くにさくロゴ
1960/04/05 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第19号
姉妹サイト
 
1960/04/05 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 本会議 第19号

#1
第038回国会 本会議 第19号
昭和三十六年四月五日(水曜日)
   午前十一時三十八分開議
  ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十八号
  昭和三十六年四月五日
   午前十時開議
 第一 議員辞職の件
  ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 議員辞職の件
 一、裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官訴追委員、検察官適格審
  査会委員、同予備委員、鉄道建設
  審議会委員及び東北開発審議会委
  員の選挙
 一、国立国会図書館の館長の任命に
  関する件
 一、国有鉄道運賃法の一部を改正す
  る法律案
  ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
   ――――・――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議員辞職の件。
 一昨三日、栗山良夫君から議員辞職願が提出されました。辞表を参事に朗読させます。
  〔参事朗読〕
   議員辞職願
     参議院議員 栗山 良夫
 私ごと一身上の都合により議員を辞職いたしたいので御許可賜りたくこの段お願ひ申上げます
 昭和三十六年四月三日右
            栗山 良夫
  参議院議長松野鶴平殿
  ―――――――――――――
#4
○議長(松野鶴平君) 栗山良夫君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
   ――――・――――
#6
○議長(松野鶴平君) この際、お諮りいたします。太田正孝君から、裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
   ――――・――――
#8
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 裁判官訴追委員、検察官適格審査会委員、同予備委員、鉄道建設審議会委員及び東北開発審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
#10
○前田佳都男君 ただいまの選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#11
○光村甚助君 私は、前田君の動議に賛成いたします。
#12
○議長(松野鶴平君) 前田君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 よって議長は、裁判官訴追委員に松野孝一君、検察官適格審査会委員に中村順造君、同君の予備委員に田上松衞君、鉄道建設審議会委員に松澤兼人君、東北開発審議会委員に鈴木壽君を指名いたします。
   ――――・――――
#14
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国立国会図書館の館長の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 国立国会図書館の館長の任命は、両議院の議長が、両議院の議院運営委員会と協議の後、国会の承認を得て、これを行なうこととなっております。議長は、衆議院議長と協議いたしまして、国立国会図書館の館長に鈴木隆夫君を任命することとし、これを議院運営委員会に諮りましたところ、異議がない旨の決定がございました。鈴木隆夫君の任命を承認することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
   ――――・――――
#17
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長三木與吉郎君。
  ―――――――――――――
