くにさくロゴ
1960/05/31 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第32号
姉妹サイト
 
1960/05/31 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第32号

#1
第038回国会 内閣委員会 第32号
昭和三十六年五月三十一日(水曜日)
   午前十一時三十分開会
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉江 勝保君
   理 事
           小幡 治和君
           村山 道雄君
           伊藤 顕道君
           山本伊三郎君
   委 員
           石原幹市郎君
           上原 正吉君
           大谷藤之助君
           木村篤太郎君
           塩見 俊二君
           下村  定君
           中野 文門君
           一松 定吉君
           鶴園 哲夫君
           大和 与一君
           横川 正市君
           田畑 金光君
           高瀬荘太郎君
  国務大臣
   内閣総理大臣  池田 勇人君
   建 設 大 臣 中村 梅吉君
   国 務 大 臣 西村 直己君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   法制局第一部長 山内 一夫君
   防衛政務次官  白濱 仁吉君
   防衛庁長官官房
   長       加藤 陽三君
   防衛庁防衛局長 海原  治君
   防衛庁教育局長 小幡 久男君
   防衛庁人事局長 小野  裕君
   防衛庁経理局長 木村 秀弘君
   防衛庁装備局長 塚本 敏夫君
   調達庁総務部長 大石 孝章君
   建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      新保 実生君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。
 昨日の委員長理事打合会の結果をいま一度御報告申し上げます。昨日午後一時五十分から委員長理事打合会を開きまして決定をみました事項は、一つは明日、すなわち、きょうでございます。三十一日は定例日ではないが、内閣常任委員会を開催するということがきまりました。時刻は午前十時開会、議題は建設省設置法の一部を改正する法律案を議題にのぼす、これが終わりましたならば、引き続いて防衛二法案の審議に入るということが昨日の委員長理事打合会で決定をみたのでありまして、昨日の午後の再開いたしました本委員会に、冒頭に委員長から報告をいたしたのでありまするが、一応いま一度御報告を申し上げます。
   ――――――――――
#3
○委員長(吉江勝保君) 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、中村建設大臣、鬼丸官房長、鶴海文書課長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#4
○田畑金光君 一、二お尋ねいたしますが、建設省に新たに建政局を設置する、さらにまた従来の計画局で取り扱っていた所掌事務の一部を建政局に移管するにあたって、従来の計画局の名称を都市局に改める、そういうのが政府の最初出しましたときの原案の建前でございましたが、衆議院から送付された修正案によりますと、建政局が計画局という名称に変更された、こういうことでございまして、どういういきさつで衆議院でこのような名称変更に及んだのか、その辺の事情を一つ御説明願いたいと思います。
#5
○国務大臣(中村梅吉君) 実は、原案を作ります際、結局建政局ということに相なりまして、国会に提案をいたしましたのは、建政局新設ということで提案をいたしました次第でございますが、その当時から名称についてはいろいろ議論がございまして、計画局の方がいいではないかという議論もありましたが、建設省としましては建政局がよかろうという結論で提案をいたしたのであります。しかるところ、衆議院の審議段階におきまして、この原案にありました建政局の任務の中心的なものは総合計画でございます。そこで、総合計画を主たる任務とする局であり、それに関連する建設業課であるとか、いろいろな課をその中に移す、あるいは新設をするということであるならば、建政局というよりは計画局とした方が、内容が名称の上にも明らかでよろしいじゃないか、こういう議論に相なりまして、政府側といたしましても、もともとその点についてはそういう意見も当初からあった次第でございますし、ごもっともなお説と拝聴いたしまして修正に同意することにいたしたような次第でございます。
#6
○田畑金光君 まあ新たに計画局を置く、あるいはまた都市局を設け、さらにまた関東地方建設局あるいは近畿地方建設局に用地部を新たに設置する機構の拡大というととがそれぞれはかられておりますが、予算の面、人員の面等についてはどのように影響があるのか、これを一つ御説明願いたいと思います。
#7
○政府委員(鬼丸勝之君) まず人員の点で申し上げますと、今回の建政局改め計画局の新設に伴います新規の増員は十名でございます。その他の新局の要員は、官房なり、従来の計画局関係、その他住宅局、河川局、道路局それぞれから人員をやり繰りいたしまして、新しい計画局は約百名の要員をもって構成する予定にいたしております。用地部関係の新設に伴います要員につきましては、御承知のように、道路関係の事業が非常に伸びて参りましたので、その関係の要員といたしまして、地方建設局に二百三十名の新規の増員を認められております。この中に用地関係の職員を相当その中でまかなう予定にいたしております。
 なお、予算関係でございますが、ただいま申し上げました人員の増加に伴う人件費は当然でございますし、そのほかに新しい計画局の仕事といたしましては、建設省所管の事業に関する基本的な調査の経費、これが相当本年度の予算に計上されておりますので、それをなお最終的に新しい局でどこまで扱わせるか、検討中でございまするが、大体総額にいたしまして二億円前後の調査費を特に新局において経理させまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたような総合計画、長期計画のために基本的な調査を推進して参りたい、かように考えておる次第でございます。
#8
○田畑金光君 この計画局の所掌事務の中に、建設省の「所管行政に関する賠償及び国際協力に関する事務」という項目がございますが、賠償、国際協力と申しますと、具体的にどのようなことを進めておられるのか、これが第一点です。
 第二点としては、同じく所掌事務の中に、「産業開発青年隊に関すること。」こういうことがございますが、これはどのように現在運営され、あるいは実績を上げておるのか、それが第二点。
 第三点として、今お話のように、用地部の設置ということで、今後の公共用地の取得についていろいろな混乱が想定され、今回の国会にも、公共用地の取得に関する特別措置法案が出ておるわけでございますが、現在この土地収用について、土地収用法上の土地収用というものがどういう困難な場面等にぶつかってきておるのか、そういう実際の運用の面について御説明を願いたいと思います。
#9
○政府委員(鬼丸勝之君) お尋ねのうちの最初の賠償及び国際協力に関する事務でございますが、これは現在、大臣官房におきまして海外協力課という課が設けられております。ここで処理いたしておりますものを、今回新しい局に移管しようというものでございますが、この関係の仕事といたしましては、直接建設省自体が賠償なり国際協力の事務の責任を持っておるという意味の仕事は少ないのでございまして、結局海外的に具体的に今進んでおりますのを申しますと、たとえばマリキナのダムの建設、この計画が進んでおりますが、これに対しまして日本の業者が向こうに進出いたしまして工事を担当するわけでございますが、これらの業者の選定、推薦、それからこれらの業者が必要とする資金の融資のあっせん、こういう仕事をやっております。そこで、そのほかに、なおインドネシア等でホテルを建設するというような仕事につきましても、同様なあっぜんの業務をいたしております。簡単に申しますると、なお東南アジアがおもでございますが、賠償関係、あるいは賠償担保でいろいろ土木建築関係の工事の仕事がございまして、これに対する日本の建設業者の進出を円滑ならしめるためのあっせんの業務と、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
 それから産業開発青年隊でございますが、これは国土開発の促進と農村の次三男対策ということからこれが生まれまして、現在大体一隊二十五名で、おもな府県でございますが、府県隊が二十四隊、それから中央隊と申しまして、建設省の地方建設局に直轄で置いておりますものが九隊、そのほかに幹部の養成を目的とする隊が一隊ありまして、三十六年度は総計八百五十名の訓練を実施する予定にいたしております。これらのうちにはブラジル移住者も訓練する予定にいたしておりまして、それは幹部隊の一隊と地方建設局の中央隊におきましてブラジルに移住する向きの者を訓練いたしております。訓練の内容は、建設機械の技能者として仕立てるというのがおもなものでございます。
#10
○国務大臣(中村梅吉君) 公共用地の取得に関する特別措置法との関係についてのお尋ねにお答えを申し上げます。実は、従来御承知の通り、土地収用法がございまして、公共的な事業につきましては土地収用法が運用されてきておるのでございますが、非常に慎重な手続になっておりますることはよろしいのでございますが、この収用法を適用することによって、事業施行者としましては、非常に時間がかかるケースになっておりますので、かような関係で、あまり適用をしたがらないできておる傾向があるわけでございます。そこで、何とか話をつけたいということのために、要するに、よく俗に申しますごね得と申しますか、ごねておる者には、法律を長期間かかって適用していくよりも、無理でも奮発をしても話をつけようということになりますので、事業がおくれるということも一方にあり、かたがたそういう事柄が一般地価等のつり上げになりまして、一つのそこに例ができますと、周辺の地価高騰を来たして、地価の抑制の上からも芳しくない現状にあるわけでございます。
 そこで、今度の特別措置法におきましては、用地取得で各種の公共事業、公益事業が行き詰まっておる現状にかんがみまして、できるだけ急速に用地取得のできる道を講じたい。しかし、一方、私権の保護等の関係がございますから、私権保護に欠くることのないように十分の配慮をする必要がありますので、これらの関連をにらみ合わせまして特別措置法の制定をいたしたいというわけでございます。特別措置法は、基本としまして用地取得――用地審議会を作りまして、法律の上でも、この特別措置法を適用する事業の重要性というものを拾いまして、列挙主義をとりまして事業のワクをきめております。そのワクの中から、さらに審議会の議に付しまして、特定事業として取り上げるべきかどうかについては、公正な審議会の委員の方々に御検討いただきまして、この特別措置法を適用すべき適用事業であるという決定をみたものについてのみ適用をしようということでございます。従いまして、この特別措置法が制定されましても、あくまで用地取得については土地収用法が基本的な母法でありまして、それに対する特例としての特別措置法は制度に相なるわけでございます。なお、さような手続の進行を早める特別措置の制度でございますから、私権の保護については、内容としていろいろな新しい構想をこの中に織り込んでおるような次第で、特別法ができましても、特別措置法単独だけの法律でありませんで、あくまで土地収用法という母法の上に立った特別措置法である、こういう形になっておる次第でございます。
#11
○一松定吉君 ちょっと伺いますが、この衆議院における修正案は、衆議院を通過したのですね。
#12
○国務大臣(中村梅吉君) はあ。
#13
○一松定吉君 そこで、私は、特に大臣並びに政府委員等に対してお願いしておきたいことは、どうも建設省が砂防ということに対して、あまりにこれを重く用いていないという弊害です。御承知の通り、山林等の施設が十分でないために山くずれをしたり、林野を荒らしたり、土手を流したり、美田を荒らしたり、家屋を流失したりするということが多い。洪水のためにこういう弊害の起こることは言うまでもない。その洪水は、その原因はどこからくるかというと、いわゆる山林における砂防という事業に十分力を入れない結果である。このことは、私が建設大臣のときに、これが重大問題として全国の土木部長がこのことを非常に痛感をして、建設省に砂防局というものを設けるということの決議をしたのですよ。決議をして、そうしてそのことをいよいよ実行しようというときになって私が建設大臣をやめて、盆谷君が建設大臣になった。ところが、自来この仕事があまり重く用いられなくて、常に河川局というような方面で、いつも河川局の下に砂防課というようなものを設けて、そうしてやっておったというようなことで、ずっとそれが今日まで継続してきておるということは、あまりにもこの洪水の頻発を軽視して、それがために田園を流し、橋梁を流し、家屋を流すというようなことが年々歳々行なわれておるととは十分に御了知になっていなければならぬ。ところが、これは実際の問題をいいますと、建設省の中に砂防に関する関係の知識を持っておる専門家が少ないのです。元政務次官をしておった赤木君がおったときには砂防に力を入れておりましたが、その後建設省に砂防に関する知識を持っている方が少なくて、これをどっちかというと軽視している傾向がある。この問題についても、これは衆議院に有志の小山邦太郎君が働きかけて、そうしてこの修正案ができておる。ところが、これは部です。ほんとうはこれはもうその上に上げて、そうしてよほど力を入れて、砂防に関する知識を持っておる人が、洪水等の被害を少なからしめる意味において、その機構を拡充強化する必要があるのです。これを一つ中村大臣の、幸いにあなたはこういうことについて御理解を持っていらっしゃる方でありまするから、本来、部というものを置いて、そうして大いに仕事をやっていただくという関係において、十分に一つ力を入れて砂防部を局の下に置くことになっている、局の下になっている、こういう点、私はむしろ局より上に置く、あるいはそれができなかったら砂防局というものを設けて、その方面に専門の方を入れて、今言う通り、洪水等のひんぴんと発生する弊害を除去するということにお力を入れなければならぬと思うのでありますが、幸いに河川局に砂防部を置く、今まで砂防課であったのを砂防部を置くということになっただけでもうれしいのであるが、一そう力を入れて、将来ほんとうに洪水等の心配のないような施設をしていただきたいということを希望いたしておきまするが、これに対する大臣の御所見だけを承って私質問を打ち切りたい。遠慮なく御意見を発表していただきたい。
#14
○国務大臣(中村梅吉君) 砂防の重要性につきましては、私自身も十分認識をいたしておるつもりでございます。実は砂防を軽視しているのではないかというおしかりを一松委員からいただいたのでありますが、実は内容的には軽視しているわけではないのでありまして、本年度の、三十六年度の予算編成にあたりましても、私どもは重々その点を承知いたしまして努力いたしました結果、たとえば五年度に比較した予算の伸び率にいたしましても、一般河川は一一・三%、それからダムが九・四%に対しまして、砂防の経費は一四・四%ほどで、伸び率も、他の事業よりも比較して多く伸びておるのでございます。ただ、設置法改正にあたりまして、三十六年度予算編成当時、私どもは今議題にしていただいておりまする原案の建政局の設置と砂防部の新設と、両方を要請いたしたのでございますが、建政局――衆議院の修正によります計画局、これは御承知の通り、建設省が道路局、河川局、住宅局というような工合に、すべて事業別縦割りでございまして、総合計画、長期計画等をやらなければならない重大な使命を持ちながら、それを専門に担当いたしまする部局がございませんので、この方が急を要するであろうという行管あるいは大蔵省等の審査の結果の考え方から、砂防部の新設は実は実現をしなかったわけであります。今、局にというお話もございましたが、砂防は河川とも関係ございますから、やはり河川とは離れることのできないこれは筋で、河川と切り離した砂防ということにもこれはなりかねるのでございますので、私どもとしましては、河川局の中に今ございます砂防課を、できれば何とか砂防部に昇格し、機構を強化いたしまして、砂防については一そう重点を置いて努力をして参りたい、かように目下考慮をいたしておるのでございます。この旨につきましては、参議院建設常任委員会におきましても、砂防部設置の要請に関する御決議がございましたので、この院の御趣旨については重々敬意を払いまして、実現に努力をいたしたいと思っている次第でございます。
#15
○一松定吉君 今、大臣のお話を承りまして、私、多少喜びに感ずるのでありますが、実は、これはもうよほど以前から建設省で問題になっておる問題なんです。どうも建設省の関係ある局長、課長の方が、砂防に関する知識が十分でないといえば失礼ですけれども、どうもこれを軽視する傾向があるので、非常にわれわれは実は憤慨しておるのです。幸い中村大臣がただいまのような御意見でありまする以上は、今年はもうやむを得ませんから、一つ課を十分に充実して、将来は局にこれを格上げをして、一そう洪水等の防止に努力せられんことを希望いたします。砂防ということが行き渡れば、いわゆる堤防をこわしたり、橋梁をこわしたり、それから美田をこわしたり、住宅を流失したりするという弊害がなくなるのですから、この点に十分一つ御考慮を払うように、特に大臣にお願いしておきまして質問を終わります。
#16
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#17
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて下さい。
 暫時休憩いたします。
   午後零時四分休憩
   ――――・――――
   午後二時四十七分開会
#18
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたしまするが、見受けまするところ、社会党の委員の諸君の出席がないようでございますので、質疑に入りまする前に、社会党の諸君の出席を重ねて今要求をいたしますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
 ちょっと速記をとめて。
   午後二時四十八分速記中止
   ――――・――――
   午後三時二十四分速記開始
#19
○委員長(吉江勝保君) 速記つけて。
 これより内閣委員会を再開いたします。
 午前中、本委員会におきまして建設省設置法の一部を改正する法律案を審議いたしまして、再開後は、同法案の審議を継続して行なう予定でありましたが、理事間の話し合い等におきまして十全を欠く点もございましたので、同法案の審議は、これを次回に譲ることにいたします。
   ――――――――――
#20
○委員長(吉江勝保君) これより防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は……(「議事進行」と呼ぶ者あり)発言中であります。出席の方は、池田総理大臣、西村防衛庁長官、加藤防衛庁官房長、海原防衛局長、小幡教育局長、小野人事局長、木村経理局長、林法制局長官、山内法制局第一部長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#21
○伊藤顕道君 議事進行。詳しいことは申し上げませんけれども、最終的に、委員長が独断で午前中に委員会を開いたことについて、両党間で話し合いがあって、再開冒頭に委員長から陳謝の意を表明する、その陳謝の意についてわれわれが了承できれば、もちろん審議に協力すると、そういう態度でわれわれは臨んだわけです。ところが、陳謝に全然触れてないじゃないですか。両党の話し合いに何ら触れてない。不信義もきわまる。陳謝すべきだ、当然。それから当然入るべきだ。
#22
○委員長(吉江勝保君) 大体私がただいま申し上げましたことが、両党の会談におきましても了承を得ておりまする点でございまするので、あらためて先ほど申し上げましたことで御了承いただきます。
 質疑のおありの方は……(「議事進行」と呼ぶ者あり)大和君。
#23
○大和与一君 先ほど私の方の議員総会で会長から報告がありましたことは、今委員長からお話しございましたけれども、これは経過報告であって、せっかく私どもも、会長のたびたびお話しておるように、むやみに引き延ばそうと思っているのでなくて、そうでないんだから、けじめをつけてきちんとやろうではないか、こういうことがおたくの方の会長とも円満に話し合いができたと報告を受けたんです。そうしますと、委員長もそう固くならぬで、せっかくこれは始まるんだから、経過報告みたいなことをしないで、あっさり、午前中議長に了解を得て委員会をやろうとしたけれども、そのときに議長の方からは、社会党の方とも話をまとめてやりなさいよと、こういうだめ押しをされているんだから、それをなさらなかったところにおいてこういう問題が起こったんですから、その点は明快にあっさりとやはりおやりになって、そして委員長として、総理もお待ちになっているわけなのだから、早く議事をスムーズにやってもらう、こういうやはり襟度が当然内閣委員長としてはあり得べきじゃないですか。それをやらぬでこじらすんだったら、それは約束と違うわけですから、もう一ぺん会長を呼んで来なさいよ。違うよ。両党間の友好的の話し合いによった結論に違うならば承知しません。もう一ぺん呼んでやり直しなさい。
#24
○委員長(吉江勝保君) 一つ理事さん、今のを会長に念を押していただきます。
#25
○塩見俊二君 ただいま委員長から、両党の理事間の話し合いについて、十分の何といいますか、詰めが行なわれていなかったために、それで午前中委員会を開会した、しかし、午後の会においては、建設省の関係は日程から本日はずした、こういう趣旨のお話があったわけです。私は、今陳謝するというお話を承ったわけでありますが、私は、今の委員長の発言でその間の事情は十分に明瞭になり、委員長の立場も明確になったわけなので、このまま進行願いたいと思います。
#26
○大和与一君 別にそうこだわっているのではなくて、あなたの方はどうしてあっさりしないのですか。午前中のやり方は民主的でない、その点を僕は言いたいのです。ほんとうに公平にやったというなら、委員長のこういう議事運営の仕方であるはずがないですよ。その点に一言も触れないで、今の塩見理事のお話もわかるけれども、それはあっさり言いなさい。あなた午前中やったのは民主的じゃないじゃないですか。こういう議事運営、これでは正しい政治の姿じゃないじゃないですか、それをどうしておやりになったのですか。それは内容はわかったから、こちらは話を聞いてわかったから、だから委員長あっさり触れて、こういう点は非常にまずかったということをあっさり言えばいいじゃないですか。陳謝の陳の字も入ってない。経過報告を聞いているのではないですよ。その点あなたあっさりと、ほんとうに一言もそういうことはあなた方の会長から聞いてなかったのでしたら、明確にして下さい。それでなければ議事ができない。
#27
○山本伊三郎君 委員長、あまりこだわらずに、私と伊藤君の社会党の理事と、それから自民党から委員長と小幡、村山の両理事が出て、あなたの方の重宗会長ですかと高橋幹事長、私の方の千葉会長、近藤副会長が出て、そこで話をきめた。きめたというのは、われわれの言うことは言ってしまった。そのときに千葉会長があなたに、午前中のあの委員会においてやる前に、議長の方に議運の方の了解を求めたところが、社会党と、いわゆる野党と与党の間の話がうまくまとまるならば、本会議開会中でも委員会を開いてもいい、こう言ったけれども野党の了解は得ておらない。従って、そういうことを、陳謝といわなければ、そういう経過で要するにそういうものが間違いであったということの意味を言われたら委員会はスムーズに運ぶのです。それをあなたはなぜ言わぬのですか。われわれの前で話をしたことを、それを言ってもらいたい、こう言っているのです。
#28
○委員長(吉江勝保君) 午前中の会を開きまするのには、委員長理事打合会の結果を申しましたような事情で開いたのでありまするが、並行審議でありまするので、議長の方に許可の手続をとりまして審議に入ったのでありまするが、社会党の議員の諸君が御出席にならなかったのであります。従って、その会を開きますことにつきまして、委員長としましては、今少しく慎重を欠いた点があると私も認めますので、これをもって遺憾の意を表しておきます。
#29
○大和与一君 委員長、そうこだわってはいかぬ。そこまでおっしゃると、きのう皆さんが理事会で打ち合わせされたのは、総理をあしたぜひ御出席をいただきたい、こういうことをはっきり言って、そうしてけさ御返事をいただく、こういってじりじりして待っておったわけです。それがなかったものだから、本会議が始まったから入った。今の委員長のおっしゃったのは、本会議が始まってからのお話はわかりますよ、それでこっちへ来た、その前提があって総理の御返事をちゃんと下さるというのだから、けさからずっと待っていたわけですから、そのことを話を違うようにおっしゃると、私ども理事打合会に来ていないし、せっかく会長会談で円満におさまったと承知をして喜んで来たのですけれども、違うのですよ、これは。
#30
○小幡治和君 いろいろお話ありましたが、陳謝云々というようないろいろなお話も社会党からありまして、今、大和さんのお話のようなことを言いますと、またこれは理事間でいろいろなことを言わなくちゃならないのです。そういうことは一応水に流して、今委員長があそこまで、遺憾でしたということまで言われたのですから、一つ総理のお約束の時間もこれだけ過ぎてしまって、事実時間もありません。それですから、一つどうぞそこでもって、委員長はそれだけのことをあなた言われたのですから、一つ社会党の方も了承して、田畑委員が発言を求められておるのだから、田畑委員に発言を認めて進行していただきたいと思います。
