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1960/05/26 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第27号
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1960/05/26 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第27号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第27号
昭和三十六年五月二十六日(金曜日)
   午後二時八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月二十二日徳永正利君辞任につき、
その補欠として岡崎真一君を議長にお
いて指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大竹平八郎君
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           天田 勝正君
           天坊 裕彦君
   委員
           大谷 贇雄君
           梶原 茂嘉君
           西川甚五郎君
           林屋亀次郎君
           堀  末治君
           前田佳都男君
           山本 米治君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           戸叶  武君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   大蔵省政務次官 大久保武雄君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   農林政務次官  八田 貞義君
   林野庁長官   山崎  齊君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有林野事業特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。
 国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 農林大臣におかれましては、時間を差し繰り、約一時間出席をしていただくことになっておりますので、この点をお含みの上、御質疑を願いたいと思います。
 質疑のある方は御発言を願います。
#3
○木村禧八郎君 私は、無理に異を立てるわけじゃないのですけれども、これまで私の質問がおくれていたのは、こちらの都合によっておくれたのじゃないのです。それで、また今、何か農林大臣については約一時間というふうに限定して質問をするように言われるのは非常に困るわけです。で、こういうことは内部的に大体まあ話し合いによってやるというのならばいいのですけれども、はっきりとそういうふうに言われますと困るわけです。まあなるべくわれわれも議事に差しつかえないようには御質問しますけれども、そういう扱いは非常に不満なんです、今までの経過から見まして。この点を注意していただきたいと思うのです。
 私、農林大臣に特に出席を求めまして、今議題になっておりますこの国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案について御質問したい理由は、これからこまかく御質問していきたいと思うのですが、この改正案がわが国の林業政策の基本的な目的なり任務というものに矛盾するのじゃないか、そういう懸念を持ちますので、そういう観点から御質問していきたいのです。
 そこで、最初、非常に基本的なわかり切った質問ですが、林業政策の基本的な目的とか任務というものはどういうものであるかということを、まず農林大臣からはっきり伺っておきたいと思います。
#4
○国務大臣(周東英雄君) 林業政策の基本は何かというお尋ねですが、第一には、今日における産業経済の規模に応じつつ森林資源といいますかを供給する、ざっくばらんにいえば、木林資源を供給するために生産の増をはかるということが一つであります。しかしながら、山に関しましては、当然その持つ治水上の関係からいいますと、伐採等に関しましては十分に林力を保続しつつ治山治水の面において欠くることのないように指導していかなければなりません。従って、林業政策の一面においては、常に山を緑になしていくということと、その生長に見合って伐採をしていくということが一つの目標であろうかと思います。
 第二点は、従来の林業のあり方というものは、何と申しますか、自然のままに生長等に関してはまかされた形で山の生産が進められたといってもいいと思うのですが、新しい方向にいくべき林業というものは、今までのように比較的生長に時間のかかるものを、できるだけ早期に生長させていくためには、ここに林業のやり方というものに対して考えていかねばならない。一口にいいますと、これは栽培林業といっておりますが、そういう方向に林業の方向を持っていく必要があろう。従って、そのことは当然今後における林業の目標としては、これに対応して樹種の転換ということが考えられなければならぬ。ことに、天然林等でかなり放置されているところには、資源の拡大増殖という立場からいうと、樹種の転換をはかって、天然更新されるものを、植林計画を立ててそこを有効に活用するということが一つだと思います。
 第三の点は、木材の需要傾向に関する変化に応じて考えていかなければならない。これは御承知の通り、今日用材あるいはパルプ材というような方面の需要がとみに高まっております。しかし、一面において、従来の通りやはり薪炭材として使われる分が相当多い。こういう点は、むしろ薪炭材というもので燃やしてしまうという形よりも、これを必要なパルプの方に向けていくことが一つの行き方だとすれば、これはでき得る限り、山村の経済から考えると、薪炭生産というような零細な方々にいかにして新しい職を与えていくかということとも関連して、今の栽培林業的なものが出てくると思います。一面には、薪炭というもので燃やしていくということよりも、電気、ガス、あるいは豆炭、練炭というものの方向に向けつつ、木材を節約しつつ、有効需要の方に持っていくという問題、このことが林政の問題と関連して、消費の面で考えられていかないといけないのじゃないか。さらに、用材関係におきましても、ある意味においては、昔風の木材だけを使う建築を進めていくのがいいのか悪いのか。そこには木材を節約した形においての新しい意味の住宅政策とか、建築政策というものが考えられなければならない。ただ単に、林業政策というものが山の問題だけではなくて、木材の需要供給の立場から考えての需要の転換というものを見つつ、将来における政策を立てていくことが必要だ、こう思います。
 なお、金融とか、たくさんありましょうが、以上大体の点を申し上げておきます。
#5
○木村禧八郎君 農林大臣の御答弁は、要するに、林業政策の基本的な目的なり任務は、第一は、要約すれば国土保全ですね。山の問題その他で国土保全。それから、いま一つは、農林大臣の言われましたように、「木材のより多くの、かつ、持続的、安定的供給」、この言葉は農林漁業基本問題調査会で使っている言葉なんですね。この調査会の答申によれば、「木材のより多くの、かつ、持続的、安定的供給」、ひいては「木材価格の安定」、こういう二つの点に、しぼっていえばあるわけですね。そのあと、こまかい農林大臣の説明は、要するに後者の木材の需給関係ですね、木材の需給関係の安定的調整、木材価格の安定という点に関連して、やや具体策についてお述べになったと思うのです。
 ところが、特に最近林業政策として問題なのは、後者ですよ。国土保全ももちろん大切です。この国土保全と、木材の需給関係の安定と価格の安定は、二つとも重要ですが、特に最近、当面あるいは今後の問題として問題なのは、木材の需給関係の安定と価格の安定だと思う。これに対して、今の日本の林業政策は十分であると言えるかどうかですね。そうして今度、この特別会計法の一部を改正することによって、それにプラスになるかマイナスになるか。私はマイナスになると思うのですけれども。
 それで、具体的に伺いますが、最近の木材の需給関係とそれから木材の価格、これはどうなっておりますか。木材価格が一般物価の騰貴の一つの大きな要因になっていることは、これは周知の事実ですね。基本問題調査会の答申にもちゃんとそれが出ておる。はっきりと「近年における木材価格の上昇が諸物価の一般的すう勢よりはなはだしいという事実は、有効需要の増大に対して供給が不足し、相対的な需要抑圧が継続的に存在していることのあらわれであろう。」、こういうふうに指摘しているわけですね。そこで、一般物価より木材の価格が著しく高いのです。その実情を、どの程度に高いか、それから需給関係ですね。需給関係については長期の計画があります。その長期計画について、今後これまでの長期計画で足りるのかどうか、そのままでいいのかどうか。私は、相当最近の高度成長あるいは政府の倍増計画等を考えて、これまでの需給計画でいいのかどうか、その点伺いたいのです。
#6
○政府委員(山崎齊君) 委員長……。
#7
○木村禧八郎君 ちょっと待って下さい。政府委員の方のお答え、けっこうです。ですが、農林大臣の時間は少ないです。一時間くらいでしょう。だから、せっかく農林大臣来られたのですから、基本的な点についてはなるべく農林大臣にまず答弁していただいて、それから具体的な事の内容になったら、政府委員の方に答弁してもらいたい。そういうふうにしませぬと、せっかく農林大臣を呼んだ意味をなさないですから。
 農林大臣は、木材価格についての最近の問題についてどの程度の認識を持たれているのか。今後の見通し、需給関係についてのこまかい数字については政府委員でいいのでありますから、大臣として一応御答弁願いたい。
#8
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘のように、最近一、二年の間木材価格の上昇は他物価に比較して多いということはお話の通りです。ことに、たしか昭和三十四年から三十五年の間にかけて六・二%上がっておるという格好です。これはひとえに、需要というものの伸びが著しいために、供給がこれに伴っていないということの関係が大きな点であります。これに対しまして、最近三十六年に入りまして、三月、四月の上旬ぐらいまでは同じ格好でありましたが、四月の下旬から五月に入りまして大体騰勢が物によってとまりまして、今やや値下がりの形を現わしております。これは私ども、新しい考え方のもとに立って、何としても日本の木材の需給関係、価格の安定ということを考えた場合に、ある程度国内の木材の伐採をして供給をふやすということは必要でありましょうが、こまかいことはあとからお話ししますが、大体今日まで、将来の見通しで三十年後には大体一定数量切り、それが需要に合うような形で切り得るような形で植林計画を立てておるわけでありますが、今日はやや過伐であります。しかし、一ぺんに、これを林力に応じた伐採だけでは足りませんので、それをふやしておりますが、今日でも価格上昇というものに対してある程度供給をふやすということをこの春から立てております。
 それは、国内で大体従来の既定計画よりも約二百万立方メートルというものの増伐、それから外国材、輸入材というものの増加、ことに小角材といいますか、建築用材について、日本の建物に合った形における小角材、これが少ないのですが、これを今までアメリカの方からの輸入が全然小角材としてなかったのを、今年は二十五万立方メートル程度の輸入を計画し、その措置が緒についております。すでに一万数千立方メートル入っております。そういう影響もあるからでありましょう。一面にはパルプ用材というものの計画が、少し工場関係において大きくなり過ぎておるという点がありますので、これは新聞でも御承知のように、私ども勧奨して、これは早く今年の一、二月ごろに、国内の供給力を考えて一つ工場の増大を考えるべきだ。それよりも、むしろ国内ではチップ材、廃材というものの利用が完全でない。アメリカのような豊富なところでもこれを利用しておりますが、その方面の廃材、チップ材の利用を従来よりもさらに二百万立方メートルふやしたり、廃材、チップ材の利用ということをやらせるということがだんだんと効果を現わしておるかと思うのですが、決してまだ楽観はしておりませんが、五月に入ってから相当に値下がりを見てきたということの状況でただいまあるわけであります。
#9
○政府委員(山崎齊君) 大臣の御説明を補足して申し上げますと、一般物価と木材との関係につきましては、昭和二十七年の平均を一〇〇といたしますと、日銀の調査によりますと、東京におきます卸売物価の総平均指数が、三十五年十二月におきまして一〇二・四、東京の木材卸売の指数は同じく三十五年十二月におきまして一七九・八ということに相なっておるのであります。
 それから、需給の状況でございますが、三十六年度の見通しを申し上げますと、木材の年間需要見込み量が五千六百万立方メートルと予定いたしております。これに対しまして輸入量が約七百万立方メートル。従いまして、国内の生産は四千九百万立方メートルというふうに予定いたしておるのであります。
#10
○木村禧八郎君 今後の需給の長期計画は。
#11
○政府委員(山崎齊君) 今後の長期見通しといたしましては、年率二・五%というふうな程度で増加するのではなかろうかというふうに考えておるのであります。これは基本問題調査会等におきましても十分御検討を願ったのであります。需要増の上限を年率二・五%というふうに見ることが適当であろうというふうな結論に相なったのであります。
#12
○木村禧八郎君 これまで、昭和六十五年までの計画があるでしょう。昭和六十五年林道計画ですか、これは林道計画と、それから昭和七十二年までの人工造林造成計画ですか、そういう計画はあるんでしょう、具体的な長期計画。それは今の二・五……。
#13
○政府委員(山崎齊君) 私がお答えいたしましたのは、木材需要量の増が、二・五%という年率で増加していくというふうに見るべきじゃなかろうかという結論であるわけであります。これに対しまして、林道とか造林というようなものを積極的にやっていこうという考え方をとっておるわけであります。林道におきましては、昭和五十五年度だと思いますが、昭和五十五年度までに民有林につきましての奥地林の開発を大体終了する。造林につきましては、昭和三十三年度末におきまして約五百万町歩の造林地でありましたものを、やはり昭和五十五年度までにこれを八百万町歩に増加する。国有林におきましては、昭和三十三年度末約百万町歩の人工造林地を三百二十万町歩に増加するというふうな計画に基づいておるものであります。
#14
○木村禧八郎君 じゃ、こまかいことはあとで資料として出していただきたいと思うのですが、この昭和三十五年度「国の予算」ですね、大蔵省で出しておる。これによりますと、事業計画というのが出ておるんですね、こまかく。大体これとあまり変わらないんですか。
#15
○政府委員(山崎齊君) 国有林におきましては、その計画とほとんど一致いたしておりますが、民有林につきましては、造林事業が計画の約八五%程度でなかろうか、林道につきましては計画量の五五%程度にとどまっておるというふうに考えております。
#16
○木村禧八郎君 ただいまの木材価格について御答弁を伺いますと、昭和二十七年を一〇〇として、卸売物価、物価の方は昭和三十五年十二月において一〇二・四です。それに対して木材価格の方は一七九・八でしょう。ここに非常な不均衡がある。飛び抜けて木材価格の方が一般物価より高い。最近木材価格は少し下がりぎみになっているということを言っていますが、農林大臣、最近の指数は、じゃ、どうですか。
#17
○政府委員(山崎齊君) 最近までの指数は実は持ち合わせていないのでありますが、具体的に申し上げますと、東京市場において見ますと、杉の柱の一等が、本年の三月におきましては二万五百二十円、一立米メートル当たり。これが四月には二万一千二百四十円というふうに相なったのであります。この五月におきましては、それが二万五百円というふうにまあ下がってきております。また、杉の同じく柱でありますが、これの三等材について見て参りますと、三月の価格が一万八千円、四月も同じく一万八千円でありましたものが、五月におきましては一万六千二百円というふうに、一割程度の値下げを見たというような形に相なっておるのでありまして、最近は大体こういう線で、どれもさらに六月あたりに上がるというふうな見通しにはないように考えておるのであります。
#18
○木村禧八郎君 ただいま多少下がったと言われましても、さっきのお話の、木材価格が卸売物価に対して著しく割高であるというその趨勢にはやはり変わりないでしょう、大してね。昭和三十五年十二月のさっきのお話ですね、大体七割、約七割高いですね。一般物価より木材の方が七割高い。最近多少下がったと言うが、この傾向が実際やまるのかどうか。今はちょっと下がっても、これは無理に――まあどうして下がったかについても私は伺いたいのですが、今後の見通しとして、やはり最近そういう下がる傾向にある、この非常なアンバランスを調整するに足るだけ下がる傾向にあるのかどうかですね。その長期的な政策としても、この点は一般物価と木材との非常なアンバランスを調整するということが一つの重要な林業政策ですね。ですから、現時点で、それから長期的な見通しに立ってのやはり見方ですね、それを伺っておきたい。
#19
○国務大臣(周東英雄君) 御指摘のように、他の物価に比較して非常な値上がりをしたものが、ずっと極端に下がるというふうなことも考えられないと思うのです。しかし、この状態を、先ほど申しましたような関係においての供給力の増加を一面にはかりつつ、木材価格の将来に向かっての安定をさせるということが一つの目的になると私は思いますね。今日まで諸物価に比較して高かったのは、戦後における建築というものの非常なやらなければならぬ増加のために、特に木材の供給力と見合う以上の需要力があったということも、私は二十七年ころにおける値上がりが出てきた状況だと思うのです。で、そういう面に対処するために、あらゆる努力を払って国内の木材資源の増産といいますか、増殖をはかって参りましたけれども、御承知のように、これはなかなか年もかかるということで、なかなか供給力が需要に追いつかなかったということがこの値上がりの大きな私は面であったと思います。そこで、私は、全体の経済の成長の部門と見合いながら、木材に関してはできるだけ今後上がらぬように、そうしてできるだけそのかわり極端な値下がりができなくても、できるだけでも値を下げつつ安定させる方向に持っていくということが一つの行き方ではないかと、かように思っております。
#20
○政府委員(山崎齊君) 最近におきます、特に終戦後におきます木材の需要と供給との関係を戦前と比較して簡単に申し上げますと、昭和の九年、十年ごろにおきましては、当時におきますわが国の木材の需要量は、まあこれは石数でちょっと申しあげたいと存じますが、七千五百万石程度であったのであります。そのうちで約三分の一の二千五百万石が、アメリカとかあるいは南方、樺太等からの輸入あるいは移入材でまかなっておった。国内におきます生産は五千万石程度のものであったのでありますが、先ほど申し上げましたように、終戦後におきましてはこれが急速に伸びて参りまして、三十六年度におきましては五千六百万立方メートルでありますから、約二億石の需要と相なるのであります。それに対しまして輸入量は七百万立方メートルでありますので、二千四百万石でありますか、その程度のものとなりまして、率からいいましても一〇数%というふうに相なって参っておるのでありまして、終戦後こういうふうな伐採というものが、従いまして国内の生産が四千九百万立方メートル、約一億七、八千万石という形になります。昭和九年ないし十一年ごろの三倍をこすような供給というものが国内資源にかけられておるというところに、まあ資源と需要というものとに大きい問題があったというところに本質的な問題があるように思うのであります。
 ただ、木材価格については、先ほど大臣からお話がありました通り、アメリカからようやく柱角というようなものが相当計画的に大量に輸入することができるようなレベルまで参ったのでありまして、先ほど申し上げましたように、杉の一等が二万五百円といたしますと、アメリカからツガの同じような柱角を輸入いたしましても二万五、六百円でやはり日本に来るというふうな段階にも相なって参りましたので、従来と木材価格の大きい動きというものはだいぶん変わって参るというふうな状況にあるように考えるのであります。
#21
○木村禧八郎君 今までの御答弁で非常にはっきりしているのですが、日本の林業政策の基本的な目的のうち、国土保全については、これもまあ十分とは言えませんが、かなりやられてきている。しかし、第二の方の木材の需給の安定、価格の安定については、もう計数的にはっきり十分な対策がとられてきていない。もちろん、需要が急激にふえたという点ももちろんありますけれども、この木材価格と卸売物価のアンバランスに現われているような状況をもたらしたことについては、これまでの日本の林業政策の木材の需給の安定、価格の安定というものに対して、政府の対策が非常に不十分であったということを私は実証しているのじゃないかと思うのです。まあ他面からいえば、非常に怠慢であったと思う。今までの林業政策がここで大きく変わらなければならないことがわかっておったのに、それに対する対策というものが国土保全というものに非常に傾斜しておって――これも大切でありますけれども、そちらの方にばかり傾斜しておって、木材の需給関係あるいは価格の安定、これは日本産業の発展の基礎になるのですよね、そういうものに対する林業政策という農林省の今までの考え方、感覚のズレがあったのじゃないかと思うのですね。そういう点からやはり考え直さなければならない点があるのじゃないのかと思うのですよ。どうして、この林業政策の第二の木材の需給あるいは価格の安定の点について、これまでこんなに手おくれになったのかですね。何も私は、実際問題として、ここで国内で全部自給をはかれといったって、これは非常な長期の政策が要るわけですよ。それは無理でしょう。それは輸入によってもっとカバーするとか、あるいはその他いろいろな工夫、着想もされなければなりません。しかし、もう十五年たっているのですね、十五、六年終戦後たっておって、その後急激に日本の経済が変わってきておる。それから、今後さらに非常に変わる、非常に変わる。そういうときに、今までのような国土保全に傾斜した、――国土保全をないがしろにしていいという意味じゃない。それとの比較において傾斜した、そう今いうまでの何か非常に消極的な、木材の需給関係あるいは価格安定について、長期的な政策が間違っているのじゃないか。なぜ、このような非常な手おくれをしてきてしまっておるのか。その点について原因ですね、どういうふうになったのか。
#22
○国務大臣(周東英雄君) これは木村さんも私はよく一面には御存じだと思うのですが、ある程度、私は、林業政策に関しては、林野庁のやり方について根本的に転向すべき必要があるということを、この数年来唱えておる。その線に沿ってやっておりますことの一つは、やはり国有林というものが一般の林業政策というものを含めて考えておらぬじゃないかということに問題がありましたから、最近においては、国有林というものの経営からあがる利益をもって、民有林の助成、増植ということを考えろというようなことも言っておりますが、その点とあわせて、従来の国土保全は絶対に必要で、これはその方がないがしろにしていいとは木村さんもおっしゃっていないと思う。その方に片寄っているのじゃなくて、戦後におけるあの乱伐されたあと山をいかにして直すかということが、これは戦後における急務中の急務であったと思う。あの水害の発生というものがどこにあったかというと、いろいろな原因がありましょうが、戦時中に乱伐された結果起こっているのでありまして、その意味において、戦後から今日まできておる形は治山治水、山を治めるということであったと思うのですね。だから、これは与野党を通じまして、昨年ようやく皆さんの御支援を得てできた林野特別会計設置ということは、これはようやく軌道に乗りかけてきた治山治水事業をさらに完成したいということでできたことであって、これはぜひやらなければならぬのであって、片寄っている問題じゃないと思う。
 しかし、同時に、私たちがかたくなな消極的な供給計画をとるのじゃないのであって、むしろ国有林というものの、伐期の来た木材というものは計画的に出すべきだというのが、先ほど私が言った国有林によって利益というものが出てきたら、それによって民有林というものを助成しようということが国有林の使命じゃないかということを唱えてきたゆえんでありまして、ともすると、いろいろな事情のもとに、国有林というものが、ただたくさんの木を持っておるということだけでは自慢にはならないのであって、この点は伐期の来たものをいかに活用して、これを必要量を供給するかということは、大きな林政の役目でなくちゃならぬということは、あなたの御指摘を待つまでもなく、現在農林省がやっておるのであります。
 しかも、あなたも御存じだと思うのは、なぜ輸入計画を立てなかったかとおっしゃるけれども、それは戦後立てていろいろ交渉してきたけれども、入れてくれなかったという事情は、木村さんも御存じでしょう。従来は北洋材が入っておる。樺太材によって補っておった。ところが、樺太の木材というものは日本の自由にならない。それが今入ってこない。アメリカのアラスカにおける問題でも、私はあれほど努力した。アラスカにパルプの特別な会社を作り、アメリカの協力を得てやっておりますが、これすら木林のままで日本に持ってくることはどうしても認められなかった。パルプによって持ってくるのならいいという問題になっておったり、それから、その他の事情というものは、木村さん御存じだと思うのでありまして、輸入計画を立てなかったのじゃなくて、立てられなかった事情であります。それがただいまお話しのように、長官もお話しいたしましたように、供給計画におきましても、従来アメリカで認めてきたが、これは長尺ものを日本まで持ってくるのに運賃ばかりかかってむだが出てくる。むしろそういうものを安く入れるということのために、日本の建築に合ったような、規格に合ったものを入れていこうという事態、ようやく計画もできてきて、それも向こうが認めてくれた。四月以降は、大体本年は二十五万立方メートル入れようということになって進んできたのですね。
 こういう計画は、これはもう全く木村さんのお説には賛成であって、それを従来からとろうとし、その方向に向かって進んできたということでございまして、供給計画をふやすためにも、樹種転換による早期生長度の強いものを早く植えていこうということも、供給計画をふやすための大きな私は政策だと思うのであります。そういうことは総合的に考えていかないと、単に市場に木材が出なかったらすべてこの計画はだめだというわけにも私はいかぬのじゃないかと思う。これは私どもはさらに大きな点について考え合わせることもございますので、今後とも、その点には積極的な供給計画の増、それから国土保全というものをあわせ並行しつつ考えていくということは、さらに努力をいたさなければならぬと思っております。
#23
○木村禧八郎君 これに関連しまして、私は、国有林野のあり方がやはり非常に問題であると思うのです。これは基本問題調査会の答申にもありますね。「国有林は、わが国林野面積の約三分の一、全蓄積の約二分の一を占めるきわめてぼう大なものであるが、これまでのところ、木材の需給面における国有林の機能は十分には発揮されていない。」と指摘されておるわけですよ。それで、だから、国有林の機能は十分には発揮されていなかったということが全部の原因ではないけれども、さっき私が指摘したような木材の需給関係及び価格の安定が著しく不均衡になったこれが一つの原因であり、また、国有林野事業の責任もそこにあると思う。それが全部の原因じゃないけれども。そこで、今後、国有林野の機能が十分には発揮されていないということが指摘されておるけれども、政府は具体的に今後、木材の需給及び価格の安定の方向を目ざしてどういう対策を講じようとしておるか、その点について。
#24
○政府委員(山崎齊君) お説の通り、国有林におきまして、造林事業等の技術的な進歩、そういうものを積極的に取り入れまして、長期的な生産見通しというものを立てて参りまして、それによって伐採を進めていくというふうな点につきまして、やや消極的な点があったというような点は、われわれも十分反省いたしておるのであります。
 従いまして、現在検討中であり、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国有林におきましても、造林事業というものにつきまして、いろいろな最近の進歩、技術的な進歩というものもありますし、また、従来杉、ヒノキというようなものを主体に植えておりましたものを、ポプラとか、あるいはアカシア、いろいろな新しい早く生長するような樹種のものを適地に積極的に取り入れていこう、あるいはまた、造林地に対しまして、適当なところには肥料栽培をやっていくというようなふうに、積極的な施策というものをとって参りまして、三百二十万町歩という造林地を作るという前提に立ちまして、生産力というものが今後落ちないように、しかも、生産力は落ちないという前提に立ちまして、三十六年度以降におきまして、現在の計画でも、丸太で約二百万立方メートル程度の増伐は継続して可能だというふうな点が一応概算されるわけでありますので、そういうものの増加伐採、引き続く造林事業の拡大、技術的な向上というようなものを織り込んで、今後進んで参りたいというふうに考えるのであります。
#25
○木村禧八郎君 ただいまの御答弁で、対策として重要な点が一つ漏れていませんか。非常に重要な点が漏れておりませんか。今の対策でよろしいんですか。それでよろしいということなら、それでよろしいんですよ。
#26
○政府委員(山崎齊君) 需給あるいは価格というものを考えました場合の一番大きな根本となりますのは、やはり供給量の増加というところに問題があるわけでありますから、その前提となります造林事業というふうなものの技術的な向上をはかって、三十六年度からは前年度に比べまして約丸太で二百万立方メートル程度の増加供給を継続してやっていくというふうに考えておるのでありまして、そういう点がこの需給・価格の一番根本になるというふうに考えておるのであります。
#27
○木村禧八郎君 二百万立方メートル、大体約七百万石。しかし、それは一応増伐するということは確かに需給関係を安定させるためにもちろん必要なのでありますが、しかし、そういう計画を行なう場合に、この基本問題対策にも出ておるんですが、非常に重要な問題として、国有林野経営に関連して問題としなきゃならないのは、国有林労働の問題である。労働問題が一つあるんですよね。これは重要問題だと指摘しているんですよ、対策として。それで、今は増産すると言われましたが、増産するにも、ただ増産できるんじゃないんですね。これに対していろんな設備も必要でしょう。それから人員も必要でしょう。それから、単に増産面だけでなく、今までの国有林野の経営につきましても、この労働問題というのは非常に、特にこの林業の場合には重要であると思うんですよ。この答申にも指摘しているんですが、そういう点についてどういうふうにお考えになっておるか。
#28
○政府委員(山崎齊君) 従来の国有林の立木の伐採関係を簡単に申し上げますと、約半分は、国みずから直営生産という形態で、丸太にいたしまして売り払うということ。あとの半分は、立木のまま売り払うという形態をとって参っておるわけでありまして、三十六年度以降におきましては増伐が可能であります。しかも、木材価格というものにこれが大きく貢献するという観点に立ちまして、比較的便利な個所、そういうものを選んで立木のまま早急に売り払いまして、木材業者等の力をかりてそれを丸太にし、角材にするという形態をとっていかなきゃならぬと思っております。
 ただ、総体的に見まして、引き続きます造林事業その他の面で、もちろん労務というものも大きく必要でありまして、従来国有林におきましては、労務につきましては一年じゅうを通じて雇い仕事をしてもらうという形の常用労務者、あるいは年間十カ月とか、八カ月、六カ月とかいうふうな期間を定めて雇用し働いていただくという形態、あるいは日雇いとかいうふうな、いろんな複雑な形で仕事をやって参ったのであります。現在のような農山村におきます労務事情というふうな点にかんがみ、また国有林の造林その他仕事というものの質的な向上というものも大きく期待しなければならないというふうな面からいたしまして、事業の増というふうなものと十分に調和させまして、年間雇用するというふうな安定した雇用関係にこれを漸次転換さしていくという方法で労務施策というものを考えて参りたいというふうに思っているのであります。
#29
○木村禧八郎君 まあ林業労働の問題については、あとでまた具体的にお伺いしたいと思うのでありますが、そこでですね、今度はこの国有林野事業特別会計の今度の改正案との関連で御質問をしていきたいんですが、もう政府の方も木材の需給の安定、価格の安定は非常に重要であるということも認められたわけですが、今度林野事業特別会計の改正によりまして、その需給安定及び価格の安定というものがここで期待できるかどうかですね、その点が私は問題になると思うんです。そこで、今度この改正によりまして、大体一般会計にまあ二十三億繰り入れるわけですね。繰り入れるということになるでしょう。そこで問題になるのは、特別会計の方でかりにまあ資金が不足になってきたような場合、繰り入れが困難だというような場合、これは今度は損失補償積立金を取りくずすという手もありますが、今後まあ取りくずさないで毎会計年度一般会計に繰り入れようとしていく場合、十分な繰り入れ資金を確保するため無理をしていく、無理をすることになるんじゃないか。たとえば木林価格が高ければ、それは幾らでも利益が出てくるんです、木材価格を高くすれば。そういう面から一つ問題が出てくるのじゃないか。だから、木材価格の安定々々といっても、今度の改正によって一般会計へ毎年繰り入れるということになってきておりますから、そのためにその木材価格の引き下げの努力が、そこで引き下げの努力を全然しないとは申しませんが、私はそこで怠られるのじゃないか。まず今度の改正と木材価格の安定施策との関係ですね、その点が私は問題になると思うんです。この点についてどういうふうにお考えになるのですか。
#30
○政府委員(山崎齊君) 国有林で売り払いますたとえば木材の価格は、その売り払います時点におきますまあ市場価格というものを基準にしてやって参るわけであります。先ほど申し上げましたように、今後の国有林材、民有林材合わせた木材価格というものにつきまして、従来のように外から入るものが、日本で一番必要とする建築の柱材というふうなものが従来外からは外国からは全然入らなかった。それが先ほど大臣が御説明になりましたように、昨年度あたりもほぼ零であったというようなものが、本年度は二十四、五万立方、うまくいけば三十万立方程度も入るのじゃないか。しかも、これが年を追ってやはり増加するという余地を多分に残されているのでありまして、そういう観点から見ましても、わが国の木材の価格の一番重要な部門でありますいわゆる柱角というようなものの価格は、従来のような動き、価格の推移を見せるというようなことは大きく変わってくるというふうに第一点に考えなければならないように思うのであります。そういうような前提、考え方に立ちまして、国有林材の売り払いというものもさらに考えていきました場合に、市場価格というものをもとにして売り払っていくという原則から申し上げまして、木材価格をむしろつり上げるというようなことには絶対ならない、市場価格というものに国有林材というものは追従しながら売られていくという本質的な形になっておるわけであります。その点からいいまして、このように改正するから、木材価格というものをむしろ上げると申しますか、そういう方向に進むということには、われわれとしては絶対にならないということになろうかと思うのであります。
#31
○木村禧八郎君 今度の改正によって、この特別会計から一般会計に繰り入れを予定しておる額ですね、今後大体十年間くら見通してどのくらい予定しておるのですか、毎年。三十六年度はここにはっきり出ておりますが………。それで、利益のうち半分繰り入れるわけでしょう。ですから、半分繰り入れるためにはかなりの利益を出さなければならないということになるのですが、どのくらいの利益を予想しておるのですか。
#32
○政府委員(山崎齊君) 国有林野事業特別会計から一般会計に繰り入れます金額は、その九カ年計画という一応考え方をいたしておるのであります。
#33
○木村禧八郎君 毎年どれくらい………。
#34
○政府委員(山崎齊君) その間に、公団の造林関係といたしまして、百八十五億が一応対象になるわけであります。それから、農林漁業金融公庫に造林長期据置融資の財源として振り当てると申しますか、予定されるものが、公庫に入れるものその他を合わせまして約百億前後、合わせまして二百七、八十億というように考えておるのであります。
#35
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
#37
○木村禧八郎君 そういういろいろな事情も私はわからないことはないし、それは協力しなければならぬがね。しかし、委員会の自主性というものはやはり保たなければいかぬですよ、委員会の自主性を。何でもかんでも便宜手段で、重要法案についてああだからこうやってくれ、こういうことでは質問を十分に自主的にできませんよ。これまで延びたのはわれわれの責任ではないですから、いろいろな事情で延びたのですから、そういう事情はわかっておりますし、協力しないわけではないですから、一々指図されるということは非常に不愉快ですがね。
 そこで、質問を継続しますが、九カ年計画で、大体森林公団ですか、百八十五億というのは。それから農林漁業金融公庫への出資、造林事業の補助金ですか、そういうものを含めて、二百八十五億ですか。九カ年で大体二百八十億ですね。
#38
○政府委員(山崎齊君) 大体二百八十億前後というふうにお考え願えばけっこうだと思います。
#39
○木村禧八郎君 そうしますと、どのくらいの利益が必要になりますか、利益。これは繰り入れでしょう。繰り入れですから、倍ぐらいの利益が必要になるわけですね、利益金としては大体。
#40
○政府委員(山崎齊君) 今、先ほど先生からお話がありましたように、五十億の特別積立金というものを積んでいるのでありますが、これに対しましては本年度二十三億使うわけであります。さらに、これに三十五年度の決算の結果による利益金の二分の一というものが加わるのでありまして、本年の七月に三十五年度の決算がまとまるわけでございますから、その七月にはさらに、残りの二十七億に三十五年度分の二分の一をプラスする格好に相なるのでありまして、この五十億と、それから年々の利益の半分というふうなものが、一般会計への繰り入れの対象に相なるということに制度上なっておるわけであります。
#41
○木村禧八郎君 そういたしますと、九カ年計画で大体二百八十五億ぐらいある。三十億ぐらい――三十億ちょっとこえますね。四十億になりませんが、平均して一カ年。それだけを繰り入れるためには、この計画では大体倍の利益が必要になるということでしょう。繰り入れるためには、そういうことになるでしょう。
#42
○政府委員(山崎齊君) お話の通り、五十億というものが一応財源として積まれておるわけでありますから、それとはっきり計算すれば、差っ引いた残りの一点何倍、二倍近いものが毎年出てこなければいけないという形になると思います。
#43
○木村禧八郎君 私は繰り入れを聞いているのですよ。だから、繰り入れが三つ。森林公団に対するもの、それから農林漁業金融公庫の出資、それから造林事業費の補助、この三つでしょう。いわゆる林政事業に協力するための特別会計からの一般会計への繰り入れ、そうでしょう。それを聞いたところが、それが大体九カ年計画で百八十五億にプラス百億ですか、大体二百八十億ぐらい、それは繰り入れ。一般会計から繰り入れる額でしょう、さっき伺ったのは。
#44
○政府委員(山崎齊君) 国有林特別会計から一般会計に繰り入れましたもので、先ほどお話しました公団のもの、あるいは農林漁業金融公庫のものに一般会計が出資しますもの全部を必ずしもまかなわなければならぬというふうな制度的なものになっていないのでありまして、われわれといたしましては、年々の特別積立金への積立金、そういうものから必要な限度に一般会計に繰り入れるという仕事をやっているわけでありますから、それで年々のいわゆる公団と公庫への出資が場合によっては不足するということもあるわけでありますから、そういう場合におきましては、純粋の一般会計からの出資というものも期待しなければならぬこともございますし、また必要なときには、できるだけ少ないということが最もわれわれ望ましいと思っておりますが、借入金というふうな制度も公団法ではできているわけでありますので、そういう点をあわせて考えていかなければならぬと思います。
#45
○天田勝正君 関連。木村さんの質問に、よく理解されておらないで、ちぐはぐな答えをしておる。それで私は関連で、むしろ質問というよりも整理して……。そうでないと、こっちの質問の時間が回ってこないから申し上げるのですがね。結局、こういうことじゃないのですか。あなたの方の見込みで、損失補てんの積立金の三十五年度末の残高が百六十九億五千二百万円でしょう。そういうことなんですね。それで、今度の改正法の附則で、利益積立金とみなす額というのが百二十億でしょう。だから、それを差し引くというと四十九億五千二百万円、これを五十億とあなたはさっきから言われておったのですが、そういうことで、これが今度の法改正による昭和三十六年度当初における今度の特別積立金、こういうことになるわけです。こうまず一つ整理をするのです。
 そこで、その次に三十五年度の損益計算上の利益、これはあなたの方の予算上の見積もりでしょう。そういうものは四十四億四千六百万円、こういうふうに積算しているんでしょう。これを政令で二つに今分けるわけだから、ここに別に二分の一という木村さんが指摘されていることは、法律的には書いてないけれども、それをどういうふうに分けるかということ、およそ二分の一ずつでございます。こういうことはあなはの方で明らかになっておる。だから、木村さんの言うのは、その半分ずつである二十二億二千三百万円、こういうものを見れば、つまり逆の利益の方にいった場合には、その倍の利益があがらなければならないでしょう、こういうことを聞いている。ここにも出ているのだから、その通りなんですよ。数字でいえば、その通りなんですよ。それを何か別のことを答えておられる。そういうことなんだから、倍の利益というものが出てこなければ半分の利益が出てこない。
#46
○木村禧八郎君 そうなんです。今の天田氏の言われたような趣旨なんです。それで、どのくらい繰り入れる必要があるかと聞いたら、九カ年間で約二百八十億ということを言われた。そうなんでしょう。
#47
○政府委員(山崎齊君) 二百八十億前後と申し上げましたのは、これが当初から全部国有林野事業特別会計から一般会計へ繰り入れられるものでまかなわなければならぬという前提のものでないということも、先ほど御説明申し上げた通りであります。
#48
○木村禧八郎君 それじゃ、かりにこれだけを林野特別会計から繰り入れるとすれば、この倍の利益が必要になるんでしょう。
#49
○政府委員(山崎齊君) 倍の利益金があるということになれば、もちろん先生のおっしゃる通りになるわけでありますから、九年後におきましても、特別積立金はやはり五十億残るという形で運営されることになるわけであります。
#50
○木村禧八郎君 もし不足の場合、これは全部林野特別会計から一般会計に繰り入れるんじゃない、不足の場合は一般会計自身からもまかなう場合があると、そういうことは大蔵省が承認しておるのですか。
#51
○政府委員(上林英男君) 法律の建前につきましては、今お話がございましたような場合も予想と申しますか、禁止はもちろんいたしておりません。と申しますのは、この林野特別会計からの繰入金をもって今の公団なり公庫なりを全額まかなえというような規定を設けておらないわけであります。また、今林野庁長官が御説明になりました二百八十億何がしというものは、林野庁の一つの御計画でございまして、具体的に国有林野事業特別会計から林政協力のために一般会計に入れていただきます金額につきましては、法律で明示しておりますように、毎年毎年の予算によってきめられますので、それによって一般会計へ入れていただき、それに応じまして林政協力をしていただくということに建前がなっているわけでございます。
 この改正案の趣旨は、実はこれに似ました規定が前にもあったわけでございまして、その規定の運用にあたりましては、現在の現行法の規定自体が毎年度の剰余金と利益金との両方の範囲内における林政協力という格好になっておりまして、実際の林政協力にあたりまして非常に不便でございましたので、その点を改正いたしましたのが今回のねらいでございます。具体的に今議論になってございますように、この実は一般会計の立場から申しますと、極力一般会計の財源を節約いたします意味におきましても、あるいは国有林野事業特別会計の成果が上がりまして、それによって林政協力の実が上がるということは望ましいのでございまするが、それがすべての財源を国有林野特別会計から仰ぐという建前で法律はできておらないわけでございます。
#52
○木村禧八郎君 林野事業特別会計で二百八十億の利益――これだけの利益でなしに、この倍の利益があがらなければ一般会計からまかなわなければならぬわけですが、一応これだけの二百八十億の倍として五百六十億、林野事業特別会計としてはそれだけの利益があがるという予定ですか。さっきのお話ですと、全部これを一般会計に繰り入れるわけではない、繰り入れなければならぬわけではないと言われましたが、一般会計の方からもまだこれだけのものを、この金額の限度において一般会計からまかなってもらう場合もあるのだ、予定しておるというお話ですが、一応このうちどの程度利益を出せると、林野事業特別会計からどの程度一般会計へ繰り入れることを予定しておるのですか。
#53
○政府委員(山崎齊君) 長期的な利益の見通しでございますので、非常にむずかしいのでありますが、一応三十六年度の予算で利益金を見込んでおりましたのは四十三億かと思うのであります。今後の見通し、現在の価格が今後も安定していくというふうな観点からいたしますと、約五十億程度のものは年々見通されるのではなかろうかというふうな見当をいたしておるのであります。
#54
○木村禧八郎君 五十億程度では足りないじゃないですか。この半分、一般会計へ繰り入れる場合……。さっきの約二百八十億資金をまかなうという場合、足りない。足りない分については、これは大蔵省が一般会計の方から補てんするという約束がなければ、毎年度の予算編成において考えると言ったって、そのときの事情によって一般会計からまかなわれないかもしれない。そんな不安定なことでは、計画が立たぬじゃないですか。
#55
○国務大臣(周東英雄君) これは今も大蔵省からお答えがありましたように、法律の建前は合理的な形において林野特別会計の利益をあげることにできるだけ努力し、その利益をもって林政協力ということをやっていくというのが、この法の建前であります。しかしながら、一般会計から特別会計に繰り入れるものは、常に特別会計の利益だけに限っていない。だから、ときに少ないというような場合がありますれば、他の純粋な一般会計からこれに繰り入れることもあり得ますということは答弁の通りでありまして、私どもは今後の国有林行政のあり方については、先ほどのお尋ねにお答えした通りであります。一面に国土保全と、もう一つは木材の供給の問題とがからまっておるということは、先ほどから私が繰り返すように、経済伐期に来ておる国有林というものは、これは計画的にある程度伐採を進めつつ有効的に使ったらいいじゃないか。それがために、先ほども長官がお答えしたと思いますが、国有林野関係において奥地林道というものを造成して木材の供給を考えていく。そういう計画を進めていくに従って、ときには計画よりもよりよけいな利益が出てくることもありましょう。ときにはへこむ場合もあると思う。そういうことは、総体的に見て十年で二百八十億くらいになっておりますが、その間におきましては、政府としては特別会計の利益が足らなければ
 一般会計から補てんする考えである、こういうことで私はいいのじゃないかと思っております。
#56
○木村禧八郎君 目の子勘定でも、九カ年計画に必要な繰り入れの額、繰り入れというよりは、森林公団と農林漁業金融公庫、それから造林事業と、この三つですね、この三つに対する出資ないし補助に必要とされる額が約二百八十億ですね。それを今度一カ年平均にしますと三十億以上要るわけですよ。三十億以上入れるには六十億以上の利益がなければならぬわけです、半分繰り入れるとすれば。それに対して大体毎年五十億程度の利益が予定されておるというのでしょう。それでは足りぬわけでしょう。足りぬ分については大蔵省との間にちゃんと了解がついているのかというのです。ついていなければ、この計画はペーパー・プランですよ。大蔵省の方はどうなんですか。それを禁止している規定はないと
 いうのですが、具体的な問題が大蔵大臣と農林大臣との間にちゃんとそういう打ち合わせができておるのですか。
#57
○政府委員(上林英男君) この計画自体も、実はまだ今後いろいろ検討がなさるべき金額であろうかと思っております。そのほかに条件がいろいろ実はあるわけでございます。たとえば今仰せられました二分の一の問題でございまするけれども、これもとりあえずは三十六年度は二分の一を予定いたしております。しかし、この二分の一も、将来の国有林野事業の積立金の状況その他によりまして、あるいは変えて参ることも予想されるわけでございます。と申しますことは、損失積立金として百二十億、これは大体過去におきます一番大きな災害の当時の欠損額のようなものを考えたわけでございますが、もちろん今後あるいは災害その他によりまして欠損額を生ずる場合もございましょう。それから、今後国有林野事業の持ちます財産の伸びその他によりましても、損失積立金の額がふえるべきことは言うまでもございませんが、災害の状況あるいは今後の利益の状況その他によりまして、おのずから損失積立金の額にもきめられるべきものがあるかと思いますので、それに応じまして二分の一を変えるかもしれない。そういうようないろいろな状況がございますので、今後の繰り入れの額は、今直ちに幾らと――確かに計算上はいろいろできるわけでございますが、情勢の変化に応じまして、いろいろな計算が成り立ち得る現実になるわけでございます。従いまして、そういうような資金需要あるいは国有林野事業特別会計の成果その他を勘案いたしまして、具体的には法律にも明示されておりますように、林政協力のために一般会計に入れていただきますのは、毎年度の予算でもって国会の御審議を願う、こういうことになっているわけでございます。
#58
○木村禧八郎君 大体これから林野事業特別会計で毎年六十億以上、六十億とすると九年間に五百四十億、その程度の利益をあげ得ますか。
#59
○政府委員(山崎齊君) これは本年度あたりにおきましては、四十二億程度の利益金を予定しておる。これは十二月当時の木材価格を前提にして考えているわけでございまして、最近の木材価格が今後上昇するのではなく安定していくというふうに考えますと、当初予定したよりも相当大きいものがあるいは出てくるのではないかと考えておりますが、この九年というふうな点をならして考えてみますと、先ほど申しましたように、まず平均して年間五十億程度の利益金というふうに見た方が適当ではなかろうかというふうに考えているのであります。
#60
○木村禧八郎君 その計画によると、一般林政事業に対する協力の費用は九年計画で二百八十億くらいだと。これに対して、かりに林野事業特別会計から半分補助するとなると、林野事業特別会計では三十六年度のやり方ですれば結局倍の利益が必要になってくるということになるが、今のお話ですと、ならして五十億ということになると、足りないということになるのです。で、これを一般会計の方からまかなわなければならない。ところが、一般会計の方でまかなうかまかなわないかは年度の予算によってきめられるので、わからないという御答弁。それにまた、二分の一という点についてもはっきりきまったわけではない、こういうようなお話ですが、私はなぜこういう質問をしたかというと、一応ここに九年計画があるのです。今伺いましたら、もしこの計画を計画通りに実行しようとすれば、大蔵省の方で一般会計からの補助あるいは出資が十分確保されないとなると、足りない。林野事業特別会計の方でその利益を確保する努力をしなければならないと思うが、これはそうなると、木材価格の安定という問題とどうも矛盾してきて、木材価格が下がることは、利益をあげる上からいってもあまり好ましくないというような、そういう何といいますか、木材価格の安定に対して消極的になる傾向がどうしても出てくるのではないか。それはもちろん理屈としてはそんなことはありませんと言うでしょう、木材価格の安定が大切だと言っているのだから。私は、木材価格の安定に対する努力の姿勢が、当然消極的になるのではないかと思う。たとえば増伐につきましても、もっと増伐すれば価格も安定し得るのを、もっと積極的にやらない、あるいは木材の輸入等についても、需給関係からいってもあまり下がらないようにするとか、そういうような木材価格の安定について消極的になるのではないか、こういう無理な一般会計への繰り入れということをやると。そういう点に一つ問題が出てくるんじゃないかという点で、これはずっと質問してきた。この点はどうなんです、実際問題としてですよ。
#61
○国務大臣(周東英雄君) 私は木村さんのお話よくわかりますよ、御趣旨は。しかし、先ほど大蔵省からもお答えがあったように、二分の一ということもきまっておらぬから不安定なものだというふうにおとりになったのですが、それは逆です。二分の一というのは、一応の話はつけておるが、災害等がなければ、ある年はこれは三分の二出してもいい場合もある。むしろいい意味において答弁しておるわけです。だから、それは、私どもはそういうことをきめた以上は、とにかくその林野特別会計の方からの利益というものはできるだけ努力をしてやって参りまするし、現在の状態においても四十何億ということになっておる。ところが、安定させた、これ以上上がらない安定した形においても、ことしはもう少しふえそうだということでありますから、それに先ほどから長官が答えておりますように、年々二十八億とかいう、ことしは二十三億くらいですね。そういう関係でありますから、あなたのお説によると、四十六億だということでありますが、これを平均して二十八億くらい、十年間二百八十億としても、最初の年にしても今五十億もらった財源がある。これを加えると、かりに五十億としても五百五十億になる。そうすると、もう少し足らぬ分はどうなるかというと、あなたのお説によると、二百八十億の場合五百五十億にしても、大体ちょっと足らぬことはない。それを今この問題を遂行するについては、必要がある場合においては、二分の一はこれは法律できめているものであって、いい場合にはそれをもう少しふやして割合を毎年きめてもいい、こういうことをお答えしているわけですから、そういうことは私は心配ないと思う。
 あなたのお話は、そうやると、むしろ公団を作ったから、安定させないで、よけい利益をあげるために価格を上げやせぬかという御質問のようにさっきから拝聴していますけれども、そういうことはありませんよ。私ども、いかにして値を下げるかということについて真剣ですよ。あなたのお話のように、一体木材の供給計画をどうするかという問題をやっているのに、値を上げることを考える、その方が矛盾じゃないか。私どもの方はそういうふうなことは考えていない、少なくとも現在においては。
#62
○木村禧八郎君 それは考えているとは御答弁できないはずですよ。しかし、実際問題として、木材価格の安定化とこの林野事業特別会計から一般会計へ繰り入れる計画とは、どうしてもそこに矛盾する面が出てくる。それで、むしろ上げるように努力するということは、これはもう批判されるべきじゃないかと思いますし、そこまではっきり言わないでしょうけれども、引き下げるという努力が消極的になることは事実でしょう。それだけ多く出さなければならぬのですから。
#63
○国務大臣(周東英雄君) 私はその点も、経済学者であられる木村さんのことだから、拝聴していますけれども、あまり心配し過ぎると思うのですね。私は値を下げるために努力するがゆえに、今までもいろいろやった。外国の木材を日本の建築に合わせるような形に、長い間苦労して、アメリカの製材屋等の関係等と契約して、そしてむだを省いて一番大事な小角物をおもに二十五万立方メートル入れようという計画を進めているのです。これは値を下げる方の努力であって、値を上げるための努力ではないと思います。どうも私はいろいろな点を各視野から御心配いただいて、われわれの参考になることはけっこうと思いますが、この特別会計制度ができたからには、値を下げることには努力しないであろう、値を上げる方にいくだろうというふうには、私はそういうふうにはいかないように思いますが、なお拝聴いたしたいと思います。
#64
○木村禧八郎君 それでは、もう一つ角度を変えて伺いますが、かりに木材価格の引き下げに消極的にならない、いわんや木材価格の上がることを期待したり、また上がるような国有林野のやり方をしないとしても、今度は労務費ですね、労働条件の方を切り下げる、あるいは切り下げないまでも当然上げなければならないものに対して制約するというような面が出てこないかどうか。それで基本問題調査会の答申にも、林業労働というものの重要性が非常に強調されているわけです。そこで、この計画に労働条件の向上というものをどの程度に織り込んでいるのか、どの程度に織り込んでこれだけの一般会計繰り入れというものを考えているのか、その点を伺いたいのです。
#65
○政府委員(山崎齊君) 国有林の労働賃金につきまして、最近両三年来、民有林の労働賃金よりも相当高いというふうな問題が出て参っておったのでありますが、最近の情勢からいたしまして、民間の一般の土木関係その他の職種によりまして国有林の賃金よりも高くなるというふうな問題点も出て参っておるのでありまして、国有林といたしましても、労働賃金のベース・アップといいますか、全体的なベース・アップ、あるいは職種、地域によるアップというものも考えなければいかぬというふうに考えておりまして、団体交渉等におきましても、約九%程度のアップを当局としては考えなければいかぬということを提示いたしているのであります。この点、組合とまだ妥結に至っていない、決裂に相なっているのでありまして、公労委等に仲裁の申請を出そうかと、出さななければいかぬというふうな形に相なっているのでありまして、当局といたしましても、労働賃金というものを、そういう実態というものと離れて、切り下げるというふうなことはさらに考えていないのであります。そういう考え方に立ちまして今後の賃金に臨んでいきたいというふうに考えております。
#66
○木村禧八郎君 これはまたさっき引用しました三十五年度の「国の予算」ですが、この中で「国有林野事業における人件費の増加の抑制と企業の合理化について」という項目があるのでございます。この中で、最近人件費が非常にふえてきた、そこで人件費の増加の抑圧に努力して、そしてだんだん人件費の比率が下がってきているということを書いているのです。合理化もかなりやって、それで見るべき実績が出てきたということが書いてあるわけですが、こういう努力もむだというわけじゃないが、林野事業においては、人件費の増加の抑圧と企業の合理北に非常に努力いたしております。私の伺いたいのは、さっきの木材価格の安定との関係です。木材価格の安定化をやっていくと、利益の方があまりふえない、減る。そこで大きな利益をあげるという場合には、価格を引き上げるという方はかりにできないとすれば、この人件費の抑圧、合理化の方に重点が置いていかれるのじゃないか、そうして今後労働条件を切り下げるということはできなくても、当然労働条件を向上させなければならないのに、それに対して消極的になる。すでにこういう方針をとっているのですから、人件費の増加の抑制と企業の合理化、そういう方針をここにとってきているわけですから、それが一そう強化されて労働者の方にしわ寄せが来るのじゃないかという点をわれわれは憂慮するわけでございます。その点はどうなんですか。大体今後九年間の計画に見合う労務管理の考え方です。そういうことを承りたいのです。なるべく具体的に。
#67
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#68
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
#69
○政府委員(山崎齊君) 先ほど御説明いたしました通り、国有林の労働賃金というふうなものにつきましては、もちろん組合との団体交渉等の形においてこれを決定していく建前に相なっておるのでありますし、両者におきまして意見が一致しなければ、御存じのように、公共企業体等労働委員会の調停、仲裁という場を経ましてそれがきめられていくという組織になっておるのであります。従来でもそういう形態をとって労務者の賃金には対処して参ったのであります。従いまして、国有林におきましてその経営というふうな面だけから、一般の労働賃金等の上昇そういうものを無視いたしまして賃金の条件を低下さすというふうなことは、制度的にも不可能でありますし、私たちとしても全然考えていないという現実にあるのであります。
 ただ、今後におきまして増伐等に伴います造林事業の増加の問題、あるいは造林事業にいたしましても、その技術的な、質的な向上ということも積極的にやっていかなければならぬというふうな現実に当面いたしておるわけでありまして、従いまして、造林事業等につきましても積極的な機械化をはかっていく。直営生産等におきましても、もちろん機械化ということを大幅に積極的に取り上げていくというふうなことをわれわれとしては進めて参りたいというふうに考えておるのであります。労務者の雇用の量を減少さす、賃金をあるべき姿からこれを引き下げるというふうなことは、毛頭考えて事業に臨んでおるわけではないのであります。その点御了承願いたいと思います。
#70
○木村禧八郎君 労働者を減少させるようなことはしない、それから賃金を民間の賃金の上昇に見合って、上げるのを押えるようなことはされない、そういう御答弁のようですね。そうしますと、たとえば七百万石、二百万立方メートルですかの立木を増伐計画でやる、この場合には、国有林の労働者は要らないわけでしょう、立木でいくという場合に。
#71
○政府委員(山崎齊君) この伐採等の仕事には要らないということになりましても、跡地の増林にはそれだけの増加がどうしても必要だということになります。
#72
○木村禧八郎君 増伐した場合、これあと造林しなければならぬですね。ですから、増伐の場合には、造林する場合には事業所を増設しなければならないし、あるいは職員数をふやさなければならないし、現場の労働者も必要なわけです。そういうものに対して十分対応できているかどうか。もし対応できていないとすれば、それがまた労働強化という形になりますね。さらに合理化、機械化をやっていかれると言われましたが、その機械化によって非常な労働強化になっておることはあなた御存じですか。これは農林だけじゃないのです。これは、方々で鉱山等で問題になってきているのです。これは労働医学上非常に問題になっている。非常に労働強化になっております。それから健康上にも非常に悪い事例が出て参っているのですが、そういうことについて御調査になっておるのでありますか。
#73
○政府委員(山崎齊君) 国有林の仕事におきます機械化の状態を簡単に申し上げますと、伐採等につきましては、終戦後等におきましておもに手のこというものを使いまして、労力中心に切っておったのであります。最近におきましては、年々の直営生産で行ないます伐採量の約八〇%程度が、御存じのようにチェーン・ソウというように変わっておるのでありまして、むしろ労働の量、質から申し上げますと、私たちといたしましては、このチェーン・ソウを導入したということによって、ほんとうに山の伐木等の仕事が、まあ八時間労働というふうな形に相なるというようなことのきっかけにもなっておるというふうに考えておるのでありまして、また材木を運ぶにいたしましても、木馬とかいろいろな昔の方法によるのでなしに、機械で丸太を積み上げて、それを一定の場所に下ろす。さらにまた、機械を使いまして、その丸太をトラックに積むというふうな仕事の形態になっておりますので、林業における機械化と申しますのは、従前から比べまして労働の質的な強化というようなものではないように考えておるのであります。なお、今後におきましても、この機械の進歩というものを、われわれとしても十分努力いたしまして、進めて参りたいというふうに考えておるのであります。
#74
○木村禧八郎君 名古屋でモデル営林署を作って能率化、機械化をやっておることは聞いておりますが、今チェーン・ソウのお話がありましたが、長野あたりで盛んにやっておるように聞きましたが、これは非常な労働の軽減になるというお話でしたが、これは今まで六時間くらい労働しておって、二人びきで三時間ということになるようですが、しかし、これは二人びきで今まで三時間、そうすると二人で六時間労働をしたわけですね。これは今度一人でやるわけでしょう。いわゆるワン・マン・ソウですね。そうなると、非常に、一人でこれを機械を扱うのに労働強化になる。それから、震動が非常にひどいという問題が起こってきているわけですね。それで、これは農林ばかりじゃない、これは私は足尾の銅山へ行きましたが、最近の採掘のあれで、震動がひどくて、それが新しい病気が出てきておる。これは労働医学上非常な大きな問題になってきておるそうです。震動による最近新しい何とかいう病気ですよ、そういうものが出てきておるようですが、そういうこと御存じでしょうか。
#75
○政府委員(山崎齊君) 今お話のありました、今まで二人でやっていたと申しますのは、やはりチェーン・ソウ自体としては一人でもちろん扱うものでありますから、これを同時に二人で扱うというものではないのであります。二人が一組になって一台の機械を使ってやる。それで、一人がひいて丸太を切っている間におきましては、あとの一人が皮をはぐとか、あるいは倒しましたときの周囲にある危険な雑木等を整理するとかいうふうな仕事を、一人はやるというふうな形態でやって参っておったのであります。これを一人でもチェーン・ソウを、二人一組でなく、一人でやるといたしました場合に、その切る時間、それから先ほど申し上げましたように、たとえば皮をはいだりあるいは倒すときに雑木等を整理するということももちろんその一人がやるわけでありますので、機械一台に二人ついてそういうコンビでやるのか、一人一台の機械でそういう仕事をやるのかというところの違いであるわけでありまして、これにはもちろんその機械というようなものに相当習熟する、なれる、性能等も十分体験から覚え込むというふうな、十分な期間というものがそこへ置かれなければ、一人ではやはり無理が起こるという問題もあるように思うのでありまして、私たちといたしましては、そういう点は現実に即して、急激になれない人にそういうことを無理にやらすというふうなことでなしに、やはり時期々々を見て、その人の能力の程度というようなものも考えて、それぞれやっていきたいというふうに考えておるのであります。
#76
○木村禧八郎君 この機械化によって労働の強化とかそういうものが軽減される、そういうことを簡単に私は考えることは危険だと思うのですね。機械化、能率化によって労働がかえって強化される。私は、ですから、名古屋のモデル営林署といわれておりますね、あれをもっと私、実態を調査してもらいたいと思いますね。機械化即労働の軽減になるというふうに簡単に考えるべきじゃないと思うのですね。労働強化になる面がある。ワン・マン・ソーのことを考えてもそうでしょう。労働の強化が軽減されるというふうには簡単に考えられない。
 それからまた、そういう新しい病気が出てきている。これは農村については私はどうかわかりまんが、振動による新しい病気というものを足尾で初めて聞きました、足尾銅山で。労働医学上非常に問題なのであるということも聞いております。そういう点を調査していただきたいのです。
#77
○政府委員(山崎齊君) 林業の機械化につきましては、前橋営林局管内の沼田の営林署をモデル営林署といたしまして、いろいろな機械というものを導入し、その効率がどうだという問題等も継続的に調査いたしておりまして、先生のお話のようないわゆる病気等の関係につきましても、足尾等の実情も調査いたしまして、われわれも真剣に取り組んでいかなければならぬと考えております。
#78
○木村禧八郎君 それから、労働災害についても、林業は三番目ですね。大体、鉱山、建築、林業、三番目なんですね。ですから、そう自慢にもならないのですね。これは真剣にやはり考えていただかなければならぬと思う。やはりその労働災害の原因としては、どうもわれわれとしては賃金が安い、労働強化であるという点も、それが全部とは言いませんよ、そういうものが労働災害の大きい原因になっていることを十分やはりお考えにならなければいけないのではないかと思うのですね。
#79
○政府委員(山崎齊君) お説の通り、林業労働における災害は非常に多い。残念ながら非常に多いのでありますが、国有林におきましては、ここに一両年来やや減少するというようなようやく段階に来ているように考えまして、国有林におきましても特にその点留意して、注意して進んで参りたいと思っている次第でございます。
 ただ、民有林につきましては、先ほど申し上げなかったのでございますが、チェーン・ソー等で切られておりますものが全体の伐採量の約一割程度と。それから、丸太を運搬しますのが最も危険でありますが、これに従来機械を使うということが非常に少ない。一〇%にも達しないというような現状にもあるわけでありまして、私たちといたしましては、国有林だけでなく、民有林につきましてもそういう点を一つ十分に指導して、その軽減に努めて参りたいというふうに考えておる次第であります。
#80
○木村禧八郎君 こういうことをよく聞くのですが、これは事実でしょうか。国有林の労働者の賃金、特に現場の労働者の賃金が非常に安い。それから、特に定員外の労務者については、大体地場のPWを標準にしてきめる。非常に賃金が安いので、今後国有林の労働者を確保できなくなるおそれがあるのではないか、こういうことを聞くわけですね。そうなると、この林業政策というものから見て、これは重大な問題じゃないか。
#81
○政府委員(山崎齊君) 先ほども御説明いたしましたように、ここ両三年来におきまして、国有林の賃金が地場の農業とかあるいは民間林業の賃金よりも高いというふうなことがいわれ、かなり問題にされたのでありまして、昨年あたりから民間の賃金、農業その他の土建等も上がって、ここで国有林としても改訂しなければいかぬという段階に来ておるわけでありますので、それに対しては団体交渉その他を通じてやって参りました。最終的には公労委の仲裁という形に相なるのではなかろうかというふうに考えておるのであります。
#82
○木村禧八郎君 この問題は林業政策からいっても非常に重要だと思うのですね。特に最近そういう民間賃金は高くなってきておりますし、要員確保は非常に困難になってくると思われますので、この点に私は十分考慮される必要があるのじゃないかと思うのですよ。
 それから、定員につきまして、今度三十六年度の予算執行方針ですね、予算執行方針で欠員補充をしないということになっておりますが、そういうことになると、これから増伐をやる、それから造林もやらなければならぬ、そういう場合に事業分量がふえてくる。事業分量がふえてくるのに定員外はふやさないと、そうなると非常に問題が起こってくるのじゃないか。労働強化というようなことになってくるのじゃないか。この点、どうですか。
#83
○政府委員(山崎齊君) 今お話のありました点は、いわゆる造林等をやります労務作業員と申しますか、そういうものを対象にして、ふやさないというようなことを言っているわけじゃないのでありまして、これには数の規制等はもちろんないわけでありますから、必要に応じて雇用の増大をはかる、あるいは従来の四カ月、六カ月という雇用をしておりました人を、八カ月とか十カ月というふうに雇用を延ばすというようなことも、この分は可能でありますので、そういう点を考えて進んで参りたいと存ずるのであります。
 ただ、先生のおっしゃいますのは、定員外と申し上げましても、いわゆる定員に準ずるような、定員内職員に準ずるような常勤労働者とか、あるいは林野庁が組合と協約しております就業規則の三十七条適用者、定員に準ずるような仕事をしている者でありますが、そういう者についてのことであろうかと考えるのでありますが、これにつきましては、三十七条適用者、現在約八千名強おると思うのでありますが、これを本年度の予算におきまして約七千名程度定員内職員に繰り入れる。あとの者につきましては、現地の実態というものを林野庁、行政管理庁等で十分調査して、三十六年度中にも必要な場合には定員内に繰り入れるような措置を講じようじゃないかということで進んでおるわけでありまして、そういう間におきましてこういう性格のものが、人がどんどんふえるというようなことでは、持っていき方としても非常に問題がありますので、そういう点はふやさない。それで、本年度中に残っている問題の人をまず整理するという考え方でいこうじゃないかというように考えておる次第であります。
#84
○木村禧八郎君 その欠員補充をしないという点が問題なんですね。
#85
○政府委員(山崎齊君) 欠員補充と申しますか、定員内に一定の数を規制されておるわけでありますから、それに対しまして、この候補者が、たとえば三十七条適用者で千何百人というふうなものがおるわけであります。その分からまあ持っていくということは当然いいわけであります。三十七条適用者を、問題になって、今後調査してきめようという、いわゆる三十七条適用者をここでどんどん新たに雇ってふやしていくということには問題がある。それはまあ見合わしていかなければならないという考え方に立っておるのであります。
#86
○木村禧八郎君 もう時間があまりないので、皆さんに御迷惑ですから、なるべく早く結論を終わるようにいたしたいと思いますが、そこで、今林業政策に対して非常に重要な労働問題について伺ったのですが、今後の結論として、林業労働については、民間の給与の引き上げについて、民間の賃金上昇について、それとのつり合いがとれるようにしていくということ。それから、人員につきましても、労働強化にならないような、また合理化について労働強化にならないような方針でいくということについては、大体今御答弁の中からもうかがえるのですが、そういうことについて今後さらに積極的なやはり態度でいく必要があると思うのですが、雇用問題について、この点、集約的に、今後の考え方です、まず伺っておきたいのです。
#87
○政府委員(山崎齊君) いわゆる労務作業員の賃金の問題につきましては、国有林で一年じゅうを通じて、あるいは長くそういう形態で国有林に働いていただくという職員もおるわけであります。さらに四カ月、造林等には、四カ月こういう国有林に働く、あるいは極端な場合は二カ月くらい働く日雇いだとかという形態の者も大勢おって、そういうものが一体になってこの仕事ができておるわけであります。国有林が、今のような労働事情のときに、民間賃金等よりも低いというような形では、国有林の仕事というものは当然行なわれないというふうな実態にあるわけでありますので、民間賃金等との関係も十分考えまして、この賃金の問題にはわれわれとしては当然対処していかなければいかぬというふうに強く考える次第であります。
#88
○木村禧八郎君 今度の特別会計の改正によって一般会計への繰り入れが行なわれるわけですが、その九カ年の大体見通しを伺ったのですが、どうもわれわれの一番心配するところは、一般会計繰り入れのために、特に林野事業の利益を確保しなければならぬ、あるいはふやさなければならぬ、そのために結局、木材価格の引き上げ、安定と矛盾することになるのじゃないか、あるいは労働者にしわ寄せが来るのじゃないか、私はそういう点を懸念するのですが、私は、木材価格の引き上げを行なったり、あるいは労働者にしわ寄せをしないでも、林野事業特別会計は利益をはかる大きな財源があると思う。その財源をどうして確保しないかということを最後に質問して終わりにしたいと思う。
 それは木材の払い下げの問題ですが、大体、私の持っておる資料では、木材の払い下げの場合、公入札が二九%、これは少し資料が古いのでありますが、昭和二十九年か三十年ですが、大体傾向は変わらないのじゃないかと思うのですが、伺いたいのですが、公入札が二九%、指名競争が一二%、随意契約が五九%、こういう比率になっておりますが、大体そうでありますか。
#89
○政府委員(山崎齊君) 国有林の売り払っておりますものの最近の状況を申し上げますと、三十五年度を申し上げますと、公入札が二五%、指名入札三〇%、随意契約四五%というふうに相なっておるのであります。三十一年度におきましては、公入札二〇%、指名入札一四%、随意契約六六%という状況になっておるのであります。これを漸次随意契約というものを減少さしていくという考え方に立って、従来から進んで参ったのであります。今後ともそういう方向で進みたいと思います。
#90
○木村禧八郎君 これで随意契約が減少の傾向にあることはわかりましたが、しかし、全体の中で随意契約が一番多いわけですね、四五%、六六%。随意契約は公入札に比べてどのくらい安いですか。
#91
○政府委員(山崎齊君) どれだけ安いということは、もの自体が違うわけでありますから、申し上げるわけにはいきませんが、公入札をやります場合、あるいは指名入札をやります場合、予定価格というものを作るわけでありまして、それ以下ならば売り払いしない、それ以上で売り払うというようなことに制度としてはなっておるわけでありますが、その予定価格に対しまして、三十五年度のものはまだ見ておりませんが、たとえば三十三年度ないし四年度の調査によりますと、売り払いの予定価格に対して一一%程度、公入札の場合は上昇しておるという実績であったように考えておるのであります。
#92
○木村禧八郎君 林野事業の特別会計では、行管、会計検査院からも検査されて、注意を受けたことはありませんか。
#93
○政府委員(山崎齊君) 会計検査院から指摘を受け国会に報告されましたのは、もちろん数年前からあるわけでありますが、最近、この本年度、三十五、六両年度におきましては、不正事件等はもちろんありますが、それ以外には、特別に国会に報告されるような問題点というものはなかったように考えております。
#94
○木村禧八郎君 行管からはなかったですか。
#95
○政府委員(山崎齊君) 行管からありましたのは、国有林が現在とっております伐期齢と申しますか、伐採年齢についての考え方が現実に即さぬじゃないだろうかというので、三十一年ごろに行管から指摘されておるように思います。
#96
○木村禧八郎君 個々の地方の営林署等につきましては、いろいろな問題があるわけですね。国有林の払い下げ等につきまして不正払い下げとか、いろいろあるのですよ。これは行管の人が調べたものです。これは行管をやめた人ですが、大体、年度は少し古いのですが、随意契約によって払い下げた分、約三十億の損になっている。これは増収になっているはずだ。あまり随意契約というものを、たとえば公入札にした場合にすれば、これは機械的かもしれませんが、三十億ぐらい国が損している。それからもう一つ、これは予決令の九十六条二十号によりまして、造船とか、車両、パルプ、坑木、輸出向けの合板ですか、そういうものについては用途指定の特売をやっているでしょう。これがまた非常に安い値段なんですね。こういう用途指定の特売とか、それから随意契約による非常に安値払い下げ等、これは僕は再検討する必要があるんじゃないかと思うんです。これによって国が私は非常に損失を来たしている面があると思うんです。それで、林野特別会計から一般会計へ繰り入れる場合、無理して木材価格の引き下げに消極的になったり、あるいはまた労働者にしわ寄せするような面が私は必ず出てくると思うんです。さっきのお話聞いても、どうも無理があるように思うんですが、そういうことをしないでも、私は今、指定特売あるいはまた随意契約による安値払い下げ等の問題について、これをもっと再検討して、不当に国が損しないようなやり方をやれば、なおそこに利益が上がってくる余地は十分あると思うんですよ。そういう点について最後に農林大臣、もうこれで私は最後の質問にいたします。農林大臣はどういうふうなお考え方ですか、木材の払い下げについては。非常に問題ですよ。
#97
○国務大臣(周東英雄君) 私が先ほど御答弁をいたしましたものの中には、ただ単に経済伐期に来たものを計画的に伐採するということのみならず、国有林経営に関して一般的に検討を加えて参りたいと思いますと、私先ほど申し上げたわけであります。その中には、当然今のような払い下げ方法についても検討すべきことは検討いたすつもりであります。
#98
○木村禧八郎君 検討すべきことは検討って、非常に抽象的でありませんか。私は具体的に、公入札と指名入札、随意契約の問題、具体的に問題を提起しています。それから、今の予決令の九十六条二十号の問題、用途指定の特売の問題です。この二つの問題を具体的に出している。これについて検討されるかどうか。今までのように国が不当に損失するような、そういう払い下げとか特売をここで転換させると、そういうことを改めると、そういう意思があるかないかを聞いているんです。
#99
○国務大臣(周東英雄君) 私の検討いたしますと申しますのは、検討の結果不合理であるものは直していくということは当然に含んでおりますので、私はその個々の場合についてよく私ども調査報告を求め、どういう実態であるかということを、ただいま木村さんのお話もありますが、さらに事実について調査の上善処いたしたいと、こう思います。
#100
○天田勝正君 もう初めから、私は三点だけ質問をいたしたい旨を委員長に通告済みでありますが、他院からも至急に迎えに来られておるようでありますので、分けて答弁を受けてまた質問するということでなくして、引き続いて三点続いて言いますので、そのつもりで一つメモをとってお答え願いたいと存じます。
 第一点は、山林所得の分配とこの所得の均衡的拡大の問題であります。参考に基本問題調査会の文書の十ページ、(2)のところにございますから、政府側は全部御承知だと思いまするけれども、要するにここへ書かれておるところは、正年林業所得の伸長が非常に著しい。しかし、その林業所得の伸びをささえているのは山林所得の増大であって、素材生産所得や薪炭生産所得の比重は顕著に下がっている、こういうことを指摘しておるのであります。そして、要するに、山林所得は少数の大規模林業経営者に帰属する部面が多くて、その他の林業経営者及び林業労働者に帰属する部分は比較的少ないのだ、こういうことを指摘しております。さらに、その次のページを見ますと、製炭はほとんど農業との兼業による自営製炭として営まれているが、その所得は実質的にはほとんど勤労所得である。この労賃部分以上の余剰は、林地の所有者の原木代、あるいは集荷業者の商業所得に支払われているんだ、こういうことが指摘されているわけであります。そういたしますると、この原木が値段が上がりましても、多くの一般の小さい経営者もしくはそこに働く人方という者には一向恵まれておらないということが問題である。これがずっと引き続いて述べられているわけですが、引例はその程度にいたしますが、そういう状態になっているのでありまするから、政府が今考えておられまするいわゆる所得倍増計画、それからこれらに携わっている者というのは多くは農業者である、こういうこともここに書かれて、そこでこれを総括して農山村と、こう簡単にいうのだという断わりがこの文書の中にあるのでありまして、そこでこの林業所得の場合は、林業者全体の所得が他産業と均衡がとれるようになったといいましても、その中の格差がおそろしくはなはだしいのだということが指摘されているのでありますから、ここにますますもって均衡的な拡大をはからなければならないという問題が生じようと私は思いますが、それに対する大臣の考え方は、どのようにしてこの所得の分配の問題を適正に直したり、また使われている、あるいは自己経営者でありましても小規模の場合は非常に低い所得なのでありますから、これを均衡的に拡大せしめるにはどうしたらよろしいか。この考えをまず伺いたいと思います。
 第二番目の問題は、木材価格の低落の方策についてであります。先ほど木村さんの質問に対して林野庁長官が答えられて、価格の上昇の点が指摘されましたけれども、まあ途中のことを基準にしてもあまり標準になりません。で、私が考えるには、やはりこういう価格騰貴の問題を考える場合には戦前基準にした方がよかろうと思うんですが、戦前基準から見ますと、今たとえば建築費、これを見た場合に、他の諸物価はおよそまあ四百倍ぐらいでありましょうけれども、建築ということになると、どうしても一千倍になっている。かつて千両普請なんという言葉もありますが、これが坪数からしても、明らかに百万円になっております。その千倍になる中身は、結局木材の高騰に基因する、私はこう考えます。そうして、これはこの問題とは別でありますけれども、それに対してさらに土地価格の騰貴に至っては大まかにいって一万倍、これがいわゆる一般大衆どころかかなり高給取りといわれている人でありましても、都会の中心部などにはとうてい住宅が作られない、こういう事態に立ち至って、ここに希望が、ボーダー・ライン層どころかわれわれに至るまで、もう住宅に関する限りは希望を失っているというのが実状でありますから、この観点からも、どうしても木材価格の低落を何らかの方法でしなければならない。さらに、その低落というものが直ちに山林に働いている多くの人たちの所得を引き下げる結果になったのでは、これは大へんでありますけれども、ここの文書で指摘されておりますように、これは立木あるいはこの製材というものを引き下げましても、それはここに書かれておる地代的な所得を受けております大規模経営者には影響はあるでありましょうが、小規模以下の人にはちっとも影響がない、こういうことが明らかなのであります。そうしますならば、どんどんこの木材の価格を引き下げても一向差しつかえないのである。ことに、さっき木村さんが盛んに言われておりましたけれども、このいわゆる四十四億四千六百万円というものと、それから一般会計に入れる二十三億、こういうものを考える場合に、利益はあがっておる、そうしてその中から一般会計に繰り入れる、これは林政に使うということが表面でありましょうけれども、しかし、私から言うならば、これだけの余裕があって一般会計に寄与するというならば、むしろこの財源をもってして木材価格の引き下げ、こういうことを政府が率先してやるならば、これは住宅建設の価格を引き下げることもできる。こういうことから国民に希望が与えられるのではないかと思うわけでありますが、そういう考えにおなりになるのか、ならないのか、これが第二点であります。
 第三点は、今の国有地でありましても、国有林野でありましても、かなり放牧と共用しておる面積の多いことは、これも当局の方で御承知のところであります。ところが、先般農業基本法に関連いたしまして、いずれにしてもそうした地域にさらに農業所得を伸ばしていかなければならないという必要が必ず起きて参ります。その際に、山林なりに放牧はできないかというと、少なくとも欝蔽度七〇%までは放牧地たり得るということが研究の結果明らかでございます。そこで、そういたしますれば、急傾斜地以外のほとんどのところが何がしかの放牧地たり得る、こういうことであります。そうでありますから、この牧野共用林地、こういうものを開発をいたしまして、これを草地にいたさなければ、私は農業所得は上がらないと存じます。これに対しても、いろいろ私過日農林委員会におきまして与野党からの質問を受け、それを改良する予算まで実は申し上げたわけでありますけれども、最近の研究によりますれば、塩素酸塩素の除草剤を使いますれば、一番困難な禾木科であるササの退治でありましても、その薬代だけならば千五百円で済む、中和剤を含めても三千円、あるいは機械の消耗を一万五千円、労働力を一万円と見ても、二万八千円でできるというのが私の結論であります。そこらは政府側はどう考えられるか。これは数字の問題でありますから別でありますけれども、とにかくこうしたところを特別に開発することによって初めて、この水源林を確保するために阻害にならない範囲においても、七〇%の欝蔽度というのでありますから十分これが使える。このことが林業労働者にも所得を増大せしめるし、また農業の場合からいいましても所得増大の一つの大きな道であろうと、こう私は考えますけれども、これらについての御所見を一つ承っておきたいと存じます。
#101
○国務大臣(周東英雄君) 第一点についてお答えいたしますが、山村における住民、またその中における林業者、この林業者の中には大規模林業者、小規模林業者、さらに労働だけ提供して林業に従事しておる者、こういう関係における所得増大のやり方はどうかというお尋ねだったと思います。御指摘のように、なかなか山村における問題もむずかしい問題であります。ことに、今御指摘のように最近における木材の値上がり関係が、立木のままで値が上がっていく、ことに特殊の問題、パルプの問題なんかで競争して木材を買いあさって、つばをつけておるというようなことが急がれておるということで、立木がことに値が上がっております。そういう関係で、大山持ちはいいが、小さい山持ちは非常に困難ではないかという点は私ども同感であります。この点につきましては、農業基本法の中にも農村における林業と一体になって一つの計画を立てるべき場所がある、こういうことを書いておきましたのも、その意味でありまして、一面には農業基本法でありますから、主として農業形態を中心にして考えたわけであります。その場合における小規模林業者の規模というものをふやすことができる地域においては、その点をあっせんしつつふやして、農業所得で所得の増大できないものは、そういうものと一体にしたらどうかという計画でございますが、これも全面的にどこでもというわけにいかぬのでございます。そういう考え方でおりまするし、それから、あとの問題と一緒にお答えをして恐縮ですが、三番目の質問の中に、ある程度の放牧適地面積がある、また、それは牧野としてではなくて、草地として改良すれば適当なところがあるのじゃないか、そういうことをやることによって山村が潤うのじゃないかということは、私、同感であり、その点は政府におきましても基本法の制定の暁におきまして、各地域的にいかなる適地がどういうふうな形に利用できるかということの計画の上に立って、国有林野の払い下げとか、あるいは使用権の設定とか、場合によっては、地方における部落有林野等で現在入り会って利用している地域等におきまして、これは町村部落等で持ったままに共同使用の形でいくか、あるいは場合によってはこれを払い下げるかというようなことに、次の段階としては計画的に進めるつもりでおります。
 それから、第一番目に返りますが、林業労働者に関する問題は、特にこれは考えていかなければならぬと思います。私は、ことに林業の問題について考えなければならぬのは、山村における薪炭、炭焼き等、または林業に雇われている人、こういうものが今後においてどういう形になるかということを今後対象に考えていこう。ことに薪炭の問題は、需要がある程度減ってきております。これは電気、ガス、その他の豆炭、練炭等の使用で、だんだん需要が減るようであります。この点は、一面においては、先ほども申しましたが、いい傾向で、木を焼いてすぐに煙にしてしまうよりは、あるいはパルプ材の方に回すということがより効率的であろうと思いますが、その点は一足飛びにいきませんが、先ほど申しましたように、新しい林業経営の方向というものが、樹種転換による経営、並びに栽培林業、肥料等の施肥をしてやる林業、この問題については大体結論的にそういうことをやりまして、労働力を使っても、すみやかなる成長ということからして、資金の回転率の早さということから見ると、経営が成り立ってくるというのが諸外国の例でもありまするし、日本でもややその実験が進んでおります。そういう方向へ転換させていくことが、よりよけいの賃金を得られることになるのじゃなかろうかということも一つの考え方だ、これが全部ではございませんが、そういうことも考えております。
 それから、もう一つ、木材価格の低落をさせなければ住宅政策等についても非常に困るのじゃなかろうかというお尋ねでありました。この点は、私ども先ほどもそれはお答えいたしましたように、何とかして現在よりも下げたいという意向は持って努力を続けているわけであります。先ほど木村さんにもお答えいたしましたが、何と申しましても、あの焼野原になった戦後の需要、住宅その他を回復させるために、供給力に見合わない需要の増加であったということが、私は木材の高騰を来たした大きな原因と思います。その惰性は今日にも及んでおります。それについて、私どもはまず供給力をふやすについて考えておりますが、それはあくまでも国内における国有林、民有林等について供給力をいかにふやすかということについては、実は先ほど申した通りでありますし、従来とまっておりました、あるいはまた今まで入らなかったような外国材の輸入というものをはかって、極力、私は価格の引き下げには努力をいたしたいと、かように考えておりますが、その点はなかなかむずかしい問題でありますが、決して私どもは木材価格が上がっておって、下げなくてもいいという考えではないのでありますが、この点、なかなか供給力を、そうほかの機械の生産のように計画を立てて、工場を作ればじきにふやせるようなものではないことは、あなたも御承知の通りでありまして、そこにむずかしさがあるので非常に苦慮いたしている点でありますが、今後も努力は続けていきたいと思います。
#102
○天田勝正君 議事進行についてですが、ちょっと速記をとめて下さい。
#103
○委員長(大竹平八郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#104
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
#105
○天田勝正君 今、ただ一ぺんでお答えが済むとは私も思っていなかったのだけれども、時間ということから、大ざっぱにテーマだけ出したというわけであります。
 そこで、大臣にかわって政務次官に一つお答えいただきたいのでありますが……。
#106
○委員長(大竹平八郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#107
○委員長(大竹平八郎君) 速記を始めて。
#108
○天田勝正君 それでは、まるっきり……。これはむしろ長官でなくてもいいのですがね、ほんとうは、これから質問することは。もっとも大蔵政務次官にも関係することだから、ちょうどいい。大蔵政務次官がお答えになれなければ、聞いておってもらって、法規課長に答えてもらってもいいことだし、それから林野庁長官に答えてもらってもいいことです。
 この新しい法律の十三条、これを質問するのですが、ところでその前に、この条文を作ったのは大蔵省の法規課なんですか、あるいは林野庁当局ですか、どちらですか。これはどちらからお答え願ってもけっこうです。
#109
○政府委員(上林英男君) 特別会計法は、財政法に基づきまして特別会計を設けることができることになっておりまするが、その関係で特別会計法は大蔵省の所管でございます。従いまして、起案自体は大蔵省でいたしました。もちろん、その間におきまして、よく林野庁とも御相談をいたしまして立案いたしたものでございます。
#110
○天田勝正君 ここは政務次官にも一つ聞いておいていただきたいのですが、私の記憶では、戦後二、三年の間は、昔のむずかしい法律表現でなしに、かなりやさしく表現するようなくせがついておった。ところが、これが二十八年ごろからはすっかり戦前に戻ったのみか、戦前よりももっとわかりにくく書くようになった。そして私の言いたいのは、どういう法律でも農林関係などというものは百姓わかりのするものを法律として出してもらいたいし、条文の整理をしてもらいたい。そのわかりにくい特別なる法文がこの十三条です。これを今読んで、おそらく林野庁長官といえども頭へすっとこの意味が私は回るような文章ではないと思っておる。えらいことですよ。私もずいぶんくどい方の人間ですけれども、こんな言い回わしなんてできるものではありません。「国有林野事業勘定において、毎会計年度、前年度からの持越現金(特別積立金引当資金に属するものを除く。)のうち歳出の財源に充てることができる金額(前年度から繰り越された歳出予算の財源に充てるべき金額を除く。)があるときは、当該金額のうち、特別積立金の残高に相当する金額から特別積立金引当資金の残高に相当する金額を控除した金額に達するまでの金額を、当該年度末までに、特別積立金引当資金に組み入れなければならない。」、これで半分だよ。これを一体どういう意味だとすぐここで答えられる人がおりますか。
#111
○政府委員(上林英男君) おります。
 (笑声)
#112
○天田勝正君 これは大蔵省の法規課長を除きますよ。自分が書いたのだから、種を知っておりますから。その人以外で答えられるか。こういうものがどうして百姓わかりしますか。どうですか、林野庁長官、今読んだところでわかりますか。これは十三条の半分ですがね。
#113
○政府委員(山崎齊君) これは大蔵省から協議がありましたし、私どもの方といたしましても、法律を担当する専門家に十分検討していただいたわけであります。この内容には誤りはないということでございます。
#114
○天田勝正君 その程度にしか答えられない。内容に誤りがないという程度以外に、これを答えられる人はないのですよ。ですから、専門家が真剣に検討したという価値は、その検討した結果が一般国民にもすぐわかるように表現するというところに価値がある。それが専門家が検討してもわからない。私が非常に無礼な言葉を使うことを同僚諸君にお許しいただきたいと思うのですけれども、今読んだばかりでなく、皆さんが手元で広げても、この文章が直ちにわかるはずがないと、私は実はそのわからないということに自信を持っておるのであります。それというのも、専門家のところに聞きに行きましたが、こういう文章表現はわかりません。一体どうしてこういう文章表現を使わなければならないのかということを、まず聞きたいのです。
#115
○委員長(大竹平八郎君) 天田君にちょっと申し上げますが、八田農林政務次官が見えておりますから……。
#116
○政府委員(上林英男君) わかりにくいというおしかりを受けまして恐縮でございますが、この会計法自体に非常に技術的な規定がございますし、ときによりましては非常にわかりにくいところがあるような法律でもございまするが、今問題になっております十三条につきましては、十二条とあわせてお読みをいただきませんと、そのまま十三条だけをお読みいただきましてもわからないわけでございます。十二条の中に特別積立金というものをどういうふうにして積むのかという規定がございます。その特別積立金と申しまするのは、国有林野事業特別会計の利益を利益積立金と特別積立金に分けるわけでございます。その利益積立金と申しまするのは損失の補てんのために充てる積立金でございますが、この特別積立金はいわゆる林政協力に使わるべき金額として積み立てられるものでございます。これは貸借対照表上は負債勘定に載るわけでございます。そこで、それに見合いまする資産といたしましては、あるいは場合によりましては現金もございましょうし、ある場合には土地建物あるいは森林というふものが資産勘定に見合うわけでございます。で、この特別積立金を限度といたしまして林政協力をいたします。林政協力をいたしまするときには、現金をもって一般会計に入れていただきますものですから、この特別積立金に見合う特別積立金引当資金というものを資産勘定におきまして積立資金として積むわけでございます。その積み方をどういうふうにするかというのが十三条の規定でございます。この十三条の規定をお読みいただきますと、「毎会計年度、前年度からの持越現金」、これは現金でございます。その中にまたカッコがございまするので読みにくいということでございますが、持越現金の中には、もちろん前の年度に特別積立金引当資金として、現金として、これは林政協力に合うものがありますと、これはその中から除かれるのは当然でございますから、そういうものを除きまして、その現金のうちさらにもう一つ除かなければならないもの、そういう現金がございますけれども、たとえば持っております現金の中には人の金を預かったものもございます。従ってそれはたとえば保管金などで人の金を預かっておる、入札保証金などで預かっておりますときには、これを林政協力に使ってしまうわけにも参りませんから、そういうのを差っ引くというのが次のカッコでございまして、そういうものを除きました要するに歳出の財源に充てることのできる持越現金をまず取り上げまして、そういうものから、今度は特別積立金の限度まで林政協力をいたすわけでございまするから、その特別積立金の限度まで資金に繰り入れていく、こういう規定が十三条の今お読みいただきました一項の規定でございます。
#117
○天田勝正君 私もねちこく研究した結果、私自身は十三条を説明をいただかなくてもわかったのです。問題は、どうしてこう二ひねりくらいひねらなければ表現できないかということです。ほかに幾らでもできるのです。ですから、私がさっき、初めに指摘したように、二十三年ころまではかなりやさしくした。民法などもそのためにやさしくしたのです。この文章と比較してみなさい。民法や刑法の方がよほどしろうとわかりがするようにできているのです。ところが、これはこういうふうに非常にむずかしい表現です。なるべく国民にはわからないようにとしたのは、二十八、九年ころからです。また再び戦前の状態に戻ったどころか、もっとひどくしている。役人に書けといえば、なるべく誤りのないようにということで、非常にむずかしくするのだけれども、内閣の方針としてこういうものはやさしい表現にする。この長いものは一区切りで起こして、長いものは区切って一項、二項、三項とすれば、幾らでも書ける。ただし書きは、ただし書きと書いて、この場合は除く、こういうふうにしさえすれば、幾らでも整理ができるということです。
 これを実際解釈するには、さっき木村君から質問があった表を持ってくれば一番よくわかる。これによれば、前回を整理して三十五年度末の残高損失補てんの積立金百六十九億、そうして改正案の利益積立金とみなす金額は百二十億。この百二十億はどこから出てきたかというと、今までの特殊災害の最高の額を一応ここへ記入したというのである。それを差し引けば四十九億五千二百万円、大約五十億になる。そして三十五年度の損益計算を見積もれば、四十四億四千万円といういうこと。ですから、この特別積立金に繰り入れるべき目の二分の一であるべき二十二億二千三百万円というものをすぱっと書けばいいのであります。こう書けばわかりやすいのに、それを(二)と(五)を加えて(二)を引いた分でございますという書き方です。
 私は、どうしてこんな回りくどい表現をしなければ法文として成り立たないかということです。それはあなたは、いろいろこうでなければだめだと言われるでしょう。そんなことはありません。普通の人の理解は、もっと簡単にしても理解できるのです。私はこの表を見てとてもよく理解したのです、自分一人で解釈してみて。で、内閣の方針としても、特に農林関係の法律というものは国民と離れた法律では困るのです。百姓わかりのする法律というものをぜひ心がけてもらいたい。特に林野事業関係などは、一般平地の農村人よりもさらに教育程度が低いのが普通ですから、そういうものがじかに理解できるというところに法律の値打ちがあると私は思う。これは技術的なことを今質問したわけでありますけれども、つながるところは内閣の方針にあると思う。確かにやさしくした時代もあったのですから。この点どうですか、大蔵政務次官でも農林政務次官でも、どっちでもいいですが……。
#118
○政府委員(大久保武雄君) 先ほど課長が御説明申し上げましたように、会計法の建前上大へん回りくどくなっておりますことは、私も見てみますと、認めるにやぶさかではございません。しかし、建前といたしまして、法律は民衆にわかるようにいたします建前をとることは、きわめて大切な要件でもありますので、御指摘の点は十分注意いたしまして、法案の作成に努力いたしたいと考えております。
#119
○天田勝正君 そこで、なるべく短時間に質問を終わるように心がけますが、農林政務次官、私は先ほど大蔵政務次官と間違えて、大臣のいるところで私の質問の概要を聞いていて下すっていたものなりと思ったところが、そうでなかったので、もう一ぺん繰り返さなければなりませんけれども、私が質問をいたしました第一の点は、山林所得の分配の問題とその均衡的拡大の問題でございます。お手元にもたしか事務局で資料が持ってこられておると思いますから、時間を省く意味で、農林漁業基本問題調査会の「林業の基本問題と基本対策」、その七ページをごらんいただけば、私の質問がよく理解願えると存じます。そこの(2)ところに「林業所得のすう勢と分配構造の問題」というのがございまして、そこに次のような指摘がございます。「林業所得の伸長はいちじるしいが、このような林業所得の伸びを支えているものは、山林所得の増大であって、素材生産所得及び薪炭生産所得の比重はかなり顕著に低下してきている。」、こういうことをまず第一に指摘しておる。山林所得は増大する、しかし素材生産所得と薪炭生産所得の比重は、これはぐっと下がっておるのだ。これを第一に指摘をいたして、次には、その山林所得の伸びは立木額の上昇だ。これは山林地代の増大をもたらす結果となっているが、必ずしも林業における生産性の向上を反映するものではない。「山林所得は、比較的少数の大規模林業経営者に帰属する部分が大きく、その他の多くの林業経営者及び林業労働者に帰属する部分は比較的に少ない。」、こういうことなんです。ですから、山林所得は伸びておるけれども、その配分は大規模経営者の方が圧倒的に多くて、小規模経営者や薪炭等を行なっている者、あるいは雇われている者、こういうものの所得は低いのだ、こういうことが言われておるわけであります。それで、さらに次には、薪炭はほとんど農業と兼業で自営製炭をしておる。その所得は、実質的には勤労所得である。その労賃部分以上の余剰は、木を売る林地の所有者かあるいは集荷業者に対する商業利潤として持っていかれておる、こういうことも指摘しているわけであります。そして「以上のように、多くの林業就業者の生活水準の向上又は所得の均衡的増大の観点からみても、種々の問題点が存在する。」、こういうふうに指摘されておるわけでありまして、そういたしまするならば、現在政府が目ざしておりまする所得倍増十年計画、こういう問題を対象にして見る場合に、山林所得の所得分配の問題はきわめて大きな問題です。その一つは、林業者全体として他産業と均衡がとれた所得を得られたとしても、その内部における格差がおそろしくはなはだしい、こういうことを言っておるわけでありますから、そこで、それじゃ林業の自営者及び薪炭業者及び雇用労働者、こういうものの所得の均衡的拡大をはかるのは一体どういう方向でございますか、こういうことをお聞きしたわけでありまして、それに対する十分な答弁がなされておらないので、引き続いて政務次官からそれではお伺いしよう、こういうことになったわけであります。こういうわけでありますから、一つこの点を御答弁願いたいと存じます。
#120
○政府委員(山崎齊君) 所得の概要を申し上げたいと思いますが、林業所得を山林所得と素材生産所得、薪炭生産所得というふうに分けていきますと、山林所得におきましては、二十六年が六百四十九億円の所得でありましたが、三十三年度は二千九十一億円というふうに、三倍強の増大を見ているのであります。ところが、素材の生産所得は、二十六年の四百十四億円に対しまして二百七十億円というふうに減少を見ております。薪炭の生産所得は二十六年の三百十一億円……。
#121
○天田勝正君 途中でございますが、私も多くの時間を費やすつもりはないわけです。それから他の人にも迷惑でありますから。それから、今私が質問しているのは、その所得の状態、現在どうなっているかということをお聞きいたしているのじゃなくて、それは大いにアンバランスだということは、これでも言われているのですから、だから、今数字をお聞きしなくてもよろしい。これはうしろの方にちゃんと数字についてもあるようでありますから。そうでなく、こういうことになっているから、他の農業の場合でも、農業基本法で他産業と均衡する所得ということが言われているわけです。ところが、林業の場合は、それが全体とすれば均衡しても、その中のアンバランスは他のものより激しいのだ。だから、それを均衡的増大をするにはどういう方法でやりますかと、こう聞いている。これは政府の要するに方向ですから、それを聞けば、二まい数字は今のところよろしゅうございます。そこまで入るとえらい時間になりますので、そういう意味で一つお答え願います。
#122
○政府委員(八田貞義君) ただいま山林所得の方が非常に伸びがよくて素材所得、薪炭所得の方が非常に低い、これはもちろんこういった労務賃の問題と関係する面でございまして、やはりこの労務賃によって所得を増大していくということはもちろん大切な問題でございますが、この低い所得がなぜ改善されないかということにつきましては、もちろん現在の企業体の生態そのものに問題があると思いますので、今後は構造改善政策を通じまして、近代化して、生産性を上げて、そうしてその生産性の向上に伴って労賃の向上を期していきたい、所得を増大していくように進めていきたい、こういうふうに考えております。
#123
○天田勝正君 次にこういうことが掲げてございます。「林業経営は、雇傭労力に存する大規模階層と自家労力に依存する小規模階層へそのほとんどすべては農家とに分かれるが、こういうふうに二つに分かれるが、その階層的落差がいちじるしく、かつ、特に大規模階層にあっては、多くの場合において、林業経営というよりは、むしろ財産保持的ないし地代収得的性格が濃厚である、こういうことなんです。でありますから、生産性向上によって均衡的拡大をはかっていくとおっしゃっても、それだけではとうていこれは他の産業もしくはその内部における均衡をはかることはできない、こういうことになるのでありますから、結局私は自分の意見としていろいろ言うよりは、政府自体で出した文書の中のこの「地代収得的性格が濃厚」ということを指摘されている以上は、この「財産保持的ないし地代収得的性格」というものを直していく、こういうことがどっかになければならない、こういうふうに思うわけであります。でありますから、そういう方法をとるのかとらないのか、こういうことについてお伺いします。
#124
○政府委員(山崎齊君) お話の通り、大森林所有者等におきまして、積極的な経営というものをやらないで、木材価格の値上がりを待つと申しますか、そういう形のものもおるわけでありまして、それが木材価格の上昇にさらに拍車をかけるというふうな問題にも相なってくるわけであります。従いまして、私たちにいたしましても、この暮れを目標にいたしまして、現在の森林法の改正等も考えなければならないということも検討いたしておるのであります。各大所有者等につきましては、その所有する森林というものを、計画的に、適当なやはり伐採年令というようなものを前提にいたしまして、経済的な観点に立った林業経営というものをやるように指導しあるいは勧奨するというふうなことも行ないまして、林産物需給に貢献させますとともに、やはり雇用の増大あるいはそれを通じます機械化その他の方法によりまする生産性の向上というふうな点を、強力に推し進めていかなければならぬというふうに考えて、現在研究を積みつつあるのであります。
#125
○天田勝正君 不満足ですけれども、先に進みます。
 そこで、ここに書いておることは、結局山林所得の伸長は主として立木価格の上昇だ、こういうことで、それだから大規模経営者にその所得の大部分が帰属するのだ、こういう結果になる。ですから、材木価格を押えもしくはこれを低落せしめるということをいたしましても、小規模経営者や薪炭業者もしくは山林労働者については影響がない、ないということを意味したことがここに書かれておる。であるとすれば、大きな人だけに影響をするのであるから、材木の引き下げを政府ははかるべきじゃないか。それが住宅政策としても非常に妥当な方法ではないか。私はそう考える。
 それで、さっきも例を引いたのですが、住宅建設の場合は、他の物価が四百倍くらいでありましょうとも、これが一千倍になっておる。土地価格に至っては一万倍になっておる。ここに多くの国民が住宅に対して希望を失うどころか、今日かなり高給者といわれても、少なくとも大都会の中においては住宅に対する希望が持てなくなった。つまり、昔の一千円ぐらいの建築、これは家賃にして二十円ぐらい、家の間数がたいてい五間です。それを八十円ぐらいの給料をとっておったら、みんな入っておった。ところが、今これは明瞭に百万円、百万円の家は容易にできないとともに、今度その土地価格に至っては、その家を載せる土地価格に至ったら、どうしたって三百万ないし五百万。都心ではとてもそれはできない。こういうことであるから、ボーダー・ライン層がとても家が作れないというのでなくて、高給者に至るまで、言うなれば国民のほとんどといっていい。皆さん方勅任一等の官におられる人でも、こういう多額の金はちょっくら出せない。そういう住宅に対する希望が持てないという状態は、これは社会にとってもゆゆしい問題である。であるから、ことに山林はここにも指摘されておりますように、面積の三分の一、立木石数の二分の一を国で持っておる。まことにこの点は引き下げにけっこうな条件がそろっておるわけでありますから、大いに引き下げられるのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。
 特に引き下げられる財源といたしましては、今日も御案内のように、前々から積み立ててきておりまする特別積立金、これはまあ現金でありますが、それの中から二十三億円というものを割いて一般会計に繰り入れる、こういうことでありまするし、それから損益計算上の利益も四十四億も出る。これもまた積立金となってだんだん重なっていくということでありますから、こういう一般会計の方へもっていかないで、この価格を引き下げ、物価倍増のムードの中からせめて政府ができ得るこの材木の引き下げ、こういうことくらいは二十三億のこの金があるんだから直ちにできるではございませんか。こういうことを指摘をしておるわけでありまして、でありますから、ここに物価倍増ばかりでなく、物価引き下げの大英断を一つふるう御意思があるかどうか、このことを伺っておるわけであります。
#126
○政府委員(山崎齊君) この国有林野特別会計の剰余金等を利用して、積極的に木材価格の引き下げということを直接はかるような施策を講ずるべきではないかという御質問のように考えるのでありまして、第一点、国有林野におきます木材の供給を見てみますと、現在需給の上で最も中心をなします針葉樹材、しかも柱角というようなものをとりますようなものが、国有林は従前におきまして、まあ経営的に申しますと、天然更新という方法をとって参りまして、造林地が全面積の一四、五%程度しか現在ないというふうな現実にあるのでありまして、従いまして、国有林の造林地は現在百万町歩程度。ところが、民有林におきましては、天然更新策の方法によらないで、皆伐いたしまして跡地へ植えるというような施策をとって参りました関係で、五百万町歩をこすような造林地がある。そういうふうなところに、やはり需給の中心が民有林に置かれておる。国有林から生産されますものは、やや特殊な性格を持つ木材であるというふうな形に相なっておるのでありまして、われわれといたしましても、国有林自体、そういう天然林、択伐等をやっておりました天然林を早急に切りまして、それに跡地の人工造林をするという形を今後積極的にとっていかなければいかぬというふうに考えておりますことが第一点であります。
 また、御存じの通り、木材はそれが製材とかあるいはその他の加工という形態を通じまして消費者とつながっておるわけであります。そういう面に、しかも製材ありあるいは加工を業とする業界が非常に多く、しかも零細だというふうなところに、この価格という問題を調整して参ります上の非常にむずかしい問題があるわけでありまして、そういう点からいたしまして、国有林が安く売る、比較的需給の中心をなしますような材が少ないにもかかわりませず、そういうものを剰余金等を前提にして思い切って安く売るというふうなことをいたしました場合に、なかなか消費者と価格がつながりにくいというふうなところに問題があるのでありまして、また一面、外国材等をそういう金で思い切って入れて供給をふやすという形でやったらどうかというふうな意見もないわけではないのでありますが、これにつきましても、現在の木材貿易はAA制でありますし、ほとんど特殊のものを除きまして関税もかからないというふうな形態でやって参っているわけでありまして、こういうふうな金を使いまして外国から木材を入れる、それを安く売るというふうな点にも、今の木材の本質的な面から相当の問題があるわけでありまして、要は、私たちといたしましては、ソ連材等の輸入等も急激に増加していくということ、あるいは米材等の輸入も増加するということ、国有林自体の供給もふやしていくというふうな、供給面の対策というものを主体にいたしましてこの問題に対応していくことが現在の段階としては最も適応するのではあるまいかという考え方に立って、そういう施策を進めているわけであります。
#127
○天田勝正君 事務的に答えればそうなると思うのですね。そういう答えをずっとしていけば、結局、まあ全部上がる一方で上がってきた。この住宅費などというものは一千倍で、そのままにつちもさっちも動かなくなる。土地に至っては一万倍で、それ以上に上がればといって、これは下がる気づかいはない。しかし、生涯どうせ家なんか持てないのだなんということになれば、それは国民は希望は失いますよ。ですから、私は思い切って政府がやるかやらぬか、このことを聞いているのですよ。ですから、かりにやれないというならば、大ていの場合は予算ということにまあ普通ひっかかってくるのですけれども、この際は予算のことはあまりおっしゃらない。
 それというのが、ここに調べられた数字でありましても、今度は利益積立金というのと特別積立金と、こう二つあるのですね。それで利益積立金とみなされる部分が百二十億ある。そのほかに今度の新制度による、前からの引き継ぎでありますけれども、三十六年度の当初の特別積立金というものが五十億ある。それで、今年の損益計算上の利益というものが四十四億四千六百万円、こういうのでありますから、思い切ってやろうとすれば、この二つを合わせた、あるいはときによっては百二十億も含めた額というものは、価格引き下げに使える金なんです。あと困るということもありましょう。あるけれども、一ぺん腹をきめてこの住宅費の引き下げを行なうのだ、そのためにはやはり木材の引き下げを行なうのだ、こういうふうに政府が腹を固めさえすれば、ここに二百十億くらいですか、そういうものは出てくるのです。ですから、それは全然使わないのだということにしておいて、一方においては一般会計の方へ繰り入れるのだ、これじゃどこまで行ったってこの木材価格の値下がりなんというものは期待できないのであって、こういう金を現実に一般会計の方へ入れて、二十三億だけでも価格引き下げの金にはどうしたって使えるはずなんですから、それで今の政府の方針としては、これをやるかやらぬか。いや樹種がどうだのこうだのといったって、それはそういうものもある。あるけれども、ものの価格というものは一割不足ならば倍に上がるし、一割今度余れば値段が半分に下がる。これはきまり切ったことなんです。農産物、ことに蔬菜類などに至っては二割もよけいできようものなら、ただにもなる。それが現に昨年の大根、白菜の例であります。われわれの方では大根は全部ただになった。しかし、全体の需要からすれば二割ぐらいしか余っていない。そういうものでありますから、木材だって、それは樹種がどうのこうのとおっしゃるけれども、早く思い切ってやれば、供給をどういう方法かで一割もよけいすれば、半値にだって下げ得るのですよ。これは結局、林野庁長官が、あれがむずかしい、これがむずかしいとおっしゃるのでなくして、政府当局がそういう気がまえがあるかどうかというところにかかるのでありますから、一つ時間も節約する意味で、私はそうくどいことを聞いているのじゃないのだから、委員長も一つ心得て、時間節約のように委員長の方から協力してもらわなければならぬと思うのです。どうですか。
#128
○政府委員(八田貞義君) 土地並びに木材の高騰はまことに問題でございまして、木材の高騰につきましては、先ほど林野庁長官から申しましたように、やはり供給面からこれを解決していってみる、こういうような方針で進んでおるのでありますが、ただいまの剰余金の使途の問題につきましては、さらに検討さしていただきまして、当面の対策としては、供給の面から、ソ連あるいは米材、そういった供給面の緩和対策等を続けて参りまして、しばらく推移を見たいと、こういうふうに考えます。
#129
○天田勝正君 先に進みましょう。
 まあ、きりのないことばかり考えることもないので、ここに二百十億もあれば、それを資金にして、たとえば今ブロックが非常にはやっておりますけれども、木材それ自体と正面から向かわなくったっても、ブロックはこれはおそろしく能率のいいところと悪いところとがあるのですよ。能率の悪いところにその近代的な機械を買うに融資をするという処置を講じたっても、その方が下がるから、いやであっても木材の方も下がらざるを得ないのです。金の使い方を、必ずしも木の樹種によって向きがあるとかないとかいうだけで、狭く考える必要はないのです。これはまあ時間もありませんから、私の意見として申し上げておくだけにいたします。
 次は、農業基本法との関連でございますが、この国有林野の中にも牧野共用林というのがたくさんございます。これは八田次官も御承知だと存じます。ところが、この牧野共用林という場合に、しからば放牧場としてどの程度が使えるかといえば、過去の技術的経験によりまして、あるいは研究によりまして、欝蔽度が七〇%までは牧野として使えると、こういうことになっている。欝蔽度七〇%といえば、それはもう大へんなものです。私も学者からその話を聞いて、実際は驚いたくらいであります。日陰になるところが三〇%ぐらいでなければとても牛や馬を飼うことができないのじゃないかと思っていたところが、案外さにあらずで、七〇%ぐらいまでは牛や馬が飼えるのだ。こういうことになりますれば、水源林として何ら損壊することなしに、水源は十分保ちながら、なお放牧あるいは草地として、この面から非常に山村の所得も、農村の所得も上げ得るという余地が、私はあろうと思うのです。で、それらを今のままで放置しておけば高の知れた所得でありましょうけれども、これを計画的に開発いたしますならば、大いに農山村の生活を上げるために非常な寄与ができる。
 こういうときに、さっきも時間がないので言葉をきわめて省略したのですが、そういうところの開発に一番骨の折れるのはどういうところかというと、薬で絶えない禾木科植物なんです。いわゆるササなんです。ササの根が張り込んだのは、開墾するといっても処置がないのです。ところが、幸いにもこのごろは、普通除草剤といえば、禾木科である植物にはきかない。ところが、禾木科植物にもきく塩素酸塩素の除草剤というのができたのです。それで私は、私の方の農業基本法の予算を取ったわけなんですけれども、反当たりにしてもそれは千五百円くらいで済む。中和剤を使っても、これまた千五百円。これは最高です。労働力、機械消耗費を使っても、国有林野、公有地に関する限りにおいては、どんな所でも二万八千円でできるというのが私の確信です。そういうことでありますから、ここにも書いてありますように、小規模林業経営者は多くは農家である。だから、以後「農山村」と称すると、これにも書いてある。私は農山村の格差のひどいいわゆる僻地地帯の所得を上げるには、こうした欝蔽度七〇%以下の地域を放牧地あるいは草地、こういうものに計画的に転換する必要があろう、こう考えるけれども、政府側はこの点についてはどう考えておられますか、こういうことであります。これで質問を終わります。
#130
○政府委員(山崎齊君) お説の通り、国有林野の場といたしまして、農山村の住民の方々の経済の振興という問題で、畜産等に寄与していくということは積極的に考えなければいかぬというように思っておるのでありまして、従来とも国有林におきましても、放牧、採草等を前提といたします共用林も設定いたしておりまして、今後ともそれは増加さしていきたいと思っておるのでありますが、ただ、先生が御指摘になりました欝蔽度が〇・七という点については、まだ私たちも初めて先生からお聞きしたような次第でありまして、従来は大体〇・三二くらいが適当じゃないかと考えておったわけであります。その点はなお十分検討して参りたいと考えております。
#131
○委員長(大竹平八郎君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#132
○委員長(大竹平八郎君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#134
○木村禧八郎君 私は本案に反対いたします。その理由はこれまでの質疑を通じて明らかになっておりますので、長い間時間をとることを省略いたしまして、簡単に反対の理由を述べたいと思います。
 第一は、この改正によって、木材の需給及び価格安定について政府の態度は消極的であり、むしろ矛盾するのじゃないか。一般会計に特別会計から資金を入れるために、よけい利益を出そうとする。そういうことになると、そのしわが木材価格あるいは林業労働者の方に寄せられてくるという危険があると思う。それで、今後の林業政策の非常な重要な点は、国土保全はもとより重要でありますが、それに加えて特に木材の需給の安定、価格の安定ということが非常に重要なのでありまして、この改正案はそれに矛盾するのじゃないか。そういう点が反対の理由の根本であります。詳細は、これまでの質疑を通じて明らかになりましたから、時間を省略する意味で、私の反対討論、意見はこれで終わります。
#135
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして、以下述べる七点で反対をいたしたいと思います。
 一点は、水資源開発公団設置をめぐるいきさつを見ましても、この基本問題調査会の答申とそれをめぐるいきさつを見ましても、林業行政あるいは治山治水事業を根本的に解決するめどは何一つ立っていないと思うのです。それは、今回の質疑を通じまして、または前代未聞の附帯決議をつけられた事実を見ましても明らかだと思います。
 二点は、基本的根本的対策が何一つ立っていないのに、公有林野優先主義の放棄と、私有林野優先主義への転換、あるいは官公造林の廃止と公団への移管であります。今回の特別会計法の改正のごとき諸施策のみを急いでいるのは、いわゆる所得倍増計画、独占資本の擁護、その強化のために、農業や林業をそれに即応させること、そのことのみを前提としているからにほかならないと思います。農業基本法も今回の諸施策も同じ目的で目的を追求しているものであります。
 三点は、そのために、形としては、公団のごときぬえ的なトンネル会社を利用し、また国有林の公社化を策して、パルプ会社や化繊会社を中心とする独占資本による山林支配への道を開こうとしているのであります。
 四点は、本特別会計の改正は、国有林の民有林協力を恒久的に制度化し、それを財政的に保証するとともに、国有林野事業を損益中心主義の体制に切りかえ、公社制度確立への布石を打とうとするものであります。従って、そのすべての犠牲としてしわ寄せが山林労働者、農民、中小農林業者、製材業者、地方公共団体等へ転嫁されることは明らかであります。
 五点は、さらにまた国有林、公有林の乱伐は激増し、その必然的な結果としてわが国土と国民は災害と貧困のふちに突き落とされることも明らかであります。
 六点は、あの特別会計法改正の目ざしておる傾向とその結果は、林業の破壊であり、国有林、公有林の私物化であり、治山治水の放棄であると言わなければなりません。
 七点は、最後に意見として述べますのは、全国的にただいまほうはいとして起こっております反対運動も見なければなりません。労働者、農民のみならず、地方自治体、政府部内にまで上がり始めている反対の声に耳を傾けなければならぬと思います。そうして直ちに本改正案を撤回することを私は要求しまして、反対討論とせるものでございます。
#136
○委員長(大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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