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1960/04/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第20号
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1960/04/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第20号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第20号
昭和三十六年四月十一日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
   ――――――――――
  委員の異動
四月三日委員清澤俊英君辞任につき、
その補欠として戸叶武君を議長におい
て指名した。
四月五日委員塩見俊二君辞任につき、
その補欠として木暮武太夫君を議長に
おいて指名した。
   ――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理 事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           天田 勝正君
           天坊 裕彦君
   委 員
           大谷 贇雄君
           岡崎 真一君
           梶原 茂嘉君
           西川甚五郎君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           前田佳都男君
           前田 久吉君
           山本 米治君
           荒木正三郎君
           戸叶  武君
           野溝  勝君
           永末 英一君
           須藤 五郎君
  政府委員
   大蔵政務次官  田中 茂穂君
   大蔵省主計局次
   長       谷村  裕君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   厚生省年金局長 小山進次郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
   ――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民年金特別会計法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○連合審査会開会に関する件
   ――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 国民年金特別会計法案を議題といたします。
 本法律案は、御承知のことと存じますが、衆議院で修正の上、去る七日、本院に送付されたものであります。
 これより本法案の補足説明を聴取することにいたしたいと存じますが、衆議院の修正は内容が簡単なものでありますので、補足説明に引き続き、便宜、政府側から衆議院の修正点についての説明を願うことにいたします。
 なお、政府側の出席は田中大蔵政務次官、谷村主計局次長、上林法規課長、小山年金局長でございます。
#3
○政府委員(上林英男君) さきに提案の理由の説明がございました国民年金特別会計法案につきましては、補足説明を申し上げます。
 国民年金制度につきましては、第三十一回国会におきまして成立いたしました国民年金法により創設されまして、そのうちいわゆる経過的福祉年金につきましては、昭和三十四年十一月一日からその給付が行なわれております。また、いわゆる拠出制年金につきましては、今年の四月一日から開始されることになっておるわけでございます。しかして、国民年金法に基づきまする国民年金事業を経営して参りまするためには、政府管掌の各種の保険事業におきますと同様に、国民年金事業に関する歳入歳出はこれを特別会計において経理運営することが適当であると考えられますので、国民年金特別会計を設置いたしますためにこの法律案をお願いいたしておる次第でございます。
 このような趣旨によりまして、まず、この特別会計におきましては、国民年金法に基づく国民年金事業に関するすべての経理を行なうことといたしております。従いまして、いわゆる拠出制年金とともに、また無拠出制年金に関する経理につきましても、これを特別会計で行なうことになるわけでございます。
 次に、この特別会計は厚生大臣が管理いたしまして、その経理は、国民年金勘定、福祉年金勘定、業務勘定の三つの勘定に区分して行なうことといたしております。そうして国民年金勘定におきましては拠出制年金に関する経理を行ない、福祉年金勘定においては無拠出制年金に関する経理を行ない、業務勘定においては国民年金事業の事務取り扱い等に関する経理を行なことといたしております。そのほか、他の特別会計法の例文にならいまして、この特別会計の予算及び決算に関し必要な事項、その他この会計の経理に関し一般的な事項を規定いたしております。
 以上が政府提案の国民年金特別会計法案の補足説明でございます。
 次に、衆議院におきまするこの法律案の修正につきまして御説明申し上げます。
 政府が提案いたしました国民年金特別会計法案におきましては、附則第一項におきまして、「この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。」ということにいたしておりましたが、四月一日はすでに経過をいたしましたので、衆議院におきましてこれを公布の日から施行するということに修正がなされました。また、この法律は、昭和三十六年度予算におきまして国民年金事業に関する経理をすべてこの特別会計で経理することにいたしておりまするので、遡及適用の要のないものは別といたしまして、原則といたしまして、昭和三十六年度予算から適用するというふうに修正が行なわれました。これに伴いまして、附則二項につきましても、所要の各修正が行なわれたわけでございます。
 以上が国民年金特別会計法案の補足説明及び衆議院におきまする修正についての説明でございます。
 なお、国民年金特別会計の三十六年度予算はすでに成立を見ておりまするが、この国民年金特別会計法の成立を見ませんと運営をいたしかねる状況でございまするので、国民年金事業の円滑な実施のためにすみやかに御審議の上御可決下さいますように、お願い申し上げる次第でございます。
