くにさくロゴ
1960/03/30 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 予算委員会第四分科会 第4号
姉妹サイト
 
1960/03/30 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 予算委員会第四分科会 第4号

#1
第038回国会 予算委員会第四分科会 第4号
昭和三十六年三月三十日(木曜日)
   午前十時四十一分開会
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   主査      東   隆君
   副主査     横山 フク君
   委員
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           山本  杉君
           米田 正文君
           占部 秀男君
           小柳  勇君
           藤田藤太郎君
           杉山 昌作君
 国務大臣
     労働大臣  石田 博英君
 政府委員
    労働政務次官 柴田  栄君
   労働大臣官房長 三治 重信君
     労働大臣官
     房会計課長 和田 勝美君
   労働省労政局長 冨樫 総一君
     労働省労働
     基準局長  大島  靖君
     労働省職業
     安定局長  堀  秀夫君
  説明員
   労働省労働基準
   局労災補償部長 村上 茂利君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十六年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十六年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十六年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○主査(東隆君) これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。
 まず、本件について政府より説明を願います。
#3
○国務大臣(石田博英君) 今回提案されました昭和三十六年度一般会計及び特別会計の予算案中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず第一に、一般会計におきましては、歳入において総額四億二千二百七十三万八千円でありまして、前年度の二億七千八百八十二万一千円に比較いたしますと一億四千三百九十一万七千円の増加となっております。
 一方、歳出におきましては、総額四百七十九億五千四百八万三千円でありまして、前年度の四百二十七億一千七百三十万五千円に比較いたしますと、五十二億三千六百七十七万八千円の増加となっております。
 次に、この歳出の内容につきまして概略御説明申し上げたいと存じます。
 その一つは、発展的雇用対策の推進に必要な経費であります。経済の高度成長を完遂するために、量、質両面にわたる労働力を確保し、あわせて産業構造の変化等に伴う雇用移動に対する適切かつ積極的な施策を講ずることとし、まず第一に、地域間、産業間における労働力の流動性を高めるべく、広域職業紹介体制を強化、充実するとともに、移動労働者用住宅の確保、移転費の支給等の援護対策を推進することとし、第二に、経済の高度成長に対応する技能労働力の育成並びに離職者、転職者の就職機会の増大を確保するために、技能訓練、職業訓練を拡充強化するとともに、国家技能検定制度を整備して技能水準の向上をはかり、あわせてこれら施策を職業安短機関と協力して、きめこまかく親切に、しかも積極的に実施する機関として雇用促進事業団を設立することとし、これらの施策に必要な経費といたしまして十五億二千九百九十一万九千円を計上いたしております。このほか失業保険特別会計に三十二億四百七十八万一千円を計上いたしておるのであります。なお、雇用促進事業団は、炭鉱離職君援護会及び労働福祉事業団の職業訓練部門を統合して、炭鉱離職者援護及び技能訓練、転職訓練を承継実施するとともに、新たに移動する労働者のために住宅の建設貸与、移動援助、職業訓練協力等の業務を行なうこととし、これに関する法律案は、すでに今田会に提出いたしたところであります。
 その二は、失業対策に必要な経費であります。最近における雇用失業情勢は、ここ数年にわたる経済の活況に伴い、全体として著しく改善されてきておりますが、なお、完全失業者、不完全就業者が多数存在しておりますし、さらに、ここ数年間にわたる多量の新規労働力及び炭鉱離職者等産業構造の変化に伴う多数の離職者の発生など、雇用失業情勢に依然として楽観し得ない面があります。かかる情勢に対応いたしまして、国民所得倍増を目標とする長期経済計画に見合って、完全雇用を達成すべく 雇用対策の推進に努めておるのでありますが、なお、過度的な現象に対処するため失業対策事業を実施して、失業者の生活安定と、労働意識の維持向上をはかるとともに、失業保険制度を改善することとしております。
 明年度の失業対策事業といたしましては、経済の好況による日雇い労働者の民間需要の増加等から見まして、事業の規模は、本年度よりやや下回る程度にしておりますが、就労者の生活安定と事業能率の向上を期するため、一般及び特別失業対策事業並びに炭鉱離職者緊急就労対策事業の事業費単価、特に労力費の大幅な引き上げを行ない、あわせて日雇い労働者の滞留化の傾向にかんがみ、その一般雇用への復帰促進をはかるため、新たに日雇い労働者転職促進訓練を実施いたすなど、失業対策事業の整備改善をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして二百六十六億五千五百十五万円を計上いたしております。このほか、建設省所管に臨時就労対策事業費八十三億円を計上いたしておるのであります。また、失業保険費負担金及び政府職員等失業者退職手当に必要な経費といたしまして百七億一千七十七万円を計上いたしております。なお、日雇い労働者の賃金の引き上げに合わせて、日雇い労働者失業保険給付の改訂等を行なうこととし、これらに関する失業保険法の改正法律案は、すでに今国会に提出いたしたところであります。
 その三は、中小零細企業の労働対策に必要な経費であります。わが国の中小零細企業の多くは、労働条件、労働福祉等の面におきまして、大企業に比較して著しく劣っておりますし、また、労務管理等適切を欠くものが多く、労使関係の安定並びに労働生産性の向上に大きな障害となっている実情にあります。かかる実情にかんがみまして、まず最低賃金制の推進及び中小企業退職金共済制度の改善及び普及をはかり、さらに週休制の普及等労働時間の合理的改善、指導を行なって、労働条件及び労働福祉の向上をはかるとともに、労務管理の改善指導、労働相談等を行ないまして、中小零細企業の労働者の保護と、労使関係の安定促進をはかることとし、あわせて中小零細企業と密接な関係にある家内労働の改善について適切な行政指導を講ずることとし、これらに必要な経費といたしまして二億三千六百五十三万五千円を計上いたしております。なお、中小企業退職金共済法の改正法律案は、すでに今国会に提出いたしたところであります。
 その四は、よき労使慣行の確立に必要な経費であります。労使関係の安定を促進して、自由にして民主的な国家にふさわしい労使慣行の確立をはかることが経済発展の基盤であることにかんがみまして、労働事情等の調査機能を充実して、適切なる労働情報を常時把握し、労働紛争議を未然に防止するとともに労働運動から暴力を一掃すること、法秩序を守ることなど労使並びに国民一般に対し、啓蒙を行なうこととし、これらに必要な経費といたしまして四千百三十三万円を計上いたしております。また、労使関係の合理的にして円満なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働委員会に必要な経費といたしまして一億七千五百二十七万九千円を計上いたしております。
 その五は、産業災害及び職業病対策に必要な経費であります。施業災害及び職業病の防止につきましては、鋭意これが対策に腐心いたしておるのでありますが、なお、依然として増大の傾向にあるのであります。明年度におきましては、引き続き産業災害半減を目標とする産業災害防止対策を強力に推進するとともに、労働環境の改善指導を行ない、特に中小企業に対しましては、巡回検診、巡回指導相談を実施いたしまして、職業病の防止、じん肺の予防等の施策を行なうこととし、これらに必要な経費といたしまして三千六百六十八万三千円を計上いたしておりますし、ほかに、労働者災害補償保険特別会計に四千七十一万四千円を計上いたしておるのであります。なお、じん肺等長期傷病者補償費負担金は五億七千五百九十二万五千円であります。
 また、産業災害及び労働衛生の研究機関であります椎葉安全研究所並びに労働衛生研究所の整備充実をはかることとし、これに必要な経費といたしまして五千五十九万六千円を計上いたしておりますし、このほかに、労働者災害補償保険特別会計に四千四百八万四千円を計上いたしておるのであります。
 その六は、婦人及び年少労働者の保護及び福祉に必要な経費であります。婦人及び年少労働者の保護、福祉の増進につきましては、各種の調査並びに啓蒙活動を進めるとともに、労働条件の向上、労働福祉の増進につきまして指導援助を行なって参ったのでありますが、明年度におきましては、さらにこれらの対策を強力に推進するとともに、未亡人等のために内職相談施設を、働く婦人のために働く婦人の家を、青少年労働者のために青少年ホームをそれぞれ増設いたしまして、婦人及び年少労働者の保護、生活の安定向上及び福祉の増進をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして五千二百二五十七万四千円を計上いたしております。
 その七は、労働統計調査に必要な軽費であります。労働統計の市要件にかんがみ、現行の労働統計の充実に努めるともに、明年度におきましては、特に大規模な賃金センサスを実施することとし、これらに必要な経費といたしまして、八千六百十万二千円を計上いたしております。
 第三に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。
 この会計の歳入歳出は、いずれも五百二十六億一千六百五十四万三千円でありまして、前年度の三百九十二億六千六百七十七万一千円に比較いたしますと、百三十二億四千九百七十七万二千円の増加となっております。歳入の主たるものは、保険料収入の三百七十九億七千二百万円と、支払備金受け入れの百二十一億四千五百七十万三千円であります。また、歳出の主たるものは、労働君災害補償保険給付費の三百九億七百万円でありますが、この給付費のうちには、けい肺等じん肺患者及び脊髄障害等重篤な患者に対する長期傷病給付費といたしまして十億五千七百七十二万二千円が含まれております。このほか、労災病院等の施設を設置運営するため、労働福祉事業団に対して行なう出資並びに交付に必要な経費といたしまして十五億二千八百八十七万八千円を計上し、その他の保険施設費、業務取扱費、地方労働保護官署の庁舎、公務員宿舎の整備費といたしまして、二十七億九千百九十六万四千円を計上いたしております。
 第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。
 この会計の歳入歳出はいずれも六百四十七億四千五百七十四万九千円でありまして、前年度の五百二十六億五千三百一万三千円に比較いたしますと、百二十億九千二百七十三万六千円の増加となっております。歳入の主たるものは、保険料収入の四百七十億九千二百万円と、一般会計よりの受け入れの百三億七十七万円であります。
 また歳出の主たるものは、失業保険給付費の四百九億五千八百万円でありますが、このほか職業訓練施設、労働者用住宅等を設置運営せしめるため、雇用促進事業団及び労働福祉事業団に対して行なう出資、並びに交付に必要な経費といたしまして二十九億六千五百八十二万七千円を計上し、その他の保険施設費、業務取扱費、公共職業安定所の庁舎及び公務員店台の整備費といたしまして、三十二億四千九十二万二千円を計上いたしております。
 以上、昭和三十六年度の労働省所管一般会計及び特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御力添えをお願い申し上げる次第であります。
#4
○主査(東隆君) これより質疑に入りますが、ただいま政府側からの出席者は、石田労働大臣、三治労働大臣官房長、和田労働大臣官房会計課長、冨樫労働省労政局長、大鳥労働基準局長、堀職業安定局長、岩尾大蔵省主計局主計官、四方労政局労政課長、青木労働基準局庶務課長、上原同監督課長、村下同労災補償部長、千葉婦人少年局庶務課長、矢越同年少労働課長、広瀬職業安定局庶務課長、鈴木同失業保険課長、住同企画課長、中田同管理課長、八木労働基準同管理課長、大宮労働大臣官房労働統計調査部長、以上出席をされております。
 ちょっと速記とめて下さい。
  〔速記中止〕
#5
○主査(東隆君) 速記をつけて。
#6
○小柳勇君 私は、初めに最低賃金について、これは最低工賃も含めまして、いわゆる賃金の低い人たちの生活を守るという立場から質問をいたして参りたいと思います。
 現在、業者間協定に基づく最低賃金が実施されておりまするが、これの実施状況について報告を願いたい。
#7
○政府委員(大島靖君) 現在でき上がっております最低賃金は、適用を受ける労働者が約五十二万人になっております。ただ、ごく最近、二、三日前に、二万人、三万人程度の非常に大きい最賃ができました。従って、この公示はあるいは四月に入るかもしれませんが、大体三月末では六十万人に近い適用労働者になるのではなかろうかと思っております。
#8
○小柳勇君 もう少し詳しく適用の金額、あるいは指導啓蒙の方法とか、もう少し詳しく説明して下さい。
#9
○政府委員(大島靖君) ただいま申しました最賃の件数といたしましては、約二百八十件に上っております。これに関連いたします使用者の数が二万六千人程度であります。適用労働者が約五十万人、こういうことであります。それから、きまりました賃金の額でありますが、これは大体百六十円程度から二百九十円程度までの間に分布をいたしております。現在できておりますものを二百円未満と二百円以上に分けてみますと、最低賃金法が実施になりました三十四年の八月から十二月までにおきましては、二百円未満のものが十六件、これに対して二百円以上のものが三十二件あったのであります。三十五年の一月から六月までの前半期におきましては、二百円未満が二十二件、二百円以上が五十一件、昨年の七月から十二月の後半期には、二百円未満のものが十件、二百円以上のものが百二十三件、さらに本年に入りまして、二百円未満のものがわずかに二件、二百円以上のものが十三件、こういうふうな状況になっております。施行当初におきてましては二百円以下のものも相当あったわけでありますが、現存のところは、大体において二百円以上の金額になっております。また、今後におきましても、大体二百円以上の最賃の金額できまるようになるものと思っております。ただ、特殊のケースにつきましては、あるいは二百円以下のものもあるかと思いますが、原則として、大体において二百円以上になると、かように考えております。
#10
○小柳勇君 労働大臣に質問いたしますが、現在二百円が中心のようであります。今の説明がありましたように、ここに労働省の資料が出ておりますが、二百円をピークにいたしまして、数が前後いたしておりますが、ほとんど最低賃金は日給できめられております。働いた日に支払われますので、月に三十日働く労働者というのはほとんどない。そうしますと、二十五日にいたしますと約五千円、そういうものがまだ現在中心であって、三十五年の一月の段階においても二百円を中心にいたしておりますが、こういうもので業者間協定に基づく最低賃金を推進するという今大臣の御説明がございましたが、今実施されております最低賃金法を改正される意図はないかどうか、大臣に。
#11
○国務大臣(石田博英君) 最低賃金のきめられる基準が二百円を中心としているという御質問でございましたが、私は、ごく特殊のものを除いては、三百円を最低とするように基準局をして指尊いたさせておるのでありまして、昨年の七月以降はその傾向が非常に顕著に現われてきておることは、ただいま華準局長の説明でおわかりいただけることと存じます。今後も、早くきめられたための二百円以下のものにつきましては、できる限り早い時期に二百円以上にさせるように、実質的指導でこれを二百円の半ばぐらいまでに持っていくようにいたしたいと存じておる次第であります。そうしてこの指導を通じまして、今後三カ年のうちに二百五十万程度の対象人員を確保することといたしまして、その実施の間から得られましたいろいろの経験をしんしゃくいたしまして法改正を考えたい、こう思っておる次第であります。
#12
○小柳勇君 今、非常に大事なことを大臣は答弁されましたが、二百円以上を最低賃金とするように指導しておると言う。私は、先般の予算委員会の調査出張を命ぜられまして、長崎県と熊本県を調査して参りましたが、長崎県及び熊本県におきましても、二百円以下のものが最低賃金として基準監督署で認められておる、そういうものについては、改定なり、あるいは日給額の引き上げなりを指導されるおつもりであるかどうか。
#13
○国務大臣(石田博英君) 先ほど申しましたように、ごく特殊な場合は別であると申しましたのでありますが、基本的にはさっき申しましたような方針でございます。従って、その決定の時期その他が早過ぎて現在の状態に合わないものについては、実質的に御質問の趣旨に沿うように行政指導をいたして参りたいと思っております。
#14
○小柳勇君 何か通牒か何か出してあるのか、あるいはお出しになるのか、どうでございますか。
#15
○政府委員(大島靖君) ただいまの金額の問題につきましては、昨年来労働大臣から、私に対しまして、そういう方針で指導するように、こういうことでございました。私から、全国の基準局長を集めました際に、これは数次にわたってでありますが、私から、具体的に各県の実情に応じてそういうふうな形でやって参るように指示いたしております。さらに、直接事務を担当いたしております各地方の局の賃金課長の会議においてもそういうふうな指示をいたしておりますので、今後におきましては、大体二百円以上のものができ上がると思います。もっとも、業者間協定ができまして、それが申請になりまして最低賃金法による最低賃金になるわけであります。今申しますのは、法による最低賃金の問題であります。
#16
○小柳勇君 最低賃金の問題は、直接生活保護と日雇い賃金に波及していくわけです。最低賃金は、三十四年八月から現在まで、ほとんど変わらないような金額でありまするが、生活保護基準並びに日雇い賃金については、御存じのように、今回両者とも上がります。それに対して、一応締結しました最低賃金、これは法にいたしましても業者間協定にいたしましても、なかなか改定というものはできにくいものです。そういうものについては、たとえば何年何月までのものについては、これを御破算にして再締結せよというような、強制的な若干労働行政として行政措置でやりませんと、なかなかできがたいものと思うが、この生活保護の基準の引き上げ及び日雇い賃金の引き上げに伴う最低賃金額の引き上げについてはどのような行政措置をとられるのか、それをお聞きしておきたい。
