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1960/06/02 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第32号
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1960/06/02 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第32号

#1
第038回国会 文教委員会 第32号
昭和三十六年六月二日(金曜日)
   午後二時四十五分開会
   ――――――――――
  委員の異動
六月一日委員鍋島直紹君及び常岡一郎
君辞任につき、その補欠として下條康
麿君及び加賀山之雄君を議長において
指名した。
六月二日委員宮澤喜一君辞任につき、
その補欠として鍋島直紹君を議長にお
いて指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     平林  剛君
   理 事
           北畠 教真君
           近藤 鶴代君
           野本 品吉君
           豊瀬 禎一君
   委 員
           安部 清美君
           井川 伊平君
           下條 康麿君
           杉浦 武雄君
           鍋島 直紹君
           野上  進君
           千葉千代世君
           矢嶋 三義君
           米田  勲君
           加賀山之雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  政府委員
   文部政務次官  纐纈 彌三君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
   文部省大学学術
   局長      小林 行雄君
   文部省管理局長 福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部省大学学術
   局大学課長   村山 松雄君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○私立学校教職員共済組合法等の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○公立高等学校の設置、適正配置及び
 教職員定数の標準等に関する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (国立、公立大学の入学試験に関す
 る件)
○公立の盲学校、聾学校及び養護学校
 の幼稚部及び高等部の整備に関する
 特別措置法案(米田勲君発議)
○学校教育法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律の
 施行に伴う関係法律の整理に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨一日、鍋島直紹君及び常岡一郎君が委員を辞任され、その補欠として下條康麿君及び加賀山之雄君がそれぞれ委員に選任されました。
 以上であります。
   ――――――――――
#3
○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。
 委員会開会前、理事会を開き、協議いたしました結果、本日はまず、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたしました後、国立、公立大学の入学試験に関する件を議題として調査を進め、次いで、公立の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の整備に関する特別措置法案及び学校教育法等の一部を改正する法律案の審査を行ない、さらに、学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めて参ることに決定を見ました。
 以上、理事会決定通り、本日の委員会を運営いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営いたします。
   ――――――――――
#5
○委員長(平林剛君) なお、委員の異動がありましたので御報告いたします。
 宮澤喜一君が委員を辞任ざれ、その補欠として鍋島直紹君が委員に選任されました。
   ――――――――――
#6
○矢嶋三義君 ただいまの報告けっこうで、了承いたしますが、一つお伺いしておきたいのでございますが、それは、先般、他院の全会一致の議員立法で委員長発議にかかっているいわゆるスポーツ振興法案の提案理由を聴取した際に、衆議院側を代表して提案説明した八木提案者が、特に超質的の議員立法であるから一つ優先的に早急に審議してほしいということをあわせて要望されておりましたが、これはごもっともな御要望だと思うのですが、この法案の審議について委員長どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、委員長・理事打合会の協議対象になったとするならば教えていただきたいと思うのです。
#7
○委員長(平林剛君) ただいまお尋ねの法律案につきましては、衆議院の議決を尊重し、なお、提案者の御趣旨につきましても、十分私ども理解をいたして措置して参りたいと考えておりまして、委員長・理事打合会におきましても、その精神についてはお互いに了承しておりますので、できるだけ御要望にこたえていくつもりであります。
   ――――――――――
#8
○委員長(平林剛君) それでは、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、まず、文部大臣より趣旨説明を聴取いたします。
#9
○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび、政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、私立学校教職員共済組合法の改正でありますが、御承知のように、私立学校教職員共済組合は、昭和二十八年に私立学校教職員の福利厚生をはかる目的をもって設けられたものであります。本組合の給付水準は、国立学校教職員のそれと均衡を保つ趣旨で、法律制定当初から、国家公務員共済組合法の給付に関する規定が準用されて参りました。従って、国家公務員共済組合の給付内容が改正された場合には、それに伴なって改正することが必要とされたのでありますが、昭和三十三年に国家公務員共済組合法の改正がなされ、その給付水準の引き上げが行なわれた際は、本組合は、さしあたり短期給付についてのみ同法の改正規定を準用し、長期給付については、旧規定準用のままとなって今日に及んだのであります。
 そこで今回、長期給付に関しても改正後の国家公務員共済組合法の規定を準用し、その給付水準を国立学校教職員のそれと同一の程度に改め、私立学校教職員の福祉の増進をはかろうとするものであります。なお、標準給与の月額は、従来、最低六千円から最高五万二千円までとなっておりましたのを、給与の実態を考慮して、最低八千円から最高七万五千円までとすることとし、その他本組合が発足の際の経過措置によって、組合員で、旧私学恩給財団における従前の例による長期給付を選択している教職員についても一般の組合員と同じ給付を受けることとする等の改正を行なっております。
 次に、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧私学恩給財団の年金を受けている者――いわゆる既年金者の年金額は、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律によって定められておりますが、最近では、他と比較して低額になっておりますので、このたびこれを引き上げ、この制度によっている旧私学教職員の老後の生活の一助としようとするものであります。その他これらの改正に伴なう経過措置について所要の規定を設けました。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
#10
○委員長(平林剛君) 次に、管理局長より補足説明を聴取いたします。
#11
○政府委員(福田繁君) ただいま提案になりました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして文部大臣から説明がございましたので、若干補足説明をいたします。
 まず、私立学校教職員共済組合法の改正について申し上げます。改正の第一は、今回、長期給付についても国家公務員共済組合法の新法を準用することとし、国家公務員共済組合の給付と同一程度に引き上げることであり、本改正の眼目であります。その内容を具体的に申し上げますと、たとえば退職年金については、二十年で退職した者は従来の率によりますと平均標準給与の年額の三三・三%が支給されておりましたが、これが四〇%に引き上げられること、廃疾年金については、業務外傷病による廃疾年金のほかに業務上傷病による廃疾年金が加えられること、遺族年金については受給資格期間二十年以上を十年以上に改めるほか、業務死亡の場合にも遺族年金が支給されること、その他、退職一時金についても給付額の引き上げが行なわれること等の改正でございます。
 第二は、標準給与の月額の改訂であります。現行月額表は、昭和三十二年に定められたものでありますが、現在の私立学校教職員の給与の実態を考慮して、このたびこれを最低を八千円に最高を七万五千円に引き上げ、給付の向上をはかるとともに、あわせて負担の均衡をはかったものであります。
 第三に、本組合が発足の際その権利義務を承継した旧私学恩給財団の加入教職員の長期給付については、給付の内容及び掛金の額は、なお恩給財団における従前の例によることができることとされ、これらの者は一般の組合員よりも掛金が低く十五年で年金を受けることができるが、その給付額は一般の組合員に比してかなり低く年額六万円でありますので、これら該当者の熱心な希望もあり、この際一般組合員と同様な給付が行なわれるよう改めようとするものであります。
 第四は、これらの改正に伴なう経過措置についてであります。給付の計算方法については、改正前の期間は従前の計算方法によることを原則とし、おおむね国家公務員共済組合法の旧法から新法への給付引き上げの場合の経過措置に準じて定めております。また、一定の高齢者には、その在職年に応じ、本組合発足前の私立学校在職年を資格期間に算入することとする等の措置を講じております。
 最後に、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律の一部改正でありますが、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧私学恩給財団の年金を受けるいわゆる既年金者の給付額については、従来この法律によりまして、たとえば十五年で年額三万円の給付がなされることになっておりますが、最近では他と比較して低額になっておりますので、これを国家公務員共済組合における既年金者の給付額引き上げの状況と対比し、約五〇%引き上げることとするものであります。その他国民金融公庫が行なう恩給担保金融に関する法律の一部を改正して木組合の年金を担保化しうる道を開くものでございます。
 次に、この法律の施行期日は、準備期間等を考慮し昭和三十七年一月一日を予定しております。
 以上がこの法律案の内容の概要であります。
#12
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。
   ――――――――――
#13
○委員長(平林剛君) 次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。
#14
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今回、政府から提出いたしました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 高等学校は、義務教育に続く学校として戦後の学制改革により新たに設けられた制度でありますが、十数年を経過した今日におきましては、中学校卒業者の半数以上が高等学校に進学しており、わが国の学校教育において大きな役割を果たしているのであります。しかしながら、高等学校の設置、規模、学級編制、教職員定数等につきましては、従来、学校教育法及び文部省令である高等学校設置基準等の規定を根拠としてきたのでありますが、その後、高等学校教育の実態が大きく変化して参り、現行の規定が必ずしもこれに即応しないこと、高等学校の教育課程の改訂に伴い、これを実施していくために必要な教職員定数を確保しなければならないこと、最近における地方財政の実情にかんがみ、高等学校の設置等について国が一定の基準を示す必要があること、また、今後における中学校卒業者数の急増に伴い、高等学校進学者数の増加に対処する必要があることなどの理由により、公立高等学校の設置、適正な配置及び規模並びに学級編制及び教職員定数の標準について、国の方針を策定することが緊要となって参ったのであります。政府におきましては、これらの実情にかんがみまして、この際これが解決をはかるべく、本法律案を提出いたしたのであります。すなわち、この法律案は、公立高等学校の設置について所要の規定を設けるとともに、その適正な配置及び規模並びに学級編制及び公立の高等学校に置くべき教職員の定数の都道府県または市町村ごとの標準を定めることとしたものであります。
 まず、公立の高等学校の設置につきましては、現在、都道府県及び市町村がこれを設置する場合には別段の制限がないのでありますが、一方、地方自治法におきましては、高等学校に関する事務は主として都道府県が処理するものと規定されております。この法律案におきましては、この考え方を進めて、公立の高等学校の設置は原則として都道府県が行なうものとし、政令で定める一定基準に該当する市町村は高等学校を設置することができるものとすることにいたしました。
 第二は、公立の高等学校の配置及び規模の適正化について規定したことであります。すなわち、都道府県はその区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないことといたしました。なお、この場合において、私立の高等学校が公立の高等学校と相ともに高等学校教育の普及と機会均等のため果たしている役割の重要性にかんがみ、私立の高等学校の配置状況を十分に考慮しなければならないことといたしました。また、公立の高等学校の学校規模の最低標準を定め、高等学校の教育水準の向上をはかることといたしたのであります。
 第三は、学級編制が教育効果の上に大きな影響があることにかんがみ、学級規模の適正化をはかるため、その標準となるべき生徒数について規定いたしました。
 第四は、公立の高等学校の都道府県または市町村ごとの教職員の定数の確保をはかるため、その標準となるべき数を定めたことであります。すなわち、この法律案におきましては、校長、教諭、助教諭、講師、養護教諭、実習助手、事務職員などの職種別に教職員数を算定し、これらの数を合計して、都道府県または市町村ごとに置くべき教職員の定数の標準となるべき数を定めたのであります。この場合、標準となるべき数の算定の基礎については、高等学校の課程ごとの生徒の数を基本とし、これに課程の特色や学科の数、学校規模などの諸条件を十分考慮するようにいたしました。なお、これらの教職員の具体的配置については、各教育委員会が、地方の実情に即して適切に措置できるように考慮したのであります。
 第五は経過措置であります。その一は、この法律案によって算定した教職員定数の標準を実施することに伴う急激な財政負担を緩和するための規定でありまして、この法律施行の際、現に定められている教職員の定数がこの法律による教職員定数に達しない都道府県または市町村は、昭和三十八年三月三十一日までの間に、順次、教職員定数を充実していかなければならないことといたしました。その二は、昭和三十八年度以降昭和四十四年三月三十一日までの間における生徒数の急増に対処するための措置でありまして、この間におきましては、約一割までの生徒増について教職員定数を増加させることなく、生徒を収容できるようにいたしたのであります。なお、これに伴って、この期間中は学級編制の標準についても、一学級当たりの収容生徒数を一割だけ増加できることといたしました。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
#15
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
   ――――――――――
#16
○委員長(平林剛君) 次に、国立、公立の大学の入学試験に関する件につき調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。
#17
○矢嶋三義君 ただいま委員長から、国立、公立大学の入試問題について云えと言われましたが、実は、約二カ月ぐらい前に、公立高等学校をも含めて資料の提出を要請しておきました。その要請に基づいて、四月十七日付で出ておりますので、大学、高等学校を含めて、この資料を中心に、若干お伺いをいたしたいと存じます。
 まず、文部大臣に伺いたいのでありますが、この大学の入試問題が起こった場合に、もし大学にミステークがあるならば、それは大学みずから、その自治能力によって原因を解明し、原因を造反し、改善策を講ずべきものであると、こういう所見を私は述べておきました。しかるところ、五月二十三日、異例な文部省通達が各大学になされたようでありますが、どういう御見解に基づくものか、お答えいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今も御指摘の通り、この前も私申し上げたと記憶いたしますが、大学の入学試験につきましては、原則として、当該大学の自治権に基づいて善処さるべき本質を持っておると心得ております。しかるに、遺憾なことには、幾つもの大学で、新聞の伝えるところによりますと、試験問題の誤謬があってみたり、それに関連して、いろいろなことが起こりまして、国立の大学につきましては、従来特に国民の信頼度が高かったと一般に評価されておることにかんがみましても、まことに遺憾でもございまするし、今後にわたって類似の誤りがないようにということを特に関心を持ちまして、その点を中心に注意を喚起して、将来にわたっての過誤なきを期せしむるような意図をもって通達を出したのであります。
#19
○矢嶋三義君 私はその中で特に関心を持ったことは、教授の内職自粛ということを非常に強く打ち出しているわけです。確かに現在国立大学の教授の方々の中で、多数の方々が何らかの内職をされております。それは、ある意味においては研究費を取得するために、あるいは生活をカバーするために、やむを得ず内職をなさっておる方があられるようです。現在の大学の教授の給与の実態というものは、戦前のそれに比較するならば、約五割から六割程度だということがデータの上ではっきり出ております。従って、大学教授の内職自粛というものを活字にして、文部大臣が異例の通達形式をもってこれを発する以上、この大学の教授の方々の待遇改善について一段の努力をしなければ、私は非常な片手落ちの文教政策、行政になると思うのですが、その点については、大臣はどういう御所見を持っておられるのか。私はあの通達を見て、その点最も遺憾に感じた一人でありますので、あえて御所見を承りたいと思います。
#20
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘の点は、当然、先生方の給与の改善にわれわれも今後努力せねばならない責任を含んで申したつもりでございます。しかしながら、給与が改善されるまでは内職するのだということも、また当然に考えていただきたい。やむを得ない範囲内においてなされること、そのことを禁止しようという意図はむろんございませんが、何と申しますか、李下に冠を正さずというがごとき心がまえにおいて、みずからの見識をもって善処していただきたいということが一つと、御指摘のような給与改訂のための努力も、今までも及ばずながらやってはきましたが、今後に対しましても、政府として当然努力していくべき責任を感じつつ申し上げましたこと、当初申し上げた通りであります。
#21
○矢嶋三義君 私は大学の権威と、この社会的信用という立場から、ともかくああいう通達が出たこと、また出さなければならない要因が一部たりともあったということは、日本の国の大学にとってまことに遺憾であったと思うのです。しかし、大学に対して文部省が通達する場合に、内職の自粛云々というようなことを活字にすることは、私はオーバーだと思うのですね。相手が大学の教授、プロフェッサーであるならば、これは大学教授の見識の問題であり、良識の問題だと思うのです。それを、あたかも子供に教えるがごとく、内職の自粛というものを堂々と活字にしてまで文部省通達として全国の大学に流さねばならぬということは非常に遺憾であると同時に、私は文部省の通達としてはややオーバーだと思うのですが、局長はどういう見解を持ちますか、あなたは起案者でしょうから御所見を承ります。
#22
○政府委員(小林行雄君) 今後どうしてもやはり事故の再発防止ということに主眼を置かなければなりませんので、そういった意味から、いろいろ他から疑惑を受けることのないような自粛の措置は、大学自身がお考えの上でとってもらわなければならぬということでございますが、具体的に本年度の大学入学試験でいろいろ問題になりましたものが、たとえばいわゆる受験雑誌への問題の出題とかいうことが主眼でございます。また、従来から言われておりましたことに、いわゆる受験のための予備校の先生をする、あるいは受験者の自宅指導というようなものがあったものでございますから、具体的にそれを今回の通知に載せたわけでございます。私どもやはり大学の入学試験は、入学試験が公正に行なわれるということを確保しなければならぬということが主眼でございますし、事故の再発防止という観点から、この際、大学の信用と申しますか、大学の権威を維持するためには、こうした通牒も必要であるというふうに考えたわけでございます。
#23
○矢嶋三義君 大臣に伺っておきますが、私は大学入試の不正問題が起こった、あやまちを犯したそのことは、大学の教授の待遇が原因のすべてであるというようなことは毛頭考えておりません。他に当然原因があるでしょう。しかし、内職と関係あることは事実である。その内職が教授の待遇が不十分であるということと関係があるということは何人も否定できないと思う。従って、今後の恒久的な解決策の一つとして常に叫ばれておる大学教授の待遇改善については、こういう不祥事の原因の一部を除去する意味においても、また、教授の教育研究の環境をよりよくして、その大学の成果を上げるという意味においても、今後その待遇改善に格段の努力をする決意が大臣にあられることと思いますが、念のため伺っておきます。
#24
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 前にも申し上げたと思いますが、まだ大学教授の給与は戦前のベースには戻っておりません。終戦以来、せめて判検事並みということを文部省は主張し続けておるようでございますが、それはむしろ適当でないので、戦前のベースに匹敵するようなところを目標とすべきであると私は存じております。なかなか急にいきませんけれども、誠意を持って給与改善のためには努力せねばならないと思っております。
#25
○矢嶋三義君 大臣に対する質問をちょっとはずします。
 それで、大学局長に伺いますが、政務次官はしばらくそこに着席願っておきたいと思います。大学局長に伺いますが、この提出された資料に基づくと、八大学について九件問題が起こった。それから公立高等学校においては六件について起こったと資料が出ておりますが、率直に伺いましょう。この八大学九件のうちで最も悪質な過誤を犯したのはどこの大学であると文部省は判断されておられますか。
#26
○政府委員(小林行雄君) 今回の入学試験にあたっていろいろと問題が起こりました。問題そのものの誤まり、あるいは受験雑誌への掲載というようなこともございましたが、一つには試験問題が一部漏洩したということと、それから試験の点数の改ざんということが実はございました。この三十六年四月十四日付の資料にはまだ出てございませんが、九州大学に問題の漏洩のことがございます。それからこの表には出ておりませんが、宮崎大学で試験の点数の改ざんのことがございました。私どもとしては、いわゆる出題の誤り、これはほんとうならば、大学でございますからあり得ないことであるべきであるとは存じておりますが、そういったものに比べると、ただいまの九州大学とか、宮崎大学のものは質が違っておるのじゃないかというふうに考えております。
#27
○矢嶋三義君 私の見解をもってするならば、茨城大学はやはり九大、宮崎大学と並んでAクラスに入ると思うのですが、文部省の見解どうでしょうか。
#28
○政府委員(小林行雄君) 言い落としましたが、茨城大学も――これはしかし受験雑誌に出ておったということで、直接の漏洩ではございませんが、いわゆる単純なミステークというようなものと違うように思います。
#29
○矢嶋三義君 公立高等学校については、六県がここに報告されておりますが、これについてはどういう見解を持っておられますか。
#30
○政府委員(小林行雄君) これはやはり岐阜県の教育委員会を通じての調査でございますが、大体、問題のミスはございましたけれども、比較的軽微なものが多いように私どもとしては考えております。
#31
○矢嶋三義君 中学校を卒業して高等学校に入学試験を受ける子供は成年前期の終わりのころになるわけですから、従ってちょっとした活字の間違いでも非常に影響性は大きいと思うのですね。従って、十分細心の注意を払わなくちゃならぬと思いますが、私はこの大学の入試問題もさることながら、特に高等学校の入試問題についてはなかなかむずかしい点があると思うのですよ。ほんとうに生き生きとしたといいますか、そういうすばらしい問題を作ろう、しかもそれは漏洩しないように作ろうとするとちょっと手落ちが生ずる、それをがんじがらめに縛っていくと、全く味気ない形式的な問題のみになってしまう。なかなかそこのところは出題者としてもむずかしいと思うのですけれども、しかし、本年度全国的に問題となったこういう事態というものは非常に遺憾なことで、今後、都道府県教育委員会当局においても十分配慮していただかなければならぬことだと思っておりますが、この点については、文部省はときどき教育長あるいは教育委員長会議というものを招集されるのですが、そういう機会にしかるべき助言と指導とを与える御用意があられると思うのですが、いかがでございますか。
#32
○政府委員(小林行雄君) 実は高等学校につきまして、選抜試験の検査問題の誤謬について調査いたしましたのは、このたびが初めてでありまして、従来このようなことは考えてもおらなかったわけでありますが、調査の結果、かような事態が出て判明して参りましたので、教育長さんの集まりのとき、あるいは直接の事務担当の課長の集まりのときにも、こういった状況であるということを話しまして、今後、事故の再び起こるということのないように指導して参りたいと思っております。
#33
○矢嶋三義君 大学について伺いますが、原因の究明並びに責任の所在の明確化について本日までどういう報告がなされ、文部省としてはいかように把握されておられるか、お答えいただきたい。
#34
○政府委員(小林行雄君) 先ほど申しました中で、試験問題の誤りによるものが六つの大学にございます。これにつきましては、大学の中でいろいろ措置を検討されましたが、特に身分上の措置はとられておりません。なお、公立大学で札幌の医科大学にも一つございますが、それにつきましても、まだ私どもとしては措置をいたしておりません。それから受験雑誌に同様の問題が掲載されたという事例での九州大学では、関係の二人の教官が退職になり、茨城大学の方もこれも退職になったのでございます。それから入学試験の問題が漏洩したという点で、九州大学の教官が退職をされております。それから宮崎大学の試験の点の改ざんの件ですが、これにつきましては、現在どう処理するかということについて検討中であるというふうに承っております。
#35
○矢嶋三義君 少し具体的に伺いたいのですがね。私は現在青少年諸君にとって最も権威あるもの、また、社会的信用あるものは何かといえば、日本では大学だと思うのですよ。その中で特に国立大学だと思うのですね。先般私は五月二十一日に東京大学の五月祭に行ってみましたがね、やはりこの東大の権威というものは失われていないという感を深くいたしました。中学生から高等学校の生徒、若い青年男女諸君からお年寄りまで、あの学園にあふれるがごとく二日間充満しておった、このことは大学の権威というものがやはり国民の間に維持されているということを非常にうれしく感じたわけです。これが失われた場合に、日本の青年層に及ぼす影響というものははかり知ることのできないものがあると思うのですね。私はここでピントを九大に合わしたいのですが、私も九州の出身で、九大と若干縁のある者ですが、御承知のように、九州大学というのは昔の帝国大学、西日本における総合大学の雄たるものという意味で、西日本の人は非常に関心を持っている大学なんですね。ところが私の見解でもってするならば、このたびは入試問題に関して四重ミスをやったと思うのです。そこで私は局長に伺いたいのですがね、九大の山田学長は文部省に何らかの報告をされたと承っているのですが、あの教養部の山下教授の子供に対する漏洩の問題、これに対して法学部長の具島教授がそれを漏らしたというので、山田学長が問責の談話を発表して、それに対して法学部教授会は具島法学部長支持の申し合わせをする、外部から見るならば・大学の権威・信用を失することはなはだしい状況だと思うのですね。この点については山田さんからは文部当局の方に対してはどういう報告がなされて、結末がついたのかどうか、報告していただきたい。
#36
○政府委員(小林行雄君) 九州大学の入学試験問題の漏洩につきまして、この事件が明るみに出たのは新聞社に対する投書によってであるということから、この投書が法学部長の投書であるというように新聞には、まあ一部の新聞でございますが、出たわけでございますが、この点につきましては、まだ九州大学の学長からは報告はございません。ただ、まあ私ども伝え聞くところによりますと、そういう疑いがあるということのようでございまして、現在慎重に検討をしておられる、これは非常に大きなことでございますので、非常に慎重に検討をしておられるというふうに承っております。
#37
○矢嶋三義君 私は大学内で起こったことだから、ここでとやかく批判いたしません。しかし、国立の大学ですから、大学はみずからの責任のもとに、一日も早く国民の前に事態の黒白を明確にする責任があると思うのです。ことに山下さんにしても、具島さんにしても、私は個人的に知っている人です。法学部長ともあろう具島教授が投書したんだと、そういう意味で大学の学長である山田さんが記者団発表までして、活字となって、学生はもちろんのこと、西日本の、いや全国民の眼に映じている以上、責任があると思うのです。その結末がいかように学長から文部省に報告されたか、これは当然報告はあるべきことだと思いますが、報告があったならば本委員会にその報告の内容を提示していただくように要望申し上げておきます。
 ここで問題なのは、国民の側から見れば、円満にいっている大学の内部の不祥事は外に漏れてこない、ところが内部対立のある大学の問題が漏れて参る、そうすると、入試問題等についても、円満にいっている学園内には、円満にいっている大学には、不祥事があるのではないかという反対的な推理が成り立つのです。ということは、先年、長崎大学にやはり教授が、他の教授のお子さんと、その他の生徒に英語の問題を教えた事件がございましたね、あれがどうして発覚したかというと、その教えた教授と対立感情の立場にある他の教授が徹底的に計画的にテストして、そしてあばいたのでしょう、あの教授との間の対立感情がなかったら、長崎大学はあの英語の試験問題の漏洩問題は出なかった、この倫理意識、間違いはないでしょう、いかがですか。
#38
○政府委員(小林行雄君) 大学の内部でいろいろ先生の間に対立がある場合に、問題が明るみに出るということはあろうと思います。しかし……。
#39
○矢嶋三義君 長崎大学の場合特定して伺いたい。
#40
○政府委員(小林行雄君) 長崎大学の場合は……。
#41
○矢嶋三義君 教授の対立感情から出たものでしょう。
#42
○政府委員(小林行雄君) 対立している教授の方から事件が明るみに出たというふうに私どもは聞いております。
#43
○矢嶋三義君 九大の今度の問題についてはその点がありそうですね、新聞、ラジオを通じて聴取するところによると、具島教授もそういう見解を発表している、たとえ評議会でいかようにあろうとも、そういう不正があったのを外に漏らしたからといって、それでけしからぬといって責任を追及するということは、私はこの大学の態度としてあるまじきことだと思うのです、一般論として。そして具島さんの記者団の会見によりますと、ともかく新聞記事を通じて見ると、ことさらに自分の筆跡にまねた投書を書いて自分を陥れようとする黒幕があるんだ、その黒幕を摘出しなければならぬという御見解を発表されているのですね、こうなって参りますと、学生の立場から見ると、九州大学は黒いベールで包まれているという感じが出てくるのです。何らか対立感情があるのではないか、かかるがゆえに山下教授のお子さん問題が漏洩したということが表面に出てきた、もしその大学が人間関係が円満にいっておったならば、自分の子供にいろいろ問題を漏洩したということが表面に出てこない、そうして永遠にそれはベールに包まれて参る。私は大学はそうであってはならないと思う。ことに入試問題のごときは、こういう事実を、先ほど申し上げたように、大学の学内に教授の人間的対立感情があると、何かそういう不正があったときに表面に出て、国民の目の前に現われてくるけれども、円満にいっておった場合には非常に好ましからざる事件が起きても、それはもみ消されてしまって出てこない。しかも、学生が一生かける入学試験問題に関してそういうことがあるということになっては、これは大学の権威を失墜することおびただしいものがあると思うのですね。この点についてはあなたはどういう所見を持っておられますか。
#44
○政府委員(小林行雄君) 先ほど申しましたように、この具島法学部長の件につきましては、まだ大学から報告を受けておりませんので具体的なことは申せませんが、私どもといたしましては、九州大学の教官の内部に感情的な対立があったというふうには考えておりません。従って、特にこの入学試験問題を漏らしたから責任をとらせるのだ、その工作をしたというふうには現在のところではまだ考えておりません。
#45
○矢嶋三義君 あなたの御答弁としてはそこが限度でしょう。時間がだんだん進みますから質問を続けますが、文部大臣に伺います。今、大学制度については中教審に諮問を発せられておるわけですが、いずれ最終答申がなされるでございましょう。その中に入学試験の問題も諮問事項の中に入っておるわけですが、伝えられるところによりますと、こういう入学試験問題について不祥事件が起こった機会に、かつて行なわれた時代もあったわけですが、全国一斉に入学試験をやってはどうかという意向が文部省内に抬頭しつつあるということを仄聞するのですが、矢嶋の私見としては、そういう形態ではなくして、今のでよろしい、ただ、各大学はその責任において、また良識においてあやまちなきようりっぱな選抜試験をやっていただけば今の形態が適当だ、それぞれ大学にはカラーがありますから、自分で好きなような問題を作って、そうしてそれに合格した学生を入学させて、そうして教育をするというところに私はよさがあると思う。で、こういう問題が起こるからというので全国一斉試験にカンバックするというような方針は、にわかに私個人として賛成いたしかねるのですが、文部大臣としてはどういう御見解を持っておられるか、承わっておきます。
#46
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大学はそれぞれ自主的にやるべき本質を持っておりますから、一斉にやるという考え方は大学自治を尊重する意味においては当然には出てこない問題かと思います。しかし、私は実際にどちらがいいかということを批判する能力はございませんので、結論的なことは差し控えさせていただきます。要は、しかし、私は先刻も申し上げました通り、大学の見識において良心的にやることに間違いがあるはずがない、試験問題を作ったり、あるいは試験を執行する大学当局の良識に待つべきものだ、月給が安いから間違えるのだというようなことは――むろん責任をもって給与をよくしてあげるという責任は、むろん言わずしてわれわれにあるわけですが、それとこれは問題としては私は別個じゃないか、そういう意味において私は大学当局の良識に待ちたいと思います。
#47
○矢嶋三義君 所管局長はどういう見解を持っておられますか。
#48
○政府委員(小林行雄君) 確かに、従来からでございますが、現在の制度では必ずしも大学教育を受ける者が的確に選抜されていない傾向がある、これについて統一的な国家試験をやったらどうかという意見もございますが、私どもとしては、この事故をきっかけに、国で統一試験をやるというようなことは考えておりません。ただ、大学入学試験について、抜本的に改正すべきものがあるならば、中教審で審議の結果、改正しなければならないという意見を持っております。
#49
○矢嶋三義君 その検討は慎重に検討されるように私は希望申し上げておきます。
 次に伺いますが、入試問題に関連して、水増し入学を許可した人員は最終的に何名になっているか。その員数を文部省としては承認したのかどうか。さらに、国立大学で定員に満たぬ入学をさしている大学があるようですが、その定員に満たなかった員数は何人になっているのか、お答えいただきたいと思います。
#50
○説明員(村山松雄君) 今回の事故に関連いたしまして、定員以上に合格を決定いたしました数は、東京大学におきまして三名でございます。それから九州大学におきまして二十八名でございます。茨城大学におきましては、一応定員より百二十二名上回って合格の決定をいたしましたが、結果的には、茨城大学は二期校であるような関係もございまして、入学取り消し者が相当数ございまして、最終的には入学定員より上回った十九名というものを余計とったという結果になっております。なお、国立大学におきまして、入学者が定員以下になっておるものはかなりの大学についてございますが、それにつきまして的確な数字を申し上げる資料をただいま持ち合わせておりませんので、調査の上、お答えいたします。
#51
○矢嶋三義君 国立大学の入学者数が定員以下になっているおもな理由はどういうものでございますか。
#52
○説明員(村山松雄君) これは基本的な理由は、国立大学におきましては定員通り入学を許可いたします。ところが受験者の中には国立と私立、あるいは国立でも一期校と二期校というようなかけ持ち受験をする者がございまして、一方の大学の入学を取り消すという者が出て参りますので、最終的に入学手続をする者が定員以下になるわけでございまして、国立大学の場合ですと、それが軽微な場合には、一般には二次募集というような埋める措置をいたしませんので、従って、入学者が定員を下回るということになるわけでございます。文部省といたしましては、大体従来とも定員を基準といたしまして、一割程度多く入ったり、あるいは少なく入ったりすることは、やはり学生の定数管理上やむを得ないことと思います。二次募集等の措置は講じなくてもやむを得ないのではないかというふうに承知いたしております。
#53
○矢嶋三義君 この際私は指摘しておきたいのですが、一割程度上回るのは六体慣習として認めている、そのことは私個人としてそれでいいと思うのです。しかし、定員を下回るもの、これは何とか工夫をこらして、補欠入学とか、何か適当な措置をとることによって、定員は充足できるように配慮していただきたいと思のですがね。全国的に正確な数字を持っていないから、私はここで申し上げませんけれども、私が知っている若干の大学につきましても、相当定員を下回った入学者でスタートしている。ずいぶん入学希望者が多いわけですから、その定員に即応するだけの施設設備があるとするならば、国家の人材養成計画という立場から言っても、定員一ぱいには入学許可ができるように、各大学当局で御善処願いたい、かように希望意見を持っておることを申し上げて、この点、文部大臣並びに大学局長は、矢嶋の発言をお忘れのないようにしていただきたい。これは要望です。あと二問ですが、それは、文部大臣に伺いますが、今、国立大学の定員関係を伺ったわけですが、話を私立大学に移しますが、五月三十一日、日本大学等十私立大学は声明を出しましたね、その内容は御承知と思いますが、学科の新設、増員、これについては文部省に届け出るだけで自主的に私立大学は行なう。それに基づいて具体的に、日本大学とか、東海大学は二次募集をするという声明を五月三十一日付で発表されている。これは日本の私立大学としては異例の声明だと思うのですね。また、相当重要な内容を持っていると思うのです。この声明に対する文部大臣の御所見はいかようなものであるか承りたい。
#54
○国務大臣(荒木萬壽夫君) あの声明通りに、当該大学で責任をもってやられる限りは望ましいことだと思います。学科の新設、増員等は、法律上は届出にっておることは御案内の通りでありますが、実行上、学部新設の認可の場合に、認可条件として、当分の間、そういう問題についても協議してほしいということで運用して参っておるようでございますが、届出だけで自主的にやるのだと、自信を持って、名実ともに、質の落ちないようにやって下さる限りは協議の必要がない、協議するゆえんのものも、大学設置基準に照らして妥当な線で運営して下さい、実行して下さいということを、学生にかわって文部省が大学当局に要望する機会を得るための協議であったと承知いたしますが、声明通りでありまする限りは、本来の私学の見識に立っての御意向と受け取りますると、それ自身はかれこれ申すべきではない、むしろ本来の姿であろうと心得ております。
#55
○矢嶋三義君 その答弁けっこうだと思います。ただ、私は先般も伺ったわけですが、一国の文部大臣としては、国立、公立、私立を問わず、大学生が何名今在学しているということだけは数字を持つ必要があると、かように私は考えるのですがね、政策を遂行していく上からも。その点について現在自信があるのかないのか、その点御所見をあわせて承りたい。
#56
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今日まで、文部省は全国の私立大学の生徒数の実態は把握しておりません。遺憾なことでございますが、実情は正確な把握ができておりません。認可しました定員ないしは今申し上げた協議の線に従ってきまりました定員は、むろんはっきりいたしておりますが、実在数がどれだけかとなりますと、年に一回の統計法に基づく指定統計に応じて報告される数が第二次的な数として把握されております。それもほんとうの実在数よりも下回った数だと推定されるのでございまして、プラス・アルファどれだけか、各大学別にどれだけのそれ以上のオーバーがあるかという意味においては掌握しておりません。今もって全般的に正確な掌握ができていないことは遺憾でございます。これは文部省自体も考えねばならないことでございますが、そもそもは、掌握できる制度は一応あるにかかわらず、それに協力してもらえない結果がそうなっていると思います。協力してもらえるような努力が足りなかった点もわれわれは反省すべきじゃなかろうか、御指摘の通り、完全掌握ができないで自信のある文教行政ができない道理でもございますから、今後その原因等を私学側も考えていただき、われわれの方も検討いたしまして、掌握できるような方向に持っていきたいと思っているところであります。
#57
○矢嶋三義君 ただいま問答している点は、本日の質問の主題でありませんから、長く質問いたしませんが、入試問題に関連して、水増し入学が行なわれたということと関連して伺ったわけです。それで、もう一つ関連するから伺っておきますが、それは、例の三月十二日の池田声明、これと五月三十一日の十私立大学の声明とは不可分の関係にあるわけです。三月十二日の池田声明に対しては、文部省は調査をして回答をするということであったわけですが、本委員会には何らの報告はございません。あるいは文部省としても池田長官に回答していないのではないかと推察されます。そのことが五月三十一日の声明となり、理工系二千七百人を水増し入学をさせた、さらに、二次募集を自主的に行なうという内容の声明になったものと私は判断いたします。そこで、伺いたい点は、あの三月の池田声明にからんでの文部省における調査の結果というものはまとまったのかどうなのか、本委員会に報告がないが、それはどういう理由なのか、きょう報告ができるとするならば、いかような報告ができるのか、池田科学技術庁長官に対しては文部大臣から何らかの回答をしたのかどうか、したとするならば、いかなる内容の回答をしたのか、大臣並びに政府委員からお答えいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 池田長官の勧告につきましては、数回にわたりましてお答え申し上げたと思いますが、あの勧告の主眼点は、技術革新に応ずべく、現在の国公私立の大学入学定員から推計して、所得倍増計画との相互関係だけを考えても相当の不足数が予定される。従って、私学にも特に協力を求めて、その不足をできるだけ充足するようにということが主眼点となっておったと受け取っております。従って、その主眼点に関します限りは、そうそう一カ月や二カ月で結論が出ないことでありますし、ことに、予算ないしは立法措置を要するのが本則でございますから、年度としては来年度以降の問題として慎重に考えねばなるまいというのが結論でございます。このことは、池田長官に回答を要するまでもなく、自明のことであると心得ております。さらに、三十六年度を含んで、予算とは関係なしにやる方法があるはずだから、そのことも善処したらどうだという意味合いのことがあったわけでございますが、たまたま知り得ました十一大学については、調査しまして、結果は出ております。その後、また届出等が二、三あったようでありますが、届出でございますから、その内容はむろんわかっております。ですけれども、それは単なる数字であり、さらにまた、先刻お尋ねがございました、文部省自体が十一大学ないしはその後の届出大学以外の圧倒的多数の私立大学について、完全掌握をいたしてない状態において、たまたま知り得た部分的なことについての結論を出すことは、私は適当でない、へんぱな処置に陥るおそれがある、こういう考えのもとに、総合的な調査並びに総合された調査に基づく判断をすることが、池田長官の勧告にこたえるゆえんでもある、かように理解いたしまして、今申し上げた意味合いで今検討をいたしつつあるのでございます。何月何日までに結論が出るということは今のところ予測できません。しかし、なるべく早く結論を出しまして、今後無用の水増し入学がないように、私学の経営それ自身も、聞けばずいぶんいろいろと苦心もあるやに承知いたしますから、そういうこととの考え合わせを十分いたしまして、今後国民から批判を受けないような方策いかんということも、結論的には見出だしたく、せっかく検討中であることをお答えいたします。
#59
○矢嶋三義君 政府委員、ないですか。
#60
○政府委員(小林行雄君) 大体、大臣からお答え申し上げたことで尽きておると思います。
#61
○矢嶋三義君 もう一つ、御要望申し上げておきますがね。他の大学はおおむぬ原因の究明と責任の明確化が完了したようですが、九州大学と宮崎大学はまだ終わってないようです。この両大学については、そのあやまちが大きかっただけに私は大きな関心を持っております。両大学が自主的にいかような解決をするかということを刮目して私は見守るものです。おそらく両大学当局から文部省に報告があられると思いますから、報告が参りましたならば、当委員会にこの報告事項を御提示願いたいということを要望申し上げておきます。
 それから文部大臣に他の点で御要望申し上げますが、先ほどの私立大学の件ですね。この点については私学の一部、いや、相当部分から、ともかくも文部当局は不信を買っている、その当否は私、にわかにここで判定いたしませんが、ともかく不信を買っておるということは私は否定できないと思う。協力関係が十全でないということも認めざるを得ないと思います。これは国の文教ということを考える場合、ゆるがせにできないことだと思うのですね。その原因は幾つかあるでしょうが、これは文部省に限らないが、日本の今のこの各行政官庁の人事を見ますと、文部大臣、聞いておいていただきたいのですがね、官学偏重の傾向は強いのです。終戦後、人事院が発足以来、日本の私学が伸張し、私学出身の優秀なる人材が登用される傾向が出てきたことは、戦後の人事行政の一つの私はよりよき芽ばえだと見ておったわけですが、戦後十五年経過した現在、だんだんと戦前にバックして、官学出身と私学出身の間に、人事行政面で非常に差がつきつつあることは非常に遺憾なことだと思う。これがやはり不信を買う原因の一つにもなっておると思う。官学を出た人がすべてが必らずしも勤勉で優秀だとは限らない。また、私学の卒業生の中にでも非常に優秀な人もおられる、勤勉な公務員もおられるはずです。そういう人々は官学とか、私学とか、そういう派閥にとらわれることなく、適材適所で抜擢登用するというような、はつらつとして、生き生きとした人事行政を、文部省に限らず、日本の全官公庁で行なう必要があるということを私はしみじみと感じているものです。この点については文部大臣に要望も含めて御所見を承っておきたいと思います。
#62
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説はごもっともだと思います。文部省に関する限りはそういうことはございません。
#63
○委員長(平林剛君) 本件に関する調査はこの程度といたします。
   ――――――――――
#64
○委員長(平林剛君) 次に、公立の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の整備に関する特別措置法案を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#65
○野本品吉君 国民全体に教育文化の恩恵を均霑させるということは非常に大事なことでありますが、遺憾ながら盲聾その他の諸君に教育の恩恵といいますか、均霑しておらない事実はまことに困ったことだと私ども思っています。なお、これらの教育の問題につきましては、あるいは公立、あるいは私立で、このことに当たって熱心にやっておられるところもありますけれども、全体的に見ますというと十分でないと思う。私は人道的な立場からみれば、からだの工合の――目の悪い、耳の悪い、あるいはからだにいろいろと故障を持っているというような人にこそ、かえって教育の重点が向けられなければならぬというふうに考えておりますが、これも遺憾ながら十分であるとは考えておりません。こういう点に着目されての社会党の皆さんのこの御提案の趣旨並びに精神につきましては、十分敬意を払っていかなければならぬと、かように考えております。ただ、教育が一般的に普及し充実することはだれでも望んでおりますけれども、われわれが理想として考えるような現実を直ちに目の前に打ち立てるということになりますと、いろいろな金の問題、あるいは土地の問題、いろいろな点からいいまして拘束されますので、われわれは順を追うて教育の理想郷を建設しなければならぬと、こういうふうに考えておるわけです。そこで簡単に二、三の点につきましてお伺いしておきたいのでありますが、この社会党の提案によりますと、たとえば給与費を二分の一、それから教材費の二分の一、新築増築費の二分の一を補助する、あるいは負担するということで盲聾学校、それから養護学校の高等部、幼稚部を扱う、こういうふうなお考えのようでありますが、そこで問題は二つ、三つ頭に浮かんでくるわけです。どういうことかと申しますというと、たとえば校地の買収費の一つの項目をとらえましても、現在の義務教育の小学校においても、まだ買収費に対してはこれを国が負担するという何らの措置が講ぜられてありません。講じていないのがよろしくないのだといえばそれまでのことでありますが、それに対して、今度の御提案によれば二分の一の補助をするというようなことになってくるわけです。そこで私がお伺いしたいのは、大体どのくらいの盲学校の幼稚部及び高等学校の充実のために土地を必要とするかということ一つを取り上げましても、なかなかこれは計算がめんどうになってくると思うのですが、大体盲聾の幼稚部、高等部の校地の所要面積というようなことについてどういうふうにお考えになっておりますか。この点をお伺いしたいと思います。
#66
○米田勲君 野本委員からも今質問の際にお話しになったように、私たちの考え方としては、日本における各学校の教育水準、教育の条件をできるだけ全体的に上げていくという立場を考えなければならない。ところが、今までずっと経過してきた状況を見ますと、たとえばこういう盲聾学校、養護学校などについても、中学部、小学部の関係については、定数法でも義教法でも、施設負担法でも先に行なわれていく、それから入学している生徒、児童の数が非常に義務教育の普通の小中学校、高校の場合は多い関係もあってか、従来ともこういう盲聾学校、養護学校の問題については、何年かづつあとに回ってそれが整理されているというのが過去の常態なわけです。ところが実際問題として、この子供たちが社会に出た場合には、今日の社会の情勢では健康な身体を持っている者ですら、なかなか社会の生活に伍していくのはいろいろな問題があるのですから、ましてや身体の不自由な、盲聾という重大な身体に欠陥のあるような児童、生徒については、一そうそれが困難であるということはだれしもわかるわけです。だから私はその他の学校はあと回しにして、盲聾学校の方だけ前へ進めろというようなむちゃな考えではないのですけれども、こういう特に国民の中で数は少ないけれども、気の毒な条件にある子供たちが学ぶような学校を特段に注目し、それに国も大いに力を入れてほしい。そのことがその子供たちの将来のために大事なことなんだ。また、これはそういう子供たちが世の中に出ていって生活をし、社会的な活動をする実態をいろいろ考えてみても、特に重視する必要があるといろ考え方から、今回いろいろな隘路、難点はありますけれども、この法案をまとめて御提案いたした次第です。先ほど恐縮でしたが、資料を差し上げてある中で、現在不足の坪数というものの推定を二千八百六十八坪というふうに押えたわけです。これを大体三カ年計画で、一年間には九百五十六坪づつ完成をしていこうという考え方で、その不足坪数のことについては、私一応調査をしてあったんですが、これを建てるための校地については、総体的にどれだけ必要であるかというようなことについては、目下のところ正確な数字を持っていないわけです。なお、必要があれば早急に校地の広さ等について調査を完成して後日お答えしたいと思っておるわけであります。
#67
○野本品吉君 私は校地の問題を取り上げましたのは、この種の学校の施設、設備の充実のための予算ということを考えて、積算の基礎がどうなっておるかということを明らかにしますことが、やはりこの問題を進めていく上においてはきわめて大事なことだと思っておるのですが、この法案によりますというと、大体、予算関係において総額四億六千万円――五億程度ということになっておるのですが、ここで一応御提出になりました資料、給与費、教材費、施設費等が出ておりますが、さらに校地その他補助なり、あるいは負担の対象としようとするものがどれくらいあるかということを、予算の積算の基礎をさらに明確にしておくことが、具体的にこの問題と取り組む上においてはきわめて重要なことであると、こう考えてお伺いしたわけです。
 それから次にお伺いしたいと思いますことは、現在におきましてこの高等部、幼稚部というものを義務制に準じたやり方で進めていく、あるいはこれを義務化するということは、そのこと自体というものは、私はやっぱり恵まれない子供のために非常に大事なことであり、成果というものも一応期待されるというふうに考えられますけれども、ここでさらにやっぱり具体的に問題を進めていくということになりますと、一般の高等学校、それから幼稚園等にはまだそういうことが考えられておりませんので、そこで一般の高等学校、幼稚園というものの教育との関連においていろいろと問題が起ってくると思うのです。この案の通りにやりますというと、連鎖的に必ずそこへ影響、関係が起こってくる、こういうような点について提案者はどのようにお考えになっておりますか。
#68
○米田勲君 これは私特に自分で担当をした盲聾学校、養護学校の幼稚部、高等部の整備について特に担当したものですから、この法案の提案者になっているわけですが、私はやはり日本の全般的な教育を進めるのには、現在、小中学校が義務教育ということになって半額国庫負担の制度ができているのですが、これはやはり高等学校、幼稚園についても、漸次国の経済力が増大するに従って早急に小中学校と同じような条件に近づけるように努力をする必要があるというふうに考えております。ただ、私はこの法案の担当者であったものですから、この部分だけが強調されているように考えられますが、他の議員からも提案になっている法案等もからめると、全体的にやはり質問者の考えておられるような総合的な前進をはかるという立場で考えてはおるのです。
#69
○野本品吉君 それからもう一つは、この案と、これは公立の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部が対象になっておるわけですが、公立のこの種の学校を全部提案者の考えるように取り扱っていくということになりますというと、それは当然の結果として、私立の同様な学校への関係が生じてくるわけですけれども、そこでこの法律の及ぼす私学に対する影響と、それと私学の経営の問題、私立の盲学校、聾学校、養護学校の幼稚部及び高等部の経営の問題というのはどういうふうにお考えになっておりますか。
#70
○米田勲君 今回の場合は公立の学校だけについて財政的な援助をし、補助をするといったような立場だけを取り上げましたが、これが完成するとすれば、当然これに関連して私立の盲聾学校、養護学校の幼稚部、高等部の問題が問題になってくるのではないか。これはちょうど国立、公立の学校の問題が処理されると、次には私立の問題が処理されなければならないような段階にくるというのと同じで、私はまず今回の場合は、公立のこれらの学校の特におくれている条件の高等部と幼稚部を整備し、しかる後にその考え方をさらに私立の関係に及ぼしていって、国の援助、補助が確立できるようにして、全国的に盲聾児あるいは身体虚弱な、精神薄弱な子供たちの教育が、国公私立を通じて全般的に高められていくという状態を作り上げることを一つの理想として描いて、その過程としてこの法案を出しておるわけです。
#71
○野本品吉君 私は最近、国公立の学校の問題が取り上げられますというと、直ちにそれが私学に影響して、私学側からいろいろな賛否の意見が出る。たとえばこの程度の問題にいたしましても、国公立の問題が取り上げられると、そうすると、私学に直ちに影響があるというので、いろいろと反対が起こってくる。従って、国公立の学校の問題についていろいろな問題を取り上げるときには、それとあわせて、できるできないは別として、私学対策をどうするかということが当然考えられてしかるべきだと思っているのです。その点についてはどうでございますか。
#72
○米田勲君 野本委員のお説はごもっともなんですが、どれもこれも一度にという立場をとらないで、今回は公立の学校について問題を解決していく、順序的にそう考えております。
#73
○野本品吉君 いろいろ伺いたいことはありますが、私が年来考えており、またこの委員会でも、ときどき申し上げておるのでありますが、盲聾の生徒、それから盲聾の子供、それから養護学校におります身体的な欠陥を持っておる子供、それから精神的に欠陥を持っておる子供、こういう子供に対してもっと日本の政治が目をあけて、最初申しましたように、教育文化の恩恵が文字通り、いかなる条件、いかなる状態に置かれておる者に対しても均霑するような日本の国を打ち立てると、こういうことがまあ非常に大事なことだと思うのです。で、いただきましたいろいろな資料もありますし、また、今二、三の質問に答えられました提案者の気持もわからないではありませんから、この資料、それからただいまの御答弁等を通しまして、さらにこの問題について詳細な検討を加えて、後日の機会にまたあらためてお伺いいたしたい、かように思います。
 これで終わります。
○委員長(平林剛君)他に御質疑はございませんか。――他に御質疑もなければ、本法案に対する質疑は本日のところはこの程度にいたします。
#74
○委員長(平林剛君) 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。米田勲君。
#75
○米田勲君 ただいま議題になりましたことについて、私、先日いろいろ質問をいたしましたが、その後、文部省の関係の方から非常に熱心にいろいろな点について私の疑問としているところに説明していただいたわけで、相当、文部省側の考えもわかって参りました。しかし、私はもう一度、この委員会で私が疑問としている幾つかの点について明確にしていきたいと思うので、相当時間になると思いますけれども質問させていただきます。
 私はこの法案そのものはいろいろ問題がありますが、教育基本法の第二条にも、あらゆる機会、あらゆる場所において教育の目的が実現されなければならないといったようなことが規定されておりますし、第七条にも、勤労の場所その他社会において行なわれる教育に対して、国や地方公共団体が大いに奨励していかなければならぬというふうに基本法はうたっておりますので、企業の中その他のところにおいて技能教育が行なわれるということについては賛成なのであります。ただ問題は、その技能教育の行なわれている場所、それはこの法律の改正案全体をながめて見ると、決して法律にいう、学校教育法にいう学校ではない。その学校でない場所によって行なわれた教育、そこにおいて受けた学習、その学習が高等学校において教育を受け、学習をしたと同じように、履修の一部として、聞くところによると二分の一といったような相当分量の多い課程を履修したように認めるというところに多くの問題が将来発生するのではないかということ、そういう疑問が次々に起こって参りますので、その疑問をどのようにして排除することができるのか、難点を排除することができるのかという問題だと思います。私がこの間申しましたのは、高等学校長が、文部大臣の定めるところによって、技能教育を受けたその生徒たちの学習、教科の一部を履修したものと認めるという、そういう任務というか、責任を負わせるのであれば、当然その企業内なら企業内において行なわれている教育作用について、高等学校長の何らかの権限が、権限とまで言わなくても、指導助言が法律的に及ぶようにしておかなければ、文部省のこの間の答弁のように、特別な関係にあるのでとか、あるいは緊密な連絡を取るはずだからというような抽象的なことでは、この法改正によって非常に乱れていく状態が予想されるわけです。そこで、私はその点について文部省は、本法の中に高等学校長の権限なり、任務なり、あるいは指導助言なりの問題をうたわなかった理由は何なのか。うたわなくても、この技能教育、企業内等で行なわれる技能教育が誤りなく常に行なわれていくものかどうかというふうな点について、再度まとめて一ついろいろ御答弁が願いたいわけなんです。
#76
○政府委員(内藤誉三郎君) この点は大へんごもっともな御質問でございますが、実は、「前項の施設の指定に関し必要な事項は、政令で、これを定める。」というところで、政令の場合に相当きびしい条件を課しておるのでございます。入学資格は学校教育法四十七条に規定するものである。修業年限は三年以上、しかも年間の授業時数は千時間をこえるとか、教育内容は指導要領に合致したものを含む、その他いろいろと書いてございますが、特に教員につきましては、原則として高等学校の教員の普通免許状を有する者、またはこれと同等以上の者、こういうふうに、その他いろいろと施設設備につきましても、高等学校と同程度のものというような、きびしい、実は政令の基準を準備いたしておるのでございます。同時に、教育内容につきましては、ここにありますように、「校長は、文部大臣の定めるところにより、当該施設における学習を当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができる。」、これは校長の権限でございますから、どれを認めるか認めないかというようなことは校長が判断するわけでございます。そこで、御心配のように、全部認めるというようなことになりますと、これは大へん心配でございますが、事実上、ほんとうに高等学校教育と同程度のものをやったという認定が必要なんです。それは今度省令の中で規定をいたしたい。どういう科目についてまず認めるか。国民教育というようなものは、これは認める意思はございませんが、実験実習のようなものはこれは認めていきたい。それから内容は、あくまでも高等学校の学習指導要領の定めるところに合致している場合に限って認める。校長は生徒の技能教育施設における学習の課程を観察させるとともに、必要に応じ試験を課し、または報告書を提出させることができる、こういうような規定を置きまして、御心配のないようにしたいと思います。
 それから、先ほど半分というお話が出ましたが、これは私実は衆議院のときに三分の一程度と申しました。三分の一を限度にする。しかし、最高限二分の一程度くらいのことがあり得るということは申しましたけれども、今私どものいろいろ検討した結果、三分の一を限度にいたしたい。しかもその場合に、御指摘のような御心配のないように、場合によったら試験を課し、授業時数等の一切の報告を検討して、そして確実にこれが高等学校教育と同等であるという認定をした上で校長が認定させるようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。
#77
○米田勲君 私は今後、当委員会に提案をされる法案等について、ぜひ文部省側としても考えてもらいたいことがあるわけです。それはこういう法律案を出すと、直ちに起こってくる疑問があるわけです。その疑問は、あなた方の今の立場であると、省令や政令によってそれを定めようとしているわけです。その省令や政令の要綱や内容は全然われわれの前に見せられないで、ただ法案だけぽんと出して、趣旨説明をされて、そして審議をするということになると、これは非常にむだな時間が費されるのじゃないか。だから、当然本法にうたうべき――僕はそう思うのですが、本法にうたうべき問題があると思うのですが、もし本法にうたわないという特別な考え方に立つなら、当然起こってくる疑問点について、同時に資料として、政令の要綱とか、省令の要綱なりともあわせて提示して、問題点をわれわれの方で検討したとき、直ちに総合的に判断できるようにすることが大切なんでないか。われわれが本気になってたくさんの疑問点を持ってここへきてみると、何か省令や政令の方にその本体があるようにされたのでは、全く検討をするのに困るわけです。ぜひ、まあ将来の問題ですが、そういうふうに考慮してほしい。これはまあ要望です。
 そこで私は、文部大臣が技能教育のための施設を指定する場合には――いろいろ文部省の関係の課長あたりから話を詳細に聞きましたが、ずいぶん条件としてはこまかく規定する模様です。それがお話のように、こまかくきちっと、この趣旨説明の中にあるように、高等学校の設置基準以上のような条件を整備するということが指定の条件になるようですから、それはぜひそういうふうにしてもらわなければなりませんけれども、考えてもらわなければならぬことは、指定をするときに、条件が整備しておったからといって、そこにその後十年――まあ十数年ですね、継続して行なわれる教育作用が、絶えず高校教育に匹敵する技能教育が行なわれているはとわからないわけです。私はこの前も、それは物理的な、形式的な条件が整備しておったというに過ぎないのだ、こういう主張をしたというのは、そういう考えからです。ところが、私立学校法などを見ると、これは非常にきびしい条項があります。私立学校法の第五条の二号には、「法令の規定に違反したとき、法令の規定に基く所轄庁の命令に違反したとき、又は六月以上授業を行わなかったとき、その閉鎖を命ずる」といったような、非常に手きびしいものが法定されているわけです。ところが、この一度指定された授業内における訓練技能教育については、指定が取り消される条件は、法律のどこにもないわけです。そうすると、われわれの判断からすると、指定を受けるときには確かにきびしい政令、省令できめた条件は揃っておった。しかし、その後その条件が相当部分欠けていっても、なおかつその指定が取り消されるような法律にはなっておらない。また、指定をされて、そこで教育をされているが、相当期間いわゆる技能教育が行なわれていなくても、それは何ら私立学校のときのようなきびしい条件はないというようなことになると、これは私は非常に問題だと思うわけです。私立学校という、学校教育法にいう学校でさえも非常にきびしい、指定を取り消す、閉鎖をさせるという条件があるのに、これにはそういうものが全然本法にうたわれていないというのは不備なのではないかということも考えるのですが、どうですか。
#78
○政府委員(内藤誉三郎君) 大へんごもっともな御質問でございます。実は、先ほど申しました「前項の施設の指定に関し必要な事項は、政令で、これを定める。」、この政令案の要綱の中に、御指摘になったような、この指定の基準に合致しなかったような場合は文部大臣の指定を取り消すことができる、こういう規定を設けるつもりでございます。
#79
○米田勲君 それからお伺いしますが、先ほどの答弁の中にちょっと現われておりましたが、高等学校長は、申請されてきた教科の一部としてこれこれのことをやったから、履修したものとして認定してくれというおそらく報告書がくるのだと思いますが、そういうものが出てきても認定しないという権限はあるのですか。
#80
○政府委員(内藤誉三郎君) これは法案にもございますように、校長は教科の一部の履修とみなすことができるということでございますから、当然に全部をやるわけではございません。そこで、文部省令の定めるところによりまして、この点も明確にいたしまして、校長は生徒の技能教育施設における学習の課程を観察するとともに、必要に応じ試験を課し、または報告書を提出させることができるようにする、この条件に基づきまして、合致しなかったらこれを認めない、こういうことが当然にこの法律上できるものと解釈するのでございます。
#81
○米田勲君 私は本法の上に、高等学校長の権限なり、指導助言のことを法定しなかったということが問題だといって考えておるのは、実際の問題として、企業内から技能教育を受けましたといって申請が来た場合、これはどうも認定できないというようなことで拒否することは、非常にしづらい状態が起こってくるのじゃないか。これは税務署の関係、いろいろな仕事の関係などを見ても情実は働きます。だから、これだけ履習するのだといって持ってきたものを、指導助言あるいは監督権といったようなものが全然ない校長が、はたして、君のところから申請してきた二分の一はだめだとか、三分の一はだめだとか言って切り落とすことができるのか、自分の監督下にあるという法律上明らかな位置であれば、それは問題はないのじゃないか、それは非常にできづらいことだと、それから往々に思わしくないことが起こりやすい。企業者側からいうと、できるだけ履習を認める部分を大きくしてもらいたい。そうなってくると、何も相手は自分たちを監督したりする権限のない相手だから、何とかかんとかコネをつけて、そうして実際はそうではないのにそれを認めるというような結果にでもなったら、これは大へんなことになると思うわけです。そういうようなことはないようこしますと、おそらくないようにしなけりゃならぬというふうに答弁になると思いますが、私はそれは非常に問題だと思うのです。そういうことを考えるにつけても、本法の中にうたっておく方が誤りがないのではないかということを考えるのですが、いかがですか。
#82
○政府委員(内藤誉三郎君) もちろん本法の中に詳細に規定することも一つの方法ではございますけれども、法文の関係で、たとえば学校教育法でも卒業認定は校長の認定にしておりますので、そこまで一々しなかったわけでございます。ただ、定時制の生徒は生徒の面から見ますれば、これはあくまでも自分の学校の子供です。技能者養成施設の人間でもあるけれども、同時に自分の学校の子供だ。ですから、その子供がどの程度の学習をしておるかということは、これは試験をしてみればわかるわけです。必要があれば試験をして、そして最後に単位の履習をするわけでありますから。ただ、私どもの心配しているのは、同じような教育をやった場合に、二重負担になっては子供がかわいそうだというだけでございまして、技能者養成施設の方では、むしろこれに対しては企業者側では反対があるところもある。なぜかと申しますと、高等学校を卒業しますとほかへ行ってしまう、せっかく自分の技能者養成施設でやったものが、高等学校の資格をもらってどこでも行ってしまう、あるいは大学へ行ってしまうという点で、だいぶ御不満もあるようでございますが、私どもはぜひ子供の幸福を考えて、二重負担のないようにという、こういう趣旨でできておるわけでございます。
#83
○米田勲君 私の問題にしておる個所は、ほとんど省令と政令にまかせられておるので、法案の修正はしなくても問題が解決つくというのはこういうことです。申請をして来たものを認定をするというやり方でなしに、当然企業内で技能教育を受ければ、そのものにはプラスアルファに力がなっていると思います。だから、報告書を見てどういう教育をしたか、報告書を見て高等学校長独自の権限と立場でテストをするとか、高等学校長が出すテーマに対してレポートを出す、そういう点に私は高等学校長の課する試験とか、あるいはいろいろな才能がプラスアルファになった部分を認定をするために必要な措置を高等学校長にやらせるようにした方が的確にいくのじゃないか。そうなれば法律の上に高等学校長の権限がうたわれていなくても、実質的にそれがうまくいくのじゃないか。申請して来たものをテストするということが絶対の条件でないというようなことであれば、やはり普通の人間同士の関係であると、まあまあこれは認めよう、こうなってしまうので、そういうふうに政令や省令の中にうたうときには、した方がより弊害を除去できるのではないかという私の考えなんです。一歩譲って、本法を修正しないとすれば、そういう点でおきかえることはできないものかどうか。
#84
○政府委員(内藤誉三郎君) 御趣旨の点、ごもっともでございますので、校長がどういう様式の報告書をとるか。あるいは校長が試験を課するのなら課するというように、校長の方にイニシアチブを持たせたいと考えております。
#85
○米田勲君 そうすると、私は回りくどいことを言いましたが、私の言うように、独自の学校長の立場でテストその他のことをやって、しかる後、認定をするというふうにさせるんですか。それはテストしてもしなくても校長の任意だということにするんですか、どっちですか。
#86
○政府委員(内藤誉三郎君) 校長の権限にまかせます。
#87
○米田勲君 まかせる……。
#88
○政府委員(内藤誉三郎君) はい。
#89
○米田勲君 それではその次に、この間、私は資料を出してもらいたいというお願いをしたんですが、まだいただいておりませんが、その資料の中にいろいろ総合的に出してもらえるんだと思いますが、公共職業訓練所の技能教育は今回のこの法案の対象になるのか、ならないのか。
#90
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在のところはこれは対象にいたしておりません。
#91
○米田勲君 これは私はまあ法律との関係があるから、そういう立場をとったのかどうかわかりませんが、この改正法律案を出す基本的な立場というものは、働いている青少年ができるだけ高等学校の単位を習得するのに都合のよいようにはからってやろうというお気持が、いろいろ順序立てられてこうなってきたと思うのです。そうすると、この企業内における技能教育を指定して、そして単位をとるのに便宜を与えるという立場をとるなら、当然私は公共職業訓練所における技能教育についても、これは相当施設や設備の整った高度のものをやっているところもあるんですから、ここで受ける技能教育だけはこの法律の対象にしないという考え方は、私は片手落ちではないか。やるならどちらも同じような条件の生徒、学生なんですから、これは同時に対象にするようなことを考えるべきでないのか。
#92
○政府委員(内藤誉三郎君) 原則論としては私全く同感でございます。ただ、現在の公共職業訓練所は終業年限が一年でございますので、ちょっと該当しかねると思いますが、別にこれを除外している意味ではございません。高等学校と同程度の施設設備内容を持ったものであれば、公共職業訓練所のみならず、私は青年学級でもいいと考えております。
#93
○米田勲君 公共職業訓練所の課程が一年だ、僕は一年だからだめだというわけにいかぬと思うんですよ。一年であれば単位は少ないというだけであって、多いか少ないかの差であって、考え方としては一年なんだから除外するという、そういう理由にはならぬのですよ。一年間の履習であれば、技能教育であれば、その修得できると予想される単位が少なくなってくるというだけだ。ところが、これはこの法律がもうすでに出ているんですが、これは私は適用できない法律になっている、この本法案を。それで、私としては当然この公共職業訓練所に学ぶ技能教育を受けている青年に対しても、本法が適用できるように指定するということをすればできるはずなんだから、その場合には現行法を修正して、この学校教育法による学校教育との重複を避け云々となっている。この公共職業訓練所は学校教育と別個のものをやらなきゃならないようになっているわけです。だから技能教育ではあるが、それは学校教育の分野に入らないものをやっているということなんです、この法律は。だから学校教育外のことをやっていればこれは単位にならないわけです。ここのところを将来あわせて政府の方で法改正をして、そしてこの法律案がかりに通るとすれば、やはり企業内における指定された技能教育も、公共職業訓練所における技能教育によって受けた学習についても、平等に機会が与えられるようにすべきでないか、その点はどうですか。
#94
○政府委員(内藤誉三郎君) 御趣旨ごもっともでございますが、現在の職業訓練法は、今御指摘になりましたように、学校教育とは別だというふうに建前がなっておりますので、ちょっと今のところ私はむずかしいかと思います。お話のように、施設、設備、内容その他が高等学校に合致しておるならば、これは可能でございますので、今後必要な面につきましては労働省とも十分相談いたしまして検討さしていただきたいと思います。
#95
○米田勲君 この指定のときの条件が政令あるいは省令に載せられるわけですが、趣旨説明には、「施設、設備、教員組織、指導内容等が、高等学校と同等以上と認められるときには、」となって、これが条件になってるわけですね。そうすると、これは高等学校の設置基準以上だということに間違いありませんか、この指定される条件は。
#96
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま申し上げましたように、この通りでございます。
#97
○米田勲君 そうすると、その中の一つを特定してお聞きしますが、教員組織が高等学校設置基準以上の構成でなければならぬ、免許状の関係からも。そういうことですか。
#98
○政府委員(内藤誉三郎君) 御承知の通り、免許状の関係から申しますれば、当然、高等学校の教員資格免許状を持った者がなければいかぬと思っております。しかしまた、それと同程度の者があればいい。特に工業学校については、先般、免許法の改正をしていただきましたので、教職教諭でなくてもいいわけでございますから、私は今の大企業等におりますところの技師はほとんど適格者になり得ると思います。
#99
○米田勲君 内藤さんがそういうふうに答えるので、私は特に問題にするのですよ。これはどうなんですか、免許状の有資格者を指定されるこの技能教育施設に大体全体の何割以上置かせる考えですか。十人のうち一人しか免許状を持ったあたりまえの者はいない、あとは今あなたの言うような者ばかりだと。それでいいんだというようなことになると、きわめてルーズになりますよ。今の免許状の建前というのはきびしいんですからね。高等学校の設置基準以上だということをうたっておりながら、実際政令や省令の中にはその点がぼけておって、十人の教職員組織が必要なうちのたった一人しか有資格者がいない、あとはみなそれ以下だというようなことでは、私はちょっと相済まぬのでないか。だから、これは最低限度どれ以上考えていますか。
#100
○政府委員(内藤誉三郎君) 少なくとも半数以上は適格者でなければならぬと考えております。
#101
○米田勲君 それは、ここだけの答弁でなくて、そういう条件がぴしっと載りますね。
#102
○政府委員(内藤誉三郎君) 載せたいと思っております。
#103
○米田勲君 載せますと言ってもらわぬと、載せたいという希望的な観測では僕は困るんですね。なぜかというと、私、学識経験者に相当数人にわたっていろいろ意見を聞いてみたんです。そうすると、こういうことを言うんですね。これは企業内教育は確かに行なわれるようになるだろう。一番問題なのは、ここにおける教員組織だと。企業の中でほかの場所に置いとけば相当優秀である者は決してこの技能教育の場所に配置しないと言うんです。あっちであまり能力がない、悪く言うと、ちょうど使いものにならなくなってきたから、こっちの方に回せといって技能教育の方にくるというんです。だから、よほどそこの点はきびしくしておかないと、くずだけが集まってきて技能教育をやるという結果になりかねないぞというのが、数人の人に当たってみて意見の中に皆それが入っているんです。だから、その弊害を何としてもどこかで押えなきゃならぬ。それには、そうしたいと思うといったようなあいまいなことでなしに、絶対に五〇%以上は有資格者、免許状を持った者で構成しておらなければだめだという条件を規定すべきだ。そうしてまた、指定するときに、そういう組織であっても、その後やっておる教育の実態を調査してみて、実は指定を受けるときは有資格者のメンバーをそろえてあったが、その人たちは実際の技能教育には当たらないで別な職場に行っておって、実際やっているのは実習助手程度以上の者だけが集まってやっていると、こういうことになってきた場合には、きびしく取り締まれるようにやる考えがあるかどうか。そういうものは指定を取り消すというような文部省で措置にも出るような考えがあるかどうか。この点は非常に問題点でありますので、一つ明確にしておいていただきたい。
#104
○政府委員(内藤誉三郎君) 諸外国では、技能者養成施設につきましては、最もその会社の優秀な人間が後継者養成に当たり、また、一番りっぱな機械を使っていると聞いております。日本でも大きな会社で技能者養成に熱意を持っていらっしゃる所は、私もたびたび伺いましたけれども、大学出のすばらしいりっぱな方が担当しております。そこで、御心配はごもっともでございますから、その点は明確にいたしまして、有資格者二分の一、少なくとも二分の一は有資格者にするというような規定を省令または政令の中に設けたい。その基準に違反した場合は、これは取り消したいと思っております。
#105
○米田勲君 きょうはまだあとにいろいろ審議をしなければならない法案も準備されておって、さっき委員長の方から一定の時間が来たら中断してくれという、たっての要求があるわけで、まだ始めるとだいぶ時間がかかるようですから、委員長のたっての要求なので、私の質問は後日できるだけ早い時期に残りの分をやらしてもらうことにして、きょうはここで自発的に中止をいたします。
#106
○矢嶋三義君 私は、米田委員に引き続いて学校教育法等の一部を改正する法律案の質問を若干いたしておきたいと思います。
 この法案は、通信制の課程を整備確立した点とか、あるいは通信制の広域通信制の制度を整備するとか、あるいは幼稚部、高等部の盲学校、聾学校または養護学校の設置を認める等々、非常に前進した姿が盛られている点はけっこうだと思います。ただ、米田委員から前回並びに本日指摘されましたように、企業内の訓練の一部を学校で教育したものと認定するということですが、考え方としては勤労青年教育にとって非常にいいアイデアだと思うんですね。しかし、ただ、日本の今の現状から、学校で教育を受けることを逃避して、そうして企業内において、失礼だけれども、いいかげんな教育訓練をやって、これを教科の一部の履修とみなすということになっては、今の学校教育体系を乱すことになるので、その運用に非常に問題があると思うのです。これは一部の履修とみなす側にも問題がありましょうし、ことに企業家の良識に待つ点が多いと思うので、その点、米田委員の指摘するところはごもっともだと思う。この点については、私からもあらためて、この法案を提出した政府側としてはいささかも危惧の念を持っていないのか、それとも、かりにこの法案が成立した後には運用についてはかくかくの点に十分配慮しなければならぬという前提をも含めてこういう条章をうたわれたのか、その辺のところを承っておきたいと思います。
#107
○政府委員(内藤誉三郎君) 御承知の通り西ドイツやイギリスでは、満十七、八まで一週間に一日のパート・タイムの義務制を課しておるわけです。その場合に産業界と学校とが緊密な連絡をとってやっておる、日本では全部の生徒を、全日制の高等学校を義務制にするところまで参りません。できるだけ修学の機会を与えたいというのでございまして、いろいろ私も地方の技能者施設を見ましたけれども、現在の高等学校よりはるかにりっぱな施設、設備、教育施設等の整備されたのがたくさんございますので、御指摘のような不安のないように、指定に当たりましては特に文部大臣が指定しますのはそういう意味でございまして、いいかげんなものが指定をされるというようなことのないように厳重に指定を行ない、先ほど米田委員の御心配になった点は、十分省令、政令の中でこれを解決いたしまして、高等学校の定時制通信教育の振興に一そうの寄与をしていきたい、こういう気持でございます。
#108
○矢嶋三義君 その着眼と心がけは非常にけっこうですが、はたしてそのようにうまくいくかどうかという点について私も若干の危惧を持っておるということを申し上げておきます。この通信教育に教育手段として最近ラジオ、テレビが普及利用されるようになったわけですが、そこで私は教育テレビについてちょっと伺いたいと思います。各国とも教育テレビを教育手段として活用するということは非常に盛んになってきているようですが、日本でも第三年度に入っているかと思うのですが、日本の教育テレビというのは小学校中心でやっているのか、中学校中心でやっているのか、外国のを調べてみますと、国によると小学校中心でやっている所もあれば、中学中心でやっている所もありますが、私ときどき教育テレビを見ておって、いずれに重点を置いているのか、小学校の方が中心でやっているのかなと思うのですが、文部省としてはどういう立場をとっておられるのか、承りたいと思います。
#109
○政府委員(内藤誉三郎君) NHKの第二テレビにおきましては、小学校を中心に中学校、高等学校についてもやっているわけでございます。小中の方は主として大体午後の二時か三時ごろまでであります。高等学校は大部分これは夜の番組に入っておりまして、現在NHKがやっております通信教育は英語と数学、化学、生物を三十分ずつやっております。それから文部省がスポンサーになって、これは予算でたしか千八百万ほど計上しておりましたが、NETを使いまして機械と物理、この二科目を大体日曜日にスクーリングで通信教育の子供たちが学校へ集まりまして二十分ほど九時前後にやることにいたしておるわけでございます。普通の講義録だけではなかなか修得できませんので、テレビによってそれを補いますと教育効果が非常に上がりますので、今後もNHKにも十分これを拡大するように今お話をしておりますし、また、政府の方もできるだけ範囲を拡大して参りたいと考えておるのでございます。
#110
○矢嶋三義君 定時制通信教育を論ずる場合には、どうしてもこのラジオ、テレビの問題に関心を払わざるを得ないのですが、大臣に伺いますが、山村僻地になればなるほど、教育の機会均等の立場から、そういう視聴率を高めるように努力しなくちゃならぬと思うのです。ところがチャンネルの都合等もあって、大都市周辺の方々が視聴できて、必要なへんぴな所の生徒児童がこの恩恵にあずかれないということは非常な私は盲点だと思うのですね。これらの点については教育の機会均等の原則にのっとって、政府はNHKに対しましても、あるいは民放に対しましても相当巨額の助成をして、そうしてあまねく全国の生徒児童諸君が視聴できるようにやるべきだと思うのです。教育手段として視聴覚に訴えてやるテレビ、ラジオ、こういうものを利用するというのはこれは世界の一つの趨勢、方向づけですからね。そういうものに立ちおくれてはならないという私は考えを持っているのですが、大臣の御所見いかがでございましょうか。
#111
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点は私も同感でございます。現在、日本でテレビ放送局あるいはラジオにいたしましても、そのネットは世界でも有数な程度まできておると存じますが、さらに中継局等も順次整備されつつありますので、いよいよもってこの面は視聴覚の放送側の施設は世界第一流並みだと私は思います。それを教育の場に利用する場合の聴視施設、または施設に応じての計画的な教育の充実ということには、まだ努力の余地がうんとあると承知いたしております。三十六年度予算にも、金額はわずかでございましていかがかと思いますが、今おっしゃったようなことを念頭においていささかの努力をいたしたつもりでございますが、せっかくの放送施設が世界一流国並みである、場合によってはそれ以上かもしれないものを立ちぐされにするような状態は遺憾千万でありますから、もっともっと努力をしたいと思います。
#112
○矢嶋三義君 内藤局長に伺いますが、私は日本の教育テレビ放送で比較的欠けている点は、優秀なりっぱなテキストが少ないということだと思うのですね。この感を深くいたします。これはその予算の関係もあろうかと思うのですけれども、安くてりっぱなテキストができるような方途はないものか、御研究なさっておられるかどうかということと、それから先ほど承りますと、最近NHKにしても、あるいは教育テレビにいたしましても、民法の方でも科学技術方面の放送を最近取り上げつつあるようですが、科学技術教育の施設設備が特に僻地において不十分なわが国の実態から考える場合、テレビを利用しての科学技術教育方面に力こぶを入れるということは、私は一つの方向でなくちゃならぬと思うのですが、非常に私は努力をされているということは認めますが、大体その方向づけはされていると思いますけれども、需要に対して不十分だと思うのですがね。これらに対してはどういう御見解を持たれ、今後いかようにされようとされているのか、局長から承りたい。
#113
○政府委員(内藤誉三郎君) 高等学校の通信教育につきましては、文部省でテキスト、学習指導書を編さんいたしまして、これはいたしております。ただ小中学校につきましては、NHKがラジオのテキストを出しておりますことは御承知の通りでございます。そこで山村僻地の場合には、まず電源を開発しなきゃなりませんので、農林省の電気導入計画と、文部省の電源装置の整備計画と、両方の線から電源の開発を行なっておりまして、ラジオにつきましてはほとんど整備されたと思っております。ただテレビにつきましては、本年も四百台のテレビ受像機の補助金も出しておりますので、なるべく早く整備いたしまして御期待に沿いたいと思っております。
#114
○矢嶋三義君 私は多くは見ていないんだけれども、たとえば英国の教育テレビのテキストなんかすばらしいものだと思うのですね。日本も若干は作りつつあるけれども、あの水準に比べるとまだまだ改善しなけりゃならぬ点が非常に多いと思います。数が少ないですから価格が高くなるということもあるのかと思いますがね。何かスポンサーになると申しますか、助成をするというか、そういう方法は考えられないものか、そういう例は他国にはないのか、その点は私つまびらかにしていないのですが、局長から伺いたいと思います。
#115
○政府委員(内藤誉三郎君) 御指摘の点につきましては、どうも私どもも調査が不十分でございますので、今後十分検討いたしまして、NHKと積極的一に協力するなり、あるいは文部省でテキストを作るなり、現在は通信教育だけやっておりますけれども、この点につきましてもあわせて検討させていただきたいと思います。
#116
○矢嶋三義君 時間がありませんから、私はきょうは教科書、教材費にしぼってだけで質問を終わりたいと思いますが、先般御提出を願いました資料がここに出ております。その第四に、「通信教育の教材費について」という書き出しで、生徒は年間教科書代平均三百九十円、学習書代平均五百七十円、計九百六十円程度である、この九百六十円は生徒は年平均三科目を履修するので、その三科目分の教材費であると書かれておりますが、これはいかようにして集計されたものでございますか。
#117
○政府委員(内藤誉三郎君) これは実績から見たものでございまして、このほかに授業料があるわけです。大体一科目二百五十円の授業料が別にあります。
#118
○矢嶋三義君 これらの教科書、学習書というものは全部検定を必要とされるわけですか、いかがですか。
#119
○政府委員(内藤誉三郎君) 教科書は全部検定でございます。学習書は文部省で編さんいたしております。
#120
○矢嶋三義君 文部省編さん以外の学習書というものは使われておりませんか、いかがですか。
#121
○政府委員(内藤誉三郎君) 若干あるように聞いております。通信教育連合会でやっている分がございますが、だんだんと文部省でやるようにしたいと思っております。
#122
○矢嶋三義君 そこで生徒児童の使う教材の編集発行の基本方針について、文部大臣に伺っておきたいと思います。それは最近たとえばワーク・ブックですね、こういうものを教育委員会あるいは学校長会でこれを編集発行して、半ば強制的に各学校に採用させるという傾向がありますが、こういう傾向というものは官制ワーク・ブックになるわけで好ましくないと思うのですが、御所見いかがですか。
#123
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっとその事実、内容を存じませんので明確にお答えはできませんけれども、問題は学校長会なり教育委員会の良識いかんの問題であろうと思います。ワーク・ブック等も適切な有効なものは使ってよろしいという建前になっておろうかと承知いたしますが、いずれにしましても詳しくはわかりませんので、明確なお答えは困難でございます。
#124
○矢嶋三義君 内藤政府委員、御答弁いただきたいと思います。
#125
○政府委員(内藤誉三郎君) 大臣がただいまお答えいたしましたように、校長会が編さんするとか、あるいは教育団体が編さんするなりいろいろあろうかと思います。必要なワーク・ブックでございますれば、これは当然、教育委員会の届出または承認にかかるものも中にはございます。特に副読本に類するようなものは、教育委員会の承認または届出になっているわけであります。しかし、一般的にこれを子供に強制させることはいかがかと思うのでございます、教科書でございませんから。
#126
○矢嶋三義君 私は最近関心を持っている具体的な事例がありますので、具体的に示して所見を承っておきたいのですが、香川県で起こった問題ですが、従来、先生方の研究団体で、自主的に香川県の地域に適合したワーク・ブックを自主編さん発行して、これを小中学校が自由意思のもとに採用しておったのを、昨年から、実質は教育委員会が編集をし、表面には学校長会というものが出て、そうして編集発行して学校長さんが各学校に売り込みに回られる、そうして先生方の自主的な団体が発行しているワーク・ブックと過当競争して、一方の発行を不能ならしめるという、こういう事態が起こっているわけです。しかも当初、学校長さんは出張旅費をもとって・そうしてワーク・ブックの販売に回っておった。それを追及されて出張旅費をとることはやめられたそうですが、しかし、自分の職場を離れて、学校長会の方で発行しているワーク・ブックを各学校に採用させるべく販売運動をするという、こういう実態というものは、私は官製ワーク・ブックで、あらゆる面から見ても好ましくないと思うのですが、内藤初中局長の御意見はいかがですか。
#127
○政府委員(内藤誉三郎君) 校長さんたちがおやりなったものがどういうものか私も知りませんけれども、あくまでも指導要領に準拠したものでなければ内容はならぬと思います。しかも、同時に子供に使わせるものでございますから、きわめて低廉であることが必要と思うのです。そういう点から考えまして、適切なものは使うことは私差しつかえないんじゃなかろうか。ただ、校長が出張旅費まで出してこれを勧誘するというのは、これはもってのほかだと思います。
#128
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、ワーク・ブックという、そういう種類のものは、採用する場合に都道府県委員会に届け出ればいいわけですがね。従って、A県ならA県、B県ならB県で実際に子供を扱っておられる先生方が、うちの地域社会――自分の扱っている子供にはかような内容のものがよろしいという見解のもとに、自主的に責任をもって編さん、発行して、これを子供に使わせるということは、これは民主教育進展のために非常に望ましいことだと思うのですが、基本的なあり方として文部大臣はどうお考えになられますか。お伺いしたいのです。
#129
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 義務教育に関します限りは、指導要領に合致しておる限りは望ましいことと思います。
#130
○矢嶋三義君 これで終わりますが、先ほど申し上げたように、看板をいかように塗りかえようが、実質は教育委員会でこれをやられて、そうして任免権を持っていらっしゃる教育委員会が学校長さんを動かして、いわば一つの行政機構ですかね、そういうルートを通じて、そうしてある特定のワーク・ブックを半強制的に採用させるというようなあり方というものは……内藤局長何話しているのです、二人でにこにこ笑いながら。そういう不規則発言はいけません。そういうことは好ましくないと思うのですがね、基本的なあり方として、原則としてあまりよくないと思うのですよ。そういうことでなくて、教育委員会なら教育委員会、学校長は学校長としてなすべきことがあると思うのですがね。正常にして健全なる民意を妨げることにも相なると思う。また、必要以上にその教材が画一化されるおそれも出て参りますので、私は原則的にそういう見解を持っていますが、大臣もおそらく御同惑だと思いますが、御見解伺いたいと思います。
#131
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 問題は、もののよしあしだろうと思います。また強制するようなことがあればもってのほかであることは政府委員から申し上げた通りと心得ます。
#132
○矢嶋三義君 きょうはこの程度でやめておきます。
#133
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は本日のところこの程度といたします。
   ――――――――――
#134
○委員長(平林剛君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の通告がありますので、この際発言を許します。
#135
○豊瀬禎一君 ただいま議題となりました法律案、さらに前回通過いたしました工業教員の養成の方法並びに本日も審議を続けております学校教育法等いわゆる企業内訓練を単位と認めるこれらの諸法案を通覧してみまするに、これを貫く一つの筋があると思うのですが、大臣の提案理由あるいは諸委員の質問に対しまして私が把握いたしておりますのは、現在の科学技術者の必要上、世論ないしは時代の要求にこたえるものである、こういう趣旨のものが述べられておりますけれども、私どもが以上あげました諸法案について、特に本法案につきまして最も関心を持っておりますのは、いわゆる現行の学校教育諸制度の体制をくずし、企業の要請との藉口のもとに、安価な技術者の養成をはかろうとしていることは、たとえば工業教員に必要な教職課程の減免をはかってみたり、あるいは先ほどの米田委員の質問でもわかりますように、全く学校教育法の適用を受けない者に省令、政令等によって単位を与えていくといったような措置を考えてみても明らかなところであります。私どもは、科学技術者の養成という問題につきましては、積極的に推進すべき基本態度であるとは考えておりますけれども、いわゆる教育というものが単に技術屋を養成するということでなくして、人間形成の最も基本的な要素を抜きにしては、これはもはや教育ではない。こういう角度に立ちまして質問を行ないたいと思います。
 まず、具体的な質問に入ります際に、文部省から出しました資料について確認が違っておりますと困りますので、一応お話しておきたいと思いますが、工業関係の諸学校の数並びに収容数等をあげました資料によりますと、いわゆる四年制の大学機関では約十万人、全大学の収容人員五十万、さらに短大では約一万程度、工業関係等の国公私立等の工業関係の学校に収容されておる生徒は約二十八万、こういうふうに資料を概算したのですが、聞違いないと判断していいでしょうか。
#136
○政府委員(小林行雄君) 豊瀬委員のお尋ねの数字でございますが、全体数で申しますと、国立大学で御承知のように工学関係の学部を持っているものの学校数が四十一大学でございまして、その収容の定員が四万九千人、それから短期大学、これは昼間、夜間のものがあるわけでございますが、集計いたしますと、昼間のものが千二百でございまして、夜間のものが三千五百四十、あわせて四千七百四十、それから私立の大学、短期大学でございますが、大学につきましては四年制の大学は二十三大学でございまして、その収容定員は、これは実数と多少かけ離れているかもしれませんが、収容定員から申しますと四万五千五百十二、それから短期大学の方は十五大学でございまして、その定員が四千二百、かような数字になっておるわけでございます。
#137
○豊瀬禎一君 私の質問した資料のまとめ方と違って個々の資料の説明があったようですが、まあ一応おくとして問題を進めたいと思います。現在、以上のような工業関係の学生並びに生徒が四年制国公私立の大学あるいは短大工業等で養成を受けているわけです。ここで科学技術者の養成という角度に立って考えますると、私どもとしては現在の科学の進展に対応する教育としては、いわゆる高等学校等の期間における教育と、大学以上、特に大学院等における養成に重点を置くことが大切ではないかと思います。なぜなれば、中教審の答申その他日本学術会議の諸議論の中にもありますように、科学技術者の養成につきましては、いわゆる基礎学力の授与ということ、これが非常に重要視されている。単に今使っておる機械に即応するテクニシャンということでなしに、将来刻々に変転する科学の進展に対応して基礎的な学力を深く持たせておくということ、しかも、現在のような宇宙時代に対応するためには、短大というよりも大学や特に大学院等の収容数を増大し、これに諸外国――先進国に劣らないような十分の設備を行なっていく、このことなくして中間の養成機関を幾ら増加しても、これは今日、今の機械に対しては、あるいは科学の進展に対しては対応できても、明日の進歩の時代にはその技術が役に立たなくなるために、基礎学力の不足という点から再び教育をやり直すという必要に迫られてくると思う、この点に対しまして文部大臣はどういう見解を持っておられますか。
#138
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大学なり、あるいは大学院を卒業したような科学技術者が特に必要であり、また重点が教育面では置かるべきだというお説であったと思いますが、その点は私も同感でございます。と同時に、中学の技術科課程だけで社会に出ざるを得ない人もおり、また、その程度以上には進み得ない人もおります。また、工業高等学校につきましても同断であると思います。ですから科学技術を目ざす者がすべて大学、大学院を出てくれればけっこうでございますが、現実はそうは参らない、経済的理由によって能力がありながら、適性がありながら行けないという面については、むろん育英奨学の徹底を期することによって本人の能力を展開させていく課題が別途ございましょうが、しかし、その人の適性能力あるいは家庭条件等においてやむを得ざる人がたくさんおりますから、いろいろな教育施設を通じて社会の求めにも応じ、本人の生活の安定も念頭におきながら教育が行なわれる、その必要性もまた非常に重要な点であろうと思うのであります。そういう意味で、原則的な見当としては御指摘の通りだろうとは思いますが、面からいいますると、いろいろな教育施設が必要であろう、かように思っております。
#139
○豊瀬禎一君 まさか文教の府の総責任者の荒木大臣が、現実主義者あるいは現実妥協的な政策者であろうとは思いませんけれども、たとえば家庭の事情で行けないとか、あるいは現在青少年が高専等の課程程度でよろしいという希望の者は別問題として、日本の科学を振興するそのために科学教育をどうするか、科学技術者の養成をいかなる方法で達成していくかという、いわゆる高度の政策については別個の角度から、現在の科学進展の立場から当然考えてこられなければならないと思います。昔であれば、宝蔵院のやりの修行をしておればそれで大名にもなれたし、一生それで食っていけた、旋盤の扱いを習っておれば、それで一生とにかく職業として成り立っていく、しかし、それはその人の個人生活の必要上からの目的達成ということであって、先ほど申し上げましたように、日本の科学をどう進展させるか、科学技術者をどう養成するかということは、もっと別な大きな方針に基づき、少なくとも大学院においては、たとえば原子力方面のものは十万人要るとか、あるいは微粒子関係にはこれこれの人間を養成する、そうして日本の科学をここまで十年のうちには進展させていくという高度の政策がなければならないと思うのです。私は学制の改変を原則的に無条件に反対するものではありません。これらの基本方針が確立されて、それを達成するための一つの手段と方法が明確に打ち出されておれば、決して単純な反対をするものではないのですが、今の大臣の答弁を聞きますと、どうも不安でならないんですが、少なくとも文部省、文部大臣には、今言いましたように今後十年間の科学を進展させていくためには、たとえば十年間と区切ってみると、大学院のこれこれの履修課程にはこれだけの人間が要る、大学ではこれだけ要る、こういう方針がなければならない、その案を示していただきたいと思うのです。
#140
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原子力科学その他専門的な分野がどんなものがあるか、それは私もよくわかりませんけれども、とにかく現在のトップ・レベルの科学的課題、あるいは将来学者の中の頭の中で考えておられるであろうところの新分野について、そういう方面の教育ないしは研究をなす場において、これを通じてどのくらいのものが養成されねばならぬという計画は文部省には持ちません。おそらく科学技術庁といえども持たないと思います。一応ありますことは、科学技術会議の十年後を見通した答申によって示唆されるもの、あるいは日本学術会議等で論議されるような課題であろうかと思いますが、そういうことは文部省自体としては、今日のところ少なくとも不可能であり、文部省自体も従って仰せのようなものは持たないと、残念ながら申し上げざるを得ないと思います。現実は大学院を置く大学を初めとしまして、大学みずからが新たな分野を考えて、目標を定めて、文部省と連絡をしながら予算措置を講ずべきものは講ずる、立法措置を必要とするものはその措置をするというやり方で今日まできておると思いますが、今後一応考え得る将来につきましても、やはりそういうやり方でいかざるを得ないのが日本の現状ではなかろうか、こう思っております。
#141
○豊瀬禎一君 そうすると、大臣の考えでは、たとえば国立大学等が自主的にこういう学問の分野が必要であり、あるいはこれだけの人間を養成すべきであるという見解に立って、それぞれに予算を要求しておるということになりますと、大学の自主性ということからいうと、そのこともむべないことではありませんけれども、国全体の高度の科学者、あるいは科学技術者の養成という大方針の柱が立たないでいるということですね。それで、科学技術者の養成を、中堅技術者は当面高専でやります。教員が足らぬから、免許法は緩和して、インスタント教師を作ります。こういう何と言いますか、個々の、分裂した文教政策を進めていることに非常に大きな問題があると思う。少なくとも大臣は、大臣自身の頭にあるかどうか、あるいはそれはその能力があるかどうかという問題ではなくて、中教審にしろ、日本学術会議にしろ、必要があればもっと広く諸学者等に対して、三年なら三年、二カ年間なら二カ年の研究課題を与えて、こういう問題について十分の討議と、文教の科学技術者養成の基本政策を立案した後に、こういう学校教育制度の改変というものを当然出すべきであるし、その措置がなされなくてこの措置をとるというのは、非常に兎糞的というか、文教政策の一貫性がない、こういう判断に立たざるを得ないと思いますが、どうお考えですか。
#142
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどのお尋ねは、世界のトップに立つであろうような構想のもとに、科学技術面の研究を中心に、何かそこに考えありやという御質問の趣旨かと心得まして、お答えをしたわけであります。もしそういう趣旨の御質問であれば、現実の問題として、大学院を置く大学を初めとして、日本のトップに位する第一流の学者が研究しつつ、構想を抱くものに期待する以外には方法はないと私は思います。そういう意味で、大学からの申し出に応じて、その新たなる分野を開拓していくための必要な措置を講ずることが、まさに一つの文教政策の一面であろうと思います。同時に、教育と申しましても、結局は青少年のためのものであるはずであります。青少年に対しまして、その能力、特性、あるいは諸般の条件に応じて、その条件に合致するような教育の場を提供するということが、重大なる教育政策の基本目標でなければならぬことも否定できないと思うのであります。そういう基本線に立って、企業の要求とか、産業界の要請とか、表現はどうありましょうとも、それが日本の社会であり、その社会が要請しないものを養成することも、また誤りであるとも指摘されるわけでございまして、そういう必要性に応ずる措置を講ずるという意味においては、私は一貫したものの考え方であると考えております。
#143
○豊瀬禎一君 それでは大臣にお尋ねしますが、大臣の考え方は、科学教育ないしは科学技術者の養成という角度に限定をして、必要数を設定し、それを政策として掲げて養成していくということと、個人の希望によってそれを受け入れる態勢をとっていく、すなわち国民個々の希望に基づく自動的な政策立案の方が正しい、このいずれの方に重点を置いて現在文教政策を進めるつもりですか。
#144
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 根本は、青少年の希望、能力、また一人々々の与えられた条件に応じて進学していける教育の場を与えることが第一義だと思います。同時にまた、そのことは現実社会の要請にもマッチすることがあわせ要請されると思うのでありまして、同時に両面のことを考え、本則がいずれかというならば、それぞれの青少年の能力を自主的に伸ばしていける場を作るということになると思います。
#145
○豊瀬禎一君 個々人の希望に応じて自動的な受け入れ態勢を作っていくという角度に重点をおくというリベラルな考え方も、一応、文教政策の理論としては成り立つと思います。それならば、現在の日本の憲法ないしは教育基本法の中で、義務教育諸学校は別にして、希望によって、ないしは選定によって、選抜によって入学するという教育諸機関に対して、たとえば中学校卒業の数を百万なら百万、二百万なら二百万と推定すると、これらの進学希望を聴取することは、文部省が学力調査等をやっている実績から考えて、まことに容易な方策で、これの措置に対して、現在まで中学、義務教育修了者に対して、将来選ぶべき進学方向についての調査の資料を出していただきたい。
#146
○政府委員(小林行雄君) ただいまの豊瀬委員のお尋ねのようなことは、御承知だと思いますが、初等中等局の方で所管をしておりますので、初等中等局の方と連絡をいたしまして、資料を御提出するようにいたしたいと思います。
#147
○豊瀬禎一君 それでけっこうですが、大学局長にお尋ねしますが、その調査は、なるほど義務教育の関係ですから内藤君の所管でしょう。しかし、ただいまの大臣の基本政策を根底とすると、大学局としては、内藤君のところで調査した資料に基づいて工業高校希望者はどれだけある、商業希望者はどれだけある、また、かりに高専的なものの希望者がこれだけある、短大希望者がこれだけある、こういう中学卒業者の総数に対する希望総数の調査をすることがなくては、大臣の政策は全く口頭禅と判断するのですが、大学局長の方は、調査の方は内藤君の所管であるが、その資料に基づいてやるという大臣の答弁は、あなたの資料に当然あるべきだと思いますから、局長の方もそれを答えて下さい。
#148
○政府委員(小林行雄君) 私の方で今までのそういったものを把握いたしておりません。大臣からお答え申しましたように、もちろん進学関係は個人の希望に基づき、青少年の希望に基づいて当然行なわれるものでありますから、その制度の改定に従って作られるわけでありますから、もちろん社会的な要請と、国家的な要請ということも十分考え合わせて教育機関のたとえば数なり、あるいは制度なりというものを合わせて考えなければいかぬものだと考えております。
#149
○豊瀬禎一君 たとえば私が最初数を確認したように、国公私立の高等学校に収容されておる者が約二十八万四千ですね。局長聞いていますか、答弁される際には資料の打合わせの時間は与えますから、今すぐ答えなさいというようなやぼなことは言いませんから、質問しているときには聞いておいて下さい。二十八万四千の工業関係の卒業数ですね、あなたの資料では。これらの卒業数は大体三で割れば出てくると思いますが、これらに対して、大学については、高等学校以上の教育機関に対しては、どういう希望状況であるかという資料の把握はありますか。
#150
○政府委員(小林行雄君) 大へん失礼でございますが、ちょっと御質問の趣旨を把握しかねましたので、まことに恐縮でございますが、再度お尋ねをいただきたいと思うのでございます。
#151
○豊瀬禎一君 こういうことです。大学局長と大臣の答弁は、基本的な観念について明らかに相違がありますが、これはあとでただしていきますが、大臣の答えられたのは、私は一つは、国の要請という言葉は非常にいやな言葉ですけれども、たとえば文教政策を進めていくには、高度の科学者ないしは科学技術者を、少なくとも今の科学の進展に即応して国の発展を期するとすると、大学院ではこれだけのものを収容して、これだけのものを世に送り出す必要がある、こういう一つの政策に重点を置くか、それとも個々人の希望を充足さしていくという国民の個人的希望の充実、自動的な態勢の中に教育諸機関の充実をはかっていくか、この二つの質問に対して、大臣は後者であると、こうおっしゃる。これも非常にリベラルな考え方で、個々人の希望通りのものが受け入れられるような態勢にしていくこともいい方法の一つです。それならば、かりに高校卒業生はもっとおりますけれども、高等学校の工業関係の国公私立の収用数二十八万四千、この中から毎年三分の一程度の卒業生が出てくる。高等学校の卒業者でそれ以上の進学を希望するものに対して、それぞれの希望の調査をした資料があるはずだから、大臣の答弁から言うとあるはずだから、その数字を出しなさい、こういうたとえば工業関係のものが毎年卒業することになる九万人の希望は、各関係で商業関係がこれだけとか、工業短大がこれだけとか、そういう希望があるはずですが、それの資料を説明しなさいと、こう言っているのです。おわかりでしょう。
#152
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お尋ねじゃなかったのですけれども、補足さしていただきますが、科学技術の最高限を念頭に置いて教育の場を考えれば、大学院を考えざるを得ないと思います。ですから、本人の特性、能力が研究に適するという人は、大学院に収容しなければその希望は達成せられないと思います。しかしながら、応用の能力はある、しかし、湯川秀樹さんのような、研究の結果として新たな分野を開拓するような特性は持っていないというものが頭数が多いと思います。そういう意味では大学ないしは短期大学、あるいはまた御審議願っている高等専門学校というものが、その思いを伸べる教育の場であろうと思います。そういうことを念頭に置きながら、本人の特性、能力、条件等に応ずる教育の場を提供することが、教育政策の一つの基本線でなければならないと思います。かように申し上げたわけであります。社会の要請、あるいは企業体の要請と、もろもろの言葉で表現はされますけれども、それは結局、学校を卒業した者が社会人として生きて行くのに、何が幸福か、恵まれるかいなかという角度からの現実問題でありまして、それもまた教育政策を念頭におきます場合、当然考えねばならないことだと考えます。しからば、どっちに重点というか、原則的な立場をいずれにとるかというならば、むしろ現実の必要性というのは第二の段階の課題であって、第一には本人の特性、能力に応じて教育の場が与えられることが第一義的に考えられるであろう、こういう意味で申し上げたのでありまして、この高等専門学校にどれだけの希望者があったかということも答えろという仰せには、ちょっと政府委員としても答える材料はなかろうかと思うのであります。新しい制度を創設しようということでございますから、想像して申し上げることは可能でありましても、資料というものは御提出申し上げることは困難じゃなかろうかと思います。
#153
○政府委員(小林行雄君) ただいま具体的な数字を私持っておりませんが、おそらく、まあお尋ねの御趣旨に近いようなものが関係の局の方にある程度整備されておると思いますので、それを取り調べて御提出申し上げたいと思います。
#154
○豊瀬禎一君 大臣の補足答弁はきわめて政策的に言うと分裂をしております。なるほど御答弁の中に、個々人の希望を達成して、これも私は何度も申し上げておるようにいいことです。それから実社会の要請その他に応じてやっていく、第一義、第二義の問題も大した問題ではない。しかし、一つの教育機関を設置する、その際の重点が、たとえば四年制大学を卒業した工業系の卒業生が、今の日本の科学進展に十万要るという判断に立って養成機関の設置をはかるか。あるいは高等学校卒業者の希望が四年制大学の工業関係にはこれだけ行きたい。商業関係にはこれだけ行きたい、こういう希望を主にして、その資料を踏まえた後にどれだけの学校を作っていくか。これはおのずからスタンド・ポイントが異なってくる。だから、いずれの場合の計画も私は必要だと思うのです。また、いずれの場合の資料も両方とも必要だ。しかし、第一義とおっしゃるならば、当然、高校卒業生が、あるいは中学卒業生が――私は高専の人数のことを言いなさいと言っているのではない。これからできるのだから希望者はないのです。で、高等学校卒業生がどの種の短大に、どの種の四年制大学に、また本人の希望としては大学院まで、とれがたとえば二十万あるとして、家庭の事情、経済等でどうしても短大でがまんしなければならないけれども、本人の希望が四年制に行きたいという場合には、育英会法等の改正によって、国がどれだけ保障していって高度の科学者を確保していく。この大綱がなければ、国の文教政策の担当者としては、私が冒頭に指摘したようにきわめて部分的な政策にならざるを得ない。私ども野党側でさえも、私は文化教育政策委員会の事務局長をしているのですが、いろいろな学者に聞いて、一つには社会の課題にこたえるため、一つは本人の希望を達成していくためには、たとえば高等学校がどの程度要るか、四年制の大学がどのくらい要るかということも研究をしているのですよ。ましてや大臣の方で、あなたの頭では作り出せないのはだめだと言うのじゃない。必要があれば、二年なり三年なり、それらのいろいろな専門機関に委嘱をして、研究させることも決して至難なことではない。いずれの場合の資料も踏まえて、だから、今度たとえば高等工業専門学校が必要なんだ、その中には収容生徒は五万なんだ、これを中堅技術者として世の中に送り出すことによって一応こういう科学の進展をはかりたいのだ、との政策なくして文部大臣は何をしているのですか。従来通りの踏襲をしていくのならば別です。しかし、工業教員の養成に対しても先ほど指摘した異例の措置をとっている。そうして次善の策である、こういう答弁をしておる、こういうことではだめですよ。だからその政策――試案でもよろしい、あなたの構想、あるいはほかに中教審、日本学術会議等について意見を徴されたことがあるなら、構想を出しなさい、こう言っておるのです。
#155
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今のお尋ねの点でございますと、所得倍増にからんでの問題として出てきたわけですけれども、今後十年間に大学卒業程度の技術者が十七万人必要であろうということが科学技術会議の答申によって指摘されております。それに対しまして、現在の理工系統の科学技術養成の大学教員によって供給をされるものでは足りませんので、今後、教員養成等を特に念頭に置きながら、現実にそれを充足しようと思って考えましても、おそらく七万人ちょっとしか養成できないであろう。従って、九万人余が、十万人近くが足りないという推計になるということは、すでに何回も御説明申し上げました通り、御案内のごとくであります。しからば、この赤字を何で埋めるかということになりますれば、国の予算を必要とする意味におきましては、来年度以降、毎年々々努力課題として残されておるわけでありますから、毎年度の財政状況に照らしまして、可能な限り一応の推定を上回る定員増をはかる努力課題が残っておる。それは既存の大学院ないしは四年制の大学、あるいは短大のほかにこの高等専門学校も増設することによって、この赤字を埋める対象にしていきたい。それでもなお年々現実に足りないわけでございますから、それはそれぞれの企業内においての再教育等で不満足ながらこれを埋めつつ、具体的な歩みを続けるほかはないと、こういう関係に立つわけでございまして、工業高等専門学校それ自体は、はっきりした具体的な計画は実際のところございませんけれども、およその見当としましては、第一期目標といたしましては、各地域ごとに一カ所くらいの見当で、たとえば北海道、東北、関東というがごとき地域的に一カ所くらいの見当のものを整備すべきであろう。そうして今の現実の赤字埋めに役立たせていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#156
○豊瀬禎一君 私は、いわゆる所得倍増計画に基づく十七万不足というものをあまり信用しておりません。しかし、一応、大臣がわざわざ御答弁になったから聞きますが、それならば、その十七万不足だというのは、何を根拠にして、先ほどあなたがおっしゃった答弁と関連すると、第一義的に考えられる本人の希望状況から考えて、十七万と推定したところの数字は、あなたが第一義と言った個々人の希望からすると、どういう分類になっているのか、御答弁できますか、それ。
#157
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは今後の日本の経済の成長を経済企画庁において作業しまして推計をいたしました各事業分野ごとに、経済成長につれて新規にどれだけの大学卒業程度の科学技術者が必要であるかを推計をいたしました。その推計します根拠は、文部省でもって、従来、大学卒業者の就職状況を調べました学部、各学科目ごとの就職先の調べをいたしまして、そういう状況がそのまま今後相互の比率としては続くであろうと推定して、そうして経済成長に応じて、それを基礎に推計をしました需要数と供給力とを比較した差が十七万人不足ということになる。その十七万人不足を十年間に、年次的には初年度になるべく近づけて充足する努力をするという考え方のもとに配分をして、年度々々の定員の増と、その年度ごとの需給関係の差、その累計が約十万人不足、こういうことになっているわけであります。
#158
○豊瀬禎一君 そうお答えになるだろうと思ったのですが、だから、それはあなたが第一義的だとおっしゃった個々人の希望を自動的に達成させるための供給機関、諸設備の拡充ということではなくして、現在の一つの態勢の中からこれだけ必要とされてくるだろう、こういう推計に立って策定された数でしょうか、後段の方ではないですか。
#159
○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろん今の数は今申し上げたような推計に立つわけでございますが、社会的な需要があればこそ、個々人が能力に応じて進学していこうという自主的な意欲も出てくる、相互関係に立つと思います。従来の実績はまさしくその結果であると考えられるわけでありまして、推計します場合には、今申し上げたような推計以外に方法がございませんので、それにより、かつまた今後もそういう状況が続くであろうという前提に立っておるわけであります。
#160
○豊瀬禎一君 だから私が最初に言ったように、その就職できる、就職しておる実態というものと、個々人の希望というのはおのずから異なっていることは大臣容易に認められると思うのです。それはそういう受け入れ態勢があるから、自分がそれに必ずしも最大に希望しないけれども、ほかに就職の場がないからそちらに行きますという結果もずいぶん生じているわけです。そこの調整が一つの問題になってくると思うのですが、私は必ずしもあなたが第一義的におっしゃった個々人の希望を達成していくような自動的な受け入れ態勢の確立、これだけでは不十分だと考えておるのですが、だからこそ、大学院を卒業する者についてはこれだけの人間が要る、大学程度ではこれくらい要るだろう、またあなた方の考え方を一応肯定するとすると、工業に関する中堅技術者は、これから十年のうちにこれくらい作る、大学院出の者はこれくらい作るという一つの推計からくるところの判断に立ってその年次計画を立てて、その中で高専はこの座を占めるのだと、これがあるならば私も一応体系として認めると、こう言う、しかしながら、そういう計画の中の高専の座というものは、あなたの答弁から少しも出てこないでしょう、抽象的な御答弁だけだ。一応そういう、今私が言いましたように、科学技術庁の推計に立って、経済企画庁の推計に立って大学院はこれだけ要る、大学はこれだけ要る、短大ではこれだけ要る、その全体の中で高専はこういう位置を占めさせたいのだ、こういう数と、その関連性が大まかでもいいからあったら答えていただきたい。
#161
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど申し上げましたように、一応今の段階においてベストを尽くすとしましても、なおかつ十七万人の不足は埋め得ない、九万人ばかりは赤字のままでいかざるを得ないという推計に残念ながらなっております。しかし、それは三十七年度以降の新たなる努力を付加することによって、十万人足らずの不足が八万人、七万人足らずで済むことになるであろう、また、なさねばならないという課題があるわけでありますが、その求めに応ずべく、大学院、四年制大学も、短大も、この高等専門学校も総動員でいかねばならない、こういうことであります。それをどの程度どこに入れるかなどということは、共産主義の国でない限りできませんので、本人たちは必ずや希望するであろう、また、それぞれ人おのおの十人十色の能力、特性なわけでございますから、大学院に向く人もおる、四年制大学に向く人もおる、短大に向く人もおる、あるいは五年制専門学校に向く人もおる、遺憾ながら工業高等学校で直ちに社会人たらざるを得ない人もたくさんおるということは、これは常識上だれしもが推定し得ることでございますから、そういう十人十色の青少年の立場に立って教育の場を与えること、そのことが高等専門学校も含めまして今の推計による不足を補う役目をしてくれるであろう、こういうことであります。
#162
○豊瀬禎一君 原則論はなるべく早く終わって移りたいと思うのですが、大臣、何ですか、共産主義の国ならいざ知らず――あなたときどき共産主義の国ならいざ知らずというのを奇妙なところにくっつける性癖がありますが、十七万を埋めたい、そういう計画がある、それの計画の中で大学院は十七万のうちにどれだけ、四年制大学はどれだけ、短大はどれだけ、そうして高専はこれだけという推計をしていますかと、こう言っているのです。その推計するのはどういうわけで共産主義の国ですか。あほうなこと言っちゃ困りますよ。あなたが答弁した経企庁の推計から十七万が出てきた、これを十年間に埋めたいけれども、こうだと、こういっているのでしょう。それならそれぞれの現行の制度の中でどれだけを確保するように考えるか、そうすると、大学院に対してはこれだけを充実せねばならぬ、私立大学はこれだけ現状支援を求めなければならぬ、こういうことが出てくるでしょう。それが出てこないというのですか、出てきてあるのですかと聞いている、それを答えるのが、共産主義の国ならあなた共産主義の文部大臣じゃありませんか。
#163
○政府委員(小林行雄君) 科学技術会議の答申にございます今後十年間に大学卒程度の科学技術者が十七万人不足する、この不足を解消するために、御承知のように文部省が関係各省といろいろ相談いたしました結果、さしあたって一万六千人の計画というのを立てたわけでございます。この一万六千人計画に基づきまして、三十六年度から科学技術者の養成をやろうということで第一年次を踏み出したわけでございまして、その計画によりますれば、一万六千人のうち一万人を大体四年制の大学で、それから六千人を短期大学というような計画を立てたわけでございます。もちろんこの程度のことでは不十分でございますし、御承知のように科学技術庁の長官の勧告もございまして、私どもさらにこの計画そのものについては、もちろん今後の情勢の変化のこともございますので検討していかなければならぬものと思っておりますけれども、現在においてはそういう計画で実施をいたしているわけでございます。
#164
○豊瀬禎一君 大臣はお疲れのようですから局長にお尋ねしましょう。それでは一万六千人を養成する、そうして今あなたが言われた一万人が四年制、六千人が短大と、こういうことですね。そうすると、その中で十七万不足の中で、一万六千を今後の養成計画と確保計画と、それから高専がその中で占める位置というか、高専に対して、どういう数で、どういう全体の体系の中で高専の役割を果たさせようとしているのですか、数とその目的をはっきり答弁して下さい。
#165
○政府委員(小林行雄君) 一万六千人計画を立てましたときには、高等専門学校の制度はもちろんできておりませんし、この国会で、はたしてできるかどうかというようなこともわかりませんものでございましたから、高等専門学校の卒業者の確保の予定とか、あるいは位置づけというものは全然やっておりません。
#166
○豊瀬禎一君 私がぜひこの法案を審議するのに知りたいのは、まあ一応十七万は信用しないといったけれども、十七万というのを信用するという前提に立ちますね、そうしてこれを、たとえば十年間あるいは五年間で充足さしていく、そのためには、何度も言っておるように、その十七万の内容は何か、――あるいはほかの言葉で言えば何であるべきか、どちらでもいいんです。大臣の答弁もどちらも入っておるんです。何かという、あるいは何であるべきかという、国の必要性、社会の必要性、あるいは本人の希望、これから考えていった際に、十年なら十年、五年の中に、大学院卒業者で十七万のうちの四万、四年制大学で十万、高専で三万、それを昭和三十七年ではまずこれまで養成する、三十八年ではこれまで、終わりの年ではここまで拡充していく、そのためには、たとえば国立の大学院はこれこれの充実の必要がある、四年制の大学についてはこういうことが必要である、そうして高専ではこういう役割を果たさせるんだと、この計画がなくして、現行学校教育制度の改変を行ない、高専法案を通して、さあ通りましたから、これから十人養成しましょうか、三万人養成しましょうか、皆さんの御希望はいかがでございましょうかと、そういうことなんですか。それで私は冒頭から指摘したように、きわめて何というか無系統な計画ではないかと、こう言っているんです。局長、もっともな御意見ですとお考えになりませんか。
#167
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように、一万六千人計画を立てましたときには、高等専門学校の制度がこの国会でどういうふうになるかという予測ができておりませんので、この計画には高等専門学校を卒業して科学技術者になるという者については推計をいたしておらないわけでございます。その点、先ほど大臣がお答え申しましたように、この高等専門学校が実施できて、その卒業者が技術者になるということになりますれば、それが新たに加えられていくということになるわけでございます。当時からその数が予測されておる状況ではなかったので計算しておりません。
#168
○豊瀬禎一君 答弁としてはわからぬことでもないのですが、あなた方としては、当然十七万人を充足させる、こういう観点に立つとすれば、何度も言うように、四年制、二年制の大学あるいは大学院等でどれだけ補えるのか、そして新しい高専ではどういう役割を果たさせるのかというこの計画を、この高専法が通るという前提に立って策定すべきですよ。国会でどうなるかわからないから、その点は考えませんでした、提案の文部省としては、これが通って実施されますという前提に立って計画を立てて、だから高専法がつぶれますと、科学技術者の養成の確保に対して、こういう欠陥が生じます、こういう理論展開をしなければ、法案審議はできないじゃないですか、無理な注文じゃないでしょう。どうなるかわからないから考えていない、そういう言い方をされると、私は意地悪い言葉を使いたくないけれども、そんならどうでもいいのだ、高専がなくてもいいのだ、そんなら廃案にしましょう、こういうことになりますよ。あなた方が私どもの質問に対して、科学技術者の確保について、高専というのは、こういう位置を占めるのだから、どうしてもこれを通してもらわないことには、科学技術者の確保に対してこういう欠陥が生ずるという答弁ができなくして、どうしてこの高専法の審議ができますか、やや無責任に過ぎはせぬですか、答弁として。今度は大臣、ピンチ・ヒッターで答弁して下さい。
#169
○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点はもうおしかりを受ける意味もわかりますが、先刻来申し上げておりますように、現在の国公私立の理工系大学、大学院の卒業生をすべてつぎ込みましても十七万人不足する。そこで、現在あります大学制度を毎年々々の財政の需給関係も一応常識的に推計をいたしまして、その中に占める新規の大学の充足能力というものを一応推計いたしまして、全努力をいたしましても、特にその隘路となるのは大学の教授でございますが、大学の教授が一朝にしてでき得る可能性が出てきませんので、可能な限度で教授陣も充実して拡充するといたしましても、なおかつ国公私立をあわせて一応の推計は七万人ちょっとしかできない。従って、その差が九万人あまりも赤字のままでいかざるを得ないのが残念ながら日本の現状だ。従って、三十七年度以降、毎年度その大学拡充努力を極力やって、九万の赤をなるべく少なくする必要がある。その一翼をになうべきものとして、工業高等専門学校が登場する必要がある。しからば、その分量はどうだとなりまするならば、これまた教授陣の充足能力も考えねばなりません。財政の実際の能力も考えねばなりません。従って、十七万の不足を推計しましたときに、現実にございませんので、その赤字埋めに多々ますます弁ずで、幾らやっても足りないというぐらいの情けない状態でありますから、この工業高等専門学校の卒業生も、大いに、五年後ではあるけれども、出て、必要の場をふさいでもらいたい、こういうことであります。しからば、その場合の高等専門学校の規模はどうだとなれば、これはやはり地域的に一カ所ぐらいを第一次の計画として今構想はしておりますが、九州、四国、中国というがごとき地域的に一カ所、全国的に配分するという立地条件を考えて期待しているわけであります。繰り返し申しますが、高等専門学校あるいは大学を幾ら新設しても足りないくらいの需要があるわけですから、しかし、それは教員組織と財政規模で現実の制約があるという情けない状態をお考えいただければ、おのずからこの高等専門学校の使命も浮きぼりされてくると考えているのであります。
#170
○豊瀬禎一君 十年間十七万人の不足を一万六千――四年制で一万、短大で六千養成するということはすでに計画ができているでしょう。そうすると、これが第一年次の計画、そのためには国立大学等の施設充実のためには百億の金が要る、短大については五十億の金が要る、私学の協力を仰げばこれで一万は確保する、第二年次は、こういう予算措置をしてこれだけ確保していく、この十年間十七万人の確保に対するプランを立てて、その中であなたの提案理由にあるところの工業に関する中堅技術者は、十年間のうちに一応三方と推計する、そのためには工業専門学校は北海道に一つ、東京に一つ、国立でこう設置する、こういう計画がないというのが私は不思議でたまらないと、こう言っているのです。それならば、私は冒頭に言ったように、現行の学校教育制度の方法がよろしいという観点に立っておっても、高専に期待している位置というものが明確になれば、また十分の論議もできるし、私どもの考え方もあるいは改まるかもしれないところが、高専というのは大体これに書いてあるように、工業に関する中堅の技術者の養成だというだけで、十七万の中でどういう位置を占めるかということがわからないで高専を作りましょうということに至っては、これは私は、少くとも文教行政の大局から見ると、きわめて無系統ですよ。私はいたずらに審議時間を引き延ばして、難癖をつけておるつもりはありません。そこで大臣にお尋ねしますが、今私が質問したことに対して、きょうそれぞれ必要な打ち合わせをされて、たとえば私が質問しておるように、昭和三十八年には二万、それではその二万の内訳は、大学院に幾つ、四年制の大学に何人、短大に幾つ、こういう明確な数が出ればなおよろしいのですが、それが出ないとしても、一万六千を一万と六千に、四年制と短大に割り振りした根拠があるはずである。これもあとで尋ねますけれども、その割り振りした根拠があるから、第二年目はこう確保していく、第三年目はこう確保していくという一応のプランがあるはずです。そしてその中で高専はこうだということを打ち合わせて、大まかな構想をあした出していただくということであれば、私はきょうはこの程度で終わって、あしたの論議に待ちたいと思うのです。
#171
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 明日提出いたします。
#172
○豊瀬禎一君 私が局長に要望しておきたいのは、以前から、かなり前からこういう資料をあなたの方に提出してもらっております。先ほど言ったように、この資料をほじくって私は審議を引き延ばすということじゃなくて、この資料を私が要求したということ、大学に五十万の収用がされておる、その中で工業関係が四年制の大学、大学院もここに、出ていますが、大学院、四年制の大学、国公私立それぞれに使い分けてある。この資料を求めておるのは、私は聰明なあなた方には当然その振り分けと、十七万の位置と、高専の位置が質問に出てくるということを言わなかったから、私の方が不親切かもしれないけれども、そのためにこの資料を要求しておる。だから、これだけの資料をちゃんと前もって作ってもらっておるんですから、十分打ち合わせをしていただいて、事細かに出ることはやや困難がありましょうし、十年間を策定しても、今の科学の進歩からいうと、おそらく三年か五年たつと手直ししなければならぬだろう、しかし、現時点における文教政策の大きな柱というものは、こういうものであるという立て方をしない限りは、こういう新たな学校制度を改善するということは軽々に行なうべき問題じゃない、十分の御検討をお願いして明日の回答を待ちたいと思います。
#173
○委員長(平林剛君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度とし、散会いたします。
   午後六時二十一分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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