#4
○委員長(大竹平八郎君) 御質疑のある方は、順次、御発言願います。
#5
○荒木正三郎君 この国民年金特別会計の内容でございますが、私どもの手元に配られている資料では、昭和八十年には三兆四千億、それから昭和九十年には三兆六千億をこえる積立金ができるというふうになっておる。これは非常に大きな金額になるわけですが、こういう金額の上からいっても、非常に膨大な金額になる。内容からいっても、国民の福祉に直接関係の深い会計である。で、こういう会計の取り扱いは、私は相当厳重にする必要があるというふうに考えるわけです。そういう意味からいって、この会計は厚生大臣の責任でやるようになっておるように思うんですが、さらにこれを強めて、国会の承認を得るというふうな特別な措置を考慮したらどうかというふうに私は考えるわけなんですが、この点について政府の考え方を説明してもらいたいと思う。
#6
○政府委員(小山進次郎君) 仰せの趣旨は、おそらく、このように巨額の積立金を持つことになり、この積立金の運用いかんということは国民の福祉に非常に大きい影響を及ぼすから、特に慎重を期する手続をとることを考慮すべきだと、こういうような御趣旨たと拝聴いたしたのでございますけれども、仰せの趣旨は、私ども当局側におきましてもまた同じように考えておりまして、それで、従来からこの種の積立金は資金運用部に一括して運用しておったのでありますが、さらに御趣旨のような趣旨を十分表わしますために、この国民年金の積立金と厚生年金の積立金は、これは金額からいいますと、厚生年金の積立金の方が圧倒的に多うございまして、これは毎年千億から千二、三百億ぐらいの割合で今後ふえて参ります。これに対して、国民年金の積立金は三百億から、三百二、三十億というような規模でございますが、これらを一括いたしまして、こういった年金関係の積立金がどういう使途に運用されているかということが国民の目から見て一目瞭然にするような仕組みをとろう、こういうことになりまして、すでに御審議をいただきました資金運用部資金法の改正においてその趣旨が明らかにされることになったわけでございます。すでに先生方が予算審議の際にごらんをいただきました補足資料にありまするように、今年度のこれらの資金がどういう使途に運用されるかという内容が明示される、こういうことになったわけであります。今後この運用を通じまして、さらにこれらの運用が一そう被保険者である国民の期待に沿うようにいたしたいということでいろいろと研究をしている、こういう事情でございます。
#7
○荒木正三郎君 私の言っているのは、この会計決算を国会に提出してその承認を求める、そういうふうにできないかと言っているのです。
#8
○政府委員(谷村裕君) 御質問が、もしこの特別会計の経理について国会のという意味でございますならば、当然、これは特別会計でございますので、予算につき、また決算につき、それぞれ国会に提出して見ていただくことになるわけでございます。
#9
○荒木正三郎君 承認を得るかどうか。
#10
○政府委員(谷村裕君) まず、予算の成立については当然国会で議決をいただかねばなりませんし……。
#11
○荒木正三郎君 予算じゃなしに、決算の方を。
#12
○政府委員(谷村裕君) 決算の方は、これはいわゆる決算の方の手続に従いまして御審議をいただいて、御承認を得るわけでございます。御承認じゃなく、議決というのですか何というのですか、一種の承認ですね、やはり国会の方でやっていただくことになるわけでございます。議決案件ではないのですが、何案件と申したらよろしゅうございますか、承認をいただくわけでございます。そういうことになると思います。
#13
○荒木正三郎君 そういう手続になっておれば、それでいいと思うんです。私はそういう手続になっていないのじゃないかというふうに思ったものですから、質問をしたわけであります。
 それから、この積立金の運用の問題ですが、これは先ほどのお話では、厚生年金の積立金、それから国民年金の積立金、これについて積立金の運用については特別な法的措置を講じてある、こういうわけですがね、あの二つに。まあ二つも問題であるが、国民年金の運用について、単独でその運用の問題を立法化するという措置は行なわれておりますか。
#14
○政府委員(小山進次郎君) これは行なわれておりません。先ほど申し上げましたように、厚生年金と国民年金、これに、ずっと規模は小そうございますが、国家公務員共済組合からの預託金、船員保険の長期部門の預託金、つまり公的年金といわれるものを合わせて一つの仕組みで運用する。これはいずれも共通性を持っておりますので、さようにいたしておるという事情でございます。
#15
○荒木正三郎君 その運用の責任者はだれですか。所管は大蔵省になるのですか、厚生省になるのですか。
#16
○政府委員(小山進次郎君) これは大蔵大臣でございます。
#17
○荒木正三郎君 一括してこういう資金をどういう方面に使うか。これはまあ効率的に運用をするためにいろいろ問題があると思うんですが、こういう福祉関係の積立金、これは特にこの国民年金の会計は厚生大臣がやるというふうになっておるのですね。運用は大蔵大臣がやるというふうになっておるわけですね。それで別に厚生省としては差しさわりはないのですか、その使途等について。
#18
○政府委員(小山進次郎君) これらの資金もいずれ国家資金であるという点においては統一的に運用しなければならぬ面は持っておりますが、同時に、先生仰せのように、これらの資金にはやはりこれらの資金にふさわしいというふうに国民の感ずる使途があるわけでございます。従って、国家資金で充足する使途のうちで国家の目から見てもっともだと思われるような使途にこれを集中的に向けていきたい、こういう考えからいたしまして、本年度におきましては、これらの資金総額千四百四十億のうち四分の三を、たとえば住宅とか水道とか下水道とか、あるいは社会福祉関係の施設とかいう、国民の福祉に直結しているというふうに国民が感ずるものに向ける。残りの四分の一を、たとえば道路とか港湾であるといったような国民生活の基盤をつちかうような使途に向ける。まあ、とかくいろいろ論議を呼びやすいところの輸出振興とか基幹産業とかいうようなものには、この種の資金は向けない、こういうような運用内容になっているわけでございます。
#19
○荒木正三郎君 そういう運用内容は法律で規定する、その方が明確になるのじゃないでしょうかね。
#20
○政府委員(小山進次郎君) この種の運用内容は、やはりそのときどきの情勢に最も合うようにきめていかなくちゃいかぬ関係がございますので、毎年大蔵省を中心にして厚生省が意見を申し述べて相談をしてきめていくと、こういうような仕組みになっているのでございます。