  〔三木與吉郎君登壇、拍手〕
#19
○三木與吉郎君 ただいま上程になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案につきましては、去る三月十日、本会議におきまして政府より提案理由の趣旨説明を聴取しておりますので、ごく簡単にその要点を申し上げます。
 国鉄は、政府の所得倍増計画に対応し、総額九千七百五十億円を要する、本年度を第一年度とする第二次五カ年計画を策定し、経営の健全化と輸送力の増強をはかることを目的としておりますが、それに要する資金の一部を調達する方法として、今回二等普通旅客運賃の賃率を三百キロまでは一四・六%、三百一キロ以上は一二・五%引き上げ、一等の運賃は二等の一・六六六倍、通行税込み二倍とし、貨物運賃についてはおおむね一五%の値上げをしようとするのが、この法律案の要旨であります。
 この法律案は、三月二十五日、衆議院より送付を受け、同日運輸委員会に付託されましてから、ほとんど連日慎重に審議を重ね、その間、農林水産委員会及び商工委員会と連合審査を行ない、また、公聴会を開催し、広く各方面の意見を聴取して参りました。
 委員会の審議にあたりましては、各委員から、国鉄運賃決定の原則、国鉄の公共性と企業性の関連、国鉄運賃値上げの国民生活に及ぼす影響、国鉄の公共負担、公共料金の値上げ抑制による国鉄運賃との調整、第二次五カ年計画と所得倍増計画との関連、第二次五カ年計画の資金計画、国鉄職員に対する仲裁裁定と第二次五カ年計画の遂行等の諸問題について、熱心に質疑が行なわれました。これらの質疑については、運輸大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官その他政府委員及び国鉄総裁等より答弁及び説明がありましたが、その中で、第二次五カ年計画中は国鉄運賃の値上げは行ないたくない旨、また、仲裁裁定の完全実施については第二次五カ年計画の遂行に支障を来たさないよう努力する旨、及び、今回の運賃改訂にあたっては、現に政策割引を行なっている物資については、個々に差別運賃を設けず、同率の改訂を行なう旨明らかにされました。
 なお、さらに、日本社会党の大倉委員の質疑中、自由民主党の村上委員よりの質疑打ち切りの動議に基づき、質疑は終局し、直ちに討論に入りましたところ、天埜委員より、本法律案の施行期日を公布の日の翌日からに改める修正動議が提出され、さらに自由民主党を代表して賛成の旨の意見の開陳があり、続いて、日本社会党を代表して大倉委員より反対の討論、民主社会党を代表して片岡委員より反対の討論、参議院同志会を代表して加賀山委員より賛成の討論、最後に白木委員より反対の討論がありました。
 以上で討論を終わり、採決に入り、まず天埜委員提出の修正案について採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと決定し、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#20
○議長(松野鶴平君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。重盛群治君。
  〔重盛壽治君登壇、拍手〕
#21
○重盛壽治君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっている国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、わが党は絶対反対でありますので、その理由の説明をいたします。
 私は、きょうは池田総理大臣が見えておらぬのははなはだ遺憾である。この法案を上程すること自体は、池田内閣がいわゆる国民に対する公約違反をしている最大なものであると言わなければならない。特に、この法案を審議するにあたって、衆議院の審議の状態もさることながら、参議院におけるところの審議の状態も、ただいま三木委員長から報告があったのでありますけれども、あのように、どういう理由で反対がなされ、どういう審議がされたかの内容にも触れることのでき得ないような審議のありさまであった。いわんや昨晩における質疑打ち切り動議のごときは、参議院の特殊性を喪失するのではないかとすら危ぶまれるような状態であったことを、はなはだ遺憾とするものであります。