#31
○委員長(吉江勝保君) それでは質疑に入って参ります。質疑者田畑君。(「こういうことは多数決でやることじゃないでしょう」「発言を求めている」「大事な問題だ」と呼ぶ者あり)田畑君、お願いします。(「よけいなことを言うな」「議事を妨害するためにやっているのじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言を許しておりますから……。これ終わりましたらまた発言を許します。
#32
○田畑金光君 この際、時間も限られておりますので、私二、三の点について総理に質問いたしたいと思いますが、新聞の伝うるところによりますれば、けさ国防会議の懇談会が開かれて、第二次防衛力整備計画についての案の話し合いがなされておるはずでございます。こういう時期におきまして、総理自身よく御承知のように、昨日の新聞でわれわれは拝見いたしましたが、自民党の国防部会におかれて、防衛体制確立に関しての基本方針を発表されておるわけでございます。この案を私読んでみますると、従来の防衛庁中心として作られました第二次整備計画と比較いたしますならば、飛躍的な防衛力の拡充を考えておる。それは単に防衛力の量の問題だけでなくして、私は、防衛力の質的な転換をなされておる、こういう工合に見ておるわけでございます。ことに与党の案によりますならば、昭和四十一年には国民所得の二%前後を防衛費用に充てるべきである。これに対して第二次計画の防衛庁案では、昭和四十一年二千九百億、一・六%前後予定しておるわけでございます。
 そこで、私は、総理は与党のこの申し入れに対して善処を約束されたようでございますが、第二次整備計画の中には、与党の国防部会で立てられましたこの基本方針をどのように採用なされる方針であるのか、これを総理から明確に承っておきたいと思います。
#33
○国務大臣(池田勇人君) 先般、自由民主党の国防部会の方々数名から、党内における国防部会の一応の意見を承りました。これは御承知の通り、政調会におきます国防部会の案でございます。党の正式のまだ議決にも何もなっていない、単に部会の考え方として一応承った程度でございます。
#34
○田畑金光君 私、ただいまの総理の御答弁は不満でございますが、昨日防衛庁長官は、同じような私の質問に対して、与党の申し入れについては、十分政治的に尊重して参りたい、考慮して参りたい、こういう旨の御答弁があったわけでございます。私は、国防会議の議長であり、自衛隊の総責任者である総理は、防衛力の問題は今日国民に最も関係の深い問題でありますがゆえにこそ、この際、率直な私は御意見を承りたい、こう考えておるわけでございます。ことに私、与党の基本方針の中で注意を特に払いました点は、防衛基盤の確立という問題でございます。国民の防衛意識を高めるということを強く主張しておるわけでございます。私は、この点について思い出しますことは、池田総理も所属されました当時の自由党の憲法調査会は、昭和二十九年の十一月、日本国憲法改正要綱案を発表しておりますが、その中におきまして、憲法改正の上、新たに国の安全と防衛に関する一章を起こして、その中においては、たとえば統帥権の問題、軍の編成、維持、戦争並びに非常事態宣言、軍事特別裁判所を設ける問題、さらに国防に協力する国民の義務をうたうべきである、こういうことを言われておりますが、私は、防衛基盤確立の点で、特に国民の防衛意識振興の問題は、結局憲法の問題に発展すると考えておるし、与党の憲法調査会でも、また今年の十月を目途にして憲法改正草案を発表するといっておりまするが、この点に関しまして池田総理はどのように考えておられるか、承りたいと思います。
#35
○国務大臣(池田勇人君) 憲法改正するべきやいなや、あるいは改正をするとせばいかなる点かという問題につきましては、各方面でいろいろ検討は行なわれておるようでございます。私は、法律によってきめられました憲法調査会の調査を待って、そうしてこういう問題は国民とともに判断をいたしたいと考えております。
#36
○田畑金光君 まあ私、限られた時間でございますので、要約して申し上げますが、次に、私、非常に注意を払いましたのは、昨日同じく防衛庁長官にお尋ねいたしましたが、防諜法の制定について池田総理はどのように考えておられますか。今MSA協定に基づく秘密保護法だけが軍事上秘密保護の唯一の立法でございますが、これも御承知のように、MSA協定に基づくアメリカからの援助、武器、弾薬その他に関する保護法でございまして、そういう点から今後の防衛力の発展からながめたときに、新たに防諜法を制定する必要がある、こういう立場に立って与党はこの基本方針を掲げられたと思いますが、その点についてどうお考えになっておられるか。
 さらにもう一つ私がお伺いしたいことは、池田総理は、先般二回の質問において、当委員会における質問において、渡米に際し、ケネディ会談においては、日本の防衛の問題について話し合う準備もなければ気持もない、そういう答弁でございましたが、しかし、第二次防衛力整備計画は、おそらく国会の終わったころ、私は政府の正式案として発表されると考えております。同時に、また今回の与党の示された基本方針自体も、また総理のアメリカに行かれる手みやげと申しますか、防衛力に関するおみやげというような考え方で出ておると見られるわけでございまするが、この点について総理はどういう考えを持っておられるか、あらためて承りたいと考えております。
 以上二点でございます。
#37
○国務大臣(池田勇人君) 自民党の国防部会におきましては、防諜法を制定する必要ありと、こういうふうなことも書いてございます。しかし、御承知の通り、われわれといたしましては、ただいまのところ、防諜法を設けるという考え方は今持っておりません。
 それから第二次防衛計画を国会終了後すぐきめるかきめないかという問題につきましては、今せっかく防衛庁で検討中でございますので、いつきまるかわかりません。私はこの第二次防衛計画を持ってアメリカに行くか行かないか、こういう問題につきましてもきめていないので、われわれはアメリカに行く行かないの問題でない、日本自体が第二次防衛計画を独自の考えできめるべきものだと、十分の検討を加えて結論を出したいと思っております。
#38
○委員長(吉江勝保君) ちょっと申し上げます。総理の出席が三時半までということになっておりましたのがだいぶごらんのような状況で、四十五分までおくれて参りましたが、この際、総理に対しまする質問を社会党の方でおやりになります方がございますれば、今総理に、いま少し御在席を願いたいと思いますが、質問者はございませんですか。あるんですか。(「ありますよ、それより議事進行について発言を許しなさい」と呼ぶ者あり)時間がないですから、総理に対する質問があれば許しますが、もうないなら総理にお立ちを願います、四十五分ですから。(「議事進行」「議事進行が済んでから」と呼ぶ者あり)質問者ございませんですか。総理退席になりましてもよろしいですね。(「いかぬです」「議事進行」と呼ぶ者あり)議事進行を許しますけれども、総理は四十五分で退席されますが、もし総理に対する質問がございましたら、いま少しく時間をとりますが……。(「総理の時間何時までですか」と呼ぶ者あり)三時半までであったのが四十五分まで延びたんです。(「何時までいるのですか」と呼ぶ者あり)質問は何時までと申しましても、ごくわずかだろうと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)総理に質問があれば許しますし、総理がお帰りになってから議事進行いたします。(「逆だよ」「そんな取り扱いがあるか」「議事進行やりなさい」と呼ぶ者あり)総理に対する質疑者ございませんですか。質問があるなら許しますし、質問がなかったら総理がお立ちになりますから……。お立ちになってもよろしいですか。あるなら御発言願います。(「そんなことを言っているうちに済んでしまう」、「ものには順序がある」、「議事進行」と呼ぶ者あり)それでは、総理の退席を許しますから。
#39
○伊藤顕道君 委員長が日ごろそういうふうに――いつもわれわれは確信しておるわけですが、こういう大事な段階になると、内閣委員会の委員長という立場を離れて、自民党の委員長として終始しておる。
#40
○委員長(吉江勝保君) そんなことはない。
#41
○伊藤顕道君 最後まで聞け。そこで、昨日の委員長理事打合会でどういうことがきまったかということを、これは非常に本日のこの委員会の運営にきわめて密接な関係があるわけです。私どもの方の申し入れが、明日総理を呼ぶならば、こういう前提に立ってきょうは定例日ではないけれども、自民党の理事の要求をいれて、防衛二法に限って審議してもよろしい、そうしてあと四人残されているこの委員の審議を全部終わってもよろしいということに対して、自民党の理事の方から、ぜひ一つ建設省設置法をやってもらいたい、そうでないと修正しなければならぬからということで、大らかな気持で、これをもこちらは了承したわけです。そこで、どうも明日総理を呼ぶことについての御回答は、態度があいまいであったので、これはうっかりするとペテンにかけられる、そういう考慮もされたので、両理事に対して、この確認の意味で明確にしてもらいたい、そのことに対して小幡理事が、党本部に帰って極力当たってみる、そうして回答を申しましょう、待てど暮らせどなかなか戻ってこない。そこで、村山理事にこのことについて追及いたしましたところ、村山理事は、私も実は憤慨しているのだということを本人も言われているわけです。そこで、あとで様子を聞くと、外出してしまったという回答であったわけです。まあたえがたきをたえてけさに入ったわけです。そこで、当然総理を明日呼ぶことについて回答があってしかるべきだ。ところが、その回答はせずして、直ちに皆さんお集まりだから委員会に出てもらいたい、こういうことを委員部の人間を通して、再三督促があったわけです。これは話が違う、われわれはあくまでも明日総理を呼ぶならばという前提に立って話は進んでいる。そうして、含みとして、明日総理が出席して質疑を終われば、翌金曜日は本会議の定例日である、こういうことまで私どもの立場で申しておるわけです。にもかかわらず、そういうきわめて大事な第一前提、大前提を抜きにしてこの委員会を開いた。そのこと自体がすでにもう公約違反なんだ。しかも、本会議と並行して委員会を開いたことについては、先ほど指摘があったように、議長に了解を得て、許可を得て、ただし、無条件ではないわけだ、両党が仲よく審議できる状態という、そういう条件があったわけです。ところが、社会党が一人も出ないでこの委員会が円満に運営しておるとは思われない。そういうことから私どもの委員から、御意見について追及があったと思う。従って、重ね重ねの独断専行、内閣委員会の委員長としてではなくして、自民党の委員長の立場からのそういう独断専行について、その非をここで陳謝すべきである。そのことについてわれわれは両党間の話し合いを報告として受けてことに臨んだわけです。従って、ありのまま委員長が遺憾の意を表されるならば、われわれはあくまでも審議すること自体にはやぶさかでない。当然協力してきた。そういう態度で、おおらかな気持で臨んだにもかかわらず、両党間の話し合いのその結論を曲げて、そうして理解も何もしないうちに審議を進めようとするそういう非民主的な運営について、われわれは遺憾の意を表するわけです。前々からこの法案の審議は慎重にやるということ、そうして委員会の運営は民主的に、もって国会の正常化をはかる、これがかねがねの両党間の話し合いであったわけです。そういう線に沿うてわれわれはずいぶん協力してきておるわけです。審議引き延ばしなど、この段階で毛頭考えていない。ただ、重要法案であるから、本日残りの委員全部やってもらいたい。四人残っておるわけです。一人二時間の見当でありましたから八時間、二時からやれば十時になるわけです。そこで、無理をしないで、明日木曜は定例日だから、ここで総理を呼んで、そうすれば翌日金曜は本会議があるではないか、こういうことでわれわれは了承したわけです。こういうことを無視して、大事な大前提をたな上げしておいて、あとの結論だけをたてにとって、公報に出ているからという、そういう態度ではわれわれ了承できないということを申し上げておるのであって、審議そのものには十二分に協力もし、理解を持ち、そうして残された法案の審議にも協力しつつあるわけです。こういう中で、あなたはただ一方的に、委員長の職権をもってわれわれの発言を封ずるような態度については、この委員会の正常化はとうてい期し得られない、こういうことをきわめて遺憾に思うわけです。
#42
○委員長(吉江勝保君) ほかに……。
#43
○大和与一君 あなたはあれですよ、総理大臣でも議事規則に従わなくちゃいかんのですよ。ちゃんと国会法を見てごらんなさい。議事進行と言ったら、そっちを先にやるのがあたりまえじゃないですか。どこにそんな順序変えろということが書いてあるの、その条文を示して下さい。なぜそんなめちゃやるのか、そういうめちゃをきのうもやり、けさもやったから、そこでわれわれはめんどうくさいけれども、会長会談までやって、あなたも出席されて円満に話をまとめて、いよいよさっとすべり出そうと思っていたのに、なおさらにあやまちを重ねる、どういうわけなんだ、委員長として。
#44
○委員長(吉江勝保君) 大和君の今のお話にお答えいたします。総理の時間の三時が三時三十分になっておりまして、三時四十五分まで質疑が続きましたので、議事進行の動議は私許しますが、総理の退席されます時間について、先にお諮りをしたわけです。そのあとで、今申しますように、発言を許しております。なお、大和君のお話がありましたので、先刻再開のあとにおきまして委員長から遺憾の意も表したわけでありまして、これをもちまして社会党の皆さんにも御了承をいただけるものと思って議事を進めておるのでありますが、御了承願いたいと思います。
#45
○大和与一君 それじゃあれですね、これからもう民主的に一つやって下さいよ。うちの純情可憐な理事をだますようなことをしてもらったら困まるよ。まじめな理事ばかりおるのに、十分注意してもらわなければ困る。
#46
○委員長(吉江勝保君) そういうようなことは絶対ございませんし、また、いたすこともないと思います。
#47
○伊藤顕道君 自民党の両理事に、きわめて大事なことだからお伺いいたしますが、この運営についても、総理を呼んだ際には、きょう呼ぶことは約束してありませんが、呼ぶ際には、当然社会党、そうして民社党と、そういうことについて、もう十二分に了解があったはずです。しかも、社会党が発言を求めておるのに、なぜそういう運営を理事の立場でなさるのか、委員長も委員長ながら、また、理事も理事です。きわめて非民主的じゃないですか。なぜ民主的にやらない。(「君の来かたがおそかったから田畑君がやった。」「そんなことない、あなた方に聞いておるのでない。」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#48
○委員長(吉江勝保君) ちょっと御静粛に願います。ただいま伊藤理事から御発言がありました総理に対する質疑につきましては、これはかねて委員長理事打合会におきまして、質疑者がございますときには通告をしていただくようになっておりまして、きょう総理への質疑が行なわれますまでの通告者としましては、田畑君一人であったのであります。田畑君のあとに、さらに社会党で御発言があれば、総理にいましばらく残っていただいて質疑をしていただこうという配慮までしたのでありますが、御発言がなかったので退席をされたわけであります。
 質疑のおありの方は御発言を願います。
#49
○鶴園哲夫君 いろいろな問題につきましてお伺いをいたしたいわけでありますが、まず初めに防衛庁長官のシヴィル・コントロールの問題につきまして伺いたいと思います。これは前回総理が見えましたときにも総理に伺ったのでありますが、なお、大事な問題が残っておりますので伺いたいと思います。これは衆議院の内閣委員会でも問題になりました杉田幕僚長の発言、すなわち、自衛隊の任務は治安対策が目的だというような意味の発言があって、これに対しまして衆議院の内閣委員会で種々論議が行なわれたわけであります。その中で、四月二十五日でございますが、長官が特に発言を求められまして、この杉田幕僚長の発言の経緯の説明があったわけであります。私その内容を見まして、実は異様な感じに打たれておるわけでありますが、長官はこういうふうに発言をしておられるわけであります。十二月の二十二日に杉田幕僚長が発言をしておる。その夜ラジオ、テレビ、新聞等でこれを聞いて異様に思って、翌日の閣議で正式に発言を求めて、そのような所信は聞いていない、杉田発言は本人の本意ではないと思うというようにして是正をされた。そうして直ちに杉田幕僚長を呼んで、本人の真意を確かめ、是正に努力するようにという話をされた。そうして年をこえまして、一月の二十日ごろに杉田幕僚長が北海道に行かれた際に、向こうで新聞記者会見をして、是正をされた発言を新聞ではっきり見て、ありありと覚えておる、こういう発言であります。これは私非常に異様に思うわけであります。十二月二十二日の夜、長官が異様に思って、直ちに閣議で発言を求めて是正をして、本人を呼んで是正に努力しなさいと話をされて、それが年をこして一月二十日、一カ月の間これが是正されないということ、これは各省の大臣と長官、あるいは局長という関係等から見ますと、非常な異様な感じを受けるわけであります。さらにまた、どうも長官の発言を見てみますというと、あるいは十分でなかったかもしれませんですが、杉田幕僚長からの報告は受けていない、新聞で見て覚えておられる、新聞で見て承知した、こういうような点について、私、非常に防衛庁の中におけるシヴィル・コントロールあるいはシヴィル・オーソリティの弱さを感ずるわけでありますが、長官の所見を承りたい。
#50
○国務大臣(西村直己君) 時日の経過が、多少言葉が足りない面もあるかもしれませんが、当時の衆議院段階におきましての説明でございますが、確かに十二月二十二日でございますか、私は、自衛隊の任務がちょっと変わったような印象を、テレビなり、あるいはラジオで受けたもので、しかし、これはちもろん私どもはマスコミの力というものは信頼はいたしておりますが、何か杉田君が、やはり時おりは幕僚長の形において記者諸君と会見をするということもある。そこで私は、発言する内容が十分真意を尽くしていないのではないか、自衛隊の任務が、率直に申しますと、自衛隊法できめられている任務に変化を与えたような表現がマスコミの線で使われておりますから、そこで私は、翌朝庁へ参りまして杉田君の真意を確かめましたところ、自分の真意はそういう意味で話したのではない、そこで私も、これが閣議におきまして、さらにこれが誤り伝えられてはいけないという趣旨から、正式に発言し、自衛隊の任務は、従来の通り、自衛隊法に定められた任務であるということで、私といたしましては、十分一部真意を尽くしておらない発言を是正したつもりであります。また、杉田君もそれを受けております。しかし、念のために杉田君としては、また機会を見てさらにそれをはっきりさせるのだという意味から、杉田君の考えにおいて北海道において是正されたと思います。私といたしましては、その間に十分幕僚長である杉田君、また、長官であります私との間に十分意思も通じ、また、私どもといたしましても、そのコントロールもできておるというふうに確信をいたしておるのでありまして、しかも、その表現されました事態が杉田君の意思でありますれば、大へんなお説のように問題になります。それ自体が真意を尽くしてなかった、それを是正するための努力を私が払い、同時に、本人としてもそれはもちろんやるべきでありましょうが、長官である私から是正し、そういうような表現を使われた以上は、杉田君が翌朝すぐ記者会見をしないでも、当然であるという意味では、私は逆に御反発申し上げるようでありますが、杉田君としては、これは十分シヴィル・コントロールに服していると逆に言えると思うのであります。
#51
○鶴園哲夫君 今、誤解があるのじゃないかというお話がございましたのですが、これは当日二十二日、特に杉田幕僚長が新聞記者に会見をして、みずから発言をして、こういう発言をしておられる。それに対してそれだけかというふうに念を押されて、これだけだという発言をしておられるわけです。ですから誤解とか何とかという問題ではないと私は思うのです。ですが、その問題はここで一応おきまして、これは普通の各省の関係でいいますというと、長官の衆議院の発言だと、異様な感じを受けて、すぐ翌日正式に閣議で発言を求めて、これはそういうことは聞いていない、本人の意思ではないという是正をされている。しかも、それが一カ月後に訂正をされるというようなことは、これは各省の大臣あるいは次官、この間では考えられないことだと私は思うのです。これはおそらく各省でいうならば、これはやはり一応進退伺いが出ると私は思うのです。おそらくそういうとともなかったのじゃないだろうかというふうに思うのでございますが、その辺のことはどうなっておりますか、伺いたいと思います。
#52
○国務大臣(西村直己君) もし杉田君が自衛隊法に違った目的で述べたのならば、これは一つの杉田君自体の責任問題も起こりましょうが、真意ではない、その真意を十分に尽くしてないような部分において、マスコミと申しますか、その部分を表現された。ある意味におきましては、マスコミの方でもいろいろな角度から、感触からおとりになり過ぎて、表現が十分でなかったかもしれません。そういう意味じゃ、私が真意を問うたとき、自分の真意は同じである、そうして私は統轄者でございます。従って、しかも正式の閣議の席におきまして、はっきりその点を是正をいたしておるのでありますから、私は、あとは杉田君が黙っておられてもいいのでありますが、あえて杉田君は、進んでさらに機会を得て、また幕僚長が、もしマスコミに少しでも御協力を得たいというならば、一つの機会、最も自分が発言しやすい場面においてやられたということは、多少時日はおくれても、けっこうなことであるというふうに私は考えておるのでございます。
#53
○鶴園哲夫君 もう一ぺん申し上げておきますが、この杉田幕僚長の発言と
 いうのは、誘導尋問にかかったものではないということ、それからその発言があった際に、それ以外にないのかという助け船的な記者側からの発言も行なわれている。しかし、それに対して、依然と同じ発言をしておるわけですから、これはどうも真意ではないとか、真意であるとかいうことは、私は非常に大きな問題があると思います。
 しかし、次に問題を移しますが、防衛庁では長官が新任されるとか、あるいは長官が退任されるとかいう場合に、統幕の議長あるいは三幕僚長というのは辞表を出されるものですか。各省におきましては、大臣が就任される、あるいは退任される場合に、次官、場合によれば外局長官等も辞表を出して、そうして一心同体になって働くという体制を示すわけでありますが、しかしそれは、それを取り上げるかどうかという問題は、当務大臣の任期が短くなっておりますから種々でありますけれども、そのような慣行というものがあるのかどうか。短い任期でありますから、ないのかもしれませんが、伺っておきたい。これは私、シヴィル・コントロールというのは、非常に原則論的にやかましくいわれる、また、私ども非常に懸念をしておる。そういう意味から言うならば、長官としましても、また、幕僚監部の長といたしましても、その程度のやはり態勢というものはとるべきじゃないだろうかというふうに考えておるわけです。伺っておきたいと思います。
#54
○国務大臣(西村直己君) これは各省におきましても、大臣がかわりましたら辞表を出すというような慣例は、別にないと思います。そのときのその個人の一つの考え方だと私は思っております。特に防衛庁におきます幕僚監部の諸君は、戦略あるいは戦術的な面、いわゆる軍事専門的な面においての私の補佐であります。それらを基本的に今度はコントロールする意味においての補佐は内局の諸君がやっておるのであります。もちろん内局が上に立つとか下になるとかいう意味じゃありませんが、シヴィル・コントロールの補佐については、私は内局の補佐を受けておるのでございます。そういう面から、軍事専門的な面というものに対しまして、そのつど大臣がかわったからといって、私はお説ではありますが、別に長官と進退を幕僚監部以下の諸君がする必要もないし、かえってすることによって弊害があるのじゃないかというふうに考えるのでございます。
#55
○鶴園哲夫君 慣行はないというお話でありましたが、これは慣行はやはり相当行なわれておると私は思います。また、事実も承知しているのです。特に各省の場合、各行政機関の場合に増しまして、長官のコントロールというものが非常に貴重なものとして私は見ておるわけでありますが、その場合に、今私が申し上げたようなやはり考え方というもの、長官と身体同体になって動くという態勢、そういうようなものが、先ほど申し上げたような、長官が退任される、あるいは新任してこられるという場合に、相互にそういう誠意が示さるべきじゃないだろうかというように思っておりますが、長官は、それは意に介しないようなお話であります。私は、総理のお見えになりましたときにも申し上げたのですが、どうしてもどうも防衛庁の中における長官の立場というものが、幕僚監部の軍事的な優越にやはり制約される懸念があるのじゃないかという心配をいたしておりますので、その辺のことも一つ御勘案なさっていただきたいと思っております。それから幕僚監部は、昔の通りでいえば、軍政と軍令が一元化されたような官庁になっておるというふうに思いますが、今のように非常に大きな勢力になり、さらに今後これが大きな勢力になろうといたしておるわけでありまするが、こういう場合に、その軍令と軍政を分けるというようなお考えはないものかどうか、伺っておきたいと思います。
#56
○国務大臣(西村直己君) ただいまの幕僚監部は、軍令と申しますか、戦略、戦術の純軍事的な面が中心ではございますが、それに付随するいわゆる軍政的な人事、教育、そういう面も確かにございます。昔のまあ軍で申します参謀総長、参謀長、あるいは軍令部長とはちょっと違う、幕僚監部、幕僚長は。しかし、同時に、従来の軍にはなかった内局というもの、参事官制度その他機関を持っております。その諸君がやはり政策の基本、言いかえますれば、予算あるいは人事、教育、こういった面につきまして十分長官を補佐して参っております。もちろん私ども現在の幕僚、あるいは旧軍からおられる諸君は非常に謙虚で、それぞれ精選されたんだと思います。ただ、シヴィル・コントロールという問題は、やはりわれわれは不断に検討は続けていかなければならない。今後確かに自衛隊が、あるいは漸増され、あるいは事態が変わっていったといった場合におきましても、懸念のないように、不断にシヴィル・コントロールの制度というものはわれわれは検討していかなければならない。ただいまのところ、あるいはここのところ当分の間というのは、私は、内局が政策の基本をシヴィル・コントロールの立場に置いて、私あるいは私を通して総理大臣を補佐する、同時に、軍令なり、また、細部にわたる軍政的な教育や、補給あるいは人事、こういった面につきましては幕僚系統でやってもらっていっていいんじゃないか、こういう私は考えでございます。シヴィル・コントロールの問題は、私ども長官のいすをいただく人間としては、不断にそれは基本に考えていかなければならないとは存じております。また私も、それは不断に自分としても努力をして参るつもりであります。
#57
○鶴園哲夫君 この間も総理に伺ったのですけれども、内局が文官的な長官に対する補佐機関、しかし、その補佐機関が、局は六局ありますけれども、まことに衛生局とか、教育局というのは、局ですけれども、課は一つしかない、課員としては十四、五人しかいない。局は六つあるといいますけれども、内容は、各省でいいますと、大体一局程度にすぎないというように思うわけです。ですから、そこら辺から考えますと、確かに文官的な長官に対する補佐機関、優秀な方々はいらっしゃるわけですけれども、機構的に非常にどうも弱いのではないか。幕僚監部が、御存じのように三幕あって、それぞれ堂々たる陣容を持っておられるのに対しまして、内局は非常に貧弱じゃないかという懸念を持ちます。その意味で、私は、軍令と軍政というものをお分けになったらどうかというふうに考えておるわけでありますけれども、今そういうところまできていないというお話であります。しかし、長官も御存じのように、衆議院でも問題になりましたが、政府の機関誌といいますか、「政府の窓」という小冊子の中で、奥野教授と対談をしておられますが、その中で、今のままではシヴィル・コントロールに不安を感じているという発言をなさっておられるわけでありまして、一つそこら辺のことは十分御検討になるように要望申し上げておきたいと思います。
 これに関連いたしましてもう一つ伺いたいのは、新聞でも出ておりましたし、また、長官自身も、衆議院の内閣委員会でもたびたび発言しておられるわけでありますが、防衛庁を国防省に昇格するという御意見であります。そして、このことについては、昨年の末に長官は、防衛庁の参事官会議で検討を命じておられるようであります。その主たる内容は、今申し上げました、どうも防衛庁という庁では、文官が五年、六年、七年ということでかわってしまう。従って、これが各省の出先機関みたいなことになって、固定しないので優秀な文官が育たない、従って、国防省にしたいという理由が一番大きな理由ではないかと思います。そのほか長官が新聞に出されておりますのはいろいろございますが、衆議院の中における発言、さらに「政府の窓」の中におきます長官の御発言は、そういうふうにとれるわけであります。私は、これは問題があるのじゃないだろうかというふうに思うわけであります。と申しますのは、確かに省にいたしますと固定すると思います。固定いたしますけれども、そのことは、そこに五年なり十年なり十五年なりおりますと、どうも、ミイラ取りがミイラになるのじゃないかという懸念を感ずるわけであります。もっぱら防衛庁の軍属的な存在に――ちょっとばかり言い過ぎかもしれませんが、長年おりますと、何せ文官はわずかな数字でありますが、制服は大へんな数字でありますからして、今の態勢でいいますと、どうもミイラ取りがミイラになるのじゃないかという懸念を持つわけであります。なお、また文官の統制、シヴィル・コントロールは、常に新しい生き生きとした経済政策なり、あるいは国の高度な政策の経験なり知識なりというものを持ってコントロールするということの方がいいんじゃないだろうか。それにはどうもそこの中に長く、五年、十年とおることになりますと、いや、十五年、二十年となりますと、そうなりがたいのじゃないか。各省からやはり豊富な経験と生きた知識を持って出入りするということの方がコントロールにはいいんじゃないかというふうに思います。また、人事の問題にいたしましても、文官がフリーな立場で各省から出ておりますからして、フリーな立場で十分に働けるのじゃないだろうかというふうに思うわけであります。長年そこにおりますというと、どうしてもやはり防衛庁擁護みたいな形に堕するおそれがあることを考えなければならないというふうに思っておりますが、そういう点について長官の一つ御意見を承っておきたいと思います。
#58
○国務大臣(西村直己君) 私の所信は、国会あるいはその他で述べております。一つは、シヴィル・コントロールを確立するために、内局の諸君に一つの安定的な、そして専門的な、また長いずっと経験も持たなければ、なかなかこの国防の仕事は、御存じの通り、専門的な面も多分にあるのでございます。単に政治的な感覚、あるいは一般論的な行政感覚だけでやりますれば、これは私どもがやるべき部分でございまして、むしろシヴィル・コントロールの補佐におきましては、やはりそういった専門的要素が必要だろうと思うのであります。また、各国におきましても、シヴィル・コントロールする場合におきまして、いろいろ国防省というようなものが必要でありまして、私は、それで十分シヴィル・コントロールは外国も立っている。今日御承知の通り、ドイツあるいはイギリス、あるいはアメリカはシヴィル・コントロールの形態を相当深めております。ただ、もう一つは、防衛庁の以外に調達庁というものがございます。この調達庁の職員を、調達業務を通じてではありますが、毎年多少ずつ人員を減らすとか減らさぬとかいう問題で不安定なものである。片や基地は自衛隊の基地、あるいは米軍の基地、あるいは米軍と自衛隊の共同使用の面もございます。これらの問題も、調達庁のあり方として、よその国々では国防省的なものに吸収をいたしておる。これらも考えますと、自衛隊が大きいとか、あるいは予算がどうだとかいうことも一つの理由でございましょうけれども、私は、やはり国防に関する一つの省としてのものにまとめ上げていいんではないかという段階にだんだん近ずいておるのではないか、そして、また私はそうあるべきではないかと考える。ただ、ただいま先生のおっしゃいましたような、人事の交流によってシヴィル・コントロールの中に、いわゆるミイラ取りがミイラになる、言いかえれば、あまりに国防にセクショナリズムを持ち過ぎるために逆用されやせぬかという面も一つの正しい御意見だと思います。そこで私は、省にいたしましても、やはりそういう面ももちろん制度上加味することも、優秀な諸君が交流する面もあっていいと思います。しかし、同時に、若い時代から優秀な諸君が、防衛庁と申しますか、防衛省的なものに腰をおろして、そして、片や育っていく武官に当たるべき人間と肩をそろえて、唇歯輔車で、同時に、文官の諸君は文官の諸君なりに、定められたる任務で働く、同時に、これを基本的にシヴィル・コントロールする態勢が立っていいんではないか。まあ防衛というものに対して、別の角度の御意見がある場合にはまた別でございますが、一応今われわれが国会で御承認を得ているような形のものが全部発達して参ります段階においては、そういう考え方でいいんではないか。そこで私は、そういうような観点に立って、部内においては不断にこういう機構のあり方を検討していかなければならぬ。しかし、それじゃ省になったから直ちにそれでいいかというと、シヴィル・コントロールの問題はケネディの教書にも書いてありました通り、アメリカ自体におきましても、やはりこれは不断に検討しなきゃならぬという教書を出しておるくらいでありますから、私はこの問題というのは、他の客観情勢、言いかえれば、他の政治情勢といろんな経済情勢というものとかみ合わせて、制度そのものがきまったら、それで永久にとは申し上げられません。やはり不断にそれを検討し続けて、あくまでも民主主義下における自衛隊でありますから、軍隊的なものとして国民の役に立つように、また、弊害の起こらぬようにしていくこと、これは必要なことだ、こういうふうに考えておる次第であります。
#59
○鶴園哲夫君 この問題は、言うまでもなく、庁が省という問題でありますからして、行政審議会の問題もございましょうし、あるいは今法案として出ております臨時行政調査会の関連もあると思います。従いまして、今急にどうという問題ではないと思いますが、十分一つ慎重に検討を願いたいと思っております。
 なお、調達庁の問題につきましては、これは先般も私どもの方の山本委員が申し上げておりましたが、防衛庁が調達関係の仕事をやるというよりも、やはり防衛庁とは別な機関としてやられた方がいいんじゃないか。今の国民の感情その他からいいまして、別な機関として、総理府の外局でもよろしゅうございますが、そういうものとしてやられた方がいいんじゃないかという点は山本委員も申されておりましたので、そういう点も加味して一つ御検討願いたいと思っております。
 次に、定員の問題につきましてお伺いしたいと思います。飛び飛びになりまして恐縮でありますが、何せ時間を限られておりますので、できるだけたくさん問題を伺っておきたいと思います。で、第一次防衛計画、この三十六年の三月末で終わったわけでありますが、定員の関係から見ますと、特に陸上自衛隊は、きわめて驚くべき状態ではないかというふうに思っております。それが今回さらに一万三千五百という、こういう増員の内容が出ておるわけなんです。ですが、二万二千名をこすというあき定員があるわけです。これは所得倍増という政策の一つの悲劇だというふうにも思いますが、自衛隊は、あるいは防衛庁はさか恨みしておるというふうに新聞にも書いてありますが、確かに退職、転職というので、非常にこの定員問題ははさみ撃ちになっておるんじゃないだろうかという懸念もするわけであります。この問題につきまして、次に若干伺いたいわけであります。陸上自衛隊の定員の充足率というのは、これは衆議院の内閣委員会で防衛庁が答弁しておられるのですが、それによりますと幹部は九八%充足しておる、これは大体私どもの常識からいいまして、妥当な充足だと思います。曹、昔でいいますと下士官、これが九〇%、こういうわけであります。それから士ですね、これが八〇%。全体としまして十二月末で二万七百十一名という欠員だというのでありますが、一体その後この三月末はどういうふうになっておるのか、防衛局長伺いたいと思います。防衛局長じゃありませんか。
#60
○政府委員(小野裕君) 陸上自衛隊自衛官の欠員でございますが、三月末におきまして、合計二万二千八百になっております。
#61
○鶴園哲夫君 昨年の十二月末が二万七百十一名、三月末が二万二千八百と、まあ相当な欠員の前進だと思います。この転職者が非常にふえておる。ごっそり会社に持っていかれることもあると聞いておる。施設部隊、あるいは海上自衛隊あたりでもごっそり持っていかれる。これは深刻な状態のようでありますが、防衛庁は退職者の実態調査というのをやられたわけでありますけれども、実情がわかっておりましたら、簡単でよろしゅうございますけれども、人事局でやられたわけですね、昨年の十月末でございますね、やられたわけですが、一つ簡単に答弁を願いたいと思います。
#62
○政府委員(小野裕君) 実は退職者の実態調査につきましては、陸上幕僚監部の方でやってもらいました。その数字はもらったのでありますが、私手元に今持っておりませんので、その点恐縮でございますが、覚えておりますものでは、大体工業と輸送の方面に多く就職しておるようでございます。
#63
○鶴園哲夫君 この募集難だというんでありますが、これは新聞の発表でありますけれども、昨年の第一次募集、五月ですね、この場合は、陸上自衛隊の場合は募集に対しまして三・九倍、第二次募集、これは七月、これが五・六倍、それで第三次、昨年の十一月でありますが、これは三・七倍です。従来から防衛庁の方の発表というような形で出ておりますのは、激しい訓練に耐え、あるいは高度な技術をもって操作するというような意味から、どうしても五倍以上の倍率がなければ困るのだということのようであります。昨年はこの五倍を割りまして、四倍を割ってきているという実情のようであります。その前の年を見ましても、その前の年は五・七倍でありますが、三十五年はもう四倍を割ってしまっている。非常に困ったような状態になっているのじゃないかと思いますけれども、その辺のことについて若干伺っておきたいと思います。
#64
○政府委員(小野裕君) ただいまお示しの数字は、陸上だけであるか、あるいは陸、海、空全体であるか、よくわからないのでありますが……。
#65
○鶴園哲夫君 今、陸で聞いている。
#66
○政府委員(小野裕君) 陸につきましては、お説のように、大体五倍前後、たとえば三十四年度におきましては五・七倍の応募者があったわけでございます。三十五年度については、まあ四・四倍ということになっております。この点につきましては、一つには募集計画と申しますか、採用しようとしている目標というものが年々違う点がございます。こういう点から、必ずしも同様な比較はできないと思うのでございますが、ただ、従来たくさん募集をしましたときと、あるいは条件の似たような数字を予定に募集をしましたときの数字と比べましたときに、昨年度は確かに応募倍率がまあ落ちておる、こういうことは申せると思います。
#67
○鶴園哲夫君 いろいろのキャッチ・フレーズで募集をやっておられるのでありますが、心配のない衣食住と俸給というキャッチ・フレーズがありまして、なるほどと思いましたですが、心配のない衣食住と俸給というキャッチ・フレーズで、昨年の夏は上野公園の銅像の前へ出張をして募集をおやりのようでありますし、また、大阪の天王寺公園へも出張して出られたのでありますが、これはあまり新聞で評判がよくなかった。確かにそうだろうと思います。何か植民地軍隊を募集するような感じを受けると思います。ことしもこういうような計画があるのかどうか、伺っておきたいと思います。
#68
○国務大臣(西村直己君) 根本の問題でございまして、自衛隊、特に自衛隊の海、空につきましては、欠員問題はあまり論議の対象になりませんが、陸上におきましては、事実欠員がございます。で、恒常的にも大きな部分でございます陸の方は、何と申しましても、海、空よりは人数が多いのでございますから、そこに大きな欠員も生みやすい。それから、かつて数年前におきましても、志願制であって、年に何回か入隊し、あるいは出ていく、その間にも多少自由意思を尊重して、退職というような問題もありますから、常時の欠員が従来とも一万名ないしは八千名、あるいは六千名前後はある、これが常態でございますが、それをこえまして今日自衛隊が欠員がありますということについては、一つは経済のいろいろな影響があることは私も率直に認めておるのであります。ただ問題は、それじゃといって応募率を、質の悪い者を採るわけに参りませんから、いろいろな工夫をいたしておりますが、特に一番大事な点は、自衛隊へ入りました後においての職業の安定と申しますか、そういうような点について特にわれわれは工夫をこらす、その意味におきまして、雇用の安定対策というものを相当――昨日も横川さんの御質問に対して申し上げましたような方法をとっております。ただいま御説のようなことは、かりに昨年度において一、二そういう御批判があったような事例は、私どもは慎しむべきだと考えておりまして、そういうような無理をかけるべきではないというのが私の考えでございます。
#69
○鶴園哲夫君 現行の募集年令十八才以上二十五才というのを十七才に切り下げたい、そうして募集の範囲を拡大したいというようなことが新聞に出たことがありますが、これはどういうようになっているのか。また、長官が、一年間の短期の任用制度、これを自衛官に考えたらどうかということを御発表になったことがあります。これはどうなっておるかということ。それから今、年に三回でございますか、三回になっておると思いますが、もっと回数をふやしたらどうかというような意見も発表しておられたと思います。それから、さらに防衛庁長官は、沖繩で募集をするというようなことを衆議院の予算委員会で説明しておられるわけです。この沖繩で募集されるというのはどういうような考えがあるのか、そういった諸点について伺いたいと思います。
#70
○国務大臣(西村直己君) 募集によって人材を得るということは私どもの任務でございます。従って、募集技術の面におきましてもいろいろ工夫を加え、また、除隊後の職業安定、いろいろな手をわれわれは考え、また、実行に移して参りたいと思いますが、一つの考えとしては、年令の低下、なぜそういうことを考えてみたかと申しますと、学校を出てしばらくたって、一、二年たってから採用しようと思うと、そのときは全部他の職業へいって、それまで待つ人がないというような面もございます。ただ、自衛隊のような仕事をいたします者が、軽々に年令をいじるということも、またこれいわゆる自衛力に影響するのであります。そういう点から、われわれとしては、部内におきましてこういう一つの考え方も検討すべきであると言って、私は部内に検討させております。
 それから短期の、一年短期と申しますか、そういうようなものも一つの私は考え方でありますが、あまりに自衛隊の中で教育の期間を、ある者は二年、ある者は三年、ある者は一年というようにこまかに刻むことが、逆にまた複雑化して、真の国防というものの効率を妨げてもいかん、そういう点で検討をさせておるという段階でございます。
 なお、沖繩の問題はこういう経緯でございます。実は、かつて沖繩の青年で、自衛隊員になりたいという者があるのでございます。まあ現在でもあるかもしれませんが、それが内地までわざわざ自費を払って来て、応募はしたけれども、できない、こういうような、まあ気の毒と申しては失礼ですが、不便さに対して、何らかそういう方法がないかという意見をかつて私が漏らしたのが新聞等に出ました。現在はそういう問題は、実際は実行はなかなか困難だと思います。あの現地までこちらが――いろいろあすこの施政権の問題とも関連いたしまして、行かなきゃなりませんから、実行いたしているわけじゃありませんが、ただ、そういう現地側の声も私は耳にいたしたものですから、これは場合によってはそういう方法もないか、せっかく東京まで来て、そして試験は受けた、あるいは大阪まできて試験は受けたけれども帰る、また、お互い同士が旅費を払って行く不便さを除く方法はないか、こういう意味であれが問題になったのでございます。
#71
○鶴園哲夫君 まあ欠員が非常に多いというところから炊事、補給関係、これは少なくてもいいというので、一般職員を炊事、補給に回して、そして炊事、補給をやっておった。制服は訓練に回すということをやっておられるようでありますが、この一般職員を、制服がやるべき炊事、補給関係に従事させる、それを有事転換契約というふうに言っておられるようでありますが、これは一体どの程度のものがそういうものになっているのか、伺っておきたいと思います。
#72
○政府委員(海原治君) ただいま、先生のおっしゃいました有事転換契約というのは、私が衆議院の委員会で答弁しました際には、U・C転換契約――英語のUとCでございますが、これはユニホームとシヴィリアンというのを、これは平素私ども、ついU・C転換契約と言っておるものでございますから、そういうふうに申し上げましたところが、速記の方で「有事転換」と、こうなっておったわけでございます。で、私の用語の不注意でございますが、ユニホームとシヴィリアンと置きかえる契約、これは御存じのように、ユニホームということになりますというと、一切の装備、被服、居住施設等、維持費に非常に金がかかります。シヴィリアンでございますと、いわゆる普通の勤務者、公務員でございますので、そこに非常に経費の差がございます。従いまして、経費節約の面もございますし、部隊が国内のものでございますので、制服の占めております面を、できるだけシヴィリアン、一般職員に置きかえていこうじゃないか、こういうことが従来から進んでおるわけでございますが、そういう意味からいいますと、ただいま先生のおっしゃいましたように、炊事要員であるとか、あるいは補給関係、補給処の勤務要員であるとかいうものの面では必ずしも制服でなくてもよい。むしろあるいは一般職員の方が、平たく申しますと安上がりで、しかも、能率のいい面もございます。そういう問題を取り上げまして、そういう面は一般職員へ置きかえて、従来そこにおりましたユニホームというものは本来の部隊の方に返す、こういうことを言っておるわけであります。そういう意味の御説明をしたわけであります。
#73
○鶴園哲夫君 その数は相当な数字に上るわけですか。
#74
○政府委員(海原治君) 逐次実施いたしておりますが、先般の私の御説明いたしましたのは、新しく施設部隊関係一千名程度のユニホームを出します際に、従来そういう面の検討を重ねた結果約四割程度はそういう方法で置きかえることができた、こういうことで御説明したわけであります。今まで一次計画と申しますか、ここ数年間の累計をいたしますと、おそらく五、六千名というものはそういうものによって逐次置きかえられてきたと、このように考えております。
#75
○鶴園哲夫君 防衛局長のこの定員関係というのは、有事体制の定員だという説明を衆議院でしておられるわけですが、有事体制の定員関係なら、炊事あるいは補給、これは制服でやるべき定員関係だと思うのです。それを四千名も入れかえてしまう。どういう考えなのか、せっぱ詰まってやっておられるのか、どうも理解がつかないのです。補給にしましても炊事にしましても、これは有事編成、有事体制という中で編成されておるだろうと思うのです。その場合に、そういう関係の者が、どうもこういうようにたくさんの者が繰り入れられてしまったのではどうにもならぬのじゃないかと思うのですが、これは強制的にやっておられるわけですか。
#76
○政府委員(海原治君) まず強制的ということではございませんので、部隊の編成をいたします場合に、どういう職にはどういう階級の者を充てるかということを積み上げて参ります。そこで、先生のおっしゃいました有事の場合でございますが、たとえば一つの艦隊が現在東京におりますといたしますと、これは有事の場合出て行くときに、全員がそっくり出て行くということはむずかしゅうございます。どうしても施設の警備でございますとか、あるいはその後のいろいろな後方関係の警備のために一部は残留いたしておるわけでございます。出て行く者と残留する者は、必ずそれぞれの方面隊、艦隊その他の部隊がございますから、そういう場合に残留して、その施設のある所で平素と同様の勤務をする者につきましては、必ずしも制服でなくてもいいわけでございます。たとえば補給処にいたしましても、武器の補給整備をやっております所におきましては、有事に際しましては、そこから特定の整備補給の部隊を編成して出しますが、同時に、その補給処におきましても、また武器の補給をやらなきゃならない。そういう場合に、何かそこの地点におきまして武器の補給整備をやります者は、これは必ずしも制服でなくてもいいわけです。現に従来の陸軍、海軍等におきましても、一般に一般職員のものがそういう面は相当担当いたしておりました。そういうところを逐次入れかけてきたわけでございます。
#77
○鶴園哲夫君 陸上自衛隊の定員は今度十七万一千五百になるわけですが、三十六年度の予算では、この定員は八八%になっております。で、これは通過いたしました予算では十五万二千名という数字なんですが、国会へ出ておりますところの法律できめます定員は十七万一千五百、約二万名の、大蔵省といいますか、予算の定員と法律で出ている定員と食い違いがあるわけですね。これは大蔵省と自衛隊と相談をなさった際に、これはどう努力してみても、ことしは十五万二千くらいしかならぬのじゃないかというところで、予算では十五万二千になっておるのか、どういう話し合いでこの十五万二千という予算定員になったのか。これは法律で十七万一千五百というのを出すのですからして、予算でもやはり十七万一千五百でなければならぬと思うのでありますが、十五万二千名しか組んでない。これはどういう話し合いでこうなったのか、そこら辺のところを伺いたいと思います。
#78
○政府委員(小野裕君) 本年度の陸上自衛隊自衛官の予算が、一応八八%ということで組んであることは御指摘の通りでございます。このいきさつにつきましては、これもただいまお話がございましたように、これは予算額を積算いたします問題といたしまして、この程度あれば三十六年度はやっていけるだろうという、まあ積算上の話し合いからこういう数字が出たわけでございまして、特に予算定員をそういうふうに落としたというわけではないのでございます。あくまでも法律定員がございまして、これを埋めることを目標といたすのでございますが、この状況ではそれ以上の充足は困難であろうということに見通しが一致した次第でございます。ただ、予算定員と申しますれば、これは法律上の定員と同じでございます。ただ、予算額を積算する場合に、不用額がいたずらにふえても困るから、この程度の予算があればことしはやっていけるだろうということで今年度の予算八八という数字が出たわけでございます。
 なお、この数字は、十五万二千とございますのは、十五万二千に押さえるという意味ではないのでございまして、これが波を打ちましたときには、それ以上になることもあり、下がることもあるということはもとより前提になっておりまして、法律定員としては十七万一千五百、ただ、そこまで常時入っておりますれば、当然予算が不足になる、これはもう申すまでもございません。
#79
○鶴園哲夫君 予算では三十六年度大体十五万二千名程度でいい、それで国会を通っておるわけです、十五万二千名で。ところが、定員としましては十七万一千五百という数字、二万開きがあるのですね。どうもそういう話ならば、定員を十五万二千という数字でお出しになった方が妥当じゃないか。予算では十五万二千だ、定員はそれより二万上の十七万二千だというのでは、これはどうも私解せないわけですけれども、これは各行政機関を見てみましても、こういうようなことはないんですね。私これを見まして非常に不思議に思うのですけれどもね。しかも、なお、あき定員がうんとあるんですよ、まだ埋まってないんです。今実例を言えば、防衛庁のこれは二万二千八百というあき定員ですからね、ですから十四万ちょっとしかいないのです、陸上自衛隊は。ですから十五万二千に押さえましても、まだ七千くらいのあきがある。大蔵省の査定の数字、あるいは国の予算として通りました定員から見まして、七千くらいまだあいているんですね。で、御存じのように、この防衛の第一次計画の三カ年間に、一人も陸上自衛隊は人間がふえていないんです。しかも、二万二千八百というあき定員があるのです。三年間一人もふえないで、しかも、二万二千八百という想像もつかないあき定員がある。にもかかわらず、ことしまた千五百陸上自衛隊をふやしたいというお気持は理解できないわけですよ。
