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1960/04/25 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第20号
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1960/04/25 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第20号

#1
第038回国会 商工委員会 第20号
昭和三十六年四月二十五日(火曜日)
   午後一時三十五分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     剱木 亨弘君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
           吉田 法晴君
   委員
           赤間 文三君
           上原 正吉君
           大川 光三君
           小林 英三君
           斎藤  昇君
           山本 利壽君
           阿具根 登君
           椿  繁夫君
           中田 吉雄君
  国務大臣
   通商産業大臣  椎名悦三郎君
  政府委員
   科学技術庁振興
   局長      原田  久君
   通商産業省重工
   業局長     佐橋  滋君
   工業技術院長  後藤 以紀君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空機工業振興法の一部を改正する
 法律の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。
 本日は、最初に航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の審議を行ない、ついで鉱工業技術研究組合法案及び新技術開発事業団法案の質疑を行ないたいと存じます。
 まず、航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○椿繁夫君 私はこの間の本委員会で、参考人の御出席を求めた際、他の所用のため出席をしておりませんでしたために、あるいは皆さん御質疑が済んだのと重複するかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。
 資料もいただいておるのですけれども、資料では十分わかりませんからお尋ねをいたしますが、終戦後における航空機の製造は、たしか昭和二十七年ごろから始まったように記憶いたします。政府が本法に関係して民間機の製造のために支出した出資金や補助金の累計、昭和三十五年度までにそれぞれどのくらいに達しておるか、そういう点について一つ。
#4
○政府委員(佐橋滋君) この会社ができます前、いわゆる鉱工業補助金から出しました分が全部で二億一千五百万、それからYSI11製造のための日本航空機製造会社ができましてからの出資金といたしまして、現在までに十億五千万出ております。
#5
○椿繁夫君 この政府出資の原資は一般会計とか産業投資特別会計とかじゃなくて、大体MSA関係の資金が多いのじゃないかと思いますが、この比率は、十億五千万円のうちどういうふうになっておりますか。
#6
○政府委員(佐橋滋君) 出資金の十億五千万は全部MSA資金から出ております。
#7
○椿繁夫君 全部MSAの資金から出ておるとすれば、MSAの協定によって何か航空機製造についても制約を受けるのではないかと思いますが、そういう点について。
#8
○政府委員(佐橋滋君) 御承知のように、MSA資金は産投の中にありまして、従来は、この航空機製造会社ができます前までは、航空機関係、電子関係等の用途を指定して使っていいということになっておったわけであります。この会社ができましてからの出資をMSA資金から仰いでおるわけでありますが、今後まあ日米協定その他による制約というものは全然受けるあれはありません。
#9
○椿繁夫君 これまでにも何らの制約を受けていない、これからもMSAの資金の続く限り原資をそこに求めても何らの制約もない、こういうふうに解してよろしいですか。
#10
○政府委員(佐橋滋君) 現在までも受けておりませんし、今後も受けません。MSA資金の使途については、先ほど言いました航空機その他の設備投資に使ってよろしいということをいわれているだけでありまして、今後も何ら制約を受けることはないと考えております。
#11
○椿繁夫君 これも、あるいは前に参考人が御出席になった際に御質問があったのじゃないかと思うのですが、三十一年度から、この五年間における民間機の輸入の台数、それからその金額、これは一体どういうことになっておりますか。資料ではいただいていますけれども、この通りそのまま受け取っていいでしょうか。
#12
○政府委員(佐橋滋君) お手元に資料でお配りしております九ページにありますように、二十七年から民間の航空機会社が買いました機数及び金額を資料として提出してありますが、この通りであります。
#13
○椿繁夫君 日本航空機製造株式会社は、三十六年度中に中型輸送機、これはYS−11というのですか、このYS−11の試作第一号機を完成させて、量産準備を開始するとのことであるが、その試作に要した経費の総計はどれくらいになっているか、またその内訳、コストの比率を伺いたいと思います。
#14
○政府委員(佐橋滋君) 当会社は、できましてから現在までに使っておりますのは、三十四年度に一億八千六百万、それから三十五年度に十六億六千六百万、これを内容別に申しますと、設計費に約三億、それから試作費に十三億五千万、こういうことになっております。
#15
○椿繁夫君 いただいております資料の中で、日本航空機製造株式会社の貸借対照表というふうなものはないように思いますが、概況の御説明をいただけますか。
#16
○政府委員(佐橋滋君) この前中島参考人が御説明しましたように、当会社は設立して以来出資金を使っているわけでございますが、当会社は固定資産というものを全然持っておりませんので、人件費と、それからただいま御説明申し上げました試作設計費に全額を使っておりますので、貸借対照表らしきものがありませんので、資料としては配ってないわけでございます。
#17
○椿繁夫君 ないからお尋ねをしておるのですが、その概要を伺いたいのです。資料に出ておれば、伺わなくて、資料を見せていただくつもりでおりましたが、出ておりませんので、貸借対照表の概要を説明してもらいたい。
#18
○政府委員(佐橋滋君) 本年度の貸借対照表の締めはまだやっておりませんので、現在手元にありますのは、三十五年末のしかありませんが、これは資本金五億のときでありまして、その三十五年の貸借対照表は、流動資産が四億八百万円、それから固定資産が四千百六十八万円、それから繰り延べ勘定が八千三百万。負債の部は、流動負債が二千二百万、資本金が五億、こういうことになっております。三十六年度のはもうじきにわかりますので、これは資料としてお手元にお配りするつもりでおります。
#19
○椿繁夫君 政府だけで十億五千万も補助金を出し、出資をしておる会社の資産の状況を、今ちょっと伺っただけで、はっきり出てないのですが、資産として数えられるのは、三億か四億ぐらいしかない。政府出資だけでも十億五千万、六億なり他の民間から出資を、これは集めておりますが、それは全部食ってしまったということなのですか。
#20
○政府委員(佐橋滋君) 設計の費用とかいうこと、あるいは試作の金にほとんど出てしまっておりまして、今残っているというのは、結局試作の段階の品物が残っているのと、それから治具、工具というようなものが残っておる程度であります。
#21
○椿繁夫君 そうしてこの改正案によりますと、そういう状況であるにかかわらず、量産の準備資金として、三十六年度に八億七千万要る。そのうち五億七千万円は支払いの繰り延べなどで処理をして、そうして三億円を政府保証によって借り入れをする、これはちょっと普通の会社の経理から考えますと、これはえらいけっこうな会社で、損をすることはない。いつになれば一体飛行機が動くのかというようなことを国民としては聞きたいのですが、ちょっと普通の会社では、こういうことはできませんな。こういう点についてどうお考えになりますか。
 この調子で年々、ことしは薫億円、来年はまたどれくらいになるのか知りませんが、そういう所要資金の計画などについても私は明らかにされることを望みます。
#22
○政府委員(佐橋滋君) 御承知のように、新しい型の飛行機を設計いたします場合には、この試作設計費に膨大な金がかかるわけでありまして、そこでまあ三十六年度中に一号機が完成して、同時に飛行試験機を完成しまして飛行試験をもう今年度中に実施をいたすわけで、同時に今年度内にさらに試作の二号機が組み立てが完了し、さらにまあ荷重試験などを行ないますいわゆる地上機がもう一機完成して、結局、まあ飛べる飛行機が二機。それからいろいろの試験飛行機二機というのが今年度中にできるわけであります。またいよいよわれわれが期待しておる通りの性能の飛行機ができたという場合には、それを今後量産をして売っていくことによって、前にスタートにかかりました莫大な費用というものを逐次回収していく、こういうことになりますので、普通の生産会社とはだいぶ様子が違うと、こういうふうに考えております。
#23
○椿繁夫君 今度の三億円の政府保証というのは、これは設備資金ですか、運転資金ですか。それとも、これは長期ですか、短期ですか。借り入れは一体どこの銀行から借りるのですか。
#24
○政府委員(佐橋滋君) これは運転資金であります。で、御承知のように、まあ実際に試作機が完成する段階になりますと、量産態勢を現在の技術の進歩では十分にとり得る態勢にありますので、三十八年度からまあ量産に入るわけでありますが、そのための必要な機材の購入費に充てるわけであります。で、八億七千万の本年度の所要資金のうちで五億七千万円を繰り延べと申しますのは、当会社は実際に設備を持って製造する会社ではありませんので、主要な機体会社に委託生産を行なわせておりますので、その主要な機体会社が委託生産を受けておる分につきましては、この量産機につきましてもその会社の資本といいますか、信用によりまして当会社からは支払いをせずに、その信用で資金の融通を受けるということに考えておりまして、ただたとえばこの飛行機に乗せます発動機だとかというようなもので、海外に発注をしなければならないものの手付金等を見ておるわけでありまして、全部流動資金であります。
#25
○椿繁夫君 先ほど申しましたように、普通の民間の営利会社であれば、こういう殿様商売は私はできぬように思います。まあ株主の名簿をずっと拝見いたしましても、なかなか一流会社が多うございます。それから、その次の三十六年度の八億七千万円のうちでも五億七千万円は、その支払いの繰り延べなどによってやっていく、こういうのでありますが、わずかこの三億ぐらいのことは、できたら買いますという航空会社ですね、製造会社じゃなくて航空会社の方からの前渡金とか、そういうものではまかなえないのか。それとも会社独自で、この信用によってまかなえないのかというような点をちょっと聞きたいのです。
#26
○政府委員(佐橋滋君) 当会社は先ほども申しましたように、現在、物的な施設というものを全然持っておりませんので、飛行機が完成して飛行試験が終わって、いわゆる商品として十分の値打ちを認められた場合には、いわゆる市中の金融機関からでも金がつくと思いますが、現在の段階では、今の試作機を製造しておる段階でありますので、当会社はいわゆる物的な信用力もないという意味で、この会社が金を借りるというのは非常に困難なんです。それから今の民間の航空会社あたりからの前渡金という御指摘がありましたが、これもまだできておりません飛行機でありますので、試験飛行が終わったあと、この前も美土路社長が三十九年以降においてこのYS−11の購入計画を示されましたが、それは飛行機が飛行試験を完了したあとにおいては、当然こういった種類のものでありますので、注文生産を受ける建前でございますので、その段階になれば当然前渡金なりあるいは確定注文をもって市中金融機関に望めば金が借りられるということになると思いますが、さしあたりの段階としましては、そういった不安がありますために市中銀行から金を借りますが、それを政府が保証するという措置が必要なわけであります。
#27
○椿繁夫君 この現行法の附則第三条によると、同社の試作及び試験が完了した年度の翌年度からは政府は出資しないことになっておるが、今後において政府がその会社に対する出資及び補助金に関する見通しはどういうことになっておりますか。
#28
○政府委員(佐橋滋君) 当会社のYS−11が試作製造を完了するまで政府がめんどうを見ることになっておりますので、この機種に関する限りはその試作製造が完了するまで政府がめんどうを見まして、それ以降はめんどうを見るつもりは現在のところ考えておりません。
#29
○椿繁夫君 YS−11が三十八年には五機、三十九年度には十機、四十年度には十八機できるようなことになっておるのですが、これは間違いなくできますか。
#30
○政府委員(佐橋滋君) 問題は注文があるかないかという、これは見込み生産をするわけではありませんので、注文があるかないかということに帰するわけでありますが、われわれの現在の見通しでは、この飛行機が現在考えております通りの性能で製造が完了いたしました場合には、ただいまの年度別生産機数程度のものの注文は十二分にある、こういうふうに確信いたしております。
#31
○椿繁夫君 三十八年度あたりから本格的な量産態勢に入る。その場合にはたして注文があるだろうかということがまあ問題になるわけですが、二十七年に設計にかかりました当時は、これは政府としても自信があったからこそ、こういう法律を作って援助に乗り出したのだと思います。ところが最近に伺いますと、オランダなどでも大体この種の飛行機を製造するようになっているというふうに聞くわけですが、外国から今YS−11のような短距離の民間機の製造が行なわれる、そういう場合に競争して十分に技術的にも価格の点でも対抗できる自信はあるのでございましょうか。
#32
○政府委員(佐橋滋君) この前、中島参考人がその点についても詳細にここで意見を述べておりますが、現在までフレンドシップなりバイカウントなりあるいはコンベアその他いろいろの同型のものが出ておりますが、これはいろいろな点について性能が違いますので、なかなか簡単に比較はできませんが、このYS−11はあらゆる性能について同種の飛行機にいささかの遜色もない、こういうふうに考えておりますので、今後この飛行機を製造の暁には、十分これらの飛行機に対抗して性能的にも価格面でも拮抗し得る、こういうふうに考えております。
#33
○椿繁夫君 局長の言明を信頼して、ぜひそういうふうになってもらいたいと思います。
 次に、航空機工業振興法が初めて提案されたときに、理由の一つに、航空機工業が将来自動車工業にかわって機械工業などのパイオニア的インダストリーとして、わが国の産業技術の向上に大きく役立つべきものだとうたっておりました。その後試作機の製造などが、どんな部面でそうした役割を果たしておることになっておるか、重工業局長、どういうふうにお考えになっていますか。
#34
○政府委員(佐橋滋君) 椿先生の御指摘のように自動車産業にかわって機械工業全般のパイオニア的なというのは、ややオーバーな言い方かと思いますが、航空機工業も自動車産業も両方とも相互産業でありまして、こういったもののデベロップが、これの部品あるいは搭載する機器について、非常に一般的に機械工業の水準を引き上げるのに大きな役割を果たすということを、そのときに行われたものかと考えますが、具体的な事例としましては、航空機の機体の構造の軽量といいますか、軽量化あるいは強度化というようなのは、これは、バスのボディーの軽量化あるいは堅牢化というようなことにアプライをされておるわけでありますし、それから機体材料についても非常に真剣な研究が払われておりまして、その軽量あるいは強度化というようなものが、これはアルミニューム合金の研究に非常に大きな刺激を与えておりまして、こういったものが各種の構造物に利用されておるわけであります。それから機体重量の軽減を非常に航空機の場合には真剣に考えなければならないわけでありますが、こういった技術は金属の接合技術だとか、あるいは接着技術の発達を促しておりまして、こういうものが各種の建築物だとか車両の軽量化、強化ということに役立っておりまして、いろいろとその他まあ搭載機器等は非常に精度の高いものでありまして、こういったものが民間の普通の地上の機械等の精度向上、あるいは軽量化というようなことに非常に役立っておりまして、こういうことはあげれば枚挙にいとまがない、こういうふうに考えております。
#35
○椿繁夫君 これは私は大臣にもちょっと伺いたいのですが、航空機工業が機械工業の技術革新の先端をいくものである。ところがその航空機につきましては、最近ジェット機などができておる、しかも大型化しておる、本法が目的とする中型機の場合ですと、将来一体外需、内需を展望いたしまして、この種の中型機というものが相当航空機業界において需要があるものかどうか、その心配が一つと、そして日本の航空機産業というものを将来私はどういうふうに進めていくかということについて、航空機工業というものには非常に繁閑がある。忙しいとき、ちょっとひまになるとき、新型機ができるまではひまである。設計ができた、試作をやった、大丈夫だ、さあ量産だというふうに、こう非常に繁閑のある工業だと思うのですが、日本の航空機工業を将来一体どういうふうに指導していくお考えを持っておられるか。これは大臣から一つ航空機工業の将来、並びに中型機の現在における位置などについて大臣に一つ。
#36
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中型機は、申し上げるまでもなく、人間の数とすれば五−六十人乗りのものでございますが、先般の参考人の供述等に徴しましても、最近の日航、全日空等の実績を見るというと、年々人も荷物も倍増しておる状況だそうでございます。この勢いは相当長く続くものと考えるというお話、そういうところから考えますというと、将来の中型機を中心とする貨客の空中輸送というものはどんどん伸びると思うのでございます。こういったようなことは、ひとりわが国のみならず、世界の大勢でもあると考えられますので、日本の今回の中型機が性能において決して遜色のないものであるということでございますれば、相当この工業は伸びていくのではないか、もちろん今までの飛行機産業から申しますというと、ことに戦時等においてわれわれが経験したところによると試作期間が非常に長い。一つでき上るとまた次の試作に入ると、こういったようなことで量産というようなことがなかったのでありまして、もう絶えず新しいもの新しいものと、こういったように追いかけておって、ついに敗戦になった、しかし一たん優秀機が出て相当のこれは需要があるということになれば、そう飛行機産業に限って繁閑があるということも私は考えられないのではないか、こう考えます。かかるがゆえに今回の中型機の試作に成功すれば、わが国の機械工業全般の振興にもなり、中型機それ自身の製作も決してすぐひまになってしまうというようなことがないのではないか、かように考えております。
#37
○椿繁夫君 そのことはあわせて自動車工業の発達にも非常な役割を果たすというふうにお考えですか。
#38
○政府委員(佐橋滋君) 自動車工業は御承知のように所得倍増計画でも非常に大きなウエートを占めておるわけでありますが、航空機工業が伸びるということは自動車工業にも大きな影響を与える、こういうふうに考えております。
#39
○椿繁夫君 私は、先ほどもちょっと申し上げたんですが、航空機製造株式会社の貸借対照表をいただきたいと思います。いただけますね。で、三十八年度に試作を完成して、たとえ五機にせよ生産態勢に入ったということになれば、この法律で定めておりますように、政府の補助出資というものはそのときで打ち切りますね。
#40
○政府委員(佐橋滋君) このYS−11の試作が完了すれば、そのときに政府の出資補助は打ち切ります。ただいまの今度の法改正をお願いしておる政府の債務保証の条項は、量産体勢に入りましていわゆる確定注文が受けられ、当航空機製造会社の信用力が増しますれば、政府の債務保証ということもなくなる、こういうことに考えております。
#41
○椿繁夫君 この航空機製造株式会社は、工場を持たない生産会社なんです。やがて研究試作が政府の出資や補助によって完成いたしますと、その下請をやっておる川崎航空とか、新三菱というようなところが、今度は独自で、この航空機製造株式会社のやった試験研究、試作というふうなものを、全部引き継いでやるようなことになりはしませんか。
#42
○政府委員(佐橋滋君) このYS−11に関しましては、ただいま御指摘のように、当会社は工場を持たずに、それぞれの機体メーカーに得意々々に応じて下請をさせております。当製品に関する限りは、この会社が製造販売権を持っておりますので、この飛行機をそれぞれの下請会社が別個に作るということは、現在のところ考えておりません。
#43
○椿繁夫君 大臣に最後に伺いますが、この会社は先ほどからもちょっと心配を申し上げておりますように、経理その他についても改善を要するところがあるように実は思われるのです。監督権をお持ちの大臣は、今後航空機製造株式会社に対して、どのような経理の改善なり、監督をしていこうとしてお考えになっておるか、最後に大臣に一つ伺っておきたいと思います。
#44
○国務大臣(椎名悦三郎君) 十分に監督上の責任を負って、その実のあがるようにいたしたいと考えております。
#45
○吉田法晴君 椿委員が質問をされておるときに、その都度疑問が起こったりいたしましたけれども、関連を御遠慮して、まとめて多少質問を申し上げたいのですが、あるいは前回等の質問と重複する部分があるかもしれませんが、その点をお許しをいただきます。
 まず、さっき椿委員の質問に答えて、MSA資金で十億五千万がまかなわれた。そうしますと、MSA資金の際には、MSAの当然の本質として軍需あるいは軍需生産力の育成という点が、少なくともアメリカのMSA法にはあるわけでありますが、御答弁によると、何らの条件がついていない、こういうお話ですが、十億五千万は使ってしまったから、そこでもうMSA法によるひもといいますか、あるいは要請はなくなっていると、こういう答弁の趣旨だったかと思うのですが、しかし固定資産なりその他について残っているものもあります。先ほど資産勘定の説明などもありました。従って、全然要請といいますか、あるいはひものついているところはないというのは、十億五千万をMSA資金でまかなったという点から納得のいかぬところですが、その点はどういう工合に御理解になるのですか。
#46
○政府委員(佐橋滋君) このMSA資金については、兵器及び機械の設備に使用してよろしいということになっておりますので、これは大蔵省と連絡の上、MSA資金から当飛行機製造会社の出資金を全部まかなってもらっておるわけでありまして、日米協定にはどこにもそういった制限が、今言いました限度以外の制約はないわけであります。
#47
○吉田法晴君 ちょっとMSA法を引っぱり出し、あるいはMSA関係の国内法規を十分検討する間がないのですけれども、MSA資金の性格として、今言われた兵器あるいは機械機具、その機械機具というのは、これは軍需関係あるいは軍需生産力というものを指しておるのだと思います。そうすると、流動資産に使った分はともかくとして、十億五千万を出すときには、アメリカのとにかくMSA法に基づく要請というものはあったはずです。そうして十億五千万の中から使ってしまったものはとにかくとして、あと固定資産として残っている四億幾らですか、というものについては、MSA法の要請というものはなお残っている、こういうふうに考えざるを得ないのじゃないですか。
#48
○政府委員(佐橋滋君) 現在経済援助資金特別会計法というのがありまして、その法律の中に、当資金が鉱工業の技術向上に対する融資と、それから日本航空機製造に対する出資という項目が入っておりまして、これに基づいて政府は出資しておるわけでありまして、MSA法によるそれ以上の制約というのは、私の方は全然考えておりません。
#49
○吉田法晴君 鉱工業云々はわかりますし、それから航空機製造云々――けれども、鉱工業云々、航空機製造能力と言われますが、アメリカのMSA法から考えると、あなたは平和産業の生産能力であってもいいというようなお話ですけれども、そこでMSA法があれば引き出しを願いたいと思うんですけれども、バンデンバーグ決議等を引き合いに出すまでもなく、向こうの方の精神、あるいは援助の精神から言えば、兵器あるいは軍需品の生産能力の援助もある、こういう精神があることは否定できない。そしてその国内法で手当をした部分もございましょうが、その当時の十億幾らの援助の中で四億幾らというものが残っておれば、その資産について、あるいは生産能力についてMSA法の精神というものがなおこれは残っておるじゃないか。こういう疑問が残るんですが、先ほどの答弁ではまだ納得いきません。
#50
○政府委員(佐橋滋君) 私もMSA法自身を詳しくは知りませんが、ここで軍需資金として三十数億の金を日本に贈与を受けて、その使途につきまして向こうとの間で話がつきまして、現在先ほど申しましたような、特別会計法を設置して資金運営に当たっておるわけでありまして、この国内法によって運用されておる以上に、MSA法による制約というものがあるということは、私は全然考えたことはありません。
#51
○吉田法晴君 それは法を持ってきたり、あるいはなにをしなきゃいけませんが、では常識的に大臣にお尋ねをしたいのですけれども、MSAとして十億五千万のとにかく出資援助が行なわれた、産投を通じて。そうするとアメリカのMSA援助の精神は軍事力なり、あるいは軍需的な生産力の増強――培養といいますか、そういうものがあった。そして実際にここで問題になっておる輸送機云々については、これはないとしても、十億幾らの中から固定資産として残っておる四億幾らというものには、アメリカ側のとにかく意図、あるいはMSA法に基づく意図というものは、これはやっぱりMSAを通じて出資された、あるいは援助されただけに要請が残っておるんではないか、こういろ疑問はこれは否定するわけにいかぬ、さっき椿委員の御質問の中にございましたように。
#52
○国務大臣(椎名悦三郎君) 一応兵器、機械等に使ってよろしいという国内法の制約を実行して、そうしてその結果十億何がしかのうちの三、四億が資産として残っておる、こういうことでございますが、それはもはやもう縁が切れておるものと私どもは解釈しております。
#53
○吉田法晴君 縁が切れておると言ったって、MSA援助として十億幾ら出た、これは産投を通ずるにしても。そして現に残っているのが、流動資本で使ってしまったものは別として、固定資産で四億幾らというのが残っている。こういう答弁が先ほどあった。そうすると四億幾らの中には、これはやっぱりMSAの精神というものが残っておる、こう言わざるを得ないんじゃないですか。従ってガリオア、エロアと同じことですが、こっちはもらったと思っておったが、向こうはやったということは言わなかった。あとから返せ云々という話が出てきて、今も問題になっておるわけですけれども。
#54
○国務大臣(椎名悦三郎君) われわれの一つの身近かな問題として例にとって、これは煮ても焼いても、とにかくこういう趣旨のもので使えという場合に使った。その使った結果がまだ物として残っておる。そういう場合には再び返せということがないのですから、その趣旨において消費したのですから、消費の結果、そこに形を変えて何がしか資産が残っておるにしてももはや縁が切れたもの、こうわれわれは解釈しております。
#55
○吉田法晴君 この点は工場の中ではジェット機を作ったり、あるいは軍用機を作ったりする設備と、それから輸送機を作る設備、機械、これは差がないじゃないですか。軍用機生産能力、これは経営を含むのですが、その軍用機生産能力を経営としてカバーする、あるいは補完する意味で航空機工業の生産というものが考えられる。それを援助をするというのがこの法の性格ではないかという感じがするわけですが、ただ使ってしまったから云々ということでは、これは済まぬ問題です。ガリオア、エロアにしたって、物は使ってしまった。あとのとにかく金額の法的な性格をめぐって国民的な問題になっておる。最初のMSAならMSAの精神というものは、あなたの言われる使ってなくなってしまったから、流動資本はとにかくでありますが、固定資産なら固定資産として残っておるものは、これは金額に表示して十億五千万にならぬにしても四億幾らにはなる。そうしてそれは輸送機の製造だけでなくて軍需品なら軍需品、ジェット機ならジェット機、軍用機なら軍用機を作る能力にもなっておる。そこにとにかく使って形は変って物になっておる、あるいは機械になっておる、工場になっておる。そのとにかく性格を究明するときに、使ってしまったからそれはもうひもというか、あるいはMSA援助の性格というものがなくなっておると言うわけにはいかぬじゃないですか。
#56
○政府委員(佐橋滋君) MSA資金を受けた場合に、その使途その他についての日米間の話し合いは当然あったと思いますが、現在は、その話し合いの結果、経済援助資金の特別会計を作って、それを政令で日本側に全く委任されてしまっておる、こういうようにわれわれは考えておりますので、これはどういう形が残ろうとも、MSA法によって制約を受けるとか、あるいは何といいますか、特別の要請を受けるということはなくて、これはもうここで完全に遮断されておる、こう考えておるのであります。航空機製造会社に対する出資金ばかりではなく、このMSA資金を電子工業あるいは軍需産業に融資として使用もしておるわけでありますし、またそのときのいきさつを申し上げますれば、航空機製造会社の出資も本来は必ずしもMSA資金に依存する必要はなかったわけでありまして、一般会計でいろいろ要請をしておったわけでありますが、たまたまMSA資金の経済援助資金特別会計法のいわゆる借り入れがなくて金が遊んでおった関係もありまして、その金を航空機会社の出資に振り向けた、こういういきさつもありまして、われわれはただいまも申し上げましたように、MSA法による制約とかいうようなものは完全に遮断されておるものと、こういうふうに考えておったわけであります。
#57
○吉田法晴君 今答弁の中にあった一般会計から出ているというなら、もちろん問題ない。ところがMSA資金から出ておるという点を認められておる。だから、そこのとにかく法的な性格あるいは対米関係のMSA法による要請といいますか、あるいは性格というものを問題にしているわけです。十分時間がありませんから検討した上での質問ではありませんけれども、いわば産業投資特別会計云々と言われますが、この産投特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する云々という点等を見てみても、やっぱり貸付の財源に充てる場合、あるいは外貨の借入云々がアメリカ合衆国通貨をもって表示する措入金云々と、こういうことで、それが援助の金額で表わせばどうであるか、こういう場合にやっぱり米ドルで幾らという点が入ってくる。あるいはMSA援助による航空機製造能力の育成に幾らかかったんだという場合に、やっぱり八億ドル云々という評価がなされる。これはまあ残っておる評価の仕方の問題ですけれどもね。全くあなたの言われるようにひもが切れてしまって、あるいは最初出されたMSA云々が、産投特別会計で云々ということのために切れてしまっておるというわけにはいかぬじゃないですか。
#58
○国務大臣(椎名悦三郎君) どうもMSAのもとの性格がどうであろうと、とにかくこういうものに使うためにもう向こうでひもを切ってくれたのですから、それが無形の財産になっておろうと固定の財産になっておろうと、それはもう私は同じだと思うんです。どこまでもこういう趣旨で追及するんだということでない限りにおいては、もうすでに資金の根本の性格がどうであろうと、一応切れたものだと私は考えております。
#59
○椿繁夫君 このいただいております資料の中で、航空機工業に対する技術研究補助金、これたくさんありますから集計してみないと補助金の総額はちょっとわかりかねますが、これは一般会計から出ておるんでしょうか。やはりMSAの何から出ておるんでしょうか。
#60
○政府委員(佐橋滋君) 資料の(4)にあります航空関係鉱工業技術研究補助金というのは、これはもうMSAとは全然関係ありませんで、工業技術院が持っております鉱工業技術研究補助金から出ておるものであります、一般会計から。
#61
○椿繁夫君 純然たる一般会計から出ておるということですね。
#62
○政府委員(佐橋滋君) その通りであります。
#63
○椿繁夫君 今、吉田委員の御質問に関連してでありますが、日本航空機製造株式会社は試作研究をする会社である。部品は多くの異なった会社に発注をする。それを寄せ集めて組み立てを特殊な会社に指定をすることになっている。三菱重工でありますとか、あるいは川崎航空機でありますとか――そうですね。そういうことになっておりますが、この航空機工業振興法を昭和二十七年でしたかな、三十何年でしたか、この基本となる法律を三十三年でしたね、確か。審議いたしましたときには、純然たる民間輸送機を作るのであって、軍需に使われる飛行機工場、戦闘のために使う飛行機などとは純粋にこれは区別してかかるのだ、こういう説明があったことを記憶しておりますし、今思い起こしているのですが、これはやはり間違いありませんね。
#64
○政府委員(佐橋滋君) この飛行機は純然たる輸送用の飛行機でありまして、いわゆる戦闘用その他に使うということは全然考えておりません。
#65
○椿繁夫君 その民間の飛行機と軍需用の飛行機と一つの会社が異なったものを作る場合の設備は、これ違うのですか。
#66
○政府委員(佐橋滋君) 物によって設備の中で、いわゆる工作機械その他は汎用的に戦闘機その他の飛行機を作る場合でも使いますが、主たる部分の治具、工具というのは当該飛行機にだけ使用するわけであります。
#67
○椿繁夫君 この三菱電工にいたしましても川崎航空にいたしましても、ジェット戦闘機の国産化をしてきておりますので、これを防衛庁と正式に契約をして今生産段階に入っておると、こう思います。で、その会社が、しかも三菱にせよ、川崎航空にいたしましても、他に五社ございますが、これは防衛庁とちゃんと契約をして生産態勢に入っています。それと純粋の民間機、しかも中型輸送機の試作と設計をやる会社のそれがしかも有力な下請工場である。そこで組み立てが行なわれる、こういう場合に、MSA資金の使い方の問題と関連して吉田委員から今御質問があるわけですが、どういうふうにこれは区別して御説明になりますか。一方ではこの会社がどんどんジェット機の国産化を目ざして防衛庁と正式に契約をしてこうやっている。そしてYS−11型の試作研究もあわせてやっている。そしてできたものからこう組み立てをやろうとしている。だから、この部分だけは民間の輸送機であって、こっちの分はジェット戦闘機だというような工場の設備や技術などにそう区別つけられるものでしょうか、これ。
#68
○政府委員(佐橋滋君) 質問の趣旨がちょっとわかりかねた点もありますが、先ほども言いましたように、工作機等は航空機会社がどちらの飛行機用にも使うと思いますが、主たる飛行機会社の設備であります治具、工具というのは、たとえばF104ならF104用の治具でありますし、YS−11型用の工具はYS−11型用の工具でありますので、その点は判然と分かれておるわけであります。それで、MSA資金の点につきましては、MSA資金から当会社の出資金は出ておる、それから飛行機、たとえば新三菱なりあるいは川崎というのは、MSA資金の融資も受け、あるいは開銀の融資も受けてそれぞれの設備を作っておる。こういうことでありまして、主たる機械は、これはもう判然と分かれておるわけであります。
#69
○椿繁夫君 ですから、MSA資金とは、アメリカのMSA法によって、軍需工業の育成助長のために使うということで、当初は、この航空機工業への出資金などについても使うことを認められたものだと、そういうふうに私ども、MSAの資金から、十億五千万という出資の全額が支出されておるというところに、この会社の目的と、それからその資金の出どころ、出した方の資金の使い道との間にギャップがあるから、このことをしつこく政府の見解をただしておるゆえんはそこにあるわけであります。
#70
○政府委員(佐橋滋君) 私、まあMSA資金という言葉が非常に簡単な言葉でありますので、従来もMSA資金と申し上げておりますが、これは先ほども、正確には、経済援助資金特別会計法の基金でありまして、こういうまあ長ったらしい言葉を言うのを省略してMSAと言っておりますが、先ほど吉田委員の御質問にお答えしましたように、小麦資金で援助を受けたのを、アメリカ側と相談の上法律を作りまして、日本限りでこういう特定の用途に使ってよろしいというふうに話し合いがついて、特別法ができておるわけでありまして、いわゆるMSA資金と称しておりますが、MSA法による制約、要請があるというふうには全然考えておりませんので、全く遮断されて、現行の国内法に基づいて、国内法の許された範囲内において使用しておるということだと私どもは考えております。
#71
○吉田法晴君 それではちょっとお尋ねしますが、工場における治具や何かは別問題である。設備それ自身は、軍用機を作る機械とそれから輸送機を作る機械というものは、別々のものじゃないんじゃないですか。
#72
○政府委員(佐橋滋君) 工作機械その他いろいろの汎用的に使われる機械は、両方に用いられるものが当然あるわけであります。
#73
○吉田法晴君 それからこれは通産大臣だけでは少し無理かもしれませんが、航空機工業の場合には二十七年ごろから航空機工業の正式な育成にかかった。その政策的な変遷を見ると、初期には特需産業的な性格を持っており、それから次いで防衛産業になり、それから三十三年度に制定された本法によって、国産の中型輸送機の試作を助長して、輸送産業にまで持っていこうと、こういうふれ込みで始めた。で、三年前の本法制定当時に比べると、航空機工業も、客観情勢がずいぶん変化しておると思われますが、たとえばジェット練習機にしても、一部では国産化が進みつつある。世界的に見ればミサイル時代ということで、もともと防衛方面の需要だけでは経営がむずかしいといわれておるだけに、この方面の製造もその前途はなかなか予断を許さない。他面また防衛的需要をカバーするような形ではあるが、本法に基づく中型輸送機がおくればせながら三十八年度ころから量産に入る。これまた国際的な競争場裏に入るわけでありますが、必ずしもその将来はたんたんとしたものではない。あるいは飛行艇を作るというような計画もある。こういう複雑な諸条件を検討する場合に、日本の航空機工業というものが今後どういうように発展をしていくか、あるいは発達をしていこうというのか。そういう大きな方向について通産大臣の所信を承りたいと思います。
#74
○国務大臣(椎名悦三郎君) 戦争中は、御承知の通りかなり航空機工業に軍部が非常に血道を上げたのでございますが、必ずしも所期の効果、目標に達したものとは私は考えておりませんが、いずれにしても、相当程度まで日本の航空機工業というものは発達したものと考えます。しかし、終戦後におきまして数年間の空白があり、各国の航空機工業の水準から非常に立ちおくれておる現状でございますが、しかし一度この身につけた技術というものはそう簡単に滅びるものじゃない。今でも、その当時の航空機製造に従事した会社におきましては、ほんの修繕くらいやっておるところもございますけれども、まだまだ相当の技術を温存しておるものと考えます。これがしかし、今日の国際水準に達しておるかどうかということは多分に問題がございますけれども、とにかくまだ火種は相当に残っておる。でございますから、日本及び国際環境がだんだん航空機、輸送機というものにたよるという情勢が濃くなればなるほど、日本の航空機工業というものは相当のところまで、私は貢献することができるのではないかということを信じておる一人でございます。
#75
○吉田法晴君 一般的なことしか言われぬから、求めた答弁としては十分なされなかったんですが、私ども先ほどから御質問申し上げているように、アメリカの援助が、軍事援助、経済援助、あるいは後進国開発援助という工合に、軍事的なひもつきでない、あるいは軍事的でなくても、経済的のひもつきでない援助に変わって参る。そういう変わったあとのとにかく援助というならば、先ほど来局長ですか、答弁されたような答弁でもいいかもしれませんが、MSA援助が行なわれた、あるいは始まった当時の空気は、バンデンバーグ決議の精神に従って援助をするが、援助を受ける国は、あるいは軍備についても、みずから自分の能力でも軍備の強化をしなければならない。それから軍需生産力についても援助もするが、日本自身も努力をしなければならない。こういう精神で出発したことはこれは間違いないのです。そうすると、始められた当時のMSA援助は、この部分が、援助物資の見返り資金で産投特別会計を通じてなされたにしても、MSA援助の本旨というものは失われなかったのであります。従って、航空機製造能力についても、その航空機製造能力が軍需生産能力になり得る、あるいは憲法上の言葉で言えば潜在戦力になり得るという点が向こうの援助の精神であったのではないか、それを、まあこの経済援助何々に関する法あるいは産業特別会計法で切れたとおっしゃるけれども、少なくともアメリカの精神からいえば、軍需能力の要請に見返り資金を使うことを許した、こう解する以外にはないのだし、それから航空機工業の今までのあれからいってみても、特需からあるいは防衛産業に、そしてアメリカでのロッキードでさえも、日本が生産を始めるといえばやめるというように、ロケット時代に入りつつあるから、ロケット軍用機生産がまあ問題になっております。そこで日本の飛行機製造能力について、まだほんとうに一本立ちにならない。従って軍需飛行機を生産し得る十分な自立の能力ができるまで、輸送機製造も、客観的には軍需飛行機なり生産能力をカバーする意味で、資金のあっせんなりあるいは保証なりが行なわれるんじゃないか、こういう疑問が一つ残るわけですが、アメリカのそうした軍用飛行機の生産の停止なりあるいはロケット製造能力への移行という状態の中で、純然たる平和的な輸送機製造能力というものが、それだけでとにかく発展をする、それには国内的なあるいは国際的な事情というものが十分あって、こうこうこういう工合にすれば、輸送機なり平和産業としての航空機工業が発展し得ると、こういうはっきりした保証がなければならぬのです。まあひもは切れた云々という話ですけれども、過去におけるMSAの精神というものも心配をされるし、あるいは機械設備その他から考えれば、MSA援助で作った四億幾らというあれも残っておる。それから輸送機の製造と、それから軍用機の製造とは、機械設備について差がない。それから将来について一本立ちのとにかく見通しというものについても、はっきり裏づけがないということになると、先ほど申し上げましたような軍事的な航空機製造能力の一本立ちするまでの援助の役割を、この法律なり制度なりがするんじゃないか、こういう疑問さえ残るわけです。
 それらの点について、通産大臣の先ほどの一般的な答弁では満足することができませんが、重ねて、はっきりした答弁がいただけますか。
#76
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほど申し上げたように、すでに全日空の社長の回答でもわかると思うのでありますが、年々人も荷物も倍増しておる、非常な勢いで航空機輸送というものが発達しつつあるということを言われておったのでありますが、日本の日航なども、もうヨーロッパ、フランスのパリ乗り入れの協定もできまして、近く第一機が北極圏を回って向こうに参るということで、全く世の中は航空機時代になろうとしておるのでございまして、この性能が庶幾するごとくりっぱなものであって、そして現在の数種の国際的な中型輸送機に匹敵してまさるとも劣らないというものでございますれば、私はこの工業というものは、それみずから十分に成り立つものである、こう考えておるわけでございます。
#77
○吉田法晴君 審議をしております法律案の目的を見ますと、航空機等の国産化を促進して航空機工業の振興をはかり、合わせて産業技術の向上と国際収支の改善に寄与することとうたっておりますし、まあ航空機製造株式会社のYS−11ですかの製造については、国費四十二億もかけて本年度中に試作を完了する、こういうことですが、その量産に入った場合のコストにして、一機分のうち何パーセントぐらいが確実に国産化になるといえるのか、その点を承りたい。
#78
○政府委員(佐橋滋君) このYS−11で輸入をいたしますのは発動機だけでありまして、あと全部国産であります。
#79
○吉田法晴君 その国産と、それからエンジンの外国製品、そのパーセンテージは、どの程度になるのか。
#80
○政府委員(佐橋滋君) ロールス・ロイスの発動機二基を装備する飛行機でありますので、この一基分だけでありまして、大体飛行機の価格にいたしまして一割五分ぐらいが輸入になりまして、あと八割五分が国産、こういうふうに考えております。
#81
○吉田法晴君 そうすると、価格あるいは生産費、製造費ということと、それの一五%がロールス・ロイス、外国製品、八五%が国内で生産をする、こういうことですが、これで完全に輸送機については、試作が完成をする、あるいは量産に入るにしても、国産技術が完全に開発されたというわけにはいかぬようですが、エンジンについて、先般おいで下すった航空機製造会社の中島専務にしても、エンジンの点については、あきらめておられるようですが、政府としてはどういう工合に考えておられますか。
#82
○政府委員(佐橋滋君) 御承知のように輸送機でありますので、安全性というのが一番大事な要素だと思うのです。安全性の一番大事なのは、発動機自身の信頼の問題だ、こういうふうに考えておりまして、世界で最も信用を博しておりますロールス・ロイスの最新型のダート10というのを、この飛行機には搭載することにしております。このYS−11につきましての発動機を、国内で開発するというととは現在考えておりません。
#83
○吉田法晴君 その点はあきらめているわけですか。大臣にお尋ねをいたしたいのですが、これだけの金をかげながら、試作の完了を目標にして十億五千万すでに注ぎ込んである。これから完成までに、まだどのくらい援助投入しなければならぬのか、これも伺いたいですけれども、しかしエンジンの点については、あきらめたということでは済むまいと思うのです。
#84
○政府委員(佐橋滋君) 現在御承知のようにジェット・エンジンを試作開発させてJ−3というものをやっておるわけですが、ただいま私が答弁申し上げましたのは、このYS−11について、とりあえず載せるのは世界的に信用のあるロールス・ロイスのを載せるということで、現在は考えておりませんが、このJ−3を開発改造いたしまして、これが優秀なエンジンになるというようなことになりますれば、今後の新機種あるいはある一定時期後において、国産機が可能ということにもなろうかと思いますが、少なくとも現在の段階においては、飛行機に搭載するのは、輸入の発動機を載せることに考えております。
#85
○吉田法晴君 この技術についての、技術開発についての別な法律も出ておりますけれども、技術についても依然としてエンジンについては外国に依存しなければならない。それから、今の答弁では、まだはっきりした国産開発の方針がないわけであります。そうすると、やっぱり依存性と言いますか、あるいは後進性あるいは技術の価格の面での依存性あるいは後進性というものを認めながら進むということになりますが、大臣、それでよろしいのですか。
#86
○国務大臣(椎名悦三郎君) さしあたりは、これを使うというのでございまして、決してジェット・エンジンを日本では、もう開発しないのだというようにあきらめておるわけではない。
#87
○吉田法晴君 同じことですが、あきらめてないにしても、とにかくプログラムの中には輸送機を国産で作りたい、こういう方針がありながら、エンジンについては、事実上あきらめておる、こういうことを言わざるを得ないのですが、このロールス・ロイスを使うについては、それが安全だから飛行機については、多くの人を運ぶのだし、安全性が第一だ云々ということは、先刻局長の御答弁の中にもありましたが、飛行機全体について安全性あるいは価格の問題について、政府としてどういう方針であられるのか承わりたい。
#88
○政府委員(佐橋滋君) エンジンは、ただいま御説明申し上げましたように、最も優秀だと言われているロールス・ロイスを使うわけであります。これは世界の各国も、必らずしもエンジンまで、こういった機種につきまして、自製しているわけではありませんので、ロールス・ロイスなどは、アメリカそのほかの主要な国にも売られているわけで、それで、そのほかの機体の安全性等につきましては、現在設計しておりますYS−11は、十分なる自信を持って、世界のどの機種に対しても遜色がない。こういうふうに考えております。
#89
○吉田法晴君 それは設計なり従来の実績が、そうであるということで日本で十億五千万、あるいはこれから保証なり何なりしていく分を含めると、あるいは技術なり補助を考えると、おそらく二十億近いものになるでしょう。それをかけて機種全体としての安全性が保証し得るように、どういう指導、あるいはどういう具体的に言って方向にあるのか。こういう点をお尋ねをしているわけですが、今までの、とにかく設計なり何なりについては、その安全性があるというだけではお答えになりませんが。
#90
○政府委員(佐橋滋君) 航空機製造会社には、御承知のように主要機体各社の最も優秀な設計陣をここに糾合して、この新しい機種の開発をいたしておるわけでありまして、その日本で開発した機体と外国のエンジンとを組み合わせた場合に、安全云々という問題については、これは私、ここでは御説明申し上げられませんが、最高スタッフが十二分に検討した上ででき上がったものであり、その機種、性能につきましては世界の各国からの問い合わせに対しましても、世界の主要飛行機会社その他も注目をいたしておる飛行機でありますので、ここで私は説明はいたしかねますが、十二分に安全性その他が完備しておると、こういうふうに考えております。
#91
○吉田法晴君 日本の最高スタッフが保証をするんだから保証し得ると、こういう答弁以上には出ませんが、ことし三億幾ら、それから量産に入り得るようになったらやめると、こういうんですが、その量産に入る三十九年ですか、四十年−三十九年十機が量産に入ったという時期なのか。四十年十八機生産し得るようになったのが量産というのかわかりませんが、その三十九年なりあるいは四十年まで、ことしはともかくですが、来年あるいは再来年といったものについて、どの程度のなお援助が必要だと考えておられるのか。その資金の面について御答弁願いたい。
#92
○政府委員(佐橋滋君) この前たしか、法律案についてという要旨のところで説明をいたしておきましたが、三十六年以降所要資金と言いますか、借り入れは、三十六年は八億七千万、それから三十七年は三十二億、三十八年は三十億、三十九年は三十五億、四十年以降は十六億、こういうふうに減少する計画を立てております。これが、まあ借入金の総額でありまして、この会社が量産態勢に入って、確定注文をどの程度受けられるかによって、いわゆる政府が債務保証をする限度というのが変わってくるわけでありまして、現在今言ったような新規借入金を要するわけでありますが、そのうちどれだけが政府の債務保証を要するかということについては、現在のところは答弁をいたしかねるわけであります。
#93
○吉田法晴君 答弁をいたしかねるというのは、どういうことなんですか。そのときの事情によるということなんですか。これは方針がなければならぬでしょう。ことしはこれだけ、来年はわからぬ、再来年もわからぬということでは、審議を願う態度としては、どうかと思うのですがね。それじゃ済まぬでしょう。
#94
○政府委員(佐橋滋君) ことしの末から、飛行機が実際に飛び立って飛行試験に入るわけでありますが、飛行試験は、御承知のように運輸省の規則によりまして、二千時間というのがあるわけであります。これを一年なり一年半で、飛行試験を完了するわけでありますが、これからまあ商品として売り出せるわけでありまして、まあ飛行機が順調に飛行試験を経過いたしますれば、確定注文がある。そういうことになれば、前払金ももらえますし、あるいは確定注文を裏づけにいたしまして、市中からの借り入れも当会社の責任と信用においてできる運びになるわけでありますが、現在の段階では、少なくともその信用がないわけでありますので、先ほど来の三十八年度五機、三十九年度十機、四十年度十八機、それから月産二機の年間二十四機という生産運びに参りまする段階としまして、いつ、そういう信用がつくかということでありまして、その点現在では、はっきりと三十七年から、もう全額当会社の信用で金が借りられるということが、まあ申し上げかねると、こういう意味で申し上げたわけでございます。
#95
○吉田法晴君 さっき椿委員の質問に答えては、量産態勢に入ったら前払金、あるいは前渡金もまあもらえるだろうと言いますか、あるいは提供をさせることができるだろう云々というお話でしたけれども、三十七年は、まだそこまで入らぬ、そうすると試作機はできるにしても、試作をして、先ほどの答弁のように運転もしなければならぬし、試運転といいますか、試験飛行もし云々ということで、まだ前渡金をもらえるようにならないということはわかるのです。そうすると、三十それが九年になるかどうかはわかりませんけれども、三十七年の分については、ことしの事情と大して違わないのじゃないかということが想像できるのだが、三十七年以降については、何の、とにかく見通しも立たぬというのでは答弁にならぬと思う。
 所要資金あるいは借入金の金額が出ておりますが、国としての援助、あるいは調達に、どういうあれをするか、その辺のとにかく三十八年、三十九年、四十年、あるいは四十年以降というものについて、製作機数もできているのならば、国の援助の仕方が、どういうプログラムになるかくらいのことは答弁しなければならぬ。
#96
○政府委員(佐橋滋君) 現在、三十六年度で八億七千万のうち、結局海外へ発注しますその三億の債務保証を政府にお願いしておるわけでありますが、三十七年は、まだ二千時間のきめられた飛行試験をしておる段階でありますので、三十八年に五機の引き渡しができるということになりますと、三十九年以降の十機分とかいうものについては、これはもう確定注文がとり得ると思いますので、実際政府が債務保証を要求せられるのは三十七年、三十八年がピークだと、こういうふうに考えております。
#97
○吉田法晴君 その三十七年、三十八年のピークまでにどの程度これはまあラウンド・ナンバーでもいいし、それから、じゃことし同様なのか、あるいはそれが皆無にならないまでも、どの程度減って債務保証をすればいいのか、そのくらいのことは明らかでしょうし、大体の見通しという点は、これは述べられなければならないと思うのです。
#98
○政府委員(佐橋滋君) 先ほど申し上げました年度別の新規借り入れ計画のうちで、三十六年が八億七千万ですが、そのうち三億、三十七年度が三十二億、この時期までくらいは、ほとんどフルに債務保証を必要とするのではないかと思いますが、それ以降につきましては、当会社の信用で、資金の融資が受け得ると、こう考えておりますので、三十八年以降は急減をして、ほとんど政府の保証は必要でなくなるのじゃないかと、こう考えております。
#99
○吉田法晴君 そうすると、大体来年度は、ことしと変わらないと、大体のまあ事情は変わらないというようなことです。政府の保証をいたします三億円の金は、短期の運転資金ということですが、その短期の運転資金は何の手当をするために主として使われるのですか、これは当分の間保証する、あるいは来年もあまり事情が変わらないだろうというのと関連をいたしますか。
#100
○政府委員(佐橋滋君) 発動機のロールス・ロイスを発注いたします前払金といいますか、前渡金が主たるものであります。
#101
○吉田法晴君 先般の委員会でも、会社側に対して行なわれた質問の中でも、会社の生産態勢の主力である機体六社などは、著名な大会社であるから、そのくらいの資金は各社の協力で得られないかということが質問に出ておったようですが、エンジンの発注の前払い資金、それもやはり国から保証をしなければならぬという事情が、ことしもあるいは来年もやはり続くということですか、会社の能力からいってそれらのものは会社で借り得るのではないか、調達し得るのではないかという疑問が残るのです。
#102
○政府委員(佐橋滋君) 先般、中島専務からも御説明申し上げましたように、機体六社は御承知のように、たとえば新三菱のように多角的にいろいろのところを、いろいろの業種をやっているものもありますが、いずれにしましても、航空機部門だけを取り出して考えた場合に、いずれも収支とんとん、あるいは赤字でやっておるわけでありまして、今年度の量産資金のうち、八億七千万のうち五億七千万を前払い等の形で、こういった赤字ないしは収支とんとんでやっておる会社に金を払わないと、それだけの負担をかけるわけでありまして、こういった海外からの輸入のものにつきましては、この航空機製造の会社でやらざるを得ないと考えております。これが来年も、この状況は改善されるとは考えておらないのであります。
#103
○吉田法晴君 先ほど椿委員から質問がありましたが、これだけかけて、あるいは量産に入るまでに総額からいうと、百何十億という資金が要る中で、その大半が国の援助、あるいは保証、こういうことになるわけですが、それで、はたして需要は十分あり、立っていくというお話ですけれども、その需要がある云々という点で、概括的に会社もいい云々ということで説明をされるだけで十分の保証がない、たとえば国内の事情にしても、日本航空、それから全日空等のほかにローカル線も開発されつつあります。開発されつつありますが、それは日本の国産品ではなくて、外国から輸入する、それが量産に入るという三十九年、あるいは四十年までには、ほとんど外国の品物を買ってローカル線ができると、こういうことになるだろう、三十九年ですか、十機できるという。三十九年になって、はたしてこれはまあ交代をしなければならぬ、新しいあれに取りかえる場合の、買いかえる場合のあれにはなるでしょう、しかしそれまでは国産で間に合うと、ほとんどローカル線の考えられ得るものはできる、そうすると国内線で、それじゃ三十九年なら三十九年になって、十機全部消化できるか、需要が、それだけあるかどうかということについても、やはり疑問がある。
 それから、ついでに東南アジア諸国等も考えられておるようですが、三十九年なら三十九年にエンジンについては……、外国製品の機種の改善も行なわれてくるでしょう。そのときにおくれて出て、とにかく追いついた日本の輸送機が、はたしてその場合に、十分太刀打ちし、あるいは優位に立ち得るかどうかという点が疑問です。具体的に需要について、どういう見通しを立てておられるのか、その点を承りたい。
#104
○政府委員(佐橋滋君) まだ確定的に、どの会社が何機を買うということは、私ども正確につかんでおりませんが、全日空あるいは日本航空の幹線あるいはローカル線の拡充に伴いまして、従来の飛行機の置きかえばかりでなく、新規の需要が相当あるわけであります。その点につきましては、この前の参考人として美土路社長からも、国産機に対する購入計画を説明しておられる通りでありまして、そのほかわれわれといたしましては、気象観測用機だとか、あるいは運輸省の航空管制用機だとかというようなものが国内の需要として考えられておるわけであります。そのほか、これもこの前、中島専務から話がありましたように、DC−3、DC−4という現在中短距離用に使われております飛行機が――これは現在生産は全部ストップしておる非常に老朽機でありますが、これが現在、世界の各国で就航しておりますのが約二千機あるわけであります。これが三十八年から四十年にかけて、いわゆる更新をされるわけであります。これのかりに一割とかという非常に小さな数字が、この飛行機によって置きかえられるとしましても、かなりの需要というものは予測されますので、私の方としては、現在どの会社がどれだけという確定需要は持っておりませんが、十二分に需要はついてくるものと、こういうふうに考えておるわけであります。
#105
○吉田法晴君 大企業を何十億という援助をしながら育てるということで、いわば親方日の丸の産業ですが、直接――直接といいますか、航空機製造株式会社からいえば、その実態ということになると思うのですが、機体六社のほかに、下請あるいはその下請などを含めると、相当の企業数あるいは従業員数になると思うのですが、関連産業あるいは下請産業の企業あるいは従業員数は、どの程度ですか。
#106
○政府委員(佐橋滋君) 現在機体五社の直接人員が約五千五百人でありまして、これに飛行機に搭載します原動機だとかあるいは主要装備品の生産会社を含めた二十六社あるわけでありますが、これの人員は、現在で八千十一人で、間接人員が九千四百人、合わせて一万八千五百人程度の人員を抱えておるわけであります。
#107
○吉田法晴君 それは五千五百というのは六社ですか。二十六社、八千幾ら云々といいますと、それは六社の下請ですね。そうすると下請の下請までは含んでいないわけですか。
#108
○政府委員(佐橋滋君) 下請の下請までは入っておりません。今の機体五社と、それから下請といいますか、これに搭載する原動機、主要装備品を生産する主要会社の二十六社の人員で、これが直接工、臨時工合わせて一万八千五百人で、そのほかに、さらに下請として三百ぐらいの企業があるわけでございます。
#109
○吉田法晴君 三百ぐらいの企業の従業員数というものはわかりませんか。
#110
○政府委員(佐橋滋君) 現在のところ、ちょっとわかりかねます。
#111
○吉田法晴君 それではこの日本航空機製造会社、その実際に仕事をする機体五社ですか六社ですか、それから下請、あるいはその下請ということになるかもしれませんが、その機体五社なりの下請、あるいはそのまた下請という五社以外の中小企業に、どれだけの資金が回っておるかはおわかりになりませんか。
#112
○政府委員(佐橋滋君) ただいま資料を持っておりませんので、後ほど調査して御提出申し上げます。
#113
○吉田法晴君 この航空機製造会社の機体五社を含んで、製造能力が――ほとんど百パーセント近く助成をされて育てていくわけですが、その下請あるいはまたその下請となりますと、支払いを通じてしかいかないでしょう。請負関係で。そうしますと、これはまあ助成の場合に、いつも言われることですが、下請代金の支払いという点がいつも問題になる、法的な措置さえ必要じゃないかと言われるのですが、これらの点について、政府としては、どういう工合にお考えになっておるか、この資金の円滑な運転といいますか、あるいは支払いの促進等について考えておられるところがあるならば承りたい。
#114
○政府委員(佐橋滋君) この現在の機体会社、その下請、さらにその下請への代金の支払いの状況その他につきましては、別に役所の方としてはこれといった手を打っているわけじゃありませんが、現在までのところ、不平不満を聞いたことはありませんので、順調に行なわれているものと、こう考えております。
#115
○吉田法晴君 しばしば問題になる点ですから、その点は、一般的に法的な措置さえ必要だとわれわれ考えているのですけれども、十分考慮せられなければならぬという要望を申し上げておきます。
 それから別な法律案で、研究開発について法案等も出ておりますが、それで見ると、中型輸送機の設計研究が、輸送機設計研究協会等を通じて出ておりますが、この研究助成という問題は、このほかに、どういうものがあるのか、あるいはそれだけなのか、技術研究の助成について、航空機工業関係について行なわれているところを承りたい。
#116
○政府委員(佐橋滋君) 設計協会というのが、結局製造会社に改組されたわけでありまして、その関係で、先ほど御答弁申し上げましたように一億六千万出ている。ほかにはジェット・エンジンの開発でJ−3に補助金が出ている以外、航空機関係には出ておりません。
#117
○吉田法晴君 最後に、これは直接関係がないかもしれませんが、航空機関係で助成はされているが、そこで行なわれまするあるいは工場内の災害あるいは航空機自身による災害等について、中の問題については、これは労災保険だと思いますが、直接これに関係のない部分もありますが、航空機に関連をいたします災害についてどういうことを考えておられるか。航空機災害補償法等の独立法があるところが多いわけですが、日本にはございません。かつて考えられたことがあったかもしれませんが、表には出ておらぬ。それから航空機によって与える災害もあるんですが、これは安全性は十分だ云々といわれますけれども、輸送に伴います万一の場合の災害等についても、これは航空機会社で保険をかけている以外はないようです。航空機事業に伴います災害の問題について、どういう工合に考えておられるか、承りたい。
#118
○政府委員(佐橋滋君) 航空機製造会社、製造自体につきましては、ほかの一般機械工場と何ら変わりはありませんで、特別に危険な作業だとかいうことはありませんので、航空機会社について特別な災害の問題ということは考えておりません。これが飛行機が飛び立ってからの飛行機の事故あるいは飛行機が与える損害というような問題につきましては、これは運輸省の所管かと思います。私の方では考えておりません。
#119
○吉田法晴君 なるほど、所管はそれは運輸省でしょう。運輸省でしょうが、航空機製造なり、あるいは今後の航空輸送の発展に資したい云々というならば、関連をしてこれは政府としても考えられなければならぬ問題だと思うのですが、何らの構想もないということですが、しかし、そういう将来の航空輸送に関連をする法的な制度の確立が必要だという点も全然お考えになりませんか。
#120
○政府委員(佐橋滋君) 御指摘の点については、十分考えなければならぬと思いますが、これは運輸省が主として考えるべき問題かと思いますので、運輸省とも御連絡の上、万全の措置を講ずるようにいたしたいと思います。
#121
○阿具根登君 一言だけ質問いたしますが、今国会に出されております法案を見てみますと、新技術開発事業団法案、それから鉱工業技術研究組合法案と、いずれもきょう出されておりますこの航空機工業振興法の一部を改正する法律案と非常に似ておるわけなんですね。同じような性格のものなんです。ところが、たまたまこれを見てみますと、この役員に選ばれている方は直接その利害関係のある方々ばかりでございます。そうでしょう。実際にこの航空機を作っておられます、日本の航空機の会社の重役をやられた方々が大部分、それから通産省のお役人、こういうことになっておるわけなんです。それかあらぬか、本法の中を見てみましても、非常に収賄とかあるいは汚職とか、こういうことに対する罰則までも設けておる。こういうことを考えてみます場合に、日本の航空機事業に対してこういうところの人しか専門家はいないのか。いやしくも国がこれだけ助成をし、赤字を埋めていくというようなことであるなら、これは相当権威ある第三者的な人を持ってくるのが至当じゃないか、私はこういうふうに考えるわけなんです。しかも、監査役を見てみる場合でも、現役の航空機会社の重役の方々なんです。非常に法律の中身と構成とを考えた場合に疑いを持たれる。こういうような心配があるわけなんですね。だから、先ほど椿委員の質問にも、民間産業に対してあまりにも優遇し過ぎるんじゃないかというようなことが言われたんですが、こういう問題について通産大臣、どういうようにお考えでしょうか。
#122
○国務大臣(椎名悦三郎君) 公正を期するとかいうような点につきましては、なるべく利害関係のない人の方がいいと思います。しかし、また、しろうとばかりだと、どうもこの会社をどう持っていっていいかわからぬ、こういうことになりまして、そこはやはり一長一短でございますから、航空機に理解のある、経験のある公正な人及び利害関係者以外のこういう方面に理解のある人を適当にまぜて、そうしてこういうものを構成するのが、構成上からは一番妥当なことではないかと考えます。この会社がその今の考え方に当てはまっておるかどうか、まだよく研究しておりませんが、できるだけそういう構成の方がよかろうかと考えております。
#123
○阿具根登君 この役員の顔ぶれを見てみますと、少なくとも専門家とは言えるかもしれません。しかし第三者的な研究をやっておられる学者等は一人も入っておらないわけですね。この人たちは専門家であるかは知れません。しかし航空機そのものに対する専門家とは私は言えないと思うんです。航空機そのものに対する専門家だけがこういう航空機株式会社におるということも考えられぬのですけれども、実際は事務屋の方もおられる、あるいは技術屋の方もおられる。ところがこれは要するに一つの研究機関なんです。そうしてそこで試験、まあテストされて、それがやはり企業に乗るかというようなところまで研究されたやつが、やはり、前に言いました二つの法案と一緒に、これは各企業の方に回されるわけですね。百二十三名の人しかいないんだから、ここでは航空機を作っておるわけじゃないんです。研究機関なんです。そうするならば、こういうところへ持ってこなくても、研究されておる大家がたくさんおるはずなんです。そういう人たちが研究をし、国からそれに金を出して、これが企業ベースに乗るか、乗らぬか、そういう問題までやって、企業に委託するというならわかるんですけれども、これは企業家なんです、ここにおられるのはほとんど。逆行しておるように思うんですがね。私はこの法律の趣旨からいって、どうも逆行して――法律はこういうように作られるけれども、できてきた姿というものは、一部独占的な企業家ばかりの集まりである、こういうおそれが多分にありはしないか。日本にこれ以上の研究家、これ以上の技術屋はいないのかということになってくると、私はもっと優秀な方もおられるんじゃないか、この方々が優秀でないとは言いません。しかし、そういう目で見られるというおそれが多分にありはしないか、こういうことなんです。
#124
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは株主の構成も一応配慮しなければなりませんが、御指摘のような利害関係以外の人も公正な立場から参画することは、意味のあることだと思います。これは総会において役員に選任された者を役所が承認するという形をとっておりますが、なるべくそういう心持で一つ今後指導して参りたいと思います。
#125
○阿具根登君 その会社の役員は、あなたの認可を受けなければ役員になれないんですよ。あなたが許可されるんですよ、この役員を。その場合、まあ一例をとってみても、監査役のお二人の方は現役の重役なんですよ、企業のですね。そうすると仕事はその方々が事実されておる。その人の会社でされておるわけなんです。ですから、今度でも百五十機作りなさるなら、この百五十機のどのくらいかわからないけれども、この方の会社なんです。その作っておる会社の方が重役で、これで万全を期せられると思いますか、私はそう思わないんですがね。それはこの法律で監督役は別になっております。しかし取締役は他の報酬のある職場につくことができぬというようになっておりますね。そうすると、監査役というものも一応それに準じなければならない。しかも、この会社で下請をさせる場合、委託させる場合、おそらくこういうところは委託をお受けになるでしょう。お受けになるところの重役が監査されるんですか、私はどうも法律のこの趣旨に沿っておらないと思う。それでこういう疑惑が起きてくるんじゃないかと思うんですがね。
#126
○政府委員(佐橋滋君) 現在の監査役二名中一名は工業会の理事長で、一名は日航の方からお出ましを願っておるわけでありますが、何といいますか、この会社は設計協会時代はまさに試作だけでありますが、現在以降におきましては、試作、製造、販売というような非常に企業的な面もありますので、こういう構成になっておるわけでありますが、御指摘のような点につきましては、役所の方で十二分に監督をして参りたいと、こういうふうに考えております。
#127
○阿具根登君 役所で監督するとおっしゃっても、それは監査役が監査したのを役所でまた監督する方法がありますか。それは刑事問題とか何とか出てくれば、これにちゃんと書いてあります。それは収賄その他までこれにちゃんと書いてありますけれども、それはできないでしょう。役員の方はこういう方ばかり、百二十三名のうちの大体半数ぐらいはやはりこういうところから来られておる方なんですね。私この前質問したときは、百二十三名のうち五十何名はそちらから来ておられる方なんです。そうするとその会社を、幾つかの会社を合わせてそうして一つの研究機関を作られたと、この次に出てきます組合法と同じような結果になるわけなんですよ、これは。人員の構成等から見てくれば、それで役所との連絡がうまくいくように、通産省からお役人さんを二人も三人も入れておられる。まあ通産省から見ればまことにけっこうですけれども、国民から見れば、あまりけっこうな話でないと私は思うのだが、どうでしょう。
#128
○政府委員(佐橋滋君) 現在の振興法には、法二十条で、毎事業年度開始前に、事業計画、資金計画、収支予算を含めて、通産大臣の承認を受けることになっておりますし、二十八条で、また一般的なその監督権も留保してあるわけでありますので、これらの規定によりまして、十二分にまあ監督をして、そういった誤解のないようにいたして参りたい、こう考えております。
#129
○阿具根登君 これでやめます。できておるものをあまり言っても仕方がないので、通産大臣は、あなたが認可されるのですから、もしもここでこの法律に触れるようなことがあったならば、これは通産大臣の責任ですよ。あなたが認可されておるのだから、許可されておるのだから。だから、そういう痛くない腹を探られるような、人から疑惑の目で見られるような人事はやめてもらいたい。やはりこれは、これだけの金を出して力を入れていくならば、大学でもどこでも研究室探してごらんなさい。どこでもりっぱな方がおられるわけです。そういう第三者の方を……。この方々が悪いと言っているのじゃないのですよ。しかし、やはり直接自分で、その成果によって、自分の企業を持っているとか、利潤を上げてくると、利害の直接関係のある人はなるべく避けていただくように特に御要望申し上げておきます。
#130
○吉田法晴君 ちょっと委員長、速記をとめて下さい。
#131
○委員長(剱木亨弘君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#132
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
#133
○吉田法晴君 航空機工業振興法について質疑を重ねて参りましたが、質疑の中で、審議の過程を通じて、幾多の疑問を残すことになっては相なりませんので、さきの三点について御質問をし、政府のはっきりした保証が得られるならば、附帯決議等の点については、これはその儀に及ばないと思うのでありますが、強い疑問がございますので、三点に要約して、最後に通産大臣に御答弁をいただきたいと思います。
 第一は、先ほど阿具根委員からの質問をいたしました役員の構成の問題でございます。役員の構成が利害関係者のみで構成せられておることは、法の運用について疑問を生ぜしめますので、その構成について再検討をする用意があるかどうか。
 それから第二点は、国の援助を無制限にして、一企業あるいは独占企業を国の責任で育成するのではないか、こういう強い疑問が残るわけでありますが、かつて他の法律で見られましたようなそういう弊害はないと、あるいはあらしめないという、はっきりした答弁がいただけますかどうか。
 それからMSA援助資金から出た云々ということで、椿委員なり私から質問をいたしましたが、この航空機工業の振興が軍需産業の育成、その間接的な援助になるのではないか、こういう強い疑問が残っておりますが、これらの点について、そういう弊害はあらしめない、監督、指導を強化して、そういう心配をあらしめないというはっきりした保証が得られるかどうか、通産大臣にお尋ねをし、はっきりした言明がいただけるかどうか、最後に質問申し上げます。
#134
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。第一の、役員構成の問題に関して、利害関係者のみをもって構成するということは、この会社運営の妥当を期し得ない、この点についての御質問でございます。御指摘の通り、利害関係者のみによって構成するということでなしに、公正な立場からこの会社の運営をなし得るように人選につきましては、十分御期待に沿うように、遺憾なきを期したいと考えます。
 第二の、特定企業の育成に陥ることはないかという問題でございますがこの航空機工業の、当該企業の運営に関しましては、一、二の特定企業のみを利するというようなことなく、国民経済に広く奉仕し得るように運営をして参る所存でございます。
 第三は、MSAの資金を使うことになるのであるが、航空機工業が軍需産業の援助に陥る心配がある、こういう御質問でございますが、航空機工業を純粋に育てて参り、特定の軍需産業を援助する、これを育成するということのないような運営をいたして参る所存でございます。
#135
○委員長(剱木亨弘君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#136
○委員長(剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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