#17
○政府委員(大島靖君) 直接生活保護基準とか、あるいは日雇い労働者の賃金と均衡をとって最低賃金の額を引き上げるということは考えないわけなんでありますが、ただ全般といたしまして、やはりできるだけ着実に、現実的に賃金額を上げていくということはもちろん必要なことなんであります。その意味で昨年来、従来二百円以下のものも相当あったわけでありますが、これをできるだけ二百円以上に上げていきたい、こういうふうに考えて措置して参っておるのであります。従来できております最賃の二百円以下の問題につきましても、できるだけ早い機会におきまして、これを改定するようにということでやっております。ただ、もちろん業者間協定でありますから、者の御納得を得なくちゃいかぬので、相当の手数はかかると思いますが、ただ実質的には、現在の一般的な初任給の現状もありますので、私どもとしては二百円以上に持っていくことは、必ずしも不可能ではないと思っております。
#18
○小柳勇君 この最低賃金及び業者間協定がきまりましたために、かえって労働者を引きとめて置くことができないとこぼしている中小企業者がたくさんあるわけです。百八十円できめ、あるいは二百円できめておきます。そうすると、それだけでは中学を出た青年でも、あるいは高等学校を出た青年でも働かない。そうすると、長崎の鉄工所を私調査に参りましたが、ここは二百名ぐらいの工員がおりますが、卒業生をたとえば年に二十名採用する、一年間たつ半分になってしまう。二年間ぐらいたちますと、もう一、三人しか残らぬということでこぼしている。最低賃金はきめましたけれども、結局今大阪や名古屋の方へどんどん採られてしまって、長崎には残りません。長崎の工業高等学校なんか出た人は、長崎には造船所などもありますが、造船所にすら残らない。そういうことで、ほとんど有名無実であるので、手当を出したり、あるいは残業手当に特に力を入れたりいたしておりますというような答弁でありまするが、なお今日でもそういう実情にあっても、最低賃金法に対して根本的な改正を考えられないのかどうか、これは大臣に一つお聞きしたい。
#19
○国務大臣(石田博英君) これはどうも経営者が誤解をしておるのじゃないかと思いますが、最低賃金でありまして、最高賃金ではないのであります。その金額に拘束されるのは、それ以下であってはならないのでありますから、産業界の実情に応じ、あるいはその他の条件に応じて、それ以上のものを経営者が考慮するのは当然のことであると思います。これはむしろ最低賃金の問題だけではなくして、そこに重点があるというよりは、むしろやはりその企業の内部におきます労務管理のあり方、さらに言うならば賃金格差の存在、その背景である生産性の問題ということに関連する問題であると存じます。ただ私は、あらゆる機会に申し上げておりますように、この最低賃金法をもって満足なものとは決して考えていないのでありまして、ただ、これが産業界の実情に急変を与えずにその効果をおさめていくためには、やはりこういうものの考え方に対する一般的理解を深める経過的措置が私は必要であろうと考えているのでありまして、従って、二百五十万程度に普及された時期に、私はいろいろの経験を通じて改定を行なうべきものと考えている次第であります。
#20
○小柳勇君 大事な問題が二つございますが、一つは、大臣が言われました最高賃金ととられるのではないかということ、これは最低貸金法を作りますときも、私どもしつこく質問したのでございますが、業者は、御存じのように、たとえば十の業者がございますと、協定を一応いたしますと、これは道義上、その賃金よりも高くできない。とれが求人、求職との関係もありまして、たとえば一日二百円ときめる、そうしますと、これを自分の方で二十円なら二十円高くいたしますと、これを破ったことになりまして、そこに求人はたやすくなるけれども、この業者間協定をほごにされたと同じことになる、私ども心配したと同じような実情が方々に現われておるわけです。大臣が今言われましたあれは最低賃金であって、最高賃金ではありませんというのは、実際は、その業者間協定を結びました業者は、これを一つの基準にして、これより自分の方だけ高く出すということは、業者間の仁義上できない。従って、これが三年前には求人にはよかったが、現状では、かえってこれは求人のじゃまとなって、どうしても若い青年労働者を工場にとめておくということが非常に悩みがあるようでありまするが、この点について大臣は実情を把握しておられるか、お聞きしておきたい。
#21
○国務大臣(石田博英君) 私は、これはそういうものでないことの普及に役所としては努めなければなりません。法律的には、これは明確に最低賃金であって、最高賃金ではありません。その業者間協定がそれ以上の賃金を支払うことを拘束する何かがあるとするならば、それこそ法律の精神に違反するものであります。従って、そういう話を聞かないわけじゃございませんけれども、これは誤解、悪用もはなはだしいものでありまして、そういうものの排除には、十分行政指導をいたしたいと存じております。
#22
○小柳勇君 もう一つ大事なことは請負賃金との関係ですが、たとえば三菱造船所が下請会社に請け負わせる場合、三菱造船所は単価を計算する場合、この最低賃金をもって計算する。そうすると、入札する場合の労働者の賃金はそういうものを基準にするというわけです。そうしますと、三菱造船所に働いている同年配の職工と、今度その請負業者が自分たちの業者間協定で雇う賃金というものとには、格段の差が出ておる。それこそ二重構造です。しかも、二重構造だけじゃなくして、その下請業者としては、その最低賃金以上の給与を出さなければならない。ところが、入札の基準は、この最低基準の業者間協定を中心にして労働貨金が組まれておるものですから、入札の利潤というものは非常に少なくなってしまって、労働者に対しては、これ以上賃金をしげたら、自分たちの方は破産する。そうかといって、仕事をしなければ首を切らなければならぬという矛盾がある。だから、業者間協定を結んだのはいい。いいが、その当時はよかったけれども、今はこれは三菱造船所などで入札するところの基準になっておって、非常に困りますということを言っておるのですが、この点についてはどういうふうに打開されますか。
#23
○国務大臣(石田博英君) まず根本的には、先ほどから申し上げておりますように、きめられた額が、最低賃金としてもすでに実情に合わなくなってきつつあるものが多いと思います。そういうものは行政指導によりましてこれを改めさせ、多くさしていくようにいたしたいと存じます。
 それから第二の問題は、親会社が下請に対して、最低賃金を賃金計算の基準にするということも明確にそれをいたしておるとするなら、これはやはり法の精神をじゅうりんするものでありますから、これはやはり実質の賃金を土台に当然計算すべきものと思います。しかし、この問題の効果を上げさせますためには、親企業を中心といたしまして、その下請企業との関係、縦横の関係を調整いたしまして、そうして賃金の問題だけではなく、一般労務管理を含めましての連係体系を組織的に作り上げることが一番効果的だと私は考えるのでありまして、先般茨城県の日立市におきまして、日立製作所を親工場といたします下請企業の組織ができ上がりました。それをサンプル・ケースといたしまして、今各種の親及び下請との関係の組織化に努めさしているところでございます。その日立におきまする場合は、親企業が労働条件、労働基準法の順守条件、労務管理その他について指導をいたす、それと私どもの方の基準局、基準監督署が協力するということが中心になっているわけであります。その当然の結果といたしまして、親企業が下請に発注いたします場合の労働単価の計算にも、当然考慮を親企業は払わざるを得ない状態に戻って参るのであります。さらに、進んだ労務配置、労務管理の指導によりまして、拘束時間を非常に減少して、しかも、なお生産性を向上し、賃金を上昇さしている実例が多々ございまして、そういう実例、成績を上げたものに対しては私どもから表彰をいたしますと同時に、その実例を各地に宣伝をいたしまして、この日立のようなケースを全国的に組織化することによって、ただいま御指摘のような問題を含んだ親子の労働条件関係の調整、格差の縮小ということを進めて参っている次第でございます。
#24
○小柳勇君 非常に大事なことですが、今の日立製作所の例をモデルにして、これを全国的に広める、宣伝するという方法も必要でございましょうが、事態は非常に急を要しているわけです。各地におけるいわゆる経済成長、設備投資の拡大によりましてどんどん工場はできている。親会社と下請業者との格差がますますひどくなっている。そういうときに下請会社で一番困っているのは、労賃の問題、求人の問題だといわれている。日立はこうやったからまねしようじゃないかということで、下部といいますか、地方の企業者が自発的にやるのを待ってするということは、なかなかこれは期間がかかるのではないかと思いますが、今日の企業経営に難渋している下請業者のために、今のような下請を持つ親会社のために、積極的に何らかの要請をされて、少なくとも、青年労働君の最低賃金ぐらいは親会社と同額ぐらい出さないかというような行政指導が具体的にできないものでしょうか。
#25
○国務大臣(石田博英君) これは自然に日立の実情が日本じゅうにわかって、自発的にできてくるのを待っているということでは、まだるっこくて効果が上がらぬことはお説の通りでございます。従って、私どもの方でそれを積極的に誘導していくという努力を今いたさせているところであります。それから私といたしまして、この問題だけではございませんが、雇用その他の問題を含めた一般的、要請を、近い時期に経営者側の団体に対して、これを取りまとめまして要請をいたすつもりでございます。目下準備中であります。
#26
○小柳勇君 その親会社への指導と下請会社への指導、両面ありませんと完全に解決できないと思います。下請会社の方では、さっき申しましたように、お互いの業者間の仁義がございますから、しかも、今度は親会社との仁義があるわけです。自分の方で労賃を高くしなければ、求人難のために親会社に言っていけないという仁義があります。そうしますと、ほかの方に仕事をとられてしまうというわけで、親会社と下請業者との仁義がありますし、今度は下請会社同士の仁義がありまして、自分のところだけで最低賃金を引き上げられないというものがある。そういうものは、今大臣が言われたのと現地で考えているのと、非常に差がありますので、急を要する問題だと思うので、そのことによって中小企業の崩壊をするものもできるのでしょう。長崎の造船所の例だけとりましても、長崎造船所の方ではどんどんベース・アップができるけれども、しかも、それで今設備投資の拡大のためにもうかっている。ところが、下請会社は、そのことでもう全然利潤がないし、崩壊する。しかも、人は集まらぬということでありますので、その親会社への指導、それから下請業者への指導というものは急を要するものと存じますので、ただいま大臣が言われたような積極的な行政指導を希望しておきたいと思います。
 それからさっきの話に返りまして、五十二万現在最賃の適用があるけれども、二百五十万になったならば今の法律を改正したい、こういうようなことを言われました。この二百五十万になる期日を一体どのくらいにお考えになっているのか。いつごろ二百五十万になることであるか。きょうの大臣のこの説明の中にも、最低賃金制の推進ということが書いてございまするが、いつごろに目途を置いておられるか。
#27
○国務大臣(石田博英君) 二百五十万達成の目途は、昭和三十六年を初年度といたしまして三カ年であります。しかし、現在の進行状況から見ますると、もっと早い時期に実現するのではなかろうかと考えております。で、二百五十万人になったらというのは目標でありまして、その間の経験を通じ、かつ、その理解と普及の度合を見ながら、私は直すべきものは直したい、こう思うのであります。
#28
○小柳勇君 ILOの精神など大だんびらを振うまでもありませんが、私どもは、業者間協定による最低賃金法ができますときにも、再三再四言っておりまするが、今申し上げたような矛盾もまだほかにもございまするが、時間も少ないと存じますし、別の機会に譲ることといたしまして、ただいま申し上げたような矛盾でも、これは非常に大切なことであります。企業が成り立つか成り立たぬか、それから労働者が生活ができるかできぬかというような両面にとって、非常に大きな矛盾をはらん、でおりますので、二百五十万が、たとえば百五十万になりましても、根本的に改革していただかなければならん問題だと思うのですが、私どもは、今最低八千円くらい労働者はなくちゃならんのではないか、生活基準の引き上げ及び日雇い賃金の引き上げに伴いまして、働く者は最低八千円なくちゃならんのではないかということも考えております。今日、二百円前後の最低賃金で計算された生活費は約五千円になります。その三千円くらいのことで、いわゆる下請業者にいたしましても、八千円にしても、かえってその方が青少年を自分の工場にとめておく、あるいは学校卒業者を就職させるということで、かえっていいのではないか。また、業者間だけでは、互いの業者の仁義主なかなかできないので、この際、労働省が一本に、一つ労働者は最低八千円くらいにしようというような行政指導をするならば、かえってその方が中小企業の振興のためにもいい政策ではないかと思うが、大臣いかがでしょうか。
#29
○国務大臣(石田博英君) 八千円という基準は、私どもの方の最低賃金を提出いたしまして、社会党案が十八才八千円、経過的に二年間六千円という案であったということを承知いたしております。そこで、先ほどからの業者間の仁義というお話がずいぶん出まして、勢いこれが最高賃金を拘束されるという、私はそういう間違った考え方は存在しないということを決して申し上げるわけではございませんが、もしそういうことで相互に拘束をしているというなら、これこそ問題でありまして、こういうことに対する他の措置をしなければ、たといそれがどんなところの金額にきめられましても、経済界の変遷によって、その金額はいつかは妥当でなくなるわけでありますから、それがいつまでも最高賃金、それ以上のものには仁義というようなもので拘束されるというなら、これは大問題でございますから、そういう不当な拘束というものに対する措置は、これは別途研究をしなければならんと思っております。
 そこで、現在の最低賃金というのは、これは十五才の賃金であります。十五才から十八才までの昇給率は、大体二九・五%ぐらいであります。二九・五%ぐらいでございますから、この十五才で二百三十円から二百四十円ぐらいの、これは私の暗算でありますが、そういうようになれば、やはり十八才八千円というように、現実に近づくのではないか、二十五日稼働といたしまして、従って、それが全国一律という強制過程を通じなくて、現実的に最低賃金というものの積み重なりでそれになるように現段階において指導いたしたい。しかし、これが三カ年の間に生産性も上がって参りますことでありますし、また、一般賃金水準も必ず上がっていくと思います。従って、そういうものに上昇した処置はもとより望ましいのでありますが、現在のところ、十八才八千円というところに合わせますためには、十五才で二百三十円から四十円というところまでに、とにかくそれが中心あるいはそれが最低になるようにこれから指導をしていきたいと、こう思っておる次第でございます。
#30
○小柳勇君 社会党の案は、以前は十八才八千円でしたが、今度はその十八才ということよりも、日本の働く人、全労働者が年令を別にして、働く以上は八千円ぐらいなければ労働再生産ができないという考え方に立って、その点は第一修正いたしておきたいと思うのですが、それから次に、そういう事実があるならば、これはゆゆしい問題だとおっしゃいましたが、私ども生名の調査団は、最低賃金を調査した結論として、社労委員会に調査報告書を出しました。その調査報告書の中にこのことをはっきり書いておりますので、大臣これを見ていただきまして、適当な行政措置をしてもらいたいと思いまするが、この長崎で調査いたしました中小企業の中で、一人のところの社長は、さっき申し上げたように、求人難で困るということと、業者間の仁義の話をいたしました。別のところの社長は、自分のところでは最賃業者間協定を結んでおりまするが、それでは親会社の方の造船所の同年配の青年労働者と非常に差があるものですから、特別な手当を出しております。こういうような話でありました。そういうことは、もうすでに業者間協定を結んでおるけれども、これでは労働者に対する報酬としては少ないということをその社長は認めておったものと思うわけです。そうしますと、その協定を結んだ業者は十二ぐらいだったと思います。その結びました業者に対して自分で働きかけて、業者間協定が、これは少ないから上げようではないかということは、なかなか大問題であろうと思うわけです。二百円が二百二十円になるか二百三十円になるかということも、これはなかなか大事でございましょう。二百円でなければやっていけない企業もあります。その私どもが調べました企業は、まあ手当が出せるほどの企業です。従って、もう少し積極的に調査していただいてやっていただくならば、最低賃金については全国一律八千円にした方が、かえって中小企業の親方さんたちはほっとするのではないかという気がいたしますが、これは幾ら議論いたしましても、今平行線でありましょうが、早急に実態をもう少し詳細に把握されて、この問題の解決、単にこれは私ども面子上ではありません。社会党が八千円出しているからというのじゃありません。実際現在の中小企業が悩んでいる姿を見ましても、私はそういうことを調査報告にも書いておいた次第でありますので、一つその辺は処置を願いたいと思うところでありますが、これに関連いたしまして、各出先の基準監督局では、何人ぐらいでこの最低賃金の指導をやっておるか、あるいは最低工賃の調査をやっておるかと聞きましたところが、長崎にしても熊本にしても、実働員は十名程度であります。十名程度で、大臣が今言われましたように、現在、五十数万人の適用が二百五十万人になるのは、この三年じゃとてもできないのじゃないかというような気がするのでございますが、その面の人員増加なり予算の増について考えておられるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
#31
○政府委員(大島靖君) 各地方の局におきまして、最低賃金の指導援助に当たっておる者が十人というお話でございますが、賃金課の職員としては大体そういう程度であろうかと思いますが、ただ、私どもが最低賃金を指導援助して参ります場合には、必ずしもその賃金だけの問題というよりは、むしろ労務管理全般の問題とからんで集団指導をいたしておりますので、従って、その関係からいたしますと、必ずしも賃金課のみでやるというよりは、むしろ監督課も、あるいは監督署もあわせて指導に当たっておるわけであります。現在一番多くできておりますのが静岡県でありますが、静岡県の特徴といたしましては、監督署を含めて、全局最賃に当たったというのが一つ特徴でありますが、そういう関係で申しますれば、むしろ全監督官二千三百名がこれに当たっておると申せるんじゃないか。なお、予算の点につきましては、今年度こういう基準法運営に要します事務費的なものだけで一億数千万円の増加。旅費、出張費合わせますと、大体七千万くらいの増加の予算を組んでおるわけであります。この事務費の増加につきましては、基準局始まって以来の増加額だろうと思います。そういう点で、人員、予算合わせて今後さらに努力を続けて参りたいと思います。
