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1960/02/21 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第8号
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1960/02/21 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第8号
昭和三十六年二月二十一日(火曜日)
   午前十一時十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理事
           秋山俊一郎君
           櫻井 志郎君
           亀田 得治君
           東   隆君
           森 八三一君
   委員
           青田源太郎君
           石谷 憲男君
           岡村文四郎君
           重政 庸徳君
           田中 啓一君
           高橋  衛君
           仲原 善一君
           堀本 宜実君
           阿部 竹松君
           戸叶  武君
           安田 敏雄君
           棚橋 小虎君
           千田  正君
  国務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   経済企画庁調整
   局長      中野 正一君
   農林政務次官  八田 貞義君
   農林大臣官房長 昌谷  孝君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   水産庁次長   高橋 泰彦君
  ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○森林開発公団法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○公有林野等官行造林法を廃止する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○森林火災国営保険法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付、予備審査)
○農林水産政策に関する調査
 (水質汚濁等による漁業被害に関す
 る件)
 (農林水産政策に関する件)
 (昭和三十六年度農林省関係予算に
 関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 森林開発公団法の一部を改正する法律案、公有林野等官行造林法を廃止する法律案、森林火災国営保険法の一部を改正する法律案、以上予備審査の三案を一括議題といたします。
 まず提案の理由の説明を求めます。
#3
○政府委員(八田貞義君) 森林開発公団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。
 森林資源の確保と国土の保全上、森林の果たす役割につきましては、いまさら申すまでもないことでありますが、なかんづく、近年の台風災害その他の実情を見ますと、治山治水の目的をよりよく達成するための森林の造成を今後さらに積極的に推進することの必要性が痛感されるのであります。このため国の施策といたしまして、造林、治山等に対する公共投資等が行なわれてきたのでありますが、この一環として水源地域における民有の要造林地につきましては、公共事業費による補助造林の推進のほか、従来より公有林野等官行造林法に基づき、国が収益分収の方式による造林事業を行なってきたのであります。
 ところで、この官行造林事業の現況を見ますと、対象地が零細で分散しているほか、国有林野事業における生産力増強計画及び既往の官行造林地に主伐期の到来したこと等に基づく事務量の増大等の事情もあり、かつ造林事業につき地元市町村等に全面的協力を期待することも緊要であるので、国が引き続き国有林野事業として官行造林を行なうことが適切でない状況になって参ったのであります。このため今後における水源地域の森林造成の事業につきましては、森林開発公団が分収造林特別措置法に規定する費用負担者または、造林者となることにより、地元市町村、森林組合等の造林能力の活用と相待ってこの事業を進めて参ることといたしたいと考えております。このような理由により、森林開発公団法の一部を改正いたしたいのであります。
 以下法律案の内容につきましてその概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、公団法の目的に、水源を涵養するため、急速かつ計画的に森林の造成を行なう必要がある地域内における当該森林の造成にかかる事業を行なうことを加えることとしたことであります。
 第二に、これに伴い、この水源涵養林の造成を行なう必要があるものとして農林大臣が指定する地域内の土地につき、同公団が分収造林特別措置法第一条に規定する費用負担者または造林者として同条の分収造林契約の当事者となり、これに基づいて森林の造成にかかる事業を行なうことを同公団の業務に加えたことであります。
 第三に、この業務を行なうのに必要な財源として、十億円の政府出資を行なうこととし、また政府がさらに追加して出資を行なうことができる旨の規定を加えたことであります。
 第四に、これらの規定を設けたことに伴ない、経理の方法その他の必要な規定の追加及び関係規定の整理を行なうこととしたことであります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容のおもな点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
 公有林野等官行造林法を廃止する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。
 公有林野等官行造林法は、公有林好に対し国が森林の造成を行なうことを目的として大正九年に発足したものであり、その後水源地域における私有林等にまで対象地を拡大して今日に至ったものでありますが、次に述べる理由からこのたび同法を廃止することが必要になったと考えられるのであります。
 まず第一に、公有林を含めた一般の民有林に対する森林の造成についての施策といたしまして、昭和三十三年に分収造林特別措置法が制定され、同法により公有林についても分収契約の締結を通じて造林に必要な資金の導入をはかることが容易になって参ったのでありますが、さらに昭和三十四年度からは、市町村に対する農林漁業金融公庫からの造林融資の制度も開かれ、これにより公有林野における造林事業についての助成態勢が着々と整備されてきていることであります。
 第二に、水源地域における森林の造成についての新たな施策として、このたび別途御審議いただきます森林開発公団法の一部を改正する法律案におきまして、従来国が公有林野等官行造林法に基づき行なってきたものと同種の事業を森林開発公団に行なわせることとしたことであります。
 これらの理由により、公有林野等官行造林法を廃止したいのであります。なお、これに伴う経過措置として、同法を廃止する法律の施行前に公有林野等官行造林法に基づき締結された契約については、同法は、なおその効力を有するものとし、これに関連して、関係法律における規定の整理を行なうこととしたのであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容のおもな点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
 森林火災国営保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。
 最近におけるわが国経済の成長は、まことに著しいものがありますが、これに伴いまして、木材需要も急速な伸長を見せ、今後もこの趨勢が続くものと推測されているのであります。このような情勢に対処いたしますためには、人工造林面積を経済的及び技術的に可能な限り拡大することがきわめて必要でありますが、御承知の通り林業は、造林から伐採に至るまで非常に長期間を要するものでありまして、わが国のように災害の多いところにおきましては、森林は、常に危険にさらされているわけであります。そのため、災害対策として種々の措置を講じているのでありますが、その一つとして、昭和十二年から、当時、民間保険のベースに乗りがたいといわれた人工幼令林を対象とする森林火災国営保険事業を開始し、以来、おおむね順調な発展を遂げ今日に及んでいるのであります。しかしながら、火災による損害のみを填補するのでは、災害対策としての面のみならず、林業金融の裏づけとしての森林の担保価値の面におきましても、なお不十分であると考えられ、さらに一そうこの国営保険事業を拡充することが必要であります。この法律案は、以上述べましたような趣旨に基づきまして、従来火災のみであった保険事業に、気象上の原因による災害を加え、森林保険事業を総合的なものに発展させようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(藤野繁雄君) 以上をもって提案理由の説明聴取を終りました。
 これらの法律案の審議は日をあらためて行なうことにいたします。
 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて下さい。
 農林大臣の都合により、予定を変更して、これでしばらく休憩し、午後三時から再開する予定であります。
   午前十一時二十三分休憩
   ――――・――――
   午後三時四十六分開会
#6
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 水質汚濁等による漁業被害に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、昨年十二月二十日の本委員会におきまして伊勢湾周辺の問題を中心として論議され、その際、埋め立て及び水質汚濁等は、漁民から漁場を奪い、漁民の生活を脅かす重大な問題であるので、これらの問題を未然に防ぎ、またすでに起こっておる問題に対しては、その具体的な対策について関係各省において十分打ち合わせを行ない、政府の責任ある答弁が要求されておりましたので、本日重ねてこれを議題として答弁を求めることにいたします。
 なお本件に関し政府からの出席は、周東農林大臣、高橋水産庁次長、昌谷官房長、経済企画庁調整局長中野君、経済企画庁水質保全課長古沢君であります。
#7
○国務大臣(周東英雄君) お尋ねの点は、四日市市の問題におけるような、加害者が明らかでないものについて国が補償したらどうかというのが中心になっているようでありますが、この点に関しましては、実際上水質を汚濁しておる原因が、どの企業体であるかということは、今のところ不明だということでありますが、しかし大体は、それらのABCというような企業体があるのが、総体的にどうも石油化学工業に関連している問題から水質を汚濁され、魚が石油くさいという問題からいたしますると、どの会社が主たる加害者かということがわからぬにしても、その原因を与えているところは、そういう関係者であるというようなことは推定がつくわけでありまして、従ってこれに関しましては、三重県当局がなお熱心に調査を進めておるのでありますから、その結果を待って当事者関係においてまず話し合いを進めて、これが補償等の必要なる場合においては考えていくというのが順序ではないかと思います。それに対してどうしてもなかなか打開がつかぬという場合においては、第三者が入ってあっせんの労をとるというようなことが必要じゃないかと思います。今直ちに、原因不明だとしても、それを直ちに国家が水質汚濁に関して補償をすぐするという立場には、まだ研究の余地があろうかと考えております。水質汚濁に関する法律で、できましてまだ間がないので、水質汚濁について補償等をやるに関して一体水質の汚染基準と申しますか、そういうものの確立ということも法律にあったかやに思っておりますが、これもまだ各地あちこちやっておりますが、四日市までは手が回っておらぬような現況でもありまするし、そういう事態のもとにおきまして、直ちに国家補償という形に出ることはできないのではないかとかように思います。で、一面に私どもは企画庁等を鞭撻し、その方の関係が水質汚濁防止法に関する主管省でありますので、それらに関する水質汚濁基準を早く各地いろいろなところに立てるということが一方必要でありまするし、同時にまた、四日市の具体的問題につきましては、三重県当局を督励してその原因が那辺にあるのかということは大体の推測はつくかと思われますから、そこらの早くめどと結論を出していただくようにして当事者間の解決を進めるということが一つの方法ではなかろうかとかように考えておる次第であります。
#8
○委員長(藤野繁雄君) ただいまの御答弁に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
#9
