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1960/03/23 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第14号
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1960/03/23 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第14号
昭和三十六年三月二十三日(木曜日)
   午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           成瀬 幡治君
           天田 勝正君
   委員
           青木 一男君
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           塩見 俊二君
           西川甚五郎君
           堀  末治君
           前田佳都男君
           前田 久吉君
           山本 米治君
           荒木正三郎君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   国 務 大 臣 小澤佐重喜君
  政府委員
   北海道開発政務
   次官      林田 正治君
   北海道開発庁総
   務監理官    木村 三男君
   大蔵政務次官  田中 茂穂君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省理財局長 西原 直廉君
   林野庁長官   山崎  斉君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  説明員
   経済企画庁総合
   開発局東北開発
   室長      長沢 道行君
   厚生省医務局次
   長       黒木 利克君
   厚生省医務局国
   立病院課長   尾崎 嘉篤君
  参考人
   北海道東北開発
   公庫総裁    松田 令輔君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○森林火災保険特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○産業投資特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○北海道東北開発公庫法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
○国立病院特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
 律案(閣法第二四号)(内閣提出、
 衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は御発言願います。
#3
○荒木正三郎君 このガリオア、エロアと産投会計との関係について一点だけ質問をしてみたいと思います。関係の……。
#4
○政府委員(田中茂穂君) 今、局長を呼んでおりますが。
#5
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#6
○委員長(大竹平八郎君) それでは、速記をつけて。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(大竹平八郎君) 都合により、森林火災保険特別会計法の一部を改正する法律案を先に議題といたします。
 質疑のある方は御発言願います。
#8
○荒木正三郎君 従来、森林火災については国営保険でその損害を補償しよう、こういう制度があったわけでありますが、今回さらに気象災害についても保険の対象とする、この趣旨は私どもとしても賛成するのですが、この提案理由の中を見ると、相当財政的に、積立金も九億余りできて財政的にも非常に余裕ができている、こういうことがあげられておるわけでありまして、一体、森林火災の経理内容ですね、どういうふうになっているのか、年々どれぐらいの損害があって、それでこれに対する支払いはどの程度になっておるか、最近二、三年の一つ経理内容を説明していただきたい。
#9
○政府委員(山崎斉君) 森林火災国営保険の経理内容を申し上げますと、昭和三十四年度におきましては、契約の保有高が面積におきまして百四十八万町歩、保険金額が四百五十九億八千万円となっておるのであります。保険料収入が二億四百二十六万円、損害填補の実績は件数にいたしまして六百十一件、損害填補の金額が千五百二十万円というふうな形に相なっておりまして、積立金は三十四年度末におきまして九億一千五百万円ということに相なっておるのであります。
#10
○荒木正三郎君 そうすると、契約に入っているのは百四十八万町歩、これは全国の森林全体からいうとどのくらいの割合になっているのですか。
#11
○政府委員(山崎斉君) この火災国営保険は、保険の対象といたしております森林は、人工に、人の手によりまして造林した森林であるということに限定いたしておりまして、現在におきまして民有の人工造林地が約五百万町歩というふうに考えられますので、約その三割が保険に加入しておるという現状であるのであります。これが比較的加入率が低いというふうな問題もあるのでありますが、火災だけを対象といたしました場合には、やはり植えましてから二十年未満というふうな森林が火災にかかりました場合には、まあ大きい災害を受けるということに相なるわけでございまして、二十一年生以上のいわゆる壮齢林といっておるのでありますが、こういうものは火災にかかりましてもその火災にかかった木の価値がそう下がらないというふうな関係もありまして、壮幼齢林、二十年未満の幼齢林におきましては約九〇%近くのものが加入いたしておるのであります。壮齢林では、その加入の率が非常に低いというふうな関係からいたしまして、この全体の三割程度が現在保険に入っておるという現実にあるのであります。
#12
○荒木正三郎君 今の御説明でちょっと意外に感じましたことは、一年間掛金が二億ある。そうして損害補てんの支払いが一年にその一割にも当たらない千五百万円程度である。損害が少ないということは私はけっこうなことであるから、これはいいことだと思う。ただ、こういう状態が大体続いているとするならば、補償金をふやすとか、あるいは掛金を減らすとか、そういう措置を講じてもいいと思いますが、そういう点はどうですか。
#13
○政府委員(山崎斉君) お説の通りでありまして、この保険は大正十二年から開始いたしたのでありますが、自来火災が減少いたして参りましたので、数次にわたって保険料率の改訂を行なっておるのであります。最近におきましては昭和二十七年度に改訂し、また昭和三十年度に、次には三十三年度という工合に、漸次保険料率を下げてきておるのでありますが、それにいたしましても、火災の事故率が、関係者の非常な御努力によりまして、私たちが予想しておりますよりもさらに減少していくというふうな関係に相なっておるのでありまして、そういう点からいたしまして、支払い保険金というものはまあ非常に少ないというふうな現状に相なっておるのであります。こういう点からいたしまして、この火災保険、森林造林地に対しまして火災による損害も補償し、また同じ森林に対しまして合わせて気象災害も一緒にやるというふうな制度にいたしまして、しかも掛金は、いわゆる保険料率というものは、火災だけの場合よりも平均して一割程度アップした保険料率で、同じ森林に対しまして火災も気象災も合わせて損害保険をやっていけるというふうになって参ったのでありまして、それでこのたび火災のほかに気象災なども加えて保険するという制度を出発させたということに相なった次第であります。
#14
○荒木正三郎君 積立金がどんどんふえていく。これは火災が割合に少ない、そういうことと、また反対に掛金が高いとか、そういう問題もあると思うのですが、これは一つもう少し検討をして、掛金の一割以内で保険金がまかなえる、こういうことはやはり保険料の取り過ぎだと思うのですがね。こういう点は一つ検討をしてもらいたいと思います。
 それから、今度新たに気象災害を追加する。この会計からいえば、保険料をふやさなくてもまかなっていけるのではないかというふうに一応考えられますが、しかし、気象災害の場合は、暖かい地方と寒い地方と違うわけですね。暖かい方では、雪の被害とかそういうものはない。しかし、寒い方は雪の被害等がある。条件がだいぶ違うのですがね。その保険料はどういうふうになりますか。
#15
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、気象災害は年によっても非常に大きい偏差があるのでありまして、昭和三十四年の伊勢湾台風等に対しましては、全国で風害、水害、雪害、その年を全部合わせまして約六万五千町歩の被害を受けた区域があるというふうな実情でありますが、一番少ない年、その前年度の三十三年度ではそれが約四千町歩にわたっておるというふうに、年により被害発生の程度と申しますか、それも非常に大きい差がある。それから御指摘の通り、たとえば九州とか、そういう方面では風水害の害がある。それから、新潟とかそういう方面では雪害がある。あるいは群馬ではひでりの害があるとか、あるいは凍霜害があるとか、非常にこの災害の種類は多いのでありますし、また偏差も多いのでありますが、これを昭和二十九年から三十四年の間、六カ年間の気象災害の実態を精細に調査いたしまして、それがどういうふうに地域的に、あるいは年度別に発生しているのかというような点も調査いたしたのでありまして、特に地域ごとに大きい偏差をつけるというようなことにも非常な問題があるように考えまして、全国一律の危険度があるという考え方でやって参りたいというふうに考えたのであります。と申しますのは、たとえば伊勢湾台風等であの地域に大きい災害があったから、あの地域の保険料率はうんと高くなければいかぬというようなことにも現実ではまあならぬように思うのでありまして、その地域には二十年に一ぺんとか三十年に一ぺんとかいうような災害であるわけでありますので、こういうものを全国平均の考え方でやはり負担していくという考え方がいいのじゃないだろうかというような考え方に立ってやっているのであります。
#16
○梶原茂嘉君 ちょっと、関連して一点伺いたいのですが、昭和二十八年に、あのときは九州各地、それから近畿、東海等にかけて、六月ごろから非常な風水害があったのです。あのときの損害額はどれほどになっていましょうか。それだけお伺いしたい。
#17
○政府委員(山崎斉君) 実は悉皆調査をやりましたのは二十九年から三十四年という過程になっているのでありまして、二十八年度の調査の資料は実は精細なものを持ち合わせておりませんので、概要でございましたら、統計等から一つ資料として提出いたしたいと存じます。
#18
○天田勝正君 ちょっと二、三点伺いますが、この保険において、当然面積を基準にしてこの保険事業を行なうのだと思いますが、そうすると、こういう問題が起きはしませんか。日本の田畑といわず山林といわずですが、特に山林は面積が実測とおそろしく違うのをむしろ普通とさえしておる。所によれば、帳簿面積の三倍も実測の方はあるというような所さえある。そうすると、それを同じ保険掛金、同じ保険金と、こうなると、場所によって要するに保険金額も保険料も違うという結果になってくると思うのですが、その点はどういうふうにしておるのですか。
#19
○政府委員(山崎斉君) この保険の対象といたしましては、もちろん面積と、それにはえておる木の種類、年令というような問題で違うわけでありますが、御指摘の面積につきましては、いわゆる台帳面積と実際の面積とは十倍のところもあり十分の一のところもあるというような現実にあるのでありますが、この人造林地につきましては、保険に入ります場合それぞれ実測するという考え方に立ってやっておるわけであります。実際の面績を対象としてやっておるというふうにお考えを願いたいのであります。
#20
○天田勝正君 その次には、現在、積立金が九億何がしあるわけですが、これは単に積み立てておいて、不時の災害の場合にこの補てんをするというだけでなしに、これを常時一定額なりなんなりを他に流用しておると、こういうことですか、そのままとっておくのですか。
#21
○政府委員(山崎斉君) お説の通り、この剰余金と申しますか、これは国の特別会計でありますので、資金運用部に預託をいたしておるわけでありますが、その利子等も年々生まれるというような関係もありまして、そういうものを火災予防のための経費としてもある程度出すというようなことに使っておるという現状であります。
#22
○須藤五郎君 今、天田君の質問に対して実測でかけるとおっしゃいましたが、私も最近山林等で実際の登記面の坪数と実際の坪数とに非常に差があるということを知ったわけです。そうすると、今度は実測にかけるというと、その実測したものがはっきり出てくると、今までの固定資産ですか、いわゆる財産に対してかける税金との関係はどういうふうになってくるんですか。
#23
○政府委員(山崎斉君) 実はお話の通りの問題があるわけでありますが、こういう森林につきましては、森林計画という制度で一筆ごとの調査もやり、あるいは保険というような制度で今御説明しましたような面積を確定する、測量するというような仕事もやっておるのであります。これらはいずれも税金というものとの対照と申しますか、関連は直接ないという形で今まで運用して参っておるわけであります。
#24
○須藤五郎君 私はおかしいと思うのですよ。今、大山林地主というものは相当税で、いわゆる悪意的な脱税ではないかもわかりませんけれども、実際税の面で大きな脱税があると思うのですよ。だから、もしこの保険の方で実測をしていくならば、その脱税を防ぐということにもなるんじゃないかと私は思うのですが、しかしそれを別に考えるというのでは、どうも話が私は合わないように思うのです。これは非常な大事業だと思うのですよ、実測してほんとうの坪数を出すということは。日本全国の山林、林野を実測するということは大へんな事業ではあるけれども、昔の明治初期のああいう面積で今日課税しておるということ自体が私はおかしいと思うのです。ですから、保険でせっかく実測をやっていくというならば、やはり実測したものに対して課税をするという方向にいくべきだ、私はこういうふうに思うのですがね。
#25
○政府委員(山崎斉君) お説の点もごもっとものようにも考えるのでありますが、お話しいたしました通り、現実は、日本の私有林の総体の面積が、天燃林も含めますと、約千八百万町歩程度あるわけであります。
#26
○須藤五郎君 それは実測ですか。
#27
○政府委員(山崎斉君) 大体実測で……。
#28
○須藤五郎君 それでは、登記面積はどのくらいありますか。
#29
○政府委員(山崎斉君) 登記面積のことは実はよく……。
#30
○須藤五郎君 それを私は知りたいのです。
#31
○政府委員(山崎斉君) 約千八百万町歩程度の森林の中で、約一割足らずがこの保険の対象になっているというふうな経緯もあるわけであります。これを直ちに税金の問題と結びつけるというところにはまだ問題があるかと思っておりますが、十分われわれも検討して参りたいというふうに考えております。
#32
○天田勝正君 ちょっと、もう一点。私は疑うわけじゃありませんけれども、今実測でかけるとおっしゃったけれども、実際実測をやっているのだろうかやっていないのだろうか、 はなはだ疑わざるを得ない。それは、税の面からは、おそらく山などは八十年なり百年なりかかるのですから、それに対する固定資産税などは知れたものだけれども、一番多く脱税されるのは、やはり伐採した後の取引において多くの脱税が行なわれる、何といっても。ところが、それはこういうところで質問をすると、税務当局は必ず、厳密な調査をいたした結果課税をいたしておりますという答えが出るにきまっている。実態を知っているわれわれからするとか、およそこっけいな話であって、少し遠い険しい山などでは、「調べます」「けっこうでございます、行っていただきましょう」、こうなって、事実は行きやしないのですよ、そんな所へ。行って帰るに二日もかかる。いやになってしまう。そういうのが税金面で通常行なわれている姿で、確かに、係官も違うから、山になれている人だから、税務当局よりもはるかにやっているとは思うけれども、ちょっと見ると、百四十幾万町歩ですか、百四十八万町歩というけれども、百四十八万町歩、一体実測がこの機能でできるのかどうか。別の機能でやるというなら、私はわかるのですがね。この保険特別会計の機能でやるというのは、ちょっとうなずけない気がするのですが、どういう方法でやっているのですか。
#33
○政府委員(山崎斉君) 御承知の通り、民有林の人工造林地につきましては、国といたしまして、農林漁業金融公庫からの融資による造林を行なっておりますし、また国から補助金等も出しましてその造林を進めておるという現実にあるのでありまして、そういう制度によりまして、その植え付けられた面積が何ぼあるだろうかというような点は、御説明いたしました通り、実測をもとにしてそういうものをやっているわけであります。そういうものと申請せられました面積というものが食い違ういうふうな場合には、もちろん実測をしてやっていくという制度をとっているわけであります。そういう幾つかのものをあわせて、並行しながら保険に対処するという方法もとっておりますし、また火災が発生いたしました場合には、ほんとうに現地に行って、この火災保険の組織で測量、立木調査等をやって、金も払うというような制度をとっておるわけでありますから、現実には面積というものが台帳というものと非常な違いというものはないというふうに思います。
#34
○天田勝正君 ちょっと念押しにお聞きしますが、それじゃ、貸すのは農林漁業金融公庫ですが、農林漁業金融公庫で調査するのですか、あなたの林野庁で調査するのですか、どっちなんですか。どこで。
#35
○政府委員(山崎斉君) 先ほど申し上げました補助金の交付あるいは金融公庫の貸し出し、それが確実にやられているかどうかというふうな点につきましては、いわゆる県の林務の機構によってこれを調査するということにいたしておるのであります。
#36
○須藤五郎君 もう一点確かめておきたいのですが、保険の場合に実測をする。実測面積が出る。それは台帳にちゃんと載るんですか。台帳は昔のままのもので、そうして保険の場合だけ実測して、それに適用して保険金をきめる、こういうことですか、どうなんですか。
#37
○政府委員(山崎斉君) お説のいわゆる台帳と申し上げますのは、今法務関係の機関でありますが、税金の対象の台帳、それに載るわけではもちろんないのでありまして、この保険というためのいわゆる台帳と申しますか、記録にそれが載せられて参る、こういうことになります。
#38
○須藤五郎君 大きな不合理があると思うのですよ、私は。保険だけは実測でやって、そして課税の方は昔の法務省にあるいわゆる台帳で課税する。こういう矛盾を、あなたたち、このまま放置していっていいと思うのですか。それをまず直していかなければならぬ。ですから、せっかく実測するならば、その実測したものを台帳面に直していく、そうしてできるだけ正確なものを出していくというふうにこれからやっていかなければ、保険だけ――実測することが第一大へんなことなんですが、この大へんなことを保険だけに終わってしまうということでは、非常な私は損失じゃないかと思うのです。だから、この際、保険で実測を出すならば、台帳も実測通りに変えていくという方針、この方針を立てていかなければいけないじゃないか、私はそう思う。でなければ、山林地主は脱税ですよ。国家の損失も非常に大きいでしょう。そういう点を大蔵省として考えていかないということが、私は不思議でたまらない。だから、ぜひそうであるべきだと思う。(「与党的発言をするじゃないか」と呼ぶ者あり)そうじゃない。国家の損失だ。
#39
○委員長(大竹平八郎君) 静粛に願います。
#40
○須藤五郎君 そういう点をはっきりして下さい。
#41
○政府委員(山崎斉君) 森林、その他についても同様かと思うのでありますが、いろいろなこういう制度と法務省の台帳あるいは課税というような関係とが直接結びつきます点にも、まあ行政上はいろいろ問題もあるわけでありまして、われわれといたしましても、お説の点は理論的にはよくわかるのでございます。今後とも十分関係省とも相談してやっていきたいと思います。
#42
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。森林火災保険特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#45
○委員長(大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#47
○委員長(大竹平八郎君) 次に、あらためて、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は御発言を願います。
#48
○荒木正三郎君 先ほどちょっとお尋ねをしかけたところなんですが、ガリオア、エロアの問題ですが、これは政府は従来しばしば国会で、債務と心得ておる、こういう発言があった。その債務であるかどうかという問題は別といたしまして、産投会計の性質から考えて、これが債務であり、これが返済するということになれば、この会計とは非常に密接な関係があるのじゃないかというふうに考えられる。で、政府は従来しばしば、国民には二重負担をかけない、こういうふうな言明もあったわけです。そうすれば、もし債務としてこれを返済するということになれば、一般会計から来るということはできないのじゃないかというふうに思うのです。最近新聞等で伝えられるところによると、このガリオア、エロアの返済については具体的に話が進められるのじゃないかというふうな様子にも見られます。従って、これに対する政府の考え方というものも相当検討されておるのじゃないかと思う。そういう理由で、この機会に、一般会計でこの債務を返済するということは、政府の従来のいろいろな発言から考えて、ないのじゃないかというふうに私たちは考えました。そうすれば、産投会計にこの対日見返り資金が組み入れられておるわけですから、この会計との関係はどうなってくるか、この会計から将来支払うということも考えておるのかどうか、こういう点をはっきりしておきたい。
#49
○政府委員(西原直廉君) ガリオア、エロアにつきましては、前々から債務と心得るということで考えられておりますが、これをどういうふうに具体的に処理するかどうかにつきましては、援助を受けました総額がどういうふうに数字的にはっきりするかという、その総額をまず明確にいたしまして、その後にこの問題を検討しなければならない、現在の段階ではそういう数字の方を固めるという方向で検討いたしております。そういうものがきまりましてから、一体どういうふうにするか、その数字が出て参りませんと、あとどういうふうに考えたらいいのかどうか考えられない点かと思いますけれども、今お話のございましたように、産投会計は非常にガリオア、エロアと関係が深いわけでございます。
 昭和二十四年の四月から対日援助見返り資金ができまして、それが昭和二十八年八月に産業投資特別会計に引き継がれたわけでございます。そういうような意味からいたしまして、非常に関係の深いことは今お話のございました通りでございます。ただ、見返り資金ができました二十四年四月の前は、一般に貿易資金というところにガリオア、エロアの結局代金と申しますか、そういうものが入っております。これはまあ数字的に、一体見返り資金ができてからどのくらいの金額、それから見返り資金ができる前はどのくらいの金額、見返り資金の後は約八億五千万ドルというふうに数字がはっきりいたしておりますが、その前の数字をもっとはっきりいたしたいというのが現在の段階なのであります。一応見返り資金あるいは売却代金が一体どうなっておるかという点からは、そういう関係になっておるのでございます。
#50
○荒木正三郎君 その総額が幾らになるか、これは重要な問題であることは申すまでもないことです。そういう問題がだんだん検討が進められていくと同時に、これを返済するとすればどういう資金で返済するかということは、同時に検討さるべき問題であると思います。ただ、一般会計には計上しないということがはっきり言えますか。
#51
○政府委員(西原直廉君) どういうふうに返済するかという、またどういうような関係で返済すべきかということは、ちょっと今のところまだ私どもとしても、まだ研究しておるところでございます。ただ、今申し上げましたように、売却代金がどういうような関係になっておるかということになりますと、先ほど申し上げましたように、見返り資金ができました二十四年四月以降は見返り資金で積み立て、これを産投会計に入れまして、公企業とかあるいは私企業なんかへの投資とかその他に使われております。その前の段階におきましては貿易資金の方に繰り入れられるというようなことで、結局価格差補給的な機能を営んでいたというようなふうに考えられるわけでございます。そういうようなことが、売却代金自体の行方と申しますか、そういうことになりますので、そういう点はいろいろなことを考慮する際に十分考えなければならないのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#52
○木村禧八郎君 今の貿易資金の金は、今外為関係の方へ移されているのです。そうすると、見返り資金の方は産投の方へ移ったわけですね。そうすると、同じ売却代金でも、外為の方へ行っているのと、それから産投の方へ行っているのと、二つあるわけですね。それで、貿易特別会計から外為の方へ移った金はどのくらいなんでしょうかね。
#53
○政府委員(西原直廉君) この貿易資金から貿易特別会計ができまして、この貿易特別会計から外国為替特別会計になり、外国為替特別会計から外国為替資金特別会計というふうに動いております。それで、二十四年度に貿易特別会計から外国為替特別会計に引き継ぎました資産が三十億円でございます。
#54
○木村禧八郎君 三十億円ですか。ばかに少ないですね、それは。前に私、外為会計の収支についてお伺いしたときに、赤字が出る原因としていろいろ伺ったんですよ。その赤字を埋める要素として、前のインベントリイのただの金がある。それから貿易特別会計から移った金もあるし、これはただで、金利がつかないで運用できますね。それで埋めることができるんだと聞いたのですが、三十億とはずいぶん少ないですね。
#55
○政府委員(西原直廉君) 失礼しました。二百九十億。もうあと一口二十五年度に二百六十億を引き継いでおりますから、両方入れますと二百九十億でございます。
#56
○大矢正君 これは予算委員会でも、大蔵大臣初め、ガリオア、エロアは債務と心得る、こういう発言をされておるのだけれども、二十四年の四月以降の分については、これは八億五千三百万ドルということで、通産省の資料が整って明らかになっているんだが、その前の、二十四年三月以前の分の十一億幾らというのは、結局資料が明らかでないわけですね。それで、債務と心得るというのは、二十四年四月以降の分ならよくわかるんだけれども、その以前のやつも債務と心得るという、こういう解釈をしているのかどうか。