#80
○政府委員(海原治君) 今御質問になっております点につきましては、確かに先生のおっしゃいましたような疑問が十分出て参るわけでございます。この点につきましては、衆議院の予算委員会の分科会におきましても横路先生の御質問がございまして、私どもといたしましては、むしろ事務的に部隊編成の建前を御説明申し上げまして増員のお願いをいたしたわけでございますが、それをさらにもう一度申し上げてみますというと、今回の千五百名の増員によりまして、これは新しい長官の御方針にもあることでございますけれども、施設部隊を、施設大隊を一、共同施設大隊を一、地区施設大隊を五と、こういうふうに施設関係部隊の整備をはかりまして、現在各方面で御要望の多いところの一般民生協力に十分にこたえていこうじゃないかということを考えます場合には、それぞれの部隊につきまして部隊を積み上げていきます。いろいろ積算をいたすわけでございます。そのときに御説明いたしましたのは、たとえば普通の部隊におきまして、一個分隊を九名にするか八名にするか七名にするかということは、それぞれにいろいろと問題はございますが、専門の立場でこれを検討いたしますというと、まず一個分隊は九名が最も望ましい。その場合に、九名の任務分担はどういうふうにするかということを検討する。そういうことをやはりこの施設大隊につきまして考えてみますというと、施設大隊一個大隊は七百三十人でございますが、その基幹となります者の数及びそれに必要な資格と申しますか、特技と私ども申しておりますが、そういうものを持った者を逐次養成して参らなければなりません。そういうことから申し上げますと、やはりどうしても定員的には千五百人の増員をお願いいたしたい。従いまして、十七万一千五百というものは、現在の私どもの自衛隊をそれぞれ任務的に分析しまして積み上げて参りますと、どうしてもそこまでほしいという一つの数字でございます。そこで、現実に相当多数の欠員をかかえておりますが、この欠員は、関係者の努力によりまして、また、一般国民の方々の御理解を得まして、これは逐次埋めていきたい。そして、できるならば、来年度当初におきましては、本年度の初めよりも、さらにその欠員が埋まっているという状態を実現していきたい、こういう数字でございますから、一つお認めいただきたい、こういう説明をいたしておるわけでございます。
#81
○鶴園哲夫君 自衛隊全体としては二万四千名程度のあき定員だとおっしゃいますが、しかし、今度一万四千名ふやしてもらいたい、こういうことは、普通の行政官庁では想像もつかないことですね。天下の笑いものですよ、こういうことは。私はそう思うんです。二万四千名もあき定員がある、しかし、ことしはさらに一つ一万四千名ふやしてくれという話ですが、どういうお気持なのかわからないわけなんですけれども、これは軍というような特権意識になっておられるのじゃないか。これは横暴の私ははしりになってくると思うんです。こういうような問題すら理解のつかないような数字をお出しになる。国会といたしまして、あるいは当内閣委員会といたしまして、この定数の問題について最大限考えまして、陸上自衛隊の場合は大蔵省が押えている、あるいは国会を通りました予算定員十五万二千という数字が妥当なものであって、それ以上二万とか三万とかいうような数字をここで認めろと言われましても、なかなかこの点は納得できないんじゃないでしょうか。これは長官、答弁をいただきたいですね、こういう話では。
#82
○国務大臣(西村直己君) ただいま一万三千と申しますか、増員要求を法律上でお願いしております中で、制服は一万一千名増員でございます。その中でほとんど大部分は海、空でございまして、海上自衛隊が四千四百、それから航空自衛隊は五千百十二自衛官をふやす。航空自衛隊と海上自衛隊につきまして増員をお願いいたしますのは、艦艇、航空機等がそれぞれの自衛隊において整備されておる。それに対しまして過重勤務になっては非常な事故を起こします。また、時間もかかりますから、整備その他教育段階の要員というものもふやして参りますから、このうちの増員の大部分というものは海上と空でございます。しかも、その中でごらんの通り、海、空は欠員はあまりない、こういう状況でございます。
 そこで、問題は陸上にしぼっていただいて御議論を進めていただくと、あるいは御理解をいただけるのじゃないかと思いますが、陸上が確かに二万余の欠員があることは私ども率直に認めております。ただ、陸上は海、空と違いまして、非常に膨大なる平素から人員でありますから、従来の状態、いわゆる景気上昇でない場合にも、六千から一万名近い欠員というものは常時あったわけであります。それがただ今日は二万になっておる、この点は確かにふえております。そこで、この二万という数字、言いかえれば、従来の常時よりもふえておるという点も考えながら、大蔵省の予算の積算としては八八%の充足率を出しております。それを十二月分計算いたしますと八八でありますが、年間に始終流動するものでございます、年に何回か募集いたします。ある者は三カ月のあれでもいいわけでありまして、期間的に動いております。ですから、予算の積算といたしましては確かに八八%でございますけれども、それは人数としては、人数をこえて努力し得る場合があります。
 それでは、なお、これだけの欠員があるから、陸上において編成をくずせばいいじゃないか、そうして実人員でいけばいいじゃないか、こう申しますが、そこは一つ御了承を願いたいのは、先ほど防衛局長から御説明申し上げましたように、軍隊的なものでございますから、編成というものを非常にきちっと考えまして、その編成には中堅段階、あるいは下部段階の基幹要員というものもまた教育養成して参らなければなりません。その形をもって考えて参りますと、今の十七万という定員で一つのいろいろな編成をやる、その上に今度は新しく非常な御要望にこたえて民生安定に寄与する建設のいろいろな部隊をさらにふやそう、こういう意味から編成というものができて、それの基幹要員というものを作る。そこへ今の一万や六千の欠員は別として、欠員は確かについて参りますが、それに対しては、与えられたる予算の範囲内で努力をして参りますというと、十二カ月分を何も一ぱい食う人ばかりじゃございませんから、その数を伸ばすことができますから、その定員に近づけて参らなければならん、こういうふうにわれわれは考えております。ですから、編成を根本から変えて切ってしまえば一つの行き方でございますけれども、普通の官庁と違うのは、年間に始終流動しておりますことと、それから軍隊的なものは一日にぱっと編成をするものじゃありません。基幹要員等を教育して参る、また、配置をして参る。
  〔委員長退席、理事小幡治和君着席〕
 それじゃ、それだけの穴の場合に、一たん有事が起こった場合にはどうなるかというと、そういうときには予備自衛官を当てはめまして編成して参る、こういう事柄でございまして、決してわれわれは軍であるから特別な格好のような形だけを整えておる、こういう趣旨ではない。軍隊的なものの編成上の性格の特有性というものを一つ御考慮に入れていただきたいという点でございます。
#83
○鶴園哲夫君 今十七万の法律定員になっておるわけですが、その定員に対して二万二千八百という欠員がある。今度新しく師団をお作りになりますが、乙型師団の三個師団を上回る数字ですね。十三個師団とおっしゃいますけれども、実際は十個師団しかない、こういう数字ですね。ですから、二万二千八百というあき定員があって、大蔵省も、あるいは国会を通過した予算でも十五万二千ですから、その十五万二千という数字で定員をおきめになりましても、なお、六千か七千あき定員があるんですよ。私は、国会としまして、内閣委員会として言えることは、最大限十五万二千という国会を通過した予算定員、この数字が内閣委員会で論議できる数字じゃないかと思う。それ以上の数字というのは、いろいろお伺いいたしまして、なかなか納得できないんじゃないかというふうに考えておるわけです。今度陸上自衛隊千五百名ふやす、それは施設大隊、施設関係だ、施設関係なら国民との関係もいろいろあろうから、少しでも数字をふやしていこうという苦肉の策としかとれない。少し邪推かもしれませんけれども、しかし、問題は、実際の定員と予算定員と法律定員と、三つに分かれているんですね。何とか長官はっきり考えていただかないと困るんじゃないかと思うのです。予算定員は十七万一千五百だ、国会を通った予算定員は十五万二千、実際おる定員は十四万四千くらいだというんでは、どうも納得できない。もう一ぺんこの点についての見解を承りたいと思います。
#84
○国務大臣(西村直己君) 私どもといたしましては、予算上の積算になっておりますものは、一人が十二月全部食う、一年分ぴちっと食えば、これは確かにその通りの八八%で、十五万幾らの計算が出て参ります。ところが、御存じの通り、自衛隊というものは、三月あるいは十二月に採るとか、必ずしも十二月分食わないという面が出て参ります。しかも数は多い。そこで、私どもは、この八八%でも十分時期、いろいろな情勢を考えて参りますれば、これを伸ばせることができる、こういうことが言えると思います。ですから、それと直ちに定員との差というものが自衛隊の実際の将来に向っての欠員だと固定する計算は立たない。それからもう一つは、それでもなお実際欠員があるから、十七万をくずしたらいいじゃないか、こういう一つの御議論が出ると思います。ただわれわれは、部隊が、さっき防衛局長が話したように、九人なり七人の分隊をいろいろ考えて参りますと、それでもって積み上げて参ります編成を考え、それに必要な基幹要員であります、言いかえれば中堅、下部の指揮者養成、軍隊的なものは、やはり何と申しましても、指揮者というものを相当時間をかけて養成しておかなければなりません。そういう観点から考えますと、編成を簡単にその時の状況でぐっと急転回するということもどうかと思う点が一つございます。それからいま一つは、十三個師団で三個師団分という数字は確かに一応計算できますが、同時に、三個師団の分というのは、十七万が全部十三に分かれるわけではありません。十七万のうちの十万か十一万前後でございますか、それが十三個の単位に分かれる。残りの分は、何と申しますか、直轄部隊等におったり、あるいは学校で教育を受けている過程等の、軍隊的なものでございますから、何段階も教育がございます。各種の教育過程を経るわけでございます。そういう面もございますから、師団のあれとしましては、一たん何か異常事態があるときには、そういうものがまたそういうところにはまり込むという態勢で師団の戦闘力を保持するということもありますし、その上に予備自衛官が現在ございます。これは指揮者がございますれば、そのもとに入っていって把握される、こういう面から私どもは編成はくずさないでいけるんじゃか、また、くずしたくないという、こういう気持のもとにこういうふうな増員をお願いする。特にその増員の大部分は海、空へ向ける増員と、こういうふうに御説明し、御了解をいただくように努めておるわけであります。
#85
○鶴園哲夫君 なかなかくどくなりますけれども、今私申し上げておるのは、陸上自衛隊に限って――さっき長官は陸上自衛隊に限ってというお話がありましたから、陸上自衛隊に限って申し上げたんですが、どうしても予算の積算で十五万二千という数字、それはそれを若干オーバーすることもありましょう。あるいは減ることもありましょう。しかし、十五万二千名という予算で足りるということなんですから、十五万二千という定員が精一ぱいのところじゃないか。実際、現在おりますのは、十五万二千からさらに六千ぐらい下回った数字なんですから。そうして御承知のように、第一次防衛計画の三カ年間に一人もふえてないのですから、陸上自衛隊は。これから一年かかりましても、とても今まさに人員払底の時代ですから、その中で六千、七千という数を埋められるとは考えられない。だから、大蔵省と自衛隊で御相談になった十五万二千という数字は精一ぱいの定数じゃないか。だから十七万一千五百という数字ではなくして、十五万二千という数字がいいのじゃないか。しかも、それは国会の予算として通っているじゃないか。その数字をお出しになったらどうか。なお、今指揮官というお話がありましたが、欠員を生じておりますのは、士が欠員を生じております。幹部は全然欠員ありません。九八・七%ですから、飛び切り上等であります。大体各省並みであります、九八・七%という充足率は。主体は士が足りないのです。昔でいえば一等兵、二等兵というところ、卒ですね、これが足らないのです。これは指揮官の問題でも何でもないのです。どうもたびたびわずらわすようでありますけれども、常識としまして、そこのところが納得できない。今おっしゃるように、隊員としての、十三個師団としてのいろいろの編成というものをくずしたくない、これが私は軍としての意識が、特権意識が出てきているのじゃないか、もっとすなおに定員関係というものをお考えになってしかるべきじゃないかと思うわけです。もう一ぺん一つくどいようですが。
#86
○国務大臣(西村直己君) ちょっと私はその点は違うのでございますが、結局、軍の編成というものには、御存じの通り、要員というものを、指揮者というものを平素から置いておいて、そうしてそれに対して、できればそれは満度のものは欲しいのでございます。ところが、満度のものはできなくても、御承知の通り、軍の編成というものは、これは決して特権意識じゃございませんけれども、装備が伴います。宿舎が伴います。そこで昔は、かつては旧憲法におきましては天皇大権とまでしたのであります。今日はシヴィル・コントロールでありますから、国会の御審議は経るわけでありますから、それにいたしましても、部隊編成と申しますか、そういう隊の編成というものに対しては、できるだけいろいろな事態を考えて、それを積み上げて参ります。そこで、十七万名という、今度それに施設大隊という新しい千五百名が加わったわけでありますが、そこで、実際に従来とも一万から六千くらいの欠員がありましたが、経済情勢等で、二万をこえる欠員がございますから、それに対しては、予算の積算としては、大体このくらいの状態であれば、相当努力していっても、この予算で間に合うのじゃないかという程度で八八%組みました。ですから、それが十二カ月分みんなが一人ずつ使えば、確かにおっしゃる数字でございますけれども、今後われわれが努力して参りますれば、ある者は一年間食うでありましょう、その予算を。ある者は十カ月、ある者は八カ月、ある者はそれより短いのは三カ月、こうなりますと、ずっと充足はできる。ただ、その充足は見通しがないじゃないかという前提を立てますというと、そういう一つの別の議論も立ちますけれども、われわれは今後に向かって充足の努力をしていきたい。そうして、かたわら編成というものは一応きっちりさせておきたい。
  〔理事小幡治和君退席、委員長着席〕
そういう意味から十七万、それにプラス千五百の法律上の定員として御審議を願っているわけであります。
#87
○鶴園哲夫君 私は、これから大へんな御努力をなさるというお話でありますけれども、過去の三年間の経緯を見て、さらにこれからの見通しを立てた場合に、とてもおっしゃるようなことにならないのじゃないかというような立場から種々申し上げているわけですが、私自身といたしましては、今お話のような数字は理解がつかないし、一般の定員の関係の常識からいいましても、これは理解しがたい非常に大きな矛盾ではないだろうかというふうに思っております。そうして、さらにこれからの五年間の目標には十八万という数字を出しておられるわけですが、そうなりますと、約三万何千名という数をふやさなければならんのですが、三年かかって一名もふえてない、のみならず、二万二千八百という欠員がある。これから五年かかって三万数千名の人間をふやすというお考えなんですが、どうも私はこれも納得できない。五年後の話でありますけれども、納得できない。第二次防衛計画の中に出ておりますこの十八万という数字に対しまして、長官はどういうふうに考えておられるのでありますか。
#88
○国務大臣(西村直己君) 第二次防衛力整備計画は、まだ防衛庁の試案で、最終決定はいたしておりません。一応のその試案の中での目標は、現在の第一次整備計画をそのまま引き継いだ同じような十八万、そこでまあ将来に向かって努力はできないじゃないかと申しますが、率直に事実を申し上げますと、先般私、北海道へも参りまして、北海道等の応募率あるいは充足率は相当上がりつつあるような部分もあるのであります。そこで、私どもは、これはまあ時間をとって申しわけないのでありますが、一番自衛官で、自衛隊として、隊員として一生懸命勉強して、それから後、その若い青年がさらによい職場に安定して入れるような方法を、産業界とも御理解を願っていくような方法を考慮したい。そのためには、雇用の労働省、通産省等、あるいは産業界と雇用協議会等も起こす案と申しますか、方策等も順次――要するに自衛隊も志願する、同時に、自衛隊の教育を受けることによってさらに――決して特権ではありませんが、その個人としても人生に前進ができるというような態勢もわれわれはとるべきじゃないか、そして、それを通して産業にも貢献していく。個人自体も、自衛隊に入ることによってさらによい道へ行けるというような方法は、私はまだわれわれの努力によって工夫さるべきじゃないか。こういう点において、ただ、入った個人が引っぱられたから抜けていくというような形にまかしておくべき段階ではない。われわれの努力がまだ過去において足りなかった、この点は認めなきゃならぬと思います。
#89
○鶴園哲夫君 私が再三申し上げておりますように、国会を通った予算で積算してあります十五万二千、最大限譲歩してみてもその数字というふうに考えておりますが、なお、今お話の十八万という今後の問題はおきめになっていないようでございますが、その辺のことも一つ十分勘案していただきたいといろことを一つ御要望申し上げておきたいと思います。あまりこういうあき定員がありますと、各省に対する影響が大きい。これでは各省に対してどうにもならないと私は思う。大蔵省だってこの点突っつかれたらどうにもならないと私は思う。自衛隊のことは知らないからいいようなものの、あき定員がうんとあって定員をよこせよこせという話では、とても各省の締めくくりがつかないと私は思っております。あまり長くなりましても恐縮でありますので、以上で終わります。
 次いで伺いたいのは、昨年七千三百八十七名という定員増が出まして、これが国会におきましては成立しなかったわけですが、予算としては計上されてあったと思う。そうしますと、これは非自衛官を入れますと、約八千四百名という数字でありますが、これは法律は通らなかったが、予算は通ったということになっているわけですが、そういたしますと、使用残というものが残るだろうと思います。あるいは不用額といいますか、そういうものは残ると思いますが、これはどういうふうに処理されておられるのか、伺いたいのであります。
#90
○政府委員(加藤陽三君) ただいま御指摘の点でございますが、昨年防衛二法案が成立をしませんことに伴いまして、昭和三十五年度予算に計上いたしました増員の人件費及びこれに伴う維持運営費並びに増員に関連する隊舎新営費等の予算として十億五千七百五十万七千円でございました。本来でございますると、これは当然不用額となったものでございますが、昨年給与ベース改善のための補正予算の要求を行ないました際に、防衛二法案の成立が遅延することを前提に置きまして、右人件費予算四億二千百五十一万四千円のうち、一カ月分の予算一億一千九百二十万三千円を保留いたしまして、残額の三億二百三十一万一千円を補正予算の財源に充当した次第でありまして、その残りの七億五千五百十九万六千円は不用額として処理いたしたのでございます。
#91
○鶴園哲夫君 十億ほど残った、その中の七億五千万円を不用額として返したという話でありますが、約二億五千万円というものを流用したという話ですね。私はこれは予算は通ったが、法律は通らない。何か特別の了解をつけて処理されたような話ですが、了解のつかないものじゃないか、特別の了解がつかないものじゃないかと思うのです。予算は通ったが、法律は通らない。当然これは不用額として残るべきものを、何か特別の了解をつけたようなお話ですけれども、これは私はつかないのがあたりまえだ、つくというのは、何か特別の了解をつけたわけですか、これは私は不正だと思うのですが。
#92
○政府委員(加藤陽三君) これはただいま御説明いたしました通り、人件費の予算が四億二千百五十一万四千円あったわけでございます。人件費予算四億二千百五十一万四千円のうちの三億二百三十一万一千円というものを、給与ベース改善のための補正予算の要求を行ないました際に、その補正予算の財源に充当して国会で御承認を仰いだということでございます。
#93
○鶴園哲夫君 これは了解をつけて国会で承認をしたというわけですか。
#94
○政府委員(加藤陽三君) これは人件費の予算でございますから、その人件費の予算のワクの中で不用に立つべきものを、給与ベース改善の方の人件費の予算に充てて、これで御承認を受けたということでございます。
#95
○鶴園哲夫君 これは大蔵省も了解をして国会の承認を受けたということですね。
#96
○説明員(新保実生君) さようでございます。
#97
○鶴園哲夫君 私は、そういうような了解はつけられないものだと思うのです。一ぺん会計検査院との関係ははっきりさせたいと思います。この問題はおきたいと思います。
 次に、なお二万数千名の者があいているのですが、その人件費はどうなさっておられるのか。約百億に近い、百億をこすだろうと思いますが、その人件費はどうなっておりますか。使用残として返しておられるのか、あるいは何らかの形にしておられるのか、それを伺いたいのであります。
#98
○説明員(新保実生君) 先ほど防衛庁の官房長からお答え申し上げましたのは、三十五年度において新たに増員となるべき人員に対応する人件費の始末をお答え申し上げたわけでございます。それ以外に、いわゆる維持といたしまして、すでに今まで何万人かの部隊があるわけでございます。当初予算当時に見込みました人件費が、あの補正予算を組む段階におきまして、若干欠員が多くなりそうだという見通しがございましたの、その充足率の低下による人件費の不用額を給与改定の財源の一部に使う、こういうことをやっております。やはり新規増員の分と同じ操作をいたしております。それは私、給与関係のことは直接担当いたしておりませんが、やはり各省一般的にそういう余裕のあるところは、補正の給与改定の財源として使う、こういうふうに取り扱ったというふうに聞いておりますが、なお、正確なことは後刻御連絡申し上げたいと思います。
#99
○鶴園哲夫君 あき定員があるとかいうことで流用されるということは、同じ人件費の中で流用されるということはわかりますけれども、先ほども私は申し上げたように、これは法律が通らなかったのだから、当然不用額として残すべき問題だ、了解のつけようのない問題だというふうに私は考えておるわけですが、それは一応別にいたしまして、今の二万数千名というものが欠員があるのですが、その給与関係経費というものは百億こすだろうと思います。それは今お話のように、何かそれも若干給与に回したというお話ですが、幾ら残ってどういうふうになったのか、備蓄の方に回されたのかどうなのか、はっきりしないのです。
#100
○説明員(新保実生君) ちょっと私どもの方からお答えいたしますが、ちょっと突然お尋ねでございましたので、数字の方は正確に記憶しておりませんが、百億とか、何とかそういう大きな数字ではございません。たしか当初予算を組むときに見込みました陸上自衛隊の充足率は、九五か六か、その辺だったのでございますが、人事院の勧告が出まして、給与改定の補正予算を組むその時期における年間の充足率の見通しは、たしかそれを三、四%か下回るというようなことでございまして、たしかそれによるいわゆる不用額というのは十億円見当じゃなかったかと思います。一本、昨年十月からの自衛官の給与改定に要する補正財源というのは、ちょっと正確じゃございませんが、約四十億、従って、四十億から十億差し引いた三十億を昨年の補正に追加した、大ざっぱに申してそういう関係になっておるわけです。
#101
○鶴園哲夫君 これ、どうもこういう妙なことが出てくるのですわ。このためにも、やはり先ほど申し上げたような数字にしないと、えらい金が余ってしまう。その金が余ったものが、私の聞く範囲では、どうも妥当な解決の方法はしておられないように思うのです。大蔵省の主計官に伺いますけれども、不用額として返した分はあるわけですか。
#102
○説明員(新保実生君) その充足率の低下による不用額、これが大体十億円程度であったと思うのでございますが、これは補正予算のときに給与改定の財源に使った。新規増員にかかる人件費、これは先ほど官房長からお答え申し上げましたように、不用として立てた。これは私三十五年度の防衛庁費の決算そのものを数字的にちょっと記憶いたしておりませんが、先ほどのお話のように、七億何がしのものを不用として立てた、かようなことでございます。
#103
○鶴園哲夫君 ちょっと所用がありますから、ちょっとかわりますから。
#104
○大和与一君 私は、だいぶたくさん質問しておりますから、なるべく重複を避けて聞きたいと思います。長官の方も、あまり前置きとか、長いこと要りませんから、どんどんやって下さい。
 最近韓国にクーデターがありましたね、あのときに日本の自衛隊はどういう形であったか、陸、海、空ですね。
#105
○国務大臣(西村直己君) 韓国の軍がクーデターを起こしたからといいまして、わが国の自衛隊が直ちにあれによって、配置であるとか、あるいはその他変化は起こしておりません。
#106
○大和与一君 そうすると、少し前にアメリカの飛行機が黄海道ですか、三十八度線のすぐ北に落ちたときに、自衛隊に警戒警報が出たと新聞に出ておりました。あのスクランブルというのですか、あれはどうですか。