#32
○小柳勇君 今の局長のお話は夢物語ですよ。たとえば静岡の場合に署員全部で当たったと言われる。それはまあ一時的には当たったでしょう。ところが、局長、長崎の局長も熊本の局長も、足らぬとは言いませんよ。皆さん努力されるから。しかし、これは延人員にして二十名くらいだろうということです。基準監督署が全部で働けますか。そんな夢物語でなくて、私は、実際上これだけ大臣が理想を持って今労働行政をやっているのだから私は言っておるわけで、業者間協定、最低賃金を指導しているのは、わずかに十名前後ではないか。こういうことでは国際的にも恥しくはないかということを言っておるので、監督署がみんな全員でそれに当たっておりますというような答弁では答弁になりませんよ。大臣、これについて、単にこの業者間協定なり最低賃金だけに基準監督局がかかっておるわけではありません。ほかの業務はたくさんあります、監督行政がありますから。しかし、今一番大切な所得倍増計画に伴うこの労働者の流動などにも、あるいは雇用政策についても一番大事な部面であって、それにわずか一つの局で十名前後では少なくないか、こういうことを言っているのです。この点について私は確固たる方針を大臣から聞いておきたい。
#33
○国務大臣(石田博英君) まず第一に、現在の人員で事足りるとは思っておりません。最低賃金法施行に伴って、対象人員が増加するに従って、あるいは増加せしめる計画が大きくなるに従って、それに応ずる体制をとっていくように努力をいたしたいと存じます。ただ、第二の問題として、係官の配置は各局大体似たり寄ったりのものであります。しかし、その成績に今のところ非常に差があります。これは必ずしも人数だけの問題じゃなくて、やはりその土地における今の考え方の普及の度合、あるいは私どもの方の局の職員動員の工合、そういうものが有機的に関連をいたしましていろいろな差が現われて参っておるわけでございます。私は、基本的に小柳さんのおっしゃる方向に向かってもちろん努力をいたしますけれども、それだけの問題じゃないということを基準局長が御説明申し上げたことを御理解願いたいと思います。
#34
○小柳勇君 三十八年までに二百五十万になるという最賃制普及率というようなものが労働省から出ておると聞いておりますが、そういうものを大臣お作りになっておりますか。
#35
○国務大臣(石田博英君) 具体的な詳細なことは私は知りませんけれども、とにかく三十八年は目標ではあるけれども、もっとこれについて早く達成できるという報告を受けております。できる見込みであるという報告を受けております。それから金額については、先ほどから繰り返して申しておるような指導をいたしております。
#36
○小柳勇君 そうしますと、一年短縮するとして、三十七年になりますと、現在の最低賃金法については改正するようなことも考えると、こういうことでございますね。
#37
○国務大臣(石田博英君) そういうことを目標に普及をしていきつつ、その中から経験を通して問題点を拾い上げることが一つと、もう一つは、最低賃金制というものについての一般的理解の深まっていくことを期待することが第二であります。この二つの点を通じて、私はこの法の不備な点を改正したい、こう考えている次第であります。
#38
○小柳勇君 今の最低賃金の問題について、もっと具体的にございますが、時間の制約を盛んにやられますので、また社労委員会もありますから詳しくやりますが、これに関連いたしました大事な問題だけは、これは非常に大事な予算をきめる分科会でありますから、あまり質問しませんでは予算を通すわけに参りませんので、大事な点は時間の制約にとらわれずに私は一つ質問していきたいと思いますが、関連いたしまして最低工賃の問題でありますが、最低賃金法第三章に関連いたしまして、最低工賃について調査検討し、近く法案化しなければならぬ、これは大臣のいつも答弁されることでありますが、最低工賃についてどのように考えられているか。
#39
○国務大臣(石田博英君) 現在の詳細な進行状況は基準局長よりお答えをいたしますが、家内労働調査会におきまして御検討を願っているのでありますが、その結論が出ますまでの経過規定といたしまして、ちょうど最低貸金法制定以前にやっておりましたような心持で、行政指導による効果を積み上げていくようにいたしております。詳しいことは基準局長からお答えいたします。
#40
○政府委員(大島靖君) 家内労働関係につきまして、一昨年の暮れから臨時家内労働問題調査会で御審議を願っておりますが、昨年の秋に中間報告をいただいております。これによりまして、とりあえず家内労働の問題点につきまして行政措置を進めるということになりました。特に指摘されましたのは、一つは家内労働手帳、そういった問題、それからもう一つは加工賃の問題、それからもう一つは家内労働における安全、衛生の問題、こういった問題点につきまして、特定の家内労働のタイプを選びまして、これにつきまして行政指導を行なうように、こういう答申でございます。これに基づきまして、とりあえず本年の当初から、四業種につきましてそういった点を指導いたしておりますが、予算が通りますれば、今回の予算案の中にもこれに要する予算措置をいたしているのでありますが、これに基づいて、四月から全国的に行政措置を進めたい。ただいまの加工賃の問題につきましては、加工賃協定というものを結んでいる委託業者が若干あるのでございます。これにつきまして内容を改善し、さらにこれを他のできていないところに進めていくといったような方式でこの一年間指導をいたしてみたいと、かように考えております。
#41
○小柳勇君 家内労働法については、いつ国会に出すような見通しですか。
#42
○政府委員(大島靖君) 現在の調査会の進行状況でございまするが、今申しましたように、昨年の秋答申をいただきまして、ことしの当初から、四業種について、各委員手分けをして調査もし、指導もしていただいたのであります。そこで問題点をさらに具体的にしていきつつ、今現在のところでは、そういうふうに四業種の実地の研究の結果に基づきまして、家内労働対策全般についての基本的な考え方、それから各種の問題点についての技術的な措置の仕方、こういったものを御検討願っております。従って、そういうふうな御検討の結果、さらにこの四月から始まります全国的な行政指導、これの結果を合わせまして御検討、御結論をいただくわけでありますが、まだ現在のところ、会長といたしましても、その答申を出す時期につきましては、まだお気持がきまっていないようでございます。しばらく検討の結果を待ちたい、こういうふうな状況でございます。
#43
○小柳勇君 今の最低賃金法は、私どもはあれは完全な最低賃金法と思っておりませんが、いわゆる政府が言われる最低賃金法を作りましても、それに適用されているものは今五十数万人であります。それに類似した家内労働者にも、たくさんの人が法の守りを得ないままに放置されているわけであります。従いまして、調査も大事でございますが、私は一応法案を出して、その上でこれに並行して、調査していくことが一番大事ではないかと思うのであります。従いまして、最低賃金法を急がれたように、家内労働法についても、早急に形だけでも整える方向に御検討願いたい思いますが、大臣、いかがですか。
#44
○国務大臣(石田博英君) この家内労働の実情なんというものは、よく御承知のように、なかなか複雑でありまして、正確につかみ得ない問題が非常にたくさんございます。そこで、政府が役所で、机の上で検討することでは、どうも当を得ない面が非常に多いので審議会の御審議を願っているわけでございますが、私といたしましては、これはもうできるだけ早く効果のある措置をとるべきものと考えている次第でありまして、御趣旨のおもむきは同感でございますから、審議会の方へもお願いをいたしまして、結論が早く出るようにいたしたいと存じます。
#45
○小柳勇君 それから、これに関連いたしまして、いわゆるPW賃金でございますが、今回の日雇い労働者の給与引き上げによりまして、この観念が少しこわれては参りましたけれども、これは人権問題にも連なる労働条件ではないかと思うわけです。周囲にある労働者の低賃金を一応調査して、それよりも上の日雇い賃金は決定できないというようなことは、再々社労委員会で問題になりましたように、人権問題にまで考えなければなりませんが、このように考えを捨てて法改正をする意思はないかどうか、大臣にお聞きしたいと思います。
#46
○国務大臣(石田博英君) 失業対策事業というものの性質から考えまして、現在のPW方式というものを改めるということは、私は問題があろうと思います。従って、この方式を今改めるという考えはございません。ただ、この運営にあたって、たとえて申しますと、PWが改訂されるまでの時間的な経過が、非常に失業対策事業の対象人員に対して不利益を与えるというような場合には、実質的な措置を早く、たとえて申しますと、先年私が労働省におりましたときに、消費者米価の改訂がございました。従来の経緯でありますと、それがPWにはね返って、そのPWが改訂せられたときに、初めて日雇い労働者の賃金が改訂されるというのが経緯でございましたが、そういうような場合には、実質的に早くそれにとらわれないで改訂をして、また今回は、法律には、御承知のように、八〇ないし九〇ということになっておりましたが、九〇までは計算をいたしまして、あるいは重軽作業率のとり方というようなことで、最大限の考慮を払って参りたいと存じます。
#47
○小柳勇君 九〇よりももうちょっと前進して、その同種の事業の賃金ぐらいまでには上げませんと、生活保護の問題ともバランスがとれないと思いますが、大臣、いま一歩前進についてお考えになりませんか。
#48
○国務大臣(石田博英君) 同種事業の回顧ということは、やはりその事業の性質、目的その他から考えまして、私は適当でないと存じます。しかし、先ほどからお答えを申し上げておりますような、実質的な努力を積み重ねたいと思っている次第でございます。
#49
○小柳勇君 今まで私が最低賃金、最低工賃及びPW賃金について言いましたのは、生活保護基準との問題を考えてのことでございまして、働いても生活保護基準と同額ではないかというような思想がびまんいたしますると、日本の産業再建はできないということで、それが第一点であります。
 第二点は、名目は最低賃金なのであるけれども、実質上は最高賃金、これが頭を押えておって、労働者の生活権を侵害しているのではないかという点が第一点でございますので、この問題については、年度当初でもございまするし、積極的に労働省として善後策を講じられるように、特にさっき申しました請負賃金などの問題とからんで、同じような年輩の労働者で、あまりにも賃金格差がひどくなりませんように善処していただきたいと思います。
 第二の大きな問題を質問いたしますが、職業訓練と就職の問題でありまして、先般資料を提出していただきました。今回荒尾の職業訓練所は、おかげさまで百パーセント就職できたようでございまするが、就職いたしまして一年ぐらいいたしますと、低賃金及び職場関係になれないために、離職する者も出るのではないか、出たというような話も聞いておりまするが、就職いたしましたあとの生活の保護については、どのような措置を講じていかれるか。
#50
○政府委員(堀秀夫君) 荒尾の訓練所は、三月九日に第一回生が卒業いたしましたが、おかげさまで、その前日までに百パーセント完全就職をみました。その点は関係者の御協力、御理解によるものと、厚く感謝しているわけでございます。炭鉱離職者につきましては、他の大阪その他の総合訓練所においても、同じように訓練をしておりますが、いずれも就職率はきわめてよろしいわけでございます。ただ、炭鉱離職者が広域職業紹介によりまして配置転換いたしました場合におきまして、その後においての移動率が相当あるということは、これは御指摘の通りでございます。これは最近の事例は目下調査中でございますが、昭和三十四年度におきましては、三〇%程度がまた転換をしているわけでございます。それにはいろいろな理由があるわけでございますが、三十四年度中におきましてそのような率が多かったという理由は、労働条件が、聞いておったものとやや違うというような面もありましたし、また、特に問題になりましたのは、住宅が完備しておらない、そのため単身で赴任して、相当しんぼうするつもりで勤務しておりましても、どうしても単身では工合が悪いというようなことで、住宅のあるようなところを探して移動するというような事例が非常に多かったわけでございます。われわれといたしましては、各受け入れ地の職業安定所及び炭鉱離職者援護会等に指示をいたしまして、配置転換いたしました後における事後の援助というものについても、十分留意するように指導をしております。特に今後は、ただいま国会に提出中の雇用促進事業団法案が成立いたしますれば、住宅等について相当思い切った裏づけができますので、今のような住宅の裏づけ等とあわせまして、事後におけるところの相談、援助というものをさらに強化いたしまして、この配置転換による問題がなくなりますように努めて参りたいと思います。またもう一つは、ただ電話等で、離れております東京あるいは大阪等に、たとえば筑豊とか、大牟田とかから就職するということになりますと、聞いた条件と行った条件がだいぶ誤解もあるというような面もあると思いまして、最近におきましては、大牟田地区及び筑豊の主要な地区におきまして、毎月一回定期的に受け入れ地の職安の課長級に、具体的な条件を持って現地に行ってもらいまして、そうしてその離職者及び家族を含めまして、現地相談を行なうという方法をとっております。これをずっとやっていきますれば、話が違った、あるいは誤解があったというようなことによる配置転換後のまた離職というような問題は減少するのではないか、このように考えております。
#51
○小柳勇君 その職業訓練に関連して、第二の問題は、工業学校を出た初任給と、職業訓練を受けて出た初任給というものが、大体常識上考えますと、全然年輩が違うわけです。若い青年ではありませんから、四十も五十もの人も職業訓練を受けておる。そういう人が社会通念の初任給と同じような考え方で低賃金で雇われて、そうして生活できないということになりますと、せっかく金をかけて職業訓練をいたし、転換教育をいたしました国として、何かもう少し年令的にあるいは家族を守るという施策ができないものであろうか、そういう具体策があれば一つお伺いしたいと思います。
#52
○政府委員(堀秀夫君) この点はわれわれも気をつけなければならないと、思っておるところでございます。実は、先般お手元に出しました資料は、昭和三十四年度の全体の平均の数字でございまいす。これには女の方もございまするし、それから中学校を卒業した生徒が訓練を受けて出るということもあるわけでございまして、全体にならした数字でありますと同時に、年度が三十四年度でございますために、それからもう一つは、この調査にあたりまして、実は住み込み等につきましてはそのようなことが配慮されないで、住み込み、現物給与、あるいは交通費の支給というものがこれに入っておらない数字が出ておりますので、非常に少なくなっておるようになっておりますが、そのような点も入れますれば、お手元に出しました資料は形式的な賃金でございます。それ以上の実質給与はあるものと考えております。ただ、それにいたしましても、今御指摘のような点があることは事実でございます。私どもは、そういう点からいたしまして、特に転職訓練を受けられる方々は、御指摘のような、家族をかかえて転換しなければならないということでございますので、私どもは転職訓練を受けられた方は、特に、たとえば住宅のお世話等、積極的にするというようなことによって実収を確保するというふうに今後努力して参りたい。雇用促進事業団等を特に活用してやって参りたいと思っております。
 それから転職訓練等につきましては、たとえば荒尾の訓練所、これも今のような実物給与等は、別になっておりますので、平均一万三千円という数字が出ております。これは住宅その他は全然別になっております。まだこれでも不十分な点が、離職者の方から見ればまだ満足できない面もありましょうけれども、私どもは、そういう家族をかかえた方に対しましては、訓練後の就職にあたりまして、できるだけそういう面をお世話をする。炭鉱離職者につきましては、特に今度できました雇用促進事業団等を活用しまして、職安の活躍と、また連絡を密にいたしましてそのような指導をいたしたいと思っております。
#53
○主査(東隆君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#54
○主査(東隆君) 速記を始めて。
#55
○小柳勇君 今、雇用促進事業団のことを再三再四言っておられますけれども、この問題についてはあとでまた触れますけれども、私どもは雇用促進事業団のこの法案を見まして、住宅問題に力を入れられる点はわかりますが、その他の問題については大差がないではないか、予算の面から制約されて。そういう気がする。今、職安局長は平均一万三千円だとおっしゃいますが、その年輩なり家族を考えますと、まことにお粗末なんです。従って、せっかく職業訓練をやって就職した人が、一年くらいは技術の向上にもなりませんし、技術も未熟でありましょうが、もう少し国から援助して、職業訓練を生かす方法はないであろうか、こういう私も知恵はありませんが、担当局として、何かいい知恵はないであろうかということを聞いているのでありまして、このことについてはどうでしょうか。
#56
○政府委員(堀秀夫君) 住宅の点につきましては、ただいま申し上げましたような考え方で対処していきたいと思いますが、それと並びまして、私どもは、やはりこれにつきましては、採用してくれる業界の採用者の理解と協力を得るということがぜひ必要であると考えるわけであります。そこで、最近中央におきましても、この関係の業界、これは石炭だけではございません。受け入れ産業を主体とする業界の関係者のお集まりを願いまして、中央炭鉱離職者雇用促進協議会というものを設置いたしまして、それから各主要地におきましても、たとえば大阪であるとか愛知であるとか、そういうようなところにおきましても、同じような協議会を作りまして、連絡を密にすると同時に、この炭鉱離職者が就職する際の環境というものを改善いたしまするように呼びかけております。この協議会は単なる連絡機関だけでなしに、その下部に各業界の組織とさらにつながりを持たせまして、現場にまで通ずるような組織を作りたいと考えております。こういうものを活用いたしまして、これを受け入れる場合においで、環境というものをなるべくよくするような指導をすると同時に、私どもは、特に家族をかかえた方の実収の確保という点につきましては、ケース・ワークに職安及び援護会、あるいは事業団等を通じまして業界の指導と協力を求める、こういう態勢でやがて参りたいと思います。
#57
○小柳勇君 雇用促進事業団に関連いたしまして、問題は二つ。一つは、駐留軍労務者についても、衆議院の方で法改正の案が出ておりまするが、駐留軍労務者についても十分の意を用いてもらいたいというのが一つ。それから、雇用促進事業団と、今言われました雇用促進協議会、こういうものがありましても、三池ではなお千名もの者が仕事がなくて失業保険が切れようといたしております。これは会社の責任もあろうと思う。団体交渉できまりましたものを、いろいろ感情的なものがありましょうから、世話しない。だから、職業訓練を受けた人は幸いにして就職をいたしましたが、職業訓練には能力の限界がありますから、千名の人はなお就職しないで、失業のまま置かれておりますが、この問題をどう処理されようとしておるか。
#58