 私は、まず、国鉄運賃の改正はしばしば行なわれておるのでありますが、今度の運賃の改正ほど、時期的に見て不適当であり、その事由とするところにも納得のいかない点が非常に多くあることを、感ぜずにはおられないのであります。
 まず第一に、物価に対する影響でありまするが、ここで御承知のごとく、旅客運賃を一四・六%引き上げる、さらに貨物運賃を一五%という大幅な引き上げをするといたしますならば、この国鉄運賃は、現在あらゆる物価が上昇しておる、その物価上昇の気配にますます拍車をかけ、いわゆる値上げムードを刺激し、国民生活を必然的に圧迫する結果になるのであります。これに対し、政府は、この程度の国鉄運賃の値上げが物価に与える影響はきわめて少なく、国民生活には〇・一%ぐらいであり、卸売物価にはほとんど影響するところはないと言っているが、大体、総理大臣や運輸大臣は自分で物をお買いになったことがあるかどうか存じませんけれども、現実の値段はおわかりにならないのであります。今日の経済状態はそんななまやさしいものではありません。特に生活必需品は一〇%から二〇%の値上がりを示し、さらに貨物運賃が一五%も上がるとするならば、当然これは、これに、はね返ってくる。池田内閣が実行もできないところの所得倍増論を打ち出したために、国民はいかに苦しんでいるかも御存じないのでありましょう。物価値上げの情勢はすでにすさまじい勢いで国民生活に迫ってきておる。そのきっかけを作ったのは、何といっても池田総理のいわゆる所得倍増論であり、高級所得者あるいは各級議員給与の増俸であるとさえ酷評をせられているではありませんか。さらにまた、これに拍車を加えるがごとき問題が、今回の国鉄運賃の値上げであります。最近の物価値上げムードを、これを何とかして押えなければいかぬ、このような形から、うろたえた政府は、一方において国鉄運賃の値上げの法案を出し、国会で国鉄運賃の値上げをしながら、公共料金の値上げは全部ストップするのだ、これは一体どういうことでありますか。公共料金の値上げストップの措置をとるという大きな矛盾をあえてして、てんとして恥じないということは、反面、公共料金の値上げのストップをするということとは、全く違ってきておる。私は決して中小企業の困っておる人たちの値を上げていいということではないが、公共料金の値上げストップをするといっていながら、中小企業や公企業の方のことは全然考えておらない。国鉄の経営よりさらに苦しい内容を持っておる事業者は、公共性をしいられ、その運営に行き詰まりを来たしておる。中には倒産、破産する者もあり、従業員が離職の寸前にある者もいる。こういうものを値上げをしていいとは決し言わぬけれども、いわゆる値上げムードを押えるために、国鉄運賃の値上げだけは認め、事由のいかんを問わず公共料金の値上げストップの行政措置をとるということは、本末転倒もはなはだしきものといわなければなりません。政府も物価の値上がりを喜んでいるわけでもありますまい。政府が値上げムードを押える措置を望むのならば、なぜ、全国的に組織を持ち、全国民の心理に大きな影響を与える国鉄運賃のすみやかな値上げ停止をしないのであるか。これが最大の効果を現わすものでありましょう。従って、公共料金の値上げストップの行政措置を閣議できめる前に、この法案の撤回をやるべきである。それから後の二次的な措置で、しかるべき方法をとるのが、今度の国鉄運賃法の改正でなければならぬ。もちろん、国鉄運賃法の改正案を引っ込めれば、その必要もないでありましょうし、経済は平静に返ってくる。国民生活は安定を取り戻して、全く経済状態も緩和されてくる。けれども、政府のやり方は全く逆であって、この法律を成立させるためには、いなかのバスの料金の値上げまで押えようとしている矛盾が現われている。私は、政治は、基本を正しくして、国民の安心してついていける信頼感のあるものでなければならないと思う。今回の国鉄運賃の値上げに残念ながらそのような点は少しも感じられないのであります。
