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1960/06/06 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第36号
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1960/06/06 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第36号

#1
第038回国会 内閣委員会 第36号
昭和三十六年六月六日(火曜日)
   午後二時四十二分開会
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉江 勝保君
   理 事
           小幡 治和君
           村山 道雄君
           伊藤 顕道君
           山本伊三郎君
   委 員
           石原幹市郎君
           上原 正吉君
           大谷藤之助君
           木村篤太郎君
           塩見 俊二君
           下村  定君
           中野 文門君
           一松 定吉君
           鶴園 哲夫君
           横川 正市君
           田畑 金光君
           高瀬荘太郎君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 木暮武太夫君
  政府委員
   人事院総裁   入江誠一郎君
   人事院事務総局
   給与局長    瀧本 忠男君
   総理府総務長官 藤枝 泉介君
   総理府総務副長
   官       佐藤 朝生君
   内閣総理大臣官
   房公務員制度調
   査室長     増子 正宏君
   総理府恩給局長 八巻淳之輔君
   大蔵政務次官  田中 茂穗君
   大蔵省主計局次
   長       谷村  裕君
   大蔵省主計局給
   与課長     船後 正道君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
  説明員
   海上保安庁次長 和田  勇君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○昭和二十三年六月三十日以前に給付
 事由の生じた国家公務員共済組合法
 等の規定による年金の額の改定に関
 する法律等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員共済組合法等の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○一般職の職員の給与に関する法律の
 一部を改正する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員に対する寒冷地手当、石
 炭手当及び薪炭手当の支給に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○国家公務員等退職手当法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○海上保安庁法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
   ――――――――――
#2
○委員長(吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、藤枝総務長官、八巻恩給局長、入江人事院総裁でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#3
○横川正市君 先般の委員会でお尋ねをいたしておきました件で、そちらの方で調査ができておれば、その調査を実は資料でいただきたいと思ったのでありますが、まだ配付がありませんので、おそらく資料ができなくているのではないかと思います。私のお聞きいたしたいのは、給付を生じた各個の恩給年金等の旧令による場合、これは新法の場合には関係いたしておりませんが「旧令による場合等に、給付率で積算した総額が事務費合わせて恩給局へ納付をされて、恩給局はそれを総括して事務的に処理をする、こういう方法が正しいのではないかというふうに考えているわけです。ところが、それに対して先般の答弁によりますと、百分の二という負担額をとる、そして、その納付されたものが総額恩給局へ納付されて、事務費、それから給付金の補償に充てていく、こういうことでありますので、その間に矛盾が生ずるのではないだろうか。どういう点かといいますと、たとえば非常に退職時に――学歴もありましょうし、勤続年数もあると思うのでありますけれども、その退職時に生じております給付率は各省ごとにこれは違うわけですね。ところが、納付金の方はそうではなしに、大体一律で納付される、こういうことになりますと、納付金の納めた額に見合うだけの給付率をもらわないという結果が出てくるわけです。その点を今までの恩給関係の会計経理上の欠点として指摘することができるんじゃないだろうか。ことに、一面ではどんぶり勘定という格好で、何もかにも一斉にどんぶりの中へ入れておいて、そして事由の生じている給付に対して承認を与えて、そこから負担をしている、そういう経理を従来とってこられたことは間違いなのではないか、こういう点についてお聞きをいたしているわけです。
#4
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給財政というものと、共済組合のような保険経理財政というものとは、立て方が全然違っておりまして、恩給というのは納付金というものをとっておりまするけれども、それは国の一般歳入に入ってしまう。そうして国として恩給法上義務的に給付しなければならない必要な経費というものは歳出に計上いたしまして、また、それに関連して必要な事務的な経費も歳出に計上して、恩給支給事務費というふうな形で計上しているわけであります。従いまして、納付金というものは全部一般の国庫収入に入ってしまいまして、それとかかわりなく毎年度の歳出というものは立てられるわけであります。その立て方、そういうふうなやり方がいいかどうか、こういう問題でありますけれども、すでに恩給制度というものが昭和三十四年の十月に共済方式に切りかわったわけでありまして、これは収入と支出というものを見合ってやっていくというような特別会計的なやり方であります。それに比しまして、それ以前は、恩給法の上ではそうした収入と支出のバランスということを考えないでやってきた、こういうことでございます。この方式は元来無拠出ということで、役人は全然掛金をしないで、そして退職したならば一定額の給付を受けるというようなシステムから出発いたしまして、その後改正になりまして、百分の一の納付金を納めるとか、百分の二の納付金を納めるとかというふうな改正がありまして、納付金制度というものが設けられたわけでありますけれども、あくまでも恩給財政というものは、そうした収入と支出というもののバランスというものを考えることなしに必要な経費というものを歳出に計上するということにしております。そこで、恩給の問題ということに関連いたしまして、各省管理の納付金というものの全体をプールしたならば、その省でもって毎年給付する支給額と見合わないじゃないか。少し多過ぎるところもありましょうし、また、少な過ぎるところもあろうということは、当然あり得るわけでありますけれども、そういうことについては、これは恩給制度の上では考えておらなかったわけであります。横川委員の先日の御質問で、一般会計と特別会計では、恩給費というものを一般会計の歳出に計上しておりますけれども、そのうちの特別会計分というものにつきまして特別会計で負担をする、こういうことになりまして、たとえば一般会計で一応恩給費は百七十億というものを計上しますけれども、そのうちの三〇%なり四〇%というものは、三公社あるいは特別会計職員の恩給費であるということになりまするというと、その分は特別会計  三公社の方から負担金という形で国が受け入れるということになっているわけであります。その負担金の数字というものが、どういうふうになっているかということのお尋ねだったと思います。私どもの所管いたしておりまするのは、歳出の方の恩給というものを個々人につきましては確認をいたしまして、そして、それに基づいて支払うということを私どもが受け持っておりまして、その歳入の方はもっぱら大蔵省の方で受け持っておるわけであります。もちろん、歳入歳出の予算を繰りますればその数字はすぐ出るわけでありますけれでも、便宜大蔵省の方から、その数字についてならばお答えさせていただきたい、こう思っております。
#5
○横川正市君 給与課長来ておりますから、今の点一つあわせて御報告いただきたいと思います。
#6
○政府委員(船後正道君) 御質問は、恩給制度における国庫納付金、それから恩給給付の歳出予算、この両者の関連でございますが、実は私、所管ではございませんが、建前といたしましては、ただいま恩給局長から申された通りの制度であります。これの過去の累積がどの程度になっておりますか、この点につきましては、ともかく恩給が明治以来の制度でございまして、いつの時点を起点といたしまして集計いたしますか、技術的にも種々問題があろうかと思います。ちょっと急に出てくる数字じゃないのじゃないか。相当過去の決算書等を洗い直しまして、数年あるいは数十年の長きにわたって計算しなければならぬと、こういうふうに思っております。
#7
○横川正市君 これは私は、特別会計なんかの場合は、個々に給付率の生じた者のカードによって調査された金額というものは持っていると思うのです。一般会計はわかりませんけれども、その上に立って、国庫納付金というものの全体の額に対して、相当批判的と言えば、これは言い過ぎかもわかりませんけれども、それだけの義務を負わなければならないだろうかという疑問は生じていると思うのです。そこで私どもは、雇用されている個々の者の条件といいますか、それに関係する問題であって、上から大ワクにきめられたから、そのきめられた義務に従いなさいと言うべき筋合いかどうかということになりますと、相当むずかしい論議が必要になってくる。そこで、制度としては相当古い制度として継承されてきているのだけれども、今これをとらえてとやかく言うところはないから、そのまま将来にわたってこれをやる、こういうのか。もっとどこかでこれが事実の問題を究明されて、そして実際上の問題として、どうも理由の立たないことではないかと言われるような事態が生じないとも限らない。こういう当面した問題として、私は、これはできれば一つ検討してみる必要があるのではないだろうか、こう思っているわけですが、この点一つお答えいただきたい。
#8
○政府委員(八巻淳之輔君) 横川委員御指摘の通り、この特別会計、三公社関係の負担金というものをどうきめるかということは、なかなかむずかしい問題であります。たとえば三十六年度の文官恩給費というものが百七十三億ございます。この百七十三億というのは、約二十三万人ぐらいの恩給受給者に対して百七十三億の金を出しているわけですが、その二十三万の中で、一体どのくらいの数が三公社、特別会計の五現業の退職した方々であるかということはなかなかつかめない。それから、この法律の方では、各特別会計というものは、勅令の定めるところによって、一般会計にある程度の自分のところのやめた人間の恩給費というものは繰り入れなさいと、こういうことになっておりますね。この政令はどうきめてあるかというと、毎年度予算の定めるところによるということで、ですから、各特別会計の財務当局と大蔵省の歳入の方と折衝して、あなたの方の負担はこのくらいに今年度はしなさいということで、予算できまってきているわけです。そうして今年度の百七十三億の文官恩給費の中で、特別会計、三公社でどれだけ負担しておるかといいますと、予算では約五十九億負担しておる。約三四%です。三四%ぐらい三公社五現業関係だというので負担さしておるわけです。しかし、この五十九億負担させるのがいいのか悪いのか、どういうデータに基づいたのかということは、相当論争があると思うのです。これは予算の定めるところによるということですね。三公社五現業の財務当局と、大蔵省の歳入関係を扱っておるところと予算折衝できまっておるのですね。これについての最も合理的な基礎をどこに求めるかということは、お互いに相当研究していると思うのです。今後とももっと詰めて、合理的な基礎をはじかなければいかぬだろうということで、研究し合っているだろうと思います。そういうことについてまだ研究不足の点があれば、大蔵当局としても、今後も十分お互いに財務当局と話し合っていくだろうと思っております。
#9
○横川正市君 これは、この保険制度ないしは相互扶助制度というものとかえて、下し賜わる恩給でありますから、そういう性格上からいいますと、全部一緒くたにすることはできないと思うのです。しかし、それならば・国が一般会計から負担すべきその度合いというものをやはり高く見るべきではないか。ことに一般会計と特別会計を分離させた場合の特別会計の取り扱い方については、単に頭割りで何%といって割り当てていいかどうかということは、これは私は問題があると思うのです。そういう点で検討をする必要がある。ことに現業官庁のようなところでは、給付率の生ずる年限まで達してやめる場合、ないし途中で恩給のついた後直ちにやめる場合、そういう度合いとか比率というのが非常に高い場合、それから相当長年月勤続をする、たとえばこれは検察庁とかあるいは裁判所とか、そういったところの給付率の生ずる率とおよそ違うわけです。ところが、その違う個々人は百分の二という納付金でまかなわれている。それからもう一つは、たとえば国会議員で政務次官になると、政務次官の給与に比率して恩給金額も書きかえられている。今はないわけですが、過去のものは生きているわけですよ。しかも、その生きたものは今支払う義務があるわけですから、それを支払っていくということになっているわけです。そうすると、ますます財源の求める要素と、それから支払いをする要素とが、およそ性格的にも質的にも違ったものが共存しているのが恩給法上の歳入歳出である、こういうことなってしまうわけです。それは今までの法律に従ったものだから、それは仕方がないのだといえばそれまでだけれども、これはこのまま推移していいかどうか、ちょっと私は疑問がある。この点ではぜひ一つ御検討していただきたい、かように思うわけです。
 それからもう一つは、先般附帯決議をつけたときに、恩給局に事務を移管をすることは、これは一体筋が少し違わないかという問題が出たわけですね。ことに恩給関係は、常に消えていく将来の事務系統を持っているのだ。しかし、今度は共済の事務を幾らか受け継いでおかないと現行の事務量というものが維持できないから、結局恩給局全体の人員とか予算とか、そういうものに関係するということで、ちょっと私は寄り道をしたことをやっていると思うのですがね。この点については、恩給局としてこのままやはり継承していくお考えですか。それとも、はっきりと系統立った事務処理をするようにいたしたいと考えているのか、これはおそらくはあなたの方ではなかなか話したがらないと思うのですけれどもね。
#10
○政府委員(八巻淳之輔君) 今の共済へ移行いたしまして、なおかつ恩給局で共済関係の仕事をある程度未練がましくやっておるのではないかという御指摘なんでございますが、そういうことは全然ないので、あの法律では、共済組合法を運用していく場合に、その年金の裁定をやる場合に加算とか何とかいうふうな、技術的に非常にむずかしい問題、あるいは恩給法の大正十二年施行以前の経歴のあるような人については、過去の相当複雑な規定を運用しなければならないというような、そういうむずかしいケースだけ共済組合連合会の方から恩給局の方に書類を回して、この加算のつけ方がいいのかどうかということをチェックしてくれと、その程度の仕事を今やっておるわけなんであります。従いまして、共済組合連合会が裁定する場合に、何でもかんでも昔の恩給時代の在職年がありさえすれば、恩給局でみな目を通すというようなことはやっておりません。従いまして、そういうようなむずかしい在職年なんかがあるケースだけをうちの方でチェックして差し上げておるというだけでありまして、恩給局のあれを維持するために共済組合の仕事をわざわざ引き受けておるということは絶対にございません。
#11
○横川正市君 そういう説明であれば、この仕事はやがて恩給局からなくなってしまうわけですね。そういうふうに理解していいのですね。それで、恩給局長には以上で質問を終わりたいと思いますが、大蔵省の給与課長に、実は共済組合法の施行されました順位からいきますと、三公社、五現、一般というふうに拡大されまして、残っておりますのは地方公務員と、それから通算法によるところの公的年金の通算ということで、大体一つの締めくくりがつくのではないかと思うのです。通算法が制定されて、非常にむずかしいのは、やはり各固有の共済組合の持っている価値を、これを他に移転した場合にどういうふうに継承させるか、その計算が一番私はむずかしいのではないかと思うのです。出す方は損をしたくないし、受け入れる方も損をしたくない、そういうことから、個人の共済組合に対する給付率というものに計算上から損失を与えるという結果が招来しないように注意すべきことではないか。そういう観点から考えて、固有の共済の価値というものは、大体類似したものに性格上しておくことが、私は計算上は一番簡単なことにならないだろうかと、こういうふうに考えているわけでございますが、その点で三公社と五現の共済組合、あるいは一時金の支給にかかわる退職金制度、こういった制度の中に、個別的には私は法文上だいぶ違うと思うのですね。たとえば三公社は、先般成立当時には退職金の率が低かった、次の国会で退職金の率を五現業、一般職と合わせた、そういう事実があるわけです。そうすると、本法で、今度は三公社の場合には起算率が三年上平均であるというのを、これを最終年限にしたのでありますが、一般職や五現業の場合には三年平均ということになっている。そうすると、固有の共済組合の価値は、実際上は、先般佐藤さんが大蔵大臣のときに、私は違うのじゃないかと言ったら、いや違わないということで、附帯決議をつけたときには、よく調査をして、その固有の共済組合の持っております価値があまり違わないようにいたしましょうということで、そのまま今日を迎えておるわけであります。第一点としては、調査の結果一体どうなったのか。それから法文上明らかに不合理だといって改正した事実がございますし、ところが、改正された結果から見ると、逆に五現業、一般職が悪くなったのではないかという印象もあるわけでありまして、この点を、そうではないということならば、その内容について一つ御説明いただきたい、かように思うわけでございます。
#12
○政府委員(船後正道君) 国家公務員共済と、公企体職員の共済組合の給付水準等の比較の問題でございますが、御指摘の通り、大体両者は似通った給付水準でございまして、他の公年等に比べますれば、ほぼ同一レベルであると考えて差し支えないのではないかと考えております。個々の給付の内容につきましては、もちろん若干異なるところがございます。御指摘の通り、一番大きく現在異なっておりますのは、給付を決定する際の算定の根拠になる俸給月額が、国家公務員の場合には最終三カ年の俸給月額、公企体共済の場合は最終の俸給月額、こういう点が相当大きな相違でございます。この点につきましては、社会保険の理論といたしまして、種々論議があろうかと存じます。御承知の通り、厚生年金保険等におきましては、給付額算定の基礎となる標準報酬が、全期間の標準報酬でございます。社会保険といたしましていずれの制度がすぐれておるか、これは立場々々によって種々の議論があろうかと思いますけれども、しかし、掛金の額と給付額とのバランスということを中心にしてものを考えますれば、やはり厚生年金保険のように、全期間の標準報酬というものを基準にして給付額を算定する式の方がより進んでおるのではないか、かように思う次第でございます。しかし、この点につきましては、現実問題といたしまして、われわれの制度は恩給を継承いたしておりまして、この恩給が最終俸給を捕捉しておったという経緯もございますし、さらに、また、事務上の手続から申しましても、これはあの制度で直ちに全期間の、平均報酬というようなものに移行するわけにも参りません。従いまして、現在の公務員共済では、最終三カ年の平均ということになっておりますが、この制度の取り柄は、やはり退職いたします際に、種々名誉的な意味で特別昇給がございますが、そういった雑音がこれで排除される。最終三カ年でございますので、比較的衡平が保ち得る。これを五年にすれば、たとえば私学共済は最終五カ年平均でございますが、五年にすれば、さらに平衡化ができるというような取り柄がございます。しかし、結果としては、御指摘の通り、最終俸給の方が、最終三カ年平均よりは、より高い月額でございますので、給付額そのものが多くなるというのは否定できません。この点公務員共済と公企体共済との調整は、御承知の通り、退職手当法におきまして、公企体共済の方、つまり公企体の職員につきましては、この国家公務員等退職手当法を適用いたします際に、百分の九十七という率をもって最終俸給を割り引くという制度をとっておりますから、ここらあたりで実質的に両者のバランスをはかっておるということになっておるわけでございます。
#13
○横川正市君 私は、前提条件としては、やがて公的年金は完全な形で通算される。通算法による同率で、たとえば身分の変化があっても、年金の価値については変わらないようにしていくべきである。ことに三公社五現業なんかの場合には、同じような仕事をしている場合があるわけでございまして、そういうような場合もありますし、また、それぞれの役所の性格上、人事の異動の激しい場合もあるわけですから、これは私は、今説明されただけでは、実はちょっと納得しかねる幾つかの問題があると思うのです。ただ、五カ年たってそれぞれ共済の運営について点検をされるわけでありますから、そういったときに、あわせてこの問題も一つ考慮してもらう、こういうことでぜひ努力をお願いしたいと思います。
 それからもう一点は、今四五対五五という掛金でやっておるわけですが、厚生年金の場合は、これは六〇と四〇ですか、あるいは私学の場合には、これは掛金が違うわけですね。たしかそういう掛金の違いによるところから、全額通算とか、それから最終本俸とか、いろいろな方法をとっておって、同じ値をやっているのじゃないかと思うのでありますけれども、これはやはり複雑よりも単純の方がいいのでありますから、そういった点も改正すべきではないか。
 最後に私は、おそらくこの国会には、地方公務員の共済組合法案が提出をされるという、この点については相当確固たる考え方を持って臨んでおったと思うのでありますけれども、この点が、今国会では消えてなくなったようでありまして、それを今後大蔵省としては、どう考えて進めていかれるのか、この点をお聞きして、これを最後の質問にしたいと思います。
#14
○政府委員(船後正道君) まず第一点の各種共済組合制度の相互通算を前提といたしまして、このレベルの統一の問題でありますが、私、趣旨といたしましては横川先生と全く同感でございます。実は今回の公務員共済法の改正の際にも、やはり公企体共済あるいは地方公務員共済の成立を予定いたしまして、これらほぼ給与水準の似かよった共済制度におきましては、人事交流の必要等も考えまして、相互通算するような方向に検討いたしたのでございますが、御承知の通り、地方公務員制度が流れましたので、これも見送りになった次第でございます。この通算をいたします際には、技術上の問題でございますが、給付レベルといたしましては問題が少なく、むしろ問題は、それぞれの制度におきます前歴の評価の仕方、こういったところに実は難点がある次第でございます。御承知の通り、公務員共済におきましては、一度一時金をもらいまして退職し、再び就職いたしました場合には、前後の期間を通算いたしまして、そうして年金計算をする、かような扱いになっております。ところが、公企体共済の方では、一度一時金をもらって退職いたしまして、そうして期間を置いて再就職しますと、前後の期間は通算しない、かような扱いになっております。このような扱いになっております公企体共済におきまして、国家公務員共済との相互通算をやる場合にどうなるかという公企体共済との関係の問題もあるわけでありまして、これらの問題はいずれ解決しなければならない問題でありますが、さらに引き続いて検討いたしたいというふうに考えております。
 それから二番目の負担割合の問題でございますが、御指摘の通り、現在、公務員共済並びに公企体共済は、四五対五五の負担割合でございますが、厚生年金におきましては、国の負担が百分の十五ないし二十でありまして、残余を労使が折半で負担いたします。国の場合の四五対五五を一応労使折半負担を前提にいたしますと、国及び公企体の五五は、一〇と四五に分かれるわけでありまして、この点に厚生年金保険とアンバランスがあるのではないかという御指摘かと思います。この点につきましては、やはり厚生年金の給付レベルと、公務員共済ないし公企体共済の給付レベルの差というものが実は問題になるのであります。大ざっぱなことでありますが、大体共済の方は、厚生年金の給付レベルに比べまして、約三倍の程度の給付水準である、かように考えております。そういたしますと、かりに公務員の方の国庫の負担に相当する部分が一〇%でございましても、一人当たりの負担の絶対額ということになりますと、むしろ厚生年金よりも多いというようなことにもなるわけでございます。しかし、社会保険における国庫負担の割合等につきましては、これはもちろん歴史的な問題でございまして、絶対にこの割合が正しいという性質のものでもございません。私どもといたしましては、各種社会保険制度とのバランスも考えながら、共済所管の課長といたしましては、われわれの制度の負担割合の改善につきましては、なお努力していきたいと考えておる次第であります。
 それから地方公務員共済組合法でございますが、御指摘の通り、昨年もことしも、当初国会に上程を予定しながら取りやめたようなわけでございますが、大蔵省といたしましては、趣旨といたしまして地方公務員の年金制度が統一されることには賛成でございます。ただ、御案内の通り、負担割合の点につきまして、実は折り合いがつかない。自治省におきましては、国が百分の十を負担し、残余を地方公共団体と地方公務員との間で折半負担する、かような案ではございますが、これは前回の山本先生の御質問の際に大臣からも申し上げました通りのような経緯がございまして、大蔵省といたしましては、公経済主体として地方公共団体が百分の五十五を持つ、これが国家公務員に対する国、また、公企体職員に対する公企体の関係と同様であるという見解を持っておる次第でございます。
#15
○伊藤顕道君 恩給法に関連して二、三お伺いいたしますが、今後、所得倍増計画が進むにつれて、公務員の給与も改善されると思うのです。従って、公務員のべース・アップはあっても、恩給の仮定俸給は現在のところ据え置きになっておるわけですね。そこでまずお伺いしたいのは、この仮定俸給については、今後改善なさろうとするお考えがあるのかどうか、この点まずお伺いしておきたいと思います。
#16
○政府委員(藤枝泉介君) 恩給の本来の建前は、退職時の俸給と、それから在職年限から割り出されてくるわけでございますが、前の委員会でもお答え申し上げましたように、やはり恩給というものは、恩給受給者の生活をささえる一つのものでございます。従いまして、生計費の上昇その他経済事情の変更によりましては、やはりこれを改善するという方向に向かわざるを得ないと思うわけでございます。そういう意味で一般公務員のベース・アップがあったから、直ちにそれにスライドしてというわけには、なかなか技術的にむずかしいと思いますが、そういう事態が起こるということは、結局生計費が上昇しているときでありますから、そういう意味では、十分今後も仮定俸給の変更について考えて参りたいと思っておる次第でございます。
#17
○伊藤顕道君 前々から政府では、この仮定俸給は給与ベースにスライドしていくべき筋合いであるけれども、ただ国家財政上これを許さないので、今直ちに実現ということにはなっていないという意味の御答弁をなさっておるわけです。そういうことになると、国家財政上これを許さないからということになると、国の財政がこれを許すような事態にはなかなかならぬと思うのですね。そういうことになると、給与ベースにスライドしてという、そういう前提はあっても、なかなか実現しないということになろうと思う。この辺は前の御答弁といささかも変わりはないのかどうか、この点をはっきりさせていただきたいと思います。
#18
○政府委員(藤枝泉介君) もちろん国家財政の問題もございましょうが、それと同時に、やはり一般国民のいろいろな所得の状況あるいは生計費の状況、そういうものも考えて参らなければならない。結局この日本経済の中において、ことに各種の所得、一般国民の所得との間において、恩給というものがいかなる水準を保つべきかという問題があろうかと思うのです。従って、もちろん国家財政も重要でございますが、それと同時に、恩給の額というものが、その社会状態の時点においていかにあるべきかということを考えていかなければならないと思います。そういう点で生計費とか経済状態、ことに一般の国民の所得の状態、こういうものも十分考慮に入れながら恩給額の改善というものをはかっていかなければならないと考えているわけでございます。
#19
○伊藤顕道君 この恩給関係の問題でいろいろあろうと思うのですけれども、その問題の中で、いわゆる加算制度の問題が解決すれば、一応恩給法上の問題は解決したとお考えになるのか、それとも、まだ他にも問題があるのか、そういう点を明らかにしていただきたい。
#20
○政府委員(藤枝泉介君) もちろんいろいろな御要望はたくさんあろうと思います。しかし、今度の改正において、少なくとも恩給という制度においての支給人員の範囲というものは、大体解決したと私どもは見ているのであります。従って、今後問題になりますのは、ただいま御指摘になりましたような、恩給の額そのものはいかなる水準にあるべきかということが中心課題であるというふうに考えております。
#21
○伊藤顕道君 現在恩給額の総額は、大体概算でけっこうですが、どのくらいになるか、軍人恩給費と文官恩給費はそれぞれどの程度か、概算でけっこうです。
#22
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給費は、今年度におきまして、文官恩給費が百七十三億でございます。それから軍人恩給費が千五十五億でございます。合わせまして千二百二十九億ということに相なっております。
#23
○伊藤顕道君 長官、今の加算制度の問題が解決すれば、要望としてはいろいろあろうけれども、一応それが大きな問題だ、そういうお答えがあったわけですが、このことに関連して、さらにまた今回の法案で、医療団の職員期間の算入とか、あるいはまた外国政府の職員期間の算入、こういう問題が一応あげられているわけです。そこで、このことともからめて二、三お伺いしたいと思いますが、今申し上げたように、恩給法の適用外にあった満州国政府とか医療団、どういうものを、形式にとらわれないで、実質から検討を進められて、一応これを恩給法に適用されたことについては、まあ一応前進が一認められると思うのです。ところが、満州国と全く同じ性格を持っておったもので、また、そう見られるもので除外されているものが考えられる、そういうことになると、まだまだそういう問題が残されているのじゃなかろうか、そういうふうに考えるのですが、この点いかがでしょうか。
#24
○政府委員(藤枝泉介君) あるいは御指摘のごとき、たとえば満鉄とか、それから満州国の特殊法人、こういうようなものをあるいは御想像になっているのかと存じますが、今回の満州国政府――外国政府との通算の問題等は、これはまあいわゆる外国の政府でございまして、そういう意味で、しかも、これらに勤務した人があるいは内地に来る、あるいは内地の公務員がこの外国政府に行ったというようなことで、しかも、まず内地の政府職員で、それが外国政府職員となり、さらに内地へ帰ってきて内地の政府職員になったという場合の通算は、すでに恩給法上認められておったわけでございます。そういう関係を考慮いたしまして今回こうした処置をやったのでございますが、この外国政府の設立した特殊な法人というようなものにまで及ぼすとなりますと、これは内地においてもそういう問題がございますので、これは恩給制度といたしましては取り扱いにくい問題ではないかと考えております。
#25
○伊藤顕道君 そうなると、ますます不審があるのですが、そこで、たとえば今御指摘になった元満鉄職員、それから満州国職員、こういうものを比較検討してみますと、職務の性質、勤務状況、あるいは勤務地等、こういう点から見ても全く同一であったということが言えるわけであります。しかも、満鉄は創業四十年の歴史を持っておって、特殊使命を持った会社として、すべて国策に沿うてやってきたわけですね。従って、満州国の職員と満鉄の職員、それを比較して、どうも区別がつけがたく思います。国策の線に沿うてやってきたことについては全く同一であったということが言えるわけです。この点はどういうところで区別されたか、われわれとしては了解に苦しむので、この点をまずお伺いしたいのであります。
#26
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給法の過去の前例から申しましても、恩給法上の公務員以外のものを通算するというのは、外国政府職員というようなものにつきましては、これは人事交流というものがあった、政府の意思に基づいて人事交流があったというようなことを考えまして通算をやって参ったわけでありまするけれども、今御指摘の満鉄とか、あるいは華北、華中鉄道とか、いろいろな国策会社がございまするけれども、そうした株式会社の職員の期間というものは、公務員との通算になじまないわけでございますし、そういうものの一つ満鉄を取り上げますというと、全体に波及すると申しますか、ほかのものも紙一重で、だんだんと関連して考えなければならぬということになりますので、恩給法は、すでに文官恩給におきましては、昭和三十四年の十月で一応在職中の者には適用がないわけでございまして、恩給法の昔の例と申しますか、恩給法本来の建前というものを今回におきましてもくずしたくないという考え方でおります。もちろん満鉄等の職員の方々というものは、むしろ政府職員となった方も相当いらっしゃいましょうし、また、あるいは民間の会社にいかれた方も相当いらっしゃいましょう、あるいは公企体、国鉄なんかにいかれた方もあると思うのです。それに対しましても、恩給法上の公務員との人事交流ということはあまりなかったわけでございます。従いまして、そういうようなことを考えまして、できるだけ内輪と申しますか、厳格に考えまして、外国政府職員期間の通算におきましても、ある一定の限定を置いた、こういうことにしたわけでございます。
#27
○伊藤顕道君 満州国政府職員とか医療団職員、こういうものを今回入れたということについては、私ども反対しておるわけじゃない、一つの進歩であろう、そういう前提に立って今お伺いしておるので、そうだとすると、との日本医療団職員だとか、あるいは満州国職員、これと満鉄の職員とを比較した場合ですね、そこにどういう区別があるのかということを今お伺いしておるわけです。そこで、なお、それを実証するために質問を進めてみますと、結局御承知のように、満鉄は三十九年勅令第百四十二号によって設立されておる、そういう特殊な使命を持った会社である。政府と特別の関係にあったということは、言うまでもなく、その当時の満州あるいは蒙古、こういう方面の、あるいは軍事、あるいは産業、経済、それから地方の行政、こういう面を一切担当しておったわけです。一口にして言うと、軍事、警察権以外は、ほとんど満鉄という特殊会社に移行しておった、ほとんど付属地の行政権は満鉄がやっておった、ほとんど政府と変わることのないそういう性格を持った会社であったわけです。ただ、表面はどこまでも会社ということで設立されたわけですけれども、そうだとすると、満州国も、実は日本政府じゃない、外国である、形式的に言えば。ところが、医療団も日本国の行政機関じゃない、形式から言えば。にもかかわらず、形式にとらわれず、実質から入れたということであるならば、これは満鉄もそういう特殊使命を持ったそういう機関であるから、当然この医療団、あるいは満州国を入れるとするならば、どうも満鉄だけを除いたということは不合理だ、そういう点をお伺いしておるわけです。
#28
○政府委員(藤枝泉介君) 確かに実質的な点では満鉄というものは特殊な使命を帯び、しかも、あの地方における相当広い権限を持っておったわけでございますが、まあそういう時代におきまして、戦前の恩給制度においても、満鉄職員と日本の政府職員との間の交流があった場合にも、それは通算の対象にしていなかったわけでございます。ところが、満州国政府その他外国政府につきましては、先ほど申し上げましたように、その間にまず日本の公務員が満州国の役人になり、また日本の政府へ帰ってきたというような場合には、すでに戦前において通算の制度があったわけでございます。ただ、日本政府の職員が満州国の政府の職員になって、そのまま終戦を迎えたというような場合が今まではずされておったわけで、その点は終戦の特殊な事情において非常にお気の毒ではないか、もしああいうことがなければ、また日本の政府の職員に帰ってきたであろうと思われるような人たちが、終戦のああいう特殊な事情において帰れなかったというようなのが多いものですから、それで今回こういうことをやりましたのと、それから日本医療団については、御承知のように、これが解散された場合に、医療国営とでも申しますか、そういう観念ですべて政府の病院に引き継がれたというような特殊な事情がございますので、それを考えたわけでございます。従いまして、満鉄に勤められていた方々というものについては、先ほど申しましたように、戦前からそういう通算の制度もなかったし、また、そういう特殊な法人についてそういうことを考えるとすれば、他にもいろいろあるというような点から処置をしなかったわけで、ただ、満鉄に勤めた人たちについて何か考えるということになると、これはむしろ恩給制度として考えるより、他の方法を何か考慮するということがあり得るかということではないかと思っておるわけでございます。
#29
○伊藤顕道君 先ほども申し上げましたように、満鉄の場合は、軍事、警察以外はほとんど満鉄がやっておったんですよ。特に地方行政については、各都市に地方事務所というのがあって、これはほとんど一体となって、ただ、軍事、警察だけには手を出していなかったというだけであって、ほとんど政府の代行機関と見られたわけですね。ただし、昭和十二年に付属地の行政権を満州国に委譲したその以後は地方行政をやらなかったじゃないか、そういう御指摘もありましょうけれども、それ以後といえども、いわゆる広範な鉄道の経営、そうして一切を国家的な代行機関として、万般をあげて満鉄がやってきたわけです。そういうことで医療機関とか、あるいは満州国が入って、ほとんど実質的には変わりがないと思うのです。ただ、形式的にこれは会社だから――そう言えば満州国も外国じゃないか、医療団体も、これは国の行政機関じゃないじゃないかといえば、そういう点でも明確になる。しかも、医療団体あるいは満州国にも恩給がつくのだという意見なんです。そういう視野から見て、どうも納得しかねると思うのですが、この点をいま少し了解できるように御説明いただきたい。どこに一体一線を引かなければならぬ理由があるのか。
