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1960/03/17 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第17号
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1960/03/17 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第17号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第17号
昭和三十六年三月十七日(金曜日)
   午後一時三十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理 事
           秋山俊一郎君
           櫻井 志郎君
           亀田 得治君
           東   隆君
           森 八三一君
   委 員
           青田源太郎君
           石谷 憲男君
           植垣弥一郎君
           岡村文四郎君
           河野 謙三君
           仲原 善一君
           堀本 宜実君
           阿部 竹松君
           小林 孝平君
           安田 敏雄君
           棚橋 小虎君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   農林省振興局長 齋藤  誠君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○果樹農業振興特別措置法案(内閣送
 付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 果樹農業振興特別措置法案(閣法第九九号)予備審査を議題といたします。
 前回に引き続き、本案に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○河野謙三君 ただいま手元に届きました果樹の長期生産計画表によりますと、非常に私から見れば、大胆な生産計画が盛られておりますけれども、この計画の裏づけになる果樹の適地、これはいうまでもなく全国どこでもできるものではございませんので、この計画の裏づけの適地というものは、政府の方でいろいろ調査の結果おできになっておりますか、どらですか、もしおできになっておりましたら、大体の御説明を願って、あとは詳細に資料をいただきたい。かように思いますがどうでしょう。
#4
○政府委員(齋藤誠君) 今後の果樹の振興のために、長期の生産見通しを立てるということは、第二条におきまして新しく規定したわけでございます。しかしながら、これは全国的な生産の見通しでございますけれども、果樹につきましては、御承知のように、立地立地の特性に応じてそれぞれ栽培されているという実態でございます。今後におきましては、当然立地に応ずる導入ということを考えて参らなければならないのは当然でございますが、この法案におきましては、まだ政府の方におきまして、具体的な立地につきまして、カキなればどこがいいか、あるいはリンゴならばどうであるとかいうような、適地についての具体的基準というのを必ずしも持っておらないわけでございます。ここで法律の第四条におきまして、果樹園の経営計画を都道府県知事の認定を求めるということにいたしておりますが、この認定をいたしまする場合におきまする基準といたしまして、第四条の一項に農林省令で一定の基準を定めるということにいたしておりまして、これが該当するかどうかといろ適否の判断基準にいたす、こういう考えをとっております。しかしこの基準につきましては、いわば限界地における限界的な最低条件をきめる考えでございまして、主として気象条件をここできめる、こういう考え方をとっておるわけでございます。今後におきまして、第二条の二項にも書いてございますように、地域の特性を考慮して果樹の栽培については一般的に考慮を払う必要がある、考慮を払って必要な施策を講ずべきである、こういう規定を設けたわけでございます。
#5
○河野謙三君 私が想像いたしましたこととあまりに違うのですが、この数字の裏づけになる生産拡大の計画というものは、当然、たとえば九州地区に幾ら、四国地区に幾ら、それぞれ地区別ぐらいに増反の計画というものがあって、その裏づけのもとに、たとえば柑橘で申すならば、現在よりも四十二年には倍ぐらいのものができるというふうなものだと思ったんですが、今伺いますと、さようなものは現在まだ農林省にはお手持ちはないんですか。
#6
○政府委員(齋藤誠君) 先ほども申し上げましたわけでございますが、果樹の長期見通しにつきましては、今の資料といたしましては、御承知のように、国民所得倍増計画によりまして、四十五年における果樹の長期の生産及び需要の見通しを作った資料が一つあるわけでございます。それからもう一つの資料といたしましては、本日お手元にお配りいたしました資料がそれでございます。これは各県の実は今後における果樹の植栽、改植等を含めまして今後の樹齢別の栽培面積から結果面積を想定し、収量等を予測して作ったものを取りまとめたものでございまして、各県なりに一応の立地条件を考慮してできた資料でございます。
 で、はなはだ本末転倒するような、基本に帰ることになりますけれども、果樹につきましては、昨日もお答えいたしたわけでございますが、統計自身につきましてもいまだ十分な資料が完備しておるという段階に実はないのでございます。今後の需要の見通しあるいは生産の見通しを立てた場合におきましては、やはり基本になる果樹の面積なり、あるいは樹齢別の栽培面積というものを確定して参ることが必要であるわけでございますが、それを今後の審議会における重要な議題といたしまして、われわれといたしましては努力を積み重ねてこれに近いものに持って参りたい、こういう考え方でございます。そういう計画のもとに、今後はざらに地域々々に応じてどういうような計画を立てていくかと、こういうことに相なろうかと存ずるのでございますが、現在におきましては、それぞれ県におきまして適地というようなもの、あるいは品種等につきましても、おのずから果樹につきましては相当進んでおるわけでございますので、現段階におきましては、われわれとしては全国的な見通しを立て、そしてそれに応じて各県の一応の予測はもちろんいたすわけでございますが、ざらに県内におきまする栽培面精等につきましては県の指導にまかせる、こういうつもりで現在は考えておるわけでございます。
#7
○河野謙三君 私が想像いたしますに、果樹の作付面積の拡大と申しましたところで、今お話しのように気候、風上等による制約等もきびしくございますので、現在あります全国の生産地を拡大するということに私は結局なるのじゃないかと思うのです。果樹々々と申しましても、たとえば県等で申すなら、群馬県に行って果樹を作ると申しましたところで、その道の方に聞きますと、あまり群馬県に適する果樹はないように聞いておりますので、それぞれおのずと作付の拡大と申しましても、限られた地区に私はなると思うのです。限られた地区におきまして、今拝見しましたような、四十二年までに倍にするということには非常に大きな支障になる問題がたくさん想像されるので、あらかじめその支障になるものにつきましての、支障を排除するととろの準備、こういうものがなくちゃいかぬと思うのです。たとえて申すならば、柑橘で申せば、御承知のように愛媛県は非常に柑橘の進んだところである。この愛媛地区の経験者が、二、三男の方が、たとえば隣りの大分県に行って柑橘の栽培をやりたい、現にそういうのも数多くあるようですが、その場合一番ネックになるのは山林の所有者の問題だと、こういうことを聞いております。具体的に申すと、小さな山持ちは自分から山を開拓して柑橘を植えるということもやる、場合によったら経験者にその山を売るということもやるそうですが、大きな山持ちというものは、別に山の処分をしなければならぬほど生活に困っていないし、また自分から進んで柑橘の栽培をやろうという努力もしない。ところが、適地かどうかという点から見れば非常に適地である。ところが、その大きな山持ちが大きく山を占領しているために、せっかくの天然の恩恵に恵まれた柑橘の栽培に非常な適地も手のつけようがないというようなこともあるようです。こういう問題について、私は飛躍して山林解放とまで言いませんけれども、何か長期計画に伴ってこういうふうなネックを一つ解決することも、おのずと私はこの法案と同時に準備されなければいかぬじゃないか、こういうふうに思うのです。また、これだけ計画通り増産されますと、価格の問題を非常に私は考えなければいかぬと思うのです。その場合に、これもまた柑橘の例で申すならば、柑橘の加工の問題を一体どういうふうにお考えになっているか、現在おそらく柑橘の加工というものは五、六十万ケースぐらいじゃないかと思うのですが、これがこれだけの増産をされますと、この増産分の大部分は加工の方で処理されなければいかぬ。またそういう準備態勢をとらなければ、価格の問題に大きな悪影響が出てくると思うのですが、こういう柑橘に限りませんが、果樹全体の増産とともに、並行して加工の面についてどういうふうにお考えになっているか、これも一、私は伺いたいと思うのです。要するに、いろいろ増産計画の裏には、当然この計画を突破するために障害になるものがたくさんあるわけなんです。これについて今私は一、二、たとえば大きな山持ちの話、また加工部面の話等を事例にあげたのですが、そのほかにもたくさんあります。こういう問題について、今振興局の方でネックになる問題を取り上げてどういうふうにお考えになっているか、一つ御説明いただきたいと思う。
#8
○政府委員(齋藤誠君) お話しの通り、今後果樹が伸びます場合におきまして、相当新、改植が行なわれるわけでございます。その際、山林あるいは原野等にふえてくるであろうということは御指摘の通りでございまして、過去の、今までの経緯から見ましても、最近の五カ年間におきまする果樹の植栽面積の中で、山林原野から果樹の作付に転換をしたものが大体三五、六%のウエイトを占めておるわけでございます。今後の予測におきましても、この数字はおそらくもっとウエイトは高まってくるのではなかろうかと考えておるわけでございます。特に今回の措置の一つの特色として重点を置いております点は、従来の果樹の栽培形態がとかく散在樹の形できたけれども、今後の市場の条件に適応するためには、やはりある程度集団化された経営形態というものが望ましい、こういう考え方で、原則として十町歩程度の集団化された地帯を予測して果樹の経営計画を立てるようにと、こういうことを指導のねらいにいたしておるわけでございます。融資もそのような誘導の措置の一つと考えておるわけでございます。そういう意味におきましては、林野の利用ということについては、当然予測するところでございますが、まあ、現実にもすでに三五%を占めておるわけでございますので、今後、果樹が成長農産物であるというようなことになってきます場合におきましては、やはり山持ち自身が果樹に一つ転換してやろうと、こういう気運も出ておることも、やはり今申し上げた数字でも明らかであるわけでございます。この経営の形態におきましては、二人以上が共同でやるというふうな場合、それから農協がそういう計画を立てて指導するという場合と、それから、この法律には書いておりませんけれども、農地法の一部改正で、いわゆる農業生産法人の形において果樹園経営計画を作る場合においても融資の対象にするというふうな考え方をとっておるわけでございます。これはなかなか強制というわけには参りませんけれども、今申し上げましたような、組合が計画を立てていく、あるいは生産法人のような形でやっていくというふうなことを出しておるゆえんのものは、林野の転換等につきましてもある程度の指導が出てくるのではないだろうか、こういう考え方をとっておるわけでございまして、今後この面においてさらに何らかの措置をとるというようなことが現実問題として起こりますならば、われわれも研究して参らねばならない一課題であると考えております。ちょうど畜産における草地改良と同じような問題があるわけでございます。
 それから第二の、加工部面につきましてのお話しでございますが、全く今後の果樹振興上、加工部面のウエイトを高めるべきであるということについては御説の通りでございまして、例をとりますならば、日本ではまだ加工用に向けられる果実の割合は一割以下である。しかしアメリカではこれが五割も占めておるという状況でございまして、だんだんにやはり生食用の果実という既往の形から、どうしても加工の部面に今後持っていくということが必要であろうと思うのであります。それはひとり需要の開拓という面から必要であるばかりでなしに、そういうふうに伸ばすこと自身が、先ほど先生の御指摘になりましたように、やはりこういう青果につきましては、ある程度の加工部面によって出回り数量が調整されるということによって、価格の安定も結果において期せられるということが、非常な意味を持つものであろうと思うのであります。たとえば、柑橘等につきましても、農協がこれを出荷する際に、いわば、余剰輸入に該当するような超過の供給量を、果汁の加工場を設けて、これで処理するというような形態をとっておるところも現にあるわけでございます。そういう意味におきまして、加工部面における今後の強化、拡充をはかっていくということについては、お説の通りのように考えております。ただ、この部面におきまする行政といたしましては、すでに民間企業の方がどんどん進んでおるという状況でございまして、いろいろの問題があると思うのであります。出荷面におきましては、やはり加工原料に最も適合するような品種の育成ということも一番先に考えなければならないでありましょう。たとえばこの面におきましては、御承知のように、桃につきましては、加工用の桃肉等の育成ということにつきましては、すでに国の試験場におきましても、そういう品種を作って助成までして導入をしたというふうなこともございますけれども、今後その面における加工原料用の品種の育成ということについても十分研究し、強化していく必要があろうかと思うのであります。さらにまた、取引の段階におきましては、安定的な取引の形態ということが第二に必要であろうと思うのであります。現在までのところ、いわゆる出荷団体、農協系統の出荷団体で扱っておる量というものは、おそらく三分の一にもいかないと思うのでありますが、その中で、特に原料用の取引については、ほとんど仲買人あるいはその他の買出人の手を経て原料が集荷されるという状態であるわけでございます。従って、この面は、ひとり生産者の利益のためというばかりでなしに、加工業を安定した基礎に置くという意味におきましても、この部面における安定した原料の供給、こういうことに対する態勢が必要であろうと思うのでございます。本年度の予算におきましても、こういう加工部面だけではございませんけれども、青果につきまして全体の出荷事情あるいは加工の現状、あるいは作付の見通し、出荷の見通しといったようなことを、それぞれの団体に委託いたしまして、定例的に調査いたし、これを情報として生産者団体に流しまして、そうしてこれを定例的に、また協議会等の開催によりまして、計画出荷、出荷調整というようなことを今後指導して参りたいと思っておりますが、当然その一環には、今申し上げた加工部面における取引の問題も考えていかなければならないと思っておるわけでございます。いろいろ問題としてはあるわけでございますが、加工部面における需要の開拓、輸出振興、そのための品質規格の統一、こういったような問題についても、行政面としてはいろいろやっておるわけでございますけれども、今後ともそういう部面についてもやって参らなければならぬ、かように考えております。
