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1960/02/17 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第8号
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1960/02/17 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第8号

#1
第038回国会 本会議 第8号
昭和三十六年二月十七日(金曜日)
   午後五時三十七分開議
  ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  ―――――――――――――
  昭和三十六年二月十七日
   午後三時 本会議
  ―――――――――――――
 第一 昭和三十五年度一般会計予
  算補正(第2号)
 第二 昭和三十五年度特別会計予
  算補正(特第2号)
  ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、国会法第三十九条但書の規定に
  よる議決に関する件(海外移住審
  議会委員)
 一、国会法第三十九条但書の規定に
  よる議決に関する件(売春対策審
  議会委員)
 一、国会法第三十九条但書の規定に
  よる議決に関する件(肥料審議会
  委員)
 一、国会法第三十九条但書の規定に
  よる議決に関する件(蚕糸業振興
  審議会委員)
 一、国会法第三十九条但書の規定に
  よる議決に関する件(米価審議会
  委員)
 一、日程第一 昭和三十五年度一般
  会計予算補正(第2号)
 一、日程第二 昭和三十五年度特別
  会計予算補正(特第2号)
  ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
   ――――・――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、衆議院議員田中龍夫君、田原春次君、山口六郎次君、本院議員赤間文三君を海外移住審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#6
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(売春対策審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、衆議院議員猪俣浩三君、田中角榮君、床次徳二君、中山マサ君、本島百合子君、山口シヅエ君を売春対策審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#9
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(肥料審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、衆議院議員足鹿覺君、重政誠之君、首藤新八君、本院議員北村暢君を肥料審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#12
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、衆議院議員栗原俊夫君、田道國男君、谷垣専一君、長谷川四郎君、中澤茂一君を蚕糸業振興審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#15
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(米価審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 内閣から、衆議院議員井手以誠君、内田常雄君、大野市郎君、川俣清音君、倉成正君、本院議員白井勇君、森八三一君を米価審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めて参りました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松野鶴平君) 御異議なしと認めます。
   ――――・――――
#18
○議長(松野鶴平君) 日程第一、昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)、
 日程第二、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。予算委員長館哲二君。
  ―――――――――――――
  〔館哲二君登壇、拍手〕
#20
○館哲二君 ただいま議題となりました昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)、同特別会計予算補正(特第2号)の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、今回の補正予算の概要について御説明を申し上げます。
 補正の規模でありますが、一般会計補正(第2号)が歳入歳出とも四百四十億円、特別会計補正(特第2号)は地方交付税交付金及び譲与税特別会計における歳入歳出とも約九十一億円のおのおの追加であります。
