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1960/04/18 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第19号
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1960/04/18 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第19号

#1
第038回国会 内閣委員会 第19号
昭和三十六年四月十八日(火曜日)
   午前十時四十五分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉江 勝保君
   理 事
           塩見 俊二君
           村山 道雄君
           伊藤 顕道君
   委 員
           石原幹市郎君
           大泉 寛三君
           木村篤太郎君
           下村  定君
           中野 文門君
           一松 定吉君
           鶴園 哲夫君
           横川 正市君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
   国 務 大 臣 池田正之輔君
   国 務 大 臣 迫水 久常君
  政府委員
   経済企画庁長官
   官房長     村上  一君
   経済企画庁調整
   局長      中野 正一君
   経済企画庁総合
   計画局長    大來佐武郎君
   経済企画庁総合
   開発局長    曾田  忠君
   科学技術庁長官
   官房長     島村 武久君
   科学技術庁計画
   局長      久田 太郎君
   科学技術庁原子
   力局長     杠  文吉君
  文部大臣官房長  天城  勲君
   文部省管理局長 福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○原子力委員会設置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○経済企画庁設置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○科学技術会議設置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。
 まず、理事の辞任許可の件についてお諮りいたします。小幡治和君から、都合により理事を辞したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。その互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。それでは私より理事に塩見俊二君を指名いたします。
   ―――――――――――
#5
○委員長(吉江勝保君) 次に、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側の出席の方は、池田科学技術庁長官、島村官房長、杠原子力局長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#6
○伊藤顕道君 この法案に関連して、長官に一点だけお伺いたしたいと思いますが、この原子力基本法の第二条を見ますと、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に」云々と、こういう点が明らかにされておるわけです。そこでお伺いしたいのですが、原子力委員会の委員長の立場として、長官は、この第二条に対してどのようにお考えになりますか、まずこの点からお伺いしておきたいと思います。
#7
○国務大臣(池田正之輔君) 伊藤委員のただいまの御質疑でございますが、一体どういうところにねらいがあるのかよくわかりませんけれども、第二条は、文字通り私はすなおに受け取っていただきたい、かように思います。ということは、戦争その他につながるようなことはわれわれは一切考えておらぬ、こういうことでございます。
#8
○伊藤顕道君 それではお伺いいたしますが、これは仮定ですが、防衛庁がもしも核弾頭のついた誘導ミサイルを導入し、これを研究、開発するというようなことがあったとすれば、これはまさしくこの原子力基本法第二条に抵触すると思うのです。そこで、原子力委員会の委員長としては、これはまあ仮定ですけれども、どのようにお考えになるか。
#9
○国務大臣(池田正之輔君) これは科学技術庁とか、あるいは防衛庁という立場を離れて、政府としては、一貫してさような核弾頭を持ち込むとか、あるいはやるとかいうような、使用するといったようなことは考えていないということは、これははっきり申し上げておきたいと思います。
#10
○伊藤顕道君 そこで、今長官からも御意見ありましたが、この原子力基本法第二条に違反ということになれば、これもう当然憲法にも違反になる、そういうふうに私どもとしては解釈するわけです。しかし、これは前提が、もしもという前提に立っていますから、今核弾頭のつく誘導ミサイルが現実にあるわけではないわけです。そこで、仮定に立ってお伺いしておるわけです。そういう関係はいかがですか。
#11
○国務大臣(池田正之輔君) ただいま申し上げました通り、これは核弾頭等については、当然これはわれわれは考えていないということをはっきり申し上げておきます。
#12
○伊藤顕道君 憲法違反になるかどうかということをお伺いしておるわけですがね、もし、かりに以上申し上げたような核弾頭のつく誘導ミサイルを導入し、これを研究、開発するとしたら――前提です、したら、原子力基本法第二条に違反するということは今確認されておるわけですが、そのことは、また同時に憲法違反になる、そういうふうに私どもは解釈するわけです。
#13
○国務大臣(池田正之輔君) これは大へんむずかしい問題で、研究、開発それ自体が一体憲法違反になるかどうかということは、相当私は疑義があるんじゃないか、解釈上。ですから、私の口から今はっきり申し上げることははばかりたいと思います。もう少しこれは法制的にも煮詰めて研究しないと、残念ながら明確なお答えは申し上げられないと思います。
#14
○伊藤顕道君 これはちょっとおかしいですね。最初、原子力基本法第二条に対して長官はどのようにお考えになるかということに対して、長官は、文字通りすなおに受け取っておる、そういう意味の御答弁があったわけですね。ところが、私がここで申し上げるまでもなく、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」と、もう明確になっている。「平和の目的に限り、」と、明確になっているでしょう。これはただ単なる科学技術庁とか防衛庁の問題ではない、政府全体としての大きな問題であることも長官は御指摘になったわけですね、そうでしょう。そういうことからして、これはさらに研究を要するというような、あいまいもこな御答弁ではちょっとおかしいと思うのですがね、これははっきりしておるわけですから。これは局長でなく、長官にお伺いしておるわけです、大事な基本的な問題だから。細部についての技術的な問題は、また皆さんにお伺いする。基本的な問題ですから、長官にお伺いします。
#15
○国務大臣(池田正之輔君) これは一つ官房長から一応事務的な説明をさしていただきたい。
#16
○伊藤顕道君 これは原子力委員会の委員長であらせられるわけですね、長官は、そうでしょう。それは困りますね。こまかい問題はどなたでもけっこうだが、これは基本的な問題で、しかも、原子力委員会委員長の立場で、原子力基本法とはもう密接な身近な問題であるわけです。だから、これは長官、最高の責任者である長官にお伺いせないと意味がないわけです。
#17
○国務大臣(池田正之輔君) 憲法第九条の問題につきましては、従来もしばしばこの席上で御議論なされたわけでありますが、この第二条に関する限り、また、科学技術庁としては、原子力に関する限り、あくまでも研究、開発、利用というものは平和目的以外にはやらない、こういう建前を堅持しております。
#18
○伊藤顕道君 それじゃお伺いいたしますが、ここに原子力基本法第二条に対する解釈として、あくまでも原子力の研究、開発、利用については平和目的に限る、こういう、原子力委員会委員長としてのお立場からの明確な御答弁があったわけです。そういう前提に立ってお伺いするわけです。そこで、防衛庁は、昭和三十一年度にアメリカに対して、核弾頭のつく地対空誘導ミサイル、ボマーク、これだけじゃございません、ボマークなどの無償援助を要請しておるわけです、三十一年にすでに。もちろん、いまだ実現には至っておりません。防衛庁としては、まだ実現はしておりませんけれども、これら誘導ミサイルの整備を予定しておるわけです。予定しておるということは、計画しておるわけです。そうだとすると、これが実現すれば、先ほど長官が明確にお答えになったように、原子力基本法第二条違反になるということは、もう明確です。そうなると、防衛庁のこの計画は不法であるということが言えると思うのですね。原子力委員会委員長としてのお立場から、このことに対してどのようにお考えになりますか。
#19
○国務大臣(池田正之輔君) 防衛庁がどういう目的をもってどういうことを考えておられるか、私はよく承知しておりませんけれども、かりにボマークを持ってくる、それは核弾頭をつけ得るということのようでありますけれども、これはその場合でも、核兵器、すなわち、原子力をそこに使うということは、これは許されないことだと思っております。
#20
○伊藤顕道君 そうしますと、とにもかくにも、原子力については基本法第二条によって、研究、開発、利用、いずれも平和目的でなければならない、こういう第二条を確認しながら、原子力委員会委員長としてのお立場から、もし防衛庁にこういう計画があるとすれば、これは不法である、そういうふうに受け取れたわけですが、そういうふうに解釈してよろしいかどうか、いま一度重ねてお伺いしたいと思います。
#21
○国務大臣(池田正之輔君) その通りに解釈してけっこうでございます。
#22
○伊藤顕道君 そうしますと、この原子力委員会設置法の第四条を見ますと、これは御承知のように、「委員会は、原子力利用に関する重要事項について必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。」、こういう明文があるわけですね。この前、いわゆる科学技術の振興に関して、長官は、文部大臣に対して、科学技術庁設置法の第十一条第三項を適用あそばされて、文部大臣に勧告をなさっておるわけですね。従って、理論的に申し上げますと、同じような趣旨から、もし防衛庁がそのような不法な計画を進めておるとすれば、必要に応じて長官は勧告することができるわけです。まだ実現に至っていないわけですが、しかし、実現してしまってからでは勧告してもおそいわけですね。もしそういう動きが濃厚になってきて、今にも導入、研究、開発を始めようという事態がもし迫ってきたとするならば、長官は、この原子力委員会設置法の第四条を活用されて、勧告なさるお考えがあるかどうか、この点を伺っておきたいと思うわけです。
#23
○国務大臣(池田正之輔君) よく内容を私承っておりませんので、勧告に値するかどうか、まだわかりません。もしそういう事態があるとすれば、あらためて検討すべき問題だと思います。
#24
○伊藤顕道君 もちろん長官に、防衛庁の兵器について、たとえば、地対空誘導ミサイルのボマークは核弾頭のつく誘導ミサイルであるかどうか、こういうことをこの場でお伺いしておるわけじゃないので、これは専門外ですから、これはもちろんそういうことを追及することは避けたいと思う。ただ、こういう今申し上げたような原子力基本法第二条に違反するような――これが違反するということは、もうはっきりして、長官も認められておるわけですから、そういう計画がもしあったとすればという前提に立っておるわけですね。そういう計画が、しかも早い急に実現されるような事態になれば、これは十分長官としては、先ほど明言されたその態度をもって臨まれると思うんですが、そこでお伺いしたいのは、そういう事態になり、また、長官が十分この地対空誘導ミサイルボマークなどの、これはこれに限ったことはございませんが、こういうような一連の核弾頭のつく誘導ミサイル導入の計画が非常に進んできた、そういうような事態になったら長官はどうなさいますかということなんです。
#25
○国務大臣(池田正之輔君) ボマークというものを一体輸入することそれ自体には、私は何も異論はないと思います。それに原子力を使うかどうかというところが問題なんで、使うことはまかりならぬぞと、こういう意味に解釈しております。もしさような事態が起こるとすれば、その場合に、当然これは私の立場で、これに対しては何らかの措置を講ずるなり、手段を考えたいと思います。
#26
○伊藤顕道君 そこで、ボマークなどという、こういうような兵器を申し上げるから話が一そう不明確になると思うんですが、そこで、原子力を使うような、また、原子力兵器の研究、開発、そういう計画が進んできたら、長官は必要に応じてこの原子力委員会設置法の第四条を適用なさるかどうか。まあその場になってみないとわからぬわけですね、その事態がどういう緊急の事態かどうか。従って、いざやるかどうかということはそのとき判断なさるわけですが、基本的なお考えとして、原子力委員会の委員長のお立場として、基本的にはどうお考えかということをお尋ねするわけであります。
#27
○国務大臣(池田正之輔君) 残念ながらといってはおかしいのですけれども、まだ日本に核爆発なんといったような、そういう核兵器といったようなところまでの段階に研究される事態に何もいっておりませんので、まあ当分の間御心配はないと思いますけれども、もしそういうようなことがあるとすれば、これは重大なことでありますから、当然に私の立場で考えなければならぬと、こういうことです。もっと平たくいえば、原子力を兵器に使うことには絶対反対の立場を堅持する、こう申し上げておきます。
#28
○伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、最後に一点だけ要望申し上げますが、繰り返し申し上げますように、科学技術庁長官として、また、原子力委員会の委員長として、いまだかってなかった文部大臣に対する勧告ということを必要があると確認されたので、これを勧告する勇気を持たれたわけです、長官は。そういう意味合いから、同じ論法でいうならば、先ほど申し上げたような原子力基本法第二条に違反するような事態が、もし、かりに防衛庁にそういう計画が進んできたというようなときには、今所信の表明がございましたけれども、そのときは、ちょうど文部省にきぜんたる態度で臨まれたと同じように、防衛庁に対してそういうきぜんたる態度でもって、勇気を持って、基本法第二条を活用するため、決然立って勧告なさってしかるべきだと思いますし、また、そういう態度を堅持していただきたいということを要望申し上げて、また、それに対していま一度、大事な点でございますから、要約して長官の態度を一つ言明していただいて、そのことによって私の質問を終わりたいと思います。
#29
○国務大臣(池田正之輔君) ただいまも申し上げましたように、日本が核武装をしたり核兵器を持つというようなことに対しては、私、原子力委員長としてのみならず、日本の政治家としても、断じて許されない事態であるということを堅持していきたい、かように考えております。
#30
○鶴園哲夫君 この原子力委員会設置法によりますと、長官が委員長で、委員が六名、こういうふうになっておりますが、その委員の六名のうち、二名欠員になっているように聞いているんですけれども、少数精鋭主義というので六名という委員になっているんですが、二十人や三十人の委員会ならともかくといたしまして、少数精鋭という六名の中で、二名が欠員だというふうに聞いているんですけれども、事実なんですか。
#31
○国務大臣(池田正之輔君) 最近欠員は補充いたしまして、駒形さんと西村さん両氏に委嘱することに決定して、すでに委員として活動を続けております。
#32
○鶴園哲夫君 それじゃ完全に六名埋まっているわけですね。
#33
○国務大臣(池田正之輔君) そうです。その通りでございます。
#34
○鶴園哲夫君 衆議院の内閣委員会で、これは三月の十四日の衆議院の内閣委員会ですが、飛鳥田さんの質問に対しまして長官の答弁があって、それが新聞に報道されているんですけれども、二月の八日の日に原子力委員会が決定をした原子力の長期計画ですね、これは燃料経済の面から検討をする必要があるというようなことを御答弁になっているようなんですがね。議事録を見てみますと、そのような御答弁になっているように拝見をするのですけれども、やはり燃料経済という面から検討する必要があるというふうにお考えなんでしょうか。
#35
○国務大臣(池田正之輔君) 当時、あのときに私衆議院でお答えした再検討するという意味は、原子力委員会で、いわゆる原子力二十カ年計画という長期計画を発表した。しかし、これは御承知のように、原子力というのは毎月毎月のように内容的に進歩しておるといいますか、とにかく開発されつつあります。従って、これがせっかくできた二十年計画でありますけれども、この情勢の変化に伴って、あるいはそれに最初のわれわれが計画いたしました二十カ年計画というものがこのままではいけない、変えなければならぬというような事態が起これば、これはいつでも私は変えるという考え方が正しいのじゃないか。ということは、ややともすると、今までは一ぺんきめたことだから、まだ半年や一年でとか、あるいはまだ一年か二年しかたたないのにというようなことは、よく世間であることでありますから、そういうことを申し上げることがあることでありますが、そういう考え方は私はよくない。ことに、いわゆる日進月歩で刻々と変わっていっておる、あるいは進歩しておる、開発されておる原子力の関係においては、特にそのときそのときの情勢にマッチしていかなければならぬ、そのときには長期計画を変更することもやむを得ない、また、やるべきである、こういうようなものの考え方を私は申し上げたのであります。
#36
○鶴園哲夫君 そういうふうに、きわめて抽象論といいますか、あるいは原則論といいますか、そういうようなふうには解釈されないのですけれどもね、長官の発言の内容は。燃料経済の面からいって、特に火力発電、これが顕著に一キロワット時の単価が下がりつつある。さらに今後短い年月の間に一キロワット時二円を割るというようなことも考えられる。そういう立場から言うならば、原子力委員会の長期計画としては、十年後、二十年後の一キロワット時の費用と、とてもこれは太刀打ちできない。そういう意味で燃料経済の面から検討を加える必要があるというような御発言のように聞いておるのですよ。そういうようなまた議事録なんですね、そうでしょう。
#37
○国務大臣(池田正之輔君) その通りであります。その当時私がお答えいたしましたのは、現在のつまり原子力発電によるキロ当たりの単価というものは、火力に比較してコストが高いということを申し上げた。その通りで、ことに現在のアラビヤ方面の石油の開発の進行状態から見て、おそらく石油の単価というものは、もっとさらに何割か下がるだろう。そうなってくると火力発電の単価というものは非常に下がってくる。そこで、現在われわれが考えております原子力発電のコストより、はるかに下がってくる。それではこれは追っつかないから、そういう場合にはこれは考えなければならぬ、そういう事態もあるかもしれぬ、こういうことを申し上げたのでありますが、また、私は言葉が足りませんから、考えようによっては、原子力発電のコストも、これは現在われわれが想像できないような形でコスト・ダウンすることも、これまたあながち不可能とはだれも言い切れないだろうと思うのです。そういう意味でそういうあらゆるものを総合した場合に、現在われわれが立てておる二十カ年計画、長期計画というものは、それに即応して、場合によれば変えなければならぬという事態が起こる可能性もあるということを考えておかなければならぬ。その場合には、過去にとらわれないで、その情勢に即応してこれは変えてしかるべきものである、こういう意味のつもりだったのでありますが、断片的に私はお答えしたものですから、そういういろいろなふうに解釈されるかもしれませんけれども、私の方は一貫してそういう意味の考えを申し述べたつもりでございます。
#38
○鶴園哲夫君 私の非常に不思議に思いましたのは、この長期計画というのが、御存じのように、昨年の四月からずっと検討されまして、昨年の八月でしたか、大綱が発表されて、今年の二月の八日の日に長期計画が発表になり、それによりますと、十年後は、はっきり原子力発電の単価と火力発電の単価とほぼ見合う。従って、十年後からは、ここにありますように、大へんな発電量を出しておられるわけですね。七百万キロから九百五十万キロというような膨大な、何といいますか、急速な計画を立てておられるわけですね。そういう計画が二月の八日に発表されて、それから一カ月もたたないうちに、どうも長官の発言ですと、単価が非常に狂ってきてしまっている。ここ一、二年のうちに二円割るかもしれない、だから検討しなければならぬというような話では、どうも二十年の長期計画なんというものが、わずか一カ月の間に狂うというのは、これは私解せないわけなんですよ。しかも、その委員長は長官なんですね、原子力委員会の長官。その長官が、自分で出した長期計画が、一カ月たたぬうちに基礎が狂ってしまっている。だから、言葉は抽象的な原則的な言い方ですけれども、検討しなければならぬというような話で、私は、原子力委員会というのは、一体ほんとうの科学的な基礎に基づいて審議されているのか、論議されているのかどうなのか、非常に疑問に思うのですけれども、委員長、どういうふうにお考えになりますかね。
#39
○国務大臣(池田正之輔君) そういう御質問も、これはごもっともだと私は思いますけれども、先ほど来申し上げているように、とにかく私が就任しましてわずかの間でございますが、その間にいろいろな変化が起こっております。この長期計画を立てた初期においては考えられなかったようないろいろな事態、たとえば最近私聞いた話でありますけれども、アメリカのある会社は、原子力の発電設備を製作するメーカーでございますが、その会社では、これから今後二十カ年は、いかなる事態が起こっても、石油による電力単価と同じ値段で引き合うことを保証するというような契約をしている会社を出てきているのです。そうかと思うと、一方、これはアラビア地帯の石油のコスト、アメリカの場合とは若干事情も違うようでありますけれども、御承知のように、アラビア地帯の石油単価というものは今ぐんぐん下がっている。それから、また原油そのものの開発もどんどん進んでいる。そういうようなこともございますし、ですから、あくまでも、それはもちろん原子力委員会はその時限における科学の基礎に立ってやっております。しかし、将来のことは、必ずしもそれが全部当たるとは考えられないし、また、当たっちゃいけないので、もっともっと開発し、従って、変化が起こってくる、これを当然予想に入れなければならない、そういうふうな意味から率直に申し上げますと、あの長期計画というものは、十年はよかったけれども、あとの十年はあれは出してはいけなかったのじゃないか、おそらくあなたもお聞きだろうと思いますけれども、そういう声さえも部内から起こっているくらいでございまして、こういう問題は決して私はとらわれて、あのときああ言ってきめたからといったような考え方はよくない。つまり官僚的な、一度きめたのだからといったような考え方はいけないので、もっと柔軟な、その時代、時限に即応した考え方でいくのがこれは私は当然じゃないか、かように考えているものであります。
#40
○鶴園哲夫君 その原則論は私もよく理解できるのですよ。ですけれども、先ほどおっしゃいました原子力のメーカーの方の御意見ですね、考え方、あるいはその見積もりといいますか、そういうものによって種々今までも問題があったことは御承知の通りなんです。ですから、売らんかなのそのメーカーの言うことを一々正直に受けるわけにはいかないと思うのですね。ですから、いずれにしましても、原則論はわかりますけれども、この長期計画を出してから一カ月たつか、たたないうちに、原子力委員会の委員長が、そういうきわめて簡単な、これはしろうとでもわかる簡単な単価の問題で検討しなければならぬだろうというお話は、これはどうも解せないじゃないか。少なくとも、この六人の最高の日本の技術者、研究者が検討されている。ですから、火力発電の単価が下がるというようなことは、これはもうはっきり去年ごろから見通されているわけなんですし、そういう前提の上に立って御検討になったはずなんですね。それがわずか一カ月のうちに二円割るようになるかもしれんが、検討するというような話では、これはどうも私は、この原子力委員会の長期計画を作られるその審議そのものに問題があるように思うのですよ。解せないです、納得できないですよ、それは。半年たったとか一年たったとかなんというんだったらまだわかるのですけれども、委員長は長官なんですからね。長官が出されたものが一カ月たって、しかも、きわめて常識的な原子力の発電の単価と火力発電の単価との関係で、明らかに見通しを誤っているのですね。明確に誤っている。どうも私解せないのですけれどもね。もう少し納得のいくような――原則論はわかりますから。
#41
○国務大臣(池田正之輔君) 御承知のように、あの長期計画を打ち出すときの当時の火力発電の単価は、大体キロ当たり二円七十銭前後、正確に申しますと二円七十四銭というような数字が基礎になったのであります。ところが、一年もたたないうちにこれがぐんぐん下がって参っていることは御承知の通りだと思います。それで、今大体二円五、六十銭というようなところまで考えられておりますが、さらにこれが今の石油事情、電力事情から、もっと下がるだろうということをいわれているのでありまして、従って、いわゆる当時の時限においての二円七十銭前後という数字の上に立って打ち立てられた長期計画というものは、これが狂ってくることは当然でありますが、といって、同時に石油単価も下がってきますけれども、今の原子力開発の方もどんどん進んで参りまして、先ほどアメリカのメーカーのお話を申し上げたように、これは相当低く見積もっているようであります。詳しい数字は私は聞くことを遠慮いたしましたが、大体二円五、六十銭くらいまでの数字を目標にしているのではないかという感じを受けたのでありますが、そんなような事情で、それが刻々に変わってきている。変わってきているというのは、つまり一方においては原子力の開発、一方においては石油の開発というようなことから、コストがぐんぐん下がってきている。これは全体からいって非常に喜ばしい傾向だと思いますので、つまりそういうふうにどんどん月々に、少なくとも一カ月々々々変わっておるような今のこの急激な情勢下においては、考え方が私は一番大事なことなので、その心がまえを特に私は申し上げた。ただ、先ほど来御指摘がありますように、私の衆議院における答弁は、これは端的な表現で、私もちょっと今覚えておりますが、きわめてプリミティヴな表現を用いたためにそういうような誤解を受けたかもしれませんけれども、考え方としては先ほど来申し上げておる通りであります。
#42
○鶴園哲夫君 十年後に原子力発電の一キロワット時の単価が二円四十銭から三円くらい、あと二年くらいたてば火力発電の単価が二円を割るんじゃないかと、こう言われる。そうしますと、これはとうてい原子力発電というのは、火力発電にどうにも足元にも及ばないような実情なんです。そのようなことであるとしますれば、この計画の中にありますように、今後十年間は百万、最後の十年間は七百五十万から九百万キロワットというふうな考え方は、これは大へんな損失を及ぼすということになるのですけれどもね。何か非常にその点日々変わるのだから、日進月歩だからというような話で、何かこういう二十年にわたる長期計画をお立てになるにしては、非常にあいまいな感じがするのですがね。もう少し納得のいくように説明していただけませんか。
#43
○国務大臣(池田正之輔君) 先ほどもちょっと触れましたように、大体今の時限において二十カ年計画を打ち出して、これからどの程度まで開発されるかわからない原子力を基礎にした設計を立てるということそれ自体が、私は率直に言って、少し無理があったんじゃないか。しかし、少なくともこれだけのものと取っ組んでいかなければならぬということは議論の余地はないと思いますが、こういう新しい科学、新しい産業へ日本が取っ組んでいかなければならぬことは申すまでもないのでありますが、そうなれば取っ組んでいくということになりますと、一応のその時の時限において、段階においての一つの方向を打ち出してみるということは、あながち私はむだなことではない、そういう意味で二十カ年計画を打ち出した。打ち出してみましたけれども、間もなくして、わずかの間に開発が進みまして、どうもこれではおかしくなってきた、これはむしろ私は喜ぶべき傾向じゃないか、こういうふうに私はすなおに受け取っておるのであります。
#44
○鶴園哲夫君 いや、それでは違った立場から伺いたいと思いますが、火力発電が顕著に下がってきておる、近いうちに二円を割るだろうというような長官の発言ですね。それは一カ月前に計画を立てられますときにはそういう御見解を持っておられたのですか、持っておいでにならなかったのですか、それを伺いたいと思います。
#45
○国務大臣(池田正之輔君) それはその発表後に私はいろいろ検討した問題であります。
#46
○鶴園哲夫君 いや、もしそういうお話ですとすれば、はなはだ私は常識的に解釈できないのですね、理解に苦しむわけですよ。ですから、二月八日の日に長期計画を出されるときには、火力発電が顕著に下がっている、さらに近い将来には二円を割るだろう、そういう考え方はその当時はなかった、そうして一カ月たったらそういうようなことを知ったというお話では、これは去年からこういう話はされておったことじゃないですか、火力発電の問題については。どうもおかしいですね、そういう話は。
#47
○国務大臣(池田正之輔君) 今、私数字は持ち合わせありませんけれども、今年になって急速に石油の値段が下がってきております。そこで、その後、これは石油の開発の状況なりコスト、このコストのことは業者もあまりはっきりしたことを言いたがらないのでありますが、いろいろな方面の情報を得ましてみますと、まだまだ石油は下がる、また、下げ得るということなんでありまして、そうなると、現在の石油を燃料とする火力発電のコストというものはもっと下がってくる、あるいは二円は割るんじゃないかというような考え方もあながち不当じゃない。そうなってくると、原子力発電のコストとの関係を十分にわれわれは検討しながら、見守りながらいかなければならぬ、こういう意味に申し上げたのであります。
#48
○鶴園哲夫君 どうも私、原子力委員会の審議そのものに非常な疑問点を持つ。こういう簡単な常識的な問題が、その当時はわからなかった、それが一カ月たってわかった、日本の最高の科学研究者の人たちが集まっている原子力委員会において、一カ月前はわからなかった、一カ月たってわかった。私は、はなはだ不見識だと思うのですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。
#49
○国務大臣(池田正之輔君) これは、実際は二月に計画書というものは発表されましたけれども、この作業は大体去年の上期において、主として当時の時限に立って検討されたものでありまして、従って、われわれがこれを発表するときには、どうもこれはすぐ変わってくるかもしれない。しかし、一応の方向としては、目標としては、これは打ち出しておかなければならぬ。先ほど来申し上げましたように、こういう新しい科学であり、科学の上に立つ事業でございますから、従って、これは変わってくることは当然なんであります。それにいつでも対応することができる態度をとらなければなりませんけれども、一応のめどというものを打ち出しておいて、それをいつも変え得る、そのときそのときに応じて変え得るような体制をとっておくということは必要だろう、私はかように考えております。
#50
○鶴園哲夫君 その二十年の長期計画を日本の最高の方々がお集まりになって立てられた、それがきわめて常識的な単価の問題で一カ月後に検討しなければならぬ、あるいは日進月歩だから、常にそういうようなものに変えていかなければならぬ、その変え方は大へんな変え方になるのですよ。ちょっといじる変え方にならぬです。計画の大へんな変え方になると思うのですが、さらに御発言の中にありましたように、二十年後の原子力のめどをつけるのは、あるいは若干無理な点もあるというお話であります。そのときそのときによって変えなければならぬ、こういうお話なんですが、そうすると、この原子力計画を設定する今後二十年の長期計画というものは、きわめて不安定なものだ、さらにそれが望ましいことだ、こういうお考えですか。私は、原子力研究というものは、最高の人たちが集まって十分な検討を加えて長期の計画を立てて進めていかないと、途中でいろいろなものが入ってくると思う。メーカーが入ってくる、業者が入ってくる、ごたごたするというようなことで、始終ごたつくことになるじゃないですか。どうも私はそういうような話は解せませんね。
#51
○国務大臣(池田正之輔君) これは、私は本質的な変わりじゃないと思うのですね。つまり一つのポリシーでありますから、政策というものはそのときの情勢によって変わるのが当然であって、去年ではわれわれ想像されなかったような、つまり石油の開発並びにコスト・ダウンなんというような事態は、おそらく去年の上期においては、一般の人たち、あるいは民間の商社やなんか、あるいは感じとっておったかもしれませんけれども、一般のわれわれにはそれは感じとれなかった。今、メーカーやなんかのいろいろ意見が入ってきてというお話でありますけれども、さようなことは絶対ないので、ただ私は参考までに先ほどアメリカのメーカーのお話を若干申し上げただけで、それらによって私どものポリシーが変わるというようなことは断じてありません。それだけは私ははっきり申し上げたいと思います。ただ要は、要するに、石油の開発の状態なり、従って、コストなり、それから原子力の開発の今後の進展のいかんによってこれは左右されるものであって、決してこれは専門的に云々というようなものと、また若干――全然関係ないとは申し上げませんけれども、若干私は違うじゃないか、かように考えております。
#52
○鶴園哲夫君 それじゃ伺いますけれども、その当時は、われわれとしてはわかりにくかった、わからなかった、従って、十年間に百万、それから次の十年間に七百五十万から九百万。しかし、こういう計画を立てたけれども、一カ月たった今日、長官のおっしゃるように、どうも近い機会に二円を割るような情勢になってきておるという立場に立つならば、この百万、七百五十万から九百万という数字は検討されますか、それを伺いたい。
#53
○国務大臣(池田正之輔君) これは何しろ今ここで、今日の立場でまたきめるということも、これはどうかと思います。というのは、非常に変わり方が激しいのでございまして、従って、もう少し掘り下げていろいろなデータを集めてみないと、ここで変えた方がいいとか、変えるべきだというようなはっきりしたことは、これはそんなことをやっているうちにまた進んでしまって、また変動がくるということになりますと、またここであなたにおしかりを受けなければいかぬ、こういうことになりますから、これは今ここですぐそういうふうな処置をとるということは、かえって私はこれは軽率になるじゃないか。われわれはあくまでも現実の上に立って、従って、これからはあらゆる方面のデータを集めまして、変えなければならぬという立場に立てば、これは過去にとらわれないで、いつでも変えるというすなおな立場を堅持していきたい、かような考えであります。
#54
○鶴園哲夫君 それでは、十年間百万、次の十年間に七百五十万から九百万、この数字はきわめてあいまいなものだ、どうなるかわからない、こういうふうに解釈していいですか。
#55
○国務大臣(池田正之輔君) これはあくまでも目標でございまして、とにかくこれだけの大きな事業、しかも、新しい事業と取っ組んでいく以上は、そのときそのときにおいての一つの目標、見通しというものをやっぱり立てる必要がある。そういう意味で立てたものでございますから、これは当然科学の進歩によりまして変わってくることも考えられます。しかし、目標を立ったのがいけないじゃないか、だから目標なんというものは立てるべきじゃないというふうなことはどうかと思いますので、その目標をまた修正するということも、常にわれわれは柔軟的に考えていく、こういう立場でございます。
#56
○鶴園哲夫君 この目標をまた変えるということは、どうも私はおかしいと思うのですがね、大へんな差じゃないですか。二円を割るということははっきりしているのですから、大臣もおっしゃるように、もう近い機会に二円を割るということがはっきりしているのに、十年の目標というのは話にならないじゃないですか。とんでもない計画ですよ、これは。私が申し上げたいのは、そういうものを、長官を委員長とする日本の最高の原子力の委員会においてきめられるということは、私はどうも納得がいかないのですよ。これはあいまいなものだと思うのです。しかし、それは別にしまして、次に伺いますのは、国産一号炉ができることになりまして、この希望者が全くないというのですが、どうなのですか。非常な熱意でやられたのでしょうが、ようやく国産一号炉ができるようになって希望者がほとんどない、こういうことですが、どういうことなのですか。変わってしまったのですか。これもまたそのときの情勢々々によって変わってきた、作ったけれども、だれも希望者はいない、やむを得ない、科学の発展だというお話なのですか。
#57
○政府委員(杠文吉君) 国産一号炉のお話でございますが、国産一号炉はこの秋にいよいよ動き始める、運転し始めるということになっておりますが、希望者がないというその御質問の要旨が、どういう意味の希望者がいないという御質問でございましょうか。希望者がないということでございますが、たとえばそれを運転していろいろ実験をするという、その実験を希望する人がないという意味でございましょうか、それとも、それを利用して、たとえば何かほかの会社等が材料の試験等をするその希望者がないという意味でございますか。
#58
○鶴園哲夫君 両方ですよ。
#59
○政府委員(杠文吉君) お答え申し上げます。あれは、もともと国産一号炉を作りますというのは、原子炉も、いつまでも外国におんぶして発達させるべきじゃなくて、やはり国産ということを一刻も早くやるべきであるということから、御案内の通りに、国産一号炉というものを各社の共同によって作っているわけでございますが、これは原子力研究所に置かれる炉でございます。研究所においては、国産一号炉を使うところの実験計画等は、すでにもう完成いたしておりまして、その希望者がないということはございません。これはもうはっきりといたしております。また、その国産一号炉を使って、すなわち、材料の試験等をするということにつきましては、まだそれをどういうふうな材料にまで使えるかどうかという検討を十分に積んでおりませんので、と申しますのは、材料試験のために国産一号炉を作ったということは主目的ではございませんので、研究所における研究要員の技術的訓練及び今の実験計画の遂行等のために作っていることが主目的でございますので、ただいまのところ、各社の希望があるなしということについては、ここでございません。また、大いにありますということは申し上げかねるのでございますが、材料試験についての希望でございますが、希望は各社とも非常に多いわけでございます。ただ、申し上げたいのは、国産一号炉を使っての材料試験の希望にそれがつながるかどうかということについては、ただいまここで明言し得るまでに至っていないということをお答え申し上げたいと思います。
#60
○鶴園哲夫君 私のはこれで終わります。
#61
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#62
○委員長(吉江勝保君) 速記を始めて。
 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 村山君から、委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。
 なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
#64
○村山道雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対して、修正の動議を提出いたします。
 修正案を申し上げます。
   原子力委員会設置法の一部を改
   正する法律案に対する修正案
  原子力委員会設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  附則中「昭和三十六年四月一日」を「公布の日」に改める。
 次に、その理由を申し上げます。
 この法律案の附則では、「この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。」とありますが、四月一日は既に経過してしまいましたので、「この法律は、公布の日から施行する。」というように修正する必要がございます。
 よって、ここに修正案を提出する次第でございます。
 以上の修正部分を除く原案に賛成いたしまして、私の討論を終わります。
#65
○委員長(吉江勝保君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより原子力委員会設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、討論中にありました村山君提出の修正案を問題に供します。村山君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって村山君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#68
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ―――――――――――
#70
○委員長(吉江勝保君) 次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側の出席の方は、迫水経済企画庁長官、中野調整局長、大來総合計画局長、曾田総合開発局長、熊谷長官官房企画課長、真島調整局民生雇用課長の方々でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#71
○横川正市君 すでに先般の委員会で、村山委員、小幡委員から質問をされて、その内容に入っているわけでありますけれども、その前に、ちょっと機構の問題でお伺いをいたしたいと思うのであります。
 経済企画庁の機構を見ると、それぞれその分担がきまっておりまして、その分野が動いておるわけでありますから、いわば私は経済関係の頭脳の役割を各省に先がけて行なっているのだと理解をするわけです。その頭脳の役割をする場合に、基礎的な資料をどういうふうにとられているのか、たとえばデスクでプランを作成いたしますまでの過程が、いわば証券会社等の最近の企業内容を見ますと、この頭脳的な点がきわめて快適に、しかもむだなく動いておる、こういうことから企業の経営の健全化と、将来の基盤の安定をはかっておるようでありますけれども、企画庁として今回出されました調査会、それから審議会の基礎的な問題は、少なくとも私は、企画庁自体の固有の持っております能力によって、ある程度消化できるのではないかというふうに考えられるわけでありますが、その点について企画庁の実際上の日常の業務はどういうふうに運営されておるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(迫水久常君) 頭脳の役割を果たしているかとうかということを、私必ずしも目信を持ってお答えをする勇気はない程度の現在の企画庁の状態であります。申せば企画庁は、現在のところは、率直にいって総合調整ということに終始いたしまして、私の方でいろいろな資料を集めて、そして頭脳的に各省と連絡をするというような場合はほとんどないのです。従いまして、そういうふうに将来企画庁というものがなっていくとすれば、おのずからまたそこにいろいろな人間の問題、あるいは設備の問題等も考えなければならぬと思いますけれども、現在の段階では総合調整というものに主たる重点が置かれて、あとは総合計画局で実施しておりまする長期の経済計画を立てる、開発局で具体的な開発計画を立てるというようなことでありまして、長期の総合計画を立てます場合には、現在のやり方では非常にたくさんの民間の方々の協力を願ってやっておるような次第でございます。
 で、今お述べになりました今度の調査会及び審議会、こういうものも庁内だけの施設でまかなえるじゃないかというお話は、これはまかなえないことはもちろんないとは思いますけれども何といっても人手が非常に足りなくて、しかも、役人出身の人ばかりおりまして、常々皆さんから批判されているように、若干片寄ったものの考え方をする習性のある役人ばかりではやはりいけないので、民間のそれぞれの専門の方の知識を拝借した方がずっといい結果が出ると思いましたので、こういうことを願いいたした次第であります。
#73
○横川正市君 あまり率直に過ぎて質問の素材がなくなってしまうのですが、それではいかぬということに結果的になってしまうわけです。私は、やはりこの委員会は、一貫して調査会、審議会をあまり乱発し過ぎるのじゃないかというその点は、与野党一致した意見を持っているのです。そういう建前から調査会、審議会そのものは、実は私は、調査会や審議会に頼らないで、企画庁固有の能力で消化しなければならないものではないか、こういうふうに考えておりましたのでその点をお伺いいたしたわけでありますけれども、要望としては、できれば私は企画庁は、いわゆる文書処理や、それから総合調整のための会議のメッセンジャーだけでは、企画庁の能力を全然果たしておらないということになると思います。やはり固有の能力を持つということが必要じゃないかと思いますが、この点は一つ将来にわたって十分検討されて実施に移していただきたい。
 そこで、第一点でありますが、いろいろ冒頭に大臣から言われてしまって質問のきっかけがちょっとつかめないような状態でありまして、その理由は、少なくとも企画庁とすれば頭脳を動員して国民所得の倍増計画を発表されて、しかも、それが国のあらゆる分野で論議をされているわけでありますから、そういう点からきょうは企画庁としてのお考えをお聞きしておきたい、こう思っておったわけであります。その第一点は、地域経済問題調査会の主たる任務にいたしております内容で、たとえば既設の固有の工業地帯といえば、京浜、中京、それから阪神、北九州、さらに最近は京浜に加わりまして京葉地区、それから北海道でいえば苫小牧地区というふうに、工業地帯が大体一つの方針をもって拡大していっているわけです。その拡大していくのにつれて、今度の場合は、地域経済問題調査会では、人口の過度な欄密の問題とか、それから工業用水、輸送、住宅等の問題を検討して、さらにその第一次産業で、低い後進地域におけるところの住民の所得を伸ばしていく、そんな問題を審議するのだという方針のようでございますね。そこで、そういう方針にのっとった場合に、先般も質問をされておったようでありますけれども、私は、この何人かの委員の近視眼といえば怒られるかもしれませんけれども、いわば経験と、それから能力といいますか、そういったものだけに頼ってこれが進められるものなのか、それとも、もうあらゆる資料を、そういう頭脳ではなしに、具体的な数字によって緻密な、周密な計算の結果として、経済問題の底に流れている困難な問題を掘り返して、政策とか政治とかは抜きにしたありのままの姿を浮き彫りにしていく、その浮き彫りをしたものに対して政策とか政治というものが加わっていくというのが本質問題じゃないだろうか。ただ何人かの頭脳が集められれば、企画庁の参与の定数を二名増員することによって、言われておることというのは、非常にへんぱな、非常に抽象的なものしか出てこないのじゃないか。前段で機能の問題を申し上げたのはその点なんでありまして、やはり固有の機能を持ってそういう青写真を掘り返していく、こういうところに私は次に政策が生まれ、それに政治が加味されて本質的な問題の解決につながっていくように思うわけなんですが、この調査会、審議会を持たれた根本の理由は、私の言ったようなことをも含めて、まずここから手がけるということなのか、それとも、それは別個にやられて、ひとまず一つの方針だけは出してもらうのだ、こういうことなのか、その点を一つお聞きしたい。
#74
○国務大臣(迫水久常君) これはやはり何といいますか、調査会の審議委員の勘でもってやるのじゃなくて、それに必要な資料というものはできるだけ周密に集めたいと思っております。現在企画庁の中の人手では、とてもそれは不可能ですけれども、もし、こういう審議会というのができまして、その審議会の名において研究する場合には、関係各省からは十分資料を集め得ると思います。資料を集める方向、どういうものを集めるか、その方向、性格というようなものを、どうも率直に言って、役人がここにたくさんおるので工合が悪いけれども、役所の連中だけに考えさせると、どうも片寄っておるものですから、私は、審議会というものをもう少し活用して、何といいますか、非常勤の方々の知恵をかりたいような気持なものですからこの審議会をお願いしているような次第でございます。資料は、十分あなたのおっしゃいました通りの趣旨で、そのようなものを政治を離れて整理して方向を出して、それに政治なり政策というものはあとで調整していく、こういうことです。
#75
○横川正市君 私どもは、行政能力というものについて、そう過小評価をしないわけです。少なくとも、相当な頭数をそろえているわけですから、高い給料とまではいいませんけれども、いろいろな分野で、しかも、十分な時間をとってこういった問題に取り組めるようないわば状態というものを大臣が作ってくれるならば、行政能力というものは、私は、ある程度信用していいのではないかというふうに考えられる点から質問をしているわけでして、それにあまりたよれないということになれば、私は、最も民主的な方法でやられる調査会とか審議会というものについては、その意味で私はたよらざるを得なくなると思うのです。しかし、通例、調査会、審議会の今までの例を見ますと、もう何回もこの委員会で論議をいたしましたように、一人の委員で十六も十七も兼職をする、兼ねて職務につく人がどうもたよられるという形があるわけです。その結果、結論というものはマンネリズムに陥ってしまって、新しい、しかも斬新的な企画というものがなかなか出てこない。その点が私は問題だろうと思うのです。ですから、少なくとも機構上の問題で、まずたよれるものを作ってもらいたいし、それから、できればこの調査会とか審議会にたよらないで、行政能力がこれらの問題をさばいてもらいたい。これはもう私どもは率直にそういう意見を持っているわけです。それはひいては、国会の審議権というものは、実はもっと広範なものなはずなんです。しかし、そこまでこないうちに調査会とか審議会というものが結論を出してしまう。その結果は、私は、まあ大きい言い方をすれば、非常に国会軽視という問題にまでつながってくるということまで言えるわけです。今のところは調査会や審議会は民主的な一つの機構で、民主政治のバック・ボーンだから、これはその方法がいいではないかと、非常に簡単なとられ方をしていますけれども、今出されておる調査会、審議会の数や人的構成からいきまして、大体そういう考え方を逸漁脱しているのではないか、しかも、国会の審議権にまで介入してきているのじゃないかというきらいがあるわけです。そういう点で、前段に御要望申し上げたように、これらの問題についても、この点一つ固有の能力をもって動きができるように十分一つ考えていただきたい、こういうように思います。
 それからもう一つは、国民生活の向上対策審議会の問題なんでありますが、なるほどこの中には、私どもは、まあ端的に言ってみて、いろいろな要素というものがあると思うのであります。その中で一番大きな問題は、先の調査会でもおそらく問題になるだろうと思いますが、国民所得倍増計画の計画の中に、純然たる消費部門として非常に大きなウエートを持っている防衛費、それから国庫債務負担額ですね、こういったものが実際上は入っておらないんですね、一つも。一言も触れておらないわけです。防衛費の内容を見ますと、これは政府は漸増計画で、少なくとも防衛という重要な問題を検討するのに、どの程度が許容量かという点については十分やっておられるのだろうと思うのでありますけれども、倍増計画の中に全然これが触れられておらなかったということは、いわば私どもは奇異に感ずるのであります。ことに日本の場合には、五七年が一四・四一%、五八年が一三・〇一%、五九年が一二・六一%、本年は一四%くらいですか、債務行為が入っておりませんから、このパーセンテージは上がっていくと思います。隣りの南朝鮮を見ますと、三四・三八%、これが五八年、六〇年が三七・五二%、少なくとも純然たる消費部門は、台湾のやつは出ておりませんけれども、大体日本と南朝鮮と台湾の状況というものを見ました場合、国民の生活向上に非常に関係のある防衛費というものは如実に出ているのじゃないかと思うのですよ。実際上、南朝鮮あたりの最近の状況を私どもはニュースで聞く以外にはないわけでありますけれども、その点からいきますと、防衛費は非常にかさんでおるというふうに見るべきでありまして、国民生活の向上ということとは相反する状態が出てきておる。台湾も同じような状態である。日本の場合には、今のところ政府は、これが大体国民生活の向上にそれほどさして支障のない額で、しかも、瓦全の自衛対策をやっていく、漸増していく、こういう政策で行なわれておるのでありますけれども、私は、これが許容量なのか、なおかつオーバーをしておるのか、あるいは足りないのか、この点は、私はまあ一つの計画の中には入れて置くべきではなかったか。
 それからもう一つは、戦後ではないという一つのスローガン的なものがあるわけであります。戦後ではないというのは一体どういう状態をさして言うのか。その点はいろいろ問題があると思うのですが、まあ大体平均して戦前よりかよくなった点をとらえて、そうして戦後ではないという意見というものが出てきたと思う。しかし、この倍増計画によるというと、昭和五十一年にならないというと、実際上は戦後ではないという経済上の状況というものは出てこないのではないかというふうに解説がせられているわけです。ことに戦前のむちゃくちゃな戦争遂行のための国内における戦争経済からもたらした問題が、これはなお、かつ克服できない状態にあるから、それを克服していけば、今までの伸びでいっておそらく五十一年までかかるということになるのではないかと思うのでありますけれども、そういう点から勘案してみて、私は、審議会が持たれて実際上審議する場合に、企画庁としては、この国民所得倍増計画の中に入っておらない分配の問題等も含めて審議していくということになるのだろうと思うのでありますが、それについて企画庁の実際これを運営していく態度といいますか、方針といいますか、そういったものを、一つこの際ですから、お聞きしたいと思うのです。
#76
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#77
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#78
○国務大臣(迫水久常君) 所得倍増計画では、防衛費は全く本文では触れておりませんけれども、財政金融小委員会の報告書の中では、非常に逃げてはいるのですが、「防衛費は国際間の関連を考慮しながら国力国情に応じた必要最小限度の自衛力を整備するよう支出されなければならない」こう書いて、防衛費の問題についてはそういう基本的態度を明らかにして、「その場合、国民所得に対する適度な規模を越えないよう慎重に配慮する必要がある」と、非常に逃げたような文章ですけれども、そういうことが書いてあるのでして、現在における国民所得に占める防衛費の割合が一・一%程度、これは外国に対してきわめて低位でありますけれども、これが二%程度がいいんじゃないかということは、防衛庁長官がどこかの委員会で答えているやに聞いておりますが、それについて一・四%程度、それを二%程度がいいんじゃないかということを防衛庁長官が言ったということは聞いておりますが、その点についてははっきりしたわれわれの見解はまだ出しておりませんが、なるべく少ない方がいいという気持でおります。そこで、国民生活向上対策審議会では――それからもう一つ、今、昭和五十一年にならなければ戦後ということにはならないのだということを何とかいう学者がそういう論文を書かれております。
#79
○横川正市君 いや、これは経済企画庁から実際に地方に説明に行っている人がそういう説明をしておりますよ。
#80
○国務大臣(迫水久常君) どうもそれははなはだ監督不行き届きでありますが、私は、少なくともそういうことを言ったことはないのですが、今総合計画局長に聞いたところでは、その点はわかりませんと言っておりますから、だれか学者がそうい論文を書いたことがあるのを、それを引いて言ったのかもしれませんが、それは別といたしまして、国民生活向上対策審議会で取り扱おうと思っておりますのは、もうちょっとカレントの程度の低いもののように実は私は頭の中では思っております。今おっしゃいましたような、そういうようなところを実はあまり考えずに、もう少し程度の低いカレントな問題を取り上げていきたい、こういうふうに考えておったのです。
#81
○横川正市君 これは防衛関係の予算と、それから防衛任務を遂行できる装備の問題とは、これは防衛庁の審議をするときに私どもは審議をするわけですが、しかし、この国民生活を向上せしめるということと防衛費の増強とは、これは私は非常に関係があると思うのですよ。その関係のあることが、今言ったような小委員会の何か何行かのことで片づけられる。これはまあ大へんな問題ではないだろうか。その点私どもは審議の経過とか内容も知りませんし、ひいては所得倍増計画というものの上に、さらに具体化する国民生活の向上というものを、これをまあ当面しているとすればどういう点をとらえるのか、ちょっと私もこれはとらえがたいわけですが、どうはかっていくかということは、非常に密接な関係があると思うのですよ。私どもはこう思っているわけです。その生産に携わる、あるいは生産の原動力になる消費と、それから純然たる消費ですね、全然生産につながらない消費、とれを区分をして、そうして抜本的な政策というものが加わってこないというと、国民生活の全体の生活水準というのを上げていくことはむずかしいのではないかという、そういうばく然とした見方をするわけですよ。ことに、ことしなんかの経済状態を見ますと、ピンからキリまでありまして、そうしてピンであっても生活ができる、キリであってももちろん生活ができるという、そういう非常に大きな抱擁力の中で生活をしている。しかし、その中に一本国民生活水準というものをある点に求めて、そこまで上げていくのだということになって参りますと、今の状態でいいかどうかですね、放任経済というか、怠惰な国民生活というか、あるいはもっとひどいことになれば、非常に享楽的な面だとかといったいろいろな面があるわけですね。そういったものをそのまま置いておいていいかどうかという問題も私は片面にあると思うのです。だから審議会を作られるときに、私たち頭の中では、そういう非常に大きな問題が含まれているのに、長官の言われるように、最初どうも逃げられてしまったから、信用できない状態では、どうも私質問のしようもないわけですけれども、もっと私どもは信用して、そうしてそれらの問題に取り組んでもらいたいという、そういう気持を持っているわけですよ。通常行なう質疑というのは、そういうふうに私質疑をされて、少しでもいい方向というものが出てくるのだろうと思うのです。そうなって参りますと、この審議会の持っている能力というものは、実は作っても作らなくてもいいという結果にならないかという、非常な心配を私ども持つわけですが、その点は長官としてどういうふうにお考えでしょう。
#82
○国務大臣(迫水久常君) どういうふうにそれはお答えをしていいのか、ちょっと迷うのですけれども、私はこの審議会というものは、もちろん今お話になりましたような、防衛費と国民所得との関係をどの程度に持っていくべきか、国民生活向上の見地からいって、この限度以上はいいとか悪いとかいうようなことまでこの審議会で審議してもらうつもりで、そういうような意味の人選には実はなっていないのです。もっとカレントな、御婦人も相当――まあ御婦人だからそういう議論はできないとはいいませんけれども、御婦人も相当に含めて、もう少し消費者、一般の消費者そのもの、まあ何といいますか、日常生活の向上というようなことを中心にして具体的なことを考えていくという調査会のようなふうなつもりでおりまして、しかし、防衛費と国民所得との比率がどうなければいけないか、国民生活というものを向上していく見地からは、これ以上の防衛費は持っちゃいけない、それは逆な効果になるのだという、その研究は当然必要でありまして、すでに防衛庁でもって二%なんということを言っておりますから、防衛庁長官が言っているようですから、それはうちの今度はスタッフを動員しまして、そういう問題は別途に検討を進めていきたいと思っております。
#83
○横川正市君 そうすると、これはたしか鳩山内閣のときでしたか、鳩山内閣のときですね、国民生活何運動とかいう運動がありましたですね。新生活運動でしたか、その域を出ないということになりますか、その検討の内容は。
#84
○国務大臣(迫水久常君) そうじゃなくて、もう少し冠婚葬祭を簡単にやれとか、あのころは自動車をやめろとか、そのころはあれだったように思いますけれども、そういうことでなしに、たとえは消費者がいろいろな不満を持っておるだろう。その不満というようなものをどう処理していって、こういう不満は正しい不満であるか、これはがまんしてもらわなければならない不満であるかというようなことも研究する一つの題目でありましょうし、そういうように実態に即した、その消費生活を向上していくといいますか、そういう新生活運動と同じだというふうなことになると、ちょっと情けないような感じになるんですが。
#85
○横川正市君 そうすると、これは、国民生活の向上というこの審議会は、私どもが理解するところでは、いわば風習とか風俗とか、そういった習慣にならってむだを省くということではないけれども、もう少し文化的な生活ができるように全体的に生活水準を向上させる、それにはどうしたらいいかということを検討してみたい、こういうことですか。
#86
○国務大臣(迫水久常君) たとえば所得階層別に、こういうような階層の人はこれくらいなふうにお金を配分して使ったら一番合理的であるというような、生活パターンの研究とか、そういった結論から見て、それをめいめいが自分の鏡にして生活を向上していってもらう、こういうような生活パターンの研究というようなものもこの審議会でやってもらいたい、こういうふうに思っております。
#87
○横川正市君 そうすると、これは婦人雑誌の、うまくやった家計簿程度のことをやるということになるわけですか。
#88
○国務大臣(迫水久常君) どうも横川委員、なかなか悪い方向へ悪い方向へと例を引かれるわけですけれども、まあカテゴリーはそれも一つあります。それが非常に高級なものと私思っておりますけれども、そういう傾向の毛のももちろんあると思いますが、同時に、生活環境の整備の問題にも入ってもらおうと思っております。
#89
○横川正市君 そこで、現在三名の方がいるわけですが、中山さんとか有沢さんとか小汀さん、これにさらに二人加えたい。今私は大臣とやりとりした、おそらく速記録を見てもらったら、このスタッフにさらに二人を加えるスタッフが、国会でやりとりをしたことをさらに肉づけをするのだということではちょっと合わぬですね。私はもっと高度だと思うわけなんですよ。だから、もっと高度だということになれば、戦後という状態ではないという一つの経済基盤というものを一日も早く作り上げていくと同時に、その上に放任された部門のない、国民全体が一つの水準をかちとっていく、与えられてくる、そういう状態を作っていくのにはどうしたらいいかという、やはり私ははっきりしたプランというものを考えてもらうということになるのじゃないかと思う。そうなってくれば、前段に私が申し上げたように、前の調査会である地域経済問題調査会も、国民生活向上対策審議会も、これは相当重要な任務と、それから非常に問題をはらんで発足するということになるわけです。そういうふうに私は理解するわけですけれども、どうも大臣は、まあだれにでもわかるように答弁したにしては、少し程度が低過ぎるということになるのですが、その点をもう一回聞かせていただきたいと思います。
#90
○国務大臣(迫水久常君) 今おっしゃいました点はほんとうにその通りで、私も、心持の上ではぜひそういうことをしたいと考えて、役所の連中にも勉強をしてもらっておるわけでありまして、今度参与を増員いたしますにしても、そういうことについて相談相手になっていただきたいと思っておるわけなんです。ただ、私が答弁しましたのは、国民生活向上対策審議会というものでそこまで高度のことを研究する、審議をしてもらうつもりではちょっとなかったということを申したのでありまして、今お話を承りますというと、そういう点についてわれわれの方が全然考えていないのかというと、それは決して考えてないわけじゃありませんで、そういう高度の問題になってきますというと、うちのスタッフは十分それに応ずるだけの能力はあると思っておりますから、勉強いたします。
#91
○横川正市君 私は、あとこれはこまかな問題でちょっとお聞きしたいと思ったのですが、どうせきょうあげるわけじゃないですから、次回に保留いたします。
#92
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#93
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。午後は一時三十分に再開いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
   ――――・――――
   午後一時五十四分開会
#94
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。
 科学技術会議設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑と行ないます。
 政府側出席の方は、池田科学技術庁長官、荒木文部大臣、島村官房長、久田計画局長、天城文部大臣官房長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#95
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、科学技術庁長官並びに文部大臣に二、三お伺いしたいと思います。
 まず、科学技術庁は、特に理工系学生の約六割の養成に当たっている私立大学の役割を再認識すべきである、こういう点を強調しておられるわけです。そこでお伺いしたいのですが、こういういわゆる長官のねらいは一体どこにあるのかということ。そして、また文部大臣としては、私大の役割をどのようにお考えになっているか、それぞれのお立場からお答えいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(池田正之輔君) お答えを申し上げます。
 私は、何も私立大学を取り上げてこれをやれということではないのでありまして、新聞その他では、特にそこだけを、私がいかにも私立大学だけを取り上げてこれをやるべきだというふうにいわれておりますけれども、そうではないので、つまり科学技術会議の答申に基づいて、今後十年の間に大学の卒業者が十七万人不足する、これを何らかの方法によって埋めなければいかぬ。充足しなければならない。その場合に、大学というものは、御承知のように、国立大学と公立大学と私立大学と、この三種類があるわけでございます。ところが、文部省がやっておりますのは、国立大学だけを対象にして、これの拡充をはかっている。そして公立、私立というものはそのままにして、これに対しては何らの呼びかけも、もちろん国立の場合は文部省が直接におやりになるでありましょうが、公立や私立はそれぞれ自主的にやって、それぞれ文部省の認可を得てやるわけなんですが、この公立、私立に対して文部省が呼びかけをしていなかったことに私は大きなミステークがあったということなんです。そこで私は、勧告を出しましたときには三月十一日で、あのときにすぐやれば、公立も私立も、もっとできたと思うのですけれども、今の段階に、この時限になりますと、公立は、まあやりようによってはできぬとは思われませんけれども、必ずしも至難だとは思いませんけれども、もはやそれぞれ府県なり市なりの予算というものは、大体一応は立ったわけです。そうなってくると、予算を伴う問題は、これはできないわけです。そこで予算なしでできる方法は何かないか、そうなってくると、私立大学というものは、これは呼びかけようによってはまだやれる。しかも、相当の人数をやれるというのが私の見方なんです。とにかくそういう意味で、今これからやるのは、国立は予算も成立しておりますから、これはできないので、とにかく私立大学はこれからでもおそくはないから、おやり下さいといって勧告をした、こういうことでございます。
#97
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私立大学が日本の大学教育  大学に限りませんけれども、私立の学校が日本の教育に非常な貢献をして明治以来今日まできておることは御承知のことであります。文部省としましても、ずっと続いて私学の果たす役割を十分に念頭に置いて施策が行なわれてきておると思うものであります。現に御案内の通り、科学技術教育に関しましては金も要ることだからというので、法律までも作っていただいて、及ばずながら助成をし続けて参っております。今後といえども科学技術庁長官の勧告のあるなしにかかわらず、私学に十分の御協力を願わなければならぬことは当然であります。また、勧告がありました当面の課題としても、勧告の趣旨に従って、一そうの努力をせなければならぬと、かように考えておるのであります。
#98
○伊藤顕道君 引き続きお尋ね申し上げますが、その前にお願いしておきたいと思いますが、科学技術庁長官は二時半までに御用務があってどうしても退出しなければならぬということになると、三十分しかありませんので、以下両大臣の御答弁については、一つ大事な点を簡潔に要旨だけをお答えいただいて、三十分で一応終わるようにいたしたいと思いますので、その点お含みおきいただきたいと思います。
 それでは、さらにお伺いしますが、私立大学に対して行政管理を強化することは文部省としては考えていない。けれども、私大を育成強化する、その点にはきわめて冷淡だという、そういうふうに常々私大側から論難されておったということでありますが、そのことに対して長官としてはどのようにお考えになっているか、また、文部大臣のお立場からはどういうふうにお考えになっているか、それぞれ一つお答えいただきたい。
#99
○国務大臣(池田正之輔君) 私の見るところでは、少なくとも、従来の文部省というのは官学万能主義で、公立や私立というものはあまりかわいがっていないということは、もう明瞭であります。
#100
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私立大学を初め、私立の学校は申すまでもなく、原則としては民間資金をもってまかない、また、大学の経営、運営につきましても、自主的にやりますことは、国立、公立の場合よりも、当然のことではございますが、自由に原則としてやるという建前。ただ、教育というものが、その学校に入ってきます学生、生徒の立場も考えて、教育効果のレベルを下げないようにという公共性の建前からも、文部省としての、政府としての国民に対する、また、私学それ自体のためにもということで考慮されて、大学設置審議会等、法律に基づく審議会等も作られて運営されてきていると思います。その運営につきましては、私の承知する限りでは、設置基準等は、国公私立同じものを適用して教育レベルの低下を防ぐという建前で参っていると承知いたします。ただ、実際問題としますると、その設置基準そのものが、あまり厳密に過ぎるという批評もあるようでございます。さらにまた、今後科学技術教育それ自体の内容が急激に変化した今日でもありますのみならず、大学卒業程度の科学技術者が民間でも非常に要望される時期でもあります。政府の所得倍増計画を考えましただけでも、それに応ずる必要があるということから、設置基準そのものが従来のままでよろしいかどうか、これも検討しなければならないであろう。これまた池田長官の御勧告に基づきまして検討いたしたいと思っているわけでありますが、要するに、ことさら私学を押えつけて、国公立だけに力こぶを入れるという考え方で従来から今日までことさららしくきているとは考えないのであります。運用上、現実に即しないことがありゃなしやという角度から、十分検討いたしたいと思っております。
#101
○伊藤顕道君 お言葉ではございますけれども、この私学振興についての必要性の強調については、今度初めて科学技術庁長官から勧告されたということではなくして、もう前々からこういう風潮はあったと思うのです。にもかかわらず、私学振興は遅々として進まない。これは公平に考えて、そういう現実であったと私は思うわけです。そこで、せっかく科学技術庁長官が勧告をされたわけですから、大きなお気持になって、これをもちろん具体的には慎重に検討されて、抜本的な対策を十分講ぜられることが必要であろうと思うのです。そうでないと、ただ国会で、ほんとうにわかりいい、まことに理解深いような御答弁をなさっておりますけれども、これは答弁だけではどうにもならないので、実際問題とじっくり取り組んで、これを具体的に進める必要があるのではなかろうか。しかも、この勧告を機会にして、おおらかな気持でやる絶好な機会だと思うのです、その点についての決意のほどを伺っておきたいと思います。
#102
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今度の勧告なかりせば、さっきも申し上げましたような、大学の設置基準そのものの再検討などということは、おそらくチャンスに恵まれなかったと思います。その点だけから申しましても、私はいい勧告を出していただいたと思っておりますが、むろんこの場限りのことでなしに、おっしゃるようなおおらかな気持、考え方で、誠意をもって検討を加え、善処したいと思っております。
#103
○伊藤顕道君 そこで、さらにお伺いいたしますが、私学の振興ということになりますと、ただ単に私学の設置基準をゆるめる、こういう方向で進めるということであるならば、これは私どもとしては当たらぬと思う。やはりほんとうに私学を振興するためには、財政面の補強策がどうしても必要であろう、そういうふうに考えるわけです。ただ設置基準をゆるめただけではどうにもならぬ。また、この設置基準をゆるめることには大きな問題もあるわけです。そこで、あくまでも財政面の補強ということを第一義として考うべきであろう、私はまあそう思うわけですが、これに対して長官としてはどうお考えになり、文部大臣としてはどういうふうにお考えになっておるか、それぞれお答えいただきたいと思います。
#104
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 設置基準のことに触れましたが、御指摘の通り、これをただゆるめてルーズにする方向に持っていくなぞとは考えておりません。先刻も申し上げましたように、今までの設置基準というものは、はたして世界的に特に急テンポな進展を遂げておる科学技術教育の面におきまして適合し得ているかどうか、無用なことがありはしないか、足らないところがありはしないかという角度から、それぞれ専門の方にも御相談申し上げて再検討をいたしたい、こういう趣旨と御理解いただきたいと思います。むろん財政措置をもって私学の振興に努力をすることも当然のことでございまして、三十六年度予算にも、何がしかのそのための経費は持っておりますが、三十七年度以降につきましては、さらに勧告の趣旨もあることですから、今まで以上に十分の考慮を払い、予算折衝においても全力を尽くして実現をはかりたい、かように思っております。
#105
○国務大臣(池田正之輔君) 特に私から申し上げることもございませんが、当然政府としてはできるだけの財政援助なり補助なり、そういう政策をとらなければならぬ、そうして助長する、こういうことだと思います。
#106
○伊藤顕道君 急を要する科学技術者の養成については、結局、現行の大学基準が機械的に過ぎる、こういう点については再検討をすべきではないか、こういう問題があるわけです。これについて、やはり科学技術庁長官としてのお考え、文部大臣としてのお考えを確かめておきたいと思うのですが、簡潔に一つお答えいただきたいと思います。
#107
○国務大臣(池田正之輔君) 実はこの問題に私が取っ組んだのは今年に入ってからなんで、しかも、三月の各学校の卒業期、つまり就職の関係などを見ておりますと、まことにこれは寒心にたえないものがある。あなた方おそらくお聞き及びだと思いますけれども、各大会社でさえも、思うように技術者を採用することができない。つまり絶対数が少ないと申しましょうか、それとも逆に、年々、ことしも来年も増加されていく設備投資、おそらくは三兆前後の設備投資というものが年々繰り返されていくというような状態下において、これを運営していく技術者というものの需要は急速にこれはふえてきておる。従って、これからの中小企業や何かでは、おそらく大学卒業生なんていうものは一人も採れないというような事態が起こるのではないか。もっと極端に申しますと、私が心配いたしておりますのは、私どもの科学技術庁でことし必要とする技術屋は、つまり研究所や何かで必要とする大学卒業生は七十数名でありますが、実際に採用できておるのは三十名あまりしかない、これが実情なのです。こういう形でこのままで推移いたしますと、残念ながら東海村の火が消えるような事態が起こらぬともこれは保証ができない状態であります。これはおそらく一般の方々でそこまで深刻に考えておられる人は、どうも残念ながら少ないのじゃないか、これが私が一番心配しておるところなのです。従って、こういう勧告ということになりましたが、勧告を出しましてあとになって、今になって考えてみますと、今文部省から出されておるつまり増員計画、これにも若干の異論はありますが、それはそれといたしましても、今三十六年度、ことしの四月に入学した大学生が卒業するまでには四年かかる。四年の間に、かりに三兆ずつの設備投資として十二兆の設備投資ができた場合に、一体これはだれが運転するか、こういうふうなことを考えてみますと、私は、何かもっとほかに緊急な手を考えなければならぬのじゃないか。こういう委員会でそういう打ちあけた話まで申し上げることはどうかと思いますが、そういうことまで実際私は心配しておる。そこで、何か緊急の手を考えなければならぬのじゃないかといったような実は考えを持っておる。しかし、これはそれぞれの職場々々に当たってみないと正確な数字は出てきませんから、今その数字を出すわけにはいきません。従って、私自身の決意を固めるまでには至っておりませんが、少なくともそういう憂うべき事態にあるということだけは申し上げたいと思います。これは科学技術者の養成、科学技術の推進というのが私の本務でございますから、従って、そういう緊迫感を感じておるのでありますが、文部省の方々はそういうととろまではあまり感じていないのじゃないか、そこに私と文部省当局との考え方の大きなギャップがあるというふうに私は考えております。
#108
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 科学技術者の養成の緊要性は、及ばずながら私も感じとっておるつもりでございますが、さらにもっと緊迫感を持って将来に向かって努力しろという意味の勧告をちょうだいして、実は大いに歓迎しておるところであります。さっきも申し上げました通り、あらゆる手段を尽くして国家的要請にこたえねばならない、かように考えております。
#109
○伊藤顕道君 この問題は、ただ単に私学に限った問題ではなくして、大学制度全体の問題として取り上ぐべき問題だ、そういうふうに私どもは考えるわけです。そこで、日本の学校制度の根本的な再検討が必要になってくると思うのです。そういうことになりますと、まず教師の待遇を考えなきゃいかぬと思うのです。科学技術者の教師の待遇、前回にも詳しく申し上げたように、非常に希望者が少ないということ、これは民間が非常に優遇するから、従って、それとの格差で、なかなか希望者もいない。指導者がいなければ、学校の施設をいかによくしても、学校を増置しても、指導者のいない学校はおよそ意味がないと思うのです。そういう意味合いから、まず教師の待遇の改善ということ、そういうことの問題に入りますが、結局財政面に関係してくると思う。従って、これも実際の予算化の問題が伴わないと、なかなかもってこの問題は解決しがたい問題だと思うわけです。
 そこで、この問題について、新年度の予算を見ても、あの程度の予算では、科学技術の振興もなかなか期しがたいというふうに私どもは見ているわけですが、しかしながら、私学については、今からでも予算関係のない面についてはどんどん振興できると思う。こういう点について文部大臣としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#110
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 予算を伴う問題は、先刻お答えしたことで御理解いただきたいと思います。
 私学について、国の予算なしにやれるところは、もちろんそれを推進せねばならないと思います。その意味では、何と申しましても、私学の経営費の大宗ともいうべき民間からの寄付金がもっと集まりやすくする方法はないか、こういうことで昨年来大蔵省とも折衝をいたしまして、法人税法の施行令の改正をもくろんで、概略今までの約倍くらい、具体的な数字は推計でしかございませんけれども、二百六、七十億くらいはこの純増を期待できるのじゃないかというふうに思っておりますが、そういうことをやることも、もちろん必要でありますし、さらに、個人の寄付が税金面で優遇されるような措置が講ぜられるべきだと思いますが、このことにつきましては、また結論まで到達いたしておりません。いずれ三十七年度予算との関係においてやるといたしましても、実現の時期は期待できないわけでございますが、そういうことにも努力いたしまして、私学が財政面でなるべく運営しやすいようにという協力もいたさねばならないかと思っているわけでございます。
#111
○伊藤顕道君 いろいろ具体的な面からお伺いしてきたわけですが、この間の長官が勧告を出された内容を検討してみますと、池田長官談として報道された面によく要約されていると思う。その点について、さらに両大臣の所信のほどを伺っておきたいと思いますが、こういう要旨が発表になっているわけです。
 「科学技術振興には技術者養成がまず必要なのに、これをやらぬ文部当局は怠慢だ、再三にわたり口頭で警告したが、聞き入れないので、思い切って伝家の宝刀を抜いた」と、この程度までやらなければ、文部官僚による官尊民卑の弊害は打破できない、こういうことで私は拝見したわけですが、もしこれに間違いがあれば御指摘いただき、もし間違いがないとすれば、長官としてはこのお考えに変わりはないかどうかということ、これは長官にお伺いしたい。
 それから文部大臣に対しては、科学技術庁長官から、文部省は怠慢だと、こうきめつけられているわけですね。文部大臣はこのことに対して、いやしくも一省の大臣が他庁の大臣に怠慢だときめつけられたこのこと自体、まことに重大だと思う。これがもしほんとうに怠慢であるならば、この責任まさに重大だといわなければならないわけです。それに対する文部大臣の決意のほどを伺っておかなければならないわけです。こういう面について文部大臣からお答えいただきたい。それぞれお答えをいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(池田正之輔君) 今お読みになったその新聞の記事は、現在でも私はその考え方に変わりはありません。
#113
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 怠慢だとおしかりを受けていることは恐縮しておりますが、しょせん微力のいたすところとも思いますけれども、ただ、三十六年度の国の予算、これに関連する法律案等は、予算はすでに御決定いただきましたが、法案等は今御審議をお願いしつつあります。その関連する限度内におきましては、いささか前年、前々年よりは努力はしたつもりでございますが、幾らやってもやり足りないくらいに、科学技術の進歩発展のテンポの早さに比べますると、怠慢だと言われても仕方がないくらいの努力でしがなかったようにも思います。いずれにしましても、前向きに今度しっかりやれという御勧告を受けたと、ありがたくちょうだいをいたしまして、微力にむち打って最善の努力をしたいと思っておるところであります。
#114
○伊藤顕道君 文部大臣の御答弁ではちょっと了解しがたいのですがね。最初読み上げた中にも、文部省は怠慢だと、再三にわたって口頭で警告したけれども、何ら聞き入れない、だから仕方がない、伝家の宝刀として科学技術庁設置法第十一条第三項を適用して勧告をした、そう長官はおっしゃっておる。しかも、そのお考えには間違いがないということですが、今御答弁になっておるようなことは、しごくすなおに受けとめて、たとえ怠慢だと御指摘になっても、これは力の足らぬところで、恐縮しておる、そういうこととどうもこれはまことに相反する態度であるし、どちらが正しいのか、どちらがほんとうの文部大臣のお考えか、私どもにはそんたくしかねるのですが、一体どちらが正しいのですか、この点を明確にしていただきたい。
#115
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまお答え申し上げた通りでございます。
#116
○伊藤顕道君 さらに長官はこういうこともおっしゃっておる。文部省の首脳部は、私大を増員すると大学の素質が低下すると言っているが、その考え方がおかしい。地方にある国立の駅弁大学よりも優秀な私立大学は幾らでもある、こういうふうな意味のことをおっしゃっておるわけですが、そこで、まず長官にお伺いしますが、駅弁大学というのはどういう意味なのか、これは私どもいまだかつてこういう熟語を勉強したことはない。責任ある大臣のお言葉としては聞き取りがたい、駅弁大学とは何か。それと、文部大臣については、このような長官のお言葉を一体どのように受けとめておられるのか、それぞれお答えいただきたい。
#117
○国務大臣(池田正之輔君) 私は、駅弁大学と言った覚えはないのでありますが、新聞によってはおもしろおかしく、わかりやすくといいますか、それで駅弁大学という言葉を使ったんだろうと思います。ただ、私が言いたかったことは、地方の大学よりも、東京の私立大学のりっぱなところ、はるかにいいところがあるのだ、それをしも無視するような態度はよくないという意味でそれを説明したわけです。
#118
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私学で養成すると質が低下すると一般的に考えているわけじゃ毛頭ございません。特に理工系を中心とする科学技術者の養成ともなれば、教室だけではいけませんし、実験、実習設備が伴わなければほんとうにいい人が養成できないことは、これは常識だろうと思います。これは国公私立を問わず、当然そうあるべきだ、そういう角度から、先ほど申し上げました設置基準等が、もともとは私学みずからが自主的にやるので、設備の伴わない変な大学が戦後横行したものですから、質の低下を憂えて設置基準なるものを自律的にきめられた趣であります。そのことを文部省で私学とも十分御相談の上で取り入れて、設置基準が文部省令で定まっておるようでございますが、ととろが、だんだんと落ちついてきまして、いかがわしい私立の学校というものはだんだん少なくなった、良心的によき教育をという意欲が高まって参りましたので、そういう角度から申しますと、先刻も触れましたように、必要以上のむずかしい基準をずっと以前のままに要請するということは実情に合わないこともあるだろう、それは御指摘もありましたように、教育の質を低下させる方向じゃなしに、無用のむずかしい条件を一挙に満たすことを要望しておる点でもあるとしまするならば、実情に合うように検討を加えていかなければなるまい。そういう意味で、今までの基準、今までの建前からいきまするならば、少なくとも、形式上は適当でないというふうな結論が、あるいは出るであろうけれども、今申し上げたような趣旨で再検討の上一現実に即し、しかも、質も低下しない私学における科学技術者の養成を要望し、かつ、必要に応じて政府もこれに協力する、こういう考え方でいかねばなるまい、かように思っておるような次第であります。
#119
○伊藤顕道君 長官に重ねてお伺いしますが、私、何も駅弁大学という名称にとらわれておるわけじゃございませんけれども、これは三月十二日の都下の大新聞にこういう名称が出ておったわけです。しかし、間違いであれば、これは何ら問題ないわけですが、もしかりに駅弁大学というようなことで表現されたとすると、これは不謹慎きわまると思う。ほんとうに言われた覚えはないのですか、重ねてお伺いします。
#120
○国務大臣(池田正之輔君) はっきり申し上げますが、さような覚えは絶対にありません。
#121
○伊藤顕道君 もうお約束の時間がきましたから、最後に一点だけ長官、大臣あわせてお伺いしますが、さらに長官は、文部省は三十六年に約一千名の私大理工系学生の増員を計画しているけれども、それではとうてい足りない、せっかく私立大学が全体で一万人の増員をはかっておるのだから、大幅にやらせたらよいではないか、こういう意味のことをおっしゃっておるわけです、もし間違いがなければ。
 そこで、まず長官にお伺いしますが、私立大学としては、全体としてほんとうに一万人増の計画を立てられたのは間違いないかどうかということ、それから文部大臣に対しては、私大のこの計画を文部省としては大幅にどうして受け入れないのかということ、それぞれお答えいただきたい。
#122
○国務大臣(池田正之輔君) これは私立大学はそれぞれ大学として科目の増設計画を持っているわけでございます。しかし、これをうかつにそのまま文部省の窓口に持っていきますと、これを拒否される。ですから、自分で持っておったものを、私学協会でございましたかどこかで、これを一応累計してみたのです。その結果が約一万人というのでございまして、これをいいますと、文部省では、私の方では知らなかったと、こう言うのです。また、知らないはずなんであります。しかし、知らないはずだといって済まされる問題ではないのです。文部省としては、私が調べる前に、私学には大体どれだけの余力があるか、どのくらいの拡張計画があるかということをもっと積極的に調べて、親切にどうしたらもっとやれるか、ぜにが足りないか、足りないならば投融資で考えてもいい、そういう手はあるはずだと思う。そういうことをやっておられないから私は怒ったのです。こういうことであります。ですから、伊藤さんがお考えになってもおわかりのように、実際理工系の学生の分担というものは、なかなかはっきりした数字はつかみにくいのでありますが、少なくとも、公私立を合わせて七割というものは国家の要請の理工系の学生の養成に当たってきている。公立というものは三割あまりしかないのですから、その三割だけに一生懸命やって、この七割に何も手も打たない、かようなことはわれわれ政治家として考えられない。これは文部官僚でもなければ考えることじゃないのですよ、こういうばかげたことは。その感覚がよろしくない。それとも、単なる感覚の古さでそうなったのか、意識してやっておるのか、どちらかなんです。いずれにしても、これは許しがたい行為だ。私は、少くとも日本の政治家として、大いに義憤を感じでおる。まして、いわんや科学技術の推進を担当する私の立場からすれば、これは許しがたいことだ、こういうことを申し上げているのであります。
#123
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私学に一万人の増員計画があるということは、今長官からも言われましたように、文部省としては承知していながったことは事実でございます。と申しますのは、なるほど私学に積極的に働きかけて、実態調査等もしつつ話し合いをすることがあったならば、もっと前に知り得たとはむろん思いますけれども、何せ私学を積極的に国としてどうするということは、事実問題として制度上もできない建前にもなっておると思います。ただ、科学技術教育には、先刻申し上げましたように、金がかかる。しかも、国家的、社会的要請にこたえて協力してもらう、金のかかった教育もしてもらうという以上は、国としても何らかのそこにわずかながらでも助成金を出すのが至当であろうというので、科学技術教育関係の助成の法律も制定していただいておりまするのみならず、学生に対しまして、大学で一人十万円見当の積算のもとに、実験、実習の設備の助成金も三十六年度予算にも盛られておるわけですが、そういう助成をする事柄に関連いたしまして、私学に助成金を受けつつ養成をする計画ありやなしやを照会する、そういうことで照会をして私学の意思を聞くほかには、方法が形式上はなかったわけでございまして、そういうことから出て参りました学部の新設、あるいは学科の新設増員、ないしは大学院の設置等の申請を昨年の秋出してもらって、それはほとんど認可をし、さらに整理しました予算の配分を、今具体的に検討しておるような次第でございます。しかし、長官の勧告に関連をいたしまして、一万人ではないようですけれども、何千名かの養成をしたいという意図があるように、間接ながら承知いたしましたので、具体的にそれぞれの大学と接触を保って、できることならば、本年度からでもさらに増員ができるものならやろう。予算が関係がありますと、できないことは理の当然でありますが、予算なしにやれる方法ありやなしや、そういうものを具体的に検討したい、検討に着手しつつあるところでございます。
#124
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#125
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#126
○伊藤顕道君 さらに続けてお伺いしますが、今文部大臣は私の質問に答えられたわけですが、今私の質問に対して、お聞きのように長官がお答えになったわけですね。それは文部大臣としてもよくお聞きになったと思うのですが、これはなかなかもつて文部大臣としては聞き捨てならないお言葉もあったと思う。何も感じないとおっしゃればそれまでですが、その長官のお答えに対して、文部大臣としてはどうお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。
#127
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お尋ねの点は、一万人計画ということかと拝察しますが、それにつきましては、今申し上げた通り、文部省として知り得ます私学の要請、増員計画というのは、正式に書面をもってそういう意思のあることを表明していただきませんと、正確にはわからないことは申し上げるまでもございません。そういう意味では、昨年の秋に一応出してもらって、それが約一千名ちょっとだったと思いますが、それはほとんど一つも残さないで、大学設置審議会の議を経て認可をいたしまして、先刻申し上げたような措置をとりつつあるわけでございます。もちろんそのほかに、私学が内心それぞれ考えておる案画は、それはあろうかと思います。しかし、それは卵の状態であって、まだひよこになっていませんから、ひよこになって生まれ出てくれませんと、文部省としては、そういう計画があるのだと正式に認めて、それを基礎に事を運ぶという段階にはならない意味合いの計画であろうかと想像するわけであります。それでもそういう話を聞きましたから、それぞれの大学に具体的にどういう計画を持っておられるか、一々当たって相談をしてみたい、かように思っておるわけであります。
#128
○伊藤顕道君 私が今お尋ねしたのは、まあそういう数字等をあげてのこともございますが、結局今長官が答えられたのは、文部省は怠慢じゃないか、もしそうでないとすれば、これは意図的であった、こういうことは文部大臣としては聞き捨てにならないのではなかろうかと、そういうふうに私は考えたから、その点に対して大臣はどのようにお考えなのかということをお尋ねしたわけです。その点についてはいかがですか。
#129
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いや、格別聞き捨てにならないと開き直って考えるほどのことではないと思います。今も申し上げました通り、前向きに科学技術者の教育をしっかりやれ、教育の担当者である文部省しっかりせよということを言っていただくのは、むしろありがたいようなことでございまして、それをいろいろな注釈の際に、用語がはなばなしかったり何かいろいろございましょうが、基本的な趣旨は、内閣の閣員の一人として、三十六年度の予算及びそれに基づく諸計画、これは当然長官といえども、責任をもって国会の御審議をお願いしておる立場であります。それ以後に対して前向きに、あえて三十六年度に限らず、所得倍増問題だけを考えましても、昭和四十五年までの前向きの姿勢でもって、もっともっと努力すべしという勧告を受けたことは、私はありがたいことだと思って聞いておるわけであります。
#130
○伊藤顕道君 さらにお伺いしますが、この科学技術庁が勧告の説明資料として出されたものを文部省は受けとめて、文部省自体の数字とだいぶ食い違っておると反駁されておるわけです。これは、そのこまかい数字については大臣にお伺いするのはいかがかと思いますが、大事な大きな数字ですから、お答えいただきたいと思うのですが、たとえば科学技術庁としては、その説明資料の中に、文部省は三十六年度の理工科系学生を約二千六百人増加する予算を計上し、この内訳は、国立が千七百九十名、私立が八百名、計約二千六百人ということを科学技術庁としては説明資料に出しておられる、これを受けとめた文部省としては、違う数字が出ているわけです。これはどういうことになりますか。
#131
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ある程度の数字の相違はあるようでございます。新聞に、何か文部省の事務当局が反発したような数字を発表したように出ておりましたようですが、私は瞥見しましたけれども、そういう考え方は文部省としては全然ございません。たまたま新聞記者諸君から個別的な数字を聞かれて言ったことが、あたかも反駁するために話したがごとく報道されたのが真相のようでございます。そんなことは別といたしまして、池田長官も委員会の席で申しておられましたように、数字のこまかいことの一々が問題じゃない、大筋が自分は関心事であって言っているのだということを言っておったようですが、それが真意だと受けとめているわけでありまして、ある程度の数字の違いがございますのは、聞いてみますと無理からぬ点もあるようであります。たとえば文部省では、先刻御披露申し上げました私学からの増員の要請、補助金等も関連いたしましての要請は、大学設置審議会の議を経て認可します以前の数字を科学技術庁の方ではつかんでおられたようでもあります。その後になりましては、文部省としては、認可をしました数字を含めた数字を新聞記者に話した、それが食い違っているという格好になっているのでありまして、別に反駁するとかせんとか、食い違っているから大へんだという受け取り方は私どもは一つもしておりません。
#132
○伊藤顕道君 さらにお伺いいたしますが、まあ数字もたくさんあるわけですが、そういう扱いについての大綱の御説明があればよろしいので、数字をここで問題にしようとは考えていないわけです。
 そこで、先ほども触れました大学設置の基準について、科学技術庁としては、国立と私立の間に差別扱いがあるとしているわけですね。これに対して文部省としては、そういうことはないと言っているわけですね。これはまさしく対立しておって、私どもとしてはどちらを信じていいかわからない。一体那辺に真理があるのか、その点を明確にしていただきたい。
#133
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ、ある意味では、結果的に差別らしきことがあるとも言えないことはございません。まあ妙な言い方でおそれ入りますが、それはたとえばこういうことであろうかと思うわけであります。大学を設置します場合の新設の場合、あるいは学部の新設の場合等、教授陣はこういうことでなければならぬ、実験、実習、研究設備はこうこうこういうことでなければならぬ、建物はこうであるべきだという基準というものは、国立、公立、私立に差別して適用する意図は全然ないわけでございます。ですけれども、国立になりますと、予算は毎年々々組まれる。従って、大学を新設いたしましても、四年制大学を新設すると仮定いたしましても、その初年度分の予算が成立いたしまして、そうして学校は発足する。しかるに、私学の場合は、設置基準によりますれば、四年制大学のことを例にとれば、少なくとも六割、二年半分ぐらいの学校施設設備等が整備されておるものを認可するというふうなことに従来なっておるようであります。従って、その点から申しますと、国立は一年分でいいのに、教授陣も、一年が発足するのに一応足りればいいということになっておるのに、私学は二年半分もそろえなければ認可しないことはもってのほかだというような格好になると思います。これはことさら私学を差別するということでなくて、国立と私立の相違から必然的にそうなる、結果がそうだと、こういうことだと理解しておるのであります。そんならば、なぜ私学に二年半分の諸施設を整備しなければ認可しないかということは、沿革的には、新大学制度が発足しまして以後数年間は、ただ見せかけの蔵書をたなに積んでおったり、あるいは実験、実習設備にいたしましても、検査に行きました視学官等の目の前をつくろうだけで、どこからか借りてきてそろえておく、検査が終わればもちろん持ち主に返してしまうものだから、何も整備されていないというふうなことがずいぶんあったと承知いたしますが、そういうことでは、これは入ってくる学生が気の毒だ、質の低下はこれは防ぎ得ないということを心配いたしまして、先刻も申し上げましたように、私学みずからの発意に基づいて、自主的に設置基準なるものを相談して作られた。それで、私学協会その他お互いの相互の勧告によって、そういう愚かなことをやらないようにということが自主的な措置としてとられ来たった。そのことを文部省で私学と相談の上で取り上げまして、文部省令という形で設置基準なるものを制定して今日まで参っておるという、沿革的な厳密なものでごさいますことが、二年半分ぐらいの設備がなければという状態にまできておる。ですから、そうできるかどうかは一応検討しなければわかりませんけれども、私学でもピンからキリまで一応あると考えなければならない。大半の私学は、きわめて誠実に、文部省からかれこれ言わなくても、施設、設備は十分整備して、授業に支障のないようにと考える向きが多いわけではありますが、従って、そういう誠実な大学に対してはかれこれしちめんどくさいことを言わない。ほんとうに適切でないところには設置基準を厳密に要求する、そういう差別的運用ができるかどうかは問題でございますが、先刻来再々お尋ねに応じてお答え申し上げたように、質を低下させないで、差別待遇的に受け取られそうな無用なことはやめるという方法はないであろうかということも含めまして検討をいたしたいと申し上げるのはその点でございます。
#134
○伊藤顕道君 今残念ながら、科学技術庁長官はお帰りになったので、そこで、ただ一方的にお話々聞いても了解しがたいので、この点に関して、また今大臣お答えになったような面については、科学技術庁としてはどうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
#135
○政府委員(久田太郎君) ただいまの御質問の趣旨でございますが、私ともで今度の勧告の中に盛りました問題は、あくまで現実的な事態を対象としまして資料といたしましたのでございまして、現在の大学の設置基準等につきましては、ただいま文部大臣の御説明の通り、いろいろ沿革的な事情等があって今日に至っておると存じますが、いずれにいたしましても、今日の科学技術者の早急な養成が要請される現実の事態に対して、若干そぐわない点があるんじゃないか、そういう見地からこの勧告の基準がきめられたわけでございます。
#136
○伊藤顕道君 だいぶ時間がたちましたので、最後に文部大臣に要望を兼ねて、一つお伺いして質問を終わりたいと思いますが、繰り返し申し上げるように、科学技術庁長官が、かつてない科学技術庁設置法の第十一条三項を適用されて大臣に勧告されておるわけです。これはいまだかつてなかった事例だと私どもは記憶しておりますが、これは相当強い決意のもとに、また、強い意味の勧告があったと思う。言葉も相当強く勧告なさった。しかも、これを受けとめた大臣としては、非常な寛容の態度で、勧告まことにありがたいという態度で、激励してもらったのだからまことにありがたやで、これを忠実に実施に移したい、こういう態度であったと思う。そんなに寛容な文部大臣であるならば、世論として今問題になっておる日教組が何とか話し合いをしたいということを重ね重ね要望しておるわけです。そこで、民主教育を確立する上には、話し合いが一番いいと思う。それ以外に道は、なかなかこれという妙案はないわけです。何とかしてこの両者の話し合いを持って、一つ交渉を軌道に乗せるべきじゃないか、それが教育、特に民主教育を確立する上に非常に大事なことではなかろうか、こういうように私どもは痛感するわけです。そこで、前から重ねてお伺いしてきたわけですが、その答弁の中にも、やはり強い勧告に対して、まことに寛容な態度で出ておられるのですから、そういう大臣の寛容さは、どなたに対しても、どの方面に対しても公平でなければならぬと思う。ある部局に対してはきわめて寛容であるが、ある面についてはきわめて厳だと、こういうことはまずいと思うのです。一国の文政の最高責任者である文部大臣としては、特にそういう感が強くなければならぬと思うのです。そういう意味合いから、もちろん日教組にも問題はございましょうし、文部省にも問題がございましょう。いろいろございましょうから、一つ話し合いからこの解決の糸口を見出すべきではなかろうか、これが民主教育の確立の上にまずもって大事な点であろうと思う。従って、大きな、おおらかな気持を持って、今後一つぜひ、問題もございましょうが、日教組との話し合いの場を一つぜひ至急に持ってもらいたいということを要望し、それに対して、まあ今までずいぶんいろいろと言われてきたその理由、根拠というものも私も承知しておりますが、まあそういうことに拘泥しないで、先日来この当委員会で示されたその寛容の態度を一つこういう方向にも向けていただきたいということを要望し、それに対するお考えを一つ確めて最後の質問といたします。
#137
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 池田長官の勧告は、これは大筋として筋が通っておると思います。註釈等の用語の不適さ等は、あるいはあるかもしれませんが、大筋は今の時代の要請に応じた適切な勧告であると思います。それに対しては寛容と申しますか、ありがたくちょうだいするのが当然と心得ております。
 日教組と交渉するしないという問題は、私は筋が通らないから、ごめんこうむった方が適切だと、かように考えているわけであります。
#138
○伊藤顕道君 どうもその点がわからないのですがね。話し合って、そうしてその内容についてわれわれがこうしろ、ああしろと言うておるわけじゃない。まず話し合って、それで受けとめがたい問題については、これはノーでよろしいし、話し合いのつく面をそういう話し合いからいたすべきではないか、これが民主主義の要諦であり、また、民主主義に基づいた民主教育の確立でなければならぬと思うのです。なぜお会いできないのか。まあ理屈はいろいろ――大臣の従来言い続けてきた、また、文教委員会で答弁なさっておる内容は私も承知しているが、こういうことでは私ども納得しがたいと思うのです。なぜおおらかな気持で話し合いができないか。これは弔う昔の封建時代ならいざ知らず、民主教育を進めなければならぬ、しかも、民主教育を確立するということは、文教の最高の責任にある文部大臣のまた責任でなければならない。ただ大臣が日教組と会わないことによって多くのマイナスの面もあるわけです。いろいろの、混乱にまた混乱という事態も、現に先日文部省を中心にあったわけです。こういうようなことから考えて、文部大臣は、一ついま一歩その寛容の気持を進められて、一ぺん会ってみよう、そしてどうも無理な要求に対しては退けたらいいじゃないですか。受け入れるべき面があったら受け入れて、まず話し合いをすべきではなかろうかということを私どもは要求したいと思うのです。内容についてつべこべ言うべき筋合いじゃございませんが、そういう気持になぜなれないかということが、従来大臣の言い続けてきたそういう理由だけでは納得しがたい、重ねてお伺いしたいと思います。
#139
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 民主教育を推し進めるために会って話をしたらどうだとおっしゃるわけですが、私は、民主教育を確立し、推進していかねばならないから、会って話し合いなんかしない方が適切だと思うのであります。私の理解するところでは、日教組という団体は、地方公務員法に認められた任意団体であることも一つも疑いませんが、その教師の倫理綱領にも定めております通り、労働者である、労働組合であるという自信に立っている団体だと思います。今の日本の法律上認めております労働者の団体たる教職員組合が、任命権者と申しますか、労使関係になぞらえて言いますれば、使用者側に対して交渉すべき課題は、法律に定めてある課題以外にはあり得ないと思います。そうだとしまするならば、その相手方は都道府県市町村の教育委員会である、これは法律に明記するところであります。もし労働者の団体、勤労者の団体でない、政治団体だとでも言われるならば別ですけれども、そうではないはずでございますから、従って、話し合うべき相手方は、文部大臣にあらずして、地方の教育委員会でなければならない道理だと思います。従って、正式にお話し合いをすべき課題は、私との間にはあるはずがない、もしあるとすれば、事実問題として一般の国民が政府や国会に陳情、請願が認められている、そういう立場においてのお話ならば、それはあり得るかと思います。これは事実問題であって、会って話しするしないはお互いの自由である。私は、今はそういう意味でもお目にかかって話し合うことそのことが適切ではない、かように考えておるわけであります。
#140
○伊藤顕道君 時間がたって申しわけないのですが、なかなかもって理解しがたい御答弁ですので、重ねてお伺いしますが、今大臣は法理論をもってなされたわけです。ところが、そういう点になりますと、私どもにも言い分があるわけです。ごく卑近な例で、当内閣委員会で問題になった問題でも、国家行政組織法第八条違反の審議会とか、あるいは調査会、そういうものを前々からわれわれ強く追及したにもかかわらず、依然として法違反のそういう審議会等を設けておる、こういう制度、あるいはまた方向を変えて、人事院が昨年の勧告で、四月にさかのぼって実施するのが適当であると勧告しておる、それを政府は受けとめて、これを尊重いたします、口では尊重いたしますと言いながら、例年のことながら、また十月に行なっておるという、まあそういう例をあげると幾らでも出てくるわけです。そういう法理論だけでもし大臣が言われるならば、これはなかなかもって解決しがたい問題だと思う。で、私の言わんとするところは、そういう法理論、理屈でなくして、同じ日本人という考え方に立って、立場こそ違え、同じ日本の教育を憂えておるわけです。文部省は当然日本の教育を考えなければならぬ。日教組また立場こそ違え、日本の教育の民主化、そうして振興ということを考えておる。ただ、立場が違う。そこで、共同の場を見出して、この方向で徐々に急がず、問題をできることから解決していくことが民主教育であり、これがまた民主教育の確立の要諦であろうということをお伺いしておるわけです。だから、まずお会いできないかということを言っておるだけで、これ以上これに対して答弁を要求しても、また同じことを繰り返すであろうから、繰り返しませんが、十分いま一歩突っ込んで日本の教育を考えていただきたい。そうして、さらに馬耳東風と聞き流さないで、一つこういう声が相当強いということをお耳に入れていただいて、十分検討し、また、反省もしていただきたいということを最後に要請して私の質問を終わります。
#141
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#142
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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