○政府委員(堀秀夫君) 三池の解雇者につきましては、先生御承知のようないろいろ総合態勢を作りまして、各省及び現地の総合協力のもとに配置転換援助をはかっておるわけでございます。ただいま最近までの概況を申し上げますると、大体千百名程度がいわゆる九月九日の離職者でございますが、これにつきまして、現地においてこの一月以来、毎月先ほど申し上げましたような方法によりまして、現地相談を行なっております。その結果、具体的な求人と求職との結びつきが相当促進されまして、それと、離職者の方々におかれまして、この職安の紹介のほかに、縁故等によりまして県外に移動されたという方も百人近くおるわけでございます。それから職業訓練所にすでに入所して近く卒業される方もおります。こういうような方々を入れますと、大体四百人ぐらいは対策が済んでおるわけであります。残りの七百人ぐらいの方々のうち、最近実は荒尾の総合訓練所等での訓練の状況、あるいは就職の状況等が現地でも見られまして、これは職業訓練所にぜひ入った方がいいのではないかという気運が非常に高まっております。現在第一組合等でまとめられました調査によりましても、職業訓練所に入りたいという希望の方が四百数十名に及んでおるような状況であります。これは私ども非常によい傾向であると考えておりますので、これは現地の荒尾の訓練折、それから小金、八幡の訓練所、小野田、大阪の訓練所、その他一般訓練所がございまするが、これも収容人員の増加をする等の措置を講じまして、大体失業保険が切れますまでの間に、この希望者については全員を収容させていく、こういう態勢を大体とることができておりますので、今後は御希望によりまして、ただいま申し上げましたような各地の職業訓練所に入っていただくということを考えたいと思っております。訓練所に入りますれば、その期間はさらに失業保険が、先般の改正によりまして延長されまするので、生活のある程度の保障を得つつ訓練を受け、そうして卒業いたしました場合に就職する、こういうことになると思いますので、これを第一番目に推進したい。
 それから、それと並びまして、やはり訓練所に入らないで、すぐ就職したいというような方につきましては、この四月、五月、六月、同じような形で各受け入れ地の求人を開拓いたしまして、これは特に中年層以上の方々が多いわけでございまするから、各受け入れ地におきましては、中年層以上を対象とする求人を開拓するようにということで、目下指示しております。求人も最近はそういうものにまとまりつつありまするので、これによりましてお世話をして参りたい。それからさらに就職をするよりは、やはりいろいろな関係もあって、自営業を行ないたい、こういう希望者もあるわけでございます。こういうような方々につきましてはいろいろございまして、私の方としてはできるだけの援助をいたすようにしております。一つの例を申し上げますと、たとえば福岡、大牟田等におきまして、タクシーの自営業を行ないたいという希望がございまするので、これは現地の労働局にも話し、都会地におきましては運輸省、現地におきましても陸運局等にも積極的に働きかけまして、その免許が円滑にいきまするように、目下依頼をしておるわけでございます。それから自営業の際の資金が必要でありますのでこれにつきましては、中央の関係各省を集めまして、推進本部におきまして、あるいは中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫等からの融資を好意的に行なうように、各省も了解済みでございますので、これにつきまして現地の県当局、もしくは援護会の支部等におきまして、推薦状をつけまして、好意的な融資をしてもらえるようにしております。また、金利の面もございまするので、これについては県とも話し合いまして、融資を受ける場合の利子の補給というようなことにつきましても、最近福岡等におきましては予算措置も講ぜられておるわけでございます。
 以上のようなことをからみ合わせまして、自営業、それから就職のお世話、さらに職業訓練所への収容、そういうようないろいろの手段を併用して、三池の離職者の方々の配置転換に遺憾なきを期したいと思っております。
#59
○小柳勇君 そうしますと、大半のめどもついたようでございますが、いつまでに失業保険の切れる者については延長の処置をはかっていただけますか。
#60
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険の期限は、六月ごろになりますると大体切れるわけでございます。このような方々につきましては、御希望によりまして、その以前に就職するという方につきましては、まだ期間も相当ございまするので、現地相談等の活発な措置によって配置転換をしていただくということにしていただきたい。それから、そこまでいかないというような方方につきましては、現地において職業訓練の希望が、非常に先ほど申し上げた通り、出ておりますので、訓練所に収容いたします。これによりまして、訓練期間中は失業保険が自動的に延長になると考えております。
#61
○小柳勇君 では職業訓練と離職対策については質問を終わります。雇用促進事業団の問題は、また大臣に一、二質問いたしたいと思います。
 次に、基準監督局長に、第三の問題でありますが、質問いたします。
 先般私は、一般質問のときに、国鉄の操車場、貨物編成駅などにおける照明度の問題について一、二触れました。この間の組合の団体行動の中で、照明が暗いので作業できないから、基準法通りにしてくれないかという要請が出ております。それが紛争の原因になりまして、馘首十二名という結果を招いたのでありまするが、作業面の照度ということで基準局から何か特別に通牒が出ておるのかどうか、お聞きしておきたい思います。
#62
○政府委員(堀秀夫君) 基準法で照明の照度の問題についての規定をいたしておりますのは、労働衛生の面からいたしまして、常時労働者を使用する作業面につきまして、精密な作業、粗なる作業、それから中ほどの作業、こういったことについて一定の照度を規定いたしておる。その点につきまして格別の指示を地方の局長にいたしたという記憶は私はございません。
#63
○小柳勇君 国鉄並びに運輸省に対して、除外例の通達か政令かお出しになったことがございますか。
#64
○政府委員(大島靖君) 国鉄に対して除外例の指示をいたしたことも私承知いたしておりません。
#65
○小柳勇君 国鉄の方では、操車場などにおける照明の基準という指示が出ておりまして、これが照明基準になっておるようです。労働基準法というものがありますが、勝手に各省、各公社などで基準法違反の基準を作って、全然法無視のようなことがやられておる。このことに対して労働脚として一体どういう措置をとられるか。
#66
○政府委員(大島靖君) 国鉄その他公社といったようなものにつきましては、基準法の適用につきましては、特に厳重にやるようにいたしておるのであります。また、現実に監督いたしました結果によりますれば、必ずしも一般より基準法の順守状況が悪いというふうには私承知していないのであります。
#67
○小柳勇君 労働安全衛生規則によりますと、粗なる面でも二十ルクス以上と書いてあるのです。ところが、国鉄の操車場照明基準によりますると、作業面で〇・一ルクス以上のような所もあります。あるいは一ルクスくらいをきめておる所もある。この基準法に全然関連しない、勝手の基準を定めているような気がしてならぬのです。ただ、この基準法に、炭鉱の坑内及び感光――光に感ずること、感光紙を取り扱うなど「その他」と書いてある。「その他」の中に国鉄の操車場などの照明が入るのかどうか、こういう解釈についてお聞きしておきたいと思います。
#68
○政府委員(大島靖君) ただいまの御質問は、労働安全衛生規則の百九十五条の問題であろうと思います。これにつきましては、先ほど申しましたように、「労働者を常時就業させる場所の作業面の照度は、左の基準によらなければならない。」として精密な作業、普通の作業、粗な作業、こういうふうにルクスを規定いたしているのであります。「但し、感光材料を取扱う作業場及び坑内等特殊の場合は、この限りでない。」として除外例を設けている。ただ、国鉄の操車場につきましては、ただし書きの特殊の場合としての除外例に当たるという問題ではなくして、御承知の通り、百九十五条の規定は、安全衛生規則の第三編の「衛生基準」という方に規定されているわけでございます。この規定の趣旨は、常時作業をするについて、注視している、そういった作業面、たとえば時計の修理をいたしまする際の、そういうような作業面についての規定なんでございます。従って、操車場全般の照度とか、そういった面についての適用の規定ではなくして、たとえば操車場の中にも、この規定のそういった作業面がございますればもちろん適用になりましょうが、たとえば運転司令室の表示盤でありますとか、あるいはそういった意味の作業面がございますれば適用になりますが、その他の点については、一般安全の見地からの規定ではございませんので、これが直ちに操車場全般に適用があるということはちょっと困難であるかと思います。
#69
○小柳勇君 それじゃ一般の安全の規定がどこにありますか。
#70
○政府委員(大島靖君) 労働安全衛生規則で、安全上必要な照度につきましては、また安全基準の方で規定をいたしておりまして、たとえば通路の照度というものにつきましては、正常な歩行を妨げないような照度、あるいは電気設備、スイッチ等の照度につきましては、適当な照明、あるいは港湾荷役の照度につきましては、安全上必要な照度、こういったような特殊の規定がございます。
#71
○小柳勇君 そういうような特殊な規定は、根拠はどこですか。何法によってそういう規定が出たんですか。
#72
○政府委員(大島靖君) 基準法の四十二条の安全の規定に基づいております。
#73
○小柳勇君 安全の規定から衛生安全の規則が出ているわけですね。そうしますと、それ以外には基準法はないわけですね、そうでしょう、そうしますと、今あなたがおっしゃったように、労働基準法のそこから出ているんですから、安全規則というものは、それ以外に国鉄などで、あるいはほかの公社、官庁などで、勝手に基準法以外に法律を求めてそういう基準を作ることはできないと思うんですが、いかがですか。
#74
○政府委員(大島靖君) 安全衛生規則におきまして、今申しましたような、特殊の場合の安全の照度につきましては規定がございまして、その他のものについては、安全な照度は必要なんでありますが、その照度につきましては、やはりしかるべき専門家の意見を聞きますとか、あるいは照明学会とか、そういった権威ある研究の結果に基づく照度を保持することが必要だと考えます。
#75
○小柳勇君 それじゃ時間がないようでありますから、基準局長も勉強しておられましょうけれども、安全衛生規則のあとの方に、そういう基準を作ったならば労働省の承認を受けよとか、それが違反がある場合には、あなたの方からいって作業をやめさせよということが響いてある。そういうものを無視して、勝手に公社などが安全規則などを作った場合に、災害のあった場合にだれが一体補償するか、災害補償の問題とも関連しまして、災害保険とも関連しまして、私はこれに関連があると考えますが、そういうことを勝手に国鉄がやっている。そういうことは監督も不備であるし、けしからぬではないかという見解を持っております。
 もう一つは、それに関連して、労働組合の方から、おたくの佐賀の基準局に調査を依頼して、あるいは福岡、熊本においても監督署に調査を依頼したが、これを拒否されている。これは労働省の責任であろうと私は思うんです。労働組合から正式に調査依頼があった場合、これを拒否するという権限は私はないと思うんです。この事実も先般御調査を願っておきましたが、この重大な労使紛争の段階で、基準監督上の調査を依頼された場合に、これを拒否するというようなことでは、これは労働行政を云々する資格はないと思う。この点はいかがですか。
#76
○政府委員(大島靖君) 先般予算委員会でございましたか、同じような御趣旨の御指摘がございました。当時私も具体的に承知いたさなかったのですが、その後様子を聞いてみたのでありますが、先ほど私が申しました法の条章の適用の問題等からいたしまして、そういうことがあったようであります。もちろんこの法の適用の問題について申告がございますれば、これは調査すべき問題であります。あるいはもう調査をいたしておりますか、また調査を進めておりますが、そういうふうな申告がありますれば、法の条章の適用の問題については、私は監督官として監督すべきものと、かように考えます。
#77
○小柳勇君 その問題については、私の方でも詳しく調査いたしておりまするが、現地の方を調査をなさって適当に措置してもらいたい。でありませんと、労働組合が基準監督行政を信頼しなくなります。そのことがまた労使紛争に輪をかけますから、適当に処置しておいてもらいたいと思います。
 それから最後に、労働省から、労働基準行政運営方針というものが、中小企業に対する労働基準法の適用を緩和するようなことで、各基準局、監督署に通達を出されておるようでありまするが、事実でございますか。
#78
○政府委員(大島靖君) 毎年労働基準行政の実施の基本方針については、もちろん全国の基準局長を集めまして、私から指示をいたすわけであります。今御指摘の、中小企業について特に法適用を緩和するとか、そういうふうの趣旨は現在出しおる記憶はございません。ただ、御指摘の問題は、おそらく是正基準といったような問題じゃなかろうかと思うのでありますが、この点につきましては、全般的に、中小企業にどう基準法を守らせていくかという問題につきまして、三十二年でありますか、臨時基準調査会の御答申に基づきまして、要するに、基準法というものが中小企業の実情に合わないからといって、この基準法を後退せしめるというべきではなくして、むしろ、やはり基準法の示す理想に近づけていくように、具体的な、漸進的、段階的に、中小企業は守っていくべきだと、こういうふうな御趣旨の御答申に基づいて、この是正基準というものもございました。ただ、この是正基準につきましては、現在のところ繊維産業について、従来繊維産業の、ことに深夜業の問題につきまして、従来是正基準というものを地方の局において設定いたしまして、漸次基準法に近づけていくためのステップを進めておる。それで、そこへ一たん進めて、さらに進む、こういうふうな形です。ただし、昨年以来、その是正基準についての全国的なアンバランスの問題がありましたので、昨年来、繊維産業の深夜業、労働時間の問題についても、やはり基準法に従って八時間、深夜業はもちろんやめてもらう。それから労働時間についても八時間、女子については二時間、六時間、百五十時間という制限がございますので、そういうものをあわせて労働基準法に合うような形で指導をする、監督をする、こういうことで昨年来やっております。私どものこれは年来の一つの問題点であります、繊維産業の問題は。私どもとしては、全国的に大体その水準に持っていけると思っておるのでありますが、ことに全国的にも、一、二カ所非常に困難な地点がございます。現在私どもとしては、相当な監督陣容をもって、その地域に対して集中的な監督を現在実施中でございます。これについては、単に労働基準法の監督ばかりでなく、通産省の繊維局の協力も求めまして、これは一つぜひ本年度中に実現したいと思っております。従って、現在のところ、別に是正基準という問題はございませんです。しかし、全般的には、中小企業として、まだ基準法の適用の十分でない面はございますが、これらは集団指導を通じまして、業者が一斉にやるということが何といっても一番大事なことなんで、従って、そういう形で中小企業の労働条件を、できるだけすみやかに基準法の線に合わしていくという努力をいたしたいと思っております。
#79
○小柳勇君 中小企業の方の基準法違反を公然と認めるような形があるわけですね、是正基準。逆に、たとえば看護婦とか電話交換手とか、女子に深夜作業を基準法で許してある面を逆に、たとえばそういう作業は月に四回に限るとか何とか、逆の意味の是正基準を考えることはできませんか。
#80
○政府委員(大島靖君) まあ前段の問題につきましては、今申しましたように、中小企業の労働条件についても、基準法違反を黙認する、それでやむを得ないという形ではなしに、後退せしめるのではなしに、ことに現状においては、やはり私どもとしては、何といっても労働基準法の規定は最低限のことでございますから、これだけには、一日も早く近づけていくように、私どもの方としては全力を注がなくてはいかんと思います。
 後段の問題につきましては、労働時間その他について特例の規定がございますが、この点については、業務の実態等からしてやむを得ないものと、こういうふうな形で除外例ができておるわけなんであります。ただ、総体といたしまして、この労働時間等の問題につきましては、女子、年少者についての、要保護者についての特別の保護を要しますし、ことに危険、あるいは衛生上有害な作業については、やはり長労働時間というものはできるだけ縮めていく、これが基準法に合っておる。基準法に必ずしも違反していなくても、衛生上有害であるとか、あるいは安全上危害のおそれのあるもの、あるいはトラック、ダンプカーといった、単にその労働者だけでなしに、一般大衆に危害を及ぼすようなもの、こういうものにつきましては、むしろ積極的に労働時間の短縮をはかっていく、かように考えております。
#81
○主査(東隆君) あと一問で一つとめて下さい。
#82
○小柳勇君 はい。あと藤田委員が待っておりますから、それじゃ最後に、この今の是正基準といわれる労働基準行政運営方針なるもの、これに関連したもの、そういう資料を早い機会に御提出願います。またこの問題については、別途の機会に社会労働委員会などで論議してみたいと思います。
 それから最後に、大臣、雇用促進事業団については、社会労働委員会でまた別途論議いたしまするが、職安局長が再三言われた、今度は雇用促進事業団ができるのですから、離職者対策も職業訓練も十分力を入れますということでございますが、初めの意気込みに比べて予算が少ない。私どもが極端に言うならば、住宅を作ってやることぐらいがこの法律の一番山ではないかという気がしてならんのですが、この事業団ができることによって、ことさらにどういうことをやってやろうと大臣は考えておられるか。たとえば職業訓練なり離職対策なりですね、あるいは労働力の誘導なり、どういうところに重点を置いておられるか。大臣の答弁を求めて私の質問を終わろうと思います。
#83
○国務大臣(石田博英君) 新しい項目としては、おっしゃる通り、労働者諸君の移動住宅を作るというのが、新しい付加された仕事であります。しかし、この事業団の成立によりまして、職業の訓練をさらに一段と積極的にやっていきたい。ただ、これは指導員の養成あるいは確保というものと並行いたしませんと実効が上がりませんので、その線とにらみ合わせて、やはりどうしてもある程度漸進的にならざるを得ないことを御了承いただきたいと存じます。この指導員の養成は、今年の四月の二十日から中央職業訓練所が開所いたしまして養成に着手をいたします。それと相待って拡大をして参りたいと存じておる次第でございます。
 それから、職業のあっせんは、事業団におきましては、広域職業紹介に重点を置いてやって参りたいと思っておる次第でございます。これは、私自身も、当初の構想から、かなり内容は項目をとったわけでありますが、規模において縮小せざるを得なかったことは残念だと思いますが、しかし、方法において、新しい橋頭堡とも申すべきものを確保いたしておりますので、その橋頭堡を広げることに努力をいたしまして所期の目的達成に邁進したいと考えておる次第でございます。
