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1960/02/28 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第7号
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1960/02/28 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第7号
昭和三十六年二月二十八日(火曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月二十七日委員北條雋八君辞任につ
き、その補欠として原島宏治君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理事
           佐野  廣君
           成瀬 幡治君
           天田 勝正君
           天坊 裕彦君
   委員
           大谷 贇雄君
           西川甚五郎君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           山本 米治君
           荒木正三郎君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           清澤 俊英君
           須藤 五郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  田中 茂穂君
   大蔵省主税局税
   関部長     稲益  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   大蔵省主税局鑑
   査課長     木谷 忠義君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○企業資本充実のための資産再評価等
 の特別措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○機械類賦払信用保険特別会計法案
 (内閣送付、予備審査)
○租税及び金融等に関する調査
 (関税率改正に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 本日は、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案並びに機械類賦払信用保険特別会計法案、以上二件を一括議題とし、順次、提案理由の説明を聴取することにいたします。
#3
○政府委員(田中茂穂君) ただいま議題となりました企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案及び機械類賦払信用保険特別会計法案等につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。
 まず、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 企業の資本構成の是正に寄与し、その経営の安定と経理の健全化をはかる見地から、一定規模以上の株式会社に対して、再評価積立金の資本組み入れを促進し、あわせて必要な減価償却を行なわせますため、従来から、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の規定によりまして、所要の措置を講じて参ったところでございます。近くこの規定の適用期限が切れることになりますが、わが国の企業経営の現状にかんがみ、その健全化に資するため、この規定を若干強化して、適用期限を延長する等所要の改正を行なう必要があると考えられますので、ここに法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案につきまして、その概要を申し上げます。
 まず、第一に、再評価積立金の資本組み入れ促進の措置でありますが、現在、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度までは、再評価積立金の資本組み入れ割合が百分の三十に満たないときは年一割二分、百分の五十に満たないときは年一割五分をこえる配当を行なってはならないものとされておりますが、この措置を若干強化して、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度から二年間については、資本組み入れ割合が百分の三十に満たないときは年一割、百分の五十に満たないときは年一割二分、百分の七十に満たないときは年一割五分をこえる配当を行なってはならないこととし、さらに昭和三十九年三月三十一日を含む事業年度から一年間については、資本組み入れ割合が百分の四十に満たないときは年一割、百分の六十に満たないときは年一割二分、百分の八十に満たないときは年一割五分をこえる配当を行なってはならないことといたしました。なお、再評価積立金の資本金に対する割合が一定の基準割合(現在は百分の二十五)以下の会社に対しましては、現行法におきまして上記の配当制限を適用しないこととされておりますが、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度以降三年間につきましては、この基準割合を段階的に引き下げることにより、上記配当制限の適用会社の範囲を若干広げることといたしました。
 第二に、減価償却励行のための措置でありますが、減価償却の額が普通償却範囲額の百分の九十に満たないときは、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度までは年一割五分をこえる配当を行なってはならないこととされておりますが、この措置を若干強化して、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度から二年間については年一割二分、昭和三十九年三月三十一日を含む事業年度から一年間については年一割をこえる配当を行なってはならないことといたしました。
 第三に、再評価積立金の資本組み入れ割合が百分の八十以上である場合または再評価積立金の額が資本の額の百分の十以下である場合には、その全額を資本準備金に組み入れ再評価積立金勘定を廃止することができることといたしました。
 最後に、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度以後における再評価積立金の資本組み入れの促進については、追って法律で定めることといたしました。
  ―――――――――――――
 次に、機械類賦払信用保険特別会計法案について申し上げます。
 政府におきましては、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興をはかるため、機械類の割賦販売契約による取引につき信用保険を行なう制度を確立することとし、別途今国会に機械類賦払信用保険臨時措置法案を提案して御審議をお願いいたしております。この保険事業につきましては、その収支を明確にするため一般会計と区分して経理することが必要であると認められまするので、ここにこの法律案を提案することといたした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この特別会計は機械類賦払信用保険に関する経理を行なうことを目的とするもので、通商産業大臣が管理することとし、一般会計からの繰入金に相当する金額をもって資本とすることとしております。
 第二に、この会計の歳入は、保険料、保険金支払い後納付される回収金、一般会計からの繰入金及び付属雑収入とし、歳出は、保険金、事務取扱費、一時借入金の利子その他の諸費としております。その他この会計の予算及び決算に関して必要な事項のほか、利益及び損失の処理、余裕金の預託等について必要な事項を定めることとするとともに、この特別会計の設置に伴って必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。
 以上が、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案及び機械類賦払信用保険特別会計法案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 ただいまの法案の補足説明及び質疑は後日に譲ります。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(大竹平八郎君) これより関税率改正に関する件を議題にいたします。
 今国会に提出されております関税関係の法律案に関連して、関税率改正の概要について大蔵省当局から説明を聴取することにいたします。
#7
○政府委員(稲益繁君) 今回私の方で関税関係の改正法案で御審議いただきたいと思っておりますのが三件ほどございます。お手元に「関税関係法律改正案の概要」という要綱を差し上げてありますが、大体この概要について御説明を申し上げたいと思います。
 第一の法律案は、関税定率法の一部を改正する法律案であります。第二は関税暫定措置法の一部を改正する法律案、第三が関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案であります。主たるものは第一の関税定率法の一部を改正する法律案でありますが、これにつきましては、中心をなしますものは、関税率そのものの改正と、これに伴います若干の関税制度の改正であります。
 まず、関税制度の整備でありますが、今回新たに、従来ございませんでした緊急関税制度並びに関税割当制度を設けたわけであります。
 で、第一に、緊急関税制度でありますが、貿易が自由化されて参りますると、従来、為替なりあるいは貿易の面で直接的な統制手段がありまして、これでもって必要な場合には輸入制限を行なうといったような手段が、現在ございまするし、また従来あったわけであります。今後、貿易が自由化されて参りますると、たとえば特定の産品が外国から急に、海外で価格が下がったといったような場合には、わが国で急激に輸入が増大して参る。自由化されておりまするので、輸入の制限といった直接的な統制の方法がないわけであります。かような場合に、もっぱらこの調整をいたしますのは関税だけということになって参るわけであります。そういう事態に備えまして、特定の場合に一定の条件をつけまして、政府限りで関税の引き上げ、あるいはガットの譲許率の撤回修正といったものが行なえるようにしたいというのが、この制度の趣旨であります。
 御承知のように、憲法で租税はすべて法律によるということになっておりましても、もちろん、関税率そのものの変更ににつきましては、本来でありますると、一々関税定率法を修正する、改正するという形で国会の御審議を仰ぐべきでありますが、かような場合に、憲法の八十四条でありますか、租税法定主義の場合におきましても、ある条件があれば必ずしも法律によらなくてもいいという解釈があるわけであります。さような規定があるわけでありまして、これによりまして、非常に今回は要件を限定いたしまして、特定の要件が備わりました場合には、関税改正についての幅につきましても厳重な制限をつけまして、政府でさような条件が満たされる場合に関税率の改正をするという権限を国会から委任を受けたいという趣旨であります。
 要件といたしましては、ただいま申し上げましたように、特定の産品が海外で価格が下落するといったような事情でわが国に輸入が急増して参る、急激に増加して参るといったような場合でございます。その場合に、わが国でその特定の産品と同種または類似の商品を生産しております産業、これが非常に大きな損害を受ける、あるいは受けるおそれが非常に顕著であるといったような場合であります。で、しかもなお、そういう場合でありましても、国民経済全体の立場から見まして、緊急やむを得ないという認定が下せる場合、以上のようなおおむね三つの要件を規定いたしまして、さような場合に特定税率の引き上げなり、あるいはガット税率の譲許の撤回なりあるいは修正、あるいはいま一つはガットの譲許の撤回に伴いまして代償として必要とされる譲許税率の逆に引き下げ、かようなものを緊急関税として発動できるということを内容として規定しております。
 で、緊急関税につきまして、いま一点御説明申し上げたいと思います点は、問題がまあ緊急に発生したということのために、国会の御審議をいただかないで一応政府に委任していただく。非常にまあ要件は限定されております。要件をしぼっておるわけでありますが、さような緊急事態に処するものであるという建前からいたしまして、そういう緊急関税を必要とする事態が相当な期間をこえて、いわば長期的に、恒久的に必要とされるというような事態になりました場合には、関税定率法別表そのものを改正いたしまして、その方に繰り入れるということが必要であるということを規定いたしておるわけであります。これによりまして、この制度そのものがそういう緊急の事態に処するためのいわば臨時的な制度であるという性格を明確にいたしたわけであります。
 以上が緊急関税の概略でありますが、次に関税割当制度であります。この関税割当制度と申しますのは、わが国では今回初めて取り入れたわけでありますが、外国ではすでにアメリカを初めドイツその他でも現に採用されております。
 制度の概略を申し上げますると、特定の物資で一定の数量ワクをきめまして、そのワクの範囲内のものが入って参ります場合には無税あるいは低い税率を適用する。その一定量をこえて入って参りまする分につきましては、国内産業保護の見地から高い税率を課する。いわば一つの商品に対して二重の税率、二つの税率ができるわけであります。
 この制度を設けました趣旨でありますが、一面におきまして外国との競争でまだ競争力が十分でない、弱いというような商品でありまして、重要なものにつきましては、一般的には今回の改正におきましてもある程度の保護税率を盛るということを考えたわけであります。ところが、このような場合に、その商品の、何と申しますか、需要者側から見ての重要性というものが非常に高い場合があるわけであります。そういたしますると、その商品の生産者の保護をはかるというために全般的に高い税率にいたしますると、これを使う側、需要者ないし消費者側が非常な迷惑をこうむるわけであります。従いまして、たとえば国内の需要が一〇〇といたしました場合に、国産で大体六〇まかなえる、あとの四〇が必要な輸入量だといたしますると、その必要な輸入量の四〇につきましては低い税率を適用いたしまして、これによって需要者ないし消費者の利益を擁護するということを考えるわけであります。その四〇をこえました分につきましては、つまり国内のいわゆる適正な需要量と思われまする一〇〇をこえるわけでありますから、その分につきましては、国産の保護のために高い税率を課すと。まあ実質的には現在の、何と申しますか、外貨割当なり、そういった統制とかなり実質的には似ておるわけでありますけれども、一応貿易を自由化いたしまして輸入は自由であるという建前をとりました場合に、なお国内のそういったおくれた産業を一面で保護いたしますると同時に需要者側の利益を擁護する、こういった生産者と需要者とのそれぞれの利益を調整するという必要のために生まれて参った制度であります。かように御了承いただきたいと思います。
 それから、第二の問題は、そこにございまする再輸出減税規定の創設であります。これは、たとえば外国から日本がプラントの輸入をしたというような場合であります。そのプラントの組み立てのために一時的に輸入されて、また再輸出されるといったようないわゆる工具関係があるわけであります。で、そういうものにつきまして、従来の規定によりますると、そういう工具につきましても全部関税を課しておったわけであります。ところが、実情から見まして、さような工具は一定の期間使用後にはまた再輸出されるわけであります。向こうへ戻されるというような性質のものであります。従いまして、かようなものについてその全体に課税をするということは酷である、実情に沿わないといったような事情がごごいまするので、今回は、そういうものが輸入後一定の期間内に輸出される、大体二年ということを考えておりますが、二年内に輸出されるといった場合には、これについて全額課税をしませんで、ある程度の減税をする。国内で使用されました価値部分程度に課税をするといったように考えておりまして、実情に合うようにいたしたいという趣旨でございます。
 それから、最後に、関税定率法の改正法案の中で、いわゆる輸入映画、書籍等の取り扱い手続の改善の規定を設けたわけであります。いわゆる関税定率法の二十一条でありますが、「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」というようなものを、従来の規定によりますると、これが輸入禁制品ということになっておりまして、第二項で、税関はそういうものが輸入された場合に「没収して廃棄」する、あるいは「当該貨物を輸入しようとする者にその積みもどしを命ずることができる。」という規定になっておったわけであります。で、この点につきましては、一昨年でありますか、衆議院の大蔵委員会でも問題になりまして、こういうものを税関限りで、行政府限りで没収して廃棄するといったようなことは少し酷ではないか、行き過ぎではないかといったような御意見があったわけであります。その当時、委員会の決議といたしまして、こういう処理は慎重にやるようにという決議があったような次第であります。今回の関税定率法の改正の機会におきまして、この点につきましても、私どもその決議の趣旨をよく体しまして、やり方を若干改めたいという趣旨で、今回の改正法案を作ったわけであります。
 改正案の趣旨は、従来でありますると、税関で、たとえば映画でありますが、公安なりあるいは風俗を害するといったようなものが入って参りました場合に、現実の問題としましては、東京税関におきまして、一応税関限りで任意に作ったものではありまするが、輸入映画審議会というものを諮問機関として設けまして、これに諮った上でこのような措置をとっておったわけであります。今回の改正におきましては、要点は二点ございまして、このような輸入映画等審議会といったような、学識経験者の意見を聞くという意味でのそういった諮問機関を法制上の機関とするというのが第一点であります。今回はっきり法律にそういうものを設置するという規定を置いたわけであります。それから第二点は、従来はそういう審議会に諮りまして、規定上は二項で没収して廃棄するというような規定になっておったわけでありますが、これを改めまして、一応そういう疑いのあるものが入って参りました場合には、税関長の方で輸入者の方に、これは輸入禁制品に該当するということを通知いたしまして、輸入業者の方で、いや、自分はそれに不服だというような場合には、税関長に異議の申し立てができるということにいたしたわけであります。しかる後に、税関長は、異議の申し立てがありました場合には、先ほど申し上げました審議会に諮りまして、その意見を尊重して、さらに輸入業者に、なおかつ輸入禁制品であるということになった場合には、その旨を通知いたします。これによりまして輸入業者の方が自発的にその貨物を積み戻すなりあるいは任意放棄するといったような措置をとってもらうというように、運営を非常に民主化して、なおかつ最終の没収、廃棄といった規定を今回はやめたわけであります。
 以上、大体税定率法の改正の制度的な面並びにその他の面でありまするが、一番今回の改正の中心をなしますのが、二の関税率表の改訂であります。
 関税率の改正につきましては、この要綱の冒頭のところにございますように、「昭和二十六年の輸入税表改正以来の本邦産業構造の変化等にかんがみ、また、あわせて貿易自由化に対するため」、これが今回の改正のいわば趣旨でございます。御承知のように、昭和二十六年以来約十年たっておるわけであります。この間に非常に大きな産業構造上の変化があった。これに対応いたしますと同時に、一面、貿易の自由化ということが進んで参っております。それにも対処できるようにということを中心に考えまして、税率の修正を行なったわけであります。
 その前に、現行の関税定率法でありますが、その中の税表を見ますると、税目数がそこにございますように九百四十三品目になっておるわけであります。これは諸外国の例を見ましても非常に少ないわけでありまして、現在の税表でいきますると、非常に古い分類になっておりまして、たとえば、最近の新しい石油化学関係の製品、その他非常に多くの新しい製品が特掲されておらないわけであります。一面また、現在では輸入実績もないといったようなものが旧態依然として残っておるといったような、非常に不合理な点がある。従いまして、今回はそういった税表の分類を根本的に改めまして、いわゆるブラッセルの関税分類、これに準拠して、細分類の点におきましてはわが国特有のものを加えております。しかし、大きな分類、中分類まではブラッセルの税表分類に従いまして、新しい税表の分類を行なったということが一つの特色であります。
 そういたしました結果、総品目数が、そこにございまするように、二千二百三十三品目に分かれたことであります。ただいま申し上げましたように、ブラッセルの関税分類と申しますのは、非常に合理的にできておりまして、国際的にもまた、各国の専門家が集まって作ったというようなものでありまして、非常に国際的にも通用するといったものであります。従いまして、今回の改正の中でも一つの大きな特色をなすものであろうかと思います。二千二百三十三品目に分かれたわけであります。
 この中で、大体税率としまして引き上げになりましたものが、二百五十一品目ございます。従来の税率から引き上げになりましたものが二百五十一品目、それから、従来の関税率から逆に引き下げました品目が、品目の数としましては三百八十六品目でございます。従いまして、残りの千五百九十六品目が現行の税率と同様、つまり据え置きの税率ということに相なるわけでございます。もう一度申し上げますると、引き上げ品目が二百五十一、引き下げ品目が三百八十六、据え置き品目が千五百九十六であります。合計二千二百三十三品目という構成になるわけであります。
 この引き上げました品目でありますが、先ほど申し上げましたように、今回の税率改正の一番大きな眼目が、二十六年以来の産業構造の変化、なおまた今後の産業構造の高度化と申しますか、そういうものを中心に考えておるわけであります。いま一点は、自由化を円滑に進めるために、税率の調整をするということであります。従いまして、この引き上げになりました二百五十一品目について見ましても、要するに、今後積極的に産業政策の立場からわが国として育成していかなければならないような産業、そういったものにつきまして、ある程度の引き上げを行なう。たとえば農産物で申し上げますると、バター、チーズといったような酪農製品でありますとか、あるいは鉱工業品で申し上げますると、工作機械の一部でありますとか、そういったものがこれに該当する。要するに、今後積極的にわが国として育成していくべき産業といったようなものについて若干の引き上げを考慮したわけであります。それからまた、自由化との関連におきまして、貿易の輸入の自由化を行ないますると、一時的にかなり衝撃を受ける産業もあるわけであります。かようなものにつきましては、そういった衝撃を緩和するという意味におきまして、ある程度の保護を必要とするといったようなものも出て参るわけであります。例が適切かどうかはあるいは問題があるかと思いますが、たとえば、ごく間近に自由化を控えております大豆でありますとか、あるいは、中には非鉄金属の中の一部といったようなものにつきまして、そういった配慮から、つまり自由化の衝撃をできるだけ緩和したいといった配慮から引き上げが行なわれたといったようなものが、大体この引き上げ品目の内容であります。
 次に、引き下げた品目でありますが、数で申しますと引き上げ品目を上回っております。この中にも大体考え方としまして二つほどありまして、一つは、すでにもう十分に、何と申しますか、産業として成長した産業である、対外競争力も非常に強まっておるといったような産業の物資であります。たとえて申し上げますると、前回の改正の昭和二十六年当時におきましては、まだ保護育成しなければいかぬという考えで、かなり高税率を持っておりましたような塩化ビニール、酢酸ビニールといったようなもの、かようなものは今日では十分成長いたしまして、輸出産業になっているわけであります。かようなものにつきましては、それほど保護は必要じゃないという観点から、若干の引き下げを行なった。それから、いま一つの範疇でありますが、引き下げの中で、従来奢侈関税といった観念で、高い税率を持っておったものがあるわけであります。たとえば貴金属製品でありますとか、あるいは毛皮製品でありますとか、そういったものが奢侈抑制と申しますか、奢侈関税という考え方で、かなり高い税率を持っておった。たとえて申し上げますると、腕時計でありますが、これがステンレス側のものでありますると従価三〇%、これが金あるいは白金の側のものになりますと五〇%といったように、非常に高い税率を貴金属関係に課しておったわけであります。かようなものにつきましては、そのときどきの奢侈品に対する考えもあるわけなんでありますが、今日の時代におきましては、それほど奢侈品なるがゆえに高い関税を課するというのもいかがであろうかという考えであります。と申しましても、全然奢侈の観念を払拭するというところまではまだ踏み切るのは早いのじゃないかということでありまして、かような奢侈品の関税として、従来かけられておりました五〇、ないしものによっては四〇%、そういったものを約一〇%程度下げまして、四〇ないし三〇の税率を持つようにしました。これが引き下げ品目の中でかなり多くを占めているわけであります。
 それから、据え置きの品目でありますが、その中にも二種類ありまして、十分個々の品目につきまして国際競争力なりその他の点を調査いたしまして、なおかつ現行税率と同じ税率におさまったというものが大部分であります。ただ、一部のものにつきましては、たとえば米、小麦、そういった主食関係でありますとか、あるいは非鉄金属の一部であります銅、鉛、亜鉛といったようなものでありますが、こういったものにつきましては、今日の段階では、たとえば主食関係で申し上げますと、現在の食糧管理制度というものを前提といたします限り、関税率の検討が非常にむずかしいわけであります。自由化の時期といったようなものも全然まだ見当がつかないわけであります。そういった重要な基本的な政策がまだ未定である。いま一つ申し忘れましたが、石炭、石油についても同様であります。総合的なエネルギー対策と申しますか、そういったものがまだはっきりこの段階ではめどがついておらないということのためにも、今回は一応検討を見送りまして、その意味で見送り的な据え置きになったというのがただいま申し上げましたような品目であります。従いまして、こういった品目につきましては、また次の機会におきまして、そういう基本的な点がはっきりいたしました際に改正を考えるということに相なったわけであります。
 以上、引き上げ、引き下げ、据え置きといったようなおおむねの考え方を申し上げたわけでありますが、育成産業である、あるいは自由化の衝撃を緩和するといったような建前から、若干の保護関税として引き上げを行ないましたものにつきましても、ただ保護を受ける産業の側の立場だけでなくて、その商品の需要者と申しますか、あるいは消費者といった立場を十分考慮いたしまして、ある程度その産業に合理化も十分織り込んでもらう――織り込むと申しますか、何と申しますか、ある程度のそういう産業のこれからの合理化の努力といったようなものも織り込みまして、できるだけ一つ需要者なり消費者の立場を考えまして、引き上げの場合でも極力それを低い程度にとどめたいということを十分考慮を加えたつもりでございます。なおまた、一面、国際的な関税が問題でもありますので、たとえばガットとの関係そういった配慮も十分加えたようなわけであります。
 以上をもちまして、第一の関税定率法の一部改正につきましての概略の御説明を終えまして、次の問題は暫定措置法であります。
 この暫定措置法はおおむね、従来の暫定措置法で申し上げますると、一年を限って暫定的な減免を行なって参ったわけでございます。毎年御審議をいただいておる法案ですが、この三月三十一日でその関係のものがまた期限が参るわけであります。そういった関係のものがそこの1にございまするような重要機械類、給食用脱脂粉乳、あるいは農林漁業用重油、肥料製造用の原油、製油用原油といったようなものであります。これにつきましては、なお今日の情勢におきまして、さらに一年間延長することが適当であると思われますので、これについての延長を、さらにその中でたとえば給食用の脱脂粉乳でありまするが、主として学童の給食用脱脂粉乳であったわけでありますが、今回若干範囲を拡げまして、幼稚園の園児でありますとか、あるいは福祉施設関係の児童でありますとか、そういったものに若干範囲を広げたいというのがその趣旨であります。
 それから、今回の暫定措置法の中で新たに追加いたしましたものとして、2にございますガス事業用の原油がございます。御承知のように、ガス事業で最近だんだん原油を使用する率が高まって参っておるわけでございますから、油の関係と石炭の関係はエネルギーの総合的な対策が今日まだはっきりめどがついておらないために、今回見送ったと申し上げたのでありますが、このガス事業に使われまする油の場合には、ガスが御承知のように原料炭を使用しておるわけでございます。いわゆる電力なんかの使います一般炭と違いまして、需給もかなり窮屈な状態であります。従いまして、この方面の免税を行ないましても、いわゆるエネルギー対策としての石炭に対する影響がない、あるいはありましても軽微なものである。かたがた、こういう都市ガスが非常に公共性の強いもので、でき得ればこのような都市ガスの使いまする油を免税いたしまして、公共料金の引き下げに資する方法でありたいという趣旨で、今回新たに追加いたしたわけでございます。
 なお、従来の減免措置につきましては、そのほか若干の品目につきまして新規に追加ないしは削除を行なっております。さして重要な物資ではございませんが、そういう品目について若干の調整を行なっております。
 そのほかに、暫定措置法で今回新たに取り上げましたものに、そこに4と5にありますようないわゆる暫定増税あるいは暫定減税といった、今回の関税率の全面改正に伴いまして起こって参りました暫定措置関係があるわけであります。一つは、そこにございますように、貿易の自由化により急激な影響をこうむるおそれのある物品について、必要な期間暫定的に増税しまたは関税割当制度を適用する。これは先ほども申し上げましたように、自由化によって、それが急がれる場合に、かなり衝撃を受けるというような物品であります。かようなものにつきましては、もちろん、ある期間たちますと、その企業の努力なり合理化の進行によりまして、それほど高い関税を必要としないということが考えられるわけでありますが、ある期間を限って保護する必要があるというようなものであります。このようなものにつきましては、期間を二年なり三年、おおむね三年でありますが、その程度の期間を区切りまして暫定的に高い税率を課するというようなことにいたしたわけであります。あるいはニッケルのごとく、その際に関税割当制度を適用するということにいたしたものもあるわけであります。
 それから、一方の暫定減税でありますが、この方は、国内需要者の負担の増大を避けるため、関税定率法の改正により、税率の引き上げが行なわれることとなる物品のうち所要のものについて、暫定的に現行税率を適用する。自由化を前提といたしますると、ある程度保護を必要とする、つまり高い保護関税を必要とするというようなものが出て参るわけであります。かようなものにつきましては、一応今回の作業は自由化を前提として作業をいたしておりまするので、高い税率を課さざるを得ない。ところが、自由化が直ぐに行なわれるということでありますれば、直ちにその高い税率を施行すればいいわけでありますが、一年なり二年なりそのような自由化がずれるというようなものもあるわけであります。そのようなものにつきましては、その間高い関税を課しますと、需要者なり消費者が非常に迷惑を受けるという点を考慮いたしまして、暫定的に自由化するまでの間は現行の低い税率で参りたいというのが、この関係の暫定減税であります。
 以上をもちまして暫定措置法の説明を終わります。
 第三は、定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案でありますが、そこにございますように、従来沖繩から参りますいわゆる土産品でありますが、これについては免税ができるようになっておったわけであります。しからざれば免税ができないものにつきましては、全くの外国並みでありまして、全面的に関税をかける。そのいずれかというふうになっておったわけであります。ところが、最近、沖繩におきまして外国から原料を入れまして沖繩で加工をする、そうして日本に輸出するといったようなものがぼちぼち出て参っておるわけであります。数量が多くありません場合には、日本の産業にこれが非常に重大な脅威になるといったようなことがないわけでありますが、将来のことを考えますと、だんだんあそこで加工貿易、そういった形の加工貿易が盛んになって参りますと、日本のいわゆる国内産業との、何と申しますか、関係が非常にむずかしくなって参るわけであります。かような問題を処理いたしますために、今回新たに、そういう外国からの原料を輸入いたしまして沖繩で加工をいたしまして日本に輸出する、こういったようなものにつきまして、いわゆる外国から買いました原料分にだけ日本も課税が行なわれまするが、つまり沖繩での付加されました価値部分については免税をするということが行なわれますように、新たに減税の規定を設けたわけであります。現在直ちに発動するというほどの差し迫った事態にはなっておらないと私どもは見ておるわけでありますが、そういう事態が全然予想されないわけでもございません。従いまして、法律上従来のままにいたしておきますと、そういう場合に全面的な課税をしなければならないという立場にありますので、できるだけ沖繩の特殊性を考慮いたしまして、そういった減税の道を開いておきたい、これがただいまの改正案の中心でございます。
 以上概略の説明で恐縮でございますが、一応今回提案いたしております法案の概略の説明を終わります。
#8
○委員長(大竹平八郎君) ただいまの説明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○木村禧八郎君 これは自由化と関係があるというのは御説明の通りなんですが、自由化の問題は今どの程度になっておるのですか。私、聞くところによると、日本は十四条国から八条国になる勧告を受けるのではないか。そうなると、だいぶ急がれるわけです。最初の三年間で八〇%ですか、これが少し時期が早まるのではないかというようなことも言われておるわけですね。それで、どの程度の自由化――時期もそうですが、どの程度の自由化ということを目標にして関税を考えられておるのですか。その点をまず伺っておきます。
#10
○政府委員(稲益繁君) 自由化との関連は、私はちょうど昨年の、この作業を始めましたのが四月から開始しまして、それからこの正月に審議会から答申が出たわけでございます。その過程で、私どもが作業いたしますときの前提は、ちょうど作業の途中の六月に大綱が出た。今、先生のお話の三年間で八〇%ないし九〇%、あの大綱を前提といたしまして作業をやったわけでございます。いま一つ、最近のいろいろな動きがあるのでございますが、まだ政府間で検討している段階であります。あれをさらにどの程度改正していくかということの結論はまだ出ておりません。従いまして、今度の改正案は一応あの大綱で予定したものを前提としているということを申し上げます。
#11
○木村禧八郎君 これは、もう少したてばはっきりしてくるでしょうが、たとえば通産省あたりでも、大体日本は八条国になるのではないかということを前提にして今作業をやっているやに聞いている。それも用意のためにやっているのかもしれませんけれども、しかし、いろいろな情報をわれわれ新聞や雑誌その他の資料で見ておりますと、どうも今度は日本は八条国になるようですね。そうなると、前の作業をされたときとかなり事情が違ってきますね。違ってくると思うのですよ。その点があると思うのですが、いかがですか。
#12
○政府委員(稲益繁君) 今の点は、私どもは、ちょっと先ほどの説明では言葉が足りなかったと思うのですが、一応自由化がいつになりましょうと、というほどでもないのでございますが、三年なり五年なりあとだと思われるものにつきましても、自由化された姿を前提に一応考えたわけであります。たとえば酪農品のごとき、早急な自由化は非常に困難なもの、こういうものにつきましても、自由化された姿でどの程度の税率を持ったらしかるべきであろうか。ほかの物資についても同様でありますが、自由化された姿で必要とされる関税率はどの程度かというのを算定いたしまして、しかる後に先ほど申し上げました暫定措置で、酪農関係につきましては今直ちに自由化するわけじゃないわけでございますから、現行の三五を四五というふうに大幅に上げておりますが、四五は自由化の時期まではまだ適用しないといったようなことで、とりあえずこの一年間は現行税率を据え置いてやっていくんだということを暫定措置法でうたっております。従いまして、自由化は一応全部前提にしておるということだけは申し上げられると思います。
#13
○木村禧八郎君 それから、この緊急関税制度の創設ですが、これは日本だけできめて、それできまるものなんですか。このガットの譲許の撤回とか、コンセッションの問題は向こうとの関係があるわけですね、外国との。こっちだけできめれば、それできまるものなんですか。
#14
○政府委員(稲益繁君) ガットの方は十九条でもって全く同じような、いわゆる緊急条項というのを規定しておるのでございます。従いまして、各国大体これで、特にアメリカなんか十九条を発動いたしまして現にやっておるわけであります。従いまして、今回私どもの作りました緊急関税制度でございますが、大体この十九条をモデルにして作ったのでございます。ガットの方でも十分適用できるということでございます。
#15
○木村禧八郎君 その場合、たとえばガット譲許を撤回すれば、今度はほかのもので何か補いしなきゃならないでしょう。そういうことになりますか。少しそこのところ具体的に、われわれわからないものですから。
#16
○政府委員(稲益繁君) そこはちょっと簡単に触れたものでございますから……。緊急関税の態様で申し上げますと、三つあるわけです。一つは特定税率の税率引き上げ、いま一つはガットで譲許しておりますもののその譲許の撤回ないしは修正ですね。要するに引き上げになっております。いま一つは、先ほど私、代償としてと申し上げたのですが、そういうふうに代償の形のもので、十九条を発動いたしましてガットの譲許税率を撤回いたしますと、相手国から今度は、必ずこれは交渉を要するものでございますから、交渉の過程でそれじゃほかのものを関税を引き下げてくれということを言われるわけであります。そういう場合にはこれを代償として与えませんと、こちらのねらう引き上げができないわけであります。従いまして、第三のタイプとして、これと関連して代償として出さざるを得なくなった物資についての関税が逆に引き下げになりますが、そういうものもやれると。ただし、これにつきましてはその代償として必要な限度に限るぞということを規定いたした。お説の通り引き上げの方と引き下げの方と両方出て参るわけであります。
#17
○木村禧八郎君 そのときに、いろいろ問題になると思うのですがね。引き上げる方は、撤回する方はいいけれども、今度は代償として下げられる方の問題が非常に問題になりますがね。これはまあそのときに問題になるのでしょうが、下げられるに該当する業界は、それによって影響なければいいんですがね。いろいろまた利害複雑になってきますね。それはまあそういうことになっている事実だけわかればいいわけです。
 それから、もう一つ、関税割当制度の創設のことですが、さっきお話しのように、実質的には大体今の外貨割当制度とあまり変わらない制度をこういう形で生かすというようなお話がありましたが、私もこれを拝見しましてそうだと思うのですよ。そのときに問題になりますのは、一定の輸入数量、ワクをどういう形でどういうふうにきめるかという問題ですね。それは、これを見ますと、今までの外貨割当と同じようなことになる。今までの外貨割当でもずいぶん問題があるわけです。たとえば砂糖なんか、国内で百二十万トン需要があるというのに、百十万トンしか輸入を許さない。外貨割当をしない。あるいは百万トンしか割当をしない。それですから、国内で砂糖が高くなるでしょう。しかも、それを個々の会社に割り当てているのですからね。そこで非常な暴利をむさぼっているわけです、砂糖会社は。超過利益金を取ろうと思っても取れない。こういう弊害があるわけです。それはもちろん国内の砂糖の保護という見地からも、そういう立場で砂糖の輸入制限はしているでしょうけれども、しかし、それには非常に問題があるわけですね。国内のテンサイ糖その他の保護は保護として別に考えるべきであって、そのために砂糖会社にうんともうけさしている。そういうことは今度はこの関税割当制度によって引き継がれるということになると、改善にならない。そこで、一定の輸入数量のワクをきめるときに、それはどこでどういうふうにワクをきめるかという問題が出てくる。それはどういうふうにしてきめますか。
#18
○政府委員(稲益繁君) おっしゃいますように、この数量のクォータのきめ方が一番問題だと思うのです。現在のところでは、それぞれ通産なり農林なり、その物資の所管官庁の方で一応ワクの算定をやって参りまして、それで私どもその協議を受けまして、政令でそのワクをきめて参るという考えでおるわけであります。まあ、このきめ方自体はなかなか問題はあろうかと思うのでありますが、ここに書いておりますのも、非常に抽象的でありますが、その他国民経済上必要な考慮に基づいて割当数量はきめるのだという考えでおります。できるだけそういう弊害がないようにやりたいと思っております。
#19
○木村禧八郎君 それは弊害がないようにと言われましても、今までの外貨割当はそういうことになっているのでして、まあ少し極端にいえば、それが保守党のドル箱になっているといわれているのです。そういう利権とかそういうものと結びつく弊害があるのですよ、現実に。せっかく今度外貨割当を関税割当制度に切りかえるような場合に、何か今度はそうでない、そういうような弊害のない一つの前進したような形がとれないかということが、割当のときに何か審議会みたいなようなものを作って、やはり消費者の方の意見も反映するように、何かそういうものがとれないか。今までは外貨割当審議会でやってしまうのでしょう。関税の場合なんか、何かそういう組織でもないと、消費者の方の意向が反映しない。今までの弊害はやはりそのまま引き継ぐというような点があると思う。何かそこに考慮の余地がないですか。研究されてみたのですか、それらの点は。
#20
○政府委員(稲益繁君) 今の点は、クォータの数量自体を決定しますことと、そのクォータをどうだれに配分するかという問題と、二つあるわけであります。私は、クォータの決定のお話として先ほどちょっと伺っておったのですが、ただいまのお話ですと、具体的にだれに割り当てるかという問題もあわせてのお話のようであります。これは私どもとしても、一応現在考えておりますのは、クォータ自体の決定につきましては、政令ではっきりうたいたいと思います。ただ、それの具体的な個々の割当につきましては、これは御承知のように、アメリカあたりでは先着順制ということでやっておりますが、これも私どもは、本来の趣旨としてはこの方がいいのじゃないかという考えもあったのでありますが、何分にもアメリカの場合には外貨割当とか、そういう制度で全然やったことがないわけです。従って、先着順でやってきておる。このいろんなやり方を検討してみますと、どうもやはり先着順制にも非常に弊害が出てくるわけです。と申しますのは、一定の一〇〇というワクを年度の初めに示しまして、これで低い税率は終わりですよと示すわけですから、初めの時期に殺到して参るわけです。それで輸入の時期的な非常な波が出てくる、そういった欠点がありますし、締め切りの時期の問題が非常に問題になるというようなこともありまして、必ずしもあれが絶対にいいということは言えませんし、たまたま日本の場合には、従来外貨割当制ということでそういう実績が出て参っておるわけです。そのやり方にもなれているといったような点もありまして、今回は、一応採用しました五品目につきましては全部割当制でいきたいと考えておるわけです。ただ、そのワクの決定なりあるいはその割当の具体的なやり方につきまして、何かやはり慎重なやり方が必要だと思いますので、なお今後とも検討したいと思います。
#21
○木村禧八郎君 今、五品目と言われましたが、何と何ですか。
#22
○政府委員(稲益繁君) 一つはニッケル、それから高速度綱、それから五酸化バナジゥム、それからセラック、シードラック。
#23
○木村禧八郎君 一応、何に使うのですか。
#24
○政府委員(稲益繁君) 商品の性質でございますね、それは説明員の方から……。
#25
○説明員(木谷忠義君) ただいま申されました五品目でございますが、ニッケルは、御承知のようにニッケルでございます。それから、高速度鋼は鋼の非常に高速に切削できる、いわゆるハイ・スピード・スチールでございます。五酸化バナジゥムと申しますのは、その中に入っておりますバナジゥムで、高速度鋼の原料になるわけであります。バナジゥムは鉄合金となりまして、それが高速度鋼の原料に使われる性質ものでございます。それから、一番あとに説明のありました二品目、セラック、シードラック、これは塗料の原料でございまして、ニスでございます。その中に使います原料であります。
#26
○木村禧八郎君 今の品目が大体予定されているのですか、これに関税割当に。
#27
○政府委員(稲益繁君) これは別表の方でそういうあれが出て参るわけです。数量を掲げまして、たとえば――法案はお持ちでございますかしら。
#28
○木村禧八郎君 ええ。
#29
○政府委員(稲益繁君) 法案を見ますと、ちょうど四百ページのところに、別表のところでございますが、ニッケルのところがあるのです。それを見ますると、二の「塊」とありますところ、ニッケルのかたまり、塊。(一)の「ニッケル」のところで、イに「当該年度における国内需要見込数量から国内生産見込数量を控除した数量を基準とし、国際市況その他の条件を勘案して政令で定める数量以内のもの」、これが無税。「その他のもの」は一キログラムにつき二百円、こういうふうな数量を規定したところはこの別表の中に出て参るわけです。そういうのがいわゆる関税割当制度になるわけです。
#30
○木村禧八郎君 わかりました。さしあたり五品目ですね。あとまた追加されるものもあるわけですね。
#31
○政府委員(稲益繁君) 今の場合は五品目予定しておりますが、なお、法律ではっきりそういうことを規定しませんと、そういう制度ができませんので、追加いたします際は、そのつどまた御審議いただくわけです。
#32
○木村禧八郎君 それから、先ほど引き上げになるものと、引き下げになるものと、それから据え置きになるもの、この品目は、何か資料でも出ておりましょうか、分類別に。
#33
○政府委員(稲益繁君) 全部の品目を今の三つに分類して掲げたというところまでの資料はお出ししておりませんが、主要品目につきまして、重要品目のあれだけを掲げております。
#34
○木村禧八郎君 それはいいのですが、三つに分類した表をいただくといいのですがね。引き上げるもの二百五十一ですか、それ、何か整理して出していただけませんか。
#35
○政府委員(稲益繁君) 新旧の税率対照表というのは参考資料として差し上げてあるのでございますが、そうしますと、全部今の三つに分類して品目をずっと書き上げていくわけでございますか。
#36
○木村禧八郎君 そうですね。据え置きのものが千五百九十六もありますからね、これは大へんですからね。大体引き上げになるもの、引き下げになるものですか、その二つぐらいでいいのです。あとは据え置きですからね。引き上げと引き下げがやはり問題になるでしょうが、さっきのたとえば貴金属類とか毛皮品とか奢侈関係のもの、こういうもの引き下げになるのですが、それはやはりわれわれ見る場合に参考にしたいのですよ。また、引き上げになるものはどういうものかと、この二つだけについてでもけっこうなんですがね。大へん品目が多くてめんどうですけれども、どうでしょうか。
#37
○政府委員(稲益繁君) さっそく整理しまして、お出しいたすようにいたします。
#38
○木村禧八郎君 ごめんどうですが、お願いします。
#39
○須藤五郎君 「輸入映画、書籍等の取扱い手続の改善」ですがね、輸入映画審議会というのは今度新しく作るのですか。前からそういうものがあって、それをずっと続けてやっていくのですか。新しいメンバーで構成するのですか、どうなんですか。
#40
○政府委員(稲益繁君) 先ほどちょっとお話し申し上げましたが、現在、東京税関では税関限りの任意のと申しますか、法律に基づかない審議会を作っているわけです。これは実際上は十分学識経験者の方々の御意見を伺っておるわけでありますが、これを法制化いたしまして、委員の数もふやしまして、十分各方面の方の公正な意見が反映するように構成を考えたい、かように考えております。
#41
○須藤五郎君 それじゃ、まだ構成はきまっていないわけですね。
#42
○政府委員(稲益繁君) まだ新しい制度のもとのものまではきめておりません。
#43
○須藤五郎君 それでは、これまで任意的にやっておった人は何人でどういう人、それからその人の経歴、そういうものをちょっと知りたいのですが〇
#44
○委員長(大竹平八郎君) すぐ答弁できますか。
#45
○須藤五郎君 なければ、あとで資料でちょっともらった方がいいのです。
#46
○政府委員(稲益繁君) それじゃ、あとで資料でお出しいたします。
#47
○須藤五郎君 それから、もう一つ、ここに「輸入禁制品に該当すると認められる書籍、フィルム」と、こういうふうにあげられておりますが、これまで禁止された品目ですね、いわゆるどういう映画が禁止されたか、どういう書籍が禁止されたか、そのものの名前、内容ですね。エロ映画でもいいですよ。内容をずっとあげてもらいたいのです。それから、それを作った国籍ですね、どこの国のものかということ。それからもう一つ、それを取り扱った日本の商社ですね、それをやはり資料としていただきたいと思います。
#48
○委員長(大竹平八郎君) 須藤君にちょっと伺いますが、今の資料要求ですね、年度は何年くらいからですか。そうでないと作りにくいから、最近のとか、二年とか三年とか……。
#49
○須藤五郎君 そう数は多くないと思いますので、過去三年なり五年なりのものを。
#50
○委員長(大竹平八郎君) じゃ、三年程度にしておきましょう。わかりましたか。
#51
○政府委員(稲益繁君) わかりました。
#52
○天田勝正君 これ、貿易自由化で一番打撃を受けるのは、何といっても、農畜産物の関係だろうと思うのですけれども、これはもちろん直ちにあす自由化するという筋のものではないが、しかし、私も自分なりに計算してあるのですけれども、ここへ持ってきておりませんが、米でいえばエジプト米、ラングーン米、これらは日本の方が二・八七倍くらい高いはずです、私の計算では。全部各国とも計算してありますが、ここへ持ってきてありません。小麦についてもやはり同様で、小麦については日本より安いところは一つもない。小麦について日本より安いところは西ドイツとイタリアしかない。それを国内でどう操作しておるか私は知りませんが、とにかく価格を比較するとそういう状況なんです。米などで日本より安いけれどもあまり差がないというのは、アメリカの二割四分安か、そういう程度です。そういう状況の中で、これ、やがては自由化といえば、こっちの都合の悪いところだけは自由化しないというようなことはまかり通らぬだろうと思う、最終的にはね。で、こういうのは一体、税関部長限りで質問するのは無理な話なんで、これ政府の大方針によらなければならないと思いますけれども、関税当局としてもこういう実態をずっと調べておると思うのですが、この農畜産物についてどう処置されるように今のところ事務当局としては考えているのですかね。むずかしい質問かもしれないのですが、ちょっと聞いておきたいのだが、私ども。
#53
○政府委員(稲益繁君) お話のように、農畜産と申しますか、農林水産関係は、実際に申し上げまして、非常に国際的な競争力が弱いわけであります。ただ、各国とも農産物関係につきましては、いわゆる完全な自由化というのはなかなかやっておらないわけであります。いろいろ国内的な価格支持なりその他の操作をやっておるというようなのが実情でありまして、たとえば八条国へ移行するというような勧告が出まして、自由化を迫られるというような事態になりました場合でも、いわゆるガットのウエイバーをとりまして自由化をおくらせる。そうしましても、最終的にはいずれは自由化しなければならぬのではないかということはお説の通りだと思うのでありまして、私ども、そういうものを前提といたしまして、先ほど申し上げましたように、酪農関係なども税率を算定したわけであります。ただ、主食につきましては、何と申しましても、今の食糧管理制度のもとで価格をプールして輸入品と国内品をやっているものですから、こういう制度がいつどういうふうに変わるかというめどがつきませんと、適正な関税率を算定するといたしましても若干混乱を伴うもので、次の機会に見送ったということでありまして、米、小麦につきましては、かなり割高であるという資料は私ども持っております。一般的な自由化の時期等につきましての見通しは、これはちょっと農林省でも現在確たる見通しはつけておらないのではないかと思います。
#54
○天田勝正君 それじゃ、頼んでおきますがね、やがてこれが決定されるときには、それぞれの省の意見を聞いておそらくきめられるだろうと思うのですけれどもね、あなた方もぜひ一つ関心を払ってもらいたい。私は、米だけについていえば、まあ日本人の嗜好というものが非常に変わってきつつあるのですね。ですから、米は特殊のものだといっても、そう安心はしていられない。米だっておそらく、向こうをちょっとでも歩いた人で、向こうの米がまずくて口に合わないというような人はないのです。ただ、南方米というものが華僑の手に握られておって、その国の政策より華僑の力が強いものだから、そこで白米にむいてこっちに輸送するということが一つと、米に適合する輸送船を持たないで、それで船倉の下の方に積んでくるものだから、油のにおいをもって、ああいう南京米特有のにおいがするのであって、向こうに行ったら、むしろ日本米式のまる米と称するものの方が価格が安いのですよ。日本でいえば四等米のたぐいに当たる。普通の向こうでいう上等米のものならば、ずっと三センチぐらい――それほどでもないが、長いやつだね。そういう工合で、戦前に品評会を五、六回やったかな、国際的な。それを見ても、日本米で四等米以上に上がったためしがない。これを見れば、輸送さえ完全になるならば、こちらは太刀打ちできぬということはすぐ答えが出てくるのです。ですから、私は、日本の食糧不足のまっ最中に、もし南方米が華僑に握られておらないで、政府対政府の取引で、もみもしくは玄米で送れるということになったら、もう今時分崩壊していやせぬかというぐらい心配している。小麦は競合するのはおそらくイタリアでしょう。その軟質小麦がイタリアの方が幾分高いのですから、まあ幾らかいいのだけれども、しかしパンの原料は硬質小麦ですからね。これは別途に入ってきます。そういし場合に、農林当局だけでなしに、関税当局においても、その税率だの何だのというそろばんだけでなく、日本農業が崩壊せざるように一つ注意をしてもらいたいとお願いしておきます。
#55
○委員長(大竹平八郎君) 委員長からお尋ねを一言いたしますが、もし即答できなかったならば、資料の形で簡単でけっこうですから出してもらいたいのですが、現税目が九百四十三品目でありますか、これの最高率は何%であるか、それからその品目、それから最低のものはどういうものであるか、その品目、それから今度新たにやられる二千二百三十八品目についても同様、次にその課税の平均パーセンテージ、これちょっと即答できないと思いますから、ごく簡単のことですから、資料で出していただきたい。
#56
○木村禧八郎君 もう一つ、この資料などで砂糖の税率がそのままのようですが、これはそうなんですか。
#57
○政府委員(稲益繁君) そうなんです。
#58
○木村禧八郎君 砂糖の自由化の問題との関係はどうなんですか。これは自由化はやられないのですか。
#59
○政府委員(稲益繁君) 審議の過程ではいろいろなあれが出ておったわけでありますが、現在のところでは――現在のところと申しますか、最終の法案で御審議いただきますものは、砂糖の関税は現行据え置きでございます。自由化も、いわゆる完全な自由化というものは当面見送ったということになっておるのであります。
#60
○委員長(大竹平八郎君) よろしいですか。
#61
○清澤俊英君 今、砂糖の問題が出たが、この間からの新聞など見ても、リンク制度の割当をふやすとかというのですが、あれはどういうことですか。
#62
○政府委員(稲益繁君) これは農林省当局が現在割当をやっているわけですが、リンク制とおっしゃる意味がちょっとわかりませんが、現在の外貨割当を、若干数量をふやそうという考えはあるようでございます。リンクという制度は今別にやっておりませんので、実際の割当額を若干ふやして不当な値上がりをふせいでいくというようなことは農林省で考えているのです。
#63
○委員長(大竹平八郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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