#30
○政府委員(藤枝泉介君) 御指摘のように、昭和十二年の満州国政府設立以前におきまして、たとえば行政権等も相当満鉄が持っていたのでございます。そういう行政権までも持っていたような満鉄について、当時の恩給法というものが、満鉄職員と日本政府職員との間の通算というものも考えていなかったわけなんです。そういう点から申しますと、やはりその状態を、ことに昭和三十四年に恩給という制度が共済制度に切りかわった今日において、新たなそういう実質的な問題については、なるほどお話の点は十分了解できるのですが、そういう過去の恩給法上の取り扱い等を考えましても、この際、今後満鉄に勤めた期限を通算するということは、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えているわけであります。もっとも、満鉄に勤めた人について何らかの処置をすべしというのなら、これは恩給とは別個の問題として研究をするべき筋合いのものではないかというふうに考えているわけであります。
#31
○伊藤顕道君 繰り返し申し上げるように、満鉄が満蒙における日本政府の代行機関であったということの一つの証左になる資料があるわけであります。これは初代総裁の後藤新平さんの、「南満州鉄道株式会社の性質」、これに明確に出ているわけですね、その要点だけを拾ってみますと、こういう内容があるわけです。政府は、名を会社にかりて、その実は政府の機関たらしめんことを期せるもので、事実は、政府は満鉄をして政府にかわりて南満州の経営に当たらしめんとする目的を有するものとする。これを要するに、満鉄は国家にかわりてその主権の一部を行なうの任務あるものとする。まあこういう一節があるわけです。これは初代総裁の後藤新平さんの図書はまだ厳然として残っているわけです。それは表面はあくまでも政府の機関としてはまずい、国策上外国等に対して。その政策がよかったか悪かったかということを私は今申し上げるのではなくして、ただ、恩給と結びつけて、そういう限られた視野からだけ今申し上げているのですが、そういうことで初代総裁の後藤新平さんが、こういうふうに、外国との関係上、どうもこれは表面に日本の政府として打ち出したらまずいということで、特に勅令をもって一会社ということで顧慮を払われているわけです。だから、会社であっても、特に勅令をもって設立されておる特殊な会社であるということは重々確認されるべきだと思うのですね。その満鉄の職員が、医療団体あるいは満州国すら入っておるのに、これだけ除かれたということについては、先ほど来申し上げておるような節々から、どうも納得がいきかねると思うのですね。そこで、さらにお伺いいたしますが、今繰り返して申し上げたように、国のほんとうの代行機関であったということは、実質的にはもう確認されておるわけですね。ただ、形式上国の行政機関としてはまずい、だから軍事、警察以外は、あげて満鉄が経営していた。地方行政などは、あげて地方事務所で所管していた、そして多くの地方部で統括し、各地に地方事務所を置いて、今の市町村役場のようなことまで、自治行政までやっておった。そういう特殊使命を持ってやってきて、従って、表面だけはあくまでも政府の一機関ではなかったわけだ。一会社であった。しかし、実質はるる申し上げるように、実質をとらえるならば、これは政府の代行機関であったとするならば、満鉄の社員はそういう意味の特殊の公務員であったとも認定できるわけですね、実質的な観点から見れば。しかし、それはあくまでも会社だからだめだというならば、それならなぜ外国である満州国政府――満州国政府は日本政府じゃないんだ、これははっきりしているわけですね。医療団体も国の行政機関でない。こういう点から、ただ実質をとらえて今度こういう改革を行なうというのであれば、一歩進めて、こういう使命にあった、こういう事情にあった満鉄を入れないのはおかしいじゃないか、そういう論が当然出てくると思うのです。この点重ねてお伺いします。
#32
○政府委員(八巻淳之輔君) 確かに満鉄が、創立当時そうした行政権の一部を委任されるというような実態的なものがあったということはわかりますが、これはまあ相当古いことで、その当時からも恩給法というものがあったわけでございます。そこで、そういうふうな実態をとらまえて、恩給法というものがあった当時から満鉄と日本国政府職員との間でそうした人事交流が行なわれて、満鉄を十年勤めて日本国政府で十年勤めた、あるいは日本国政府から満鉄へ派遣されて、また日本国政府へ戻ってきたというような実態がございますれば、おそらく戦前でもそうした通算制度というものが設けられたであろうと思うのであります。しかしながら、そういうものが設けられなかった。昭和十八年に満州国政府についてのそうした通算規定が設けられた。こういう事実は、そうした人事関係というものが、人事政策と申しますか、人事行政というものがなかった。また、その必要もなかったということが戦前に言えると思うのであります。それで戦後において、御質問のように、満鉄を相当長く勤めあげて、そうして内地へ帰られた、あるいは民間の会社へお勤めになった方もありましょうし、国鉄へお勤めになった方もありましょうし、また、いろいろな政府の機関へも、各省へお勤めになった方も若干はございましょう。そういう方々がもう老齢になって退職しなきゃならぬというときに、満鉄の何十年かの期間というものがむだ奉公になってしまう、こういうことはお気の毒じゃないか。一般に退職年限に達して、老齢年金も何もどこからも受けられないということはお気の毒じゃないかという問題だろうと思うのです。これは一体恩給で解決するのか、あるいは厚生年金なり公共企業体の共済組合法で解決するのかというふうな幅の広い問題だと思うのです。そこで、今の先生の御指摘の点は、満州国と大体実態というのは似ているんだから、恩給で片づけたらいいじゃないかというお話なんですが、やはり先ほど総務長官が申し上げましたように、もっと幅広く扱うべき問題じゃなかろうかというのが私どもの考え方でございます。
#33
○伊藤顕道君 繰り返しお伺いいたしますが、満州国の場合、これは言うまでもなく、日本の政府じゃないのですね、外国の政府です。医療団体も国の行政機関じゃない。しかも、この満鉄とか満州国の職員とか、そういうものについて、きわめて類似のものを、それを特にその中から満州国と医療団体だけを引き出して、これは恩給で解決すべき筋合いだ、こういうふうにきめつけて今度繰り入れる。そうだとすれば、それとほとんど選ぶところのない満鉄の職員を、これはどうも恩給で解決すべき筋合いじゃない、もっと広い、広範な視野からということは、わかったようでなかなかわかりかねる。もうそういう説明では、どうもそこに何のために一線を引いているかということがまだ理解できないわけです。そこを一度明瞭にするためにさらに申し上げますが、その満鉄と、業務の性質とか、あるいは内容、それから国家に対する職責、こういう点から比べてきて、そうして同種あるいは類似機関だと見られるこういう機関が幾つもあるわけです。これをとらまえて恩給法上の関係と結びつけると、その取り扱いが実にまちまちなんですね、現在。たとえば申し上げると、同じ鉄道関係でも、元朝鮮、台湾、樺太、この鉄道の職員、それから関東局と大東亜省、これの在満官吏、こういうのは戦前にあったわけですね。関東局も政府であった。こういうものが最近恩給法上は、在外期間がみな通算されておる。ところが、満鉄だけは除外されておる。これはまことにおかしいと思うのですね。朝鮮、台湾、樺太の鉄道の職員はその中に入っておるわけです。恩給法上りっぱに通算されている。一歩出て満州になってしまうと、とたんにこれは朝鮮、台湾、樺太関係の鉄道職員とはもう全然一線を引かれてしまう。それだけ比べてみても、非常に不均衡な取り扱いに見られる。ここのところがどうもおかしいと思うのですがね。こういう実例があるわけですね。そこで、恩給法上の取り扱いについて、類似の機関ではずいぶん区々まちまちであるということが実際から言えるわけです。これは現在ただいまの現状はどうだということを今申し上げたのです。どうですか。
#34
○政府委員(藤枝泉介君) 私ども、戦前満鉄に勤務した人をほっておいていいという考え方ではない。ただ、今おあげになりました朝鮮、台湾鉄道等、あるいは関東局の職員等は、これはすべて政府職員であったわけです。満鉄は、先ほどお述べになりましたような特殊な事情から特殊会社、そうして戦前におきましてもそういう特殊な会社であり、行政権の一部も握っておるというような性質を考えながらも、戦前の恩給制度においても、これの通算ということは考えられていなかったので、ことに満州国ができまして、昭和十八年の満州国政府在勤が通算される法律ができました際にも、これは問題にならなかったというような特殊な事情があるのであります。今回のこの恩給法等の改正は、新しい制度を作るということではなくて、従来ありましたものの補完的な改正をしようというわけで提案申し上げたような次第でございます。従いまして、この満鉄に勤務された人たちの問題というものは、それはそれとしてやはり考えていかなければならない。ただ、今回の恩給法の改正にはちょっと無理な考え方ではなかろうかというのが私どもの考え方でございます。
#35
○伊藤顕道君 まだそういう程度で了解できないですよ。長官のおっしゃるのは、おっしゃる意味はわかるのですよ。おっしゃる意味はわかるけれども、了解するまでに至らないわけです。意味はもちろんわかるのです。ただ、満鉄については、恩給法上そういう既得の関係がなかった、ただし、満州国についてはあった、そういうことは、先ほども申し上げたように、後藤新平さんのそういう意図もあって、どうもあのときの世情からいって、満鉄を政府機関としてはまずい、そういう事情があったから、一つの会社であっても、いわゆる勅令をもって設立し、先ほど申し上げたような意味で、表面上あくまでも会社、しかし、特殊会社として国策代行の機関であったということは実質上はっきりしておるわけです。それで、今鉄道関係だけ比べても、樺太、台湾、朝鮮、こういう鉄道職員は恩給法上通算がある。他方、鴨緑江を越えてしまうと、もうそういう権限がなくなってしまう、こういう実例を申し上げてお伺いしたわけです。どうもこれは納得しがたい。
 そこで、この程度ではまだ御了解いただけないなら、さらに実例をあげてお伺いしたいと思います。こういう実例もあるのです。国際電気通信株式会社があったのです。それから日本電信電話工事株式会社、これもあったのです。これは単なる会社なんです。この職員も、公務員になったものについては、この会社在職期間を通算されておるのです、この点についても。ところが、これからも満鉄は除かれておるということですね。だから、架空のことを私は申し上げておるのではなくして、今回満州国ないしは医療機関ですね、これも入れるくらいなら、当然に考えられてしかるべきだということをお伺いしておるわけです。ところが、今回はどうもそういう点は考えられなかった。しかも、満州国とか、あるいは医療団体については恩給の範疇で考うべき筋合いであるけれども、どうも満鉄については、恩給ということではなくして、他に適当な広い視野から考えるべきだと思う。そうなると、ますますわからなくなるのです。今回は検討が不十分であって、今回のこの法改正には満鉄は入れなかったけれども、近い将来に十分考慮したいと言うなら、これなら話はわかるのです。話はまことにわかるのです。そういう頭脳明晰な総務長官のお答えとも考えられない。満鉄だけは恩給の範疇から除かれてしまう。ただ、こういう差し迫った現段階で、今ここで無理に満鉄を入れなさいということを言っているのではない。近い将来そういう範疇へ満州国あるいは医療機関をすら入れるのであるならば、そしてまた同じ鉄道関係で、台湾、朝鮮、樺太の鉄道関係職員はみんな通算されておる。あるいはこういう国際電気通信株式会社、あるいはまた日本電信電話工事株式会社、こういう職員ですら、会社の職員であったその期間をすら通算されておる。こういう事態から見ても、これは当然将来十分誠意をもって検討するぐらいの御答弁あってしかるべきものだと思う。
#36
○政府委員(藤枝泉介君) その伊藤さんのおっしゃることはよくわかるのでございまして、まあ別に四の五の言うわけじゃないので、満鉄職員の問題については、これは十分われわれとしても今後検討しなければならない問題であるということは考えておるわけでございます。
#37
○委員長(吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#38
○委員長(吉江勝保君) 速記を起こして。
#39
○伊藤顕道君 今一応御答弁があったわけですが、そこで、さらに御答弁に責任をもっていただくための一つの一資料として以下申し上げたいと思います。
 ごく短時間に要点だけ申し上げます。大体以上の実例でおわかりいただいたと思うのですが、念のために、こういう事実もあるわけです。昭和二十五年に、従来民間請負業務であった三等郵便局長さんですね、この在職年を恩給法上通算する特例が、昭和二十五年法律第百八十四号で講ぜられたという前例もあるわけです。こういう例もあるわけですからね。ただ満鉄については、前々恩給との結びつきはなかった。過去においてなければ、今後よけい検討して、合法的に、ただ過去のうちで誤っているものがあれば、是正するのが前進だと思うのですね、これが政治だと思う。それから、こういう実例があるのであるから、過去においてなかったから一切だめだというのは、それでおしまいで、政治じゃない。やはり前向きの姿勢で、過去にはなかった、しかし、それをよく追及してみると、国策会社として、表面国の行政機関としない方が賢明だという、そういう趣旨もあったわけですから、そういうことをもあわせ考えて、しかも、今申し上げた三等郵便局長のこの前例もあるわけですね。それから、さらに今回改正された医療団体の職員とか、あるいは満州国の問題、こういうものをさらにあわせ考えられたとき、これは当然この際十分御検討いただきたいと思うのですよ。
 特に、ついでだから申し上げますけれども、終戦まぎわに満州国にソ連軍が平和進駐してきたわけだ。そのときの関東軍は、もう実質はほとんど沖繩その他へ進駐してしまって、ただ名前は関東軍であっても、ほとんど予後備の、ほとんどその当時の厳然たる関東軍ではなかったわけです。従って、ソ連軍が進駐してきて一番早く逃げてしまうのは関東軍の将兵であって、情報をよく知っていますから、ほとんど戦争などしないで、どんどん関東軍の将兵は逃げてしまった。最後まで国境に踏みとどまって、いわゆる日本国民の保護に任じたのは満鉄社員だけとは言いませんけれども、満鉄社員はその雄たるものであったわけです。そういう実績を私どもはこの眼で確認しておるわけです。従って、こういう不公平な取り扱いはよくない、こういうこともあるのだから、この際十分御検討をいただいて、早急にそういう合法的なお考えをいただきたいということで、もう時間もございませんから、最後に一点だけお伺いして、そうして重大な決意を一つ披瀝していただいて私の質問を終わらせていただきます。
#40
○政府委員(藤枝泉介君) 満鉄職員が終戦当時に非常な御苦労をなすったり、あるいは在留日本人の保護等について非常な御苦心をなすった実情は私どもも存じておるわけです。従いまして、そういうことに対する、しかも、ああいう状態で満鉄が解散されてしまった。従って、職員に対して十分な解散時における給与等も、退職金等も出なかったというような実情は十分われわれも考えなければならぬ。従って、これについての十分な検討をいたしたいと考えております。
#41
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#42
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#43
○山本伊三郎君 これは皆さんがつけるという附帯決議の関係があるので、ちょっと聞いてもらいたい。
 そこで、この前の内閣委員会で恩給局長にちょっとお願いしておいたのですが、過去の恩給法適用者の失権者の、これの数字が出ておればちょっとお知らせ願いたい。
#44
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給受給者の失権率につきまして御説明申し上げますと、過去二十九年度から三十三年度までの統計が一応ございます。それによりますというと、二十九年度では四・二%、三十年度では三・七%、三十一年度では三・七%、三十二年度では三・七%、三十三年度で三・三%ということになっております。これは普通恩給をもらっておる方がそれだけ毎年亡くなる、こういうことでございます。そのほか軍人につきましては、これは裁定がずっとあとになっておりまするから、三十年から三十三年までの実績を申し上げますというと、三十一年度が一・四%、三十二年度が一・三%、三十三年度が一・五%ということになるのでございます。これは軍人の普通恩給を受ける方は年令層が割りに若うございますから、そういう一般文官よりも半分くらいになる、こういうことでございます。
#45
○山本伊三郎君 それじゃ、軍人恩給の問題は、将来普通恩給については共済組合法の適用ですから、だんだんなくなっていくのですが、軍人恩給のパーセンテージは今伺いましたが、総数は幾らでございますか。
#46
○政府委員(八巻淳之輔君) 軍人恩給の予算人員は、年金におきまして二百十二万三千人、そのうち普通恩給を受ける者が三十六万人、それから増加恩給を受ける者が七万四千人、傷病年金を受ける者が七万七千人、それから遺族扶助料と申しますか、公務扶助料を受ける者が百四十六万一千人、それから普通恩給を受けた方が亡くなった場合には遺族扶助料というものを受けますが、それが十四万九千人、合せまして二百十二万三千人ということになっております。
#47
○山本伊三郎君 そうすると、その二百十二万三千人から普通恩給のこれを引けば、あと軍人恩給ということになるのですか。ちょっとその説明を伺いたい。
#48
○政府委員(八巻淳之輔君) 二百十二万三千人の中で、普通恩給――生存しておる老令者の受けておるのが三十六万三千人、あとは傷病者でありまして、公務傷病恩給であります。公務扶助料、普通扶助料、これは遺族ということになるわけでございます。
#49
○山本伊三郎君 それで遠いところはいいのですが、三十三年度の一・五%に対する金額は出ておりませんか。
#50
○政府委員(八巻淳之輔君) 三十三年度当時の軍人の普通恩給を受ける受給者の数が、これは統計では三十五万でございますが、その当時の予算、三十三年度予算で申し上げますと、普通恩給は六十三億九千万円でございます。
#51
○山本伊三郎君 六十三億九千万円……。
#52
○政府委員(藤枝泉介君) これは生きておる人です。
#53
○山本伊三郎君 いや、僕の聞いておるのは総額です。
#54
○政府委員(八巻淳之輔君) 三十三年度の軍人恩給費の総額は八百五十一億でございます。
#55
○山本伊三郎君 それで、それの一・五%減るというわけにはいかんのですね、これは人員の一・五%だから。金額では大体出ないですか。
#56
○政府委員(八巻淳之輔君) 今のは人員の比率でもって一・五%失権すると申し上げたのです。つまり三十五万二千人のうち、その年間で失権した方が五千七百人いるということで下五%。五千七百人と申しますと、大体そのころの単価が大体は二万円から三万円ぐらいの幅でございまするから、これの二万円といたしまして五千七百倍ということでございますから約一億二千万円ぐらいのものでございます。
#57