#84
○藤田藤太郎君 それじゃ、私、労働大臣は社労に来てもらってこまかいことをたくさんやりたいのですが、きょうは、少し具体的な問題をちょっと聞いておきたいと思うんです。一つは、失業事業保険、それから失対労務者の関係が一つ、その次は労災の関係、それから基準法の関係、ニトログリコールを中心にしたこと、これをお聞きしたいと思います。
 何か堀さんが一時過ぎから用事があるそうですから、失対の方から一つお聞きしたいと思います。失対賃金は、私はきょう大臣からお聞きしたいことは、労働省の要求が二七・五%、それから生活保護が二六%の要求であった。生活保護が一八%上がって、それから失対賃金が一五・六%上がった。そうすると、失対労務者というのは、一世帯一人ということに限られておって、適格審査できめられておって、そして働いて、ほかの人は仕事がないんですから収入がない。また、たまたま奥さんやその他の収入のある人があるかもわかりません。わかりませんが、しかし、たとえば生活保護の方とそれから失対賃金との関係をあわせて見ると、問題がだいぶ残っているようです。たとえば、東京で三人世帯の生活保護で受けている金が八千九百九十四円で、失対賃金の三百八十二円平均賃金で東京の人が八千六百九十円、四人世帯になりますと二万一千三十四円と生活保護ではなる。失対賃金がだいぶ安うなりますね。それを岩手県あたりの町村、三級地に来ますと、失対賃金は月二十一・五日働いて六千百二十八円ですね。最低の二百三円クラスですと四千六百八十八円。生活保護では四人世帯でその同じ地域で七千九百九十円ということになるわけですが、これは三人世帯で六千四百円ということになってきますと、これは憲法に基づいて、人たるに値する生活を維持しこの責務を持つという憲法の精神と、それに基づいて生活保護法の費用というものは、まだまだ足りないと私たちは思っておりますけれども、失対賃金というものがこれでは少し理屈に合わぬのじゃないかと、こう思います。これを抑えている根本というのは、私は先日も総括質問のときに言いましたが、法律に基づいてという緊急失対法の十条でPWの八〇から九〇というところに問題の拠点がある。だから、そこでこういうことになると言うのだと思うんです、大蔵大臣に言わせれば。しかし、生活保護との関係において、失対の賃金で生活している人は、これは単身で家族がないとは言えない。失業している人はむしろ世帯の中心者が失対労務で働いておるということになりますと、やはりその点ではこの失対賃金というものを再検討する必要がある時が来たのじゃないかという考えを持つんですが、これは大臣いかがでございましょうか。
#85
○国務大臣(石田博英君) PWとの関係は、さっき小柳さんの御質問にございましたのでお答えした通りでございます。失業対策事業の性質にかんがみて、今、PWの方式を改めることは考えておりません。ただ、その運用にあたって実情に即するようにやりたいと存じております。かつて消費者米価値上がりの際、PWの改訂を待たずに値上げしたこともございますし、今回はその低賃金率を最大限に考慮いたしました。また、重軽作業率も改めたのであります。
 それから生活保護との関連でございますが、これはそれぞれ建前が違いますので、これを相関関係を持たせて議論することはいろいろ問題があろうと思います。しかし、実質上はこれはやはり当然考慮しなければならないものでありまして、予算要求に際しましても、昭和三十二年の四月、前々回PW改訂のときとの両者の関係を考慮いたしまして値上げ率等も要求をいたしたような次第であります。その決定もそれを考慮された上になされておるのでありますが、その詳細が必要でごさいましたら、安定局長よりお答えをいたしたいと存じます。
 それから家族構成、その家族の労働の関係でありますが、御承知のごとく、生活保護の場合は、労働による収入がありますと、一定率を除いたものは控除されることになっております。しかし、失業対策事業の場合はそれと別でありまして、そういう点を考慮いたしますと、やはりまだ現在でも実質的に相当な開きがございます。詳細は安定局長からお答えを申し上げます。しかし、いずれにしろ、全体としての生活水準がなお低いことは、これは申すまでもないのでありまして、その向上について実効ある処置を検討いたしたいと存じております。
#86
○藤田藤太郎君 問題は、私はやっぱり政府が資金を出して失業対策事業をやっておるという建前でワクをきめなければいかぬという、この関連した議論から生まれてきて、八〇から九〇というようなところにそういう理屈がついておるんだと思うのです。しかし私は、PWそのものが、このようにいたしますと、やっぱり労働力の提供、需要と供給によって労働賃金というものはきまっていくのでありますから、そういうことでありますから、そこでワクをきめて、そうしてやるというところに無理があるんじゃないか、緊急失対法で。そういうことですから、これはほかに仕事があったら、実際問題として利益は来ませんわね。だから、そういう人の賃金というのは、働かしておいて、そうして働いておる人が、生活保護の全体の、一世帯当たりの収入が少ないということは少し理屈に合わぬのじゃないか。一番大きい支障を来たしておるのは、緊急失対法の十条の問題ではないかと私は思っております。しかし、今の賃金実態がPWとの関係でどうなっているかということをどんどん突っ込んでいきますと、ぴったりこの法律に合うかどうかという議論もあると思います。しかし、頭から先入観念的に、そういうものを置いておくというのにやっぱり無理がある。だから、そういう点を検討して、失対賃金というもののあり方を根本的に検討するときが来ているのじゃないか、私はそう思いましたから、大臣の意見を聞いておるわけです。たとえばPWとの関係、東京あたりと地方の地域においてどうなっているかという問題も出てくるわけです。しかし、先入観念的に、そういう法律で失対賃金をきめるんだというところに無理があるんじゃないか、こういう気がするわけです。これも一つ重ねて御意見をお聞きしたいと思うのです。
 それからもう一つの問題は、石炭手当の問題なんです。石炭手当は、一日百円にして、そして百八十日ということで二万八千円ですか、ということを労働省から要求をされて、石炭手当が一円ついたわけですが、ところが、内容はそうじゃないようですね。だから、今度実施される石炭手当は、具体的に北海道の方々にはどれだけの石炭手当がつくのか。それからまた寒冷地とか薪炭手当が、東北から初め行なわれておるのでありますけれども、この関係は将来どういう工合にお考えになっておるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#87
○国務大臣(石田博英君) PWとの関係は、先ほど申し上げました通りの見解を持っておるのであります。
 それから石炭手当の問題は、要求はただいま御指摘の通りでありますが、現在きまりました一円というものは、石炭手当という名目ではございません。しかし、これは実費的に一日平均二十円程度になると思います。今までの失対賃金、特に北海道は東京と大体同じになっておるわけでありますが、これはやはり北海道では、そういう燃料費その他の事情で、そういうものが要るのであるという観点が、相当加味されて配分をいたしておるわけであります。
 それから地域差の問題は、順次実情に合うように増額の機会に調整をいたして参りたいと思っております。さらに東北その他の寒冷地、あるいは木炭手当等の問題につきましては、やはり他の給与との関係もありますので、将来実現方に努力をいたしたいと思っておる次第であります。
#88
○藤田藤太郎君 一日二十円ということになりますと、本人にはいつからいつまで、総額でどれだけの額が結局一人に支給されることになりますか。今、大臣は地域差の問題についてとおっしゃったのは、何を意味しているのか知りませんが、寒冷地手当、薪炭手当を含めての地域差の問題とおっしゃったのか、北海道だけでこの二十円の問題で地域差をつけるということなのか、そこのところはっきりしなかったのです。
#89
○国務大臣(石田博英君) 地域差と申しますのは、都会地といなかとか、あるいは都会地相互間とか、そういうものにおける失対賃金の差のことを申し上げたのでございます。
 それからあとの問題は、局長からお答えいたします。
#90
○政府委員(堀秀夫君) 北海道の石炭手当につきましては、ただいま大臣からお答えありましたように、石炭手当という名目ではなしに、賃金の増給措置という考え方で、とりあえず実施をいたしたいと考えているわけでございます。一日大体二十円にいたしまして、二十一・五日稼動といたしまして、これは四日三十円になりますか――二十一・五倍いたしますと四百三十円。それを六倍いたしますから、大体二千五、六百円程度を積み上げて支給する、こういう考えでございます。この点につきましては、いろいろな問題がございますが、現在の北海道の賃金そのものが、寒冷地であるという実情を勘案いたしまして、また、そのためにその地域における一般の賃金が高いということを反映いたしまして、大体東京に近いような額になっている。全国では最も商い額になっております。しかし、それだけでは、やはりいろいろ冬の間のことを考えると足りないであろうという考え方からいたしまして、とりあえずの措置といたしまして、それに冬期は二十円を積み上げて支給する、こういう考え方でございます。
#91
○藤田藤太郎君 北海道は東京に近いというのですけれども、東京を一〇〇にしたら、北海道はどのくらいになりますか。
 それからもう一つ、公務員の給与、地域差がありますが、北海道は東京と比べてどんな工合ですか。
#92
○政府委員(堀秀夫君) 公務員の地域差、あとからお答えいたしますが、失対の賃金につきましては、北海道の一級地は東京と同じでございます。あと地方の、北海道の他の地域の方に行きますると、それよりやや減っておりまするが、大体東京に準じている。一級地は東京並みということでございます。
#93
○藤田藤太郎君 そこで、失業保険の今度改訂をおやりになるのですが、これは社労で議論したらいいと思いますが、大筋だけを一つ聞いておきたいと思うのですけれども、失業保険の今度は上が三百三十円ですか、それから二百四十円、それから下が百七十円ですね、そういうことになるのですけれども、百七十円という失業手当が、たとえば賃金の大剛なら六割ということになるわけでしょうけれども、百七十円では少し無理じゃないんですか。だから、むしろ少なくとも二百円以上に失業手当の支給を上げてあげるというのが、政府みずからの手できめた地域差によって、そうしてその地域差の中の、地域の中の業務分類によって、賃金がずっと格差があるわけですから、それを一番下の方を、百七十円では少し無理じゃないかと私は思うのですけれども、考え方だけを一つ聞いておきたい。
#94
○政府委員(堀秀夫君) 今回の失業保険の改正法案の主要点は、今御指摘の通りでございます。そこで、定額表を改正いたしました趣旨は、最近における日雇いの一般賃金の上昇傾向にかんがみまして、その内容を改善しようということでございまして、大体日雇い失業保険受給者の平均賃金が、来年度におきましては三百九十七円になるという推定をいたしております。平均いたしまして三百九十七円。そこで三百九十七円の六割ということにいたしますると、二百三十何円という額になるわけでございます。それを切り上げまして二百四十円、これを平均的な第二級の保険日額にしたわけでございます。しかし、その見当で参りますると、ただいまのものは平均の日額でございますが、この今までと同じ、従来の賃金の基準、それによりまして保険金の日額を差別をつけておるわけです。それが二百八十円というのが基準になっておるわけです。ところで、二百八十円未満は従来は百四十円であった。ところが、今度そのあれで参りますると、かりに二百八十円未満の最高をとってみまして、二百七十九円でございますが、二百七十九円の六割ということになりますると、百六十数円ということにやはりなるわけでございます。そういたしますると、その六割原則をとりますると、今お話のような低賃金の方には非常にお気の毒であるという考え方からいたしまして、今回の改正法案の作成にあたりまして、それはもう特に百七十円ということにいたしました。これはまた従来の百四十円ということからいたしましても、二割以上のアップになっておるわけでございます。そういうわけで六割原則をむしろ固執しませんで、低賃金については今までよりも上げると、そして今までの二百円、百四十円の格差というものはそのまま繰り上げていくという考え方で百七十円というものをきめたわけでございます。まだこれでも不十分じゃないかという御批判もあろうかと思いますが、この二百八十円未満ということになりまして、下がずっとあるわけですけれども、その場合におきまして、従来の受けておった賃金と同等あるいはそれよりも上回るというような面も技術的に出てくる向きがあるわけでございます。そういうことではやはり失業保険の本来の原則、建前からいたしまして工合が悪いと考えまして、しかし、六割原則は低所得者についてはとらない、高いところをとる。それから今度の引き上げによっても、この階級の方は保険料も従来通り据え置くと、これは保険経済をある程度無視しましてそのような考え方をとったわけでございます。なお不十分な点もあると思いまするが、そういうような根本問題につきましては、目下社会保障制度審議会に、総理大臣からも総合調整の諮問をしておりまするので、その根本検討の際にあわせて検討していただきまして、後刻の根本検討に譲りたい。さしあたりは日雇い賃金の最近の上昇の傾向にかんがみまして、ただいまのような措置をとりあえず……これが改正法案の主要点でございます。
#95
○藤田藤太郎君 この問題はよくわかりましたが、しかし、何といっても失業保険というものは、やっぱり仕事がないから失業保険をもらうんですから、やっぱり生活ができるということが基礎なんですから、上の方は六割原則でもいいかわかりませんが、下の方は八割にするとか、収入において配慮をする必要が私はあると思う。
 それで失業保険関係でもう一つ、大臣に聞いておきたいのですが、失業保険がことしの三月現在で九百四十億円ある、積立金が。金がたまっていくと、いろいろなところに使いたくなってくるということで、いろいろなところに使われているわけですけれども、この議論はあらためてしますが、どうですか、ここで聞いておきたいのは、あの失業保険の改正法の中で日雇いの部分だけは出ていますけれども、一般の失業保険の内容、給付の内容の改善とかなんとかいうことが出ていない、政府は失業保険の国庫負担を四分の一にした。だけれど、最近では失業保険の積立金がどんどん出ている。だから、今失業している人は不幸な人です、全然失業保険の対象にならない失業者が多いわけですから。それはここで議論をいたしませんが、やはり対象になって失業保険をもらう悲しい人に対しては、もっと給付を優遇してあげるというようなことを、この際やはり考えるべきだと思うのですけれども、大臣はどう考えておられますか。
#96
○国務大臣(石田博英君) 給付割合は、まず内容改善と申しますと、給付割合あるいは給付期間、いろいろあると存じます。給付割合は国際的な一般の通例に従っておるわけでありますが、給付期間の問題は御承知のように三、六、九のそれぞれに分かれております。三カ月の分は特殊な性格でありますが、六、九の問題については、私は検討をすべき問題だと思っておりますが、これは保険というものの性質から、保険というものは、かけた期間によって云々ということよりも、事故の発生したことによって給付さるべき性質のものでありますから、かけた期間がそれに強く影響するということは、私はやはり問題だと思いますが、そういう点は検討すべき問題だと存じております。ただ、実質的には、たとえば石炭の場合、駐留軍等の場合、実質的には延長の措置をとっておることは御承知の通りでございます。
#97
○藤田藤太郎君 それでは、何か用事があるようですから、失業保険、この関係についてはもうこれでやめます。
 それで、労災保険の問題についてお聞きしたい。労災病院が今賃金、給与の改善で、要するに福祉事業団との間に非常に長い争議が行なわれていると思うのであります。これが私は、労働者の災害補償法の最もよいのは労災保険の組織だと思うのです。だから、この労災の、具体的に負傷、疾病したときに治療する医療機関がやはり正常な形でないということは、私は日本の産業発展のためにもいいことじゃないと思うのです。だから、そういう意味で、この労災保険において行なわれている争議というものは、一日も早く解決することが望ましいわけですが、しかし問題は、労働者の労働条件が低いから要求ということになってきている。それが話がつかぬということでありますが、労働大臣は、この労災保険病院の争議等の問題について、今日までどういう指導をされてきたか、そうしてどういう工合に今後この問題について処置をしようと考えられておるか、それをお聞きしたい。
#98
○政府委員(大島靖君) ただいま御指摘の労災病院の争議につきましては、かねて全労災の組合から八千円のベース・アップの要求がございまして、当局、事業団との間で主張の対立がございまして、中労委のあっせんをお願いいたしておったのでありますが、あっせん不調になって、去る三月九日から、外来部門の無期限ストに入っておるわけであります。現在のところ、まだ組合側の八千円要求、当局側といたしましては、大体において公務員に準ずるような待遇の改善をいたしたい、こういう主張の間にまだ相当な懸隔がございまして、まだ解決のきざしが見えないのであります。もちろん私どもといたしましては、一日も早く解決いたしまして、労災病院の使命達成に支障のないように願いたいと思っております。
#99
○藤田藤太郎君 私はこの労災病院というのは、私がここで申し上げるまでもなしに、労働災害を受けた人々の療養治療をする病院でございます。要するに産業安全の立場から診療所を作り、そうして病院も作ることは、労災を受けた方々に対する問題とあわせて、労働者の健康上の相談等の問題から見てよいことであります。昔は基準局の労災補償課で積極的な指導をおやりになった。今、労災補償部になりましたが、本来は労働省が直接おやりになる事業であってよいと思うのであります。福祉事業団ができました。そうすると、そのためにその職員の給与が公務員とえらい差がついてきた。本来、この種の病院というのは、たとえば厚生省関係では年金病院、健康保険の関係の病院、船員中央病院という工合にあるわけです。この種の病院というのは施設から建築から全部政府が持ってやるわけですから、そこに働いている人は最もよい医療行為を行なうわけですから、公務員には年金その他共済制度とか、そういう制度があって身分を保障しておるわけです。こういうところにおいては給与は公務員に準ずるのでなしに、公務員以上の待遇をしてあげなければ、これは理屈に合わなくなってくると思う。だから、それはその問題を私はここで深く言うわけじゃありませんけれども、しかし、その福祉事業団が委託されてやっているという中においては、このことはやはり労働省の基準局、労災補償の労災保険の特別会計というところから出てくるのですから、やはり労働省が給与その他の労働条件のめんどうを見てあげなければ、争議は解決はせないのじゃないかと思うのです。ただきまったものを今までの慣例に沿って福祉事業団に支給している、あなたのところは勝手にやりなさいということだけでは、私は労災補償の意義というものがにじみ出てこないじゃないか。だから、時宜に応じてやはり給与問題やその他の問題も十分に心配をして、そうしてそれだけの手当を労働省が考えていくということでなければ、この問題は解決しないのじゃないかと私は思う。だから、そういう点は、あれは福祉事業団の従業員で、福祉事業団に雇われておる人だから労働省に関係がないという考え方があれば――労働省はまさかそういうことはないと思いますけれども、そういう感じが労働省にみじんでもあったらこの争議はいつまでたっても解決しないのじゃないかと私は思う。だから、そういうことで真剣にこの労災保険病院のよりよい運営というものを期待する立場からそういう手当をされているかどうか、それをお聞きしたいのです。
