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1960/03/16 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第7号
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1960/03/16 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第7号

#1
第038回国会 法務委員会 第7号
昭和三十六年三月十六日(木曜日)
   午前十時四十一分開会
   ――――――――――
  委員の異動
三月十日委員棚橋小虎君辞任につき、
その補欠として赤松常子君を議長にお
いて指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     松村 秀逸君
   理事
           井川 伊平君
           大川 光三君
           高田なほ子君
           大谷 瑩潤君
   委員
           青田源太郎君
          大野木秀次郎君
           後藤 義隆君
           赤松 常子君
           辻  武壽君
  政府委員
   法務政務次官  古川 丈吉君
   法務省矯正局長 大沢 一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○矯正医官修学資金貸与法案(内閣提
 出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(松村秀逸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 三月十日付、棚橋小虎君辞任、赤松常子君選任。
 以上であります。
   ――――――――――
#3
○委員長(松村秀逸君) まず、矯正医官修学資金貸与法案を議題に供します。当局からは大沢矯正局長、大津医療分類課長が出席されております。
 前回において提案説明がなされておりますが、なお本件に対する逐条説明をお願いいたします。
#4
○政府委員(大沢一郎君) 矯正医官修学資金貸与法案の逐条につきまして御説明を申し上げます。
 第一条は、この法律の目的を規定したものでございます。矯正施設の収容者に対しまする医療の適正な管理が、刑事政策上きわめて重要であり、かつこれを担任する医師たる矯正施設職員を充実確保する必要性の大きいことにかんがみまして、その方法として、医学を専攻する者で、将来矯正施設に勤務しようとする者に対し、修学資金を貸与することを規定したものでございます。
 第二条は、修学資金を貸与する対象者を規定いたしますとともに、財政法上の国の財産無償貸付法定の原則にのっとりまして、政府がこれらの者に無利息で貸与する旨の契約を結ぶことができることを規定したものでございます。
 第三条は、貸与方法について規定したものであります。修学資金は原則として一月ごとに貸与すること及び貸与額については政令で定めることとしているのであります。なおこの額は、政令におきまして、学生に対しては四千五百円、実地修練生に対しては六千円とする予定でございます。
 第四条は、初年度に結ばれる修学資金貸与契約の総額が、あらかじめ予算で定める限度額をこえてはならないことを明示した規定でございます。なおこの点につきまして、昭和三十六年度一般会計予算案総則第十五条におきまして、この債務限度額は九百万円となっております。
 第五条は、保証人の規定でございます。
 第一項は、修学資金の貸与を受けるには、保証人を立てる義務のあることを規定したものでございます。なお政令におきまして、保証人は二人としまして、そのうち一人は原則として父または母であることを要する旨を規定する予定でございます。
 第二項は、保証人が被貸与者の連帯債務者となることを明示した規定でございます。
 第六条は、貸与契約の解除並びに貸与の休止及び保留の条件を規定したものであります。
 第一項は、被貸与者が修学をやめたときなど、かくのごとき事由で修学資金貸与の目的を達成する見込みがなくなったと認められるに至った場合、政府が貸与契約を解除する措置をとることを規定したものであります。
 第二項は、修学生が休学しまたは停学させられたときは、その期間貸与を休止することを定めたものであります。
 第三項は、修学生が正当の理由がなくて学業成績表の提出等を怠りましたときは、貸与を一時保留することができることを定めたものでございます。
 第七条は、公衆衛生修学資金貸与の場合と同じく、貸与金の返還債務を免除する場合を定めたものであります。
 その第一項は、被貸与者が実地修練を終了した後直ちに矯正施設の職員となった上、その日から二年以内に医師となって、かつ、矯正医官として被貸与期間の二分の三以上在職したとき、または在職期間中公務により死亡し、もしくは公務に起因する心身の故障のため免職されましたときは、被貸与者が返還の債務の免除を受けることができることを規定したものであります。
 第二項は、前項の免除の条件である在職期間は、月数計算によること及びその計算方法の細目を政令に委任することを定めたものであります。
 第八条は、貸与された修学資金の返還債務履行の条件及びその期限を定めた規定であります。すなわち、貸与契約が解除されたとき、被貸与者が実地修練終了後直ちに矯正施設職員とならなかったとき等修学資金貸与の趣旨が全うされなかった場合には、被貸与者に修学資金を被貸与期間の二分の一に相当する期間内に返還する義務のあることを定めたものであります。
 第九条は、第七条の返還の債務の免除の場合以外に、政府の裁量によって返還の債務を免除できる場合を定めたものであります。
 その第一項は、被貸与者が矯正医官として通算して貸与期間の二分の三に相当する期間以上在職した場合には、返還の債務の全部を免除することができることを規定したものであります。
 第二項は、被貸与者が矯正医官として通算して三年以上在職した場合には、政令の定めるところによりまして、返還の債務の一部を免除することができることを規定したものであります。なお、政令におきましては、大まかに申し上げまして、この免除の金額は在職期間に比例する額とする予定でございます。
 第三項は、前二項のほかに、被貸与者が矯正職員として在職中に公務によって死亡しまたは公務に起因する心身の故障のため免職された場合には、その事情に応じて、政府の裁量により返還の債務の全部または一部を免除することができることを規定したものであります。
 第四項は、本条の裁量免除の条件である在職期間の計算につきましては、第七条の免除の条件の場合と同じ方法によることを定めたものであります。
 第十条は、修学資金の返還を猶予することができる場合及び猶予する場合の、国の債権の管理等に関する法律との関係を規定したものであります。
 その第一項は、修学資金の返還を猶予することができる場合を、被貸与君が矯正医官として在職している場合またはやむを得ない理由により修学資金を返還することが困難であると認める場合としまして、また、猶予できる期間は、その在職する期間または理由が継続する期間であることを規定したものであります。
 第二項は、修学資金の返還を猶予する場合には、修学資金貸与制度の趣旨にかんがみまして、担保を提供させ、利息を付させる等の国の債権管理に関する一般的取り扱いにはよらないものとしまして、国の債権管理等に関する法律の特別規定を定めたものでございます。
 第十一条は、延滞利息の規定でありまして、被貸与者が正当な理由がなくして期日までに修学資金の返還の履行をしない場合には、延滞利子を支払う義務のあることを定めまして、その割合を日歩四銭と法定したものであります。
 第十二条は、修学資金貸与の目約を確保いたしますについては法務省令の定めるところによりまして修学生に毎年定期的に学業成績表の提出及び健康診断の受診を義務づけた規定であります。
 第十三条は、法務省令で矯正医官修学資金貸与法の実施に必要な細則を定めることを授権した規定でありまして、なお省令におきましては、貸与の申請手続、貸費生の選考、貸与申請書の提出期限、貸与資金の送金、借用証書、返還免除の申請手続、返還明細書、返還猶予の申請手続、学業成績表の提出、健康診断、届出の各事項について定める予定でございます。
 なお附則の第一項は、施行期日を規定したものでございまして、昭和三十六年度の予算の実施を予想されます昭和三十六年四月一日から施行するものとしたものでございます。
 第二項は他の修学資金、福祉資金等の貸与の場合と同じく貸与に関する証書に関しては印紙税の納付を免除した規定でございます。
 以上であります。
#5
○委員長(松村秀逸君) 以上をもって逐条説明は終わりました。
 これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○井川伊平君 私より簡単に質問を試みたいと思います。
 本法律案の提案理由によれば、矯正施設における保健医療を担当する医師たる職員の充実強化をはかるために本制度を採用して、その充実強化をはかるというが、従来の矯正施設における医師の補充ができなかった原因は、いかなるところに起因するか。また将来その原因としての欠陥をどのように是正しようと考えているか、具体的に説明を伺いたいのであります。
#7
○政府委員(大沢一郎君) ただいま御質問のございました矯正医官がきわめて補充が困難であるという点でございますが、要約いたしますと、まず国家公務員でございます医官の待遇が、一般の民間施設、会社等に勤務するお医者さん等と比較し、また開業医等と比べましてはなはだしい懸隔がございましたのと、また矯正医官の勤務の条件が矯正施設という特殊な環境のもとにございますので、いわゆる勤務中に危険の度が非常に高かったことなどがおもな原因であろうかと考えておる次第でございます。
 この第一の給与の改善につきましては、国家公務員といたしまして、一般職の職員の給与に関する法律によりまして統一規制をされておりますので、その制約を免れることはできないのでございますが、特に勤労条件が特殊なものである場合に認められておりまする俸給の調整率の改善あるいはまた謝金、旅費、消耗器具等の医官研究費の増額等による実質的な給与を増額するという方法を講じつつあるわけでございます。矯正施設に勤務いたします矯正医官につきましては、現在俸給の一六%の調整を認められるようになったわけでございます。なおまた、謝金等に、研究費等につきまして、きわめて少額ではございますが、約一万二、三千円年間の研究費をもらうことにいたしまして、その給与の改善をはかりつつあるわけであります。なお、過般の公務員の俸給表の改正によりまして、医官に、今までとは違いました俸給表によりまして相当額の増加が認められてきたわけであります。なおそのほか、われわれといたしまして、施設におきまする医療設備の整備及び医療補助要員の増員等によりまして、勤務環境を改善することに今後とも努めていきたいと思っておりますし、また、医官の所長でございますとか院長等の矯正行政機関の重要ポストヘの昇進の道を活発に行なっていきたい。かように考えております。なおまた、国内に矯正医学会という学会がございまして、これを矯正局の医療分類課長の大津博士が主宰いたしまして、この矯正医学に関する研究等を活発に行ないまして、医者としての情熱をその方に向けていただくというような、いわゆる研究、研修を活発化いたしますこと等によりまして、矯正医官へのいわゆる学問的な魅力というものを増大いたしまして、そうして今後この法案と州待ちまして、その充実に欠くるところのないように努力いたしたいと、かように存ずる次第でございます。
#8
○井川伊平君 ただいま御説明がありました矯正医官の執務中といいますか勤務中と申しましょうか、危険度が一般よりも高いと言われましたが、どういう内容でありますか、一つそれを御説明願いたいと思います。
#9
○政府委員(大沢一郎君) まあ普通のお医者様でございますと、みずからの病気を訴えて参りまして、医師の指示によく従うわけでございます。別に診断中に危険とかいわゆる医療上の放射線とかあるいはまた外科等の障害は別でございますが、いわゆる患者さんとの間におきましては何ら危険がなく、むしろ信頼される、たよられる立場にあるわけであります。ところが、刑務所、少年院等におきまする対象者は、いわゆる受刑者あるいは犯罪少年でございまして、特に刑務所におきましては受刑者は作業を課せられるわけでございます。ところが、やはり犯罪者の通弊と申しますか、通性と申しますか、いわゆる怠惰な者が多いのであります。何か体の故障を訴えてはその作業を免除される。また病室に収容されますと、特殊な栄養食等の給与もございますので、よく仮病と申しますか、非常に誇大に病状を告げまして、そうして休養を取ろうとするような悪い者も相当あるわけでございます。
 そこで、看守におなかが痛い、頭が痛いというような申告がございますと、夜間におきましても直ちに医師が診断するわけでございますが、医師としまして、さような場合に、お前は頭が痛いのはうそだ、仮病だ、こういうことではだめだから働け。そういう本人らの病気の主張を拒否しますと、暴行あるいは罵言雑言を吐くようなものがきわめて多いのであります。あるときには突き飛ばされる。食ってかかるというような、非常にいやな危険な思いをする場合が多いのであります。しかし、それを医者がおそれまして、本人の言うがままにいたしますと、怠惰な風がみなぎりまして刑務所全体の管理ができないというようなことで、相当の勇気を要するのでございます。さような例が非常に多いのであります。普通の患者さんと違いまして、自分が楽をしようと思って仮病を訴えてきて、それに応じないと暴行に及ぶというような危険がたびたび発生しておるのでございます。
#10
○井川伊平君 本法律案は、公衆衛牛修学資金貸与法の内容とほとんど同一といってもよいようでございますが、同法に所要の改正を加えて矯正医官を獲得しようとすればできるのではないか。特に本法を作らなければならない理由、これを一つ承ります。
#11
○政府委員(大沢一郎君) ただいま御指摘の点は、まことにごもっともな点でございまして、立法技術といたしましては、その方法は可能であるかと思われるのでございます。しかしながら、以下申しますような理由で、別の法典といたしたわけでございます。その第一は、法律の目的の点でございまして、公衆衛生行政とは異なる法務行政の中での矯正医療の充実を期することを目的とする法律でありますこと、つまり換言いたしますると、異なる行政の分野に関する事項であるという点が一つでございます。第二は、対象者でございますが、公衆衛生関係では、貸与の対象者に歯科医学生を含めておりますが、矯正医官修学資金貸与法では歯科医学生は含めないということにいたした点でございます。第三点は、所管行政庁の異なる点でございまして、貸与の事務を行ないますのは、公衆衛生修学資金にございましては厚生省、矯正医官修学資金にありましては法務省でございまして、かつ貸与を受けました者の勤務いたします機関が、公衆衛生修学資金関係の修学生にございましては地方自治団体の機関であるということに対しまして、矯正医官修学資金にございましては国の機関であるという点、第四は、他の立法例によりまして自衛隊技術職員獲得のための貸費制度は自衛隊法によって行なわれております。従って、行政目的または貸与の対象者及び所管庁等を異にする国の修学資金の貸与制度につきましては、異なる法典の存する先例がございますので、以上の点を考えまして別個の法律とした次第でございます。
#12
○井川伊平君 被貸与者の中で貸与金の貸与を受けながら学校卒業と同時に他の職場に転ずるような者に対しましての違約金、あるいは利息を取るようなこと、これらにつきまして承ります。
#13
○政府委員(大沢一郎君) せっかく国の資金の貸与を受けながら、学校卒業と同時に他の職場に転ずるというような例は非常に多いのでございまして、厚生省所管の公衆衛生修学生におきまして可約半分が他に転じておるわけでございます。しかしながら、われわれといたしましては医学生になるべく矯正関係の職務に従事していただきたいという意味で、修学生が、五年間にわたりまして貸与を続けております間に、法務省並びに管下矯正行政機関におきましてよく連絡をとりまして、矯正医療の重要性をその間に認識させまして、矯正医療に携わる意欲を強めるということに努力しまして、運用上できるだけ法務行政機関に協力をするように持っていきたい、そうして卒業と同時に矯正関係の職員になるようにしむけていきたいと努力を払うつもりでおるわけでございます。なお、修学終了後他の職場に転じた者に対しまして違約金または利息を取るという点でございますが、人の職業就職の自由に対して利息を取るとか、あるいはまた違約の罰金のようなものを取りますことは、間接的な強制になることになりまして、そうしますると、その点では確保が容易になるわけでございますが、かような、間接的とは申しましても、強制的な、手段をとりますことは、われわれとしましては特に慎重に取り扱うべきものではないかと考えますと同時に、本法にかような違約金の制度を設けるときは、すでに成立しておりまする公衆衛生修学資金貸与法に比較しまして不利益な条件を設定することになりまして、本法によります資金貸与希望者を減少せしめる結果となりまして、その根本的な目的を失うおそれがあろうと考えられますので、この違約金制度をとらなかった次第でございます。申すまでもなく、修学生が他の職場に転じました場合には、直ちに貸与金を返還する義務が発生いたしまして、かつ延滞しましたような場合にはこれに利息を取ることにいたしておりますので、矯正医官として一定期間就職しますれば、返還債務を免除できるという優遇の方法をとりまして、そうしてよそへ行けばかえって不利になるというような利益の面からこの転職を防ごうという方法をとったわけでございます。
#14
○井川伊平君 ただいまの御説明を承りますと、貸与を受けている者は学校の授業のほかに何か矯正医官としての修練を特別に受けるように聞こえましたが、一体どういうような矯正医官としての特別な研修を受けますか、あるいはそれはどのくらいの時間それに費やすものでありますか、承りたいと思います。
#15
○政府委員(大沢一郎君) 特に医師としての特別教育をわれわれの方で実施するのではございませんので、こういう修学資金の貸与で月一回は借用証書を入れて月々貸すことになりますので、連絡が密になりますので、その間におきまして各地方におります矯正医官が近づきになりまして、それでまあある休みの期間等を利用しまして、矯正医学の特に重要な点、あるいはまた夏休み等には実地に遊びに来てもらいまして、そうして実務についての説明等をいたしまして、順次矯正施設における医療の重要性、また学問的なおもしろ味という点についてお話し合いをするということでございまして、特別な教育ということは実施いたしません。
#16
○井川伊平君 ただいまの申されました実務につきまして、夏休みのときであるとか、あるいはそのほか毎月お金を借りますことについて本人が来た場合等の話し合い等とありましたが、それらは義務ですか、あるいは義務ではないのですか。義務であるとすれば、それに従わない者は何か制裁があるのですか。
#17
○政府委員(大沢一郎君) これはまあどこまでも義務ではございませんので、われわれといたしましてそれらの人々に矯正医学に興味を持っていただくようにお話し合いをしていくという程度でございます。
#18
○井川伊平君 本制度の貸与金と日本育英会の資金援助の双方を受けることができますか、いかがですか。
#19
○政府委員(大沢一郎君) 本制度の貸与金と日本育英会育英貸与金を合わせて貸与することは妨げないというふうな考え方でございます。
#20
○井川伊平君 近時学資金の値上がりと申しましょうか、そうしたような趨勢にかんがみまして、本案では昭和三十二年成立の公衆衛生修学資金貸与法の金額をそのまま踏襲しているようでありますが、貸与金を増加する必要が現実にはあったのではないか、承ります。
#21
○政府委員(大沢一郎君) ただいま学資金等の値上がりの趨勢にあることは御指摘の通りでございまして、われわれといたしましても、当初、現在の官公立の医学生の月謝、研究費その他を勘案いたしまして、大体医学生につきましては月額六千円を目標にいたしまして要求をいたしたわけでございますが、査定を受けまして、現在予算上認められております公衆衛生修学生の貸与金と同額の、医学生については四千五百円という査定を受けたわけでございまして、われわれといたしましては、この点は厚生省ともよく連絡をとりまして、月謝等の趨勢に応じまして、明年度より値上げの要求を続けたいと思っておる次第でございます。
#22
○井川伊平君 この貸与を受け得るところの学生は、官公立の医学生に限るのであるか、私立の学校の医学生もこの恩典に浴し得るか、承ります。
#23
○政府委員(大沢一郎君) 医学生でありますれば、官公立に限らず、私学でもこの貸与の学生たる資格はございます。
#24
○井川伊平君 この法律、案は、公衆衛生修学資金法にならって、内容等も、歯科医の部を除けば全く同じでありますが、厚生省の保健所職員と、矯正施設の職員の職務内容が異なるほか、諸般の事情を比較した場合に、両者を全く同一条件のもとに取り扱うことは、矯正施設に就職を希望する者が少なくなって、所期の目的を達することができなくなるおそれがあるように考えられるがどうであるか。なお、右の欠陥を補うため、債務の免除に要する期間を短縮するとか、あるいは大学院、外国への留学をせしめるという点といったように、この貸与の範囲を広めていく必要があるのではないか、お伺いをいたします。
#25
○政府委員(大沢一郎君) 先ほども申し上げましたように、矯正施設におきまする医官の勤務がきわめて不快であり、また危険であるというような点で、保健所等のお医者さんの方に行きたがるのじゃないか、まことにその通りでございまして、この点につきましても、われわれは次のようなことを考えておるわけでございます。
 まず給与の点でございますが、矯正施設に勤務いたします職員は、特別の調整額を受けることになっておりまして、この矯正医官につきましても、その職責の複雑、困難性、あるいは勤務の度合い、勤務環境、勤務条件によりまして、特に一六%の調整額の加給を認められておりますので、この点で一つ、厚生関係よりも給与の面で優遇しておるわけでございます。
 次に、矯正医官につきましては、施設に勤務いたします関係上、全員無料宿舎を貸与する計画で、現に医務関係のお医者さんはすべて無料宿舎に入ってもらっておるわけでございます。
 それから矯正医官の勤務する施設は、少年院等の一部を除きまして、矯正管区、あるいは拘置所、刑務所、あるいは少年鑑別所というふうに、いずれも県庁所在地の大都市にございますので、大学の医学灘あるいは大病院との連絡がございまして、お医者さんとしての医学の研究という点に、なるべく便宜を与えていきたい、かように考えております。
 また、保健所等のお医骨さんでは、一般保健行政事務のみでございまして、直接患君の診療等が少ないのでございます。しかし矯正関係の医官につきますと、臨床的な仕事が非常に多うございまして、身体医準、あるいはまた精神底学はもとより、矯正施設の根幹というべき矯正医学の研究に従事してもらいまして、刑事政策の一環たる矯正医学という面の研究に興味を持ってもらえれば、仕事に情熱を入れていただけるという点も考えております。
 今申し上げましたように、待避の面では勤務場折とか、条件等の悪い点を調整額で補いまして、なおまた、その仕事の面で興味を持っていただけるという面で、矯正関係に就職してもらうように勧奨していきたい、かように存ずる次第でございます。
 なお最後に御示唆がございました海外留学等の問題でございますが、先ほど申し上げました矯正医学会では、昨年度アメリカの矯正医学会と合同医学会を開催いたしまして、来年度におきましては、おそらくアメリカその他の外国において医学会が開かれるかと存じます。さような機会に代表を派遣いたしたいと考えておりますし、また、今まで法務省の海外旅費、あるいは科学振興関係の援助金等で年に一人、二人の者を海外に出しております。今後これらを活発に行ないまして、そうして矯正医学に対する情熱によって、矯正関係にかようなお医者さんが多数来ていただくように今後とも努力いたしたいと存ずる次第でございます。
 なお債務免除の条件緩和は、われわれといたしましても法務省の問題だけではございませんので、今後厚生省とも協議いたしまして、連絡をとりながらこの貸与金の条件の有利化に努力いたしたい、かように存じております。
#26
○井川伊平君 大学院へ、あるいは海外へ留学、そういうことをさせるということは、それはその人たちを優遇するとか、待遇するとかいうような観点ではなしに、矯正医学の面からいって、普通の医学校を出ただけでは十分でないと思われる点があって、どうしてもそういう方々にさらに進んで大学院、あるいは海外の留学、そういうことをさせる必要、こういうことがあるかどうかについて一つお伺いいたしておきます。
#27
○政府委員(大沢一郎君) ただいま御指摘のございました日本の矯正医学の発展のために外国との交流ということは、きわめて重要なことでございまして、単に優遇の面のみならず、そのようなわが国の矯正医学の発達のために毛、非常に必要なことと考えておる次第でございます。
#28
○井川伊平君 矯正医官の定員が充足された場合を想像いたしますと、本法はどうなっていくのであるかお伺いいたします。
#29
○政府委員(大沢一郎君) 本制度の実施によりまして、毎年十名ずつ医官の補充が確保されるということになっておるわけでございます。昭和三十一年度以後の実績によりますと、お医者さんの退職者が一カ年平均七十名の多きに達しておるのでございます。現在におきまするお医者さんの勤務状況、勤務条件におきましては、この年間の退職者数の減少ということは、ちょっと期待できないような状況でございます。特に昭和三十五年度十月一日現在におきまする矯正医官の年令を見ますると、五十五才以上の医官が三十七名となっておりまして、大体六十才で法務省矯正関係は停年ではございませんが、勇退されるような慣習になっておりますので、本制度を実施いたしましても、近い将来に定員を超過するということは考えられないのでございます。しかし、かりに非常にこの制度が成績を上げまして、また矯正医官の退職者がなくて、定員過剰というようなことが考慮を要するという場合になりますれば、学生の採用数によりまして調整をとっていきたい、かように考えております。
#30
○井川伊平君 関連事項として一つお伺いしたいと思います。わが国の憲法が実施されてすでに十三年の歳月を経過しておる現在、監獄法改正作業は遅遅として進行しないようでありますが、被収容者の基本的人権保護に十分でない同法が、すみやかに改正さるべきものであると思うけれども、そう参っておらぬようでありますが、その作業の進行状況はどうなっておりますか。将来の見通しを通じましてお伺いを申しておきます。
#31
○政府委員(大沢一郎君) 日本国憲法の施行に伴いまして、刑事法制が改正を見たわけでございまして、その一環といたしまして、戦後いち早く昭和二十二年に監獄法の改正の作業が法務官において企図せられたのでございますが、当時の占領軍当局の示唆もございまして、特に今直ちに監獄法の改正を要すべき点はないというような立場から、改正の作業が一時中断した次第でございます。特に監獄法はいわゆる行政法でございまして、運用によって十分まかなえると、新憲法下におきましても運用いかんによってはまかなえるというような建前から、直ちに法の改正まで必要なしというような意見もございまして、一時中断したわけでございますが、御承知のように現行監獄法は明治四十一年制定の非常に古い法律でございまして、表現形式等におきましても、必ずしも適正とは申しがたく、また特に第二次世界大戦後におきまする矯正思潮及び矯正技術のめざましい発展と、戦後におきまする憲法、刑事訴訟法等の改正に相応した根本的改正の要望がありましたほか、刑法改正の気運もございますので、監獄法も新たな構想のもとに全面改正の検討に乗り出しまして、昭和二十八年矯正局におきまして改正の準備に着手しておるのでございます。そうして昭和二十九年にこの準備作業に専念する矯正法規室を矯正局に置きまして、各国の立法例また省内関係者の意見、全国刑務所長等の意見等も総合いたしまして、昭和三十二年七月に一応監獄法改正要綱仮草案なるものを作成いたした次第でございます。ところが、なお十分な検討を加える必要があるということになりまして、昭和三十二年末に監獄法の改正を担当する特別顧問が法務省に置かれまして、そうして海外における矯正施設の詳細な実情の視察等をしていただきましたその結果等にかんがみまして、さらに新たな構想で立て直すということになりまして、昭和三十三年度末から省内関係部局、検察庁矯正施設の関係者等を委員とする監獄法改正準備会を設けまして審議を続けておる次第でございます。ただいままでに四十八回の会議を経まして、通則の基本的事項の審議を終えまして、今後未決拘禁と行刑上特に問題となる事項につきまして検討を加えつつある状況で、この審議会におきます審議の結果に基づきまして改正案を作りまして、さらに法制審議会等への諮問を経て国会に提出するという段取りになるわけでございますが、まだ現在の状況では、相当の日時を要するのじゃないか、かように考えておる次第でございます。鋭意努力いたしまして、できる限りすみやかに法案の作成を終わりたいと考えてはおりますが、何分にも先ほど申しましたように、今直ちに改正しなければ困るというような条章がございませんので、やはり改正の方向が、全面的に見直すというような、新しい矯正思潮を持ったものにしようというような欲も手伝いまして、非常に審議が熱心でありますだけに長引いているわけでございます。
 大体以上のような経過で、われわれといたしましても、なるべく早く成案を得たいと努力している次第でございます。
#32
○井川伊平君 最後に、やはり関連いたしまして、一つだけお伺いいたしますが、現在の監獄法のもとに建てられておる刑務所を見ますと、北海道の寒いああいう方面を見ますると、冬は零下二十度とか二十何度ということになる。それで手足がしもやけになっておる者が非常に多い。中には、まだ未決のままで犯罪が成立するかしないかのものさえある。そういうものが手足がしもやけになって苦しまねばならぬというようなことは、未決の者ならばなおさらであり、既決の者でございましても、それは刑罰の範囲外であると思うが、そういうことが公然と許されておる現在の監獄法で、それでいいとか、ゆっくりでいいとか、急いで調べる必要はないとかいうような観念が出てくることは、私にはふに落ちませんが、一体あなたはそういうような北海道のような所で、そういうような事実のあることを認めるかどうか。認めるとすれば、そういうことはうっちゃっておいていいという御趣旨かどうか。その点についての御意見を承ります。
#33
○政府委員(大沢一郎君) ただいま御指摘の寒冷地におきまする刑務所の暖房の問題でございますが、われわれとしましては、こういうものは放置すべきでないと考えております。しかし、これは直ちに法律を改正いたしませずとも、われわれの行政上の処置で十分まかなえることなんでございます。われわれといたしましては、この暖房費の予算要求ということは毎年いたしておるわけでございまして、内幕を申しますと、ある程度予算を超過して暖房費を使いまして、年度末に大蔵省にお願いしまして予算の流用を認めてもらっておるような状況でございます。現在われわれといたしまして、この行政上の運用におきまして、一刻も早くかような状況を脱却したいと考えておるわけでございますが、とりあえず現在の進行中の計画は、各病室内に、たとえ低い温度であっても夜間も暖房を通そうという計画で、現在札幌刑務所の医務室――医務病舎におきましては暖房施設を設置しているわけでございます。なお各舎房におきましても、これはきわめて暖房も度が低いので、一棟に二つぐらいしかストーブが入っていないというような状況でございまして、これはむしろ予算の面の解決が急務ではなかろうかと考えておりまして、毎年この点の要求をいたしておりまして、三十六年度におきましては、その燃料費に相当の増額を認めてもらっておるようなわけでございます。われわれとしましては、かような運用上の面は法律の改正を待たずとも、十分われわれの行政の責任においてなすべきことと考えております。この点につきましては、われわれとして至らない点はまことに申しわけない次第でございまして、逐次改善する努力も固めております。また、少しずつではございますが、改善の緒についておると考えておる次第でございます。
#34
○委員長(松村秀逸君) ほかに御質疑ございませんか。
#35
○赤松常子君 二、三お尋ねいたしたいと思います。私は、かねてこういう矯正医官及びこういう所に入っていられる方へ対処していく、お世話をしていく人には、特に少年院とか少年鑑別所または婦人補導院などには、婦人の職員を多く使ってほしいということをしばしば申しているわけなんです。ですから、この採用法ももちろん男女平等で、女医さんの採用、登用も考えていらっしゃるわけでしょうね、区別なく。
#36
○政府委員(大沢一郎君) もちろん男女の区別は設けておりません。女医さんも大いに矯正医官にお入りになるように期待しておるわけでございます。
#37
○赤松常子君 先ほど井川委員が繰り返しおっしゃったのでございますけれども、この矯正医官の資格と申しますか、もちろん医術の面も十分身につけていただくということも大事でございますけれども、相手が特殊の人でございますから、どうしても人間的にりっぱなものを持っていただくということが、より大事じゃないかと思うのです。そういう問題をどういうふうにしてお教えになるか、どういうふうにしてそういう面を特に強く身につけていただくかということが、これにはないのでありますけれども、先ほどお聞きになった中では、ただ話し合うとか、たまたま会うときに矯正事業の重要さを認識してもらうという程度でとおっしゃっておりますが、私、もっとここにほんとうに力を入れて教えるとか、指導するとか、認識してもらうということが矯正医官のより大事な資格ではないかと思うのでございます。その点、今御説明を聞いていますと、非常に物足りない、不十分だと私感じるのですが、それでよろしいものでございましょうか、もう少しお考えがあったらお伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(大沢一郎君) 本法はそこまでの人格者ということの要請は考えておらないわけでございますが、現在法務省におきまして、新たに矯正関係の医官になられた方につきましては、中央矯正研修所が東京にありまして、その研修所にお入り願いまして、矯正医学の実態、またさような受刑者もしくは収容少年の処遇方法等につきまして研修を行ないます。そうして実地と過去の経験その他につきましての技術の指導を行ないまして、各地に帰ってもらうという研修制度をとっておるわけでございます。
#39
○赤松常子君 それにやはり加えて研修してもらうことを考えていらっしゃいますね。
#40
○政府委員(大沢一郎君) 新任されますると、直ちに研修所に入っていただくことにしておるわけであります。
#41
○赤松常子君 先ほど一年の退職者が七十名とおっしゃいましたが、これは停年退職の方と、何か理由があっての退職者と合計の数でございましょうか。
#42
○政府委員(大沢一郎君) すべての退職者を含めてでございます。むしろ矯正医学に情熱を持っておられる方は、現在六十才以上でも、われわれとしましては勤務していただいておるわけでございます。
#43
○赤松常子君 私のお尋ねしたいのは、停年であれば、これはやむなく退職しなければなりませんけれども、この割合が、停年以外の方が多いというところに問題があるのではないかというお尋ねです。
#44
○政府委員(大沢一郎君) 御指摘の通りに、停年以外で、他の職場に転ずる方が非常に多いのでございます。むしろ停年になるような方は、長くお勤めになっておりまして、非常に情熱を持ってこの仕事に当たっていただきますので、われわれとしましては引き続いて勤務してもらうことがよいのでございますが、途中でやめる方が非常に多いという状況でございます。
#45
○赤松常子君 それは、やはり待遇の問題というお答えだろうと思いますが、私せっかくおなりになった方がおやめになるのは、ほんとうに惜しいように思いますし、そういう面での給与の引き上げということも十分お考えいただきたいと思うわけでございますが、七十名おやめになって、そうしてこれで十名の確保ができるということでございますけれども、これは一年度の計画が十名の確保であって、これではもう六十名不足して、私、大へんここに問題が起きるのではないかと思うのですが、なぜたった十名の確保にとどまったのでしょうか。
#46
○政府委員(大沢一郎君) 実はこれは一助としてやっておるというわけでございまして、今まで通り各大臣あるいはまた教師の方等にお願いしまして、集めていただく一助として、これのみではとうてい全部を充足するわけに参りませんので、一助として考えたわけで、今まで通り大学なりその他にお願いしましてこちらへ来ていただくようにするつもりでございます。
#47
○赤松常子君 その方法でこの六十名の空席というものがまかなえるお見通しでございますか。
#48
○政府委員(大沢一郎君) 直ちに現在の欠員が埋まるとは考えておりませんが、今までと同様の努力を払い、順次充足していけるという考えのもとに進んでいくわけでございます。
#49
○赤松常子君 先ほどの、研究費一万数千円というのを、もっと詳しくおっしゃって下さいませ。
#50
○政府委員(大沢一郎君) 医官の研究費は、刑務所、鑑別所等を通じまして、平均一人一万三千八百円になっております。これは庁費が一万二百六十円、謝金が五百四十円、旅費三千円という内訳でございます。
#51
○赤松常子君 それは一年でございますか。
#52
○政府委員(大沢一郎君) 年間でございます。
#53
○赤松常子君 何ができるのでございましょうね。大へん私寒々といたしました。
 その次に、これは自衛隊の技術職員の学資金貸与法にならってございますが、ここでおわかりでしょうか、自衛隊の方は非常に運営がうまくいっているか、また返還などもうまくいっているか、いかがでございましょうか。
#54
○政府委員(大沢一郎君) 自衛隊の技術職員と公衆衛生修学生の募集状況は、今、こまかい年間の数字を持っておりませんが、大体厚生省の公衆衛生修学生の志願状況は、多いときには三七三%の希望者がございます。少ないときで一一三%、平均一六九%の志願者があるわけでございます。また防衛庁の自衛隊の貸費学生につきましては、平均一四二%の希望者でございまして、大体確保はできると考えております。なお、それらの者が卒業しまして、歩どまりの問題でございますが、公衆御世修学資金の貸与を受けた者の歩どまり状況は、就職いたします者の歩どまりが大体五〇%、半分でございます。さような状況になっておりまして、自衛隊で毛、ほぼ同じような数字になっております。
#55
○赤松常子君 第五条の保証人でございますが、先ほど御説明のときは、二人保証人が要って、一人は父か母かということをおっしゃいましたが、父も母もない場合の処置は、その地方の県知事かどなたかという便法もあるのでしょうか。
#56
○政府委員(大沢一郎君) 父母ともにない場合は、親族ということにいたしたい考えでございます。
#57
○赤松常子君 もう一つ。大学生で四千五百円、ところが今こちらからいただいたこの資料を拝見いたしますと、九千円から一万円、授業料だけで一万五千円要るわけでございますね。これは年間ですか……。そうするとこの四千五百円、六千円というのは月額貸与するわけですか。
#58
○政府委員(大沢一郎君) ただいまの大体授業料が月額一千円程度でございまして、四千五百円は月額でございます。
#59
○大川光三君 ちょっと関連して。ただいまの保証人の点ですね、先ほど父母の中のだれか一人ということの御説明があったのです。今、赤松委員の御質問に対して、父母ともにないときには親族をもって充てる、こういう御意向ですけれども、この法律の精神からいえば、そう二親がないからいけないとか、あるいは必ずしも親族でなければ保証できぬというように窮屈にしておくことはどうかと思うので、たとえ親族でなくても、相当な人がこれを保証するという点にまで弾力性を持たす必要があると思いますが、いかがですか。
#60
○政府委員(大沢一郎君) ただいま保証人が父または母であるということは、これはお金を借ります場合、まだ部屋住みの書生でございますので、お父さんお母さんの許可を待てもらうという意味で、できる限り父母としたい。しかし必ずしも父母でなくちゃならぬという政令をおく考えはございません。
#61
○大川光三君 ちょっとこの機会に二、三事務的なことを伺いますが、大学を卒業して、実地修練中のものですね、これはこの条文で見ますと、「医師法第十一条に規定する実地修練を行なっている者」こうなっているのですが、十一条には実地修練というのは「一年以上」と書いてあって、はっきりしないのですが、これは事務的にちょっとお伺いしたい、何年間になるのですか。
#62
○政府委員(大沢一郎君) これは厚生省所管の問題でございますが、一年以上インターン、いわゆる修習をやれば、医者の国家試験が受けられる。そこで一年さえ経ますれば、直ちに国家試験が受けられるわけであります。われわれといたしましては、最短の一年につきまして貸与資金を貸与しよう、こういう考え方でございます。
#63
○大川光三君 それに関連して、インターンを終わって国家試験を受けている、ところが、たまたま一年も二年も国家試験に合格せぬというような場合には、最後の返還の猶予期間に勘案される余地はあるのでしょうか。
#64
○政府委員(大沢一郎君) 大体学校を卒業いたしますのが三月でございまして、採用が四月になるわけであります。しかし国家試験は毎年六月に行なわれているようでございます。その間の取り扱いとしましては、われわれといたしましては医者でない技官としまして、法務省に採用しまして、そしてお医者さんになって、免除期間が始まるという考え方をしているわけでございます。そこで、もしも一年国家試験が取れなかったという場合には、二年以内にお医者さんになってもらえば、この特典があるわけでございますので一回落第しましても、この免除の規定は生きてくるわけでございます。そして矯正の職員になりますと、猶予の規定が動きますので、つまり直ちに職員になってもらって、そして二年以内に国家試験を通れば、この免除という規定が発動するわけでございます。
#65
○大川光三君 大体よく事情はわかりましたが、この条文の中で、矯正職員であって医師にならない者というような条文がありますが、これは、今お話のインターンを終わったけれども試験には受からない、しかしその間矯正職員として採用する、こういうことをやはり予定されていることになるのでしょうか。
#66
○政府委員(大沢一郎君) 御質疑の通りでございます。
#67
○大川光三君 それからいま一つ。これは法務省関係になりますが、第十三条で、「この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、法務省令で定める。」こうありますが、一体、貸与金の返還について、これは強制力を持たすのですか、どうですか。
#68
○政府委員(大沢一郎君) これは、他の、国の債権と同じで、直ちには債務名義は持たないと思います。やはり一般の債権と同じで、強制力を持つためには訴訟その他の法廷の手続が必要と考えております。
#69
○大川光三君 その点でありますが、これは他の奨学資金なんかを見てみましても、ずいぶん返還の済んでない分がありますが、そういう場合に、ただいまお話のような訴訟を起こしてまで債務名義をとって取り立てをする、こういう先例はあるのでしょうか。
#70
○政府委員(大沢一郎君) 寡聞で詳細なことは存じませんが、厚生省関係の話を伺いますと、お医者さんになってよそへ行くというような場合は、非常な好条件で転職される場合が多くて、特に会社の病院等に移られるような場合には、この返還金は期間を待たずに一時に納付されているような状況だそうでございまして、厚生省関係では、返還金の取り立てに困ったというようなことは聞いていないわけでございます。
#71
○高田なほ子君 この法律は大へんいい法律で、明るい見通しを持つような気持でおります。いつごろからこの法律を出そうというふうに準備をせられて、おったのですか。ほかの厚生省関係、防衛庁関係から見ると、あるいは文部省関係から見ますと、大へん時期がおそかったように思います。むしろ、これはもっと早く出された方がよかったように思いますが、いつごろからこういう法律をお出しになるように準備されておられましたか。
#72
○政府委員(大沢一郎君) もうこれで実は五年目でございまして、毎年この予算要求をしておりましたが、本年度初めて認められた次第で、五年目にやりと実ったという状況でございます。
#73
○高田なほ子君 五年目にようやく日の目を浴びたということを伺って、何かほっとしたような気持でおります。先年もたたなければこういう問題が日の目を見ないという理由は、どういうところにありましたか。これは今後の問題にも関係があると思いますから。
#74
○政府委員(大沢一郎君) まあこれは予算の血もあったかと思うわけでございますが、法務省としまして想像しますのに、おそらく各施設とも人が足りませんので、増員要求が非常に忙しかったわけでございます。さような面から、定員のあるところは努力しよう、自力で人を集めて、そして同じ予算を取るならば、ほんとうに人のないところへ向けていけというような点で、増員要求の面でこの方が弱くなったのではないか、かように、これは想像でございますが、考えられるわけでございます。
#75
○高田なほ子君 大へん御苦労であったと思いますが、今後もあれですね、予算々々ということで、谷間にある者の保護とか矯正とか健康とかいうものがとかく忘れられがちですけれども、今後ともやはりこの法律ができた以上は、よほどしっかり法律の趣旨を守れるように、お互いにやっていかなければならないように思いますが、そこで、ちょっとこの「医官採用退職状況調」が参考資料の中に出ておりますが、刑務所では三士五年の定員は二百二十名、それに対する欠員が二十六名、少年院は七十七名の定員に対して八名の欠員、少年鑑別所は二十九名の定員に対して四名の欠員、こういうふうに医官の欠員が年ごとにふえていく傾向にあります。もちろん、こういう傾向に対応するために今度の貸与法ができたと思いますが、現在足りない部分というのは、どういう形でカバーされてきておるわけでしょうか。いただいたものの十七ページに表がございますが……。
#76
○政府委員(大沢一郎君) 欠員の分の人手不足は、非常勤のような形で付近の病院あるいは開業医の方を嘱託にいたしまして、随時来ていただいて謝金の面でまかなっております。なお、集団的な病気が発生いたしましたというような場合は、刑務所等の付近の施設から応援に来ていただいておる。そうしてどうにかまかなっておる状況でございます。
#77
○高田なほ子君 付近の病院、付近の医者というのは、私ども民間でいういわゆるかかりつけのお医者さん、こういうことに考えられますが、私ども九州にこの間参りましたときにも、やはり付近のお医者さん、付近の病院、こういうものが相当収容者に対しては手を伸べておるようにも伺って参りました。そこで、新法ができました場合に、単に収容施設内における者だけではなしに、さらに、かかりつけと言ってはちょっと語弊がありますが、年中収容者が世話にならなければならないような病院に対しても拡大していく必要が将来あるようにも考えられますね。これは思いつぎのようになってしまったのですけれども、さらに収容所の矯正医官になる者にだけ貸付をするのではなくて、いわゆる収容所が年中お世話になる病院、主たるお世話になる病院、こういう病院にお勤めになるお医君さんにも、若干こういうような法律が準用されればいいのじゃないか、こういうような気がするわけです。つまり、私の言いたいことは、かりに貸与法でもって資格を得ますね、資格を得て収容所に一年なら一年勤務いたしますね。ところが、その方がたまたま普通の病院に勤務したいということになって、付近の病院にたまたま、勤務した場合に、お前はもう収容所に勤務していないのだから、さっそく金を返せという、そういうことではなくて、かかりつけの病院などに勤務する場合には、その償還の免除というものもそういう範囲の中に含めさせて考えた方がいいのじゃないか、こういう意味なんです。
#78
○政府委員(大沢一郎君) 非常にいい案をお示し願ったわけでありますが、現在職員、でないと、この法案ではめんどうなことだと思いますが、しかし、今この法案では、矯正施設でなくて、その矯正施設以外の職員になっても、これは継続としてみなされておりますので、ただいまのような場合に、嘱託なり非常勤というような形で、一つこの範囲を広げ得るかどうか、少し研究して、できることならばそこまで拡張できるように一つ努力してみたいと思います。今直ちには、よそに行った人も免除ということまでは、まだちょっとできないことじゃないかと思います。しかし、すぐ近所の病院におられて、しょっちゅう来てもらうということになりますと、この点また普通のことと違いますので、もう少し研究さしていただきたいと思います。
#79
○高田なほ子君 この研究はむだな研究ではないと私は思うのです。なぜならば、医療施設の十分でない収容所内の治療については外にお願いして治療をしてもらうということは、普通やられておることなんです。やはりこの法の運用についても、そちらの方にまで伸ばしていかないと、せっかくのうまい考えがうまくなくなる場合もある。これは一つ研究していただきたい。
 それからそれに関連することですが、現在の監獄法の施行規則かどうかわかりませんが、収容所の中で医療を受けている者について、看護婦の手が足りない場合かどうかわかりませんが、囚人の方が看護しておりますね、それから伝染病の場合にも囚人が看護しておる。これは大へん私は疑問に思うところですが、その看護婦の資格を得るための機関に入っておる者についても、当然やはりこの医療施設、医療機関を拡充していくという精神であれば、医官を補助する者に対しても、この貸与法というものは将来拡大されて考えられるべきではないか、そういう性格等をこの法律では持つものではないか、こういうふうに考えますが、二つの内容を持っておりますから、説明して下さい。
#80
○政府委員(大沢一郎君) 受刑者を病人の看護に当たらせておる点につきましては、御指摘の通りでございます。われわれとしましてはベッド数に応じた看護婦、薬剤師その他の職員を充実しなければならないわけであります。各施設の病室等も、厚生省の基準にのっとりまして、その了解を得まして設置しておるわけでございます。本来は、医師、看護婦、薬剤師、レントゲン技師というような者も充員しなければならないわけでございます。この点につきまして大蔵省に資格に合った者の人員の要求をいたしておるわけでございますが、いまだに認識が得られませんで、変な格好の形に残っておるわけでございます。御指摘の点につきましては、われわれ毎年これまた努力しておるわけでございます。御協力を得ましてほんとうに正しい医療のできる施設にしたい、かように存じておるわけでございます。なお、伝染病等の看護に囚人を使いますことは、われわれとしてはできるだけ避けておるわけでございますが、人手がございませんので、さような場合には、特に本人の了解を得て、よし、やってやろうという義侠心に訴えて今やっておるわけでございます。
#81
○高田なほ子君 監獄法は今改正の機運はあるのでしょうが、改正実現ということには相当日があるように御答弁いただきましたが……。従って、現在の監獄法では、伝染病の看護に囚人を使っても、これは何に違法ではないわけですね。しかし、これはどうですかれ、伝染病の看護はみんないやですからね、ですから、義侠心によるよりほかに方法はないかもしれませんが、これは一つ、現在の保健衛生の法の建前からも、義侠心だけでこれは解決できない問題じゃないでしょうか。ある意味で、やはり基本的人権に関する問題のように思いますが、これを今やめるということはできませんか、わき道にそれる質問ですけれども。
#82
○政府委員(大沢一郎君) 現在、これは監獄法の問題じゃなくて、医療関係の法律に従った医療施設をわれわれが持つべきなんでございまして、これは監獄法の問題と離れまして、われわれは監獄法の改正いかんにかかわらず、この医療施設は医療関係の法規に従ったものにする義務があると考えるわけでございます。それによりまして予算要求をしておるわけでございます。なかなか大蔵省の方がうまくいきませんので、非常に不自由な状態にあるわけでございます。特に、今の伝染病等の看護の問題でございますが、看守等で看護人の資格を持った者、これは研修等もいたしまして、資格を持った者がおりますので、かような危険な看病は、努めてそれに当たらしておるわけでございます。まことに人手の足りない場合に、今御指摘のようなことも決して皆無じゃございませんので、われわれとしましては、早急に医療関係の法規に従った人員の確保ということに努力すべきである。かように考えて、今後も努力を続けていきたいと思います。
#83
○高田なほ子君 私、今の刑務所を見ましたときに、やはり伝染病の看護の問題は、かなり議論のあるところだと見てきました。結核病等でもやはりそうだと思います。こういうのには、幾ら金を出してやっても選挙には影響しませんからね、議員がこういうものを力説しても手もないことだという考え方が政界にあるということは、やはり私は非常に悲しいことなんです。そうじゃなくして、拘禁されておるだけで、その人はそれだけの償いをさせられておるのだから、その人を、人手がないからといって、伝染病に回したり、それから結核の看病に回してやるということは、これは人権じゅうりんのような気がするのです。人手が足りないのだからやむを得ないといえばそれまでかもしれませんけれども、人間はいつあやまちを犯さないという保証はないのですから、拘禁されておる者の人権というものについても、ほんとうに考えてやらなければならないので、または、これは法務省の方ばかり責めてもしようがない問題ですから、幸い予算委員会も開かれておりますので、大蔵省あたりにも、私の方からいろいろお話をしまして、こういうことのないように、お互いにめんどうを見られるようにしたいと思います。
#84
○赤松常子君 関連して。そういう場合に、お手当はわずかでも出るのですか、その危険になる仕事に対して。
#85
○政府委員(大沢一郎君) 作業賞与金の制度がございまして、さような場合には、いろいろ本人の累進処遇の階級、あるいは仕事の内容、危険度等に応じまして、各階級がございますが、それに応じまして賞与金が出るわけでございます。
#86
○高田なほ子君 さらに、この法律の精神を拡大する一つの方向としては、少年院の保護収容の目的は、少年院法によって若干刑務所とは内容が違ってきていると思うのです。そういうことであるならば、将来矯正ということが教育という方面にも拡大されなければならない、こんなふうに考えますが、医官の貸与法案が、さらに少年院に収容される者の矯正教育、こういう方面にも拡大されていってしかるべきではないか、こういう考え方を持ちます。この考え方については、この法律の立案途上にも御研究になった問題ではないかと思いますが、お話いただければ大へんしあわせします。
#87
○政府委員(大沢一郎君) この現在の法律では、医官だけを目標にしているわけでございまして、少年院の教官等になりますと、やはり学校の先生の問題もございますし、あまりに広い問題になるのではなかろうか、特に矯正だけの教官ということになりますと、これだけにということも不可能じゃないか、とりあえず今考えておりますのは、これは医官だけでございまして、この医官は刑務所、少年院、婦人補導院、鑑別所を問わずに、すべての医官ということで考えているわけでございます。
#88
○高田なほ子君 これは私の希望です。少年院の教育指導という面について、たびたび私どもは国会から派遣されて、実際を見聞きしてきているわけです。普通の学校に勤務するよりははるかに条件が悪い。そういう条件の中で、この少年たちのいろいろの面での教育に当たるということは、私は容易ならざる困難な事業だと思いますが、あそこに勤めている先生方に聞いてみると、それに打ち込むためにきている。また、あんないやな所で、そうでもなければ勤まりませんよ。こういうような方には、やはり私は特殊なそういう目的を持っている方が献身的にこれをやろうとして資格を身につけようとなさる場合があるだろうと思います。こういう者に対しては、当然やはり医官に対する補助だけではなくて、少年院法の目的とする教育を主にする矯正というようなことであれば、この法律はさらにそっちの方にも拡大していくということが私は筋道じゃないかと思うのです。現在予算の関係もあるから、にわかにそれはできないと思いますけれども、どうしてもやはり少年院の収容の目的から考えてみても、一度はこういう問題も研究してみる価値はあるのじゃないだろうか。初めからあきらめないで、価値はあるのじゃないだろうか。とにかく騒いだ方が勝ちですよ。今の政治では、予算でも騒いだ方がよけいぶんどれるのですから、やはり価値のある問題については研究をなさってみる必要があるのじゃないか。この法律が出たのをきっかけとしてお考えいただくことがいいのじゃないか、こういう意味での質問です。してないというきめつけではないのです。こういうふうにしたならばどうか、こういう私の質問なんです。
#89
○政府委員(大沢一郎君) 現存少年院教官のみならず、特に少年関係の職員は、その仕事に情熱を感じてお入りになる方が非常に多いのでございます。われわれとしましては、できるだけその人たちにお報いいたしたいという考えでいるわけでございます。その方法として、ただいま御指摘の修学資金の貸与等も一つの方法であろうと思いますし、また、さような人たちの少年非行に対する研究の資金、あるいはまた給与の改善という点、あらゆる面について考える必要があろうかと思います。ただいまの御意見につきましては、一つ慎重にわれわれも取り組んで、真剣に考えてみたいと思います。
#90
○高田なほ子君 矯正医官がこれでもってだんだん充足されていくことに、重ねて私は明るい希望を持ちますが、少年院の在院者のいろいろの病気を調べたものがございます。関連しまして、病気の種類の中で特に「精神状況調」というのが問題にされていいのじゃないかと思います。資料をちょうだいすると、少年院に在院している者の数は八千六百五十六名、その中に正常であると思われる者は三百九十八名しかおらない。その他は準正常、これが六千百四十八名、精神障害と銘打ったものが二千百七名、つまり正常な者は全収容者の四・六%である。あとの正常ならざる者、準正常、そういうものがもう七一%ということで、精神異常とまではいかなくても、正常ならざる者の数が圧倒的に多うございます。これは私以前から気にしている問題なのですが、矯正医官の内容は、いろいろ資料をいただきますと、あるようでございますが、なかんづくこの少年院の精神正常ならざる者があまりにも多過ぎることに対して、単に入れ墨を消すとか、トラホームをなおすとかいうのじゃなくて、これは少年院の収容者に対する矯正の面については、特殊な問題としてこれは再検討しなければならない内容を持っているのじゃないか。それと今度のこの矯正医官の修学資金というものとは、かなり深い関連を持ちながら運営を考えていく必要があるのではないか、こういう気がします。こういう点については何か御研究におなりになられましたでしょうか。
#91
○政府委員(大沢一郎君) 少年院の在院者の精神状況の通常でないという点は、御指摘の通りでございまして、われわれとしましては、特にこれらのうちの特殊処分というものを考えておるわけでございます。精神障害のうちの二五%、このうちの強度の者につきましては、特殊の医療少年院に収容しまして、特殊な治療を施しております。そうでない軽度の者につきましては、また少年院を指定しまして、その指定の少年院で特別な指導教育を行なっておるわけでございます。さような意味で治療行為の面につきまして、相当数の精神科のお医者さんも必要でございます。これらの者も必要でございますので、本法の運用によりまして早急にいたしたいということを考えておるわけでございます。
 なお、その他の精神の薄弱者また普通以下の者につきましては、少年院の教官には、相当数の心理の専門家を入れておりまして、それらの人々とお医者さんとの共同研究によりまして、新しい、また正しい適切な指導方法を現に研究もし、また実施しておるわけでございます。
#92
○高田なほ子君 今度は直接この法律の問題に触れてお尋ねしますが、さっき貸与の金額の中で、四千五百円と六千円と二通り説明をされましたが、四千五百円と六千円というのは、もう少し詳しく説明をしていただかないとわからないのですけれども、それはどういうので四千五百円、六千円という区別が出てきたのですか。
#93
○政府委員(大沢一郎君) 本法で貸与いたします金額は、在学生につきましては四千五百円、インターンの学生につきましては月額六千円。われわれの予算要求いたしましたのは、この在学生につきましては六千円。インターンにつきましては九千円の要求をしたわけでございます。その要求六千円の内訳としましてわれわれが考えましたのは、月謝その他の校友会費等で、月謝は大体官公立で月額一千円平均であります。それと校友会費と合わせまして二千円。図書の購入費に二千円。実験の器具費等で一千円。消耗品費で一千円。合計六千円を貸与したいというので要求したわけでございますが、これが四千五百円の査定を受けたわけでございます。それからインターンにつきましては九千円を要求いたしましたが、その内訳は図書購入費が四千円、実験実習器具費が二千五百円、消耗品費が千五百円、研究等の交通費が千円、計九千円の要求をいたしたわけでございますが、これが六千円の査定を受けたわけでございます。
#94
○高田なほ子君 どうですか、見通しとしては志願者と採用者ということになってくると思いますが、今度初めてこれを実施することになりますが、今から各大学あたりに募集をされておるわけですか。
#95
○政府委員(大沢一郎君) 正式には本法が成立してから公告、張り紙――掲示板に張り紙いたすつもりでありますが、事実上は大津課長がお医者さんでございまして、各大学に相当友人もおられますし、そこで各大学の教室には内々お願いはしておるわけでございます。正式の募集は本法が通りましてから、すぐ各管区を通じまして各大学に掲示をし、また施設の現在職員であるお医者さんが出身校の教室に御連結いたしまして募集いたす予定にいたしております。
#96
○高田なほ子君 資料をちょうだいいたしますと、厚生省の公衆衛生修学生の志願者と採用者の数が出ておりますが、三十二年度は志願者が厚生省の場合は二百七十五名、三士二年度はそれよりも減っちゃって二百十三名、三十四年度になるとまた減っちゃって八十八名、三十五年度は若干ふえて百十一名、こういうふうに志願者の数が減ってくる傾向にあります。採用者もこれに比例するというよりもむしろずっと減ってきております。それから自衛隊の方も応募学生の志願者の数は三十年度が二百四十六名と非常に多い。三十一年度が百八十三名、三十二年度が百五十名、三十三年がちょっとふえて百九十九、三十四年が再五十三、三十五年百五十六というふうに、やはりずっと減ってきておりますね。採用者もこれと同じような形で減ってきております。厚生省の方を例にとりますと、昭和三十四年度の志願者が八十八名で採用者が三十三名、三十五年が志願者が百十一名で七十三名というふうになっておりますが、これはせっかく志願をしている者を何らかの形でふるっていくのでしょうけれども、少しきつ過ぎるのじゃないでしょうか。採用者を決定する基準というものが若干きつ過ぎるのではないか。なかんずく一番社会の中のいやな所で最もいやな仕事をするこの矯正医官の志願者と採用者の問題については、やはりワクを広げて考えないとうまくないのじゃないかという気がするのです。さればといって、まさか大学のインターンをやっているくらいの人にそう悪い人がおるというふうにも考えられませんからね。特殊な者を除いて、できれば大幅な採用をしてあげないと、来年度の予算を取るときに、これきり採用者がなかったということじゃ因るのですから、今度は法律のでき方が少しおそかったので、大学の就職あるいは卒業、在学者と、いろいろ関係があって条件が悪いかもしれませんが、特にこの採用者のワクというものは狭めていかない方がいいのじゃないかという気がしますけれども、これはどうです。見通しですけれども……。
#97
○政府委員(大沢一郎君) 厚生省の初年度の二百四十二名、次年度から五十七名、三十四年度が三十三名、三十五年度七十三名となっておりますのは、初年度は――われわれの方でも初年度は五十名の予定でございます。来年度は十名になってくるわけでございます。いまの五十名は各学年十名ずつ、一年生から四年生まで十名ずつ、インターンが十名で五十名、来年度は十名の予算が入ってくるわけでございます。金額は同じでございますが、採用は十名になるわけでございます。ですから、厚生省もそういう関係で、初年度から二年度の採用が、がたっと減ったのではないか。これは私はっきり今しませんが、大体二百五十名で各学年五十名の問題じゃないかと思います、予算が。従いまして、二年度はやめた人があったりして五十七名、大体五十名の補充できておるのじゃないかと考えておるわけでございます。初年度は法務省としまして五十名とりますが、大体各学年十名ずつ、来年度は一年生から十名、そうすると採用が全部きちんと埋まりまして、本年度五十名、二年度は十名、こうなるわけでございます。それで厚生省の統計の数字が、二年度と初年度がきわめて大きな差があるように見えますが、同じような動きじゃないかと考えます。法務省につきましても、本年度五十名、来年度十名、その学生の数によりまして欠員の補充状況を見まして、必要ならばまたその人員をふやしてもらうというようなことも考えておりますが、何分にも初めてのことでございますので、本年度の実績を見て、それに即応して人員を考えていきたいと、かように存じております。
 なお、われわれが特に考えますのは、今ちょっとした調べでございますが、矯正関係の職員の子弟で、現在医学校に入っておるのが約五十名おるわけでございます。そういう人たちの方がよく理解もしますし、また刑務関係の職員は親子二代、三代という家庭も相当ございますので、そういうところによく理解をさせまして、この制度を通じて親子に続いてこの職に入ってもらうというふうにも勧奨していきたいと、かように考えております。
#98
○高田なほ子君 全くこれはいやな仕事ですね。伺っていつも思うことですが、いやな仕事ですよ。しかし、こういういやな所であればあるほど手を伸べなければならぬわけですが、これはまだやってみなければわからないことになると思いますが、今の質問にちょっとこれは関連している問題ですが、「公衆衛生修学資金の貸与を受けた者のインターン終了後の退職状況、」こういうのをいただきました。六十五ページでいただいております。これを見ますと、第一回のインターン修了者が三十三年度ですが、十四名ありましたが、その方はちゃんと十四名就職されておりますが、その方々が、一年以内におやめになった方が四名、二年以内におやめになった方が四名、現職者が六名という数が出ております。それから第三回の場合をとると、インターンを修了した者が五十名で現職者が二十六名というふうに出ておる。やはり途中でこうおやめになってしまう方が多いようです。それから自衛隊の方もやっぱり卒業者は昭和三十一年に二十六名あったが、現在勤めておる方が七名、昭和三十三年の今度は例をとると、七十二名の卒業者であって、現在は三十七名、こういうことで、一応卒業をされ、あるいはインターンを修了されても、実際問題としては、この例から見ると、約半数の方きりお勤めいただくことがないような状態なんです。このお勤めになる場所が、一番いやな所ですから、矯正医官はこれよりも率が下がるのじゃないかという気もいたしますがね。見通しとしては、こういう表から、どんなふうにお考えになっておられますか。
#99
○政府委員(大沢一郎君) 見通しは甘いかもしれませんが、大体同じような、半数は確保できるだろうという考え方で進んでいるわけでございます。それで、先ほども申しましたように、給与の面につきまして特別な矯正施設の調整もございますし、特に私といたしましては、矯正医学というものが今非常に学界でも脚光を浴びて参りまして、特に青少年の犯罪問題というものが大きな社会問題になって、それらの者に対する精神的な解剖、あるいはまた精神異常者も多いようでございますが、これらの者に対する医学的治療というものが、大きな今矯正医学会の面では問題になっておる問題でございまして、学者として実際の治療と、そしてたくさんのデータをもって研究するというおもしろい面も――おもしろいというのはわかりませんが――おもしろい面も非常にございますので、情熱を持って、非常に興味を持って仕事をやっていただけるというふうな状況にあるのじゃないか、特にお医者さんになる方は家庭的にあまり困る方はございませんので、そういう方々が研究のおもしろみという点で相当魅力をお持ちになるのじゃないだろうか。そこで、われわれとしましては、矯正医学会というものをさらに活発に運動をしていって、そして学問的な興味でこちらに来ていただく、そして他に転ずる人を少なくしよう、こういうふうに考えているわけでございます。
#100
○高田なほ子君 青少年問題協議会ね、あそこでは青少年の対策をやることにはなっているのですけれども、私もその審議委員の一人ですけれども、あまりろくなことをやっておりません。しかし、あそこに出ていらっしゃる各省の方々は、それぞれの権威を持った方々が各省から出ておいでになりますが、いまだかつて少年の、あるいはまた少年院の在院者に対する矯正問題等については、あそこであまり力説されているのを聞かないようですけれども、ああいうふうに法務省からおいでになる方は、何か課題をひっさげておいでになるということはないのですか。今矯正医学の問題が力説されたのですけれども、むしろ、私は少年対策の中に矯正医学の問題なんかああいうところで力説された方がいいんじゃないかという気がするのです。先ほどからいろいろお話を伺うと、どうも理解がやはり足りない、大蔵省も理解が足りないのですが、一般の者もやはり理解が足りないような気がいたしますが、中央青少年問題協議会のあれでは、こういう問題を特に法務省あたりから提案をなさって、審議してくれというようなことは、機関としては言うことができないところなんでしょうか。これは法律とはずれますけれどもね。
#101
○政府委員(大沢一郎君) 中背協でお取り上げになっておるのは、大体各省の行政の連絡協調という面が相当大きいのじゃないかと、われわれそう考えておるわけでございます。われわれとしましては、矯正医学、特にこういう狭い分野は、題目としましてああいう中背協の協議会でこれは必要だということは言えるかもしれませんが、その内容になりますと、どういうことをするのだと、これは私自身もこまかいことは、中のことになりますとわかりません。中背協の問題には、その重要性という点だけしか出てこなくて、協議の内容にはちょっとむずかしいのじゃないか、こう考えます。
#102
○高田なほ子君 それは少し御遠慮が過ぎるのじゃないかと思うのですよ。あそこでは刃物を持たない運動なんていうのをやりますけれども、前年度でしたか、精薄児の対策について国としてめんどうの見方が少ないということで、あそこでいろいろ議論が出まして、それで予算折衝の段階でこの精薄児の問題についてはかなり声が上がりました。しかし、不幸にして罪を犯し、または犯さんとする青少年に対する矯正の手段、方法、そういうものの具体的な声というのは、まだ上がったのを私聞いたことございません。できればああいうところに遠慮なく問題を提起されるべきではないだろうか。そうすることによって、せっかく五年も苦労して出された法律が一そう光を浴びて、もっと青少年問題なんかは軌道に乗るんじゃないかと思う。さっき私は青少年の一つの問題として少年院に収容された者の精神状態の異常なるもの、準正常なるものという数をあげましたけれども、これは容易ならざる問題だろうと思います。とてもこの貸与法でもって現在の少年院に収容されている準正常なものをどういうふうにして正常なものにするかというところまでいくことはむずかしいと思いますが、しかし緊急の問題ですね。どうか一つこの法案をお出しになった精神から考えられて、これは余分の問題かもしれませんが、私も応援いたしますし、他の先生方にも御連絡しますから、少しその矯正医学は一つあらゆるところへ声をお出しいただき、抜本的な対策がみんなで考えられるように一つ努力して下さいませ。この法案とは別ですけれどもね。
#103
○委員長(松村秀逸君) ほかにございませんか。――それではほかに御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめたいと存じます。
 以上をもって本日の審議は終了いたしました。
 次回は二十三日午前十時から開会する予定であります。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後零時三十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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