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1960/05/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第20号
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1960/05/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第20号

#1
第038回国会 地方行政委員会 第20号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月二十八日委員後藤義隆君辞任につ
き、その補欠として郡祐一君を議長に
おいて指名した。
五月八日委員椿繁夫君及び赤松常子君
辞任につき、その補欠として秋山長造
君及び基政七君を議長において指名
した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     増原 恵吉君
   理事
           小林 武治君
           鍋島 直紹君
           鈴木  壽君
           基  政七君
   委員
           小柳 牧衞君
           西郷吉之助君
           西田 信一君
           湯澤三千男君
           占部 秀男君
           加瀬  完君
           松永 忠二君
           杉山 昌作君
  委員外議員
           相馬 助治君
  国務大臣
   自 治 大 臣 安井  謙君
  政府委員
   自治政務次官  渡海元三郎君
   自治省行政局長 藤井 貞夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  説明員
   自治省財政局財
   政再建課長   茨木  広君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○後進地域の開発に関する公共事業に
 係る国の負担割合の特例に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方財政法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
 (栃木県桑絹村の町村合併問題に関
 する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 四月二十八日付をもって委員後藤義隆君が辞任され、その補欠として郡祐一君が委員に選任され、五月八日付をもって委員赤松常子君及び椿繁夫君が辞任され、その補欠として基政七君及び秋山長造君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(増原恵吉君) 理事補欠互選の件についてお諮りいたします。
 ただいま報告の通り、理事基政七君が一たん委員を辞任されましたため、理事一名が欠員となっておりましたところ、基政七君が再び委員に選任されましたので、この際、基政七君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(増原恵吉君) 本日は、地方自治法の一部を改正する法律案、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜、一括して議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○加瀬完君 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律案について伺います。
 提案理由に、これを提案するもろもろの条件が述べられておるわけでございますが、もう少し具体的に、特に公共事業にかかる国の負担割合の特例をこの際法律化しなければならない理由を、できるならば具体例をあげて御説明下さいませんか。
#7
○政府委員(渡海元三郎君) 御承知の通り、近時わが国の経済は非常に高度な成長を遂げて参りましたところが、この発達の仕方が非常に急激であったために、地域間の格差、あるいは産業別の格差、あるいは構造別の格差というものが非常に拡大する傾向にあるということは御承知の通りでございます。この点、地域間の格差を是正するためにも、産業の基盤となる公共事業を積極的にやりやすいように、国土全般にわたるところの総合的な向上、発展を期さなければならないのでございますが、他面、地方財政の面からこれらの公共事業がややもすれば後進地域において阻害されるという傾向にあることも、ただいままでの経験に見て明らかでございます。これらの点を是正いたしまして、いわゆる後進地域に対する公共事業を財政面から圧迫するようなことなく、受け入れやすい観点に立ちまして公共事業を起こし、経済基盤を充実いたしまして、もって国土全般にわたる均衡ある発達を期さなければならない、このようなことから今回の措置をとりました次第でございます。
 具体的な内容につきましては、これはもっぱら地方財政の今までの財源が非常に貧困であったという点にも基因する点が多々ございますけれども、公共事業の返上というふうなことも行なわれてきたことは事実でございます。重点的に施行する意味におきまして、いわゆる各府県の財政的な事情から、ぜひとも必要とする公共事業が行なわれていなかったという点も事実でございます。こういった点を今度なくいたしまして、むしろおくれておりまするこういうような地域を積極的に公共事業を推進することによって国土全般にわたるバランスをとった発展に寄与したい、これが今回この法律を提出いたした趣旨でございます。
#8
○加瀬完君 この国の経済の高度成長に伴って地方によりましては非常な地域格差が生じておりますので、産業基盤の基礎である公共事業をその格差の下の地域に及ぼすためには、どうしても公共事業を広げなければならないから、これに保護政策をとるのだ、こういうのが御説明の要点でございますが、御説明の中にもありました通り、地方財政が貧困のために公共事業を返上する実例もある、こういうことともあわせて、今度のこの法律によりまして解消したいというねらいのようでありますが、それならばむしろ問題の地方財政の貧困を救うためには、交付税そのものの絶対額を増加させるという方法をとるのが先決ではないか。交付税を少しもいじらないでおいて、その交付税のワクの中で一部の地域の公共事業というものだけをやりやすくするためにこういう特例を設けても、それは地方財政全般の地域格差を埋めることにはならないと思うのですが、この点はどうでしょう。
#9
○政府委員(渡海元三郎君) 御指摘の通りでございまして、地方のこういった事業の発展、産業基盤をつちかうためには、一般的に地方財源を充実して立ちおくれておりますところの社会資本と申しますか、公共投資と申しますか、現在のわが国の産業状態あるいは国民の生活の水準から著しくおくれておりますところの公共施設を充実さしていくということのためには、何と申しましても一般財源であるところの交付税の率を引き上げて行なうということが根本であることはもとよりでございます。しかし、これは交付税のみに限らず、地方税財政を通じて地方財源の充実をはかるということは当然努力もし、この充実を期さなければならないということは根本でございますが、しかしながら、制度の建前上、交付税はあくまでもこれは一般財源でございまして、交付税の算定基準で、税法でも今委員会にかかりまして予備審査をいただいておりますように、一般財源としての立場の交付税をもって解決をはかることはできない。従いまして、特定の各府県に行ないますところの必要なる公共事業そのものの量が多いからと申しまして、その県に特に交付税をふやすという措置をするには、交付税のあり方というものから考えまして理論的に行なえない性格のものじゃないかと考えます。各府県が具体的な公共事業を行なうためには、どういたしましてもこの事業にかかるところの国庫補助率そのものを上げることによって行なうというのが財源の性格のあり方から見て当然であろうと思いまして、一方、交付税の引き上げによりまして、地方自治体全般の財源の充実をはかるとともに、他面、具体的な公共事業をやりやすくするために、公共事業の補助率の引き上げということを本法案によりましてぜひ行なう必要があると考えまして、このたび、そのような方法をとった次第でございます。