#100
○政府委員(大島靖君) 藤田先生、かねがね労災病院の争議の問題については、格別の御心配をいただきまして、われわれも恐縮いたすわけでございます。お説の通り、なるべく早く解決していただきたいと期待するわけでございますが、現在のところ、労災病院の職員の一般的な給与につきましては、公務員よりも若干高い水準にあるのであります。一般的な公務員のベース・アップもあったことであり、できるだけ公務員に準ずるような形において処理したいと事業団は考えておる。ただ組合の方の主張となお懸隔があるわけであります。ただ、もちろん労災保険経済から出資金ないしは交付金という形でお金は出ております。これが基本になって事業団で病院を運営いたすわけでございます。ただ人件費の増高に伴って出資金ないし交付金の点を考慮するということは、これはちょっと建前の点から不可能なのであります。ただ運営をいたしまして、病院の効率的な運営を期待するといったような点で、今後さらに事業団においても、企業努力を続けてもらいたいと期待しております。要するに、先生御心配の通り、一刻も早くこの種の争議は円満に妥結いたすように希望いたしますし、また私どもとしても、応分の努力をいたしたいと考えております。
#101
○藤田藤太郎君 だから私も――時間がどうも限られているのであまりやれないのですが、ただお願いしておきますことは、やはり労働省がこの種の問題についてめんどうを見るのだという心がまえがあれば、私はうまくいくんじゃないかということを期待しておるものですから、それだけをお尋ねしておるところでございます。
 それからもう一つの問題は、ニトログリコールの火薬製造から出てくるこの害ですね。人体に害を与えて、今、少し問題になってきておるわけです。ところが、実際上としては、そこで働いているそのような雰囲気ですか、その製造場にやはり長くいるほど感染の率が多くて非常に害がある。この関係の労働者の方から、今三社しか実際にやっていないわけですが、この労働者の方々から非常に強い要求や要望が私は基準局にも来ていると思うのです。だから、たとえばそこに働いている、その場にいる時間を、その審が空気にまじっているわけですから、その時間を短くするとか、また深夜作業をやらさないとか、そういういろいろの処置が私は必要の段階に来ていると思うのです。だから、法律上としてどう取り扱うか、それから実際上としてどういう工合に指導をしておられるか、ここを一つ聞いておきたい。
#102
○政府委員(大島靖君) 火薬工場におきますニトログリコール中毒の問題は一昨年、ことに昨年来非常に大きな問題でございますので、私どもの方では労働法準審議会におきまして、この対策について御検討を願っておったのでありますが、昨年暮れ押し詰まりまして、十二月の二十八日に基準審議会の衛生部会と安全部会両者合同の結論として、ニトログリコール中毒に対する緊急対策の御答申をいただいたのでございます。私どもとしましては、即日この緊急対策を三社四工場に対しまして指示いたしまして、この対策の厳守をしてもらっております。対策の内容といたしましては、ニトログリコールの配合率を四〇%以上にしない、それから各種の作業工程に応じまして保護服、保護手袋、マスク、こういった保護具を着用する、それから定時的に空気中の蒸気の濃度を測定する、それから全員にわたって健康診断を実施いたしまして、もし異常所見が出て参りますれば、職場の配置転換でありますとか、あるいは時間の短縮とか、そういったしかるべき処置を講ずる、こういったのが緊急対策の内容をなしております。ただ根本的に一番大事な点は換気、通風の装置でございまして、これについては、その答申が出ます前に各社に指示いたしまして、この改善を急いでもらっております。大体、各社数千万円をかけまして、今月中には大体完成する模様であります。その間におきまして、今申しました緊急対策を実施いたしてもらい。今の施設の改善がなされましたあとにおいても、さらに中毒症状が出て参りませんように、また出て参りましたものについての治療対策、こういったものにつきましては、労働衛生の専門家を中心にいたしまして検討を願っておる段階でございます。この点につきましては、今後ともさらに緊急措置と並行的に恒久的な措置を検討いたしまして、労働者の保護に当たりたいと考えておる次第でございます。
#103
○藤田藤太郎君 それで今の関係ですが、今四〇%以下云々というお話がありました。だから、それを聞いているとこれはなかなか効果があるようですが、この病気にかかって、災害を受けてなくなられたような人が、ニトログリコールによって受けて、たとえば死んだとか、どうこうという結論が今の医学上に出ていないというのが一番大きい欠陥じゃないかと私たちは思っております。だから、そういう点の分析その他についても、私は医学上の問題は直接厚生省なら厚生省が職業病としてのもっとはっきりした医学理論と申しましょうか、実態というものをやっぱりつかむように努力をしてもらいたいと思うわけです。それでないと、今まで置いてきぼりになっておったというのは、これはニトログリコールによって出てきたという結論が出てないもんだから、表に出なかったということになっていると思うんです。こういう点なんかも十分に一つ注意をしてやっていただきたいし、今のお話にありましたようなことについて、私たちは何とか、せめてここでそういう悪い空気に触れるような時間を短くするような処置を緊急にしてもらわなければいかぬのじゃないかと、こう思っていますし、労働省としても、それはもっと私は真剣に考えてもらいたいということを考えているのですよ。だからその点を十分に、病原体の突きとめ、それから来る処置というような問題については、もっと深く入っていただきたいと私はお願いしておきます。そうでないと、何かほとんど、私が聞いたところによると、そこで働いているのを実際に調査したら八〇%も九〇%も感染をしている。その働いておる人の八〇%から九〇%の人がそういう病原体を持っておる、こういうように聞いておりました。ところが問題は、そこの工場に、上工場には工場の産業経済、要するに経理といいましょうか、自分のところの利益のために、お医者さんにこういう失礼なことを言ったらいかぬのだけれども、やっぱり会社の経営という立場から、診察をするのにもそういう立場から診察、健康診断をしているというのです。だから、そこで働いている人は何らかの原因によって八〇%も九〇%もかかっていると思っているのに、その会社工場内における健康診断というものは、そういう結論にはちっともならない。だから労働者の方から一つ健康診断の立ち会いをやってくれ、こういうことを言っている。これはお医者さんの人格上、そういう格好で立ち会い診断というようなことはできないと思いますけれども、ほんとうにそこに働いている人が納得するようなお医者さんを選んでそうして健康診断をやるということの処置が必要ではないかと、こう私は思うのです。だから、そういう点もどうか含んでやってもらいたい。今の最後の問題はさしあたった問題として、時間の短縮をしたり、夜勤をやめたり、それから今の健康診断は、そこに働いている人が、あのお医者さんならというような、そういう格好でやるような処置というものを緊急な処置としてどうでしょうか、おやりになるお考えがありましたら一つ。
#104
○政府委員(大島靖君) お説の通り、この中毒症状は非常に判定困難な模様であります。ただ業務上の傷害、労災保険の関係もありますので、この一月の当初から専門家の間で中毒症状と業務との関連の問題、認定基準の問題、それから健康管理の問題、こういったものを一月の当初から御研究を願っておりますので、この点につきましては、ほどなく、近く御答申がいただけるものと思っております。なお、お話の労働者の不安という問題につきましては、もちろん必要なことでございますので、労働者側の信頼、安心を得られるような処置を講じたいと思っております。
#105
○藤田藤太郎君 これはまたあとで。
#106
○主査(東隆君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#107
○主査(東隆君) 速記をつけて。
#108
○大谷贇雄君 文部大臣に対して、私はこの分科会に出席することを要求しておいたのですが、文教委員会に出席しているためここには来れないというやも得ざる事態に立ち至ったことを遺憾十万といたす次第でありますが、わが名主査のお取りなしですから、了承をいたすことにいたしまして、石田労働大臣にのみお尋ねをいたす次第でございます。
 それは先般ILOに対しまして、わが日本教職員組合が提訴をいたして、おる問題でありますが、一体、こういうことは私は日教組というものはトラの威をからんするキツネのような態度であって、まことに遺憾千万。国際的に日本の学校の先生というものが恥を世界中にまき散らすバチルス的やり方であると思うが、労働大臣、もっていかがとお考しえでございますか。
#109
○国務大臣(石田博英君) 元来、国内において処理せらるべき性質のものを外国の問題に持ち出していくという傾向は、私は好ましくない傾向だと思います。しかし、これを適法な手段によって提出されたのでありますから、日本政府はその所信を明らかにいたしましてILOの舞台において世界の判断を持つという態度でございます。
#110
○大谷贇雄君 まことに適切な御答弁でございます。私は暮れの十二月二十七日にジュネーブへ行きまして、さらに十二月三十一日、大みそかに、この問題につきまして、みずからわざわざジュネーブでその調査検討をしてきたのでございます。ということは、荒木文相、日教組と会見をしない、その必要なしと断固たる信念をもって貫いておる。まことに、日本の荒木文部大臣は、さすがに九州男子で日本古武士の風格を備えておるりっぱな政治家であり、また日本の教育の健全化と、そのあり方を正しい姿にしなければならぬ、こういうことで奮闘しておる、まことに見上けたる、彼、荒木萬壽夫でありますから、従って、もしそれILOの本部等において、この正しくきぜんたる古武士の風格を持つ文相が、日教組に会わぬということをもって、荒木文相は頭がかたくなである、こういう印象を世界各国に与えるというようなことあらば、これは容易ならざることであるということで、私は忙しい旅程の二日間をさいて、この問題に対して、各国の人々に対して、日本の日教組の実情、荒木文相の正しさを、確信をもって、私は言ってきた次第でございますが、一体、この日教組という団体は、これは労働組合であると労働大臣はお考えでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
#111
○国務大臣(石田博英君) 公務員でございますから、公務員法の規定を受けるものでありまして、労働組合法の適用を受ける意味の労働組合ではございませんけれども、職員あるいは雇用者の団体という意味において労働組合という一般的概念の中に入るといっても、これはそうでないという議論の対象にはなりません。ただ法律上は地方公務員法、教育公務員法の規定を受けるものでありまして、労働組合法からは除外されております。
#112
○大谷贇雄君 その通りだと私も思います。職員団体である。日教組自体は、各府県の職員組合である教職員の団体の連合体で、地方教組はあるのである。日教組とううものは、そのまた上の連合体であるというにすぎないと思いますが、その点はいかがお考えでございますか。
#113
○国務大臣(石田博英君) これは私のお答えする範囲ではございませんけれども、今まで文部大臣はかつて委員会でそのように御答弁なさっていたと記憶をいたしております。政府の見解も、文部大臣の見解に同じであると思います。
#114
○大谷贇雄君 政府の閣僚の一員として、文部大臣のお考えと一致をした御見解を承った次第でありますが、従って、私どもは、日教組なるものは、これは連合体の連合会であって、これは任意団体の複数的連合体である、その任意団体であるものが、これはゴルフ・クラブとか、ベレー・クラブと同じようなものだ私は思っております。従って、そういうものが、そういう団体が、荒木文相に会わせろというようなことを言い、荒木古武士はけしからぬというようなことの提訴をILOにしておるということは、そのこと自体が私はまことに誤れる認識に立った考え方である、かように存ずるのでございますが、これは、労働大臣としての立場では答える範囲でないと仰せになるかもしれませんが、政府代表石田大臣としてのお答えを願いたいと思います。
#115
○国務大臣(石田博英君) 日教組がいわゆる労働組合法のいう意味の、つまり日本の国内法の労働組合法の適用を受ける労働組合ではございません。しかし、日教組は国際自由労連にも加盟をいたしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、日教組がILOに提訴すること自体、それは日教組の自由であります。しかし、その日教組の提訴した理由が正しいか正しくないかということになりますと、先ほどからお答えを申し上げております通り、日本政府は日本政府としてそれに対立する見解を持っておるのでありまして、その対立する見解を明らかにしてILOの判断を待っておる次第であります。
#116
○大谷贇雄君 そこで、日教組はその倫理綱領の中に、われらは労働者なりと書いておる。労働者だからスト権をよこせと、こういうことがILO本部に対しての提訴の要望の一つであるわけでありますが、教員というものは、これははたして労働者でございましょうか。
#117
○国務大臣(石田博英君) これはもう労働者という言葉の固定された世界共通の通念というものは、別に定まったものではございません。一般的概念であります。しかし、日本の国内法では労働組合法の適用を受ける労働者の団体とは考えていないわけであります。また労働者には御承知のように、一般的に団結権、剛体交渉権、争議権、いわゆる労働三権というものが与えられているわけであります。しかし、それは公務員の場合にはそれに制限を加えられることもILOの条約の認めるところでありまするし、国際的な通念でもございます。従って、教育公務員に対して争議権を与えてなかったという日本の現状は、ILOの精神と、われわれは、ILOの批准いたしました条約と背馳いたしておるものとは考えていないのであります。
#118
○大谷贇雄君 そこで、日教組の諸君はスト権よこせ、スト権よこせと、天下晴れてこのストをやりたいという切望に燃えて、ああいう提訴をしておるのでありまするが、世界各国の中で一体そういうような、われにスト権をよこせというようなことで狂奔をし、また世界各国に提訴をして、トラの威を借りようなんというような、そういう教員組合等はございますか、どうです。
#119
○国務大臣(石田博英君) 教員組合がスト権をよこせという提訴を、よその国でもやっておるかどうかということは、寡聞にして存じません。存じませんということは、あるともないとも私は申し上げることはできませんが、しかし、ストライキ権というものは、先ほども申し上げました通り、労働三権の一つでありまして、それに理由なくして制限を受けておる場合におきましては、そのスト権というものを確保する運動が起こるのは各国の通例であります。
#120
○大谷贇雄君 そこで、地方公務員である教職員というものが、その任意団体の地方連合会、さらにその全国連合会がスト権よこせ、スト権よこせといって世界中にふれ回っておるということは、私は冒頭申しましたようにです、まことに日本国民の一員としてお恥ずかしいことで、まことにお恥ずかしや恥ずかしやという次第であります。
 そういう点から考えまして、世界各国の状況につきまして、今労働大臣はです。その点は寡聞にして承知せずというお話でございましたが、法的に学校の先生がスト権を認められているような所は、世界広しといえども、どこの国にもないと私は承知しておりますが、その点はいかがでございますか。
#121
○国務大臣(石田博英君) 教育に従事しておる公務員という実例については、これは私はちょっと承知いたしておりませんから、そういうふうに分けた場合のことについては、いずれ国際労働課長なり、あとで調査した上でお答えをいたします。ただ、公務員という場合になりますと、これを一般の労働組合と同様に取り扱っている国もございます。それからそうでない国もございます。一般の労働組合と同様に取り扱っている国の実例、イギリスなどは一般公務員と同じに扱っております。それからフランスも、一般公務員と同様に扱っております。ただし、アメリカとか西ドイツとかは、制限を加えておるのであります。そういうふうに、各国それぞれ実情に沿って、あるいは歴史的な状態等に沿って違っておりますから、一般的に地方公務員、国家公務員に制限を与えることそれ自体がILOの条約に違反するものとは考えておりません。
#122
○大谷贇雄君 アメリカの一部でも、あるいはフランスの一部でも、ストをやったような学校の先生があることは、私どもも承知しております。しかし、フランスなどでは、それは私立の学校の先生がストをやったのであって、公立の、パブリック・スクールの先生がスト権よこせ運動や、赤旗デモをやったなんという例は、私、また寡聞にしてこれを承知しておりません。アメリカのごときは、御承知の通り、ノン・ストライキということをはっきりと教員組合はその規則の中にうたっておるのであります。日本の教員組合だけは、安保反対闘争、勤務評定反対闘争、道徳教育反対闘争と、闘争がよっぽどお好きであると見える。学校の先生なんというものは、私どもは、労働者とは断じて考えておらない。おそらく日本国民全体が、われらが先生と敬い、聖職、尊い職にある人々だとの考え。自分たちの子供の人格完成のために親切に導いて下される、普通の職業とは違った人であると、だれしも考えておるのが、日本国民の真情であるのでございます。しかるに、文部省が道徳教育の講習会を開こうとすれば、教員組合は宿屋まで乗り込んでいってじゃまをする、仙台のごときは、宿屋の周囲に何百人、何千人が集まって、そうして一晩じゅう騒ぎたてて、校長さんたちを一睡もさせない。宿をあくる朝、出ようとすると、そのバスを取り囲んでしまって、講習会場に行かせないというような、あるいはまた高知、愛媛に起こりましたような、勤務評定反対闘争をやって、子供をほったらかしにして授業を放擲して、高知のごときは御承知の通り、あの村の先生の全員が子供たちをほったらかしにしておいて組合の会合に出ていってしまう。一体、教育公務員は、憲法の明記するところによって、国民は教育を受ける権利がある。また親は教育を受けさせる義務がある。しかるに、その権利義務を放擲をし、踏みにじつてそうして組合の大会に出ていくというような、まことに不届き千万な、日本の教員組合の実情であることは、非常に遺憾であります。従って、そういうような教員組合の連合会が日本にあるということは、私は日本撹乱の魔の手に踊らされておるものと、深く確信をいたし、深く憂うるものでございます。私どもは、労働大臣が所管の日本の労働組合の健全な発達を念ずることは、労働大臣と同じ思いで、私もその心きわめて労働連動の健全化に対して熱烈なるものがございます。そうして労働者と経営者とが、互いに手をとってやっていくということが、私どもは日本の経済繁栄をもたらすゆえんであると思う。そこで一体、西ドイツ――私は先般西ドイツのアデナウアー首相八十五才の誕生日にお招きを受けて参りましたが、西ドイツなどにおきましては、一体日本のような、日本の総評のやるような――今度も御承知の通り、春闘をやる。国会をまた、十万人で取り囲もうというスケジュールもできておると聞いておりますが、こういうような政治ストをやるようなことが、西ドイツ等では行なわれておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
