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1960/03/14 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 逓信委員会 第9号
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1960/03/14 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 逓信委員会 第9号

#1
第038回国会 逓信委員会 第9号
昭和三十六年三月十四日(火曜日)
   午前十時四十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月十三日委員岩沢忠恭君辞任につ
き、その補欠として柴田栄君を議長に
おいて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     鈴木 恭一君
   理事
           新谷寅三郎君
           手島  栄君
           松平 勇雄君
           野上  元君
   委員
           黒川 武雄君
           寺尾  豊君
           最上 英子君
           野田 俊作君
           鈴木  強君
           永岡 光治君
           森中 守義君
           山田 節男君
  国務大臣
   郵 政 大 臣 小金 義照君
  政府委員
   郵政省電気通信
   監理官     松田 英一君
   郵政省電気通信
   監理官     岩元  巌君
   郵政省監察局長 荘   宏君
   郵政省郵務局長 板野  学君
   郵政省簡易保険
   局長      西村 尚治君
   郵政省電波監理
   局長      西崎 太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       勝矢 和三君
  参考人
   日本放送協会副
   会長      溝上 けい君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公衆電気通信法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○放送法第三十七条第二項の規定に基
 づき、国会の承認を求めるの件(内
 閣送付、予備審査)
○簡易生命保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○郵政事業及び電気通信事業の運営並
 びに電波に関する調査
 (中央郵便局における現金在中の通
 常封書の盗難事件に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木恭一君) ただいまより開会いたします。
 委員の変更についてお知らせいたします。
 三月十二日、岩沢忠恭君が委員を辞任されまして、その補欠に柴田栄君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木恭一君) 公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 右案に対する提案理由の説明をお願いいたします。
#4
○国務大臣(小金義照君) ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 最近の電話需要の伸びはまことに著しいものがありますが、同時に都市の発展及び町村の合併に伴い加入区域を広げてほしいという声が強くなっております。しかしながら、現在の料金体系のままで加入区域を広げますと、その境界付近において通話料に著しい格差を生ずることになります。
 また、電話の接続の即時化の進展に伴いまして、市外通話についても全国的に自動即時化を進めなければなりませんが、料金のかけ方を現在の方式のままにしておいてこれを実施することは、技術的に困難であります。
 このような事情から、市内市外両通話料金の融合をはかって、社会生活圏の拡大に合理的に対処し、あわせて自動即時化に適合する料金課金方式を採用するため、電話料金体系を調整するとともに、これに関連する制度等について規定の整備をはかろうとして、今回この法律案を提出するものであります。
 次に、この法律案のおもな内容について申し上げます。
 改正の第一は、電話料金の調整に関する事項でございます。
 その一といたしまして、従来、市外通話はすべて三分ごとに料金がかかっておりましたが、この法案におきましては、これを自動即時通話の場合は、市内度数料と同額の七円を単位とし、七円でかけられる時間を、ある距離においては何秒間というように定め、遠距離になるにつれてこれを短くしていく、いわゆる距離別時間差法に改めようとしております。また、これに対応して、手動通話の場合には、最初の三分までは現行の通りの料金のかけ方でありますが、三分をこえると、あとは一分ごとに料金がかかる、いわゆる三分・一分制に改めることにいたそうとしております。
 以上のような料金のかけ方にしようとするのに伴いまして、市外通話料金の算定基準となる距離のはかり方につきましても、現在個々の電話局相互間の距離によっておりますが、この法律案では、これ々二郡ないし数郡をまとめた程度のグループの中心となる局の相互間の直線距離によることにしようとしております。
 料金調整に関する事項のその二は、一定のグループ内の通話を現在の市内通話と市外通話の中間的なものとして取り扱おうとするものでありまして、新たに準市内通話制度を設け、その料金は、距離と無関係に一分間七円にいたそうとするものであります。この準市内通話の実施に伴いまして、電話取扱局の種類、すなわちその級局別をきめる基礎となる電話加入数の算定方法についても改正を行なおうとしております。
 なお、改正料金表の作成にあたりましては、現在の料金収入になるべく変動を生じないように定めようとしております。
 以上のほか、料金に関する事項といたしましては、公衆電話の料金についてもほぼ同様の調整をすること、夜間の市外通話料及び加入区域外の公衆電話料は日本電信電話公社が郵政大臣の認可を受けて定めるようにすること、電話加入数が急増している実情にかんがみ、新しい級局を設けるようにすること等の改正をいたそうとしております。
 改正の第二は、料金以外の諸制度に関する事項でございまして、電話の自動化に伴ってすべての電話局に度数料金制が実施できるようにすること、電話をより便利に使えるよう付属電話機について他人使用を認めるようにすること、災害地の公衆電話料、医療無線電報料を無料にするための根拠規定を置くこと、日本電信電話公社は、加入者等から、その建物内または敷地内の既設線路の使用の請求があったときは、これに応ずることができるようにすること等の改正をいたそうとしております。
 この法律案によるおもな内容は以上の通りでありますが、施行期日は、いろいろ準備の都合もありますので、昭和三十七年九月一日から同年十一月三十日までの間において政令で定める日といたそうとしております。ただし、今回の改正による新制度の一部については、試験的実施を改正法律施行前においても行なうことができるようにしようとしております。
 何とぞ十分御審議下さいまして、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
#5
○委員長(鈴木恭一君) 本日は、本案については提案理由の聴取にとどめておきます。
#6
○鈴木強君 議事進行について。大臣にお尋ねいたしますが、電電公社は電話と電報とを取り扱っていると思うのですがね、それで私がかねて本委員会を通じて電報料金制度の根本的な改革ですね、電信制度をどうするかということについて、何回か私は意見を出しておるのですが、せっかくここにこういう改正案が提案されることになったと思うのですが、内容は私はきょう触れませんが、どうして、電報料金の方について、われわれの委員会における趣旨を十分理解されて、抜本的な電信事業のあり方、それに伴う料金制度というものをきめてここに出さなかったのですか、無線電報料を無償にするというような根拠規定を置くというだけで、ほとんど電報については触れておらない。まことに私は遺憾に思うのですが、こんな片ちんばな法律案の提案の仕方はない、どうなんですか。
#7
○国務大臣(小金義照君) これは電話料金の体系に関する事項を改正の要点といたしておりまして、電報料金等につきましては、いろいろ審議いたしましたのでありますが、これは本改正案は、周知期間等を相当長く置かなければなりませんので、これをまず出しまして、引き続き電報料金についても検討を加えまして、この法律の施行までにはできるように努力をいたしたいと考えましたので、今回は一年以上あるいは一年半くらいの周知期間、またいろいろな設備等の関係もありまして、急ぐものですから、とりあえず、これを出したので、鈴木さんの御趣旨を決して無視したり、軽視したりするものではございません。
#8
○鈴木強君 大臣のお言葉ですけれども、電話だけだとおっしゃるのですが、ここにあるように医療無線電報料については、これは電報に入るわけですから、おやりになるなら、そういう全般的な電報料金というものをお考えになったときにこれも出したらいいのじゃないですか。それを医療無線電報料金だけは無料にするというふうな準拠規定を置くということだけきめておいて、ここに提案された趣旨というのは、やはり電報と電話というものを一応考えてやったと思うのです。そうであれば、あなたの言うことと違うじゃないですか、おかしいですよ、こんな提案の仕方はないですよ。
#9
○国務大臣(小金義照君) 私が、いきさつとして承ったところによりますと、電報料金もあわせて研究すべきものである、また研究して参りましたが、今申し上げましたような理由で、これは周知期間を長く置かなければならぬので、先にこれを提出して御審議を願って法律にいたしたい。医療関係の問題につきましては、これは事が人命に関し、その他人道上の問題がありますので、とりあえず、これだけを抜き出してやったことと私は了解いたしております。
#10
○鈴木強君 これは施行期間が昭和三十七年の九月一日から十一月の三十日までというように御説明の中にもあるわけですから、何も好んでこの問題だけを先に出すことは私はないと思うのです。あなたの趣旨なら私はわかります。わかりますが、それでは、どうして電報料金の一部の医療無線電報だけやったのか。これは緊急とおっしゃるけれども、どうせ実施は来年ですから、それなら電報の全体的な料金制度の中で考えて、そのときに出したらよかったじゃないか。こんな中途半端なものを出して、一番大事な、しかも百二十億も赤字が出るような電報料金制度について、何か特別な調査委員会まで作って審議されて、それはどういう内容で気に食わなかったか知りませんけれども、もう少し電報制度、電報料金制度に対して根本的な検討をしてもらいたいと思う。電話の方は、少なくともやはり相当な収入もありますし、利益もあげているわけです。しかし電報の方は、今言ったように、大臣も御承知の通り、私は何回も、四年半も前から院に議席を持って以来念願としている。せっかく調査会を作って審議するなら、もう少し根本的な制度についてお考えになって、その上に立って電報料金制度、料金はどうあるべきかという立場に立って、どうして検討してくれないのですか。こんな中途半端な出し方については、法案の提出の仕方から見ても、大臣の趣旨からいえば、この医療無線電報というのは削ってしまって、改めて出したらどうですか。
#11
○国務大臣(小金義照君) 私から申し上げました説明の中にもちょっとあったと思いますけれども、この法律案の一部は早く施行するものがありますので、こういう人道問題といいますか、医療関係のようなものにつきましては、なるべく早く実施したいというような考え方でこれを入れたのでありまして、今、鈴木さんのおっしゃるような、電報料金制度についてはやっぱり根本的に検討を加えておりますので、この方がまとまりましたから、とりあえず先に、周知期間等の関係もあるので、電話料の改定整備を先に出しましたので、決してないがしろにしているわけじゃない。また根本的にいろいろ論議する点がございますので、一足この方を先に出したというわけですから、これだけ削ってもいいのですが、まあ早く実施できる建前でこれをやっておりますので、お認めを願いたいと思います。
#12
○鈴木強君 私はこの御説明を聞いて、この中で一部やるのは、実施前のテスト・ケースとしておやりになる部分があると思うのです、一部。そのことはわかりましたが、少なくとも、医療無線電報というのは、これは明らかに今有料でやっているわけですからね。そういうものはあれですか、昭和三十七年の九月一日から十一月三十日までの間で政令で定めると言っておるのだが、先走ってそういう改正をしようとしているわけですか。そうであれば、これは大事ですからね。趣旨からいってちょっと大事なところがありますから、だから、どれとどれとどれをやるということなんですか。医療無線電報料金についてはこの施行期間前にやるという方針なんですか、それだったらちょっとおかしいですよ。
#13
○国務大臣(小金義照君) これは、お言葉でございますが、災害地の公衆電話料とか医療関係のものは一やはり災害地には医療関係のものが非常に多く出ますと思います。伊勢湾台風その他から見ましても、やはり災害は物的事項と同時に人命に関するものが相当多いので、こういう医療関係の問題は、数回やはり御注文があったそうでありますから、これは急いで実施するということになったそうであります。
#14
○鈴木強君 だから、その災害地の電報なり、あるいは電話を無料にしていこうということは、これは緊急事態ですから、私ば公共事業の立場からいいと思うのですがね。この医療無線電報というのは、そういう趣旨じゃないのでございましょう。要するに海上に出ている船舶無線といいますかね、そういうところから出す電報じゃないですか、私はそういうふうに理解するのですけれども。災害のときにも無線で、たとえば連絡を電話で緊急にやるときもありますがね。そういうものも無料にするというのですか。
#15
○国務大臣(小金義照君) つまり災害地の電話料を無料にするものですから、もう一つこれも一緒に無料にするという……。海上の場合は必ずしも災害とは限らないということでございます。
#16
○鈴木強君 だからどうなんですか、それは。はっきりしてもらいたいのは、だから異常災害時において、特に被災者のお出しになる電報については、この実施期間前にもやりたい。それとあわせて医療無線電報を、海上あたりから出す医療の電報があるわけです。そういうものも一緒に施行前にやろうとしているのか、そこをはっきりしてもらいたい。
#17
○政府委員(松田英一君) お答え申し上げます。実はこの法案の附則の第一項でございますが、ここに、何といいますか、準備をしないですぐにやる必要がある、あるいはやった方がいいと思うような規定につきましては抜き出しまして、二十六条、三十八条の三、四十一条二項、五十三条第三項、第七十条、第八十一条第一項というような規定で、そのうちの第七十条の部分は、ただいまの医療無線電報の規定でございます。各事項それぞれ早くやった方がいいという意見がございますが、きょうはそこまで立ち入りませんけれども、そういうことで、医療無線電報というのは、これは御承知のように、海上に出ております小さい船で、医者などが乗っていない。そこで急病人ができました場合に、それらの診断を求め、あるいは処置方法を求めるという緊急を要する電報でもございますし、また、そういう状況ですから、これをぜひ無料にしてほしいということが、これは前々の国会で御要望がございまして、世界的にそういう勧告も出ておるという話もございまして、これはなるべく早くやりたいというふうに、前のたしか寺尾大臣のときだったかと思いますが、答弁しておりますので、この際あわせて早く実施するという建前をとったわけであります。
#18
○鈴木強君 そうすると、大臣の言われた医療電報というものの解釈は違うでしょう。異常災害時におけるものは、医療であろうと何であろうと、無料にしてやろうというような趣旨じゃないのですか。医療電報というものは明らかに海上から……。今監理官の言われたような趣旨のものが医療電報だというふうに私は理解している。そのほかのものは医療電報というふうに扱われていないのでしょう。
#19
○政府委員(松田英一君) それはおっしゃる通りでございます。これはそういった船からの電報を医療電報としてやるわけであります。災害地のものではございません。
#20
○鈴木強君 だから、そこの解釈がはっきりせぬのですが、そうすると医療無線電報については実施期日の前からでも直ちにやりたいと、それにあわせて、今言った災害地の特別な扱いといいますか、そういうものもやりたい、こういう趣旨に理解してよろしゅうございますか。
#21
○政府委員(松田英一君) その通りでございます。ここに二つの事項を実は第七十条で並べて書いてございまして、それで附則の第一項に、そういうものにつきましては、「公布の日から起算して三十日を経過した日、」に施行するということになっております。
#22
○鈴木強君 僕は、この中に入っての論議はやりません。ただ法律案の提案が、多少、大臣の言われた、電報料金全体の基本的なものについてやって、できれば一緒にやれるようにしたいというお考え方は了承しますが、一応こういう無線電報というものは明らかに電報の部類に入るのですから、実施時日をどうかは別としても、やはり全体の経営の中でやっていく方が私はむしろ適切だというふうに判断したものですから、出すなら、やはり一緒に間に合うように出したらいいのじゃないか。それで電信の一番大事な、私が何回も何回も言っておるようなものは全然やらないで、ただ医療無線電報だけを出しておいて、根本的なものはあとに出すということは、ちょっと法律案の出し方としてはまずいものですから、議事進行上申し上げて注意しておきたいのです。
  ―――――――――――――
#23
○委員長(鈴木恭一君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、本件に対する政府の御説明を願います。
#24
○国務大臣(小金義照君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十六年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、これらに対する郵政大臣の意見とともに国会に提出し、その承認を受けることになっているのであります。
 郵政大臣としましては、この収支予算等について、放送法の趣旨、日本放送協会の性格、目的、放送事業の現状等を勘案いたしまして、お手元にお配りいたしました通りの意見をつけまして、国会の御審議をお願いする次第でございます。
 これらの収支予算等につきまして、大略御説明いたしますと、昭和三十六年度における事業計画につきましては、昭和三十三年度を起点とする日本放送協会の放送事業五カ年計画の一環としてこれを実施しようとするものでありまして、建設計画において、受信困難な地域の解消、施設の改善、教育テレビジョン放送網の拡充をはかり、事業運営計画において、放送番組の刷新、充実、受信料免除範囲の拡大、受信料徴収方法の改善、国際放送の拡充、調査研究の強化等をその重点といたしております。
 次に収支予算につきましては、収入、支出ともに総額四百五十六億八千五百余万円と予定しております。これを昭和三十五年度に比べますと、いずれも八十三億八千六百余万円の増加となっております。
 収入、支出の内訳につきましては、資本収入が八十五億六千五百余万円、資本支出が百十七億余万円、事業収入が三百七十一億一千九百余万円、事業支出が三百三十六億三千四百余万円、予備金三億五千万円となっておりまして、この事業収入と事業支出及び予備金の合計額との差額三十一億三千四百余万円は、建設費、借入金の返還等、資本支出に充当されております。
 なお、受信料につきましては、昭和三十五年度と同額のラジオ月額八十五円、テレビジョン月額三百円を予定いたしております。
 次に、資金計画につきましては、本事業計画に基づきまして、年度中における資金の出入に関する計画を立てたものでございます。
 これらの計画等は、協会の目的等に照らして妥当なものと認められます。
 以上をもちまして私の説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#25
○委員長(鈴木恭一君) 次に、日本放送協会の補足説明をお願いいたします。
#26
○参考人(溝上けい君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和三十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げる機会をお与え下さいました御配慮に対しまして厚くお礼申し上げます。
 協会は、公共放送の使命を達成するため、昭和三十三年度を起点といたします放送事業五カ年計画を策定し、委員各位の絶大なる御協力を得まして、着々その実現に努めて参りましたが、昭和三十六年度の事業計画におきましては、この五カ年計画の早期達成を目標といたしまして、放送の全国普及と、放送を通じて国民生活の向上充実に貢献することを基本的な方向といたしまして諸計画の作成をいたしております。
 すなわち、ラジオにおきましては、受信困難な地域の解消や外国電波による混信を防止するため、中継放送局の建設や送信電力の増力などを強力に進め、テレビジョンにおいては、総合・教育とも全国放送網の早期完成を目標として建設を推進することにしております。
 また、放送文化がひとしく全国民に及びますよう従来から、学校・社会福祉施設、公的医療機関、生活困窮者等に対して受信料の減免を行なって参りましたが、三十六年度はさらに免除の範囲を拡大して、三十五年度に半額免除にした有線放送のラジオ受信者三十六万に対しましては全額免除とし、貧困な身体障害者世帯四十五万や、盲人につきましては、全世帯に対しまして、その経済的社会的事情や放送利用の重要性にかんがみまして、ラジオ受信料全額免除の対象にいたすこととしております。これによりまして、三十六年度における受信料減免件数は百四十五万件、減収総額は約十五億円になります。
 さらに、建設計画の積極的な推進をはかるために、受信料収入から建設資金に九億三千万円を充当する措置をとることにいたしております。
 これらの点を三十六年度の事業計画の基礎といたしまして、その遂行に万全を期する考えでおります。
 それでは、まず建設計画から申し上げますと、ラジオ放送網及びテレビジョン放送網の建設を中心として計画を進めますとともに、老朽施設の改善や地方局における演奏所、放送機器等についても整備をはかることにいたしまして、総額九十三億八千九百万円を計上しております。
 ラジオ放送網におきましては、中継放送局の建設十局、第二放送の増設十局、放送局の増力の完成六局、着工一局等を予定しております。これにより、年度末の全国総世帯に対するカバレージは、第一放送九九・七%、第二放送九七・五%となります。
 また、テレビジョン放送網につきましては、総合テレビジョン局の建設完成七局、着工一局、教育テレビジョン局の建設完成十四局、着工十一局を予定いたしますほか、局地的な受信の困難な地域についても近く決定を予想される周波数割当計画をも考慮しまして、極力改善に努めることにいたし、小電力局の建設四十局の完成と十局の着工等を予定いたします。これにより、年度末の全国総世帯に対するカバレージは、総合放送において八四%、教育放送において五四%となる予定であります。
 その他、ラジオ、テレビジョン放送網の進展やテレビジョン放送時間の拡充に即応して、演奏所や拡送設備機器の整備改善等をはかることとしておりますが、これらの建設計画に要する資金九十三億八千九百万円につきましては、そのうち四十億二千九百万円は減価償却引当金、売却固定資産代金及び先ほど述べました受信料収入充当の方法により自己資金を充てることとし、残額五十三億六千万円は、放送債券及び長期借入金によることにしております。
 次に、事業収入について申し述べますと、まず、受信契約者につきましては、ラジオ受信者は、三十五年度と同様百六十万の減少が見込まれますが、これに免除範囲の拡大による減少七十一万を加えまして、二百三十一万の減少を予定しております。一方、テレビジョン受信者につきましては、二百万の増加を予定しております。これにより、ラジオ収入九十八億八千七百四十二万円、テレビジョン収入二百六十九億四百万円、合計三百六十七億九千百四十二万円の受信料収入を見込み、このほか交付金関係収入一億三百四十三万円、雑収入二億二千四百四十一万円を合わせ、三十六年度における事業収入総額は三百七十一億一千九百二十六万円を予定しております。
 これらの収入から、前に述べましたように、約十億円を建設資金に充当するほか、約七十四億円を法定積立金、減価償却費等の必要経費に計上し、事業運営費としては約二百八十七億円を充てております。
 事業運営計画のおもな事項といたしましては、まず、ラジオ及びテレビジョンの放送番組につきまして、その刷新と拡充に努めることといたしておりますが、特に、テレビジョンにつきましては、総合テレビジョンの放送時間の二時間の増加、教育テレビジョンの放送時間の一間時三十分の増加を行ないますほか、ローカル放送を拡充いたしまして、受信者の要望にこたえることといたしております。また、国際放送におきましては、アフリカ向け放送の新設や一般向け放送の拡充を行ない、諸外国との親善に寄与する考えであります。
 一方、受信者に対する施策といたしましては、低普及地域の開発を積極化いたしますとともに、テレビジョン難視地域救済策の一環としての共同受信施設への助成を拡充することにいたしております。また、教育放送の利用促進をはかるため、僻地の小・中学校に対して学校放送テキストの無料配布についても計画しております。さらに、受信者の切なる要望にこたえますため、受信料の集金期間を従来の三ヵ月から二カ月に短縮しますとともに、受信料前納者に対する割引を実施することにしております。
 最後に、経営管理につきましては、業務の合理化により極力経費の節減に努めることといたしますが、事業計画の円滑な達成と将来にわたる財政の安定化をはかることを目標といたしまして、新職員制度の採用、職員の教育訓練の強化、給与の改善、退職手当の資金積立等を実施することにいたしております。
 以上、昭和三十六年度の事業計画のあらましを申し述べさせていただきましたが、協会といたしましては、わが国の発展と国民生活の向上に伴いまして、ますますその使命の重大なることを銘記いたしまして、従業員一同総力を結集いたし、目的の達成に努力する所存でありますので、委員各位の一そうの御協力をいただきまして、御審議の上、何とぞすみやかに御承認下さいますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
#27
○委員長(鈴木恭一君) 本日は、趣旨説明聴取にとどめることにいたします。
  ―――――――――――――
#28
○委員長(鈴木恭一君) 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、どうぞ順次御発言を願います。
#29
○森中守義君 この機会に大臣に二、三承っておきたいと思います。もちろん、審議の日程がさらに長く残されておりますから、きょうは主要点についてお尋ねして、後日に譲りたいと思いますが、三十三年、あるいは四年であったかと思いますけれども、現行の三十万円になったときの審議の際に、当時の寺尾郵政大臣は、それから前の大塚局長が私の質問に対して、大体制限額というのは幾らが正しいのか、こういう質問に対しまして、三十万円が適当であろう、こういう答弁があったのです。ところが何年も出ずして、今回二段がまえの改正案になっております。もちろん私はその当時、今から何年間三十万円でいいかという質問はもとよりしておらなかったのですけれども、こういうように数年を出ずして次から次へ法律改正が行なわれるということは、それ自体簡易保険の正常な経営あるいは見通し、こういうものがあまり省側において正確にお持ちでないような気がするのです。従いまして、本年の四月一日から来年の三月三十一日までは三十万円、それ以降は自動的に五十万円、こういうような改正のようでありますが、一体前のそういう答弁と、今回五十万円をお出しになった意味合いから判断をして、幾らであれば一番正しいのですか。と申しますのは、またこれが数年を出ずして法律改正が行なわれる、こういうことも過去の実績からして言えると思うのです。従って、そういうことに対する正確な見通しをこの際承っておきたいと思います。
#30
○国務大臣(小金義照君) 現在昭和三十六年の三月十四日、これは実はまだ二十五万円です。最高が二十五万円であります。私の承りました経過によりますと、昨年の通常国会におきまして三十万円にするという大体内意があったようでありますが、法律案提出して御可決をいただかずに、そのまま二十五万円になっております。そこで、この法律案の可決、それから法律になったとき、大体四月一日を予定いたしておりますが、そのときから来年の三月三十一日までを三十万円にいたしまして、来年の四月一日以降は最高額は五十万円まで保険に加入することができるという建前になっておりまして、今おっしゃいましたように金額が年々変わる、これはまあことしから見ますと、実は年々変わるのでありまして、そういうのは一定の方針がないのじゃないかというようなお説でありますが、郵政省におきましては、単独でこれを出したわけではございませんので、各方面の御要望、この簡易生命保険を利用される各方面の御意向、特にもう一昨年になりますが、三十四年の十月には郵政審議会において、もう五十万円くらいにした方が適当じゃないか、こういう御答申といいますか、御意見も郵政省で承知いたしております。
 そこで、今先生がおっしゃったように、二十五万円からまあことしは、昭和三十六年度は三十万円、七年度からは五十万円になるが、一体見通しをどう立てておるのかというお説でありますが、私も郵政省へ参りまして、この保険のことをいささか勉強してみますと、民間保険との関係、また経済の伸張率から参りまして、いやしくも保険と名前のついたものについては、最高額が簡易保険でも工十万円くらいがもう適当な生活環境なり経済環境ではないか、こう判断をいたしましたので、こういうふうな取りまとめをいたしましたので、計数的に何十万円になるかということは非常に困難で、あるいは事務当局から説明があるかもしれませんけれども、まあ自動車損害保険なんかもやはり五十万円になっておりまして、まあ経済が許せば、簡易生命保険でも五十万円までくらいは天井を上げておいた方がいいんじゃないか、上げべきもんじゃないか、こういうような考えで、郵政審議会等の御趣旨に沿って、これを本法律改正案のように取りまとめた次第でございます。
#31
○森中守義君 郵政大臣は、適当であろうということは、いわば政治的な発言でしょう。それ以上問い詰める意思はないのです。ただ私が過去この問題に関係をした記憶からいきますと、数年前からおおむね五十万円くらいにしなくちゃならぬと、こういう御意見は郵政省内部はもちろん、関係方面において相当強かったんであります。そこで、おそらくこの五十万ということに明年からなるわけですが、所定の目的はこれで達することになる。さらば五十万が一体来年を起点として何年持続できるのか、また五十万の制限額であるならば、簡易保険事業というものはいささかも不安のないような経営の状態に置かれるかどうかという、いわゆる大臣の政治的発言である。適当であろうということではなくて、具体的な内容を私は聞きたいので、これは大臣からは多少無理かもわかりませんから、局長おいでになるから局長からでもけっこうです。それと、この五土万はこれから先何年くらい持続できるのか、つまり法律改正をしなくても五十万で何年間もっていけるか、その辺の見通しを明らかにしておいていただきたい。
#32
○政府委員(西村尚治君) 簡易保険の最高制限額を五十万円にするのが至当であろうということは、ただいま先生もおっしゃいましたように、かねてから各方面からの御要望、御意見であっ出たわけであります。これは計数的に申し上げますと、大体今の貨幣価値から勘案いたしまして、加入者の老後の生活費、あるいは加入者が死亡いたします場合には、その医療費、葬祭費、また遺族の生活費、こういったようなものを考えますと、大体厚生省、労働省等の統計によりまして、六十万から七十万くらいが必要だという計数が出るわけでございます。それから先ほど大臣もちょっとお触れになりましたように、自動車の事故によりまして死亡しました場合の損害賠償額が五十万円ということになっております。それから公務員が災害を受けまして死亡いたしました場合の補償額が大体六十万円、労働者の場合も大体その程度補償されております。そういったような関係から見まして、まあ五十万から六十万程度というところが妥当であろうという結論が出るのでありまするけれども、ただ、簡易保険の制限額を一挙に高額に上げますることは、御承知のように、今民保と競合状態にあるわけでありますから、民間保険に非常な急激な影響を与えるおそれがある。そういったような関係も勘案いたしまして、五十万円というこの結論が出たわけでございます。
 これを今後いつまで五十万円で据え置くかという御質問のようでございまするが、私どもといたしましては、これで経済事情に非常な著しい激甚なことがありません限りは、ここ当分、少なくとも数年間は据え置けるのではないかというまあばくたる考えを持っておるだけでございまして、実はその経済界の見通しその他との関係から、ここで何年間は据え置きますという確信のあの御答弁はいたしかねるのでありますけれども、少なくとも数年間はこれで大丈夫であろうというふうに考えておる程度でございまして、長期計画、これから十年計画を目下省において検討しておるのでありまするけれども、その中で十年間には制限額の引き上げということは考えていないのであります。ただこれは私たちだけの作業の中身を申し上げただけでございますが、ここで確信がある答弁といたしましては、少なくとも数年間は大丈夫でしょうという程度しか申し上げられませんことを御了承願いたいと思います。
#33
○森中守義君 大へんどうも奇妙な言い回しで、のみ込めたようなのみ込めないような気がいたします。私は、少し具体的な問題になりますが、御案内のように、近来の政府のいわゆる経済施策の中心は所得倍増ということであります。加えてまた格差を漸次縮小していく、しかも国家経済の成長率は九・二%を基礎にする、こういうことが政府の方針として経済政策として出されているわけです。であるならば、今回のこの五十万というものは、当然国会に法律改正をお出しになる以上、一応これから先の日本経済はどうなるか、国家経済はどういうふうに成長していくか、それが国民生活の構造にいかなる影響々もたらしていくか、そういうことが一応積算の根拠にならないと、五十万という正確な数字は出てこない。もちろん、こういうことは一つの面を見た問題であります。しかし郵政大臣が政治的な答弁として、五十万程度が適当であろうということは、これはいただける、そのまま了承してもよい。しかし局長の答弁としては、今私が申し上げたような国家経済の成長の率あるいは国民所得の向上、まあこの辺の重要な経済上の見通しというものが、郵政省の事業経営と巧妙にマッチしておらないと、答えが出てこないんじゃないかと思う。その辺に話が一応しぼられていけば、保険局長のお答えは、あまり五十万に対するきわめて正確な基調がないような気がいたします。
 そこで議論が多少発展いたしますが、今局長のお答えの中には、六十万ないし七十万くらいが――いろいろなことを考慮に入れないで、そのものずばりで統計を出したならば、六十万、七十万程度にいえるんじゃなかろうかと、こういうお話も出ております。そうなりますと、結局ほんとうは五十万ではなくして六十万、七十万が、今日この時点に立って簡易保険の最高制限額としてはきわめて妥当な適当な数字である、こういうようには言えないのですか。
#34
○政府委員(西村尚治君) ただいま私の御答弁申し上げました点で、舌足らずのために少し誤解を招いたふしがあるようでございまするが、私は六十万、七十万、まあ客観的に見ますと、災害補償法などでは六十万、七十万という線が出ておりますので、それくらいはまあ老後の生活費、その他遺族の生活費など考えますと必要かもしれませんが、ただこれは無審査保険でございまするので、あまり一挙に金額をふやしますと、逆選択のおそれもあるという点も、事業経営上これは大いに警戒しなければならぬのでございます。そのことと、もう一つ、先ほど申し上げましたように民間保険に及ぼす急激な影響というような点を考えまして、現段階においては、郵政審議会の答申にもございましたように、やはり五十万程度が妥当だ、適当だというふうに考えておるわけでございます。それから今私どもの方で作業を続けております長期計画におきましては、国民所得の伸び、国全体の経済力の伸び等を勘案いたしまして、実は内部的な考えといたしましては、少なくとも十年の間は五十万円をさらに引き上げるという意図は盛り込んでいないのでございます。ただ私がそこでそう言い切ってしまいますと、あのときにああ寄ったじゃないかということになってもいけないと思いまして、実は大事をとりまして、まあ経済界に非常な激変がない限り少なくとも数年間は大丈夫だと思いますというふうに、大事をとって申し上げただけでございまして、事務的な作業といたしましては、少なくとも十年間くらいは引き上げる必要はないのではないかというふうに実は考えておる次第でございます。
#35
○森中守義君 西村局長の、どうも十年間というのは、私は御訂正になった方がいいのじゃないか。なぜかといいますと、これは後ほどまた資料をお出しいただきたいと思うのですが、今まで私どもがこの問題を客観的に見てきた場合に、いわゆる三十万がいいか、四十万がいいか、五十万がいいか、いわゆる線の引き方というものは、必ずしも正確な数字を基調としたものではない。こういうふうに私は判断をいたしております。であるから結局、簡易保険の制限額というものはいわば適当であろうという大臣の政治的な答弁に見られるように、いわば政治的な額なんです。私はそう思う。もしそうでないとするならば、これは五十万でよろしいという正確な根拠となるべき資料をお出しいただきたい。私は明らかに制限額の設定ということは、正確な統計を基礎にし、数字を基調にした額の設定ではないのではないか、あくまでも政治的な判断による額の設定である。こういうような認識の仕方がおおむね正当ではないか、こういうように思います。従って今局長の言われる言葉を何も私はあげ足を取ってものを言おうと、こういうのじゃないのですが、そういう過去の経過の中に設定をされてきた制限額というものが、局長の言われる十年はよろしいということであるならば、これは一つの私は根拠となるような数字というものが基礎になって額の設定が行なわれたときに、初めて言い得ることであって、そうじゃなくて、やはり政治的な決定ですよ。だからあまり将来の見通しを私の聞き方も多少おかしかったのかもわかりませんが、私が聞いたのは、そうちょこちょこ変えられては困るのだ、どのくらいが適当であるか、今から何年くらい上げないか、こういうことを政治的にお聞きしたいのだから、今から十鶴間というようなことを言われたんじゃそれは大へんなことですよ。しかも現に六十万とか七十万ということが局長の言葉の中から出ている。そういうことを将来にわたって考えるならば、今の局長は、あまり正確なお答えじゃないからいいにしても、いやしくも国会の委員会の中で十年間はいいだろうという、こういうあいまいなことは一つお取り消しになった方が先々のためにいいのじゃないかと思いますが、その点一つ正確にしておいていただきたい。
 それと、今申し上げたように、これは私の主観を述べているわけですが、間違っているならば、そうじゃない、やはり数字を基調にして五十万が出たなら出た、政治的な判断による設定なら設定、そのいずれかの御答弁をいただきたいのと、それからもう一つ局長のお話の中に、いわゆる民間の生命保険との関係がある、こういお話ですが、なるほど今日日本に二十社あります。民間業界二十社、そのほか農業共済関係もあるし、かなりわが国の生命保険の市場というものはかち合っておりますね、ラッシュの状態である。しかも民間生命においては群雄が割拠して、まことに競争は激烈をきわめておるようです。その中にひとり簡易保険が官業という立場で存在している。こういうようなわが国の国内における民間生命保険と国営事業である簡易保険の位置づけというものは、おのずから一つの保険政策として、もう少し何かの形で一元化をしていくなり、ないしは双方が両立していくような方向がとられないと、民間生命が今回の五十万に対して強く反対の運動を展開している現状から見ても、今日まではこれできても、これから先六十万にする七十万にするということで、そのたびごとに私は保険界に相当な混乱が起きるのじゃないか、こういうように考える。これはもちろん郵政大臣の所管外のことであるかもしれませんが、少なくとも保険事業というその面を通して考えるならば、やはり大臣にも関係がある。一体わが国の保険政策というものは、現状を肯定していいのか、将来はどういう方向に発展をしていくべきであるか、大臣はどういうようなお考えをお持ちですか。
#36
○国務大臣(小金義照君) ただいま御質問の第一点で局長が答えましたが、お説の通りでございまして、これは四十万がいいか五十万がいいか、これはなかなかむずかしい問題でありまして、政治情勢、またそのときの経済情勢の見通し等を考えましてきめるのがやはりこの最高限だと私は解釈しております。ただ局長は事務的にいろいろ積み上げたり何かしますと、現在の二十五万円から見ますと来年の五十万円というのはちょうど倍額になります。そこで、もう所得といいますか、経済成長率の倍増も連年達するものですから、事務的にはなかなか計算や数字が出ないだろうと思います。そこで、もう御判断としては私全く同感でありまして、今までの二十五万円が少し安かった。ただこれは、詳しい数字はよくわかりませんが、簡易生命保険の平均額十万円こえた程度じゃないかと思っております。民保の方の三十万円、継続五十万円ですか、その無診査の方がたしか二十七、八万円に達しておるそうであります。そういうようなことを考えますと、最高限を上げておくことは不必要じゃないかという御意見も出て参りました。しかしこの簡易生命保険、官営の生命保険を利用される方が、やはり相当数五十万円前後のものをほしいというような需要がございますので、これを私どもは五十万円に、これは政治的な経済的な見地から御決定をここでお願い申し上げている次第でありまして、その点は局長からまた補足があるかもしれませんが、私はむやみにあまりしげしげ変えるのも、これはいたずらに各方面を刺激したり、一体簡易生命保険は幾らまで入れるかわからなくなってしまうおそれがありますので、従来の段階を見ますと、やはりある年間、そう長い間でなく上がってきております。私はお説のような判断に従ってこれからも事務的な作業をして参りたい、こう考えます。それから第二点のご指摘になりましたような、民間、民営の保険あり、農業関係の保険あり、またこの簡易生命保険、官営の保険があるというようなので、全くその保険がたくさんあり過ぎて 無理な競争をしているのじゃないかというお話も出ました。一体政府としてはどういう考えを持たれるかということでございますが、まことにお説はごもっともで、これはあまりきびし過ぎる競争をされても困るのでありまして、ただ、わが国の保険の発達過程から申しましても、また簡易生命保険の創設の因縁等から申しましても、これはあくまでも民営の保険が先であって、補完的な意味で官営のこの無診査の簡易生命保険を創始したように私は伺っております。そういうような関係から、そこらの分野を考慮して、今局長はお答え申し上げたと思っておりますが、今あるがままの姿で私は必ずしもよろしいとは考えておりません。しかし、それぞれ今日まで発展してきた過程等もございますので、今需要者の方からごらんになると、ちょっとわずらわしいようないろんな種類があるというお考えも持たれるかと思いますけれども、これは民間保険を監督いたしておりまする大蔵省あるいは農林省等とよく相談をいたしまして、これは運営上ぎごちないことをなるべく除去いたしておりますような次第で、御指摘の根本的に一体どうするかということにつきましては、官営の簡易生命保険は補完的な立場で出発いたしましたので、それらの性格問題から掘り下げて考えて参りたいと思います。非常に重要な根本的な問題でありますので、十分考えさしていただきたいと思います。
#37
○政府委員(西村尚治君) 先ほどの先生の御質問を少し早合点いたしまして、それにこだわり過ぎたようでございますが、実は私の申し上げましたのは、事務的な作業におきましては、十年くらいは一応五十万円据え置くということで作業を続けておりますと、ただそれにあまり確信はございませんので、少なくとも、五、六年間は引き上げなくてもよろしいと思いますというふうに申し上げたのでありまするけれども、これは裏を返して別な表現にいたしますと、五、六年もたちますれば、経済情勢、政治情勢が変わるから、あるいはまた改定という必要も起こるかもしれませんということであるのでございまして、そこはどうも言い方を、先生の御趣旨を早合点して、こだわりましたためにそういう表現をしたのであります。十年間絶対にこれで据え置くのですという趣旨ではないということを一つ御了承を願いたいと思います。
#38
○森中守義君 私は、大臣の今の答弁ですね、少し物足りない。なぜかといいますと、郵政省の場合は、一応積算をしてみて、五十万なら五十万、六十万なら六十万、七十万なら七十万というふうに将来正確な数字が出ますね、で、その出た数字を基礎にして法律改正をしよう。そうすると物理的にこれに対抗する勢力が出てくるということです。それが民間生命保険です。だから郵政省が出した正確な基礎数字、これでなければいかぬとする数字が、具体的に法律改正の段階になると、容易にそれが実現できない。何となれば、すでに五十万という話が出たのは、これはもう去年、あるいはことしのことではない。私ども早くから五十万が適当である、こういう認識がある。しかし目標を五十万に置いて、五十万でなければならないとしておきながら、二十万が二十五万になったり、さらに今回のように段階刻みである。もちろん私は先例があるかどうか、まだ調べておりませんからわかりませんけれども、三十七年度分まで今回の法律改正の中に入れておくということは、立法技術としても必ずしも適当な方法ではない。なぜずばり五十万とできないか。ところが大蔵省、あるいはその他関係の与党の部会あたりの意向等が相当反映をして、立法技術としても必ずしも適当でないようなところに妥協し引き上げに伴う法律改正の経過だろうと思う。こういうようにものを見てくれば、やはりわが国の保険政策はどうあった方がいいか、ことに先刻申し上げたように、民間二十社、それと簡易保険、あるいは農業関係の保険、こういうあまりにも――もちろん外国と比べてわが国の生命保険業多いかどうかというのは、今ここで私は資料は持ちませんから、一がいには言えないけれども、国内の現在の保険事業のうち生命保険事業の状態を見た場合に、相当事情は窮屈になってきている。顧客の選定にみんな困っている。そのために簡易保険が五十万なければならないということが理論的にも、政治的にも、あるいは一たん契約者の立場に立ってみても、当を得た法律改正であるにかかわらずそれができない。この現実をどう見るか、その答えをどう出していくかということになれば、おのずから政府が保険政策はどうあるのが正しいか、こういう基本的なものがないと、今まで繰り返されてきたことを今後も私は繰り返すことになる。この意味は大臣の方で私は御了承いただけると思うんです。そこで将来の問題として、保険局長は十年から六年にする、これがあとまだ三年ぐらいになるかわかりませんが、まああまり将来のことはここでは触れないにしても、やはり正確な数字を出して、それでなければならぬ、それでなければ簡易保険事業の運行はできないというどたんばにきたときにすらも、そういう民間と競合のもとに実現ができないという場面が、すでに今日きていると思います。そういう意味で郵政大臣も保険政策はどうした方がいいか、私はやる方法は幾らもあると思う。大臣としてどういうような政策をこれから先おとりになりますか。まあこれは大蔵大臣あたりとも十二分に御検討賜わることがより適切であろうと思うのですが、この場における御所見としてお話していただきたい。
#39
○国務大臣(小金義照君) この五十万円にきまりましたいきさつについてお尋ねがありましたが、これは私は二十五万円から一ぺんに五十万円にするというよりも、やはり段階を追うてやっていいんじゃないか、そのものずばり五十万円にしてもいいし、また今二十五万円ですから三十万円にして、その五十万円を明示しておくという立法をして私は差しつかえないと思います。
 それから民間保険とのいろんな保険のかち合いと申しますか、そういうこともございますが、やはりこれは民保は民保の分野があります。簡保は簡保の分野があって、それだれの立場でこれは老後の備えあるいは貯蓄という形にあるのでありまして、一がいにどっちかにしてしまうということは私は考えないでいい。簡易保険の発生した原因も、社会事情、経済事情等から見まして、やはり私は併存していいと思っております。ただその場合において金額の調整でありますが、これはただいまのところ、民保はやはり無審査は初年度三十万円、次に五十万円までふやすことができるという体制をとっておりますが、この改正にあたりまして、私は三十万円で翌年五十万円ということが妥当だと考えたのでありまして、保険政策の基本につきましては、私一人の考えを申し上げることはいかがかと存じますので、これは関係大臣ともと申しますか、政府において総合的に研究いたして参ります。
#40
○森中守義君 まあそれはきょうはそれでいいでしょう。
 もう一つ聞いておきますが、昨今与党も、また私どもの方でも、社会保障制度の確立ということ、しかもそれはきわめてすみやかな機会に、より完璧面なものを実現していこうと、こういう趨勢にあります。で、そうなりますと、たとえば本年の四月一日から実施される国民年金、その内容がいい、悪いの批判は別な機会にするとしましても、あの種のものがどんどん政策として実行され、具体的な問題として国民生活の中に入り込んでいく、そういう過程の中に簡易保険事業というものは一体どういうような立場に置かれますか。現在のままでいくのか、あるいは社会保障制度確立の趨勢の中に、それに対応するような事業の変革を私は伴っていくのじゃないか、こういうように思います。これは私はこれから先のわが国の社会保障の問題と簡易保険事業にきわめて重大な連鎖性を持つと思うのですが、大臣はどういうようにお考えになりますか。
#41
○国務大臣(小金義照君) まあ社会保障の問題は手広く、また手厚く行き渡ることが一番望ましいのでありまして、この国民年金と簡保との関係なども、国民年金の方が、これはまあわずかなように聞いておりまするし、やはり簡保といえども、保険はどこまでも保険でありますから、養老保険のほかはこれは生命の終わりにもらえる保険、遺族その他のあとのための金でございますから、私はこれはまあ併存といいますか、共存の理由があるように思います。
 なお、補足的に簡易保険局長から説明を申し上げます。
#42
○政府委員(西村尚治君) 国民年金との関係でございますが……。
#43
○森中守義君 いやいや国民年金だけでなくて、今いろいろありますからね。
#44
○政府委員(西村尚治君) 一つには国民年金をおっしゃったようでございますが、これはただいまも大臣がお述べになりましたように、まあ国民年金が完全に実施されましても、これによる給付額にはおのずから限度があるわけでございまして、これによって国民の老後、生活がすっかり安泰になるというものではないわけでございまして、老後の生活を安泰にし経済生活を向上さすためには、国民年金にさらにプラスして自分の責任と努力に基づいて長期の生活設計を自分で考えなければいかぬ、そこに任意保険である簡易生命保険の存在価値が今後も続くものだというふうに、まあ国民年金制度との関係においては考えておるわけでございます。
 もう一つは、あるいは民間保険と、まあそのほかの社会保障との関係ということになりますると、社会保障は全部国の一般会計で施策をするものだと思いまするけれども、簡易保険は社会政策的の関係から見ますと、実は完全な社会政策遂行そのものでもないわけでございます。と申しますのは、一般会計からそういった事務費その他の補給を受けているわけではございませんで、まあ発足のときには社会政策的な意図を相当負わされて発足したようでございまするけれども、現在の経営実態を見ますと、これは加入者から払い込まれた保険料をもちまして、自前で独立採算、特別会計でやっておる保険でございますので、まあ社会保障的な範疇に全部が全部入れてしまうということは、私は必ずしもできないのではないかというふうに考えておるわけでございます。その社会保障的なものもある程度は遂行するように努力はしなければいけませんけれども、やはり加入者に対する還元と申しますか、福祉施設、これを特別会計――自前会計であるという点を常に考慮しながら施策していかなければならぬの、ではないか、そこに非常にむずかしい、デリケートな簡保の役割があるわけでございます。
 ちょっと質問の御趣旨をはき違えておるかもしれませんけれども、まあ簡保の存在意義としましては、そのほかに、その積み立てられました資金は財政投融資原資として重要な役割を占めておるわけでございます。現在、年々財政投融資資金の大体四分の一程度を簡保がになっておるわけでございます。
 そういったようなことで、他方におきましては民保との共存共栄の実を上げながら、ある程度の社会政策的な使命を果たしていく、まあそこにどうも表現がまずいのですけれども、簡易生命保険の使命を今後も引き続き考えていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
#45
○森中守義君 今、私の質問は多少議論にもなりますし、またこの次の機会に譲りたいと思いますが、ただ付書しておきますのは、今局長の御答弁になったような趣旨とちょっと違うのです。要するに、だんだん社会保障制度は多少の伸縮性、長短はあろうけれども、一応福祉国家の具体的な方向へ向っている。そういう過程において簡易保険の事業は何ら変革も伴わないのか。こういうことを私はお尋ねしているのであります。これは今の局長の御答弁からいけば、多少、もちろん局長は簡易保険局長ですからその立場に立っての答弁であってしかるべきであると思うのですけれども、もう少し全体の視野の中からお考えいただく方がいいと思う。これは一つこの次の機会にいたしましょう。大臣も衆議院で呼ばれておいでになるようですから、きょうは簡易保険の問題はこの程度にしておきたいと思います。
 あと一つ。大臣もお急ぎのようですが、ちょっと承っておきますが、けさの読売新聞の十一ページをお読みになりましたか。「中郵で現金抜き取り」こういうのがあります。「職員が二千件も」「全逓側」「〃オトリ捜査〃と非難」こういう大きな見出しでごらんになりましたか。
#46
○国務大臣(小金義照君) 見出しだけ見まして、内容はまだ、きょうは閣議がありましたので、読むひまがありませんでした。
#47
○森中守義君 郵務局長、あなたごらんになりましたか。
#48
○政府委員(板野学君) 読みました。
#49
○森中守義君 監察局長。
#50
○政府委員(荘宏君) 読みました。
#51
○森中守義君 そこで、私はもちろんあまり刑事訴訟法あたりもよく調べて来ておりませんが、この中に「試験通信」によって、犯人を逮捕する手がかりとして、こういうことと、それから記事の中で「なかにはパンツ一枚で捜索が終わるまで待たされたものもいる。」「人権侵害」である、こう言っております。それから東京郵政監察局の第一部第一課長ですか、この人が「なんでもない人にいやな気持ちをいだかせたのは気の毒だと思っている。」こういう記事が出ております。この記事は事実に相違ありませんか。
#52
○政府委員(荘宏君) お答えいたします。
 東京監察の第一課長が新聞記者に対してどういうことを申しましたか、実は私まだ残念ながら存じておりません。しかし、その他の分についてお答えを申し上げたいと思います。
 その記事によりますと、試験通信を捜査に使うのは問題でないか、この記事によればそういうことではないかという先生のお尋ねかと思いますが、さようでございますか。
#53
○森中守義君 どうも早く気を回わして、聞かないことまで勝手に質問されるのじゃないかという御意向なんで、どうかと思いますが、私は今指摘した二、三の個所は実は問題ではない。しかし全体の記事として、この事実等を扱った記事として事実に相違ないかと、こう聞いているのです。新聞記事に誤りはないか。
#54
○政府委員(荘宏君) 詳細に記事を記憶しておりませんのでこまかいところまで正確には申しかねますが、そのような切手普及課あての現金封入郵便物を東京中央郵便局のある職員が取った、これに対して、このことが東京監察局の捜査によってわかったということは事実でございます。またただいまお話がありました裸で職員が、被服箱を捜索する間待たされたという点、これは私ども調べた範囲ではその事実はなかったと、かように考えております。
#55
○森中守義君 今監察局長のお話からいけば、おおむねこの読売の記事というものは事犯の構成されている要素からいくならばほぼ正確なようですね。その通りですね。
#56
○政府委員(荘宏君) そのような犯罪があったということは事実でございます。
#57
○森中守義君 郵務局長にお尋ねしますが、試験通信というものは、これは郵便法上許されておりますか。あるいはいかなる法律を根拠としておりますか。
#58
○政府委員(板野学君) 試験通信は業務上必要なる手段として従来ともやっておりまするし、それは有料で切手を張って出すわけでございまして、私どものやっておりまする試験通信というものは、大体郵便が何日ぐらいで着くであろうかという意味の業務上の必要からやっておるのが私どもの試験通信でございます。
#59
○森中守義君 ちょっと答弁が一つ漏れております。準拠法は何かと聞いておる。
#60
○政府委員(板野学君) これは郵便を出すということは、これはもう郵政省であろうと、個人であろうとも郵便法に基づいて出せるわけでございます。そういう意味におきましてこの出すという行為は、郵便法で正当な行為でございまするし、またそういう郵便物を出すということは、設置法に基づきまして私どもの郵務局のいわゆる所管事項となっておる事項でございます。
#61
○森中守義君 確かに言われるように、この郵便を出すということは、これはもう官庁であろうと、個人であろうとだれであろうと、これは異論がない。しかしここにいう試験通信というのは、一種の行政行為を伴う態様ですよ。それをやるには準拠法が必要じゃないかと、こう聞いておる。だから一般の官庁であろうとだれであろうと郵便を出すのだから、郵政省でも出してもいいじゃないかという議論とは多少違うと思うのです。明らかに役所の仕事を遂行するに必要な仕事だから行政行為でしょう。だいぶ意味違いますよ。そういう行為がいかなる法律によって保障されておるのか、こう聞いておるわけです。
#62
○政府委員(荘宏君) 実はただいま森中先生がお取り上げになっておられますこの記事に、この試験通信と書かれたものは監察局の系統で郵便物として出したものでございますので、私の方の関係の仕事として行なったものでございます。監察局の系統でこのような郵便物を出したということは、どのように郵便物が正確に到着するかということを調べることは、これは監察局の所掌でございますので、その意味に従ってやった次第でございます。
#63
○森中守義君 どうも御答弁が次から次に先回りして困るのです。私は今監察局長の言われる事実行為はどうかということを聞いておるのじゃない。要するに試験通信というものは一般的に言って準拠すべき法律は何なのか、だから、事実行為ならば監察局長に聞きます。ところが郵便法を所管する郵務局長にお尋ねしているのは、一般的な問題としてどうなんだ、そういう行政行為が何によって保証されておるのか、こう聞いておる。事実問題と一般論と違うのです。郵務局長からお答え願います。
#64
○政府委員(板野学君) 先ほどお答えいたしましたように、郵政省の設置法の中におきまして、郵務局の所管事項の一つとして行なわれておりますものでございます。
#65
○森中守義君 設置法の何条ですか。
#66
○政府委員(板野学君) 設置法の第八条に「郵務局においては、左に掲げる事務をつかさどる。」ということで、郵便の運営計画を策定するとか、実施するとか、そういうような郵便のいろいろな計画を立てるというような仕事が、所管事項としてあるわけでございまして、そういう計画を立てる上に必要な行政行為と申しますか、それがこの法律によってできるということになっておるわけでございます。
#67
○森中守義君 私は別にここで試験通信の法律問答を中心にしているのではないので、そう深くあれしませんが、なるほど一般的に見て郵務局の所掌事務の一つの範囲としてやるという意味でやったと解釈をしてもいいでしょう。しかし独得の行為としての試験通信というものは、何かよるべき法律があるんじゃないか。あるいはまた、ただこの解釈だけでそういう行為をもちろんやれないこともないでしょうが、その準拠になるべき法律は何かと聞いておるのですから、もう少し正確にお答えできませんか。
#68
○政府委員(板野学君) この設置法の第八条の規定によりまして、所掌事務といたしましてそういうことがやれる。そういう根拠に基づきまして、普通のいわゆる切手を張って出す有料の郵便で出す場合もございまするし、また無料の郵便で出す場合もございます。そういう行為というものは郵便法によってできるということでございます。
#69
○森中守義君 そうしますと試験通信という特定の行為というものは別に定められてはいない、郵便法にもなければ規則にもない、こういうことですね。だからもっと正確に言うならば、郵務局長が通達なら通達でこういう特定の行為をやってよろしいと、そういう措置をとったならとった、あるいはずっと以前にとられているならとられている、そういう簡潔に答えてもらえばいいのですよ。
#70
○政府委員(板野学君) 八条の項に基づきまして、郵務局としてやり得る仕事の範囲内におきまして、そういうことを部下に命じたり、あるいは郵政局等につきましては、これは普通の公達ではございませんが、普通の命令を出してやらせるということになる次第であります。
#71
○森中守義君 どうも少し質問と答弁がちぐはぐになっているのですが、私が最初から準拠法は何かとこう聞いた意味は、試験通信という特定の行為だから、何かの形でたとえば法律とか規則とか、あるいは政令とか通達とか、そういうよるべきものによらなければ、ただ勝手に現場の方でこういう仕事をやろう、ああいう仕事をやろうというような思いつきでこういうことはやれないはずなんです。何かよるべきものがあるんじゃないかと聞いておるのですが、もっとその辺をうまく理解してもらって、いや、それは通達によったんだと、その通達はいつ出たんだと、こういうようにお答えいただくと非常に簡単に済むんですよ。
#72
○政府委員(板野学君) 本省でもやっておりますが、本省でやるものにつきましては、起案、立案をいたしましてそういう仕事をやる。それから地方あるいは郵便局におきましては、通達をもちましてこれをやらせるようにするということで、そのつどこれを通達でやるというのじゃなくて、そういうことが仕事の一環であるという意味において、通達で地方におきましてはやるということになっていると思います。ただし、その通達がいつどうして出たかということにつきましては、私ただいま資料を持っておりませんので、のちほど調べたいと思っております。
#73
○森中守義君 突然な質問ですから無理もないと思うのですが、私が関係者から聞いたところでは、ずいぶん古い通達が、それが試験通信を行ない得る基準になっているというように聞いておりますが、今の答弁と大体合いますけれども、それに間違いありませんか。
#74
○政府委員(板野学君) 大体間違いないように存じますが、まあ古いか新しいか私もちょっとここに資料がございませんので、大体そういう先生のおっしゃったような方法でやっていると存じております。
#75
○森中守義君 そこでその通達によるのだということがはっきりいたしましたが、その通達内容を実は知りたいのです。私も内容を見ておりませんからあまり正確にこうであるという断定的な質問ができないのですけれども、実は私も試験通信というものはときどきいただきます。ただ事実が違うのは、切手が張ってない。有料の方じゃありませんよ。通信事務なんです、あれは。私も今まで五、六回、熊本とこちらでちょうだいしたことがありますけれども、みんなこれは通信事務なんです。そういう意味では局長のお答えは多少違うのですね。そういうことはいいとして、この試験通信の目的というものは、私がいただいた内容からするならば、何月何日に君あてにだれそれから出された手紙がいつ着いたとか、こう聞くことが主として中心になっている。いわば通信探訪とでもいいますか、本来ならば係官が見えてお聞きになるところを手紙で来るわけですからね。いわば通信事務の正確を期するために、どっかで滞ったりあるいは紛来することがないように実施されているか調べるのが、この試験通信の目的であろうと私は思うのですがどうですか。
#76
○政府委員(板野学君) 先生のただいまおっしゃったのはたぶん通信探問のことかと存じますが、通信探問におきましては、おっしゃいましたように無料でいわゆる通信事務を行ないますけれども、試験通信は大体有料の普通通信をもって行なわれるということになっている次第でございます。
#77
○森中守義君 なるほどそういうようなことになりますと、また別途になるというわけですね。要するにその通信探問にかわるようなもので、試験通信というのは全然別のものですか。
#78
○政府委員(板野学君) 大体目的が、通信探問におきましては、ただいま先生がおっしゃいましたようにいつこの手紙が着いたのかというようなこと、あるいは郵便に関するいろいろな事項を内容といたしております。試験通信におきましては、これはもっぱらこの郵便物がどっからどこまで何日で配達されたかというようなことを、いわゆる送達時間というものに重点が置かれてやるものが試験通信でございます。
#79
○森中守義君 そういう御説明でよくわかりました。それで今ここにありませんか、その試験通信をやってよろしいという通達は。
#80
○政府委員(板野学君) ただいま手元にございませんので、別の機会にまた……。
#81
○森中守義君 資料として、委員長にお願いします。できるだけ早い機会に今の通達を提出していただきたいと思います。
#82
○委員長(鈴木恭一君) よろしゅうございますか。
#83
○政府委員(板野学君) よろしゅうございます。
#84
○森中守義君 それで今資料をいただいた上でさらにお尋ねすることにいたしますが、今試験通信の態様的な説明がありましたが、これはいわゆる試験通信であって、きょうこの新聞に出ているように犯罪捜査的な、そういう多目的な試験通信であっていいのかどうか。その点どうですか。今郵務局長のお答えの限りにおいては、あくまでもどっからどこまでは何日で着く。差出人から受取人の手に渡るまで何日何時間かかった、こういう業務運行上に所要な資料を整えるための試験通信である。まあいうなれば一種の目的は制限をされておる。そういう制限目的を通達の中に言われているんじゃなかろうか、こういうように思われます、その点どうですか。
#85
○政府委員(板野学君) 郵務局で行なっておりまする試験通信あるいは通信探問につきましては、先ほどお答えした通りでありますが、郵便のいわゆるサービスをどのような方法で官庁なり、一般の国民なりがお使いになるかということにつきましては、郵便法上の問題でございまして、郵便法上許されておる方法につきましては、私はこれを利用しても差しつかえないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#86
○森中守義君 ちょっと今の答弁よくわからなかったのですが、要するに、さっきから申し上げておるように、局長のお答えからするならば、差出人から受取人まで何日何時間かかった、正確に着いたかどうか、そういうものを業務運行上の資料にするために試験通信というものが行なわれる。従って、一つの目的に制限をされているじゃないか、こういうように私は解釈をするのです。その通り間違いありません
#87
○政府委員(板野学君) 郵務局で行なっておりまする試験通信というものはそういう意味でございます。
#88
○鈴木強君 ちょっと関連して。大体試験通信とか通信探問とか、大体二つあることはわかりましたが、そこで試験通信の場合は、具体的に新聞に出ているのを見ますと、東京中央郵便局の切手普及課にあてたもの、この試験通信をやる場合の差出人、それから相手人というのは、これはおもにどういうところを使っておられるのですか。一般の人にぽこっとやってもよくわからない。通信深間のような場合ですとわかりますけれども、手紙が来ても、いつ着いたかということをはっきり記憶できません。こういうふうに差出人の場合と受取人はどういうふうに選定しておられますか。
#89
○政府委員(板野学君) これはおのおの、特に受取人の方につきましては事前にお願いをいたしまして、こういうような郵便物が来たときには、これは何日の何時にこれが着いたのかという御返事を願うようにいたしておるわけでございます。
#90
○鈴木強君 差出人は。
#91
○政府委員(板野学君) 差出人も適当なる名前を使うということに相なるわけであります。
#92
○鈴木強君 この場合はどうなりますか、あて名は切手普及課になっておりますが、差出人の場合は、犯罪捜査の一つの手段として試験通信というものを使っておるので、その場合の差出人一はどうなっておりますか。
#93
○政府委員(板野学君) 私は、東京中郵の今回の新聞に載っております「試験通信」がはたして私どものやっておりまする、いわゆる試験通信であるかどうかということにつきまして、まだ私は定かにいたしておりませんが、通常は私どもは郵便局に従事しておるその人にあてて試験通信をやるということは意味がないから、民間の人に配達されていくというような方法でやっておるわけであります。
#94
○政府委員(荘宏君) ただいま記事にあります「試験通信」という言葉、これは郵務局長がおっしゃった意味の試験通信と言葉がうまく分解できない。聞き分けて使えないがために新聞記事を書く場合に「試験通信」という表現になったのだと思いますが、私ども監察局の仕事としましては、通常テストと称しておるのでございます。それで、このテストなるものは適当な差出人の名前で出すものでありまして、本件の場合は東京中央郵便局の切手普及課あてとして出しておるわけでございます。
#95
○鈴木強君 差出人は。
#96
○政府委員(荘宏君) 差出人はどういう名前にしておりますか、私具体的には知りませんが、いろいろ適当な名前を考えてやっておることと考えております。
#97
○森中守義君 それで大体質問をする中で非常にはっきりしてきましたが、要するに試験通信というものは特別に法律の保証はない。いわんや規程、規則、政令……。郵務局長の通達によってそれが行なわれる、それは非常にはっきりいたしました。そこで、郵務局長がそういう試験通信を行ない得る一つのよるべきものとしては、郵政省設置法の八条だと言われる。なるほど八条を読んでみると、「一郵便の運営計画を作成し、及び実施すること。」以下相当広範に十五項目にわたる所掌事務があります。それで郵務局長の答弁からいう試験通信とは、あくまでも差出人から受取人に至る経路、所要の時間あるいは到着したかしないかという事実、こういうことを調べるのと、その調査によって企画立案運営の資料にしようというこれが試験通信の主たる目的だ、こういう答弁であります。私はその限りにおいて試験通信に問題はない。ところが一たん今回のこの事実問題を中心にして考えた場合に出したのは、そういう純粋なる試験通信という立場からその問題は起きておりません。あくまでも犯人を捜査するため、捜査の一手段としてそういう措置がとられておる。しからば、監察局の所掌事務の中に一体そういうことが許されるかどうか。ここに七条に「郵政省の所掌事務に関する犯罪、非違及び事故(軽微なものを除く。)を調査し、及び処理すること。」こういうことであって、およそ郵務局長が説明された、つまり通達を中心にした試験通信の意味合い、解釈、目的というものは、監察にそういうものが適合される条項はどこにもないという、私は、言葉を詰めて言うならば、明らかに監察局が今次、事実行為としてそこに現われている措置というものはずいぶん意味合いが違う、こういうように思います。荘局長どうですか。
#98
○政府委員(荘宏君) 先ほど私が申し上げました、監察局が出しておりますところのテスト郵便は、ただいま板野郵務局長から御答弁申し上げましたところの郵便事業の運営、主管部局としての試験通信というものではございません。すなわち郵務局通達によって出した試験通信ではなくて、全然別建てのものでございます。そうしてこれはただいま先生がお述べになりました、監察局の所掌事務の事故犯罪の調査を行なうということを遂行するために、その手段として監察局が十円の切手を張りまして郵便を流してみる。それが正確に到着したかどうかを調べるということをやったものでございまして、郵務局の方の試験通信、郵務局のいう試験通信ではございません。たまたま新聞記事に試験通信という文字で出たがために、先生にいろいろ御心配をかけたことになっているのではなかろうか、かように存ずる次第でございます。
#99
○森中守義君 そうしますと、これは今回この手段がとられたのは、中郵の問題に限ったのですか。それとも以前にもこういうことがありましたか。
#100
○政府委員(荘宏君) 今回は中郵について行なったのであります。しかし、いろいろ郵便が正確に到着するかどうかということを調べる必要がある場合には、しばしばこれを行なっております。
#101
○森中守義君 それから、そのしばしば行なったとおっしゃるのですが、おそらく中郵の問題に限って犯罪捜査を主たる目的として通信試験、いわゆる監察にいうテストが行なわれたとは思われぬ。在来、犯罪を捜査するために、この種の手段を使ったことがありますか。
#102
○政府委員(荘宏君) 郵便物が消えてしまう、なくなってしまうということがあった場合に、郵便物がはたして正確に届くかどうか、なくなるのは、どこら辺でなくなるかということを調べる必要がありまするので、私どもといたしましては、従来も、こういったテスト郵便というものを流してみたことはございます。
#103
○森中守義君 多少ニュアンスは違いますけれども、大体犯罪捜査のために使ったこともある、こういうように理解していいんですね。
#104
○政府委員(荘宏君) 犯罪捜査と厳密に申せるかどうかわかりませんが、犯罪捜査に着手する事前の準備的な調べというような意味で使っていることは事実でございます。
#105
○森中守義君 そうしますと、もう一つ伺っておきますが、そういう試験通信をやりながら犯罪がひっかかってきた。それでそれが、要するに犯人が起訴されて裁判にかかった事案がありますか。
#106
○政府委員(荘宏君) テスト通信の結果、どこどこの郵便局で郵便物がなくなるということがわかり、なお、そこを詳しく調べてみた結果、ある特定の人物が犯人であるという、容疑者であるという確信が深まりました場合には、刑事訴訟法の手続によりまして逮捕状を請求してつかまえる。もちろん逮捕状を請求するにつきましては、それ相当の根拠がなければならぬことはもちろんでございます。
#107
○森中守義君 その事実があったかどうかを聞いている。今のあなたの答弁は、あくまでも一般的な理屈であって、事実に対する答がされていない。
#108
○政府委員(荘宏君) 失礼いたしました。そういうふうにして、テストをやりました結果、逮捕状請求にまで至って逮捕した事例はございます。
#109
○森中守義君 事例があって、判決が出たでしょう。要するに起訴になったはずだから。その判決の中に、こういう行為は、刑事訴訟法上許されるという判例がありますか。
#110
○政府委員(荘宏君) 郵便物を窃取いたしたために有罪になった者は、多数ございます。その判決の中で、たまたまその軒が、このテスト郵便の関係で調べあげられていったというものにつきましても、別段判決の中で、そのことに言及しておるものはないと、かように考えます。
#111
○鈴木強君 ちょっと。少し整理をしてお答えいただきたいと思うのですが、その試験通信というのは、本来第八条何項かによって規定される一般郵便業務の円滑な疎通が行なわれているかどうかという立場に立っての試験通信。一方、監察局でやっているテストというのは、これはやはり試験でしょうね、ためすことですから。まあ新聞が試験通信と書くのは、僕はその通りだと思うのですよ。ほかに分離していい言葉があったら――英語と日本語で、こうやるのだから、どうもそういうふうにとるのは当たりまえだと思うのだが、しかし聞いてみると内容が、あくまで監察局でやる場合には、起きた犯罪捜査の一環として、そういう手段をとっていると、こう理解していいと思うのですね。
 そうであれば、たとえば普通郵便物が紛失した、私の出したものが、いつ何日に出したのが着いていないと、これはおかしいじゃないかという捜査になりますね。異議が申し立てられますね。それは一体、あれですか、郵務局の方で、そういうことについて事実を調べていくのか、それとも、そういう申告に対しては、監察局がタッチしてやるのか。おそらく恒常的――恒常的というか、連続して普通郵便物がなくなってしまった。現金が入っているか入ってないかは別にしまして、通常の書簡が、あるいは一種から五種までのものがなくなったという単純な紛失であれば、これは直ちにそれが監察局の犯罪捜査として、監察局の仕事としてやるかどうかという判断も、なかなかつきがたいと思うのですね。そういう場合の郵務局と監察局との連繋は、どうなっておりますか。
 私はもう、はっきりその起きた犯罪行為に対する一つの裏づけですね、捜査行為としておやりになるのだと思うのですが、その場合でも、今言ったような普通郵便物がなくなった、一つ調べてくれというような場合には、監察局の方へいくでしょうね。そうすると監察局の方では、それが恒常化しているような場合だったら、一つの手段として、そういうことをおやりになることもあると思うのですが、一々の申告に対しては、どういうふうに扱っておるか。
 それから今言った目的ですね、テスト通信の、監察局と郵務局の――郵務局の方はわかりましたが、監察局でおやりになる場合の基本的な精神というものは、どういうふうになるのでしょう。それを一つ整理してもらって……。
 それから一般の申告に対する郵便物がなくなったという場合に、それはどういうふうに処理するか。すぐそれを犯罪行為として認めて、監察局ですぐやっているのですか。それは郵務局の方でやるのですか。
#112
○政府委員(荘宏君) 公衆から、いろいろ不服、苦情の申告が、こざいました場合には、監察局で所掌をするということで、私どもで、窓口になって処理をいたしておる、回答処理をいたしております。その場合、もちろん相談を必要とするものについては、郵務局その他関係局と相談をして返事をいたしております。
 それから二つ目のお尋ねの、テスト通信を監察局でやる根拠……
#113
○鈴木強君 やる場合ですね。
#114
○政府委員(荘宏君) やる場合……
#115
○鈴木強君 あくまでも犯罪捜査の一つの手段としてやるということに限定しているわけでしょう。そのほかに監察局がやるわけはないでしょう。そこなんです。
#116
○政府委員(荘宏君) 監察局で、先ほど申し上げましたテスト郵便を流すのは、本来は、私はいろいろあり得ると思います。郵政事業がうまく動いておるかどうか。郵便は、はたしてどのくらいに送達されておるかというようなことを――これは監察局は、郵政事業の運行状態を絶えず見ているという職責もあるわけでありますから、そういったような正常運行が確保されておるかどうかという意味のテスト郵便もあり得ると思いますが、この方は、実のところやっていないと思います。現在やっております方は、郵便が不着であるというような申告があった場合に限ってやっておるというのが実情であると承知しております。
#117
○森中守義君 さっき私の、その判例があるかないかという質問の中で、局長はないと言われた。しかしなるほど郵政省で発生した事案としてはないでしょうけれども、やはり犯罪捜査の手段としては、これは警察といえども、しかも司法権を扱っている監察官といえども、同様に犯罪捜査の手段については、おのずから一定の限界がある。
 そこで問題になるのは、今回この事実が、明らかに犯罪捜査の手段として使われたということをお認めいただけるかどうかということが第一点。それからテスト通信の中で、裁判にかかって、それでその手段が合法性がある、正当性がある、なかったという判例はないにしても、全体的に警察関係も含めて、犯罪の捜査手段としての判例は、私はあると思うのです。それは正当性がある、正当性がなかったというこの判例はあるか、その点を一つ聞かしていただきたい。
#118
○政府委員(荘宏君) 第一の御質問の捜査の手段として使ったことを認めるかという点でありますが、東京中央郵便局で、ひんぴんとして切手普及課あての現金封入郵便物がなくなるという事態がありましたので、一体どこでなくなるものであろうかということを突きとめるための手段として用いたことは事実でございます。
 それから第二番目の正当性についての判例があるかというお尋ねでありますが、実は、まことにどうも申しわけないのですが、先生の御質問の意味が的確につかめませんので、できますることなら、もう一度お願いいたしたいと思います。
#119
○森中守義君 こういうことですよ。極端な例を出しますと、あまりにも有名な事件ですが、菅生事件なんです。これはおとりを使ったということで、遂に御承知のような判決が出ました。明らかに警察側の行き過ぎであるということが最高裁においても判例が出ておるわけです。その問題と、これも離案の軽車から言ったならば、そう大きな相似はないかもしれない、しかし同じケースだと私は思うのです。もちろん菅生事件の場合には、犯人がああいうような状態になっておりますから、この問題とは比べられないけれども、要するにこの問題は、犯人がつかまっているから問題になる、しかしやった手段行為として、おおむね菅生事件と類型を同じくするケースだと私は思うのであります。行き過ぎじゃないか、こういうことなんです。そういう意味で判例があるかないか、とこう聞いております。
#120
○政府委員(荘宏君) おとり捜査が問題になった判例は、たしか先生が今おっしゃったようにございます。しかし、私どもの行なっておりますところのテスト郵便というものは、決していわゆるおとり捜査というようなものではないと、かように考えております。
#121
○森中守義君 しかし問題は、やはりこれは刑事訴訟法を少し詳しく調べて、もう少し判例を正確にしないとここで、にわかに結論を出すのは危険であるかわかりませんが、おおむね態様としては、菅生事件と似たようなケースのものである、私はそう思う。ただ菅生事件では、やってみたけれども犯人は出なかった。白であった。この場合には、おとり捜査の結果犯人が出る、だから問題になる、それだけの違いだと思うのです。
 そこで、もう少し詳しく言いたいのは、おとり捜査をした、要するにテスト通信をやってみて、それで何か特殊の塗料を使って見たので、何人かの人が捜査線上に浮かんだ、その人たちがこうむった精神的な犠牲、損害、しかもこの読売にいわれておる中には、パンツ一枚で捜査が終わるまで待たされた者もいる、明らかにこれは人権の侵害ですよ。テスト通信によって、何人かの人が捜査線上に浮かんだ、浮かび上がった人たちが、あられもない容疑をかけられて、パンツ一枚でいつまでも待たされたという人権侵害、善良なる国民が、善良な郵政職員が、その捜査によって何人かの人が精神的な犠牲をこうむった、この事実を認めますか。
#122
○政府委員(荘宏君) おとり捜査ではないかという重ねてのお尋ねでありますが、犯罪人をこしらえるというような種類のものでは絶対にございません。
 それから、何人かの人が人権侵害をこうむったではないかという点でございますが、確かにテスト郵便をやりました結果、五人ばかりの人に監察局として尋ねたいことがあったことは事実であります。そしてその五人の人に、東京監察に任意出頭してもらいまして、東京監察の監察官が会ったわけであります。四人につきましては、全く容疑がないので、この四人の人には、すぐ帰ってもらったわけであります。そしてその際、四人の方々には完全な了解をいただいておるということでありまして、決してその四人の方々に対して、人権を侵害するとか、名誉を棄損するとか、そういうようなことはいたしておらない次第であります。またパンツ一枚で、ふるえておった者が取り調べの間あったのではないかというお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたように、その事実はないということを、私は東京監察の方から聞いております。おそらく記事となりましたパンツ一枚というのは、考えてみますと、東京監察で捜索令状をとりまして、局の被服箱、非常に多数ある、たしか七百箱でしたかあります被服箱を調べたのであります。その被服箱を東京監察が調べておる間に、だれかが被服箱の中の衣服と着かえるかなんかする必要があったのではなかろうか、その場合に、しかしながら、まるでまつ裸で被服箱のある部屋にやってくるという人は、おそらく今のこの寒い季節にあり得ないことだろうというふうにも考えますし、まあ被服箱を長い間調べておるので、着物も着かえられないで困ったよというようなことを、だれか局員の人が言ったかもわかりませんが、そういうようなことが新聞記者の方の耳に入って、パンツ一枚でふるえておった者があるというような記事になったのではなかろうかと、かように推測いたしておるのでありまして、決して人権侵害というような事実はございませんでした。
 こういうことを確信いたしております。
#123
○森中守義君 これは私も、新聞を中心にしてお尋ねしていますから、今、監察局長の言われるような態様のものであったのか、あるいはもっと変わったものであったのか、これは私も、少し聞いてみたいと思いますし、さらに局長の方も、今のお話によると大体推定をされた答弁でありますから、あなたの方でも、十二分に人権侵害の事実があったかどうか、これはもう少し慎重に調査をしていただきたい。
#124
○政府委員(荘宏君) 人権侵害の問題は、実はただいまこちらへ出向いてくるときに、東京監察に聞きまして念を押しましたところ、そういうような事実はないということを申しておりましたので、御了承願いたいと思います。
#125
○森中守義君 それは、まあ当局者が、あなたが上司としてお聞きになって人権侵害がありましたと言いませんよ、もう少し丁寧に実際の係官を呼ぶなり、あるいはその被害をこうむった人に――調べる必要はありません――人権の侵害だったかどうかということを聞かなければ、これは私は、立証にならぬと思う。調べた人だけ聞いて、自分が悪いということを言いません。むしろ被害をこうむった側の意見を本来は聞くべきだ、そうでなければ、完全な立証にはならぬと思います。そういう意味で、ただ電話でどうだということでなくて、あなたなり、あるいは上席監察官なり、直接に現場に派遣をして、ここに言われている被害をこうむった人、その人たちから、態様をお聞きになるのが正しいのではないですか。
#126
○政府委員(荘宏君) 森中先生の仰せ、まことにごもっともでございますので、そのつもりで調査することにいたします。
#127
○森中守義君 そこで、最後に一つ、もう一回聞いておきますけれども、今の郵政監察の場合、もちろん刑事訴訟法を中心にしておやりになるでしょうが、具体的な問題として、犯罪捜査の手段の最高の限界は、どういうところですか。具体的に一つ、こういう場合にはこうする、ああいう場合にはああする、この試験通信も、一種のケースの中に入っておるようですから、捜査の方法、手段を、一つわかる限り示していただきたい。
#128
○政府委員(荘宏君) 犯罪捜査をやる手段について述べよという非常にむずかしい御質問でありますが、いろいろ犯罪があるのではないだろうかというような事態がありました場合には、各種の状況を調査いたしまして、その中に、はたして犯罪の容疑がありやなしやを次第にしぼり上げて調べる。そうして、どうも犯罪の容疑があるということになった場合に、それがどの場所で、いつどの人物によって行なわれたのであるかということを逐次調べ上げていって、そうしていよいよ最後には、逮捕状を請求して逮捕する、こういうことでございます。
#129
○森中守義君 この犯罪関係になりますと、非常に様相が複雑なのでなかなか限界もむずかしいと思うのです。ただ、ここに持っておりませんが、刑事訴訟法の主眼としておるものは、いかなる場合にも人権が侵害されてはならない、こういうように、人権の尊重だけは、いつの場合でも正確に訴訟法そのものが保障し、もとより憲法の保障するところですから、そうなっておると思う。しかし、できるならば、こういう態様の事案については、こういう捜査の方針でいる、捜査の手段をとっている、その程度のことを、一度この委員会に出して下さい。はたして郵政省に捜査規定というか、捜査の手引きというものが、そういうものができておるかどうか知りませんけれども、やはりそういうのは、一応委員会として承っておく必要がある。それでなければ、こういうことが犯人を明確に逮捕するために手段、方法を選ばない、しかもその過程に捜査線上に浮び上ってきた人たちの人権が侵害されるということば断じて許されない。そういうことですから、一度、犯罪捜査の手段は、どういうようなことが行なわれておるのか、たまたまこういうふうに新聞に伝えられて私は問題にしたわけですが、日常、決算報告の中でも、郵政省の犯罪は、決して少くない。そういう犯罪を絶えず捜査しておる監察当局ですから、いろいろなことが私は行なわれておると思う。目に見えない人権侵害があるのではなかろうか、こういうふうにも危惧する者です。
 ですから一々の事案を一応対象にして、こういう場合には、こういう捜査の手段をとっておる、そういう内容を、一回出してもらいたい。
 それからもう一つ。かりにあなたが調査された結果、読売新聞に載っているように人権の侵害があった、こういう人たちに対しては、どういう措置をとりますか。単なる自損行為ということで終るのですか。
#130
○政府委員(荘宏君) 捜査にあたりましては、人権を尊重すること、これはもう最大の重点でありまして、監察官一同十分このことを考えてやっております。その他刑事訴訟法を厳格に順守するということで、いささかも違法あるいは不当のことがないようにという心がまえでやっております。捜査のやり方につきましては、捜査規定を定めまして、それによってやってもらっておる実情でございます。
 それから人権じゅうりんの事実が、もしも監察官にありとすれば、これはその監察官に対し、適当な処分をすることばもちろんでございます。
#131
○森中守義君 この問題は局長の方でも、もう一回調査をしてみるということですから、私も聞いてみたいと思いますが、次の機会に譲ることにしまして、もう一つ、最後に郵務局長に伺っておきますが、郵便法の中に、正確に試験通信というものがないわけです。しかし、この犯罪捜査に郵便法が援用されていくということになると、かなり私は重要な問題だと思う。ただ、それが犯罪を捜査するために、郵便法がどうでも解釈されていいという筋合いのものでないと私は思う。郵便法を所管される局長として犯罪捜査のために、その種の手段がとられていいのかどうか、その点一つ承っておきたいと思います。
#132
○政府委員(板野学君) 郵便法上におきましては、郵便の利用を禁止しているような禁制品、あるいはその郵便の利用に制限を加えておる法規、それからまた処罰、これは一種の罰則の規定の中には、八十一条の二にございますように「恐かつ又は脅迫の目的をもって、真実に反する住所、居所」その他云々のような、郵便物の利用をしてはならぬというような方面からの取締りがあるわけでございまして、そうでないような郵便の利用の仕方につきましては、当然郵便法上、これを利用することができる。はたしてこれが犯罪捜査上に用いられるものであるかどうかというような内容につき面しては、もちろん点検も検閲もできないわけでございますので、これは、どういう方法で用いられるかということにつきましては、郵便法上の、そういう制限以外には、私は利用できるというふうに考えておるわけでございます。
#133
○委員長(鈴木恭一君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度でとどめておきます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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