#107
○国務大臣(西村直己君) あの以前に、実は自衛隊で――その記事が載りました。そこで、私どもは、これはこういうふうに御了解いただきたいと思います。あのときは、韓国におきまして、国境に国籍不明機が現われて、韓国自体に何か一部警戒警報等が出た。こちらにも、私の方としては、米軍がそれを受けるのでありますが、米軍からも情報がありまして、それをたしかあのときの航空総隊と申しますか、調布の基地で、司令が、めったにないことだから、それを演習に切りかえて一部演習をやろうじゃないかということで、部内だけで演習をやったという事例がございます。これは韓国のクーデターのずっと以前のものでございます。
#108
○大和与一君 そうすると、新聞に出ておったのは、内容は違うのですか。
#109
○国務大臣(西村直己君) これはもう当時、私は新聞の方からも、その後におきまして御質問がありましたとき、演習で総隊としてやると、総隊からも発表されております。
#110
○大和与一君 陸の方はいいけれども、海の方は常時演習を兼ねて出ておるわけですが、あれは領海というのはどこまでですか。
#111
○政府委員(加藤陽三君) 領海は、日本といたしましては、今までと同じように三海里ということを主張しておるわけでございます。しかし、海上自衛隊の艦艇の行動が必ずしも三海里に制約されるということではございません。領海としては三海里ということでございます。
#112
○大和与一君 領空というのはどういうことなんですか。
#113
○政府委員(加藤陽三君) 領空は、やはり領土及び領海の上空を領空と言っておりますが、ただ、領空が上の高さがどこまでかということは、国際的にも非常に問題になっておりまして、大体人間の支配し得る高さはどのくらいか、これがだんだん変わってきておりますから、だんだんむずかしくなってきているということでございます。
#114
○大和与一君 こちらから積極的に出ることはないというお話ですから、かりに、平時の場合は問題ありませんけれども、有事の場合に、領海にしても三海里が国際条約によってきめられたようにできるか。領空だってそんなうまいこと、何も幕がないのですから、そんなにいかぬと思うのですが、それは適当に移動して、相当の幅があるわけですか。
#115
○政府委員(加藤陽三君) 船にいたしましても飛行機にいたしましても、それぞれ自分の位置を測定する装備を持っておりまして、大体自分が領海なり領空なりを基準にして、どの位置にいるかということは絶えず把握いたしております。
#116
○大和与一君 この前、長官の御答弁を聞きますと、もし万一のことがあった場合に、座して死滅を待つよりもという言葉がだいぶ出たのですが、じゃあ一体、一ぺん立ち上がってぽんとやったら必ず勝つから、黙っておれぬからやるのですか。それとも、そんなものは相手の力関係によって、今のような日本の力の場合に、実際に進んで行ってもとても勝てそうもないことが幾らでもあるのですね。そういう場合に、次の答弁をしていない。座して死滅を待つよりも、自衛力がある。まあ自衛の問題は別として、一つの仮説として、一体そういうときにやるということですか、やるという場合にどういうふうにやるのか、それをちょっと聞きたいのです。
#117
○政府委員(加藤陽三君) 日本の防衛の方針につきましては、たびたびここで御説明があったわけでございますが、あくまでも自衛隊というのは、日米安全保障体制のもとに、日本に対する侵略を抑制しようということでございます。でありまするから、どちらから発動するというふうなことはない。万一侵略があった場合に、初めて日本としても自衛権を行使するということになるわけでございます。で、これはどういう形の侵略があるかわかりませんけれども、もしありますれば、これは自衛隊は今の体制のもとに全力をあげてやるということになるだろうと思います。
#118
○大和与一君 日本では核兵器を使わない、また、今お話があったように、向こうからきた場合には迎え撃つことがあるだろう、こういうことでありますけれども、もしも今陸上とか海上とか空とか、日本の国内のものは動かなくても、今もう弾道弾がたくさんあるんですから、そういうものが飛んでいった場合に、それは故意でやるか不作為でやるかわからぬけれども、そういう場合に日本としてそれに巻き込まれるというおそれが十分あると思う。それは長官、どうですか。
#119
○国務大臣(西村直己君) われわれは、明らかに故意でなくて、ただ過失であるという認定、これはできればいいのであります。ただ、できないというような場合に、突然起こってくるということは、まず普通は想像ができないと思います。長距離の、ミサイルが日本に撃ち込まれれば、大体において私どもは、一応自衛隊の任務としては、あくまでも侵略ということを前提にいたしております。それに対する自衛。ところで、向こうが大きななぎなたでぶってきたら、日本では自衛力が十分でない、その通りであります。しかし、われわれは、その与えられたる範囲内で全力を尽くすと同時に、大きな攻撃力に対しましては、安全保障体制による抑制力と申しますか、戦闘力を使っていく、これ以外に道はないと思います。
#120
○大和与一君 極東の範囲というのはどうですか。
#121
○国務大臣(西村直己君) 大体安保等で相当議論になりました。安保条約の前提に、フィリピン以北日本の周辺と申しますか、そういうような表現で使っております。
#122
○大和与一君 だから長官、その極東の範囲内においてある一つの問題が起こったときに、今は日本の陸、海、空は、こっちへ攻めてこなければやらぬと言っているけれども、極東の範囲というものをきめておいて、それに対する一つのトラブルに対しては、やはりこれに対して十分あなたの方では、進むか、あるいはどうかわからぬけれども、考えているわけでしょう。それに対して、その範囲内で起こったことについて知らぬ顔するわけじゃないでしょう、その意味で聞いているのですよ。
#123
○国務大臣(西村直己君) 極東の範囲におきましてトラブル、特に戦闘的トラブルが起こりますれば、われわれとしては情報その他において非常な関心事になります。その状態の進み方いかんによりましては、われわれの方も、これはいろいろな不断の、たとえば情報の面におきましてそういうようなクーデターが韓国に起こったということになりますれば、これはもう申し上げるまでもなく、日本のいろんなものに響くかもしれません。そういうときには、情報なら情報の面だけでも、任務を強化するということはあり得るわけです。ただ、問題は、自衛隊の発動であるとかいうような問題になりますと、これは私だけではございませんで、それはもう当然シヴィル・コントロールとしての国会の御承認を得るという問題になって参ります。ですから、極東の安全が動揺をするという場合におきましても、まずわれわれとしては正確なる事態の把握、これは当然われわれとしてはまず第一にやらなければならぬ、また、御存じの通り、航空自衛隊におきまして、各地にレーダー・サイトというものを持っております。それを二十四時間不断に領空侵犯等が起らぬように、一応の常時情報と申しますか、そういう活動をいたしておりますことは事実でございます。
#124
○大和与一君 極東の範囲、極東といっても、領海三海里からとりあえず極東ですからね。だから、逆にいうと、日本の国内に領海、領空を含めて、どこかから攻めてきた場合にはこれを受けて立つ、こういうととは一応おっしゃっておる、それはわかる。だけれども、それ以外に、今の問題は、やはり出ていくわけじゃないですか。日米安全保障条約はありますよ、事前協議もある、だからそれはきちんと手順をふんで話を進めていってやれる場合、やれない場合がある、これはわかる。だけれども、日本に全然関係がないのだから、たとえばアメリカが何か言って勝手に何かしても、それは高みの見物をすればいいんでしょう。
#125
○国務大臣(西村直己君) ちょっと御質問の趣旨が十分あるいはとれていないかもしれませんけれども、私どもとしては国土の守りでございます。領土あるいは領空、あるいは領海、また、領海を守るに必要な限度において、おそらく自衛力というものは、いざという場合には動くでありましょう。その前提として、われわれとしてはいろんなレーダー・サイトを持ち、あるいは情報活動をする、こういうことでございます。もし事がわが国土の侵略ということになりますれば、自衛隊はシヴィル・コントロールの手続をとりまして動き出す、防衛の任務に当たる、こういうことになる。ですから、外へ出ていって自衛隊が活動するということは、一応われわれは考えてないわけであります。
#126
○大和与一君 アメリカとの関係をちょっと聞きますけれども、今はもう独立したんだからアメリカとは一切関係なく、あらゆる国防体制というものは全部自主独立の形で計画、実行されておる、こう考えていいですか。
#127
○国務大臣(西村直己君) もちろん防衛力を増強いたしましたりすることにつきましては自主的でございます。ただ、問題は、つながっている部分を今申し上げますれば、防衛力の物的面におきましては多くはございません。本年度におきまして一応期待しておるのは二百十三億ぐらい、国の予算は千七百十七億の防衛庁費でございます。その限度におきましては米の供与を受けております。あるいは技術の教育と申しますか、ナイキの部隊を派遣して教育を受ける、そういうところにおいて関係ございます。いま一つ大きな関係は、日米安全保障体制としての条約上の共同防衛体制という、こういう関係でございまして、従って、自衛隊は自主的にすべてやっている、ただ、集団安全保障あるいはMSA協定等の関係から、そういう面から起こってくることは関係が他にもございます。
#128
○大和与一君 最近の兵器の発達によって、たとえばアメリカにしても、大陸間弾道弾や、あるいはポラリス、こういうものがありますが、現在何かあった場合に、アメリカの一番最新の兵器だと言えると思うんですが、どうですか。
#129
○国務大臣(西村直己君) 私どもが知る範囲におきましては、ポラリスであるとか、あるいはICBMのごときは、一つの大きな抑制力としての新しい最新の兵器だと、こういうふうに私どもは了解いたしております。
#130
○大和与一君 そうなると、アメリカとしても、日米安全保障条約はあるけれども、日本の周辺に基地をたくさん置いたりすることは、もうこの高度に発達した近代戦の中においてはそう必要ない、だから軍事基地にしてもだんだん縮減をする方向にある、日本政府としてもそういう方向で話し合いをしていいんではないかと、こう考えますが、どうですか。
#131
○国務大臣(西村直己君) 大きな兵器は、もちろん大きな兵器なりの大国間の戦争抑制力としての意味があると思います。と同時に、ケネディの国防教書等にもその思想が現われておりますが、同時に、その他の補給、修理、いろいろな面におきまして、また局地戦におきましても、時と場合によれば、わが防衛力が十分でない段階での戦争体形も、あるいはあり得るかもしれません、局地戦において。こういうような場合において、共同防衛というような点から、私は、やはり基地は必要だと思います。ただ、その基地が今後のいろいろな世界の話し合い、平和への話し合いの努力等を勘案いたしまして、これらと、またいろいろと基地に対する考え方を整理して参る日もくればくるのでありますが、当面としては、私どもは今の基地は基地なりで、その使命があると、こう考えております。
#132
○大和与一君 ゼロとは言わぬですけれども、比較的にというか、だんだんとそういうものは減ってきて、必要がないから減ってくる、こういう形の日本とアメリカとの軍事体制、共同体制、そういう方向は打ち出されておるんじゃないかと思うんです。それはどうですか。
#133
○国務大臣(西村直己君) 必ずしも私はそう言い切れぬと思います。ということは、今日戦争体形が全面戦争というものを予定しますれば、それは大きな最新兵器だけであるいは片づくかもしれません。その際における局地戦というものを考えなければなりません。じゃ、日本の自衛隊が、わが国の侵略に対して十分に、しかも長期間にわたって備え得るかというと、御存じの通り、その能力はない面もあります。それは侵略の形態にもよりますが、ある期間の維持力というか、もちろん抵抗力はございます。従って、そういう意味からいたしまして、基地、あるいは少なくとも海上におきまするところのいろいろな戦闘能力、第七艦隊の補給、こういうような面から考えましても、私は、やはり基地というものは、ある程度は日米間において相互安全保障条約をやっておる以上は認めなければならぬ、とう考えております。
#134
○大和与一君 そうすると、二、三年前までは知らぬけれども、日本の力というものは、米軍の救援隊が到着するまで、約三カ月といいますか、それまで防衛しておったらいいのだと、こういうような話がやや正確にあったのですが、これは今ではナンセンスだと考えていいですか。
#135
○国務大臣(西村直己君) この日本の自衛力、抵抗力は、侵略と申しますか、そういう前提がどういう形になるかによって非常に私は違うと思うのであります。その前提によっては、あるいは半年になり得るかもしれないし、三カ月になるかもしれません。あるいはものによっては、間接侵略態勢のような場合におきまして、あるいはもっと長く抵抗力があるかもしれません。しかし、同時に、それらを固定的に考えるわけにはいきません。御存じの通り、起こってくるあらゆる事態に対処するという面から考えますと、私どもは三カ月だけ持てばいいんだ、一カ月持てばいいんだと固定的に割り切るわけにはいかない。しかし、御存じの通り、国の財政力、民生安定等を考えつつ、そこにある常識的の線で防衛力の整備なり自衛力の漸増をはかっておるのでございます。
#136
○大和与一君 これは極端な話でなく、さっきも言ったように、ポラリスなり大陸間弾道弾その他、これらは何といっても今の第一線の兵器だと思うのです。そうすると、それとにらみ合わして考えた場合に、三カ月と区切ったわけじゃないけれども、日進月歩というのですから、時間とともに進んで、そういう兵器の発達というものを見れば、日本の陸なり海なり空なりに直接に大して影響はないじゃないか、直接にボタンでいっちゃうじゃないか、こういう世の中になってきたのだから、そういう意味において、それ以外の、補給その他はわかりますよ、わかるけれども、私は、そういう気持で日本の防衛体制がなされておると、そこにむだ金も使われるし、きわめて非近代的なことに、非科学的なことになるのじゃないかと、こういうお尋ねをしているのです。
#137
○国務大臣(西村直己君) 確かに全面戦争に対しては、今の最新兵器、特にお話のような兵器は効果もありましょうし、また、それ自体が使われなくても、大きな大国間の一つの抑制力になる。しかし、われわれは、同時に局地戦、局地紛争というものは、現実にアジアにおいても各地においてもあるのでございます。局地紛争に対する在来型の兵器によるところの基地、こういうものも、ある程度は補給とか、そういうものは考えていかなければならない。そういう意味から、私は、安保体制の中にも、例の新兵器だけじゃなくて、在来型兵器による共同防衛ということも当然あり得る。全面戦争のみならず、局地戦争ということも一応前提にして、私はアジアの安全なり平和なり、日本の安全、平和というものは考えられてしかるべきだと、こう考えるのでございます。
#138
○大和与一君 アメリカの無償軍事援助というのは限度があるのですか。
#139
○政府委員(加藤陽三君) 米国の無償援助の方式につきまして、これは向こうで法律が作られておりまして、同時に、毎年国会で軍事援助の予算をきめるわけでございます。その予算の範囲内におきまして、政府が各国に援助をしているという状況でございます。
#140
○大和与一君 たとえばヘリ空母を作るというような場合に、向こうが好むときに好む場所にその金を使うということですか。こちらの意見は通らないのですか。
#141
○政府委員(加藤陽三君) これは向こうの法律及び予算の範囲内でできますことならば、ある程度国務省、国防省の方に権限があると思います。それをどう使うかということにつきましては、各国のいろいろな状況を見て米国政府がきめるだろうと思います。
#142
○大和与一君 そうすると、こちらとしては、これは無制限、無条件受け入れですか。向こうの範囲はありますけれども、こちらは、向こうからここにぜひ使いたいと言ってくれば、その通りにどうぞと、こういうわけですか。
#143
○政府委員(加藤陽三君) それはそんなことはないのであります。日本の欲せざるものをもらうということはありません。お互いの話し合いで、ほしいものについて援助を受け取るという状況でございます。
#144
○大和与一君 それは全体のうちの金額と比べて、何パーセントぐらいですか。
#145
○政府委員(加藤陽三君) 全体の金額とおっしゃいますのは、アメリカの無償援助の総額ですか。
#146
○大和与一君 大体です。
#147
○政府委員(加藤陽三君) 日本の予算といたしましては、先ほど長官おっしゃいましたように、二百十三億ぐらいでございますが、詳細は防衛局長から申し上げます。
#148
○政府委員(海原治君) かわってお答え申し上げます。
 昭和二十八年以来三十六年までのことを申し上げてみますと、その間にアメリカから供与を受けました総額は、一応五千百二十六億という推定がございます。これに見合うものといたしましては、警察予備隊以来保安隊、自衛隊になりましたときの物件費だけを計算いたしますと、約五千三百三十二億、すなわち、アメリカ側から援助を受けましたものは五千百三十六億、自衛隊の建設に今日まで使いました物件費の総額は五千三百三十二億ということでございます。
#149
○大和与一君 これはほんとうの無償でくれるのですか。まさか返せとは言わぬだろうけれども、長官として、こういうただでものをもらうことを遠慮なくやっていいのですか。
#150
○国務大臣(西村直己君) 御存じの通り、わが国の自衛力は、昭和二十六年以降、警察予備隊から発足いたしました。そのころの国力というものは非常に日本もございませんでした。特に戦後における民生安定が大問題でございました。従って、相当な額というものを援助を受けたわけであります。しかし、御存じの通り、今日はもう援助というものはぐっと減って参りまして、アメリカ援助の今年度の期待額が、防衛庁予算が千七百十七億に対して、二百億か二百十三億ぐらいを期待する、こういう程度でございます。そのかわり、米駐留軍の陸上部隊等も相当数いたのが、ほとんど今日は陸上部隊のごときは、五千名の補給部隊が残っているにすぎない、こういう状態に変わっているのであります。その意味においては、日本の自主防衛という形に移ってきていることは間違いありません。
#151
○大和与一君 そうすると、こういう無償援助を御辞退申し上げる時期が近き将来にありますか。
#152
○国務大臣(西村直己君) われわれといたしましては、一応そういうことは不断に向こう側と折衝して参りまして、わが国で新しい技術面とか、あるいはまた万やむを得ない部分、またアメリカも供与しよう、それらの話し合いを続けながら、無償援助というものは急激に減らさぬように、もちろん向こうのドル防衛その他の関係もありますから、われわれは今後援助というものは減る傾向にある、こういう前提に立って防衛というものを考えております。
#153
○大和与一君 第一次防衛計画の骨組みというのは、やはり北に対する重点的な配備というのですか、そういうふうに大体考えて、そうして直接的な侵略を防ぐというのが一口にいって赤城構想というものではないかと思いますが、そうですか。
#154
○国務大臣(西村直己君) 自衛隊第一次の防衛力整備の構想も、やはり私は必ずしも北だけに限るとは思いません。北海道に、たとえば今回の法案でお認め願う十三個師団のうち、四個師団を置くということは、一つはあそこは地域が広いということと、もう一つは、有事の場合における内地からの輸送力等にも時間を要する、非常に困難でございます。そういうような面を考えるのでありまして、特別にあそこだけを取り上げて北方防衛を強化するという意味ではありませんで、国全体を考えての配置と、こういうふうに御了解いただきたいのであります。
#155
○大和与一君 ちょっとそれはこじつけみたいで、あまり了解できませんが、北海道に約三分の一、五万人ぐらいいるのです。いわゆる新関東軍ができつつあるかもしれない、その内容はわかりません。だけれども、私は、やはりそれは長官そんなにおっしゃるけれども、やはり一つの防衛体制として重点的に幾つかの要素があると思います。そうすると、今までの一つの見方からすれば、これはやはり北に対するあなた方の考え方がおのずからそこにちゃんといっているということは、これは言えるのじゃないですか。
#156
○国務大臣(西村直己君) もちろん遠隔の地であること、一つは国境を持っていること、これは当然であります。しかしながら、同時に、今度の十三師の配置をごらんいただきますと、広島にも、あるいは相馬ケ原のある群馬県の前橋近く、こういうものにも配置をふやして新師団を置く形になるのでありまして、必ずしも北だけに全部の重点を注いでいるということでもないと私は思っております。
#157
○大和与一君 場所が広いということはあまり理由にならぬのだけれども、第七混成団の、これはペントミックとして立つわけでしょう。近き将来できるんでしょうか、できたんでしょうか、昭和三十何年か、私は、やはりこれは少し私どもの言い方も必ずしも百パーセントよくないけれども、日本とソ連とが平和宣言をした、それでその後平和条約を結ぶというやっぱり話し合いが進みつつあるわけなんです。それがまとまらない。まとまらない理由が、領土の問題なんかからむのですけれども、もちろん国民感情もあるし、むずかしい問題だけれども、やっぱり一つには、そんなこと言ったって、こっちにはえらいたくさん自衛隊がおるじゃないか、こういうこともこれはまあ一つの理由にはやっぱりなるわけですよ。そういう点はどのように考えられますか。
#158
○政府委員(海原治君) ペントミックについてお答え申し上げます。北海道第七混成団の機械化ということは、先生のおっしゃったペントミックとは趣を異にしております。ペントミックと申しますのは、先般も御説明いたしましたが、米陸軍におきまして核装備を持った空輸が簡単にできるような師団というものでございまして、北海道第七混成団の機械化ということは、これは軍事技術的に申し上げますと、あの広いところでございますので、少なくとももう一つ、二つの師団がほしい、しかし、それはできないことだから、いわゆる機動的に使えますような師団を一つ置きたいということから、機動力の強化というので考えておりますものが第七混成団の使い方でございます。従いまして、ペントミックということとは全然無関係のものであるということを御了解願いたいと思います。
#159
○大和与一君 それで、まず最近の韓国のクーデターの状況ですね、これによって日本の防衛体制としては新しい一つの転機がきているんじゃないかと、こういうことを私はしろうとなが
#160
○国務大臣(西村直己君) 韓国のクーデターに対しまして、特にこれを契機として防衛体制を変えるという考えはございません。やはりわれわれは民間の友好というものをもちろん考えまして、敵国とか、敵視するということは何ら考えない。ただ、国内の防衛といたしまして、九州にも、あるいは中国にも、あるいは北海道にも、それぞれ国土、国情に応じての師団配置を考えておる。クーデターに対して特別なということはない。また、しないという考えでございます。
#161
○大和与一君 そうすると、逆に言うと、韓国でもし何かの間違いがあった場合でも、こっちは関係は絶対ないわけですね。日本からどうするということはありませんね。
#162
○国務大臣(西村直己君) もちろん韓国でどういう事態が起こりましても、われわれは国土の防衛でございます。国内においてその事態を正しく把握し、そして国内においての必要なる限度のいろんな措置は、また、大事な段階におきましてはシヴィル・コントロールの精神がありますから、その範囲内におきましてわれわれは国土の自衛をする、これだけの考えでございます。
#163
○大和与一君 ただし、アメリカは、韓国で問題があった場合はだまっておりませんよ。そうすると、アメリカが日本と特別な十分な話し合いはなくて、そして緊急事態とか何とかいって、勝手にポラリスを飛ばしたり弾道弾を飛ばしたりするかもしれないのですよ。そういう場合にも日本は絶対に関係ございませんね。
#164
○国務大臣(西村直己君) まあ他国のことですから申したくありませんけれども、御質問かありましたが、かりに何らかそういう事態が起こったにしましても、これは日本の自衛と直接の関係はございません。従って、日本の基地を使って直接戦闘参加にいくということになれば、御存じの通り、事前協議の対象になるわけであります。
#165
○大和与一君 まあそうはいうものの、私もいろんな本を読んだりしますと、防衛庁の中では、これは決して悪い意味ではなくて、やっぱり韓国に対する新しい一つの危機感という、あるいはまた従来であれば北に対する非常な思惑とか、こんなものがいろいろ出ておりますが、非常に露骨に書いてある、本に。その意味で私は聞いているのであって、それをあなたは、まるで全国万べんなくうまいこと防衛体制を組んでいるといったって、中味はからっぽですから、そうだといってもほんとうにやれるかというと、力はないと言う。アメリカから無償で幾らでももらっていいとおっしゃるのだから、そういう意味の防衛体制はないと思います。やっぱり防衛庁としては、一つ重点的な幾つかの、一つ、二つの大事な要素を持った計画の根幹になるものはあり得るのですよ。その点を長官、しろうとですから、専門から聞かせて下さい。
#166
○政府委員(海原治君) 私どもの考えておりますことは、先般来長官が御説明しておるのとちっとも変わっておりません。これはまあいわゆる内局の私どもの係でございませんで、いわゆる統合幕僚会議におきましても、あるいは陸、海、空、三自衛隊の任務、いわゆる有事の場合の行動の基本ということにつきましては、先ほど来長官の御説明にありました点を私どもとして正しい線として認め、また、計画し、準備しておる次第でございます。重点ということになりますと、やはりここに書いてございますいわゆる直接及び間接の侵略に備えて、与えられた任務というものを最も的確に実施するように、予算の制限、法律制限の範囲内で考えておる次第でございます。十三個師団の配置につきましても、北海道及び九州等が、一応本州と交通の便等を考えますと、一つの補給等の点で問題がございますので、ある程度の部隊の厚さというものはございます。それ以外の本州につきましては、それぞれの場合を想定しまして配置を行なう、こういうことで実施いたしておりますので、御了承願いたいと思います。