#123
○国務大臣(石田博英君) 政治的な目的を中心議題として労働争議を行ないました場合におきましては、労働組合法上の保護は受けられないわけでありまして、他の法律によって処断されるわけであります。西ドイツにおける労働立法の中に、そういうことが具体的にどう規定してあるか、詳細私は存じませんけれども、労使間は安定をいたしておると承知しております。
#124
○小柳勇君 ちょっと、議事進行。
#125
○大谷贇雄君 君、まだ時間は二時までという話だったじゃないか。あなたがだいぶ長くやり、藤田両氏とでだいぶ長くやったんだから、私は十五分に終わるのが、あんた方がだいぶやったのだから、僕は二時には終わることにしたらどうですかね。
#126
○小柳勇君 議事進行について。初めに労働大臣も発言しましたように、日教組は文部大臣の主管下にあって、地方公務員法で動いておるわけです。労働大臣の管轄において、労働連動の現制の中では労働大臣は答弁されますが、その答弁の中にちゃんとワクがあるわけです。それで、委員会における、あるいは本会議における発言は、院外では責任は問われませんが、自分の主観、日教組に対する主観でもって教組を誹謗して、あとその質問の本意が、労働大臣主管以外のことをここで質問されるということについては、私どももここにおりますから、委員の一員として参加しておりますから、その発言については、いるだけで責任がありますから、主査から質問者に御注意されて、労働大臣に対する質問を中心にして、別の機会で、その場で、あるいは街頭演説もありましょうし、その場で、そういう主観は述べられることを、私は主査に注意していただくように、お願いしたいと思います。
#127
○大谷贇雄君 了承。しからばよろしい、私は必ずしも日教組を誹謗した覚えはございません。ありません。この点申し上げる。教員が間違ったやり方をしておることを正すべきが日本国民として当然のことです。そこで、それでは労働大臣に伺いますが、今、西ドイツの状況について、私は質問をいたしたのでありますが、西ドイツにおける、一体、労使の関係はきわめて安定しておるということであります。また政治スト等はできぬというお話でございましたが、一体、西ドイツにおいては、労働組合の動向はどういうことで安定をしておるとお考えになっておりますか。その点御承知であれば伺いたいと思います。
#128
○国務大臣(石田博英君) その国の労働組合の動き方、労使間の関係というものは、一つには、その国における法体系によることも多いと思います。しかし、もう一つには、やはり、歴史的な長い経験、それからその民族の持っておる素質、そういうものに影響せられると思うのであります。西ドイツの場合、私の私見を申し上げますならば、西ドイツに限りませんけれども、ヨーロッパ、アメリカ等、先進国における労働組合の歴史というものは非常に長いのであります。その長い期間には、もとよりいろいろなことがございました。そしてそのいろいろの経験を通して労働組合それ自身の安定が、労使関係の安定が今日既成せられております。また一方西ドイツにおきましては、鉄鋼、石炭等基幹産業に対しましては、いわゆる共同決定法その他経営に対する労働者の参加の規定、合議の規定等が設けられておりまして、進んだ労使間の理解と相互信頼の基礎の上に、法体系が立てられているというところに、大きな安定の要因があるように思われます。さらにそれ以上の大きな根底は、やはり西ドイツの著しい経済の復興であろうと思います。その復興を目ざすための努力が実りまして、目ざすための共同の努力が実って、その努力に対する分配がやはり正しく行なわれているというところに、私は安定の基礎があるように思うのであります。
#129
○大谷贇雄君 私も大体しかりと思います。しかしながら、これはこの西ドイツの国民というものが、経済復興ができたから、また正しい分配ができているからというようなお言葉がございましたが、それは私はしからずと考えで、おります。それはドイツ民族の魂は、何度も何度も国破れても、自分の祖国を立ち上がらせなければならぬ、そのためには労使全く相提携をして、そして国の復興と繁栄を来たさなければならぬ、この燃ゆるがごとき祖国愛が前提となって、労使安定をせしめているものであると思う。これが根本である。経済が繁栄をしたから、復興をしたから、正しい分配ができるから労働争議が少ない、かような考え方は私のとらざるところでありますが、その点いかがお考えでございますか。
#130
○国務大臣(石田博英君) ドイツ経済を今日の復興に導いた根底の中に、私はドイツ民族の民族性と、その資質はもとよりであります。そうしてそれを目ざしての共同の努力も事実であります。しかし、その共同の努力があって繁栄がもたらされた後に、正しい分配が行なわれなければ、やはり安定はないのでありまして、そのもたらされた繁栄の上の分配が正しく行なわれているということが、今日の安定の基礎である。わが国もまた非常に大きな発展を遂げつつあるわけであります。しかし、その内部には幾つかの弱点を持っているのでありますが、しかし、これを労使の安定をもたらし、その安定の上にさらに飛躍的な発展を期待いたしますならば、やはり間断なくその正しい分配が行なわれるように政府が努力することが、私は根本であると考えている次第であります。
#131
○大谷贇雄君 大体において私も同感でございます。しかし、経済が繁栄さえすれば、労働組合が縦横にスト権を振り回さないということにはこれはならぬものと私は思う。私は過日、オックスフォードで、自動車会社の労働組合の委員長に会いました。彼は、その組合がスト寸前にある状況を話をして、このストが勃発をすることについて、非常な杞憂を抱いていた。何とかして組合員の諸君に、ストを起こして国の生産を阻害をするようなことのないようにということを今、一生懸命に説得をしているが、しかし、どうも防ぎようがないということで、非常な心痛の言葉を私に述べました。また、ロンドンで港湾労働組合、御承知の通り、ロンドンで、また、イギリスにおきまする港湾労働組合というものは、イギリスを支配する、英国を支配するような力を持っておる。その労働組合の一員に会いましたところが、イギリスにおける社会保障制度は非常に整っておる。御承知の通り、非常に発達しておる。従って、生活しについての問題については、全く後顧の憂いがないわけであります。私は三十年前に英国に参った時に、ロンドンのイースト・エンドのキングスレイ・ホールというセットルメントに行って、世界的に名高いここの老女史にごちそうになったことがありまするが、なつかしく思って、その後どうなっているかと、その様子を見に行ったところが、もうそういうものはありません。もう宗教団体や個人立の社会産業などはやらぬでも、イギリスは社会保障制度が進んでおって、まことに豊かでありますから、もうありませんということで、私は今昔の感に打たれたのでありますが、この社会保障制度が整い、また非常に経済が繁栄しているわけです。そこで、今の港湾労働組合の人に会いましたところが、われわれはどうしても共産主義革命をやらなければならぬ。従って、現存の経済繁栄とは別である、社会保障の充実とは別だ、どんどんスト権は振り回すべきであるということを私に申しました。彼は共産党員でした。従って、経済繁栄をし、分配が正しく行なわれさえすれば、それでもって政治ストは起こり得ないと、こういう考え方は私はいかがかと思うのでありますが、私は、結局は、それは民族の、そして国民が自分の国を守る、こういう烈々たる、私は民族精神の現われ、自分の国は、祖国は自分たちで守るのだという、国を思う烈々たる意識が大前提となって労使の協調ができるものと思うのでありますが、その点、あんたの考えをさらに伺っておきたいと思います。
#132
○主査(東隆君) ちょっと大谷さん、実は今衆議院に予鈴が鳴ったのですが……。
#133
○国務大臣(石田博英君) 私は、経済の繁栄があって、そうして分配が正しく行なわれていることが労使の安定の基礎であるということを申しました。その労使の安定ということは、ストライキが全部なくなるということを言っておるわけではありません。それはどういう状態のもとにおいても、立場が違ってくる時点において争いが起こるのは、これは仕方がないのであります。できるだけその争いを少なくするように努力するのが当然でありまして、絶滅を期するなどということは不可能であります。なるほど、おっしゃったように共産主義革命を希求すると申しますか、いわゆる絶対的階級闘争主義というものを防げない場合におきましては、その人たちはいかなる状態においても間断なく争議を企図し、あるいは治安の撹乱をはかり、いろいろなことをやるだろうと思います。しかし、経済が安定し、分配が正しく行なわれておれば、大衆はそれに付随しないのであります。どんな世の中にも気違いはいるものであり……。
#134
○大谷贇雄君 気違いが多過ぎるよ。
#135
○国務大臣(石田博英君) また、どんな世の中にも殺人者がいるのでありますから、そういう一部分の者の存在を絶滅することは不可能でありますが、要は、そういう人々の影響が大衆に及ばないようにするということが肝心なのでありまして、その大衆に及ばないで安定をするのは経済が繁栄をし、分配が正しく行なわれることが前提である、私はこのように考えておるのであります。
#136
○大谷贇雄君 結論です。そこで、日教組ILO提訴の問題から出発いたしまして、一般労働運動に対する大臣の御所見を承った次第でございます。三十一日のストが回避できましたことは、国民は心から安堵をいたしております。総評の一番中核をなしておりまするものは、官公労組であります。国民に対する奉仕をしなければならぬものが、教員たちが、赤旗を振り回して国会デモをやる、私はかくのごとき労働行政であっては断じてならぬ思うわけであります。従って、気違いは少数だとおっしゃるが、あまりにも今日はインセイント・ソサイエティ、――狂える社会だ、この狂える社会を池田内閣の閣僚の一員として、また労働行政を担当されるまことに明敏なる石田労働大臣として、今後日本の労使がほんとうに西ドイツのように安定をして、そうして生産向上ができる、日本の国民の経済の繁栄と国民のしあわせと、そうして世界の繁栄に寄与することができまするように、一つ国際的見地に立って、わが愛する石田労働大臣の今後一そうの御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わることといたします。
#137
○主査(東隆君) それでは、午前中はこの程度にいたしまして、午後は三時から再開することにし、暫時休憩いたします。
   午後二時一分休憩
   ――――・――――
   午後四時五分開会
#138
○主査(東隆君) 休憩前に引き続きまして、分科会を再開いたします。
#139
○藤田藤太郎君 今、職安局長が見えてないので、少し職安局長に聞きたいのが多いのですけれども、基準局長に、午前の質疑の続きみたいな格好になりますけれども、労災保険の現状というのはどう動いているかということについて、少しお尋ねしたいと思うのです。
 大まかな現状を御説明願って、そして順次進めていきたいと思いますが、労災保険の今日の運営が、たとえば、例をあげますと、労災保険というのは、出発した当時から、私、関係しておりまして、労働者災害を受けた人は、一般の疾病という概念の上に一段優遇をして扱うということが申し合わされ、運営されて参ったのですけれども、最近では、どこからどういう工合にそれに意見が入ったのか知りませんが、だんだんと一般の疾病並み、特に一般診療、外来を期待して、独立採算制というようなところに縛られて、本来の出発当時とはだいぶ違った要素が出てきたという工合に感じておるのですけれども、ここらあたりはどうでございましょう。
#140
○政府委員(大島靖君) 労災保険の概況についての御質問でございますが、全般的な労災保険の適用関係を若干数学的に申し上げますと、労災保険の適用事業所数におきましては、昭和二十四年におきまして二千七万事業所、適用労働者数におきましては六百九十六万という数字でございましたが、三十四年度におきましては、適用事業所は七十五万、適用労働者数におきましては一千四百万に上っております。逐次適用の範囲も拡大いたして参っております。私は、昨年の十一月末現在の資料を持っているわけでございますが、保険料の徴収状況、このことについて申し上げますと、三十五年度の十一月末現在におきましては三百二十八億円に上っております。前年の三十四年の十一月に比べますと、一・一八四倍になっております。また、その保険料の収納額は二百七十九億円に上っております。収納率は、約八五%に上っております。一方補償費の支出状況、支払い状況でございますが、これは百六十二億、前年に比べますと、一・一六倍の状況になっております。全体といたしまして、労災保険経済の現況は、逐次余裕金が増高いたしておりまして、現在のところ、約九十三億円くらいの剰余が出ておりまして、さらに、今年年におきましては、約四十億くらいと見積もられますが、合わせまして、来年度におきましては、百一十億ちょっとになると思います。ただし、保険経済といたしまして、支払準備金の必要がございます。この所要の支払準備金は、来年度におきましては百五十八億となっております。従って、支払準備金にはまだ足りない状況であります。毎年逐次余剰金を蓄積して、近く支払準備金に達する予定でございます。従って、現在のところ、まだいわゆる積立金というものはない状況でございます。全般といたしましては、労災保険の経済は逐次よくなって参っていると思います。
 なお、療養の給付につきまして御指摘がございましたが、全国の労災病院におきます労災患者と一般患者の比率につきましては、各病院によりまして非常に違うのであります。現在のところ、一般利用者の利用状況がかなり多いのであります。もちろん、本来的には労災患者の利用が主たるものでございます。私どもも、各病院長、事務局長に対しましては、何よりもまず労災保険の患者を優先的に利用せしめることをお願いいたしておるのであります。ただ、病院でございますので、その周辺の一般患者にこれを利用せしめないというわけにもいきませんので、病院によりましては、かなり高い一般患者の利用率もございますが、逐次労災保険の本来の利用の形に持って参りたいと思っております。
 なお、診療内容につきましては、労災病院を中心といたしまして、指定医におきましても、必要な治療を給付することになっております。私、必ずしも一般の治療状況よりも悪い状況だとは思いませんが、なお、労災患者の治療につきましては、できるだけその診療の内容、治療の内容の給付を向上して参りたいと思います。
#141
○藤田藤太郎君 ここで今報告されました中に、今完成した病院が幾つで、それから今建設中の病院が幾つか。そして支払準備金百五十八億と言われましたが、これだけの支払準備金を、どういう建前でこういう数字の準備金を作るのか、こういう点について……。
#142
○政府委員(大島靖君) 現在完成いたしております病院は二十五、建設中の病院は三つでございます。
 なお、支払準備金はもちろん、御承知の通り、労災の給付というものは、やっぱり三年間にわたって行ないます関係上、やはり一定の保険数理に基づき、必要な支払準備金というものを保脅しなくちゃいかぬことは、これまた当然の話なのでありますが、そういう点で割り出しました金額が、先ほど申しましたような、来年度におきましては百五十八億になるわけでございますが、それまでの金額については、もちろん保有に努めなければならないと思います。
#143
○藤田藤太郎君 この保険料はメリット制をおやりになっておりますね。メリット制の内容の、率の変更というのは、毎年おやりになっているのですか。または、固めておやりになっているんですか。前の年の実績というものがものさしになるのだと思いますが、どういう格好でおやりになっておりますか。
#144
○説明員(村上茂利君) これは、先生十分御承知のところでございますが、保険料につきましては、過去五カ年間の収支率を基準にいたしまして、保険料率を事業ごとに定めるわけでございますが、その保険料率を二〇%上回った、あるいは下回ったという場合の個々の事業につきましての収支の状況を見まして、個別企業ごとに定めるのがメリット制でございます。これが、法の定めるところによりまして、固めてやるのではなくして、年間の収支の状況を見まして処理する、こういうことに相なっておるわけでございます。ただ、いわゆる継続事業と申しておりますが、一般の事業の場合にも、そういう建設事業のごとく、工事期間に一定の限度がある、期間の定めがある、いわゆる有期の事業と継読事業と差異がございまして、有期の事業につきましては、その有期の期間におきますところの収支率をもとにしまして、メリット制の基本とするというようなことでございます。
#145
○藤田藤太郎君 労災保険の給付内容ですけれども、最近問題の、この前もちょっと質疑をしたのですが、打ち切り補償、遺族補償の千日分というのがあるわけですが、これでは少し酷ではないかという意見がだいぶ出て参っているのですがね。特に炭鉱の昨年からことしにかけての関係においても、少し千日分じゃ気の毒じゃないかという意見が出ているわけです。だから、こればかりでなしに、たとえば療養給付ですとか、それからそういう全般の給付問題について、少し実態の意見その他を入れて再検討する時代が――もう十五年近くたったのですから、そういうところがありはせぬかということを思うのですけれども、いかがでしょう。
#146
○政府委員(大島靖君) 労災保険の遺族補償、お話の通り、平均賃金の一千日分になっている、この点が不十分ではないかという御意見は、しばしば承っております。先生も御承知の通り、諸外国におきましては、これが年金の形になっています。先般も労働大臣からも申しましたように、将来の問題として、この年金の問題も、これもやはり検討していかなくちゃならぬと思います。ただ、これを検討いたしますにつきましては、たとえば、厚生年金の遺族年金の問題とか、社会保障制度全般の問題とからみますので、その点、社会保障制度全般のからみにおいて今後検討をいたしたいと思います。
 なお、当面、との今回の九州の炭鉱災害に対する措置なんかにいたしましても、今直ちに法律をどうこうするということはいささか困難でありますが、従来、ややもいたしますと、労災保険による遺族補償金が非常に短期間の間、たとえば一年ぐらいしてこれがなくなってしまうというような状況もございますので、もし遺族の御了解なんかも得られますれば、会社側あるいは労働組合側の御協力を得まして、たとえば六十万円とか七十万円という元金が、相当長きにわたって遺族の今後の生活とか子女の育英の元手になるような管理の仕方を一つお世話をできるだけさしていただくというようなことも必要ではないかと思いますし、なお、遺族の方々の今後の生業の問題とか、あるいは生活援護の問題、こういう点につきましては、県とか市町村の民生当局とも私の方で十分連絡をとりまして、できるだけのお世話を見ていくようにいたしたい、かように考えております。