 今回の補正は、その後の経済好況に伴い、一般会計の自然増収及び租税外収入の増加が四百四十億円程度見込まれることになりましたので、そのうち三百五十億円を産業投資特別会計の資金に繰り入れ、将来にわたる出資需要の増大に対処するとともに、今後の経済情勢等に応じて、円滑かつ弾力的な運営を行ない得るようにする一方、所得税及び法人税の増収額に見合う九十一億円を交付税及び譲与税配付金特別会計に追加計上することといたしております。
 第二次補正の財源といたしましては、所得税、法人税、関税などの増収三百六十五億円、専売納付金三十九億円のほか、雑収入三十六億円を計上いたしております。
 右による第二次補正の結果といたしまして、昭和三十五年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも一兆七千六百五十二億円と相なるのであります。特第2号は、右一般会計補正に伴うものでありまして、交付税交付金が九十億円、臨時地方特別交付金が九千万円となっておりますが、これの地方団体への交付は昭和三十六年度交付金と合わせて交付するよう特別措置が講ぜられております。
 予算委員会におきましては、二月二日水田大蔵大臣より提案理由の説明を聞き、二月十六日及び本日の二日間にわたり、池田内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行ないました。
 以下これらの質疑のうち、おもなものについて簡単に御報告申し上げます。
 まず、今回の補正措置について、「昭和三十五年度の歳入と産投会計資金に繰り入れ、これを三十六年度以降に使用するというのは、財政法に違反するのではないか。財政法二十九条は、予算成立後に生じた必要避けることのできない経費に不足を生じた場合に限ると規定しているが、三十五年度産投会計の支出計画には何ら不足は生じていないのではないか。また、資金の必要性を政府が勝手に認定し、財源を三年とか五年とか先の使途に拘束することが許されるとするならば、年度独立を規定した財政法の大原則が破られ、乱用のおそれはないのか。さらにまた、別の立場から、今回の補正措置は、財政法の技術的解釈からは正しいと思うが、常識的にはやや無理もあるやに感ぜられる。たとえば、剰余金が一定限度以上に達した場合は、これを必要な資金に繰り入れることをあらかじめ規定しておくなど、財政法の運用について考えてみてはどうか。」などの質疑がありました。これに対し、水田大蔵大臣から、「産業投資特別会計におきましては、最近の経済の好況や貿易の自由化を反映し、産業投資支出の要請がますます増大すると思われるが、同会計に置かれた資金はすでに使用し尽くされており、これらの投資財源を確保するために行なった今回の資金繰り入れば補正要因に該当するものと考えられる。資金は、資金を設けた必要性と資金の性格によっておのずから制約があり、無制限に長い期間にわたって支出するというようなことはあり得ない。従来の例でも、大体二年ないし三年くらいで使われているわけで、財政制度を乱すようなことにはならない。」旨の答弁がありました。
 次に、地方財政に関する質疑といたしまして、「今次補正の九十億円は全然配分されないまま、第一次補正の際の残額分と合わせ、計二百七億円が明年度に交付されることとなっているが、地方公共団体の行政水準の向上のためにも、一日も早く地方に交付して、その使途は地方公共団体に一任すべきではないか。国の財政上の理由から明年度に繰り越すというようなことは、地方の自主性をそこなうものではないか。」という質疑がありましたが、水田大蔵大臣並びに安井自治大臣は、これに対して、「補正一号の百十七億円と今回の九十一億円の交付については、すでに三十五年度も年度末に近づき、明年度の地方財政需要も多い実情でもあり、これらの繰り越し分は、あげて明年度の地方財政計画作成の際に総合して新しい財政基準によって地方に配分を行なうこととしたい。」旨の答弁がありました。
 そのほか、物価問題、ILO条約批准の問題、沖繩の施政問題等々、多岐にわたり質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知をお願い申し上げます。
 かくして質疑が終わりまして、討論に入る前に、水田大蔵大臣より特に発言を求められ、「政府としては、財政法第二十九条について今後再検討を行なう場合、財政制度審議会あるいは他の適当な機関に諮ることとしたいと思うが、この場合、構成などについては強い意見がありますので、その点十分検討して善処したいと考えている。」との言明がありました。
 討論に入りましたところ、日本社会党を代表して森中委員が反対、自由民主党を代表して米田委員が賛成、民主社会党を代表して東委員が反対、日本共産党を代表して岩間委員が反対の旨をそれぞれ述べられました。
 これをもって討論を終わりまして、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十五年度予算補正二案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#21
○議長(松野鶴平君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。森中守義君。
  〔森中守義君登壇、拍手〕
#22
○森中守義君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十五年度予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第2号)に対しまして、反対の意見を申し述べてみたいと思います。
 反対である第一の理由は、今回の補正が、財政法上、多様な疑点を持っているからであります。
 問題とすべき第一の点は、財政法第六条と補正との関係であります。財政法第六条では、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外一これを剰余金を生じた年度の翌々年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」として、健全財政を規定いたしておるのでありまして、もし、かりに今次補正の成立を見るといたしますならば、三十七年度における公債償還の減少となり、財政法の規定する健全財政は侵され、池田内閣が公約した長期健全財政は、池田内閣みずからの手によって危機に瀕することにもなるからであります。
 問題とすべき第二の点は、財政法第四十四条と今次補正予算との関係であります。昨日、本院予算委員会におきまして、財政法第二十九条違反ではないかとの追及を受けた政府は、財政法第四十四条の規定を用いまして、特別資金の保有でもあると、このように答えているのでありますが、この四十四条は明らかに財政法第十四条の例外の規定であり、この種例外規定は、財政法の建前からいたしましても、みだりに乱用すべきものではなく、しかも今次補正予算の内容からいたしましても、四十四条をたてにとること自体、財政法の解釈と運用にきわめて独善的な、かつ危険な傾向を持っているといわなければなりません。加えて今次補正予算が、資金の保有のみをきめて、歳出の方針、計画が全く不明である限り、何をか言わんやであります。
 また問題とすべき第三の点は、今次補正予算と財政法第二十九条との関係であります。財政法第二十九条には、「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費……若しくは契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、」といたしまして、きわめてきびしい制限規定といたしておるのでありますが、補正の内容は、税金の自然増収四百四十億の補正総額のうち三百五十億を産投特別会計の資金に繰り入れ、百五十億を三十六年度の財源に、残り二百億を三十七年度以降の財源に充てるとしているのでありまして、この事実をもってしても、財政法第二十九条の制限する、緊急にして必要避けることのできない経費の不足でないものであることは、何人も疑いをいれないものでありまして、政府がいかに強弁をいたしましても、おそるべき財政法第二十九条違反であると私は断定をするものでありまして、
 ここにおきましてわが党は、以上申し述べました財政法上の疑点が解明されない限り、今次予算補正に反対せざるを得ないのであります。よってこの際、政府は率直にその非を認め、今次予算補正の撤回を行なうべきであり、そのことが国民の血税である国家予算への厳粛にして公正なる取扱いであると思います。
 反対である第二の理由は、今次補正と三十六年度予算との関係があまりにも不明朗であるからであります。蔵相は昨日の本院予算委員会におきまして、三十六年度予算編成の作業過程で産業投資の財源措置をとってきたが、後半において他に優先する費目設定のために変更した、こういう趣旨の弁明をいたしました。衆議院においても同様趣旨の釈明を行なっています。この弁明はすこぶる重要であります。何となれば、第一次補正と三十六年度予算編成はあたかも時を同じくしたものでありますが、第一次補正の審議の過程で、これ以上財源はないこと、第二次補正はしないことを言明した政府でありましたが、すでにそのときに税の自然増収の見通しを持っていた政府は、第二次補正を予定しながら、三十六年度の予算の編成にあたり、とりあえず産業投資に一般会計からの財源を一応振り向けておいて、寄ってたかってのむしり取り、ぶんどり競争に産業投資の財源を回し、当初の予定通り今次予算補正を行なうに至ったと見るのでありまして、こういう見方からいたしますならば、計画的陰謀と言わなければなりません。またその手口はいま一つの効果をねらったものとも見るのであります。それは、三十六年度予算の規模が二兆円の大台を上回ることとをおそれて、三十五年度補正の形をとったのでありまして、実質においてはこの補正予算が三十六年度予算の分計されたものと見るのであります。従って、三十六年度予算規模はまさに二兆円の大台を突破したものとなりました。かかる謀略的政府の措置は政治の折り目をそこなうものでありまして、わが党の断じて承服できないところであります。
 反対である第三の理由は、さきの第一次補正予算との関連においてであります。すなわち、人事院勧告に対する政府の態度は、財源がないことを理由に、五月から実施すべきものを十月からとして引き延ばし、また上厚下薄の是正を行なわず、憲法が保障する国家公務員、地方公務員の労働基本権を奪った一つの償いとしての人事院勧告すらも、不完全に終わらせてしまったのであります。また社会保障を重点として公約した池田内閣が、第一次予算補正において、これまた財源がないことを理由に、正月のもち代としてわずかに純増一億八千万円程度の補正でお茶をにごした事実は、ボーダーライン層に対する非道な仕打ちでありまして、池田内閣の看板にはいつわりありと言わなければなりません。要するに、第一次補正の審議を通じて、その増額が広く国民の声として叫ばれたのに、終始財源がないの一点張りで耳を傾けなかったのであります。しからば、はたして、その当時財源が全くなかったのかどうか。昨日、本院予算委員会で水田蔵相は、当時税収の見通しは不確定要素が多かったと言い、暗に一応の増収の見通しは持っていたことをほのめかし、加えて、本年度末まではさらに最低三百億程度の増収の見通しのあることを明らかにいたしました。以上でも明白でありますように、たとえ不確定要素であったにしても、一次補正の場合、財源はさらに余裕があったにもかかわらず、財源のないことを理由に一次補正を著しく制限を加えたことは、今次第二次補正に至る経過と内容を比較するときに、池田内閣の性格を今さらのように知ることができるのであります。
 要するに、四百四十億の大半が産業投資に振り向けられることは、国民生活の二重構造を深め、その格差を高め、ややもすれば不正なる融資となり、汚職の原因を作り、不潔なる政治献金となる可能性を持つことに相なると思うのであります。もとより、四百四十億は国民が納めた税金であります。当然中小企業のために、農民のために、労働者のために、社会保障のために、大衆減税の財源に、そして三百五十億対九十億の再検討を行ない、地方自治体のために、より高率なる配分を行なうことが、この種財源措置の当然な方法であることを強く主張いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  ―――――――――――――
#23
○議長(松野鶴平君) 米田正文君。
  〔米田正文君登壇、拍手〕
#24
○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)及び同じく特別会計予算補正(特第2号)について、賛成の意を表明せんとするものであります。
 この補正は、産業投資特別会計資金への繰り入れ三百五十億円と、地方交付税交付金等約九十億円を内容とするものでありまして、その財源といたしましては、法人税二百四十五億円の増収を中心とする租税及び印紙収入の自然増三百六十五億円、専売納付金の増三十九億円、日本銀行納付金の増三十六億円をもって充当することとなっております。
 さきの第一次補正におきまして、政府は千五百十四億円の収入増を見込み、当時におきましては、まず、この程度が本年度の自然増収の限度であろうと予測していたのでありましたが、今回再び四百四十億円の補正を要求するに至りましたのも、わが国経済の成長が予想以上に大きな速度をもって進んだためであります。わが国の経済がきわめて高い成長率をもって発展しておる結果として、民間企業の九月決算等が予想外に大きな増収を示し、それが二百四十五億円という法人税の増収となって現われてきたのであります。これらの財源をもとにして、政府は、今回三百五十億円に上る産業投資特別会計資金への繰り入れを行なうことといたしております。この繰り入れにつきまして、政府は、「将来にわたる出資需要の増大に対処するとともに、今後の産業投資を経済情勢に応じて円滑かつ弾力的に行ない得る措置をとることが必要となったからである」と説明し、三十六年度におきましては、うち百五十億円だけを産業投資支出の財源に充てる予定であることを明らかにしました。
 申すまでもなく、産業の合理化、資源の開発、産業基礎施設の整備、住宅の充実、中小企業の育成強化など、財政投融資の役割は非常に大きなものがありますが、中でも産業投資特別会計は、電源開発株式会社、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫、住宅公団などに重点的に出資を行なっており、その意義きわめて重要であります。ところが、所得倍増計画と関連いたしまして、出資需要は著しく増大して参り、産業投資特別会計の収支は次第に窮屈なものになりつつあります。従って、多くの自然増収が見込まれる今日、三十六年度以降の出資に充てるための繰り入れを行なうことは、予算にゆとりと弾力性を持たせる意味で、きわめて適切な措置であると言わなければなりません。
 これに対しまして、財政法第二十九条には、「予算作成後に生じた事由に基づき必要避けることのできない経費に不足を生じた場合に限り」追加予算を組むことができると規定してあるが、翌年度以降の出資財源を産投会計に繰り入れるのは、三十五年度中に「必要避けることのできない経費」とは言えないではないかという反対意見がございました。また財政法第十二条には、各年度の経費はその年度の歳入で支弁する旨の規定があり、今回の補正はこれらの規定に違反しておるという反対意見も出ておりますが、われわれはこれらの反対意見は成り立たないものと考えております。
 第一に、財政法第四十四条は、国が特別な資金を保有することを許しておるのでありまして、それは財政に弾力性を持たせるために特に設けられた例外規定であります。産投会計への繰り入れば、まさにこの四十四条の特別資金に該当するものでありまして、決して財政法の規定に違反するものではありません。この種の資金を将来の支出を見込んで補正の際に産投会計に繰り入れた前例は、すでに昭和三十一年度にもあることを私は強調いたしたいと存じます。
 第二に、さきにも申し述べました通り、産投会計の収支はきわめて窮屈なものになりつつあります。将来明らかに原資の窮迫が予想せられるとき、しかも好況を反映してかなりの自然増収が見込まれる今日、財政法第四十四条の例外規定に基づく特別の資金を産投会計に繰り入れて、その手当てをしておくことは、「必要避けることのできない経費」に属するものと解釈して差しつかえないものと考えるのであります。
 これらの点より見まして、今回の補正が財政法に抵触することはないと思うのでありまして、この補正措置は時宜に適したものであると認めて、われわれはこれに賛意を表する次第であります。
 最後に、一言付言いたしたいことは、本案審議の過程において出ました財政法上の疑点について、政府は今後なお検討を加える旨を約束しておりますから、十分に研究を重ねた上で、何らの疑義を残さないよう、適切な措置をされるよう希望してやみません。
 以上をもって、予算補正二件に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
  ―――――――――――――
#25
○議長(松野鶴平君) 東隆君。
  〔東隆君登壇、拍手〕
#26
○東隆君 私は民社党を代表して、ただいま上程されている補正予算両案に対し反対をいたします。
 本来ならば、わが党はこの両案の撤回を要求するのが筋でありますが、この際一歩を譲って反対をいたすことにいたします。従って、これから述べる反対理由は、補正予算案編成上の政府の政治的責任に関連をすること、財政法上の悪例であること、さらに、補正予算案の性格をつき、政府の意図を明らかにしようとするものであります。政府並びに与党各位の耳をかされることを希望するものであります。
 反対の第一点は、政府の政治的責任に関係することであります。政府は昨年末の特別国会において、本年度予算の第二次補正を行なわないと言明をされておるのでありますが、四百四十億円の財政規模を持つ本案を提出したのでございます。この事実は、政府がわずかに一カ月足らずの間に二枚舌を用いられたことになるとともに、歳入増の見積もりを軽視した責任は免れることはできません。さきの国会において、同僚の市川房枝議員の質問に対し、本議場のこの席から、首相は、「私はウソはつきません」と答えられたのであります。当時私は、「ウソをつかないというウソをつき」という感じがいたしたのでありますが、一国の首相が国民の代表に向かってウソをつくことは、国民を愚弄することもはなはだしいと言わなければなりません。しかも、歳入増の見積もりを軽視して、国家の歳入を自由勝手にあやつるごとき独裁的な政治のあり方は、政治の姿勢を正すと、もの申される首相の、言葉と行ないの不一致を示すものであって、このような政府の態度は、民主政治確立上きわめて残念なことでございます。
 反対の第二点は、財政法上の悪例であるということであります。本案の内容は、財政法の規定する追加予算の成立の与件を何ら具備していないということであります。政府みずからが歳出面において予算の補正すべき法的根拠を全く見出し得ないで、本年度財源をもって産投会計に繰り入れするという必要性を唯一の理由として、補正案の正当性を裏づけようとしているのであります。しかしながら、資金三百五十億円のうち三十六年度に支出されるのは百五十億円だけであって、しかもこの出資は、輸出金融増強が主たる目的であります。これは政策上からも全額出資を必要としないもので、産投会計繰り入れを今回中止しても、明年度の出資源は、その面に対する融資増と利子の補強によって十分所期の目的を達することができるのであります。さらに地方交付税の交付源は、明年度より交付税率を三〇%に引き上げることによってまかない得るのであります。財源ができたから財政法上の形式的に違法でないという理由を求めて今回の挙に出たことは、許し得ないことであります。かくのごとき補正予算案は、民主主義確立上に大きな悪例を作るものと言わなければなりません。
 第三点は、この補正予算案の性格の問題であります。第一次補正予算に際して、公務員給与の改定、社会保障関係費の増額に充当すべき財源は、故意に国民の前に隠匿されていたと言っても弁解の余地はないと思うのであります。今回の補正予算が、農業者や中小企業者に最も関係の深い各種の金融公庫等に優先的に出資され、社会保障費や間接税の減免を思索されたとするならば、政府の意のあるところを多とすることができます。しかし、さきには財源なしと言い、今は大企業の輸出強化資金として、国民の税金を合法的に充当しようとしているのであります。これは、今回の第二補正予算案の性格を雄弁に物語っているとともに、池田内閣の性格を明らかにしていると言わなければなりません。
 以上三点をあげて、政治の姿勢を正し、ウソを言わないと言う首相のもとに編成された、この国民の膏血を独裁的かつ独善的に大企業者に奉仕させるこの補正予算案に対し、強く反対の意を表明いたします。
 以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
#27
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより両案の採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#28
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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