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1960/03/10 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第11号
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1960/03/10 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第11号

#1
第038回国会 本会議 第11号
昭和三十六年三月十日(金曜日)
   午前十一時二十分開議
  ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十号
  昭和三十六年三月十日
   午前十時開議
 第一 国有鉄道運賃法の一部を改
  正する法律案(趣旨説明)
 第二 日本住宅公団法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
  ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議員派遣の件
 一、日本ユネスコ国内委員会委員、
  海岸砂地地帯農業振興対策審議会
  委員、北陸地方開発審議会委員及
  び中国地方開発審議会委員の選挙
 一、日程第一 国有鉄道運賃法の一
  部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、日程第二 日本住宅公団法の一
  部を改正する法律案
 一、上清炭鉱の坑内火災事故に関す
  る通商産業大臣の報告
  ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
   ――――・――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、議員派遣の件につきお諮りいたします。
 列国議会同胞アジア地域会議に関し、各国議員団と連絡のため、本月中旬から二週間の予定をもって、本院より、松平勇雄君をタイ及びセイロンに、坂本昭君をフィリピン、インドネシア及びマラヤに、北條雋八君をベトナム及びビルマに、それぞれ派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#5
○議長(松野鶴平君) 内閣から、日本ユネスコ国内委員会委員武藤常介君、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員鳥畠徳次郎君の辞任に伴う後任者の指名を求めて参りました。
 また、北陸地方開発審議会委員及び中国地方開発審議会委員について、それぞれ新たに委員三名を指名することになっております。
 つきましては、この際、日程に追加して、
 日本ユネスコ国内委員会委員その他の各種委員の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか、
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
#7
○前田佳都男君 ただいまの選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#8
○光村甚助君 私は、前田君の動議に賛成いたします。
#9
○議長(松野鶴平君) 前田君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって、議長は、日本ユネスコ国内委員会委員に新谷寅三郎君、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員に北條雋八君、北陸地方開発審議会委員に小幡治和君、櫻井志郎君、鳥畠徳次郎君、小国地方開発審議会委員に佐野廣者、仲原善一君、藤田進君を指名いたします。
   ――――・――――
#11
○議長(松野鶴平君) 日程第一、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(趣旨説明)、
 本案について、国会法第五十六条の二の規定に上り、提出者からその趣旨説明を求めます。木暮運輸大臣。
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(木暮武太夫君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 国鉄の輸送力は、現状でも国民の輸送需要をまかない切れない実情にあり、なお、政府の所得倍増計画とも関連いたしまして、今後の経済発展の隘路とさえなるものと思われます。このような輸送力の現状並びに今後の輸送需要の増大に対処するため、国鉄においては昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定いたしましたが、この計画においては、東北本線、北陸本線等の主要幹線一千一百キロの複線化、主要幹線一千八百キロの電化、電化されない区間の全面的ディーゼル化、通勤輸送の緩和、踏切設備の改善、車両の増備及び東海道新幹線の建設等を計画しており、このためには、総額九千七百五十億円、年額一千九百五十億円の資金が必要となります。このほか、昭和三十六年度に例をとりますと、借入金の返還が約二百億円ありますので、所要資金は合計二千百五十億円に上ることとなります。
 これらの所要資金に対しまして、国鉄経営の収支状況から見ますと、自己資金によって調達される分は、減価償却費等の繰り入れ約六百億円程度にすぎない実情にありますので、国鉄新五カ年計画を実施いたすためには、何らかの資金確保の方法を講じなければならないことになります。この所要資金不足額を全面的に借入金によってまかなう場合には、本年度末において三千七百億円の多額に達する借入金はさらに膨大なものとなり、昭和四十年度においては一兆一千億円をこえ、そのときにおける支払い利子は七百億円をこえる見通しとなり、とうてい健全な経営を維持することはできないものと思われます。これとともに、国家財政の現状から見ましても、このような膨大な財政融資は困難であります。
 翻って、設備資金所要額のうちには、通勤輸送対策、幹線輸送力増強、踏切設備の改善、取りかえ及び諸改良等、約一千二百億円の採算に乗らない工事資金が含まれておりますので、これらの資金は利子のつく借入金で本来まかなうべきものでないと考えられます。従いまして、一部借入金の増額によるほかに、運賃改訂による増収によって所要資金を調達するほかないものと決意いたしたわけであります。
 運賃引上率の決定にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重し、また、国鉄運賃の国民生活への影響を十分考慮いたしまして、極力低位にとどめるべく、借入金の増額を、昭和三十六年度においては、前年度に比べ約百七十億円増加して約一千億円とし、また、企業努力、経営の合理化等による自己資金の捻出をはかりまして、必要最小限度四百八十六億円、増収率一二%程度を運賃改訂による増収額として見込むことといたしました。
 次に、運賃改訂の内容についてでありますが、まず、旅客運賃の改訂内容について申し上げますと、二等の普通旅客運賃の賃率は、三百キロメートルまでの第一地帯は一四・六%、三百一キロメートル以上の第二地帯は二一・五%の引き上げとし、一等の運賃は二等の一・六六六倍、すなわち、通行税込み二倍といたしました。なお、航路の旅客運賃も、これに伴いましてほぼ同程度の改訂をいたしました。次に、貨物運賃についてでありますが、賃率をおおむね一五%引き上げることにいたしました。
 なお、定期旅客運賃につきましては、割引率は、そのまま据え置くこととし、普通旅客運賃の賃率の引き上げに伴う改訂にとどめることといたしております。
 以上が今回改訂のおもな点でありますが、この運賃改訂によって得られまする増収額は、これをあげて輸送力の増強に充て、今後五カ年間に国鉄輸送力の抜本的な拡充をはかり、もって今後の経済の伸びに伴う輸送要請にこたえたいと考えまして、今回の運賃改訂もやむを得ない措置であると考える次第であります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
#13
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中村順造君。
  〔中村順造君登壇、拍手〕
#14
○中村順造君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、池田総理大臣及び関係各大臣に質問をいたすものであります。
 今回提案をされました運賃値上げは、旅客運賃一四・六%、貨物運賃一五%、その内容は別といたしまして、そのいずれもが国民生活にことごとく影響することは当然のことであります。さらに、この国鉄運賃値上げは、池田内閣の所得倍増に先がけて物価倍増の根源となることは、いかなる釈明をしても否定することのできない事実であります。(拍手)従来、国鉄は、国の動脈として、国の産業経済の発展に即応いたしまして、その輸送力の拡充強化を並行的になすべきでありましたが、歴代政府は、この方策を怠り、一方で公共の福祉に名をかり、巨額の公共負担を国鉄にしい、一方では、政治路線の建設を強要するあまり、赤字路線の経営を余儀なくされ、さらに独立採算制の強化等、まさに国鉄は、動脈硬化、半身不随の現象に陥らざるを得ない状態となったのであります。この間の事情につきまして、国鉄総裁の諮問機関であります三井銀行会長佐藤喜一郎氏を長とする国鉄諮問委員会は、昨年九月、その答申の中で、特に「国鉄の現状」と題しまして、国鉄の輸送力はわが国経済の伸長に追随できず、現在において、すでに恒常的能力不足状態に陥っているが、数年ならずして、わが国経済発展の重大な隘路となることは必至である、このように指摘されておるのであります。この現実につきましては、ただいま提案の趣旨説明の中で運輸大臣もお認めになっておるところであります。
 そこで、国鉄当局は、この窮状打開の方途といたしまして、四十数万職員の血のにじむような努力とともに、みずからの能力の限界を越えてまで、近代化、合理化を強行するかたわら、新たに五カ年計画なるものを策定をいたしまして、総額九千七百五十億、年間平均約二千億の財源を必要としたのであります。しかしながら、現行国鉄は、公共企業体、独立採算制をとっておる建前からいたしまして、制度上、自己資金を中心にいたしまして、借入金、鉄道債券、世銀借款等を含めても、なおかつ、年平均六百億程度不足を来たすことになりますので、国鉄当局は、その自己矛盾に苦しみながらも、みずからの能力の限界に血迷って、突如運賃値上げを政府に申請をいたしたのであります。
 そこで、まず池田総理大臣にお尋ねをいたしますが、今日国鉄は、あらゆる面で多くの制約を受け、制度上にも多くの欠陥と矛盾を有しておりますが、この際、これらのものを総合的に検討して、国鉄経営に関しましては、公共性優先か、あるいは企業性本位か、公共性と企業性との調和をいかにお考えになっておるか。さらに、国は、その産業経済の発展に即応して、国鉄に要求する長期かつ大局的輸送力の増強等に関しましては、池田内閣の所得倍増計画の一環として、国鉄経営に抜本的施策を講ぜられるお考えがあるか。御所見を承りたいと存じます。
 さらに、今回の運賃値上げは、今申しましたように、国鉄の新線建設、設備増強、車両の建造等、一連の設備投資であります。特に、それが池田内閣の所得倍増に見合う輸送力増強のための資本投下であります。国鉄自体の赤字経営の処理とは本質的に違う運賃値上げであります。そういたしますと、本来、この種の国の財産に投下する資本、特に設備資金につきましては、国が公共負担として、その責任において行なうべき性格のものでありまして、これを一般運賃値上げによってまかなうことは、国が責任を持つ公共的義務を利用者大衆に転嫁する結果となりますが、この点どのようにお考えになるか、お答えを願いたいと思います。
 次に、運輸大臣に国鉄経営上の問題点についてお尋ねいたしますが、国鉄は、今日ごく一部の部分を除きまして、荒廃し、老朽化をしておるのであります。そのよって来たる原因を探究いたしますと、遠く戦時中、レール、まくら木、あらゆる設備の交換をやめ、すべてのもうけを臨時軍事費に回し、加えて、戦災によって大きな打撃を受けたからであります。政府は、この国鉄に対し、戦後の赤字はすべて国鉄の借金として公共企業体に引き継がせ、しかも国鉄は、全額政府出資の事業体となっておるにもかかわらず、その総資産額二兆四千億といわれるのに対しまして、政府の出資した資本金は、わずかに八十九億であります。その上、現在国鉄の借金は、先ほど趣旨説明の中にありましたように三千七百億、そのため支払う金利が年約二百五十億、元金の償却が二百億と、合計四群五十億にも達しております。さらに二兆円をこえる資産の減価償却は毎年六百億も必要とされております。また、こうした資産維持のほか、政策上の必要から、各種運賃割引も行なっておりますが、これもまた年間五百二十五億の巨額に上っております。これらのものは全部国鉄の負担となって、今日国鉄の輸送力増強に大きな障害となっておるのであります。
 さらに問題でありますのは、赤字新線建設であります。現在国鉄は、その直接費さえまかない切れない赤字路線を百四十線区も有しておりますが、今日すでに長距離幹線輸送以外は自動車輸送の地位が確立しつつあるにもかかわらず、地元住民の古い熱望にこたえる意味で、あるいは地元利益誘致の頑迷な思想で、非採算線区が今なお建設中であるのであります。国有鉄道の性格からいたしまして、純粋に国の後進性の開発といった面についてならば、これを否定するものではありません。しかし、さきに言いました政策運賃とともに、こうした意味での新線建設までも一切あげて国鉄の負担としておりますが、これは政府が負うべき公共的義務と責任を全く果たしておらない結果であるのであります。私は、この際、少なくともこれら公共負担に基づく政策運賃あるいは新線建設については、フランス、西ドイツ等、欧州諸外国の例に見るごとく、政府の責任において処理すべきであると考えますが、この点に関するお答えを運輸大臣にお願いをいたします。
 さらに続けてお尋ねいたしますが、電力、海運等の民間私的企業に対しましては、六分五厘以下の低利で国家資金が供給をされ、なおかつ、利子補給までも行なっているのに対しまして、国鉄には、これまで運賃値上げや、七分以上の鉄道債券や借入金等で設備資金を調達させたのみならず、今日なお国鉄の業務にかかわる現金の取り扱いに関しましては、国庫預託制度により、一日平均残高約百五十四億、そのうち四十億円は無利子とし、しかも、残り百億円以上の金についても、平均二分九厘程度という低利で資金運用部に預けさせ、独占資本融資の低金利政策に国鉄をして奉仕させておるのであります。このように、小にしては東海道新幹線の羽島駅のごとく政治駅の強要を初め、政治路線の建設、財政上の圧迫等、枚挙にいとまのないほど国鉄を食いものにしておる実情でありますが、この現状の続く限り健全な国鉄の経営はあり得ないのでありまして、ひいては輸送力増強にも、わが国産業経済の発展にも重大な支障を来たすと思いますが、この点についての運輸大臣の御所見を承りたいと存じます。
 さらに、やや具体的になりますが、国鉄運賃のあり方についてお尋ねをいたします。国有鉄道運賃法は運賃決定の原則を明らかにいたしております。すなわち、運賃は公正妥当なものであること、原価を償うものであること、産業の発展に資すること、賃金及び物価の安定に寄与すること、これは運賃決定の四原則でありますが、国鉄運賃について昨年その制度の合理化が行なわれた際、国鉄当局はこの原則から原価主義を強く主張いたしました。しかし、現行国鉄運賃の性格は必ずしも原価主義を貫いておらないのであります。たとえば昭和三十四年の実績を例にとってみますと、旅客では一二%も黒字であり、貨物では七%の赤字であります。しからば国鉄の貨物運賃はなぜ赤字になるのか、答えは明確であります。国鉄貨物運賃につきましては、独占資本の強い圧迫によって、初めからこの原価運賃主義の原則を無視して赤字になるように作られておるといっても、決して過言ではないのであります。現在、国鉄の貨物等級は十等級に分類されまして、一等級から五等級まではいわゆるもうかる等級とされ、六等級は原価であり、七等級から十等級は原価割れ、すなわち損になる運賃であります。このほか大きく原価を割る特別等級制の仕組みもありますが、三十四年度の実績は、もうかる等級の輸送実績三〇%、原価で運んだ等級のもの三〇%、非採算等級すなわち損になる等級のもの四〇%、これが三十四年度の実績でありますが、これでは貨物運賃に黒字は絶対期待できないのであります。その上さらに重大なことは、これらの損失を旅客運賃によって補う、また旅客運賃もその九九%を占める二等旅客、もっとも二等と申しましても名ばかりで内容は三等旅客でありますから、これは言葉をかえて申しますと、全部国民大衆が貨物による赤字を負担させられておる実情であります。こうしたところにさらに運賃値上げを行なうのでありますから、国民から大衆収奪だと大きく非難されるのみならず、一等運賃は逆に、その倍率におきまして、従来の二倍から一・六六六倍に値下げをするのでありますから、一体、国鉄はだれのものかとの国民の激しい憤りと深い疑惑を受けることは当然のことと思いますが、運輸大臣のお答えをお願いいたします。
 次に、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、国鉄経営、なかんずく国鉄財政の健全化は、その輸送力増強の使命達成のため今日ほど急なるはありません。この意味におきまして、先ほど運輸大臣にお尋ねした日本国有鉄道法第四十二条に基づく国庫預託制度の内容は大蔵大臣に一任されておりますが、かかる不合理な制度を改定されるお考えがあるかどうか。また、この点とともに、国鉄が現在固定資産税として地方自治体に支払っておる金額は年間八十二億にも達しておりますが、本来、地方財政へのめんどうは国が直接見るべきものでありまして、公共企業体がその責任を負うことは矛盾もはなはだしいといわざるを得ません。この際、固定資産税を免税するか、または税額相当分を政府補償せられるお考えがあるかどうか、お答えをいただきたいと存じます。
 最後に、本案に対しましては、国民各階層それぞれの立場から、こぞってこれに反対いたしておりますが、そのおもなる点について、この際、特にお尋ねいたします。
 そこで、通産大臣にお尋ねいたしますが、将来わが国貿易の自由化による国際市場におきまして、運賃値上げはそのコストに大きく影響し、国際競争に不利だとする意見は、この際、運賃については輸送コストを低位安定の状態に保持するため、国鉄経営について特に政府がめんどうを見るべきだと要望しておりますが、通産大臣として運賃に対するお考えを承りたいと存じます。
 次に、企画庁長官にお尋ねいたします。今回の運賃大幅値上げは、一般消費者経済、特に家計に及ぼす影響については、いかなる口実をもってしてもこれを否定することはできません。その上、国鉄運賃が上がれば、私鉄もこれにならい、さらに郵便、電気、ガス、水道、米麦、薪炭、鮮魚、野菜等、一切の生活必需品及び食料品等、その度合いの大小は別にいたしまして、影響を受けるわけであります。この点に関しましては、特に家計を預かる主婦の立場から、家庭経済の圧迫に対し強い反対のあることは当然のことでありまして、政府としては、当面、国鉄運賃便乗値上げは許さない方針だとは言われますが、国民、特に家庭の主婦の立場にあるものの不安と不信に対し、企画庁長官のお答えを願いたいと存じます。
 以上、私は、国鉄運賃法の改訂にあたりまして、その本質的なものについて関係各大臣にお尋ねいたしましたが、それぞれの御答弁に基づきまして、いずれ委員会審査の過程でわが党の態度を表明をすることとなりますので、これをもちまして質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 国鉄経営のあり方につきましては、公共の福祉を増進しつつ独立採算制でいくことを建前といたしております。従いまして、著しい負担になるもの、たとえば戦傷病者あるいは新線建設につきましては、政府よりある程度補給することにいたしております。なお、今回の運賃値上げにつきましては、いろいろ考慮いたしましたが、一般経常費の増加、また輸送力の増強、あるいはサービスの改善等を考えますると、償却資金並びに借入金だけではまかない切れませんので、やむを得ず、将来のことを考えながら、ある程度の運賃の引き上げを決意いたした次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(木暮武太夫君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。
 ただいま総理大臣から御答弁に相なりましたように、日本国有鉄道は、過去におきまして政府の直営でありましたものを切り離しまして、戦後におきまして、公共福祉の増進をはかる輸送を目的といたし、また、一方におきましては、その経営を合理化するために独立採算制をとりました一つの公共法人となっておるのでございまして、従いまして、独立採算制のゆえをもちまして大目的である公共福祉の増進という輸送の面を閑却するというわけには参りませんものですから、そのバランスをとりながら経営をいたしておるというところに、いろいろのここに御議論もあることと存ずるのでございますが、ただいま提案の趣旨を御説明申し上げました通り、今回の五カ年計画におきましては、五カ年間におきまして約一兆円の膨大な資金を要しまして、年間におきましては二千億円に達する資金を要するのでございます。このうち、国鉄といたしましてみずから減価償却等によって繰り入れまする金額六百億を引きまして、残り全部を借入金によるというようなことは、今後借入金のますます増大を見て、国鉄の健全な経営に役立たなくなるということを考えましたので、昨年に比べましても借入金の方は百七十億を増して、約一千億の借入金をする、それでも足りない部分は、一方におきましては国鉄の経営の合理化、すなわち遊休土地資材等の処分等も行ないますし、あるいはまた、日本交通公社等、切符の代売をいたしておりますものの手数料を引き下げますとか、あるいは高架線の下の建物の家賃を適正にするとか、あるいは問題になっておりまする広告料の適正をはかるとかいたしまして、この方面において約二十億円程度の経営合理化による自己資金を捻出いたしまして、なおかつ足りませんものですから、そこで利用者のお方々にも――これが将来国鉄の輸送が強化拡充されまして、物資の輸送が円滑になれば、そのことは直ちに物の値段の安定をいたし、サービスを改善することになって、サービスあるいはその他で利用者に還元するものである限りにおいては、利用者に御負担を願ってもいいのではないかという意味で、この改訂が国民の生活にも響くことを考えまして、最小限度四百八十六億円という改訂をいたすことにいたしたようなわけでございます。
 また、ただいま二等の運賃をそのままにし、一等の運賃を引き下げるというのはけしからぬというお話がございましたが、御承知の通り、今日の国鉄のサービスの状態、車体の改善等にかんがみまして、もう二等と一等とはだんだんと差がなくなっております。かつ、世界を見ますると、どこでも一等が二等の料金の倍であるというようなところは御承知の通りないのでありまして、大体一・四、五倍というところが普通であるのでございますので、この際一・六六六倍といたしまして、ただいま出ておりまする法律が改正になりまして、運賃の改正が行なわれますと、通行税を含めて二倍ということの程度にとどめることにいたしたのでございます。
 それから、貨物運賃につきましては、すでに御承知の通りに、鉄道は凡百の品物につきまして、それの運賃を負担する能力とか、あるいは社会政策等を勘案いたしました等級を作りまして、この等級によって運賃の体系というものが定まっていることは御承知の通りでございます。この等級を作ります場合におきましては、ただいま御指摘になりました四原則を重視いたしてこの等級を作っているわけでございます。従いまして、値段の高い品物は負担にたえるという意味で運賃も高いということになりますが、一方では、国民の生活に関係を持ちまする米麦その他百幾つかの品物につきましては、特に低い等級をとって国民の生活に影響を及ぼさないようにやっておりまする次第でございまして、ただいま御指摘のごとくに、大企業のために有利に運賃を改訂しておるというようなことは毛頭考えてもおりませんし、それが実際には現われておらないと思うのでございます。
 それから、大蔵大臣から詳細の御答弁はあると思いまするが、いわゆる毎日の収入と支出のズレの百五十四億、すなわち、昭和三十四年度におきましては毎日百五十四億の現金収入支出のズレが出まするので、これを国旗に預託をいたしておりまする問題についてお話がございましたが、これは、国鉄という公社の資本金を政府が全部出しておるということから考えてみまして、これから出ます日々のそういう金の使い方を国庫の方にまかせるということは理の当然のように考えられるのでございます。そこで、これをどうするかという問題につきましては、今の日本国有鉄道の出資が政府一本やりになっておりまする関係上、なかなかむずかしいと思いますし、また二分九厘でこれを預かっておることがけしからぬというお話でございますが、この国庫余裕金を短期に国庫が融通いたしまする場合には二分九厘程度の融資をいたしておりまする関係上、預かる方も二分九厘であるということも、また当然のように考える次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣水田三嘉男君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(水田三喜男君) 国庫預託金の金利の問題は、ただいま運輸大臣からお答えになった通りでございまして、国が預かる反面、国鉄が手元現金に不足するときには国庫の繰りかえ使用も許しておりますので、その金利と大体利率をそろえておるということでございます。ですが、国鉄だけじゃなくて、政府機関全般の現金管理制度については、私ども改善すべきものは改善したいと考えております。
 それから、固定資産税の問題について御質問がございましたが、厳密に申しますと、国鉄が直接本来の事業の用に供するもの以外について固定資産税をかけるということにしてございます。直接国鉄の事業の用に供する固定資産というものにつきましては、この固定資産所在の市町村に対しまして国鉄が納付金を納めるということになっています。この納付金は、ちょうど国が国有財産所在地の市町村に対して交付金を出しておりますが、この交付金と全く同じ趣旨でございまして、しかも国鉄の場合は、この公共性とか、あるいは不採算線を特に維持運営するというようなことも勘案しまして、普通の固定資産税でとるべきものの二分の一を納付金として納めさしておる。この率は他の公社と同じ率でございますが、これは地方税というものが応益課税であるという性格から、また租税負担の公平というふうな立場から、公企業といえども、これは減税にしたり、あるいはこれに対して国が補助する、かわって納めるというようなことは適当ではないので、やはり現在のこの制度は私は一応妥当な制度だと考えております。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(椎名悦三郎君) 経済成長に伴いまして、輸送力の増強が何と申しましても必須の問題でございまして、もしこれが隘路になるというようなことになりますれば、全産業がたちまち麻痺してしまう。こういう見地から、その増強のために最小限度にとどめ、ある程度の値上げは、これはやむを得ないということを考えるのであります。ただしかし、輸送力の増強とか、あるいは貿易自由化を控えまして、なるべくコストの上昇は避けなければならないのでありますが、政府当局といたしましては、今回の程度の運賃値上げは、自由化計画あるいは輸出振興政策というものに大なる支障を来たすものではない、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣迫水久常君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(迫水久常君) 国鉄運賃の値上げが家計にどういう影響を及ぼすかという御質問でございましたが、個々の家計につきましては、その家が国鉄をどのくらい利用するかということによって非常な差があると思いますので、私どもとして把握いたしますのは、やはり卸売物価及び消費者物価指数に対する影響で判定をするほかないと思いますので、その点でお答えを申し上げます。
 卸売物価に対する影響は〇・二%と計算をされておりますが、この程度のものは生産性の向上等によって吸収されてしまうものと思いまするので、卸売物価に直接影響は原則としてないと思っております。過去におきましても、二十八年に一三%、三十二年に一六%の賃率の引き上げをいたしておりますが、そのときも全体としては影響がなかったのでございます。消費者物価に対しては、国鉄の旅客運賃の引き上げによる影響は〇・一%の程度でございまして、これまたきわめて軽微であると考えております。(拍手)
  ―――――――――――――
#20
○議長(松野鶴平君) 片岡文重君。
  〔片岡文重君登壇、拍手〕
#21
○片岡文重君 私は、ただいま上程されました国鉄運賃法の一部改正の法律案について、民主社会党を代表して、若干御質疑を申し上げたいと存じます。
 その前に、この際、池田総理にぜひ一言申し上げておきたいのでありますが、皆さんも御承知の通りに、衆議院総選挙の前において、また、衆議院総選挙中において、公共料金の値上げについて、私どもは必ず行なわれるであろうことを予見し、国民にこれを訴えたのでありますが、池田内閣は、当時これを頑強に否定いたしておったのであります。しかるに、総選挙で、買収、供応、利害誘導等、あらゆる手段の上に立って多数を獲得し、内閣を組織するや、おくめんもなく公約に違反して、そればかりではなく、公約違反を反省するいささかのけしきもないばかりでなしに、かえって、だまされた国民が悪いのだと言わんばかりの態度であります。このような政治のやり方に対して、私どもは国民とともに心から糾弾をしておきたいと思うのであります。
 今、同僚中村君の質問に対して、池田総理大臣は、公共性を考え、独立採算制の上に立って調和のとれるように行なっていきたいと答弁された。そのためには、公共負担について、著しい国鉄の負担となっておる戦傷病者、建設資金の利子等は、国庫が全額負担をしていると申しました。せんだって池田さんが、国会で、私はウソは申しませんという答弁をされました。そのときの夕刊に、さっそく時事川柳が載りました。「ウソなどは申しませんとウソをいい」。まことに巧妙な川柳であります。今の池田総理の答弁は、まさにこの川柳そのままであります。数字に明るい、数字に自信を持つという池田総理ですから、よもや御存じなしにおっしゃったのではないと存じますが、戦傷病者の負担金は、わずかに三千数百万円にすぎません。一億に足りないのです。建設資金の利子は三億そこそこであります。三千数百億の運輸収入に対して、三億もしくは三千数百万円にすぎないという、これは著しい影響をはたして与えているのでありましょうか。私はこのような数学は、不幸にして存じません。もっと政治というものは正直に、公共負担ができないならばできないという自分なりのお考えをあげて、率直に国民の前に説明をされるべきだと思うのであります。私はこの際、池田総理が美辞麗句でなしに、低姿勢などというお追従ではなしに、率直に国民とともに、この国鉄経営をどうすべきかについてお考え下さることを衷心からお願いを申し上げ、今後の政治にいささかのウソ偽わりのないように御反省をいただきたいのであります。
 特に、国鉄運賃の値上げに次いで考えられるのは、引き続いて行なわれる郵便、電力料、医療費などであります。これはもう既定の事実である。去る七日の閣議で、迫水長官はこれらの値上げについて抑制をするという発言をされたそうです。しかし、これも多くの国民は、一種のカムフラージュではないかとさえ考えております。椎名通産大臣は、新聞の伝えるところによりますと、東電の申請があれば受理すると言い、料金引き上げは一五%程度のものであろうと、すでに値上げの率まで明言をいたしております。一体、東電の値上げ申請は認可されるのかされないのか。この際、明確に承わっておきたいのです。また、運輸省も、中小私鉄については、運輸審議会が適当と認めれば特例として値上げを認めると、その方針を出しているのです。大体、運輸審議会にかけるということは、民主主義のカムフラージュをするだけであって、今回の国鉄運賃値上げも運輸審議会にかける前にすでにきまっておったのじゃないか。こういう国民をごまかすことばかりを考えておるのですから、運輸審議会の答申などということに藉口することは奇怪至極と言わなければなりません。一体、私鉄乗合自動車協会、公営交通事業協会等の圧力に対して、はたして政府は自信を持って値上げを押え切れるのかどうか。一体ことし中に値上げをする公共的な運賃や料金は何と何であるのか。この際、明確にしておいていただきたいのであります。
 その次に運輸大臣にお伺いいたしますが、国鉄の経営について一体このままでよろしいとお考えになっておるのであるかどうか。国鉄監査委員会の報告書によりますと、公共負担の重圧にすでに耐え切れない限界に来ておる、また、運輸成績が悪いけれども、輸送量は増加しておると言っております。つまり輸送量はふえ成績が悪くなっておる。一体これはどこに理由があるかといえば、不可抗力ではなくて、経営のまずさと負担の限界をこえた公共負担にあると言っておるのであります。しかし私は、この監査委員会の報告をそのまま百パーセントに尊重する気持は毛頭ありません。ただここで運輸大臣にお尋ねしたいのは、こういう国鉄の状態ではあるけれども、国鉄の日本経済に占める重大な役割を考えて、今までのような消極的な国鉄経営でよろしいのかということであります。国鉄の経営は、今日までたどってきたあとを見ますると、経費の節約、施設の合理化等々、ひたすらに消極的な経営改善で、そのしわ寄せを直ちに労働者に寄せ、一般大衆に寄せて、安易な運賃値上げにたよっておるようであります。私はこの際、国鉄の持つ優秀な技術、優秀な施設、これらを百パーセントに活用して、さらにさらに積極的な意欲を持って多角経営に乗り出し、たとえば沿線の積極的な開発であるとか、関連産業への投資であるとか、施設と技術のもっともっと活発な利用であるとか、こういう方面に積極的に国鉄経営の目を向けて、運賃値上げなどという大衆負担をすぐに考えるような安易な考え方を捨ててはどうか、こういうことであります。つまり繰り返しますならば、国鉄の経営を今までのような独占企業のしに立った安易な考え方ではなしに、もはや私企業と他の交通機関と切磋競争をしていかなければならない企業の実態を、また、置かれた立場を考えて、それらの企業に押し込まれないような積極的なやり方を考えてはどうかということであります。この考え方について、運輸大臣の御所見と、さらにこれに対して行政管理庁長官は、かつて運輸大臣もなさったことでもあるし、十分国鉄の内容については御存じのはずでありますから、こういう国鉄の多角経営に対してどうお考えになっているかを伺いたいのであります。
 それからいま一点は、この今日の国鉄の経営の苦況が、政治路線、赤字線区の引き受けにあるということが言われております。時間がないようですから、簡潔に結論だけを申しますが、この赤字路線の引き受けということについて運輸大臣にお伺いしたいのは、御承知のように、国鉄総裁は、その引き受けた赤字路線や政治路線を経営していかなければならない責任を負わされますけれども、これを拒否する権力も政治的な圧力も与えられておりません。排除することが許されなくて、押しつけられるだけ押しつけられて、しかもその経営の責任をとらされる、こういう矛盾したやり方について、運輸大臣はどうお考えになっておるのか。私はこの際、こういう政治路線について、建設審議会の構成等についても十分考えていただくと同時に、鉄道敷設法等の根本的な改正を行なって、明治末期、大正初年に考えられたような前時代的な敷設予定線をそのまま実現せんとするような、旧態依然たる地方政治家の圧力に屈しないような方策を一つ考えていただきたいと思うのであります。
 ついでにお尋ねしては恐縮ですけれども、最近新聞紙の伝えるところによりますと、福島県の只見線が国鉄に押しつけられようとしておるようであります。この線区は申し上げるまでもなく、田子倉ダムの資材の輸送のために作られたのでありますから、それを国鉄が引き受ければ当然赤字になることは明白であります。この線区は、国鉄では、ただもらってもいやだと言っております。これに対して通産大臣は、十五億を七億でもいいから引き取ってくれと言っているそうであります。一体、運輸大臣は、これを引き受けるつもりがあるのかないのか。通産大臣は、十五億のものを七億にしても押しつけようとするからには、その鉄道の経営について、十分黒字になる、つまり経営採算のとれるお見込みがあると考えるのですけれども、一体どういうところからそういうお見通しを立てられたのか。さらに経済企画庁長官は、これに対してあっせんの労をとっておられるようですが、どういうお考えに立ってこの赤字路線を国鉄に押しつけられようとするのか。その点もあわせて御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 鉄道運賃の値上げにつきましては、先ほど来御説明申し上げましたような事情によることでございます。
 なお、私が先ほど戦傷病者の運賃免除につきまして申し上げましたのは、これは性質上、公共性の著しいものの負担、こういう意味でございます。公共性の著しいものの負担につきましては免除しているということでございますから、御了承を願います。
 なお私は、従来問題になっておりました新線建設のために発行する公債の利子補給、これは従来数年にわたって問題であったのでございますが、お話のような趣旨にもかんがみまして、昭和三十六年度から一般会計で負担するように改めたのでございます。今後におきましては、そういう方針でいきたいと思います。
 なお公共料金につきましては、お話の通り、七日の閣議におきまして、当分の間これの引き上げを認めない根本の方針をきめたのでございます。具体的な問題につきましては、申請がありましたときに事情をよく考えてやりますが、当分の間、全面的に認めない考えでございます。(「二カ月か三カ月か」と呼ぶ者あり)当分の間ということにつきましては、今お話のように、値上がり心配ムードといいますか、値上がりムードが一応落ちつくまではこれはやらない考えでございます。従いまして、東京電力の値上げ、あるいは政府の直接関係しておりません東京都の水道料金の値上げ等は、東京都長官と十分話し合いをいたしまして、府県の権限を持っているものでも、政府の方針と一致するように指導していきたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。
 まず第一点は、日本国有鉄道の経営にあたっては、運賃を引き上げるとか、あるいは経営の合理化とかいうような消極的のことをやらずに、国鉄の持っている技能を十分に発揮して、多角形的な経営に乗り出すような気持はないかという御意見でございますが、公共企業体として、独立採算制をもとといたして、公共の福祉増進のための輸送業をやっております国鉄といたしましては、企業として経営の合理化ということは、いずれの時代でも最も必要なことと存ずるのでございまして、今御指摘のございましたように、昭和二十七年以来、国鉄の業務量は非常にふえておりますけれども、要員は増加しておりません。また改良を加えましたけれども、動力費も増加しておりません等々、経営の合理化にはずいぶん国鉄当局は尽力をいたしておりまして、これを金額にいたしますると、昭和三十一年に比較して、昭和三十四年度におきましては、経営の合理化だけで約百六十二億円を節約し得たというような経営の合理化をやっておりますので、これは、ほめてやっていいことであると、企業である以上は私は考えているのであります。お話の、多角形的な経営に乗り出すということは、法律に定めてありまする日本国有鉄道の目的というものを逸脱しない範囲におきまして大いに検討を加えまして、今後改善の余地あるものならば改善していきたいと考える次第でございますが、今ここでどういう多角形的な経営に乗り出すかということを申し上げることは適当でないと存ずるので、お許しを願いたいと思います。
 次に、赤字線の問題でございまするが、御存じの通り、日本国有鉄道は高度の公共性を持っておりまする関係からして、各方面からの要望でありまする地方産業の振興であるとか、国土の開発であるとか、あるいは国鉄自身の交通脈絡の整備でありますとか、輸送全体の能率を高めるとか、あるいは文化の向上とか、各般の理由によりまして、赤字線を、鉄道建設審議会の建議によりまして、これを実行をいたしていることは御存じの通りでございます。しかしながら、これが御指摘のように赤字経営になっておりまして、国鉄の大きな公共負担のもととなっておりますことも、また否定することはできないのでございまして、当局といたしましては、どうしてもレールを敷く鉄道でなければならないものは別といたしまして、新しい交通機関に転用することのできるようなものは、なるべく合理的にこの新線も解決いたしたいと考えている次第でございます。先ほど総理からも御答弁がございましたが、本年度からは、この国鉄の赤字の負担になりまする新線建設の借入金に対する利子補給を、三億八百七十五万円ですか、これを計上いたすようになりましたことは、これは一つの赤字負担に対しまする政府の配慮の進歩であるとして、金額は少額なりといえども、私は喜んでいいことだと思うのでございます。
 それから只見線のことを御質問になりました。お答え申し上げますが、只見線の問題は、多分、昭和三十一年あたりの当時の内閣の閣議の了解事項になっておりまして、ダムが完成した暁には、これを日本国有鉄道の営業線に編入するということだけが閣議の決定になっておるのでございます。私は昨年この話を聞きましてから、事務当局をして、鋭意緊密な連絡をとりまして、今調査をさしておるときでございまして、こういう赤字線を多額の金で国鉄が引き受けるということは、御指摘の通り、国鉄の経営の上から見れば賛成しがたい問題であるという見地に立ちまして、目下鋭意研究を進めておる事情にあるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(小澤佐重喜君) 国鉄の体質は、昭和三十年から二回にわたりまして、国鉄経営を総合的に調査をいたしました。その目的とするところは、経営の合理化ということでありますが、主としてその重点は、経費の節減及び資金の効率化ということを指向しておるのであります。これらの調査に基づいて、勧告事項については、運輸や国鉄当局も積極的に改善の方針をとって参っておりますので、その効果は著しいものがあると思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(椎名悦三郎君) 東電の値上げについてお尋ねがございましたが、まだ申請が出ておりません。従って、値上げ率まで話したというような事実は全然ございません。当分値上げせぬという閣議できめました方針については、これを通商産業省といたしましても順守して参るつもりであります。しかし一方、現行法にもこれは違背できない問題である、その調整をどうするかということは、具体的な問題に当面した際に適当に善処したいと考えます。
 只見線の問題でございますが、党利性と国鉄の公共性との両面からこの問題を判断すべきものだと考えるのでありますが、それはおのずから所管が違いますから、運輸大臣の方におまかせ申し上げたい。ただ先ほどすでに答弁がございましたように、将来営業線にこれを編入するという方針で措置する、こういう閣議決定になっておりまするので、それによって私どもとしては主張をいたしておるのであります。(拍手)
#26
○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
   ――――・――――
#27
○議長(松野鶴平君) 日程第二、日本住宅公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長稲浦鹿藏君。
  ―――――――――――――
  〔稲浦鹿藏君登壇、拍手〕
#28
○稲浦鹿藏君 ただいま議題となりました日本住宅公団法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、日本住宅公団の過去五年間にわたる実施の状況にかんがみ、既成市街地における併用住宅の建設並びに一団地居住者の生活利便のための施設を拡充しようとするものであります。
 すなわち、改正の第一点は、従来付帯業務として行なって参りました市街地における商店、事務所等との併用住宅の建設、賃貸、管理等の業務を、公団本来の業務として法律上明定したことであります。
 第二点は、公団団地生活者の利便のための託児所、貸し倉庫等の施設の建設または居住環境の維持改善に関する業務を拡充するための新しい事業体を作り、これに対して公団が投資または融資をすることができるようにしたことであります。
 第三点は、不動産登記法等の法令については、公団を国または国の行政機関とみなして準用することにしたことであります。
 本法案の審議にあたりましては、本案が団地居住者の利害並びに団地管理上に密接な影響を持つものでありますので、公団総裁、団地居住者代表及び学識経験者を参考人として招致する等、慎重な審議を続けて参ったのであります。
 質疑の重点は、新しく創設を予定される団地居住者のサービスのための事業体の性格、事業の内容、資金、機構、人事等に置かれたのでありますが、「この事業を公団本来の付帯業務として行なえない理由、」及び「事業体を公益法人とせず、株式会社組織とすることについての理由」については、政府側から、「居住者の強い要望のある施設ではあるが、一部の居住者の利用にとどまるものであり、また公共的施設としては該当しないものであるので、公団本来の管理業務上からは付帯業務としても実施しがたい。」また「本事業には民間資金をも導入することが必要であり、会社経営の方式が現実に即すると考えられるからである。」との答弁がありました。その他、従来の大団地建設主義と既成市街地における市街地住宅の建設の比重に対する基本的な政府の考え方等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録でごらんを願いたいと存じます。
 かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して藤田委員から、「市街地住宅については都市再開発上総合的に行なうこと、また居住者のためのサービス事業については付帯決議を付して賛成する」との発言がありました。その付帯決議は、
 本法律案第三十二条の二に規定する事業への投融資について、対象機関は居住者へのサービスがその根本主旨なるに鑑み、居住者の意向をその運営に反映せしめるとともに、機構および人事に関し慎重を期して、その経営が営利的とならないよう措置すること。
 右決議する。
というものであります。次いで民主社会党を代表して田上委員並びに無所属の小平委員、自由民主党を代表して松野委員からそれぞれほぼ同様の発言がありました。
 かくて討論を終結し、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定されました。
 次いで藤田委員提案の付帯決議案について採決の結果、これまた全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#29
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#30
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
   ――――・――――
#31
○議長(松野鶴平君) 通商産業大臣から、上清炭鉱の坑内火災事故について発言を求められております。この際発言を許します。椎名通商産業大臣。
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(椎名悦三郎君) 昨三月九日、福岡県田川郡上清炭鉱におきまして坑内火災事故が発生いたし、七十一名もの貴重なる人命を失うに至りましたことは、鉱山保安の所管大臣としてまことに遺憾のきわみでございまして、ここに心から哀悼の意を表する次第であります。
 ここに所管大臣といたしまして一言被害の概況を御報告申し上げます。
 昨三月九日正午ごろ福岡県田川郡上清炭鉱本坑坑内コンプレッサー室から発火し、坑内火災を引き起こしました。当時の入坑者は九十一名でありましたが、そのうち二十名は昇坑脱出いたしました。
 災害発生後、現地福岡鉱山保安監督部から直ちに現地に急行いたし、また付近炭鉱からも救護隊が出動し、救助に当たったのでございます。夕刻からは火勢も弱まりましたが、結局坑内に残りました七十一名は救出することができず、本十日午前五時半、全員遺憾ながら死体となって収容される事態と相なったことは、まことに遺憾のきわみでございます。
 以上が現在までに判明いたしました災害の概況でございますが、本災害に対する罹災者及びその遺家族に対しましては、心からお悔やみの言葉を申し上げる次第でございます。
 災害の原因につきましては目下調査中でございまするが、坑内コンプレッサーが過熱して炭壁に着火したのではないかと思われます。いずれにいたしましても、当省といたしましては、早急に、その原因、責任の所在等を究明するとともに、関係各方面と密接な連絡の上、事後の対策につきまして万全の措置を講ずる所存でございます。
 以上簡単でありますが御報告申し上げます。(拍手)
#33
○議長(松野鶴平君) ただいまの発言に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。阿具根登君。
  〔阿具根登君登壇、拍手〕
#34
○阿具根登君 私は日本社会党を代表いたしまして、昨日正午ごろ起きた福岡県田川郡香春町上田鉱業所の火災事故により七十一名の死亡者を出したことに対し、まず被害者七十一名の方々の御冥福を祈り、家族の方々に心からお悔やみを申し上げまして、かかる悲惨なる事故が繰り返されないために質問をいたさんとするものであります。緊急のことでもありますし、資料も整っておりませんが、今朝の新聞を見る場合、直接の原因は今後の調査によらねばわからないとしても、ただいまの通産大臣の御説明、報告は、まことに簡単なものであり、新聞でわれわれが見た以上の何ものもない、ただ一片の哀悼の言葉をここで申し述べられたにすぎない。私はきわめて残念に思うものでございます。
 まず、鉱山保安局長の談話を新聞で見てみますと、局長として非常に遠慮がちに申しておられると思うのです。しかし、局長の談話の中にも、政策がかかる惨事を引き起こしているということをはっきりと物語っているものだと思うものでございます。たとえば、「保安強化だけでは解決はできない」、こういうことが見出しに載っております。「保安を比較的重視しておる大手炭鉱はともかくとして、中小炭鉱では、コストの引き下げや企業の体質改善を無理に進める場合、この種の災害がまた起こることも予想される。」「この種の災害」ですよ。これをさしておるのは、七十一名の人が死んだということなんです。「この種の災害がまた起こることも予想される。すでに保安の強化だけで解決できない段階にきており、炭鉱の合理化ともからんで総合的対策を立てる必要がある。」こう保安局長は言っておられるのでございます。私は、遠慮しながら言われた言葉であろうと思う。しかし、言わんとすることを尽くされていると思う。その第一は、政府が、今日エネルギー対策をあまりにも急ぐのあまり、重油と石炭の競合によってきたる石炭労働者の悲惨たる姿を、谷間にありというようなことで、世間から批判を受けながらも、対策を講じておらない。極端に申し上げるならば、今後十年間に石炭五千五百万トンを使うということを明言しておられますが、これを業界では、五千五百万トンの石炭がほんとうに使われるだろうか、電力で幾ら使ってくれる、鉄鋼で幾ら使ってくれるか、ガスで幾ら使ってくれるか、こういうことを打診をしておる過程でございます。それに三十八年度までに千二百円の値下げをしなさい。そのためには十一万の人が余る。こういうことを政策として政府が呼びかけたために、業者は利潤だけは追求しても、その政策に従うために、そのしわ寄せが全部労働者にきておるということは、今日の災害を見ても、局長の言を見ても、明らかな通りだろうと思います。(拍手)
 さらに、現地組合の発表を見てみますと、上清炭鉱でも、坑口から約下メートルのところに、人気排気の坑道を連絡する風門があった。ところが、この事故では、この風門はあけられず、事故発生後八時間もたって救護隊員がこれを開いた。こういうことです。さらに、十日前にコンプレッサーの故障のためハッパの穴繰りができず、六時間もかかって修理した。しかも、一週間前に、福岡鉱山保安監督部田川派遣班で坑内の保安検査をしたばかりだ。こういうことを言っておる。一週間前に保安監督が行って現場を見てきている。これがかりに不時の突出ガスの事故等であったならば、あるいは一週間前と今とは変わっているということも言えないではないと思います。しかし、この種の、コンプレッサー室から火が出た、こういう問題は、一週間前も事故当時も同じ状態であったはずであります。しかも、新聞で報じられておるごとく、そのコンプレッサー室には、通常であるならば、普通常識で考えても、鉄さく、その他で、油や炭塵に火がつかないように、かりに火が出ても、火がつかないように整備をしなければならない。こういうことがはっきり言われておる。そういうことは一週間前に当然見ておられるはずだ。これがこういう事故を起こしたということは、事故の起こるたびに、各所からささやかれております声を聞いてみますと、保安監督官は、行く前に、会社とのみ話し合いをして、そうして事実行った場合には、いいところだけ見て、さっさと帰っていくのだ、こういうことが言われておるわけなんだ。そうすると、保安監督官がそういう態度であり、今日のような原因がこのために起こったとするならば、一体、所管大臣は、どういうお考えをお持ちであるか、お尋ねいたします。
 さらに、翻って二十五年以降の炭鉱災害を見てみますと、炭鉱災害は、戦後二十五年の七百八十四人を最高にして、三十四年には五百七十四人と、次第に減ってきた。ただし、昨三十五年には六百十七人とふえてきた。さらに、ことしはふえる可能性がある。こういうことが言われておる。これは一体何を意味しておるか、こういうことなんです。政府が合理化法を発表して、その後こういう災害がふえてきたということを、これもはっきり物語っておるわけでございます。これに対しまして、わが党は、こういう悲惨事が起きないように、あるいは低賃金、あるいは首切り、あるいは労働強化、こういうことが起こらないように、労働者にのみしわ寄せがされないように、炭鉱の安定法を出しておることは、御承知の通りだと思うのです。それによりますと、こういう心配がないように、あるいは外国から持ってくる輸入炭あるいは国内の中小炭鉱の石炭というものは一つの窓口で扱うべきである。そうしなければ、競争が競争を呼んで、そうして従業員の死傷が絶えないではないか、こういうことを私どもは主張しておりますが、どういうお考えでございますか。
 さらに、この上清炭鉱からわずか一里余り離れた豊州炭鉱で、昨年の九月、六十七名の人が水没をした。そうして半年を過ぎた今日、まだ一名の人も上がっておりません。同じ上田鉱業所でございます。同じ上田鉱業所で、しかも、六十七名の遺体が一名も上がっておらない今日、(「人命軽視もはなはだしい」と呼ぶ者あり)さらに七十一名のこういう大災害を起こしたということでございます。豊州炭鉱の家族の方々は、生活にも苦しみながら、信頼する夫の、あるいは父の遺骸を、一日でも早く安置したいと待っておるのでありましょう。民主主義は、人命を最も尊び、人命は地球の重さよりも重いということが言われておりますが、池田総理初め関係閣僚は、どういうお考えでこの豊州炭鉱の水没死体を出すお考えでございますか。昭和三十四年には五百七十四人の被害者が三十五年には六百十六名になった。ただいま申し上げましたように、これがふえてくるならば、二十五年当時の一番大きい災害が、私どもはもう、ことしから来年にかけて出てくるのではないかと心配をしておるのでございますが、さらに当面の問題として、政府に御要望申し上げ、御回答を願いたいと思いますのは、三十六年度の予算を見てみましても、鉱山保安に対しましては、わずか五千百万円の予算が計上されておった、かように思います。さらに、三十五年は四千五百万円であったと思う。これで鉱山や炭鉱の保安が万全だと思っておられるかどうか。本年度の予算を見てみますと、三十五年度の第二次補正後においてもなお五百億以上の増収があると、大蔵大臣は予算委員会で言明をいたしております。その一部でも鉱山保安に回す意思があるかどうか。さらに、保安の万全を期しても、こういう地下数千尺のところにありましては、事故が起こりがちでありますが、そういう場合に対処するために、政府並びに経営者によって高額の保険制度を作るべきだと私は思いますが、それに対してはどういうお考えを持っておられるか。
 さらに、豊州炭鉱の場合は、一家の支柱がなくなって労災保険で受けている金は六十三万円、今度の上清炭鉱の場合は六十五万円と言われておりますが、このくらいの金額で残された子弟の教育から生活がやっていけると思われるかどうか。これがやっていけないとなるならば、今日のような経済の伸びだといって、三十五年だけでも第二次補正後においても五百億以上の金があるという、こういう時期に、これをこの方に回す意思はないかどうか。
 最後に、今日までかねがね総理にお尋ねし、御意見を伺っておったのでございますが、こういう事故が起こることは、通産省に保安局が、監督部があるからだと私は思うのです。通産省は経済を主体にしておる、生産を主体にしておる。そこに人命を預けられるかどうか。生産と保安は、ある人は単の両輪だと言うし、ある人は、車の両輪ではないのだ、人命が第一、保安が第一、それから生産が第二だ、こういうことがはっきり言われておる。首相は前者であるか後者であるか、以上の点につきまして、総理以上所管大臣の答弁を求めまして、答弁によりましては再質問を行ないたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 昨日の上清炭鉱の事件、まことに遺憾千万でございまして、私は御同様に遺族の方々に衷心上り哀悼の意を表すると同時に、今後新たにこういうことのできないように一つ方法を講じてみたいと考えております。
 お話のように、石炭業再建のためにいろいろ手を尽くしております。あるいは増産に走り過ぎて、保安がゆるがせになっているのじゃないかということも考えられますので、私は、今朝通産省の係の者を呼びまして、保安要員の方はどうだと聞きましたところ、増産はいたしますが、その保安要員は決して減らしてはおらない、こう言っているのであります。
 保安と生産は単の両輪と、こう言われるがどうか。――私は前にもお答えしたように、保安が第一でございます。保安が第一で、決して車の両輪ではございません。そういう気持で通産省も指導していると思うのであります。
 なお、私は、今後こういうことのないように、保安に対する設備につきまして、特別のたとえば低利融資とか、いろいろな方法を考えるべきじゃないかと思っているのでございます。
 なお、保険制度その他につきましても、関係の閣僚からお答えすると思いまするが、何と申しましても、この災害の最も大きいものは炭鉱でございますので、私は、先ほど申し上げましたような、労災保険の金の使い方とか、あるいは保安施設の強化ということをまだまだ尽くさなければいけない、こういう気持で、今回のできごとを非常に遺憾とすると同時に、先ほど御質問の豊州炭鉱の死体の収容もできるだけ力を入れるよう関係当局に話しているのでございます。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(椎名悦三郎君) 災害の発生と合理化の関係について御質問でございましたが、ただいま総理からもお話がありましたが、合理化のために保安要員を削減をするというようなことは、現に上清炭鉱においてもございませんのであります。
 保安上必要な機器等につきましては、これまた総理から話されましたが、これらの調達等につきましても、もし中小炭鉱でその負担に耐えないというような場合は、適当な助成方法を考えたいと考えます。
 なお、豊州炭鉱の問題につきまして、過般調査団を組織いたしまして、綿密な調査を行なったのでありまして、その報告がごく最近私の手元に届いております。これを十分に慎重に検討いたしまして、最終の結論を出したい、かように考えております。
 それから出炭の増加するに従って災害の増加もどうもふえる傾向にあるのでございます。それで、現地の部長、課長等をひんぱんに会合させまして、その保安対策の体制を整えているのでございます。特に、中小炭鉱の現地指導のために、指導員制度というものを今回拡充いたしているのであります。ちょうど現地の監督員が、三月の一日、二日の両日調査をいたしたのでありますが、保安上の問題は特になかったという報告を受けております。しかし、事態はかような結果になりましたので、今後とも十分にこの体制を固めて、再びかようなことの起こらぬようにしたいと存じます。なお、その災害原因につきましては、詳細に調査をいたしたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(石田博英君) 今回の不幸な事件に対しまして、労働者の保護を管掌いたしておりまする私といたしましても、きわめて遺憾に存じますとともに、衷心より哀悼のまことをささげたいと存じます。
 ただいま御質問の中で、鉱山保安行政を労働省所管にしたらどうかという点でございます。かねてからある議論でありまして、十分検討をいたさなければならないと存じておりますが、特に鉱山保安行政は、生産過程その他と技術的な深い関連もございまするので、私といたしましては、鉱山保安法にありまする勧告権を行使いたしまして、さらに通産省と密接な連絡をとりまするとともに、基準法上の監督につきましても、現在でも他の事業場に比べて数倍の頻度をもって監督はいたしておりまするけれども、さらに一そうこの強化に努めて参りたいと存じます。
 それから労働行政全般といたしまして、鉱山を含めて、工場の災害は、度数率は減少いたしておりまするけれども、絶対数は増加いたしておるのであります。しかもそれは、企業の規模によりまして、特に中小企業において著しいのでありまして、この改善のために、保安、安全施設に対する低利金融等の方法につきまして、ただいま総理から御答弁がありましたように、本日の閣議におきましても議題といたしました。その具体化についてこれから努力をいたして参りたいと存じておる次第であります。(拍手)
#38
○議長(松野鶴平君) 阿具根登君。
  〔阿具根登君登壇、拍手〕
#39
○阿具根登君 増産と保安という問題について少しお考え違いのようでございますし、私の質問が舌足らずであったかもわかりませんが、再質問いたします。
 私が申し上げておりますのは、すでに御承知の通りでございますが、政府がこのたびの石炭エネルギー政策を出しました場合に、重油の値段は八千四百円と踏んでおります。その場合に、三十八年に石炭の値段を一千二百円下げねばならない、こういうことでございます。ところが、すでに重油は七千円を割っております。そういたしますと、中小炭鉱も大炭鉱も、能率において数倍の石炭を出さなければ太刀打ちができない、それでも追いつかないということになっておるから、すでに一昨年出されたこの政府の石炭政策なるものは、もうやっていけないところにきておるということなんです。そうでなかったならば、政府が最初合理化法案を作られたときに言われたのは、一人当たり十八トン出す山は、これは残す、それ以下の山は希望によって買い上げる、こういうことであったわけです。それが最近三十六・二トンになったわけなんです。二十六・二トンになった場合も八千円の重油の値段のときの考え方でございます。そういたしますと、七千円と下がった、まだ重油は下がる可能性がある。そうなりますと、一人当たり四十トンから五十トン、それ以上も出さなければ太刀打ちできないように、あなた方が政策で今日やってきておるんじゃないか。(拍手)できないようにしておるではないか。だからこういうことになってきたんだ。そうでないとするならば、あなた方が言われたように、十八トン出して重油と太刀打ちができますか。二十六・二トンでやっていけますか。こういう点を私は主張しておるわけでございます。
#40
○議長(松野鶴平君) 簡単に願います。
#41
○阿具根登君(続) それから保険の問題でございますが、非常に簡単に言われたので、よくのみ込めなかったんですが、こういうときに特殊な作業場にあり、一番危険な作業場にある方々、年間どんなに少ないときでも五百七十名が一番少なかったと今日までいわれておる炭鉱の犠牲者、最下位のその人々に、政府と経営者で保険制度を作る意思がないかどうか。財源がないなら別として、財源はあり余っておる。それをそういうものに振り向ける意思はないかどうか。こういうことを聞きたい。
 それからもう一つ。すぐやめますが、保安要員は減らしておらないということを言われる。(発言する者あり)人命の問題だからちょっと待って下さい。――保安要員は減らしておらないと言われるけれども、新聞でも示しておるごとく、すでに今日、保安の技術を持っておる人、あるいはそれに適当な技術者が得られない。中小炭鉱には特にそういう人は得られないから、そういう技術を持たない人がやっておる、こういうことなんですよ。そういうことは、ただあなた方が会社にだけ聞いても、会社は、保安要員を減らしたから災害が起こりました、そんなことを言う人はだれもおりません。みんな私のところは保安は万全ですと言うに違いありません。それを漫然と、うのみにして、先ほどの報告では、新聞にある以外のことは何も言わなかった。通産大臣が保安要員は同じだというような言い方はおかしいじゃないか。そういう点を私は主張しておるだけですから、重ねて御答弁をお願いします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 一昨年の暮れから昨年にかけて、石炭合理化につきまして御審議願ったときには、お話のように重油はまだ八千円程度であったのでございます。その後だんだん下がって参りまして、そうしてくると、三十八年までに千二百円引き下げでもだめじゃないか、こういうことでございます。また片一方では、十八トンというのが、最近では予想以上に一人当たり一カ月出炭量は多くなっておる。いろいろ事情が変化して参っておりますので、私はこの石炭行政につきましては、もっと推移を見ながら再検討をする段階にくるんではないかと思います。決して増産のために保安をゆるがせにするということはないんで、保安が第一でございます。で、私は先ほど保安要員は減ってはいないと申しておりまするが、これは通産省の役人の報告であるのでございます。
 なお、こういう危険な職場におられる方に対しまして、今の労災保険ではまだ十分じゃない、別の新しい考え方の保険制度を設ける考えはないか、こういうことにつきましては、これは非常に研究を要することでございまして、所管大臣その他とよく相談いたしまして考えたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(椎名悦三郎君) 今、総理からお答えがございましたが、重油がただいま七千五百円程度になっておりまするが、国際値段としてはまだ高いのでございまして、今後下がる傾向にあることは御承知の通りであります。しかし石炭の対策につきましては、われわれは非常にこれを重視しており、また大口需要者である電力あるいは鉄、ガス、セメント、国鉄、こういうような方面に呼びかけておりまして、そして、たとえ重油の値段が将来下がろうと、とにかく三十八年度末までにトン当たり千二百円下げるという合理化を実行しておる、その誠意に報いるためにも、重油の値段はどうあろうと、一定の数量はこれを必ず消化するという責任をとってもらうというようにただいま指導いたして、漸次話を固めつつあるのでございます。でございますから、これらの五つの部門がその盟約をもしも結ぶということになりますれば、大体六〇%ないし六五%くらい消費することになるのでありまして、その他、産炭地の火力電力の増設問題等々によりまして、五千五百万トンのこの将来の出炭に対しまして、十分に需要面からこたえて参りたい。さような方面には不安を与えないように、ただいま懸命に努力中でございます。
 それから保安要員の問題でございますが、数はあっても質がどうも思わしくないという御指摘でございます。これらの点も必ずしも満足の状況とは思っておりませんので、保安教育に十分に力を入れて参りたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(石田博英君) 私に対する再質問は、鉱山のごとく災害の頻度が高いところに対して、さらに新しい別個の保険制度を考究する用意があるかという点であろうと存じます。この点につきましては、ただいま総理から御答弁がございましたと同様に、十分検討をしなければならない問題だと考えております。私がお答えを申し上げましたのは、その事故が起こった際における補償を強化するということも、もとより必要でありますが、こういう事故が中小企業あるいは中小炭鉱に特に多いのは、経済的その他の理由からする保安安全施設の不完全によるところが多いのでありますので、その保安安全施設を完備いたしますための低利融資等の方法を研究いたしたい、こういうことをまず手がけまして、事故の起こらないように、起こる原因をなくするような方面の研究を始めたいということをお答え申し上げた次第でございます。(拍手)
  ―――――――――――――
#45
○議長(松野鶴平君) 田畑金光君。
  〔田畑金光君登壇、拍手〕
#46
○田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、昨九日正午、福岡県田川郡香春町の上田鉱業上清炭鉱に起きました炭鉱災害に関し、若干質問したいと思います。質問に先立ち、七十一名の犠牲者に対し、つつしみて哀悼の意を表します。
 ただいま通産大臣から災害発生の原因について説明がございましたが、坑内コンプレッサーの事故に基づく火災によりまして、七十一名の犠牲者が出たわけでございます。昨年九月二十日、同じく福岡県川崎町における豊州炭鉱の水没事故に引き続く最大の悲惨事でございます。ことに、豊州炭鉱における犠牲者六十七名の遺体収容も終わらないうちにこの事故を見ましたことは、政府の保安監督行政の不備欠陥、鉱業権者の保安に対する関心の欠除、怠慢に基づくものでありまして、心から憤りを禁ずることができません。
 今回の事故発生の原因は、坑内コンプレッサーの発火から発生したものであり、この種の事故は従来少なかったといわれておりまするが、保安法、保安規則によりますると、巻上機、ポンプ、室等、電気使用の場所等は、防火設備を実施することになっておりますが、中小炭鉱においてはほとんど実行されない。上清炭鉱は、先ほどお話がございましたように、三十三年六月にもガス爆発で十一名の重傷者を出しております。わずか三年の後にまた今回の大きな事故でございます。ことにわれわれが疑問を深くすることは、今回の事故発生炭鉱は、豊州炭鉱と同一経営者であるということでございます。九州筑豊炭田における鉱山王といわれる一家の経営する山であります。それだけの資力を持ちながら、こういうようにしばしば事故を起こしておるということは、このことは、われわれとしても納得がいかないわけでございます。このことは、保安という意識がきわめて低いか、これを実行する意思がないことを示すものであります。このように、違反を繰り返し、改善の意思のないものは、この際、罰則の厳正な適用を行なうことはもちろん、鉱業権を取り消す等、強硬な措置を考えることも必要であると思いまするが、この際、政府の所見を承ります。
 同時に、注意することは、政府の怠慢、鉱山保安担当の方々の責任の所在をはっきりすることでございます。炭鉱災害について、多くの場合原因の究明が中途半端に終わり、責任の所在もあいまいになってしまって、多数の犠牲者を出しても責任をとる者がない。災害は忘れたころに再発し、また騒ぎますが、いつの間にか忘れてしまいます。豊州炭鉱についても、まだ原因が明確にされず、責任の所在もはっきりされておりません。今回は、一週間前に保安監督官が現場を検査したあとに起きておるわけでございます。このことは、保安監督官と会社側がなれ合いでやっている、そういう面があることを如実に暴露しておると言わなければなりません。検査に来ますると、会社側が保安状況のよい所だけを適当に見せて、その場を糊塗する。出先の保安監督官と会社のこのようななれ合いが事故発生の大きな原因と私は見ておるわけです。保安監督官は、労働組合の代表とも接触して、その意見を聞くことが必要であるが、そういうことは何らなされていない。私は、こういうような今日までの災害発生の経緯にかんがみまして、綱紀の粛正という点からも、保安監督行政上の責任を明確に政府はなさるべきであると考えまするが、御方針を承りたい。ことに筑豊炭田のような老朽炭田におきましては、保安監督員の充実あるいはこれに必要な予算の措置、こういうことが必要であると考えまするが、通産大臣の所見を承りたい。
 また同時に、鉱山保安法によりますならば、労働大臣は勧告権を持っておられますが、従来この種の災害発生を通じて、労働大臣はこの勧告権の行使をどのようになさってこられたか、このことを承ります。
 先ほど阿具根議員からもお話がありましたように、本日の朝日新聞に載っておりまする小岩井鉱山保安局長の談話は、私は、今日の石炭政策の半面をうがっておる見解かと見ております。炭鉱災害は、戦後、昭和二十五年を最高に漸減いたしておりまして、三十四年には五百七十四人に減少しました。鉱山保安確保上喜ばしい傾向を示したのでございまするが、昨三十五年には六百十七人に逆戻りしております。最近の災害発生の状況からしますならば、三十六年度はさらに上回るものと見ております。一産業の労働災害からこういう多くの人命が失われておるということは、文化国家として最大の恥辱だと私は考えます。人命を保護し、生命を尊重することが民主政治の根本でございます。御承知の通り石炭産業はエネルギー消費構造の変革下にあって重大な危機に立っております。鉱業合理化臨時措置法は過ぐる三十四国会において改正され、合理化事業団が発足し、炭鉱の合理化、体質改善に拍車をかけております。今日、石炭産業の絶対的課題は、昭和三十三年を基準として、三十八年度には販売炭価をトン当り千二百円引き下げることでございますが、これがこのまま中小炭鉱にはね返り、最近の事故発生の大きな原因をなしております。大手にあってもそうでありますが、ことに中小においては、コスト引き下げ、合理化の犠牲が、そのまま保安の軽視、人員整理、賃金引き下げに反映しております。池田総理は多年通産大臣として、この辺の事情はよく御存じのはずでございます。災害防止、保安確保の観点からも、政府の石炭政策には大きな反省が必要になっておると考えまするが、この際、総理のお考え方を承ります。
 石炭鉱業合理化臨時措置法によりますと、通産大臣は、毎年、石炭鉱業審議会の意見を聞いて、石炭鉱業合理化基本計画の実施をはかるために必要な合理化実施計画を定めることになっておりまするが、三十五年度の実施計画がきまったのは昨年の十二月の末でございます。こういうようなことで計画の遂行ができるでございましょうか。また三十五、三十六年度の予算措置、財政投融資計画でもって、千二百円コスト引き下げという五カ年計画の課題が実行できるかどうかを、この際、通産大臣から承りたい。私たちの見るところでは、石炭業界の自主的努力によって可能なコスト引き下げの限界は、せいぜい八百円前後であると見ております。従って、コスト引き下げの目標達成のためには、政府の積極的な石炭政策が並行しなければ不可能でございます。金利の引き下げ措置、開銀資金の融資ワクの拡大、昨年度から実施しております合理化のための無利子貸付の政府資金をもっと大幅に増大すること、地方税について再検討を行なうことが必要であると思います。こういう総合的な施策の裏づけがなければ、石炭産業の安定は不可能だと考えまするが、政府の所見を承ります。
 千二百円コスト引き下げは、政府の公約した重要な産業政策でございます。貿易の自由化に伴い最大の影響を受けますものは、通産物資としては、石炭、非鉄金属でございます。ことに五年後、重油等競争エネルギーに競合する炭鉱の体質改善のために、今申し上げたように、千二百円コスト引き下げは絶対の課題でございまするが、この目標を達成しますためにも、国鉄運賃、電力料金を初め、物価の横ばいということが前提になっておるのでございます。しかるに、先ほど本議場で質問がございましたように、国鉄貨物運賃の一五%引き上げはもう既定の事実になっておりまするが、国鉄の貨物運賃引き上げがコスト引き下げにどういう影響をもたらすか、この点を承ります。われわれの算定によりますると、国鉄運賃の値上げは、貨車積みトン当たり七十一円に負担増を加えるのでございます。これを全部炭鉱に負わせようとするのか。料金値上がりを生産増大によって吸収させ得るお考えでございましょうか。御承知のように、石炭の生産数量は自主的に調整し制限しなければ、かえって市場を混乱し、石炭の自滅を早めるだけでございます。他の産業に見られますように、生産性増大によってコスト高を吸収することはできないのでございます。政府は、農産物等については、貿易自由化に伴い慎重に対処することを考慮しております。また、農産物、工業原材料等に関しまして政策料金を実施しております。少なくとも石炭産業についても、当面、政策料金を採用する必要があると私は考えまするが、この際、総理の見解を承りたい。国鉄運賃、電力料金等、公共料金の値上げを全く炭鉱のみに負わしめようとなされるのでございましょうか。もしそうだとすれば、炭鉱の合理化は不可能に陥り、その保安確保の面に中小炭鉱あげての閉山倒壊を招く結果になると考えまするが、この際、総理の所信を承りたいと考えております。
 石炭産業が国の基幹産業として、将来ともその正当な地位を保つことが必要であるといたしますならば、政府はこれに即応する具体的な裏づけの施策を講じてもらいたい。このことが頻発する炭鉱災害を未然に防止することであり、石炭産業の安定をもたらし、よって民主的な労使関係を確立するゆえんであると私は考えますが、このことを政府に強く訴えまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。
 今回の事件につきまして、炭鉱業者に対して措置をとるべきだという御意見のようでございます。これは原因を究明いたしまして、しかる後に考えるべき問題と思います。
 なお、石炭政策と鉱山保安の問題でございますが、先ほどお答えいたしましたように、私は、石炭政策、保安問題は同時に解決できる問題ではなく、別個の問題でございます。石炭政策を立てる以前に炭鉱の保安問題は考えなければならぬ重要な問題だと思っております。
 なお、国鉄運賃の値上げが石炭の価格にどれだけ影響するか、私は正確な数字は存じませんが、大体坑木を除きまして、たしかトン当たり四十円程度だったかと思います。しかし理論的には、これは国鉄の必要性からいって、私は石炭もその線でいくべきだと考えておりますが、先ほど申し上げたごとく、石炭につきましてもなおいろいろの問題が残っておりますので、この点は私としては考えておるのでございまするが、さしむきのお答えといたしましては、私は運賃値上げはやむを得ないと考えておるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体総理からお答えがございましたが、まず責任問題の件でございますが、ただいまその原因を現地について厳密に調査中でございます。それで、御指摘がありましたように、ただ今回の災害の表面上の責任所在というばかりでなしに、こういったような災害が起こる、いわゆるその遠因は何かというような点にも触れて、十分に今後の対策を考えてみたいと存じております。
 それから、石炭運賃のことでございますが、御指摘のように三十八年までにトン当たり千二百円下げるということそれ自体が容易な問題ではない。従って、これ以上負担を合理化によって消化するということは、石炭業界に対してはあまり過酷な負担でございまして、非常に困難ではないか。かように考えますので、実質上その負担の過重にならないように関係方面とよく協議いたしまして結論を見出したい、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(石田博英君) 鉱山保安法五十四条による労働大臣の勧告権をどう行使しているかという御質問でございますが、現存までは、三十一年の二月に一回、昨年十一月に第二回目の勧告をいたしまして、通商産業省に対しまして、鉱山保安法違反事実に対して厳重な措置をとるように要請をいたしたのであります。今回の事件につきましては、まだ詳報が入っていないのでありますが、通商産業省と十分連絡をとりまして、事故の再発防止に努力いたしたいと考えておる次第であります。(拍手)
#50
○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十一分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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