#147
○藤田藤太郎君 これは、一時補償じゃなしに、年金にする、私はいいことだと思うんです。まあじん肺法がそういうからを破って出発しましたから、業務上から出てきた問題ですから、私は非常にいいことだと思う。ただ、今のお話の中にありました厚生年金云々というようなことも、これとへばりつけると、厚生年金は御承知のように二千円ですからね、月ベースが、まあ賃金報酬によって変動はありましても。あれではとても生活できないのであって、だから、やはり遺族の生活ができるような方式というものを頭に置いて、年金の問題は考えていただかなければ、私はあまり実効がないことになりやせぬかという心配をするわけでございます。そこで、どうでございましょうか。たとえば、労働者が障害を受けてから給付を受けるまでに時間がどれくらいで、決定それから給付というような期間はどれくらいの順序で今行なわれておりますか。
#148
○説明員(村上茂利君) 大体十四日ないし十八日ぐらいでございますが、具体的に一例を申し上げますと、昨年の十一月の例でございますが、件数が、二十三万四千件のうち、一週間以内に支払ったものが五万三千件、十五日以内に支払ったものが七万五千件、一カ月以内の支払い件数が七万五千件、こういうふうな状況になってございまして、二十三万のうちの約三十万は一カ月以内には支払いを終わっておる、こういうような状況でございます。もちろん、一方におきましては二カ月ないしは三カ月かけたものも間々ございます。このような問題につきましては、たとえば障害補償費でございますると、何等級の障害に該当するかというような判断が非常にむずかしい。従いまして、たとえば労災病院とか、あるいは大学病院に照会いたしまして、障害等級が何等級に該当するかというような照会を行ないますために、支払いがおくれるというようなことがございます。それはしかし、むしろ例外的なケースでございまして、私どもといたしましては、できるだけ迅速に補償費の支払いを終わりまするように努力しておる次第でございます。
#149
○藤田藤太郎君 そうしますと、先ほどおっしゃいました現在の積立金ですか、九十三億円、まあ余剰金というのですが、今年度は、要するに三十六年度は四十億、合わせて百三十億余りの余剰金ができる。まあ支払準備金からいけば少ないのですけれども、この金はフルに給付に使われるわけですから、だから、金がなくて支払えないというような条件はないわけですね。そうすると、この百億をこす積立金の管理は、どこでしているわけですか。
#150
○説明員(村上茂利君) その支払準備金のうち、現在、たしか八十億程度と記憶しておりますが、それは大蔵省拠金部資金の方に預託してございます。残余のものは日本銀行に預託しておりまして、各都道府県で補償費支払いのために請求が参りました場合には、その日銀に預託しております金を直ちに送付すると、こういうようなことにいたしております。
#151
○藤田藤太郎君 そうしますと、八十億というものは大蔵省の預金部におやりになっている。これは、そうすると、その預金部の特別会計に行くわけですね。特別会計のところへ行って、この金はそれじゃ大蔵省が自由に使っているということになるわけですか。労働省自身がこの金をどうするか、どういうところへ使うか使わないかという希望の問題や、そういう問題はつかないで、とにかく無条件でそこへ預託をしている、こういうことになりますか。
#152
○説明員(村上茂利君) 一般の大蔵省の預金部資金と同様に、資金運用計画に定められました使途に使われると、こういうことになります。
#153
○藤田藤太郎君 そこで、この問題は、この保険は使用者が全額負担をしておるわけですからね。使用についても、いろいろ意見があるところだと思う。しかし、災害を受けた労働者を救済をする、優遇をするという点では、出した使用者の方でもあまり文句はないんだろうと私は思うのです。だから、だんだんと準備資金が高くなってくると、メリットを変えて、その保険料を引き下げをするとかせぬとかいう議論が出てくるところだと私は思うのです。だから私は、やはりこれだけ余裕財源ができてきたのでありますから、やはり給付内容の改善というようなところに少し力を入れて、まあ昔のずっと歴史を見ると、非常に困難なときが長く続きました。これだけ余裕ができてきたのだから、今こそ、今大島さんの言われたような、年金制に切りかえて優遇するとか、また、整形や、その他の特殊な要するに病気になったときに、一般の病院ではなかなか扱えないような病気があるようなところに、その専門の病院を建てるとか、アフター・ケア的なものも必要でしょうし、そういうところにもう少し力を入れてやった方がいいのじゃないかということを私は考えております。そうかといって、あまり数が多ければできない。これは、出している方が承知しませんからね、なんだろうけれども、しかし負傷者を優遇する。負傷者といいますか、その労災、労働者の災害の患者ですね。これを優遇するという面では、あまり文句のないところだと思いますから、そういうことをやはりおやりになる方がどうもいいのじゃないか。ただ、病院が一般診療ばかり、独算制ということで、一般の人に、せっかく本来の労災病院として建てた病院が一般診療によって独立採算制をとれということで、本来の出発した意義というものが薄れていってしまっちゃ私は困るという懸念を多分に持っているわけです。だから、そういうことに気をつけていただかなきゃなりませんけれども、やっぱり専門的なものをこしらえるのなら、他の医師会やその他からあまり文句の出るところではないと思うので、そういうことを、どうですか、研究されたことがありますか。
#154
○政府委員(大島靖君) ただいま御指摘の諸点につきましては、確かに仰せの通りでございまして、行く行く所要の支払準備金に満ちましたような場合には、現在のところまだ満ちませんので、まだ保険経済が安定しているとは言いがたいわけなんでありますが、これがだんだん満ちて参りました上におきてましては、社会保障全般との関連で、給付内容の問題も検討いたしたいと思います。ことに、今御括摘のありましたように、アフター・ケアの問題、たとえば温泉治療のような形のもの、そういうような問題につきましては、病院と同じく、新しい構想として十分成り立つのではなかろうかと思うのであります。そういった点につきまして、保険経済の安定を見ますのと並行いたしまして、労災保険審議会等の御意向も承りながら、今後研究を続けて参りたいと思います。
#155
○藤田藤太郎君 そこで、先ほどの問題に返りまするが、積立金の点が私まだ少し気になるのですね。これは、個人が、労働者が出したのじゃないから、それでいいのかもわかりませんけれども、せっかく労災保険として、準備金で継続的に八十億も運用部資金にお使いになるのですからね、もう少し、無条件ということでなしに、その金が使えるものなら、やっぱり労働者の福祉のような点とか、それからまた、安全ですね。災害防止のための安全設備とか、そういうところにやっぱり優先的に貸し出しをするなり、使うというようなことをおやりになる方が意義があるのじゃないかと私は思うのですがね。どうですか、それは。
#156
○政府委員(大島靖君) ただいまお話しにありましたような、たとえば、きょうも衆議院の本会議で、三党共同提案の災害防止決議の中にもございますような、炭鉱あるいはその他の中小企業の安全施設の整備のための低利融資ということ、こういう問題を処理いたしますにつきましても、やはり預金部資金等による場合が考え得られるわけなんであります。別に、預金部資金のお金については、どこから出たお金だからどこへというふうなひもはついていないわけでございますけれども、現在私どもも、今回の炭鉱災害に関連いたしまして、各省災害対策の連絡会議を持っておりますが、今週あたりから、さらに私どもと大蔵省の銀行局あるいは中小企業庁、鉱山保安局、この辺の関係当局で、そういった点につきましても、少し事務的に検討を始めたいと思っております。
#157
○藤田藤太郎君 今のところがよくわからなかったのですが、私の言っているのは、大蔵省の一般会計にほうり込んでいるようなことならそれを使え。福祉関係とか、そういうところに、どうせ金を準備金として預け金にするならということを言っているのであって、何かこの金を災害に補助金なんかで使えということじゃないですね。
#158
○政府委員(大島靖君) ええ、
#159
○藤田藤太郎君 そういうことになりますと、少し問題は別だと思うのです。そういうことになりますと、ちょっと私らもこういう金を使ってもらっちゃ困る。私たちが気にかかっているのは、失業保険の積立金をうんとこしらえておいて、建設省の手先までやって家を建てる。それは、事実家が必要なんでしょうけれども、そういう金で家を建てるということについては、私納得いかないのだけれども、またこれは、ちょっと聞きようによっては、その金を補助金か何かに使われるというようなことになりますと、これはとんでもないことになるので、そうじゃないですね。
#160
○政府委員(大島靖君) そういう意味ではございません。
#161
○藤田藤太郎君 そうですか。そこで、この準備金の百五十八億というものは、まあ今までなら、これはとても期待ができなかったことですが、今百三十億円できてきているわけですけれども、そういうことも、今までは、足らないときに大蔵省から借りられておるとか、まあメリット制をするまでの一時融資を受けるとか、いろいろ苦しい会計でしたがね。だから、これだけ余裕ができてきたんだから、もう一つ、私はさっき言いましたように、今病院が幾つですか、二十五、それから建設中のもの三つだということですが、もっと各府県単位くらいに専門の病院を建てることはどうですか。家族が面会するのに、相当な距離を行かなくちゃいかぬというようなことじゃなしに、もう少し、小さくてもいいから分けて建ててあげる。私は、ちょうど先日北海道に行きましたら、釧路にできましたですね。釧路から岩見沢、それから美唄とかの病院に行くので大へんだった。ところが、あれが釧路にできて、あそこの人は非常に喜んでおられると思うのだが、そういうものが少しあるのじゃないですか。全国的に見てですね。だから、スケールは小そうてもいいが――そういう病院に入院していると、家族が行くのに何時間も遠い距離行かなきゃ面会ができぬということじゃ少し気の毒なような気がするのです。まあ昔、財政力の薄いときには、これはなかなかそんなことは言えなかったと思いますけれども、今これだけ幾らか好転をしてきたんだから、そういうところにもう少し力を入れていいんじゃないですかね。
#162
○政府委員(大島靖君) ただいま御指摘の点につきましては、病院の新設につきましては、もちろん厚生省の一般的な全般の病院建設計画の中で検討すべき問題でございますが、ただいまおっしゃいましたように、やはり適用労働者がなかなか利用しにくいような状況の所へ持っていくとか、あるいは最近新しく興って参ります臨海工業地帯とか、そういった方面に病院を建てるとか、あるいは、ことに何らか特色のある病院、労災的な特色のある病院、こういったものを吟味して今後の計画を作っていきたいと思います。
#163
○藤田藤太郎君 これは、明確に業務上の疾病、負傷ということが明確な場合は、これはよろしいのですけれども、なかなかぴしゃっと明確にいかないような、すれすれのケースといいますか、本来なら、私たちのしろうと考えでも業務上の負傷、疾病と思われるようなのでも、なかなか地方の基準監督、労災保険の調査会ですが、このあたりでなかなかむずかしい。それから、それがまた非常に長くかかる。だから、もう十二、三年も経験を積んでこられたのだから、これとこれとこれくらいのケースのときには適用なんだというような、新しいケースが出てきたら別ですけれども、もう少し早く結論を出してあげないと、何カ月もかかる、それでまだ結論が出ないというケースが非常に多いのですね。だから、これはもう皆さん方の、担当される方々の業務量の問題だと思うのですけれども、だから、もう少し早く結論を出してあげないと、ひどいのになると半年も一年もかかる。今ここでお聞きしても、たとえば給付の問題、二十三万ですか、二十三万のうち二十万くらいが大体一カ月くらい、あと三万余りのものが一カ月以上というケースになるわけですね。一カ月以上というと、相当長いのですが、この中の何割かは二カ月やそこらに、相当の部分がやはり納付までに、業務上か業務上でないかという判断がなかなかつきにくい問題が非常にあるのじゃないか。だから、そういう点の運営上の問題ですけれども、何とか事務能率を上げて、とにかく早く結論をつけてあげるということを――これはもう私は、何でも早くやれとはよう言いません、問題が問題ですから。しかし、もう少し努力して、縮めるわけにいかんですかね。
#164
○説明員(村上茂利君) 御指摘の通り、業務外の認定というのは非常にむずかしいのでございまして、先生御承知の通りでございますが、最近数カ年にわたりまして、私ども、認定事務を迅速に処理するために努力して参った点を申し上げますと、一つは、業務上の認定につきまして特に問題が生じますのは、通常の職難病以外に、業務に起因することが明らかな疾病という、たとえば脳溢血とか、心臓病とかで死んだ場合に、外力の打撲によりまして心臓に衝撃を受けたり、それによって心臓疾患で死んだというような場合ですと、割合に立証が容易なんですが、心臓病ないしは脳溢血が業務上であるかということになると、非常に判断が困難でありますし、医学上の争いのあるところであります。これらの問題につきましても、専門医に調査研究を願いまして、認定基準を一応作成する、あるいは職業病につきましても、目下やっておりますのは、ニトログリセリンの関係をやっておりますが、そういうふうに、逐次認定基準を明確にいたしまして、第一線の労働基準監督機関が判断を下します場合の基準をすみやかに確立することが必要ではなかろうかと存じまして、ここ数カ年におきまして、年々主ないし四の認定基準を作成いたしまして、追加をいたしておるというようなわけでございます。
 それからなお、特に争いがありまして補償費の遅延を来たしまするものに、障害等級の認定がございます。障害等級につきましては、これも三年がかりくらいで、医師の協力を求めまして、一応障害等級認定基準を作成いたし、これは一昨年でございましたが、これによりまして、障害等級の認定に関する争いが比較的減少しておるという、こういうような状況になっております。私ども、単に監督署におきますところの補償費の支払いのみならず、争いがあります場合には、保険審査官に聞き、さらに中央の労働保険審査会の審査を受けるということで、そう支払いがおくれるというようなことになりますので、その基準を明確にするということが最も合理的ではなかろうかと存じまして、その点に鋭意努力しておるような次第でございます。
#165
○藤田藤太郎君 非常にむずかしいような話を聞く場合もありますけれども、昨年だったと思いますが、尼崎だったか西宮で、鉄道の改札をやっている者が一人なぐられた。あれでも相当ごてごてしてかかりましたですね。だから私は、ああいう仕事をしているのに、人からなぐられた。ああいうのは、もっと早く判断がついてもいいのじゃないかということを申し上げたことがあるのですが、だから、ああいう明らかなようなものは、もっと基準をきめて、ものさしをきちっとしておけば、ごてごてすることはないのじゃなかろうかという気がするので、それでちょっとお尋ねしている次第でございます。だから内臓疾患になりますと、起因の問題なんか、今おっしゃったように、お医者さんなんかから、どういう原因でどういうふうに来たかという問題は、なかなかむずかしい問題が多々あろうと思いますけれども、もう外症的な、外部殴打されたとか、そういうのは、業務中であるということはもう明らかなんですから、そういうやつは、もう少しはっきりしたものさしを作ってもらって、処理をしてやってほしいと、私はそう思うのです。
 それで、もう私の質問はやめますが、ただお願いをしておきたいことは、やはり労災補償というものの待遇が、出発の当初、これができましたときには、やはり一般の疾病よりもっと、業務上に起きた疾病、傷病なんだから、一般の人よりもっと至れり尽くせりにしてやって、初めてこの労災保険の精神が生かされるのだということを非常に強調していたと思うのです。ところが、最近では、どうも一般診療の方に、独立採算のところに力が入り過ぎて、どうもそういう点がぼけてきたような気がするのですが、少しそういう関係を私は研究してもらいたいと思うのですよ。これは、病院の経営が一般の診療というようなところで採算を合わすために、今のような問題が起きてくるのかもわかりません。だから、むしろ国がその病院の経営について何らかやはり補助をしてあげるとかすれば、そんなに一般診療で、それはもう独立採算というようなことできしぎししなくても、国がもう少し病院なんかについてめんどうを見たらどうかと、私はそう思うのです。何か、そういうところが中心に、労災保険病院という本来の姿がだんだんとぼけてくるようなことでは、少しやはり問題があろうかと思いますから、ぜひそういう点は研究をしてもらいたいと思うのです。せっかくよい設備を作り、だから、近所の人が労災病院で見てもらいたい、それは、来られたら見てやってもいいけれども、そこからの収入を独立採算制の柱にするようなことでは、私は、やはり問題があろうと思う。だから、やはりほかにもたくさん病院があるのですから、余裕分については見てあげるということは、これは医療の建前からいいことであるけれども、その収入によって独立採算をあげるのだというようなことに力が入ると、本来の姿がぼけてきはしないか、そういう心配をしておるところでございます。ぜひ一つ、十年たてば一昔といいますから、もう十年をこえた労災保険の問題については、たとえば給付の問題についてとか、今のような問題について、やはり私は、真剣に再検討をしていただきたい、こういう気持がいたします。特に私の印象ですけれども、間違っているかどうか知りませんけれども、あなた方責任者の方々は、労働省でも、労災というものについて深い理解をもって運営しているようにおっしゃる。それは非常にけっこうだと思うけれども、出先へ行きますと、何かしら扱い方が、いろいろと指導要綱や何かで強く業務上縛られるのかしらないけれども、どうもしゃくし定木になって、ちょうど災害を受けた人を扱うのにしゃくし定木になって、どうもあたたかみというものが少し足らぬような気がしますから、そういう指導も一つしてほしいと、こう思うのであります。希望を申し上げておきます。
#166
○説明員(村上茂利君) 本日いろいろ御指摘のありました点につきましては、御趣旨を体しまして、今後十分研究をいたしまするし、また本来の機能発揮のために努力いたしたいと思います。
#167
○主査(東隆君) これにて労働省所管についての質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#168
○主査(東隆君) 御異議がないと認め、さよう決定いたします。
 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管の審査は全部終了いたしました。
 予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、慣例により主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○主査(東隆君) 御異議がないと認め、さよう決定いたします。
  本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト