確保について積極的な方途を講ずべきこと。」第七は、「科学の研究に従事する者の処遇について特段の措置を講ずべきこと。」第八は、「科学の研究者の養成について特段の措置を講ずべきこと。」以上が勧告の要旨でございまして、基本法を制定するためには、科学に関する研究者の意見が十分に反映する適当な組織を設けて、その立案に当たるべきであるということが掲げられております。
 この趣旨に沿いまして、ただいま梶井議員が御説明になりましたような部会が設けられ、審議をしておる段階でございます。
#6
○前田委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○前田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村英一君。
#8
○西村(英)委員 ただいま御説明を承りましたし、また、諸先生方には釈迦に説法のきらいがありますけれども、一、二私の考えを申し述べておきたいと思います。
 今、やはり科学技術基本法を作るにおいては、その科学技術という定義をどうしようかということが非常に問題でありますけれども、私たちがこの際科学技術の基本法を作りたいという根本的な考え方は、いわゆる科学技術の振興によって国の繁栄を来たしたいということでありますから、その辺から割り出すと、おのずから明らかではなかろうかと私は思うのであります。もちろん、茅議員が言いましたように、人文科学あるいは自然科学と並行して進むべきものであります。しかし、そういうことを申しますれば、ただ単に科学のみが進むべきものでなくて、ほかの分野におきましても、並行して進まなければならぬものはたくさんあるのであります。で、この際、私たちが希望するのは、とにかく国の繁栄、国民生活の安定という立場から科学技術ということを申せば、おのずから定義が明らかではなかろうかと、かように私は思っておるのであります。教育基本法がございます。私は、その科学技術の基本法を作るにあたりましては、教育基本法は非常に参考になるのじゃなかろうかと思うのであります。つまり教育基本法で言うてあることは、人格の完成、そのために教育をしなければならぬ、そういうことが教育の根本的目的でございます。それと比べますと、科学技術基本法は、つまり教育基本法の人のかわりに国家の行き方あるいは社会の行き方をどうするか、つまり科学技術をもって立国の精神としたい。教育基本法が、人格の完成にあるように教育するのだということと対比いたしまして、立国の精神を一体どこに置くかということから出発しなければならぬのじゃないか、こう私は思うのであります。しこうして、それではその方法というようなこと等を考えまして、あと詳細にわたる方法論につきましては、別な法律をもって進むような形式にした方がいいのではないか。従いまして、基本法は、条項の多きを望みません。きわめて簡潔で、われわれが国家、社会を形成する根本方針として、どういうような精神でいくかということがうたわれてあれば、それで十分じゃなかろうかと私は思うのであります。これは諸先生方に釈迦に説法で、質問にも当たらないと思いますが、そこで、次にお尋ねしたいことは、との基本法を作って、科学技術の振興をするということから考えまして、現在の社会で、日本の状況で何が一体科学技術の振興をはばんでいるか、阻害している原因は何だということを確かめなければなりません、しこうして、その基本法には、その阻害するところの原因を除去するようなことを強調しなければならぬと私は思うのであります。
 第一番に私が言いたいことは、いわゆる政治家もあるいは指導者も、科学技術の振興ということはお題目では言いまするが、なかなか身が入らない。一体どうして身が入らないのかということであります。これはやはり、何と申しますか、大衆の支持がない、世論のバックがない。また、そういうようなことから叫ばれており、必要は認めながらも、何となしに不振な状況ということであります。従いまして、基本法でも、この科学技術思想の世論を作るということに言及しなければならぬと思います。一体、世論を作るのはどうか、世論はどうして作るかといえば、これは一朝一夕にはできないのでございまして、方法論と申しますれば、やはり基本法でございまするから、長い国家のことを考える場合に、どうしても中学校、小学校の義務教育の幼少なころから理科思想、技術思想を植え込んでおくということにならなければならぬと思います。そういうようなことから考えますると、現在の科学技術庁は、教育の面とはこれは離るべからざる関係にあるわけでございます。しかし、さっき梶井さんからもお話がありましたように、科学技術庁の取り扱うものは、研究機関にしても大学は省かれておる、大学は除かれておるということですが、私は、この際、この国民的な科学思想を涵養するのについて、教育は重大でありまするから、ことに幼少教育、理科教育等は重要であるから、現在の科学技術庁からあのカッコをとってもらいたい、ないしは進んで文部省に対して、科学教育について、科学技術庁長官は共管にならないか、こう私は考えておるのでございます。この点につきまして、何かお考えがありますれば、つまり今の科学技術庁は大学の研究すらもあまりタッチできないように、文部省が科学技術庁をシャット・アウトしたような形をわざわざとっておる。そうではなしに、文部省が、科学技術についてはせっかく科学技術振興の長官がおられるのであるから、門戸を開いて、教育それ自身、大学の教育それ自身につきましても、あるいは研究機関につきましても、科学技術に関することは技術庁長官と共管にする、いわんや、先般あなた方が答申されました理工科系の学生の養成につきましても――一応科学技術会議に文部大臣は出ておりますけれども、一度文部省に帰れば、また違ったセンスを文部大臣は持つのでありまして、これらにつきましても、私は、科学技術庁長官と共管にするということについて、御意見がありますれば承りたい。
#9
○三木国務大臣 お話、よく御趣旨はわかります。なかなか行政機構の改革に関連する問題で、こういうふうに非常に行政が複雑になってきているけれども、一方においては総合性というものも要求されるときに、行政機構の改革というものは、将来いつかはやらなければならない問題であると私は思います。そのときの一つの課題で、今これだけを取り上げてということは、実際問題としてなかなか困難と思いますので、そういう根本的な行政機構の改革があるまでは、やはり積極的に科学技術庁長官が、科学技術教育については、あるいは閣議の席もありますし、文部大臣に対していろいろ意見を述べて、そして目的を達していくことが現在の場合は実際的だと思いますが、将来は、やはりお話のようなことは検討に値する問題だと考えます。
#10
○梶井説明員 ただいまの御質問に対しまして、科学技術庁は、確かに大学の研究その他に関係はできません。しかし、科学技術会議に、大学の研究その他をもみな包含しているわけであります。ただ、行政上の問題になっては、これは文部省の問題でありまするから、われわれは、諮問がありましたときに、その範囲内まで答申をするということになっておるわけ、であります。
#11
○西村(英)委員 長官の話はごもっともなことであります。行政機構の改革を根本的にやるには、内閣は相当に重大な決心をしてやらなければならぬ。しかし、根本的にやらなくても、それくらいな程度の改正といいますか、改善は、現在の状況においてもしていくべきものじゃなかろうか。いわんや、科学技術の基本法を作るにあたっては、それぐらいのことができなければ、これはやはり、なかなか容易にいかないと思います。根本的に行政機構を改革するときは、もっと大胆な意見が出なければならぬと思いますが、しかし、暫定的でもそれくらいのことは私は一応は希望しておきますし、いわんや、基本法を作ろうといろ精神からいけば、それぐらいな心がまえは持つべきじゃなかろうかと思っております。
 私、今、科学技術思想の普及のことを言いましたが、第二番の欠点は――何と申しましても、行政を進めていくのはやはり国の行政機関であります。行政機関がしっかりしないと、科学技術の振興といいましても、だれもやる人がない。やはり国の行政を強力に進めなければならない。そこで、国の行政を強力に進めるという意味から、今の行政機関を見ますと、一応科学技術の行政機関は整っておるようであるのであります。すなわち、科学技術庁もあります、あるいは、諸先生方を集めた、日本でもその方の権威者を集められました科学技術会議がある。また、半民半官として、先般発足しました科学技術振興財団等がありまして、行政の表面的な形は、一応私は整っておると思います。これ以上何か行政機関が要るのかどうかということ、あるいはこの行政機関をどういうふうにして強力にしていくのか、この辺について一つお伺いをしたいのでありますが、行政機関は表面整っておりまするから、それを強力にしていくのには一体どうすればいいかということ、なお足らざる行政機関があるのかどうかということ、従いまして、それを突き進んでいきますると、今のように文部省の研究機関等にも触れてきます。ないし、やはり各省が今ばらばらに研究関機を持っておるが、科学技術庁の傘下におさめなくてもけっこうですが、少なくとも各省の研究機関は技術庁長官の共管にすべきものだ、そうしなければ、どこへどういうような予算がいき、どういうような振興をやっているか――それは閣議もありましょうけれども、閣議だけですべてが決定されるものではありません。やはり多くの役人がおってやっておることでございまするから、そう思われまするが、一体科学技術の行政体制に対して、完全であるのか不完全であるのか、もし不完全なりとすれば、いかなるところに不完全であるのか。これは行政をしっかりしなければ、何といっても振興はできません。その辺につきまして、大臣なり、また諸先生方の御意見がありますれば承りたいと思います。
#12
○三木国務大臣 科学技術庁もまだできて日が浅いので、この役所が将来どのようなかまえを持っていくかということは、いろいろ研究の余地がございます。たとえば、研究機関についても、科学技術庁で共管にする方がいいではないかというお話があった。私も、その方が、研究の総合的成果を上げるためには非常に便利ではないかという感もするわけです。そういうこともひっくるめて、この科学技術会議に、研究機関のあり方という問題については、そういう問題も含めて一つ研究を願いたいと思うのであります。だから、これ以上に科学技術振興の新しい役所は必要だとは思わないが、科学技術庁自身が完全なものとは思わない。この役所が将来科学技術振興の大きな役割を果たすためには、いろいろ研究、検討されなければならぬ問題を含んでおる。私自身も、そういう問題についてはいろいろと検討いたしておるのでございます。今まだ結論はこうだとは言えませんが、完全なものではない。これはよほどいろいろ検討を要すべき問題があるということをお答えしておきたいと思います。
#13
○内海説明員 今の行政の問題でありまするが、昨年の十月四日に出しました第一号諮問の答申、その中にも、科学技術行政を総合的に行なう体制を確立する必要があるということを答申しておるのであります。「近代国家における科学技術の振興については、一貫した方針が要請されることにかんがみ、科学技術行政を総合的におこなう体制を確立すべき」であるということを答申しておるのであります。
 それでは、どういう体制が好ましいかということまで答申するかどうかということが、当時問題になったのでありますが、たまたま、その当時行政調査会というものが設けられるということがいわれておりましたので、これは単に科学技術行政だけについてやるよりも、日本の行政全般の行政調査会において審議をされることが適当じゃないか、その場合に、もちろん、科学技術会議としても意見はその調査会に述べるとしても、その調査会が日本の全体の行政機構について調査されて、何らかの結論を出されるということに譲るべきだというふうな考えで、答申には総合行政体制の確立の必要があるということを内閣総理大臣に答申したのでございます。
#14
○前田委員長 関連いたしまして石川次夫君から質問の要求がありますので、これを許します。石川次夫君。
#15
○石川委員 先ほど和達学術会議会長から言われたように、科学研究の基本的態度において、八つばかり答申が出ております。その最後の方の、研究費とか研究者の処遇の問題、あるいは行政の確立ということについていろいろ申し上げたいことがあるのですが、今、西村さんから行政関係についての質問がありましたものですから、それに関連をいたしまして、日ごろ考えていることで一つ長官の御意見を伺いたいと思う。と申しますことは、何といっても、科学技術の振興のためには、行政が確立をされなければならぬということは、言うまでもないと思います。それで、これは常識でございますけれども、昔は、科学技術の振興というものは、個人の、町の科学者みたいなものが発明をするということでどうやらこうやらささえられておるという時代もあったわけであります。十八世紀のころはそれでも済んだわけでございますけれども、それがだんだんに進んで参りまして、企業が中心となって科学技術の振興あるいは研究機関を作るということでありましたけれども、急速に科学技術というものが進歩した今日の段階におきましては、国家が中心になってこれを総合的に推進するということがなければ、どうしても立ちおくれる。日本でも――私は日立製作所の出身でございますけれども、日立製作所は、科学技術を国産技術でもって全部やり抜くのだという決意をもって、研究機関も完備したつもりでやっておったのでございますけれども、しかしながら、戦争が終わってから、その戦争中の空白期間というものを埋めるためには、どうしても外国の科学技術と提携をしなければならぬということで、非常に残念なことでありますけれども、GEとか、あるいはウェスティングハウスとか、そういったところの技術を借りて、あるいは火力発電所などの技術を借りて、どうやらこうやら穴埋めをするというような状態になったことは、まことに私は残念だというふうに考えておりますけれども、何といっても、日本の繁栄をもたらすものは、これからは科学技術の振興以外にはないということは、これは言うまでもないと思います。それで、ほかの国では、三木さんに申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、これは防衛というものを科学技術に含まるということはあります。そういう事情がありましょうけれども、どこでも副総理大臣というような形で、科学技術の振興を掌握するという政府の行政機関の衝に当たっているというのが、常識のようであります。そういう点で、今度は実力者の三木さんがなられたということは、科学技術を振興させることが日本の国家の繁栄をもたらす、その基本的な行政機関といいますか、行政といいますか、そういうものを確立する非常ないい機会を得たということでわれわれ喜んでおるわけです。ところが、私、日本の政府の科学技術のいろいろな研究機関というものを見ますと、七十二ほどあるわけです。その中で、科学技術庁が掌握しているというのはたしか二つか三つしかない。実はこの前の通常国会におきまして技術研究組合というようなものが提案をされて、それから商工委員会と合同審査をやったことがあります。椎名さんが通産大臣で、これはちょっと失言をしたのではないかと思いますけれども、科学技術庁は航空の技術だけやっていればいいのじゃないか、あとはみなおれの方なんだというようなことを発言した。私の出た日立製作所の社長の倉田さんが、科学技術振興財団の理事長をやっている。いろいろ話をしますと、科学技術振興財団のことで政府と折衝するのに、どこへ話を持っていくのか、さっぱりわからない。窓口がどこなんだかわからない。どこへ行っていいかわからぬのはともかくとしても、窓口だけくらいはどこかで統一をしてもらわなければならぬ。そのくらいの権限というか、そのくらいの力は科学技術庁で持てないものだろうかというような話を聞いて、私ももっともだというふうに共鳴をしたわけであります。現在のところは、椎名さんがこの前通産大臣のとき言われたように、科学技術庁というのはほんとうに二つか三つの研究機関だけあずかって、窓口にもならないというようなことで、はたして日本の繁栄の基本になる科学技術振興というものが確立されるかどうかということを考えますときに、私は、このままでは日本の科学技術振興は絶対に確立できないと思う。今西村さんがおっしゃったように、行政の確立というものはどうしてもここから出発しなければならぬ、こういう感を日ごろから非常に強く抱いておるわけであります。こういう点で、三木さんが幸い大臣になられたこの機会をおいてほかにないと思うのでありますけれども、いろいろな研究機関――それをどうしても離さないというものもあるかもしれませんけれども、ここには和達さんもおられますが、たとえば気象庁というものは防災というものに非常に関係が深い。科学技術庁は、これこそやらなければならぬというような重大な課題を持っておるわけです。各省にまたがる重要な任務でもあるわけでありますけれども、これは運輸省の所管になっている。これは一つの例であります。こういうものは科学技術庁でもって掌握をする。防衛科学こそないけれども、日本人の将来の繁栄と幸福をもたらすためには、科学技術行政というものを確立するためには、そういうものをとにかく全部科学技術庁の所管にしないまでも、全部とにかく窓口にして、ある程度の、何といいますか、指導、鞭撻というものができるような形に少なくともならなければ、日本の科学技術の振興というものはおぼつかないということを痛感するわけでございます。この点について、三木さんは大臣になられてからいろいろ所感を発表されております。いろいろ決意も持っておられる。これはなかなか大へんでございます。科学技術庁のお役人の方に聞きますと、そういうことはタブーだ、それは絶対に言えないのだというようなことを言っておられます。たとえば、この前損害賠償補償法案というのが出ました。通産省から派遣された人が、原子力局の政策課長ということでその担当をいたしまして、われわれの方もつぶさにいろいろな折衝をしたわけであります。終わったら通産省へ帰るのじゃないかというような冗談を言いますと、いや絶対にそんなことはありませんと言っておりましたけれども、私がおそれましたように――この損害賠償補償法案というものには非常に多くの付帯条件がついておる。この付帯条件が実現しない限りは、この損害賠償補償法案はのめないという強い制約をしたはずなんです。ところが、通ってしまいますと、案の定、政策課長は通産省へ戻ってしまった。その法案だけ通せばあとはいいのだ、こういうような例でも見られますように、こういう形で科学技術庁がどこかの出店みたいな形になっておる限りは、科学技術行政というものは確立されないということを痛感するわけでございますが、その点につきましては、三木さんの一つ決然たる決意を披瀝していただきたい、こう考えます。
#16
○三木国務大臣 私も、そういう弊害というものが国立研究機関にあるということを認めて、科学技術会議に研究を願ったのであります。あるいは研究機関というものがいろいろなものの検査をするとか、行政事務に直結するものは各省に分かれて所管をして、それはむろんそうするととが必要でしょうけれども、純然たる研究機関のあり方については私も疑問に思っておる。あるいはもう少しこれを総合性を持たすために、科学技術庁に全部持ってくるというようなことは必要がないにしても、あるいは総理府の中にそういう研究機関というものを一緒に集めて、そうして、あるいは科学技術庁その他関連のある各省の共管にするとか、何か国立研究機関のあり方については検討を要する問題があると考えまして、われわれも研究したいが、科学技術会議においてもそういう点について十分検討を願いたいということで、諮問案を出したわけでございます。
 また、科学技術庁とか経済企画庁、こういう新しい役所は、急に役所ができても、その役所の人たちがどうしても急には集まらぬものですから、各省から人をもらうわけでありますが、願わくは科学技術庁でも、あるいは経済企画庁もそうでありますが、本省のひもを断ち切って、科学技術庁を育てるというような心境に、科学技術庁に職を奉ずる者がなってもらいたい、こう私は希望しておるわけであります。現実はなかなかそこまでいきませんが、しかし、でき得べくんば、そういう自分が派遣された本省のひもつきでない、科学技術を育てようという精神で働いてもらいたいというのが、長官としての私の願いでございます。
#17
○石川委員 関連でございますから、今のお話を聞いて一応了解いたしますけれども、しかし、科学技術の総合機関というか、総合的な行政というものが政府でできるかできないかというようなことは、歴代の総理大臣がいかにりっぱなことをやるよりも、さらに大事なことだというふうに私は考えております。これはなまはんかな決意ではなかなかできませんが、三木さんが幸い長官になられたこの機会に、ぜがひでも一つ実現していただきたいということを強く要望したいと思います。
 所遇の問題とか研究費の問題については、あとでまたお話しをする機会もあろうかと思いますからこの程度にいたしますが、あと一つ申し上げておきたいことは、たとえば、これは一つの例ですが、誹謗するような例になって大へん恐縮でありますけれども、東大の中に美甘内科とか田坂内科とか沖中内科というものがありますけれども、この三つは、同じ大学の中でもほかの研究の実績というものをほとんど認めようとしないというような、学者気質といいますか、そういうものが非常に強く流れておる。このセクトがなくならなければいかぬということを痛感するわけです。日本の国の研究機関というものがばらばらになっておると同じように、同じ学者の中でのセクトというものがまた非常に強い、これは一朝一夕に行政でどうするというわけにいきませんけれども、その一つの研究室で認められたものが国内で認められないで、国際会議で認めてもらって、それがはね返ってきて初めて日本で評価されるというような例がままあるわけです。こういうようなことでは、たとえばソビエトやアメリカでもってあれだけの原子力、あれだけの宇宙研究というものが発達しておりますが、それに追いつこうとしても、こういう形では絶対に追いつけないということを考えると、日本の将来のために非常に心配になってたまらないところなんですけれども、こういう点もあわせて、行政機関のどこというわけにいきませんけれども、日本の学界のセクトをなくすということと、国家の総合的な研究機関を確立する、総合的な行政を確立するということでもいいですけれども、その二つについて、これをやらなければ、科学技術基本法というものをいかにりっぱなものを作ったって何にもならぬという感じがするものですから、これだけはぜひ強くお願いを申し上げて、関連でございますから、本日はこの程度にいたします。
#18
○西村(英)委員 次は、やはり勢い、科学技術の振興のためには、行政の体制を整えれば、研究機関が必要なことは当然であります。この研究機関をいかにするかということは、先般も長官が諮問いたしましたから、その諮問を待つことにいたしますが、一体、国立研究機関と私立の研究機関――私立は、これはまあ会社にしばらくお預けすることにいたしまして、国立研究機関を作る場合に、一体、大学に付置すべきか官庁が持つべきかということであります。これがまた、私は、従来の例にとらわれず、従来はそういうことはあまり考えずにやりましたが、近ごろの研究は、総合性というものを非常にとうとばれることは、ただいま石川さんからもお話しがありました通りですが、そういうことに関連しまして、やはり大学に付置すべきか官庁に付置すべきか。大体のわれわれの概念は、理論的なものはこれは大学、あるいは応用的なものは官庁、あるいは実用的なものは民間、これがわれわれの従来の常識でございました。けれども、人によりましては、やはり研究機関というものは大学に付置すべきだ、あまり官庁に付置すべきじゃない、こういう意見の方も多々あります。これも一考を要するところでございますので、せっかくの諮問がありまするから、この点も一つよく御調査を願いたいと思うのであります。もちろん、研究機関に多大の予算をつぎ込むというようなことは、これはあまり基本法と直接の関係はありませんが、ただいま長官からも御答弁がありましたので、私は注意を喚起しておくにとどめたいと思います。
 次に、基本法で問題になる点は、技術の国際性でございます。これはどういう形でうたいまするか。まあその文一章は別といたしましても、やはり徳川鎖国によって技術がおくれたのであるから、技術鎖国は絶対にこれはおくれるもとでございますので、やはり基本法には相当強い意味で取り上げなければならぬ、かように思っておるのでございまするが、何かお考えがありましたら、一つこの際承っておきたいと思います。
 私の質問はこれで終わります。
#19
○梶井説明員 今日の科学技術の進歩から申しまして、一国だけでどうするということは、なかなか困難でございます。従って、科学技術の国際性というものは、もちろん、世界各国においてお互いに助け合って、お互いに協力するという精神のもとに考えていかなくちゃなりません。そういう意味におきまして、わが国は、不幸にして東洋の一角に位している。従って、欧州の国とかアメリカの国とお互いに境が接していないものですから、科学技術の交流というものが比較的困難になっております。それで、科学技術の振興につきましては、特に国際間の交流というものをわれわれは強調しなくちゃならないということを、やはり原案には書いております。ただ、その交流につきましては、われわれの考えは、欧米のような先進国からわれわれが科学技術を導入するということばかりではなくて、いわゆるその他の国に対して、われわれの科学技術で教えられるものがあったらできるだけ援助し、教えていこう、つまり、どこの国とも国際的交流をやっていこうという考えのもとに、原案を作ろうという考え方であります。
#20
○前田委員長 次に、齋藤憲三君。
#21
○齋藤(憲)委員 きょうは、長官並びに科学技術会議の梶井、内海両先生おそろいでございますから、簡単に基本法に関して御質問申し上げたいと思います。もちろん、私は、基本法ほかくあらねばならないという考え方を、コンクリートして御質問を申し上げるのではありません。私も、どうしても基本法というものはなければならないと思うのでありますが、しからば、どういう基本法が適当であるかというととを自分なりに一つ勉強してみたい、そういう観点から、長官の御構想なり諸先生方の御構想を承っておきたい、こういう立場で御質問申し上げたいと思うのであります。
 過日、長官の御所信御表明の際に、私も御質問を申し上げたのでありますが、まだその速記録が私の手元に参りませんので、読み返してこれを分析、検討するひまは持たないのであります。その際に、私の記憶に残っております長官のお言葉では、基本法はなるべく次の通常国会に提案したいということを考えておるが、しかし、この基本法は事きわめて重大であるがゆえに、あえてまだ次の通常国会に提案するときめてはおらない、場合によってはもっと時間をかけて、十分に検討を加えてこの基本法の完全を期したい、かような御答弁であったように記憶いたしておるのでありますが、そういう御構想に誤りがないかどうか、念のために一つお伺いいたします。
#22
○三木国務大臣 基本法のごとき立法が必要だということは、認めておるわけでございます。しかし、こういう科学技術に関する基本法というのは――農業基本法の場合を考えても先例があった、だいぶドイツの農業基本法などというものを取り入れておるのですが、科学技術基本法というのは先例もなかなかない。これは、できるとすれば、私の知識が足らないのかもしれませんが、日本が初めてこういう基本法という法律を作るわけです。そういうことで、これを作る以上は、非常に振興法的なものだけでもいかぬ、科学技術振興に関するようなものばかりでもいけない。いろいろな基本法的な憲章、科学技術憲章のような精神を持たすべくしなければならない。そういうことを考えてみると、参考にすべき先例もなかなかない。日本のあるいは国会、あるいは科学技術会議、政府等が、協力してこれを作り上げなければならぬので、この次の通常国会にこれを出しますということは、私には言えない。言えないというのは、これはやはり、次の通常国会にはなかなかむずかしいのではないか。もう少し時間をかけて――基本法というものをしょっちゅう作るわけにいかぬのでありますから、永久の生命を持った基本法を作るためには、あまり拙速主義ではいかぬのではないか。もっとみなで衆知を集めて、できるならばりっぱなものにしたい。そのためには、時間を切ってこの通常国会に出しますなどというような、時間的な制約のもとでこの基本法をいろいろ検討することは適当でないのではないか、そういうふうに考えておりますから、通常国会という時間を切ることにはこだわっておらないのが、私の心境でございます。
#23
○齋藤(憲)委員 よくお考えがわかりました。
 なお、私の記憶するところによりますと、科学技術が国の繁栄のための基盤であるという確固たる長官所信を表明せられましたことは、これがまあ、私の記憶としては最初のようにも思えるのであります。おそらくこの委員会に席を持っております先輩、同僚諸君の気持の中にも、この科学技術が国の繁栄のための基盤であるということをかたく考えて、日本の科学技術振興のために国会において努力をするというのが、私は、この委員会のメンバーすべての考え方であると思うのでありまして、科学技術の振興策というものが日本の政治の中核に巖然たる形をもって存在することが、将来の日本の態勢を繁栄に導くことであるということは、もう長官の御所信御表明によって、私は、動かすべからざる日本の政治態勢ができたと非常に喜でおるのであります。そういう立場から、先ほど梶井先生の科学技術会議における基本法に関するお話を承りますと、科学技術というものをどの範疇に規定するかということで三回の会議が終始されたということでありますが、これは私は当然の結論であると思うのであります。なぜかと申しますと、この総理大臣の諮問にお答えになりました答申の中にも、所々に科学技術に対するところの定義が書かれております。「科学技術は、世界平和の確立と人類文化の増進に奉仕すべき英知と創造力の結晶であることを認識し、」こう書いてある。英知と創造力の結晶ということになりますと、これは人文科学も自然科学も入るのであるという考え方も、私は浮かんでくるのではないかと思うのであります。私は、不敏にいたしまして、人文科学と自然科学の分類がどうなっているか、知らないのであります。私は百科事典を買って引いたことがございますが、この分類にはいろいろな考え方があって、どれとどれとが人文科学に入り、どことどこから自然科学の範疇に入るのかということに対しましても、相当に議論が分かれておるのではないかと思うのであります。私のお願いしたい一つのことは、どういうふうにこれは分類したらいいかということを、いずれ文書でけっこうでございますから、分類表をちょうだいいたしたいと思うのでございます。それは別でございますが、世界的に見て、一体こういうような法律あるいは行政の面において、科学技術の振興という言葉を使っておる国があって、それは自然科学だけを分離して科学技術の振興というのが常例であるか、あるいはそのときには人文科学をも網羅してやるのが常例であるか、そういう点について御検討をなさったことがあるか、念のために伺っておきたい。
#24
○梶井説明員 世界各国が科学技術振興ということを言っているのは、一体どういう意味であるかということにつきまして、検討したことがあるかという御質問でありまするが、私自身は、不幸にしてまだ十分検討しておりません。しかし、私自身の常識から申しますると、現在の世界情勢から見まして、科学技術の振興と各国が言っておるのは、自然科学並びに技術と思います。それはなぜかと申しますると、人文科学や社会科学というものは、しかく急激な変革の起こるものでないのであります。非常に急速に進歩したりする性質のものじゃないのであります。しかし、自然科学や技術というものは、急激な進歩をしておるという事例は、すでに世界各国においてごらんになっておる通りであります。たとえば、軍事的な目的であるかもしれませんけれども、人工衛星であるとかあるいは、ミサイルであるとか、そういうようなものが、どんどん科学技術の研究の結果、従来と違った新しい分野を開いていっておる。そういうことに対して、ソ連にしましてもアメリカにしても、非常に力を入れてやっておる。原子力の応用につきましても、もちろん、これは戦争に使えば原子爆弾として使われるのでしょうが、また一方、平和的には原子炉に利用される。こういうことに対しては、世界各国が、みな劣らず負けずに、まっ先に自分の方が優先的にやろうということで、国費をうんと投じてやっておるわけであります。でありますから、現在の情勢からいって、科学技術振興と申しますならば、常識的には自然科学及び技術と思わざるを得ないのであります。なお、社会科学、人文科学、自然科学との間の分類ということでありまするが、これを文書ででも何でも出せとおっしゃられるけれども、非常にむずかしいのです。たとえば、心理学というもの、これは社会科学なのかあるいは医学、自然科学なのかいうことになりますると、両方にまたがってくる。でありまするから、今日におきましては、科学といいましてもその境目が非常にむずかしい。また、自然科学と技術との境目というものも連続しておる。どこから線を引いていいかということになりますると、今日は、ほとんどだれも言明ができないんじゃないかと思われる。従って、学問の問題につきましてわれわれが分類を大まかにはしますけれども、正確なところ、どこへ線を引くかということになりますると、非常にむずかしいということを御了承願いたいと思います。
#25
○齋藤(憲)委員 それでは、あまりむずかしい分類は御遠慮申し上げます。今お伺いいたしましたのは、たとえば、人文科学と自然科学を一緒にいたしますと、私の考え方からいたしましても、これは人類社会のすべての問題が包含されてしまうということになると思うのです。人文科学、社会科学、自然科学、これを全部網羅した振興、これに対するところの基本法を作りますると、何もかにも全部入ってしまう法律ということになる。そうなりますると、一体、法体系というものは確立されるかどうか、何もかにもその中に入ってしまわなければならぬそういう法律が、一体、世の中にあるかどうかということなのですが、こういう点について、何か検討を加えられたことはございましょうか。
#26
○内海説明員 先ほど冒頭に梶井議員から経過を説明いたしましたように、この科学技術基本法を、人文科学、社会科学を含めた基本法にするか、あるいは自然科学並びに技術、これにしぼってやるかということについて、非常な議論が起こっておるのでありまして、まだそれが一つに固まっていない現状でございます。私個人として考えておりますことは、今齋藤さんが言われましたように、社会科学も人文科学もすべてを含めるということになると、あまりに広範囲になって焦点がぼけるのじゃないか。今言わず語らずにみなが考えている、国民も考えていることは、科学技術といえば、自然科学系の技術をさしているのではないか。この科学技術という言葉は、今では一つの熟語になっております。科学と技術という言葉でなく科学技術、これは戦争前から日本にこういう言葉ができまして、そうして、それが今日では普通に使われてきております。その言葉の内容とするものは、やはり自然科学、技術であると信じております。ことに今度基本法を作るということは、第一号諮問に対する答申に、基本法を作るべきだ、作ることは重要な課題として検討すべきだというふうに書いております。この書いたときの気持も、自然科学系の科学技術というふうな気持が、暗々裏にあったと私は思っておるのであります。その答申の追加答申として、今度基本法を制定することを答申したらいいじゃないかというので始めているのが、今日の総合部会であり、基本法分科会だ、こういうふうに私自身は考えておるのでありますけれども、先ほど来梶井議員が言われましたように、全部を包含した基本法を作るか、あるいは自然科学技術にしぼって基本法を作るかということは、まだ分科会においてもはっきり決定している段階でないのでございます。私思いますのに、たとえば、この間農業基本法ができましたが、今のような議論でいきますと、農業基本法だけ作るべきじゃなくて、農業は産業の一つだ、それならば産業基本法を作るべきだという議論もあったかどうか知りませんが、そういうことになるのじゃないか、こういうような感がいたしまして、農業基本法けっこうだ、あるいは自然科学技術に限った基本法もけっこうだ、私個人としては今まだこういう気持でおります。けれども、まだこれからいろいろ慎重に審議いたしまして、どういう範囲にするかということは、これからきめたいと思っておる次第でございます。
#27
○齋藤(憲)委員 その科学技術基本法を決定する前提として、今まで御質問申し上げた問題が解決しないと、これは一歩も前進しないということになるわけであります。
 そこで、私学術会議会長にお伺いいたしたいと思うのでございますが、かつて、われわれが科学技術庁を作らんといたしまして努力をいたして科学技術庁設置法の議題が出ましたときに、これはカッコがございまして、現在のように人文科学、大学に関する問題というようなものは、これは除くということになったわけでありますが、先ほどの御説明を承りますと、今回はそれと逆に、科学技術というものの中に、今度は人文科学も包含しなければ意味がないというお説のように承ったのであります。これは自然科学だけを科学技術の基本法に盛ると、人文科学がおくれるというようなお考えからそういうことが出たのでありますか、それとも、科学技術という言葉には、将来ともに、全部人文科学をも包含して解釈をすべきであるというお考えから出たのでありますか、これはどうでありましょうか。
#28
○和達説明員 学術会議の意見というものは、勧告に要約されておりますので、勧告文の趣旨を申し上げることがお答えになるかと思うのであります。
 第一に、学術会議が、いわゆる科学技術、自然科学の画期的な振興をする必要のあることについては異論はない。しかし、基本法というものを作られるにあたっては、科学研究基本法ということが重要である。その科学研究基本法というものにつきましては、人文も社会も密接不可分であるという観点に立っておる勧告であります。
 なお、学術会議が、科学技術庁設立当時に、人文のみに関するものはそこから除くというお話、科学の振興にあたって密接不可分のものが出てきた場合に、だからといって、科学振興がそれを除外することは不適当であると私も考える次第であります。
#29
○齋藤(憲)委員 ちょっと私は頭が悪いからわからないのですが、人文科学と自然科学は密接不可分のものであるから、科学技術緊急促進法というものを最初に作って、人文科学と自然科学を一緒にしてその振興、研究をはかるべきであるという一つの考え方、それから、自然科学及び技術の振興に対しては、これは心から希望するのにやぶさかではない。結論は、一体どういう法体系を作らんとしてその勧告文をお出しになったのか。基本法に対しては、一体どういうお考えを持ってその勧告文をお出しになったのか。
#30
○和達説明員 学術会議の多数の気持は、科学の振興は科学研究というものが基本である、ですから、まず、科学研究ということを振興することが第一である、ですから、もし科学技術の基本法のようなものを作られる場合には、少なくとも以上の精神に基づいて行なうべしというのでありまして、もちろん、学術会議にはたくさんの会員がありまして一つの意見ではございませんので、その間に各人によっていろいろ議論はあると思いますが、まとまりましたのは、この文章しかございません。
#31
○齋藤(憲)委員 私の考え方は間違っておるかどうかわかりませんが、一つの法律ができますと、これは行政庁に移って、実際の行政事務として施行されるわけです。科学技術の振興という立場から法律を見ますと、単なる研究だけをやって科学技術の振興が行なわれるという結論には、私はならないと思う。研究も大切でありますけれども、これを実際人類社会に及ぼしてこそ、初めて科学技術の振興というものは平和に貢献し、経済に貢献し、文化に貢献するという形になると思うのであります。でありますから、私は、学術会議の勧告というものは、多数の会員がいろいろな議論を吐かれ、その最大公約数をまとめたのが勧告文だと今承ったのでありますけれども、いやしくも、学術会議から勧告文として出てくる基本法に対するところの考え方というものは、やはり法律、行政、それからそれが実際の人類社会に及ぼすところの影響というものを御勘案下さいまして、単に、研究が基本であるから人文科学と自然科学を一緒にした研究推進の法律を先に作るんだというようなことでなく、今われわれの考えておりますのは、日本の政治の中核に科学技術振興というものを入れる、そのために、基本的な科学技術の振興に対してはどうあらねばならぬかという、根本の方針をきめようという考え方に立っているわけでありますから、そういう立場で学術会議をもう一ぺん開いていただきまして、よく会長から事態を御説明願って、今までの御勧告文に誤りがないとは思いますけれども、そういう立場で国会では今基本法というものに取り組んでいるのだということをもう一ぺんうまくお話し願って、もっと法律、行政、一般の生活というものを土台とした法体系の基本になるべきところの基本法という立場で、一つお考えを願うわけには参らぬものでございましょうか、お伺いをいたしておきます。
#32
○和達説明員 先生の御趣旨よくわかりました。
#33
○齋藤(憲)委員 私は質問はやめますが、先ほど長官からは、なるべく慎重に時間をかけて徹底した基本法を作る、梶井、内海両先生からは、何回会議を開いても、科学技術の基本法にどこの範疇まで入れるかということがまだ決定しておらぬ、また、学術会議の御勧告も承ったのでありますが、どうか一つ、委員長にもお願いしたいのでありますが、われわれも、長官の御趣旨にございます通りに、科学技術の振興が国家の繁栄の基盤であるという体系を、日本の政治に内強く打ち立てていきたいという念願でこの委員会に出席いたしておるのでございますから、なるべく作業をする場合に、基本法のあり方というものが、いつでも、先ほどのお話のように自然科学だけにするのか、人文科学も入れるのかということで、もやもやしておったのでは、三年たっても四年たっても基本法というものは出てこない、だから、何らかの形で科学技術というものに定義を与えて、その定義を土台としての基本法を作るという体制に、一つ早く持っていけるように御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#34
○前田委員長 次に、山口鶴男君。
#35
○山口(鶴)委員 科学技術基本法の考え方につきまして、科学技術会議の梶井先生からいろいろお話があり、また、和達先生の方からは、学術会議の勧告に沿いまして、学術会議の考え方をいろいろと表明いただいたわけでございますが、先ほど齋藤委員も御指摘されましたように、私ども拝聴いたしておりまして、科学技術会議の梶井先生のいろいろ論議をしておられます考え方と申しますか、そういうものと、和達先生が学術会議を代表されまして、勧告にのっとって表明されました御意見というものが、若干食い違っておると申しますか、ニュアンスが違っておると申しますか、そういう点を感じた次第でございます。
 そこで、お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、私考えますのに、確かに科学技術の進歩という、特に自然科学及び技術に限定して考えましても、科学技術が著しく進歩を遂げました、たとえば西欧におけるルネッサンスの時代を考えましても、当時の宗教なりあるいは封建制に災いをされておりました中世から、ルネッサンスというものが花を開いて、いわゆる個人の尊巖であるとか自由であるとか平等であるとか、そういった、いわゆる人文科学的な、社会科学的な理念、こういうものがこの人たちの心の中に芽ばえ始めて、それが発達していった、そういう中から、やはりこの自然科学というか、技術というか、そういうものも発展していったという歴史的な経過を私ども考えてみますと、確かに人文科学、社会科学の進歩というものが、やはり自然科学の進歩にも大きく作用をしているのだ、お互いがからみ合って進歩を遂げているのだという点は、十分わかるような気がいたします。また、戦争中の日本を考えてみましても、やはり言論、思想の自由というものがなかった。そういう中に、日本の科学の独創的な発展というものも妨げられておったのではないか、こういう点についても私ども考えるわけでございまして、和達先生の表明されました御意見というものも、十分わかるような気がいたします。そこで、和達先生のお話を聞きますと、やはり基本的な理念というものは高くうたい上げて、そうして全般的な科学が進歩をしていく、そういう考え方というものは、非常にわかるような気がいたします。しかし、そういう中でも、現在そういう理念の中で、しかも、当面する日本の状態を考えました場合に、特におくれておる、いわゆる自然科学と技術の分野、こういうものを具体的な振興策としては大きく取り上げていく、こういう考え方は、和達先生の考え方と反するのではないかと私は思うのでありますが、そういう点のお考え方についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 それから、同じく梶井先生にもお尋ねいたしたいと思うのでありますが、いろいろ三回にわたりまして科学技術会議で論議をされておりまする点も、やはり、ただいま私が申し上げたような点にからんでの議論ではないかと推察いたすのでありますが、梶井先生のお話でも、憲章的なものをうたい上げ、そうして、それにさらに振興策的なものを付加していく、こういうお考え方のようであります。そうしますと、憲章的なものをうたい上げる場合におきましては、結局、人文科学、社会科学というものについての進歩も重要である、こういうような点を、やや触れて答申をお考えになっておられる、あるいは論議を、今のところそういった点についても触れてなされておられる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