#167
○大和与一君 大蔵省関係おられましたね。大蔵省と防衛庁との財政的な窓口での折衝をしょっちゅうやっているわけですけれども、これは大蔵省としてはどういう考え方で防衛庁と折衝しているか、一つ基本的なものがありますか。
#168
○説明員(新保実生君) 非常に大きな問題でございますが、自衛隊の予算を作り上げるにつきましては、一応既定の部隊ができ上がっておりますので、その部隊を維持するためには、翌年度においてどの程度経費が必要であるかという見積りを第一にいたします。その次に、新たに幾ら増勢するかという問題があるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように、国防の基本方針というのが定められておりまして、国力、国防に応じて漸進的に自衛力を整備していくという基本方針がございます。と同時に、防衛力の漸増にあたりましては、民生の安定とか、そういうほかの各省の一般の施策がございますので、そういうものを圧迫しないように、それとバランスをとりながら効率的な自衛力を漸増していく。そういう基準に照らしましてそれぞれの年度の増勢の規模を決定しておるわけでございます。
#169
○大和与一君 だいぶむずかしいですけれども、今の代議士をやっている賀屋さんが大蔵大臣をしていたときに、軍事のことに詳しくて必ずしも軍隊の意のままにならなかったという時代があったことをちょっと記憶しているのですが、今の大蔵省のあなた方は、陸、海、空について、軍事予算についてほんとうに権威ある実力を持っているということを自負されておりますか。
#170
○説明員(新保実生君) 軍事的な知識につきましては、もちろんしろうとでございますけれども、防衛庁の予算の構造は、金額的には非常に大きいわけでございます。しかしながら、その大部分は人件費だとか生活経費と申しますか、私ども営舎費と申しますが、一般の官庁と違いまして、二十四時間の起居をある一定の施設の中で行なっているわけでございます。そういう生活経費が相当多額を占めております。また訓練、演習も、それぞれ専門の方が、こういう費目については何時間というような基準ができております。従って、防衛庁費のおそらく六割なり七割に相当する部分は、そういう人件費なり生活経費なり、そういった一定の基準でもってはじき出されるような性質の経費が大部分でございます。新たにどういう艦船なりあるいは航空機を作るというような問題につきましては、これは専門の防衛庁の方がいろいろな角度から検討されて要求を出されるわけでございまして、それに対して、私どもとしては、ほかの施策との関係を考慮しながら一定の増勢の規模を考える、こういうことになりますので、必ずしも軍事専門的な知識が百。パーセントなくても、これは予算を作る仕事につきましては、一応やっていけるのではないか。もちろんわれわれの能力十分ではございませんが、そういう問題につきましては、かねてから専門家の意見も聞き、ある程度の勉強はいたしておるつもりでございます。
#171
○大和与一君 私の調べたところでは、大蔵官僚は出世が早くて、ちっともポストに落ちついていない。どんどん動いておる。防衛庁の方はちゃんと落ちついている。いまに押しまくられる。やはり国家民生全体の安定と経済のためにやらなければならないから、その点はえらい人によく言っておいて下さい。そういう傾向がある。
 それでは次にいきます。長官にお尋ねしますが、シヴィル・コントロールというが、こればかりは英語を使うが、日本語で何といいますか。
#172
○国務大臣(西村直己君) これは私の解釈では、政治優位というふうに解釈すべきじゃないか。政治優位でございますね。言いかえれば民主主義的な軍隊管理でございますね、こういうふうに私は解釈すべきじゃないかと思うのでございます。よく世間では文官優位と申しますが、文官は私の補佐官でございます。そうではございませんで、憲法上の用語を多少拝借すれば、文民優位という言葉がいいかもしれませんが、私は、正しい意味では政治優位、軍が政治を支配するのではなく、政治が軍的なものをきめていく、その政治は民主主義政治である、こういうふうに私は考えております。
#173
○大和与一君 それは大へんいいことを聞きまして、おそらく国会議員でも、それを知っておられるのはあまりいない。文官優位ぐらいだと思って普通に考えておりますが、そこが政治家の長官としての発言になるのだろうと思います。政治優位というのはむずかしいですね。そこで、長官は、何といっても政治が根幹だから、政治がよくなければ、いろいろなことをきめてもよくないということをこの前からおっしゃっているのですが、この点はわかっております。しかし、政治優位とはいいながら、文官優位とはいいませんが、やはり何といいますか、公平な調整がなされなければいかぬと思うのだが、その辺どうも……。これは平時の場合は問題はありませんよ。しかし、今ちょっと大蔵省と話をしたのだけれども、やはりこれは有事の場合に、一体政治優位というのは、これは長官だけの御意見ですか、閣議の決定ですか。
#174
○国務大臣(西村直己君) これはもちろん言葉の問題ではございませんが、言葉の問題になりますと、これは法制局長官あたりにお尋ねしていただく方がむしろ正確かもしれませんが、これは歴代の内閣におきましても同じような解釈をし、また、同時に、法の立て方、たとえば防衛庁法、治安出動あるいは防衛出動、あるいは私の上に総理がいること、そうして総理大臣は国会において民主的に選挙される、こういうような関係から私はこの原則は立っておると思うのであります。
#175
○大和与一君 しかし、これはやはり若干問題になるかもしれませんよ、あとから。やはり防衛庁なんだから制服の人もたくさんおるわけです。それらの意見がうまくまとまっていく場合に、何か問題が起こったときに、これは文官の方よりも制服の方が専門家だから、これはよくわかる。それを政治優位ということで、総理大臣なり防衛庁長官だけが個人的な見解でやるわけにいかないでしょう。そうなると、最高の最終決定というものは一体どこできめる、その構成はどうなる、それは一体多数決できめるのか、こういう点をまず聞きましょう。
#176
○国務大臣(西村直己君) 平素の、たとえば政策上の基本的な問題は内局の補佐を受けて、私が統括者としての責任をとります。ただし、もちろん重要事項は閣議というものがございます。また、政府というものは、当然国会の十分なる意思を体してやっていく、こういうことに当然なっておるわけでありまして、私は、これはあくまでも十分近代国家としてのいわゆるシヴィル・コントロールの形は、世界的に決して負けているものではない、むしろ私は、日本の自衛隊というものは、シヴィル・コントロールの制度は一応よくできている、こういうふうに考え、また、外国の諸君もそういうふうに見ておるのであります。
#177
○大和与一君 これはしかし歴史的に見れば、もうほとんど数え切れないほどのたくさんの悪例があるわけです。そういう一つのデモクラティックな形があっても、実際にどうかなっちゃったら、みんなおっぽり出しちゃって、ぶっこわれて、一番あんたがひどい目にあうわけだ。その辺はやっぱりよほど何といいますか、あなたの今考えておる考え方はいいのだろうと思うのですけれども、その運営に限って。ほかのことは反対だけれども、ぜひとも今あなたのおっしゃった意味で、一つこれからも御努力してもらいたいと思う。私はもちろん基本的に絶対反対をしたい方だから、その辺を付言して、きょうは私の質問を終わります。
#178
○鶴園哲夫君 今、大和委員の質問の中で、米軍の基地の問題が出ましたが、私、基地の問題について若干伺いたいと思います。
 これは核武装は、日本におる米軍は核武装はしていない。さらに長距離弾道弾、中距離弾道弾という基地はないのですか、これらについて確めておきたいと思います。
#179
○国務大臣(西村直己君) 核装備、核の持ち込み、あるいは非常に大きな兵器を持ち込むことは、もちろんそれは現在しておりませんし、また、そういう事態が起こりますことは、当然事前協議の対象になる。
#180
○鶴園哲夫君 長官は、衆議院の内閣委員会での――たびたび衆議院の内閣委員会の文句を引用しまして恐縮ですけれども、できるだけダブらないために、衆議院の議事録をずっと目を通しておりますが、その中で長官は、日本の基地は、全面戦争阻止力に役立っておるような発言をなさっておられます。一体、日本の基地というのは、全面戦争の阻止に役立っておるのかどうなのか、その点を伺っておきたいと思います。
#181
○国務大臣(西村直己君) 日本に基地のありますことは、もちろん日本の安全のためであります。そうしてそれ自体が、直ちに全面戦争の抑制力と言えないにしましても、私は、局地戦というものを押えることが、やはり局地戦から発展して全面戦争になる、そういう意味では全面戦争の抑制力にも私は寄与しておると、こう申し上げておるのであります。
#182
○鶴園哲夫君 全面戦争の直接の阻止力にはなっていないという発言だと思うのですが、局地戦というものが全面戦争へ発展するという場合には役立つというようなお話ですからして、全面戦争に対しましては、直接基地というものが抑制力になっていないというふうにまあとるわけですが、これは核武装はやっていない、中距離弾道弾というものもない、ポラリス潜水艦の基地もない、あるいは常時核武装をした爆撃機が空中警戒をやっているというようなこともないということになりますれば、やはり長官のおっしゃいますように、全面戦争の阻止力には直接やはり役立っていない、昨年の秋に、ハーバード大学の国際研究所次長、アメリカの統合参謀本部政策顧問キッシンジャー博士、この方が見えましたときに、防衛大学や、あるいは防衛の研究所あたりでも盛んに講演をなさったそうでありますが、このキッシンジャー博士が、日本の基地は全面戦争の場合においては必ずしも必要ではないという発言をなさいまして、相当当時新聞等におきまして波紋を描いたわけでございますが、確かに長官もおっしゃいますように、またこのキッシンジャー博士がお話のように、全面戦争に対しては抑制力としてはやはりない、特に三月の二十八日ケネディ大統領が国防予算教書を発表されましたが、こういうものを見ましても、そういうことがはっきり裏づけられると思うのです。そこで長官に伺いたいのですが、日本の基地の任務、役割というものはどういうものがあるのか、それを伺いたいと思います。どういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
#183
○国務大臣(西村直己君) 日本の基地を与えておりますことは、安全保障体制からきておると思うのでありまして、これは私から申し上げるまでもなく、安全保障条約から地位協定ができて基地が与えられておるのであります。従って、基地の意味というものは、日本自体にとっては、直接局地戦的なものであります。ただ、その補給源等、あるいは修理能力等の点から置きますれば、艦隊行動等に対してそういうものを提供しておることは、全面戦争の抑制力にも間接的に私はやはり必要だという意味でも基地がまた与えられておると、こう思うのであります。いま一つは、基地は、当然そういう意味で備えるためには訓練の場になるわけであります。こういう意義があると思います。単に基地を有事の場合にだけ使うのではありません。平素の訓練にも使う、あるいは平素駐留するいろいろな要素にもこれが主として使われる、どういうふうに基地というものを私は受け取っております。
#184
○鶴園哲夫君 日本の基地にありますところの米軍、あるいはこれから入ってこようとする米軍に対しては、核武装、これはしない、あるいは長距離弾道弾とか中距離弾道弾の基地というものに対しては、今のところないということになりますと、あるいはポラリス潜水艦の基地もないということになりますれば、今全面戦争というものを阻止している力というのは、これはケネディ大統領がこの予算教書の中で言っているように、はっきり全面戦争を阻止している力というのは、ミサイル阻止力の問題、それから核武装したポラリス潜水艦の問題、それからスカイ・ボルト、あるいは八分の一の重爆撃機が常時空中を警戒している、しかも核武装をして。こういう要素によって全面戦争というものは起こり得ない、先制攻撃、奇襲攻撃というのは無意味だという断定をしておるわけでありますから、その意味では日本の基地というのは、全面戦争の阻止力というものは、やはりキッシンジャー博士が言うように、ないものというふうに見なければならぬのじゃなかろうかと思います。なお、今の基地の問題につきまして、在日米軍基地の役割はどうだということについてキッシンジャー博士が言っているわけですね、二つあげております、日本の基地の役割を。若干我田引水でもありますが、言っていることは、一つは純粋に軍事的な利用だ、日本の防衛のための軍事的なものだと言う。もう一つは、これは政治的心理的な問題だ、日本に基地があれば、日本を攻撃したら米軍を戦争に巻き込む、こういうような心理的な圧力によってそういうような心理的な効果があるという二つの点をあげておるわけです。この発表がありましたときに、若干の軍事評論家等の評論が載りまして、どうも公平に見てキッシンジャー博士の日本基地役割論というのは、どうも消極的で説得力が少ないというふうに言われたわけですが、私も、どうもこの説得力が少ない、ことにケネディ大統領が三月二十八日に国防予算教書、これを出されまして、それとの関係で見ますと、どうも説得力がないと思うのです。あるいは今のアメリカの戦略、戦術からいえば、この二つの理由というものは浮いてしまっているのではないかという感じがするわけです。そこら辺についての長官の一つ所見を承りたい。
#185
○国務大臣(西村直己君) キッシンジャー博士がどういうふうな御意見を言われましたか、これは一つの学者でございますから、そういう立場からの批判をされたのだろうと思います。ケネディの方はアメリカの、御存じの通り、最高の責任者で、その国防予算特別教書は、国民にその協力を求める意味で国会に訴えると同時に、予算要求をいたす説明である。同時に、またアメリカ国民に、あるいは友国であるそれぞれの国、あるいはその他の世界に一応自分の防衛に対する意思を表明したものだと思うのであります。従って、私は、アメリカの意思といいますか、アメリカの国防、あるいは安全保障に対する考え方というものはケネディの教書を主体にして考えております。そうなると、その考え方といたしましては、今言われましたような教書の中にもはっきり書いてあるのでございますが、やはりアメリカのケネディの教書自体におきましても、局地戦というものを相当重要視している。局地防衛の主要負担は、地元住民や地元部隊が負わねばならない。しかし、このような脅威が起こる見込みが強く、かつ、その脅威が重大な場合には、また基地も必要であるという趣旨のことを書いて、その基地というのは、輸送であるとか、あるいは貯蔵であるとか、その他の能力のために基地が必要である、こういうふうな思想で私はこれをすなおにまた日本の防衛の立場から受け取って、日本の防衛の立場から基地というものに対しての考え方をきめて参りたい、こういう趣旨でございます。
#186
○鶴園哲夫君 私は、今のキッシンジャー博士の所説、いわゆる基地の役割という二つは、単に学者のお話ではない。アメリカの統合参謀本部政策顧問、日本に来られまして、防衛庁でも非常に歓迎をされた方であります。その方がこういう二つの基地の役割、いかにも確かにこういう役割があっただろうと思うのですけれども、すでに先ほど申し上げましたように、全面戦争というものに対する阻止力としては非常に弱くなっておる。むしろないのではないかというふうに私は思います。長官は補給地だとか、あるいは出動の基地だというようなお話でありますが、こういうものは、日本国民に対しましては、恐怖こそ与え、何らの私は日本国民としては期待感が持てないのじゃないかと思うのです、それがあることによって、問題は、従いまして局地戦あるいは限定戦争というものになるのじゃないだろうかと思うのです。確かに今長官のお読み上げになりましたように、大統領は確かにその点を指摘をし、さらにまた、それに相応して日本の自衛隊も第二次防衛計画もそういうふうに組み立てられておるというふうに思います。で、これは同じく衆議院の内閣委員会におきまして、海原防衛局長は、第二次防衛計画というのは、あくまで限定戦争というものを想定して立てるということを明言しておられるわけですが、ケネディの政策に即応して出てきたものだというように思います。この限定戦争でありますが、一体その限定戦争になった場合に、かりにラオスなり、あるいはその近辺において限定戦争が起こったという場合に、日本の基地からアメリカが出動していくということは、これは日本国民にとっては迷惑な感じしか受けないのじゃないか。あるいは戦争に巻き込まれるという危機を感じこそすれ、基地があることによって期待感とか、あるいはありがたいという感じを受けないのじゃないかというふうに思うわけです。さらに間接侵略とか、あるいは一国、あるいは二国以上の扇動教唆によって、国内において大規模な内乱あるいは暴動が起こったといいますか、そういう場合の状態を考えてみましても、長官の衆議院の中における言明は、アメリカ軍に依存しないというお話であります。確かにそうだろうと思う。依存しない、依存したくない。海原防衛局長は、場合によればおすがりすることがあるかもしれない、おすがりということではなくて、訂正をしておられますが、そういう発言。しかし、基地があるということによって、間接侵略なり、あるいはそういう大規模な内乱なりというものには役に立たないのではないか。たとえば、今のラオスなり、あるいはベトナムにしましても、SEATO結成以来のアメリカの第一線の基地です。同盟軍です。基地があるということだけでは防ぎ切れないものがある。今やラオスなどというものはどうにもならない。中立国にしようとアフリカさえ懸命になっておる。その中立国も不可能じゃないか、あるいは希望が持てないじゃないかという段階にきておる。従って、基地があるということによって、日本の防衛なり、あるいは間接侵略に対して対抗できるというものではないじゃないかと私は思う。そこら辺の見解を承りたいと思います。
#187
○国務大臣(西村直己君) 遺憾ながら、私どもといたしましては、御意見とは違った意見を持っております。御存じの通り、日本は確かに自衛力としましては、国力、国情に応じ、また、自衛の任務からいたしまして、局地戦というものを主体にして考えておる防衛力の漸増整備をはかっておるのであります。しかし、その局地戦といえども、非常に最悪な事態になった場合に、局地戦の形がどういう形で起こってくるかによって、わが防衛力で足らぬ場合には集団安全保障体制でいく、これは国連の憲章に認めておる当然のわが国の権利でありますから、それに従ってわが国は日米安全保障条約を結んでおるわけであります。
 また、基地があるからといって、直ちにこれが出動の根拠地に、ことに海外の日本侵略に対する出動の根拠地にはなります。しかし、海外の国々が侵略をされたからといって、日本の基地が作戦行動の基地になるということに対しては、事前協議という段階を、御存じの通り、経ることになる。しかも、アイク・岸共同声明では、両者が公の立場において、日本国民の意思に反しないようにという共同声明をしていることは、安保審議の際にもたびたび論議された点であります。私は、そういう意味におきましては、全面戦争に対しては間接的な抑制、また、局地戦に対しましては、日本の防衛に対しては直接的な抑制力になり、ある場合には共同防衛力になる、こういう意味で基地の意義は考えておるのであります。
#188
○鶴園哲夫君 これは長官の気持としてはわかるわけです。ですが、現実にラオスをお考えになってみまして、基地がある、第一線の基地――大へんに武力をつぎ込んでいる基地がある。アメリカも出動する、あるいはいろいろ援助をするというのですが、一体、ラオスの防衛はできるのかどうか、できていないのじゃないか。今や南ベトナムも非常な危険にさらされている。ですから、基地があるということによって、内乱的な大規模な紛争、あるいは間接侵略というものに対して対抗できるのかどうかという点については、ラオスがはっきり示しているのじゃないか。そういう現実の問題として、一つ長官の意見を承りたい。
#189
○国務大臣(西村直己君) 他国のことの批判は避けたいのでありますが、ラオスの現実は、御承知の通り、日本の国情とは全然違っております。地形も違っております。日本の国の中にはジャングル等はないと思います。そういう点からいきましても、いろんな要素を――私は、他国のことでございますから、ラオスの国家の批判は申し上げませんが、これはおのずから鶴園さんおわかりになっていただけると思う。日本の国情とラオスの国情が同じ、こういう前提に立っての御議論は、私は受け取れないのです。
#190
○鶴園哲夫君 私はそういうことを申し上げようと思ってなかったのです。私の申し上げようと思うのは、そういう軍事基地があっても、あるいは膨大な基地を構築しておっても、問題は、そういうような場合に間接侵略なり、あるいは他国の教唆扇動によって内乱的な、あるいは大規模な紛擾が起こったときに役立つのか役立たないのか。これは日本もラオスも同じだと思うのです。ジャングルがあるとかいろいろな問題がございますが、問題は、政治が信用されているかどうか、政治に対して国民が信頼しているのかどうかという点に、日本の国を守る、あるいはラオスを守る根本があるのじゃないか。それがラオスの場合においてはできていないのじゃないか、あるいはベトナムにおいてはできていないのじゃないか。従って、基地があるということによって間接侵略に役立つとかいうようなことにならぬのじゃないかというふうに思うわけなんです。ですから、そういう意味でお考えになって御見解を承りたいのです。
#191
○国務大臣(西村直己君) 私は、もちろん政治が基本である、国の守りに政治が基本であることは私も同感であります。しかし、御存じの通り、他国の例を引きたくありませんが、西ドイツにおきましても、あるいはイギリスにおきましても、自由圏の近代国家におきましても、政治が安定しながら、なお基地を持っておる。日本の基地というものも、決して無意味でないことを御了解願いたいと思います。
#192
○鶴園哲夫君 私は、やはり先ほど来から申し上げておるように、全面戦争に対する日本の基地というもの、アメリカの基地というものの抑止力というものは非常に少ないものであるし、認めなくなってきている。さらに全面戦争なり、あるいは局地戦なり、あるいは大規模内乱に対するそういう力というものも持ち得なくなってきているんじゃないか、持てないんじゃないかという意味で日本の基地というものを検討する必要があるのじゃないかというふうに思っておるわけです。それはそういう必要がないのだという御答弁だろうと思いますが、しかし、今日のアメリカのゲリラ戦なり、あるいは局地戦なりを見てみますと、これは日本としてどうしてもアメリカに言ってやらなければならぬ点があるのじゃないかと思うのです。軍事力の膨大なものを出していけば、それは結局独裁とか腐敗、基地はあるが、くずれてしまう、こういう状態にきておるのじゃないだろうか。
 そこで、私は、これから進みまして一つ伺いたいのですが、海原防衛局長が衆議院の内閣委員会におきまして発言しておられるのですけれども、どこからくるかわからぬが、潜水艦でくるか航空機でくるか、何でくるかわからぬが、とにかく日本としては間接侵略的なものが起こるんだ、あるんだと、こういう発言をしておられるわけです。私は、これは日にちを明示してもよろしいですよ、そういう発言をしておられるんですが、これははっきりしてもらわないと流言飛語になりますので、局長がこれはあまり言うことを差し控えたいというお話でありましたけれども、その議事録はそうなっておりますけれども、どうも差し控えたいというのは、あまりにも重大な発言でありますし、一体、どういうことを想定されておるのか、日本の大規模な紛争あるいは紛擾、あるいは間接侵略というものを。船でくるか潜水艦でくるか知らないが、いずれにしろ、あるのだというお考え方、一体、どういうことをお考えになっているのか、明らかにしていただきたい。
#193
○政府委員(海原治君) 先生の御指摘になっております私の答えというのは、もし私の記憶に誤りがなければ、たしか北海道において行なわれました演習の内容を防衛庁から説明いたしました際に、一体、そういう多数の、何と申しますか、外敵のようなものはどこからくるのかという御質問についてお答えしたときか、あるいは飛鳥田先生だったと思いますが、樺太からミサイルを打ち込まれたらどうするかという御質問があったときのいずれかだと思いますが、そのような想定、前提を設けることは私は適当でないという意味で実はお答えしたわけであります。しかし、私の方の防衛力の整備は、あくまで万一起こり得るかもしれない不幸な事態に備えて準備をするのでこういう御説明をしたのであります。従いまして、どこの国からどういうものがくるかということを想定して一々御説明することは差し控えたい、こういうことを申し述べたと記憶いたしておりますので、それはただいまでもそのように考えております。
#194
○鶴園哲夫君 そこで防衛庁長官に伺いますが、防衛庁長官は、国際共産勢力に対して現実に脅威を感じているというお話でありました、衆議院におきます御発言でありますが。それに対するやはり対策というふうな考え方を持っておられる。それと、私は今、海原防衛局長の発言と関連して考えますというと、やはり相当分析された想定に立っておられるのではないかというふうに考えるわけなんです。しかも、これから日本は限定戦争、これは海外派兵はするわけではないのでありますから、日本の国内における大規模な反乱、一カ国か二カ国以上の教唆扇動によるところの内乱、紛擾というものを想定しておられると思うのです。その分析があるならばお示しをいただきたい。どうも私はあるように見る、それをお示しをいただきたい。
#195
○国務大臣(西村直己君) 簡単に申しますと、防衛という仕事は、やはり一つの勝負事でございます。だから、いろいろな千差万別の場面を考えるということは当然でございまして、われわれが碁というものをやりましても、いろいろな想定のもとに布石をする、局面の変化によって。その意味で千差万別の布石をする。それを常時任務といたしておるわけでありますけれども、固定したものではないという意味で私どもがお示しするわけにいかない、そういう意味であります。
#196
○鶴園哲夫君 抽象的にはその通りだと思います。ですが、これは第二次防衛計画を作る、あるいはアメリカのケネディ大統領のああいう教書が出て、従って、局地戦なり、あるいは限定戦争というものを深刻に考えなければならぬというふうになってきていると思うのですね。その場合に、今のような抽象的な話ではとうてい納得できない。しかも、防衛庁長官は、国際共産勢力というふうにはっきり限定しておられるわけですから、まあ長官は、そのときに日本の置かれた立場としてこういうことを申し上げるのはどうかというふうなのが加わっておりますけれども、いずれにしてもはっきりしているのですから、どういうふうな想定をされておられるのか、日本における限定戦争、日本における大規模な騒擾というものですね。
#197
○国務大臣(西村直己君) 私が一つの例として国際共産主義の脅威というものを申し上げたのは、御承知の通り、共産主義の首脳部におかれましては、解放戦争は正義の戦争であると、たびたび戦争を是認している言葉があるわけであります。そういうようなことからいきましても、私は、やはり一つの戦争を抑止する、あるいは自衛する立場におきましては、一つのやはり勢力になるということは言えると思うのであります。そういう意味で申し上げたのであります。具体的に、それじゃどの国がどういうふうにするということを国会の席を通してわれわれが言うことはいけないことであるし、また、言うべきではないと私は思うのであります。
#198
○鶴園哲夫君 なるほどそういうことでしょう。確かにおっしゃる通りだと思うんです。ただ、私は、長官の国際共産勢力に対して現実の脅威を感じているというこの考え方、これはやはり長官が前置きしておられますように、日本の置かれる立場としては、慎重なやはり発言をすべき内容ではないか。特に憲法の前文の建前からいいまして、慎重なやはり配慮が要るのではないだろうかというふうに思っておりますが、国会の場においては、長官はその点をはっきり何回か言明をしておられる。どのようなものでございましょう。
#199
○国務大臣(西村直己君) 私は、先ほど申し上げましたように、やはり共産主義と申しましても、憲法の上から申しましても、憲法の思想の面から申しましても、自由であることは、ただ、共産主義というものの行動の中には、破壊というものを是認する面もあります。また、歴史の示すところであります。また、国際共産主義の戦列に加わっておる人たちの言葉の中に、戦争を是認する話も時おりあるわけでございます。これらも私は、一応われわれの自衛としては考えるべき場合もあります。しかし、具体的に、あるいは個々にということになって参りますと、もちろんわれわれはそれぞれの国と友好関係を結ぶのでありますから、個々の国に対してかれこれと言うことは慎んでいかなければなりません。基本は、何といたしましても、われわれは戦争というものを予定するよりは、むしろ戦争の抑制力としての自衛であるという前提に立っていることは、もうこれは繰り返し申し上げておる点であります。
#200
○鶴園哲夫君 私は、自衛隊法で定めるような、あるいは防衛庁設置法で定めてありますような立場を一つ堅持していただきたい。国会の場におきまして、国際共産勢力に現実に脅威を感じておる、そうして、いかにもそれに対する間接侵略なり、あるいは限定戦争のごとき印象を与えることは、これは避けるべきじゃないかというふうに考えておるものでありますが、ぜひ一つそういうような慎重な態度をとっていただくように要望申し上げておきたいと思う。
 それから、それに関連いたしまして、杉田幕僚長の発言、これは「よき中隊への道」ということで衆議院で問題になりまして、これに対する長官の答弁等を議事録で拝見いたしまして、非常に疑問に思う点がございますので、その上に立って若干御質問申し上げたいと思いますが、あの中にこういうことがあるんですが、自衛隊の中には共産主義者はいない、従って、そういう教育をやっても、これは憲法違反にならないというような意味の発言があるわけなんです。私は、自衛隊は国家公務員だと思う。国家公務員は、御存じのように、憲法九十九条によりまして、憲法を尊重する、あるいは擁護する、そういう義務を負っておるわけですね。その意味でいいますと、どうもそういうような教育をやるということはいけないのじゃないか。反共の士がおってもいいし、反自民党の人がおってもいいです。あるいは反社会党の人がおってもいいです。あるいはそういう団体があってもいいと思う。しかし、国の機関がそういう教育をするというごとはいけないのじゃないかというふうに思うわけなんです。その辺をどういうふうに考えていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
#201
○国務大臣(西村直己君) 私は、憲法はもちろん尊重いたします。思想の自由、言論の自由、従って、自衛隊員が、かりに他の問題でも、できるだけ自由な立場において意見を述べてもらうということもいいと思います。しかしながら、同時に、共産主義におきましては、破壊的な、あるいはもちろん右翼もありましょうが、破壊的な面という要素が伴いやすいことは、これはもう私から申し上げるまでもなく、そういう事例があるのであります。暴力による革命、あるいは憲法をこえた革命、こういうような面から考えますれば、共産主義に対してやはり一つのそういうことを教育することは、これはあたりまえである、事実を説明することだ。それからもう一つは、自衛隊の中には、私は、やはり共産主義を信奉する人は、おそらくお入りにならぬというのが常識だと思います。特別の意図がない限りはお入りにならぬだろう。特別の意図があって入るなら、これはあえて何をかいわんやでありますが、共産主義を信奉して、なおかつ今の自衛隊に入る、自衛隊をお認めになるというほど、日本の共産党は今の自衛隊を是認をされていないのではないかと私は思うのです。
#202
○鶴園哲夫君 私は、日本の憲法におきまして、思想の自由、あるいは信教の自由というもの、信条の自由というものを保障している。もし日本の憲法が、ある一つの思想を禁止しているというのであればともかくでありますけれども、そうではないのでありますからして、国の機関がそういう教育をやるということはいけないことではないか。これは個人が反共であり、反自民党であり、反社会党であることはけっこうです。それには自由がありますが、国の機関がそういうことをせられることは、これは問題がある。かりに今長官がおっしゃいますように、暴力的なものがあるとか、あるいは破壊的なものがあるとかいうものがかりにあったとしましても、日本の憲法というのは、厳として存在しておるわけであります。それを乗り越えたような教育というのが、国の機関において行なわれるということはよくないのではないかというように思うわけなのです。もう一ぺんお伺いするというのも少し何ですが、そこら辺のことがどうも事情が少しばかり――私、長官の衆議院における答弁等を見まして、若干ミステークがあるのではないかという気がしておるわけなのです。いかがでございましょうか。
#203
○国務大臣(西村直己君) 私は、自分で間違ってないと思っております。要するに、自衛隊は国土の守りであります。言いかえれば、外から、あるいは内側において秩序を乱す場合におきまして、与えられたる任務を遂行する。その場合におきまして、共産主義的な行動におきましては、秩序を乱すという場合が多いのであります。またこれは御存じの通りであります。その場合においての私は一つの――しかも、それに対して反対する者が入っているのに対して押しつけるのなら、これはまた一つの問題でありましょう。相手自体がそういうような立場で自衛隊に入ってくるのがほとんどであろう、そういう建前から私は事実をよく解明していくことは、憲法の思想を何ら侵害していない、こういう解釈でございます。
#204
○鶴園哲夫君 どうも長官が反共であってけっこうです。自民党員として烈々たる反共者であってけっこうです。しかし、長官は、自民党の者であると同時に、これは国家公務員として自衛隊の長であるわけです。その立場におきましては、自民党という立場とはやはり変わった立場にお立ちにならぬと、どうも私は憲法の趣旨には沿わないというふうに考えておるわけです。烈々たる反共でけっこうです。ですけれども、国の機関としましては、これは問題がある。なお伺っておきますが、かりに自衛隊には共産主義者は入らぬというお話でありますが、何かの機会に本を読んで、若い者ですから、共産主義思想を持ったとしますと、馘首されますか。
#205
○政府委員(小野裕君) ただいまのお尋ねのような場合に、思想的にそういう信念ができても、行動、勤務その他におきまして隊員としての秩序を守っている限りは、簡単に馘首ということはまずできないと思います。
#206
○鶴園哲夫君 これは今の御説の通りでありまして、国家公務員という立場からいいますれば、信教の自由、思想の自由というものは各個に持っているわけでありまして、かりに何らかの機会にそういうような思想を持ったとしましても、それを単なるそれだけの理由によって馘首するということはできない、おっしゃる通りだと思いますが、私は、自衛隊としてそういう考え方がもっと必要なんじゃないかと思います。かりに政治教育がいいということになりますと、これは韓国にもありますように、どこでもそうでありますが、少なくとも、今のアメリカと軍事同盟を結んでいるところにおいては、アジアにおいては非常にそれは強いのでありますけれども、反共という軍隊における教育が行なわれる、裏返すと、政治腐敗という政治教育になっておる、従って、韓国におきましても、反共と同時に、政治腐敗というものが取り上げられましてああいう事態になってくるわけでありますが、私は、自衛隊としては、明らかに自衛隊法で示しておるように、あるいは防衛庁設置法で示しておるように、自衛隊の目標ははっきりしておるのでありますから、間接侵略に対し、あるいは直接侵略に対して守るという立場でお進みになっていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。
#207
○国務大臣(西村直己君) この点は大事な点でありますから、私からはっきり申し上げておきますが、自衛隊隊員に対しましては、十分民主主義を理解させる意味におきまして、反民主主義的なことに対しては、私は、そういう信念は持たしたくないということははっきり申し上げておきます。
#208
○鶴園哲夫君 そうなりますと、またちょっとくどくなりまして恐縮ですが、やはりこれは反民主主義であるという――憲法にはそうなっていないわけですからね。まあ一つその辺はよく御検討いただきたいという要望を申し上げましてやめたいと思いますが、続きまして若干個々の問題につきまして伺いまして、最後にまた別にまとまったものを伺いたいと思いますが。
#209
○委員長(吉江勝保君) だいぶ時間が超過いたしております。
#210
○鶴園哲夫君 時間がですね……。(「時間は遠慮要らぬよ」「時計を見なさい」と呼ぶ者あり)
#211
○委員長(吉江勝保君) まあ御発言なさい。
#212
○鶴園哲夫君 今度SAGEを設備されることになるわけですが、このSAGEはどの程度の金額がかかるものか。それから、中部だけに五カ年計画ではお持ちになるようでありますが、将来は北部、西部にも設けられることになるのかどうか、伺っておきたいと思います。
#213
○政府委員(海原治君) 鶴園委員のおっしゃいましたSAGEというのは、実は北米におきまして大部分を、半自動式警戒指揮装置だと思いますが、第二次計画で考えておりますのは、そういう大規模のものではございません。それぞれさらにこれを小型化いたしました、ちょうど日本の地形、面積に合う程度の半自動式というものを、今後検討の結果によりまして、適当なものということになった場合には採用したいということで、今検討いたしております。
 なお、その価格でございますが、いわゆるバッジと言われておるものでございますが、これはいろいろの会社、いろいろの組織がございますので、一がいにどうこういうことは申し上げられませんが、一番新しいものとして伝えられておりますものは、一応二百億前後かかろうかと、こういうことでございます。二次計画におきましては、はたして一つの組織でもって日本全土をカバーできるかどうかという点については、今検討いたしております。
#214
○鶴園哲夫君 このセージはどの程度の効力があるものなのかどうか、海原さんの衆議院におきます発言が四月十一日でありますが、これを見ますと、NATOのこういう半自動的な警戒組織、これを設けることによってどの程度の時間があるのか、余裕があるのか、これはイギリスの国会の場合でありますが、それに対して五分余裕があるんだというお話であります。日本の場合には、ちょうどアジア大陸に寄り沿って、ぴったりとくっついているのですが、どの程度の余裕があるのか、イギリスがかりに五分という余裕があるとすれば、日本の場合においては、これは非常に短い時間になるのじゃないかというように思うのですが、そこら辺につきまして伺いたいと思います。
#215
○政府委員(海原治君) 先般ヨーロッパの例を申し上げましたのは、この半自動化組織だけでございません。レーダーの探知距離との問題に関連しまして申し上げたのであります。今度のバッジでございますが、これは主としましては、現在ボイスと申します口から口へいわゆる通信でやっておりますものを、全部機械的にこれは飛行機に送信をする、こういうことでございますので、飛んでおります飛行機に対しまして、この目標に対してどの方向に行けというような指示を口でやります場合と、それから機械的にやります場合とでは対象が幾つになるとか、あるいは高度がどのようになるということで非常に違って参ります。しかし、少なくとも、かりに従来八分かかるものといたしますれば、それが時間が半分以下になるものというようなものでございます。
#216
○鶴園哲夫君 イギリスにおきますやつは五分余裕があるということは、これははっきりしておると思うのですが、日本の場合には何分余裕があるのかということなんです。
#217
○政府委員(海原治君) ただいまお答えいたしましたように、バッジ組織によりまして短縮されます時間といいますものは、レーダーに写りました目標に対しまして、それぞれの基地からいわゆるスクランブルと申しますが、飛行機が飛び上がっていってその目標に会敵する間の時間の短縮の問題でございますので、その目標の高度、速度並びに目標の数によりまして非常に違って参ります。それが人間でやっております場合には、たとえば一人でもって目標を追います場合には、せいぜい三目標しか追えないという場合でも、この機械を入れますというと、百目標までいける、こういうような違いが出てきます。従いまして、一般的に何分違うかということに対しましては、抽象的に何分ということを申し上げられる筋のものではございませんことを一つ御了解願いたいと思います。
#218
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記記をとめて。
  〔速記中止〕
#219
○委員長(吉江勝保君) 速記を始めて。
#220
○鶴園哲夫君 もう一つ。今度の輸送機、この輸送機がYS−11というやつですが、国産にかえられるようでありますが、これは衆議院で問題になりまして、衆議院ではこのC46というものをYS−11にかえるということは、これはロッキードかグラマンかという同じような問題があるのだというような発言がありまして、どうするのだというふうに聞きました。それに対しまして海原局長の答弁は、C46というのは今四十四機ある、四十一年の末に、すなわち第二次計画が終わるまでに大体四十機ある。従って、新しい次期輸送機というものを考えるか考えないか、そうした検討は要らぬような答弁をしておられた。今回この第二次防衛計画の中に新しく出たのですね。どういう経過で出たのか、これを伺いたい。なお、新しい次期輸送機というものは、どうも軍用輸送機としては不適当だというふうな考え方が一般化されているわけです。いろいろな理由をあげておりまするが、そういう点について、この衆議院において答弁されたものと変わって、ぽいと出てきたのですね、経緯を一つ聞きたい。
#221
○政府委員(海原治君) 衆議院で私お答えいたしましたことと現在考えておりますことは違っておりません。と申しますことは、YS−11と称せられます現在設計の型でございます飛行機をC46にかえるという思想ではございません。C46は今おっしゃいましたように、四十一年度におきましても約四十機程度を保有いたしておりませので、これを何にかえるかということは二、三年後の問題として考えてけっこうなものであります。ただ、航空自衛隊におきましては、いわゆるサイド等にございます機器を定時的に点検するとか、あるいは人員輸送とか、そういう用のために、若干のそういう輸送機的なものが必要でございますので、これには今設計されておりますところのYS−11というものが、あるいはこれが使用できるのじゃなかろうか、こういうことで、一応二次計画におきましては数機を考えてみたい、こういうことでございます。もう一度申し上げますと、C46にかわるものとしてのYS―11ということではございません。
#222
○鶴園哲夫君 長いようですから、一
#223
○高瀬荘太郎君 私は、提案されております防衛庁設置法改正の問題につきまして少し質問をいたします。
 今度の改正で定員が一万一千七十四人増加することになっておりますが、しかし、他方で欠員が二万何千あるというお話でありますが、その間にどうも矛盾が感じられるわけであります。その点を伺いたいのであります。その欠員になっております陸、海、空の内訳を一つ伺いたいということと、欠員になっておる原因にはずいぶんいろいろあるだろうと思いますが、応募人員が足りないとか、応募者が十分あるが、質が悪いとか、あるいはその他の理由があるかと思いますが、その点を一つこれは十分御説明を願いたいと思います。
#224
○国務大臣(西村直己君) 先ほど鶴園委員の際にもお話を申し上げたのでありますが、欠員の状況を先に申し上げますと、陸上自衛隊におきまして欠員が多いのでありまして、これが二万二千余であります。海上あるいは航空におきまして五百台になっております。また、今回定員の増員をお願いいたしておりますものは、ほとんどは海、空でございまして、一万三千のうち、自衛官は一万一千でございますが、そのうちの千五百だけが陸上自衛隊、残りは海、空でございまして、海、空に増員をお願いいたしますのは、航空機、艦船、こういうものができますので、それに必要な要員、あるいは整備要員、これをやらしていただきます。募集の点につきましては、従って、海、空においては募集の諸問題はあまりございませんが、陸上自衛隊において二万の欠員があって千五百名の増員になっている、これが矛盾ではないかという御意見だろうと思うのであります。それは私もよく一応わかるのでありますが、千五百名増員いたしますのは、御承知の通り、建設部隊として各方面の御要望に備えまして、民生安定のための施設部隊、大隊その他をふやして参りたい、これでございます。それから二万二千名の欠員に対しましては、御存じの通り、これは先ほど来御議論がありましたように、この分を一切削って、十七万を十五万なりに下げたらどうだといいますが、一つはこういうことがございます。従来とも、この自衛隊は普通の官庁と違いまして、年に何回となく入れかわるわけであります。四月一日に入れかわるというようなものじゃございません。採用期もたびたびやって参ります。試験のごときもたびたびやって採用いたして参ります。その間に非常に流動性と申しますか、従来とも予算面においても、充足率というものを百パーセントには見ておりません。また、その結果、最近でない数年前におきましても、十七万ないし十六万前後のときでも、一万名からないし六千名の常時欠員というものはあって、あるときはそれが上がる、あるときはそれがずっと下がるというような状況でございます。最近の趨勢は、それにプラス経済上の諸事情が、若い青年たちを他の職業に誘引されるということで欠員がふえていることは私も認めるのであります。そうすると、その分だけでも編成をくずしてやったらどうかという一つの議論も立つと思いますが、そこは軍のと申しますか、自衛隊の特殊の性格を御了解いただきたいと思うのであります。御存じの通り、隊の編成は一種の戦闘要員でございますから、それに対して常時編成というものをきめて、下の方、あるいは中間段階等の指揮系統というもののやはり基幹要員というものを持っていなければならぬわけであります。また、同時に、兵営に対しては、いす、テーブルがあるだけじゃございませんで、それに対する什器、言いかえれば兵器、装備あるいは宿舎、こういうようなものも平時編成として考えなければならない。これらを合わせるというと、自衛隊の編成というものを、ただ欠員がちょっと、あるいは相当ふえたから急激に変えるということも、なかなかこれはかえって一日でできないものでありますから、一日でできないという意味は、むしろそれだけの編成が下から積み上げてくる場合に必要だということになっております。それを装備から一切の関係で、急激に、ただ応募が少ないから減らすということは、私は、自衛隊の性格からその目的に反してくる、こういう趣旨で、欠員に対しましては募集の努力、充員の努力はいたしますけれども、一応陸上自衛隊の編成はくずすことはいけないのではないか、こういう意味で十七万名の定員と建設隊の千五百名をお願い申し上げて、十七万、千五百名という法律上の定員の改正をお願いいたしておるのであります。
 なお、それから募集の打開につきましては、いろいろな工夫をこらしておりまして、これはまた必要がございますれば申し上げますが、一つの例といたしましては、若い隊員が入りまして、自衛隊を志願して参ります。しかしながら、同時に、隊が終わって任務が解かれた後における職業安定と申しますか、雇用安定、こういうようなものをやはりわれわれは、これはいろいろ雇用協議会等を関係省と持ちまして、産業界と連係たしましてこういう面にも打開を求めて参りたい、こういう考えでございます。
#225
○高瀬荘太郎君 ただいまの御答弁でありますと、まあ実際問題として、常時数千名か一万名ぐらいの欠員はどうしてもある、こんなようなお話でありましたが、もし常時そのくらいあるんだとすれば、これを考慮して定員をお考えになっても、そうお差しつかえがないのではなかろうか、こう考えますが、その点はどうお考えになりますか。
#226
○国務大臣(西村直己君) これは常時という言葉がちょっと足りないかもしれませんが、年間平均としての通常の状態におきまして、六千名から、多いときは八千名ないしは一万名でございます。これは御存じの通り、自衛隊というものは年間に相当入れかわって参ります。それから同時に、志願制でございますから、やめたとたんに翌日ぱっと入れるというわけにもいかない。ある期間を置いては試験採用して参るわけであります。集団的に入れて参るわけであります。一人だけそれじゃ入りたいからといって、翌日ぱっと入れて埋めて参るわけに参りませんから、平均いたしますとそういうものもあり得る。それから、そういうような平均の欠員に対しましては、われわれは予備自衛官というものを一応持っております。いざ何かのときにそういう予備自衛官をもって充足すれば、基幹に当たる中堅以下の指揮官というものはこれを把握して戦闘態勢を強化できる、こういう考え方で編成というものを持っております。
#227
○高瀬荘太郎君 長官のお話し、ある程度わかるわけでありますけれども、定員をおきめになるにつきましては、いろいろな条件を考えて、最も適当と考える数をおきめになっているのだろうと思うのです。そうしますと、まあ予備自衛官があるから補充はできると申しましても、やはり現在の自衛官というものが、始終定員ぐらい充足しておらないと、防衛上の計画がある程度狂いやしないかと、こう考えるわけであります。まあそれはお考えいただくとして、ただいまもお話がありましたが、経済界の状況等から見まして、応募者についていろいろ問題が現在においてはある、こういうようなお話でありましたが、現在の状況から見まして、応募者の状況なり質がどんな程度になっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
#228
○国務大臣(西村直己君) われわれは、先ほどもお話が出ましたが、応募者の倍率は少しは下がってきております。しかしながら、われわれはそれをもって、ただいたずらに数をそろえようという考えでございません。一定の条件に合って、やはりできれば優秀な人たちを入れて参りたい、こういう意味から申しますというと、現在のように、雇用が非常にいい状態におきましては、必ずしも十分ではないのであります。しかしながら、一面におきまして、よくそれじゃ待遇が悪いからという御意見がありますが、国防に志願してくる青年は、必ずしも金銭だけで計算してくる者ばかりではないので、やはり国土を守るという一つの考え方の基礎になっておる人もあろうと思います。そこで、その若い青年たちが将来上級幹部になっていく道を聞くことももっと研究しなければならない、あるいは同時に、除隊といいますか、隊を去っていく後における就職の安定でございます。こういうようなものも、もっとわれわれの機関として、国家機関としての組織的な方法でいろいろ工夫をこらして、われわれにも努力、打開する道がありますから、必ずしもこれは前途にそう憂慮すべきというか、なかなか困難な面もございますが、また、各国の例を見ましても、志願制におきましては、ままこういう事態にぶつかってくるのは、イギリスにおきましても多少そういう傾向がございます。と申しまして、われわれは徴兵というようなことは現在全然考えておらないわけであります。
#229
○高瀬荘太郎君 応募者の倍率はどの程度になっておりますか。
#230
○国務大臣(西村直己君) 人事局長から申し上げさせます。
#231
○政府委員(小野裕君) 三十五年度を通じまして、陸上自衛官、二等陸士でございます一般隊員の応募者倍率は四・四倍でございます。従来は五倍ないし六倍でございます。
#232