#57
○政府委員(西原直廉君) ガリオア、エロアは昭和二十年から始まっているわけでございます。で、二十四年の四月に見返り資金というのができまして、そのあと見返り資金に幾ら入っているという意味で、先般通産省から資料として提出されておると思いますが、昭和二十四年四月以降の見返り資金に入りましたものが、八億五千三百万ドル、それ以前の分についても、これは現実には受け取っておるわけです。これはまあGHQの方の資料によりますと、二十年九月から二十四年三月までに受け取りました額が十一億九千七百万ドル、こういうことになっておるわけです。で、債務と心得るというのは、結局このガリオア、エロアとしてもらったものについて、やはりもらうというのですか、ガリオア、エロアとしてこちらに渡されたものについての問題だというふうに考えられると思います。
#58
○大矢正君 いろいろの資料を整備しても、二十四年三月以前の十一億九千七百万ドル、これは、連合国軍の総司令部の資料に基づく全額というのは、最終的に資料としては整わないのでしょう。整わないものがその債務に結局なると、こういうことになるわけではないですか。だから、僕の聞いているのは、資料も何もなくて、現実問題として幾ら受け入れたものかわからないということでも、なおかつ債務と心得ているのかどうかということを聞いているのです。
#59
○政府委員(西原直廉君) 二十年九月から二十四年三月までの分につきまして、今通産省の方で、通産省が持っております資料によって、一々丁寧といいますか、こまかく調べている段階だと思います。それが一体どれくらいの金額になるかどうか、その調査が済みませんとわからないのです。しかし、この十一億九千七百万ドルというのは、連合国軍総司令部の方の統計で出ている資料です。これとのつき合わせの問題になってくるのでございまして、向こうからいろいろな物資が交付されましたことは、これは変わりはないことであります。相当の額に上っておることも事実だろうと思うのです。ただ、どこまで金額的にはっきりするかというのが現在の調査の段階でございます。
#60
○木村禧八郎君 関連して、いいですか……。どうもわからないのですが、先ほどガリオア、エロアは二十年から始まっていると言うのですが、それはしかし、ガリオアとエロアの始まる時期が違うでしょう。ガリオアとエロアは一緒にみなしているようですけれども、ガリオアとエロアは性質が違うと思うのです。ガリオアというのは救済援助でしょう。エロアは復興援助ですよ。従って、救済援助というものはグラントの性質を持っていると思うのですよ。これは救済援助なんですから、終戦後のあれを救済するという。それから、復興の段階に入ってくる場合の援助、これはドッジ・ラインがしかれて以後ですね、その援助は復興援助ですね。ですから、そういうように区別していくと、今ガリオア、エアロは二十年から始まっていると言われるけれども、そうじゃないでしょう。その時期は違っているので、やはり二つは区別して考えるべきだと思うのです。ガリオアは救済援助の性質であるにかんがみまして、私はグラントであるんじゃないか、そういうやっぱり立論も必要なんじゃないかと思うのです。復興援助の場合は、これは債務と心得るという余地がないこともないと思うのです。しかし、それはあとで終戦処理費との関係もございますから、それは今度払っていくかどうかという相殺の問題も起こりますけれども、これはやはり区別して考えるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。ガリオア、エロアも一緒にして考えているようですね。私は、これははっきり区別して考えるべきじゃないかと思うのです。
#61
○政府委員(西原直廉君) いわゆる一般的に米国対日援助といわれております中のおもなものは、今のお話のガリオアとエロアです。ガリオアは一九四六年の七月から一九五一年の六月まで続いております。それから、エロアは一九四八年の七月から一九五〇年の六月まで続いているわけであります。これはまあ向こうの、アメリカ側の科目によりまして、名前は、ガリオアがガヴァメントアンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアス、 エロアはエコノミック・リハビリテーション・イン・オキュパイド・エリアスです。そういうふうに幾らか意味とかなんとかが違うことはお話の通りです。ただ、それが一体グラントであるかどうかということになりますと、これはまた別の問題になるのじゃなかろうかというふうに考えております。
#62
○木村禧八郎君 それは今後向こうと折衝する場合、その債務でない部分というものをはっきり主張しなければならぬですよね。それで、その場合、救済援助のときには、これはドッジ氏もアメリカの議会で証言しているのですが、アメリカの余剰農産物、もう余ってしょうがなかった、海外にはけ口を求めなければ。そこで、アメリカ農産物の価格支持の役に立っているので、ただでやったって損しているのじゃないのだ、そういうことを言っているのですから、救済援助の段階では特にそういうものが多いと思うのですよ。ですから、やはりこれははっきり区別して、救済援助と復興援助を区別して主張すべきだと思うのですよ。
 それで、救済援助の場合は、これは極端にいえば難民に対する援助みたいのものも、これはやはり救済援助でしょうが、とにかく日本は戦争で非常に破壊されて困難な状態に陥っているときに、社会不安をそこで除くために、アメリカの占領政策の必要上そういう救済援助をやったと思うのですがね。ですから、やはり区別して、それで一つの立論としては、救済援助については、これはグラントの性質を持つべきものだ、こういうふうに解釈できるのじゃないかと私は思うのですがね。何かそういう点、もう少し調べてみていただけませんか。
#63
○政府委員(西原直廉君) ガリオアとエロアは、ただいま申し上げましたように、ガリオアが一九四六年の七月から一九五一年の六月まで、エロアが一九四八年の七月から一九五〇年の六月までなんですが、五〇年六月で終わっております。というのは、米国の一九五一米会計年度におきましては、エロアもガリオアの中に一緒にされまして、ガリオア資金として統合されたという関係にあるわけであります。まあ今の木村先生のお話の点は私どもとしていろいろ研究はいたしたいと思いますけれども、ただ、どういうふうに考えられるかということになると、いろいろ問題があると思います。
#64
○野溝勝君 一つ局長さんにお尋ねするのですが、この法案には直接関係はないのですが、間接には関係あるだろうと思うのでお伺いしているのですが、財政投融資の資金がばかにふえたのですが、この中には公共事業費ということがうたわれているのですが、私はこの公共事業ということが、われわれの公共事業と、今政府の考えておられる公共事業と、その性格の規定づけが違うように思うのでございますが、公共事業とはどういう費目をさすのですか、この際あらためてお伺いしておきたいと思います。財政投融資計画のうちの費目でお示し願いたいと思う。
#65
○政府委員(西原直廉君) 財政投融資としては、特にどれが公共事業とかなんかというようなあれはいたしてはいないと思うのでございますけれども。
#66
○野溝勝君 私のお尋ねしたのは、財政投融資の資金計画の中に、公共事業というものがその中に含まれておるんじゃないんですか。
#67
○政府委員(西原直廉君) 大きくこの財政投融資の使途別分類というのをいたしましたが、公共的なものといたしましては、道路、それから国土保全、災害復旧、住宅、それから、まあこれはいろいろあれがあるかと思いますが、生活環境整備とか、それから広い意味で文教施設なんかもあるいは入るかと思いますが、そういうようなものが公共事業的なものじゃないかと思います。
#68
○野溝勝君 それでは、公社とかというようなものも入るんですか。たとえば鉄道とか電電公社とか、そういうものも公共事業の中に入りますか。
#69
○政府委員(西原直廉君) 広い意味では公共事業的なものというふうに考えられるかと思いますが、まあ中間的と申しますか、そういうようなあれだと思います。
#70
○野溝勝君 こういう点が実に明らかにされておらないんですね。だから、財政投融資の対象となるものはいかにも公共事業のごとく印象づけられておる傾向があるんです。実際、今お示しになったようなものは公共事業として扱われることに疑義がある。そのほか、全く金融機関のようなものでも、特に財閥を中心としたものを対象としておるようなものまでも、公共事業のごとく、財政投融資の対象のごとく印象をされることは、まことに納得できないのですから、この際特に当局にお願いをしておくんですが、投資資金計画の中に公共事業費と一般の費目、これを別のようにしてもらいたい。もし今国会にそのことが困難であるならば、一つ資料としてそういう点を明らかにしたものを次の機会に本委員会に出していただきたいのであります。どうですか。
#71
○政府委員(西原直廉君) 予算の方で公共事業費といわれている費目がございますが、それに対応するものを作成いたしまして差し上げるようにいたします。これは必ずしも、一般的公共というような広い意味がございますので、どの程度にカバーされますか、そういう意味で差し上げたいと思います。
#72
○野溝勝君 特に私がこういうことを聞くのは、実際今の公共事業の対象となっておるようなものの中にも、たとえば電力会社、国鉄でも、電電公社でも、値上げをどんどんして、そうして値上げをして経営を健全にするんだということを言っておりながら、さらにその上に財政の投資までしてやって、まだそれでやっていけないということは、これは実に政府として監督不行き届きといいましょうか、あまりにも無責任だと思うんです。一体、公共事業もそうですし、さらに財政投資の対象となるものの中には、社債を起こしたり借入金でまかなっていってやっていくのがあたりまえのように思うのもあるんです。そういうような点について、当局は検討をされたこととは思いますが、資金のあんばいに関しましては、やりくりに関しては、十分警告なり査察なりすることがあるのでございますか、その点お伺いしておきたいのです。
#73
○政府委員(西原直廉君) 財政投融資の計画を作りますときに、まあ考慮いたします点は、一体まあ今後の成り行きから考えますと、国民生活に直接関係のあるようなもの、そういうものがやはり重点的に考えられるべきじゃないか。で、その際に、やはり今お話しのような、一般会計の方から出されるものをも幾らかやはりそういう点十分考慮しなければならない。そういうような意味で住宅、あるいは生活環境整備、あるいは厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業というようなものに、大体この五〇%を充当するというようなふうに考えたわけでございます。それ以外に国土保全、あるいは道路、運輸、まあ地域開発というような面が、あと約三割、その他まあ輸出産業とかなんとか、電力関係というようなのがあるわけでございますが、そういうような点を、全体として資金面の配分と申しますか、使途を考えまして、それから具体的に、一体その資金が政府資金のうちで資金運用部によるのか、あるいはまあ年金勘定的なものもありましょうと思います、簡保によるとか、産投でどの程度にそれを見るべきか、あるいは民間資金をどの程度に活用して充当されるか、そういう点につきましては、それぞれのこういうことを担当いたします各金融機関、住宅金融公庫とか、あるいは住宅公団、そういうようなものの資金構成とか、あるいはそういうととろでどの程度そういうような種類の資金の調達ができるかというようなことをまた勘案いたしまして見たわけでございます。そういうようなことでの配分でございますので、まあ政府資金の方は結局、コストその他から見ますと、割合にコストの低い方向によけい使われるということに相なるかと思いますが、そういうような意味での民間資金もやはり見たわけでございます。そうして電力とかなんとかにつきましては、従来はなかなか民間、だけで、民間資金で活用できなかったわけでございますが、いろいろなお話の点もございまして、できるだけこれを市中の資金でまかなうというようなふうに考えまして、その結果、電力関係の資金というのは、全体調達する上からは、政府関係で出ておりますのは非常に少なくなってきております。
#74
○野溝勝君 私は、先ほど局長のお話のあった、直接的な公共事業の対象になっているような、たとえば住宅公団であるとか、あるいは国民金融公庫であるとか、もちろん道路、港湾であるとかというようなものに対しては、確かに公共事業的な性格を持っていると思うんです。しかし、今御指摘のありました電力事業のごときものは、これは昔は公共事業であったかもしれませんが、今は営利追求独占企業の代表的なものだ。なるほど生活になくちゃならぬものではあるけれども、一体公共事業というものは、大衆に不便を与えたり迷惑を与えたりするようなことは公共事業としてなすべきことじゃないと思うのですね。
 ところが、今一つの例をあげますると、たまたま電力のお話が出ましたから申し上げますが、彼らは値上げを勝手にして、そうして資金は政府から、金融は市中銀行からもあるいは政府資金からも出ている。第一、農村に対して、農繁期の忙しいときに電力を使う。それが一カ月、二カ月。そうすると、その農繁期に使ったときの電力の料金といいますか、それはその必要な量だけ使ったときの月々の私は勘定でいいと思うのです。それを年聞通して取るのですな。こんなばかなことは、それは実に独占事業の一番はなはだしきものだと思う。横着なものだと思う。こういうような仕打ちをして、これに対して農民が要請をしたりあるいは抗議をすると、いやなら使わなければいい、こういうばかなことはどうかと思うのです。こういうような事業に対しましては、私は政府資金、国民のしかも膏血をしぼったといっちゃ言い過ぎるのでございますが、まことに実際横暴といいますか、ひどいものだと思うのです。こういう点についてわれわれは反対なんです。今なるべく市中銀行を中心にして金融の方面はつけていくようにさせる努力をしていると言いますが、それはこんなものはさせる努力どころじゃない、していいと思うのです。一体、財政投融資の資金をそんなものに使う必要はないと、こう思うのですが、まあわれわれの方の思うようにもいかぬでしょうが、特にそういう主張を持っておるということを申し上げておきます。
 それから、大体どこの会社でも決算報告をしているのですが、こういう財政投融資、政府資金を投資した資金計画の対象になっているこれらの団体は、政府に対して決算報告あるいは営業報告的のものを出しているのでございますか。もちろん出していると思うのでございますが、本院においてはさようなものを見たことがございませんけれども、国会でこういうものを議決する以上は、その内容に対する資料くらいは本委員会に提示してしかるべきものだと思いますが、この点いかがでございますか。
#75
○政府委員(西原直廉君) それぞれ各種の法にございますように、いろんな機関が財政投融資の資金を使っているわけでございます。これは各省でそれぞれ監督しているわけでございまして、それぞれの法律なりなんなりによりまして、決算と申しますか、その損益、収支、あるいは貸借対照表その他を作成しているわけでございます。各省がそういうことを監督は十分いたしております。
#76
○野溝勝君 では、最後に政務次官に希望をしておきますが、一つ、ただいま理財局長からお話がありましたごとく、各省においてはそれぞれの決算といいますか、業務報告を受けている、こういうことなんですが、国会にも、政府資金を投資している以上は、当然大蔵委員会に提示してしかるべきものだと思いますので、直ちにその内容が業務報告的なもの、それを資料として、こまかいものでなくてよいから、提示されんことを特に希望しておきまして、質問を終わりたいと思います。このお答えを願いたい。
#77
○政府委員(田中茂穂君) 財政投融資によりまして投資をされておりまする政府関係機関の金融公庫の決算につきましては、これは会計検査院が厳重に検査をいたしております。その結果、決算委員会で御審議を願っておるわけでございます。ただ、民間のそういった機関の分につきましての御要望であろうかと思いますが、十分一つ研究をいたしてみたいと思います。
#78
○野溝勝君 私は、政府もその間いろいろ事情もあるでしょうと思いまして、ごくあらましでいいと言うたのでありますから、そこら辺は私の思いやりもくんで、直ちに用意して本委員会に出すつもりですというお答をされた方がよいと思いますので、あらためて……。
#79
○政府委員(田中茂穂君) 野溝委員の御意見、十分に慎重に尊重いたしまして、善処いたしたいと思います。
#80
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ……。
#81
○木村禧八郎君 ちょっと一つだけ、簡単ですから。産投の資金についてはっきりさせておきたいのですがね。これはこの間の予算委員会で公述人から意見を聞いたんですが、そのときに早稲田の先生が、この資金というものは歳出がないんですね、こういうものの保有の形というものはこれはどうもおかしいというのですね。だから、本来四十四条ですか、四十四条がこういう資金の保有を規定したものではないと思うのですね。あれは注意規定であると言われておりますね、旧会計法における。今度は四十四条はなくもがなで、実は注意規定なんだ。それでそういう歳出を伴わない資金というものは、産業投資特別会計の資金ならいいですよ。この歳出というものが許されておりますからいいのですが、やはりそれでは資金というものはどういうふうにして何に使われるかわからぬ。はっきりと資金の段階ではわからぬのですよ。そういうものをわれわれに承認を求めてきても、これは困るのです。歳出は向こうへ、今度は特別会計に繰り入れてからはっきりするのです。それまではわからぬのです、一応予定はこう出てはおりますれども。四十四条はそういう資金の繰り入れというものを認めたものではないんじゃないかと思うのです。少しどうも乱用しているんじゃないかと思うのですが、その点を一つはっきりさせてもらいたいことと、それから今後どういう段取りになっておりますか。疑義を解明するという段取りは、事務的にどういうふうになっておりますか。
#82
○政府委員(上林英男君) 財政法四十四条の資金でございますが、お説のように、財政法の建前といたしましては総計予算主義をとっております。従いまして、すべての収入は歳入とし支出は歳出とするというのを建前といたしております。これは非常に平たく申しまして恐縮でございますが、予算の通覧を便にいたしますとか、予算の統一性を保持いたしますために、そういう総計予算主義をとっておるわけでございますが、国家活動をいたして参りますためには、そういうような総計予算主義と申しまするか、そういう原則によりがたい場合があるわけであります。たとえば特定の計画を継続的に運営していくとかあるいは事業を円滑に運営していくというような場合におきましては、国が資金を持ちまして、その資金を歳入歳出以外に出すという場合があるわけでございます。
 なぜそういうような総計予算主義ないしは単年度の原則をとりましたかと申しますと、財政学的に申しますと、国の支出はそれぞれのそのときどきの税収に応じて支払っていく、といいますよりは、平たく申しますと、よく言われますことでございますが、家計の場合には収入を、入るを計って出ずるを制す、要するに月給が幾らであるから幾ら支出をしようということを考えるわけでありますが、国の場合におきましては逆でございまして、財政学的に申しますと、出ずるを計って入るを制すという言葉がございますが、財政支出が幾ら要る、国家活動をこれだけせねばならない。従って、それに応じて税収なりなんなりをどういうふうに考えていくかということをやるわけでございます。従いまして、すべての収入はすべての歳入とし、すべての支出はすべての歳出とするという格好で、ほかの資金を持たないというのが原則でございます。
 ところが、近代国家になって参りますと、ある程度計画的にものをやっていかねばならぬ場合も起こるわけでございまして、いわば、何と申しますか、普通の家計にございます貯金というものを国は持たないというのが建前でございますが、そういう貯金に類するような資金というものがあり得るというのが財政法四十四条の規定でございます。従いまして、この四十四条の規定によりまして総計予算主義の例外をなし、あるいは単年度の予算の原則の例外をなす、こういう格好になるわけでございまして、ただいまのこの財政法四十四条の規定は、明治憲法のもとにおきまする会計法の時代にも同じような資金というものが設けられて、現在に及んでおるわけでございます。
#83
○木村禧八郎君 今の財政法にはそういうものを予定していないのですよ。旧会計法を見たのですか。いわゆるフィスカル・ポリシー的なそういう資金を持つということは、今の財政法では少なくとも予定していないのです。それは経過からいっても、早稲田の先生ははっきり言っておるのです。今の財政法はそういうファンドですか、景気調節とかそういうもののファンド、フィスカル・ポリシーをやる建前になっていないんです。だから、そういうふうに財政法を変えなければいけないのですよ、もし用いるならば。それを今までやった例があるからといったって、違反しておるのです。そういう財政法の建前じゃないんですよ、財政法の建前をずっとごらんになっても、それから旧会計法の時代にも。旧会計法においてはなぜそういう規定が必要であったかというと、総計予算主義をこういう規定を持って貫かせようとしたのですけれども、今の財政法は、非常に厳密にそういう規定が行なわれておるから、四十四条は単なる注意規定でいいのだ、それで残したと言われておるのです。ですから、その点に無理があるんですよ。どうしたって無理があるんですよ。そういう建前の財政法じゃないのです。それは率直に認めるべきだと思う。だから、そういうふうに措置すべきだと思うのです。フィスカル・ポリシー的なファンドを用いるならば、はっきりと、そういう新しい段階に入ったのだから、これは改正したって何もおかしいことはないんですよ。それを改正しないでやるから……。そういう財政法の建前じゃないんですよ。だから、違反しておる。
 それから、もう一つは二十九条の、補正予算の場合では、二十九条でこれをこじつけようとするのは、これもまた無理なんですよ。少なくとも補正予算の場合には経費に不足を生じたときに限るんですよ。経費に不足を生じたときですよ。過去ですよ。もうはっきり書いてある。それでこじつけようとしておるのですが、それは無理なんですよ。そういう無理な解釈をやらないで、はっきり特例法を設けるなり、改正するなり、改正についても、改正の仕方については必ずしも賛成じゃありませんけれども、とにかく今の財政法はそういう建前になっていないのに、こじつけですよ。
 二十九条と四十四条とこじつけているのです。そういう財政法じゃないのです。それはフィスカル・ポリシーなんか予定しなかった段階の財政法なんですからね。それでそれはどういうふうにするのですか、今後。一応参議院では専門家の意見を伺いましたが、政府の方へはもうこの問題についてはこれ以上質問する気がございませんから、その点をはっきりしておかなければならないわけですが、どういうふうにこの始末をつけるか。確かに無理です。こじつけです。前に、前例もあるけれどもとおっしゃるが、その前例も違反している。その点、どういうふうに最後に始末されるのですか。
#84
○政府委員(上林英男君) ただいまの、の資金全体がこういうことを予定しておらないということでございますが、確かに明治憲法時代の会計法におきましては、経済理論あるいは財政論といたしましては、フィスカル・ポリシー等の議論がございませんでしたわけでございますので、あるいはたとえば景気調節資金とかなんとかいうようなアイデアはなかったと思いますが、しかしながら、今の資金として出します場合に歳入歳出以外になるという資金につきましては、明治憲法下の会計法におきましてもありましたわけでございます。ただ、それをフィスカル・ポリシー的に使えるような資金ということであれば、確かにアイデアとしては新しいものであるかもしれませんが、四十四条はそういうような資金にも該当するものであると私どもは思っております。
 その次の、今後どうするかという問題でございますが、この問題は確かに非常にむずかしい、考え方によりましてはいろいろの問題点につながる問題でございますが、ことに財政法二十九条は明治時代からの規定でございまして、その趣旨といたしますところは、みだりに追加予算を提出いたしまして財政法の紊乱なり不統一を招いてはいかないという趣旨でございまして、補正予算自体の厳格な提出を意図するものでございますので、これを簡単にゆるめるというわけに参らないものでございますし、またこの問題は、今御指摘がございましたように、ある意味では総計予算主義なりあるいは単年度の原則の問題にも及ぶ問題でございますので、慎重に検討する必要があろうと考えております。従いまして、これにつきましては、大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、財政制度審議会その他の適当な機関におきまして十分御検討願い、慎重に検討して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
#85
○木村禧八郎君 最後の……。それだけでここでほおかぶりしようとするのですか。ただ財政制度審議会その他の機関に諮るというだけで、結末がついていないじゃないですか。大蔵大臣によく伝えておいて下さい。最後の結末がつかない。で、今後は、また来年度は予算のときに問題になってくると思います。これは結末をはっきりつけなければ、ほんとうは使えないのですよ。ですから、はっきり結末をつけて、どういう段取りで最後の結末をつけるのか、はっきりしておいてもらいたい。
#86
○政府委員(上林英男君) 大臣の御答弁申し上げましたのは、今後のでございまして、今後の措置につきましてでございまして、この三十五年度におきまする今回の措置につきましては、この通りやらしていただきたい、こう申し上げたはずでございます。
 今後の、今お話がございましたように、たとえば三十六年度中に補正予算をまた同じように組むかという問題でございますると、それにつきましては、今後の今申し上げました検討の結果に待つことにいたしたい、こういうふうに御答弁申し上げたはずでございます。
#87
○木村禧八郎君 それは非常に困る。あなたの方は、たとえば、政府は多数をとっているから、われわれがかりにこれから六百億財源が、自然増収がある、それを今度三次補正を組んで産投会計へ繰り入れて鉄道運賃の方へ、国鉄に融資しろ、そういうふうにした場合に、そうなると、それは運賃は上げずに済むのです。そういう場合に、本年度、三十五年度だって問題にならないことはないのです、しようと思えば。ですから、そういう問題もあるので、自民党の方は多数とっているから何でもできるようなあれですけれども、ほおかむりしてとにかく三十五年度は済ましてしまうということは、どうもわれわれとしては納得できないのです。ですから、かりに三十五年度はそれでほおかむりするとして、三十六年度についてどういうふうにこれを始末するのか、疑義があるということははっきりしたのですから。この間須藤委員から質問しましたら、大蔵大臣もだんだんグロッキーになっちゃって、疑義がないということは言い切れないということになった。学者の意見も分かれているわけですね。学者の意見も分かれているのですよ、疑義があるという意見とないという意見と。ですから、疑義が残されておる。ただ研究する、調査するだけでは済まないのですよ。どういうふうに、いつごろ開いて段取りをつけて、そして結末をつけるのかということを聞いているわけですよ。そういうことをはっきりさせてでなければ、とにかく予算が済んじゃえばそれでいいのだというその場限りのほおかむり主義では、これは重大な問題ですよ。二十九条の問題なり四十四条の問題は今後に大きい影響を及ぼすのですから、そんな軽々しく扱っちゃいけないのですよ。財政法は憲法みたいなものですからね。