 しからば、今回の国鉄運賃の値上げを必要とする国鉄の新五カ年計画に、運賃の値上げの合理性が認められるかといいますと、これまた、はなはだ残念でありまするが、納得のいきかねる点ばかりたくさん包含しておる。反対の事由の第二に私はこの点を申し上げておきますが、政府及び国鉄の説明するところによりますと、国鉄は、政府の所得倍増計画に見合うよう輸送力の増強をするため、現に進行中で四年目を迎えた五カ年計画をここで打ち切って、三十六年度を初年度とする新五カ年計画を樹立し、その所要資金の一部として、利息のつかない自己資金を得るため、運賃値上げを行なおうとするものでありまするが、国鉄の輸送力増強は、政府の説明を待つまでもなく、当然、国鉄としてなすべきことでありましょう。現に進行中の五カ年計画もその目的に沿うものであるが、四年目においてその達成率八〇%であるべきところ、六七%にしかなっておらぬ。こういうことでありまして、その見通しを誤ったからだと言っておりますけれども、これは明らかに政府並びに国鉄の怠慢であり、その責任を私どもはあくまで追及しなければならないのであります。しかるに当局は、現在の五カ年計画の失敗が、その見通しの悪かったことにあったことをたな上げにし、再び新しい五カ年計画を策定し、利用者大衆の犠牲においてその達成をはかろうとしているのであります。ゆえに、この新五カ年計画が十分妥当性があるものでありますならば、国民の支持を受け得ることも可能でありましょうが、そうではない。その計画に全くずさんなものがあり、その所要資金のごときは、運賃の値上げによって依存するというような構想をえがいておりまするが、このようなことは断じて許さるべきではございません。そのような観点から、新五カ年計画を検討いたしてみまするに、今後急速な発展が予想せらるる道路交通、ことに都市交通等において、大いに検討を加うべき余地が残っておると思いまするが、また計画全体を通じて見まするに、年度別資金計画、同要員計画というような具体的な事項をつまびらかにいたしていない。五カ年計画全体の資金は、投資は九千七百億余と申されておりますが、年度別予定工事量に見合う資金計画が伴わなければ、現に物価の上昇を見ておりまする現在、はたして、言うところの投資で所要の効果をおさめ得るかどうか疑いなきを得ないのであります。新五カ年計画においても、国民は、再び現五カ年計画と同じ轍を踏むのではないかという不安を抱かなければならないでありましょう。この点については、国鉄はすでに前科者であります。よほどの決意を持ってその計画を国民の前に示さなくては、国民は安心して国鉄の計画を支持し運賃の値上げに応ずるわけにはいきません。また、要員計画については問題はさらに深刻である。新五カ年計画において相当の事業量の増加が予想され、これに伴う要員の増加が見込まれねばならぬのでありますが、一方、合理化による要員調整もあろうが、全体として要員増となるのは当然であり、この予想せらるる要員の増加に対し、適切な措置を欠く場合には、現在職員の労働強化をしいることは必然であり、そのために生ずる一般サービスの低下、新五カ年計画の達成も困難となるでありましょう。このことは、最近の事象に現われている国鉄幹部の労務管理に対する基本的な考え方からして、必然性を持つものと思うのであります。言うまでもなく、事業には人の和が必要であることは当然であります。ことに、国鉄のような全国的な組織においては欠くことのできざる重大要素であります。国鉄一家というような言葉は、時に、国鉄にとって悪い印象を与える代名詞のようにいわれておったのでありますが、元来はそうではなく、和合の精神を教えたスローガンであったはずであります。一家の和を保ってこそ業務の業績が向上せられ、時代に即応せる新しい計画が達成せられると思うのでありまするが、しかるに最近における例をとるならば、三・一五闘争に対し、間髪を入れず、前例を見ざるところの過酷な処分をあえて実行した国鉄幹部の基本的な態度は、人の和を最大のモットーとする国鉄事業にとってまことに遺憾千万であって、国鉄幹部がかかる考え方を捨てざる限りにおいては、人の和は望み得なく、かりに新五カ年計画を決定しても、これの達成に一大支障を来たすことは当然であります。その結果、迷惑をこうむる者は、輸送力増強の甘言に迷わされ、運賃値上げを強行させられた国民であります。私は、国鉄経営の基本方針が変わらざる限り、何回運賃の値上げをいたしましても、新しい計画の実施は困難であると思うのであります。よって、国鉄の現在の五ヵ年計画はなお一年分残っております。今までの古いのが一年分残っておるのだから、その達成に努力をする、そうして新五カ年計画は今後の経済状態の推移を見きわめ、時代に即応して向上的なものに練るためにも、一年延期されるのが適当と思うのであります。そうすれば、国鉄運賃の値上げはその必要がなくなり、物価値上げの一般的ムードも自然解消することに役立つのであります。
 最後に私は、国鉄がその輸送力の増強を焦眉の急として、あえて新五カ年計画を強行する場合におきましても、その所要資金を調達するにあたって、運賃値上げという国民に犠牲をしいる行為によることなく、他の方法によって調達すべきものと考えているのであります。第三点としてその点を申し上げますが、すなわち、今回の新五カ年計画におけるような資本的支出を伴うものにあっては、債券あるいは借入金等、他人資本によるべきが合理的であることは当然であります。これを借入金等によりますと、その支払利息が巨額に達して国鉄経営を圧迫する結果になると言っておるが、国鉄のこの計画は、国の経済政策の一翼をになうものである限り、国でその利子負担について考慮し、国鉄経営の健全化をはかるべきが当然であります。今年度予算において、国は国鉄の建設線利子補給の措置をとられたが、かようにして建設される新線は、おそらく採算のとれない、いわゆる赤字路線であろうと思うのであります。赤字船建設のための利子補給がせられるならば、国の産業経済の成長に大きな役割をになう国鉄の輸送力増強のための投資の利子補給ができないというのは、いささか合理性を欠くものであることを指摘しておかなければならぬのであります。
 また今回の運賃値上げにより増収を期待しておりまする程度の額、すなわち四百八十億程度のものは、わが党がかねてから主張をなし、木国会に、「鉄道軌道等の事業における公共負担の国庫負担等に関する法律案」として提案しておりまするところの趣旨に基ついて、国鉄の公共負担を国庫で負担することにいたしまするならば、今回の運賃値上げの必要は断じてないのであります。現在、国鉄は、御承知の通り、公共企業体という、公共性半分、企業性半分の特殊法人でありますために、公共性と企業性との間にはさまれて、公共性をふりかざされて多くの負担を余儀なくされておる。しかるに、国鉄の経営について批判されるときには、これは企業性の面だけで大きく取り上げられている実情であります。国鉄が企業体である以上、その独立採算性を強調される理由は一理なしとしません。けれども、公共負担、特に国の政策に基因するところの公共割引等の負担は、国においてこれを負担するのが当然であります。現在国鉄が負担している公共負担は五百二十五億といわれているが、企業体としては過当な負担であり、国鉄経営を危機に導く要因を蔵するものと思うのであります。
 若干古いことになりまするけれども、戦争中の国鉄は、輸送力増強、戦争の基本的な大きな力であると言うておだてられて、大いに活用された。そうして黒字が出れば国庫に納入し、あまつさえ臨時軍事費まで出しておると聞いておるのであります。そうした国鉄が戦後の復興はだれがやったか。みずからの力でやってきた。戦争に参加した多くの者が何らかの形で補償を受けておるときに、ひとり国鉄のみが国の犠牲に甘んじなければならぬということは、これはあり得べからざることであろうと考えるのであります。
#22
○議長(松野鶴平君) 結論を急いで下さい。
#23
○重盛壽治君(続) はい。――従って、国鉄の危機にあたり、新五カ年計画の一端を国が負担することは当然だとも言えます。そのことにより、運賃値上げの必要がなくなり、単に国鉄経営の健全化に貢献するにとどまらず、国民大衆の生活安定と諸物価の値上がりムードの解消に役立つこと、これより大なるものはないのであります。
 終わりに臨んで、私は、総理大臣がおりませんが、国民生活の向上をはかって国家経済の恒久対策を考慮せらるるならば、この際、国鉄運賃を始めとする一切の公共料金値上げを直ちにストップせられんことを要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  ―――――――――――――
#24
○議長(松野鶴平君) 金丸冨夫君。
  〔金丸冨夫君登壇、拍手〕
#25
○金丸冨夫君 私は自由民主党を代表して、ただいま上程せられました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対して、賛成の討論を行なうものであります。
