くにさくロゴ
1960/02/17 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第7号
姉妹サイト
 
1960/02/17 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第7号
昭和三十六年二月十七日(金曜日)
   午後一時三十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理事
           秋山俊一郎君
           櫻井 志郎君
           東   隆君
   委員
           石谷 憲男君
           植垣弥一郎君
           岡村文四郎君
           重政 庸徳君
           仲原 善一君
           阿部 竹松君
           小林 孝平君
           安田 敏雄君
           千田  正君
           北條 雋八君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   農林大臣官房長 昌谷  孝君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   林野庁林政部長 高尾 文知君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (雪害に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 雪害に関する件を議題といたします。
 まず、農林省当局から、今次の豪雪による被害の状況及びその対策について説明を求めます。
#3
○政府委員(昌谷孝君) お手もとにお届けいたしました資料がございますので、主としてこの資料に基づきまして、今回の雪害の概況その他今日までおおむね判明しております被害の状況等を御説明いたしたいと思います。
 まず降雪の状況でございますが、いろいろ書いてございますが、簡単におわかりやすいために、二枚目のところに棒グラフで本年の雪害の状況を地域ごとに平年と比較したものを用意いたしました。
 それでごらんいただきますと、黒い斜線の入っておりますのが本年の積雪の状態でございます。それから斜線の入っておりません棒が、平年の積雪量を表わしております。左の方に表で数字を出しておりますので、数字についてはそれで御承知いただきたいのですが、特にひどいのが、新潟、高田地方それから金沢地方周辺それについで秋田といったような状況でございます。こういう状況で大へんな雪でございますので、いろいろ果樹その他農作物に被害があるわけでございますが、何さままだ雪の盛んに降っておる状態でもございますので、被害の詳細を見きわめることができませんで、いろいろ統計調査部の組織なり、あるいは本省係官が現地に行きまして打ち合わせしておりますが、しっかりした被害調査を申し上げる段階に至っておりません。
 御参考のために「別表2」といたしまして、関係県から報告のありました被害状況を四ページに記してございます。これによりましても、やはり被害が大きいのは、新潟、富山、石川、この三県が特にひどいようでございます。なお愛媛県につきましては若干時期がさかのぼりますが、一月の下旬に珍しい雪に見舞われまして、夏ミカンに相当の被害を出しておるようであります。
 施設の被害は、今日まで県からの報告によりますれば、ここに書きましたように十億円、それから作物被害は一応十九億円程度、合わせまして約三十億円程度の被害というように県からは報告されております。
 作物被害につきましては先ほど申しましたようになかなか実態がわかりませんので、もう少し時日の経過を待ちませんと、諸対策を具体的に進めるのに必要な資料が整いません。
 目下の段階では、そういった予想される被害に備えまして、被害が起こった場合にどういう措置をとるか、度合に応じてとるべき措置を研究しており、関係省とも一そうの統一をとっているというような段階でございます。特に被害の多い農作物は、やはり果樹でございます。私設の関係でも、果樹だなの被害が大きいということで、いずれにしましても、果樹は雪による被害を多く受けております。なお林木の被害もなかなかばかにならないようでございます。「別表3」といたしまして、次の紙に、今日までに統計調査事務所からあがって参りました被害の概況を、ごく大ざっぱにつかみました概況を速報としてとったものでございますので、それを御参考までにつけました。それでここに書きましたように、これは二月十日ごろの概略の推測でございまして、いわゆる統計調査という性質のものではございません。聞き取り調査、見聞調査でございます。それによって一応作物被害の果樹園とその他に分けまして、二割以下の被害と思われる県と、二割以上五割未満と思われる県、五割以上の被害をこうむっていると思われる県、あるいは作物とに分けまして特に摘記いたしました。これでごらんいただくとわかりますように新潟、富山、石川などが相当な被害がある。特に新潟ではナシ、ブドウ、桃、富山では、桃、リンゴに大きな被害があるようでございます。なお先ほど申しました愛媛の夏ミカンはやはり相当の激甚な被害を受けているようであります。御参考までに一番最後の紙では、何割以上というような被害の概況を見当ずけていただくために、それぞれの県の果樹の種数ごとの三十五年度の果樹園面積を御参考のためにつけておきました。そういった面積について二割以下とか、二割ないし五割とか、五割以上ということを五ページの表では言っているわけであります。
 以上の概況でございまして、十分に対策を具体的に実施いたしますには、まだ時期として早いと申しますか、遺憾ながら被害の実態が明確でございませんので、先ほど申しましたような準備の段階でございます。過去の例、たとえば三十二年の豪雪等の例にも徴しまして考えられる対策を研究をいたしておるわけであります。天災融資法の発動につきましても、農作物被害の実態がわかりませんと、御承知のように天災融資法の発動ができませんので、それも被害の概況、あるいは被害額がわかりますまで待っていなければならない状態であります。過去の天災融資法では、大体二十五、六億から三十億近く農作物被害がございますと、天災融資法が発動を見ておったというのが、過去の天災融資法の発動の場合の一つの最低線と申しますか、実績でございます。これは国民経済に著しい影響といったようなあの法律の趣旨から、そういう被害のときに発動を見ているという事例でございます。その点は今後の被害状況が判明することによって、天災融資法の発動にいくか、あるいはそれに至らないかといったような点も明確になるわけであります。おそらくは天災融資法の発動を必要とする事態になるのじゃないかということをおそれております。
 それから公庫資金につきましても、在来の例では、天災融資法が発動になりますと、あわせて公庫資金の主務大臣指定災害の融資の発動を告示するという取りでございますが、これも従いまして天災融資法の発動まで、過去の実際の被害対策の場合には、時期をそこまで待つのが例でございますが、場合によりましてはその辺のところをもう少しそっちだけでも早めてはどうかということを検討中でございます。果樹だな等の手当につきましては、雪がとけてからではおそいというような現地の声もありまするので、できますれば、そういった点は過去の例に必ずしも即しませんけれども、そういうふうに処置すべきではなかろうかというようなことも考えております。
 なお、融雪時期にまた出水その他でよく見ますいろいろの災害事故が予想されますので、それらにつきましても、公共土木関係、あるいは土地改良関係等、そういった除雪あるいは融雪に伴う災害に対する備え等も万全を期したい、さように考えております。
 大体今日までの農林省としてわかっております概況をかいつまんで申し上げまして御報告いたします。
#4
○委員長(藤野繁雄君) 次に、本院から派遣されて北陸地方における降雪による被害状況を調査してこられました櫻井委員から御所見をお伺いしたいと思います。
#5
○櫻井志郎君 参議院から派遣されまして、本委員会の大河原委員その他私を含めて五名が、福井、石川、富山の三県の雪害調査に行って参りました。
 私、帰り一日おくれまして、昨朝帰ったのでありますが、やはり雪害を受けて帰りの急行が二時間ばかり遅延して到着したような次第であります。
 わずか一日ずつの各県の調査でありますことが第一点であり、そしてまた第一に、現在なお相当量の積雪がありますために、一級国道あるいは二級国道、重要府県道というものの一部がようやく車が入る程度でありまして、雪害の中心地にジープ等をもっても接近することができないというのが現状でありますために、私どもが現実の雪害というものを、現実に目で把握することが不十分であったわけであります。この点は一つ御了解をいただきたいと思います。