#88
○政府委員(上林英男君) ただいまお話のございましたように、確かに財政法二十九条の問題は非常に大きい問題でございますし、先ほど申し上げましたように、その及ぶところもまた考えなければならない点も各般にわたりまするものでございまするので、慎重に検討をしたいというつもりでおりまするので、実は早急の間にどうするというふうには申し上げられないわけでございまして、御趣旨に沿いまするように時間をかけまして勉強いたして意見を出したい、こういうふうに考えております。
#89
○野溝勝君 こういう点はどうなんですか、財政投融資、莫大な資金なんですが、多くの事業団体に金が行くのですが、その金が予算が一挙に使われないんだからだぶついて困まるのだが、聞くところによると、浮き貸しをやったり信託で利ざやかせいでおるようなうわさもあるのですけれども、これはふらちなことでございますが、その間の監督とかあるいは監視とかはどんなふうにやっているのですか、資金の動き方、扱い方。
#90
○政府委員(上林英男君) 御質問の趣旨がよくわかりませんが、浮き貸しということは少なくとも国庫に関する限り絶対にないと申し上げてよろしいかと思います。と申しますのは、国庫金はすべて統一的に監視されておるわけでございます。また、各特別会計が持っておりまする余裕金なりあるいは積立金なりと申しますものも、それぞれの特別会計法に従いまして法律の規定通り運用される。その大部分は預金部に入っております。それから、そうでないものは国庫に入っておりまして、統一的に日本銀行の国庫の中で運用されておるわけでございまして、浮き貸しその他ということは、これは制度上できないことになっておりますし、また現実にないものと確信いたしております。
#91
○野溝勝君 法規課長さん、君はそう言うけれども、会計検査院では官庁の政府資金のずさんな使い方を指摘しておることを知っているだろう。君は確信ありげにないと言ってみたところで、具体的に現われているのだから、そう大きなことを言うものでない。私は警告しておくが、浮き貸しでなければ投資信託に回す。現実をつかんでおるんだよ。私はきょうは言わないけれども、この程度で。警告を発しておく。
#92
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#94
○荒木正三郎君 私は、この法案に対して反対の意見を申し述べたいと思います。
 反対のおもな理由は、第一点は、財政法違反の疑いがある。この問題につきましては、質問の段階でしばしば同僚委員から質疑がございました。財政法二十九条の規定によりますと、今さら申し上げるまでもないのでございますが、必要避けることのできない経費に限って補正を組むことができる、こういう規定になっておる。しかし、今回産投会計に繰り入れる資金が、これが当然当初から予想され得る資金でございまして、一般会計に繰り入れるべき性質のものであると考えます。そういう意味で、こういう財政法に違反するような法案について賛成することはできない、こういう考えでございます。
 それから、もう一つの理由は、第一次補正予算が出されたときに、大蔵大臣は、第二次補正予算を出す意思があるのかどうかというふうなわれわれの質問に対して、第二次補正は考えていないということを明白に言明されておられたのであります。ところが、日なお浅くして第二次補正を出された。そうして産投会計に資金の繰り入れを提案されたわけです。こういうことは非常に政治家としておもしろくない態度であると思うのです。第二次補正は組まないという大蔵大臣の言明が、月ならずしてひっくり返ってしまって、第二次補正を組む、こういうことは政治責任上これはやはりわれわれとしては追及しなければならぬ重要な問題であると考えておるわけであります。
 そのほかにもいろいろありますが、この二点をおもな理由として反対の意見を述べる次第であります。
#95
○天田勝正君 私は、本案に反対いたします。
 それは、すでに荒木君からも述べられましたが、第二次補正の衆参両院における論点はすべて産投特別会計にかかっておると言って過言でないのであります。いまだその疑点とされておったところは何ら解明されておりませんし、これらが依然として、あるいはこの産業投資の性質上そうなるのだという弁解があるかもしれませんけれども、多くは結果において小さいものには恵まれない、こういうことで貫かれておるのでありまして、この法案には反対をいたします。
#96
○須藤五郎君 この法案の審議の過程で、大蔵大臣はいろいろと陳弁これ努められましたが、私たちは第二次補正予算は財政法二十九条違反だという疑いをいまだ持っておるものであります。そういう点からも私はこの法案に反対をするわけでありますが、なお、今回の補正予算使途を見れば一見明らかなごとく、必要避くべからざるものと受け取れないのであります。財源が余ったからプールしておいて、将来不足を生じた場合にこの金を使うといえば、一種の隠し財源を作る、こう言わなければならないと思うのであります。当初予算に百五十億円予算を組んでおきながら、予算のぶんどりでこれができなくなって、補正予算に三百五十億組んだといわれておりますが、こういう点は、行政的不手ぎわといわれてもいたし方ないと思います。最近、特別国会のときにすでに第二次補正予算を組む予算を持ちながら、すでに人事院の勧告もあり、財源があるということが明らかになれば、人事院勧告をそのまま受け入れなければならないというところから、今回のような手段をとったものと私たちは思うのであります。このようなやり方というものは今回限りでやめるべきだと思いますが、政府の考えておることは、むしろこのようなやり方を合法化し、制度化し、積極的に存続させようとするものであると言わなければなりません。しかし、むしろこういうことはやめまして、一般会計から直接まかなうべきである、このような特別の方法はとるべきでないというのが私たちの意見であります。
 以上述べました諸点から、われわれ日本共産党はこの法案に反対を表明するものであります。
#97
○委員長(大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものとして決定いたしました。
 なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
#101
○委員長(大竹平八郎君) 次に、都合により、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は御発言を願います。
 なお、政府側よりは小澤北海道開発庁長官、林田政務次官、木村監理官が出席いたしております。
#102
○大矢正君 小澤長官にお伺いをいたしますが、今議題となっております公庫法の一部改正というのは、御存じの通り、従来の役員にさらに一名副総裁を増員するという、増員と同時に新たに副総裁という制度を設ける、こういうことなんですね、そこで、私が特に大臣にお伺いいたしたいのは、これからの北海道の開発というものに対する考え方をどう持っておられるのかということと、それから当初北海道開発公庫として出発したときと比較して、東北が一枚加わりてから、北海道開発公庫は実際上は東北開発公庫というふうに名前を変えた方が妥当じゃないかと見られるくらい変貌を遂げてきている、公庫自身が。それば小澤長官、あなた東北の出身だから、当然東北に金を貸した方がいいとお考えになるかもしれませんけれども、しかし、出発点は北海道を開発するということで生まれた公庫が、今日融資の内容を見ても、むしろひさしを貸しておもやを取られた格好になった。これはさらにそういう方向に発展をする可能性もあると思うのだが、第一に北海道の開発というものに対して、長官はどういうふうに考えておられるのか、やろうとして考えておられるのか、それから今の公庫の実際の姿というものに対して長官はどう考えておるのか、この二点についてお答えをしてもらいたい。
#103
○国務大臣(小澤佐重喜君) 北海道の開発につきましては、大体、御承知のごとく、まず農業につきましては、農業、草地を改良いたしまして、ビートその他畑地産業を興して、また一方室蘭とか苫小牧、札幌等につきましては第二次産業を興して、そうして北海道の開発をやろうというのであります。その他いろいろありますが……。
 第二番目の、北海道と東北とどういう均衡を保ってやるかという問題でありますが、私も、もちろん東北に住んでおりますから、東北開発公庫の建設には努力をした方です。しかしながら、そのときの考えは、東北開発は別にしてという考えなのを、政府がそういう機関をたくさん設けるより一つにして、内輪で限界をきめた方がいいというので、大体まあ半々という一つの内部で覇絆をつけて、そうしてこの金融公庫をやっておる次第であります。
#104
○大矢正君 大臣、第三次五ヵ年計画か十カ年計画か知らぬが、現在検討しているところがあるでしょう、北海道開発庁としてはね。そこで、最近の統計によると、全国を一〇〇とした場合の府県民所得というものは、北海道は一〇八になっているのですね、指数でいくと。そうすると、全国平均より北海道の道民所得というものは上回っている。私は北海道の出身だからこういうことは言いたくないが、よそから、北海道は全国平均以上のとにかく国民所得をとっていながら、北海道開発、北海道開発といっておいて、積極的に国が投資をしたり、金を貸したり、ないしは他府県より高率の補助をしなければならない理由が一体どこにあるのか、こういう意見がかなり最近出てきていますね。それから、長官も御存じの通りに、開発促進法というものはひとり東北と北海道に限らず、四国開発、それから九州開発、その他あります。経済企画庁は、国土総合開発というものも立てて、現実にやっておられるわけですね。こうなって参りますと、北海道を開発するということの目的というか、そういうものが従来とはおよそ違ってくるのではないかというふうに考えられるわけですね。そういう点に対して、将来北海道の開発の重点をどこに置こうと考えておるのか。長官から一つお答えをいただきたい。
#105
○国務大臣(小澤佐重喜君) 北海道は、なるほど地方税の負担率の問題についてはそういうことになっておりますけれども、まだ人口が非常に希薄であるということ、従って他の地域に比べて開発の余地があるのだという意味から、まず第二次産業計画をやりまして、来年おしまいになりますが、これには第三次もしくは所得倍増に基づく計画をやっていきたいと思っております。従って、従来九州とか四国とかあるいは中国等に開発がありますが、それはどこもある程度開発しなければならないことは明らかでありますけれども、北海道ほどその余地がないものと見て、私はやはり従前通り考えてよろしいのじゃないかと、こういうふうに考えております。
#106
○天田勝正君 この改正案それ自体の内容は、大したことはありません。しかし、この北海道開発公庫につきましては、すでに四年以前、本委員会で通過をあやぶまれた。これは長官も御存じだろうと思う。確かに東北を含める点については、内あけ話をいえば、今おっしゃった通りだろうと思いますけれども、確かに長官を含める東北の諸君は非常に通過に御熱心だった。ところが、私はまことに反対的な質問を続けていた。当時中谷教援でありますか、「消えた百八十億」とかいう、雑誌にも出ましたけれども、とにかく当時の北海道庁のここにおける答弁を聞けば、大てい与党の人でも賛成はいたしかねて困られたことを私は記憶いたしております。その第一次五ヵ年計画については全く大失敗だった。だれが何と言おうと、失敗だ。結局この法律が通過したということは、東北を含めてやるという一点であったと私は思っております。ですから、当時、今大矢君からも指摘されましたけれども、東北開発に力を入れるというなら、東北の開発公庫を別個に作るべきではないかという主張を私は当時したのであります。
 それらのことを失敗を改めるということであったのでありますが、さて、今長官が農業のことを言われましたが、あの当時一番失敗の多かったのは何といっても農村対策であります。当時、開発公庫でやっており、また第一次計画によって援助をしながら、どんどん減っておったのが農民なんです。ふえません。で、日本においては、お答えになっておりますように、開発する場所はあるけれども、農民としてふやし得るのは北海道しかない。それは要するに一戸当たりの反別をふやして豊かにしてやるという開発以外には私はないと思う。そこで、それらを全部改めるという答えが、当時あったのでありますが、その後の計画において、農業においては確かにパイロット・ファームは成功した。これは定評であります。しかしながら、依然として農家の戸数は減っておるのではないかと私は思っておるのですが、まずその点につきまして、農業全般、どうなっておるかお答え願いたいと思います。
#107
○政府委員(木村三男君) お答えいたします。第一次計画当時の農業のやり方、時に入植のやり方について、ただいま御指摘ございましたようないろいろの手違いがあったことはわれわれ率直に認めております。そこで、第二次計画に入りまして、農業の行き方も大いに再検討して反省しなければいかぬということで、たとえば入植の問題にしましても、ただ単に入れるということではいけない、入植された者の、入植者の経営の安定をはからなければいけない。特に土地の条件から来るところの開墾建設工事が非常に立ちおくれておるということで、この二、三年来というものは、入れるよりも入植者の安定ということに重点を置きつつやっております。
 それから、農家戸数の問題でございますが、まあこれは全国的な減少でございますけれども、大体減りつつある。具体的な数字を今持っておりませんけれども、大体二十三万戸ばかり農家がございますけれども、第一種、第二種兼業が半分以上を占める。ほとんど全国平均と同じような歩みをしております。それも詳細に調べたわけではございませんけれども、だんだんと、第二次、第三次方面の産業の伸びというものもかなりな数になっておりますので、その方面に吸収された面も現われておるかと思いますが、全体的に見まして、北海道の農家戸数の動きから見ますと、だんだんふえるというのではなくて減りつつあるという現状でございます。
#108
○天田勝正君 まあ全国的な傾向は確かにおっしゃる通りなんです。だけれども、全国的傾向と同じようでは、北海道農業の場合には困るのです。さきに指摘しましたように、北海道だけが農家として安定をさせつつふやす地帯なんです。これが全国並みだというのでは実際困るのであって、全国的に見ればこの五年間農家戸数は、二万七、八千ですか、そのくらい減っておるはずである。これを農家戸数のそれじゃ総数で割って、たとえば福岡ならば十五万九千とか埼玉なら十三万八千ですか、そういうものを想定して、北海道は二十三万、そういうものと、減り方と、北海道の減り方とどう違うか、あるいはまたもう一つ別の観点から見てもよろしゅうございます。
 たとえば中学卒業するものが大体日本ではずっと百八十万か百九十万近く。そのうち大体半分、八十万あるいは八十七、八万というものがそのまま就職する人。ところが、それだけ就職する人が多くても、なお農業自体に残るというのは、この北海道東北開発公庫が問題になった当時においては二十万近くありました。しかし、それが今日では半分に減っております。全国的な傾向をそのまま数字を北海道にずらしたものだというのでは困るのであって、たとえば義務教育を受けた人間がどういうふうに農業に残っておるか、あるいは農家の減り方というものが全国平均とどう違っておるかということを一つお示し願いたい。
#109
○政府委員(木村三男君) 説明が不十分でございまして、減りつつあるのは内地と同じようなことだと申しましたが、その減る内容につきまして、減り方とかその辺のところは同じ率で減っているわけじゃございませんで、数字を並べてみますと、積極的にふえているという傾向はございませんが、ダウンしつつある。大体しっぽの方の第二次兼業あたりがだいぶ動いているような傾向がございますが、その詳細な、全国と比較した場合の詳細な資料をただいま手元に持ち合わせておりませんので、傾向としましては、北海道の減る場合と全国的な減り方とでは、その程度なり内容なりが違うように私は認識しております。そこで、最近の農家の二三男対策等は、まあ私どもも、道庁においても大いに意を用いているところでありますが、増反の問題その他公共事業以外の面でも手を打っておりますが、その辺の資料をただいま整備されてございませんので……。
#110
○天田勝正君 就業者数はどうです。
#111
○政府委員(木村三男君) 農業でございますか。
#112
○天田勝正君 今、私が言ったでしょう。中学の卒業者は総数幾らであって、幾ら就業者があって、幾ら農業に残って、全国的にはどうなっておる。それは北海道はどうなっておるか。
#113
○政府委員(木村三男君) ちょっと手元にただいま資料持ち合わせございませんので……。
#114
○天田勝正君 もし質問でわからなければ、いろいろなことをおっしゃらずに、端的にそれは知らぬ、わからないというふうで、時間を有効に使いたい。そこで、私はあとでそういう答えは出していただく。
 ついでに申し上げておきますが、中学を卒業したものが農業にとどまるという数は、もうこれは急減しております。今申し上げた通り。ところが、幸いというとおかしいのですが、高校を出たものは五年前に五万八千農村に残っております。卒業者は同じようであります。しかし、今はそれから減っております。これは高校まで行くということは、すでに卒業するまでのうちに農業に専心しようと考えるか、すでに入る場合に農業高校などへ行ってしまって腹をきめているか、いずれかだと思う。少なくとも中学卒よりも高校卒の方が農業自体に対する愛着があるということ、これは党派を別として、私は喜ぶべき傾向だと思っている。だが、そういう差が出るのですから、出ている以上は、北海道のような農業にとってはいい地帯、伸びられる地帯、こういう所にはあなた方は特別配慮する必要があると私は思う。こういう観点に立って一つ調べてみてもらいたい。申し上げておきます。
 そこで、次に長官に伺いますが、現在この公庫で、北海道と東北と分けまして、どういう比率になって、そうしてその貸し出しの内容というものは、こまかいことは容易でないでしょうから、大分類くらいにして、どういうところへ貸してあるか、お示し願いたいと思います。
#115
○国務大臣(小澤佐重喜君) 北海道は三百十三、それから東北は二百十六であります。
#116
○天田勝正君 大分類はどうですか。
#117
○国務大臣(小澤佐重喜君) 内容は木村監理官から……。
#118
○政府委員(木村三男君) ただいまの一月末の融資残高、東北、北海道分の融資対象、工業別の内訳を申し上げます。金額で申し上げますが、億円単位で申し上げます。石灰石利用工業というのがございます。金額が、北海道が二十五億でございます。東北が十三億でございます。それからガス利用工業というのがございます。これは北海道が六億、東北が六十四億でございます。それから石炭利用工業、北海道が十二億、東北が三億でございます。それから木材利用工業、北海道が九十二億、東北が二十一億でございます。テンサイ糖工業、北海道が三十九億、東北〇でございます。それから水畜農産物加工及び貯蔵業、北海道が二十五億、東北が九億。それから鉄鋼業、北海道八億、東北十七億。非鉄、合金鉄の採掘製練業――非鉄関係でございますが、北海道四億、東北三十七億。船舶、北海道三十一億、東北五億。港湾施設、北海道二十三億、東北一億弱でございます。内陸運輸及び倉庫業、北海道五億、東北五億。造船、車両、機械工業、北海道十億、東北六億。石油精製業、北海道十九億、東北〇、製塩、ソーダその他化学工業、北海道六億、東北十六億。その他が、北海道三億、東北十四億。以上でございます。
#119
○大矢正君 ちょっと関連して。木村監理官、今あなたの言われた産業別のほかに、もうちょっと私説明をしてもらいたいのは、北海道開発公庫が、東北が加わって、北海道東北開発公庫となってからの年次別の――年次別といってもわずかなものですが、北海道と東北の貸付総額の推移をちょっと説明してくれませんか。
#120
○政府委員(木村三男君) 各年度ごとの融資額を申し上げます。三十一年度、北海道四十五億、東北〇、三十二年度、北海道八十二億、東北三十六億、三十三年度、北海道七十八億、東北六十三億、三十四年度、北海道七十七億、東北六十四億、三十五年度は大体八十、八十ぐらいになる見込みでございます。
#121
○天田勝正君 そこで、開発公庫自体の融資はこういうことでおやりになるのでしょうが、私は東北で特に立ちおくれておるのをこの目で見るところは、関東へ来ると、川の幅と水の幅とは違います。ところが、東北の特徴というものは、水の幅が川の幅なんです。おかしい表現ですけれども、土手がないから。それで、川が、水が流れているからそこは川だ。関東から西へ来ると、堤防と堤防の問はえらく広くて、まん中にちょろっと水が流れておる。だから、水の幅と川の幅というのは、およそこのくらいちょいと見て違っておる点はなかろうと思うのですけれども、こういうもののうち、直轄河川はむろんこれは建設省でやりますから、しかし、それ以外についての処置は、長官、単に融資じゃないですよ。全般としてどうされておるのですか、直轄河川以外の河川。
#122
○国務大臣(小澤佐重喜君) ちょっとわからぬですがね。河川……。
#123
○天田勝正君 大してむずかしい質問じゃないのですけれども、ちょっと言っておることがおわかりにならないかもわかりません。私が言いたいことは、北海道はとにかく一〇〇以上なんですから、所得が。全国平均より高いのですから、それは四年前にも私はずいぶん指摘しておった。ところが、東北は低いですよ。全国平均よりも、所得は。これを高めるために、その一環とすれば、特に東北などは――そこを除いたからおわかりにならなかったと思うのですが、農業が多いわけです。当然基盤を整備しなければ、よその関東とか関西とかのような地帯と同じにならない。ところが、私が今指摘したのは、川などというのは単に農業ばかりでない、工業にもうんと関係がありますけれども、これは産業の基盤なんです。基盤が不安定の状態では、とても所得を上げるといっても上げかねるだろう。ところが、一番目につくひどいのは、河川が水の幅と川の幅が同じだという言葉で私が表現した。しかし、そういう基盤に対してどうするといったところで、河川だから、直轄河川は建設省でしょう。しかし、他のものにもよその地帯よりもよけい力を入れなければ基盤が整備されないだろう、その方は何か施策をされておるのですか、こう同情して聞いておる。今特別なことはしておりませんか。
#124
○国務大臣(小澤佐重喜君) どうも質問の趣旨がはっきりわかりかねるのですがね。直轄河川は国でやるから、地方河川は地方でやるから、この点をどうするかというようなふうに聞こえるのですが、そういう趣旨なんでございましょうか。
#125
○委員長(大竹平八郎君) 委員長よりも御注意申し上げますが、長官の答弁しにくい場合は監理官から御答弁願います。
#126
○天田勝正君 私は、皆さんにもおわかりいただいておると思うのですよ。所得を上げるというためには基盤を整備しなくちゃいかぬ。川なんというものは、工業を考えたって、農業を考えたって、一番大切な基盤なんです。その整備がなければならぬ。その河川のうち、直轄河川は建設省でやるであろうけれども、それ以外の河川というものは、地方庁でやるなり何なりやる。そういう場合に、何かそこに東北のようなおくれたところへは、公庫であろうとなかろうと、何かあたたかい手を特に伸べなければ平均に上がってこないと思う。だから、何か処置をとられておりますかと聞いておる。どういうふうにされておるか、特別にされていなければされていないでいいです。
#127
○政府委員(木村三男君) 産業基盤を整備する必要があることは、東北も北海道も同様でございまして、その点、御指摘の通り所得を上げ産業を興すためには、いろいろな産業基盤を整備する。特に河川につきましては、国土保全の見地からも必要なことであるということで、それぞれ東北におきましても開発計画を立てております。それから、北海道においても、第二次五カ年計画を実施しております。そこで、直轄とか補助とかいうのを一本に集めまして、治水事業として取り扱いまして、特別に必要な個所をそれに入れまして促進したいということをやっておることは、東北も北海道も同じでございます。過般、治水長期計画と申しますか、治水の五カ年計画ができまして、北海道分につきましては河川別に洗いまして、前期にはこれくらいやろうということをやっております。新しい制度といたしましては、地方の財政力と河川事業の推進上の問題点をどう調整するかという問題がございますが、これはただいま自治省の方から提案いたしておりますところの低開発地域における公共事業に関する負担の特例に関する法律案が出ておりまして、財政力の低いところにおきましては多額の国庫補助をするというような仕組みになっておるのが最近の施策でございます。
#128
○天田勝正君 どうも私の質問のやり方が下手なのかもしれないが、それは北海道も東北も同じだというけれども、しかし、私の質問も、北海道の所得が全国平均をこえて一〇八%だから、これでけっこうだということを言っているのじゃない。日本全部の所得を上げていかなければならない。それがあなた方の所得倍増計画なんでしょうから、だから、そういうことを言っちまえば、もう質問も答弁もする必要がなくなっちゃうのです。私が特に東北をあげたということは、北海道は一〇〇より上なんだ、東北は一〇〇以下なんだ。だから、下の方をさらに上に上げていかなければ、同じように進めたらそのままの格差でいくということになる。あるいは片方の速度がおそければ上がったのは、上がったけれども、今の農業と同じように格差が広がっちゃうということになる。
 ついでに申し上げますが、農業だってそうでしょう。政府の計算だって、ことし二・八%しか見ておりません。人間が減るからというのを三%に見て、五・八%。片方が一〇何%進んでいれば、農業の方も伸びているけれども、格差がえらく広がってくる。私の計算じゃ三〇・三だ。そういう違いがある。
 だから、私が質問しておりますのは、大体東北の方は一〇〇以下なんだから、そのことから、そちらの方へよけい手心を加えなければならない。これは想像すればすぐ出てきますよ。たとえば起債のワクを広げてやるということもあります。地方で道路とか河川をやる場合もありますが、予算の、補助がなければ起債のワクを広げてやるとか、とにかく方法はあるはずなんです。そういう何か特別の方法をやっておりますかどうか。やっておらないとすればやっておらない、今度やるというふうに答えられればいい。これを一つ。
