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1960/05/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第25号
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1960/05/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第25号

#1
第038回国会 文教委員会 第25号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
   午前十一時一分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
五月十日委員小沢久太郎君及び鳥畠徳
次郎君辞任につき、その補欠として二
見甚郷君及び田中茂穂君を議長におい
て指名した。
五月十一日委員二見甚郷君及び下條康
麿君辞任につき、その補欠として小沢
久太郎君及び村松久義君を議長におい
て指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平林  剛君
   理 事
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           野本 品吉君
           豊瀬 禎一君
   委 員
           安部 清美君
           井川 伊平君
           小沢久太郎君
           杉浦 武雄君
           高橋進太郎君
           村松 久義君
           千葉千代世君
           矢嶋 三義君
           米田  勲君
           岩間 正男君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   総理府総務長官 藤枝 泉介君
   防衛政務次官  白濱 仁吉君
   調達庁総務部長 大石 孝章君
   文部政務次官  纐纈 彌三君
   文部大臣官房長 天城  勲君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
   文部省大学学術
   局長      小林 行雄君
   文部省体育局長 杉江  清君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   調達庁不動産部
   連絡調査官   沼尻 元一君
   文部省大学学術
   局大学課長   村山 松雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国立工業教員養成所の設置等に関す
 る臨時措置法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (朝霞の米軍施設等オリンピック選
 手村予定地返還に関する件)
○女子教育職員の産前産後の休暇中に
 おける学校教育の正常な実施の確保
 に関する法律の一部を改正する法律
 案(豊瀬禎一君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動につき御報告いたします。
 去る五月十日、小沢久太郎君及び鳥畠徳次郎君が委員を辞任され、その補欠として二見甚郷君及び田中茂穂君がそれぞれ委員に選任されました。また、本日、二見甚郷君及び下條康麿君が委員を辞任され、その補欠として小沢久太郎君及び村松久義君が委員に選任されました。
 以上であります。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。
 開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日はまず、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題として審査を行ない、次いで、朝霞の米軍施設等オリンピック選手村予定地返還に関する件等、当面の文教政策について調査を行ない、次いで、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案、学校図書館法の一部を改正する法律案及び高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案につき審査いたして参ることに決定を見ました。
 以上、理事会決定通り運営いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営して参ります。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(平林剛君) なお、かねて愛媛県の教育行政に関する件につき、参考人招致の日時、人選等につき委員長及び理事に一任されておりましたが、愛媛県教育長大西忠君、城辺町教育委員浜見勝一君、久良中学校教諭本田南城君及び南宇和郡教職員組合委員長梶原英明君の四君を来たる五月十六日に参考人として招致し、意見を聴取いたすことに決定いたしましたので御報告をいたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(平林剛君) それでは、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。
#7
○矢嶋三義君 文部大臣に御所見を承りたいのでありますが、申すまでもなく、内閣は法律案を国会に提出するにあたって、その審議をスムーズにするために、行政府は立法府に対して政府委員としての承認を求めて参っております。そこで、われわれ委員といたしましては、その政府委員としての要請を承認いたして、われわれは皆様方が審議を要求されておる法案の審議をしておるわけです。この法案を審議しておる過程に、あなたのお聞きの通り、池田内閣の同僚閣僚である池田科学技術庁長官が質疑の途中に、われわれが政府委員として認めている政府委員の答弁に対して「でたらめ言うな」、こういう答弁阻止の発言をされておるわけですね。こういう点について所管国務大臣の荒木文部大臣に、私は誘導質問をしてみたのですが、何らの意思表示をしていない。これはまことに奇々怪々だと思うのです。私どもは政府委員の答弁を一応信じながら法案を審議しているわけなんです。一体どの点がでたらめであり、国家のために嘆かわしい信ずべからざる数字を述べられておられるのか、そういう点、やはり所管大臣として反論すべきは反論して速記に残さないと、速記録を見た上では、文部大臣もこれを認めておることになっておるわけです。同席されておって、そうして私はあなたの答弁次第で云々という言葉で誘導してみたのですが、あなたはそれに対して何らの意思表示もされていないわけです。はたしてそういうことでいいのでしょうかね。速記録を見た場合にはおかしいと思うのですよ。だから、その点についての大臣の所見を私はまず承って実質的な質疑に入って参りたいと思います。
#8
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘のことは、私もあの当時感づいてはおりましたが、明確に私を名ざして答弁を御要求になると思って発言するチャンスを逸したわけでございます。ありようを申し上げますと、その直後、御案内の通り、委員会が休憩されまして、雑談の中でははっきりいたしておるわけでございますが、と申しますのは、豊瀬さんの御質問に対しまして、政府委員がお答え申し上げたことについての池田長官の発言があったと思います。このことは、質問の焦点が池田長官に誤解があったことにもよるようでございまして、それは池田長官としては、勧告をいたしました一般の科学技術者養成の問題と、当面議題になっておりました教員養成所設置の点に関して、私学関係には協力要請はしていない。それを、一般の科学技術者の人材養成の点に関して私学に協力を要請していないことかとの誤解があったようでございまして、そのことは、あとの雑談の中で、池田長官もその誤解であったことを認めておられたようでございました。そういうことでございますから、私に具体的に御指名願ってお答えする機会があれば、そういうことに触れたいと内心思ってはおりましたが、その機会を失しましたために、ただいまのようなおしかりを受けるような形が残ったことと思います。いきさつは以上のごとくでございまして、誤解に基づくとは言いながら、当面政府委員と国務大臣との間の意見が食い違ったままの形で残りましたことは遺憾に思っておる次第でございます。
#9
○矢嶋三義君 時間がもったいないから私は多く繰り返しませんけれども、池田長官の誤解というのはおかしいですよ。これは豊瀬委員の質疑は明快であったし、繰り返し繰り返し聞いているわけです。大学局長の注意を受けて、そうして文部省の見解を明快に答えた。その直後にああいうことをおっしゃっている。それだけでないですよ。村山大学課長の答弁のときにも、うそをつくなということを言われておったじゃないですか。それに対して文部大臣は、一言も何らの釈明をされないで、そのまま速記に残っていますよ。それからお二方の間に、私は研究討議を要請しておいたのですが、荒木君とはめったに話せない、話せないからここで言いましょうと、こう言って速記録に残されましたね。そのことについてもあなたは何ら速記に残されない。速記録上からいっておかしいですよ。それから、法案審議を願っている議員に対しても、あなたは失礼じゃないでしょうかね。それでは、池田君は勝手なことを言っているのだから勝手なことを言わしておけと、こういう気持かもしれませんけれども、しかし、国民に直結して法案を審議している国会では、それでは済まないんじゃないですかね。だから、速記録上もおかしいし、法案提出の当該国務大臣としても、立法府に対して私はそれでは済まないことだと思う。さらに部下に対しても、私は、あなたはどうお考えになっておられるかわかりませんが、あれほどああいう表現で所管外の同僚国務大臣から速記をつけて表明があれば、それに対して所管大臣として、その場で速記上に何か残されなければ、速記上から言うならば、あなたは部下に対する池田評価を承認されたということになっていますから、こういう点について、あの質疑に入る前にも私は申し上げておいたのですが、十分じゃないと思うのですがね。短くてよろしいですから、この点についてこれ以上聞きませんから、文部大臣から短くてよろしいですから、あなたの所見を承っておきます。
#10
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 速記録上のことは御指摘の通りだと思って遺憾に存じます。さっきも申し上げましたように、いずれはまた直接私が御指名にあずかって、御指摘のような点についてもお答え申し上げる機会があろうかと内心思いながら、そのままになったものでございますから、お話のような結果になったことをはなはだ遺憾に思います。あのときにチャンスを与えられたりせば、先ほど来申し上げましたようなことを、るる申し上げたい気持であったことを申し添えまして、御理解いただきたいと思います。
#11
○矢嶋三義君 科学技術者養成の問題に関する数的な問題については、この質疑の最終段階にあらためて私の意見も言い、大臣の答弁もわずらわしたいと思います。その過程でいろいろありましたが、一応、速記録の体裁を整える意味で今答弁を伺ったわけですが、私は、池田長官だけが悪いのでなくて、この問題に関する限り、両大臣の共同責任であるということを私は意思表示をいたしておきます。
 伺いたい点は、これは大学学術局長でよろしいですからお答えいただきたいのでありますが、本年度七大学の教員養成課程は募集されたのかどうか、募集されたとすると何名募集されたのか。それから今後、従来持っておりました七大学の教員養成課程というものはどうなっていくのか、お答えいただきます。
#12
○政府委員(小林行雄君) 国立大学に付設されております工業教員養成課程につきましては、従来通り募集をいたしております。ただ、この工業教員養成課程と申しますものは工学部に付設されておりまして、工学部と一体的なものでございますので、特に養成所のような形はとっておりません。従来通りの学生の入学を許可するようなことになります。
#13
○矢嶋三義君 しからば、工業高等学校の教員の需給関係の見通しについての一覧表を提出してほしいということを要請いたしました。これは先般、資料は出てきたわけですが、その教員の需要関係についてその数字はどういうわけでお入れにならなかったのか。
#14
○政府委員(小林行雄君) まあ先般もお尋ねがございましてお答え申しておりますが、実際の現実の状況から申しますと、百数名の養成課程卒業者のうち、実際に高等学校の工業教員になった者は一名ないし二名という状況でございますので、この現実の状況から、まあ今後、現状のような状況が継続いたしますとすれば、大勢に変化はないものと考えまして、特に工業教員養成課程出身者については見込んではいないことにいたしております。
#15
○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、その点は私は納得できないのですが、工業教員養成課程を続けて募集するならば、そういう人々は現在は教育界に身を投じてこない。そういう方々が投じてこない理由を探求して、そうして教育界に身を投じてくるような施策を具体的に講ずるというのであれば、私は了解しますけれども、現実にこないのをそのままにして、それで三カ年で養成して充足しようということを裏返してみますと、四年やった人は逃げていってだめだから、三年で中途半端にしておけば、これは逃げていかぬだろう、こういうような気持が、意識するとしないとにかかわらず、あるのではないか、こういう点は私は非常に理解しがたいのですが、どういうことなんですか、四年制の教員養成課程を募集していく、しかし、それには期待していない。ところが、三年のには期待しておる。四年制の人が産業界の好景気の影響を受けて産業界に流れていくならば、三年課程の人も全く同じとは言わないが、それに準じて流れていく、こういうようなふうに判断しなければならないのではないでしょうか。それを流れていくのを阻止するためにはどうしたらいいか、その対策はどういうことをやらなければならぬか、こう考えれば、それは四年課程であろうと、三年課程であろうと、同じように対策が講ぜられなければならぬと思うが、そのことを講じられないでやられておる点、どういうお考えかを御説明いただきたい。
#16
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 理論的には御指摘のような矛盾を私も感じます。これははなはだ遺憾な現実の姿だと思うわけでございます。さりとて、このまま放置すべきではむろんございませんで、四年課程の教員養成の制度、これはむろん維持していかねばならない。それをどうして実際もう教員の課程を終わった人が教員となってくるようにするには、いつも御指摘がありますように、私も同感でございますが、教員全体に通ずる給与改善が根本的に問題であろうと思います。同時に、中教審に諮問されつつあります大学制度一般の根本的な検討、それに関連いたしまして、教員養成大学についての今後のあり方をいかにすべきかという結論が答申されました上で検討せざるを得ない時期的な段階でございますが、そういう手だてが順序よく出てくるに従って、十分に検討を加えて、御質問の点にも沿うような施策を講ずべきであろう、こう思います。同時に、現行制度上から申し上げれば、御案内のごとく、教員養成課程を終えたからといって、これを義務づけるという方法はない。一般経済界からの要請に応じて人材が流れていくという現実の根本原因を是正することなくんば、いたし方のない実情は認めていかざるを得ないのが今日の状況かと思います。その総合的対策には、すでに問題になり続けております大学卒業程度の科学技術者の養成そのものを、量的にも十分考えて対策を立てなければならないわけですが、御案内のごとく教員組織上の隘路からいたしまして、やむなく十年後に一万六千の入学定員の増加というのが一応の今の推計でございます。もちろんこれがさらに一そうの充実をはかる努力は、来年度以降考えていくことは当然といたしましても、一応の推定はそういう状態にあります。従って、何とも教員確保の道が現実問題として非常に心細い状態である。従って、今申し上げるような本来の姿の教員養成目的というものを現実に合うようにする努力は並行的にやりながら、その間のギャップを埋める意味において、次善の策たる国立工業教員養成所を設置いたしまして・当面の急に応ずる一助にしたいという考えでやっておるわけでございまして、工業教員養成所につきましては、むろんまだ十分ではございませんが、授業料の問題、ないしは育英奨学資金の効率的な運用等を考慮いたしまして、極力逃げていかないような措置も講じ、また本来、毎度申し上げて御批判をいただいておりますが、国立工業教員養成所という門を意識的にくぐった人は・そうでない人よりも歩どまりははるかに多いであろうということも期待いたしまして、次善の策、やむを得ざるものとして御審議をお願い申し上げておる次第であります。
#17
○矢嶋三義君 大臣の所論は了解できませんが質問続けます。第四条、「養成所に置かれる学科は、養成所ごとに文部省令で定める。」とありますが、この予想される文部省令の内容を簡単にお答え願います。
#18
○政府委員(小林行雄君) これは学科につきましては……。
#19
○矢嶋三義君 養成所別に願います。
#20
○政府委員(小林行雄君) 養成所別でございますと、北海道大学の工業教員養成所では電気、機械、工業化学、それから東北大学の工業教員養成所では電気、機械、土木、それから東北工業大学の養成所では電気、工業化学、建築でございます。それから横浜国立大学の工業教員養成所では機械と建築でございます。それから名古屋の工業大学では工業化学と建築でございます。それから京都大学の工業教員養成所では電気と工業化学と土木でございます。それから大阪大学の工業教員養成所では電気と機械でございます。それから広島大学も同様に電気と機械、それから九州大学の工業教員養成所は機械と工業化学、こういうふうに予定をいたしております。
#21
○矢嶋三義君 数字を用意してくるように先日通告いたしておりましたから、用意してきていると思いますからお答え願いますが、過去三カ年間の工業教員の免許取得者数、それから教員となるべく採用試験に応じた数、それから実際に工業教員として採用された数、その数字をお答え願います。
#22
○政府委員(小林行雄君) 三十三年、三十四年、三十五年の数字について申し上げますが、三十三年度におきましては免許状の取得者数が千三百十三、それから採用試験の受験者の数が四百五十四、それから新規の採用者が百七ということでございます。それから三十四年三月の卒業者でございますが、免許状取得者が九百七十八、採用試験の受験者が四百七十八、それから新規採用者の数が百三十八、三十五年度は免許状の取得者が七百九十六、それから採用試験の受験者が五百六、それから新規の採用者が百六十五というふうになっております。この免許状の取得者は、教員養成課程を有する国公私立大学の卒業者で卒業のときに工業教員免許状を取得したものの数でございます。それからこの教員の採用試験の受験者数と、それから新規の採用者数でございますが、三十五年度のこの数は三十五年の九月十五日現在で調べました数字でございます。
#23
○矢嶋三義君 この免許状の取得者は年々急カーブを描いて下降しているのですね。取得者が。この点と、それから応募者に対して採用数が少ないということは、結局、応募はするけれども、教員として採用試験に合格しないで不合格になるほど免許を持っておる人が質が悪いということを意味しているのでしょうか、いかがでしょうか、どういうふうに判断されておりますか。
#24
○政府委員(小林行雄君) 免許状の取得者が三十三年から三十五年度にかけて漸減いたしておりますが、これはまあ特にこういう事由でということではございませんで、おそらく経済界の、いわゆる産業界の好況等から、教育界よりもむしろ産業界へ行こうという気持が全体的に強いというようなことが原因ではなかろうかと思っております。なお、この採用試験受験者の数と新規採用者の数にかなりの開きがございますが、これは試験だけはとにかく受験するけれども、その後に産業界の方に希望し、就職してしまうために、実際採用のときには出てこないという状況が主でございます。なお、この受験関係といたしまして、一人で数県の採用試験に応ずるというようなこともございますので、これらの開きが出てくることと思います。もちろん、受験者の質にも多少の関係はあろうと思いますが、大きな理由はただいま申しましたような二つの理由であると思っております。
#25
○矢嶋三義君 ただいまの答弁は非常に明快でよくわかりました。そこで、先般提出されました資料ですね。工業教員の不足は三十六年に五百八十三人、三十七年に千九十八人、三十八年に千七百六十八人、これだけの不足数が本年から向こう三カ年間に数字として出されておりますが、この充足はどうしますか。
#26
○政府委員(小林行雄君) この工業教員養成所を設置するといたしましても、との卒業者は三十九年度からしか出てこないわけでございまして、従って、この三年間、三十六年、七年、八年は、これをあてにすることができないのでございますので、従来からのいわゆる大学、国公私立の大学の卒業者、いわゆる新卒のもの、それから従来もございましたように、民間企業からの転任者、それから従来も各府県でやられておりましたように、中学校あるいは高等学校の他の教科で、免許状は持っておりまするけれども、他の教科の担任をしているものが、この工業高校の先生になるということが行なわれておりますが、そういうことでまかなう以外に方法はなかろうと思っております。なお、場合によりましては、大学等から非常勤講師として工業高校にきてもらって講義をしてもらうというような措置でまかなう以外に方法はなかろうと思っております。
#27
○矢嶋三義君 先般、小中学校に、さらに高等学校で工業科の担当をしていない隠れたる工業教員たり得る人的資源、という言葉は適当でないですが、そういうものが約三千人ある、こういうふうに文部大臣は答弁されておりますが、転用可能な人が三千人ある。これは実際三千人程度は転用可能と判断されているのかどうかですね。その三千と、先ほど私があげました三十六年から三十八年の約三千五百とは、数が大体似かよってくるわけですね。そこで、その点伺っているわけですが、いかがですか。
#28
○政府委員(小林行雄君) 実際に、免許状の関係から申しますと、ただいま申しました三千以上の数があるわけでございますが、そのうち、実際に中学あるいは高校の他の教科からこの工業高校の方に移り得る状況にある者が三千程度であろうと思っております。もっともこの三千という数は、必ずしもただいま矢嶋委員の御指摘のありました三十六年度から三十八年度のこの数と符合しての数ではございませんで、それとは別個の数でございまして、この三千につきましては、私どもできる範囲内で、無理のない範囲内で工業高校の方に移ってもらうことができるならば、そういうことをやりたいというふうに考えております。
#29
○矢嶋三義君 あなたのお休みのときでしたけれども、本委員会で、文部大臣は、工業教員になる免許状の取得をして工業教科を受け持っていない人が約一万人、その中で転用可能の人は三千人、こういう数字を私は承ったわけです。それを基礎にして今伺っているわけです。
 そこで、文部大臣に伺いますが、あなたが転用可能と考えられている三千人を転用した場合、その補充はどうなさるおつもりですか。おそらく、現在そういう人々は理科あるいは物理、そういう系統を小中学校並びに高等学校で担当されているんだと思うのです。そういう点はいかように文部省としてはお考えになっておられるのか、文部大臣にお尋ねいたします。
#30
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 最近までの状況は、中学校の教員の充足はどうやらとんとんにいっていると承知しております。その事情は、中学に関します限りは今後も一応は可能であると推定できるんではなかろうかと思っているわけであります。御案内のごとく、三十八年度以降は、中学におけるピークが一応過ぎまして、幾分ゆとりが出てくるという態勢になってこようかと思うのでありまして、従って、高等学校に転用しました不足分も比較的ゆとりがあるという前提で考え得るのではなかろうか、こういう考え方でいるわけであります。
#31
○矢嶋三義君 きょうは内藤局長も呼んでおいて下さい。非常に誤れる重大な答弁だと思うのですよ。これは内藤局長の所管ですけれどもね。今、中学校は決してとんとんではございませんよ。もうへんぴな学校は、教育委員会で理科とか数学の教員の辞令を出しても赴任しないという現象が起こっていますよ。それから一昨日参考人としておいでになりました小野参考人は、中学校、高等学校等からの転用教員は限界に来てもう不可能だ、こういう参考人としての口述をされたわけです。だから、この三千人がかりに転用されると計画された場合は、この充足にあたっては、あるいは物理、化学、それから一般理科、数学、こういう先生方から転用してあと充足しょうとなると、あるいは初任給手当とか、あるいは産振手当とか、根本的には給与を上げるという政策が伴わなければ絶対に充足できないですよ。やっぱり具体的な政策が伴わなければならない。この点は、全国工業高等学校協会の理事長である小野参考人の口述でも明快であったわけです。この点、大臣は十分体して今後の施策に誤りなきを期していただかなければならぬと思うのですが、御所見を承りたい。
#32
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体この問題を考えます自分の基本的な気持を申し上げたわけでありますが、最近、中学校の先生も民間から相当スカウトされる傾向が出始めたということも、最近になりまして聞いておるところでございます。従いまして、御指摘のような最近の実情に立脚した懸念がないとはむろん申し上げかねると思います。もっと実情を把握しまして、高等学校の先生の充足はどうやらできたが、中学校に穴があいたんでは元も子もないわけでございますから、御指摘の点、十分検討を加え善処する気持でございます。
#33
○矢嶋三義君 現状把握の不十分な点があるということと、根本に給与の問題があるということをぜひとも御認識いただくように指摘をいたしておきます。
 そこで大臣、国会も末期になりましたが、法案を審議するにあたって、あなたは私に答えねばならない大事なことが一つあると思うのですがね。約束を守っていない。守らなければならない事柄があると思うのですが、お気づきになられたでしょうか。国会の会期はもう終わりに近づきました。法案審議期間も短くなったんですが、何かあなたは、私の顔を見るなり、声を聞いた場合に、あれを自分はちょっと忘れておった、やらんならぬとお気づきになることがあるはずですが、いかがでしょうか。お気づきにならぬ場合にはあなたの不誠意を私は詰問し、あとお伺いいたします。
#34
○国務大臣(荒木萬壽夫君) なぞみたような御質問で、回答になるかどうか、いささか懸念しますが、高等学校の定員の関係の法案のことを御指摘かと想像いたします。先般来申し上げておりますように、何とかしてこの国会で御審議願って成立が可能な時期までに提案をいたしたいと思って、引き続きせっかく努力中でございます。
#35
○矢嶋三義君 あなたの誠意だけは私は認めて、その点については敬意を表します。この教員養成計画の算出にあたっては、提出を予定されているいわゆる定数法案を基礎にはじいてということを内藤局長は答弁しているわけです。その内容は、現在の大体甲号基準と乙号基準の中間である、こういう答弁をされているわけです。だから、この法案審議を終結するにあたっては、その前にあなたはどうしてもその法案をこの国会に提出してわれわれの審議を仰ぐということが、あなたに課せられた一つの信義に基づく義務でもあると私は考えていたわけですが、本日まで出ないのでお尋ねしたのですが、忘れていないということだけはわかりましたが、この法案とうらはらの関係にあるわけですから、早急に国会に提出が促進されるように所管大臣として善処されるように要望し、御所信を承っておきたい。
#36
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどお答え申した通りの考え方で努力したいと思います。
#37
○矢嶋三義君 内藤局長が来ているといいのですが、今来ていないから、やはり文部大臣にお答えいただきますが、民間あるいは小中学校からの転用、こういうことを考える場合に、国費による再教育機関を設けるということはぜひとも大切だと思うのですよ。昔、大学あるいは高等専門を卒業されて基礎知識があられる、そうして教職員として、あるいは産業人としての人間的な修練を積まれてこられている人に、ここに国費によって、ごく短期間でも新時代に即応する再教育をすれば、まさに画龍点睛と申しますか、非常に個人的にも、国家の人材養成計画という点からいっても効果のあることだと思うのですね。そういう点は諸外国でもそういう施策をやられているわけなんですが、そういう方面に国費を使うということはきわめて効率的な投資だと私は思うのですが、その点についてはどういう御見解を持って、また具体的にどういうふうに施策を進められるか承っておきたい。
#38
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今の御指摘の点は私も同感でございます。本来ならば、三十六年度予算にそのための経費を計上すべきでございましたが、そいつはぬかりました。ぬかりましたが、実行上極力再教育と申しますか、現職教育のための措置を講じたいと思っております。
#39
○矢嶋三義君 特にこれは要望いたしておきます。
 次に質問を進めますが、養成所の学生の修得単位ですがね。資料が出ておりますからこれに基づいて承りますが、大学は百二十四単位以上、工業教員養成所は九十三単位以上、そこでこの科目単位数を見た場合にまず言えることは、現在の高等学校の二級普通免許状は付与できない、こういう点が明確に出ていると思うのですが、この点いかがですか。
#40
○政府委員(小林行雄君) 現在の免許法の関係から申しますと、免許法の法律規定では……。
#41
○矢嶋三義君 内藤局長出席していなくちゃいかぬです、所管局長ですからね。
#42
○政府委員(小林行雄君) 大学を卒業して所定の最低修得単位をとるということになっております。ただ、この国立工業教員養成所は、その大学卒業という点では、三カ年の修業年限のものでございますので、基礎資格の点で一つの問題がございます。また、単位数におきましても、修業年限が足らぬですから……。
#43
○矢嶋三義君 結論だけ簡単にお答え願います。二級普通免許状は与えられませんね。
#44
○政府委員(小林行雄君) その免許状を与える基本的な原則の線には沿うておりませんけれども、教育内容の充実をはかることによって、実際的には学力のなるべく劣らない卒業生を出すということを建前にいたしておりますので、法律の御審議を経てこの法案が成立すれば、二級普通免許状を与えることも不可能ではないというふうに考えております。
#45
○矢嶋三義君 結局、免許法を変えなければ免許状を付与できないということですね。やや具体的に伺いますが、外国語科目は何単位与えるつもりですか。
#46
○説明員(村山松雄君) 教職、基礎、専門各科目にわたりまして……。
#47
○矢嶋三義君 外国語。
#48
○説明員(村山松雄君) 単位の詳細は、各養成所ごとに定めるように今大体考えておりますけれども、外国語については、英語とドイツ語につきましては各三単位を履修させるようなことで準備を進めております。
#49
○矢嶋三義君 六単位以上取らせるお考えですね、今の答弁は。
#50
○説明員(村山松雄君) そうでございます。
#51
○矢嶋三義君 では次を承ってまた質疑を返します。保健体育科目は何単位ですか。
#52
○説明員(村山松雄君) 保健体育科目は、基準として必修としては課さないつもりでございまして、各養成所におきまして適宜履修させることに予定しております。
#53
○矢嶋三義君 そういうことでいいですか。文部大臣に伺いましょう。保健体育科目は大学であったならば四単位必修です。二年制の短期大学でも二単位が必修になっているのですよ。三年の短期大学だったら三単位が必修になっているのですよ。それを全くやらない場合があってよろしいのですか。文部省の基準がそうだったならば、九大学の養成所でその単位をゼロにする大学が必ず出ますよ、そういうことでよろしいですか、文部大臣いかがですか。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 次善の策として、建前としてはやむを得ないことと思います。今、説明員が申し上げましたように、実施の段階において各養成所ごとに、実際上差し繰ってでも極力充足する努力をしてもらうということにいかざるを得なかったのは、応急次善の策のゆえにやむを得ないことと心得ております。
#55
○矢嶋三義君 極力充足するといっても、一日が二十四時間、一年が三百六十五日という制限がありますから、物理的に不可能なことなんです。そこで、もう少し伺っておきましょう。基礎教育科目十七単位のうち、外国語を六単位履修させるとあと十一単位ですか、その十一単位の配分はどういうふうに考えておりますか。
#56
○説明員(村山松雄君) 必修として課することを予定いたしておりますのは物理が……。
#57
○矢嶋三義君 何単位、科目名と単位数。
#58
○説明員(村山松雄君) 三単位でございます。それから数学解析五単位でございます。化学または図学、これは養成所の性質に応じて、どちらか選択必修ということでありますが、これが三単位。
#59
○矢嶋三義君 そうなりますと、人文科学系はどういうことになりますか。大学設置基準の二十条の人文科学系は何単位取ることになりますか、ゼロですね。
#60
○説明員(村山松雄君) 人文、社会科学系統は、必修科目としては基準を設けない予定でございまして、この養成所におきましては、全体を通じて九単位以上の選択科目がございますが、その選択科目の中で各養成所ごとに適宜履修させることにいたしております。
#61
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、この養成所は大学設置基準は適用されない、気持として準用いたしたいということでありますが、この第二十条では人文科学系、社会科学系、自然科学系、これを大体対等において、それぞれ三科目以上、全体として十二科目という基準が設けられているわけですが、そのうちの人文、社会については必修はゼロ、あと一切がっさい保健体育も含めて九単位にしてまかなってもらうという御説明ですが、そういうことで一体現在のように高度化された社会に生きる、しかも進歩のテンポの早い技能者、技術者を教育しようという教師の養成ができるのでしょうか。非常に大事な基礎的なものが欠けるということに相なりはしませんか、どういうお考えでいらっしゃいますか、御所見のほどを伺っておきます。
#62
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原則からいきますと例外措置でございますから、ある程度の欠陥といいますか、不十分な点があることはやむを得ないことと思って、教員組織に間隙を生じないということに、ひたすら努力を集中したいということから、やむを得ないことと思います。
#63
○矢嶋三義君 全部が専任教官で充足されると、これでも私はある程度いけるかと思うのですがね。しかし半数、あるいはそれ以上臨時講師になりますと、その臨時講師というものはよく欠講というものが出てくるわけですね。そうなりまして講義の休講が何パーセントか入って参ると、この教育内容というものはひどいものになると思うのですね。専門教育科目の六十単位ですね、これのみの人と、すなわち何らかの技能、技術を持った人と、教育は技術なりと、こういう結論になってきてしまうと思うのです。教育は人であるという基本線がくずれてしまうと思うのですね。だから、きのうからも私は伺っておりますように、専任教官の充足率をうんと高めれば別ですよ。しかし、あなた方の計画では、教授、助教授、助手を二・二・二でやっておるわけでしょう。必ず臨時講師が半数以上になりますよ。そうなりますと、もうこれは結果を待つまでもない。休講というのが普通の学校よりははるかにその率が高くなりますよ。よそからくるわけですからね。車が間に合わなかったとか、交通事故があったということで、休講にならなくても遅刻というようなことが起こって参ります。そうなりますと、内容というものは非常に不十分なものになると思うのですね。これらの点、教官の充足二・二・二、これは工業大学の学長さんは、私信で少なくとも三・三・三にしてほしいと要望されたそうですが、それがあなた方に拒否されたということですが、それらとあわせて、大臣、これはやはり矢嶋の指摘通りに直さなければならぬというふうにお考えになられませんか、いかがですか。
#64
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 専任教官は今後増加することに努力したいと思います。また休講があることも御指摘の通りだと、私らにも想像されますが、これはしかし大学に付置されている関係から、一般の付置されないところの例よりは休講なんというものは少なくて済むのじゃないか、また、そういうように努力してもらうように、付置された大学、この養成所を責任を持って運営される教官、所長以下にも十分の連携をとりながら、極力休講等を少なくするという努力もあわせ行なうべきだと思います。
#65
○矢嶋三義君 その親大学が比較的に右翼といっちゃ失礼ですが、日本の大学で位置づけした場合ですね、比較的に充実した大学であるから、何とか協力を得てできるとおっしゃるわけですがね、との文部省の計画しているようなことでは協力ができない、成果をあげ得ない、のみならず、みずからの大学の本来の使命である教育と研究体制に支障を来たすという意味で、要望を含めた反対声明を、この付置を予定している九つの大学の職員組合が連名で声明を発しておりますね。これを私受け取っているわけですがね。これは文部省にも行っていると思いますが、これは大臣、どういうふうにお考えになられますか。やはりこういう声明、陳情というものの趣旨は汲み入れて是正をして、そうして御協力をいただくというのでなければ成果があがらないと思う。現に職員組合が連名でこういう反対声明を出している。このことをいかようにお考えになられ、今後いかに善処されるお考えかお答えいただきたい。
#66
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは私も瞥見いたしましたが、気持はわかると思います。次善の策とは申しながら、まだ努力の足りないところもわれわれ認めておるわけでございまして、臨時応急措置とは言いながら、できる限りに充実していくという要望を意味しておると受け取りまして、今も申し上げた通り、今後に向かって極力努力をいたしたいと思います。
#67
○矢嶋三義君 そういう答弁では問題は解決しないのですが、しかし、努力するという点だけでも多として、時間がありませんから、質問を続けますが、小林政府委員に伺いますが、工業短期大学とこの工業教員養成所の科目の比較はいかようになっておりますか。具体的に伺いますが、工業短期大学の基礎一般教育科目は何単位になっておりますか。ある面では短期大学より劣っている面があると私は思うのですがね。
#68
○政府委員(小林行雄君) 短期大学におきましては、三年制の短期大学の場合で合計としてはやはり九十三単位、それから二年制の短期大学は六十二単位ということでございます。で、中身から申しますと、三年制の九十三単位の中には一般教育科目として十八単位、それから保健体育が三単位、専門教育科目が三十六単位ということになっております。それから二年制の方の六十二単位の中身は、一般教育科目が十二単位、保健体育二単位、専門教育科目二十四単位、なお外国語につきましては、必ずしも必修でないということになっております。
#69
○矢嶋三義君 こういう教員養成所は、基礎教育科目は十七単位ですね。そうなりますと、三年制の短期大学の十八単位よりも一単位少ないということになるわけですね。いかがですか。
#70
○政府委員(小林行雄君) 共通必修の科目として基礎教育科目は十七単位でございますが、そのほかに教職教育科目七単位をやることにいたしておりますので、合わせて二十四単位ということでございます。
#71
○矢嶋三義君 内藤さんおいでになっておりますね。あなた専門家ですから、伺いますが、教員養成というのは、必要な専門知識と、それから人間としての教養、教育、これは一段日本人としての教育、その上に教員としての教職教養をアルファして教員を養成するというのが原則だと思うのですが、この点、いかがですか。
#72
○政府委員(内藤誉三郎君) お説の通りでございます。
#73
○矢嶋三義君 だから人間形成という立場から考えますと、この工業教員養成所の科目の設定の仕方よりは、三年制の短期大学の方がよほどりっぱですよ、人間形成という立場からいきますと。だから、まことに失礼ながら、工業教員養成所卒業生というものは単なる技術屋さんですね。一言にして言うならば単なる技術屋さんですよ。だから専門教育科目を九十三のうちに六十単位やる。まさにこれは破格ですわ、九十三とのウエートからいくならばですね。だから単なる技能者、技術者というものとしてあるわけですね。だから、ある産業界から技術者、技能者が必要だからというので、そういう速成養成をやるということは、発展性はないかもしれませんが、その限りにおいては許されますね。認められる。しかし人の子なんです。人の子を教育するのですからね。しかも将来の日本の産業界を背負って立つ技術者を教育する教師を養成するのですからね。その人間形成面に単位が十分でない。短期大学にさえ劣っている。この点にむずかしい問題があるのじゃないですか。もうちょっと教員を養成するという立場から、科目と単位の検討はできないものですか、私は再検討すべきだと思うのです。かりに小林さんの見解をいれましても、この基礎教育、一般教養ですね、これは大学の四十八単位に対して、教員養成所は二十六単位、半分ですね。そうして一般教育科目、基礎教育が非常に不十分だというのは最もあの象徴的な特徴ですよ。こういうことで創造的な教育なんかがやれる人が養成されるでしょうか。それとも、非常に素質的に優秀な人材が集まってくれば、みずからの独学によってある程度カバーできます。しかし、今の日本の産業界の現状からいって、授業料減免についても、あるいは貸費の問題についても、あるいは将来大学への接続と、こういう点から考えても、素質的に優秀な人材がこういう構想では集まるとは考えられない。ある角度から具体的な施策を講じますと、失礼ながら経済力の弱い階層の子弟が、優秀だけれども他に機会がないというような方が集まる場合もある。そういうようになっておれば、素質が優秀だから、ある程度足らざるところを補い得ると思うのですけれども、今の諸条件から考えた場合に、非常に質的に優秀な人材がここに集まるとは考えられません。しかも、教室で大事な人間形成面の科目が不十分という点については、致命的な欠陥がここにあると思う。その科目そのことについては再検討されるべきだと思うのですが、文部大臣の御所見を伺いたい。
#74
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 再三申し上げますように、やむを得ない次善の策でございますから、御指摘のような、ある程度の欠陥はあると思います。科目等のことにつきましても、実施の結果に照らしまして、また、養成所の所長以下の意見等も十分に聞き、連絡しながら、将来に向かっての改善ということは考えねばならぬことは当然だと思いますが、当面はこれでスタートを切って、欠陥を補ういろいろな努力は今後に待ちたいと思います。
#75
○矢嶋三義君 しかし、それは不可能なことなんですね。それで学生諸君に誤れる認識をされてはなりませんから、明確にしておきたいと思うのです。まず、この養成所を卒業した学生が学校教育法に基づく大学の四年への編入は不可能だ。これができるような、不確定的な事柄を学生諸君に印象づけておいたならば、一生の問題でかわいそうだと思う。それは教育科目の設定の仕方からいいましても、それから一年、二年、三年とカリキュラムを組んだそれからいいましても、大学の教養課程とは全く違いますから、とても大学の四年あたりの編入はできっこない。これは明確に文部大臣しておいていただきたい。いかがですか、文部大臣。
#76
○政府委員(小林行雄君) 確かに教育課程の中身が大学等とは違っておりますので、普通の場合の編入とかなり様子が違っております。しかし、この工業教員養成所につきましては、それぞれ母体となりますところの、付設する大学側におきましても、やはり将来編入というととは考える方がいいんじゃなかろうか、そういう道もあけておく方がいいんじゃなかろうかという御意見も実はございますので、そういった点いろいろ勘案いたしまして、将来そういった道をできるだけ開いて、この卒業生が将来また志を新たにして大学の勉強をしたいという場合には、できるだけの便宜が与えられるように方法を検討したいと思います。
#77
○矢嶋三義君 そんな、局長さん、無理な夢みたいなことを言っちゃいけませんよ。これは宇宙ロケットを日本が飛ばすのと同じ程度の困難さがありますよ。日本の今の学制はめちゃくちゃになりますよ。それは袋小路にならないでつながっていけば、それに越したことはないのですよ。そういうようにしたいという気持はわかりますよ。わかりますが、それは不可能なことなんですよ。それを将来いかにもできるような誤れる期待と希望を学生諸君に与えて、その学生諸君が入学してきたらかわいそうだと思う、私は。だから、その点をはっきり、無理があるということを法律案審議の中で明確にしておいたらいいと思う。それは、そんなことをしたら、今の日本の大学の教育体制というものはこわれてきますよ。全教授連合の反撃を受けますよ。文部大臣、これははっきりしておいていただきたい。
#78
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教科内容に言及して、詳しいことはむろん私はお答えしかねますけれども、今、政府委員が申し上げましたように、袋小路でないようにする方法があるならば、検討して実現したいという希望は捨てておりません。
#79
○矢嶋三義君 それじゃ、大学局長、伺いましょう。どういう方法があるの。
#80
○政府委員(小林行雄君) その養成所の案を立案いたしました際に、いろいろ先ほど申し上げましたように、大学側の意見も徴したわけでございますが、御承知のように、たとえば外国の大学、外国の高等教育機関を出て日本の大学に入ってくるという場合にも、編入のような制度も認められるのでありますから、そういうような例も勘案して、もし何らかの方法が認められるならば、その道をあけてもらいたいというのが要望でございますので、文部省としても、大学側の納得を得て、無理なくできるものならば、そういう道も開きたいという気持でございます。
#81
○矢嶋三義君 そういうあやふやなことを答弁しておって、この法案を上げてもらおうなんていうのは虫がいいですよ。審議は終結いたしますが、しかし、局長さん、そういう答弁では無責任じゃないですか。外国の大学を卒業した人を日本の大学に編入させるのと同一に論ずべきものじゃないですよ。違うのですよ、それは。国内間における問題と、外国の大学を出て、たとえば語学を非常にやっておるのとは非常に質的に問題が違いますね。たとえば基礎教育科目でも、物理が三単位、化学または図学が三単位というのですよ。ケミストリーと図学をあわせていずれか三単位というのですよ。一方をやったら一方はやれない。ひどいものですよ。あなた、数学にしても五単位ですよ、三年間に。これで将来、大学に編入できるように便宜をはかりたいなんて、そういうようなことを言うから、池田長官に、文部省とんでもないと言われるのだけれども、これは中教審の意見を伺いましたか。大学当局のそういう点についての見解を承って、大体よさそうだという見通しで答弁されておるのですか。
#82
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように、四年制の大学とは教育課程の基準が違い、教育内容も違っておりますので、相当これは問題があろうというふうに考えておりますが、もし、そういう無理であってもそれを克服して道が開けるということであれば、そういうものは検討したいというふうに考えておるわけでございます。必ずそれができるというふうには現在思っておりませんけれども、そういう意味で検討はしたいというふうに考えておるわけでございます。
#83
○矢嶋三義君 検討することはけっこうですが、誤れる期待を持たせないようにしていただきたいと思う。もう一点、同じ部類の問題ですが、大臣は、衆議院の速記録を見ますと、大学卒業と同じ待遇をしたいと、こういうふうに答弁されておるのです。それで本委員会でも一、二伺いましたが、そのときに人事院の総裁並びに給与局長は、今の日本の給与制度から言うと、修学年限と免許を重視しておる今の日本の制度からそれは無理だと、こういう答弁をされているわけです。僕はそれはその通りだと思うのですよ。これを修学年の三年ということと、それから普通二級免許も取得できない免許をかけて特別な臨時の措置として救済する、そういう便宜を講じておきながら、これを四年の大学を卒業し、堂々と一級普通免許をとった人と同じ待遇をするということになれば、これは青年諸君の思想上にも私は影響してくると思う。そういうことは不安なことだと思うのですよ。しかし、努力してそういうふうにしたいと、いかにもそうなるかのような受験者諸君に期待と印象を与えるということは私は罪なことだと思うのです。だから、そういう気持ではおるけれども、そういうことは困難性があるということは明確に答えておいてもらわないとあとで困ると思うのですね。大臣いかがですか。
#84
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今の段階といたしましては、人事院の意向等も、本委員会で表明されたことに関する限りは、御指摘のような困難性があると私も理解しております。給与体制として形式的に同じだということが仮りにできないといたしましても、実質的には同じになるように考慮する、努力するということはこれは私は当然なことだと心得ております。そういう努力をいたしまして、人事院ともとくと相談をいたしたいと思っております。
#85
○矢嶋三義君 日本の教育体制、免許制度、給与制度というものを混乱させないようにしなければならぬということは、これは立法府においても行政府においてもとるべき基本的原則だと思いますので、特にこれは私要請いたしておきます。可能なことがあります。この法律案が成立した場合に、それは特別奨学生のワクを広げて全員特別奨学生に採用するということ、そうなりますと、下宿の諸君は七千五百円、それから自宅通学の場合には四千五百円貸与される。そして、あなた方、われわれ期待しておるように、教職についていただけばこれは全部免除になるわけですから、だから教職員としても確保できるし、それから当事者も学費の面で助かるわけですから、そういう点に魅力を感じ、優秀な素質を持った生徒諸君が応募してくる場合も私はあると思う。これは可能なことですから、今特別奨学生のワクは八千人になっておりますが、このワクを別ワクとして広げて、そうして養成所が発足した場合には全学生を特別奨学生として採用する、このことは予算も多くかかりませんし、最も現実的で最も可能な具体的な施策です。これをやっていただくことを強く要望し、大臣の御所見を承ります。
#86
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘の点は、先ほどの御質問に対しまして付加して申し上げた通りでございまして、当面、運用上奨学制度を活用して参りたいという考えでおります。
#87
○矢嶋三義君 運用上活用するということは、私が意見を申し述べてお伺いしましたように、かつての高等師範あるいは臨時教員養成所のように、あるいはそれに準じて全員奨学生に採用できるように、そういう方向で努力をすると、大臣のお考えはそうだと、かように了承しておいてよろしゅうございますね。
#88
○国務大臣(荒木萬壽夫君) すでに御決定いただきました予算では、当然そのことを予定してはおりませんけれども、差し向きのところでは、運用上御指摘のような方向に持っていきたいと思っております。
#89
○矢嶋三義君 私の主張しているところは、あの八千人の予算のワク内で運用しますと、他の大学の学生の諸君にしわ寄せがきますから、これはいけないことだと思います。予備費の支出をはかるなり、昭和三十七年以後は予算編成においてそれを配慮するなり、そういう方途を取るべきである、取っていただきたいという要望を兼ねて私は伺っているわけですから、もう一回お答えいただきたい。
#90
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お示しの通りのことをやろうとしますれば、予算的には三十七年度以降に期待せざるを得ないと思います。その意味での努力は一つの事柄としてやりたいと思います。今年度といたしましては、現実に特別奨学制度を受け得るような人がなるべくたくさんとの方に入ってきますように慫慂しつつ、結果的に先に申し上げたようなことを実現したい、こういう意味でございます。
#91
○矢嶋三義君 質問を続けます。
 小林政府委員に伺いますが、一昨日、進藤参考人の口述から明確になったわけですが、東京工業大学の学長は、三十五年の九月に私信の形で意見具申をしているわけです。このことについて衆議院の速記録を見ますと、あなたは知らない、関知しないと答弁しておりますが、これはどういうわけですか。
#92
○政府委員(小林行雄君) 全体のお集まりの際に御意見の発表がございましたことと、それからまた特に私のところへおいでくださってお話のあったことについては記憶いたしておりますが、私信と申しますのは私ちょっと今記憶がないのでございますが、村山課長の方にはその記憶があるそうでございます。
#93
○矢嶋三義君 村山大学課長は当時教職員養成課長であったはずですね。あなたは東京工業大学の学長の私信をごらんになりましたか、なりませんか。
#94
○説明員(村山松雄君) いただいております。
#95
○矢嶋三義君 それをあなたはどういうわけで上司である大学学術局長にそういう重要な私信をお見せしないか、怠慢ではないですか。
#96
○説明員(村山松雄君) 各大学からいろいろ御意見を寄せられたわけでございまして、大部分は口頭でのお話でございましたが、工業大学はメモの形でお持ちいただいたわけでございまして、その概要につきましては報告いたしましたわけでございます。内容の概要を申し上げますと、工業教員養成所の趣旨は賛成であるけれども、もう少しその内容を充実してほしい。たとえば教官組織につきましてももう少しふやしてほしい、それから施設や設備についても、たとえば一学科当たり五百坪よりももう少しふやしてほしい、それから工業大学は大岡山の学部のところではなくて、田町の付属高等学校のところへ作る関係で、運動場が狭いので、これの拡張について協力してほしいというような内容であったと記憶しております。これらはいずれも予算に関係することでございますので、御趣旨に沿って努力すると申し上げ、事実努力もいたしたわけでございますが、予算といたしましては工業大学御要望の線までは達しませんでしたので、その事情を三十六年の二月に入りましてやりました打合会でも申し上げまして、努力の足りなかった点はおわびを申し上げ、きまりました予算の線で計画をいただくことに御了承願いまして今日までやっていただいておるわけでございます。
#97
○矢嶋三義君 私は池田科学技術庁長官のような見方をあなた方に対してはいたしておりません。一部は認めますけれども、しかし、不十分な点もありますよ。何がゆえに、工業大学の学長が教授会の総意に基づいてこういう私信を出してきたものを、なぜその書面を学術局長にお見せしないのか、真剣にその意見を検討し、取り上げようと努力されないのですか。日本の工業教育に関しては最高峰ですよ、工業大学は。今まで技術者の養成についても、あるいは工業教育者の養成についても、かくかくたる業績を日本に残しておる学府じゃないですか。そういうところの最高責任者の学長じゃないですか。あなた方の心がけに欠けるところがありますよ。私は衆議院における同僚議員の速記録を見て驚いたわけですよ。小林さんは関知しないと答弁しておる。そういう速記録を学長が見たら心外千万に思うだろうと思う。文部大臣に伺います。そういうことでよろしいでしょうかね。一体、学術会議あたりの意向ですね、学界を代表するのは学術会議ですが、こういうところの御意見というものは日本の行政に反映させることを目的としているわけなんですね。ところが、なかなか日本の行政に反映しないところに日本の政治面の欠陥があるということが、これは朝野において指摘されているのですよ。それで、学術会議のことはさておいて、工業大学に教員養成所を付置したいと協力を求めているのでしょう。その大学の学長が教授会に諮って、ある意見をまとめて、今申された以外に大事なことは、一人について八千円程度の給付をぜひして優秀な人材を集めてほしい。そうすれば、四年間が三年になっても、素質がよければ次善、三善の策を講じましょうという気持で、協力的な、建設的な意見を具申しているわけですよ。そういう書面は、大臣、次官、局長、課長が顔を突き合わして熟読検討して、その実現に努力するというのでなければ、ちょっと読んで机のすみに置いておいて、こんなことを言ってきたくらいで口頭で言って、国会の段階になってから、そんな私信は知りませんなんて、怒るのはあたりまえですよ、大学の学長並びに教授が。こういう点は、やはり文部省の皆様方、もう少し謙虚に心がけを私は改めていただかなければならぬと思うのですが、文部大臣の御所見を承りたい。
#98
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 見たことはないということは要らないことだったと思いますが、今も説明員から申し上げましたように、内容的には所管局長にも十分伝わり、しかも文部省全体としましても、協力していただく各大学につきましては礼を厚くして連絡しながら、相当の無理があることを万々承知いたしておりますから、御協力願う態度で終始いたしております。その要望がいれられなかったのは、当該課長とか、局長ということでなしに、予算折衝においての努力不足を私が痛感するわけでありますが、先ほど来申し上げておりますように、現状で次善の策とは申しながら、これで足れりとはむろん思っておりませんので、今後の努力の成果によって各大学の協力の好意に報いたいと考えております。
#99
○矢嶋三義君 この付設を予定している九大学、それから東京工業大学の有志教授団、それから本日書面が配付されました愛知県における六大学の教職員組合教授連合、そういう方々から反対の声明が出されているわけですが、このことは、法案作業段階において意見の聴取が不十分である、こういうところに私はやはり原因があると思う。そもそもこの教員養成所は、わが国における教員養成現行制度を相当に型破りをする内容のものですよ。十分、中央教育審議会あたりの審議を経て、その答申を待たなければならぬものだったと思うのです。ちょっと了承を受けるというような形ではいけないと思うのですね。私は、かつて出た新聞の切り抜きをとってあるわけですが、中央教育審議会の大学特別委員会で非常に力説した意見の中の一つとして、一般教育というものはぜひ必要なんだ――これは教員養成についてでないのですよ。大学教育の面について人間形成と深いつながりのある一般教育というものはぜひ必要なんだ、現在の新制大学が旧制大学より劣っているという人があるけれども、もしそれを認めた場合には、その一番大きな原因は一般教育の不十分な点にある、こういう意見が圧倒的なんですよ、中教審でね。従って、発展性がない、創造性が伴ってこない、そこで、一般教育は今後の大学教育において充実しなければならぬ、そういう角度において日本の大学制度を検討しなければならぬ、こういう一応の結論が出ているわけです。そういう状況下に、工業高等学校の教員を養成する臨時教員養成所で一般教育を非常に軽視しておる。中央教育審議会に正式に諮問することなく、了承を得るという程度で出されたというこの行政手続にも私は反省しなければならぬ不十分な点がある。私は深甚な遺憾の意を表明するわけですが、こういう点についても、文部省の皆様方のやや独善、独走という点を今後注意しなければならないのじゃないでしょうか。文部大臣いかがお考えでございますか、お答えいただきたい。
#100
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一般的な態度としては御指摘の通りだと私も心得ます。ただ問題は、中教審に、大学制度一般、教員養成のこともあわせて考えつつ検討願っておる段階でございますので、このことだけを特別の課題として正式の諮問をして、御答申を待つということも、そういう手続上現実的には困難があったわけでございます。のみならず、教員不足の課題が最近になりましてとみに緊切の度を加えてきた。放っておけないというタイミングの問題もございまして、勢い略式の相談ということにならざるを得なかったわけでございます。一般的に申し上げて、十分の手はずを経たとはむろん思いませんけれども、やむを得なかったと承知いたしております。
#101
○矢嶋三義君 やむを得なかったことばかりで、全くやむを得ない法案とでも名前をつけたいように思うのですが、これを押し問答していますとまた時間がかかるから、もう二項目ほど質問したいことがありますので、質問を進行させます。
 大臣に伺いますが、教員養成について、私立大学に今後協力を求めるのか、それともこの前小林局長が答弁されたように、教員養成については協力を求めないという態度で荒木文政は進んでいくのか、お答えおき願いたい。
#102
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御審議願っておりますような臨時の教員養成所という形では協力を求めるつもりはございません。それは、この前の委員会でも政府委員からも申し上げましたように、あくまでも臨時、次善の措置でございまして、まともな教育制度を通じて教員が獲得できるという場合には、当然これは廃止すべき筋合いのものでございますから、そういう臨時的な措置を私学に要望するということは、事実問題としても適切でないのみならず、迷惑をかけることが最後的にはあり得るということからいたしまして、私学に対してこの形での教員養成は今後といえども求めるつもりはございません。ただし、申し上げるまでもないことでございますが、国公私立を通じまして、教員養成課程の制度があるわけであります。そういう面を通じての教員の供給を、従来通り、もしくはそれ以上に努力をしていただくという意味においての協力は今まで通りでございます。
#103
○矢嶋三義君 この法案は、所得倍増計画に伴う人材養成からの必要性と、それから昭和三十八年をトップとするところのベビー・ブーム、これの対処策の一環としての内容をこの法案は持っているわけですね。そこで今後の教員養成計画というのは国公私立にかかわらず計画的に推進さるべきものだ、私学へも協力を求めていくべきものだと私は考えます。そこでこの際大臣に伺っておきますが、いわゆるベビー・ブーム対策としては具体的にどういう青写真を持っておられるのか。この法案はその中のごく一部、工業高等学校、それに対処する教員養成という一部にすぎないわけであります。全部の青写真の大要をお答えおき願います。
#104
○政府委員(内藤誉三郎君) 御指摘のように三十八年から生徒が急増して参ります。同時に所得倍増計画も推進しなきゃならない、こういう点から私どもただいま計画いたしておりますのは、三十八年以降におきましても現在の進学率を下げないという大前提に立って計画を進めますと、大体百十万程度のものを公私立において収容いたしたい。公私立の割合は従来の実績から見まして七対三ぐらいになるわけでございまして、公立におきましては六十五万から七十万程度のものを公立において収容いたしたいと思います。公私立いずれの場合におきましても、先ほどの所得倍増計画がございますので、工業に重点を置きたい。工業につきましては今後公私立合わせまして八万五千人の定員増加をはかっていきたいということで、本年とりあえず一万人の増を予算上計上いたしまして、ほぼ一万二百人ほど現在のところ確定をいたしておるわけでございます。そこで、公立六十五万ないし七十万をどういうふうに消化するかという次の問題でございますが、私どもは一応新設を、一カ年五万として十五万程度で新設を見たい。残りの五十万程度のうち半分は、三年間でございますから、臨時的にすし詰めをいたす、残りの半分の二十五万程度、これは全国の学級数の約一割に当たるわけですが、一割程度の学級数はこれは既設の学校の拡充と、こういうことになろうかと思うのであります。こういうような方向に基づきまして、ただいま府県に文部省の方針を示しまして、具体的な県の計画をいただいてこれを今まとめておる段階でございまして、なるべく早くこの全体計画を見まして、三十七年度以降の予算折衝にも支障のないようにいたしたいと考えておるわけでございます。
#105
○矢嶋三義君 その青写真に即応する教員養成計画はどういうことを考えておられますか。
#106
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体今申しました百十万のものに対しまして、教員数といたしまして約三万程度の増になろうかと思います。どの程度のものですと一般的には現在の教員養成の中で消化できます。ただ工業につきましては現在でも不足しておりますし、さらに八万五千の定員増加をいたしますためには、これが累積いたしますと昭和四十五年までには四十数万に上りますので、そのためにはどうしても臨昨教員養成を考えなければならないというのが、この法案の提案理由の大きな原因でございます。
#107
○矢嶋三義君 この点はもう質問を敷衍いたしませんが、一点だけ聞いておきたいのは、今あなたの青写真を進めていくにあたっては予算を伴うわけですが、その予算措置等を見ておりますと、意識されているか、されていないかもしれませんが、施策から現実に現われてきた面を見ますと、女子教育は私学で、男子教育は国公立でと、こういう現実面が出ております。これは意識されておられるのかどうか、荒木文部大臣に承りたいと思う、それは誤りだと私は思う。ともかく女子教育は私学でというのは現実面にそれは出てきております。これは今後青写真を進めていくにあたって、予算編成等にあたって考慮しなくちゃならないと思いますが、御所見を承っておきます。
#108
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お示しのような事柄を意識しているわけではないと心得ております。結果的にそういうことになろうかと思いますが、実態を私自身もよく把握ができておりませんので申し上げることができませんが、十分検討させていただきます。
#109
○矢嶋三義君 教員養成のために大学に在学する学生の数、それからそれは自然科学にしろ、人文科学にしろ、社会科学にしろそうですが、教育計画を立っていくにあたっては国家計画があるわけですね。従って、教員養成を目的とする学生にしろ、一般の学生にしろ、国公私立の大学に現在学生が何名程度在学して勉学しているという数字は、国の政治という面からいって文部大臣は数を把握しておられなければならないと思うが、ところが先日の池田科学技術庁長官とあなたの答弁を承っておりますと、これは若干の誤差はやむを得ないと思うけれども、大まかなものは握っていなければならないと思うが、把握の仕方に不十分というか、私はあると思います。この点についてはどういう反省をされているか、御所見を承りたいと思います。
#110
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 以前に当委員会で数字的な御質問に対しまして、数字に弱いことを告白申し上げましたが、数字的にももっと勉強して池田長官並みになりたいと思っております。
#111
○矢嶋三義君 それはよけいなことですよ、池田長官並みというのは放言ですよ。これはある意味では放言は池田長官以上ですよ。ILOに対する放言のごときは国際級ですよ。それはちょっと茶目っ気を出されたんでしょうが、時間がありませんから追及いたしませんが。あと二項目ですが、討論の必要上明確にしておきたいのですが、内藤局長さんと小林局長さんに伺いますが、この技術者の不足推定数、充足計画に伴う資料を出していただいたものですね、これを見た場合に、高級技術者の養成計画の一万六千人の定員増は、もうちょっと早く繰り上げるというふうにしないと、中級技術者の養成計画のそれとバランスがとれない、のみならず、支障を来たすのじゃないか、これは予算編成にも影響して参りますけれども、あの一万六千人の定員増の計画は、一年でも二年でも繰り上げるという方向でこの計画を修正されなければならないのじゃないかと思うが、この点について小林局長と内藤局長の説明を承っておきます。
#112
○政府委員(小林行雄君) 一万六千人の計画で参りますと、御承知のように、十年間に約十七万人もの不足数の累計になるということでございますので、これでは非常に産業界の発展に追いつかないということも予想されますので、私どもといたしましては、一万六千人計画を実施するにつきましても、できるだけ学生の増加、増募等を全般に繰り上げて、できるだけその不足の開きを少なくするように、明年度以降さらに努力をいたしたいと思っております。
#113
○矢嶋三義君 その限りにおいて答弁了承しました。
 そこで、高級技術者十七万人不足、今七万人をこの計画で教育する。十万人不足するが云々ということが出ているわけですね。これはいわゆる工業高等専門学校法案ですね、これは審議にも入っていないし、おそらく成立しないであろうと思うのですが、あなたの方ではこれは法律案を出してきているわけですが、それとの結びつきが一言もこの資料の中には説明の中にも出ていないのですが、その辺どういうふうになっていると私は把握して討論したらいいでしょうか、お答えいただきたい。
#114
○政府委員(小林行雄君) 現在この高級技術者として推計いたしておりますものの中には、御承知のように四年制大学卒業者と短期大学の卒業者だけを計上しておるのでございまして、高等専門学校が国会の御審議、御承認を経てその制度が新たにできるということになりますれば、これはやはり短期大学等と同じレベルの高級技術者になろうと思いますので、それができ、さらにその卒業者が出るということになりますれば、この高級技術者の数の追加の増加になろうと思います。しかし、現在ではまだ何とも審議が見通しが立っておりませんので、その数には入れておりません。
#115
○矢嶋三義君 そういうことは、文部省はあの法案は成立しないであろうということを予見しているのだと思うのですよ、もしあなた方そういう法律案を出して成立するであろうというなら、どうしてこの資料の中に入ってこないの。それは条件付でこの計画の中に数字が入ってきてなければおかしいじゃないですか。あなた、この前出してきた資料の中に何にもその点は出ていないから、あの法案は審議していただかぬでもよろしい、こういうようなお気持だろうと僕は思っているのですが、資料の提出の仕方としておかしいじゃないの。との資料は大学課長がこしらえたはずだが、大学課長は事務当局としてどういう見解で作成したのか、資料が不十分であったなら不十分であったとシャッポを脱ぎなさい。お答えいただきます。
#116
○説明員(村山松雄君) 大学卒業程度の技術者の充足計画は、全体で四十五年度までに十七万人不足を、入学定員一万人増で、できるだけその不足の充足に努めるという計画でございまして、一万六千人の年次計画といたしましては、一応均等に年次計画を立てるということで試算したものでございまして……。
#117
○矢嶋三義君 質問のところにピントを合わして。
#118
○説明員(村山松雄君) 実施の段階におきましては、実施段階における高等教育機関制度の変遷がありますれば、当然修正を加えるものと考えております。
#119
○矢嶋三義君 答弁にならないですが、時間がないからいたしません。そんなあんた、法案を出しておいて、こんな資料出すなんていいかげんなものですよ。
 文部大臣に伺いますが、中級技術者四十四万不足、十万足りないから、これを企業内で教育して云々と答弁されましたね。そうすると、その十万は中級者四十四万の内ですか外ですか、お答えいただきたい。
#120
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員からお答えさせていただきます。
#121
○政府委員(内藤誉三郎君) 不足は四十四万の外で考えたいと思っております。
#122
○矢嶋三義君 この前の答弁を修正されたわけですね、それでけっこうです。
#123
○政府委員(内藤誉三郎君) この前私が答弁いたしましたのは、現実の工業以外の、たとえば薬学とか法文系統、そういうもので現在は充足されているのが大部分だ、それを専門の大学の理工系のものにかえた方がよりいいという意味で、大学局の方の技術者養成計画が進められているわけです。ですから建前としては法文系なり、あるいは理工系以外の、たとえば数学とか、なるべく近いものから埋め合わされているということでございますので、四十四万の計画には直接触れないだろうと思います。
#124
○矢嶋三義君 わかりました。そこで、一応四十二万という数字が出ておりますね、それに即応いたしまして教員養成計画が出ております。あなたの方からここで資料をいただいておりますが、三十六年から四十五年まで四千三百五人の不足になりますね、工業教員が。しかし不足になるが、四十三年から毎年供給としては、四十三年が四百人、四十四年が五百五十五人、四十五年度で七百九人の供給過剰となっておりますね。そうなると、このあなた方の数字を承って、私は確信がある結論が出てこなくて、この計画はずさんだという一言に尽きるのだが、こういう養成計画でやって教員が過剰になるのか不足になるのか結論が出せないのでありますが、あなた方ほんとうに確信を持って、教員養成課程の七大学百三十人の定員はこれから同じようにやっていくというわけでありますね、さっき答弁された。これに出ておりますが、四十三年度から卒業生が過剰になるわけですね、それからまた免許状を持った人が、小中高等学校に工業科目を持っていない人で約一万人いると言われております。そういう点からも供給して参りたいということでありますね、さらに高級技術者の十七万人不足ということは、池田長官の話しでは、十七万人でもまだ足りないということをこの前答弁しております。それから四十四万と十七万との関係については、あるときには経済企画庁は内だと言い、あるときには外と言う。こういうことから、これを数的に総合して判断した場合に、全く行き当たりばったりで、まあこれでいこうというようなところで、過剰になるのか不足になるのかということは僕自身として結論が出なくて実は困っているのです。それだけにこういう免許法あるいは教員養成制度、そういうものに、さらに教育制度にも混乱を起こすような三年制の教員養成所というものを、大学当局の意見も十分聞かず、中央教育審議にも正式諮問せず、ぜひやらねばならないというふうな必要条件というものを納得させるような条件が出てくるかという点、どうしても僕は答えが出ないのでありますが、両局長はどういう見解なのか、速記に明確に残して置きたい。時は流れて参りますから、ある時期にはその答えが出ますから、そのときあなた方次官になって退官しているかもしれないが、もし次官になっておったならば徹底的に追及いたしますから、速記に明確に現時点におけるあなた方の判断、見通しを述べていただきたい。
#125
○政府委員(小林行雄君) 工業教員の需給の見込みでございますが、御配付申し上げました資料でごらんいただきますとわかりますように、一応の計画ではございますが、大体四十三年度以降は供給に過剰を生ずるような数字になっております。しかし、これは現実には新たにできる工業高校の府県の状況その他によっていろいろと変わって参ります。また民間企業からの転任者とか、あるいは中高からの転任者の数によってもいろいろと変化する要素が実はあると思っておりますので、必ずこの通りになるかどうかという点はまだ確信を持ちませんけれども、大体の大勢といたしまして、こうなるのじゃなかろうかと思っております。こういう事態に立ち至りましたならば、もちろん十分にいろいろな状況、大勢を十分判断しなければならぬと思いますが、確実に供給過多になって、それが教育界に悪い影響を及ぼすというようなことになりますれば、私どもとしては、この国立の工業教員養成所は当分の間の臨時のものでございますので、逐次これを廃止して、それぞれ大学の教育施設なり、あるいは他の教育施設に転換することを考えて参りたい、需給に応じて増減の措置を考えて参りたいと思っておるわけでございます。
#126
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在府県で一番悩まされておるのが工業学校の先生の不足でございます。その先生の不足を緩和するために、工業の先生については定年制を引き上げたり、あるいは先ほどから問題になっているように、今免許状のない先生を何とか使いたいという一方に要求もあるわけです。それで免許法の改正も出ておるわけですが、非常に現在工業教員が払底している。その際に、これから本年一万人、来年は一万五千ないし二万人くらいの増になろうと思いますが、毎年定員を増加して参らなければならぬ。八万五千人までふやしていく、こういうことになりますと、私どもはどうして工業教員を確保するかというのが一番の大きな悩みでございまして、ここで八百八十名でも毎年経常的に当分の間出ますれば、これは非常に大きな力になろうと思う。もしこれができないとすれば、所得倍増にも非常に大きな支障が起こるのではなかろうかということを懸念いたしておるわけであります。
#127
○矢嶋三義君 これ以上申し上げますと討論になりますから、委員長の委員会運営に協力しまして、最後の質問としますけれども、ただ指摘しておきたい点は、あなた御存じのように、理科教育振興法案が国会で審議された当時から、工業教員、理数科教員の不足は叫ばれておったのですから、対策は講ぜられるべきであった。そうすれば、こんな教員養成制度とか、大学制度に、日本の教育制度に混乱を起こすような、こういうインスタント的なものは考えなくて済んだわけです。今の時点においてもなおかつ講ずべきことはあるのだけれども、討論になりますから、それだけ申し上げておきますが、この点は大学学術局長に答弁をわずらわしたいわけですが、何ですか、この法案が成立したら、学生募集時期はいつにするつもりであり、また授業開始時期はいつごろにする目途を持っておられるのか、お答えを願いたい。と同時に、いずれ、きょう委員長理事打合会できまりましたから、文部省の私の要求に基づく資料に基づいて、入学試験の問題については総合的に、他日、日を改めて調査いたしたいと思うのですけれども、この入学試験は教員養成所と同一問題で一貫してやられるのか、それとも各大学に、付設される大学におまかせするのか、その点も合わせて伺うとともに、人の師になる人を養成する機関ですから、入学試験のときに変なことが行なわれないように御配慮いただきたいと思う。これは大学みずから自主的に御考慮下さることだと思いますが、そういう念願を持っておることを私は意思表示しておきます。
#128
○政府委員(小林行雄君) この工業教員養成所は、法律が成立いたしますれば即刻に開設の準備を進めたいと思っております。実は三月中にこの法案がもし国会を通過すれば、それから直ちに準備をいたしまして、おそくも五月中には授業を開始したいというような気持でありましたが、だいぶずれておりますので、しかし、それにいたしましても、私どもといたしましては、六月の初旬ごろには何とか入学者を決定して、授業開始の取り運びに至るように努力をいたしたいと思っております。なお、ただいま最後にお尋ねのございました入学試験につきましては、現在のところそれぞれの付設する大学で入試の実施をしてもらう心がまえでおるわけであります。
#129
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#130
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
#131
○岩間正男君 最後に一、二点念を押しておきたい。それは、大学局長にお聞きしたいのですが、この前私が質問をしたとき、兼任をさせない、兼任教員を置くのかどうかという問題を質問したところが、あなたは、兼任教員はないと言う。ところがそうじゃないんです。実態はどうなんです。専任教員も置くけれども兼任教員も置くんだ。その兼任教員の方は、はっきり大学の本学から引っぱってくる、こういう格好になっておる。この点もっと明確にして下さい。この点非常にあなた、との前夜分のせいもあるかもしれないけれども、非常にこの点不明瞭な答弁をした。この点はっきりして下さい。
#132
○政府委員(小林行雄君) 前回のお尋ねは、いわゆる専任教員としてもらう定員についてはそれぞれの大学から兼任するのかというお尋ねでございますが、教授、助教授、助手等の専任教員は、それぞれの工業教員養成所の専任でございまして、その大学と兼ねるということは考えておらないわけでございます。なお、それ以外に非常勤講師その他のものがあるわけでございまして、そういうものはもちろん、たとえば他の大学なり、あるいは民間等からの臨時的な講師としてくるということが考えられるわけでございます。なお、大学によりましては、大学の事情で、その大学の教授等がこちらを兼ねるという場合もあるいは出てくるかと思います。
#133
○岩間正男君 あるいはでなくて、これはね、そこのところがあなたたちの頼みで、それでおもやにひさしを作るようなこういう法案を作ったんじゃないか、従って、その場合、本学の方が非常に犠牲を負わなければならぬ、混乱する、労働強化も起こってくる。労働強化よりも何よりも研究の低下というものが非常に心配されておる。これはこの前の進藤参考人の意見でもるる陳述されたところなんです。これに対して、そういう事態を起こさない、大丈夫だという保障をはっきり明確にして下さい。これは大臣も答弁してもらいたい。この点非常に当事者は心配しておるので、この点に対して、単に抽象的な答弁だけじゃ話にならぬ、どういう保障が具体的にあるか、この点明確にして下さい。
#134
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、専任以外の先生につきましては、これは非常勤講師でございまして、もちろんその付置する大学の先生でなられる方もありますが、また、それ以外の民間の専門家等も出てくるわけでございます。付置大学等からこられます場合には、その大学の教育研究に支障のない範囲内で、こちらの方の非常勤講師を兼ねてもらうということでございます。
#135
○岩間正男君 私は非常勤をどこから引っぱってくるか聞いてないんですよ。大学はとにかく設置して、おもやなんだから、おもやが頼みでひさしを作っているんだから、はっきりしているのだ。従って、おもやの方で混乱が起きたり犠牲がしいられる、こういう危険が十分ある。もし、これに対して保障を明確にしておくということでなくては、かえってこういう法案を作ることは混乱を招くことになるんです。従って、その点について、たとえばどれ以上は出さないとか、具体的に言わなければならない。単に今のあなたの答弁では、まるで大臣答弁みたいじゃないですか。本学の方に混乱を起こさない範囲内でやるんだとか、そういうような答弁じゃまずいので、どの程度一体考えておるのですか。その場合の兼任というのはどの程度考えておるのか。それ以上はやらない、こういうことを明確にしておかないと、この法案非常に危険性をそこのところに持ってくる、大混乱になります。
#136
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答えを申し上げましたように、付置する大学の教官が非常勤講師としてかねるという場合は、その大学の方の教育なり研究に支障のない範囲内でやってもらうということでやっているわけでございまして、もちろん先般来いろいろお話のございましたように、工業教員養成所の教官数をもっと増してもらいたいという御要望がございました。これについては私どもの方でも検討する考えでございますが、特に付置する大学の方の先生の負担がそのために非常に大きくなって支障を生ずる、非常に研究上あるいは教育上困るというようなことは私ども今まで伺っておりません。
#137
○岩間正男君 伺っておりませんて、この前の参考人が一番この問題を大きく言っているわけでしょう。だから、これについて具体的に研究する必要がある。
 時間があまりないから大臣に伺います。大臣は、かりにこの法案が――われわれは反対で通す気はないのですけれども、かりに通れば、通ったあとにおいて、このような付置する方の側の先生たちと責任者と十分に話し合って、ことに具体的にその衝に当たる人、そういう現場の人たちとよく話し合って、そういう犠牲の起こらないように、今後この問題を話し合って措置する、そういう考えありますか。これはやらなければならないと思う。今の大学局長の答弁からいけば、支障のない範囲内で――実にばく然たるものです。支障のない範囲内という言葉が使われているのが日本国会の特徴なんです。こんなことで抽象論をやっておったのでは話にならないから、具体的にどうするのか、この点について話し合う用意がありますか。
#138
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 付置して、その大学の先生が講師という形で兼任するということを当然予定しているわけですから、その限度内ではその大学に迷惑がかかると思います。かかると思いますが、かかってもなおかつ先生の養成が必要だということを認識していただいて御協力いただくわけですから、しばらくがまんしていただくという、これはまあこの制度を考えましたときから当然そのことは予想されることでございまして、そのことも含めて当該大学としては一応御賛成を得ているわけでございます。で、今お話のような、具体的に今後しからばどうしていくのか。迷惑がかかることは当然としても、最小限度にしてしかも目的を達する方法いかんということは、これは相談しなければ出てこないことだと思います。同時にまた、そういう具体問題は養成所それ自体が自主的にきめることでもございまして、文部省が決定してその通りというわけには参らぬ筋合いかと思います。もちろん十分の打ち合わせをしてそごのないようにすることは、当然のことと心得ます。
#139
○岩間正男君 迷惑が起こるのは最初から覚悟の上だ、しかし迷惑が起こってもがまんしてもらわなければならない、これが大臣の答弁の要旨のようであります。私はそういうことははなはだけしからぬことだと思うのです。それを予想して――本末転倒の感がありまするので、この点では賛成することができません。まあいろいろ私も質問を準備しておったのでありまするが、これは討論の中でやることを前提として、これでまあ協力して終わります。
#140
○委員長(平林剛君) 他に質疑のおありの方はございませんか。――他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。よって質疑は終局いたしました。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#142
○矢嶋三義君 私はただいま議題となっております国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に対しまして、社会党を代表いたし反対の討論をいたさんとするものであります。
 まず指摘をいたしたい点は、かような日本の教員養成制度、学制、尊重されるべき免許法の運用に混乱を招来するような、こそく的でどろなわ式法案が出てきた遠因というものは、わが国の科学政策、教育政策の貧困にあるということを指摘しなければならないと思います。十年後に所得倍増計画に即応する高級技術者が約十七万人不足する。同じ池田内閣の科学技術庁長官は、その十七万人という数字は誤りで、それ以上だという見解も表示いたしております。一応十七万人として、これから七年間に一万六千人の定員増をはかられようとしておる。また中級技術者の面では約四十四万人不足であり、これに即応するために七カ年間に約八万五千人の定員増をはかられようとしているわけですが、審議の段階で明確になりましたように、この計画はきわめてずさんであります。その線から引き出されて参りましたこの教員養成計画は、はたして現時点に立ってこれを見た場合に適正なものかどうかという点については、政府答弁の数字をもってしては、にわかに判定することに苦しんでおります。このことは、本法律案が非常にずさんであるということ、これは教育政策の貧困のもたらすところであります。
 それからかような火事どろ的な法案を提出しなければならなくなったことは、結局、長期計画的な科学政策の欠如しているという点にあるわけでありまして、よく叫ばれながらも、教育投資、特に研究投資の面については、世界の先進国の現状にはるかに劣っております。具体的に申し上げますならば、昭和三十三年の時点において、日本は国民総所得の〇・九四%しか研究投資をいたしておりません。国民所得がわが国の数十倍もあるところのアメリカにおいて二・七%の研究投資をしているわけでありまするから、いかに貧弱であるかということが言えると思うのです。日本の資源、国土、人口、それらの条件を考える場合に、教育投資、研究投資こそ、国としては最も効率的な投資だと考えられるがゆえに、その角度からの予算の編成、具体的な科学政策を計画的に年次的に推進してこなかったところに、かような法案を審議し、当面間に合わせなければならぬという事態が起こってきたわけでありまして、この点まことに遺憾に思う次第でございます。特に一番大きな根本は、研究者、教員の面について言うならば、一般教職員の給与並びに待遇の不適正であるということが最も大きな原因になっていると思います。審議の段階に明確になりましたように、最近三カ年間に、元国立大学の理工系教官が海外に流出した人数は三十三人と指摘されております。また民間へと流れた研究者は三十二年に千二百八十七人、三十三年に千四百十六人、三十四年に千六百三十人という膨大な数字を示しております。また公務員給与法の研究職俸給表の適用を受けている方で、その待遇が適正でないという理由で離職された人が、三十四年度だけで政府発表においても二百十五人という数字を数えております。かように産業界は活発であり、給与と待遇が公務員に比してはるかに高いのです。それに対処するところの具体的施策を行なわないところに、かような法案を必要とするということに相なったわけでありまして、政府の責任を追及せざるを得ません。特にこの法案と直接関係があるところでありますが、全国の七大学に教員養成課程が設けられ、百三十人の定員があるわけでありますけれども、政府委員の答弁に明示されましたように、三十五年度において、そのうちわずか一人しか教員にならなかった。現実にこういう事態が起こっていることについては、政策を立て、それを行政執行して参るところの政府としては責任を感じ、適切なる方策を講じなければならぬ。抜本的な方策を講ずることなく、安直にこういう法案によって当面を糊塗しようという点について、基本的に賛成することはできません。
 第二点といたしましては、参考人の口述にもありましたように、また、文部大臣もお認めになられたわけでありますが、工業教員に限定することなく、全教育者、研究者、こういう方々の給与及び待遇を適正にするということ、改善をするということ、この施策をぜひとも実現しなければならない、これを私は、その研究とわれわれの審議を求めてくるように具体案を作成することを行政府に要求をいたします。そういう点に根本的な顧慮を払っていないこの法案に私は反対いたすわけであります。
 それから第三点としては、先ほども申し上げましたように、日本の戦後発足した教員は六三三四制度下において、大学において養成するという、この基本的な制度、教育体制、これをこわし、混乱に陥れている点、最も大きな反対理由であります。その結果として、教員の資質が低下するということ、申すまでもなく教師はその一般教育、それから専門教養の高き者を養成され、しかもそれは発展性がなければならないわけでありますが、審議の過程に明確になりましたように、一言にして言うならば、基礎教科も一般教養というものを非常に削減をいたし、特に人文、社会科のごときは必修はゼロです。保健、体育関係につきましても、必修をゼロとするというような単位取得状況でありまして、人の教師となる、教師の人間形成上に非常に欠陥がある、そして単に技能者、技術屋をもって充足しようという点に基本的な誤りがあると思います。この点については自民党推薦の参考人であられました北海道大学の学長さんもその点を認められ、また勝田参考人、進藤参考人の口述の中にもこの点最も遺憾だと指摘をされております。これはこの法案に反対する最も大きな理由であります。
 さらに第四点として反対をいたし、またこの法案がもしも成立した暁においては善処していただかなければならぬ点は、九つの大学に付設するということでありますが、その九つの大学はそれぞれみずから教育と研究をやる使命を持っておるわけです。この法案の内容によりますと、必ずや親大学の教育と研究体制に支障を来たし、迷惑をかけるおそれがあると思います。かようなことのなきように十分再検討をすべきものだと思います。特に専任教官の少ない、こういう点は必ずや親大学の教育研究に支障を来たす部面が出てくると思いまするがゆえに、反対理由の一つとしてあげると同時に、もしもこの法律案が成立の後においては、かようなことのないように善処することを御要望申し上げます。
 それから第五点として、反対理由であるとともに、この法案が成立した後に善処方を要望いたしたい点は、ともかく資質の優秀な人材が確保されるという方途を具体的に考えなければならぬ、そういう点が考慮されてないという点がまたこの法律案の欠陥であります。そこで具体的には、たとえば審議の段階でも出て参ったのでありますが、授業料を減免するとか、全員を特別奨学生として採用するとか、そういうような具体的な方策が伴っていない点、法案の欠陥であるとともに、法が万一成立して運用する場合には、ぜひともその点に配慮をしなければ重大なる支障をもたらすものと考えます。
 最後に、わが日本社会党の態度でありますが、冒頭に申し上げましたように、この法律案には反対であります。そしてわが日本社会党としては、教員養成はあくまでも今の教員養成制度六三三四制のもとに学校教育法に基づく大学において養成するというこの基本線、それからそのもとにおいて施行されていますところの現在の免許法制度、こういう基本線を絶対にくずしてはならない、これが社会党の基本的な教員養成に対する原則であります。その具体的な方法としては、あるいは現行学校教育法に基づく大学に工業教育学部を設けるというようなことも一つの方法であります。これらの具体的な政策としては、衆議院においてわが党から修正案として提出をし、不幸成立いたさなかったのでありますが、社会党はそういう見解を持っております。同時に、先ほどの討論段階に出ましたように、教育者、研究者のともかく初任給の引き上げを伴う給与待遇の改善、これを徹底的にやるべきだ。それによって工業教員は確保できる、そのような見解を日本社会党は持っておるものであります。これを要するところ、この法律案は現行わが国の教員養成制度、教育制度、免許制度、さらには、文部大臣の見解をもってするならば、日本の現行給与制度、それらを破壊混乱に陥れるものであり、きわめてこそく的な、どろなわ式、近視眼的、拙速的な立場から出た法律案であり、日本の将来の産業界を背負って立つ中堅技術者を養成する工業高等学校の教員養成の方策としては、絶対に許容できない内容のものであるということは、わが日本社会党が本法律案に反対する理由であります。
 以上、反対の理由と教員養成に対するわが日本社会党の見解を表明いたしまして反対討論といたします。
#143
○野本品吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、先般来、本委員会におきまして、きわめて熱心に、しかも慎重に論議を続けられて参りました国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に関しまして、賛成の意を表明いたすものであります。
 わが国の経済の発展あるいは向上が、科学技術者の十分なる確保と供給とに待つということは、何人といえどもこれを疑うところがありません。なお一方、昭和三十八年度からは高等学校の生徒が急増いたすという、この客観的事実を前にいたしまして、技術者養成の目的達成のために、工業高等学校の新設あるいは増設に対する熱意と関心が、中央、地方を通じましてきわめて高いもののあることも、それも事実でございます。このような事情にかんがみまして、工業高等学校の教員を急速に養成することは、わが国今後の発展と繁栄の基礎的な条件といたしまして、当面何とか措置しなければならないきわめて必要な問題であります。従って、本案は、従来の国の恒久的発展のために、恒久的な教員養成制度と並行いたしまして、一定の期間、側面的に教員の不足を補うという方法をとるという観点から見ますというと、必要にしてきわめて時宜に適した法案であると思うのであります。
 由来、教育界に人材を招致するということは、いついかなる時代におきましても、きわめて重要なことでありまして、このことは、国の教育政策の最も大事な問題として推進されなければならないものであると考えておるわけであります。そして、高等学校教員の養成は、本来、大学においてされるということが本筋であるということは、われわれもこれを認めております。しかし、日本の現実は、臨時応急の施策を講ずることの切実な必要に迫られておるわけであります。この要請と必要にこたえるためにこそ、あえてこの法案は、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法という題名において計画立案されたものであると考えておるわけであります。一般国民も、この点につきましては私は十分理解し、また、これを支持されるであろうということを信じて疑いません。
 次に、本案自体を詳細に検討して参りますというと、制度的に見ましても、内容的に見ましても、多少の問題があるということにつきましては、われわれもこれを認めておるわけであります。従って、文部当局におきましては、優良な教員多数を確保して、本法律案の趣旨が遂げられるように、諸般の方途、すなわち、処遇の改善あるいは教育設備施設の充実、教官の充実等等の点につきましては、今後、実施の過程を通じまして、慎重な検討を遂げられまして、本案が提案されました趣旨が実現されまして遺憾なきを期するようにお願いいたしたいと思っております。なお、この法案が成立いたしまして、養成所が付設されます各大学におきましては、非常に強い国家的要請と期待とに十分思いをいたされまして、学校の運営、教育の実施の面におきまして、できるだけの協力を賜わることを希望し、また期待いたす次第であります。
 以上をもちまして私の賛成討論を終わります。
#144
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表しまして、本法案に反対するものであります。
 反対の理由はいろいろありますが、左の数点をあげることができると思う。
 第一に、本法案のねらいであります。本法案は、所得倍増計画に必要な科学技術者を養成するというようなことを言っております。しかし、所得倍増計画というものは一体何なんだ、だれのための一体所得倍増計画か、この性格をはっきりわれわれはここで明らかにする必要があると思う。池田内閣の所得倍増計画は実行して半年、すでに大きく動揺し、また、大衆の非常な嫌悪を買っているのが実情だと私は思います。これは言うまでもなく、所得倍増の名によるところの日米独占資本の要求に合致する、そのような産業経済体制を急速に確立しよう、そのために、国家資金を初めとしまして、民間資金、さらにアメリカの資金をも日本の産業に投入しようとするところの計画であります。この計画の中には、さらに軍需生産を目ざしたところの産業基盤の確立という名による、実はそのような体制を作り上げる、いわば安保体制の一環としての経済政策であるという点が明白であると思うのであります。私は、この点では、安保条約、自民党が単独に強行しました安保条約の具体的な形がここに出ているということを指摘せざるを得ないのです。安保条約第二条には日米経済協力ということをうたっています。その中ではいろいろな技術面の提携とか、問題があると思いますが、私はその中で資本輸出の問題が非常に重要な問題だと思う。たとえば今年度、国鉄総裁が最近渡米して三百億のアメリカの資金を東海道新線のために仰いだとか、その他等々の事実というものは明白だと思う。そういう条件の中でなぜアメリカの資本が日本に入りたがるか、その条件の中にはっきり指摘することのできるのは、日本の低賃金の問題、安い労働賃金、アメリカの労務者の十分の一から九分の一という安い労働賃金が、何よりも独占利潤を追求するこれらのアメリカの資本家たちのこれは一つの大きな垂涎の的になっています。こういう関係から、アメリカ資本を導入する条件として、日本の技術革新、これに伴うところの低賃金の問題が明白に出されております。このような要求に即応するための安い労働力を作るということが、いわばいわゆる所得倍増計画に必要な技術者を養成するという名目で出されてきておるのが最近の荒木文政の一連の反動立法のあり方であります。私はこの点を明確に指摘しなきゃならぬ。従って、当然この法案は今大きな問題になっておる工業高校の創設の問題と同時的に並行して審議されなくちゃならなかったのでありますが、衆議院段階でこれがばらばらに切り離され当院に送ってこられた。ここにも大体この性格に対する認識の欠如があったと思います。こういうような形で安い労働力を養成する、そのためにはやはり安上がりの施設をもってまかなわなくちゃならない、こういう形で、いわば戦前の臨時教員養成所よりももっと質の悪いような格好、おもやにひさしをかけるというような格好、そしてこれに対する設備、あるいは教員の配置、その他、たとえば生徒の支給を最初に予定された七千を切るというような、いろいろな非常に安上がりのやり方でこの教員養成を強行しようとしています。私はこのようなやり方というものは、根本的に、第二の点の反対の論の論拠になりますところの、日本の教育体系を根本からゆるがせ、混乱させる、こういう重大な問題を持っておると思うのであります。私はこの見えすいたやり方に対してまず反対するものです。
 第二の反対点、これは言うまでもなく、しばしば本委員会においても指摘されたところでありますから、簡単に申し上げたいと思いますが、第一に、人格陶冶が非常に不可能になる。全人的な人間形成というものが非常にこれは阻害される。かたわになる。そして実は科学技術者を養成するというようなことを言っていますけれども、そういうような高次な目的には全然これでは合致しないのです。全くオートメーション化された機械に従属するところのこれはかたわの技術工を提供する。そしてそのための教員を養成するという格好に陥らざるを得ない。それからしばしば指摘されました、教員養成の今までとって参りました日本教育の体系というものは根本からくずれてしまう。さらにその犠牲が大学にも及んでくる。こういうような事態が十分にこれは想像されるのでありまして、その点からくるところの教育の混乱、体系の破壊というものはこれは避けられない。こういう点をまず明白にしなければならないと思うのです。
 第三の問題は、これによって教育の質的低下が非常に行なわれてくる、こういう事態であります。これは先ほどの第一の中でも述べたところでありますけれども、とてもこれはこういうやり方で質の高い技術者を養成するなどということは望んでも得られない状態です。政府は苦しい答弁の中で、苦しまぎれにこういう答弁をしている。四年かかるところを三年でやるのだ。それはできる、しかし、できるんだということは、これは精神力でありまして、戦争前時代の発言を思わせます。それに対する保障があるかというと、これはあり得ない。四年かかるが、三年で養うためには、もっと優秀な設備あるいはこれは先生を求めなければならないわけです。ところがそういう先生は保障されるかというと保障される方法はない。現在第一級のこれはそのような教師というものは現在の大学にほとんど吸収しているのです。そういう点から考えまして、これは全くのでたらめの言い分と言わざるを得ないのであります。こういう点から今後起こってくるところのいろいろな教育に対する質的低下が憂えられます。
 さらに、もう一つ問題にしたいのは、これも第一の問題と関連して参りますが、大企業が最近しばしば工業高校を食っているという事実があります。ことに定時制の場合そうであります。たとえば神戸高校の例でありますが、これは夜間の定時制ですが、阪神内燃機に働いている者でなければほとんど通学ができない。そうして学校の運営権というものは全くもう阪神内燃機がこれを握っているという実情があります。沼津工業高校がそうですが、これは芝浦電気が全く発言権を持っている。そうしてそういう中でだんだんと大企業に公立の学校が従属するというような形が出ています。そういうところから企業内訓練所と工業高校が非常に類似してきている。こんな形がこの教育体制の中に現われているのでありますけれども、そういうような形を固定化するという形でこのような法案がこれは作用してくるということが考えられます。私は以上のような点を指摘したのでありますが、その結果予想される欠陥として第四に次の問題をここで個条書に指摘しておきたいと思います。
 それは第一に、基礎研究と応用研究、開発研究の正しいバランスをくずしてしまう。そうして基礎研究がそのために衰弱する。こういう事態が起こる。第二には、独占資本に買い取られた科学における研究管理は、研究者の創意を殺し、科学にとって必要な自由なる民主的な雰囲気を奪ってしまうというような点、これは最近起こっている研究テーマを指定するとか、あるいは統制であるとか、こういう事態がひんぴんとして発生しているのでありますが、こういう事態がおそらく今度の処置でもっとこれは促進される。第三に、科学者が経営者の独占に支配され、研究の成果が、自由なるその発表が秘密主義によって妨げられ、情報の自由な交換が許されないというような事態が起こってくる。第四には、景気局面が下降すれば、研究投資がまっ先に削られ、計画的な科学研究の発展をこのために保障し得ないという事態が起こるのじゃないか。これは私の質問に対して、一昨晩、荒木文相は経済の変動は浮き沈みがある、こういうことを言ったのでありますが、これは世界的な景気の最近の経済状況から考えてみて、こういう事態に直面しないという保障は、ここ数カ年どころじゃない、これはここ一両年の間に当面しないという保障はないのでありますから、なおさらであります。第五には、人間の才能を法外に浪費して、軍事科学研究など科学の発展の大道からそれた分野に膨大な科学者が投入される、こういう事態が当然これは起こることは、安保体制下における現在の池田内閣における軍需生産の育成、それに対して私はこの前予算委員会で明らかにしたのでありますけれども、そういう面から考えましても、そういう方向にこれは性格的に位置づけられてくる。私は以上のような、今後起こるであろうという事態、これはまことに日本の民主的な教育の発展、平和的な教育の発展のためには嘆かわしい問題です。このような事態を引き起こす要因をこの法案は、あるいはこの法案を突破口として、今後日本の教育の中に大幅に侵入してくるこの事態を憂えざるを得ないのであります。
 以上あげましたように、私はこの点から考えてみまして、この法案に賛成することはできないのであります。この法案は撤回されて、十分検討されなければならない。現に先ほどの野本委員の討論の中で、いろいろな点で不備を認めておられる。文部大臣も認めておられる。科学技術庁長官のごときはもっとこれをあしざまにののしっておられるところの法案です。このような確信のない法案を当委員会に出して、そうして多数を頼んでこれを押し通すということは、これは許される状態ではないと思う。しかも、こういうものを出しても、しばしば問題になりましたように、はたしてこれは科学教員を保有することができるかどうか。これに対する何らの保証もないという点、これに対する文部大臣の答弁は全く神頼みにすぎなかったという点、こういう点を考えるとき、何のためにこのような法案を出すのかわからないということを私は考えるのであります。そうして、しかもこのような全く安易な、行き当たりばったりな、そうして背後の強大な勢力に奉仕するところの法案によって日本の科学はどうなるかということを最後に私は申し上げたい。これは全く世界の科学技術から立ちおくれてしまうだろうと思うのです。御承知のように世界の方向は……。
#145
○委員長(平林剛君) 岩間君、まことに恐縮でありますが、委員会の申し合わせもありますので、なるべくできるだけ簡潔にお願いします。
#146
○岩間正男君 ちょっとおととい質問できなかったものですから、ここで論じ尽したいと思ったのですが、それはよろしい。世界の科学技術の方向は、教育時間の延長を大幅にこれはするという方向に動いている。こういうときに日本の文部省は、教育時間を制限する、教育時間を全く縮小するという方向に動いているのであります。こういうようなやり方で、どうして一体日本の科学態勢を充実することができるでしょう。明らかに私は失敗するだろうと思います。現に池田内閣の所得倍増計画がすでに四面楚歌の声で、実際は所得倍増と言いながら物価倍増政策であった。それから国際収支の最近の悪化、設備投資の非常な過大、こういうような問題から根底がゆらぎ始めておる。こういう態勢の中で、こういうような法案を通してみても焼け石に水の感を免れないじゃないか。私はこういう目先のきかない、全く目先のきかないというよりも目先の利益にだけ奉仕する法案に対しましては、日本の教育を守る者として絶対にこれに賛成することはできないのであります。
 以上で終わります。
#147
○委員長(平林剛君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。よって討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#149
○委員長(平林剛君) 賛成者多数であります。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#150
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 午後は二時四十五分より委員会を再開することにいたし、休憩をいたします。
   午後一時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十七分開会
#151
○委員長(平林剛君) ただいまから委員会を再開いたします。
 まず、朝霞の米軍施設等のオリンピック選手村予定地返還に関する件につき調査を進めます。
 質疑の通告がありますので発言を許します。
#152
○矢嶋三義君 荒木文部大臣と藤枝総務長官はオリンピック組織委員会のメンバーでありますが、組織委員会としてはワシントン・ハイツと朝霞キャンプ、この両米軍収容施設を東京オリンピックに使う、こういう計画で進んでいるものと思いますが、この計画に対して両組織委員はどういう態度をとってこられたのか、お答え願いたいと思います。
#153
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 朝霞のキャンプを使用する予定のもとにいろいろと準備を進めて最近まで参ったのでございます。
#154
○政府委員(藤枝泉介君) 組織委員会の計画といたしましては、朝霞を選手村に、それからワシントン・ハイツの一部返還を求めまして、ここに競技場等を計画をいたしておりましたので、その計画がそのまま実行できまするように考えながら現在まで至った次第でございます。なお、これらの両地区の返還の請求は、去年の十二月八日の組織委員会できめまして正式に提出をいたした次第でございます。
#155
○矢嶋三義君 荒木文部大臣にお伺いしますが、文部大臣は昭和三十六年度の予算編成に際して、あなたの所管事項で朝霞のキャンプとワシントン・ハイツ、あの地域を対象に何らかの予算の概算要求をしたはずでありますが、概算要求した事実があるかないか、あるとするならばどういう施設、設備を考えて要求されたのか、お答え願いたい。
#156
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 概算要求をいたしまして、予算案としましてはワシントン・ハイツの一部に総合競技場を作るという目的をもちましてその調査関係費を成立しました予算の中に決定していただいておるのでございます。
#157
○矢嶋三義君 そこでまず、文部大臣に伺いますが、文部大臣は朝霞のキャンプとワシントン・ハイツは返還されるものと、かような判断のもとに組織委員としても対処されて参った、特にあなたは文部大臣という立場において組織委員会のメンバーに入っておるわけですからね。御承知の通り、オリンピックは組織委員会が中核でこれを計画し運用する機関と相なっておるわけですから、また昭和三十六年度の文部省の予算の概算要求するにあたってこれらの地域を対象として予算要求をやったわけですが、それは文部大臣としてはこれらの二地域というものは接収が解除されるものである、こういう判断のもとに一貫して臨んで参られたと思うのですが、念のために伺います。
#158
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 仰せの通りでございます。
#159
○矢嶋三義君 調達庁の政府委員並びに説明員の方は出席されておりますか。
#160
○委員長(平林剛君) 出席されております。
#161
○矢嶋三義君 大石総務部長がお見えになっておりますね、では大石総務部長に伺いますが、これらの米軍の接収区域に対する日本政府の窓口があなた方ですがね、朝霞キャンプの問題あるいはワシントン・ハイツの問題についてはずいぶんともう国内の話題になっておりました。また、予算編成段階に政府部内においてずいぶんと議論がなされたことは十分御熟知のことと存じます。あなた方としてはワシントン・ハイツ並びに朝霞キャンプ両地域は期待通りに接収解除ができるものと判断しておったものと考えますが、念のためにお伺いいたします。
#162
○政府委員(大石孝章君) お答え申し上げます。ただいま御質問に対しましては文部大臣、総務長官からお答え申し上げました通り、政府部内で決定しました方針に基づきまして調達庁は一月の十七日合同委員会の機関である施設特別委員会にその通り提案したわけでございます。ところが、御承知のようなふうに五月の九日に回答に接したわけでございまして、むろんこの交渉にあたりましては提案が通るように努力したのでございます。で、細部につきましてはその衝に当たりました連絡調査官が参っておりますから、連絡調査官の方からお答え申し上げたいと思います。
#163
○矢嶋三義君 私はそういうところまで質問はいっていないのです、どういう判断をしておったかということを聞いている。この点については防衛庁長官にかわって防衛庁の政務次官もお答えいただきたい。
#164
○政府委員(白濱仁吉君) 仰せの通り、私どもは政府できめましたことにつきまして十分その趣旨が達成されるように努力をして、同時にその見込みを持って努力しておったわけであります。
#165
○政府委員(大石孝章君) 申し上げましたように、その実際の折衝の業務に当たりました連絡調査官の方がはっきりすると思いますから、そちらからお答えするようにしたいと思います。
#166
○矢嶋三義君 あなたは調達庁長官にかわるべき格でここに出席されているんですよ。事務折衝のことを聞くんでないんです。大石総務部長、あなた個人の判断を聞きましょう、あなたは朝霞のキャンプとワシントン・ハイツは接収が解除されるだろうと判断されておったですか、それとも別の判断をされておったですか。予算編成段階で防衛庁用の向きの宿舎を作るとか、あるいは住宅公団の手によって国民宿舎向きの建築をするとか、ずいぶんと日本政府内で論じられ、新聞をにぎわしてきた問題ですよ、またワシントン・ハイツにどういう施設、設備をするかという点について日本政府の予算編成段階においてずいぶんと論じられて参った事柄なんです。あなた方は直接これは米軍との間に、日本政府の窓口として交渉を持って参ってこられておるわけですが、ああいう問題が日本政府内で論じられた段階で、あなたは調達庁の総務部長としてどういう判断をその時点においてなされておったかということを承るわけです。
#167
○政府委員(大石孝章君) お答え申し上げます。私としましては、政府の原案通り、返還なることを期待しておったというだけでございます。それにつきまして返還なるかならないかといったような、そういう見通しにつきましては交渉の結果わかることでございますから、その当時そういう確実な判断は、私個人といたしましては、いたしておりません。
#168
○説明員(沼尻元一君) 二年前にオリンピックが東京で開かれるというようなことにきまりましてから、軍施設がこのオリンピックの施設として予定されているというようなことが新聞等にも発表されまして、軍側としてもこの問題に非常な関心を寄せられておったわけでございます。日本側から正式提案をする以前から、あるいは合同委員会を通じ、あるいは施設特別委員会等の非公式の話で、軍側から日本側の要求はいつ出るんだ、この日本側からの正式要求は新聞紙上に出てからだいぶおそく出たわけでございますが、その間最終決定を見るまでには相当時間を要したわけでございますが、本年の一月十七日に特別委員会を通じて正式に政府案として要求したわけでございますが、それまでの間数回にわたり軍側から日本側の案はいつ出るのだ、米側としてもできる限りこの問題について協力したいというような話があったわけでございます。それで日本側としてもこの問題については軍側からの協力を期待しておったわけでございまして、軍側としては九日に施設委員会を通じて正式に回答がございましたが、その内容は日本側からの要求内容とは違いますが、朝霞については返還はできないけれども、一時使用というようなことによって十分協力したい、また日本側から返還は要求してないけれども、こちらから返還を要求した隣接地域を約十万坪返還できる、そういう面で協力いたしたい、またワシントン・ハイツについては約三分の一を返還要求したわけでございますが、軍としてはこの住宅が三分の二はワシントン・ハイツに残り、三分の一はよそへいくというようなことで切り離されることは管理上、経費上非常に困るので、これを返すのにはやぶさかでないが、一括して全部――またその中にはかねてからその移設が要望されております人事院ビルの近くにあるリンカーン・センター、こういうものも含めてワシントン・ハイツ全部をもし日本政府がこれに要する代替施設を提供してくれるならば、全部返還してもよろしゅうござんすというような回答でございまして、従いまして、軍側としても日本側の要求というものは十分検討した結果、ああいう回答になったものであるというふうに了解しております。
#169
○矢嶋三義君 あなたは窓口であっても、米国側に立ったような答弁をすると私から追及されますよ。まず、伺いますけれども、最近合同委員会はどのくらい開いていますか。また施設特別委員会はどの程度最近開いておるか。それから、これらの施設特別委員会等は、日本政府が要求すれば開催できることになっておるわけですが、日本政府から要求して開いたような例が最近あるかどうか。それから、もう一点は、最近の六カ月くらいにこの合同委員会並びに施設特別委員会に臨んで参ったアメリカ側の代表の態度に変わったものが現われてきておるか、きていないか、あなたはどう判断されておるか、これらの点についてお答えいただきます。
#170
○説明員(沼尻元一君) 合同委員会並びに施設特別委員会は、月に二回開かれることになっております。これまで合同委員会は、私は関係しておりませんが、施設特別委員会の方は確実に月に二回ずつ開かれております。
 なお、日本側が要求して開かれたことがあるかというお尋ねでございますが、大体月に二回で間に合っております。
#171
○矢嶋三義君 それから、最近態度が変わった点が認められるか、認められないか。
#172
○説明員(沼尻元一君) 別に認められません。
#173
○矢嶋三義君 それではあなたと防衛庁の政務次官、あなたは防衛庁長官のかわりにおいでになっておるわけで、調達庁はあなたの所管になっておるわけですよ。その立場から伺いますが、変わっていないというのは、これはおかしいじゃないですか。
 まず第一番に、ワシントン・ハイツと朝霞キャンプは返還されるものと、日本政府の関係者は判断しておったことは絶対間違いない。それは文部大臣が答弁した、それから防衛庁の政務次官も答弁した、総理府の総務長官も答弁された、また直接窓口である調達庁もそう判断しておったわけです。ということは、私は当時の内閣委員会で終戦後十五年も経過して、日本全国至るところが依然として接収されておるのはまことに遺憾であり、特に独立国日本国の首都の重要部分が、戦後十五年経過してなおかつ接収されておるというのは、世界史上を見ても例の少ないことであろう、しかもこれは平和条約を結ぶときに、首都東京の中心部等の接収区域はできるだけ早く返還をして、米軍施設は首都から遠ざかったところに移るという申し合わせがある。そういう答弁も国会において平和条約審議の際になされておるわけですね。ところが、近くは牛込の元陸軍士官学校のととろにいすわったり、朝霞あたりをますます強化したり、立川においてもしかり、こういう点を追及したときに、調達庁長官は当時の内閣委員会で、かくかく接収区域は返還されつつある、近く日本はオリンピックを開催することになっているが、たとえば朝霞キャンプ等もオリンピック用に返還され、日本国内向きに使用されるようになる予定だとか、それからワシントン・ハイツの点についても、希望的な観測を答弁されている。私どもは、それは確実なものだと思っておった。従来、あなた方が国会答弁をする場合には、米軍相手であるから、非常にあなた方の答弁というものは慎重です。それはごもっともだと思う。なかなか見通しについてはかたくて答弁されない。そういう調達庁が朝霞キャンプの問題についても、ワシントン・ハイツの問題についても、国民の要望に沿ってかようになっていく見込みがあるという、われわれに希望を抱かせるような答弁をされているということは、あなた方のそういう判断をする根拠があったと思う。それがこつ然としてこの五月九日になってこういう回答がくるということは、われわれ国民としては心外千万です。これは態度が変わったのじゃないですか。それならば追及しますよ、北富士の演習場はどうですか。東富士の演習場は、江崎防衛庁長官のときに、おそくとも昭和三十六年の三月までには返還できる見通しがある、するということを答弁したじゃないですか。あるいは群馬の太田飛行場はどうですか。これは三十五年の九月までには返還できますということを、江崎長官は答弁しておったじゃないですか。それで調達庁の丸山長官も、その見通しがあり、努力するということを答弁されたでしょう。そういう期限を区切って答弁するというような例というものは、米軍相手だけになかったわけですよ。ところが、最近太田はまだ返還されてない。北富士、東富士の演習場もそうじゃないですか。特にあなた方はよく聞いて答弁してもらいたい。北富士の演習場を返還してほしいという場合は、一年に十五日しか使わなかったじゃないですか、沖縄におる米軍は。それであまり使用しない接収区域は返還しなければならぬというのが協定にあるでしょう、日米の協定に。だからその条項によって当然北富士は返還しなければならぬ、だから返還するということだった。そうしたところが、過去六カ月の範囲内において、使いもしないのに一年連続して使用するような計画書を日本によこしたじゃないですか、あなた方に。それで事実は使っていないじゃないですか。これはアメリカの日本に対する不信行為ですよ。それからあなた方の国会に対する答弁と違うじゃないですか。一年のうちのわずかしか使ってないから、協定上から返還しなくちゃならぬ、こう言ったでしょう。それで相手側も返還する意向を示し、国会においてあなた方は期限まで区切って努力します、その見込みがあると、こう言ったじゃないですか。その後において一年連続して使うような使用計画書を日本側に提出し、事実は使っていない。なぜこういう点について抗議しないのか。こういう私は事実をあげる。それでも何ですか、過去一カ年あるいは六カ月の期間内において、合同委員会並びに施設特別委員会に臨んで参るアメリカの代表の言動は変わっていないと、こういうことを答弁できますか。自濱政務次官並びに沼尻説明員の答弁を求めます。
#174
○政府委員(白濱仁吉君) 先ほどの私の答弁の中に、少し言葉が足りなかったのがあったのではないかと思われますので申し上げますが、見通しの問題はどうなったかというふうな御質問のように承りましたので、私は政府の案につきましては、調達庁は窓口として十分その意を体して努力をしてきたのだ、ということを申し上げたつもりであったのであります。先ほど連絡調査官から申し上げました通り、ことしの一月十七日に施設特別委員会で政府の返還要求を正式に出した。その後におきましていわゆる五月九日に正式な回答がきたという、この事実であるのでありますが、その間に私どもも窓口をあずかっている者として、至急回答をもらいたいということの連絡をそれぞれしたのでありますが、その間におきまして実は非常にわれわれが感じておったのよりかも、違った立場の考え方をしているのじゃないかという感じがいたしたのであります。そのことは、まあ関係各位にも私みずから実は回って連絡をしたのでありますが、前々からのいきさつもありまして、いろいろな計画もあって朝霞のキャンプをどうしてもオリンピック組織委員会にほしいという考え方は変えずに、一応米側の回答を待つということに相なったと考えるのでありまして、私どもがその間におきますいわゆる努力というものは一生懸命したんだということは一つ御了承を願いたいと思うのであります。
 なお、北富士の演習場その他につきましては、私も詳しいいきさつを、申しわけありませんが知りませんので、沼尻君の方から一つ説明をいたします。
#175
○説明員(沼尻元一君) このキャンプ朝霞とワシントン・ハイツについては、返還の見込みがあるようなことを今まで政府側が言ってきたではないかというようなお話がございましたが、この点については、これは米側は本問題については十分協力するということをいっておる、それを返還というふうに受け取られたのではないかと存じますが、これまでワシントン・ハイツ等についても米側から返還の見込みがあるというようなことは、これは簡単には申し上げられないことなのです。おそらくは米側がそういう点についても十分協力するといってるということを、返還というふうにおとりになったのではないかというふうに存じておるわけでございますが、この米側が協力するということは、これはまあ国会等で申し上げたことと存じますが、これを各人が各様にいろいろの意味に解釈しておった。で、米側としては、先ほども申し上げましたが、ワシントン・ハイツについてはこちらの三分の一の返還要求に対して、全部返還してもよろしゅうござんす、日本側が代替施設を作ってくれるなら、もうそういうことできれいさっぱりあの辺は退いてもええ、郊外に移ってもええというようなことで、むしろこれはこちらから一応要求したのに対して、それ以上の答えを出しているというふうにも、考えようによってはとれないこともないわけでございます。まあ、朝霞の方につきましては、これは先ほど申し上げましたが、一部返還と、それから一時使用、こういう一時使用を承認するということによって、このオリンピックの計画等が実現可能でないかというふうに米側は考えるということでございます。
 なお、北富士につきましては、先生からただいまお話がありましたように、大へん解決がおくれておりますが、かっては米英陸軍部隊が東、北富士を使っておったわけでございますが、この陸軍部隊が東、北の富士から撤退いたしまして、海兵隊がこれにかわって使うようになったわけでございますが、この過渡期において米軍の使用度が非常に減った時代がございます。こういう事態から、米軍は富士演習場を将来使わないんじゃないかというようなことも考えられたときもあるわけでございますが、その後、米軍のこの富士演習場を必要とする必要度というものは、使用度も非常にその後は割合にひんぱんでございまして、米軍としてはこの富士演習場というのは、日本で残されたたった一つの演習場である、米軍としてはこれを手放すことはできないというようなことが強く表明されておるわけでございますが、日本側といたしましては、これは富士演習場というものを現在では、将来自衛隊の演習場として、米軍には時おり随時使用させるというような考えのもとに、この演習場計画というものを立てておるわけでございます。従いまして、米軍に対しましてはこれを日本側に全部返還して、そして自衛隊の施設としてこれを米軍側には随時使用するような形式に切りかえたい、また、その際、この返還に際しては地方住民のためにある程度開放する、地方住民の利益のために自主的に返還してもらいたい、従って、その結果としては演習場が縮小されるということになるわけでございますが、そういった点につきまして米軍としては、この演習場施設は米軍にとって非常に必要度の高い演習場であり、区域を今まで相当富士演習場でも返還をやってきたわけでございまして、これ以上縮小することは演習場として非常に使いにくくなるというような面から、現在、米側との間にそういった点について相当突っ込んだ議論をしているわけでございまして、この問題相当長くなりますので、日本政府としても、また米国政府としても何とか妥結点を見出したいということで、現在努力中の段階でございます。
#176
○矢嶋三義君 日本政府は遺漏ですよ。それは米軍相手だから交渉上つらい点があるかもしれないが、窓口それ自体も遺漏ですよ。今、戦敗国の立場においてわれわれは折衝をしているのじゃないのだからね。前岸内閣総理大臣が申したように、まさしく独立国として、対等の立場においてあなた方は国民にかわって折衝を持っているのですから、もう少ししっかりやらなければ困るよ。
 防衛庁長官にかわって政務次官に伺いますが、あなた方は朝霞キャンプに将来軍施設となるととろの宿舎を、軍隊向きの建物を建てようと、非常に政府部内において運動をされ、動かれた。これは事実ですね。このことは朝霞キャンプが返還されるという見通しのもとにおいてなされたことなんです。このことについては責任がありますよ、返還させなければならない責任がありますよ。また、調達庁所管の大臣として万一返還できそうもないというなら、なぜ日本の組織委員会がああいう動きをし、ああいう決定をし、また、予算編成段階に、これに建設省が割り込み、さらに文部省が割り込んで、ああいう予算編成の火花を散らしているときに、なぜこういう情報を提供しなかったか。しなかったということは、窓口が折衝したそういう印象から、アメリカ軍は協力する、ワシントン・ハイツと朝霞キャンプとは返還されるものだ、こういう確信が日本政府にあり、また国民も深く信ずるがゆえにああいう事態があったわけであって、こういう事態がくるということは、これがまさに青天のへきれきであって、国民感情からいっても許すことはできないと思う。日米対等でない歴然たる事実ですよ。米軍の背信行為ですよ。私は義憤を感じている。防衛庁長官、調達庁長官は責任がありますよ。どういう現在所見を持っておられるか。国民の期待通り、いかようにしてこの二地域を予定通りに相手側に返還させるべくどういう具体的な方途を講ずべく決意をしているか、お答えを願います。
#177
○政府委員(白濱仁吉君) おしかりごもっともと思うのでありますが、何しろ、独立国家で対等であるということはもちろんでございますが、共同防衛という大きな義務を一方ではお互いに背負っておるわけでございまして、私どもも国内のいわゆる防衛についての責任の立場にあるわけでございますから、いろいろな諸般の事情から見まして、御指摘の通りの努力を今後続けていくということ以外には申し上げられないと思うのであります。ただ、私、先ほど申し上げました通り、どうも一月十七日施設特別委員会を通じて米軍に申し入れたあとの感じでは、いわゆる私どもが希望的な観測をしておったのではないかという感じがありましたので、その間のことについて、実は私どもも非常な危惧を持っておりましたことを先ほど申し上げたのであります。いろいろ考え方につきましてはあるわけでございますが、その辺の事情を十分おくみ取りいただきたいと思うのであります。今後も、政府の方できまりまして、こうしろというふうなことに相なりますれば、私ども窓口として十分その意を体して国民の要望にこたえていきたいと考えておるわけであります。
#178
○矢嶋三義君 池田内閣の一閣僚としての荒木文部大臣に伺います。ここへ池田総理並びに官房長官をお呼びすることはできませんので、早急の間ですから、閣僚としての荒木国務大臣に伺います。あなた方、そういう判断のもとに行政をやられて参り、そうして立法府においてわれわれ議員にそういう判断と期待を持たせるような責任ある答弁をして本日まで参ったわけです。だから、国会においてそういう論をなされ、行政がそういう線にいっているから、国民はこぞってそういうことを期待しておったわけです。もしもこれがその通りにいかなかった場合においては、国民に対して池田内閣は絶大なる責任がありますよ。内閣は責任をとって退陣すべきだと思うのです。でなければ、安保条約審議の段階において前岸総理大臣が、独立国として対等であるという答弁を国民に対してなしたそれは食言ということになります。従って、立法府に対しても、すなわち国民に対しても、この点が貫徹されない場合においては、池田内閣はその行政責任をとるべきだと思うのです。そういう決意で私は当たるべきだ、そして成功すればそれでけっこう、成功しない場合においては、政治責任をとるべき重要なる問題だと思いますが、荒木国務大臣の御所見を承っておきます。
#179
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 仰せまでもなく、キャンプは返してもらうという想定のもとに今日まできておりますから、一応の回答は今御披露した通りと存じますが、予定通りにやれるような努力を最後まで続けねばならないと思います。かりに万一この通りにいかないならいかないで、なぜいかないかということが国民によくわかるような理由をはっきりとさせねばならぬ、そういう課題だと心得ます。
#180
○矢嶋三義君 これは国民だけではだめですよ、世界的にそれを表明しなければ。日本のIOC委員諸君は、IOCにおいて写真までつけて朝霞を説明して、そしてIOCの機関で了承をいただいているのです。そして今それができぬということになった場合、IOCの諸君は、何と日本はでたらめなことか、写真まで添えて、そしてフィルムまで見せて、それではよかろうというので賛同したのに、途中でそれがだめだということになれば、日本のIOC委員諸君は面子が立たぬのみならず、国際的に日本国は責任の追及をされるし、恥をかかなくちゃならぬと思うのですね。国家、民族の問題ですよ、ここまでくれば。だからIOCを通じてオリンピックに参加する全世界の国民諸君に納得できるようにしなければならぬ、それほどの問題ですよ。従って、これがならぬ場合には、あなた、池田内閣は出所進退を明確にすべきですよ。そうしなければ、今後国民に対して、安保条約の正常なる運用なんぞできるものじゃないです。その点私は、国務大臣として荒木さんは所信を明確にしてもらいたい。
#181
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 日本国民がわかるということは、世界の諸国民もわかるはずだということを意味すると思います。第一段階は、予定通りやれるような努力を、極力今後にかけねばならぬと思います。
#182
○矢嶋三義君 あなたは、東京オリンピックの組織委員会のメンバーですが、この二地域が予定通り返還されない場合には、従来の行きがかりから、IOCに対しても申しわけないという責任を感ずる心境にあると思うのですが、いかがですか。
#183
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 予定通りいかなかった場合に、予定が狂った理由がわかりませんければ論外ですけれども、事由がはっきりといたしますれば、諸外国といえども了承すると思います。そのことは、当然予定しましたところ以外に、これこそまさるとも劣らない施設をすることが前提ではございますが、場所がどこでなければならぬということまで諸外国からかれこれいわれる筋は、私はなかろう、そういう課題だろうと思います。
#184
○矢嶋三義君 驚くべき組織委員がおられるね。あなたは朝霞のキャンプとワシントン・ハイツと、いずれを選手村にするかという議論があったことは御承知ですか。あるいは東京都議会において、あるいは埼玉の県議会において、あるいは日本のいろいろな体育関係の団体において、議論があったことを。一時は渋谷区あたりを中心に動いて、選手村をワシントン・ハイツにしたらどうか、そういう意向もあったのですよ。そのときに、日本の国を代表するIOC委員諸君は何と言ったか。東京オリンピックを一九六四年にきめていただくにあたって、われわれは朝霞キャンプというものを案に持っていって、これを十分説明して御了承いただいたのを、あとからワシントン・ハイツと変えて持っていくことは国際礼儀上からできない。このことが決定打となって、予定通り朝霞キャンプになったのですよ。その経緯からいっても、ここで朝霞キャンプの選手村の案がつぶれるということは国際的な恥辱ですよ。IOCの諸君は何のかんばせあってこれに参加できますか。従って、かりにこれが予定通りできない場合には、日本組織委員会は、IOCに対して遺憾の意を表するなり、申しわけないという事態が必ず起こるわけです。そういう判断を持っていなければ、何も選手村をどこに作るかについて、外国からとやかくいわれることはないだろうなんていうその発言は、全く国際感覚のない発言ですよ。総理府総務長官いかがですか。矢嶋の所論は間違っておりますか。あなたの御所見を伺いましょう。あなたも組織委員会のメンバーです。
#185
○政府委員(藤枝泉介君) 朝霞を選手村に予定をいたしまして、IOCに持ち出したことは御指摘の通りでございます。従いまして、その計画に従ってやることが最も好ましいわけでございますが、ただ、文部大臣のお答えになったことは、この一九六四年のオリンピック大会をいかにするかということは日本のJOCの責任でやる。従いまして、いろいろそこに非常な最初の予定と変更せざるを得ないようなことがあれば、その点を十分IOCの諸君に了解をつけなければならぬが、どこまでもそれはJOCの責任としてやるんだという意味のことを言われたんだと思いますんで、この朝霞が変更になるということは非常に遺憾だと思います。ただ、これもすでに御承知と思いますが、あの東京オリンピック招致のときには全種目をやるということでやったんでございますが、その後の検討の結果、カヌーとか近代五種、ハンド・ボールとかは抜くということにいたしまして、これまた六月のIOCの大会では十分に御了解をいただかなければならぬことになるわけでございます。そういう問題もございますので、この問題を今文部大臣がお答えになったと思うのでありまして、最初の予定通りにやれることが最も好ましいし、またIOC――国際オリンピック委員会に対して日本としてはそうできることに全力をあげることが必要であろうというふうに考えます。
#186
○矢嶋三義君 あなたはそのくらいの答弁ができればこの次は大臣になる資格は十分にある。(笑声)荒木文部大臣の答弁は、よほど熟考して答弁してもらわないと困りますよ。文部大臣であると同時にJOCのあなたは有力なるメンバーですよ。間違いないようにしていただきたいと思います。
 で、荒木文部大臣にさらに伺いたいと思いますが、もし朝霞キャンプとワシントン・ハイツが予定通り返還されない場合には、日米関係上からもまずい結果が招来されると思うのですがね。日本国民の感情上から言っても、私はそういうふうに危惧いたします。これは危惧ではない、非常なる心配をしております。文部大臣の御所見はいかがですか。
#187
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私もそう思います。どうも今まで好意的に協力をするということに期待をして、とことんまで突き詰めないままに今日まで参ったということにいささか抜かりがあったように思います。私は組織委員会のメンバーに入りましたときも、すでにそういう空気に支配されておったのでございまして、事務当局にもその点は数回私も念を押したことはございますが、おおむね大丈夫らしい口吻を聞いて私自身は安心して参りました。こうなって参りますと、安心したことが早過ぎたと思いますが、従いまして、今総務長官がお話のように、予定通りやれるもんならやるんだという努力がまだ残されていると思います。組織委員会の総意を体した立場に立って政府自体もアメリカ側に当たったという場面がなかったように思いますから、そういう考えのもとに最後まで努力をすることがまず残されておる。それをやることが当面の最重大課題だと思うのであります。
#188
○矢嶋三義君 私は日本側の措置が万全だったとは思いません。万全だったとは思わない。しかし、私はここで責任を追及する気持にはならない。問題はむしろ米軍ですよ。これは平たい言葉にたとえて言うならば、ここに相愛の青年男女があって、思わせたっぷりにして、そうしていろいろつき合わしてごちそうなんかをさせておいて、最後にひじ鉄を食らわすのと同じですよ。平たい言葉で言えば。私は米軍の不信行為だと思う。それはどういう情勢が変わって参ったかしれないが、私は感情上許すことはできない。あなた方は、たくさん日本の役人がおられて、すべての人の判断がそうだったということについては、私は直接米軍と交渉したことはないけれども、何か根拠があったからこそそういう判断をされたと思う。特定の一個人がしたわけではないのですからね。そうして、国の予算が決定し、それで主催都市の東京都の予算が成立をして、実行段階になった今、根本的にこのオリンピック計画を変更しなければならぬようなことを言い出すというようなことは、全く日本の国民感情を無視した、日本を無視した態度だと思うのですね。
 沼尻説明員に伺いますがね、具体的に伺いましょう。たとえば朝霞キャンプのサウス・キャンプは今使っていないでしょう。そういうふうに聞いている。こんな所は協定上からいって当然返すべきじゃないですか、文句なく。あまり使用していない所は返すということは協定にちゃんとあるのだから。この点どうですか。
 それと、あなた施設特別委員会に日本側を代表して出ているというが、相手はどういう階級のどういう人物が出てきているのですか。日本の国会に矢嶋という男がいて、こういう発言をされてうんと責任を追及されたということを相手の人物に伝えなさい。そうして相手がどういう答えをしたかということを適当な機会に本委員会で回答してもらいたい。
#189
○説明員(沼尻元一君) 施設特別委員会のアメリカ側議長はキャプテン・スパングラーと申します。
#190
○矢嶋三義君 階級は。
#191
○説明員(沼尻元一君) 海軍大佐であります。
 それから、朝霞キャンプの使用状況でございますが、これには朝霞のサウス・キャンプにはいろいろな建物がございますが、劇場とかPXとか食堂とかボイラーとか、そういうものは現在ノース・キャンプの――朝霞にはノース・キャンプとサウス・キャンプがございますが、ノース・キャンプにはそのような施設がございませんので、ノース・キャンプの米軍がこれを、並びにこの付近には桃手住宅地区というのがございまして、こういう所に住んでいる米国人が、サウス・キャンプのそういう施設を相当使用しております。
#192
○矢嶋三義君 だから一部しか使用していないわけです。ともかく、相手は大佐だそうですが、あなた、日本国民を、独立国の日本国民を代表して交渉しているのだから、大佐ぐらいに辟易するようではだめですよ。(笑声)笑いごとじゃない。長いこと調達庁の役人を勤めて駐留軍と交渉しているというと、知らず知らずのうちに駐留軍的になっちまうことがあるからね。日本国の国民精神――日本国国民だということを忘れがちになるから、絶対そういうことのないようにしっかり交渉をしてもらわなければならぬ。北富士なんというのは不信行為じゃないですか。どうですか。なぜあなた方は江崎さんにああいう答弁をさせたのですか、私に。返還の見込みが――三十六年三月までに返還するようにいたします、期日まで切ってあったじゃないですか。それを、それまでは使用計画が出ていなかったのに、そのあとに、あのころから、使いもしないのに一年通して使うような計画を日本政府に持ってきたじゃないですか。なぜああいう不信行為をなじらないのですか、黙っているのですか。黙っているから返還しない。水戸の演習場だってそうじゃないですか。東海村は日本の原子力センターですよ。一度事故が起これば何千億という損害が起こるほどの大事な原子力センターですよ。あそこを爆撃場に使っているじゃないですか。しょっちゅう誤った爆撃をやっているじゃないですか。人畜の被害が起こっているじゃないですか。あなた方の交渉がなまぬるいというので、科学技術庁の長官が直接交渉をやったのです。ごもっともだから当分使わないといったところが、一カ月ぐらいしたら使い出したのです。使い出したとたんにまた事故が起こったじゃないですか。こんな、科学的に見てもきわめて明白な、演習場をどうして撤去させ得ないのですか。防衛庁長官にかわって白濱政務次官いかがですか。少しだらしないじゃないですか。お答えいただきます。
#193
○政府委員(白濱仁吉君) だらしないとのおしかりでございますが、先ほどから申し上げました通り、私どもも日本国民として一生懸命努力はいたしておるわけでございますが、各種の条件を考えてみますというと、私も詳しくはわかりませんけれども、東海の原子力村はすでに施設があったところにこれがそばにできたというふうな経緯もあるように承っておりますので、また御指摘の通り非常な危険もあるということも承っておりますので、私どもも機会あるごとにお説の通りの努力を続けておるわけであります。
#194
○矢嶋三義君 荒木文部大臣も科学技術関係に関係があるわけですがね、非常識だと思いませんか、あの東海村の原子力センターとあの爆撃演習場は。それであれだけ事故が起こっておる。そうして抗議を申し込んだところが、演習を中止するといって、ものの三週間もしたらまた始めて、また事故を起こしている。あなたは池田内閣の一閣僚ですがね、こんな非常識――でたらめだと思いませんか。事故が起こったら少々の損害では済まないのですよ。あなたは国務大臣、文部大臣として、専門家としてどういう御見解を持たれますか。
#195
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あの演習場はどこかにかえねばならぬと思います。(「名答弁だ」と呼ぶ者あり、笑声)
#196
○矢嶋三義君 確かに名答弁ですが、やっていただかなければ困るのですよ。あなたはそういう発言を閣議においてなされたことがありますか、いかがですか。閣議でそういう発言をなされたことございますか、どうですか。今後していただきたいと思うのですが、いかがですか。
#197
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それぞれ所管大臣がおりますから、要らぬ差し出口はしないつもりでおります。ただ科学技術庁長官を兼務しております時分に、東海村に行きまして、現地の住民からも熱心な陳情も受けた体験もございます。現地の状況も、およそ現地について知っておりますが、適当でない場所だと思います。かえる努力をすべきだと思っております。
#198
○矢嶋三義君 なぜこういう問題を私が出すかというと、たとえば太田の群馬県の飛行場にしても、あるいは茨城の飛行場の問題にしても、あるいは北富士、東富士の演習場にしても、ああいう格好で放置して、そうしてゆるふんでおるからワシントン・ハイツ、それからこの朝霞キャンプに追い打ちをかけられるのですよ、追い打ちを。日本の政府はそんなものだ、日本国民はその程度だと、こういう甘い認識をする。日本の認識を誤るからそういうものが出てくるのですよ。安保条約のときだってそうですよ。日本の国民感情を、国内の実情というものを十分分析、判断していないからああいう事態が起こったのです。だからその点、政権を担当している人はやっぱり責任を持ってやられる必要があると思う。だから、これができなければ、私は、池田内閣は政治責任をとらなければならぬということをさっきから申し上げておるわけです。この言葉をよく覚えておいていただきたいと思います。
 それで、私、防衛政務次官に伺いますがね、あなたは御存じの通り、こういう過去があるわけですね。昭和二十七年に平和条約が発効いたしました。その前は国会において法案を出す、それから修正案を出すという場合に、一々司令部にオーケーをとりに行きましたね。で、われわれは修正案を出そうと思ってオーケーとりに司令部に行くと、ちゃんと与党の方が先回りしておってね。社会党からこういうオーケーをとりにくるかしらぬから、そのときはオーケーを出してくれるなと、先回りしてちゃんと言っておったものですよ。それでオーケーとれないで、修正案さえ出せなかったというのが昭和二十七年平和条約が発効するまでのわが国における国会の運営だったのです。これは荒木さんなんか体験しているから十分御承知の通り。返還問題というのは、その事実が過去にあるわけですね。米軍が使っている施設を返還するという場合、返還した後に自衛隊が使いたい、それから民間に払い下げてもらいたいという場合にですね、自衛隊が、防衛庁が米軍に働きかけて、そうして返還した後には自衛隊が使うというような条件のついた形で返還してほしいと働きかけた過去の事実はありますよ。そうして、そういうひもつき返還のなされたケースは幾らでもあるのですよ。そういう過去があるだけに、今度の問題にそういうことがなければいいがという私は非常に重苦しいといいますか、杞憂で終われば幸いですが、感なきにしもあらず。ということはね、返還が大体間違いないという認識のもとに予算編成段階で建設省と防衛庁は徹底的に渡り合ったはずです。道路をこしらえる。大東京の衛星都市として適当だ。だから、ここに住宅公団で家を建てて、そうして各国のオリンピックでやられたように、オリンピックが終わった後にその選手村を平和都市、住宅難に悩む日本国民の住宅地にするという建設省側を中心とする一部の見解と、いや、それは自衛隊向きに建物を作っておいて、オリンピックが済んだならば、その選手村は自衛隊がいただこう、こういう見解とが激突したということは百も御承知の通りです。だからですよ、万万が一私はこういうことがあってはならないと思うのですよ。たとえば北富士演習場が接収解除されたならば、米軍と自衛隊が共同使用する、その条件のもとに北富士を返すという問題のごとくですね。朝霞のキャンプというのは非常にいいところだ、だからここに将来自衛隊が使えるような建物を作って、そうしてこれを自衛隊にそのあと譲って、そうして米軍が必要な場合にはその一部を使わしてもらおう。そういう結果になるためには無条件で接収解除しない方がいいというような以心伝心の何物かがあって、青天のへきれきとしてこういう問題が起こってきたとするならば、これは重大な問題であって、私は防衛庁の責任を追及するだけで済まない。こういうことは絶対あってはならないと思いながらも、過去に、接収地域の返還の場合、さっき私が申し上げたような過去の事実が、厳粛なる事実があるがゆえに、私の心の一隅に――杞憂で終わればけっこうですが――そういう気持があるわけです。この点について防衛政務次官はいかように答弁をされるか、お答えいただきたいと思います。
#199
○政府委員(白濱仁吉君) 過去のことは私もつまびらかにしませんが、今回の場合につきましては、先ほど申し上げました通り、一月十七日の施設特別委員会のあと回答がおくれているということから窓口を通じまして督促はいたしましたけれども、私どもそのような、今御指摘のようなことはなかったと私も信じておるのであります。
#200
○矢嶋三義君 今後絶対にあってはならないことですからね。この点については防衛庁長官並びに調達庁長官にこういう質問があったということをお伝えいただいて誤りなきことを期していただかなくちゃならぬと思いますがよろしゅうございますか。
#201
○政府委員(白濱仁吉君) 承知いたしました。
#202
○矢嶋三義君 ではお約束でありますから質問を結びますがね。荒木国務大臣に、また荒木文部大臣にお伺いいたしますが、既定方針通りオリンピックを開催するためにはワシントン・ハイツと朝霞のキャンプ接収解除というのは必須条件です。しかももうこの計画のもとに車は回って国費は投ぜられつつあるわけです。従って、これを実現するために、具体的にこれからどういう手順でいくように対処されるかですね、具体的に。JOCにいたしましてもあらゆる運動関係の団体等も、この際にこそ政府に期待しておるわけです。その政治折衝、ハイ・レベルの政治折衝というものに期待しておるわけです。閣議においてあるいはその他の機関においていかように具体的にこれを取り運んでいかれるおつもりか、お答えいただきたい。
#203
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻申し上げましたような考え方のもとに、当面全努力を傾けるべきだと思います。その具体的な段取り等は、着眼点等につきましては、第一に組織委員会において総合的な対策を立てまして、その線に沿って動くべきものでもございまするし、いち早く組織委員会の緊急会合が昨日行なわれまして、一応の結論は出ておるようでございます。実は昨日衆議院の委員会に出席いたしておりまして、緊急総会に出席いたしかねまして、その間の話はちょっと正確に知り得ておりません。もしよろしければ藤枝総務長官からでもお聞きいただければありがたいと思います。
#204
○矢嶋三義君 藤枝長官の前にあなたに伺います。それは、今あなたは組織委員のメンバーとしての御発言ですが、荒木国務大臣としてこの問題を最も近い閣議に提起するお考えはございますか。
#205
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当然閣議の課題になるべきものと思っております。
#206
○矢嶋三義君 その基本的方針は、接収区域の、予定通りの接収解除をしていただくというこの基本方針において提起して参ると、こういうことですね。
#207
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのことそれ自体が、ただいま申し上げましたように、組織委員会が実質的には担当することになっておりますから、その組織委員会における総合的な結論の線に沿って閣議の課題として取り上げて、政府としてなすべきことをなすと、こういう順序になろうかと思います。そういう順序を踏むべきだと思っております。
#208
○矢嶋三義君 そこで、組織委員会の方針はきまったのですよ。あなた、きのう委員会に出て、欠席されておりますけれども、既定方針通りいくと、それで善処していただくように政府に申し入れてお願いすると、こういう方針がきまっておるわけですよ。だから、そのパイプとしてのあなたが、非常に重要な役割を持つわけです。組織委員であると同時に文部大臣であり・池田内閣の国務大臣でありますから、組織委員会の決定はそういうことになっているものですから、従ってそういう角度において、あなたは閣僚として閣議の議題に提起し、努力されることになるだろうと思いますが、御確認を願います。
#209
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その窓口でむろんございますが、窓口のコックを握っておられる藤枝長官の意向も十分聞きましてするようにいたしたいと思います。
#210
○矢嶋三義君 それじゃあ、あなた総務長官以下になってしまう。念のために総務長官の御見解を伺います。
#211
○政府委員(藤枝泉介君) 昨日の組織委員会の決定はすでに御承知の通りでございます。そういう形におきまして、ただいま文部大臣のお答えになりましたように、十分閣議の課題といたしますと同時に、関係閣僚で最も有効適切な方法を考えて、組織委員会の方針に従ってやりたいということであります。
#212
○矢嶋三義君 もう一問、最後ですが、その段階でここ数日中に結論が出ればけっこうです。米軍の参謀総長もちょうど来日中のようですが、もしそれで解決しないような場合においては、池田さんは近くアメリカに行かれるわけですが、その場合に池田総理の対米折衝の一つの重要なポイントとしてこれを取り上げるべきである、そういうことを閣議において荒木文部大臣は提起されるべきだと思うのですが、あなたのさっきからの答弁が、ほんとうにあなたが信念を持ってやられるという決意ならば、こういう問題にこそあなたは国民的な誇り、自覚というものを百パーセント発揚して、そうして相手を撃退するくらいに対処さるべきですよ。特にあなたは池田総理とは水魚の交わりがあるわけですから、だから最終的には池田総理が渡米の際における一つの日米折衝事項として取り上げるべきものだと私は考えますが、荒木文部大臣、御所見を承ります。
#213
○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっきも申し上げました通り、当然閣議に取り上げらるべき問題でございます。取り上げるにいたしましても、ただ問題の所在を言うだけが能ではないと心得ております。取り上げる以上は、十分に組織委員会との連絡も保ちながら、十分検討しました対案をもって相談さるべきものと思いますから、そういう意味での検討をした上で、閣議でも発言をいたしたいと思っております。
#214
○矢嶋三義君 池田さんとの関係は、池田訪米の……。
#215
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 水魚の交わりはまた別問題でございまして、もし渡米前に解決しない、渡米後に本国と外交的な面で話し合いをすべき課題であるということがわかりますれば、私どもがかれこれ言わぬでも、賢明なる総理が取り上げると期待しております。
#216
○委員長(平林剛君) 委員長としてちょっとただいまの質疑応答の中で気がかりな点がありましたから、防衛政務次官にお尋ねしておきたいと思います。
 先ほど矢嶋委員の質問に対して、一月十七日、施設特別委員会のあったあとで、どうも回答がおくれているので正式の要求をされたというお答えがあったわけです。そのとき、この正式要求をしたというのは、朝霞キャンプの返還について疑念が持たれたので正式要求をなさったのか。答弁の中では、すでにその接触をやったときに一応心配があったというふうに聞き取れたのでありますけれども、その点の事情はいかがですか。
#217
○政府委員(白濱仁吉君) 一月十七日の施設特別委員会を通じて米軍に申し入れをいたしましたところが、回答がなかなか来ないというふうなことから、私ども、組織委員会あるいはまたその他で非常に急いでおるということを承りまして、督促をいたしたのであります。そのときの感触が、どうも少し違うのじゃないかというふうな感じがしたということを申し上げた次第でございます。
#218
○委員長(平林剛君) そこで、どうもアメリカ側では、朝霞キャンプについて返還を渋る、あるいはそういう意味でないのだというような行き違いがあなたの方で自覚をされたとしますと、これはきょうの問題ではないわけです。東京都の知事は、青天のへきれきだということを述べたと伝えられておりますけれども、すでにその当時から心配が持たれたといたしますれば、防衛庁としてはその心配について、オリンピック組織委員会とかあるいは政府に対してもその感触を連絡して、そうでなくてもオリンピックの準備がおくれているというときに、今日まで待たず、何らかの手を打てたのではないだろうかと思われるのでありますけれども、そういう措置についてはどうおやりになったでしょうか。
#219
○政府委員(白濱仁吉君) 先ほど私申し上げました通り、それぞれの機関と申しますか、すでにオリンピックの田畑事務総長にも、私みずから会いましてその感じは申し上げましたし、藤枝総務長官にも、佐藤副長官にも、実はそのことを申し上げると同時に、また建設政務次官あるいはまた文部政務次官の方にもそういうふうな感触であるということは一応私はお伝えして回ったのであります。
#220
○委員長(平林剛君) 藤枝総務長官、荒木文部大臣どちらでもけっこうでありますが、そういうお話をお聞きになったとき、直ちにオリンピック組織委員会その他の機関で何か手を打つ必要があるのではないかというようなお話はなさらなかったでしょうか。
#221
○政府委員(藤枝泉介君) 白濱政務次官からそういう点の感触でございますが、伺いましたので、さっそくオリンピック組織委員会の会長であります津島会長に御連絡をいたしまして、そうして外務大臣、防衛庁長官、文部大臣等にもこういう情勢があることを御連絡をし、そうして窓口である防衛庁として十分そのことのないように、計画通りに返還がありまするようにさらに御努力を願いたいということを連絡をしておった次第であります。
#222
○委員長(平林剛君) 最後に、防衛庁の政務次官に特にお願いをしておきますけれども、先ほど矢嶋委員の質問もございましたけれども、町のうわさあるいは推測する向きでは、今度の返還についてアメリカ側の態度の変わったうしろに防衛庁があるのだというようなことが伝えられている。私はさようなことはないと信じますけれども、かりにもそういううわさが立てられたり、推測をされるということはきわめて重大な問題だと思いますので、防衛庁は少しでもそういう疑いが持たれるようなことのないように努力をすべきであると思うのであります。また、そういう疑いや推測を消すための努力のために、先ほど文部大臣や総務長官がお答えになっておりますように、予定通り進められるようにあなたの方も積極的に努力をすべきだと考えますが、御見解を承っておきたいと思います。
#223
○政府委員(白濱仁吉君) 私どもももちろん日本政府の窓口として政府の全体の意向を体して十分努力をして参ったつもりでありますが、今御指摘の通りのうわさがあると、風評があるということはまことに不本意でありますが、今後も十分注意をしていきたいと考えておるのであります。
 なお、先ほど私の答弁の中で誤解が生じたらいけませんので訂正いたしておきますが、私どものいわゆる米軍当局との感触と申し上げましたが、あくまでも在日米軍の方の感触でございまして、米軍が回答するとしますというと、いわゆるハワイの極東軍司令部、またワシントンまで行くというふうなことで相当日時がかかるわけでございますので、そういうような点から、私どもがもっぱら感触を受けたというのは在日米軍の出先であるということを御了承願いたいと思うわけであります。
#224
○豊瀬禎一君 せっかく防衛政務次官がおいでになっておりますので、一つだけ今当面、現在問題になっているのとは違いますが、三月の下旬に防衛庁の長官もおいでになった予算分科会の席上で私が久留米の射撃場の問題で質問したことがございます。これは射撃演習の際にたまが外に飛び出して危うく学校の先生を殺そうとした事件ですが、当時防衛庁の責任者の方は射撃場の修理の予算も組んだし、たまが飛び出さないように十分に修理を行なった後しかやらないし、現在も使用していない、こういう御答弁だった。私、現地の方を調べましたところ、まだきょうは日にちは申しませんけれども、それ以前に射撃場の使用を開始されている、こういうことですが、久留米の射撃場の使用を開始されておる、こういうことでありますが、使用開始はいつから始めておられたか、それだけ答えていただきたい。
#225
○政府委員(白濱仁吉君) 実は御質問のあったことは私もよく承知しておりますけれども、その後の経過について存じませんので、次の機会にでも御回答さしていただければと思いますから、よろしくお願いいたします。
#226
○豊瀬禎一君 私はその回答にうそ偽りがあったという問題よりも、十分に修理が行なわれて、再びこういう事件がないようにされて後に使われているかどうかというところに問題の重点を置いているのですが、前回も指摘しました通り、同じ場所に二度射撃場のたまが飛んでおるということは、非常にこれは付近の住民にとっては重大な問題でありますので、十分に調査していただいて、別に委員会の席上で御答弁いただく必要もございませんから、後日調査の上で御回答願いたいと思います。
#227
○政府委員(白濱仁吉君) 十分調査して御回答申したいと思います。
#228
○委員長(平林剛君) 他に御質疑はございませんか。――本件に関する質疑は、本日のところこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#229
○委員長(平林剛君) 次に、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。野本品吉君。
#230
○野本品吉君 私は社会党の豊瀬議員が代表されまして提案されましたこの法案につきまして御質問申し上げるわけですが、私の質問は主として社会党の皆さんに対して行なうわけですから、大臣その他は御用があれば御遠慮いただいてもけっこうですが、昭和三十年ですかな、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律というものができた。私もこの法律の制定されるときには、やはり一文教委員として関与しておりまして、とにもかくにも日本の学校教育の運営上における一つの大きな前進である、進歩である、こういう気持でこの法律の成立に御協力申し上げたつもりでおります。そこで、その後実際の運用がどうなっておるかということにつきましては、これまた各地の様子等も一応私なりには観察し、いろいろ考えさせられておりましたが、その問題につきまして、このたび社会党の諸君からさらに大きく前進させなければいかぬというお気持での御提案があったわけです。そこで、この前の法律制定のときにも、審議のときにも問題になったのでありますが、一応その後の状況についてお伺いしたい。御提案の理由は先般豊瀬委員から詳細御説明がありまして十分承知しておるはずでありますが、その提案理由の冒頭に、「休業教員数の平均八二%に対する補助教員の配置を見るに至りました。」、これは一つの進歩である、こう言うのです。そこで、八二%に対する補助教員の配置ということでありますが、これは実数は一体どういうふうになっておるか。もっとこれを具体的に申しますというと、府県別のは数字等が先般資料の配給がありましたので、私はそれを必要といたしません。私の申します実数というのは、実際お産をなすった先生、これが何人ぐらいか。
#231
○豊瀬禎一君 三十四年度の調査では、これは文部省の調査ですが、休暇教員数が一万九千八百五十六名、これだけの女教員がお産をしておるんですが、実際には千六百十四名というのが補充されていない、こういう形になっております。
#232
○野本品吉君 出産された、お産をされた先生の総数をいま一度。
#233
○豊瀬禎一君 休暇をとった教員数が一万九千八百五十六名です。
#234
○野本品吉君 そこで、これもまたこの問題を考える基礎的な数字として確かめておかなければならぬのですが、女子の教職員の総数は、私の知る範囲におきましては約二十九万程度ですかね。
#235
○豊瀬禎一君 二十万切れておると思うんです。
#236
○野本品吉君 二十万切れておる。かりに二十万としましても、そのうちの有夫教員数はどれくらいありますか。
#237
○豊瀬禎一君 約二十万切れておる女教員の中で、有夫教員は約七〇%ですから十二、三万と思うんです。
#238
○野本品吉君 そこで、さらにこれも確かめておく必要があるんですが、有夫女教員の年令構成の問題、これはどういう形において構成されておるか。
#239
○豊瀬禎一君 有夫教員の年令構成といいますのは……。
#240
○野本品吉君 たとえば二十才から二十五才あるいは二十五才から三十五才と。こまかく分ければもっといいんですが、私のお聞きしますのは、大体において子供を産む年令にあると者、それからしてある年令を越えれば子供はできないそうですから、そういう年令にある者の数はどうなっておるか。
#241
○豊瀬禎一君 大体御承知のように四十数才までは子供を産む人はそう珍しくないことですし、現在の若い方の教員の年令数は満でいきますと、二十才ちょっと越したころから教員になっておりますから、現在全国的に女子教員の年令というのは退職勧告等の措置によって少し下がりつつありますが、女子教員の八〇%から九〇%ぐらいまでは、やはり先生がおっしゃったお産に該当する年令といいますか、このように判断していいと思うんです。
#242
○野本品吉君 私はその点について、まあ今の小学校の教員構成、なかんずく女子教員の構成を見ていきますというと、これは比較的若い者と、未婚の諸君、それからして比較的年をとられた諸君、この数が、特に御年配の方というものが、私どもがかつて経験した時代よりも相当ふえておる。私のこの判断が違っておりますか、どうですか、その点。
#243
○千葉千代世君 これは御指摘の通りですね。年令構成も戦前と戦後は非常に違うわけです。今具体的に一つの例を申し上げますと、たとえば女子教員の数が男子教員の数に比して日本で一番少ないのは長野県でございますが、長野県の実態を見ますと、年令構成が小学校でいいますと、三十才以下が六一%、三十一才から四十才までが三〇%、四十一才以上が九%、こういう年令構成になっておりますが、これが一番勤務年数も少ないし年令的にも少ないと、こういうところでございまして、東京でございますと、これはずっと開いておりまして、全国一、教員、女教員の寿命が長いといいますか、勤続年数が長い。六十才までは勧告はございませんし、本人の希望しておる限りいられると、こういう状態でございますから、大体平均年令でいいますと、三十四才ぐらいが大体東京の平均年令でございます、教師の。で、四十才以上もこれは非常に多くて、大体一七%以上になっております。これは一昨年の例でございますが、大体一昨年もことしもあまり異同がない、こういう状態でございまして、総体的に日本全国の婦人教師の平均勤務年令というのは、三十才前後、二十九から三十一・二、こういう点を上下しておるわけでございます。
#244
○野本品吉君 私は、ようじで重箱の隅を掘るようなことを言うつもりはないんですが、やっぱり産休の問題を考える場合には、日本の各所の学校における職員構成、そのうちに女子職員がどのくらいを占めておるかということ、それからその女子教員のうち、有夫の女子職員がどれくらいおるかということ、その有夫女子教員の年令構成がどうなっておるかということ、これらはこの問題にまじめに取り組む上においての基礎的な数字で、そうして必要だと、こういう考え方でお聞きしているわけなんで、今ここに詳細なものを直ちに求めようとしておるわけではありません。
 さらにお聞きしたいことなんですが、この提案の理由の中にあります八二%云々ということでありますが、これは全部を満配と申しますか、一〇〇%補助教員を配置した場合の所要教員数が何名ぐらいになるか。
#245
○豊瀬禎一君 先ほど申し上げましたように、休暇教員数一万九千八百五十六名、それに配置しなかったのが一千六百十四名ですから、その差額が配置されたということです。
#246
○野本品吉君 そこで、それを全部配置した場合の補助教員の給与の予算額、どれくらいの金額を必要とするか。
#247
○千葉千代世君 これは初任、たとえば補助教員を雇いました場合に平均給与というものはきまっていないわけなんです。予算を文部省で組みますときには平均単価で人数を組む、こういうことになっておりますのですが、実際県に参りますというと、七千円で打ち切るところもあれば、八千円のところもあれば、それから普通の教員と同じ平均単価で雇うところもある。こういう情勢でございまして、文部省の算定基礎の数によって計算する平均単価でよろしゅうございますか。それを文部省ちょっと答えて下さい。一昨年が一万六千円で組んで、それから去年とことしとずっと移動しておりますね、基礎単価の中に。教員の平均単価、ことし幾らですか。
#248
○政府委員(内藤誉三郎君) 今ここに正確な資料がございませんが、たしか一人当たり二万五千円くらいに見ておるのであります。
#249
○野本品吉君 二万五千円で全部配置した場合の数字がまあ概算出るわけです。このこともやはり女子の方々の出産に伴う補助教員の配置ということと、地方の財政との関係ということを考えなければならぬので、これが総額どのくらい要るかということもやはりこの問題を検討していく上において確かめておかなければならぬと思うので、一応単価がわかりましたし、数がわかりますから、これは私の方で計算してみたいと思います。
#250
○千葉千代世君 初中局長さん、二万五千円とおっしゃったけれども、単価はそんなに上がっていないようですね。ちょっと私正確な数字を持ってきておりませんけれども、その点ちょっと保留しておきましょう。
#251
○政府委員(内藤誉三郎君) これはベース改訂後の単価でございますから。先生御指摘になったのは、その前の、二、三年前の単価ではないかと思います。最近の単価は、たしか二万五千円近い数字だと思っております。
#252
○野本品吉君 もう一つ。これもやっぱりこの案をわれわれが考えていく上において大事な点だと思って私はお伺いするわけなんです。これは労働基準法によりまする産前、産後の休暇の問題でありますが、労働基準法では、これは私どもより社会党の皆さんの方がもう十分おわかりのように、「使用者は、六週間以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」「使用者は、産後六週間を経過しない女子を就業させてはならない。但し、産後五週間を経過した女子が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。」云々という規定があるわけです。これは皆さんの方がわれわれよりも専門家だと思うのです。そこで、この労働基準法によりまする産前、産後の休暇の問題と、御提案の趣旨を見ますというと、非常に労働基準法よりも前進しているわけなんですね。というのは、労働基準法に定められた産前、産後それぞれ六週間という期間を、すなわち補助教員を配置すべき期間と規定し、女子教職員が出産のために休業する全期間を通じて云々とあるので、つまり産前、産後を通じて六週間ずっというのが非常にきびしく規定されておるのです。この御精神、どこにありますか。
#253
○豊瀬禎一君 御指摘のように、労働基準法の精神は、六週間という一応の基準を法律化しましたのは、一般的に申しまして、婦人の出産の身体に及ぼす影響上から医学的に見まして一つの基準を設定したわけですが、基準法の定めとしては、たとえば五週間前に本人が請求した場合も、以前でありますればそれを認めていく、いわゆる六週間でなくてもよろしいというような規定です。これは本人のそのときの母体の状況によって本人の申請を待って許可をするという形ですが、これを前後六週間ときちんと法定いたしましたのはいろいろな理由がございますけれども、まず第一番には、御指摘の三十年に産休法が通過しまして六年近い歳月を経ておるわけですけれども、実際に労働基準法のこの精神が生かされていないで、予算措置がされないためにぎりぎりまで学校に勤めさせられておる。あるいは五週間に予算が組まれておったり、四週間に組まれておったり、すなわち本人の身体状況によって労働基準法の精神の六週間前からは休暇をとった場合には休んでよろしいという条項が、予算措置がされないためにかわりの先生が来ない。そのために校長も休暇を与えない。従って、分べん前の先生が無理をしながら教壇に立ち、その結果異常分べんを起こす等の事態が起こっておるわけです。それと同時に、私どもとしてはやはり法律の名称を変えました趣旨でもおわかりのように、単なる学校教育というもの、あるいは教師の職務というものは、書類を整理するとか器物を製作していくといったような労働の面よりも多分に教師自身の人格とか、あるいは精神力といったようなものが影響するところがきわめて大きい学校教育という特殊な立場を考えて、母体保護と学校教育の正常な運営という両方の角度から法律によって産前の六週間を確保することが学校教育を正常に運営していく建前からしても望ましいことである、こういう判断に立ちまして法定したわけです。
#254
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#255
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
#256
○安部清美君 関連。提案者にお伺いしますが、大体この法案を見ますと、およそ三本の柱になっておるようです。第一本目は、実習助手及び幼稚園の教員を加える、これが一つだと思うのであります。すると、大体実習助手及び幼稚園の該当者ですね、どのくらいの数と把握されておられるのかどうか、これ一つお伺いしたい。
 それから第二番目は、今、野本先生も質問になった労働基準法関係の問題を含めてのものでありますが、これが私はこの法案の一番柱になっているのじゃないか、中心になっているのじゃないかと思うのです。これについて、いわゆる産後の六週間というのは、もうほとんど義務的に補助教員を置かなければならぬと、私はそう考えておるのでありますが、実態は必ずしもそうでないだろう。そこでこういうふうな法案をお出しになったものと思います。産前に至っては本人の要求によって労働基準法に定めたようなことでやっておると思うのであります。この産前と産後の実態を提案者はおそらく実情を御把握の上でお出しになっておるものと思うのでありますから、これの御説明を願いたい。
 三番目は、私立学校の関係が三本目の柱だと思うのですが、この私立学校の関係の実態は私どもよく存じません。存じませんが、準じてやるという場合に、私立学校の経営自体がどういうふうになるのか、あるいはそれの該当者というのはおよそどのくらいのものか。この辺、提案者はおわかりであれば御説明を願いたい。以上三点についてお伺いいたします。
#257
○豊瀬禎一君 まず重要な問題の第二問について御答弁申し上げたいと思います。安部委員の御質問にもありましたように、産後の六週間につきましてはこれはあらためてこの法律で法定するまでもなく労働基準法が義務づけている問題です。特別な場合だけの免除措置があるわけです。しかしながら、産前に至りましては、先ほども野本委員の質問にお答えいたしましたように、日本の女子の医学的な立場から見たところの産前休暇をとる基準としては六週間が望ましいという基準法の精神ですけれども、実際は六週間とっているところはほんのわずかでございまして、岩手、宮城、栃木、茨城、千葉、石川、福井、鳥取、福岡、佐賀、長崎、大分、香川、徳島など、その他の県に至りましても、先ほど申し上げましたように、県の予算措置が、本人の身体的な状況からどうしても六週間かあるいは五週間必要だという状況にありましても、補助教員の定数が予算できめられている。そのために本人の身体状況からすると六週間前から休みたいという状況にあっても、いや、かわりの先生が来ないから、あなたはもうしばらくがまんして下さい、こういった状況が全国至るところにあるわけです。従って、先ほども申しましたように、予算措置がないために、当然本人の身体的な状況からすると休まねばならないし、休みたいという意思表示をしても、補助教員が配置されないために、学校教育の正常な運営を阻害される、従って無理をさせられる。その結果他の職場に比べて異常分べん等のような状態が女子教員の場合はかなり多くのパーセンテージを占めている。これは現在までの文部省の行政措置としては、本人が請求をすれば休ませるように、あるいは労働基準法の精神が具体的に予算化されるようにという善意ある指導が行なわれてきた。これは私どもも認めますけれども、法律が三十年に通過しまして五年の今日に至りましても、ただいま申し上げましたように、多くの県が本人の意思表示があっても、予算に制約を受けて補助教員が配置されないために休暇がとれないという現状です。従ってこのことは、単に三十年制定の法律の精神はりっぱであっても、その法律そのものが、本人が請求をすれば必要な時期に自動的に補助教員が配置されるような予算の拘束をしていないというところに大きな欠陥があると言わなければならないと思います。従って野本委員にお答えいたしましたように、学校教育という他の職場と異なって、その人の人格、精神力といったもので多分に教育効果に影響のある職場、学校教育という特殊性と同時に、三十年制定の産休法の精神をほんとうに徹底さしていくためには、どうしても現段階としては画一的過ぎるという批判は多少ありましても、産前においても六週間の補助教員の配置を法定する以外にないのではないか、このような結論に立って本法案の改正を提案したわけです。これが本法律案の改正を提案しております私どもの最も中心とするところです。
 第一の質問の幼稚園の実習助手を加えましたのは、これはやはり幼稚園実習助手といえども婦人であるという点、お産をするという問題、母体保護という点、これらから考えましても、また当然定員のあることですから、幼稚園実習助手においても、その人が休暇をとれば当然正常な運営が阻害されてくる、こういった角度から幼稚園実習助手を加えたわけです。大体私どもの把握では、実習助手は三千五百名程度、幼稚園は私立は除きまして千名程度と算定をいたしております。
 第三の質問の私立学校の女子教職員の総数については現在把握いたしておりませんが、御指摘のように、この私どもの提案しております法律案が通過し、私立学校においても適用されるとなると、当然前後の十二週間の休暇をとる。従ってそれに補助教員を配置するという形になります。従って人件費においてはかなりの影響があってくることはいなめないと思います。しかし、そのことがあるからといって、私立学校の女子教職員がほとんど産休も十分に与えられず、補助教員も配置されていないという現行制度は、私立なるがゆえに黙過すべき問題ではない、こういう角度に立って私立学校の人件費の負担増になることは承知いたしますけれども、やはり私立学校における休んだ場合の学校教育の不正常、また実際に従前できました産休法の精神さえも活用されていないという実態から、当然私立学校にもこの処置を加えるべきである、こういう判断に立ちまして私立学校の方を加えたわけでございます。
#258
○安部清美君 大体わかりました。第二項の労働基準法の休暇制度の趣旨ですね。産前六週間に対するその請求によるところの休暇、これは労働基準法の建前からいうと、産前、産後については同一の考え方でいくのが普通だろうと思う。特にこの問題についてそういう趣旨で法がきまっておるのはどういうわけなんでしょうか。法の趣旨ですね。そういうことになっておる意義ですね、それを御説明願いたい。
#259
○豊瀬禎一君 御質問の趣旨は、労基法の前後の問題の精神ですが、それらは先ほども簡単に触れましたように、前の場合は先生も御承知のように、これは、お産というのは病気というよりも女の当然の、何といいますか生理でございますが、産後になりますとやはり身体的にかなりの異常な状態が生じますので、労働基準法としてはこれを法定づけたと思います。しかし、前におきましても、その職種の状態、労働の状況によってはある一定の時期から、運動中止ということではなくして、適当な環境の中に置かれることの方が分べんを安易ならしめるとともに、母体を保護するという立場、並びに生まれてくる子供のためにもそれが望ましいことである、こういう医学的並びに母体保護の精神から、前の六週間を一応本人の申請を待って与えなければならぬという制度をとったと解釈いたしております。
#260
○安部清美君 大体私どももそう思っておりますが、提案者は、そういたしますと十二週間ですね、産前、産後を通じて十二週間に対して補助教員の予算をきめておいて、そして本人の請求あるなしにかかわらず、産前も産後も補助教員を配当してやろうという考え方でありますか。
#261
○豊瀬禎一君 概括結論的に申しますと、ただいま御指摘の通りでございます。その理由は、先ほども申し上げましたように、本人がどうしても身体的の状況から休みたい、また休む届けを出しても許可されないという実情から、労働基準法の精神からいいますと、必ずしも何と申しますか、本人の申請という自由意思という角度からしますと若干の問題点はあると思いますけれども、そのことよりも、私どもとしては現実の事態、産休法ができましても、母体保護からも、また学校教育の正常な運営という角度からいたしましても、本人の意思にもかかわらず補助教員が配置されていないという現状を打開するためには、一まず現段階としては、工業教員養成所における文部大臣の答弁ではありませんけれども、これを前の方にも法定づけて、労働基準法の精神のやはり医学的な立場から望ましいことは、六週間というこの精神を法定づけることが、現状の事態から考えてよりよいことではなかろうか、こういう判断に立ちまして前の六週間につきましても予算の義務づけをし、補助教員の配置を法律で義務づけをしたい、こういう考えでございます。
#262
○野本品吉君 今の安部委員からの質問にもありましたが、さらにその点についてお聞きしたい。
 私の考え方では、産前、産後の六週間を大きなワクとして一応確保するという考え方はそれはいい。しかし、その産前の六週間を必ずそうするのだということでなしに、全体の大ワクの中で弾力性を持たせた扱いができるようにするということの方がより実際的ではないかというふうにも考えられるのですが、その点について、どうお考えですか。
#263
○豊瀬禎一君 先ほども御答弁申し上げました通り、産後の六週間につきましてはすでに基準法で義務づけておるわけです。従って、このことに対するあらためての法定の措置は必要じゃない。私どもが最も問題としておりますのは、たびたび申し上げますように、前において、本人の必要な休暇が本人の請求があった場合には許可しなければならない、与えなければならないと基準法でなっておるにもかかわらず、予算措置が行なわれておらないために、ある学校においては教頭の先生が臨時に出かけていくとか、あるいは中学においては別の科目を担任しておる先生が臨時担任教員にいく、こういった望ましくない措置が行なわれているわけです。従って、大ワクとして前後を通じて十二週間を法定づけることもある意味があると思いますけれども、やはり問題の重点は前において保護されていない、そのために学校教育の正常な運営が行なわれていない、こういう現状から前後に分けて法定化したい、こういう考え方であります。
#264
○野本品吉君 そこで産前の問題ですが、これは私も必要な者もありますし、必ずしも六週間を必要としない人もあろうと思う。そこにあまり固定的にものを考えずに、弾力性を持たせて考えていくことも一つの考え方であろうと私は考えているのですが、そこで、結局問題は、先ほど申しましたように、提案の理由の中にもありましたように、実際は八二%云々ということなんです。これは要するに、前にできましたいわゆる産休法の趣旨が町村の末端まで十分徹底されておらないところがら生まれてくる現象であって、その趣旨の徹底によって、大体それはいけるんじゃないかというふうにも考えられる。その点についてはどうお考えですか。
#265
○豊瀬禎一君 御承知のように、労基法が制定されまして――二十二年だったと思いますので、十数年の経過をしておるわけですが、労基法のこの六十五条の精神は、これは少なくとも法律を解しないような、徒弟制度的な、小さな町工場的な職場においてはいざ知らず、どんなに譲歩いたしましても、学校教育の中、あるいは学校教育行政に参与しておる人、あるいは地方自治体にその席を置いておる人々にはほとんど私どもとしては周知徹底をしておる。また産休法にしましても、学校関係におきましては、このことはその精神なり、法のねらうところは徹底しておる。しかしながら、そのことは理解しておりながらも、現在行なわれていないという根本の原因は、やはり地方自治体における予算措置が行なえない。それはある貧乏県においては県財政が苦しいという事態もあると思いますけれども、結局基準法並びに産休法の精神は十二分に理解されておるけれども、予算措置がない。予算措置がないということは、反面から申しますと、ほんとうに理解されていないというパラドックスも成り立つと思いますけれども、問題は予算措置を十分にする。しかしながら、私どもの熟知しております実情では、予算措置があっても、なお毛色の変わった校長は、かわりの教員を入れることをきらって、もうしばらくはがまんしてやりなさい、何先生はわずか前に四週間しかとりませんでしたよ、あなたも、まあお見かけするところ非常に健康のようですから、いましばらく休暇をとらぬで、あなたのかわいい子供の世話をしてくれませんか、こういう泣き落としの実態等が決して全国に希少とはいえないと思います。こういう実態から、まず本人が、御指摘のように、ある人にとっては六週間というのは必要がなく、五週間程度で休んでもよろしい人があると思います。しかし、基準法六十五条の「六週間以内に出産する予定の女子が」云々という、この就業させてはならないという規定は、一応法の中に六週間という具体的な期限を切ったということは、日本の場合において、これが医学的に一つの基準となり得る期間である、こういう判断をいたしました際には、やはり補助教員を置くことを、特に前において法律で義務づけする、このことが当面の事態を解決するために最も重要な問題である、こういう判断をしておるわけです。
#266
○北畠教真君 ちょっと関連して。先ほど来種々お話を聞きましたが、豊瀬さんのお話の中で、異常出産が学校の先生の間に非常に多いんだということをおっしゃいましたが、一体どのくらいの異常出産があるのか。パーセンテージですね。今ありましたらお知らせ願いたいと思います。
#267
○千葉千代世君 異常出産が大体三五・五%というわけでして、ほかの労働婦人と比べて、格段に多いということでございます。具体的にお示しいたしますというと、たとえば正常出産の場合に、女教師ですと六四・五、織物工だというと八七・三、農業ですと九一・二とこういうふうな正常出産。早産が、女教師ですと九・四、織物工で六・三、それから農業が六・五。それからお医者さんの協力があってやっと生まれたというのが二〇・四――女教師の場合。織物工は五・五、それから農業が二・六。それから機械分べんした場合に、女教師ですと六・三、織物工が一・八、農業が二・三、こういう比率になっていまして、大体これは日教組の調査によりますというと、これは三年ぐらい前の調査でございますけれども、女教師の生んだ子供と、それから、たとえば御主人が先生しておって、奥さんが家にいらした、その方の生んだ子供、これが目方で言いますと、平均百グラム、女教師の生んだ子供が目方が少ない、こういう実数が出ているわけです。これは共済組合手帳その他ずっと分べん当時の胎児の目方を記入していただきまして、生んだ方の全調査をしたわけですが、そういう実態になっております。
 それから、立ったついででどうも恐縮ですが、先ほどから労働基準法の問題が出ておりましたけれども、御承知のように、これはあくまでも最低の座業の場合ということが労働基準法にうたってある最低の座業。そうすると、教師の場合には、最低の座業ではなくて、立って仕事をする、労働量も非常に違う、こういうふうな実態の中で、この労働基準法というものが生まれていることは御承知の通りでして、ちょうど野本委員その他の方々が議員提案でお出し下さった、そのときの答弁の中に、労働基準法は最低である、この最低の十二週というものはまず確保する。その中で、東京とか、大阪とかその他の県で、十六週、あるいは十五週、十四週、十二週と、こう十二週以上を確保している県については、それは当然そのまま既得権を認めていく。こういう中で、十二週ということは、やはりこれは国際上から見ても、あらゆる――母体保護の方面から見ても、やはりこれは最低ではないか、だから、これを守っていこうというわけで、特に労働基準法ができますときには、御案内のように、まだ日本には労働医学というものが戦前にはあまり発達していなかったし、婦人労働については特に資料となるべきものが、労働省にもないし、文部省にもないし、それから労働科学研究所その他、全部歩いたのですけれども、婦人労働の資料というものは一つもございませんでした。そこで――体育に関するものだけしかなかった。心臓の発達工合とか、そういうものだけで――やはりこれは資料がなければならないというので、野本委員その他から御注文がございまして、全女教師の実態調査を仕上げた、こういうありさまでこれが出てきた。そのときに繰り返して言われたことは、産休補助教員の配置期間は最低十二週、それ以上――なぜそこで期間をうたわれなかったかということは、御承知のように、十二週にしよう、十六週にしようということがあって、そこにうたうとあれだから、最低はまず十二週と規定しておいて、そして、その他の、たくさんとっているところもあるから、ここでは期間をうたわないでおこうではないかという討論がされたわけです。労働省の婦人少年局長の谷野せつさんも来まして、そして、やはり最低十二週ということについてはどうしても必要だという御証言があった。そしてそれが、内容的にこれを含めて最低十二週を確保すると、こういう内容であったし、それからもう一つは、産前の必要性について、豊瀬委員から述べられた通りでございますけれども、私もちょっとこれは専門的にやっていた関係で、ずっと調べてみましたところが、やはり産前に休暇をたくさんとっていた方の方が、分べんも正常であるし、予後その後の経過もいいし、それから初産とか、二回目とかは別として、だんだん年をとって四人目、五人目になってきますと、産前の休暇をとっておった方と、おらない方とじゃ、格段の相違ができている、こういうわけで、産前の必要性というものが特に強調されておったし、それからまたお産して出血した量を取り戻していく期間というものがやはり最低四週間で、取り戻してそのほかに労働に耐えていくという期間を最低座業で六週、それから教師のような場合の中等労働と申しますか、労働力でありますというと、これはやはり八週、体操したり遠足に行ったと、こういう期間が出たわけです。こういうふうな意味でございまして、やはりこれは産後の必要性と同じように、むしろ産前も重視しなければならないのではないか、今まであまり軽視されておったから。こういうことでございました。
 なお、ついでに恐縮ですが、安部委員の方から御指摘のあったように、産前の休暇というのが非常にとりにくいというのです。ここに山梨県の例がございますが、山梨県の場合は全国一ひどいのでして、産前休暇をとらないものは五一・六%なんです。ですから産むあれまでですか、ずいぶんそれはひどいじゃないかと、こういうようなこれは資料でございますが、そんなふうな理由で一番ひどいのは、全国を通して山梨は六週間しか配置がとってございませんが、全体的に見まして、先ほど申し上げました八二%という補助教員を配置したというのは、配置はいたしましたけれども、期間というものがまちまちなんですね。休んだ期間とか、十二週とかでございませんで、六週間なり五週間のもあり、また三週間もあって、全体として山梨は六週間しか休んでない。福井なんかの例で見ますと、産前を九・四日しか平均して休んでない。こういうふうな実情になっておりまして、産後その他の資料はございますが、また後ほど申し上げたいと思っております。大体以上であります。
#268
○北畠教真君 もう一つお伺いしたいのですが、各都道府県で教員数の定数のうちから、あらかじめ産休教員などを生じた場合に補充をしている、常時にやっている数はどのくらいあるのですか。また学校によっては、大きな学校なんかでは産休教員といいますか、定数の中にそういう余裕の人間を置いているのじゃないですか。そういう数を一つおっしゃって下さい。
#269
○千葉千代世君 ここに文部省の調査――たとえば三十六年の二月十六日に、これは文部省資料の中に出ておりますけれども、それでよろしいですか――それを見ますというと、休暇教員数が一万九千八百五十六、常時配置ですね、常時配置している県は千葉県だけしかないのでございますね。千葉県が四百九、青森が九、それから長崎が三で合計四百二十一です、常時配置が。その他は臨時的と、それから学校に増置教員がございまして、それを活用しているのが、そういうところが多いのですけれども、常置教員数というのはそれだけしかございません。
#270
○北畠教真君 そのぐらいですか。
#271
○千葉千代世君 これは文部省資料によりましたけれども……。
#272
○北畠教真君 いやいや、そうじゃなくて、各都道府県で教員数の定数があるでしょう。その中でもあらかじめ産休のことを予定して、人数を予定している県があるでしょう。
#273
○千葉千代世君 こういうことですか、たとえば文部省が教員の定数を組むときの算定基礎の中に欠休とか、産休を合わせて何%、全体幾らというものを組みますわけですね、それが今度各地方にいきますというと、ひもつきでございませんから、県の費用に、二分の一負担の問題とからんで財政費が逼迫しますから、そうすると、それを今度は教員数の定数の中に組むといいますか、これはことしでいいますと、七月ごろでないとわからないということですね、実数は、去年の実数を見ていきますというと、これが三十四年度でございますと、その中に四百二十一しかないわけです、常置としては。プールした数の中の全体の定員の中にそれだけしかないわけです。臨時的というのは別に任用しているわけです。
#274
○北畠教真君 どのくらいおりますか。
#275
○千葉千代世君 四百二十一。
#276
○北畠教真君 それは何ですね……。
#277
○千葉千代世君 あとは臨時的任用というのが、一万七千八百二十一。
#278
○北畠教真君 学校ごとに配置されているそういう人はありませんか、大きな学校で。
#279
○千葉千代世君 これが学校ごとに配置されていないわけなんです。
#280
○北畠教真君 大きい学校なんかに配置されているでしょう。
#281
○千葉千代世君 これは、たとえば千葉県なら千葉県でありますというと、臨時的と、それから常置というものを併用しておる、その先生というのは、その学校にいるのではなくて、とってありまして、籍だけ一応あるにしましても、それは方々生んだとき回っていくわけです。その学校だけのお産じゃないわけでありまして、たとえば船橋なら船橋市を回って歩く先生とか、郡を回って歩く先生とか、出張所にプールしておるところもあれば、籍だけ大きい学校にある先生もございまして、まちまちです。
#282
○北畠教真君 そういうところ、どのくらいありますか、全国に。
#283
○千葉千代世君 それが四百二十一です。臨時的まぜましてですか。
#284
○北畠教真君 そうでなくて、都道府県にプールしてある定数の中から、こういうものを産休に回す可能性があるという数字がありますね。それと、各大きい学校ですね、今おっしゃるような、千葉県の船橋市ですか、そういうところに確保してある、産休なんかに回せるような人がいますね。そういう全体数を尋ねているのです。
#285
○千葉千代世君 それは、たとえば臨時的に、お産があるたびにほかの先生を臨時的に雇うのでなくて、全体の教員定数の中に、産休補助教員が幾らあるかということでしょう。全体の定数の中にある補助教員の数というのは、四百二十一しかないわけです、全体の定員の中には。臨時的にはもっとたくさん、一万何千人おりますけれども。
#286
○北畠教真君 全国のなんですね。
#287
○千葉千代世君 はい。
#288
○北畠教真君 各府県においてプールされておるものが、四百何十人ということですね。
#289
○千葉千代世君 全県的にそれがないわけです。定数の中に入ってないわけです、全県的には。特定の県だけしか置いてないというところに問題がある。こういうわけです。
#290
○北畠教真君 それから、学校ごとに配置されているというようなのがあるでしょう、大きい学校には。
#291
○千葉千代世君 増置教員ですか、たとえば校長と教頭の職以外に、何学級について増置教員を置くことができると、こういう規定の中の先生の数ですか、それはございます、学級数について。しかし、それは産休には使えないという……。
#292
○北畠教真君 そういう先生も、産休の人に回せるわけですね。
#293
○千葉千代世君 それが問題になるわけです。それはたとえば、校長と教頭以外の先生を学級数に応じて増置しておくと、この増置された先生には、おのおの任務があって増置されたわけなんです。産休に使ったり、欠休に使ったりするための増置ではないわけです、学校運営の中で。ですから、それは産休のみに使うべきものではない。また、そのいわれがあって置いたわけですから、それに使ってはならない、こういう観点でございます。
#294
○北畠教真君 今のお話、文部省、ちょっと参考に――そういう人間はいるけれども、それは産休のために使っちゃ悪いというふうになっていると、こうおっしゃる。そうですか。
#295
○政府委員(内藤誉三郎君) 別にそういう趣旨のものじゃございませんので、学校の定数の中で、その中から臨時に、必要によってそれを使うことも可能だと思います。
#296
○豊瀬禎一君 北畠先生がおっしゃったような教員は、配当されております。しかし、やはりこれはそういう配当の仕方に問題がありますけれども、これに言及すると長くなりますけれども、大きい学校に、何人か余分に配置しているという実態は、学校が大きいと、やはり御承知のように、委員会二十何人かおっても欠席する人がいるように、教員数が多いと、欠席者数も多いわけです。そういうところを埋めてみたり、また学校が大きいために、いろいろな総体的な事務量がふえたり、やはり学校が大きいということのために必要上増置されているもの、これは産休補助教員に使ってならないという法定はございません。しかし、設置の趣旨は、産休の補助教員に充てるために置かれたのではなくて、これはお産をしたためにかりにその人を充てていくとすると、その大きい学校を運営していく際に、先ほど申し上げましたような、たとえば三%休むと、四十人も五十人もおる学校では、二人ないし三人の教員が毎日休んでおるというわけです。こういうことの補欠授業ができない。こういう、ほかの学校教育の正常な運営に支障を来たしてくるわけです。法律的には、政府答弁のように、それを産休に回していけないという定めはございませんけれども、趣旨からすると、それを産休に充てていくと、ほかの面で不正常になる、こういう判断を私どもはしております。
#297
○北畠教真君 今のでよくわかりますがね、そういう先生の中で、産休で借りられた先生もおるのじゃないかと、そういうなにはわかりませんか。
#298
○千葉千代世君 そういう先生の中で産休にかり出されている先生が今いないかというのでしょう。それが相当あるわけなんです。そのありますために、今度は、全体の学校の運営に支障を来たしている。そこで文部省は、産休と結核を合わせて別ワクで算定基礎を組んだというのは、そこにゆえんがあるのじゃないか、こういうふうに思います。結局、苦しまぎれにそこに回しているという実態は確かにございますが、これで事足れりとしているというところに相当な問題があるのじゃないかと、こういうわけなんです。
#299
○野本品吉君 なお、この案によりますと、実習助手も適用対象にしようというお考えのようであります。そこで、これは小学校にはないわけですが、主として高等学校だと思いますが、高等学校で、女子の実習助手というのはどれくらいあるのですか。
#300
○千葉千代世君 約五百、先ほど男子全部まぜた数字でございまして、高等学校ですと大体五百。実習助手という名前になっておりますのが、大体五百。
#301
○豊瀬禎一君 先ほど、幼稚園の女子教員の実数に間違いがありますので、訂正いたしておきます。幼稚園の女子教員は、指定統計では、公立の場合が七千八百七十一名になっておりますので、先ほどの答弁を訂正いたしておきます。
#302
○野本品吉君 今の、高等学校の実習助手が配置されておるわけですが、その高等学校の校数と、高等学校が幾つあるか、実習助手を配当すべき高等学校は。女子のですね。
 それから、配当されておる実習助手、これはおわかりになりますか。
#303
○千葉千代世君 今のところ、資料持ち合わしておりませんから。
#304
○野本品吉君 これは、今の実習助手の配当を必要とする高等学校が幾つあるかということ、それに対して実習助手が何名配置されておるかということも、この産休の問題を検討するやはり一つの大事な資料でなくちゃならぬ。
#305
○千葉千代世君 それじゃ、後ほど資料を整えておきます。文部省に大体これ調査してもらわなければなりません。みんなのことだから、だれが調査してもいいわけでしょう。
#306
○野本品吉君 私もかつて幾つかの議員立法をした経験がありまして、議員立法に対する責任をとるということは、なかなか容易なことでない。簡単に事をうっかり引き受けるものじゃないという苦い経験を持っている、二、三回。従って、社会党の皆さんの御提案に対しましては、かねがね十分御検討がなされまして、あらゆる資料を検討し、あらゆる場合を想定されましての御提案だとまあ信じてお伺いしているわけなんです。(「賛成するか」と呼ぶ者あり)賛成はなかなかしない。さらに、それで続いて申しますが、私は実は、私の宿舎で、全国の女子の先生から非常にたくさんの手紙をいただきました。女からこんな手紙をもらったことは生まれて初めてなんです。(笑声)そこでこの手紙をずっとまじめに拝見してみまして、実に深刻な印象を受けたわけです。それは、若い女教師が、結婚して子供を生みたいけれども、産休補助教員が配置されないので生む気になれないというのですね。それからもう一つは、職場の同僚諸君に遠慮して、思うようにできない、こういうことなんです。で、このことが私には非常に強い印象を与えたのですが、そこで問題は、今の若い女の先生がこんなにこんなことを悩まなければならないほど、学校の空気、気圧がそういう状態かどうかということなんです。それと、同僚に遠慮して思うように子供を生む気になれないといったような、これは学校の中の女教師の相互間というもの、あるいは教員の相互間というものは、そんなに冷いものか。だから、一面において、この手紙は、私は非常に強く私の胸を打ったのでありますが、同時に、他の一面おいては、学校の中というものはそういうものであるかということについて、非常に不愉快な――こんなはずはないと思うんだ、私は、民主化された今日の学校において。だから、その二つのことをこの手紙から感じ取りまして、従って産休の問題というものについても、私どもはまじめに取り組んでいかなければならないという気持に実はなっておるのです。
 そこで、さらにお伺いいたしたいのですが、この実習助手の問題、実習助手は御承知の通りに、これを採用する上において資格条件を必要としないわけですね。だから、どういう者でも、そのとき学校で間に合わせにこういう者を――ここにこういう者がいるからということで頼むという場合があるわけなんですが、そこで、資格条件を必要としない実習助手に対しまして、そのかわりに、一つの学級を担任するという重大な教育的な責任を持たなければならない、どういう人が配置されるか、この点についてはどういうふうにお考えですか。
#307
○豊瀬禎一君 まず、先ほどの御質問にお答えいたしたいと思います。数はきわめて不正確でございますけれども、高等学校における実習助手の数でございますが、これは統計が養護教員と同時に出ておりますけれども、私どもの推定では、養護教員と実習助手を含わせた女子教員が、全国で千八百三十五名でございますので、これのうちの女子の場合は三分の一ないしは四分の一程度ではなかろうかと推定をいたします。
 それから、ただいまの質問でございますが、私ども、野本委員から御指摘になりました女先生の悩みの問題でございますが、野本先生もうすうすは御存じであったかと思いますけれども、その手紙をいただかれて、勤務評定がどんなに学校教育を暗くしているかということがはっきりおわかりいただけたと思います。(野本品吉君「それは別だ」と述ぶ)これは女子の先生が同僚に気がねするというのは、こういう実情です。子供を生むということ自体について気がねをするのじゃないのです。自分が――初産であった例は、自分がある程度弱いために、どうしても六週間前から休みたい、あるいはそれ以前から休みたいという女子の先生がおられるわけです。ところが、校長先生のところに行って、私はこういうあれです、医者もなるべく早く休んだ方がよろしいですよと、こういう診断書を見せましても、それはあなたの気持はよくわかるし、からだは大事にしてあげなさい、しかし、あなたのかわりの先生が来ないし、うちの学校では定員学級担任以外は校長だけしかいないのですよ。そうすると、あなたがお休みになっておる間に私が市役所に行ったり、あいているあなたの学級を受け持たなければなりません。そうすると困るからもうしばらくしんぼうして下さい、あるいは四個学級あるものを二個学級に合併してもらってみたり、あるいは同僚の先生が、自分の生徒に朝行ってこれだけのプリントを渡しますからこれを自習してやりなさい、そう言いながら隣の休んでおる先生の教室にのぞきに行って、しばらくまた自習を命じていくと、かけ持ちで教えるわけです。そうすると、当該同僚学級の担任も、どうしても非教育的な実情になる。そのために休めないということなんです。単に女の先生の民主化の度合いが薄いからという、そういう問題ではなくして、そういう現場の実態であるし、またそれを押し切って身体上の理由から休んだ人は、勤務評定も悪くつけられているというのが現状です。
 そこで実習助手の場合ですが、御指摘のように、現在の学校教育法からは、実習助手の身分資格というものはまだ安定いたしておりませんけれども、私どもとしては、実習助手も現行制度のままでは、少なくとも学校教育のある部面を担当して、化学にしろ、物理にしろ、実験の際にはほとんど教師と同様の職務を実践しておる、こういう角度から身分を教諭に引き上げるべきだという考え方を持っておるのですが、そのことは別にいたしまして、実習助手の女子の先生がこの法の適用を受けて休まれる際には、現行制度の中ではやはり、たとえばもしあるとすれば、資格を持っておられる人が実習助手として臨時においでになることもあり得るでしょうし、また同程度の資格も持たないけれども、しかるべき学校を出て現行法における実習助手としての条件を備えておる人がかわりに採用される場合もあるだろうと思います。
#308
○野本品吉君 私が感激して読みました女子の職員からの手紙が、思わない勤務評定の問題に発展して――発展したというほどではありませんが、横すべりをして、それでいろいろお話があった。私はこの女教師の手紙を見まして、豊瀬さんの御説明になることも一応皆さんのお考え方として尊重いたしますが、つまり自分が休めば学級が解体されて、ほかの級に子供が分けられてお世話になると、あるいは校長先生が出られるときに形式的に出ると、そういう事態を予想するというと、子供がかわいそうで子供を生む気になれないと、こういうわけなんです、裏から見ますと。そうでしょう。ことほどさように良心的であるということだ。そういうときに、先ほどの問題に返るのでありますけれども、産前の六週間を固定してしまった場合に、事実まだ出られるという身体状況にある女の先生、これは一体どういうことになりますか。
#309
○豊瀬禎一君 十分野本委員も御承知のように、たとえば医者の診断等によりましてもうお休みになった方がよろしいという状況になって、休暇を適当な期間産前にとるとします。しかし、実際は分べんがおくれて以上になることも、それを越す場合もあるわけですね。で、必ずしも六週間前に休んで六週間後にきちんと子供を生むという、そういう器用なことは実際の問題としてはできないと思いますけれども、私どもはかりに十数万の女子教員の中で、お産をする先生方が自分の学級の子弟愛にひかれて、ほかの先生に一日も長くまかせるよりも、自分が少しでもがまんして自分の手で教えたいという気持を持っていられようとも、そのことが必ずしも制度の中でその教育的な良心というのが安価に受け入れられるべきものでない。その結果、産後が長くなってみたり、先ほど千葉委員が指摘しましたように、教員の場合の異常分べんが他の織物工場等の激務よりも多い、こういう本人の自後の問題に響いてくる。そうすると、その後の教育活動というものにも当然支障を来たしてくる。こういう点を考えますと、教育者の教育的良心というもの、あるいは子弟愛といったものは、そういった部面でがまんの上に組み立てられるべきものではなくして、その人の精神が正常なときに正当な形において生徒の上に振り注がるべきものであって、制度としては、それを甘受せずして、十分の休養と学校教育の正常を確保すべきである、こういう立場に立って私どもは事前六週間を法定したいと考えておるわけであります。
#310
○野本品吉君 六時になりましたので、まだ私多少の質問はありますが、御希望によってはやめても……。
#311
○井川伊平君 関連して一点だけ聞きたいのですが、先ほど来のお話で大体私よくわかってきましたが、産前、産後の各六週間の休暇というのは自然分べんの場合を予想しておられるようですが、母体の保護という立場から堕胎行為をなす人が近来非常に多くなっている。堕胎行為をした場合におきましても、堕胎行為をなす先には休暇の必要はあるまいが、堕胎をいたしました後においては、相当期間の休暇の必要が当然あろうと思いますが、この法案には堕胎行為における場合のそのあとの場合を考えているか、いないか。そのことをお伺いいたしたいと思います。
#312
○千葉千代世君 それは御承知のように、共済組合規定その他で見ますというと、出産の中には妊娠四カ月以降の方、胎盤ができて後の方、これが適用される。こうなっております。ですから四カ月以上で胎児が出た、その予後の休養に対しても補助教員を配置する。こういうふうになっております。
#313
○井川伊平君 そうしますと、四カ月以前に、それより前に堕胎をした場合は休養を与えられないわけですね。
#314
○千葉千代世君 その通りでございます。
#315
○井川伊平君 その四カ月たたない前の堕胎の場合には、堕胎後の休養というものは必要がないという御見解ですか。必要はあるけれども、それは休養を与えないという御趣旨ですか。
#316
○千葉千代世君 これは必要はあるのですけれども、これは、たとえば休みました場合の規定ですね、福祉規定その他関連法律をずうっと見ていきますというと、胎児と認めた場合に、出産という言葉を使う場合に四カ月以後と、こういうことを使っているわけでして、お産に関係した休暇としてはその通りでございます。
 それからそれがたとえば二カ月で流産なすった、その方については出産休暇としての規定は適用されない。こうなっております。
#317
○井川伊平君 四カ月前に人為的な堕胎をして、その堕胎の結果、休養が必要であるという場合には、やはり休養を与えるべきものではないか。してみれば、なぜこの法案はそこまで親切に考えてやらなかったのかという点を事情があれば聞きたい。見落としたのならば、それでもよろしい。
#318
○千葉千代世君 これは御指摘の通りでして、私どもといたしましてはやっぱり胎児がおなかに入りましたそれ以後は、やはり母体として十分な保護と、それからそれに対する万般の処置がなされなければならない。これはもう当然のことだと思っております。ですから、かりにつわりで休みました場合には、こういうふうなことになっております。妊娠二カ月くらいで、一カ月前後ですか、つわりになって、一週間のつわり休暇をとったとします。そうすると、東京の例ですというと、これは欠勤としないでもって、全体の、東京は十六週でございます、前後合わせまして十六週休みますから、その十六週のうちの七日という勘定をして医師の診断書を添えて休んでおると、こういう実態になっております。
#319
○井川伊平君 私の聞いていることに対するお答えではないようでございますが、人為的に堕胎をせざるを得ないという場合に休養が必要であるというのなら、この際ついでにその場合も休養がとれるようにしてやるべきではなかったか、それをことさらに休養をとれるようにしてないのには特別の含みがあるのか、あるいは忘れて気がつかなかったのかということを聞いているんです。
#320
○豊瀬禎一君 正直に申し上げますと、現行諸法規、諸規定がそうなっておりますために、私どももその必要性を認めながら、御指摘のようにそこまで配慮して本法案の中に入れるべきであったと思いますけれども、その点については、私どもの方の法案に対する整備の手続の不十分であったと思います。
#321
○井川伊平君 わかりました。
#322
○千葉千代世君 ついでにもう一つ。
#323
○井川伊平君 もういいですよ。
#324
○千葉千代世君 非常に大事な質問なんです、これは。私も具体的には国際的なILO条約を調べてみましたら、百二号と百三号というのがございまして、その中に産前、産後を通じて十二週。日本の労働基準法は産前、産後分かれておりますためにこれに加入できないと、こういう実態の中で、出産休暇、母性給付、保育、それから出産休暇中の解雇禁止ですか、こういう点全部述べたその中に、やはりたとえ一週間で、一週間と認定できませんけれども、胎児が宿りまして一カ月過ぎますと大体わかりますから、そういうふうな二週間なり三週間にしろ、一カ月なり二カ月にしろ、とにかく母胎の中に胎児が宿ったそれ以後の異常については国が責任を持つととろ、それから地方自治が責任を持つところ、全体の社会保障の制度の中でこれを国が責任を持ってなさっているところと、こういうのが資本主義、社会主義の国の中にずっとたくさんあるわけです。日本ではやはり先ほど申し上げましたように、婦人労働、それから出産問題についての保護規定というのが戦後これはできたわけでして、そういう点については重々手落ちはあるのです。私どもとしては当然これを取り上げていかなければならないと、こう考えておりますけれども、何せ文部省としましても十二週さえ云々だという。そうして山梨県の、産前をとられてないで放置されておる。こういう実態ですから、これは先生のおっしゃる通り当然のことであるし、私どもとしてはぜひそうしていただきたいと思うのですが、これは今かりに出しても問題にする空気ではないんじゃないかというようなことも実際率直に言って考えております。こういう事情であります。
#325
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後六時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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