○森八三一君 ただいまの大臣の答弁はきわめて常識的な答弁でありまして、その程度の答弁は、前回にも実は各関係の局長なりそれぞれの担当官からお伺いをいたしたと思うのであります。それでは問題は解決いたしませんので、ただいま委員長もおっしゃいましたように、水が汚染しておるということは現実の厳然たる事実なんですね。ですから今後そういうような汚染を再び起こすことのないようにするためには、どうするかということについて政府のお考えを承わりたい。ただどの程度に汚染すれば魚が死ぬとか死なぬとかいうその汚染の度合いを調べるとか、いろいろなことをやっておりましたのでは、次から次へと現実にその水はよごれていってしまうのですから、いやしくも汚染をしないというようにするためにはどうするかということについてのお考えを承わりたいと思う。今の御答弁ではその基本対策についてまだわれわれとしては納得し得るようなお答えになっていないと思うのです。それからもう一つは、現にその汚染のために相当の被害が起きておる。これは例示されました四日市を中心とする石油化学工業の問題もありますれば、あるいは船の航行によってその船が廃液を流がす、そのために非常な被害を与えておるという事実も至るところに発生をいたしておりまして、そういうような起きた被害に対してどう措置をするか、これは今三重県の例にとりまして県庁の方でも一生懸命にそういう問題について調べているから、その調査を待って対処をしたいとか、こういうことでございまするけれども、現にそういうような被害をこうむりました多数の零細漁民の諸君は、それを待っておる間に生活権を奪われつつあるという差し迫った問題がここにあるのですね。だから調べていると言ってじんぜん日がたっていくうちに、もう一方からは生活権を奪われて、生命の極端に言えば危険にさらされてくるという事態が発生しておる。この事実に取り組んでいくための当面の応急的対策というものはなければならぬと思うのです。それについて一体どういうふうにお考えになるか、この二点について恒久的な対策もございましょうが、取りあえず当面する問題を解決いたしまするための応急対策いかんということが、実はこの前も責任あるお答えをいただきたいというわれわれの質問の要点であった。ところが、今の大臣の御答弁では、その急所にいずれも触れていない。これでは解決の案にならぬのじゃないか、今後調査をしてやるからしばらく待てと言われておるうちに、現にもう魚族は生息しなくなる。貝類も生息をはばまれるということで、それに生活の全部を依存しておる連中はこれは糊口に窮しておるという事実、これを放置しておくというわけに私は参らぬと思うのです。それにどう取り組んでいくかという問題ですね。これを一体どう処置されまするのか。
#10
○国務大臣(周東英雄君) 私最近この職をあづかりまして、まだ詳しいことは聞いておりませんが、しかし今のお話しのように、私はそれによって影響を受けている業者と非常にお気の毒でありますが、それにはやっぱりある程度対策を立てるについて基礎的な資料が出てこなければならぬと思う。ただ抽象的にあっちもこっちも船の航行で汚染させるということに対して、みな国家が負うというわけにもいかぬかと思っているが、どの会社というようなことが突きとめられないにしても、ある程度推定的に共同的な立場で汚染しているというようなものは、推定できるとすればまずその方に対しての話し合いによってのある程度の救済というものを考えるべきが順序じゃないか、それでこれは各般の各地方に起こる問題につきましては、大体従来につきましてはそれぞれの場所によって当事者間における話し合いというものが進むという、それによって埋め立て、あるいはその他の関係によって漁業権等が、あるいは生業が失われるという場合においての補償措置が講ぜられてきているわけであります。私はそれは抽象的に論ずるのではなくて、具体的な場所ごとに、一つ当事者間における話し合いというものを進めるのが大事だと思う。それに対しまして国があっせんをし、進めるようにあっせんするということは、私は必要だと思うのであります。ただいまの場合、私はじんぜん日が延びているとも思わないのですが、前のことを私は知りませんが、ともかくも三重県の例によりましても、当局は非常に調査を急いでおります。早くこれを結論を出して、そうして当事者間におけるあっせん調停というものをなさしめるように国としては考えてあげることが、私はまず一ついくべき道だと思います。かように考えますが、なお私の知らない点におきまして当局からこまかいことを説明いたさせます。
#11
○説明員(高橋泰彦君) それではただいま県当局の方でやられております対策につきまして、御報告申し上げたいと思います。まず当初にこれを着手いたしましたのは、昭和三十五年の六月ごろでございますが、県水産課、水産試験場、国立大学というものが調査の打ち合わせをし、それぞれの調査を開始したわけでございますが、その結果によりある程度調査のやり方につきましても見当がついたように聞いております。そうして三十五年の十二月につきましては、このにおいのある魚の問題、単なる水産だけの問題とはしないで、広く県政の問題として対策を講ずるというような方針をきめまして、伊勢湾汚水調査対策推進協議会というものを設立いたしまして、調査と対策を講ずることになったのでございます。この事務局は県の総合開発本部というようになった趣きでございます。なお、結論でございますが、まだいついつまでに必ずこの報告が来るということは確認しておりませんが、そう遠い将来の問題ではないというふうに聞いて目下一生懸命にこの原因の調査に努めておりまして、大体近い将来には、そこら辺の原因もある程度わかるのじゃないかというふうに期待しているような状況でございます。
 なお、漁業対策の問題でございますが、これはもちろん今次のこの事件に限りませず、沿岸漁業一般の振興の問題といたしましては、先ほど御説明した対策本部の将来出てくるであろう御要望も検討いたしまして、県の立案を参考としながら、私どももできる限りの助力をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
#12
○森八三一君 そういうような抜本的なことを考えていただきますことは、私も希望するところで、けっこうと思うのです。思いまするが、今現に起きておる被害に対して、一方では生活権を剥奪されていくという現実を一体どうするのでしょう。現地へ行って下さいますればわかりますよ。工場から廃液が出ておる、それがどの程度の被害を与えておるがということについては、非常にむずかしい問題ではありましょうけれども、その一部分をとってみれば、私は科学者じゃありませんから、そういう技術は持っておりませんけれども、海へ出てくる大きなパイプからさっと出ておるその水一つとってひょっと科学的な試験をしてみれば、これがどういう被害を与えるであろうかということは、これはもうおそらくその道の人であれば三つ子でもわかると思うのですね。そういう被害が毎日毎日二十四時間繰り返されておるという事実を放っておくということでは、その場所で生活を営んでおる連中は、これはたまらぬと思うのですね。水だからそんな文句を言っておられますが、もし水田にそういう毒をばらまかれたら一体どうなるか。それでも毒がどの程度のものか、調査をしなければ、それまでは何とも始末ができぬということではないはずだと思うのです。これはもう次長、何ですか、あなたは現地をごらんなさいましたか。あるいは課員を現地へ派遣されましたかどうか。もうたくさんのパイプから熱湯のようなものが混ってくさい。しろうとでも害があるであろうと認定のつくものが四六時中どんどん流れておるのです。そして海水は全く色を変えておるのです。これは肉眼でもはっきり見えます。それがだれがそういう害を与えたのか、それはどの程度の被害があるものなのかということを調べた上でなければ、その対策が立たぬということでございますると、その間一方貝類と同じように死滅していく国民を一体どうするのだ。死滅ということは少し極端な表現でございますけれども、生活ができなくなっている。現にもう貝類は一切生息しない。魚族はそこへは寄ってこない。それはもう仕方がないということでは、これは政治にならぬと思うのです。だから、そういう根本的な対策がつくまでの当面の措置としては、あの周辺にある会社がおのおの分担をするならするということで、その手当をしてあげるということでございませんというと、これはたまらぬですよ。
#13
○国務大臣(周東英雄君) その点は私もよくわかります。私は毒があるとかないとかいう問題の具体的の、たとえば四日市の問題についてみますと、あの辺はたしかチリメンジャコかなんかの生産があると思う。それが石油くさくて商品的に売れぬと、こういう事実があれば、それらは一つの対策を立てる資料にはなると思うのです。それらに対して県当局も調査を進めております。とにかく目の先に生業が奪われておるということに対して急がなければならぬということはわかります。私ただいま申し上げましたように、最近この職につきましたが、さっそく三重県当局を鞭撻しまして事情を聞きまして、どういうふうな処置を講ずるのか聞いた上で、私どもも仲介をすることに対しましては労をいとわないつもりであります。さっそく三重県当局を呼んで事情を聴取いたしたいと思います。
#14
○森八三一君 大臣の誠意のあるお答えで、私はこれ以上かれこれ申し上げたくはございませんが、水質汚濁に関しまして、いろいろな法律に基づきまして、どういうふうに汚染をしておるのか、それがどの程度の被害を与えておるのかというようなことを法律に基づきまして調査をいたしまして、その上でしかるべき対策を立てるというのが、大体先回のこの委員会における関係事務当局の答弁だったのです。私はそういう抜本的な対策をお立ていただきまして、将来魚族なり海草類が死滅しない程度の水質にするというためには、廃液等の純化についての施設を講ずるとかというやり方もあると思うのです。そういうことを抜本的にやっていただきまするための資料として御調査を願うのはけっこうでございまして、やっていただきたいと思いまするが、そういうことの結論が出て、水が汚なくならぬという見通しがつく限り、その汚染による被害というものについては、これはもう過去の統計を見ますれば、年々生産があった地点がどういうように減退をしておるかということは、これは水産当局には出てくると思うのです。出てきた統計上の被害というものに対しては、それで全部であるのか、あるいは適当な比率を設けますのか、とにかく数年にわたって被害をこうむっておる損害というものは私は政府に直接、賠償しろと申し上げておるのじゃございません。そういう被害を与えた方々は、当然賠償の責めに任ずべきであり、そのあっせんは政府が当然やるべきだと思うのです。そういう責任を追及していきますと、おそらくそういう生産事業をやっておる会社の団体の経理の方に非常に大きな支障が起こると思います。今までは、そういう損害賠償をするるという計算でなく、一応の会社運営をやってきておるのですから、それが過去数年にまたがって、その賠償はかくかくのものを支払うべきであるということになりますれば、その会社自体の営業と申しまするか、業務の運行に支障を来たすような大きな問題にまで、私は発展する場合もあり得ると思うのですね。そういたしますると、中に立ってあっせんをすると言っても、事実なかなか困難であるという問題とぶつかってくると思うのです、実際問題としては。そういう場合に、結局零細漁民が皆泣き寝入りをさせられてしまうということが今までの多くの例であったように私は見ておるのでございますが、そういう場合におきまして、大臣の誠意あるお答えのように、適正な補償が過去にさかのぼってなされるように、政府としてはあっせんの労をとる、こういうお話であると承わってよろしいかどうか、これは非常にむずかしい問題でありますが、念のために伺っておきます。
#15
○国務大臣(周東英雄君) これは第一においては、地元の知事が仲介あっせんの労をとることになっております。ことに水質汚濁については、あの法律が制定される当時、皆さん御承知の通り、非常に多元的ないろいろな問題が含まれておる複雑な問題で、これはなかなか簡単に責任の所在をはっきりさせることができないのです。しかし私どもがある企業に基づく廃液その他によって水が汚染されることによって、極端な場合は魚が死ぬ場合もありましょう。また死なないけれども、商品的な価値が減殺されて、従来いかぬという場合もありましょう。そういう場合に、どの程度の汚染をもって影響が出るかということをきめつつ、それ以上の場合においては会社が補償の責任をとるというようなことを編み出すための一つの法制の根拠を作ったことは御承知の通りであります。しかし、これは通産省その他も非常に苦しいのでありますが、御承知の通りなかなか基準というものが出しにくいというのが現状です。しかしそのことが因難だからといって、これは何とか一つの基準を置かなければ、根本的には、私は解決しない問題だと思うのです。その問題と、現在出ておるものをだれが一時的に考えてあげるかということとは全く違って参りますけれども、最終的にはやっぱり責任を負うべき人が暫定的に
 一部をめんどうをみてあげるということに、あなたが早くやったらどうかという御質問があると思う。それにつきましても、やはり三重県当局としては、今の具体的問題にしますると、非常に苦労しておると思います。で、従って私どもは、今申し上げますように、どういう経過になっておるか、どういうふうに考えておるのかということについて暫定的にどういう措置をとるのがいいのかということを聞いてみませんと、私らが東京におりまして、それはどれだけ考えるべきものだ、あれだけ考えるべきものだということを言うことは、これは危険な話であります。そういう点において、まず私は、三重県当局を呼んで経過を聞き、対策をどう考えているかということを聞いて業者のためにはかっていくというあっせんは私はしていきたい。しかし、将来金額等の相違になって、これは労働関係のような仲介の、何か仲裁の権限を別に持っているわけではありませんが、事実においてそれをどうするかということについては、やはり基準ができ、それについて、その基準にのっとって、どれだけをどう賠償するか、補償するかということが立たないといかぬのじゃないか。それまではあくまでも事実上の行為としてあっせん仲介をするということでなくちゃならぬと私は思うのです。
#16
○森八三一君 さらに念のために一つ申し上げておきたいと思いますが、これは最近の税法の欠陥であるといえばそういうことも言えるかもしれませんが、現在の地方税法その他の関係上、工場誘致をすることによって相当の税収が見込まれるということが現実なんです。そこで、そういう点だけをねらっていきまするというと、一部の市町村民に相当の被害が及びましても、その面からはそのことが強行されるという事実がないとは言えぬと思います。現実の問題として。そこで、県当局のとこうおっしゃいまするが、まあ三重県を指してかれこれ言いますると、田中知事を指すことになりまするので、あまり言いたくございませんけれども、県当局にしてみますると、工場を誘致するという一つのあれがあるのですね。でございますから、そういう誘致した工場に非常に経済的につらく当たるということはどうも心苦しいというような心持ちの動きが出て参りますると、それによって、こうむっておる零細漁民が結局泣き寝入りをさせられてしまうということになる危険性が多分にあるのです。こういう点はそのあっせんをされまする場合によほど公正な立場に立って政府が考えていただきませんというと、これは大きな問題になって、結局小さなものは泣き寝入りということになる危険がございますので、その辺は一つ、御如才はないと思いますけれども、十分に留意をいただきまして、一刻も早く当面する一つ対策をお立てになることと将来は魚族その他の棲息に不可能な程度の汚染はさせないという根本的の対策をお立ていただきまして、もし化学工業の進展等が日本の経済成長なり、貿易の発展のために、どうしてもこれはやらなければならぬ国策的なものであるといたしますれば、それに対しては当然国がその被害に対する責任を始末するということまでいっていただきませんと問題の解決にならぬと思いますので、そういうことで一つ御進行を願いたいという希望を申し上げておきます。
#17
○亀田得治君 ちょっと関連して。こういう問題はまあときどきあるわけですが、結局魚族が減っておること自体は、これはもうはっきりしているわけですね。そうすると、減る以前の状態との間で相当莫大な損害が出ている。これ自体もこれははっきりしているわけです。ただ原因が不明なんですね。不明というか、ばく然とはわかっていても、いわゆる損害をきちっと責任を負わすというような立場での明確さというものは欠けておるかもしれない。そこでこれはいずれ明らかになることですね。で、明らかになれば、これは当然その工場なりそういうところは責任を持たなければいかぬわけですね。だから、その漁民の方に渡るべき損害に当たるものは、いずれは来るわけです。だから、それを予想して県等がその金をやはりめんどうを見てやると。非常に困っている場合に、それが県だけで処理ができない場合には県がそういうめんどうを見たいのなら、国の方でまあ私、今どこからそういう金を出していいのかはわかりませんが、その地方の公共団体に対して、適当な形でしばらく援助をするという格好をとれば、国なり県が肩がわりした格好になって、で、当面の困っておられる漁民の方は一応それで安定していくわけです。そういう措置をむしろとり、今度は県と会社あるいは国と会社などの問題になってきますね。そこの金の返し方の問題というそのやり方、返し方にもよりますけれどもね。むしろそういうふうに転換したらいいんじゃないか。国が損するわけじゃないのです。ただ一時肩がわりするだけなんですから、国なり県であれば、会社から一どきに莫大な損害金を取らなくても多少そこを分けて取るという話も、これはしやすいと思うのです。だから、そういうふうにしませんと、実際上問題が長引いて、今困っておられる漁民の方も毎日非常に苦しんで、結末の方は何だかあいまいになってしまうというおそれがやはり非常にあるのですね。同じく心配してもらうのなら、何かそこら辺のところまで踏み切ったことを考慮する余地というものは全然ないものか、そこら辺の大臣の考え方はどうですか。
#18
○国務大臣(周東英雄君) それはお話しの点もわかりますがね、これはやはり将来のめどをはっきり立てないと、ある一部は漁獲高は減ずるけれども将来漁業が維続されていく場合と、とてもそこは将来ともそれによっていけないから全部転業しなければならぬというような場合もあるだろうと思う。それによっては補償額というものが違ってくるのですね。そこらの見通しをおそらく私はいろいろ考えておるのじゃないかと思う。簡単に一部入れておけばいいじゃないかというけれども、それで済まない場合が起ってくるのじゃないかと私は思う。設例がまずいかもしれませんが、従来は漁獲高が十億あった。これが実際いろいろな関係で半分に漁獲が減ったということになれば、五億に対する漁獲の利子は何ぼということで複利計算で問題を考える。全体的にそこでは漁業ができないということになる場合と、一部の場合とは違ってくる。それを一体汚水に与えている原因というものは、どこまでの漁場に及ぼしているかということをはっきりつかまないで、ただばく然と一応金を出しておくというわけにはいかないと私は思うのですが、しかし、いずれにしても三重県当局は何を考え、どういうようにしているのか、 これはほっておくわけじゃなかろうと思うのです。だからその点は私ども聞いてみないと、ただばく然とそれは何とかしてやろうというわけにはいかぬと思う。そこらの点が水質汚濁に基づく補償というものは非常にむずかしい問題である。しかも産業間のいろいろな国全体としてどっちがどうなるかということを考えて比較考慮の上、もしも新しい企業を持ってくるのがいいとするならば、業者なら業者が、しっかりと転業さして、立っていくような方途を考えつつ、その一部として金を出すということでなくては、ほんとうの親切さはないんじゃないかと私は思うのですが、そういう点にむずかしさがあるので、どういうふうに考えておるかまず聞いてみなければならん、私は実はきょうここに引っぱり出されて初めて聞くことですから、はなはだ恐縮でありますが、そういう意味においてはまず一番汚水を心配し、地元の漁民のためをはかっておられる三重県当局から事情を聞き、そうしてどうするかという私どもの考えをきめなければならぬと、私はこう考えております。
#19
○千田正君 関連して。たまたま三重県の問題のお話しでありますが、この問題は、大臣がかつて経審の長官になられた、国務大臣になられた、あるいは農林大臣になられた当時からこの水質汚濁の問題はすでにもうあるのですよ。十何年も経て今日まで解決しておらない先般も当委員会は水産庁を呼んで、たまたま水産庁長官がおらないので次長が来られまして、関係官庁の通産省その他の方々が見えられましたけれども、一つもまとまった結論が出てこない。これは今も大臣がお答えになったように、だれが加害者かわからないじゃないかというような問題が出てくる。分析の問題におきましても、たとえば工場側の分析から被害を受けた方の分析と、中に立ち会った県庁側の分析とはおのおの違った問題が出ているわけであります。堂々回りすることすでに十数年になっております。いろいろな問題を惹起した問題にしましても、すでに御承知の通り、九州におけるところの被害の問題、熊本、長崎、その他あるいは千葉県の問題、この問題を回って何年となく同じような問題が繰り返されておる。それでは先般来、これは農林大臣として特に私はお願いしたいのは、被害を受ける者はほとんど漁民です。あるいは農民です。こうしたいわゆる基礎産業におけるところの人たちの被害が多くって、近代産業、いわゆる言いかえれば加害者は近代産業である。被害を受ける者は原始産業の農民、漁民である。この対立はいつまでたっても解決つかないということであってはならない。それで判定する機関を国として設けなければならない。今も大臣おっしゃった、加害者がだれだかわからないということではだめではないか。県庁に行ってみてもはっきりしない。三重県のことも調査しなければわからない。こういうことでなく、超党的にいわゆる各官庁から一カ所に集めてここできめたら、これだけの被害は工場が払うのだ、これだけは被害者はがまんするのだという確定的なものを国の機関として作らなければこの問題は解決しないんですよ。何回となくこれは言っておる。幸いに経済関係のこともやられ、殊に農民や漁民のためには考えておられる。大臣が就任されたのですから、この際画期的なそうした機関を作って、国の判定機関を作らなければこの問題は解決しない。大臣として考えておく必要があるのじゃないかと思いますが、御意見を明確に承わりたいと思います。
#20
○国務大臣(周東英雄君) 長い間の懸案であったことは御指摘の通りであります。ようやく法律ができたのは三十三年でありますが、そのときも、これはまず損害の補償の責任に当たる原因としての汚水の状況というものをどこに基準をとるかということが、だいぶ論戦の末、水質汚濁基準というものを作り、これに入っているものは責任あるものとして何らかの補償の措置を講じさせる。こういう愚昧でできたのが水質汚濁法の水質基準設定の問題であります。これは御指摘のように、二年前ですけれども、とにかく一生懸命やっておりますが、出そろわないという点については遺憾であります。これは年来企画庁でやっております。手も回らんと思いますが、各地の場所において基準設定を行なっております。そういう点は今御趣旨の点において、だんだんと産業の発展に伴って工場の廃液等が漁村に対して及ぼす影響、また工場設置に伴って農地が壊滅させられるところにおける農村に対する処置という問題は、当然あわせて私どもは守っていかなければならないのであります。その意味におきましても、ただ抽象的に汚染したらすぐに賞任していうわけにもいかぬのが、補償されるべき計算の基礎をどこにとるかということを考えておかないと、ただ手づかみでどうするわけにはいかぬ。これは千田さんもよく御承知の通りと思うのであります。私はそういう意味において基準を早くさせるということが一つと、現実の問題においてただいまいろいろ森さんなりのお話しのように、いかにして中間的に処置をとらせるかということについては、具体的に三重県の問題にいたしますれば、知事を呼んで経過を聞き話をし、それに対してこちらの意見も述べたい、こう思うと申し上げたのであります。全国的にいろいろ問題が起きておりますが、場所によりましては、当事者同志で解決しているところもある。これは御承知の通り、またあるいは、その問題が解決しないがために、そこに工場誘致をさせずに漁村を守っている例もございます。一がいにどこもかもだめだということにせずに、やはり考えて、それに対する対策は根本的に立てることが一つの方向であり、その中間的に現実の問題をどう処置するかということは、それに対して苦労している県当局の意見を聞き、さらに処置するということが一つの一歩を進めることであろうと考えるのであります。
#21
○千田正君 大臣のお考えはまことにけっこうですし、われわれもそういう考えは同感なわけです。ただ、問題は、解決するに機関がなければ、法律があってもどうも締まりのない法律である。どこにも当たりさわりのない法律が作られたわけであります。農漁民にとってはまことに歯がゆい問題である。現実の問題を処理するのにどうするか。たとえば今の三重の問題でも、県庁へ行っても、県庁がなかなかはっきりしない。大臣がおっしゃる通り、三重県の県庁で調査を進めてみても結論が出てこない。だから、結論が出てこないような問題をいつまでやっても無理だから、結論をつけさせるような国家機関を置きなさいというのが私の主張です。そういう国家機関を置くべきではないか。農林省は農林省として言い分がある。通産省関係の工場は工場で言い分がある。地方自治体は自治体で言い分があると思う。そうして三者おのおの主張して譲らないために、今までこういう問題は何年となく繰り返されている。だから、これを十分に研究して、判定する法律なり法律に基づく機関なりを設置すべきが当然ではないか。そうしなければこれは毎年繰り返す。こういうことに対して大臣は特に強くこの問題に対する機関設置その他に対して推進するお考えはないか。この点についてお伺いしたい。
#22
○国務大臣(周東英雄君) 水質汚濁防止法についての法律もできてまだ間がないのでありますから、いろいろと御指摘の点もありますが、これは第一には知事があっせん調停するのでありますが、その上に中立的なしっかりした仲裁機関を作ったらどうかという問題につきましては、将来の問題として検討をしてみたいと思います。
#23
○亀田得治君 もう一度関連してちょっとお聞きしておきますが、希望もありますが、先ほど大臣がおっしゃったのでは、調査の結果、漁族がほとんど全滅していて、全然なくなって転業しなければならんという場合には、また補償の金額等が違ってくる、そういうこともあるので、やはり調査を待って処置しなければならんという意味のことをおっしゃっているのですが、その場合は、損害補償額を増加する問題なんですから、私は二つに問題を分けて処理したって差しつかえないと思うのです。当面は、取りあえず今まで百取れたものが五十なら五十ということになっているわけですから、その差の五十について適当な処置をとるということは、調査の結果転業することになったって、少しも取り扱い上矛盾しないと思うのです。そういう結論であれば補償はふやせばいいのですから。だから、そういう議論を今しておっても仕方がないのですが、ただ私は地元の市町村がやはりもっと責任を持つべきだと思うのです。ともかく原因は、はっきりしたことはわからなくなったって、工場が来て廃液等を流すから起きていることは間違いないのですから、地元の市町村はそれによって税金を取っているわけですから、これは因果関係があるわけです。しかも自己の地元の住民のことだし、それはむやみに金を出すことはできないだろうが、当然そういう義務を負わさせていいのじゃないかと私は思うのです。一時立てかえ的な補償です。それからもう一つ問題は、ずっと研究していったあと、最終的にはどうしてもどの工場かわからないという部分が出るかもしれない。百が五十になった。そのうち三十までは原因がはっきりした。あとの二十はどうしてもわからない。こういうような場合もあり得ると思うんですね。そういう場合には、その二十については、やはり市町村が持つなり、二十のうちの半分を市町村が持つとか、そうしてあとの半分は関係工場で全部適当な方法で持つようにするとか、そこら辺のところをもう少し検討してほしいと思うのです。筋が通らぬ話です。
#24
○国務大臣(周東英雄君) 今のお話は、こまかな問題は方法論でありますから、この問題は、私が先ほどから言っているのは、県知事はどういう経過をたどり、どういうところまで考えているのかというようなことをよく聞いた上で、いろいろな話し合いをしてみることがいいと思うのですよ。で、あとは私は方法論だと思う。あるいは私がさっき言ったのは、ふえる場合は内入れだからいいじゃないか、減る場合もあるだろう、方法は企業形態に対する処置を考えましても、およそこのぐらいになるんだが、その内入れをどうする、最終決定は今すぐ出ぬにしても、という、やはり全体がわかってその全貌の一部というのはやりやすいこともあるのじゃなかろうかという私の想像なんです。しかし私は、 いずれにしたって、それをやるにしても、いろいろな方法についてどう考えているか。一番あそこで工場誘致をしてきた知事、また、今、森さんのお話のように、これによってある程度固定資産税が入るから非常に利益だというような考え方のものが、あちこちの市町村にあります。そういう問題があるだけに、一体どういうふうに県なり市町村は考えるかということを聞いて、やはりはっきり私は意見も述べてみたいというのがさつきの話です。あなたのお話はよくわかりますけど、そういうものは個別細目であったので、私どもは、それはこうせいああせいと言うよりも、それは意見をいろいろ聞いた上で、私の方で細目は向こうにまかせるがいいと思うのです。
#25
○秋山俊一郎君 今の水質汚濁の問題いろいろお話がありましたが、実は、澱粉工場ですね、これはどっちも農林大臣の所管内にあるわけですが、澱粉工場から流れてくる廃液が長崎県の大村湾あたりにも入り込んで、貝が死んでしまうといって非常にうるさいのですが、これは加害者はわかっているのですよ、工場から出てくる廃液。ところがこれは何ともする能力がないのですね、工場に。それも一カ所ぐらいならともかく、たくさん集まって流れてくる、その流れが多いものですから、そういう場合に一体どうすればいいか。漁民としては被害者だ、農民は加害者であるけれども、加害者にそれをどうする能力もないという場合に、一体そういうものを救済する方法があるのかどうか。これはまあ同じ農林省の内だから眠れといっても、これは少し無理だと思うが、大臣、いかがにお考えになりますか。どうせ両方とも大臣のふところに入っておるわけです。何とか考えなければならぬのじゃないかと思うのですが。
#26
○国務大臣(周東英雄君) お話は初めて聞くのですから、今ここでどうするこうするとそれに対して答弁するまだ準備がございません。これは、あなた方長崎県の選出の国会議員として、大いに澱粉工場をやれやれというお話でこれは勧めておられる。そうしておいて、片一方、その工場から出る廃液に漁業者がやられる。同じ長崎県の国会議員がどう考えるかということにもなろうと思うのです。私はそこにいろいろな関係においての協調なり、今後における工場誘致をやらせる三業との間の相互の比較考量というような問題が出てくると思うのですが、まあ、その際に、澱粉工場は小さい人が集まってやっていると、そこで、能力がないから、それじゃそれを国家で払うか県で払うかということをすぐにきめるわけにもいかぬと思う。これは一つ、そういう事態を初めて聞きますが、私はよほど研究をして、案を考えるべきでしょう。
#27
○秋山俊一郎君 大臣の今の御発言だとおかしいのですよ。国会議員が勧めたから国会議員で処分しろ……。これは国全体がやっているのですよ。これは、そう投げかけられると始末が悪い。
#28
○国務大臣(周東英雄君) そうじゃなくて、一面には、同じ全県の農業者を代表する国会議員は、これからイモの処理について澱粉工場を拡大したい、ことに結晶ブドウ糖なりを作る原料としてもやることが将来のためだと、これはまた片一方においては、それから出る廃液によって影響されるということは、ある意味においては非常に主張される側と、それで害があるからこうだという問題と、二律背反するようなこともあるわけです。しかしそれは、産業間の相互の比較によってどういうそれに対処をするかということは、大企業という場合を除いて、一つ新しく研究をすべき問題であろうと、こう申し上げた。
#29
○秋山俊一郎君 これは今始まったことではないのです。しかもそれは長崎県だけでない、例を長崎県にとっただけです。これは水産庁も農林省もお互いに事業を奨励している、国もお互いに奨励している。その相剋の問題についてはやはり研究してどうするか考えなければならぬ。どうにもならぬ問題ならどっちかを引っ込めるということでなければ、これは工合が悪いと思う。そこに何か方策を考えておられるかということをお尋ねしたわけです。
#30
○千田正君 今の秋山君の問題は秋山君の方もあれだが、農薬の問題があるわけです。同じ農林大臣の管轄の中に、それはとらえてみればわが子なりでこれを何とかして農林省自体の分だけでも調整していく必要があると思う。大臣いかがです。
#31
○国務大臣(周東英雄君) 私はその点はよくわかりますのですよ。そこで一体農薬というものは、今日の生産上非常に大きな効率を発揮しているわけでしょう。しかしこれを使うことによって益鳥、益虫というものがだんだん少なくなっていく、これは山林にも影響しているわけです。そういう問題、さらに水産養殖にも影響するという場合、それによって所得とかあるいは生産を上げていく方面の関係もやはり考えて見なければならぬ。これは一がいにそういう場合は全部国でめんどうをみるというわけにもいかぬし、そこにむずかしい点が出てくると思うのです。しかしそれは私は研究を新しくしたい思う。これは従来から問題になっているのですよ。農薬を使って生産は上がったけれども、目に見えないところで、益虫が死んで害虫が出てきた。山林なんかかなり被害をこうむっている。そうすると天敵をこしらえる、しかし天敵が水飲みに寄って死んでしまう。相互の農林漁業の間の調整というものがある。そうなってくると、国及び業者間のやはりいろいろ一部負担というような問題が起こってきたりして、そう簡単にこれは割り切れない問題じゃないかと思う。しかし研究を進めていく必要はあろうと、こう思います。
#32
○委員長(藤野繁雄君) 他に御意見もなければ、本件については本日はこの程度にいたします。なお政府におきましては、本日の委員会の経緯にかんがみ遺憾なき措置を講ぜられますよう要望いたします。
  ―――――――――――――
#33
○委員長(藤野繁雄君) 次に、農林水産政策に関する件及び昭和三十六年度農林省関係予算に関する件を一括議題といたします。両件についての農林大臣に対する質疑を行ないます。発言の順序は委員長において順次指名いたします。発言時間は、かねて申し合わせの通り質疑応答を含め一人三十分以内にお願いいたします。安田君。
#34
○安田敏雄君 私は本委員としては新米でもありますので、当分皆さんの御意見を拝聴しよう、こういう気持でおりましたが、実は最近農業基本法が政府から提出になるというような問題を含めまして、ときどき選挙区が近いから選挙区の方に帰りますというと、三年ばかり前、繭の値段が非常に下がった。ところが政府や県が補助金を出して、桑をこげ、こういうことを奨励した。そのとき正直にこいだところが、その翌年今度は貫当たり千円ぐらいのものが二千円くらいになつてしまつた。こういうようなことが出てきた。最近また政府は果樹を奨励してきている。ブドウやリンゴあるいはその他を植えても、非常に競争率が激しくなってしまい、だんだん市場の関係も不安定になってしまった。今度もまた果樹を奨励しているけれどもまことに不安だ、こういうようなことがいわれているわけです。さらに基本法が出るというと、土地持ち労働者的な農家、土地を持っているけれどもよそに勤めている兼業農家の人たちの土地は、非常に政府が高く買ってくれるんだ、こういうようなことも聞くかと思うと、いやそうじゃなくて逆に実は農村の人口、農業経営労働者を追い出してしまうんだ、こういうような悲観的な意見も聞くわけだ。そういうようなことで、実は農民の諸君からの要望もあって、二、三の点を限ってお聞きしたいと思うわけてでございますけれども、そこで本年度の政府が提案いたしました政策であるとか、予算というようなものを勉強したわけではないんですが、大別して見ますというと、大体その農業の政策としての基本方向として他産業との所得の較差をなくなして、均衡させていくんだということ、あるいは生産性の向上をはかっていくんだということ、それと同時にこの二つをなしていくためには、農業構造の改善をしていくんだというようなことがこの柱になっておるわけなんです。こういうような問題を見ましたときに、これは前に政府が農林漁業基本問題調査会といういわゆる諮問機関といいますか、そういうようなものに対しまして、いろいろ調査を頼んでおったものが、答申された意見やその考え方が、かなり政府の今度提の案した中には含まれておるわけなんです。そういうものが非常に尊重されているように、こういうように考えておりますけれども、その点どういうようにお考えでございましょうか。大臣にまずお伺いしておきたいと思います。
#35
○国務大臣(周東英雄君) お話しのように、私ども新しい農村、農業のあり方をきめまするにつきましては、二年間かかって調査、研究をいたしておりました農林漁業基本問題調査会の意見を尊重し、その方向に向って今度の基本法は制定されております。
#36
○安田敏雄君 そこで基本問題調査会の答申したいわゆる農業基本問題と、基本対策というものがあるわけでございますが、それを尊重しあるいは参考として、農林省当局が将来にわたるところの新しい農業行政のめど、柱ともなるべき農業基業法を成案してきたわけなんです。ところが、そういうようなことをすでにやってきたろうと思いますけれども、その農業基本法ができ上がってやがて提案されるでございましょうけれども、将来それがわが国の一長期の農業政策の、一体それは憲法ともなるべき法律かどうかということをお聞きしたいわけでございますけれども、その点一つお伺いしておきたいと思います。
#37
○国務大臣(周東英雄君) お話しのように、私どもは長期にわたっての農業政策に関する憲法と考えております。
#38
○安田敏雄君 まあ話に聞くところでございますが、農林省では、そういうように憲法ともみなすべき農業基本法を鋭意作成中であったところが、与党側の方の最近意見がそれに非常に入りまして、実はかなりの部分が修正されてきておるということを聞き及んでおるわけなんです。そして一部には省内から漏れる声を聞きますというと、これは憲法じゃなくて今度提案されるものは、むしろ暫定法だというような声を私ども聞くわけでございますけれども、大臣は一体そういう省内の声と今度修正され、提案される政府案というものについて、ほんとうに長期の農業政策の憲法としての自信があるかどうか、一つお伺いしたいと思うわけです。
#39
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘の御意見でありますが、別に私ども農林省で作った曲がりかどに立つ農村を将来どう持っていくかという方向づけと、それに関する施策並びにその施策に関して政府は義務を持つという基本は、ちっとも修正されておりません。党としてはたとえば農業基本法の目的とするところをしっかりと一つ法律に書こうじゃないかというような話が意見で出ました。それをだんだん聞いてみますると、私どもももっともな点であり、むしろ私は、それは農業基本法というものの制定の趣旨を、前文に書いた方がいいのじゃなかろうか、これは日本にも例があります。そこでそういう点を取り入れつつ、前文をしっかりと書き上げたというようなことはありますけれども、内容についてこれは後退したのでもなくむしろ非常に将来に向かっての、憲法とあなたお使いになりましたが、一つの農業政策の基本ともなるべき法律であるということは考えております。
#40
○安田敏雄君 いずれ農業基本法が政府からも提案されますし、私ども社会党といたしましても、これに対策を出すことになりますから、内容についてはそのときに審議することにいたしまして、それでは次に基本法と本年度の予算との関係について少しくお伺いしたいと思います。これは一般的に農業が順調に伸びてきたというような平常のときならば、法律の制定であるとか、あるいは改正とかというようなこと、あるいはまた予算というような問題とは、多少こういう関係があっても、あるいは別個に取り扱っても私は差しつかえないと思います。しかしながら、今日本の農業の転換期に際して、特に農業の危機を打開しなければならない、こういうような状態のときに、農業行政のあり方というものは、政府としても重大な局面に立たされているわけなんであります。従って私は、農業基本法の制定という問題をほんとうに直視するならば、まずその根本をなすところの法律というものがある程度明らかになって、それに従って財政措置が講じられたり、その他の政策が樹立されたりするというようなことが、これが正しいあり方ではないかと思うわけなんであります。ところがそういうような問題が、曲がりかどに来ている農業を立て直すのだという基本法、憲法ともみなすべき基本決があとになって、先に予算案が出て、それから政策が出ていくという、ちょっと主客転倒というような感じがある、これは普通のときならいいのですが、特に農業危機が叫ばれているときだけに、今回の政府の措置としては、少しく遺憾の点があったのではないか、こういうふうに考えますが、こういう点の矛盾については、どういうようにお考えでございましょうか。
#41
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘の点でありますが、私どもはさように考えておらない、もちろんいろいろと農業基本法の制定に関しておくれましたけれども、これはすでに二年間、過去において農業基本問題調査会において、基本法の制定を目途としていろいろ考えられておりましたから、予算提出に関しましても、八月ごろ一応の予算の提出がありましたし、いよいよ私は十二月に第二次池田内閣成立とともにこの職を受けまして、いよいよ法律の制定が終わりに近づくに従って、予算の内部について、ある程度の修正を加える必要がある、こういう意味合いにおきまして、実はその点の取り扱いを特に農林省といたしては、八月党における要求予算のほかにも新たに追加して、できるだけ補充しつつ、合わせるような方法をとってきたということは、できるだけは農業基本法の施行に関しまして、予算的措置もこれに合わせたいという趣旨の表われでございます。当初からの予算におきましても、すでに農業基本法の施行に関連する予算というようなことも、すでに相当細まれておったわけでございます。今後におきましても、これでまだ十分でない点が出て参りますれば、当然次年度からもちろん考えていくことであります。私は、そういうふうな心がまえと、ことしの予算編成にあたりましての処置というものの経過を申し上げた次第であります。
#42
○安田敏雄君 農林省当局及び政府では、そういうように、大臣のおっしゃるように作業をしてきたと思います。しかし農業基本法が、こうだんだん作業が進んで参りまして、与党側の修正意見が加わってくると、相当これが内容的においては重大な部面が、ある程度変化しているのじゃないかと思います。そうすると、それが国会の審議の中では、一応そういう修正されたものが通ります、政府案として。けれどもそれ以前に予算の作業が進められておるわけなんです。だからそういうような問題との間に多少の食い違いが出るということになれば、結局は今度出る農業基本法は、やはり予算の具体性を伴わない、きめ手にはならない、こういうような問題が考えられてくるではないか、こういう点を私は憂えてお伺いしたわけでございます。
#43
○国務大臣(周東英雄君) ただいま私はその点に詰めてお答えをいたしましたのでありまして、農業基本法はおくれたけれども、従っておくれて制定が大体終わりまするに従って、これに関して、足らぬ点は、八月の一般予算要求の際に出てないものを、すでに私は大蔵当局と話し合って、予算に盛り込んであります。あとからでありましたが盛り込んで、予算を決定いたしたような次第でありまして、現状において、お話しのように、党の要求があるから、それと予算が変わってくるのじゃないかということでありますが、そういうことはちゃんともうすでに織り込んでありますから、御承知を願いたいと思います。
#44
○安田敏雄君 それでは次に基本問題調査会は、農業所得の成長率、すなわち言いかえれば、農業就業人口一人当たりの生産性の成長率、これを今後農業就業人口の減少に伴う構造改善を考慮いたしまして、年率大体五%と策定してきておるわけなんです。このことに対して政府ではどういうように考えているのか、その際農業所得は年率五%と考えた場合に、十年後にどの程度の倍増になっていくのかという点についてお聞きしたいと思います。
#45
○国務大臣(周東英雄君) 大体その点は、農業に関するいろいろな施策等を講じつつ、その農業の伸びというものを大体二・九倍というふうに考えておりますが、それから別に就労人口の減少ということに関連いたしまして、生産性というものの増加というものの率を大体二・九に考えております。こういう点を、両々相待って、将来の所得という問題から見ますると、大体十年ないし、基準年次三十一、二、三年から四十五年を目標にいたしまして、約十二年くらいになりますか、これで大体の現在の倍くらいをちょっとこえるかというような目標を置いております。
#46
○安田敏雄君 いろいろ問題ありますが、さらに調査会は、十年後の農業就業人口を大体一千百五十万人くらい、それから二十年後は八百五十万程度と想定しておるようでございますけれども、現在の農業人口に比べて、これは農林省統計を見ても、昭和三十年度だけが現在の農業就業人口として一千九百五十万人載っておりますが、三十五年はわからぬのですけれども、大体千九百五十万人といたしますと、十年後において約八百万人くらいの就業人口が減るわけなんです。こういうような点についてはどうお考えですか。昭和三十年度統計、これは私の迷うかもわかりませんけれども。
#47
○国務大臣(周東英雄君) ちょっと数字的に違っておるのじゃないかと思いますが、こまかい数字について事務当局から説明させます。
#48
○政府委員(昌谷孝君) 農業の就業人口の見通しにつきましては、基本問題調査会でも、当時三十三年ごろまでの統計の傾向を土台にいたしまして、各種の推計をいたしました。その際十年後と申しますと、基本問題調査会の作業で行なわれましたときには昭和四十四年を一応十年後というふうに見たわけでございますが、たしか御指摘のように、現在の約千五、六百万人が千百五十万人くらいになるのが基本問題調査会の場合の推計であったかと記憶いたしております。先ほど大臣が、生産性の向上との関連におきましてお述べになりました二・九%の就業人口の年率の減というふうにお答えになりましたのは、御承知のようにその後政府全体といたしまして、企画庁を中心として倍増計画の作業が進んでおり、おおむね基本問題調査会の作業と物の考え方はそんなに違っておりませんけれども、数字、資料その他が新しくなったり、あるいは他産業の雇用の状態がもう少しはっきりいたしたというような関係もございまして、所得倍増計画では基準状態、つまり三十一年から三十三年の平均が農業の場合千五百二十四万人でございましたのに対して、目標年次の四十五年度には千百五十万人程度になるであろうというふうに推測をされたわけであります。ただいま申し上げておりますのは就業人口でございまして、その基礎になりますものは、何と申しますか、総理府の労働力調査に基づいた就業人口でございます。で、農業に主として従事しておる方々の取り方でございますが、そういうことでございます。先ほど御質問でお触れになりました昭和三十年のセンサスの農業従事者の数字は一千九百五十万九千人であろうかと存じますが、この数字は調査の目的と対象を異にしております。これは大よそ農耕に従事しております人間の中で、短時間でも農業につきました著すべてを全部包摂して悉皆調査をしたものでございます。これはいわゆる就業構造等を論議する場合に対象にするにはむしろ不適当でございまして、学生で学校に通うかたわら農事についた者、あるいは十五才未満の少年で、いわゆる労働力人口とは称しがたいようなもので農作業を手伝っている者、その他副業が主であってごく短時間農業についた者すべてを含んでおります。ただ御参考に申し上げますと、この三十年の農業センサスで出ました千九百五十万という、そういう性質の農業従事者につきまして、最近三十五年のセンサスの結果がわかったようでございます。それによりますと、三十五年はその三十年の千九百五十万九千人に見合いますものが千七百九十万六千人という数字で、大体減り方の傾斜の度合いは、私どもが倍増基本問題等で対象といたしました狭い意味と申しますか、農業従事者、就業者の減り方の年率とほぼ見合った減り方を示しているようでございます。
#49
○安田敏雄君 そうしますと、十年後の昭和四十四年度において千百五十万人というのは大体の計画で、そうすると昭和三十五年を基準にしてどのくらい減ることになるわけですか。
#50
○国務大臣(周東英雄君) それはただいま申しましたように、その千百五十万に見合う三十五年の数字はそれは千五百何万人になるわけです。それから農業センサスで出している千九百何万人に見合うものは、ただいま御説明いたしました千七百万幾らになるわけです。その中にはただいまお話したように千五百万幾らそれに対応する千百万人とかというものは、中には十五才未満が入っておりませんし、また一時間でも農業に関係した者は皆入れておるという農業センサスの方の関係は除いております。学校に通学のかたわら助けておるという者も除いておりますから、そのことを御了承の上、同じ基本に立った数字で比較していただきたいと思います。
#51
○安田敏雄君 そこで問題になるのは、農業就業人口には、そういういろいろな点があるわけでございますけれども、問題は農家数を減らすということが今後の問題になってくるのじゃないかと思うのです。そうすると、その場合大体三十五年八月の統計をみますというと、農家数が六百四万三千戸で、そのうち専業農家が二百七万四千戸ですか、合計の三四%ばかり。それから兼業農家が三百九十六万九千戸で六六%ばかりになっておりますけれども、今後一体その専業農家の方をふやしていくのが、兼業農家の方をふやしていくのか、地方ではよくわからないので、その点が非常に問題になっておる点なんです。こういう点について一体どっちの方針をとっていくのか、ここで明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
#52
○国務大臣(周東英雄君) 私どもは、農業就労人口の一人当たりの生産性を高めることが必要であると考えておりますので、私どもはよく言う農業就労人口が十年後あるいは目標基準年次の四十五年にどのくらい減るかということは、農業就労人口を指しております。御指摘のように、農業就労人口は四百万人から四百五十万人減るという見込みでありますが、農家戸数は御指摘のように減り方が少のうなっております。が、しかし将来の問題は農家戸数として専業農家とそれから兼業農家のどっちを中心に考えるかということでありますが、私は農業というものに関して、農業のみをやって、そうしてその所得を大きく引き上げつつ多角の農業経営を原則とした形において自立し得る農家を作るというのが、私は原則であろうと思います。その意味において専業農家が中心でありますけれども、さてしからば、兼業農家を捨ててしまうというものではないのであります。いやしくも、農業というものに携わっておられる方々のために、その農業所得を上げるということについては、専業農家たると兼業農家たるとを問わないと思います。日本の将来の状況というものは、自立し得る専業農家というものはある程度ふえて参りましょう。そうして兼業農家の中でも、今第一種兼業農家と第二種兼業農家というふうにわかれておりまして、第一種兼業とは、主たる収入を農業所得に仰ぎ、従たる収入を農外所得に仰ぎ、逆に第二種兼業とは、主たる収入を農外所得に仰ぎ、農業を一部分やっておるという形であります。この関係の二つのどちらがふえるだろうかというと最近の状況におきましては中間の方が上下に分化するような状況です。これは第一種兼業農家にいたしましても、できるだけ農業だけで立ち得るように進めていくということが、私どもの政策の中心でありますけれども、ちょうど宙ぶらりんにあって困るというような人は、むしろ耕作反別の一部を減して農外所得にもっていこうというような傾向もふえてその方に進んでいく農家があるようであります。その意味においては、従来の実績から見ますと、どうも第二種兼業はややふえてくる傾向であり、専業農家の方もふえてくる傾向でありまして、まん中の第一種兼業というものが少し少なくなってくる傾向に現在あるようであります。今後とも私どもは兼業農家たると専業農家たるとを問わず、農業からあがる所得を、できる限りこれを能率化し、近代化し、その所得が増大することをはかるということを考えておりますけれども、傾向としてはそういう状況にあります。
#53
○安田敏雄君 今の御答弁のように、確かに上下に二分されているということはわかりますが、そういう中で特に最近は土地持ち労働者的な農家がふえてきておる。そういうのをやっぱり考えた場合に、この問題が、この農家の人たちがかりにどっかの職場の方に行って賃金を取ってくる第二極兼業農家だと、結局土地を持っているだけで土地の方には、営農に精を出さないでそして米なり麦なりに見合うものを取っていくというので、土地の利用の上から非常な損失になる。そういうものを根本的に考えるためには、一般的な雇用問題があるでしょう。雇用の問題、債金の問題、労働条件等の問題、こういったような問題が政治的に重視されなければならない。けれども、それはさておきまして、今後何かそういうような問題に関しては、いろいろ今後その農家を整理するためには、職業訓練をしていくのだとか、あるいは転業資金で解決していくというようなことであります。県の方では言われているわけなんですよ。これは政府の方で直接そういうものを流すかどうか知りませんが、そういうような簡単なことで問題を今後処理していくと、これは大へんなことで、この点が地方の農民の非常な心配になっている。こういう点についてはどういうようにお考えになっておりますか。
#54
○国務大臣(周東英雄君) 私どもははっきりと申し上げまして、零細農家を社会党の皆さんがよくお使いになりまする追いたてるといいますか、切り捨てるという恐ろしい言葉をお使いになりますから、私どもは非常に困っておりますが、このような恐ろしい言葉はなるたけ使わないようにしていただきたい。私どもは強制的に追いたてるのでもなく、切り捨てるのでもない。私どもは農業兼本法を作るにつきまして、何とかして現在の農業者が立ちゆくようにしたいということが念願であります。従って、今のような御指摘の土地持ち労働者という問題は、地の利用に関してはまことに宙ぶらりんになって、十分な効率げていないことは遺憾であります。そういう意味合いにおきましては、むしろ兼業農家というものも専業農家と同じように、必要のある場合には、協業化の方策をとろうとしている、こういうことを考えておるのであります。また自立し得る家族経営というものを理想といたしますけれども、日本の耕地面積の現状なり、地方の実情から言うと、全部一ぺんにはなり得ないという経過的な場合において、それらが協同して、土地を合わせ、近代的な装備を入れて生産性を上げるというようなことをも考える必要があると思います。そういうことを考えますときには、兼業農家におきましては、わずかでもある土地を効率的に国民経済の上に利用するためには、協業化というものを進めつつ、中には同じ兼業農家におけるところの方で農外所得に精を出していく場合もあるし、その土地は協業化された方針によって、しっかりとした他の農業者に耕してもらい、土地の効率を上げるということが必要になってくるのではないか、かように考えております。あくまでも私どもは農村の方々は心配されないでけっこうだと思う。結局小さい零細農家というものをどういうふうな形において所得を上げるようにするかということが、今後農政の一つの考え方の中心になって参ると思います。どうか一つ重ねて申し上げますが、切り捨てるとか、追っぱらうというようなおそろしい言葉はどうか使わないようにしていただきたいと思います。
#55
○安田敏雄君 将来、池田総理の衆議院の答弁を聞いておりますと、自立経営農家というものは五町だとか三町だとか言っておりますが、あるいはまた自立経営農家は二町五反ということを聞いておる。そうしますと、二町五反の自立農家を将来作り上げるということになりますと、どっかの、今までの兼業農家の土地を吸収してこなければ、耕作面積というものはふえないわけですね。だからそういうところから吸収してくることが結局切り捨てるという問題に発展していくんじゃないかと思うわけですけれども、そういうような土地を、将来用立経営農家を作るのだ、専業農家を強化していくのだということになれば、そういう兼業農家から土地を集める、こういうような問題が出てくるわけなんです。この点についてはどういうふうに考えておりますか。
#56
○国務大臣(周東英雄君) そういうふうに狭く突き詰めてお考えにならぬ方がいいですよ。私どもは今日、日本の鉱工業、その他第二次、第三次産業というものが発展していく実態を私は見きわめていきたいと思うのですね。その方に必要なる労働力の要求があって、年々三十万ないし四十万の人がだんだんと出ていくわけです。このことは私はできるだけよい形に育て上げつつ、外へ出る人は希望を満たしたい。私どもは強制的に外へ出すということでなくて、そういう流れの中に私どもは考えていきたい。ことにこれは社会党の皆さんも御賛成であるし、農業を近代化するというようなことには同じような考えを持っている。農業を近代化するとは何かといえば、そこに近代的な装備を持ち、機械も入れる、あるいは集団的に耕作をしてコストの引き下げをやるというような問題になってくる。それをやれば当然これは人間としては余ってくるわけです。それが従来の農村は、そういうことをやって余ってくる労働力を出していく場所がないのにそういうことをやったのでは、これはあるいは切り捨てということになるかもしれない。それは今までやらなかった。私は、まことに残念でありますけれども、過小農形態で、わずかな土地をみんなが分け合って耕やしておるという今までの農村の形態であったわけです。これはやむを得なかった。ところが今日やはり鉱工業、第二次、第三次産業が発展するに従って、その方に有利な形において一つの雇用の機会ができていく。そうして出るとなれば、これは当然あとに残った農業者に対しては機械化その他近代的な装備を与えつつ、能率的な農業を覚ましていくということが私は必要になってくると思うのです。その点は私は考慮していくわけであって、決して、いやだという人に出ていけと、こういうことはちっとも考えていない。むしろこのことこそ日本の産業というものの、国民経済というものの発展の過程において、農業もその他の産業も一体となって、日本の国民経済の発展に資する、私は、いい機会だと思うのでありまして、そういう意味合いにおきましては、ただいまお話のように、そういう機会に恵まれたとしても、その際にあらかじめ職業訓練なり技術訓練をなし得るようなことで導いていきたいし、同時に残った人のためには、農業の近代化、機械化というものをやって能率化していって、そうして農業の所得を上げるということが、私は、新しい農政の考え方であってよいのであって、そのことは決してあなた方のおそろしい切り捨てなんというような言葉をお使いにならないで、全体の国民が伸びていく方向を考えていっていいのじゃないかと、かように考えておる次第です。
#57
○安田敏雄君 しかし、それは御答弁の通りだと思いますがね。実際、土地問題に関しましては、幾ら他の職場へ転出してそこで収入がありましても、自分の農地を放さない、これが大体今までの農村の人たちの感情なんですよ。この問題をやっぱり処理していかなければならぬ。結局、将来転出、どういうことにいたしましても、転出農家の土地の買い上げという問題が、これは大きな問題となってくることは、これは明らかでございます。そういう場合に、かりに専業農家が土地を買う場合にはできるだけ安い方がいい。土地を、また放していく転出農家の方ではできるだけ高い方がいいわけなんです。こういう点が問題になった場合に、何か政策的にこういうようなことを解決するために、単に農地法を変えるというようなこともきっとあろうかと思いますけれども、そればかりではなくして、やっぱり買い手の方に買いやすくするためには、低利で何か長期の資金を融資してやるとか、そういうようなことのために土地金庫を設けるとか、あるいはまた土地を流出する、こういうことを一応防止するためにもやっぱり土地管理をする何らかの方法を講じなければならぬ、こういうふうに考えられるわけなんですけれども、こういう点について、単に農地法に弾力性を持たしていくとか、あるいは農協に信託制度を設けるとかいうようなことでは、根本的な解決策にならぬと思いますけれども、こういう点について、どういうようにお考えになりますか。
#58
○国務大臣(周東英雄君) お話しの点、まことにごもっともなお話しでありますが、従来は耕さざるものは土地を持つべからずという言葉があります。土地をはなしたがらないということも出て参ります。今度はそういう意味合いにおきましては、農業法人等に土地を出すとか、あるいは賃借させる、あるいは貸しつける、あるいは譲渡するという場合が起こると思います。そういう形をとりつつ、そうして自分の土地を貸しても、なおかつそれを放さんでもよろしいというようなことも、農地法の例外的な措置としてとらなければなりません。ことに農業法人の設置と申しましても、これは形式論理から言えば、明らかに耕さざる法人というものが土地を持つわけで、しかしこれは農地法の例外として認めたいし、それは大体雇用労働者を使って資本家的経営をするのじゃなくて、従来の零細農その他農業者が集まって土地を出し合って法人を作り、その土地を耕すものは従来の農家であり、その法人を運用するものは大体従来の農家であるということであれば、実質的に耕すものと土地を持っておるものが大体同じものだということにも言えるのじゃないかと思います。そういうところは従来のかたくなな形になっております農地法の改正をしつつ考えていこう、こういうことであります。
 ただいま農地の移転等に関して、農業協同組合等に信託制度を設けるとか、それらに対してやることはけっこうだが、安い長期の金を出すように、この点はお示しの通りだと思います。私どももできるだけこれは安い長期の金を出して、そういう場合における買い取りを認めつつ、規模の拡大ということも考えたいと思います。
 それから先ほど私が申し落としましたが、何も規模の拡大ということを言い、自立し得る農家を作るということは、常に兼業農家の土地を取って大きくするということばかりを考えておるわけではないのです。それは先ほども申し上げましたように、自分の希望で外に行きたい方に対して職業訓練等その他をして、できるだけ有利に職場を与えるように持っていきたいし、そういう場合において土地の移転ということに関して農業協同組合法の改正によって信託制度のあっせんをしていくということ、これはもちろん考えられますが、同時にこれからの開拓政策等におきまして、また畜産奨励からいたしまして、耕地の拡大ということに対しましても、できる限り増反の趣旨をとって考えていきたい。つまり従来の農家に対して、その所有の反別をふやすような形に考えていきたい、こういうふうに考えてはおる次第であります。しかしこれも全国、どこもかもそれが行なわれるわけではございません。地方的に限られた問題があると思いますけれども、できる限り方針としては増反ということを考えての開拓政策がこれから考えられていかなければならぬ、かように考えております。
#59
○委員長(藤野繁雄君) だいぶ時間が経過いたしましたが……。
#60
○安田敏雄君 まだありますけれども、時間がありませんが、小さい問題ですから……。
#61
○委員長(藤野繁雄君) 十分以上経過した、また機会があるから……。
#62
○安田敏雄君 ではそうしましょう。
#63
○仲原善一君 だいぶ時間がたっておるようでございますけれども、急ぐ問題でございますので、特にお願い申し上げます。最初は農林水産物資の貨物運賃の問題でございます。この問題は当委員会でも数回にわたって議決等もいたしまして、それぞれその場合に善処して参りまして、大体要望はかなってきておるわけでございますが、最近聞くところによりますと、国鉄は新五カ年計画によりまして大幅な運賃の値上げを計画しておるということを漏れ聞いているわけでございます。で御存じの通りに、農林水産物資は容積の問題が非常に大きいし、重量も重いし、しかもその運賃の負担の能力が少ないという特殊性がございまして、これがこのままで通過するというようなことになれば、農林水産業の発展に非常に影響が大きい。特に所得の較差の是正を目途として新農政を考えておられます農林当局にとっても、この問題は非常に重要であろうかと考えます。で、そういう場合に、最近漏れ承わりますと、農林当局の方で運輸当局の方にこの問題について要望事項を出しましたところ、これは貴意に沿いがたいというので突っぱねられたという経過があるようでございまして、その点特にお願い申し上げたいのは、農林大臣として閣議等でいろいろ参画される場合に、問題の所在を十分に御理解を願ってこの問題に取っ組んでいただきたい、善処していただきたい、そういう意味合いから質問申し上げるわけでございますが、大体要約して五つの点がございますので、その点を特に関心を持っていただきまして今後の善処をお願いしたいと思います。
 それで第一点は、この車扱いの基礎賃率が一五%に上がるという問題がございます。これはあるいは陳情書でそこへ出ているかもしれませんが、この問題が国鉄の最初の案でございますと、客車、この旅客の方と貨物の方と合わせて一六・七%の賃上げを計画しておりましたが、旅客の方はいろいろな関係もあったらしくて、これが一四・六%に下がったわけです。旅客の方はそういうふうに下がるにもかかわらず、計画において貨車の方はやはり依然として一五%だというようなことを考えても、これは非常にアンバランスであるという気がいたしますのと、それから去る昭和三十二年に一三%も引き上げがありました際に、国鉄当局から要求しておりましたのは、輸送力を増強するためにこれは引き上げるのだというので、一応その当時は了承したわけでございますけれども、その後の経過を見て参りますと、六七%しかこの目標が達成されておらぬ。従って農林水産物資については、ほとんどその恩恵に浴していないという理由もございます。それから過般行なわれました運輸審議会におきましても学識経験者の意見によりますと、この設備投資を現在利用している人の運賃の値上げによってまかなうというのもこれは不合理だ、適当でないという意見も出ております。それからこれは農林政策で根本的に考えられている問題でございますが、所得の較差から見ても、特に農林水産物を保護せねばならぬ立場にあるのに、この政策に予看するというようなこともございます。それから農産物はこれは国鉄に依存しなければ、ほかの方へなかなか運搬ができぬという特性もございまするし、そういうようないろいろな事情からして車扱い基礎賃率の一五%アップというのは、これはどうもふに落ちないというのが私どもの考えでございまして、この一律一五%アップについての大臣の心がまえを、最初にどういうふうなお考えであるかという点をお聞きしておきたいと思います。
#64
○国務大臣(周東英雄君) お話しの通り、農産物は非常に容積の大きなもので、輸送の立場から運輸省としてはなかなか問題の多い貨物でありますが、しかし負担力は比較的弱い。それは容積が大きいけれども、価格はほかのものと違って安いんですが、それに運賃を引き上げられると、非常に負担力が弱くなるということはお話しの通りであります。私どももこの前昨年の七月でありましたか、一三%引き上げられたこともありまするし、重ねて基本的な料金を上げるということはいかがなものかということで、いろいろと目下話し合いを進めております。がまだ結論が出ていないという状況でございます。今後ともよく話し合いを進めたいと思っております。
#65
○仲原善一君 その次に第二の問題は、遠距離逓減の問題でございます。これは現在の国鉄の考えでは五百キロから八百キロの間にある地帯の率を修正しようという計画でございまして、これを具体的な例でお話し申し上げますと、農林水産物資は輸送キロが平均いたしまして、一トン当たりの平均輸送キロが非常に長いわけでありまして、農産物で四三四・八キロ、で五五六・二キロ、それから冷鮮あるいは冷凍の魚でございますが、これが七五五・三キロ、塩干魚で八七五・六キロ、その他不工製材についても五六八キロというふうに非常に長距離の輸送が、当然農林水産物資の特性として出てくるわけでございます。それを今度の国鉄の運賃の値上げによって現行と比較してみますと、かりに五百キロの地帯のところは現行に比べて一五・八%上がることになります。八百キロのところは一七・一%というふうに上がるわけでございまして、遠距離逓減率の修正という名目に隠れて、非常に農林水産物資が不利をこうむるという点もございますので、この点も大臣は問題点の一つとして考えていただきたい。
 ずっと続けて申し上げますが、三番目に車扱いの貨物の割増し運賃額というものがございますが、これは現行法では一般の基礎賃率のほかにさらに冷凍車については一〇%、それから列車指定割り増しというのが二〇%、それから大貨物の翻り増しが一〇%から一〇〇%というふうに一般の運賃のほかにそういう割り増しの金額があるわけでございます。これが今度の改正によってさらにこの率が加算されますと、大へんな額の賃上げになるわけでありまして、少なくともこれは金額の点で現状程度に押えてほしいという希望があるわけでございまして、そういう点も一つの問題としてお考えを願いたい。
 それから四番目に、運賃の計算のキロの問題でございますが、これを現在の鉄道ではこういうふうな改正にしようとしております。と申しますのは、現行では最短距離のキロ数をもって運賃の基礎にしておりますけれども、これが今度の改正では実際に回ったところの鉄道の距離の運賃にするというわけでございまして、具体的に申しますと、九州なり四国の方から中京なり名古屋なりあるいは東京に貨物が運ばれます場合に、岩徳線であるとか、あるいは筑豊線であるとか、関西線であるとかいう関係がございまして、最短距離の運賃でなしに、実際に迂回して回った運賃を基礎にして賃料を出すという仕組みになっております。これで現在のたとえばなま甘藷の宇和島から愛知御津に行く実例を申しますと、現行よりもそのために二〇・一%アップされます、引き上げることになります。それから下級鮮魚で一例を申し上げますと、博多から名古屋に来るまでの賃金というものが、そういう最短距離でないということになりますと、二三・一%というふうな値上げになる、こういうふうにある意味で農林水産物資から申しますと、改悪になるわけでございまして、これも問題点の一つとして御研究を願いたいと思います。同じ問題で実は北海道の青函連絡船については、百十五キロの実際の距離のものを、現在は三百五十キロと計算してその運賃を取っております。こういうふうに場所によってはこの実態にそぐわないやり方で、逆なやり方で運輸当局に有利な方の計算をしておるところもありまするし、非常に矛盾に満ちたキロ数の計算になっておりますので、これも一つ問題点として御考慮願いたいと思います。
 それからその次に公共割引制度でございます。これもたびたび当委員会で公共割引制度について議決もいたしましたが、これは公共物資について、特にこの制度ができておるわけでございますけれども、今回の鉄道の案では、一応公共割引制度は整理するということになってあります。あるいは廃止するというような構想も中にはあるようでございまして、取りあえず三カ月延ばすということになっておるようでございます。現在九回目で、実は本年の三月三十一日までが一応その延期の時期になっておりますが、さらにこれを三カ月ぐらい延ばして、その将来は整理するというような、そういう案であるようでございますので、これはやはり恒久化すべきであるというふうな私どもは見解を持っておりますので、そういうふうにたくさんの問題が個別にございます。この問題について、やはり問題の所在を大臣はよくお考え願いまして、政府部内の会議等で善処してもらいたい、うっかりしておると、これはこのまま通ってしまうという危険性もありますので、そういう点を特に申し上げて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(周東英雄君) 断片的には話は聞いておりまして、それぞれこれまでも運輸大臣とも話しておりますが、まだ最終決定に至らぬようであります。また、農林省関係でなく、ほかにも問題があります。最終決定に至らぬようでありますが、なお今日御趣旨に従って善処いたしたいと思います。私ども聞いておりますのには、最後の公共割引制、これは今もある程度考慮しようかということであります。問題は三番目の、通らないのに迂回線で運賃をきめるというのは、これはちょっと不合理だと思います。この点もよく私はわかっております。ただ収入の増加のために、そういうふうなことをするのは、おかしいと私は思います。おそらく輸送関係において、わざわざ回わって輸送するわけでもあるまいし、やはり近いところを通ってくるわけでありますから、むしろそういうふうな点はおかしいんじゃないかと私ども思っております。まあ具体的な問題を一つ一つ出して私のできる限り、御趣旨の通るように努力はいたしてみたいと思います。
#67
○仲原善一君 委員長にお願いいたしますけれども、まあきょうは時間がありませんので、この問題詳しく討議できませんけれども、いつか別な機会を通じて運輸当局なり、あるいは経済企画庁なり、関係当局全部寄っていただいて、さらによく審議していただきたいと思いますが、そういう点で一つ御努力を、その機会を作っていただくようにお願いいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
#68
○委員長(藤野繁雄君) 機会を作ります。
#69
○仲原善一君 国鉄の運賃の問題は、まあ大臣の善処をよくお願い申し上げまして、この程度にいたします。
 次に、農業団体の問題について、若干御意見を承わっておきたいと思いますが、今回の政府の新しい農政、新農政、農業基本法を中心とする新しい政策の芽が出てきたわけでございますが、この場合に、農業団体の受けもつ役割と申しますか、責任と申しますか、その分野というものがだいぶ重要になってくるかと考えます。たとえて申しますと、麦作の転換にいたしましても、国は都道府県に割り当て、都道府県は町村に割り当て、最後の段階でこの農業団体の意見を聞いて町村は各戸の農家に割り当てるというような段取りになろうかと思いますが、そういう麦作の転換という一例をとりましても、そういうふうに農業団体は非常に重要な役割を演ずることになろうかと思います。そこで、今後の農業団体の責任分野と申しますか、あるいはその権限と申しますか、そういうものについての農林省当局としての指導方針、これは結局裏を返せば権限と保護というようなことになりましょうけれども、そういう基本的な考え方について、どういうお考えを持っていらっしゃるのか、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
#70
○国務大臣(周東英雄君) ごもっともなお尋ねであります。私は、今後の農業協同組合というものは、相当に農業基本法の意図するところを遂行する上について重要な役割を持つと思います。しかし、それがために、農業協同組合等の団体が、一にも二にも国家の補助、助成というものを目当てにのみ活動するのでなくして、農業共同組合が持つ相互扶助の団体であるという主張、これを実態の上にも現わしてもらうことを強く要望しておるわけであります。その点は、今度農業近代化資金融通法等においても一面表われております。私どもは、本来からいえば、農業協同信用組合等に集まった、いわゆる系統金融の金というものは、これは相互扶助の団体における預金等が集まっておるのでありますから、この金は有効に農村に還元せらるべきであると思っておりますが、そういうことがまずなさるべきことを私は要求しておるわけであります。それを一足飛びにはなかなか困難でありますから、今度国は、組合の金を相当に農業近代化資金に使うためにも、一部利子補給というものを考えて活用しようとは思いますが、これはあくまでも、農業協同信用組合等の金が、相互扶助の団体であるという精神に立脚して、これが農村に還元されるような形に導かれることを、私どもは強く要望しておるわけであります。同時に、また、そういう点について、販売協同組合とかいうようなものが、この価格安定というような問題についての役割というものも、相当に自主的に考えてもらわなければならぬと思うのであります。よくもつともな質問が、社会党の諸君からも、あるいはわが党からも出ております。一体大きな資本家企業が出てきて、いろいろ畜産経営にあたっても、その場所を取るのではないかというような話がありますが、これはぐずぐずしておったらやられますよ。私どもは、でき得る限りその間の調整を求めることが必要でありまするが、まずその前に、販売協同組合等が大きく団結をして、農民の生産されたものを有利に販売される共販態勢をとるとか、また、その市場の調査なり、それによって損をしないように出荷を調整するというような役目は、言うまでもなく、販売協同組合等の自分の責任じゃないかと私は思う。そういうことをやらずにおいて、何もかも国家がまずやれというような行き方ではいけない。私はそこに新しい今後の農村における各種の農業協同組合のやるべき道があると考え、その方向について私はさように考えておる次第であります。また、それだけに、いろいろなものをやってもらったり、またはこの中に出て参ります土地の信託制度というものをやらせたり、あるいは販売についていろいろな施設をやらせたりするについては、微弱な体質ではいけませんので、農業協同組合等の合併促進というようなこともして、本然の姿として強いしっかりしたものにして、農業者のために働き得るようにしむけることが必要であると、かように考えてりおます。
#71
○仲原善一君 農業団体の役割が非常に重要でありますので、まあそういうことを御勘案の上でこの組合の合併ということをだいぶ推進しておられるようでございます。農業協同組合、あるいは漁業協同組合、森林組合、それぞれ合併をおやりになっておるわけでございますが、まあもう一歩考えて、農村あるいは山村の実態から申しますと、森林組合も農業協同組合も両方を作って、それぞれの仕事をやっておると、その面で競合するところが中にはございます。一例を申しますと、木炭の取り扱いを農業協同組合とそれから森林組合で奪い会っていると、そういう実態も中にはあるわけでございまして、まあ考えるのに、どうもこれはそれぞれの役所のセクト主義からきて、水産は漁業協同組合、農業は農業協同組合、森林は森林組合というふうに、多くの組合を作って、これに加入する農民の側から申しますと、一人で三つも三つも入らにやならぬと、そういう結果が随所に出てきているわけでございますが、農業団体の基礎を強固にする意味で、何か一つ農業協同組合を作れば、山村であればその中で森林組合の仕事もできると、あるいは森林組合の勇力の強いところでは、それを一つ作れば信用事業もできて、協同組合と同じような仕事ができる。農林漁業行は一つの組合に入れば大体まかなえると、そういうセクト主義を打破した、農民あるいは林業者を中心にした組合というものができぬだろうかどうかという気持が実はするわけでございますが、その業種別の組合でなしに、その地域全体を包含した、農林漁家を含めた組合というものの制度というものが必要じゃないかという気もいたしますけれども、そういう点についてはどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
#72
○国務大臣(周東英雄君) まことに農山漁村を含めての根本問題にお触れになったと思います。しかし、なかなかこの点は今直ちにということは困難な事柄でありますが、私は、今直ちに手をつけるという意味ではありませんが、できればまず第一に基礎法というものを一本にして、その基礎法でもってそれぞれ経済行為を行なう団体ができることが一ついいのじゃなかろうかと思う。たとえば農林漁業協同組合法という基礎法のもとに、漁村はその法律に基づいて一つの組合を作る、また山村はその法律に基づいて組合を作るというような形で統合されることが、一つは望ましい姿であると思いますが、これもなかなか困難です。もう一歩進めますと、仲原さんのおっしゃるように、地域組合的に、山村には一つのある組合の基礎法というものが、準拠法があって、それに基づいて地域的な組合を作る、その中には農業者も、林業者も漁業著も入るという形、これも一面は進めば非常によいことであると思いますが、今日直ちにそうかといってなかなか困難な事情がありまして困難でありますが、そういう場合に、おそらく山に関係いたしましては森林組合というようなものの内容が変わらなければいかぬと思います。これも理想的な考えですが、なかなかむずかしいのですが、あるいは林業の経営というものを経済的に見たときに、いろいろ金融問題なり、その他心の強制的な森林組合においてはちょっとやりにくい点なんかがあるとすれば、経済行為は別にして、むしろ森林組合の植林、林道形成というようなものについて、国を助けつつ一部をになうという形のような形にして、山持ちは強制加入をさせるというようなことも一つの方法かと思います。これは仲原さんのお尋ねですから、全くこれは個人の見解でございます。しかし将来はいろいろな点を根本に考えて、あらゆる部面の人が、さらりっと新たな紙に絵をかく気持で研究をしていく必要はあるものと考えております。
#73
○仲原善一君 さしあたっての問題としてお伺いしたいのですが、この農協関係の内部の問題でございます。これは最近畜産であるとか、果樹とか非常に伸びてきておりますので、単協ではなかなかまかない切れない資金繰りとか、あるいはその指専断でそういう問題が出て参りまして、特殊の単協、あるいは養豚なら養豚だけの組合、あるいは養鶏だけの組合、あるいは果樹だけの組合というのが特殊組合として下の方からどんどん盛り上って、非常に特殊組合の方が伸びてきつつある段階でありますが、こういう場合に、農林省の現在の推算方針としては、これは単協の方は総合農協として包括して指導すべきものであるか、あるいは特殊な業種として特殊組合として、伸ばしていった方がいいか、実は末端の方でも処置に窮している具体的な問題でありまして、特に伸びる畜産、果樹というものについてそういう傾向が現われてきておりますので、農林省の指導方針という現状の立場に立ってどういうことをお考えになっているのか、それをお聞かせ願いたい。
#74
○国務大臣(周東英雄君) 一がいに言えない。地方的にも特殊組合を認めた方がいいという場所と、あるいは総合的な農協でいった方がいいという場合がそれぞれあると思います。一がいには言えないと思います。しかし畜産等については、例をお出しになりましたが、畜産経営のあり方それ自体について、今後は大きく再検討される時期がきておると思います。よくいわれております今まで副業的に少数の頭数の飼育をして、これをまとめて外に出すという行き方がいいのか、少数頭数飼育というものは、たとえば酪農において、各地に分散している農家に乳を集めにいく労力がかなりかかるというならば、むしろ多頭飼育というものを考えて養豚区域を一つにまとめて考えて
 いくというような形に進むことが生産費を下げ、また生産後における加工、販売等における力強い形になる。とすれば、そういう場合には当然特殊的な農協ができるということも私は是認していいのじゃないか。また、将来の農業の経堂に関して、副業的にものを考えるのがいいか、ものによっては専業的に変わった方がいいとかいうことが出てくると思うのです。数羽、十羽とか十五羽ぐらい鳥を飼っていく、農家が副業的にやるのもけっこうですが、場合によっては養鶏だけやる農家というものが、養豚だけやる農家というものと同じ形に出てくる部面があるのではなかろうか、こういうものについて考えられる地域があるとすれば、そこに特殊の養鶏というものを考えた特殊農協というものが考えられてもいいのじゃないかと思います。これは一がいにその方がいいということも言い切れませんし、地域的に考えて指導していきたい、かように考えます。
#75
○仲原善一君 次に、農協の合併の問題でございますが、これは農協の基盤を整備する意味で、まことにけっこうであろうと思うのでありますが、現在農林省の一番最初の案によりますと、単協のいわゆる綜合農協だけの合併を考えておられたようでございますけれども、これはやはり県段階で、たとえば同一の県の中で経済連が二つあったり、畜連が二つあったり、果実連が二つあったり、そういう場合のやはり合併も、基盤整備の上で非常に重要なことで、新農政を担当させる上に非常に重要なことであろうと考えますので、この点どっちかといえばお願いのことになるかもしれませんけれども、あえて県段階連合会を排除する必要はないと思いますので、これはやっぱり法律の上でも、単協も、連合会も合併する、法律によってできるという仕組みにした方がいいように考えますが、特に補助金はもちろんのことでございますが、税制の問題で、それが非常に合併に役立つということになりますので特にこれはまあどちらかというと御意見を聞くよりもお願いを申し上げておきます。
#76
○国務大臣(周東英雄君) よく御意見を承わっておきたいと思います。
#77
○仲原善一君 その次に、税金の問題、小さな問題であるかもしれませんけれども、農民が直接国税を納めているのが非常にわずかでございますけれども、今回新たに白色申告によって専従者の控除が認められると、国税はこれで助りますが、このはね返りと申しますか、それをもとにして地方庁の方で地方税をかける場合の恩典が、特に白色申告には現状ではないということになっております。農村の実態を考えてみますと、税制改革によって税金は安くなるんだということを現政府は盛んに宣伝しておきながら、農村に入ってみますと、かえって固定資産税は三%ふえるのです。免税の恩典は浴しないということで、非常な不満が実はあちらこちらに出ておるわけでございます。こういう際に、やはり減税の一般的な恩恵を与える意味で、特にこの問題になっておる白色申告の専従者控除の問題を、農林大臣としては特に御考慮をいただきたいと思いまして、御見解を伺いたいと思います。
#78
○国務大臣(周東英雄君) お話は所得税の免税を受ける農家の方の数は少なくて、大部分はその恩典に浴せず、むしろ住民税の関係と所得税の関係を断ち切っておりますから、そういう点について考慮せよということと、固定資産税の問題であると思います。私どももほんとうは多数の農業者のためにと申しますか、全体の農業者のために考えますならば、やはり地方税たる住民税、固定資産税の問題がどうなるかが問題だと思います。ただ、この点は私ども希望はいたしておるのです。が、地方公共団体、府県市町村の収入というものの補てんということが当然について、回っておりますので、今日直ちに住民税関係において軽減をするという段階に、今まだきまっておらないことをまことに遺憾とするわけでございます。今後ともこういう問題には努力を続けていきたいと思います。ただ、固定資産税については、お示しになったように三%上げたじゃないかという問題は、実はこれは私がその地位につく前からの問題でありましたが、非常に農林当局が努力されておりまして、本来ならば農地も時価によって計算してかける。課税対象となるべき土地の価格決定に関して、時価というものが本来の姿のようであります。しかし私は、土地はあっちこっち工場等に転用されて売られる場合に価格が上がる。それをもとにしてかけるのは、そんなべらぼうなことはない。農家というものは、農地は売らないで、それが生産の重要な基盤だから、売らないものを売れた土地をもとにして評価することは間違いで、その意味から言うたら、税の関係から言えば、価格はゼロでもいいのではないか、こういう主張を続けておったわけですが、幸いにしてそれがいれられまして、時価主義は変わらぬけれども、それは農地の特殊事情によって、収益から見た時価というものにするということで、わずかにしてもらったわけです。宅地の方はやはり六・〇七%ほど上げるわけですが、農家はそういう関係にしてもらったのと同時に、農家の何といいますか住宅、これは農家の住宅というものは、作業を行なうために広いのです。それがために広い価格を取られたのではいかぬので、これはむしろ、ほかの住宅とかは、評価は全部据え置きでありますが、農家の住宅というようなものは、現在よりも三%下げて参っておる、こういうことで調整をしておるわけであります。これでまだ十分とは考えておりません。今後地方税改正というものとからんで、さらに善処いたしたいと思っております。
#79
○仲原善一君 最後にもう一点だけお伺いいたしますが、それは農業金融の問題でございます。今回農業経営の近代化資金が創設されまして、非常にわれわれありがたいと感じておるわけでございますが、何といたしましても、資金を農協、あるいは農民の系統のところに集めることが必要であろうと思います。貸付の方については、いろいろな手を打っていただいて感謝しているわけでございますが、このいわゆる農家の持っている預金を、大部分をこの系統の方に集めるという方面の考慮が十分まだ払われていないじゃないかという気が実はするわけでございます。大体三分の一程度が農協に集まって、他の三分の二がほかの金融機関あるいは投信等に流れるというのが一般であろうかと思いますが、その原因をよく考えてみますのに、やはりその単協の信用ということが十分でない。この単協が解散したり、あるいはつぶれた場合にその措置がない、非常に信用力がないということで、これは郵便局なりほかの銀行に持っていくというのが、農民の心理であろうかと思います。従って農家の金を農協陣営に集めるためには、十分な信用を持たせる必要があろうと思います。手っ取り早く申しますと、郵政局にどんどん預金ができるのは国という背景で、その郵便局がどうであろうとも、その背後に国というものがあるという非常に強大な信用力があるので集まっていくというふうに考えます。そこで単協の方に金が集まるようにするためには、何か一つの全国の単協のプールでも作ってお互いにこの責任を持ち合うようにする、たといそこの村の単協がつぶれても、その預金は安全に保障ができるというようなことが必要ではなかろうか。具体的に申しますと準備積立金のうちの一部をさいて保険制度にでもするとか、そういういろいろな制度を考えて単協そのものの信用力というものを増強する必要がありはしないか。そうすればほかに流れている農村資金が、だんだん単協に集まってこれが信連にも集まり、中金にも集まって、いわゆる近代化資金の三百億というようなものも十分こなせる、倍にも三倍にもできるというような気がするわけでございまして、どうも現状から申しますと、貸せる方の制度は非常に重点的にお考えになるけれども、集める方の信用力を強化するための改策というものが少し手薄じゃなかろうかという気がいたしますけれども、そういう点について大臣の御見解があれば承わっておきたいと思います。
#80
○国務大臣(周東英雄君) 非常に進んだお考えをいただいて、私も非常に意を強うするわけでございますが、今日まで農協に集まっておる金すらも、実は十分に農村に還元されていない現状であります。私はこれは非常にいけない、何とかして国に長期低利の金を要求するならば、みずからの相互主義ということで出ている農協の金をまず農村に還元するように一つ考えることが必要であろう。先ほどもちょっと触れましたけれども、そういう面、かなり精神的な問題がありますけれども、ほんとうに農業協同組合に関しては他の営利機関とは違うのだから、税の面ではよく減免税をしろという問題が出てくるのですが、しかしやっている仕事というものは、貸付金等に関する金利から見てもかなりほかの金融機関から比べて高いということは、これは直していかなければならない。そうでないと、相互扶助機関というものが泣いてしまうのではないか、こういう意味におきまして精神的指導といいますか、皆さん政治家の方、われわれを通じてそういう面を一つ指導をしていくことが必要だと思っております。その一つの中間的に尊き出すために、金利補給というものを考えてやっていますけれども、いつまでもこれをやっているというよりも、ほんとうに農協の金がそういう考え方で預金がなされ、また貸付がされるならば、やがて金利を補給せぬでも組合の金が活用できるようにするのが私は終局の理想だと思います。その間におきまして、あなたはもう一歩進んで農村の金はみな農協に持ってくるように手を打つ、こういうお話であります。まことに私はけっこうな話だと思いますが、これらにつきましても私はまだそれは確定もしていませんし、なかなか重大、むずかしい問題でありますが、何とかして将来は、農協というものは、なるほど組合員の集まりの団体でありますけれども、従って銀行等の不特定多数人の金を預かっておるわけじゃないけれども、やはり預金者の保護というものを考えていかぬと、単協等は出資兼営をやっております。預かった金が直ちに事業部門に自由に流されてくるということであっては困る。万一の場合が起こると、預金者に非常に迷惑をする。そういうことが不安で預けぬということもあると思います。これはできれば、かつては一度やったことがありますが、払い戻し準備金制度でも作りつつその金は系統農協といいますか、信連なり中金へ持ってきて、万一ある地方に問題が起きたときには、その組合はつぶさぬように中央の中金あたりがめんどうを見る。中央の中金が非常に困った場合には、国が助けても生き返らせますけれども、地方に取付さわぎが起こったら大へんな混乱を起こすことになります。そういうことを防ぐためにも、こういうことを考えていくことが必要であろう、こう思っておりますが、大体あちこち共鳴を得ておりますが、まだ確定してそこの方向までいくということに踏み切っておりませんが、これは今後とも私は信用を確立するという意味の一つの方途として考えてもいいのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
#81
○森八三一君 今の仲原さんの御質問私も同感で、大臣の答弁もよくわかりますが ただ一つここでお考え願いたいことに、実際農協に農民の金が全部集まってこない非常に大きな問題があるのです。それは、金利というものにつきましては、一応大蔵当局が基準を示して取り締まりをしておるのですね、建前上は。実際は何にもそれが役立っておらぬ。これは事例をあげろといえば何でもあげますがね。やみ金利が横行しておるという問題なんです。農業協同組合の方につきましては、これは中央会が自主監査をやり、県庁もおやりになり、農林省もおやりになる。きわめて厳重なる検査が行なわれているのです。私は、農協に関する限りは、そういうやみ金利は絶無であると申し上げても大体過言でないと思う。ところが、実際は非常にやみ金利が横行しておるという事実です。そんなところに農民が持ってくるのは、お前たちが腐っておるのだと言ってしまえばそれっきりでございますけれども、やはり人間慾というのがついておるのですから、どうしても流れていく。ことに私の県なんかでは非常にひどいものなんです。そういう点を大蔵当局に言いましても、そういうことは表面に出てこないですから、事実取り締まりは励行されておらぬ。現にこの東海道新幹線の用地買収というときには、ひどいのはまとまった反別に対してテレビを一台差し上げましょう、その国鉄からもらう金は、全部私の方に持ってきてもらいたい、ここまでいっておるのですね。こういうことをですね。そういう表面金利は六分なら六分とやっておるのです。サービスはサービス。事実上はやみ金利なんですね。こういうことの取り締まりについてもう少し徹底してもらわぬというと、いわゆる理想的な段階にならぬと思いますのでこれは大蔵当局に厳重に一つ抗議を申し込んでいただきたい。こう思います。
#82
○国務大臣(周東英雄君) よくわかりました。そういう点については、私ども考えたいと思います。しかし、やはりそれがあるからといって、そっちにいくということでなしに、精神的訓練と私が言ったのはそれなんです。むずかしいことだけれどもそれをやらないかぬ。昭和四年当時、私はかつてそれをやってだいぶ攻撃を受けたけれども、だんだんそっちに導きかけたときにまた支那事変が始まって元の木阿弥になった。しかしこれはなかなかむずかしいことです。しかもやっぱり私は農協にやみ金利があるとは思いません、これはりっぱでしょうが。しかしなかなか経費の方にかけられている金があるわけですね。こういう点もやはり反省し考えてみる必要があろう。まあ多くを言いません。
#83
○安田敏雄君 まあ先ほど時間がなかったから、この問題については質問しなかったわけですが、先ほど大臣の答弁の中に、資金需要がないというようなことを言っていましたですね。要するに、まあ借り手がなくて、金が、農協系統の金がだぶついている面もあるというようなちょっと答弁がありましたね。実際の問題として農協の金が借りにくいじゃないですか。政府が二分利子補給をしても、七分五厘以下で貸しては採算割れがしてしまうというところに問題があると私は思う。これは森委員の方からの、いわゆるやみ金利でもつけなければ金が吸収できない、農民の金が吸収できない、五分か六分の金利をつけなければ金が集まらない。それに対する人件費やいろいろ経費がかかりますから、実際七分五厘では貸せない、一割くらい取らなければ貸せないというところに、農協の金が借りにくい、利用しにくいという点があると思うのです。こういう点を注意していかないと、今後農協系統の資金を強化していく上においても、非常に問題があろうかと思うのです。ですから今度は、政府の方は利子補給によって三百億の融資ワクを拡大しても、実際問題としてはワク一ぱい借りられないという現状が出てくるのじゃないか、こういう点を今憂えているわけですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
#84
○国務大臣(周東英雄君) そこが私は問題だと言うのですよ。つまり農協の金利は高いものだと、こうきめ込んでしまってはいけないと思うのです。これは相互扶助ということを標榜しておることは御承知だと思うのですけれども、お互いに余裕のある者が預けて、足りない者のために貸し付けている相互融通ということを標榜しておるなら、これは非常にむずかしい問題で、そういう標榜をしておるなら、それに沿うような経営をすべきだと思う。ところが銀行と変わらぬような高い金利で預け、それで吸収した金が集まって、預金は相当なものです。その預金がほかの方に流れていくというのじゃこれは相互金融機関というものが泣きゃしないかと思う。そこに、農業協同組合というものと銀行とは違うのだということを強く意識し、強くそれを推進していかなければならぬと思うのです。私はそうい意味合いにおいては、何も今は高い金利で預かっていらっしゃるのだから、それを安く貸すことは逆ざやになるということが起こりますから、ある程度それを活用するについて、国から金利補給をして、下げてやっていただくという方向に導きつつ、本然の姿は、もっと農協の金を農村に還元されるような形に、すべての農協は考え直してもらいたいと思うのです。その間に時日はかかりましようと思っても、これは理想であっても、そのことをやらないと、同じように、ほかの関係と同じようなことで動いているのだったら、何も農協に対して特殊な税制上の保護措置は私は要らぬと思う。それは違うのだから、これに対して保護措置を講ぜようというところに、党も政府も考えているわけです。そのことを、私は、なかなか時日がかかって苦労であろうとも、その考え方は腹にしっかり入れて、今後指導していかないと、何ぼ高くてもいいから自己の金は使わないで、国から長期低利の金は出せ出せといっても、むずかしい問題が起こると思う。そこらに農協というものの、仲原さんがお尋ねになりましたが、将来の農協の考え方というものを、やはりだんだん変えていかなければいけないのではないか、こういうふうに考えておるわけです。資金需要はあっても、貸せないということが問題であろう。もとよりその間における経費というものの節減をしつつできるだけ、経費が高まることによって金利が高くなるということは、改善していくことは、十分に改善してもらわなければならぬと私は思う。
#85
○委員長(藤野繁雄君) 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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