 それから、もう一つ、じゃ、質問の観点を変えます。今やっておられます計画によって、東北、北海道を別にして、それぞれの所得がどのくらい伸びますか。それだ、それが開発の結局目的でなければならない。
#129
○政府委員(木村三男君) ポストの関係上、東北の方は直接私は関係してございませんので、北海道について申し上げます。
 北海道の所得の伸び率は、大体最近のところは一〇%程度伸びております。しかし、全国的に見ますと、最近全国的な伸び方が大きいものですから、最近になってだいぶ差が出てきたということが言われます。そこで、先ほど大臣からも説明がありました通り、目下次に来たるべき第三次計画も考える場合に、今までの計画でいいますと、大体年間七・二%ぐらいの成長を期待していたのでありますが、最近大いに情勢が変わって、所得倍増計画などとあわせまして、さらにまた格差を縮めていくというような考え方からいたしますと、さらにもっと大きな成長を織り込まなければならない。それにつきましては、いろいろその内容に盛り込むところの産業構造の問題、それから運輸交通体系がどのくらいまで整備できるか、いろいろなファクターを集めてやっておりますので、方向としましては、ただいまの伸び方では格差が解消できない。それには新しい計画の方に適当な成長率を盛り込んでいかなければならない。それを何%程度にするかということは、目下検討中でございます。
#130
○天田勝正君 逆の答えが出てくるので弱っちまうのだが、だって、大臣、何でしょう、政府はこの経済の伸びは八・九と見ているわけでしょう。今のお答えというのは、北海道は一〇だと言うのです。九・八か。そうすると、少しながら全国平均より高いということになっているでしょう。格差を縮めていくのじゃなくて、それは一体どういうことなんですか。縮めるというのは、北海道の伸びを下げるというのですか。下げなければ平均にならないのだが、そうなると、こういうものの貸し出しなんか北海道はやめる――その資金は要らないと私は極論するのじゃありません。やめるというのじゃなくて、それならずっと低い東北の方に全部回したらいいというようなことに、あなたの答えからなってくる気がする。どうなんです。あるいは東北はどうなんです、東北は。問題は、この北海道東北開発公庫の融資と他の施策と含めてどういうふうに上がっていきますか。
#131
○大矢正君 木村さん、今北海道は一〇%程度のものといって、全国平均より低いから、このまま推移をすれば、北海道の所得は、道民所得というものは、他の府県の県民所得より少なくなると、こういう御説だったようだけれども、三十六年度の経済の見通しから来た国民所得の伸びというのは、一〇・七%なんですよね。大体一〇%ですよ。一一%より低いわけです。そうすると、北海道の伸びは大体全国平均の国民所得の伸びと平均なんだから、それが低いと言われるあなたの根拠は、北海道から出ている議員の僕が質問するのはおかしいけれども、矛盾は矛盾として聞いておかなければならない。その点、ちょっとこれはお答えいただきたい。これは大体天田さんと同じような趣旨の質問なんです。
#132
○政府委員(木村三男君) 過去三年、ことしは出ておりませんが、過去三カ年の平均をとりまして、一〇ぐらいになっておる。それに対する全国の伸びがたしか一三か四か、その上になっているわけです。傾向としましては、全国平均の方は上がっております。北海道の方は下がりつつ平均が一〇%になっているということで、傾向線をたどりますと、こう来はしないかというような、全国的な平均は上がり坂になっている。北海道の方は下がりつつある。それで過去三年の平均をとると、こっちが一〇で、全国は一〇幾つかになる。つまり北海道の場合はしり下がりになるということがうかがわれます。
#133
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。今、その通りでしょう。北海道は一〇%にそれは過去においてなっているが、全国の所得の伸びよりも北海道はおくれている。だから、今後の開発計画によってこの格差を縮めるような新しい計画を盛り込まなければならない、こういうお話だったのですね。
 ところが、所得倍増計画では、北海道、東北、裏日本はこの十年後に回されるのですよ。大体の構想がそうなんです。それはもう十分検討されたと思うのですよ。で、今度の所得倍増計画は大体太平洋の沿岸のベルト地帯開発が重点のようですね。それで東北、北海道、裏日本は、この十年計画が過ぎた後の十年において着工する。しかし、審議会の答申した答申案では非常にはっきりしておりますが、今度企画庁が、まあ政府の倍増計画でそこを調整して、今後十年後に東北、北海道、裏日本の開発を倍増計画でやるが、その段取りをつけるために多少その前に開発の準備を行なうということが多少修正がされているのですね。しかし、倍増計画では、経済企画庁の出した倍増計画、つまり政府の倍増計画では明らかに、東北、北海道、裏日本とその他の太平洋沿岸のベルト地帯の開発とは、そこに時期的なズレがあるのです。そうすると、その格差を縮めるためにもつと新しい計画を盛り込まなければならぬというけれども、倍増計画では一そう格差が拡大するような構想になっているのですよ。その点をどういうふうに織り込むのか。倍増計画との調整をどうするのか。今の倍増計画では格差はもっと大きくなりますよ。その点どういうふうに調整されるか、伺っておきたい。
#134
○政府委員(木村三男君) 所得倍増計画と北海道開発との結びつきは、実は私ども非常に苦慮しているところでございます。そこで、格差を是正するという思想がといいますか、方針が、所得倍増の構想の方で非常にはっきり出ておりまして、それから、かたがた北海道の現状を見ますと、すでにもう着手をしておりますところの工業地帯というものが、苫小牧とか、釧路とか、これは五年間眠らさなくても、苫小牧のごときは来年にもう石炭埠頭としての使命が果たせるようになる、工場敷地もだいぶ整理ができているというので、現在の計画を推進するということは、所得倍増計画にいっているところの五年後の問題ということとは直接結びつかなくてもやれるのではなかろうか。それに従って道路の整備やなにかもやっておりますので、それから新たなる角度から新しい地点を選んでやるということになりますと、いろいろな関係から見て、すぐに手をつけてすぐにやれるということも無理かも存じませんが、その辺をどういうふうにやっていくかということが、今後計画を作成する、構想を練る場合に、非常に重大なポイントだと思います。
 それからまた、工業以外の面で考えますと、今後の農業は畜産とか果樹の方に重点を置く。北海道の方は畜産というものに相当ウエートがかかると考えられますので、第二次も大事でありますが、第一次方面でも相当な欲望を出すべきではなかろうか。あれやこれや合わせまして、可能な限度の成長率をどのくらい見るかということは、先ほど申し上げましたように、ただいま検討中でございまして、所得倍増計画と開発計画の仲立ちをするのが企画庁で今やっておりますところの全国開発計画の構想でありますが、それにもにらみ合わせまして、適当なところを見出だしたいと考えております。
#135
○木村禧八郎君 これは小澤長官に御答弁していただくことが適当だと思うのですが、今まででさえ北海道――これは東北もそうだと思うのです、裏日本もそうだと思うのですが、格差は広がっていると思うのですよ。それを今度政府が所得倍増計画の構想をあの通りにやるとすれば、どうしても太平洋沿岸の方へ重点が置かれてしまうのです。多少北海道や、東北、裏日本も、今までの計画ございますからね、それを進めるでしょうけれども、それでは足りないわけなんですよ。それから、今まではまあ要するにこの資本の効率に非常に重点を置きまして、会社としては資本の効率からいえば、ああいう東北とか向こうへ持っていった方が立地条件からいって採算上あまり有利でないというので、太平洋沿岸地帯へ集中すると思うんですよ。しかし、その点はどういうふうに調整するか。格差をなくすという場合にこれは重大な問題だと思うんですね。よほどの政治力をもってやらなければ、これは格差はむしろ拡大しちゃいますよ。その点をどういうふうに調整されるのか。これは非常に重大な問題だと思うんですが、長官の御答弁をお伺いしたい。
#136
○国務大臣(小澤佐重喜君) ただいまの、答申のベルト地帯の問題でありますが、これは現在企画庁で構想を練っておりますし、また北海道は北海道で開発庁で構想を練っておりまして、その両方合わしたものを再検討して、格差の少なくなるように考慮していくつもりでおります。
#137
○木村禧八郎君 今まで北海道は社会党の知事がやっておったんですが、資金計画を立ててもそれが十分に資金が得られなかった、計画通りに達成しなかったということがあるんですよ。それで、知事選挙になると、今度は自民党の方で、中央に直結した知事でなければだめだだめだと、こういって、そして知事を獲得した。ところが、実際問題になると、今度は所得倍増構想だと、北海道、東北、裏日本というのは置いてきぼりになるんですよ。ですから、選挙のとき自民党の知事でなければ北海道開発はだめだなんて言ったって、かえって自民党の知事になってから非常に置いてきぼりを食うような構想になっている。そういう点から見ても、これは何も自民党、社会党ということにこだわるわけじゃありませんけれども、この格差を縮めるためには、今企画庁で調整しているといいますけれども、それはもう小澤長官あたりでよほどの政治力を発揮してやらなければだめですよ、それは。格差はかえって逆に開いちゃうんですよ。その点を、これは格差是正ということを一つの大きな柱とするならば、がんばらなければだめですよ。その決意のほどを承っておきたいんです。
#138
○国務大臣(小澤佐重喜君) 今だんだん話しました通り、先ほどの答申ではベルト地帯ということになっておりますが、これに北海道も加え、東北も加えという工作が行なわれておりまするので、そのつもりで私らも熱心にがんばっております。
#139
○天田勝正君 それでは、別のことをお聞きしますが、第一次計画は何といおうと失敗、第二次計画は今やっておる。で、その終期において、全国平均と比べまして、北海道、東北、それぞれ所得はどういうことになりますか。それから、すでに第三次計画を立てておられるそうですが、その第三次計画の終期においてはどういう推移になってきますか。これが一つ。
 それから、当時この東北を含める公庫にいたしましたときに、東北関係で最も評判の悪かったのは東北開発会社なんです。東北関係の人でさえ実は言っていたくらい。能率化をはかると、一言でいえばそういうことであった。現実にそれは、今はすべてお指摘の通りであります、こういうことで、それをすっかり直すということなんですが、最近の業績ですね、これもほかの人に迷惑になるからあまり例を引かなくてもよろしゅうございますが、概略を、どうなっているか、御説明願いたい。
#140
○政府委員(木村三男君) 北海道開発計画の実績、それから第三次の終わるときどういう姿になるかという御質問でございますが、第二次五カ年計画は三十六、三十七年度とまだ二年ございまして、総決算と申しますか、総体的に締めました数字というものは出しておりませんので、申しわけないのではございますが、お答えできないのでございます。
 それから、第三次の方は、先ほど私の申し上げ方がまずかったかも存じませんが、ただいま構想を練りつつある、こういう段階でございまして、終局の目標をどのくらいにするかということは、大きな懸案でございまして、今決定したものはございません。
#141
○天田勝正君 二つ目は。東北開発会社のことを。
#142
○政府委員(木村三男君) 私は北海道開発庁の人間でございまして、所管が企画庁でございますので、私お答えいたしかねます。
#143
○天田勝正君 ちょっと、それじゃ企画庁も午後呼んでもらえませんか。
#144
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#145
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
#146
○天田勝正君 今の、どうもまあわからないものをわからないと言うしかないと思うけれども、しかし、政府が倍増計画を立てるのは十年に倍にするので、この現在の所得の伸びは幾らだ、こういう工合で積算しているんですよ、事実は。だから、計画を立てたときには、それは確かに終わってしまわなければ、人間のやることですから、確実な成果というものはそれは出せない。倍増計画によればこうなるというのは、初めからあるんですよ。それはなければおかしいのです。今までだってそういう説明があったので、今度ですよ、かりに二年あるにしても、第二次五カ年計画は現に遂行中なんです。その遂行中の最終年度における答えが出ないという計画はありますか。それはふまじめですよ。どういうわけですか。それは委員長から御注意を願いたいと思います。こっちが満足するとかしないとかは別ですよ。倍増計画だって、ちゃんと政府は政府なりに説明している。それはどうも少し弱点がありませんかとかわれわれは言うにしても、それなりに筋が通るのですが、だから、北海道開発については、五カ年計画現在第二次やっているんですから、それが多少の成果があったから、私は当時多分北海道は全国平均の所得の一五だと思っているんです、私の記憶では、何も資料持って来ていないけれども。それから一〇八になっている。まあ三%でも成果があったと言えば言えるのです。だから、これがどこまで伸ばすのだという計画がなければ何にもならぬのですよ。そういう点を、どうもわからないじゃなく、答えてもらいたい。どうですか。
#147
○国務大臣(小澤佐重喜君) それは東北開発の問題は、所管が企画庁になっております。
#148
○天田勝正君 東北はいいですよ。北海道だけ。
#149
○国務大臣(小澤佐重喜君) 北海道の問題は、第二次計画が済みましたならば、第三次計画は立てるか立てないかという意味で、むしろ所得倍増計画等織り込んでもってやるという、今目下検討中でありまして、まだ三次計画の問題は結論が出ておりません。それから、第二次計画のその効果がどの程度あるかということは、木村監理官から。
#150
○政府委員(木村三男君) 第二次五カ年計画の計画指標というのがございまして、いろいろな項目に分かれておりまして、人口がどうなる、農業生産額がどうなる、こういうふうに最終年次の目標がございまして、あと二年間の分は予想がつきませんけれども、最近わかり得る限度のことでございましたならば、ただいま手元にございませんけれども、できるだけ集計いたしまして、最近時の農業生産額は目標に対して何%いったかとか、水産生産額がどうなったかということは、おそれ入りますが、資料として差し上げたいと思いますが。
#151
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#152
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#153
○大矢正君 公庫の方にこれはお願いしたいのですがね、五千万円以上の貸し出しの会社別の内容を出してもらえますか。
  ―――――――――――――
#154
○委員長(大竹平八郎君) 北海道開発公庫総裁松田令輔君を参考人として発言を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#156
○委員長(大竹平八郎君) 松田令輔君。
#157
○参考人(松田令輔君) 会社別の投融資の実績は、私どもの公庫だけでなく、他の政府機関いずれもいまだこれを提出いたしました前例がないかのように承っておりますので、これは監督官庁ともよく相談いたしまして措置いたしたいと思います。
#158
○大矢正君 出せないというのですか。
#159
○参考人(松田令輔君) いや、出した前例がないものですから。
#160
○大矢正君 いや、あなた、前例がないと言っているのは、どこで前例がないと言っているの。あなたのところでないと言っているのか、それとも政府関係機関でないと言っているのか。
#161
○参考人(松田令輔君) 私の公庫としては前例がありません。また、他の政府機関もさようなことがないように承っておりますので、この点につきましては主務官庁とも相談の上で善処いたしたいと思います。
#162
○大矢正君 政務次官、それでいいかね。
#163
○政府委員(田中茂穂君) ただいまお答えいたしましたように、十分調査いたしまして善処いたしたいと思います。
#164
○大矢正君 出してくれるのか出してくれないのかと聞いているのだよ。政務次官も、あなた知っている通り、私には輸出入銀行だって開発銀行だって、全部一億円以上の貸付先のやつを全部とっているのだから、あなた、北海道開発公庫だけ出せないというのであなたどうするつもりなの、出さないつもりなの。
#165
○政府委員(田中茂穂君) 出す方向で善処いたしたいと思います。
#166
○大矢正君 出す方向と。公庫の総裁がいるのだし、あなた、そこで出すか出さないか話し合って、はっきりして下さいよ。
#167
○政府委員(田中茂穂君) この前、輸出入銀行の分についての大矢委員からの御要求がありました程度の内容であれば、省としては差しつかえないと、かように考えております。
#168
○大矢正君 前に、私、輸出入銀行のやつをもらったのだが、これは一億円以上の貸付の会社別の内容です。これは今ここにありますから見せてもいいですけれども、それと同じ内容ですね、五千万円以上の貸付先の金額と会社別の内容を明らかにして出してくれ、こう言っているのだ。そういうこと、出せるか出せないか。あなた、簡単に出せるじゃないですか。
#169
○政府委員(田中茂穂君) たびたびお答え申し上げて恐縮でございますが、大矢委員の御要求の点につきましては、輸出入銀行の場合に個人資料としてお出しすることに御了解を得まして、御要求の一億以上の会社別についての内容を御報告するということで御了解得たわけでございますが、その線で善処いたしたいと考えております。
#170
○大矢正君 という意味は、個人的になら出したい、しかし委員会というものに対しては出せない、こういうことですか。
#171
○政府委員(田中茂穂君) やはりこれはいろいろ個人的な、あるいは個々の問題等もございまして、委員会として今まで出したまだ例がないようでございますので、個人資料としてお出しした例はございますので、そういう線で一つ御了解賜わりたいと思います。
#172
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#173
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#174
○大矢正君 長官にお尋ねしますけれども、最近国民金融公庫が理事の二名増員というものを出してきて、この間通してあげましたけれども、あなたは北海道開発庁長官だし、同時に行政管理庁長官でしょう。行政管理庁の問題はいろいろ考えているはずだが、どうやって、公庫等がどんどんふやすことに対してどう思いますか。ほんとうにふやさなければならぬような内容のものなんですかね。
#175
○国務大臣(小澤佐重喜君) これは御存じの通り、北海道と東北とは二カ所に、一つのものですけれども、営業地が分かれております。そういう関係で、今の、従来の理事者ではどうしても足りない。そうして融資金額が増しておるという事情から、ただ一人を副総裁にしてやろうというのでありまして、これは二人も三人もふやすようであれば、行政管理庁長官としても、また北海道開発庁長官としても、とめるのでありますけれども、実情を見ますと、むしろこの際一人ぐらいは、副総裁一人ふやす方がよろしいと考えております。
#176
○委員長(大竹平八郎君) 速記をやめて。
   午後一時十九分速記中止
   ――――・――――
   午後一時三十八分速記開始
#177
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 なお、申し上げますが、経済企画庁からは長沢東北開発室長が出席をされております。
#178
○天田勝正君 それじゃ、質問しますが、この公庫法が四年前にここで問題になった際に、東北関係で一番質疑の集中したのは東北開発会社であります。この開発会社の業績は至って悪いという状態でありましたが、その後これらを改善するということになっておったわけですが、最近の業績はどうなのか。東北開発に関してどういう貢献をしておるか、その点を一つ御説明願いたいと存じます。
#179
○説明員(長沢道行君) お答えいたします。ただいま御指摘のありました東北開発株式会社が、東北開発三法の一つとしまして、東北の産業開発の大きな使命を持ちまして成立いたしましてから、御指摘のように、すでに四年目になったわけでありますが、この業績といたしましては、現在までに約九十二億円の投資をいたして東北の産業の開発のために当たっておるわけでございますが、たとえば岩手県にあります岩手のセメント工場であります。これも月産三万トンのセメントの生産に着手いたしておりまして、大体本年度も二十六万トンばかりの販売の実績をおさめる予定でありまして、いろいろ問題はございますが、今後ともこのセメント工場につきましては、やはり東北開発の公共事業の基礎資材を低廉に提供するという使命のもとに、現在まだすっかり合理化の設備が完成いたさず、その途上にあるのでございますけれども、十分監督を厳にいたしまして、このセメント工場の機能を発揮して、フル生産で必ずこれを低廉なセメントが供給できるように今後指導して参りたいと思います。
 それから、福島工場でございますが、これも今までに約十億ばかりの合理化資金を投じまして、現在は一万五千KVAの電炉を建設いたしまして、幸いこの方はカーバイドの市況がいいものですから、ここは予定通り約四万トンばかりの生産を確保する見通しを持っております。しかし、やはりカーバイドの市況と申しましても、現在は有機合成化学方面への進出が非常に多いのでありまして、そのために好況を持続しておるのでありますが、これがいつまでも続くとも限りませんので、それに対しましては肥料生産の増強とかあるいは関連物資の生産とかということにつきまして、合理化対策を進めて参りたいと思っております。
 それから、もう一つの直営事業といたしまして、木友鉱業所があるのでございます。これも御承知の通り、実栗屋坑に現に約八千万円の合理化資金を投じまして、生産の増強に当たっておるのでございますが、なかなか亜炭業界の不況のために思わしくございませんが、この合理化につきましては、現在会社の方では木友鉱業所を独立採算的に分離するという案を持っておりますが、しかし企画庁といたしましては、完全にこれを分離しました際におきましても企業として完全に成り立つ、しかも現在の石炭の不況のもとにあって長期にわたっての安定した見通しがあるか、それから地元の亜炭業界に悪影響を与えないかという条件で、これを指導して参りたいと思っております。
 それから、もう一つ大きな事業といたしまして、土地造成事業がございますが、これにつきましては、東北のようなところには、何と申しましても、今後工場を作るためには安い土地を、工業用地を造成してこれを提供するということでございますので、現在までに塩釜と秋田、それから小名浜、酒田、この地区に土地造成事業を進めて参っておりまして、塩釜地区の方もすでに一部売却いたし、また秋田の方も一部売却いたしまして、東北に工場を誘致するための基盤施設の整備ということにも東北開発株式会社の機能を発揮させるということで指導して参りたいと思っております。
 それで、なお指導につきまして方々からいろいろな御批判があるのでございますけれども、やはりまだセメント工場にいたしましても、福島工場にいたしましても、すべてまだ経済単位という面で合理化の余地がございますので、そういう面は極力今後指導を厳にいたしまして、東北開発の三法の一つの株式会社の使命の達成という面から、いろいろここで御審議願った精神に沿って今後東北開発のために貢献できるように指導したいと思いまして、鋭意そうした面を強化し、また調査しておる実情でございます。
#180
○天田勝正君 こういう答弁が一番よろしい。
 それでは、東北振興から引き継いだ当時は赤字であったはずなんだ。しかし、政府出資の会社でありますから、表に赤字も見せられないから、実は評価を高くしてみたりなどして操作しておったことが、本院のみならず衆議院でも指摘されておったと思うのであります。そこで、それらの赤字が表に出る出ないにかかわらず、現在今あなたの御説明のように、業績がよろしくて実質的に赤字が解消されたのか、あるいはまだ解消されずにおるのか、この点を一つ。
 それから、この五年間に政府側からこの会社に出資なり融資なりいたした総額は幾らになるか、引き継いだ資産は別であります。
 それから、三番目に、私も土地の造成されていることを承知しているわけですが、これが単価はどのくらいになっているか、一つお示し願いたいと思います。
#181
○説明員(長沢道行君) お答えいたします。第一点の、東北開発が東北振興から引き継いだ当時の欠損の問題でございますが、これは明らかに御指摘の通りでございます。ところが、昭和三十二年度におきましては一部資産の評価がえをいたしまして、一部を、決算じりでは損益なしという形をとったわけでございますが、三十三年度におきましては三億二千万の赤字を出しました。しかし、これは三十四年度におきまして一千五百万の黒字を計上することができましたので、現在のところは三億円のまだ欠損をかかえている実情でございます。三十五年度の見通しといたしましては、今せっかく計数整理の段階でございまして、まだはっきりしたことをお答えする段階ではございません。結局、結論といたしましては、現在なお三億の欠損をかかえている実情でございます。
 それから、第二点の問題といたしまして、今までどのくらい政府資金を投入したかということでございますが、これは御承知の通り、三十二年度におきましては政府出資は五億でございます。これと社債発行が十億でございます。で、三十二年度は計十五億円、三十三年度は政府出資が五億円、債券発行が二十五億、計三十億円でございます。三十四年度といたしましては、やはり同様に政府出資五億、債券発行二十五億、それから三十五年度、本年度でございますが、本年度は政府出資五億、それから債券発行が十八億、それと自己資金が三億で、計二十六億円でございます。以上が政府投資の実情でございます。
 第三の問題の土地造成、東北会社の造成した工業用地を単価幾らで売却したかという御質問でございますが、売却代金を申しますと、秋田地区におきましては小野田セメント、それから日本ゼオンでございますが、坪当たり五千円で売却いたしております。それから、塩釜の土地造成につきましては、造成費がかさみましたので、坪八千円で売却いたしております。以上の通りであります。
#182
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#184
○天田勝正君 私は、この北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案に賛成をいたします。
 しかし、すでに各委員もお聞きの通り、この法案を審議するにあたりましては、これは今回のみならず、まことに政府側の答弁は粗雑であります。ただいま企画庁側からの答弁はかなり満足すべきものでありますが、その他については資料も整っておらない。ほとんど私の質問に対してまともに答えているものはない。こういう状況でありましては、かって問題になった事柄だけに、なかなか賛成が困難になってくるわけでございますから、今後の北海道、東北の開発に力を入れるという、このことについては何人も異論のないところである。特に東北の開発等につきましては、その開発の結果が住民のしあわせに直ちになっていく、これが何としても目的でありますので、その意味からすれば、最も全国的におくれております低所得の北海道が急速に開発され、そして住民の所得が伸びることは、待望すべきところでございます。従いまして、さらに一そう政府側においても努力をされ、また関係の公庫等においても努力をされまして、この住民のしあわせのために努力されることを希望いたして賛成をいたします。
#185
○委員長(大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#187
○委員長(大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#188
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
 暫時休憩いたし、二時半から再開いたします。
   午後一時五十一分休憩
   ――――・――――
   午後二時四十六分開会
#189
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は御発言願います。
 なお、政府側よりは、田中大蔵政務次官、それから尾崎国立病院課長が見えております。
#190
○荒木正三郎君 簡単に二、三の点について質問をいたします。
 まず第一点は、最近ガンによる死亡率が非常に高くなってきておるというふうに聞いておるのですが、どういう状況になっているか、最近の傾向について御説明を願いたいと思います。従来は結核による死亡率等が多かったと聞いているのですが、そういう結核等によって、あるいは高血圧等のために死亡する、そういうものと対比して、最近のガンによる死亡率、そういうものの大体を御説明願いたいと思います。
#191
○説明員(尾崎嘉篤君) ガンによりまする死亡は、終戦の直後の昭和二十二年、ころにおきましては、一年間五万三千八百八十六というふうな数でございましたのが、漸次ふえて参りまして、三十三年におきまして八万七千三百五十五名というふうな数字になっているのです。さらに三十四年、三十五年と、三千ぐらいずつふえております。三十四年は、正確な数字は持っておりませんが、九万ちょっとだと思います。三十五年は九万二、三千になるのじゃないかというふうに推定しているのでありますが、人口十万単位の比率で申し上げますと、二十二年が六九、人口十万単位に対しまして六九であったのが、三十三年には九四・九というふうにふえております。
 一方、結核死亡につきましては、二十二年が十四万六千二百四十一、人口十万に対しまして一八七というふうな死亡であったのでありますが、それが三十三年におきましては三万六千百八十六、人口十万単位につきまして三九というふうにずっと減っております。なお、中枢神経系の血管損傷、脳卒中でございますが、この関係は、二十二年が十万一千であったのが、三十三年におきましては十三万六千、人口十万について見ますと、一三〇ぐらいが一四八というふうにふえております。それから心臓関係の死亡は、二十二年が四万九千五百、人口十万単位にいたしまして六二というようなものが、三十三年におきましては五万九千百四十七、人口十万単位で六六、率にいたしましてふえております。こういうような状態でございまして、当時死亡の第一位を占めておりました結核が今は第五位ぐらいだったと思いますが、下がりまして、変わりまして、一位は中枢神経系統による死亡、それからガンというふうな状態になって、ガンが二位、三位というような状況でございます。
#192
○荒木正三郎君 最近は非常にガンの死亡率が多い。何か顕著な理由等、原因ですか、そういうものがわかっておれば、おっしゃっていただきたいと思います。ガンの死亡率が非常に高くなったのはどういう理由によるものか。
#193
○説明員(尾崎嘉篤君) 死亡数の増加の第一の理由は、老年層の、全体の国民の人口構成におきましての年令層の高い方が多くなった。これは結核とかその他の細菌性の伝染病等によりまして、若いうちに死ぬ方が少なくなってきた。そして国民の寿命が伸びてきた、そういう関係で、老年層が多くなってきたというのが一番大きな原因かと思いますが、そのほかガンの診断がやはり正確になってきたというような問題もあるのではないかと、こう思います。なお、ふえてきた理由はよくわからないのでございますが、文明の進化、いろいろ産業の変動とか、たとえば都市におきまする自動車の排気というな問題による空気汚染、また化学工業の発達というようなことが、ガンの発生に関係があるのではないか。また、肺ガンはタバコの吸う率というようなこともあるのではないかと、いろいろ考えられておりますが、その関連性がまだわかっていない。いろいろ勉強せねばならぬ、こういうような状態だと思います。
#194
○荒木正三郎君 時間の節約から、次に移りますが、ガンの研究所はどういうふうになっておりますか。
#195
○説明員(尾崎嘉篤君) ガンに対しましての研究は、大学とかその他の研究所で一般の医学の研究と相応じてやっておるというような状態であって、特にガンだけの研究所というものといたしましては、財団法人の癌研究所の中原所長のもとにおける研究、これが一つと、それから佐々木研究所というのが神田の方にあったようですが、そのほか大学の付設の研究所が、研究室と申しますか、それが一、二あるというようなものであります。あとは、一般の医学の研究の一つといたしまして、各臨床科とか、基礎医学の関係でやってるいわけでございます。
#196
○荒木正三郎君 そうすると、ガンの研究の中心は国立病院でやっておるというのが大体の現状ですか。
#197
○説明員(尾崎嘉篤君) ガンの研究は、今私申し上げるのを落としましたが、大学の方でいろいろやっておられることと一緒に、診療関係の臨床をやっております国立病院とかその他の大きな病院でもやっております。そういたしまして、各国立病院等におきましても臨床関係の研究をやっておりますし、大学なども基礎の関係の研究をやっておりますが、そういうようなものがばらばらにどちらかというと動いておる。その中心をなすと申しますか、まとめる方向にはガン学会というのがございまして、そのガン学会でみんなが討議連絡する、こういうようなものでありまして、そのほかこれを推進いたしますものに、文部省の方から研究費が出る。また厚生省からも、少しでございますが、研究費を出して、おのおのの関係で研究者の集まりを作りまして、研究をできるだけ能率的にやるように努力はやっておるわけでございます。
#198
○荒木正三郎君 今度できるガン・センターと既存の研究所ですね、その関係はどういうふうに調整されていくんですか。いわゆる国立病院等にあるガンの研究所、あるいは民間にある研究所、そういうものとの関係ですね。今度できるガン・センターとそれは一元的な研究の方向に進める、そういうふうな考えであるのかどうかですね、そういう点を一つ。
#199
○説明員(尾崎嘉篤君) ただいま申しましたように、ガンの研究は、医学関係全体の問題といたしまして、各自がばらばらと申しますか、やっておる。それに対しまして、この研究には、近ごろ研究はだいぶ設備等につきましても大きな金が要る、また共同研究というふうなことが必要だ、こういうふうな観点におきまして、世界各国ともガンのやはり施策を研究推進するということは、大きな国の科学技術推進の一つの重点項目に取り上げられておる国も多い状態でございまして、日本においてもやはり国がこれに力を入れることが必要じゃないかというので、このセンターを、各民間団体とかいろいろ学校等にまかせておっただけではいかぬじゃないかというので、厚生省で一つ中心を作ろうということになったんですが、今お話しのいろいろな研究をしておられる方々との関係をどうするかという問題でございますが、このガン・センターを全国のやはり研究者のセンターとして御利用願うようにいろいろ考えていかなければならない、こういう立場で、医学会の田宮医学会長、それから武見医師会長、またガン関係では癌研の田崎院長、吉田東大医学部長、東北の黒川学長、大阪の久留教授、こういうふうな全国のガンの代表的な方々を設立準備委員というふうにお願いいたしまして、御意見を聞きまして、できるだけその全国のガンの関係の診療研究に当たられる方々がそれを御利用願えるような設備、この設備を御利用願うとか、またいろいろセンターとして御利用願えるような機構を作ったらいいということをお考え願いまして、病院と研究所のほかに運営部というものを作りまして、そこでいろいろ共同研究のお世話をする。できれば資金的な面も、研究資金のことをお世話をすることができればいいんじゃないか。
 また、流動研究員と申しますか、こちらの施設を使っていろいろ研究せられる人も受け入れましょう、さらに、いろいろ文献、情報とかも積極的にここを通じて外国の状態を知る、また日本の状態も集めて御利用願う、こういうようなことにしようということで、ここをできるだけ一元中心として日本のガンの研究が進んでいくように、またその皆様方に御利用願うようにという立場でこれを作っていこう、また運営していこう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#200
○荒木正三郎君 ガン研究の総合的な研究所といいますか、中心になるような研究所を作っていくということは、私ども必要であると思うのです。ただ問題は、伺っておきたいのは、そのためにですね、大学等におけるガン研究の費用が押えられるというふうな結果が来はしないか、こういう点を心配するのですが、そういう点ですね。先ほど説明があったように、ガンの死亡率が非常に高い。ガンの治療は新しい発明、新しい分野を開拓していくべき非常に重要な分野である。そういう意味から、この研究は、相当ガン・センターだけでなしに、大学、病院等でやっている研究についても十分やっていかなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、大学の研究所の予算がこのために若干でもさかれる、そういうことはないでしょうか。
#201
○説明員(尾崎嘉篤君) 今お話しのように、ガンの研究はますます、このセンターができましても、センターだけでなく、一般の方々もやっていただかなければならぬことでありまして、研究費を大学の方で、文部省の方でこれを減すというようなことはよもや考えられないことでありますし、また厚生省の方といたしましても、大学、文部省の方にこれを一そうふやしていくようにお願いしなければならぬと思います。また、こちらといたしましても、センターで厚生省も研究し、センターを通じて研究して、できるだけ研究費をとって、大学として一般の研究の方方にどんどん出すようにしていきたい。さらに今、癌学会の方々の御意見では、そんなに費用がばらばらになっておるよりも、それをできるだけまとめて一元化して、ここで十分な額の費用をとるようにすることが必要ではないかというような御意見もございますが、これは文部省ともいろいろお話等もございますので、話し合いもまだこれからやらなければいかぬという状態でございます。
#202
○荒木正三郎君 このガンの研究だけの問題ではないのですがね、文部省と、それから厚生省の予算の面からいって、二本の形になるということは、いろいろ実際的な効果を上げていく上において都合が悪いんじゃないかというふうに私どもしろうとなりに考えるのですが、もう少しガンの研究というものを予算の面から一元的に私は、文部省にするとか厚生省にするとかという議論は別としても、その間に相当むだがあったり、あるいは効果を上げる上においてもう一つ十分でないというふうな面が出てくるんじゃないかと思うのです。こういう問題はほかにもいろいろあります。厚生省管轄と文部省管轄で相当な開きがあったり、いろいろむだがあったりするような問題があるのですが、ガンの研究等についても、これは政府の方で一元的に予算等はめんどうを見るというふうな工合にした方がいいんじゃないかというふうに私はしろうとなりに考えておるのですが、そういう点はどうですか。検討する余地はないのでしょうか。
#203
○説明員(黒木利克君) 確かに御意見のような問題があるのでございますが、文部省も厚生省も、ガンに関しましてはガンの学会がございますから、この学会にいろいろ諮問をいたしまして御意見を聞きまして、実は今回の厚生省のガン・センターにつきましても、文部省と緊密な連絡をとりまして癌学会にこの間の研究の調整の問題というものをお願いをしたのであります。従いまして、今回のガン・センターの研究部門につきましても、この癌学会の御意向を全面的に政府としては採用したというようなことでございますが、その他医学的な研究におきまして、従来は基礎的な、基礎医学的な研究は主として文部省系統、臨床と申しますか、直接患者を治療するというような研究は主として厚生省というようなことで、従来は大まかな区別はあったのでありますが、しかし、最近ではそういうような判然たる限界というものがむずかしくなりまして、特に両方で相提携をしなければ研究の全きを得ないような事象が多くなって参りましたので、幸いに各専門の部門につきましては医学会がございますから、その医学会に文部省も厚生省も御相談をして、その問の調整をしていくというようなやり方をやっておりますが、しかし、先生のおっしゃるように、確かにこういう研究をもっと総合的に一貫的にやるならば効果が上がるということも事実でございますから、今後文部省とも相談をいたしまして、慎重に検討して参りたいと存じます。
#204
○須藤五郎君 先ほどの答弁で、従来五万八千くらいの患者が三十三年度に八万七千何百というふうに増加しておるという報告も受けたのですが、このように飛躍的に五割にも近い数字が急にふえた原因というのはどこにあるのか。こういう徴候は日本だけに現われておるものか、世界中同じような率においてこういう徴候が現われておるものか、その点。
#205
○説明員(黒木利克君) こういうような新生物の疾病は、文明病と称せられまして、近代的な文明が進むほどこういう患者が多くなるということが世界の傾向のようでございます。実は、わが国の患者の推計も、ようやく三十三年に第一回の調査をやりましたばかりで、それ以前の比較すべき実は信の置ける調査というものが十全なるものがないのでございます。目下第二回目の調査をやっておりますが、この調査がわかりまして、この三十三年の調査と比較をしてかなりはっきりしたことが言えるわけでございますが、従来は、大体推計でこういうことを数字を出しておったのでございますが、三十三年の調査が初めて本格的でございますから、第二回の現在やっておりまする調査の結果を見て、そういう問題についての検討をして参りたい、かように考えております。お説のように、ガンが確かに近代文明がだんだん進むにつれましてふえつつあることは、世界的な傾向でございます。
#206
○須藤五郎君 外国の数字を持っていらっしゃるなら、外国の数を発表してもらいたいと思うが、この三十三年の急にふえたというのは、調査の結果、調査が行き届くようになったからふえたということだけに帰することはできないのではなかろうか。いわゆる、その少し前から原爆の実験などというものが盛んにされるようになって、放射能の含有率がふえたということがガンの患者を増加さしているという原因であるようにわれわれ考えるわけですが、そういうことはないものか。ないとおっしゃるならば、ない理由を一つ説明してもらいたい。
#207
○説明員(黒木利克君) 御質問のような検討を、実はまだ十分にいたしていないのでございます。ただ、私の方で、患者が死亡した場合に医者が死因届を提出いたしますが、それによりまして悪性新生物の死亡患者の実数を先ほど申し上げましたのでございますが、これで見ますというと、昭和二十四年までは五万台でございましたものが、二十五年になりまして初めて六万台になりまして、それが三十一年になりまして八万台になり、三十三年が八万七千というような実数でございます。しかし、人口の増加もこの間ございますので、率から申しますと、大体二十五年が七七・四%、これは十万対でございますが。それが先ほど申しました八万台、三十一年になりまして人口十万対九〇・七、三十三年が九四・九というのでございますから、この戦後の十年間に確かに著しい増加はいたしておるのでございますが、これの原因につきましてはまだ確たることが申せないのでございます。ただ、こういうようなガンの研究の進歩に従いまして、いろいろ診断の技術も進歩いたしましたから、あるいはこの届出患者の中には、従来はガンでありながらガンというような診断をつけなかったというような場合もございますから、実は比較をする正確な数字がないのでございます。先ほど申しましたように、三十三年の調査が初めて実態調査としては本格的なものでございますので、今後の推移を見て、こういう問題についての究明をいたしたい、かような段階でございます。
#208
○須藤五郎君 いわゆる放射能の害について、あなたは少しも言及をしていないのですが、そういうことは認めないのですか。学者として、あなたの立場ですね、放射能がガンを増発している原因だということは認めないのですか。認めなかったら認めないような、とにかく説明をしてもらいたいと思います。
#209
○説明員(尾崎嘉篤君) 原爆によりまして広島とか長崎におきまして、ガンが被爆者に多く出ている、このことは事実でございまして、これにはいろいろの意見がありますが、事実なんでございまして、原爆とガンの関係がないとは言えないと思います。しかし、今日本全体に、このふえておりますガンの患者が、実験的にいろいろやっておりますが、原爆実験によります発ガン性の問題と関係があるかないかという問題につきましては、あまりあるというふうなデータは今のところないように考えておりますが、この点まだわからない分野でございますので、今から研究させていただきたいと、こういうふうに思っております。
#210
○須藤五郎君 それでは、あるともないとも断言できないというのが現状だと思うのですね。実は、ビキニのあの問題が起こってからじき、一年ほどたって、僕の女房もガンが発病して、そして死んでいるのですよ。だから、僕は非常にその点神経質なんです。ガンを憎むことは非常に強いわけなんです、僕は。ですから、ガン対策は諸君に十分にやってもらいたいという気持が非常に大きいと同時に、原爆の実験に対しても私は非常な疑いを持ち、それに対して憎しみを持っているわけなんですが、現在このガンを、早期発見以外に道はないと言われているのですが、そういう積極的な早期発見をやろうとする積極的な、何か具体的な方針なりを持っていらっしゃるのかどうか。
#211
○説明員(黒木利克君) 実は所管が、ガンの早期発見予防の方は公衆衛生局でやっておりますから、そちらの方の専門家が答えるのが筋道と思いますが、厚生省として、お説のようにガンがおそるべき疾病であり、特に死亡原因の第二位を占めるものでございまして、ますますこれは今後重要性を増してくるというようなことで、実はこういうガンも含めて、成人病の予防につきましての協議会を厚生省で構成をいたしまして、これは各都道府県にもございますが、そこが主になりまして、医療機関を動員をいたしまして、一斉検診あるいはそれに基づく早期診断、早期治療ということを、ようやく始めたばかりでございます。しかし、残念ながら、こういうような早期診断、早期治療をすることのできる医療技術者の確保ということが先決であるということにおそまきながら気がつきまして、実は現在各地区にガン・センターと称するものが、国立の病院に従来十二ヵ所、それに来年度の予算で三カ所、合計国立の系統で十五カ所ございます。そのほか大府県、特に東京と、それから大阪府、愛知県、兵庫県で都道府県立のガン・センターというものを現在設置しあるいは設立の準備中でございますが、そういうような全国的な情勢でございますが、これでは不十分でございますので、とりあえず来年度は国立のガン・センターを東京に置いて、そしてこれが完成をしました暁におきましては、各ブロックに国立の第二次のガンのセンターというようなものを作る。そうして各都道府県にできつつありまするこういうガン・センターと緊密な連絡をとりまして、日本におけるガンの撲滅、早期発見ということをやっていこう、まあこういうような厚生省の方針が決定をいたしまして、今回御提案申し上げておりますのがその第一着と申しますか、まあこういうような段取りでございます。
#212
○須藤五郎君 希望として申し述べたいのですが、まあ成人病ですか、あれは全員というわけにはいかないでしょうけれども、ある年令に達した人は一年に一回ぐらいは、最初にやはりガンの早期発見のための診察を受ける、そういう方針を立ててそれを実行に移してもらいたいと思うのです。そういうことを希望しておきます。
#213
○天田勝正君 このガン・センターが研究部門、病院部門、運営部門と、こういうふうに三つに分かれるようですが、そうすると、まあ病院部門というのが普通の病院、しかし普通の病院のうちでも、研究してないではないでしょうが、しかし、まあ動物実験や何かするところが研究部門、そうして普通の病院のまあ事務、会計、建物をどうするとかそういうようなものが運営部門だ、こういうふうに分かれるのだろうと思うのですけれども、そこで研究部門と病院部門が分かれてやるといっても、結局人間に処置なり投薬なりをしなければほんとうの目的は達しないわけですから、結局これは何ですか、人間もいわば実験台にされるという言葉を使うと強過ぎるのですけれども、そういうことですか。
#214
○説明員(黒木利克君) ガン・センターの組織についての御質問にお触れになりましたので、御質問にありました運営部につきましての構想を申し上げますと、実はここの一つの眼目は、調査情報課とも称すべきものを置きまして、ガンについての国内におけるいろいろな研究上の情報あるいはその他治療上のいろいろな各研究機関からの情報、それから国際的に先進国におけるガンのそういう方面のいろいろな情報、こういうような情報というものをここで一つ収集し整理し、これを研究に役立てようというねらいがあるのでございます。それから、研究部門の方は、特に厚生省でやりまする研究は、病院が付属しておりますから、主として人体を中心にした研究、現実にガンの患者を治療する、そういう過程におきまして、臨床を通じての研究ということに眼目を置いているわけでございます。なお、民間でガン研究所というのがございますが、ここの研究部門は主として動物実験と申しますか、こういう面の研究をやっておられますが、そういう研究部門のいろいろ成果は、先ほど申しました運営部の調査情報課というようなところで情報をキャッチいたしまして、これを先ほど申しました付属研究所の方の研究部門にも利用させまして、そしてガンの治療研究の総合的な発展をはかっていこうと、こういうねらいでございます。従って、厚生省のガンの研究は主としてまあ人間を対象にした研究ということになっております。
#215
○天田勝正君 これはむしろ質問をするよりも、私はいろんな面で一つ希望を申し上げておきたいと思うのです。それは、なぜ、さっきのように私が人間を、何というか、言葉は悪かったのですけれども、試験台にするのかという言葉を用いたのですけれども、ほんとうをいえば、そこまでやらなければ研究ができるはずはない。これはわかりきったことです。ところが、戦争前は大学には御承知のように施療患者がいた、そうして済生会病院はほとんどそうだ、こういうので、当時は今のような医療保障の制度もございませんから、やむを得ず行っていたけれども、大よそ私の接した範囲で、これで感謝している人がないのです。お前に施しをしているのだということが、面会に行ってさえも明瞭なんです。大学なんかで何人にでもいじられて、まことに不愉快きわまる感じを受ける。ですから、人体まで試験研究をしなければ最後の実効は上がらないわけだけれども、これに携わる人の心がまえということが他に増して必要だと私は思う。ですから、大学なんかだって、ほんとうにいやになりますよ、相手の態度によって。ですから、私の知っておる田宮博士などは、弟子たちに常に、医術が上手になるよりも人間が完成されなければならぬ。人間はなれるとだんだんと意識がまあ妙になってくるのです。ですから、乱暴に扱ったり、まるでほかの器物を扱うがごとくにとかくなりがちなんです。しかし、相手が人格を持っている生物なんですから、そうされてはかなわない。そこで、私はこういう特殊な病院というか、研究施設をなにするのは、それは普通厚生官僚がどうのこうのというあれがありましても、それはそれだ、これはこれという工合で、とにかく技術もさることながら、ぜひ一つ研究機関には人格的に高い人を配置するように、むずかしい注文ですよ、言うことは簡単だけれども。そうしてもらいませんと、かつての施療患者、済生会の患者みたいな工合になって、幾らやったって患者は来ません。ですから、そういうことをぜひ大いに意を用いてもらいたい。これはほかのことよりも一そう意を用いてもらいたいということです。
#216
○説明員(黒木利克君) 確かに先生のおっしゃるように、厚生省のやっております、こういうような医学の研究機関というものは、あくまでも患者のための研究機関でございますから、単にガンというような疾病を研究するのでなしに、ガンにかかっている患者の治療ということを中心にした研究でございます。従いまして、お説のように、研究所の人選にあたりましてはそういう点に十分に注意をしまして、かつまた各医師につきましてもそういうような心がまえを忘れないように指導して参りたいと思います。
#217
○成瀬幡治君 ちょっと、よくわからないからお聞きしたいのですが、日赤なんかを見ますと、非常に待遇改善の問題が出ておるわけです。国立はそういう声が出ておらぬということですが、日赤などに比較して、たとえば看護婦さんであるとか、あるいは事務員さんの給与が高いということを意味しておるのか、それともまあ同じぐらいだけれども、非常にまあ何というのですか、あまり生活権を主張してもどうかというようなことで遠慮しておられるのか、その辺のところわかりかねておりますが、どうでしょう。
#218
○説明員(黒木利克君) 実は国立病院、国立関係の施設の職員の処遇につきましては、三十五年の四月に人事院の勧告がございまして、民間給与との比較がなされたのでございますが、それによりますと、民間の医者の給与に比べて国立病院の医師の給与は三五%低いというようなことがございまして、そこで実は昨年の十月の公務員のベースアップによりまして、医者につきましては平均二二%のアップをすることにいたしたのでございます。従って、三五%と二二%の差額の一三%の違いが現在民間の医師の給与との間にある、そういうような現状でございます。なお、看護婦につきましては、国立病院の看護婦の給与は民間の看護婦の給与よりも少しいいのでございます。大体一万八千円ベースでございますが、民間よりも少しいいのでございますが、従いまして、主として現在におきましては、待遇改善の問題は急いでなされておるのでございますが、ただ御案内のように、国立病院の勤務の医師、看護婦は国家公務員法によりましていわゆるストといいますか、病院にスト的なものができませんものですから、たまたま全医労という労働団体を作っておりますが、この労働団体が政府当局と交渉に当たるというような格好で苦情の処理をしているような段階でございます。確かに昨年までは低くていろいろな苦情がございましたが、昨年の十月以来さきに申し上げましたような状況で、一応小康を得ているような状況でございます。
 なお、国立病院と赤十字病院と比べますと、医者の給与におきましては、赤十字病院の方が劣悪でございます。看護婦におきましては、国立病院の看護婦と比べて赤十字の看護婦というものは大体その八割程度でございまして、赤十字病院の医療関係者についてはまだ問題がかなり残されている。ただ、十月一日から医療費の値上げがございますから、これにおいてある程度の解決はできるのではなかろうか、かように考えております。
#219
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、前例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#223
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
#224
○委員長(大竹平八郎君) 次に、法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法律案を一括議題とし、質疑を行なうことにいたします。質疑のある方は御発言願います。
 なお、政府側よりは田中大蔵政務次官、村山主税局長、川村調査課長、上林法規課長が出席をいたしております。
#225
○成瀬幡治君 これは当然委員長にお願いしておきたいのですが、この三法律案を上げるというような場合は、やはり大蔵大臣の出席、まあ関税にも関係がありますから、そのときは一つ大蔵大臣に最終的に出席をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
 そこで、こうお願いするとともに、少し最初に税の自然増収のことについて承りたいわけですが、まあ簡単に国民経済の成長がよかったからなったのだ、こういうことでは私は済まされないと思いますけれども、一体昭和三十五年度には幾ら、これは数字は出ると思いますが、三十六年度は、この問の予算委員会の答弁の速記録を見ましても、私どもの方の木村委員の質問に対しまして若干答えておいでになりますが、しかし、巷間にはまだ多いのじゃないか、まだ五、六百億くらいあるということでございますが、それらを含めて昭和三十六年度には税の自然増をどのくらいに見積もってお出でになるか、まずそのことについてお答え願いたい。
#226
○政府委員(村山達雄君) この前確かにここで一ぺんお話ししたと思いますが、まず三十六年度の自然増収をどのくらい見ておるかという点を申し上げますと、三十五年度の当初予算に対しまして三千九百三十億の自然増収を見ておるわけでございます。それから、三十五年度の自然増収がどのくらいになるか、これはまだ決算が確定いたしませんのでわかりませんが、現在の収入状況を見ますと一月末までの数字がわかっております。それによりますと、一兆二千九百九十六億で、第二次補正予算額に対しまして八五・三%になっております。昨年、つまり三十四年度の決算額に対するやはり一月末の収入割合は七七・六%であります。しかしながら、昨年はちょうどこの月末が日曜日に当たっておりますので、その分を計算いたしますと約八〇・六%くらい収入したであろうと見込まれるわけであります。その割合をとりますと、大体ことしは収入歩合におきまして八五・三。八〇・六でございますから、四・七%くらい上昇率がアップしております。ただ、今年度は年度内減税を五十八億しております。従いまして、今度の第二次補正後の予算一兆五千二百四十五億、これに五十八億を加えた額に対してその上昇率のアップを見ますと、四・七%が四・三%程度になり、今後も大体今までの四・三%程度の収入歩合の上昇、アップが見込まれるとすれば、一体幾らくらいの自然増収が出るだろうか、こういう計算は可能なわけでございます。はたしてその通り出るかどうかわかりませんが、一つの推計の方法と考えます。そういたしますと、今後第二次補正後の予算に対してなお五、六百億程度の自然増収が出るものではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 先般の予算委員会で木村委員がおっしゃいましたのは、高木教授がかなり多くの自然増収を見積もっておる、それに対して政府の見積もりは少ないのではないかということでございますが、高木教授の計算方法を見てみますと、われわれの見込みより高木教授は三十五年度において相当多くの金額を見積もっておるように思われます。方法論としてやっておりますのは、十二月末までの収入実績を今後の国庫収支の状況から判断しました高木教授は、租税収入というものを単純に加えて、そのほかにまだ五百億くらい出そうだといって三十五年度を見ておるわけであります。従いまして、結果から見ますと、われわれがただいま申しました数字よりは大体、さらに五、六百億程度よけいに見ているのではなかろうかというふうに考えます。それから、三十六年度はわれわれの方は当初予算に対して三千九百三十億と申しましたが、高木教授の計算方法は、国民所得の三十六年度の三十五年度に対する増加額、これに対していわゆる限界租税函数といたしまして二六・五%くらい増収があるのだ、こういう計算をされておるわけであります。われわれの方の計算は、経済の見通しをもとにいたしまして、最近の実績をもとにして、個々の税目について積み上げ計算をいたした合計が三千九百三十億となっておるわけでございます。高木教授の方は、その国民所得の増加額に限界租税函数をぽんと掛けまして、それによっていくとこれくらいになるだろう、こういう答えを出しております。ただ、われわれの過去の経験を見ますと、限界租税函数二六・五という数字は最近ではとてもこれは使える数字ではございませんで、最近ははるかに低い数字になっておるわけでございます。ですから、この二六・五という限界租税函数をお使いになったところあたりが、そういう何といいますか、達観による一つの見込みを出されておるので、その辺が政府の見積もりと食い違ってきたのであろうというわけでございます。
#227
○成瀬幡治君 政府の見積もりとおっしゃいますが、政府は絶えず、何といいますか、決算における自然増というものはあるだろうというのですけれども、それは隠し財源があるかというと、ないないと言っておるわけですが、あるのは事実なんです。予算編成の技術で、第一次補正もやらなければならない、あるいは二次補正でもやらなければならないから、大事をとっておかなければならないと思うのですが、次官がおられませんが、あなたの方はどうも内輪に見積もってきておって、そういう意味で内輪に見積もってきたのか、実際問題として見込み違いで、それで言ってきたのか。いま一つは、今年度は徴税がきびしくなって、そういうものになってきたのか。なぜその見積もりが、言われることと結果が違っておるのか。その原因はどこにあるのか。
 私の言い方が悪いかもしれませんが、少し隠し財源が必要だから、それで国会では控え目に見て言わなくちゃならない。そういう立場はわかりますよ。わかりますが、そういうことでなくして、正直にやる方が政治だと思うわけです。ですから、なぜそういう見込みが違うのか。少々ならいいが、結果的に違い過ぎておるのではないか。だから、不思議だということになってくる。この点を解明をしてもらいたい。
#228
○政府委員(村山達雄君) 最も大きな原因は、当初予算を見積もるときの経済見通し、これは閣議決定になりました経済見通しを使って参るわけでございますが、それが年々大きく動いておるというところに最も大きな原因があるだろうと思うわけでございます。三十五年度について申し上げますと、国民所得計算では、当初予算に対して最終見込みでは一四・五%伸びておる、こういうことになっております。鉱工業生産では一一・六%伸びておる。この辺の見込みの違いが、簡単に申しますと、大きく現われておることだろうと言えるだろうと思います。
 おっしゃる点は、ことし第一次補正で千五百十四億ふえまして、その後引き続きまして、第二次補正で三百六十五億を組みました。この間一月くらいしがなかった。その三百六十五億というのは見通されたのではないかという、その辺は政府の方はどうなんだというお尋ねだろうと思いますが、第一次補正の際にもいろいろ御質疑がございまして、われわれお答えしておりましたのは、このほかにもあるかもしれません、ただ、十二月末の現況では、まだ九月決算の状況、これが大きなウェートを占めておるわけでございます、三月末決算、その状況がまだわかりません、それから年末における贈答品とか商品の状況がわかりません、そういう要素がございますので、もう少し出るかもしれませんが、確実なことは申し上げかねます、ただ、はっきり申し上げられることは、千五百十四億組んだほかに、ガソリン税がほかに八十億はございます、ただ、その八十億は今出す歳出上の必要がございませんので計上いたしません、これだけ申し上げておったわけでございます。その後二次補正で三百六十五億新たに確定した財源を見込んだわけでございますが、その後、先ほども申しましたように、第二次補正後につきましても、現在の状況では五百億程度の自然増収があるのじゃなかろうかと、こういうふうに見込んだわけでございます。
#229
○成瀬幡治君 それは、閣議決定でされておるところの経済見通しが誤っておるということならば、さらに何もかも誤っておることになっちゃうので、その誤っておる数字は、やはりあなたの方からの――主税局ではそうは言わないとおっしゃらればそれまでかもしれませんけれども、大蔵省当局としては誤ったことばかりやっておると。たとえば九月末の第二次補正を作ったときの見通しでも、すでに三百億も違う、こまかい数字をいえば二百何十億になりますけれども。そのときの現況からいえば、五百億になる、約一千億も見通しを誤っておることになる。どうも納得がいかぬですがね。ただ単に、経済の見通しを、計算のやり方だけだということじゃなくて、やはりありまりにも技術的なことをおやりになっておるじゃないか、政治的に技術的なことをおやりになっておるじゃないかという気がしてならないのですが、それとも、それほどあなたの方が真剣に考えても間違っちゃっておるものなのか、どうなんですか。無能じゃないですか。
#230
○政府委員(村山達雄君) 当初予算と実績との比較でございますと、その当初予算が、もし当時の経済見通し、これは企画庁でもっていろいろ見込んだ数字をもとにして閣議決定で行なわれるわけでございます。同じ政府の歳入見積もりでございますので、その経済見通しについて主税局の独自の立場というものがあるわけじゃございませんので、生産であるとか、あるいは物価であるとか、あるいはそういう基本的な問題につきましては、これは経済見通しの数字を使うわけでございます。これが、実際の実績を見ますと、年々大きく動いておる。しかもそれが、どちらかといいますと、経済の伸びは当初予算に見込まれた当時よりも非常に大きいと。ここに最大の原因があるわけでございます。先ほど申しましたように、その第一次と第二次の場合、これは経済見通しの問題は実はないわけでございます。それは大蔵省独自のあれじゃないかとおっしゃれば、まさにそうでございますが、先ほども御説明いたしましたように、千五百十四億を出しました際に、もっとありましょう、その金額ははっきりとは申し上げられませんが、もっとありましょうということを申し上げたのです。千五百十四億、それから三百六十五億と出しましたが、これは財源がないから出さないということじゃございませんので、やはり歳出需要はどれだけであるかということによって、それに相応する確実な財源を計上しておると、こういう次第なわけでございます。
#231
○成瀬幡治君 私は、非常に頭脳明晰な人たちが大蔵省にいる。しかも能吏だといわれている。ところが、一カ月や一カ月半足らずに税が約一千億近くも入ったり減ったりするというのは、何としたって納得がいかないわけです。やはり政治的ないろいろなことをやっておいでになるような気がしてしようがない。国民から見れば不審だと思う。国会を私はばかにしたやり方だと思う。憤慨にたえないから、こういうことを申し上げているわけです。今後そういう姿勢というのですか、そういうことは私は改めてもらわなければならぬと思う心もっと率直に、こうじゃないかというような、そういう本来の政治のあり方に立ち返っていただかなければ、ほんとうにばかにした話です。それはもっとありましょう。ガソリン税は八十億ですよ。もっとありましょうというぐらいのことで、三百六十五億ぽんと出てくる。また、これでおしまいのようなことを言いつつ、またやっておったら五、六百億あるような話が出てくる。何としたって国民を愚弄している。主体はやはり国民にあると思います。国民の代表の国会に正直に言うということが、私はあなた方の責任だと思うのです。どうですか。
#232
○政府委員(村山達雄君) おしかりを受ける分はやむを得ないと思いますが、先ほど申しましたように、非常にむずかしい問題でございます。特にわれわれ一番苦労いたしますのは実は法人税のわけでございますが、これが御案内のように、生産、物価だけではなかなかはかり切れない。その所得率がどうなるか、前年に異常の要素が含まれているかどうか、非常に法人税が一番フラクチュエートする税でございます。納期でいいましても二ヵ月後でございまして、二ヵ月後半分納めて、さらに三カ月間残りの半分については分納する、こういう性質の税でございまして、毎年々々いわば売り上げに対する所得の割合、その所得率は年々非常な変動を来たしている。ところで、現在法人税が最も大きな税収を占めております。五千億以上の数字でございます。かりに所得率一〇%違いましても、非常な、五百億程度の違いはすぐ出てしまうという問題でございまして、過去の実績を見ましても、対前年八〇%台から一一〇何%台というふうに、非常にフラクチュエートしている。この辺が一番読みのむずかしいところでございます。第一次補正予算を組みました当時、九月決算、これは三、九という決算が一番大きな税収を占めておりますが、その九月決算の状況がはっきりわからなかったという点が非常に大きな要素をなしているのでございまして、先生のおっしゃられることはごもっともでございますので、われわれといたしましては間違いのないように、今後できるだけさらに勉強して適正なものにしたい、かように考えているわけでございます。
#233
○木村禧八郎君 簡単に質問しますが、今成瀬委員が非常に憤慨にたえないという表現を使われましたが、われわれもそう思っているわけです。われわれしろうと計算でも、所得弾力性とか租税函数でしろうと計算したって、大体もっとあるということをわれわれ主張したわけです。具体的に二千九百億。でも、大体それに近くなっていますよ。千五百十四億に三百六十五億でしょう。それから今後六百億足しますと。ですから、百億や二百億、これは食い違いができるのはやむを得ないでしょう、アンノン・ファクターがありますから。それにしても、大体千億近くそごする。しかも、われわれ議員の方から大体それに近い数字を示しているわけです。それですから、われわれとしては、野党としてはいろいろな政策的要求があるのです。財源がないということによってそればかりではないかもしれませんけれども、財源がないということが野党の政策的主張を阻止する一つの有力な政府の方ではあれになるわけですね。財源がないから。それで、公務員給与の問題じゃないのですけれども、財源がないからというので問題が片づいちゃってから、また補正を出す。そういう何かわれわれとしては非常に専門技術的な計算をしているように見えて、しかし、それがまた非常に政治的であるようにわれわれには考えられるわけです。何かそこに非常に政治的な含みがあるということになると、これは信頼できないわけです。三十六年度の税収見積もりについても、やはり同じことがいえるのじゃないか。三千九百三十億どころではない。これは今後の下期の経済の状況いかんによってまた違いますけれども、貿易が少し予想より悪いようですから、これはわかりませんが、何かわれわれ割り初れないのです。
#234
○政府委員(村山達雄君) 一般に論じられております限界租税函数ないし弾力性の係数でございますが、実績で申しますと、民間の学者等は二六・五%というようなものを使っておられる方もありますが、三十四年の実績を見ますと一四・七、三十三年が二〇・三、三十二年が二八・一七、三十一年が二丁五二、それから三十年は七・五二、それから二十九年が一〇・四〇、この間われわれもずいぶんこれに何か法則性があるか、使いものになるかということをいろいろ研究したわけでございますが、その平均値を使うにしてもあまりにも違い過ぎておる。どこが一番違ってくるかというのをだんだん見て参りますと、その点が法人税の所得率にあるということになりまして、過去の例を見てみますと、対前年でございますが、二十八年九三・七、それから二十九年は八五・〇、それから三十年九四・五、それから三十一年は一一七・〇、三十二年は一〇九・六、それから三十三年、これは赤字の出た年でございますが八八・六、それから三十四年が一一四・四と、これくらいあるわけでございます。そういうことがございますので、われわれといたしましては普通いわれるような函数を使うということはやっていないので、積み上げ計算をやっているわけでございますが、今先生おっしゃることに関連して率直に申し上げれば、ことし三十六年度の自然増収見込み予算計上額というのは、あの当時までの収入実績、あるいは見込みを基礎にしております。従いまして、今度新たに第二次補正も五、六百億出て参るということになりますので、その程度は――それにどれだけの弾性値をかけますか、それにアルファをかけた程度のもの、それくらいのものは、現在の段階においては少し少な過ぎるのではないか、こういう感じがしているわけです。
#235
○木村禧八郎君 私はこういうふうにやりましたら割合に近い数字が出るのではないかと思うのですが、それは、たとえば前年度、三十六年度の見通しをする場合なら三十五年度ですね、三十五年度の設備投資が大体成長率の原動力になるんでしょう。ですから、設備投資を中心にして、それで総生産を見、そしてたとえば三十六年度の設備投資も大体わかるわけですね。そういうところから、その近い年の、つまり前年度の設備投資を中心にして傾向を見て、そうして三十六年度は設備投資が非常に下がるということになればそれは問題ですが、大体設備投資もわかるわけですね。そういうことになると、大体私は所得弾力性で計算していくと一・七という割合が出たのですね。総生産をもとにしてやったのです。そうすると、成長率が一のときには一・七、それ以降は九・八%ですか、名目で。九・八%をかけると一五、六%になりますかな。それでまあ私はやっているのです、しろうと考えで。そうすると、割合にそれは近いあれが出るような気がするのですよ。というのは、設備投資を中心にすると、やはり法人関係の投資でありますから法人税が非常にウエートが大きいですから、そういうふうなことでやってみた方が、過去の傾向の数字でずっと見るよりは、その方が割合に近いあれが見込まれるのではないかと思うのですがね。それをもとにして、今度はほかのいろいなファクターを考えていくと、そんなにひどい過小評価にはならぬと思うのです。設備投資を見てみますと、それが落ちるようでしたら、個人消費とか在庫投資がふえないと非常に下がりますから、やはり設備投資を中心にして見るのがいいように思いますけれども、どうですかね、僕の考えですけれども。
#236
○政府委員(村山達雄君) これは税目の種類によってだいぶ違うのではないかと思いますが、たとえば間接税でございますと、酒でございますと、業界で生産計画がございます。国税庁の方に本酒造年度は幾らということを、業界ではっきり生産計画をきめて、これをもとにするのが最も確かだろうと思います。それから、物品税につきましても、主要物品についてはそれぞれ主務官庁の需給見通しがございます。これが当たるかどうかわかりませんが、比較的当たるだろう。それから、業界方面の大体の見通し、これらを大体基礎にいたしましてとって参ると、十種目ぐらいとれば、ほとんど八〇%ぐらいはその十種目に該当するわけでございますが、こまかいものは従来の実績とかそういうものを基礎にしていくとか、それから給与につきましては一年前の課税実績、これは階級別で組んでいるわけでございますが、これがわかります。それから、給与の伸びがどれくらいとか、雇用増加がどれくらいというのがございます。もちろん、税目計算をいたします場合には、企画庁の見通しは若干違いまして、家事使用人は課税しないとか、そういう点がございますので、若干修正いたしますが、まずそれをもとにして、過去の階級別の実績をもとにして、これは累進税率でございますので、それで組んでいくというのがいいんじゃないか。
 法人税につきまして、一番むずかしい問題でございますが、われわれといたしましては、やり方としては、過去の税額がずっとございます。そこで、わかるところまででございます、それがことしでございますと九月決算まで入れたわけでございます。当初予算では、九月決算の状況まで各月別の決算状況がございます。その月ごとのウエートが全く違っているわけでございます。今後伸びる生産の増が幾ら、それから卸、小売の伸びがどれだけ、法人の場合は普通卸のウエートは八五%ぐらい、それから小売の方で消費者価格の方を一五%ぐらいのウエートをとっておりますが、そういうふうにして月別にずっと出していくわけでございます、今後の見通しを。その月別の物価の推移、あるいは生産の状況というものは企画庁の見通されました年度計画がございますので、それを見ながら、大体カーブとしてはこういうカーブになるのではなかろうか、こういうふうにして出していくわけでございます。
 そういたしまして、一体そのいわば経済見通しを税務計算で換算した倍数はどれくらいになるであろうか、ここまでは一応機械的に当初予算の段階で出るわけでございますが、問題は生産物価をそういうふうに技術的に砕いてかけただけで十分かどうか。売り上げに対する所得率が前年と同じでいいのかどうかというところに問題のポイントはあると思いますが、これをわれわれは過去のいろいろな景気の型から見まして、過去の実績がわかっておりますので、ことしはこのくらいではなかろうかというところで押えるわけでございます。ことしの三十六年度について申し上げますと、大体三十四年の所得率と同じくらい、三十五年度よりは下がるのではなかろうか、こういう見方をしているわけでございます。どの程度三十五年度よりも下がるかと申しますと、われわれが見ておりますのは、八%ぐらい下がるのではなかろうか。あまり憶病でもなく、そうかといってあまり誇大な強気でもない数字を押えたつもりでございますが、そのくらいのところを見ておる。これがもし見通しが違いますと――これは全く主税局だけでもっていろいろな過去の実績から推計している所得率でございますが、これは主税局で見積もるわけでございますが、これが違ってきますと、かなり動くということで、われわれの計算はそういうふうにしておりますが、おっしゃるような、設備投資というような観点から今後出していくということも、今後は一つ研究してみたいと思っております。
#237
○木村禧八郎君 八%というのは、どのくらい……。
#238
○政府委員(村山達雄君) 約四百億ぐらいになるかと思います。
#239
○荒木正三郎君 税の自然増収の問題ですが、三十五年度は、政府としては非常な見込み違いであったわけです。約四千億円、先ほどの話の五百億円を入れると、大体四千五百億円という当初の収入の見込み違いですね。これは非常に大きな数字であると思うのです。その間にいろいろ減税の問題、あるいはベース改訂の問題等がいろいろ検討されたわけですが、結局、四千億円以上の増収があるという前提に立ってはいないわけですね。
#240
○政府委員(村山達雄君) 当初予算との違いは四千億じゃなくて、先ほど申しましたように、今後二次補正後、さらに五百出ると――六百でもいいんですが、六百出るといたしますと、当初予算に対する差額というのは初めの千五百十四に第二次の三百六十五、減税の五十八、それプラス六百なら六百ということになります。そういたしますと、大体二千五百程度になります。
#241
○荒木正三郎君 そうすると、先ほどの三十五年度の自然増収は三千九百三十億だという数字はどういう関係になるのですか。
#242
○政府委員(村山達雄君) 三千九百三十億と申しますのは、三十六年の当初予算に基づく収入見込額の三十五年度当初予算に対する同じ数字、それに対する増加額になるのです。そこをやりますと、三千九百三十億ぐらい見込んでございます。そういう数字でございます。
#243
○木村禧八郎君 関連。荒木さんが言われるのは、四千億というのは、三十五年度の税収見積もりの三十四年度の当初予算に対する増加見込みなんでしょう。それが約二千億なんですよ。そうでしょう。それで予算を組んでるわけですから、だから、三十五年度の当初予算を組むときは、三十四年度の当初予算に比べて約二千億多い。それプラス千五百十四、それに四百四十億、補正すれば、それに六百億、こういうのですから、四千億と。ですから三十四年度の当初予算と比べてと、そういう意味でしょう。
#244
○政府委員(村山達雄君) これは自然増収論というときの比較の対象でございますが、前年度当初予算対今年度当初予算という、こういう見方はございます。それから決算ベースで、決算見込み対――決算対決算見込額、今年度の場合は決算見込みになるであろうということでございますので、前年度の決算に対しまして今年のやつを比べてみるというやり方、あるいは税制改正がある場合は税制改正なかりし場合の決算額対決算見込額、こういうやり方があるわけでございます。これは荒木先生おっしゃるように、三十四年度の当初予算に対して比較するということになりますれば、おっしゃるように、三十五年は約二千九十七億見たわけでございますから、それに先ほど申しました今度の大体決算見込額が二千五百億程度になると思います。当初予算に対しましてそれを加えれば四千五百だ、こういう数字は出ますが、これはそのかわりに比較されているものは三十四年度当初予算対三十五年度決算見込額、こういう数字ではそうなるかと思います。
#245
○荒木正三郎君 そこで、税収の見込額についてもっと正確を期するようにしたいというのがわれわれの意見なんですが、それはわれわれだけじゃないですが、問題は、これを基礎にして減税の面を考え、あるいは公務員の給与改訂を考え、いろいろ問題は考えられますが、公務員の給与改訂にしても、それから今回の減税案にしても、こういう自然増収を予想しない、もっと小さな自然増収を予想した段階において、この計画が立てられたのじゃないか、こういうふうに思うのです。そうすれば、現状から、これだけの自然増収が出てきた現状からいって、あまりにも小さい減税であったというふうに言われるわけなんです。そういう点が私ども非常に関心を持ってるわけなんですよ。だから、そういう点でやはり自然増収の見込みというのは、結果論ですけれども、いろいろむずかしい何はわかりません。どういう函数を使ってやるのかわかりませんが、結果としては非常な見込み違いをしているということは、これは事実ですね。だから、これだけの自然増収があれば減税の面ももっと考えるべきじゃないんですか。
#246
○政府委員(村山達雄君) これは今年度は、お話のように、三十五年度は、先ほど申し上げましたように、相当の自然増収が出ると思います。問題は、減税をやりますと、それは三十五年度だけでなくて今後の税収の全部、三十六年、三十七年と今後の税収が経常的に減るわけでございます。従いまして、三十六年度以降引き続きそういう収入が見込まれるということでないと、減税としてはなかなか財源がむずかしいということでございます。
#247
○荒木正三郎君 しかし、今のはおかしいですね。政府は所得倍増計画といって毎年九%の伸びを見ている、経済の成長率を。そうすれば、今後国民所得がふえてくるわけですね。そういう基本的な政策を決定しておるのですから。三十五年度で四千億というような自然増収が出てきたということは、やはりこれのいわゆる減税ということは将来を見通しても非常に貧弱なものだと言わざるを得ない。
#248
○政府委員(村山達雄君) おっしゃるように、政府は国民総生産で九%程度ですね、名目で九・八、こういうふうに計算しておるわけです。その基礎になります、たとえば鉱工業生産指数は対前年度一四・七%、こういうものを積み上げた答えが九・幾らになっているわけです。われわれといたしましては、そのもとになっている鉱工業生産指数一四・七%、これはそのまま使っております。また、そのもとになっている卸売物価、小売物価はそのまま使っておるわけでございます。ただ問題は、所得率をどう見るかという積算は、これは経済企画庁に聞いてみてもわかるはずはないわけであります。われわれの方で過去の経験その他から、自分たちなりにこの辺ではなかろうかと思うところを使っております。こういうことであります。
#249
○成瀬幡治君 とにかく受け取り方が、あなたの方は誠心誠意かもしれませんが、主税局長を責めてもやむを得ませんが、しかし、能吏は能吏らしくやってもらわなければ困る。それは一カ月や一カ月半足らずで、あるかもしれぬという答弁をして、なぜああいうことになったかというと、あのときは私たちは何を主張しておったかということはおわかりの通りなんです。それを低く押えるために、ないのだということをあなたの方は主張しなくちゃならないということは、野党の主張に対してやりたくない。大きな理由はそこにあったと思うのです。そのまだ舌の根のかわかぬうちに、また出てきたというのは、通っちゃったから、問題がまた蒸し返されぬから、今度出してきた。それはどう見たって人をばかにした話だと思うのです。もう少し何というのですか、良心的と申しますか、とにかく謙虚なと言っちゃいけませんが、あなたの方は事務的に言っている数字なんですから、それは事務的に出していただきたい。その判断はみんなの判断とするという形をとってもらいたいと思うのです。こんなごまかしのないように出していただきたい。ここに正直な数字を出してきた方が点数がいいというふうにしてもらえないでしょうか。まあ、あなたはあなたの立場もあると思います。ですけれども、少なくともこうだというようなことを、もう少し率直に私は数字を示してもらいたい。二度とこういうことを私たちが主張することがない、言うことのないような姿勢でこれから取り組んでもらいたいと思います。そうでないと、僕はこれから減税のいろいろな審議をしようとしますけれども、架空なインチキの数字の上に立って幾ら議論したって、ナンセンスだと思うのです。この委員会はそういうナンセンスに終わらせないように、もう少し神聖な気持でやって、まじめに取り組んでいきたいと思います。そういう点について一つお願いいたしておきます。
#250
○政府委員(村山達雄君) われわれも、今後とも引き続きまして、できるだけ適正な見積もりをいたしたいと思っております。ただ、正直に申しまして、今年度の自然増収は、一月ごとの実績を見るたびにかなり大きなズレが来ておったという感じはするわけでございます。感じでいいますと、一月ごとに百億前後の感じの違いはあったように思われます。これは結局、三十四年度の下期と三十五年度の上期、これが最もいいところでございますが、これが会計年度でいいますと、今年度に集中的に現われる。今年度の下期と来年度の上期、これが来年度の収入の大宗をなすと思いますが、最もいいところが波寄せてきた。主として法人税あるいは給与の関係でございますが、その辺で実感でいいまして、一月ごとに実は意外に多いので、びっくりしておったような次第でございますが、おっしゃる点はよくわかりますので、われわれとしては今後も勉強して参りたい、かように思います。
#251
○木村禧八郎君 法人税については、私は隠し切れなくなったと思うのですよ。昭和三十一年のいわゆる数量景気というときに、あのとき法人ずいぶんもうけたのですが、あのとき原材料を輸入して、そうして隠していたと思うのですよ。今度は原材料の思惑を見るというものがないから、法人は隠し切れないのです。そういう点もあると思うのです。それは僕の見方だけれども。
 一つお聞きしたいことは、さっき税収見積もりするときに、卸売物価も小売物価も、政府の経済見通し、あれを基礎にしてやっているというんでしょう。そこで、僕は問題になると思う。今度は三十六年度についても、あれは〇・七を一・一に変えたでしょう。しかし、あれはもっと上がると思うのですよ。鉄道運賃その他で、これから公共料金の引き上げがある。それで、あれは消費者物価でいくのか、それとも小売物価でいくか。今小売物価というお話がありましたが、その点は僕は非常にそごが来ると思うのです。三十五年度でも、大体消費者物価で三・七くらい上がっているでしょう。ですから、最初とその点は大へん違っているのですね。その点はそごが三十六年度でもあるのじゃないですか、そういう小売物価をもとにしますと。
#252
○政府委員(村山達雄君) 先ほど、もし私が小売物価を使っていると言ったとすると、私の間違いでございます。消費者物価を使っております。おっしゃるように、それが動いてきますと、それだけ狂いは出てくるだろうと思います。
#253
○木村禧八郎君 三十五年度では、その消費者物価が非常に違うでしょう。大体横ばいくらいに見ておったのじゃないですか。それは三・七くらいになりますよ。三十六年度でも違ってきますよ。一・一どころじゃないですよ。
#254
○政府委員(村山達雄君) 今の消費者物価で申しますと、三十五年度当初予算当時見込まれましたのは、対前年一〇一・三、これが三十五年度の最終見込みでは一〇三・二、これくらい動いているわけでございます。今度の見通しをつける場合、もちろんこれは全部織り込んでおるわけでございます。一番最近版によってみまして……。
#255
○木村禧八郎君 織り込んでいるということは、どういう意味ですか。一・一でやっているということですか。おそらく〇・七でやっているのじゃないかと思うのですがね。
#256
○政府委員(村山達雄君) その一〇三・幾らに上がったということは、これは税収の見積もりでは実は過去の決算実績の税額に現われているわけです。それに対しまして一・一%上がる、こういう見通しを立てているわけでございます。ただ、われわれの方といたしまして、この一・一%というのは、一月の閣議決定のところでございまして、われわれが使いましたのは、時間の関係で十二月の閣議了解の線の数字を使っております。それによる税収の誤差率というものを計算してみますと、所得、法人を通じて七、八億程度の誤差率にはなるという計算になっております。多少それだけは少なくなりますが、十二月の閣議了解の数字を使っております。
#257
○木村禧八郎君 一・一にも問題があると思うんですが、まだ鉄道運賃を値上げしない前のあれですしね。かりにこれが値上げされるとなると、また上がるわけです。もうすでに消費者物価指数二月のが出ているんですね。全国のが出ていませんが、東京のは出ています。二月のを見ますと、三五平均に対して二・五%、全国のは出ていないんですが、全国のは少し低いかもしれませんが、それでも一・一じゃないです。それがさらにまた運賃値上げやなにかで上がるんですから、そもそもそこにまたそごが来ると思うんですね。
#258
○政府委員(村山達雄君) おっしゃるように、それによる値上がりは見ておりません。
#259
○荒木正三郎君 この自然増収の問題が、今質問の中心になっているわけですがね。予想以上に自然増収がある、にもかかわらずですね、政務次官にお聞きしますが、政府は公約通りの減税をやっておらぬというところに私は問題があると思うんですがね。私も去年の十一月の選挙に大阪で自民党の立て看板を見たんですよ。千二百億減税という看板が五百から千くらい町に立っている。千二百億減税。その当時に比べてね、自然増収はうんとふえているわけなんですから、何ぼ最小限に見積もっても、千二百億の減税の公約実施はすべきなんですね。ところが、これは私が言うまでもないんですけれども、主計局から出ている表によって、結局揮発油税に対する消費税の上昇、これを差し引くと、昭和三十六年度において六百二十八億しか減税しておらぬ、それから平年度においても七百五十六億、これしか減税しておらぬ。これは、私は大きな公約違反だと思うんですよ。金がないというなら別ですよ。金は予想以上に集まってきて、政府のふところはうんと肥えているわけなんです。うんと太っているわけなんです。ところが、肝心の税金をまけるという点では、公約の大体半分と見ていい。千二百億に対して七百五十六億、これは国民に対する不信行為じゃないかと思うんですがね。こういう点、政府はどう考えているんですか。これは主税局長にお尋ねするより政務次官に、私は大蔵大臣にお尋ねしようと思ったんですが、これを答弁してもらいたい。
#260
○政府委員(田中茂穂君) とにかく相当な自然増収があったにもかかわらず、昨年の暮れの選挙における公約通りの減税をやっていないんじゃないかということについての私に対するお尋ねであったと思いますが、平年度に直しますると、大体国税が千百三十八億になるようであります。平年度に換算した場合。これは国税だけで、地方税で二百九十二億減税になっております。そうしますと、これは合わせまして平年度千四百三十億というものを減税したということになりまするので、選挙のときに公約した千五百億に近い減税はなしたというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#261
○荒木正三郎君 この地方税の問題は、私も別に質問したいというふうに考えておるわけですが、一応国税において考えてみた場合、これは千二百億にならないですよ。なるほど、ここに出ておるように、国税について平年度千百三十八億、これは数字が出ております。それから昭和三十六年度において九百二十六億と出ている。しかし、一方揮発油税を増徴しているでしょう。これは当然差し引かなければならぬですよ。差し引くと、これはさっき私が言ったように、六百二十八億と七百五十六億。この数字は間違いないと思いますが、どうですか。
#262
○政府委員(村山達雄君) 今の揮発油の増税分、それから特別措置による増収分その他を全部引きますと、おっしゃるように、一般会計初年度では六百二十八億、こういう数字になります。ただ、減税の規模を言います場合は、一般減税の規模で従来から言っているわけでございまして、広く一般の納税者に及ぶ減税の規模としては、そういう一般減税の規模で話をしているわけでございます。ガソリン税の方は、これは道路の方との関係で、確かに増税には違いありませんが、これは一般的な増税ではないと、こういうことで、従来からも一般減税のワクという場合には、こういうものははずして計算するというわけでございます。これはいろいろな考え方がありますが、そういう今までのならわしになっているということでございます。
#263
○荒木正三郎君 それは結局おかしいと思うのです。やはりガソリン税というのは、結局、大衆にかかってくる税金ですよ、間接税ですから。それを除外して考えるということは、それはちょっと自民党の肩を持ち過ぎているのじゃないですか。
#264
○政府委員(村山達雄君) 論争ではございませんが、ただ過去の事例で見ますと、ガソリン税は三十二年に五千三百円の増税をやりました。それから三十四年には、四千四百円の増徴をやりました。そのときに小売価格は、三十二年の五千三百円のときは、四千八百円小売価格が上がったわけです。従って、需要者はそれだけの負担をしたことになります。それから、三十四年は四千四百円そのまま小売価格が上がったわけでございます。しかしながら、それによって運賃改訂が行なわれたかという点を見ますと、三十二年の増税の際には、一年おくれでトラックの運賃は一部改訂しておりますが、ハイヤー、タクシー、それからバス、こういう料金は上げておりません。それから三十四年には、全然運賃の改訂が行なわれていない。ずっと見てみますと、その後原油の価格は、国際的にずっと下がっております。それから海上運賃、これがまた大幅に下がっておりまして、三十二年、先ほど申し述べましたように、小売価格四千八百円上げたわけですが、税込み小売価格は、増税前と増税後の三十四年をとってみますと、かえって下がっておる。こういう結果になっておりまして、これは、一つには原油の価格が下がったということと、もう一つは、やはり何と申しましても、コスト・ダウンになる面が相当あるわけでございます。それから修理費が減るとか、あるいはその後旅客なり貨物の収入が相当ふえてきた、こういう経済成長等がありまして、おそらく吸収されたのだろうと思います。
 今度の場合どうなるかということは、にわかには断言できませんが、やはり現在の海上運賃の推移等を見ておりますと、それから今後のコスト・ダウンになるいろんな経済効果を考えますと、今度は揮発油税三千四百円、それから軽油引取税二千百円上げておりますが、その全部が運賃にはね返る、従って消費者が負担するということには、われわれはとうてい考えられぬということでございます。
#265
○荒木正三郎君 そうすると、今後バス等の運賃、あるいはタクシー等の運賃、これは絶対上がらぬ、こういうふうにわれわれ了承していいのですか。
#266
○政府委員(村山達雄君) これは全く私の個人的の見通しでございまして、もちろん、消費税を上げます場合は、消費税でございますので、百パーセント転嫁した場合の影響、運賃も上げられる、それが小売にどれくらい響くか、それからあるいは収益率にどのくらい響くか、消費税でございますので、百パーセント上がる場合もあるべしということで、そこまで覚悟してこの程度の増税をすることに踏み切ったのでございますが、運賃がはたして上がるかどうかという問題、これは運輸省の問題でございますが、私の個人的の感じ、過去の経験、それから現在の状況からいいますと、少なくとも百パーセントそのまま運賃にはね返るということはないのじゃないか。これは私の個人的の見通しに過ぎません。
#267
○成瀬幡治君 田中政務次官にお伺いしますが、減税の場合は増税分は別であると、区別して国民は受け取っておるのか。不幸にして私の方の選挙民というか、国民は、減税というと、増税を含めて減税を行なうと考えています。あなたの鹿児島の選挙民は、減税一千億円といえば、これは減税のことであり、別に増税分もあると区別して受け取っているというふうにあなたはお考えになっておるのか。その辺のところを伺っておかぬと、荒木君に対する答弁をああそうですかとそのまま受け取れませんので、その点、念のために伺っておきたい。
#268
○政府委員(田中茂穂君) 私が先ほど申し上げましたのは、平年度に換算した場合には、地方税も含めまして約一千四百億余りになるということを申し上げたのでございます。あとはこれは予算編成のときの数字でございますから、そのあとガソリン税というのが出て、最終的にガソリン税の百五十三億というのは増徴だ、こういうことに結果的にはなったわけなんです。最終的に予算を閣議決定したときにはそうなったわけなんです。大蔵原案の場合は、やはり当初の方針通り、ガソリン税は増徴しないということで大蔵省としては臨んだわけですけれども、やはり最終的に党、政府話し合いの結果、閣議として百五十三億のガソリン税の増税ということがきまったために、これは若干増税したということになるわけですが、普通概念から申し上げますと、減税ということは、やはり増税したそういった一部のものを結果的には差し引いた数字が、減税した数字になるということは、これは常識だと思うのです。常識だとは思いまするけれども、やはり減税――道路をよくするためにこれだけまた百五十三億ふやしたのだということで、やはり区別して言える場合も私はあり得ると思うのです。私はそういうふうに、増税した分と減税した分とをやはり区別したことを言えると思うのですよ。まあこういう程度でかんべん願います。
#269
○成瀬幡治君 ただいままでのやりとりの問題につきましては、私はまた大臣にもいずれただす機会があるし、またたださなければならないと、こう思っております。
 それはそれといたしまして、所得税関係のことについて少しお尋ねしたいと思います。一番問題になるのは、給与所得者と営業所得者、あるいは農民その他のバランスの点なんですけれども、だれが見たって、バランスがとれた方がいい。バランスがとれた方がいいということについは、だれしも異論がないと思うのです。これを第一の問題点として私はお考えになったことと思いますが、今度の減税はそういう立場で行なわれておるとするなら、ここのところがこういうアンバランスがあるからこれを修正したのだ、しかし、こういうアンバランスがあるけれども、この問題は今度はやらなかったけれども、やらなかった理由はどうも財源がなかったからと、こういうことになるかもしらんが、これはなかなか筋が通らぬと思いますけれども、私はそういう理由だと思いますが、そういう点を一つ承りたいと思います。
#270
○政府委員(村山達雄君) 今度の、給与所得と事業所得の負担のバランスという点に着目いたしまして改正いたした点は、二点であります。一つは所得税関係、一つは住民税関係でございます。
 所得税の方は、今度、給与所得控除につきまして、いわば定額控除の制度を新たに導入しまして、一万円引きます。それから、引いた残り四十万円までのものについて、従来通り二割。それから、四十万円をこえる分につきましては一割と、この割合は同じでございますが、定額で一万円を引いたということでございます。最高は、従来通り十二万円ということになるわけであります。この一万円を新たにつけ加えたというのが、低い給与所得者に多くの減税の利益が行くということでございまして、これによりまして百一億六千六百万円というものが新たに減収になったのでございます。
 それからなお、住民税におきましては、いずれそのうちにこちらに御審議いただくと思いますが、住民税は、原則として三十五年度の国税の税制、それを形の上では地方税独自なものにいたしますが、大体三十五年度の所得税の形、それを引き移しているのでございますが、給与所得に関する限り、従来、やはり近隣相互の間に非常に不均衡が多いということがございますので、この一万円の定額控除に限って、これは住民税について三十六年分の住民税から実施する。その他のいろいろな、配偶者控除の引き上げとか、あるいは扶養親族控除の引き上げとか、いろいろ税率の改正その他ございますが、こういうものの、これによる減税の影響は地方税には及ぼさない。しかし、給与所得の控除に関する限り及ぼす、こういう特段の措置を講ずる予定になっておるわけであります。
#271
○野溝勝君 局長さん、給与所得者や事業所得者、中小所得者を中心として税負担の軽減合理化を行なうとなっているが、農民である百姓はどこへ行っちゃったんだい。
#272
○政府委員(村山達雄君) もちろん、中小所得者でございますので、農業者は今の所得の状況からいいますと、総体的に中小の方に属するわけでございまして、配偶者控除の創設、それから扶養親族の、十五才未満の扶養控除二万円の引き上げ、それから七十万円以下の所得階級に対する税率の緩和、これらによって全部及ぶわけでございます。
 ただ、特に農業に著しいと思われますのは、白色農業者につきまして新たに専従者控除の制度を国税においては設ける、この影響が最も大きいだろうと思われるわけであります。われわれの計算によりますと、もし今度の減税なかりせば、おそらく四十一万程度の納税者が、今度の減税によりまして、所得税の納税者は十三万九千人。兼業農家を入れますと大体六百万、専業農家で五百万といわれておりますが、そのうちことしの改正によりまして十三万、十四万くらいの納税者になってしまう。税額で申しましても、あと残りますのは六億九千万程度、今度、農業でございますが、それぐらいであろう。今度の減税によりまして、約二十億ぐらい減ってしまう。まあ、もし減税なかりせば二十七億程度、それが二十億程度減って六億九千万円ぐらいになってしまうであろう、かように考えております。
#273
○野溝勝君 皮肉のような質問の仕方なんですがね、今度の所得税の一部改正で、農民が従来青色申告は複雑で容易にやっておらなかったので、所得税の課税についてはいつでも損の立場にあったんです。今度は白色申告に対して、その税の控除をされるということは、一つの進歩だと思うのです。ただ問題は、この白色申告の控除ですが、実際のことをいうと、見立てを多くされるので、表額面は控除ということになるが、実際は、所得倍増あるいは物価高というようなことで、課税の対象の見積もりが多くなって、結局あなたの考えておるような専従者控除の恩恵もどこかへ消し飛んでしまう。さらに、御承知のごとく、固定資産税や住民税は引き上げられ、地方税も非常に多くなってくる。特に収入、すなわち所得が過大に見積もられるので、総合課税において逆にふえてくるということを農民は心配しておるのでございますが、この点、主税局長はどういうように考えられておるか、見通しの点をあなたからお伺いしておきたいと思います。
#274
○政府委員(村山達雄君) 専従者控除につきましては、これは一律七万円ということにしておりますので、青色申告の場合、従来でございますと八万円を限度として、収支の程度に応じて金額をきめると、こういう納税者、税務署双方にとって繁雑な問題はなくして、専従者が一人おれば七万円ずつ控除ということで、その点はそういう疑念はないと思います。
 ただ、先生おっしゃいますように、それによって、税務署の方は今度は収穫をよけいに見るとか、経費を少なく見るというような心配はないかというお尋ねだろうと思いますが、われわれは、国税庁におりましたときの経験で申しますと、農業の標準率につきましては、御案内のように、十分地元の農協等ともいろいろデータを持ち寄りまして、そうして相談して参るわけでございます。収穫の見方、それから経費の各項目の見方を見ているわけでございます。従いまして、もちろん収穫はその年の作柄によってきまるわけでございまして、私の経験でいいますと、大体作報の数字よりそんなに多くなるということは絶対にない。全国平均でいったら、むしろ少なくなっておるというような次第でございまして、また所得率でいいましても、これは上げると申しましても、これは大ぜいの人たちがすぐわかることでございますので、大体毎年同じような程度で、それほど変わっていない。従って、今のような標準率でやっておる限りにおきまして、そういう御心配はあまりないのではなかろうか、こんなふうに考えております。
#275
○野溝勝君 私が心配して申し上げたのは、今主税局長がおっしゃるような簡単なものじゃないと思う。特に作柄にしても、あるいは収穫量の見積もりにしても、税務署は大体管内の割当というものがあるらしいのです。大体前年度の標準というものがあって、それが予算編成と見合って上局から指示するわけになっておるわけです。第一、この標準の最後決定についても、農協とも打ち合わせるといいますけれども、実際農協なぞの意見もあまり入っておりません。特に生産農民の団体であるところの農民組合の意見も一つ取り入れるか、その意見を尊重するように、農民組合の諸君とも十分懇談するようにしてはどうか、こういうことは税の運営円滑を期するためたびたび申し入れておったのでございますが、渡辺局長のときはその動きがあったのですが、自来生産者である農民組合との懇談会も持たなくなった。よって査定などにおいてはいつも不満が絶えない。たとえば上田を単位にしてあるいは収穫の多いところを単位にして、対象にしてこれをきめておるわけです。こういう点を解消するには、農民団体である農民組合などとも農協と同じように懇談を持つようにすることが最も行政上の至当なものだと思うのでございますが、当局の考え、主税局長の考えを聞きたい。行政運営上円滑にやるように考えてもらいたいと思うのです、その点、どうですか。
#276
○政府委員(村山達雄君) これは国税庁の方面の仕事でございますが、私が従来国税庁におりましたときの経験で申しますと、現在は反当たり標準を使っております。国税局ではそれぞれ基準地区というものをきめまして、基準町村というものを作っております。これは年々変更するものではございませんで、これはずっと当初から、標準をとったときからそれを同じ基準町村についてやっております。局の方はそれを中心にして調査して参りますし、署の方はそれぞれ自分の管内について、多いところですと五等級ぐらいに、地力を見まして五等級ぐらい、それから比較的それほど地力の差のないところでは三階級ぐらいに区分しておる。ところによっては、全村一区というところもあるようでございます。そういうふうにいたしまして、大体の収穫量を見積もって参る。このときにはもちろん作報の数字その他を十分参考にしていくわけでございます。経費がどれくらいかかかるかというような問題につきましては、年々所得標準率の調査をやっておるのでございます。でございますが、これはまずまず、ちょっとこまかくいいますといろいろ問題があるかと思いますが、われわれの見たところ、大体そんなに年によって動きはない。むしろどちらかと申しますと、いろいろな償却の関係とかその他は年々国税庁として通達で出しておりまして、若干ゆるやかになりつつあるというような傾向に見受けられます。まあいろいろなその関係団体と打ち合わせば適宜税務署においてやっておるわけでございますが、農協等には、どこも農協の資料は使っておると思いますが、ところによりましては、農民団体、その他の農民団体の資料も使っておるところもあるのじゃないか。おそらくそういう点について別に画一的なきまりというものはない。適正な資料があれば、おそらく国税庁としては使うにやぶさかではないのではないか、かように考えておるのでございます。
#277
○野溝勝君 局長さん、お互いに一つはっきりしておいてもらいたいと思う。実際百姓の必要経費というのは、あなた御承知のように、こまかしができないのですよ。ほかの業者、事業体と違いまして、隠すこともできなければ、法人と違いまして計理士を置いてうまくやるというようなわけにいかないのです。もしかりにごまかしやってみたところで、鶏の卵なら卵を少しごまかすぐらいが関の山で、そんなに大したことはないのです。だから、必要経費などは相当慎重に、まじめに、そうして十分聞き入れてやる。そこでまた大きなズレがあったというようなときには、これはまた懇談の中で話し合いがつくと思うのです。ですから、一番問題になるのは、作報による収穫見積もりよりは、一番問題は必要経費の点なんですね、局長さん御承知の通り。ですから、そういう点は、農協などよりはやっぱり農民組合の方が真実に農民の不満、不平と実際の気持をつかんでおるわけなんです。ところが、これは闘争的でやっかいだというような気持ですね。どうも背後には野溝がついていてやかましいというような、朝日新聞に農民組合の闘争記事が出ているから、そういう関係で、行政官庁も農民組合はうるさい存在というような気持がありはしないか。それは大きな誤りだと思う。話せばわかるのですよ、非常に純朴なおとなしい農民ですから。ですから、主税局長、国税長官とよく話をされて、農民団体といえば農協だというような考え方ではなくて、もっと広い気持になって、親切な気持をもって、それら農民組合とも十分話し合うという考え方に整理前進して、お答え願いたいと思うのです。
#278
○政府委員(村山達雄君) おっしゃるように、必要経費の方に実際問題として問題が多かろうということは同感でございます。必要経費も、肥料その他の問題は、年々大体使う数量もきまっておりますし、使う種類もきまっておるのです。現在の標準では、臨時雇あるいは最近使われております自動耕転機、こういうものは標準外経費で、特別経費としてそれぞれ引いておりますので、だんだん問題は少なくなりつつあると思っております。さらに、まあ個人的の観測でございますが、全国で十三万程度、税額にして六億九千万程度になってしまいましたので、国税庁の方でも、われわれひそかに承るところによると、税務執行のやり方を能率化するという意味で、相当考えているやに聞いておるわけでございます。農民組合との連絡等につきましては、先生のお話がございましたので、帰りまして長官にお伝えしたいと思っております。
#279
○野溝勝君 最後にまじめに考えられた御答弁で私も少しく気持がほぐれたのですが、農民組合が、もし懇話会をやる際に交渉の過程で行動の上に不安を持たれるというようなことについては、十分私は責任を持ちますし、注意して指示通達いたしまして、かようなことに対して私も帰りまして責任をとるつもりでございますから、十分その点は国税長官とお話をされて、一つ運営を誤らぬように、今申し上げたように、農民組合あるいは農協、それぞれの団体の懇談会を開いて善処するように特に厚く希望しておきます。
#280
○成瀬幡治君 局長さん、先ほど私の質問に対して定額控除をやった、それからほかのこともやった、これで大体バランスがとれてしまったのだと、こうお考えなのか、なおアンバランスがあるのか。それは私はいろいろな意味があると思うのです。事業所得と給与所得とのバランスの問題もございましょうし、あるいはそうじゃなくて、同じ所得の中でも税の負担において公平を欠いておるものがないか、こういうことを尋ねておるわけです。それに対してあなたの御答弁がないわけなんですが、ないということは、これでりっぱなものだ、今度定額控除を加えた、一方の方では白色控除をやったのだ、あるいは扶養控除の額も少しつけた、あるいは専従控除という、そういうものも今までなかったがつけたというようなことで、問題は解決したとお考えになっておるのかどうか。
#281
○政府委員(村山達雄君) 決してこの問題は、税におけるバランスの問題というのは、極端に申しますと、あるいは永久に解決することのない、絶えず追及しなくてはならぬ問題だと私は考えておるわけでございます。少なくとも、しかしながら今度の改正によりましてバランスをとるという方向に一歩踏み出した、より近づいた、こういうことが言えると思うのでございます。このバランスの問題を考えます際に、これはもう考え方でございまして、実は税制調査会でもいろいろ検討いたしまして、いかなる点に一体差があるのかというようなことを、項目を二十数項目をあげてその違いを書いていろいろ検討してみたわけですが、バランスがとれているのかとれていないのかという問題は非常にむずかしい感覚の問題でございます。ただ、われわれがそういうやかましい議論じゃなくて、かなり達観的に、特に住民税における近隣相互の比較をとってみますと、およそ見当がつくわけでございまして、住民税は現在のところ第一課税方式地域では国税額の二八・二八%になっております。従いまして、住民税をとりますと、ずっと答えはわかって参る。それから申しますと、どうも住民税の負担を通じて見ますと、所得税のバランスが給与所得者に重いのじゃなかろうかというようなことが言える。ただ、事業所得者の方から申しますと、自分たちは事業税というものを納めているじゃないか、あるいは生産手段であるところの、たとえば家屋その他の償却資産について特別の固定資産税もかかっているじゃないか。もちろん、住家については給与所得者も、それから事業所得者もかかりますけれども、その生産手段として使われておる家屋部分あるいは償却資産について固定資産税を納めているじゃないか。これは税制の問題でございますが、そういう税制がいいとか悪いとか、いろいろな批判があるでしょうが、そういう問題を含めて、やはり全体のバランスというときにはほんとうに考えざるを得ない。まあわれわれ今度考えましたのは、現行の税制が一応税制としてはそういう理屈はあるのだ、しかしその執行の上におけるアンバランスという点がどうであろうかと、こう考えてみますと、先ほど申しましたような住民税の比較をやることによってある程度わかりますので、そういう点から考えまして、今度の定額控除というようなものを新たに設けたのでございます。
 この際問題なのは、実は現在給与所得者につきましても、現物給与についてある程度取り扱いによって非課税にしておるものがございます。通勤費であるとか、あるいは現物の食事のようなものでございます。こういうこまごましたものについて相当非課税の取り扱いをしております。これを廃止すると同時に、今の定額控除一万円というのを二万円にふやすことはどうかということで、税制調査会では一週間か二週間くらいこの問題はもんだわけであります。現行の場合においては一万円くらいでしんぼうして、そのかわりに今の非課税措置は漸を追うて処理すべきで、今直ちに撤廃することはかえって問題が多い、こういう問題になりますので、本年は一万円にとどめられた、こういう次第であります。
#282
○成瀬幡治君 問題をちょっと変えまして、最低生活の保障の問題と関連して、納税者の点でございますが、納税をする人は、やはり最低生活の保障をどこに区切るか、それ以上がいわゆる担税能力があると見ておると思うのですが、いわゆる直接税の問題に関連して、間接税は別でございます。そういう点から、どういうふうにお考えになっておるのか、承りたいと思います。
#283
○政府委員(村山達雄君) われわれもこの点に非常に注意して見ておるわけでございますが、この最低生活をどういうふうにして計算するか、いろいろなやり方がございます。われわれは大体三つばかりの計算方法で、標準世帯についての最低生活がどれくらいかというのを出してみたわけであります。一つは、大体夫婦子三人くらいの標準世帯をとって考えてみますと、三つくらいに答えが出ておる。その一つは、答えだけを申しますと、二十九万八千円くらい。あるいは二十二万七千円、二十六万四千円、これはいろいろな前提の置き方でございます。この程度の数字が出ておるわけでございますが、現行が給与所得者で夫婦子三人で三十二万円でございます。今度の引き上げによりまして、三十九万八百七十円くらいになる。いずれもさっき申し上げました課税最低限よりは上回っておる。なお、昭和十五年というのは、これは根本的な税制改正をやった年でございますが、この当時の課税最低限、同じく標準世帯について、今日の物価に換算してみますと、大体二十七万円程度になります。そういたしますると、課税最低限に関する限り、昭和十五年当時の課税最低限をも上回っておる。
 それから、もう一つの国際的の比較の方法がございますが、こういう方法と、それから平均所得に対して課税最低限がどれくらいの地位に来るか、国民平均所得に対する課税最低限の割合、こういうのをとってみますと、日本は各国よりもいずれもその比率は高い。高いところに課税最低限が来ておる。これはまあ、しかしこういう比較をとっておりますが、もちろん所得の高い国は納税者の数が多いわけでありますから、納税者の割合が多いのでありますから、課税最低限が低位に来るのはあたりまえだと思うのです。国際比較をやる場合にはそういう点をも一応吟味しまして、まあいけのるじゃなかろうか、こういうふうに見ておるわけであります。
#284
○荒木正三郎君 ちょっと関連。戦前に比べて、昭和十五年は現在に直すと大体二十七万円に課税されておった、こういうのですね。しかし、昭和十五年は大体所得千二百円が課税の基礎になっておったのじゃないですか。年額千二百円ですよ。
#285
○政府委員(村山達雄君) その当時は、それは昭和十五年の改正以前でございます。十五年のときは、あの分類所得税、総合所得税というのを作りまして、分類所得税はそれぞれ基礎控除を置きまして、所得の種類ごとによって税率を変えていった。資産所得は一〇%だとか、営業は八%、給与は六%、総合所得税の方は、五千円の基礎控除でございましたか、やりまして、それで累進税率で課税していく、こういうやり方でやっておるわけでございます。それらの点を全部今日の物価で換算いたしまして、標準世帯についてこまかい計算をいたしますと、二十七万円程度の課税最低限になっておる、こういうようになっております。
#286
○荒木正三郎君 私はその前の詳しいことは知りませんが、私も給与所得者として税金がかからなかったのですが、百円月給もらうということは容易になかったのです。大体それまではかからなかった。それに比べると、今非常に税金が重いと思うのですよ。今度の改正案でも、独身者であれば十二万九千円で税金がかかりますね、大体。そうすると、月収一万円です。月収一万円で生活できますか。それはまあいろいろ数字は出してくればできるような数字が出てくるかもしれませんが、実際問題として、一万円では生活できませんよ。この点、どういうふうに考えておられますか。
#287
○政府委員(村山達雄君) 二つお問があったわけでございますが、千二百円の免税点というのは、先ほど申しましたように昭和九年――十一年ごろの税制であります。このときは一番免税点の高いときでございまして、同じく標準世帯について計算いたしますと、たしか六十何万円ということになります。これは政府の税制調査会でも十分検討されたわけでございますが、今日のような状況で、当時のような税制をしくことはとうてい無理である。そこまで上げるということは、やはり国の基本税としての所得税を考えた場合、とても無理である。かりに当時の税制で今日の税収をまかなおうとしたら、一体どんなことになるかと申して、全部割りふりをやってみますと、法人税の方は五割くらい減税すべしということになり、固定資産税の方は今の倍取らなければならない、こういう答えになるわけでありまして、その税制というものがそのときどきの所得の分布、財産の状況その他に応じて税制を組み立てられなければならぬということをある意味で検証したのでありますが、そういう答えになるわけであります。とうていその辺まではいかないだろう。現在の三倍から四倍の所得水準であります英国あるいは西独あたりは、現在約七十万くらいが標準世帯で課税最低限になっております。その三分の一くらいのところの国民所得である日本が同じ程度の課税最低限を設けるということになりますと、これはほとんど収入もない、あるいは納税者も非常に少なくなる。税制の根幹として法人税、所得税を考えておりますので、そこまではとうていいかないというような、実は税制調査会の検討ではそういうことであったわけであります。
#288
○荒木正三郎君 そこまですぐ直せ、こう言っておるのじゃない。あまり開き過ぎておるというのですよ。だから、もう少し考える必要があるのじゃないかという意見なんですよ。
#289
○政府委員(村山達雄君) お話の点は、現行の課税最低限が、標準世帯なりあるいは独身者なりで、そんなに余裕はないのじゃないかとおっしゃれば、それほど余裕はあるとも私は考えておりませんが、しかし、先ほど申しました課税最低限の計算、これはマーケット・バスケット方式という一つのやり方でやる場合と、それから現実の家計費を見て、ある程度、たとえば食費をとってみますと、所得の横のグラフに所得階層を置きまして、飲食費を置きます。ある程度までいきますと、所得の多寡に応じない絶対的な水準がございます、家計費に。そういうところが家計費から見た最低限と押えて、住居の関係はたとえば公務員宿舎なり何なりをとるとか、こういう理論計算で積み上げる方式。それからもう一つのやり方は、貯蓄の実績が年間どのくらいのところから始まるか。まあ非常に苦しい思いをして貯蓄された方もありましょうが、とにかく貯蓄されるということは最低生活を上回っておるという結果ではなかろうか。こういうふうに貯蓄の発生点というものを見て参る。この三つの方法でやって参るわけでありますが、いずれも、この標準世帯につきましても独身者につきましても、現在のわれわれの課税最低限というものは、それらの数字よりはある程度上回るだろうということが言えるわけであります。おっしゃるように、非常に楽かと申しますれば、そんなことはなかろうと言わざるを得ないわけであります。
#290
○荒木正三郎君 これは常識論で言っているのですよ。それはいろいろ数字を検討すれば、一万円では人間としての生活はできないと私は思うのですよ。どうですか。今の物価で一方円で独身者が生活するということは、人間並みにはできない。どこからか補充するか、あるいは極端に切り詰めた人間以下の生活をしなければできないと、こう思うのですが、数字だけいじっておっても、これは実態からかけ離れているのじゃないですか。
#291
○政府委員(村山達雄君) 月給一万円でやっていけないとは思いませんですが、まあもちろん豊かな生活を営めるとは思っておりませんが、まずわれわれの知っている範囲でやっている者に聞きましても、やれる。まあどちらかと申しますと、独身者と申しますよりも、世帯持ちの方がやや生活が課税最低限の関係から少し苦しいのじゃないか。大体バランスはとっているつもりでございますが、われわれは率直に聞いてみまして、われわれの同僚あたりに聞いてみまして、感じで言うと、給与にもよりますけれども、世帯を持っている方が少し生活が苦しいように思います。
#292
○野溝勝君 これはざっくばらんのお話ですが、昭和九年、十年、十一年、大体まあその時期は、私、確かに月百円以上の所得の者は所得税を取られていたと思うのですね。そうすると、今お話のように千二百円、物価は五百倍として五、六十万円以上なければ税金をかけられないわけですね。それが今はそうでないから、より一そう給与所得者は苦しいということが言えると思うのですが、どうも数字のマジックみたいなことを言ってみたって現実の姿はそうなんですが、こういう点について主税局長はどういうふうに一体考えておられるのか、この案を作るときに。
#293
○政府委員(村山達雄君) 先ほども申し述べたのですが、これを四つか五つの観点からいろいろ吟味してみたわけでございます。それはさきに申したよらな課税最低限に食い込んでいるかどうか、この検討が一つでございます。それから外国との課税最低限の関係はどうなっているか、それから過去との関係がどうなっているか、それから過去に戻れるかどうか、こういう点を検討したわけであります。
#294
○野溝勝君 いや、物価との関係などは……。
#295
○政府委員(村山達雄君) それは、今五百倍とおっしゃいましたが、三百五十倍くらいで、普通使っておりますあの倍数で計算しております。それでいきますと、その当時のものを今の課税最低限にいたしますと、六十数万という課税最低限が、確かに当時の方がゆるかったということは申し上げられると思います。ただ、当時の所得分布は今と全く違っております。当時の所得税額は、現在の価格に直しまして五百万円以上の納税者が、これが全体の二%を占めておったのですが、この二%の人員というもので五五%の税金を実は納めておった。そして残りの九八%の人員が四五%を納めておった。こういう所得分布があったわけです。従いまして、課税最低限を非常に高く持っていっても、ある程度その当時の所得分布からまかなえた、こういう事情が一つあると思います。それから、税のたとえば全体の税収をあげる場合の租税体系というものが、所得税に重点を置くというよりも、今に比べると財産課税の方に重きを置いている。つまり固定資産税に非常に重きを置いているような、当時の地租、家屋税、こういったようなものに重きを置いている、こういう税制だったわけです。そういう税制が今日はたしてしけるかどうか、それから今の高額所得者から多くのものを取ることができるかどうか、こういうことになりますと、所得分布が全く違い、それから今日の税制では何といっても所得課税というものがやはり中心にならざるを得ない。こういうふうに考え、それらのウエートなり、あるいは課税最低限の国際比較をとってみましても、なかなか昭和九−十一年に戻るということはむずかしいのじゃなかろうか。ただ、余裕がありますつど漸次減税して参って、逐次この課税最低限を上げて参るということはもちろんわれわれ考慮しなければなりませんが、一挙にそこまではなかなかいけないんじゃなかろうか、こういう大体感じで改正案を作ったわけでございます。
#296
○野溝勝君 時間の関係もありますから、あまりあなたと高度の経済成長論争なり意見が内容にわたる開陳なりは省略いたします。ただ、あなたみたいな優良な官僚――官僚と言っては言い過ぎれば、お役人には、もっと日本経済というものをよく分析してもらいたいと思うのです。おわかりだと思うのだ。国民の所得がどのくらいあって、それがどんなふうに配分されておるだろうかというようなことを、よくおわかりだと思う。大体日本の国が、領土がなくなって、資源がなくなって、そこで今日日本の国民経済の成長率が九%ないしは一〇%というようなことを堂々と言われておって、それはどこに一体それだけ成長しておるかということを分析してみれば、もうこれは私が言わなんでもおわかりのことだと思うのですよ。やっぱり今のところでは偏在しておるのですよ。で、こういうものを深く検討されて、こういう所得のあり方といいますか、税のあり方などについても私は慎重な検討を願いたいと思う。特に税制調査会とかいうのもあるのだが、この税制調査会のメンバーからいって一方的である。一つも勤労大衆などを代表しておるメンバーは入っておりはしない。御用学者か、さもなければ資本家の代表者が多いですからね。そういうようなところで作られるものを、税制調査会の答申を待ちまして、なんと言っておったんでは、それは組み立てがおかしい。まあこういう点などは急には私どもの言うようにはならぬでしょう。ならぬでしょうが、少しは私の意見も参考にされ、税制調査会のメンバーなどにおいても労働組合とか農民組合とかいう民主団体の人を入れて、十分意見をこなしていく。たまたま労働組合などは一人だれか入っているらしいけれども、その程度ではなくて、まあ十人ならば少なくとも、半分とまでいかなくとも、四−六の率くらいは入れて、そうしてお互いが大いに新しい日本の経済の基礎に対し意見を交換し合って、それで最後は多数決によってきめるならきめる、そのくらいの雅量を持った案を、村山局長、一つ政府に出すくらい、あるいは大臣に示すくらいな気持を持たれてもいいと思うのですがね。これはあなたに、将来あるお役人として、これだけ助言だけ申し上げておきます。
#297
○政府委員(村山達雄君) まあ先生から非常に激励のお言葉をいただきましてありがとうございました。われわれ所得税を組む場合に、もちろん所得分布の状況というものを絶えずこれは着目していかなければならぬと思います。今度の減税も主として扶養控除の引き上げとか、あるいは給与所得についての定額控除という点、これは中小所得者に大きく響くという点でございます。それから、税率の改正にいたしましても、政府の税制調査会は、百八十万、課税所得百八十万まで減税案があったわけでございますが、政府の方ではいろいろ検討いたしまして、課税所得が七十万以下のものに限定したわけでございます。課税所得七十万と申しますと、総所得百万円でございます。納税者層の階級分布でいいますと五%くらいしか人員がないわけでございます。今度はその辺でごしんぼう願いたいというわけでございます。
 なお、標準世帯におきまして、今度年間の収入金額に対してどれくらいの減税率になっておるかと申しますと、四十万円の収入のところでは八七%の減税、五十万円で四二・九%、七十万で三二%、百万円では二三%、一千万円になりますと一・一%、ほとんど減税率は割合でいいますと非常に少なくなっておりますという現状でございますが、これで十分だとわれわれ考えておるわけではございませんで、今度の改正ではこの程度にとどめざるを得なかった。今後さらに減税の機会を見まして、所得分布の状況等を十分考慮して、それぞれ事宜に適した減税を続行して参りたい、かように考えております。
#298
○須藤五郎君 私、所得税の問題については大蔵大臣に質問をいたしたい点があるのですが、大蔵大臣はいつ御出席になる予定でしょうか、委員長に伺いたいのです。
#299
○委員長(大竹平八郎君) 今のところ、いつと言われても、出席の日にちを確約するわけにはいかぬのですが、むろん、これを上げるに際しましては大蔵大臣に出席をしてもらって上げたいと、かように考えております。いずれまた政府と打ち合わせして御連絡いたします。
#300
○須藤五郎君 それでは、所得税については大蔵大臣の出席のときにすることにして、私は保留をしておきますが、少し入場税の問題について私は伺いたいと思うのですが、今日適当でしょうかどうでしょうか。
#301
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#302
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
#303
○須藤五郎君 入場税の問題について尋ねたいのですが、政府は入場税を下げる、あるいは撤廃するというような意思を持っていますかどうですか。
#304
○政府委員(村山達雄君) 今のところ、撤廃するというところまでは考えておりませんが、来年度は間接税を、国会方面の御意見もございますし、われわれも初めから考えておったわけでございますが、来年度は間接税を中心にいたしまして全面的な再検討を加えていきたい、その際には当然入場税について検討を続けていきたい、かように考えております。
#305
○須藤五郎君 今、勤労者音楽協議会という、勤労者が集まってめいめいが金を出し合って音楽を聞く会があることを御存じですか。
#306
○政府委員(村山達雄君) 存じません。
#307
○須藤五郎君 これは私が戦後作った組織なんです。何のために私が作ったかというと、戦後あの荒廃した中で、勤労者が精神を休めるところを求めておったわけです。ところが、当時音楽会が非常に高くて、当時の金で二百円、二百五十円ですね、そのくらいの入場料を払わないと音楽を聞くことができなかったんです。ところが、その当時の給料というものは低いですから、とても音楽を聞くことができない。そこで労働組合の文化部の諸君と話し合いをして、めいめいが月五十円の会費を持ち合って、そうして自発的に音楽家を頼んできて、そうして自発的に会場を設定して、そうしてそこで音楽を聞くという組織を作ったわけです。これは大阪で初めてできたのですが、できましたときは七百人の会員で五十円で三万五千円金が集まった。大阪の朝日会館を一万円で割引で貸してもらって、それから演奏家に謝礼を一万円ほどして、あと事務費やいろいろな費用に使って、そうして音楽を聞く自発的な集会を持ったわけです。最初は税金がなかったのです。ところが、最近はそれがだんだん大きくなって、今全国で会員が五十数万になっております。全国的な組織になったわけです。しかし、そのやろうとしておる趣旨なりやり方は以前と少しも変わりがないわけです。ところが、途中からこれに対して普通の音楽会と同じ課税をすることになって、国税庁から、前は地方でありましたが、とにかく税務署から税金を取りにくるということになったわけです。私たちはこれは不当だと思っておるのですが、主税局長はどういうふうに考えられますか。
#308
○政府委員(村山達雄君) これは実は実態をよく見てみませんと即答はしかねるわけでございますが、要するに、やはり対価と認められるべきものであるかどうかというところでおそらくきまるのではなかろうかと思います。そこで、御案内のように、かりに音楽会にいたしましても、純音楽でございますと税率は一般に安いということになっておりますが、今のこれに課税するのはいいのか悪いのかということになりますと、実態を見て、はたしてそれが対価であるかどうか、こういうことによってきまるだろうと思います。
#309
○須藤五郎君 こういう形が大きくなったものなんですね。要するに隣り組あるいは音楽同好者で、あの人の音楽を聞こう、聞きたいというような希望を持ったときに、お互いにある一軒に集まって、十人でも二十人でも集まって、そうしてお互いが金を出し合うわけですね。そして、そこで音楽家に来てもらって、サロンで音楽を聞く。そしてみんなが出し合ったお金でお礼を作って、その演奏家に持って帰ってもらう、この形の大きいだけなんです。何にも営利事業じゃないわけです。主体は、聞く人が主体である。何にも営利にこれを扱っている人というものは一人もないわけです。だから、私はこれに課税すること自体が不合理だと思っているわけです。もう一ぺん主税局長から。
#310
○政府委員(村山達雄君) その点は、営利事業としてやれば課税する、そうでなければ課税しないということでなくて、営利事業の目的に課税するわけではございませんので、入場者の入場に伴って支払う料金、対価として支払う料金、これに課税して、消費税でございますので、そういう支払い能力があれば、それに相当する税金だけは入場者が負担することを予定しているわけでございます。従いまして、まあ営利事業であるかどうかという点は直接に関係なくて、お出しになるものがいわば入場の対価と見られるかどうかというところにポイントがあるのだろうと思います。詳細のことは、実際のものを見ていかないと言えないだろうと思います。
#311
○須藤五郎君 入場料として取っていないのですよ。会費として同、今大体百円くらい納めているわけです。みんなが持ち合って、百円の中に事務費やそういうものをいろいろ全部含めて取っている。そうして音楽会を開いて、そうしてその中からとにかく何がしかの謝礼を演奏家に払っている。入場料として払っていない、会費として払ってやっておるわけです。それに対して入場税を取ることは、私はおかしいと思うのです。よく研究して下さい。あなたが知らないのじゃ、ちょっと話がしにくいと思いますが、この国会の職員なんかにも労音に入っている人がたんさんあるわけです。国税庁の中にもたくさんあるわけです。労働組合の若い人たちは、その音楽を聞くことによってその人たちの人間性が高まっているわけです。そういう目的がやっているわけです。そういうことに対して普道の興行主がやるいわゆる演奏会と同じような課税をするということは、私は不当だと思うのですよ。この点、大いに研究してもらいたいと思います。
#312
○政府委員(村山達雄君) さらに、今のお話は、国税庁の方を通じまして実態をよく調べてみたいと思います。おそらくそういうものでありますと、名前はもちろん入場料と名前をつけないと思いますが、それが入場税法で規定しておる、法律で規定しておる対価に相当するかどうかというところが、最後の形で分かれるだろうと思いますが、なお実態を見て検討してみたいと思います。
#313
○委員長(大竹平八郎君) 質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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