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1960/05/16 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第23号
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1960/05/16 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第23号

#1
第038回国会 商工委員会 第23号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
   午後一時五十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 本日委員吉田法晴君辞任につき、そ
 の補欠として千葉信君を議長におい
 て指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     剱木 亨弘君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
   委員
           赤間 文三君
           上原 正吉君
           山本 利壽君
           阿具根 登君
           岡  三郎君
           近藤 信一君
           椿  繁夫君
           中田 吉雄君
           加藤 正人君
  国務大臣
   通商産業大臣  椎名悦三郎君
  政府委員
   通商産業省企業
   局長      松尾 金蔵君
   通商産業省重工
   業局長     佐橋  滋君
 事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
 説明員
   通商産業省通商
   局振興部長   生駒  勇君
  ―――――――――――――
   本日の会議に付した案件
○機械類賦払信用保険臨時措置法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○経済の自立と発展に関する調査(輸
 出品検査問題に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。
 本日は機械数賦払信用保険臨時措置法案について補足説明を聴取した後、輸出品検査問題について調査を行ないます。
 最初に、委員の異動について報告いたします。
 本日、吉田法晴君が委員を辞任され、その補欠として千葉信君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(剱木亨弘君) それでは、まず機械類賦払信用保険臨時措置法案を議題とし、補足説明を聴取することといたします。
#4
○政府委員(佐橋滋君) 機械類賦払信用保険臨時措置法の補足説明をさせていただきます。
 お手元に「機械類賦払信用保険制度の概要」という資料と「機械工業振興の方途」と二つの資料をお配りしてあると思いますが、「機械類賦払信用保険制度の概要」という資料について御説明を申し上げたいと思います。
 この制度は、主として中小企業向けの設備機械の割賦販売を促進するための信用保険制度であります。目的は法の一条にうたってありますように、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に資することを目的といたしておるわけであります。
 そこで、まず中小企業の設備近代化にこの法案がどういう役割を果たすかということから御説明申し上げたいと思います。
 戦後、耐久消費材を中心としまして機械の割賦販売は逐年増加してきておりますが、最近は生産設備となる機械類につきましても割賦販売が行なわれまして、これも年々増加の一途をたどっておるわけであります。で、現在割賦販売が行なわれております主要な設備機械は、工作機械、プレス機械、建設機械、繊維機械、鋳造機械、印刷製本機械、産業車両機械といったようなものであります。
 この設備機械の割賦販売の相手方は主として中小企業でありまして、たとえば工作機械、プレス機械につきましては、従業員五十人以下、資本金五百万円以下というような下請企業がこの制度を利用しておるのであります。で、これらの下請企業は、従来は中古の機械を需要する層でありましたが、最近は自動車工業、電機工業などの下請部品メーカーでも非常に精度を要求され、しかも安いコストで部品を作ることを要求されておりますので、こういった層におきましても、高精度、高性能の新鋭工作機械あるいはプレスを設置するという必要が非常に高まってきておるわけであります。建設機械につきましても、中小の建設業者の機械化が進みまして、こういった機械を買い入れるようになってきております。で、今後こういったような設備機械の市場拡大は、こういった中小企業の層に向かって割賦販売を行なうことによって行なわれていくだろう、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。
 次に、機械工業振興の見地から申し上げますと、現在機械工業は一体に国際競争力が非常に劣っておると言われておるわけでありますが、この国際競争力を強化するためには、現在の多品種少量生産制度を解消しまして、できるだけ専門生産化し、同時に量産化する必要があるわけであります。従来の機械のメーカーは、国内の市場が非常に規模として小さいために、景気変動による需要の狂いといいますかが非常に大きく作用いたしまして、メーカー自体が量産規模を高めるということに非常に逡巡しておったわけでありますが、こういう割賦販売制度を国が保険することによりまして、国内市場を積極的に拡大して、不況時におきましても、ある程度の販売が維持できるという制度を作る必要があるわけであります。こういう制度を設けることによって、それぞれの機種につきまして、業界は安心して専門生産体制をとり、同時に量産をはかることができる、こういうふうに考えておるわけであります。
 ところで、こういった割賦販売について国が保険をする必要があるかどうかという問題でありますが、割賦販売の相手方は中小企業が多いわけでありまして、経営の不安定等の理由によりまして、割賦代金の不払いが起こる可能性が多いわけでありまして、これが現在一般的に行なわれております耐久消費財などに比べますと、一台当りの単価も非常に高いものでありますし、ものによっては特殊の設計であるものもありますので、転売がきかないというような点もありまして、いわゆる割賦販売による危険というのは、普通の耐久消費財よりもはるかに大きいわけであります。それでこの信用保険制度を創設いたしまして、この危険をカバーすると同時に、設備機械の市場の拡大と安定化をはかりまして、同時に中小企業の設備近代化、合理化に資するというのが本制度のねらいであるわけであります。
 以下簡単に制度の内容を申し上げますと、この法の二条にありますが、中小企業の設備の近代化に資すると同時に、機械工業の振興に役立つというふうに認定されました機種を選びまして、その機種を生産するメーカーと国が保険契約を締結いたすわけであります。
 現在考えております機種は三業種でありまして、工作機械、鍛圧機械、建設機械を考えておるわけであります。
 次に、保険契約でありますが、設備機械メーカーは、国を相手方として、その製造しておる機械の中で保険契約の対象としたい機秘、先ほど言いましたように、中小企業の設備近代化に役立ち、同時に機械工業の振興に役立つという機種を選定しまして、その機種について国と包括保険契約を結ぶわけであります。そこで割賦販売に伴ないまして代金の不払いが生じた場合には、国がその損失を補てんするという意味の契約を結ぶわけであります。この場合に、包括保険形式をとっておりますのは、いわゆる保険契約者の逆選択とかいうような弊害をなくするために、同時に危険を分散し、保険料を低下させるために包括保険形式をとることになっているわけであります。
 そこで、そういった国との保険契約に基づきまして、個々の業者との間に割賦販売契約が結ばれるわけでありますが、その場合の保険事故は、設備機械の買手が破産したりあるいは一定の期間以上債務を履行しないという場合に、国はこれに対しまして、その通知を受けたあと、一定期間を経過したのちに保険金を支払うわけであります。保険金の支払を受けました企業は、この不払い債権の取り立ての義務が残る、こういうことになっているわけであります。
 保険料率は政令で定めることになっておりますが、現在われわれが予定しておりますのは、年率〇・五%ないし一%を予定いたしております。
 国がこの損失保険契約に基づきまして填補します填補率は損失額の五〇%ということになっております。
 この制度を運用いたしますために、この法律と同時に、本国会に提案しておりますが、機械類賦払信用保険特別会計法を提案いたしております。きょう衆議院を通過いたしました。本制度を運営するために特別会計を設置いたしまして、独立採算でこの業務を行なって参りたい、こういうふうに考えているわけであります。この事業を常なみますために、通産省の重工業局に一課、定員は現在十八名ついておりますが、一課を設けまして、ここで所管をして参りたいと考えております。この事業の発足は、本年の七月からと考えております。
 そこで、本年度どの程度の保険契約を予定しているかという点でありますが、本年度におきましては百五十億を予定いたしております。この算出基礎は、簡単に申し上げすと、現在指定を予定しております工作機械、プレス機械、建設機械の三機種の売り上げの見込みが三十六年度千五百億円であります。そのうち、割賦で売られるというものが大体三分の一程度の六百億と考えております。そこで、本年度百五十億と計算しますと、基礎はこの六百億の割賦販売されるであろうという数量のうち、本制度にかかるのが大体五割と踏み、さらに契約のとぎに頭金を二〇%程度差し引きますので、その八掛、さらに国がその損失を補填するのが五割でありますので、〇・五をかけた数字、百二十億というのが三十六年度の保険契約の限度と考えておりますが、若干の余裕を見まして百五十億ということで予算の総則に計上してあるわけであります。