#9
○河野謙三君 局長のお考えになっておる点は、私も全く同感でございますが、ただお考えの裏づけになる具体的な方途には、まだあまり入っておらないようで、その点が私は非常に不満です。たとえばさっき新しく果樹の栽培をやる地区として、山林の問題に触れましたが、御説明にもありましたように、従来の果樹の増植につきましても、三五%ぐらいは山林の開墾によるところの作付だ、今後はさらにこれだけの大きな計画を立てますと、山林の鞍作というものは、非常に大きく私は農林省は期待されておると思うのです。その場合に、一番大きなネックになっておるのは、山持ちの、しかも大地主だというならば、これについて何らかの法制上の措置なり、または行政上の措置なりということをお考えになってしかるべきじゃないか。将来そういう問題が起こったときに考えるというんじゃなくて、現在までに、果樹が今日までふえつつある過程におきまして、常にネックになってきたのはその問題なんだから、たとえば、ここに先輩の方がおられますけれども、愛媛県から大分県に向かって盛んに果樹の栽培について積極的に移住をしてやろうという意欲が強い。ところが、大分県に行ってみるというと、適地は非常に多いけれども、小さな山持ちのところは大体果樹に転換さしたけれども、大きな山持ちは涼しい顔をして、そんなことをやる必要はない、ただ山さえ持っておれば、自然に木が太って食うには困らないということで、みすみす目の前に非常な適地を見ながら、それには手がつかないというところが非常に多いように聞いております。これは単に愛媛県と大分県の関係だけじゃなくて、全国的にそういう問題が私はあると思う。これについてこれはもう少し具体的に、この計画の裏づけになる一つ適当な措置をされて、しかもここで私は御説明をいただきたかった。加工の部面につきましても、いろいろ加工の重要性は説いておられますが、おっしゃることはよくわかりますけれども、農林省が現在やっていることは一体何だ。加工部面について、なるほど研究所はございます。今農林省で加工の研究についてやっておるのは、東京にあります食糧研究所と、果樹関係は果樹の試験場でやっておる。畜産は畜産局でやっておる。水産は水産でやっておる。こういうことで、てんでんばらばらであります。しかも食糧研究所のごときは、われわれ最も期待しておるのですが、この食糧研究所は何をやっておるか。大きく食糧と画しておりますけれども、実際にやっておるのは米麦の研究だけしかやっていない。まあ実際やっておるとしても、原料を持たないところで果樹や畜産の研究ができるはずがない。こういう行政上の姿を見ますと、はたして振興局長がおっしゃっているように、今後の果樹の増植の裏づけになる、価格安定の裏づけになる加工について、どれだけ農林省は熱意を持っておるかということを疑わざるを得ないんです。もしほんとうに熱意がおありならば、加工部面についての研究の統一をはかって、そしてこの間の行政機構の改革の中にありました技術会議の方に統一をするとか、その他いろいろの方途が講ぜられてしかるべきだと思うんです。それが少しもそういう姿で現われてきてないというところに、私は一つの危惧を持つわけなんです。で、一体とのミカンなりリンゴ、これだけの増産計画を立てておられますが、四十二年におきまして全生産額の中でどのくらいを加工部面に回すおつもりか、そういう計画数字はございますか。
#10
○政府委員(齋藤誠君) ただいま加工部面についての試験研究がきわめて貧弱ではないかと、こういう御質問でございました。御指摘の通り、今後も加工部面につきます重要性から申しまして、これらの施設を拡充して参る必要があることは、御指摘の通りでございます。現在加工の関係につきまして一言申し上げておきたいと思いますが、現在におきましては、今お話しになりましたように、試験場といたしましては、平塚におきまして主として落葉果樹の加工関係をやっております。それから東海、近畿の試験場の興津におきましては、常緑果樹についての加工試験を行なうことにいたしておるわけでございます。そのほか食糧研究所、それから農村工業指導所等におきましても、食糧研究所では加工全般、農村工業指導所では農村企業関係という見地から試験研究を行なっておるわけでございまして、まあ食糧研究所でやるべきか、あるいは農業試験所でやるべきかという点につきましては、それぞれ分野々々がありますので、これを統一的にやった方がいいんだという御意見もあろうかと思います。ただ食糧研究所におきましては、一応園芸食品部というのがございまして、それらの予算といたしましては約千五百万円の経費も計上いたしておるわけでございまして、水産カン詰あるいはそれ以外の畜産カン詰等、つまり食品全般の加工部面としての研究を担当いたしておるわけでございます。なお、これ以外に、各県におきましても加工研究室等を設けてやっておるところも相当ございますので、今後加工部門の重要性から、われわれとしても施設を拡充して参りたいし、さらに一般的にこの部面におきまする関心の高まりに応じまして、一そう研究も進展していくことに相なろうかと考えるわけでございます。
 将来の加工部門の比重がどのようになるかと、こういう御質問でございますが、このような需要の見通しにつきましては、輸出がどうなるか、あるいは内需がどうなるか、その内需の中で加工部門がどうなり、生食用のものがどうなるかといったような計画を、今後需要の見通しに即しまして検討して参るわけでございますが、現状におきましては、先ほどお手元に配りました計画資料は、これは単なる資料として各県から報告を求めたものでございまして、これを一つの資料として、農林省はさらに需要に即して生産計画を立てて参りたい、かようなものでございます。
#11
○河野謙三君 私は、この将来の加工の問題は、将来の需要の見通しをつけつつというお話しでありましたが、逆に将来の増産に伴う価格の不安定ということは当然予想されますので、果樹の価格安定の一番大きな柱として、加工部面に非常にウエイトを置きたい。ということは、これからの増産計画を進める上において、生産者たる農民に安心を与える上において非常に大事じゃないか、こういうふうに思うのです。でありますから、私は加工の部面につきましては、価格安定の一方途としての一応の年次計画を立てていかれたらいいのじゃないか。しかもその加工の面が、世界各国の果樹生産地帯の例と比較いたしまして、日本の果樹の生産額の中の加工部面というものは非常にウエイトが低過ぎます。たとえば、リンゴにいたしましても、アップル・ソースであるとか、その他アップル・パイであるとか、非常に外国の加工部面の需要は大きいのであります。また、ブドウにしても同様であります。そういう面につきまして、非常に諸外国におくれをとっている現状におきまして、この果樹の大増産計画を立てられる場合に、やはり増産計画の裏づけの価格安定につきましては、加工の部面をもう少し私は重要視されなければいかぬじゃないかと、こう思うのです。まあ局長は、十分重要視しているということでございますから、あまり強くは申しませんが、たとえば現在の段階で加工部面に重要なウエイトを置いておるとおっしゃいますけれども、一体農林省の持っておるところの技術陣の中で、試験場の技術陣の中で、加工部面を担当している技術者は、加工専門の技術者は一体何人いるか。私は五十人もいないと思う。これだけ重要な加工部面につきまして、五十人にも満たないような加工の技術員で、どうして将来の加工技術についてこれらの人に安心してまかせておけるかという点も私は非常に心配するのです。本年は仕方はありませんが、当然お考えになっておると思いますが、加工の研究所の問題とあわせて加工技術の研究をするところの技術員、これについては飛躍的に増大しなければいかぬ、こう思いますが、その点は何か試案がございますか。
#12
○政府委員(齋藤誠君) 加工の技術者が非常に少ないのじゃないかというお話しでございますが、加工関係では現在四十六名、農業技術研究所あるいは農業試験所関係で四十六名ということになっております。そのほかに畜産関係あるいは水産関係の加工関係の技術者がおることと思うのでありますが、今後加工部面におきまする試験研究の拡充をするために、さらに人員の増加ということにつきましては、お話しのように努力いたして参りたいと思っておりますが、ただ、この部面におきまする試験研究もさることでありますが、果樹につきましては、御承知のようにおしかりを受けるかもわかりませんが、民間の企業の方がぐんぐんと実は伸びておりまして、また嗜好品でありまする性格上、やはり市場の最終消費需要にマッチするようなものを、やはり今後もっと伸ばしていかなければならないというような、こういうようなことにもなるわけでございますので、官庁の関係ばかりでなしに、やはり民間のこの部面における試験研究を促進していく必要があろうと思うのであります。農林省にも実は応用研究費というものがございますけれども、その部面から民間の加工に関する試験研究についても大いに促進して参りたい、かように考えております。
#13
○河野謙三君 私は行政官庁の性格からいって、また行政官庁の一切の経費を税金によってまかなってもらっておる国民一般の納税者の側から見ても、民間の大いに試験研究の進展に待つということももちろんけっこうでありますけれども、やはり官庁のあり方としては、民間に一歩先んじて指導の立場に常にあってもらわなければ困る。こういうように私は思うのです。私は非常に農林省尊重の主張に立っておるものでございますから、もっと自信をもって一つやっていただきたいと思います。かように思うのです。
 そこで、私は最後にお伺いしますが、今までの質問を繰り返すようでありますけれども、いつかも本国会の冒頭におきまして社会党の仲原さんが全国の農民の気持というものを代表してお話しになっておることを私は聞いたのですが、従来農民というものは農林省のいう通りにあとをついていくと大てい貧乏した、農林省が東に向けといったときに西にいった農民は、大てい経済に恵まれた、そういうような気持で農民は役所を見ておりますよということを言われました。私はこれが全部農民の心理をうがったものとは思いませんけれども、確かにそういう面はあるのです、農民の心理の中には。今回農村の構造改革という表題のもとにただいまは果樹の問題をとらえておりますが、あらゆる増産、転作等の問題が出て参りますが、その場合に従来の例でいきますと、農林省が麦の作付転換をやれといったときに、そのままついていくと、かえってばかをみるというような心理が農民にあるわけです。果樹の場合も同様だと思う。なかなか一年や二年で農民心理は払拭するわけにはいかない。なぜそういうことになったかというと、常に計画の裏に価格の安定政策が並行していなかった。果樹の場合にも、これだけの増産計画を立てますと、必ず多くの農家の人はこうして全国的にミカンだ、リンゴだ、ナシだ、必ず生産過剰になっておれたちが苦しむのだという面が確かにございます。そういう際に、価格安定の方途として農林省がこういうものを持っているというものが、今から準備されていなければ、私は増産計画は遂行できないと思うのです。その価格安定政策の一番重要な柱になるのは、先ほど申し上げました加工だと思う。また、加工部面さえふやしておけば、農林省は価格安定の方途として買い上げもできます、貯蔵もできます。それを私は並行してやることが今ここにお示しいただきました増産計画を遂行する第一に上げる重点だと私は思うのです。そういう意味合いで、重ねて御答弁を求めませんけれども、果樹振興法というものをうたってここに計画を発表された以上は、これと並行して加工部面についてのより詳細な計画を立てられて、そうしてわれわれにもお示しいただくということが、われわれの農林省への期待でございますから、その点できるかできないか知りませんけれども、一つ審議の過程におきまして、加工部面につきましても、より具体的な方策が立てられるならば、お示しいただければ大へんけっこうだと、かように思います。
 ほかに質問者もあるようでありますから、私は本日は一応質問はこの程度でとどめます。
#14
○堀本宜実君 私はただいま加工の面で河野委員から御質問のありましたことで、大体加工の問題、製品の問題につきましてはおおむね尽きたのでありますが、第一条に、この法律は、「果実の流通及び加工の合理化に資する」ということが当初にうたわれておるのでございます。また第六条には、果実製品というものにカッコ書きをして、「果実を加工し又これを原料として製造した製品をいう。」、というふうに明記をしてあるのでございます。ともにただいま河野委員が強調されましたように、現実の趨勢をもっていたしまするならば、私はおよそ適地でないところでも、果樹収入というものの、他の農業よりも所得のよいということにつられてされるといいますか、そういうことで大へん増産をいたしておることが、旅行をいたしてみましても見えるのであります。そういうことでやがてこれが過剰傾向になったときに、永年作物でございますので、直ちに切りかえはとうてい困難でございます。従いまして現在のこの法律は、昨年提出されましたものよりは、はるかによくなって、長期の見通しを立てるとか、あるいは情報の提供を求めるとか、需要供給の関係をよく考慮に入れて措置をするとか、いろいろ新しいものが盛られておりますので、さらに進歩したと思いますが、しかし、現在の加工に関しまする奨励指導、その基礎に至りましては、まことに見るべきものがございません。ことしはやむを得ないと思いますが、価格政策の、先ほど河野委員からもお話がございましたように、これら過剰の傾向が出て参りましたときに、やはり加工部門に少なくとも現存はその数量が一割でございますが、アメリカ等においては、半数が加工に回されておるというような実情から考えてみましても、相当量加工に回し得るのだという制度が打ち立てられなければ、私はこれらの産業を伸ばしていく、また伸ばすべき産業であるということにはならない、かように存じます。従いまして今後果実製品、あるいは加工の合理化について格段の今後努力をしてほしいと思うのであります。
 そこで一、二お伺いいたしたいと存じますが、主たる果実製品の種類と需給ですね、どういう果実製品というものがわが国にあるのか、あるいはその現状、あるいは将年の伸びの見通し等がおわかりになれば御説明を願いたいと思います。
#15
○政府委員(齋藤誠君) お話しの通りいろいろと加工部面についての重要性、今後の行政の拡充について御指摘がありまして、傾聴いたした次第でございますが、現在におきまして加工の部面におきまする全体の使用比率を見てみますると、全体としては一割以下でございますが、ミカンにつきましてみますと一六%、それからブドウが一七%、一番高いのが、洋梨が二四・八%、桃が一七・六%、桜桃が三四%、栗が一%、こういうふうな状況に現在の加工向けの使用比率はなっております。全体といたしまして、まだ果汁なりあるいはびんカン詰等におきまする使用の状況というものにつきまして、詳細な統計資料もございませんが、たとえば柑橘だけをとってみますると、まだ千五、六百トン程度が果汁に、ジュースとしての原料に回っておるという程度でございますから、大部分のものはびんカン詰がその主要なものになっておるわけでございます。予測といたしましては、先ほども河野先生から御質問がございましたが、今後具体化して参らなければならないわけでございますが、少なくとも生食用に対しまして加工の割合が相当ふえなければならないのは当然でございますが、われわれの一応の予測といたしましては二倍半から三倍ぐらいには、少なくとも加工分は今後伸ばしていかなければならない、かように思っております。最近の果汁だけの伸びを見ますると、二十六年ぐらいから今年ぐらいまで四・四倍ぐらいに増加いたしておるわけでございますので、そういう点も考えあわせますと、加工の伸びは相当期待できるのじゃなかろうか、かように思っております。
#16
○堀本宜実君 そこで、今後今の倍になるというようなことはおよそ率だろうと思う。果樹自体が、その生産数量自体が倍も倍以上にもなってくるわけでございますから、およそ率でお話しになったと思いますが、そこで、これらの果実製品を事業化しまするために、これの指導というものがこれは民間でやろうと、あるいは農業者自体でやろうと自由でありますことは申し上げるまでもないのでありまするが、やはりわが国の宿命的な零細農という立場から考えますと、やはり農民自体が協業の立場でこれらの、みずから作った果樹を加工部門に回すという協業のあり方が、私は果樹農業等にとりましても大へん合理的な経営であるというふうに考えるのであります。将来そういう方向に、農業協同組合の事業にいたしますか、あるいは特殊の協業の事業にいたしますか、別といたしまして、とにかく農民自体の協業の立場でこれらの事業を伸ばしていくという指導方針が必要だと思うのでございます。そういうことについて、何かお考えを持っておられますか、また、私のこの意見に対しましての局長の御意見を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(齋藤誠君) 現在の加工企業の実態をみますると、ほとんど零細な加工企業でございまして、約三千三百程度の企業数があるわけでございます。その大部分は五百人以下の企業でございます。そういうような状況でございますけれども、一面この部面につきましては、やはり嗜好品でございますので、大きな消費宣伝、あるいは販売組織を持つといったようなこともあわせて今後考えていく必要があろうと思うのでございます。お話しの通り先ほども申し上げましたように、現在大部分が生食用である、これが今後の形としてだんだん加工部分がふえていくということになりますならば、おのずから生食用からさらに加工用に切りかわっていく場合における取引の形態も変わってくると思うのであります。そういうことを考えてみますると、やはり何をおきましても、計画出荷という形で生産者団体の活動を強化することが第一点でございますが、それにあわせましてさらに生産者団体が今お話がありましたような加工部面までもやって参るということは、農林省としても一つの基本的な考え方を持っておるわけでございます。その際に末端におきまする経営が集団化してくる、荷口も一定の取引単位になり、共同選果から共同販売へ、さらに加工の部面までいくということになりますると、青果の関係と加工の関係の振り向きを調整することによりまして、きわめて価格の安定から見ても望ましい形だと思うのであります。さらに、他面今申し上げましたように、この部面におきまする市場の開拓、あるいは販売網、さらにまた、きわめて技術的な分野も含めておりますので、全部が生産者団体でやるというようなことにもなかなかむずかしいものがございまして、現にミカンのごときにつきましては、その七割ないし八割くらいが加工業者との特約取引という形で原料を安定的に供給するという形態をとっておるわけでございます。従って今後の形といたしましては、両々相待って指導をしていくということが一番現実に即したやり方ではないか、かように考えております。
#18
○堀本宜実君 果実の粉末でありますが、これは加工がだんだんと進んで参りますし、高度化して参りますと、果実粉末というものの製造、そういうふうで保管をされる、しかしまあこの場合ビタミンCが抜けるおそれが多分にあるということでいろいろ非難はあるのでありますが、諸外国における状況をみますと、果実粉末というものが大へん出回り、またそれが市場で相当の力を持ってきておるということを無視するわけには参りません。そこで、わが国においてこれらの生産状況、あるいは需要の状況、あるいはまたこれを製造事業を、かりによいとするならば振興をするというようなことの具体的な研究をされたことがございますか、あればその状況を御報告をいただきたい。
#19
○政府委員(齋藤誠君) お話しの通り、今後一つの加工の分野といたしまして、粉末の形態によって加工すると、こういうことはきわめてあり得る姿であるわけでございます。現にそういう方向で各国とも研究が進んでおるようでございます。従ってわれわれといたしましても、今後果汁についてはもちろんでございますが、粉末形態等の振興をはかるという意味におきまして、これらの輸入等についてはできるだけ抑制するという基本的考え方を持っておるわけでございます。しかし、現状におきましてはあまりまだ本格的な段階で試験、研究をやっているということにはなっていないようでございまして、食研で予備的ないろいろの研究を進めておる、こういう段階でございます。
#20
○堀本宜実君 次に、果樹の苗木のことについて伺いたいと思いますが、第七条に優良苗木の供給の円滑化に努めると、こういうのであります。これも当然なことでございますが、主たる果樹の苗木の需給の現状でございます。先般この問題は、農林大臣にも質問を申し上げたのでありますが、現状、あるいはその見通しであります。また、行政的に何か指導をしているかどうかということについて御説明を願いたい。
#21
○政府委員(齋藤誠君) 苗木の供給、確保につきましては、かつまた優良な苗木の供給を円滑化するということにつきましては、今後の果樹農業の振興をはかるに応じまして重要な一つの課題であることは、御指摘の通りでございます。現在におきまする苗木の生産は、主要な栽培県が大部分生産を供給する現状におきましては、おそらく正確な数字は存じませんが、主要な五県におきまして移出量のおそらく八割かそれ以上のものを供給しているというのが現状かと考えるのでございます。私の方でこれに関する今の需給状況についてどうかという御質問でございますが、九種類、この法律で予定いたしております果樹の九種類について資料を収集いたしたのでございますが、それによりますると、三十四年度の生産実績が一千百余万本というのが苗木の生産量に相なっておるのでございます。それの主要な生産県は埼玉、愛知、福岡、岐阜、高知と相なっております。それでかような状況でございますが、今後果樹がおそらく新、改植を必要とする面積が年々一万四千町歩か五千町歩に相なろうかと思うのであります。また、現実におきましても一万町歩前後のものが栽培面積としてふえておるのでございます。かりに今後一万五千町歩程度のものが新、改植されるということになりますると、苗木といたしましては五百七、八十万本があれば、一応需要量としては満たし得るということに相なるわけでございます。そうしますと、今の生産量だけから見まするならば、一応需要量というものは、計算上はまかなえることになるわけでございますが、現実には、あるいは補植用の果樹であるとか、家庭樹用の需要であるとか、あるいは輸出用であるとか、さらにまた栽培方法についても密植するというようなことで、現実には今申し上げた数量が全部満たされて、最近においては不足しておるというふうな声を聞くわけでございます。われわれといたしましては、今後計画を立てて指導して参る場合に際しまして、少なくとも今後予想される新、改植の面積の必要量だけは、優良な苗木として供給を確保する必要がある、こういう見地に立ちまして、来年度予算におきましては、その約半分の二百八十万本程度の供給を優良な苗木で確保して参りたい、こういう考え方に立ちまして約三十数県の県の民間の優良な母樹につきましてこれを指定いたして、そこから生産される穂木を苗木業者に供給いたしまして、そうしてこれが生産者団体に画一に流れて参る、こういう計画を立てまして、これに必要な予算を計上いたしておるような次第でございます。
 ついでに申し上げますと、これらの苗木の供給確保と相関連いたしまして、主要な生産県は先ほどの五県でございますが、これを移出する場合におきましては検疫をやって参る必要があろう。従来四県に対しましては苗木の検疫についての助成をいたしておったのでありますが、本年度はさらに一県追加いたしまして、五県につきまして苗木の検疫についての助成をするという予算を計上いたしておるわけでございます。そうしますと、先ほども申し上げましたように、今後予想される新、改植の必要な苗木の供給確保につきましては、これでまかなうことができるのではないか、かように考えておるわけでございます。
#22
○堀本宜実君 最後に、今優良な苗木という言葉がございましたが、これは母木の検定、指定等が行なわれていくのでありますが、今年の状況を見ますると、麦の作付転換、それから将来の農業経営の所得の伸びのある自給が考えられる。要するに選択的拡大といいますか、そういう立場から果樹への転換は目ざましいものがございます。それで無統制の間に買いあさったといいますか、その需要が急激に伸びて参りましたために、全く底の知れないほどの苗木の高騰が現在見られておるのであります。まことに遺憾なことと思いますが、現状いかんともすることができぬ状況のようでございます。これらについては、すみやかに農林省は検討して対策を立てることを要望いたしますが、これらの優良な苗木というものは現在のままの母木、穂木だけを確保するというのでは、私は物足りぬと思う。その検疫を行なうということだけでその病虫害の移動を防ぐというだけでは私はもの足りないと思うのであります。これをいかにして改良していくのかということがなければならぬと思うのであります。そこで、これらの苗木の優良なというものの中には、おそらく現在出回っておる民間が努力して、この品種はいいんだと称せられておるものにすぎないのでございます。少なくとも指導の立場にありまするものといたしましては、やはりこの苗木の改良ということを行なわなければなりません。そうしてこれらを増産していくという立場に立たなければならないのでございます。
 私は自分の失敗を繰り返してここでお話申し上げますることは、まことに恥かしいことでございまするが、四十年ほど前にわせだというので買うた。それが十年後に結実して見ますと、まことにつまらぬ、おくてのくだものであったという現実の苦い経験をなめておるのでございます。そういうことが十年後でなければ、発見ができない。またこういう品種であるという商店の証明書がございましても、それは何の役にも立ちません。私はこれらの品種の改良ということに、加工を含めた改良ということに重点を置いて、そして今後進めていく。現在モモのカン詰等でも普通の従来あります桃はカン詰になりません。カン語用桃というものは、特殊の桃が指定されておるのでございます。さらに日進月歩の立場に立っていかに改良をしていくかということが重大な問題である、こういうふうに私は考えるのでございます。これに対しまして何か予算処置があり、あるいは植物防疫を含めた増産、これらの改良品種の増産、流通、それから一番大事なことは品質の保全、これが間違いのないことで生産者に渡るというようなことが、何か行政的の処置でできないものか、そういうことで研究をされたことがあるかどうかについてお答えを願いたいと思います。
#23
○政府委員(齋藤誠君) 品種の改良につきましては、もとよりでございますが、その前の段階におきましても、今生産されたる苗木が、これは純性の系統であり、しかも無病な健全なものである、こういうこと自身が必ずしも保証されていないというのが一番の現在の難点ではないかと思われるのであります。御承知のように、農産種苗法がございまして、現在、柑橘、リンゴ、ナシ、カキ、ブドウ、クリ及び桃の七種数につきましては、いわゆる保証種苗と称しまして、保証票を添付して販売さしておることになっておるわけでございますが、これが必ずしも検定をするということが困難のために、とかく励行されないというのがむしろ現状ではないかと思うのでございます。従いまして、今後優良な種苗につきましての、今お話しになりました保全ということも相かねまして種苗対策をどうするかということは、これまた研究課題の一つではなかろうかと思うのでございます。従いまして、今回われわれが考えておりまする方法といたしましては、先ほど申し上げました来年度の種苗確保の計画しておりますものにつきましては、確実に優良な苗木が生産者団体に参るようにいたしたい。こういうことに考えておりまして、品種系統が純性で健全無病な穂木を確保するために必要な母樹の指定を行ない、あるいは母樹の選定を行ない、これから生産された穂木は生産都道府県知事の保証票を添付いたしまして、そして接木までの間の流通を十分監督させて参りたい。さらにまた、苗木の検疫につきまして、先ほど申し上げたわけでございますが、苗木検疫員が圃上検疫を行なう場合、あるいは出荷検査を行なう際におきましても、十分この部分につきましては監督を厳にいたして参りたい。かようなことを考えておるわけでございまして、これに必要な検疫の予算、府県に対する助成及び農林省の検疫関係の予算につきましても、特別に予算を計上いたしたわけでございますが、なお今後ともこの部面については努力をいたしたい、かように考えております。
#24
○安田敏雄君 きのうもお尋ねしたのですが、補足説明の中に「農業生産法人をも果樹園経営計画の作成主体として本法案の対象とすることについては、別途農地法の一部改正法案の附則で所要の措置を講じている。」こういうふうに書いてある。そこで、農地法の一部改正法律案を見ますというと、「「農業生産法人」とは、農業生産協同組合、合名会社、合資会社又は有限会社で」と、こう規定してある。で、この人たちに対しまして今度はその農地法の一部改正法案の附則では、一番最後のところへいって、「果樹農業振興特別措置法の一部を次のように改正する。」、こう書いてあるわけですが、なぜそうしなければならないか。こういう理由について、一つ簡単でいいから御説明を願いたいと思います。
#25
○政府委員(齋藤誠君) いわゆる農業生産法人につきまして、今先生の御指摘になりました農地法の一部改正法案におきまして、いろいろ内容を規定いたしておるわけでございます。ところが、この農業生産法人につきましては従来農地法上のいろいろの制約がありまして、果樹農業を営む場合におきましても、いわゆる生産法人という形におきまして認めるにつきましては、農地法上制約がありましたために、いきなり果樹農業振興法で生産法人を取り上げるということが法の取り扱い上無理であったわけであります。そこで、まず農地法におきまして、はっきり農業生産法人というものを認めまして、そしてその認めました生産法人につきましては、果樹農業振興特別措置法の対象にもし得る。こういう改正規定を農地法の一部改正の中に入れたわけでございます。
#26
○安田敏雄君 私は農業生産法人が成長部門であるところの果樹部門に対しまして進出するとかしないとかというような問題の可否については、あとで申し上げたいと思いますが、この果樹振興法が一応通りますよ。国会を通ります。通りますというと、あとで農地法の一部改正法律案が出てきて、そしてもうすでに、おっつけまだほとんど施行されないうちに、次にこの農地法の改正によって、この果樹農業振興特別措置法案の第三条の第一項に「次の
 一項を加える」ということで改正になってくるのですよ。ですからここのところへ、こっちの果樹振興法の法律案の第三条の第一項に持っていって、今度は農業生産法人というものを規定されてしまうわけです。でしたらこの果樹農業振興特別措置法案を議する前に、同じ国会でございますから、当然農地法の一部改正法案が並行的に審議されるか何かしないと、何かそこにむだがあるようではないかという感じを受けるわけなんだ。こういう点についての御見解はとうですか。
#27
○政府委員(齋藤誠君) 農地法の一部改正に関する法律の内容につきまして、私から有権的ないろいろの意見を述べることは差し控えたいと存ずるのでございますが、これは全くの法形式、法を成立する場合におきまするいわば時間的な差異ということになろうかと思うのでございます。果樹農業振興特別措置法の中に、農業生産法人に関する一切の規定を入れて、そしてこれを対象にするということも考えられますけれども、それは、果樹農業振興法それ自身の問題では本来ないわけでございますので、農業生産法人とは一体いかなるものとして農地法の上においては対象として考えるかと、これがまず先決になるわけでございます。そこでこの法律によりますると、たとえば、農業生産協同組合というものが新しく設けられることになるわけでございますが、この組合がみずから農業を営む、こういうことになるわけでございますが、現在の農業協同組合におきましては、協同組合法を改正しなければ、組合みずからが農業を営むということにつきましては、できない建前になっておると承知しておるのでございます。また、その生産法人がみずから土地を所有するといったような場合におきましても、いろいろの農地法上の制約が従来あったわけでございます。そこで、農業生産法人というものは、どういう要件を満たすものであるかということを、農地法の一部改正におきまして規定いたしておるわけでございます。で、その農地法の改正によりまして認められた農業生産法人が、果樹農業振興措置法ができた場合において対象になる、こういうことでございますので、これを果樹農業振興法の中にいきなり取り入れるという前に、農地法で対象自身をきめていく必要から、このような手続をとったわけでございます。
#28
○東隆君 関連。私は、今の問題は、政府の考えておる考え方は、生産協同組合ですか、これに対して非常に消極的な考え方をお持ちになっておるから、そこで、農地法に規定をしなければならぬと、それは、果樹農業の場合の生産協同組合というのは、これは実のところを申しますと、非常に資力のある者がやる、こういう態勢になろうと思うのです。その場合に、農業基本法の方ではどういうふうにうたってあるかというと、実のところを申しますと、そこでは、零細農家あるいは兼業農家を解消するような意味で、重点をそこへ持っていっている、政府の案では。そこで問題は、資力のある者が、生産協同組合法を作るのに対しては、非常に消極的な態度をとっておる。農業基本法の方から見ますと、だから、そういう問題が出てくるのじゃないかと、こういうふうに解釈するのですが、だから、もし政府が生産協同組合を非常に積極的に奨励をするんだという体制に立つならば、何も農地法の中にそういろいろ規定を掲げて果樹だけをここに取り出して書く必要はないと、私はそういうふうに考えますが、そうじゃないのですか。
#29
○政府委員(齋藤誠君) ちょっと御質問の要点が必ずしも明確に理解しにくい点がございますが、要するに農業生産法人というものを果樹振興法で取り上げることについて、いきなり取り上げた方がいいんじゃないかと、こういう御質問のように思われるわけでございます。その際……。
#30
○東隆君 いや、そうじゃない。そうではなくて、農業生産組合ですね、これは農業協同組合法の改正をして今度はやれるようになるわけですね。その前提のもとに進めている場合に、果樹の場合に生産協同組合、あるいは生産法人ですね、そういうものを作ることを特定に規定をする必要はない、農地法の中にそういうものを規定する必要はないんじゃないか。なぜかというと、生産協同組合を非常に積極的に奨励するんだという態度をお持ちならば、何もそういうことをする必要はないんじゃないか。で、農業基本法の中に書いてあるところの生産協同組合はどういう方向に進むんだというのは、これは自立し得ないところの農家に対して農業生産組合ですか、これを作らしてそうしてやるんだと、こういうふうに書いてあって、非常に積極的に経営を共同化するという方面を、実のところ非常に積極的には考えておらないのです。農業基本法の中には。だからもう少し積極的に考えるように法律が農業基本法の中にできておれば、ここに何も規定する必要はないだろう、こう考えるわけです。だからそういう考え方が一つあるのでないかと、こういう質問をしているわけです。
#31
○政府委員(齋藤誠君) お答えいたします。あるいは理解が違っているかもわかりませんが、基本法におきまして農業の協業化を進めるとか、あるいは共同化を広く進めるとかいうような線に沿いまして、行政的にも協業化できる部分があれば、もちろん協業化を進めることもありましょう。しかし、かりに法人みずからが共同経営をする、あるいはみずから農業を営むと、こういったような場合は、基本法に基づいてさらにそれを具体化した一つのものであるわけでございますが、それを現在の法制の取り扱いといたしましては、いろいろの制約を設けているわけでございます。農地法におきましても、たとえば在村の地主が一町歩の保有の限度をこえてさらに法人に貸付をするということはできないとか、あるいは農協みずからが農業を営むことはできないとか、そういったようないろいろの条件をつけて制約しているわけでございます。そこで果樹農業を組合みずからがやろうといった場合においては、当然農地法上のそういった制約をある程度除外すると同時に、農地法の精神も生かして、一定の要件を満たすものだけ、真に農業者の協同組織という形にしていくことが必要であるわけでございます。そういうことから、農業生産法人というものをこの法律できめたわけでございますが、果樹につきましても、この果樹についてみまするならば、農業生産法人にならない、つまり加工、流通面の共同化といいますか、というようなことはこれは現在の農協法でもできるわけでございます。で、そういう意味の取り扱いとしては、もうすでに今回の第三条第二号で、果樹農業者の構成する法人については対象にいたしているわけでございます。しかしさらに進んで、組合みずからが農業をやるような、いわゆる農業生産法人を考えます場合におきましては、今言った農地法上の取り扱いを受けて、農地法上の対象としてきめた生産法人を受けて、これを果樹農業振興特別措置法におきまして借り受けの主体にすると、こういう段取りに考えたわけでございます。
#32
○東隆君 私は農地法上の制約は果樹農業の法人に関する限りその制約をゆるめると、そういう考え方で今のお話を理解するのですが、私の考え方は独立して十分に経営のできるような農家が生産協同組合を作って、そうして協同経営、全部的でなくてもやる場合、あるいは水田地帯に酪農を共同でもってやるのだというような体制ができてきた場合に、そのときにいろいろな制約を加えられるということになりますと、私は生産協同組合というものはこれは仕事ができなくなると思う。そこでそういうようなものにまで制限を加えるような考え方をお持ちになっておるから、果樹に対してだけ特別にその道を開いたのではないか。それならもう少し考え方を広げて、そして自立できる農家でもかりに集まって生産協同組合を作ってやるという場合に、それに対して制限を加えられないように、一応農地法その他において土地の関係その他の制約を除いておく必要がある。だから消極的に考えておるから、使ってこういうようなことをとらなければならぬのじゃないか、こう言っておるわけです。
#33
○政府委員(齋藤誠君) 全然われわれはそのように考えていないのでありまして、お話しのような自立農家が果樹を共同してやろうといったような場合におきましては、果樹農業の特別措置法の中で当然予想してそういうものを育成していこうという考えで一応三条の一号、二号というものを掲げておるわけでございます。ただこの一号、二号ではカバーし切れないものがあると、それは農業生産法人の形態をとった果樹農業をやる場合におきましては対象に取り上げていないわけです。そこで農地法ができました場合にはさらにそれもつけ加えて振興法の対象にしようと、こういう考え方でございまして、制限じゃなくて逆に広げたわけでございます。
#34
○東隆君 いや、そうじゃないのです。そういう考え、逆の取り方をする。私の方は自立できる果樹農業者がもっと企業的に有利な形をとってという考え方で果樹に関する生産協同組合を作った場合に、その場合も認めようと、そういう形でここに規定をされてあるんじゃないかと、それならばもう少し農地法を広げて一般の農業、その方面にもこれは該当さしてやるべき筋合いのものでないかとこういう考え方なんです。だから水田農業を東北だの北海道だの何だのが、そういうようなところでもって相当大きな面積でやっております。そういう農家が生産協同組合を作るのには一体どうなんですか。これは話は別ですけれども。
#35
○政府委員(齋藤誠君) どうもちょっと混線しているようでございますが、第三条でごらんになりますると、経営計画の対象となるものは、果樹農業者が二人以上共同して行なう場合におきまして、その果樹農業者を対象にして貸付の対象にしましょうというのが第一号でございます。それから第二号はそういう果樹農業者が構成員となっている法人、つまり農協であるとか、あるいは特殊園芸農協であるとか、こういう農業協同組合が果樹農業者のために経営計画を作って、そうして府県に認定の申請及び公庫資金の借り受けもできると、こういう二つの場合をあげたわけでございます。それから第三に、しからば組合みずからが果樹をやる場合はどうだと、こういう問題が残っておりますので、その分を農地法の改正の中で入れてもらったわけでございます。それから農地法では、今お話しになりましたような生産法人につきましては、果樹に限らず、酪農であろうと、一般の水田農業であろうと、一般的に農業及びその付帯する事業を行なうような法人について規定を掲げておるわけでございまして、その中で果樹をやるものは、この果樹振興法の中の、三号の対象にもいたしますと、こういうことをいっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、一般の生産協同組合の中で果樹だけを認めたということでは全然ありません。逆に果樹振興特別措置法の方からいえば一号、二号に加えて三号として生産法人も認めましょうと、こういうことで範囲を広げたわけでございます。
#36
○安田敏雄君 現在の農地法では、まあ北海道が五町歩で大ていの県は三町歩に限定されておるわけですね、農地が。ある程度ワクがある。しかし、この果樹振興法によれば樹園地というものを十町歩を単位に置いているわけです。だから合名会社なり、合資会社、有限会社が今度の農地の一部改正法案では土地を自由に、三町歩、五町歩と押さえないでもっと広く取得することができるわけなんです。ところが、そういう法律がきまらないうちに、果樹振興の方は十町歩ということを限定しているわけなんですよ。ですから、これを審議する上からいえば、当然農地法の改訂の方が先に国会を通過して後に、こういうものが審議されていくのが私は当然ではないか、こういうように判断したから、先ほどお尋ねしたわけです。
#37
○政府委員(齋藤誠君) 昨日もその点についてはお答えいたしたつもりでございますが、農地法におきまする生産法人というのは、法人みずからが果樹農業を経営する場合のことを予想しておるわけでございます。ここで考えておりまする集団化十町歩というのは、全然経営と別個の面から取り上げて一定の集団があるような経営形態の方が、今後の果樹を伸ばしていきます場合に、最も適切な基盤になるものではなかろうかと、こういう考え方をとっておるわけでございます。従って経営権につきましては、各農家それぞれが持っておるというのが現状までは大部分でございまして、昨日お答えいたしたように、果樹園経営改善の実験集落というのを三十五年度五カ所、三十六年度におきましては七カ所認めるということで進めておりますが、この実験集落におきましては、少なくとも集団化が十町歩以上であるということを要件として選定いたして事業を行なっておるわけでございますが、これによりますると、お手元に資料が配付してありますが、三十五年度の果樹園経営改善実験集落一覧表によりますると、岩手県の場合は十六戸が十町歩を対象にして集落を形成しておるわけでございます。長野県では三十六戸、愛媛では六十一戸、長崎では十六戸、広島では八十六戸、それから対象面相としましては、長野では十五町歩、愛媛では四十町歩、長崎では十二町歩、広島では十三町歩と、これがつまり集団化されている面積でございます。従って今お話しになりました御議論は、これはみずからが一つの集団として経営を行なっておると、こういうことを想定しての御議論じゃなかろうかと存じますが、集団化の面積と、それから生産法人とは全然別個のものでございます。
#38
○安田敏雄君 今局長の説明ではこの集団化というものは、これは国が、あるいは県が指導したには違いないけれども、こういうような集団化についても、既設の樹園地についての集団化というようなものについては、との法案には一つも指導方法がないわけでしょう、指導策が。これから新しく新植していくとか、あるいはまた果樹農業者が構成員となって新しく開拓するという問題については、一応出ております。既設の樹園地についての指導というものは、ほとんど見られないわけなんですが、特に私が申し上げたいのは、資料を見ましても、一日の家族労働報酬が、読みますというと、非常に果樹が高いわけなんですね。夏ミカンですか、千八百三十七円、ミカンが千百三十八円、あるいはブドウが七百三十六円ですね。大麦や小麦を作る人たちの家族労働報酬よりも、三倍からあるいは五倍くらいになっておるわけです。こういうように非常に農家収入が高いわけです。個人でやっておっても。こういう個人でやっておる、非常に報酬が高くて、現在でも今の需給関係からいくと自立できていくわけですね。こういうようなところで、最近成長部門だからといって、合名会社なり、合資会社なり、有限会社が、土地を取得する権利を持って、そこで果樹園を大きな資本で経営しますというと、そうすると生産から流通の過程に至るまで、きわめて高度な合理化の中で行なわれるわけなんです。生産費が非常に安くついてくるわけであります。そうしますというと、そういうものがずっともとの、今の個人でやっておる高い人たちの樹園栽培の収入というものを、非常に圧迫するというおそれが出てくるわけだ。そういうような結果からして、私は一度にここへ、そういう振興法に法人の進出をはっきりここへうたってしまうというと、何かそこにそういう疑いがあるではないか、こういうようなことを感じたわけなんです。ですから、農地法の審議の問題はあとにして、果樹の方を先にしたのではないか。こういうように取られてくるわけなんです。そうとも解せるわけですが、こういう点について、どういうように考えていますか。お聞きしたいと思うのですが。
#39
○政府委員(齋藤誠君) あるいは理解が違っておるかもわかりませんが、御質問の中には、集団化することによって非常な経営の優位性が出てくるのではないか。従ってそういう点を考えてみると、生産法人という形態と、それから個人の場合との検討というようなことを、よく審議すべきではないか。こういうような御議論ではないかとそんたくされるわけでございますが、第一の点につきましては、さっき繰り返し申し上げておりますように、今後の果樹の発展の形態を考えてみました場合におきましては、やはり市場性の高い作物でございますので、経営の母体におきましても、ある程度の集団化した合理的な経営をやっていくということが必要ではなかろうか。たとえば共同防除施設としてスピードスプレイヤーを使うということになりますると、どうしても集団化した面積が十町歩くらいの単位を必要としてくるわけでございます。そういうことによりまして、それらの経営につきましては、他の一般の散在地の形態よりも有利になるということは、これはもう当然あり得べきことでございまして、また逆に言えば、それゆえに健全な経営の形態として、今後集団化の果樹栽培というものを進めて参りたいと、かように考えているわけでございます。しかし今申し上げましたように、この集団化ということは、作業部面におきまして、あるいは防除器具の共同利用の面におきまして、集中化の効果を上げていくということがねらいでありますけれども、それが一足飛びに経営の形態になっていくかどうかということにつきましては、これは地方々々の実情によりまして、発展段階なり、あるいは農家の経営形態によって、当然そこに差が出てくるわけでございますから、これは地方々々の実情に応じて、どういう形態をとっていくかをまかせる以外には、われわれとしてはないのではないかと考えているわけでございます。
 なお、既成国についての考え方でなしに、これは新しい資本を導入して、全く開拓地等において、新しく十町歩の農業経営が創設されるのではないかというような御質問の節もあったように思われるのでありますが、現実にそうではおそらくなくて、先ほど申し上げましたように、新しい転換をした面積の中で、山林だとか原野から転換したものは、三五%ちょっとでございます。残りのものは、いずれも従来の普通作から転換して、そうして新、改植したというのが、大部分であるのでございます。従って今後の形態といたしましても、現在既成園が三町歩ある、それに新しく集団化し、それに伴って新改植を行なうというような方法によって、十町歩程度の集団化が期待されるであろう、従って構成されている農家の中には、もちろん果樹以外に普通作、水田作をやっている、こういう農家がこの中に入ってくる。こういうことになろうかと思います。
#40
○安田敏雄君 実はあとローカル的な問題になるわけですが、少しお聞きしたいと思いますが、この法文に、地方の特殊性を考慮してというわけでございますが、私のところはブドウの産地でございますから、その点についてちょっとお伺いしますが、最近病害虫については県の指導等でやっておりますけれども、最近、二、三年前から、このカキやブドウの産地に、ムクドリという鳥が、一応地方ではギャアギャアとか何とか言っておりますが、これが最近の言葉で、集団的に共同して襲って、非常な被害を与えているわけです。これについては、この地方でも、県庁でも手の施しようがないし、地方の農民も非常に迷惑しているわけなんです。こういうものに対する一つの対策があるかどうか。しかもそのムクドリは益鳥だということを聞いているわけですね。非常に悩んでいるわけだけれども、何かこういう問題について、考えたことがありますか。お伺いしたいと思うのです。
#41
○政府委員(齋藤誠君) 今お話しになりましたムクドリ、つまり鳥害については、果樹についてもあるということを伺っておりますが、きわめて地方的な事情であるようでございます。ムクドリ自身は、お話しのように益鳥でありますので、これを撃つとかあるいは捕獲するとかいうことが、あるいはできないのかと存じますが、どのような被害の実情になっているか、よく調査させていただきまして研究していきたいと思います。
#42
○安田敏雄君 次に、中央卸売市場の手数料でございますけれども、昨年山梨からブドウとリンゴ合わせまして中央卸売市場に対して売りさばいた金額が、合計して約十三億になっております。そこで、この手数料が八%取られますから、十三億に対して約一億一千万円の手数料を取られておるわけです。出荷組合では、この手数料について非常に高過ぎるんではないか、特に生産が今日上がってきておるときにおいては非常に高いものにつくと、こういうわけで、この手数料についての引き下げ方を何とか配慮してもらいたいという声が多いわけなんです。こういう点についてのお考えをちょっと聞きたいと思います。
#43
○政府委員(齋藤誠君) 青果物につきまして流通段階の経費が比較的他の貨物に比べて大きいというのは、われわれもよく承知しておるわけでございます。現在流通経費の中におきまして、中央卸売市場の手数料が八%になっておることも承知いたしておるわけでございます。これをさらに適正化すべきであるという御議論がございまして、農林省におきましても、いろいろの人の意見を聞きまして検討いたしておるわけでございますが、この手数料の中には、いわゆる歩戻しといいますか、出荷団体に奨励金みたいな形で返っていくようなものも相当あるというように聞いておるわけでございます。従いまして、そういうような奨励金交付というような方法を、今後どうするかというようなこととにらみ合わせまして、手数料の率をきめていく必要があるのじゃないかというような考えに立ちまして、農林省におきましても今検討いたしておる、こういう段階でございます。
#44
○安田敏雄君 わかりました。次に、きのう政務次官がブドウ酒の話を出したんですけれども、確かにブドウ酒は果実酒として大蔵省の所管にあります。しかし、果実の加工品であることにはこれは間違いないと思うわけでございますけれども、これが非常に現在販路の拡張に大きく隘路になっておる問題があるわけなんです。それは、大体ブドウ酒一升に対してアルコール分十三度というものがきめられておるわけでございますが、これは腐敗するか腐敗しないかの境目にある。従って、ブドウ酒としての十三度九分というものは腐敗しない限度を保つというだけであって、ほんとにおいしいものではない、こういうように承わっておるわけなんです。従って、これをもう少し度数をふやすようにするならば、ブドウ酒の販路というものはさらに広がっていくではないか、こういうように業者間では要望しておるわけなんです。これについて、一つ何とか配慮を願えるかどうかということを聞いていただきたいということで、私も承わってきたわけなんだが、こういう点についての御見解を承わりたい。
 それから、もう一つ販売の問題でございますが、これは酒類の販売の許可がなければ売りさばくことができないわけなんです。ところが、その販売については、普通の日本酒だとかあるいはその他の洋酒を作る方からも相当の圧力が大蔵省にかかるだろうと思いますが、ブドウ酒は一応果実から作る加工品だから、もう少しそういう酒類販売業者ではなくて、一般のところでもこれが売りさばけるようにしたらどうか。そうしたら、はるかに販路拡張ができるんだ、こういう声が非常に強いわけなんです。これは一つ政務次官のほうからどういうようなお考えを持っておるかお聞きしたいと思うわけです。
#45
○政府委員(井原岸高君) お答えいたします。御質問のブドウ酒の問題なんですが、これは原料ブドウ酒を豊富に温和することは、産業の建前から申しまして果実の生産の伸張の上にも大きな役を持っております。ことに、昨日も申しましたようなふうに、消費者にとりましても健康上もまた幸いであるとわれわれ考えておるわけでございます。これはしかし大蔵省の所管でございますので、農林省としては従来大蔵省に適切な処置をとってもらえるようにということで何回となしに折衝を続けておるのでございます。幸いにいたしまして、最近大蔵省側も醸造者のほうへも話を進めて参りまして、果実の生産者とそうして醸造者の間で今話し合いが続けられております。幸いと申しますか、きのうも申し上げましたようなふうに、一〇%以上を混和しなければならないということには踏み切ったのでございますが、それ以上のことについては、まだ話し合い中であります。大蔵省の方の言い分からしまするというと、果実の酒造業者というのは非常に零細な企業であるから、今一挙に混和率を高めるというようなことになると、業者の倒産等の危険もあるので、暫定的に順次上げていけるような方に大蔵省も指導していきたいというような意向でございまして、将来も農林省側といたしましては、よりよく農民の生産を上げるように持っていきまするためには、さきに申しましたようなふうに、混和のパーセントを思い切って上げらすようなふうに大蔵当局へ交渉すべきだと、かように考える次第でございます。
#46
○安田敏雄君 現在十三度なんですよ。だから、ほんとうに腐敗を防ぐ程度のものでブドウ酒としてのほんとうにおいしいところはないと、こういうことを聞いておるわけです。これを十五度以上に高めていくということにすれば、非常に販路が拡張されるというのが大体の業者の意向です。もう一つ問題としては、普通の日本酒や洋酒のように酒類販売の許可のある者でなければ売りさばきができないとかいうようなことも、果実酒だから取り払ってもらうわけにはいかないかと、こういう声が非常に高まってきておるわけです。ですから、こういう点について、もちろん大蔵省の所管でございますけれども、政治的に農林省側からも、果実の振興という面から取り上げて、積極的に一つ交渉をしてもらいたい、こういうのが私の要望する点であります。
#47
○政府委員(井原岸高君) 大蔵当局とも連絡をとりまして、御要望の趣旨よく研究いたします。パーセントの問題についてのこと等も、当然農林省側でも十分に技術的にも科学的にも研究いたしまして、そういうような理論的な根拠を打ち立てるような資料も作ってみたいと思っております。販売方法につきましても、研究いたしたいと考えております。
#48
○森八三一君 米審の懇談会のために委員会の皆さんの御発言を聞く機会を失しましたので、あるいは重複してお尋ねすることになるかもしれませんが、お許し願いたいと思います。
 最初にお伺いいたしたいことは、この法律の一条に、需要の動向に即応してその生産の拡大をはかる、第二条に、長期見通しに基づきまして、生産についての具体的な施策を公表する、こういう表現をいたしておりますが、この拡大は内需だけを考えていらっしゃるのか、輸出までも考えて需要の動向を洞察して考えていこうということなのか、考え方は一体どこに目標を置いていらっしゃいますか。それを第一に伺いたい。
#49
○政府委員(齋藤誠君) 第二条の長期の需要及び生産の見通しにつきましては、御指摘のように、輸出の需要ももちろん見込んで測定すべきものであると、かように考えております。
#50
○森八三一君 そうしますると、資料としてちょうだいしておりまする、四十二年度のここに一応の作付面積と生産数量の計画がお示しになっておるのでありますが、この中で、そういう構想に立っていらっしゃるといたしますれば、重要な輸出対象となるべき果実はどれで、その中にはどの程度の輸出を織り込んでこの数字を決定されましたのか、お示しをいただきたい。
#51
○政府委員(齋藤誠君) 先ほども御説明いたしたのでございますが、このお手元に配りました計画資料は、各県に照会いたしまして、各県がどのように現在の樹齢別、作付面積等から生産を予測しておるのかということを取りまとめた単なる資料でございまして、われわれとしましてはこれで計画をきめたというものではございません。今後、これも一つの有力な資料といたしまして、さっそくこの法案が通りました暁におきましては審議会にかけ、さらに検討を加えまして、五年または十年先についての生産の見通しを作成して参りたいと、かように考えております。
#52
○森八三一君 本法は公布されてから六十日以内云々ということになっておりますので、そういうような手続を経て、法律に基づく所要の計画を立てられるということであろうと存じます。その際に、ただいまお話のように、第一条が目途とする具体的な内容は、広く輸出をも考慮しつつやっていくのだということであるというこのことも了承いたしまするが、その場合に、生産果実のうちで一番古くから、そうしてまた量的にも輸出の数量が非常に多い、しかも将来性を持っておるというように思考せられますものは、柑橘であろうと思うのです。現に輸出が相当行なわれておる。このことにつきましては、事海外との関係でありますので、ダンピングをやったり、いろいろ取引上の摩擦が起きまして、国益を害するということがあってはなりませんので、輸出入取引法等に基礎を置きまして、それぞれ自主的に規制し、協調していくための組合が存続しておることはよく承知いたしております。その組合が現在実務をやっているわけですが、戦後早々の際にそういう措置がとられておりますために、現在の都道府県別の生産の実態というものとは非常にそぐわない取り扱いがなされている状況にあると思いますが、本法の施行に伴いまして、そういうような長期見通しに立って行なうべき生産計画と実際の輸出の割当といいますか、そういうこととの関係は調整をなさる気持がありますかどうか。
#53
○政府委員(齋藤誠君) 御指摘の通り、主要な輸出用の果物につきましては、青果及びカン詰につきまして、輸出入取引法におきまして取引の規制をいたしているわけでございます。具体的に申し上げますと、ミカンにつきましては、カナダ向けの輸出につきまして輸出組合が調整を行なっております。また、リンゴにつきましても、東南ア向けの輸出につきまして、輸出組合で数量の調整をいたしております。また、ミカン・カン詰につきましても、英国向けにつきまして輸出組合が調整を行なっております。
 このような形態が今後どうあるべきかということでございますが、御承知のようにミカン・カン詰等につきまして、たしか三十一年であったかと存じますが、非常な輸出競争のために、量は結果的にふえたけれども、非常な価格の暴落を来たすとか、あるいはその後においてかえって輸出の妨げになったというようなことがございますので、やはり青果の性質上、今後といえどもこの部面における何らかの調整方法というものは必要ではないかと、かように考えております。その際、輸出数量をどうきめていくかということでございますが、総ワクの問題と、それから内部における割当の問題と、二つの問題があろうかと存じます。
 総ワクにつきましては、われわれとしてはできるだけ輸出の振興をはかっていきたい、需要を伸ばしていきたい、こういう見地に立っておりますから、今後の需要の見通しにあたりましても、輸出の需要というものをやはり相当考慮する必要があるわけでございます。その際、輸出の振興の度合いを見まして、当然、輸出額というものがふえて参る、またふやさなければいかん、かように考えているわけでございます。
 むしろ、御質問の点は、その中におけるいろいろの取り扱いの、割当をどうするかという点が問題であろうかと思います。この点につきましては、なかなか従来の沿革等もございまして、生産者団体と一般の商社との割当等の問題について困難な問題もあるように承知しておりますけれども、なお、今後の輸出の推移に応じましてわれわれとしても検討いたしていきたいと思います。ただ基本は、あくまでも業界の自主的な調整方法に従っているわけでございます。官庁側は、これを認可するだけという立場に相なっているわけでございます。従いまして、できるだけ業界内部におきまして円満な話がつくように、合理的に処理されるように、われわれとしても希望し指導して参りたい、かように思っております。
#54
○森八三一君 建前は、お話のように、業界内部における自主的な調整という建前になっておりますが、実態的には、戦後早々の際にこの輸出業務が始まりますときには、なかなか内部の調整、自主的な話し合いということだけでは完全な妥結ができないというような状況にありましたので、政府の方で相当の助言といいますか、指導といいますか、行ないまして、現在の一応の既得権益らしきものが定められてきていると思うのです。そういう出発のときのいきさつを考えますならば、本法を制定されまして、広く適地には果樹の増産をさせ、さらに進めて、輸出にこれを相当進めていこうということでございますれば、適地につきましては相当の生産が進んでいく、その進んでいくものについて、やはり輸出の方面にも割当をしてやるというような措置がとられませんで、今までのしきたりだけで何か一つのワクをきめて、特定な人が特定の権益を守っておるというような姿というものでは、これは生産農民としては納得ができがたいという状態も起きると思うのです。現状の建前だけを見ればお話の通りなんです。こういうような一つの歴史ができた、そのもとは政府の指導によってできたということを考えますれば、この際、本法の制定にあたりましては、一つ公平に生産農民の希望を満たしてやる、もちろんそれは対外関係がございますので、いたずらに国益を害するようなことをやれとは申すのではございませんが、その点は十分考慮してしかるべきと思いますが、いかがなものでしょうか。
#55
○政府委員(齋藤誠君) お話の通り、そのような問題があることは承知いたしておるわけでございます。ただ現在できておりますのは、輸出組合が調整しておりまして、その組合員となるべきものは、輸出を行なう生産者団体がまあ組合員として入っておるわけでございます。現在今までの経過におきましても、あるいは実績割りとか、あるいは平等割りとか、あるいは調整ワクとか、いろいろの調整方法をとっておるわけでございますが、生産者団体の出荷量というものがだんだん変わって参ってきますならば、それに応じてやはりそういった業界の話し合いにおきましても調整の方法がとられるのじゃなかろうかと思うのでございますが、なおよく今後とも十分留意して参りたい、かように考えております。
#56
○森八三一君 今の点は非常に利益につながる問題ですから、ただ単に業界の自主的な話し合いということにまかしておいたのでは問題の解決にならぬと思います。都道府県の生産実態というものが非常に変ってきておるのですから、この変わってきておる実態に即応して業務を行ないまする商社なり、そういうものが特定されておるということを、これをとやかく言うのではございません。それにつながって実際の品物を出荷する都道府県というものの割当は、生産の実態ににらみ合わせるということに改正しなければ、これはこの法律を作って、需要に即応する生産の拡大をはかるのだということは非常に内容的にまずいと思うのですね。その点は十分一つ、命令するという筋合いのものではありません。ありませんが、もともとが役所の指導によってそういう実績が積み上げられているのですから、その実績を更改せしめるというようなことについては十分助言し指導すべきであると思いますので、これはそういう方向でやっていただきたいということを希望しておきます。
 その次に、法律のやはり第一条に、「果実の流通及び加工の合理化」と、こういうことをいっていらっしゃるが、ここで流通の合理化をはかるためにいかにすべきであるかということが具体的には考えられなければならぬと思うのです。流通の合理化をはかりますることは、一面には生産者の利益を擁護する、一面には消費者の立場も考えなければならぬと思うのです。その場合に、生産果実の検査の問題が一つ考えられてしかるべきではないかというように考えますが、検査の問題については、これはいかようにこの法律の施行に伴って考慮されておりますのか、もう自主的にそれぞれの団体にまかしておくということなのかどうか。
#57
○政府委員(齋藤誠君) 今後の果実の市場性を考えていく場合におきまして、できるだけ商品価値を高めるように、規格なりあるいは品質の向上をはかっていくことは御指摘の通りでございます。しからばこれに対する検査をどういうふうに今後考えていくかという御質問でございますが、果実そのものの検査をいたします前提といたしましては、当然規格を設定するということが必要であるわけでございます。現在青果に関連いたしましては大部分が各県の条例にまかせておりまして、各県が必要な規格を設けて自主的な検査をやっておる、こういう状況になっておるわけでございます。農林物資規格法がございますが、まだ果実につきましては規格を設けていないのでございます。われわれといたしましては今後お話しになりましたようなこともあわせ考えまして、どうしてもある程度の規格を設けておく必要があるのじゃないかという見地に立ちまして、三十五年から引き続き三十六年度につきましても予算を計上いたしまして、果実の規格の標準化ということについての調査を進めておるわけでございます。少なくともリンゴなりミカンなりにつきましては、そのような成果を早急に上げていきたい、かように考えておるわけでございます。青果以外のカン詰あるいはびん詰につきましては、農林物資規格法もございますので、現在輸出については強制検査を行なっておりますが、今後青果自身についての調査をどうするかという点につきましては、今申しましたような規格をどうするかといったようなくだもの自身の規格の標準化についていま少しく調査を進めて参りたい、かように考えております。
#58
○森八三一君 青果のことについては非常にむずかしい問題でありまするから、各府県の条例等によってやっておりまするのを十分一つ御研究いただきまして、重要な果実については国家的な一つの規準がきまって検査が行なわれ、そうして生産された品物の声価を上げていくというように努力を願いたいと思いますが、加工品につきまして先刻安田委員からもちょっと御質問があったわけでありますが、これは政務次官から一応大蔵省と話し合って一〇%以上というようなお話がありましたが、その際、私はせっかく検査をやっているのですから、一〇%のもの、それから一五%のもの、二〇%のものというように、内容の表示をしなければならぬということにきめますれば、ただ単にジュースだ、ブドウ酒だというだけでは消費者がこれがほんとうに内容的にいいものかどうかということを判別することがむずかしいのですから、検査の際にそういう表示をするようにいたしますれば、流通過程における合理化ということにつながっていくのではないかと思うのです。だから、小さな業者がつぶれるから、とりあえず一〇%程度にしよう、それは一〇%はいいのですよ、今度は一五%のものは一五%入っている、二〇%のものは二〇%入っているのだという表示をしなければならぬということにいたしますれば、そこで粗悪なものは駆逐され、優良なものは伸びていく、それに従って果実の使用量というものがふえていくのですから、この振興法によって増大をはかっていくという目的にも沿うと思うのです。ですから一番下をきめますと同時に、内容的に区分をしていけば非常に流通過程の合理化ということには沿うのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
#59
○政府委員(齋藤誠君) 果汁あるいはいわゆるジュースにつきましては、本委員会におきましても昨日より今朝にかけまして貴重な御意見があったわけでございますが、今先生のお話しになりましたような加工果汁等の消費の拡大、品質の向上という点から、お話しになりましたような点は今後十分留意すべきだと思うのであります。現在のこれに関連いたしまする規格といたしましては、農林物資規格法で一定の規格を設けておりまして、ジュース類につきましては最低果汁の含有率が一五%、五段階に分けて一定の規格を設けて、そうしてそれをびんに表示するということになっておるわけでございます。ところが、昨日も申し上げたのでございますが、原果汁につきましては、このような農林省の制定いたしております物資規格法に基づく農林JASマーク――規格ですね、非常に励行率が高いのでございますけれども、ジュース類になりました場合におきましては、農林省のJASマークよりも、むしろブランドの方が幅をきかしておるというのが現状でございまして、一にかかって、規格がございますから、これを一般の市販に出るものについて普及徹底するということが第一の必要な条件であろうかと思うのであります。それにはやはり一般の消費者がこれに関して重大な関心を持つように至り、ひいて業界自身もJASマークをつけなければなかなか売れにくいというような段階になりますれば、非常に効果が上がろうと思うのでございます。現状におきましてはこのような規格がございますけれども、実際には任意の登録になっておりますので、励行されていなくて、ほとんどその普及率は一割以下ではないかというように考えられるわけでございます。そこで今後といたしましては、これが普及をはかるということが第一でございますが、なお御指摘のように、しからば現在ただいまジュース類についてどれだけの果汁の含有率があるかどうかということを表示するということだけでもやったらどうか、こういう御意見でございまして、私もそれについては同感する面もあるわけでございます。ただ、含有率がどの程度であるかということを表示するのと相並行いたしまして、これについての的確な検査の方法が必要であろうと思うのであります。従って検査方法をどうするか、なかなか検査といってもむずかしいようでございますが、検査方法をどうするかということと相並行して研究していかなきゃならぬ、かように考えております。
#60
○森八三一君 非常に詳細に御研究を願っておるようでありますけれども、その点は感謝をいたしますが、ただ研究で日が暮れてしまっておるうちについに悪貨が良貨を駆逐してしまうという現象が出てきつつありますので、この点は早急に今お話のようなことが実現いたしますることを希望いたすのであります。
 それから流通の合理化に関連いたしまして、これも安田委員からちょっとお触れになりましたが、中央市場の手数料が高い、安いという問題も一つありまするが、現在の中央卸売市場の性格というものを、もう少し公共性の強いものにいたしませんと、建前はそうなっておる、これは生産者が無条件委託で出すんですから、煮て食おうと焼いて食おうとおまかせした限りは何も発言のあれはないにもかかわらず、中央市場の中における卸売業者は、実態も十分御承知と思いますが、ほとんど営利会社と同じような営業をやっておるんですね。これは神田市場にしたところで御視察になればすぐわかる。これは値引き競争のために非常な乱費をして、好ましからぬ行動が行なわれておるんですね。極端な表現をもっていたしますれば、そういうことにもなり、生産者を食いものにしておるような、ボスという表現はどうか知りませんが、そういう連中だけがいい顔をしてしまって、ほんとうに働いておる百姓は下積みになって、何をしておるという実態も私は存在しておると思うのです。これを明確にしなければ、青果物の流通の合理化ということにはならぬと思う。それにはむしろ中央市場における値引き競争の廃止、出荷団体の幹部の連中が上京するとごちそうするなんといういやらしいことをやめさせちゃう、こういうのには市場における手数料を大幅に下げるというくらい思い切ってやらなければ改善にはならぬと思うのですが、そこまでメスを入れるお考えがございますかどうか。流通機構の改善と申しましても、無条件委託で出荷をしている市場のあの取引というものが、もう少し公明にならなければ私は改善にならぬと思うのです。それにはむしろいろいろな値引き競争らしきこと、あるいは営業的なことをやっている、個人営業的なことをやっているということを防止しなければならない、防止いたしまするためには、公的な性格を持つ市場としての運営に必要な手数料さえやればよろしいので、余分なものまでやっているから、そういう問題にまで発展してきているというのが、私は現状と思うのです。その点いかがでございましょうか。
#61
○政府委員(井原岸高君) 今、森委員の御質問のようなふうに中央卸売市場の手数料等につきましての引き下げにつきましては、さっき局長からも答弁がございましたように、出荷奨励金等を出しているというようなところに、いろいろな飲み食いの問題も出てくるのではないかというようなことで、目下経済局の方で検討しております。むろんその結果どういうふうになりますか、どちらにいたしましてもそれに基づいて手数料等の変更もいたします。と同時に、監督も強化しなければならない、若干非常に不明朗な問題で問題を起こしている点もございますので、監督、取り締まりの方法等についても研究をいたしております。近いうちにまた結果を御報告申し上げることができると思います。
#62
○森八三一君 この点は非常に重要な点ですから、私は中央市場の取り扱い業者は、一応株式会社組織とかというような組織になっておりますけれども、性格は全く公的なものであると私は理解しているのです。その公的な性格というものが強くにじみ出てくるようなことにいたさなければ、問題の解明にはならぬと思うのです。その点も十分一つ御考慮いただきまして、適正な措置をしていただきたい、こう思います。
 それからその次に、何と申しましても法律の最終の締めくくりをいたしますることは、生産果実の処理の結果としての農民の所得が生産費を保証し、自家労働賃金を適正に取得するということに帰着すると思うのです。そういうふうな姿にならなければ、幾ら奨励しましたって、赤字経営でやれというわけにはいかぬのですから、ことに所得倍増論ということで、あるいは農業基本法から農民所得を、他産業と等しくするということねらってこれをいたしますれば、どこまでも最終の処理が生産費をカバーし、自家労働賃金が都市と均衡労賃といいますか、適正に保証されるということでなければならぬ、これを要約いたしますれば、価格の安定施策を考えてやらなければいけないと思う。これは河野委員からも御質問があったようでありますが、この法律では価格の安定対策についてはお考えになっていないようですが、そういうことでよろしいのかどうかというのが一点、それから何といたしましても天然を相当条件として栽培をしていく農産物のことでございますから、自然条件によって努力が壊滅に帰する、こういう場合もあり得る。そこで米麦等につきましては、災害補償法によりまして、そういう農民の勤勉にもかかわらず不測の災害を受けた場合において、再生産を確保していくような手当の道が講ぜられておりまするが、本法をここに制定して、新しい営農を奨励していこうという場合に不測の災害をこうむることがないような対策というものがあるいは考えられなければならぬと思うのでありますが、これも要約いたしますれば、重要な果実につきましては災害補償制度というものを考えてやらなければ結局魂が入らぬのではないかという感じを持ちます。
 この二点について、本法制定の過程においてどういうような御研究がございましたか、今後どうしようとなさっておるのか、この点をお伺いしたい。
#63
○政府委員(齋藤誠君) 果樹の価格の安定につきましては、お話の通り青果であります関係上、一時に出回って参る、また年々によって豊凶の差があるというような関係で、この面における安定ということが特に必要であろうと思うのでございます。ただこれも果実の性格上、なかなか直接的な価格安定ということについてはいろいろ困難な問題もございまして、先ほど申し上げましたように、現状においては九割が青果であるというような状況でございますから、この現実に即して考えてみまするならば、やはり計画出荷あるいは出荷調整を円滑に行なっていくことを第一にまず考えて参ることが必要ではなかろうか。こういう意味でこのたび第六条に、各種の調査をいたして、出荷、販売、加工等の状況を適時調査してこれを情報として流して、これに基づいて、今申し上げたような計画出荷あるいは出荷調整が円滑に行なわれるような措置をとって参りたい。
 さらにまた、市場の施設におきましても、やはり中央卸売市場というものが今後整備拡充されていくということに相呼応いたしまして、そこで大量の取引が公正な価格できめられるということも、これまた必要なことと思うのであります。そういう意味におきまして、本年度は予算も施設費といたしまして前年度の三倍の九千万円が計上されたわけでございます。今後これらの価格安定措置につきまして、制度的にどういうふうに考えるべきかという点は研究課題でございますが、なかなか、青果物でございますのでむずかしい点もあるわけでございます。予算におきまして、予算作成出時におきましてもいろいろこの面についても検討いたしたのでございますが、さしあたり三十六年度におきましては蔬菜も含めましてこういった問題につきましての調査研究をいたしたいという意味で、調査に要する調査会の経費を三十六年度予算に計上いたしたような次第でございます。
 それから果樹の災害についてのいわば共済制度みたいなものを確立すべきではないか、こういう御意見がございました。現在共済制度自身につきましてもいろいろ改正案が検討されておるわけでございますが、果樹につきましては、従来数県におきまして任意共済の形でやった例もあるわけでございますが、必ずしもその結果はうまくいかない。それには資料が整わない上に設計がうまくいかなかったというような点もあろうかと思います。あるいはまた地域だけで処理するには困難だというような面もあったかと思われるのでございます。しかし、外国におきましてはやっておる例もございますので、われわれとしては当然研究を続けていくべきものであると、かように考えております。経済局の所管でございますが、そのような意味におきまして、果実の収量変動であるとか、あるいは価格変動であるとかいったような意味の調査費を約百十三万七千円計上いたしております。この面における調査も引き続き行なう、こういうことにいたしております。
#64
○森八三一君 調査に入られるということでありますが、お話にもありましたように、数府県ではすでにこの問題を具体化してやった。これはもちろん地域が狭いですから災害が起こる場合にはおおむね一緒に受けてしまうというので、保険の制度からいえば失敗をするのは理念的には当然だと思うのです。ですから、国が取り上げて広範な地域にやって参りますれば、必ずしも保険制度ができないというわけではないと思いますので、至急に一つ成案を得て、安心して法律に乗っかっていけるような親切な対策を考えていただきたいと思います。
 その次にお伺いいたしたいことは、第三条に「集団的な栽培に供される土地につき」云々という規定がございまして、その後段の方に「二以上が共同して」という字句を使っていらっしゃいます。その精神はどういうことをいっているのか、しかも協業という新しい言葉が出てきております。ここでは協業という言葉が使われておりませんで、共同という言葉が使われておりますが、ここに意味する共同とは何を一体お考えになっているのか、経営それ自体を全く一体のものに共同化するといいますか、計算を一体にするという姿のものをお考えになっているのか、その生産について、農機具だけを共同で利用するとか、あるいは薬剤散布だけを共同してやるとかというような、いわゆる共同と申しますのはそういう程度のことをお考えになっているのか、共同と協業ということで二つの言葉を使われておりますので、ここでは共同だけを取り上げていらっしゃるのは、そのねらいがどこにあるのか、どういうことを意味しているのか、それを一つお聞きしておきたい。
#65
○政府委員(齋藤誠君) ここで「二以上」というふうに規定いたしておりますのは、現在果樹の総面積が二十三万町歩ぐらいございます。果樹の農家が大体五十万戸ぐらいあろうかと思います。そうしますと、一戸当たり平均いたしましても四反ないし五反ぐらいのものでございます。しかし、今後のあり得べき姿を考えてみますると、やはり合理的な経営基盤を確立するということが必要でございまして、そういう意味から本法案におきましては、集団化面積十町歩くらいの単位を考えて経営計画を立てるようにいたしたい、こういう構想でございます。そこで当然そういうことになりますると、二人以上が共同でやるということに当然なろうかと思いますので、そこで「二以上」こういうことにいたしたわけでございます。もちろん例外的には一人で十町歩やっているだろうというようなものもあろうかと思いますけれども、それは従来とも当然自前でもやれるような農業経営者でございますので、ここではそういう例外的な場合を除外いたしまして「二以上」と、こういうふうにいたしたわけでございます。
 それから第二の「共同して」という言葉でございますが、この共同の範囲につきましてはわれわれは非常に幅の広い、弾力的なものを考えておるわけでございます。従来の果樹の共同でやっているという実例を見ますると、共同防除あるいは剪定の共同栽培の協定であるとか、防除の協定であるとか、こういうふうな協定による共同という場合もあります。また、防除器具を共同利用するというふうな施設の共同利用の形もございます。また防除作業あるいは除草等を共同で行なう、いわゆる共同作業の形でやっておるものもございます。さらに進んで防除施設を担当する人をきめて、いわば分化した形で共同でやっておるというふうな場合もございます。さらにまた、選果の段階を共同でやっておるというような面もございます。さらに進んで、共同経営というような場合もございます。ここにおきましては、それらのいずれも含んだ意味で共同という言葉を使っておるわけでございます。
#66
○森八三一君 その「共同」という字が基本法には「協業」という字が出てくる、いろいろあるのですね。これは農林省としてどういうふうに見解を統一されておるのですか、政務次官、協業という場合は何を意味するのか、共同という場合はどれを意味するのか、基本法を見ますと……。社会党の案は共同生産、協同組合を作ってやる。政府のやつは自作農主義に基づき自立農家を育成する、その場合に協業という字が出てくる。同じ農林省から出てくる法律の中にもいろいろあるのですが、今振興局長のお話では、ここにいう共同というのは古くからわれわれが使いなれてきたいわゆる共同ということを意味しておるのだが、全く経済を一つにする場合も共同であり、一部作業を一緒にやるという場合も共同である、こういう通俗的な共同を意味しておるのかということ、ですからこれは通念的な従来から考えておることですか、協業ということが出てくると、これははっきり協業と共同を理論的にも明確にしておかなければならないと思うのです。これはおそらく基本法を御吟味なさったのだからかなりこの問題は論議された結果であろうと思う。ここでいう共同は従来からの常識的なものとはちょっと受け取りかねるのですがどうですか、一体。「共同」と「協業」ということについては。
#67
○政府委員(井原岸高君) ここで申し上げる「共同」とは概念的に申しますと、作業段階における共同ということに出発してうたっておるつもりでございます。これは局長からまたこまかい説明があろうと思いますが、従いまして防除作業とかあるいは選果等の主要な作業に合理的な共通の計画を立てて実施していくとか、具体的には主要な作業にかわる機械施設を共同化していく、あるいは手間借りということをいなかではよく申しますが、労働の組織を寄り合って防除するにいたしましても、手伝いをする、そういうような主として作業を主体にした共同化、それによって生産費を安くしていく、労働効果を高めていくというような考え方に基づく共同でございまして、基本法にうたっておる「協業」は、どこまでも家族営農というものを主体といたしまして、むろん意気投合した者が集まりまして協業、あるいは生産組合を、法人を作るということとはかわった立場に立っての共同という言葉を使っております。
#68
○森八三一君 どうも頭が悪いのでよくわかりませんが、社会党案の協同組合システムがいいのか、政府案の自作農主義による自立経営の保護育成がいいのか、これは基本法の審議のときに十分両者の意見を聞いてしかるべき方に手を上げるということになると思いますが、政府案の方には協業と共同と両方出ておりますね、政府案の中には。これを厳密に区分をされておると思うのです。この果振法には共同だけが出て協業は出ていないのですが、それを一体どう整理されたかということを聞いておる、常識的な議論を聞いておるのではないのです。法律的に基本法では「共同」という字も出ておりますし、「協業」という字も出ているのです。広く今おっしゃったようなことになれば、基本法の方も共同になっておればすらっとしている。通念的な常識論で……。ところが、基本法には「共同」と「協業」と分かれておる。果振法には「共同」と出ておりますからどうも納得ができないのですが、今の御説明ではどうも了解しかねるのですが。果振法に「協業」という字が入っていないのはどういうわけですか。
#69
○政府委員(井原岸高君) 法律上の問題でございまして、いろいろ将来も問題が残ることかと思いますから、十分に検討いたしまして、間違いのないような御回答を申し上げたいと存じます。
#70
○亀田得治君 関連して。結局、齋藤局長の先ほどの回答からいきますと、「共同」も「協業」も同じ意味で、この共同というのは経営の共同まで含まっておる。法人でなくとも個人としていわゆる任意組合的なものまでが含まれておるのだから、従って部分的な共同のほかに経営的な共同まで含まっておる。非常に広い意味の共同とおっしゃるのだから、基本法についてのこまかい説明は受けておりませんが、今までの、政府がいろいろとしゃべっておるところから見ても、大体これは同じ意味だ、そう解釈していいでしょうか。
#71
○政府委員(齋藤誠君) 今、政務次官がお話しになりましたように、いずれ基本法が審議されます場合におきまして、「共同」 「協業」の有権的な説明があろうかと思いますので、私はここに関連する部分だけについてお答えいたしますと、ここにおきまする共同化という考え方の中には、機械の共同利用あるいは労働組織の共同化といったような、つまり従来いわれておる一番広い意味の共同の概念が包摂されておるわけでございます。従って、協業化というような形のものもこの共同の中にはもちろん入る、かように考えております。協業化という言葉を使いました中には、これは基本法の解釈とはこれまた別でございますが、われわれがここで今後共同化と言った場合に、その中におきまして低次の段階からだんだん高次の段階にある、その場合に、たとえば共同作業をやる、つまり戦争中に田畑の共同作業をやる、あるいは防除の一斉作業をやるといったような単純な作業部面を共同で行なったといったようなことは、これは協業化という概念にはちょっと入らないのじゃないかというような感じがいたすわけでございます。これは基本法におきまして解釈の際に有権的に一つまた御審議願うことにいたします。
#72
○亀田得治君 今の説明はちょっとことさらに共同と協業を違えようと思って、無理やりに説明しているようですね。結局社会党の方で共同というから、あなたの方でちょっとそこに違いをはっきりさせようと思って協業という言葉を無理やりに使っているような感じがする、僕から見ると。それは基本法自体にも非常にそういうゆるいきわめて部分的なものも一緒にやる、そういうことも含めて説明しているはずなんです。法文だってそうなんです。だから、そんな無理な、これは基本法の審議になるわけだが、森さんが非常にその点をおっしゃっているわけだが、政務次官の答弁がちょっとおかしいのです。協業はそんな生産分野だけじゃないのですからね。ほとんど共同と何も変わらないのです。そこをもうちょっと勉強してもらわぬと、大臣にかわってそんな答弁をされてそのままになっておると、これは基本法を審議するときに、こっちの方が混乱してくる。実際はそうなんでしょう。そんなに違わぬでしょう。ことさらに「協業」という言葉を使い始めておるだけでしょう。社会党が言うような「共同」とちょっとおれの方は考えが違うのだということの感じを与えるために――。しかし実際は、一緒にやるものがそんな違ったものはないはずでしょう。もう一ぺんさっぱりと、そこを私は、もうざっくばらんに聞いているのです。
#73
○政府委員(齋藤誠君) ここに使っております「共同」という言葉の中には、もちろん協業を含める、こういうことに解釈いたしております。協業化といへ言葉につきましては私なりの解釈は持っておりますけれども、せっかく基本法で審議される際に当然説明があるわけでございますから、かえって誤解を与えたり、あるいは矛盾するようなことを申し上げてもいかがかと存じますので、一つ御容赦を願いたいと思います。
#74
○森八三一君 常識的にはよくわかるのですが、ここで「共同」という字句を使われていて、他日基本法を審査いたしまして、その場合に使われてくる「共同」というのはこういうことだとなった場合に、ここで今御説明になったようなものとは違ってくると、同じ「共同」ということがちょっと変になりますね。同じ農林省が提案する法案の中で用いている字句について、法律法律によって全部解釈が違うということではおかしいと私は思うのです。そういうことでいいのでしょうか。ある法律の「共同」というのはこういう意味だ。ある法律の「共同」というのはこういう意味だ。「共同」という字句が法律々々によって幅が非常に違ってくるということであってよろしいかどうか。もし、今、局長の御説明のような、非常に広範な意味であるとすれば、むしろ私は――これは基本法の問題になりますが、基本法の場合にも「共同」ということで、「協業」ということを入れぬでも、全部包含しておるのであれば、それでも済むのじゃないか、こういう感じを持つわけです。ことさらに無理に分けていらっしゃるというところに非常に意味があると思うのです。その意味が、この法律ではまた違った内容を持つのだということになるというと、ちょっとちぐはぐになるような感じを持つ。「共同」という字についても、「協業」の「協」という字と、「共」という字と、これは意味が違うと思うのですね。だから、そういうことについても、この「共同」を、「共」という字をお使いになったことについては、かなりこれは一頭のいい人ばっかりそろっていらっしゃるのですから、十分討論を尽くして「共同」という字を使われたと思うのですがね。その辺いかがですか。あとで基本法の方の解釈が、この「共同」はこういう言葉を法律的には意味しているのだということが明確になった場合に、今お話のようなことと食い違った場合に、この法律の運営上、支障を来たすというようなことになるかならぬか。この法律はこの法律でそう解釈するからということできめておけばいいということでございますれば、それも一つの方法と思いますがね。そう窮屈に考えなくてもいいということで済ましていいのかどうか。これは、そういうことで、振興局長にお伺いするのはいかがかと思います。あるいは法制局長を呼んでお聞きすべきかと思いますけれども、それ以上お聞きしましてもおそらくお答えはできぬと思いますので、この点はすみやかに明確にしてもらいたいと思います。
 それからその次にお伺いいたしたいのは、第四条ですか――第四条で、計画を立ててそうして知事の認定を受ける、こういうことがありますね。その場合には資金計画は入っておるのです。第五条で、公庫がそれに基づいて資金を貸す、こういうことになっておりまするが、その第三項ですか、には、参酌して貸付金額、条件あるいは期間をきめる、こうなっております。知事の認定を受けるときと、公庫で具体的に資金を貸し出す場合と、必ずしも同一ではないという状態が生まれてくると思うのですが、規定だけからいけば。そうして農業者としてはせっかく計画を樹立して、これでよろしいといって、知事の認定を受けた。受けたが、さて具体的に仕事を始めようとして金融機関に行きますると、そうはいかぬのだ、こういうふうになる場合があり得ると思うのですね。そういうことにならぬように、十分に指導するとおっしゃるでしょうが、法律上そういう場合が起こると思うのです。その場合はどう調整されますか。知事が認定したということは非常に重い行政上の措置と思うのです。その措置を今度は金融機関が金を貸すというだけの立場から、また別に判断をするということになりますると、関係の農業者としては非常に割り切れぬものを持つと思うのですね。その関係の調整を一体どうお運びになるのか。知事が認定をする前に、金融機関と打ち合わせ済みでおやりになれば、そういうことは起きぬと思いますが、この条文の規定だけを読んで見ますと、そうはならぬ。この運び方はどうでございましょうか。
#75
○政府委員(齋藤誠君) 融資の手続についての御質問でございますが、第一に、認定の効果いかんということでございます。認定の効果につきましては、第五条によりまして、認定にかかる果樹園経営計画に記載された資金の貸付につきましては、これを優先的に公庫においては行なうものである、こういうことを第五条でいっておるわけでございます。しかし、金を借りる場合におきましては、これは直接滞り受け者が公庫に借り受け申請書を出すわけでありまして、県に出すのは、これは計画自身の認定であるわけでございます。従って一方において、公庫に出す借り受け者からの借り受け申請というものが、申請者の借り受ける場合における、何といいますか、本来の申請書でありますので、言葉の上で経営計画を参酌してと書いてあるわけであります。従って御質問の点は、借り入れ申込書の金額と、それから経営計画で認定した場合の金額と違いがあった場合にどうなるか、こういうことだと思うのであります。むしろこの前におきましては、当然公庫と県は、あらかじめ了解なり連絡をするわけでございますので、むしろ膨大な借り受け申請者が借り受け金額を公庫に申請するといった場合、この認定計画によって調整をする、こういうことになろうかと思っております。
#76
○森八三一君 そうしますと、その経営計画を立てる、その中には当然資金の調達に関する具体的なことも入ってくるのでしょう。その場合に、幾ばくは自己資金でまかないます、幾ばくは農業協同組合から融資を受けます、どれだけは公庫から借りたい、こういうような内容は示されると思うのです、計画の中には。それを知事さんは認定した。そこで、その同一金額が公庫に申し入れられました場合には、当然公庫はそれを無条件で融資をするということになるのだと了解していいのでございますか。農業協同組合とか、一般銀行の場合には政府金融機関ではございませんから、これは別な判断があると思います。けれども、政府金融機関である制度金融の場合には、地方庁と政府とは違いますけれども、これは生産者の立場に立てば、県庁も政府も、政府金融機関も大体同じように見ておるのですから・知事さんがよろしいとおっしゃれば、その計画を妥当と認めた場合には政府の制度金融は当然それをうのみにしてやっていただけるものと、こう了解すると思うんですね。そこへいって、それはだめだとこうなるというと、また認定されたものを変更するとか何とかしなければならぬ、その辺はどうなりますか、具体的な問題です。
#77
○政府委員(齋藤誠君) 今申し上げましたように、借り受け申請者は一方では公庫に申請書を出し、他方においては県に経営計画の認定の申請を出すわけでございます。公庫としての立場から見れば、借り受け者からの申請書類によって審査をし、そうして貸付決定をする。ところが、この際は経営計画を作って、その知事の認定書をつけて公庫は審査する、こういうことになるわけでございます。従って法文上としては、あくまでも「参酌」と書かざるを得ないわけです。それじゃ事実問題としてはどうかという点は、大体今森委員のお話しになりましたようなことを考えておりまして、その趣旨を第五条でうたっておるわけでございます。つまり公庫は、認定にかかる果樹園経営計画に記載された資金については貸付を行うなものとする、これは優先的に貸し付けなさいと、こういうつもりで書いたわけでございます。
#78
○委員長(藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#79
○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて。
 本案については、本日はこの程度にいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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