○高瀬荘太郎君 十分優秀な応募者はなかなか得にくいというような事情である、こういうことはお認めのようであります。せっかく定員を作りまして、そうして給与も払い、防衛を計画するという以上は、できるだけやはり優秀な者を入れなければ目的は達成できないであろうと思うのです。その応募者について優秀な者を得にくいという事情は、ただいま長官がおっしゃった経済的な事情とか、職業的な事情もむろんありましょうが、一般的に青年たちの国防観念、自分の国を守るという気持がどうも十分でないのじゃないか、また、一般世論も、一般国民の気持も、そういう点についてはなはだ不十分じゃないかと私は考えるわけであります。そういう点につきまして、一つ十分お考えを願いたいと思います。
 次に、別の問題でありますが、お伺いをしておきたいと思いますのは、今度の定員増加の内訳を見ますと、自衛官と自衛官以外の職員の比率が、どうも職員が非常に多い、この事情を一つ伺いたいと思います。
#233
○政府委員(加藤陽三君) 今回の増員におきましては、先ほどから長官から御答弁がありましたが、自衛官の増が一万一千七十四名、これに対しまして非自衛官の増員が二千四百六十名でございます。これはそれぞれ必要に応じて増員を要求しているのでありまして、内局八人、防衛研修所八人、防衛大学校四十人、技術研究本部二百一人、建設本部二十人、調達実施本部二十六人、海上自衛隊千二百四十九名、航空自衛隊八百九十一名、統合幕僚会議事務局職員十七名となっておりますが、このうちには相当数非常勤職員を定員化したものも入っておるわけでございます。
#234
○高瀬荘太郎君 大体内訳はわかっておるわけでありますけれども、今の御説明でも、学校ができるとか、事務局関係が拡大されるとか、そういうことはよくわかるのですが、今の御説明の中でも、海上自衛隊の職員が非常に一時にふえているわけですね、これはどういうわけですか。
#235
○政府委員(加藤陽三君) 海上自衛隊の増員は千二百四十九名でありますが、そのうち陸上要員が千五十七名、このうちの七百名というものは、これは工作所というものを持っております。簡単な修理等をいたします。ここの所の非常勤者の常勤化でございます。あとは三百五十七名、これは補給その他の事務に従事する者でございます。そのほかの百九十二名が航空関係の要員でございまして、航空基地関係の補給及び厚生関係その他の要務に当たっている者でございます。
#236
○高瀬荘太郎君 ただいまの御説明で十分にはよくわかりませんが、何か今までそういう自衛官以外の職員のやる仕事につきまして、今までとは変わったところができたわけでございますか。
#237
○政府委員(加藤陽三君) その点は、毎年今までも航空機や艦艇等がふえて参りまして、それに応じまして補給あるいはいろいろな仕事がふえたわけでございます。そのうちで、自衛官でなくて、一般の職員でやらせる方が適当だと思われる仕事は例年予算の要求をして参っておるわけでございます。
#238
○高瀬荘太郎君 私は、自衛隊そのものについてはしろうとでよくわかりませんですが、一般的な事業所の例から申しますと、現場の職員と事務の職員との割合というものが始終問題にされているわけです。現場職員の数に比べまして、事務職員があまりに大きいという場合がかなりあるもので、ことに日本にはそういう例が多いようです。従って、能率が上がらぬというような場合もあるわけでありまして、まあ内部のこまかいことについては、私はよく研究しておりませんから、御批判申し上げるわけに参りませんが、そういう点で疑問を持ちます。何とかそういう点も十分今後御考慮をいただきたいと思います。
 私の質問は終わります。
#239
○大谷藤之助君 ただいま審議中の両案に対する質疑を終局し、直ちに討論、採決に入られんことの動議を提出いたします。
#240
○上原正吉君 私は、ただいまの大谷君の動議に賛成いたします。
#241
○委員長(吉江勝保君) ただいまの大谷君の、両案に対する質疑を終局し、直ちに討論、採決に入るようにとの動議が提出され、賛成者がございますので、本動議は成立いたしました。
 本動議を議題とし、採決を行ないます。(「不信任案が出ている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 大谷君の動議に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#242
○委員長(吉江勝保君) 多数でございます。よって本動議は可決されました。よって本案に対する質疑は終局したものと決定いたしました。(「不信任案、不信任案」、「ただ紙を出してわかるか」 「不信任案は合法的に出しているじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 よって本動議は可決されました。よって両案に対する質疑は終局することに決定いたしました。
 それでは、これより両案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。(「議事進行」、「不信任案を無視するのか」と呼ぶ者あり)討論は、別に御意見もないようでございます。
 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して問題に供します。両案を原案通り可決することに……(「委員長、討論をさせないのか」と呼ぶ者あり)討論者がございませんので、発言がなかったから次に行ったのですけれども、討論があるなら発言を許します。
#244
○横川正市君 まず私は、委員長に、討論に入る前に、あなたが議事進行された部分について取り消しをしてもらうように要求します。
#245
○委員長(吉江勝保君) 承知いたしました。
 討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#246
○横川正市君 それでは、ただいま議題になりました防衛庁設置法の一部を改正する法律案並びに自衛隊法の一部を改正する法律案両案に対し、日本社会党を代表して反対の意を表するものであります。
 まず、私は、大谷君から出され、そして賛成を得て成立をしたといいますけれども、いささかこのやり方というのは取り込んでいるんじゃないか、少なくとも私どもの方では、さきに五者会談で正常化の方向がきめられて、社会党、民社党ないしその他の質問者が終わったときには、討論終結の動議があるなしにかかわらず、これは終結したものと見、従来の法案の終結のときと取り扱いを同じにやるべきだと思うのです。しかるに、この全部が終わったとたんに打ち切りの動議をして議事を混乱せしめ、拙劣のきわみだと思うのです。この点については、もう過ぎたことですから、多くは言いませんけれども、自後の議事の運営については、十分一つ考えていただきたいと思います。しかも、いい年をして、若者のように前書きをしながら今のような混乱を起こすことは、国民の前に恥ずかしいと思いませんか。私は、それでさっきから討論はどうかと言うから、私が発言を求めているのに、何かほかのことと誤認をして、一方的に討論の打ち切りを行なうなんということは、全くなっておらぬと思うのです。そこで、私は、この両案をいろいろ審議をした経過から見て、まずやはりわが党が方針とする七万程度の警察予備隊として運営を戻すべきである、こういうふうにまず最初考えを明らかにしておきたいと思います。しかも、この自衛隊が、警察予備隊から発足をいたしまして十年経過いたしました。しかし、その十年の経過過程の中で、防衛問題ということになりますと、国会の論議はこのように紛糾いたします。さらに、また国内においては、この問題に関する限り、少なくとも一致した意見というものはないと思います。独善的におれの方が多い、おれの方が多いという、そういう考え方があっても、多数の支持の上に立って世論がこれを支持しているという状況にはないと思うのです。そうなりますと否定をする者、あるいは賛成をする者と、国会や一般の世論で論議が集中してくる、そういうこと自体が、一体この防衛という問題と関連して、万全を期すことになるのかどうか、これはきわめて私は遺憾な問題だと、こう考えております。しかも、この防衛の第一線についております人たちは、これは国会の審議がどのようにあり、世論がどのようにあっても、法律が制定されてから生まれたものでありますから、その任務についておる、仕事についておる人たちには、私は、直接には責任はないと思います。しかし、このことを決定する政治的なその論議の場所と、それから一般の国民の世論がいかにあるかを、これを論議しないで、一方的に力で押し切って作られる防衛力が、防衛力としてその値があるかどうか、この点は、私は、当局者も自民党の皆さんも、真剣に論議すべきことではないかと思うのです。しかも、そういうものから成り立った防衛力は、先般私どもが論議の中で明らかにいたしましたように、充実しようとしても行き足らない、それかといっても引き下がれない、中途半端な形で、あれはどうした、これはどうしたと質問いたしましても、それに対しては満足な答弁がされておらない、こういう状況下に置かれているのであります。そこで、私は、国論が世論の中で一致をして、少なくとも防衛の任務につく者が、ほんとうの防衛の任務の果たされる状況になるのには、これはやはりわが党もその主張をいたしております警察予備隊七万程度の状況に戻すべきである、そういうところから発足して、初めて国の防衛の任務につく大きな基礎が作られるものと私どもは考えるわけです。さらに、今私どもはいろいろと論議をいたしてきましたけれども、その論議の中で、きょうの新聞でも明らかにされておりますが、まず防衛二法が出る、それからその次に防衛の基本的な構想として第二次計画が出されてくる。その中に、少なくとも国民の世論に訴えて、かくあるべきだという支持をもって出てくる計画というものは、過去の第一次防衛計画も第二次防衛計画もなかったと思うのです。いつでも防衛計画は一部の者の中でいろいろと相談をされて、そうして国会の論議を通じて出されてくる、これが私は一つの防衛計画としては大きな欠陥であると思います。その点では、一つの内閣や一つの政党が、思惑や党派でもって考えたという、いわゆる筋道の通らない防衛計画というものは、これはおそらく防衛のための役立つ力にはならないで、国内的には対立を激化せしめて、言いかえれば三十八度線を常に国内に持ちながら、防衛の役割というものを半減し、三分の一にするような結果になって運営をされていくという、こういう状況が出てくる。この点から見るならば、まさに防衛ではなくして、国内にトラブルを導入するということであって、ほんとうの任務につくということには私はならぬと思うのです。しかも、これがどこからきたのか。私は、敗戦でもって日本の国民がその生活の日常のことにも事欠いているときに、たまたま朝鮮戦争という事態がアジアに起こり、そうして至上命令としてGHQから出された命令によって作られた自衛隊というものがたどってきた十年の歴史というものは、これは私は、少なくとも自衛隊の将来、まあ展望できる将来の形からいって、大きな根本的な問題として壁だと思うのであります。
 それから第二の問題は、私は、きょうも新聞で明らかにされましたように、社会党が参加いたしておりませんけれども、憲法調査会の第三小委員会の報告を見ると、あなたたちがいかに憲法の解釈から、自衛力がある、個有のものがあると言ってみても、本題的に防衛力を構成していくためには、憲法をかくかく改正しなければならぬという意見が、あなたたちから選ばれた委員によって明らかにされているわけであります。そういたしますと、この防衛の任務についている人たちの一番大きな疑問点とされるのは何かといえば、こういう憲法上疑義あるもので、改正しなければならぬということを多くの人たちが言っている。この大きな世論の中で、防衛任務についている人たちの疑義が私は発生してきていると思うのであります。国会でいかにごまかしてみても、これはごまかし切れない現状だと私は考えるわけであります。そうなりますと、今私たちは何をすべきかといえば、この条項をあなたたちは、国民の、世論の手によって実施をするか、あるいはそれを実施しないか、この二つに限定されると思うのです。(「委員長、不信任が出ているのだから、理事とかわるべきじゃないか。」と呼ぶ者あり)
#247
○委員長(吉江勝保君) 委員外の発言はとめます。どうぞ。(「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)着席して下さい。討論は始まっております。(「委員長の資格はない」と呼ぶ者あり)委員外の発言はとめます。(「不信任案を出しているじゃないか」「討論中じゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)委員外の発言を禁じます。(「委員長、委員でない者がこの議場に入って審議を妨げるような者は退場を命じなさい」「大谷君の発言中に、私は同時に委員長不信任案を出しているのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)
#248
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
 他に討論をする方はございませんか。
#249
○塩見俊二君 私は、ただいま提案中の防衛に関する二法案に対しまして、自由民主党を代表して賛成の意見を申し述べたいと存じます。
 世界の平和は全人類の熱望であり、また、各国の政府におきましても、たゆまざる努力を続けておるのでありまするが、それにもかかわらず、各国間の相互の不信頼は依然として根深いものがあるのでありまして、不幸なる事態は、膨大なる軍事力を背景とする各国間の力の均衡によってからくも保たれておる状況でありまして、このことはまことに遺憾とするところであります。ことに極東方面におきましては、現地における政治、経済の不安定と相待ちまして、東西両陣営の冷戦の焦点となり、絶えず局地的紛争発生の危機をはらんでおるのでございます。かような国際情勢にかんがみまして、わが国の一切の防衛努力を否定し、無防備中立論を唱えることは、あまりにも現実を無視した理想論であり、わが国の独立と安全のためには、むしろ有害なる理論と言わなければならないのでありまして、わが党の絶対にとらざるところでございます。わが自由民主党におきましては、大多数の国民とともに、国連の活動を積極的に支援し、志を同じうする自由主義諸国家と提携をし、同時に、わが国の国情に応じ、また、国力に応じ、必要最小限度の自衛力を整備して、わが国の安全と平和を守り、ひいては世界の平和に寄与せんとするものであります。
 今回の両法案の改正は、以上の趣旨に基づきまして、第一には、若干の自衛隊員の増加をはかり、第二には、陸上自衛隊の十三個師団への編成がえ等の、わが国の国情、地形等に応ずる自衛隊運用の効率化をはからんとするものでありまして、必要最小限度の自衛力漸増のために、まことに適正なる改正であると存ずるのでございます。
 以上申し述べまして、私の賛成討論を終わります。
#250
○田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、ただいま議題となりました防衛二法案に対し、反対の意見を述べるものであります。
 反対の第一の理由は、憲法上の疑義についてであります。今回の改正は、第一次防衛力整備計画の補完作用であり、第二次防衛力整備計画とは無関係なりというのが政府の態度であります。陸上自衛隊について、現在の六管区、四混成団を十三個師団に改編するがごときは、重要な軍の編成組織の改編であり、第二次計画の土台をなすものであります。われわれは、いわゆる無防備無抵抗主義の上に立つ逃避的孤立主義者でもなければ、また、中立の名において、巧みに共産主義陣営の世界侵略の一環に利用されるえせ中立主義の立場に立つものでもありません。独立国として自衛権を持つことは当然の理であると考えます。従って、主権国家が自衛のための最小限の措置をとることは避け得ざることだと考えます。しかし、それはわが国の憲法の特殊性と精神にもとるものであってはなりません。われわれは、従来、保守党の防衛政策は平和憲法をはるかに逸脱していることをしばしば糾弾して参りましたが、さらに驚くことは、去る五月二十九日、自民党の国防部会で発表された防衛基本方針の内容と構想についてであります。自民党の基本方針によれば、政府の第二次計画はなまぬるいとして退け、世界冷戦の激化を前提として、コンゴ、ラオス、キューバ、韓国等に見られる局地的紛争、革命、クーデターにいたく刺激され、直接、間接侵略に対処し得る自衛隊の強化を急ぎはかるべしという思想であります。日米軍事同盟を薄めるのでなく、ますます強化しようとするものであり、最近の韓国との接近に見られるように、NEATO結成への危険すらうかがわれます。ことに防衛基盤の確立のために、国民の防衛意識の高揚を取り上げたり、安全保障の相互体制を確立するための国家安全保障会議を設けたり、また、暗い悲惨な時代を回想させる防牒法の制定を提唱しておりますが、これらの構想を一貫するものは、自衛隊の量的拡大をはかるだけでなく、質的転換を意味し、高度国防建設の方向に突っ走る危険性を内包するものであります。御承知のように、内閣に設けられた憲法調査会は、この八月以降、憲法の具体的条章について改正の是非を論議する段階に入っていると聞いておりますが、自民党の憲法調査会は、本年十月末を目標に、憲法改正案をまとめ上げるため鋭意作業中であり、同調査会のまとめた憲法改正の基本構想は、新しい憲法創設であり、抽象的な理想国家の姿を規律するものでなく、日本民族の歴史、精神に根をおろしたものということであり、また、立案にあたっては、敗戦に際しての国民の反省を加味するが、その後の政治思想の変化を貴重な事実として取り入れるというとであります。これに関連して思い起こすことは、昭和二十九年十一月五日、時の自由党憲法調査会のまとめた日本国憲法改正案要綱案であります。これによれば、国の安全と防衛に関する一章を設けること、第九条を書き改めて、軍の最高指揮権は、内閣を代表して内閣総理大臣に置く、国防会議、軍の編成、維持、戦争並びに非常事態の宣言、軍事特別裁判所、軍人の政治不関与並びに権利義務の特例等、軍事に関する最小限の規定を設けること、また、国防に協力する国民の義務並びに戦争または非常事態下における国民の権利義務の特例についても別途考慮すること等をうたっておりますが、今回与党の発表された国防基本方針は、憲法改正への道を歩むものであります。憲法を守り、憲法の逸脱を許さずという立場から、私は本改正案に反対するものであります。
 第二の反対の理由は、先刻もちょっと触れましたが、本改正法案は、日米軍事同盟を薄めるものでなく、ますますこれを強化する方向にあるという観点からであります。昭和三十二年夏、時の岸総理が渡米にあたり、同年四月、国防会議は第一次防衛力整備計画を発表し、岸訪米の最大の政治的資産を携行いたしました。本年六月下旬、池田総理渡米に際し、池田・ケネディ会談では、防衛問題は議題にせずというのが池田総理、西村防衛庁長官のがんこな答弁でありますが、なぜにもっと率直に国民に真実を語ってくれないのか、どうして秘密主義に終始しようとするのか、政府に強く反省を求めたいと思います。いかに総理が事実を隠蔽しようとされても、現に第二次防衛力整備計画は、総理渡米前、おそらく国会の会期終了と同時に確定案となるでありましょう。さらに政府の第二次防衛力整備計画を補完し、いな、量的、質的に飛躍的拡大を試みようとする自民党案が、池田総理の渡米を前にして、内外に宣明されたということであります。先ごろ帰朝された朝海大使は、池田・ケネディ会談の重要な内容の一つが極東問題であり、極東の軍事同盟の一環として日本の防衛問題に及ぶであろうことを伝えております。政府が明らかにしたように、本年度以降アメリカの軍事援助は、ドル防衛、日本経済の高度発展から原因して、予定額より減少するといっておりますが、なおかつ五年間を通じ、一千億以上の無償援助を期待されております。この一事から見ましても、防衛問題が重要な日米会談の対象になることは当然でありましょう。ことに今回の池田総理渡米は、新安保条約成立後の最初の訪問であるということであります。新安保条約第三条は、言うまでもなく、バンデンバーク決議の精神に基づくものであり、わが国は自助及び相互援助の精神に基づき、口先だけでなく、具体的事実をもって防衛力増強の実をアメリカに示さなければなりません。新安保条約第三条がMSA協定八条を受けて成立している経緯を見れば、右のことは一そう明らかな現実でありましょう。にもかかわらず、万事秘密主義に終始し、国民に語ろうとしない政府の態度は、口には国民に親しみやすい自衛隊を作るといいながら、逆に国民から遊離する自衛隊に追い込むものであります。極東における緊張状態の継続、ことにラオス、ベトナム、台湾海峡の動き、南鮮のクーデターの背景を見るとき、このような情勢下において日米安保体制の強化をはかることは、かえって日本の平和と安全に危険であると考えます。わが党は、安保条約の再改定、防衛協定の段階的解消を主張するものであります。政府与党の立場はその逆であります。本改正案は、かかる緊張を強める方向の一環をなすものであるという立場から、私は強く反対をいたします。
 反対の最後の点は、シヴィル・コントロールの点について、すなわち政治の軍事に対する優先確保についての慎重な配慮が立法面、運営面において不十分、不完全であるという点であります。今回の改正により、統合幕僚会議議長の権限強化がはかられております。他方、陸上自衛隊については、従来の六管区、四混成団が十三個師団に再編され、いわば小型化し、わが国土、地形、道路の実情に即する作戦基本単位に切りかえられたということでございます。人員は減少したが、火力装備、機動力は従前の水準を確保しておると申しております。
 これを要するに、今回の政府のとった一連の編成がえは、明らかに国内治安の確保に重点を置き、間接侵略を重視して参ったことは明白でありまして、杉田幕僚長は次のことを強調しております。将来の戦争様式を展望すると、ミサイル戦争は、米ソ二大国の力の均衡によって、今後絶対に起こらないだろう。また、第二次大戦型の直接侵略方式も、今後はめったに起こるまい。むしろ今後の戦争は、国内の赤い勢力がデモや叛乱を行ない、これをきっかけに外国勢力が軍事援助をするという、いわゆる間接侵略方式が重要な部分を占めるだろう。政府の防衛の重点を巧みに表現しておると思います。この思想は、つまり陸上兵力中心の間接侵略重点の局地戦能力さえ備えておけば、今後の日本防衛は大丈夫、あとは安保条約によって米軍に依存すればよろしい、こういう考え方であろうと考えます。赤城構想においては、陸上の十三個師団再編のねらいは、将来の原子力戦争に備えて、分散と集中を敏速にするため、師団の小型化と機甲化をはかるということにあったが、いわばアメリカ陸軍のペントミック師団を基本にしたものであったが、今日は性格を一新し、国内の暴動鎮圧をねらう治安部隊に生まれかわろうとしております。過般本院予算委員会で問題になりました治安行動草案は、端的にその間の事情を語るものであります。
 自衛隊の任務は、自衛隊法に明らかなごとく、侵略に対し、国を防衛することであります。治安の維持は第二義的使命であります。それだけに、今後の自衛隊の出動を予想するとき、外部からの武力攻撃、いわゆる直接侵略の場合はほとんどあり得ないことであり、間接侵略その他の緊急事態に際しての治安出動こそ、自衛隊行動の中心になると判断されます。それゆえにこそ、治安行動の際においても、総理大臣が治安出動を命ずるにあたっては、あらかじめ国会の意思を聞くべきであり、国会、すなわち国民の意思により、自衛隊の行動にコントロールを加えることが基本的に大事であると考えます。遺憾ながらこの意味の配慮が欠けております。また、準備もないようであります。隣邦韓国におけるクーデターは、われわれに多くの教訓を与えるものであります。御承知の通り、韓国の軍隊は、大統領、国防長官、すなわち文官の指揮監督下に置かれております。また、一九五〇年七月十五日、時の李承晩とマッカーサー司令官の交換書簡により、韓国軍の指揮権は国連軍司令官の手にあります。また、多くのアメリカの軍事顧問が韓国軍隊の要所に配置されております。言うならば、韓国軍は二重のコントロールのもとに置かれているはずであります。それにもかかわらず、軍事革命が勃発したのであります。クーデターには、それを引き起こす国内の諸条件があったでありましょう。われわれは、これを単に他山の石とするだけでなく、十分教訓をくみ取るべきでありましょう。ケネディは国防予算特別教書において、軍事力は文官が統制すべきことを強く進言いたしております。このことは、単に防衛庁内局の文官対制服の関係という形式の問題ではありません。戦争の開始、核兵器の使用、戦争の拡大等、政戦両略の決定はすべて文民の権限であり、最終的には大統領の決定であるということです。アメリカ軍は世界各国に駐留し、紛争の可能性ある地域において広範に接触しておる。ポラリス潜水艦は常時戦略展開を行ない、実戦の配備についております。戦略爆撃機の一部は空中に待機しております。警戒体制の強化は、先制攻撃を抑制する役割を果たし得ますと同時に、偶発事故発生の危険性に伴います核、ミサイル時代の報復反撃は一分一秒を争う。それだけに、軍事に対する政治の優先は、幾ら強調しても強調し過ぎることはあり得ません。これは単にアメリカの問題ではなくて、同時にわが国の立場でなければならないと考えます。私は、政府のシヴィリアン・コントロールに対する措置、具体的施策が欠けている点を遺憾に思います。これが反対の第三の理由であります。
 以上私は反対の理由を述べて参りましたが、政府は野党の意見をも十分にくまれ、反省すべきは反省し、いれるべきは大胆に施策に反映されるよう強く訴えて、私の反対討論を終わることにいたします。
#251
○委員長(吉江勝保君) 他に御意見はございませんですか。他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#253
○委員長(吉江勝保君) 多数でございます。よって両案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたしました。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#255
○委員長(吉江勝保君) 速記を起こして。
 これにて本日は散会いたします。
   午後七時五十七分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト