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1960/02/07 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第2号
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1960/02/07 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第2号

#1
第038回国会 法務委員会 第2号
昭和三十六年二月七日(火曜日)午前十
   一時十一分開会
  ――――――――――
  委員の異動
十二月二十六日委員千葉信君辞任につ
き、その補欠として栗山良夫君を議長
において指名した。
本日委員泉山三六君、大野木秀次郎君、
後藤義隆君及び江田三郎君辞任につ
き、その補欠として青田源太郎君、大
谷贇雄君、佐野廣君及び亀田得治君を
議長において指名した。
  ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     松村 秀逸君
   理事
           井川 伊平君
           大川 光三君
           高田なほ子君
           大谷 瑩潤君
   委員
           木島 義夫君
           町上  進君
           野田 俊作君
           大森 創造君
           赤松 常子君
  政府委員
   法務政務次官  古川 丈吉君
   法務省矯正局長 大沢 一郎君
  最高裁判所長官代理者
   総務局第一課長 長井  澄君
   経理局主計課長 田宮 重男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○派遣委員の報告
  ――――――――――
#2
○委員長(松村秀逸君) ただいまから委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 十二月二十六日付、千葉信君辞任され、栗山良夫君選任。
 本日付、江田三郎君、泉山三六君、大野木秀次郎君辞任され、亀田得治君、青田源太郎君、大谷贇雄君選任。
 以上であります。
   ――――――――――
#3
○委員長(松村秀逸君) 本日の委員長及び理事打合会において申し合わせました事項について御報告申し上げます。
 定例日は毎週火、木といたしまして、火曜日は原則として必ず開くことにいたしたいと思います。以上の申し合わせ通り決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松村秀逸君) ではさよう決定いたします。
   ――――――――――
#5
○委員長(松村秀逸君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 まず連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 本院規則第三十六条に基づき、本調査の一環として、治安に関する件について、地方行政委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(松村秀逸君) 御異議ないと認めます。
 なお、審査会の開会日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(松村秀逸君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
 ただいまの決定に基づき、委員長は地方行政委員会と協議することといたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#8
○委員長(松村秀逸君) 速記を起こして。
   ――――――――――
#9
○委員長(松村秀逸君) 次に、本調査事件について、先般当委員会が行ないました委員派遣について派遣委員からの報告を願います。
 では高田君より御報告をお願いいたします。
#10
○高田なほ子君 委員長及び大谷委員、先輩各位のお許しをいただきまして、私から九州班の現地調査について御報告いたします。
 九州班は松村委員長及び大谷理事と私が、奥村調査員を伴って、一月の十一日から八日間にわたって福岡、長崎、熊本及び大分の各地において少年犯罪対策問題外三項目について現地調査を行なって参りました。九州は、ちょうど十年来の寒さで、なかなか寒風が連日吹きすさんでおりました。
 現地の各関係当局は、私どもの視察に対して、あとう限りの協力と、非常な努力をもって万全を期された。私どもは現地外方面のこの特段の誠意というものに対して、報告に先だって衷心から感謝の意を表したいと思うわけであります。
 すなわち私どもの視察は、少年犯罪対策、めいてい犯罪の取り締まり対策、売春関係事犯取り締まり対策の諸問題並びに法廷等の秩序維持に関する法律の運用状況について、一月の十二日福岡高等裁判所、十三日長崎地方裁判所、十六日熊本家庭裁判所、十七日大分家庭裁判所と、それぞれの場所で法曹懇談会を行ない、また福岡、長崎、及び大分の各県とも法廷等の秩序維持の問題を除く三項目について調査懇談を行ないました。
 さらに法務関係諸施設の視察として、一月の十二日に福岡地方裁判所、福岡婦人補導院、十四日長崎刑務所、十六日大分少年院、そうして十七日に大分地方裁判所と大分婦人相談所を見たのであります。
 以下、調査項目の順に御報告を申し上げます。
 第一に、少年犯罪対策に関する事項にわたりたいと思います。
 その一は、別段地方的な特色というものはありませんが、九州地方でも顕著なのは、最近少年粗暴犯の増加、殺人事件の多いことで、性犯の増加、犯罪の悪質化、グループ化が次いで目立っております。強姦事件なかんずく輪姦事件の頻発、十六歳未満の年少少年の集団化と常習化が目立ち、長崎、熊本の各地では学生と暴力団組織との関連が問題となっており、大分県の伝えるところによれば、昭和三十年と比較して昨年は粗暴犯が二倍、凶悪犯が三倍、特に強姦事件八・三倍に達し、夏季に全犯罪の三割以上が発生するということであります。また、矯正施設の犯罪少年の精神診断の結果は、準正常が多く、非行別では窃盗、殺人の順に多く、学歴は全国平均より下回るとのことであります。概して財産犯は北九州、南九州に多く、粗暴犯は西九州、中九州に多いときれ、久留米の強姦は筑後農村の風習を暗示し、飯塚の傷害は、炭鉱気質を現わし、福岡、筑豊地区の銃砲刀剣類不法所持は不良集団の多いことを物語っております。凶悪粗暴化しつつある少年犯罪に対処するため、各県並びに警察は、少年非行防止に多大の努力を払っておりますが。特に長崎県の児童保護育成条例の制定、「育児カレンダーの作成」配布や大分県警察における早期発見対策としてのママポリスの採用、街頭補導の強化策は、いずれも相当な効果を上げておると感心いたしました。
 ここでママポリスを注釈したいと思いますが、いゆわる婦人警官の一つの種別ではないかと思いますが、お母さんとしての補導――まだほんのテスト期間であります。だから根本的にこのママポリスをどういうふうに強化するかという点については、テスト中であるけれども、母親としての愛情で非行少年に対して補導の任に当たるというこの実績は、見のがすことができないというような説明があり、私どもは特にママポリスのおいでをいただいて、いろいろママポリスから御経験を聞くことができました。できるならばこのママポリスの問題については、国において相当研究されるべき問題ではないか、こういうことを感じたわけであります。
 その二は、少年犯罪の増加に対して少年法、少年院法の運用上いかに改善すべきか。
 まず検察庁側から組織、法手続面からの要望として、少年法適用年令の引き下げ、十八才以上の少年事件に対する検察官の先議権を認めること、最大限譲歩しても、裁判所の決定に対する検察官の不服申し立ての道を開くことをあげられたことは従来通りであり、他に検察事務官を主体とした青少年調査保護室の設置、少年事件裁判の一元化等の意見がありましたが、何といっても現在各地方検察庁における少年係検察官が一名、事務官一、二名という貧弱さであるので、検察庁内部の少年検察陣容の強化が第一に強調され、特に検察事務官の増員が要求されたのはもっともであり、検察官に事件を逆送する場合、家庭裁判所の調査記録を活用させる方途を講じられたいという意見、要望も、これらの事情を物語るものであります。
 冬家庭裁判所からは、最近の年少少年犯罪の著しい増加、特に十四才未満の少年犯罪に対処するため、強制力ある国立の教護院の新設が強く叫ばれており、一般に低年令層の非行対策が緊急とされ、初等少年院、女子少年院の増設が要望されました。
 ここで一言つけ加えなければならないことは、十四才未満の不良の増加について、どうもこの不良化を発見する具体的な方法がない。こういう子供がこういう悪いことをしたというような新聞報道によらなければ、なかなか発見が困難である。この発見には一体どういうふうな方途を設けたらいいのか。中には、せっかく保護しようと思って連れて来た者も、五十回も逃げ回って親のもとにも帰らない、どうしようもできないという者もおるので、どうしてもこれは国立の強制的な収容施設が何らかの形で考究されなければならない。このことが強調されたことをここにつけ加えて補説をしておきます。
 特異なものに、大分家庭裁判所の保護司の若返り、つまり保護司が大へん年とってしまって、十分にお働きいただくことができない、もう少し若返らせたらどうだ、レフェリー制度の創設、少年鑑別所の所属がえ等の意見があります。一面また、家庭裁判所は、内部の充実には特に意を用いていることがうかがわれ、裁判所職員に対する専門的教育の必要を説き、裁判官は一年以上刑事裁判の合議部の実務を経た老練判事たることが肝要であるとされ、特に保護処分実施機関視察のための費用の対策を迫られたわけであります。つまり旅費がないというわけであります。家庭裁判所でせっかく判決を下したその少年の行く先、その少年が現にどうなっているか、こういうことについて少年院に聞きたいけれども、なかなか旅費が渡らないために、裁判官としての任務が十分に果たせない、こういうようなお話が伺われました。また、少年院内の分類処遇に関し、矯正管区熊本地方裁判所から適切な意見の開陳がありました。
 次に、大分少年院の場合、同少年院は九州に唯一の特別少年院で、各地から少年を収容しており、矯正教育の容易でないことは察せられ、院長の教育に対する人並みならぬ情熱のほどはわかるわけでございます。特に、私は昨年非公式に大分の特別少年院を訪れましたが、当時院長は非常な熱烈な情熱をもってこの困難な事業に当たられておられることに非常に私は感動を受けましたが、ことし公式に伺いまして、少年院の院長のこの情熱というものにさらに触れました。しかも所長が健康を害しているんじゃないかというような感じを受けたことは、私は注目すべき問題だと思う。しかしこれは具体的にお尋ねをしているわけではありません。収容教育に不適な者の送致される事例が断たないので、少年院収容不適格者の排除への懸命の努力となっておることがうかがわれました。これを中心に、執行停止制度、収容の継続、収容または仮釈放中の傷害暴行事件の検察官送致、院長の抗告、再審申立権の確立、退院者に対する保護対策など、改善すべき点が多々あげられました。そして同少年院の現在最大の要望は、職員の極度の精神疲労の回復措置の問題であります。コーネル医学指数(C・M・I)の科学的な調査によりますと、神経科に入院をしている患者あるいは神経科の外来患者の精神疲労よりも、はるかに同少年院の職員の精神疲労度が科学的に立証されている点は、これは注目すべき問題だ。特に、今、所長の問題に触れましたが、院内を視察しているうちに、謹慎室を監督しておられるこの少年院の一人の職員の顔は、非常な疲労の度を示しておりました。私は、朝から晩までほとんど休みなくこの困難な事業のために立ち向かって、頑強な体質を持ちながら、かくまでも疲労の度の見える職員の風貌というものに対して、涙なきを得なかったということを、あえてここに強調しなければならない。この点、一つこの報告に基づいて、適切なる対策が早急に打たれることを、私は特にここにお願いを申し上げたいのであります。
 その三は、しかし、結局裁判所、検察庁、弁護士会並びに各県警察のひとしく改善を要する点としてあげたものは、少年院等矯正施設、職業補導面の充実であり、これら施設の待遇改善であり、さらに保護観察制度の強化であります。そして少年事件の関係諸機関の有機的連係が最も望まれる点でありました。
 第二に、めいてい犯罪取り締まり対策に関する事項。
 一、九州は、申し上げにくい報告でありますが、一般に酒飲み地方だと言われておるようであります。「酒は飲め飲め飲むならば」の黒田節の影響じゃないかと語っていましたが、飲酒めいていと犯罪はきわめて密接な関係にあり、暴行、傷害等粗暴犯に次ぎ、殺人、強姦、放火等凶悪犯が非常に多く、例を大分県にとれば、昭和三十二年から三十四年までの同県の刑法犯原因調べで、めいてい犯罪が九・一%、このうち暴行、傷害は検挙被疑者中二六・五%であり、年平均六百十六名のめいてい被疑者中粗暴犯被疑者は実に五百十九名、八四・四%に及ぶ状況であります。酒による集団暴力など、飲酒による危害等の社会に及ぼす影響は大きく、その追放運動も痛感されておりますが、対策として暴行傷害罪の罰金額の引き上げ、現行最高二万五千円ぐらいだそうでありますが、これを大体五万円から十万円ぐらいに引き上げたらどうかと、具体的な数字を示されておりました。酔っぱらい運転者処罰には特別立法が必要であること、さらに軽犯罪法の改正、未成年者の飲酒取り締まりの法の整備等が要望意見として出されました。警察の保護室の整備は完全でないのが現状のようであります。
 二、めいてい時犯罪の刑事責任については、現在もっぱら裁判官の事実認定にゆだねられており、飲酒の上での犯行で覚えがないとの弁解主張も、多くの裁判例で否認されていますが、病的めいていを除く普通めいてい犯罪につき刑事責任を認める立法措置の必要性が説かれ、昭和三十五年の改正刑法準備草案十六条、百十五条は、司法関係者の一致して支持するところでございました。
 第三、売春関係事犯取り締まり対策に関する事項。
 一、売春防止法施行後三周年を迎えた今日、当時、法施行により一斉に転業したはずの売春婦は、その後漸次復帰し、潜在売春婦としてその数も増加しているのは事実でありますが、実態は把握できず、取り締まりも困難を来たしている実情で、現在、長崎、佐世保、別府の各市では相当数の街娼が存在し、観光地別府をかかえた大分県の潜在売春婦は千八百名を数えるのではないかと推定をされております。各地で聞く傾向として、最近、法五条違反老中には未経験婦女が転落をしているということが目立っておりますが、このことは重視すべき問題であると思われます。これら潜在売春婦は、ほかにヒモ、客引き、輪タク屋と提携し、または協力させ、勧誘も巧妙化し、売春婦自体が屋台、飲食店、バー等の内部にあって勧誘し、あらかじめ連携のある特定三流旅館を利用するという形が多いのであります。また、昨年十一月山鹿市の事例では、バー、飲食店等の住み込み女中を市内の旅館等に派遣し売春せしめていたことが明らかになっております。観光地別府の場合、旅館八百軒、犯罪では飲酒と性犯罪が半々に発生し、売春には多く特定旅館とバーとの連携があり、客引きの猛烈なことも周知の通りで、旅館等経営者が多く市の公的関係者であることなど、取り締まりの困難な点は多く伏在しているということを、私はここであえて強調して御報告申し上げたいと思います。
 二、売春婦のいゆわるヒモの取り締まり処罰規定の新設が各地の一致した強い要望でありましたが、考えるに、同じヒモの処罰の必要性といっても、婦人更生保護の観点からのものと、最近における新たな転落女性の多いこと、また売春婦はヒモや業者からの被得者でなく、現在は共同経営者となっている現状から、問題点の多くは売春婦自体に内在するという観点からのものがあり、後者は多く警察、検察庁の見方であって、法五条違反者は、ともかく業者等と共同者と目される売春婦の単独売春は罰すべきであり、原則として、定職もなく、主として売春のみによって生計を維持していると認められる売春婦は、街頭客引きであってもなくても一律に処罰し、あとは保護施設の職業補導の徹底に期待するというものであります。従って、各県の警察側からは、公然売春を連想させる客待ち行為は罰すべきであり、旅館業者の警察官に対する宿泊人名簿の提示義務、売春の温床とも見られる簡易旅館の規制、立ち入り権を認められたいと要望され、検察庁からは、売春婦自体の屋内勧誘の処罰規定の新設、特に勧誘、周旋関係事犯の法定刑の引き上げ、周旋関係事犯者にも補導処分の余地を与えることなどが改正を要すべき点としてあげられたのであります。他方、裁判所側は、一致して判決前の調査制度の早急実現を要望しており、一般に婦人更正保護施設の強化が根本であるとの見方は変わりませんが、改善すべき点として、婦人の補導期間を一年以上二年内まで延長すべきであり、職業補導をむしろ主とすべきであるという点があげられ、全部の一致した意見でありました。
 婦人補導院では、精神病、身体障害者、精神薄弱者など補導不適格者が送致される事例には因っており、収容取り消し決定申請権を認められんことを欲し、退院後の更生保護面で対策を講ずべきであると主張し、各関係機関相互の有機的連携のさらに重要であることを惑じた次第であります。特に婦人補導院は、収容する者に対する判定基準を何らかの形で設ける必要があるのではないか、いわゆる収容に対する判定基準についてどういうような方法をとっていったらいいかというようなことを、きわめて熱心に議論されたことをここに強調したいと思います。
 三、今日売春防止法運用上最大の問題点とすべきことは、売春関係事犯の取り締まりの点であり、この点は立法の本旨とも関連するのでありますが、現状維持か、または徹底した取り締まりの実をあげ、売春自体の禁止的態度に踏み出すかの決定に迫られているものと考えます。これは現地の取り締まり当局の偽らぬ心境であり、ゆるがせにできない点であることを私どもは痛感したのであります。
 第四に、法廷等の秩序維持に関する法律の運用状況でございますが、従来まで同法を適用した事例は、宇佐簡易裁判所の窃盗、食糧管理法違反事件(昭和二十七年十月三日過料一万円決定)と、福岡簡易裁判所の道路交通取締法施行令違反被告事件(昭和三十五年十月二十七日監置五日決定)の二件だけでありますが、昭和三十五年四月から八月にかけての福岡地方裁判所大牟田支部におけるいわゆる三井三池事件の約百件に上る勾留理由開示手続にもよく法廷の秩序は維持され、裁判の威信が害されなかったことは、喜びにたえないところであります。しかし、法廷の秩序は警備員など人的な要素、建物など物的な要素、これらのものと関係をする面が多々あるのではないか、今後これらの面にも充実が必要ではないかということを、私どもは非常に痛感をしてきたわけであります。
 ただ、一言つけ加えなければならないことは、法廷の秩序維持に関する法の運営については、乱用にわたる危険があってはならないということを、少壮弁護士の方から強い意見として出されたことは、注目すべき問題であると私は痛感したわけです。
 以上をもって概略報告を終わりますが、詳細な調査室の資料等は、奥村調査員がかくのごとくりっぱに整理をして、註釈を加えて、いつでもごらんいただけるように、誠意をもって整備をしておきましたので、奥村調査員の御労苦をどうか一つ政治の面に大いに活用をしていただきたいということをつけ加えまして、ここに一応の派遣報告を終わらしていただきたいと思います。
#11
○委員長(松村秀逸君) ただいまの御報告について、御質疑はございませんか。
#12
○高田なほ子君 きょうは、この派遣報告を申し上げるについて、特に関係当局の御出席を実は御要望申し上げたわけです。委員の派遣は、当然国会の大きな仕事として私ども重要視しているわけですが、この報告は、また、政府当局が同時にお聞きいただいて、われわれの報告を実際耳で聞いていただいて、また、問題点のあるところはいろいろ現場の点についてお尋ねをしながら、お互いにこの欠陥を是正する、こういう役に立たしていただきたいと思いまして、実はきょうおいでを願ったわけであります。当局からは、私の質問が唐突でありますから、詳細なる御答弁を私は要求するわけでは決してありません。しかし、こういう問題点について現地の皆さん方が、私どもが視察に参りましたについて、いろいろやはり注目しておられるだろうと思いますので、二、三の点について、まず裁判所の方から伺わしていただきたいと思っております。
 その第一は、福岡地方裁判所の施設の問題であります。これは、当初あまり私どもの視察の予定には入っていなかったようなんですけれども、私どもお見せいただいたわけです。お見せいただいて驚きましたことは、九州の大玄関である福岡の裁判所の建物が、なるほど外見は大名屋敷のような堂々たるものでございましたけれども、一たび中に入ってみますと、まことにお粗末以上のお粗末である。これはお話のほかであります。これは同行の先生方からもあとでいろいろ御指摘があろうかと思いますけれども、例をあげれば、裁判所の資料というものは私は大切なものだと思っていますけれども、もう建物がこういう工合に、床がゆがんでしまって、資料室のとびらが六センチぐらい合わなくなっているのです。かぎも何もかかったものではない。そこで、麻ひもでぐるぐるしばっておりましたが、これではどうも工合が悪いと思います。
 法廷の威厳の問題について触れなければなりませんが、どうも裁判官が幾ら一生懸命おやりになっても、法廷の威厳は、あれでは保たれないのではないか、ことに即決裁判をする場所などについては、私どもは、これは法の威厳のためにも、どこを節約してもいいから、ここは一つ早くしなければならないということを痛感しました。私どもは、この建設計画等については、わざと当局の方に質問することを避けました。裁判所というところはうるさいところで、あそこの裁判所がああ言った、こう言ったなんということになると、言った人がとんでもないとばっちりを食うというような場合もあると私考えて、わざと質問いたしませんでしたが、一体、この建設計画はどういうふうになっているのか、これを一つ伺いたい。
 それから第二点は、福岡裁判所で触れた問題ですが、三井三池争議についての係争事件が非常に福岡の地裁に多いようであります。直接今度の視察とは関係ない問題ですけれども、事件が非常に急増しているということ、こういう場合は、やはり特別裁判官の配置措置というものは、私は必要なのじゃないか、こういう三井三池のような争議という事件があってはいけない、事たまたまこういう問題にぶつかった裁判所こそいいつらの皮だと思う。裁判官はむきになってやるけれども、裁判官は足りない。私はこの点は派潰された者として非常に責任を痛感しました。法律によれば、最高裁長官が予算の請求権を持っている、その請求権には限定があって、緊急不可欠の場合にこの二重予算の請求権があるのだと私は承知しております。こういうような問題について、事件の処理ができないというような、しかも選挙違反も山ほどあげられていて、選挙違反もこれにプラスされている。こういうような不可欠な緊急事態に対する予算請求権というものは、行使されていいのではないかという私は感じを持ちます。これは長井課長にこういう政治的な問題をお尋ねするのは無理ですから、私の意見として心得ていただければいいと思います。
 次に、家庭裁判所の所員の増員というのは大へんこれはまずいんじゃないかという点を実は申し上げたいのです。一般に裁判官というのはずいぶん増員しないのですけれども、特に家庭裁判所でひどいと思いましたことは、八年間に一人も増員にならないそうですね、家庭裁判所の定員いうものは。これは長崎県だったと思いますが、八年間に一人も増員がない。しかも最近二年間に十名減らしているということ。そうして事件は非常にふえていることがあげられている。これは一つ早急に……。なぜこういうことが行なわれるのか、できれば今度の配置で、こういうきわめて不合理な点を是正するように一つしていただきたい、こういうふうに考えさせられたわけであります。中津川支部で調査したところでは、一審強化の問題が非常に裁判所内部で強くあげられておったのですけれども、判事の欠員があり、簡易裁判所判事の病欠があり、辞令面では判事兼簡易裁判所判事ということになっているけれども、どうも人員の配置というものが少ないというようなことが、私の調査であげられましたけれども、何とかこれは一つ早急に、裁判所としてもこのように不合理な点については対策を設けていただきたい。これを大へん痛感させられたわけです。
 さらに、私は今度視察をいたしまして、裁判官というものに対する認識を新たにしたということを一つ報告したいと思います。それは長崎の地方裁判所の所長の森加さん、特にこれはいいことは名前をあげさせていただきたいと思います。別にこの人に歓待されたからということでなく、公平に。裁判官はやはり人柄だということを感じました。これはいつも言うことでありますが、裁判の上に非常に大切なことは、やはり裁判官の人柄である。その人柄というものは、やはり裁判官の幅広い人格の育成ということに御努力をされているという点は、当局としてもやはり買わなければならないし、そういう時間的な余裕を裁判官に与えてあげなければならないという、いわゆる余暇の利用というものを裁判官にどうするかということがきわめて重要な問題であります。これを具体的に言うと、森加さんは非常にお忙しい裁判の合間に画筆をふるわれまして、すばらしいくろうとはだしの絵をかかれ、あの裁判所の至るところに所長の心魂込めた美しい絵がかけられている。あのこと一つでも裁判所内の空気というものは、私は激励されているように思いました。そしていわく、私は絵をかくことによって裁判哲学を学んだ、白紙の画面に一筆々々たんねんに筆をおろして、ただ一筆の間違いがあってもこの絵は完成しない、ただ一筆の抜けがあっても絵が完成しない。裁判も、ただ一筆のあやまちがあっても裁判は完全ではない、こういう裁判官としての裁判哲学を私は絵をやることによって学びましたということをおっしゃられて、非常に感動を受けました。お忙しい中にこのような研さんを積まれ、裁判官御自身の人格育成のために御努力をされている。この姿に、私は裁判官というものをあらためて見直されたような気がいたしました。
 また、大分県の家庭裁判所の、お名前は忘れましたけれども、裁判所で私ども御意見を聞いていろいろ質問いたしましたが、一人の判事さんは、私ども視察のあとに一緒になってついて来られ、それで県庁で、非行少年の対策がどういうふうに県の中で行なわれているかということを傍聴したいということで、ノートを持って全部傍聴に来られてメモをされておりました。大ていはその場でさようならというのが普通ですけれども、私どもの行く許される限界まで、ノートを持って随行せられて、一々これにメモせられて、私どもの不審の点について逐一解明せられた、いわゆる少年係の検事の崇高な職務観念というものに打たれざるを得なかった。このような優秀な人が地力の裁判所の中におることに対して、私は大へん感動をさせられました。これは別に報告についての質問でも何でもございませんけれども、あらためて裁判官のあり方というものについて、いろいろ現地のお忙しい裁判官の皆様方から教えられ、あらためて法務委員の一員として、えりを正さなければならないということを実は痛感させられたわけです。
 以上、裁判所に対する質問は、意見と同じようなことになりましたが、次に矯正局の方に少しお聞きしたい。
#13
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 年頭の寒い折に、各地を御視察いただきまして、貴重な傾聴すべき御意見をお聞かせいただきましたことを感謝いたします。
 福岡地裁の建設計画につきましては、後に主管の主計課長から御説明申し上げることにいたします。
 三井三池事件関係の裁判官の定員の増加の措置の問題でございますけれども、幸いにしまして昭和三十六年度予算案におきまして、二十八名の増員が認められましたので、国会の御審議によりまして成立いたしました際は、この事件の量、比重を考えまして、遺憾なき増員の措置をとりたいと、目下検討中でございます。
 なお、事件処理におきまして、もし疎漏があるような場合には、主務代行の制度なども活用することができますので、いましばらく推移を御観察いただきたいと思います。
 何分にも裁判官には、給源がただいま非常に限られておりまして、増員のみによってすぐ解決するという事情にございませんために、人員の配置につきましては非常な苦心をいたしておりますが、なかなか実情に合った配置を機動的に行なうということは、身分保障、あるいは家庭の事情等も関係いたしまして、困難なところでございますが、なお、ただいま執務の実態調査もいたしておりますので、その結果が出ましたら、適正な配置ができるものと私どもも期待しているところでございます。
 なお、三井三池関係の事件につきましては、裁判所としても対策を講じたいと思っておりますけれども、何分にも弁護士さんが東京から出向かれて弁護される、訴訟の代理をされるというような事件も相当数ございまして、事件の回転が、東京におけるように迅速には行きがたいというような事情もございますので、この点も十分検察側代理人の方々と打ち合わせをされて、適正迅速な処理ということに裁判所は努力をすることと思いますけれども、事務当局としても、これにつきましてはでき得る限りの援助をしていきたい、かように考えております。
 二重予算の問題は、なかなか大きな問題でございますので、先生のお言葉にございますように、しかるべき責任者から答えていただくというようにしたいと思いますので、この席では差し控えさせていただきます。
 それから家庭裁判所の定員増の問題でございます。八年間一人も増員がないというようなお言葉もございまして、確かにそのような点も承知いたしております。何分にも事件が年ごとにふえて参りまして、一方、裁判官の補充がつきませんために一人当たりの負担が年々加重をされていくという現状にございます。それで、事件数をあんばいいたしまして配置いたしておりますけれども、人口の都市集中が激しいような事情がございまして、事件数も従って東京、大阪というような大都市が非常にふえ方が激しいために、九州の裁判所ということになりますと、多少増員が困難で負担が重くなっているというような事情はあろうかと存ぜられます。
 ただいま福岡の家庭裁判所には判事が三名、判事補が二名、支部を合算いたしますと、合計で判事が七名、判事補が五名となりまして、ふえておらない実情でございますが、まだ東京、大阪の大都会に比べますと負担はいささか軽いのではなかろうか、これは計算上だけの問題でございますけれども、なお実情をよく調べまして、御指摘のような欠陥が解消するように努力いたしたいと思っております。
 それから中津川あたりも非常に少ないことは十分承知いたしておりますが、ただ、小さな裁判所にも一応充員するということになりますと、一人前に満たない事件の所にも一人の裁判官を置くということになりますと、そのしわ寄せは都会の裁判所に集まってくるというような事情がございまして、やはり大都会の裁判所の事件負担の加重という問題が依然として残りますので、この点は裁判官の給源の確保という非常に大きな問題から取りかからなければならない問題でございまして、まことに残念でございますけれども、現状ちょっと手を下しがたいというような状況でございます。しかし、適正な配置ということにつきましては、できる限り詳細な調査、検討の結果、満足がいかないまでも、公平な事件負担というような面から人員の配置を考えていきたいと思っております。
 それから森加所長のお話がございまして、あの方は絵画、謡曲など非常に優秀な趣味をもって裁判所の確立のために非常に尽力をされておられまして、私ども先輩の裁判官として尊敬している方でございます。ああいう方が指導者として裁判所の確立に努力していかれることは、私ども非常に、手前みそになりますけれども、よき人事じゃないかと思っている次第でございます。ああいう方がまだほかにもたくさんございますので、将来を御期待いただきたいと思っております。少年係裁判官もあの人かと、およそ想像のつく方でございまして、非常に熱心に家庭事件に打ち込んでおられる裁判官が相当数おられます。まだ数の上で十分とは言えませんけれども、青少年問題がいかに重要なものであるかということが、民事、刑事の事件処理とは別の観点から認識されまして、打ち込んでいかれる裁判官がだんだん多くなっていくことと思いますので、この点もいましばらくちょっとの推移を御観察いただきたいと思っております。
#14
○高田なほ子君 大体満足のいく御答弁をいただいて大へんありがとうございます。
 この私の報告は、長官にもぜひ一つお伝えを願いたい。現地の裁判官の労苦というものには実際胸を打たれました。裁判官が少ないために少年事犯というものにみんなしわ寄せされております。しかしまあしわ寄せされても、昭和三十年から三十五年、これは長崎県の場合ですか、百五十三件のうちで百五十一件の第一審確定をしているという事実、これはやはり大へんな努力だと思いますね。蛇足のようですけれども、できないことですよ。よくやっておられますよ。こういう点は一つ大いに長官に御報告下さい。
 次に、法務大臣のおかわりとしておいで下さいました矯正関係の方に一言お伺いをいたします。
 これを一つお願いしたいのです。諫早刑務所を訪れまして感じさせられたことですが、昔の監獄法によると、病人は死なさないで生かしておく程度でよかったそうですね。死なさない範囲で生かしておくというのが監獄法の精神のようですが、今その監獄法改正が叫ばれておりますから、死なさない程度よりは養護ですね。これは積極的にやらなければならないのだという人権尊重の気風がこの刑務所の中から感ぜられたことは、私は非常に愉快なことでした。しかし実際問題として、健康を保持させるために刑期満了まで病原をできるだけ除いてやって、健康で次の更生の道を求めさせていくというこの熱意に対して、当局は冷淡だと私は思います。その一つの例は、胃かいようだとか痔なんというものはだいぶ多いらしいですね。ところが胃の手術をするときに輸血する場合に大体一〇〇cc血液を使われるそうですが、これは一〇ccで血液は七百円だそうです。ですから非常に倹約をしてやっても、胃かいようの再発のおそれのあるようなものに対する手術には、最低輸血だけでも七千円は必要だと、全くそうだと思う。しかし予算上なかなかそれはできないので苦しいと、医療を担当しておられる医学博士の肩書を持たれる若いお医者さんですけれども、非常に真剣な顔で私どもにこれを話されました。それで手術室の現場を実は見さしていただきました。資料にはあとでごらんいただけばわかりますが、相当数の外科手術をされておられるので、その手術の結果は非常によろしいんですが、なんとあの手術台ががたがたで、あのがたがたの半分こわれかかった手術台で、ものすごい内臓の大手術もされて、しかもその成果を上げておられる。そうしてあそこの医務局担当者はこのために全力を集中しておられると言われる。この手術台は一体どのくらいで買えるのかと聞いたら大体三十万円で買えるんだと言っている。せめてあの熱情を持って真剣に取っ組んでおるところくらいは、これはもう早く予算を出して、あんながたがたでない手術台の上に載せて、そうしてあの人たちの熱意にこたえるべきであり、そうして収容者の健康のために一段の奮発をされることが望ましいことと思いますが、これの――特に手術台と私はしぼります――この手術台を今年中に何とかできないかという、これは意見です。これ、あとでまたその次質問を続けますから、調べておいて下さい。
 それからこういう問題が上がっておるんですけれども、たまたま長崎県に参りましたときに、偶然かどうか知りませんよ。しかし長崎県の検事の方々に対して、私は、子供の教育をどうされているかということを聞いた。たまたま今度諌早の管区の副検事の小森さんのむすこさんがああいう大それたことをされた。故意か偶然か私はわかりませんけれども、一体皆さん子供の教育については検事さんどういうような支障があるかと尋ねたんです。そうしたら、私ども検察官というものは、二年に一ぺんぐるぐる東から南に吹っ飛ばされておる。所かまわず時きらわず吹っ飛ばされてしまう。そこで私どもの方の検事の方の若い方々は、半分くらいが別居生活をしているということを述べておられる。重大問題です。子供の教育ができないから、やはり別居しなければならない。何のためにそんなにぐるぐる動かすのかと私突っ込みました。これはやはり定員が足りないから、事件数の多い所に人を回す。そうすると自然にぐるぐる回るようになってくると言っている。これは旅費の不経済、人間の不経済、わけて子供の教育等については、これはゆゆしい問題だろうと思う。これは何とかならないものか。ここに次官もお見えいただいておりますから、これは少し考えて下さい。このことは、同じように裁判官にも質問したのです。裁判官もやはり二年くらいでぽんぽん飛ばされている。私の育った家庭も裁判官で、二年に一ぺんくらい小学校を変わりまして、なじみができると、また次の学校に行く。どうしてうちの父親は、こんなにとんとこ、とんとこ動かされるのだろうと、子供ながらしみじみ裁判官の家庭というものを考えさせられた。今直っているかというと、依然としてやはりその通りだという、これは何とかならないものか。裁判官も人の子です。検察官も人の子の親であります。そんなに父親がぐるぐる変わって別居しているようなことでは、とうてい子供を満足に教育できません。私は今度の小森事件についても非常に考えさせられるものが実はありました。もう少し落ちつかせることはできないだろうか。落ちつくと何か弊害があるのかどうか。私はあらためてこの点を強くお聞かせ願うことを要望したい。
 それから次にお尋ねしたいことは、少年係検事というのが一人いるという所はいい方ですね。年間二千九百九十五件の事件に対して少年係検事が一名である。それに事務官が一人である。こういうことを私伺いました。二千九百九十五件の事件を一人の少年係の検事で何ができるのだろうと、私疑問を持ちました。それなのに、先議権が必要だということを強調されておるのです。この矛盾をつきました。そうしましたら、やはり少年係の検事というのは、定員を充当してから先議権の問題ということは考えられなければならないので、単に検察側の先議権ということだけを主張しているのでは、年間二千九百九十五件を一人の少年係検事で何をやるのか。私は、こういうことでは非行少年対策なんていうのはおこがましい政府の態度だと思う。これは何とかならないものか。これは九州全般についての、私の皆さん方に対する質問です。こんなことは直さなければ、少年犯罪の防止対策なんていうことは言っちゃいけない、言えないと思うのです。これについての皆さんの御見解を私は求めます。
 次に、少年審判の問題ですが、これは大分県の場合ですけれども、実刑率が、大体少年の裁判で七一%であると述べておりますが、保護観察なしの執行猶予というのが一九%あるそうですね。この保護観察のない執行猶予の一九%は、全く野放しの状態に追い込まれておるが、これは制度上何とかならないものかということを質問の途中に痛感させられたのです。これは数字をあげて私は説明を求めましたが、保護観察のない執行猶予なんというようなことであるから、山口事件、小森事件というものが跡を断たないのじゃないかという気がしました。この点について、どういうふうなお考えを持っておるのか、これをぜひお伺いをしなければなりません。
 特に売春関係の婦人保護施設、これは大分県で痛感したことですけれども、赤ちゃんをあの中で産むんですね。赤ちゃんをおんぶして保護施設の中に入っておりましたが、赤ちゃんの取り扱いというものは、当局としてどんなふうにやっておるのか、いろいろ考えさせられる点が非常に多くございました。どうか一つ、私の以上質問申し上げた点について、特に少年院の職員の健康問題に関して、早急に手を打たなければならない。刑務所における食糧の単価は、今回政府の方針の一環である生活保護の基準の値上がりに伴って、少年院の食糧の単価がどういうふうになっているか、一つこれの増額の状況、そういう点について説明をしていただきたい。
 以上です。
#15
○政府委員(古川丈吉君) 高田委員からいろいろとわれわれの注意すべき点を御指摘いただいて、まことにありがとうございました。ただいまお話のありました通りに、裁判の事件、検察の事件が非常に増加をいたしておりまして、検察官並びにまた事務官その他も非常に足りませんので、今回予算編成にあたりましても、裁判官の増員とともに検事の増員も十五名、今度の予算案では認められたわけでございます。ことに御指摘のような点、最近非行少年が非常に増加いたしまして、それに関する裁判事件が非常に多いのでございまして、法務省といたしましても、本年は検事のほかに二百二十三名の増員を認めてもらいました。その主たるものは、保護観察官が百名、少年鑑別官その他少年に関する仕事に従事する者が主でございます。それ以外に、今回の予算におきましては、われわれといたしましても、今御指摘のような点が、法務行政につきましても非常に大きな問題点であるということを考えまして、できるだけ予算の獲得とともに人員の増加に努力いたしたわけでございます。今後もそのような考え方を続けまして努力するつもりでございますが、さらに今、検事の異動の問題については、私はその点はまだ最近のことを詳しく知っておりませんので、一応どのような建前で検事の異動をいたしておりまするか調査をいたしまして、後日この委員会に御報告申し上げたいと思います。その他詳しいことは矯正局長から答弁していただきます。
#16
○政府委員(大沢一郎君) ただいま高田先生から、九州地方を御多用中御視察賜わりまして、立法問題あるいは行政方面の問題につきまして、適切な御指示を拝聴いたしまして、われわれといたしまして深く感謝申し上げますとともに、御趣旨に沿いまして、さらに検討を進めていきたい、かように存じておる次第でございます。
 ただいま御質問のございました刑務所におきまする医療の問題でございますが、御説にもございましたように、従来医療という点につきましては、昔のことは、ただ生かしておくだけかどうか私存じませんが、現在の矯正行政の面につきましては、医療も一つの矯正の重要な手段でございまして、職のない者には、手に職を覚えさせ、また健康上働くことのできない者は、将来健康を回復して社会に復帰させる、これが矯正の大きな効果を上げる手段と考えておりまして、医療、保健につきましては、数年来強くその行政を推進しているわけでございます。ただ、今お話のございました胃かいよう等の手術も、刑務所といたしまして、できるだけの、力の及ぶ範囲の手続をして、手術をいたして社会に出すわけであります。で、各刑務所にそれぞれいろんな病人がおりまして、われわれといたしましては、八王子の医療刑務所でございますとか、あるいは九州地区では城野の医療刑務所というような、特殊な医療専門の刑務所を置きまして、いろいろ、手術の非常に困難な、あるいはまた措置の非常に専門的な医師の診断を必要とする者をそれぞれ集めまして、そこで適切な治療あるいは手術というものを行なっているわけでございます。しかし、それ以外の刑務所におきましても、それぞれ医師を配置いたしまして、手の及ぶ限りのことはいたしているわけであります。なおまた緊急を要しまして、たとえば長崎で重要な手術が必要であるというような場合、長崎刑務所では不十分であるというような場合は、一時市内の民間なり、公立の病院に移しまして、そこで手術を行なわすという方法もとっておるのであります。胃かいようの手術について長崎の刑務所で行なったということは、その医師が、そこの施設で十分できるという確信のもとに行なったことと思うのでございます。なおまた手術台の新設その他医療器具の拡充につきましては、それぞれ毎年各所配置しておるわけでございます。私まだ長崎の諫早刑務所を見ておりませんので、どのような状態になっておるか存じませんので、さっそく調査いたしまして、必要な施設は漸次整備、拡充していきたい、かように存じておる次第であります。それから、なおまた薬餌費あるいはまた手術に必要な輸血の代金等、それぞれ一応の予算は配賦してあるのでありまして、もしも諫早の刑務所でそれが足りないような場合は、管区で、ある程度の流用の予算を持っております。その点、医師としてその手続を知らなかった点もあったのじゃないかと存じますので、その点、指導いたしまして、かような手落ちのないようにいたしていきたいと存ずる次第でございます。
 なおまた、少年係検事とか、あるいは検事の転任の問題、これは私から申し上げるのは適切ではないかと思いますが、私は長い間検事をいたしております。北は北海道から南は九州まで御指摘のように転々いたしました。子供は小学校七回、戦時中でもございますので、小学校の六年の間に七回、中学校は五回、五つも変わっております。しかし検事として私が転任して参ります場合に、子供の教育ということにつきましては十分もちろん考えなきゃならぬ問題でございまするが、その人の人生観によるものじゃないかと思います。私は私なりに、検事という仕事を持てば子供の生活もそれに順応さしていくという方法で、幸い間違いなく、運がよかったのかもしりませんが、別に不自由なく子供の教育は終わったわけでございますが、また検察官は転任が二年ないし三年で行なわれるということは、これは検事の職務が、御承知のようにあくまでも公正でなければならない、かような意味で、いろいろな事情がわかって参りますと、いわゆるその人の主観なり、ものの見方というものが、ある時期に現われてくる。そうすると、また一方の見方から見れば、それが一方に片寄った、いわゆるへんぱな検察というように見られるおそれもあるわけであります。やはり新しい人が新しい観点でその地方の事件を見ていくということも、検察の公正を担保するという意味から必要ではないか、かように考えられるのであります。従いまして必要な人は東京等では十年でも長くそのままおる人もありますし、また東北地方でずっと東北地方ばかりの方もございますので、必ずしも一がいには申せませんが、やはりある程度の検事の転任ということは、さような意味合いから必要じゃないかと、かように考えておるわけであります。ただ、今非常にわれわれ困っておりますのは、現在高等学校等で転校ができない。これは従来われわれが子供を育てます場合は、中学校、高等学校におきまして、どこへ転任しましても教科書は同じでございました。大して経済的な負担はなかったのでありますが、今小学校は東京都内で変わりましても本が変わる。これはおやじとしましても非常につらいことで、特に高等学校は転校が許されない。この点でわれわれのように転任を――さような職分の公正を担保するために転任は必要であるという職責の者につきまして、かような公立学校等の転校ということについて、文部省その他の教育行政の面でぜひお考え願いたい。これはわれわれ上司にずいぶん申し上げておるのですが、役人だけがそういう特典を持つということもこれまた問題であろう。大銀行、大会社それぞれ転任がある。さような面で、教育の面につきまして非常に今は苦心が多かろうと存ずるのであります。そのために高等学校以上の子弟を持った方は、奥さんをもとへ残して、あるいは子供だけを友人に託するというようなことをやっておるわけであります。この点、法務省だけでは解決がつきにくい問題でございまして、何とか御配慮をお願いいたしたいと思っておる次第であります。
 なお、次の少年係の検事の問題でありますが、私、今資料を持ち合わせませんので、検事の一年当たりの担当件数というものが今わかりませんが、検察庁全体といたしまして非常な負担がかかっておるわけであります。特にこれは刑事訴訟法が改正になりました際に、もと御承知のように検事に警察から事件が送られて参ります場合は、いわゆる昔の検束といいますか、あるいは勾留ということで、約一カ月間の警察の捜査を経ました事件が検察官に送られてきたわけであります。従いまして、事件捜査も十分できているし、またその間、警察に勾留中にいろいろ検事に相談がございまして、必要な証拠も奥まっている。従いまして、検察庁に送られました後の検事の捜査期間は非常に短くて済んだわけであります。ところが刑事訴訟法が改正になりまして、逮捕後四十八時間、直ちに検察官に送らなければならない。そこで検事が必要な場合は十日間の勾留、延長して二十日間、そうして処分を決定して、公訴を提起するか、あるいは釈放するかというふうに、非常に短くなりました。従いまして、検事の手元に参ります際までの事件のこなれ方と申しますか、証拠の収集というものが、非常に昔から比べまして、紙切れ一枚で検事のところに来るような状態でありまして、その間、検事が公訴を提起するかどうかを調べます場合に非常に捜査を必要とするわけであります。従いまして、今まで以上に検事の捜査という面で大きな手が取られるわけであります。それからまた当事者訴訟主義がとられまして、検事がいわゆる原告官として立証責任を負わされているのであります。いわゆる公判活動が拡充されたのであります。従来は一件記録が全部裁判官の手元にありまして、裁判官がそれを全部見てから被告を調べたのであります。ところが現在は、裁判官は起訴状一本主義で、起訴状だけを提起されまして、検事、弁護人それぞれの立証なり証拠調べによって審理が進められているわけであります。公判審理の間におきまする検察官の活動分野は非常に広がったわけであります。さようなふうに刑事訴訟法の建前が変わりました際に、検事の増員の手が打たれなければならなかったのでございますが、当時事務次官がやはり一線におられまして、その点は当時アメリカの総司令部の命令でかようなことが行なわれた次第であります。これがなければできませんということが強く法務省側から要望があったわけでありますが、しかし当時いかんともなしあたわず、その現状の検察官のままで今の制度が押しつけられた状況であります。それが現在まで尾を引いておりまして、その間ほとんど検事の増員はございません。特に特殊のかような制度改革の際ですと大増員できるわけでありますが、一応それでスタートいたしました関係上、特殊な状況のもとにおいて少年係検事をふやす、あるいは麻薬関係が非常に多いから麻薬関係の検事をふやすというようなことで、少しずつふえては参りましたが、根本的な解決がはかられておりませんので、検事の負担というものは、事件数は非常にふえている、また事件数のみならず、その処理をいたします捜査と訴訟維持の両面におきまする事務量が莫大な童に上っているにもかかわらず、増員というのが今までのような状況で、十分できないというので、少年係検事の必要性も認めながら、各庁で一人しか専任に充てられないというのが現状ではないかと思うのであります。
 なお本年度は、ちょっと今数字は忘れましたが、検事が十五名、検察事務官五十名の予算要求をいたしましたが、大蔵省の承認を見ましたので、目下御審議をお願いしているわけであります。これでは十分ではございませんが、法務省といたしまして、ただいま政務次官の御説明にもございましたように、保護観察官、保護観察所がきわめて弱体でございますので、その方に百人の増員をしなければならない。また先ほどの御報告の中にもございましたように、少年院の教官というものが宿直した翌日もまた日勤の勤務につかなければならないというような非常な激務に当たっておりますので、それらの手当も、たとい幾らかでもしなければならない。いわゆる本年度の予算におきまして少年院の教官十四名と、少年鑑別所技官が十名、というふうに二十四名の予算要求をいたしておるわけでございます。かように方々の組織でも……
#17
○高田なほ子君 それ、ふやしたのですか。
#18
○政府委員(大沢一郎君) 増員を要求いたしておるわけでございます。
#19
○高田なほ子君 それ、大分の少年院ですか。
#20
○政府委員(大沢一郎君) にはきまっておりません。全国的に少年院教官が十四名、技官が十名、これが通りますれば、各少年院の実情を見まして、定員配置をするわけでございます。
#21
○高田なほ子君 全国でね。
#22
○政府委員(大沢一郎君) はい。少年院の教官につきましては、三十四年度に三十名の増員をいただきまして、三十五年度二十五名、三十六年度十四名というように、毎年少しずつではございますが、順次少年院教官の充実をはかりまして、勤務の改善をはかっているわけでございます。それぞれ緊急を要する所の状況を調べまして、報告しておるわけでございます。大分の少年院等につきましても、今回衆参両院で御協賛を受けますれば、この十四名の教官の配置につきまして、大分の少年院につきましても考慮いたしたい、かように存ずる次第でございます。さような状態でございまして、少年係検事の数も少ないという点も、検察官全体から見まして、現状ではやむを得ない状態ではないか。しかしまた、これは検察官、少年係検事が、それだけ少年事件をやるわけではございませんので、検事は同一体としまして活動いたしますので、ある地方について少年事件がきわめて重要であれば、他の地方検察庁からも必要な応援もいたし得るわけでございます。特に福岡のように、昨年三井三池のああいう大争議がございまして、事件が多発する所には、他管内からも検事総長の命令で応援に出ているわけでございます。しかし平素いろいろな調査、研究、立案等に当たる検事は、一名しか各庁では配置できないような状況でございます。しかし、少年事件が一時に続発したとなれば、他の検事がそれに応援するというような形で、何とかこれはやらないわけにはいきませんので、事件が起きたけれども手が足りないからほうっておくというわけにはいかないので、結局十分ではないながらも、その場を処理していくというような状況が続いているわけでございます。この点につきましても、所管の局長を通じまして、上司によく報告いたしまして、しかるべく方途を講じていただくように連絡いたすつもりでございます。
 なお、保護観察付きでない執行猶予の問題この問題につきましては、これは裁判所の裁判で言い渡されることになりますので、われわれといたしましては、執行猶予のあと、保護観察に付しますと、その後の補導もできるようにたります、また、そのケースをたどって本人の保護更生に力をかすことができるわけでございます。保護観察に付するか付さないかは、裁判所の裁判にかかることでございます。われわれといたしましては、保護観察が付いた方が、その保護更生には便利であろうと考えるわけでありますが、しかし裁判がいかなるお考えのもとに行なわれますか、ここでわれわれの批判の限りではございません。この点は、われわれとしてはあった方が保護観察所における観察によい、そうして保護更生にきわめて有効であるということしか申し上げられません。この程度で御了承願いたいと思います。
 なお、ただいまお話がありました携帯乳児の問題でございますが、これは刑務所並びに婦人補導院では一カ年間だけ携帯乳児を収容することを認められるわけであります。直接母親の保育の必要な満一カ年の間は、所内に育児室をそれぞれ一室を持っておりまして、そこで一カ年間だけ母親の保育をさせておるわけであります。一年余たちますと、父親なりあるいはまた親戚等がありますればその者に引き取ってもらい、なければ厚生省所管の保育園等に引き渡すという方法をとっているわけであります。
 以上概略でございますが……。
#23
○高田なほ子君 もうおしまいだけれども、どうも私やはり不満ですね。あなたのお子さん、六年間に六回も転校されて、それでけっこうなお子さんだと、お父さんがごりっぱだからそれでよろしかったと思いますけれども、それはお父さんの立場からのあなたのお話で、私は子供の立場からいって不満ですよ、二年でぐるぐる動かすことが妥当だということは。もっと子供の立場でものを考えていただきたい。局長は、私の家庭はよろしいとおっしゃったのは、それはけっこうだと思いますけれども、私はお子さんが不満だと思いますよ。これは私は教科書の国定ということに反対ですよ。教科書の問題から文教行政とも関連があると言われておりますけれども、もう少し、これは二年なんと言わないで、もう少し考えてもいいでしょう。それは若い検事さんはここへ来て、一年間ぐらい地名を覚えるのに大へんであって、何とか支部とか、何とか村というのを、それを公務にあったときに間違った地名なんというのは、やはり常識にはずれている。だからそういう点からも二年の期間のぐるぐる回りの転任というものは、研究してもらいたい、もちろんこれは私が突っ込んで質問したからですよ。そんなことは御当人は決しておっしゃらない、あなたと同じようなことを言っておりました。しかし、私が子供の立場から突っ込んでいくと、だんだん本音が出てきました。どうかこれは一つ御研究おき下さい。あなた様のようなりっぱな御家庭はそうたくさんざらにあるとは考えられません。どうど御研究おき下さい。
#24
○委員長(松村秀逸君) 別に御質問もないようでありますから、委員派遣の報告はこれをもって終了いたします。
 以上をもって本日の議事は終了いたしました。
   ――――――――――
#25
○委員長(松村秀逸君) ただいま委員の御変更がございましたので、お知らせいたします。
 本日付で赤松常子君が辞任され、相馬助治君が選任されました。以上であります。
   ――――――――――
#26
○委員長(松村秀逸君) 次回の委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。大体来週の火曜日を予定しております、。
 これをもって委員会を散会いたします。
   午後零時二十八分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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