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1960/04/26 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第18号
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1960/04/26 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第18号

#1
第038回国会 地方行政委員会 第18号
昭和三十六年四月二十六日(水曜日)
  ―――――――――――――
  午後二時十四分開会
 出席者は左の通り。
   委員長     増原 恵吉君
   理事
           小林 武治君
           鍋島 直紹君
           鈴木  壽君
   委員
           小柳 牧衞君
           郡  祐一君
           館  哲二君
           西田 信一君
           松永 忠二君
           中尾 辰義君
           杉山 昌作君
  政府委員
   自治政務次官  渡海元三郎君
   自治省税務局長 後藤田正晴君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。
 きのうに引き続き地方税法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○鈴木壽君 きのう住民税で白色専従者の控除をしない理由についてお聞きしまして、きのうはその理由をお聞きしただけでございますが、きょうその問題についてもう少しお聞きしたいと思います。
 きのうお述べになったのは、白色専従者控除を導入しなかった理由として、一つは、白色専従者というそれ自体がどうも明確でないという、いわゆる専従者控除の対象になり得るかどうかについてはっきりしておらないということが一つ述べられたようであります。それからいま一つは、減収が非常な大きな額になるというようなこと、さらに、これと関連するようなことでありますけれども、納税者の数が少なくなってくる、地方税法の本質からいってここに問題がある。それからいま一つは、給与所得者との均衡上、直ちにこの白色専従者控除というものを導入できないと、こういうお話であったようにお聞きしましたが、この点、私の了解しておるようなことでまとめてみてみますと、それでよろしゅうございますか。
#4
○政府委員(後藤田正晴君) その通りでございます。
#5
○鈴木壽君 そこでお聞きしますが、第一の白色専従者は明確でないという問題でありますが、確かに明確でないとも言える面が私もあると思います。ただ、青色申告の場合、はたしてこれが明確にとらえ得るかどうかというようなことになりますと、これは私、必ずしも現在明確に把握できる状態にあるとは言えないと思いますがね。帳簿上では、確かに仕事の部面と、それから、いわば生活といいますか、家計の方と分けた記載の仕方を青色ではやりますから、その方では確かに明らかになっておるようでありますが、実態は、これは必ずしも青色の場合は明確で、白色の場合には不明確だ、こう言えないと私は思うんです。たとえば、かりに去年まで白色でやっておって、今年になって仕事の実態は何ら変わっておらないけれども、青色に切りかえた、この場合、ちゃんと青色の申告をしたということだけで控除ができるのです、今の制度からしますと。企業の実態なり、実際の商売なり、それは何ら変わらなくても、あるいはそれが給与支払い者になるというふうに明確に規定できるかどうかということを別にしても、そういうことができるのです。この点から、白色申告の者に対して専従者控除をしないという理由をつけることは、私はちょっと実情とは合わないのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
#6
○政府委員(後藤田正晴君) 御承知のように、青色申告者の場合にも、これは必ずしも経費と純粋に割り切れているものではございません。もともとこの制度は、青色申告というものは、申告がどうもうまくいかぬというようなことで恩典的に最初でき上がったものですから、そういった出発点からして、どうも税の理論上ははっきりしていないという面があったわけですが、次第々々に青は経費だ経費だと、こういう世間の御主張が強くなってきた、これも事実でございます。しかしながら、やはり青色申告においても十二万円なり、現行で言いますと八万円、これで頭打ちをさしておるということは、およそ経費であるならば、何万円であろうと、実際に給与を支払っておるならば、それだけ認めるのが建前でございます。ところが、それを頭打ちをさしておるということは、これはもうその面からも純粋の給与支払い、いわゆる経費としては認められないという理論も出てくるわけでございます。ただ、青色の場合におきましては、税制の建前としては、企業と家計が分離をしておるということを前提にして認められておるものでございます。従って、単に帳面をつけただけではいけないので、現実に給与を支払っておるということでなければこれは認めるべき筋合いのものではないわけでございます。ただ、実際問題としては、御質疑にありましたように、単に帳面をつける技術がうまければ云々と、こういうことはあろうかと思います。そこで、この青色申告そのものについてのいろんな問題点が派生をしておる、こういうことも間違いのない事実だと思います。ただ、白色の場合におきましては、青色の場合と経費性がどちらが強いかといえば、やはりそこにはおのずから差があると思います。これは、青色の方が企業と家計の分離を前提にいたしまして八万円以内の額において現実に支払った額と、こういうことになっておるのに対しまして、白色の場合には、企業と家計の分離も何もない。そういう前提をとらないで、要するに、定額で今回七万円所得税においては認めよう、こういう建前であります。従って、青と白と比べますれば、これはやはり経費性は白の場合はより希薄であるということは、これは言い得ることだと思います。そこで、私どもが申しておりますのは、そもそも青といい白といい、ことに白の場合ですが、経費としての性格がきわめて薄い。こういうものを所得税で認める。そこで、これを住民税にどうするかという場合には、やはり経費でない以上は、これは、今度は住民税の理論というものでこれを受け入れるか受け入れないかということを別個の観点から考えてしかるべきではないか、こういう建前を申し上げたのでございます。
#7
○鈴木壽君 まあ、ですから、形式上確かに青色の場合と白色の場合と違った何といいますか、取り扱いをしておるし、その限りにおいては違うんだと、こういうことは私も認めます。ただ、実態はそうじゃないんですね。だから、さっきも言ったように、現実には単なる帳簿上の技術だけですよ、今は。ただ、そういうものに根本的に認めることがいいとか悪いとかいうことになって、所得税の方でもですよ、あるいは最高の限度を押えるとかなんとかいう問題を根本的にやると、また、これはいろいろ論も出てくると思います。ただ、考え方としては、今になると、単なるこれは青色の場合の専従者控除というのは、当初は、いわば奨励的な報償的なものであったんですけれども、やっぱり一つの所要経費である、給与の一つの支払いだというふうになってきておると思うんです。そういう実態から、私は、単なる今の申告、青でする、白でする、そういう技術的な形式的なことだけで所要経費というもののあるなしというものをとらえることは、これはやっぱ実態に合わなくなってきているし、さらに、現在までの日本のきわめて零細なこういう私企業といいますか、私的な企業において、いわゆる給与の、特に家族構成の場合の給与の支払いというようなことは、きわめて前近代的であるわけなんですね。しかし、だんだんこれは私はやっぱり給与は給与として、家族であれだれであれ、はっきりさせていくべきだ、そういう方向になきゃならぬと思うのですが、そういう方向を認めるという意味からいっても、実質的に変わらない白青というこの二つの場合を、単なる手続上の問題あるいは帳簿記載上の問題だけで区別して、一方にはいわば優遇措置、一方はそうじゃないということは、私はやっぱり変なものだと思うんですがね。この点、重ねていかがでしょう。
#8
○政府委員(後藤田正晴君) おっしゃる趣旨はよくわかりますし、また、現実にそういう議論も相当強いのは事実でございます。ただ、青色申告あるいは白色申告、こういったものをどう取り扱うかということで、前回の臨時税制委員懇談会におきましては、むしろ青色申告制度というものが本来の趣旨から離れて乱用をせられておる。従って、これはやはりしっかりした記帳の条件と、同時に、記帳だけでなしに、現実に記帳を裏づけるべき企業と家計の分離のはっきりしているものというものに限定をして青色申告そのものをあるべき姿に引き戻すべきであると、こういう議論が前回の懇談会ではあったわけでございます。ところが、今回の税制調査会においては、それとは全く逆に、個人、法人の負担の均衡、さらには青色申告と白色申告者の負担の均衡という、むしろ私の見るところでは政策的な観点が先に出て負担軽減の一つの手段として今回のような専従制度の拡充をやると、こういう考え方に変わってきたと、こう思うのです。そこで、そういった政策的な観点で考えるんだという考えが正面に出てきました場合には、私どもとしては、これを地方税にはたして取り入れてうまく地方税が運用できるのかどうかという点は、おのずから地方税の理論なり、あるいは地方税の実際問題なり両面から検討して取捨選択をすべきものだろうと、こういう考え方で、地方税としては遺憾ながらこの制度をそのまま取り入れるというわけには参らないと、こういう結論に税制調査会もなりましたし、私どももそういう考え方に相なったと、こういう次第でございます。
#9
○鈴木壽君 私、先般の税制調査会の結論ですね、いろいろ読んでみて、やっぱり考え方としておかしいと思うんです、実は率直に言って。しかし、これをどうのこうのとここでやってもしょうがないと思いますが、私は率直に言って、この問題の扱いについての考え方はおかしいと思うんです。さっきも言いましたように、実際はやはり給与の額として支払う支払わない、いろいろあるにしても、当然支払うべきものを支払っていないだけの話であって、それがいわゆる日本の家族労働のいわばさっきも言ったように前近代的な様相だと私は思うのですよ。そうして控除というものが生活の最低限の所要経費として控除する建前に立つ限り、今のこういうようないろいろな控除ですよ、そういうものをやっぱり前提として認めるべきだと思うのですが、そういう観点に立って、やはり私は白色の場合も青色と同様に、額も同じという言葉ではあるいは言わなくても、やっぱり地方税であっても私は当然控除すべきであるというふうな気持を強く持っている。そこであなたは地方税のいろいろな考え方、原則といいますか、そういう観点からしてどうもとるべきじゃない。それと当然結びつくことは、きのうあなたがおっしゃいました、私もさっき確かめました減収が大きいとか、あるいは納税者の数が少なくなる、そういうことが一つの地方税としての考え方から出てくる問題だろうと思う。しかし、地方税でいろいろ負担の分任とか広く浅くとかいろいろなことを言っている、あるいは国税とは違う独立性を持たさなきゃならぬ、自主性がなければならぬとか、いろいろ原則的なことをよく言いますのですが、だからといって、たとえば納税者が減るから、あるいは減収があるからといって、当然所要経費として認めるべきものを認めないという考え方も私はどうかと思う、ですから、どうもあまり地方税の今の実態は、なかなか地方の財政は苦しいのですから、そういう苦しいことは私も認めますけれども、そういう面だけを押していって、従って、税金はこうでなければならぬというようないろいろな原則を持ち出したりなんかするということは私はちょっとおかしいと思うのですが、きのうも実は申し上げたように、一般的な減税の問題については、そういうことが言えると思いますが、私はいっそ、青色もこれはだめだというなら、それならそれでまた一つの考え方だ。しかし、私は考え方だと思うというだけで、それを肯定しませんけれども、やっぱり実態からしても、あるいは今後のこういう零細な個人企業の場合にあたっての控除の取り扱いとしては、どうしても片手落ちなものというふうに思うんですがね。
#10
○松永忠二君 ちょっと関連、今鈴木さんからいろいろお話が出ていますが、税の公平というような意味からいうと、所得税で白色申告を新たに認めて、そうして所得税の中における白色申告と青色申告については、一応均衝をとるというか、そういう考え方に変わったわけですね。ところが今度、住民税にそれをはね返えさせないということになれば、そういう税の公平というような点について、所得税で考えているような趣旨が地方税において実現できないという、そういう点が出てきていると思うのです。この点はこれでいいというふうにお考えになっているのか、問題はあるがどうというように考えているのか、その辺はいかがでございますか。
#11
○政府委員(後藤田正晴君) まず鈴木先生の御質問に先にお答えしたいと思いますが、私申し上げておりますのは、いわゆるこれが経費であるということになると、地方税においても私はこれは認めないということは、なかなか税制上容易な問題ではないと思うのです。しかしながら、経費としては国税においてもこれは割り切れておりません。税制調査会の答申におきましても、いろいろな議論がございましたが、結局、国税における専従控除の制度の性格についてはともかくとしてという表現で、ついにこれは性格は割り切れなかったという問題でございます。そういつった問題でございますだけに、地方税に取り入れるか、取り入れないかというのは、地方税として別の観点から考えさしていただきたいのだ、こういう趣旨でお答えを申しているのでございます。
 なお、松永先生の御質問の、税の公平という観点からどうだ、こういう御質問でございますが、所得税と住民税との間における税の公平という問題は、これを認るとか認めないとかいうことで論議が起こることは、これは私はないのではないか。と申しますのは、同じように所得課税ではございますものの、やはり地方税たる住民税と所得税とは、おのずかうその間に税としての性格の相違もございますので、その点は国税で取ったから地方税で取らなければ公平を害する、こういう問題はなかろう、こう思いますが、地方税たる住民税の中において、青と白との公平の問題はあるではないか、こういうことでございますれば、私はまさにおっしゃる通りに公平の問題は残ると思います。やはり何と申しましても、狭い地域社会で青色申告だけをやるということであっては、これは実際問題として青色申告のできる家庭というのは相当裕福な家庭が多い、しかも、その方が税が軽い、こういうことで、この問題は私どもとしても十分将来検討していかなければならぬ問題だと考えております。
 そこで、私どもは率直に申しますと、青色申告制度もやめたい。これは第一線の市町村長の切なる実は希望でございます。そういう私どもは考え方を持っているわけでございますけれども、何分にもこの制度がいわば既得権化いたしていることは、これはもう申すまでもないことでございます。そういたしますというと、今回の税制改正が、とにかく負担増を来たすというような改正は避けるべきである、こういう基本的な考え方に立っておりましたものですから、われわれとしては、この青色申告制度を一挙に廃止をする、こういう段階まで踏み切れなかった、これが実情でございます。現実問題として踏み切れなかった、こういうことでございまして、考え方としては、これは廃止の方向で考えて、青と白との均衡化もはかっていく、そうなれば税負担が重くなるではないか、こういう問題がございますけれども、私は地方税の住民税としての性格等を考えました場合には、将来財政がこれを許すならば、私は住民税の減税の方向というものは、こういったやり方でなくして、むしろ税率の軽減あるいはまた現在の扶養控除の税額――ただし書きの場合でございますが、扶養控除の税額を、逐次市町村当局の財政の裏づけを講じていくと同時に、その額を高めていく、この二つの方法で私は住民税の軽減をやっていくべきである、こういう考え方を持っているのでございます。
#12
○松永忠二君 私の申すのは、やはりあなたのあとでおっしゃったように、所得税の中の公平という点で、白色申告の専従者控除が認められている。それから同じ住民税の中における白色申告者と青色申告者のいわゆる公平ということを考えなければならない。ところが、今度こういう措置をとられたために、むしろ差がますます出てきてしまった。それはたとえば所得税を納めている個人事業者と、しかも、それで青色申告をしている個人事業者ですね、そういうものと、あるいは所得税を納めない者については、一そうの差が開いてくるということになると思うのですよ。だから、今私の言ったのは、所得税を納めている者で青色申告をしている者と、それから白色の申告をしている者ですね、この差が一そう開いてくるという結果になる、現在よりはそれはどうなんですか。私の理解が誤りですか。
#13
○政府委員(後藤田正晴君) 御質問の内容は、私の方が取り違えておるかもしれませんが、私の見るところでは、従来以上に負担の不均衡を来たすということはない、こういうように考えております。
#14
○松永忠二君 その点は、従来以上に不均衡はないというけれども、所得税を納めている者で青色申告をされている者は、青色申告の基礎控除額がふえているんだから、非常に優遇をされている。それから白色申告の者は、ただ七万円を認められているだけで、そしてそれは所得税だけに認められているのであって、住民税の場合のときには、これは全然認められていないということになるんだから、結果的にいえば、ますます差が開いてくるということになると思うのです。
#15
○政府委員(後藤田正晴君) 所得税の場合におきましては、むしろ青と白との不均衡を是正をするということで、従来全然認められなかった白色を七万認めた、それに応じて従来八万円認めておった青を原則は九万円、一定の場合に十二万円、こういうことでバランスをとったわけでございます。地方税の場合には、従来からの制度に全然手をつけていない、従来通りということでございまするので、国税に振り向ける措置をとったことによって、むしろ不均衡は国税の面で若干是正をせられておるのであって、従来以上に不均衡面が拡大をしていくということは私はないと、こう考えております。
#16
○松永忠二君 それは、そういう説明はその通りだと思うのですよ。しかし、最初に話したように、所得税の中で不均衡だから、そういう建前をとられて白色申告の控除は認められた。そういう不公平さが住民税の中ではあってもいいんだという理屈に私はならないと思うのですよ。だから、所得税の中でそういう修正をする建前を住民税の中でも生かしていくということが本来なんであって、それを遮断することが公平であるということにはならないと思うのですね。だから、そういうことを言っているわけですよ。これはまあちょっと途中でいろんなことを言いましたが、もう一つ、大体あなたもそういうふうなことを考えておられるようだが、もう一つ、鈴木さんから話の出ている、この白書申告を所得税の中で認めたという建前ですね、趣旨は。やはり一つの自家労働の賃金に相当するもんだというような考え方が進んできて、そうしてやはり専従者控除というものを認めたと私は思うのですよ。だから、あなたが盛んに、これはあいまいな話だとおっしゃるけれども、あいまいなところを割り切った考え方の上に立って所得税の中でそれを認めているんだから、その考え方を住民税の中ではあいまいだからこれは適用できないという言い方は私はおかしいと思う。それなら、あなたのおっしゃるようなことであるなら、所得税のところだって認めるべきではないと思うのですね。所得税で認めたのは、そういう今までの事業者の主張が生かされて、これまで不公平だし、またそういう建前を持っているということで一応認めたんだ、すなおにやはりその建前を住民税に持ち込むべきであって、持ち込まないことの方が何か正しいんだという言い方は、私は首尾一貫しないというか、国の方針として明らかにこれは矛盾がある、むしろしなかったのはほかの理由からやむを得ずやらなかったということになっているのであった、建前がそういうものではないというような言い方はやはり是正をすべきじゃないですかね。そういう点については、私は鈴木君の言われていることがほんとうであり、その建前に準じて国税の中でもそういうことを認めてきたのだ、この際持ち込みたいところではあるけれども、いろいろな理由から持ち込めないというならわかるけれども、何かさっきから聞いていると、これが非常に筋が通らないような言い方をされるので、まことにどうもその点はおかしいと思う。そういうことを私は聞いていて感じているのですがね、この点はどうなんですかね。
#17
○政府委員(後藤田正晴君) 確かに国税で自家労賃を認めろという声もあって、それにこたえる意味において認めたのだということも、これは私はそういう事情があったと思います。しかし、私が申しておりますのは、そういう主張があって認めたにしろ、そもそも専従控除制度というものが、特殊な政策的な負担緩和の措置として出発したのだ、そこで、専従控除の性格そのものが、非常に青そのものにすらあいまいであった、経費性は白よりは強いと思いますが、割り切れなかった、そこへ今度は法人と個人の負担の均衡問題が出てきたわけです。いわゆる法人成りの問題に関連しまして、そういう問題が出てきた、そうなってくれば、何らかの形で個人の負担軽減を考えなければいかぬという面から、この専従控除の問題を実際問題としては取り上げていきたい。そこで今度は考え方としては、自家労賃という御主張も多いし、それらを含めて負担の軽減をはかっていく、こういういろいろな要素がかみ合わさって、今回の制度ができ上がっていると思うのです。そこでその際にそれじゃ根本にさかのぼって、専従控除制度の税理論解明をどうするのだということになったときに、いろいろな複雑な事情をかみ合わしてやったがゆえに、純粋の経費として割り切れないという面が残ったわけなんです。やはり負担緩和の一つの趣旨だということが、どうしても残ってくるという結果に相なってきます。そうなってきますというと、私どもの立場としてこれを純粋経費であると、こう割り切られますと、私どもはやはり、立場上これを切り離すということは、これはなかなかできない問題であります。ところが、そうでないあいまいもこたるものであるがゆえに、それならば私どもとしての、地方税の理論と地方税いしての現実のこの財政面の要求、こういうものを正面にわれわれとしては出さざるを得ないのだ、こういうことで私どもは専従控除の国税並みの拡充は認めないということになったわけでございます。私がただいま申し上げておりますことは、私どもの言っていることも理屈はあるのだ、こういうことを申し上げているのであって、鈴木先生なり松永先生のおっしゃる、いや、国税のやり方だっていいじゃないか、こうおっしゃることまで私は否定しておりません。これは両方に十分理由の立つことである、こう私は考えておるのでございます。
#18
○鈴木壽君 なかなか局長両方に…、自分のことも……、なるほど、確かにその通りでしょう。そこで、確かに発足当時は一つは政策的だということもありますし、また別の面から言うと、いわば恩恵的な税のいわゆる申告をさせる、きちっと取り立てるための記帳をさせてやるのだから多少めんどうであり、労力も必要だ、手数もかかるということで、それに対する一つの報奨的な意味も確かにあったことは私もそれは認めます。と同時に、最近はやはりこの問題は単なるそういう観点からだけではなしに、これはやはりさっきも言ったように、日本の個人事業というもののきわめて零細な、それの一つのおくれておるところもありますけれども、それからだんだんそういう現状にありながらも、なおかつ、そういうものは専従者に対する一つの給与、支払いとして認めざるを得ない、あくまでもやはり一つの給与であるという観点がだんだん強くなっておることは私は確かだと思う。これだけは私は否定できないと思う。と同時に、将来はやはりその方向に行くべきだと思う、これは幾ら弟だから、あるいは子供だからといって、単に食わせているだけで、全然労働に対する対価がないということは、私はこれはおかしいことであって、幾ら家族の中でもそういうことはもっときちんとされるべきだと思うのです。これはしかし、あるいは理想論だと言われるかもしれませんが、いずれ方向としてはそういうものは給与、経費、給与の支払いの一つの形だと見ざるを得ないと思う。そういう観点に立ってくると、やはり白色といえども私は当然認めるべきだ、多少これは個人的なことになって、はなはだ恐縮ですが、青色で認めた当初から、なぜ一体ほかのものは認めないのだ、単なるそういう恩恵的な、政策的な面だけでいいのかということを私は実は当初から疑問に思っておったし、その考え方に反対しておったのですが、所得税で今度白色で、額は少ないけれども認められる、これは非常に大きな前進だと思う。そういう意味でいわゆる負担の均衡とかなんとかいうむずかしくいえばそういうこともありますけれども、当然これは認めていくべきであるというふうに私は考えるのですが、やっぱり経費と認められませんかな、局長。
#19
○政府委員(後藤田正晴君) 確かに先生のおっしゃるように、私自身もこの専従者控除の給与制というものが次等に強くなっていくであろうということは、まさにその通りだと私自身も考えます。同時に、税制の将来の方向といたしましては、おっしゃるように世帯課税から個人課税、つまり個人主義的な課税の立場に徹していくであろう、これは将来の方向として、そうなると思います。ただ、私はそれを今一体やるのがいいのかどうかということになりますと、これは私は日本の社会生活の現状から見まして実際に家族に給与を支払う、奥さんに月給を払うといったような慣行がないのが実態ではなかろうか。そういたしますれば、税制が社会の慣行に先行するということは一体どういうものであろうか。私自身はそういう考えを持つのでございます。従って、こういった面で、個人事業者の税負担を何らかの形で軽減するということであるならば、社会の実態ともにらみ合わせて、おのずから別個の方法だって考えられるのではなかろうか、こういう私は考えを持つわけです。そうなれば、地方税としては、将来の、遠い先は個人主義になっていくかもしれませんが、当分は財政事情がこれを許せば、税率なり、あるいは扶養控除の税額の引き上げ、こういう形でいくのが地方税たる住民税のあり方とも関連してよりいい方法ではなかろうか、こういう考え方を持っているわけでございまして、将来の方向そのことについては、これは私は先生の御意見と何ら違ったところはございません。
#20
○鈴木壽君 そこで申し上げたいことは、私も今直ちに、あなたが指摘されましたように、全部が一人一人独立した給与の格好をとってやっていくということは一挙にはいかないと思います。それまでを今ここでやれと、ほんとうからいえば、奥さんであれ子供であれ、給与を払って、その方々は別に税金を払うという格好がだんだんこれからとられていくであろうと思うし、そうなることが正しい。いわば小さくとも事業の経営としてはそれが正しいと思いますが、それは一挙にはできないでしょうが、一挙にはできませんけれども、しかし、ここにたとえば青色申告なり、白色申告なり、ともに専従者控除をやるということは事実上そういう一つのステップとして踏み出したことになると思うのです、形は少し違いますけれども。そういう意味で私は考えるべきであって、そういう意味で従って白色でも経費と見て、しかし、厳密に経費と見ると額がこれでいいのか、こういう問題も出てきますね。何年たっても昇給しないような、そんなものはおかしい話だし、理屈はいろいろあるけれども、しかし、これはやはり一歩前進だと思うし、そういう形において認めていくべきであろう、こういうふうに思うのですが、これは意見になりますが、これはどうしても考えていただかなければいけませんし、すでに所得税では今度一歩踏み切っていますから、私は当然そういう形にすべきであろうと思う。で、いろいろな地方財政との関係もあって、経過的な仕組みとしては、あるいは額を多少低く押えることもあるいはあり得るかもしれない。そういうことがあってもいいと思います。しかし、本質的なそういう問題として取り上げる場合には、どうしても私は専従者控除を白色であってもそこに導入すべきであるということを考えますが、意見みたいになりますから、これについてはこれ以上……。
#21
○松永忠二君 今、鈴木さんの言われているのは私も賛成です。それでさっき私ちょっと少しぼんやりしたのでありますが、私が不公平になっているものが一そう不公平だというのはこういうことなんです。青色申告の人が今までの申告控除よりも控除が進んでくる。そうすると、全然申告をしない、申告をしないというか、普通の事業者、所得税を納めていない事業者と比べてみると、青色の人は控除が進んできて一そうよくなってきていると思うのですよ。そういう僕のさっき言ったのは、白色と青色という場合には、前々のバランスはないということを言っておるわけだけれども、所得税の方で上げたことと比べてみれば、住民税の方は上がらないから不公平だということも出ておるわけです。それはあなたも認めた。同時に、今度は申告をしない一般の事業者について考えてみれば、白色の申告をしておるような人たちは所得税で控除され、住民税の控除もそれをそのまま適用したんですね。そうですね。だから、差がますます開いてくるということは言えると思うのですが、それは間違いですか。
#22
○政府委員(後藤田正晴君) 私自身はどうも聞かないんじゃないか、こういう気がするのですが、あるいは私が質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんので、はなはだ恐縮ですが、もう一度お願いをいたしたいと思います。
#23
○松永忠二君 住民税の所得割を納めている人について考えてみると、その青色申告を適用することによって――ちょっとその辺は私間違っていました。だから、その点は後ほど考えてから質問いたします。
#24
○鈴木壽君 そこで、白色申告にも専従控除を行なうとした場合、やはり当然問題になるのは、きのうあなたがおっしゃっており、さっき私も確かめました他の給与所得者との均衡の問題、これは私は確かに一つ考えなければならぬ問題だと思うのです。いわゆる給与所得者とバランスを失ったような格好でこう出てきますものですから、私はそれがあるから、何といいますか、そういうものがあってもいいからやれということには――私は当然今の給与所得者に対して税を低めることをやはり一緒に考えなければならぬ。所得のいろいろ控除なんかをもっと入れてその他の控除というか、その他というよりも所得控除だな、それを私はもっと高めなければならぬと思います。そういうことでバランスはとられなければならぬ。ところが、そうすると、また一方、ますます減税が大きくなる、ますます税金を納める人が少なくなる、こういう問題が出てくるでしょう。しかし、私はやっぱりそういう問題は、確かに無視できない問題として心配されますけれども、今の不均衡の問題はどういう形においてか当然これはなすべきだ。そこで減収なり、あるいは納税者の数が著しく減少してくるという問題ですが、そこでしばしば問題になる地方税としての一つの考え方というものが持ち出されるわけなんですね。これ一つ私の意見を申し上げてあなた方にお聞きしたいんですが、今の地方税に対していろいろな原則めいたことを言われておるんですね。応益の原則だとか、負担の分任であるとか、あるいは自主性の原則であるとか、あるいは安定性がなければいかぬとか、独立性がなければいかぬとか、いろいろなことを言われておりますが、その中で応能の原則をあまり言わないんだな。確かに実際に取り扱いは応能ということになっていますよ、率の問題とかなっていますけれども、地方税のそれの一つの何といいますか、特色づけるためにこれは言うことでしょうが、今言ったような応益だとか、あるいは負担分任だとか、独立性だとか、安定性だとか言うけれども、応能というのは、その場合にはみんな隠れてしまうんですね。私はやっぱり地方税であっても第一原則は応能だ、国税でも、地方税でも応能だ、ただ、それと今言ったように、応益なり、あるいは負担分任の考え方なり、安定性というような問題をどう組み合わせていくかという問題だと思うんですね。まあちょっと本道からそれたようなことを取り上げているようでありますけれども、この点、今後の地方税というものを考えていく場合に、何といってもこれは大事な問題だと思う。これなんかこう読んで見ても、至るところに応益、負担分任、そういうものはこれはもう一ページの中に幾つも出ているけれども、応能の原則が大事だなんてことは一つも書いてない。一つも書いてないというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうことだけで、私は地方税というものは割り切ることができない。それはなぜかというと、現在の地方税のいろいろな税種目なり、与えられている税源というものは、その範囲に限定してているからこういうことをやらざるを得なくなってくる。減っちゃ困る。地方団体の、さっきもお話がありましたが、青色の控除もやられちゃ困ると、地方団体の前からのわれわれに対する陳情でもある。まして白色でやるというなら、目の玉をひっくり返してびっくりするかもしれません。それは小さなワクの中で考えているのだからそういうふうなことになるのであって、私はもっと税源の問題なり、税種目の問題等、みな検討した上でやはり地方税、国税通じて応能の原則というものは私は税として当然立てられるべきだと思う。それに負担分任の問題なり、あるいは応益の問題なり、あるいはその他の問題を何といいますか、どう組み合わせていくかということにならなければならぬと思うのですが、少し迂遠な論のようであるけれども、その点どうでしょう。
#25
○政府委員(後藤田正晴君) 従来から地方税の特色としていろんな、負担分担とか、応益性とか、御指摘の通りいろいろな点が言われております。しかし、国税であれ地方税であれ、ひとしく租税でございまするので、地方税の特色を申しております場合にも、その前提はあくまで応能負担というものがその根底にあることは申すまでもございません。要するに負担分任と私どもが申し上げます場合にも、能力に応じてでき得る限りの負担分任と、こういうことに相なるわけでございまして、応能の原則を除けば、これは税ではなくていわば手数料、あるいは受益者負担金、こういうことになろうかと思います。従って、私どもが申し上げておりますのは、やはり能力原則を根底に置きつつ、地方税と国税との特色として違っているところは、どういうところだと、こういう点を私どもが申し上げているにすぎないのでございますが、いろんな文章等で、ややその面があまり強く出過ぎているというような御指摘でございますが、あるいはそういう、私どももあまり自己の立場を主張するに急なるの余りに、そういうことになっている面もあろうかと思いますが、根底はあくまでも能力原則が背後にあるということは間違いのない事実でございます。従いまして、その点を考えますと、現在の地方税には負担分任の名のもとに、あまりにも零細なものにまで負担を求め過ぎているということ、これは実は私自身も否定をいたしておりません。こういった面については、おっしゃるように、やはり税源配分の過程を通じて、できるだけ是正をはかって地方税についても近代的な税制に逐次切りかえていく、こういう必要性がこれはあることは申すまでもございません。ただ、私どもが負担分任と一口に申しておりますのは、やはり地方税は国税と模様がやや違って、村や町の経費は、ともかく町の人なり村の人が何がしかは出し合って、そうして村の経営に当たっていく、こういう面が国税よりは若干強く出てくる、こういう点を申し上げているにすぎないのでございます。
#26
○鈴木壽君 お話を聞いて、私実は安心したところもあるのですが、この答申なんかをずっと見ましても すぐ出てくるのがそれなんでね。私少しこれはどうかなと思ってお聞きしましたのですが、しかし、やはり根底に流れている考え方というのは、確かに、あなた方は応能の原則だと、こうおっしゃっても、どうしても表面に出てきておるのは、やはり負担分任とか応益とかと、そういう面だと思うのです。私は、負担分任の端的な現われは、言うまでもなく住民税における均等割の問題だと思います。やはりこういうものが、しかも額が法できめられて、最高限もきめてありますが、こういう形においてやられるということは、何としても、やはり負担分任というものが強く考えられておる結果から来るそれだと思うのです。もっとこれが、何といいますか、ゆとりのある均等割だったら、私はまた考えようもあると思うのですが、もうきちっときめられておる。しかし実際は、今度取る方は、最高限か、それに近い額を取っているのですね。低めることはどこもやらない。こういう点にやはり私は、地方税として、応能の原則はあくまでもそれは根底として考えているのだと、こう言っても、なお出てきている現象からいって、必ずしもそれが強く支配しておるという格好ではないと思う。ですから、こういう点も、私今後の、いわゆる税制改正といいますか、特に私は、そういう場合によく言われる言葉でありますけれども、国税地方税を通じる全体の問題として、今後これは十分検討されていかなければならない場面に来ていると思いますから、そういう場合に、ぜひ一つ、これは考えてやっていただきたいと思います。
#27
○松永忠二君 再度お聞きするのですが、私の言っているのは、住民税の方について、かえって白色申告を認めないから不均衡が生ずるということに、直接にはならないかもしれないですが、しかし、白色申告を認めれば、住民税の中でややアンバランスなところが是正できる。ところが、青色申告だけ事業税の方でそういうことをやっておるので、住民税の方について考えてくると、青色申告をしておる人たちは、住民税の方でも、軽減措置がなされてきますね、基礎控除の問題について考えてくると。そうじゃないですか。だから、青色申告をやっておる人たちについては、住民税の方では、従前よりも住民税の方も軽減をされてきますね。これは基礎控除は所得税における計算と同様な方法によって算定をするということになるので、これはそういうふうになると私は思うのですがね、これは間違いなんですか。
#28
○政府委員(後藤田正晴君) 住民税の場合におきましては、八万円を限度とするということで、いじっておりませんので、負担の関係は変わらないわけでございます。
#29
○松永忠二君 そうすると、その青色申告の場合でも、基礎控除が所得税の方で上がってきておる、そういう場合でも、住民税の方は遮断をして、そういう関係をなくせると、――ああそうですか、それじゃ、住民税の方へははね返りはないわけですね。わかりました。
#30
○鈴木壽君 そこで、今の住民税の問題で、利子所得、退職所得、山林所得の、これの課税の分離の問題ですね、これについてちょっとお伺いしたいと思いますが、まあいろいろ私もこれを見ました。見ましたが、特に私、山林所得の分離課税という問題ね、やっぱりもう少しきちっと割り切った考え方で、今の分離所得課税でない方法にやるべきでないだろうかというふうなことを感じましたが、この三つの利子所得とそれから退職所得と山林所得の問題について考え方をお聞きしたいと思います。
#31
○政府委員(後藤田正晴君) 御質問の中の利子所得は、これは住民税では利子は対象になっておりませんので、御質問の御趣旨は総所得とそれから退職所得と、それと山林所得の分離の問題だと思います。
 そこで、この分離をとりましたのは、実は従来は第一課税方式の場合に、国税に乗っかっておりましたので、従来から第一課税の場合には分離課税と、こういうことに相なっておったのでございます。ただ、ただし書きの場合には分離課税をしてなかった、こういう面があったわけでございますが、今回の改正におきましては、いずれにせよ、負担の加重を来たすということはいかがなものだろうかというようなことでいずれも第一課税方式に準じて分離課税を認める、こういうことにしたのでございます。
 そこで問題は、まあ退職所得は、これはやはり私は分離課税をしまして、累進税率の通用を緩和をするということが何と申しましても趣旨であろうと思います。と申しますのは、退職所得の性格が老後保障的なものでございますし、一時に支給せられるからといって、当該年度で高い累進税率をかけるということは、この所得の性格からも適当でない、これはやはり私は分離課税をして累進高率の緩和をはかるという必要がある所得だと考えております。
 問題は、この山林所得にあると思います。山林所得の場合には、まあこれは税の問題ではございませんけれども、戦後いろいろな改革があって、富の均分化ということが行なわれておるにかかわらず、山林所有者だけが今非常にいわば恵まれた立場にあるといったようなことから、山林所得に何らかの課税をしたらどうだ、こういう御意見が強く出ておることも事実でございますが、ただ、私ども考えましたことは、山林の場合には、何といっても資本の回収に少なくとも三十年は要するだろうと、こういった点を考えますと、やはり山林所得者については、資本の回転率が悪い、こういったことも考え、さらにまた、現在のいわゆる大山林地主というのは、現実には第一課税方式の市町村に住んでおる者が比較的多い、こういうことも事実でございます。そういった点も考えまして、今回の改正におきましては、第一課税方式に準じて分離を認める、この方がいいんじゃないか、こういう結論で山林所得についても分離課税を認める、こういう処置をとったのであります。
#32
○鈴木壽君 今の山林所得の問題ですが、その前に利子所得については、ちょっと私感違いしておりましたので、取り消します。山林所得の問題の川分離課税の問題ですがね、これはまあ一々のケースを拾えば、いろいろな問題があるけれども、やはり実態からして、分離課税ということは、むしろそういう特定の人を税の面で不当に擁護するような格好になっていると思うのです。やはりあれでしょうかな、全部所得を総合して、それで課税をするという処置をとれないものですかな。これはたとえばこういう場合もあると思うのですね、一回何十年間で切っちゃった、そして大きな所得を得た、こういうふうな場合ももちろんあると思いますが、年々それこそ持ち山を切って、他にまた仕事もあっていながら、それで大きな収入を得ている人がずいぶんあるのですね。私ども特に山国、山林の国であるから、そんなところが目につくのかもしれませんが、だから、そういう点からいって、私はやはりそういう問題は、たとえば百のケースをそれぞれ一つ一つ当たった場合には、いろいろな問題があるとしても、全体としては、やはり総合課税というふうにすべきだと思うのですがね。何かちょっと踏み切りが悪いような感じがするのですがね。
#33
○政府委員(後藤田正晴君) お説のように、山林所得につきましては、分離課税とあわせまして五分五乗方式と、この二つの問題がございます。これらの点につきましては、御質疑のような考え方の御意見もございますし、他方、やはり山林の特殊性にかんがみて、分離課税と五分五乗方式がいいんだ、こういった考え方もあるわけでございます。ただ、この所得の中には、経常的な山林所得というものと、一時的な山林所得というものは、むしろ別個に考えるべきじゃないか。経常的な山林所得については、おっしゃるように分離課税の必要もなければ五分五乗方式も必要ない。ただ一時所得については、これはやはり分離なり、あるいは五分五乗が必要ではないか、こういう意見もあるわけです。これらの意見につきましては、税制調査会でも最終結論が実は留保になっているという次第でございます。従いまして私どもとしてもこの山林所得の取り扱いについて、これで最終であるというふうには考えておりませんので、税制調査会等の審議で結論が出ますれば、私どもはその結論に従いたい、こういう気持を持っております。
#34
○鈴木壽君 こういうものを見ただけでは、簡単でわかりませんが、調査会の方向、考え方として、まだはっきりあなた方としてはつかみ得ないのですか。これはもちろん結論は今後に持ち越すような格好になっておりますけれども。
#35
○政府委員(後藤田正晴君) 調査会の委員の先生方は、各方面の専門家の非常に偉いお方ばかりでございまして、私どもではどういう結論が出るのか、ちょっと今のところわかりかねるような次第でございます。
#36
○鈴木壽君 これはしかし、調査会でどういうふうになるか、それはまあつかみがたい実情だと思う。いろいろな資料なり、見解なりは、あなた方も述べられるでしょう。その点はどうです。
#37
○政府委員(後藤田正晴君) あの委員会は、私どもは委員でなくて、幹事でございますので、意見の表明は差し控えております。ただ、御要求のある資料は全部そろえて出す、こういう建前の運営をいたしております。
#38
○鈴木壽君 じゃ、これはまた調査会の問題もありましょうから、ただ私はやはり実態からいって、確かにきわめて一時的なそういう場合もあることは、私も先ほど認めておった通りでありますが、むしろ山林の所有者というものは、毎年切っていってやっている、しかも、一方には田も作っているし、あるいは何かの仕事もしている、こういうのが実態として多いと思うのですね。ですから方向としては、私は総合的に課税をする、特殊な場合や何かの取り扱いのことは、たとえば退職給与のそれに対する扱いみたいなことは、一つのやり方としては考えてもいいと思うのですがね。まあしかしこれは、今申しましたように調査会の結論の問題もあるでしょうし、一つ皆さん自身としてもこれは検討すべき問題として考えておいていただきたいと思います。
#39
○委員長(増原恵吉君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○委員長(増原恵吉君) 速記を起こして。
#41
○松永忠二君 さっきから少しもたもたしているので、そこを一つはっきりして終わりたいと思うのですがね。どう考えてみても不公平が増すということの理由ですな。これは全然所得税を納めていない事業者と、所得税を納めて青色申告をしている者については、税金を納めるところの差がどうこうということじゃなしに、今まで青色申告をしていた者は、とにかく基礎控除も多くなって税金が減税される。所得税の方でも減税されれば、事業税の方でも減税される。しかるに、税金を納めていないものだから、税においては何も差が起きないけれども、青色申告をしている者はますますそういうふうになって減税されているのに、個人事業者についてはちっとも恩典がない。たまたま個人事業者の中で白色申告しているものがせめてまずちょっとした段階のところに上げてもらえれば、専従者控除を認めれば、また、そのところにもアンバランスの段階はつくのに、このままおいていかれたのではますます差がつくのではないか、そういうことは明らかに従前より差がつく、そういう見解は私は持っていいと思うのですよ。そういうことを聞いていたわけなんです。
#42
○政府委員(後藤田正晴君) 確かにおっしゃるように、所得税の場合に欠格者と有資格者と比べてみれば、有資格者の方は差があるのに欠格者は一向変わらない、これはそもそも税を納めていないのですから、納めた人が軽くなったということで納めてない人は喜んでいただく以外に方法がない。問題は住民税の方でございます。そのときに、所得税の欠格者でも住民税を納めている人があるのだから、その人についてせめて何がしかの措置をすれば同じように喜んでもらえるようになるのではないか、こういう御趣旨だと思いますが、これは私はまさにそういうことが成り立つと思います。ただ、私どもとしましては、事業税については専従者控除を認めるということで軽減の措置を講じておりますので、その点はつけ加えておきます。
#43
○委員長(増原恵吉君) 残余の質疑は、次回に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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