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1960/05/31 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第31号
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1960/05/31 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第31号

#1
第038回国会 文教委員会 第31号
昭和三十六年五月三十一日(水曜日)
   午後三時四十七分開会
   ――――――――――
  委員の異動
本日委員下條康麿君辞任につき、その
補欠として鍋島直紹君を議長において
指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平林  剛君
   理事
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           野本 品吉君
           豊瀬 禎一君
   委員
           安部 清美君
           井川 伊平君
           杉浦 武雄君
           鍋島 直紹君
           野上  進君
           千葉千代世君
           矢嶋 三義君
           米田  勲君
           柏原 ヤス君
           常岡 一郎君
           岩間 正男君
   衆議院議員
           山中 吾郎君
           八木 徹雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部省大学学術
   局長      小林 行雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部大臣官房総
   務課長     木田  宏君
   文部省初等中等
   教育局中等教育
   課長      安達 健二君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○スポーツ振興法案(衆議院提出)
○オリンピック東京大会の準備等のた
 めに必要な特別措置に関する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律の
 施行に伴う関係法律の整理に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○高等学校の定時制教育及び通信教育
 振興法の一部を改正する法律案(矢
 嶋三義君外六名発議)
   ――――――――――
#2
○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 なお、ただいま委員の異動がありましたので、御報告いたします。
 下條康麿君が委員を辞任され、その補欠として鍋島直紹君が選任されました。
 以上であります。
   ――――――――――
#3
○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。
 昨日及び本日の理事会におきまして協議の結果、本日はまず、スポーツ振興法案及びオリンピック東京大会の準備等のために必要な特別措置に関する法律案を議題とし、提出者よりそれぞれ説明を聴取いたしました後、学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上、衆議院送付の二法案を一括して議題とし、質疑を行ない、次いで、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進め、引き続き、大学の入学試験に関する件等当面の文教政策に関する調査及び学校教育法等の一部を改正する法律案の審議を進めて参ることに決定を見ました。
 以上、理事会決定通り本日の委員会を運営いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
#4
○米田勲君 委員長ちょっと。異議があるわけではないが、その理事会というのは十時ごろに開かれたんだと思いますが、その時点で考えた本日の委員会の運営と、その後われわれの思っていなかった事態が起こって、非常にきょうは時間がおくれているのですが、朝の打ち合わせの通りにきょうは最後までやるということではないでしょうけれども、この点はどうなんですか。今読み上げられたのは全部朝の打ち合わせの通りなんでしょう。それだけやるというのですか、どうなんですか。その点はお互いの間で話しにならぬのかね。
#5
○委員長(平林剛君) 委員会の運営につきましては、常識で運営して参りますから。
#6
○米田勲君 ああそうですか、はい、わかりました。
#7
○委員長(平林剛君) 時間の御心配については、また委員会の審議の進み方に応じて御相談をいたします。
 委員会の運営につきましては御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営して参ります。
   ――――――――――
#9
○委員長(平林剛君) それでは、スポーツ振興法案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。衆議院文教委員長代理衆議院議員八木徹雄君。
#10
○衆議院議員(八木徹雄君) ただいま議題となりましたスポーツ振興法案について、提案の理由とその内容を御説明申し上げます。
 本案は、衆議院文教委員会提出の法律案でありまして、その趣旨は、スポーツの振興に関する国及び地方公共団体の施策の基本を明らかにし、もって国民の心身の健全な発達と、明るく豊かな国民生活の形成に寄与しようとするものであります。
 わが衆参両院において、去る昭和二十四年、スポーツの振興に関する政府の施策を一段と強化するよう、全会一致をもって決議いたしましたことは各位のすでに御承知の通りであります。その後、関係者のなみなみならぬ努力により、わが国のスポーツは国際的にも相当な水準にまで到達しましたことは喜ぶべきことでありますが、なお、その所期の目的を達するためには幾多改善の余地があるものと考えられまして、この法律案を提出する運びになった次第であります。
 次に、この法案の内容についておもな点を御説明申し上げます。第一は、この法案がスポーツ振興の基本法であるという立場において、施策の基本及び方針を明らかにするとともに、国及び地方公共団体においてスポーツ振興の基本計画を定めることとしたことであります。第二は、スポーツ振興のために「スポーツの日」を制定し、次いで、国及び地方公共団体の重点的に実施すべき事柄として、スポーツの日の行事奨励、国民体育大会の実施、各種スポーツ行事の普及、指導者の充実、スポーツ施設の整備等の措置につき定めたことであります。第三は、国が予算の範囲内において、スポーツ施設の整備のために三分の一、指導者の養成のために二分の一等の補助を行なうよう定めるとともに、地方公共団体もスポーツ団体等に対し補助するよう規定したことであります。第四は、諮問機関等の設置であります。すなわち、中央における従来の保健体育審議会のほかに、新たに地方公共団体にスポーツ振興審議会を設けることとし、さらに市町村にスポーツ実技指導等を行なう非常勤職員として体育指導委員を必置することとしたことであります。その他、所要の事務的事項または経過的措置を規定いたしております。さて、本案は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の議員諸君の長きにわたる熱意と努力の結晶でありまして、衆議院文教委員会の起草にあたりましても、法案の重要性とあわせ、これら各党の意見を十分尊重いたしました。衆議院規則第四十八条の二に従い、内閣の意見を徴しましたところ、今年度において予算措置がなされていないものもあり、今後研究の余地もあるが、趣旨には賛成である旨の答弁がありましたので、衆議院におきましては慎重審議の結果、五月十八日に全会一致をもって可決いたしました。
 近くオリンピック東京大会が開催されることも考慮に入れられまして、慎重なる御審議をお願いしますが、特に本法案は各党共同提案による議員立法でもありますので、優先的に取り上げて、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
#11
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
   ――――――――――
#12
○委員長(平林剛君) 次に、オリンピック東京大会の準備等のために必要な特別措置に関する法律案を議題とし、文部大臣より趣旨説明を聴取いたします。荒木文部大臣。
#13
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出しましたオリピック東京大会の準備等のために必要な特別措置に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 オリンピック東京大会の開催については、かねて国会の全面的な御支援をいただき、これが招致については、昭和三十三年四月、衆参両院の決議がありました。また、招致確定後におきましては、昨年四月、第三十四国会において、大会準備の促進に関し、政府は総合的準備対策を樹立し、その強力な推進を期し、特段の措置を講ずべき旨の決議が衆参両院において全会一致で議決されております。まことに力強いことと存じます。
 政府といたしましては、その趣旨に沿って今日まで競技場諸施設の整備を初め各般の準備対策について鋭意努力をいたしている次第でありますが、大会を三年後に控え、オリンピック準備体制を一段と強化する必要があります。そのため、大会遂行の直接責任者となるオリンピック東京大会組織委員会の業務の円滑適正と大会に備えてわが国選手の競技技術の向上に資するため、財的援助その他特別の措置を講ずる必要があるのでこの法律案を提出することとしたのであります。
 次に、この法律案の要点について御説明申し上げます。第一は、国が大会の準備及び運営を行なう大会運営者すなわちオリンピック東京大会組織委員会に対し、その準備及び運営に要する経費について、予算の範囲内においてその一部を補助することができるものとしたことであります。第二は、大会の準備及び運営のため、国有財産が使用される場合に、組織委員会等に対し、これを無償で使用させることができるようにしたことであります。第三は、大会の準備等に必要な資金を調達するために設立された財団法人東京オリンピック資金財団の財源調達事業に関し、国等の援助に関する所要の規定を設けたことであります。すなわち、その一つは、資金財団の財源調達の方法として、大会の準備資金に充てることを寄付目的とした寄付金つき記念切手等を発行できる旨の特例を設けました。その二は、広告事業を行なう者が日本国有鉄道の施設を利用して広告事業を行なう場合に、その収入の全部または一部を大会準備資金に充てることを寄付目的として資金財団に寄付するときは、日本国有鉄道は必要な便宜の供与その他の援助を行なうことができることとしました。その三は、資金財団が日本専売公社、日本電信電話公社の協力を得て広告事業による資金調達を行なう場合につきましても、同様に両公社が必要な便宜の供与その他の援助を行なうことができることとしたことであります。第四は、組織委員会の業務の円滑な運営を期するため、政府機関から適任者を採用する場合が予想されますので、こうした場合の人事交流が円滑に行なわれるように、これらの者に対し、大会終了後再び政府機関に復帰した場合は、国家公務員等退職手当法及び国家公務員共済組合法に規定する公庫等の職員とみなし、在職期間を通算する措置がとられるようにいたしました。また、組織委員会の業務の適正を期するため、役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこととしたことであります。第五は、この法律によって援助を受けることとされる東京オリンピック資金財団の会計については、その経理の適正を期するため、会計検査院の検査の対象としたことであります。
 この法案は、大会を三年後に控え成立が急がれるものでありますので、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いします。
#14
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
   ――――――――――
#15
○委員長(平林剛君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上、衆議院送付の二法案を一括して議題といたします。
 質疑の通告かありますので、この際、発言を許します。安部清美君。
#16
○安部清美君 今回提案になりましたいわゆる高専法案は、今期国会における文教関係の法案としては最も注目を集めている法案で、世論も賛否それぞれあるようでありますが、私は文教委員の一人として長く教育現場におりました、あるいは行政に関係しておりました者として、わが国の文教の過去を顧み、将来をいろいろ考えまして、この案件につきまして特に関心を持っておる一人でございますが、新聞の世論――新聞の論説、その他衆議院段階におけるいろいろの質疑応答、あるいは参考人の意見、政府のいろいろな考え方などを検討してきたのでありますが、問題が重要でありますだけに、多少重複する点があるかもしれませんけれども、主として文部大臣に対して主要な数点をただし、この法案の内容を明確にしておきたいと思うのであります。
 まず第一にお伺いしたいのは、非常に重要な法案でありますが、この法案を提出するに至ります経過は申すまでもありませんが、学制に関する大きな問題でありますから、文部省は中央教育審議会――いわゆる教育、文化、学術に関する基本的な重要施策に対する調査審議機関であります中央教育審議会に諮問し、中央教育審議会から建議されておると思うのでありますが、私どもが記憶するところによりますと、かつていわゆる専科大学法案というようなもので、過去二、三回、国会においてこれが提案されて審議未了になったように覚えておるのでありますが、こういうものと一連の関係のある今回の高専法案をどういう経過て中央教育審議会に諮問され、あるいはそれによって中央教育審議会からどのような建議がなされたか、これについて、まず大臣にお伺いしたいと思うのであります。
#17
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この高等専門学校制度を考えるに至りましたそのもととでも言うべきものは、今お話にありましたように、かつて国会に提案をいたしまして一再ならず審議未了に終わりました専科大学制度、すなわちその目ざすところは、専門的な教育を授けることによって科学技術者の養成をしようということにあろうかと思いますが、それが国会で審議未了になりました理由はいろいろあるとは思いますけれども、私学方面においては非常に反対が強かった。それは単科大学制度のもとにおきましては、現在あります短期大学が当然にその専科大学の方に移行するという建前になっておったと承知いたしますが、そのことが、はしなくも私学側の反対の理由になったと承知いたします。その反対ももっともな節があろうかと思うのであります。すなわち、短期大学はそれなりに特色を発揮しつつ多年にわたって教育に貢献してきている。その事実を無視することは私はできないと思うのであります。同時に、また専門的な教育を授けまして科学技術者不足の社会的要請、国家的要請にもこたえるという目的は、依然として強くこそなれ弱まっていないということを考え合わせまして、短期大学に必然的に移りかわるということではなしに、短大は短大なりに今後存続していく、ただし、それは大学制度全般の審議を願っております中央教育審議会の結論がどう出るかによって相違があり得るとは思いますけれども、当分の間、今まで通りに続いていくべき値打を持っている、そういう前提に立ちまして高等専門学校の案を考えたわけであります。目ざすところは、抽象的には一致する点もあるといたしましても、制度としては新たな問題でございますから、中央教育審議会には特別委員会が設けられております。その特別委員会に諮問をいたしまして、その結論に基づいて中央教育審議会の総会でも承認をしていただきました。裏づけをしてもらった結果として御提案を申し上げておるというのが、大よその経過でございます。
#18
○安部清美君 大体わかりましたが、専科大学の法案と今回出されました高専法案との違い、及び中央教育審議会が諮問を受けて、それを建議したその内容を、おわかりだったらお答え願いたい。
#19
○政府委員(小林行雄君) 専科大学の法案で御審議願いましたときの内容と、このたびの高等専門学校の内容との相違でございますが、御承知のように、当時の専科大学は短期大学制度を切りかえるということを一つの目標にいたしておったのでございます。従って、短期大学の内容に応じまして、専門職業の教育内容と同時に、あわせて実際生活上の知識、技能を与えるということを目標にいたしておったわけであります。御承知のように、短期大学は相当数現在ございます。昭和三十五年度で約二百八十という数がございますが、その半数以上は女子の教育を目的としておるのでございまして、従って実際生活に即する技能を与えるということが一つの目標になっておったわけでございます。このたびの高等専門学校におきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、短期大学の問題とは切り離して、中堅技術者養成の教育機関として高等専門学校を作るということでございますので、専門職業教育に主眼を置いた教育内容ということを考えておるわけでございます。なお、中央教育審議会の関係でございますが、これは御承知かとも思いますが、すでに高等学校と大学を二年または三年の段階とを合わせて、充実した専門教育機関を作るということに関しましては、中教審から三回も答申が出ております。大学の入学者選考及びこれに関連する事項についての答申というのが昭和二十九年にございました。なおそれに、そのあとを追いまして短期大学制度の改善についての答申というのが昭和三十一年に出ております。それから科学技術教育の振興方策についての答申というのが昭和三十二年に出ておりまして、いずれも高等学校の課程を合わせた五年または六年制の教育機関を設けるということをうたっておるわけでございます。このたびの高等専門学校の制度につきましては、御承知のように、現在、大学制度につきまして中央教育審議会で審議をいたしておりますが、その特別委員会に御相談をいたしまして、特別委員会の審議を経まして、その特別委員会の報告に基づきまして、本年の三月に中央教育審議会の総会で、これを適当と認めて承認を得たわけでございます。
#20
○安部清美君 大体説明でわかりますが、その三回と今回の高専の諮問をされたその答申書といいますか、というものがあれば、資料としてあとでいただきたいと思います。
 次に、こういういわゆる学制を改める。新しい考え方の学制を、今回、法によって定めようというような場合には、相当国民的な一つの世論の上に立ってやるべきだと私は思う。で、そういう点から趣旨説明の中にも各界のもろもろの要望があって、技術者養成のためにこういう学校を作るのだといったようなことが書いてありますが、今まで文部省で受けられたそういう要望といいますか、陳情と申しますか、そういうふうなものについて、おわかりの範囲でいいですが、お答え願いたいと思うのであります。
#21
○政府委員(小林行雄君) これは、実はもうすでに相当前から要望が各界から出ておるのでございますが、ことに産業界から非常に強い要望が参っております。たとえば経営者団体連盟あるいは商工会議所、それから言論界等からも相当これに賛成をして、なるべく早くこういう制度を作れということが出ておるわけでございます。なお、府県の県会等からそういった設置の要望というものも参っておりますし、また、これも御承知かと思いますが、昨年、科学技術会議で、この科学技術振興の総合的基本方策というものについて諮問をされまして、それに対する答申があったわけでございますが、この答申でもこういった制度を早急に作るようにということを強く要望されておる次第でございます。
#22
○安部清美君 先ほど来申しますように、今までの学制の中に新しいこういう考え方の一つのコースができるということでありますから、これには相当大きな国民的なバックが私は必要だと思うのです。そういう点から、今言われたような要望、あるいは陳情の形のもので私どもの手元にも数通来ているのがありますけれども、なお資料としてお出しになれるものがあればお出し願って、私どももどういう階層の要望が強いのかというようなことについて検討してみたいと考えますので、資料要求をしておきます。
 次にお伺いしたいのは、この高専法案につきましては、いろいろ意見が出ておりますが、その中にいわゆる六・三・三・四の学制をこれを乱すのだ、単線型のいわゆる学制がこれでこわれるということに対する反対意見が相当強いと私は考える。まあ私が申し上げるまでもございませんが、六・三・三・四の学制はいわゆる新しい一つの教育制度としてずいぶん苦労をして今日まで築き上げてきたものであると思うのでありますが、そういう学制をこの制度によって乱すというようなその反対意見に対しまして、文部大臣はどういう考えを持っておられるのか、この法案をお出しになっておられますから、そういう点についてはずいぶん考慮があってお出しになっておると思うのでありますが、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
#23
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 六・三・三・四の制度が戦後とられて十数年経過いたしておりまして、国民的にも習熟しております。のみならず、効果を上げておることは私も同感でございます。従って、この六・三・三・四という制度そのものはむろん現状のままに尊重し継続していくことは当然でございます。しかし一面、教育の場を与える意味においての学校教育制度は単線でなければ絶対にいけないというものではないと私は心得ます。それはそういう制度のために忠実であるということも必要でありましょうが、それより前に、学校制度というものは、学校で学ぶところの青少年の側に立って、国民の側に立って考えられるべきものと思うのであります。その意味におきましては、人おのおの特性があり、能力にも相違があり、さらにはまた家庭的な経済的な条件、本人をめぐる環境等が千差万別であろうかと思いますが、そういう異なった条件のもとに取り巻かれておる学生生徒はすべてが六・三・三・四のコースをたどって四年制の大学を卒業できる者もありますが、大部分はそれができない者が現実に多い。それは本人の能力、特性にもよることでありましょうけれども、家庭的事情にもよると今申し上げましたが、従って六・三・三・四というコースをたどり得る者は、それで大いに驥足を伸ばしてけっこう、しかし、それ以前の、特に学校を出まして社会人となるに最も適した青少年が当然いるはずであり、その数は現実には非常に多いとするならば、社会的な国家的な要請にこたえると同時に、それに先んじて青少年の側に立って、教育を受けるもろもろの制度が多ければ多いほどよろしい、極端に申し上げれば、そういう考え方も同時に必要であろうと思うのであります。そういう意味において、高等学校プラス二年の五年を一貫しました工業教育を授けることによって本人の特性を生かし、社会的、国家的要請にもあわせてこたえ得るというのを目ざしたような次第でございまして、社会的な要請が各方面からありますことも、先刻、政府委員からも申し上げたことでございますが、同時に諸外国の例等も聞いて見ますると、日本のように単線型のみでいっておる国はりょうりょうたるものである。多くはやはりいわゆる複線型でもって今申し上げたような青少年の側に立ってものを考える、しかも、その効果を上げるということをねらっておる国が多いと承知いたしております。そういうふうなことを考え合わせまして提案申し上げておるので、六・三・三・四そのものを否定する考え方は一つも持っておらないことを申し添えさせていただきます。
#24
○安部清美君 よくわかりましたが、六・三・三・四制の問題点を、今の大臣の御説明のように、そういう観点でお考えになって今回の法律案をお出しになったというその点はわかるのですが、同時に、今御説明の中にもありましたけれども、私どもは、やはりこの際においてそういうふうな複線の一つの教育制度を考えるという場合に、諸外国の教育の実態というものをよく知っておく必要があると思うのであります。ことに科学技術関係の最も進んだと思われるソ連の教育体制だとか、あるいはアメリカの教育体制、アメリカは六・三・三・四制が一番よろしいとして、われわれに、占領当時こういう制度に大きな示唆を与えて制度ができておると思うのでありますが、その後のアメリカの教育制度がどういうふうになっておるか。あるいは同じく敗戦の経験を持っております西ドイツが、そういう意味における産業復興のために科学技術の教育については特に考えておると思うのでありますが、こういうところの学校制度というものが一体どうなっておるか、こういう点について御説明ができれば、ここでけっこうですが、それがなければ資料をお出し願えれば幸いだと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#25
○政府委員(小林行雄君) 文部省でも一応この点につきましては、高等専門学校制度を考えます場合に、諸外国の事例を研究いたしました。現在私どもの手元でわかっておりますのは、やはりただいまお尋ねのございましたような、各国でそれぞれこういった高等専門学校に類似するような教育機関を持っておるのでございます。イギリスでは、工業専門学校――テクニカル・カレッジといっておりますが、これが第十一学年からの就業年限三年ないし四年の学校制度を持っております。それから西独でございますが、これもやはりホッホ・シューレ――専門学校でございますが、これを持っておりまして、これは第十二学年からでございまして、就業年限はいろいろございます。二年のもの、三年、四年、五年のもの、いろいろ型があるようでございます。それからフランスではグランド・エコール――高等専門学校がございます。これはやはり十二学年からでございまして、就業年限は五年ないし六年、それからただいまお話にもございましたように、ソビエト連邦でも中等の専門学校を持っております。これは第九学年からでございまして、就業年限は四年ないし五年というふうになっております。なお、中華民国あるいは中華人民共和国等でも、それぞれ専科学校あるいは中等専門学校といったようなものを持っているのでございます。なお、こまかい詳細につきましては、できるだけ資料をお配り申し上げたいと思います。
#26
○安部清美君 要点はわかりましたが、先ほど来申しますように、非常に重要な法案でありますし、社会的にもいろいろ批判のある法案でありますので、私の意見を加えることはやめまして、その批判として取り上げられておる問題点だと思われるのを二、三拾ってみたいと思うのでありますが、中学校を卒業して、そうして高専に入学をして五カ年間同一学校で教育を受ける。だから入学するときにはまだ未熟であって、入ってみて、それから先五年間ずっとくくられた教育をするんじゃないか。そういうふうな五年間の教育、いわゆる中学卒業後五年間の教育を受けることについては、そうした一つの欠陥があるんじゃないかというような意見があると思うのでありますが、これについては、大臣どういうふうなお考えですか。
#27
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 確かにそういう批判は一応あり得ると思います。ただ、それに対しましては、中学においての、中学の先生方が何と申しますか、本人の特殊性等を十分考えて、本人に向くような方向づけを指導していただく、また、家庭的にも当然関心を持って、学校と一緒になりながら、本人の幸福のために十分考えてもらうという必要も起ころうと思いますが、私はそういう考慮が払われまする限りにおいては、そう過酷な年令ではないのじゃなかろうかと思うわけであります。高等学校産業教育――工業高校ないしは農業高校等の産業教育方面の高等学校に入りますときも、程度の差こそあれ、児童、生徒の一生涯を方向づける意味合いにおいては、類似の事柄かと思いますが、年令的には私は同断である意味において、また現にそういう角度から指導が行なわれておると私は承知いたしておるわけでございます。なお、外国の例等を聞いてみましても、今披露しました中にもあったと思いますが、もっと若い年令で専門教育を目ざす学校へ入れるような制度をとっておる国もたくさんあるように承知いたしております。日本人と外国人と同列には論じ得ないことがあるといたしましても、大よその参考にはなるであろう。従って、結論的に申し上げれば、御指摘のような考慮は一応さるべきでありますが、弊害というものは除き得るのじゃなかろうか、かように考えております。
#28
○安部清美君 わかりましたが、そういうことに関して、衆議院段階でありましたか、大臣の説明の中に、高専に入学して途中でさらに大学に入りたいというような希望を持った者は、大学に入れるように措置するというようなことの説明があっておったようでありますが、はたしてそういうことが可能かどうかということについてはどういうふうにお考えですか。
#29
○国務大臣(荒木萬壽夫君) たとえば、この高等専門学校に入りまして三年経過したときに、一般の大学に入りたいという考えを持ったといたしますれば、その道は現行制度においても当然疎通しておると承知いたしております。さらにまた、この高等専門学校を卒業しました後に、一般の六・三・三・四の四年制の大学に入りたいという考えになる人もあり得ると思いますが、これを絶対に閉ざすことは適切でございませんので、そういう実際問題としては例外的ではございましょうけれども、そういう立場に立った学生に対して四年制の大学に入れる道を講ずることになっておるわけであります。
#30
○安部清美君 その問題はそれで、ちょっと意見がありますけれども、おきまして、さらにいろいろ問題点としてあげられておるものの中に、高専の教育内容が、技術者を養成するということのために非常に片寄った教育内容であるというために、いわゆる中級技術者としてそういうふうな教育を受けて出た者が、結局、インスタントといいますか、にわか作りの技術屋であって、やがては結局役に立たない技術屋になることにもなりはしないかというような批判があるようでありますが、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
#31
○政府委員(小林行雄君) 高等専門学校は中学卒業後五年間、一貫した専門教育を主にした教育を行なう教育機関でございますが、しかし、一般教育につきましても、もちろんこれは人格形成の基礎として必要なものでございますので、相当程度取り入れることにいたします。なお、専門教育の基礎になりますところの基礎専門科目、ことに、たとえば数学とか、あるいは語学等につきましても、相当程度、従来の高等学校あるいは短期大学等と比較いたしましても、それ以上に、この能力を養うような教育を行なうということを考えておるわけでございまして、ただ単に専門技術的な教育だけを、この高等専門学校でやるということは考えておりません。従って、もちろん末梢的な技術教育だけをやるということだけでなしに、将来産業界に出ましても、相当役立つ技術者が養成できるものと信じております。
#32
○安部清美君 なおそれに付随して、人間形成の問題がいつも取り上げられて批判されておるのでありますが、この前新聞で発表になりました教科内容、時間数、その他時間の取り方等のあれを見てみますと、私どもにも多少そういう心配がなお残っておるのであります。これについては、私はおのおのいろいろ具体的にお進めになる事項もあると思うのでありますが、十分一つ検討しておやりいただきたいという希望を述べておきたいと思うのであります。
 次に、短期大学に付属高等学校を付設して、五年間一貫した教育をやろうという考え方、この前私ども審議いたしましたのにあったと思うのでありますが、それと、今の新しい法律によって定められる高専との違いのおもなる点を一つあげていただきたいと思うのであります。
#33
○政府委員(小林行雄君) 短期大学に付属の高等学校を付設することは現行法でもできるわけでございまして、すでに私立の短期大学等にはそういうものもございます。また、国立の短期大学にも、そういった制度を本年度から付設したわけでございますが、しかし、この短期大学に付設して高等学校をつけまして、三年プラス二年の、合わせて五年間の教育をするにいたしましても、下の三カ年は高等学校でございますし、上の二カ年は短期大学でございまして、それぞれ基準に従って教育を行なうということになっておるわけでございます。できるだけ専門的な教育を行なう工夫をすることはできますが、それぞれやはり一定のワクがあるわけでございます。この高等専門学校は、短大と付設された高等学校の五カ年間の教育と違いまして、五カ年間を一貫した教育を実施するということでございますので、専門教育及び基礎専門教育、そういうものに力を置いて充実した教育ができる。もちろんこれは新しい教育課程を組むわけでございますが、その教育課程の組み方によれば、従来の短期大学並びにこれに付置された高等学校、付属高等学校合わせて五カ年間の教育に比べれば、内容の充実したものができるというふうに私どもは考えている次第でございます。
#34
○安部清美君 前回のあの久留米の大学に付設しました付属高等学校、これはこの高専の制度ができますと、一体どうなるのでございますか。なお、国立の工業短期大学というのは、まだ四校、別にあると思いますが、そういうのはどうなるのですか。
#35
○政府委員(小林行雄君) 先ほど大臣のお答えの中にもございましたが、この高等専門学校が制度として発足いたしましても、短期大学の制度は、これは従来通り残るわけでございますので、短期大学制度を直ちにこの高等専門学校に切りかえなければならぬということにはならぬわけでございます。国立に、御承知のように、久留米に工業短期大学がございまして、本年度から付属の高等学校を付設したわけでございまが、これの処置につきましては、将来この工業短期大学の実際の実施の状況等ともにらみ合わせまして、この措置については将来検討すべき問題で、直ちに今ここで切りかえるというようなことは前提といたしておりません。将来の問題として検討したいと思っております。
#36
○矢嶋三義君 ちょっと関連。日によって答弁がかわるのでは困るのですがね。大臣、どちらかはっきりして下さい。でないと、法案の審議ができません。御記憶あられると思うのですがね。高等学校設置法の一部改正法律案を審議する際に、その審議は深夜に及んだわけです。その当時のことを御記憶あられると思うのですがね。明快に一つ御答弁して下さい。その御答弁次第によって、こちらはこの法律案を審議いたしますからね。今の小林局長の御答弁は、奥歯にものが挾まったような答弁の仕方をしていると思う。切りかえなければならぬということはない、そんな答弁ありますか。一国の教育制度を改変する場合ですね、高等専門学校に切りかえなければならぬということはない、そういう表現の仕方、ございますでしょうかね。
 文部大臣に伺いますがね、今度、付属高等学校ができましたね、短期大学とで三と二で、ともかく五年の教育機関ができているわけです。名前は違いますがね。これは将来高等専門学校にするのですか、しないのですか、どちらですか。先ほどの御答弁から見ますと、高等学校三年に短期大学二年の、あまり役に立たぬから、役に立つような、今度は一貫した五年制の高等専門学校を作るのだと、こういう御答弁ですよ。なぜ役に立たぬような短期大学のものとに付属高等学校を置くというような、そういう法律案を国会に審議を求めたのです。かるがゆえに、審議の重点はそこにいったわけですね。その当時のことは、あなた、記憶にあるはずですよ。あのときの御答弁が間違ったならば間違っているで、ともかくあなたのほんとうに考えていることを答弁して下さい。わからないと審議できない。あの付属高等学校を付設した短期大学、これは将来工業高等専門学校にする考えなのか、それとも、これは全く別個の異質のものであるのか、お答えいただきたいと思います。
#37
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 短期大学は高等学校を付置するという建前の考え方と、五年間を一貫した、今御審議願っております高等専門学校とは別個のものと心得ております。
#38
○矢嶋三義君 もう一回。そうだとすれば、たとえば久留米に付属高等学校ができた。これはこの前の御答弁のように、工業高等専門学校にはしない、かように了承していてよろしいのですか。
#39
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、当然そういうことにするとは考えておりません。
#40
○矢嶋三義君 安部委員の質問中ですから、私、この一問で終わりますがね。あなた方何を考えているのかわからない。これは他の委員の質問中ですから、多く言いませんがね。私はこの法律案審議できぬと思う、こういうことでは、同じ国会に、同じところに、三と二のくっついた、類似の教育機関を国会に審議を求めておって、これは異質のものだ、別のものだ、この前の委員会でも一明言したわけです。この短期大学に三年の付属高等学校を置いたものと、工業専門学校とは別個のものだ、異質のものだという言葉を使った、高等専門学校にはならないのだ、僕はわからないのです。これはよしあしは別ですよ。そんな一体一国の教育制度の改変、文教政策というものがあり得るものでしょうか、大臣。よしあしは別としてどうしてもわからない、あなた方のそのお考えは。従って、僕はどうしても総理大臣に来ていただかなければ、この法律案は審議できぬという立場を堅持しているわけですが、それだけのことをはっきり申し上げておきます。
#41
○安部清美君 さらに続けて一、二点お伺いしたいと思いますが、この高等専門学校の設置認可は、新しい高等専門学校審議会というようなもので、それがきめられるようになっているということでございますが、これは大学審議会でやれないのかどうか、新しいそういう審議会でやる必要がどこにあるのか、その辺お伺いしたい。
#42
○政府委員(小林行雄君) 大学、ことに私立大学の設置認可につきましては、御承知のように大学設置審議会、と私立大学審議会、二本立でございまして、大学設置審議会の方は、たとえば教員組織あるいは施設、設備、そういった関係の整備状況を審査することになっておりまして、私立大学審議会の方は、主として資産内容等から学校法人の学校経営能力というものを見るということになっているわけでございますが、実際問題といたしまして、かなり両者がオーバー・ラップしてくるところがあるわけでございます。この高等専門学校につきましても、もちろんこの二つの面はあるわけでございまして、この二つを分けるということも考えられないわけではございませんけれども、先ほど申しましたように、両面がかなり重複してくる面がございますのと、それから大学とは全然違った教育内容を行なう高等専門学校でございまして、設置認可の基準等も大学等とはかなり違った面が出てくることも考えられますので、高等専門学校につきましては、私立の高等専門学校につきましても、私立大学の審議会とは別個のものにする、そうして両面を合わせたもので一つにしたもので、あわせて審議するということが、事務の簡素化にもなろうと考えまして、一つの高等専門学校審議会というもので審議をしてもらうように考えている次第でございます。
#43
○安部清美君 これは法案が通りますと、私立関係でもやはり相当希望があって、こうした高専というようなのができてくるのじゃないかと思うのですが、その場合におけるその設置認可の中心になります今の審議会の問題は、私は相当やはり問題点が残りはしないかということを心配している一人でありますが、今のお話で大体考えられている制度はわかりますが、この点についてはなお考慮を要する点がありはしないかと思っているわけであります。私の意見を加えて要望しておいた次第でございます。大へん小さな問題と思われるような、具体的な批判を受けておるような点や、あるいは疑問に思われている点を二、三続けて質問いたしましたのでございますが、最後に、夜間の工業短期大学、これは相当あると思うのでありますが、これについてはどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしておきたいと思います。
#44
○政府委員(小林行雄君) 現在すでに夜間の工業短期大学は相当ございます。これは御承知でございましょうが、主として勤労青年に教育の機会を与えるという趣旨から設けられておるわけでございまして、夜間の工業短期大学は昼間のものとある程度設立の意味が違った面が考えられるわけでございますので、これにつきましては、やはり従来通り夜間の工業短大として、経営と申しますか、実施をしていくということを考えております。なお、この高等専門学校に夜間の学校を設けるかどうかということにつきましては、この高等専門学校が昼間でも五年制でございますので、夜間にいたしますれば六年以上の、相当長い期間のものにならざるを得ないことになるわけでございます。そういうことになりますと、勤労青年の教育の機会を与えるということの趣旨が行なわれるかどうかということに疑問もございますので、現在の段階としては、夜間の高等専門学校というものは現在の段階としては考えておりません。
#45
○矢嶋三義君 資料を要求しておきます。文部大臣に質問するわけではないのですが、さっきの問題に関連して、資料として文書で本委員会に提出していただきたいと思います。その資料を私たちは十分研究し、識者の意見も聞いて、他日、審議する際の重要な資料にいたしたい、かように思いますのでお願いしたいと思います。それは、安部委員はずっと質問を続けられましたが、私、関連して質問した点でありますが、先般の委員会と本日の委員会で大臣は明確に答弁されているわけですね。付属高等学校と短期大学、これは学科目も同じ、定員も同じで、同じところに、同じ建物で教育を受けている、その教育機関と五年制の高等専門学校は全く別個のもので、異質である、これは北畠委員から指摘されて認められた。異質のものである、従って、付属高等学校を付設している短期大学は高等専門学校にかわるということは考えていない、そういうことはないのだ、こういうように断定的な答弁をされているわけです。それで私は文書をもって資料として提出していただきたいことは、この国会で、あなた方は二年の短期大学を新設する法律案を国会に提出してきた、二年制の短期大学を新たに新設するものを国会に審議を求めてきた、それで三年の付属高等学校を設置する、これも審議を求めてきた。その同じ国会に、高等学校相当の三年と、短期大学相当の二年とを一緒にした五年制の高等専門学校という教育機関を設けるという法律案の審議を求めてきた。その間に矛盾を感じないかどうか、感じないとするならば、そこがいかように違うのか、どういう見解に立って、さっき申されたような答弁が出てくるのか、どうしても私わからない。それで比較をいたしまして、しさいに明確に書面をもって資料として本委員会に出していただきたいことを御要請申し上げます。よろしゅうございますか。
#46
○政府委員(小林行雄君) できるだけ調製いたしましてお届けいたします。
#47
○矢嶋三義君 念のため局長に申し上げておきますが、この前の委員会では、あなた方の答弁状況で審議は深夜に及んだのです。あなたは十分記憶あるはずです。きょうの先刻のあなたの答弁には若干当時とニュアンスの違うものが出ているでしょう、場合によったら、あなたの公務員としての不信任意思表示をこちらがするようなことがあるかもしれませんから、前の速記録も十分調査されて、誤りなら誤りだ、そういう点を明確にして資料を出されるように、内容の違うものを書いておって、表現が違うだけだ、そういうようなことは許さないですから、少なくとも教育制度の問題ですからね、明確に文書で表示されるように特に御要望申し上げておきます。
#48
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度といたします。
   ――――――――――
#49
○委員長(平林剛君) 次に、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#50
○野本品吉君 簡単に若干の項目につきまして提案者に質問申し上げます。
 最初にお伺いしたいのは、定時制教育一般の事柄になろうと思います。私は実は定時制教育制度を確立しますときに、その仕事に参画した者といたしまして、自分の生み落とした子供を育てるような気持で、定時制の問題につきましては、自来十年以上の長い間興味と関心を持っておるわけなんです。そこでまずお伺いしたいのは、定時制教育というものは最近非常に声が大きくなり、また大きな世論ともなっております。いわゆる産学協同とか、あるいは働くことと学ぶことが一体であるといったような声が大きくなっておりますが、そこでお伺いしたいのは、最近の定時制教育の一般的な傾向の現われといたしまして、いわゆる昼間の定時制というものが相当実施されておる、この昼間の定時制の学校というものの存在、その教育の実施を、働きつつ学ぶ青年の教育機関としてどう考えられるか、この点についてお伺いしたい。
#51
○矢嶋三義君 ごもっともなお尋ねで、野本委員十分御承知のことと思いますが、ただいまの御質問の点は、昼間の定時制、この教育の振興と、働く者の教育の機会均等という立場からの関連という意味でお尋ねいただいたと思うのでありますが、ちょうど私きょうは数字的なものをここに持って参りませんでしたが、私のつかんでいるところでは、大都市の夜間部の定時制課程の教育は進展しつつあると思うのですが、昼間の定時制は、地方で財政力の弱い県ほど減退しつつあるように私は把握しているわけです。農村とか、山村、漁村等は、失礼ながら比較的に経済不如意である、従って、農閑期、そういう時期を利用して教育をする昼間の定時制というものは、私はほんとうに勤労青年の教育のために必要だと思うのですが、高等学校の急増対策その他で自治体が予算的に追われる関係ですか、昼間の定時制が少なくなりつつあるというように私は判断しておって、それを非常に遺憾に思っておりますので、先般も他の法律案の審議と関連して、文部省が最近つかんだ最も新しい資料を本委員会に提出していただくよう御要望申し上げた次第でありまして、昼間の定時制、夜間の定時制ともに勤労青年の教育機関として、野本委員の指摘されるように十分進展するように努力しなければならぬと思います。なお、せっかくの質問ですから、文部省の現在つかんでいる昼間の定時制の現況について答弁していただいたら幸いだと思うのですが。
#52
○野本品吉君 あとで答弁していただきます。
 私は定時制の現状として、定時制本来の教育から見て非常に遺憾に思っている点のまず一つは、高等学校の入学試験から落ちた者の収容所になりつつある、これがいわゆる昼間の定時制という形の学校に入る、これは定時制教育が邪道に落ちているんだ、いわゆる勤労青年の教育の機関としての定時制教育というものが邪道に落ちていないかという疑問を絶えず持っておるのです。そういうことが一つ。もう一つは、昼間の定時制教育というものが、一般の高等学校の全日制の教育と同じような形をとるために、定時制は四年、一般は三年ということになっておりますが、実際においては昼間の教育によって三年間で四年間の教育をしてしまう、そのために定時制というものがこれまた非常にゆがめられつつある。これは定時制教育の運営の問題で、四年は四年かけて、働くということと学ぶということを、一体観の上において人間の形成をしようというところに定時制の味があるわけでありますから、従って、定時制教育においては四年間かけて毎日々々昼間やるのでなしに、生徒の勤労生活そのものから考えて、あるいは農閑期等においてこれをやるというふうに、やはり定時制教育では定時制教育のあり方というものが考えられるので、それがくずれて全日制の一高等学校の教育のまねをし、そして四年間でやることを三年でやってしまったんだから、三年たったら高等学校の卒業証書をもらいたい、ほしい、これが定時制が邪道に落ちているということを考える。そういう点についての御所見を承りたい。
#53
○矢嶋三義君 ただいまの野本委員の御質問はそのものずばりだと思います。私は大都市における定時制課程の高等学校について野本委員と全く同じな見方をしております。むしろ、いなかと申しますか、地方の方に定時制高等学校らしい優秀な定時制高等学校があることを知っております。発足当時は全日制の高等学校に付設をして、全日制部、定時制部というような格好で一つの学校にしてやっているところがありましたが、最近は独立の定時制高等学校が設けられて、非常にうまく運営、教育されているのを知っておりますが、大都市のこの定時制高等学校は、野本委員御指摘の通りに定時制であるのに、全日制と同じような形態をとったり、それから全日制高等学校に入学のできなかった、そういう人々を収容する機関化しつつあるということは、まさしく野本先生の指摘の通り邪道に陥りつつあるので、これらについては文部省においても適切なる助言、指導、是正措置をとらるべきものと思いますが、これに対する文部省の見解をここで答弁させます。
 それから先ほど私申し上げました、農山漁村でほんとうにひまなときを利用して教育をする定時制高等学校というのは、ほんとうに必要だと思うのですが、ところがなかなか大きい学校、独立校を作るわけにいかぬですから、中心校があって分校制度をとって参ったわけですね。これは非常に私はうまく行なわれていると思うのです。モデル的なものもあるわけです。ところが、最近は地方自治体の財政面と関係があるんですか、あるいは先ほど申し上げましたように、職業専門教育を行なっている、たとえば農業高等学校の質的再編成というような問題もあって、そういう方面に県費支出を要する関係もあり、ほんとうに必要な昼間の定時制高等学校の分校を廃止しつつある傾向が全国的に相当あるように発議者は把握しております。これもはなはだ遺憾なことと思いますが、この点について野本委員は質疑されているようですから、この際、文部省の把握している現状並びに見解を、発議者の意見と比較する意味において答弁させたいと思います。
#54
○説明員(木田宏君) まず最初に、先ほど矢嶋委員から御指摘ございました昼夜間の定時制の生徒数でございますが、三十四年度の数でお答えを申し上げますと、定時制の生徒数は総数で五十四万二千でございます。そのうち昼間の定時制が十四万六千、夜間は三十八万五千、昼夜併置の状態で、兼ねた形になっておりますのが一万でございます。
 次に、ただいま御指摘のございました大都市における定時制のあり方並びに農村地帯におきます定時制分校の問題等についての基本的な方向でございますが、これは御指摘のありました、御発言の中にも指摘されましたように、勤労青少年教育のあり方を前提として、どのように考えるかということが、私ども当面しておる大問題でございます。特に今後、後期中等教育の普及という観点から高等学校教育に対する進学者の増ということが予測されますし、その問題の中に工業学校の問題も、また農村におきます農業高等学校の課程の再編成の問題もあるわけでございます。また、その反面といたしまして、正規の高等学校に進学できない者に対する教育のことが大きな問題としてあるわけでございまして、それらの全体の総合的な考え方のもとに、勤労青少年といわれるべき人たちに対して、どのように定時制の高等学校教育を普及し、あるいは定時制の高等学校教育の恩典に浴し得ない青少年に対して、職業訓練なり、あるいは社会教育におきまする適切な教育方法を与えるかということは、私どもはこれは緊急に基本的な方策を考えなければならない大問題と考えているわけでございまして、御指摘のございました特別の問題についてどのようにするかという点につきましては、間もなく担当の課長がくると思いますので、そちらの方から御聴取をいただければ幸いであると思います。
#55
○野本品吉君 それからこの法案が、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正するとあって、この改正によって高等学校の定時制教育と通信教育を振興しようという御意向であることは、これは明瞭であります。私はこの定時制教育、通信教育振興の問題は、この法案に示されておりますような項目もその一項目であるかと思いますが、一番根本的な問題として、この法案に示されていない問題を指摘してみたいと思います。それは文部省にも関係のあることですから、大臣からも御意見承りたい。
 定時制高校生というものは、働きながら非常に苦労しながら勉強するのでありますが、これらの人たちの向学心は一体何がそそっているかということなんです。定時制の生徒の向学心というものは、高等学校を卒業したことによって、自分の生活の前途に非常に広い世界が開かれる、それから高等学校を卒業したことによって職場における自分の地位なり待遇なりというものも向上していく、ここにやはり勤労青年の定時制教育への魅力と期待があると思う。ところが、小さな会社等はまあ別でありますけれども、日本の大きな会社、大きな企業等が、ややもいたしますというと、高等学校の卒業生を募集しますときに、定時制高等学校卒業者を除く、こういう制限をしているのです、制約をつける。このことほど勤労青年の向学心というものを萎縮させる、失望させるものはないと思う。私は定時制教育振興の根本の問題は、やはり定時制を出た生徒というものと、全日制を出た生徒とどこまでも同様に尊重され、同じ力を持つものとして、同じ価値を持つものとして評価され、これを全国的な一つのものの考え方に盛り上げることが、こまかな技術的な面の改正よりも、改善よりも最も根本的なものである、こういうふうに私は考えます。この点について提案者は、定時制教育振興の根本問題として、今秋の申し上げましたことを認識されておったかどうか、考えられておったかどうか。それからその問題について文部省としては、将来、高等学校の卒業生を募集する工場あるいは事業場に対して、試験の結果、力の違いで落ちるのはやむを得ません、少なくも全日制の高校卒業者と同じ試験を受ける機会を失うとか、それをはばむというようなことは非常によくないことだということで、卒業生を必要とする工場、事業場、会社その他の職場に向かって全面的なPRあるいは行政指導、そういうことをなさるのが当然だと思うのですが、それについて大臣の御意見を承りたい。提案者と両方から御答弁を願いたいと思います。
#56
○矢嶋三義君 野本委員の御指摘の点はごもっともだと思います。で、私どもこの定時制教育の振興のためにとるべき問題は幾つかあるということを考えました。しかし、非常に予算も多額に伴うことになるし、他会派の方々の同調を得るためにも、他の点は質疑等を通じて将来の内閣提出法律案に期待いたしたいし、また、現行法のワク内でやれることは、文部省の適切なる予算的、行政的措置によってその目的を達したいという立場から、幾つかの振興をはかるべき方途の中の一つとして、この定通手当をこれだけを取り上げて御審議を願ったわけです。で、その理由を簡単に申し上げますが、全日制の高等学校もそうでございますけれども、特に定時制の高等学校は優秀なる教職員を確保することに非常に困難をいたしております。そこで政府の方でも配慮されまして、御承知のごとく、定通手当というものが出されるようになって、若干定通教育に携わる教員に希望を持たせることができたわけです。しかし、そこに勤めている事務職員にこの定通手当が出ないわけでございます。で、昼間における定時制高等学校の事務職員、これにこの定通手当を出すべきかどうかという点については苦慮いたしました。ということは、教育公務員でない一般行政職であり、他の一般行政職とのつり合い上苦慮いたしまして、この法律案には盛り込みませんでした。ただ、夜間の定時制高等学校に特殊な夜間勤務という形で教員と一緒に働いておって、そして事務職員だけに定通手当が出ないということは、定時制高等学校の校長あるいは主事としても非常に学校における人事管理上工合が悪いという声をよく聞きますので、せめて夜間の定時制高等学校の事務職員だけでも、とりあえず教員と同じように定通手当を支給できるようにいたそう、この点にしぼりまして立法いたした次第でございます。野本委員御指摘の点については、私どもとしては、御承知のごとく、政府におかれても定時制教育の振興に関心を持たれて、たとえばミルク給食が行なわれるように法律で予算的措置がとられたというようなことも非常にまあけっこうなことと思いますが、先ほど指摘されました、就職する場合に特別扱いされているという点はまことに遺憾なことだと思います。これは野本委員御承知の通りに、本院においても何回か委員の皆さんから質疑がなされ、時の文部大臣並びに政府委員に対して、業界の使用者に対して適当なる啓蒙宣伝をして、高等学校の定時制終了者、それから大学の第二部、すなわち夜間部卒業者を差別扱いしないように指導してほしいということを要望いたし、いずれ答弁ございますでしょうが、行政府においても何らかの措置がとられたようでありますが、不徹底に終わっておる点は非常に遺憾に思います。私はこの定時制高等学校の実情を視察したこともございますし、また、卒業生についても若干知っておりますが、とにかく一年中通して夜間の定時制高等学校に毎日通うということだけでも、それはりっぱだと思うのです。四年間、たとえば夜間の定時制高等学校に昼働きながら毎日通う、それを成し遂げたというその体力とその精神力、忍耐力というものは、私は昼間の全日制高等学校を卒業した生徒諸君にまさるとも劣らないものがあるのじゃないかと、かように評価してしかるべきじゃないかという見解を持っております。
 それからもう一点は、よくこの委員会でも指摘されたのですが、やはり使用者が理解を持って、そして、ことに昼間の定時制に通っている生徒諸君には通学に便宜を与えるというこの理解が、使用者にもう一段期待しなけりゃならぬと思っております。一方、定時制高等学校の教育内容の面においても魅力のあるものにしなければならぬと思っております。これは生徒側にとっても魅力があるように、使用者側にとっても魅力があるものにしなければいかぬ。そうすると、使用者としては一時間ぐらい早くひまを出して、そうして夜間の定時制に通わせて、その教育内容に魅力があれば、直ちにその使用者の企業生産にはね返ってくるわけでありますから、そういう形態にして初めてこの定時制教育の成果は上げ得ると思うのですが、そういう点、発議者の私としては非常に不十分であると、そういう点において野本委員と全く同感でありますが、行政府はどういう把握をされ、今後いかように善処されるお考えであるかということを、野本委員のせっかくの御質問でございますので、政府委員をして答弁させます。
#57
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 野本さんの御指摘の点は私も同感でありますと同時に、提案者の矢嶋さんから答弁されましたことも、私が申したいことを全部言っていただいたような気がいたします。私は定時制の卒業生に直接接したことがないので自信を持っては言えませんが、ややこれに類似したことと私自身考えておりますのは、通信教育の卒業生の姿だと思いますが、先般、通信教育を受けた人の優秀な人が表彰されました場に出かけまして、表彰された人とそうでない人もまじえて千名以上おったと思いますが、その態度、物腰、目つきの張り切った姿は、何だかしらんたくましい向学心及び矢嶋さんが言われました忍耐心、克己心と申し上げますか、そのたくましさを私は直接感ずるような気持でございました。定時制に通う勤労青年もまさしくそれにまさるとも劣らない心がまえであり、人柄の人が多いのじゃないかと推察するわけであります。従って、すでにお話が出ました通り、定時制の卒業生も実力があるのだというふうな成果を上げさせるように、何をなすべきかを私どもも考えねばならぬと思います。と同時に、御指摘のように、雇い主側に対するPR、さらには定時制の学校長に対する適切な指導によって、それを通じてのPRというものが切実に感じられるわけでございます。これは政府委員なり説明員にメモしておいてもらって、具体的にPRなり指導のことをやってもらおうと思うわけであります。
#58
○野本品吉君 大臣から今御答弁がありまして、大臣のお考えになっておることはよくわかりました。これも念のために私申し上げておきますが、文部省にお願いするわけですが、私は実は昼間の高等学校の卒業式には欠けても、私の近くの定時制の高等学校の卒業式には大がい行っておるのです。そこで共通な事実が定時制の高等学校の卒業生の答辞の中にあるのです。ぜひ文部省は、各府県の教育委員会を通じて、定時制高校の答辞集というようなものをお作りになってごらんになるということ、この問題が深刻切実に御理解いただけると思うのであります。そう骨の折れることではありませんから、かようなことを一つお手配願って実施していただければ、定時制教育の振興の上からいって非常に世論を動かすよい資料が集まると思いますので、私の気づいておりますことを申し上げて御参考に供するわけです。
 そこで、この法案の問題について、時間がなくなりましたから、項目的に一つお伺いいたします。夜間の定時制課程の事務職員、雇用人にまで七%の定時制通信教育手当を支給するというのが、この法案の大体のねらいのように考えます。そこで、この手当を支給する対象になる人員を、大体どのくらいあるというふうにお考えになりますか。それから七%の手当というものが、合計どのくらいになるか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#59
○矢嶋三義君 三十五年四月三十日現在の調査でありますが、事務職員が夜間で八百八十七人、昼間が二百九十二人、それから通信関係で百五十一人、合計千三百三十人と一応把握いたしております。そこで、事務職員の給与単価を推定二万三千五百円といたしまして、御承知のごとく、国庫補助は三分の一と相なっておりますので、全員支給の場合に約八百七十万円、夜間のみ支給の場合に約六百万円、かように算出をいたしておりまして、本法律案は、先刻申し上げましたように、夜間に勤務される勤務職員を対象にいたしておりますので、本法律案成立によって国庫の負担は約六百万円増額される、かように把握をいたしておる次第でございます。
#60
○野本品吉君 そこで、前の法律で、昼間の定時制課程、それから全日制課程の職員との問題が考えられてくるのであります。夜間の者だけにこれを支給することが、昼間の人たちとのバランスにおいて、はたして均衡がとれるかどうかということ、これはどういうふうにお考えですか。
#61
○矢嶋三義君 その質問、まさにずばりでありまして、最も立法化する場合に苦慮いたした点であり、また検討した点でございます。御承知のごとく、事務職員は教育公務員でなくて、一般行政職と同じ扱い方になっているわけです。そこで、一般行政官庁に昼間に勤めている事務職員と、定時制教育をなす教育の場に勤めている事務職員とのバランスという立場から、支給するのはいかがかという政府当局の見解もありまして、昼間の事務職員に支給する点は落としました。しからば昼間に勤務する事務職員と夜間の定時制課程に勤める事務職員とのアンバランスが生じないかと、このお尋ねでございますが、そういう質問がされるだろうということは、十分予期いたしておりました。ただ、あえて私ども夜間の定時制課程の事務職員に定通手当を支給するということにしたわけは、勤務時間が――提案理由にも書いておきましたが、十時半に及びまして、家族と夕食をともにするようなことはめったにできない特殊勤務状況にあります。しかし、夜勤手当というようなものはもちろん出ません。それだけに、夕刻学校に参りまして、そうして深更下校してお帰りになるわけですが、その際に、直接教科を担当していらっしゃる先生方だけが七%いただいて、事務職員にはその支給がないということは、教師と事務職員の人間関係上も好ましくないという、やや純理論から言うと指摘される点があろうかと、こちらも懸念いたしつつも、教育現場の実態上から、より教育を振興させるために、予算総額もわずかであるから、何とか一つ夜間勤務の事務職員だけでも支給いたしたい、かように考えたわけです。それから、根本的な問題になりますが、わが日本社会党としては、この学校事務職員は、昼間勤務であろうと、夜間勤務であろうと、小中高等学校に勤めておる事務職員は、何らかの形で教育公務員特例法の適用される公務員といたしたい、こういう見解を持っているのであります。大学等になりますと、事務職員は純然たる事務公務員でありまして、学生諸君に教育上の影響はございませんけれども、小学校あるいは中学校のごときは、一校に一名程度の事務職員しか配置されておりません。これらの人は、常に生徒、児童と接触をして、その生徒、児童の人格形成に非常に大きな影響力を持っており、現実において、小中学校の生徒、児童は、事務職員を先生々々と呼んでおります。そういう実態から、現行法では、学校事務職員は教育公務員と認められないで、教育公務員特例法が適用されていないわけですが、学校事務職員は教育公務員とすべきである、こういう見解を持っているわけで、その見解と合わせて、事務職員も先生方と同じように定通手当を支給いたしたい。しかし、昼間の場合は、先ほど申し上げましたような一般行政府とのつり合い上、法制局等の意向もございましたので、夜間となれば勤務条件が特殊であるから、法制上問題はないであろうという参議院法制当局の見解に従って、かような立法をいたしたわけでございます。
#62
○野本品吉君 今の御答弁の中で、やはり筋としてはっきり私どもは考えてみたいと思うのは、教育公務員と一般の公務員とを混同させるところに相当の問題があろうと思うのです。教育公務員は、教育という仕事からくる当然の要請として教育公務員としての資格要件を必要とする。事務職員にはそういう点をあまり必要としない。それから、教育公務員と一般の公務員というものを同じように考えていくことについては、私どもとしては多少の批判的な意見を持ちます。それはそれといたしまして、もう一つは、言葉じりをつかまえるわけではありませんけれども、なるほど定時制の事務職員にしろ、教職員にしろ、夕食の家族との団らんの楽しみを持つことができないということは非常にこれはお気の毒なことです。しかし、それだけを理由にいたしますというと、昼間の先生よりも朝寝ができる、朝飯はゆっくり食べられる、昼飯も一緒に食べられるというようなことと相殺されるようなことになるので、夜間勤務の問題につきましては、同情はいたしますけれども、それだけを理由にすることはどうかといったような、これは皮肉な言い方のように思われるかもしれませんが、そこにも多少考えるところがある。と申しますのは、実は私の承知しております八百人という夜間の定時制の高等学校があるわけです。これは非常にうまくいっている。この学校に一つの特異の現象がある。それはどういうことかというと、昼間部から夜間部の定時制への配置転換といいますか、それは希望するが、夜間部から昼間部への配置転換は全然希望いたしませんので、そこで夜間部からいまだかつて昼間部に移動した者はない、これなんです。これは私は教育に対するものの考え方からくるので、そこの定時制の主事を初め、働く青年の特別な持ち味というものに対して、非常な深い理解というか、そういうものを持っているのですね。昼間部の生徒の教育よりも、働く青年の教育の方が実際おもしろい、やりがいがある、こういうところからきているわけなんです。そこで私は、夜間部の先生に対して同情はむろんいたしますけれども、もともと定時制の夜間部の教師になる人は、やはり勤労青年を真に愛する人でなくちゃならぬ、勤労青年とともに手をとって、泣いたり、喜んだり、悩んだり、働いたりする、そういう意欲を持った先生を集めることでなければ、これまた定時制の振興にはならないのです。いやいやながら昼間部から回されて仕方なしにやっておるというような先生には、絶対に勤労青年を完全に把握して、それを作っていくわけにはいかないので、従って私は、これはやはり、一つの文部省の教育行政の指導の面においても、勤労青年を相手にする定時制の教師というものは、どういう素質、どういう条件を備えておることを必要とするかという、青年にぴったりくるような先生を選ぶことが定時制教育振興の非常に大きな点で、それが証拠に、今言ったように、定時制の開始以来、昼間部から移動することを希望する者はあるけれども、夜間部から昼間部に移動することを希望する者は一人もないという現実のあることを私は知っておりますので、従って、これは教師論になって参りますけれども、そういう点についても、やはり定時制振興の根本問題として考えるべき事柄であると、こういうふうに私は考えているわけです。夜間の人たちの手当をよくするこ
 とにどうこうということではありませんが、問題は、特に勤労青年の教育を振興する上から言うと、先ほど申しました、どうしたら勤労青年のほんとうの向学心を満足させることができるか、向学心をそそることができるかという、青年の立場からものを考える。それから、定時制教育というものはどうしたらほんとうに振興されるかということを、教師論という立場から考えると、こういうところに定時制教育振興の根本の問題があるのではないかというのが私の考え方で、こういういろいろな法的措置をすることも一応はわかりますけれども、問題はそこにあるように私は考える。で、まあ大へん長いこと申しまして失礼いたしました。
 最後に、これは定時制教育の法案につきまして私が御質問申し上げたので、他の社会党の先生方の御提案になりました法案とも関連のあることでございますが、これは参議院規則の五十条には、「委員会が予算を伴う法律案を提出しようとするときは、委員長は、その決定の前に、内閣に対して、意見を述べる議会を与えなければならない。」ということがあります。それから、「議員の発議にかかる予算を伴う法律案で委員会に付託されたものについては、委員長は、その議案を表決に付するまでに、内閣に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。」このことは、発案の事前におきましては、あるいは必要ではないかもしれませんが、この案というものがだんだん審議が進められていく途上において当然予想されておることで、予想されておることとすれば、立案者としては、予想されたその問題について、内閣の意見というものを、正式には求めなくも、打診しておいてしかるべきだ、こう思うのですが、その手続はとられておりますか、どうか。
#63
○矢嶋三義君 まず後者の方ですが、野本委員御指摘の通り、本委員会で採決するまでの段階において、予算編成権を持っている行政府の見解を伺う機会を委員長がお与えいただけばけっこうでありまして、法律的には、発議者が行政府の意向を聞かなければならぬということはないと思うのです。ただ、法案の作成段階、あるいは審議段階をスムーズにするために、行政府当局の見解を聞くということは必要であります。私は、ハイ・レベルの方でなくて、末端で行政を担当している人に、実情等について若干参考意見を伺って、そうしてそれを私の判断資料の一つとして法律案提出作業を行なったわけであります。
 それから前者については、野本委員の意見に私は大体同じですが、給与の問題についてだけは、遺憾ながら質問者と意見を同じゅうすることはできません。これはせっかくの野本委員の質問でありますから、行政府当局はどういう見解を持っているかということを、ここで私は答弁させたいと思いますが……。
#64
○野本品吉君 私は文部省の答弁は要らない。
#65
○矢嶋三義君 ちょっとお待ち下さい。発議者の趣旨を申し上げます。これは給与改訂の点にだけしぼって提案したわけですがね。教職員の待遇全般もさることながら、超過勤務手当のない点、特にこの夜間勤務の教育公務員に対する処遇というものは、他の公務員、特に政府関係機関、それから会計検査院の検査対象になる、国庫と何らかの結合している企業体等の職員との給与のアンバラというものはひどいものだと思うのですよ。たとえば、名前をあげませんが、国庫から財政投融資なり、あるいは支出が出るから、そこの予算、決算について国会の承認を得なければならぬと、会計検査院の対象になるものも幾つかあります。そういうところは基本給のベースだけは、国会からいろいろ指摘されるから、あるいは大蔵省から指摘されるから、基本給のベースだけは国家公務員にちょっとアルファをつけた程度のものにしている。ところが、夜勤、夜間勤務ですね、それから超過勤務というもので、ものすごく給与が上がるようになっている。だから、たとえば辞令は本俸一万三千円程度の辞令をもらっておっても、ちょっと夕刻まで働けば、実質二万五、六千円から三万円程度の実質給与が得られるようになっているわけですね。ここが教育公務員として教育界に優秀な人を確保できない大きな原因になっている。こういう点について私は行政府は、まあ専門的には人事院のやるところなんでありますけれども、超過勤務手当、それから夜間勤務をする教育公務員の給与については格段の配慮をされる必要があられると思うのですが、そういう立場から事務職員に限定して定通手当を出してほしいという意味の立法をしたわけですが、こういう点については行政府はどういう把握をし、どういう見解を持っておられるのか、せっかくの野本委員の質問ですから、発議者としても、答弁していただきたいと思います。
#66
○説明員(安達健二君) この定通手当の法案が通りましたときの事情をちょっと御参考までに申し上げます。この定時制、通信教育手当を支給するための定時制教育振興法の改正がございました。そのときに、事務職員の問題について両院でいろいろ御議論がございました。そのときは、定通手当は定時制、通信教育の教育の職務の困難性に着目して手当を支給する、こういうことで、事務職員の方は別途その待遇改善の問題は考究すべきである、こういうことで、たしか衆議院の方でそういう旨の付帯決議て付せられたと思うわけであります。従いまして、まあそういう経過がございましたことを御報告いたしまして、政府部内の点は、これはまたよく検討しなければいけませんので、これだけで……。
#67
○野本品吉君 どうも大へんいろいろとお伺いいたしてきたわけですが、いずれにいたしましても、私の最も熱愛いたしております勤労青年のための御考慮をわずらわしておることに敬意を表しまして、私の質問を終わります。
#68
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度にいたします。
   ――――――――――
#69
○委員長(平林剛君) 次に、国公立大学の入学試験に関する件等当面の文教政策に関し調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。豊瀬禎一君。
#70
○豊瀬禎一君 まず質問に入ります前に、本日の委員会の進行について委員長にお諮り願いたいと思いますが、一つの方法は、私の質問は前国会から関連のある問題でもありますし、特に松田大臣当時、また荒木大臣になりましても、私どもが求めないにもかかわらず、内藤局長はみずから進んで答弁に立つという措置をとってきたことは、委員会各位の御存じの通りであります。私、本質問をなすにあたりまして、委員部と、あるいは文部省の人々に内藤局長の出席を要望いたしましたけれども、衆議院の都合で出席できないということです。このことについて私は、向こうは定例会議でもありますし、とやかく申しませんが、私の質問は主として大臣から答弁していただければ事足りる問題ではございますけれども、やはり内藤局長出席の方が都合がよろしいのではないかと思いますので、これが一つの理由と、委員長が当初申されました常識的な委員会運営の時刻にほぼ達しつつあるのではないかという判断をいたしますので、できれば委員会をこの程度で打ち切っていただいて、明日私の質問は三十分という約束を、大臣、答弁が逸脱しない範囲においてはかたく守りますので、明日にしていただきたいと思います。
#71
○委員長(平林剛君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#72
○委員長(平林剛君) 速記を起こして。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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