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1960/05/18 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第27号
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1960/05/18 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第27号

#1
第038回国会 文教委員会 第27号
昭和三十六年五月十八日(木曜日)
   午前十時五十四分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平林  剛君
   理 事
           北畠 教真君
           野本 品吉君
           豊瀬 禎一君
   委 員
           安部 清美君
           井川 伊平君
           下條 康麿君
           高橋進太郎君
           千葉千代世君
           矢嶋 三義君
           米田  勲君
           柏原 ヤス君
           岩間 正男君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部政務次官  纐纈 彌三君
   文部大臣官房長 天城  勲君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省大学学術
   局大学課長   村山 松雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育職員免許法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○女子教育職員の産前産後の休暇中に
 おける学校教育の正常な実施の確保
 に関する法律の一部を改正する法律
 案(豊瀬禎一君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。
 一昨十六日及び本日、開会前、理事会におきまして協議いたしました結果、本日はまず、教育職員免許法等の一部を改正する法律案、次いで、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を順次議題として審査いたして参ることと決定を見ました。
 なお、明日は定例日ではございませんが、協議の結果、委員会を開会いたすこととし、開会時刻につきましては、後刻相談いたすことに決定を見ました。
 以上、理事会決定通り運営して参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営して参ります。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(平林剛君) それでは、教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がございますので、発言を許します。千葉千代世君。
#5
○千葉千代世君 私は、教育職員免許法等の一部を改正する法律案について質問いたします。文部大臣の提案理由の説明は四項目に分かれております。その中の第三項目には、従来から私どもの強い要望でありました、高等学校の実習助手、学校看護婦等教員の職務に準ずる職務に従事する職員に対し、教員免許状を授与することができる特例を設けてございますが、このことは非常に喜ぶべきことだと思います。しかしながら、第二項目を見て参りますというと、そこには高等学校の工業、理科及び数学の教科についての教員免許状の取得方法について特例が設けられておりますが、これは従来の免許法の体系がくずされる。そればかりでなくて、免許法の目的にも反するように思われますが、そこで、免許法の一部を改正する法律案の問題点について質問してみたいと思います。第一番目には、これは文部大臣に伺いますが、昭和三十三年の七月に答申されました中央教育審議会の教員養成の基本方針というのがございますが、基本方針の一番大事なところはどこでございましょうか。
#6
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 詳しく正確に存じておりませんけれども、要点は、教員の資質を落とさないようにということが主眼になっておろうかと思います。
#7
○千葉千代世君 教員の資質を落とさないようにするためには、やはりその根本原則としてかくかくあるべきだということが書かれているように私承知しておりますけれども、具体的にお答えいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。大学を卒業した者が建前であって、しかも、今後に対しましてはもっと向上させねばならぬという趣旨のものであったかと記憶いたします。
#9
○千葉千代世君 具体的にお尋ねいたしますけれども、資質の向上ということ、その内容の中には、特に教員に必要なこととして、一般教養とか専門学力、技能を含んでおりますが、教職教養のこの三つが要求されているように存じておりますけれども、その辺について詳しく説明していただきたいと思います。説明員からでけっこうでございます。
#10
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体御指摘の通りだと存じます。さらに詳しくは、要すれば説明員から補足させていただきます。
#11
○説明員(村山松雄君) 現在の教職員免許法におきましては、教員の資格を取得する場合の基本的条件といたしまして、大学を卒業して学士号を有すること、それから大学四年間に一般教育、それから教科に関する専門科目、教職に関する専門科目を法令の定めるところによって取得することが条件になっておりまして、それ以外には何らの条件が加味されておらないわけでございます。中央教育審議会の答申におきましては、教員の資質を向上させるためには、現行の免許制度のように、ただ単位を形式的に要求するだけでは不十分であって、資質のよい教員を養成するためには、教員養成を目的とする大学学部を作るべきであって、そこにおいて形式的に一般教育、専門教育というような区分ではなくして、もっと総合的に教員養成に適する方法に従いまして効果的な教育を行なうべきだ、そういう教員養成を目的とする大学の卒業者に基本的な教員資格を与えるべきだ、しかし、教員の資格をそういう特定の大学だけに限定するのはまた他面において弊害が出るおそれがあるので、一般の大学を卒業して教職の単位をとった者ないしは教職の単位をとらない者に対しても一定の条件で教員の資格を与えた方がよろしい、しかし、その場合、教員養成を目的とする大学と、しからざる大学の卒業者との間には教員の資格面で差別を設ける必要がある。教員養成を目的とする大学の卒業者に対しては直ちに一級の有資格免許状を与えて、教員養成を目的としない大学を出た場合には、卒業後一定の条件で実務の研修等をすることによって有資格教員免許状を与えるようにしよう。こういうバラエティある教員養成制度を組み立てることによって、一面において教員の資格を向上させるとともに、他面において広くいろいろの層から教員になり得る道を開くことが全体的に見て教員の需給を円滑ならしめ、資質を向上させるゆえんである、かように教員養成制度を再編成する必要があるというのが中央教育審議会の教員養成制度改善に関する答申の骨子であったと思います。
#12
○千葉千代世君 中央教育審議会の答申の中の教員養成の基本方針、その中にそれも全部含まれますか。それは基本方針ではないでしょう。今言われたのは、こういう場合もあり得るということであって、教員養成の基本方針というのは、一般教養、専門学力、教職教養の三つがきつく要求されて、これに欠けてはならないということになっておりますね。教員養成の基本方針で教員の養成を目的とする大学云々というふうに書かれておりますが、そうして教員養成の大学における基準が示されておりますね、教育課程の。
#13
○説明員(村山松雄君) 教員養成の教育として基本的に必要なものは、広い視野に立った国民的教養の基礎の上に教員として必要な専門的知識、技能を備え、かつ児童、生徒の発達段階に応じて適切な指導をなし得るところの教職的教養を備えることが必要だ、しかもそれらの知識、技術が個々ばらばらに断片的にあるのではなくして、自主的な人格の中に総合されて備わらなければならない、そういう教員の資質を実現するためには一般教養、専門学力を総合的に取得することが必要だ、かように言っております。
#14
○千葉千代世君 文部大臣にお尋ねいたしますけれども、中央教育審議会の答申というものはいつも尊重するということをおっしゃってたびたびの委員会で御答弁になっておりますが、今もそれに変わりございませんでしょうか。
#15
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。ただ、教育審議会から教員養成につきましての答申が出ましたのは今御指摘の通りでございますが、これの実施につきましては、まだ具体的な進展を見ておりません。と申しますのは、昨年春早々に中央教育審議会に大学制度全般についての諮問がなされておりまして、教員養成の問題につきましてもあわせて大学制度の一環として総合的な調査、審議をやっておられますので、その答申待ちの形で、実行にはまだ移っておりませんが、むろん答申の趣旨は尊重すべきものと心得ます。
#16
○千葉千代世君 現在の中央教育審議会における問題の研究過程と申しますか、それはどのようになっておりましょうか。これは昭和三十三年七月に出されておりますね。その後、そういう議題について中央教育審議会では何か研究されておりますでしょうか。
#17
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その後の中教審の具体的な経過等につきましては、政府委員または説明員から御説明するようにいたしたいと思います。
#18
○説明員(村山松雄君) 教員養成制度の答申に対しましては、主として教員養成を目的とする大学を作ることが教員養成制度改革の方向のうちで一番重要な問題であるとされておるわけでございますが、その点につきまして、言論界と申しますか、各界の方から相当慎重に研究すべきであるというような意見も寄せられておりますし、それから教員養成を目的とする大学を作るといったような方向に進むといたしますと、単に教員養成制度というワク内だけでなしに、大学制度一般に対しましても、相当重大な影響があるということからいたしまして、また他面、現在の大学制度は教員養成制度との関連のみならず、一般的に申しまして、その目的、性格なりその果たすべき社会的使命が適切に果たされているかどうかというような批判もございまして、大学制度全般につきまして再検討することが急務であるのではないかということになりまして、昨年大学制度の改善につきまして、中央教育審議会に諮問されたわけでございます。中央教育審議会におきましては、大学制度の問題をその目的、性格、それからその組織編成、それから管理運営、それから学生の入学試験、それから財政といったような各方面から検討をすることといたしまして、現在第一段階である目的、性格についての検討を進めております。大学制度全般に対して結論が出るのは相当の時間がかかるのではないかと考えられております。
 以上が中央教育審議会の現在までの審議の経過でございます。
#19
○千葉千代世君 そうしますと、現在は目的と性格が話し合わされている、全体の結論が出るのはいつだかわからない、こういうわけでございますね。
#20
○説明員(村山松雄君) 諮問のいたし方といたしまして、慎重に審議することをお願いしてございまして、いつまでにというような期限をもってお願いしておるわけではございません。で、事柄の非常な重要性、複雑性からいたしまして、相当期間がかかるのではないかと考えられておるわけでございます。
#21
○千葉千代世君 そうしますと、この教員養成については、三十三年七月の答申、これをずっと変えてはいないわけですね。中央教育審議会では。
#22
○説明員(村山松雄君) 三十三年の答申以後におきまして、中央教育審議会において、教員養成制度について別段の意見が特に出されたことはございません。
#23
○千葉千代世君 そうしますと、文部省としては、中央教育審議会のこの答申を尊重するということを、大臣は先ほどもそれに変わりがないとお答えになったわけです。そうしますというと、「教員養成の基本方針」に、「教員の養成は、国の定める基準によって大学において行うものとする。」と、こうきちっと出ておりますね。そうして教員に必要な資質としては、一般教養、専門学力、教職教養の三つが要求されておる。「しかもこれらが教師としての人格形成の目的、意識を中核として有機的に統合されることが必要」だ、で、この中には教職の問題が非常にウエートを置かれているわけなんです。これに変わりはございませんでしょうか。
#24
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りだと思います。
#25
○千葉千代世君 そうしますというと、「教員養成を目的とする大学における養成」の項、その項を見ますというと、「教育課程等の基準」の中に、「教育課程は、一般教育、専門教育、教職教育が有機的に結合されたものでなければならない。なお、教職教育のうちで実習教育を重視し、あわせて教師としての人格形成に留意すること。」こういうふうに実習教育を非常に重視しておりますですね。そうすると、現在、四年制の大学においてこの教職課程はたしか十四単位だと思っていたのですけれども、その内容をちょっと説明していただきたいと思いますが……。
#26
○説明員(村山松雄君) 現在の免許法におきまして、中学校または高等学校の教員免許状を取得する場合の教職に関する専門科目の単位は、大学卒業の場合でございますと十四単位でございまして、その内訳といたしましては、教育原理、教育心理、それから教科に関する教育法、それから教育実習といったようなのが主たる科目になっておりまして、その他選択科目を加えて十四単位を履修することになっております。
#27
○千葉千代世君 けさの朝日新聞で見まして、これは切り抜いて参りましたのですけれども、学術会議が大学制度について結論を出しておりますね。その中に、三年制の工業教員養成所には反対だ、そうして特に教員になるについては減らすどころか年数を延ばしていく、大学院の修士課程の拡充によってまあ行なうんだ、その方がいいということを書いてあって、やはり教員養成の問題でも「総合大学で行なうのを原則とする。三年制の工業教員養成所を設けることには反対で、短期の養成機関よりも大学卒業者が進んで工業教員を志望するよう条件をととのえればよい。」と、ちょうど本委員会で私どもがまあ反対の理由を申し上げた中にこれは含まれていることと同じことが書かれているわけなんです。それで、学術会議がことさらに、今、緊急にこういう結論を出されて発表されておりますけれども、日本の教育制度、ことに教員養成の目的が相当そこなわれているんじゃないかという問題と、それから免許法の体系もくずされていくし、それから六・三・三・四の学制制度もこれもこわれていくと、こういう心配もあって学術会議としては結論を出されたのではないかと、こう思っておりますが、文部省としてはどのように把握しておられますか。
#28
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学術会議の意見は、私も新聞を瞥見いたしまして、およその趣旨は読み取っておるつもりでございますが、御説は私はごもっともだと思って読みました。ただ、しかし先般、御審議願いました工業教員の臨時養成所のことに関連しての問題でございますけれども、あの御審議のときも申し上げましたように、まさしく、また、先ほど来千葉さんがお尋ねになっておる教員養成の基本的な態度というものは、むろん、中教審の答申はもちろんのこと尊重しつつ、今後にわたって中教審のあらためての答申を待って十分整備充実し、資質の向上を実現しますように努力すべきものと思うのでございますけれども、ただ現実、当面の問題として考えます場合に、それはそれといたしましても、現に遺憾なことには教員が充足できない。だとすれば、教育の現場において、ことに生徒急増の現実に直面して考えます場合に、教育の場に教員が入手できないがゆえに間隙が生ずることは、これまたよかれあしかれ何とかしなければならない緊急課題であり、その間隙を生ずることの一大欠陥がおそれられますので、便宜、当分の間資質の向上とは逆コースをたどるようなことでございますけれども、やむを得ざる当面の応急策としてお認めを願いたいと、こういう趣旨で御審議を願ったつもりでございまして、学術会議の御意見はむろん敬意を表すべき筋道であると思いますけれども、現実に直面しました態度から見ますと、しばらくは一つかんべんしていただくほかないのじゃないかと、率直に申せばそういう心境でございます。
#29
○千葉千代世君 先ほど村山説明員の方から、まあ大学制度全体に対しての結論が出るのは非常におそいと、こういうようなお話があったわけです。この新聞の中には、学術会議がこの考えを明らかにした理由というので、「文部省の中央教育審議会が大学の目的と性格について近く結論を出す見込みなので、」これを明らかにした、こういうことが書いてございます。そうすると、いつだかわからないのじゃなくて、近く結論を出す見込みだと、こうございますが、文部省の諮問機関の中央教育審議会ですから、その審議の状況については文部大臣も当然タッチしていらっしゃるし、当局もタッチしていらっしゃると思うのです。近く結論を出す見込みだというのは、これは新聞の誤報でございますか。
#30
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その近く答申が出る見込みだということについての……。
#31
○千葉千代世君 結論です。
#32
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正確な把握は私できかねております。ただ、できることならば、三十七年度の予算を検討しますのに間に合う時期に答申が出てくれればいいがと念願しつつ今日まできたことは確かでございますが、ことさら促進するという方法もございませず、十幾つもの分科会に、特別委員会に分かれて御審議中でございますので、容易ならざることとは思いますが、新聞に出ておりますように、もう間近に結論が出るのであろうという感じを私自身はまだ持ちかねております。
#33
○千葉千代世君 やはり中央教育審議会、それから学術会議と申しますというと、片方はやはり文部省の諮問機関でございますが、学術会議は御承知のようにやっぱりほんとうにこの日本の教育をあらゆる角度から検討して、よりよいものにしていくという、何ら拘束もなければ干渉もない会議じゃないかと思うのです。その結論がここに今出されまして、特に、教員養成についてはかくかくでなければならないという原則が出されているわけです。そうしますというと、文部省の方としましては、この中央教育審議会を尊重すると同じように、学術会議のこの結論というものを尊重していく考えでしょうか、どうでしょうか、あらためて伺っ
 ておきます。
#34
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原則論としての高邁な結論を出される意味で、日本学術会議ないしは中央教育審議会の意向を尊重していく建前でなければならぬことはもう申すまでもないと思います。ただ、実際問題とのからみ合わせで、理想的に言えばそうであっても、やむを得ず時期的にはその完成時期がずれることも場合によってはやむを得ないのじゃないかと、かように考えます。
#35
○千葉千代世君 この免許法の一部改正で、この措置でもって、理工系の教員、特に工業教員をはたして十分確保できるかどうかという、この前の工業教員養成所のときに伺いましたのですが、各県別の資料というものは出ていないわけなんですね。二、三の県の実情をちょっと配られたわけなんですが、これは確保できるかどうかという質問ですけれども、その中で、志望者がどのくらいあって、免許状を取得できるのがどのくらいあるかという各県別の資料、お持ちございませんでしょうか。
#36
○説明員(村山松雄君) 工業教員につきましては、最近調べまして整えております。
#37
○千葉千代世君 各県別のは調べましたのですか。
#38
○説明員(村山松雄君) 各県別の工業高等学校の工業教員につきましての都道府県教育委員会の採用試験の受験者数、それからその結果の新規採用者の数は調査して整えてございます。
#39
○千葉千代世君 それは資料として本委員会に御提出いただきたいのですが、各県全部の四十六都道府県の表でございますが、それ提出できますでしょうか。
#40
○説明員(村山松雄君) 現在まで調べました資料でございましたら、提出することはできると思います。ただ、二、三報告のない県がございますが、大多数の県につきましては報告がございますので、大体各県別の大多数の傾向がわかる資料という意味でございましたら、提出ができると思います。
#41
○千葉千代世君 そうしますというと、どれだけの数字になっておりましょうか、現在までの。そうして確保できる見通しかどうか。
#42
○説明員(村山松雄君) 調べによりますと、昭和三十三年度につきましては、工業教員の採用試験の受験者の数が四百五十四名になっておりまして、新規採用者の数が百七名になっております。それから三十四年度につきましては、採用試験の受験者の数が四百七十八名でございまして、新規採用者の数が百三十八名になっております。それから昭和三十五年度につきましては、これは三十五年の九月十五日現在の資料でございますが、受験者の数が五百十三名に対しまして、採用者の数が百六十五名になっております。もっともこれは教員外からの新規採用者の数でございますので、教員中の配置転換は含んでおりません。
#43
○千葉千代世君 そうしますというと、この免許法上の処置でもって大体確保できる見通しなんですか。免許法今度変えましたですね。教職課程の中で、工業をやるものについては教職の単位をとらないでもいいとか、あるいは半減するとか、こういう処置をしますね。そうしますと、それによって十分確保できる見通しがあるのでしょうか。
#44
○説明員(村山松雄君) ただいま申し上げましたのは従来の実績でございまして、将来の見通しといたしましては、先日配付申し上げた資料にもありますように、昭和三十八年、昭和三十九年、昭和四十年のいわゆる高等学校生徒の急増のピーク時におきまして、工業高等学校の増設を集中的にやるという計画を実施するといたしますと、一年当たり二千名に近い工業教員が必要になることと相なります。そうなりますと、工業教員養成所の卒業生が八百八十名予定通りいくといたしまして出るわけでございますので、それを差し引きましても千名程度の工業教員をさらに確保しなきゃならぬということになります。そこで、その必要に対処する一つの方法といたしまして、教職課程をとらないでも工業教員の免許状を大学の工学部を出た者については取得できるような方法を今回講ずるわけであります。これによってどれだけの数が確保されるかということにつきましては、事柄が教職課程をとらないでも免許状をとれるという措置にとどまるわけでありまして、現実に工業教員免許状をとるかどうかということは本人の意思にかかるのでございますので、正確には数を申し上げることは困難かと思います。ただ可能性につきましては、毎年工学部卒業者は約二万名程度あるわけでございますので、その中から教育委員会なり個々の学校なりで、この人をぜひとも工業教員として採用したいという場合において免許状をとらせるという道が極端に申せば二万名について可能性ができるわけでございます。少なくとも先日申し上げたかと思いますが、二百名程度の者はこの措置によって工業教員として免許状をとらせて誘致することができるのではないかと予想しております。
#45
○豊瀬禎一君 村山課長さんにお尋ねしますが、ただいまの千葉先生の質問に対する工業教員の試験の受験者と採用者の数ですね、各年次別の。これだけ出されても工業教員が不足しておるという実態は少しも把握できないのですね。そこでいわゆる正規の養成機関を出て工業教員の試験を受けた者、ほかの言葉で言えば、希望した者、合格をした者、当該年次に必要な工業教員の総数、そうして最終的に採用された者、これは各県別に、きょう出してもらわなくてもいいのですが、あとで工業、理科、数学のすべてにわたって今の資料を各県別に要求したいと思うのですけれども、ひとまず私が今申し上げた工業教員に限定して全国の統計だけでよろしいのですから、今申し上げたそれぞれの総数ですね、工業教員を希望した者、合格した者、採用された者、その年次に新たにプラスとして必要であった需要数、それと採用者数、そうしてできるならば、合格者の中で合格しておりながら教員を希望しないで他に逃げていった者、これがわかるともっと工業教員が不足しているという実態がわかってくると思うのであります。今の数だけ簡単に御説明願いたい。
#46
○説明員(村山松雄君) 工業教員のみならず、高等学校の教員につきましては、いわゆる教員養成を目的とするような養成機関は現行制度では存在しておらないわけでございまして、大学を出て、結果的に教職課程を履修して免許状をとって初めて教員の供給の可能性が把握できる、こういう制度と申しますか、現状となっております。もっとも特定の国立大学の工学部に工業教員の養成課程といったようなものを作っておりますが、これとても、この課程は工学部の学生のワクを若干ふやしまして、そのワクでもって入学さしたものは教職課程を必ずとれるというガイダンスをしておるだけでありまして、工学部の他の学生と身分上その他の取り扱い上区別をしておりません。今も申しましたように、正規の工業教員の養成機関の卒業者ということは、現在の建前ですと把握できないので、免許状をとった者の数が結果的に工業教員の供給可能数の当該年度の新規プラスの総数ということになるわけでございます。これにつきましては、先に資料で配付いたしましたように、最近の三カ年の例ですと、毎年千人を前後いたしまして漸減の傾向にございます。三十五年度につきましては七百名余が工業教員の資格を取得しております。それから、従いまして正規の教員養成機関の卒業生の中から希望した者が何人であるか、合格者が何人であったかということも、残念ながらなかなか把握できないわけでございます。ただ国立の工業教員の養成課程につきましてはできるわけでございまして、それにつきましては毎年一名、多い年で四、五名ということも先に申し上げた通りでございます。それから各県における毎年の工業教員の需要が何人あったかということでございますが、これもなかなか把握できない数字でございまして、と申しますのは、工業教員の需要者の数というものは、毎年の減耗の補充と、それから新規増設計画等に伴う新規需要との合計が需要の数として現われるわけでございますが、この減耗の数というのは年度末になってみないとわからない筋合いでございますし、それから新規増設の計画も、現在まで年次別にそう正確に立っておるわけでもございませんので、毎年の需要者の数というものは大体の推計はできますが、はっきりした、こういう数字であるという数字として今申し上げることはできない状態でございます。で、工業教員が不足であるかどうかという問題は、現在までのところは、先ほど来申し上げましたように、まあ何とか間に合っておる状況でございまして、過去の状況から直ちに将来を推定することはむずかしいわけでございます。ただ言えることは、この供給可能数はこのままほうっておけば、産業界の好景気、それから工業教員の待遇改善の問題その他を考え合わせましても、今後それほどふえないであろうということは言えると思います。そういたしますと、一方において工高生徒急増とか、所得倍増計画等からいたしまして、工業教員の需要は飛躍的な増大が予想されるわけでございますので、今後の問題としては工業教員はこのまま放置しておけば、極端な不足に陥るであろうということは傾向としては御理解いただけるのじゃないかと思います。ただ、その数字が正確に何人になるか、年次別に出せというようなことになりますと、大体の推計で申し上げるほかはないと思います。
#47
○豊瀬禎一君 関連ですので、ここで議論しようとも思わないのですが、ただ、所得倍増計画で、あるいは工業高等学校の生徒増がどのくらいになるから教員が不足するだろう、こういう言い方では教職課程を免除してまで教員を確保する数的な根拠というものがきわめてあいまいになってくるのですね。そこで私どもが知りたいのは、やはり希望者はかなり多い、その中で合格した者もかなり多い。ところが、今あなたがおっしゃったような理由のもとにもう一つつけ加えるならば、産業界の雇用決定が教員採用決定よりも早く行なわれる等の理由のために逃げていっておる者がおるのではないか。従って、合格をして逃げていった者がどれだけか、必要数がどれだけか、そうして結局採用された者がどれだけという傾向の中から、今度は将来の展望として所得倍増の計画、その中で工業教員が幾ら要る、従来の実績からこれだけという展望をしたいと思う。これは先ほど申し上げました工業だけではなくて、理科、数学全般にわたって県別の資料を要求いたしますので、あえてここに再質問いたしませんけれども、一般的な傾向ということだけでなくして、少なくとも工業教員、理科、数学の本案に関する限りにおいてはきちんとした数を把握しておいていただきたい。
#48
○千葉千代世君 先ごろ本院を通っていきました工業教員養成所の卒業の先生は、高等学校の工業の先生にはなれるけれども、五年制高等専門学校――まだこれは審議しておりませんが、五年制高等専門学校の先生にはなれませんね。
#49
○説明員(村山松雄君) 五年制の高等専門学校の教員の資格につきましては別途定められる見込みでございます。その別途の定め方いかんによるわけでございまして、工業教員養成所卒業の者がなれるとも直ちに申せませんが、なれないということも申せないわけでございまして、高専の教員の資格の定め方いかんによってきまると御了解願いたいと思います。
#50
○千葉千代世君 これは審議されておりませんからわかりませんけれども、とにかく政府が、新聞を見ますというと非常に強引に通そうとしている。そうすると、通そうとするからにはその教員の問題についても当然考えられていると思うのです。で、今お答えの中に、工業教員養成所を出た先生がなれるともなれないとも言いかねると、こうおっしゃっていますね。具体的にどうなんです。はっきりおっしゃって下さい。
#51
○説明員(村山松雄君) 高等専門学校の教員につきましては、少なくも教育職員免許法の規定は適用されないことになっております。従って、免許状を有することは必要ないわけです。これは扱いといたしましては、大学の教員に近い扱いということになるわけでございます。大学の教員の資格は、現在大学設置基準でまあきまっておるわけでありまして、大学を卒業して相当の研究歴のある者、その他これと同等と認められる者といったようなものが大学の教員の資格になっております。高等専門学校の教員の資格につきましてもそういった趣旨できめられるのではないかと思います。そうなりますと、これは相当の経歴ということの判断のいかんになるわけでございますので、まあ原則としては大学を出たような方が高等専門学校の教員になるかとも思いますが、それ以外の学歴の人であっても相当の経験ないし研究歴を積めば高専の教員にもなり得るのではないかと思います。
#52
○千葉千代世君 免許法についての責任のあるところはあなたのところなんでしょう。そうすると、そこがなれるかと思います、講習を受けたら云々、経歴によって云々ということになっておりますけれども、具体的に免許法制度の中でそういう点位置づけをおやりになっているのじゃないですか、進めているのじゃないですか、作業を。全然ノータッチで、工業専門学校は通った、通ったあとでこれを考えると、こういうわけなんですか。通る通らないは別にしまして、これは審議ですからそのことに触れませんけれども、とにかく提案されているわけでありますから、全然何も考えなくやると、そうするというと、この高等専門学校は大体全国で幾つぐらいの予定なのか。誘致運動なんか私どものところへ要望書がもうきているのですね。高等専門学校を通してほしい、通ったらこれこれ設置するというようなことで、ずいぶん要望書というのですかそれがきているわけです。そうすると、これを何でしょうか、下手すると各県で作りたいという誘致運動なんか出てくるのではないかと、こう考えているわけです。そういうふうな見通しもあわせて答えていただきたい。先生がますます不足しているということの理由にしてくるのではないかという懸念がございます。関連して伺います。
#53
○説明員(村山松雄君) 高等専門学校の教員の資格につきましては、先ほど申し上げましたように、少なくとも教育職員免許法を適用するつもりは全然ございません。まあ現在大学につきまして大学設置基準があるように、高等専門学校につきましても基準がきまるかと思いますが、その中で考えられることと思います。
 それから、高等専門学校は今後どの程度できるかという見通しでございますが、これは国としてこれだけ作るというはっきりした計画は現在のところございませんので、まあ情勢に応じて、これは技術者の養成計画とも関連があることでございますので、検討の上で設置していくということに相なろうかと思います。
#54
○矢嶋三義君 ちょっと関連して。これは重大な発言だと思うのですね。文部大臣に伺いますが、学校教育法と教職員免許法とは戦後の日本の教育制度においては不可分です。だから、このたび専門学校を設立するにあたって、学校教育法の一部改正法律案として国会に審議が仰がれたわけです。で、その教官になる人は、教職員免許法を適用されないのだというこのことはきわめて重大だと思うのですね。学校教育法の一部改正法律案で、法的に認めるということになれば、教職員免許法をそれに即応するように、その改正内容を盛り込んだ一部改正法律案を提案すべきです、これがなされてない、しかもそのつもりがないというこの発言はきわめて重大です。文部大臣の御答弁をいただきたいと思います。
 なお、委員長に御要望申し上げますが、私は今の答弁がそのままでは本法律案は審議できないと思います。従って、大臣の答弁次第では委員長・理事打合会で本法律案の取り扱いを協議していただきたいことを議事進行としても発言いたします。
#55
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 高等専門学校の法案は、相次いで御審議を願うわけでございますが、ただいまも説明員が申し上げましたように、高等専門学校は五年間を一貫しました教育を目ざしているわけでございます。そうして最終の卒業生の学力と申しましょうか、それはおおむね短期大学程度の、少なくとも教養を身につけさせるということを目ざしておりまして、高等学校に行く年令の者から始まりはしますけれども、高等学校の教育そのものではない、五年制の新たなる一貫した教育で五年後に大学程度の学力を与えるという意味で、免許法そのものの適用でなしに、高等専門学校の設置基準というものを別個に定めまして、それに基づいて大学等と同様な取り扱いをしよう、こういう構想でございます。
#56
○矢嶋三義君 問題はそういうことはわかっているのです。あなたの考え方は、その法的に認められた学校教育法のワク外の教育機関でないのですよ。今度学校教育法のワク内の教育機関になるのですよ。そこの教官となる人はいかなる人が教官たり得る資格があるか、それは免許法で規定することになっている日本の教育の制度では、だから、工業教員養成所とか防衛大学校とか警察大学とか、そういうところの教官になった人は免許法のワク外だ、適用を受けないのだということになれば、私は了承しますよ。しかし、学校教育法の一部を改正する法律案を出して、そして高専校というものを学校教育法のワク内の教育機関とこれをきめて、しかもその学校の教官たる者はかくかくの条件がなくちゃならないということをうたわないで、免許法に規定しない、そういうことは片手落ちですよ。学校教育法の一部を改正する法律案を審議を求めてくるなら、当然それと並行的に免許法の一部を改正する法律案、通るか通らないか別ですよ、かけてこなければ不備ですよ、審議できませんよ。従って、文部大臣の答弁はきわめて不満のみならず、不十分なものがある。私は本法律案の審議の取り扱いとしては、私はここで委員長・理事打合会を開かれて、本法律案の審議の取り扱い方を協議なさるべきで、継続して審議することはできないと思いますね。
#57
○説明員(村山松雄君) 現在、学校教育法に基づく学校の教員の資格につきましては、第八条に原則がございます。「校長及び教員(教育職員免許法の適用を受ける者を除く。)の資格に関する事項は、別に法律で定めるものの外、監督庁が、これを定める。」こうなっております。現在、高等学校以下の学校につきましては、教育職員免許法によって資格が定められております。大学につきましては、教育職員免許法が適用がございませんで、学校教育法に基づく大学設置基準によりまして教員の資格がきまっておるわけでございます。従いまして、学校教育法に定める学校の教員資格をすべて免許法に定めなければならぬということには現在でもなっていないわけでございます。そこで、新しい高等専門学校という制度ができる場合に、これをこの教員の資格を教育職員免許法で定めるのが適当であるか、あるいは現在の大学のように設置基準で定めるのが適当であるかという問題が起こるわけでございます。現在考えておりますのは、教育職員免許法の適用を受けるよりは設置基準できめた方が適当であろうということで案を進めておるわけでございます。
#58
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#59
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
#60
○千葉千代世君 工業教員養成所を卒業した高等学校の教員の免許状を持った者、この者は高等専門学校の先生になる資格はない、これでよろしゅうございましょうか、ちょっと答えていただきたい。
#61
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その通りでございます。
#62
○千葉千代世君 そうすると、高等専門学校の教師になる人は、どんな人を予定していますか。どういう資格を持った人を予定していますか。この免許法とは関係ありますか、ありませんか。
#63
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的にわたりますので政府委員あるいは説明員がお答えすることをお許し下さい。
#64
○政府委員(天城勲君) 高等専門学校で今構想しております教員の問題でございますけれども、これは高等専門学校には教授、助教授、助手という種類の教職員を置くつもりでありまして、これは五年制でございますし、義務教育終了後でございますけれども、五年間一貫した全然新しい学校制度でございますので、今免許法で規定しております小、中、高等学校というものと別の学校制度でございますので、従来の教員資格と別の教員資格をこの法律に基づきます設置基準によって定めていきたい、こう考えております。
#65
○千葉千代世君 設置基準によって考えていきたいと、その設置基準の構想は大学並みに基準を設けていくと、こういうお考えでしょうか。
#66
○政府委員(天城勲君) これは高等専門学校は大学ではなく、高等専門学校なものでございますので、この学校の目的に最も適した内容を持った設置基準を作りたい、抽象的にはそういうふうに考えておりますが、具体的には義務教育終了後の生徒、年令的には高等学校の段階の生徒もおりますし、短期大学相当の年令の学生もおるわけでございますが、それを含めた五年間の教育というところに今までにない制度を考えておりますので、これに即した教員を考えるということで、ある場合には高校の先生に準ずるような要素を盛り込むこともありましょうし、短大の教員資格を条件とすることもございましょうが、結果的にはこの学校独得の教員の資格基準を定めたい、こう考えております。
#67
○千葉千代世君 もちろん高等専門学校は大学でないことははっきりしておりますが、先ほどから言われるように、大学並み云々という言葉が出てくるわけなんです。そうすると、高等学校でもないし、大学でもないし、新学制をくずしていってできたこの高等専門学校なんです。そうすると、宙ぶらりん的なものなんですね。それを解釈のしようによって大学並みにもできるし云々ということでは非常に困るわけなんです。従いまして、教員免許状についても設置基準によって云々と言いましたけれども、やはりその中身の中には工業教員養成所の者もある場合によっては連れていくということも含まれていると受け取れるのですが、いかがですか。
#68
○政府委員(天城勲君) 工業教員養成所は、これははっきり初めから高等学校の工業科の教員の養成を目的とした機関でございますので、機関の性格としてはあくまでも工業教員の養成ということでございます。高等専門学校のしからば教員はどこから供給されるかということになりますと、これは高等専門学校の最高段階が五年制で現在のスクーリングの規格から申せば大体短大のレベル、短大と同じスクーリングになりますので、当然そこで授けられる教育水準というものはそれを基準に考える。実質的にはそれ以上のことを考えているわけでございますので、供給源としてはいろいろな方面から、主として大学の卒業生が中心になろうと、こう考えておりまして、特定の教員養成機関ということを考えているわけではございませんです。
#69
○矢嶋三義君 ちょっと関連して。さっきの文部大臣の答弁を私はもう一回伺っておきますが、ああいう答弁でよろしいのですか。というのは、千葉委員の質疑は、工業科の工業教員、それから数学、理科等の教師が得がたいのでこの免許法を改正する。そういう法案だから、需給関係はどうかという立場で伺っているわけですね。答弁、質疑がくるくる回って、さっき文部大臣はこういう答弁をしたわけですよ。工業高等学校すなわち高等学校から高専の教官になるということはあり得ない、こういう答弁をしたわけです。断定的な答弁、そういう答弁をしてよろしいですかね。高等学校レベルの三カ年と短大レベルの二カ年と、五年で一貫したなにをするのです。ですから、それは工業科の先生にしろ、あるいは数学の先生にしろ、理科の先生にしろ、工業高等学校並びに高等学校段階に勤めておる先生の何人かが必ず、私は、行くようになってくると思うのですよ。ところが、そういうことはあり得ないという、あなた、断定的な答弁をしたのですが、そういう答弁でよろしいですか。
#70
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 建前として申し上げたわけでございます。本則は、高等学校にもあらず、大学にもあらざる新たなる学校でございます。しかし、さっきも政府委員から申し上げましたように、五年卒業のときの学力を考えれば、短大並みでございます。その意味では大学並みと言えるわけでございます。さりとて大学ではない。専門職業教育を授けるという特殊の目的を持った学校だというわけでございますから、工業高校の先生の免状を持っておる先生が当然に高専の先生になるのじゃない。建前を申し上げたわけでございます。
#71
○矢嶋三義君 なることもあるのでしょう。さっきの答弁と違ってきたな、少し。そこをはっきりして下さい。
#72
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは、現在大学の教授である人が、この大学にあらざる高専の先生になることもあり得ましょう。工業高校の先生で、特にこれに適した学力、能力を持っておる短大の先生にも、当然なれそうな方があるとするならば、事実問題としては、なれる、なる人があるかもしれぬ。しかし、建前から申し上げますと、そういうことは当然じゃない、こういうことを申し上げておるわけです。
#73
○千葉千代世君 非常にこれまだ問題がありますから、問題をあとに残して、質問をもとへ戻したいと思いますが、今度の改正によりまして、教員としての質が非常に落ちるのではないかという心配をしているわけなんです。先ほど質問いたしました中にも、教職専門科目の単位が半減またはゼロでいいということがございますね。そうすると、これは先ほど来からたびたび申し上げましたように、教員の養成の基本方針の中に、やはり、この三つが有機的に結合されなければならない、と――有機的というのは、離るべからざるものだ、大体離れないものだと思っておるわけなんですね。そうすると、それの教職単位だけをくずしてしまって、半減またはゼロだということになりますというと、これは非常に教員としての質が低下するのではないかと、こう心配いたしますけれども、いかがでしょうか。
#74
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点の御指摘はまさしくそう言えると思います。ですけれども、先刻も申し上げましたように、高校の生徒増ないしは今後の日本経済の発展から、必然的に要請される教員需要から申しますと、需給関係が将来にわたってはなはだしく逼迫するという予測のもとに立って考えますならば、教育の場に、どう考えましても、教員組織を完全に充足するめどが立たないという状態に追い込まれる。追い込まれることがはっきり推測できるにかかわらず、このままでいいかという当面の課題に直面いたしまして、いかなる方法があるであろうかと考えました場合、教職課程が制度上きめられております単位をとった人でなければならぬことは万々わかりますけれども、現実問題としてどこを応急措置としてセーブするかといえば、教職課程をたまたまとらないがゆえに、教員になりたい意思があってもなれない人がおる。教職課程以外では優秀である人があるにかかわらず、どうにもならないことによって間隙が生じたままに放任することもいかがであろうか。忍びがたいような気持はもちろんしますけれども、これこそやむを得ざる応急措置として、臨時便法として認めていただいて、教育の場の教職員の間隙の生じないようにすることこそが、当面なすべきことだと結論づけざるを得ないだろう、そういうことからこの内容の御提案を申し上げた次第でございます。
#75
○千葉千代世君 そうしますと、この半減またはゼロによって教師になった、それは専門教科によって置きかえるということがございますね。勤めた後に、何か講習とか、そういうふうなことで補う方法は考えていませんでしょうか。半減またはゼロでもって勤めっぱなしということなんでしょうか。
#76
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 半減もしくはゼロで、そのままでいつまでもよろしいとは毛頭考えません。当然そういう立場で免状をもらった人に対しましては、現職教育で十分補いたい、そういう考えでおります。
#77
○千葉千代世君 その現職教育で補うということは、具体的に、講習会を持つとか何らかの方法でもって、その不足した十四単位を補うのである、こういうことでしょうか。
#78
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そういうことでございます。
#79
○千葉千代世君 それに間違いございませんか。
#80
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そう考えております。
#81
○千葉千代世君 それほんとうなんでしょうか。そういうことを私聞きたいのは、予算的な問題もあるし、それなら、勤めたならば何年以内に教職単位の十単位をどう満たしていくかという構想が出ていなければならないわけなんです。答えて下さい。
#82
○説明員(村山松雄君) 今回の改正によりまして、教職単位を、教科専門単位を置きかえることによって、免許状としては大学の二級免許状が出るわけでございます。従いまして、あと教職課程の不足を補うということは事実問題ということに相なろうかと思います。何単位かを補わなければならないという義務的に拘束する必要はないのじゃなかろうかと考えております。そういう意味合いにおきまして、いろいろ現場において現在でも講習が行なわれておりますし、今後新しい構想で行なわれるということ等におきまして、特に教職単位を軽減して資格を得た現職教員につきましては、そういう点に留意した講習をやる必要があるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
#83
○千葉千代世君 事実問題として補うとおっしゃったわけなんですけれども、大臣は、たとえば十四単位なら十四単位の講習をして補っていくという答弁をなさった。そうすると違うわけですが、いかがでしょうか。
#84
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度上義務づけまして、法律の規定のもとに現職教育をやるということではないわけでございまして、それを今、説明員が事実問題と申し上げたのですが、そういう表現が適切であれば、私の申し上げたことも事実問題のつもりでございます。現に三十六年度にこのための特別の予算措置は実は講じておりません。しかし、当然行政措置としてやらねばならない事実上の必要性のある事柄だと、こう心得ておるというつもりで申し上げたと御理解いただけば幸いでございます。
#85
○千葉千代世君 そうすると、村山説明員のおっしゃったように、これは半減またはゼロであっても、教員の免許状をやったのだから、事実問題として補っていく、こうおっしゃいましたが、そうすると、裏を返せば、やってもやらなくてもいいというようなことになるわけですね。やられない場合が多いということが想定されますね。いかがでしょうか。説明員の方で答えていただきたい。
#86
○説明員(村山松雄君) 現在、この免許法改正によって資格を得た教員について、特定の現職教育をやるという計画は実は持っていないわけなんでございます。と申しますのは、これによってどれだけの教員が資格を取得するか、それから現職にどれだけつくかということも将来の問題でございます。それが将来相当数あって、必要と認められる場合にはぜひそういう講習によって補っていきたい。こういうわけでございまして、今後の問題としてぜひやっていきたいという意味で申し上げたわけでございます。
#87
○千葉千代世君 非常に抽象的ではっきりいたしませんですけれども、とにもかくにも十四単位というものを削って、教師になると非常にこの十四単位が貴重じゃないか。特に教育実習なんかにかかっておりますから、やはりそういうふうなものを通して生徒対教師、全人格的な総合的な教育が行なわれていくのじゃないかというような、非常に大事なところじゃないかと思うのですが、だから必要が生じたならばやるということでなくて、今大臣が答弁したように、ぜひやっていきたいと、今予算は来年度は組んでいないけれども、そうすると次はそれでやりたいというふうに私ども非常に善意にものを解釈するものですから、そう思っているのですが、そう思っていいのですか。村山説明員の、もうやる必要はないが、必要があればやるということで、この食い違いは大へんこまかいことで恐縮ですが、ここをはっきりしていただきたいと思います。
#88
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度上、さっき申しましたように、法律上、現職教育を何回か何年かの間に受けて何単位だけは必ずとらなければ免状は取り上げるという意味での制度づけがないということから、制度論から言いますと、やってもやらぬでもいいことになりはせぬかとおっしゃればその通りでございますが、もっと問題を実質的に良心的に考えまして、本来十四単位の教職課程が要らないというわけじゃないわけですから、それはわかっておっても学校の現場において教員組織が間隙を生じたままで生徒だけ入ってくるということは看過することができないという切実な問題が現に迫っております。そのことを中心に考えて申し上げておりまして、従ってこの制度として現職教育を必ずやらなければならないということ、そのことが教職員になりたくないと思っておったから、その課程単位をとっておらない人で適切な優秀な人を導き入れたいという必要性からの制度でございますから、義務づけはしないけれども、教員になろうといって現職についたならば、必ずその人には現職教育をする行政措置を講じたい。そのための予算が三十七年度からは具体的にそのことを目ざしましてつけて実行したいと、こういうことでございます。
#89
○千葉千代世君 これで、このどろなわ的という言葉は大へん恐縮ですけれども、間に合わせ的にこの法案が出たわけですね。そうすると、この法案は臨時措置というけれども、いつごろまで存続していくつもりなのでしょうか。
#90
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは正規の教員養成の学校から卒業した人が需給バランスがとれるように入ってくれるまで、抽象的に言えば、そういうことだと思います。一体、そんならその推定はいつごろまで続くかということになりますとわかりかねますけれども、かりにわれわれの想定が正しいならば、所得倍増の推定及び生徒増の推定、これは現実に近い数字でございましょうが、その現実の数字と推定とを合わせまして、おそらくは十年近くの間は十分に教員が充足できないだろうということが、現状に立って言いますと、一応推定されると思います。だからといって、十年間ほうっておくべきものじゃむろんない。一年でも早くこういう制度がなくなることが望ましいことでございますから、そのために、よく御指摘になりますように、教員の給与の改善も考えねばならぬし、中教審の答申を待ってではございましょうが、大学制度全般の一環としての教員養成の制度につきましても確立していって、そうして正規のルートからなるべくりっぱな先生が現場に就職してもらえるような措置をあわせ講じつつ歩いていかなければならない現実だと思います。ですから、そういう方面の努力を一生懸命やりまして、一年でも二年でも早くこの制度をやめてもいいような時期が到来するような措置を講じなければならぬと心得ております。
#91
○千葉千代世君 まあこの急場をしのぐための法案、工業教員の必要性に応じて急にこの法案を出した、それが急場をしのぐためですから、私は三年なり四年なりのうちに解決されると考えておったんです。十年もある。しかも数的――先ほど数字をお願いしたのは、大体十年間ぐらいどうしてもだめなのかどうなのか、私どもはこれを十年ほうっておくのは困る、私どもはこの法案自体問題なんですから、そういうふうに考えておるんです。そういう点など、まだ幾つかの問題点を残しておるんです。まだ質問したいことはいろいろございますが、私は質問を次回に譲りまして、私はこの質問はこれで終わります。
#92
○矢嶋三義君 次回からの本法律案審議に必要な資料として、次のものを要求いたします。
 第一番は、現在仮免許状を持っている職員が何名いるか。それから第二点は、小、中、高の教科課程の改訂によって起こる教員の需給関係状況のわかる一覧表。ある教科の先生は少なくて済むようになるが、ある教科の先生は急激にふえる、そういう需給関係の変更があるわけです。その年度と絶対数を入れた数表。第三番目に、数学、理科の教員の需給状況。工業の方はさっき他の人が要求したし、先般の委員会で若干資料を要求しましたから、私は割愛する。数学、理科の需給状況、特に本年度数学、理科の新規採用が何名あったか。工業もつけ加えておきます。工業科、数学、理科。それから第四番目に助手、教科別助手の総数。工業科、農業科、水産科という教科別助手の総数。それから助手の身分を教諭に切りかえている県があります。最近教諭への身分切りかえがどの程度行なわれているか、その状況。それから次のは、この前要求したのですがまだ出ていないのですが、ことに工業科助手のスカウトされている実情ですね。産業界に引っこ抜かれている状況を調べて資料として出してほしいということでしたが、お調べいただいているようですが、まだ出ていませんのでこれを出していただきたい。で、助手の方ですが、さらに助手への産業教育振興手当の支給状況、教科別の助手の数が出ますから、その中で産振手当をもらっている人が何%で、もらっていない人が何%で、要するに支給状況のわかるものですね。それからもう二つあるのです。第五番目に、一部で取ったようですが、養護教員の配当状況。特に私は重点を置いて資料として提出していただきたいのは府県別順位、この養護教員の充足状況が府県別に順位をつければどういう順位になるか、その順位をつけていただきたい。それは学校数と養護教諭を何名任用しているかによってその充足状況の大体位置づけができるわけです。それに重点を置いて資料を作っていただきたい。最後は、これは免許法を審議しているわけですが、この前の高学歴是正の問題、これは昨年から問題になって、先般来大臣もここで答弁されたわけですが、高学歴の是正、それをやらねばならない先生方が何名全国にいらっしゃると数字を持っていらっしゃるか、高学歴の免許をとったら当然是正してあげなくちゃいけないと思う。これは文部省怠慢ですからね。何名おられるかということ。あわせて先般以来文部省は努力されるということだったのですが、その後どういう交渉を持たれたか、結論が出てなかったならば交渉の経過、それがわかるもの。以上の資料をできるだけ早い機会に出していただくよう要求いたしておきます。
#93
○説明員(村山松雄君) ただいま御要求の資料は大体整うと思いますが、中で本年現在の数でつかみにくいものにつきましては、最近の確定数で御了承願いたいと存じます。
 それから第六番目の、工業科の助手のスカウトの状況は、前回初中局長から把握困難な旨御了解願ったということでございましたが、これはなかなかつかみにくいと存じます。
 なお、その他につきましても、できるだけ御要求の趣旨をそこに置きまして、実情が明らかになるように全力を尽くして資料を作成してごらんに入れたいと思います。
#94
○矢嶋三義君 この前も要求しておきましたが、資料には何年何月何日現在ということを必ず明記して出すこと。それから助手のスカウトの点については困難だということを一応私は了解しますが、この前担当課長さんに伺いましたら、調査して下さっているというのですよ。だから中間的なものでもよろしいですから、わかっている範囲内で、若干推測が入ってよろしいですから、可能な限りの資料を出していただきたいことを要求しておきます。
#95
○豊瀬禎一君 同様に、資料をお願いしておきたいのですがね。今年度の分について把握できにくいということですが、やはり今年度はかなり経済状況の変動からしても、昨年、一昨年等と傾向が変わってきておると思う。それで今矢嶋先生が要求した資料の中で、本法案と直接関係のある工業、理科、数学、これに特定しますから、このものについては本年度の分、ただし、全国を全部そろえて下さいと言ってもいささか無理でしょうから、非常に工業の発達している県とか、あるいはそうでない農村県とか、幾つかの類型化したものを抽出して、各県教育委員会に電話連絡されるなりして、少なくとも、今年度の、これは千葉委員と関連して、資料要求した点をそろえて下さい。
 それから第二には、これも千葉委員が学術会議の大学制度調査会の結論が出たやに新聞で了承しておりますが、大学学術局に対して正式な結論が出たものについての回答を求めて、本委員会に出して下さい。それから三十四年度の中教審の学校制度に関する答申が出ているはずですが、これも資料として配付して下さい。それと、これは少し手が込んでくると思いますが、私どもは簡単に理由を申しますと、工業学校の教員といえども、教職課程を履修しなければ工業科の教員といえども教師として役に立たないというか、非常に無理でしょうという判断に立っていると思うのですが、このことを議論するために、免許法の施行規則の第六条、教職に関する専門科目の単位の修得方法は、次の表の定めるところによる、この表の中で、高等学校の教諭に対しては、教育原理、教育心理学、教材研究、青年心理学と、こういう時間をあげておりますが、これは免許法できちんと時間をあげて単位数を出しておりますが、たとえば教育原理については当該教育委員会等が、当該学校でそれぞれの課程に基づいて、一般大学にしろ、あるいは教員養成機関の大学にしろ、その学校の課程に基づいて、教育原理を教職課程として必要な、時間数じゃなくて、内容が含まれていると思うのですね。だから、これについて教員養成機関の場合は、工業教員の場合は必要ないわけですね。一般大学の場合で、工業、理科、数学について、教職課程の履修をやらせている国立大学で、それぞれ教育原理、教育心理、青年心理等に関する教職課程の教科課程、おわかりですか、内容が。
#96
○説明員(村山松雄君) わかります。
#97
○豊瀬禎一君 そうたくさんは要りませんから、それと、本法案に関係があると申し上げて差しつかえないと思いますが、法律案を読みまして、ちょっと把握しにくいのですが、科目の名称変更が行なわれておりますね、技術に変えるとか、これが教科課程というか内容の変更はないでしょうか、名称の変更だけですか、学習指導要領等の変更はいたされていないかということです。
#98
○説明員(村山松雄君) 学習指導要領は、全面的に改訂になったわけでございます。その中で、免許法の方では、教科の名前が変わったものについて免許状の教科の名前も変えたわけでございまして、内容的に若干の変更がございましても、学習指導要領におきまして教科の名前が変わらなかったものにつきましては、免許状の方ではそのままにしております。
#99
○豊瀬禎一君 技術家庭科につきましては三十四年に方針が決定して、三十七年度から実施ということになっておりますね。従って、学習指導要領もはっきりしていると思いますから、この法案の提案理由等に出てくる旧職業科――技術家庭科、職業と分離されましたね、従って、新しい学習指導要領で改変された部分については、古いものを一緒にされて、この法案に関係のある科目だけでけっこうですから、学習指導要領抜粋も同時に出していただきたい。以上です。
#100
○説明員(村山松雄君) 今の資料要求の中で、学術会議の大学制度委員会の結論と申しますのは、法的に申しまして、文部省で求め得るものかどうか、求め得るものでありますれば求めたいと思います。この点ちょっと留保さしていただきたいと思います。その他の資料につきましては、御要望の通り提出することができると思います。
#101
○委員長(平林剛君) 午後は一時三十分より委員会を再開することとし、休憩をいたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十二分開会
#102
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。岩間正男君。
#103
○岩間正男君 質問に入る前に、日程の問題についてこれはただしておきたいと思うのでありますが、けさほどの理事会の決定は伝えられたわけであります。つまり、あす委員会の審議をする、こういうことなんですね。これは前提条件としてわれわれは二十四日で第三十八国会は終わる、こういう前提の上に立って、まあある程度やむを得ないかという意味で賛意を表したわけです。ところが、聞いてみますというと、正式にこれは自民党の方から会期延長が、十七日間に及ぶ長期の会期延長が出された。そういう事態の中で、これは日程を無理して私はやる必要がないと、こういうふうに思うのです。従って、これは委員長・理事会で再検討を願いたいと思う。あすの委員会はこれは取りやめるべきじゃないか。そうじゃないとすれば、私は二十四日ということでみんながこの国会の定められた会期は終わる、そうして今まで会期延長までやられたのですが、今国会は国会正常化、そうして池田総理もそういう立場に立っておるからこれを実行するのだ、その上に立ってわれわれは了承しておるのだが、まるで今までの慣例と同じような悪例を依然としてやろうという自民党さんの意図がはっきりした上においては、われわれは同調できないという、こういう考えの上に立つのでありますが、こういう点について、まず、委員長の意見を聴取しておきたい。
#104
○委員長(平林剛君) 委員長・理事打合会におきまして、明日は定例日ではございませんが、協議の結果、開会することになっておることは御承知の通りであります。お話もございましたけれども、まだ正式に私は会期の延長についての問題を承知いたしておりませんし、ただいまのところ、その問題についてあらためて相談をする必要はなかろうかと私は考えておりまして、先ほど申し上げたような形で運営して参りたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
#105
○岩間正男君 私のお聞きしているのは、前提条件は変わっているのだということ、(「変わっていないよ」と呼ぶ者あり)変わっていますよ。まだ正式にそういう提案がなされておることを聞いていないというのですが、かりに今の委員長の答弁からすれば、当然前提条件が変わって、提案した場合には再検討しなければならぬというふうに思うのです。だから、これはそう断定されないで再検討する余地を残しておくのが私は当然だと思うのでこういう動議を私は提出しておきたいと思います。再検討願います。
#106
○委員長(平林剛君) 岩間委員に申し上げますが、あなたの今のお話は、きょうの委員長・理事打合会が、会期延長があるとかないとかが前提で結論を出されたような御発言ですが、決してそういう意味で取りきめたのではありません。ですから、そういう点で一つ御了承いただきたいと思います。
#107
○岩間正男君 私は何もしつこくやる考えはないのですけれども、それは、委員長、理事で原案をきめたということで、当委員会に諮られて決定したということとは違う。われわれは当委員会に諮られて、それに賛意を表した。あえて反対の意向を表明しないという形でこれは賛意を表したわけですね、消極的に。その意向の中には、われわれは今言ったような、少なくとも岩間はそういう考えに立っておるのでありますから、委員長、理事の決定がどうであろうが、前提条件があったかなかったかということは、私は聞く必要ないことですけれども、しかし、そういうことが当委員会を拘束するものでないということは、これは明白だと考えますから、まあ、この論議を長くやる考えはありませんけれども、これはやはり御検討いただきたいと思います。再検討するそれだけの値打があるものだと思う。前例にしちゃまずい。そうでないと、どうもこれはそういうことが、情勢の変化にかかわらず、きめたんだから、しかし、その決定の前に、われわれの了承するところは前提条件が違うのですから、それが変わった以上はやはり再検討するという前例を作られた方がいいと思います。その点、要望しておきます。
#108
○米田勲君 この金曜日に、定例日でないのにやるということをきめたのは、私の了解するところでは、これは連休のときに出てきてやらなければならぬ日があったわけです。それをとにかく皆さんの都合で、連休はとにかく、飛び飛びにあったが、それを休んでしまって、そのかわりをどこかで埋めようという了解をしておったので、やむを得ずあすやるということを了解したのです。こういうふうに考えておるわけです。私は、僕らの方では月曜日、先週でしたか、今週でしたか、月曜日にその分をやろうではないかという話をしたら、与党の方では、月曜日は困るというので、その日は取りやめになって、金曜日ということになったんだから、まずこれで連休のときの埋め合わせば金曜日のやつで終わった、こういうふうに了解しておる。私は会期の延長と関係がなく、連休のときの埋め合わせだというふうに了解しておったので、賛成しておるわけです。そういう申し合わせだった。
#109
○委員長(平林剛君) まあ、いろいろ御意見はありますけれども、委員会として明日行なうということに決定を見ておりますので、岩間委員のお話ですと、委員長、理事だけできめたということですが、決してそうでなくて、委員会としてきめておりますから、御意見もあろうと思いますが、本日議題にいたしました質疑を続けていただきたいと思います。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#110
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
#111
○矢嶋三義君 そういう経過で、委員長・理事打合会であす開会されるということになることについては、私、まあ異議ありません。しかし、私ここに御要望申し上げたいわけです。
 それは二十四日まで会期と思っておりましたから、実は遠慮しておった点があるのですよ。ところが、きょう午後になって、十七日間の会期延長が正式に与党側から申し入れられたという新しい条件が整いましたので、私はあらためて委員長・理事打合会で御協議願いたいことをお願いしておきたいと思うのです。それは四月一日から学生部次長制が文部省で設けられることになりまして、各大学に相当の影響を及ぼして参っております。具体的には教育大学は先般授業放棄もやったわけですね。これは横浜大学等二十五の大学の大小にかかわらず、影響を及ぼしてきておるので、相当重要な緊急案件と私は思っておるわけです。しかし、二十四日に国会が終わるとなれば、ちょっと法案の審議状況もと思って遠慮しておったわけですが、きょう十七日間の会期延長が提示され、しかも委員長・理事打合会で予定通りあす委員会を開かれるとなれば、緊急案件として明日質疑の時間を御検討いただきたい。ということは、十九日これら二十五大学の間では授業放棄をやるという動きさえあるわけです。だから、この省令について文部省の見解なり、また次長の任命について文部省はどういう態度で臨んでおられるのか。それから二十五大学は――教育大学の様子は一番新聞等を通じて――まあ私も行ってちょっと見たのですが、様子がわかっているわけですが、他の大学関係は文部省はどういう把握をしているのか、これにいかに対処されようとしているのか。これは緊急案件としてぜひただしたいと思いますので、あらためて委員長・理事打合会で、あす委員会があるとするならば、御協議願いたいことをお願い申し上げておきます。
#112
○委員長(平林剛君) ただいまの御要望につきましては、その取り扱いを別途委員長・理事打合会で検討いたしたいと思います。
#113
○北畠教真君 先ほどの米田委員の御意見の関連でございますが、先日、月曜に二日休んだ一日をやっていただいたらどうかということを理事同士で話しまして、豊瀬さんにいろいろ御尽力を願っておる最中に、衆議院の方でどうしてもやりたいという空気が出て参りまして、理事会で一応きまったと、こういうことでありましたので、豊瀬さんに電話をして、今まで申し入れた件は取り消していただきたい――もちろん当時には社会党の了承の返事はもらっておらなかったのでございまするが、二日間の云々にこだわっておるようでございますが、社会党の返事をもらわないうちに豊瀬理事の方に申し入れをいたしておりますので、この点は米田さんのおっしゃることと異なりますので、これだけ御了承願いたいと思います。
#114
○野本品吉君 先ほど岩間さんから、会期延長という、前提条件が変わったと、そういうお話です。なるほど変わったと言えば、まあ変わったと見られる向きもあるかもしれませんが、私どもはこの会期延長に、共産党も多分そうだろうと思いますが、社会党の皆さんも力を合わせて全面的にこれに反対するのだというふうにも、実は聞いておるわけです。従って私どもとしては、定められた二十四日までの会期であるという前提の上に立ってものを考えるのが当然である、こういう考え方でおりますので、一応ああいう意見が出ましたが、私の意見を述べまして、後刻開かれる委員長・理事打合会において十分御相談いたしたい、かように考えます。(「委員長、もう一ぺん発言」「そういうことでは許されないよ」「委員長、発言」と呼ぶ者あり)
#115
○委員長(平林剛君) 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#116
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
#117
○岩間正男君 それでは、このたび社会党の諸君から提案されました女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案、非常に長い名前でありますが、いわゆる産休法の改正案、この提案につきまして、私は数点ただしたいと思うのであります。
 まず第一にお聞きしたいことは、この法案を私たち検討したのでありますけれども、これについての意見は、まあ今申し述べません。提案理由の説明で、提案の理由の大要はわかったのでありますが、特にこのような法律案をこの国会に提案された理由、現時点におけるところの緊急必要性というものがこれはあると思う。そういう点について、まず総括的にお伺いいたしたいと思います。
#118
○豊瀬禎一君 岩間委員も御承知のように、昭和三十年に女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律ができまして、女子教育職員がお産をする前後については、母体保護と同時に、第一条に書いてありますように、「学校教育の正常な実施を確保することを目的」としてこの法律が作られて今日に及んだわけでございます。しかしながら、理由書の中にもあげておりますように、この法律の趣旨は、従来女子教育職員が妊娠いたしまして、分べんが近づきましても、実際に補助教員が配置されないために無理をして教壇に立つ、その結果異常分べんが起こったり、流産等非惨な事態が続発したわけですが、このことを解消すると同時に、分べん中の教育の空白に対して、補助教員を置くことによって正常を確保していくという趣旨がまだ十分に徹底されずして、理由書の中にもありますように、ある県のごときは六十日程度の代用しかとれず、そのためにいろいろな不祥な事態が起こってきたわけです。概括して申し上げますならば、三十年にいわゆる産休法が制定されましたけれども、その趣旨については前回もお答えいたしましたように、少なくとも地方教育委員会を担当する行政諸機関の人々は、この法律の意味するところ、目的とするところにつきましては十二分に理解していただいておると私ども考えるのですが、実態は県財政の赤字とか、その他の理由のために予算が取れず、従って女子教育職員が産前産後の休暇をとるために必要な補助教員が配置されていないという現状でございます。そのために産前、女子教育職員が休暇をとりたいと申し出ましても、補助教員がないから、あなたの学級は空白になります、もうしばらくがまんをして下さい。こういう措置が至るところに行なわれまして、前四週間、五週間、あるいは三週間等の短い期間に、本人が休まねばならないところの身体状況に達しておりながらも、なお補助教員の予算不足、従って補助教員の未配当という形のために、この法律の母体保護と学校教育の正常な実施を確保するということが実現できずに今日まで来たったわけです。そこで私どもは一歩進みまして、この法律の題名を改正すると同時に、産前産後の基準法の精神とする最低前後十二週間を法定することによって、女子教育職員が分べんが近づいた際には、安心して休暇をとれると同時に、その期間については必ず補助教員が配当されるという事態を確保して、母体保護と同時に、学校教育の正常もはかっていきたい。結論的に申し上げますならば、従前制定されております産休法の精神が法律にあるにもかかわらず、この法律のままでは地方自治体の予算という制約が法律のねらいを充足していないから、この不備とするところを改正することによって十全の措置を行なっていきたい、こういう趣旨に立ちまして、この法律の改正案を提案したわけでございます。
#119
○岩間正男君 大体まあ概略お聞きしたのでありますが、その詳細は細目にわたってあとでお聞きするとしまして、私は概括的にお聞きしたいのですが、この改正案は、ほとんど同様の趣旨のものが第二十八通常国会、それから第三十一国会に、やはり同じく社会党から提案されたと思うのですね。ところが、これはまあ流れておる、実際通らなかった。今度も会期が非常に短くなっておるわけですね。延長をかりにするとしましても、三週間そこそこになっておるわけです。この前なぜ流れたのか、その流れた原因と、今国会でどれだけの熱意を持って一体この法案を通そうとするのか。これについては、たとえばこの審議場を見ますというと、もう自民党の方は少ないのです。今三人しかいない。一体この産休法案というものに対してどれだけの熱意を持って考えておるか。政府側もきょうは文部大臣いないわけです。次官もいないわけです。練達の内藤初中局長がいるからいいといえばいいようなものだが、そういうものではない。これは政治的責任が最後にからまってくる問題です。当然文部省側の意向、さらにその背後にある大蔵省の意向というものが、このような議員立法の運命を決定するかぎになっておるというのが、これは残念ながら現在の格好だと思います。こういう点から見ますというと、単にゼスチュア的に私は審議するつもりはない。非常に切実な感情を持ってこの問題をわれわれは審議しておるわけです。といいますのは、まあわれわれのところには、たくさんそういう請願がきておるのです。たくさんきています、はがきや封書でもってきておるわけです。非常に切実な問題です。ことにこの問題については私も関係が深いので、非常に切実な感じを持っておるのです。従ってその決意のほどを、これをまずお聞きしておきたい。先ほどお聞きしました、この前流れた経緯と、それから今度は流さない確信を持ってこの法案を通すあらゆる努力をされるのか、この点についての見通し、こういう点をまずお聞きしておきたいと思います。
#120
○豊瀬禎一君 御承知のように、私どもとしては、過去数次の国会にこの種の法案を出して他の政党の御協力を求めてきたわけですが、一つは文部省といたしましても、従前の産休法が十分趣旨が徹底されて、完全に実施されることを期待する点についての怠慢はなかったと思います。また、具体的に行政指導も行なわれたし、予算措置等もそれに対応するような措置が行なわれてきておると思います。しかしながら、どうしても先ほど申し上げました理由もあり、また、私どもとしては、このままの従前の法律のままでは不備なところもある、従って、それは改正したいということで進んで参ったわけですが、三十二年の国会の際には、提案後間もなく解散が行なわれました等の理由がありましたけれども、率直に申し上げまして、私どもとしては、やはり立法府における、女子教育職員の産前産後の休暇というものが、母体保護の立場から考えても、学校教育を正常に運営していくという立場から考えましても、十分の理解がなかったということが、最も大きな原因であるという判断をしておるわけです。従って、私ども提案いたしました日本社会党としては、今国会における二十幾つかの法案を衆参それぞれに出しておりますけれども、その中で最も、女子教職員というよりも、教育界あるいは教育者にとっても重要な問題であるし、学校教育を正常に運営していく立場から考えても重点を置くべき問題として、各政党の十分の御理解と御協力を仰ぎながら、何とかして今国会にはぜひとも日の目を見せたい、こういう決意に立っておるわけでございます。
#121
○岩間正男君 まあ、決意のほどをお聞きしたのですが、今までの経過を見ますというと、なかなか困難がたくさんあると思う。で、これについてあくまでその決意を貫くために、余すところ少ない今国会で努力をしていただきたいというふうに考えるわけですが、それでは私は、以下詳細にわたってお聞きしたいと思います。
 第一に、まあ先ほどの説明にもあったんでありますが、特にこの法案の眼目というべきものは、補助教員の配置期間を明示した。そうして、はっきりこの産休の期間中にはその裏づけであるところの、産婦をして心理的にも安心して自分の健康を早く回復する、そういうことが十全にとれる、そのための具体的措置として補助教員を明確に配置する、こういうことが確保されていなかった点が、先ほどの御説明にもありましたように、何よりもこの法律を不完全にしている、不完全実施に追い込んでいるところの最大の原因だと思うのです。そこでこの点についてですね、私は、産前産後十二週間、前後六週間ずつ、通計十二週間、しかし、この十二週間というのは、必ずしもこれは私は適当じゃないんじゃないか。これは、望ましい形は決してこんなものじゃないんじゃないか、こう思うのですけれども、これは少なきに失するように思うのでありますが、なぜ、これは十二週間というところに一応の目標を置かれたか、お伺いしたい。
#122
○豊瀬禎一君 御指摘のように、わが国における母体の基準から申し上げまして、十二週間というのは、普通のからだにおける最低を示したものと考えておるわけです。従って、母体を保護し、さらに生まれてくる子供の、何といいますか、正常な出産はもとより、誕生後の健全な発育の点から考えてみますと、やはりもっと長期の期間休暇がとれて、いわゆる出産ということに対して十分の対応した生活ができることが望ましいと考えております。しかし、労働基準法では、あとは拘束し、前については本人の申し出があればこれは与えねばならないという規定があり、また、本人が休暇をとった場合には補助教員が配置されるような趣旨の定めがありましても、そのことが実施されていないという現段階と、一応労働基準法におきまして前後の十二週間という基準を示しておる。こういう判断から決してこれは十分の策だとは思いませんけれども、最低の必要な期間として、前後それぞれ六週間を法定したい、このように念願したわけです。
#123
○岩間正男君 そうすると、これは十全の策ではないけれども、次善の策として、しかも、現行法に、労働基準法でも一応そのような制定がある。従って、そのワク内だけでも、少なくとも、これは実施せよ、それをはっきり法制的に、しかも、予算の裏づけによって確立しよう、そういうところにこの目標を置かれた、こう考えてよろしゅうございますか。
#124
○豊瀬禎一君 御指摘の通りでございます。なお、補足して説明しておきたいと思いますが、以前、私ども日本社会党が現行の産休法に対して改正案を出した際には、本人が休暇を請求した際には、必ず補助教員を配置するような趣旨に立ったものを提案して参ったわけですが、現在の状況をつぶさに調査いたしますと、本人が休暇を請求したというその事態に対する判断がいろいろ異なっておるわけです。本人は休みたいという意思表示をしながらも、先ほど申し上げましたように、補助教員が置かれていないために、校長さんが、もうしばらくやってくれということで、実質的には本人の請求の休みたいという意思表示の期間からはずれて短くなり、三週間、四週間に縮減されてくる。従って、本人が休暇を請求したら必ず補助教員を配置するという法律体系では、現在のように、地方自治体においてきちんと予算の裏づけがない場合には、本人が休暇をとるその時期でさえも、その自由意思の行使ができないというのが現状である、こういう判断のもとに期間を法定したわけです。
#125
○岩間正男君 そうすると、労働基準法の規定をもっと積極的に完全に実施させる、つまり、労働基準法では、要求があればこれに応ずる、こういうことであるけれども、もう産前産後については最初からそのような体制をとる、こういうことですね。その点で、まあ基準法よりもさらに一歩進んでこういう裏づけを作るという意図はわかるのですが、内藤初中局長に一つお伺いいたしますが、どうですか、この法案の一番骨子であるただいまの点、非常に私も重要なことだと思うのですけれども、これについてどういうお考えを持っておられるか、お伺いいたします。
#126
○政府委員(内藤誉三郎君) 今日までの産休の実情を見ますというと、産後の方は六週間がほとんどでございまして、六四・四四%、三分の二は六週間、それから六週間以上というのが二九・一一%ございますので、約三分の一程度は六週間以上というのが実情でございます。それから産前の方を見ますと、産前は母体の性質によりまして画一的に六週間とる必要もないのではなかろうか。そこで、産前の方を見てみますと、六週間以上のものが四三%程度、ちょっと半分を欠けますけれども、六週間以上が四三%ぐらいになっておるわけなんです。それから、四週間、二週間、それぞれございますが、これはやはり母体の性質にもよると思います。画一的に産前六週間にしなきゃならぬかどうかについては、それは労働基準法の要請でもございませんし、むしろ本人のからだの性質によるのではなかろうか、こう思うのでございまして、要は母体の保護、と同時に、学校教育が正常に行なわれるかどうかという点だろうと思います。この法案を見てみますと、産前六週間、産後六週間、画一的に母体に関係なく六週間。ですから、あるいは母体によっては産後六週間以上を要する場合もあろうかと思います。これを画一的にきめたという点が一つ問題ではなかろうか。それからいま一つは、この産前産後、つまり十二週間を期間として校長以外の教育職員を臨時的に任用しなきゃならぬ。現に各府県においては産休代用教員というものを雇っておるのでございまして、これは実績でも三千数百人出ておるのであります。そういたしますと、何かこの法案によって、雇っておる者のほかにまた任命しなきゃならぬのかどうか、これがこの法案では明らかになっていない。二重になる危険があり、むだではなかろうか。で、前の法案は、学校運営に支障のある場合に補充しなきゃならぬ。運営に支障があるかないかという判断の余地があったんですが、今回の改正案には判断の余地がないと思います。その点は少し行き過ぎではなかろうか。で、私どもはむしろ現行法を十全に適用いたしますれば、これでこの一点に関する限りはうまくいくんではなかろうか。多少不備な点があれば、これは趣旨の徹底を欠いておるのではなかろうかという気がするのであります。
#127
○岩間正男君 もう劈頭からどうもこれは文部省との間の食い違いが出ておるわけですね。私はまあ基本的に十二週間、前後六週間ずつの十二週間というのは認めるのかどうか、文部省は賛成だと思ってお聞きしたのだが、どうも大へんな御答弁だと思うんですね。やはり法令ですからね、その人の主観が入って、母体の状態によっては二週間でもいいとか、あるいはまあ農村なんかの、これは岩手県あたりに行くというと、前の日まで働いている妊婦がいること、これは事実です。しかし、そういうようなやり方では非常にこれは操作されてくるわけですね。そして、そこにまた管理者の意図も働く余地があるということは、私たち十分に知っているんです。とにかく日本の現状では残念ながらお産をするということが何かまだ肩身が狭い。大手を振って私は堂々といばってお産をするというのが、これは当然民主国家の原則だと思うのでありますけれども、日本はそうなっていないんです、いろいろな条件の中で。ことに非常に学校なんかでは肩身の狭い思いをして先生たちがこういう休みをしているんじゃないか。なぜかというと、その一番大きな原因というのは、自分の受け持っている子供が、五十人、六十人の子供が、ほかの人にこれはまかせなくちゃならない。しかも、その人も学級を担任しておる。非常にこれは負担が多くなる。それをしないためには、当然その代替としてのこれは補助教員が充足されて、何らの心配もなしに、これは法制的に明確にする。これでなけりゃ政治でないと私は思うんです。そういうことを考えると、どうも今の御答弁というものは、産前についてはいろいろもっと現状に即した方がいいじゃないかというが、その現状という、そのあなたの言う現状というのはこれはわからない。現状というのはむしろやはり一つの大きな、大所高所から見て、そして最低これだけは必要だという格好で、この法案の趣旨は、私は立法の趣旨があると、こういうふうに思う。
 もう一つの問題は、三千何がしの産休補助教員は今ワクがあるんだ、そうするとそのほかにもっと必要じゃないか。むろん必要でしょう。必要だからこの法案出したと、これははっきり私は考えていいと思うんです。そこのところは提案者の意図と、それからまあ今聞いた範囲内でも文部省との間に意図の食い違いがあると思うのでありますが、あらためて私はただいまの内藤局長の意見をも含めて提案者のこれに対する御意見をお伺いしたいと思います。
#128
○豊瀬禎一君 先ほども説明いたしましたように、なるほど労働基準法六十五条におきましては、「使用者は、六週間以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」こう定めております。従って、本人が休業を請求しない場合には就業させてよろしいというのが基準法の精神であります。で、このことから内藤局長が答弁したように、母体がそれぞれ個人差があるから、それを一つ一つ取り上げていきますと、ある人は六週間前に休まなくてもよろしい人があると思う。しかし、これは前回も千葉委員が指摘しましたように、座業で日本の織物工場を一つの基準として、日本のいろいろな労働状況の調査の中から女子労働者の状況から判断されたので、実際に母体保護という角度からすれば、一応六週間というのは基準としては最低である。これが実際にはこの最低が内藤局長の今の答弁にあったように、六週以上が四三%しかとられていない。半数の人は以内であるということは、本人たちの身体が完全に六週間をとらないでよろしい、あるいはとらないことの方がより母体上いいのだということではなくして、少なくとも学校教育、女子教育職員に関する限りは、たびたび私が指摘したように、やはり立って心身を非常に消耗していく教育事業に従事する女子教育職員としては、休みたいという意思表示をしても、予算措置がとられていないために、休めないために五十数%の人は六週間以内しかとられていないのが実態であります。なお、岩間委員も指摘されましたように、六週間以上産後休まねばならない人もあると思いますが、それはこの場合における一つの私は最低の基準と申し上げたわけで、医者の証明その他の措置があった場合には、産後については別途配慮することも意図しなければならないと考えておりますけれども、やはり現行体制の中からはどうしても前の六週間を特に法定しないことには十分の休暇がとれないために、前回も例をあげて指摘しましたように、教育に従事する女子労働者の場合には、他の筋肉労働者よりも多くの異常分べん、流産等の数が多いということはこの実態を如実に物語っていると思います。従って千葉県等におきまして、臨時に分べん代用として年間契約されている人々には先ほどのような事態が起こっているけれども、これは当該県におきましても、こうした事態の中では、この人たちを完全に排除するといったような、法律の条文を機械的に適用して、そのことがダブって行なわれるか、あるいはその人たちの身分を危うくするというような血も涙もないような解釈なのではなくして、年間雇用されておる人たちにも十分配慮していくという、具体的にそういう県も私たちとしては回答を得ておりますので、このことについての配慮あるいは心配よりも、私どもとしてはたびたび指摘しておりますように、前にいかにして本人の自由意思による請求を確保していくか、そうしてそのことは校長と職員との間の互譲の精神やあるいは相互理解の中では三十年以来今日まで解決できていない。従って労働基準法のほんとうの精神からすると、たびたび申し上げますように、必ずしも個人の自由意思を主にすれば万全の立法措置ではないけれども、現段階としてはどうしても前を法定する以外にない、こういう判断に立っておるわけです。
#129
○岩間正男君 これは、たとえばこの法律が作られて、これが実施される、こういうことになれば、今、内藤初中局長のあげたパーセンテージというのは変わるのですよ。充足されない条件の中でとろうとしてもとれない、とりにくい非常に困難な条件の中でできた事態をパーセンテージにしてあげていき、これが現状ですというようなことをやっていったら、これは私はうまくないと思う。そういう例を私たち何ぼでも経験しましたですよね。たとえば、これは全日本教員組合協議会時代、今から十数年前のことですが、結核教員の休暇の問題をやったことがある。このときは文部省が二年をがっばった、われわれは三年をがんばった。これはまあ一カ月ぐらい団体交渉をやったと思う。そういうあとで、最後にこれは高橋文相時代でありますが、高橋文相と私の間に最後的な断をもってこれは三カ年。三カ年とっておけば、三カ年使わないという人もあるかもしらぬ。しかし、それによって非常にこれは、むしろ結核の場合なんかは精神的な安泰を得ることができる。そして逆にこれは回復率を上昇することができる。その方がむしろいいのだ。同じことが、当時やはり同じ形でこれは産休の問題が決定されたのは、団体協約の中で明確に規定されたのは昭和二十一年の三月だったと私は記憶しておりますけれども、日教組の前身である全教協と高橋文相との間にはっきりこのことが十六週間と、こう規定されたと思うのですね。あれは十六週間、どうして一体現在の十二週間まで下がったのか。この経過については提案者でもけっこうでありますし、それから当面する責任者である内藤局長でもけっこうなんですけれども、この経過についてちょっとお聞きしたい。
#130
○豊瀬禎一君 私どもも当時県と団体協約を結びまして、当時の知事と教職員組合との間に産前産後十六週間を締結した経験を持っております。その際にも、岩間委員が指摘されましたように、私どもとしては前後十二週間というものは基準母体における最低を一つの規定をしたものである。それよりもより長い期間、もちろん床について眠るということではないのですけれども、正常な業務に従事しないでもいいという形の中に置いておくことが出産を容易ならしめるためにも、生まれてくる子供のためにもよろしいという、こういう医学的な立場に立って、それから先は、本人はまだ出てもよろしいという場合の自由意思の余地を残して十六週間を法定した。ところが、主としてこれは私どもの知っておる限りにおきましては、文部省の考え方によってこれが、これらの諸権利が次第に狭められて参りまして、現在産休法が成立しておる今日といえども、文部省が前後十六週間をとることを否定しておるという意味ではありません。これも、先ほども言ったような措置はいろいろと講じてもらっておりますけれども、実態はそのことさえもできていない。そうして岩間委員が指摘されましたように、愛媛県においてはお産を前にした先生を転任させようとしてみたり、あるいは日本の他の教育の職場でないところでも結婚をすれば、お産をするからやめてもらいたいというような、労働協約の改訂を迫っておる職場もたくさんあります。こういう事態から、かりに労働基準法の六十五条の前の請求権が本人の自由急思というところにウエートが置かれておるとはいいながらも、そのことを強く主張していくとどうしても現在の条件の中ではそれ以下になされているという現状から、あくまで基準法の精神を確立していくためには、前の六週間を法定する方がよろしい、こういうふうに判断しておるわけです。
#131
○岩間正男君 まあ最低の少なくともこの線だけは譲れないという線で十二週間というふうにおきめになっておるのですが、望ましいところは医学的、心理学的、さらに労働者保護の立場、母性保護の立場から考えるならば、もっとこれはワクを広げることが望ましいだろうと思うわけです。
 そこで内藤局長にお伺いしますが、これは文部省は最初高橋文部大臣のとき十六週間にしておいて、そしてだんだん後退したわけです。十二週間についても、今あなたのあのような御説明を聞かなければならぬということは私はあまりしあわせに思っていないのですがね。この原因は何なんですか、これははっきり文部省の立場をお聞きしておきたい。
#132
○政府委員(内藤誉三郎君) 今明確に私も記憶しておりませんが、産後の場合、六週間では母体保護に支障があるという場合があるわけでございまして、現在でも約三割程度は六週間以上の休暇を県によりとっておるわけです。産前の場合、六週間とるところもございますし、六週間以上とっておるところも現に産前でも七・七%くらいあるわけですから、十六週間とっておる県もあるでしょうし、各県それぞれ実情に合うような産休の立場をとっておるわけです。文部省として画一的にこれを強制するわけにも参らぬと思うし、現行法がございますので、現行法を尊重してさらによりよき改善に努力しなければならぬと思うのであります。そういう点で十六週間全部とっていないということはこれはやむを得ないことではなかろうかと思うのでございます。
#133
○岩間正男君 どうも私の御質問しておることにこれは御答弁ないのでありますが、ずっと後退してきたんですね。やはりこれは前進とは認められないのです。そういうような理由というものをこれは詳しくされていないのですけれども、その後政治情勢の変化とかこれはあったと思いますね。第一、日教組に対する団体協約は政令二百一号ですか、それとの関連で取り消しになる、そしてこれを今度は了解事項とか、それから団体交渉の線に移していく、そういう中でだんだん狭められてきておる。そして現状のようなところに追い込まれてきておる。もっともこれに対してはっきりした要求を持って、そしてその要求を相当維持しておるところも現状ではあるのですが、力の弱いところではそこへ追い込まれる。そうすると、土地によって違うということを言いますけれども、北海道の産休と鹿児島の産休と違うわけはないと私は思うのですね。決して鹿児島の産婦だけが強くて、これが三週間でいいというわけではないのだ、そして北海道の産婦がどうしても六週間以上とらなければならないという理由は私はないと思うのだが、こういう一体ばらばらにしておいて、そしてこれを地方財政の理由だからということで文部省は見送りをしていいかどうかという問題です。これは政治的な考え、また実際は母性保護、それから教育を守るという立場から考えて、一体あなたはどう考えておりますか。これはちょうど局長もおいでになったけれども、次官が見えておられますが、これはいずれ大臣にもお聞きいたしたいと思いますが、次官はどうお考えになりますか。
#134
○政府委員(纐纈彌三君) お答えいたします。御婦人の先生たちの産前産後の休暇に対しましてのその期間におきまする補充の教職員に対しまする予算は、文部省としてもとっておりますので、労働基準法に基づいての休暇をとることができる措置はできることに相なっているような次第であります。
#135
○岩間正男君 内藤局長、どうですか。補足して説明して下さい。
#136
○政府委員(内藤誉三郎君) 産後につきましては、全国で九三%が六週間以上でございますので、岩間先生の御心配は私は御無用かと思うのでございます。予算面では、交付税の方におきまして、結核休職と合わせまして、教員総数の二%と見ておりますので、交付税において不足することはなかろうと思います。これを実際に見ますと、一カ月平均千五百人の出産がございます。年間に換算いたしますと一万八千人になるわけです。かりに産前産後六週間と見ましても、四千五百人あれば年間を通じてまかなえるような措置でございますが、四千五百人の分につきましては、先ほど申しました、結核休職を含めまして二%で十分十二週間保障しましてもまかなえる措置を講じているわけでございます。
 なお、国庫負担金につきましては、実員として計上いたしておりますので、これが三千数百人に上っておりますが、三千三百人ほどの実績によって負担金を支出いたしておりますから、負担金及び交付税の面におきまして、ただいま政務次官が申しましたように、六週間が完全にできるような措置を講じているわけでございます。
#137
○岩間正男君 これは提案者にお聞きしたいのですが、どうです、これについての御見解。今御答弁ありましたけれども、そういうことになっておりますか。
#138
○豊瀬禎一君 私どもの調査では、前後それぞれ六週間以上とれているのが六十数%とは見ておりません。特に内藤局長の答弁で問題がありますのは、それぞれ各県の事情を画一的にするわけにも参りませんので、それぞれに応じたところで措置がされていることの方が画一化するよりも望ましい――私は、こういう考え方を文部省の責任者が持っているから法定しなければならないと言うのです。労働基準法の六十五条の精神も、なるほど分析してみますると、個々人には七週間要る人もあれば、五週間でよろしい人もある。しかし、各県別――福井のごときは六十日、東京都とどこでしたか、他の県は六週間以上とっております。それで、私どもとしては、第三条に「人事院規則又は条例でこれより長い産前の休業の期間を定めたときは、当該期間」と、当該県が長くきめたときは、それを認めるという方針をとっているのですが、ともかく各県別にこれがまかされている。そうしてその各県別が、個々人の女子教育職員の母体の実情ということではなくて、予算のために各県ばらばらになっている。こういう点に問題があって、文部省としては、纐纈次官が言われたように、各県が六週間を請求してくれば、それを充足するような予算措置はしている。しかし、それを各県が組まないために、その予算が空転している。言いかえますると、先ほど申しましたように、各県まちまちになっておって、しかも、それが本人の実情に即さないで、県の予算のために個々の実態が制圧されている。ここに問題があるというために、私どもとしては前後六週間を法定しよう、こういう考えであります。
#139
○岩間正男君 その中の交付税の三千三百人分ですか、これであなた方の提出されている法案は充足されますか。この点の調査をもしお持ちでしたら……。
#140
○千葉千代世君 それはされないわけです。というのは、先ほどの産後休む人のパーセンテージはあるのですが、休んだだけ産休補助教員を全部配置しているかどうかということについては必ずしも配置されていない。文部省の二月十六日にこの委員会へ御提出になったものを見ていきましても、産前産後の休暇期間の原則的な許可方針というのは、たとえば本人が請求した場合にはこれだけ許可するという許可方針はどの県もみな六週で、大阪で十四週までとか、東京の十六、以下ございますけれども、産前産後合わせて十二週以下のところはないわけなんです。そういう許可方針でありながら、さっき言われましたように、とれなかった、こういう実情があるわけです。ですから、産前産後十二週以上配置した県が十二県しかないわけです。完全に配置した県が。ところが、先ほど内藤局長がお答えになられたように、各県によって個々の差であるから、とらなかった、やむを得ない、こういうわけです。これはやむを得ないのではなくて、私どもとしては、やはり最低を保障するということが建前だものですから、これは許可方針に合ったものをみな請求して、母体の安全をはかって、その上で産休補助教員を配置する、こういうような計算からいきますと、たとえば休暇教員数が、三十四年の調査を見ますと、一万九千八百五十六人でございますね。そうしますと、この一万九千八百五十六人に対する最低としましても、一人八十四日ですか、約三カ月ですから、一人の教員が四人分持てるわけです。この四分の一の数というものがやはり計上されて、それで予算的措置がなければならない、こう考えるわけです。文部省の方では二%の中で消化するといわれるが、大体消化できるわけですが、要は各県の地方財政の逼迫によりましてとれませんために、これが消化されない。とられない理由は何か、こういうふうに考えております。
#141
○岩間正男君 ただいまの御説明で大体明らかになったと思うのですが、三十四年の例によれば、四千五百人、これは必要ですね。そうでしょう。四千五百人。ところが三千三百人だから、交付税の面でもこれは二、三〇%ざっと考えて少ない。そこへ持ってきて地方財政の裏づけがない。交付税は要求があればこれは出すことはできるけれども、しかし、地方財政が非常に困難なところでは、その裏づけを地方財政でやることができない。そこに問題が出てきているわけですね。そういう財政上の理由と、それからもう一つ、やはり私はここで指摘しなくちゃならないのは、これは女教師の権利ですね。はっきり権利として法定化する、さらにそれを予算化する、というところに本法案の努力の面が一つあると思うのです。ところが、これがやはりどうも、ともするとケース・バイ・ケースの方に落とされていって、そうして地方の実情あるいは個人の体力のいかんというところでこの問題が考えられているところに一つ問題があるわけです。
 それからこれは、文部省にそういう資料があるか、あるいは提案者はすでにお持ちかどうかお聞きしたいのですけれども、私は、十六週間というのは、今から十六年前に団体協約でこれをとったときには、相当世界各国の例なんかも調べまして、そうして相当長い期間かかって日本の現実の中で、ことに、敗戦によって戦争を放棄した、そして教育をほんとうに重視するという体制の中ではこれは妥当だということでわれわれが提案し、そして当時の文部大臣もこれは認めた。ただ裏づけの点が十分でなかった。休む権利はあったけれども、同時に補助教員を完全に充足するという点でこれは欠けていた。そこへ持ってきて、公務員の――教育公務員並びに公務員一般でもありますが、だんだん権利が侵害されてくるという形の中で今日のような方向に落とされておる。しかし、当時われわれ教員組合がこの問題を団体協約の中でとったということは日本で画期的なことです。これは歴史的なできごとだったということを私は記憶しております。結核の休暇と、それからこの産前産後の休暇をはっきり団体協約の中に政府を相手にして確認させたということは、これは画期的なできごとであった。そしてこれは当時多くの公務員にも横に広がっていって、このような一つの既得権として、単にこれは教員だけではなくて、ずっと拡充されたと思うのです。これがずっといつの間にか狭められてきた。ここに一つ私は問題があると思うのでありますけれども、しかし、現状においても私は、たとえば東京あたりでは十六週間を維持しておる、こういうことを聞いておるのです。こういう実態は私はつまびらかに知らないのでありますから、できれば千葉さんからお聞きしたいと思うのですが、東京ではどうなっておりましょうか。
#142
○千葉千代世君 東京ではずっと産前産後引き続いて十六週となっております。労働基準法は前とあとで分かれておりますが、東京では引き続いて十六週、これは教員でございます。それから一般の都庁に勤めていらっしゃる事務員の方、その方は十五週間を与えられております。こういう現実がありまして、特に産前産後の休養についてやはり補助教員がなかなか来なかったり、また校長先生がお仕事の都合上申請を怠っておって来ない、とりにくいという情勢がたくさん出てきましたので、昭和三十一年一月二十三日に東京都庁の方では都労連と一緒になって相談して、そうして各学校に連絡してあるわけです。その内容の中には、この規定を逸脱しておるような向きがあるから、やはり使用者はその点は厳にやらねばならないということが出されております。
 なお、東京の場合ですと、産前産後の問題だけではなくて、妊娠に伴う障害、つまり、つわりの場合なんかも医者が休養を必要と認めた職員に対しては三週間以内の休養を与えることができる、こうあるわけです。つわり休暇というものをとっておるわけです。これは、つわり休暇も休暇ですから、出勤簿の表示は産休とするということも全部教育委員会で話し合いまして、そしてこの産休とした期間は全部の十六週から引くことは引くわけですが、それが保障されておるということ。それからもう一つは、出産という定義について、この前井川委員から非常に尊い御指摘があったのですが、二カ月でも三カ月でも母体は大事で、特に二カ月、三カ月の流産というのはみんな案外平気でおるから危険が伴いやすいのですね。そういう意味で私は主張したのですが、それはいれられませんで、妊娠四カ月以上、一カ月を二十八日として計算すると、ここまで話し合った。そうでないと、四カ月といっても三十日で計算するものもある。出産の勘定は二十八日です。従って八十五日以上というのに、分べんという定義をつけた。これは生産、死産――四カ月で生産ということはございませんけれども、それ以上の、たとえば六カ月、七カ月でなくなって産まれても、元気で産まれても、その別は問わないで産休をやる、こういうふうにしまして、妊娠四カ月以上の人工妊娠中絶も出産である、こういうことを認めておるわけです。ですから、団体協約の精神が残されているというところは、まず完璧なのは東京、その次が大阪、たしか山形かどこかちょっと記憶はありませんが、これは十三週になっております。そんなような状態でありまして、二十四年の政令二百一号によりまして今の協約の権利は失われてもこれは残しておく。福祉に関する面は残しておくという約束があって、東京都は教員組合の話し合いでもってこれがきまった。これが今までもずっと継続されて、臨時補助教員を出しておる、こういう実態であります。
#143
○岩間正男君 いい方の例をお聞きしたのですが、全国で悪い方はどういうところでございますか。
#144
○千葉千代世君 全国でも悪いところと申しますと、一番悪いところは山梨県です。山梨県は全体を通じて六週間しか許可していない。六週間というのは、補助教員の配置の数の関係で。許可方針が十二週でございますから、本人が請求すればこれは休まれるわけですけれども、従って産前をほとんど休んでいないという実情になっております。それから、福井県などもそういう実情がございまして、非常に困りまして、校長先生方は、これは教員だけではなくて、校長先生が学校が困るというので措置要求を出したわけです。で、人事院の勧告が当局の方へなされている、こういう実情でございます。
#145
○岩間正男君 ここの提案者からいただいた資料の中で、山梨県の場合、産前の休暇をとらない者が五一・六%もあるということが述べられているわけです。それから、全部で六週間しか休んでいない者は五九・六%、そういうふうに出されているわけです。
 そこで、私は文部省にも関心を持っていただきたいと思うのですが、たとえば東京の場合と山梨県の場合を対比してみて、そうして異常分べんとか出産、そういう統計を出してみると、これは明快になってくると私は思うが、こういう科学的調査をやられることが必要だと思うが、どうでしょうか。こういう問題をほんとうに決定するのは、単に国会の論議だけではできない、真剣にこういう問題と取っ組むためには実情調査をする必要があると私は思う。こういう数字をもしお持ちでなかったならば、文部省では特にこういうことを調べてみなくちゃならないと思うが、何とかしてもっと民間とも協力して、教員組合とも協力してやってもできるが、そういう考えはありませんか、この点を伺います。
#146
○政府委員(内藤誉三郎君) 異常分べんまで調べるということは非常にむずかしいと私は思うのでありますので、と申しますのは、これは教員一般が異常分べんではないので、やはりそれぞれ体質によるのだと思います。東京の場合、異常分べんが少ないかというと、むしろ逆ではないかと思う、東京は産休休暇は十分とっておるのでありますから。地方の県は産休休暇が少ないけれども、異常分べんが少ないという結果が出ているんじゃないかと私は思う。調査しろとおっしゃいましてもなかなか、これはお医者さんまで聞かなければわからないことで、ちょっと文部省関係のルートでは非常につかみにくい問題ではなかろうかと思います。
#147
○岩間正男君 提案者にございますか。
#148
○千葉千代世君 これはずっと前に調査したのでございますが、ごく最近のはございませんけれども、総体的にいって、産前の休暇のとれなかった者、そういうふうな者は異常分べんが非常に多いということ。それから東京の場合の方が異常分べんが少し多いのじゃないかというお話もあったのですが、これは産前の休暇の問題と相待って東京の交通地獄と申しますか、環境ですね、非常に押されてしまって交通が困難です。通勤時間が長いことと、もう一つは精神的に悪い。明けても暮れても緊張感が解けないというような、こういうような総合的なことがあるということ、これは三楽病院へ行って産科の先生に聞いたのですが。それからもう一つは、産みたくてもなかなか産めない。これは交通の関係、家庭の事情等いろいろございまして、現在は優生上の立場で妊娠中絶が許可されている。もちろん一才以上にならない場合に妊娠したとか、これは問題がたくさんあるわけです。それで私方々へ出かけたたびに教員に聞いてみるのですが、教員には相当妊娠中絶の率が高いということが出ている。その原因を追及していきますと、一つとは申しませんけれども、交通の問題がずいぶん影響しているということ、総体的にはそういうふうに出ておりますが、ここの県には幾人異常分べんがあってどうだということは、昔のはございますが、最近のはございません。
 それから異常分べんの場合――出産手帳を本人が持っております。それに早産が何人、何カ月で、この人は予定日より幾ら早く生まれたという数がございます。七カ月の早産、そういう数とか、それからこの人は自然分べんなのか、異常分べんなのか、鉗子で出したのか、人工分べんなのか、こういう出産数、それから出産に入る前に、陣痛が起きる前に破水を起こしたとか、そういうのも異常分べんに数えて、それが全部その中に入っておる。それを調べれば相当確実な数字が出るんじゃないか、こう考えております。
#149
○岩間正男君 東京と山梨というのは私の出し方が悪かったかと思うのですが、これは問題の設定を、同じような条件の、同じ農村県なら農村県という設定をして、そしてそこの中で実際は補充教員の配置が、一方は完全に行なわれて、一方は非常に山梨のように半分くらいしか行なわれていない、こういうところの比較はやろうとすればできるし、またすべきだと私は思う。こういうことをしないでおいて、そうしてむずかしいとか何とか言っていたのでは、これは私は教育行政は根本的なルールに乗らない。いつまでたったって同じことで、今のような答弁を繰り返されておったのでは私は進まないと思うので、むろんそこには食糧事情、今の交通事情、勤務条件、いろいろな条件がありますけれども、そういうものは、これは一つの統計学の方式によりましてちゃんと出すことができることになっているので、やる気があれば私はできると思うので、ぜひこれは、文部省はこういうところに意を用いて、これはわれわれやろうったってそういう機関がないのだし、予算もないのだ。文部省がこの問題を真剣に取り上げて、やる気があればできることだ。やる気がないのじゃしようがない、ほおかぶりでやっていくのだというのじゃしょうがないですけれども、実際私は母性をほんとうに保護する、しかも、教育の具体的な運営を大きく健康なものにするためには私は必要だと思う。
 それともう一つお伺いしたいのは、社会主義体制のうち、つまり社会主義諸国と資本主義諸国のこういう一体統計の比較があると思うのだが、これもどうです。文部省でほとんどこれは意識的に努力しておられないのじゃないかというふうに考えるのですけれども、ございますか。つまり、例をあげれば、社会主義諸国の中で、ぜひこれはあなたたちも努力して、統計があったら出してもらいたいのですが、どういうふうになっているのか、産前産後の休暇はどういうふうになっておるか、それによって今の母性の保護はどういうふうに実施されているか、これをソビエトとか、それからチェコスロバキアとか、ルーマニアとかポーランドとか、それからまあ最近、これは出ているかどうかはわかりませんが、中華人民共和国とか、それから朝鮮民主主義人民共和国とか、こういうところの例、それからアメリカ、フランス、それから西ドイツ、イタリア、こういうものの比較を出してみると、ここにおのずから明らかなものが出てくると思う。これはこの前、育英資金のとき、育英会から非常に十分な資料ではなかったけれども 出してもらった。やはり参考になりましたよ。こういうものについて、あなたたち統計をつかもうとされておるか、あるいはつかんでおられるのか、それからおられないとすれば、今後これを努力する考えがあるのか、この点いかがでございますか。
#150
○政府委員(内藤誉三郎君) 調査したものもあるかと思いますが、ここにございませんので、さらに調査を進めたいと思います。私どもとしては、日本の労働基準法が大体ILOの線を尊重しておりますので、今の労働基準法は大体国際的水準に達しておるのではなかろうかと思っております。で、母性の保護につきまして、教員だけ特別に保護しなければならぬかどうかという点については、私はまだ問題が残っていると思う。一般の肉体労働をしている方々もこれは当然に保護しなければならぬし、より切実かもしれません。そういう点で、教員だけが他の労働者と異なった特別の母性保護をしなければならぬかどうかという研究と、それから各国の教師の母性保護の問題につきまして、さらに研究を進めてみたいと思っております。
#151
○千葉千代世君 今、局長さんが日本の労働基準法は国際水準までいっているとおっしゃったのですが、たとえば残念ながら産休の項だけはいっていない。ILOの母性保護条約の百三号の中で、国際条約は産前産後を通して十二週、その前後を通して。ですから、もし産前にとれなかったら産後にとってもよろしいし、産後に少なくて済む人は産前にとるというふうに非常に幅の広い規定をしているのです。それに伴って、百二号の方では今度は母性保護の規定がたくさんでございます。賃金の規定とかすべて加わって百二号、百三号として一貫して出されているわけです。そうしてこの勧告が出されております。勧告は、出産休暇を十四週に延長せよという勧告になっております。それを受けて立って世界各国では、前後十二週間を通して批准した国であっても十四週を目ざしている国と、それからすでに十四週以上とって、六カ月以上もとっているという国がある。そういう社会主義体制の国ですと、御承知のように、チェコとか、ポーランド、ソ同盟という国では、これは社会保障の一環としてもうすでにきまっております、出産給付その他については。そういうふうでございまして、どんな国でも、ビルマとかインドとかは別にいたしまして、大ての国では産前産後十二週ということはきめられておりますが、日本では前後切られておりますために国際条約に加盟することができない。そこで婦人の人たちが集まりまして、ILO八十七号、それにばかり一生懸命で、そのことも大事だが、やはりILO百二、百三号の批准を促進しろという運動が今起こっているという実際であります。
#152
○岩間正男君 大切なところなんですな。内藤さんはうまいところでILOを引っぱり出したものですが、残念ながらILO条約というのは自由主義国家群の中の、いわば資本主義体制の中での大体共通線です、国際的に高いものじゃない。最低線で、守らなければならないということは明白です。それさえも守らないで何だかんだと言っているのですから、ここでの論議じゃありません。ILO何だかんだと……。しかし、都合のいいときにはかつぎ出すのにあなた方はやぶさかでない。その点なんです、基準法、決して高いものではないということでありますから、私はこの法案は非常にわれわれの考えからいくと、もっと前進してもいいと思う。しかし、社会党さんは、提案者はいろいろな現実の配慮の上にこういう法案を出された。自民党さんというのもいらっしゃるし、これは賛成してもらわなければ困るでしょうし、背後には何せ悪名高い文部省がいるわけだし、それからその背後にはさらにもっと握り屋の大蔵省がいるわけですから、ここの時点で通すにはということで、私はおそらく社会党としては最低案だと思うのです。共産党としてはもっとやはり高度なものを用意して、力関係でこの辺をバック・アップできるかと思いますが、もう少し社会主義国を研究して下さいよ。決してこういう線じゃありませんよ。だから、そういう点でもう少し努力すること、世界を見ること、目を開くこと、そういう点でなければ……私はここで数字を出しませんけれども、少なくとも努力だけはして下さい、そうして社会主義の各国の情勢を集めていただきたいと思います。それが非常に今後この法案がどの位置にあるかというこの法案の位置をはっきりさせる。このくらいの法律は少なくともとれはまかり通らなければ、日本の恥辱になるのじゃないかという、はっきりした見解を立てなければしようがないですよ。こんな法案さえも二回も流れて、三回目もなかなか十分に審議されないというような格好では私は望ましくないと思います。
 そこで、その次に進みたいと思うのでありますが、とにかく痛切な職場の声を聞いてほしいということですね、実際。私のところにいろいろきているのですね。請願がきているのです。こういうのがあります。「五年担任の女教師は、六年生を卒業させるまでは子供を生まないようにする現実を御存じでしょうか。」これは内藤さんにむしろお聞きしたいのでございます。「産休補助教員が配置されないために、不幸を知りつつ抱きしめて生きなければならないのです。どうかあなたの御理解ある御努力によって、今国会で産休法を有利に改正していただきますようお願いいたします。」どうも切実ですね、こういうものをもらいますと。そのほかたくさんありますけれども、こういうような職場の声を私は聞いているのです。内藤さんの先ほどの御答弁では、教員だけ特に他の労働者と区別して、これを産休を保障する、母性保護の特にそういうなにを立法する必要があるのかどうかというお話がありましたが、これは私は教育を担当される局長さんの言葉としてはちょっといただきかねる。ほかの職場では休めばいいのですよ。休暇を与えればいいのです。たとえば十二週間なら十二週間の休暇を与えればいい。それでその人のからだは休まるわけです。ところが、教育の場合にはそういかんのですからね。教育の場合は絶えずこれはつきまとうのだ。五十人、六十人の子供がつきまとう。悪い言葉で言えば、悪夢のようにつきまとう。寝てもさめても子供のことが――休んでいるとき、子供のことがその先生の頭に描かれないような先生というものは、私たちは考えることができない。実際そうです。従って、その心配をなくするための措置というものは、これは教育体制の中で特に要求されている。この点をあなたは考えておられるのかどうか。一般の労働者と教育労働者の場合の、これは職業による特殊性から当然私はここは区別しなければならない。従って、教育労働者の特別産休の場合には、これを守るための具体的な措置をするということは絶対必要だと思うけれども、先ほどのお話では私どうもおかしいと思うのですが、この点いかがですか。
#153
○政府委員(内藤誉三郎君) この点は岩間委員と同感でございますが、私が申し上げたのは、母性保護の見地から考えまして、これは一般の労働者と特別の区別をする必要があるのかどうか、実は疑問に思っておりますので検討さしていただきたい。先生がお休みになった後の子供の問題がつきまとう、これは御指摘の通りでございます。ですから、必ず教員については産休代用の教師を任命しなければならぬことも私同感でございますし、予算も必要にして十分なものは組んであるわけです。そこで岩間委員のおっしゃったように、ただ、ほかのものなら休めばいいのだと、こう簡単に割り切れないと思う。われわれ職場の中で女子が休んでしまった場合に、だれかが仕事を担当しなければならない。だれか余分の人間を任命しておるわけではありませんので、どっかに必ずしわ寄せがくる。それはお互いに職場の仲間意識で克服しているわけです。教師の場合には、かわりはどうしても任命しなければならぬ。そこで、母体保護と同時に、産休の代用教員を任命しなければならぬ、ここが問題でございまして、私は先生方が十分に安心してお産をしていただきたいと思う。そのために教員が不足するというようなことは絶対にないように確信を持って指導いたしたいと思っております。
#154
○豊瀬禎一君 ただいまの問題ですが、これは文部省も自民党の皆さんもよくお考えいただきたいのですが、私からここでちょうちょうするまでもなく、教育はペンをもってペーパーに対して処理をする仕事じゃなくて、生きた人間が生きた人間に作用する。従って教育の作用の場合には、出産のまぎわになって心身の状態が正常でなくなってきた場合に、一般のオフィスに与える影響と、生徒、児童という生きた人間に与える場合は、これは結果としてもたらされたものは非常に異なったものが出てくる。従って、文部省の役人ともあろうものは、教育の問題については、教員の場合には特に必要だという観点に立っておいていただきたいと思う。
 それで、岩間委員の先ほどの質問に対するお答えになるのですが、たとえば東京と山梨の比較の質問が出たのですが、むしろ東京都が多いんじゃないでしょうか、こういう答弁でしたけれども、こういう問題把握が、今日まで私どもがあえて産休法があるのに改正案を出さなければならない趣旨なんです。それは、東京都でかりに山梨県よりも異常分べんが少ないとしても、多いとしても、それは産休期間が長いから多いという判断であってはならないんです。もし、それがあるとすれば、それは全く別個の理由で、これは医者はひとしく六週間を法定している以上は、前後通じていろいろの問題ありますけれども、少なくとも六週間は十分の休暇をとった方が出産の正常さからも、母体保護からも、生まれてくる子供のためによろしいという判断に立っておるのですから、文部省としては当然休暇の期間が短いということは、産休法の母体保護という精神からも反しておるのだという考え方に立ってもらいたいと思うのです。それからもう一つの質問ですが、千葉委員も答えられましたように、社会主義諸国におきましては、ソ同盟においては、たとえば四カ月、中国、ポーランド等におきましては三カ月、いずれも日本より長いのであります。それと、前々の内藤局長の答弁がありましたけれども、また千葉委員から言ったILO関係は、前後を通算しておるのに、なぜ私ども日本社会党が前とあとを区切ったかという問題を簡単に答弁しておきたいと思うのですが、これは本人の身体状況だけを考えていくと、なるほど前後を通算して自由にとらせた方がいいという判断も出てくるのです。しかしながら、前後を通算した場合には、どうしても現在の状況の中では、前に本人の身体に適応する休暇が与えられないという現状です。これをカバーするためには、どうしても前を六週間と法定して一応前後の十二週間の予算措置の既成事実を作る、その後にそれが事実となって現われたときには、十六週間とするか、十四週間とするか、十二週間とするか、通算の措置も第二段階としては考えられなければならない、こういう考え方に立っておるのであります。(「私も質問があるんですよ」と呼ぶ者あり)
#155
○岩間正男君 それでは、私はなるたけ時間をセーブしまして、要点だけやりたいと思います。
 そこで、補助教員の問題が、これをどう充足するかということが当面した一番重点の問題です。先ほどの、この教員を充足しないことによって休暇がとれない、そうしてその影響するところはやはり教師の母体保護、こういうこともありますけれども、その被害者は児童、生徒にくるのですね。そういう点は、教育の特殊性ですから、この点は十分検討される必要がある。それで、なぜ一体補助教員は得にくいんですか。先ほど地方の財政の理由ということを一つあげられました。その結果がどういう形で現われ、補助教員をほんとうに思うままに充足できないその理由というものはいろいろあると思うのですが、これについて提案者の理由ですね、理由についてお聞きしたいと思います。
#156
○豊瀬禎一君 補助教員が配当されないという理由は何かという御質問でしょうか。
#157
○岩間正男君 その点はもう財政的な措置ですが、それがどういうふうにいろいろこうした、何と言ったらいいかなあ……。
#158
○豊瀬禎一君 済みませんが、再質問していただけませんか。
#159
○岩間正男君 何と言ったらいいでしょうな、つまり補助教員そのものにはなり手が十分あるのですか。それからなっても満足した形でいるのかどうか。私は条件がどうも非常に劣悪なんじゃないか。劣悪な条件のもとに置かれているから、ほんとうになり手はこれは少ない――少ないかどうかこれはまだつまびらかでありませんが、しかし、なったにしても、完全にその職務を果たすことができないような条件のもとに置かれているのじゃないか、こういう点です。そういう条件というものはどういうものか。これをお伺いしているわけです。
#160
○千葉千代世君 補助教員になり手はあるわけなんです。たとえば福島県でございますというと、新しく卒業した方ですね、その方はまず産休補助で、男の方ですけれども、そういう方を産休補助教員に配置しておって、一年間実績を見て非常によい成績が上がっておれば、その方を今度は一般教員の定員の中に組み入れる、こういうようなやり方をやっているところもあるし、それから東京のように、登録しておきまして、今自分は板橋なら板橋に住んでいる、だからその周辺の区域だけを希望するとかいう希望条項を書くのがございまして、そうして登録してあるわけです。そういうふうにしてやっている。なり手はございますけれども、ただ問題になりますことは、非常にこの条件が劣悪なわけなんです。具体的に申し上げますと、東京ですというと、もう三カ月あるいは三カ月半交代というふうに切ってしまうわけなんです。切って採用し直すのです。その採用し直すときに大へんな手数があるわけなんですね、また書類を全部整理しなければならないという。ですから、通算しておりませんために、地方公務員法上の特典というものは何もないのです。ボーナスももらえなければ、それから退職金ももらえない。こういうふうな中で非常に困っているわけです。ですから、とりあえず手続を簡単にしてほしいとか、共済組合法の適用を受けて、病気になっても、自分の掛金と政府に出してもらったお金でやっていけるが、これもないから、これもやってもらいたいとか、そういう非常にたくさんの問題をはらんでいることと、それから給与が非常に安いわけなんです。この間私、内藤局長さんから、教員の平均単価二万五千円というふうに伺ったわけです。これは確かにその通りで、二万五千円の平均単価でこの産休補助教員の分も結核とも合わせて文部省では組んでいると、こういうふうになっております。ところが、地方に行きますというと、地方の教育費の実情でございまして、八千円打ち切りとか、一万円とか、一万五千円とか、非常な格差があるわけです。ですから、やはり第一番に賃金の問題が出てくる。その他の身分上の保障がないということ、手続が煩瑣であるということ、こういうたくさんの問題点を含んでいる、こういう実情でございます。
#161
○岩間正男君 そうすると、今のような現状に置かれているのですが、これについて文部省はもっと身分保障、それからこれを統一的にこの問題をもっと取り扱う必要があるのではないのですか。現状では何ですか、府県の任意なやり方にまかしているのですか。採用の仕方、資格要件、それからそれの給与の一体標準というようなものはあるのかどうか。それから勤続の通計をしないのかどうか。ばらばらで三カ月半で切られて、別にまた計算されるということでは、まるでこれは臨時工みたいな扱いなんです。これでは教育の職員としては非常に私は不適当だということを考えます。ボーナスもない。従って、それから、今のような形でやるから昇給もルートに乗せられないということになれば、結局私はよい、そういう補助教員を得られないと、こういうふうに思うのですね。結局出てくる人は、やむを得ない、まあただいるよりはましだからということで来るというようなことにこれはなる。それから一生懸命やるにしたって、そういう人たちは生活の保障が不十分でありますから、やはり結核が出てくる。これは容易に考えられることです。こういう点についてもっとこれを統一的に、統計的にも出てくるわけですからね、全体の教員の中で女教師は幾らある、そのうちの出産率はどれだけだ、全国にこれを配置すればどうだ、それについてはどのような給与条件と労働条件を与え、そうしてこれの生活並びに労働条件をはっきり確立する、こういうことが絶対に私は必要だと思うのです、政治である限りはですね。そうしてお産というものがなにか女性のコンプレックスになっているというような考え方では、そういう考えは出てこないと思うのでありますけれども、先ほど申しましたように、お産というのは当然これは女教師の名誉ある任務遂行なんですな。そういう立場に立てば、私は積極的な、これをバック・アップするという態勢が当然とられなくちゃならない。とられないとすれば、そこの考え方に根本的にやはり古い考えが残っていると言わざるを得ないのでありまして、この点について文部省の見解を、できましたら文部大臣からお聞きしたいと思います。いかがですか。
#162
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体おっしゃる通りのような気持がいたしますが、前から話をよく承っておりませんので、ちょっと明確にお答えいたしかねますから、政府委員から御説明申し上げます。
#163
○政府委員(内藤誉三郎君) 母性の保護という点につきましては御指摘の通りでございます。現在でも産後は九三%の者が六週間以上休暇をとっておるわけでございます。その場合に代替の教員がなければならぬことも、すでに法律に明記されておるわけでございます。で、その場合にある程度計画的にできる分もあるわけでございます。ところが、女子教員に必ずしも出産は比例しておりません。既婚の女子教員の中でもちろん人為的に調整される方もありますから、明確に何人子供が生まれるかということは把握しかねる点があろうと思うのです。県によっては産休代用教員というのを常時雇っておりまして、それをぐるぐる回すというところもあるわけです。この場合には本来の教員と何ら変わりはないわけでございます。とろこがそうでなくて、臨時的に任用いたしまする場合には、教員免許の資格のある者を採るわけでございます。免許の資格のある者が得がたい場合には、臨時免許状でもやむを得ないのでございますが、御指摘の通りできるだけ恒久的な職員にする方が望ましい、こう思うのでございます。
#164
○岩間正男君 私、まあもっともっと質問したいことがあるのですけれども、時間の関係もあるし、それに四時を過ぎているので、それからまあ定足数の問題ですね。だから、そういう点からこの次にまた譲りたいと思うのでありますが、とにかく先ほど申しましたように、私これは、非常に最初のスタートのときに関係を持った人間なんです。教員組合の責任者としまして、とにかく団体協約のときに、これを今にして思えば最高の十六週間をとった当時の責任者です。非常にまあ私は責任を感じているのですね。ところが、それよりも、あの時代よりも後退した格好で、実際の適用は半分ぐらいになっている。それを何とか最低限度にとどめようというのが、社会党さんのこれは苦哀の存するところだと思うので、これについてはまだまだ基本的にいろいろ調査して、そうして科学的な調査の上に立って、そうして明確にこういう問題を処理しなければならぬ、そういう問題をたくさん含んでいる、こう思いますので、いずれまた近いうちに時間をいただいて、また新たな角度から質問をいたしたいと思います。きょうのところは、ここで私打ち切っておきたいと思います。
#165
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#166
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
 本案に対する質疑は、本日のところ、この程度といたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#167
○委員長(平林剛君) 速記をつけて。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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