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1960/04/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第28号
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1960/04/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第28号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第28号
昭和三十六年四月十一日(火曜日)
   午前十一時一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理事
           秋山俊一郎君
           櫻井 志郎君
           亀田 得治君
           東   隆君
           森 八三一君
   委員
           石谷 憲男君
           植垣弥一郎君
           岡村文四郎君
           河野 謙三君
           高橋  衛君
           堀本 宜美君
           阿部 竹松君
           北村  暢君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           安田 敏雄君
           千田  正君
           北條 雋八君
  国務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
   自 治 大 臣 安井  謙君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   農林大臣官房長 昌谷  孝君
   林野庁長官   山崎  斉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   自治省行政局行
   政課長     岸   昌君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○森林開発公団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○公有林野等官行造林法を廃止する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 この際、お諮りいたします。
 森林開発公団法の一部を改正する法律案及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案について、参考人から意見を聞くこととし、その人選及び手続等については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(藤野繁雄君) 森林開発公団法の一部を改正する法律案(閣法第四五号)及び公有林野等官行造林法を廃止する法律案(閣法第四六号)両案を一括議題といたします。
 両案は、去る七日衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。衆議院においては、両案とも修正議決されておりますが、その修正部分はお手元に配付いたしました通り、いずれも「昭和三十六年四月一日から施行する。」とあるを「公布の日から施行する。」と改められたのであります。
 両案についての資料が提出されております。まず資料についてその要点の説明を求めます。
#5
○政府委員(山崎斉君) お手元にお配りいたしております参考資料につきまして、その主要な点を御説明申し上げたいと思います。まず第一に、参考資料(1)をごらん願いたいと思います。先般補足説明で御説明申し上げましたところと重復するところもありますので、そういう点を省略いたしまして主要点を御説明申し上げたいと存じます。
 まず第一が、一ページAといたしまして、森林開発公団が行なって参りました熊野、剣山両地区におきます公団の林道開設事業の計画と実績を掲上いたしております。これは三ページをごらん願いますと、熊野、剣山両地区合わせまして、路線数におきまして三十六路線、計画といたしましては延長で三百二十七キロ余、事業費が三十三億七千一百万円という計画に対しまして、実績は延長が三百二十一キロでもって事業費は三十三億七千一百万円ということに相なっておるのであります。
 それから四ページにおきまして、公団林道の災害復旧事業の路線別の計画と実績、これを掲上いたしておいたのであります。
 それから第六ページをごらん願いますと、公団林道の維持管理の状況を路線別に年度別に掲上いたしたのであります。
 これの最終的な取りまとめは、八ページをごらん願いたいと思うのであります。これもごらん願いますと、熊野、剣山両地区を合わせまして、三十二年度から三十五年度まで利用料徴収の状況をそれぞれ掲上いたしておりまして、三十五年度といたしましては、二千六百五十五万円という状況に相なっておるのであります。で、維持管理はどういうふうにしてやっておるかというのが、右の表にありまして、維持管理の対象としましては、路線数が三十六、延長三百二十二キロに対しまして、管理事務所四カ所を持ち、管理員が七名、保線夫が五十六名、監視人三十二名、合計いたしまして九十五名余を配置いたしましてこれの管理をいたしておるという状況でございます。
 それから九ページに、林道事業の路線別の全体計画及び既往の実績というのを掲上いたしまして、第一回指定というのは、政令で路線を指定することになっておりますので、第一回に指定したもの、次のページに第二回の指定の路線別を掲上いたしたのであります。指定を終わりましたものが十一ページの上の小計のところをごらん願いたいと思いますが、延長で百十八キロ、事業費で十三億一千三百万円、これに対しまして今までの実行いたしましたものが設計、開設工事、こういう形に相なっているのであります。今後指定がこれに掲上いたしておりまして、指定と今後指定、合わせまして四十路線を掲上いたしているのであります。
 それから十二ページをごらん願いたいと思います。公団林道事業の熊野、剣山両地区の事業でございますが、これの年度別の資金の借入状況、余剰農産物から十億、農林漁業金融公庫から四億、資金運用部から十七億というものを借り入れて、合計三十一億を借り入れているのであります。
 それから十三ページにこの公団の両地区につきましての年度別の収支の実績を三十五年度は見込みで出ておりますが、掲上いたしているのであります。
 それなら十四ページに公団林道の路線別、受益者賦課処分の状況を掲上いたしているのであります。これは工事費に対しまして、国が五二%補助いたしまして、県が一〇%を補助する、残りの三八%を受益者が負担するということに相なっておりますので、その三八%分がこの賦課金といたしまして路線別に掲上いたしているのであります。その総合計が十二億八千九十九万円、右の一番下のところに掲上いたしておいたのであります。
 十五ページに公団林道の受益者賦課金の徴収状況を路線別に掲上いたしておりまして、十六ページの一番最後の合計のところをごらんに願いますと、三十四年度末までに調定いたしました金額が三億四千五百九十万円余、これに対しまして当該年度内に収納いたしましたものが三億二千五百万円余、収納未済額が二千十万円余と相なっているのであります。これに対しまして、この収納未済額のうちで三十五年度中に収納済みとなりましたものが、千百十五万六千円、従いまして三十六年四月一日現在におきます収納未済額は八百九十四万円という形に相なっているのであります。
 十七ページは階層別にどういうふうな収納未済者があるのかということを路線別に掲上いたしてあるのであります。
 それから二十ページ以降に今後考えております造林関係の資料を掲上いたしまして、二十ページに官行造林地現況、総数で契約面積三十万四千町歩、造林面積二十四万七千町歩でありまして、それを市町村有、部落有、私有という形にそれぞれ区分いたしまして、契約面積、造林山積を掲上いたしているのであります。
 それから備考のところに、営林局別にどういうふうな状況になっているかということもあわせて計上いたしているのであります。
 それから二十一ページに、分収造林特別措置法による民有林造林の実施状況、これを二者契約と三者契約に分けまして、三十三、三十四の実績、三十五年度の見込みというふうに掲上いたしているのであります。
 それから二十二ページに保安林整備計画の実施状況といたしまして、(イ)として民有保安林の年度別の買入実績、これは保安林整備臨時措置法によって重要な民有保安林を国が買い上げるという制度を実施いたしているのであります。二十九年度から三十五年度までに四百二十五件、面積にして十六万町歩余を買い上げているのであります。それから(ロ)といたしまして、保安林整備計画の進捗状況、国有林、民有林、保安林の種類別という形に、この進捗状況を掲上いたしているのであります。
 それから二十三ページに三十六年度以降に行なおうといたしております水源林造林の道府県別、所有別にどういうふうに今後やる計画であるか。また備考の欄には、営林局別にどういうふうに計画しているかということを掲上いたしておいたのでありまして、国有林が、合計の欄をごらん願いますと、十一万九千九百町歩余、それから民有林が二十三万二千町歩、合計いたしまして、三十五万一千九百町歩余を今後実施いたしたいという計画であります。
 それから二十四ページに公団によってやろうと考えております水源造林の年度別の事業計画、所要経費等を参考として掲上いたしておいたのであります。
 二十五ページには森林開発公団の現在の組織、機構、三十六年度に予定いたしております組織、機構等を参考として掲上いたし、また二十六ページには今後森林開発公団が事業等の増大に伴ってどういうような人員配置を、人数の増を必要とするかということを計上いたしておいたのであります。
 それから二十七ページには、現在の森林開発公団役職員、課長以上を対象にしまして、その前歴とか、給与予算の概況を参考として計上いたしたのであります。
 それから二十八ページにその他というふうな形で関連産業の雇用と賃金の状況がどういうものかということを参考に計上いたしたのであります。
 それから二十九ページをごらん願いたいと思いますが、官行造林法の廃止、開発公団法の一部改正につきまして、その成立いたしました場合にどういうふうに事務的に取り扱っていこうかという点を、自治省の行政局長と林野庁の長官とでいろいろ数回にわたって協議、打ち合わせをいたしました結果、了解事項として覚書のようなものを交換するという形に相なりましたので、その全文を掲上いたしておいたのであります。
 なお、これらの内容につきましては、また別途御審議の過程で十分御説明等をいたしたいと思います。
 それから参考資料の(II)というのをお開き願いたいのであります。
 これは公団法によりまして出さなければならない政令とか省令、あるいは認可事項になっております事項の概要の主要な点につきまして、御参考に提出いたしたわけでありますが、これらの点につきましては、まだ大蔵省その他の関係のところと完全に了解がついておるという段階ではないものもあるのであります。現在までに検討いたしました点を御参考に提出いたしたわけであります。
 その第一は、森林開発公団登記令の一部を改正する。これは登記法によりまして公団を登記しなければならぬのであります。資本金を新たに持つことに相なったのでありますので、それに対する登司事項の登記につきましての政令を改正するということにいたしたのであります。
 第二といたしましては、二ページをごらん願いますと、森林開発公団法施行規則の一部を改正する省令であります。法律によりまして、農林省の省令によって定める事項を契約事項に明記しなければならないというふうに相なっておるのでありまして、それで省令によりましてどういう事項を明らかにして契約すべきかということをこれで規定いたしたいというふうに考えておりまするのであります。契約の第一条にございますように、植栽すべき樹種、本数、植栽の方法、手入れの時期、方法、その他主要な、どうしても長い間の契約というものをやっていく点からいたしまして、主要な一項をそれぞれ省令で規定するということにいたしたいというふうに考えておるのであります。
 それから二枚めくっていただきまして、森林開発公団の業務方法書の要綱というところをごらん願いたいと思うのであります。業務方法書は、農林大臣が認可するというに相なっておるのでありましてこれがいわゆる契約をいたします場合の非常に重要なものに相なるのでありまして、これについて概要を御説明申し上げたいと存じます。
 この第一は、定義でありますので、御説明を省略いたしたいと思います。
 それの第三のところでありますが、公団が行なう分収造林事業の対象地は、法律の規定に基づきまして農林大臣が指定した地域内の土地であって、次の基準に適合するものでなければいかぬ。一として、無立木地、散生地、粗悪林相地等の、要造林地でありまして、一団地、これは併括管理が可能であるような場合には、その数個の団地をあわせて一団地とするというふうに考えまして、一団地の見込み面積が五ヘクタール以上のものであること。その二といたしまして、次のいずれにも該当しない土地といたしまして、その土地につきまして入会慣行等の権利関係がきわめて複雑でありまして、整理できない。そのために契約の履行にあたりまして支障を生ずるおそれがあるというような場合、もともと端的に申し上げますと、入会等の慣行が非常に権利関係が複雑であります場合は、それが話し合いがつかないといたしますと、契約自体もできないというふうな事態に立ち至るわけでありまして、そういうような土地は対象として適当でないということ。それから地位、地勢、気象等の自然的立地条件が悪くて、造林いたしましても成林の見込みがないような土地、及び国土保全上の見地から治山工事の実施によることを適当とするような土地、こういうものは契約の対象にならないという考え方であります。
 それから第四として、費用負担契約におきまして造林を行なうという者は、造林事業を行なうのに十分な能力を持つ者でなければならぬということは、当然の規定のように思うのであります。
 それから第五といたしまして、造林者の義務というものを明らかにしておいたのであります。これは次にあります「第八による実施計画の作成」、「契約の定めるところにより造林地に一定の樹木を植栽し及びその植栽に係る樹木の保育を行なう」、それから三といたしまして、造林地及び造林木の保護及び管理のため次の各号に掲げる事項を行なうこと。いわゆる火災の警防、盗伐、誤伐その他の加害行為の予防及び防止。有害な動植物の駆除、蔓延の防止。造林地の境界の測量並びに境界標その他の標識の設置及び保存。その他造林地、造林木の保護、管理に必要な事項を造林者は役務としてやらなければならない。
 第六として、土地所有者の義務はどうかということになりますと、土地所有者は、次の業務を負う。公団及び造林者のために地上権を設定する。造林地に対する公租公課の負担を行なう。造林地における境界の確認を行なう。それから造林者の行ないます、先ほど申し上げました第五の三、いわゆる保護、管理のための火災警防等のことであります。そういうものに対する、事項に協力するということ。これが土地所有者の義務であります。2といたしまして、土地所有者が造林者を兼ねる場合には、まあ土地所有者としての義務のほかに、先ほどの第五の造林者の義務も両方、まあ義務として責任を負わなければならないということに相なっておるのであります。
 第七といたしまして、費用負担者の義務であります。これは第九に掲げる費用負担を行なう。それから契約に掲げます事項の実施につきまして、他の契約当事者に対する指導を行なうこと。損害賠償金、及び損失補償金を請求する場合の当事者となるということ。及び売払代金をもって収益分収を行なう場合における造林木の売り払い及び材積をもって収益分収を行なう場合の分収樹木の指定ということを行なうのが費用負担者の義務に相なるのであります。
 で、第八で実施計画を、まあ手続をきめておるのであります。これはちょっと複雑になる関係もありますので省略いたしまして、第九をごらん願いますと、費用負担の範囲はどういう範囲であるかということであります。一といたしまして、境界の測量費と境界標の設置費というものをもちろん負担するわけであります。新植費、補植費の経費、保育の経費、それから防火線設置費及びその補修費、歩道の設置費及び補修費。それから第五の三に掲げる事項といいますのは、いわゆる造林地の保護、管理、火災警防その他を含めました保護、管理を行なうに必要な費用であります。それから八として事業施設費。それから森林国営保険の保険料。こういうものを費用負担の範囲といたしております。これに対しましても、さらに第一号から第八号までに掲げる費用の支出にかかる事業について共通的な諸経費を、いわゆる雑費のようなものでありますが、それを出すということ。それから二といたしまして、前項第七号の費用といいますのは、この保護、管理に対する費用であります。通常必要とされるものにまあ限定して出すのであります。それ以外の場合の費用といいますのは、天災、風水害、その他の場合をさしておるのであります。そういう場合には、契約当事者でそのつど協議してきめていくということにいたしたいと思うのであります。
 それから費用の支払いの方法は、公団の費用の支払いは、各卒業年度におきます実施計画に基づく施業の終了を待って公団の検査のあと精算払いによって行なう。このほかに公団は必要に応じて概算払いもすることができるということにいたしたいと思うのであります。
 それから契約当事者の協議でありますが、いろいろな長い期間におきます事態もあるわけでありますので、この協議を十分活用していかなければならぬというように考えておりまして、火災、天災等の災害が発生した場合の措置に関する事項、その他、被害が異常に発生した場合、あるいは造林地の貸付及び使用、土石の処分売り払い、造林木の伐採及び販売の時期及び方法に関する事項、その他、損害賠償金及び損失補償金の請求に関する事項につきましては、契約当事者間で十分に協議してやっていくというように考えておるのであります。
 それから第十二といたしまして、造林地貸付の使用料でありますが、協議によりまして、まだ植えてないような契約地というものを他に貸し付けたというものの使用料は、特約のある場合を除きまして土地所有者の収入にする。
 それから第十三といたしまして、造林木以外の樹木の帰属でありますが、これは、この土地所有者は、当該契約した土地にあります木の、契約の締結前から造林地の上にあります木を、特約があれば別でありますけれども、造林のために取り除かなければならぬ。それからその期間に取り除くことが取り除かれなかった樹木と、契約を結んだ後に造林地に生えました木というものは造林木とみなすということを、これは官行造林、従来と同じような考え方でやりたいと思っております。根株は特別の約束のある場合を除いて土地所有者の所有とするということであります。
 第十四でありますが、林産物採取権であります。これも従来の官行造林と大体同じ思想であります。土地所有者は、次に掲げる造林地の林産物を採取することができる、下草、落葉及び落枝、木の実及びキノコ類、手入れのため伐除する枝の類、植樹後二十年以内において手入れのために伐採する樹木等は、土地所有者のものになるのであります。
 第十五は地上権の問題であります。
 以下、十六は収益分収の割合で、これは収益分収の割合は、各契約ごとに土地所有者においては地代額、造林者においては、造林に要する費用の額、費用負担者においては費用負担の額というのがそれぞれきまるわけでありますので、その額を参酌いたしまして、それぞれの場合に適用してきめるということであります。
 第十七といたしまして、収益分収の方法でありますが、これは造林木を売り払いまして、その代金を受けるということが通常であります。特別の場合には、材積を受けてもいい。損害賠償、金等についての処置、これは従来と同様であります。
 第十九は、持分処分であります。これはそれぞれ契約当事者は樹木につきまして共有権を持つという形に相なるというのでありますので、持分を譲渡する場合、あるいは担保に供する場合には、あらかじめ他の契約当事者全員の同意を必要とするということであります。
 二十といたしまして、合意解約をどういうようにするか。二十一といたしまして、紛争の処理であります。紛争ができた場合には、都道府県知事に紛争の解決についてのあっせんを求めるものとするというのであります。
 二十二が契約の解除等でありますが、義務違反等の場合には、都道府県知事に紛争の解決のあっせんを求めて、なおかつ、履行がされないという場合には、契約当事者、契約から脱退を求めることができるというふうなことをここに考えておるわけであります。
 これが最も基本となります契約の具体的な内容を規定するものであります。業務方法書の要綱であります。以上をもちまして補足説明を終わりたいと思います。
#6
○委員長(藤野繁雄君) それでは両案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
#7
○石谷憲男君 私がただいまから御質問をいたします問題につきましては、本二法案を提案された以上、事前に十分研究されて、それぞれ明確な結論が下されておるべきはずの事柄でありまするから、そういう意味合いにおいて明瞭に一つお答えをいただきたい。まずもってそれをお願いしておきます。しかもなおこの両法案の意味する問題につきましては、それぞれの関係の各方面にいろいろと反対意見なり、批判の論議があることは十分御承知だと思います。そこでそれらに対しまして十分に問題の要点を解明されて、少なくとも誤解に基づくような反対意見なり批判論でありまするならば、その説明によって十分解消がつくということに相ならなければならぬと思いまするし、さらに本質的な反対論というものに対しましても、明確にそれを説得するだけの根拠を示して御説明をいただきたい。かようなふうにまずもってお願いをしておくわけでございます。
 そこで質問の内容に入るわけでございまするが、今回この両法案を提案されましたのは、申し上げるまでもなく、昨年来実施中の治山治水十カ年計画の一環として水源地域における造林を急速かつ計画的に行なう。そこでまあそのために、従来補助造林ないしは官行造林という方式によってやって参ったこの水源林造成事業というものをこの際やめて、これによってかわるべきものとしていわゆる公団造林の方式でやっていこう、まあこういうことがこの二法案の提案の意味するものであると思うのでございまするが、しからばこの森林開発公団は御存じの通りまあ昭和三十年に発足をいたしたのでございまするが、その目ざすところは、広大な未利用地域にこれまた急速かつ計画的にこれを開発する必要に迫られた、従って主として林道開発というものをおもな任務として発足した経緯があるように私ども承知をいたしておるわけでございまして、そこでまあそのような任務というものはひとまず終了したものだ、やや終了に近いものだという認識に立たなければ、こういう新提案というものはあり得ない、こういうふうに考えるのでありまするが、はたしてそういうふうなお考えがあっての提案であるのか。しかもなお創設以来五年を経過いたしまして、少なくとも林道事業に対しましては相当な経験を持ち、実力を養ってきた公団というものが、それとは全く異質な造林事業に大幅な転換をするということで、はたしてこの公団設置の目的というものは完全に達成したということは言えるのかどうか。こういう点につきましてまずもって御説明をお願いいたしたい。
#8
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、森林開発公団は熊野、剣山両地区に対しまして申し上げますのは、これが全国的に見ましても、民有林が集中し、しかも、相当大きい造林地等を持ちまして、開発の経済効果も大きいという見地からこの両地区を取り上げまして、これのいわゆる道路で申し上げますと、国道に相当するような幹線林道の開設をやろうということで当初は出発いたしたわけでありまして、先ほど資料で御説明いたしました通り、三十五年度をもちましてこの開設を終わりまして、三十六年度以降は受益者負担金の徴収とか、あるいは維持、管理とかいう仕事が残るという段階に相なっておるわけであります。なお、公団といたしましては、こういうふうな両地区のようなところではないのでありますが、全国的に見ますと、その流域単位に考えてみますと、千町歩以上等の流域で、しかも国有林、民有林両者がその地域に併存するというふうなことから、民有林の補助林道専業というものと、国有林の林道専業というものが両者の経済的な事情その他から、なかなかうまくマッチできないような面がございまして、そういう地域の開発が非常におくれているというふうな点からいたしまして、三十四年度から関連林道事業を全国的な地点にわたって開設していくという仕事を始めまして、これも四十路線を対象にして考えておるのでありまして、これも三十九年度までは、やはりこの事業はやっていかなければいかぬというふうな計画でおるのでありまして、そういう点からいたしまして、開発公団が開設当初の事態から申し上げますと、この主体といたしておりました両地域の開発は終わったということが言えるように思うのであります。今後におきましては、その関連林道をやるという仕事が林道の面では残っておるのでありまして、この公団の非常に大きい林道の開設につきましての経験を生かしまして、関連林道は今後とも続けて予定通りやっていきたいというふうに考えておるのでありますが、さらにまた、この造林という面において考えてみますと、今後の市町村の造林の、市町村におきます造林の進行状況、あるいは市町村の造林能力というような問題、あるいはまた治山治水緊急措置法に基づきます水源林造成の緊要性というふうな点からいたしまして、この公団にすでにおります林業関係の、造林にも十分経験も持つような職員の能力をも活用いたしまして、国として早急にやらなければならない水源林地帯の造林というものも公団で合わせて相当主体性を持ってやっていくように今後ともいたしたいという考え方でおるのであります。
#9
○石谷憲男君 そこで、ただいまの御説明のように所期の目的でありました、いわゆる熊野、剣山の両地域というものの開発はおおむね目標通りに完了する。ところが、当初、森林公団、森林開発公団法というものを制定いたしましたときには、この両地域だけに限定をして開発するということが目的であったわけです。ところが、その後三十四年から関連林道という新しい仕事を国有林野事業資金を使って、そうしてやるというのでございます。ということは、当初の目的はそうであったかもしれぬけれども、考えてみると、これらの大規模な地域こそ、とりあえず開発ができた、これに準ずるような地域というものは、まだまだたくさん残っているのだ。それで、せっかく結集した力をそういう面に十分活用するということが意味があるのだということで、私は関連林道というものがつけ加えられたのじゃないかと思う。それで、四十路線の計画が終われば、ひとまず使命完了だ、こう言われるけれども、はたしてそういうことに断じていいかどうか。御承知のように、まだまだ未開発の森林地域というものは非常に広大なものがある。なるほど、一定規模以上のものは次第に解消されつつあるけれども、全体として見ればある。しかも、公団による開発という方式を採用しましたときに、いろいろ議論があったと思う。それ以前に、融資による林道開発という方法も、補助による方法もあるにもかかわらず、こういう特別方式を入れたというのは、できるだけ緊急に、しかも計画的に開発をする必要があるんだという事実認識の上に立って、こういう特殊な方式というものが、いろいろ議論がありながらも採用されたという経緯を考えてみるならば、せっかく五年たって相当な力を持ってきた、相当な経験を積んできたというこの際に、この公団は、従来の主たる任務としたいわゆる林道開設の事業から他の事業へ任務の転換をしてもいいんだということは、私は、そう簡単に断ぜられないように思うのですけれども、まだまだ民有林オンリーで、開発対象地域が残っている。林野庁が計画されても、思うように林道ができぬということ、これはだれしも認めている。そこで一方において、最近の逼迫した林道事業から見るならば、できるだけ未開発の森林の早急な開発ということが、いうならば、私はそういう間にあって、まだ公団方式による林道開設というものを他の方面に広げてやっていくという考え方で、むしろそういう方面にこそ公団の能力を伸ばしていけば意味があるんじゃないかということを考えるのですけれども、従って、まずこの辺で公団の任務は林道については終了だという判断の根拠ですね、これをぜひともお聞かせいただきたいと思うのです。
#10
○政府委員(山崎斉君) 先ほど御説明いたしましたように、この両地区はもちろん終わったわけでありますが、今後の、と申しますか、今後の林道事業といたしましては、お説のように、関連林道というものを取り上げて、これを計画的に開設していこうというふうに考えているのであります。お話しのように、民有林等におきましても、あるいは関連林道というものにおきましても、今後の林道事業というもののあり方という点から申し上げまして、補助林道というふうな、あるいは融資林道というふうな方式の行方ではなかなか開発ができない、困難だというものもないというわけにはいかないように考えるのでありまして、今後の林道行政と申し上げますか、そういうものを今後どういうふうに進めていくか。現在の制度によります盲点というものが、具体的にどういうふうな計画のものに出るのかというふうな点も、今後は十分検討いたしまして、公団の様式でなければならないというものが出てくるというふうに相なりますならば、やはりその時点に立ちまして、今後の関連林導ということとの関連というものを考えまして、公団としての林道事業を新しい観点に立って考えていくということの必要な事態もあり得るというふうに考えているのでありまして、農林漁業基本問題調査会、あるいは中央森林審議会等におきましても、この問題が十分具体的に論じ尽くされたという形のものでもないのでありまして、今後、中央森林審議会等もさらに継続してやっていくつもりでおりますので、そういう問題について十分御意見を伺い、検討して努力していきたいというふうに考えております。
#11
○石谷憲男君 ただいま説明を聞きますと、必ずしも今後の研究結果によっては、公団方式を使わぬわけじゃない、こういうふうに取れるような御答弁なんだけれども、これは今後の検討ということを考えなくても、林野庁においては十分な資料もあるので、この際やはり公団方式を使った方がいいのだという対象地域があるものだとすれば、はっきり出てくるじゃないか、こういうふうに考える。たとえば、関連林道というものの採択の基準にいたしましても、これ以上は採択できるけれども、これ以上は採択できないというような、そういう固苦しいものじゃなく、この際一番やっぱり重要なことは、緊急な未開発地区の開発を大いに促進するのだということが私はやはり一番大事なことじゃないかというふうに考える。そこで、公団で研究の結果、たとえば従来方式のものを林道の面においてもやって参るのだと、こう言われても、公団というものは、国有林野事業なんかと違って、そんな大きなものじゃない。まことにちっぽけなものです。機構、人員の上からいって、それほど大きな力を持っていないということならば、私はやはり林道開設一本でいくとか、造林事業一本でやっていくということをやってもまだ力不足だということを考えるだけに、せっかくできた林道開設を主たる任務にした公団である以上は、その任務が明らかに終わったのだという実態認識の上に立たなければ、ただ新しい方式に移行するということは考えるべきものでもないという点につきまして、どうもまだただいまの御説明ではなかなか納得ができない。もうちょっと突っ込んで、公団方式による開設の任務は終わったのだ、大体。従って、今後は、従来のような補助方式、あるいは融資方式というもので期待するだけの林道の伸びというものは完全にやっていけるのだ、責任が持てるのだということにならなければ、せっかくできた公団も、そういうふうに全く異質な方向に任務がえするということは、きわめて早計だというように考えるのは当たりまえだと思う。その点さらに一つ突っ込んで、任務終了宣言をされるならば、終了宣言をされる根拠を明らかにしてもらいたい。今後の研究の結果また取り上げるかもしれぬというようなふらふら腰じゃ困る。
#12
○政府委員(山崎斉君) 熊野、剣山両地区というふうな集団いたしました未開発地区というふうなものは、また積極的に開発いたしまして、治山、治水との関連等の見地に立ちまして、両地区に匹敵するような地区というふうなものは、もちろん全国的に検討しましてもないように考えられるのであります。これらの点につきましては、公団法等を当初に提出いたしますときにも、それぞれの地区についての性格その他について資料としても提出して御説明いたしたように考えております。そういう見地からいたしまして、両地区というふうな形によります開発というものを必要とするようなものはないように思っておるのであります。
 そういたしますと、次の問題といたしまして、やはり路線主義と申しますか、ああいうふうな流域地、大きい流域という観念だけじゃなしに、いわゆる小さな流域、あれに比較して小さい流域路線主義というふうな形におきまして、全国的に必要とするものがあるかどうかという問題になってくると思うのでありますが、民有林の現在の段階におきます奥地開発というものを見て参りますと、補助事業等によって開設いたします路線も、奥地林道というふうなものを対象にいたしまして、重点的な予算編成もいたしまして開設するという形態をとって参っております。それで、その事業も相当進展は見せておるのであります。今後におきましてやはり問題として残って参りますのは、いわゆる個々の流域というものがあるわけであります。そこに生えている木というものと受益者負担というふうなものとの関連におきます、開発者が補助等によっては計画的に急速になかなか進みにくい。むしろ一般公道的な性格というものを十分に取り入れた考え方というものでなければ開発困難だというふうなものが今後に残されておるように思っているのでありまして、これらの点は単なる林道という見地だけからでは、なかなか開発ができないんじゃないかというふうに考えておるのであります。また、先ほどお話のありました関連林道というふうなものにつきましても、流域の受益面積が一千町歩以上だというふうな一つの制約条件のもとにこの事業をやっておるのであります。これがさらに今後の受益状況その他から見まして、さらにたとえば五百町歩とか六百町歩というふうな限度の制限のもとにおいてもやるべきかどうかというふうな点は、今直ちにその結論を出していくということには、非常に問題点があるように思います。今後の林道事業の進展という点から見まして、そういう問題を現在のような様式で取り上げていくかどうかという点は、なお検討をいたしたいというように考えておる次第であります。
#13
○石谷憲男君 今後の林道事業の進展においてさらに考えなければならぬ場合があり得る、こうおっしゃっているけれども、従来の林道事業の進展というものを見ますというと、計画と実施の上に相当な食い違いができておることは、御承知の通りなんです。それからなるほど公団法を当初に制定したとき、これは私どもあの未開発林の緊急開発ということを目的とした、しかも当初開発の資金としては、余剰農産物の資金を借り入れてやるのだということで出発したけれども、その後の状況変化によりまして、そしてそれが借りられなくなったら、資金運刑部の資金を借りるというようなことでとにかくやってきた。そこで、その次にその仕事があらかた終わった段階で関連林道を取り上げてきた。そこで少なくとも、その公団法制定のときと現在の運用の状況というものを比べてみると、相当変わってきていることは事実なんです。ただ、その変わらぬ問題は何が変わらぬかというと、緊急にとにかく未開発林の開発を促進する必要があるという情勢は少しも変わっていない。同時に、せっかくついた公団の林道開設の能力というものをフルに使って、そういった要請にこたえたいということが、私はおそらく関連林道を取り上げる現在の運用だと思うのですが、そういうことから考えますと、今後だって未開発林がたくさんあって開発が思うように進んでおらないのだという現実を認めるならば、せっかく結集したこの力というものをその促進に役立てるということは、なるほど今おっしゃるように今後開発促進をするためには、その他のさまざまな隘路というものを同時に解決していかなければなかなか進んでいかぬということはよくわかりますけれども、やはりこの開発のための能力をフルに使っていくのだという余地は、さらに必要性というものは、依然として解消していない、こういうふうに考えるのが妥当じゃないかと思う。そうすると、あんたいろいろおっしゃっているけれども、もう公団方式による開発というものはやらなくてもいいのだ、従来方式でいいのだということに理解していいのですか。
#14
○政府委員(山崎斉君) 民有林等におきます従来の公団様式による開発というものにつきましては、先ほど申し上げました通り、今後開発というか、林道道路を開設すべきそれぞれの地点というものを考えました場合に、林道というだけの見地からでは、なかなか開発が実際上受益者負担等との関連において困難だ。いわゆる国の大きい面から申しました道路政策というふうなものとの関連において解決しなければならないようなものが多く残されているという現実にあるわけでありますから、そういう問題が根本的にやはり解決されるということでなければ、従来の方式による開発ができるというわけにはいかないというふうに考えている次第であります。
#15
○石谷憲男君 そこでたとえば、今度法律が通りますというと、公団の性格は完全に変わる。あなたのおっしゃるように、これから研究してみて、やる必要があれば林道開設についても公団の能力を活用するようにやっていくのだ、そういうことを言ってみたって、そのときは後半なんです。従ってむしろ大きく任務を変えるときに、その必要性ありやいなやということを判定してかからなければ、私はやはり使命の変更ということはすべきものではない。決してこれはまだ私は公団というものが創設をされて今日までやってきたこの意義というものが解消するような事態に林業の情勢はなっていない、こういうふうに私は判断をいたしたい、判断しなければならぬと思う。やはりただいまの説明では、私は十分納得がいかないのですが、またあとから関連して質問をいたしたいと思います。
#16
○北村暢君 関連で簡単に一つ。今の問題、ただいまの石谷委員の御質問に関連してちょっとお伺いをしたいのですが、今、林野庁の説明によりますというと、開発する林道は長期計画によりましても相当あることは事実です。それを他の産業との関連において、林道だけで開発していくということについてはいろいろ問題があり、ほかの産業とも関連して開発していくということになりますというと、従来の補助林道、林道のみについての補助をやるというやり方、これよりも公団等のような性格のものが、もっと多角的な目的による林道、他産業も利用できる林道という幅の広いものが考えられるならば、そういうものはやはり単独の林道の補助金、補助林道、融資林道、こういったものでなしに、公団といった性格でやることが、今聞いてみますというと、私は公団の性格からいって、今後の林道開発をやっていく場合に非常にいいような感じがするのです。だから、この点を私は今までの補助林道なり融資林道というものをずっと続けていくつもりなのか、あるいは公団というものの方が事業執行に適切じゃないか、こういうふうに受け取れるのですが、この点について検討中というようなことでありますが考え方をお伺いしておきます。
#17
○政府委員(山崎斉君) お説のような点もあると思うのでありますが、先ほど御説明いたしました点は、今後のいわゆる林道開設という面に大きく残されるといいますか、問題点として残って参ります点は、林道としての性格ももちろんあるわけでありますが、そのほかにやはり一般交通的な要素、その他の要素を大きく持つような路線が補助制度あるいは融資制度というものになかなか乗りがたい。それがまあ今後の特に奥地林道開設等の場合に問題点として残されてきつつあるということを御説明申し上げたのでありまして、そういうものを、いわゆる林道という考え方のみに立ってこういうものをやっていくべきか、あるいは多目的な面を主体といたしまして新しい行き方というもので開設していくべきか、それらの点につきまして、今後われわれとしても十分検討を加えていかなければならぬというふうに考えているのでありまして、こういう路線はぜひとも公団、あるいはそういう様式でやらなければならぬかどうか、また現在のいろいろな補助制度、あるいは林道の補助制度、あるいは建設省の行なっておりますいわゆる道路としてのいろいろな育成の制度というようなもの、そういうものと、両者にどういうふうにいくべきかという問題が今後に残されているというふうに考えている次第であります。
#18
○石谷憲男君 そこでその問題は、今後研究の結果によっては、やはり公団方式を活用していく面もあり得るということでもあるようでございますから、今後の検討の結果に待つといたしまして、そこで、従来主として官行造林事業という形でやって参りました水源林の造成という仕事を、公団造林という方式に切りかえるということのようですが、御承知のように、水源林造成事業というものは、歴史的に見ますならば、終戦後いわゆる公共事業のような治山事業という考え方の中におきまして、いわゆる補助方式でやってきたと思うのです。ところが、御承知のように、多分に公共的性格の高い造林、さらに造林技術的に見ても、これは一般の経済に比べるというといろいろと問題が少なくない、こういうことで、こういう仕事はむしろ国が直接やったらいいじゃないかというふうな実は考え方があった。そうこうしているうちに、いわゆる民間資本による一般の分収造林というものが急速に伸びて、そこでこれらとの間の調整をはかる意味も合わせて、そこでまあ昭和三十一年からは大幅に官行造林事業の対象としてのこの水源林造成事業というものを取り上げてきたというのが、比較的近来の経過の一つなんです。その中で、しかもこの際公団方式に切りかえようということにつきましては、この間の功罪につきまして十分比較検討された結果、そのおのずから到達する結論として、そういう転換というものがあり得たというふうに理解をしなければならないわけだが、その積極的な意義をこの際一つ明らかにしていただきたい。少なくとも私は官行造林事業によるこの水源林造成事業というものにつきましての功罪が、まだ出てくる段階でない。しかしながら、官行造林事業というものに対しまする一般の成果というものは、昨年四十周年の記念式典をやられたときに誇示されたように、相当高く評価されているということだけは、これは否定のできない事実じゃないかと、かように思うわけですがね。そこで制度を変えてやられるということは、よりよきものにこれを置きかえていくという意味があってこそ、初めて私は制度改編というものが明らかになってくる、こういうふうに思うのですが、そこでただいま申し上げたような一つの、終戦後今日までの経緯の中からあえて公団造林方式に切りかえようとされる積極的な転換の趣旨を、この際一つはっきり解明していただきたい。
#19
○政府委員(山崎斉君) 官行造林事業が四十年という歴史を持ちまして、先ほど御説明いたしましたように、二十五、六万町歩に達する造林を実行して参りましたのであります。この法律制定の当初におきまして、やはり市町村有林等が非常に荒廃しておる。約六十万町歩程度造林すべきものが残されておる。その約半分を官行造林によってやり、半分は国の補助その他の育成政策でやっていこうという見地に立って出発したように思っておるのでありますが、その目標がほぼ完成されまして、三十六年度からはその植えられましたものが計画的な伐切に入っていくという段階になって参りましたところが約六千町歩、これが年次増加いたしまして、七千町歩近い造林地が主伐するという形に相なってきたのであります。官行造林事業という形におきます当初の計画というものも、ほぼ達成できておるような段階にあるように思うのであります。これをこの際官行造林という形で従来通りいきますことを転換いたしまして、公団が今度は分収造林方式による行き方をしていこうというふうに考えておるのでありまして、なぜそういうふうに転換を考えたのかという主要な点を申し上げたいと思います。
 その第一点といたしましては、市町村等におきますいわゆる造林につきましての能力、力というものが非常にまず向上して参ったように思うのであります。昭和三十年、あるいは三十一、二年というころにおきます市町村の造林というものを見てみますと、大体市町村有林二百六、七十万町歩だと思うのでありますが、これに対しまして年々二万町歩強の造林を行なって参ったのでありますが、三十四年度から市町村等に対しましても、造林の長期据置融資制度を開始するということにいたしまして、それらに対する要望と申しますか、希望が非常に旺盛でありまして、市町村の造林は現在の見通しによりますれば、大体五万町歩弱程度の造林ができるというふうな段階に相なっておるのでありまして、その市町村有林に対しまして二%弱程度の造林が年々行なわれるという段階に相なったように思っておるのであります。国有林におきます造林は、全体の面積に対して一%前後であるわけでありますし、民有林全体について考えますと、やはり二%前後というふうな状況にあるように思うのでありまして、市町村等の造林に対しまする意欲、それから能力という点も非常に向上して参ったように思うのであります。そういう点から考えまして、やはり市町村有林等につきましては、その市町村みずからが市町村有林の経営につきまして自主的な考え方に立った施業をやっていくということが最も望ましいように思うのでありますし、今後われわれといたしましても、そういう線を大きい目標といたしまして、公有林対策というものを進めていかなければならぬように思っておるのであります。そういう点からいたしまして、今後市町村有林等の特に経済的な林地、里山地帯の造林等につきましては、融資、あるいは小さいものは補助等の制度で大体やっていけるように考えられるのであります。水源林につきましては、御存じのように、成果について経済的に不安がある、あるいは技術的にも困難があるというような点からいたしまして、補助とか融資とかいう制度では、なかなかこの地帯の造林というものに積極的に手が入ってこない、造林の対象としては、あとへあとへやはり回っていくというような性格であるように思うのであります。そういう点からいたしまして、三十一年度でありましたか、法律改正をいたしまして、この水源林の造成というものを計画的に早急にやろうということにいたしたのでありますが、先ほど申し上げましたように、市町村等の造林能力というものも非常に向上して参ったという見地からいたしまして、あるいはまた、既往の官行造林地の伐採というものも六千町歩、あるいは七千町歩に達するわけでありまして、それらの跡地の再造林というものは、やはり本質的に考えましても、市町村みずからやはりやっていただくという性格のものでもあるように思いますし、そういうものと水源林も合わせまして、地帯の造林と合わせまして、市町村でやはり自主的に仕事を進めていただくということが最も望ましく、いいように思うのであります。ただし、その場合におきましても、水源林等に対しましては、先ほど申し上げましたように、補助とか融資だけでは、なかなか市町村等も経済的な面等から考えまして造林に積極的に進んでいくという形にはならぬのでありますので、新植の経費だけでなく、保育の経費はもちろん、維持管理等につきましても、その経費の面その他につきましては、十分に国なり国にかわるものがめんどうを見てやっていくという、しかも造林等の行為、維持管理の行為は市町村に一つ積極的にやっていただくということを考えるのが最もいいじゃないかというふうに考えたのであります。その場合、水源林につきまして金のめんどうを見、あるいは技術的ないろいろな指導もするという行き方を考えました場合、国みずからがそういうような仕事を、いわゆる分収造林によりまして、土地所有者等の造林能力を活用するという見地から考えました場合、国みずからが分収造林の出資者というような立場に立つということは、これはやはり国有財産等の維持管理というような点からも非常に問題があるわけでありますし、国がいわゆるみずからやるというよりも、国の機関がそういうことをやるというのが最も適当しているように思うのでありまして、公団でそういう仕事をやるのが一番いいというふうに考えた次第であります。また、これは申しおくれましたが、今後の水源地帯の造林ということを考えました場合にも、五町歩ないし十町歩というふうな小さい団地が非常に多くなってくるというような点から考えまして、やはり土地所有者である市町村、その他の土地所有者の方々の、造林及び維持、管理についての積極的な関与と申しますか、そういうものを通じまして、この仕事をやるということが、造林事業の性格から申し上げましても最も適当しているというふうに考えておる次第であります。いろいろな点を総合いたしまして、国の機関であります公団を利用するということが最もいいように考えておる次第であります。
#20
○石谷憲男君 いろいろな点を総合いたしまして一番いいのだと思う、こういうことのようですが、まあちょっと内容を端的に今申し上げてみたいと思うのですが、ただいまの、最近著しく向上してきた市町村等の造林能力、経営意欲というものを高く取り上げて、そしてやっていくんだという考え方は、私決して否定はいたしません。ならばこそ、昭和三十四年以降は特にこれらの市町村の要望にこたえて、特別な長期低利の制度の道が開かれている、十分これにこたえてきたということなんです。しかしながら、大部分はいわゆる普通経済林を対象としての仕事なんです。そこでこの水源の造成事業に限ってこの方式でおやりになるということは、水源林の造成事業という本来の性格から見て、これは多分に公共的な性格のものです。しかも、これは造林技術的な立場に立って見た場合も、一般普通の経済林に比べるとむずかしい内容です。それだから、こういうものこそ国の力と結集した技術力をもってやることが一番安全なんだ。しかも、今度の改正法案の提案理由の説明書にもはっきり書いておられるように、治山治水の目的をよりよく活用するための森林の造成だということになりますと、いかにむずかしくともこれが失敗したのでは、治山治水のいわゆる目的をよりよく達成するものにならぬわけだ。必ず成功しなければならぬと思う。そういうものこそ一つ国でやったらいいのじゃないか。しかも、過去における官行造林事業というものに対して非常な非難があるというなら別といたしまして、少なくとも非常に支持がある。むしろ反対というのは、支持している声のこれは反映だというふうに考えてしかるべきだ。あえてそういうむずかしい一般造林まで、市町村は自主的な能力を活用せぬとは言っていない、それは十分におやりなさい。しかもまだまだやる余地があるわけだ。そのときにあえてこの水源林造成事業を従来のいわゆる官行造林方式から他の方式に移行するということは、これはもう少し積極的な内容を持った御説明でなければ、なかなか説得力というものはありませんよ、納得できませんよ、ただいまそういうようなことをおっしゃって、総合勘案してこうだとおっしゃられましても。問題はそこにあるわけです。これがいつもの普通林の造林よりも安い造林ならばまだしも、これはより高い造林です。技術的にむずかしい造林です。しかも必ず失敗しちゃならぬと思うのです。そういうふうに考えて参りますと、それでこそ国でやっていいのじゃないかという結論をおのずから導き出してくるのが、これは私は非常に健全な、常識的な判断だというふうに考える。そこらに焦点を合わして、もう少し率直、簡潔に、あらゆるものを総合勘案しないで、そこだけに焦点を合わして、はっきり私は説明をしていただきたい。
#21
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、水源林は非常に公共性が高いわけでありまして、その造林というものが的確に行なわれるということの必要性はお説の通りだと思うのであります。従いまして、この造林というものにつきましても、やはり経済的な不安がこれによってないのだ、それから成果というものにつきましても、技術的に十分な確信をもって造林事業に臨むということの必要性、並びに、単に植えて、所有者の自由な意思によって適当にこれを伐採したりなんかするということでなしに、やはり治山治水上果たすべき役割というものを前提にした作業が行なわれていかなければならぬということは、お説の通りのように思うのであります。その場合に先ほど申し上げましたように、この団地というふうなものが小さくなるところに分収造林をするというふうな実態から考えまして、あるいはまた、市町村の造林その他に対する意欲、能力という点からいたしましても、こういうものの、造林というもののあり方から申し上げまして、国自体がこれを維持管理するということよりも、やはり所有者の能力というものをフルに活用し、かつそれに対して公団はもちろん、県のいわゆる改良指導員とか、あるいは営林局署の組織の担当部その他が技術的な指導を十分にやっていくということでありますならば、国がみずから従来のようにやるというよりもさらにまあいい成果というものを期待できるのじゃないか、できるというふうにまあ考えておるのであります。
#22
○石谷憲男君 まあそこで、この提案理由の説明書を見てみますと、要するに、対象地が零細で分散してということが書いてあって、国有林野事業における生産力増強計画及び既往の官行造林地に主伐期の到来したこと等に基づく事務量の増大等の事情もあり、かつ造林事業につき地元市町村等に全面的協力を期待することも緊要であるので、国が引き続き国有林野事業として官行造林を行なうことが適切でない状況である、こういうふうに書いてある。これは対象地が零細、分散化していくことは当然のことで、これは昭和三十一年改正によって十分予期しておった。ここ一両年の間に大変化をきたしたことにはならぬ。それからそのあとに書いてある本来の、いわゆる国有林野事業における生産力増強計画、あるいはこの官行造林にしろ、その事務量の増大だとかということは、事業をやっていれば当然ある。そこで、私は、最後の方に書いてあります造林事業につき地元市町村等に全面的協力を期待することも緊要だということは、非常に重視される。言いかえれば、最近とみに活況を呈している市町村等の造林意欲というものをフルに活用するということが目的であって、一体、公団の中に入れたということは、これはきわめて事務的に便宜主議だというふうにまあ理解しようとすればそういうふうに理解できる、こういうふうに思うわけです。そこで、その辺の間につきまして、これまた率直、端的にその説明をいただくこととあわせまして、私は、営林局署というのは、なるほど現在の機構あるいは人員そのままで、こういったような内部事情の変化もあるときに、あえて今後の水源林造成をやっていくということはむずかしいでしょう。しかし、局署というのは、事業が大きくなれば人間もふやしていく、小さくなればこれは当然減るのだ。減るには問題があるかもしれぬが、そういうふうな比較的一般行政官庁の場合と違って、伸縮性があるものというふうに一般には理解できる。そこで、こういうふうに事務量がふえてくれば、何も、国の機構、職員というものをふやしていったらいいんじゃないかと、私はきわめて簡単な結論が出るというふうに思う。あれだけ膨大な仕事をやっているのですから、事業内部の整備あるいは合理化というふうなものを進めていくならば、あえてこの際、官行造林事業ということを外にはみ出さなければならないようなことには相ならぬと思う。そういうことをやってみても、なおかつはみ出す必要がある程度まで、他の事業がふくらむというならば、これは機構をふくらませるならば、あるいは人員をふやしていくということでやったらいいんじゃないか。まあさきに私が申し上げましたように、特殊な造林だけに国の資金をもってやるのだという前提がくずれぬ以上は、当然それでやっていいのじゃないかというふうな考え方をだれしも持つということは当然だと思う。その二点につきまして、もうちょっと積極的な御答弁をいただきたい。
#23
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、国有林野事業におきましても、造林事業の方の量的な拡大ということも、今後やっていかなければならぬというふうに考えております。まあ手入れのいわゆる方法と申しますか、手入れのやり方というふうなものについても、まあ質的な向上というものを、あるいは植付等に対しましても、質的な向上というものを積極的に取り上げてやっていかなければならぬというふうに考えておるのであります。今後国有林経営におきましても、お説の通り経営というものを合理化し、積極的にやっていくという線には進めて参りたいというふうに考えておるのでありますが、それと官行造林との問題はどうかという問題になってくるように思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、この三十一年に法律を改正いたしまして、従来の国有林という機構を中心にして水源地帯の造林をやって参ったわけでありまして、やはりそういう事態におきましては、管理等との関係からいって、比較的大面積のもの、国有林の管理、経営と比較的関連のあるような地点というようなものを従来やってこられたわけでありまして、今後残されております零細な、分散化する傾向のものは、そういう関連組織等と必ずしもマッチするような地点にもないというところに、一点非常に問題点が残されておるように思うのであります。で、地元の造林能力その他の点から考えまして、そういうふうな性格のものを従来通りやはり官行造林という形でやっていくというよりも、やはり地元の能力等を十分に活用するという方式を加え、しかも、経済的にめんどうと申しますか、負担をかけないで、しかも、指導という面も十分に行なっていきまして、水源林としてのやはり伐採その他についての制限と申しますか、規制というものを守っていけるというところに重点を置きまして、新しい方式でぜひともいきたいというふうに考えておるわけであります。
#24
○石谷憲男君 そこで、ただいまの答弁をやはり聞いておりますと、明らかに今後の水源林造成予定地なるものは、従来の国有林野事業の機構の手の及んでいなかったようなところにだんだん伸びていく。そうして、国有林野事業として取り上げていくならば、勢い、新しいものを作らなければならない、そういうふうに新しいものを作らなければならない。こういうことで、従って、必ずしも得策でない、こういうように考える考え方もわからぬわけではありません。でき得る限り、いかようにむずかしい造林事業であろうとも、合理的に、たとえば造林コストの引き下げというものがつくならば、やはりその辺のことを一つのねらいにするということも、それは正しい主張だろうと思う。そういう限りにおいて、市町村の造林も、最近の造林熱というものを大いに重要視してこれを活用していく、こういうように考える考え方もわからぬではありませんが、それならば、今言ったように、分収造林と同じ方式をあえて公団の中に取り込んでいってやるのだという次善の策を排して、現在せっかく開かれております公有林造林に対する融資のワクを拡大する。ところが、これは経済的に見ましても、一般造林に比べて多分に不利な条件にあるというならば、むしろ、その融資条件等について、でき得る限りの緩和策を考えて、そうしてやっていく、こういうような方法による活用の道というものがあってしかるべきだ。むしろ、そういうように考えることが、私はきわめてすなおじゃないかと、こう思うのです。それはどうなんですか。
#25
○政府委員(山崎斉君) 融資等の造林といたしますと、もちろん全部これが無利子でいくというような性格のものではないように思うのでありますが、もちろん、ある程度の利率の引き下げというようなものは考えられぬわけではないように思うのでありますが、こういう水源地帯、比較的技術的にも困難で、しかも、成果につきましても、里山等と違って、何と申しますか、収穫量が比較的少ないじゃないかというような問題のあるところの造林に対しましては、造林というものをいたしまして、造林いたしました場合においては、その造林地の成績いかんというものにかかわらず、やはり借りた金は返さなければいかぬというのが融資造林であるように思うのでありまして、そういう制度では、なかなか水源地帯の造林というものには、私は積極性というものが生まれてこないように思うのでありまして、やはり国が経済的なめんどうと申しますか、維持、管理等についてまで十分な経済的なめんどうを見てやる。国なり、国の機関が十分なめんどうを見てやる。そういうものを前提にいたしまして、そのできた成果を一定の割合で分け合うというやはり分収造林というものが、こういう地帯の造林に対しては一番適応するように思うのであります。
#26
○石谷憲男君 それはちょっとおかしいじゃないかと思うんですがね。それはなるほど、国有林野事業が無利子の資金を森林開発公団に出資して、そして森林開発公団はこれをもとにして費用負担する、こういう建前のようですがね。まあそれはそうかもしれぬけれども、この水源林造成事業というものは、経済的にペイしない仕事じゃないんでしょう。ただ収益率というものは低いかもしらぬ。しかし、経済的にペイするという前提に立っておそらく計算できているはずですから、そこでおそらく計算をされたものがあるだろうと思うんだが、私はそういうものがあるなら示してもらいたい。たとえば、普通一般林が収穫期間を通じまして六ないし七%の利回りでいくものだとすれば、それが三分か四分に下がるかもしれないということがありましても、これは不採算事業じゃない。おそらくそういう前提に立ってこの仕事を分収方式で始められようとしておるわけだ。従って、普通林に比べればそれは確かに収穫量も少ないかもしらぬ。従って金員収入というものも少ないかもしれないということは初めからわかっているけれども、しからば、これは一体マイナスの事業だというほどじゃないはずなんで、むしろマイナスの事業になり得る公算が非常に大きいんだと。とするならば、従来の官行造林でやるという建前にも、当然私はその点からも返ってくるんではないか。そうするならば、今いろいろおっしゃっているけれども、たとえば金利の引き下げをするなり、無利子ということじゃなくても無利子に近いところまで金利の引き下げをして、とにもかくにも経済的にもペイするという前提に立ってこの仕事をやらせるならば、従来の公有林造林のワクを別に拡大をして、従って普通林とは違った条件で融資をされるということで、十分この能力というものは拡張できるということになるんじゃないかと、こう思うんですがね。
#27
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、この地帯の造林をいたします場合に、それが不採算で赤字になるという性格のものではないのでありまして、経済林よりもまあその収益率は非常に低いというところにこの性格があるわけでありまして、その点お説の通りであります。しかしながら、融資という方法によりましてこの事業を行なおうと考えました場合は、融資でありますから、どこまでもやはり従来その補助しておりました場合と同様に、積極的に必要な保育あるいは維持、管理等につきまして積極的にその経営上必要な経費を、その森林所有者が自分が借りてそれにつぎ込んでそれで水源林としてふさわしい経営というものを所有者の意思でやってもらうというところにまあ大きい問題があるというふうに考えます。従来水源林として補助いたしておりました当時におきましても、新植の金はもちろん国で全額を負担したのでありますが、保育等につきましては、そういう制度がなかったというような点からいたしましても、なかなかあとの保育、維持、管理というものが十分にうまくやっていけないのじゃないか、こういうところに大きな問題点があったのでありますが、融資という制度でいきますと、やはりそういうところに大きいまあ問題点が残るように思うのであります。
#28
○石谷憲男君 それは私は若干おかしい議論じゃないかと思うんです。新植のほかにもその保育、維持、管理の金というものを借りてやるんだということは、何も好きでやるわけではないので、やはり収穫時の取り分を少しでもよけいにしようということを意識して必要があってやるわけです。従ってあなたのおっしゃるようにはならない。それはあなたのおっしゃるように、かりに水源林造林の場合になるんだとするならば、普通林について今融資制度を拡大しておやりになっているあの政策だっておかしいということです。同じことですよ。何かその辺……。ただ問題は本来土地条件そのものが必ずしもよくない。あるいは気候条件その他から確かに悪い、普通林に比べれば。それだけにいわゆる収益率というか、利回りは下がるということは、これは融資の条件で見てやるということにならなければ、積極的なやはり造林というのは行なわれないということが言えると思うんです。私はそれだけの違いだと思いますよ、どうですかその点。
#29
○政府委員(山崎斉君) 経済林等におきまして、もちろん、この融資制度を敷いているわけでありますが、これにつきまして、まあ所有者の考え方等によりまして、その森林というものをよくしていくということにつきまして、積極的にさらに借りて投資をするかどうかということは、もちろんまあ個人の意思でありまして、その正常な経営という面から十分なやはり借り入れというものを所有者がしないといたしましても、これはまあ公共的な性格という面から申しまして、そう大きい支障もないように思うのでありますが、いわゆるこの水源地帯の造林というものにつきましては、この植え付けたものが治山、治水というふうな面から考えましても、十分な成果がやはり生まれてこなければいかぬというところに、この水源林造成というものの重要性と申しますか、一般経済林等との違ったやはり使命、性格を持っているように思うのでありまして、個人等の意思だけによりまして、この保育の程度あるいは維持、管理等の程度が変わってくるというようなことは、やはりなくて、国が経済的な面というものを十分カバーして参りまして、その正常なと申しますか、治山、治水上も十分なやはり機能を果たすような施業というものがそこに行なわれるということを、やはり国としては考えていくということが必要ではなかろうかと思うのであります。
#30
○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#31
○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。
 両案については、午前はこの程度にいたし、午後は一時半から再開いたします。
 それでは休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
   ――――・――――
   午後二時八分開会
#32
○委員長(藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。
 森林開発公団法の一部を改正する法律案(閣法第四五号)、公有林野等官行造林法を廃止する法律案(閣法第四六号)の二案を一括して議題といたします。
 午前に引き続き質疑を行ないます。二案について御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
#33
○石谷憲男君 それでは、市町村の分収造林意欲というものを大いに活用して新方式の造林事業の支柱にする、こういう考え方は一応よくわかったわけですが、それならば、一体現在の公有林造林の融資のワクを拡大する、さらに貸付条件等を十分に検討した上でやったらいいのじゃないかという議論に対しまして、この事業の公共的性格等から考えてみて、むしろ資金のめんどう等を国が直接見るということが適当だ、こういう御答弁があったわけですが、それでは公団方式といいますか、公団に出資して公団が費用負担者になるというような迂遠な方法でなく、直接に国が資金を提供をする、その上に十分な指導、監督をやるといったような方法でやっていくということについて、どうしてそういう案をおとりにならなかったか、その点を一つ。
#34
○政府委員(山崎斉君) 国が分収造林の出資者のような立場に立ちましてやっていくというような方法も、お説のように考えられないことはないように思うのであります。そういう場合におきまして、御存じの通り出資者にいたしましても、その植えられたあるいは成林される木につきましては、共有権を持つという性格になるわけでありまして、国の財産と申しますか、国のものを維持、管理していくという責任等はもちろん国にもあるのでありますが、この考えておりますように市町村等にやはり維持、管理等も実質的なものをやらしていくということが適当ではないだろうかという観点に立ちますと、そこにもやはり問題点が残るのであります。そういう場合に、維持、管理等の仕事につきまして、国が町村等に委託をするということもあるんじゃないかという問題もあるように思のでありますが、工事等を県のいわゆる代行事業であるとかいろいろな形で委託するという場合も少なくないのでありますが、これにしましても、ややいろいろな問題があると言われておりますが、特に造林地の維持、管理というふうな非常に長期にわたりまして愛情というようなものを持ちましてこの仕事に当たってもらうということが、その成果に大きい影響を持つというふうな仕事につきましては、やはり委託するというようなことは適当じゃないようにも考えられるのであります。そういう点からいたしまして、国が出資者になるというところには、やはり法律上の問題、また今申し上げましたような委託するといたしましても、事業の性質からくる問題点が、やはり大きく残されるというふうに考えておる次第であります。
#35
○石谷憲男君 この市町村の造林能力というものを重視される意味合いの中には、確かに力があって現にその付近にあるものを十分に活用する、この仕事のために新しいものを作ったり新しい人をとり入れたりすることは、むしろ造林のコストというものを高め能率的でない、こういう考え方があると思う。それなら私は必ずしも造林者とか、市町村だけがその地域で一番適格者だと言いかねる場合が非常に多い。なるほど一般的には、水源林の造成の対象者というものが、次第に国有林野事業の組織の外に出てしまうという傾向はありますけれども、依然としてやはり国有林野市業の手の届く範囲にいて仕事をやっていくという部分もあるわけだ、さらに市町村よりもその地域の森林組合が適格という場合も出てくるというふうなことになりますと、国がそれぞれの適格者に対してやはり委託とかいう方式で一番力のあるものを選んで、一番やはり経費のかからぬ合理的な方法でやるという考え方の方が、非常に僕は弾力的だと思う。なるほど一般的には市町村の能力というものを認め、さらにそれを伸ばすという考え方はわからぬわけじゃないけれども、現実の問題とすると、あるいは国有林野事業にやらした方がいいところは国有林野事業でやる、さらに市町村でやらした方がいいところは市町村でやる。森林組合の方がよりいいところは森林組合に頼む、こういうようなきわめて選択的な方法というものが、そういうやり方では一つあると思うのだが、たとえば法律上の問題等から必ずしもそう踏み切れぬものもあるという御説明はあるけれども、そういう障害を突破しても、そういうやり方で進められた方が、今後の新しい方式なんだからベターだというふうに考えるのですが、それはどうですか。
#36
○政府委員(山崎斉君) この造林地の造林という仕事、あるいは維持、管理というような仕事につきまして、やはり土地所有者がほんとうの熱意と愛情を持って当たっていかれるということが最も望ましいように思うのであります。お説の通り、その場合にいたしましても、市町村等がどうしても当面やる能力がないという場合もあるように思うのでありまして、そういう場合におきましては、森林組合とかあるいは非常に普遍的なものではないと思いますが、いわゆる愛林組合とかいうふうな地元の人々が組織しておる、そういう組合等も全国的に見るとだいぶあるわけでありまして、そういうものにやはり造林あるいは維持、管理というものをやっていただく、結局分収造林で純粋の造林者という立場に立っていただくということも、あわせて分収造林の方からいうとやっていくのが筋であります。そういう方向で考えていきたいと思っているわけであります。
#37
○石谷憲男君 そこで従来の四十年の歴史を持つ官行造林事業は、確かに一般から多く支持されたということが言えると思います。むしろ支持されているがゆえに、これが公団方式等に移行することについての反対が出てくると思う、こういうふうに私は考える。そこで一体何がゆえに、この官行造林事業というものは支持されているかということでありますが、これは確かに四十年の事実が物語っている、それが山村にたくさんのものをもたらしているという事実が支持されるおそらく私は根源だろうと思いますが、そのことをさらに突っ込んで参りますと、これは御承知のように相手方との共同経営といわれながらも、実質的な全面的な責任というものを国が持っている。従って契約から、苗木の確保から、造林事業から、その後の維持、管理、保育という成林の最後の段階まで全面的に国が大きな責任を持っている。しかも、その結果というものが非常にいいのだという事実が、この官行造林事業の支持される一番基本的な問題だというふうに考えるわけです。そこで従来の官行造林にかわって、いわゆる公団造林という方式をここでかりに採用するということになりますと、いろいろそれだけのものにとってかわる公団の責任体制というものが前提になっておらなければならない。そうしなければ制度の切りかえというものは必ずしもベターではない、こういうふうに考えるわけです。そこで一体、公団が実質的にどこまでの責任を持ってこの制度を運用していくかということが、これはその次の問題になるわけであります。こう考えるのですが、そこで一体、公団をして従来の官行造林事業にとってかわらしめるという何といいますか、責任の問題、その内容、こういうものを具体的に説明していただきたい。
#38
○政府委員(山崎斉君) 公団はこの契約によりまして、市町村等の造林能力を活用してやるという趣旨に立っているのであります。原則的には公団は分収造林の出資者になるという立場に立っているということが考えられるわけであります。そうすると公団のやります仕事は一体どういうことか、どういう責任を負うのかという問題が出るのであります。公団が負うべき責任は、先ほど業務方法書等でも申し上げましたように、造林それから保育、維持、管理等につきましての経費という面について全責任を負わなければいかぬということはもちろんであります。そのほかに、いわゆる造林事業というものの成果を大きく左右する因子でもあります苗木等につきましても、それの品種、系統のいいもの、また苗木としてりっぱなものというようなものをどういうところから調達した方がいいか、あるいはまたその植付、保育等につきましての技術的な指導とかいうふうなことにつきまして、公団が十分に責任をもって当たっていくということが、どうしても公団として考えなければいかぬ問題のように思うわけであります。そういうふうな見地からいたしまして、また公団といたしましては、そういう面の十分能力を持っております技術者というものをやはり整備して、そういう仕事に当てさせていくということが必要のように思っておりまして、公団といたしましては、こういう点の責任を十分に果たせるということに考えていかなければならぬというふうに考えております。
#39
○石谷憲男君 法案の上から見ますと、公団というのは費用の負担者かまたは造林者になるのだ、こういうことが書いてある。ところが、先ほど来の御説明によりましても、造林者というのは、大体においていわゆる土地の提供者である市町村がなる、公有林の場合にそういうふうになるというふうに理解されるわけです。おそらく公団が造林者というふうになるのは、非常にレアのケースではないかと考える。そうしますと、多くの場合は、大部分は公団というものは単なる費用負担者としての役割しかしないというふうに、法案の上からはそれだけのことしかわからぬと思う。それはそれとして、実際的に公団というものはどこまでタッチして、どこまでの実施責任を持ってこの制度の運用に当たっていくのか、先ほど来申し上げておりますように、造林者という前提に立っております限りにおいては、従来の国の立場にとってかわって、公団が大部分の場合単なる費用負担者としての役割しかないのだということでは、なかなか私は問題があるのじゃないかと思うわけです。従ってそういうことになっても、実際的にはどういうふうに責任を持って運用をやっていけるのか、その辺のことについてもうちょっと具体的に詳細にわたって御説明をいただきたい。
#40
○政府委員(山崎斉君) お話の通り、公団といたしましても、市町村等に造林の能力がない、またその地域に土地所有者も信頼し、公団も信頼できるような造林者というようなものもないというふうな場合におきましては、公団が現地に機関を置きまして組織を持ちまして造林するということも考えていかなければならぬということは、御説の通りだと思っております。で、一般的に費用負担者という場合に、公団がやるべき仕事といいますのは、先ほど御説明しましたように、業務方法書にありますけれども、結局土地所有者あるいは土地所有者が造林者を兼ねる場合がありますが、それが契約をされましたように造林とか保育、その他の維持、管理をやっておるかどうかという点の指導といいますか、契約上の監督といいますか、そういうものをやらなければいかぬということが、第一点。一番大きい問題になるわけでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたように、いわゆるりっぱな苗木を使うのだということを、具体的にやはり造林者に指導するといいますか、必要ならば、どこの苗畑のどういうものがいいか、どういうふうにして計画的に調達したらいいのかという、具体的問題にまで入って、やはり公団としては指導をしていかなければならぬというふうに考えておるのであります。
#41
○石谷憲男君 そこで、たまたま苗木問題が二、三出たのだけれども、市町村の造林能力に期待するとこういいましても、現実にその盛り上がりがやや具体的に相当なものを見せたというのは、ここ両三年の問題だ、私はそう思う。そこで実際苗木を林地に植裁をするという事業能力というようなものにつきましては、確かに持てる。同時にその後の保育、管理等につきましても、その現地に常駐するものとして最適格者であることも、これもよくわかる。しかし、少なくともこれが造林の成果を支配する優良な苗木なんだということを的確に判別して、そういうものを的確に購入をして、そうして造林をするのだというところあたりまでの責任を、造林者である市町村に持てということは、この段階では私はまだ無理があるのじゃないかというふうに考えるわけですが、きょうちょうだいしました業務方法書というものですか、によりますと、毎年造林者は実施計画というものを作って、実施計画というものについては、関係者の了解を得ることになっておるわけですが、そうしてその実施計画に基づいて造林者がみずからが苗木の購入をやって、そうして造林をする。そうしてその状況の調査をしたあとで精算もする、必要がある場合には前渡払いにしておいて、そうしてあとで精算をする、こういう仕組みになっておるんですね。そこで現実問題として、こういうことが私は十分あり得ると思う。そういう仕組みの上に立つ以上は、たとえば造林者である市町村が付近の苗木生産業者から苗木を買う。ところが、その苗木はたまたま不良苗木だというふうな場合がある。ところがたとえば市価、現在の杉苗は一本六円している。そこで、六円で供給したということにして、事実問題としては、不良苗木であるがゆえに四円で供給をしておるという場合におきましては、はたしてその苗木が六円に相当するとにかく優良苗木であるかどうかということに対する公団の選定責任というものはないでしょう。そこで、その六円の要求に対しては、あとから費用負担者である公団が金を払っていくのだ、こういうことになりますと、実際問題として、そういうことは私は起こり得るケースというものはあり得ると思う。そういうことが絶対起こらないだけの責任を、現実の仕組みを通じて公団が持ち得るということになりませんと、ただいま申し上げましたように、国にとってかわる責任というものは、苗木問題一つにしても、従来は官行造林事業で直接苗木を生産するか、自分たちが非常に吟味した苗木を購入するということによって、みずから造林した、その一点だけとらえましても、その点きわめて弱体化しておる、安心感が持てない格好になってくるというように思うのだけれども、そういうふうに業務方法書を通じて理解していいのかどうか。そう理解していいというなら、私はなかなか問題であると思うのだが、苗木問題一つ通しても、どうなんですか。
#42
○政府委員(山崎斉君) この業務方法書あるいは実施計画等の段階におきまして、それぞれの関係者の承認というか了解を得るという形に相なるわけでありまして、苗木の例をとって申し上げますと、お説の通りこれが造林成績に大きく影響するわけでありますので、公団といたしましてもこれには重大なやはり関心を払わなきゃいかぬという問題であるように思うのであります。従いまして、その実施計画には、前年度にいろいろ相談するわけでありますから、平常の場合には、そういう段階におきまして、公団といたしましては、優良なやはり苗木業者、しかもその苗木業者の苗畑等も調査いたしまして、どの部分に植えられて、植培されておる苗木を使うんだというふうなところまで、やはり指導を積極的にやっていくということを考えていかなきゃいかぬというように思っております。
#43
○石谷憲男君 それは利害関係者ですから、不良な苗木などを植栽されることは公団自体非常に困る、そういう関係においてある程度まで共同経営者としての立場における関与はされるだろうと思う。しかしながら、それはそれだけのものであって、現実にどういうことが行なわれるかということは、人のやることを監督するとか、指導するとかいうことであって、自分みずからがやるんじゃないんですからね。そこに私は質的に違った不安感というものが出てくるんじゃないか、従来の形式は国みずからの責任でやられただけに、そういう点は安心していいですが。
#44
○政府委員(山崎斉君) そういう点につきまして、まあ、その地元の実態というような点から考えまして、必要な場合には、やはり話し合いという過程を、相談いたしまして、造林者の了解を得るといいますか、そういう形で公団みずからが責任において優良な苗木を買って造林してもらうというようなことも可能であるし、必要な場合にはしなければいかぬというふうに考えておるのであります。
#45
○石谷憲男君 そういうこともあるでしょうけれども、元来から言うならば、今度の建前が造林者である者が苗木の調達をして自分みずから実行し、保育、管理の責任に当たっていく、これは要するに造林者がなすべき仕事になっているわけでしょう。そこでかりにいやだ、いや、私が責任を持ってやりますと言った場合には、その話は不調になるわけですね。本来の任務からいえば、これは公団の任務じゃないので、むしろ造林者の任務だというふうに規定づけがされているように読めるのですね。そこには往々にして誤りがあるということは、私は十分やはり予測してかかる必要があると思う。従来は誤りがなかった、建前上は。今度の場合には往々にして誤りが生ずるようなものに移行する。これは本質的な不安感がある。そういう点を要するに今後の運用上の問題としてでも、もうちょっと的確に明らかにされませんというと、私は依然として不安感が残ったままに見過ごされてしまうのではないかという気がするのです。
#46
○政府委員(山崎斉君) その点はお説のようにわれわれも考えているのでありまして、それぞれこの地元の町村が従来苗木その他のものに対してどういうふうな買い方をしているのか、そういう点も、十分契約あるいは実施計画等の段階におきまして、話し合いの上で公団としても安心できる、あるいはまた、これがひいては土地所有者、造林者にもいいわけでありますから、的確にそういういい苗木が植えられるという点につきまして、公団としても十分発言権も持っているわけでありますので、その点は注意して十二分にやっていかなければならぬというふうに考えます。
#47
○石谷憲男君 そこで、関係者はいいことだからとおっしゃるが、いいか悪いかという結論は三十年、三十五年たったあとに出てくる。そこでそれだからいいものをお互いに話し合って選ぶだろうと考えることは、私はこの点はややイージーな考え方じゃないかというふうに思います。そこで今後の運用上の問題としては、そういう点を一つ十分に検討される必要があるのではないか。そこでただいま申し上げましたように、そういったような不安感からしても、自分自身の能力、判断からして必ずしも十分な自信がない、しかし造林はしたい、そこで国に頼みたいのだというかりに地方がある。しかもなおかつ、この造林事業の手の及ぶ範囲にもまだまだ水源林造成の対象地も残っているという状況から見ますというと、私は官行造林事業でもやれるのだ、それからまた公団造林方式でもやれるのだという二つの方式を並用するというようなことがむしろ現実に合う方法じゃないかという一つの考え方も、これは出てくるように思うのだ。あえて官行造林事業は今後は一切これを廃止し、そうしてすべて公団方式に切りかえるというように勇敢に踏み切られたもう少し根拠を明らかにしてもらわなければならぬと思う。
#48
○政府委員(山崎斉君) この考え方につきましては、当初からいろいろと御説明いたしている通りでありまして、今後のやはり公有林なりいろいろなその他水源林等の重要なこういう地帯の造林というものにつきまして、経済的な負担というものを所有者にかけないで、また所有者等の自主的な経営意欲というものの向上の線にも沿って、やはりこの民有林の造林というものを進めていく、その場合におきまして、公団がもちろん従来の営林局長、あるいは県等におきましても、その技術的な面の指導その他を十分に果たしていくという形で、今後の民有林の造林というものに対処していくということが、大きい意味から見まして、最もやはりいい考え方でなかろうかというふうな見地に立って考えておる次第であります。
#49
○石谷憲男君 そこで次に、造林をやるといたしまして、その前提になるのは、費用負担者である公団と、二者契約の場合には土地の所有者との間に契約をいたされるわけですね。そういうことがその前提になると思うのだが、従来官行造林でやっておりまする場合には、その山村の住民と営林署ないしはその出先との間におきましては、さまざま多彩な事業関係を通じまして、相互の協力関係というものがあったのですね。そういうものの一環としてやはりよく現地の人の話を聞いた上でこの官行造林契約というものに応じたという事実があるわけです。今度はその相手が公団、公団というのはただ単に水源林造成事業というものだけをやるわけだ。そこにしかも長年にわたる協力関係というものは何もない。そういう事情の中にありまして、一体従来通りこの造林の前提たる契約事務というものが、しかも話し合いの上でスムースに進むという自信がありますか。
#50
○政府委員(山崎斉君) この水源地帯のこういう考えております造林につきまして、いろいろ県の何といいますか、民有林の造林政策、あるいはそれと関連しておられる方々、その他いろいろな面からの御意見も、私たちも十分聞いておるつもりでおるのでありますけれども、こういうふうに国が経営面のめんどうというものを十分に見る、また指導等もやっていくという考え方に立って、この趣旨といたしておりますところ、あるいはどういうふうにやるのかというふうな点を十分森林所有者の方々とお話いたしましていけば、これらの契約というものも大体できるのじゃないだろうかというふうに思っておるのであります。
#51
○石谷憲男君 要するに、これはあくまでも合意の上に立つ契約ですから、しかも、これがぜひともやり抜かなければならぬやはり計画造林だということですから、私はそういうことにつきましてもそうイージーにお考えになるということは、非常に問題があるのじゃないかというふうに考えます。しかも、この水源林造成事業と一口に言っているわけなんですが、これは従来から言われているように、現に保安林であるものの造林か、ないしは今後保安林にこれを指定するという前提に立ついわゆる保安林予定地の造林、こういうものを含めての造林か、その辺をはっきりしていただきたい。
#52
○政府委員(山崎斉君) これはお説の通り、現に保安林であるところ、並びに保安林として指定を今後していくことを妥当とするいわゆる計画地と申しますか、予定地というものを対象とするところということに考えておるのであります。
#53
○石谷憲男君 そうしますと、少なくとも将来はこれは保安林になるところですね、すべて保安林になるところ。こういうようになりますというと、保安林のことで、しかも水源林のことだから、あるいは禁伐対象ということは考えておらぬかもしれぬけれども、必ずしも契約満了と同時に、地上の立木を全面的に撤去してしまういわゆる皆伐方式で伐採するとは限らない。状況によっては成林の模様によってはもうそれを打ち切りにして、相当長期にわたって共同所有の地上権というものの撤去も考えなければならないという場合も出てくるんだが、そういうことは十分に承知の場合もこの契約事務を進められる必要があると思うのですが、その考え方ですか、あくまでも。
#54
○政府委員(山崎斉君) 水源涵養保安林ですか、これとしてのいわゆる事業の制限というものも一応あるわけであります。保安林の中では、比較的制限の度合いというものは弱いという性格のものであるようには思いますが、それにいたしましても、その流域におきます同種の保安林につきまして、その面積を伐期令級で割るというふうな限度にしか伐採させないという規定もありますし、また一団地十町歩以上の面積がくっついてはいかぬという制限があるわけでありまして、そういう面のこれによる制限はもちろん受けるということになると考えております。
#55
○石谷憲男君 三十年たてば、あるいは三十五年たてば、地上に大きく育ったものは半分だけは自分の方にもらえるんだということで契約に応ずる場合と、その時点近くになったときに、それは一ぺんにそうはいかないのだから、これは打ち切りにして、三回なり五回なりに分けなければならないという場合の応ずる気持とは非常に違ってくる。しかも、それがこの時点ではきまらぬ、おそらく先にいっておいおい見てきめるのだということになりますと、いわゆる契約事務というのは相当私はむずかしくなってくるというふうに考えるのですが、それでもやはり計画造林の契約事務というものが、大体円滑に進捗するという見通しと自信ありますか。
#56
○政府委員(山崎斉君) 三十一年に法律改正をいたしまして、自来この水源林の造成というものを進めておるわけでありまして、その場合におきましてもやはり造林、その計画予定地というようなものにつきましては、この水源林としての保安林になりまして、制約は受けるという前提に立ってその点もお話をしてやっていっておるわけであります。今後におきましても、そういう点の制限の程度が一体どういうふうになるかというような点も、十分所有者の方々にお話をいたしましてやっていきましたならば、契約の事務はできるのではないかというふうに考えておりますが、また造林制度にいたしましても、保安林予定地という形でそれの保安林の調査その他がいろいろ進んでいけば、やはり保安林としての指定もされるという場もあるわけでありますから、そういう点は十分関係の方々にお話をして進めていきたいと考えております。
#57
○石谷憲男君 既契約の場合におきましては、造林しておろうとなかろうと、今度の公有林野等官行造林法を廃止する法律案によりましても、従来官行造林事業としてやれるというふうな規定になっているにもかかわらず、三十六年度におきましては予算がない、こういう状況があるわけです。しかもなお、そういう前提に立って、おそらく現在の契約、国と市町村との間に合意の上で解約をして、そうしてまあ公団との間に契約をする、そういう切りかえをされようとしておるわけなんですが、そういう場合、合意解約に応じないという問題があり得る。そうすると、いかに説得をしても、やはり国がやったからやったのだと、こういうことになる、そうすると穴があく、穴があいちゃ困る、造林の場合には。どういう工合に考えておるか。さらにまた、こういうように今提案されておる法案によっても、既契約地というものは何ら支障なく行なわれるというなら、どういう問題であっても、制度が新しいものに移り変わるときには、いわゆる移行措置というものがあるのは通例なんです。移行措置があることによって、いわゆるこの移り変わりというものがきわめて円滑にいくということは、従来いわゆる水源林方式を官行造林に切りかえるときも、これは三回にわたって予算の移行措置というものを併用してきたという事実から考えても、私は当然移行措置というものがあってもいいように思うのです。それもこの際やれるようになっておるにもかかわらず、これをぴったりやめてしまって、不合理な解約というものをここに時間に限定されながらやっていくというような形に、これは切りかえに無理があるように思う、それをどういうふうに具体的に措置されてこれに移行されるお気持ですか。
#58
○政府委員(山崎斉君) 提案いたしております法律の趣旨からいたしましても、一方的に強制解約するというふうな筋合いでないことはお説の通りでありまして、話し合いの上で了承を求めて、その上で新しい行き方に賛成だということで解約をし、新たな公団との契約を結んでやっていかなければならぬ、こういうふうになることはまあ当然であるわけであります。その場合におきまして、何としてもやはり公団との契約は不賛成であるという方もいるということは、これは考えられるところなのであります。で、そういう方に対しましても、やはり法律の建前からいたしましても、国においてこういう造林をしていくと、官行造林、こういう形でやっていかなければならぬというふうに思っております。それでどうしても了承を得られない場合には、無理に得るということでなしに、官行造林という方法でやはり適期が過ぎないうちにやっていくというふうに考えていきたいと思っておるのであります。その場合に予算との問題でありますが、これはお説の通り、現在の官行造林事業費を十数億予定として組んでおるのでありますが、これには新植費という内訳はないのでありまして、御存じのように、民間造林事業というものが補助という形で予算が組まれておるわけであります。その中におきまして新植等に振り向けていくということは不可能ではないのでありますが、結局今までの官行造林事業費というものを、今までに植えましたものの手入れとかいうものを前提にして積んでおるわけでありますから、その節の中で他に流用等をいたしますと保育等で足りなくなるという問題が出てくるわけであります。それらの点につきましては、大蔵省とも十分話し合いまして、必要な予算の措置、あるいは予備費等その他のことも考えてやっていきたいというふうに考えております。
#59
○石谷憲男君 ところで、今後いわゆる新しい契約をしていこうとするもので、そうしてこれもまた同じように契約に応じないという場合も、これは十分に予想されております。そういう場合の一体措置はどういうふうに考えておりますか。公団方式による水源林方式は、その部分だけできぬということになる。
#60
○政府委員(山崎斉君) これは御存じのように九カ年というものを目途としてやっていくという考え方でおるのでありますし、その間におきまして、この新しい様式によります造林事業の達成というようなものも十分に関係の方方にあるいは調査をしていただくというふうなことをやる。また公団あるいは林野庁といたしましても、十分それらの方々にそういう点の認識を深めていただくような努力をいたしまして、この九カ年のうちには一つ契約をして造林をしていただけるように、全力をあげてPRをいたしたいというように思っております。
#61
○石谷憲男君 それは希望でしょうけれども、それにもかかわらずおれはいやだと言った場合には、これは強制力はないので、どうしても穴があく、穴があいちゃ困る。こういうことになるので、私は当然こういう場合の救済措置も考えていただかなければ、二十三万二千町歩に及ぶ水源林造成を計画的にやるという一連の事業においては、なかなか筋が通らぬ、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
#62
○政府委員(山崎斉君) 御存じの通り、官行造林でやるにいたしましても、その必要のあるところだったらということで、いわゆる強制的にまあ造林をするということも不可能なような実態にあるわけでありますし、この制度の認識というようなものを十分していただく、あるいはまあ実績等も十分見ていただく。また、われわれもそれに対してPRと申しますか、そういうものを十分にやっていくということで、九カ年間には所定のものができますように、一つ全力を上げて努力するというふうに考えております。
#63
○石谷憲男君 それではちょっと問題が違うのですが、まあ本日お配りいただきました資料の中にあるわけですが、過ぐる二月二十一日の日付でもって、あなたと自治省の行政局長の間に了解事項というものが取りかわされておる。これを読んでみますと、まあ新しい造林方式によるものが、公有林野等官庁造林法による官行造林よりも市町村にとって不利となることのないようすることを、まあ基本方針として、そうしてその第一番目に、分収割合は五〇%を標準とすることというのですね。五〇%というのは、土地所有者としての分収割合を五〇%とする、こういうことが書いてあるわけですが、そうしますと、いわゆる土地所有者としての立場における市町村に対するいわゆる五〇%の分収というものを、これを標準とすると書いてある。ケース・バイ・ケースだとおっしゃると思うのですが、実際問題としての運用は、この五割というものを確約するという前提に立って新しい制度の運用をなさるのですか。
#64
○政府委員(山崎斉君) これにつきましての書き方というものは、現在の官行造林法の施行令によります、まあ書き方と歩調を一にしておるのでありますが、これは私たちといたしましては、自治省との話し合いのもとに五〇%というものを市町村に対しては分収としてやっていきたいと考えます。
#65
○石谷憲男君 そこで、従来の官行造林の場合におきましても、五分五分と確約したことは何もないのであって、ケース・バイ・ケースでもって、計算の上に立ってやはり五分と五分の分収割合が適当だろうというふうに、そういう条件の契約をした、まあ私はそういうふうに理解している。そこで、新方式によります場合に、二者ないし三者の契約が行なわれる。三者契約が行なわれる場合に、まあその代表的なもののそれぞれの分収比率というものは、おおむねどういう範囲におさまるのですか、三者契約の場合は。
#66
○政府委員(山崎斉君) これは場合場合によって違うわけでありますが、大体の範囲と申しますか、標準的なものを見てみますと、費用負担者としての取り分は四割ないし六割、それから土地所有者の取り分が三割ないし四割程度、それから造林者の取り分が一割ないし二割程度というふうに考えております。
#67
○石谷憲男君 そうしますと、ただいまの了解事項で五〇%を標準としてとおっしゃるけれども、土地所有者の取り分というのはおおむね三割ないし四割だ、こういうことですけれども、実際運用は。
#68
○政府委員(山崎斉君) 実際的な運用といたしまして、土地所有者の取り分、もちろん幾らかの差は出るということは、場合によっては考えられるわけでありますが、大部分のものが三割ないし四割だというふうに御了解を願いたいと思います。
#69
○石谷憲男君 そこで、きょうちょうだいいたしましたこの資料から見ますと、一体、造林者というのはどういう費用の負担をするのですか。
#70
○政府委員(山崎斉君) この造林者の取り分がどういうものか、あるいは土地所有者がどういうふうになるかという点につきまして、いろいろ事例等をあげまして検討いたしておるのでありますが、その点は説明員の方から詳しく説明さしていただきたいと思います。
#71
○石谷憲男君 私の今御質問申し上げておるのは、この一般の場合に、造林者の取り分というものは一〇%ないし二〇%、こうおっしゃっておる。ところで、やはり造林者の取り分というものは、出し分があるから取り分がある。ところで、業務方法書の内容を見ますと、造林者の行なうべきことが、書いてある。ともかく、全部費用負担者であるものがその費用を見るということに読める、ずっと対照してみると。何にも出し分がないじゃないかと、こういうことになって、それにもかかわらず、こういう取り分があるのはどういうことか、こういうことを質問しておる。
#72
○政府委員(山崎斉君) 先ほど申し上げました点は、御必要があればあとから御説明することにいたします。造林者の取り分と申しますのは、もちろん、これは契約の内容によりまして、造林者が、実質上どの程度の負担というものが造林者にかかるかということを前提にして考えるわけでありまして、造林者が経済的な負担が全然ないという場合には、もちろん、造林者取り分がないということにもなるわけでありますが、一般的に分収造林というようなものを考えてみました場合に、造林者がやはりたとえば実施計画等を編成いたします場合には、その編成する人が市町村の吏員であったりする場合もあるわけでありますから、そういうものの負担は市町村がするのだ、あるいはまた、維持、管理等の部門におきまして、あらかじめ月に何回か見回るというようなことを契約して実施する場合には、そういうものは費用負担者で負担することになるわけでありますが、そういう場合以外にいろいろ現地におきまして、害虫等の発生のおそれがある、あるいは火災等の危険があるというような場合に、不時の場合等におきまして、造林者としてのやはりいろいろな見回りその他を考えていただくという場合等があるわけでありまして、そういうものをそれぞれ話し合いによってどういうふうに見ていくかという点をもとにして造林者の取り分というものを考えていくわけでありまして、そういうものを、いろいろなものを一切公団が見るというような場合には、造林者の取り分というものはなくなるというようにもなるわけであります。
#73
○石谷憲男君 非常に悪く考えますと、要するに、了解事項によって、とにかく五割というものをやや保障しておられる、市町村に対して。しかも、それははっきりと土地所有者としての分収歩合と書いてあるが、ところが、なかなかそうはならない。事実は、いわゆる土地所有者の市町村が造林者になる場合が非常に大部分である。そこで、造林者の取り分というものをこういうふうにとにかく設けて、双方合わせれば大体平均五割になるのじゃないかということで、その制度を運用しようとされておるのじゃないかというようなことを邪推してみたくなるのだが、私は、そういうことがありますといかぬと思う。やはり、はっきりすべきことははっきりしておいて、町村に対していろいろな点について便宜的な支援態勢をとるのだというような、その部分はその部分として加えて、厳にすべきものは厳にする、何となしにチャンポンにしてこれでいいじゃないかというような行き方というものは、私は好ましくない、こう思うのですが、そういう隠れた意図はございませんね、はっきりと……。
#74
○政府委員(山崎斉君) お説のような隠れた意図といいますか、こういうものは全然もちろん持っていないわけでありまして、土地所有者としてどうなるか、造林者としてどういうものを負担するのかという見地に立って考えていくわけでありまして、造林者として負担があればその分を土地所有者の取り分にプラスするという考え方で、はっきりといきたい、こういうふうに考えております。
#75
○石谷憲男君 これはですね。まあ言うまでもないことですが、この土地条件の悪い土地に分収造林をしますと、これはそうでないところに比較しますと、費用負担者の取り分というのが多くなるということにならなければ、これは理屈上おかしいと思うのであります。今度それを水源林造成一本にしぼって、土地条件というものは確かに悪い、それにもかかわらず従来いろいろと問題のあった五〇%というものを標準にして、しかも土地所有者の取り分として五〇%を標準として運用するということは、私はどうもこれは非常に矛盾ではないかというような感じがするのですが、そこで今申し上げるように、その問題はその問題として解決して、さらに市町村というものに対しましてはできるだけの応援態勢をとるんだというならば、それは別の問題としてつけ加えたらよろしいのじゃないかというふうに思うにもかかわらず、何かその辺がすっきりしていないように思う。どうなんですか、その点。
#76
○政府委員(山崎斉君) お説のように、土地所有者としての純粋な取り分は何ぼであるか。それに対しまして国として市町村にいろいろと財政的な援助をするというような見地から、いろいろなものをつけ加えて、何か別の政府としても考えるべきではないかという御議論も、まことに一つの考え方としてあり得るように思うのでありますが、この分収造林という形で、しかもまあ、地元の町村等の能力というものも十分活用して自主的に経営していただくというような趣旨から、今度の制度を考えているわけでありまして、むしろ、従来からのこの官行造林等の経緯等から見ましても、この単なる地代論というような面だけに、拘泥というか、とらわれた感じを持たずに、やはり分収率という点でそういうものを考えていくことが、市町村等にとっては非常に従来の経緯からいってもわかりやすいのじゃなかろうかというふうな見地に立って、これからの新しい制度を進めていく上からいっても、その方がいいのじゃないだろうかという見地に立って、こういう考え方をいたしているわけであります。
#77
○石谷憲男君 長官御承知のように、今までやってきた官行造林事業というものは、あくまでもやはり経済ベースに立っての分収比率というものをきめたもので、今の経済情勢の中でこれをいろいろ分析してみますと、確かに国の援助部分というものがあったのですよ、五分と五分。しかしまあ、それはそれなりに私はよかったと思うんです。ところが、今度は公団造林に移行するということになりますと、公団の本来の性格なり、またこの事業が、かりに水源林造成事業だといいながら、収益率こそ低いかもしれないが、ペイする事業だということになりますと、そういう見地からやはり従来のものよりもこの事業の経済性というものが私は浮かび上がってくると思うんです。そういう見地から、かりにこの分収歩合というものを考えていきますと、全くこれもつじつまが合わないということになるのです。そういう立場から、一体その分収歩合の考え方というものを検討されたことがあるのですか。少なくとも従来の官行造林事業よりも、この公団造林事業ということになった以上は、そこで経済性というものが浮かび上がってくるという感じを一般の人は持つ。公団というものはそういう性格のものです。さらに無利子とはいいながら国からの出資を受けてやるんですよ、この仕事は。そうするならば、そこにできる限りのやはり経済性というものを保持する立場を堅持しながら、分収比率というものを研究をしていく、妥当に取りきめていくということなんです。市町村に対して国がじかに応援をするという態勢ならばこれはわかるのです。公団という格好のものが金を借りて仕事をやっていく、それが純粋に経済的な比率の上に立たないで、応援部分があるんだということは、やはり何かしらん矛盾に満ちた論理のように思う。そういう御検討の結果はどうですか。
#78
○政府委員(山崎斉君) お説のように、公団というものが事業をやるという点からいたしまして、まあ経済性というものも考えなければならないのじゃないかということは、ごもっとものように思うのであります。また一面から考えまして、公団という国の機関というものが、特にこういう重要な地帯の造林をやるわけでありますから、公団といたしましても、公団という性格からいって、純粋な経済的なものの追求というだけのまあ性格でもないようにも思うのでありまして、そういう点がやはりこのこういう地帯の造林というものを円滑に進めていき、また進めていく上から申しまして、それぞれ市町村等が従来官行造林等で長くやってきました制度、やり方というものとの切りかえというような点も、非常にわかりやすくと申しますか、納得してやっていただくという点からいって、五割というものを考えていくということは、まあ政策的な見地に立って考えました場合に適当じゃなかろうかというふうに考えているのであります。で、お説の通り、五割というものが土地所有者の取り分としては多いのではないかという点は、お説のように私たちも考えているのであります。
#79
○石谷憲男君 そこでですね。公有林についてはそういうように運用をせざるを得ないでしょう、そういう了解事項があれば。ところが、水源林造成の対象地というものは、決して公有林だけじゃないのであって、一般私有林も含まれている。おそらくその中にはかなり零細規模な森林所有者の土地もある。これが農林大臣の指定によって水源林造成の対象地になったというようなものもおそらく含まれるのじゃないか、そういうことになる場合があると思うのですが、そこで、一般私有林に対しましては、従来通り水源林造成は四分六分で運用するのですか。
#80
○政府委員(山崎斉君) 先ほど御説明いたしました通り、私有林等につきましては、土地所有者の取り分といたしましては、大体三割から四割程度ということを、まあ標準と申しますか、標準といたしまして、個々のケースに応じて一つ考えていきたいというふうに考えております。
#81
○石谷憲男君 どうして公有林に対してはこういうような了解を与えながら、私有林の中においてもかりに大規模な森林所有者が持っているというのはやはりこれは別に考えても、なけなしの小規模の森林所有者の持っているものが、たまたまこういうところに該当したという場合に、それはやはり私有林であるがゆえに四分六分ないしそれ以下のもので運用しながら、この公有林に対してだけこういうような措置をされる、そういう点がどうもはっきりわからないように思うのですが。
#82
○政府委員(山崎斉君) 私たちがこの五割というような点を考えたのは、やはりそれがまあ所有者が公共的な性格を持つものである。それがまた分収率ということで、収穫されるという段階に相なりまして、公共団体全体としてのそれがまあ福利その他に大きく貢献するという見地に立って、まあ特別に考えているわけでありまして、私有林という範疇におきまして、それらの点をどういうふうな程度のものは特別にまあ考慮をすべきかというような点にも、いろいろと問題点もあるわけでありまして、私有林に対しては先ほど申し上げましたように、大体三割ないし四割というところを標準として個々の場合に応じて考えていく、こういう線でいきたいと思います。
#83
○石谷憲男君 この公団方式の分収造林をおやりになろうとしているんですが、この場合のいわゆる分収歩合というもののきめ方が妥当でないと、それはそのまま一般の分収造林の促進にさまざまな影響を与えるということは御存じの通りだと思う。従来文句なしに五分々々でやってきたということが、一般の分収造林の進展を、地域によっては相当程度にはばんでいるという実例があったことは御承知だと思う。従って、そういう際にこそ、全体的に見渡して合理的な分収歩合というものを取りきめて、それによって運用していく。特に市町村等の場合においてこれを援助する必要があるというならば、それは別な問題として援助を考えていく、こういうふうにされないと、私は政策としては一貫性を欠いてくるのじゃないかということを非常に心配するわけですが、その点に対するお見通しはどうですか。
#84
○政府委員(山崎斉君) 一般の分収造林等も分収造林特別措置法の制定に伴いまして漸次拡大してやっているように思うのであります。一般のそういう形において行なわれております分収造林の土地所有者としての取り分は、今お話しました大体三割なしい四割前後というところが、一般的なもののように考えているのでありますが、そういう点からも関連いたしまして、一般造林等とはこの対象がはっきりと区別されている地帯に、今後公団等で造林をやっていく、しかも市町村というようなものに公共的なそういう所有のものというようなことに限定して特別な考慮を払っていく、こういうふうなことになって参るわけでありますので、それらの点は従来官行造林等が従前におきまして一般経済林、比較的便利な一般経済林というようなところで、民間の分収造林等と相競合するというふうな場所というふうなものではないのでありまして、そういう点は従来のようなまあいろんな問題というものが比較的少ないのじゃないかというふうに考えております。
#85
○石谷憲男君 次は、さまざまな意味合いの反対論がある中で、直接国有林野事業に従事しておった側の人の、これはおそらく当然の不安から来た反対論だと思うのだが、要するにこれに従事していた職員の切りかえというものが行なわれるのじゃないか。あわせて一般的な労働条件の低下がもたらされるのではないかという不安、これはやはり国有林事業の責任者としては絶対そういうことがないならばないということをはっきりさせられなければならぬと思うのですがね。それについてこの機会に一つはっきりしていただきたいということと、あわせて御存じのように官行造林事業というものは、今から四十年前から始まった。その当時は官行造林事業だけをやる官行造林署というものがあったことは御存じの通りなんですが、それが現在の営林署になった。そういうところは元来国有林がないのです。そこで官行造林事業だけで大体従来の事業があった。そういう営林署担当区というものは、まず数少なくないと思うのだが、これは何とおっしゃろうと、全面的に公団に移管されてしまいますと、こういうことによってやってきておったこの部分というものは、おのずから縮小するなり廃止するなりということをせざるを得ないということになるだろう。そのことに伴って配置転換等も相当大幅に行なわれなければならぬというふうな心配もまた、これはあわせて私はあると思うのです。そういうことに対しまする一つ所見を明確にしていただきたい。
#86
○政府委員(山崎斉君) 職員の問題につきましては、いわゆる定員内職員と、そうでない、まあ労務関係の作業員というふうに二つに分かれておりますが、定員内職員につきましては、従前官行造林事業として定員内職員それから常勤労務者合わせまして五百八名を定員として持っておったのであります。今度の官行造林法を廃止いたしまする措置に伴いまして、この五百八名を減少するというようなことは、全然予算としても考えていないのであります。むろん五百八名というものは、従来通り国有林で働いていただく、定員として考えていくということに相なっておるのでありまして、それの首切りというようなものは全然ないというふうに考えているのであります。
 それから第二の労務者の作業員の問題についてであります。官行造林に関係しております作業員は、これを雇用区分別に見てみますと、常用労務者が百六名、定期の労務者が千七十六名、月雇いの労務者が二千三百七名というふうにおるのであります。これらの労務者の方々が全部新しい植え付けということに関係しておるわけではなくて、大部分がやはり過去に植えましたものの手入れという仕事に、人数からいえば大きく関係しておるというような事情にもあるわけでありまして、官行造林の仕事が新植ということがなくなることに伴いまして、ここ三年ないし四年間に漸次雇用の量としては減少していくということになると思うのであります。が、国有林自体にいたしましても、午前中に申し上げましたように、造林事業の量的な拡大というものも三十六年度としても考えておるのでありまして、引き続いてやはり量的な増大をはかっていかなければならぬ、また質的にも植え付け本数がふえる、あるいはまた手入れの回数をふやすとかいうことによりまして、造林の面だけについて考えてみましても、国有林自体の雇用量、労務者を必要とする量は相当増加するわけでありますので、現在三十五年度に先ほど申し上げましたように、国有林で使っておりました常用、定期、月雇いの方々につきましては、国有林自体の責任におきまして首切りというようなことなしに雇用していきたいというふうに考えておるのであります。
 それから第二点の官行造林専門に当初設立された営林署もお説の通りあるわけであります。それらについて見てみますと、高知管内の徳島あたりがその尤たるもののように思われます。これは今まで二十八年度末にありました国有林の面積が三千七百五十九町歩であります。これに対しまして官行造林の既植栽面積が五千七百四十七町歩というような形に相なっておるのであります。これにおきましても、二十八年度に保安林整備の臨時措置法ができまして、国有林で保安林を買い入れるという仕事も積極的にやって参りまして、十六万町歩ばかり買ったのであります。徳島営林署の管内におきましては、今まで買いました国有林の面積が七千八百二十七町歩と相なっておるのであります。また今後買い入れをする予定が同じく七千九百町歩というようなものを買い上げる予定にも相なっておるのであります。この点から見ましても、官行造林の今回の措置によりましても、徳島営林署というものは廃止されるというようなことにはならないというふうに考えておるのであります。また、大阪営林局管内の松江の営林署につきましても、大体これと同様の考え方でいけるように思っておりますし、山口、それから津山営林署、福井の営林署、岐阜の営林署、それから富山の営林署、飯田の営林署、こういうふうに、それから平塚の営林署でありますが、こういうふうな従来の官行造林を大きくやっておった営林署等も、大体買い入れ等の関係もありますし、むしろ営林署というものはどうしてもここに残して、場合によれば、今後の買い入れでもふえますと、営林署の増設等も考えなければいかぬというふうな事態にあるわけでありまして、営林署をこういうことで廃止するようなことには絶対にならないというふうに考えております。
#87
○石谷憲男君 そこで、今おっしゃることは必ずしもわからぬわけじゃないけれども、必ずしも官行造林がなくなった営林署に買い入れ対象が多いわけでもない。それから一定規模の国有林というものを管理するということが、やはり末端機構の整理条件になっているわけだね。そういうことになりますと、官行造林事業が全然なくなることによって廃止の運命に逢着するような営林署というものはあり得る。そういう場合には、積極的に国有林を買い入れしても、絶対に営林署という機構というものは、いわゆる制度移行によって廃止するということは絶対ないという言明ができるかどうか。それから営林署はまだわかるとして、担当区のごときにおきましては、確かにその存在というものが無意味になってくるものが出てくる。そういう担当区についても、そういうことが言える。
 それからもう一つは、配置転換によって決して離職する者はないようにすると、こうおっしゃっている。その御方針けっこうだと思うけれども、いわゆる定員内職員は別にしまして、定期、常用、月雇いの作業員というものは、これはやはり造林事業推進の、官行造林事業推進の中核なんです。やはり造林の技能というものは高いし、指導能力もある。なればこそ、そういった作業員になっているということなんだ。そういう者を全面的に国有林野事業に配置転換して、そうしてあとは公団、市町村にまかせるといっても、この造林事業は、新しい方式の造林事業というものは責任が持てますか。内部の配置転換でやるということはけっこうなんだ。けっこうなんだけれども、そうするならば、この精鋭隊というものを国有林本来の事業に吸収してしまう。そういう中核隊というものをとっちゃう。そうしておいて、従来と同じような、従来以上にいい成績を上げるように正確にやっていくということが、実際問題として言えるかどうか。
#88
○政府委員(山崎斉君) 最初の営林署の問題でありますが、この保安林の買い入れという仕事は、御存じの通り、やはり民有林の形で存在いたしまして、国が維持、管理するということが必要な背梁山脈地帯のような所を買っているわけでありまして、国有林が従来その管内にあまりなかったというふうな営林署にやはりその買い入れというものの重点が向けられるということは御承知の通りでありまして、今度の措置によりまして、営林署を廃止するというふうなことは絶対ないというふうにお含み願いたいと思うのであります。それから担当区の問題でありますが、御承知の通り、担当区は、国有林の造林事業の進展、あるいは収穫量の増大等に伴いまして、現在におきましても、計画的に相当量の増設を担当区についてはやっておるわけでありまして、場所の移動という点は、もちろん後年度においては、ある程度あるということも考えられるのでありますが、この買い入れ保安林のあり方並びに国有林自体の事業の増大というふうな点から考えまして、担当区自体も今後計面的に相当増大していくという方針で進んで参りたいというふうに考えておるのであります。
 それから作業員の問題でありますが、お説のように、従来官行造林の仕事をしておりました人を全部国有林に雇用してしまうという形におきましては、地元に困るという場合ももちろんあるように思うのであります。国有林といたしましては、これらの人々、従来定期で働いていただいた人、あるいは月雇いで働いていただいた人、こういう人を国有林が雇用するということによりまして、その定期の期間というものを縮小する、あるいは月雇いの期間を縮小するとかいうようなことは、国有林としてはもちろん考えてないつもりで仕事を仕組んでおるのでありますから、地元等で造林にどうしても困る、ある程度の指導的な人が必要だという場合には、これらの人々にもその市町村等が行ないます新植等の期間は、その仕手に働いていただいて、それが終わった時点から、従来と変わらない条件で国有林がまた雇用するということを責任を持ってやっていくという形で、現実の問題とのギャップのないように進めていきたいと思います。
#89
○石谷憲男君 もう一点ですが、そうすると、本人と合意の上でそういうことをする、それによって支障はない、新しい形の造林をやっても支障はない、ということですね。
#90
○委員長(藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#91
○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。
#92
○北村暢君 私は、去る二十日の予算委員会におきまして、自治省と林野庁において結ばれました了解事項の問題について質問をいたしたのでございますが、この質問に対しまして、両大臣とも、質問をしたときには御存じでなかった。二日置いて、農林大臣から協議をして答弁するということで答弁があったわけでございます。しかしながら、そのときの答弁については、今速記録を持って来ておりますが、大臣は非常な誤認をしておるようでございます。速記を読み上げれば明確なんでありますけれども、誤認をしておるようでございまして、私としてはその答弁を納得しなかったわけでございます。従って、きょうは、この点について私は予算委員会に続きましてこの了解事項の白紙撤回をするように協議をして答弁をしてもらいたいということでございましたが、その質問に対しては、撤回するともしないともお答えがなかったわけでございます。
 そこで、最初、農林大臣がおれば一番いいのでございますが、おられませんから、自治大臣に初めにお伺いいたしますが、この了解事項は全般にわたって幾つかの問題点があるのでございますが、きょうは第二の(1)の項にあります「公有林野の縮小を促進するような政策は原則としてとらないこと。」、このことについてしぼって私はお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、自治大臣は――林業の基本問題調査会の答申案にあります公有林野の対策の中で、実質的な部落有林並びに部落有林ではないが、地元利用施設としての薪炭林、地元利用的な薪炭林、こういうようなものについては家族経営の林家というものを作っていく上においてこれは売り払いを行なうべきである、こういう答申を行なっているのでありますが、これについて自治省は一体どのように検討を加えられたか、どのような考え方を持っておるか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#93
○国務大臣(安井謙君) この部落有林等を個々の人に払い下げていったらいいじゃないかという趣旨の答申があることは私も一応存じておりますが、この地方自治体あるいは公共団体がその共有の林野をできる限り有効に育成をして造林をしていくということは、結局そこの住民の全体のためにもなることが多いと思いますので、払い下げをしちゃいかぬという意味じゃございませんが、するのについては十分そのケースについて検討した上で、むやみに個人の私有に帰することはどうかと思っております。
#94
○北村暢君 ただいまの見解につきましてこれは農林省とお打ち合わせになっておられるのかどうか、合意に達したのかどうなのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
#95
○国務大臣(安井謙君) 今申し上げました趣旨につきましては農林大臣とも了解を得ております。
#96
○北村暢君 それでは農林大臣が見えましたようでございますから、農林大臣にも一つこの点をお伺いいたしたいと思いますが、農林大臣の先般の予算委員会における保留質問に対する答弁の速記録を見ますと、大臣はこのように言われておるのです。「公有林野に関する縮小は原則として将来考えていきたいと、こういうふうな覚書があるについて、」という全く反対のことを言っておるのです。この覚書は、「公有林野の縮小を促進するような政策は原則としてとらないこと。」ということになっておるのです。これに対して大臣は、「縮小は原則として将来考えていきたいと、こういうふうな覚書があるについて、」、こう言っておるのですよ。これは速記録を大臣は読まれたかどうか知りませんけれども、全く反対のことなのです。これはあげ足をとるわけじゃないのですけれども、何か私は大臣の頭の中に公有林野というものは将来縮小をしていくのだ、こういうことがあったんじゃないか、それがはからずもこういうふうに出たのじゃないか、このように感じておるのでございます。しかもそのあとの方におきましては、ただいま自治大臣が答弁されたようなことで、「農業基本法の成立後十分にその地元々々の実情に沿いまして、あるいは民間に移してやったらよろしい場所もありましょうし、また、共同経営でやらせたらよい場所もありましょうし、また一面、直営事業として自治体が経営しておって、それを通じて地元民に経済的な好影響を与えるということもできましょうから、いずれにいたしましても、今直ちにばらばらにするという行き方でなくて、原則としてそういう問題を考え合わしていこうという覚書の趣旨のようであります。」、このように答弁されておるのですよ。でありますから、この答弁が私の質問しているのと全く一致しておらない。大臣の認識は、覚書自体の認識がもう違うのです。覚書は原則として縮小することを促進するような政策はとらないといっているのに、将来とるというこの覚書があるについてと、こういうふうにいっている、全く逆の受け取り方をされておりますから、これはどういう間違いであったのかどうか。
#97
○国務大臣(周東英雄君) それは私は覚書をあのときも申し上げたように読んでいなかったのです。あなたの方の御質問に対して、原則として縮小しないということについては、という答弁であったつもりであります。
#98
○北村暢君 それではこの速記録を直しておきませんと、とんだことになりますよ。速記録は明らかにあなたが覚書と全く逆のことを言っているのですから、これは訂正しておかないというととんだことになります。
 そこでお伺いしたいのは、これの原則としてということでもって大臣は逃げようとしておりますけれども、原則だから例外はあるのだ、従って縮小するようなこともあり得るのだ、このような解釈のようでありますが、私はこの基本問題調査会の答申案については明らかにそういう認識には立っておらない、原則として縮小することがあり得るわけです。従って私は自治大臣にお伺いいたしたいのは、一体公有林野というものの認識をどのように持っておられるのか、非常に複雑ですから、公有林野というのは。この複雑なものに対して、今言ったようなばく然とした答弁でなくて、どういう状態のものについてどのように対策をするのか、これを一つ明確にしていただきたい。どうですか、自治大臣からお答え願いたい。
#99
○国務大臣(安井謙君) 今の御質問でございますが、これは問題が起こった場合に個々のケースとして払い下げ云々の問題は考えなければならない場合もできてくるということは当然だろうと思うのでありますが、全般といたしましては村有林にしろ、部落有林にしろ必ずしもだんだん払い下げて縮小を原則としていくという方向はわれわれとしてはとるべきでない、こう考えているわけでございます。
#100
○北村暢君 それでは基本問題調査会の答申と、あなたの今の考え方とは全く違いますよ。そうすると、この基本問題調査会の答申案の考え方は、町村名義になっている部落有林はもちろん、町村の薪炭共有林的な地元利用のものについてまでこれは売り払いの対象としてやるべきだ、こう言っているのです。それ以外に市町村の直営の林野というものがあるのですよ。それはそれで助長しなさい、しかし、権利関係の慣行等複雑なものについては、これは売り払いをやるべきだと、こういう答申になっておるのですよ。だから、あなたの今の答弁は原則として払い下げないのだと、こうおっしゃるから、これは答申とは非常に違うのです。面積的にいってもこれは膨大なものになるのですよ。簡単にいく問題でないのです。でありますから、あなた、答申の通りにやるのかどうなのか、その点はっきりお答え下さい。これは自治省と農林省見解が違うのですから、お互いに聞かないとだめだ。
#101
○国務大臣(安井謙君) あまり見解が違うとも心得ておらぬのですが、答申の中には、なるほど御指摘のような趣旨が相当強く織り込まれておるようでありますが、答申案の通り、自治省としてやるというわけには参らぬと考えておるわけであります。
#102
○北村暢君 農林大臣は一体どのように考えておられますか。
#103
○国務大臣(周東英雄君) 私は過日の予算委員会においても、あとの方で御答弁を申し上げておる通り、基本問題調査会の答申というものは、もちろん重要な参考資料として今後の林野行政にあたっての指針といたしますことは当然でありますけれども、ただいま御指摘のように、従来から部落の入会になっておるとかいうところは、むしろそれは地元住民のために払い下げていった方がいいのか、あるいは使用権の設定をしていった方がいいのか、あるいは部落の入会のままに持たせつつ共同使用を認めたらいいのかということは、場所的によく考えていく方がよろしいので、必ずしもその原則通り、払い下げていくということの答申があったからそれをしなくちゃならぬとは私は考えておりません。
#104
○亀田得治君 ちょっと関連して。この問題は、私たち林業全体のあり方の問題として非常に重視しているわけですが、北村君が予算委員会等で質問した経過等から私たち聞きますと、この覚書、了解事項は、両大臣が知らないうちにどうもできているようです。あるいは多少知っておったかもしれないが、文章それ自体はよくごらんになっておらない、でき上がる過程において。で、まあ当然盛らるべき中身のものが盛られておるのなら、これはそういうこともあっていいと思うのです。ところが、一方でこの基本問題調査会でお互い相当専門家が検討して、公有林についての考え方を出しておるわけですね。相当明確に出しておる。もちろん、これは基本問題調査会の結論そのままを政府が御採用になる役務はない、ないけれども、それはおのずからそこに重要な結びつきがあるということは、これはだれだって常識的に考えておるわけです。少なくともこの重要な調査会が問題を提起しておるのに、その点をよく検討しないままで、一方で別な方向のものを役所同士が覚書として作ってしまう、これは私は少し行き過ぎじゃないかと思う。おそらく私は腹の中じゃ両大臣とも、これはちょと僭越だというくらいに考えておるのだと思うのです。こういうただいま課題が与えられておらないならいいですよ。その点はどういうふうに感じておられますか。一方でこういう重要な調査会がこういう問題を投げかけておるのに、まあいろいろ説明はされますけれども、大体の方向としては、やはり違った方向のものが最後の責任者でない者によって、しかも官庁間の取りきめとして書かれておる。私ははなはだこれは遺憾だと思うのですね。そこら辺の、主として手続上のことのようなことにもなりますが、その辺のことはどういうふうにお感じですか、両大臣、これはもうこれでいいのだというふうなお考えは私はまさかなかろうと思います。
#105
○国務大臣(周東英雄君) お話の点も御意見としてよく承っておきますけれども、私は先ほども申しましたように、基本問題調査会の答申、重要なもので参考にいたしましてやりますけれども、今申し上げたように必ずしもそのまま……、そこでだいぶ強く部落有林あるいは市町村有林も分けているように出ておりますが、それがそのままに誤解されて、実際上は入会のままで使用権設定をしたり、あるいはこれを払い下げるという方がよろしい場合もありましょうし、そういう意味合いでもう少し市町村財政の確立ということもありましょうし、りっぱにやっておって部落のためになっているというところは、その答申があったからといって、その答申の通りに払い下げたり分けるということは不適当であろうということで、そういうことで両関係局長の間で覚書をしたことは、これはただ委任された権限の範囲内でやったことであります。しかし、先ほど申しました通り、いろいろ今後の農業基本法等の制定後における土地造成あるいは牧野の造成というものに関連いたしまして、実際的にどういう運用をするかという場合には、さらに検討して措置すればよろしいかと思いまして、覚書は両方の行政の運用に関する措置の申し合わせでありますし、これは今後の運用と相待って、どういうところはどうしたらよろしいか、それがそのときに非常に弊害になる場合には両省で話し合いをされてこれを改訂するということもあり得ると思います。私はそれは地方自治体における財政的また実際上うまく動いているものは、答申に沿ってまた型通り動かしてもいかぬという覚書であったと思います。
#106
○国務大臣(安井謙君) 今農林大臣がお答えになったことと同じだと思うのでありますが、自治省といたしましては、地方の団体がそれぞれさらに今後とも森林経営について充実さしていこうという相当の意欲もあるようにとれておりますから、これをはなからただ原則として部落有林から落としてしまうのだというふうに考えるのは行き過ぎでありまして、これは今の個々のケースについて十分検討する必要があるが、原則としてはそういう方針をとらないということを事務当局同士で相談したことで私もこれはもっともだと考えております。
#107
○亀田得治君 自治省の方にちょっとお伺いしますが、了解事項の第二の小さな一に今の点が番いてあるわけですね、この条項がなければ全体の了解事項に同意せぬ――それほどこれは重要なことになるのでしょうか、この了解事項について……。
#108
○国務大臣(安井謙君) こうしなければ同意せぬとか同意するとかというように逆に考えられますと、いろいろ答弁のしにくいようなことにもなりますが、これはこういうふうな方針でいったらよろしかろうという合意に達してこの覚書になっているということで、そうでなければ今度はどうだというふうには今私どものところでは考えておらぬわけであります。
#109
○亀田得治君 少なくとも公有林野の扱いについては、全体の農業構造のあり方に関連をして問題になっているわけです。何かこう、こういうものが出て参りますと、やはり純粋な理論的な筋というものが曲がってくる。これは大臣、そんな首かしげていますけれども、実際上両省の責任者がこういうふうにちゃんと判を押しておれば、それは農林省の審議自体だって曲がってきますよ。私は基本問題の答申もありまするし、また皆さんも実際上の立場に立ったりしていろいろ研究をされてその結果こういうものが出てきたということなら、これは一つの方向として了承する。ところが、今出ている官行造林の問題に関連をして、こういう一項目がここに入り込んできている。こういうことは、農林漁業全体の問題をじっくり筋を通していこうというやさきであるだけに、はなはだおもしろくない。だからそんなに意味の強いものでなければ、まあ了解事項全部というものを白紙にできなくても、少なくともこういうものはやはりお互い話し合ってないことにしてもらう。この考え方を否定するという強いことまでは要求しません。ともかくこういうことはないものにしてもらう。あるいは再検討の結果、全体の林業問題の討議の中でまたこういうものがきまることがあってもよろしい。少なくとも今の段階でこういうものが部分的にこう出されてくるということは、これはちょっとわれわれとしては了承できないのだな。だから白紙にしてほしいわけだが、その点ちょっとできないとかというのじゃなしに、少しこうそれほど重大なものでなければ検討してもらっていいのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。しかも大臣たちの知らないうちにどうも入った条項のようですけれども。
#110
○国務大臣(周東英雄君) それは今亀田さんのお話のことをただいま私はお答えしているつもりであります。少なくとも基本問題調査会の意見の少しきつ過ぎた一つの答申がある。だから私は参考にして、あれをそのままほっておくと、なかなか役人というものはきめたものを金科玉条にして動く場合もなきにしもあらずですから、原則としてはみな分割するのだということでも困るだろう。そこで自治省なんかのお考えもいれて、そこを話し合いで覚書をこしらえて、原則として縮小はとるべきでないという覚書もできておる。これも「原則として」と書いてありますから、先ほど言ったように、今後における実際の運用にあたって、「原則」と書いてあるからいいようなものの、実際上そこは払い下げたらよろしいというようなお話があるとすれば、それはそれによって運用をはかる、運用によって決定すればよろしいし、やはり実態については、これは亀田さんも北村さんも御承知でしょう、むしろ部落有林にしておいて利用権を設定しておいてよろしいし、必ずしもこれを払い下げる必要もない。いわんや個別に分散させるということは共同利用林なんかではかえっておかしい。そこらは運用によって解決するのであって、覚書は覚書として一つの方針を示したけれども、それは「原則として」となっているのだから、非常に妙なことになれば、またこれを運用によって改正するということもできる、こう思っております。
#111
○亀田得治君 関連ですから、一応この程度にしておきます。
#112
○北村暢君 ただいまの大臣のお話ですというと、了解事項というのに大した重きがなくて、運用上でやっていけばいいじゃないかというような感じのようですけれども、一体この基本問題調査会の答申案に基づいて、農林大臣は林野庁にこれを政策化するところの六つの機関を設けて、そうして政策化するための委員会というものを設けておるでしょう。それの会議が今日まで一体何回持たれたのか、ほとんど一月、二月と、この了解事項を結ぶまでには総合的な会議すら持たれてないんですよ、検討する。それは一回くらいあったかもしれない。部会として一体どのくらい会議を持たれたのか。全然会議も、答申がいいか悪いかを論議する会議すら、役所に設けて、これから政策化する会議すら持たれていない。
 それからもう一つは、私は、答申だから、その通りやるやらない、そういうことを言っているんじゃない。出てきたものが、それが政策化されたものがいいか悪いか私どもはそのとき判断すればいいのですから、そういうことを言っているんじゃないのですが、今言ったように検討してないんですよ。まずそういうのにあらかじめこういう了解事項をとってしまうということは、これは大体土地部会ですか何かやる気がなくなってしまう、仕事をやる気が。一つの指針を与えたといえばそうかもしれませんけれども、これは非常におかしい形です。
 それからもう一つ、あなたは、部落対策協議会ですかの答申案も出ておるはずです。これは自治大臣見られたことがありますか。農林大臣どうですか。
#113
○国務大臣(周東英雄君) まだその答申案は見ておりません。
#114
○国務大臣(安井謙君) 同様でございます。
#115
○北村暢君 出ておることは出ておるのですか。
#116
○国務大臣(周東英雄君) 出ているそうです。
#117
○北村暢君 出ているそうですって、大臣、そういうことを、普通答申案なんというものは、出たら翌日新聞発表になるものですよ。しかもこれは諮問をして答申を出されておる。部落有林に対する対策ですよ。これは内容は私は知りません。出たということだけは知っておる。こういう段階において、一体、これは三月の十七日に出て、この了解事項は三月の二十一日か二日に結ばれているんでしょう――二月ですか。その部落対策協議会の答申案なるものは、基本問題調査会の答申案よりもさらにきついものが出ておるということを聞いておる。きついかきつくないか内容は知りませんけれども、きついものが出たと聞いておる。それくらい今日部落有林というものは非常に大きな問題になっておる。そういうものをあらかじめこういう了解事項で、原則として縮小を促進するようなことはやらないんだという了解事項をきめてしまうということははなはだこれはおかしいんですよ。これは国の経費を浪費してあなたたちは答申をやらしておるようなものですよ。そういうことは一体許されるのでしょうか。答申なんというものは、発表してないというのはどういう理由なんですか。
#118
○政府委員(山崎斉君) これは部落有林の上実態の解明を両三年来やっておるわけでありまして、そういうものをもとにいたしまして、今後部落有林、特に入会権というようなものをどういうふうに持っていくのがよかろうかということにつきましての大体学識経験者を中心とする数人の方がお集まりになり、検討の結果を林野庁長官に出していただいたわけでありまして、これもまた今後の行政をやって参ります上の一つの重要な参考資料というふうに考えているのであります。
#119
○北村暢君 林野庁長官に答申せられたことはわかっております、あなたが諮問したのですから。しかし、大臣にこういう場所で恥をかかせるようなことで、あなたは補佐の責任というものは、もうそれは私はどうかと思うのですね、その行政のやり方は。大臣に何を聞いても、しゃべっていたことがわからない。了解事項一つわからない。今度の答申もわからない。これで一体大臣の補佐が勤まるのか。しかも今一番問題の中心になっている、今あなたが出している法案に関係のあるこれは部落有林の対策の答申ですよ、これは。この法案の審議とも非常に関係のある――私はあとから資料案をいたしますが、非常に関係のある問題なんです。それを黙っているということは、これは私は責任問題だと思いますがね。そういうやり方というものは大臣、いいんですか、こういうことを許しておいて。どうですか。
#120
○国務大臣(周東英雄君) そういうふうな答申のあった場合にすみやかに示してもらうようにいたしませんことには私の知らないことがあるかもしれません。がしかし、よく答申を見まして、今後善処をいたしたいと思います。
 ただ私は、先ほど申しましたように、必ずしも自治省等の見解におきましても、市町村におきましても、部落有林とあるいはその市町村有の林野というものが分割して払い下げられる、あるいは全体として払い下げられるということでなくとも、それが先ほど言ったように使用権の設定をしたり、あるいは共同で伐採したり、共同で持つように払い下げるということもありましょう。いろいろな場合に違うのだから一がいに全部分割払い下げをすることを原則とするという書き方に対して注意をして、むしろ部落有林に関係する地方民の便宜をはかろうということで覚書が出ていると思います。従って先ほど申しますように、そこに不都合があるならば、今後における答申その他を見て実際の運用上、しかと農林大臣として措置をとっていくつもりであります。
#121
○北村暢君 それじゃお伺いしますがね、今度の基本問題調査会の答申案による公有林対策の基本的な考え方は、従来明治以来官民区分がなされて、そうしてこの入会権というものを公権化政策をとって、公有林政策というものを推進してきた。今度の答申案は明らかにこの公権化の政策を私権化することの政策に踏み切った、そういう重大な制度上の変革をこの答申はなされているわけです。これについて自治大臣、農林大臣は従来のこの公権化政策が私権化政策に変わったことについてこれは認められるのか、認められないのか。どうですか。
#122
○河野謙三君 ちょっと関連して。私は先ほどから北村委員のこの基本問題調査会の答申について、別なというか、ちょっと違った解釈を、字に表わしたものだけでなしに、その意図するところを私は聞いているのですがね。それは全部の委員には聞いておりませんけれども、私が聞いている範囲では、あの答申の精神は、公有化とか私権化とかというようなイデオロギーの問題ではなくて、今までのように町村林もしくは部落林をほとんど縛りつけておくようなものでなしに、将来一番大きな問題は、労賃が上がってくるだろう。現に上がっている。そうして一人日当が千二百円ということになってきたときに、今までのような形で町村有、部落林でおくことは、管理において非常に事欠く時代がくるであろう、であるからそれについては今までとは違って、今後の経済情勢の変化の起こったときにもう少し弾力性を持って、先ほどから大臣が言われるように、ケース・バイ・ケースでもう少し幅の広い態度で臨んだらいいじゃないかという意味が基本問題調査会の答申であって、まあ字句に表われている点はそこまで書いてありませんけれども、そういうところを意図しておるのだということを聞いておりますが、大臣はこの基本問題調査会の答申と同時に、今まで基本問題調査会の委員の方にお会いになって何かお聞きになったことがありますかどうか。もしなければ、今後、私は全然別な解釈を聞いておりますから、聞いていただきたいと思うのですが、どうでしょう、それは。
#123
○国務大臣(周東英雄君) 今の河野さんのお話でありますが、私も一、二の方には聞いておりますが、そういうふうな問題、もちろん考えがあったようです。私はそういう問題も聞いておりますが、それ以外の北村さんのお尋ねに関して申し上げたいことは、現在部落有林、あるいは町村有林として持っておるものを、実際うまくいって、地元も非常にそれで恩恵をこうむっておる、こういうところは何も全部払い下げていく必要はないじゃないか。こういう点が誤解があってもいかぬというところで申し合わせをしたのであります。先ほどから繰り返し申し上げているように、この点はケース・バイ・ケースによってものを考え、あまり今までのように一律に縛らないでおく。必要があるならこれを払い下げる。あるいは払い下げの方法につきましても、個別に払い下げた方がいいのか、共有の形に持たせるように払い下げた方がいいのか、あるいは使用権の設定によって持たせる方がいいかということを私は個別にきめていった方がいいじゃないか、こう思うのでありまして、従ってそういう意味の申し合わせをしたので、その答申にあるいは非常に違反するとか、あるいはそれと同じようにやらぬのか、非常に違った方向に持っていくのかというようなお尋ねでございますが、場合によってはその申し合わせと違った原則以外のことも出て参りましょうし、あるいはその原則に書いておいた覚書が非常に運用に困るということならば、先ほど申し上げましたように、農林大臣として善処をいたします。これは北村さんなり亀田さんの御趣旨には決してたがわないのだ、こう思っております。
#124
○国務大臣(安井謙君) ただいまのに関連して、公権を私権化するような精神でこれは出ておるのかどうかというような問題につきましては、これは主務大臣の御判断にまかせるべきものでありますが、われわれ自治体を管理監督いたしておる方の側といたしましては、自治体全体が従来いわれておりますような公有林の経営に不十分なところもあるというような点は認めますが、さらにそれには十分財政的の措置等も今後考えて、先ほど河野委員の御指摘になりましたように、管理の体制自体を強化し合理化していくという方向でものを考えたい、こういうふうな方針でおります。
#125
○北村暢君 今の自治大臣の見解は、これは基本問題の考え方ともう非常に差がある、違います、今の答弁はですね。従って基本問題の答申の考え方を賛成できないならできないで、これでいいのですけれども、答申をそのままやれということを主張しているのじゃありませんから、今考え方として自治省は、確かに私は公権化説から私権化説に変わりつつある、このことについて反対だということは知っておるわけです、自治省に反対の意見があるということは。それはまあ対立しているのですから。でありますから、その点はそれでいいと思います。今後これを調整して政策化をしなければならないわけですね。ところが、もう簡単にこの了解事項でもって「原則として」と、こういうことになっている。じゃ、原則として公有林野を減らさないというのだが、農林大臣のケース・バイ・ケースでもってやっていくということからいっても、問題は、この部落有林野というものがほかの公有林やほかの民有林に比較して非常におくれた形にある、これは山林の形態からいっても、その実態が出ております。調査会の資料にも明確に出ておって、ほかのいろいろなものにおくれておるということが出ております。人工林においても少ないし、天然林も、しかも広葉樹の天然林が多い、荒れているところが多い、こういう実態にある。それはどういうところに原因するかというと、いわゆる慣行的な、前近代的なこの権利関係があるために、思い切った施策がとられないから、こういうおくれた形になっておる。従って、この権利関係を今農林大臣のおっしゃったような形にするにしても、旧来の権利関係というものを近代化しなければならないということは答申案の中に明確に出ているわけなんですよ。権利関係を近代化する、これは明確に出ておる。しかも、その権利関係を明確にする中に、まずできるところは、この私権化をしなさい、こういうことになっておる。さらに基本問題調査会の答申では、その私権化する場合、とんでもない細分化していくことが、山林経営の上からいって合理的でないものについては、いわゆる農家経営の、適正規模の林家を作るために、一部のものにはこの権利放棄をしてもらって、集中をして、そうして二十町歩単位等によるそういうものを作っていきたい、こういう思想というものが明確に出ておるわけなんですよ。だから従って、自治大臣の言われる管理体制を強化して、悪いところは改めてということは、これは入会権というものを抹消して、そうして公権化していくという、今までの考え方が少しも変わっていない考え方なんです、自治大臣の考え方は。従って、所有者の個人的な入会権というものをこれを解消していく、こういう形、それも公権化する、公有化することの方向に変えていこう、管理体制に変えて持っていこうという、そういうことなんです。これは明らかに基本問題調査会の答申と違うのですよ。そういう非常に、市町村の公権に近いものはそういうことがあり得るかもしれませんけれども、そうでないものは私権化しなさいという答申になっておる。従って、この答申案をまじめにやっていくというと、相当なものが私権化せられる、こういうことが起こり得るのであります。しかしながら、答申は答申で守らなくともよろしい、ケース・バイ・ケースでやるんだ、そういう方針ならばそれでいいんですが、それは出てきたときにやります。しかし問題は、これの結論は、大臣の感じとしては出ている、基本問題調査会の答申は少しきつ過ぎるから、少しゆるめたいという感じは出ておりますけれども、肝心かなめの結論を出すための政策化の作業がまだ全然進んでいない、そういう段階でワクをかけてしまう結果になる。従って、私は先ほど亀田理事も言っておりますように、こういうものはもう少し了解事項として、ぴったりきめないで――原則としてやらないということになっている、私権化することはできないということになりますよ、実際問題として。大体部落有林野というものは自治大臣、どれくらいおありになると思っておられるのですか。
#126
○国務大臣(安井謙君) 私はしろうとでございますから、あまり詳しいことはよく知りませんが、大体市町村は百二十四万町歩くらい、財産区と称せられるものを含めた部落有林が五十八万町歩くらいというふうに承っております。
#127
○北村暢君 承っておるのじゃなくて、あなたそのくらいのことは、今問題になって出てきておるのですからちゃんと知っておいてもらいたい。
#128
○国務大臣(安井謙君) ちゃんと僕はメモに書いて持ってきております、そのくらいのものは。
#129
○北村暢君 それで市町村有の、実質部落有林というのは五十七万町歩、財産区が十八万町歩あるわけでしょう。この財産区についても、実質部落有林については、これは権利関係を近代化しなさいということになっている。これはまあばらばらにするということだけではもちろんないですよ。いろいろな形がケース・バイ・ケースである。それは答申案も認めている。そういう中で当然この私権化ということが出てくるというと、これは公有林というものが面積的に減らすことは間違いないのですよ。これは全然私は原則としてやらないという方針であれば別ですけれども、これは五十七万町歩もあるやつを全然やらないつもりなんですか。自治大臣どうなんですか、原則としてやらないのか。
#130
○国務大臣(安井謙君) この第二項の一できめておりますのは、公有林全体の縮小をやるというような方針をとることは原則としてやらぬということでありますから、先ほども、最初にも申し上げましたように、個々の条件――ケース・バイ・ケースについては、これは十分考えるべき問題があろう、こういうふうに解釈をしておるわけであります。
#131
○北村暢君 それではお伺いしますが、町村合併促進法の期限はこの七月で切れるわけですね。それについて、これを継続するということになるようですよ。なるようですが、その場合、市町村の財産としての国有林の払い下げをする、こういう問題があるわけです。これに対して、基本問題調査会の答申案の筋からいえば、これは私はもう国有林というものは市町村財産として払い下げるべきでない、こういう考え方を持っている。従ってその場合には、この国有林については払い下げないための法律改正をやるべきである、このように考えるのです。というのは、大体この基本問題調査会の答申案の趣旨は、今後の町村財政というものは財産によって行なうべきでなくて、税によって市町村財政というものはまかなうべきである、こういう方針が基本問題調査会で出ておるわけです。従って町村の町村有林というものについては、基本的に財産として町村有林を持つということはやるべきでない、こういう考え方が基本問題調査会の答申に出ているのです。従って今のお話を聞くというと、市町村全体として減らなければいいわけですから、自治省の考え方としては。従ってこの部落有林等について私権化して減ったものについては、町村合併促進というような形でその場合の国有林というものを町村の財産として払い下げる、こういうことで補うことが、代償ができるというと、そうするというと、部落有林というものは払い下げるということも成り立つ。従ってそういうようなことまで勘案して、これが原則として減らさないということ、縮小するということがない、こういうことになっているのかどうなのか、これはどうですか。
#132
○国務大臣(安井謙君) この覚書で取りかわしておりますのは、いわゆる公有林という観念で、全体として扱っておるのでありますので、今の北村さんの言われるようなケースもあり得ると思います。また、将来市町村が払い下げを受けるというふうになり得るものであるとわれわれは心得ております。
 それから基本問題調査会が地方団体の財政までいろいろ御意見を賜わっておることは、それは参考としては十分伺いますが、これは一がいに財産収入を度外視しろというようなことも、これは一方的に言葉の通り受け取るわけにはいかない。これも十分実情を考えた上で判断するのでなければ、地方団体の財政というものは、それ自身やっていく方法もいろいろあろうと思います。
#133
○北村暢君 継続するか、しないか。
#134
○国務大臣(周東英雄君) 私は、北村さんのお尋ねでありますけれども、将来合併促進法が延期されて、国有林野の払い下げができるから、そういうところは補いがつくから払い下げたらどうかというようなお尋ねもありますが、主として市町村なり部落の財政の基礎を固めるということも一つですけれども、問題は、持っておる部落林なり公有林を払い下げることが地元住民のためにいいのか、従来通り持っておって、これを使わせてやるのがいいのかという具体的の場合できむべきものであって、一がいにこれは所有させるべきであるというようには、実際上おかしいのではないかということの見地に立っておりますから、ケース・バイ・ケースによってきめたらよかろう、こういうことでありまして、従って、ただいまほかに補いがなくても、今のような国有林の払い下げによって補いがつくか、つかぬかという問題がなくとも、もし払い下げることがその地区において必要ならばやったらよろしいし、もしもそれが不利であって地上権を設定してやった方がいいというならば、その方向をとるべきだと思います。
#135
○北村暢君 そういうことを今農林大臣に聞いたんじゃなくて、町村合併促進法が継続された場合に、国有林の払い下げということを継続するのか、しないのか、これは継続するということを約束されたと言われるけれども、どうなんですか。
#136
○国務大臣(周東英雄君) それは継続する考えでおります。
#137
○北村暢君 私は、この了解事項、それから町村合併促進法の継続で、継続に伴う国有林の払い下げを継続するということ、これらのことは、少なくとも、基本問題調査会の答申案とは私は軌を一にしておらない、考え方を一にしておらない、このように思います。しかし、基本問題調査会の答申案に対する批判は、今、自治大臣なり農林大臣が持っておられる、これは自由ですけれども、非常なやはり基本問題調査会の答申案とは違ったものであるということだけは、私ははっきりしていると思います。こういうような点について、私は、なぜそれじゃあ私権化することについて反対せらられるのか、その理由を自治大臣にお伺いいたしたい。どういう点でその私権化することには賛成できないのか、どういう支障があるのか。
#138
○国務大臣(安井謙君) これはその今のお話で、そのケースについて考えて私権化することが適当なものについては必ずしもやらぬと言っておるわけじゃない。しかし、一応こういう制度全体を要するに縮小するというような方向に初めからきめてかかるということには、自治省としてはどうもうなずけないということで、専門家である林野庁長官と行政局長との間でこういう趣旨の取りかわしができたのであります。
#139
○北村暢君 そうすれば、現在の自治法の中で、この入会慣行権を私権化するということは、自治法の建前からいって可能なんですか、可能でないのですか。
#140
○国務大臣(安井謙君) 事務的な技術的な法律論であるようでありますので、事務当局にちょっと説明をさしたいと思います。
#141
○説明員(岸昌君) ただいまの点につきましては、北村先生も御承知の通りでございますが、地方自治法に、財産、営造物の慣行使用権として、その使用権につきましては、旧慣によると書いてあるわけでございます。地方自治法の建前といたしましては、そういう公有林野の財産、営造物、それから、それを使用する権利は使用権、こういう建前になっておりますものでございますから、私どもといたしましては、学説上はいろいろ御意見もございますけれども、使用権はやはり公法上のものである、こういう考え方に立っておるものでございます。
#142
○北村暢君 従って、今の答弁でいくというと、これは入会権を解消して私権化する場合には、これは地方自治法二百九条の条項によりまして、これは町村議会の議決を経なければならないということで、これは私権というものは押えられておるのですよ。従って、公権が優位に立って、どんなに私権化しようとしても、町村議会が議決をしなければこれはできないわけです。そういうことになっておるのだが、あなたは今、私権化することもあり得るというのですから、ケース・バイ・ケースであり得るというのだから、その場合には、法律改正を必要とするのですよ。だから、その法律改正をする意思があるのかどうか、私はお伺いしておる。
#143
○国務大臣(安井謙君) それはあり得ると思うのです。必ずしも法律改正を要すると心得ていないのですが、これは私、法律はしろうとですから、はっきり言えませんが、私の考え方とすれば、今の議決というような手続によってできないものじゃない、こういうように思います。
#144
○北村暢君 全くしろうとの大臣を相手にしておるのは、話が進まなくてとても困るのですが、あなたの言っておる、できる、できないという問題は、その町村議会の議決を要することが今まで私権を押えておるのですよ。
#145
○国務大臣(安井謙君) それは法律じゃない。
#146
○北村暢君 法律ですよ。
#147
○国務大臣(安井謙君) 法律を変えぬでもいい。
#148
○北村暢君 だから、法律を変えないというと……。
#149
○国務大臣(安井謙君) 今の法律を変えなくとも、議決を経ればできるのでありますから、それは村の代表者がそういう議決をやることによって、それがいいという状況なら、それはできる、こういうことを申しておるつもりであります。
#150
○北村暢君 そのことが法律学者の中で論争になっておるわけなんでして、いかに私権化することが実情に沿うておっても、議決をするというところで、今まで明治以来ずっととってきておるこの公権主義というものが、公権化の政策というものが入会権という私権というものを押えてきた。従って、この二百九条という地方自治法の条項は、重大な私権というものを押える条項なんです。これを改正しない限り、簡単に、あなたの言われるケース・バイ・ケースで私権化できるなんて、こういうことにはならない。あくまでも議決を経るということは、公権優位主義なんですよ。公権優位なんです。だから、この自治法の基本的なあり方について、今度の基本問題調査会の林野関係の答申については、地方自治法のそういう制度の根幹に、触れる問題だから、自治省は猛烈に反対しておるわけですよ。そこに農林省と自治省が今後しっかり話し合わなければならない問題が出てくる。いいですか。そんな、あなた、今言ったようなこまかいことが話し合いされない中で――今言ったように何が何だかわからない、大臣自身が。わからない中で、こういう縮小を促進することは原則としてやらないんだなんていう了解事項を作ってしまうということが、私はそもそもいかぬといっているんですよ。従って、これらは、私は、まずこういう了解事項というものを取り除いて、実際に自治省の基本問題調査会の答申案に対する考え方と、農林省はじっくりここで協議をすべきなんです。大臣も、その点については、非常に重大なことなんですから、これは地方自治の制度にとって非常に重大なことなんですから――制度上の重大なことなんです。従って、これは単なるこの林野問題の入会権じゃない、建物とその他の問題にも影響してくる問題だから、だから私はやかましくこの点を、この了解事項をとったということは、しかもその論議、審議、検討というものが十分なされない中で軽くこういうことをきめてしまうということは、公権主義、私権主義というイデオロギー上の問題じゃないと河野さんは言われたけれども、これはあなた、大へんな問題なんですよ。考え方の差ですね、出てきます。だから私はこれをしつこく今言っている。どうですか、これ。そういうようなところがわかればわかるほど、結んだことがおかしいでしょう、これは。そういうふうな理解にならないですか。
#151
○国務大臣(安井謙君) 非常に入り組んだ個々の状況、実例、むろん私は専門家じゃございませんから、詳しいものを知っておるわけじゃございませんが、原則として公有林を減らすという原則をとるまいということは、主管庁である農林省とも打ち合わせたが、しかし実際問題として、そういういろいろな非常に複雑なケースについては、これはまた農林省なり自治省同士でよく打ち合わせをして、事実上の問題にそごを来たさないようにこれは処理するつもりでありますが、そのためにこれを結んだのが一がいにいかぬというふうには今私は考えておらぬわけであります。
#152
○北村暢君 いかぬというふうには考えておらないということ、結んだことがいかぬというふうには考えておらないということのようですけれども、これは今後基本問題調査会の答申案を政策化する上において、非常に大きな支障になることだけはこれははっきりしております、支障になることだけは。これは私どもは、悪く解釈すれば、この官行造林廃止法案、森林開発公団の一部改正案この法律を通すために――先ほど石谷委員からいろいろ説明がありましたが、全く矛盾だらけですよ。不備だらけですよ。そういう非常に無理な法律を通すために、あわてて自治省と交渉をして、そうしてこういう了解事項を取りつけて、まあまあこの森林開発公団法に反対をしてもらわないようにということでやられた形跡が濃厚にある。これを一体交渉されたのはいつから交渉されたのですか。この了解事項をやられたのは。あなたの方の自治省の行政局長は林野庁から公団法の改正についていつ相談を受けたか。これは時期的にちょっと明確にしてもらいたい。
#153
○国務大臣(安井謙君) はっきりした事実は私もよく存じませんが、ことしになって早々であったように思います。
#154
○北村暢君 このことの了解事項を取りつけるについて、これは二月の二十一日に結ばれているんですが、この法案が出たのは二月の中過ぎだったかと思うんです。大体法案が出てきた。地方自治体があちこちでうるさくなってきたということで問題がわかってきた。自治省の中にも反対意見が薄々あるというようなことが出てきて、私は、あわててこういう了解事項を取りつけて、林野庁が何歩も引き下がって、基本問題調査会の答申案について何歩も引き下がって、そうしてこの了解事項を取りつけてまあ公団法の改正を通す。これはね、邪推じゃないけれども、そういうふうに思われる節が多々あるのですよ。これはあわててこういう了解事項を作った。そういうような点からいって、これにはほんとうにこの基本問題調査会の答申案を検討されてこういうものがなされたのじゃなくして、非常に政治的に、しかも両大臣の知らない間にこういうことが了解事項として取りつけられちゃった。こういう事態からいたしましても、あっさりこういうわけのわからない、大臣の知らない間につけられた、あってもなくてもいいような了解事項であったならば、こんなもの撤回したっていいじゃないのですか。こだわる必要はないのじゃないのですか。また逆にいえば、あったってへでもないということになるかもしれない、大臣からいえば。言われるかもしれないけれども、私はそういう点からいって、この了解事項を結ぶいきさつからいって不純ですよ、これは。不純ですよ少なくとも。だから私は了承できない。だからこれを撤回してもらいたいということを言っているんです。いろいろ聞いてみれば聞いてみるほどもっともでしょう、どうですか。
#155
○国務大臣(安井謙君) 非常に造詣の深い北村さんのお話で、うんちくを傾けておられるので傾聴をしていることも大へんあるのでありますが、そのそこから先の御批判の部分については、これは御解釈ですから、われわれとしては今このことを取り消すつもりはございません。
#156
○亀田得治君 私もこの了解事項を拝見して大へん奇異に思っていたわけですが、ちょうど問題が出ているわけですから、もう少し確かめておきたい点があるのです。それは農林大臣からも先ほど来何回かこの問題についてのお答えがあったわけですが、多少自治大臣との考え方と違うように私感じているのです。それでまあ私の方からちょっと申し上げますから、そういう意味かどうかという点を結論的にはっきり農林大臣からお答えいただきたいと思います。大臣の考えからいきますと、そういう了解事項はどういうふうに書いてあるかわからぬが、ともかくあなたの考えとしては、公有林野の払い下げ等の問題についてはケース・バイ・ケースで考えていくんだ、現在のところはそれを売り払う、あるいは売り払わない、そういう原則的なことは大して考えておらない。ケース・バイ・ケースで考えていくんだ、こういうまあ何といいますかね、安井さんよりも非常に幅のある、とらわれない考え方に立っておられるように思う、考え方が。そういうふうに理解していいかどうか、まあこの了解事項は別のこととして、考え自体を一つ。
#157
○国務大臣(周東英雄君) これは先ほどからたびたび申し上げますように、自治大臣と別に考え方は変わっていないですよ。とにかくどっちも、先ほど申したように、少し原則ということを欠いて両極端の議論をしておられるような気もするのですよ、私は。基本問題調査会の答申も、原則として売り払うというようなことが書いてある。それはもう実際にあたっては合わぬ場合が多いのですから、そこでまた原則としてこちらはこういう考えでいこうという申し合せをしておる。これは原則と書いあるから迷うこともあると両省の長官は考えてやっておりますから、ケース・バイ・ケースで考えますと、こう申しておるわけであります。
#158
○亀田得治君 そうすると、大臣の考え方自体は今のお答えではっきりしました。この基本問題調査会の答申と了解事項とがおのおのの極端をどうもとっておるようだ。そういうふうに解釈なさっておるようですね。そういう受け取り方をしておられるように今感じたわけですが、それは間違いないですね。
#159
○国務大臣(周東英雄君) これは原則という字の置き方でそういうふうに受け取られるのです。先ほども北村さんのお話によると、基本問題調査会も公有林というようなものは私権化することが原則だとおっしゃるけれども、これはやはり実際に合わぬ場合が多いようですね。これは北村さんも百も承知です。これはこれからの農山村の問題を考えるときに、その事態に応じてやっていくということは先ほどからたびたび繰り返しておる通りです。おそらく基本問題調査会もその点は考えておると思うのです。
#160
○北村暢君 私は、極端とおっしゃるけれども何も極端なことを、私の私見を言っておるのではないのですよ。私の基本問題調査会の答申に対する解釈が誤りであればこれは改めたいと思いますが、私は基本問題調査会の条文を読んでもいいのですよ、ここに持っておるからね。読んでもいいのですがね。私は基本問題調査会の答申をそのまま言っておるのですよ。だからそういう点では何も極端なことを言っておるわけではない。しかし、あなた自身から言わせれば基本問題調査会の答申はちょっときつい面がある、それはそうなんです。そういうことでしょう。これは先ほどから何べんも言っておるように、相当根本的な制度的な改革なんです。これはそれを含まれておることは御存じでしょうね。従って、私は先ほどから言っておるように、河野さんはそういうことではないと言いますけれども、公権化の方向から私権化というものを取り入れるという、ケース・バイ・ケースということはありますよ、実態において共有の方がいいとか、共有にするにしても今までの古い慣行による前近代的な権利ではなくして、権利関係は明確に共有にしても切りかえなさいと、こういうことになっておるのですね。たとえば市町村という名義の部落有林ですね。名義は市町村、実際は部落有なんですね。そういうものについて名義を改めて、そうしてこれは個々に分けないで共有にする場合にしても、共有の名前をはっきりして共有の形を、権利関係を近代化しなさいというのが基本問題調査会の答申の趣旨でしょう。そうして私権化できるものは私権化しなさい。ケース・バイ・ケースですよ、これだっていわば。そういうことになれば自治大臣が先ほど言っているように、いわばこれは町村の議会の議決を経ればいいのでしょう、こう簡単にあなたは言うけれども、それはそうはいかないのですよ。これはこの二百九条の問題が改正をされないというと、そういう権利を近代化することが、町村側に近代化することは町村の議決によってできる。ところが、私権化することについては市町村の議会はいまだかつてこれはやってきてないのですよ。やれない。その問題があるのです。だから、私はイデオロギーの問題でないという立場を、イデオロギーとか何とかじゃなしに、権利を近代化することは、この自治法の二百九条の問題にひっかかってくるのだ、そういう検討がまずあなたの認識からやはりされておらないのですよ。私の理解からすればされておらない。そういうような段階なんだから、ぜひ一つ私はここで十分協議をされて、原則として公有林野を縮小を促進するようなことは政策はとらないということになるというと、これはもうまるっきり基本問題調査会の答申を無視したことになると思うのですよ、まるっきりね。ケース・バイ・ケースでやったら、これは必ずこの条項というものは私は改められなければならない、このように思います。
#161
○国務大臣(安井謙君) 北村委員からいろいろ非常に御注意があった点、私権化の問題というようなものは、これは一つ主管当局とも十分協議はし、また、答申についてその後の問題として検討はいたします。しかし同時に、今のこの私権化といいますか、手続の問題として市町村議会の議を尊重せんでもよろしいというようなことは、これはにわかにちょっと自治体の建前からとれまいと思いますから、そう簡単に法律を改正してやるのだとかいうふうには私どもは考えておりません。しかし、実際の措置についてはまた十分検討いたしまして、答申は答申として十分検討したいと思います。
#162
○委員長(藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本案については、本日はこの程度にいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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