○山本伊三郎君 これは、実は僕もその点は非常に恩給に対するいろいろ問題が――これは恩給そのものの是非とかそういうものではなくして、国家財政の立場から考えて問題になるのです、いつも。従って、やはり失権する額というのは、僕はそう大きく出てこないと思う。これは遠い将来は別ですがね。この点は僕は今後附帯決議で、相当恩給についてはベース・アップを考えるという措置をとるような附帯決議をつけることになっておるのですが、これは相当われわれがつける以上は、可能性のないものをつけて、それでその陳情者のためにただ表面だけ糊塗するということではいかぬと思う。やはりその見通しのあるものをとらなくちゃいけないと思う。従って、今度の改正で七十五万人の対象がふえて、昭和五十一年度のピークでは百五十七億というふうに大体出ておるのですね。こういう点から、僕は相当政府でも、また大蔵当局もおられますが、問題が出てくると思うのです。従って、この点はわれわれとしては、実態を見ると、なるほどこの遺族扶助料なんかもらう人で気の毒な人はたくさんおるのです。これはわれわれ認めます。しかし、そうかといって、総額が非常に上がってくることは、やはり恩給に対する国民のいろいろの批判もありますから、この点はわれわれとして附帯決議をつけますが、今後これを調査する場合にどうするかということもわれわれ自身考えなくちゃいけないと思うのです。
 そこで、最後に聞きたいのですが、総括して、現在普通文官の恩給についても問題がありましょうが、軍人恩給についてはいろいろ問題があるのですが、内部的不均衡というものが、恩給局当局としてそういうものがあるかどうか、まあ検討されておるかどうか、こういう点はどうなんですか。
#58
○政府委員(八巻淳之輔君) 恩給内部におけるいろいろの不均衡という問題は、今回の提案におきまして加算の実施というようなことが一番大きな不均衡をならすという目的のために行なわれたわけでございます。そのほかの問題といたしましては、もう不均衡は私どもはないと思っておるのです。いろいろ旧退職者と新退職者との間の不均衡というような問題はいろいろございましたけれども、これも今回の改正によりまして、ある程度旧号俸を引き上げたわけでございます。大体恩給内部における不均衡という問題は、ほとんど解消してしまった。従って、先ほど総務長官から申し上げましたように、恩給内部における、今後は中に入ったその人たちの待遇を、国民所得の水準の上昇というものに見合ってどう改善していくかということが今後の課題であるというふうに考えております。
#59
○委員長(吉江勝保君) 速記を止めて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(吉江勝保君) 速記つけて。
 他に御発言もなければ、恩給法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、小幡君から、委員長の手元に附帯決議案が提出されております。本案も討論中にお述べを願います。
#62
○小幡治和君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題になっております恩給法等の一部を改正する法律案に対し、次の附帯決議を行なって賛成するものであります。
 附帯決議案を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法
    律案に対する附帯決議案
  国民所得倍増計画の進展に伴い、
 今後勤労所得の上昇することは否め
 ない事実である。而して公務員の給
 与の改善については、人事院が民間給
 与との均衡を失しないよう常時研究
 調査を行い所要の改善措置を講じて
 いるのに反し、恩給及び各種年金の
 改善の合理的調整等の問題について
 は、専ら調査する機関が政府部内に
 なく、恩給及び各種年金受給者は、常
 に不安定不利な立場におかれている。
 政府はこの際、これら恩給及び各種
 年金受給者の処遇について常時調査
 研究を行い、その合理的調整につき速
 かに適切な措置を講ずべきである。
 尚恩給制度の運用に関しては、戦前
 の外地に於ける国家との特殊関係機
 関職員の前歴ある者については其の
 機関の形式に捉われず克く其の実質
 を洞察し戦前戦後の社会事情の一大
 変革を考慮して処遇の公平を期する
 様措置せられたい。
  右決議する。
 以上であります。
#63
○委員長(吉江勝保君) 他に御意見もないようですから、討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、討論中に述べられました小幡君提出の恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を議題といたします。小幡君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#66
○委員長(吉江勝保君) 全会一致と認めます。よって、小幡君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ――――――――――
#68
○委員長(吉江勝保君) それじゃ次に、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の二件を議題に供します。
 御質疑のおありの方は御発言願います。
#69
○山本伊三郎君 今度の仮定俸給の引き上げですが、これで実際の年金額として現在と比較して何割ぐらいの上昇になるんですか。ここに仮定俸給の表がありますが、実際どれくらいになるのか、その点を一つ。
#70
○政府委員(船後正道君) 旧令共済特別措置法適用者について申し上げますと、現在の年金の一人当たり平均額は約五万九千円でございます。これに対しまして、今回の改定によりまして約六万四千円となります。上昇率は約六・九%が平均でございます。
#71
○山本伊三郎君 この経理は、特例法としてどういう経理をやられておるのですか、ちょっとその点。
#72
○政府委員(船後正道君) 前回も申し上げたと思うのでございますが、旧令共済特別措置法適用者に対する年金支払の義務は、国家公務員共済組合連合会の旧令共済部が担当いたしております。この方へ、年四回の支払でございますので、予算を四半期ごとにそれぞれ所要額を交付いたしております。
#73
○山本伊三郎君 次長見えていますね。ここはちょっと立って言わんとだめなんだが、実はこの前に大蔵大臣に来てもらって、給与課長は専門家ですし、わかっておるんですが、大蔵大臣は、どうも知って知らん顔をしておるかどうか知りませんが、きわめてそっけない答弁をされた。あなただったら御存じだと思いますが、一昨年ですか、国家公務員の共済組合の掛金の問題が出たときに、整理資金の問題で相当問題になりまして、昭和三十五年度末に再検討をして、まあ国会に報告するというわけじゃないんだが、再検討してやる、そういう答弁が佐藤大蔵大臣からあったんです。ところが、三十五年度は、御存じのように、安保の問題で国会がああいう状態になって、われわれ聞くことができなくて、そのうちに内閣がかわって今の大蔵大臣になったんですが、どうもその点何も知らないんですが、今給与課長に聞くと、検討しておると、こういうことなんですが、政府としてはこの点について誠意をもってやっているのかどうか、この点を一つあなたから、まああなた責任者というかどうか知りませんが、これは僕らが一ぺん言い出したものはいかなけりゃいかないでいいんですよ、どうなったという結末ぐらいは明らかにしておかなければいかないと思うので、それでお尋ねしておるんです。その点どうなんですか。
#74
○政府委員(谷村裕君) 御質問のありました点に十分お答えができるかどうか、私、はなはだ危惧いたすものでございますが、ただいまおっしゃいました一つは掛金率の改定の問題だと思います。これにつきましては、当時からもう一ぺん再検討することにいたしまして、いろいろ見ておったわけでございますが、昨年の三十五年度中におきましては、いろいろ検討いたしました結果は、直ちに今これを手直しする状況ではまだないのではないかという一応のまあ事務的な結論みたいなものに達しておったわけでございます。ところが、昨年の八月に給与改定の勧告があり、十月から給与の大幅改定というふうなことがございまして、これも一また織り込みまして、再び再検討せなければならぬではないかという状況に立ち至っておりますので、それこれあわせまして、最近では各単位共済組合等に資料などの調製をお願いいたしまして、これを今回もう一回この秋にかけまして、十分検討いたしたいと思って準備をいたしておる状況でございます。
#75
○山本伊三郎君 質問が非常に飛び飛びになりますが、われわれが掛金率の問題を問題にしておるというのは、いわゆる二十三年六月以降の問題の負担のところが、やはり共済組合で経理しておるところです。私は、政府が責任を持つ分野が相当あると思うのです。こういうものは、共済組合ができる前の政府負担の分なんです。しかも、先ほど恩給局長が答弁のとき言われておりましたが、昔は恩給というのは一方的に政府の負担で出しておったのです。その後百分の二という納付金を納めておる。従って、純然たる一方的な支給ではない。それは全部国庫へ納まっておる。その納めた人も共済組合の組合員として資格をとって、共済組合の中から今後の年金を支給する。従って、その幾分かはそれは何パーセントに当たるか、計数はわれわれは出しておりませんが、幾らかは国の方が当然みなければならぬ金がある。これは単に国家公務員だけじゃなくして、この前も大臣に追及したのですが、三公社の場合も同じようなのがあるのですね。それが大蔵当局はきわめて冷淡な考え方です。従って、あなたは大臣でないから、政治的な責任はございませんが、事務当局としてこういう問題をどう考えておるのか、この点一つお聞かせ願いたい。
#76
○政府委員(谷村裕君) 御質問が三点ばかりあったようであります。
 第一の旧令共済の関係につきまして、これを現在共済組合連合会に処理させてはおりますが、先ほど給与課長がお答え申し上げました通り、その必要な原資は一般会計の方から、それに必要なものとして予算を組み、かつ、これを交付しているというわけでございまして、現在の一般公務員の負担として処理しているものではないというふうに私は承知いたしております。すなわち、戦争前における陸海軍の問題等でございますので、その当時の跡始末を一般会計の負担金においてしておるというふうに御理解いただけると思います。
 第二に、いわゆる整理資源を共済組合の方に渡さないで、掛金の方はちゃんと取っており、政府の方は十分計算された分だけ渡しておらぬではないかという問題でございます。そして、これがいわゆる掛金率の計算に響くのではないかという問題でございますが、現実に掛金を徴収いたします率と、保険計算におきまして、全体として積み立てのためにどのくらいの現実に資金を出したらいいか、それがはたして計算の上でちゃんと五分五厘なら五分五厘に回る計算をうまく共済組合として整理できるかどうかという問題、これは現実に、政府が十五億なら十五億の資金を出すのとは別でございまして、いわば共済組合の方で政府に対する債権というようにいたして整理しておおきになれば、いつ現実の資金交付をするかという問題は、別途財政上の都合を考えて処理させていただいてよろしいのではないかと思っております。日本だけではなくて、いろいろ外国等におきましても、そういう公務員の負担部分、特に整理資源の分についてどう処理するかということは、よく議論されておるそうでございまして、私もあまりつまびらかでないのでございますが、まあ十五億ずつでは足りないのじゃないか。現実の資金交付は確かに少なうございますが、共済組合の計算といたしましては、それで成り立つものと私どもは考えております。
 第三に、もう一つございました、鉄道、その他三公社等について、なぜ国がみないか。特に恩給から引き継いだ職員がおるではないかというお話でございます。これも何か先般大臣にお聞きになりました際に、大臣がお答えになったときに、あとで私、大臣から伺いましたら、どうもそういうことをきちっとしておかないと人事交流がうまくいかぬのじゃないかという気がしたので、よくわからなかったけれども、お互いに通算みたいなことをしたらいいんじゃないかと自分は思っていたんだということをおっしゃいましたが、実は山本委員がお聞きになっているのは、むしろ過去の整理資源の方の問題だと思います。その点につきましては、私どもの今の考え方といたしましては、やはりああいう公社として、政府から独立はいたしましたが、非常に大きな資産を政府から出資という形で引き継いで、そして、それをもっていわば分家したわけでございますので、その分家した経済の主体として、同時に、そこが持っておりました過去の分も、その負担において引き継いでいっていただくということで今まで整理して参りましたので、確かに御指摘になるように、いろいろこれについての考え方はあるかと存じますが、今の私どもの考え方では、それぞれ財産を持って引き継いでいったところで、その資産によって生み出す収益等からそういう原資はみていっていただく、そういう考え方にいたしております。
#77
○山本伊三郎君 そういう考え方が大蔵当局としてあることも、これは一つの考え方としてはあると思う。しかし、国鉄当局ではそういうことは全然考えておらないのですね。いわゆる問題は、そういうことで財産をみな国の方からやったのだからと、こう言いますけれども、鉄道経営というのは、やはり独立的な経営体になっておると思う、昔から。そういう点からいって、そういう理屈をつけるのは僕はちょっと無理じゃないかと思うのです。従って、僕はそういう点をはっきりと、しからばこの分はそういう財産であるということはやっておらないのですね、終戦後ああなったのですから。そのときはっきりしておればそういう点問題ない。旧軍関係から引き継いだところの年金についての引き当ての資金はこうであったということは全然ないのですね。しかも、その当時は国鉄も赤字経営で困っておったのですね、戦後もね。そういう中で全部負わしておった。最近ようやく運賃値上げ、独立採算制でやっておるが、赤字があるようですが、そういう点で大蔵省は勝手な考え方をしているんですよ。しからば、こういう点でこうしてあるのだということを言われるならば、私は国鉄に行ってそういう説明をいたしますよ。そういうことを一つもやっておらない。そういう点と、もう一つは、先ほど給与課長が横川君の質問に答弁されましたが、僕は、公企体であるとか、あるいは地方公共団体であるから、国と同じような関係であるから、国の方からの補助金はなくてもいいのだ、こういう見方は大蔵省的考え方だと私は思うのです。国家公務員の場合には百分の五・五、それから組合員は百分の四・五、これを折半主義だとすると、政府は一〇%を補助金といいますか、みているという形になる。厚生年金の場合は民間の場合だから、私は多分一五%程度補助金を厚生年金はみていると思うのです。従って、私は、今度は地方公務員の共済組合を作る場合でも、少なくとも国家公務員の割合で国がめんどうをみなくちゃいかぬじゃないか、理論上。これは国の分家だからといって、政府は、各地方公共団体に赤字が出ても、その分は補助をしない。おのおのが苦しんでやっているんですから、こういう国家公務員と同等のような地方公務員共済組合ができるときには、同じ状態でやはりみてやらなくちゃいかぬ。将来共済組合経済が立ち直ってくれば、これは別ですよ。今やるときに相当問題があるときに、そういうめんどうなことをやるから、地方公共団体が困って、なかなかそれがやれないという状態なんです。国は実際これをやらそうと奨励するのかどうか、こういう点が私は問題だと思うのですね。大蔵省は、財源といいますか、財政当局としていろいろ考える点がありますけれども、公平に私はものを判断してやらなくちゃいかぬと思うのですが、この点について大蔵大臣が勘違いされておったか知りませんが、いわゆる国の方で補助金を出すという必要が全然ないのだという考え方の根拠を一ぺんはっきりしておいてもらいたい。
#78
○政府委員(谷村裕君) ただいま御質問にありましたように、およそ一種の長期給付と申しますか、年金のようなものが、民間に、あるいは国家公務員、あるいはまた今後地方公務員のようなところにだんだんできていく、整備されていくというときに、雇用主である立場の者と、それから雇われておられる方の、そういう立場にあられる方の拠出に加えて、さらに中央政府、国が何がしかをみるべきだという一つの体系を考えるべきではないかという御質問であったように心得ます。例として、たとえば厚生年金では一五%程度の負担をしているではないか、あるいはそのほかに、例を申すまでもなく、たとえば私学共済でありますとか、そういったものについてもあるではないかということであろうと思います。たとえば地方職員の場合については、国が出すことは拒否しているのだ。もとよりこういった制度全体につきまして、国が皆年金という考え方からこれを奨励し、また、助長しようとしていることは当然でございまして、この点につきまして、私どもはその線に沿っているつもりでございます。問題は、いわゆる被用者と雇用主と、その両方の拠出のほかに、この制度を助長するために国が負担をすべきであるか、それとも、この間、大臣はそうお答えになったそうでございますが、公経済の主体である地方団体、あるいはまた三公社というふうなところが負担すればいいのではないか、特に三公社の場合には、旧来からずっと自分の手でそういうことをやってきているわけでございまして、そこらの問題の考え方だと思います。今後年金制度全体というものをどう統一的に考えていくかというふうなときの問題として、確かに御指摘になるような点に問題があることは私も了解できるわけでございますが、従来は、たとえば地方団体もやはり公経済の主体として、恩給なら恩給の問題も取り扱って参りましたし、また、私学共済に対しまして、たとえば地方団体としてやはり一種の交付金を渡しているという実態もございます。また、三公社等はそういうふうにしてやってきている例もございますので、今これをにわかに国だけがそういう一部分を出すことにするのだというふうに改めますためには、やはり相当年金制度全体にわたっての慎重な検討に待つ必要があると考えます。さようなわけで、なかなか先生のおっしゃるように、私どもは直ちに踏み切るわけにも参らない状況にございます。
#79
○山本伊三郎君 これはいずれ私もこういう内閣委員会の場でなくして、もっと広い立場から、予算委員会でも一ぺん追及したいと思うのですが、私どもは、大蔵当局の考え方は、何か近しいものについて押さえつけようという考え方が、私は例がたくさんあると思う、たとえは交通政策にしても、私鉄に対する考え方と、それから都市交通という公共企業体のやる仕事に対する考え方が、大蔵省だけではないのですが、政府自体にも私はあると思うのです。とにかく近しいものは押さえたら、これはもう文句言わないのだ。しかし、民間の方では相当政治勢力が強いから、言うことを聞くというような場合が相当あるのです。これは話が発展いたしますが、都市交通にしても、起債にいたしましても、また、路線の認定にしても、非常に私は公共企業体の経営に対して冷淡な場合がある。しかし、こんなことを言うと時間がかかりますので言いません。それと同じように、民間に対しては、健康保険の補助金にいたしましても、相当みている点がある。しかし、公務員というのは、とにかくそういうものはお前ら勝手にやっているのだということで、地方公共団体に対しても、きわめて冷淡な態度がある。これは私は自治省の連中から聞いているのではない。私自身体験しているのですが、この点はしつこく言いませんが、十分皆さん事務当局の方たちは、おそらく大臣がかわるたびに政策は変わりますが、あなたらこそかわらないので、そういう思想も考えてもらいたいと思います。時間がないので、私は以上でこの問題について終わっておきます。
#80
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#81
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#82
○伊藤顕道君 簡単に二、三お伺いしますが、今審議している恩給法の一部改正によって、昭和二十三年六月三十日以前の共済組合年金者についても不均衡是正の措置がとられたわけですね。ところが、満州国及び日本医療団に勤務していた雇用人、これは参事とか主事等を除いた雇用人の勤務期間は、今回の共済組合のいわゆる特殊期間ということであって、年金支給の対象期間とはならないわけですね。参事とか主事等については対象期間になるわけですけれども、雇用人だけ特に取りはずして対象期間にならぬのは、非常に均衡を失すると思うのですが、どうして雇用人だけを入れないのかという点を明らかにしてほしいと思います。
#83
○政府委員(船後正道君) 今回の恩給法の改正におきまして、旧日本医療団と外国政府職員期間、これが恩給の期間にそれぞれ算入される措置がとられますと、恩給法の方で措置されるのと同じやり方を共済組合の方でもやると思います。ただし、これらの雇用人あるいは雇用人に相当する方につきましては、恩給法では何ら措置されない、対象外でございます。これを共済体系で措置いたします場合には、伊藤先生御指摘の通り、共済組合法の第九条の期間でございまして、しかし、その期間には通算するが、年金計算の基礎にはしない、かような扱いをいたしております。この理由は、御承知の通り、第九条の期間の第一号に、職員であって引き続かない期間、しかも、恩給公務員期間ではないという期間は、いずれも第九条の一号期間にいたしております。つまり、日本の政府に雇用されておりました雇用人でございまして、一度退職して、再び勤められた。しかも、共済組合法の規定の適用がなかった。具体的に申し上げますと、昭和二十三年以前の非現業官庁における雇用人の方々はこれに該当するわけでございます。こういうふうに、一度退職いたしまして再就職いたしますと、一号規定の期間になるわけでございます。これらとのバランスを考えますれば、やはり満州国政府等に勤めておられた雇用人等でありまして、その後国家公務員として再就職された方の取り扱い方としては、両者バランスが合っている、かように考えております。
#84
○伊藤顕道君 まだ不均衡の面についての納得は足りないが、時間の関係で次の問題に参りますが、今回の年金額の改定に伴って、旧令の共済組合特別措置法に基づく年金分として、どのくらい一体予算に組まれているのか、そうして年金種類別に承りたいと思います。
#85
○政府委員(船後正道君) 本年度分といたしましては、総額三千八百万円でございます。これを年金種別に申し上げますと、退職年金といたしまして約三千百万円、遺族年金といたしまして約七百万円、あと廃失年金と傷害年金は言うに足らない程度のものでございます。なお、御参考まででございますが、平年度額は総額九千二百万円でございます。
#86
○伊藤顕道君 今度の年金額の改定で恩恵を受ける人員は一体どのくらいかということ、それから一人当たりの年金額は現在いかほどかということ、それから改定後はどの程度になるか、それから一人当たりの増加年金額はどの程度か、それから増加割合はどの程度になるか、恩給法によって年金額改定の増加割合と比べてどうなるか、こういう問題を具体的に伺いたい。
#87
○政府委員(船後正道君) まず旧令共済特別措置法の適用者について申し上げます。人員といたしまして約二万二千三百人でございます。それから現在の平均一人当たり年金額は約五万九千四百円でございます。これが今度改定後に約六万三千五百円でございます。増加額は約四千百円でございます。増加割合は六・九%でございます。
 なお、恩給の方は、実は私どもで資料を持ち合わせておりませんが、先ほども申し上げました通り、恩給の改定と全く同一内容でございますので、ほぼ同じような状況ではないか、かように了承いたしております。
#88
○伊藤顕道君 増加割合は。
#89
○政府委員(船後正道君) 六・九%でございます。
#90
○伊藤顕道君 次の障害年金の障害等級別の受給人員ですね。これはどういうことになりますか。
#91
○政府委員(船後正道君) 障害年金者の人数でございますが、一般共済が約二千九百名、それから旧令共済の分が約六百名でございます。このうち、今回の引き上げの対象となるものでございますが、これは最低保障額でございますので、障害等級の四級以下でございますが、それが約二千五百四十人でございまして、そのうち旧令分は約五百人でございます。
#92
○伊藤顕道君 最後に一点だけ。障害の等級と増加恩給との関係は一体どうなっておりますか。
#93
○政府委員(船後正道君) 最低保障額は恩給法の改正と全く同額にいたしております。
#94
○鶴園哲夫君 この九十六条ですね。九十六条の中に「政令で定めるところにより」というのを加えるということになっておりますが、これはどういうことなんですか。ちょっと説明をいただきたいのですが。
#95
○政府委員(船後正道君) 共済組合法の九十六条は、掛金未納の場合の給付制限規定でございます。現在は九十六条によりまして各組合が給付制限を行ない得る、こうなっておりますのを、今回の改正によりまして「政令で定めるところにより」といたしまして、この給付制限を行ないます場合の基準その他につきましては、統一をとろうということにきめたわけでございます。この九十六条の趣旨は、御承知の通り、共済組合制度は相互扶助の制度でございまして、掛金を納めまして、これに国庫負担金が加わりまして、そうして給付をやっていく。短期も長期もこの仕組みになっております。このような制度におきまして、掛金の納入ということはこの制度の根幹をなすものでございますので、この義務を怠る者は制度の破壊者ともいうべきものでございますので、これにつきましての給付制限を行なうべきであるというのが九十六条の立法趣旨でございます。今回はこの制限を統一的に行なうという趣旨で「政令で定めるところにより」という文言を入れたわけでございます。
#96
○鶴園哲夫君 その政令で定める場合も、統一して政令で定めるというのですか。具体的にこういうふうにしたいという案があるわけでございますか。
#97
○政府委員(船後正道君) 従来から、この給付制限の基準につきましては、国家公務員共済組合審議会の意見を聞くという慣習になっております。九十七条の禁固以上の刑に処せられた場合における給付制限を入れた場合におきましても、このルールによりまして審議会の意見を聞いております。今回の九十六条につきましても、私どもの予定といたしましては、やはり審議会で十分議論を尽くされまして、その意見によって措置いたしたい、かように考えております。
#98
○委員長(吉江勝保君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#99
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
 他に発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより両案に対する討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって両案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 おな本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ――――――――――
#104
○委員長(吉江勝保君) 次に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、藤枝総務長官、佐藤総務副長官、増子公務員制度調査室長でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#105
○伊藤顕道君 質問でなしに、この際、要望しておきたいと思うのですが、この法案が上がるときには、特にこの給与二法については、当然給与担当大臣が出席すべきであるが、本日はまあのっぴきならぬ、どうにも都合がつかぬということであるので、会期末でもあるし、そういう特殊な事情を勘案して、今後慣例としないという前提に立ってということで、われわれこの点一応念を押しておきます。
#106
○委員長(吉江勝保君) 速記に残っております。
#107
○山本伊三郎君 それじゃ寒冷地手当の問題で人事院に一つ聞いておきたいのです。これについては、いろいろ過去何回か質問しておりますから、結論だけ申し上げますが、この前のこの法案に盛られているやつですが、級地の是正ですね、衆議院で附帯決議がつけられましたですね。同一市町村における問題について、相当人事院当局も了解をしたように聞いておるのですが、級地是正でまだ不合理が残っておるという問題がある、その点についてまず御存じであるかどうか、それから聞いておきたいと思います。
#108
○政府委員(入江誠一郎君) 附帯決議がありましたこと並びに附帯決議の内容については存じております。
#109
○山本伊三郎君 それについては、人事院としては、勧告について、いつごろそういう勧告をしたいというつもりであるか、その点ちょっと聞かして下さい。
#110
○政府委員(入江誠一郎君) この問題は、御存じのごとく、人事交流の観点から不均衡を是正するように考えろという御主張でございまして、私どもこの問題は、附帯決議にもございます御趣旨でございますから、十分検討いたさなければならぬともちろん思っておりますが、率直に申しまして、これは非常にむずかしい問題でございます。御存じのごとく、勤務地地域が局地主義か、属地主義か、あるいは市町村の区域を、旧市町村の区域によるか新市町村の区域によるか、あるいは補償制度をどうするかということでございまして、片一方を立てれば片一方が立たなくなる。非常にいわゆる人事交流の関係と寒冷地手当そのものの均衡の問題という点で、かみ合った問題でございまして、十分一つ検討いたしたいと思っておりまするけれども、少なくとも八月の寒冷地手当の支給期日までには間に合わないのじゃないかと思っております。
#111
○山本伊三郎君 この八月には間に合わぬけれども、その点は相当人事院でも理解されておるということをわれわれ考えてもいいですね。
#112
○政府委員(入江誠一郎君) 理解いたしておりますと申すかどうか、十分一つ積極的に検討いたしたいと思っております。
#113
○山本伊三郎君 それ以上総裁に言わすのも無理だと思いますが、その点は一つ十分附帯決議の――本院ではそれについては附帯決議をつけません。他の問題はつけますけれども、それにはつけませんから、その点は十分一つ考えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、暫定手当の問題で、過去総裁からいろいろいろと聞いておるのですが、きわめてこれも不合理がある。不合理というのは人事行政上から見てもあるのです。これは私この前質問したときに、相当今言われたような意味よりも、もっと強い意味で、これは是正するといいますか、合理的に改正したいというような意向のように聞いたのです。これについてもう少し具体的に、もうすでにこれが地域給から暫定手当になってから数年たちますから、もう来年あたりは何らかの措置をとる時期だと思うのですが、この点についてどうですか、暫定手当の。
#114
○政府委員(入江誠一郎君) この問題は、ここでるる御説明申し上げるまでもなく、いろいろな要素を含んでいることは御承知の通りで、ございます。そこで、それらの問題を調整いたしながら一つ積極的に検討いたしまして、なるべく早く結論を得たいと思っております。
#115
○山本伊三郎君 この問題について、これも人事院の勧告にもとっているのですが、今度の八月か、七月に予定されている一般給与の勧告並びに報告ですか、そういうときに合わして人事院としては出し得る見込みがあるかどうか、この点一つ。
#116
○政府委員(入江誠一郎君) この夏の公務員の何を定めます時期に、報告並びに勧告をどういうふうにいたしますか、まだ未定でございます。従って、それにどういうふうに間に合わせるかということも未定でございます。どちらにいたしましても、この給与問題の結論と時期を一緒にするということは、事務的な作業の関係もございまして、困難じゃないかと現在の段階においては思われます。
#117
○山本伊三郎君 この問題は、寒冷地の問題より以上に複雑な要素を実は持っているんです。それで現在金額の表示もそのままでいっているんです。大体昔の慣例といいますか、考え方からいくと、最高一五%、一〇%、五%、それからゼロ地、こういう形に四段階に残っているんですが、これについては、もう非常に各地域的には問題を起こしているんです。従って、一度に一五%解決ということについては、われわれも国の財政その他から見て無理だとは思っております。しかし、このままではいけないということは、われわれとしても、また、人事院当局もわかっていると思うんですが、この点について今度一つ政府の方に聞きたいんですがね。総理府としてはこういう点についてどういう考え方を持っておられるか。
#118
○政府委員(藤枝泉介君) 暫定手当の問題につきましては、しばしば当内閣委員会においても御論議のあったところであります。方向としては御指摘のような方向だと存じておりますが、十分人事院の調査研究と相待ちまして、その方向に進みたいと考えております。
#119
○山本伊三郎君 それじゃこれでおきますが、実はこの問題も長年の間の問題ですから、来年あたり何らか、あの暫定手当のときの附帯決議もありまして、一歩前進した形を出さぬと、国会の権威というと大きい言葉になるかも知りませんけれども、国会でつけても、何も政府は考えぬじゃないか、こういう一般の、何といいますか、議論があるんです。われわれとしても、全部一挙に解決しなくても、その方向に来年度は持っていかなくちゃならぬ。それには先決問題として人事院の勧告を待たなければなりません。この点は強く要望したいと思うんですが、もう一回人事院の方から一つ。
#120
○政府委員(入江誠一郎君) 御趣旨は十分私どもも承知いたしておりますので、一つ積極的に検討いたします。
#121
○鶴園哲夫君 四点くらい伺いたいわけであります。少し長くなりますけれども……。(「要を得て簡に」と呼ぶ者あり)要を得て簡にやりたいのですが、なかなかやはりいい御答弁をいただかないと納得できないものですから、要するにくどくなるわけですが、この間この委員会で私、消費者物価指数の値上がりの状況、それから生計費の値上がりの状況、世帯主の本業収入の状況、こういうもの、それから民間の賃金の上がり方、こういうもの等から国家公務員の給与というものをどういうふうに見られるかという点を種々伺ったわけでありますが、御存じのように、つい十日くらい前に、総理府統計局は、さらに勤労者の家計費調査の発表をやりました。これによりますと、近年にない最高の値上がりでありますが、一一・八%という上昇率、こういうものから考えまして、再度人事院に見通しを聞いておきたい。で、総裁は、これはこれからやる民間の給与実態調査に基づいて云々というふうにおっしゃるだろうと思うのです。ですが、少なくとも人事院が勧告の場合に、きわめて重要視されるところの総理府統計局の発表である勤労者の生計費の状況、あるいは世帯主の本業収入、それから消費者物価指数、こういうものはすでに明らかになっておるわけであります。二月現在におきまして、それがいずれも昨年四月人事院が勧告されました当時の数字よりも、二月ですでに上がっておる。うんと上がっておる。さらについ十日ほど前に総理府統計局が出しました勤労者の家計費調査、こういうものを見ましても、近年の最高の上がりを示しておる。こういう点から、少なくとも公務員の給与について、きわめて冷静に不断の注意を払っておられる総裁に対して、どういうふうに考えておられるか、重ねてここで伺っておきたいと思うのです。
#122
○政府委員(入江誠一郎君) 消費者物価指数とか、いろいろ御指摘の通り、最近上がっております。しかし、消費者物価指数は、たしか五月は前月よりも少し下がっておるような傾向もございまするし、どちらにいたしましても、四月で調査をいたしておるわけでございまして、それが間もなく出て参るわけで、現在の趨勢でどうするかということを、ちょっといましばらく申すわけにいきませんのであります。
#123
○鶴園哲夫君 五月の数字が何か明らかなような話ですが、総理府統計局は五月の数字を発表いたしておりますか。
#124
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま総裁の申されましたのは、消費者物価指数であります。
#125
○鶴園哲夫君 五月のやつは。
#126
○政府委員(瀧本忠男君) 五月のは、近く二、三日前に発表になりまして、この数字は下がっております。ただ五月の数字が下がっておるからどうのこうのというわけではありませんが、ただ、指数といたしましては、昨年の四月を一〇〇といたしましての指数でございますが、四月より下がっておるということはございますと、そういうことを申し上げたのでございます。
#127
○鶴園哲夫君 私は、総裁お説の通りに、民間の実態調査をやられるのですから、その結論に基づいてとっているのです、これは理屈です。ですが、その場合に、人事院がやはり重要な要素としていつも考えておられる問題については、るる私は申し上げているわけです。これらのものが二月、昨年の勧告より上がっておるのじゃないかというのであれば、これは相当上がるのではないかというお話ぐらいできるのではないかと私は思っておるのです。
#128
○政府委員(入江誠一郎君) まあこういう消費者物価指数でございますとか、本業収入でございますとか、生計費というものは一つの生きものでございますから、これが今までの趨勢を見て、私自身の判断として、上がるだろうということをこれは申し上げるわけにも参りませんし、これは不可能でございます。結局御存じのように、四月の調査、あるいはそれに関連したそういう経済的な労働経済情勢によって、八月でございますか等に判断させていただくわけでございますから、それまでどうか一つお待ちを願いたいと思います。
#129
○鶴園哲夫君 いや、人事院は、その公務員の給与については最大な関心を払って見ておられるわけなんですから、しかも、人事院のやり方については、ある程度公式化されておるわけですから、その公式化されておるそれをきめる要素というものはわかっているわけですね。その要素の重要な部分というのは、すでにはっきりしているわけですからね、はっきりなりつつあるわけですね。まあしかし、内閣委員会におきまして、総裁が、こうなるだろうというような見通しを発表されるということが妥当であるかどうかという点に問題があると思いますけれども、しかし、総裁としては、あるいは人事院としては、そういう問題については、やはり関心を始終不断に払っておられるわけですから、ちょっとたよりないお話ですね、今のお話は。ですが次に移ります。
 この間の給与法が上がる、こういうときに附帯決議がついておりますね、初任給の問題。さらにこの委員会におきまして、四等級以下の問題について人事院としての発言もあるわけですが、どういうふうに考えられておられるのか、今度の勧告等においてそれらについて検討して、附帯決議なり、あるいは本委員会における人事院の答弁の趣旨に沿って努力されるのかどうか、その点について伺っておきます。
#130
○政府委員(入江誠一郎君) 附帯決議の御趣旨は、もうあの附帯決議がありました当時から十分われわれ検討もいたしておりますし、これをどういうふうに実現いたしまするか、実現がなかなか困難な問題もあると思いまするけれども、ただ四等級と五等級に対する人事院の見解というものはどういうものでございましょうか、ちょっと私はっきりいたしませんのでございますが、まあ給与局長からお答えいたさせます。
#131
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま総裁からお答えがあったわけでございまするが、まあ内閣委員会等におきましていろいろ御質問がございまして、いろいろそれに対しまして技術的なことをまあいろいろお答え申し上げておるわけでございます。それで先ほど総裁からも申されましたように、ことし勧告をやるかどうかということは、やはり民間給与調査が出まして、それで人事院としては判断するということになります。仰せのように、消費者物価指数でありますとか、あるいは毎月勤労統計・そういうものに不断の注意をいたしまして、趨勢はもちろん見ております。それと同時に、現在の給与法を実施いたしてみまして、どういう点がなお研究を要するところであるかどうかというようなことも絶えずいろいろ研究をいたしております。従いまして、問題をとり上げるときには、そういう平素から研究いたしておりますることをできる限りわれわれとり入れたい、かように考えます。
#132
○鶴園哲夫君 これは少し問題が大きいので、一言だけ伺っておきたいのですけれども、人事院の俸給表の考え方ですね、この俸給表を、たとえば行一に例をとってみますと、御存じのように、人事院としましては、また、国家公務員法におきましても、責任と仕事、あるいは仕事の複雑さといいますか、困難さといいますか、責任の重さというものによって給与表がきまるのだということを主張してとられているわけですね。ところが、給与法の動かし方が、非常にそういう趣旨からいうと、全く相反するようなことをやっておられるのではないか。たとえば三年前には初任給をちょっと下のところを上げる、その次の年にはまん中を少しいじっている、その次は今度上の方をいじっている。過去人事院ができてからずっと経過を見てみますと、どうも俸給表の考え方が一貫してないんじゃないかと思います。従って、国家公務員自身に給与に関する考え方がどうも浸透しない。責任の重さ、あるいは仕事の複雑さによって給与がきまるのだという考え方が浸透しない、どういううらみがあるんじゃないかと思う。それはアメリカとかフランス、こういうところの給与の上げ方を見てみますというと、大体給与というのは一律に上がっていきますね。パーセントで上がっていく。下の方が五%上がった場合には上の方も五%上がる。まん中の方も五%上がる。すなわち、責任と仕事の複雑さによってきまっておる給与体系というものがそのまま維持されていきまして、何年たちましても、重要な変化がありますれば変えているようでありますけれども、少なくとも十年や十五年動かないのですね。ところが、人事院の場合は、それは始終動かすのですね。こういう考え方は、国家公務員法でいう給与の考え方というのが公務員の中にとうてい浸透しない。あるいは人事院の考え方によりますと、これはまあ財政的な理由もあって、三年で一回、そういうふうに実現していくのだというお考え方であるかもしれない。しかし、具体的に今度公務員の方は下の方が上がった、いや、まん中が上がったと、こういう考え方では、いつまでたっても公務員の給与に対する考え方というものが始終あいまいな形になり、公務員法の趣旨というものが浸透しないんじゃないかと私は思っている。これはもっと詳細に伺いたいのですけれども、一言にいってそういう趣旨なんです。これはどういうふうに考えておられるのか。
#133
○政府委員(入江誠一郎君) 御質問の御趣旨は十分わかるのでございますが、ただ、この点はお考え願いたいのでございますが、イギリスにいたしましてもフランスにいたしましても、まあ今おあげになった国は、大体経済関係といいますか、貨幣価値が安定しておりまして、自然に大体公務員の給与――まあ公務員の給与というのは、一つは民間の給与にならいますから、結局民間の給与でございますとか、あるいは需要供給の関係も考えたきやなりません。そういった関係におきまして、日本のように、民間給与も、戦後のこういう非常な変動期におきまして変わります。変わりますから、自然民間給与にある程度のカーブなんかも合わす必要上、そのときに変わる。たとえは初任給の問題にいたしましても、そのときの実際に公務員が採れるとか採れぬとかいうことも若干考えなければならぬ場合もございますし、たとえば上と下との関係につきましても、戦後非常な御存じの通り変動いたしております。まあそういう関係で、また貨幣価値なり生計費も非常に変わって参りますから、始終公務員の給与を改定しておる。この改定をすることは、おそらく鶴園さんも御意見はございますまいと思います。そこで、改定する場合に、まあ本筋は、やはりお話の通り、職務と責任でございますが、民間給与の趨勢も考えますので、その年そのときに実情に応じた変え方をいたしておりますので、決して私はそれだからと申して、公務員の給与に対する考え方が、どこまでもこれは公務員法の精神、職務と責任という本筋でやっておるのでございますから、そう始終変わっておるとは思いませんのですが。
#134
○鶴園哲夫君 いや、総裁、日本は何かえらい不安定のようなお話ですね、それはフランスだってイギリスだって、それからアメリカだって、そう変わっていませんよ。やはりインフレというのは逐次高進している。日本だってそうですよ、逐次やっぱり高進しているじゃないですか。貨幣価値が安定しておる日本の話としては、これは受け取れない。それは戦後の二、三年なり四年ぐらいのことなら承ります。ただ、今おっしゃるように、民間の給与とここは合わせる合わせるというようなことで、公務員法でいう責任と仕事の複雑さによって給与をきめるという考え方が始終動揺しておるじゃないか、ある場合においてはまん中がぐっと上がる、中だるみになっちゃう、こういう格好になる。あるいは下が上がっちゃって中だるみになるとか、上が上がっちゃって、今度は中がたるんでおるというのが実情ですよ。そういうような給与の考え方はおかしいじゃないか。だからイギリスなんか見てごらんなさい、アメリカなんか見てごらんなさい、フランスなんかも実にりっぱなものですね。私は見てみてびっくりしたのですが、これは責任と仕事の複雑さによって給与がきまるという以上、ずっとそれが維持されていかなきゃならないと思う。そういう点を私はもっと人事院は考えてもらいたいと思っているのです。まああまりこれは深くは入らないでおきますが、ただ、これと関連いたしまして、アメリカのやつを取り上げますと、アメリカは御存じのように、戦後ずっとそういうことで一律に上がってきていますね、全部。ですから、倍率というものは戦後四・八倍というのが固定されていますよ、ずっと四・八倍です。五一年から五七年の数字が出ておりますが、全部四・八倍、この場合は課長から最下級の者、アメリカの場合は局長は一応特別職みたいなもので、課長と最下級の者との間は四・八倍、ずっと前をたどりますと、一九二八年ごろ八・八倍、それから戦争の終わりごろ一九四五年は六・八倍、それから以後四・八倍というのがずっと固定されている。私は、こういう考え方は、これはフランスでもそうですが、こういう考え方からいって、どうも人事院というのは、給与に対する考え方が非常にあいまいじゃないか、不満に思っているのですけれども、いかがですか。
#135
○政府委員(入江誠一郎君) 私どもも、たとえは今おあげになりましたアメリカでございますとか、フランスでございますとか、そういうところのいわゆる上下格差というものが日本よりも少ないといいますか、まあやっぱり御存じのように、公務員の給与というのも、全体のその国の給与水準なり、給与体系というものの影響を受けざるを得ないのでございまして、結局われわれ、御存じのように公務員の給与をきめます場合に、初任給というものをある程度民間に合わし、また、上の方もある程度民間に合わすということは考えざるを得ないのでございまして、かりにアメリカがどうだからといって、日本の公務員だけを日本の民間給与とまるで違ったような形態を作りましても、ちょっとこれは皆さんの御納得を得られない。やはり一つ十分御存じでございますけれども、イギリスとかアメリカあたりなんか、民間そのものがそういう一つの給与体系になっておるということも考えられるのでございまして、やはり日本としては、公務員法の大筋の職務、責任ということを考えながら、しかも、やっぱり民間からも納得していただくような給与体系というものを考えておるわけでございます。決して誤っておるとは思いませんでございますが。
#136
○鶴園哲夫君 誤っていないというのであれば申し上げたいのですが、昨年の勧告の場合において、あれだけの格差を開かれたということについては、これはどう入江総裁が抗弁なさろうと、これはやはり人事院が作った数字であって、ああいう格差はないのですよ。だから、そういうことをおっしゃらずに、民間と何か合わしてあの格差を作ったようなお話ですが、そういうことじゃないのです。これはこの間の勧告が出まして以後、種々私申し上げている。また、そのことは人事院の数字の中に、勧告の資料の中に明らかに出ておるのであります。そういうお話では私は困ると思う。ただ、今おっしゃったアメリカとフランス、あるいはイギリスというところの国々の給与体系というものと日本というものとは、これはやはりいろいろな差があるということはわかります。ですが、民間によってもこれだけの格差がないのですから、いずれにいたしましても、私はこの給与表につきまして、大体給与体系の問題について十分一つ今度の場合においては考えていただきたいというふうに思っておるわけですが、総裁の一つ御意見を承っておきたいと思います。
#137
○政府委員(入江誠一郎君) もとより先ほど申し上げました通り、そのときの情勢によりまして、やはり民間給与も考えながら検討いたすわけでございますから、検討いたすつもりでおります。
#138
○鶴園哲夫君 それから、俸給表の点につきまして伺っておきますが、人事院は、俸給表を戦後えらく変えられましたですね。これは私非常に不満の一つですけれども、非常に変えておられる。最後に変わったのは昭和三十二年ですね。ああいう俸給表をされて、これは私は問題があるのではないかというふうに思っているのですけれども、これはイギリスの場合でも、あるいはフランスの場合におきましても、こういうふうに俸給表をべらぼうに分けて何かやるということは職場で非常にまずいです。やはり国家公務員である以上、一つのやはり俸給体系の中に入れるということが、やはり給与を通じての精神的な連帯感、あるいは精神的なつながりというものができると思うのです。今のように俸給表をばらばらに分けたら――俸給表が戦後三、四回も変わったということは、最も重要な給与を中心とした公務員の間の、何といいますか、つながりといいますか、あるいは上下関係といいますか、そういうものがなかなかできにくいと思うのですが、アメリカなんかを見ますと、御存じのように、俸給表というのは、かつて五本ぐらいに分かれていたのが、今日一本になっている。ですから、俸給表というものについてもっと検討される必要があるのではないかというふうに思っておりますが、一つ所見を伺っておきたい。
#139
○政府委員(入江誠一郎君) 要は、俸給表といたしましては、なるべく合理的に公務員諸君も納得するようにすることが大事でございまして、それはまあ外国にも、御存じの通り、たとえば職種が違えばいろいろな上下の関係に特別の差もございますし、まあ現在の段階におきましては、やはり三十二年度でございますか、今御指摘の三十二年度にでき上がった俸給の種類というのが、現在の段階におきましては、私は合理的なものではないかと思っております。あまりこれを一緒にするということも、これはいろいろ公務員諸君としてはまた御不満が出ることもございますし、現在の種類を基礎にしてぜひ一つ研究を重ねていきたいと思っております。
#140
○鶴園哲夫君 フランスの場合は一本になっております、俸給表は。それからアメリカの場合は、従来五本建てになっておったやつが、戦後二本建てになって、今日は一本建てです。そして技能関係のある職種の者は民間の俸給に準じておるようですが、ですから、私は、俸給をあんなに分けるというのは――十何本に分けています、十四本ですか、ああいう分け方というのは問題があるのではないかと思うのです。いずれにしましても、こういう関係も含めまして御検討いただきたいと思っております。これに関連しまして、先般附帯決議がつきまして、行(一)と行(二)、それから医療職の(二)、(三)、それと海事職の(一)、(二)に分けておることは種々問題があるから、すみやかに検討するようにという附帯決議がついたのですが、それらについて具体的にどのように考えておられますか、伺っておきたい。
#141
○政府委員(入江誠一郎君) これは御存じのごとく、行政職俸給表(二)でございますとか、あるいは医療職、あるいは海事職の、これは民間の状況から申しましても、また、たとえば職務内容、あるいは等級区分というような点から申しましても、むしろこれは区別する方が合理的だと、そう思っております。ただ、まああのときに区別いたしましたときに、いろいろ任命権者が仕分けをいたしますときに、率直に申しまして、非常に実情に沿わなかった点があったりいたしまして、いろいろ御不満を買っておるわけでありますが、その後だいぶんこれを御存じの通り、修正をして参って、ある程度落ちついておると思います。しかし、まだ若干不満な点が残っておると思いますから、これらはなお工夫いたしたいと思っております。
#142
○鶴園哲夫君 俸給表につきましては、十四本に分けてしまっておられるわけですが、これはどうも少し分類ぐせがあるような気がする。分類して楽しんでおるような傾向がある、私はそう思うのです。少なくとも、できるなら一本にしてしまって、任用制度で運用された方がいいのではないかというふうに思うのですよ。かつてわれわれが昔農林省なんかに入ったときも一本建になっておった。非常に分けてしまって楽しんでおられるような傾向がありまして、分類ぐせがあるのではないかという気がするのです。そこら辺を根本的に検討なさるお気持はございませんですか。
#143
○政府委員(入江誠一郎君) これは一本にすることは、一本にすることも長短がございますし、また、分類することについても若干の長短があると思いますが、たとえば一面一本にせよという説もあるけれども、教育職なら教育職は水準差をつけるとか、税務職は税務職で区別をしろとか、また、それぞれ職種によっては特徴を御存じの通り主張いたしまして、区別する方がいいという主張もございます。なかなかこれを一本にするということは、その場合に一本にしますと、おそらくたとえば資格基準表でございますとか、そういう法律以外の方法によって区別をしないと、実際問題としておさまりがつかぬと思います。そうすれば、やはりこういう問題は国会の御承認を得て、あけっぱなしの法律で区別する方がむしろ明朗でございまして、そういう特別な人事院規則その他の給与資格基準表なんかで区別することよりは、むしろ現在の方が長所が多いと思っております。
#144
○鶴園哲夫君 どうも人事院はあまりに詳細に日本の民間の給与を調査し過ぎてしまって、さらに先ほど申し上げた分類ぐせの非常に傾向があるような、恐縮ですけれども、気がしてしようがないのですね。これを善処してもらえるかどうか。
#145
○政府委員(入江誠一郎君) 今後とも十分検討いたします。
#146
○鶴園哲夫君 先ほどの行(一)と行(二)の問題について、だいぶ努力なさったようなお話でありましたが、ああいう附帯決議をつけたわけですが、これについて職種を動かされるという検討をなさっておりますか。
#147
○政府委員(瀧本忠男君) 行(一)行(二)の区分をしていることは不適当であるから検討するという附帯決議がついているということは十分承知いたしております。先ほども総裁から申し上げましたように、三十二年の組みかえにあたりまして、多少齟齬があったというようなものについて、前々から申し上げておりますように、これは具体的事例につきまして十分職務内容等を審査して、すでに俸給表の適用外にしたものも相当ございます。また、非常に問題になっておりました国立大学におきます行(二)職員の問題があるわけでございますが、この問題につきましても、これは膨大な研究でございましたが、大体終わりまして、大体相当数俸給の内容からすれば行(一)に画一するという措置を講じ得る予定でございます。また、ただいま御指摘になりました職種等につきましても、この仕分けというようなことを研究する必要があるのではなかろうか、もちろんそういうこともいたしております。御指摘の点につきまして、あるいはお言葉通りに、直ちに善処するということはなかなか申し上げにくいのでございますけれども、御指摘の点につきましていろいろ不合理な点あるいは全体を包括いたしましていろいろ研究はいたしております。
#148
○鶴園哲夫君 これは日経連が昨年調査したのですが、三十五年の三月、五百人以上の給与について五百三十社調査いたしまして、これは守衛、運転手、タイピスト、交換手、小使、こういう職種につきまして、どういうふうにこれを仕分けしておるかという調査をいたしまして、それが発表になっておるわけですが、それによりますと、タイピストというのは、ほとんど全部これは職員になっていますね。技能という形に入っていないのですね。それから交換手、これは六一%が職員になっていますね。それから守衛、これは五七%、それから乗用車の運転手、これは五六%というのが職員になっていますね。こういう数字が出ているんですが、官庁におきまして、五十人以上の企業の職種に分けるというのじゃなくて、もっと大きな規模の職種なり、こういう分け方はやはり参考にしてお考えになる必要があるのじゃないかというふうに思っているんですけれども、こういったような職種について、今回これに限りませんが、職種として行(一)の方に移しかえるというような検討をなさっておられるかどうか、いかがですか、伺っておきます。
#149
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま御指摘の日経連の調査もあるわけでございまするが、これはいわばサンプル調査でございまして、それだけを基準にいたしましてものを判断するというわけにいくかどうか、われわれとしては多少疑問を持つわけであります。しかし、一つの調査でございまするから、これは十分参考にいたしたいというふうに思っておりますが、そのほかいろいろな問題を研究いたしまして、そういう問題を善処いたしたいというふうに考えて、目下いろいろ調査をいたしております。
#150
○鶴園哲夫君 暫定手当につきまして、先ほど藤枝長官の方から話がありましたが、これはまたこの委員会におきましても、前の給与担当高橋大臣も、今の長官のお話のような説明をやっておられるわけですが、人事院としては、ことしそういうような方向で具体的に検討して第一段階の結論を出される方針ですか。
#151
○政府委員(入江誠一郎君) 高橋国務大臣、あるいは藤枝総務長官のおっしゃったことがどういうものでございますか、ともかく人事院として先ほど申しましたように、ことしじゅうとか、そこのところはちょっとお約束いたしかねます。ともかく暫定手当の一つの解決につきまして一歩を踏み出すように、一つ何とか工夫をしてみたいと思っております。
#152
○鶴園哲夫君 三十二年に暫定手当になったわけですね。それで、今日まで満四年たつわけですが、いつまでも暫定手当じゃあるまいと思うのですね。暫定方々では済むまいと思うのです。ですから、前に一段階解消するのに四年かかったんですがね。ですから、あとを言うならば三段階残っておるわけですから、いつまでも暫定々々というわけで残しておくわけにもいくまい。御存じのように、附帯決議もついているわけです。ですから、すみやかに政府の考えられる方向で、一つことしあたりやはり具体的には第一歩を踏み出さなきゃならぬのじゃないかと思うのですが、今のところ明らかでないわけですね。できればことし一ぱい、ことしじゅうには一つというわけですか。
#153
○政府委員(入江誠一郎君) 時期はまだお答えいたしかねますけれども、一生懸命に研究したいと思っております。
#154
○鶴園哲夫君 それじゃ私の質問を終わります。
#155
○委員長(吉江勝保君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(吉江勝保君) 御異議なしと認めます。
 それではこれより両案に対する討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、山本君から、委員長の手元に附帯決議案が提出されております。附帯決議案につきましては、討論中にお述べを願います。
#157
○山本伊三郎君 私は、本案に対しまして次の附帯決議を付して賛成の意を明らかにするものであります。附帯決議を朗読いたします。
    国家公務員に対する寒冷地手
    当、石炭手当及び薪炭手当の
    支給に関する法律の一部を改
    正する法律案に対する附帯決
    議案
 冬期間における寒冷積雪地の困難な生活の事情から起る食料、被服、住居、防寒、防雪等の対策を講ずるに必要な諸経費の増加等の実情にか
 んがみ、これらの地域に勤務する職
 員に支給する寒冷地手当の額につき
 増額の必要が認められるので、政府
 は昭和三十七年度よりその支給額の
 最高限を引上げるための措置をとる
 ように強く要望する。
  右決議する。以上でございます。
#158
○委員長(吉江勝保君) 他に御意見もないようでございますから、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#160
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
   ――――――――――
#161
○委員長(吉江勝保君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#162
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました山本君提出の、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を議題といたします。山本君提出の附帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#163
○委員長(吉江勝保君) 全会一致と認めます。よって山本君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 次に、ただいま決定いたしました附帯決議につきまして、藤枝総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。
#165
○政府委員(藤枝泉介君) ただいまの御決議につきましては、人事院もお聞き及びのことでございまして、政府といたしましても、人事院の調査研究と相まって、御趣旨に沿うように善処いたしたいと考えます。
   ――――――――――
#166
○委員長(吉江勝保君) 次に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、衆議院において修正されておりますので、便宜政府側よりその修正部分について説明を聴取いたします。
#167
○政府委員(船後正道君) 便宜私から、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する修正案の概要を御説明申し上げます。御承知の通り、今回の政府提案にかかわる改正案は、外地官署引揚職員等につきまして、昭和二十八年七月三十一日以前に国家公務員等として再就職いたした場合に、勤続期間の計算の特例を設けておりますが、これを今回同年八月一日以降の引揚職員等につきましても特例を認めることとしたこと、及び外地官署引揚職員等が退職した場合に支給する退職手当の額の計算につきまして特例を設けることにしたこと、以上の二点でございますが、いずれも本年三月一日以降の退職にかかわる退職手当について適用することといたしております。退職手当は、本来遡及適用すべき性質のものではないと考えるのでございますが、以上の改正点のうち、勤続期間の特例につきましては、引揚職員等の特殊事情に基づくものでございまして、この種の勤続期間通算の問題は、現行法の建前から申しましても、将来発生する問題ではなく、過去に限られた問題でございます。これらの事情がございますので、この際、改正後の勤続期間の計算の特例に限りまして、昭和二十八年八月一日以降の退職にかかわる退職手当につきましても遡及適用せしめようというのが修正案の内容でございます。
#168
○委員長(吉江勝保君) 以上で説明は終了いたしました。それではこれより質疑に入ります。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#169
○伊藤顕道君 本法律案について大蔵省に二、三お伺いいたしますが、政府の原案によりますと、附則の二項を追加しただけで、あと政令が六つもあるわけですね。従って、この政令がまだ出ていない以上、その内容についての審議がなかなかむずかしいということになるわけです。そこで、通常ならばこの政令の内容をさっそく出してもらわないと検討できないわけです。しかし、こういう会期末で、出してもらってから検討ではもう時間がないわけなんです。しかしながら、この法案をつぶさに検討するためには、審議のいかんにかかわらず、今後のこともございますから、そこで御審議をやるやらぬということとは関係なく、まずこの政令六つについての資料を早急にきまり次第出してもらいたい、これがきまっていないのかどうか、おそらくもうきまっていると思いますが、もしそうだとすれば至急出してもらいたい、そういたしませんと、この内容的な詳細がわからないわけですね。
#170
○政府委員(船後正道君) 今回の改正案が政令に委任しております事項はきわめて多いのでございますが、これは体裁といたしまして現行法の附則第四項の体裁に合わしておりますことと、いま一つは、過去の問題でございまして、規定の仕方がきわめて複雑でございます。法律事項といたしますには適当でございませんので、政令に譲っておるわけでございます。政令案につきましては、目下検討中でございまして、おおむねその概案ができ上がっております。お手元に資料としてお届けすることも可能でございます。
#171
○伊藤顕道君 それでは整いましたら早急に出してもらいたい。
 次に伺いますが、この退職手当法第十四条によりますと「この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。」そういうことになっておると思うのですが、そこで、少なくとも退職手当の額に関する事項は、これを法律で規定すべきであると思うのですが、この点は一体どうなのか。なお、退職手当に関する政令の委任事項ですね、これは一体どういうことになるのか、そういう点をお伺いしたいと思います。
#172
○政府委員(船後正道君) 御指摘の通り、退職手当の計算方法に関する事項は法律事項でございまして、法律に明記ある場合のみが政令事項となると考えております。これによりまして法第十四条の実施規定でございますが、これは実施のための手続その他執行に関する部分でございまして、きわめて技術的なことに関するものでございます。退職手当計算の本来の問題ではございません。
#173
○伊藤顕道君 今回の改正案によって通算された場合の退職手当の額は、当該退職者の再就職前の在職期間を合算したこととした場合、受ける場合の退職手当の支給割合から再就職前の在職期間に対応する支給割合を控除した割合を退職時の俸給月額に乗じて得た額と、それと退職手当としてこれを支給する、こういう公団方式をとっておると思うのです。との方式をとった根拠は那辺にあるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#174
○政府委員(船後正道君) 通算の方法といたしましては、技術的に種々な案があるわけであります。一つの考え方といたしましては、過去に支給を受けた退職手当を返還をいたします。返還をする場合に、あるいは物価指数を乗じ、あるいは利子相当額を加える、いろいろな方法がございますが、そういたしまして過去の期間を全部通算し、新たに計算するという方法もございます。しかし、この方法によりますときには、種々困難な問題が生ずるわけでございまして、退職手当は一定の勤続期間を前提といたしまして、その場その場で話をきめてゆく一時金でございます。これを後ほどになりましてから見直す場合には、技術的にも相当不可能に近い、どのような物価指数を乗ずべきであり、どのような利子を加算すべきであるか、不可能に近いと思います。さらにまた、この退職手当のみならず、恩給あるいは共済年金における一時金というものとの関連をも含みまして、一度支給を受けた限職手当を返還する方式は採用しがたいと考えております。従いまして、昨年度の公庫、公団等におきましても、また、今回の計算の特例におきましても、いわゆる支給率でもって調整するという方法をとって、あえて金額の物価指数等による変動というものを要素に入れないということにいたした次第でございます。
#175
○伊藤顕道君 同じ外地引揚職員であって、昭和二十八年七月三十一日以前のものと、昭和二十八年八月一日以後のものとで、今あったように、計算方式が違うわけですね。そういうことになると、当然両者の間にアンバランスが出ると思うんです。こういう点はどうなんですか。
#176
○政府委員(船後正道君) 昭和二十八年八月一日以降の再就職者でございましても、現に公務員として在職されまして、今後やめる方につきましては、全く同じ扱いでございます。問題は、この法律の施行前にやめられた方、このような場合には、当然そのやめられましたときの給与月額をもとにし、そのときにおける支給率をもとにいたしまして、ただ、勤続期間の計算のみを、従来ならば除外されておったものを通算することになるわけでございますが、両者は全くバランスを得た扱いになるわけでございます。
#177
○伊藤顕道君 この衆議院の修正について先ほど説明があったんですが、そこで、この修正について大蔵省にお伺いするのはちょっと筋違いだと思いますが、先ほどちょっと修正について特に説明があったので、そこでお伺いしたいと思うんですが、この衆議院の修正を見ますと、退職手当の勤続期間の特例は、昭和二十八年八月一日以降の退職者についても適用する、そういうことになっておるわけですが、そうなると、この職員の退職手当の額については、今回の特例措置が認められていないわけですね、これはどういう理由に基づくものか。
#178
○政府委員(船後正道君) これはすでに退職された方を問題にしておるわけでございまして、この改正法の施行前に退職された方でございます。この衆議院の修正案がございませんですと、いわゆる勤続期間計算の特例がございませんので、引揚後百二十日以内という制限があるわけでございますが、この百二十日以内の制限にかわりまして、勤続期間が短く計算されておったというものが、今回の措置――これは政令の方で手当する部分を実はくるんで申し上げておるわけですが、それによって救われるという結果になります。
#179
○伊藤顕道君 外地官署の引揚者が、今後一度に全部退職するという事態はないと思うんですね、引き揚げた者が全部一緒に固まって退職するということは考えられないと思う。そうだとすると、この外地引揚者の外地勤務期間をそのまま職員期間と通算しても、予算にはあまり響かないと思う。一時にどっとやめるなら別ですが、ぽつぽつやめていくわけですから、そういうことで在外機関の在職期間をそのまま認めてもいいんじゃないか、そういう問題が一つ。それから退職手当は引き継ぐということが原則になっているんですね。そういうことになっておりますけれども、今回の特例ではこの原則の例外になっておるわけですね。この例外を作った以上、退職手当の額についても例外を認めてもいいんではないか、こういう問題が出てくると思うんです。これは認められないというのはどういうわけか、そういう点をお伺いしたいと思います。
#180
○政府委員(船後正道君) この第一点でございますが、まあ今回の措置によりまして、二十八年八月一日の前後を問わず、外地官署の勤務期間がございまして、その後国家公務員として再就職した、再就職するまでの間に、原則といたしまして他に就職するというのではなく、社会常識上引き続いておったと認むべきであるという方につきましては、すべての勤続期間が一応通算されるわけでございます。ところが、外地官署等から引き揚げる際に、一度退職手当をもらっておられますと、そこで退職手当の額の計算につきましての、例の公庫、公団方式の適用があると、こういうことになるわけでございます。
 次に、第二点でございますが、今回引き続く勤続期間を基礎にするという原則に対して例外を作ったではないかという御指摘ではございますが、私どもこれは例外ではない。やはりあの終戦という特殊な事態におきましては、外地官署等から帰って参りまして、直ちに国の機関に就職するわけには参らない。そこで、従来は百二十日というような機械的な線を画しまして、帰ってその期間内に再就職いたしますれば引き続いているとみなしたのですが、今回はその機械的な線を撤廃しよう、これは政令の方でございますが、まあ政令事項でそのように扱いたい。これはどこまでも例外ではなくて、終戦という特殊な事態を前提とした措置であります。
#181
○伊藤顕道君 そこで、該当者の多くの方々からこういう要望が強いわけです。自然退職の際に支給された退職手当、これを退職手当とみなさないで、他の勤務者と同様に扱ってもらいたい、こういう要望が強いわけです。この点は今の段階ではむずかしいですか。この点は考慮の余地があるかどうか。
#182
○政府委員(船後正道君) まあ外地官署引き揚げの際等にもらった一時金でございますが、これが退職手当であるのか、あるいは給料の一部であるのか、はなはだ不分明な方もあるようでございます。これらにつきましては、個々のケースにつきまして、退職手当部分としからざる部分とを区分いたしまして、退職手当部分につきましては、もし支給率が明らかでなければ、一年について一カ月分の退職手当が出たと、かように仮定いたしまして計算するということにいたしております。
#183
○伊藤顕道君 今御答弁のあったように、退職したときの、自然退職の際に受けた退職金ならはっきりするんですが、どうもそれとはっきり認定しがたいあいまい模糊たるものも相当あったわけですね。従って、そういうものについては、これを有利に解釈するのが当然であろうと思うんですね。従って、そういう点については今後十分有利にしようという、こういう観点に立って処置してもらいたいと思いますが、この点はどうですか。
#184
○政府委員(船後正道君) 現在もまあそういう不分明な方がおられますので、取扱通牒をもちまして、おおむね二分の一が退職手当相当部分である、残余の二分の一は賞与と申しますか、そういうものであったというような扱い方をいたしておるのでございます。いずれもこれは個々のケースでございまして、一般的な原則として申し上げることはむずかしいと思います。
#185
○伊藤顕道君 退職手当法施行令附則の第五項、それから第八項ですね、この規定によりますと、「外地官署所属職員の身分に関する件」として、これは昭和二十一年勅令第二百八十七号ですか、この規定によってその身分を保留する期間が満了する日の翌日以後九十日、または外国政府職員であった者は百二十日、それからさらに、この期間が引き揚げ前の在職期間で十年以上十五年未満の者については六十日を加えた期間、こうなっておるわけですし、十五年以上の場合は二百四十日を加えた期間、こういうふうになっておるようですが、こういうことになると、最大限三百六十日ということになって、最小限百五十日以内、こういうことになろうと思うのですが、そこで「他に就職することなく」という条件があるわけですね。引き揚げてから他につかないで、引き揚げてから期間があっても、この期間内で再就職した、そういうことで、他に一たん就職した場合は除かれる、そういう制限規定があるわけですね。これは何とかならないものですか。
#186
○政府委員(船後正道君) まあ現行法では、だたいま伊藤先生御指摘のようになっておりますが、今回この改正法の施行を機会に、この政令の附則の五項ないし八項につきましても改正を考えておりまして、九十日あるいは百二十日というような機械的な期間の区切り方はこの際廃止いたしまして、原則といたしまして、二十八年七月三十一日までの間に他に就職することなくして国家公務員として再就職したという場合には勤続期間の通算の特例を認める、こういうことです。で、「他に就職することなく」ということの撤廃につきましては、やはり社会常識的に考えてみましても、たとえば外地等から引き揚げまして、まあ再び国家公務員になる意思がなくて他に就職された、まあどっかの会社に行かれた、しかし、その後本人の考えが変わって、また公務員としてやってきたというような場合と、やはり問題となっております場合とは区別すべきだというふうに思いますので、「他に就職することなく」という制限は撤廃するわけには参りませんけれども、そこはやっぱり運用上の問題でございますから、社会的に常識的に妥当と思われるような運用をいたしたいと考えております。
#187
○伊藤顕道君 最小限百五十日、最大限三百六十日以内に再就職できなかった者は、大体概算でどのくらいおるのですか。
#188
○政府委員(船後正道君) 実は相当多数に上ると考えておりますが、特にそのために調査したことはございませんが、やはり数千人に上る方がおられるのではなかろうかというふうに考えております。
#189
○伊藤顕道君 そうすると、衆議院の方でしたか、再就職できない人はほとんどいないという答弁はしたことはございませんか。この百五十日、最大限三百六十日以内に、その期間内には再就職できないで、期間が済んだあとで再就職した者はどのくらいおるかと今質問しておるわけですね。そのことについて、衆議院の方でそういう者はほとんどいないという答弁をなさったことはないわけですね。そこのところを伺いたい。
#190
○政府委員(船後正道君) まあそのような答弁をいたした覚えはないのでございますが、ともかく今回この法律の施行を機会に政令を改めまして、そういう機械的な日数の制限は廃したい、かように考えます。そうして、原則といたしまして二十八年八月一日までに再就職されました場合には勤続期間の通算を認めることにいたしたいと考えております。
#191
○伊藤顕道君 そういう期間を、この際、あっさりきれいさっぱりと期間を取り除くという考えはございませんか。
#192
○政府委員(船後正道君) 今日もう戦後十五、六年たっておりますので、そのようなこともあろうかと存じますけれども、大体各省庁、その他職員の方々の意見も参照いたしましたところ、このいわゆる適用時、二十八年七月三十一日の線までしてくれれば、もうそれで十分であるという御意見でございましたのでそういうふうにいたした次第でございます。
#193
○伊藤顕道君 時間があまりございませんので、ゆっくり質問できないわけですが、そこで、さらにお伺いしますが、原則百二十日以内、それから特殊の事情があった場合には三百六十日以内、一応そういう原則がきまっているわけです。この範囲内で、これは今までの取りきめであって、今回これらの制限は相当緩和されるということになっておるのでありますが、これは相当緩和されるというのはどの程度なのか。
#194
○政府委員(船後正道君) 先ほども申し上げました通り、現行附則五項、八項は改正いたしまして、この九十日とか百二十日とかいう制限は撤廃いたしまして、他に就職することなく昭和二十八年七月三十一日までに再就職した場合には勤続期間の通算を認めることといたすつもりでございます。
#195
○伊藤顕道君 この法案附則九項中に、政令で定める期間内については、現行では今繰り返し申し上げておるように、百二十日、三百六十日、そういうことになっておるのですが、今回の改正でこの制限は相当緩和されるということにはならないのですか。
#196
○政府委員(船後正道君) 百二十日の制限は、先ほどから申しておりますように、今回の政令改正により撤廃する予定でございます。
#197
○伊藤顕道君 この点を重ねてお伺いいたしますが、この制限については、今回の改正で相当緩和されることが予定されておるというふうに聞いておるのですが、そういうことは全然ございませんか。
#198
○政府委員(船後正道君) 従来ならば、引揚後百二十日以内に再就職した場合に限りまして勤続期間の通算を認める。今回は、これを大幅に、二十八年七月三十一日までに他に就職することなく再就職した場合は勤続期間の通算を認めるということでございまして、私どもとしては、実に大幅な緩和である、つまり最大限八年間くらいある、かように考えております。
#199
○伊藤顕道君 そうしますと、最大限は今まで三百六十日の幅であったわけですが、再就職するまで。これは特殊の事情がある者については三百六十日、この特殊の事情がある場合の三百六十日を、特殊の事情がない場合でも大幅に適用しよう、そういう意味なんですか。
#200
○政府委員(船後正道君) 御趣旨の通りでございます。
#201
○伊藤顕道君 そうしますと、この三百六十日をさらにこえて大幅にという意味ではないのですね。
#202
○政府委員(船後正道君) 繰り返し申しております通り、二十八年七月三十一日までということにいたしますので、最大限は七年と何カ月でございますが、そういうような大幅な緩和になっているわけでございます。
#203
○鶴園哲夫君 従来ありました九十日、百二十日というのが大幅に緩和されまして、これは非常に喜ぶだろうと思います。三百六十日というふうに切られましたのはどういう理由なのか。これはどうもやはり一年というのでは残るのではないかと思うのですがね。これで大体いけるというお考えでしょうか。
#204
○政府委員(船後正道君) 先ほど伊藤先生の御質問にもお答えいたしました通り、今回の政令改正で大幅緩和しておりますので、百二十日も三百六十日も意味がなくなるわけでございます。従来「百二十日」という言葉を使いましたので、一年と言わないで、それの三倍の三百六十日、単にこれだけの理由ではなかろうかと考えます。
#205
○鶴園哲夫君 それで残るのは先ほどおっしゃった数千名ということでございますか。
#206
○政府委員(船後正道君) 数千名と申しましたのは、現行法のままで制限いたしますれば勤続期間の通算が適用にならない。しかし、政令改正をすればそのような方は全部救われる、かように考えております。
#207
○山本伊三郎君 ちょっとこれだけ聞きますけれども、戦前、政治犯で恩給なり退職金の権利を失権した人がありますね。その場合、恩給の場合は年限通算されたということを聞いておるんですが、それはどうなんですか。
#208
○政府委員(船後正道君) 御指摘は、戦前の治安維持法、あるいは新聞紙法ですか、これらの法律による禁固以上の刑に処せられた者、御承知の通り、国家公務員の退職給付につきまして、退職手当と恩給、あるいは共済年金の二本立ちになりましたのは戦後であります。戦前におきましては、退職給付はすべて恩給一本でございます。従いまして、当時の問題は恩給の問題でございまして、私から申し上げるのはどうも適当でないのでございますが、実は現在恩給法の規定はまだ昔のままに残っておりまして、その禁固の原因が政治犯であろうと、あるいはまたそれが大赦によりまして権利の回復した者であろうと、要するに、在職中に禁固以上の刑に処せられた場合には、その過去の期間が恩給の計算の基礎にならない。つまり除算されるという扱いになっております。
#209
○山本伊三郎君 現在も、まだ恩給の場合はやはり除算されておるのであって、それが通算されておらないのですか。
#210
○政府委員(船後正道君) 御指摘の通り、恩給法の第五十一条が残っておりまして、「公務員左ノ各号ノ一二該当スルトキハ其ノ引続キタル在職ニ付恩給ヲ受クルノ資格ヲ失フ」とございまして、第二号に「在職中禁錮以上の刑ニ処セラレタルトキ」この規定が残っております以上は、通算されておりません。
#211
○山本伊三郎君 そうすると、この退職年金の場合も、やはりこれと同じ処遇を受けておるんですか。
#212
○政府委員(船後正道君) 共済年金は、過去の恩給期間につきましては、恩給法の扱い方をそのまま踏襲しております。御指摘の通りでございます。
#213
○山本伊三郎君 あれは戦後何年か、ちょっと忘れましたが、特に政治犯、今言われた治安維持法なり新聞紙法の違反に問われた場合は、この場合は全部、何といいますか、その制限を除外されたということを聞いておりますが、そういうことはなかったのですか。
#214
○政府委員(船後正道君) 終戦後に、御指摘の通り、大赦令が出ておりまして、最初の大赦令は昭和二十年の十月十七日でございます。これによりまして治安維持法違反の罪、あるいは新聞紙法違反の罪はいずれも赦免されております。ところが、恩赦法という法律ができまして、この法律によりますと、「有罪の言渡に基く既成の効果は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権によって変更されることはない。」とございますので、従いまして、恩給法にいわゆる受給資格を失なったということは復活されないという意味でございますと承知しております。
#215
○山本伊三郎君 それは将来の問題として研究しますが、現在そういうものについて、復権というような問題が今日まで国会で問題にならなかったか、この点だけ一つ聞いておきたい。
#216
○政府委員(船後正道君) 私の記憶いたしております限りでは、衆議院の大蔵委員会でこの問題が取り上げられました。また、衆議院の内閣委員会でも同様取り上げられた、かように承っております。
#217
○山本伊三郎君 取り上げられたけれども、その結果は今言われた通りになっておるのですが、それについて政府の見解、何か御記憶ありますか。
#218
○政府委員(船後正道君) 本件は大蔵省の問題といいますよりは、まあ恩給局の問題であり、同時に、大赦、特赦等の効果につきましては法務省の問題である、まあかように考えておりまして、私承知しておりますところでは、これらの関係者におきましては検討をいたしたというようなことを聞いております。
#219
○委員長(吉江勝保君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#223
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ――――――――――
#224
○委員長(吉江勝保君) 次に、海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 政府側出席の方は、木暮運輸大臣、和田海上保安庁次長でございます。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#225
○委員長(吉江勝保君) 速記をつけて。
#226
○鶴園哲夫君 この間の分に引き続きまして、若干残っておりましたので、その点について伺いたいと思いますが、今度新しくできます第十管区、これは鹿児島市に設けられるわけですね。それで、市に設けられるんですが、あとその鹿児島、熊本、宮崎の管下の支分部局というのはそのままでございますか。何か充実なさるわけですか。ただ管区ができるだけということになるわけですか。
#227
○説明員(和田勇君) さしあたりといたしましては、現在の七管の宮崎県、熊本県、鹿児島県の保安部、署、航路標識事務所等を引き継ぐわけでございます。三十七年度以降におきましては、さらに組織を強化し、また、人員をふやしたいというふうには考えておりますが、さしあたりといたしましては現状を引き継ぐというわけでございます。
#228
○鶴園哲夫君 それからその次の、管区の境界付近の所掌事務を他の管区の海上保安部に分掌させるということができるという改正を今度なさるわけでありますが、これは管区は、原則として都道府県の区域に従ってきめられておる。それを、場合によれば、ここにあります境界付近の航路標識、さらに海難救助等について、他の管区がこれを分掌できる、他の管区にまかせることができる、こういうことなんですが、具体的にどういうことなのか、伺っておきたいと思います。
#229
○説明員(和田勇君) 実例をもって御説明申し上げますと、現在福岡県の三池に私どもの方の三池航路標識事務所というのがございます。これが行政区画では熊本県下の航路標識を管理いたしておりまして、これが三角の方から参りますると非常に不便でございまして、むしろ三池の方から船で出張った方が合理的である、こういう例がございます。さらに長崎県の島原半島に口之津という所がございまして、ここにやはり航路標識事務所がございますが、天草の航路標識を管理いたしております。こういった点につきまして合理的、経済的だということで、本来なれば第十管区で管理いたすべき航路標識を、第七管区の方で管理させたいという考えでございます。
#230
○鶴園哲夫君 これは都道府県ごとに区画ができているわけですが、全国的にこういうような形になりますと、これは常時そういうような処置をされる。海難救助の場合なんかにおきましても、常時そういう分掌ができるようになさるのか。
#231
○説明員(和田勇君) そのほかに福島県と茨城県の県境、これは第二管区と第三管区、それから高知県と愛媛県、これは第五管区と第六管区というように、きわめて例外的なケースが予想されますので、これを常時やるというわけではございませんで、きわめて例外的な措置として考えております。
#232
○鶴園哲夫君 ちょっとそれは海難救助という場合にも、それはそのときそのときに応じてそういうことをなさるわけですか。それとも、そういうふうにきめておられるわけですか。
#233
○説明員(和田勇君) 海難救助につきましては、それぞれ私どもの方の保安部、署の担任海域というのがございまして、多少これは府県の行政区画と違っております。これで現在はやっております。しかし、大体海難が起こりますのは緊急の場合が多うございますので、必ずしもその担任海域を守るというのではなくて、さらに他の管理海域に出張って海難救助をするというようなことは間々ございます。
#234
○鶴園哲夫君 私のちょっと気になりますのは、とにかく都道府県の区域、境界にあって、一つの管区ではなくて、他の管区がその仕事をするというようなことが相当たくさん出てきますと、何か境界線というのが非常にあいまいになりまして、責任体制の上で不安がないかどうかということをお聞きしておるわけです。
#235
○説明員(和田勇君) ただいま航路標識の灯台の例につきまして御説明いたしましたように、さしあたりといたしましては三池並びに口之津の二つについてごく例外的に考えております。
#236
○山本伊三郎君 これは大臣に一つ聞いておきたいのですが、私も海上保安部をいろいろと視察させていただきまして、これは私は率直に言って、保安部の職員がやっておることに非常に感銘を受けました。これは所管が運輸省にあるということも一つのいい点ではないかと思います。あれは警察権を持っている部属でございますので、それについて運輸大臣が、やはり運輸省でこれを管轄していくという、この点について、そういう意義、長所ということについてお考えがあるかと思いますが、こういう点どうですか。
#237
○国務大臣(木暮武太夫君) 海上保安庁の仕事は、御承知の通り、海の平和を守ることでありますので、運輸省といたしましては、これは海、陸、空を管掌をいたしておりますようなわけでございまして、船とか、灯台、港湾、みな運輸省の関係でございますので、これは運輸省が海上保安庁をもって海難救助あるいは密輸、密入国の取り締まり等、海の秩序を守って海上の平和を保持する責任を果たすべきものであると考えておるのでございます。
#238
○山本伊三郎君 大体それであなたの考えておられるととはわかるのですがね。大体、昔はあれは海上警察ということでやっておったのですが、運輸省が今言われたような精神で運営されておると思うのです。従って、私は、海上保安本部の船で視察をさせてもらって、従事員は非常に熱心というか、気持よい働きをしておる。この点はいいんです。従って、そういう点で運輸省にあるということは、私は一つの特徴だと思う。従って、その点は一つ運輸大臣も、そういう意味において、あなたの責任で今後管理をしてもらいたいと思う。ただ、そこで私が言いたいのは、船を見ましても、非常にお粗末な船が多いのですね。また、その連絡についても、航空機も非常に私は足らないと思うのです。そういう点について、私思うのに、運輸省は大体陸上運輸についての――海上運輸についての管理もやっておられますが、そういう点に重点を置いて、港湾行政というものについては若干なおざりにされておるのじゃないかという気持もする。そういう意味において、その点についてどうですか。
#239
○国務大臣(木暮武太夫君) 大へんけっこうな御注意をいただきましてありがとうございましたが、御承知の通り、海上保安庁の所有いたしまする船は、旧海軍のものを引き受けたものが多いのでございまして、老朽、脆弱というような言葉をもって表わすことができるようにも考えられますので、幸いにして国会の先生方の予算の御可決によりまして、年々これを整備増強いたしておりますけれども、いまだこれをもって全しとは考えておらないのでございまして、本年は少しよけい作るようにいたしました。また、灯台などにつきましても、三十六年度におきましては、実は十億円を目標として大蔵省に交渉いたしましたのですが、九割の九億円にとどまりましたが、まあしかし、非常に気の毒な生活をしておる方々のおられる灯台につきましては、九億で本年は一つ新設、整備、改良に努めていきたいと考えております。お話のごとく、飛行機も十分でございません。ヘリコプターあるいは双発機等がございますけれども、これが十分ありますれば、海難救助の場合にずいぶん役立つように考えるのでございます。御承知の通り、南極の調査をやっておりまする宗谷もまた海上保安庁の船でございまして、南極にはヘリコプターが二台貸してありますようなわけでございまして、する仕事は多いし、まことにお話のような、手が少ないというようなことでございまして、できるだけ海の平和を守りまする海上保安庁の整備強化ということにつきましては、皆様方の御支持、御協力によって努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
#240
○山本伊三郎君 運輸大臣のそういう気持はよくわかるのですが、政府全体としては、海上保安庁に対する考え方というものは、まだ私は冷淡だと思うのです、私が実際見た経験からいって。日本は、御存じのように、台風国でございますから、海難事故が非常に多いのです。しかも、それに対する海難救助の装備というものは、船にしても、また飛行機にしても、私は足らないと思う。私はあえて言うわけじゃございませんが、今度の防衛二法案の審議にあたって、海上自衛隊も相当拡張されておるのです。それもある意味において理由があるかもしれませんが、緊急なそういう問題、海上保安庁に対する考え方が、運輸大臣はそう言われておるけれども、政府全体としては私は十分でないと思うのです。従って、私はあなたを督励するという意味ではないのですが、政府全体としてその点を十分考えてもらいたい。われわれの協力といったって、野党のわれわれの協力は、言うだけであって、実際の力はないと思う。従って、政府与党もこの点は十分考えてもらって、大臣の言われた海の平和、安全を守るためにあなたに信頼するところ大でございますから、一つ努力してもらいたいと思います。
#241
○伊藤顕道君 一、二お伺いしますが、第七保安管区を二つに分けて、新たに第十保安管区を設ける、これは能率の増進という点がねらいであろうと思う。そうだとすると、今、山本委員から御指摘のあったように、これに見合う巡視船の増強が当然考えられるわけですね。その点は十分見合うに足りる巡視船――巡視船に限りませんが、今指摘されたヘリコプターとか、それぞれそれ相当の見合う整備が必要だと私は思うのですが、その点は十分なされておるのかどうか。そうでないと、せっかく管区を二つに分けても、能率の増進ということは望みがたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
#242
○説明員(和田勇君) お答え申し上げます。ただいまの点につきましては、三十六年度といたしましては、現在飛行機関係だけで新しく力を加えたい。と申しまするのは、現在大村に飛行基地がございまして、ここにビーチクラフトを一機配置いたしております。これを本年度中に鹿児島に基地を移しまして持ってくる。これの趣旨は、昨日も御説明いたしましたように、南西管区は非常に海難が多うございまして、巡視船の速力では、間々海難を十分救助するということができませんので、少しでも南に基地を持って参りまして、飛行機をここに配置する。お尋ねの船の方につきましては、さしあたりといたしまして三十六年度は増強の予定はございませんが、三十七年度以降におきまして大型の巡視船をふやしたい。さらに小型の巡視船につきましても、数隻ふやしたいと考えておりますが、まだこれは予算化いたしてございません。
#243
○伊藤顕道君 第七管区が李ラインについての巡視の役を果たし、東支那海については第十管区がそれを担当する、こういうことになるのですか、この海上分野は。
#244
○説明員(和田勇君) 大体大ざっぱに分けまして御指摘の通りでございます。
#245
○伊藤顕道君 それで、第十管区本部の巡視船の配置状況と、それから第七管区から二十八名のいわゆる人員が移され、合計して三十八名の陣容だと思うのですが、私もこの管区をしばしば訪問したことがございますが、この人員の程度では十分だとは考えられないのですが、将来やはり整備をされる計画があるのでしょうか。
#246
○説明員(和田勇君) 二十六年度といたしましては、さしあたり三十八名の警備救難部を作る。三十七年度につきましては、さらに他の灯台でありますとか、水路その他の関係について、合計百四十名の管区本部を考えております。
#247
○伊藤顕道君 最後に一点、巡視船については全然武装していないとも聞いておりますが、ある程度の武装はしておるのですか。
#248
○説明員(和田勇君) 武装はいたしております。
#249
○委員長(吉江勝保君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#250
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#251
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。海上保安庁法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#252
○委員長(吉江勝保君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定
 いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#253
○委員長(吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十二分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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