#10
○加瀬完君 自治省は、昨年の財政計画の方針として、公共事業のうちで、特に国の直轄事業の負担というものを地方に一切かけないと、国の直轄事業は全部国でまかなわせるという方針を打ち出したわけです。ことしは、こういう傾向というものは一応あとずさりをしてしまって、公共事業というものだけを考えて公共事業を推進するというならば、現在のようにすべての事業がその地域の負担を伴うという方法をやめて、去年の自治省の考えのように、少なくも直轄事業は国が負担をする、直轄事業の幅をふやしていくということにすれば、国の力で地域の開発ができるという方針は貫かれるはずだと思う。今のような現行制度のままを貫くとするなら、これは一般財源で公共事業がまかなえるように一般財源をふやしていく。一般財源のうちの不足分が交付税でまかなわれるという建前は、私は、くずしてはまずいと思う。といいますのは、一つのこれは逃げ道だと思うんです。直轄事業というものを、今まで自治省が主張していたような形にならないので、といって、地方は地方財政の貧困から公共事業返上論さえ起こる。返上しないで公共事業をやってくれ、そのかわり、必ず地域格差の低い所に対しては消化できるように財源措置を講じてやる。これは便法にしかすぎないと思う。これだってまだ落ちころびができてくると思うんです。あとで質問いたします。一体、基本的な方針というものを引っ込めてしまってこういう便法をとらなければならなかった理由はどこにありますか。
#11
○政府委員(渡海元三郎君) 私、御質問の要旨の点であるいは間違っておりましたら御了解賜わりたいのでございますが、直轄事業を全額国庫負担と申しますか、できる限り国の費用をもってこれを行なえということは、私たち、現在の直轄事業に対するところの国の補助率が国と地方の事務分量から申しましてそれ相当の額になっておるかどうかという点につきましては、いま少し補助率を上げていただいたらよいのじゃないか。もちろん、直轄事業の中にも、同一の補助率ではございません。特に海岸のごときは、府県の補助事業と同じように二分の一というふうな数字でございまして、これなんかもぜひ上げていただかなければならないと、このように一般的には考えておるのでございますが、昨年来考えておりますこの方針と自治省は後退したんじゃないかという御意見でございますが、これらについては、全然後退をしておるとは考えておりません。引き続きそういった方向に努力はしていきたいと、このように考えております。しかしながら、直轄事業であるからというので全額を国が持つべきである、全然地方に負担をかくべきでないかどうかという点につきましては、やはりその地方に及ぼしますところの応益的な分担、地方財政の実情に応じて何がしかの負担をしていただくということも、また現在の公共事業のあり方から見て一つの理論があるのでなかろうかと、かように考えております。要は、率の問題でなかろうかと、かように考えておりまして、この努力に対しましては、決して昨年からことしにかけましてこの法律に後退したとかなんとかという意味ではないと考えております。ただ、昨年度出しました直轄事業に対するところの問題は、直轄事業に対するところの負担金を当然県が行なわなければならないのに、その県の負担すべき一部を関係市町村にまたこれを転嫁しておるというふうな実情で、財政を乱すおそれがございますので、この分をなくするように財政法を規制いたしまして、この分にかわるところの府県の財政を交付税の地方財政計画の中に組み入れまして、交付税の算定基準の中へ入れまして、たしか金額は二十億であったと思いましたが、そういうふうな法律を制定していただきまして、本年の四月一日からこれを実施するようになった。この分に対しましては、昨年の交付税率の算定の基準をそのまま本年も実施しておりますので、昨年に引き続いてそのような措置で本年度の交付税の配分におきまして実施されておる。決して後退はいたしていないと考えておるのであります。本年のこの措置は、今申しましたような点の転嫁というよりも、むしろ積極的に公共事業を、いわゆる貧弱府県の公共事業を積極的に受け入れることを容易にし、その地方におけるところの公共事業量を財政面から押えられるようなことのないようにやっていきたい、このようにして国土全般にわたるところの均衡ある経済基盤の充実をやっていきたい、このような方針で成立さしていただくように提出いたした次第でございます。
#12
○加瀬完君 二つの点で私は疑問がある。公共事業、しかも、それは国が計画をした公共事業を推進することが必ずしも地方の意思ではない場合もあり得る。もっと、指定された公共事業以外の仕事をやりたくても、地方としては財政的には公共事業に財源を振り向けるために、地域としては優先させたい事業も計画を変更しなければならないということもあり得る。要は、公共事業を推進するという計画につれてこういう法案が出てくるわけですけれども、地方としては、そうではなくて、公共事業ももちろん含むけれども、全体の地方の事業を進めるという財源をどうして与えてもらえるかということの方が問題ではないか。そういう趣旨から言うと、これは便法だということが言われるのじゃないかというのが一点、もう一つは、公共事業の負担について、いつも応益原則というのを言われる。広義に解釈すれば、日本じゅうどこで事業をやったって応益でない所はないかもしれませんけれども、具体的に例を出すと、東京から仙台なら仙台に直線の高速度道路なら高速度道路というものができる。埼玉なら埼玉の農地は何町歩かつぶれる。そのつぶされた埼玉の住民は、応益の原則というものが直接的には存在しないと思う。耕地が失われると、生活の基がくずれてくる。しかも、交通事故のようなものはあり得ても、そこをひんぴんに通るダンプカーから直接な利益というものは何らない。差引すれば、むしろ住民としては通ってもらいたくない所に道路が通されたということにもなりかねない。しかし、これも公共事業という原則は、極端に言えば応益があると認めて負担というものがかけられる。それはすべての直轄事業を全部国が負担しろ、手の裏を返すようなそういう方法に改めろということを言えば、これはできない相談だということがあるかもしれませんけれどもどうも今までの公共事業の性格というものの裏づけになる応益の原則というものは相当くずれてきた。これを勘案して少なくもこういう便法で公共事業を進めるということを第一に考えるのじゃなくて、地方財源は地方財源で十分にまかなってやる。公共事業は公共事業で国の財源措置に基づいて進めてゆく、こういう方法をとるのが私は原則としては正しいじゃないか。自治省も大体そういう方向をとっておったけれども、今までの自治省の考え方からすれば、これはちょっと抜け道になるのではないか、こういう点なんです。
#13
○政府委員(渡海元三郎君) 第一点の点でございますが、公共事業を受け入れる、これも必要であるが、これを受け入れる財源の地方負担分を使うことよりも、その地方負担分にある金でむしろそれより以上にやりたい県の県単事業があるわけなんだと、これを総合的に県としてはやりたいんだと、だから、この方だけをやらずに一般財源でふやしてやったらいいじゃないか、まあ御議論ごもっともでその通りでございます。一般財源を付与するということの必要性は、先ほどの御質問に答えましてお話しさせていただいた通りでございますが、そのために私たちも県単独事業がぜひとも思うようにできますように、これの増加に努めていきたいというので、本年度の地方財政計画におきましても、格差是正等を合わせまして八百四十八億でございましたか、増加させていただいたというような次第でございますが、しかしながら、一般財源の性格というものは個々に行なわれる公共事業そのものと結びついてのものではございませんし、現在の財政のあり方をながめまして必要な個々の公共事業、行なわなければならない公共事業を受け入れるのが困難な財政的な府県があることは事実でございまして、この分は一般財源の性格上これを適切にその必要とする地方団体に付与することはできませんので、このような方法によりまして個々の公共事業につきまして財源付与を与えていくというふうな方法をとった次第でございます。
 第二点の御指摘でこのごろのような国土全般にわたるところの視野からながめる公共事業の計画性というものが非常に重要とされる時代になりましたから、ただいま御指摘のような御疑問の点があるということはこれは事実でございます。従いまして、私たちはこれらに対するそういった国と地方の事務と申しますか、事業量の配分の観点からながめまして、それに応ずるような財政的な国の費用と地方の負担の割り前というものをきめる、できるだけそういったもっぱら地方の利点よりも国家的な面から計画されますところのものにつきましては、でき得る限り補助率を引き上げるということに対しましては、御指摘の通り努力をして参らなければならない、このように考えまして、絶えずその方面に向かっても努力いたしておるのでございまするが、しかしながら、この法律がそれができないための便法であるという点は、個々の事業の性格もそういったものだけでなくして、各地方の財政に応じてやるという方法によりまして、より適切にこの法律によって行なわれるのではなかろうか、かように考えます。決してただいま申されました分の抜け道をここに求めたという意味ではなく、むしろ財政力に応じて、しかも、その地方ごとにやりたい公共事業をやる場合に、適切にそれを財源を付与するという方法はこういった公共事業そのものに対する補助率の引き上げと、しかも、それを財政力によりまして補助率の加減あんばいをしてゆくということによってより具体的より適切に行なわれるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#14
○加瀬完君 私も後進地域にいずれの方法にしても財源を与えてやるというその原則に反対をするものではないわけです。しかし、このような方法で与えることよりも、特に一般財源そのものをふくらますという方法を考えなければ、公共事業はこれで進むかもしらぬけれども、また跛行的な進行になって、公共事業だけは進んだが、今度はその他の事業はそのためにかえってさっぱり進まないということにもなりかねない。そうではなくて、公共事業そのものも消化できないのは、一般財源そのものが貧弱だからということなんです。一般財源そのものをふくらます原則をもっと充実してやらなければ後進地域の開発にはならない、こういう考え方に私は立って、もっとより以上に後進地域に一般財源をふくらます方法を考える、その原則を今まで主張しておった自治省が公共事業の推進だけを先に取り上げるということは、大元が忘れられることになって一種の便法ということになるのじゃないか、こういう意味で申し上げたわけです。
 そこで質問を元に返しますが、一般財源が後進地域では非常に貧弱なんですね、これは単に負担割合の特例だけを設けても、一部は、公共事業分だけは解消されるけれども、他の分は問題の解決にならない、これは一体どうしていただくのでしょう。
#15
○政府委員(渡海元三郎君) 一般財源を充実しなければならないということにつきましてるる御意見、御質問を承りました。まことにごもっともでございまして、私たちも絶えずその方向に進みたいと思っております。幸いにいたしまして本年度は地方税の伸び、国税の伸びに基づきますところの交付税の伸び等によりまして、昨年度に比べまして地方財政計画も国の予算の伸びと同程度の二四・三%の伸びを示したのでございますが、この伸びの中で、特にいわゆる投資的経費が、平均二四・三%の予算の伸びに対しまして、たしか投資的経費は三四・五%になったと思いますが、に計画を立て得たということは、これらに対するところの一般的な財源が経済界の好転等によりまして相当充実することができたのじゃないか、しかしながら、これをもって十分とするというのでは決してございません。今御指摘のような確かに公共事業は伸びてゆくが、これに付属するところの、当然これに関連して行なわなければならないような、県の単独して行なうべき事業がおくれて、むしろびっこのような県政の運営が行なわれるのではなかろうかという御心配のあることはごもっともでございますが、私たちもそのようなことのないようにするために、財政計画におきましても、できるだけ投資的経費の中でも県単独事業を行ない得ますように、先ほど申しましたように八百四十八億という数字の画期的な単独的経費の増加を見込んでおるわけでございます。なお、それをいたしましても、貧弱な府県に対しましての一般財源は容易でない、かように考えますので、交付税の配分等におきましても、ただいま御審議を願っておりますところの地方交付税の配分の中におきまして、一般財源におきましても、このような事業が貧弱府県におきましても行ないやすいように、各細目にわたる数字はちょっと今私資料を持っておりませんから申し上げかねますが、貧弱府県に対するこのような事業の単位費用を引き上げることによりまして、富裕団体にひけをとらないような公共投資が県単事業においても行なわれますように、一般財源の付与を傾斜的にそういった財政力の弱い府県に持ってゆきますように、このたびの交付税の措置によりまして実施をさせていただく、このように考えております。
#16
○加瀬完君 今まで大蔵省の主張は、交付税の総額を伸ばさないで、一定額の中で配分方法を変えて、極端に言うならば、割合に潤沢な県にやっておった交付税はなるべく頭を押えて、その分を貧弱県あるいは貧弱団体の方へ流そうという、こういう考え方に立っておった。自治省は、そうではなくて、行政水準そのものが低いのだから、交付税も含めての一般財源がもっとふくらんでこなければ自治省が考えているような行政水準の維持はできないのだ、だから、一定のワクの中で交付税だけのやりくりで格差を埋めようということは、非常に地方にとっては、これは行政水準の低下を来たすおそれすらある、こう御主張なさっておった。今度のような方法は、これは大蔵省案に一歩歩み寄ったということに、私は解釈できると思う。なぜかと言いますと、昨年と比べて、財政計画の中では八百何十億という事業費がふえております。しかし、個々の団体を比べてみると、それじゃ財源が全部交付税等の自然増によってふくらんだかというと、そうはいっていないと思う。たとえば、昨日も私どもの党に問い合わせがあったわけでありますが、岐阜県の美濃加茂市ですか、では、予算外契約として次のような点を議決しているのですね。それは、市庁舎と橋梁のかけかえの費用に、一般の住民から寄付の申し入れを受けたとしてあと五カ年計画で寄付金を元金としてこれに利子をつけて返済をすると、こういう議決をしておる。交付税その他の一般財源が充実されておりますときに、どんな頭の狂った理事者でもこんなへんちくりんな議決をするはずはないと思う。財政がどうにもやりくりがつかないので、背に腹はかえられないというので、実際は借入金ですが、しかし名目は寄付金として、それを受け入れた場合、先ほどちょっと説明を落としましたが、報奨金という名目で元利合計を五年間の計画で分割で支払う、こういう議決をしておる。こういうことが行なわれてはるということは、すなわち、財源が各団体間には十二分には潤っておらないということなんです。ですから、一般財源そのものをふくらますことを考えないで、こういう便法を幾通りやったって、これは個々の団体が今政務次官が御説明なさるような形で交付税の自然増があるから、ことしは相当新しい事業が進められるということには私はならないと思う。
