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1960/04/27 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第19号
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1960/04/27 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第19号

#1
第038回国会 地方行政委員会 第19号
昭和三十六年四月二十七日(木曜日)
   午前十一時八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員郡祐一君、秋山長造君及び基
政七君辞任につき、その補欠として後
藤義隆君、椿繁夫君及び赤松常子君を
議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     増原 恵吉君
   理事
           小林 武治君
           鍋島 直紹君
           鈴木  壽君
   委員
           小柳 牧衞君
           後藤 義隆君
           館  哲二君
           西田 信一君
           湯澤三千男君
           占部 秀男君
          小笠原二三男君
           加瀬  完君
           椿  繁夫君
           松永 忠二君
           赤松 常子君
  委員外議員
           大川 光三君
           紅露 みつ君
           加藤シヅエ君
           高田なほ子君
           藤原 道子君
           市川 房枝君
           奥 むめお君
  国務大臣
   自 治 大 臣 安井  謙君
  政府委員
   警察庁長官   柏村 信雄君
   警察庁保安局長 木村 行蔵君
   法務省刑事局長 竹内 寿平君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
   文部省管理局長 福田  繁君
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   自治政務次官  渡海元三郎君
   自治省財政局長 奥野 誠亮君
   自治省税務局長 後藤田正晴君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  法制局側
   第二部長    腰原  仁君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○酒に酔って公衆に迷惑をかける行為
 の防止等に関する法律案(紅露みつ
 君外二十四名発議)
○連合審査会開会に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。
 初めに委員の異動について御報告いたします。
 本日付をもって委員基政七君が辞任され、その補欠として赤松常子君が委員に選任されました。
#3
○委員長(増原恵吉君) 地方税法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。
#4
○松永忠二君 それでは文部省の関係から先にいたしたいと思います。
 地方財政法の一部が改正をされて、市町村が住民に負担をかけてはならないものについて政令で規定をされた。その内容としては、市町村の職員の給与に要する経費、それから市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費、こういう二つのものがあげられておるけれども、まず、自治省の方にお尋ねをするのですが、これについて、今年度交付税の単位費用の改定で財源的な裏づけをどの程度持っておられるのか、その点をまず……。
#5
○政府委員(渡海元三郎君) 御承知の通り、昨年税外負担の解消ということを目途といたしまして九十億の財源措置を交付税の中に入れさしていただきました。それと同時に、財政法を改正さしていただきまして、ただいま先生がお述べになられましたような政令がその法律によってできておるわけでございます。もちろん、三十六年四月一日の施行日にいたしましたのは、急激に法律をもって施行することは困難であろうというところから、これを一年間延ばしたのでございますが、実質的には財源はすでに昨年から九十億というものを与えまして、たしかその中の三十八億ぐらいをこの分の増額として見ておったと思います。その単位費用はそのまま今年度、三十六年度の単位費用の計算にも持ち込まれておりますので、その分に対する費用としては、私はこの昨年度のものをそのまま踏襲されていると考えております。しかしながら、これでは少ないということは現実でございますので、資料としてすでに御提出さしていただきました通り、本年度におきましても、学校関係の措置といたしまして約三十八億をそれに追加して出しまして、法律実施に至りました今年度に備えておるという状態でございます。はっきりした数字は、資料を手元に持っておりませんので申し上げかねますが、たしか三十七、八億を本年度増加さしていただいておる、かように考えております。
#6
○松永忠二君 その点は文部省の方でははっきりした数字を持っていますか。
#7
○政府委員(内藤誉三郎君) 本年度三十八億七千百万円増額いたしているわけでございます。
#8
○松永忠二君 それは昨年改定をしたものをそのまま引き継いで、その上に建物の維持とかの費用を算入するために、単位費用の引き上げをした、その額は三十七億余の額に上る、こういうことですか。
#9
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。前年度を踏襲いたしまして、本年新たに増額したのが三十八億七千万円でございます。
#10
○松永忠二君 そうすると、自治省でも文部省でも財政的措置によって法律できめられた政令の実施には十分であり、また不備はない、そのような判断をされているのですか。
#11
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体これでまかなうだろうという見通しをつけているわけでございます。
#12
○松永忠二君 まかなうだろうというような判断であるから、従って、これによって実施ができる、こういうふうに考えておられるのですか。
#13
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
#14
○松永忠二君 それでは市町村の職員の給与に要する経費、こういうふうなことを言われているのですが、小中学校の学校の中に市町村の職員でないものが公務をつかさどっているというような、そういうことはあり得ないと私たちは考えているのですが、PTA等の直接の事務を取り扱うというものは別として、市町村の教職員並びに市町村の職員というものは、小中学校における公務をつかさどっているものであって、それ以外のものが学校にいて公務をつかさどるということはない、こういうふうに考えられるのですが、それで誤りはありませんか。
#15
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
#16
○松永忠二君 市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費――維持ということについては、これはどういう内容を持っているものですか。
#17
○政府委員(内藤誉三郎君) たとえば光熱、水道とか、あるいは通信、運搬費とか、こういうような経費でございます。
#18
○松永忠二君 自治省が来られたのでお聞きをするのでありますが、維持、修繕に要する経費ということについては、自治省と文部省の間で内容について明確な打ち合わせが行なわれて、それでその内容等については、両者の間で食い違ったところはないと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#19
○政府委員(奥野誠亮君) 政令を改正いたします段階におきましても、文部省との間には十分打ち合わせを遂げたことでございます。また、従来から維持、修繕という言葉は法令上も使われて参っておりますので、その間に食い違いを生ずるようなことはないと思います。
#20
○松永忠二君 自治省と文部省に伺うのですが、この維持及び修繕というようなことについて、特に維持ということについては、その内容をやはり詳細に明確にしておくということが必要だというふうに、特に政令を守るという意味から大事だと思うのですが、そういうことについては、具体的に通達とか、そういうふうなものを出して内容を明らかにしたことがありますか。
#21
○政府委員(奥野誠亮君) 維持、修繕ということは、従来から使ってきておる言葉でもございますので、ことさら、それを解釈通達するようなことはいたしておらないわけでございます。しかしながら今後、税外負担解消の意図で、この制度を設けておりますにもかかわらず、それが実際達せられないというような向きが出て参ります場合には、それらの点を調査した上で必要な措置をとりたい、かように考えるわけでございます。
#22
○松永忠二君 大臣にお聞きをしますが、地方財政を、財政法を改正をして、税外負担を解消するために市町村の職員の給与に要する経費と小学校、中学校の建物の維持及び修繕に要する経費というものを、これを政令でもって住民負担してはならない、こういうことが規定をされた。これを完全に実施をするということが必要だと思うわけなんですけれども、われわれの聞いたところでは、中にはこの費用について、市町村に寄付行為を行なって、これをある意味では合法的な脱法行為を行なっていかなければできないではないかというような、そういうような考え方でやられている点も聞いておるので、この問題については、先ほどから話が出ているように財源的な措置は十分にしてある、従ってこういうふうなことが行なわれるということは自治省としてもこれは困ることだと思うのです。しかも、昭和三十六年の地方財政の運営についての通達にも、特にその第四にあげて、この点について注意を喚起をしているわけなんで、これについては、大臣としては、完全に実施をさしていくというそういう決意と用意を持っておられるのかどうか、いかがですか。
#23
○国務大臣(安井謙君) 税外負担というものは、合理的でないものについては、これを全部一つやめてもらうような措置を財政的にも十分強化していきたいということが進めておる次第でありまして、でき得る限り、そういったものを絶滅を期したい。ただ、この寄付行為につきましても、中にはいろいろな事情から、これは一種の受益者負担というような意味でやむを得ない場合も今でも残っておるかもしれませんが、今お話のような趣旨のものについては、これはもう極力なくするように強く進めていきたいと思います。
#24
○松永忠二君 極力なくすということじゃなくて、きめられた法令通りに実施をさしていくというそういう考えを持っておられるのかどうかということを聞いておるわけです。
#25
○国務大臣(安井謙君) 政令で禁止をいたしておるものにつきましては、お話の通りに、これを実施をするということでやっております。
#26
○松永忠二君 そういうことになると、たとえば市町村の職員が学校の中で、小中学校で校務をつかさどっている、その給与が住民の負担にかけられているということがあるとすれば、やはり違反であるということでこれを取り締まっていくという、そういうふうなことを守らせていくという、そういう用意を持っておられるのかどうか。
#27
○国務大臣(安井謙君) これは、その趣旨で徹底さしていくつもりでおります。
#28
○松永忠二君 そうすると、財政局長にお伺いいたしますが、これは第二十七条の三に「直接であると間接であるとは問わず、」、こういうふうに書いてあるわけです。従って、これらの費用について、あらかじめPTAがこれを寄付をして、それを市町村が肩がわりをしてその給与を支弁しているというような事実があれば、これはやはり間接的な意味で負担をかけているということだと私は思うのですが、そういうふうに解釈をして差しつかえありませんか。
#29
○政府委員(奥野誠亮君) 市町村の職員の身分を持っている者についての経費を、市町村の歳出から支弁しているけれども、その財源がPTA等の寄付金だというようなものについては、是正を求めたいという考えでおります。
#30
○松永忠二君 財政局長にお尋ねいたしますが、学校の中で校務をつかさどっている者ですね、市町村の教職員以外の者が、市町村の職員でなくても校務をつかさどっていることができるというふうに考えられますか。
#31
○政府委員(奥野誠亮君) 校務の範囲の問題になろうかと存じまするが、市町村の職員たる身分を持っている者について、強く他から負担を求めるということは避けたい、かように考えているわけであります。ただ校務の範囲を非常に広く解釈されまして、当該市町村としてはそこまでの職員を設置する意思はないという場合に、他の機関が別途団体で職員を置いている、そういうものについてまで直接この法律に触れるのだという考えは持っていないのであります。もとより、当然市町村として置かなければならない職員であり、どの地方団体でも置いている職員につきまして、それを団体の身分で設置いたしているというような点については、これを是正を求めたいと思います。しかし、どの団体でもその仕事を行なうために市町村の職員を設置している、たまたまその団体だけが団体職員で置いているというものでない部分については、将来の運営でその方向を考えていきたいというふうに考えているわけであります。
#32
○松永忠二君 それから文部省にお尋ねいたしますが、今、財政局長の言っていることとあなたの言っていることはやや違うと思うのです。学校の中に他の団体に籍がある者が来て学校の校務をつかさどっているということは、法律上許されないと思います。そんなものがあるわけがありません。他の団体の仕事というならば、それは学校でいえばPTAの仕事を担当する人が学校の中にいて事務を取り扱っている。たまたまそれを財政局長の言うように広範囲の校務というならば、それは言えるかもしれないと思うが、そのほかの団体に所属している者が学校の校務をつかさどって学校の中にいるなんというものは現実にあり得ないと思うわけです。従って、学校の中における公務をつかさどっておる者は、教職員か、あるいは市町村の職員以外にはないという、こういう判断をして誤りがない、そういうふうな判断をしていいと思うのですが、それはどうですか。
#33
○政府委員(内藤誉三郎君) 原則としてはお尋ねの通りでございます。ただ、財政局長が申しましたのは、非常に団体が富裕団体で、いろいろたくさんの職員をかかえておるというような場合に、それを全部それじゃ多少校務をやっておるからそれが校務の職員になるのだというわけには参らぬ、こういう趣旨のように私承ったのですが、あくまでも法制上申しますと、たとえば給食婦なら給食婦というものがあるわけです。その給食婦の定員の基準というものもあるわけでございます。あるいは学校の司書補にいたしましても、司書に当たる者はどの程度の基準で置くべきかという基準があるわけです。ですから、基準をこえてたくさんかかえられておったから、それが全部市町村に振りかわるのだということは、私は行き過ぎではなかろうか。ですから、原則としては松永委員のお尋ねの通りでございますが、そこにやはりおのずから限界がなければならないだろう、このことを今、財政局長が申したと思うのでございます。
#34
○松永忠二君 今、局長の話されるようならば、必要な定員というものをそういう場合に法的に規制をするとかというようなことがなくては、ただ、そのままに置いてそれを団体が必要以上に持っている、それだから、それについては負担を市町村がするわけにはいかないということになると、たとえば学校図書館の司書補のごときは、はっきりした定員というものはきまっておらないわけです。しかし、現実には中学校にはほとんどそういうものがある。それを今までPTAが負担をしていたことを、そういう住民負担を軽減するという意味もあって、また、こういう政令ができたのに、定員のあるものについては、定員以上に置いてあるということについてはけしからぬ。ですから、それには負担をさせぬというととは一応の理屈としても、定員外の全然定員の規定されてないものがたくさんあるわけです。そういうものについて野放しにしておいて、それを他の団体が負担をするから、それはどうも市町村に負担をさせることはすぐできないのだということでは、この政令をきめた趣旨からいっても非常に違ってくるというふうに私たちは考えるわけなのです。だから、あなたのおっしゃったような原則的なことをあくまで実施をしていくということがなければならぬと思うわけです。自治省の財政局長の方に。現実の学校の中にあなたのおっしゃったような職員があるんですか。
#35
○政府委員(奥野誠亮君) 松永さんの考え方の基本に疑問を持っておるわけじゃないのですけれども、ただ、一切校務に携わっている者ということになってしまって、その校務の内容も明確でないままに議論が伝わった場合に困乱を起こすことがあってはならない、こういう心配があってお答えをしているわけであります。教育の内容につきましても、図書館教育なり、校外教育なり、いろいろな問題もございましょうし、そういうものの援助者の問題もあるわけでございますので、本来の、一般の学校で行なわれておるような仕事以外にもいろいろとつけ足して援助的な行為が行なわれる場合についても、それが当然市町村費で負担しなければならない、当該市町村では負担できない、それがためにその仕事がぶった切られるというようなことになりますと、かえって問題を起こすんじゃないか、こういう心配もありましてお答えを申し上げておるわけであります。
#36
○委員長(増原恵吉君) ちょっと松永君、大へん隣の文教委員会であれですから、そのつもりで。
#37
○松永忠二君 もう終わります。局長の言っておることについては私どもわからないんです。幾分校務をやっておるようなことで、それを解釈をして市町村に負担をさせるというようなことでは困ると、こういうお話だけれども、そういう内容ではなくて、全部が校務をやっておるのにかかわらず、それを他の団体が出しておるというのが実情であって、校務の一部をやっておるけれども、それを市町村負担にせよというようなことについて要求があっては困るというようなお話をされるのですが、事実上、図書館司書にしても、事務補佐員にしても、使丁にしても、給仕にしても、全部が全部校務をやっておるわけだと僕は思うんですよ。学校の中にいるこれらの人たちは全部校務です。校務以外のものをやっておるというのはほとんどないわけです。そういうほとんど校務をやっておる者であって、しかも、法的には学校の校務を、教職員や市町村職員以外の者が校務を行なうということは、法律的にも許されておる行為ではない。であるのにかかわらず、校務をほとんどやっておる者が市町村の職員としての負担をされないで、団体で負担をしておる事実がある。そういうことを解消しようとしてこういうものができておるのだから、あなたのおっしゃるように、十中の二、三校務をやっておる者を負担をせよということを私たち言っておるのじゃなくて、そういうものはほとんど学校にはないということです。現実には。そうじゃなくて、校務を八割も九割もやっていて、しかもなおかつ、市町村が給与の負担をしていないものについて、それをそのまま認めることはできない。そのためにこういうものもできておるのだから、それをそのまま守ってほしいということなんです。文部省の方では、定員ということがあるので、定員以上に置いてあるものについては、それをも認めよということは言えないと、こう言っておるけれども、それほど定員々々とおっしゃるなら、定員で規定をしてないものはたくさんあるのだから、そういう定員をきめる努力をしておかなければ、あなたの言う理屈も成り立たないと私たちは思うのです。
#38
○政府委員(内藤誉三郎君) お説の通り、定員の標準がきめられ得るものはなるべくきめるべきだと思う。ただ、小使いとか給仕に至りますと、学校の規模にもよりけりでございまして、明確にきめかねるものもあるわけでございます。それから学校の給食婦のようなものは、ある程度児童数によって基準がきめ得るのでございますが、たとえば司書補のようなものは、非常に簡易なものまで一々定員を見る必要があるかどうか。非常に小規模なものについては私は問題があろうと思う。学校司書の制度が創設されましてからまだ日が浅いものでございまして、十分習熟してないという点もありまして、置いておる学校、置いておらない学校まちまちになっておりますのは、大へん遺憾でございますが、だんだん整備いたしまして、ある程度の基準をきめて参りたいと思います。その間におきまして、市町村の方が適当であるという判断で、できるだけPTAで雇っておるものは吸収して、学校運営に支障のないようにしていただきたいと思うのでございます。
#39
○松永忠二君 局長、どうですか。
#40
○政府委員(奥野誠亮君) 同じ考え方でございます。
#41
○松永忠二君 もうこれで終わりますが、そうすると、文部省も、大体今お話を通じてみて、原則的な、原則に立って、できるだけ原則を守らせていくという努力を今後していく、そうして特にばく然としておる維持等については、もし疑問があれば明確にしていかなければならない、こういう点については、自治省も文部省も同じだと思うのです。
 それで、もう一つの点は、寄付的な行為をして、そうしてそれを合法化していくという、こういうやり方については、これはやはり間接的な行為だというふうに考えられるので、こういうことは望ましいことではない、こういうふうに考えておられるという点については、今の大体御答弁でそうだというふうに判断をしていいのですか。
#42
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。
#43
○松永忠二君 それじゃ引き続いて、今後特に交付税の基準の算定の基礎の中に、中学校のごときは図書館司書のごときも入れるべきだと思う。ちょうど給食婦を小学校に積算の基礎に置いておいて、中学校は置かない。しかし、もう中学校で図書館を持っていないところもないし、図書館司書というものはほとんど置かれている状態の中では、やはりあなたのおっしゃったようなことを現実に法的にも完備をしていくためには、交付税の中にやはりそういう項目を加えていくべきだと私たちは考えるのですが、こういう点については、文部省も自治省も将来検討していくというような、必要だと考えておられるのかどうか、この点を最後に一つ伺いたい。
#44
○政府委員(内藤誉三郎君) 必要であると考えまして、今回は全部には行きませんが、〇・五人分だけ換算をしたわけでございます。できるだけ今後も必要に応じまして増額して、定数の運営に支障ないようにいたしたいと考えております。
#45
○松永忠二君 自治省はどうですか。
#46
○政府委員(奥野誠亮君) 学校司書の問題は、今直ちに全国的に置ける財源措置をする、あるいはまた、そういう状態に一挙に持っていけるということについては、若干無理があるように思うのでございます。漸進的に充実をはかっていきたいという考え方をとっております。
#47
○松永忠二君 よろしいです、文部省。
#48
○加瀬完君 ちょっと関連して……。
#49
○委員長(増原恵吉君) 一つ簡単に願います。
#50
○加瀬完君 今、松永委員の指摘された点ですね、結局こういう政令、出た政令は私は正しいと思うのですよ。しかし、政令通り予算的には守っておらない。そこで、寄付はできない。予算が盛られない。それで、今まで寄付で行なわれた事業が行われないという町村もあります。こういうものを何か特別に行政指導をなすっておられるかどうか。文部省、自治省両方責任を持っていただければそれでいいんです。
#51
○政府委員(内藤誉三郎君) この点につきましては、市町村の教育委員会の関係者及び学校長にも十分趣旨を徹底しておりますので、そういう事態が起きないように万全の措置を講じたいと考えておるのでございます。
#52
○委員長(増原恵吉君) それじゃ、どうぞ内藤局長……。
#53
○松永忠二君 税外負担のことで少しお聞きをしたわけですけれども、自治省になおもう一つ申し上げたいのは、府県が市町村に対して負担をかけてはならないという政令の規定については、各府県とも予算措置をしてやはり明確にこれは守っておると思うのです。各府県とも当初予算においてそういうことを明確にしておると思う。ところが、市町村が住民に負担をかけてはならないという問題については、それほど完全に各市町村の予算は、これを守るというような予算が完全に行なわれておる様子がない。むしろ逆に、これは実情を申し上げると、市町村の当局は、そういうお話があるけれども、そういうことは十分できません、ちょっとそれは困ります、というようなことを言われて見送られておる状態を私たち聞いておるわけです。それだけではなくて、中には、さっき申しましたように、合法的に脱法といいますか、寄付行為をとってもらって、それで肩がわりをして給与を支払うということもやろうとしているわけです。これは私は文部省の言い分を通して言っているのじゃなくて、あなた方がやはり住民負担を軽減をしよう、この際、地方財政もだんだん改善をされている段階だから、徐々にこれを実施をしようという考え方でこういうものを作られて、積極的な行動をとられているのだから、やはりこの際これを完全に守る努力を市町村に要望していくことが、事実上必要だと私たちは考えるので、この点については、やはりもう少し実情を調査をされて、そうしてそれに基づいて行政的な指導をしていただきたい。せっかく、さっきお話に聞きますと、この前基準財政需要額が増加をされて、また建物の維持等については、三十七億も増加をしているという現状では、財政措置はしてあるにかかわらず、それが完全に守られていないという現象も決してないとはいわれないわけです。こういう点については、もう少し自治省の方でこの実施についてやはり完全な努力をしてほしい。事実また、この問題が相当市町村では問題になっているということは事実です。維持という内容がどういう内容であろうかとか、光熱費とか、そういうものに及んでいくのかどうか、そこまではめんどうを見れないとか、いろいろなことがあるわけです。現実に小中学校が非常にぜいたくをして、維持管理費を非常に使い過ぎているという実情なら、私たちはまた、そこにも問題はあると思うのですが、ほかの官庁等を調べてみても、必ずしもそういうことは私はいえないと思う。きょうは時間が長くなりますから、あれですが、交付税の内容を調べてみても、実情に沿わない、いわゆる単位が出ているわけなんですよ。こういうことであるので、一つこの際これについては、さっき申しましたように実情を調べて、そうして実際に都道府県が市町村に負担をかけてはならないということについては、守られているのに比べてみて、一つ完全な実施を希望したいと思うのです。
 それからもう一つ、今ここに管理局長見えられておるのですが、特に高等学校の増設に伴って、高校の急増に伴って都道府県が市町村に負担をかけていることは、高等学校の問題が一番多いと私たち考えているわけなんだが、やはり都道府県が市町村に負担をかけてはならないというような問題について、地方財政法等では規定をしていく必要があるというふうに考えておられるのか、こういう点は全然地方財政法の中には触れられておらないのだが、こういう点はどういうふうに考えておられるのか。この二つの点を局長からちょっと伺いたい。
#54
○政府委員(奥野誠亮君) 前段の問題につきましては、法律の制定と相待ちまして、その内容の周知徹底をはかるとともに、実態をよく御趣旨のあるところを見、沿って調査をし、善処していきたいと思います。
#55
○松永忠二君 あとのことは。
#56
○政府委員(奥野誠亮君) 後段の問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、私たちはいずれ法律的な規制措置まで発展せざるを得ないのじゃないだろうかという気持を持っているわけでございまして、この点につきましては、なお三十五年度におきましてとりました措置がその後どういうように運営されていくだろうかということを検討いたしまして、是正の方途を考えたいつもりでおります。
#57
○松永忠二君 そうすると、府県は住民に負担をかけてはならないというような項目を今後法律的に規制をする必要もあるというふうな、そういう御答弁なんですか。
#58
○政府委員(奥野誠亮君) 松永さんの御趣旨は、府県立の高等学校の経費を市町村に転嫁している、それを法的規制にまで持っていくべきではなかろうか、こういう御質問であったように承って、さよう答えたわけでございます。
#59
○松永忠二君 そういうことと、もう一つ、そうではなくて、一段また飛んで、府県で出すべき金を住民に負担をかけているという点がある。この点は今後一番多いのは、私たちは今現実に行なわれている一番多いのは高等学校であると考えているわけなんです。府県立の高等学校です。これについての建築費等について、住民負担をかけておる。市町村負担はもちろんのこと、住民負担をかけている。だから、住民負担は、必ずしもその市町村だけが住民負担をかけているのでなく、都道府県が住民負担をかけている場合が相当ある。だから、そういう点については、やはり規制をしていく必要があると私たち考えているのですが、こういう点についてはどうなんですか。
#60
○政府委員(奥野誠亮君) 府県立の高等学校の経費につきましては、全額を基準財政需要額に算入しておる経緯もございますので、こういうような費用につきまして、一般的な事務費負担を求めるというようなことは避けてもらいたいという考え方を強く持っておるわけでございます。将来、そういう考え方をどう運営していくかということにつきましては、なお慎重に検討していきたいというふうに考えております。
#61
○松永忠二君 文部省にお尋ねするのですが、まあきょうは地方税の改正のことです。私は、地方税の税外負担の中で非常に重く今後考えられてくる問題は高等学校の問題だと思っておるわけなんです。そこで少しお尋ねするのですが、文部省は高校急増対策として公立と私立について基本的な方針を立てておる。それで新設の公立の高等学校を二百作って、その中で工業高校百二十、普通高校八十、それから学級増については、既存学級の一割、それから学級の定員増については一割を増加すると、こういうような基本的な方針を立てておられるのだが、これについては、当初、三十六年以降五ヵ年計画を立てられて、公立高等学校の施設については五十八万坪、百五十四億円を予定されていた、それが昭和三十六年に当初予算として五万坪を四十枝分として要求をされて十五億、二分の一の補助を考えて要求されたが、結果的には一億九千万の予算しか取れなかったと、こういうように私たちは聞いているわけなんです。そこで一体、特に公立について、高校急増対策について、所要の資金計画というものはどういうようになっているのか、この点を一つ聞かしていただきたい。
#62
○政府委員(福田繁君) ただいまお尋ねの点でございますが、お述べになりましたように、本省といたしましては、高校急増対策といたしまして、昭和四十五年を目途といたしますと、高校生の生徒数が大体百十万人程度というような目安を立てまして、そうしてその中で、特に所得倍増計画と関連のあります工業高等学校の問題につきましては、相当重点的に増高をはかっていきたい、こういうような考え方で進んでおるわけでございます。一応の目安といたしましては、全体の推算をいたしまして年次的に計画を進めて参るわけでございますが、ただいまお尋ねの点につきましては、一応昨年推算したものによりますと、公立の高校二百校というような点から、これを全体の事業費を計算いたしますと、校舎におきまして大体百三十億、それから屋体を伴いますので、屋体が約十九億というような、そのほか校地等合わせますと、校地が、大体これも非常に単価の問題でございますけれども百三十八億、全体で申しますと二百八十八億程度になろうかと思います。その中で工業課程の新設分につきましては、校舎、屋体並びに校地を含めますと、大体百九十六億程度になろうかと思います。
#63
○松永忠二君 今お話のあったのは新設についてですね。学級増とか学級定員増に伴う経費の費用というものも一応推計をされていると思うのですが、この点はいかがですか。
#64
○政府委員(福田繁君) 学級増につきましては、一応の推算がございますが、これはいろいろの、個々の学校によって事情も違うことでございますので、一応校舎だけについて推算をいたしますと、全体といたしまして二百二十億程度になるわけでございます。この中で、工業課程の学級増分が一応七十九億程度になる、こういう計算になっております。
#65
○松永忠二君 まあこまかいことですから、その資料を一つ提出をしていただきたいと思うのです。いかがですか。
#66
○政府委員(福田繁君) 一応私どもの昨年計画を始めます際の一応の目安として推算したものでございますので、以上申し上げた点につきましては、資料として差し上げたいと思います。
#67
○松永忠二君 自治省の方では職業高校の設置事業債というようなことを考えておられるとかいう話も聞いておるのですが、ここに昭和三十六年度地方債の計画の中には三十億を出しておる。昨年より二十一億増というようなことになっておるのですが、これはどういうふうな考え方でこの地方債の計画を立てられておるのですか。
#68
○政府委員(奥野誠亮君) 高校生の急増対策の問題もございますので、特に一般単独事業とは別に、高等学校のための地方債の別ワクを設けることにしたわけでございます。ただ、従来一般高等学校の増改築が継続的に行なわれておるという分がございますので、その分について七億円程度、三十六年度で一応予定しております。残りの二十三億につきましては、もっぱら工業高校の新設に充てていきたいという考え方をとっておるわけで、従いまして、一府県平均にいたしますと五千万円になるわけでありますが、工業高校の新設を府県が積極的にやってくれるように期待をいたしまして、とりあえず三十六年度においては五千万円を工業高校の新設分に各県について向けたいということを年度当初から府県に連絡をいたして参っておるのでございます。
#69
○松永忠二君 ことしの工業高校の予算については一億九千万というのが出ておるわけですが、これは大体二十五校くらいというようなことを考えておられるという話ですが、われわれの聞いたところの申請は、もうすでに七十校かそこらくらい出ておるという話を聞いておるわけです。この点はかりに二十五校としても、一学校八百万円そこらの金額で――事実上高校を新設するにあたって八百万円程度のいわゆる補助が出て、それに伴って、それの三分の一だとして、その三分の二を地方が出したとしても、とてもそれで工業高校はできない。事実また、今起債のお話が出ているが、一校が五千万程度の起債が出ているということになると、まあこの程度の起債あるいはこの程度の予算措置では、事実上、今言った計画実施はできないと思うのですが、これはやはり結果的にそうなれば地方もこれを負担をしていく、また、それで不十分ならば、その負担のしわ寄せば父兄や何かにも自然持たれてくるという結果になると思うのですが、こういう点について、まあ高校というのは府県立だけれども、急増することについての責任というものは別に何も府県の責任じゃないわけですから、やはり国の方で相当計画的にこれを完全に見てやるということが必要だと思うのですが、こういう点については、自治省も文部省の方も今後どういうふうなやり方を実際に実施をしていって地方の財政負担を軽くする、あるいは、それに伴う税外負担などについてのまあ解消も、解消というか、軽減をはかっていくというような点について、この資金計画というものについて、文部省と自治省の間で協議をされて、起債とか、そういうふうな問題も含めた資金計画を樹立をしていくということが必要だと思うのですが、こういう点については、根本的には、まあ昭和三十七年というふうなことも考えられるのですが、こういうことについては、自治省は自治省でできる範囲に地方債を考えていくのだ、文部省は文部省でできる範囲のまあ補助を考えていくのだという程度のことなんですか。それとも、やはり協議をして計画を一応立てて、この程度は地方負担をしてもらわなければできないし、この程度は国が負担をし、この程度は起債でめんどうを見ていこうじゃないかと、こういうことを実施をしていかなければ、結果的に、これがいわゆる税外負担にもなってくれば、地方財政にも非常な圧力を加えてくると私たちは判断をしているのですが、この点については、自治省はどういうふうに考えておられますか。
#70
○政府委員(奥野誠亮君) 率直に申し上げまして、自治省といたしましては、三十六年度から急増対策あるいは高等学校の構造改革というような対策を立ててもらいたいという期待を持っております。文部省としてもそういう努力をされて参ったんだろうと思うのですが、とにかく、三十七年度において立てればよろしいということに、今日の段階においてはなっているんだ、かように考えておるわけであります。文部省が案を立てられまして、政府で確定した線に沿って自治省としては地方財政上の措置を講ずべきものと、かように考えておるわけでございます。また、高等学校の建築に要する財源も、一般財源として相当なものは用意をいたして参ってきておるわけであります。しかし、それにもまして私たちとしては、工業高校の新増設を急がなければならぬじゃないか。そのことを急増対策の一環としてやった方がベターではなかろうか、こういう気持を強く持っておったわけであります。そういうことから、地方債計画におきましても別ワクを作る、また、そうした方がそれの助長に役立つ、こういう判断をいたしておったわけでございます。しかしながら、結果として急増対策全体の計画が立っていませんので、やむを得ず三十億の地方債のワクの中から二十三億円だけ、もっぱら工業高校の新設に向けるということを考えたわけでございますが、それも府県の予算編成に間に合わせる意味におきまして、とにかく、ことしは一府県当たり、工業高校の新設ということで五千万円の地方債を期待してもらってけっこうだ。しかし、工業高校の新設に要する経費は、とてもそれだけにとどまるものじゃございませんので、相当大きな額になるわけでございます。おそらく三億円内外になるだろうと思います。それに対しまして府県が具体の計画を立てる、どこまで一般財源を持っていけるか、そういうような具体の計画ができ上がった暁において、さらに三十七年度において幾ら地方債を追加するということについては、十分相談に乗りたい、とにかく、三十六年度においては五千万円だけ工業高校の新設についての地方債を予定してもらってけっこうだから、工業高校新設の具体化に乗り出してもらいたい、こういうことを伝えたわけであります。同時に、文部省に対しましては、三十六年度、府県が工業高校の新設に乗り出したものにつきましては、かりに全部について三十六年度、補助金がつかなくても、三十七年度以降であっても、それに対しては補助金をつけてもらいたい、こういうお願いをしておるわけであります。三十六年度でやったことだから、三十七年度の補助金はつけられないという態度をとられたのでは、工業高校の新設が進まないという、こういう考え方をしておるわけであります。大へん乱暴な地方債の計画でありますけれども、急ぐ問題であると考えましたので、府県の具体的な計画を促す意味において、一府県当たり五千万円の工業高校の起債をつける、あとの相談については、自治省において三十七年度において十分乗っていく、同時に、文部省に対しましても、今申し上げますような要望をいたして参っておるのでございます。
#71
○政府委員(福田繁君) ただいまの点でございますが、これは今、奥野財政局長からお述べになりましたように、全般としては非常に地方の計画がまだ具体的に将来計画を見通しての数字がございませんので、従って、われわれとしては、一応の、先ほど申し上げましたような推算に基づいて全体計画を考える、こういうようなことをして参っておるわけであります。従って、今申し上げましたような数字と全体の計画につきましては、もちろん自治省とは連絡を緊密にとっております。ただ、三十六年度の予算におきましては、これは最近になりまして各地方の具体的な計画もほぼ固まりつつあります。従って、これにつきましては、先ほど財政局長からお述べになりましたように、個々の県の具体的な計画について、起債の問題と補助金の問題とを両両そごしないように、十分その点を個々のケースについてこれを審査しながら並行してこれをできるように進めていきたい、こういう話し合いをいたしておるわけでございます。補助金は必ずしも十分ではございませんけれども、現在の各県で考えております新設計画に対しましては、一応三十六年度の補助金、起債でもって私どもはまかなえる、こういうような考え方で現在のところはいたしておるわけであります。
#72
○加瀬完君 ちょっと関連して。今、管理局長、地方が新設計画が明確でないと言いましたけれども、地方では相当明確に進んでおると思う。かりに地方が不明確で、あなたの方が明確であるというなら、一億九千万円の補助金をどう配当するのですか。これでまかなえるのですか。今、あなたは、起債でまかなえる、起債は大体府県一校単位としても五千万前後にいく、これは先ほど自治省の財政局長が説明されましたように、大体三億より三億五千万円前後かかりますよ。あなた、これは実際問題、よくおわかりでしょう。実習工場一つ作っても五千万円はかかる。普通高校新設とはまるきり性格が違う、実習工場がなければ進められませんから。最低限、実習工場一つ見たって五千万円ですから、三億では上がらない。五千万円の起債はわかる。一億九千万円をどう分けますか。大体今までは補助金に相当する起債というのが建前だ。ですから、かりに逆に考えて五千万円の起債があるのだから、五千万円の補助金を出すとしたら、何校ですか。四校やったら足りなくなってしまうじゃありませんか。これであなた、まかなえると言ったけれども、農業基本法なんかの問題も含めて、産業構造の改革ということから、地方で非常にこの工業高校の新設というものは今一つのブームになっている。しかも、それは財政力のある県よりは財政力のない県の方が強くなっている。そういうときに一億九千万をどう分けますか。分けようがありますか。一体どこの県のどこに新設校というものを仮定して一億九千万というものを考えたか、その御説明を承りたい。
#73
○政府委員(福田繁君) 私の申し上げましたことにあるいは誤解を招いたかも存じませんが、私が地方の計画が具体的になっていないと申し上げたのは、将来の全体計画をさして申し上げたつもりでございます。三十六年度の実際の事業については、最近に至りまして大体各府県そろって参ったと。従って、それを具体的に検討して参りますと、これはいわば急増対策と関連さして各府県は計画を進めておるのでございます。従って、一応前向きに高等学校の新設をやりたいというような関係からいたしまして、本年度に全部の学校の全体を完成するというような考え方でなくて、学年進行に応じましてそれぞれ工事を実施するわけでございます。従って、三年、あるいは長いところで四年ぐらいをかけまして全体計画を進めていくというような計画に各学校ともなっておるわけでございます。従って、三十六年度の初年度の事業といたしましてはそう大きなものではない。従って、現在私どもに参っております六十三校分のこの計画にいたしましても、初年度の工事量というものは非常に小さいものがあるわけで、従って、私がまあ大体まかなえるであろうというようなことを申し上げたのは、そういった点からでございまして、これは補助率は三分の一でございますので、工事量からいたしますと一万二千坪程度しかございませんけれども、現在の新設の各府県の計画とにらみ合わせますと、大体まあ府県の御要望にもほぼ沿い得るんじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。
#74
○加瀬完君 それは府県は、文部省の初めの説明では大幅な補助金の財源が獲得できるという話であったから、相当、たとえば一つの県で三校、四校といったような計画もあったわけだけれども、だんだんそれが縮まってしまって、一億九千万、しかも、その一億九千万は、新設校分だけではなくて、生徒増分も、いわゆる学級増加分も含めてだということに話が変わってきてしまったので、これでは財源の伴わない仕事を始めたって仕方がないから縮小せざるを得ないだろうということで、だんだんつぼまってきてしまった、これが実情ですよ。それにしても、どんなに縮小したって一億九千万でこの各府県全部の工業高校新設の需要を満たすということは考えられますか。起債ですら、大体府県単位で五千万というものを考えますときに、一単位下になってしまうでしょう、補助金が。これで各府県の需要を満たされるとはお考えになれないでしょう。あなたそんなことおっしゃっているんなら、来年一億九千万か二億ぐらいしかまた財源が獲得できないということになってしまう。これではもう三、四年分にしか当たらないので、来年度の予算からはもっと本腰を入れて工業高校の需要にこたえたいとおっしゃるなら話はわかるけれども、これでことしは足りるというなら、来年もそのくらいで足りるのか、こういうことになってしまえば、これは地方が要望しているような工業高校はいつまでたったって財源的には補てんされないことになりましょう。担当の文部省がそんなようなことでは、私たちは工業高校の増設などということはとても期待できない。いかがですか。
#75
○政府委員(福田繁君) もちろん、私どもといたしましては、本年は今おっしゃるように確かに府県で若干計画を変更したところもございます。そういった意味で、校数としては減ったところもございますが、しかし、この各県のいろいろな産業計画あるいは今後の高校生の急増対策あるいは進学状況等をにらみ合わせて立てております計画もあるわけでございまして、それを全部一ぺんに三十六年度から出発するということに最初からなかったわけでございます。従って、初年度といたしましては、まあ予想よりも若干減ったところもございますけれども、三十七年度以降におきましては、やはり所得倍増計画に基づきます技術者の養成ということはもう少し拡大してやる必要があるということは申すまでもございません。従って、そういった点につきましては、三十七年度以降については、補助金も、それから起債についても十分やはり措置をしなければならぬというふうには考える次第でございます。ただ一億九千万だけではというお話でございますが、既存の学校の分については、実験、実習施設につきまして、産業教育振興法に基づきます補助金も若干用意をいたしておりますので、その点はまあいわゆる学級増、学科増というような点については、新規に回し得る余裕は文部省としては持っているわけでございます。
#76
○松永忠二君 だいぶ税外負担の方からあれですから、(「脱線して」と呼ぶ者あり)脱線じゃありませんよ。だいぶこまかいことに入りましたから、最後に一つお伺いして、この問題は打ち切りたいと思うんですが、文部省でもこのままの状態では困るので、特に高校生徒急増対策措置法というような法律も作って、三分の一補助ということじゃなくて、二分の一補助程度にして、そうしてまあ法的に規制をして、補助も三分の一といっても、ただ三分の一ということで実際の坪数に対する補助とは少し補助の仕方が違っているわけです。こういうことはまあ法律でも作れば、この補助についても基準坪数に対する明確な補助が出てくると僕ら思うわけです。こういうことについては地方でも非常に強く要望しているわけです。また自治省の方でも、こんな形で急増対策を進められたのでは、結果的に資料を持ってこられるところは都道府県の財政的な圧迫になるのだから、こういう点については、文部省と協力するというか、文部省ももう一ぺん、あるいは法律的な措置をして、きちっとしてもらうということは、自治省としても望むことだと、まあ私たち考えるわけであります。こういう点について、ことしはこの程度にとどまったけれども、来年は本格的に法律等を作って、この問題についてきちっとした方向を打ち立てていきたいというような文部省の強い決意があるのか、こういう点について考え方を聞かしていただき、なお、自治省についてもその考え方を聞かしていただいて、この問題についてはこれで一つ打ち切りたいと思います。
#77
○政府委員(福田繁君) 今後の高校生急増対策に関連いたしまして、校舎の整備等につきましては、今後の問題として、まあ相当やはり本格的にこれと取り組まなければ処理できないような問題も相当多いと思いますので、私どもの方といたしましては、できれば今お述べになりましたように、立法措置等も今後において十分検討いたしまして、予算措置と並行してやっていきたい、こういうふうにまあ考えている次第でございます。
#78
○政府委員(奥野誠亮君) 文部省で成案を得られますように、私たちも期待を持っておりますし、また、一緒にそういう方向に努力していきたいと考えているわけでございます。どの府県でありましても、少なくとも一校は私たちは必要だと考えておりますので、応急的な考え方として、地方債少なくとも一県五千万円と申しているわけでございます。二、三校、県によりましては相当多数の工業高校の新設を必要とするだろうと思いますので、そういうことを可能でありまするように、文部省の計画の確定を待ちまして、三十七年度については必要な財源措置は十分講じたい、こう考えております。
#79
○松永忠二君 文部省に要望しておきますのは、さっき加瀬さんが話されたように、まあ計画を私たちはもう少し早く立ててもらっておかなければならぬと思うのです。ここに私は私立学校のを持っているのですが、私立学校あたりは相当計算の資料等も出されて公開されているわけです。まあ文部省はある程度の責任を持っているのでこういう、そう簡単には出せないというお話だけれども、ほとんど資料らしい資料はないわけです。その推定の資料についても、それほどまあ発表もされていないし、まあ今お述べになった資料を当該のこの委員会にとにかく一つ出していただいて、少しでもそれを検討できるようなふうにしていただきたいと思うわけでありますので、できるだけ早い機会に資料をお出し願いたいと思います。
#80
○政府委員(福田繁君) 御要望に沿うようにいたしたいと思います。
#81
○松永忠二君 じゃ、もう少し大臣だけに少し聞きますが、端的に一つお答え下さい。住民税について第一課税方式を採用しているものが本文方式に移る。今度の、第一課税方式を用いているものが今度住民税の改正に伴ってその後本文方式に移っていく。そして準拠税率を守るということになれば、その税負担についてそう大きな変動はないということは事実だと思う。ところが、第一課税方式を使っている市町村でも現実には準拠税率を守っていないものの方が多いわけです。今まで第一課税方式を採用しているので準拠税率を守っておらないところも多いのだから、今度の場合に第一課税方式を使っておる大都市が必ず今度本文方式に移って準拠税率をそのまま守っていくということになれば、ある意味では増税ということはないのだけれども、これについては必ずそういう方向に努力をしていくし、必ずそういう実現をはかるということを大臣としては考えておられるのか、この点について一つお答え下さい。
#82
○国務大臣(安井謙君) 第一課税方式が本文方式に移るという場合に、従来より増税にならないようにということは、今おっしゃるような趣旨で大体基礎的にはきめているわけでございますが、さらに行政的にも強い指導をいたしまして、従来より負担の過重にならないようにやっていくつもりでございます。
#83
○松永忠二君 それから住民税の所得税の減税がされると、そういうことによって特に住民税について考えてみると、ただし書き方式をとるというようなものについては、市町村については、所得税の税金よりも住民税の税金の方が多いということが出てくるわけです。ただし書きをとるということになれば、住民税というものが所得税の税金よりは非常に多いということになる、そういうような結果が出てくると思う。所得税の方では、たとえば年収四十万で五人世帯で減税が四千八百円になる。従って、納税額は六百九十六円というようなことになりますね。ところが、この人が住民税の第二課税方式をとっている市町村にいれば、この住民税というのは非常に多いわけです。そうすると国に納める所得税は非常に少ないけれども、住民税としては非常に多いというようなことになってきて、やはりこういう住民税だけが非常に多くて、それで所得税が非常に少ないという、こういう差ができてくるということについては、これはただし書き方式を認めてなければこういう結果にはならない。だから、やはりこういう税の課税の状態が出てくるということについて、やはり住民税の課税方式を統一する必要があるということについて、統一といっても本文方式に規定をしてしまうとかそういうことでもないと、非常に住民税だけが過重負担になるというふうな印象を与えるし、結果にもなると思うのだが、こういう点について、やはりこういう課税方式については検討する必要があると私たちは思う。将来はまあ本文方式に統一していかなければいけないのじゃないかというようなことに考えられるのですが、大臣はそういう点はどうなんですか。
#84
○国務大臣(安井謙君) 技術的な点につきましては局長からも御説明申し上げたいと思いますが、まあ、ただし書きを採用します場合に、どうしても今おっしゃるような問題が一部起きてくる。と申しますのは、今の所得税でありますると、かからなくても住民税がかかるという建前がありますために、まあ、これは全体としてそういう現象が一部起きてくることもどうもやむを得ない場合もあろうか、あると思っております。ただ市町村の実情からいって、今までのただし書き方式を残しておった方が現在いいのじゃないかと私どもは考えております。
#85
○松永忠二君 まあ、これはもとへさかのぼると、まあ、今度の減税というのは非常に少ないというところに問題があると思うのですが、これはいろいろな例、実際の数字を当たってみても、予算の金額も大体地方と国と同じだ、それからまた歳入増なんか調べてみても、国の方の歳入増が三千八百三十一億だ、地方が三千七百四十五億、大体似通っておる。それから現行法によって考えた場合の地方税、国の税の伸びというものを考えてみると、国の方の税の伸びというのが、これは印紙収入等も入れて三千九百三十億出ておる。地方税については、これが現行のままだと千四百四十八億、こういうふうになっておるので、税収の伸びというものもそれほどひどい違いはないわけです。そうなってくると、国の減税と地方の減税とを比較すると、まあ、ことしの初年度の減税は大体九対一ぐらいになっておるわけです。どう考えてみても、これはやはり地方税の減税というものが非常に少ない、そういうふうなことが当然考えられると思うのですが、こういう点についてはやはり地方は十分減税できないのだが、国税の減税に比べて非常に低過ぎるというふうなことについては、私たちはそういう点を強く考えているのですが、こういう点についてはどういう考えを持っておられるのか。また、もう一つは、やはり法人と個人と比べてみると、非常に法人中心の減税だ。減税額についても非常に多い、こういうことを一般にもいわれておるのだけれども、こういう点については、大臣としてはどういうふうな考え方を持たれておるのか。これはそういう批判が当たらぬというふうに考えておるのか、あるいはこういう点については将来是正をしなければできないが、こういう事情だというふうに考えておられるのか、この点はどうなんですか。
#86
○国務大臣(安井謙君) 確かに御指摘のように地方税の減税額が国税に比べて非常に低い、こういう点は御指摘の通りであります。私どももできればもう少しやりたいという気持は十分持っておったが、やはり現在好転しつつあるとはいいながら、今の地方団体の実情からは同じようなテンポでこれを引き下げるということはまだ非常に運営上妨げを来たすというようなことで、全体としてこういった程度のものになったわけでありまして、将来、財政が伸びれば、さらにできるだけ考慮もしていきたいとは思っております。
 それで、国と地方との比率になりますが、今の御指摘の、国の方が三千九百三十億伸びる、地方は千四百五十億だというような場合を比べてみますと、やはりこれでも伸び率は国の方が二九・四%で、地方は二三%しか伸びていないというふうな結果になります。それから、たとえば国民負担の率の割合から申しましても、三十五年度二一・〇というのが、国は一四・八ですが、地方は六・二。今度の三十六年度二〇・七というような負担率からいいましても、これは国が一四・六、地方が六・一というような比率構成から申しますと、従来のバランスはあまりくずれていないというように考えておるわけであります。
 なお、最後の法人、個人の問題ですが、これも数学的にいろいろとり方はございますが、何分にも税額の伸びているのが法人関係が非常に大きい。また、全体の占める率が法人関係のものが非常に多いものですから、減税の額につきましても、全体からいいますとややそういった傾向は出てくるわけであります。たとえば平年度三百一億という場合に、大衆的なものと大法人というような割合で考えますと、百六十億が法人関係の大きいもの、百四十一億くらいが大衆関係の減税といったような割り振りに大体なっていると思うのであります。
#87
○政府委員(後藤田正晴君) ちょっと数字の点につきまして、補足してお答えしておきたいと思います。
 三十五年度の当初見積もりに対します三十六年度の自然増収額は、御指摘がございましたが、国税の場合に三千九百三十億、地方税の場合に千四百四十八億、その増収比率は、国税が二九・四%、地方税が二三・二%でございます。この自然増収に対しまする減税の割合でございますが、国税の場合に、初年度は一六・五%の減税、平年度が一九・七%、地方税の場合には、初年度が四・一%、平年度が一二・六%。地方税の場合の初年度が非常に低いというのは、これは御承知の通りに、地方税は住民税と個人事業税が、これが前年度課税になっているという税制上の建前の問題でございます。
 それから自然増収に対しまして、税制改正後の純増加額の割合でございますが、国税の場合は二四・五%、地方税の場合は二二・三%でございます。つまり減税後の額は、やはり依然として税の構成が、地方税が国税に比して悪いということから、伸び率は依然として国税以下でございます。ところが、御承知の通りの財政需要の伸びはパラレルであるということで、地方税はそういう面から減税が非常に困難である。財政需要が同じように伸びている。ところが、税収の伸びは小さいというようなことで、遺憾ながら国税に減税の余裕ができても、地方税には減税の余裕が出ない。従いまして、国税を減税するときに、地方税をなぜ減税せぬか、こういう納税者の声は私どもももっともだと思います。しかしながら、それを実現いたしますためには、やはり税源配分の適正化ということを広い観点からやっていただいて、その税源配分の過程において地方税も減税をしていく、こういう方策をとっていただく以外、現状といたしましては方法が見つけにくい、これが実情でございます。
#88
○松永忠二君 池田内閣がよく言う、国民所得に対して二〇・七%と、こういうふうな言い方をするときに、さっき税外負担の話が出たわけなんですけれども、税外負担をそういう場合に幾ら見積もっているのか。こういうものは、数によっては私は二〇・七%というのはインチキだと思うのです。これは幾ら見積もっているのですか。
#89
○政府委員(後藤田正晴君) 税外負担の金額が幾らになるかということは、税外負担の内容によっても額が違ってくると思いますが、国民所得に対する税負担と申します場合には、これはあくまでも税負担でございますので、税外負担は入っておりません。ただ、いわゆる超過課税、これは入れて計算をいたしております。超過課税分は、三十六年度は二百二億入った計算に相なっております。
#90
○松永忠二君 大蔵省あたりが発表しているのでは、七千六百十九億に百六十億を加えて七千七百八十億と地方を見て、国の方が一兆八千五百六十九億で、十二兆七千三百十億に対して二〇・七%という数字を出しておる。この百六十億というのは何ですか。
#91
○政府委員(後藤田正晴君) それはあるいは三十五年度の計算ではないかと思いますが、私どもの三十六年度の超過課税は二百二億でございます。
#92
○松永忠二君 大臣に尋ねるのですが、電気ガス税について、税制調査会の方でも、非課税についての検討をする、全体について検討をする、なおかつ、新しい品目については三年の期限を切るべきだ、というようなことを言われているわけです。こういう問題が全然見送られているわけですが、これはどういうふうな理由で見送られているのですか。
#93
○国務大臣(安井謙君) 非課税の問題につきましても十分検討をいたしたわけでありますが、今日特に新しい製品等について電気ガスのコスト高になるものについてはまだ今直ちに手をつけるわけにもいかないというようなことから、今度のような決定をいたしておるようなわけでございます。
#94
○松永忠二君 私の聞いたのは、現実にコストの中に五%の電気料金が含まれているものというようなことが明確に出ている。この線に沿って調査をすれば、今指定されている非課税品目についても一応の線が出てくるわけです。そうしてまた、新しく認めたものについても三年の期限を切れというようなことがきちっと答申をされているわけです。ところが、その点についても全く触れずに新しい品目を規定をしているわけです。これは答申の線からいうと、はなはだずれているわけです。こういうことについては、それでは次回にやるとか、あるいは今回はできなかったが来年はこれを自治省は検討してやるのだという、そういうことなのか。その点を私は大臣に聞いておきたい。
#95
○国務大臣(安井謙君) 標準といたしましては、今御指摘の五%以上のものを標準にきめておるわけでございます、全体を通じて。しかし、さらに今の規定等について税制調査会の答申等もございますし、これについてはいろいろ検討したのでございますが、今度はなかなか適切な結論が出るに至らなかったというようなことで、現在のような結論になりましたが、これは一年間さらに検討いたしまして、ただいまお話のような点も十分考慮して次回に何らかの結論をさらに出したいと思っております。
#96
○松永忠二君 電気ガス税の免税点が新しくきめられた。これは非常に零細者の負担の排除だと盛んに宣伝をされておるようですけれども、これはすでに電気料金の値上げが申請をされている。電気料金が値上がりをしたら、この免税点の免税に伴う金額とか、あるいはその定額料金を支払っている者に対する免税割合というようなものがまた非常に変更されてきてしまうのじゃないかと思うのです。一応定額の免税点を設ければ、定額需用戸数について八割だというようなことを盛んに言うし、料金については六七%だ、こう言っているけれども、これは今、九州電力あたりが九%の値上げを申請をしておるが、こういうことをやったらば一体この結果はどういうふうなことになるのですか。これは事務的に検討されていると思うのですが、どういうことになりますか、まず局長の方にお聞きいたします。
#97
○政府委員(後藤田正晴君) 電気ガス税が値上がりすれば、この免税点ではまかなう範囲が狭くなるのじゃないか、こういうお話だと思いますが、私どもは税の立場から申しますというと、免税点を設けた恩典は、あくまでも納税者に恩典として受けていただきたい、これが値上げとすりかえられるということは非常に困る、こういう考え方を私どもは絶えず持って、また現実に電気ガス税の減税の問題のときにも、私どもはそういう観点で主張をいたしたのでございます。料金がはたして上がるのか上がらないのかということにつきましては、私どもわかりかねておるのでございますが、そういう気配があるということで料金を上げる、それがために、カバーする意味において電気ガス税を減税しろということに対しては、私どもは税の立場からはこれは反対である、そういうふうな場合を考えてみますというと、納税者は何の恩典もなかった。それでは電気会社に地方団体が補助金を出したというのと同じ姿に結果的にはなる。従って、税の立場ではそういうことは困る、こういう考え方を持っております。しかしながら、免税点の額そのものは、これは私はやはり市町村財政の実態あるいは経済の情勢、こういうものと見合って流動的に考えていくべき筋合いのものであろう。今回の改正では三百円、こういうことにきめておりますけれども、これで一切もう将来は考えないという筋合いのものではないであろう、こういう考え方で、現状を基礎にして考えました場合には、三百円でいわゆる零細者の負担排除ということはほぼ目的を達成しておるのではないか、こういう考え方でおるわけでございます。
#98
○松永忠二君 九州電力あたりが九%の値上げをするということになれば、九州地方あたりにこういうふうな免税点を設けても、結果的にはどういうことになるか、数字的にそれを示してみてもらいたいと私たちは思うのです。
#99
○政府委員(後藤田正晴君) そういう九州電力が具体的にどういう料金値上げをされるのか、それがまた定額電灯等についてどうなるかということはきまっておりませんし、私どもとしてもそれを数字的に検討したという事実はございません。
#100
○松永忠二君 そうすると、あなたの御説明によるというと、こういうふうな免税点を設けても電気料金は値上がりをしてくるということになれば、免税した趣旨ということからいえば、全くそれとは違った結果になってくる、こういうことを申されていると思うのですが、そういうことですか。
#101
○政府委員(後藤田正晴君) この免税点は、現在の料金を基礎にして考えておりまするので、値上げが行なわれるということになれば、その点は狂ってくる、しかし、それで全然だめになるといった筋合いのものではない、こういうふうに考えております。
#102
○松永忠二君 電気ガス税、特に電気などの税金が値上がりすれば、電気会社の増収というものは相当な額に上るわけですね、現実には。これはちょっとした数字を出してみましたが、そうなってくれば、この程度の減税をしてみても、結局は、それとすりかえにそういうことが行なわれるということになれば、結果的には非常な増収が出てくるということと何も変わりはないと思うわけですが、だから、これを代償、代償というわけではないが、こういうことが行なわれたという一方において、そういうふうなことが実際においてもうすでに申請されておるということになってくると、そうすると、せっかくやった措置が必ずしも非常にいい措置だという結果にもならないと思う。こういう点については、この減税した建前を通してやってもらうということが必要だと思う。大臣はどうですか、その点は。
#103
○国務大臣(安井謙君) これは政策として総合的に考えますならば、おっしゃる通り、そういう問題を全部あわせて考えなければ、これは全体としてはいかぬと思いますが、ただ、現在値上げの程度がどういう部門にどういう程度に影響するかという点がまだはっきりいたしておりませんし、われわれの大体想像いたしますのは、この減税に当たるような部分については、ほとんど値上げの影響はないのじゃなかろうかという推定を一応しているわけでございます。で、現在まだそういう点で総合的な計算の結果なり、あるいはその見通しというものは立ちがたい状況にあります。
#104
○松永忠二君 そういう状況が起こってきたときには、そういう点について大臣としては、そういう建前を通していくということに努力するということはお約束できるのですか。
#105
○国務大臣(安井謙君) これは、もう御趣旨については私ども異存のないところでございますし、免税点と申しましても、これが永久に固定不変のものとは考えません。今直ちにどうするとか、あるいは来年度どうするという問題は別にいたしまして、今のそういう御趣旨については十分今後も考えていきたいと思います。
#106
○委員長(増原恵吉君) 暫時休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
   ――――・――――
   午後二時五十二分開会
#107
○委員長(増原恵吉君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 委員の異動の追加について御報告いたします。
 本日付をもって委員秋山長造君が辞任され、その補欠として椿繁夫君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#108
○委員長(増原恵吉君) 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#109
○椿繁夫君 私は、上程されましたこの法案の作成について御苦労いただきました提案者の各位に敬意を表しますが、この法律を作ることによって、警察官の認定権が拡大されて、ために人権の侵害をするようなことになりやしないか、こういう点に二、三疑点がございますので、お尋ねをいたします。
 まず、提案者に伺いたいのでありますが、第三条に規定しておりますようなことは、現行警察官職務執行法の第三条を適用することによって、この心配は除去されるのではないかと思いますが、特にこの三条を警職法の第三条によらないでこういうふうにされた理由について、まずお尋ねをいたします。
#110
○委員外議員(紅露みつ君) ただいまのお尋ねに対してお答えを申し上げたいと思います。仰せのように、これは警職法に大体あることでございますが、ただ、ここに三条を設けましたのは、めいてい者に限ってということにしたわけでございます。あとにもこういう面がございますが、ほかに規定があります問題につきましても、めいてい者に関する問題はここに集めて、一応これを見れば、めいてい者の保護、規制等が一括してここに集められておる、こういう意味でここへいたしたわけでございます。警職法は御承知の通り、酔っていない者もそれで規制される、あるいは保護されるわけでございますが、ここはめいてい者に限ってということでございますし、それから他人に迷惑をかけるということばかりでなく、酔っておりましてそのまま放置することのできないというような場合には、保護もできると、警職法で手の伸びないところもここで手が伸びると、かように考えておるわけでございます。
#111
○椿繁夫君 ただいまの提案者の御答弁を伺いますと、警職法あるいは軽犯罪法等で、めいていした者の行き過ぎた行為に対する取り締まりはできるようになっておりますが、いろいろな法律を引っぱり出してこないとめいてい者の方がわかりにくいので、各法の条文を引っぱり出してきてここへ集める目的を持った法律であるという御説明でありますが、幾多の法律の中にある関係条文を集めて一つの法律を作るというような例を私は知らないのでありますが、警職法の第三条によりましても、その一項で、「精神錯乱又はでい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」を取り締まりの対象にいたしておるのであります。さらに、軽犯罪法の第一条によりますと、ちょうど三条に書いておりますように、会堂でありますとか、劇場、飲食店、ダンスホール、すなわち公共の場所における泥酔のために、すなわち、めいていをしておることのために、迷惑をかけてはならぬということがこの軽犯罪法の第一条によっても明らかになっておるのであります。それがこの第三条にそのまま持ってこられておる。ですから私は、こういうなにを作らなくとも、提案者の皆さんの御趣旨は、軽犯罪法なり、警職法の第三条を厳格に警察が適用することによって、御疑念の点は満たされるのではないか、こういうふうに考えます。その点について重ねて答弁を求めます。
#112
○委員外議員(紅露みつ君) これが全部寄せ集めてめいてい者に対する法案にしたという意味ではございませんが、今、おあげになられました軽犯罪法あるいは警察官職務執行法、そこらに規定することがありまして、当然それが厳守されるならばこういう心配はないのではないかということでございますが、現在におきましては、そういう法律がございますにかかわらず、これが心配のないという状態になっておりませんのでございます。そしていろいろな面でこれは御心配があるやに受け取れるのでございますが、現在におきましても保護者、俗に申しておりますトラ箱なんかに保護いたします人たち、ああいう方たちにつきましては、やはり警察官がこれは保護すべきものだというような認定をもってやっておられるわけでございまして、その面から考えますと、あまり乱用をするというような御心配はなかろうかと思うのでございますが。
#113
○椿繁夫君 ちょっと御答弁では了解をいたしかねますが、警察庁長官にちょっとお尋ねをいたします。ただいま提案者との応答の中でお聞きのように、警職法の第三条、それから軽犯罪法第一条、こういうものによって、めいていをしておることのために公衆に迷惑をかけておる者などを警告をしたり、制止したりすることは、私は十分できると思うのですが、上程されておりますこの法案が通った方が便利だとお考えになりますか。それとも、今日までの法律では、提案者が企図されておりますような取り締まりがなぜできなかったのかということについて警察庁長官から一つ。
#114
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお尋ねの点でございますが、提案者から御説明のありましたように、本法は、新しく規定された部分と、それから従来の法令によりまして可能なもの、あるいはそのままのものをここに持ってきているというものと、両方あるように思います。そういう趣旨でお作りになりました御意図というものをそんたくいたしますると、こういう酔っぱらいについての規制をする法律ができることによって、一般民衆についての一つの大きい意味の警告的な意味を持つということと、それから警察官等の取り締まりと申しますか、そういう弊害を除去する立場にある者からいたしましても、責任感を強くするという大きい意味の利益があるかと思うのでありますが、ただいまお話の第三条についてお答え申し上げますと、これは法文の上におきましては、その保護し得る場合というものと、それからその程度というものに差異があるように規定されておるわけであります。しかしながら、実際の運用といたしましては、この法文にもありますように、「本人のため」という言葉が入っておりますので、こらしめのためにやるということにはとれないということに相なりますると、おおむね運用上は警職法第三条の泥酔者の場合がほぼそれに該当するのではないかというふうに思うわけでございます。現在まで、ちょっと統計について申し上げますと、警職法第三条によって保護をいたしました泥酔者は、昭和三十三年に八万四千八百四十五、昭和三十四年、八万八千三百八十八ということで、相当数の泥酔者の保護をいたしておるわけでございますが、今回、この法律がもし制定になりました場合におきまして、保護される者がどの程度になるかということは、今にわかに予断できないところでございますけれども、私ども、今提案された法文を拝見いたしますると、これによって今までより非常に多くの者が保護の対象になってくるとはちょっと考えられないのであります。先ほどのお話のように、警職法第三条よりもこれは広げてございます。従って、観念的には幅の広いものということが言えるかと思いまするが、実際の運用においてどの程度広がるかということは、しばらく時を経てみないとわからないのじゃないか。運用としては、これはきわめて人権に関することでございますから、慎重にいたして参りたい。従って、ほぼ泥酔者またはそれに近いといいますか、そういうふうな者に限られてくるのではないかというふうに思います。
 また、軽犯罪法の第一条の第五号の「粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者」ということ、これも運用上よろしきを得ればできるのではないかということでございますが、特にこういう立法によって、めいてい者という者について世間が非常に迷惑をしておる、こういうものをできるだけ規制していこうという立法の趣旨からいたしますると、軽犯罪法で酔っぱらい、めいてい者以外の者も含めて規定しておるものについてよりも、さらに注意深くやるというような効果は出てくるのではないかというふうに考えます。非常に教育的な意味を持った規定であると思いまするし、運用については十分慎重に考えて参りたいと思います。
#115
○椿繁夫君 重ねて警察庁長官にお尋ねいたしますが、警職法なり軽犯罪法なりでこれまで規定をしていなかったものが今回のこの法律に追加されておる分と、そのままここへ準用したものとあるというお話でございましたが、これは短い法案でありますから、すでにごらんいただいたと思うのですが、どういう点が新たに付加されておる部分であるとお考えになりますか。
#116
○政府委員(柏村信雄君) まず一条、二条、これは非常に、「(目的)」、それから「(節度ある飲酒)」というものは、その通り新しいものであろうと思います。しかし、これは特別、この規定自体から規制という警察活動というものは起こってくるものではございません。
 第三条は、先ほど申し上げましたように、警職法におきましては、「でい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」ということになっておりまするし、この法案におきましては、公共の場所におきまして、「粗野又は乱暴な言動をしている場合において、当該酩酊者の言動等に照らして、本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、」ということになっていて、この後段の「応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、」というのは、両方同じでございますが、法文の上からは、まず泥酔者よりも広い「酩酊者」ということになっておるのと、「粗野又は乱暴な言動をしている場合において、」ということで、その場合も若干広く考えられるということは言えるのではないかと思うのであります。しかし、運用上は、先ほど私、申し上げましたように、そう広がるものじゃなかろうというふうに考えるわけでございます。
 それから第三項は、警職法第三条の場合よりもむしろ狭いということに相なろうかと思います。
 第四条につきましては、先ほど御指摘のありました第四条第一項は、軽犯罪法とほぼ同じ規定だと思いまするが、その三項におきまして、教唆、幇助についてこれを罰するという規定がございます。これは新しいものであろうと思います。
 それから第五条は、新しい規定でございまするし、特に第二項におきまして、罰則として「一万円以下の罰金に処する。」という規定があることは、その通り新設のものと思います。
 第六条は、これは念のための規定ということに相なるかと思いますが、警職法第六条第一項に基づいて、住居内に立ち入るということで、この規定がなければできないというものではなくて、警職法でやっていけるものでございますが、先ほど提案者から御説明ありましたように、そういうものを一見してわかるようにここにまとめたという御趣旨だろうと思います。
 それから第七条につきましては、精神病ですか、に関して似たような規定がございますが、めいてい者について保健所長に通報するというようなことは新しい規定であろうと思います。それに伴って第八条も同断、第九条も同断ということになろうかと思います。
#117
○委員外議員(紅露みつ君) ちょっとこの際申し上げておきたいことがございますので。この法案の審議に関係のございます官庁の御出席者をちょっと申し上げておきたいと存じます。安井国家公安委員長、それからただいま御答弁になりました警察庁長官の柏村さん、木村保安局長、それから法務省からは竹内刑事局長外お見えになっていらっしゃいます。それから法制局からは第二部長が出席されております。それから厚生省は、尾村公衆衛生局長が御出席でございますので、どうぞそれぞれの方たちに関係のある御質問もお出しいただきたいと思います。
#118
○政府委員(柏村信雄君) 先ほどの私の答弁申し上げた点でちょっと間違いございましたので訂正さしていただきますが、第四条の一項でございますが、これは軽犯罪法よりはちょっとまあ広がっておると申しますか、軽犯罪法におきましては「乱暴な言動で迷惑をかけた者」と、こうなっておりますが、第四条は「言動をしたときは、」と、こういうことで、その迷惑をかけたというところの立証がない場合でも、この言動をしたということによって罪になるという点が広がっておるんではないかと思います。それから第三項を新たにと申しましたが、これは軽犯罪法に規定されているものと同じでございます。
#119
○椿繁夫君 大体本法によってこれまでの現行法に書かれていないものは、七条以下、八条、九条、すなわちアルコールの慢性中毒者の保護に関する規定、これが新たにつけ加えられたものであることは御説明の通りでありますが、この三条、四条、五条は、罰則がちょっと強化されておりますけれども、第六条もこれは警職法の中にあるものをここへ載せておるにすぎませんから、大体現行法を警察当局が厳格に実行をされるならば、めいていしたことによって公衆への迷惑を著しくかけるような行為を防止することはできるのではないか。七条、八条、九条につきましては、これは純粋の警察の仕事というよりも、厚生省関係の仕事で私は処理されるのではないか、こう思いますが、そういうふうにお考えになりませんか。
#120
○政府委員(柏村信雄君) 第三条につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、運用を慎重にいたすということで、泥酔者の場合とそう広がるものではないと思いますが、第四条につきましては、第一項が若干広がっている。それから第五条におきまして、特に第二項になりますると、「一万円以下の罰金に処する。」、これは制止に従わないであくまでも乱暴なことをするという者は、この規定から申しますると、いわゆる現行犯逮捕もなし得るということに相なるわけでございまするし、それを乱用することはもちろん避けなければ、戒むべきことでございますけれども、どうしても見のがせないで連れていく。本人は別に泥酔するほどではなくて、従って、保護に値しないという場合におきましても、はなはだしい乱暴な者については、これをその場合において逮捕するということも可能に相なるわけでございまして、四条、五条も新しくそういう意味の広がりを持っているというふうに考えます。
#121
○椿繁夫君 ただいま長官の言われますこの広がりというのは、本法が成立いたしますと警察権の拡大と解してよろしゅうございますか。
#122
○政府委員(柏村信雄君) 法のできますことの反射作用として、こういう警察権の行使をする場合は多くなるという意味において、警察権の拡大になると思います。
#123
○椿繁夫君 三条に「応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、とりあえず」云々、こう書いてございますが、この相当の理由があると認めるのは、これは警察官が認めることになるのでしょうね、提案者は。
#124
○委員外議員(紅露みつ君) そうだと思います。そうして、それは先ほども申し上げました通り、現在でもそうですね、客観的な理由から判断して、それはそのようにして保護をいたしているわけでございます。なお法律的にいろいろ掘り下げるのでございましたら、法制局から答弁させてもらいます。
#125
○椿繁夫君 提案者もそのように説明をされておりますが、私は当初の案を拝見いたしましたときに、ポツダム勅令によって廃止になりました行政執行法の第一条を実は思い起こしたのであります。この行政執行法の第一条というのは、他人に危害を加えるような危険のある者と認めたときに、住所不定あるいはその泥酔していると、こう警察官が認定をしたときに、保護留置を翌日の日没をこえない範囲において認められておりました。それがこの三条の「相当の理由があると認めるときは、」という文章によって、ポツダム勅令によって日本の民主主義的傾向の復活と強化の障害になると、行政執行法は。そこで、廃止になりました法律の文章がそのままここにこう再現されておるように実は考えるのです。で、この警察官がすべて円満な常識と非常に高い識見とを持って運用にすべて当たられるのであればその危険はないのでございますけれども、現状におきましては、必ずしも全部が全部そういうりっぱな方ばかりのようにも思われませんので、運用にあたって大へん心配になる点でございます。そういう点について柏村長官。
#126
○政府委員(柏村信雄君) この文句は、現行の警職法にございますのをそのまま同じような規定をいたしておるわけでございます。しかも、今までの実績で私全然なかったとはここで断言申しませんが、少なくとも泥酔者の保護ということについて、保護すべからざる者を保護したという例はきわめて少ないのじゃないか。職権乱用によって酔っぱらいという者を保護して、酔っぱらいの保護という名のもとに人権を故意にじゅうりんしていったというようなことはまずないのではないかというふうに思うわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、本案の第三条が運用においてほぼ警職法の第三条の泥酔者の場合に合致して参るということでありますれば、むしろ今それが保護すべき者も保護しないのではないかというような非難すらあり得るわけでありまして、そういう点の御心配はまずなくしていいのではないかと思う。一般の住所不定であるとか、危害を及ぼすとかいう危険を認めたときというようなばく然たるものではなくて、めいてい者、泥酔者というようなものについて、特に本人のため保護をする応急の必要があるということでしぼっておるわけでありまするし、警察官のこういう取り扱い上の教養ということは、従来も特に意を用いておりましたが、今度またこうした法案が成立するような暁におきましては、特にただいま御指摘のような点を十分に第一線の警察官に徹底するようにいたして、遺憾なきを期したいと思っておるわけでございます。
#127
○椿繁夫君 私は行政執行法第一条の、戦時中における悪用された、私自身何回かあれによって留置された経験を持っておりますだけに心配をして、新たな文章ではございませんけれども、当局の意見を重ねて聞いたわけでありますが、運用にあたってはこれは十分注意をしていただかなければならぬと思っております。そこで、これは提案者に聞きたいのでありますが、「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野または乱暴な言動」ということは一体どういうことですか。
#128
○法制局参事(腰原仁君) 私からかわってお答えいたしたいと思います。
#129
○椿繁夫君 どなたですか。
#130
○委員長(増原恵吉君) 法制局第二部長。
#131
○法制局参事(腰原仁君) 四条にございます「酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」、ここにあります「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動」、この意味だろうと思いますが、「公衆に迷惑をかける」、これは別に申し上げることもないと思いますが、「著しく粗野又は乱暴」、非常に粗野、乱暴という言動でございますが、場所柄その他非常に不謹慎な言動とか、そういう乱暴、まあ暴行に至らないような乱暴な言語、動作、こういったようなことを表わしているつもりでございます。ここで「公衆に迷惑をかけるような」と申しましたのは、先ほどもお話ありましたように、迷惑をかけたか否かということを問わないで、行為の定形として公衆に迷惑をかけるようなものであればよろしい、実際にかけたかどうかということは問わない、こういう趣旨でございます。
#132
○椿繁夫君 この点はこれまでの軽犯罪法ですか、警職法ですかね、この場合は明らかにかけた場合でないと拘留、科料には処せられなかったが、今度は「かけるような」、この認定も警察官がするわけですね。かけるような行為も拘留、科料の対象にする、こういうことですね。
#133
○法制局参事(腰原仁君) さようでございます。
#134
○委員長(増原恵吉君) 発言を求めてから答弁をして下さい。
#135
○法制局参事(腰原仁君) 失礼しました。
 これは軽犯罪法にございます言葉と、これと同じようなことがございますが、それは軽犯罪法におきましては、著しく粗野または乱暴な言動で迷惑をかけた者、こちらの方はかけるようなことということでございますので、軽犯罪法の方は、かけたということが必要だったのです。こちらは言動が主体でございますので、かけたかいなかということは問わない、これは最後的にはまあ裁判所できまるだろうと思っております。したときは、拘留または科料に処するということになりますので、それはそういうことになるだろうと思います。
#136
○椿繁夫君 あなたの話、ちょっとおかしい。裁判所がきめるというのは、拘留、科料というのは裁判所でなくて警察がきめるのでしょう。どうですか。これは裁判所まで持って行くのですか。
#137
○法制局参事(腰原仁君) そういうふうに考えておりますが。
#138
○椿繁夫君 ここで軽犯罪法によりますと明確に、粗野または乱暴な言動で迷惑をかけた者ということになっておりますが、この場合は、迷惑をかけるような者と著しくこれこそ拡大しておる、拘留、科料の対象になる範囲というものが著しく拡大しておる。
 そこでお尋ねをするのですが、私は、普通「乱暴」というのは、何か形で表わせるように思うのですけれども、「粗野」というのは、どの程度のものであるか。これは実際に警察官が運用していく場合に、運用の基準になることでありますから、これは明確にしていただきたい、提案者から。
#139
○委員外議員(紅露みつ君) 私どもの考え、それから研究いたしましたところでは、ここで申します「粗野」というのは、どうも場所をわきまえずに、出すべからざるところを出したり、それから言うべからざる非常に卑猥なことを大声をあげて言いますとか、そういう意味を考えているわけでございます。
#140
○椿繁夫君 出すべからざるところを出したり、言うべからざることを言うようなことを「粗野」と、この場合は解するのでございますか。
#141
○委員外議員(紅露みつ君) さように考えております。
#142
○椿繁夫君 第三条に再び戻りますが、「相当の理由があると認められるときは、とりあえず救護施設、警察署等の」保護するのに「適当な場所」、この「適当な場所」というのは、どういうものをお考えですか。
#143
○委員外議員(紅露みつ君) ただいまで申しますならば、保護所ができておりますから、あれが最も適当な場所だと思います。しかし、時によりましては、保護所が全部の警察にできているわけじゃございませんから、ですから、そこは良識をもって、不適当だと思われるような所でなければ適当であろうと思います。
#144
○椿繁夫君 「適当な場所」とは、警察の留置場に併設されている保護室のことを言われるのですか。
#145
○委員外議員(紅露みつ君) ただいまのところはそう考えております。
#146
○椿繁夫君 警察にお尋ねをいたしますが、警視庁とか府県警の本部は別といたしまして、警察署あるいは駐在所等に保護室の備えは何室ございますか、一警察署、一駐在所などについての。
#147
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお話のように、警視庁、大阪その他大都市等の警察におきましては、特別に酔っぱらいを収容するような施設を作っておりますが、ただいまお尋ねの一般のいなかの警察等におきましては、一室が大体原則だと思います。
#148
○椿繁夫君 駐在所にはございませんね。
#149
○政府委員(柏村信雄君) 駐在所も、大きい駐在所になれば、そういう隔離する部屋のある所もございますが、おおむね駐在所、派出所等にはそういう施設はございません。
#150
○椿繁夫君 私の承知しております保護室は、留置場と同じものであって、変わっておりますのは、畳が敷いてあるという程度の違いだと思いますが、留置場と保護室の違いの説明をお願いいたします。
#151
○政府委員(柏村信雄君) 留置場は、たとえば刑事訴訟法上逮捕した者を一時そこに留置するというような目的のためのものでございます。保護室というのは、本人の保護のために設けられている部屋でございます。しかし、具体的な保護室と留置場とが実際物理的にどう違うかといいますと、ただいまお話のような違い程度のものが大部分であろうと思います。
#152
○椿繁夫君 保護室には錠をおろしますか、おろしませんか。
#153
○政府委員(柏村信雄君) 保護室でやはり非常にあばれて飛び出すおそれがあるというようなときには錠をする場合もあると思います。
#154
○椿繁夫君 そう言われますけれども、保護室といえども大体錠をかけるというふうに私思っていますが、そこで、一室しかない場合に、警察の保護室に保護を加えるという場合、めいていするのは男ばかりに限りません。婦人の方でもめいてい者があって、同時に保護を加えなければならぬ場合に、保護室の数をふやさなければならぬことになりますが、警察費を増額要求をされる、そのようなことはありませんか。
#155
○政府委員(柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、現在まで泥酔者保護ということで運用して参ってきておるわけでございまして、もちろん施設において不十分な点も多々あると思います。従って、予算の許す範囲において、各都道府県において特別な泥酔者保護の施設等も着々設けつつあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この規定によって急速に非常に量がふえてくるということを、現在そこまでは考えておりませんので、様子を見つつ、現在でも私は不十分と思いますので、そういう面の施設の増額、国でいえば補助金の増額というような点については、今後とも努力して参りたいと考えております。
#156
○委員外議員(紅露みつ君) 提案者からもその点は申し上げたいと存じますが、その前に一つ、椿委員に伺いたいと思いますことは、あなたは今ある保護室というものをごらんになっていらっしゃるのでしょうか。
#157
○椿繁夫君 承知しております。
#158
○委員外議員(紅露みつ君) そうでございますか。私どもはたびたび見ておるのでございますけれども、これが最良のものであるかどうかはわかりません。しかし、ぶっつけましても、それこそどこへぶち当たってもけがをしないように、これはスポンジでできておるわけでございまして、まあまあ今のところでは、私どもは一応これでいいのではないかと思うのですが、しかし、もっといいものができればなおけっこうでしょうが、今、警察庁長官からもお話がありましたが、提案者といたしましては、相寄りまして、この保護所の数をふやす、それからそのほかにもまだありますが、予算をぜひ相当程度獲得して保護所をふやそうということを考えておるわけでございます。
#159
○椿繁夫君 提案者の御説明で今だいぶんわかったんですが、こういうふうに保護を加えなければならぬ者が出た場合、現状の警察の施設では不十分な点があるので、警察費の増額を本法にあわせて要求をするという御説明でございますが、ただいま紅露提案者から承ったんですが、他の提案者も同じように、この警察費の増額を本法を通すことによってお考えになっておることに間違いはございませんか。
#160
○委員外議員(藤原道子君) この法律ではっきり「救護施設、警察署等の適当な場所に、これを保護しなければならない。」とあります以上は、この法律が通りましたならば、それと並行いたしまして保護するに足りる救護施設、保護室等は十分できるような予算措置を努力する考え方でございます。
#161
○椿繁夫君 警察庁長官のお答えによりますと、保護室は府県警の本部あるいは警視庁等を除きましては、大体警察署には一カ所しかないということであります。同時に、男女別々に保護を加えなければならぬことになるわけであります。準備だけはしなければならぬことになるわけでありますが、その場合に保護室が各警察署で複数になる、その場合の予算の総額はどのくらいにお考えになっておりますか。
#162
○政府委員(柏村信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、この規定によって急速にめいてい者保護という数がふえるということは私は今直ちには考えられない。むしろ、こういう法律ができることによって国民が自覚をして、従来の泥酔者保護も減ることを私は望んでおりますし、ぜひそうあってほしいと思うのでありますが、なかなかそう一挙には参らないかもしれませんが、そこで、警察といたしましては、先ほど保護室が大体一カ所が原則であろうと申し上げましたが、複数になったような場合におきましては、保護室また当宿室とか、あるいは事務室の一部とかいろいろ工夫をいたしまして、そこでまず酔いをさますような――上着を脱がせるとか、ネクタイをゆるめるとか、いすにすわらせるとか、水を飲みたい者には飲ませるというようなことで、酔いをできるだけ早くさますというようなことをやるわけでございまして、今の施設では直ちに、もうすぐこれが法律ができると大へん、倍にも三倍にもなって、保護室がとても足りなくなるというふうには私は考えておりませんわけでございます。しかしながら、現在の保護施設というものが十分でないということは、私も重々承知いたしておりますので、そういうことにつきまして今後さらにそういうものを整備していくように努力して参りたい、こう考えております。
#163
○椿繁夫君 提案者にお尋ねいたしますが、四条三項の「第一項の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。」、この酒飲みの教唆と幇助というのはどういうことをさしますか、具体的に。
#164
○委員外議員(紅露みつ君) これは私どもも立案いたしましたときにいろいろ問題にいたしまして、酒を無理に飲ませることがこれが教唆じゃないかとか、幇助じゃないかとかいうような問題も出ましたけれども、そういうことではなくて、その段階ではなくて、酔って乱暴をする、あるいは非常に迷惑を及ぼすような粗野な行動をそそのかしてやらせた者、こういうふうに解釈したわけでございます。ですから、その罪になる言動をそそのかしてやらせた、幇助してやらせたという者を教唆、幇助としたわけでございまして、お酒を飲む過程においてはこれはないと、かように考えておるわけでございます。
#165
○椿繁夫君 第二条に「すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。」、こう書いてありまして、これは非常にけっこうなことだと思うのです。第四条第一項の罪の、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野、乱暴な者が、一緒に飲んでいる場合、かりに、そういう数人の者が飲食店で飲酒しているとき、その中の一人が四条の一項に該当するような行為を犯した、その場合に教唆し、幇助した者というような見分けは、一体だれがつけますか、具体的に。
#166
○委員外議員(紅露みつ君) これは大へん問題がこんがらがって参りましたが、二条で申しますというと、私どもはこれを酒を飲まれます人たちのいろいろな経験を聞きまして、どうも日本人には悪いくせがあって、飲まないというのに、あるいは飲めないというのに、このさかづきを受けられないか、というようなことになって、そうして無理に飲まされる、そういうことは非常に困るのだということで、これはぜひ入れてほしいという要望が非常にあちこちから出ましたので、これは入れたのでございます。で、この犯罪のところとはつながって私どもは考えておったわけではございません。この二条はあくまでも倫理規定のつもりでございまして、そのように人にも悪じいをしないというような、さらりとした酒の飲み方をお互いにすべきで、それで「飲酒についての節度を保つように努めなければならない。」と結んでおりまして、これは犯罪の方とつなげて考えたわけではございません。これはあくまで倫理規定として設けたわけでございますので、そのようにお受け取りいただきたいと思います。
#167
○椿繁夫君 四条の三項について具体的に御説明を求めます。
#168
○委員外議員(紅露みつ君) これは酒を飲めといったことで教唆になったり、幇助になったりするというのは私どもは考えておらないのでございます。たとえば酔ってしまっている者を、もっとやれというような工合で、そそのかして乱暴をやらせる、あるいは粗野な行動をやらせるというような、その酔ってしまった上での粗野または乱暴に対して幇助し、教唆したことを申しているのでございまして、酒をすすめたというようなことについて、遡って考えておりませんのでございます。
#169
○椿繁夫君 どうも具体的に本法が運用される場には、ちょっと因った規定になりはしないかという感じがいたしますが、これが成立いたしました際に、警察庁長官、四条の三項についてどういうふうにお考えになりますか。
#170
○政府委員(柏村信雄君) この四条の三項の教唆、幇助でございますが、教唆と申しますのは、犯意のない者に犯意を起こさせて犯罪を犯させるようにするというのが教唆であろう、酔っていい気持になっていた者に、お前はあそこへ行ってちょっとあれいやがらせやってみろというようなことは、これが教唆ということではないかと思います。それから、現実に犯意を持ってある程度そういう犯罪に移っている者について、もっとやれ、もっとやれという精神的あるいは物理的と申しますか、援助をするのを幇助というふうに、これは刑法総則の原則と同じ考え方で処置していきたい、こう考えております。
#171
○椿繁夫君 前後いたしましてはなはだ恐縮でありますが、もう一ぺん四条についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、保護室の設備が各警察署に一つしかない、これが施行されますというと、男女のめいてい者が同時にある場合も考慮しなければなりませんから、保護室等の充実を私は裏づけなければならぬことになると思うのですが、イタリアでしたか、めいていして公衆に迷惑をかけておるような場合を警察官が発見をしたときは、保護の意味も加えて、パトカーに乗せてそして自宅に送り届けるという保護の方法があると思うのですが、そういうことは現におやりになっていますか。
#172
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお尋ねのようなことがむしろ原則であろうと思います。特にその場につき添っておるような親族等があれば、そういうものによく旨を含めて、その場で引き渡してやるということが一番望ましいし、もし住所や何かわかれば、そこに連れていって家族に引き渡すということが適当であろう。そういうことができないで、どうしても応急に酔いをさます間保護しておかなければならぬという者を警察署その他の適当な施設に入れるということでございまして、これはむしろ、どっちかといえば最後の方法でありまして、できるだけ家人あるいはこれを保護するに適当な人に引き渡すということが、警察としてまず考えるべきものだと思います。現在もそういうふうに運用いたしておるわけでございます。
#173
○椿繁夫君 私も本人の保護ということが目的でありますから、申しましたような住居のわかっております者などは、粗野、乱暴にわたるような行動を起こそうとしているときに、警告しあるいは制止をして、それですなおに従えば自宅に送り届けてやる、こういう建前で運用をされることが望ましいと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、こいつだいぶ酔っておる、この調子でほうっておけば人に迷惑をかけるかもわからぬというような場合に、強制保護を加える前に本人がその言動をやめた場合に、強制保護を加えるべきではないと私は思うのです。そういう点については、今どういうふうに運用されていますか。
#174
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお話の点は、お述べになりました通りに私も考えておるわけでありまして、ちょっと注意してすぐすなおになるような者をもう何も収容する必要はない。従って、まずそういう者に注意を与えて、本人が反省すればそれで事は終わるわけであります。また相当に管を巻いているような者でも、引取人や何かあれば、できるだけすみやかにそういう者に引き渡す。かりに保護した場合におきましても、できるだけ早くその身元を明らかにして引き渡すべき人にお引き取りを願うということが、これはもう従来やっているやり方でございますし、今後も懲罰的な意味において保護するという考え方は、この法文にも出ておりませんし、われわれもそういうふうには考えておりません。
#175
○椿繁夫君 警察官がこれは相当めいていをしていると認め、ここに書いておりますように救護施設なり警察署等へ強制保護を加えようと認定をした、その場合に本人がその言動をやめて相当な理由を述べて強制保護をされることを拒んだような場合に、やはりこれは現場から強制留置の方法をとらないで帰途につかせるということが私は正しいのじゃないかと思いますが、そういうふうにはお考えになりませんか。
#176
○政府委員(柏村信雄君) ほぼ泥酔に近いような場合になると思いますが、との規定は本人の意思のいかんは問わないわけでございます。やはり応急に保護する必要があると、そういう相当の理由があるという場合におきまして保護するわけでございますから、本人がうまいことを言ってその場だけつくろって、また何をやり出すかわからぬという場合におきましては、本人がいやだと言っても連れていく場合もございますが、今お話のような場合は、そんなに酔わない、また注意されたので酔いがほとんどさめたというような状況において、もう心配はないということであれば、先ほど申し上げましたように、これを懲罰的な意味において保護室に隔離するというようなことはいたさぬ方針でございます。
#177
○椿繁夫君 この五条の二項に「その制止に従わないで前条第一項の罪を犯し」公衆に著しい迷惑をかけたときは、「一万円以下の罰金に処する。」、こうなっているのですが、現行刑法の第三十九条「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」「心神耗弱者ノ行為ハ其刑ヲ減軽ス」とうたっているのですが、めいていをして著しく公衆に迷惑をかけるような言動をするめいていの状態というものは、刑法でいう心神喪失者――正常なものではない状態を言うのじゃないか、こう思うのですが、この五条に規定しております刑罰、しかも、これは拘留、科料じゃなくて一万円以下の罰金と、これと刑法三十九条との関係について、刑事局長、ちょっと私矛盾しているように思うのですが、どうお考えになりますか。
#178
○政府委員(竹内寿平君) 仰せのように、この五条二項の場合に、第一項もそうでございますが、めいてい者がその程度が進んで参りました場合に、刑法三十九条の適用を見る場合があるかどうかということは、やはり一つの刑法の適用上の問題点であろうかと思います。現在の取り扱い、運用の実際についてみますると、刑法三十九条のめいての結果による心神喪失の状態というのは、大体におきまして病的めいていをさすものと考えております。私どもが普通にひどく泥酔しておるという程度が必ずしもここにいう心神喪失の状態にあるめいてい状態だとは一般に解されておらないのでございまして、三十九条の適用というものは相当厳格な運用になっております。それにもかかわらず、しばしばめいてい中の殺人行為が心神喪失のゆえをもって無罪になった例は少なくないのでございますけれども、ここでいうめいていというのは、病的めいていをさすものと一般に解されておるのでございまして、第五条あるいは第四条に申しておりますところの、めいてい者が粗野、乱暴な言動をした、その態度が著しい状態である、こういうめいてい状態がすべて病的めいていの状態であるとはとうていいえないのでございまして、四条、五条はそれなりに処罰し得る場合が大部分であろうかというふうに考えるのでございます。まあ俗な言葉で申しますと、小トラの方はこれで罰せられて、大トラはだめだというふうによく新聞などにも拝見をしたのでございますけれども、大トラがすべて三十九条の適用を受けるのではなくて、三十九条は、今申しましたように、学問上は病的なめいてい状態をいうというふうに解されて、その程度は非常に強いものを意味しておるようでございます。
#179
○椿繁夫君 軽犯罪法に、このような迷惑を他人にかけた場合は、拘留と科料ということになっているわけですが、今回この法が成立いたしますと、一万円以下の罰金ということになるわけですが、これはおそくできたこの法律の方が有効になるということでしょうか。
#180
○政府委員(竹内寿平君) おそくできた法律が前の法律を改正するかどうかというような御趣旨の御質問かと思いますが、軽犯罪法の第一条の五号あるいは十三号等にこれと同趣旨の規定があるわけでございますけれども、少なくとも軽犯罪法第一条第五号と四条とを比較してみますると、これは構成要件におきまして違っておるのでございまして、軽犯罪法の方は、主体についてめいてい者であることを要件といたしておりません。もちろん、結果において迷惑をかけたということが要件になっておりますが、その点において、主体がめいてい者に本法案四条の方は限定されておりますが、軽犯罪法の方は限定されていないということが構成要件として著しく違っておる一つでございます。それから第五条の方に参りますと、特に罰金刑としてありますが、これは警察官がその者の言動を制止したという一つの構成要件が加わわるわけでございます。制止したにもかかわらず、なお、やったということでありますので、罪を犯す状態というものが厳格な条件のもとにおいて犯された犯罪ということになりますので、軽犯罪法よりも重く法定刑を定めたものと私たちは理解いたすわけでございます。
#181
○椿繁夫君 厚生省の方、どなたかお見えになっておりますか。
#182
○委員長(増原恵吉君) 公衆衛生局長が見えております。
#183
○椿繁夫君 七条から八条、九条について、保健所が通報を受けた場合、必要があると認めるときは、当該通報にかかる者に対して、医師の診断を受けるようにすすめなければならぬとか、いろいろ保健所に対して義務を課しておりますが、これは現状の保健所の状態で十分にこの法の目的を達していくことができますか。
#184
○政府委員(尾村偉久君) この七条、八条のこれは強制をするというような部面は全然ないのでございまして、これはあくまで警察官からこういうような該当者を通報を受けた場合、管内の住民に対する健康の責任を負っておるわけでございますので、さような意味で、神経ないしは身体に慢性的にアルコールによって障害が起こっておる、あるいは非常に障害を起こす可能性が続いておるというような場合に、やはりこれは住民の健康保持増進という建前でやらなければいかぬ本来保健所の任務でございますので、さようなものに限定される。しかも、それは本人にそういうような教育といいますか、からだが、これ以上やっておると一そう悪くなって、最後にはアルコール性の精神障害者になるというようなことを言って聞かせ、あるいは家族にも言う。しかし、そこから先はあくまで本人の自発意思に従うわけでございます。一切強制等はいたしません。おそらく当分の間は本人みずから、言われたからといって直ちに酒をやめ、それから治療所におもむくという可能性は非常に少ない。まあそれは徐々にそれを拡大していく、こういうことになると思いますので、現在の保健所といたしましては、通報を受けてから本人にいろいろな方法で連絡をして、それを言って聞かす。それからもし本人が、その中の何人に一人かが、それじゃ治療所を紹介してくれという場合に、適当だと思われる――これは精神科とそれから内科等のような、アルコールによる消化器の障害を受けておるような場合には、内科系になる、そういうようなものを紹介する。そこまででございますので、忙しくはなるかと思いますが、これは保健所でできるかと、こう考えておるわけでございます。
#185
○椿繁夫君 私は、自治大臣、こういう、このような立法形式によらないで、七条以下厚生省の所管にかかるようなアルコールの慢性中毒者対策ですね、あるいは未成年者の飲酒禁止の励行でありますとか、いろいろあると思うのですが、警察庁長官からも御説明のありましたように、三、四、五条、これができましても、現在の警職法あるいは軽犯罪法などを厳格に実行していけば、大体これはなくてもいい、済むんじゃないか、ただ、これを成立させることによって受ける利益というものは、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、教育的な、国民に対する一つの警告的な意味はあろうかと思いますけれども、それ以外は、ずっと審議をしておりますとあまり深い意味がないように思うのですが、あなたはどうお考えになりますか。
#186
○国務大臣(安井謙君) お話のように、この法律全体を通して感じましたことは、今お説のように、一般の社会に対する警告的な意味も非常にあるし、それからまた警官自身が、従来でもそれはある程度やればやれたかもしれないが、明確に規定されてないために、何とはなしに見過ごしたといったような点は逆に明確な態度でやれるといったような効果は、相当これはあるものだというふうに思います。
#187
○椿繁夫君 私は、この四条において警職法の範囲を相当拡大しているように見えますので、どうもこれは納得がいかぬのですが、提案者はこの四条の「公衆に迷惑をかけるような」――かけた者でなければ罰せられない現行法と、今度はかけるような者までこれを罰しようとしている。これは非常な拡大ですね。酒飲みはけしからぬという御意図がだいぶあるわけですね、これは。
#188
○委員外議員(紅露みつ君) ここのところを先ほどからだいぶ御心配になっておられるようなんでございますけれども、これは私どもとしては、そんなにこれを拡大しているように思わないのでございます。と申しますのは、ここにうたってございますように、「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な」というところにしぼりがかかっておりますので、これは御心配なほど拡大するということは、私ども立案者、提案者としては、もう絶対に考えておらないのでございます。「著しく粗野又は乱暴な言動」というところに強いしぼりをかけているつもりでございます。
#189
○小笠原二三男君 私はこの法案を見たら、賛成者になっておる。それで私の質問したいのは、自信を持って賛成もしたいという意味で――法律上の解釈は私しろうとでわかりませんから、この点ちょっと伺っておきます。
 一つは、第一条の規定による「酩酊者」というのは、この法律ではっきりしましたが、警職法等にあります泥酔者というのは、文章表現をしますと、どういうものが泥酔者といわれるのですか。これは刑事局長に法務省の関係でお伺いしたいのです。
#190
○政府委員(竹内寿平君) 法文の上から見ますと、警職法の三条に規定しておりますのは「でい酔」と書いてあります。今回の法律案につきましては「酩酊」とありまして、その間に「でい酔」よりは「酩酊」の方が程度が軽いのであろうということが一応一言えると思うのでございます。と申しますのは、この法律は酒に酔っている、カッコの中にもありますように、アルコールの影響により正常の行為ができないときめているのじゃなくて、「できないおそれのある状態にある者をいう。」と、こういうふうになっておりますので、泥酔よりは程度の軽いものをさしているということがうなずけるのでございます。それならば、泥酔はそれよりも強いどういう状態をいうのかということは、これは法律の用語でもございますが、同時に、法律の観念をきめます前提として、まあ学問上の、医学上の意見も聞かなければならないのでございますが、厚生省の担当の方もおいでになりますので、そういう御意見も十分伺いたいと思うのでございますけれども、私どもが承知しております飲酒に関するいろいろな学説があるわけでございますが、同じ酔っていきます段階が幾つかございまして、たとえばほろ酔い、あるいは興奮期、あるいは第三期には興奮期をさらに進んだもの、あるいは第四期といたしまして泥酔期、それから第五期としまして真の泥酔期と、こういうふうな分け方をしておる学説がある。そういたしますと、第四期は泥酔期でありますし、第五期になりますと真の泥酔期と、こうあるので、相当強い程度の泥酔状態、酔っぱらいの状態、こういうものを泥酔とされておると思うのでございます。しかしながら、先ほどもちょっと触れましたように、その泥酔状態が病的めいていの状態からそういう状態が起こっておるということになりますと、これは心神喪失というような状態になるというふうに法律上は判断されると思います。
#191
○小笠原二三男君 そうすると、このカッコの中にあります「正常な行為ができないおそれのある状態」で、正常な行為ができない状態に立ち至る以前の状態です、これは。ですから、これは正常な判断力を持った、正常な意思力を持っておる段階で、まだ正常な行為ができないという状態ではない。正常な行為がもうできないという状態ではないのですね。おそれがあるのですから、それ以前の状態でしょう、このめいてい者というものは。だから、正常な判断力、意思力を持った者なんですね、このめいてい者は。このカッコの解釈は、これそうなりませんか。
#192
○政府委員(竹内寿平君) そうだと思います。ただ、その正常な行為ができないようになるおそれのある――正常な状態ではなくて、そういうおそれのある状態というふうに書いてあるわけでございます。
#193
○小笠原二三男君 正常な行為ができない状態ではないので、正常な行為ができないおそれがある状態なんです。だから、正常な行為ができない状態に立ち至る以前の状態なんです。従って、その点においては、また正常な判断力、意思力を持っておると、しかしながら、相当飲んでおると、こういう者がめいてい者ですね。
#194
○政府委員(竹内寿平君) そのように私も理解いたすのでございます。
#195
○小笠原二三男君 そうすると、正常な行為ができない状態にある者は罰せられないし、保護も受けない、この法律では。それ以前の者は保護をされるし、罰せられる。しかし、もうその域に立ち至った者は今後も罰せられることもない、飲んだ方が得だ、こういう形になるような法の解釈があっては困るのです。そういうおそれはないですか。もうめいてい者だけを規定しておりますからね。泥酔とかなんとかいうものを規定しているのじゃないのですから。
#196
○委員外議員(紅露みつ君) ここでちょっと失礼させていただきますが、刑事局長に伺いたいと思うのですが、こういう場合にあなたの方で説明がつくと私どもしろうとでも思われることは、準備草案でございますね、あのつまり大トラは罰せられないけれども、小トラは罰せられるという不合理をなくそうというようなお考えがあるのではございませんのですか。それをおっしゃっていただいたら私はこの問題はある程度解決がつくのじゃないかと思いますのですが、御発表になっていただいた方が私はいいのではないかと思いますが……。
#197
○小笠原二三男君 私は、こういう趣旨をお尋ねしているのは、いじわるじゃない。拘留、科料となって、正式の裁判を求めることができる、そうなったときに、法廷において争いになった場合に、うやむやになっては困る、そういう意味でここではっきりしておきたいからお尋ねをしておる。これがもしも正常な行為ができないおそれのある状態にある者、または正常な行為ができない者とかいうふうに吟味してあれば文句はないけれども、おそれのある状態だけの人間をこれは保護し、あるいは罰するのですからね。それはもう時間がないから、私の疑念を申し上げると、この第四条で、めいてい者だけが公衆に迷惑をかけるような、あるいは著しく公衆に迷惑をかけるような粗野な言動または乱暴な行動をやった者は罰せられる、めいてい者だけです。ところが、正常な判断力を持っておるめいてい者でない者は罰せられないのです。軽犯罪法でも罰せられないのです、この四条の行為があっても。迷惑をかけるような粗野な言動ですからね。正常な人間は、いかほど迷惑をかけるような言動をしても、迷惑をかけない限りは罰せられない。ところがアブノーマルな心神の状態に移行しつつある者が罰せられて、正常な人間が罰せられないということは、これは法理上どういうことになるのか。だから、ここから推しはかっていくと、これは軽犯罪法にも、おそれがあるということで規定しなければならないのじゃないか、また規定したとなれば、この四条は要らなくなるのじゃないか、一般の軽犯罪で取り締まれるのじゃないか、こういう疑点を私は持つのです。
 それからもう一つは、いや、これは公衆に迷惑をかけるような粗野または乱暴な言動なんだ、著しい言動なんだ。たとえばもう一つの疑念は、第三条の「粗野又は乱暴な言動をしている場合」には保護される、保護されるのですね、めいてい者は。正常な人間はいかほどやってもいい、やっても迷惑をかけたという実体がない限りはこれは罰せられないのだ、保護も受けない、制止も受けない、現行法では。で、飲んでおったというだけで、第三条ではこれは保護を受ける。ノーマルな心神の状態にある者が、いかほど粗野の言動をやろうとも、公衆に迷惑をかけたという実体がない限りは罰せられないし、制止もされない、こういう関係はどうなるのかということを吟味しておきたいと思います。それらの点を専門家としてお答えを願っておきたい。
#198
○政府委員(柏村信雄君) この第一条の「酒に酔っている者」として、カッコして「(アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者をいう。)」ということは、これは非常に広いものと私どもは解しておるわけでございまして、めいてい、いわゆる酒に酔っている者、これをめいてい者というわけでございますが、めいてい者のうちには泥酔者も含む、しかも、その泥酔者のうちに心神耗弱者、心神喪失者も含む非常に広い概念で、めいていしておる、ただめいていしておっても、ちょっと居眠りしておれば正常、そのときは行為していないわけですから。それが動き出したら正常な行為をしないおそれがあるわけでございますけれども、泥酔となれば、正常な判断能力を欠く状態というふうに解釈いたしまして、めいていの中には泥酔も含むと、それで先ほど三条の保護なんかについても、ほぼ泥酔者と範囲が一致するのではなかろうかと私は申し上げたわけでございまして、私どもはそう解釈しないと、今、小笠原委員のお話のように、おそれがあるので、まだそこまでは酔っていない、おかしな行為はしない人間だと、その一歩手前の人間だというふうにワクを切ってしまうと、この規定というものは全体がおかしくなってくるのであります。やはり泥酔とまではいかないでも、酒に酔って何かしでかすもしれぬというふうな者も含んだ広い意味、泥酔者も含めた広い意味と、こういうふうに解釈すると全体がすっきり読めていくのではないかというふうに考えたわけであります。
#199
○小笠原二三男君 警察庁長官はそういうふうに解釈するとこれは都合がいいがね。しかし、裁判所へ行ってそういうふうに解釈するかどうかわからぬ。そこで私は、裁判所の方へ行った場合の解釈として、法務省関係ではどういう解釈をとるのかということをお尋ねしたのです。そうしたら、それは正常な行為ができない者ではない、それへ進行の過程にある者なんです。まだ正常な意思、判断を持っておる者なんだ、こういうことの御答弁があったわけです。それは泥酔者も含むというが、泥酔者の極たる者は心神喪失ですよ。また、そうなればこれが罰せられるか、罰せられないかということも問題ですがね。だから、それを一義的に、明確に、誤解のないように、争いのないような規定をする必要があると思っておる。ここでは警察庁長官の言い分で、なるほどそうですかと聞いても、その通り外で動かなかったらどうにもならぬじゃないですか。この点はどうなるか。
#200
○政府委員(柏村信雄君) 酒について申し上げますと、まず酒を飲んだ者という一番広い範囲があります。これを飲んだ者の中には、泥酔者もあるし、ここでいうめいてい者もおるし、それからちょっと酒気を帯びたというようなのもありますし、それからさっぱり、かえって頭がよくなっておるというようなのもあるわけであります。そういう酒を飲んだ人間というものの内訳として、ある段階でおそれのあるところまで進んだやつはめいてい者という、もう正常な判断能力をその中で失った者を泥酔者というというふうに、当然これは――私、裁判所でありませんから、そこまで言い切るわけに参りませんけれども、この立法の趣旨はそういうふうに解釈されるべきものだろうというふうに私は考えておるわけであります。
#201
○小笠原二三男君 そうすると、めいてい者というのは、あなたのおっしゃったように、泥酔者、泥酔の極も含むのでなくて、やはり正常な判断力、意思力はまだ保持している、そういう行動に及んでも保持しているのだ、その範囲のものだということですか。もう心神もうろうとなった者もめいてい者だ、こういうことですか。
#202
○政府委員(柏村信雄君) 私申しますのは、正常な判断能力を持っておっても、正常な行為を行なえないおそれのある者、以上の者は全部含むと、従って、もう泥酔者も含むと、心神耗弱者も、心神喪失者も含むと、だから、ただ酒を飲んだという中で、今度は酒に酔っておる者という段階をつけて、これ以上は酔っておるのだと、酔いが強くなると最後心神喪失までいくと、その広い範囲のものをめいてい者と、こういうふうに観念するという立法の趣旨だろうと私は考えております。
#203
○小笠原二三男君 それでは刑事局長に伺いますが、これを読んで、そういう解釈が正しい、それでいいのだということでございますか。
#204
○政府委員(竹内寿平君) 私は先ほどお答え申し上げましたように考えておるのでございますが、この問題は、私ももう少しこれは詰めて議論をしてみた方がいい大事なところじゃないかと思っておるのでございますが、この点につきまして、立案をされた方々のお考え方などを十分伺う機会を私、持っておりませんので、ただ法文を見たままでお答えを申しておるわけでございますが、先ほどもちょっと解れましたように、法律観念ではございますけれども、その実体を成すものはやはり医学的な考え方を入れないと十分に説明できないと思うのでございます。私の法律的な見方を申し上げたのでございますが、警職法の三条の保護の規定を見ますると、「でい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」と、こうなっておりますし、それから本法案の第三条の保護の規定を見ますと、めいてい者が公共の場所または公共の乗物において、「粗野又は乱暴な言動をしている場合」、この二つを並べてみますと、そこにめいてい者と泥酔者が同じ範疇のものだということは、ちょっと、そうも言えるのかもしれませんが、この法文の体裁から相互の法律の関係を注視してみますると、やはり泥酔の方がめいていよりも程度の高いものをさしているのじゃないかというふうに解せられるのでございまして、そういうふうに申し上げた次第でございまして、警察庁長官の考えが違っているとか、私の方が正しいとかということを申し上げるには、もう少し時間をいただきまして、詰めて考え方をもう少し研究した上でないと、正確にはお答えできないわけでございます。
#205
○小笠原二三男君 だから私、問題とする点は、警職法の第三条では、まず泥酔者であること、泥酔しておる者、しかも、これが「自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」、相当これは程度の強いものです。泥酔者でありながら、これほどの者でなければ、これは保護できない。ところが一方、第三条の方は、めいてい者である。それよりも軽い、しかも、粗野な乱暴な言動、それだけで保護される。ところが泥酔の方は、粗野な言動があっても保護はされない。いいですか、警察庁長官、泥酔者とめいてい者とが別なんだということになると、泥酔者は生命、財産に危害を及ぼすおそれがあるというときだけがこれは何とかされる。ところが、めいてい者の方は、粗野な言動があっただけでそれはもう保護される。私は矛盾をどうも感ずる、矛盾を。うんと酔っぱらって、心神喪失に近い者の方は、生命、財産に危害を及ぼすおそれがあるという急迫しておるという事態において初めて何とかされる。ところが、めいてい者の方は、粗野な言動、出すべからざるものを出す、言うべからざるものを言うただけで保護されちまう。だから私は、そのことであっていいと思うのですよ、いいのですが、従来からのこの法律の体系からいうて、どうもこの点はどっちかをどうにかしなくちゃいかぬのでないかという感じを持つ。
 それで、もう一度お尋ねしますが、では、別な方面からお尋ねしますが、さっきも触れたこの四条について、めいてい者だけが公衆に迷惑をかけるような言動だけで、粗野な、乱暴な言動だけで拘留される、科料に処せられる。めいてい者でない者は拘留にも科料にも処せられない。
 それから軽犯罪法によれば、正常な人間であろうが、酔っぱらいであろうが、これは現に実体として迷惑をかけたということによって罰せられる。これはどういうことですか。全然正常な者で迷惑をかけるような言動が幾らあっても、それはかけるような状態においてはどうにもならない。めいてい者であればそれはいける、泥酔者であればこれは罰せられない。泥酔とめいていは別なんだ。泥酔者であれば罰せられない。しかも、軽犯罪法の方は、かけた者に限ってやる。だから、この点の矛盾があるのではないかということを長官にお尋ねしたいし、その裁判所の方の関係で、迷惑をかけるような粗野な言動、乱暴な言動というものを立証することができるか、法廷で。これは警察官の認定だけでやるわけですからね。そういう迷惑をかけるような状態にあったかなかったかということが立証できるか、裁判所へ出て。その点をまあ刑事局長の方にお尋ねします。前者は警察庁長官……。
#206
○政府委員(柏村信雄君) 私は、先ほど申し上げましたように、この法文を通読いたしまして、めいてい者の中には泥酔者を含むというふうに解すべきものと思っておるわけでございます。
 なお、従来の道路交通――今度は道交法となりましたが、前の改正前の道路交通取締法におきましても、第七条の二項三号に「前号の外、酒に酔いその他正常な運転ができない虞があるにかかわらず、諸車又は軌道車を運転すること。」ということで、これは当然泥酔して、酔っておる者も、この規定で処罰を受けておる例もたくさんあるわけでございます。私はやはり泥酔者はめいてい者の中に含むという考え方の立法の趣旨であろうというふうに思いまするから、そういう意味において、第四条の罪を犯した者は、酔いの度が強いから免れる、泥酔に至ったら免れるというものではないというように考えます。
 それから軽犯罪法においては、迷惑をかけた者を罰する、迷惑をかけるような言動をしただけでは直ちには該当しないが、今度の法案によれば、それは処罰の対象になるということでございますが、元来、この法案が、酔っぱらいというものを、酔っぱらいで他人に迷惑をかける、公衆に迷惑をかけるというような行為をできるだけこの社会からなくしていこうという強い意図をもって作られるということでありますために、軽犯罪法よりも、酒を飲んだ者については強く規制をする態勢をとっておるということであろうと思うわけでございます。
#207
○政府委員(竹内寿平君) 四条の「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動」、この認定をだれがするかという御質問でございましたが、先ほども法制局の方から御答弁がありましたように、これは一つの犯罪でございまして、その犯罪の構成要件を満たす言動であったかどうかということの最終認定は裁判所がいたすわけでございます。しかしながら、当初これがそれに当たるかどうかという容疑をかけて捜査をいたすのでございまして、警察官は今のような言動があるという一応の容疑のもとに四条の犯罪の捜査に当たるものと、かように考えるのでございます。しかしながら、最終的には裁判所がその言動があったかどうかということを判断するというふうに理解をいたすのでございます。そして、そういうようなことは証明することが困難ではないかという御質問でございますが、これはその言動の内容をなしておる事柄でございまして、いやしくも犯罪に当たるという容疑のもとに訴追を必要とする案件でありますならば、これは検察官においてこのような事実を証明する職責があるわけでございまして、当然証拠によってこれを立証することになるかと思います。
#208
○小笠原二三男君 そこで問題になる点は、警察官はその処罰すべき容疑のあるような者はまず一番先に保護するわけです。そういう者は当然保護する。そして保護している間に、立件すると申しますか、拘留、科料、こういうことに至る手続をとると、こうなると思う。放しておいてあとで犯罪捜査をして引っぱてくるというようなことではない。保護し、保護をするのに、異常の行為があったので、そのまま今度はまあ俗にいうひっくくるということになるわけです。だから、警察官は保護するものやら、あるいは取り締まるものやら、この点は不明確になってくる、同じ行為の中で。まず拘留、科料のところまでいくために保護室へ持っていくのか、純然たる保護のために置いて放すのか、この点は警察官の任意です、これは。任意、実体としては。だから、この酔っぱらった人が警察官に対してちょっと言動が激しくなるという、向こうへいくおそれがある。四条までいくおそれがある。この点は私警戒されなくちゃならぬと思うんですが、警察庁長官のお話しになりましたこの問題とは離れて、酔っぱらった者の行為を特段に規制するのだ、正常な者の行為はそれより軽いのだ、そういう論理になる、長官の話だと。酔っぱらった者が公衆に迷惑をかけるような粗野な言動をやるからこれは処罰する。正常な者が、酔っぱらっていないから公衆に迷惑をかけるような粗野な言動があっても罰しないんだと、こういうことなんです。これで法秩序といいますか、そういうことが成り立つのか成り立たぬのか、これは刑事局長に伺います。
#209
○政府委員(竹内寿平君) 正常な酒に酔っていない者が公共の場所等において公衆に迷惑をかけるような粗野な乱暴なことをしたと、こういう場合に罰することができるかどうかという点でございますが、これは現行法のもとでは罰すべき規定がないわけでございまして、これは罰することができないと解します。めいてい者がそれをした場合には四条でいく。それから逆に「迷惑をかけるような」ではなくて、迷惑をかけたということで、その場合にはこれは正常な者も罰するのが現行法の建前でございます。
#210
○小笠原二三男君 だから、それでいいのかということを聞いている。それでいいのか。
#211
○政府委員(竹内寿平君) それでいいのかということになりますと、立案者に一つ質問を願いたいと思うんです。
#212
○小笠原二三男君 いや、刑法なり何なり一切そういうものを扱ってその社会秩序を維持しようという義務からいって、そういうことがいいのかどうかということです。
#213
○政府委員(竹内寿平君) 御質問に十分お答えはできないと思うのでございますが、酒に酔っているということが一つの悪い事実、そういう意味において、普通の人ならば罰せられない行為でありましても、酒に酔っているがゆえに罰せられるというのが四条の趣旨であろうかと思います。いろいろ道交法などにおいても、特にめいてい者がある種の違反を犯しますと、一そう重く罰するというような規定もございまして、めいてい者、酔っている者が行為をしたというところにその処罰の価値を特に認めて第四条は規定されたものというふうに理解をするわけでございまして、それじゃめいていでない者はいいのかというまあ反論に対しましては、もちろんこの公衆に迷惑をかけていいという人は一人もないと思いますが、これは刑法で現段階では律する性質のものじゃなくて、社会公衆道徳といいますか、そういったような社会規範によって律すべきものであるというふうに考えているのでございます。
#214
○小笠原二三男君 私、その点はちょっとふに落ちぬのです。出すべからざるものを出して歩いて、それが正常な人間であれば公衆に迷惑をかけてもよろしい、この社会は許す。――黙っていなさい。そんなことを言うならば反対の方へ回るよ。何ぼこれを支持しようと思っても、法体系として不備な点があったら、率直に直して、きちっとしたものにしてやらなかったら国民は迷惑しますよ。そういう意味で聞いている。ただ、やりたいからといってやったからといったって、これは地方行政委員会だからいいけれども、法務委員会などへいってやったらもっとめんどうな議論になるだろうと思うんですよ。それは飲酒、めいてい者、泥酔も含むそうだが、泥酔でもない、おそれのある状態で、また平然としている、そういうような者でも、「公衆に迷惑をかけるような」、「ような」ことでも罰せられる。それに「公衆に迷惑をかける」ということにしておいたら、アブノーマルな意思でなくて、正常な意思を持っている成人がそういう行為に及んだ者を、及ぼうとする者を、おそれのある者を何ら規制できないということは、これはおかしいという考え方を持たざるを得ない。社会生活を正常に維持していく上からいえば、そういうことをまあ私考える。
 それから第六条ですが、これは警察庁長官にお伺いするが、ここに「酩酊者」とありますが、「酩酊者」をこれを取ってしまったら、この警察官職務執行法は働かないのですか、働きますか。
#215
○政府委員(柏村信雄君) これは先ほど申しましたように、めいてい者であるなしにかかわらず、こういう危険が切迫しているときには立ち入ることができるというのが警職法六条の規定でございます。従いまして、「酩酊者」を取って動かないものではございません。
#216
○小笠原二三男君 ですから、そういう意味でですね。この警職法の規定とこの第六条とを見比べてみると、わざわざこうしためいてい者が、こういう場合において、諸般の状況から判断して必要があると認めるときは、初めてこの執行法が働くというようなことは、これは条文でない、現行法でもうやれることではないか。めいてい者であろうがなかろうが、やるべきことではないか。私はこれは、第六条は、ことさらにめいてい者だけこう抜き出してやるということは、逆に職務執行法の方は他に働かないか、あるいは現在まで働いておらぬからこういう規定を特に設けるのだという提案者の趣旨になるのか、いずれかだろうと思うのです。警察庁長官として、こういう職務執行法というものが厳然とあるにもかかわらず、なお第六条でこういう規定をされて、職務執行法を援用するのだということで、それでよろしゅうござんすということになるのですか。
#217
○政府委員(柏村信雄君) この点は、先ほど申しましたように、新しい規定と従来の規定を、すべてめいてい者に関して一括して、この法案をお作りになったという御趣旨だろうとそんたくするわけでございますが、この第六条の規定は、警職法六条にプラスもせずマイナスもせずというものでございますので、まあ純粋に法律的にいえば、なくてもいいものであるということは言えるかと思いますが、特にこれがあってはじゃまになるということではございませんので、プラスもマイナスもないという意味において……。
#218
○小笠原二三男君 何を言っているのか。
#219
○政府委員(柏村信雄君) いや、これは法律の規定としてはプラスもマイナスもない。ただ、めいてい者に関して総合的にこういう法案をお作りになるということで、一目してわかるというような意味においてお作りになった趣旨だろうと私は理解しております。
#220
○小笠原二三男君 警察庁長官の理解はわかったが、屋上屋を重ねてこういう条文を方々の法律に同じものを入れておくなんという例があるのですか。ひんぱんにあるのですか。法律が現行法にあるなら、あるものを生かし、働かしたらいいじゃないですか。プラスもマイナスもないものを……。
#221
○法制局参事(腰原仁君) 提案にあたっての補助をいたしました私どもの立場からお答えをいたしたいと思います。全体を通じまして、中には、たとえば六条、九条、六条は立ち入りが警職法でできることを一応念のために書いたものです。九条は生活保護法十五条に規定してある医療扶助の規定の適用できるものについては、これはできるということを書いたものでありまして、その他のまあ目的は別といたしまして、それぞれ先ほどからお話ありましたように、二条は節度ある飲酒についての国民の務めということで新しく規定いたしたものでございます。また、三条は、当初警察庁長官の方からお話ありましたように、警職法の部分、警察官職務執行法の面よりも要件において広いものもありますし、また保護の時間におきましても制限を加えておる等、その他四条の罰則におきましては、軽犯罪法の規定のうち一条の五号のみならず、たとえば十三号とか二十八号とか、こういった規定を総合的に見まして、それに当たらないものもここで酔っぱらいの言動の、酔っぱらいの特殊性にかんがみまして、ここにまあピックアップ、抜き出して規定したのであります。それと第五条は新しく入れたものでございまして、第七条、八条も従来なかったものであります。まあ、しさいに見ますと要件が非常にわずか違っておる関係上、おおむね同じというような印象を抱いたかとも思いますけれども、こまかいことを申しますれば、ただいままでのお話で、ただあちこちにあったものをただ一緒にまとめたというだけのものではないので、その点一つ御理解願っていただきたいと思います。
#222
○小笠原二三男君 だから、この第六条というのは、提案補助者としては、警職法の第六条においてはだめなのか、第六条を設けなければならぬ、そういう理由を認めておるわけですか。長官はプラス、マイナス何もない。はっきりこれは珍しく長官として言明しておられる。
#223
○法制局参事(腰原仁君) 第六条の立ち入りにつきましては、この住居内に入ります場合は、警察官職務執行法六条一項の規定による立ち入りでございまして、その立ち入りの権限は警職法の六条の規定の権限と同じことでございます。ただ、これによりまして、酒癖の悪いようなめいてい者が、その同居の親族等に危害を加えようとしておる場合には、場合によっては、と申しますのは、警察官職務執行法の要件を満たす場合には、入ることができるということを反射的にと申しますか、そういうことがあるということを知らせる意味においては意味があると思いますが、そういう意味で長官もおっしゃられたと思いまして、法律的にこれがなければできないかということになりますと、これはなくてもできるであろうと、純粋法律的に考えればそう言える、そういう意味のことを長官はおっしゃられたのであろうと思います。
#224
○委員外議員(藤原道子君) この六条の点につきましては、まず私たち提案者といたしまして考えましたことは、最近酔っぱらいによる家庭悲劇、こういうものは日常の新聞を見ていただけばすでに明確なように、目に余るものがあるわけでございます。そのために子が親を殺し、親が子を殺すというような実態は御案内の通り、あるいは生活保護法でもらう金すらもおやじさんが飲んでしまう、あるいは内職の金も飲んでしまう、とのために東京都あたりでは、何とかして別れようと思っても、そうしたおやじさんは別れないわけです。東京都では、一応その妻子を保護しようという案が出たわけでございます。それはむしろ本末転倒ではないか。トラを野に放っておいて被害者をおりへ入れる、こんなばかなことはない、こういうことでこれはいろいろと苦労いたしました結果、警職法にはあるけれども、これが一般化されていない。訴えることも知らない。それでただおろおろして人命に損失を来たすというような場合があまりに多過ぎるので、ここに私たちはぜひこれを入れたいというのが提案者のこの条文を入れました趣旨でございます。
 それから、酔っている場合は酒の勢いで行為が倍化されるおそれがある、これはもちろん現状でございまして、昔からなま酔い本性たがわずといって、相当わかっていても平素のうらみのある者、不平のある者、これらに酔った勢いでからみついて、そして失敗すれば、あれは酒の上だった、こういうことでどれだけ迷惑をこうむっているか、これははかり知れないものがあると思います。ほんとうに酔っていて何もわからないでやった人というのはあまりないんじゃないかと、私はそう思うわけでございます。
 そういうわけで、この法案の提案となったわけでございますが、正常な者が罰せられないで、ということに対しましては、正常な人は、警職法なり軽犯罪法ですか――と同時に、正常な人が、まさかそんなおかしな行為というものは、常識で、あまりやらないんじゃないかと提案者は思うわけでございまして、酔っぱらい天国、酒の上のことは何でも許す、こういう昔からの慣習を、近代国家ならばぜひこの際改めていただきたい。これも私どもの願いの一つであるわけでございます。従いまして、これは、酒に酔っての上の行為をここに法律化したわけでございますから、正常な人のことまでは入っていない。これは他の法律で罰せられるであろう、こう思うわけでございまして、至らない点は、私たちもしろうとでございまして、多々あろうと思いますが、私どもの立法の考え方、基礎になるものは以上申し上げたようなことでございまして、何とぞ御理解を賜わりたいと思うわけでございます。
 さらに、六条をここに出すのは二重じゃないかというお言葉でございますが、まさにそういう感じもないではございませんが、以上のような理由と、さらにまた、何といいますか、いろいろなほかの法律にもこういう例があるように思うのでございます。企業合理化促進法ですか、これらにもやはりこういうことが取り上げられているように思うわけでございまして、その点はどうぞ皆様の御理解をいただきまして、可及的すみやかにこの法案の御決定をお願いいたしたいとお願いするわけでございます。
#225
○小笠原二三男君 私は賛成者ですということを言っているので、そういう目に余る点もよくわかる。しかし、法律というものは、放していったら客観的に動くものなんですから、あなたたちが同情によって、こうもしたい、ああもしたい――ところが、これはこの条文によってだけ動いていくのですから、従って、私は、さっきから言うように、吟味して議論を進めている。しろうとの提案者でなくて、ほんとうのこの法を動かす方でどう考えるかということが最も大事なことですからお尋ねしているわけなんです。それで、刑法なら刑法にあるものを、そのまま、軽犯罪法なり、あるいはその他の法律なりに移しかえてきて、そうしてこれも必要だから、プラス、マナイスはないけれども、これは置くんだ、こういうようなことは、これはノーマルですか。これは警察庁長官でも、刑事局長でもよろしい、お尋ねしたい。
#226
○政府委員(竹内寿平君) この法律で、全く寄せ集めの条文をここに並べたというような御意見も先ほど来あったわけでございますが、私はそうは思わないので、構成要件も違っておりますし、軽犯罪の中で、特に罪質としましては軽犯罪だと思います。四条のごときは軽犯罪だと思いますが、この軽犯罪の中で、めいてい者の行為ということをクローズ・アップして、その罰則も強化するほかに、そういう者を保護し、さらに治療するといった一連の体系的な法律としてここに出ているように私は理解するのでございまして、単純な、ばらばらと現行法の中にあるものをかき集めてきてやったというふうにこの法律を理解はいたさないものでございます。もちろん、法律解釈上、若干まだ私どもとしましては、他の法律との関係におきまして、理解の行き届かない点もあって、答弁にそごがあったかと思いますが、法律全体としましては、それはそれなりに一つの目的を示した法案であると思います。
#227
○小笠原二三男君 それではこの点は一応おいて、時間をせき立てられておりますので、最後に一点だけ伺いますがね。それは三条と四条の関係です。三条では公衆の面前ではあるわけですが、粗野または乱暴な言動をしている、その場合は保護される。ところが、四条では、公衆に迷惑をかけるような粗野な、または乱暴な言動をしたときには罰せられる。粗野な言動、乱暴な言動、これが、公衆の面前において、程度の差はあっても行なわれたら、それは公衆に迷惑をかけるような行為ではないのですか。公衆に迷惑をかけない粗野な言動、あるいは乱暴な言動、そういうものが実態としてあるのですか、また、逆に言うならば、公衆に迷惑をかけるような粗野な言動というものが別格にあるのだとなれば、保護される程度の粗野または乱暴な言動というものは、ほんのかすかなもの、それでももうすぐ引っぱって保護するのだ――だから私は、この「粗野」とか「乱暴」とかは、公衆の面前、こういう「乗物」とかなんとか、はっきり場所的に規定されておる所でそういうことが行なわれる自体が、公衆に迷惑をかけた行為か、かける行為か、あるいはかけるような行動であるのだ、もうそれは。そう私は思う。分別するなら、これをどういうふうに分別するのですか。保護する部分と、科料、拘留に処する部分と、これが明快に分別できるのですか、この点まず伺いたい。
#228
○政府委員(柏村信雄君) 三条に規定いたしております「粗野又は乱暴な言動をしている場合において」というのと、第四条における「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、」というのは、文面におきましては、きびしさが若干違うということは言えるかと思いますが、「粗野又は乱暴な言動をしている」ということは、とりもなおさず公衆に迷惑をかけるような行為であろうと私は理解いたします。ただ、この場合、本人のため応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由があると認められるときは、保護するわけでございますので、その粗野または乱暴な言動をしているから直ちに保護するということではないのでありまして、本人のために保護することが必要である。先ほど椿委員から御質問がありましたときに申し上げましたように、そういう場合に、本人のため必要がある、応急の必要があるときには保護する。しかし、保護までいかないで、引き渡す人があれば引き渡すというようなことをやることができる、やらなければならないということに三条は規定をしておるわけでございまして、第四条におきましては、「著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」、これは刑罰規定でございます。従いまして、本人のために応急の救護を要するので保護する場合におきまして、第四条にかからない場合もあり得るわけですが、かかる場合も相当多いわけです。それから第四条の拘留または科料に処した場合でも、保護しない場合は非常に多くあり得るわけです。この第三条は、本人のための応急の救護のための保護でございますから、同じような条件になった場合で両方競合する場合もございますけれども、一方だけが動いていく場合も相当にあるということになるわけでございます。
#229
○小笠原二三男君 だから、第四条では、著しく公衆に迷惑をかけるような行為、ところが、第三条も、あなたの解釈であれば、ただ単に粗野な言動があるだけでは保護しないのだ。「本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由がある」のだ。と、その相当な理由のある程度の粗野な言動をしておるめいてい者なら、それは公衆に著しく迷惑をかける行為に及んでいる程度の者があるわけだ。だから、保護される者もあればこれは拘留、科料で取り締まられる者もある。だから、第三条では本人のためなどといっておる、応急の救護などといっておるが、そうではなくて公衆のため、応急の取り締まりのために、これは引っぱっていかなくちゃならないという者もあるわけだ、この三条の中でね。あなたが言うように、著しく粗野な言動や何かが三条だってなきゃならない。それで放置できないのでそれは本人を保護し家族に引き渡す。一方は本人を拘留、科料の方に持っていく。条件的にはこの三条も四条も分別できないという程度のものではないのか。ただ単に粗野な言動ではないのだ、相当な理由があるのだ、本人をもう保護しなくちゃならぬ程度のものであるというのなら、それは公衆に厳然として迷惑をかけるような行為に及んだものだ。だから、私は酔っぱらいを自粛自戒させ、云々させるという意味でこの法の趣旨に賛成したものではありますが、正常な人間であっても処罰されざる行為、しかも一方、保護されるかもしれないが、科料にも処せられるかもしれない行為、こういうものを分別して取り締まっていこうという四条の規定はこれは過ぎたものではないだろうか。いわゆる保護の規定を発動させて、三条の規定を発動させて、それでこの酔っぱらいを防止するということの効果が繰り返し繰り返し行なわれたらそれでいいのじゃないか。あと全体の法体系の矛盾はこれで解消されるのではないかというふうにだんだん質問をしてきたら考えられる。軽犯罪で罰を加えるような行為は保護される行為でもある。だから、これは保護をする段階にとどめ、この処罰規定というものはなくてもこの法の趣旨にかなうのではないだろうか、そしていろいろな混淆が起こらぬのではないだろうか、こういう感じをだんだん持ってきたのですがね。警察庁長官、どうですか。刑事局長どうですか。
#230
○政府委員(柏村信雄君) 第三条の規定は、「粗野又は乱暴な言動をしている場合において」ということが一つのしぼりになっておりますが、あくまでも先ほど来申し上げておりますように、本人のため応急の救護を要するということで、人に迷惑をかけているが本人のためには心配ないというような者を強制的に保護するという規定ではないのでございまして、本人が非常に酔っておってむちゃなことをしておる、このままにしておいたらどこか川にでも落ちやせんか、その辺のごろつきや何かとけんかして身の危険がありはせぬかというような場合、ほとんど警職法の三条に該当するような場合にこの規定は動いていくというふうにわれわれは考えておるわけでございます。従って、人に迷惑をかけるからこいつを引っぱってきて、いわゆる懲罰的な意味において保護収容するという規定ではないのでありまして、あくまでも本人のために応急の救護を要するというときに保護するという規定であります。そういう意味で四条と並行する場合もあるが、一方だけ動いていく場合もある。今のお話は、けしからぬやつは保護で引っぱっていって、だんだん四条、五条に結びつけていくのではないかというような御趣旨に承ったのですが、三条はそういう意味では動かないのでございまして、もしそういうことがどうしても必要な場合といいますか、そういう条件を充足するには、第五条にいきまして、制止も聞かずに著しく迷惑をかけた、警察官の制止も振り切って激しく乱暴するというような者は、一万円以下の罰金に処するという重い刑を科する、こういう場合において、どうしてもこれをその場から隔離しなきゃいかぬという場合においては現行犯逮捕ということも五条の二項によって起こり得るという場合があるのでありますが、三条がそういう刑事目的のために動く規定ではないわけでございますので、これはあくまでも応急の救護を要するという場合の保護ということに相なっているわけでございます。
#231
○政府委員(竹内寿平君) 私は第三条、第四条は、双方とも置いてしかるべき規定だというふうに考えます。第三条は、長官からもお話がございましたように、保護の規定でございます。酔っている人をさましてやろう、こういうだけの話であります。しかし、そういう行為が放っておいてはまたくせになるというようなこともあろうと思います、事案によりましては。そういう者に適当な処罰を加えていくということは、これまた一般社会のために効果を持つものでございまして、単に保護するだけでしり切れトンボにならないで、場合によっては、その行為に対して適正な処罰を加えていくというような趣旨におきましても、この三条、四条は、それぞれその意味を持った規定だと私は考えるわけでございます。特に、先ほど四条の方には相当しぼりがかかってきているが、三条の方には乱暴な言動をしている場合ということだけに――その点においては条件が緩和されているわけでございまして、おそらく大部分は公衆に迷惑をかけるような粗野な言動、こういうことになると思うのでありますけれども、罰を加えるという場合には、それがなぜ罰せられるのかということを構成要件といたしまして、明確にしておかなければならないのでありますが、保護するという目的から申しますと、暗やみの中で、公園の中で寝そべっているというような、人には何も迷惑をかけておらないけれども、とにかく公園の中でそういう酔ぱらってそういう態度をとっておるということになれば、これは保護してやるという必要はあろうかと思います。少しも公衆に迷惑がかかっていない、自分だけそうやっているというような、もし夜などに人の目につかないような場所でそういうことになっているということになりますと、それには罰を加える必要はない、保護だけでいいのじゃないかというようなことも、考えとしてはあり得るわけでございます。そこの辺に両者の間にしぼりの差異が設けられておるのじゃないかというふうに私は読んだわけでございます。
#232
○小笠原二三男君 もうこれでやめますが、いろいろ聞いてみてここで御答弁になっておるような程度では、この法律案が成立後、客観的にそういう解釈だけで働くのかどうか、動くのかどうか、この点はたとえば酒に酔っておるものという定義についても、私はまだ疑点が残ります。
 それから第六条について全然異ならない法律が現行法で、しかも、警職法という当面の警察官の行為を規定しているものの中にあるのに、こういうまた条文の表現で六条を設けるということはいかがかという感じを持ちます。また三条、四条のそれについても、これは動かし方いかんによっては、幅が広くもなれば狭くもなる、実際やってみなければどういうことになるのやら判断がつかないということもあるようであります。これらの点が各委員において十分はっきりされて、いささかも不明なことのないように、そしてまた、この法の趣旨が盛られるように私としては委員各位の努力をお願いしたい。
 ただ十条で、私、いつでも言うのですが、これは日本語の通弊なのでしょうか、法律用語なのでしょうか、国民の権利を侵害しないということが、いささかでももうやったらあかんぞということになると思うのに、これにわざわざモディファイして「不当に侵害しない」ということによって、それは程度によるのだという解釈になる、こういう法律表現は私はけしからぬと思っている、しろうと論として。侵害ということは不当なんです。だから、不当に侵害しない。正当に侵害するということはあり得ない。だから、不当に侵害しないということになる、これはしろうと論議ですよ。不当なんという言葉を特段につけないと、侵害があいまいになるのかならぬのか、私はこれで言うておるのですがね、どういうものなんでしょうか。提案者に説明してもらいたい。
#233
○法制局参事(腰原仁君) 十条にございます「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」、これは実は先ほど来お話にありますように、軽犯罪法におきましてもございますし、その他同種のあれがまま言葉通りではございませんが、こういうようなときに、適用上の注意としてございますので、その例に従ったのでございまして、特に不当に侵害しないということにつきまして、そうことさらに特別な考えを持ってわれわれは事に当たったのではございません。
#234
○小笠原二三男君 私はね、国民の権利義務を規定するこういうような条文は、やはり不当というような言葉が先に出ると、その程度いかんということで、不当であったかなかったかということで議論をする、あるいは行政解釈を都合よくやる、こういう例があり得ると思う。私は、その立法例がそうなっておるというそれ自身に常に疑問を持つ。十一年国会にいるうちに、何回かこのことを議論したことがある。侵害しないといったら、いささかも侵害しないという意味にとれると思う。不当にとなれば、程度の著しい侵害をいうことに解釈されるおそれがある。こういうものは言葉として取り除くことができるものかできないものか、刑事局長に伺いたい。
#235
○政府委員(竹内寿平君) 十条の規定は、運用者に対する訓示規定と私は理解をするわけでございますが、文字をそのまま読みますと、ただいま御質問のようないろいろ御疑念が出るかと思いますが、侵害というのは、客観的な侵害というように、そういったような客観的な侵害が起こらないようにということを執行官に対して訓示しておる規定だと理解いたします。これは反面、裏返しますと、執行官の法の執行は、常に適法なる執行でなければならぬ。それはこういう規定がございませんでも、当然そういうふうに私どもは理解するわけでございますが、さらに十条は、一方において侵害してはいかぬということを注意するとともに、他面、その行動はこの法律にのっとってやった場合に適法な行動であるということを反面言っている、そういう趣旨に十条というものを読んでいるわけでございまして、御指摘のような多くのこの種の国民の権利に関係あります法律、刑罰法令あるいはこの種の強制力を伴う行政法令につきましては、こういう規定を置くことによりまして、執行官の妥当なる運用を期するという立法者の意思が現われているというふうに考えているわけでございまして、これを不要だ――法律の運用といたしましては、これがないからといって不当の侵害をしていいということではないと思うのでありまして、この点は最近の立法例におきましては、ほとんど例外なくこういう規定が置かれているように思うのであります。
#236
○小笠原二三男君 私の聞いているのは、不当という言葉を取ったらいいじゃないかということです。
#237
○椿繁夫君 一言だけ。第二部長ですか、あなたが提案の補助者として、私は先ほどの刑事局長の御説明を聞いて、なお、やはり得心ができませんのは、軽犯罪法第一条の五号の問題と本法四条の関係の点であります。軽犯罪法の一項では、明らかに他人に迷惑をかけた者でないと罰せられない、しかるに、本法の場合には、酒をちょっと飲んでいるというような状態で罰せられるというように小笠原委員から御指摘がありましたが、この問題はどうも、すべて国民は法の前に平等でなければならぬ、それがこういう差別を受けるというような、これが法律になって差しつかえないのだということの答弁をもう一回してみて下さい。
#238
○法制局参事(腰原仁君) ただいま御質問がありました軽犯罪法においては、著しく粗野もしくは乱暴な言動で迷惑をかけた者に限って処罰する、四条は酒を飲んで迷惑をかけるようなことだけで拘留または科料に処する、こういうふうにうかがえたのですが、これはめいてい者が著しく粗野または乱暴な言動をしたその言動に着眼しまして、拘留、科料に処するのでありまして、酒を飲んで迷惑をかけるような、酒を飲んだことだけで罰するのはいかがかというような意味に私にはうかがえたのでございますが、酒を飲んで酔っぱらって公然と町を歩いている、公共の場所あるいは乗物にいる、それがいけないという趣旨ではないのでありまして、あくまでも著しく粗野または乱暴な言動をしたときは、拘留、科料に処する、こういう趣旨でございます。そういうつもりで私ども了解しておりますので……。
#239
○椿繁夫君 そういうことを聞いているのじゃないのです。軽犯罪法第一条の五号は、酒に酔うていない正常な判断なり行為なりできる人の場合は、具体的に現実に多くの人に公共の場所で迷惑をかけたときでないと罰せられない。しかるに、本法の四条では、めいてい者であれば、めいていしておれば、迷惑をかけないでも、かけるような状態で罰せられる。こういうことは法の前にすべての国民が平等であるという建前からもこれは了解できないですよ。もう少し了解のできるようにこれをあなたして下さい。
#240
○法制局参事(腰原仁君) 軽犯罪法は、めいてい者であるかどうかということを問わないで、これは著しく粗野または乱暴な言動で迷惑をかけたということでございます。それからこちらの方は、めいてい者が著しく粗野または乱暴な言動をした。で、正常な者はどうしてしないか、こういう御質問かと思いますが、この法律は、そもそもめいてい者が一定の言動、行為等の場合に、保護するあるいは処罰するということを規定いたしたのでございまして、その辺は正常なものについては、酒を飲まない者については、ここでは当然法律として触れるべきものではないというふうに考えて立案したのでございます。そういうめいてい者のみについての法律でございますので、正常なものについては、この法律で触れるべきではないというような提案者の御趣旨だと思いますので、私ども、そういうふうにこの立案について補助いたした次第でございます。
#241
○小笠原二三男君 警察庁長官は、先ほどの答弁では、第四条においては、めいてい者、泥酔に至らない者でも公衆に迷惑をかけるような粗野な言動等があると罰するのだ、私が一番最初にめいてい者とは何だと言った。その際に、おそれのある状態にある者だ。従って、警察庁長官の言うのには、泥酔者も含まれるが、幅広く、飲んでアルコール分が何%であろうが、正常な行為ができないおそれがある者、警察官の認定だけです、それは現場では。その程度のものを、まだ常識が働き、正常な意思と判断力を持っておる、そういう者だって罰せられるのです。これはよろしいですか、罰せられるのです。軽犯罪法は、酒を飲もうが飲むまいが、正常な判断力と意思を持っておるものとして、行為に及んだときそれは罰せられるのです。それと軽いめいてい者とは何ら関係ない。酔っておるから罰するのだとあなたは言うが酔っておるのだから罰するのだというようなそういう条件の作り方というものに疑義があると言うのだ。法の前にすべての国民は平等なんだというなら、ある状態にあるといっても、めいてい者というものの概念はぐっと幅が広いのですから、そうすれば、それは軽犯罪法で罰せられる正常な人間とこのめいてい者と何ら異ならない、そういう状態の者もある。たとえば、また、そうでなくて、もっと強いものであろうとも、酔っておるとかおらぬとかいうことで罰せられ、あるいは罰則規定がある。警官の言うことを聞かなければ、一万円以下の罰金だという、また特別な措置もとられる、こういうことが、さっきから私何度も言うておるように、法の建前としていいか、いわゆる平等の原則にそむかないのか、この点が法廷で争いになった場合に、法律上これは別なんだ、いいのですと言えるかどうか。刑事局長は最後には、三条も四条も必要なものと認定されて御答弁になったが、私はその点は疑念があったんです。なぜなら、刑事局長の言うのは、それは医学的にめいてい者というものについての概念規定を、その個々において裁判においてやらなくちゃいかぬという、そういうようなものであれば、正常な者とめいてい者とその境のない者はどうなるのか、そういうことを考えると、この立法技術上非常にこれは問題が起こるんじゃないかという心配を私はしろうとなりに持っておる。そのことを椿君が再三聞いておるところなんですよ。今、提案者の趣旨は、何とかしてこういうものを防止しなくちゃならぬということで一ぱいだから、この法律でやったんだから、差しつかえないと言うが、さまざまな法律と比べた場合に、じゃ、これはどうなんだということになると思う。刑事局長、最後にこの点もう一度明快に教えていただきたいですな、わからぬのです。
#242
○政府委員(竹内寿平君) 明快にお答えはなかなか私にもできないと思うのでございますが、ただ、めいてい者を正常者と区別して特別の構成要件を設けますことが、憲法上のいわゆる法の前に平等だという原則に反するかどうかという点につきましては、私は反しないというふうに思うわけでございます。めいてい者というのは、医学的の詳しい議論は私にはもちろんわかりませんが、めいてい者には、酔うほどに、その程度によりまして非常に粗野あるいは乱暴な言動に出るアルコールの中毒症状と申しますか、そういうようなアルコールの作用によってそういう言動に出る、本来そういうものを持った、そういうアルコールを飲んでめいていしておる人でありますので、そういう人たちについて、ある種の人に迷惑をかけるという行動をとらえて、それを正常の人とは区別して罰をつけるということは、決して、法の前に平等だ、平等の原則に反するものではないというふうに考えておるのでございます。
 それからもう一つ、先ほど申し上げました泥酔とめいていの関係でございますが、私十分考えが固まっておらないのでございますが、新道路交通法におきましては、同じような条文でおそらく泥酔状態の者をも含めて解釈するということは、先ほど警察庁長官からお答えになったのでございまして、私もそういうふうに解釈しておる一人でございます。ただ、この警職法との関係におきまして、泥酔という用語を使っておる、この泥酔という用語が学問上の意味の泥酔ということになりますと、先ほど私が一つのある学者の意見として五段階に分けたことを申したわけでございますが、そうなりますと、泥酔というものは相当程度の強い酔った状態を言うようでございますが、あの警職法の「でい酔」という用語も、そういう学問上の内容を背景としたものではなくて、相当酔っているという意味においての法律用語としては、ただ、めいていだということに理解しますならば、私はあえてそこに異を唱えるものではございませんので、両者は泥酔も含めてめいていということを考えていいと思うのでございまして、その点私の言葉の足りなかった、あるいは前に誤って申し上げた点を訂正申し上げておきたいと思います。
#243
○小笠原二三男君 そうすると、この種の程度のものでも処罰されるのですから、第四条の二項にあるような、情状によって云々ということはありますけれども、一応は処罰されるということなんですから、刑法に触れるようなもので、今後はめいてい、泥酔のゆえをもって免責されるとか、あるいは情状酌量されるというようなことはだんだんあり得ないことになってきますね。この程度のものでもこういうふうになるのですから、深酒を飲んだ上の犯行である、情状酌量の余地とか、心神もうろうとしている、そんなことはもう条件にはならぬ、刑法上の犯罪を犯したような者は、なおこの程度のものでももう泥酔者であろうがなんであろうが、心神もうろうとしている者であろうがなんであろうが、こういうおそれがある、そういうようなもので罰せられるのですからね。だから、裁判上のその量刑等にこの種のものの考え方というものは影響していきますのではないのでしょうか。
#244
○政府委員(竹内寿平君) その点はすでに現実の裁判の面におきまして、酒を飲んでいたがゆえに、こういうことをやりましたというようなことは、ほとんどエクスキューズになっていない実情でございます。ただ、先ほども申しましたように、極端な場合に、つまり病的めいていの場合に、刑法三十九条で心神喪失者として無罪の判決を受ける場合があるのでございますが、これは酒の程度が重くなって、極端にただなってしまうというのでなくて、刑法ではあくまで責任主義を貫いておりまして、心神喪失の状態になっております場合には、責任をとらすことができないというので、三十九条で無罪ということになるわけでございまして、そのような場合におきましても、酔う前に自分が酔えば人を殺すかもしれぬというようなことを承知しながら酔ったときは、もう全然病的めいていでわからなかったといたしましても、そういうような行為は、原因において自由な行為ということで処罰されるという、現行法の解釈のもとにおきましても、下級審の裁判でございますが、そういうような例を示したものもあるわけでございまして、刑法の改正準備草案におきましては、その原因において自由な行為ということを法律の中にも書こうというような空気になっておるような状態でございます。従いまして、現行刑法のもとにおいては、酒を飲んだということで加重される規定はございませんけれども、刑の幅が非常に広うございますので、酒を飲んでやったということは、決してエクスキューズにはならないのみならず、かえって情状としては重いというふうな扱いが現実の裁判の傾向になっております。
#245
○委員外議員(市川房枝君) 提案者の一人として、先ほどからの小笠原委員の御質問に関連しまして一言ちょっと申し上げたいと思います。この酔いの程度、めいていというのはどの程度を言うかということが先ほどから問題になっておりましたが、これは私どもが立案する前に、専門家に来ていただきまして、さっき竹内刑事局長がちょっとおっしゃいましたが、いろいろなことを伺ったのです。それから初め、これは酔っぱらいと称しておりましたが、一体どの程度かという御質問をしばしば受けましたし、私どもずいぶん問題にしたのです。それでこの話し合いました結論は、酔うということは、その環境なり、その人の体質によっていろいろな個人差があるわけなのでございます。だから、それをなかなか規定できない。この案は酒の禁止法じゃない。お飲みになってけっこうなんです。それから酔っぱらってもかまわない。ただ、酔っぱらって、そうして先ほどから出ておりまする「粗野又は乱暴な言動」とか、あるいは他人に迷惑をかけるとか、そういう場合にのみそれが保護あるいは科料、拘留、罰金等の対象になるのでございまして、そういう私ども解釈を持っております。だから、酔っぱらっておるというか、めいていしておるという状態は、外見である程度わかるのじゃないかということで、私ども、まあこれでいいだろうというふうに結論をしたわけです。
 それからほかの法律との間で、この法律の方が少し重いじゃないか、平等ではないじゃないかという御意見が出ておりますが、それは私どもはやはり少し重く、初めからそういうことで進んできておりました。これはまあさっき道交法のお話が出ておりましたが、道交法でやはり酒を飲んでいることによって罪は重くなるという規定も出ております。今までは酒に酔って、そうしてしたということで、いろいろな罪が免れておったのでございます。人の迷惑もかまわなかったのでした。そういう現実に対しまして、少し重くなるかもしれぬけれどもということで、こういう法律になったわけであります。今、竹内刑事局長さんからのお話にございましたように、現在の刑法では、酒に酔って犯罪を犯した場合に、これが無罪になる、あるいは減刑になるということになっておりますけれども、しかし、裁判では今お話のようにだんだん変わってきているし、それから昨年の四月に法務省の刑法改正準備会で改正刑法準備草案というものが発表されましたが、その中で、今、竹内刑事局長からお話の、「原因において自由なる行為」ということで、十六条に「罪を犯す意思でみずから精神の障害を招いて罪となるべき事実を生ぜしめた者には前条の規定、すなわち無罪あるいは減刑を適用しない」ということが出ておりまして、だんだん飲酒による犯罪といいますか、行為についての量刑が重くなってくる全体の傾向だということも私ども認識をいたしまして、私どもの考え方が必ずしも現在の法の建前に反しているわけではない、こういう認識のもとに少し重くなっております点を御了承願いたいと思います。
#246
○小笠原二三男君 ちょっと速記とめて。こういうふうに質問もしないのに意見をどしどしおっしゃるなら、もうそれで終わりですから、私の方も質問しませんから、速記とめて下さい、ちょっと懇談したいから。
#247
○委員長(増原恵吉君) 椿さんの発言を……。(椿繁夫君「いや、ちょっと速記残しておいて下さい。」と述ぶ)
#248
○椿繁夫君 どうも、提案者の市川さんからもお話がございましたが、他人に迷惑をかけたとか、公衆に迷惑を及ぼすとかというような者が罰せられるというのなら、私どもも反対するのじゃないのです。ところが、今回のこの法律の場合は、かけようとする者が罰せられる、そういうところに私どもの不満があります。
 それから先ほど懇切な御説明を刑事局長からいただきましたけれども、どうも酒を飲んでおる、しかも、それが一条にいうように、「正常な行為ができないおそれのある状態」のような場合でも特に罰せられるというようなことについて、これは繰り返しませんが、私は立法の技術からいっても大へん問題があるように思うのです。そこで、酒を飲んでおるために、法律の前に平等を主張することができないということが、これはあたりまえだというような御見解があったが、それなら提案者の方に私は望んでおきたいのですが、現在のように無制限に深夜でも酒を業として販売をしておる、こういうようなものについても、思い切った規制措置を私はとるだけの提案者の方に用意がなければいかぬと思うのです。そうでないと、この法律はしり抜けですよ。そういうことについても提案者の方でさらに検討をしていただくことを望んでおきます。
 それからその三条、四条の関連の問題につきましても、なお詳細に提案者の方からも伺いたいのですけれども、私、ちょっと約束の時間がございますので、失礼なんですけれども、中座いたしますので、そういう点について提案者の方で一段の御検討を一つわずらわしたい、このことを望んでおきます。
#249
○加瀬完君 私も賛成者でありますが、この法案が施行されますと、運用のいかんによりましては、まるっきり売春禁止法と同じようなざる法になるおそれがありますので、以下、数点について質問をいたします。
 一つは、警察庁の長官にでございますが、現在の警察官の活動の主点が、今提案者から提案されたようなめいてい者とか泥酔者とか、あるいは既存の法律としてございます軽犯罪の対象者と、こういう者に対する保護、補導というものが重視されておるとは思われない。現状のような警察官の、警察行政のあり方でございましては、どうもこの提案者の御趣旨のような効果を現状において上げ得ないじゃないか、こういう心配を持つわけでございます。この点いかがですか。
#250
○政府委員(柏村信雄君) 先ほどもちょっと統計的に警察の扱った事例等を申し上げたのでございますが、警察といたしましても、こうした警職法の泥酔者保護であるとか、あるいは青少年の補導であるとかいうことにはかなり力を入れておるわけでございます。もちろん、現在が十分責務を完遂しておるというふろに申し上げることはできませんけれども、われわれとしては相当に意を尽くして、配意をしてやっておるつもりでございますが、今度こういう法案が通過いたしました暁におきましては、さらに教養等を徹底して、十分法の趣旨を生かしていくように努力したいと思います。
#251
○加瀬完君 先ほど提案者のお一人である藤原さんが御説明になりましたように、いろいろの家庭悲劇が起こりますね。しかも、これは在方に多い。東京のような大都市では、泥酔者の保護は割合に新しい角度で行なわれておりますが、地方に参りますと、御存じのように各地域の中心都市に、まあ本部駐屯制といいますか、警察署単位に警察官が集中するような形になりまして、あとは在方はパトロールで回るくらいでありまして、従前のような駐在所の制度というのがだんだん弱まっておる。そこで、人間と人間とのつながりで、おやじが泥酔で困って駐在所に相談にいく、それで犯罪が未然に防げたという、人間と人間との関係をつなげるにも、駐在所のいわゆるだんながいないのでつながらないというのが現状なんです。在方までの保護徹底というものを期するならば、もう少し駐在所制度というものを検討して、駐在所の要員というものを多く要求して配置をするという方法をとらなくちゃだめじゃないかと思うのですが、現在の警察行政のあり方は、駐在所がむしろ廃止されて、大きな交番あるいはパトロールに変わってきている。これはこの現在提案されているようないわゆる酔っぱらい法案の法律からいえば、私は法律を助けるものにならないと思うのです。この点どうでしょう。
#252
○政府委員(柏村信雄君) 駐在制度等につきましてはいろいろ装備の近代化であるとかあるいは警察官定数の問題であるとか、いろいろ配置に苦慮しておるわけでございまして、ただいまお話のように、昔から見れば、駐在の数というものはある程度減っていることは事実でございます。そのかわり機動的なパトロールというようなことでそれを補うということが現状でございますけれども、必要な個所に駐在所を現存させるというようなことにつきましては、これをむげに集中主義だけをとっていくという考えは持っておりませんので、必要に応じてもちろん駐在所の整備ということも考えなくちゃならないと思いますけれども、趨勢といたしましては、どうしても機動性を多く持たせて、小さいあるいは区域の駐在というものを廃止していくという趨勢が各府県の大方の動きのように思います。しかし、これは非常に急激にそうなっておるというわけじゃございません。しかし、なお、こういう点についても十分検討いたしたいと考える次第であります。
#253
○加瀬完君 パトロールの通る道というのは、大体そう路地まで入って、駐在巡査が自転車で回るような工合にはいかないと思います。しかも、パトロールが瞬間的に通るのをつかまえて、いろいろ家庭の事情までこまごまとおかみさんが来て相談するという態勢はとれっこない。ですから、何か警備力を強大に集中するためには本部の駐屯制というものがいいかもしれませんけれども、ほんとうの意味の治安というものは今のようなやり方では私はむしろ後退するのではないか。別の委員会でも指摘をしたのですけれども、これが考慮をしていただかなきゃならぬ問題だと思う。
 それからもう一つ、酔っぱらい法というものを厳格にするなら、警察官そのものがもう少し飲酒規制というものをきびしくしていただかなければ、言いにくい言葉ですけれども、いけないと思います。一番、勤務中ですら赤い顔をしているものもないわけではない。自分が酒が好きで酔っぱらいを取り締まるというのはなかなかむずかしい。酒が好きなのはけっこうだけれども、こういう法律が施行される限りにおいては、警察官が飲酒規制というものをきびしくしなければ取り締まりがやはりルーズになる。言いにくいことですけれども、私はそう思うのですが、どうでしょう。
#254
○政府委員(柏村信雄君) 確かに警察官が酒に酔って勤務を怠り、あるいは十分な責任を果たし得ないという場合も間々あることでございまして、こういう点については、従来とも注意を喚起するように努めておったわけでございますが、今度のような法案ができます機会には、取り締まりの態勢と申しますか、そのやり方の指導ということはもちろんでございますけれども、何と申しましても、ただいまお話のように、取り締まる者に欠陥がないようにするということが根本だと思います。従いまして、そういう点についても、これは従来とも注意をしてきたところでございますが、今後一そう注意をしたいと思うわけでございます。
 それから先ほどお話の家庭の相談相手になかなかなりにくいと、駐在がいないということによって。それは確かにそうだと思いますが、まあ前の駐在のよさというものは、そういうだんなとして各家庭の状況までよく知って指導していくというようなあたたかい農村風景というようなこともあったと思いますが、それはそれとして残さなければいけませんが、同時にまた、社会の進展に伴って、あまり家庭の中まで警察官が干渉していく、相談に応ずるのはよろしゅうございますが、できるならばこういう六条の規定なども動かさないで済むような世の中になっていくという――一般の社会教育といいますか、ということが必要ではないか。機動性といいましても、単に警備力の強化のための機動性ではなくて、たとえば犯罪捜査というようなことについても、装備その他の技術を十分活用して、駐在所だけにたよらないで、本部からもすぐ飛び出していけるというような態勢が、全体の犯罪対策としては、望ましい面も非常に多いわけであります。ただ、先ほどお話のように、御趣旨もごもっともな点、重々あるわけでございますので、その点はそれとして私ども考えて参ります。
#255
○加瀬完君 やはり長官、語るに落ちるといいますか、どうも犯罪ということだけが第一義的に頭にあり過ぎると思うのです。犯罪以前の環境浄化といいますか、平和の維持といいますか、治安の維持といいますか、こういうものに果たす警察官の役割というものも、保安関係というのでございましょうか、重視してもらわなければ困ると思うのです。犯罪ができて、犯罪の検挙にスピードが上がるよりも、犯罪ができない社会秩序の維持に警察官が大きな役割をするということの方が、私はむしろ本質だと思うのです。そういう意味で、駐在巡査の役割というものを、もう少し新しい近代的な意味で、強化し直す必要があるのじゃないかと思うわけでございます。
 それから、これが警察官のやり方によって、ざる法になると思われるのは、たとえば現状でも、未成年の飲酒については禁止されておる、法律的に。しかし、未成年は巷に飲酒した姿であふれている。しかし、警察官が完全にこれを保護あるいは補導しているかというと、何といいますか、非常に等閑視しているといいますか、さわらぬ神にたたりなしといいますか、あまりさわらない、こういう現状を目撃しておりますと、未成年の飲酒について、現在どのように警察はおやりになっておるか。法律で禁止されておるものも十二分に取り締まれないで、今度はおそれある者がいろいろ問題になるような、そのおそれある者に対して、どういう取り締まりができるか。非常に私は不安なんです。この点、長官でもどなたでもけっこうです。
#256
○政府委員(柏村信雄君) 未成年の飲酒を禁止する法律につきまして、非常に手ぬるいではないかというお話でございますが、あれは未成年者自体を取り締まる法律ではございません、御承知のように。従いまして、未成年者につきましては、警察官として、いわゆる少年の補導というような面で、昨年におきましても四万四千余の飲酒少年の補導をいたしておるわけでございます。ただ、現状におきまして、相当困難ではありますけれども、そうした酒類販売業者であるとか、いろいろこの法律に触れるものについての取り締まりが、決して十分とはいえないかと思います。昨年検挙いたしましたのが六百四十一件ということでございまして、これはなかなか実施に困難を来たすものではございますが、その程度の数字は出ておるわけでございます。しかし、この点は先ほど椿委員からもお話のありましたように、もう少しああいう法律についても検討をし、また取り締まりの技術、補導の方法等についても、さらに検討を進めたいと思います。
#257
○加瀬完君 今、六百何件という、未成年者に対する酒類の提供者を処罰したというお話でございますが、これは全く、何といいますか、運が悪くてひっかかったという九牛の一毛にすぎないと思う。公然と未成年者に酒が販売されておるのは事実なんです。この酒を売る条件というのは、非常にきびしくしますけれども、今度は酒を求める、だれに売るかといういろいろの法律的に規制があるにもかかわらず、こっちのしぼりというものは、ほとんどきておらない。これを、こういう新しい法律が施行された場合は一段と注意をしていただかなければならないと思いますが、これは提案者はどうお考えになっておりましたか。この未成年者に酒を提供するものについて、ふんだんに酒を飲ましておいて酔っぱらうおそれがあるかないかといったところで、これは仕方がない、酒を飲めば酔っぱらうのはきまっているのだから。法律違反をして酔っぱらわせたその者をどうするかという規制の方法はお考えにならなかったですか。
#258
○委員外議員(紅露みつ君) 未成年者飲酒禁止法でございますが、これは残念なことに現在守られていない法のこれは雄たるものであると思われます。それで、立案の途上におきましてもこれは問題にいたしまして、何とかこれをしなければならないということに意見は一致しておるのでございますが、現在法律があるものでございますから、これは行政指導と申しましょうか、何かそういう方法でもってどうかこの法が守られるようにと、一応そのようなことを要望したいと、こういうことに考えておるわけでございます。
#259
○加瀬完君 それじゃ、警察庁長官に伺いますが、風俗営業の取り締まりか何か、法律を変えるお考えがございますか。
#260
○政府委員(柏村信雄君) 風俗営業等取締法につきましては、先般深夜喫茶等についての取り締まりを強化するような法律の改正をお願いして、それは成立いたしておるわけでございますが、現在のところ、どの点を改正しようかということで、急速にそういう運びにするという今用意はございません。
#261
○加瀬完君 この前、地方税の調査で私どもは風俗営業というものの実態は一体どうだというので警察当局に伺ったことがある。風俗営業というのは、女をはべらして、まあ何といいますか、酒等を飲む場合、風俗営業だと。それからさらに、家屋の構造でどうだということになると、あけすけな話をすると、ふとんを入れる押し入れがあると風俗営業だと、こういう。ふとんを入れる押し入れがあって女がはべって酒を飲んでですよ。そうすると、まるでこれは明治時代のころの、当然売春が公にも私にも公然と行なわれておったときのその姿をもって風俗営業と警察は見ている。その風俗営業は、現在東京でもどこでも公然とある。その風俗営業には未成年者だって入っておる。で、女がおって酒を供与する、で、酔っぱらう。それは必ずしも十一時という限定はない。夜の夜中までやっておる。これを野放しにしておいて酔っぱらうおそれのある者を取り締まろうたってできっこないでしょう。こういう取り締まりもできなくては、私は酔っぱらい法案がどんなに通っても、どうも現在の警察の考え方では酔っぱらい法案はざる法になる。まああけすけにいえば、心配なんです。私はこの賛成者ですから、ぜひ効率を上げていただきたいと思いますので。で、この風俗営業に青少年などが平気で入っていくのをもっとなぜきびしく取り締まれないのか。しかも、深夜になって青少年にかかわらず、酒を提供する者に対する取り締まりというものを考えなくては、これはどうしてもざる法にならざるを得ないと思う。この点、御提案の先生方はどうお考えになりましたか。あまり女の方ですから入ったことがないと思いますけれども、どうでしょう。夜の夜中に酒をがんがん持ってきてうんと飲ませて、しかも、女を使ってもっと飲め飲めと、こういう機関を大っぴらにしておいて、それで一方で出てきた者を取り締まろうとしたって、これはどうにもならないと私は思うのですが、この点どうでしょう。
#262
○委員外議員(紅露みつ君) 私ども立案者といたしましても、その問題も十分出てきたわけでございます。それから経験はございませんが、見学は再三にわたっていたしておりますので、その構造なり条件、そういうものはよくみんな婦人議員一同が存じているわけでございます。ですから、今お話のように、お酒を売る時間に制限があったらということを、先ほどもちょっと御意見が出たのでございますが、そういうことがきっちりと行なわれますならば、大へんこれはすっきりするであろうと、このように話し合ったことでございます。しかし、こういうことになりますと、これは波及するところが非常に広範囲になると存じますので、このたびはまず画期的な法案でございますから、これが一つ通りますように、そうして徐々にそうした方向にみんなで努力いたしましょう、こう申し合わせたわけでございまして、今のようなお考えに対しましては、私どももそのように考えているわけでございます。
#263
○加瀬完君 長官、深夜飲酒の営業者に対するまあこれは営業の自由という権利もございますから、もう酒は罪悪だ、売っていけないということは、現行法ではできないにしても、非常な今御提案の酔っぱらい法の内容に触れるような深夜の飲酒の営業者に対して、何か規制するという考え方というものは、長官としてはお持ちではございませんか。
#264
○政府委員(柏村信雄君) 先ほど風俗営業についてのお話でございましたが、風俗営業というものは風俗営業等取締法第一条ではっきりと規定をしているわけでございまして、むしろ、そういう業者に対してはふとんを置かせないという指導をいたし、また、そういう構造等については、府県の条例でそういうものを作らせないということにしているわけでございます。旅館はこれは旅館でございますが、旅館以外のいわゆる風俗営業につきましては、そういうものをさせない。それからまた第三条におきまして、「都道府県は、条例により、風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備」、この「構造設備」というのは、今、ふとん等のことを申し上げましたが、それに該当するわけでありますが、「構造設備等について、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」ということで各府県が条例でいろいろ規制をしておるわけでございます。それによって風俗営業に対しては全国の各府県におきまして十八才未満の者は出入できない、それから営業時間も十一時ないし十一時半ということで、これも制限をするようにいたしておるわけでございまして、そういうものの違反というものに対しては、これをどう取り締まっていくか、これは許可の取り消しとか、営業停止とか、いろいろの処分をいたすわけでございます。そういう点について、まだ不十分な点がないとは申せませんので、今後もこういう法律ができますのと歩調を合わせて十分注意をして参りたいと考えております。
#265
○加瀬完君 それから先ほどの御説明で、保護施設の問題があったわけでございますが、これは保護施設は警察庁の関係だけでお作りになるか、そのほかにまた厚生省関係で特別にその対象者を集めての保護施設というものをお考えになっておるか、この点一つと、もう一つ、厚生省にいたしましても、警察はこのごろ幾らか少なくなりましたけれども、この保護施設なんかをやるときには、必ず保健所なんかは三分の一は補助があるけれども、三分の一は県費負担、三分の一は地元負担、地元の寄付が伴わない限り施設はできないという今まで経緯を繰り返しております。警察はこのごろ寄付が少なくなっておりますけれども、厚生省なんかは、はっきりともう三分の一しか出さない、どうにもならない。で、この保護施設をお作りになるための予算的措置というものは、これは政府の御当局が考えなければならない問題だと思いますが、これは予算的に将来お考えになっておられるか。と申しますのは、先ほどもいろいろ出ましたけれども、大都市の大きな警察署なら問題はありませんけれども、小さい警察署などになりますと、なかなかこれも予算的に問題だと思う。そういう点、これは国家公安委員長に聞こうか。何にも聞かなくちゃあれだから……。
#266
○政府委員(柏村信雄君) 救護施設につきましては、先ほど来申し上げたところでございますが、各都道府県において必要に応じて作っていくわけでございます。これは施設でございますので、施設費補助としまして国庫が半額を負担するということになっております。しかし、事実上は国の予算で補助金をとって、それを流してやって作る。だから、県によっては、半額だけ負担するところもございますし、県の財政によっては、ある場合さらに出していただくところもあるというようなことでございますが、なかなか、今地方財政も相当困難な場所が多いわけでございますし、警察施設としても、保護施設に限らず、全体が相当に老朽している所も多いというようなことから、今までのところ、十分に経費が回っていかないということが率直に申し上げて実情でございますが、こういう点につきましても、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ予算措置を講じて、施設が整備されるようにはかって参りたいと考えております。
#267
○加瀬完君 あと二点だけ伺います。
 この保護施設に対する補助というものは、きちんとひもをつけてもらわないとできないと思う。なぜなら、警察署というもの自身、今、狭隘を告げて、あれも作りたい、これも作りたいという要求が多い。ただ、警察庁全体の広い意味の施設費で配付しては、もうわれわれが希望している保護施設というものはできてこない。これはきちんとひもをつけていただきたい。これはどうでしょう。
#268
○政府委員(柏村信雄君) 施設費補助につきましては、大体こちらでワクが大蔵省と折衝の結果とれるわけでございまして、緊急にやらなければならぬ本部庁舎の改築であるとか、警察署の新築であるとかというようなものとあわせまして、各府県からの要望を全部とりまして、それに応じて、緊急の度合いに応じた配分をいたしているわけでございまするから、最終的には当然ひもつきという形になるわけでございます。たとえば、先般被疑者の接見所というようなものにつきましても、そういうもののための補助として配付するというようなことで、あらかじめどれだけということで保護施設についての予算という形では現われませんので、施設費補助のうちどの程度を保護施設の補助に該当させるか、これは府県の要望を聞いた上で善処して参りたい、こういうふうに考えております。
#269
○加瀬完君 それから風俗営業の問題で先ほど御説明になったわけでございますけれども、風俗営業をどう見るかという私は質問をしているわけじゃない。警察の今までの説明によっても、風俗営業というとすぐ、ふとんがあるかないか、女がいるかいないか、こういう概念で風俗営業というものを見ている。女がはべって酒を十分に飲ませるような働きをさせて、めいてい者だか泥酔者だか知らないものを作る機関というものを野放しにしておいて、その中でめいてい者が出たといって、外へ出ていろいろな行為をするおそれがあるからといって、これを取り締まったところで、これは本末転倒だ。だから風俗営業に対する取り締まりを、少なくとも泥酔者あるいは本法案の対象とするような人物を生じさせないような意味の取り締まりの目的というものを厳格に立ててもらわなくちゃ困る。こういう意味なんです。これはどうでしょう。
#270
○政府委員(柏村信雄君) なかなかむずかしい御注文ですが、風俗営業というのが第一条に七号まで規定されてはっきりいたしておるわけでございます。この中には、やはり今お話のように、酒を飲ませないものもありますが、飲ませるものもある。それを飲んで今度の法案に該当するようなものを出さないような取り締まりということは、これはちょっと警察としてそこまで目を光らすということは不可能に近い。不可能であろうと思いまするし、そこまで干渉――そういうものが出るか出ないかということで見張っておるというような干渉の仕方は私はおかしいのじゃないかと思う。ただ、できるだけそういう秩序ある、あるいは善良な風俗を害しないような雰囲気というものを風俗営業の中に十分に満たしていくような方法を、まあ警察でもそうでありましょうが、社会教育上もそういうふうな雰囲気を作っていくということが必要ではなかろうか。少なくとも、いやしくもこの風俗営業を、酒を飲ませていいものをある限界をきめて認めておる以上は、そこで飲む、飲んだのがどの程度酔うかということは、これはやはり酔っぱらいが出るということもあり得るわけですが、今度こういう法案が出ることによって、私はこの法案によって取り締まるというよりも、こういう法案が出て公共の場所で酔っぱらって迷惑をかけるような行為をすることは、これはもう文明国民の恥だというふうな空気がずっと伝わっていくということになりますれば、そういう取り締まりの対象というものが漸減していくのではないか。少なくともそういうことに努力していかなければいかぬ。これは風俗営業の取り締まりについても、その一環として考えるべき問題でありますが、広くやはり全体の社会風潮の問題として考えるべきものであり、今度の法案などはそういう意味において促進に大いに役立つものではなかろうかと考えております。
#271
○加瀬完君 私はさっきの提案者の市川さんの御説明に賛成するものなんです。酔っぱらい法案というものを作るからには、やはり酔っぱらっていろいろの犯罪または犯罪に準ずべきような問題を起こす者はきびしく取り締まらなければ意味はないと思う。どうも酒を飲むということに対して寛大過ぎますよ、日本の警察は。というのは、風俗営業を営業権もチェックしろと私は言うのじゃない。もうぐでんぐでんに酔っぱらって、これ以上飲めば、先ほどの御説明ではありませんが、心神喪失か心神耗弱になりそうなのを故意に女の手練手管で飲ませて金を取る、こういうのを野放しにしている、それからもう看板だというのに、まだいいでしょうといって、さらにたくさん酒を飲ませる、こういうものを野放しにしておいては、これはざる法だと、こういうのです。これはあとよく研究して下さい。
  ―――――――――――――
#272
○委員長(増原恵吉君) この際、委員の異動がありましたので報告をいたします。
 本日付をもって委員郡祐一君が辞任され、その補欠として後藤義隆君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#273
○委員長(増原恵吉君) 次に、お諮りをいたします。
 本法案について法務、社会労働の両委員会と連合審査会を開く予定でございましたが、両委員長と協議の結果、両委員会との連合審査会は、これを取りやめることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#274
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決しました。
  ―――――――――――――
#275
○委員長(増原恵吉君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#276
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、修正意見及び附帯決議案のおありの方は討論中にお述べを願います。
#277
○占部秀男君 私はこの際、ただいま審議中の酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案に対しまして修正案を提案するものでございます。
 まず、修正案の案文を朗読いたします。
  酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案の一部を次のように修正する。
  第三条第一項中「言動等」を「言動、その酔いの程度及び周囲の状況等」に改め、「警察署等の」の下に「保護するのに」を加える。
  第五条第一項中「犯そうとしていると認められる者」を「現に犯している者」に、「することができる。」を
  「しなければならない。」に改め、同条第二項中「罪を犯し」を「罪を犯し、公衆に著しい迷惑をかけ」に改める。
 以上が修正案文の内容でございます。
 次に、修正の理由につきまして簡潔に申し上げます。
 これらの修正点に共通して言えますことは、警察官の職権乱用によって人権の侵害が起こらないように、法文の上でできる限り明確にしようとする趣旨のものが中心でございます。
 第一に、第三条第一項の修正は二つございます。修正の第一は、警察官がめいてい者について保護の要否を判断します場合に、その者の言動のみではなく、その酔いの程度及び周囲の状況等をも照らし合わせる旨をさらに明確にしようとするものでございます。修正の第二点は、めいてい者を保護すべき場所をさらに明確にするために、保護するのに適当な場所としようとするのでございます。
 第二に、第五条の修正は、同条第一項及び第二項でございますが、まず第一項の修正の第一の点は、警察官の制止の対象となるめいてい者を、さらに客観的に明確に認知し得るようにするために、第四条第一項の罪を現に犯している者に限ることとしようとするものでございます。修正の第二の点は、第四条第一項の罪を現に犯している者を発見いたしましたときは、警察官はその言動を職務として制止しなければならないこととしようとするものでございます。
 次に、第五条第二項の修正でございますが、警察官の制止を受けた者が、その制止に従わない場合に、一万円以下の罰金にせられるのは、その者が第四条第一項の罪を犯しただけでなく、その結果、公衆に著しい迷惑をかけた場合に限るものとするものでございます。
 よろしく御審議の上、御賛成を賜わりますようにお願いを申し上げます。
 なお、以上の修正部分を除く他の点につきましては賛成をいたします。
 以上でございます。
#278
○小柳牧衞君 私は、日本の現状に照らしまして、また日本民族の将来に思いを及ぼしまして本案の趣旨に賛成するものでありますが、本案は実に画期的な法律であり、また個人の権利に関係するところのはなはだ多いということは、すでに本案の第十条にも規定してある通りでありまして、人権の侵害または法意を逸脱して乱用することがないようにいやが上にも用意周到にしなければならぬと存じます。また、めいてい者の保護施設なり、アルコール慢性中毒者の治療、収容施設等につきまして、先ほどの質疑応答にも現われましたように、はなはだ不十分であると存じますので、これはできるだけ早く完備するようにして、そうして福祉国家のわが国の理想に到達するようにしなければならぬと思うのであります。また未成年者の飲酒というものは、今日の青少年の犯罪とにらみ合わせましても実に重大な問題であると思うのであります。未成年者の飲酒の取り締まりもあるのでございますから、これらの法律の運用を十分にいたしまして、そうして未成年のこれらのあやまちのないように補導することがきわめて必要であると思うのであります。
 さような趣旨に基づきまして、私は本案に賛成すると同時に、次の附帯決議を提案する次第であります。一応案文を朗読させていただきたいと思います。
   酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案に対する附帯決議案
  政府は本法の施行に当たり左の諸点に留意してその実効に遺憾なきを期すべきである。
 一、酩酊者に対する救護のための応急措置としては、通常必要と認められる限度で客観点な諸要件をも考慮して、慎重なる配慮のもとに行わるべきで、いやしくも人権の侵害または法意を逸脱して濫用にわたることのないよう特に留意すること。
 一、酩酊者の保護施設及びアルコール慢性中毒者の治療、収容施設に対する諸措置は不十分と認められるので、政府はできうる限り速やかにこれが予算措置を講じ、本法の実効を期すること。
 一、未成年者の飲酒は、心身の健全なる発達を阻害し、非行の原因となる等その弊害は誠に憂うべきものがあるので、これが取締りについては厳正を期すること。
  右決議する。
 以上の趣旨で本案に賛成し附帯決議を提案する次第であります。
 何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
#279
○赤松常子君 私も、本法案及びただいま提出されました修正案及び御提出なさいました附帯決議を込めまして、全部に心から賛意を表したいと思っております。
 諸外国のこういう問題と比較いたしますと、日本の酔っぱらいに対する法律の制定というものが非常におくれておりますことは、ほんとうに残念なことでございましたが、今、これが制定されようといたしておりますことは、ほんとうに喜ばしいことだと思っております。この過程におきまして、一人の反対者もなかった、つまり社会の世論もほとんどこれを支持している。前の売春防止法の制定のときと比べますと、一人の反対陳情もございませんであったということは、社会のまたこれの要望が強かった証拠だと思っております。で、私どもは、これを制定いたしましたからには、非常に道義的な、また倫理的な要素を含んでおりますこの法案でございますから、われわれ婦人議員もまた社会の各層に向かいまして、この法案の正しい理解、正しい実施を強く浸透させていく責任も大いに感じているわけでございますが、また政府におきましても、この附帯決議にございますように、まだまだ不備な保護施設などの点、これを実施して参ります上に、すぐに突き当たる壁だと思うのです。それで治療のセンターなど雄大な構想を立てて下さいまして、この実現に、との法の実施のために十分抜かりのないような万全の措置を予算的に組んでいただくようにお願い申したいと思っている次第でございます。
 以上をもちまして私の賛成意見といたします。
#280
○小柳牧衞君 ただいま私は、本案の趣旨に賛成をして、附帯決議案を提案いたしましたが、ただいまの修正の意見に賛成するものでございます。
#281
○委員長(増原恵吉君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#282
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案について採決をいたします。
 まず、討論中にありました占部君の提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#283
○委員長(増原恵吉君) 全会一致でございます。よって占部君提出の修正案は、可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#284
○委員長(増原恵吉君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、修正すべきものと議決せられました。
 次に、討論中に述べられました小柳君提出の附帯決議案を議題といたします。
 本決議案を当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#285
○委員長(増原恵吉君) 全会一致でございます。よって小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#286
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#287
○委員長(増原恵吉君) 速記起こして。
 ただいまの附帯決議に対し、政府側より発言を求められておりますので、この際、これを許します。
#288
○国務大臣(安井謙君) 本法は、最近の日本の実情から、いわゆる酒に酔ったということによって犯すそれぞれの犯罪を防止するという非常に有効な法案であります。政府におきましても、本年二月にすでに犯罪防止対策要綱を作りました際にも、めいていによる暴行等の排除についての立法措置あるいは行政措置をうたっておるわけでありまして、そういう意味からもこの法案ができましたことは、私ども非常にけっこうなことだと思いますし、また、これにつきまして人権の侵害なり、あるいは法の行き過ぎにならないように、また、アルコール中毒者の保護、収容所の改良、また未成年者の飲酒の禁止、取り締まりと、こういったような附帯事項につきましても、十分の注意をもってこの法の実行を期したいと思っておる次第であります。
#289
○委員長(増原恵吉君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#290
○委員長(増原恵吉君) 速記起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後六時三十八分休憩
   ――――・――――
   午後七時三十六分開会
#291
○委員長(増原恵吉君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#292
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
#293
○鍋島直紹君 自由民主党を代表いたしまして、修正案を提案いたし、さらに本案につきまして賛成の意見を申し述べます。
 まず、討論、賛成を申し述べる前に修正案を提案いたします。この修正案は、零細負担排除の趣旨から提案したのでございますが、この修正案の本文は、お手元に配付してございますので、その内容の要旨について申し上げたいと思います。
 まず第一は、道府県民税及び市町村民税の本文方式にあっては、白色申告者につきまして新たに専従者控除を設け、一人につき五万円の控除を行なうものとするのであります。
 第二は、市町村民税のただし書き方式にありましては、青色事業専従者または白色申告者の事業専従者の数に応じて条例で定める金額を税額控除として控除するものとするものであります。この場合におきましては、税額控除の金額は、扶養親族の数に応ずる税額控除の額をこえるように定めなければならないものといたしたのであります。
 地方財政の現状は、経済の一般的好況を反映いたしまして、また地方団体のたゆみない努力によりまして、地方税等歳入面におきましても相当の増収が見込まれるのでありますが、一方では行政水準の向上についてはいうまでもなく、産業経済の発展に伴う公共投資の増大及び社会保障の充実に伴います行政経費の増高、給与改訂等に財政需要に多額のものが見込まれる等の諸事情があるのであります。また地方団体の財政力に相当の格差がありまして、その現状におきましては、国の施策に基づく税制改正がそのまま地方税に影響を与える現行地方税制は適当でない。これを遮断して地方税制の自主性を確立し、減税につきましても、地方財政の状況を考慮して自主的な立場からこれを行ない、住民負担の軽減をはかる必要があると思うのであります。
 政府の提出いたしました改正案は、この趣旨に基づいて地方税の自主性を強化するため、住民税について所得の計算、所得控除、税額控除等、独自の立場から規定し、税率等につきましても、住民負担が現状より加重になることを避けるため、所要の措置を講ずるとともに、給与所得者に対する給与所得控除の引き上げ、障害者、未成年者及び寡婦等におきまする非課税限度額の引き上げ、遊興飲食税の免税点引き上げ、電気ガス税における免税点制度の新設等、いずれも零細負担を排除し積極的に減税をはかる趣旨と思われるのであります。
 これらの措置は、まことに適切なものであり、改正案の趣旨に賛意を表するものでありますが、しかしながら、さらに考えるに、所得税法におきましては、いわゆる白色申告者の専従者控除が認められたのでありますけれども、これについては、政府案では個人住民税の所得割については、白色の事業専従者控除は、所得税法の例によらないこととされておったのであります。この点につきましては、この控除が適用される零細企業の実情等を考えるときに、やはり地方財政の実情を考慮しつつ、かつまた、地方団体の独自性を尊重しながら、必要な限り負担の軽減をはかることが必要であると思われるのでありまして、かくすることによりまして、政府の改正案の趣旨をいよいよ徹底できるものと考えられるのであります。
 以上述べましたような趣旨のもとに修正案を提出いたしたのでありますが、地方税制につきましては、国と地方団体との財源配分等をどうするか等の基本的問題を初め、地方税には国民の生活に身近かな税種目が多く、所得倍増計画の進展等に伴い、将来においてもこれが合理化をはかり、住民負担の軽減をはかる必要があると思われます。今日のそのような現状においては、今回の改正は必要やむを得ざる範囲のものと思われるのであります。このような趣旨で修正案にかかる部分を除く原案に対しましても賛成の意を表する次第でございます。
#294
○加瀬完君 私は、日本社会党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案に反対の討論を申し述べます。ただいま鍋島委員の御説明のございました修正個所、あるいは御説明の中でお述べになりました遊興飲食税の免税点の引き上げ、その他部分的には見るべきものもございますけれども、次の諸点が解明されておりませんので反対をいたすものでございます。
 一つは、国税と地方税の税源配分、地方の事業量の増大に伴うこれが補てん財源、富裕県と貧弱県の不均衡、各団体間の課税方式の不均衡、これらが地方財政上の大きい問題であり、税制改正はこれが解決に近づくものでなければならないはずでございますが、今度の一部改正は、その基本的な問題に何ら触れておりませんのが、反対の第一の理由でございます。
 第二点は、住民負担についてでありますが、国民としては減税、住民としては増税、こういうアンバランスがこのたびもまた繰り返されるおそれがあるのでございます。国が減税であるならば、国税の減税も地方税の減税も、差等はあっても同様に行なわれなければなりませんけれども、国の減税は綿密に計画されておりますが、地方の減税になりすまと、綿密度が非常に薄いものですから、住民税等におきましては、逆に国の減税の影響が地方に及ばない、あるいはまた逆作用をする、こういうアンバランスがそのまま残っております。これが反対の第二点であります。
 第三点は、現在の地方財政は、地方税プラス交付税、国庫支出金その他これらの協力によりまして地方財源が充足される方式がとられておりますけれども、このたびの税法の改正によりましては、特に政府が奨励をいたしました合併市町村、その中でも人口八千から一万五千、一万五千から二万五千、これらの町村の産業構造の二次産業、三次産業の低いところは、ほとんど税制改正によりましても新しい財源が与えられておりません。
 第四点は、具体的な点でございますが、その第一は、住民税の課税方式が第二本文一本ということならばうなずけるわけでございますが、例外を残しておきますから、これでは相変わらず国は減税、地方は増税という根拠が残るのでありまして、やはり各団体間の課税方式のアンバランスが解決されません。この点が不満であります。
 次には、減税の効果であります。たとえば事業税にいたしましても、住民税にいたしましても、大法人などは減税の効果が大きいわけでございますが、一般の住民になりますと、住民税等による減税の効果というのは非常に希薄であります。負担能力の大きいものが、よけい減税されて、負担能力の低いものが、減税の度合いが少ないということは不合理でありまして、もっと国、地方を通じて、たとえば大資本、大企業等の租税特別措置法によって影響される国の税の面あるいは地方の税の面、こういうものも、この際は整理をする段階ではないか。それから市町村間におきまして、同じ所得があっても、一方は人頭割り以外の住民税を払わない、一方は非常に多額の税金を払う、こういうアンバランスも改正されなければならないわけでございますが、本案におきましては、これらが完全に解決される形はとられておらない、これが具体的な不満の第二点であります。
 第三点は、電気ガス税の免税点を設定したわけでございますが、先ほどわが党の委員からも指摘がありましたように、料金値上げというものが予想されますと、低額の電気、ガス需要者に対しまして、この程度は免税をしてやろうといったことも、実質的には料金の値上げによりまして免税の恩典が薄くなる。これらは十二分に考慮をしていただかなければならないと思うわけでございます。しかし、基本的には基礎控除を作りまして、基礎控除をもっと引き上げるという方法をとらなければ、大衆課税的な、生活に必要欠くべからざるものに税金がかかるという、このそしりからのがれることはできない。どうしても電気ガス税は、基礎控除制度というものを設くべきじゃないかと思うわけでございます。
 次には、ガソリン税とか軽油引取税、ガソリン税は地方税ではございませんが、軽油引取税等大衆課税的な性格のものが、だんだんと間接税がふえて参ります。減税といいながら、地方においては、その補てん財源の苦しいために、大衆課税方式がふえてくるということは、はなはだ当を得ない点でございまして、これらの点がもっと基本的に改正されるように、地方税の根本的な抜本的な改正というものがなされなければならないのじゃないか、こういう主張をわれわれは続けて参ったわけでございますが、一部見るべきものはありましても、以上のような基本的な問題の解決がおくれております点を不満に思いますので反対を申し上げるわけでございます。以上。
#295
○委員長(増原恵吉君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#296
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより地方税法の一部を改正する法律案について採決を行ないます。
 まず、討論中にありました鍋島君提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#297
○委員長(増原恵吉君) 多数でございます。よって鍋島君提出の修正案は可決せられました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#298
○委員長(増原恵吉君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって修正すべきものと議決せられました。
 なお、報告書の作成等は、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#299
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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