 この特別会計の三十六年度における収支の概要は、保険料収入が大体四千五百万、それから二億円が特別会計の基金になっているわけでありまして、この資本金の運用収益が七百六十万、合計いたしまして五千二百六十万という収入見込みであるわけでありまして、これに対する支出の予定というのが、保険金の支払いが千五百八十万五千、末経過保険料が二千九百十二万五千円、事務の取扱費が七百六十万円ということで収支合わせておるわけであります。
 この制度によりましてどういう効果があるかということでありますが、設備機械のメーカーにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、この制度によりまして、従来の、何といいますか、潜在化しておりました需要が顕在化するという点によりまして、積極的に市場の開拓ができて、いうところの専門生産体制をとり得る。同時に量産体制が整うわけでありまして、これによりまして、コストの低下、品質の向上というような効果がねらえるわけでありますが、同時に、この法によりまして、政府の信用保険があるということによりまして、割賦代金の手形を銀行に割り引いてもらうというような便宜な措置も考えられますので、資金面での、運転資金の面でのゆとりができるのではないかという付随的な効果も期待しておるわけであります。これがまた、設備機械の改訂につきましてどういう効果があるかと申しますと、中小企業の連中が少ない資金で新しい設備機械が買え、同時にその設備機械を、新鋭機械を備えつけることによりまして、その機械の稼動によって割賦の支払いをしていくということができるわけであります。従来も、御承知のように、中小企業の設備近代化資金というようなものがあるわけでありますが、従来、その設備近代化資金等がこの制度を併用することによりまして、少ない資金儀で新鋭の機械を買うことができる。同時に、今申しましたようなその機械の稼動によりまして、あとの割賦の支払いができるというようなことになるわけであります。
 これが中小企業の信用保険などと違いますのは、御承知のように、中小企業の信用保険は、中小企業に対して金融機関が融資した場合のリスクを保証する制度であるのに対しましてこの制度は機械メーカーが中小企業者に設備を売る場合の、メーカーへのリスクを補填する制度であるわけであります。で、何といいますか、中小企業の信用保険等におきましては、非常にいろいろ便宜な措置は講じられておりますが、中小企業に対する金融という場合には、中小企業自身の信用力あるいは人的な要素、あるいは設備といったようなものに対する相当詳細な調査が先行するわけでありますが、この制度は、中小企業へ売るメーカーへのリスク保証でありますので、その機械だけが問題であるわけであります。多少中小企業の信用力が薄弱でありましても、この機械だけを相手にいたしておりますので、そのほかの状況というのは、金融機関が金を貸す場合と違いまして何といいますか、精査をする必要がないのではないかと、こういうふうに考えておりますので、その意味においては、利用範囲がきわめて広いのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 で、さらにこの制度は、国にとってどういうようなプラスがあるかということでありますが、この制度を創設することによりまして、設備機械の市場の拡大をはかり、あわせて中小企業の設備の近代化――ここにうたってあるような目的が可能になる、こういうふうに考えておるわけであります。
 先ほど来説明しましたように、機械工業の振興で最も重要な、日本の機械工業自身の、何といいますか、宿命的な欠陥であります多品種少量生産から、専門生産化、量産体制の整備というのが、この制度の運用によって大いに促進されるということを期待いたしておるわけであります。
 以上、簡単でありますが、機械類賦払信用保険臨時措置法案の概要を補足説明をいたしたわけであります。
#5
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
#6
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて。
 本案の質疑は次回に譲ります。
  速記をとめて。
   午後二時二十一分速記中止
   ――――・――――
   午後二時四十七分速記開始
#7
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
 次に、経済の自立と発展に関する調査を議題とし、輸出品検査問題について調費を行ないます。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○近藤信一君 五月九日の毎日新聞の夕刊に、大きく取り上げられて、国民の疑惑を買っておる問題で、輸出品検査をめぐりまして、汚職事件が摘発されておる。特にこの問題が発展していくならば、通産省にも波及するのではないか、こういうような見出しで報道されているわけなんです。特に通産省関係においては、汚職問題に対してはいろいろと世間の疑惑を今日まで買ってきておることも事実でありまして、今度、特に機械、金属関係についての輸出関係で、こういう問題が新聞で暴露された。一体これらの全貌について、通産省は明らかにする必要があるのじゃないかと私は思うのであります。そうして、国民のやはり疑惑を一掃する、こういうことでなければ、国民はますます汚職問題についての疑惑を深からしめると私は思うものでありますから、この点、大臣から、どういうふうに考えておるか、こういう点についてまずお尋ねしたいと思います。
#9
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私も新聞の記事を見て驚いたのでありますが、さっそく部内に命じまして、内容の解明を命じたのでありますが、当局も一向、何もその兆候についてすら知らなかった。そこで、捜査当局について聞いてみたのでありますが、一向その内容を明らかにしてくれない。ほんとうにわからないのか、あるいは多少わかっておって、捜査の都合上、その点を知らせてくれないのか、わかりませんけれども、まことに真相がつかみにくいという状況でございまして、困惑しておる次第であります。
#10
○近藤信一君 まだ大臣の方ではいろいろと全貌についてのあれがわからないようでございまするけれども、新聞の報ずるところによりますると、やはり大手メーカーに中小企業がいろいろと押されて、特に中小企業が、輸出に対するところの問題では、商社からもいろいろと廉価なものということで要求をされて、そうして粗製品をなんか合格品ということで輸出に充てておる、こういうふうなことが報ぜられておるわけなんです。そこで、やはり中小企業の立場から考えますれば、大手メーカーがどんどんと生産を上げて参りますれば、どうしても中小メーカーは押されることは当然なんです。そこで、一体この検査という問題、検査をするにあたって抜き取り検査その他のいろいろな検査方法があるわけなんです。この検査に対して不正が行なわれるということは、検査のどこかに欠点があるんじゃないか、私はそういうふうに思うのですが、検査方法その他の検査に関する問題について、どのように考えておられますか。
#11
○説明員(生駒勇君) ただいまお話がございました検査制度に関しましては、現在の検査制度が万全であるということは確かに申し上げにくい点もあるように考えられるわけでありますが、ただ、この設立の経緯から申しまして、強制検査を前提にしながら、その機動性を増すために、民間の検査協会というものを指定機関に指定いたしまして、そこで業界の親しみある検査を行ないたいという方針で、この法律ができておりますことを考えあわせまして、現状におきましては、現在におきます検査協会というものの検査事務をなお一そう厳格かつ適正に行なっていくようにすることがまず第一に必要である。そのためには、検査員の待遇の問題でございますとか、身分の保障の問題でございますとかいう点も考えあわせまして、この点を第一に検討していかなければならない。それから第二に、国の検査機関が検査協会のやります検査を抜き取りまして、さらにもう一度検査をしていくというやり方、これをさらに強化して参りたいということが第二。第三は、検査協会自体に対します経理業務の監査を従来以上に一そう強化して参りたい。この三点に関しまして、特に昨日責任者の来庁を求めまして、警告を発した次第でございます。
#12
○近藤信一君 これは検査方法として、最初は製品を検査所に持ち込んで検査をしておったが、最近はだんだんと数量がふえて、それでメーカーまで出張して出張検査が多くなってきた。そういたしますると、やはり検査協会なり役所というところを離れて、業者のところまで出張するわけなんで、業者との接触面というものが多くなってくるわけなんです。そこに私はいろいろと汚職の根源というものが派生するのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。そこで、従来やってきたような検査所へ持ち込みの検査というものが、将来これ以上できるものか、できないものであるか、将来やはり出張検査を多くやらなければならないものかどうか、この点いかがですか。
#13
○説明員(生駒勇君) 御指摘の通り、持ち込み検査が理想でございまして、私どももできる限り持ち込み検査をやるようにということを指導しておるわけでございますが、ただ、御承知のように、何分にも急速にふえて参ります輸出品を、今五カ所かあるいは六カ所の出張所に全部持ってこいということになりますと、どうも税関手続のためのいろいろなトラブルからシップメントがおくれたというような議論が出ております際に、さらにもう一つ検査のために船積みがおくれたというふうな問題も提起されますおそれもございますし、かたがた、倉庫その他の設備におきましても、予算上の制約等もございますために、御指摘の通り、持ち込み検査が理想的ではございますけれども、現在においてはなお、出張検査、抜き取り検査という態度をとっておるわけでございます。
#14
○近藤信一君 今度の輸出品に対する汚職関係については、毎日新聞のあげておるところによると、五つの条件が陰にあるのだと、こういう見出しで書いておるわけなんです。その中には、やはりトランジスタラジオが、昭和三十一年に輸出されて、非常に海外における人気がよくて、当時一台三十ドルしたと、ところが現在では六、七ドルになったと、あまりにも値段の点においても、これは大きな開きがあるわけなんですが、これは過当競争の結果によるものであろうと私は思う。しかしなぜ、じゃ過当競争になったか、こういうことになると、トランジスタラジオ自体が非常に簡単に組み立てができる。まあ聞こえればいいというふうな形で量産にどんどんと乗り出して、げた屋さんでも造花屋でもできるのじゃないか、こういうようなことがいわれておるわけなんです。これはあなたの方はただ検査して聞こえればいいというだけのものであるか、やはり一定の基準というものが私はあると思うのです。そういう点はいかがですか。
#15
○説明員(生駒勇君) 御指摘の通りでございまして、トランジスタラジオの検査に関しましては、たとえば何と申しますか、衝撃性と申しますか、むろんその他の機能等につきましてもいろいろ条件を調べておるのでございます。最低と申しました言葉が多少御指摘のような誤解を生じたことは残念でございますが、私どもの最低と申しますのは、たとえばアメリカ向けにはこれこれとか、あるいはどこそこにはこれこれというふうな仕向け地先によりますそういうグレードはつけておらぬという意味でありまして、日本の輸出品として品質上の条件としては最低基準による検査ということでございまして、輸出品に適応する検査であることはお説の通り十分考えてやっておる次第でございます。
#16
○近藤信一君 それからもう一つは、やはり貿易業者がバイヤーから非常に値段をたたかれる。そうしてその貿易業者が苦しまぎれに弱小の小さな業者にこれを作らして、そして輸出に振り向けておるわけですね。ところが、私はこの問題はトランジスタだけでなくて、商社のマージンというものは非常に私は大きくとっておると思うのです。で、一体、こういう過当競争やっても、実際に業者はあまりいい利益がないと思う。商社のマージンの方が私は大きいと思う。ここに私は問題があるのじゃないかと思う。中小企業は苦しまぎれにやはり大手メーカーに押されれば何とか手を抜いて、そうして製造しなきゃならぬ。こういうことにも私はなってくるのじゃないかと思うのだが、この点いかがですか。
#17
○説明員(生駒勇君) 多少、御指摘の点を御説明申し上げることになるかどうかあれでございますが、私どもはこの検査法を、むしろ結果において過当競争が行なわれない結果を招来する一つの手段と申しましては何でございますが、そういう結果も招来しておるというふうに考えておるのでございます。御指摘のように、悪質のバイヤーが仕様書、指図意匠その他によりまして、とにかく値段を安くしろ、自分の思う通りのものを作れということを要求して参りますケースが二、三にとどまらないと思うのでございます。これが先ほどちょっと触れました品質表示といういわゆる最低検査ではなくて、段階を示すと、A、B、C、Dというふうなランクを示すという検査をやっておりますと、その点に関しましては、バイヤーとの契約通りDならD、CならCという検査表さえあれば、それで輸出ができたというのが従来の輸出品取締法でございますが、今度この輸出検査法によりまして最低検査ができると、最低検査で落とすのだということになって参りますと、その点に関しましては、たとえ悪質なるバイヤーその他が指図意匠、指値をいたしましてもその点は防げるということがやはりこの輸出検査法の一つの役目ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#18
○近藤信一君 それから検査料ですね。検査手数料、この検査手数料は一台につき手数料十五円、こういうことに今なっておるわけですね。そこで、一台でも不合格が出ると、たとえば千台なら一千台分の手数料は丸損になると、こういうふうなこともあるのですか。
#19
○説明員(生駒勇君) ちょっと今御質問の趣旨がわかりかねるのでございますが、一台不合格が出た場合には検査手数料は納めないでいいのかということでございますでしょうか、御質問は。
#20
○近藤信一君 いや、一台の検査手数料は十五円でしょう。一千台なら一千台まとめて検査するわけですね。で、この検査料が、もし調べたやつが不合格になる、そうしてもこの手数料は出さなければならぬ、検査手数料は。不合格でもこれは手数料は支払わなきゃならぬ。そうすると、一千台分の手数料を支払わなきゃならぬ。
#21
○説明員(生駒勇君) それはその手数料は支払うことになっておるわけでございます。
#22
○近藤信一君 これは合格しても手数料というのは一千台分。単位が一千台なら一千台、五百なら五百、こういうことになるのですか。
#23
○説明員(生駒勇君) そういうことになるわけでございます。つまりどちらかと申しますと、まあ受験料みたいな感じでございますので、大体それで支払っていただくと、ただし今先生御指摘になりました一台十五円という手数料は、トランジスタラジオが非常に輸出が伸びております関係もございまして、関係方面と相談いたしまして、現在これを下げるように手続中でございます。
#24
○近藤信一君 そこで業者は、たとえば一千台検査に持っていくと、そこで一台不合格になると、あと一千台全部持ち帰って、さらに検討せなきゃならぬ。そうすると、一千台はしばらく寝さしていかなきゃならぬということになるわけでしょう。これはまあ小さな業者では非常に大きな問題だと思うのですね。そこで無理してでも合格をさしてもらわなきゃならぬと、こういうところから、まあ飲ましたり食わしたり抱かしたりと、こういうふうなことが往々にして出てくる。こういうことが指摘されておるわけなんです。これは何かほかに方法はないものですか。
#25
○説明員(生駒勇君) 確かに御指摘のような点も結果においては出てくるのではないかというふうにも感じられるわけでございますが、ただ何分にも非常に数量が多いわけでございまして、まあ私どもといたしましては、トランジスタの個々の検査という観念よりも、どちらかと申しますと、一荷口ごとの検査という観念の方が強いわけでございます。非常にこの点は総体的な問題のように私ども感じておりまして、必ずしもそのやり方がいいというふうには言い切れないのでございますが、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、技術者がなかなかとりにくいというような点もございまして、検査員の不足その他の点もございますので、この今の検査方法はやはり抜き取り検査を中心に、しかもそれは荷口ごとにやっていくというやり方をとっておる次第でございます。
#26
○近藤信一君 大臣に先ほどもちょっとお尋ねしましたけれども、何か検査協会のある人の、逮捕されておる人の自白によると、通産省でも関係があると、こう言われておるのですが、いかがですか。通産省の役人の中でも……。
#27
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほど申し上げた通り、どうも調べましても、通産省の内部においてはほとんどその痕跡はございませんし、捜査当局について聞いてみてもはっきりしない、そういう状況でございます。
#28
○近藤信一君 それは大臣はっきりと断言できますか。
#29
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまのところはないと思っております。
#30
○近藤信一君 この中小企業、特にこれはトランジスタラジオの関係になってきますけれども、中小企業が、先ほど言いましたように、簡単にできる仕組みになっておるのですね、このトランジスタラジオというのは。そこでもうこんな、今度摘発されておるような汚職事件は、こんなものはしょっちゅうあるのだと、こういうふうにも言われておるわけなんです。というのは、やはり飲ましたり、食わしたりすることは、どうしてもこれはしなければならぬ、それでなければ、その検査官の腹一つで合格にも不合格にもなるのだから、これは生きていく上においては、そんなことくらい安いものだと、こう言われておる向きがあるわけなんです。そこで、やはりこうしたトランジスタの製造について何か規制をするというあれは考えられないものですか。
#31
○政府委員(佐橋滋君) トランジスタラジオにつきましては、何といいますか、ただいま先生が中小企業で簡単にできるのではないかという仰せでありますが、中小企業がかなりの部分を占めておることは事実でありますが、これは双眼鏡その他と違いまして、相当まあたくさんの部品をアッセンブルする企業でありまして、ほんとうの零細というのは私は今ないと、こう考えております。先ほどの御質疑の中にも、このトランジスタラジオが三十一年ころに三十ドルもしておったのが、現在五、六ドルじゃないかというふうなお話がありましたが、御承知のように、このトランジスタの一番はしりが三十一年でありまして、そのころは国内にはほとんど向きませんで、輸出に出したわけでありまして、これはそのころは非常に数量も少なく、あるいは場合によっては試作品程度のものであったために、非常に値段も高かったわけでありますが、かなりまとまった数字が出かけましたのが三十二年からでありまして、三十二年には全世界へ大体十七万五千台輸出いたしたわけであります。この当時には大体十八ドルくらいで出ておりました。その後三十三年に百九十二万と約十倍以上の輸出量になり、さらに三十四年には六百十五万台、それから三十五年には八百十五万というように飛躍的に輸出量がふえて参ったわけであります。これはまあ部品その他あるいはトランジスタの石自体が非常に量産になって、コストがきわめて低下をしたという点から値段は当然下げ得る状況に相なって参りまして、その後十八ドルから十四ドル、十二ドルと順次下がって参ってきておるわけであります。五、六ドルという先生の御指摘でありますが、五、六ドルではおそらく部品代にも達しないと思いますが、実勢自身は十ドルを割っておることは六石以下のものについては事実のようでありますが、ただいま申し上げましたように、まあ飛躍的に数量がふえて非常に量産体制が整ったためにコストが下がってきておる。これはまあアメリカの国内におきましても、アメリカものが非常に高かったわけでありますか、アメリカ自体の国内売りも非常に下がってきておるわけでありまして、これらにつられて輸出価格もかなり下がっておるということであります。それで価格自身を何といいますかコストを割らないようにするために、現在では輸出商社に対して輸出の数量の割当をやって、海外の市場を混乱させ、同時に値段の暴落を防ぐという措置を役所としてはとっておるわけであります。
#32
○岡三郎君 ちょっと私聞きたいのは、通産大臣にお伺いしたいのだが、結局、輸出振興といっているさなかに、この問題は人によっては大きく考え、小さくも考えるでしょうが、輸出検査法という法律に基づいて民間に委嘱していたその検査協会が、こういう失態を起こして、そしてまあ新聞紙上をにぎわしている今一つの組織という形の中で考えるというと、検査協会に属している人々の給料が安いとか身分が保障されていないとかいろいろな問題があるけれども、やはり輸出振興の基本的な問題は、その部品の生産する品物の信用ですね。だから、そういうような点で小さい問題かもわかりませんけれども、そういう点について、基本的にやはり組織というものを確立するために、今言ったような再検査をするというふうなことを考えておられるといっても、これは今の状態では同じようなことになるのじゃないかという心配もあるのですが、そういう組織的な問題について、通産大臣はどう考えておられますか。
#33
○国務大臣(椎名悦三郎君) ごもっともでございます。そういう政府の指定した機関が、検査に関してこれを歪曲するようなことがあることは一日も許されないのでございますから、今後は検査の強化、まあ検査の強化と一がいに申しましても、いろいろな品種等について検査の方法が異なっておりますが、一がいに申し上げて検査の強化を期したいと思いますし、またそういう指定機関に対する政府の担当職員の立ち入り等について、もう少し立ち入り検査を政府みずから指定機関の検査がはたして適当であるかどうかということを、さらにこれを検査するというような立ち入り検査の強化も考えなければならぬ。それからまたその検査の衝に当たっている機関の監督、監査というようなものにつきまして十分に今後強化して参りたいと考えております。
#34
○岡三郎君 そこで今の検査の強化で具体的に立ち入り検査、いろいろな問題を言われましたが、実際的には数が多くてなかなか今の通産省当局では手が回らぬというのが実態じゃないかという御説明があったわけですが、結局それをどういうふうに強化するかということについては、やはり通産省自体の強化という問題がここに出てくると思う。今検査課というところではどのくらいの人員でどういうふうに検査の監督をやっておられるのですか。
#35
○説明員(生駒勇君) 検査課の人員は現在十一名であります。これは先ほどちょっと御説明申し上げましたように、検査協会に対します団体検査、団体監督という面でございまして、そのほかにたとえば機械金属検査協会でございますと、政府の持っております工業品検査所というものがあるのでございます。そこで先ほど立ち入り検査というふうなことをやっておるということでございますので、検査課だけでやります監督は、先ほど触れましたような団体監督でございます。業務の監督は工業品検査所が行なうというふうな分担になっておる次第であります。
#36
○岡三郎君 私の聞かんとする点は、結局いろいろと量産をする相当の工場ならば工場が、何か落ちては困るというので、会社自体が相当厳選すると思うのですが、今言ったようになかなか手数がかかってまんべんなくできない。で、先ほど近藤委員が言ったように、とにかく手が回らないのだから、何とか強化してもらわなければ、また一面においてはその会社も困ると、こういうふうな相互関係でいろいろつてを求めるということが、やはりそれは人間の弱点で、どうしても起こりがちだと思うのです。で、すなおに考えて、検査協会というものが十分に機能を発しているのか発してないのか、実際問題として、これは調べればわかると思うのだが、私はこれは単にトランジスタの検査だけではなくて、他の面においても相当そういう実情が、表面に出る出ないは別にして、あるのではないかというふうな気がするのです、実際問題としてね。そこでこの輸出する品物について、厳密に検査したことが通産省としてあるのですか。たとえば今まで言ったように強制調査とか立ち入り検査とか、あるいはにわかに行って、そういったものを臨時に検査するとか、業者の方では大体日程が組んであって、大体これこれの品物を検査してもらうということで、抽出方法でやるということがわかれば、向こうの方は商売人でなかなか賢いでしょうから、先を越して何とか合格するような手を打ってくるのではないかというように考えるのですが、その点どうなんです。
#37
○説明員(生駒勇君) 工業品検査所の検査は大体年間にいたしまして、臨検検査、つまり今申し上げました直接自分でやるのではなくして臨検しまして検査をいたしますものでございますが、三十六年度の計画といたしましては三千六百九十六件を前提として計画を立てておるような次第でございます。また雑貨関係に関しましては、やはり工業品検査所に関係あります雑貨品関係におきましては、臨検検査の計画といたしまして一万四千四十四件ということを前提に計画を立てておるという次第でございます。
#38
○岡三郎君 そこでちょっと私も時間がないので大臣に聞きたいのだが、これは私の間違いならばけっこうなんですが、トランジスタを検査している協会の課長さんが前に通産省の出であるとかそんなようなことがちょっと新聞に書いてあった記事を今思い出しているのですが、この協会に関して、トランジスタ協会だけでなくして、そういう協会に関してどの程度出ておるか、要するに通産省の内部と検査協会がやっぱり一体的になっていれば、これはなかなか監督するといっても、実情むずかしいのじゃないかという気がするのです。そういう点はどういうふうな状態になっているのですかね。これは通産大臣に聞くのもちょっとこまか過ぎるかわからぬが……。
#39
○説明員(生駒勇君) 現在、日本機械金属検査協会の理事は十三名おるわけでございますが、そのうち通産省関係と申しますか、まあいろいろな関係で通産省に少なくとも席を置いたという人の数は四名でございます。監事は二名でございますが、それには通産省に席を置いた人はおりません。それから職員でございますが、職員は二百五名おりまして、そのうちいささかでも通産省に関係があったという人は十四名でございます。
#40
○岡三郎君 今度取り調べられている人の中には通産省関係者はないわけですか、前にいた人は。
#41
○説明員(生駒勇君) 今取り調べを受けております人間の中で一人工業品検査所にもと席を置いた人があるというふうに……、
#42
○岡三郎君 それは何という人ですか。
#43
○説明員(生駒勇君) 水元という人です。
#44
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記を止めて下さい。
  〔速記中止〕
#45
○委員長(剱木亨弘君) 速記をつけて。
#46
○岡三郎君 私は先ほど、今調査を命じておるがなかなか真相がつかみにくいと大臣仰せられたので、なかなか広範な仕事ですからそう思いますが、輸出検査法という法律ができてから、いろいろと問題があって、たまたまこれが一つ出たわけですが、そのほかネジ類でいろいろな問題があるのではないかという新聞記事もございます。そういうふうな点で、やはりこういうことは将来の輸出振興についても暗影を投ずるという考え方が正しいのではないかと思います。そういうふうな点で、十一名の検査課の人たちがどの程度やれるかという問題もありまするけれども、もう少し機構全体を政府が掌握できて、そしてその中でこういうことが、なかなか全部が全部というわけには参らぬとしても、起こらないような仕組み方、組織の確立という問題について、先ほどお話があったわけですが、そういう点について具体的に通産省当局として、こういう方式において次の検査、来たるべき検査、そういったものを厳格に行ないたいというそういう具体的な根本方策、そういうものをやはり一ぺん輸出検査法に基づく具体的な問題をわれわれに出していただけないかと思うのです。ということは、やはりいろんな問題から感じ取られるのでね、もう少し正確に検査というものをやらんというと、何かまた日本の工業品検査は法律があるけれどもルーズだという印象を与えてはならぬので、それを一つこういうふうに具体的にやっていきたいというふうな点について、今説明があったことをより具体的に一つお出し願いたいと思います。
#47
○国務大臣(椎名悦三郎君) さしあたり考えていきたいと思うことは、工業品検査所、これは国がやっている検査でございます。ここに三百数十名の職員がおりますが、決して手があいておるというわけではございませんけれども、もう少し各担当機関の検査というものを、現実に目を光らしていくという意味において、これらの検査所の職員のある部分を使いますとか、あるいはまた試験所の職員等で特殊の種目については特別のやはり知識を持っておるという関係から、そういう人を考えてみるとかいうことにしてみたいとも思っておりますが、しかし根本的な恒久的な問題としましては、やはり全部を把握する機構についてもう少し強化していくのはどういうものであろうかと、こういったような点につきまして、もう少し考えてみたいと思います。
#48
○委員長(剱木亨弘君) 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時三十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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