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1960/02/15 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第6号
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1960/02/15 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第6号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第6号
昭和三十六年二月十五日(水曜日)
   午前十時二十五分開会
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理事
           秋山俊一郎君
           東   隆君
           森 八三一君
   委員
           青田源太郎君
           石谷 憲男君
           植垣弥一郎君
           岡村文四郎君
           河野 謙三君
           重政 庸徳君
           田中 啓一君
           仲原 善一君
           堀本 宜実君
           戸叶  武君
           千田  正君
           北條 雋八君
  国務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   農林大臣官房長 昌谷  孝君
   農林大臣官房予
   算課長     桧垣徳太郎君
   農林省農林経済
   局長      坂村 吉正君
   農林省農地局長 伊東 正義君
   農林省振興局長 斎藤  誠君
   農林省畜産局長 安田善一郎君
   農林水産技術会
   議事務局長   増田  盛君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   林野庁指導部長 大野 文夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (農林水産政策に関する件)
 (昭和三十六年度農林省関係予算に
 関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する件及び昭和三十六年度農林省関係予算に関する件を一括議題といたします。前回に引き続き、両件についての農林大臣に対する質疑を行ないます。
 なお、質疑応答を含めて三十分以内ということになっておりますので、念のため申し上げます。質疑の方の発言は、順次委員長から指名いたします。岡村文四郎君。
#3
○岡村文四郎君 非常にお忙しいのに大臣の御出席を願ってお尋ねをしたい。非常にわれわれが尊敬をしておる人に対して、言い始めますと大臣の意に沿わぬことを言うかもしれませんがお許しを願いたいと思います。
 まず第一に非常に御努力を願いまして、今度でき上がるようになっております農業近代資金でございますが、これが利子補てんが二分になっておって一分は国、一分は地方になっておりますが、三百億ということでございまするので、地方で持ちますものは大体三億でございます。ところが考えて見ますると、とてもそれは持たれない点がある。そうするとせっかく御努力を願って道を開いてもらっても金が出てこない、施策ができない。こういうふうになりますので、私はぜひとも一つ大臣に一大御努力を願って何とか、もうここまで来たのですから、国の方でその利子補給を全額御心配願うようにぜひとも御努力を願いたいと思うのですがいかがですか。
#4
○国務大臣(周東英雄君) 御意見私もごもっともと思います。できれば国の方の補助を二分というふうに考えたのでありますが、いろいろ補給すべき財源等の関係で、本年はまずやむなく国の方が一分、各都道府県から一分というような格好にいたしたわけであります。ただし御心配のように、各都道府県に対して負担の問題もございますので、これは大体話し合いの結果、各都道府県の基準財政需要の中に織り込むことに大体計算をしていただいておりますので、その点は間接ではございますが、交付金等の算入の中へ入って参ると思いますので、一応三十六年度はこういう姿で出発いたしまして、なお私は今後とも国の補助率を増額することに努力をいたしたいと思っております。
#5
○岡村文四郎君 ぜひ私のお願い申し上げましたことを、非常に大臣も御心配されておるようでございますので、われわれの念願が貫徹するように御努力願いたいと思います。
 次は、今非常にやかましく言われております、大臣は非常に御迷惑でございますが、農業災害補償法の改正の問題でございますが、赤字があるということで、私はこの改正と同時に、赤字の解決をつけてやらなければこれはいけないと思います。ですからそれは国が出すとか出さぬとかいう議論の余地はないと思う。何らかの方法で赤字の分だけは国が必ずどうかするということでなければいかぬと思うのですが、いかがでしょうか。
#6
○国務大臣(周東英雄君) 共済組合の赤字でございますが、これはお話のように、すぐに国が持てば一番いいということになるわけでありますけれども、やはり貸付をいたしておる金でありますから、従って、その金については、できるだけ組合から共済基金の方に返してもらうというような努力はしばらくやってみる必要があると思うのです。その努力を続けて、なおどうしてもいかぬ部分というものについては、あるいはそういうときにおいて国が考慮しなければならぬということが起こるかもしれませんけれど、これはまず、共済基金から、今貸付をしている相手方に対して、できるだけの努力を払って、返してもらう。また、借りた方の側におきましてはできるだけの努力をしてこれを返すというような努力を続けていただきたい。しばらくその情勢を見た上で考えていきたいと思います。
#7
○岡村文四郎君 私は、ちゃんと金を準備して、赤字だけ持ってもらうというふうには考えておりません。しかし、結局はそうでなければならぬということの気持であれば、そうでございませんと、せっかく機構を変えていただいても、借金だけ残っては、経理がめんどうだと思いますから、そういう心配があるからお話し申し上げたわけでありますが、事務局の方からどこにどれくらいの赤字があるのか、そういうものをあとでけっこうですから提出していただきたいと思います。
#8
○政府委員(坂村吉正君) 共済組合連合会の赤字は、保険の設計上生ずる赤字でございまして、これは現在農作物その他の必須共済の赤字が三十九億、それからそのほか黒字の県がございます。これは十八億何がしでございます。そういう状況でございますので、これは保険の設計上からくる赤字でございまするから、保険の設計から言いますれば、長期的に見ますれば、これは均衡すると、こういうことになっておるわけでございます。ですから、長期的にこれを考えました場合には、当然これは赤字も黒字もならされてくる、こういうような理屈になるわけでございますけれども、これをある一定の時期で切りました場合には、当然赤字も黒字も保険の設計上出てくるわけであります。これは当然国で返すなり何なりしてもいいじゃないかと、こういう議論になると思いますけれども、現状はそういう事情でございます。
#9
○岡村文四郎君 これはどうも大へん御迷惑でございますが、おとといの協議会で大臣の答弁を承わりますと、はてな大臣は真相を御存じないのかという心配をいたしております。そこで、いろいろな指摘を受けておりますが、この指摘事項が、農民そのものがやっておって指摘される事項なら、それでけっこうなんです。まあいいことはないが、がまんはできますが、そうじゃないのです。そこまでいかぬ先にやられているのですから、どうにも方法がつかないのです。そこで、会計検査のことは、これは仕事ですが、そうじゃない。こんなにあるけれども、これはみなそうですよ。それは、小沢さんにしても、周東農林大臣にしても、国民のためにやってもらっておるのだが、片一方では、こういうものを出してくる。この間も大臣の御答弁を承わりますと、ははあこれは大臣は真相を御存じないので、それでああいう御答弁をされておるのだなと思ったけれども、私は申し上げなかったのであります。大臣は忙しくてだめなんですから、どうぞ一つよく事務局の方で教えてもらわなければいかぬ。これ、これ、これ、全部そうなんです。一番情けないことは。これなんか見ますると、ほかの保険事業の方はだんだんよくなっているが、ことし三倍にふえたそのふえたものはほとんど共済事業と、こう書いてある。実際ないことはありません。われわれはそんな悪いことをしていないと言うつもりはございません。今お考えになっております機構では、また僕はきっとやると思う。ですから、やらないように、まっすぐにずっとやらなければいかぬと思うのです。私は夕べも考えてみました。これは、多額の国費を使って、そうして農村のためになると思っておられますが、そうじゃない。今年は、食糧の赤字をのけますと、大体総農林省予算の七%になります。今までは大方一〇%でございました。ですから、そういう金を行政管理庁が書いたり、会計検査院が書いたりするのは、これは忠告ですから、そんなことになるなら、まっすぐに百姓にやったらどうか。現在四百万戸くらいしかないと思いますから、一戸に六万円ずつやりますと、それを毎年やって、貯金しておいて、もしかのことがあったら使うというようにしたら一番ためになると、そうまで考えました。ですから、私が申し上げましたことは、自分が百姓でなければよいのです。百姓でありながら、こういう非難をされながら、国会で意見を申し上げることは、不幸なことであります。それでありますから、大臣御迷惑でありましょうが、この際はあまり党にとらわれることなくして、農林大臣としてまっすぐなお考えでこの解決をつけてもらいますことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(周東英雄君) 岡村さんの御心配は、よくわかりまするし、私どもも、せっかく災害補償制度を設けておって、農家に対する保険の支払いというようなものがなかなかうまくいっていないというようなことも聞いております。従って、今度の改正の内容につきましては、かなり監察報告の線にも沿うておるように考えておるのでありますが、なお岡村さんの御指摘になりました点につきましては、さらによく精査いたしまして、善処いたしたいと思います。
#11
○森八三一君 関連でお尋ねいたしますが、赤字を消すために云々というお話がございましたが、その趣旨は私もよく精神的には理解いたしますが、赤字を事業を通して消していくということは、その事業の内容を拡充して進めていくことによってのみ私は初めて可能だと思うのです。ところが、今度大体の方向として、連合会の業務を縮小するということに私はなると思います。そういうこと、その連合会の持っている赤字を消すということとの具体的なつながりはどうなるのか。どうも生殺しになってしまうような形が実際に起こるのではないか。もっと積極的に仕事をやりなさいというので仕事を付与して、そうして経費も節約される、簡素化して生み出してくるということなら、話はわかりますが、仕事は取り上げてしまう、そうして持っている赤字だけは消せと言っても、これは私のそろばんでは出てこないのですが、その辺どうお考えになるのでしょうかね。ただ、今あるものだから何とか格好を作ってやらぬと困るというような当面の政治配慮だけで、あとでまたすぐ改正をしなければならない。しかもそれで傷が大きくなってくるというようなことになると、大へんだと思うのですが、その辺大臣どうお考えでしょうか。
#12
○国務大臣(周東英雄君) お話しの点、ごもっともであります。ただ私は、この改正の時期に直ちにといってもちょっと困難であります、この赤字の処理がですね。従ってこの点はしばらく共済を存置いたしておきまして、赤字の処理について今後それをどうするかということをよく検討いたしたいということが一つ頭にあるわけです。この際どういうふうにそれをいたしますか、それは当然国家が何とか処理せにゃいかぬ。かなり大きな額、こういう消極的な方面への処理に金を使うよりは、積極的に農村の方で他のやるべき仕事が多かったものですから、一応いえば、赤字の処理は延ばしつつ、しかもできればそう大きなことが期待できないにしても、貸し付けた共済基金、並びに借り受けた共済連合会とかいうものの間で、ある程度のやはり債務の償還という努力をして参る、そうやりつつ最終に一体どうするかという赤字処理の問題は、当然これは考えていかなきゃならぬ問題だと思いますが、その意味においては多少延ばしたという考え方であります。
#13
○森八三一君 これはいずれ法律が出たとき十分詳細に検討さしていただきたいと思いますけれども、どうもその感覚が、今も経済局長御説明ありましたように、保険設計上、ある時間を限って計算をすれば、そういう赤字の起きる事業も、しかし長い目で見ていけば、それは計画上は消えるはずだ、そこで消すということであれば事業を引き受ける側が強く掲げていかなきゃ保険設計上つじつまが合わぬと思うのですね。長期の計画で一応の設計ができた。その仕事を引き受ける側が、長期計算では、僕は当然理論的には帳消しし得る財源というものがつかめると思うのです。そいつを途中で一ぺん切っちまうんですから、どうしても保険設計上からいっても筋は通らぬことになると思います。そこで一部の措置をするということですけれども、今度の措置によりますると、一部と申しますのは再保険のことだと思うのですが、それは単位共済組合の方と連合会の関係を、私はここで一応普通の状態の場合には縁が切れると思うのです。そういうところがむしろ利益の出るところなんで、そう縁の切れたところをどうする、こうするということと、これは法規的にはできない。困る人が多い。木に竹を接いだようなことになってしまうと、これはもう一ぺん、きょうは関連でございますし、法律が出ておりませんから、きょうここで御答弁はちょうだいしたくありません。ほんとにこの点はお考え願いませんと、理論的にも筋は通りませんし、実際的にも、むしろ結局は大きくなって、今大臣の御心配になってることを解決する場合の悩みは大きくなっていくということを私はおそれますので、立法措置につきましては、その点は一つフランクな気持で御再考願いたいという注文だけいたしておきます。
#14
○戸叶武君 農林大臣に質問いたします。今日本の農政をゆすぶっているところの嵐は、私は日本の国民の中に起きてきているところの日常生活の革命から大きな影響を与えられていると思うのです。で、戦後十年間にたとえば日本の婦人ですらも、長い間の慣習であったところの伝統的な理髪を断髪してしまったり、それから大部分のものが着物から洋服に移ったりしておりますので、一見何でもないようですが、そうした身近かな生活の革命というものは、非常に日本の歴史の中においても大きな波でございまして、特に私たちの日常生活の中に食生活の変化というものを導き出しております。そういう点から食生活の革命というものが、日本の農業に徐々ではあるが持続的に大きな変化をもたらそうとしておるのでありまして、最近には、酪農、果樹、園芸作物の進出というのは想像以上に驚くべきものがあるのです。しかしそれと同時に、私は、昭和二十八年のMSA協定なり、余剰農産物の日本での受け入れなり、そういう段階を経て今襲うてきているところの貿易の自由化とアメリカのドル防衛の影響というものを、今の政府が考えているよりも、もっと影響が強いものだという点において重視しなければならないのではないかと思うのです。池田さんは非常に強気な楽観論をふりまいておりまして、そうしてドル防衛の影響は一億ドル程度であり、ヨーロッパその他の貿易の伸びがあるから、そう心配はないというようなことを言い、そうしてこの所得倍増論から農民六割切り捨ての暴言にまで至っておりますが、私はそんなものじゃないと思うのです。これはチリの地震によって太平洋沿岸を襲うた津波で大きな影響を受けたと同様に、アメリカ経済の波動というものは、これは一九二九年のあの世界経済恐慌の波動に近いような影響力というものを日本に与えずにはおかないと思うのです。ケネディ新大統領の有力なブレインであるサミュエルソンの報告を見ましても、もう米国経済は景気後退に入っているのだ、それを一九二九年直後のあのときと同じに呼ぶのは適当ではないが、しかし、この現実の認識の上に立って、政府の施策が行なわれなければならないということを警告しております。私は、一九五七年六月に岸首相がアメリカを訪問した際に、アメリカの朝野の意見を聞きましたが、あのときに岸さんは第一に、日米関係の貿易の均衡を説いて、輸出五億ドル、輸入十億ドルのアンバランスの是正を求めましたが、アメリカ側では特需と船賃その他の貿易外の収入によってこの輸出、輸入だけでなく、日本とアメリカ関係の収支というものは均衡がとれているのだというふうに言っておりました。その具体的な例を見てもわかりますように、貿易自由化あるいはドル防衛の影響というものは、一億ドルや二億ドル程度の影響じゃなくて、深刻なものであるということを見のがしてはいけないのだし、それによって特に日本のように産業二種構造の底辺をなしているところの、立ちおくれている農業、その農産物の影響というものは甚大であるということは、想像にあまりあるものがあると思います。アメリカは、深刻な不況に入る前に、これは深刻だぞという警告のもとにケネディ政権は新しい施策で出発しております。日本では現象的な、表面的な景気現象に眩惑していて、この新しい試練に対して非常に甘い見方をしておりますけれども、池田さんと同じような見解を不幸にして農林大臣も持っているのかどうか。このことが今後のこの農政のあり方の上において大きな関心になると思いますので、この際農林大臣から貿易自由化、ドル防衛の影響が日本農業にどういう影響を与えてくるか、それに対してどう対処しなければならないか。基本的な点を承わりたいと思います。
#15
○国務大臣(周東英雄君) お答えいたしますが、為替自由化、貿易自由化の問題、さらに大きな影響を持つというお話の、アメリカのドル防衛の問題、これは一体日本の農業にどういう影響を持つと思うかというお話であります。私は今日世界の各国の経済というものが、国際経済との結びつきなくしては発展もしなければよくもならないという立場からいって、私は日本の経済もまた世界経済の間にある一つの国だと、こういうふうに考えております。従って為替自由化、貿易自由化というものは、私もこれは原則的には国の発展のためによろしいと思っております。が、しかし、だからといって、欧州共同市場あるいは自由貿易連合の諸国がとっておると同じように、その国の農業、ことに弱い立場にある農桑に対する保護政策をとってならぬということはないと思います。各国におきまして、それぞれあるいは関税により、あるいは国内的に行政措置により、あるいは予算措置によって、それぞれ弱い農業について、これはというものについては、それぞれ保護防衛の処置をとっております。従ってかりにドル防衛の立場から、日本に大きく農産物等の輸入を要請するということがありましても、その点は私どもはあくまで日本の保護さるべき農業の実態及びその産物ごとに、それぞれの処置をとって参りたいと思うのであります。今日までお話のようなことで、アメリカとの間における貿易自由化に沿うて自由化されたものは、今日農産物に関しまする限りにおきましては四七、八%ぐらいの自由化をやっておりますが、これはむしろ日本の農業にはあまり影響なく、しかも日本国民に対して、全体の消費国民にとっては好影響を与えるというものが自由化されてきております。従って残る問題におきまして日本農業の主産物である米とか小麦とかいうようなものは、もとより自由化は当分いたしませんつもりでありまするし、さらにこれから伸ばそうとしておる畜産だとか、あるいは乳製品等につきましても、同様にこれに対しての自由化というものはやらないし、まあやれないというふうに考えております。従ってお話のように、自由化は原則的に認めても、日本農業のあり方と日本農業に対する悪影響の及ぶということのないように、それぞれ保護する立場に立って、自由化に対しては処置をいたしたい。むしろ特殊な農産物につきましては、ただいま申しましたように、自由化はしないと、こういう格好で考えておりまして、これは今日まで一貫した考え方になっておるわけであります。
#16
○戸叶武君 日本とアメリカの条件は違いますけれども、ケネディ大統領も一月三十日の一般教書及び二月二日の経済特例教書に引き続いて、農業関係の教書も出ると思いますが、農業の問題をきわめて重視して見ております。その中で、農業の後退は一九五〇年代の初期以来、慢性的なものとなって、農業所得の減少は工業に対するブレーキとなっており、他方経済全般の停滞は、農業の調整過程を容易にしたかもしれない新しい就職口を制限している。従って経済全体を回復させ、満足すべき、かつ上昇するものとすることは、農産物価格と所得を妥当な水準にまで回復させる重要な前提条件であるということを主張しております。このことは、アメリカの過去九年間の停滞というものが、経済成長率が伸び悩んだと、これは施策が悪かったと今批判されておりますが、それと同時に、安易な方式によるところの農業保護政策というものが、逆に農民所得を九年間に二五%減縮させたとまで言われておるのでありまして、私はその批判の上にアメリカ農政というものが大転換を試みてきたと思うのです。また日本なり西ドイツなりの場合においては、アメリカと違って、経済成長率が過去においてすばらしいものがあったのは事実です。しかし日本にとって大きな欠陥というものは、この経済成長があるのにかかわらず、経済二重構造の底辺をなす農業が工業部門に追いついていけなかったところにあるのであって、これは日本の場合は、今の農政の貧困というものが、軍化学工業部門の圧力のもとに萎縮した農政というものが、こういう結果をもたらしたとも言われるのであります。そこで農林大臣は、農林漁業は国民経済の成長発展と社会生活の安定に寄与するところが大なるものがあるから、経済、社会いずれの面から見ても、きわめて重要な地位を占めておるというあいさつをされて、その次に、わが国の農林漁業が他産業に比べて生産性が低く、その事業者の生活水準が格段劣っておるのをどうするかという点については明快な態度を表明しておりません。農林漁業部門では、就業構造において三九・六%を占めておりますが、国民所得に占める地位は一八%にすぎないのです。都市と農村との所得の較差は三対一と言われております。こういう状態のもとに置き去りを食っているところの農業、これをどういう具体的な施策を通じて引き上げようとしておるのか。小倉次官のような人は、その構造において、一気に他産業との均衡をはかるところまでは追いつけないのじゃないかという考え方を述べているようですが、池田さんなりあなたなりは、この十年間において、この矛盾を一気に解消できると思っておるのか。また、どの程度までこの矛盾を是正していけるか、その具体的な私は回答を今求めたいと思います。
#17
○国務大臣(周東英雄君) お尋ねの点でありますが、その点は、私はこう考え、またそういうふうな考え方のもとに施策を進めて参りたいと思うのですが、今御指摘のように、日本農業というもののあり方が、これはかなり鉱工業部門と違った、非常に零細な農民が零細な土地を持っておる、いわゆる過小農形態において生産を継続していかなければならなかった、それを余儀なくされたという過去の事情は、やはり諸外国の例と同じように、そのことにおいては、鉱工業の成長発展というものが非常に弱い時代においてはこれはやむを得なかったと思うのです。しかも私は農業の発展ということが、ほかの社会、ほかの産業社会というものと離れて、農業社会だけでこれが改善をはかるということは不可能であるということは、これは戸叶さんもその点はお認めだと思うのです。幸いにして、最近数カ年における日本もまた鉱工業における生産成長率が非常に伸びてきております。しかもその方への就業労働人口の移動という、これは現実の姿が出てきておるわけであります。そういう面から見まして、この実際の姿が出てきたときにおいては、これを大きく活用しつつ、過小農形態の、多数の農村における農業就業人口が狭いところでうごめいておるという形は、だんだん改められてくるのじゃないか。そこに農業の一人当たりの生産性の向上ということの方法、手段を見出し得る、こういうふうに考えておるわけです。これはよくいわれるように、強制でもなく、追い出すということでもないのであって、むしろ狭い土地に多数の人間が零細な形で集まり合って弱い生活をするよりも、ある程度新しい見地に立って雇用の機会を得つつその方での所得の均衡がとれていくということは、一つの私は新しい発展じゃないか、そういうふうなことを考えながら、今度の考え方におきましても、農業生産それ自体の生産を上げるということは、もとより第一義に考えなければならぬ問題ですが、第二義的には、就業構造の上において、農村における農村労働人口の移動というものを頭に入れつつ、それを有利な方向に向けていく施策をとりつつ農業労働人口の減を考えて、一つの農業経営の主体における農業労働人口の減ということからする一人当たりの生産性を高めるという両面から、これを将来の農家所得というのですか、農業所得の伸びを考えていく必要がある。その点からいたしますと、御指摘がございましたが、大体今日まで目標としての四十五年を目安とし、しかも三十一−三十三年の基準年度から考えまして、大体十年になりますが、その間においては大体現在の所得を倍近くに持っていけるのじゃないか。これが私どもの農業基本問題調査会の一つの考え方であり、目標であります。もとよりいろいろの種々の経済変動がありまするし、今、戸叶さんも御指摘のように、こういうことのできるかできぬかということは、一面には鉱工業生産の伸びというものが、一つの目標通りに進めていかれるかということに相関関係を持つものである。そういう点に、先ほどのドル防衛の影響が日本の鉱工業の生産にも影響をしないかということのお含みがあったと思いますが、そういう点はやはり率直にそういう方面の生産の伸びと相関関係を持っておるということは私も考えます。しかし大体の目標といたしましては、ただいまの考え方からいたしまして、施策を進めて参るときには、三十一−三十三基準年度、これを目標年次の四十五年というものをとって比べてみるときには、大体現在よりも倍近いものになるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#18
○戸叶武君 今まで衆議院、参議院の速記録を読んだのですが、今農林大臣がお答えになったのが一番明快な正直な回答だと思いますが、しかしその正直な回答の中に私たちは幾つかの問題が含まれていると思うのです。日本の総人口は昭和三十五年十月一日の推計によると、九千三百四十万であり、農家人口は三千四百四十六万であります。総人口の三六・九%を占めておりますが、その中で農林漁業就業者総数というものが一千四百八十八万人でありまして、今政府が問題にしているのはこの約一千五百万人からの農業就業者を、これは池田さんは荒っぽく六割減らして六百万ぐらいにしてしまうと言われるが、そんそ荒っぽいことはできない、実際は千百万軽度ではないかということをにごしておりますが、いずれにしても経済成長率二・八%のこの状態の不足を補うというのですが、それについて所得倍増論と結びつけるのには、今農林大臣が言ったように、鉱工業部門の中へ農業における労働力というものを吸収する、場合によっては零細農を切り捨てていくというような荒療治なしには、この所得倍増というものの実は結ばないという考え方が、今の政府には根底にあるようです。これは一つの考えだと思いますが、政治の問題は、その農業労働力が、鉱工業に吸収されるから伸びがそうなくても何とかなっていくのだということでなくて、そこにいくまでのプロセスをどういうふうに具体的に片づけていくかということが、現実の政治だと思います。そこで、この日本の人口の移動を見ましても、昭和二十五年に国民総人口は八千三百十九万人であり、農家人口は三千七百八十一万人でありました。農家人口が四・五%を占めていたのが、十年後に現在は三六・九%になっておるだけであって、十年間に八・五%しか減っていないのです。一割も減っていないのです。今までの御承知のように経済成長なり、国民所得の伸びなり、二・七倍も伸びておるのですが、それに比較して農家人口が減少していない。このままの形ではこの状態だと思います。それを一つ荒っぽく片づけてしまえというのが、要するに農民六割削減論だと思いますが、池田さんが一番正直になたをふるっているのでありましょうが、このばく然とした形で鉱工業部門が伸びればそのくらいのことはできる、毎年三十万ずつ普通減っていくのだから、十年間で少なくとも三百万は減るのだ。もう少し荒っぽくやればもっと減るのだという形で、どんぶり勘定でやられたのではかなわないのですが、具体的にどうも池田さんの数字の上における推定においてもあいまいな点がありますが、農林大臣としては、農業構造の変化と関係があるところのこの農業人口の移動というものを、十年間においてどういうふうな推定の上に立って見ておられますか。
#19
○国務大臣(周東英雄君) お話の点でありますが、私は大体農業問題、農業基本問題調査会等において大体研究の結果出ておる農業就業人口の減が、大体四百五十万ないし五百万近くになっております。これを取り上げておるわけでありますが、ことに私はこういう面をそうなっておるからそのますにまかしておるのではなくて、そういうことは過去の最近数カ年の平均からの将来の推定であります。従ってこれは日本の鉱工業の発展というものは、これは私どもの見方というものは、今後も持続していくものと考えます。そのパーセンテージは年によって違ったとしても、大体年々一・二%であったと思いますが、全体の産業構造の規模というものは、現業の正常な規模というものはそういう割合に考えている。そういうふうな、規模が持続するものとするならば、当然最近の、平均から見ての数をもとにした将来の十年の間を考えまして、そのくらいの農業の就業人口というものは減ってくるという推定のもとで、しかもそれはそのままにまかせるではなくて、むしろ農村においてはそういうふうな人のために、鉱工業における技術の指導だとか、あるいは今度やろうとしておりますが、農村にそういう技術指導の学校というようなものを設置するとかというような形において導いていくということをあわせて、当然農家の所得の伸びということが生産費の引き下げとともに所得を伸ばすための生産の合理化というもの、また近代化、あるいは機械化というものをやらしていくことが農業労働人口の減に対応する新しい農業経営の実態にならなくちゃならぬと、こう思うのでありますが、そういうことで、ただ、一面においては出ていく自然の減少というものをそのままにまかして勝手に行けというのではなくて、できればそういう人に対しても、行き得る資格といいますか、技術というものを身につけてやるような方向に持って行きたい、こういう考えと同時にそのことを予想しつつ、残るべき農業者に対する所得の増加のためにする経営の内容の改善ということをあわせ考えつつ一つの農業を考えていこう、こういう考え方であります。また、ただいま戸叶さんの御指摘でありますが、荒っぽく総理が六割ということを言ったということでありますが、それも実は総理の話のねらいは、たびたびこのごろ総理は各方面に言っておりますが、御承知の通り現在の農業者と申しましても、専業の、農業だけで生活をしている農家が大体三割、兼業で生活しているものがあと六割、しかもその中に第一種兼業といって、主たる収入を農業に得ており、従たる収入を農業外所得に仰いでおるもの、これを第一種兼業といっておりますが、第二種兼業というものは、主たる収人を農業外所得に仰ぎ、農業所得というものは従たる関係にあるというものを第二種兼業といっておりますが、これがおのおの三分の一ずつくらいになっておるようであります。その際に、総理の抱懐する考え方、また私どもの考えておりますのは、将来の農業のあり方としては、やはり家族経営の農業、家族経営にして自立し得るような農家、こういうものを育成していくことを一つの眼目とし、第二は、そういうことを申しましても、全部が農業経営基盤の拡大ということも、そう正直に言ってできません。従って、零細農家、また兼業農家におきましても、経営さるべき農業の部門においては、これを効率的に運用するということからいえば、これは協業の問題で進めるということもありましょう。いずれにしてもそういうふうな形をとりますと、理想とする第一眼目としての専業農家、農業だけで自立し得る農家をだんだん作っていきたいというのが一つの考え方でございまして、そのことが大体現在の三分の一のところへ、ある程度第一種兼業の方のものへある程度流れて参りましょうし、また一面は第二種兼業の方もふえるのではなかろうかというのが、私どもの将来の見込みであります。というのは、中途半端な土地を持ってやっておるというよりも、一部は農業で、農業外所得でもって合わせて農家所得を増加するという方向の兼業というものがふえていくんじゃなかろうか。そういう場合において、専業農家的にやっていく自立経営農家というものが、大体大まかに考えまして四割近くになるのではなかろうか、まあこれが三分の一ですね。それを中心にものを考えていこうというようなことが、大体四割であとはやめるというふうに聞かれたと思うのですが、そういうふうな意味でなくて、専業農家以外のものでも、農業経営者に対しては、その農業が、より効率的に土地を利用するなり、いいかげんな農業にならぬような形に、問題は同じように考えていきますけれども、農業だけで収入を増し、自営し得る自立農家というものは、大体四割近くなるのではなかろうかというのが、いろいろな言い回しの結果、そういうふうに受け取られたと思うのですが、内容は、実はそういうふうに考えていただきたいと思うのであります。私どもはそういう方向に向かって今後の農村問題を考えていきたい。
 それから、先ほど農家人口があまり減ってないじゃないかという農家人口の問題、私どもは先ほど申したような大体農業就労働人口でありますが、農家人口は御指摘の通り今日まで減り方が少ないのですが、これはかなり在村のまま通勤就業者がだんだんふえてくるという現われでありますけれども、農業就業人口の問題とは引き離して考えていきたいと、かように考えております。
#20
○戸叶武君 池田さんが、第一種、第二種がほとんど二百万、第一種と専業が二百万ずつで、第二種はもう百九十万にふえてきているというようなことを衆議院でも答弁しておりますが、今農林大臣が説明されたように、兼業農家がふえてきた。農家人口と農業就業者の数ということを別にしなければならない。これは日本の今の農村の実態だと思います。これは西ドイツにおいても類似しておりまして、第一次欧州大戦に敗れた前後におけるドイツの社会構造における農業の弱点面を、フォンゼクトが、ドイツ再建の基本問題で指摘したときも、四〇%の農民がありながら、国の食糧をまかなえないところに、戦争に敗れた原因があると断言しておりましたが、今日の西ドイツは東ドイツの農業地区と分かれておりますけれども、すでに日本の統計でも二三%といい、あるいは今の大統領のリュプケさんが農林大臣のときに私がお会いしたときには、一四%程度だろうと言っておりましたが、農業就業者の数はもっと少ないのではないかと思います。それはそういうふうに進んだ西ドイツには前提条件があると思うのです。その前提条件というものは、先ほど農林大臣も触れましたが、ただ工業部門が伸びていったから、それでもって農民を吸収してくれというのでなくて、その前に、国の経済政策が、インフレを食いとめて、物価に追いつかないという労賃のびっこな状態をなくさせる。そうして完全雇用の態勢を確立して、住宅問題や何かで心配のないような社会保障制度が確立し、それから最低賃金制が確立して、所得の増大をはかる、そういうふうに、生産に従事するところの労働者の大衆購買力というものが生産を刺激して、経済を成長させ、拡大させていくのだというのが、エアハルトさんの基本理念でありまして、その上に立ってドイツ経済は繁栄の道を続けていったが、一九五五年に農業基本法ができる前夜において問題になったのは、地方において、同じ労働者でも工場に働く労働者一万円取るところなら、同じ労働者が、農業労働に従事したのでは七千円にしかならぬ。その三〇%のアンバランスをどう是正しようかというところから、農業基本法は出発したのです。そういうところにこの置き去りを食ったところの農業というものを、置き去らしたままでなくて、引き上げていこうという基本的な対策というものが講ぜられたのです。日本においては、この前提となるべきところの完全雇用なり、あるいは最低賃金制の確立なり、工場労働なり農業労働に従事している人たちの所得の増大なり安定というものが基本的に確立されていないで、逆に産業上におけるところの、経済上におけるところの二重構造の弱点を利用して、官公労なり大企業の労働者は二万円取っているが、中小企業、下請工業においては一万五、六千円か一万円程度の賃金しか取れない。農民は労働者が二万円取るのに対して、その三分の一ぐらいの収入しかない。こういうもう根本的な矛盾というものが、この国の産業構造の中に露呈しているのです。それにメスを入れないで、ただ鉱工業部門が伸びるから、それだからそれによって労働力が今度は吸収してもらえるだろう、それによって生産は伸びないけれども、この農業問題もそれにおぶさって解決がつくのではないか、こういう安易な方向で行ったのでは、かえって矛盾が増大するだけであって、私はこの農業の根本政策が出てこないと思うのです。
 で、今の農業本法の持っているところの、内蔵している弱点はそこにあるので、これはあらためて農業基本法の問題をめぐって私たちが大臣にも質問したいと思いますが、そこで、今、私たちが当面する問題として取り組まなければならないのは、農林大臣が言われているように、大胆に農林大臣は言っていますが、「従来のような米、麦依存度の強過ぎる農業、零細でしかも分散している耕地における非能率な農業を克服して、生産性の高い農業、今後需要の伸びが大きく見込まれる畜産、果樹作等の成長財生産に重点を置いた収益の高い農業を目指して諸施策を展開する」ということは断言はしておりますが、この予算を見てみると、何もそれに対する目ぼしいところの対策、きわだった対策というものがない。草の根も分けてよく調べなくちゃいけないと思って草地改良造成等の事業を見るとそれが六億三千八百万円。これなんか多い方です。それから肉畜の導入と飼料共同化施設の設置の助成費二十二億七千百万円というふうなのは多い方で、果樹農業振興費はわずか四千百万円計上されているのにすぎない。言葉では力を入れているが、実際上の具体的な予算の裏づけというものは、このように微弱です。この理由はどういうところにあるのか、大臣からお知らせを願いたい。
#21
○国務大臣(周東英雄君) 予算の点について政策と数字が合わぬじゃないかというお言葉ですが、まあ私どもも、今後、政策遂行の上に立って、ことに今後生産性の高いもうかる農業としての作物に転換するという問題につきまして政策を立てております。これはかなりそういう方向へ持って行くことにつきましては、地域的にまた産業業種別に、言うことだけはやすいのですが、実際にこれを地につけていくということについては、かなり問題がある。これは十分に昨日も申し上げたかと思いますが、農家の理解を求めつつ協力を求めていかなければ、いかによいことでありましても、多年、米作等において一番なれて、これを作れば一番大丈夫だというふうな考えを持っておるその生産から変えて、畜産に移り果樹に移りということはかなり危惧の感があり、はっきりとそういうものを理解させるということが必要であります。従って、私ども初年度といたしましては、御指摘のような予算内容になっておりますが、これらは農業基本法等も制定いたしました暁、各地方別に何を、またどういうふうな形、規模、にこれをやっていったらいいかということの指導計画を立てさせつつ、これを進めていきたいと思います。従って、私はただいまの金額が少ないじゃないかという御指摘でありますが、これは慎重に考慮しつつ、次の段階においては、これをもっと来年度からはそれぞれの具体的な問題に沿うてふやして参ることがいいのじゃなかろうかと、まず初年度の段階におきましては、ただいま予算に計上した範囲でまず進めていってみたい、かように考えておる次第であります。
#22
○委員長(藤野繁雄君) だいぶ時間が経過した、もう十五分経過しましたが、大がいのところでお願いいたします。
#23
○戸叶武君 貿易自由化の農作物への直接的な打撃は、麦、大豆及び酪農製品への打撃が一番大きいと言われておりますが、農林大臣は大麦、裸麦は食糧としての需要が逐年大幅に減退しているから、これを小麦、菜種、テンサイ、飼料作物と果樹等への転換を積極的に推進するという説明もあり、答弁もきのうありましたが、私たちが納得がいかないのは、ほんとうに貿易の自由化が徹底されると、よほど強力な保護政策をやらなければ、菜種でもテンサイでももたないのじゃないか。これは政府の方で強力な保護政策をやる、今度、応急措置として気休めにやるのでなくてやるという決意の上に立ってやっているのか、それとも、まあこの辺で頓服を飲ましておかないとうるさいからというので、応急的な措置としてやっているのか、その辺が非常にあいまいだと思います。それはこの大麦、裸麦の転換対策として、三十五年度九千万円から一躍七十億円に増大したのも事実でありますが、また国産大豆に対する保護として別途措置として三十億円を計上してあるのも事実でありますが、その使途は集荷団体に調整を行なわせ、調整によって生ずる売買差損等を交付金としてこれらの団体に交付する方法をとっていくというが、これは自主調整の名によって、販連なり何なりそういう集荷団体は保護されるでありましょうが、それだけでほんとうにこの問題が解決がつくかどうか。
 それから、最近は大豆かすの値段が、飼料用需要が強いので七年ぶりの高騰を続けております。しょうゆ、みそ、とうふ、そういうような大豆関係食料業界は原料難で苦境に立っているのが事実です。こういうものに対しても政府の施策というものが何か一貫性のないような感じに打たれておるのだが、こういう問題に対してどういう方向をたどっていくのか。
 それからまた、牛乳、乳製品、それから食肉の価格の安定というようなことに対しても、政府はいろいろなことをやっておりますが、しかし、この事業団のごときものを設けても、酪農振興基金の業務をあわせて行なう畜産物事業団に対して五億円程度の政府出資によって、自主調整というものが可能のように思っているのかどうか。それから最終的に今酪農製品が不足して値が上がっているのですが、また、前にはでき過ぎたが、今は足りない、これは桑の問答できのうあったようですが、そこで、生産と消費の問題に対する需給対策に対する一貫した施策がないからこういうことになるのですが、あの当時からわれわれが主張しておったのですが、とにかく学校給食というものは需要を強める点においては非常に役立ったと思います。ところが、今度の学校給食のところを見ると、非常に大なたを振って削減されております。これはアメリカのケネディ−の主張の中においても、学校を強めるのだということを非常に力を入れておりますが、せっかくこの学校給食の方が軌道に乗ってきたのに、予算面で見ると、学校給食のところが非常に削られているようですが、そういうことはどういう、何の理由によってそれを削ったのか。これは児童にもいろいろな影響があることですが、まあ文部省との関連もあるでしょうけれども、せっかく芽を伸ばしちゃ削っていくという方式だと、食生活の革命も、それから農業の新しい方向づけも戸惑っていくのじゃないかと思いますが、その辺の点をお答えを願いたいと思います。
#24
○国務大臣(周東英雄君) 学校給食の問題でありますが、これは多少いろいろな事情で去年よりも金額が減っておりますけれども、そう根本的にこれを減じていくという考えはないのであります。私もこれは食生活の改善のために指導といいますか、パン食、あるいは牛乳食というものでならしていくということは、非常な効果があったと思います。今後もまたその点は継続していきたいと、かように考えておりますが、ただ内地の出産というものがなかなか最近は需要に追っつかないということになっております。従って先ほど御指摘のあったように、あるいは一般需要者のために酪農製品の一部は入れなくちゃならぬもというふうなことも考えておりますが、それは暫定の処置でありまして、だんだんと計画的には畜産物、乳製品というものの国内の増加を、計画的に増加させていきたいし、ことそのことは、私は今後はその価格の維持安定、流通過税というようなものについての政府の施策がうまく参りますならば、そうえらい、でき過ぎて値が下がって農家に迷惑をかけるというようなことがなくなって、需要は順調に伸びいてく、むしろ今日は需要に対する供給が足らぬので、昨年の豚肉等の値上がりというような問題が出ております。ああいう場合にも、これは余談ですが、一般消費者のために一部枝肉を入れたというようなこともございますが、これは日本としても将来最も伸びる需要のものでは、供給は何ぼ計画を進めても私はよいのじゃないかと、こういうように思っております。
 それでお尋ねの自由化問題に対してすっきりした保護政策をとると言っておるが、どうもそこに努力というか、力が足らぬじゃないかというような御指摘、御激励でありますが、これは先ほど申しましたように米麦というものに対しては、及び畜産に対しては当分といいますか、相当これは私どもは長い期間自由化はできない、し得ないということを申し上げます。問題は大豆とかの問題でありますが、大豆なんかにつきましては、一面現在における価格の差というものについての助成によって保護をいたしておりますと同時に、本来ならばやはり日本の大豆の品種改良というものが徹底して行なわれなければならぬと思うのです。品種がよくなって、しかも反当収量が上げられて、農家収入が換金作物として相当な所得があるということにまで引き上げることが私は必要であり、そこに反当収量が上がり品質が改良されるということになれば、生産性が高まることによって価格も引き下げられるようになる、非常に国際的な競争力を持ち得る力を与えることになります。このたびの予算におきましても、広域商売に関する差益の損失を埋めて農家を保護するということをやりますが、同時に別途かなり七億近くの経費を計上いたしまして、大豆、菜種の生産合理化という方向への研究を進めて参るつもりであります。これなんかはやはり間接的ではありますけれども、農家に対する自由化に対処する一つの保護政策の現われと承知を願ったらいかがかと思います。違いました。七千万円だそうです。
#25
○戸叶武君 大臣が、たとえばこの牛乳の学校給食は少しばかり減らしたというから、ほんとうに少しかと思って、大臣の言ったこと間違いないかと思って今数字を調べてみると、三十五年度十五億七千百万円が、今度は九億円に削られたのだから六億七千百万円ほど減少しているのです。六億七千万円というと大きな数字ですよ。こういうふうにどうも荒っぽい、さっきの七千を七億に間違えた、こういうことはあり得るのですけれども、学校給食の問題を、せっかく伸びた十五億七千万円を今度は九億円に六億七千万円も削ってしまうというような荒っぽいことをするのでは、これは農林大臣が押しつぶされたのかもしれませんが、あなたの政治力があまりないという結果になりますから、どうぞ少しばかり削られたという認識じゃなくて、この点はもう少し考えておいて下さい。これは学校の子弟にも関係があるので、ただ酪農製品が足りなくなったから、それじゃ学校の学生にはやれないというので、そういう冷たい仕打を政府がやったということは、私たちとしては宣伝に非常に都合いいですが、政府としては冷酷な農政がここに現われたということになりますから、これはもう少し反省して下さい。
#26
○国務大臣(周東英雄君) これは金額の点は説明させますけれども、三十五年度の学校給食に出しました生乳の、乳ですね、この大体実績は二十五万石になっておりますが、この生乳の供給額は三十六年度も引き続いて出すことにしておるわけであります。ここは変わらないわけです。
#27
○石谷憲男君 私は林業の問題に限りまして数点大臣にお伺いをしたいと思います。
 ここ両三年木材の価格が産地といわず市場といわずきわめて確実な調子で漸騰して参っておることは大臣とくと御承知のところと思うのでありますが、木材が直接ないし間接に、いわば大衆消費的な性格を持った原料資材であり、あるいは直接資材であるという意味からいたしまするならば、その価格の騰勢を何とかして抑制をするということは、これは当面の政策でなければならない。しこうしてまた適切な価格にこれを維持する対策を当然講じなければならない、かように考えるわけでありますが、どのような対策をお持ちであるか、これが一点。
 なおこの木材価格の高騰する原因、事由につきましてはいろいろあると思うのでございますが、何といってもやはり消費に対しまして供給力が過小であるということが、これは非常に大きな原因である、かように考えられるわけでございます。こういったようなこととも相関連をいたしまして、多分に供給力増大の問題、いわゆる増伐問題というのが当面の問題になっておるようでありますが、衆議院の予算委員会におきましてもいろいろ質疑があったようであります。池田総理は永井君の質問に対しまして確かに一番値上がりしているものは木材だということをはっきり御答弁をなさっておられまするし、さらにまた農林大臣も、この増伐議論の中でおおむね今の成長率に見合うような格好で伐採量を計面していきたいというようなことをおっしゃりながら、さらに国有林には若干の増伐余力ありというようなふうにも受け取れる答弁内容があるようでありますが、はたしてこれにつきまして、かかる意味合いの増伐計画をおやりになる御意思があるのかどうか。おやりになる意思があるとするならば、その数量というものは一体どの程度のものなのか。この二つにつきましてまずもってお伺いをいたしたいと思います。
#28
○国務大臣(周東英雄君) 木材価格の値上がりが、いろんなことを原因として上がっておるが、これをある程度安定させるについては、どんな方策を持っておるのかというのが第一のお尋ねかと思います。私は、この点につきましては、木材の用途というものが、今日非常に用途別に見ると需要状態が変わっております。今日におきましては、用材というもの、建築用材あるいは薪炭材、あるいはパルプ用材というようなものをながめてみますると、なかなかパルプ用材としての需要の増加が多いようであります。しかし建築用材についても、まず三割方というものが上がっておるというような状況を見まして、日本の林力というものに見合って、一体増加する需要を、用途別に見た需要の増加をどういうふうに将来計画的に考えていくかということを基本的に考え直してみようじゃないか。こういう点をいたすということは、結局木材の効率的な利用という立場からいいまして、あるいは薪炭に燃やしてしまうよりは、ある程度パルプに持っていこう。そのために光熱用に使われておる薪炭のかわりに何を持ってくるか。またそれをやるということは、即山村経済というものに非常な影響がありまするし、零細な山村における労働者というものに対しての処置を考えていかなければ困難であろう。そういったことをどうするか。また建築用材等に関しましては、最近においていろいろ木を使わざる建築に関する研究が進んでおる。そういう問題について、用材の方をそちらに転換をするにはどうしたらいいか。またパルプについては一体どういうふうな形で、丸太というものの利用だけでなくてくずになった木まで全部利用するについて、まだ日本としても完全利用の域にまで達していない。そういうふうなものをあわせ考えつつ、用途、需要別なり、木材の需要の伸びに対して根本的な対策を立てて、そうして価格の安定というものを考えていけば一番いいのじゃないか。そういたしませんと、跛行的関係で、あるものが特に伸びていくということの影響が、あるいは建築用材にしたり、あるいは建築用材の伸びのために、他の方の方面に影響をしたりするということではやはり困るのでありますから、そういう点について根本的に一つ計画を立ててみてはどうかという今考えを持って、それぞれ研究を進めてもらっておるわけであります。なお、国有林に増伐余力があるかということでありますが、これはなかなか戦後における、私も治山治水協会の会長をやって、荒れた山の回復に骨を折ったものからいたしますると、なかなか日本の林力というものの養成については骨が折れる。しかしまだまだ、まだまだと申すとおかしいのですが、年年ある程度の国有林の増は考えておる、造林の計画をされておるようでありますから、その範囲は可能じゃなかろうかと思っておりますが、こまかいことは事務当局の方からお答えをいたした方が適切ではないかと思います。
#29
○石谷憲男君 まあ国有林に増伐余力がありゃいなやという問題につきましては、これ以上お伺いをいたしませんが、ただ大臣十分御承知だと思いまするが、現在の国有林が将来の成長量の増大というものをある程度見越しまして、今のうちに切るという意味合いの増減を相当長い間にわたって計画しておる、こういうことは明らかな事実でございます。それと、また現在まで堅持して参っておりまする国有林野事業の運営方針と申しますか、いわゆる生産補助原則といったような範囲内の考え方におきましては、おそらく現在くらいの伐採量というものが手一ぱいじゃなかろうか。それにもかかわらず、現在の木材の値上りが問題等と相関連いたしまするというと、やはり国有林増伐というものはこれは必至だというふうに私どもは考えざるを得ないわけでございまするが、まあそこで国有林につきましても、抜本的なやはり考え方をこの機会に確立をするという問題、それに必要な予算措置等万般を講じなきゃならぬという問題が当然私はここに出てくると思う。そういうふうな意味合いからいたしまするというと、なるほど明三十六年度の国有林野事業特別会計の予算額は、絶対量におきまして相当程度にふくらんではおりまするけれども、まだそういった新しい事態に対応して、国有林が率先して一般林政に協力をするという態勢にはないというふうに判断せざるを得ぬと思うのでございまするが、こういう点につきましてはどのようなふうにお考えであるかお伺いをいたします。
#30
○国務大臣(周東英雄君) これは、御意見の点はごもっともでありまして、磁極的に植林、造林に対する技術について大きく飛躍する必要もございます。もちろん御承知の通り、石谷さんおっしゃるように、成長度を早めるために、最近は成長年の早い樹種に一つ転換をするということ、またいわゆる何と申しますか、栽培林業と申しますか、農業と同じようにある程度これに肥培管理をするというような方法、こういうふうな事柄が相当に織り込まれて造林並びに林力の早期養成というものを片一方ではかっていかなければならぬと思うのであります。そういう意味においては、ことしの予算におきましても国有林の利益と申しますか、国有林経営から生ずる利益をだんだん毎年ふやしまして、民有林の造成、植林、林道の造成という方向へ新しく施策をだんだんとふやして参っておりまるが、こういうふうな処置を講じつつ国有林、民有林全体を通じての林力の養成、成長度の促進というようなことを考えて対処していきたいと思っておるわけでありますが、何かこまかい問題につきましては、事務当局の方からお答えをさせます。
#31
○石谷憲男君 そこで大臣の、今伺いましたことまことにけっこうだと思うのでございますが、まあこれまた御承知のことと思いまするけれども、私どもが承知いたしておる限りにおきましては、おそらく増産態勢をとって、これは国有林、民有林を問わず供給力の増大をはかって増産態勢をとっていくという場合の長期的な裏づけというものは、これは造林事業以外にはない、かように考えておる。それにもかかわりませず、三十五年度におきましては、国有林野事業について、計画に対して約一〇%経度の不実行が免ずる、こういうような状況があるやに承知をいたしておるわけでございます。おそくらこのことは必要な造林労務の確保ができなかったということが私は最大の原因だと思いまするが、そういう事実があるということそこで、こういうことを現実に解決しながらでありませんというと、ただいま大臣のおっしゃいましたようなことも、なかなか言うべくして地につかない、現にそういう事実があるわけであります。そのほか、一方におきまして、民有造林は確かに戦後非常にすばらしい伸展を見せておるわけであります。この方は造林をしても補助金がもらえないというくらい補助金が少ない。いわゆる公共事業に比して少ない。こういう現実が過去両三年にはあったわけでございます。そこで三十六年度の公共事業費中、造林予算の増額につきましてはいろいろと御努力をいただいたわけでございまするが、私はまあああいうことではなかなか足らぬのじゃないか。御説明によりまするというと、融資の面で相当考えたということでございますが、融資対象といわゆる補助対象はおのずから運用上の差別があるわけでございますから、この辺につきまして非常に将来に不安を残す要素があると、こういうふうに思うわけであります。これをどういうふうにお考えになっておるか。
 さらにもう一点、この造林問題と関連をいたしまして、治山治水十カ年事業と相関連をいたしまして、水源林造成というものを計画的に進めるために、明三十六年度から現花ございまする森林開発公団の機能を拡充いたしまして、これらの仕事を公団造林という−形でやって参る、こういうふうな御意図があるやに承知をいたしておるわけでございまするが、従来の百行造林事業というものは、御承知のように過去四十年にわたりまして、長い経過の中におきましても確かにいろいろ議論のあった時代もございまするが、結果として見ますというと、三十万町歩に近い森林を対象にして国の手によって直接造林をした。現在のもとにおきましては非常に大きな意味を持った事業だというふうに判断をいたしておるのであります。そこで官行造林事業に対しまする地方の要請は、近年非常に強くなっておるわけでございまするが、これを分析して考えますというと、やはり国の仕事に対する信頼度というものが非常に高くなってきたということに私は帰するのじゃないかと思うわけであります。そこでこれが御承知のように、もう苗木の調達から造林からその後の保育管理から、全部国がやるという建前でやってきたのが従来の官行造林でございますが、今度これが水源林造成をも対象とすると言いながら、同じ方式のものが公団の手に移されるということになりますと、やはり国に対する信頼度というものに比べますと、私は相当較差があるのじゃないかという感じが実はいたすわけであります。こういう仕事をやりまする対象地域は、いずれも山村の地域であります。公団とは一体どういうものだろうという理解も非常に薄いわけであります。国とか県とかということになりますとこれは安全確実なものだということになるわけでありまするから、契約事務その他も非常に順調にはかどると思うのであります。そこでよほど積極的な意味というものをこの転換にあたりまして持っておらないと、なかなかその間におのずからの説得力というものが生じて参らぬじゃないかという実は非常に不安感を持つものであります。一方におきまして、その立場、考え方の相違からでございまするが、現に林野関係の組合当局はこの移行を非常に反対しております。さらに市町村長の中にも、この移行につきましていろいろと反対、疑問視している向きも少なくないという現状があるわけであります。これらに対して、説得をする、十分了承さして新しい制度に対する協力態勢を作っていくというためには、おそらく私はよほど積極的な転換への便というものがなければならない。しかしながら、私どもがざっと考えましても、従来国でやっておったものを公団の手によってやることがベターであるということが、なかなか言いにくいのじゃないか。しかも公団はただ単にこの費用負担者になるということだけが、分収造林の費用負担者になるということだけが公団造林の性格として公団の役割になっております。そういうことになりますと、従来国が直接やって参りました仕事のほんの一部というものを公団がやるという形にしかならぬわけでございます。その辺のところにいろいろと今後問題がはらむように思いまするが、この間のお考え方をとくと承わりたいと思います。
#32
○国務大臣(周東英雄君) 御意見いろいろごもっともな点もありますが、私はここに官行造林の中で水源林造成というような事業だけを公団に移したということにつきましては一つの私は行き力じゃないかと思う。何もかも国が仕事をするということに対して、だんだんと民間に移せという話もございます、しかし全体の仕事を国に移すということもなかなかこれは困難であります。しかし、ああいうふうな水源林造成でありますか、これはそうは簡単に木を切ったりするわけにはちもろんいきませんし、その場所に限ってまず官行造林の事業の一部を移していったらどうかということから出ておるのでありまして、必ずしも私はお話しのように国が直接やればなるほど信頼度はお話しのように私は強いと思いますが、今日森林開発公団というものは国と一身同体みたいなもので、これは全然民間の株式会社や営利会社ではないわけであります。その仕事をする費用も国民から出ておる。こういうことから見まして、だんだんとその問題につきましては浸透させていけばよくわかるのじゃなかろうかと、単に国直接ということであることよりも、非常に信用の点で動かなくなるのじゃなかろうかというようなことはないのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
#33
○石谷憲男君 いや、いずれ公団法なりあるいは官行造林法なりの改正案が提案されるかのようでありまするから、詳細はその際に質疑をするといたしまして、次に昨年の十月二十六日に農林漁業基本問題調査会が林業部門の答申を行ないましたことは、とくと大臣御承知の通りでございます。この中の主要な問題点につきまして広く林業関係者の中にはいろいろとまだ議論があることも御承知と思います。また非常に重要な問題点であるというふうに考えたから全く舌足らずな指摘しかされておらないという点につきましての不満も同様にあるわけでございます。しかしこうして、これは詳細にわたりまして時間もございませんので避けます。るけれども、全体を通じてこの答申案はあまりにも農政ベースで貫き通されておるということが、いわば林業、林産業関係者の大半の不満のあるところでございます。もちろん、社会的に見ましてそれほど強く自己主張をするということができないことを意識しながらも、現状があまりにも軽く取り扱われ過ぎておるということに関しまする、これは私は不満であるというように考えておるわけでございます。答申案が今後の林業発展の方向として強く取り上げておりまする山村自主農家の森林経営の問題につきましても、大いにこれはまだまだ私は議論があるというように存じておるわけでございまするが、一体政府当局とされましては、この答申案というものの受け取り方、この具現化につきましてどのようにお考えになっておるか、どのようなお考え方のもとに関係者に広く協力を求めようとしておるのか、この点を一つお伺ひをいたします。
 同時に明年度創設されようといたしておりまする経営安定化資金十億でありますが、この使途を検討してみまするというと、国有林ないしは公有林を対象といたしまして、いわゆる農家林業の拡充をはかるための林地取得が、この資金によってもうすでに可能な道が開かれたというような実は理解もできるように思うのでございます。これは国有林、公有林でございまするが、ということが一方において何か知らんありそうに思えながら、御案内の通り公有林に対しましては、いわゆる直営造林のための融資のワクも昨年に比べまして相当大規模に緩和されておるというような事実があるわけであります。一見何か改策的な矛盾を将来に残すような感じというものが私はするわけでございまするが、この点につきまして一つ明快な御回答をお願いしたいと思います。以上二点お願い申し上げます。
#34
○国務大臣(周東英雄君) 農林漁業基本問題調査会の答申が林業に関してはまだまだどうももの足りぬ、あの答申をどういうふうに見るのかというお話でありますが、全くざっくばらんに申しますと、農業林業基本問題調査会は昨日の大部分を農業の方に注ぎ込んでおったというきらいはないでもありません。この点は別の意味において漁業基本問題についても同じことが言えます。しかし漁業基本問題については一番大事な漁業権制度という調査会が結論がもう一年かかります。この点ができますともう少し変わって参りますが、それができてからというわけにはいきませんので、応急の措置として当然やらなきゃならぬ問題として沿岸漁業振興法という問題を出して別途考えておりますが林業の方につきましては、そういう理由でなく、ちょっといろいろな問題についてもう少し検討を加える必要があるんじゃないかと私も考えます。がしかし、これは今後の問題にして、一つ林業は別の意味から日本の林業経営というものをいかなる形に将来進めていくかということ、及びそれに対する金融的措置、及び林業と申しましても、山林経済をになう中には、林業だけでなく、これは従業員等零細な中小企業者及びその労働者、炭焼き業者といろいろなものがありますが、これらを含めてどうするかというような残された問題がまだたくさんあると思います。これらはこの次のときに考えてみたいと思います。
 第二の御質問は、事務の方からお答えいたさせます。
#35
○説明員(大野文夫君) ただいま融資の問題でありまするが、経営安定資金、これはあの通り読みますと、林地の取得ということが確かにあるわけでございます。私ども事務当局といたしましては、国有林、公有林を、直ちにそれを取得するための資金であるというふうに考えておらないのでございまして、たとえば山林に不在地主、あるいは山林というものを手放すというような方々のを取得するということに今のところ考えております。
#36
○石谷憲男君 よくわかりましたが、無益な不安を生じないように早く運営方針をきめて皆にお示しいただけるようにこの点をお願いいたします。さきの林業問題の答申案の中には、御案内のように木材加工業対策ないし流通対策というものについて、これは何にも触れておらぬ。大臣も御承知のように、製材工業というのは工場数ないしその零細施設、しかも原木の消費量といったようなものからいたしまして、木材関連産業の中では確かに重視すべき一つの存在でございまするが、これはいわゆる原木高、製品安というものにはばまれまして、すこぶる近年好況らしい好況には恵まれておらないというまことに不安定な存在でございます。それから合板工業は御案内の通り戦後輸出産業といたしましていち早く復興いたしたのでございまするが、最近業界不振のために非常な苦況にあえいでおる。大企業の系列に属しまする紙パルプ産業といえども、御案内の通り迫りくる貿易自由化に備えまして、目下非常に苦心をしてコスト・ダウンをはかっておる。その中であくまでも原木問題がつかえておるというような状況にあるわけでございまして、やはり林野行政とともに林産行政は同じ比重で真剣に考えていく。従って森林経営と同時に林産工業が相ともに繁栄するということがやはり今後の林政の新しい目標でなければならぬというふうに私どもは考えまするのに対しまして、期待をしておりました答申案には何もそんな問題に関しては触れておらない。非常に不満を感じておりますが、こういう点につきまして農林当局はどんなふうに考えておりますか。こういうことと、先ほどの農業基本法、沿岸漁業振興法の問題がございます。林業につきましてまだ十二分に研究すべき余地があるとは考えておりますが、しかも何も特別なことを考えておらないというお話ですが、ただ大臣の予算委員会における松浦委員の質問に対する御答弁の中にも、一部農業基本法が適用される部分もあるというような御発言もあったわけであります。これは私どもが、世間に伝えられるものを見ましても、何かそういう感じがするのでありますが、なるほど法制的な整備というものは相当研究をされ、研究を経ましたあとでありましても、新しい林業政策の体系というものはなるべくすみやかに私ははっきりいたしませんというと、これは単にそういうはっきりしないままに、農業基本法が適用される部分もあるというようなことは、これまた非常に私は不安感を各方面に投げかけるのではないかというような感じがいたすのでありますが、こういう点についてどのようなふうにお考えになっておるか、以上お尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。
#37
○国務大臣(周東英雄君) 林業政策の樹立にあたってこれとの関連を持つ加工工業、ベニア、合板というようなものの関係について考慮しなければならぬじゃないかということについては、私も同感であります。今後これに対して必要な検討を加えたいと思いますがただ今の農業基本法の問題について林業政策の大綱に入れたらどうかという問題でありますが、よく検討いたしてみたいと思いますが、いろいろ林業の経営に関する問題と農業との問題において非常に違った部面があり、同じく一本に取り込むことについていろいろ問題もあったかと思うのでありますが、御意見の点はよく拝聴いたしまして考えてみたいと思います。
#38
○千田正君 今、石谷委員の質問に対するお答えの中にも、ちょっともう少し詳しく聞きたい点がありますのは、林業経営安定資金の創設に対してその対象となるものをもう少し詳しくお答えを願いたいと思います。林業経営安定資金の対象とは何かということです。大体どれだけの程度のことでどういうふうにやるのが、構想だけでよろしいから、もっとはっきりしてお答え願いたいと思います。
#39
○説明員(大野文夫君) 林業経営安定資金は今回新しく考えております資金でござまして、そのおもな点は、従来造林に非常に投資を要いたしましても、それからの回収が非常に長期間にわたり、そのために、ややもすれば農山村の方々は生活経済の維持に困りまして、そのせっかく自分で作りました造林地を手放さなくちゃならぬという事態が非常に多かったのでありますが、そういうようなことに相なりましては、将来の造林を飛躍的に増大させるという意味におきましても非常に障害になるというような観点から、そういう林地を不当に安く、ことに直接の生産業者じゃなくて、ほかの方々に手放すというようなことのないように、そういう場合にはこの安定資金をもちまして安定資金を低利、長期でお貸ししたい、かように思っておりまして、ただいま構想といたしましては、年五分五厘の二十年据え置きの十年償還ということを考えておりますが、これはまだ決定はしておりませんが、私どもはそう考えておりまして、事務当局と折衝中でございます。
#40
○千田正君 対象となる所有山林の面積あるいは植林の石数といいますか、植林の数量というものに限定したものがあると思いますが、それはどういうふうなものを対象としておられますか。
#41
○説明員(大野文夫君) ただいま一応零細所有の森林経営者を考えておりまして、少なくとも二十町歩未満のものを考えております。
#42
○委員長(藤野繁雄君) 本日はこれをもって散会いたします。
   午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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