#36
○和達説明員 先ほど申し上げたのと同じようになるかとも思いますけれども、科学の研究が何よりも大切である、これを振興することが大切であって、科学技術の振興は、その精神に基づいて行なうということを申し上げたのであります。
#37
○梶井説明員 先ほどお答え申し上げました通りに、論議といたしましては、人文、社会科学も含んでということを盛んに言われました。しかし、これが人文、社会科学全体を含んでということになりますと、広範になるために非常にむずかしくなる。人文、社会科学の研究も重要であるということは、われわれも承知しております。でありまするから、憲章的なものを作る際に、前文に、人文科学、社会科学の研究も必要である、しかし、現在の情勢から言えば、自然科学技術の推進を大いにしなくちゃならないということを書いて、そうして、あと憲章的なものを作りたい、こういう考えでおります。
#38
○山口(鶴)委員 両先生方の基本的な考え方については了解をいたします。
 そこで、梶井先生にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、この憲章的なものをうたい上げまする場合は、何と申しましても、科学技術を振興していきまする基本的な理念と申しますか、そういうものを考えていく必要があろうと思います。和達先生のお話しをせられました学術会議の勧告、その基本的な理念としまして八項目をあげておられましたが、科学技術会議におきましていろいろ御議論をされておる中でも、特に私は、和達先生が申されましたような公開の原則でありまするとか、研究者の自由を守っていく問題でありまするとか、あるいは研究者の待遇の問題でありますとか、あるいは国際交流の問題でありますとか、そういうものがきわめて重要な問題ではないかと思います。そこで、特に原子力基本法もそうでありまするが、日本の現在の状態におきましては、やはり科学技術を平和に役立たせるということ、かつて、長官らの所信をお伺いいしたしました際に、長官もその点を非常に強調されておりました。私ども非常にうれしく思ったわけでございまするが、そういう意味で、ややもすると、科学というものが軍事科学と結びついて発展してきたという歴史は、否定することはできません。しかし、私どもとしては、あくまでも平和のためにこれを役立たせていくという基本的な理念というものは、堅持をすべきではないかと思います。また、国際交流の問題にいたしましても、一方の体制の国々との国際交流を活発にするということではなくて、やはり体制の違うあらゆる国々との国際的な交流、こういう問題も、どうしても落とすことはできない重要な問題でありましょうし、また、特にお伺いをいたしたいのは、現在の科学技術が、ややもしますと――民間の科学技術というものは、特定の企業の利益のためにこれを使っていくという建前であろうと思うのです。そうなりますと、大きな企業におきましては非常な資本力を使って科学研究を大いに進めていく。そうすると、その企業はますます大きくなるだろうと思います。ところが、一般の中小企業等におきましては、みずからの力でもって研究開発をするということは至難であります。そうなって参れば、現在の日本の経済の中で特に問題になっておりまする経済の二重構造、こういうような問題が、さらに現在の科学研究の仕組みが続く限り、格差が縮まるどころか、さらに拡大していくというととは否定できない事実であろうと思います。そういたしますると、特に科学技術というものが特定の独占資本、こういったものに奉仕するといったことではなくて、全国民に対して恩恵を与えていくという形の考え方というものを、特にこの際うたい出す必要があるかと思うのでありますが、こういう点については、現在のところどのような御見解でございまするか。特に最後の問題についてお聞かせいただきたいと思います。
#39
○梶井説明員 今お尋ねのございました科学技術の基本的な理念、つまり平和あるいは国民の福祉ということを目的としてやるのであるということは、当然、憲章的な場合においても基本法の中に入れます。また、その他研究の自由であるとか、あるいは研究者の待遇であるとかいうような問題につきましては、自由の方は憲章的なところに入りますけれども、待遇その他のことになりますると、これは振興法の方にでも入れなくちゃならぬ、こう思っております。
 また、特に強調されました中小企業の問題につきましては、第一の諮問のときにも、その問題は特に検討をいたしました。これは格差が大企業と中小企業とだんだんついてくる、ことに研究において格差のつく原因を多く作るのじゃないかという御質問は、ごもっともであります。従って、中小企業あるいはもっと広めて言えば農業のような個人企業、そういうものに対しては、国が共同研究のような一つの組織を作って、そして、中小企業の発達を助けるようにしなくちゃならないということをわれわれは考えておるわけであります。
#40
○山口(鶴)委員 さらに、振興策について一、二お伺いをいたしたいと思うのでありますが、最近、文部省等の傾向を拝見いたしますと、科学技術者が非常に不足をいたしておるということが問題になっておるようであります。その解消策といたしまして、たとえば工業教員養成のための特別の法律を作りまするとか、あるいは工業高等専門学校を作るとかいうような形で、いわゆるインスタント、速成的な施策をもって科学技術者の不足に備えようといたしておるようでございます。科学技術会議あるいは学術会議においても同様であろうと思いますが、高い立場から日本全体の科学技術を振興していく、国民の科学技術に対する教育も振興していこう、こういうときに、現在政府がとっておられますこのような場当たり的な、インスタント的な養成方法、長期的な見通しの上に立たない場当たり的な方策というものについては、やはりいろいろお考え方があろうと思いますし、また、科学技術庁長官といたしましても、はたしてそういう施策でいいかどうかという点については、いろいろと御懸念があるのではないかと思うのでありますが、この点、高い理念、理想をうたい上げる基本法を今や作らんとしておる事態におきまして、科学技術会議及び長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思う。
#41
○梶井説明員 今日、自然科学並びに技術者の不足ということは、現実において日本において起こっております。そしてまた、このことは、あえて日本ばかりじゃなくて、よその国においても同様に、アメリカのごときは特にそれを感じておるようでございます。ところが、人材の養成ということになりますと、これは一朝一夕にできないのであります。相当の年数がかかる。第一には、学校へ入って、たとえば大学にしましても、大学に入って出るまでに四年かかる。そうして、その上に、出てきた人が直ちに実際に役に立つかというと、そうはいかない。やはりある程度のトレーニングを経てその人たちが一人前になっていく、その一人前になるのには、少なくとも十年くらいの時日を必要とするということでありますから、科学技術の振興をするのに対する人材の養成というものは、よほど早くから考えていなければならぬ問題だと私は思います。しかし、最近のように急激に進歩して参るものでありますから、そういう順序が、過去において十分にとれておらなかったといううらみはあります。でありますから、やむを得ず、ここにおいて工業専門学校を作るとか、いろいろな措置をやっておられます。特に一番困っておられるのは、その学生の養成じゃなくて、学生を教える先生の問題が、文部省で一番困っておられます。われわれも、不足の人員が、十年後には大学卒業生において約十七万人、それから中級の技術者において四十四万人、こういうことを申しておるのでありますが、これを養成するところの先生がなくて、ただ学生の量だけを多くしたならば、質が下がるだけである。だから、どうしても先生を養成しなければならぬ。先生を養成してから学生を募集していくということになりますと、ますます年数がかかるのであります。これはちょっと参考に申し上げますけれども、ソ連が、科学技術振興のために教育法を制定しましたのが一九二九年であります。今から約三十年前であります。そうして国費において科学技術者をどんどん養成して参ったのでありますから、今日において、その時分に子供であった人が、相当な人材として活躍しているのであります。ですから、日本も、でき得べくんば三十年前から、そういう考えのもとに教育制度まで改革されておれば非常によかったと思うのですけれども、今日においてやむを得ずそういうふうな状態になっておりますから、これは速成云々という非難もありますけれども、やらないよりは、確かにやらざるを得ないのじゃないか、だから、やっていくという感じで私どもおります。
#42
○山口(鶴)委員 長官のお考え方は、またあとでお聞きすることがありますから……。
 時間もあれですから、ちょうどたまたま和達長官が来ておられますので、これから振興策としての、日本の現状におきまして特に重要な防災関係の問題につきまして、一、二お尋ねをいたしたいと思います。
 伊勢湾台風、それからまた、最近の第二室戸台風、幸い今回の台風二十四号は大した被害もなくて済んだようでございますが、毎年々々非常な台風災害でありますとか、また、現在の膨大な設備投資が、特定な地域に限定をされて行なわれております結果、地盤沈下とか、いろいろな形で最近の災害が頻発いたしておることは非常に残念に思うのでありますが、問題は、何と申しましても、災害の防止のための具体的な施策、そしてまた、災害に対するところの国民のいろいろな啓蒙といいますか、こういうものがどうしても必要ではないかと思うのであります。ところが、政府の施策を見ますと、最近災害基本法が提案をせられましたが、あれは、いわば災害が起きた場合にどういう機構を作って対処するかということにだけ限定をされておりますようで、非常に私ども残念に思っておるのであります。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、現在の気象庁の持っておられる気象観測のいろいろな設備、こういうものでは、現在の災害に対処するための施策としてはきわめて不備ではないかというふうに私は思います。そしてまた、災害に対する基本的な防災科学といいますか、こういうものを徹底的に進めていく、こういう態勢からいきましても、現在の気象庁の人的な面、施設等の面からいきましても、非常に不備ではないかと思うのでありますが、施設に対してはどういうお考えであり、基本的な防災科学の振興という点につきましては、どのような形でこれに対処したらよろしいか、こういう点に対するお考え方があったら、まずお聞かせをいただきたいと思います。
#43
○和達説明員 気象庁の立場として申し上げます。
 まず第一に、設備の問題でございます。現在の災害に対しまして、気象庁の役割は、申し上げるまでもなく、応急処置に対する予報、警報を流す、また、恒久対策に対する諸資料の提供ということでございます。そのいずれの面にいたしましても、気象観測の設備というものは日進月歩に進歩しておるものでございます。それにおくれないように近代的の設備を整えております。いろいろのものがございますので、私ども五カ年計画をもってやっておりますから、その資料をお配りしてもいいと思います。例示いたしますれば、たとえば、電子工学というものが非常にあらゆる機会に使われることは言うまでもなく、そのために自動の雨量計、つまり人のいないところに、山地等に置く雨量計とか、あるいは海岸における高潮をやはり自動的に知らせるものとか、あるいは御承知の気象用レーダーをもって、雨の降る区域を広く知るとか、あるいは非常に高いところの気象観測とか、申し上げればまだまだございますし、また、その材料を処理いたすのにも電子計算機を使いまして、天気予報にもそれを使う、いろいろの問題がございます。こういうような設備に対しまして、先ほどからもお話がありましたように、それを扱う人が十分要ることは申し上げるまでもない。また一方、そういうようなことだけをいたしましても、これを実際の災害防止に応用する場合には、社会との関連においてこれらの結果がいかに防災の面に活用されるか、つまりよく理解され、よく伝達されて活用されるというための努力をいたさなければならぬ。なお、現在まだいろいろ御批判を受ける問題は、結局において、根本の気象学あるいは地球物理学の未発達の点からも参っておりますので、私ども、その研究という面につきましても十分努力を尽くしていきたいと思っております。
#44
○山口(鶴)委員 いろいろな点で不備であり、また、基本的、基礎的な問題としては、気象学なり地球物理学等にさらに研究開発しなければならぬ問題があるという点は了解いたしますが、ただ問題は、現在到達しており、常識になっております科学技術からいきましても、現在の気象庁の持っている施設は非常に不備ではないか、かように思います。たとえば、第二室戸台風が参りました際におきましても、大阪にありますレーダーは非常に旧式であって、雨がたくさん台風に伴って降りますと、どうしても波長が比較的長いものでなければ、透視をしてキャッチをするのにむずかしいということは常識です。ところが、大阪のレーダーは、波長が三・五であって、一〇・五以上くらいなければ雨の場合は工合が悪いというようなことが明らかであるのに、依然としてこの古くさい旧式のレーダーを使用をいたしておる。また、気象観測室等が木造であって、台風がくると吹き抜けて気象観測も満足にできない、どういう建物が平然としてそのまま設置されている。こういう点からいきまして、レーダーの数をふやすことももちろん問題でしょうが、同時に、現在のレーダーの質を改善する。さらにこれから気象学なり地球物理学などを開発していくことも重要でしょうけれども、現在の常識になっている施設、設備をいまだ設置していない、こういう点が問題ではないだろうかと思うのでありますが、こういろ点についてはどういう点に障害がありますか。多分予算だろうと思いますが、なぜ、そういうことが明らかでありながらそういった設備をそのまま放置せられてあるのか、この点をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 それからさらに、今度の台風以外の集中豪雨の災害として特徴的に言えることは、集中豪雨というのは区域が狭いわけであります。十キロとか二十キロとか、こういう小範囲の現象であります。とすると、全国にレーダーが七カ所とか八カ所しかない状態では、集中豪雨の問題について、的確に把握することがなかなか困難だということは、これまた常識であろうと思うのであります。そういたしますと、先ほどのお話にありましたような自動雨量計を各所に設置するとか、いろいろな形の中で、いまだ全く態勢が整っていない。集中豪雨に対するこまかい定点観測船をお作りになっていくというような問題、そういう点についても、当然今までの科学でもってわかり切っているものを設置しないということが、やはり問題ではないかと思うのであります。ですから、災害対策の方策といたしましては、やはり現状において明らかになっている科学技術を十分に利用していく、こういう態勢なり予算的措置なり建前というものが必要ではないかと思うのでありますが、こういう点に対するお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#45
○和達説明員 レーダーのお話でございますが、このレーダーを設置いたしました七、八年前の時代には測器の技術が十分でなく、当時は全力を尽くしていいのをつけたのでありますが、今日では確かに波長の点におきましても自的に沿わない点もあるようでございます。こういう点は、できるだけ早く新しい有力なものにかえていきたいと思います。現在、レーダーは、本年度の予算要求をもって、大体全国の観測網をこれで一応カバーできるのでございまして、先ほどのお話のように、それは大型のレーダーをもって広くカバーしておるネットでありまして、狭い範囲の気象現象を把握する場合には、それに加えて、もう少しこまかいレーダー網を作る必要がございます。この全体計画が完成いたしましたら、直ちに今度はこまかいところに入っていきたいと考えておる次第であります。これらのことは、もちろん、現在の技術でできる範囲もありましょう。一方、日進月歩で次々とよいものができておる。そういうような両方の面から見ましても、もう少しすみやかに施設をしていきたい。私どもも努力をいたしますが、一方におきまして、この問題はただ機械、施設の問題だけでなく、扱う人とこれを扱う体制の問題がございますので、この面もあわせて、これだけの施設が十分活用できるような人と体制とを整えていきたいと思っております。
#46
○山口(鶴)委員 科学技術基本法の具体的方策の中の防災科学の面を大いに進歩させていく、そのために、今後新たな研究開発、こういう点についても十分な体制をとっていただくことが必要であると思いまするが、同時に、ただいま指摘いたしましたような、現状の到達いたしました科学技術をフルに活用していく、こういう体制が必要であると考えまして意見を申し上げたわけであります。
 そこで、長官にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、結局、防災科学を進歩発達させていくということを考えました場合におきましても、気象庁は、運輸省の所管であることは間違いございません。先ほどからいろいろ西村委員さん等からも御指摘がありましたが、数ある試験研究機関のうち、科学技術庁が直接所管をいたしておるのは二つか三つくらいの程度である。そういう状態の中で、日本にとって必要な科学技術を開発していく、こういう中では、どうしても、いろいろ御指摘のございましたように、行政機構の問題に科学技術庁がやはり大きな力をふるっていかなければならないと思うのであります。そういう点で、当初長官の所信表明の中でもそれらの点に触れてお話がございまして、十分私ども了解をいたしておるのでありますが、今後ともこの行政機構の改革に手をつけていただくと同時に、現状において非常に貧弱な防災体制に対しまして、予算等の面に対しましても、科学技術庁長官として閣議においてあるいは発言をせられるとか、あるいは科学技術全体の総合調整の機関としての役割を持っておる科学技術庁長官としてこれに対処するとか、いろいろ具体的な方策があろうと思うのでありまするが、そういった御決意のほどを一つお聞かせいただきたいと思うのであります。
 それから、和達先生にいま一つお伺いしておきたいと思うのであります。五カ年計画と言われましたが、五カ年計画でおよそどのくらいの金額の予算措置をお考えになっておられますか。明年におきましては、当面どのくらいの経費が必要であって、今国民的な世論になっております防災体制に対処しようとするお考え方でありますのか、あわせて一つお聞かせいただきたいと思うのであります。
#47
○三木国務大臣 御指摘のように、災害から国民を守り、あるいは国民の生活環境を改善していくということは、これは科学技術の持っている大きな一面であると思います。しかし、そういう問題をとらえてみますと、いずれも各省に関連を持っている。そこで、あるいはそれがやがて行政機構の改革とも結びつくのかもしれませんが、これは大問題である、今すぐ目的を達成することはできない、そういうことで、今後科学技術庁の持っている調整機能というものに私は非常に力を入れて活用していきたい。従って、官制によるというのではないけれども、連絡会議のようなものをひんぱんにやり、しかも実のあるものにしていく。たとえば防災ならば防災ということを考えてみましても、これに関連する官庁は非常に多いわけでありますから、そういう点で、そういう関係する官庁の連絡会議等において、防災科学と申しますか、こういうものを今後推進していきたい、これは非常に活用したいという考えを持っております。
 また、気象庁の予算などについても、今いろいろお話がありましたように、防災という面から見れば、日本の気象行政といいますか、そういうものはますます強化していかなければなりませんので、科学技術庁それ自体の予算ではないけれども、気象庁などの予算で、設備の近代化に対してはわれわれも閣議などで援護射撃をしたい、そういうふうに考えております。
#48
○和達説明員 気象庁の今年度の予算が約五十億でございます。私どもいろいろ計画をいたしておりましたのですが、本年は五割増しが限度であります。その一方において、出しております五カ年計画につきましては、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、後刻提出いたしたいと思います。
#49
○前田委員長 関連して三木喜夫君から質問の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
#50
○三木(喜)委員 時間がありませんので、ごく簡単に二点だけお伺いいたしまして、特に長官の所信をお述べいただきたいと考えます。
 それは、科学技術振興に関しましで、現在基本法を制定しようという段階にあるわけですが、幾ら基本法が制定されましても、これが現実に振興されなければ何にもならないということは、論を待たないところだと思うのであります。この点から考えまして、私は、二点長官に、率直にお考えになつ
 ていることをお聞きいたしたいと思います。
 その一つは、科学者のいわゆる待遇問題です。今もお話が出ておりましたし、なお、科学技術会議からも答申があったわけでありまするけれども、具体性がいつも欠けておる。さきに池田長官が、文部省と合同で会議を持ちましたときにその所信を披瀝され、なおその後勧告を要請されたということを私は知っているわけであります。この科学技術者、いわゆる科学技術関係の教育者に対するところの待遇をうんとよくする、そういうことに科学技術庁長官としては配慮するということを述べられ、そうしてその後この勧告がなされたのですが、これも勧告のしっぱなしでは科学技術者の奮起を促すこともできないと思いますので、大臣がかわれば、そのことが立ち消えになるというようなことでは意味がないわけであります。この点につきまして、長官としてはどういう具体的なことをお考えになっているのか。現在進行をされておるか、あるいはお考えになっておるかということについてお聞きしておきたいと思います。
 第二点といたしましては、今の長官のお話の中にもありましたように、連絡会議をもってやりたいということでありましたけれども、私は、科学技術にいたしましてもいろいろな施策にいたしましても、各省にまたがるところの施策というものは、いつも、いわゆる官僚機構のセクト的な考え方によって阻害されておるということを、われわれ国民としては、いやというほど見せつけられておる。たとえて申しますと、水資源の開発にいたしましても、各省にわたってお互いの権力、権限争いをしておるというようなことで、一向進行しない。特にこの科学技術の振興とか、科学技術庁というものが非常に新しいところの官庁でありますので、この官庁がすべての連絡調整に当たるという場合に、異常な決意でやってもらわなければ、とてもこのセクト的な考えというものは打ち破れない。連絡会議ぐらいなことをやっておったところで、良心的に大臣並びにその会議に出る首脳者はやっておりましても、やはり下の方でセクト的なものができてきて、推進できないということになると思うのです。先般の委員会でも、中曽根委員の方から、非常に強力な要請があったので私も意を強うしたのですが、こういう点について、どのようなお考えを持っておられるか、決意を一つ聞かしていただきたい。ただ連絡会議だけでは、私はとてもやり切れないということを、断言するようで悪いですけれども、言わざるを得ないと思うのです。この二点について、一つ所信をお聞きしたいと思います。
#51
○三木国務大臣 研究公務員といいますか、そういう方面に携わっておる人たちの待遇を改善せよという声は、大きな世論になっておる。池田前長官も非常に努力をされて、その努力はある程度実を結んではおるわけです。人事院の勧告等にもこれは現われて参りまして、多少の改善にはなっている。しかし、われわれが考えておる、もう少し優遇したいという考え方にはほど遠いわけです。しかし、御承知のような今日の国家公務員の給与体系というものが、必ずしも能率給ということになっていない。そういうところに、なかなかこれは、単に科学技術庁長官だけの熱意だけでも解決できない大きな壁があるわけです。そういう点で、これは今後の日本の給与体系の本質にも触れる問題になって参りますので、ここで、このようにしますというようなことを申し上げることは、ほらになりますから、そういうことは申し上げませんが、十分ではないと考えておりますので、どうして研究公務員というものをもう少し優遇できるかということは、今後十分検討していきたい。
 第二の、連絡会議では、それはあまり大したことにはならぬだろうというようなお話でありますが、しかし、科学技術といいますか、こういうものに関連するものは各省にまたがっておる。この行政を全部科学技術庁に一手に集めていくということは、それは不可能であります。どうしても、そういうまたがっておるという現実の上に立って、それを円滑に運営しようとするならば、連絡会議のような、名前はともかくとして、各省の連絡協調にまたなければならぬのです。今度は一つ、相当な決意をもって、科学技術庁の調整機能というものを強化していきたいと私は思っておるわけです。どの程度できますか。しかし、ただ、おざなりのものでなくして、そういうことをしないと、防災一つをとったって目的は達成できないのじゃないか。迷惑するのは国民です。官庁のセクト主義のために国民が損害を受けることは、やはり行政の邪道であります。そういう点で、決意は持っておる。おざなりのものにしたくないと考えておることを申し述べて、お答えにいたします。
#52
○三木(喜)委員 ちょっと細部にわたるわけなのですが、先がたの科学方面の研究公務員の待遇の問題にしても、さきの池田長官の答弁では、大体裁判官並みの待遇をしたい、こういう具体的な話があった。それが給与体系とにらみ合わしてやらなければならないということなんですけれども、いよいよせっぱ詰まったところの考え方が、そういう考え方だったと思うのです。せめて私は、そういうことになればよいという考え方を持ったわけなんですけれども、その後また交代してしまうと、大臣がかわれば、いや全体から見なければならない、連絡協調の考え方でいかなければならないということになれば、これは困ったことだと思いますので、そういう点も一つよく連絡してお考えいただきたいと思います。
 次に、先がたのお話にもありましたように、中級技術者とか、技術者の養成の問題ですが、すでに池田内閣は、国民に対して約束いたしました所得倍増計画の路線の上に立って、そうして科学技術者というものを検討してみたときに、科学技術会議においては十七万人要るといい、文部省では七万人しか技術者が養成できない、これが三十六年から五カ年間にそういう人数であるということになれば、この所得倍増計画というものが、技術者の面から、もはや破綻を来たしておる。これは私たちも、文教委員会で、たびたび文部省の方にも、その矛盾を訂正していかなかったら、所得倍増計画だとか高度経済成長だとかいうことをいっても、その点で、はやすでに蹉跌を来たしておるということを申したわけであります。従って、こういう点についても、文部省と科学技術庁とはうんと連絡協調してやっていただかなければ、すでに、三十六年度予算においてもその計画が非常に懸念を持たれておりますし、三十七年度予算においてもこのことを十分中核に置いて考えていただかなかったら、結局画餅に終わってしまう。先がたも齋藤委員の方から、科学技術振興ということを各省の中核に置いて考えなかったら、このことは推進できないということを言っておられましたが、まことにその通りだと思う。技術者の問題についても、すでに、はやこういうように文部省と技術庁の間に食い違いがある。それをなお解決しようとする努力をしなくして、具体的なものが進められるはずがないと思うのです。文部省との連絡協調において、どういうようにお考えになっておるか。さきの中曽根委員の質問なり要請の中には、三木長官は実力者のうちにおられる方であるからして、大いに文部省を督励し、そうして引き連れるといいますか、リードしてやってもらいたいという要請があったんですが、現実私は、このことが行き当たっておって、それがのどに詰まったようで、根から解決されていないような気がするのです。その点、一つお聞きいたしておきたいと思います。
#53
○三木国務大臣 お話のように、日本の総生産を倍にしていこうというねらい、要は生産であります。その間の中核になるものは、科学技術であることは申し上げるまでもないことであります。そこで、技術者の養成ということについては、池田前長官も非常に熱心に、強力に勧告をされて、その勧告の効果も非常に上がっておると私は高く評価するものであります。それと、文部省においても明年度の予算で相当多数の高等専門学校を作る。私は、この高等専門学校などに対する強力な支持者である。でき得べくんば、急速に二、三年の間に各府県に一つずつ作るべきであるという文部省の考え方を強く支持しておるわけであります。昔の高等工業学校のような制度は、私どもはいい制度だと今までも思っているのであります。そういう意味において、こういう計画が急速に、各府県に少なくとも一つぐらいはできて――むろんそれに伴う臨時教員養成所のごときも、これは拡充していただかなければなりませんが、そういうことで、現在の計画でいきますならば、昭和四十二、三年ごろには技術者の需給は大体均衡をとるようになる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#54
○三木(喜)委員 この前のときにも中曽根委員の質問に対して、長官は高等専門学校のお話をせられておりました。これは、私はちょっと考えていただかなければならぬと思うのです。ただいまの技術者の不足というのは、大学出の技術者が、文部省の計画では七万人、それから科学技術庁、科学技術会議の設定しておる考え方では十七万。高専を出たものは、出たきりぽっきりになってしまって、中級あるいは中級以下の技術者ということになるのです。ただいまでは、いわゆる高級な技術者といいますか、そうしたものが足らないといっておるのです。それを今の御答弁では、高専を作って、それで四十二年には全部全うする、完璧になるというようなお考えでおってもらったら、まことに科学技術委員会における答弁としては非科学的な考え方だと私は思う。こういう考え方で進めていただいたら問題があると思うのです。
#55
○三木国務大臣 それは単に高専ばかりでなく、短大その他いろいろな面から技術者を養成しなければなりませんが、政府が来年度から全国に十数カ所一ぺんに作るわけですから、そういうことで、政府の施策としては大きな施策となっているので、特にアクセントをつけて私は申し上げたのであります。むろん高専ばかりではありません。私は、高専というものは、国が求めておるのはもっと高級なものだといいますけれども、しかし、高専程度の学力をつけた技術者、これはやはり高級技術者になり得るのですから、何も長い間学校に行ったものが高級というわけではない。高専程度の技術者というのは、今の日本として非常に必要な技術者であると考えております。これは、あなたのように、高専を十何カ所も一ぺんに作るという政府の施策を、私は過小評価していないのです。
#56
○三木(喜)委員 一問一答で失礼なんですけれども、私の申し上げておるのは、この高専の内容について文教委員会でも相当ついたわけなんです。ただいま非常にこれに対して過大評価されておるようでありますけれども、自然科学とか、あるいはそういう方面の教養は非常に身につけているのですが、芸術だとか技術だとか、こうした一般的な人間的な教養を非常に端折った、先ほど山口委員からも話がありましたように、インスタントな技術者の養成だと思う。これで高級な技術者がこの中から出ていくのだということになりますと、やはり人間的な教養というものを基礎にふまえたところの科学技術者でなければいかぬと思う。それを先がたからもずっと言われておると思うのです。自然科学とか、あるいは人文科学だとかをやかましく言われた論議の中心はここにあったと思う。にもかかわらず、私は、今後なお検討せねばならぬと思うのですけれども、それは高級技術者になるものがもちろんその中から出るでしょう。出るでしょうけれども、問題があるまま進めていくということは、山口委員からの御質問にもありましたように、大企業に奉仕するというような形、あるいは軍事的な科学に奉仕するような形に次にはゆがめられる。これはお互いの政治的な立場とか意見の相違がありますからして、この点、科学技術庁長官としては十分御検討をいただきたいと思います。ただ政治上の情勢によって押し詰められて踏みつぶされてしまうということになりますと、先がたから言われておりました、政治の中核に科学技術というものを置けという考え方が、もうひん曲がってしまうと思いますから、その点十分お考えいただきたいと思います。要望しておきます。
#57
○前田委員長 次に、松本一郎君。
#58
○松本(一)委員 大へん時間がおくれまして御迷惑で恐縮でございますが、幸い長官も先生方もおそろいの機会でありますので、科学技術基本法の問題について、一、二お伺いしたいと思います。
 いわゆる人文、社会科学も考え合わせるというようなことで学術会議でも御意見がまとまらないようでありまして、非常に私どもは残念と思っております。要しますのに、科学技術と申しますと、もとより自然科学をさしておるのである。人文とか社会等の科学は、これはいわゆる精神科学の問題である。ですから、分類を明らかに自然科学、精神科学に分けて、私は、精神科学は、役所では文部省、国会では文教委員会で主として取り扱うということに願って、自然科学の方の科学技術をいかにして振興するかということで基本法が必要である、こういうことなんです。ですから、そう議論しておったのでは果てしがないので、もう大がいで議論はお打ち切り願って、基本法を制定することにお心がまえを一つお願いしたい。
 第二は、車の両輪ですから、どちらにしても、幾ら科学技術を振興しようと思っても、人文、社会の方の精神科学が伴わないでは、一方の車の輪は大きくなり、一方は小さくなるということで、かえって人類社会は不幸なんです。今日世界がこれを証明しております。かつて、わが日本もこれを証明した。こういうことから見て、私は、いTわゆる科学技術を一つしっかり振興する反面、一面、精神科学をこれに並行しなければならない、こういうことを常に考えております。特に問題は、この科学技術の振興には基本法を制定して、その内容を、具体的に何をさすかということになって参りますと、いろいろありましょうが、まず、私は長官にお願いしたい、また、御意見を伺いたいと思いますことは、かつて正力氏あるいは中曽根氏、また、先般は池田氏、今また実力者の先生、こう代々科学技術庁が優秀な長官を迎えるということは非常に意義深いものだと私は思い、大へん喜ばしく思います。ついては、もうここらでぼつぼつと科学技術庁に終止符を打って、科学技術省に昇格さす、いわゆる一つの行政機構を打ち立てる、そうして、特許庁とか、あるいは気象庁とかはもとより傘下に入れ、また一面、各省の研究所、試験所等も傘下に入れ、また、大学の研究所、試験所とは緊密な連絡をつけ、また、府県の試験所、研究所は指導する、あるいは時には監督するというような体制を整える、このこと自体が、私は、国民に科学技術の振興はいかに重大かということを認識させる、こう思っております。ですから、三十七年度か八年度かという、いろいろ御意見もございますが、長官としては慎重なお言葉と思いますけれども、できれば、長官御在任中にぜひやるぞというお気組みを私はお示しいただきたい。これができなければ、おれはやめた、君勝手にやりたまえ、こう言っていただけば、実力者ですから大がい話はつくんじゃないか、こう私は思います。
 それと第三は、いわゆる技術者の待遇改善です。これは前々から言い古されておりますけれども、長官の先ほどの、給与体系というものがある、能率給にはいかないということはごもっともです。先般ソビエトのガガーリンあるいはチトフ、宇宙旅行に成功した一中尉が、たちまち少佐に昇格したということなどはいい例だと思います。日本は、役人は優秀な能力があるものをたちまち抜擢するというわけにはいかぬ。民間の会社のよさは、そこにあるわけです。重役にするなり、あるいはいい成績があれば俸給を倍にするというようなことでやるのですが、独占資本に奉仕する、そういうような、いわゆる紋切り型ではない。要しまするに、いわゆる官庁の欠点というか、時と場合によってはこれが弊害になる。ですから、ここは給与体系をどう扱うかということは、超党派的に科学技術振興という立場からお考えを願うということで、私は、できれば能率給ということ等も考えております。
 それからいま一つは、和達先生にお伺いしたい。まあ防災科学でありますが、もうぼつぼつ台風、集中豪雨も科学的に処理することを考えてもらったらどうか。できた被害対策だけを毎々特別委員会などを作って、莫大な金を使って、犠牲を出して跡始末、これでは科学ではありません。これはアメリカも考えておるようです。何かアメリカも、台風でもくれば、まさに実験しようという準備を整えたということを聞いておりますが、先生、お聞きになっておったら一つお話しをいただきたい、あるいはこれは間違っておるかもしれませんが、もうぼつぼつと、日本も頭脳においてはアメリカにもロシヤにも西ヨーロッパにも負けぬほど優秀な民族なんです。問題は研究費、それと科学技術者のいわゆる熱意、古めかしい言葉ですが、いわゆる愛国心、責任感というようなもの、それがために、時に十億あるいは五十億、百億も研究費が要っても、この台風の始末は、世界一の台風国の日本で発明された、発見されたというような、すばらしいことをぼつぼつ考えてもらいたい。私も政務次官当時、集中豪雨のとき、自民党の災害対策特別委員会に出席をしましていろいろ相談にあずかったのですが、その当時、科学技術庁においては、根本的な災害防止対策、あるいは台風を弱める対策を研究したいと思っておる、ですから、もうそう遠からず御心配にならなくてもいい、ただ、それには莫大な予算を必要とする、研究費を必要としますから、どうぞこの点等においてはお考え願いたいということを申し上げたのです。しかし、これは決して私の夢ではありません。ぜひとも和達先生あたりは、そういう方向に優秀な学者、職員を御指導願えぬか、こう私は思います。また、そのめどがついたら、長官は予算の要求を一つお願いしますということになる、こう思います。これらについて、長官なり和達先生、またほかの先生方の御意見をお伺いしたい。
#59
○三木国務大臣 前段のお尋ねでありますが、私の科学技術庁長官としての在任の期間は不確定な要素でございます。そういうことで、在任中にどうこうというわけには参りませんが、科学技術庁の機構を整備して、これは省にすべきものであるという見解でございます。
 それから、後段の、給与体系の問題について、超党派的にこの問題を研究してやろうという御親切なお言葉。給与体系というものは、日本の非常に厚い壁であります。これが行政の能率の上においてもいろいろ問題がある。政府の方においても検討いたしますが、超党派的に委員各位においても御検討願って、行政の能率を高められるような給与体系に改善ができれば、非常にしあわせだと思う次第でございます。
#60
○和達説明員 災害防止につきまして、特にその研究方面に御激励をいただいたことを心から感謝しております。実際において、気象の人工調節ということはだんだん行なわれております。台風におきましても、また学者は考えておりますし、ぼつぼつ手をつけておりますが、現在の段階では、人工降雨と非常に似たようなやり方で、部分的に雨の降り方を変えて、台風が全体としてどういう影響を及ぼすかというようなことを実際台風によっても行ない、私の記憶するところでは、三度やって、一度は少し影響を与えたというような報告であったと思っておりますが、そのように、こういう大きなむずかしい問題を直ちにどうこうというのでなく、じみちに基礎から積み上げて、だんだんとやっていくということは確かに大切で、わが国のごとき台風に最も悩まされている国においてこれを何とか行なうということは、私どもも先生のお話と全く同じ考えを持って、今後も努力いたしたいと思います。
#61
○齋藤(憲)委員 この間、新聞に何か行政管理庁の案として、各省庁に付置しているところの研究機関を一ところに集める、科学技術庁は金属材料技術研究所、航空技術研究所、通産省はと、ずっと並んでいる。ああいう行政管理庁案というものが出てくるときに、科学技術庁長官とか、あるいは科学技術会議に諮問するとか、何か連絡があるんですか、勝手に行政管理庁長官の考えでおやりになるんですか。
#62
○三木国務大臣 これは次官会議あるいは閣議におきましても話はあるわけでありますが、あれは非常な素案でして、都市の膨張というものを少し緩和しなければならぬ、そのためには官庁を移転したらどうか、そういう場合には、こういうものが一つ検討の対象になるのではないかという行政管理庁の案でして、何かああいうことを閣議に諮ったからといって、これが直ちに実行に移せるという案ではないのです。行政管理庁はこういうふうに考えているということで、非常に軽い意味の原案であります。
#63
○西村(関)委員 関連して。この前の委員会で私は、放射能の研究を科学技術庁としてはもっと真剣に取り組んでもらいたい、特に、これは日本の技術人を動員して研究するだけでなく、国連等の機関に訴えて、アメリカの科学者もソビエトの科学者も、世界の科学者が総力をあげて放射能の実態を、そしてまた、どうしてこの被害をなくするかという総合的な研究機関を作ってもらいたいということを要望したわけでございますが、昨日の新聞を見ると、国連において日本とカナダが共同してこの問題についての提案をしておる。これは外務省、国連大使の独自な考えでやったのか、日本政府としてそういう指令を与えたのか、もちろん、その指令があったと思うのですが、この点に対して、私の質問のときには三木長官は何もお触れにならなかったのですが、その点のいきさつについてお伺いいたしたいと思います。
#64
○三木国務大臣 私は詳細ないきさつは承知しておりませんが、しかし、原爆の実験停止、これをきっかけとして、軍備縮小ということは日本の世界政策の大きな柱であります。あらゆる機会をとらえて原爆というものの実験を停止し、将来は製造禁止、保有禁止までいかなければいかぬわけであります。そのためには、どうしても放射能による被害というものが非常に説得力の中心になる。そういう政府の外交政策の一連のものとして、あの政治委員会の機会をとらえたものであります。日本においても総理府に放射線審議会がございますが、私は、この審議会にもう少し活を入れたいと思っておるのです。それは、今その機能が十分でないとは申しませんけれども、この審議会に活を入れる必要はある。それと同時に、行政面においても、放射線の被害から国民を守るということについては、もっと連絡を緊密にしなければいかぬ。放射能に対する問題については、今までやってきておることに対して、もう少し活を入れていきたいというのが私の考えでございます。
#65
○前田委員長 本日はこの程度とし、次会は、来たる十三日午後一時から原子力行政一般に関する問題について調査を進めます。
 これにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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