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1960/04/28 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第38号
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1960/04/28 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第38号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第38号
昭和三十六年四月二十八日(金曜日)
   午後一時五十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員仲原善一君、岡村文四郎君及
び安田敏雄君辞任につき、その補欠と
して鳥畠徳次郎君、高橋進太郎君及び
松本治一郎君を議長において指名し
た。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     藤野 繁雄君
   理事
           秋山俊一郎君
           櫻井 志郎君
           亀田 得治君
           東   隆君
   委員
           青田源太郎君
           石谷 憲男君
           植垣弥一郎君
           河野 謙三君
           高橋進太郎君
           重政 庸徳君
           田中 啓一君
           鳥畠徳次郎君
           阿部 竹松君
           北村  暢君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           棚橋 小虎君
           千田  正君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   水産庁次長   高橋 泰彦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   経済企画庁水質
   調査課長    森  一衛君
   通商産業省企業
   局工業用水課長 藤岡 大信君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○漁業権存続期間特例法案(内閣送
 付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、永岡光治君及び後藤義隆君が辞任、その補欠として小林孝平君及び岡村文四郎君が選任されました。また本日、安田敏雄君が辞任、その補欠として松本治一郎君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(藤野繁雄君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
 石谷憲男君から理事を辞任したい旨の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(藤野繁雄君) 異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
 ついては、理事の辞任に伴う補欠互選は、便宜委員長から指名することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(藤野繁雄君) 異議ないと認めます。よって委員長は、理事に櫻井志郎君を指名いたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(藤野繁雄君) 漁業権存続期間特例法案(閣法第一五〇号)予備審査を議題といたします。
 本案について御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。なお、本案に対する関係当局の出席者は、水産庁から高橋次長及び林田漁政部長、通商産業省から藤岡工業用水課長、経済企画庁から森水質調査課長が出席であります。
#7
○亀田得治君 昭和三十四年の三月から、公共用水域の水質の保全に関する法律並びに工場排水等の規制に関する法律、こういう二つのものができまして、そうして汚水の問題についての対策を一歩前進させる、こういうことに相なっておるわけですが、この問題についての全般的な責任官庁は、企画庁のようですが、その辺のところをまずお聞きしたいわけですが、だれからでもいいです。
#8
○説明員(森一衛君) 公共用水域の水質の保全に関する法律は、昭和三十三年の十二月二十五日に公布いたされまして、四月一日から実施いたしております。で、経済企画庁におきまして、この法律に基づきまして水質基準を作成して、そうして公共用水域の水質の汚濁の原因となる工場、事業場その他公共下水道等から排出される排水の規制をするということになっておりますので、昭和三十四年から調査を実施いたしまして、ただいま調査を継続中でございます。水質基準を定めます場合におきましては、関係の公共用水域につきまして指定水域として指定いたしまして、その指定水域に廃液を排出する汚濁源につきまして水質基準を定めるということになっておりますのですが、まだこの法律の第五条に基づきます指定水域の指定はなされておりません。ただ、今までに、企画庁におきまして調査をしている北海道の石狩川と福岡県の遠賀川につきましては、調査をおおむね完了いたしましたので、水質審議会の水質基準設定に関する特別部会を設けまして、ただいま専門家の調査審議を待っておるわけでございます。企画庁といたしましては、できる限り早く指定水域を指定しまして、水質基準を設定したい、こういうふうに考えておる次第であります。
 以上が大体の概況でございます。
#9
○亀田得治君 そうすると、せっかく法律ができたけれども、まだあまりその法律の中できめられたことが進んでおらぬようですが、そういう点について若干問題点を聞きたいわけなんですが、まず、この問題についてのこの基本計画、調査のための基本計画を企画庁が作るのだと、全国的に。何かこういうふうに義務づけられておるわけですね。この調査の基本計画というものはできているのでしょうか。
#10
○説明員(森一衛君) この法律の第四条によりまして、調査基本計画を作成するということになっておりますので、法律施行後、全国的に、各都道府県によりまして、水質汚濁の問題を生じている水域につきまして、調査資料を得まして、おおむね百二十一水域が取り上げられまして、それらの水域につきまして、調査の順序、調査水域の範囲等につきまして基本計画を作成すべくただいま準備を進めております。すでに水質審議会の諮問を経まして答申を得ておりますので、それを尊重いたしまして、企画庁は策定の上公表をいたしたい、近々公表をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#11
○亀田得治君 そうすると、第四条に基づく計画はできたわけですね、計画自体は。
#12
○説明員(森一衛君) さようでございます。
#13
○亀田得治君 それは、参考に資料として御提出願えますか。
#14
○説明員(森一衛君) すでに水質審議会の答申を得ておりますので、上司の許可がございましたら、御提出申し上げることができると思います。
#15
○亀田得治君 じゃそれはぜひ一つ、この漁業問題と非常に関係が深いわけでして、要望しておきますから、御相談を願いたいと思います。
 そうすると、調査をするための基本計画はできていて、その計画の中で百二十一水域が取り上げられておる。そのうちの石狩川と遠賀川については相当な調査ができたと、こういうことなんですね。それで、その百二十一の水域おのおのについて、そういう、何といいますか、こまかい調査をやっていって、その上で、どの水域のどの部分を指定水域にする、その水域についての水質基準と。この水質基準というのは、水域ごとにきまるわけですか。
#16
○説明員(森一衛君) 指定水域と申しますのは、水域ごとに指定いたしまして、その指定水域ごとに、当該指定水域に適応する水質基準を設定するという建前に法律がなっておりますので、そういうふうにいたしたいと考えております。
#17
○亀田得治君 その水域の中には、これは海も入るわけでしょうね。
#18
○説明員(森一衛君) 公共用水域と申しますのは、この法律の第三条に定義がございまして、沿岸海域は沿岸海域としてこの公共用水域の中に入りますので、当然指定水域は沿岸海域についても行なわれるということでございます。
#19
○亀田得治君 この百二十一取り上げられておる水域には、たとえば伊勢湾とか、東京湾とか、大阪湾とか、こういうものはみんな入っているのですか。
#20
○説明員(森一衛君) 調査基本計画の中には、ただいま仰せられました水域は全部入っております。
#21
○亀田得治君 まあ石狩と遠賀川だけが調査ができたと。ちょっとテンポが何かおそいように思うのですがね。この一年間かかって二つくらいでしたら、これずいぶん先のことになりますが。
#22
○説明員(森一衛君) 私の説明が非常に不十分でございましたので、多少誤解を招いたようでございますが、三十四年度におきましては七水域を調査いたしました。その後三十五年度におきましても七水域を調査いたしまして、すでに十四水域着手済みになっております。三十六年度におきましても、七水域につきまして調査予算を獲得いたしましたので、ただいま調査の準備を進めておるわけでございます。そして、昭和三十四年度におきまして調査をした七水域につきましては、すでに調査が完了しておるわけでございまして、その資料に基づきまして、基準設定の準備を進めております。従いまして、近々、ただいまの二水域に続きまして、江戸川と淀川につきまして部会を設けて審議をお願いしようというふうに考えておる次第でございます。その他の水域につきましても、三十五年度の調査部分につきましては、まだ若干調査すべき点もございますので、それらが終わり次第準備を進めるようにしたいと考えておるわけでございます。
#23
○亀田得治君 一年に七つずつ取り上げておられるようですが、そうしましても、百二十一ですと、まあ大きいのも小さいのもあるでしょうが、算術平均でいけば十六、七年かかるわけですね。十六、七年もかかったんじゃ、それはあなた、前に調査したやつがまた古うなってしまって、変化が激しいですから、もうちょっと、せっかくそういう社会的な要望に基づいてできた法律ですから、こうどっと専門家を大動員して、一せいに調べて、仕事が済んだらさっと打ち切ったらいいわけですからね。何かそういうふうなことはできないのですか。
#24
○説明員(森一衛君) 調査基本計画におきましては、先ほど大体何年くらいで調査を完了するかということを申し忘れましたので、御疑問が起こったかと思うわけでございますが、大体今後十カ年くらいの以内に調査を完了したい、こういうふうな計画で進んでおるわけでございます。で、ただいま御質問のございましたように、全国一斉に調査に着手をして、そうして早く調査を終わったらどうかという話がございましたが、そういう方向もあろうかと思うのでございますけれども、私どもこの調査を手がけましてから、僅々まだ二年の経験でございまして、調査の方法につきましても、いろいろ技術的な問題がございまして、水質審議会にこの調査方法を諮問いたしまして、ようやく一年かかりましてその調査方法が一応確立したわけでございますけれども、なお専門的にいろいろ問題点があるということを特に指摘されまして、そして一応これでやっていったらよろしい、こういう結論でございますので、私どもももう少し経験を重ねた上で考慮をしたいというふうに考えておるわけでございます。また水質基準を設定する上におきましても、いろいろ準備態勢というようなものも必要かと思われますので、今のところ、やはりそのくらいの年限はかけなければ、十分な準備ができないんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#25
○亀田得治君 現在はこういう調査に何人ぐらい専門家が従事されているのですか。
#26
○説明員(森一衛君) 経済企画庁におきましては、調整局に水質保全課と水質調査課という課が二課ございまして、二十人の要員をもって担当しておるわけでございます。ただ、調査につきましては、実際の調査は各該当の都道府県の、たとえば衛生研究所というようなところの専門機関に調査を委託いたしまして、そして資料を整備するという方法をとっております。その他各省の出先機関の専門機関をも御協力をいただきまして、そして企画庁の水質調査が遂行されるようにと考えております。
#27
○亀田得治君 最近のうちに指定水域なり、水質基準がきまりそうなのは、石狩川、遠賀川、江戸川、淀川も最近のうちにきまりそうなんですか。
#28
○説明員(森一衛君) 私どもの今の見通しでは、できる限り近々その四水域につきましては、水質基準を定めたいというように考えるわけでございます。ただ、専門委員をもって構成しております特別部会の要望がございまして、なお補足調査を要するという場合もございますので、そういう場合におきましては、多少やはりおくれることがあることはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
#29
○亀田得治君 近々というのは、この年末ぐらいまでにはそれはきまる、そういうふうに理解していいですか。
#30
○説明員(森一衛君) 私どもはできる限りそういうふうにいたしたいと希望しております。
#31
○亀田得治君 それからこの法律ができるまでは、こういう調査というものはやっていなかったのですか。
#32
○説明員(森一衛君) この法律ができる前の水質調査につきましては、私所管でございませんので、責任を持って申し上げられないのでございますが、既存のデータ等から判断いたしまして申し上げますと、特に水質基準を定める、水質基準を設定するという建前におきまして水質調査をしたことは、例がないのではないかというふうに考えております。しかし、この公共用水域の利用をしておりますところの上水道とか、あるいは水産関係の機関におきましては、すでにそれぞれの行政目的と申しますか、それぞれの立場において御調査なさった資料は相当あるわけでございます。それからまた、汚濁源の側におきましても、それぞれいろいろな事件が過去において起こったわけでございますので、それに伴いまして、御調査をなさったものはあるというふうに私ども承っております。
#33
○亀田得治君 現存保全課なり、調査課に、合計二十人担当者がおるようですが、これは新たにこの法律ができて入ってきた人ですか。そうでなければ、以前はどういう関係になっておりますか。
#34
○説明員(森一衛君) 経済企画庁に設定されました定員は、新しい新規の定員でございますが、要員は、各省のそれぞれの関係の専門官の出向をお願いいたしまして、そういう専門家によって構成されております。
#35
○亀田得治君 まあ、そういう経験のある専門家であれば、この調査の方法なりについても、相当考え方が熟しているのだと思いますし、何か未経験者が初めて集まったのだといいますと、あまりいいことであっても、そう急いでやったのでは、大へんまたミスもあり得るということは想像できるのだけれども、予算が取れないから仕方なしにこの程度のテンポということでおやりになっておるのが実情であれば、こういうことはもう少し予算の裏づけ等もして、もっとテンポを早めることがいいわけですね。実態をつかむということは、何も延ばす必要はないと考えますからね。しかも、そういう以前からの経験もあるわけですから、そんなに間違ったものはないでしょう。あとから補充したっていいのでしょう、こういう調査というものは、正確な調査がさらに出れば。
#36
○説明員(森一衛君) そうです。
#37
○委員長(藤野繁雄君) もう少し大きい声で。聞こえんから。
#38
○説明員(森一衛君) はあ、専門家につきましては、過去において水質調査の経験はある方々でございますが、水質基準を定めることを前提とするような、そういう総合的な調査につきましては、まだ十分な経験を持っておらないのでございまして、その点につきまして、私ども調査をする上において技術的に苦慮しておるわけでございます。その点がやはり弱点になっております。
 予算の点につきましては、まことにごもっともでございまして、私どもも年々百二十一水域、今後十年間に調査を完了するということにいたしますと、相当今後予算の獲得につきましても努力をしなければならないわけでございますので、その点はできる限り努力いたしたいと、こういうふうに思っております。
#39
○亀田得治君 それから工場排水等の規制に関する法律、これの施行責任者は通産省ですか。
#40
○説明員(森一衛君) その通りでございます。
#41
○亀田得治君 そうなりますと、調査が先ほど答弁になったような程度であれば、この工場排水等の規制に関する法律というのはまだ動いていないわけですね。所管の方から……。
#42
○説明員(藤岡大信君) 先ほどからも御説明をいたしましたように、水質保全法、公共用水域の水質に関する法律でございますが、その法律の水域の指定、水質基準の決定がございまして初めて先生のおっしゃるようにこの工場排水法とまあわれわれ申しておりますが、この法律の実質的な施行が行なわれる、こういうふうに理解していただいてけっこうでございます。
#43
○亀田得治君 そうしたらこの工場排水に関する法律の担当者というものは通産省にはまだだれもいないのですね。
#44
○説明員(藤岡大信君) 六名おります。
#45
○亀田得治君 その六名の方は何も仕事ないじゃないですか。指定水域がきまらない、水質基準がきまらない、何をやっているのですか。
#46
○説明員(藤岡大信君) 規制をやりますにつきましては、事前にいろいろ準備がございまして、政令の制定、それから施行規則の制定とございまして、政令で申しますと三十四年十二月二十八日政令第三百八十八号で出ております。さらに施行規則が三十五年十月十五日に大蔵、厚生、農林、通産、運輸の省令として出ております。そういったように、法律を実際運用するにあたりましての規則を作る、さらにそれによりまして各工場等もこの法律にまだなじんでおりませんので、そういうもののPR等をいたしておりまして、委員等を作りましてどういうふうに実際的に行なうか、それからどういう基準で施設を設置すればそういう水質基準のものが実際に保たれるかということにつきまして研究をいたさせ、さらにそれを普及するという事務等をいたしております。
#47
○亀田得治君 すると、まあ準備的な仕事なんですか。しかし、この二つの法律を作った場合にはともかく汚水がひどくて問題だと、昭和三十三年の十二月できて、三十四年から施行されて、四、五、六と三年目ですからね。そんな三年たってもそういう程度にしかなっていないと、これからぼつぼつ企画庁の方で指定したら、その指定したところについてだけ工場排水の法律を適用していく、それが適用されて初めてぼつぼついろいろな届け出などもくることになるのですね。ちょっとテンポがおそくないですかね。
#48
○説明員(藤岡大信君) 法律自体から申しますと、今申し上げました通りでございますが、おっしゃる通り多少そういう点でのろいという御批判もあろうかと思いまして、われわれといたしましては、まあ行政的な指導といいますか、そういう意味で各原局を通じまして工場排水法が施行をせられた際の――まあこれまでこれ全然言うてみれば野放しのところがございますので、そういうところをうろたえないようにという意味で、それから実際上施行し得るような態勢に持っていくということを心がけております。特にわれわれ一番心配しておりますのは、中小企業等でこの法律の施行のために逆に事業が成り立たなくなるというようなことがあっては、この法律が逆に実効がないということになってはこれは大へんというので、中小企業のそういう工場排水処理施設と申しておりますが、そういう処理施設の資金につきましては、現在中小企業振興資金助成法という法律がございまして、その法律の中で、その予算でもって排水の処理施設に補助をするという業務をやっております。これは実績はあまりそう上がってはおりませんが、予算といたしましては五千万円の予算をいただいております。来年度につきましても約五千万円程度ということで予算をいただいております。これは県がそういう中小企業の汚水処理施設をする者に対してその施設費の半分までを無利子で七年償還のお金を貸すということを考えております。その県の貸し与える金の半分を政府が補助をするという格好になったものでございます。そういったような事務は、もうすでに動き出しておるのでありまして、現在の人員でそういうことの先ほど申しましたPRだとか、そういった法制的な準備だとか、あるいは今のような中小企業に対する助成だとかいったような事務は、現在もう動き出してやっておるわけであります。まあ準備態勢を整えておるということは全体的にはいえるというふうに思います。
#49
○亀田得治君 そういう場合に、この資金援助などをして中小企業を助けると、それは非常にいいと思うのですが、一方ではまだ指定水域もないし、水質の基準もきまらないのでしょう。そういう、そちらが先に出てくることが前提になるのじゃないですか。それがきまらないうちに今あなたがおっしゃったようなことをしても、またむだなことになるのと違いますか。
#50
○説明員(藤岡大信君) おっしゃるように、水質基準がきまっていないのに、処理施設ができないじゃないかという御疑問かと思いますが、まあ現在いってみますれば、ほとんど野放しに近いようなところが多いわけでございます。特に中小企業等で紛争が起こっているにかかわらず、資金的に全然目当てがないために、紛争が地にもぐるといいますか、起こっておるにかかわらず、そういうことは全然表面に現われないというような事態も出て参りますので、そういったことはもう実際的に、水域指定等が、将来とも大きな水域としてとらえられないで、個個の企業者としては問題が残るわけであります。そういったものは、そういう施設でもしないと、水質基準が設定されるのを待っておったのでは、事態が改善されないということもございまして、おっしゃる通りに、水域指定及び水質基準の決定がなされないうちに、そういうことをして、さらにまた過重の負担をかける場合があり得るじゃないかということは、心配は多少ございますが、われわれまあ次善の策といたしまして、そういう全然今野放しになっておるような中小企業の排水処理施設に対しては、できるだけ何とか処理をして、そういうほかの迷惑している産業に対して、なるべく迷惑の少なくなるような措置をしたいということでやっております。従いまして、御心配になりますような水質基準にぴたり合うかどうかという点につきましては、多少今後問題は残ると思います。その辺はこれは企画庁の方へ、われわれもそういう陳情はいたしておりますが、中小企業等の密集しているところで、その産業との関連で、水質基準等がなかなかきめにくいというような場面もあろうと思います。そういうことで、この法律の実効が疑われるということのないように、われわれはできるだけそういうような措置で補っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#51
○亀田得治君 今あなたのおっしゃったような中小工場に対する紛争の起きているところに対する処置ですね、そういうことは、工場排水等の規制に関する法律でなしにやっているわけですね。
#52
○説明員(藤岡大信君) 私、言葉が不正確でございますが、紛争と申すほどの、これは紛争といえば、今の水質基準の方の公共用水域の水質の保全に関する法律の方で律すらるべき領分でございますが、そういう意味の紛争というようなことまでに至っていないようなところ、ただ実際問題としましては、工場側に問題が持ち込まれて、工場の方としては何とかしたいと思っておって、紛争という程度までには至っていないというようなものがほとんどでございまして、実際上の紛争が起きたからやっているのだというような意味の、世間一般でいっているような紛争とは少し意味が違いまして、私の申しました言葉が多少不正確でございました。そういうところが多いということを申し上げているので、そういうものがないところも、中小企業は新しく立地するために、紛争が起こりそうだからという意味で、やっているものもございます。で、起こったからやったということばかりではございません。誤解をされるような言い方をしました。
#53
○亀田得治君 いや、それは紛争が起こっている場合もあるし、起こるかもしらぬと思われるような場合も、それはいろいろあるでしょうが、その点は私、大して重視しているわけじゃないのでして、ただそういう中小企業の排水処理施設について、今おっしゃったような仕事を通産省としてしておるようですが、その仕事は工場排水法によってやっているのじゃないわけですね。その点を聞いている。何か事実上のそういうお世話をやっているのですか。
#54
○説明員(藤岡大信君) 中小企業振興資金助成法という法律でございますので、工場排水法の方では、国がそういう資金の援助等のあっせんに努めるものとす、という条項がございまして、われわれとしては、そういう条文の実行をしているというふうに考えております。従いまして、予算のつくところ等は、中小企業庁でございます。中小企業のそういうものを一括してやっておりますので、われわれとしましては、そういう予算の取りまとめ及び要求等は、一応大蔵省にいたしておりますが、その部内でございますので、われわれは同じものを中小企業庁に持っていって、中小企業庁の予算要求の中に入れて、話をしております。従いまして、われわれの方といたしましては、工場排水法の第十六条の実行をしているというつもりでいたしておりますが、予算の内容としましては、中小企業庁の方の予算ということになっております。
#55
○亀田得治君 工場排水法の方は、水域がまずきまり、水質基準がきまって、そうしてこの関係の工場が届け出などをしてくるということになるわけでございましょう。だから、そこの本筋の工場排水法の主体になっているところは、まだ眠っていて、ただこの多少こう付加的な、今おっしゃったような、国がしてもいいようなことが書いてあるわけですが、そっちの方だけをやっていると、こういうわけですね。まあいいです、大体わかりましたから。
 そこで通産省の皆さんが、この工場を建てるということあるいは工場を維持していくということと、この汚水という問題がそれに関連して起こる。ところが、その汚水というものを完全にとめるような義務を中小企業に負わすと、その中小企業は非常に困る場合があると、こういうことをさっきからおっしゃっているわけですね。そういう二つ衝突する問題が起きた場合に、どういう考え方で指導していますか。
#56
○説明員(藤岡大信君) これは問題は、水質保全法の問題だと思いますが、水質保全法の目的にあるような精神で、「水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、これに必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与する」、この産業の相互協和をはかるということを中心に、われわれやっているつもりでございます。
#57
○亀田得治君 この水質保全法の目的に書いてあるのは、そういう抽象的な言葉でありますが、問題はこの完全な汚水処理施設を中小企業者に作らすということになると、それが非常に企業上の負担になると、こういう場合に、汚水の方を多少大目に見てでも中小企業が成り立っていくような方向で考えるのか、あるいは多少経営上のそういう困難性が出てきても汚水というものは絶対至上命令なんだ、こういうふうな考え方なのか、どっちかということです。
#58
○説明員(藤岡大信君) それはまあケース・バイ・ケースで、だいぶ場合によって違うと思いますが、今申し上げましたように、他の産業並びに公衆衛生というものとのかね合いではないかというふうに考えます。たとえば公衆衛生上どうしても看過しがたいようなものがあるのに、中小企業で能力がないからそういうことはできないということは言えないんじゃないかというふうに思います。他の産業に甚大な被害を及ぼしておるのに、その企業者が生きるためにはやむを得ぬじゃないかということを認めるということでもないと思います。先ほど申し上げましたように、産業間の相互協和と公衆衛生の確保ということが目的ではないかというふうに考えております。
#59
○亀田得治君 それは、相互協和とかそんなことを言っても汚水による被害というものは、被害を受ける方はこれは何らの罪も何もないわけです。全く外からきたこれは難題ですね。そういう性格でしょう。それで、一般的には不特定多数の人にそういう難題が降りかかってくるわけです。その原因となっているものは特定の人のやはり工場ですから、営利事業なんです、多くの場合ね。だから、そういうふうに考えた場合、そこら辺の考え方を、相互間の協和だとか、そんなことじゃなしにもっとはっきりとした考え方を立てませんといけないんじゃないですか、腹がまえが。その腹がまえがしゃんとしてきませんとね、せっかくこういう二つの法律ができましても実際なかなかこう活用されない。しかし、ほっといちゃいかぬというのでこういう法律ができておるのですが、そこの運用する責任者がやはり法律が作られたほんとうの趣旨というものをもっとしゃんと考えて、よほど強硬にいかぬと結局はこの法律というものは空文にされてしまうおそれがある。非常に悪いことですよ、そんなことは。それでまあお聞きするわけですがね。ケース・バイ・ケースだとか、そんなことを言っていると、結局はもう悪い現状というものは仕方がないんだということでみんな認めていってしまう。まあ多少は今までよりもよくなるでしょうけれどもね。その辺のところをお聞きしているのです。皆さんの内部においてはどういうふうな議論をされているのですか、そういう問題について。
#60
○説明員(藤岡大信君) 通産省の最近の、まあ水質保全法ができたあと、あるいは工場排水法ができたあとの動向といたしましては、全体に公害といいますか、先生が先ほどおっしゃいましたような、一般に公害を及ぼすようなものはできるだけこれを避けるという方向に、まあ水の問題だけでなしに、公官の除去というものをもう少し真剣に考えるべきではないかというので、現存は煙の問題を研究をいたしております。そうしてでき得れば近い将来に煙に対しての何らかの規制措置ができないかということを今研究中でございます。まあ、実際上予算も取って調査をいたしております。そういった水に始まった一連の措置といたしまして相当、会社、工場側には強硬な措置を考えるぞということで指導をいたしております。
 御承知のように、工場排水法におきましても第七条及び第十二条に、「汚水等の処理の方法の改善等の命令」というような非常にきつい言い方をいたしております。中には特定施設――特定施設というふうに法律用語でうたっておりますが、これはまさに生産施設でございまして、それの一時停止をやってもよろしいというようなことを法律の内容でもうたっておるのであります。この規制措置としては相当強いことをやるのだということは法律の中からもうかがえるわけでございます。
 一般的な傾向といたしましても各工場での認識が一般の保安といいますか、われわれまあ言い方は企業の公共性ということを言っております。企業はもうけさえすればいいということではなしに、企業はやはり公共の中にあっての企業である。公共性を持たないといいますか、公共に迷惑をかけてその企業だけがもうけるということは企業としては下の下であるという思想はだいぶ強まって参りました。企業自体でもそういう問題を考えておりまして、中には、たとえば煙等の問題につきましても自発的にその処理をやるような施設を考えつつあるというような事態にもなって参っておるわけでございます。
 われわれの方の基本的な態度は、そういう公害を除くと申しますか、公の害を除くということが基本的な態度でございます。ただ、この法律にありますように、ただ一方的なことだけではないということはこれはわかっていただけると思いますが、全体的な考え方といたしましては、この公害を除いてそうして企業を健全に発達させるということが基本的な態度だと、こういうふうに思っております。
#61
○亀田得治君 この伊勢湾ですね、四日市の石油関係の工場から出る廃液で魚が石油くさくなるという問題が起きておるんですが、それは御存じでしょうか。
#62
○説明員(藤岡大信君) この問題は企画庁の問題かとも思いますが、われわれの方も廃液の汚濁が地元で問題になっていて、地元でも協議会を作って調査に乗り出しておる、県自身が乗り出しておるということを聞いております。なお、この問題についての調査等につきましては、企画庁の方で何か別にお考えがあるように聞いております。
#63
○亀田得治君 何か企画庁で考え方があるのですか、あったら聞かして下さい。
#64
○説明員(森一衛君) 四日市市地先海域の水質汚濁の問題につきましては、先ほど工業用水課長が説明された通りでございますが、この水域につきましては、三重県がすでに三十五年度から調査に着手いたしまして、水産物が油くさくなるその着臭の原因につきまして調査研究をしておるように私ども聞いております。三十六年度におきましても、三重県において引き続き調査を継続するという連絡を企画庁におきましても受けております。この水域における水産物の油くさくなるこの問題は、魚価を低下させまして、水産業に多大の損害を与えているということでございますので、経済企画庁もこれを重視しまして、三十六年度の三重県の調査には、私ども全面的な協力をいたしまして、できる限り実態の把握に努力をしたいというふうに考えております。私どもも、企画庁の調査方法を三重県と協議いたしまして、現地におきまする大学の調査研究と相待って、できる限り早い機会に調査資料を得て対策を考えていきたいというふうに目下準備を進めておる次第でございます。
#65
○亀田得治君 これは、企画庁なり通産省の立場として、工場側に何らか打つ手というものはないんでしょうか。ともかく調査されていることはこちらも聞いておるが、調査の結果、原因は大体わかっているわけですから、それはまあ石油以外の原因も多少付加されているかもしれんが、両者が一緒になって起きているので、主たる原因が除かれれば、多少ほかのものがあったって、大した影響はないと思うんです。そんなこまかいことをいつまでも議論しているよりも、現に毎日々々そういう被害が起きているわけですからね。私は、通産省などがもっときぜんたる態度をとれば、工場側をしていろいろ適切な処置をとらし得ると思うんですがね。なるほどさっきの説明を聞きますと、四日市もまだそういう指定水域になっておらぬし、伊勢湾の水質基準というものもきまっておらない。従って、この二法は適用はできないでしょう。この二法が適用できるなら、強硬な命令なども出せるようになっておりますけれども、しかし、どうもさっきからの仕事ぶりだと、だいぶ先のことになる。だが、この被害は毎日々々続いておるわけですからね。何か手の打ち方があるでしょうが。あんな工場ですから、融資等についても政府の世話にもなっているだろうし、ある程度。
#66
○説明員(森一衛君) 工場の水質保全に関する指導監督につきましては、後ほど通産省の方から御説明があるかと思うのでありますが、公共用水域の水質の保全に関する法律は水質基準を設定するという仕事だけでございますので、いわゆる水質保全法に基づいて水質基準を設定する前に指導を強制するということはちょっとできないのではないかというふうに私ども考えております。応急的な対策につきまして何か方法はないかということでございますが、私どもまだ現地を見ておりませんので、近い将来向こうに参りましてそして三重県と協力して現地の調査をする予定にしておりますが、聞くところによりますと、すでにこの石油精製会社でございますか、相当な施設をしておるということでございまして、ただ、三重県側の調査によりますと、やはり油分を相当含んだ廃液を出しているという報告を受けておるわけでございます。それが原因であるかどうかにつきましては私どもまだ確実なことはここで申し上げられないのでございますが、先般調査の衝に当たられた大学の先生の話を伺いますと、確かに魚がくさくなることはなるけれども、そのくさくなる原因である物質が魚の魚体からはまだ抽出できないということでございます。今後一そうその研究を三十六年度におきまして集中してこの問題を取り上げていきたい、こういうふうなことでございまして、私どもも調査をそれに並行いたしまして実施していきたいと思っております。
#67
○亀田得治君 いや、どうもそこら辺のところが納得ゆかないんですがね。それは、魚のからだから学問的に石油の何か物質を抽出できればそれは確実だけれども、しかし、できないからといってまだ確実じゃないというようなそういうものの言い方では、これは漁民は納得しません。何もないところからにおいだけつくわけはないんですから、それは学問上抽出しにくいというだけのことであって、だから、まあこまかいことを皆さんにきょうは説明を聞いたから大体わかりましたが、この問題に対する姿勢ですね、これはやっぱり大臣などがもう少しほんとうに問題というものを認識してもらって高姿勢に出なければだめですよ。
#68
○説明員(森一衛君) 先ほどの調査研究につきましては、研究は研究として続けるということは非常に重要かと思うのでございますが、行政的な指導はまた別個の立場からこれは進められるというふうに私どもも考えておりますので、その点はやはり考慮すべきことと私ともも考えております。
#69
○亀田得治君 だから、政府はこれは公の機関ですからね、二法の適用はなるほどいろいろな条件からいってできない。できなくても、一方で被害が起きているということが明確になれば、やっぱり乗り出していって、ともかく大きな工場がそんなばかな迷惑をいつまでもかけているのもおかしいじゃないかと、そんなことを言うてならんという規定はどこにあるかね。ないでしょうが。何でそれをやらんのだね。あんたらの説明を聞いておったって、何かあまりタッチせん。あんまり工場にそんなことをどなり込むと、通産省はちっと困るのかね。そんなことないでしょう。通産省、どうなんだね。
#70
○説明員(藤岡大信君) 四日市地区におきましては、石油工場及び石油化単工場、肥料工場等の工場がございまして廃液を排出しておるのでありますが、この汚水処理施設につきましては、ただいま森課長からも言いましたように、石油精製工場を作る際には、石油精製からの排水処理につきまして、処理施設を作るということを指導はいたしております。そうしてその処理施設は、まあ従来の石油精製工場に比べまして相当膨大な費用を使いまして、しかも長い水路のうちで、まあ繰り返し繰り返し処理をするというような方法で、相当程度高度に処理をしておるというふうに私も現に見て知っておるわけであります。ただいま森課長からのお話によりますと、それによってもまだ油が出るということを、何か確認されておるようなお話でございますが、あの工場におきましてはそういう――別な工場の話かもしれませんが、そういうことはあまりないのじゃないかというふうな、私はまあ見た範囲ではそういうふうに承知しております。
 それから、化学工場につきまして、肥料工場でございますが、これは先ほどの御説明にはしておりませんが、鉱工業技術試験研究補助金という制度がございまして、これはわれわれの方の工業技術院の試験研究補助金といたしまして、その中で排水の処理施設についての試験研究をやらせておる。この中での化学工場で、そういう四日市の工場でそういう試験をいたしておりまして、これには試験の補助金を出しておりまして、あるいは今年あたりがおそらく企業化ができるのじゃないかというふうなところまで、相当試験が進んでいるはずでございます。これは石油のにおいとは直接関係はございませんが、その工場につきましては、そういうふうな有用物の回収というような方法で排水の処理施設に対しての補助をいたしております。また工場全体につきましては、工場排水法が制定されたことでもございます。先生の今おっしゃいましたような、法律が制定されてないからいいのだというようなことは絶対ないように、われわれ周知徹底をはかっており、三重県の試験も、そういう意味で調査を開始したようでございますし、われわれの方にも三重県からも御連絡がございまして、主管官庁としては企画庁でございますが、われわれの方もそれに積極的に協力をして、調査に御協力をするということで、この対策を早く確立したい、こういうふうに思っております。
#71
○亀田得治君 だいぶこまかいことを教えていただいてお礼申し上げておきますが、ともかくこういう具体的に起きている問題、毎日損害を与えているわけですから、もっと積極的に問題を解決するように、一つ関係者の間で努力してほしいと思います。できるだけ早く、こういうふうに処理ができたというふうに一つ報告をいただきたいというふうに希望しておきます。
  ―――――――――――――
#72
○委員長(藤野繁雄君) この際、委員の異動について報告いたします。
 本日、仲原善一君及び岡村文四郎君が辞任され、その補欠として鳥畠徳次郎君、高橋進太郎君が選任されました。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#73
○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて。
 本案については、本日はこの程度にいたします。これをもって散会いたします。
   午後三時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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