 そこで、もう久しい間、気象庁の統計で見ますと、約十三年暖冬が続きまして、ことしから寒冷期に入ったと、こういうふうにいわれておりますが、御承知のように気象はある一定の周期をもって、いわゆる温暖期、次には寒冷期というふうに変わっておりますが、気象庁長官の言うところによれば、ことしから新しい寒冷期に入ったんだと、こういうふうに言っておりますが、それが現実に昨年の暮れの二十九日からの猛吹雪による豪雪期に入り、今日なおその状態が継続しておるようなわけであります。今、官房長からお手元に出ましたこの資料を見ますと、報告の期日がまちまちでありますために、表で出ておるこの表だけを見ますと、たとえば福井県あるいは富山県のごときは降雪量が少ないように見えておりますが、福井県、富山県等のは先月の三十日現在、その他のはその後の数字を示しておるようでありますので、私どもが参りました三県のうちの福井県、富山県は大へん少ないように見えておるということは、統計の日が違うということでまず御了解を得ておかなければなりません。
 そこで、間宮海峡が閉塞された、そのために日本海の海流が変わり、そして日本海沿岸を中心にしての日本の暖冬が始まったんだ、こういうふうに報道機関等が相当の確実性をもって伝え、あるいはまた気象関係の専門家等もこれを明確に打ち消すというようなことがなかったために、豪雪に対する準備というようなものも若干気がゆるんでおったようにも思います。現実に北陸に参りまして各工場等の話を県庁等で伺いますと、深い経験を持っておる古い会社等は原材料等を、あるいは豪雪被害等を予想してあらかじめ買っておった。こういうようなものもございますが、そうでない大多数の工場は原材料の手当てが十分でなかったために、暮れの三十日に始まった交通途絶等からいたしまして各工場が非常に困った。原材料がなくなったために工場の稼働が不可能になり、もしくは時間稼働にしなければならない、こういうような問題が起こった。あるいはまた、もっと大きく言いますならば、近い将来、最近の好景気に歩調を合わせて、設備投資を拡大し、工場の拡張をやろう、あるいは新しい工場を持ってこよう、こういうふうに考えておったものが、このたびの豪雪によって工場の拡張計画、あるいは新しい工場の設置計画等を中絶せざるを得なくなった、こういうような話も申しております。私は、このことは、今後の、いわゆる私どもの与党でも、また野党の皆さんも唱えていらっしゃる長期経済の発展の中で見た地域較差の解消、こういう問題から見ましても、今度の雪害問題は、軽々に政府の方で扱ってもらっては大へんなことが起こるということをまず申しておきたいのであります。地域の産業の発達・地域の所得の較差の解消という点から見ましても、今後の雪害対策というものを、妥当に適切に扱っていかないと、いかにこれを法律にうたってもこの障害を解消していくことができない。特に農林省においても新しく農業基本法案を設定し、農業の振興をはかり、他産業との較差の解消をはかっていこうという新しい計画に立っておるはずでありますが、こうした裏日本地帯の豪雪災害あるいはその災害の予防、そうした問題に十二分に意を用いないと、いかに法律がりっぱなものが制定せられても、なかなか実態がこれに即応していくことができないということは、今度の雪害を通じて痛感するところであります。
 問題はいろいろございますが、中でも、今度の農業基本法案の中でも扱い、あるいは先般廃案になりました果樹振興法案、このたびまた新しく提案されるはずでございますが、今後の成長作物であるといっておる果樹等の扱い方にしても、私どもが実際見て参りました北陸地帯はどちらかといいますならば、従来、米単作地帯で、果樹の大経営地帯は少ないのでありますが、それでも石川県の海津地帯を初めといたしまして、福井県、富山県に相当果樹地帯が点在し、政府の方針に沿って今後、成長作物として果樹振興も大いにはかっていきたいという意欲に燃えておる際に、この豪雪地帯の果樹がほとんど軒並みに大なり小なり被害を受け、果樹だながつぶれてしまった。あるいはブドウ、ナシ等が、ある地域においてはほとんどの果樹が裂損、裂けたり折れたりした損害を受けておる。こういうような問題について今後どうしていくか。たとえば昌谷官房長は農作物の被害高がまだ明確でないので、天災融資法を発動するかどうかまだきまっておらない。理屈を言えばその通りであります。理屈を言えばその通りであり、また雪が消えてしまうか、もしくは消えかけなければ、その状態を確認することができないのも事実であります。でありますが、昨年の暮れに雪害が始まって今日すでに一カ月半、そうして雪が消えるのになお少なくとも二週間もしくは三週間かかりましょう。そうした中において天災融資法が発動されるかされないかもわからないという不安な気持にある農民及び農民指導者の立場に立ってものを考えてみなければならぬ。そういうことについてこれはあとで私は質問でも伺いますが、相当すみやかなある意味で言えば大胆な対策がこの際政府として必要だということを痛感いたしております。その他いろいろございますが、また質問の段階において申し上げることにいたしますが、いずれにいたしましても、気象庁あたりの報告としても、寒冷期に入っている、寒冷期に入れば、おそらく豪雪は一年おき、従来の統計からいうならば、一年おきに豪雪期がやってくるであろう、こういうようなことも警告をいたしております。それに対して、農林行政を担当している農林省におかれましても、十分な予防対策、また雪害が起こった後におけるすみやかなる対策及び援助の方法というものについて、はっきりした信念をもって臨まれることを期待いたします。簡単でありますが、若干の所見を申し上げておきます。
#6
○委員長(藤野繁雄君) 先ほどの説明に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#7
○櫻井志郎君 天災融資法は、おおむね農作物被害が三十億程度でありますか、その程度でなければ発動しない、これはそうだろうと思いますが、しかし雪の下に隠蔽されている関係等もあり、今後雪が降らなくとも、雪が消えて状態を確認できる段階になるためには、最小限度私は二週間、もしもっとすみやかに雪が消えるとすれば、状態を確認するためには、まことにけっこうなことですが、そういう事態がもしありとすれば、これは必ず大規模な融雪災等が起こります。融雪災害が起こらないような状態で、雪がじりじり消えていくとすれば、なお二週間あるいはもっとかかりましょう。しかも、おとついの晩あたりから、私が立つときあたりから、猛烈な吹雪が再度襲ってきております。非常に不安な状態で、長期間そのままにされている。立ち直りの資金が貸してもらえるのかもらえないのか、あるいは相当な損害があったものに対して、援助の道が政府から伸びてくるのかどらなのか。そういう不安な気持のままで放置しておくということは、これは私は大へんまずいのじゃないかと思うのですが、理屈はもう先ほど承わったからいいのでありますけれども、心がまえについて、政務次官あるいは官房長からお伺いいたしたいと思いなす。
#8
○政府委員(井原岸高君) 私も実は非常に異常な積雪で被害を受けているという情報があったものでございますから、園芸課の技術家のものを帯同いたしまして、新潟地区のごく一部でございますが、一部を見て回ったわけでございます。ただいま櫻井先生の報告はいただきました通りでございまして、こちらで想像いたしておりました以上の積雪であり、また結果から考えまするというと、非常な大きな災害であることがうかがわれたわけであります。ただ一つの例からいたしましても、二十六日の年末に降り続いた雪が、翌年の二日まで降り続いたわけでございまして、そのために列車が雪の中に埋まりまして、何百人という乗客が非常な不安に閉ざされる。旅館へどこか連れていこうとしても、旅館自体も食糧がないというようなことでありまするし、またその汽車は、客車を掘り起こす人夫を雇おうとしても人夫がいない、消防団員が辛うじてかけつけたり、あるいは自衛隊に出てやってもらったのですが、消防団員も自分の家の屋根の雪を落とさないと自分の家がつぶれてしまうというような、そういうような不安な中でそういう活動をやった。そういうただ一つの事実を見ましても、非常におそろしい災害であったことをまざまざと情報も聞き、現地を見せていただいて、肌にアワを生じるようなおそろしさを感じたのであります。輸送が途絶いたしましたために食糧がない、農家の人はどうにか野菜の手持ちがあったようでありますが、一般の民家は一本のネギが十円、あるいは大根が一本四十五円というような価格を出してすらもなかなか手に入らない。あるいは屋根の雪をのけるのに、普通は三百五十円ぐらいの賃金が、大体千五百円ぐらい、最後は賃金を払ってもやってくれぬというような状況であったようでございます。そういうふうな状況でございましたので、ただいま櫻井先生の御質問のようなふうにこれは大へんなことでございますから、私自身としては向こうに参りましたときも、櫻井先生のおっしゃるようなふうに、早急に融資の道も考えなければならぬというようなことも、困っておる農民の方々にもそういう御要望に対して考えてみようというような同答もして帰ったわけでございますので、ぜひ御要望に沿えるようなふうに努力いたしたいと存じます。
#9
○政府委員(昌谷孝君) なるべく、今政務次官からお答のありましたような線で御要望に沿いたいのでありますが、それには先ほど来申しましたように、在来の災害対策についての経過もございますので、なかなか簡単でないと思います。どうやって被害額を早目にこちらで把握するか、あるいは予想される被害額というものを予知する方法等を工夫してみまして、私どもが行政上処理し得る最短スピードで処したいと思います。先ほども申し上げましたけれども、果樹だなの復興等の資材の手当等は急ぎますので、場合によりましては公庫資金の発動だけでも、せめて繰り上げてやれるようにするというのも一つの方法かというふうに考えて今研究中でございます。そういったことでございますので、今直ちに現在の被害の把握状況でそのまま天災融資法を直ちに発動するというふうにきめることは、ちょっと困難でございます。なるべく御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。
#10
○櫻井志郎君 私は、もう少し意欲的な答弁をほしいのであります。従来こうであったからこうだという考え方も、これは一つのお役所としては当然の考え方ではあります。がしかし、一方においては従来そういう考え方であったから、地域間の較差もますます拡大してくれば、産業間の較差の解消どころではない、較差もますます大きくなってくる。ここで考え方を変えて、産業間の較差、地域間の較差というものをできるだけ解消していこうじゃないかという基本観念に立ったのだとすれば、従来こうであったということだけではなしに、従来こうであったことがまずかったから、今度はその大きな目標に対してこうしていきたい、あるいはこうしていくへきだ、こういう考え方があってしかるべきじゃないか。特に雪害のような、いうならば水害等は何といいましょうか、急激な病気にたとえ得るならば、雪害等は急激な病気であり、現象的には、かつは慢性的な病気のような、あとにいつまでも産業が停滞するという慢性的な病害も残しておる、そういうものに対して、従来こうであったからこうだという考え方じゃなしに、その従来の弊害を排除していく新しい施策の現われとしてどうしようという考え方がそこで出てこないかどうかということについてもう一度。
#11
○政府委員(昌谷孝君) 何と申しますか、そういう雪の深い地帯の対策が整いませんことが、地域間の較差の問題等にも影響があって、従って、今後の農政の展開上、そういう点に特に注意を払わなければいけないという先生の御趣旨には、全く私も同感でございます。ただ、お言葉を返すようでありますけれども、天災融資法という法律そのものの仕組みが、農家の被害状況を把握した上でその平年との比較において個々の農家あるいは個々の町村の発動の態様がきまる仕組みになっておることも、これまた御承知の通りであります。何さま、被害が、先ほど統計調査部の推計として申し上げましたような、大ざっぱな度合い、程度がわかっておる現状では、いかに気持があせりましても、実は天災融資法というようなところまで一挙にいきかねるわけであります。そこで、必ずしも従来がこうであったから今後もこうでなければならないというふうには私考えておりませんけれども、先ほどは、ただ御参考までに、従来の天災融資法の発動の対象となった災害の規模はこうでございましたということを申し上げたのであります。これは、法律の解釈と申しますか、適用上いろいろな議論のあるところだろうと思います。従いまして、必ずしもそれだけが今度の雪害に対する発動のきめ手になる唯一絶対のものさしというふうには私も考えておりません。そこで、何と申しましても、そういったことの判断をいたす素材を早く集めて、天災融資法を発動するかどうかということを議論し得る状態までもっていくことが今日の段階ではとにかく先決問題であります。それをとにかく急ぎたい。万事は、そういった多少論議のできる素材を整えた上で、なるべく御趣旨に沿うように努力いたしたい。そういう気持を先ほど申し述べたつもりでございます。御了承いただきたいと思います。
#12
○櫻井志郎君 具体的な問題について若干伺いますが、たとえば石川県でありましたか、牛乳を百七十石腐らしてしまった。この牛乳を今まで扱っておった荷受機関に出荷することが豪雪のためにできなくなったので、付近の農村でこれを消化したいという考え方ももちろん起こったのであるけれども、これは法律をもって禁止されておるので、みすみす腐らす以外に手がなかったと、こういう話であります。たとえば、高温殺菌消毒で付近の住民で消化をするということが、私、実は話を聞いておりながら、なぜそのぐらいのことをやらないのかと思いつつ聞いておったのですが、それは法律をもって禁止されておるんだと。だから、やむを得ず涙をのんでこの牛乳というものは腐らしてしまった。つまり、法律のために腐らしたんだ、こういう言い方をしておるのですが、法律はそういうふうにまで手きびしく縛っておるのかどうか。あるいは、法の解釈が間違っておったものか。それから、もし現実に法律がそうであるとすれば、これは緊急な場合、当然除外例があってしかるべきだということも考えられるのですが、それについての考えはどうか、これが第一点。
 それから次は、森林火災保険法案がやがて改正法律案が提出されて、気象災害がその中に包含されることになる。これは先般官房長からも法律案の説明があったのですが、気象災害の中には当然雪害は入ると思いますが、現在の考え方としては入っておるか入っておらないか。それからまた、入っておるとしても、理論から言いますならば、その法律が施行される後に、たとえば五月一日とか六月一日以後の問題に適用されるということになるわけですが、現在起こっておる森林の折損木、幼令林の災害等についてはどういうふうに考えておられるかということが第二点。
 豪雪によってつぶれておる炭がま等についての復旧については、これは従来どういう扱いをした例があるか。私の記憶では、補助措置をとったことがあるのではないかというふうに記憶しておるのですが、どういう措置をとったことがあるか、また、今度はどうしようとしておるかということが第三点。
 それから、こういう豪雪地帯における造林補助費ですが、豪雪地帯もそうでない地帯も、造林単価はほとんど同じように林野庁では見ておられるようですが、話によると、ごくわずか差がついておるというふうにも聞いておりますけれども、豪雪地帯における造林補助費等は、当然相当の造林単価の差があってしかるべきだと思うのですが、それに対する考えはどうか。まあいろいろありますが、まずそんな程度を伺いましょう。
#13
○政府委員(昌谷孝君) 第一点の牛乳の処理の問題でございますが、私も実は牛乳の厚生省の衛生法規を十分承知いたしておりませんけれども、そういった高温殺菌につきまして一般的に道が開かれておることは御承知の通りでございますが、あるいはその高温殺菌についても必要最小限度の施設の基準等の制約があったかと記憶いたしておりますので、そういうことで不行き届きがあったと思います。しかし何かそういう問題は現地で保健所なり、県庁なりという関係者が集まって相談をすれば、現在の取り締まり法規でもある程度の措置がとれたのではなかろうかと思うのでありますけれども、その点はなお詳細に調査をした上でまた御報告いたしたいと思います。
 それから、森林の木の災害につきましては、先生御承知のように、今国会で審議をお願いします保険制度の改正法律案が通りますれば、気象災害も補てんの対象になることになります。で、遺憾ながらその法律の通過を見ますまでの間起こりましたものについては、制度上それを遡及してというわけには参らないと思います。やはり従いまして、それにかわるべき融資措置その他行政措置を講ずる以外に方法はなかろうと思います。
 炭がまにつきましては、雪害で炭がまをみたかどうかについては、私も記憶はございませんが、最近の例としても高潮その他の際の炭がまの被害に対して助成措置を講じた前例がございます。これも従いまして、被害の実態がわかりますれば、そういったすでにほかの災害でとられましたに準じての措置は当然用意いたすものということで研究をいたしております。
 なお、造林の補助金等のことにつきましては、林政部長がおられますので、そちらからお答えをいただきたいと思います。
#14
○説明員(高尾文知君) だたいまの、造林補助費の単価に差があってしかるべきじゃないか、こういうお話しでございますが、大へんごもっともだと思うわけでございますが、これは必ずしも豪雪地帯のみならず、いわゆる台風の常襲地帯とか、その他特殊な日本の気象あるいは土地条件によりまする特殊のそういう地帯が各地にあるわけでございますので、ただいまの気象災害等を含めまして、そういう差をどういうふうにつけたらいいか、あるいはつけるべきかどうかということについては、林野庁といたしましてもなお十分検討をさせていただきたいと思います。ただいますぐそういたしますというようなことは説明員の立場からちょっと申し上げかねますが、御了承を願いたいと存じます。
#15
○櫻井志郎君 あまり一人で質問しておるとなんですが、もう一点だけ伺います。年度末までに完了しなければならない公共事業ですね、農地局系統あるいは林野庁系統あるいは水産庁の、漁港はまずこれは問題ないかと思いますが、主として農地局それから林野庁これらの公共事業で、二月、三月ごろに完成しようという計画でおった工事が、豪雪のためにその雪をはねのけなければ工事ができない、こういう問題はもちろんこの委員会の関係だけではなしに、建設委員会等ももっと大きな問題だと思います。そこで政府間におかれては、その除雪費を工事費の中に組み込むことの可否について協議されたかどうか、またもしされていないとすれば、それについてどういうふうに考えておられるか、その点をお伺いします。
#16
○政府委員(昌谷孝君) 御指摘の公共事業の施行に伴います必要な除雪費につきましては、事業費の中から補てんするという線で関係省と協議を重ねております。多分御要望に沿い得る形で結論が得られるものと考えております。
#17
○岡村文四郎君 雪害の現地報告だから、官房長、的確なものではないというお話がございましたが、御報告を承わりましたが、いずれにしてももう長く置かないで、基礎準備をしてやってもらいませんと、四月・五月になってからではおそいわけであります。ですから一つの金額に制限もあるようで、はっきりつかめぬというお話、それはそうだと思います。しかしながら、大よそその付近にいきやしないかということも考えられやしないかと思いますが、そうして農家の方々が迷惑をしない、手落ちのために十分にならなかったというようなことのないように、一つ御協議願って、早く手をつけてもらうようにしてもらいたいと思うのです。それをお願い申し上げます。
#18
○政府委員(昌谷孝君) 先ほど櫻井先生に、天災融資法に関連してお答えを申した通りでございまして、至急に被害の状況をつかみたいと思っております。統計調査部にしても、被害のつかみ方について、いろいろそういった要望なり要請の必要に備えて、早く被害額をつかむ方法について、多少どろなわのきらいはございますが、目下研究中でございます。現地にも研究を命じております。そんなような状況でございますので、まさか四月、五月というようなことでなしに、私どもの心づもりでは三月中ぐらいには被害のかなり精度の高いものを何とか手に入れたいというふうに、せっかく努力中でございます。
#19
○岡村文四郎君 これは政務次官にお願い申し上げておきますが、この被害の金額をきめられるということは、非常に大きな被害でなくて、総括してみたら大きな被害でないものだから割合に総額が少ない、ところが被害そのものの一戸にしてみたらえらい被害だというのは、はなはだどうも被害が大きくなければ助からぬ、こまかかったために助からぬというようなことはどうも解せないので、ここらは一つ研究をしてもらって、現在の法律が悪ければ直しておくなり、やってほしいと思うのです。それから県とうんと連絡をしてもらって、雪のことですから一生懸命やっておると思うのですから、なるたけ早くつかんでもらうように御手配を願います。
#20
○政府委員(井原岸高君) おっしゃる通りでございます。ちょうど長岡の震災、御承知の通りでございまして、あそこへ行って見たのですが、わずか四百九十九戸、五百戸に一戸足らぬのですが、ほとんど全滅するような状況でございます。むざんな姿で、一家ほとんど全滅というような状況があったりする、しかしながら範囲が非常に小さいものですから、取り上げ方が一般的に非常に低調なんであります。一戸々々見ました場合には、目もあてられないような、気の毒でわれわれ行っても何のお見舞いも申し上げられないような状況でございます。そういうこと等も考えますと、ただいまおっしゃる通りで、若干地域が狭かったり、総体の額が少なくても、その地域にとりましては、各営農者にとっても大へんな問題でございますので、おっしゃるようなふうに十二分に検討いたしまして、また法律の隘路があれば、一応皆さんと御相談申し上げ、何かできるような方法を将来考えなければならぬと考えております。さようなふうに進めるように努力いたしたいと思います。
#21
○石谷憲男君 一点だけ林野庁にお伺いしますが、今度の雪害の中で、森林被害が相当あったように私承知いたしておるわけであります。北陸の三県は御承知のように、非常に大量の雪が降ると同時に、非常に重い雪が降る地帯です。しかもその地帯には成長が早いというわけで、ボカ杉という特殊な杉が相当程度植林されている。そこで今回のみならず、よく雪害の問題がありますると、北陸は森林被害を非常にこうむるわけです。ただいまのお話しで明年度から、気象災害に対しても国の損害保険がある。こういうことになります場合に、非常に雪害にかかりやすい樹種を植栽をすることは、そのままにしておいて、そうして起こった事実に対してだけ補てんするというような考え方で運用されるのか。こういう新しい制度が開かれた機会に、やはり耐雪性の樹種というようなものにつきましても、もう少し強力に植栽指導をされていくというようなお考えのもとに、新しい制度の運用をされるのか、その辺どういうふうにお考えですか。
#22
○説明員(高尾文知君) 大へん重要で、かつ技術的にむずかしい問題であろうかと思いますが、この新保険の制度が発足いたしますまでに、まだ若干時日もございますので、今のような御指摘の点も、これからどういうふうに持っていくかということを、十分一つ検討さしていただきたいと思います。ただいまのところ、いわゆるボカ杉その他に関連をいたしまして、いわゆる耐雪性の樹種を、特に今の三県等についてどうするかということは、まだ内部に出ていないようであります。十分内部で関係方面と打ち合わせて、検討いたしたいと思います。
#23
○石谷憲男君 もう一点、先ほどの櫻井委員の質問に対しまして、特に造林費の単価について、差異があってしかるべきじゃないかという質問があった、これは現在の造林補助金の制度は、運用上実情に応じて、相当弾力的な運用がされるように私ども承知しております。特に雪害の多い豪雪地帯ということになりますと、いわゆる特殊地ごしらえというものが非常にいい意味を持ってくる、階段地ごしらえというものが非常にいい意味を持ってくる。ところがこれは従来なかなか予算折衝の過程において、そういうものが認められておらないというところに、問題があろうと思うのですが、その点はどうなんですか。
#24
○説明員(高尾文知君) 事実は確かにその通りであろうかと思います。なおその必要性がただいま御指摘の通りございますので、自後の年度以降の予算折衝その他につきましても、十分努力をいたしたいと思います。いずれも重要な問題ばかりでございまして、技術的にも、相当研究を要する問題であろうかと思いますので、なお林野庁の中でも十分検討いたしたいと思います。
#25
○政府委員(井原岸高君) ナシや桃の果樹地帯を見て回ったのですけれども、少し雪が薄いところで、何かの都合で菜っぱが雪の上に出ておると、そこへカラスが集まってきて見る見る間に全部その菜っぱを食っちゃう。今まで出てこなかったようなサルとかシシとかいうようなものも、食物に飢えてうろつくというような状況で、桃なんかも、畑の中から出てきまして雪のちょうど境のところを桃の皮を食って回って、全部皮がついておらぬというような状況で、やはりウサギやらそういう動物が出てきて、ほとんど杉とかヒノキの皮のいいところまで食糧にしてしまうんじゃないかというようなことで、そこから折れるとか、将来大きく伸びるのが、そこで行きどまるというような、そういう被害がかなり出てくるのじゃないかと思うのですが、やはりそういうこと等も十分にわれわれの方も研究して、そしてただいま石谷先生のおっしゃるような面につきましても、十分農林省としても保険の面やらあるいは将来のそういう樹種の選定等についても考えていかなければいけないのじゃないかと考えますので、そういう点も十分に研究していきたいと思います。
#26
○委員長(藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト