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1960/02/09 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第3号
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1960/02/09 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第3号

#1
第038回国会 文教委員会 第3号
昭和三十六年二月九日(木曜日)
   午前十時三十一分開会
  ――――――――――
  委員の異動
二月七日委員高橋進太郎君辞任につ
き、その補欠として館哲二君を議長に
おいて指名した。
二月八日委員館哲二君辞任につき、そ
の補欠として高橋進太郎君を議長にお
いて指名した。
  ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平林  剛君
   理事
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           豊瀬 禎一君
   委員
           小幡 治和君
           下條 康麿君
           杉浦 武雄君
           野本 品吉君
           千葉千代世君
           矢嶋 三義君
           米田  勲君
           岩間 正男君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   人事院事務総局
   給与局長    滝本 忠男君
   内閣総理大臣官
   房公務員制度
   調査室長    増子 正宏君
   文部政務次官  纐纈 彌三君
   文部大臣官房会
   計課長     安嶋  弥君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   大蔵省主計局給
   与課長     船後 正道君
  ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (昭和三十六年度文教関係予算に関
 する件)
 (当面の文教政策に関する件)
○就学困難な児童及び生徒のための教
 科用図書及び修学旅行費の給与に対
 する国の補助に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣送付、予備審
 査)
○盲学校、聾学校及び養護学校への就
 学奨励に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣送付、予備審査)
  ――――――――――
#2
○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告申し上げます。
 一昨七日の本委員会散会後、理事会を開会し、種々協議いたしました結果、本日は、まず、昭和三十六年度文教関係予算につきまして文部大臣及び文部省当局より説明を聴取いたしました後、文部大臣より本委員会に予備付託となっておりまする政府提出法案二件の提案理由の説明を聴取いたし、なお、その後、教育公務員の給与問題等、当面の文教政策に関して大臣、政府当局に対し質疑を行なうことと決定いたしました。
 以上、理事会決定の通り、審査または調査を進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平林剛君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
   ――――――――――
#4
○委員長(平林剛君) それでは昭和三十六年度文教関係予算を議題といたします。
 まず、文部大臣より本年度予算の大綱につきまして御説明願います。
#5
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 昭和三十六年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明いたします。
 昭和三十六年度文部省所管の予算額は、二千四百十六億一千九百九万五千円でありまして、一般会計総予算の十二%強を占めております。
 これを補正後の前年度予算に比較いたしますと、二百七十五億一千八百六十八万二千円の増額であり、その増額分の内訳としては、義務教育費国庫負担金百六億円、国立学校運営費百二十億円、国立文教施設整備費二十八億円等がおもなものであります。
 以下、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について申し上げます。
 まず第一は、初等中等教育の改善充実でありますが、この点につきましては、前年度に引き続き義務教育諸学校における教職員の充足と学校施設の整備を推進することを重点といたしております。
 まず、義務教育に従事する教職員の定数につきましては、小学校児童数の減及び中学校生徒数の増に対応して差引約八千五百人の増員を見込んでおります。
 このほか充て指導主事六百人の増員、昇給及び昨年の人事院勧告の実施、教材等に要する経費を含め、義務教育費国庫負担金千三百四十三億円余を計上いたしました。
 次に学校施設につきましては、公立文教施設整備五カ年計画の線に沿い、小、中学校校舎の増築、危険校舎の改築、屋内運動場の整備、学校統合に伴う校舎の新増築等のため、百一億七千万円余を計上いたしましたが、特に中学校校舎の整備につきましては、五カ年計画の残り計画の全部を三十六年度に繰り上げ実施することとし、また、工業高等学校の一般校舎の整備について新たに国庫補助を行なうことといたしたのであります。
 第二は科学技術教育の振興であります。科学技術に関する教育、研究の拡充強化をはかることは、わが国の産業、経済発展の基礎をなすものであり、また国民所得倍増計画の達成を期する上においても不可欠の事柄であります。このことにつきましては、従来からも鋭意努力を続けて参ったのでありますが、三十六年度予算案におきましてはさらに一段と力を注ぐこととし、初等中等教育、大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費を増額計上いたしております。
 まず、初等中等教育につきましては、理科教育及び産業教育関係の補助金を大幅に増額し、施設設備の改善充実をはかっておりますが、特に高等学校工業課程の拡充をはかるため、前に述べました一般校舎の整備をはかるほか、実験実習の施設設備の整備についても国庫補助を増額し、中堅技術者の不足に対処することといたしたのであります。
 次に大学教育につきましては、専門技術者養成のため、国立学校において理工系学生約千八百人を増募することとし、このために必要な学部学科の新設、改組を行ない、また原子力、基礎電子工学、防災科学等に関する基礎研究及び教育を推進するため、プラズマ研究所及び原爆放射能医学研究所の新設を初め、講座及び研究部門の拡充整備を行なうこととしましたほか、教育研究の充実向上をはかるため教官研究費及び教官研究旅費の増額並びに施設設備の大幅な改善をはかることといたしております。
 また、工業高等学校の拡充に関連して、工業教員の不足に対処するため、全国九つの国立大学に工業教員養成所を付置することとし、その他科学研究費交付金、民間学術団体補助金等についても予算の増額を行なっております。
 第三は教育の機会均等の確保と人材の発展であります。優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため三十六年度予算案におきましては、特に育英奨学制度の拡充をはかり、特別奨学生の採用数を大幅に増加するとともに大学院にかかる奨学金単価を引き上げることといたしております。なお、沖縄在住の高等学校生徒に対しましても特別奨学制度を実施するため、所要の資金援助を行なうことといたしております。
 次に要保護、準要保護児童生徒対策、僻地教育、特殊教育等、恵まれない事情にある児童生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育の機会均等の趣旨にのっとり、従来からも特に留意して参ったのでありますが、明年度におきましては、一段とこれが充実をはかることといたしました。すなわち、要保護、準要保護児童生徒対策につきましては、要保護、準要保護の児童生徒数の増加をはかるとともに新たに学用品費及び通学費について援助を行なうことといたしました。
 僻地教育につきましては、僻地の小中学校のテレビ受像機、スクールバス、ボートの設置並びに僻地教員住宅の建築等について予算の増額を行ない、また特殊教育については養護学校及び特殊学級の普及並びに就学奨励費の拡充をはかるとともに、盲ろう学校生徒の新職業開拓等について新規に補助金を計上したのであります。
 第四は勤労青少年教育、社会教育及び体育の振興普及であります。国家社会の発展は、健全な青少年の育成に待つところ多大であり、勤労青少年教育の問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く考慮を払うべきところであります。
 明年度予算案におきましては、定時制高等学校の施設設備の整備、定時制及び通信教育手当等の関係経費を増額いたしますとともに夜間定時制高等学校につきましては、従来からの給食施設費補助金のほか、新たに夜食費補助金を計上し、また社会教育の面におきましては、青年学級の充実振興、青年の家の整備、青少年活動の助成等に要する経費を増額計上いたしております。
 次に社会教育につきましては、社会教育指導者の養成、社会教育関係団体の助成、婦人学級の振興等につきまして従来に引き続き所要経費を計上しておりますが、公民館、図書館等の施設設備の整備については特に配意し、予算の増額をはかっているのであります。
 次に体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、オリンピック東京大会を三年後に控え、その意義を高めるためにもこれが普及振興に努めることは、きわめて重要であります。
 まず、オリンピック東京大会の準備といたしましては、オリンピック組織委員会の機構の拡充、国立競技場の拡充整備及び競技技術の向上をはかるため、関係予算の増額を行なっております。
 また、国民一般に対する体育の普及奨励をはかるためには体育館、プール等の体育施設の整備、青少年スポーツ活動の振興助成等のため必要な経費を計上いたしたのであります。
 第五は私立学校教育の振興助成であります。私立学校教育の重要性については、改めて申すまでもないところでありますが、明年度予算案におきましては、本年度に引き続き関係経費を大幅に増額し、合計二十四億五千万円余を計上いたしております。そのおもなものとしては、私立学校振興会出資金として高等学校生徒急増対策の分も含め、八億円を計上いたしますとともに、私立大学理科特別助成費に十億円余、私立大学研究設備助成費に五億五千万円余を計上し、科学技術教育振興の趣旨にも沿うこととしたのであります。
 以上のほか、教職員の研修のための教育会館の建設、中学校生徒の全国学力テスト、高等学校普通課程における家庭科設備の充実、国際文化の交流、ユネスコ事業、文化財保存事業等についても所要経費を計上いたしたのであります。
 以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
#6
○委員長(平林剛君) 次に、事項別表を会計課長より補足説明を聴取いたします。
#7
○政府委員(安嶋弥君) お手元にお配りしました予算要求額事項別表について順を追いまして、ただいまの大臣の御説明を補足して御説明を申し上げます。
 まず第一は、初等中等教育の改善充実でございます。その第一は義務教育費国庫負担金でございます。この総額は千三百四十三億円余でございまして、文部省所管予算全体の二千四百十六億円余の大体五五%を占めておるのであります。義務教育費国庫負担金のうち、まず給与費でございますが、備考にも書いてございますように、明年度におきましては、小学校の児童が七十九万七千人減少いたしまして、逆に中学校の生徒が九十七万八千人増加いたしまして、差引十八万人余の児童生徒の自然増ということになるわけでございます。これに伴いまして、教職員の数が小学校におきまして一万三千八百九十八人の減、中学校におきまして二万二千四百六十四人の増となります。差引八千五百六十六人の教職員の増ということになるわけでございます。これに伴いまして給与費の内容が増加いたすわけでございますが、前年度に比べまして、給与費におきましては百六億円余ふえておるのでございますが、その百六億円の内容を申し上げますと、備考に書いてございますように、まず昇給原資でございます。これが二十八億円余でございまして、原資の率といたしましては従前に引き続いて三%を用意いたしております。次は教職員の増に伴う給与費の増でございます。これが十八億円余になっております。次は充て指導主事六百人でございますが、これは義務教育諸学校の教職員の身分を持っております教職員を充て指導主事にいたした場合にその給与費の二分の一を国庫が負担するという経費でございます。これによりまして、市町村の教育委員会の指導力を強化したいというふうに考えておるわけでございます。次は校長の管理職手当の引き上げでございますが、従前の七%を八%に引き上げております。なお、教頭につきましては、従来通り七%に据え置いております。次は給与改訂でございますが、これは先般の人事院勧告の実施に伴う分でございます。いわば平年度分、それに伴う増でございます。なお、寒冷地手当、薪炭手当等の増もこの中に含まれております。その次は同一市町村内の暫定手当の是正でございます。これまた先般人事院から勧告がございました通り、同一市町村で級地が相違いたします場合に、最低級地を一級地引き上げるということに伴う所要経費でございます。次のページに参りまして、退職手当の算定率の引き上げでございますが、一般県につきましては、従来の千分の四十を千分の五十に引き上げております。これは実績から見てこの程度の比率に引き上げました。次は恩給費の増でございますが、これが八億五千万円になっております。これまた従来の実績に応じましてこの程度を増額をいたしたのであります。次は旅費でございますが、これは従前四千円の単価でございましたものを、四千四百円に一割上げております。宿直手当、日直手当につきましては、従来の実績にかんがみまして、若干の増加を行なっております。それから、三十四年度の不足額の補てん分でございますが、これは計算上一応こういう減を立てておるわけでございます。その次の三十五年度の不足額の補てん分でございますが、これはいずれ精算分として、予算を計上するわけでございますが、その三十五年度の不足分の一部といたしまして八億七千万円を当初予算に計上いたしているわけでございます。なお、義務教育費国庫負担金に関連いたしまして、すし詰め学級解消五カ年計画というものが御承知の通りあるわけでございまして、三十三年を初年度といたしまして、現在進行中でございますが、最初にも申し上げました通り、明年度は中学校生徒の自然増が非常に大きいわけでございますので、そういう関係からすし詰め学級解消のため、学級規模を引き下げるということは本年度は見送っております。従いまして小学校の暫定学級編制の標準は五十六人、中学校につきましては五十四人、前年度通り据え置いておるわけでございます。なお、このように据え置いておりましても、五カ年計画の全体の計画には変更を来たさないというふうに考えておりまして、三十八年度からはこれが五十人になるというふうに考えておるわけでございます。
 次は教材費でございますが、これは備考にもございますような単価でございまして、前年同額でございます。なお、教材費の総額におきまして二千二百万円の増になっておりますが、これは単価の高い中学校生徒が増加いたしまして、単価の安い小学校児童が減少したことに伴う増でございます。
 次は公立養護学校の教育費国庫負担金でございますが、明年度は既設四十一校のほか新設十四校を予定をいたしております。給与費の積算につきましては、義務教育費国庫負担金について申し上げましたところとほぼ同様でございます。教材費につきましても、義務教育費国庫負担金の場合と同じように単価は据え置いております。
 次は公立文教施設の整備費でございますが、総額におきまして百一億円余を計上いたしております。前年度の予算額に比べまして約二十四億円の減ということに相なっておりますが、御承知の通り先般の補正予算におきまして、三十六年度に予想されます中学校の不正常授業の解消に要する坪数の七〇%をすでに本年度の補正予算でもって処置しているわけでございますので、実質的にはこれは減にはならないわけでございます。公立文教施設整備につきましては、御承知のような五カ年計画があるわけでございますが、全体といたしまして、もちろんその五カ年計画の線に沿った予算の計上をいたしているわけでございますが、事項によりまして緩急をつけておるわけでございます。まず、中学校の不正常授業の解消の分でございますが、このために四十四億円余を計上いたしております。中学校の生徒は三十七年度におきましても引き続き増加するわけでございますが、三十七年度において予想される不足坪数の一〇〇%全部を三十六年度に繰り上げて実施する。それから先般補正で措置漏れになっておりました、措置しなかった三十六年度の不足坪数の三〇%、その二つを合わせまして四十四億円を計上いたしておるわけであります。
 特に従前と変わった点に重点を置いて申し上げたいと思いますが、次は高等学校の建物の整備でございます。カッコにもございますように、工業高等学校の建物の整備のため、新規に一億九千二百万円余を計上いたしております。工業高等学校に対する補助といたしましては、従前は産業教育振興法に基づきまして、設備とそれから実験実習の施設につきましては補助が行なわれておったわけでございますが、後ほど申し上げます工業高等学校の拡充計画を促進するために、本年度からは新規に工業高等学校の一般校舎につきましてもこれを補助の対象にすることといたしたのであります。なお、不正常授業解消の中学校分、それから学校統合、危険建物の改築、それから高等学校建物の整備、高等学校危険建物の改築につきましては構造比率を改訂いたしております。すなわち従前は、木造が五〇%、耐火造が五〇%ということでございましたが、ただいま申し上げました事項につきましては木造を四〇%、六〇%を耐火造ということにいたしておるわけであります。その他の事項につきましては、おおむね既定五カ年計画の線に沿った建物の整備をいたすことといたしまして所要の経費を計上しておるわけでございます。
 次のページに参りまして、次は市町村教育長の給与費の補助でございますが、これは考え方といたしまして従前と変わるところはほとんどございません。金額が増加いたしておりますのは、これは基礎単価が上がったということ、それから石炭手当、薪炭手当、寒冷地手当が新たに補助の対象になったということでございまして、格別大きな変化はございません。
 次は高等学校普通課程における家庭科設備の補助でございますが、これは新規の補助金でございます。明年度三千万円を計上いたしまして家庭科設備の充実をはかりたいというふうに考えております。補助率は備考にございますように三分の一でございます。
 次は教育会館の設置でございまして、これはただいま大臣の御説明にございましたように、教職員の研修の場所というふうに考えております。国庫債務負担行為といたしまして別に五億円を計上いたしておるわけでありますが、三十六年度予算といたしましては、若干の事務費を含めまして一億円の経費を計上いたしたわけであります。
 次は教育の機会均等と人材の開発でございますが、まず育英事業でございます。総額にいたしまして五十三億九千万円余を計上いたしております。まず事務費でございますが、これは育英会の運営に要する経費でございまして、備考にもございますように、日本育英会の支所を大阪に設置する。それから東京都内におきましては集金制度がすでに始まっておるわけでありますが、これをさらに拡充をしたい。それから本部事務機構の強化等といたしましては、たとえば強制徴収の係を設置をする等の処置を講じて、全般的に育英会の事務の処理をさらに強力なものにしたいというふうに考えておるわけであります。次は育英会の事業費に対する貸付金でございますが、特に重点として考えました点は、特別奨学生制度の拡充ということでございます。まず高等学校でございますが、備考にもございますように、カッコの中が三十五年度の人員でございます。まず高等学校の第一学年につきましては、前年度の六千人を一万二千人ということで倍増いたしております。二年、三年はこれは学年進行でそれぞれ六千人を計上いたしております。それから大学は、本年度が最初でございまして、学年進行で参りますと、高等学校三年の五千人がそのまま移行するわけでありますが、これを八千人ということにいたしております。それから単価は、大学の自宅が四千五百円、自宅外が七千五百円ということになっております。高等学校の単価三千円は、これは従来通り据え置かれております。
 それから次は大学院の奨学生でございますが、この貸付の対象人員は、備考にもございますように、若干の増加になっております。奨学資金の月単価は、これは一万円の口と六千円の口と二口あったわけであります。それが一万二千円と八千円の二口にそれぞれ引き上げられたということでございます。それから次は学徒援護会の補助でございますが、これは特に申し上げる点はございません。
 その次は準要保護児童生徒対策でございますが、総額におきまして十七億円余を計上しております。前年度の九億円に比べますと、約八億円の増加でございます。内容といたしましては、従前、要保護につきましては二・五%でございましたのを、三%に引き上げております。それから準要保護につきましては、従前、二%であったものを、四%に引き上げております。それから事項といたしましては、学用品に対する給与、それから次のページの終わりの方でございますが、通学費の給与、これが新規でございまして、その他はただいま、率の引き上げ、それから修学旅行につきましては、単価のかなり大幅な是正をいたしております。
 それから教科書の補助につきましては、従前、五分の四補助であったものを、二分の一補助にいたしておりますが、今度は逆に保健医療費の補助につきましては、従前の四分の一ないし二分の一補助であったものを、二分の一の補助にいたしております。そういった点が前年度と相違する点でございまして、その結果、約八億円が前年度に対して増加したということになっております。
 それから次の、四ページ、僻地教育の振興でございます。前年度に引き続きまして、教育住宅、バス、ボート、発電機、テレビ等につきまして引き続き補助金を増額計上いたしておりますが、ただ発電機につきましては、若干の減が立っております。これは農林省における農山漁村電気導入促進事業の補助金が大幅に増額になっておりまして、それによって僻地の学校も恩恵を受けるものがあるわけでございますので、それを差し引いたということでございます。
 それから次は特殊教育諸学校の教育の振興でございますが、まず盲ろう学校生徒の新職業の開拓の補助金が新規に計上されております。従来、盲ろう学校生徒の職業と申しますと、御承知の通り、はり、きゅう、あんまということになるわけでありますが、そのほかに、金工、電気機具の組み立て、それから彫金でございますとか、そういった新しい職業技術を生徒に身につけさせるために必要な補助金でございます。
 それから次は特殊教育諸学校への就学奨励でございますが、先ほど申し上げましたところと対応いたしまして、小中学部につきましては、学用品も新たに給与の対象にいたすことにいたしております。それから次ページに参りまして、高等部でございますが、寄宿舎、これは寄宿舎の食費でございますが、それを新たに補助の対象に取り上げております。なお、援助の率は従前六〇%でございましたものを、一〇%引き上げて七〇%にいたしております。
 それから次は養護学校及び特殊学級の設備の整備でございますが、備考にも書いてございますように、養護学校、特殊学級の設備につきましてそれぞれ補助をするということでございます。スクールバスにつきましては、従前養護学校についてだけ認められていたのでありますが、今回は盲ろう学校についてもこれを認めることといたしております。
 次は中学校生徒の全国一斉学力テストでございますが、備考にもございますように、中学校の二年、三年生を対象にいたしまして国語、社会等の五教科について一斉の学力テストを行なうに必要な経費であります。これは中学校生徒の学力水準を全国的に把握いたしまして、教育の反省と改善の資料を得たいということでございます。
 次は国立学校の拡充整備でございますが、前年の五百七十一億円余が七百十九億円ということでございまして、かなり大幅な増加を見ております。まず基準的な経費といたしましては、大学院の研究科担当手当が、従来は教授に限り支給されておりましたが、これが助教授、講師にまで拡大されたということでございます。備考に七%支給とございますが、これは正確には七%相当の定額の支給ということでございます。教授の日額が百七十円、助教授が百二十円、講師が九十円ということになっております。それがつまり七%に相当する額であります。次は教官研究費でございますが、前年度に引き続き、これを二〇%増加いたしております。教官研究旅費は三〇%増加いたしております。それから次は新規の事項でございますが、国民所得の倍増計画との関連もございまして、科学技術教育を振興するということが必要になって参っておるわけでありますが、国立大学におきまして、次のページの備考にもございますように、理工系の学生千七百九十人を増募することといたしております。このために大阪大学の基礎工学部、それから宇都宮、新潟、山口の三工業短期大学を新設することといたしております。そのほか機械工学科、電気工学科、応用学科等の学科を中心といたしまして、学科の新設、拡充、改組を行なっていくのであります。そのことによりまして、三十六年度におきましては千七百九十人の理工系の学生が増募されることになるわけでございます。
 次のページでございますが、工業教員養成所九カ所を九つの国立大学に付置することにいたしております。北海道大学、東北大学、東京工業大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、広島大学、九州大学の九つの大学でございます。入学定員は八百八十人でございまして、高等学校卒業程度を入学資格とし、修了年限三年ということで考えております。これは後ほど申し上げますように、高等学校の工業課程を拡充するということになりますと、最も困りますのが工業科の教科を担当する教員の不足ということでございます。こういう養成所を作りまして、その不足に対処したいということでございます。
 次は大学付属病院でございますが、医療費もかなり大幅に増額いたしておりますが、その他新規の事項といたしましては、泌尿器科、麻酔科、老人科、放射線科等の診療科を六大学の病院につきまして新設することにいたしております。
 次は大学の付置研究所でございますが、備考にもございますように、プラズマ研究所を名古屋大学、原爆放射能医学研究所を広島大学にそれぞれ新設することにいたしております。その他部門の創設等といたしましては基礎電子工学、防災科学等を中心にいたしておるのでございます。
 次は在外研究員でございますが、これは前年度の百六十人を二百五人に増加いたしております。
 次は国立学校等の施設の整備でございます。いわゆる国立文教施設費でございますが、総額におきまして二十七億円の増でございまして、前年度に比べかなり著しく増加いたしております。これによって、従来、多少おくれ気味であった国立学校の整備が大いに促進されるものと期待いたしております。なお、特定財源の施設整備というのが備考にございますが、これは、たとえば名古屋大学の教養部、これはもと八高でございましたが、この土地建物の売却代金を財源といたしまして、新たに教養部等の建物を整備する、そういった見返りの財源になっており、建物の整備のことを意味しておるわけでございます。
 次は科学技術教育の振興でございますが、理科教育の設備費の補助、いわゆる備品の補助金につきましては、八億円ということになっておりまして、二億五千万円の増額になっております。理科教育センターにつきましては、ほぼ前年と同額の五千万円、五カ所分が計上されております。
 次は産業教育振興費の負担金補助金でございますが、まず、補助率について申し上げますと、高等学校の工業課程を拡充することにいたしておるのでありますが、その新設課程の設備施設の補助につきましては、従前補助率が三分の一でありましたものを、三十六年度からはこれを二分の一に引き上げていくという内容でございますが、まず設備更新費は、前年度の五千万円が一億円と増額になっております。次は特別設備費でございますが、従前は、これは農業、工業、水産についてのみ補助がございましたが、三十六年度からは新たに商業と家庭を補助の対象とすることにいたしております。次は新設課程でございますが、三十六年度八十五課程の新設を予定いたしております。機械課程二十三課程、電気課程二十三課程、工業課程二十一課程、建築、土木課程それぞれ九課程、合計八十五課程でございます。これによって約一万人の工業課程の生徒が増募されることになっております。それから若干省略さしていただきまして、施設の整備でございますが、一般施設につきましては、これは構造比率を改善いたしております。従前は耐火造が一五%でございましたが、三十六年度からはこれを二五%にしております。新設課程の施設の補助につきましては、これは先ほども申し上げましたように、実験実習の施設でございますが、一般校舎の整備の方は、これは国立文教施設費の方に計上いたしておるわけでございます。次のページに参りまして、中学校の設備の補助でございますが、約六億円余を計上いたしております。前年度二億九千百万円でございましたので、約二倍以上に増加いたしておるわけでございます。これは中学校の技術・家庭科の施設を整備したいという趣旨のものでございます。次は、工業教員養成所は先ほど申し上げた通りでございます。
 次の科学研究の振興は、総額にいたしまして三億七千四百万円程度の増額になっておりますが、大体前年度の二割増し程度になっておるわけであります。
 その次は史料館の施設の整備でございますが、これは日本民俗協会の民俗博物館の史料を収蔵するための建物の整備でございます。史料館に三百三十坪を増築するという経費でございます。
 民間学術研究団体の補助でございますが、これは二十二の研究団体を予定いたしております。大体従前と考え方は変わっていないのでありますが、補助率が五%以下のものを今年度は対象から除外しています。次のページに参りまして、日本学術振興会に対する補助でございますが、これは振興会の一般管理費のほか、事業費といたしまして流動研究員、奨励研究生、そういったものの数を前年度に比べまして若干ずつ増加させております。次は東洋文庫に対する補助でございますが、千六百万円のうち一千万円はユネスコ東アジア文化研究センターの設置に対する補助でございます。これはユネスコの事業として行なわれるものでございまして、政府から一千万円の補助金を出し、ユネスコ本部からも相当額の補助金がくることが予定されております。東アジアにおける文化研究の連絡促進をするための機関でございます。
 次は南極観測事業に要する経費でございますが、これは今回越冬することになっております隊員を迎えにいく、いわゆる日帰りの予算ということになっております。
 次は社会教育文化の振興でございまして、青少年団体活動の促進、婦人教育、成人教育、その他それぞれ経費が増額計上されておりますが、特に重点を置きましたのは、社会教育施設の整備でございまして、公民館八十三館、ほか図書館、博物館等の施設設備を整備することにいたしております。前年度に比べまして約四千二百万円の増額ということになっておるわけであります。設備等の内容につきましては備考にございますのでごらん願いたいと思います。
 次は視聴覚教育の振興でございますが、これもほぼ従前と同じような考え方でございますが、僻地の学校に対しまするテレビの受像機の補助、これは前年度約三百校でございましたが、それを四百校に増加する等の措置を講じております。
 それから次は芸術の振興でございますが、新規といたしましては県展代表作選抜展を計上いたしております。これは各県において行なわれております展覧会に出品された作品の中のいいものを東京に集めまして、展覧をしたいという関係の経費でございます。
 それから次は国立近代美術館の施設の整備の経費でございますが、これは三百八十二坪を増築したいということでございます。
 その次は勤労青少年教育の確立でございますが、この点につきましても大体従前の施策をさらに進めることにいたしておりますが、新規といたしましては、夜間定時制高等学校の生徒に対するミルクの補助を計上いたしております。備考に書いてございますように、三十グラム、一人一円八十一銭ということを予定いたしておりまして、その二分の一を補助するというふうに考えております。
 次は定時制高等学校の給食の施設設備の補助でございますが、これは従前の実績にかんがみまして若干の減を立てております。
 次は青年学級の振興でございますが、これは勤労青少年教育の関係といたしまして重点を置いたところでございまして、前年度七千八百万円を一億二千万円余に増加いたしております。内容的には職業青年学級、前年度二百六十学級でございましたが、これを千六百学級に増加いたします。その他やや高度の青年学級といたしまして、実験学級を実験的にやってみたいということで必要な経費を計上いたしました。
 次は体育の振興でございまして、その(1)はオリンピック東京大会の実施であります。まず、国立競技場の拡充整備でございますが、十億を国庫債務負担行為として別にお願いをいたしておりますが、予算といたしましては約一億円の工事費、事務費を計上いたしております。組織委員会の補助は、これはオリンピックに備えまして、組織委員会の機構の拡充を行なうために必要な補助でございます。競技技術の向上は、これまたオリンピックを控えまして、いわゆる選手強化と申しますか、それをはかるために必要な経費でございます。
 それから次は体育施設の整備でございますが、体育関係で重点を置いたものの一つでございまして、金額的には前年度の五千三百万円が一億二千六百万円と倍以上にふえております。体育館、プール等の設置の補助をする経費でございます。国体の補助、スポーツの国際交歓、体育振興特別助成費等につきましては特に御説明申し上げることがございません。
 次は学校安全会の事業の助成でございますが、これは加入率が非常に高まっておりますので、そういう関係の事務費の充実、それからこの中には準要保護児童生徒に対する国の補助金相当分が含まれておるわけでありますが、そういう関係を含めまして四千二百万円を計上いたしております。
 次は学校給食の助成でございますが、まず施設設備費の補助といたしましては、前年度に対しまして五千三百万円の増になっております。備考として新規は僻地の学校におきますミルクの給食施設設備に対する補助でございまして、これが二百校分新規に計上されております。それから一番終わりの食糧管理特別会計への繰り入れでございますが、これは前年度に引き続き、小麦粉百グラムについて一円を一般会計から食糧管理特別会計へ繰り入れることにいたしております。
 次は私学振興でございますが、総額で十億円余の増でございまして、うち五億円の増が私立学校振興会に対する出資金分でございます。その他理科特別助成、研究設備の助成等につきましてそれぞれふやしておるわけでございます。なお、最後の私立の特殊教育諸学校に対する補助でございますが、私立の特殊教育諸学校における教育には非常に特色のあるものがあるのでございまして、そういう教育を援助するために新規に補助金を計上したわけでございます。
 次は国際文化の交流でございまして、沖縄教育に対する協力援助がその第一であります。まず沖縄教員の内地派遣研究制度の実施でございますが、これは従前の滞在費のほかに、新たに往復の渡航費を計上いたしております。次は国費の沖縄学生の招致でございますが、従前のものに加えまして、沖縄では酒師、歯科医師が非常に不足いたしております。そういった要員、それから琉球大学の教員の要員、そういう学生をさらにつけ加えております。それから沖縄の現職教員の再教育講習会に対する講師の派遣、琉球大学への講師の派遣、これはいずれも新規でございまして、沖縄の教育に対する援助と考えております。その次は沖縄生徒特別奨学生資金援助金でございますが、これは日本政府から沖縄政府に対する贈与金でございまして、沖縄政府は、琉球政府はこの資金をもって沖縄における高等学校生徒の特別奨学制度を実施することに予定いたしております。
 次は国費外国人留学生招致でありますが、新規に百人の増員をいたすことにしております。そのほか研究留学生につきましては、月、給与を二万円から二万五千円に引き上げるとか、あるいは東南アジア関係の留学生の渡航費の増額をはかるといった措置を講じておるのであります。
 次は文化財保存事業でございますが、総体といたしまして六億九千九百万円余が計上されております。従前の保存、修理の事業、あるいは防災の事業等をさらに推進するということでございますが、内容的に従前と変わっております点は、国宝重要文化財の買い上げ費をかなり大幅に増額したということ、それから国立劇場につきましては、これは前年と同額でございますが、建築設計の懸賞募集までの経費を計上いたしております。
 次の東京国立博物館の施設の整備でございますが、これは東京国立博物館にございます法隆寺から献納された御物を収蔵する収蔵庫を建築するための経費でございます。
 それから次に人に伴う経費でございますが、文部本省におきまして新規増員二十一名を予定いたしておりますが、大学病院課の新設に伴う増が七人、婦人教育課の新設に伴う増が五人、それからオリンピック関係の増員が六人等となっております。それから定員化百五十四人は、これは常勤労務者、臨時筆生からの定員化分でございます。合計百七十五名が新規の増員ということになっておるわけであります。
 次は所轄機関でございますが、新規増員六人でございまして、そのうち三人が国立教育研究所におきまする入学者選抜関係の研究に当たるわけであります。他の三人は遺伝学研究所におきまして統計遺伝学の研究に当たることになっております。その他は先ほど申しました定員化分でございます。
 文化財保護委員会におきましても同じように八十三人の定員化が計上されております。
 以上、概要御説明を申し上げましたが、三十六年度の文部省所管予算の総額は二千四百十六億円余でございまして、これを三十五年度の当初予算に比較いたしますと四百六十八億円余の増となっておりますが、補正後の前年度予算に比較いたしますと二百七十五億円の増ということになっております。
 以上、補足説明をいたしました。
#8
○委員長(平林剛君) 本予算に関する質疑は一時保留いたします。
   ――――――――――
#9
○委員長(平林剛君) 次に、この際、就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及び修学旅行費の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案、及び盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案の二案を便宜一括して議題とし、文部大臣より提案理由の説明を聴取いたします。
#10
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまの二つの法律案につきまして御説明申し上げます。
 今回政府から提出いたしました就学困難な児童及び生徒のための教科用図書及び修学旅行費の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現在、経済的な理由により、就学困難な事情にある児童生徒に対しましては、義務教育の円滑な実施に資するため、この法律に基づき教科用図書及び修学旅行に要する経費について、国の補助の制度が設けられておりますが、今回新たに学用品費及び児童生徒の通学に要する経費についても国が補助することといたしたいと存ずるのであります。
 すなわち、学用品は児童生徒が学習を行なうため必要欠くべからざるものであり、その購入に要する経費は、困窮家庭にとっては、相当の負担となっております。また、遠距離通学をする児童生徒の交通費も、困窮家庭にとっては、かなりの重荷となっているのであります。そこで、このような困窮家庭の児童生徒に対して、学用品もしくはその購入費及び通学に要する交通費を給与する市町村に対しては、国は予算の範囲内において、これに要する経費の一部を補助することとし、もって就学の奨励を一そう推進しようとするものであります。
 なお、国の援助の範囲の拡大に伴いまして、法律の題名を「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」と改めることにいたしました。
 次に、修学旅行費の補助については、従来、小学校第六学年、中学校第三学年における修学旅行に要する経費に限って補助の対象としてきたのでありますが、僻地等においては、児童生徒数が少ない等の理由により最高学年以外の低学年の児童生徒もあわせて修学旅行に参加させる例もありますので、これらの実情をも考慮し、最高学年以外の児童生徒の修学旅行に要する経費についても、補助の対象とすることといたしたのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
 次に、今回政府から提出いたしました盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律が昭和二十九年に制定されまして以来、これらの学校への就学の奨励はきわめて大きな効果をおさめてきておりますが、さらに就学の普及奨励をはかるため、今回この法律の一部を改正し、小学部及び中学部の児童生徒に対し、学用品の購入費を新たに就学奨励費の対象に加えることといたしたのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
#11
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
   ――――――――――
#12
○委員長(平林剛君) 次に、教育公務員の給与に関する件と当面の文教政策に関しまして調査を進めます。なお、本件の調査に関しましては政府側より荒木文部大臣、内藤初等中等教育局長、滝本人事院給与局長、船後大蔵省給与課長、増子公務員制度調査室長が出席いたしております。
 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。
#13
○矢嶋三義君 予算を伴う法律案は大体二月の下旬までには内閣から提出されるだろうと思います。予算を伴わない法律においてはあるいは三月中旬ごろまでに国会に提出されるものもあろうかと思います。従って、政府において予定している法律案の条文作業は今や最終段階に入っているかと思いますので、前国会の審議との関連ある意味において現在どういう方針で法案作業をやられておられるのか。かつて国会で答弁されたその約束通りに進められておるかどうかという角度に立って緊急の点について二、三伺いたいと思います。
 それからもう一点は、当面この行政執行に当たって非常に緊急だと思う一点について伺わせていただきます。この行政執行について緊急というのはただいま説明された予算案に関連することであります。この予算案についてはいずれ本格的に本委員会で審議されると思います。きょう私はそれには触れません。ただ、この予算の編成段階に、あなた方がグロッキーになって編成作業をされているのを約二週間にわたって私は拝聴して、国会に議席を持つ一員として、それを感謝して参りました。従って、率直に言って労を多とする面もありますし、また鋭く批判追及しなきゃならぬ面がありますが、それは他日に譲ります。ただ、当面非常に緊急の行政執行の面でぜひ私はただしたい点は特別奨学生の問題なんですね。これは御承知のごとく高等学校の特別奨学生は当初八千人で要求をし、それが第一次査定に入ったわけです。それから第二次、三次と復活段階においてこれは一万二千人になったわけですね。大学の奨学生については、これは文部省の当初要求は五千人だったのです。第一次内示も五千人だったわけですね。ところが、これが最終段階においては、この点は大臣の労を多といたしますが、八千人になったわけですね。ところが、この予算案が確定する前に文部省はその方針をきめ、そうしてこれを周知徹底さした面もあるようです。そうして育英会では募集をして、採用人員を内定もしているわけです。たとえば大学の場合五千人ということで、当時応募者は約一万三千人と私は聞いている。その一万三千人の中から五千人まるまる内定するわけにいかぬから、五千人近くのものに一応内定して内示してあるわけですね。ところが、その後の復活折衝において八千人にふえた。だから私は一万三千人の中から八千人をピックアップすることは妥当でないと思うのですよ、内閣の総理府には広報費というものを数億円持っている。ところが、私ども予算が確定した後に地方に帰って転々と当たってみますと、こういう施設は徹底していない。高等学校において特にしかり。中学校は今まで五千人あるいは六千人採用しているから、若干徹底していますけれども、大学の特別奨学生というのは今度初めてですから、徹底していない。しかも当初五千人だったのが復活段階で八千人になったというのですね。だから私は当面の行政執行の面において緊急のことが、政府においてこういうともかく予算案が確定して、そうして今国会に御審議願っているということをあまねく周知徹底させるということが一つ。
 それから当初五千人の予定で募集して内定しておったのが、これが六割増の八千人と相なったわけですから、だから私は五千人を前提として募集した応募者の一万三千人、その中からピックアップするのじゃなくて、ここに新たに募集して、そうして応募者を広く集めて、その中から八千人、私は選ぶのが適当であると思う。もちろん五千人と予定したときに、四千数百人に内示をした、それを取り消すわけにいかないでしょう。しかし、ふえた三千人については新たな角度から十分こういう施策を周知徹底さして、その中から私は選ぶのが適正だと思う。これは行政面において非常に緊急のことでありますから、私の知っている限りの過去の実情と私見の一端を申し述べて、大臣はいかに処せんとするのかお伺いしたい。
#14
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 非常にいい御忠告をいただきまして、ありがたいことに存じます。実はまだ予算案として提案しているだけでございますので、どうかしらんと内心思っておりましたが、国会側からそういう御督励をいただいて、何か気楽にPRができそうな気持もいたしますが、手落ちなく善処したいと思います。
#15
○矢嶋三義君 私の言うのは、先ほど言いましたように、こういう予算案を国会で審議しているということを徹底せよということですね。ということは、育英会においては、とっくにあなた御承知のはずですよ、大学の特別奨学生五千人、高等学校の特別奨学生は八千人、ついては応募者はございませんかと募集をして、さっき言ったような予定の数字が出て、その中から五千、八千、オーバーしない程度で内示をしているのですね。その後五千が八千人となり、八千人が一万二千、かように最終段階に復活がなされている。その時点に立ってしかるべくやる必要がある、こういうように申し上げたわけなんです。これは私、現に予算確定後若干当たってみたのですが、徹底していませんよ。そういうような、数億円の総理府に広報費があるわけですから、テレビやラジオの時間も買っているわけなんですから、何か周知徹底策を講ずること、これを特に要望いたします。
 それから次は、予定定数の法案の件ですが、確認を願います。高等学校のいわゆる定数、教職員定数法案を出されたそうですが、そういうことが確認されているわけですね。乙号基準の九四%程度しか現在定員がない。従って、それでは教科課程の改訂等を考えると、文部省としては、どうしてもこれでは高等学校教育はできない。従って、かつて廃案になった定数法案よりは基準を上げる、あの中には、財政的に弱小、弱小という言葉がまた出たんですが、かんべんして下さい。経済的に比較的に弱い市町村には設置責任をまかせない、県にもっていく。それを強行すれば、高等学校の統合問題が起こって、教育の機会均等に反することになるから、そういう高等学校の統合とか、機会均等に反するようなことにならぬように、かつて廃案になった法案について慎重に検討する。それから廃案になったあの附則の中には、昭和二十八年までは手をつけなくていいが、昭和二十八年以後やればよろしいというような経過規定がある。そういう経過規定があるのでは、財政的に弱い都道府県は二十八年まで何もやらないで、手を触れない、さらば二十八年がきたからといっても、その自治体の財政力は弱いから即座にやれない、それではいけない。だからあの経過規定は修正して、そうして定数法を設定したならば、昭和三十六年度においてかくかくの段階まで、三十七年度にかくかくの段階までと、こういうふうに経過規定を義務づけなければ、都道府県教育委員会は予算を確保することはできない。そういう点において、かつて廃案になった定数法案は慎重に検討して、新たに定数法案を国会に提出する。もう一つは、高等学校に、これは義務制でもそうですが、公費負担でないところの職員がいる。高等学校の教育伸展上必要なために多数の公費負担でない職員がいる、そういう公費負担でない職員は全部公費負担職員に切りかえるように配慮する必要がある。こういうことが前国会において質疑応答の上確認されているわけですが、そういう角度において提出を予想される、いわゆる高等学校の教職員定数法案なるものは、立法作業が続けられているものと思います。当然そうでなければならぬと思うんですが、それをあらためてお伺いいたしたい。
#16
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この前お流れになりました法案を基礎にしまして、今御指摘のような事柄も十分念頭に置いて、目下関係機関とせっかく折衝中でございます。まだ、今日までのところ結論が出ておりませんが、少しむずかしい点もあるようですけれども、極力御指摘の線に合格するように努力したいと思っているところでございます。
#17
○矢嶋三義君 この点はね、大臣の政治力と努力に私は強く期待をし、要望を申し上げておきますよ。日教組の悪口を言うだけが能じゃないんですから、そういう点をしっかりやらなければ、荒木文部大臣の存在価値はなくなると思うんですよ。私は、時間がないから、重ねてあなたを激励するの意味において申し上げておきますが、高等学校でも、小中学校でも、公費負担でない職員がたくさんあるわけですよ。あなた御承知でしょう。ところが、こういう人件費関係については、私は予算編成段階をずっと見守ってきたんですが、非常に冷淡です。小中学校の場合だって、今度一万二千要求したんです。第一次査定では六千七百五十五人だったじゃないですか。その復活段階になっても、力の加え方というのは他の部門に比べますれば非常に薄かったですよ。しかし、内藤初中局長を中心としての大蔵省に対する抵抗が相当効を奏して、ようやく八千五百六十六人にしか到達しなかった。要求は一万二千人だから。小中学校でも事務職員とか養護婦とか、あるいは図書司、こういう公費負担でない職員がたくさんおる。高等学校においても、養護婦それから事務員、それから図書司、こういう公費負担でない職員がたくさんいる。これは全部PTA負担になっているわけですからね。府県の教育負担軽減という角度からいえば非常に重要な問題です。だから今度提出を予想されるいわゆる定数法案の最終段階における政府部内の調整に当たっては、担当所管文部大臣として、あるいは大蔵省、あるいは自治省の担当大臣とあなたの政治力の百パーセントを発揮されて、ぜひとも今まで幾たびか論じられた点に即応するような案としてわれわれの審議を仰ぐ結果となることを強く期待するとともに激励をし要請申し上げまして、重ねて御決意のほどを承りたい。
#18
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 努力いたします。
#19
○矢嶋三義君 次は給与の件でありますが、これはまず文部大臣、それから内藤局長にお伺いいたします。
 それは、こういうことが、今までの経過から給与の問題が当面クローズ・アップしているわけです。それは昨年の五月二十日に人事院の昭和三十五年度国家公務員採用試験実施計画公告、これによって行政職の上級職を甲乙両種に分けた。これは非常に問題です。この内容はしかし本題ではありませんからこれは触れません。その結果、教職員は超過勤務手当がないために、一般行政職より二号ないし一号の特別調整が歴史的になされて参った。その事実と照合する場合に、上級行政職を甲乙に分けたがゆえに教職員の既得権が剥奪されたものと認める。これはあなた方の前国会における確認答弁です。従って教職員は超過勤務手当がないのであるから、今の教職員の俸給表に超過勤務手当を支給するようにするか、それとも超過勤務手当に相当する程度の俸給調整をしなければ不合理である。また、教育界に人材を確保することはできない。従って、その角度において検討する必要があり、また検討をする。これが前国会までの経過であったわけです。そこで、政府提出法律案の作業は最終段階にきているのでありますが、この角度から検討がなされているかどうか。なされているとするならば、さっき申し上げた超過勤務手当を新たに加える、この方法か、それとも後者の超過勤務手当に相当する金額をもって調整する、この方法で作業されようとされているのか、その点を伺いたいと思います。
#20
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その交渉経過は具体的にまだ私存じませんので、政府委員からお答え申します。
#21
○矢嶋三義君 大臣、原則論は矢嶋の発言を承認いたしますね。
#22
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原則論はわかります。
#23
○矢嶋三義君 同感ですね、わかりますでなくて。同感ということですね。念のために。
#24
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただ、先ほど申し上げましたように、率直に申し上げて、甲乙二種類になったと。甲がいかなるものか、乙がいかなるものかということについての徹底的な解釈と申しますか、理解は私も完全にできておりませんので、人事院当局に聞かなければわからない部分もございますから、そういう点も含めて交渉の経過等を中心に政府委員からお答えした方が適切かと思って申し上げたわけでございます。趣旨はわかります。
#25
○政府委員(内藤誉三郎君) 行政職甲というものは今回新たに設けられた職種でございまして、私ども当初理解しておりましたところは、行政職の乙が一般であって、甲は特殊なものにやるというふうに人事院から伺っておったわけでございます。その結果、またいろいろ問題はございますけれども、実施の結果を見ますと、必ずしもそうでなかったとも思います。しかしながら、当初の計画は、行政職甲に比べて教職員が一号上位に格づけされておったことも事実でございます。
 ただ、御指摘のようにその後の経過を見ると、実際採用された者が甲が多かったと、こういう問題が一つあるわけでございます。そこで教職員の俸給表をいかにきめるかということは、行政職の甲、乙のありかたの問題が一つ基本になろうと思います。そこでこの点につきましては、人事院のお考えも十分伺って、いかに改善すべきかというふうに検討しておるわけでございますが、ただ、教職員について超過勤務手当を支給するということは、勤務が非常に特殊でございますので、明確に把握できない。こういうこともございまして、昭和二十三年以来教職員には超過勤務手当を支給しないという方針のもとに、調整額をつけたわけでございますので、この基本線は今後も続けて参りたい、かように考えております。
#26
○矢嶋三義君 大臣、池田内閣の一国務大臣としてお聞きいただきたいと思うのですがね、今、内藤局長が申されたように、行政職を甲、乙に分けた。これは採用試験実施計画公告というような形でやったわけですね。こういう重大な問題を。実際はそうなっていない。で、甲が四百九十九人採用しているのに対して、乙は百十六人しか採用しておらない。しかもこれは各省でばらばらですよ。こんなでたらめな人事管理制度はないと思うのです。農林省のごときは百九人も採用して、乙は一人もないのです。全部甲ですよ。まあ各省庁、ABクラスに分けると失礼ですから分けませんが、Aクラスの省庁は全部甲ですよ。乙なんか採用しておりません。ここで私は暴露しません。この甲と乙と制定しておるのには、裏の裏のずいぶん複雑な問題がある。暴露したら重大な問題がある。私は好みませんから、暴露いたしません。しかし、内藤局長みずから言われておるように、この五月二十日公告でなされたときの甲乙の設定の趣旨と、実際の運用面は非常に違っている。その結果として教職員は既得権を剥奪された形になっている。平たい言葉で言うならば、教職員は一般行政職よりは成績の悪い、レベルの低いのでけっこうだということを、この給与表の面で立証しておるということになるわけです。これには何人も反論できないわけなのですね。だから内藤さんも検討する必要がある、検討する、こういう言質を与えているわけです。これは人事院においてもそう。それから、増子総理府公務員制度調査室長もそういう言質を与えているわけです。それは緊急ですよ。予算を件う法律案というのは二月下旬までに出さなければ国会は受け付けないのです。少なくとも三月一日ごろには衆議院で予算が上がりますからね。予算を伴わない法律案というのは幾らおそくとも三月の中旬ごろまでに出さなかったならば内閣官房長官の方で受け付けない。従って、文部省の所管なんですから、文部省が中心になって公務員室並びに人事院と早急に連絡をとって、その研究並びに法案作成作業を早急に推し進めるべきだと思います。これを強く御要請申し上げます。一大臣の御答弁をいただきます。
#27
○国務大臣(荒木萬壽夫君) よくわかりました。
#28
○矢嶋三義君 努力しますね。
#29
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 努力します。
#30
○矢嶋三義君 最後にもう一点。それは大蔵省の給与課長さんお見えになっていますね。あなたにお伺いいたします。これは教職員に限定された問題ではないのですが、しかし、あなたみずからお認めになっておられると思うのですが、教職員に一番関係の深い給与関係の案件でありますから、特にお伺いいたすわけです。それは外地から引き揚げてこられた公務員並びに内地におられても追放されて復職された公務員、そういう方々が、戦後の混乱時に復職をする期間がやや延びたために、以前の在職年数が退職全算定基準となる勤続年数を計算する場合に通算されないために、非常に退職金が減額されて不合理であり、またお気の毒である。従って終戦処理の最後の処理として国内において追放されて復職した公務員、外地から引き揚げてこられて相当期間をたって復職された公務員の方が退職をされる場合に、その退職金算定の基礎となる在職年数の計算の基礎に外地在勤年数を通算しようというこの方法からの法案の作業を、今次通常国会において完成して国会に提案するということであったのでありますが、その作業は続けらておられるかどうか。いつごろ作業が終わられる見込みであるか、お答えいただきたい。
#31
○説明員(船後正道君) 引き揚げ等の国家公務員等退職手当法の一部改正の問題でございますが、本件につきましては昨年末の臨時国会で大蔵大臣も言明いたしております通り、今国会に法案改正の予定をもって目下関係方面と折衝中でございます。ただ問題は、二十八年の七月にさかのぼる改正でございまして、当時の状況につきましては、先生も御指摘の通り引き揚げ、追放、あるいは軍人からの召集の解除、いろいろなケースもございますが、各般にわたりまして目下調査しております。期日といたしましては、本法案が直接三十六年度予算に関係のある法案ではございませんので、法制化の手続も若干おくれておりますが、できる限り二月中あるいはおくれても三月上旬ごろには終わる予定で目下作業中であります。
#32
○矢嶋三義君 その最も論争となる重要なポイント二点についてちょっと伺っておきます。その一つは、あの戦後の混乱時でございますから、いろいろの見方、いろいろの意見があるでしょうが、すべての人に対して通算措置を適用するのが適当だと、かように私はあらゆる角度からの検討からですね。そういう結論を持っております。この人は継続して公務員たる意思があるかないかということをどの機関かに認定してもらって、通算するのとしないのとに分けるというような考え方もあろうかと思いますけれども、それはあの終戦時の経済の混乱等から考えるときに、ケース・バイ・ケースで検討した場合には、やはりしゃくし定木でいかないところがあると思うのです。だから最終的な戦後処理としてこれをやられるならば、あなたが政府部内で一番詳しいわけですが、そういう規制をしないで、すべての人に適用するという形で作業されるのが適当であるとも考えますし、またそういうふうに強く御要望申し上げたいと思うのですが、御所見いかがでしょうか。
#33
○説明員(船後正道君) 引き揚げ等の場合の在職期間の前後通算でございますが、現在は御承知の通り、原則は百二十日以内の再就職、また教育職員の場合にはこの特例を延長いたしまして、学年の点を考慮し、一年程度延長しているわけでありますが、これをどの程度再就職した場合に前後期間の通算を認めるのか、やはり常識をもって判断すべき性質のものであろうと思います。やはり本人が公務員として再就職する意思があったにもかかわらず、終戦当時の定員、予算、その他の関係によってそれができなかったというような場合には、やはり事柄の性質としてこの際考慮すべきであろうと存じますが、本人が全然公務員として再就職する意思がなかったことが明確でございまして、やはりその後の状況の変化によって再びまた公務員としてなんという場合とは、この場合分けられるべきじゃないかと、かように考えております。いずれにいたしましても、今回措置いたしたいのは、二十八年以前にさかのぼる問題でございまして、これも先生もおっしゃいます通り、最終的な改正として考えたい、かようなつもりで作業を進めております。
#34
○矢嶋三義君 詳細にわたってはまた個別的に御意見を承りたいと存じます。
 もう一点のポイントは、どなたも外地から引き揚げる場合に、一応退職金あるいは退職金相当、あるいは退職金とおぼしき金額を受領しているわけですね。しかし、その受領した退職金あるいは退職金とおぼしき金額相当のものを、期間を通算した場合に、いかような減額措置をとるかということは非常に当事者にとっては重要なポイントだと思うのです。この点は平時における法の解釈運用というような考えで扱っては私は妥当でないと思うのですが、時間がないから詳しいことは言いません。あの引き揚げてきた当時の混乱と、それから経済界の実情ですね、そういう点から考えるときに、たとえばその退職金とおぼしきものをもらったのは、引き揚げ手当のような形のもあるし、またそれを凍結してしばらく受け取れなかったようなケースもあるわけなんですね。従って、私はその減額措置をするにあたっては、あなたの方では専門的にいろいろ考えているでしょうが、私の持っている結論と御要望は、その退職金あるいは退職金とおぼしき金額として受け取ったその金額相当額、その金額を控除することにとどめるのが適当だと、かように考えるのです。外地で在勤した年数に対応する退職金支給月数のマイナスするというようなことでは非常に過酷だと思うのですが、この前者の見解のもとに作業をしていただいているものと思いますが、念のために御所見を承りたいと思います。
#35
○説明員(船後正道君) お尋ねの件は、今回の法案改正の主要点になるはずでございますが、内容につきましては、目下関係方面と折衝中の段階でございまして、ここで明確にお答えするわけに参らないのでございますが、ただ考え方といたしまして、終戦時の混乱の際に退職金あるいは手当金、あるいはまた恩給にしろ共済にしろ、それぞれ一時金が出ておりますし、これらの金が当時のインフレ過程だったこと、あるいはまた占領軍の政策によりましてその一部が凍結されたり、種々の事情があると思うのです。今回退職手当につきまして、戦後期間を通算し、かつ終戦時に何がしかの退職手当をもらった場合の取り扱い方でございますが、やはり当時の終戦直後に支給いたしました一時金の取り扱い方全般の問題に触れるかと考えますので、当時の金額を国庫に返納して、それによって従前の在職期間をそのまま通算するというやり方はきわめて困難ではなかろうか、かように考えております。
#36
○矢嶋三義君 最後に増子公務員制度調査室長に一言だけ伺っておきます。先ほど荒木文部大臣並びに内藤局長の答弁がございました。それから大蔵省の船後給与課長から一応荒筋の基本的な考え方を答弁になりました。公務員室長としてはこれらの人々の答弁内容と同感であり、同じ方針のもとに政府部内で共同して作業いただけるものと思って私はあらためてお伺いいたしませんが、さように了承して差しつかえございませんか。
#37
○政府委員(増子正宏君) ただいまお尋ねの件でございますが、ただいま大蔵省の給与課長が申し上げたところとはちょっと違っておるかと思いますけれども、おそらく最初の教職員の初任給の問題というふうに私理解して申し上げますが、この点につきましては、矢嶋委員からいろいろ問題の内容について御説明ありました。そのお考えにつきましては、私ども先刻承知いたしておるわけでございます。ただ、現在の作業ということになりますと、先般の給与法の改正の際に、参議院の内閣委員会で附帯決議がございました趣旨につきましては、あの当時政府から申し上げましたように、いわゆる一般職の職員についていいますれば、各俸給表の水準差の問題、あるいは全体の給与体系の問題ということになって参りますので、実施上につきましてもいろいろ検討すべき問題がございます。今後の給与体系上の問題として、さらにこまかに研究を要する点もあるわけでございますので、それらの点につきましては人事院の調査研究に待ち、また政府部内におきましてもそれぞれ研究いたしまして善処いたしたいというふうに政府の意見を申し上げたわけでございますが、その線に沿うて私ども現在やっておるわけでございます。従いまして、その結果が矢嶋先生の御期待になっておられるところにぴったり合うかどうかということは、私ども今ここでまだ申し上げる段階ではないわけでございまして、その点を御了承いただきたいと思います。
#38
○矢嶋三義君 文部大臣に要望申し上げておきますが、文部大臣の所管する文部省関係の事項ですから、関係省庁の担当国務大臣とあなたみずからも早急に連絡をとるとともに、あなたの部下職員をして所管省庁の担当者と早急に連絡、研究調整をして、今国会に法案が提出されるように格別の御努力、それから御指示を願いたいと思います。よろしゅうございますか。
#39
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど申し上げました通り、努力をいたします。
#40
○岩間正男君 時間があまりないようですから、私も最近の文部行政並びにただいま説明されました予算の問題、この面で緊急する問題なんかで質問を申し上げたいのですが、きょうは機会をこの次に譲りたいと思います。
 ただ問題点としてぜひこれは伺いたいのは、一つは、最近問題になっております、当委員会でもしばしば取り上げられた新潟大学の学芸学部の老朽校舎の問題、これは積雪が非常に、今年度は二十何年ぶりの積雪を見て、非常に危険の状態で、学生たちが騒いでおる。私たちの耳にも入ったわけであります。具体的に現地の学生たちからその模様を聞いたわけですね。これに対してどういう処置をされたのか、これはその後の文部省の措置の様子を大臣にお聞きしたいと思う。そのことから簡単にちょっとお尋ねいたします。
#41
○政府委員(安嶋弥君) 新潟大学の教育学部の建物の問題でございますが、この建物は、御指摘の通り、非常に老朽した建物でございまして、早晩改築しなければならない時期にきておるわけでございますが、三十六年度の国立文教整備費の予算といたしましては、これは計上いたしておりません。ただ、建物の一部につきまして非常に危険な状態にあるということでございましたので、とりあえず補修をするということにいたしておりまして、総額約四百万円程度予定いたしております。とりあえず三十五年度といたしまして各所修繕費を百五十万円支出しております。なお、大学で独自の経費が五十万円ございましたので、合わせて二百万円の応急の補修工事をやるという手配をいたしております。
#42
○岩間正男君 この点はあとにします。この次詳しくしたいと思いますので、きょうは時間の関係からただお聞きするだけで……。
 第二の問題は、ILOの提訴の問題ですが、これについての関係の資料をぜひ出してほしいと思うのです。私たち新聞であのように文相が発言され、さらに最近はILOに対して申し立てをされておる。この問題を判断するためには、いろんな資料をもってもっと詳細に検討する必要がある。そういう角度からぜひこれは文部省が努力をしまして、少なくともこの次の、これは十四日ですか、予定されておる委員会までに提出を願いたいと思います。大体資料の数は七つばかりございます。
 第一にお願いしたいのは、文部省がILOに申し立てた全文、これは英文であれば英文、仏文であれば仏文、それから日本文の全文、これは日本文ですね。それから、それとさらに申し立てについて付属資料をつけられたと思うのですが、この全文を和洋両文で提出してほしい、これが一つです。
 第二は、新聞に発表された日本政府の見解、この中にいろいろいわれておるわけですが、それに関連しまして、その根拠になる資料があったと思うのですね、当然。その基礎資料を出していただきたい。そうしまして第一に教員と他の一般企業との賃金の違いを、事実に相違するとこれは言われているわけですね、文相のこのたびの申し立てでは。そこでまずお聞きしたいのは、教員の男女別のそれぞれの賃金。それからそれに関連して一般企業での男女それぞれの賃金、これが明確に出ませんというと私どもは判断のしようがないわけです。第二には教職員の諸手当はどれくらい出ているか。一般企業の場合は基本給並びにその他の諸手当はどう出ているのか。これの比較も必要になって参ります。この資料を文部省としては当然あの立論をされる場合の基礎資料としてあるんだろうと思いますから、これをお出しを願いたい。
 それから、文部省の、これは大臣の見解によりますというと、日教組の資料は不当に低く見ていると、こういうようなことを言っているわけですね。そこで文部省は文部省独自の資料があるだろうと思うのです。従って、この不当に低く見ているという根拠になった文部省――日教組の資料とこれと関係しまして文部省の資料があると思いますから、この独自の資料を出してもらいたい。これは賃金の問題です。
 それから第三は、私立学校教員並びに一般地方公務員の給与、これはどういうふうになっているか、これとの比較です。これはぜひ必要ですから、このような給与に関する資料をお出しを願いたいと思います。これが三つ目です。
 第四に、文部省が全国小中学校の一学級当たりの児童生徒数に違いがある――教組で申し立てたのとは違いがあるということを言っているわけですね。そこで政府の持っておる、文部省の持っておる正しい一学級当たりの児童生徒数のその資料を提供してもらいたいと思うのです。
 第五には、多数の国々の通例でストライキ権が否認されているということを文相は言われているわけです。そこで文部省が、これは他の諸外国の例を、いろいろ教職員の労働条件等も調査されたと思うのですね。その点でお伺いしたいのは、諸外国の教職員の男女別、男女平均の給与、並びに一学級当たりの児童数、それから教室の坪数、このような各国それぞれの特殊事情を含めてこの点の資料をお願いしたいと思います。
 それから第六に、この文部省の申し立てによりますというと、ILOへの提訴六十号で日本政府に示された勧告がある。ILOからのこの勧告が私たちにはこれはよくわからないわけです。これが文部省の解釈によりますというと、はたしてこのILOの勧告というものがこの通りそこに表明されておるかどうかわからない。この資料をやはり和洋両文で提出してほしいと思います。
 第七に勤評、教育課程等で、組合員が教育委員会等関係者を監禁し、脅迫、暴行等、法に違反する争議行為をしたと文部大臣は述べていられるわけですね。これはどんな根拠に基づいているのか。政府が暴力行為といっているのでありますから当然係争中のもの、あるいはまた裁判で確定したものがあると思うのです。確定したものがあるとすれば、その件数その内容、それから判決の要旨及び係争中のものがあるとすれば、その件数その内容、この点をわれわれは一々文部省の資料によりまして検討しませぬというと、こういう文部大臣の異議申し立ての要点がわかりません。従いましてこの問題は多くの重大な問題をはらんでおりますので、私たちとしましてはあくまで日教組並びに文部省の両者の資料を十分に検討して判断したいと考える。従って以上の資料をぜひお願いしたいと思います。
#43
○委員長(平林剛君) 政府側よろしゅうございますか。
#44
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま資料の御要望がございましたが、特に第一の御要望、すなわち日本側が――政府側が提出いたしました答弁の正文及び引用の参考資料そのものを資料として出せという御要望でございますが、これは一つしばらくごかんべんをいただきたいと思います。と申しますのは、別に出さないというわけじゃむろんございませんけれども、御承知の通り、こっちの答弁資料は送りましたが、まだ正式にこれが審議されていない。従来ILO関係の提訴事件につきましての双方の往復文書等は外交上機密扱いにするという慣例でずっときている趣きでございます。そこで実は新聞発表をするにいたしましてもそのことがございましたので、私は、実は、向こうに到着して提出したらばあるいは発表していいんじゃないかと想像しておりましたところ、さらにあらためて要旨だけでも発表したいがどうだろうということで関係省にも連絡しました結果、現地にも連絡の上ILO側としても、適当ではない。従来の取り扱い通りにしてほしい、こういうことであった趣きでございます。ただ、要旨だけでも発表しなければ国会の審議ないしは一般世論にかんがみましてもどうかと思いましたので、その点をさらに念を押しましたところ、要旨程度ならばやむを得ない、よかろうという返答を回答して参りましたので、その線に沿って実は記者会見のときに御指摘のようなことを発表したわけでございます。でございますから、全文そのままを和洋両文国会に御提出申し上げるのはILOとの関係で了解ができる時期にまで延ばすことをお許しいただきたいと思います。その他の、発表しましたことに直接関連します資料等は、できますものは第二以下の御要望の資料は極力整えまして提出いたすことにいたします。
#45
○豊瀬禎一君 今の岩間君の資料要求に関連するのですが、新聞に発表されたいわゆる反論的な報道事項ですね。これは日教組が提訴した内容についての反論がかなりあるようです。この点を考えてみますというと、日教組がILOに出しておる、いわゆる申し立て全文ないしは資料を入手された後に、あれに対する反論が行なわれておると思うのですが、ところが、ただいまの大臣の答弁を聞いておると、外交辞令でそういうものは秘密になっている。で、あの新聞に報道された反論の根拠資料は憶測でやられたのか、それともILOに対する日教組の申し立ての正式文書を見てやられたのか、まずこれをお聞きしたいと思うのです。
#46
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正式文書は見る方法もございませんわけですが、ILOから照会して参りました事柄――概要でございますが、それはむろん拝見した上での要旨の発表でございます。
#47
○豊瀬禎一君 ILOから照会してきた要旨というのは、日教組の申し立て資料ないしは全文に基づいて根拠ある文書による照会書類ですね。
#48
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 提訴事項、そのことはILOから参りましたことに根拠を持って概要の発表ということにいたしたのであります。日教組側から提案されておる参考資料等もまだ到着していないそうですが、ですから、さっき申し上げましたように、要旨程度以上の全文入手ということは、こっちもむろんできておりません。ILOからの照会の内容によりどころはむろん持って、新聞発表をする根拠材料にはむろんいたしております。
#49
○豊瀬禎一君 きょうはこの問題に触れるあれではないから深くは追及いたしませんが、資料要求をいたしたいと思ってもう少し聞いておるのですが、日教組から出した全文ないし資料はILOに未到着である、こうおっしゃったですね。未到着のものであるのに、ILOからの日教組の申し立ての内容についての照会文書が来て、それに対して日教組の申し立てば誤謬がある、事実に相違しておると、こういう反論を出されたというのは、大体どういうことなのですか。もう少しいきさつをはっきり言って下さい。
#50
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは私どもが承知しました限りにおいて、反論がなし得る限度のことでございます。
#51
○豊瀬禎一君 ILOにはまだ資料が着いていない。ところが今、岩間君も指摘したように、反論のかなり多くは全文よりもむしろ資料に類することが多いですね、かなり。そういうこともILOから照会の文書として来ていますか。たとえば男女の給料については、こういう申し立ての趣旨であるが、これについて文部省の考え方はどうか、といったような程度のことがきておるのですか。
#52
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その程度のことはきております。
#53
○豊瀬禎一君 そうすると、私は大臣が反論された日教組の根拠資料、日教組からでなくて大臣の方から出してもらいたいと思っておったのですが、それが今の答弁ではないようですので、ILOから照会してきた事項の全文ないしは大要ですね、これは外交上文部省に正式に来たでしょうから、出せると思いますから、その大綱と、それからもう一つは本会議において矢嶋質問に対して取り消しをされたILO脱退云々に関する記者会見の際のあなたの発言の大要ですね。僕らは新聞記事を見て、あなたが放言をし、失言をされ、取り消されたということ、それから国会の議事録の中から、あるいはあなたの答弁の中から知っておるのですけれども、あなたがどんなことを言ったかについては、この議事録を見ましても、いささか不明確なところがありますので、ILO脱退云々に関する記者会見の際のあなたの発言の内容が一つ、それからもう一つは、二、三日前でしたか、今、岩間君が資料要求をいたしました反論の根拠資料は、聞くところによりますと、文書によって発表されたようですね。また文書によって発表されたものでなくとも、非常に詳細な内容を持っておりますので、あの際に発表された資料について岩間君が要求した以外をすべて文書にして提出していただきたい。
 それからこれは前委員会から再三要求し、大臣初め関係当局者が答弁しておるのですが、要求した資料は、取り上げる委員会のその日開会前に配付するというのではなくして、事前に各委員に配付して、十分研究の時間を与えてもらいたいという要求をいたしておりますので、岩間君のあれは十四日までと解釈しますが、委員会開会以前に委員の手元に配付していただくように重ねてお願いしたい。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 資料の要求でございますが、可能な限りにおいて極力御要望に沿うようにいたします。
 それからなお、一月二十日の文部省の記者会見におきます私の発言内容は、速記録をとっているわけじゃございませんから、正確に私は記憶いたしておりません。新聞で出た私はあの内容そのものをまっこうから否定するわけではございません。しかし、私の気持とは幾分ニュアンスが違った記事であったと自分では思っておりますが、われわれは活字になりましたものをああ言わなかったとは、私は申し上げるわけにはもちろんいかないのでございますが、ですからその意味においてあの新聞記事そのものをさよう御了承下さればけっこうなんでございまして、それ以外のことをつけ加えたり減らしたりすることは、私の立場としてはやるべきじゃない、そういうふうに御了承いただいていかがでしょうか。
#55
○豊瀬禎一君 新聞記事を正式に資料としてよろしいということでございますね。
#56
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そうでございます。ですから私の申し上げたいことは、新聞記事に出ました通りの意思を持って現実問題として申したつもりではないということだけは申し添えさしていただきたいと思います。
#57
○岩間正男君 さっき第一項について外交文書だから、現在係争が進行中だから出せないというお話があったのですね。一応その点は私も了承しますが、ただ当委員会で審議に要するに必要を欠かない程度の概要といいましても、だからさっきのILO脱退の問題については今答弁があったわけですが、第一項の今度の文書の全文の概要、これについてはやはり新聞を根拠にしていいのかどうか、それから私たちは新聞でこれを問題にしているわけですが、これだけでは不十分な点があるのかないのか、さらにこれも概要の概要になっておりますので、文部省はもっと当委員会の審議に差しつかえないくらいの精密度をもってここに報告する資料として出していただきたい、こう思うのです。その点いかがですか。
#58
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は先ほど申し上げましたようなことですが、新聞発表いたしましたことに関連する限りの、そうしてまたILOからしかられないで済む程度の資料はもちろん提出せねばならぬと思っております。
#59
○岩間正男君 大体骨子はこれと見ていいのですね。
#60
○千葉千代世君 ILOの方からこちらへ照会状が参りました、その向こうが出した日付とこちら側がお受け取りになった日付と、それからそれによって回答をお出しになった日付を教えていただきたいのですが、この次でもけっこうでございます。
#61
○野本品吉君 ちょっと資料要求に関連して。さっきの資料の問題、私はまあこの問題が当委員会において相当重大な問題として論議されるであろうということは予想しておったわけです。そこで今政府側への資料要求が岩間委員からあったわけです。この問題を批判するにはやはり政府側だけの資料では私は批判できないと思う。そこで委員会は日教組に対して、どういう資料、どういうものを出したのだか、委員会に提出するように要請すべきである、公平な判断をする上から。皆さんの御賛成を得たいと思います。
#62
○矢嶋三義君 議事進行。われわれは国政審議権と調査権をもって立法府の立場から行政府に対して資料要求しているわけで、これに対しては行政府としては最終的には、僕は法律的には研究しているのだが、国家の存亡に関係するほどの重大な国に大損害を与えるというような閣議決定が出されない限り立法府の要求に応じないわけにはいかない日本の法律の組み立てになっているわけですよ。だからまあ国際慣例等で若干の時期をずらす云々とあらば、それは岩間委員の要求の百パーセント出せないかもしれませんが、そのことと、この立法府が一民間団体であるという、まあ日教組ですか、そこに資料提出を要求するというのは、われわれに権限がないわけで、ここできめたら、それはあなたが個人的に出していただけないだろうか、日教組も出すかどうかしりませんが、それは自由でありますけれども、民間団体に要求するということは越権行為になって立法府のかなえの軽重を問われると思うので、それはやはり僕は委員会として、この委員会として決議するのはいかぬと思います。
#63
○野本品吉君 今の点については、民間から資料の要求、あるいは参考人の御出頭を要求したこともあるので、そういうことが国会の手続上できるものであるかないか、前例があるかないか、それを調べていただきたいと思います。
#64
○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#65
○委員長(平林剛君) 速記をつけて下さい。
#66
○矢嶋三義君 荒木文部大臣、今のここの雰囲気は、おそらく委員長・理事打合会が行なわれると、次の委員会でILO問題が本格的に論ぜられると思うのですね。だから私はそれまでにあなたに宿題といいますか、(笑声)御検討いただいてお考えいただきたいということをお願いしておきたい。それはまことに失礼ですけれども、ジュネーブで論争になるわけですよ。あなたはあなたなりに見通しを立てられている。私も私なりに見通しを立てているのですがね。まことに失礼だけれども荒木文部大臣も私は六月か八月ころはおそらくおかわりになるように思うのですよ、見通しとしては。(笑声)だから、そのころ社会主義政権ができるかできないか別としても、保守政権が続くにしても、少なくとも私は池田総理としてはかなりな長期政権を夢みていると思うのです、あなたを起用して下さった池田総理ですがね。そうなりますと、少なくとも私はあなたの文部大臣としてとられている態度は、あなたが、また大臣がかわった後に、池田政権が続いた場合にずっと押し通していけるものとは私は思わないのですね。ジュネーブにおいて論争するということになるとずいぶん国費も要りますよ。ずいぶん大へんなことだと思うのですね。そこで私はこの次の委員会までにあなたの非常に信念かたき心境が変わるか変わらぬかともかくも、御検討いただきたい点は、内閣の池田総理大臣とよく御相談いただいて、今あなたの態度を変えられるお考えはないか。それがはっきり変えられないのならば、さっきから言ったように、内容、資料に基づいてわれわれはわれわれの考えのもとにその活発なる論議を展開していかなくちゃならぬわけです。そういうように私は考えるがゆえに、私は将来もずっと池田政権が続いた場合、それから閣僚がいつごろかわるかということ、それから今の態度がずっと押し通せるか、それから国費を多額使ってジュネーブにおける論争、それの国内外の影響等を考える場合に、そういう点について根本的に相当考えて私はスタートしなくちゃならぬと思いますので、次の委員会の始まる前までに、池田総理と御相談いただいて、あなたの最終的な御態度を私は表明していただくように課題を一つ提供いたしておきます。
#67
○委員長(平林剛君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。
#68
○千葉千代世君 資料要求でございますが、三十六年度の予算審議に関連いたしまして資料要求をしたいと思いますが、その前に第三十四国会から第三十七国会に至る間、この文教委員会の各委員から資料要求して未提出のが十件ございますわけでございます。それは三十五年の三月八日から三十五年の十二月十五日まででございますけれども、先ほど係の方から読み上げていただいた法律の内容を見てみますというと、これはやはり資料要求に対しては出す責任があるように承ったのですが、十件の未提出についてどうしてお出しいただけなかったかどうかということが一つ、その御回答をいただいてから次の質問をいたします。
#69
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういう十件もあることを承知しないで恐縮ですけれども、少なくとも御要求の資料を出すまいと思って出さないでおるということはあり得ないと思います。何か御要求に応じて、御指定の時期までに作り得なかったやむを得ないことがあって、御提出していないことだと想像いたします。そこで御指摘の十件につきましても、十分検討しまして、出すべきものは一日も早く出すと、こういう態度でいきたいと思います。
#70
○委員長(平林剛君) 千葉君に申し上げますが、この点はあとで委員長・理事打合会で相談をしたいと思っておりますから、御了承いただきたいと思います。
#71
○千葉千代世君 それでは本日改めて要求いたしますけれども、その第一番は、社会教育文化の振興費というのがございますが、その中に青少年団体活動の促進、婦人教育振興という、こういう項目がございます。それにつきまして、ここにございますのは項目が非常に簡単に出ておりますが、もう少し詳しく願いたい。たとえば婦人学級につきましても、昨年は一学級四万円で何千学級――千四学級ですか、幾らとかございましたが、ふえておりますのは何学級にふえて、金額がどうなったとかという、そういう具体的な数字をいただきたいと思います。
 それから昨年資料要求いたしました中に、婦人学級についての講師の謝礼の差別のある点が各県からございまして、それを御指摘申し上げたのですけれども、そういうような謝礼の問題とか、運営の問題とか、それから実施状況について、わかる範囲でけっこうでございますから、三十五年の四月から十二月末日に至るまでの状況を知らしていただきたい。それから特に中央青年の家の使用状況、たとえば県別であるとか、人数であるとか、会合の種類とか、あるいはその成果とか、こういうものを一ついただきたい。
 それからさらにこれは養護教諭の問題でございますが、各県の配置状況、それから二校、三校兼任がございますから、兼任の状況、採用条件、たとえば先ほど矢嶋委員から触れられましたんですが、高等学校等におきましては一般教員として採用しないで、免許状がありながら事務兼用になっておったり、事務員の名前でもって実際そういう仕事をしておって、PTAの負担と、こういうことがございますので、採用状況、兼任の問題、これを小、中、高別にお願いしたいと思います。それから次は養護教諭の養成所の設置状況でございますが、聞くところによりますというと、文部省の方は養成所設置について予算を出したけれども、大蔵省で削られたと、こういうように伺っておるんですけれども、これは十何年来の要望でございますので、その点の事情を明らかにするために、県立の養成所、国立の養成所等々現在全国に五校か六校ございますが、その状況を一つ詳細に資料として出していただきたい。
 最後に産休補助教員の配置状況について調査したのをいただきたい。昨年の文教委員会に調査したのをお出し下さいましたんですけれども、ただ単に産休補助教員の配置した県はこれこれだというように、非常に満配状況が出ておりましたんですけれども、あれは一日でも置けば置いたとなるわけなんです。こちらで聞きたいのは、各県のお産をした教員が何人、その休んだ期間がどのくらいか、休んだ期間全部を補助教員が配置されているのかいないのか、これがはっきりしませんと、こちらの予算の定員の問題なんかに関係いたしまして明らかになりませんので、その点、特にその中で臨時に雇っているのか、定員内で雇っているのか、単価、給与費はどのくらいかということ、これは具体的にいえば臨時として採用している県がかなりある、産休法の建前として併用がございますから、これは無理もございませんが、法改正をしていきたいという要望がございますので、この点を明らかにしていただきたい。たとえば福島県のように、産休補助教員は新卒を入れていくわけです。新卒なすった方々が、教員になりたいけれども、全部採用できないという県費の負担の条件もございますので、まず採用できなかった人を、全部産休補助教員として採用しておいて、そうして勤めた成績によって段階をつけて、定員内に繰り入れられるとかいう、こういう非常に苦しい処置をしておったり、それから出張所、たとえば区とかあるいは郡、市、そういう教育委員会が産休補助教員を東京みたいに登録しておいて、そうして臨時に雇うところもございますし、校長さんの権限でもって近所にやめた先生を頼むとか、非常にまちまちなわけです。ですから、やはりそういう点も詳しく調べていただきたい。それから産休補助教員になったのは、男か女かということをちょっと知りたい。というのは、女がお産したから女でいいだろうというふうに安易に考えたりして、やはりこれは全体の、これは女がお産をしたのは女の責任じゃないわけですから、やはりそういうような観点から教育全体として一緒になって、男であろうとも女であろうとも、お産をしたのは女の先生だけれども、教育するのは免状を持っておれば同じあれでございますから、どういうふうにしたかという、でないとそういう点で女の先生がいないから、頼まないのだよと横を向いている教育長さんがございました、私がこの間調査に行ったときに。ですから大へんこまかいようですけれども、これが明らかになりませぬとなかなか、いやいいじゃないかといって――文部省の昨年出された調査表を見ましたけれども、率直に言って資料として不十分でございましたので、重ねてお願いいたします。以上です。出していただけますね。
#72
○政府委員(内藤誉三郎君) できるものは出したいと思いますが、ただ産休補助教員の点につきまして、休んだ日数が何日で、各個人別に調査するとなると大へんな期間を要すると思いますので、できるものは御趣旨に沿いたいと思います。
#73
○千葉千代世君 これは大へんな期間必要ないのです。県で掌握しておりますので、率直に言って県がごまかして文部省に報告しているわけです。県で実際に私どもが調べて見ますというと、休んだ期間をたとえば最低、労働基準法に示された範囲という県、それから東京みたいに産前産後十六週とございます。そうすると、たとえば十六週なら十六週全部産休補助教員を置かなければ立法の趣旨にも反するし、不正常授業という中にございますので、ですからそういうふうに要求しておりますというと、県では三カ月打ち切り四カ月打ち切り、五カ月打ち切り、こういうのがございます。おかしいじゃないですかと言いますと、おかしくないのだ、ないからしようがないのだ。文部省から調査にきたのには、置いたか置かないかとあるから、一日でも置けば置いたことになるのだから、それで文部省は承知して何も言ってこないからいいのだ、こういうことを言うわけです。ですからそれをやはり言わせちゃいけないと思うので、国の責任の中で処理していく、こういう観点から、これは内藤局長むずかしいことじゃないのです。ですから、でき得ればでなくて、全部できるものなんですから、一つ全部お願いしたいと思います。
#74
○政府委員(内藤誉三郎君) できるものは、ですから出しますけれども、時日を要するものがあろうかと思います。それから臨時で雇うか、常雇いにするかはそれらは問題にならないと思います。要するに産休した結果、授業に支障があっては困るから、支障をなくするために常雇いでプールしておくというものもあるし、その期間臨時に雇うものもある。別に身分的に常雇いしなければならぬという制度じゃございませんから。
#75
○千葉千代世君 それは三十年にできました産休補助教員の問題については、法律の中にございますが、そこに非常に不備な点がございまして、これはやはり義務設置にしたいということと、臨時を置くというような処置になっておりますけれども、やはり定員の中に組み入れるのが本質じゃないか、こういう考えを持っておりますので、これはあなたが頭をひねっても、私はそう思うわけです。そういう意味で、これは直していくための基礎材料として必要なものですから、これはぜひお調べいただきたい。こう思っております。
#76
○豊瀬禎一君 局長、会計課長さんにもお願いしておくのですが、今の資料もさることながら、予算全般に対して審議の基礎となった数字については、来週の火曜日に全部出してしまいなさいなんというやぼなことは言いませんから、準備してもらっておいて今度の答弁の際にはいつでも根拠のある資料を出せるようにしておいて下さい。
#77
○野本品吉君 先ほど私が申し上げた問題ですが、いろいろ御意見もあるようですが、委員長・理事打合会において、法規なり、またいろいろな角度からそれが可能であるかないかという点だけは特にこの際再確認して御研究を願いたい。このことをお願いいたします。
#78
○委員長(平林剛君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。――他に御質疑がなければ、本件に関する調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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