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1960/05/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第25号
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1960/05/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第25号

#1
第038回国会 内閣委員会 第25号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
   ――――――――――
  委員の異動
五月十日委員小山邦太郎君及び後藤義
隆君辞任につき、その補欠として木村
篤太郎君及び大泉寛三君を議長におい
て指名した。
本日委員石原幹市郎君辞任につき、そ
の補欠として平島敏夫君を議長におい
て指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉江 勝保君
   理 事
           小幡 治和君
           村山 道雄君
           伊藤 顕道君
           山本伊三郎君
   委 員
           石原幹市郎君
           大泉 寛三君
           大谷藤之助君
           木村篤太郎君
           塩見 俊二君
           下村  定君
           中野 文門君
           一松 定吉君
           平島 敏夫君
           千葉  信君
           鶴園 哲夫君
           安田 敏雄君
           横川 正市君
           田畑 金光君
           高瀬荘太郎君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
   労 働 大 臣 石田 博英君
   国 務 大 臣 小澤佐重喜君
   国 務 大 臣 西村 直己君
  政府委員
   行政管理庁行政
   管理局長    山口  酉君
   防衛庁長官官房
   長       加藤 陽三君
   防衛庁防衛局長 海原  治君
   防衛庁教育局長 小幡 久男君
   防衛庁人事局長 小野  裕君
   防衛庁装備局長 塚本 敏夫君
   調達庁長官   丸山  佶君
   外務大臣官房長 湯川 盛夫君
   労働大臣官房長 三治 重信君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
  説明員
   調達庁不動産部
   次長      小宮山 賢君
   労働省職業安定
   局職業訓練部長 有馬 元治君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○派遣委員の報告
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。昨日、小山邦太郎君及び後藤義隆君が辞任され、木村篤太郎君及び大泉寛三君が選任されました。
   ――――――――――
#3
○委員長(吉江勝保君) 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、石田労働大臣、三治官房長、有馬職業訓練部長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#4
○伊藤顕道君 まず、国民所得倍増計画と職業訓練行政との関係、こういう面で二、三お伺いしておきます。
 政府の国民所得倍増計画によりますと、今後就業構造の近代化ということに対応して、技術者とか、あるいは技能者の需要が増大するために、その計画期間中に、あるいは技能訓練によって百六十万人の充足が必要だし、さらに、また再訓練すべき人員は大体百八十万人が見込まれる、こういうことであります。そこでお伺いいたしますが、技能訓練による百六十万人の技能者の充足について、政府としては具体的にどのような構想を持っておられるか、この要点だけをまずもってお伺いしておきます。
#5
○国務大臣(石田博英君) 第一は、総合職業訓練所の充実でございます。これは職業訓練法が制定せられましたときの目標に、まだ若干幅がございますので、この幅を急速に埋めていきたい、それから一般職業訓練所を助成いたします。これは今度本年は十八カ所新設する予定でございます。それから特殊の技術者を不足とする職業、たとえば建設関係、これにつきましては専門の訓練所を設置していきたいと思っておる次第でございます。年次その他具体的な計画につきましては、事務当局よりお答え申し上げさせたいと思います。
#6
○説明員(有馬元治君) 百五十五万の新規養成訓練の概略を申し上げますと、職業訓練におきまして、昨年度の実績が五万七千人でございますが、これを四十五年度には十三万七千人に拡大をいたす予定でございます。また、事業内訓練におきましては、昨年三十五年度の修了生が三万人、これは大体訓練期間が三年のものが多いわけですが、総数においては約七万人訓練生がございますが、卒業生は約三万人、この規模を、昭和四十五年度には卒業生の総数を八万九千人に、また、訓練を受けている在校生の総数を二十六万七千人に拡大する予定でございます。
#7
○伊藤顕道君 御説明によりますと、三十五年度については五万七千人、また、三十六年度については十三万七千人と、約三倍に飛躍的にふえているわけですが、これがもしその通り実施されるとなると、大へん明るい方向へいくわけですが、これはただ単なる計画でなくして、十分裏づけもあり、公算もあり得る、そういう数字であるかどうか、ただ計画であるのか、その点をはっきりしておきたい。
#8
○国務大臣(石田博英君) 予算の裏づけをもちまして、計画通り実行いたさせる見込みでございます。
#9
○伊藤顕道君 それではさらに伺いますが、さらに再訓練すべき百八十万人の面については、どのような要領で再訓練しようとするのか、これについても、概要でけっこうですが、その方向をお伺いします。
#10
○説明員(有馬元治君) 百八十一万人の十カ年にわたる再訓練の規模でございますが、大体再訓練の対象を、職長上の監督者層に対する訓練と、中堅工に対する訓練と、二種類に分けられるわけでありますが、監督者層に対しましては、十カ年間に合計いたしまして四十二万人の訓練をいたす予定でございます。また、中堅工に対しましては百三十九万人の訓練をいたす予定でございます。監督者に対しましては、監督者としての必要な資質を向上させるための訓練が中心になりますが、中堅工に対する再訓練は、技術の革新、進歩におくれないための訓練ということが中心でございます。たとえば図面の見方、あるいは電気関係の知識の不足を補充する、あるいは計測器具の扱い方を再訓練するというふうな、当面技術革新、技術の進歩におくれないための再訓練を中心としてお願いしたいと思います。
#11
○伊藤顕道君 次に、目標年次における工業高等学校程度の技能者の不足がおおよそ四十四万人というように見込まれておるようですが、この充足に対する具体的な施策についてはどのようにお考えか、それも概要でけっこうです。
#12
○説明員(有馬元治君) 私どもが立てました訓練の長期計画は、同時に、また文部省が立てておりまする教育の長期計画と相関連して、両省で相談をし、企画庁がまとめた計画でございます。従いまして、工業高等学校の四十四万人増というのは、文部省が中心になりまして、下級技術者養成のための目標を樹立したわけでございます。私どもは、この工業高等学校の四十四万人の規模拡大のほかに、訓練によりまして十カ年に約七十万人が、規模拡大した結果が合計百五十五万人になるわけでございます。そこで、文部省の工業学校の養成計画と、私の方の七十万人の規模拡大による訓練計画と、両々相待って産業の高度成長をささえる人材養成という考え方でございます。
#13
○伊藤顕道君 次に、労働行政一元化、この問題と職業訓練局新設との関係、こういう面から一、二お伺いしますが、従来から労働行政の一元化が問題となっておるわけであります。そこで、職業安定行政と職業訓練行政、これは特に一元的に運営されることが必要であろう、そういうふうに私ども考えておるわけであります。で、今回職業安定局の内部部局となっていた職業訓練部を独立させることによって、かえって不統一な行政が行なわれる懸念が考えられるわけでございます。これに対する政府の施策としてはどのようにお考えか、どうもせっかく一本になっておるものをさらに分離して、不統一がかえって出てくるのではなかろうか、こういう懸念があるので、あえてお伺いいたします。
#14
○国務大臣(石田博英君) 御承知のごとく、現在の労働行政、特に末端における労働行政のあり方につきましては、これをすみやかに一元化いたしたいと思いまして、その具体策について鋭意検討中でございます。ただその問題と、職業訓練局と職業安定局との関係でございますが、私は、それを現在職業訓練局の行なおうといたします仕事は、ただいま申しましたように、急速に拡大しつつございまして、むしろこれを独立いたしまして横の連絡を密接にすることによって、かえって私は労働大臣の直接指揮下に置いていくことの方が行政効果を上げられるものだという判断のもとに今回の局設置を提案をいたしておるわけでありまして、これは労働行政の一元化というものと背馳するものとは考えていないのでございます。
#15
○伊藤顕道君 次に、技能検定とか、あるいは事業内訓練、これは労働基準行政に関連深いものであると思いますが、そこで、この間の調整をどのようになさろうとするのか、この点をはっきり伺っておきたいと思います。
#16
○説明員(有馬元治君) 技能検定のことから先に申し上げますが、技能検定は、今度の訓練法によりまして、初めて国家検定制度として創設されて、一昨年度から実施しております。これは各種の国の試験検定制度と関連を持ちますので、運輸省、通産省その他関係各省とは緊密な連携のもとに、この検定制度が重複、矛盾をしないように、現在関係省と打ち合わせながら実施をしております。
 さらに基準法との関係でございますが、これは御承知のように、この養成工制度につきましては、世界各国とも、基準法の特例が一部認められておりまして、わが国におきましても、基準法の七十条で職業訓練に関する特例が認められております。その一番おもなるものは労働契約期間の特例でございまして、基準法上は一カ年ということになっておりますが、特例といたしましては、訓練期間が終了するまで、現在最長期の訓練期間は、企業内におきましては三年でございますが、三年間の長期にわたる労働契約が結ばれるわけでございます。さらに危険、有害業務の就業制限につきましても、訓練期間中におきましては、使用者の特別保護措置、防護措置のもとにおきまして、若干の特例措置が設けられております。この関係で、基準局出先の監督署とは、緊密な県側と連絡を保持させつつ訓練行政を指導して参っております。
#17
○伊藤顕道君 職業訓練の実情について、現在の雇用の状況をながめてみますると、新規の学校卒業者については不足しておる、しかも、相当数不足しておる。ところが、たとえば炭鉱離職者、あるいは駐留軍の関係の離職者、こういう中年、高年層の再就職については、はなはだ憂うべき実情である、非常に就職困難という実態はいなめない事実であろうと思う。そこで、職業訓練に要する経費のほとんどが失業保険の特別会計に属しておる、こういうことから見ても、失業者を訓練することが練訓行政の重要な目的ではなかろうか、また、当然かくあってしかるべきだと思うけれども、この点がどうもうなずけないのですが、この点を一つ明確にしていただきたい。
#18
○国務大臣(石田博英君) その御指摘の点は全くその通りでございまして、私どもは、やはり重点を経済政策、あるいは産業界の発展に伴う雇用の移動というものを円滑にいたしますために、その人々に対して、新しい情勢に即応する再訓練をしていく、転職訓練をしていくということが重点でなければならないのであります。特にこの経費の支出しておる支出の形から考えましてもそうなければならないと思っておるのでありますが、実情はむしろ若年層の訓練が大きなパーセントを占めておるわけであります。そこで、この状態を改善いたしまするために、若年層と中高年層との訓練の時間、あるいは方法についての区別をつけるとか、あるいは夜間、休日等を利用いたしまして、次に転職する者は、現在の職にいる間に訓練をする方法とか、そういうものについて現在鋭意検討をいたしている次第であります。ただ、特に炭鉱離職者のために重点を置きました訓練所、たとえば熊本県の荒尾の訓練所のごときは、中高年令層が大部分でございまして、中には五十五才という訓練生が二名ばかりでございまして、五十一才というのも一名おりましたが、それぞれ訓練を終了いたしまして、就職をいたしているのでございます。従って、訓練所に入ってきて下されば、私はその再就職は保証できるのでありますから、われわれの方でも入りやすい態勢をこしらえますと同時に、宣伝啓蒙をいたしまして、入所していただくように努力をしたいと思っております。ただ、炭鉱、駐留軍その他から発生しております離職者の問題は、それもございますけれども、やはり訓練とともに、新しく移動していくための住宅、あるいは子女の教育その他の関連を考えなければならないのでありまして、これについては、雇用促進事業団で移動用住宅の大幅建設をいたしたいと思っている次第であります。もっとも、現在の予算でもなし得る限りはやっているのでありまして、流用を認めてもらって、すでに八棟ばかりの住宅の建設をいたしております。しかし、それでもやはり地域的定着性というものを脱却することは非常に困難でありますから、やはり最終的には失業者多発地域に新しい産業を誘致するための条件整備ということをもあわせて考えなければならないと思っている次第であります。
#19
○伊藤顕道君 お言葉ではありますけれども、現実に行なわれております職業訓練に対しては、今の中高年令層の方々は、訓練に入るときの費用とか、あるいはまた留守宅の家族の生計費、生活費ですね、こういうことに災いされて、なかなかもって意のごとくならないのが実情であろう、結局まあ失業保険の方から若干出ましょうし、また、訓練手当がスズメの涙ほど出るようですけれども、それだけではなかなかいろいろな諸雑費、あるいは家族の生計費、そういうところまでなかなか行き届かないのではないですか。せっかくそういう機関があっても、なかなか入り得ないというのが実情ではなかろうか。入ってくれれば、政府は喜んでこれを再訓練して再就職、こういうことを考えているのだということはわかりますけれども、入ってくる者はほんの一部であって、なかなか入り得ないというのが現状、そこを打開しないと、入って再教育を受ければ再就職は保証します、そこはわかるんですよ。再訓練して、そして再就職、そこはわかるのだけれども、その前に、これは入らなければだめなわけです。入らないのではなくして、入りたいのだけれども、なかなか手元不如意で入れない、そこのところを何とか救済しなければ、どうもせっかくのこういう訓練がきき目がないのではなかろうか、そういうふうに考えられるわけです。この点はいかがですか。
#20
○国務大臣(石田博英君) 御承知のごとく、ただいま訓練所へ入ってきておる方については、訓練期間中の失業保険の延長をいたしております。それから失業保険の給付を受ける該当者でない人に対しては、訓練手当を支給いたしておるわけであります。その金額が、家族その他構成いかんによっては、それだけの金額では困難だという御議論、決して十分なものとは思っていないのでございますが、しかし、あとう限りのことをしておるつもりでございます。ただ、現状は、私も非常にこれは最近各地を歩いて意外に思いますのは、訓練所へ入れば失業保険の給付期間が延長されるとか、あるいは訓練手当が支給されるとかいうことを知らないというのが非常に多いのでありまして、まずこの事実を知らせることに力を注ぎたいと思っておる次第であります。
 それから、でき得れば早い時期に雇用の移動をとらえまして、前の職にいる間に訓練をする方法というものを新たに考究いたしたいと思っておる次第であります。
#21
○伊藤顕道君 再訓練して、そして再就職、そういう方向にいくことが望ましいわけですが、今私からも申し上げたように、これは参加しないのではなくして、参加し得ない実情、しかも、実情をよく見ますると、若い方々が約八割も占めておって、こういう中高年令層の方が大体二割程度しかないのではなかろうか、こういうのが実情ではなかろうかと思うのです。今大臣も、まだ知らないのではないかということを言われたわけですが、もしそういう方面の啓蒙宣伝が済んでいなければ、これも労働省の責任として十分啓蒙宣伝をして、かくかくしかじかのこういう機関があるんだということを、十分施策の中に織り込む必要もあろうと思うのです。知らないということでは済まされない、十分徹底させて、しかも、参加しないのではなくして、経済的にも参加し得ないという実情を考えていただいて、希望者はもうだれでも参加し得るよう、そういう配慮が一段と必要ではなかろうかと思うので、この点に対する大臣のお考えはいかがですか。
#22
○国務大臣(石田博英君) 全くお説の通りでありまして、私も実は非常に最近意外の感に方々で打たれたわけであります。なかなか訓練科目によっては、非常に希望者が片寄ったりいたしますことがございまして、そういう点、私は方々出て参りました機会に調べてみますと、中高年の人たちは、そういう経済的な援助の条件があるということをそういう該当者が知らないだけでなく、自治体側が知らないという例も非常に多いのであります。これはもう私自身が非常に遺憾に思いまして、鋭意宣伝に努めております。
 それから失業保険を受給しに来る人々に対して、私どもの方の窓口で勧めて、積極的に進めておりますが、これになかなか簡単に応じてこない理由の一つは、やはり年令が非常に違う者と一緒にやらなければならない。それからもう一つは、現在、地域によりましては労働力の需給関係が非常に違ってきておりまして、あえて勉強しなくても、まあ仕事口があるという実情も相当あります。それから、今御指摘の通り、ほかに何もしないで、昼間訓練所にくくられてしまって、失業保険だけでは家族を食わしていけないというような問題もございます。そこで、若い人と中高年の訓練時間を違えるとか、あるいは中高年で家族をかかえている人は、給付された保険や訓練手当で足りない部分だけは、ほかで何かかせげるような時間の余裕を与えるとかというような方法を親切に考究いたしまして、少たくも半分以上は再訓練あるいは転職訓練に利用してもらうようにいたしたいと考えておる次第であります。
#23
○伊藤顕道君 さらにお伺いしますが、現在訓練を受けておる人員については大体どのくらいかということと、それから独身と家族持ちの割合は大体どの程度か、そして、また年令的にも十代、二十代、三十代、四十代、まあ五十代はごく少ないと思いますが、そういう各年代層の割合は、大よそでけっこうですが、ごく概要を一つ承っておきたい。
#24
○説明員(有馬元治君) 訓練の実施の状況でございますが、昨年度は、先ほど申しましたように、五万七千人の公共訓練を行なっております。今年度は公共訓練を六万五百四十五人の計画で拡大をする予定にしております。また、これに対する事業内の訓練規模でございますが、昨年はやはり五万、事業内が五万六、七千でございました。ことしは六万四、五千まで持っていく予定にしております。この事業内の訓練は民間の自主的な訓練でございますので、私どもができるだけ補助金を出し、指導奨励をして、その目標を達成させるように指導をしておるわけでございます。で、こういう状況に対しまして、御質問の訓練生の年令、家族の状況でございますが、実は独身か妻帯者かという調査をやっておりませんので、それから、また、さっき先生の御指摘のありましたように、約七割程度の者は二十才未満の若い年令層でございますので、家族の状況調査も全国的には実はやっておらないが、これから中年層あるいは高年層を含めた訓練に本格的に取り組むわけでございますので、こういった家族の状態等も資料として整備し、対策を講じて参りたいと思います。
 年令構成の点につきましては、これは昨年度の数字でございますが、大体十八才未満の訓練生は男女々通じて約七割でございます。十九才以上というのが約三割でございます。これに対しまして、昨年から石炭離職者対策として、初めて本格的な中高年令層に対して訓練を開始したわけでございますが、大体現在実施しておりまする規模が三千五百名でございますが、その年令構成を見てみますと、三十才のところで線を引きますと、三十才以上が五割ないし七割を占めております。県営の一般訓練所では五割程度、総合訓練所では七割程度を占めております。こういう状態でございますので、離職者訓練が本格化するに従いまして、全体の年令構成の比率も漸次変わってくると思います。
#25
○伊藤顕道君 所得倍増計画によりますと、職業転換訓練期間中の所得の保障については、この措置を強化する必要がある、こういう意味のことがうたわれておるのでありますが、これは具体的にはどういうことなんですか、どの程度のことを意味しておるか、これを明確にしていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(石田博英君) その具体的措置の一つといたしまして、失業保険の給付期間の延長ということをいたしておるわけでございます。ただ、これだけで十分であるとは思っておりませんので、それを軸といたしました諸般の施策と、条件の向上に努力をいたしたいと思っておるわけでございます。ただ、ほかの、訓練を受けない場合の失業保険の給付の問題との関連もございまして、均衡という問題もありますので、なかなかめんどうなことも多いのでありますが、倍増計画の中にうたってあります御指摘の文句ににらみ合わせて検討を目下いたしておるところでございます。
#27
○伊藤顕道君 次に、方向を変えまして、職業訓練局の組織について一、二お伺いしておきたいと思いますが、これを見ますと、職業訓練部を今回職業訓練局に独立させる、こういうことになっておりますが、その内部組織を見ますと、現在の職業訓練部の内部組織である三つの課、管理課、指導課、技能検定課の主謀をそのまま受け継ぐことになっておるようなんです。これだけではどうも内容の整備充実というところはうかがわれないわけです。ただ単なる昇格であって、内容の整備、充実は那辺にあるのか、疑問視せざるを得ないわけです。その点を一つ明確にしていただきたい。
#28
○国務大臣(石田博英君) 今度部を局に昇格させていただきます理由の一つは、先ほどから申し上げておりまする職業訓練の重要性、あるいはそれに関連をいたしまして、国民所得倍増計画の中に、訓練の質量の拡大を指摘しておるのです。あるいは科学技術会議の答申に、技能者素質の向上ということを指摘しております。そういうようなことを背景といたしますと同時に、炭鉱あるいは駐留軍その他から発生いたしまする産業界の変遷に伴なう離職者に対する転職訓練、これが非常に大きな社会問題ともなっておりますために、職業訓練行政を労働大臣の直轄にいたしたいということが一つであります。
 いま一つは、職業安定局自体が非常に負担過重になりまして、私の方の役所の行政機構として均衡を失するような状態、一局長の指揮下では余る状態に、訓練部を入れますと、なるものでございますから、それも一つの理由であります。
 それから第三番目は、労働行政というものは、御承知のごとく、戦後出発をいたしまして、しかも、戦前は労働行政というのは、工場法に若干の保護的部面が見られただけでございまして、他は主として取り締まりの面が多かったのでありますが、それが保護からさらに積極的に育成というような問題に労働行政自体が発展していかなければならないのであります。しかし、出発が御承知のような状態の中で起こり、しかも、歴史が浅いというところで、機構上の整備をいたさなければならないという問題もあることは御了解いただきたいと思います。そこで、そういう状態のもとに部を局としていながら、人員はふやさず、組織はそのままで何の整備ぞやということになるわけでございますが、実は、この局設置と見合いまする裏に、雇用促進事業団を中心といたします職業訓練事業の拡大があるのでありまして、具体的実施の部面は雇用促進事業団の第一線の充実によって補って参る方針であります。そうして訓練局は、主として立案、指揮監督というような仕事をやって参るのでありまして、この職業訓練行政に携わる実人員の増加という、あるいは予算の増加ということは、主として雇用促進事業団の実施部面においていたすことに相なっておるわけでございます。
#29
○伊藤顕道君 お言葉ではありますけれども、内部組織はそのまま、そして職員の定数は現在の六十名をそのまま、言うなれば、質量ともに変化は見られないわけですね。ただ部を局にということ、だけである。ただ、そういうところにはあまり影響はないのだが、裏に実はかくかくの問題があるのだというところを今御説明になったわけですが、そうであるならば、どうも現在のままでもよろしいのではないか、いわゆる質量ともに関係のない、今でもそれが十二分に部としてやり得るならば、これは局にしないとどうしてもやれない、現在のままの部ではどうにもならない、そういうことの理由にはならないと思うのですが、そこらのところはどうですか。
#30
○国務大臣(石田博英君) 部を局にいたしまする直接的な影響と申しますのは、職業安定局長の指揮下を離れまして、直接労働大臣の指揮下に入るということであります。そのことは訓練行政の労働省内における行政上の地位が非常に高まるということを意味いたします。
 それから、いま一つには、職業安定局の負担過重ということを軽減するということにもなるわけでありまして、私は、やはり職業訓練を独立さして、そうして訓練局は労働大臣の直接指揮下に入る、そうして安定行政とは横の連絡を密にしていく必要を強く感じましたので今回の提案をいたしたわけでございます。現在のままでどうにもならない、にっちもさっちもいかないという問題ではなくして、これから積極的に拡大して仕事をする第一段の足固めといたしまして局に昇格をいたしたい、こういうわけでございます。
#31
○伊藤顕道君 先ほども伺ったわけですが、職業安定行政と職業訓練行政の一元化ということは非常に大事な点であろう、もしそういう考え方に立つならば、当然現在のままの方が一本化しておって、どうもいろいろ御説明はございましたけれども、まだ私をして納得させ得ることはできないと思う。結局現在のままの方が、どうも行政の能率を期待できるのではなかろうか、そういうふうに考えられてならないのですが、いま一度一つ納得できるように……。
#32
○国務大臣(石田博英君) 職業安定行政をやって参りまするために、そしてその雇用の促進をいたして参りまするために、職業訓練がこの基礎条件として必要でございます。これはもう申すまでもないことであります。しかし、それと同時に、職業訓練行政というものの大きさ、あるいはその性格というものは、やはり教育訓練という意味でありまして、私は、たとえば文部省が教育専門にやりまして、職業のあっせんその他は私どもの方でやるというような関連、それは横の連絡をよくいたしまして、安定局及び訓練局相互間の横の連絡をよくすることによって、私は一元化は妨げられないでいくのではなかろうか、労働行政は、私は、そのことは上部機構においてもそうでありますが、特にこの一元化が必要に感ぜられますのは、末端機構におきまして非常に区々まちまちの状態にございます、それを一元化いたしますとしましても、やはり労政局は労政局、基準局は基準局、それぞれの監督者のもとに労働大臣に直轄する、そういう意味の一元化をいたすのでありまして、訓練行政は、何と申しましても、これから飛躍的に拡大しなければならないものでありますので、この際、その足固めとして独立さした方が効果が上がると考えておる次第であります。
#33
○伊藤顕道君 この訓練行政自体、飛躍的な拡大をしたいということであるのならば、現在の六十名ではやはり期待できないのではなかろうか、そういうふうに考えられるのですね。そこでお伺いいたしますが、現在六十名というのは、これはほんとうはいま少し増員を要求したのであるけれども、これは何かの理由で削られてしまったというのであるのか、もともと六十名で、一名も増員は要求していないのか、もし要求してこれが削られたということであるならば、いかような理由で削られたのか、この点が一つ不明確でございます。この点を明かにしていただきたい。
#34
○国務大臣(石田博英君) 初年度でございますし、それから雇用促進事業団において相当の増員をいたします。特に実施部面、指導員その他の充実をはかって参る計画であります。従いまして、現在は計画、立案、監督という仕事を本省でやりまして、実施部面をふやす方が適当と考えておりましたので、本局の増員は当初からいたさなかったのであります。ただ、これから仕事がふえて参りますし、質量ともに充実をはかっていかなければなりませんので、将来の問題は別でありますが、本年度は増員を本局としては要求いたしておりません。雇用促進事業団は相当ふやしておりますけれども。
#35
○伊藤顕道君 時間の制約がございますから、最後に一点だけ本日のところは伺っておきますが、最後に、局長のポストを一つどうしてもこの際ふやしたい、いろいろの内部の事情があって、局長級に一つ引き上げなければならない、そういう人物がある、大臣としていろいろ苦慮していたけれども、これは部を局にすれば大へんこの機会に都合がいい、私の顔も立つし、その人にも報いられる、そういうふうにお考えになって、局長のポストをふやすために絶好の機会であろう、そういうふうにお考えになったとは思われませんけれども、そういう事情も幾分あるのじゃなかろうかと私は考えられる。その点いい悪いというわけじゃございませんが、正直に漏らしていただきたいと思います。
#36
○国務大臣(石田博英君) 正直に申しまして、具体的な人を考えて、そうしてそのためにこういうことをいたしたのでは決してございません。やはり根本は、職業行政を飛躍的に増大をさせたいという一念にほかならないのでありますが、正直に申しますと、労働省は先ほどから申しました通り、その仕事が漸次拡大をいたしてきておりますし、その内容も非常に移り変わってきておるわけであります。ただ、局長のポスト云々ということは別といたしまして、多くの人材を必要とし、その人材に希望を持って働いてもらうことがだんだん必要になって参ります。そういう状態の中で、私のところは四局ございますけれども、一局は婦人少年局であります。そういう意味におきまして、優秀な人材に希望を持たせるということが私の潜在意識に全然なかったということを申し上げれば、これはうそになると思います。これだけは申し上げておきます。
#37
○横川正市君 ちょっと関連して一言。八日の日の新聞を見ると、三池の栗木社長以下が辞職表明をいたしまして、その会議直前に辞職が取りやめになっておることが新聞で報道されておりますので、私は、会社の役員がだれになるかということで質問するわけではありませんが、先ほどの伊藤君の質問の中にも、中年離職者の転職訓練について審議会の答申がすでに示されて、労働省でもこれに伴って具体的な対策が立てられていっているようでありますが、ことに三池の場合には、労働省が相当他の前例と離れて、特別な取り扱いをしてその離職者対策をやった。ところが、その経緯を見ていると、労働省と労働組合とは、きわめて熱心にこの問題をやっているのだが、
 一体当の三池会社側は何をやったのだ、こういう声が上がっているわけです。私は、悪く言えばこういう見方もあると思うのであります。最近日経連の前田専務は、石田労働大臣や総理の労務対策ないしは公務員に対するベース決定等のいきさつから見て、きわめてなまぬるいという指摘をしている。しかし、総理もあなたも、なまぬるくないのだという反論をしている。そのままいくと、なるほど労働者の味方になって働いているような見方もするけれども、いわばあまりむごいことをするのを一般の大衆の耳目からカムフラージュするために八百長芝居を日経連の舞台でやったのではないかという見方も成り立つと思う。そこで、あまりにも労働省が、なるほど国の機関を活用して、特別な例として取り扱った事例ですから、非常に積極的にやられることはわれわれとしても感心すべきことだと思うのでありますけれども、その場合に、三池鉱山の経営者側か労働省かわからないような格好で行なわれているということについては、私は、本質的な問題で非常に遺憾な点がある。労働大臣は一生懸命やられているのに、そういう難くせをつけられるのは不本意だと言われる点もあると思いますけれども、ことに私は、中年離職者の対策は、今後経済の伸長に伴って、非常に重要問題になってくるわけでありまして、三池だけを中心にやられることだけでは済まされない事態が到来すると経済の発展の中で当然考えられるわけであります。私は、その間における使用者と労働省の関係、労働省と一般の公共に奉仕する精神、また、労働省と一般組合との関係で、非常にむずかしい問題が出てくると思うのでありますが、この点について一つ労働大臣の意見を伺っておきたいと思います。
#38
○国務大臣(石田博英君) 前段の日経連の専務理事と私どもとの労働行政、特に賃金政策に対する見解の相違でございますが、これは私自身、非常に意外、かつ、遺憾な意見だというように日経連の意見を思っております。従って、私は、御承知のように、反論を加えたのでありまして、決して八百長などといういやしい根性は持ってもおりませんし、私自身そんなことをあえてする必要を感じておりません。これは明確にいたしておきます。
 それから三池の問題でありますが、三池の問題は、あの中労委のあっせんの経過にかんがみまして、政府はその責任を最終的に負うということを表明いたしておるわけであります。しかし、これは最終的には負うということであって、会社側がまず第一段階にその責任をとって、最善の努力をしなければならぬことは、これは申すまでもございません。で、会社側は、当初三百人であったと思うのでありますが、会社側としてあっせんをするということを申しておりました。しかし、御承知のように、なかなか思わしくはかどらなかったのであります。そこで、私どもの方から強く督促をいたしまして、今、会社側では就職あっせん課というものを設けまして、私どもに対して約束をいたしましたことの履行に努力をいたしておる次第であります。で、石炭産業を中心といたします産業界の変転に伴うところの雇用の移動、これをどう処理するかという問題、あるいはまた、それは当然中高年令層が多くなるわけでありますから、中高年令層の再就職の問題と関連をいたしまして、三池の問題は、政府といたしましては、単に中労委のあっせんの当然の結果ということではなく、やはり将来にわたっての今申しましたような問題を処理するモデル・ケースとして、これから努力をいたすつもりでいる次第であります。
#39
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#41
○横川正市君 これは十日の新聞記事で出ておりました問題ですが、大田区の池上の徳持町の神田さんという主婦が、自分の家族の不幸な経験から、身体障害者施設の作業所を作って、そうして最近成績を上げて、すでに二十人くらいは就職をさせておる、こういう記事が出ているわけです。この方式を見ていると、いかにも乏しい――まあ施設と言えないような中で、お互いの信頼と愛情にささえられているという状況です。私は、一般に慈善として、これは美談で過ごされていくのじゃないか。しかし、これを国が政治や施策であたたかい手を伸ばすとすれば、一体どういうふうにこれが所管の行政として行なわれていくのか。まあ気がついたものは慈善心で対策を立てる、気がつかないところは、国のいわば陰の状態として放任されていく、これでは近代国家とか文化国家とかということは言われないのでありまして、ここまでやはり労働行政としては手を差し伸ばすべきではないか。たまたま労働大臣は下谷あたりの子供の会合にときどき出ている写真を私は見るわけでありますが、労働大臣は慈善心をもってその会合に行くことは私はいいと思うのですよ。しかし、それだけでは全国に散在するこの不幸な者はなかなか救済されないと、こう思うわけでありまして、たまたまこういう一つのできごとを通じて、この機会ですから、一つこれは労働省としてもすでに手をけて、あるいは部分的にはできているが、全般的にいかないという問題であろうと思いますけれども、この機会ですから聞いておきたいと思います。
#42
○国務大臣(石田博英君) 労働行政として当然行なわなければならないことが、まだ整備充実を見ないために、その整備充実を見ない欠陥を各方面の有志の方々が補っていただいておるのが実情であります。このことについては、その有志の方々の御努力について深く感謝をいたしますとともに、私どもはますますその整備充実を急がなければならない責任を痛感いたすのであります。
 ただいま御指摘の身体不自由者の職業訓練の問題でありますが、これはもうすでに計画を立てまして整備充実を実施中であります。今後三カ年で第一段の計画を終了いたす予定になっております。しかし、そういうこととは別に、有志がそういうふうにやって下さっておる仕事に対しまして、政府といたしまして、それぞれでき得る限りの助成援助の道を講じたいと考えておる次第であります。
 それから、なお、これは誤解のないように申し上げておきたいと思うのですが、私が特定の団体へ、あるいは特定の慈善事業に参加をいたしますのは、労働大臣として参加をいたしておるのではないのでありまして、私が労働省へ参ります前から関係をしている。私の個人として尽くし得ることには限界がございますので、その個人としての限界の手一ぱいをやっておるので、これはもう労働大臣として、一定区域だけに重点を置くことの間違いは、これは申し上げるまでもありません。しかし、これは労働大臣としていたしておるのではないので、誤解のないように了解願います。
#43
○横川正市君 それは有名人ですから、個人石田か労働大臣石田かということになれば、これはどっちの問題でもないので、ひがんで言うことではないのですが、いいことだと思うのですよ。それはしかし、それだけにとどまってもらったのでは困るから、少なくともこういう日の目を見ないような状態には、私は、やはり政治で手を伸ばしていくことが必要じゃないか、しかも、所管官庁は労働省である、こういうことでお聞きしているわけです。
 それからもう一つは、私は、中間の年令層に立った者の離職状態というのはこういうところにも出ているのじゃないかと思うのですね。たとえば中学を卒業してそば屋とか洗濯屋とか、牛乳配達とか新聞配達とか、菓子屋の店員とか野菜屋の配達人とか、肉屋の店員とか靴屋の店員、いわばサービス業に類するところに入る。最近の傾向を見ますと、めん類などの値上がりは十円か十五円上がっています。配達料は一回について十円とかになっています。しかし、事実上は店員と店主との雇用関係というものは、これはいわば一般には表にも出ているように、三二%ぐらいですが、五百人以上の従業員のいる工場の賃金を一〇〇とした場合に。そういってまあ十八、二十才まではがまんして働くけれども、それ以上は単独の経営形態をとるか、他に転職をするかというところに問題が出てくると思うんですよ。そこで、今の問題としては、単価の値上がりは原料の値上がりではないということは、政府でも卸売物価は上がっていないというのですから、そうすると単価の値上がりは、一般の商店のおやじさんのいわゆる消費生活の値上がりによって、販売するうどんが値上がりになるということなのか、その中には必ず店員の待遇上の問題も入っているということで値上がりなのかということになると、もしこの看板にいろいろ諸経費がありますというその諸経費の中には、店員の待遇改善もありますと、それをやっていない。しかも、そばは上がった、これは道義的な問題としてどこにも責めるあれはないわけですが、そういうささいな事柄も非常に注意をして指導をしていかないと、中間年令に立ってからの離職者というものは、こういう面からもどんどん排出される。そして年令がある点になったときに労働省は一括引き受けて技術教育をしなければならぬという状態になってくる。そういういわば温床を、これを一体労働省としてはどういうふうに考えているのか、非常に大切だと思うんです。
#44
○国務大臣(石田博英君) 一般的にサービス業の料金でありますが、賃金というものは、これは当然経済規模の拡大に従って、国自身の国力の増大によって一般的に当然上がるべきものだと思います。しかし、その上がる賃金は生産性の向上によってまかなうべきものであって、それを消費者に転嫁すべきものではない。これはもう一般的な議論であります。私もそう思います。ただ、生産性の向上によって消化し得ない部門もある。それは床屋であるとか、あるいはただいま横川さん御指摘のような職業の場合はそういうことが言えると思います。そういう場合に、それが一般のほかの労働賃金が上がるに従って、そういう職業に従事している人の賃金を当然上げられるのですから、上がった部分は、これは料金の値上がりとして現われてくることは当然やむを得ないと思います。特に日本の場合には、そういう労働力というものに対する正当な評価がなされていない。たとえば出前という制度一つとってみましても、アメリカあたりでも出前はあります。出前はありますが、第一これは片道で、弁当などを持っていったら、容器はそのまま置いてくるんです。それからもう一つは、ありがとうと言う方は、持ってきてもらった方がありがとうと言ってチップを出すのであって、持っていった方は、ありがとうと言わない。チップをもらうとき初めてサンキューと言うという関係、日本では、わざわざ持っていった方がありがとうと言う。しかも、ただだ。これはやっぱり労働力に対する正当な評価が行なわれていない証拠でありまして、出前とか御用聞きとかいう制度は、私は、元来廃止さるべき性質のもの、あるとすれば、正当な料金を付加されるべきものと考えておる次第でございます。しかし、そこに問題がございますのは、労働賃金の値上がり、あるいは出前とか御用聞きとかいうことに――結局労働賃金でありますが、そういうことに充足するためと称してものを上げておきながら、たとえば床屋代を上げ、そば代を上げておきながら、実際それは働いている人たちの条件の向上に向けられないで、店主の方がふくらんでいくということであっては、これは道義的にまず許されないことであります。と同時に、そういうことは一時的にはいいかもしれませんけれども、結局はいい労働者を得られないわけでありますから、中小企業の健全な発展のためにも好ましくないことでございますので、私は、原則論として、先ほど申しましたように、生産性の向上で消化できない賃金、これが一般の賃金の上昇に従って上げられるべきことは当然であります。その影響を受けてその部門における料金が上がってくることはやむを得ないという見解はとりますけれども、しかし、それが実際に労働者の条件がよくされているかどうかということを、労働者のためのみでなく、中小企業の経営の恒久的安定のためにも、今特に第一線の基準局に命じまして調査をいたさせておるところでございます。
#45
○委員長(吉江勝保君) ただいま小坂外務大臣、小澤行政管理庁長官、山口行政管理局長、湯川官房長が出席になりました。
 御質疑の方は御発言願います。
#46
○千葉信君 今この委員会で審議中の労働省設置法にも直接の関係を持っている問題で、しかも、さきにこの委員会をはなはだ遺憾な審議の経過を通じて通過いたしました外務省設置法にも、全く同種の問題がありますので、外務大臣及び行政管理庁長官に御質問したいと思います。
 最初に、行政管理庁長官にお尋ねしておきたいことは、行政機構の中にある各種審議会、調査会ないし懇談会の整理統合という問題について、閣議で明確にするというお約束をこの委員会でいただいておりますが、その点はどうなっているか、お尋ねいたします。
#47
○国務大臣(小澤佐重喜君) 四月十二日に行政管理庁の通牒を出しまして、その通牒を四月の十二日に閣議で確認いたしておりますから、その通りいっておると思っております。
#48
○千葉信君 外務大臣にお伺いいたします。外務省設置法の審議に際して、伊藤委員の質問に大臣は答えられて、外務省の中にある外交問題懇談会等については、これは国家行政組織法第八条違反ではないという見解に立って、廃止をされるという答弁はいただけなかったわけです。今月の十日に予定されていた外交問題懇談会を取りやめたということを私は承知しておりますが、取りやめられた理由は何ですか。
#49
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、先般申し上げましたのですが、私ども、ただいまの行政管理庁長官の閣議における御発言、また、その後にいただきました管理局長通牒……。
#50
○千葉信君 声が小さくて聞こえない。
#51
○国務大臣(小坂善太郎君) というものにつきましては、これは十分御趣旨に沿うてやっていきたいと、こう考えておりますがこの前の委員会でも申し上げましたように、外交問題懇談会というものは、内規も実はないような、ほんとうの自主的な……。
#52
○委員長(吉江勝保君) 質問と違うのじゃないですか。
#53
○国務大臣(小坂善太郎君) いいえ、その序論からです。それじゃ簡単にやります。
 内規がないような非常に自主的な運営をやっておりまして、諮問もしないし、答申も求めない、こういう趣旨でやっておりますものでございますから、これは私どもは国家行政組織法第八条と関連ないものと、こういう気持でおります。従いまして、五月十日に予定されておりました外交問題懇談会は、そのまま取りやめませんで、予定通りに開催いたしております。
#54
○千葉信君 五月の十日に予定された懇談会を取りやめないでやったということになれば、ますます問題になると思うんですが、その問題に関連して、まあ省令のようなものを設けない、従って、単に閣議の決定だけだという御答弁ですが、閣議の決定というのは昭和三十五年の七月の二十五日、私はその内容を持っておりますが、きょうは時間があまりありませんから、私は単刀直入に問題を究明する必要があると思うので、具体的問題に入りますが、何か全く私的な機関であるかのような、外務省そのものという公式の行政組織とは関係がないかのような御発言ですが、私はこれは許せない。たといそういう諮問に応ずるとか、ないしは答申をしないとは言っても、そんなことは行政組織法八条では何も関係なしに、付属機関という形が行政組織法上明確になっている。しかも、それもあくまでもこれは私的なものだから問題でないというならばお尋ねしますが、外交問題懇談会の、おそらく十日もそうだと思うのですが、会合一回開くたびに、謝金として一人当たり二千円の金を出している。まずこの謝金とは一体何なのか。政府が、だれであろうと、日当を払い、謝金を払い、給料を払う場合には、根拠規定が明確でなくちゃいけない。でたらめに国民の税金を使ってはいかぬのです。従って、この一日二千円の謝金はどういう根拠に基づいて出しておられますか、これをまずお伺いします。
#55
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交というような問題は、これはできるだけ国民の各界各層に、その事実が展開されるその基礎になる条件を知っていただくことが必要だと思っております。そういう意味で有識者の方にお集まりいただいて、いろいろ外交の問題についての意見を伺わしていただき、その間に御質問があれば、政府の方から、たとえばこの問題についてはこういう事情になっておりますということを御説明申し上げて理解していただくということは、非常に有意義だと考えておりまするので、まあそういう方の、その委員になっていただく方々が懇談会に出席するためには、車代及び研究のために必要な書籍の購入等の経費もまた要するわけでございまするし、これらの費用に充てるという意味で、謝礼といたしまして、謝金によって、出席回数に応じて、ただいま御指摘のように一回二千円ということで支給いたしておるわけであります。
#56
○千葉信君 何か外務大臣の答弁を聞いていると、外交上重大な問題について、国民の理解等に対し、知ってもらいたいから、国民の立場に立って、国民の方が希望して集まったような格好の答弁ですが、閣議の決定はそんなことを否定しております。外交問題懇談会を設置するにあたっての閣議の決定というのは、はっきりここに書いてあります。昨今の複雑かつ不安定な国際情勢は、これを正しく把握することが容易でないため、ともすればわが国内で不必要な摩擦を生じやすく、このため、真にわが国益に沿うた地道な外交施策の遂行が妨げられるおそれがある。よって、政府は、この際、わが国民各分野の有織者の協力を得て、国際情勢と、それのわが国に及ぼす影響とを正しく分析把握し、広く国民的な視野と理解のもとに、真にわが国の利益と世界平和に資するような外交施策を行なうため、各方面の有識者のうちから約三十名の委員を委嘱し、重要な外交問題について協議懇談することとする。これがあなた私的な機関だと言えますか。しかも、払っている金は車代だ、お礼だ、車代であり、お礼であっても、これは法律に違反するのですよ。外務省の職員というのは、設置法並びに国家公務員法等によりますと、その賃金の支払いの根拠規定としては、一般職の場合にはこれは一般職の給与、それから国家公務員法の第二条として規定されている特別職、国務大臣と、それから特命全権大使等、外国に使臣となっている者及びその随員、これは二条ではっきり特別職になっている。従って、これは特別職の給与、もう一つは、外務公務員法の第三条によって在外公館に勤務する職員の場合には、法律で別にその給与に関してはきめている、それ以外の外務省関係の職員は、全部一般職の職員の給与法です。そこで、もし外務大臣の言うように、そういう根拠規定による法律により賃金、給与の支給を行なう対象は、明確なその法律に基づく外務省の職員等の場合、それから外務省に設置されている付属機関の臨時職の職員、これは一般職の職員の中の非常勤職員です、その職員に対しては、一般職の職員の給与法がはっきりこれを認めている。ところが、それ以外のものを置いて賃金を支払ったりすることになると、これは公務員法の違反です。公務員法によりますと、第二条の第六項に「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払ってはならない。」こう規定されて、これには罰則の適用があります。この第二条の第六項に違反した者の場合には、第百十条によって「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」とある。この第二条第六項の規定に違反した者は三年以下もしくは十万円以下の罰金に処するとある。私のその立論を明確にするために、もう一つの法律を引用すると、同じく公務員法第六十三条第一項によると、「職員の給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、」現在はこの給与準則は、一般職の職員の給与法という格好に置きかえられております。従って、その一般職の職員の給与法に基づいてなされ、「これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」車代と名ををつけようと、謝金と名をつけようと、本代と名をつけようと、一切そういう行為は禁じてある。そういうことになると、外務省の立場としては、外交問題懇談会の政府が正式に任命したこの委員諸君は、身分上は一般職の非常勤職員という判断でなければ、この法律に完全に引っかかってしまう。外務大臣、あなたは三年も懲役を受けなければならぬのです。同時に、もしも一般職の職員ではない、非常勤の職員ではないという見解ならばこの法律に引っかかるし、そうでなければ、今度は一般職の職員の給与法の第二十二条に引っかかって、ここにも罰則があり、正規の非常勤の職員でないという、非公式のものだという見解をとれば、その法律の適用を受けざるを得ない。どうなんです外務大臣、外交問題懇談会の政府が正式に委嘱したその委員は何ですか、一体身分は。
#57
○国務大臣(小坂善太郎君) まあいろいろな問題について政府が民間の有識者の意見を聞く場合もございますわけであります。それについて意見を聞いて、そのときの車代を出すという場合は、これはよくあることであろうかと思います。私は、法律についてどれに該当するか、今のところ調べてみないと申し上げられませんけれども、そういう意味で外交問題懇談会というのは、大勢の人が常時集まっていろいろな懇談をしておりますが、その懇談の過程を通じて、有識者も外交に対する理解を深め、一方、政府もその有識者の御意見をいろいろ聞く機会を与えられるというふうに、私は簡単に考えておったのでありますが、いろいろ千葉委員の御指摘もありますから、なお、よくその点については検討してみたいと考えております。その検討の結果、あなたのおっしゃるように、不当なものであるということになりますれば、これは十分考えなければならぬ、かように思う次第でございます。
#58
○千葉信君 大臣は、今の私の法律を根拠にした質問に対して、今は答弁むずかしいとおっしゃるのですか。
#59
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は外交問題について、いろいろ広く各面の意見を聞いたり戦わしたりしてもらいたいという、そういう政府の委嘱を好まないという面の人もございますものですから、こういう機関は一つの有用な働きをするのではないかと考えておるわけでございますけれども、なお、そういう法律的な観点から、もっと精細な検討をしてみなければならぬという千葉さんのお言葉でありますから、このお言葉を体しまして、さらによく研究してみたいと思います。
#60
○千葉信君 その外交問題懇談会そのものが、外務大臣が答弁の技術で逃げようとしておる。非公式な、全く行政機関そのものとは関係のない、もしくは、また内閣として執行すべき行政そのものとは関係のない機関であるかのような答弁をしようとすることは、これは私が反駁するまでもなく、閣議で決定した外交問題懇談会の設置という、この決定そのものが明確にしている。行政機関の付属機関である。しかも、その附属機関の外交問題懇談会の審議を通じて、政府の外交施策を行なうためという、その目的に外交問題懇談会を使っていることは明らかなんです。私は、政府の方ではわれわれの質問に応じて、正直に国家行政組織法第八条違反だということで、即坐にこれを取り消すという態度ならば、これはそんなに追及しない。しかし、のらりくらりと非公式の機関であるかのごとき答弁をすれば、私は、この国家公務員法第二条、第六十三条ないしは百十条の罰則の適用々援用して、ないしは一般職の職員の給与法を適用して、これを場合によると、外務大臣、あなたは十万円以下の罰金か、さもなければ三年以下の懲役ですよ。どっちをあなた選ぶ、今そのことは答弁することがむずかしいと言うから。
#61
○国務大臣(小坂善太郎君) この懇談会は、今申し上げたように、国家行政組織法第八条によるところの付属機関でもないし、従って、国家行政機関に勤務する職員でもない。従って、国家公務員法第二条第六項にいう勤務者を置いたことにならない、こういう考え方をとっておるわけです。また、一般職の職員の給与に関する法律第二十二条にいう非常勤職員とは、国家行政機関に勤務する一般職の職員をさすものであって、この懇談会の委員というものは、それに含まれない。従って、一般職の職員の給与に関する法律による給与というものは支払っていない。しかし、さっき申し上げたように、いろいろ研究費あるいは車馬賃というようなものも要るだろうから、そういうものは謝金という形で、出席回数に応じて支払っていると、こういうことを申したわけです。ところが、それに対して千葉さんは、それは納得できぬ、お前がそういうことを全部撤回すれば承知するけれども、それに対して、この場で承知しない限り許さぬというお話でございまするが、私は、お言葉もございますから、よくお言葉を体して研究をいたしますと、こう申し上げておるわけでございます。
#62
○千葉信君 何と答弁しようと、公務員法六十三条によると、車馬賃と名前をつけようと謝金と名をつけようと、そういうことはいかぬ、こういう法律が現存しているのですから、その点はどうですか。
#63
○国務大臣(小坂善太郎君) 謝金というのは給与ではないというふうに私は考えております。謝金というのは、一つの謝礼、事実行為に対する謝礼、それを金員の形において表わしたものである、こう思っているわけであります。
#64
○千葉信君 ここに「金銭又は有価物も支給せられることはできない。」と、はっきり規定されているのです。これはどうなんですか。
#65
○国務大臣(小坂善太郎君) 六十三条には、「職員の給与は、」といっているわけです。これは職員ではないのですから、「職員の給与は、」といっている。今お述べになりました「法律により定められる給与準則に基いてなされ、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」といっておるからといって、これはこれに違反しているじゃないかと言われても、われわれの前提が、「職員の給与は、」と書いてあるが、謝金というのは職員の給与ではない、懇談会の委員は職員ではないという立場をとっているということであります。
#66
○千葉信君 外務大臣は外交のことは知っているかもしれないけれども、国内の法律のことは全然チンプンカンプンです。いいですか。給与法の二十二条を見ればわかるように、職員には、一般職の場合には常勤職員と非常勤職員の二つある。そうして非常勤職員の中に、政府の持っているそれぞれの付属機関としての審議会、調査会、懇談会等の非常勤の委員が、一般職の非常勤職員として二十二条の規定による賃金の支給がはっきりしている。あなたは、外交問題懇談会の委員は職員ではないといわれるが、法律上は国家行政組織法第八条に基づく付属機関の場合には、はっきりと公務員法と給与法によって、二十二条で非常勤職員に対して幾らまで賃金を払っていいかということをちゃんときめている。この範疇に入ればいいのだが、これも入らぬと言う。入れぬから問題になる。入らぬから問題になって、公務員法の二条と六十三条が問題になってくる。同時に、罰則の問題も出てくる。どれに入るのですか。あなたは入らぬと言われるのですが、入らぬと言われれば、これはもう明確に罰則の適用を受けざるを得ない行為ですよ。法律上は、そういうあなたの言うような車代とか謝金とか、そういうものの概念としては、二十二条で給与ということがはっきりきめてある。二十二条の三項です。
#67
○国務大臣(小坂善太郎君) 千葉さんの御議論は、公務員についてのお話でございます。常勤であるか非常勤であるかという点について、公務員について二十二条三項というものはあるわけであります。さっきから私申し上げているように、これは公務員ではない、外交問題懇談会の委員は公務員ではない、こういう見解で、ただ、実際の費用がかかるものについて謝金を出すということを考えているというだけでございまして、あなたのお考えは、もう公務員ときめてかかっておられる。われわれは公務員ではないという、これはちょっと議論が平行線のように思われるのでございますけれども、しかし、お話でございますから、よく研究をして、御趣旨の点を十分に考えたい、こう申し上げているわけです。
#68
○千葉信君 前提条件が外務大臣間違っている。外交問題懇談会の委員は公務員ではない、全くの民間人であると言っておられるが、閣議で決定されて外務省に持たれた付属機関、そうすると、その付属機関に、正式に政府の手によって委嘱された委員、外交問題懇談会委員、これは民間人だ民間人だと言っても、この懇談会の委員である限りは、法律上どこに規制されるかというと、一般職の職員です、しかも非常勤の。
#69
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう機関を閣議において設けることを了承したということはございます。しかし、それに基づいて辞令が出ておるというふうにおっしゃいます。それであるから公務員であるとおっしゃるのですが、辞令の形が、一般の公務員に出す辞令とは、これは千葉さん御承知の通り、あれと違うのです。そういう形とは違います。もっとワクにはめられないで、労働組合の指導者も学者の方も自由に出て、政府から委嘱されて政府の御用を勤める、そういう関係でなくて、所要の外交問題を話し合うのには、こういう機関でもあった方がいいんじゃないか、であるならば、何となくというのでなくて、政府でもって、そういう機関があるということを閣議で認めるという形がいいんではないか、こういうことでこれは始まっておるわけでございます。しかし、それについていろいろ御意見のあることも私十分聞き及んでおるわけでございますが、これについては十分に御意見を中心にしてさらに検討し、しかも私ども、政府なんというものは大きらいなんと言っているような人たちにも入ってもらっていろいろやっておりますから、そういう人たちの意見も聞いて、そうしてその上でよく考えてみたい、こういうふうに思う次第でございます。
#70
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#71
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#72
○国務大臣(小坂善太郎君) さらに検討を進めまして、適当な時期にまたお答えすることにいたします。
#73
○伊藤顕道君 せっかく外務大臣見えておりますので、この前の四月二十七日の当内閣委員会で外務省設置法について若干質問しかけたところで、先ほどの不明確な点が出て御承知のような結果になったわけです。そこで、きょうは時間の関係もございますから、一点だけお伺いしておきたいと思うのです。
 あの際、大臣のお答えでは、外交問題懇談会は一人々々の自由な個人的な意見を聞く会であって、懇談会としては意思表示しないのだ、そういう意味の御答弁が繰り返しなされたわけです。ところが、その点は当たらないので、具体的な例で一つ申し上げますが、二十五日の外交問題懇談会で、こういう国連の現状について討議がなされた。その結果だけを申し上げます、その内容は問題ではございませんから。そこでいろいろ協議がなされた結果、最後に、当懇談会は国連の現状の認識について了承を与えた、了承したという意味の四月二十六日夕刊の記事があるわけですね。これは新聞の記事は全然でたらめだといえばそれまでですが、これは大きな信頼するに足りる都下の大新聞ですから、そうでたらめな報道はなされないと思うのです。そこを検討いたしますと、どうも大臣の御答弁ではございますが、決してこれは個々の、一人々々の自由な意思表示ではなくて、懇談会として意思表示しているわけです。そういう意味から言うと、全然大臣はうそを言っていることになるわけですが、そこはどうなんですか、この点だけを伺っておきたいと思います。
#74
○国務大臣(小坂善太郎君) 懇談会が終ったあとでだれかが記者団に会見することは、これは懇談会の中同士できめてやっているところでありまして、私は全然関知しないのですが、その記事そのものについても、私はそういったように言ったのかどうかよく存じませんけれども、いずれにしても、そうしたことがありとすれば、これは私の趣旨に反しますから、そういうようなことはございません。懇談会があくまで結論を出すようなことはないという趣旨のものと私は考える。もしそれに違うようなことがあれば注意いたします。
#75
○伊藤顕道君 それでは千葉委員の問題とも関連して、千葉委員の要請に対する検討の結果、いずれお答えするということであったわけですね。その機会までにこれの真偽を確かめておいて、この点についても明確にしていただきたいと思います。この点いかがですか。
#76
○国務大臣(小坂善太郎君) これは今の点は、そこに出ておった者からメモが回ってきたので、さっそく正確なお答えができると思うので申し上げますが、国連問題については同じような意見の人が多かったということを記者会見をされた人が述べたというだけであって、了承したということは言っていないということであります。
#77
○伊藤顕道君 そこで、都下の大新聞がこういう記事を出しているので、やはり大事な点に誤報があれば、外務大臣としても注意は必要だろうと思う。正確な記事ということは大事な点です。
 そこで、さらに確かめていただきたいと思うのは、ここにはりっぱに、同懇談会はこれを了承したと結んであるわけですね。そうすると、先般来の大臣のお答えとはまっこうから食い違っておるということになるわけですね。従って、ここですぐ即答されぬでも、やはりこの点を十分お調べになって、明確にしていただきたいと思うわけです。この点よろしいでしょうか。
#78
○国務大臣(小坂善太郎君) よろしゅうございます。
#79
○伊藤顕道君 正確に言って下さいよ。
#80
○国務大臣(小坂善太郎君) 新聞の記事が全部一斉にそういうふうになっていれば、これは発表だろうと思いますが、それぞれ違っております場合には、かなりそこに受け取り方によって記事が違ってくる場合が多いということはあなたもよく御体験になっていることだと思います。従って、それについて一々せんさくするというようなことは、実はわれわれお互いに新聞記者と政治家仲間の間では、あまりやらぬことだと思います。しかし、そういう趣旨でどうしてもそうしろとおっしゃいますれば、そのようにあなたのお言葉に基づいてやっていくということで研究してみてもよろしゅうございます。
#81
○伊藤顕道君 そこで、私がお伺いしたがった点は、そういうことではなくして、ここでは国連の現状について、同懇談会はこれを了承した、懇談会として了承した、事実はどうなのかということが私の質問の要旨であった。それについてはもう明確になったわけで、さらに、しかし、こういう大事な点が大新聞に誤報されておるということは、今後のこともあるから、芳しくないのではないかということを申し上げておる。従って、これは各新聞それぞれ見たわけですけれども、全部の新聞に出ているわけではない。出た新聞にはこう出ておるということであるから、さらに調査はむだではなかろうと、そういう意味で伺ったわけです。
#82
○国務大臣(小坂善太郎君) 了承いたしました。
#83
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#84
○委員長(吉江勝保君) それじゃ速記つけて。
 それじゃ、いましばらく続行いたしますから、質問のおありの方は御質疑を願います。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。暫時休憩いたし、午後は一時半より再開いたします。
   午後零時三十五分休憩
   ――――・――――
   午後二時五十七分開会
#86
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。
 休憩中に行ないました委員長理事打合会の結論を御帳告申し上げます。相当熟心に協議をいたしましたので、いろいろな意見がたくさん出ておりまするが、結論的なものを要約いたしまして御報告いたします。
 本日の午後の運営につきまして協議をいたしましたところ、午前中の問題につきまして引き続いて審議をしようという意見も出ました。また、予定が一応組まれておりまする、調査報告をせよという意見も出ました。相当意見が対立をいたしましたので、委員長といたしましては、一応その問題を預かりまして、報告が終わりましたあとの運営について御協議を願ったのであります。ちょうど自民党の両理事、社会党の両理事のほかに、民社の田畑君もオブザーバーというような形で列席をされておりましたが、報告が、大体のところでありまするが、報告約二十分前後、そのあときょうは質疑を行ないまして、山本君と差しかえの安田君が質問をいたしまして、大体一時間半くらいの時間を予定いたしておりますので、二時間くらいは合わせてかかろうかと思います。終わりましたあとで、議題を何を取り上げるかということにつきまして協議をいただきましたところ、自民党の方の理事からは、かねてから提案しておる防衛の二法案を審議したい、こういう発言がございました。社会党の理事からは、給与二法案がすでに上程になっているので、これを先にやるべきだという発言がございまして、また、田畑君からも、午前中の労働省関係のものについて審議をするのはどうだろうというような意見もございました。委員長といたしまして、さらにそれを調整をいたしたいと存じまして、あっせんをいたしたのでありまするが、自民党の方では、この防衛二法案につきましては、十分慎重な審議をしたいので、会期も残りわずかなので、審議に十分時間をとる意味で、早く審議に上せたいということを強く主張されまするし、また、社会党の理事からは、今まで踏んで参りました一応の順序があるので、その順序に従って審議をすべきだ、防衛二法案の審議はやらないというのではないが、順序があるので、その順序に従って審議をすべきだ、防衛二法案の提案については、とうていこれは受け入れることができない、党に戻って相談をするといっても、なかなかそれは短時間に回答するわけには、努力はするが、それはいかないという相当明快な御発言もあったのでありまして、そこで、最終的に委員長といたしましては何とかまとめたいとあっせんはしたのでありまするが、それでは調査団の報告のところまでは一応両者ともに意見が合致いたしておりますので、そこまでは報告をして、あとの運営につきましては、委員長理事打合会におきましては結論が得られなかったということを報告いたしますと、こういうように申しまして委員長理事の打合会を終わったような次第でございます。
 以上御報告いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#87
○委員長(吉江勝保君) 速記を起こして。
#88
○大谷藤之助君 きょうの昼まで四回も、おとといからきのうから理事会を積み重ねてもらってその日の議案の審議案件もきまらないし、半日の半段階になっても、その日の午後やることがまだきまらぬということで、これは幾ら理事会を積み重ねてもらっても、理事会でまとまった話は出ぬわけです。あと委員の派遣調査報告を、これはもうそれが審議が終わったら、一つ引き続いて、かねて理事会にも要望しているし、わが党の方にも質問はたくさんございますし、防衛二法案の審議に引き続き入ってもらって、なお、時間があれば、それは給与関係の法案に入ってもらうこともけっこうです。それに入ることの動議を提出いたします。
#89
○千葉信君 せっかくの大谷君の話ですが、今スムーズに審議に入れる段階にあるのに、議事進行について、審議をやめてそんなことを言っているよりも、審議に入ってもらって、その上で両者の理事諸君に集まってもらって話し合いをしてもらうこともできるわけですからね。そんな正面切って審議をとめるようなやり方は、これは……。
#90
○石原幹市郎君 これは今、大谷委員から言われたように、もうすでに数回理事会を開いて何回もやって、われわれも何日も待機していて、まだ今調査報告を聞いて、あとはその先はその先のことだというようなことじゃ、千葉委員からまた理事会というお話もあるけれども、そんなことをしておっても同じことであって、そこで、たびたび言われているように、会期は二十四日までだし、これから相当馬力をかけても、これだけの法案をかかえた内閣委員会としては、そろそろけじめをつけていかなければいけないので、防衛二法については、一回や二回でこれをあげるということは実質問題として困難だと思うし、与党側にも相当の質問を持っているのだから、やはりきょうは防衛長官も皆出ておられるし、この防衛二法をきょうからやりたいということは、もうすでに先刻から、この間からいろいろ話しているし、法案はもう十日ぐらい前から参議院に回ってきているのだから、十分研究もされておることだと思うし、私は、今の大谷君の動議に賛成します。きょうは調査報告が終わったら、直ちに防衛二法の審議に入りたい。それをもう理事会できまらないのだから、委員長、ここできよう委員会できめてもらいたいと僕は思う。そういう大谷君の動議に賛成する。
#91
○委員長(吉江勝保君) 大谷君の動議に今、石原君の一応賛成がございまして、まあ動議は出ておるのでありまするが、動議をどういうふうに扱いまするか……。(「委員長々々々」「委員長、発言を求めているのだ」「そういう謀略みたいなことはやめておきましょう」「委員長々々々」と呼ぶ者あり)
 それじゃ、動議は一応成立しておるのです。だから動議は成立しておりまするが、動議の採決という段階の前に、一応社会党さんの発言を聞くのが私はいいのじゃないかと思いますから、千葉委員の発言を許します。動議は成立しております。
#92
○千葉信君 今の石原君の言う意味は、私の言った意味を誤解して言っているのです。どういう点かというと、調査派遣の報告について、報告が終わって質疑が済んだら、それから理事会ということを僕は言っていると言いますけれども、私はそうじゃなくて、今のこの段階は、もう質疑に直ちに入れる段階ですから、質疑に入って、その一方で両者の間でいろいろ折衝する方法もあるじゃないか、従って、その方法を講じておいて、話し合いがつけば引き続いて委員会をやれるわけですから、そういう方法をとれということを言ったのに、質疑が終わってから理事会を開くというふうに勘違いしておられますから、その点あらためて申しておきます。だからそういう方法をとってもらいたい。
#93
○石原幹市郎君 私は一つも勘違いをしていないのです。本日もすでに二回理事会を開いておる。きょうに限らず、もう今まで何回もやって一つもまとまらないのです。それを質疑に入って、入っている間にいろいろ理事が相談して、その間にまとまるなんというようなことは想像もつかないのです、われわれは今までの実績から見て。だから大谷委員から動議が出て、私が賛成しておるのだから、ここできめて、それから報告なら報告、質疑して、あと防衛二法に入って、きょうは社会党さんが質問しないというなら、与党でいろいろ準備もしておるのですから、われわれの方もやはり聞いておきたいのだ、いろいろなことを。だから会期も詰まった今日でありまするから、時間は有効に活用してもらわなければならない、委員長の善処をお願いいたします。
#94
○委員長(吉江勝保君) 動議は提出され、動議は成立しております。いずれそれは取り上げますが……。
#95
○山本伊三郎君 そういうことを皆さん方あるいは考えるのではないかという私は気持もしておる、先ほどの理事打合会の状況を見てですね。しかし僕は、防衛二法案については、要するに与党と野党の間の問題点もはっきりしておるから、審議の方法の問題で、私はあえて無理をしなくてもいいじゃないかということを言っているのです。しかも、聞くところによると、この問題についてはいろいろの問題で、あなたの方の参議院の会長ですか、あるいはそれからもいろいろ申し入れもあって、党との間の話し合いもあるやに聞いておる。そこで、それをここで動議の形に出して、今後これがスムーズに防衛二法案が審議ができるかどうかということを私は憂えるものの一員なんです。そういう無理をせぬでも、自然に熟するものは熟してくるのだから、私は、冒頭に大谷君がああいう動議を出すのじゃないかという気持も、あの理事会の空気の中からわかっておる。しかし、そういうことをあえてやるというのならば、私は委員長の裁量にまかすけれども、私は、社会党としては絶対にそういうことは許さない、そういう態度は今後の問題に影響するだけに、委員長にはっきりしておかなければならない。
#96
○伊藤顕道君 もう私が言うまでもなく、先般自社両党の国会正常化の問題について話し合いがなされて、その法案については慎重審議と、そして民主的な運営によって国会正常化、これは両党間で確認また確認されてきたことです。そういう意味合いで、この場のこの運営については、委員長を中心に、両理事間でとにもかくにもいろいろ論議はあるけれども、この報告、そしてそれに対する質問をまずやって、その上どうするかということについては、また諮るということであったわけです。そこで、千葉委員から指摘があったのは、終わってからやるというのでなくて、一方審議を進めて、そうしてまたそれに並行して両理事間で話し合いをやってということで、私もそのことについて、この休憩中に十分誠意を尽くして相談した結果、ある程度の成算を持って、胸に秘めて、そうして打ち合わせをする、そういう所存でおったわけです。従って、機械的にただ一方だけの要望を無理押しに通そうとすると、それは多数党だから何でもできるでしょう。しかし、あと事態はまた混乱に混乱で、民主的な運営もとうてい期待できないということである点をよく考えていただいて、ただ多数だから少数だからということでなく、なるべく、要は運営が民主的にいけばいい、スムーズにいけばいい、そういうことで、立場こそ違え、われわれも非常に苦慮しておるわけです。そういう努力も認めないで、ただ動議があったからといって一方的に取り入れる。意見は幾らでもある。しかし、この場で意見を言うべきではない。とにかく約束通り、両理事間の話し合い通りにまず進めて、そうしてこちらはさらにそれに並行してやろうという、そういう前向きの積極的な考えをも持っておるわけです。だからその決定に従ってやっていただきたい。
#97
○石原幹市郎君 これが今、伊藤理事の言われた話が初めての話なら、われわれもまだこれから理事会でも開いてもらって話し合いということがあるけれども、きのうもやり、きょう午前もやり、午後もやり、それでまだきまらない。しかし与党側は、与党でもいろいろ質問がある。与党側がきょうこのあとで質問しておきたいということで、あなたの方で何も防衛二法の上程を、与党側でも質問しておきたいということにそう反対されることもないだろう。それから時間があれば、あなた方の希望する給与二法でも何時まででもやってもいいんです。だからそういうことでもやらなければ会期がないじゃありませんか。これだけの法案を付託されている。国民が待っている法案にわれわれはこたえていかなければならないのですから、これはみなお互いの立場を考えて協力してもらわなければ私は困る。ここらでそろそろ執行してほしい。
#98
○千葉信君 これは自社両党の責任者の問題に関係がありますので、速記はちょっととめてもらいたいと思うのです。
#99
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#100
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#101
○小幡治和君 今いろいろお話がありましたが、私昨日も一昨日も、またきょうも、きょうの朝も昼も繰り返しお話ししておることは、要するに防衛二法案というふうな重要な法案が回ってきて、これはもう相当審議も十分にやりたいという気持を持っておる。しかし、まあ社会党の理事は順序でやろうと、こう言っておられます。順序でやりますと、それは非常にたくさんの法案というものがあるのだから、順序で今のような調子でやっていきますれば、会期というものもきまっておるのだし、余ってくる部分の、審議できない法案というものが相当出てくる。だからそういうことでやるならば、順序であくまでもやるならば、毎日一つ委員会を開いて十分に審議しようじゃないかと、そいつを提案したわけなんだ。しかし、そいつは全然考えられぬというふうなことなんです。それならば、今一週間で二回くらいなこんな状況のときにこういう重要な法案が出て、われわれの与党の委員の中にも十分審議したいと言っておる者もあるので、だからそれを一つ上程してくれと、こう言うと、これもできない。きょうはどうか、きょうもできない、あしたはどうか、あしたもできない。それじゃ土曜、日曜、月曜ということで、もう審議日数というものはますます少なくなっていく。そういうことじゃ委員の中で相当質疑したいという人のチャンスというものを奪っていくことになると思う。そういう面についてのいろいろな理事会の話し合いというものをわれわれとしては繰り返しておったのだけれども、結局結論がつかない。今、千葉委員のお話がありましたが、これは会長としてのお話であったかもしれませんけれども、それならば、それが昼のときに、昼はまあわれわれとしては二時前後までやっておったのですから、そういう面もおのずから出てきてしかるべきじゃなかったかと思うのですが、そういうことも全然われわれとしては感知できないという状況なんで、そういう意味において、私は、まあ一つ今いろいろ委員の方から動議が出ておりますが、やはりここではっきりさしていただいて審議に入ってもらった方がいいのじゃないかというふうに理事の一人として申し上げておきます。
#102
○田畑金光君 私は、結論から言うと、動議を出されて、まあ動議は成立したでしょうが、その始末を今この時期においてはっきりされるということは反対ですね。ということは、まだそこまでこの議事進行の問題で明確な対決をつけるというようなことは、今後の議事進行の上においても、かえって私はプラスじゃなくてマイナスだと、こう判断するわけです。先ほど委員長の報告にありましたように、少なくともこれから報告をして、さらに質問をする、そのあとの取り扱いについては、確かに先ほどの理事打合会では結論は出ておりませんが、その段階において相談しようということは委員長から報告された通りです。そういう姿で話が済み、あるいはまたその段階において話がまとまらず動議になったということなら一応わかりますけれども、やはり委員長理事打合会で、先ほど一応の午後の日程については話し合いがされておるわけです。私は、その節も私としての意見は申し述べたわけです。これは防衛二法案という法律案について、いつまでもたなざらしにするつもりは毛頭ない。重要法案であるがゆえにこそ、われわれとしても審議のために時間も必要としている。こういう気持で私は先ほどの理事打合会では申し上げましたが、やはりそれは会期の関係も考慮しながら、当然これは取り上げなくちゃならぬと思うし、まあそういうような問題等については、私は初めて先ほどの理事会にオブザーバーとして出ましたけれども、もう少しこの問題については話し合いをつける必要がありはせぬかと、私自身も気持として持っておるわけです。ことに先ほどの理事会の中では、社会党の理事の中の発言になかったような、もっと進んだような話も出ている以上は、まあ一つこの際、先ほどの動議の始末をつけるということはしばらく保留されて、委員会の進行の過程において、また別室で委員長理事打合会をなされて、そのあとどうするかということを進められるもう一段の努力を続けられる方が、今後の進行の上からいって私はプラスだと、こう判断しますので、まあそういうような角度から、先ほどの動議の提出とあと始末については、しばらく保留されることを私は要望いたします。
#103
○委員長(吉江勝保君) お聞きのように意見が出ておりまして、一応動議は成立いたしておりますので、動議提案者並びに賛成者の方々もお聞きになっておりますので、採決に入りまする前に、もう一度御意見を承りたいと思います。
#104
○一松定吉君 すべて、国会審議なんというものは、筋を通さなければいかぬよ。動議がすでに成立しておる以上は、その動議のとにかく当否というものをこれに諮って、その上で動議が破れれば破れる、成立すれば成立するという上から話を進めるということならわかるけれども、動議が出て、動議が成立しておるのに、その成立しておる動議をそのままほったらかしておいて、まだみんなの意見を聞くなんということは、あまりにもそれは委員長の態度が間違っている。やはり会議規則によってすべて行動するということが国会の処置なんだから、だから私は、この大谷君なり石原君の動議というものが成立せずして、社会党の諸君の反対意見が通れば、それに従えばよろしいし、こちらの動議が成立すれば、それに従うがよろしいし、それが国会の議事の進行の仕方じゃないですか。その意味において、私は、今のこの動議というものの採決をして、しかる後に、その採決の結果いかんによって、さらに議事の進行を進めるというのなら賛成しますけれども、この動議の成立しておるのをほったらかしておいて、そうしてそのほかの人の意見を聞くということは、それは筋が通りませんから反対です、私は。
#105
○下村定君 私は、委員会の議事進行の手続もさることながら、議院の外の国民諸君の今の現段階における国会というものに対する気持をくんでいただきたい。申すまでもなく、ただいま間題になっております重要法案というものは、農業基本法、防衛二法案、ILOの問題、この三つがある。これは国民周知のことです。しかるに、防衛二法案が先月の二十六日に衆議院を上がってからすでに二週間たっています。審議に着手するどころか、その議事の手続をまだぐずぐずしているのは、何といっても国民に済まぬと思う。そういう意味において、私は早く法案審議に入られることを希望いたしします。
#106
○委員長(吉江勝保君) 先ほど動議が成立をいたしておりまするが、一応動議の扱い方につきましては、御発言を相当していただきまして、社会党の方からも理事並びにその他の委員から御発言をされておりまして、相当理由もあげて御発言がありました。しかし、それに対しまして、私が動議提案者並びに賛成者にもう一度意向をただしましたところ、その必要はないんだというまた御発言がございましたので、一松君の御意見に従いましてこの議事を進めたいと存じます。
 ただいま大谷君から、派遣報告の件が終了したら、防衛二法案の審議に入られたいとの動議が提出され、賛成者がございますので、本動議は成立しました。本動議を議題として採決を行ないます。大谷君の動議に御賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(吉江勝保君) 多数でございます。よって、派遣の報告の件が終了しましたら、防衛二法案の審議に入ることに決定いたしました。
   ――――――――――
#108
○委員長(吉江勝保君) 国の防衛に関する調査を議題とし、去る二月中旬実施されました駐留軍の演習場に関する件の派遣委員の報告を聴取いたします。
 出席者は、西村防衛庁長官、丸山調達庁長官、加藤防衛庁官房長、小宮山調達庁不動産部次長で、ございます。
 山本委員から報告をお願いいたします。
#109
○山本伊三郎君 それでは、私から、過般二月の十五、十六日、東富士、北富士演習場を視察をいたしました参議院内閣委員会委員派遣の報告をいたします。
 報告の前に、御存じのように、すでに三カ月前に視察をしておるのです。今日おくれておることについては、私はここでは追及いたしませんが、そういうことで、今日の現段階の実情と若干ズレがありますので、その点で一つお聞きを願いたいと思います。
 前回の下村委員の報告に続きまして、私より東富士並びに北富士演習場問題に関する調査について御報告申し上げます。
 昨年七月、山梨県忍野村の忍草区民が、北富士演習場即時返還の要求を掲げて演習場内にすわり込み、米軍の演習を阻止せんとする事件が起こり、当時の江崎防衛庁長官の仲介で一応事態が収拾されましたが、いまだ全面的な解決を見ていないのは御承知の通りであります。この東富士並びに北富士演習場問題は、現在日本がかかえている基地問題の一つの焦点であり、この意味において、これら演習場問題のその後の状況について親しく現地調査をなし、地元民の意向を聴取し、また、県当局の意向をただすことが今回の委員派遣の一眼目であったのであります。私どもは、さらに帰京後、真子調達庁次長より、主として地元陳情に対する調達庁の意向も聴取したのであります。
 まず、最初に東富士並びに北富士演習場の概略並びにこれら演習場問題の沿革、問題点について簡単に申し上げます。
 これら演習場は、それぞれ旧陸軍の演習場であった区域を主体として、昭和二十二年米軍に演習場として接収され、講和発効後は米駐留軍の使用に提供され、在日米軍地上部隊の演習場となっておりましたが、御承知の岸・アイク共同声明により、米軍地上部隊が撤退した現在は、沖繩から米海兵隊が来て演習を実施しております。また、自衛隊も昭和二十九年より米軍と共同使用しております。演習場の広さは、この間それぞれ一部返還された地域もありまして、現在東富士は二千五百三十万坪、うち、国有地千百七万坪、民公有地千四百二十三万坪、北富士は二千二百四十八万坪、うち、国有地七百二十八万坪、民公有地千五百二十万坪となっております。東富士における民公有地には静岡県有地はありませんが、北富士の民公有地は、恩賜林組合等への県貸付地を含めて、山梨県有地が主体をなしております。また、東富士、北富士ともに、国有地には、地元部落が古来からの入会慣行を有しており、特に北富士においては、この入会慣行が野草、そだの採取など、地域生産力の母体をなしてきたとのことであります。また、これが物権としての入会権の主張、入会区域に関する主張の各部落間の相違などの因となっております。
 次に、東富士並びに北富士演習場問題でありまするが、他の基地問題一般に見られると同様、大別して、返還問題、補償問題、民生安定等、基地行政問題の三つであります。まず返還問題について申し上げます。最近における返還問題の発端は、昭和三十二年当初にさかのぼるのでありまして、まず政府当局側においては、防衛庁が米軍からの返還の間近いことを見越して、返還の暁には引き続き自衛隊の演習場として使用しようとの計画のもとに、静岡県、山梨県知事を通じて、それぞれ地元側と使用条件等について協議を始めたのであります。東富士においては、地元は東富士演習場地域再建連盟を結成し、防衛庁との交渉は順調に進みました。昭和三十四年一月、閣議了解で東富士演習場返還に伴う措置が定まり、これに基づいて防衛庁は、同年四月、東富士演習場使用協定を再建連盟と調印し、全面返還の時期に発効することと定めたのであります。また、北富士演習場地元においては、東富士と異なり、関係市町村、各入会組合等の足並みがそろわず、演習場使用にかかる具体的条件については話がまとまらず、防衛庁との使用協定は成立しなかったのであります。一方、演習場においては、前に申し述べましたごとく、岸・アイク声明による撤退以後、演習場の使用頻度も減少し、昭和三十三年七月、キャンプ・フジ司令部は閉鎖され、返還間近しとの印象を地元民に与えていたやさき、昭和三十五年に入り、沖繩から米海兵隊が来て演習を実施することとなったのであります。ここにおいて忍草区民の演習場内立ち入り事件が起こり、彼らは地位協定成立に伴う賃貸借契約無効を叫び、演習場の即時全面返還を要求したのであります。もちろん調達庁においても、昭和三十四年七月並びに昭和三十五年八月、富士演習場の全面返還要求を日米合同委員会に提案し、強く返還方を要請しているのでありまするが、何分米軍、自衛隊及び地元の三者の条件調整のため難航しているとのことであります。
