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1960/03/22 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第13号
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1960/03/22 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第13号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第13号
昭和三十六年三月二十二日(水曜日)
   午後二時五分開会
   ――――――――――
  委員の異動
三月二十日委員佐野廣君辞任につき、
その補欠として湯澤三千男君を議長に
おいて指名した。
本日委員湯澤三千男君辞任につき、そ
の補欠として佐野廣君を議長において
指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           天田 勝正君
           天坊 裕彦君
   委員
           塩見 俊二君
           堀  末治君
           前田 久吉君
           山本 米治君
           荒木正三郎君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           清澤 俊英君
           原島 宏治君
           須藤 五郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  田中 茂穂君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   大蔵省主税局業
   務課長     加治木俊道君
  参考人
   日本関税協会副
   会長      尾関 将玄君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○関税定率法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○関税暫定措置法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
   ――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。三月二十日付をもって委員佐野廣君が辞任され、その補欠として湯澤三千男君が委員に選任されました。本日付をもって委員湯澤三千男君が辞任され、その補欠として佐野廣君が選任されました。
   ――――――――――
#3
○委員長(大竹平八郎君) ただいま申し上げました委員の異動の結果、理事が一名欠けることになりました。
 つきましては、委員長は、前例に従い、正規の手続を省略し、理事に佐野廣君を指名いたします。
   ――――――――――
#4
○委員長(大竹平八郎君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、両法律案審査のため、参考人として日本関税協会副会長尾関将玄君の御出席をわずらわし、御意見を拝聴することにいたしております。
 参考人におかれましては、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 これより御意見をお述べいただくわけでございますが、参考人に対する質疑は、参考人の方の発言が全部終了してからこれを行なうように運営して参りたいと存じますので、あらかじめ委員各位の御了承を願います。
 では、尾関参考人、どうぞ。
#5
○参考人(尾関将玄君) それでは、関税定率法の一部を改正する法律案と関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、この改正だ至った経過、それからその法の内容等につきまして、申し上げたいと存じます。
 貿易・為替が自由化することになりますと、外国から日本に入ってくるその輸入を直接統制する措置、直接の方法によって統制する措置がとり得なくなるわけであります。日本の産業を保護するためには、プライス・メカニズムによる関税によるよりほか方法がない。関税によって間接的に輸入を調整するよりほか方法がないということになってくると思います。それでは、日本の関税は貿易自由化した場合に十分に役割を果たし得るようになっておるかどうかということが問題であると存じます。
 そこで、日本の今の関税について見ますると、今の関税の率は昭和二十六年にアメリカの占領下において策定せられたものであります。自来十年を経過しております。ところが、日本の産業構造は著しく変化しました。軽工業から重工業へ、それからさらに石油化学工業へと、世界が瞠目するほど――目を見張るほど伸展をいたしました。非常な変化を来たしておると存じます。また、日本の関税をかけるのには日本の関税定率法というものがございまするが、これはどうであるかと申しますると、明治四十三年に作ったものであって、今すでに五十年を経過しております。実に古びたものであります。その関税定率法において、定率表において日本の税目はと申しますると、九百四十三しかございません。世界の先進工業国では二千ないし六千に、あるいは六千以上に及んでおります。それがたった九百四十三しかない。しかも一日本の現在の九百四十三の税目の中には、ここ十年来ほとんど輸入したものがないという税目もあるわけであります。また反対に、この現在の一つの税目を今の世界先進工業国の分類に従うといたしましたならば、一税目が約百四、五十税目に分けないと十分でないというようなものもあるのであります。従って、この五十年来使用した税表によって自由化となってきた後の日本の産業を保護しようとしても、それは大きな支障を来たすことになると存じます。
 こういうようなことからであろうと存じまするが、大蔵省におきましては、昨年の四月の十九日に関税率審議委員会を招集いたしまして、日本の関税は昭和二十六年にこしらえた、産業は非常に変わった、自由化はまさにやらなければならぬようになってきておる。で、こういう状態に対処するために、関税率及びこれに関する制度について根本的に検討する必要があると思うがどうしたらいいかという諮問があったわけであります。今申し上げましたように、五十年の経過を経ておる関税表、それから十年を過ぎておる関税率というものを改正するといたしますると、少なくとも三年、四年という準備を要するのが普通であります。しかし同時に、自由化はそんなのんきなことは言っておられない、目睫の間に迫っております。で、改正法律案は直近の通常国会に提出する必要があると、こういうふうに大蔵省でも言っておったわけなんであります。そこで、関税率審議委員会は速急に答申をせねばならないことになっておったのであります。ところが、関税率審議委員というのは全国にわたって四十四名おりまして、これが速急なる答申をするということはなかなかむずかしい。そこで、十八名の小委員とでもいうようなものを任命しまして、これが調査部会として発足することになりました。これが昨年の五月の十六日でありました。で、この部会が十六日から発足いたしまして、毎週末みんなが研究したところによりまして会を開いて、会を重ねること二十五回、十二月三日に答申案を作って、十二月五日に全部の委員の総会にかけまして、六日に諮問にこたえる答申といたしまして報告をいたしました。これが大体の経過であります。
 で、この法案は、その後政府の方でこの答申によって作られ、さらに一月に至りましてまた調査部会と、それから総会とに諮られて正式なものになって、ここに法律案として出たと聞いております。そうしてここに出た法律案はわれわれが答申したものと字句は多少違うかもしれないが、内容は全部そのままと、いってもいいというように聞いております。従って、私は法律案については実は入手しておりません。けれども、われわれが答申したそのものと変わりがないということなのでありまするので、そのわれわれが答申したものについて一つこれから申し上げることにいたします。これはまた現在の法律案そのものについて申し上げるのと、おそらく何の変わりもないと思うからでございます。
 この法律案の内容から申し上げますると、法律案は、まず第一に、前に申し上げました関税定率表そのものについて非常なる変更を加えているわけであります。これは明治四十三年に作ったものと非常に変わっておりまして、ブラッセルの関税表によることになっております。ブラッセルの関税表は、これは第一次世界大戦後、各国が統一した関税表を採用したいというので、ジュネーブの関税表というものを作成しましたが、それが十分に各国に採用されないうちに第二次世界大戦になった。そこで、この第二次世界大戦後ブラッセルに創立せられました欧州関税同盟研究団によって各国共通のものを作りたいというので、一九五〇年に草案ができ、五五年から各国が採用するものができて、現在におきましてはおそらく、二、三十カ国、二十数カ国が採用していると存じます。従って、日本がこれによるということは、ガットの交渉等におきましても共通の税表でありまするがゆえに、非常に便利である。それから、その分類はきわめて科学的である。恣意を許さない、自分勝手の解釈を許さない。ちゃんと注釈書があって、それによって分類をしていくのであって、きわめて公平である、こういうような長所があるのでございます。
 そして、その分類は、大分類が二十一、その次の中分類が九十九、その次の小分類が千九十六に分かれておりまして、そこまでは、この千九十九までは、世界各国はもう同じようなものを採用する。そのものを採用する。その千九十六の下に、今度は税目を小さく分けていく。それは各国が自分の国の都合によってしかるべく分類していい、こういうことになっております。その分類が、前申しました、先進工業国では二千ないし六千に分かれておると申し上げましたそれなのであります。
 そこで、それでは日本の方はどうしたかと申しますると、その分類によりまして分けましたのが二千二百三十三でございました。日本は九百四十三が二千二百三十三となりました。まず先進工業国と大体同じ程度になってきたと申し上げていいのだと存じます。そう二千二百三十三となったのでありますが、それと前の税率とを比べたならばどういう結果になっておるかと申しますると、税率の上がったものが二百五十一、下がったものが三百八十六、据え置きが千五百九十六でございます。
 それでは、その上がった二百五十一というものについてはどういうものなのかと申しますると、それは大体二つありまして、産業政策上、今後これから後育成すべき産業である、こう認めるものにつきまして引き上げをいたしました。バター、チーズ等、あるいは化学薬品、工作機械の一部というようなものであります。それから、自由化になりますると、前にも申し上げましたように、外国からたくさん入ってくるかもわからない。そのために、非常に衝撃を受ける産業、今のままではこれは日本の産業として立っていきにくいというようなもの、そういうものについて、その外国からの衝撃を緩和するというようなものにつきましても、引き上げたものがございます。大豆であるとか、非鉄金属の一部であるとかがそれであります。
 それでは、税率を引き下げたものはどうか。どんなものを引き下げたのかと申しますると、これは、昭和二十六年の当時は相当に保護をする必要があった、しかし今はもう十分だ、国際貿易の競争場裏においても十分にやっていけるというようなもの、そういうものに対して引き下げたものがございます。これは、たとえば双眼鏡であるとか、あるいは陶磁器であるとかいうようなものを引き下げました。いま一つは、奢侈品について引き上げました。奢侈品というものにつきましては、ずっと前は十割−一〇〇%の関税をかけておったのでありまするが、昭和二十六年にはこれを五〇%ないし四〇%というものに引き下げておりました。それが現行の税率なのであります。しかし、今はこれは少し下げてもいいじゃないかということで、この五〇%ないし四〇%を、一〇%くらいずつ引き下げまして、四〇%ないし三〇%というものにいたしました。これは貴石であるとか、貴金属あるいはミンクなんかの毛皮というようなものでございます。それから、いま一つは、国内に生産のないもの、これも引き下げました。たとえばココア豆のごときものであります。
 その他のもの、千五百九十六の非常にたくさんの品目になっておりまするが、そのものはどうであるか。これも二つに分けることができます。一つは、各方面から調査いたしまして、その調査審議の結果、現状のままがいいんだというものが一つであります。そしてそれが千五百九十六の大部分でありまして、みんな相当に審議を加えた結果、これでいいのだというのが大部分なのであります。いま一つは、調査して今きめようと思っても、きめるのが適当でないというものなのであります。関税できめるよりも、もう少し先行した政策が必要であると考えられるものなのであります。これは米だとか小麦だとかいうような主食、あるいは砂糖であるとかあるいは非鉄金属の一部である銅だ、鉛だ、亜鉛だというようなものとか、石炭、石油というようなものがそれなのであります。大体大きく分類するとこの二つがあると存じます。
 こういうように、まあ大ざっぱに分けると分けることができると存じまするが、それでは、その結果として、税率を全体として見たらどうかと申しますると、二千二百三十三のうちに、無税のものが二百八十、それから一〇%までのものが二百三十六、一五%までのものが五百五十四、二〇%までのものが五百八十九、二五%までのものが百八十三、三〇%までのものが百十五、さらにずっと上の方になって、たばこになりますと三五五%、――二〇〇%のもあるし、それから三五五%のものまでありまするが、これはむしろ専売に関するもので例外であります。まずそういうようなものが主たるものでありまして、その中で、今申し上げた数字からごらん願いましても、一五%のものと二〇%のものを合わせますと、これが千百五十四になりまして、五割一分、この二つで半ばをこえておるというわけであります。すなわち一五%、二〇%のものが一本の税率では最も多いのだということであります。それにその次の一〇%のものを加えますと、これは六割二分、全体の六割二分で、六割以上になるというのでありまして、まあ一五%、二〇%、逆に見ますと、二〇%が一番多くて、一五%、これで半分、それからさらに一〇%を加えて六割をこえるというのが、大体の分布図であります。
 こういうような内容になっておると存じまするか、時間もあまりありませんので、一つ税率の内容はこのくらいにいたしまして、さらに制度のことについて、一言申し上げたいと存じます。
 今度新たに作られた、今度の法案に作られた、今法案になっておる新たなもの、今までの法律と違っておるものに、緊急関税とタリフ・クオータとがございます。緊急関税につきましては、業界各方面が非常にこの成立を要望しておったものであります。緊急関税というのは、これはあまりくどく申し上げるのもいかがかと存じまするが、新たな制度でありまするので、一言説明を加えたいと存じます。
 日本の租税は、これはもう釈迦に説法のようになると存じまするが、の八十四条によって租税法定主義、必ず法律によらなければならない。すなわち、この国会の議決を得なければならないということになっております。これは旧憲法にも二十四条に同じような文句がありました条文がありました。とにかく昔から、従ってずっと前から、租税は必ず法律によらなければならないということになっておりました。ところが、貿易・為替が自由化になると、外国の品物がどっと入ってくるおそれがある。そのために日本の産業が非常に脅かされる、日本の産業が非常な危害をこうむるという場合が、十分に想像できるわけであります。そうしてその場合に、国会の一々審議を待っているといたしますると、産業上あるいは国民経済上支障を来たすおそれがある、こういう場合に政府限りで一つ、租税法定主義というけれども、その税率そのものを全部国会の議を経ることなしに、政府限りでこれを動かし得るように法律で委任してもらいたい、法律から委任を受けたいというのが、その趣旨であります。そうしてこれが今の憲法上でも、相当の制限を付するならば、関税に関する限り違反ではない、こういう解釈を下しているのであります。
 もっとも、このことにつきましては、今さらこの関税が、憲法八十四条のいう租税法定主義で、すべてを法律できめなければならないのだということの例外をなすということは、すでにこの国会で認めているところでありまして、現在の関税法を見ましても、関税定率法等関税に関する法律を見ましても、たくさんありまして、今さら始まった問題でなしに、関税が委任命令によるというものはたくさんあります。ありますから、緊急関税のみが委任命令によることはできない、どういう条件をやったところでそれは租税法定主義の違反になる、というような議論はできないわけでありまして、旧憲法の場合にも、二十四条に現在の八十四条と同じ規定がありましたが、この場合にも、関税に限って、租税であっても委任命令のものがたくさんありました。現在においてもあります。従って、これがいかなる場合にも、緊急関税は、そういうような委任による場合は憲法の違反であるというような議論は、これはかえっておかしなものであると存じます。ただ、その要件であると、あるいはその範囲であると、どの範囲でやれるかということのみが、憲法の違反であるかどうかという問題になってくるのであると存じます。
 それでは、今度の緊急関税というものはどういう要件を備えた場合に発し得るかという問題になってくると思います。そこで、今の緊急関税というのは、まず第一に、特定の生産品が海外で、日本以外の外国で価格が低落するなどの理由によって、わが国に相当に多量に入ってくるという場合、こういう要件が一つなければならない。その次は、その入ってくる当該輸入品と同種の日本生産品またはその類似の日本の生産品が、産業として非常な危害をこうむる、または非常な危害をこうむるおそれがあるということが、その次の要件であります。もう一つは、国民経済全体の立場から見て、そういう委任命令を出すことが緊急やむを得ないのだと認められる場合と、この三つの要件のすべてを備えないと発動することができないと、こういうように縛られております。そうして、その限度はと申しますると、その外国から入ってくる品物に普通の現在今ある関税をかけるといたしまして、正確にいえば関税相当額を加えて、そうして日本の正常なる市場の価格と比べて、その差額、日本の結局生産品より幾ら安く入ってくるかということを比べて、その安く入ってくる差額の範囲内に限ってかけ得る、こういうことを委任する。範囲がここに局限されておるのであります。しかも、そういうものが相当期間続いたならば、これは法律に直さなければいけない、委任命令のままではいけないと、こういうようになっておるのでありまして、非常なきびしい制約があるのであります。
 で、いま一つは、ガットの譲許税率を撤回しまたは修正することができる。その場合に、ガットの税率を撤回したりまたは修正するために、外国はそのままでは黙っておらないと思われますので、その代償として新たな品目に対して税率を譲許しなければらない。今の法律できめた税率を引き下げてやる場合もある。そういうことも委任命令でやり得る、こういうようになっておるのであります。これが緊急関税であります。
 それから、もう一つは、タリフ・クォータであります。タリフ・クォータは法律でちゃんと税率も二つまたは二つ以上の税率をきめておきまして、ある数量までは低い税率にし、その数量をこえたならば高い税率にする、こういうようなのがタリフ・クォータでありまして、その具体的の数量、それからその決定方法というのは政令によってきめる、政令に委任する、こういうのであります。ニッケルとか高速度鋼であるとかにこれを適用することになっております。
 これが関税定率法の一部を改正する法律案に対し私の御説明申し上げることの大要でございます。
 その次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について一言申し上げます。
 これは、関税暫定措置法と申しまするのは、私が申し上げるのはいかがと思うのでありまして、毎年々々この国会に出て、一年を限度といたしまして減免しておるのでありまして、毎年出ておりまするので、これについてあまり申し上げるのはいかがかと存じます。ただ、今回これに加わったものがありまするので、そのことだけを申し上げますると、今度新たにガス事業用の原油が免税になったということと、それから、今回もう一つ加わったものに、暫定増税、暫定減税というものがあります。この暫定増税、暫定減税というものは、前申し上げました関税定率法の一部を改正する法律案と密接なる関係がございます。前申し上げましたように、関税定率法を改正いたしまするが、これは今の自由化とかみ合わせまして、そうして生産者、消費者、あらゆる方面を考えると、改正したものをそっくりそのまま今すぐ施行してそのままを実施することは穏当を欠くというようなものがある。こういうものについて、暫定的に増税しておく、あるいは暫定的に減税しておくというものであります。暫定的に増税するというものの中には、ニッケル等がございます。もう一ぺんいえば、ニッケルの方うからいいますると、ニッケルは、タリフ・クォータという新しい制度と、今度の暫定増税という新しい制度と申しまするか、まあこれは制度といっていいと思いまするが、それとをかみ合わしました一つの考え方なのであります。今度、新たに考えられたというか、外国にはタリフ・クォータというのはずっと前からありまするが、日本に採用されたものなのであります。暫定減税というのにつきましては、法律では高くきめておくけれども、それを今すぐ自由化になる前に施行したならば消費者にいろいろな影響を及ぼすというので、自由化するまでは減税しておく、自由化になって初めて定率法にきめたようなものを適用するというがごときものでありまして、バターであるとかチーズであるとかいうようなものがございます。これが今度の関税暫定措置法の一部を改正する法律案の中の最も特徴あるものであると存じます。
 あらかじめ与えられました時間が大体来ましたようなので、私の説明を一応終わることにいたします。
#6
○委員長(大竹平八郎君) ただいまの尾関参考人に御質疑がある方は、順次、御発言願います。
#7
○木村禧八郎君 大へん貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。ただいまの緊急関税とタリフ・クォータにつきましては、関税率審議会の答申におきましても、そのプラスの面とマイナスの面が両方答申されているわけですね。それで、ただいまお伺いしましたのは主としてプラスの面について伺ったわけですね。マイナスの面につきましては、緊急関税については、この答申を見ますと、現行法でも複関税とか報復関税、相殺関税、それから不当廉売関税の規定があるけれども、これまで全然発動された例はない、現行でもそういうあれがあるんだ、それから第二に、こういう制度をとりますと、かえって相手国に緊急関税の発動の口実を与えるおそれがある、この二点をマイナスの面として指摘されているわけですね。この点について御意見承りたいですね。
 そのことと、もう一つは、今度はタリフ・クォータにつきまして、もし適用を誤まりますと非常な弊害があるわけですね、これも。それでこの答申案には、そのマイナスの面として「適正なクォータの算出に困難がある」、それから「先着順制を採る場合は、無用の輸入競争を誘発するおそれがある」、第三に「クォータをあらかじめ割り当てる制度を採る場合は、プレミアムの発生等、外貨割当制度と同様の弊害を生ずるおそれがある」、こういう点を指摘しているんですね。私は特に第三の「外貨割当制度と同様の弊害を生ずるおそれがある」という点が気にかかるわけなんです。
 そういう今申し上げましたマイナスの面ですね、緊急関税と、それからタリフ・クォータにつきまして、御意見を伺いたい。
 それから、最後に、暫定措置につきましてお伺いいたしましたが、先ほどガス事業用の原油の免税ですか、それと暫定増減税につきまして、最初何かこういう困ったことに陥るようなちょっと形容の言葉を申されたんですけれども、これについての御意見ですね、これはただ、これについてはその法案の内容の重点を御紹介されただけでございましたが、これについての御意見を伺いたい。
#8
○委員長(大竹平八郎君) なお、申しおくれましたが、政府側より説明員といたしまして、加治木業務課長、木谷鑑査課長の両氏が出席をいたしております。
#9
○参考人(尾関将玄君) お答えいたします。緊急関税につきまして、及びタリフ・クォータ等につきまして、諮問の答申にという今御質問でございましたが、諮問の答申にそういうようなことはどうもあったように思えませんのですが。議論する場合にいろいろのものがあったことはございました。しかし、答申にはちょっと思い当たりません。しかし、それがいずれにいたしましても、今木村さんからのお話がございましたので、その答申であるかどうかはしばらくおきまして、お答えいたします。
 緊急関税の場合に、緊急関税というものに似たようなものがたくさんあるんじゃないかというお話ですが、それのみでは今申しましたような場合に対応して委任命令をもって適当に処置することができないということであります、一つは。たとえばよく似ていることは、今木村さんのおっしゃった中で一番よく似ておるのは、不当廉売措置法だと思います。それにダンピソグと書いてあるかもわかりません。今の現行法ではどう書いてあるか、ちょっと正確な文字は知りませんが、結局不当廉売防止条項、ダンピング防止法とでも書いてある、それが一番よく似ていると思います。しかし、これは外国がダンピングをやってきておる、結局日本なら日本に対して、向こうの市価をわざわざ割って日本にたくさん来ておるという場合でないと発動できません。そして外国が日本に対して安く売っておる、お前の市価とそれから日本に来ておるCIFの価格とは非常な差額があるということを立証するのは日本でありまして、この立証ははなはだむずかしい。従って、どこの国にも昔からこういうような不当廉売防止法のようなものはあるけれども、実際においては適用がほとんどなかった。これを適用するときには、ほとんどけんか腰になり、お前の国というその外国市場価格を調べることがすでにむずかしい。ところが、今度自由化すると、そういうことも含みますけれども、事実においては、その他におきましても、そう不当なことはなくてもずっと安く来る場合がある。そういうときには、外国のことを立証する必要がない。日本の産業から比べて外国の方がたくさん来て、日本の産業が現にこういう非常なる危害をこうむるのだ、また危害をこうむるおそれがあるのだということのみで発動するのでありますから、日本としても発動は非常にやりやすいわけであります。そこで、各国はこのごろそういうような法文を一つ加えている。ガットの規定の十九条にもそういう規定がちゃんとできております。不当廉売防止法があるにもかかわらず、なおかつ、不当廉売防止法というのはおそらく先進各国のどこにでもありますが、またガットにおいて別に今ここに申し上げました緊急関税のような規定を加えておる。そういう方面から見ましても、こういうものは必要であるということが一つ。
 それから、各国に対していろいろの報復措置というお話がありまして、そういうことはいろいろあるでありましょうが、しかし、不当廉売防止法なんかによると、すぐ報復措置、そんなことはないのだというのでやり得るのでありますが、今度の緊急関税のようによると、そういう言いがかりはなかなかつかない。ただ、実質的には、こちらが関税を上げるとすれば、これは緊急関税であっても、それから普通の関税であっても、お前の方が高くするなら私の方もやりたいということはあるけれども、これは緊急関税そのものの本質的の弊害ではない、それは関税を上げた場合にはいかなる場合にも考えられることである、こういうようなことでありまして、緊急関税そのものにつきましては、これは委員会でもそう大した議論があったように思えません。それが一つ。
 それから、次の今度タリフ・クォータについて申し上げますが、タリフ・クォータにつきましても審議はあったようにも思わないのでございまするが、しかし、議論の途中でいろいろありました。これは委員会でも、タリフ・クォータというようなものをあまりやると自由化の精神に反するのではないか、そういう場合があるのではないかというようなことがありまして、あまりたくさんこれを採用することは考えものだ、そこで局限してこれを採用することにすべきである。で、いろいろ局限した結果、わずかに委員会においては五品のみが取り上げられまして、初めはあれもこれもというような議論がありましたが、それはこの際避けるべきであるというようなことが、実はその審議の過程のときに、これはもう大ぜいおりまして、十八名の調査員がおるのですから、いろいろ議論し、そうしてこれが二十数回いろいろの議論をやりましたから、各方面から慎重な審議を重ねましたから、そういう議論も中にはありましたが、結論においては最後において一人も反対する者はありませんでした。つけ加えておきまするが、二千二百三十三品目及びこの制度につきましては、一品ごと、一制度ごとに決をとりましたが、すべてが全会一致でありまして、異議を差しはさむ者は一人もありませんでした。すべてが満場一致であったということをつけ加えておきます。
 それから、もう一つは、ガス重油のことについて、困ったというようなことをちょっと申しましたか、そういうことは全然ありませんでした。重油につきましては、最後にさっと出て、これは石炭と石油との関係もあるけれども、むしろ粘結炭の方で一般のあの重油の方には関係がないという説明で、さっと、これこそ何の議論もなしに通ったのでございまして、私が何か言ったといたしましたら、それは非常なる誤りでありまして、そういうことは全然ございませんでした。
#10
○木村禧八郎君 もう一つ、簡単に。緊急関税を運用する場合、ガットの税率を撤回または修正する場合、この新しい譲許をしなければならぬわけですね。その場合、譲許品目が問題になると思うのですね。しかし、それは委任命令になって、お役所がやるわけですね。そういうことまでもお役所にまかして弊害がないかどうか。それは緊急関税をかけられる方はそれで保護されるからいいんですけれども、そのかわりにほかのものを譲許するときには、どういうものを譲許するかによって、その譲許の対象になる品目なり、それから業界なりが影響を受けるんじゃないかと思うのですけれども、そういう場合、委任命令でいいかどうかですね。まあそんなに弊害がなきゃいいんでしょうけれども、無理に――無理でもないのですが、きめてしまって、そして片方の業者が困ったというような場合には、どういうことが……。これは国会でそういう場合に審議されれば事情が明らかになりますけれども、そういう点はどうなんでしょうか。
#11
○参考人(尾関将玄君) 私の意見としてお答えいたします。これは政府の意見であるかどうかわかりませんが、われわれがその審議したときの意見は、今私が申し上げるような意見と同じことであったのでござまするが、これは木村さんのおっしゃること非常にごもっともだと存じます。しかし、今外国に対して日本が関税率を譲許しておる、その譲許を日本はやめるのだ、こういう場合に、外国から見るとどうであるかというと、今日本に譲許しておる税率というか、日本が外国に譲許しているために外国もまた日本に対して税率を譲許しておる、これはもう相互主義で、両方がそれをやっておるわけであります。それを、日本が今譲許しておる税率をもう譲許しないのだということになると、向こうも黙ってはおらないわけであります。それじゃ困るというので、向こうも譲許を撤回する場合があります。それがまた日本の産業から困る場合が非常にある。そういう場合には、そのかわりに日本もほかのもので何か譲ってくれということを向こうが言ってくるのが普通でありまして、そこで日本もいろいろ考えて、それじゃこういうものを譲ろうというようなことになって初めて円満に交渉がゆく。そうしないと、これは日本の今の貿易の状態、産業の状態から考えて、緊急関税で譲許を撤回する、こういっても、仏を作って何とかを入れないと同じことであって、実際においてはこれが動かない。実際において動くようにするためには、もうやむを得ざる最小限度においてはほかのものを譲らなきゃならない、こういう場合がある。そうしないと、委任命令になったところで、委任命令は動かない。そこでやむを得ない、これはもう木村さんのおっしゃるように非常に異例でありましょう、しかしこれはやむを得ず認めなければならないということであると思います。
 いま一つは、国会の審議を経なければならないというのはごもっともでありまするが、これは外国との交渉の場合でありまするので、これは形式論でなくて実質論になりまするが、外国との交渉の場合には、ガットの率をこしらえるときにも、これは国会に諮らずに一応の話を進めて、それからあとで承認を得るというようなこともあるんでしょうが、そういうようなこともありまするので、まあきわめて小範囲であるならば、それをきめて実行に移しても、そう弊害はないんじゃないか。少なくともそうしなければ日本の産業の危殆に瀕するような場合を救い得ないんじゃないか、こういうように委員会でもきめ、法制局でもそれを認めたと聞いております。
#12
○荒木正三郎君 私も一点伺いたいんですが、いわゆる大衆消費といわれるようなもの、特に酒とかあるいはたばこ、こういう品物に対する関税は非常に高いんですが、従来も高かったわけですが、で、これは国内産業を保護助成する、そういう目的からこういう高い関税というものが従来からも行なわれたというふうに考えるのですが、一面消費者である国民の立場からすれば、非常に高いものを買わされておる。まあ不当という言葉が当たるかどうか知らないんですが、不当ともいえるほど高い値段で消費しなければならぬ。その原因が関税にあるというと、国民の負担は非常に重いということになるわけなんです。一方では、この高い関税によって国内の産業を保護助成するという問題、矛盾した理由がここに現われておると思うんです。しかし、国内産業を助成育成するということを関税の操作だけで処理していくということは、考慮する必要があるんじゃないかと私は考えるわけですが、こういう点について審議会で御議論がなかったかどうか、あればどういう議論があったかというふうな点ですね、これが第一点お伺いしたいと思うんです。
 もう一つは、たばこについては、あるいは酒についても、国内において相当重い税がかけられておるわけです、国内においても。日本内で生産されるものについても、非常に重い税がかけられておるわけです。それとの関連についても問題があるというふうに考えておるわけです。私どもの考え方からすれば、酒にしても、たばこにしても、非常に大衆性を持った消費物資であるから、国内の課税の面においてもっと軽くすべき筋合いであるというような考えを持っておるわけですね。そういう国内の課税との関連、そういう点が論議されたかされないか、そういう点の御説明を少し願いたいと思います。
#13
○参考人(尾関将玄君) お答えいたします。酒、たばこ等についてのお話でございまするが、たばこは、申し上げるまでもなく専売になっておりまして、この専売というのは、人の意見によって違うと思いまするが、御意見のごとく、これは大衆に非常なる税金をかけておるのかもしれません。これは非常に高いものになって、非常なる専売収入というものがあると思います。そのたばこと同じようなものが入ってくるときに、日本の専売を乱すような入り方をするということは、これは関税政策上からいってもよろしくないのではないか。英国がかつて自由貿易を誇っておったときでさえ、たばこと酒のみは別なものであって、たばこと酒のみは非常に高い税金をかけており、ほかのものはほとんど無税にしておって、そして世界各国へ、わが国は自由通商のチャンピオンであると、こういって、世界のどこも不思議がらなかったと存じまするが、その議論に当てはまるかどうかは別といたしまして、たばこに専売を乱すことのないだけの関税をかけるということはやむを得ないのじゃないか。従って、今おっしゃったように、専売を乱さない範囲においては関税を引き下げてもいい。今度、葉巻の方は三五五%であったのを、日本の専売と比べて、今回初めてでございまするが、二〇〇%までに引き下げても、日本の専売を侵すものではないというように判断いたしまして、審議会で二〇〇%まで引き下げました。そういう何で、日本の専売というのは、建前がいいか悪いかは別としまして、それがある限りは、これに準拠したる関税を盛らなければならないというので盛りました。
 それから、酒の方につきましても、この酒は、おっしゃるように、大衆の非常な慰安になるものであって、これにかけるのはいけない、安くしろという議論はむろんあると思います。しかし、とにかく日本の酒に今日あれだけの高い税金をかけて、日本の国税収入を得ておりまする以上、これを関税の方で乱すということは関税政策上いかがなものかと、こういうので、その日本の酒を乱さない、守り得る範囲においての関税をかけるということにいたしております。
 もう一つの御質問はどういう……。
#14
○荒木正三郎君 砂糖の場合は、これは主として国内産業を育成するということが一番大きな理由になっているのじゃないかと思うのです。国内産業を育成するために、関税の面から高い税金をかけて、そして輸入する砂糖は相当高い水準の値段にする。こうして国内産業を助長するというために、砂糖については非常に高い、一三八%ですか、そういう高い税率がかけられておるわけなんです。しかし、一般国民消費者にとっては非常に高い砂糖を食べなければならない、こういうことになってくるわけです。一方では国内産業を助成しなければならない、こういう問題があるわけです。それを関税の面からだけ検討して、これで操作するということでは十分でないのじゃないか。これは少し政策上の問題になりますが、砂糖等の国内産業育成については、他にこれを積極的に助成する方策というものも考えられるわけです。関税だけで考えないで、他の政治的な面からこれを助長する政策というものがあるわけなんです。だから、そういう面との関連なしに、関税の面からだけでこれを操作するということには相当議論があったんではないか、私は聞いておりませんからわかりませんが、当然起こるべき議論じゃないかというふうに思いますので、その点をお尋ねをしておったわけです。
 それから、お答えの中にありましたが、大体日本の専売制度、あるいは酒の課税等を勘案して、その基礎の上に立って関税をきめておるというお話でございましたが、そうすれば、将来国内の酒の税金が下がる、あるいはたばこの税金が下がるということになれば、当然この関税も下がってくる、こういうふうに解釈していいかどうか、その点を追加してお答えを願いたいと思います。
#15
○参考人(尾関将玄君) 酒の方から、簡単であるから、お答えいたします。砂糖の方はちょっとこみ入りますから。日本の酒税がずっと安くなってきて、日本の酒が安くなってくる場合、酒の日本の産業が脅かされないような範囲で関税を保つようにしたらいいかというようなお話だったと思うのでございまするが日本の産業が脅かされないような範囲までは下げてもいいのであろうと私個人は思います。私の酒というのは、もちろん洋酒を含んでおります。酒全体というのは洋酒を含んでのことです。洋酒の保護というふうなこと、それから清酒の方にも、これは類似品ですから……。非常に広い意味であります。
 それから、たばこの場合もこれが守れるならば下げてもいいかというようなお話だったと思いますが、私はそれでいいんだと思います。現に、今申し上げましたように、葉巻は下げてもいいんだ、下げても、日本の専売制度、日本のたばこは脅かされない、こう見たので、三五五%というものを大幅に引き下げまして二〇〇%。一五五%も引き下げた。こういうような点異論はなかったというところを見ましても、これは当然下げていいものだと存じます。
 これが酒、たばこの方についてのお答えでありますが、いま一点の砂糖についてはどうかというお話、これはおっしゃる通りに、相当の議論がありました。委員会でもやかましい議論がありました。それで今のように落ち着いたのでありまするが、これは御承知の通りだと存じまするが、一度は今の関税をさらに引き上げたらどうかというような――どういいまするか、政府の決定じゃないんでしょうが、といっていいかどうか、とにかく大臣の方でそういう話もあったということは新聞でも公表されておるようなわけでありまして、そういう高い税率に引き上げたらどうかということを、この砂糖についてのみは政府から一度は話がありました。というのは、これは言い過ぎかも知れませんが、関税調査委員会には幹事として政府の人がおりまするから、その方が原案を作ってる。そのときに、政府の方で原案として引き上げるのを一つ出して、そして委員会に諮ったらというようなことはありました。そのときに委員会の方は非常に議論をいたしました。そうして関税を引き上げる、これより以上関税を引き上げるということはおもしろくないということでありましたが、しかし、今ほかのブドウ糖とか何とかの育成のために引き上げるのはやむを得ない、こういうのであるならば、自由化しろ、すぐ自由化しろ。そうすれば、関税は引き上げても日本の砂糖の市場価格は安くなる。だから、すぐ――すぐというのも言葉としてあやがありまするが、この三十六年中には自由化しろという一つの条件をつけまして、さらに砂糖の価格がある価格よりも、それでもなおかつ以上に高くなるならば、関税は引き下げろという条件もつけました。
 さらに、もう一つは、今おっしゃったように、関税のみにそういうことをよるよりも、他の産業政策によって、内地のブドウ糖とか澱粉というような産業が立っていくようにしろ、関税にのみよってそういうような産業を育成していくということに重きを置いてはいけないという付帯条項をつけまして、一度は決議いたしました。それから後に今度は自由化が――そうしたら自由化するというようなことでありましたが、自由化がむずかしくなって参りました。
 これももう新聞に出ておるので、私、委員会の内容は話さないということでありますが、この何だから内容も話しますし隠す必要がないと思いますので申し上げまするが、それらのことを、もう一ぺん、自由化はこれはやらないということになった。そのときに委員会として、自由化はやらないのであるならば、自由化はやらない、こういうのでなしに、もう少しきつい条項をつけまして、自由化が確実でないならば、本年中に自由化が確実でないならばと、逆の方から、裏の方からきつい条項をつけまして、ならば関税引き上げは見合わせるべきであるという付帯条項をつけまして決議いたしました。そして砂糖の関税は引き上げなかったのであります。
 だが、これをもう一ぺん、いろいろの何で誤解があるといけませんから、私の言い方が悪いのであるといけませんから、もう一ぺん要約して申し上げますと、前にも説明のときにも申し上げましたが、砂糖に関する関税は今の据え置きにした。これは砂糖に関するいろいろの政策に先行すべきものがある、関税よりほかに先行すべきものがあると認めて、現行のままに据え置いたということを、前、据え置きのときにも申し上げましたが、それが委員会の意見の大要であったと存じます。
#16
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#17
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 参考人におかれましては、御多用のところ、長時間にわたって御出席いただき、御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
#18
○木村禧八郎君 これは妙なことを伺うのですけれども、関税率審議会の会長は大蔵大臣なのですね。そうすると、大蔵大臣が大蔵大臣に答申しているのだね。そうでしょう。そういう答申、ほかに例ございますかね、どこかに。
#19
○説明員(加治木俊道君) 大蔵大臣が大蔵大臣にいたしているわけではございませんが、関税率審議会長としてはやっておるわけでございますが、もとは委員会と称しておりましたけれども、委員会には、諮問機関としての委員会をこしらえました際、当該所管大臣が同時に委員長であった古いならわしがそのまま実は残っているような形になっております。これは実質的に、最近の審議会には私寡聞ながらあまり承知いたしておりません。こういう例はあるいはあるかもしれませんが、少ないと思います。それで実質的に、まあこういう際ですから、この際、新しい形に改めたらどうだという意見が各方面からもありましたし、われわれ自身も問題といたしたのでありますけれども、関税率審議会という場をどういうメンバーで構成したらいいかということでありまして、あれには今、御承知だと思いますが、関係省の各省次官も入っているわけです。そのかわり、民間の学識経験者も入っていただいているわけです。四十五人という定員になっておりますが、ほぼ定員一ぱいに今満たしておりますが、各省次官はもう、およそ役人は全部排除したらどうだという実は意見もあったのでございますが、まあ関税のように、業界で受け取ります場合には必ず利害が相対立するわけである。従って、公益委員という言い方はおかしいのでございますけれども、何かやはりその直接の業界、もちろん学識経験者としては入っていただくわけでございますが、それにしましても、どうしても業界の利害の反映というものは免かれがたいということを想定せざるを得ませんので、やはり役人といいますか、役所側としての各省の見解もやはりこれは調整しなくてはならぬ問題でございますので、そういう実質的必要もございますし、それからまた、単に業界だけで議論をする方が妥当な結論になるかどうかという点も問題がありますので、やはり各省の、関係省の次官には一応入っておいていただいた方がいいのじゃないか。そうしますと、会長をどうするかということで、まあ、各省のメンバーが入っておりますと、大体一番主管の次官――、大臣が出ませんと、主管の次官が会長になるのが普通である。そうすると、次官を会長にするか大臣を会長にするかということになりますと、各省次官が入っておりますが、敬意を表しまして大臣がよかろうということで、この辺はなお、将来、私はこれは全く個人的な見解でございますが、検討の余地はあるかと思いますが、この際としては、一応従来の機構をしいて改正しなくちゃならぬというほどのこともあるまいということで、従来のままにいたしておるわけでございます。
#20
○木村禧八郎君 先ほど荒木さんが砂糖の問題について御質問して、それで尾関さんがああいう御答弁をされた。それで、これは付帯決議になってておるのですね。砂糖関税改訂についての付帯決議、「砂糖の輸入自由化は、昭和三十六年中に実施すること。」ということが一つ、それから砂糖の値段をキログラム当たり百二十五円をこえることのないように配慮するというようなこと等々、付帯決議があるのですよ。それを大蔵大臣が会長として答申するのでしょう。そうして大蔵大臣が大蔵大臣に答申して、それを今度は、三十六年度には実施できないということになってきているのですよね。妙なこれは自問自答ということで……。何か、関税制度もやはり答申していますね。それは何かそこに、そういう制度的に一つ、これは非常に日本の産業なり、国民生活に重大な影響を及ぼすのですから、そういう何か機構が必要じゃないでしょうかね。
#21
○説明員(加治木俊道君) 確かにそういう点いささか奇妙な点があるのでございますが、その審議会の会長として答申される場合には、大蔵大臣の意見ということでなく、人格の使い分けですけれども、審議会の総意を取りまとめて、審議会の会長として答申することになりますので、まさに同一人格で、現実には同一人でありながら人格を使い分けるという点に問題はあろうかと思いますが、今までそういった面で特に支障を生じたこともございませんし、それから先ほど申し上げましたような点がありますので、まだはっきり割り切った結論が出ませんので、一応現状通りということになっておるわけでございます。
#22
○木村禧八郎君 あなたにこれ以上御質問をしてもしようがないけれども、非常に妙だと思うのですがね。ほかに研究はしてないのですか。東京銀行の堀江薫雄さんが意見を書いておりましたね。関税制度に関するそういう民間のいろいろな意見をもっと反映したような、そういう何か機関というものが必要じゃないかというようなことを、新聞に何か意見を発表しておりましたがね。何かそういう点について研究していないのですかね。
#23
○説明員(加治木俊道君) いや、実は、これは必ずしも十分徹底した研究までいっておりませんけれども、たとえばアメリカでは関税委員会という行政委員会があるわけです。委員会組織の行政機関になっているわけですけれども、そういった各国の例、今度緊急関税をとりますので、緊急関税の運用上、特にそういった点、いろいろ問題になるわけです。しかし、日本で行政委員会ということになりますと、実際問題としていろいろな問題を考えなくちゃなりませんのですが、現実に民間の事業なりあるいは業界に直接関連しておりながら、その肩書で給与をどうするかという問題もありますけれども、そのまま行政委員会の委員になるというのは、これは必ずしも適当でないというようなことになりますと、フル・タイム・サービスのそういう委員を求めるということが、いろんな委員会の今までの実例に徴しましても、なかなかうまくいかないということ。それから、行政委員会というのは、どうも日本でいろいろ実例はありましたし、現在もあるわけでございますけれども、なかなかうまく根をおろさない。それから、関税といいますと、ことに貿易が自由化されますと、貿易に関連する諸政策というものが主として関税に表現されて、これでコントロールするということになるわけです。そうすると、この背後には、もちろん今は主管は大蔵省でございますけれども、諸政策の担当官庁というのは各省があるわけでございます。結局、各省の政策との調和ということを当然はからざるを得ないので、これと全く分離した形で、各省の政策についても責任を持った形の委員会というものを設けることが適当であるかどうかという点もありまして、一応やはり現段階で考えられる限りは、今までの機構を活用するといいますか、緊急関税につきましても、四十五名、総会にするか、あるいは特別の部会をこしらえるか、これは検討の余地がございますけれども、一応今までの機構を活用して、これを運用していったらどうか。今までの委員会においても緊急関税に関してはそういう疑問が出まして、一応審議会での結論はそういうふうになっております。
#24
○委員長(大竹平八郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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