 まず、国有鉄道の輸送力は近年見るべき増強が行なわれておりまするが、なお、最近のわが国経済の著しい進展に伴って、旅客、貨物とも輸送需要をまかないきれない状態となっております。すなわち、わが国産業の動脈として国有鉄道に課せられている役割はまことに大なるものがあるにもかかわらず、現下の輸送力不足は、これが多大の障害となっており、しかも、政府の発表した所得倍増計画を今後遂行するためには、とうてい一現在の輸送力をもってはまかなうことができず、このまま放置することは許されない状態となっておるのであります。このようなときにあたって、国有鉄道が新五カ年計画を策定し、新しい事態に対処しようとしているととは、まことに時宜を得た措置であると考えるのであります。すなわち、この計画は、輸送力の拡充を第一義として、主要幹線千百キロの複線化を行ない、さらに千八百キロに及ぶ重要線を電化し、電化せられない区間に対しては全面的にディーゼル化をはかり、またこれに必要なる車両の増備を行なわんとするものであり、このほか東海道新幹線の建設を促進して、将来にわたり大幹線の輸送力を確保せんとするものであります。この新五カ年計画の所要資金は総額九千七百五十億円であって、昭和三十六年度においては二千百五十億円に上る資金を必要とすることになっております。しかし、この中には、通勤対策、幹線輸送力増強、踏切設備の改良、取りかえ、及びその他の諸改良など、約千二百億円に及ぶ、採算を度外視しても実施しなければならない工事費が含まれておるのであります。このため国鉄といたしましては、新五カ年計画を遂行するにあたって、もし運賃値上げを行なわずに、その不足する全額を借入金によるといたしますならば、新五カ年計画完成の年である昭和四十年度においては、長期借入金の残高は一兆一千億円となり、これは国鉄財政の現状から見てとうてい利子負担にたえられないものとなるのであります。従って、この際としては、外部資金の調達によって極力新五カ年計画の実現を期するはもちろんでありますが、一方、利子のつかない自己資金をある程度調達することが必要とされるのでありまして、この点から、今回の運賃値上げは、国鉄経営の健全化をはかるために真にやむを得ない措置と存ずるのであります。
 次に、運賃値上げと物価の関係を見まするに、現行運賃は、物価指数において、昭和十一年を基準として、普通旅客運賃は一五四倍、通勤定期運賃は一一五倍、通学定期運賃は九一倍であり、貨物運賃は一九一倍であります。これに比較して一般の物価は、東京の小売物価を例にとりますと二九七倍となっておりい郵便はがきは三三三倍、新聞は三八一倍、理髪は四六六倍、入浴は三二〇倍になっております。これらに比べれば、国鉄運賃は、今回の改訂が行なわれても、貨物二一四倍を最高とし、通学定期のごときはわずかに一〇五倍にすぎず、非常に低位にあると思われるのであります。さらに、今回の値上げ率は、旅客において一四・六%、貨物においておおむね一五%の値上げとなっておりますが、この程度の値上げは、昭和二十六年以来三回の運賃改訂の事例に徴しても、卸売物価には影響せず、小売物価に対しても僅々〇・一%程度の影響であると予想せられるのであります。むしろ現在では、最近の裏日本の大雪の場合に見ますごとく、輸送の円滑を欠くことによって物資の流通に障害が起こり、かえって物価騰貴を招く場合の影響を無視するわけにはいかないと思うのであります。
 次に、国鉄が公共事業であるという見地から、現在多額の公共負担を背負っておることは御承知の通りでありますが、この点につきましては、国家の政策によって負担しておるのであるから、国家から資金援助をすべきであるなど、種々意見のあるところであります。しかし、現在の約五百二十五億円に上る公共負担が全額政府出資ということになれば、国家財政上の困難はもちろんであるが、さらに、国鉄を利用する国民層は、国内の輸送で四七%にすぎないのでありまするから、国民全体の納付すべき税金で全部をまかなうことは負担の公平を期し得ないものであり、かりにこの方法をとるとすれば、全国一戸当たり約二千円の税金をよけいに負担しなければならないことになるのであります。従って、今回は国鉄が必要とする資金については、むしろ国鉄の輸送力の増強によって利益を受ける直接の旅客、荷主にもその幾分の負担をせしめることが適当であると思うのであります。しかしながら、多額に上る国鉄の公共負担の実情から考えまして、将来ともこれを全く放置するのは適当でないと考えられますので、今回政府においては、一部ではありますが、新線建設の利子補給の道を開き、国家財政により負担することとしたことは妥当な措置と考えるものであります。なお、この公共負担の限度等については、国鉄の正常な運営という観点から、今後政府においてもさらに検討すべきものであると思うのであります。
 次に申し述べたいことは、国鉄の経営合理化はどうなっているかという点でありますが、最近の国鉄は、積極的に増収の努力を払い、その成果は見るべきものがあると聞いておりますが、一方において、消極的な増収策となるものについても今後とも努力を続けてほしいと思うのであります。まず、経費の節減でありますが、人件費については、ベース・アップを別にして、この十年ばかりの間はほとんど定員をふやさず、生産性の向上に努めているものの、なお業務の合理化等残されており、石炭費などの動力費や修繕費についても、これまで以上の努力を続けて、極力経費の削減を行なってもらいたいのであります。土地、建物の貸付や広告収入などの増加、不用財産の売却、資材購入の合理化等についても一そうの努力を期待いたします。
 最後に、今回の仲裁裁定についてでありますが、政府は、この裁定を受諾、実行することを明らかにいたしましたが、その結果として、国鉄の負担増は年間二百億円に上ることになり、これは今回の運賃値上げによる実収額四百八十六億円の四割一分に相当するもので、国鉄の新五カ年計画に支障を生ずるのではないかとの疑義を抱く向きもありますが、政府としては、仲裁裁定全体において、誠意を持ってその措置を講じ、五カ年計画にはごうも影響を及ぼさないことを明言しておりますので、国民はこの政府の措置を信頼して差しつかえないと思うのであります。
 要するに、今回の運賃改訂は、国鉄に対して、国民の国鉄たるべき使命を完全に果たさせようとするのがそのねらいであります。従って、現在計画されている新五カ年計画の達成はもちろんのこと、あらゆる機会に、人的、物的のサービスを向上し、快適な輸送、円滑な運送を国民は期待しているのでありますから、これらを実現する前提として、私は、今回の運賃改訂は真にやむを得ないものと考え、賛成をいたす次第であります。(拍手)
  ―――――――――――――
#26
○議長(松野鶴平君) 片岡文重君。
  〔片岡文重君登壇、拍手〕
#27
○片岡文重君 私は、この際、民主社会党を代表して、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案並びにその修正案に対して反対の討論をいたしたいと存じます。
 反対の第一は、このたびの国鉄運賃の改正は、明らかに池田内閣の選挙公約の重大なる違反であるということであります。昨年十一月行なわれました衆議院選挙の前後を通じて、私どもは、明らかに国鉄運賃の値上げが予見される事態であったことを告げたのにもかかわらず、池田内閣は、その運賃値上げを否定し、もしくは、ひた隠しに隠しつつあったのでありますが、選挙後直ちにこの改正案を提出した。明らかにこれは、その欺瞞せんとする意思のあったか、なかったかということは別にしても、国民を欺瞞したことに変わりはないのであります。まさに許しがたきやり方であると言わねばなりません。
 反対の第二の理由は、池田内閣に何らの交通政策がないということであります。ひとり池田内閣ばかりではなしに、歴代保守党内閣が総合的な交通政策を持っておらなかったことは、ここに私が申し上げるまでもなく、国民周知のところであり、今後も総合的な交通対策を樹立せんとする誠意が少しも認められないのであります。その結果、都市を中心とする交通混雑を引き起こし、ひいては、通勤緩和等のために、国鉄だけが採算を度外視した不当な投資を強制される結果となるのであります。
 第三の理由は、国鉄に対する政府の認識がはなはだ時代おくれである。戦後における交通機関の急激な発達に伴って、国鉄は今日戦前の独占的企業から激しい競争場裏に置かれているのであります。独立採算を維持することすら困難な営業キロ数は、実に一万六千百七十二キロ、総営業キロの七九%にも及んでいるのであります。しかるに、政府も国鉄自身も、口先では競争企業になったといいながら、依然として正確なる競争企業の実態を把握いたしておりません。