#21
○荒木正三郎君 先ほどの説明と私ちょっと違うのじゃないかと思うのですが、今年度のこの特別会計から資金運用部に預託見込み額が三百億円、このうち二五%の七十五億円が国民年金が特別融資として住宅、病院、国民の福祉等の予算に直結する分に充てる、こういうふうに私どものもらっている資料には書いてあるのですがね。今の説明では四分の三をこれらに充てるというふうに説明があったと思うのですが、ちょっと開きがあると思うのですがね。
#22
○政府委員(小山進次郎君) ただいま先生が仰せの分は国民年金の特別融資という部門のものでございまして、これは先ほど申し上げました使途のうちで特に運用方法に独特な味を持たせる意味で、運用の個々の貸し先といったようなものの決定についても、厚生省も――厚生省といいますか、まあ拠出者側の希望を端的にいれて、厚生省が事務を進めて、自治省、大蔵省と御相談をして最後の決定をする、そういう仕組みできめる部分が特別融資の二五%、資金全体としては、資金全体の中の七五%というものが先ほど申し上げた国民の生活に直結しているような使途に振り向けられる、かような決定内容になっているわけでございます。
#23
○荒木正三郎君 この問題は、ほかの機会にも十分論議されると思いますので、私はこれぐらいで終わりますが、もう一つ、これは非常に長期なものですが、貨幣価値の変動というものとの関係ですね、これはどういうふうになるのですか。
#24
○政府委員(小山進次郎君) この問題はいろいろ制度の決定の際にも御論議をいただいたものでありますけれども、貨幣価値の大きな変動なんというのはあっちゃならぬことでございますけれども、国民の面から見まするならば、過去において手痛い経験をしておりますので、そういうことに対する不安、疑惑というものは当然あるわけでございます。そういうことも考慮し、またあわせて、かりに貨幣価値があまり動かなくとも国民生活はぐんぐん向上して参ります。そういたしますというと、現在の状態できめておく年金の額というものは、いよいよもらうときになると非常に相対的に見て少なくなってしまう、こういう事情もありますので、国民年金法では特に第四条という規定を設けまして、ここで、国民生活の水準とかあるいはただいまおあげになった貨幣価値等に大きい変動があった場合には、それに応じて年金額は調整をしていくという根本の原則を規定しております。この具体的な実行方法としては、五年ごとに収入支出及び諸般の事情にかんがみての年金額の再検討というようなことをやりまして、五年ごとにこの調整を立法的に行なっていく、当然国会の御審議をいただきまして内容をきめていただくわけでありますが、そういう仕組みが第四条に特に明瞭に規定してございます。
#25
○荒木正三郎君 これは私も経験しているのですが、戦前一万円なら一万円の保険をかけた。これは相当な掛金ですわね、戦前は。戦後のインフレで、一万円ぐらいの金をもらったって何の役にもたたぬ、こういう事態を経験したわけです。これは政府の経営している保険じゃなかったですけれども、これではこういう事態、将来どういうふうな事態が起こるか私にもよくわかりませんけれども、今の価値は非常に低いのです。今度は逆になるのじゃないかというふうに一応考えられますが、とにかく三百倍、三百分の一ぐらいの貨幣価値に下がっている。それを今受け取らなければならぬ。そんなばかな話ないですよ。これは、こんなばかな、保険なんというものに入っておったら困るという気持は、私は戦前かけた人はみな持っているのじゃないか。だから、こういう国民年金のように強制的に加入せしめる、国がやるという場合には、貨幣価値の相当な変動、それに対応する措置というものは十分考慮する必要があるのじゃないかと思うのですが、今のお話では、そういうことについてはそのときどきにおいて十分検討、こういうお話でしたか、こういうのはもう少し明確にしておく必要があるのじゃないでしょうかね。
#26
○政府委員(小山進次郎君) 実態はまさしく先生仰せの通りでございまして、また、この法律にも先生仰せられるのと同じ考え方の規定があるわけであります。問題はその方法をどういうふうに表わしていくかという問題になるわけでございますが、これはいろいろむずかしい問題がありまして、なかなか一律にある種のものに関連させて、ある種の指標に応じて自動的にスライドさせるというような仕組みは、なかなかこれはきめがたいのでございます。それで現在の法文は、そういうような事情からいたしまして、いろいろ検討された結果、ILOの百二号条約にこういった問題についての根本的な態度が規定してございますが、ほぼそのくらいの考え方を移し受けて規定したものでございます。まあ、現在のところは、大体この程度の規定以上に具体的なものにしがたい。しかし、運用については先生仰せの通りの懸念のないようにしていくということは、これはどうしても守っていかなければいかぬというふうに考えています。
#27
○荒木正三郎君 もう一つの問題は、これは国民年金法の内容、その法案の審議で十分質疑したらいい問題かもしれませんが、六十五才から年金を支払う。一般の公務員等の年金は五十五才ですね。そういう関連はどういうふうに検討されたのか、それが一つ。
 それから、掛金が二十才から三十四才までは百円、三十五才から五十九才までは百五十円というようになっている、こういうふうに思うのですが、これで私らの方で計算すると、年利五分五厘の復利で計算しますと、大体六十五才からもらうのですから、それまでの計算をしますと二十六万円くらいになるのです。それを六十五才からもらう。実際にそれならどれくらいもらえるかという問題になるわけですが、私の調べたところでは、日本の平均寿命は大体男子で六十五才ですね、今のところ。女子で六十九才から七十才ですね。それでは全体としてこの会計は非常に余ってくるのじゃないかと思うのですがね。平均年令が六十五才で、年金のもらい始めが六十五才でしょう。だから、ほとんど国民の半分以上は年金をもらえないで、掛け損ということになるのじゃないんですか。こういう計算は、私どもはどういうふうに計算するのかよくわかりませんけれども、少なくとも平均年令が六十五才で六十五才からもらい始めるということになれば、国民の半分は年金をもらえない人が、掛けたままもらえない人ができるのじゃないかというふうに考えるのですが、これは何か一定の方式とか何かあるのですか、どうですか。私どもは、こういう計算でいくと、七十五才まで生きないと自分の掛けた金がもらえないという勘定になるのです。七十五才まで生きないと自分の掛けたものがもらえない、こういう格好になっておる。ということは、私の言いたいのは、非常な不利になっていくのじゃないか。これだけの掛金であれば、今の日本人の平均寿命から考えて、もう少し高い年金がもらえるような計算が出てこないかどうかという点ですね、そういう点をお聞きして私は質問を終わりたいと思いますが、その二点ですね。
#28
○政府委員(小山進次郎君) 第一の問題でありまする、何ゆえに六十五才からということにしたかという問題でございますが、仰せの通り、公務員は五十五才からということになっております。一般の勤労者の年金は現在六十才ということになっているわけであります。それで、国民年金の老令年金の受給開始年金をきめます際にも、六十才説、六十五才説、あるいは七十才説というのがあったようでございまして、これは大内兵衛先生が会長をしておられる社会保障制度審議会でずいぶんといろいろな角度から御議論になったのでありますが、結局、国民年金の対象になる人は、これは半数以上が農民でございます。それから、それ以外の人々でも、零細ではございますけれども、自営業者という人が圧倒的に多い。つまり、対象の大部分がそういった人々でございまして、その点において、厚生年金の対象になっている勤労者と比べると、生産手段を持っているという意味合いにおいて、生産活動年令が少し長いと判断していいのじゃないか。それから、もう一つ、先生のお感じと逆のことを申し上げることになってしまうのでありますが、保険料の額とか国庫負担の関係等を考えますというと、六十才にいたしますのと六十五才にいたしますのとでは、ちょうど財源関係から申しますと一対二の関係になるというような事情もありまして、六十五才、こういうふうにきめて答申をされたわけであります。それを受けて六十五才ということにきめたのでございますけれども、いよいよこれを実施するということになってみますというと、どうも国民の間から六十五才ではおそ過ぎて待てぬといったような感じを持つ人がかなり出て参っておりますので、この点は、現在御審議を願っております今度の改正法案で、六十五才というふうに基本の線はそのままといたしておきましても、特に希望する方には六十才から老令年金の支給が受けられるようにするということで、弾力性を持たせることによってその間の調節をはかっていこう、こいうふうにしているわけでございます。
 それから、第二の問題の、二十才から納めた保険料を五分五厘でころがしていくと六十五才には二十六万程度になるはず、だがという仰せ、仰せの通りでございます。その通りでございます。ただ、問題は、先生はそこで零才のときの平均余命をもとにして御議論なさっておられるわけでございますが、年金をもらいます年令は六十五才でございますから、六十五才からどれだけ生きるかという六十五才の平均余命が問題になるわけでございますが、従って、この問題を考えます際の要素は二つございまして、一つは二十才で加入をした男女の人々が六十五才までたどりつくと申しますか、たどりつく割合がどのくらいあるかという問題が一つでございます。次には、六十五才までたどりついた人がその後何年延びるかという問題があるわけでございます。前段の方の問題を申し上げますと、二十才をもとにいたしますと、男の方がこれはどうもたどりつく率が低いのでありまして、大体七割程度の人がたどりつく、三割は途中で落後するという結果になっております。女子の方は八割がたどりついて二割が途中で落後する。それから、六十五才になった男女について見ますというと、ここでも男子の方が平均余命が短いのでございまして、およそ十二年足らずでございます。女子はこれに対して十四年程度。そういうような事情からいたしまして、もらいます年金総額を直してみますというと、およそ三十五万円程度のものを六十五才の現価に直してもらうというような格好になっているわけでございます。納めたものとこれとの差額は、国庫負担あるいはそれ以外の人々の年金分が一部そこに集まる、こういうふうな仕組みでできているわけでございまして、決して加入する人に不利な仕組みではなくて、これは非常に有利にできているのでございます。
#29
○天田勝正君 私も二、三点伺います。国民年金事業福祉施設費の歳出、こういうので、それに該当すべきことと思われるものが業務勘定のうちに二千万円、わずかあるわけですけれども、これは一体どういうものをやろうとなさるのですか、まずこれを伺います。
#30
○政府委員(小山進次郎君) これは別に国会で御審議をお願いしておりますが、年金福祉事業団というのを作って、それを通じて還元融資を十分に行なっていく、こういうような計画が並行して進められておるのでございます。その年金福祉事業団において――これは大部分が厚生年金の金が行ってその系統の仕事になりますが、またその中に国民年金の方から十億程度今年度は金が行くことになっております。この金が福祉施設等の融資に振り向けられる。その際に、通常の利回りよりも低い利回りでそれを貸し付けるという計画になっておりますので、その利差損と申しますか、それを一部補うものと、それからその事業団が仕事をしていく場合の事務費、これは厚生年金が大部分負担するわけでございますが、国民年金においても一部負担する、そういうものがそこに出ているわけでございます。
#31
○天田勝正君 そうすると、これは福祉施設費二千万円と書いてありますけれども、実際は利子補給金だと、こう考えていいのですか。
#32
○政府委員(小山進次郎君) 今年度の分はさようでございます。
#33
○天田勝正君 そうしますと、これが、だんだん累積されていった場合には、初年度二千万ですから、ずっとこれが十億にも何ぼにもなると思うが、さような場合には、本会計で直接仕事をするのではなくて、今説明されたように、あくまで事業団にまかしてそういう施設はするのだ、こういうことですか。
#34
○政府委員(小山進次郎君) その点は、実を申しますと、今後の問題として一つ残っている問題でございます。それで、事業団で行ないます仕事はほとんど全部が還元融資の仕事になるわけでございます。従って、その系統の仕事に関しまする限り、先生仰せのような工合になっているわけでございます。しかし、それとは別に、この特別会計自体においてやはり、たとえば老人ホームとかという類の福祉施設も持ちたいという希望があるわけでございます。これは今後の問題でございますが、そういうようなことで、関係部門で意見が一致して、将来そのような予算が計上されるということになれば、それはそれとして行なわれるという可能性は残っているわけでございます。
#35
○天田勝正君 希望などというのじゃなくて、そういうものを初めから明示される方が国民としては大いに期待が持てるのであって、私はこの表を見て実際は驚いた。こちらの方では説明で、「国民年金事業福祉施設費を歳出とする。」、いろいろな歳出のうちですが、そういうことが書かれておって、今度はこちらを見るというと、わずか二千万円しかない。二千万円では何にもできないじゃないか、こういうことなので、これはどうなんですか。大蔵省側は資金運用の関係でなるべく資金運用部にまとめて、あれやこれやで配分する方が都合がいいのだと思うけれども、国民年金にふさわしい施設の方に自由にかなりの部分を使う、こういうことにしなければ国民は希望が持てないと思うのですけれども、この点は役所間で意見の一致を見ないのですか、どうなんですか。
#36
○政府委員(谷村裕君) 今御質問になりました点は、厚生省の政府委員が答弁いたしましたように、もしこの会計自身がこの会計自体として行ないますいろいろな福祉施設、これは法律によりますと、法の八十四条に「政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」、これは厚生保険特別会計がたとえばみずからいろいろな病院なり何なりの施設を持つ、あるいは船員保険がそれを持つと同様の意味において、この特別会計がこういう施設を持つ、そういうための金額としてこれが少ないじゃないかという御質問であろうと思います。この点につきましては、今、小山政府委員が答弁いたしましたように、今後そういう政府のいわば年金等のそういった社会福祉の特別会計がみずから施設を経営するのがよろしいか、あるいは別途施設を経営するような特殊法人を作ってやるのがよろしいかというような問題もございまして、まだ今後の検討になっておりますが、先ほどお話が出ました年金福祉事業団、これが単に融資の問題だけをやるか、それともみずからいろいろ福祉施設などを持つようになるか、その意味の事業団構想では、福祉事業の事業施設をみずからも持つことができるという考え方になっておりますので、今後まだその問題は、先ほどお話の出ましたように、残されておるわけでございます。
 そこで、二千万と申しますものは、今回は最初のまずそういった福祉事業団のための経費に充てるためとして出しております金額でありまして、ただいまの積み立て状況等からいたしますと、まずこの程度でございましょうと思っております。なお、念のために申し添えますが、福祉事業団に対しましては、さっきから申し上げておりますように、厚生年金の方の積立金の運用の方が大きくございますので、厚生年金の会計の方から五千七百万とか、あるいは船員保険の方から二百万とか、そういう金額がやはり融資のための事務費とかあるいは利差損を埋めるために出ておるわけでございます。
#37
○天田勝正君 もう、とかくこういう法律規定になると、ものものしい規定をするけれども、さっきの説明で明らかなように、われわれの方は、国民年金事業福祉施設費と、こうなっておる以上は、施設というからには何か建物なり、その中の設備なり、こういうものをだれだって考えるんですよ。ところが、今の説明でいけば、言うなれば利子補給金なんですよ。低利に何をするということはけっこうな話だし、そうしてどこへでも勝手に融資するのではなくして、もちろん国民年金としてふさわしい福祉施設なんでしょうから、必ずしも意義がないとは言いません。しかし、何か施設をするんだという看板をかげながら、実際は利子補給金だというに至っては、どうもいただきかねる気がするんです。それなら、私はそういう項目にした方がいいのではないか、こういうふうに考える。
 で、この程度が妥当だというのはどういう根拠で言うのだか知らないけれども、なるほど三十六年度は一般会計の受け入れもずいぶん多いようですけれども、しかし年金勘定で二百二十三億というものもここへ出てくる。二百二十三億と二千万円と比べたら、何を基準にして――多い少ないというのは、それはそれぞれの人によって違いましょうけれども、ひょっと見たところでは、おそろしく少ないなという気かするのですが、どんなもんでしょう。どうしてもこの程度というのは、何から割り出したのですか。
#38
○政府委員(谷村裕君) ただいまの御質問二点ございますか、最初の点では、年金福祉事業団に対して経費を支出することもやはり福祉施設のための経費であるというふうに考えております。
 それから、第二点は、金額が二千万というので、少ないではないかというお話でございますが、なるほどたくさんの保険料収入、あるいはまた国庫からの出て参ります、給付金の保険料に対してあわせて出ます金額、そういうのがございますが、それを資金運用部に預託いたしまして、その積立金の運用によって得ました金利、これのうちから、いわばそれが収益としてこの特別会計の収益になるわけでございますが、その収益のうちから出るわけでございますから、二百二十三億という金額に比べてそれが小さいということではなくて、むしろ金利から、収益から比較していただけばよろしいのじゃないかと思います。
#39
○天田勝正君 どうもこの点、割り切れませんが、その次へ移ります。
 福祉年金勘定で雑収入というのが二億六千三百五十万円かあるわけですが、この初年度における雑収入というのは何を意味するのですか。
#40
○政府委員(小山進次郎君) 初年度における雑収入は、全部が、何か間違ったと申し上げた方がいいと思うのですが、間違って年金をお受けになった方の返納金でございます。つまり、受けるべからざる方が受けられた方の返納金というものがこれでございます。
#41
○天田勝正君 間違えたというのはずいぶんおかしいことなんですが、言うなればこういうことですか、七十才で受けらるべきものが、実は七十才でなくて六十九才八カ月、こういうような場合に受けてしまったし、やってしまったしと、こういうことですか。
#42
○政府委員(小山進次郎君) 年令の間違いというのはほとんどないのでございますが、ほとんど全部が、ほかの年金を受けておりながら、その事実を申請の際には書かないで、全然もらっていないということで申請をなさる。いろいろ照合するのでありますが、何分非常に多数の年金受給者との照合で、こちらでは発見しにくい。実際にそれで受けられたあとで、あの方はもらっているということがわかる、そういうようなことで返していただくというのが大部分でございます。
#43
○天田勝正君 ちょうど次の質問の今答弁があったわけなんですが、国民年金といっても、全体が要するにもらえるわけじゃなくて、他の年金をもらったら高い方、こういうことなんで、その高い方といったところで、この国民年金が一番低いわけですから、おそらく他の年金をもらっておる人はもらえないと、きめてかかっていい筋だと思うのです、今のところでいえば。そうすると、それらを差し引いて、結局、今何といいますか、歩どまりにしますと、結局この国民年金をもらえるであろう可能の率というのは、どれくらいの率になりますか。
#44
○政府委員(小山進次郎君) 各種の年金別に申し上げますというと、老令年金について申し上げますと、七十才以上の方が三百十八万おります。このうちただいまお話に出ましたほかの年金をもらっているという人々、これは六十九万人おりますが、それ以外にいろいろの所得による制限その他でもらえない人等を合わせますと、百二十万の方が受ける資格がないということになって、実際にもらっている方は百九十七万八千、つまり三分の二という人々が現実に受けて、三分の一強の人が受けないでいる。老令年金はそういう状況でございます。それから障害年金で、障害の程度一級以上という人が二十四万六千おりますが、このうちただいまのような事情で受けない人が六万二千、実際に受けております人は十八万四千。これは非常にいわば先生の仰せの歩どまりが高いわけでございます。それから母子年金は四十八万七千おりまして、このうちいろいろな制限措置で受けない人が三十万四千おります。この三十万四千のうち、特に公的年金以外の理由というのが相当あるのでありまして、公的年金を受けているということで受けていない方が十四万、それ以外に御自分の所得が年に十三万以上あるということで受けていない方が十二万ございます。こういうような事情で、三十万四千の方が受けないで、実際に受けておる方が十八万三千。つまり、母子福祉年金はその意味においては非常に歩どまりの低い年金ということになっておりまして、今度の一部改正法案等におきましても、努めてそういうものの改善に一歩を進めたいというようなことが考えられておる事情でございます。
#45
○天田勝正君 この老令年金でいえば、三分の一が適用外になって、三分の二が受けられるのだ、こういうことですが、しかし、その人たちは、今度は亡くなっても、受けられない人が亡くなっても、さらにその家族が受けて、それが年金よりも高いという場合も大いにあり得るわけなんですが、そういう点はどうなりますか。
#46
○政府委員(小山進次郎君) 老令年金を受けておられる方が亡くなりますと、多くの場合、ほかの年金制度では遺族年金に転嫁しますが、そうしますと、その遺族の方は、大てい七十になっていないという事情からいたしまして、遺族といっても奥さんだと思いますが、そういう事情からして、いずれにしてもこの年金とは直接の関係を持たぬということになりますので、あまり実際の問題は出て参っておりません。
#47
○天田勝正君 先ほど荒木さんの方からも、年金掛金の元利合計が二十六万円になり、受ける額の方が少ないじゃないか、こういう質問をされましたが、私は別の機会に簡保の問題をここへ取り上げて、実際政府側も弱ったことがあるのですけれども、局長がお見えになったときに、私はその例もあげて、一つ調べてほしいということを、これは個人的に頼んでおきました。そこで、私が非常に不思議にたえないのは、簡保の場合は、その際も申し上げたように、たとえば十年掛で十五年満期というようなのがあって、そういうのは十年にしてすでに全部かけてしまう、その間において生命の危険があるから云々という説明はどうしても通用しない、全部かけてしまうのだから。その後において死ぬのであるから、もう掛金は全部済んでしまう。掛金が済まないのに、三年くらいかけても、つまり一ぱいの払い戻しをしなければならないと、こういう筋のものじゃない。全部かけてしまった。そのあと五年間というものは、ただ利子がどんどん加算されていくばかりであるのに、ものによっては、受取額は全部十年で掛け切ってしまって、それで十五年、つまり五年間据え置いてもなおかつ二十五万円なら二十五万円しかもらえない、こういうことで、まことに筋がおかしいと思う、こういうふうに申し上げたわけなんですけれども、国民年金の方も、どうもさっきの説明を聞いておっても、私は何かそれに近いような気がしてしようがない。今質問したように、三分の一のものは、結局これは不適格と、しかし掛ける方は掛けていくと、こういうことでしょう。掛けませんか。
#48
○政府委員(小山進次郎君) 私はただ、福祉年金の方を述べたのでございます。
#49
○天田勝正君 福祉年金だけ説明したの。そうじゃなく、掛ける方を、じゃ説明して下さいよ。しかし、掛けていっても、事実他の年金がもらえれば、それが多ければ、もらえないわけでしょう。そうじゃないのですか。これは重複給付ですか。――重複給付ですかね。それなら違う。
 それじゃ、次に質問しますが、これも未解決になっておりますが、貨幣価値の変動ですね、これは日本くらい貨幣価値の変動の激しい国はないのであって、この間もうちの片岡君が本会議で質問いたしておりましたけれども、スイスあたりでは一九〇〇年の銀貨が今でも等価値で通用する。私もまあ少しあそこへ行ったことがありますから、体験したのですが、そういうことなんです。ところが、日本では何でしょう、明治初年では大体米ですれば一升二銭五厘くらいでしょう、たぶん。それから今日の百二十円としたら、いかに差があるかということなんです。特に最近、この十五、六年の間というものはすさまじいものがあって、簡易保険で見ますというと、大てい当時は千円か千五百円、月に一円掛ける。これはまあ普通の庶民では容易なことではなかったのだけれども、もともとその金を使えばサツマイモなら一俵来た。ところが、もらったときはそれが今度二俵になってしまった。こういうようなわけで、五百分の一に下がったということはみんな経験しておるところなんです。説明が長くなりますけれども、私は、日本では今が過去に比べると一番貨幣価値の変動のないときだと思っております。これだけは事実だと思っております。それでも、この間も申し上げましたけれども、五カ年間に八%違っておるのですよ。物価が上がっている。その貨幣価値は下がっている。そうすると、十五年たてばもう二割四分は下がる勘定になる。一番日本で変動のないときを見てもそういう状態。これが二十から掛け始めて六十まで掛ける。四十年ということになれば、五年で八%ですから、六割四分というところが違ってくるということは今のうちから見えるような気がする。で、そういうものにきちっと法文上やはり合わせていかなければ、何か今までの経験からすれば不安じゃないかと思うんですが、どうも荒木さんの質問に対する答弁では、まだ私どもは何か不安が残るような気がするんですが、どんぴしゃりで、一つその点説明してもらいたいですがね。
#50
○政府委員(小山進次郎君) 同じことだけを繰り返して申し上げるようで、大へん気がひけるわけでございますが、先生が仰せのような傾向というのは、確かに私ども考えて参らなくちゃいかぬと思いますが、ただ、そういったファクターのほかに、もう一つ、現実に国民の生活水準がぐんぐん上がっていくということも考えなくちゃいかぬ。むしろその方が今後の年金の額をきめる上においては大きい意味を持って参ると思います。そういうようなことも含めて、先ほど引用いたしました第四条には、「この法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。」、こういう根本原則をきめているわけであります。この根本原則に従って、五年ことの調整の際に調整をしていく、こういうことになっているわけでございまして、当然これは御趣旨のように改めていくということが前提になっておるわけでございます。
#51
○天田勝正君 もう一点。その調整をする機関は審議会ですか。
#52
○政府委員(小山進次郎君) これは国会で法律を改正するという手続をとってやっていただくということになっておりまして、当然その前段には、国民年金審議会というものがございまして、現在有沢広巳氏が会長になっておられますが、ここで御研究願っておき、その意見もいれて政府部内で調整をして案を出す、こういうことになるわけでございます。
#53
○須藤五郎君 この国民年金と所得倍増の関係はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#54
○政府委員(小山進次郎君) ただいま申し上げました条文に従いまして、所得倍増になった場合、つまり現在の所得倍増計画が実現した場合は、現在の年金額はどうなるかという研究は、現在国民年金審議会にしてもらっております。これもおそらく一年ぐらいの間に結論が出ると思いますが、大体、現在の予想では、三千五百円ときまっている四十年拠出の年金額は、五千円程度に引き上げていくべきものと考えております。
#55
○須藤五郎君 所得倍増になれば今の三千五百円を五千円程度に引き上げる、こういうふうに理解していいわけですね。
 五年ごとに法改正をしてそれを検討していくという話なんですが、ほかの年金制も同じように五年ことに検討をしていくということですか、どうですか、ほかの年金制度との関係は。
#56
○政府委員(小山進次郎君) 国民年金と厚生年金はその原則が法律ではっきり規定されております。それ以外の国家公務員あるいは公共企業体の年金制度には、特にそうした規定はございません。
#57
○須藤五郎君 そうすると、厚生年金と国民年金だけは、五年ごとに法改正でだんだんふやしていく。そうすると、将来こちらの方がほかの年金よりもずっと高額になっていくということも考えられるわけですか。
#58
○政府委員(小山進次郎君) おそらく実際上はそういうことはあり得ないと思います。つまり、ほかの年金制度の場合には、これはもう古くからの伝統がありまして、そういうふうな法文の規定を待たなくても、当然調整されていくという一つの慣行が成立しておりますので、実際上問題なく行なわれている。厚生年金や国民年金については、新しく始まる制度でもあります関係上、これを法律で明瞭にして確実に行なうことを明らかにしていく、こういう事情でございます。
#59
○須藤五郎君 この定年制とこの国民年金の六十五才という問題について、どういうふうに政府は考えているのですか。
#60
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど申し上げましたように、国民年金の対象になる方々は定年のない人が大部分でございます。そういう事情からいたしまして、一般の労働者の方の年金制度である厚生年金の六十に対して六十五という受給開始年令がきめられたわけでございます。
#61
○須藤五郎君 そうすると、定年で退職をして、この国民年金を受ける期間というものが、ブランクがあると思うんですね、ある年限。大体普通の会社で見ても、五十五才が定年ですね。五十五才から六十五才まで十年間というものは、いわゆる年金ももらえない、無収入ということになるわけなんですが、貯蓄などもあまりない人が多いのですから、その点どういうふうに考えておりますか。
#62
○政府委員(小山進次郎君) 先生がおあげになったような方々は、大体において被用者年金といわれる年金制度に入っているわけでございまして、そうして五十五でかりに退職されますと、それから国民年金に入ってきて、六十まで国民年金の被保険者になる。そういう方々はどういうことになるかと申しますと、六十から過去に属しておった被用者年金の年金を受けていき、六十五になると、それにつけ加えて、国民年金に所属しておった五年分の年金額を受けて、両方合わせたやや高いものを受けていくようになる、こういうことになるわけでございまして、決してそこで年金が受けられなくなるといったような穴がなくなるわけでございます。
#63
○須藤五郎君 貨幣価値の変動というのは、これは一番大きな問題だと思うんですが、現在非常に安定していると皆さんおっしゃいますけれども、しかし、安定している現在においても、相当やはり物価高がずっと来ている。今その点については天田委員がずっと実例をあげて説明されましたのですが、私たちが学生生活していたときでも、私が東京に初めて出てきたのが大正の五年の年でしたか、そのときは神田で一間借りて下宿して、三度御飯食べて、そうしてやっても二十円で済んだわけですね。それがもう大正の十年、十二年ごろになると、月最低六十円ぐらいの費用が要っておったわけです。私は自分で学費を送ってもらったりなんかして知っているわけですが、そうすると、わずかの間でも三倍というふうになっているんです。そこで、こちらばかりの資料じゃなしに、私、政府の資料を出してもらいたいのですが、戦前四十年間にどれだけの貨幣価値の変動があったか。もしそこに資料を持っているならば、ちょっと説明して下さい。
#64
○政府委員(小山進次郎君) これは資料の調製の仕方が非常にいろいろ議論はあるのでありますが、国民年金法を御制定いただきます場合に国会に提出いたしました国民年金法案の参考資料の中へそれを掲げてございますが、日本についてのものもそこにございます。それによりますというと、明治元年、もう少しあとの方から……。後ほど資料として……。
#65
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと委員長から申し上げますが、須藤君、だいぶこまかい資料のようですから、政府側も提出しておりますから、それをごらんになるか、あるいはまたあらためて大ざっぱなものを出してもらうかして……。どうぞ一つ御協力願います。
#66
○須藤五郎君 まあ今三千五百円という額でも、実際のところ食べていけるかどうかということは非常な問題ですね。米と醤油、とにかくその日の最低生活がぎりぎりで、三千五百円ではとてもお小づかいまでは回らぬだろうと私は思うのですが、現在においてすらそうですから所得倍増になれば、おそらく物価も倍増になるだろうと思うし、そのときになって千五百円プラスの五千円というようなことでは、所得倍増になったときに被保険者は非常な困難をするだろうと思うのです。三千五百円が、四十年の後になって、私はおそらく貨幣価値は今の百分の一、もっと少なくなってしまうだろうと、私はこれまでの例からいえば思うのですか、そのときに、はたしてそれだけの物価指数に合ったたけの保険がもらえるかもらえないか、これも非常にみな国民はそういう点で疑問を持っているわけなんですが、早い話が、そのころは、もうそのときの四十年後の三千五百円では、ピース一つくらいしか買えないだろうという意見も出ているくらいです。今日百円ずつ、ピース二つ買う金を毎月出して、そうして四十年後になってピース一つを買う金しかもらえない、これは割が悪いじゃないかと、こういうことなんですよ、一般の国民の考えることは。だから、そういうことがないということを、そのときでも今日の百円だけの価値をちゃんと国民に返すという、それだけの私はやはり心がけがなければならぬと思うのですよ。しかし、今この国民年金の法案をずっと読んでも、そういう心がまえが私はないと思うのですよ、少ないと。今の三千五百円の貨幣価値のものが、四十年後に何万になるかわからないのですよ。おそらくそれは何方という金になると思うのですが、それを返そうという意思がないし、それを国民に払うというような法案の中に準備がされていない。ただ、あなたの言うように、五年ごとにそれを直すというけれども、直したその一例を、私は所得倍増のときにどうするのだと言って聞いたところが、それが五千円程度だ。所得倍増では七千円というならば、私はわかると思うのですよ。それが五千円だというような答弁でわかるように、どうもそういう点が私は不十分だと思う。こういうふうに思うのですが、政府の考えはありがたやありがたや式で、非常に先ほどからけっこうずくめの話をしておりますけれども、国民はそれをそういうふうには受け取らないのですね。そういう点で、もっと考えてみる必要があるのじゃないですか。
#67
○政府委員(小山進次郎君) おそらく、先ほどから申し上げるように、制度的な用意としては、まず現在の世界の年金制度を通じてこれが一番進んだ標準的な姿だと思います。要は、あとはこの法律に従ってどう誠実に実行していくかという問題が残るわけでございまして、それについては、先ほど来申し上げておりますような考えで、必ず実質価値を維持することはもちろんのこと、それ以上に、国民の生活水準が上がった分だけそれに対応した引き上げをしていく、こういう考え方でやろうと、こういう気がまえですべてが進んでいるわけでございます。
#68
○須藤五郎君 あなた、これ世界一だなんて思ったら、大間違いですよ。そういうものの考え方で、こういうことをやるから、だから僕らが心配する問題がたくさん出てくるのですよ。こんなものが世界一なものですか。冗談言っちゃいけませんよ。社会主義諸国を見てごらんなさい。こんなもの最低ですよ。現在においてすら最低生活が守れないような保険制度ですよ、これは。それを世界一の保険制度なんて思っている独善ぶりが、私たちのやはり危惧の念を抱く原因なんですよ。もっと謙譲な、謙虚な気持で国民のことを考えなければいかぬと思う。
#69
○委員長(大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#71
○須藤五郎君 私たちの考え方では、国民年金というものは本来無拠出制でやるべきものだと思っておるのです。憲法に保障された国民の文化的で健康な生活を守る義務は、私は国家にあると思うのです。だから、そういう立場からも、老後の年金などというものは全額国庫負担でやるべき性質のものだと思います。しかもまた、支給額もそのときどきの物価指数に応じて、ちゃんとした文化的な健康な明るい生活のできる額というものを私は保証していく、これで初めて私は年金制の精神が生かされると思っておるのです。大体、今の国民は非常な不安を持っております。それというのは、池田内閣が四十年も続くわけじゃないでしょう。今百円ずつ払わなくても、将来社会党も政権を担当するときがくるだろうと思うのです。社会党の案はともかく、私まだ詳しく知っておりませんが、また共産党も政権を担当するときが来るのです。遠くなく来るのです。共産党は無拠出制です。全額国庫負担です。そしてそのときにちゃんとりっぱな生活のできる保険を、年金を私たちは保証しているのです。そういう点から見ましたら、こういう貨幣価値の変動のあるときに、今苦しい金を国民のふところからいわゆる収奪といいますか、払わない者は罰則まで設けて無理やりに取り立てていくということは、私たちにはどうしても納得のいかない問題なんです。この法案そのものは直接そういうこととは関係はないように見えますが、しかし、やはりそういう国民年金制に関してのこの法案でありますから、私たちは国民年金制そのものに反対する立場であり、従ってそれに関係したこの法案には反対をするものであります。
#72
○委員長(大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。国民年金特別会計法案を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#74
○委員長(大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
   ――――――――――
#76
○委員長(大竹平八郎君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 かねて建設委員会、農林水産委員会等から申し込みを受け、年度末以来懸案になっておりましたが、東北、北陸地方の雪害に対する金融措置等に関する件について、明十二日午後一時より連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、運輸委員会から右の件について同様の連合審査会開会の申し出がありました場合、運輸委員会を加えて連合審査会を開催いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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