 質問を整理いたしまして、まあその例をあげましたから、行政局長がいらしておりますから、そういった議決、これをどうお考えになりますか。また、そういった議決をしなければならないような実情というものをお認めになりますか。理財課長でもよろしゅうございますが。それは特例であって、他の全部の団体は十二分に交付税その他で一般財源が潤っているとお考えになりますか。
#17
○政府委員(渡海元三郎君) 具体的な問題につきましては局長、課長から御答弁させていただきますが、全般の大蔵省の考え方は、現在持っております地方交付税――地方の財源を富裕府県から貧弱府県へこれをできるだけ移すことにおいて地方団体間の均衡もとれていく。これに対しまして自治省は現在の行政水準が低いのだ、だから、富裕府県といえども、持っていくような余裕財源はないんだという主張を続けておる。これが後退したのじゃないかというふうな御意見でございましたが、私が先ほど答弁いたしましたのは、決してそうでございません。現状でもそう考えております。ただ、本年度増加しました分の行政水準の引き上げに使います過程におきまして、増加しました分を、富裕府県においては少なく、いわゆる貧弱府県に対しては多く一般財源を与えるというふうに、ふえます分を傾斜配分的に行なうことにして、決して現在の行政水準というものを富裕府県といえども私たちは万全であるというふうなことは考えておりませんので、今後とも今までの方針は堅持して参りたい。しかし、そのようにしまして措置をいたしましても、ただいま御指摘になりましたような税外負担的な行為が行なわれているのは個々の市町村におきましては事実でございまして、ただいまの御指摘、私、実例は知りませんが、そのような町村もあるということは事実でございまして、私たちが今、本年はよくなっていると、こう申しましたのも、これは相対的な議論でございまして、これをもって十分であるかという点を考えましたなれば、今御指摘のような市町村が多々あることは事実でございまして、今後ともにこの財源の充実をはからなければならないということは、加瀬委員がるる御強調されました通り、私たちも同感でございまして、今後ともその方針で進みたい、かように考えております。
 なお、具体的なことにつきましての御答弁は、局長、課長からちょっと。
#18
○政府委員(藤井貞夫君) 御指名がございましたので私からもお答え申し上げておきたいと思いますが、美濃加茂市のただいまお話しになりました実例につきましては、私、今のところ初めて聞きましたので、承知をいたしておりません。どういう事情でそういうふうになったものか、その寄付金自体というものが、いわゆる受益者負担金というものに当たるものなのか、そうでなくて、単なる一般財源というものが不足をするというためにこれを寄付金の形で求めて、それを後年度にわたって報奨金という名において返していくというものでありますれば、これはやはり後ほど理財課長からも御答弁申し上げると思いますが、これは起債の一種の抜け道ということで、脱法的な措置であるという見方も成り立ち得ると思うのであります。その点は関係の課の方から十分調査をさせて善処をいたしたいと思っておりますが、こういうような非常に苦しいいろんな抜け道を考え出させるようなことに追い込んでいくということは、やはり全般的に言って財源というものが、やや好転はしたけれども、まだまだ十分でないというようなことが原因になってきているということは、これは私間違いのないことだと思います。こういう変てこなやり方でもって事柄を処理していくということは、十分にやはり財源措置が講じられておりまするならば、そういうことをやるはずは御指摘の通りないと思うのであります。
 そういう点において経済界の好況その他でもって、やや地方財政というものは好転をしかけておりますけれども、まだまだあるべき行政水準を維持していくために必要な財源の裏づけというものについては十分であるというようなところにまでは至っておらない。われわれといたしましても、行政水準確保という点と、それを充足するに足るだけの財源確保という点につきましては、今後ともあらゆる努力を傾注をいたしまして、今お話しになりましたようなそういう変則的な、また、場合によっては脱法的な措置に出ることのないように、その実態というものを是正する必要があるのではないかという感じを持っておる次第であります。
#19
○説明員(茨木広君) ただいまの御質問の財源の付与の問題でございますが、地方公共団体に財源を与えます方法といたしまして、大きく三つあるわけでございますが、この中の、自治省といたしましては、第一番目には固有の財源でございますところの税収をもって与えるということを第一義といたしておるわけでございます。で、この点についてはなおいろいろ不十分な点もございまして、現在、税制調査会等においていろいろ御審議をいただいておるわけでございます。どうしてもやはり団体間におきましては、税収だけで十分財源を得るというわけに参りませんので、その次の段階といたしましては、今いろいろの御意見がございました地方交付税制度をもってこれを補てんしていく、こういう考え方をとっているわけでございます。これにつきましては地方交付税法の中にございますように、現在の制度といたしましては、国税の三税と一定の率をもってリンクをする、で、相当その財源の付与から見まして差が出ました場合においては率を動かすと、こういうような制度になっておることは御案内の通りでございます。本年の事情といたしましては、国もそうでございますが、地方も相当税収が伸びる、それから国税の方の伸びましたもののはね返りが交付税の方に返ってくるというような事情もございまして、交付税の方の本来の率につきましては、政府側といたしましては、現状でもっていくと、こういう考え方をいたしたわけでございます。ただ先ほども御意見がございましたように、いろいろな国庫負担制度等の問題を議論いたします際に、これは第三の財源の与え方に相なるわけでございますが、大蔵省の方の考え方といたしましては、まず交付税の配分で片づかぬかという議論をいたしますことは御案内の通りでございます。で、私どもといたしましては、それぞれ進んでおる県と、そうでない県とありますことは御案内の通りでございますが、進んでいる県といたしましても、なおやはり民間投資に比べますというと、公共投資がおくれておるということがいわれておることは御案内の通りでございますので、やはりそれはそれとして伸ばしていかなければならぬ。そこで、交付税制度の中で、財政の貧弱な団体についてめんどうを見ていくという方向をここ数年とっておるわけでございます。これも御案内の通りでございますが、しかし、それもやはり限度がある。単に与えられた交付税の中でもって、配分を後進地域にだけ傾斜をつけていきますと、先進県でもやるべきものが十分やれないというような点も出てくる、こういうおそれがありますので、さらに一歩進めまして、今度は国庫の補助自体の中でもって吟味をすべきものはやはり吟味をしていかなければならぬ、こういう態度を自治省としてはとっておるわけでございます。特に、先ほども御意見のありましたように、公共事業ということになりますというと、相当国としての観点からこれを強力に進めていく、こういう点があることは御意見の通りでございます。そこで私どもも、そのような性格を持っておるから、ぜひやはり国庫負担の割合というものをこの際変えていかなければならぬ、その中には、最初に御指摘がございましたように、直轄事業等についてどうするかという問題もあったことは事実であります。ただ、われわれといたしましても、直轄事業でやるのが本体であるか、あるいは公共団体を通してやるのが本体であるかということを考えますと、自治省の立場といたしましては、やはり中間広域団体としての県にできるだけ事業をやらせる、なるべく住民に近いところでもって事業をやらせる、そこの議会の批判を通しながら事業をやらせる、これが本体であろうと考えておるわけであります。直轄事業は、万やむを得ない場合にやっていただく、これはどうしても団体にまかせることができないような性格のものについて、やっていただく、こういうような基本的な考えを持っておるわけでございます。ただ、その場合において、直轄でやるならば、できるだけ国庫の責任を明らかにしてやっていきたいというのが、従来からの基本的態度であります。この態度につきましては、現在でも変わっていないつもりでございます。
 地方交付税の問題といたしましては、全国的な直轄事業のあり方というものをどうするかという根本問題については、まだ解決に至っていないわけでございますが、交付税の配分を通していろいろ後進地域の開発をはかっていくというような点についても限界がございますし、また当面の非常に急ぎますところの後進地域の格差是正のために公共事業を伸ばすということをまず円滑にやらせなければならない、そこで、どうしてもそれらの地域については、国庫補助という制度を通して、そこに財源を集中して与えていく、こういうような考え方をとるということでこの法案を出したわけでございます。で、対象県といたしましても、これは相当数が多いという点もあったわけでございますが、三十五県というような相当数の団体を一応対象にし、しかも、財政力の悪い団体ほど引き上げ率を高くしていく、こういうような建前をとっておるわけでございます。ただ、現在の交付税制度そのもののワクについても、十分であるかどうかということについては、いろいろ御議論があると思います。それらについては、なお今後自治省といたしましても勉強していかなければならぬわけでございますが、先ほど実例としてあげられました美濃加茂市のような例については、実は他の団体についても、従来実態調査の際等に、そういうような例にお目にかかることがございました。で、それらはただいま行政局長から御答弁がありましたように、好ましくない事態でございますので、私どもといたしましては、そういう事態を避けるように、それぞれ事態にお目にかかったつどに指導を申し上げますとともに、また一般的にも通牒で実は出したことがございます。ただ、今あげられましたような庁舎とか大きな事業になりますという、要するに単年度の財源をもってそれらを片づけるということにむずかしい問題があるわけでございます。その問題については、別途単独起債等で措置をしていただいたり、あるいは団体によっては、やはり数年間計画的に財政運営を考えて、そうしてそれをやるというようなことをすべきであって、ただいま実例としてあげられましたような方法でもってやることは、好ましくない、こういうことを申し上げているわけでございます。そういうような個々の事態については、なお財政運営の面もあろうかと思いますので、その点はよく注意いたしたいと思いますが、なお一般的に御議論のありました財源の充実ということにつきましては、自治省としても絶えず努力をしていかなければならないと考えておる次第でございます。
#20
○松永忠二君 今、加瀬委員からお話が出ているように、地方税の財源としての交付税をふやしていくという努力から、どちらかというと、国庫補助金にウエートを置いて、地方団体の財源の獲得をある程度考えるという方向が来たのではないか。そういう点になると、従来の基本的な線が、やや薄れてきているというようなお話が出ているわけでございます。私どももそういう感じを強く持っているわけですが、そうなってくると、今、企画庁が出しております低開発地域工業開発促進法案というのがありますが、これについては、その指定された地域について、たとえば事業税とか不動産の取得税であるとか、あるいは固定資産税について非課税にしていく、あるいは、ある一定の年度をとって免税にしていく、その場合には、基準財政収入額から差し引いていくというやり方をしているわけです。これは全く今、加瀬委員から言われたように、交付税のワクはそのままにしておいて、それをただ操作をするという形で低開発地域工業開発促進法案が出されているわけですが、こういう点は、そうすると自治省としては絶対反対をしていったのです。しかし、それがついにいれられずにこういうことになったのだ、こういうことだと考えるわけですが、今の基本線からいうと、そういう努力において欠けているという点がまたそこに出ていると思うのですが、こういう点は、どういうふうな考え方を持たれているかという点を一つ。
#21
○政府委員(渡海元三郎君) 一般財源であるところの交付税に対するところの充実増額の努力をむしろこの方へ持ってきたのではないかという御議論でございますが、経過的に御説明させていただきますと、この法案は、実は昨年来、私たち大蔵省へ予算編成の際に持ち込んで、各地方自治体とともに運動を続けてきたのでございまして、決して唐突に行なったものでございません。あくまでも一般財源の充実ということにつきましては、昨年も本年も同じように考えている、しかしながら、一般財源の性格上及ぼし得ないそれを国庫補助という形での補助率の増額という形で両者相待って地域差の拡大を防いでいくという方向に向かってやらなければならない、こういう観点から、昨年来十分計画いたしましたものを今年法案として御審議を願い、予算にも計上された次第であります。この点は決して一般財源の充実を軽視しておるものではございませんので御了承賜わりたいと思います。
 第二点の低開発地帯の分につきましての御意見はごもっともでございまして、私たちも当然この分は交付税によるところの地方財源の中でこれを勘案するのでなくて、むしろ国費をもって補助政策をやるなら補助政策をやる、このような意見を持っておったのでございます。しかしながら、金額その他の点から考え、大きな意味におけるところの地方の地域格差の解消という点から考えまして、交付税制度によることの方がより適切であり、これを行いますところの金額も、そう他の団体の行政水準をそのまま落とすというほどのものではないという点から私たちも了承いたした次第であります。しかしながら、これが膨大なる数字に及ぶというふうな状況のときは、当然一般財源のこの分に対するところの充実というものを別途講ずる、あるいは国庫補助の形で処置をしなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
#22
○加瀬完君 話のついでに一点明らかにしておきたいが、美濃加茂市の場合、もう一度申し上げますが、寄付金という名目で一応金額の受け入れをして、これを報奨金という名目で、内容的には元利を年次計画で償還する、こういう方法をとっている、これは違法ですか、違法でありませんか。
#23
○政府委員(藤井貞夫君) 今申し上げましたように、まだ私たちとしても実態を把握いたしておりませんが、今お話しになりましたその事実をそのままということを前提にして申しますと、それは起債の措置についての一種の脱法措置というふうに言っていいのではないかという感じがいたすのであります。
#24
○加瀬完君 脱法ということは違法だということですな。
#25
○政府委員(渡海元三郎君) 事実がわかりませんので……
#26
○加瀬完君 事実は私が申し上げた通りだ。
#27
○政府委員(渡海元三郎君) 的確な御意見は申し上げかねますのでございますが、後刻、事実調査の上でより的確なる答弁をさせていただきたい、かように考えておるので御了承賜わりたいと思います。
#28
○加瀬完君 これは質問からはずれましたので恐縮でございます。
 今度のこの公共事業というワクは、大体道路投資が対象じゃありませんか。産業投資の面というのは非常に少ないのじゃありませんか。と言いますのは、政府の提案されております、今問題の農業基本法にしても、これは相当の土地改良なり、土地造成なりというものをやっていかなければ、農業基本法の目的は達せられないことになる。あるいは農村の余剰人口というものを工場人口に吸収するということになれば、工場配置等の問題も当然からんでくる。そうすると地方としては、まず公共投資としてやらなければならないのは土地収良をどうするか、土地造成をどうするか、工場誘置をどうするかという問題が地方としては必要欠くべからざるものになってくるわけでありますが、松永委員の指摘した通りに、低開発地域であれば、なおさらそういう必要に迫られてくる。しかし、今度の補助率をどうこうするという問題だけでは、今私の申し上げた問題を解決することはできない。ですから、どうしたって未開発地域を開発しようということであれば、少なくとも農業基本法などを出している政府としては、それは受けて立つ財政力というものの裏づけを考えなければならないと思うが、それらは含まれておりますか。
#29
○政府委員(渡海元三郎君) 御指摘の点まことにごもっともでございまして、この法律そのものによって現在のおくれている低開発地帯の産業構造を引き上げることができるかということになりましたら、もちろん困難でございます。むしろこの後進地域のものは、これらの産業基盤の最も基礎となるものである道路とか、河川とか、それらの公共事業、それすらもおくれているところに対するものをぜひ実施していきたいというのが意向でございまして、この法律とともどもに、今般提出した低開発地帯の法律の問題、あるいは農業方面で御指摘がありましたのは、農業基本法に基づくところの具体的な法律案も今後提出されることになろうと思いますが、そういったものと総合的に勘案して実施されて、初めて実態の実をあげていかれるのではなかろうか。そのうちの、これはむしろ根本の基礎条件となるべき立地条件を確保するための公共事業をより受けやすくするための役目を果たすものとしてこの法律を提出させていただいているわけであります。
  ―――――――――――――
#30
○委員長(増原恵吉君) 三案に関する質疑を一時中断いたしまして、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
 この際、お諮りをいたします。委員外議員相馬助治君から、本件について発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、相馬君の発言を許します。
#32
○委員外議員(相馬助治君) 重要な法案の審議の途中で委員外発言をお認め下さった委員長並びに委員各位に敬意を表します。
 この際、安井大臣にお尋ねをいたし、特に善処方をお願いしたい件があって質問をいたします。
 大臣すでに御承知のように、町村合併法の有効期間も残り少なくなって、この種問題について、それぞれ自治省が指導的立場に立って結論を急がなければならない事態は、私もよく了解をしているつもりです。ここに栃木県の桑絹村の分村の問題に関しまして、自治省から示された調停案に端を発して水利権に問題が波及して、田植期を前にして村の中にはただならぬ空気がただよっている状態でございまするので、栃木県側としては、党派を越えて、それぞれの立場々々を越えて本問題について重大な関心を持っているわけで、自治大臣の善処方を期待しているところなんでございますが、この桑絹村の分村の問題について現在の状態について、簡単でけっこうですから、一つ承っておきたいと思います。
#33
○国務大臣(安井謙君) 今、相馬委員から御指摘の桑絹村の合併問題と申しますのは、茨城県の結城市と栃木県の桑絹村との合併問題が起こっておりまして、年来これがまだ解決を見ない状況にあるわけであります。最近に至りまして、これに対してこの合併問題に対する調停委員会の調停案なるものが提出されまして、一部の地域を指定して茨城県の結城市と合併してはいかがという調停案が出たわけでございますが、これは栃木県側が受け入れるところと相なりませんので、どうも調停案そのものは調停不成立という成り行きに相なっておるわけであります。そうしまして、この合併に関しまする法律がこの六月二十九日でもって期限切れになるというような関係がありまして、この問題は早急解決を要するように、時間的にも実は迫られております。そこで自治省といたしましては、この間に立ちまして、どういうふうに合理的にこの問題を解決するかという点につきまして目下鋭意検討中でございまして、でき得る限り穏便な方法で、両地域に、あるいは両県に紛糾のないような方法で、できるだけ何か解決をいたししたいというふうに今考え、自治省としても目下それについてのいろいろと検討を進めておる最中でございます。
#34
○委員外議員(相馬助治君) 具体的なことになりまするので、必要あれば局長をして答弁せしめられてもけっこうでございまするが、大臣に承りたいことは、この調停案の内容は、従来慣習的に、水利の上からも、あるいはまた生活環境の上からも、また今までの経緯からも、こういう分村案というものは出ないであろうと、実のところは村当局並びに県は、私どもも含めて、考えていたところへこうした調停案が出たわけなんでございまするが、この調停案が出るまでに、どのような経過、そしてまた、どのような理由によってこういうふうな調停案作成になったのか。その辺の事情について、念のために承っておきたい。
#35
○政府委員(藤井貞夫君) 本調停につきましては、数カ年にわたって調停委員が鋭意、現地の事情の調査あるいは関係者の事情の聴取等を行なって参りましたのであります。で、途中におきまして、一時、現地において事態が解決をされるというような見通しも出てきた場面もありましたので、それらの話し合いの結果に期待するというような態度で、一時、調停の進行を見合わせておったという事態もあったのであります。ところがその後、やはり依然といたしまして結城市への合併の意向というものが関係地域住民の間では非常に熾烈であって、一向その気持が静まらないというような事態もございましたので、調停委員といたしましては、先刻お話もございました、時間の切迫ということもございまして、最終的に調停案を作成をして、これを関係当局に示したということに相なっておるのであります。これらの合併の問題について、法律の精神というものは、何といいましても、やはり地元の住民の意向というものを第一義的に考えていくということにあることは、これは申すまでもないと思います。ただしかし、地元の意向といいましても、そのことが客観的に見まして、市制、交通その他の事情から見て、きわめて不合理であるというような場合は、その意図を達成せしめるということも、これは考えてみなければなりませんので、客観的、主観的な要件というものが合致をいたしまする際には、全国的にこうして町村合併が行なわれておった段階でもございますので、その際に県境の問題についても、それらの住民の意向というものを入れて、その意図を実現する方途を講ずるべきではないかというのが法の精神であったように考えるのであります。ただ、県境の問題でございまするから、何と申しましても、やはり県と県との立場なり、あるいは、そういうものは合理性がないというふうに一般にはいわれるかもしれませんが、やはり県民感情なり、そういったものもやはりこれはないがしろにするわけには参りません。そういう点で、きわめて困難な問題でございましたので、調停委員も非常に腐心をせられたのでありますけれども、諸般の事情を考慮されました上で、一部の部落について、これはやはり結城市に編入することが妥当ではないかというふうに結論を出されたように承っておるのであります。
 で、この間に、用水の問題に関連をいたしまして紛議が起きておりますることは私たちも承知をいたしております。調停委員自身も用水問題について全然無関心であったわけではないのでありまして、ただ、その間の調査あるいは関係書類の提出等の経緯にかんがみまして、不備であったような点も中には出てきておるようであります。そういうことを中心といたしまして、地元でもかなり紛争が激化いたしておるというふうでございまして、私たちといたしましても、非常に事態を憂慮して、何とかこれを円満におさめたいというふうに考え、そういう努力を現在続けておるのであります。先刻、大臣もお話しになりましたように、今、調停が出た段階で、一応不成立ということに相なっておりますので、今後は自治省の責任において事態の収拾に当たらなければならぬというふうに考えております。今この際にわれわれといたしまして、これはかくあるべきだ、また、これはこうでなければならぬということを、こういう公の席上で申しますと、まとまるべきものもまとまらぬというようなことにもなりかねませんので、それらの点につきましては、一応われわれの腹の中ではいろいろ見解は持っておりますけれども、その点、うちにおさめまして、両者の間に入って事態の円満な解決ということが唯一のねらいでございますので、そういう方向を一つのねらいといたしまして、そこにだんだん歩み寄っていくというための努力を現在せっかく続けておる状況でございます。
#36
○委員外議員(相馬助治君) 今の局長の説明の中で、ごもっともな面もあるけれども、速記に残して国会の発言としてはきわめて穏当を欠くものがあります。そういうことは腹の中の問題だから、ここで言うべきではないというようなことでありますが、栃木県側の私どもといたしましても、そういうタイミングの問題は十分に考え――ただ、今、田植期を前にして血の雨が降るというような、水問題を中心としておるがゆえにこそお尋ねしておるのであって、そういう問題があれば、委員長に要求して速記をはずして発言しなさい。
 私がお尋ねしたいことの一点は、この調停案が出て、まずその調停の理由となった分村の結城市に行く正しい理由として、お寺さんが結城にある、そういう檀家も桑絹の村に多いからというようなことに端を発して、桑絹の住民で結城市にお寺様を持っておる者は、檀徒であることを全員脱退したというような、まことに前例も見ないような事態も一つ起きております。その問題はしばらくおくとして、今、局長の説明のように、水利問題が大きな問題なんです。コンクリート打ちをして水をとめた。それで、これは大へんであるということで問題になって、何か南部の方の者が自治省にその事情を訴えたところが、水は低きについて流れるものだから、ほうっておけば上の方で困るということを言ったそうだが、実態を知らないのもはなはだしいのであって、それでは鬼怒川に流れてしまう。さしあたり、この分村せしめる村では田植えは全く不可能な状態になっておる。それで南部の方も拱手傍観をして見ていないから、竹やりやら何やらをかつぎ出すということは、火を見るより明らかで、自治省の今までやってきた苦労は十分知っておるけれども、事ここに至っては、栃木県側としてはやはり発言せざるを得ない。むしろわれわれは、特に委員会の公的な場であることを期待して発言をせざるを得ない場合なのであって、その点を一つ大臣もよく御了承願いたい。
 そこで、このコンクリート打ちをされて水が下に流されないというこの条件を見て、もうお気づきのように、水利問題について調停委員会の方で重大な関心を持ったことは私も認めますが、聞くところによると、その際、南部の方からこの調停案が示されても水の問題は起きないであろうという協定書なるものが自治省に出されておるということですが、それは事実ですか。そうしてその原本は今どこにありますか。
#37
○政府委員(藤井貞夫君) その書類が出ておることは事実でございますし、原本は振興課にございます。
#38
○委員外議員(相馬助治君) それは全くのにせ協定書であるというので、北部住民が栃木県の警察本部にこれを告発し、県警察本部は事態を重視してこの告発を取り上げて、警察権がすでに動きつつあることは、局長、御存じだろうと思います。そこで、この協定書のみによってこの調停案が生まれたとは私は極言いたしませんが、この協定書の出たことも、この調停案作成にかなり重大な影響を与えたものと思惟いたしますが、この辺、局長、いかがですか。
#39
○政府委員(藤井貞夫君) お話のように、協定書自体というものがこの裁定の一番の重大な要因になったものではないということは、その通りだと私たちも理解をいたしております。ただ、この問題は当地域の紛争の解決の方向を示すという場合にあたりまして、きわめて重要な要素をなす問題であることも、これは事実でございます。その協定書自体についても、われわれとしても調べておるのでございますけれども、全く本人が知らない間に名前が出されておるというのもあるようであります。そういった点がございましたがゆえに、調停案の内容では、水利権の問題については、関係の地元において合理的な話し合いでもって円満に解決することが望ましいというようなことを言っておりますけれども、調停案が出た暁におきまして、この問題を契機にして、くい打ちが始まったり、いろいろな紛争が非常に激化の様相を見せて参っておるということも事実でございます。私たちといたしましては、協定書の内容にそういうような錯誤があるという事実、これも認めていきたいと思っております。なお、今くい打ちが行なわれておって、その後だんだんと田植え等が始まって参ります場合に、非常に困難なことが起きて参るという可能性についても、これを承知しておるつもりでございます。そういうふうなことをにらみ合わせながら事柄の円満な処理ということについて事態を一つ進めて参りたい。率直に申し上げますと、このくい打ちというものは、やはり事柄のいかんは別といたしまして、何とかしてもうこいつはやめさせて、そういう平静な状況のもとに話し合いを進めていくということが望ましいことではないかという観点に立ちまして、その方面からの説得等もあわせて行なっている状況でございます。
#40
○委員外議員(相馬助治君) そのくい打ち、コンクリート打ちをやめさせて、平静な状態に戻して話を進めるべきであるという局長の見解は同感です。そうしてそれに向かっての努力をしておるということですが、具体的にはそれはどんな努力をされておりますか。そうしてその見通しはどうですか。
#41
○政府委員(藤井貞夫君) 今まで二回にわたりまして、用水関係者の参集を求めていろいろわれわれも中に入りまして話し合いを進めさせておるのであります。きのうもやりまして、大体まあ争点というようなものも明らかになってきておるのでございまするが、今明日中に、われわれといたしましても部内でも十分に相談をいたしまして、その結果、事柄――紛争の処理の方向自体は別問題として、やはり事態を平静に戻す意味において、くい打ちということはやはりやめてもらう、その上において事柄を進めていくことが適当ではないかということを、県を通じて意思表示をいたしたい、かように考えておるのであります。
#42
○委員外議員(相馬助治君) 自治省の労力は認めますが、水かけ論とはうまいことを言うたものだと今さらながら痛感するように、何か水利問題の話し合いは全然話が進まないで、むしろ逆に感情的になっておるということを聞いているので、残念ながらこの水論争の起きた原因を除去し、訂正しない限りは、とてもそのくい打ちをどうこうということの解決は不可能だと私は思うのです。
 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、今はこの分村問題でなくて水問題なのです。私は水問題であるがゆえに質問をしているのです。そうしますと、そういう調停案が出ても水問題は起きないであろう、その理由はかくかくだというので署名捺印をした協定書が出て、これがその調停委員諸君のものの考え方を相当大きく動かしたことはいなめない事実だと思うのです。で、こういうふうな前提に立った協定書、これに対して大臣は明確にどうする、こうすると言えないことは私もよくわかりますが、最高責任者としてのあなたが、この調停案について再考ないしは調停委員諸君と話し合い、そういうふうな政治的解決というようなものも一部お考えでしょうか。すでにそういう段階ではないという御見解でしょうか。
#43
○国務大臣(安井謙君) 先ほど行政局長も、今この紛争解決のために非常に努力をいたしておる最中でありまして、この個々の内容について今なかなか申し上げにくい点もあるということは御了承をいただきたいという趣旨で申したと思いますが、今御指摘のこの調停案そのものは、現在すでにこの調停は不成立という形になっておるわけでありまして、従いまして、調停案そのものは、まあ栃木県がこれを拒否しておりまする限り、不成立でありますから、自治省としては、不成立になったという前提を十分認識をいたしまして、そのものにとらわれてしまうということでなくて、新しい自治省の立場として、何と申しましてもこれは村の同志の局地的な問題でありますので、両県の知事あるいはその地域の村長なり、あるいは責任者、そういう者へ問題を集約いたしまして、何か円満な解決の方法をはかるということで努力をしておるわけで、まあ調停案そのものにそのままこだわっておるというわけのものじゃございません。
#44
○委員外議員(相馬助治君) 大臣の非常に広い見解に立った御発言に敬意を表します。で、局長が先ほど、これが調停不成立の場合には、自治省として、法に示されたる具体的な方法をとらなければならないということをおっしゃったが、これも局長として、事務局を代表するあなたとしては当然そう考えておいでになると思うのです。しかし、問題はそういうふうな、これを法的に云々というようなことで、町村合併促進法が失効するからその前に片づけるのだということでやられますと、とてつもない問題が起きる。血の雨が降るというような問題が起きるということを私どもは憂慮してお尋ねをしてきているわけなんでございますが、まあ意地の悪い質問をすれば、そういうことをおやりになって血の雨が降ったときには、安井大臣は責任を持つのですか、こう聞きたいところですが、そう申しても御無理ですから、ここではそういう発言をいたしませんが、しかし、十分そういうことが予想されまするので、この問題については、われわれは憂慮をしておるわけなのです。それで、調停案そのものにそう深くこだわるものではない、現地の状況その他をも考えて、そうしてこれを解決したい、こういう大臣の趣旨と承ったのでありますが、非常にくどいようでございまするが、さように了解をしてよろしいと思うのですが、再度大臣の御見解をこの際承っておきたい。
#45
○国務大臣(安井謙君) 先ほど申し上げましたように、この事態を円満に、その紛争を極力なくしてやりたいという努力は、事務当局におきましては、行政局長が中心になって進めておるのでありまして、ただ何でもかんでも機械的な方法がよろしいのだというふうに事務当局といえども考えておるわけじゃないと存じます。これは、もし言葉が足りませんでしたら、その点は事務当局も十分にこの全般の事態を認識いたしまして、円満な解決のために努力をしておるものである、こういうふうに御了解を賜わってよかろうと思います。
#46
○委員外議員(相馬助治君) 委員長、ちょっと速記とめて下さい。
#47
○委員長(増原恵吉君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#48
○委員長(増原恵吉君) 速記起こして。
  ―――――――――――――
#49
○委員長(増原恵吉君) それでは本件についてはこの程度といたし、再び三案の質疑を続行いたします。
#50
○加瀬完君 先ほどの御説明で、大臣、交付税の自然増の分の一部でございましょうが、これは傾斜配分をしたのだ、こういう御説明があった。公共事業を積極的に進めよう、これは話は逆じゃないですか。公共事業というのは、課長の説明のように、大体国が計画をしてやる。地方で計画して持っていっても、国のそれぞれの担当者がオーケを出さない限りは公共事業としては地方としてやれない。それなら公共事業の補助率とか、あるいは財源とかいうものを公共事業に引き当てて、直接に国が財政措置をもっと講ずるのが先決じゃないですか。交付税がふえたというけれども、これは、あなた方の方の単位費用の算定基礎でも明らかなように、単位費用そのものをふやしていく、極端に言うならば、当然ふやさなければならない。単位費用を削らない限りは傾斜配分できないわけです。行政水準というのを一応考えて、目途にして行政水準を引き上げようとするならば、行政水準に見合った単位費用を引き上げなければならない。しかしながら、それはどこかでブレーキをかけない限り、後進地域の傾斜配分というものはできないわけです。くどいようですけれども、交付税は交付税の本来の性格からそのまま全体の行政水準が引き上がるように単位費用をふやしていく。公共事業が進まないというのは、公共事業を進められるように特別財源措置を当然国の計画で行なうことなんですから、国に要求すればいい。それをやめて、ふえてくる分だからといって傾斜配分をすれば、傾斜配分は糸口が一つできた、これからいろいろ問題が起こってみんな傾斜配分になってしまう。これは大蔵省の主張の通り、そうなって参りますと、交付税の一般財源としての基礎というのは非常に薄弱になってくる、意義がなくなってくる、こういう心配を私どもしているわけです。大臣もおりませんし、渡海さんもおりませんし、財政局長もおりませんから、そういう点もっと明確に答えられるようにして下さいませんか。この次にさらにもっと質問を続けますから。これは財政局長の担当なんでしょう。行政局長じゃないでしょう。
#51
○政府委員(藤井貞夫君) 私じゃありません。
#52
○加瀬完君 財政局長おられないから、この次に質問をしたいと思います。その点は明確に、それぞれの資料もございましたら、またいただいて質問をさせていただきますから。
#53
○占部秀男君 あわせて僕も希望があるのですが、それは財政局長にお伝え願いたいのですが、あるいは今の加瀬さんの質問の中で、私が来ない前にあったかもしれませんけれども、この法律を実施するに伴って、いわゆる交付税問題を離れて、国からの何か高率補助に要する特別財源というようなものを用意されておるならば、その金額を一つ明確にしてもらいたい、こういうふうに思います。それはあとで一緒に……。
#54
○説明員(茨木広君) これは予算の方の問題は、直轄事業につきましては、今年度の予算に、従来の再建団体の補助率アップの分と合わせまして六十九億計上されておるわけでございます。ただ、若干事業の範囲なりが拡大されております関係上、当初予算を編成したころよりも、やはり数%主要財源が多く要るだろうというような推定になっております。その分については、補助事業の方の分につきましては、全部一年おくれの三十七年度予算に計上するということになっておりますので、その分と合わせまして三十七年度予算に計上される、こういうことになっております。現在の予想されております額では、補助事業と直轄事業と合計いたしまして、百七十億から百八十億前後の数字に相なるだろうと思います。これらはその関係団体の公共事業の全体配分がきまりましたあとで、確定的な数字がきまるわけでございますが、大体そのような援助額が別途加算される、こういうことに相なっておるわけでございます。
#55
○占部秀男君 今の点もあわせて書いて出してもらいたいと思います。
#56
○委員長(増原恵吉君) 残余の質疑は、次回に譲ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十七分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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