 第二の問題点は補償問題であります。補償には、さきに申し述べました入会慣行に基づく林野雑産物補償と、民公有地に対する土地借上料と、いわゆる特撮法に基づく補償の三つがあります。林野雑産物補償と申しまするのは、演習場内国有地の野草等採取のための入会慣行阻害の補償であります。東富士並びに北富士演習場においては、旧陸軍の演習場が設定せられていた当時は地元民の立ち入りが認められていましたが、米軍に接収されて以後は、全面的に禁止されてしまいました。講和発効後は一応緩和されて今日に至っておりますが、なお、地元の入会慣行が大きく阻害されておりますので、その実損につき、昭和二十八年より調達庁において、林野特産物損失補償額算定基準によって補償がなされております。その額は、昭和三十五年度まで東富士においては二億余円、北富士においては一億余円となっています。北富士においては、この補償額について各部落間に均衡を欠くものとして、従来より地元住民に不満があったようであり、これが北富士演習場問題の一つのガンのように見受けられました。
 次に、民公有地に対する土地借上料でありますが、これは昭和二十七年閣議了解「駐留軍の用に供する土地等の損失補償要綱」により処理されてきておりますが、北富士地元においては、東富士より少ないとして、同様不満があるのであります。昭和三十四年度の月額総借上料支払実績は、東富士は七百二十五万円、北富士は三百二十万円となっていますが、両者の差はそれぞれの地目別分布に原因しているとの調達庁側の説明であります。
 次に、特損法に基づく補償であります。これは昭和二十八年法律第百四十六号、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律に基づき、調達庁が予算補助として昭和二十八年より実施してきているのでありますが、東富士並びに北富士に対して、昭和三十五年度までに調達庁が実施した工事額は、それぞれ十億七千六百万円、四億九千五百万円となりており、これについても、同様、北富士地元において均衡を欠くとする声があったのであります。これに対しては、演習場内における実際の演習区域の大きさ、演習の種類、場内に水源を有する河川の数等により工事額の差が生じていると調達庁側は説明しているのであります。
 両演習場の第三の問題点は、民生安定等、基地行政問題であります。基地提供に伴う一般的不利益は、地元民のみの負担とすべきではなく、広く国民が背負うべきものであることは言を待たないところであります。この意味において、基地提供に伴う各般の民生阻害に対しては、国の責任において、広く民生安定の諸施策を推進すべきことは基地行政の原則ともいうべきでありましょう。しかしながら、このことは現在の調達庁の権限、機構においては全きを望み得ないのであります。すなわち、東富士、北富士において地元が強く要望している農地改良、国有地解放、畜産振興、道路、水路の整備等、地元民生総合再建施策は全然緒についていないのが現状であります。
 以上で東富士並びに北富士演習場問題の概要について申し上げましたが、次に、地元の陳情内容について取りま
 とめて申し上げます。
 最初に、東富士であります。ここではさきにも申し述べましたごとく、地元は東富士演習場地域農民再建連盟に一本化しており、その委員長たる御殿場市長より陳情を受けました。すなわち、当連盟と防衛庁との間に、昭和三十四年六月、使用協定が調印され、全面返還、民生安定策の実施、返還後の自衛隊の使用承認の基本が確認されているにかかわらず、現在に至るも、これらの問題は一向具体化せず、地元民に深刻な不安を与えているので、政府がすみやかに実施するよう御配慮いただきたい旨の陳情があり、特に全面返還と、すでに国の施策として決定を見ている国有地五百六十ヘクタールの解放、国庫補助による九百四十七ヘクタールの開田事業、畜産振興事業の推進等、民生安定施策の実施が強く要望されました。
 次に、北富士であります。北富士の関係地元団体は、一市二村の普通地方公共団体、一部事務組合、その他入会組合等十三団体の多数に分かれているのであります。私どもはこれら団体の代表者、すなわち、富士吉田市市長、中野村村長、忍野村村長、富士吉田市ほか二カ村恩賜県有財産保護組合組合長、山中長池入会組合、忍草入会組合、新屋入会組合、上吉田入会組合、北富士入会組合の各代表者等を一堂に集めて陳情を聴取し、種々懇談いたしました。また、忍野村忍草の富士の山と水を守る会、忍野村忍草母の会の各代表者より陳情書を受けました。これら各陳情を総合いたしますと、まず全面返還であります。すなわち、演習場の存置は望ましくない、演習場を地元に返還してほしいということであります。その論点とするところは、現在演習場を使用している沖繩の米海兵隊は在日米軍でないゆえ、安保条約上施設を利用する権限がない点、あるいは演習場内民有地にかかる調達庁との間の賃貸借契約は、地位協定発効とともに無効となる点、あるいは旧陸軍が演習場に買い上げの際、買い戻し約款付きとなっていた点に根拠を求める等であります。しかしながら、もし国の方針として演習場の存置がやむを得ない以上は、存置による直接間接の民生阻害を補償するのみでなく、積極的に総合的基地行政を推進し、進んで地元民の生活を救済し、福利を増進していただきたい、これが基本的主張のように見受けられました。
 次には、財産権としての入会権の主張であります。古来から有する地元旧十一カ村の入会慣行は、現行法上物権たる入会権であり、よって演習場内国有地に入会権の存在を認め、この権利侵害に対して補償するようとの主張であります。御参考までに申し上げますと、調達庁は、大正四年の大審院判例により「官有地上に入会権なし」とする立場をとっているのであります。
 次には、林野雑産物補償額が各部落間に均衡を欠くという主張であります。具体的には、忍草区に対しては現在までに一億余円が支払われているにかかわらず、中野村、富士吉田市に対しては、その十分の一にも満たない金額しか支払われておりません。また、昭和三十二年度には、忍草区には二百八十三名の申請に対して、総額一千四百余万円、二戸当たり約五万二千円の補償が支払われながら、富士吉田市農民には、九百六十四名の申請に対して百八十九万余円の内示があったのみで、一戸当たりに直すと、わずか千九十六円に過ぎないという主張であります。調達庁は実損主義を建前として実態調査をなし、その結果をもととして、算定基準によって補償額を算出しているが、その算出の一要素たる堆肥反当たり施用量決定に際して、忍草区四百貫に対し、他地域それぞれ三百六十貫、二百二十貫、百五十貫等、差をつけている。この調達庁のやり方は当を得ていないとして強い不満が述べられ、現行補償体系及び算定基準の根本的再検討と、すみやかなる改正が要望されました。
 次に、東富士に比べて北富士に対する補償が均衡を欠いているという主張であります。提供後、昨年末までに政府より支払われた補償金等の実績を見ると、東富士に対しては四十億余円に上るにかかわらず、北富士に対しては十九億余円にすぎないのであり、前に申し述べましたごとく、特損工事量も少なく、また、民有地借上料も、東富士に比べて安きに失するなど、基地行政実施にあたり、均衡を保っていただきたい旨の要望がありました。
 また、恩賜林保護組合からは、米駐留軍の猛烈な砲爆演習により、恩賜林の墓場と慨嘆されるほどの巨大な被害を二千町歩にわたりこうむっており、これらの被弾木補償等、既存被害補償の早急、かつ、完全解決に御助力いただけるようとの要望もありました。
 最後に、民生安定諸施策の強力な推進についての要望であります。北富士においては、演習場提供のため耕地、農道、河川たど荒廃が著しいものがあり、そのため兼業農家に転落したものも多いので、単に特損工事量をふやすのみならず、道路、水路など整備し、国有地を解放し、開田計画を推進せしめ、地元農業の振興に特別の配慮をしていただきたい。また、林道を開設し、林業整備をはかられたい。その他当地域は立地条件から、観光地域としての発展を宿命づけられておりながら、演習のため、吉田口は全くさびれているので、観光シーズン中演習を中止する等、観光阻害防止につき対策を講じられたい。また、演習場周辺教育関係整備対策も講じられたい等々、地元民生の総合再建施策的な要望がありました。
 以上、北富士演習場地元各関係団体の陳情を要約したのでありますが、なお、これら各団体より細部にわたる陳情書を持参してきており、調査室に保管さしてありますので、詳細な点は適宜その方でごらんいただきたいと存じます。
 私どもは、最後に山梨県庁に参り、県知事に対し、北富士演習場問題に対する県側の意向をただしたのであります。県当局の説明したところによると、北富士演習場問題は、従来の補償額が、忍草地区とその他の地域とのアンバランスがあまりに大きく、これが遠因とたり、感情問題化しているので、以前より、一再ならず知事が間に入り、地元の意向を一本化しようと努力してきたが、思うように調整できず、さらに分裂化の傾向すらはらみつつ現在に至っている現状では、県が介入し得るにも限界がある。すなわち、制度的には県の行政的な監督指導の外にある国の業務であって、県には何ら権限はない。しかしながら、昨年八月、調達庁長官より当知事に対し、国と地元との仲介に立つようとの要望もあったので、それ以来調達庁とも連絡を密にしており、また、調達庁においても、すべて県を達じてのみ交渉するという立場を地元に対してとってきておるので、今後もますます国と県との連絡を密にして地元の調整に当たっていきたい。ただ、その際にも、過去になされた補償がガンとなっていること、また、県が介入し得る限界が不明確なること等により、まだ問題が残っているとの説明がありました。
 また、県知事から演習場問題処理についての国への要望が文書で述べられましたので、この際、その要点を読み上げます。すなわち、「使用転換問題処理に当たって、政府当局と県首脳部が会合し処理の基本原則を協議決定することが先づ必要である。現状では県が入れる限界が不明確であり、政府の態度によって県としても決定しなければならない事案が多く残されており、この点を明確にすることが先決条件である。林業補償等については県は地元各地区間の均衡を考え、公平適正に処理されること、個々に処理することなく地元各地域間の連絡をとって一斉に支払うよう地元を指導することを調達庁に要請する。政府は県に基地交付税的な演習場対策費を交付しこれによって県が地元のために民生安定策的若くは補償を補足するような種々な措置を行えるようにすることが望ましい。現在の調達庁の権限は単に基地の提供及び提供による実損の補償だけであって各省にわたる基地行政まで積極的に行う権限はない。従って早急に国の基地行政組織を一本化することが必要である。」、以上が、県知事からの要望でありました。
 最後に、私どもが現地調査を行ないまして受けました印象の二、三について申し上げます。
 その第一は、両演習場問題は、従来の砂川問題、内灘問題等の基地問題とは異なり、イデオロギー的要素が現在においては全くなく、その意味の複雑性は見受けられませんでしたが、北富士においては、今や地元部落間の感情問題にまで発展し、問題の解決を困難にしているやに見受けられ、この点、現地住民の意向取りまとめ方につき、山梨県当局になお一そうの積極性を期待したく感じたのであります。
 その第二は、全面返還の要望についてでありますが、現地各組合において必ずしも足並みがそろっておらず、また、自衛隊使用を容認する意味なりやいなや等、その内容自体が明らかでないような印象を受けたのであります。
 その第三は、損害補償について調達庁が現在とっている実損主義の建前に対しても、また、入会補償の受給資格の適否を明確にするためにも、もう一度検討を加える必要があるのではないか。また、欠損主義の建前を保持するにしても、実損主義から生ずる欠陥については、民生安定施策の面で特にカバーするような措置を講ずる必要がないだろうかという点であります。
 その第四は、両演習場が米軍に接収されるまでの法的沿革並びに接収されてからの法的地位、特に新安保条約下の法的地位がいかなるものであるかについて政府は立場を明らかにし、現地民に対し、なお徹底さすべきではないか等の印象を強く受けたのであります。
 以上で御報告を終わります。
#110
○委員長(吉江勝保君) ただいまの報告に関連して、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#111
○山本伊三郎君 それでは私から、過去の政府がとってきた態度について、一つ確認する上において西村長官にお尋ねしたいと思います。
 これはすでに御存じだと思いますが、御存じというより、知る以上に知っていると思いますが、江崎長官の際に、三十五年の八月九日であります。山梨県の忍野村の忍草区長からの要望書に応じて念書を入れられているのですが、すでに長官も知っておられますが、この点について、要望書としてこういうふうに出ております。「梨ケ原演習場は、私達地元農民が入会慣行を有している土地であり、また生きてゆく上に欠くことのできない土地であります。それ故、私達は昭和三十三年末米軍撤退以来特に該演習場の返還をのぞんでおりました。今日の場面もこの切実な私達の気持の現われであります。
 私達は、ここに、信頼する日本政府が米軍より該演習場の返還に努力をしていただくことを強く要望するものであります。」これは、御存じのように、当時、先ほど報告書にもありましたように、アメリカの第七艦隊に属する海兵隊が、北富士演習をやろうとした際に、忍草の農民の諸君が、これに対してすわり込みを実施した際だと私は思っております。これに対して、当時の防衛庁長官の江崎長官がこういう回答書を出されておる。「政府は昭和三十五年八月九日付御要望の趣旨を諒とし、早急に最大の努力を払うと共に、貴区が従来有して来た入会慣行を十分尊重し誠意を以って善処します。」こういういわゆる念書と申しますか、回答書が出されておる。こえて三十五年の九月一日です。参議院の当内閣委員会で、江崎長官はそれを確認した答弁をしておられる。なお、こえて本年の二月一日には、池田総理みずから、これはあなた方も同席をして、それを確認する口頭の約束をされておる。しかるに、今日までもうすでに半年以上も過ぎておるのに、何ら誠意のある解決の態度が出ないというので、新聞紙上ですでに御存じのように、北富士では、農民は農繁期の忙しいのを控えながら、これに対して政府に対する抗議をするという態度をとってすわり込みをやっておるのですが、一体政府は、こういう文書で、あのときのあのすわり込みに対し、米海兵隊が来るというので、どうしてもこれは何とか一時のがれでもやらなくちゃならぬということで入れられたのであるか。私は、それじゃ非常に日本政府としては、地元民に対する誠意のない態度であると思うのですが、一体この問題について、西村長官にかわられて今日まで、ここに言う最大の努力を払うというのに対して、どれだけの努力をされたか。私に答弁するのじゃなくして、この議事録を通じて、地元民が納得するように一つ答弁をしていただきたい。まず第一にそれを。
#112
○国務大臣(西村直己君) 政府といたしまして、富士演習場についてこれを返還をさせて、これを同時にまた地元と話し合いの上、自衛隊の演習場とか、基地協定二条四項に基づくいわゆる暫定的な米軍の共同利用をさせる、こういう趣旨に昨年の九月の返還という態度を一応私どもが引き継いでおります。そのもとにおきまして、いわゆる米軍に返還をさしたい。政府といたしましては、池田総理からも、やはり米軍に返還要求を不断に努力する。そこで具体的には、御存じの通り、日米の合同委員会としての中にあります施設特別委員会におきまして、この問題をずっと引き続いて日本側のいろいろな要求をやっているわけであります。もちろん、これには地元の条件、あるいは自衛隊、あるいは米軍それぞれの調整がなければならぬわけです。従って、これらについて非常に困難な各種の問題があるわけであります。また、事態は、富士演習場と申しましても、御存じの通り、東富士の面、北富士の面で状況が違っておる面もあることは、すでに御報告でもありました通りであります。私といたしましても、就任以来、これは在日米軍司令官、その他当時のマッカーサー大使とも数度にわたり、この問題の話し合いはできるだけ円滑のうちに、しかも、地元の要望、また、アメリカ側の考え方を調節をしながらやって参りたい、こういうふうに考えて折衝しております。ただ、御存じの通り、米側といたしましても、これが日本におけるただ一つの陸上の演習場で、ございます。在日米軍の大きな演習場としては一つの重要な演習場になっているわけであります。従って、これがお互いのいわゆる調節点を発見するということについて時間をとっておるのが今日に至っておる状況であります。しかしながら、同時に、東富士等につきましては、かりに演習場が戻った場合においてはどういうふうにするという、当時の使用協定に基づくいろいろな、何と申しますか、条件がございます。先ほどもちょっとお触れになりましたような、水田開発であるとか、国有林の払い下げであるとか、これらにつきましては、先般来も、私どもだけの、いわゆる防衛庁、調達庁だけの問題ではございませんので、基地の関係の省と申しますか、役所関係が集まりまして、そしてできるだけすみやかに、大体の目標は、特に東富士の場合におきましては、国有林の二百町歩ですかの払い下げ等の問題、解放と申しますか、そういうような条件的な面、いわゆる日本側だけで行政処理ができる問題は早急に打開しようじゃないかという、その結論近いものに、条件的なものについてはいっておるのであります。
 それから、なお、われわれは、先ほど委員会が非常に御苦労をいたされまして、東あるいは北富士につきまして御調査をいただきましたその御趣旨につきましては、十分これを生かしながら今後も推進して参りたい、こう思うのであります。ただ、基地行政につきましては、単に私は問題が起こってからの処理以上に、全国的にたくさんございますので、私も着任いたしまして、基地周辺の環境改善のためには各行政機関が一致してやらなければいかぬ。問題は建設省にもございましょうし、農林省にもございます。あるいは自治省関係、あるいは騒音等におきましては文部省、厚生省の関係もございますので、これらの環境改善のための対策協議会も総理府に設けさせております。また、できるだけすみやかなる機会に、こういった問題についての閣僚の懇談会も持って推進して参りたい、こういうふうに国内的にも考えておるのでありまして、なお、合同委員会の中の施設特別委員会等の状況につきましては、調達庁長官が当面の担当者でもございますので、必要がございますれば、さらに細部の御説明を申し上げたい、こう思っております。
#113
○山本伊三郎君 私は、その努力されておるその実態をつぶさに報告してもらいたい。私が調査をしました実感ですが、それは農民は気の毒ですよ。というのは、旧陸軍の場合には、入会権で、それを主体に生活しておった。ところが、日本は戦争に負けてしまった。これは農民の責任じゃないんですよ。その戦争についての当の責任者は、十五年後の今日、ぬくぬくと暮らしている人があるのですよ。しかも、十五年もたった今日、その敗戦のつめ跡を、北富士の人は切実に返してもらいたいという希望を持っておるのですね。それに今言われたことは、きわめて事務的にやっておるように聞こえるのです。もうすでに半年もたって、いつ返してくれるのかという、農民のこの切実な気持というものは、おそらく防衛庁長官もわかると思う。私は、あの基地を視察するのは初めてなんですよ、今度が。イデオロギー的なものはないということは私が言ったのですよ。これは委員長も知っていますよ。それほど切実に言っておるこの返還問題を、六カ月もたった今日、まだ在日米軍司令官と話を数度したとか、前のマッカーサー大使と話をしたとか、そういうことでこの委員会はのがれても、地元の農民は納得いたしません。私は声を荒げて言いましたけれども、調査した一員として、切実に訴えているのです。しかし、日本政府も返還ということに反対なんです。しかも、すでに在日米軍は、これはいろいろ問題がありますから、ここで長く質問すると時間がかかるので、おきますけれども、沖繩の海兵隊が来てやること自体に問題がある。沖繩の海兵隊が来たということは、ラオスのあのことを予想して、ラオスの地形と似ているので北富士を使用したとも言われて、いる。日本の安全を保障するという意味において皆さん方は自衛隊を作って、その自衛隊とともに在日米軍が日本の安全を保障するということで演習場を作っていると私は思う。しかも、沖繩の米海兵隊は、日本の在日米軍のように、日本を守るためでなしに、他国に戦乱が起こった場合に派遣しようというのがアメリカの意図であるやに言われている。真実を私は知りませんけれども、それが農民に響いた場合に、農民はどう思うかということを、あなたに大きく訴えたい。従って、くどくど言いませんが、一体いつ返してくれますか、その点伺いたい。
#114
○政府委員(丸山佶君) 調達庁長官がただいまの米軍の演習場となっているものの当面の責任者であり、かつ、返還問題の当面の責任者でありますので、私からお答え申し上げます。
 この演習場のために、地元周辺の農民の方、その他皆様がいろいろ有形無形に被害をこうむり、不便が多々あり、そのお困りの状況は、私どもも直接の責任者として、十分に存じておりまして、従いまして、この措置といたしましても、ただいま当委員会で御調査いただきました中にもございましたように、まず直接的な補償の関係はもちろんのこと、特別損失補償法に基づくところの種々なる措置、あわせて周辺の環境整備、あるいは農村の再建整備、民生安定という面に関しまして、われわれ調達庁の権限が及ばない範囲内も、これは関係各省全部をまとめまして、政府としてぜひこれが方途には一そう推進していかなければならないと考えて要求をいたしておるわけであります。
 そこで、返還の問題でございますが、これは先ほどもお話がございましたように、昨年の八月、当時の江崎長官が忍野村の忍草区長さんに御回答を出され、その御趣旨によりまして、私自身が、さっそくその直後の日米合同委員会、施設特別委員会に返還要求を出して折衝を始めたのでございます。
 まず第一に、ここで明確に御了解を願いたいのは、この返還の意義と申しますか、内容と申しますか、このことはただいまの調査報告の中にはあまり明確になっておらぬように私は拝聴しておりましたが、政府が米軍に返還要求している内容は、米軍の演習場たることはやめて、これを自衛隊の演習場にする、自衛隊の演習場にした上において、ときどきやってくる米軍の演習もここでさせる、こういう趣旨のものでございます。従いまして、この趣旨の達成のためには、米軍自身の演習というものを、現在のように、現在は米軍の演習場でございますから、いつ来てどのくらいの期間やろうが、向こうの権限ということになっておる、これをどの程度まで、いつからいつまでというふうな工合に制限をする、また、自衛隊の演習場といたしました場合にも、自衛隊としてはどのような演習方法をとる、どのような演習日数をとる、これがひいて工裏返して言うと、地元の方々が従来の入会慣行に基づきまして、そだをとる、草をとる、これらに対する立ち入り日というものをどの程度必要とする程度にその演習というものが見合うか、こういう演習日あるいは立ち入り日というような一点に関しましても、この三者のいろいろの要請というものを調節しなければいけないということが第一点。それから区域的に見ましても、現在のままでいいのか、あるいは東富士のように、また、北富士にもありますが、一部分はこれはもう演習場の区域からはずしてもいいんじゃないかという区域がある、こういう所をどうするかというような問題。その他場内に走っておる林道の使用の条件、あるいは森林経営のための条件、これらのものを、現在の米軍のために提供しておる演習場というものを、先ほど申し上げましたような自衛隊の演習場にした場合にいかにしていくか、これを私どもとしてはできるだけ地元の方々の御要望にも沿い、また、若干ながらも不便も除くという方向においてこういうものを措置していきたい、このような事情のもとに今日まで非常に苦労しておるのでございます。具体的に申しますというと、八月末の合同委員会にかけました後、その委員会の中に、富士の演習場に関する特別の班というものを設けまして、ただいま申し上げましたような、大きく分ければ三点というような問題について、具体的に討議を進めておるのでございます。私どもとしては、この討議によりまして、その三者間の調整というものを、おのおのがこの程度なら満足できるというようなところまで、とことんまで手をつけて調整をつけておくことが、この演習場の今後の平和と申しますか、ときどき毎年々々いろいろな問題を起こすことのなからしめるような一つの方途であると考えますので、十分にいたしたいと考えておるのでございます。もちろん半年以上もたちまして、いまだにその結着に至らないことを、私も責任者として、その点を痛感しておるので、ただいまも、何とかすみやかに早いところ、以上の趣旨によりまして目的を達成いたしたいと努力しておるのでございます。
#115
○山本伊三郎君 丸山長官が答弁すると、ますます聞きたいことが多くなる。私は、自衛隊の問題とか、そういうことを尋ねておらない。西村長官が答えたように、すみやかに返るのだということを私は聞いておる。いろいろ苦労されておるということを長い間説明されて、最後にちょっぴり努力をしておるのだということで終わられる。こういう基地問題についてはそういう点が多いのだが、私は、地元の人は一日として早く戻してもらいたい、その上で自衛隊が使う、これは別問題ですよ。丸山長官、あんた聞いているんですか。あんたはどうも何か人のやつをあれするような態度なんですが、僕は真剣に尋ねておるのです。自衛隊の使用問題、これは法律問題とかいろいろあるから、尋ねておらない。今言っておるのは、米軍からいつ返してもらえるのだ、もうすでに米軍の演習地としてはやっておらない実情にあるのですよ。それはいろいろ極東の情勢から米軍が返さないのだと思う。努力されておることは私はどの程度か知らぬが、やっておられることは事実だと思う。今までだまって手をつかねてやらないということはないと思うのだが、あの問題をあれほど切実に言っているやつを、あなたの意見を聞くと、いろいろな意見を調節するまでは、あちらから返す交渉をちょっと待ちたいというような、何かあれを返してしまってからやるとまた問題が起こるので、まずこちらの調節がつくまでは待とうじゃないかというふうに聞きとれるのです。私は時間を約束しておりましたが、あなたの答弁が長いから長くなるのです。これは今後も追及いたしますが、安田委員もおりますからこの程度でやめますが、一体いつ返すのか、今言われた施設特別委員会が現在あることは事実だ。特にあなたの方が誠意を持った形で富士演習場の特別委員会を持たれている、これも私は非常に希望を持ったのです。特にこの問題でやるのだという、これはゼスチュアじゃないと思う。そういう経過も聞きたいと思いますが、努力もわかるが、いっ返してもらえるのかということをはっきりしていただきたい、これ以上追及いたしませんが。
#116
○政府委員(丸山佶君) 私も富士演習場の問題については、数年来本気に取っ組んでいるつもりでありますから、ここではっきりまた繰り返して申し上げますが、この返還というのは、演習場でなくなるという問題ではございません。米軍の演習場としてはなくなるけれども、自衛隊の演習場になる、そこに米軍がときどき演習に来ることも許すのだ、こういうのが政府が現在米軍と折衝しているところの返還問題でございます。従いまして、これらの前提条件を解決しないというと、いわゆる返還といいますか、その言葉に当たるような事態はできないのであります。従いまして、私は三つの要請を調整することが大事なんで、これを調節しなければこの問題の解決にならないというのが実情でございますので、私もはっきりその点を申し上げておきます。
#117
○山本伊三郎君 終わろうと思っても終わらさぬような答弁をするのですが、アメリカ軍からこれを返してもらって自衛隊が使うのだという政府の方向というものは、これは政府がやるんだからわかるのだが、自衛隊が演習する場合には、これは単に法律的にいっても問題があるが、私はそれを聞いたわけじゃない。従って、いつアメリカ軍から、返してもらうというのが成立するのか、その点だけ聞いているのです。
#118
○政府委員(丸山佶君) でありますので、自衛隊の演習場となった場合において、アメリカにどの程度までその演習を許すか、自衛隊の演習はどういうふうにするか、地元の御要望をどの程度まで今の条件よりいいものにするか、これを片づけないというと、いわゆる米軍の演習場というものでなくなるという時期にはならないのでございます。その点だけ、くどいようでありますが、念のために申し上げておきます。
#119
○山本伊三郎君 そうするとアメリカ当局は、これは日本の自衛隊の演習場にしなければ返さないという――国際法上の問題もあると思いますが、そういう条件をつけているのですか、それ
 をはっきりして下さい。
#120
○政府委員(丸山佶君) 現在は、日本政府がアメリカの演習場として提供しているものなのであります。従いまして、このままでおけばアメリカの演習場としての状況がいつまでも続くわけでございます。これをアメリカの演習場でなくなそうという交渉をいたしておるのであります。従いまして、アメリカの演習場をなくした場合には、アメリカとしては、そんならときどき自分の方でやりに来ることは認めていただけるか、だからこのときどきの条件いかんという問題になる。これらの処置をつけて、初めてアメリカの演習場ということがなくなるということであります。
#121
○山本伊三郎君 そうすると、アメリカ軍は、自衛隊がこれを使用するようになって、それがアメリカ軍が使えるという条件が満たされなければ返さない、日本の土地であるけれども、自分らが演習をやれるような環境におかなければ返さないという条件をつけているのですね、それだけ聞きたい、条件をつけているのですか。
#122
○政府委員(丸山佶君) 現在はアメリカの演習場として使用させておりますので、向こうはいついかなるときでも使用してもいいという状況になっているのでございます。その点を今回改めるというところに眼点があるわけです。これの処置がつきまして、従いまして、自衛隊の演習場になり、アメリカ軍の演習場はこの程度にするという話し合いがつけば、このいわゆる返還の問題の処置がつくのであります。
#123
○山本伊三郎君 その問題についてはまだ追及するが、時間の関係もあるから、私の質問は次回に譲りたいと思います。
#124
○安田敏雄君 私は、この際、先ほどの報告に関連して、報告の中に接収について法的の経過を明らかにしなければならないという項が一つあったわけなんです。従って、過去の経過について、私どもの考え方によれば、違法に、かつ、不当にあそこの土地を米軍が使っておるわけなんです。そういう点について一つ明らかにしていきたいと思いますので、質問させていただきたいと思います。
 その前に、先ほど山本委員の方から質問がありましたが、昨年の八月九日に、北富士の演習地の忍野村忍草の住民が、三十年のあの営門突破の闘いに引き続いて、第二回目のすわり込みをしたわけなんです。その事態に対処いたしまして、当時の江崎長官は、早急に返還に努力する、そして従来の入会権についても十分尊重して、誠意をもって善処するという二項を約束したわけなんです。さらにまた二月一日に院内において、これは長官も立ち会いの上ですが、池田総理がやはりこの問題についてその公約を確認しているわけなんです。ですから、その後の経過はなるほど困難な問題もございましょうし、意見の調整等も米軍側とはなかなか調整がつかないのだろうと思いますが、一体政府はその返還ということについて意思を持っておるのかどうか、その点を簡単でいいから、はっきりさせていただきたい。同時に、その返還についての要求というものは法律的に妥当であるかどうか、こういう点をやはり明確にしていただきたい、こう思うわけでございます。
#125
○政府委員(丸山佶君) 昨年の八月に江崎長官がお答えしました返還の意味合いも、私が先ほど山本先生にお答えした内容のものでございます。それに従いまして私が直接返還折衝の責任者として現在やっておるわけでございます。返還の要求の法律的妥当性、こういう御質問でございますが、これは地域協定の第二条をごらんになりますれば、現在提供しておるものでも、双方は随時いつでも会議を持ってこの再検討をするという条項がございまするので、それに基づきまして、私どもは、これは米軍の演習場として現状をいつまでも続けていくのは妥当ではないということで、先ほどの御趣旨のような返還を要求しておるようなわけでございます。
#126
○安田敏雄君 政府側の妥当でないという見解は、地域協定の第二条四項だと、こういうふうにおっしゃっておるわけなんです。しかし、この問題は、昭和三十二年に、アメリカ合衆国の日米安保条約に基づくところの在日機動部隊は、これはアメリカのアジアにおける戦略事情の変更かもしれませんけれども、とにかく北富士から撤収したわけです。そして撤収して、今日まで北富士演習場で合衆国軍隊が演習したという事実はあるのですか、その点を明らかにしていた、だきたい。
#127
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、三十二年いわゆる岸・アイク声明に基づきまして、以降あの地区に駐屯しておる部隊は撤収しました。海兵隊とともに沖繩に参りました。その沖繩に駐屯しておる海兵隊が、随時その後も演習にやってくる、本年もやってきておるのが実情でございます。
#128
○安田敏雄君 長官答弁して下さい。合衆国の軍隊があそこの北富士で演習した事実があるかということについて聞いておるわけです。沖繩の海兵隊でなくて、合衆国の軍隊が演習したことがあるかということを聞いておるわけです。
#129
○国務大臣(西村直己君) 沖繩におります第七艦隊の海兵隊は合衆国の軍隊でございます。
 最初に、海兵隊の問題でございますが、安保条約に基づいて、沖繩海兵隊も日本に参りまして演習しておるということは、在日司令官の区署を受けまして、そうして在日米軍というふうに私どもは承知いたしております。従って、北富士における演習の米軍、すなわち、合衆国の軍隊が基地使用をいたしておる、こういうふうに解釈をいたしております。なお、返還に対する考え方でありますが、これは丸山長官からも話がありましたように、私も、政府といたしましてもちろん返してもらう。その意義は、地域協定の先ほど最初に申し上げました二条四項に基づいて返還をせしめて、その上暫定的に期間を限って使用せしめる。従って、これは自衛隊への返還を通して、在日米軍に期間を限っての使用、こういう趣旨に基づいての返還に私どもも努力し、また、今後も努力する。従って、その間において、できるだけ地元の住民の立ち入り、あるいは入会慣行を尊重する、あるいは使用のいろいろな条件を満たす、同時に、それ以外の環境整備の他の条件を、これは日本国内において満たす、こういう努力を今後も続けて参りたい、こういう趣旨でございます。
#130
○安田敏雄君 昭和三十四年から今日までの間に、アメリカ合衆国の在沖繩の海兵隊が北富士演習場を使用しておるという事実があります。これはあります。ところが、この事実も昨年から急にふえてきた。江崎防衛庁長官が公約してからというものは、その演習の度合いが激しくなってきた。そうして従前はほとんど二十七日とか、一年間に五十九日くらいしか使用しなかったものが、今度は先日ラオスに転進するというときまで、非常にふえてきたわけなんです。そういう沖繩の海兵隊の演習の事実はありますが、これは日米安全保障条約上、施設及び区域を使用することが可能な在日米軍とは私は認められないと思うわけなんです。先ほど区署とかいう問題が出ましたが、この点についてはあとで触れますけれども、そういうふうな見解をとっておるわけです。従って、合衆国の軍隊が使用した事実はない、そういう見解に立てば、地域協定の第二条第三項によりますというと、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったとぎは、いつでも、日本国に仮還したければならない。」という規定があるわけなんです。従って、地域協定の第二条三項の規定によれば、当然北富士はアメリカ合衆国の軍隊が使用してないのだから、これは地元に返還されるということが法的に正しいのではないかということを私は聞いておるわけなんです。この点について一つ述べていただきたいと思います。
#131
○政府委員(丸山佶君) 日本にあります米軍のいわゆる施設区域の使用は、安全保障条約第六条に基づく使命を有しておるところの合衆国軍隊は使用ができるのでございます。安全保障条約第六条の使命を帯びましたものの合衆国軍隊には日本の施設及び区域の使用を許すことができる。これに基づきまして、第七艦隊の海兵隊もこの使命を帯びた合衆国軍隊であり、かつ、日本に入りましたならば、この海兵隊は、横須賀に司令部がありますところの海軍司令部の指揮下に入るものでございます。
#132
○政府委員(西村直己君) 私からもお答えいたします。先ほどお答えいたしましたように、安全保障条約第六条に基づぎ、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、」、このアメリカ合衆国の陸軍、海軍が日本国において施設及び区域を使用できる、こういうふうになっております。また、その条文に書いてありますその軍というものの中に私どもは海兵隊は入る、こういうふうに従来とも国会においても御答弁申し上げ、そういう前提のもとに今回の返還問題も扱っている次第でございます。
#133
○安田敏雄君 先般の国会のときとただいまの答弁との内容を、こういうように私は解しているわけなんですが、長官は、日米安保条約特別委員会において、この前の国会のときに、江崎長官ですが、そのとぎとちょうど今の答弁と同じようですが、政府は、沖繩に駐留する合衆国の海兵隊といえども、わが国の施政下にあり、在日米軍司令官の区署を受けるということを言っている。たとえば今横須賀の例が出ましたが、で、在日米軍の一部であって、施設及び区域を使用する資格を有するというように答弁しているわけなんですが、しかし、私はこの点については疑点があるわけなのです。というのは、どういうことかと申しますと、沖繩にいる海兵隊は沖繩に駐留している米軍であるわけなんです。この米軍の司令部の指揮を受けているわけです、沖繩にいる間は。このことは明らかですね、認めますか、その点は。そうして、しかも、今度は重ねて日本に来れば在日米軍の指揮を受けるのだ、こういうことになるわけなんです。それではおよそ軍隊に上級に二つの機関があって、一つの下部の軍隊に対して重複的な指揮をとるなんということは、昔からどこの軍隊でも常識的に考えられない。海兵隊が沖繩にいる間は沖繩の米軍の指揮を受ける、日本に来れば日本の米軍の指揮を受ける、こういうようなことは、これはちょっと常識的に私は考えられないと思うわけなんです。軍隊である以上は、やはり軍隊の命令というものは指揮系統が一本なんです。ここに下村さんもおいでになるのですが、指揮命令系統が上部に二つあるということでは、下部の軍隊は迷うわけなんですよ、具体的に海兵隊が。そういう問題を考えましたときに、やはりそこが沖繩の海兵隊が日本に来れば在日米軍司令官の区署によって指揮命令を受けるということだろうと思いますけれども、だから在日米軍だと言うのは少し強弁ではないかと思うのですがね。しかも、先日も忍野村住民が、現地に監視を立ててすわり込んでおりますけれども、これについても、現に調達庁の話として、毎日新聞の八日の夕刊には、返還問題について政府が日米合同委員会を通じて、米軍、自衛隊、地元の三者の意見を調整しながら努力中である、北富士の米軍はラオス問題をきっかけに引き揚げたのでと、こうある。こうなると、地元民のすわり込みの強行については、直接影響はないとか問題がないとかということを調達庁の話で言っているわけなんです。で、政府みずから、調達庁みずからが、北富士の演習場にいたのはラオスに行ったのだ、こういうことを新聞発表しているわけなんです。こうなると、ますます在日米軍の指揮を受けるということになると、これはちょっと日米安保条約の問題からいっても議論が立たないし、強弁ではないかと、こういうように私は考えるわけなんですが、この点について、一つ在日米軍という問題について、沖繩の海兵隊が来てやはり不当にあそこの所を使っておるという問題については、もう少しく合理的に一つお話を承りたい、こういうように思うわけでございます。
#134
○国務大臣(西村直己君) これは私どもは、安保条約が何と申しましても基本になっております。安保条約には、特に在日米軍というふうには、はっきり限定はいたしていないのでございます。日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するための目的を持ってアメリカ合衆国は使用できると、こういうふうに書いてあるわけであります。その中で私どもは、たとえば七艦隊は、おそらくはハワイの司令官の指揮下にあると思いますが、やはり横須賀等において補給のために基地を使用する場合がございます。同様に、海兵隊がまた日本の国内に参りまして演習すると、これは六条の条約上から出て参る解釈であるというふうに思っておるのであります。
#135
○安田敏雄君 まあこの問題につきましては見解が違いますから、これはいずれまた私の方でもさらにお聞きしたいと思いますが、私に言わしめれば、あの梨ケ原の北富士の入会地の返還を拒むために、何か新安保条約を故意に歪曲して政府が言っているのではないかと、こういうふうに受けとれるわけなんです。本来の在日米軍であって、同演習場を使用するという必要性のあるという在日米軍というものは、今のところ実際の状態としてはほとんど皆無の状態なんです。沖繩の海兵隊が日本の演習場で演習しても、あれはほとんど海兵隊というのは、あれは敵前上陸部隊なんですよ。だから実際そういう面からいって、日米安保条約の精神からいきますというと、そういう日本には敵前上陸をする要素がないわけだ、日本の国には。そうすると、少なくとも共産圏に対しての敵前上陸を考えているその訓練の部隊なわけです。そういうような危険な部隊を考えるときに、本来の在日米軍というものが現在あそこの演習場を使用しておるという条件は、私は本来の在日米軍にはない、こういう意味合いからいっても、地域協定の第二条第三項の規定によって、当然これは本来の在日米軍が使用しないのだから、日本に返還されなければならない、こういう規定の方が、先ほど長官があげたところの第二条第四項ですか、そのことよりも優先するのではないかと、こういうように考えて、返還要求というものは妥当である、こう私は考えているわけなんです。この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
#136
○国務大臣(西村直己君) 遺憾ながら、安田さんの御見解は御見解でございますが、私どもと違うわけでございまして、私どもは安保条約を結びまして、確かに駐留軍を国内にも置いております。同時に、第七艦隊が機動部隊として太平洋を遊よくいたしております。これらが合わさりまして日本の安全、極東の安全、これらを考えつつ相互にお互いが――もちろんただ日本の自衛隊の建前におきましては外に出ない。それから戦闘作戦行動を基地を使って起こす場合には、御存じの通り、事前協議の対象になる、こういう建前でこの日米安全保障条約ができております。ですから、日米安全保障条約の目的とするところは、もちろん日本の安全と同時に、極東の安全平和、国際間の平和維持、そういう目的のために基地使用を許しておるわけであります。六条はまさにその趣旨のもとに使われていかなければならない。また、その趣旨のもとにおいては、われわれは国際信義を立てていかなければならない、こういうただいままで申し上げたような解釈をとっておる。その点が安田さんとは前提において考えが違ってくるのであります。日本の安全と同時に、極東の安全という目的がございますから、そういう意味でこの基地使用条件が書かれておる、こういうふうに考えております。
#137
○安田敏雄君 そうしますというと、本来の在日米軍というものは、ただいまの見解で言いますというと、結局最終的には沖繩の米軍も、日本における在日米軍も、結局まあハワイかどこか知りませんが、アメリカのアジアにおける総司令部の指揮下に入る、こういうことになるわけなんですね。そういうことになるわけでしょう。まあこの点については私としてはこの辺にして、後ほど安保条約との関係について、在日米軍の問題につきましては、また質問の機会もあろうと思いますから、あとにいたします。
 次にお伺いしたいのは、北富士演習場におけるあそこの忍野部落、あるいは吉田の農民の入会権について、政府が法律上必要な手続をとったことがあるか、どうか、こういうことをお聞きしたいわけなんです。私としては全然そういう手続はとったというふうには思われないのですが、この点についてとったとするならば、どういう手続をとったかということを一つお伺いしたいと思います。
#138
○国務大臣(西村直己君) その点は一つ調達庁長官から答弁いたさせます。
#139
○政府委員(丸山佶君) 先ほどの山本先生の調査御報告の中にもあったと存じますが、政府では、大正四年の判例以来、官有地に関する入会権という物権、権利を認めておりません。従いまして、調達庁も権利としての入会権というものはこれまでも認めてきておりませんし、今日も認めておりません。でありますので、その権利に基づく権利者としての契約なり、あるいは何なりという処置はこれまでとっておりません。
#140
○安田敏雄君 それでは、先ほどの報告書にありますように、法的な問題はやっぱり明らかにする必要があるという観点に立ちまして、私の今まで調べたところによりますというと、そういう観点から次の点について質問をしたいと思いますが、昭和二十五年二月十日、当時の連合国は政府に対して、いわゆるPDというもの、調達要求を発しました。これに従って、政府はこの要求にこたえて、あそこの北富士の各部落の土地を連合国に提供するように私はなったものだろうと、こう思うわけです。この土地のうちに、その当時山梨県の所有地があるわけなんです。山梨県の所有地が含まれておりますので、これは国と県との交渉で、県有地を山梨県から借りるということについては承諾があったようでございます。しかし、その部落における入会地の使用が制限を受けたことについては、一度も正式に承認を求めたことはないのですよ。先ほど入会権は認めない、こういう態度はよくないと思う。少なくとも入会権というものは、民法を見ても物権なんです。特に慣習的に入っている以上は、物権としてこれは明らかなわけなんです。そういうものを頭から入会権は認めないという態度だから、演習地問題がいつまでたっても片がつかないのだろうと私は思うわけです。そうでなくて、実際県と交渉したならば、もう一度その土地の部落の人たちとこれは正式に交渉すべきなんだが、正式に承認を求めた事実はないわけなんです。また、民有地のあそこの接収についても同様なんです。あそこは民有地が少しあります。これについて正式に交渉したことございますか。この点について一つお聞きしたいと思います。
#141
○政府委員(丸山佶君) 入会権というものが官有地にあるかということにつきましては、学者の間にはいろいろ御議論がありますけれども、政府では、単に調達庁のみならず、これまで権利というものを認めて参らぬという方針のもとにきておりますので、先ほど申し上げましたように、権利者としての立場においてこれまでいろいろ契約をし、了解を求めたことは私はないと思います。それはそのような事情に基づくものであります。しかしながら、実際においてその入会慣行というものがありまして、生活上必要な、そだ、あるいは草というものが、演習をやっておるために実際に取れない、そのために損害をこうむる、これは実際の損害であるから、政府とすれば補償すべき問題である、このように考えまして、これまでも先ほどの調査書にもありましたように、金額の補償をいたして参りました。最も大きな金額になったのは忍野村でございました。あと中野、富士吉田市の関係の方の方が少のうございます。これはやはり実際の実情に基づくものでございまして、そのような事情になっておるのでございますが、これは調査に基づきそのような措置をとってきておる。これが入会権問題に関する私どもの考え方であり、取り扱い方でございます。お話の通りに、これが権利というものがあるかどうかということは、確かにこの富士吉田問題の一つの大きなトラブルのもとであるということは私ども承知しております。ちょうど先ほど返還という問題が、内容において、いろいろ政府が言う返還と地元の方の言う返還との間にぴったり一致した点がないではないかというような点と同様に、また、入会に関する問題も今のような食い違いがあることも私ども十分に存じておりますが、政府の方では、これまでの方針は、今のように実際の損害を補償していきたい、このように存じております。
#142
○安田敏雄君 民法の物権の編を見ますと、これは入会権は物権の一種であるということになっておるわけなんです。この点はどうですか。
#143
○政府委員(丸山佶君) その民法の入会権というものでは現在のものがないという見解をとってきておるわけでございます。
 なお、先ほどちょっと答弁を落としましたが、今度の民有地に関しますものは、これはもちろん所有者の方と契約を今日までいたしております。
#144
○安田敏雄君 私は、入会権というものは認めない、ただ土地の人たちが生活をしておって、そだや革を取るから、その営農に支障があるから実害補償として払っておるのだということだけでは、これは問題をますます紛糾させると思います。そういう簡単な考え方がありますから、基地問題が私は今日までなかなか解決しないのじゃないかと思うわけなんです。ですから、県と交渉しただけでそれで済むと思っているが、地元の住民は、昔からこれは入会権はみんな持っていると思っている、権利だと思っている。そして実際に営農のために入っておるという慣習については、これはだれも侵すことのできないところの権利だというふうに考えておるわけだ。これを国が否定してかかれば、これは演習地問題は、絶対政府が言うように私は解決つかないだろうと思うわけなんです。そういう意味合いにおいて、やはり住民が親の先祖代々から持っておるというこの入会権について、土地を借りるのに、県有地については一方的な交渉をして、こちらの方へは正式な手続をして一ぺんも交渉しないというようなことであってはいけない。補償を払ったから、だから演習地にもう既存の権利として借りられるのだという、政府のそういう、何といいますか、一方的な、官僚主義的な考え方であってはならない、私はこういうように思うわけなんです。そこで、調達要求というものは、これは国に対する命令かもしれぬけれども、国民に対する命令ではないのですよ。国民に対する命令じゃない。もし国民に対する命令があったならば、やはり国内法によって命令すべきものなんです。これは政府に対する要求であろうと思うわけなんです。従って、やはり調達庁がその土地を演習地に使用するというならば、なぜそういう過去において正式な交渉をしなかったのか。入会権について、慣習について少しもあなた承諾を得ておらない。そういう事実が今日の演習地の問題を紛糾させておるということを十分一つ考えていただきたいと思いますが、この点についてもう一度一つお願いしたいと思います。
#145
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、PDは個々の人に出されるものではなしに、日本政府に占領軍当局から出されたものでございます。そのPDの実行にあたりまして、政府はそれぞれの関係者の方と国内の法規、手続に基づいて処置してきたのでございます。この北富士関係におきましては、あそこは国有地と県有地が大部分でありまして、若干の民有地がございましたので、民有地の方は所有者の方と賃貸契約を結んで今日に至っております。官有地に関するまあ入会権の問題、これは梨ケ原という、今もお話がありました所も国有地でございますが、こういう国有地に関する入会権という法律上の権利というものは、政府の方では、大正十四年以来、判例に従いまして、ずっとこれを認めないという建前を遺憾ながらとっております。学者の中にはいろいろ議論はございますけれども、そのような方針をとってきております。従いまして、調達庁もそれに従って、格別にその方々と特に契約を結ぶということをしておらないことは事実でございます。実際にやっておることは。しかしながら、実損の生ずる面においてはカバーしなければならぬというので補償措置をとってきておる次第であります。
#146
○安田敏雄君 今現地の農民の諸君は、憲法の二十九条の、入会権は財産権と同じものだ、それに通ずるものだという考え方を持っているわけなんです。実際その入会地に入って、そだとか草を取ることによって営農ができ得たわけなんです。特にあそこの火山灰地帯は、これは化学肥料では十分な営農ができないわけです。従って、そういう草を取って、これを肥料にするということによってああいう火山灰地帯におけるところの営農が成りる。従って、そういう考え方からして財産権と見ておるわけなんです。特に最近は、この問題を見ますと、地元のあそこで立ち入り禁止の自衛隊の演習や、米軍の演習阻止に入る住民ののぼりを見ましても、いまだ憲法擁護なんというのぼりを立てて行っている姿、こういう姿が見られるということは、これは今までのその演習地問題は、イデオロギー的な問題を、報告書の中にもありますが、なるほど含んでおらなかったが、政府があなたの言うような態度である以上は、だんだんそういう問題がイデオロギー的に、思想的に発展していく、これは政府が損なんです。それを地元のそういうような祖先の代からの入会権、これは実際中央の出先機関とか、あるいは県庁においても、この入会権は地方知事、その地方の首長でさえも尊重してきた。国民がそういうように尊重しておるのに、政府が一方的に入会権は認めない、これはちょっと私としては納得できないのです。入会権を認めないというならば、補償を何も払う必要はない、そうでしょう。こういう点についてどうでしょう。しかも、まあこれはあとにもまた質問したいと思いますけれども、行政協定の実施に伴う強権を発動するなり、土地使用に関する特別措置法というのもあるわけなんです。あるいは土地収用法もあるはずなんです。そういうものをどんどんと強権を発動すれば演習地に使えるが、そういう行為もしてないのですよ。正式な交渉も承認も得てない、強権も発動しておらない、それで使っておるということになると、これはもう話にならぬ。違法なんですよ、不当なんです。こういう点についてどうですか。
#147
○政府委員(丸山佶君) 私は、決して違法、不当の処置をしておるとは思いません。先ほど来繰り返しますように、入会に関する権利なりやどうか、法律上にいうところの権利なりやどうかという議論は、非常にむずかしい問題でございます。なかなか私限りにおいてこう判定するとか認定すべきだというものではございません。従いまして、われわれは、従来まで政府がとってきましたところの方針によりまして、官有地に入会権なしという法律上の建前で進んできております。しかしながら、実際の処置といたしましては、入会慣行というものは十分に尊重いたします。これは昨年の八月、江崎長官のお言葉の中にもありますように、入会慣行というものは十分に尊重いたしますので、その慣行による措置が演習のために阻害された実損、これはやはり政府が補償すべきものと考えて、これまで補償措置をとって参りましたし、今後もその方針で補償いたす、かように考えております。
#148
○安田敏雄君 私には強弁としか受け取れぬのですが、それではあそこには民有地があるはずですよ。民有地についても正式に交渉しましたか。そうして、その使用する権利を農民から進んで求められたことがありますか。
   ――――――――――
#149
○委員長(吉江勝保君) 質疑の途中ですが、委員の異動について報告いたします。ただいま石原幹市郎君が辞任され、平島敏夫君が選任されました。
   ――――――――――
#150
○政府委員(丸山佶君) 民有地につきましては、私が先ほど来申し上げましたように、権利者の方と賃貸契約を結んで、その賃貸料を支払う措置をとっております。
#151
○安田敏雄君 忍野村の民有地の所有村民が持っておる土地について、地に使用するのだという承諾を得てあるのですか。
#152
○政府委員(丸山佶君) 直接業務を担当しております不動産部の次長から詳細の点は答弁させたいと思います。
#153
○説明員(小宮山賢君) 忍野村の北富士演習場における民有地の借り上げ契約が現在あるかということでございますが、たしかこの前の八月九日の忍草の立ち入りがあるまでは基本契約がありまして、契約更新同意をしていただいたと思いますが、あれ以来、所有者の方は、私の方から更新同意書を送りましても御調印して下さらないという状況であることは確かであります。
#154
○鶴園哲夫君 丸山さんに伺いますが、国有地の中に入会をする権利を持っていた。これは私、事情はよく知らないのですが、その周辺の土地が国有地になった経過、そういうものを考えなければいかぬと思いますが、とにかく国有地に対して長年そこに出入りし、そうして下草を刈る、あるいは草を刈るという入会の慣行というものがあった、これはお認めになっておるわけですね。それじゃ、その慣行を取り上げるについて何かの承諾を得られたのかどうかということなんですが、それは得ておられるのですか。何も得てないのですか。
#155
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、長年その土地に出入りができて、そうして草やそだを取る慣行があった。これがいわゆる民法上にいう権利かどうかということが問題になっておるのでございまして、これは議論はございますが、先ほど申しました判例以来、政府の方では権利としては認めない、こういうことでございますので、権利者に対する承諾を求めるとか何とかの措置はとっていない。しかし、もちろん実際問題としまして、当時おそらく、私はおりませんでしたが、二十四年当時の初めから、県を通じ、皆さん方にはこれは御了解は求めてあると思います。法規上いうところの、今、契約書その他の問題は、実際上の問題としてはそのようにしてきたと思います。
#156
○鶴園哲夫君 この入会権の問題は、これはまあ成立以来からいろいろ経過がありますから、事情を私知りませんけれども、おそらくその辺は入会地じゃなかったのじゃないかと思いますけれども、国有地になったんだと思いますが、それはまあここでどうこうというわけにいきませんけれども、しかし、国有地に対して長年の入会という慣行がある。それに対して、それを取り上げるということについては何らの契約がないという、あるいは取りきめがないという――契約がおかしければ、取りきめがないという、そういうことなんですか。
#157
○政府委員(丸山佶君) その権利に対するものというものはないのでございますが、先ほど来申し上げましたように、その慣行を尊重しました結果、それに関する実際上の損害というものは補償するという建前で、その実際の損害に関しては申請書が出され、こちらと協議しまして補償契約というものをいたしまして、これまで支払いを済ましてきておるものであります。
#158
○山本伊三郎君 それは入会慣行は、これはもう慣行といっても入会権はあるんだ、その人は。それを何も契約書もなくして取られたというのだが、実際は了解をしたと言われるけれども、やる前にしてないと思うんですよ。はっきりとあれをやる場合に了解をさしておるかどうか、その点をはっきりここでして下さい。
#159
○政府委員(丸山佶君) 遺憾ながら、二十四年の出された当時の実際のことを私今存じておりませんが、とにかくその後入会慣行に関する補償と申しますか、その補償契約というものはずっとやって「きたことは事実でございます。
#160
○山本伊三郎君 それは二十四年にはあなたはおらぬから知らないということでそれが済むことじゃないんですよ。あなたは今調達庁長官として、政府の代表として来ておられる。その当時どうしたかということを質問しておる。わからなければ、今わからないから次に答弁するなら答弁する、これははっきりしてもらいたい。うやむやのままで終わったら困る。従って、その当時入会慣行を取る前に了解を得ておるかどうか、得ておるなら得ておるということを言って下さい。
#161
○政府委員(丸山佶君) その入会権利者としての御了解というか、そのときに契約のようなものはないことは、これは事実でございます。ただ、その慣行のある方々として了解を私は県庁を通じて求めたと思っておりますが、それは今のところわかりませんので、調べました上で、また御答弁いたします。
#162
○安田敏雄君 県を通じてあなた求めておるだろうなんということでは、これはずいぶん不見識じゃないですか。調達要求に基づいて、国がその現地の演習地を手に入れようと演習しようと、こういう行為を起こそうというときに、あなた県を通じて、農民のその入会権――農民は入会権があると思っておる、確信しておるわけであります。まあ入会権の問題はあとにしても、そこに入って実際に営農しておった、そのことに支障を生ずる、そういうような支障を生ずる問題について、調達庁が県を通じて交渉をして契約を求められた、だろうなんというあいまいなことでは、これは私はならぬと思うわけなんです。だから契約してあるのかないのか、一体契約したらどういう契約がなされておるのか、そういうのを明らかにしてほしいと思います。
#163
○政府委員(丸山佶君) 契約がしてないということはさっきから何回も繰り返しして申しておるのであります。入会権という権利は政府は認めておらないのだから、契約はしておらない、こういうことはもう何べんも繰り返して申し上げたつもりでございます。それから、しかしながら、慣行を尊重して補償して参ったことは事実でございまして、これは補償契約によっていたしました。なお、山本先生のお話で、当時県を通じて、しかし、何らかの御了解を得たかどうかという点は、私は今はわかりません。それから今、安田委員の御質問の、PDを県でやるのはけしからぬじゃないかという仰せでございますが、当時は、たしかこれは県もPDを取り扱う仕事をしておった筋でございますので、県がやるということは、必ずしも筋違いのものではないと思います。
#164
○山本伊三郎君 はっきりさしておきたいのですが、今わからない。しかし、それは調べて、だれがどなたに了解を求めたかということをこの次はっきりして下さい。いいですね。ちょっといいならいいと速記にとめておいて下さい。
#165
○政府委員(丸山佶君) 御質問の通り、できる限り調べまして、次回に御返答いたします。
#166
○山本伊三郎君 あなたできる限りと、そういう何か非常に――あなた今責任者でしょう。だから、やった結果は不明であるかどうかは別ですよ。けれども、私が今言ったことは、その当時やっているかどうかということをあなたは調べるということをはっきり言ってもらいたい。
#167
○政府委員(丸山佶君) 承知いたしました。
#168
○安田敏雄君 まあこれは入会権の問題、慣行を含めた入会権ですね、慣習を含めた。これを政府側は全然認めない。ただ生活上ですね、実害補償してやるんだ、こういう見解に立っているわけで、これはそれならばそれでいいのですが、この点については私はもう少し調べて、次に一つまたこの問題でやっていきたいと思うんです。ただし、入会権や入会慣行が認められるという結論に立てば、これは政府が今まで何もしていない、正式にその契約も、あるいはその他の何もしていない、従って、不当に使っているということがあそこの北富士演習場については言えるわけなんです。こういう点もありますので、非常にこの点は重大な問題でございますから、私この問題については次回に保留いたしまして、きょうはこの辺でとめておきたいと思います。
#169
○伊藤顕道君 時間もだいぶたっていますから、ごく簡単に両長官にお伺いいたします。
 この四月二十日の当内閣委員会で防衛庁長官の御出席を要請したわけです。ところが、あいにく衆議院の内閣委員会の関係でお見えにならなかった。そこで、その面を一点だけお伺いいたしたいと思いますが、まず、相馬ケ原の誘導弾の試射の問題については、その当時、官房長、それから装備局長が御出席になって、例の相馬ケ原は、御承知のように、国際的にジラード問題として、ジラードが日本人である農婦を射殺したという大きな悲劇のあった現地であるので、しかも、装備局長のお話によると、この試射については、ごく短距離、二百メートルぐらいの距離の範囲であって、ことさら相馬ケ原で試射しなければならないという絶対的な条件は何もないという答弁であったわけです。しかしながら、長官がお見えにならないので、官房長、装備局長としては、私が強くこういう悲劇のあった所で誘導弾の試射をやることはきわめて不適切だ、しかも、その点を現地並びに各方面の民主団体が非常に憂慮をして、今盛んに反対運動を盛り上げつつある、こういう情勢の中では、ぜひ一つこれを中止してもらいたい、こういう要請に対して、長官お見えにならないので、答弁が保留になっておったわけであります。答弁できませんと言う。そこで、責任者として明確に、ただ単なる答弁でなぐ、こういう悲劇のあったということを十分考慮に入れて、さらにまた、相馬ケ原でなければならないという絶対的条件がないということをあなたの部下がおっしゃっている。こういうこともあわせ考えていただいて、ただ答弁すればいいのではなくして、ぜひこの地元民の声を入れて、一つ適当な地を他に求めて、中止してもらいたいということの要望を兼ねて、まず一点お伺いするわけであります。
#170
○国務大臣(西村直己君) 新しい一種のロケットというものを、たしかわずかな距離、二百メートルぐらいなものを使って性能を試験をしたと思います。それで、もちろんこれは爆薬等を使ったものじゃなくて、推薬が入っていなければ、ロケットでも、距離その他私の聞いているところでは、バズーカ砲くらいなものではないかと思うのです。普通危険というものは何らないわけであります。ただ民心がいろいろ動揺しやすいといえば、十分その点を考慮しなければならない。ただ、しかしながら、同時に、またわれわれも努力が足りないのでありますが、ミサイルであるとか、ロケットに対して十分御認識をいただかなければならぬと思うのであります。ミサイルであるから、ロケットであるから危険である、普通の爆薬を使ったものであるならば危険程度が少ないというこれ自体が、私は、イデオロギーを持っていろいろミサイルに反対なさるなら、これは別でありますが、純粋に考えていった場合におきましては、ミサイルだから危険だとか、ロケットならどうだとかいうことは簡単には言えない。そこで、私どもは新島の問題につきましても、御承知の通り、あのミサイルは簡単な推薬だけを用いて、爆薬を使わない。糸川さんのロケット発射よりも、もっと危険は少ないのだと言って、だいぶ島民に御納得いただいているのであります。十分そういう趣旨でわれわれも誠意をもって御理解をいただきながら、やはり必要に応じて――ただこの相馬ケ原を、それじゃ今後具体的にずっと、しかも、大量に使うかどうかということは、現地の事情と合わせて、よく今後考えて参りたい、こういうふうに御答弁申し上げます。
#171
○伊藤顕道君 私の要望であり、お尋ねしたい点は、まだ現地民を含めて、日本人としては、誘導弾あるいはミサイル等についての知識は、相当普及というところにはいっていない。これはまことに同感です。だからこそ地元民は非常に不安を持っている。これはただ単なる演習場でなくして、繰り返し申し上げるように、ジラード問題を起こした一大悲劇の発祥地であるので、相当まだなま傷という段階であるわけです。そういう所を特に選ばれないでも、広い日本の国内で適当の地が他にあるのではなかろうか。だからここでお伺いしたい点は、十分この点を考慮してもらいたいということなんです。そこで、すでにその日程については決定をしたのか、決定したとすればいつなのか、さらにまた、もし日時も決定したということであるならば、ぜひそれを変えてもらいたいということ、そういうことをお伺いいたします。
#172
○国務大臣(西村直己君) 細部のことでございますから、日程の決定日は私はちょっとこの席で存じておりません。もし必要でありますれば、後日調べて正式に御報告申し上げてもいいのでありますが、私といたしましては、やはり防衛目的を達するためにおきましては、近代兵器の開発試験というものはやらしていただかなければならぬ。また、これに対して理解を求めてしていただくようにわれわれも努力していかなければならぬし、また、御理解をいただける方面には、極力その目的等もさらに普及していただく、こういう意味から具体的にこの相馬ケ原がいいか悪いか、これは十分もう一ぺん部内においても事情を調べさせます。ただ私が、それじゃ相馬ケ原は使わぬということは言明できません。やはりこれは使う必要があれば使わしていただく。ただ、使わしていただく行き方については、慎重な考慮を払うのが当然である、こういうふうに申し上げます。
#173
○伊藤顕道君 結局先ほどから言っているように、特殊事情の地帯であるので、こういう点を十分頭において検討してもらいたいということ、そういうことをさらに御検討をいただきたいと思います。
 それから丸山調達庁長官に、この四月二十日の当内閣委員会で、日米合同委員会、施設特別委員会の全委員の構成メンバー、たとえば所属、階級、氏名、こういうものについて早急に提出いただきたい。ところが、もう三週間余以上経過してきているのに、いまだに提出がない。これは丸山長官の性格をよく現わしていると思う。先ほど来問題になっている北富士の問題、それから一昨年から三年ごしで約束を三回もしている太田・大泉飛行場返還の問題についても、一昨年は、昨年の三月までにはおそくも返還いたします。そして昨年は数回にわたって、三十五年には返還いたします。そして昨年の十二月の当内閣委員会で、あなた廊下に出てから、今国会中には解決いたしたいから、一つぜひごかんべんいただきたい、こういう確約を何回もしてきているにもかかわらず、いまだに何らの端緒も得ないということは、あなたは今資料提出を要求したにもかかわらず、三週間経過していまだに提出しない、こういう怠慢ぶりが、基地返還についても同じ態度をとっているから返還がなかなか実現しない、こういう事態を繰り返している。国会の場で三度約束したことに対して、いまだ誠意を見せないのは、無能であるか怠慢であるかということをしばしばあなたに追及したわけだ。まことに心外にたえないわけです。もう忘れてしまったのですか、資料の提出を。ただ単に資料のその提出を追及しているのじゃない。たとえば資料の提出を求めて、三週間にわたって、耐えがたきを耐えて今日までおとなしく待っておるが、いまだ提出がない。ただ単なる資料の提出という問題じゃない。北富士、太田・大泉飛行場返還の問題、こういう返還問題に対する一連のあなたのいわゆる怠慢の態度がここによく出ている。従って、この具体的な問題を通してあなたにお伺いしているわけです。責任ある答弁をいた、だきたい。ほんとうに心外にたえない。
#174
○委員長(吉江勝保君) 委員長の方よりちょっと申し上げますが、ただいまの資料は調達庁の方から委員部が受け取りまして、書類箱の方に入れてあると申しておりますので、御了承をいただきたいと思います。
#175
○政府委員(丸山佶君) 太田・大泉の問題はまことに遺憾に存じますが、御要求の資料は委員部の方に提出しておきました。
#176
○委員長(吉江勝保君) 他に御発言もなければ、報告書に関する質疑はこの程度にとどめます。
   ――――――――――
#177
○委員長(吉江勝保君) 引き続き、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側より出席の方は、西村防衛庁長官、丸山調達庁長官、加藤官房長、海原防衛局長、小野人事局長、塚本装備局長、麻生防衛審議官でございます。
 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#178
○伊藤顕道君 私ども社会党は、委員長並びに与党委員の皆さんが、数を頼んでのきわめて非民主的た運営について、非常にふんまんの意をもって、一大決意をもって退場いたします。
#179
○委員長(吉江勝保君) 委員長より申し上げます。規則によりまして決定をいたしましたのでございますから、御退席にならずに、御審議を願いたいと思います。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。その問に、社会党の委員の方には御出席を要請いたします。
#180
○下村定君 私は、防衛問題に関しまして……。
#181
○委員長(吉江勝保君) 自民党の委員の方も、一つ全員御在席を願います。
#182
○下村定君 防衛問題に関しまして、総括的の御質問を申し上げたいのでございますが、本日は総理大臣の御出席がございませんので、この種の質問は、明日総理大臣と御同席の際にお伺いしたいと存じます。
 なお、この防衛二法案につきまして、もう相当に衆議院で審議が進んでおります。それに関連した、付帯した問題はのけまして、なるべく早く防衛二法案そのものの審議に入りたいと私は考えております。その前に、順序としまして、一つ二つだけ防衛庁長官にお伺いいたします。
 去る五月二日に、新聞によりますと、国防会議の構成員の懇談会が持たれたようであります。そうしてその際、意見の交換されましたことが新聞に発表されておりますが、あれは当局から御発表になったものでありますか、あるいは新聞の方で推測して書いたものでございますか、まずそれをお伺いいたします。
#183
○国務大臣(西村直己君) 五月二日に、長時間にわたりまして国防会議懇談会を開かれたことは、御存じの通り、事実でございます。ただ、国防会議懇談会は、あくまで議員の立場におきまして、自由濶達な意見を申し述べるものでございますから、その内容は、速記等もとりませんし、また同時に、特別に発表等はいたしません。ただ、非常に新聞社は、特に防衛関係につきまして御熱心な面もありますから、そういう面から、ごく会議においてどんな問題点があったくらいのことは多少お話を申し上げております。個々の意見は申し上げておりません。それらと、それから平素各社でいろいろ取材をなさっているものと組み合わされて、一つの意見というもの、あるいは報道というものをされたのではないか、こういうふうに受け取っております。私の方から、二次計画についてはこういう内容でございますと言うまでにはまだ固まっていないのが実際の状況でございます。
#184
○下村定君 そういたしますと、第二次計画案の内容というものは、まだ本委員会の審議の対象にはならないわけでございますね、その点をお伺いいたします。
#185
○国務大臣(西村直己君) 率直に申し上げますと、二次計画そのものを本委員会――、もちろん国会中でごさいますから、むろん国会の御意見を拝聴しながら、行政府としてこれらの案を作らなければなりません。同時に、御承知の通り、一月五日に国防会議を開きました際の決定に、二次防衛力整備計画は、すみやかに防衛庁において一種の原案を作成して、国防会議に提出の上、本会議において慎重これを審議する、こうなっております。その原則に従いまして、ただいま防衛庁におきまして、各幕あるいは各関係局、日夜いろいろな角度からやっておりますと同時に、これは単に防衛庁限りが勝手にひとりよがりをやってもいけませんので、関係の省とも多少ずつ事務的には打診をしながら、防衛庁案を得べく努力をいたしております。
 そこで、できますれば五月中くらいに国防会議まで防衛庁案を出せるように努力をいたしたいと思います。出しましても、それは単なる防衛庁の原案でございまして、政府の原案でございません。政府の案が確定いたしましたときは、これは必要に応じては委員会等に――その際委員会か開かれておれば、内容等も御説明を申し上げなければならぬ。ただ、現在の見通しといたしましては、当委員会で資料を要求されましても、まだ防衛庁の内部の意思も決定する段階までは今日現在きておりません。委員会の御運営いかんによりましてでございますけれども、一応限られたる会期の中では、政府の案を決定して、政府としてのこれが決定案であるといって総理あるいは私どもから御答弁する段階まではこないんじゃないか、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
#186
○下村定君 第二次防衛計画がなるべく早く策定せられるようにということは、昨年以来、当委員会においてしばしば要望されております。私自身も、江崎長官時代に二回ほどお願いいたしました。ただいま承りますと、まだ防衛庁においても成案を得ておられないということであります。私は、今回この第二次計画の内容に立ち入っての質問はいたしません。ただ、一つお伺いしておきますことは、ただいまは、あたかも第一次防衛計画の終末点であり、同時に、第二次計画に入ろうとするスタート・ラインであろうと思う。従って、防衛庁当局におかれましては、現在の日本の防衛体制というものがどういう状態にあるか、どういう点が一番おくれており、どういう点をすみやかに改めなければならぬか、こういう御検討は十分いただいておると存ずるのであります。これは御答弁をいただきたいと思います。全部はなかなかごめんどうでありましょうから、例をおあげいただきまして、その中の重要な一部分でもけっこうでございます。
#187
○国務大臣(西村直己君) もし私の足りない部分は、十分私の意見を御聴取いただきたいと思うのでありますが、私も長期防衛計画があった方がよいと思っております。実は就任以来、それを念願いたしております。幸いに、国防会議ですみやかに作って持ってこい、政府全体としてきめよう、こういう意思がはっきりしたものでございますから、それに従いましてやっております。ただ、架空の案とか、防衛庁だけが独善案を作りまして、実行不可能な案を作ってもいけませんので、やはり関係省とも十分打ち合わせをさせながらやっていく方が実行性のある案ができる、私はこういう考えでございます。それから、もちろんこれは長期計画でございまして、大体の目安は昭和三十七年から四十一年の五年間をめどにして参りたい。第一次計画は、三十五年度で三カ年計画で一応終わりましたが、目標を達成できておりませんから、その範囲内で単年度計画として、先般御審議願いました予算案、あるいは防衛二法案等にも関係いたします整理を行なったわけであります。そのつなぎを持ちつつ、たとえば十三個師団をお認め願えれば、それらが第二次計画の中の基礎になって参ります。それから兵力の増勢の基礎になります。その上に第二次計画をどう出してくるか。そうしますと、御存じの通り、防衛力というものは、防衛方針において、国力、国情に応じて漸増するということは、政府がもうこれは大きく方針として内外に打ち出しておるのでありますから、その基本線に基づいて漸増策をとって参る。従って、所得倍増等によって国民所得等が伸びて参りますれは、それに従って――少なくとも防衛庁においては、やはり国民所得が伸びるに従って、民生安定はもちろん第一義にしますが、その中で伸び得る防衛力を漸増さしたいめどはどの辺に置くのか、いつも国会を通じまして二%内外と、こういうふうに申し上げております。従って、あえて二%というものを固執しません。下がる場合もあります。また、その五カ年間の財政力等も見て参らなければなりませんから、はたしてどういうところに落ちつくか、まだ私には十分なこの席で申し上げる数字等は得られませんが、一応そういうようなめども、同時に、かたわら、二%が下がりましても、少なくとも現状よりはそれに近づける努力をして参りたい。
 それからいま一つは、現状の自衛隊の欠点というものでありますが、下村先生も予算委員会で御指摘になったように、なるほど骨幹はできております。しかし、その骨幹の中において、破れ障子という御表現がございましたが、装備その他において非常に欠点を持っております。これらを私は体質改善ということで申し上げたい。言いかえますれば、装備等を新しくして参る、こういう考え方であります。これらは具体的にはさらに局長から御説明を申し上げてもよろしゅうございます。海の場合におきましても、艦艇等が古くなっております。代艦建造を急ぐと同時に、さらに備蓄の問題がございます。どういう状態で戦闘維持力を計算するか、これはいろいろな状況下において計算しなければなりませんが、少なくとも、ある程度の局地戦というようなものを考えた場合におきまして、それに対処していくだけの多少の戦闘維持力を持つための備蓄、あるいは後方支援体制を強化する、こういうようなことも一つの構想の中に入って参るべきだと思います。
 それから、さらにそれだけではなくして、時代に沿うたところの多少の新しい目と申しますか、新しいアイテムを取り上げつつやって参りたい。それがミサイルの開発、あるいはミサイル部隊の採用であるとか、あるいはバッジ・システムであるとか、あるいは海軍において何か一つの新しい工夫があり得れば、工夫等も取り入れることを一応検討してみたい、こんなような構想でございます。
#188
○下村定君 ただいま承りましたことは、主として兵力整備に関することと拝聴いたしました。それに関する長官の御意図はよくわかりました。私の伺いたいのは、単に兵力整備ばかりでなく、国防体制の全般から見まして、どういうことがおくれているか。逆に申しますれば、自衛隊の整備ばかりではない。ほかにどういうことが欠けておるか、その点をお伺いしたがったのであります。これは防衛庁の所管外のこともございますが、国防会議の構成員とされましての国務大臣としての御意見を伺いたい。
#189
○国務大臣(西村直己君) 御質問の御趣旨はごもっともでございまして、私が国防会議懇談会を起こしてもらいましたのは、単に第二次防衛力の力の整備だけではございません。もちろん力の解釈にはいろんな面がありますが、物的な面だけではございません。そこで、将来この国防会議懇談会等を十分活用さしてもらいまして、さらに広い意味のあらゆる角度から防衛体制、言いかえますれば、国防会議の議員のメンバーに、将来は必要に応じては他の所管大臣にもなってもらって、たとえば一つの道路計画、あるいは教育というものを考えましても、これが広い意味の国の守りと結びつくような面から検討を加えて参りたいと思います。自衛隊自体の問題といたしましても、防衛力整備計画そのものだけではなくて、ただいま精神要綱等も部内におきまして検討をいたしております。あるいはそれ以外に機構の拡充と申しますか、国防省昇格というようなものも、われわれは将来こういった国防会議の検討の議題にもして参りたい。同時に、またそれ以外の日米安保体制等をとっておりますから、これらに対する基地に対しまして理解を求め、必要な限度の基地は、国際信義上、日本が提供し、これを維持して参りたい。そのかわり、言いかえますれば、必要がなくなったと思うならば、勇敢に私は返還を求める。言いかえますれば、基地行政が中腰であってはならない、与えるべきもの、提供すべきものははっきり提供するかわりに、返していただくものは返していただく。同時に、これらについての私は国民に対する啓蒙も必要だろうと思います。また同時に、新兵器、言いかえますれば、ミサイル等に対しましても、ミサイルと原爆を一緒にして反対運動をやるような一部の方もあるわけでありまして、われわれは近代兵器――ロケットあるいはミサイル等に対しましても、十分防衛庁側として、あるいは国防会議を通して各方面から御理解をいただいて、特に基地の問題などは、防衛庁、調達庁だけですべてを背負って解決しようと思っても不可能な問題でもございますので、たとえば一番いい例は騒音対策でございます。騒音対策は厚生省あるいは文部省の関係にもなって参ります。また、基地の関係では、農林省あるいは建設省に条件的に相当御援助いただいて初めて基地の環境改善ができる場合もございます。こういったようなことをやはり国防会議あるいは防衛庁側といたしまして、今後防衛全体のこの体制の中に織り込んで参りたい。と同時に、もう一つは、国民にPRをいたさなければなりませんので、二次防衛力整備計画等がもしきまりますれば、国防白書等も、部内におきまして、多少素案を用意しつつございますので、それらを発表いたしまして、自衛隊の現状、あるいは将来どういう形であるべきか程度のものは国民にやはり問うて、国民の批判なり、必要に応じては国民の御理解の材料にも供したい、こういう考えでございます。
#190
○下村定君 この問題につきましては、同じことを私、明日総理大臣にお伺いいたしまして、その上で、必要があれば私の所見を述べさせていただきます。
 これからいわゆる防衛二法案の本題に入ろうと思います。その中で、陸上部隊を十三個師団に改編すると申しますことは、これは今度の二法案の中の一つの大きな眼目だろうと存ずるのであります。これにつきましては、すでに衆議院におきまして、いろいろな観点からたくさんの質問がなされました。また、当局からもそれぞれ御答弁があっているのでありますが、その全般を私は調べますと、御答弁のなされ方が別々である、字句が違うというようなことで、そのお答えの中で多少のズレがある。大きく申しますれば、統一を欠く点がある。また、一方におきまして、何だかいわゆる隔靴掻痒で、もう少しはっきりおっしゃっていただきたい、遠慮することはないんじゃないかという点もたくさんあるのであります。
 そこで、私は、これは潜越なお願いかもしれませんが、この際、あらためて防衛庁長官御自身から、いわゆる統一的な権威ある御答弁をいただきたいと存ずるのであります。つきましては、衆議院の審議の過程において、私の気のつきましたことを一、二これは御参考までに申しますから、その点についてもお触れ願いたいと思う。それは四つございます。
 第一は、十単位を十三個単位に直すということは、これは機動力を増すのだ、使いやすくするのだという御答弁が多いようでございますが、私は、そのほかにもう一つ大事なことがあるのじゃないかと思う。それは小さくなった単位の個々の独立した戦闘能力を発揮するのに便利であるという点もこれは重要なことでないかと思う。それと、これに核武装をするかどうか、戦術的の核兵器を持たせるかどうかということが問題になっておりますが、この点についてのお考えをはっきりお述べになっていただきたい。私は、核兵器を持つのはその国の政策によってきまることであって、核兵器を持たなくても、この種の編成というものは十分役に立つと考えておるのでありますが、その点はいかがでございましょうか。御答弁を願います。
 それから第二は、今度の改編が、何か治安維持ということに非常に関係のあるように言われ、また、質問によっては、何かおだやかならぬ目的を持ってそれが行なわれるのじゃないかという質問も出ております。これに対してはっきりしたお答えをいただきたい。私は、これはもう警察予備隊時代、あるいは保安隊時代のことを考えれば、もうそういう質問は起こらないはずだと思う。まあ出ておりますから、この点を一つ確かめていただきたいと存じます。
 それから第三は、今度の改編が日本の国情に適するという御説明でありますが、その御説明に、地形に適するのだということが非常に強く言われておりますが、私は地形だけではないと思う。間接侵略の場合はもちろんのこと、直接侵略の場合、すなわち、外敵の侵略を受ける場合におきましても、いわゆる第二次大戦のときの上陸作戦の仕方と今とは違うのであります。昔のやり方であれば、北海道とか九州とか、大がい敵の来そうな所に重点的に兵力を固めて置けばよかったのであります。現在はそういうへまな戦法はとらないと思います。そういうことから、単に地形に適するということだけでなくて、国情に適するということが、今のように、ほかに理由があるということをはっきりおっしゃっていただきたい。
 第四の点は、なぜ第二次防衛計画の決定を待たないで今年から十三師団改編をやらなければならないかということであります。この点があまり出ておらないようでありますが、以上四つの点でございます。これはここですぐ長官から承れればけっこうでございますが、非常に時間をとると思いますので、はなはだ勝手でございますが、次回の壁頭に同じことを一つお尋ねしますから、その際にまとめて御答弁を願います。
#191
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#192
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。
 なお、散会後、委員長理事打合会をいたしますが、委員長理事の打合会が開かれなかった場合におきましては、委員長といたしましては、次回の委員会は明日、五月十二日午前十時より開会をいたします。付議の案件といたしましては、順序に従いまして、労働省設置法の一部を改正する法律案、海上保案庁法の一部を改正する法律案、午後は防衛二法案、給与二法案、大体これを議題にいたしたいと存じて、散会後、委員長理事の打合会をいたします。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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