 第四の理由は、国鉄の公共負担が重きに過ぎるということであります。このことは、行政管理庁、国鉄監査委員会、国鉄諮問委員会等々、国鉄の経営内容を検討したすべての機関がひとしく認めているところであり、諸外国においても、公共的性格の著しい鉄道の負担については、いずれも政府がこれを補てんしているのであります。わが国におきましても、たとえば都市計画に関連する諸工事費であるとか、踏み切り対策費、通学通勤緩和のための投資であるとか、新線建設費等は、いずれも政府がその財源措置を考うべき性格のものであります。しかるに、御承知のように、政府は何らこれを考慮いたしておりません。新線建設の利子補給三億ということを鬼の首でもとったように自慢をいたしておりますが、総額三千三百億に及ぶ国鉄収入の中にあって、わずかに三億という金額は、一体どの程度の役割をするものでありましょうか。しかも、今日作られつつある新線建設は、その作ること自体に莫大なる投資を要すると同時に、その新線が営業を開始すればますます赤字を積み重ねていくのであります。今後の赤字に対する補償についても、もとより政府は考えておりません。
 第五の理由は、国鉄の独立採算制ということが全くから念仏であり、経営の基盤となるべき運賃、新線建設等についても、採算は全然度外視されている場合がきわめて多いということであります。国鉄総裁は、赤字増加の原因となるべきこれら政治路線については、これを拒否する力を与えられておりません。しかし、経営の責任については全面的に仮借なき追及を受けるのであります。
 第六の理由は、値上げ内容の不合理並びに通行税の問題であります。御承知のように、今次改正の内容を見ますれば、二等運賃の二倍という現行の一等運賃を、二等の一・六六六倍に率を引き下げております。そして二倍との差額を通行税として政府が取り上げるのであります。すなわち、政府は公約違反をしてまでも国鉄に値上げをさせなければならないほどの苦しい国鉄の経理状態を十分に承知しながら、なおこれに対して何らの財政的措置を講じないばかりでなしに、その上前をはねんとしているようなやり方をしておるのです。まさに責任ある政治家の行なうべきことではないと断ぜられるのではないでしょうか。この結果、二等運賃は大幅な値上げとなりますが、一等運賃は逆に現実に値下げとなるのであります。値上げムードのはなばなしい今日において、ただ一つの値下げ異変であります。
 第七番目は、国鉄当局は、経営の合理化、経費の節約等に誠意なしとは申しませんが、改善の目をひたすら内側にのみ向けて、すなわち、きわめて消極的であり、増収をはかるのでなくして、みずからの手足をみずからによって窮屈にするやり方にのみ努力しているのであります。その結果、労働条件の改善をはばみ、かつ輸送サービスを低下させるなど、そのしわ寄せを国鉄職員と国民大衆に負わせていることであります。
 第八番目に、第一次五カ年計画失敗の反省が十分になされておりません。その責任を思う者もありません。新五カ年計画も、聞けば聞くほどその計画の内容はずさんであり、特に財源措置が不十分であります。今次ベース・アップに対する仲裁裁定は、今日の経済事情からすれば、低過ぎるうらみはあっても決して高過ぎることはありません。企業経営の責任の衝にある者としては、社会経済の現状からいって、当然この程度以上の裁定は容易に予見されたはずであります。しかるに、この二百億の裁定を見たことによって、直ちに新五カ年計画の財源措置に困難を生じたという答弁を聞くに至っては、経営の手腕、はたしてありやいなやを疑わざるを得ないのであります。
 これらの諸点を考えまするときに、いかに好意をもってしても今次改正に賛成するわけには参りません。特に今次の値上げの影響が〇・一%ということでありますが、家庭経済に現実に与える影響は、低所得者ほど甚大であり、ために、これから高校、大学に通学せんとして真剣に努力し来たった前途ある青少年のあたら希望をくじくような事態もひんぴんとして起こりつつあることを、われわれは見のがすことができないのであります。さらに申し上げたい点もございますが、時間の都合もありますので、以上申し上げまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#28
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案全部を問題に供します。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#29
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正通り議決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト