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1960/05/30 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第27号
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1960/05/30 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第27号

#1
第038回国会 商工委員会 第27号
昭和三十六年五月三十日(火曜日)
   午前十時四十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月二十九日委員大泉寛三君辞任につ
き、その補欠として横山フク君を議長
において指名した。
本日委員横山フク君辞任につき、その
補欠として大泉寛三君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     剱木 亨弘君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
           椿  繁夫君
           牛田  寛君
   委員
           赤間 文三君
           大泉 寛三君
           大川 光三君
           岸田 幸雄君
           小林 英三君
           斎藤  昇君
           山本 利壽君
           横山 フク君
           阿具根 登君
           岡  三郎君
           近藤 信一君
           吉田 法晴君
           加藤 正人君
  国務大臣
   通商産業大臣  椎名悦三郎君
  政府委員
   科学技術庁原子
   力局長     杠  文吉君
   通商産業省重工
   業局長     佐橋  滋君
   中小企業庁長官 小山 雄二君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   科学技術庁原子
   力局政策課長  井上  亮君
  参考人
   東京大学教授  加藤 一郎君
   北海道大学教授 金沢 良雄君
   日本原子力研究
   所労働組合放射
   線対策安全協議
   会専門委員   一柳 勝晤君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力損害の賠償に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○原子力損害賠償補償契約に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○機械類賦払信用保険臨時措置法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○商工会の組織等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。
 本日は午前中に原子力損害の賠償に関する法律案及び原子力損害賠償補償契約に関する法律案について参考人の意見聴取及び質疑を行ない、午後は、機械類賦払信用保険臨時措置法案及び商工会の組織等に関する法律の一部を改正する法律案の審査を行ないます。
 この際、参考人の件について報告いたしておきます。
 前回の委員会において人選を委員長に御一任願いましたので、お手元に配布いたした名簿の通り三名の方に参考人として御出席を願うことといたしました。
 以上御了承願います。
#3
○委員長(剱木亨弘君) 初めに委員の異動について御報告いたします。
 昨二十九日、大泉寛三君が委員を辞任され、その補欠として横山フク君が委員に選任されました。
#4
○委員長(剱木亨弘君) それではまず、原子力損害の賠償に関する法律案、原子力損害賠償補償契約に関する法律案、以上二案を一括議題といたします。
 これより参考人の御意見を伺うのでありますが、初めに一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ、当委員会のため御出席を賜わり、まことにありがとうございました。委員一同にかわりあつくお礼を申し上げます。
 ただいま審議を行なっております議案は、原子力損害が生じました場合における被害者の保護をはかり、また原子力事業の健全なる発達に資するため無過失責任、損害賠償措置、国の援助等、原子力損害の賠償に関する基本的制度を定めるとともに、原子力賠償補償契約に関する必要な事項を定めようとするものでありますが、私から多くを申し上げるまでもなく、各位すでに御承知の通りでございます。当委員会といたしましては、原子力事業者の賠償責任を無過失責任とし、かつ責任の全部を事業者に集中せしめた点等について、また原子炉運転等にかかる従業員の災害補償問題等について、それぞれ御造詣の深い皆様から御意見を伺い、今後の審議に資したいと存じまして御出席を願った次第でありますので、忌憚のない御意見をお願いいたします。
 なお、議事の進め方でございますが、最初にお一人大体十五分程度で御意見をお述べ願い、御意見開陳を終わった後、各委員から質疑を行なうことといたしますので御了承を願います。
 それでは初めに東京大学教授加藤一郎君にお願いいたします。
#5
○参考人(加藤一郎君) 加藤でございます。
 私の専門は民法でございまして、特に不法行為に興味を持っておりますので、前にも「ジュリスト」という雑誌の原子力災害補償という特集が百九十号、三十四年十一月十五日号に出ておりますが、前にも原子力災害立法上の問題点ということを書いたことがございます。おそらくそういうことでお呼び出しを受けだのだと思いますが、そこでこの法案の全体の仕組みについては、金沢先生からお話をいただいた方がいいと思いますので、私は主として損害賠償責任について民法の特則を設けたという、この法案で申しますと第二章のところを主として申し上げることにしたいと思います。
 この法案の第一の特色は、申すまでもなく、無過失責任を三条で認めているという点であります。で、原子力災害がかりに万一起こりました場合に、今の民法でどうなるかと申しますと、民法でもおそらく普通の場合には賠償責任が慰められるのではないかと思います。たとえば民法の七百十七条に工作物責任の規定がございますが、工作物の設置または保存に瑕疵があるという場合には、一種の無過失責任を負うということになっております。またたとえば、従業員の過失によって損害が起こったという場合には、七百十五条の使用者責任の規定で賠償が付せられるということになります。おそらく普通の場合にはそれで済むかもしれないのですが、しかし工作物責任においても瑕疵があったということを、たとえば原子炉に何かのきずがあったということは一応証明しなければならない。それから使用者責任であるといいましても、働いているその労働者に過失があったということをやはり主張しなければならん。そういう立証の問題がやはり残るのであります。そうしてこの過失やあるいは瑕疵があったということの立証は実際には相当困難である。で、原子力事業については高度の技術を持って運転をしているわけでありまして、普通の人がそこに過失があったということを立証することは非常にむずかしい。それからまたかりに大きな事故が起こった場合にはその証拠というものもなくなる危険があるわけでありまして、立証の証拠が残らない危険もある。そういう点からしてやはり民法では困るだろう。そこで各国とも特別の無過失責任の立法を設けているのであります。
 その無過失責任の根拠と申しますと、普通は、危険責任ということと報償責任。危険責任。危険責任の方は、危険なものを管理する者は、そこから生じた損害に対して責任を負うということであります。報償責任という方は、その事業から利益を得た者は、その利益によって賠償すべきであるということでありますが、この原子力災害の場合には、そのうちの危険責任ということからして、無過失責任が認められた。で、原子力災害はまれだといわれておりますけれども、起こるときには非常に巨額の損害が生じる。危険性が非常に大きいわけであります。その危険責任による無過失責任を認めるということは、被害者の保護のためにまず第一に必要でありますが、そのことは、損害が起こったときに賠償をするということのほかに、それを予防するという、予防的な効果も持つだろう。つまり、損害が起こって全部賠償しなければならないということになれば、初めから非常に注意をして、そもそも損害が起こらないように予防的な措置も構ずるであろうということが期待されるわけでありまして、その点において、無過失責任をとる意味があると思われます。
 それは、直接には被害者の保護ということでありますが、さらに進んで申しますと、もしその保護が万全にはかられないならば、原子力政策を推進する上に大きな障害が生じるであろう。これは、民衆の協力が得られない。あるいは、不安であって、原子炉の設置に反対運動が起こるというようなことが考えられますので、原子力産業を推進するという政策をとる以上は、どうしても無過失責任を認めなければならなくなるだろうというように思われるのであります。
 ところで、無過失責任を認めますと、その裏打ちとしまして、どうしても責任保険を強制して、それで裏づけをするということが必要になります。つまり、無過失責任を認めても、加害者に賠償資力がなければ、これは画にかいたもちのようなもので、実効力がない。そこで、責任保険によってその裏づけをするということが必要になるわけです。
 さらにまた、事業者の立場から考えましても、自分の企業の破産、破滅を救うためには、あらかじめ責任保険によって、そういうことのないようにはかっておく必要がある。その、加害者の自衛手段ということと、被害者の完全な保護という両面において、責任保険制度が要請されるわけであります。
 ところで、原子力災害の場合には、この責任保険について、現在では、一定の限度があるということが一つの大きな問題であります。現在では、わが国では、五十億円までしか保険では引き受けられないということになり、しかも、それ以上の損害が生ずる危険も考えられるのでありまして、その上の、こえた部分については、国が何らかの措置をとる必要があるのではないかという問題が起こって参ります。
 なお、この無過失責任を設けました場合には、その責任を一定の限度で打ち切るという、責任制限の問題が出て参ります。各国の法案を見ますと、責任保険で引き受けられる限度か、あるいはその上の、国が補償義務を負う限度のところで、事業者の責任を打ち切っているのであります。わが国では、今までも、無過失責任制度を作った場合に、そういう責任制限の規定を置いていないのでありまして、無過失責任をしょわされる上に、限度がないということになると、事業者に気の毒な場合が出てくるわけであります。立法論としては、無過失責任を認めた場合には、責任制限の規定を置くべきだということも、十分考えられる。私も、置いた方がいいのではないかと思っておりますが、今度の法案では、保険でできた穴には、国が補償契約を結んで補償する。それから五十億円をこえる部分については、国が援助の措置をとるということになっておりますので、実際には、原子力事業者が無過失責任で大きな損害を引き受けるということは、あまりなくなるつもりだろうと思うのです。そういう点で、制限の規定を置かなくても、非常にいけないとは言えないのでありますが、理屈としては、責任制限を置くことも、立法論として考えられるだろうと思われます。
 以上が、無過失責任を認める根拠及びそれに関する問題でございますが、第二の問題といたしまして、その場合の免責事由をどこまで認めるかということがございます。この法案では、三条一項ただし書きにおきまして、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」というものを免責事由としてあげております。この点は、ともかく原子炉のように非常に大きな損害が起こる危険のある場合には、今までのところから予想し得るようなものは全部予想して、原子炉の設定その他の措置をしなければならない。従って、普通の、いわゆる不可抗力といわれるものについて、広く免責を認める必要はないわけであります。むしろ今まで予想されたものについては万全の措置を講じて、そこから生じた損害は全部賠償させるという態勢が必要であります。そこで、たとえばここでいう「巨大な天災地変」ということの解釈といたしましても、よくわが国では地震が問題になりますが、今まで出てきたわが国最大の地震にはもちろん耐え得るものでなければならない。さらにそれから、今後も、今までの最大限度を越えるような地震が起こることもあり得るわけですから、そこにさらに余裕を見まして、簡単に言いますと、関東大震災の二倍あるいは三倍程度のものには耐え得るような、そういう原子炉を作らなければならない。逆に言いますと、そこまでは免責事由にならないのでありまして、もう人間の想像を越えるような非常に大きな天災地変が起こった場合にだけ、初めて免責を認めるということになると思われます。そういう意味で、これが「異常に巨大な」という形容詞を使っているのは適当な限定方法ではないだろうかと思われます。これは、結局、保険ではカバーできないことになりますので、あとで出ます政府が十七条によって災害救助を行なうことになるわけであります。
 さらに、この責任についての第三の問題といたしましては、いわゆる責任集中の問題がございます。これは四条と五条の関係でありますが、たとえばいわゆる供給者――いろいろな施設の部品を供給した者、そのほかその設計をした者であるとか、労務を提供した者というような、広い意味での原子力施設を作るについて協力した者が全部供給者ということになるわけでありますが、その供給者については責任を免除いたしまして、責任を、原子力事業者に集中するというやり方をとっております。この点は、どうしてそういう必要があるかと申しますと、責任保険との関係が非常に重要でありまして、もしすべての供給老に責任が認められるということになれば、各人が責任保険をつけまして自衛手段を講じなければならなくなる。ところが、そういたしますと、責任保険の重複という問題が出て参りまして、保険の限度額がそれだけ少なくなってくる。逆に、責任を認めても被害者には決して有利にはならないという問題があるわけであります。そこで保険の技術といたしましては、なるべく責任を最後の事業者のところに集中しまして、そこでまとめて保険をつけるということにするのが適当であります。この責任の集中ということは、そのほかに被害者たる一般公衆が損害賠償を請求する場合に、だれに請求していいかということが明確になる。かりに事業者のほかに供給者にも課せられるということになると、その関係が複雑になるわけであります。さらにまた原子力事業の育成ということを考えますと、供給者が安んじて供給ができるようにしてやる必要があるわけでありまして、そうでなければ原子力事業に協力する者が少なくなる危険がある。そこで原則として供給者の責任を免除してやるということが必要になります。
 そういういろいろな理由から、責任の集中ということが、これは各国で問願になっておりまして、集中している国が多いわけであります。結局経済的に考えますと、責任の集中ということは、その責任保険の保険料をだれが払うかという問題になるわけなんです。つまり供給者に責任が負わせられるとすれば、責任者が保険料を負担しなければならない。ところが事業者ということになれば、事業者が全部保険料を負担して責任保険をつける。そのコスト、供給のコストという点を考えますと、供給者がつけた責任保険料は当然供給代金の中に含まれるわけでありまして、それを代金の形で事業者が払うのか、それとも保険料の形で保険会社に事業者が払うのかというような、保険料の負担をどういう形でするかという経済的な問題に帰着するように思われます。ただ原子力災害の場合には、責任保険の限度をこえる場合があるものですから、その場合には責任を負わされた者が損をする結果になりますけれども、その点がもし国の援助ということでカバーされることになれば、あとは負担の形の問題に帰するのではないか。そうだとすれば、技術的に最も明確な責任集中ということにしておくのがいいだろうというように思われます。
 なお、五条では責任の集中に対する除外例を設けておりまして、第三者の故意、過失の場合、それから供給者側の故意の場合というのを例外にしておりますが、これは性質上やむを得ない例外だと思われます。なお、この五条の二項では求償権についての特約を認めております。なお、求償といいますのは、あくまで第三者である公衆に被害が起こった場合の損害負担についての求償でありまして、供給者と原子力事業者との間の、売主と買主の関係の間の、二人の間の責任の問題はこれは別になるわけであります。いわゆる売主の担保責任というような問題がありまして、たとえば事業者がどこかの供給にミスがあったために自分の助産である原子炉に損害を受けたというような場合には、これは民法の一般原則によることになるわけであります。その場合に特約がなければ、免責の特約がなければ、原子力事業者が供給者に求償できるということになりますけれども、その点は普通おそらく特約を設けていくのではないかということが予想されます。
 以上申しましたのがこの法律における民法の特則でありまして、今申しました以外の点は民法の原則によることになります。たとえば人身損害と財産的損害と両方を賠償するのでありますが、これはそのほか慰藉料の賠償はどうするか、あるいは汚染された地域からの立のきによる賠償は、一体損害賠償の因果関係の中に当然含まれるかどうかというような問題があるわけですが、これは民法の一般原則によって、いわゆる相当因果関係内の損害は全部賠償する。今あげた例は全部賠償の中に含まれることになります。そのほか、たとえば被害者側に過失があった場合の過失相殺、つまり賠償額を差し引くという問題もあるわけですが、これはおそらく原子力災害の場合には、実際にほとんど起こらない問題でありましょう。さらにまた時効の問題がございますが、民法の七百二十四条の規定で、損害が起こったことを知ってから三年、それから不法行為のときから二十年という時効の期間が設けられておりますが、これもそのまま適用される。なお、国の補償契約の方では、十年までに請求のあった分については保険で持つけれども、十年以後の分については国が補償契約で持つという規定がございますけれども、これは民法の特効の範囲内の問題でありまして、二十年たってから出てきたものには、この補償契約でも責任を食うことはないわけであります。そういう意味で、民法の三年、二十年という時効がここにも適用される。あるいはまたいわゆる連帯責任という問題で、東海村にある原子炉が、違う事業者に属する原子炉の二つから事故が生じたというような場合には、連帯責任という、七百十九条の供同不法行為の問題が起こりますが、それも民法の原則によって連帯責任を負うということになります。そういうわけで、あとは全部民法によるわけであります。
 私の関連いたしました民法の分野では、大体ただいま申し上げたようなところでございまして、これで私の口述を一応終わらせていただきます。
#6
○委員長(剱木亨弘君) ありがとうございました。
 次に、北海道大学教授金沢良雄君。
#7
○参考人(金沢良雄君) 金沢でございます。
 ただいま加藤先生から非常に詳細に要領よくお話がございましたので、いわゆる民法との関係あるいは損害賠償法案の骨子というようなものはおわかりになったかと思いますが、一応、私といたしましては、この法案の大体の仕組みがわれわれの考えに対してどういうような受け入れ方になっているかという点を中心に一般的に申し上げてみたいと思います。
 そもそもこの原子力損害につきまして特別の賠償あるいは補償措置というものが必要になってきたのはどういうことかということでございますが、これは原子力災害というものの特殊性に基づくのではないかと思われます。それは一つには、めったに起こらないけれども、起こったら大へんだということなんです。ほかの災害と違いますところは、それが相当広範に、めったに起こらないけれども万一起こった場合には相当広範に及ぶだろう、またその災害の性質が後発性を持っているというようなことから、損害額が非常に多くなるのではないかということなんです。こういう特殊性のために原子力の平和利用というものを促進するということになりますと、容易にその促進が行なわれにくい、つまりしり込みする。そのしり込みをなるべくさせないようにしながら、この原子力平和利用を促進しつつ、しかも第三者の災害を十分に補てんする、これがこういう特別の措置を講ずる必要が生じてきた最も根本的な理由になるだろうと思うのでございます。
 従ってこの法案の目的にも掲げられてありますように、結局被害者の保護を十分にはかるということと、原子力の平和利用を促進するというこの二つの目的をどのように調和させてゆくかというところに法案の、あるいはこういう原子力損害補償制度のねらいが置かれなければならない。そこでしからばどういう方法でそういう目的を調和させ、かつ達成してゆくかということでございますが、その点につきましては、一般的に見まして、各国の例その他を見まして、大体三つの基本線がある。一つは、まず保険によってカバーできるものは保険制度を利用してこれをやってゆく、しかし保険によってカバーし得られない分については、これは保険にはその保険の引き受け能力というものが今日現実にあるわけでございますから、もし保険がすべてやってくれるならばこれに越したことはないのですけれども、そうでない場合には、ここに何らかの形で国家的措置というものが出てくる必要があるのではないか、しかも今度は第三者の保護、あるいは原子力の事業の推進ということのために、従来の民事責任に対して特例を設ける必要があるということでございまして、結局民事責任――先ほど来加藤先生からのお話のございました民事責任に対する特例ということと、保険、それから国家の措置と、この三つが一体となって、それぞれに相補いながらこの補償体制を確立してゆくということが望ましい、これが一般的な原子力損害賠償措置のいわば形式といいますか、基本ラインということが言えると思うのでございます。
 ところでこの法案を見ますと、大体におきまして根本的な線におきましては、今申し上げましたような線に沿ってこれができておる、基本的にはそういったいわば三位一体的な形でこの法案ができておるということにつきましては、私どもも異存がないのでございます。ただそのこまかい点に入りますと、そこにやはり日本の場合のいろいろの考え方なりが出、ほかの例と比べまして若干の相違が生じておるということは言えると思います。
 保険の点は、これは保険は保険の引き受け能力ということが問題になるわけで、結局この法案におきましても、賠償措置五十億ということは、結局その保険能力に見合っておきめになっていることかと思いますので、この点は一応問題はなかろうかと思います。
 次に、民事責任の特例でございますが、この点につきましては、あるいは国家措置ということも含めましてもけっこうでございますが、この点につきましては、先ほど申しましたように、基本的には原子力損害賠償制度として考えられるべき線に沿ってはおりますけれども、どちらかといえば、従来の伝統的な考え方というものからあまりにかけ離れないようにとする努力がこの法案の中には見られるように思われるのでございます。それはこの法案では、民事責任の特例といたしまして、先ほど加藤先生からのお話もありましたように、一つには無過失責任、今一つは原子炉の運営者への責任の集中、これは非常な特例といえば特例になるわけです。しかしたとえば無過失責任につきましても、先ほど加藤先生もお触れになりましたが、無過失責任を認めるという場合に、一つの考え方といたしましては、その反面では責任制限をする、無過失責任にはするけれども、非常に厳格な責任はするけれども、一定の限度で責任は打ち切るという考え方が外国の立法例にも見られるわけなんです。ところがこの法案では、原子力事業者の責任は青天井ということになっておるわけです。無制限ということになっておるわけです。これはやはり従来の伝統的な考え方がそこに出ているように思われます。それからまた責任集中の点につきましても必ずしも完全な意味での、実質的な意味での責任集中ということでなしに、第五条の求償権、ことに第三者の故意、過失の場合には求償ができるという形になっております。供給者の場合には故意ということになっておりますが、こういうような点は確かに伝統的な考え方からいたしまと、そうあるべきであるということになろうかとも思われます。しかし、こういう点につきまして、さらに責任集中を実質的にも十分にやってゆくという必要性が一方においてはまたあるわけで、先ほど加藤先生のお話にありましたように、もし求償権を認めるということになりますと、そういう人たちもいつ求償されるかわからないというので、保険証券を買わなければならない、買っておかなければならないというような問題がここには多少残るということにもなろうかと思われます。
 それから最後に、国の措置でございますが、この点につきましても、外国の例におきましては、先ほどお話ありましたように、国が補償する、つまり法律上の義務として補償する、あるいは法律上明確に一定の限度をこえた場合には、国がそれを穴埋めするということが明確に定められている例があるわけでございます。これはやはり原子力産業、原子力事業あるいは原子力の平和利用を促進するという政策的な意図のもとに、そういう考え方が出てくるのであろうかと思われます。この点につきまして、法案の十六条は、御承知のように、必要な援助を――政府がこの法律の目的を達成するため必要あると認めたときには、賠償措置額をこえた場合について必要な援助を行なうという形になっているわけです。この点はもっぱら問題は、でございますから、政府並びにその権限を与えます国会の、原子力産業あるいは原子力の平和利用に対する政策的意図というものが、この必要な援助というものをどの程度どういうふうにしてやるかということをきめる基準になろうかと思われます。しかしそこは政策論になるわけで、もし原子力平和利用を十分に促進していくのだという気がまえがはっきりしておるならば、外国の例に見られるような国家の措置を積極的に明確に定めていくということも必要になるのではないかと思われるわけでございます。
 以上で私の申し上げることは終わるわけでございますが、最後にいま一つ労災関係の問題についてちょっと触れさしていただきたいと思います。
 この法案は労災関係を、つまり原子炉の運転者、運営者の施設のもとで働いている労働者は一応除くという形になっていると思いますが、それは結局、これは労災でいく、こういう考え方になろうかと思います。これも一つの行き方でございまして、その施設の従業員は、当該施設の従業員は第三者とはやや趣きを異にする。だからその第三者に向けられるべきファンドをそれによって食われるということはできるだけ差し控えておいた方がよい。それは労災でやるのだという、そういう考え方が出てくるのは一応もっとものように思われます。ただ施設で働いておられる方もやはり人間なんでありますから、その場合に問題となるのは、第三者としての労働者が、この原子力損害補償のもとに受ける補てんと、損害を与えたその施設の従業者の方が労災で受けられるところの補てんとに差異がある。この施設の従業者が労災で受けられる保護が、第三者としての従業者よりも、あるいは一般の第三者の保護よりも低いということがもしあれば、これは何らかの形で是正していかなければつじつまが合わないということになることは言えると思われます。ただこの点につきましては、先般のけい肺法の改正、この特別措置法の改正に際しまして、労災法自身が改正せられまして、長期療養補償が認められるようになったということで、かなり労災体系の中で、こういうものについても、補償措置と言いますか、保護措置と言いますかが、かなり前進したということは言えると思いますが、なお、今後の問題が残されているかと思われます。
 以上で終わりたいと思います。
#8
○委員長(剱木亨弘君) 次に、日本原子力研究所労働組合放射線対策安全協議会専門委員の一柳勝晤君にお願いいたします。
#9
○参考人(一柳勝晤君) 原子力研究所労働組合の一柳でございます。
 この法案に関します御意見を申し上げる前に、最初に私の立場を御説明させていただきたいと思います。
 私は今加藤先生の方からお話がありましたように、いわゆる原子力研究所の職員、すなわち第二者としての立場を持っておる者でございます。しかしながら一方私の家族は東海村に住んでおりまして、そういう意味においては私の家族は第三者の立場にあるわけであります。そういう意味で、第二者、第三者、その両方の立場に立って、きょうは発言をさせていただきたい。そういうふうに考えます。私の発言の要旨をちょっと書き物にいたしましてお配りいたしましたから、それを後ほど御参照いただければ非常に幸せだと思います。
 まず第一に、この法案自体が持っております問題、第二番目にこの法律を施行する、あるいは施行以前にいろんな点が問題になってくるわけでございます、そういう種類の問題。第三番目に、これは第二者という立場から、第二者の補償に関する問題についての私の意見。その三つに分けて意見を申し上げます。
 まずその原子炉といったような、原子炉の施設が万一事故を起こしまして、それが付近に住んでる方たちに御迷惑をおかけした、そういうような場合には、これは一体どうなるのか。これはわれわれ原子力に関する研究開発に従事しておる者にとりまして、前からずっと最大の関心事の一つであったわけであります。一方地元住民といたしましては、これは先般原子力発電会社がコールダーホール型原子炉を東海村に置くという問題が発生しましたが、当時科学技術庁長官であられた中曽根国務大臣がおいでになられまして、原子力で万一損害が起こった場合には、これは完全に補償するのだというお約束をなさったわけです。その約束がございまして、原子力に関する損害補償というものが完全な形で行なわれることを非常に強く要望しておったものでございます。そういう損害補償に関する措置というものが今回おそまきながらこの法案として国会で御審議いただける段階になったわけです。われわれの手元にもその法案が参りまして、過日来私ども集まりまして慎重に検討さしていただいたわけです。そこでわれわれの意見を申し上げますと、はなはだ遺憾ながらこの法案に関しましては失望をしたということを申し上げざるを得ないのです。どういう点でわれわれが失望したかという点をまず以下順を追って御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律によりましては、この法律は原子力損害というものを補償するという建前になっております。しかしながら、この法律は原子力損害全部をカバーできないと言っております。これはどういうことかと言いますと、この法律の第一条目的及び第二条、そこを見てみますと、この法案によってカバーされる原子力損害というものは、原子炉を運転される、そうして核燃料物質、それに汚染されたもの、それによって起こった災害、そういうふうに規定してある。そういたしますと、たとえば原子力事業者、たとえば原研というものを例に取ってみますと、原研には原子炉以外の原子力施設がある。たとえばラジオ・アイソトープの製造工場とかヴァン・ド・グラーフ装置とか、あるいはホット・ラボラトリーとか、いろいろのものがあります。そういうものが火事を起こした場合には、そこから放射能が出て参るわけであります。そういう事故は原子炉の事故と全く同じなんです。それから核燃料物質だけを対象にしておりますが、原研では核燃料物質以外にも放射性物質をたくさん扱っております。放射性物質は何か間違って海に流れて、そうしてその辺の魚がだめになった、そういう場合にはこの法律の適用はないと思います。さらにもう一つ、この法律は原子燃料の核分裂と書いてございます。ですから、もし将来、核融合というものがございますが、そういうものを利用する原子炉ができる、開発されると思います。そういうものの損害――そういうものの事故を起こした場合の損害というものは、この法律ではカバーできない。そういう意味でこの法律のそういう点は直していただかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。それから第二点といたしまして、この法律は確かに原子力に関する損害を補償しようということで出てきたわけでございますが、この法律ができただけでは、原子力に関する損害というものは、有効に補償されないということでございます。そういうことは、どういうことかというと、まず原子力損害は、普通放射線災害として現われて参ります。放射線災害はどういう特色を持っているかということについて申し上げますと、放射線というものは人間の五官でわかりません。被爆したかどうかということは被爆した本人にわからない。それから放射線によって被爆いたしまして身体障害を発生した。ところがその身体障害は、放射線に当たったという因果関係、その因果関係は現在の医学でははっきり出てこない。つまり確率でしか表現できない。それから第三番目に、放射線による障害というものは、何と申しますか、すぐ出てこない。後発性、潜在性という言葉で言っております。これはたとえば広島で原爆に当った方が最近それが何でもないのに突然亡くなられた、そういう事態があった。それから最もおそろしい放射能の障害は遺伝的障害として現われるんです。最後に放射線障害の特色といたしましては、放射線というものはどんな微量であっても障害を引き起こす可能性があるんです。従って関係のない人はできるだけ放射線に当たらないようにすることが必要であるということが放射線災害の特色なのであります。
 こういうことでありますと、そういう放射線災害というものを救済するために、まずこういう法律で補償するのだということをきめると、これはもちろん必要であります。しかしそれと並行して、事故が起こった場合に被害者となることが予想される付近の人たちの線量管理と申しておりますが、付近の人たちの何と申しますか、放射線をどれくらい受けたかということをはかる、それがふだんから行なわれていなければ、幾ら当たったかということは本人がわからない。こういうことでございます。それからその障害と放射線に当たったという事実との間の因果関係が確率でしか表わせないということは、これはある人が何か障害を起こす。たとえば白血病とか骨ガンとか、そういう障害を起こした。そうすると、そういう障害を起こした人が以前において放射能を浴びたという事実がある。そうすると、それはそういう人がそういう障害を起こしたということ、その障害を起こしたら、それは放射能による障害なんだと見なすということ、そういうものの考え方が必要になってくるわけであります。こういう考え方は今探したところではないわけであります。その点非常に困るわけであります。
 で、今人間について申し上げましたが、土地とか建物とかそういうものが被爆した場合、それを補償しようとする場合も同じであります。やはりそれは障害が起こった場合に、障害が現われる可能性がある地域というものを前もって放射線管理をしておきませんと、障害が起こった場合どれくらい当たったかということがさっぱりわからない。そうすると、そういう処置がとられていないと、この法律で補償するということはきめても、実際幾ら補償するか、幾らお金を払うかということを算定する段になって非常に困難になってくる。従ってその原子炉の周辺の土地に対する放射線管理がまずこの法律と同時に行なわれること。それから放射線損害が起こった場合に、その人が過去において放射線を受けたという事実がある場合は、それは放射線災害であると見なす。この二つのことがこの法律の実効をもたらす、この法律が有効になって被害者にお金が支払われるということにには、どうしてもそういう措置が必要だと思います。それが二番目の問題。
 第三番目の問題は、この法律は原子力に関する損害を賠償するということになっておりますが、その中でこれでカバーしておるのは比較的小さな損害ばかりであるということであります。ということはどういうことかと申しますと、この法律で賠償措置額ということで五十億円というお金がきめてございます。この五十億円というお金は科学的な事故想定をやりまして、事故が起こった場合、これこれこれくらいの地域がやられる、そうするとこれくらい補償するためには五十億円要るというふうに計算されてきめられたお金ではない。これは保険会社が引き受けられる最高引受限度額というもので押えられておるわけです。五十億円というと非常に大きいような気がするのでありますが、実はあまり多い金額ではないのであります。ということは、たとえば東海村、あの辺の土地というものは坪当たり千五百円くらいいたしております。五十億円と申しますと三百万坪でございます。三百万坪と申しますと、原研の敷地のほぼ三倍、東海村全体の量からいいますと、五分の一からその程度だと思います。その程度の土地を汚染したから買い上げようという金額にしかならない。さらにたとえば東海村には原子力発電会社、それから、原子力研究所、原子燃料公社、そういうものが一ぱいあるわけでございます。その中でたとえば原子力発電会社が事故を起こしたと仮定いたしますと、そういたしますと、原研は原子力発電会社に対して、同じ原子力事業者ですが、第三者になるわけであります。そうすると、原研の資産というものを評価いたしますと、現在のところでも三百億をこえているのじゃないか。そういたしますとどうもその五十億円というものはあまり適当な金額ではないというふうに考えております。これにつきまして、この法案が衆議院で科学技術特別委員会で御審議になりましたときに、原子力産業会議の大屋敦参考人でございましたかが、五十億円というものは外国の例から見るとなかなかいいところにいっている、英国では五百万ポンドということで、従って五十億円ということでございまして、なかなか数字的によく合っているというお話がありました。しかし英国と日本とは非常に違うのであります。たとえば英国の発電所一つ例をあげて見ますと、バークレーという発電所がございます。その発電所をとってみますと、周囲一マイル以内はゼロであります。五マイル以内で八千四百人であります。東海村は一マイル以内千九百人、五マイル以内五万五千人になっております。つまり事情が違っております。そのまま金額がイコールだということは私は非常に間違った考え方である、そういうふうに考えております。それからそういうわけで、五十億円というものは必ずしも適当な金額であるとは思われない。
 次に、五十億円をこえる損害があった場合はどうするかということでございます。これは賠償法の第十六条を見ますと、これも加藤先生あるいは金沢先生の方からおっしゃいましたように国がこれを援助するということになっております。ところが何と申しますか、こういうことを国会あるいは政府の方々の前で申し上げるのは、はなはだ申しわけないのですが、われわれ被害者になる立場の者から申しますと、援助するということだけ書いてあって、その内容がどういうことかということがさっぱり書いてないということは非常におもしろくないという感じがいたすわけであります。その点について先ほど加藤さんの方から、外国の例を御引用になりましたが、たとえばアメリカでございますと、アンダーソン・プライス法というのがございますが、それによりますと、政府の補償限度額というものは、原子力事業者というものが補償するある一定の額というものがある、それをオーバーするときには政府が補償するということになっているわけですが、その場合の政府の補償限度額というものが五億ドル、千八百億円でございます。その千八百億円までは政府が補償するということになっております。西ドイツあたりを例にとってみますと、五億マルク、四百五十億円までは政府が補償するということになっております。イギリスの場合は日本と似ているということでありますが、その場合は補償するということをきめてあって、何ぼ補償するかということは国会できめるのだということになっております。つまり日本のように援助するという表現とはいささか――いささかじゃなくて相当程度違いがあるということを申し上げざるを得ないのであります。
 もう一つございまして、大規模天災地変、社会的な動乱というものによって引き起こされました原子力損害というものにつきましては、この法律におきましては、そういうものは原子力事業者自体が「この限りでない」ということで免責されております。従ってこの法律の建前は原子力事業者が一般の人に対して支払う補償金の支払いということが原子力事業者の損害であるとみなして、その原子力事業者に政府あるいは保険会社が金を払うという形になっておりますから、原子力事業者自体が免責されてしまいますと、これは政府も保険会社の方も何も責任を負ってくれないということは、異常に巨大な天災地変あるいは社会的動乱によって引き起こされた原子力事故というものは、だれも責任の負い手がないのだということでございます。何といいますか、これは天災地変だからしようがないというお考えなのかもしれませんが、天災地変とは申しましても、原子炉というものがなかったと仮定いたしましたら、原子力事故というものは起こらないのでございます。そういう意味で、原子炉の事故というものは、これはあくまで人災的なもの、しかも原子炉の周辺の地域の住民というものは原子炉によって直接何も利益を得られないのでございますから、そういうものの立場から申しますと、はなはだ迷惑千万な天災であるというふうに申し上げざるを得ないのでございます。で何と申しますか、この法律には最初に目的というのが、第三者の保護、原子力事業の健全育成、これが二つの大きな目的になっている。それであまり大きな損害まで原子力専業者に持たせるということは、原子力事業の健全育成ということとどうも相反して工合が悪いということであれば、そういうことをおきめになった政府において異常に巨大な天災地変による原子力損害というものは賠償されるということをわれわれは強く要望する次第であります。
 以上がこの法案自体に関する問題点でございますが、その次にこの法案が施行されます、あるいは施行以前に必要となる諸問題につき申し上げます。
 先ほどこの法律案が実効があって、被害者に対して現実に金が払われるためには周辺地住民の放射線管理、それから被害を受ける可能性のある地域に対しての放射線の管理、それから事故が発生したのちに何らかの障害が起こったら、それは放射線障害とみなすのだというこの精神、この三つのものはこの法律を実効あらしめるために必要な三つの柱のようなものであると申し上げたわけでございます。そのほかにも事故が起こったときには損害をできるだけ少なく食いとめる措置というものは、これはぜひとも必要でございます。ということは、これは事故だということを発見いたしまして、それを付近の民衆に通報する機関、そういうものは現在ございません。そういうものを至急設置する必要がございます。それから事故が起こったときにやはり逃げなければなりません。その退避を有効に指揮する機関、そういうものは現在ございません。そういうものを至急整備しなければならぬ。さらに大事なことは、こういう機関でございます。たとえば、事故の認定とかあるいは事故の通報とか、事故の退避を指揮する機関とか、あるいは住民の被曝線量及び健康を管理する機関とか、そういうものは単に原子力事業者、原研なりにまかされたのでは工合が悪いということでございます。ということは、原研とか、原子力事業者はそういう事故を起こす側でございます。ですから事故が起こってなかなか、何といいますか、そんなことはないと思いますけれども、なるべく損害は少なくしようとか、くさいものにはふたをしようという傾向があるわけでございます。ですから、そういう機関は原研とか、原子力事業者以外の第三者によって作らなければならぬ、そういうことでございます。これは、第三者によって作らないということは、これはたとえば放射線のおそろしさという本を書いたラップという人の言葉によれば、裁判官と被告人は同一人であるような関係に過ぎないからだと、そういうふうに説明されております。そういう関係について申し上げますと、この法律の中で、原子炉損害賠償が起こった場合、そうしてそれに関連して紛争が起こった、それを審査する機関として損害賠償紛争審査会というものを設けております。この法案によりますと、これが科学技術庁の付属機関となっております。ところが科学技術庁と申しますのは、今申しましたように、原子力事業者の側に立つといっては語弊がありますけれども、原子力の開発を推進する側でございます。従って、厳密な意味では第三者にはならぬ。これをたとえて申しますと、その付属機関に紛争審査会を設けるということは、第三者にとって著しく公平を欠く措置であるということは、先ほどのたとえで申しますと、何といいますか、どろぼうの子分が裁判官であるというようなのと同じ関係になるわけでございます。以上事故が起こった場合損害をできるだけ少なく食いとめる措置について御説明したわけであります。
 さらに大事なことは、事故を起こさないようにするということが非常に大事であります。そのためには何といいますか、現在原子炉をいろいろ認可する場合には、種々の安全審査部会がございまして、そこで審査するわけでございます。安全審査に関する明確な基準、敷地に関する明確な基準ができておりません。非常に残念でございますが、そういうものができておりません。こういうものは至急作る必要がございます。ということは、そういうものがないままに原子炉はだんだん置かれてきております。ですから東海村には現在すでに世界に例をみないほどたくさんの原子炉が集中しつつあるわけでございます。原子炉の安全審査というものは一基ごとに行なわれるわけであります。だから、それが全体たくさん集まってきたらどういうふうになるかということを判断する個所がないのであります。これは敷地安全審査基準というものを置かないことから出てくる必然的な結果であります。そういうものを作らなければならぬ。それから万一事故が起こったときに、その敷地に人がいなかったら全然災害が起こらぬわけでございます。そういう意味において、敷地というものは非常に大きな安全装置になるわけであります。そういう意味において、原子炉の置かれた周辺を整備する、これは整備するという意味にはいろいろございまして、原子炉都市にするのが一つの整備であります。それからまわりをグリーン・ベルトにするのも一つの整備であります。われわれはその際に事故を押えるのが一つの整備であります。しかも少ない方へ押えた方がいいじゃないか。そういうふうな措置は有効にとらなければならぬ、そういうふうに考えております。
 以上、この法案に対する問題点並びにこの法案の施行に伴う問題点について一応お話申し上げたのであります。
 最後に、私先ほど申しましたように、第二者の立場でございますが、第二者に関する補償がこの法案から除かれておるということについて一言申し上げたいと思います。
 その点につきまして、こういう第二者の安全体制及び補償という問題につきましてわれわれの根本的な考え方というものをまず申し上げますと、それは国際放射線防護委員会――ICRPと申しておりますが――というものがございます。そういうのから放射線に関する勧告が出ております。それによりますと、放射線というものはいかに微量であっても何らかの障害を起こす可能性はあるのだ、つまり、放射線に関する下限はないというのが最近の考え方になりつつございます。と申しますことは、昔は放射線について許容量という考え方があった。ここまであったっていいのだという考え方があった。だんだん許容量という考え方が後退して参りまして、われわれのような従業員にとりましては、結局何らか障害の起こる可能性はあるけれども、それと仕事をやっている利益、その利益との比較において考慮するようなものである。だから、放射線というものはこれ以上当たったらもういかぬのだ、そういう意味で最下限というふうに押えられております。昔のようにこれだけ当たったらいいのだという値ではなくなりつつあるわけであります。そういうことからいうと、できるだけ放射線に当たる機会を少なくする。放射線障害に関する危険性が多少とも考えられる場合には、予防的な補償が常にとられなければならぬ。それがわれわれの考え方の根本的なものでございます。
 以下、三つの点に分けまして、第二者のことを申し上げます。
 まず第一番に、補償々々という場合に、安全体制が確立されなければならないということでございます。安全体制を確立いたしますためには、これは先ほど第三者のところで申し上げましたことと全く同じことでございまして、事故に関する監視所を作るとか所員への通報、待避する場合の指揮とか、そういうふうな体制を確立するということが必要なんでございます。これは使用者だけにまかしておけませんので、労使双方で選出された委員会からなる機関において十分に検討、対策を講じなければならぬということを考えておるのでございます。しかも、東海村というところは現在、先ほどちょっと触れましたように、原子炉が世界に例を見ないほど密集しつつある傾向にある。しかもお隣には米軍射撃演習場がございまして、模擬爆弾の投下ということがときどき行なわれておる。そういうような状況は、非常に安全対策にとりまして好ましくない事例でございます。従って、これらの問題は至急解決されなければならぬ、そういう工合に考えております。
 それから第二番目に、先ほどちょっと話に出ました予防補償という問題でございます。予防補償という考え方につきましては、放射線被曝による障害が発生する以前に、常にそれを予防するため予防補償というものは絶対に必要であるという考え方でございます。この考え方につきましては、現在原研におきましては、組合側と所側でそれぞれからそれを研究する委員会ができておりまして、それで話し合いをいたしました。そうして意見の一致を見ております。現在理事長に答申案を出しておる段階でございます。その内容といたしますのは、三レム以下の放射線につきましては毎月定額手当を出していただく、それ以上につきましては被曝線重に比例した手当を支給さるべきである、そういう内容でございます。
 三番目は、万一障害が起こりました場合には、その障害に基づいてその補償は完全補償、完全でなければならないということでございます。で、いわゆる労災法の方で規定されております補償には、療養補償それから障害補償その他補償が規定されておるわけでございますが、療養補償はもちろんのことでございまして、その障害補償とか何とかかんとかいうやつの中に放射線障害に関する特殊性が織り込まれてこなければいけない。具体的に言いますと、非常にゆっくり出てくるということ。それから障害と放射線被爆との因果関係が画一にしか表わせない。それから最後におそろしい影響が遺伝的に現われてくるというような、こういう特殊性が織り込まれていなければならない。従って、たとえば、第二者補償というものにつきましても、請求の権利だけは組合に留保する、そういうことになっております。
 このような第二者に関します各種の予防補償あるいは各種の補償、こういうものにつきましても、こういうものを考えますホーム・グラウンドと申しますものは、どうも日本については、原子力のことは後進国であるということで、外国の先例を取るということが多いわけでございますが、先ほどから何ども申しておりますように、日本は日本なりの特殊性があるということでございまして、そういうことをよく考慮した上で物事を考えていかないと、非常に誤った結果になるのじゃないかということを申し上げたいのでございます。
 以上をもちまして一応私の意見の開陳を終わります。
#10
○委員長(剱木亨弘君) ありがとうございました。
 各参考人の御意見の開陳が終わりましたので、これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願します。
#11
○吉田法晴君 たくさんあるのですが、なるべく要領よく質問をして行きたいのですが、初めに加藤先生から口述をいただきましたので、あるいは金沢先生にお尋ねすることと関連することがあるかと思いますが、お尋ねしておきたい。
 この法律は、最初加藤先生述べられたように、損害賠償についての特則、そうして無過失賠償責任が課せられておる、こういうことですが、民法七百十七条との関連を述べられましたが、事実読んでもちょっと先生の最後のところが少しわかりかねるのでお尋ねをするのですが、その無過失賠償責任を課しても、注意義務は免除されるわけではない、あるいは制裁機能がなくなるわけではない、こういうお話でございました。意見の中には、無過失責任を課すると故意、過失の論証が要らぬのだから、注意義務あるいは制裁的機能というものが見失われるではないか、こういう意見でございました。これはまあこの不可抗力の範囲と関係があると思いますけれども、注意義務とそれからその安全基準というものは関連があると思うのですが、ですから七百十七条は瑕疵がこれは推定をされるといいますか、あるいは挙証責任が転換されている、この原子力損害賠償法では回避義務あるいは災害の防止義務というものが法律上擬制をされていると、こういう工合に解釈していいものかどうか、まずお尋ねいたしたいのですが。
#12
○参考人(加藤一郎君) 簡単に申し上げますが、七百十七条の瑕疵についてはいろいろな考え方があると思うのですが、瑕疵というのは災害が起こった以上瑕疵があるのだというふうに見る考え方もないわけではない、しかし民法全体の建前からしますと、やはり瑕疵というのは、故意、過失という主観的な要件をいわば瑕疵という形で客観化して、瑕疵があればもう故意、過失は問わないという形にしているように私は思いますので、瑕疵ということは一応証明しなければならない、被害者の方で立証しなければならない、災害が起こったから当然瑕疵があるという、完全な無過失責任を認めたものではないのではないかというふうに私は考えております。
 それから無過失責任と注意義務との関係でございますが、これは過失責任のもとですと過失があっては賠償義務を食わされますから、過失のないように非常に注意をするという予防的機能がある、これに対して無過失責任ですと、どうせ注意したって損害賠償とられるのだから注意したってむだだというような考え方もないわけではない、それと責任保険の問題と結びつけまして、たとえば自動車事故の場合に無過失責任にして責任保険でカバーするということになると、これは注意をみんなが怠って、どうせ賠償はする、賠償はみんな責任保険で払ってもらうということで事故がふえるのじゃないかという意見が外国などでも出されていた例がございます。しかしそれはやはり実際はそうではないので、過失がなくても責任は負わされるということになれば、やはりそもそも事故が起こらないように注意をするという方が自然だろうと思うので、自動車事故で事故の数がふえたという例も、統計もありますけれども、これは今まで表に現われなかった小さな事故が保険でカバーされるというので、たくさん表に出てきたというようなことがありますので、必ずしも事故がふえるということはない、やはり私はそういう厳格な責任、無過失責任というような責任を課することは、注意を重からしめ、予防機能を持つというふうに考えております。
#13
○吉田法晴君 その次は、この無過失責任と責任制限の問題ですが、無過失責任を課するから無限の責任でなくて、責任のある程度の制限をするのは当然じゃないかというような議論があり、それからまあこの場合にもあるというお話ですが、ただ政府の説明によると、事業主の責任は青天井ということになりますと、責任制限は事業主についてはないという説明になるのです。実際には保険なり、国の補償限度というものが五十億でありますから、そういうもので実際には機能的に責任が制限されるかもしらぬが、その辺の関係はどういう工合になるのでしょうか。
 それからもう一つ無過失責任だから責任制限をするのは当然だという議論が、実際日本の場合に企業の存立ということが理由になって制限されておる、そうすると企業の中には、これは原子力企業ではないかもしれませんが、日本の中小企業の存立というものもあり、それから先生の言われるような権利意識の低さとかいろんなものがあって、代替的なものも得やすい云々ということもあって、責任が非常に低く定められる、責任制限が。というのが一般じゃないかと思うのです。そういう意味で、無過失責任だから責任制限をしてもいいという議論には、日本の場合には弊害が起こるのじゃないか、現に自動車損害賠償保険を受ける等があるんじゃないかという考え方をしますが、その責任制限についてのお考えと、この原子力賠償法の考え方をお尋ねしたいのです。
#14
○参考人(加藤一郎君) 責任制限という考え方は、ほんとうに事業者に全く責めるべき点がないということで、責任を負わしてその事業をつぶしては困るだろうという考えが基礎になっていると思うのです。その点については問題が二つあるように思うのです。
 一つの責任制限は、かりに設けるとすれば、どの金額の責任制限にする、この点は今御指摘のありましたように、わが国では低くきめられる危険があるということがございます。たとえば自動車の場合には、五十万円というのが一応責任保険の限度でございますが、それをそのままかりに責任制限の方に持っていきますと、死んだ場合にも五十万円ということで非常に安くなってしまって、それは問題があるのです。ですから責任制限を設けるとすれば、それは妥当な金額でなければならない。たとえば原子力損害の場合を考えますと、五十億円という保険の限度で責任を制限して、あとは国にまかせるという行き方もございますし、これはイギリスあるいはスイスのとっている型でございますが、それに対して西ドイツやアメリカについては、ほかの方からもお話のありましたように、国の補償も含めて、つまり責任保険限度の上に国の補償の、これはアメリカではさっきお話のあったような五億ドル、千八百億、ドイツでは五億マルク、四百五十億円というような国の補償義務をきめているわけですけれども、それを加えた全体の金額のところで責任制限を置いている、そういう二つの行き方があるわけですが、わが国でかりに責任制限を置くとすれば、五十億で置いて、あと国にまかせるか、あるいは国の補償義務というものを数百億円、あるいは千億円というふうにきめて、そこに置くか、どちらかの方法になると思うのです。
 それから責任制限についての第二の問題は、無過失ならば確かに責任制限を置いてもいい、しかし少なくとも事業者に故意があった場合はもちろんのこと、重過失あるいは過失がある場合に責任制限をするというのはおかしいではないか、それは憲法違反にもなる、つまり本来持っておる損害賠償請求権を失わせるわけですから、憲法違反になるおそれもあるという議論があるわけであります。しかし故意について責任制限を置くのはこれは問題としましても、重過失あるいは過失については、これは責任制限の限度額との関係というようなことで、必ずしも一概に違憲とは言えないと思うのです。たとえば、いわゆる、船が沈没した場合に、船主が荷主に対して損害賠償の義務を負う場合がありますが、その場合に、いわゆる免責委付というのがございまして、船を相手にまかしてしまえば、それで賠償は免かれさせる。それは船と荷主とが一種の運命共同体みたいな関係に立つわけですから、そこで責任を打ち切っておるわけでありますが、つまり、責任制限が、金額とか、性質などによって合理的であるならば、これは必ずしも憲法違反でもないし、また、事情によってはそれを設けるのが妥当な場合もあるであろうというふうに思います。現に、今の各国の例を見ましても、原子力災害については責任制限を設けておるのでありまして、こういう特殊な事故については責任制限を設けるのが合理的ではないかというように思われるわけであります。
#15
○吉田法晴君 同じ問題について金沢先生にお尋ねをしたいのですが、責任制限の制度があるということと、それから事業主の責任は青天井ということとは、これは、この法律の中ではどうなっておるかという点を今お尋ねしたのですが、加藤先生は、自動車損害賠償保険のように、責任は普通の場合無責任だ、ただ保険で担保するのは、五十万円なら五十万円で、補償する。その場合には、責任は青天井だが、保険なりあるいは補償の限度が五十万円だというお話であったのじゃないかと思うのですが、先ほど、責任制限も認めながら、それからこの法律の場合に、事業主の責任は青天井だとおっしゃいましたが、その辺は、何といいますか、委員をされたり、それから法律について感想をお持ちでしょうが、この法律、どういう工合に考えているかということをお尋ねしたいと思います。
#16
○参考人(金沢良雄君) ただいまの点でございますが、この法律の考え方及びその条文からいたしますと、事業者の責任は青天井ということになっております。それは三条では、無過失責任と責任集中を規定しておりますけれども、責任制限の規定は何もないわけであります。従って青天井である。従ってそこで、しかし賠償措置を講じなければならない。これは、この賠償措置の考え方というのは、たとえば、今までもあるわけで、これは大したものじゃございませんが、鉱業法の場合に供託制度というものがございますね。ああいう考え方もあるわけで、そういう考え方の発展と考えてもいいので、しかしその場合に賠償措置をするということは、何も責任をそこで切ってしまうというわけではない。少なくとも五十億までは何らかの形で支払い能力を持っていてくれということだろうと思うのです。従ってこの法律の考え方といたしましては、責任制限がなくて、賠償措置の限度が五十億、こういうことでございます。で、この点につきましてはいろいろ考え方、議論もあるわけで、先ほど来、加藤先生のお話にもありましたように、また先ほど私も申し上げましたように、無過失責任を認める、反面では責任限度を設ける方がいいという考え方は、考え方としてはあり得るわけです。
#17
○吉田法晴君 これは別の問題ですが、金沢先生にお尋ねをしたいのですが、国の補償とそれから援助というあれがございますが、補償はわかりますが、その援助というのは、これは責任とは関係がないのじゃないか。法律的な責任にはならぬのじゃないか。それを答申案では、補償とすべきであるということで、法律上の責任にすべきだと、こういう意見であったと思うのです。その、どれだけ補償するかということは、政策的な問題だと、先ほどもおっしゃいました。これは損害賠償ではありませんけれども、自然災害という点で、原子力災害の特徴と似たところがあると思うのですが、農業共済、これは自然の法則がわからないで、回避ができない――これは回避の努力によって影響も違いますけれども、そういう点で似ておると思います。農業共済では、超異常災害については国が全額、それから異常災害についても、国とそれから農業共済の保険料でまかなう。そこまでは、この法律なり、あるいはこの建前についての答申と似たところがありますが、ところが普通災害についても国が半分援助しておる。これは政策的な目的だと思います。政策的な目的で、どの程度国が援助するかということになるなら、これは農業についての政策的なものと、それから原子力災害の場合と、そのウェートですね、比較するわけにいかぬと思います。いかぬと思いますが、農業共済で、そういう制度があるということは、これは原子力災害についての国民の不安、これは原爆の被害や、あるいはビキニの経験等からして、国民に強いものがあります。そうすると、この法律の一番大きな目的である、第三者の不安、国民の不安を除く云々ということからいうと、相当強いものでなければならない。そうすると、援助でなしに、答申のように補償でなければならぬのじゃないか、こういうことが言い得るわけですが、答申を起草された金沢先生としても、他の例を比べながら、私も農業共済の例を引いたのですけれども、御所見を承りたいと思います。
#18
○参考人(金沢良雄君) 農業共済との比較論が出まして、これは非常に基本的な問題で、私自身としても興味のある点でございますが、根本的に違うのは、やはり、たとえ原因が何か、天災であったとしても、施設から生ずるものは、これはやはり施設の責任というわけで、どう言いますか、先ほどこちらからもお話がございましたように、これは人災であると言いますか、でございますから、そこで、必ずしも天災の場合に、国のああいう災害補償が行なわれるから、直ちに原子力の場合にも、そういうことがパラレルに考えられていいというふうにもならないと思うのです。だから、結局、一つの人災であるというふうに考えていく必要があるのじゃないか。その場合に、援助かあるいは補償かという、つまり、はっきりと国が法律上義務を負うような形にするか、ばく然と援助という形にするかということなんでございますが、原子力委員会の専門部会の答申では、はっきりとやはり国の補償体制ということを確立した方がよかろうということになっておったわけでございます。この点はもう皆様御承知かと思いますが、その根本的な考え方には、やはり第三者の保護と原子力の平和利用を促進するという立場からいけば、やはり国のそういった責任体制を明確にしておく必要があるということであったと思われるのであります。しかし、諸般の事情で、そういう従来の考え方からいきますと、そういう人災についての国の補償体制を明確にするということは、従来の考え方からいきますと、非常に異例である。国の補償ということになれは、やはり租税――国民全体の負担の中からそれが出ていくのですから、これは非常な異例である――本来、事業者が負担すべきものであるという考え方に立ちますと、これは異例なことになるわけです。そういうようなことから、おそらくは政府部内においてその線を踏み越えることが非常にむずかしいというので、この援助という形に法案ではなったと思われるわけであります。
#19
○吉田法晴君 先ほどの一柳さんの口述を聞いていて、大へん理解と違っている重要な点を発見をしたんですが、その点を金沢さんの意見を確かめておきたいと思います。
 十六条の規定には、一柳さんがおっしゃるように、不可抗力といいますか、異常な天災、それから動乱、地震、この異常な災害、天災ですか、それから内乱等のあれについては、この条文は何らとにかく適用がない。御指摘を伺って読んでみると、なるほど十六条には、三条の規定によって賠償すべき額が賠償措置額をこえ云々と書いてございます。私は説明なり何なり見ていて、この場合にもこの賠償が、異常な天災あるいはこの動乱の場合にも援助があるかと思っておったんですが、御指摘があって、よく読み直してみると、まさにその通りだと考えざるを得ないんです。それについてはどういう措置を講ぜらるべきだとお考えになりますか。あわせて伺っておきます。
#20
○参考人(金沢良雄君) この異常かつ巨大なるという非常にまあ異例な場合でございまして、この場合は、この場合こそいわばほんとうの意味での天災だという考え方が強く出てくるのではなかろうかと思われます。そうだといたしますと、そういう場合でも極端な無過失あるいは結果責任論ということになりますと、もういかなる場合でもやはり事業者並びに国にそのあと始末を法律上義務づけておくということも一つのいき方であり、確かにまあ第三者を安心させるための方法としてはそれに越したことはないわけなんでございますが、しかしそういう場合は、まあ結局一種のそれこそほんとうの天災であるということになってみますと、そういう場合は、今までの従来の災害補償、災害復旧というような形で国が出てくるということも考えられる。だからそういう点でこの十七条というのが特にくっついているのだろうと思われるわけであります。
#21
○吉田法晴君 重ねてその点でおそれ入りますが、十六条の国の援助というのが法的な国の責任がない。まあこの法律の目的を達成するため必要があるとき、それから国会の議決により政府に属せられた権限の範囲内云々ということはございますが、これは政府は補償と同じようなまあ実質を実現をしたいといっているけれども、性質は、十七条の法律的な責任がなければ性格は救助と同じになります。先ほど農業の農業災害を引き合いに出して、適例ではなかったかもしれませんけれども、これは責任を帰すべきところのない自然災害によるまあ損害ですね。あるいは災害といってもいいんですが、その場合にはやはりこれは農民も、一部ですけれども、全額が補償される。もっともそれは低いですがね。そうすると、この場合には、十六条の援助よりももっと低い、何らの基準がない。一般的な災害救助法その他でしょう。ところが一般的な災害救助その他では救助
 できないものが実際にありましょう。これは労災について先ほど一柳さんがお話しになった通りです。そうすると、救助あるいは拡大の防止に必要な措置を講ずるものとすると、具体的な内容は何もないわけです。その点について災害援助法なり何なりの特則を考えるというか、これは考えられなければならぬ行政的な措置――法律を含めてじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#22
○参考人(金沢良雄君) おっしゃる通りだと思います。確かにこういう異常かつ巨大なような天災が原因となって放射線障害が起こるというようなことになりますと、相当まあその被害の範囲あるいはその種類というものは複雑多岐にわたってくるわけで、この十七条というのは、それの場合の一応の、まあどう申しますか、よりどころをここで示しておるというのにすぎないわけで、実際問題といたしましては、あるいは場合によれば特別立法というようなことが考えられるのじゃないかとも思われるのであります。
#23
○吉田法晴君 もう一つは、先ほど来、損害の範囲、あるいは責任の範囲は民法の一般原則に従って相当因果関係、しかしその相当因果関係が原子力について未知の部分もあってなかなか論証しにくいという問題がある、こういうまあ御指摘等もございましたが、そこで、理論上は直接損害についても間接損害についても、これはその責任の範囲に入ると、こういわれますが、あなたのお書きになったものにもたしかあったと思うのですけれども、総額が五十億、あるいはそれから先は援助ですな、それを直接損害、間接損害、あるいは精神的な損害、それから先ほど一柳さんから話がございましたが、その土地あるいは家屋その他の広範な被害を考えると、五十億なりあるいはその援助を加えても、その直接損害、間接損害の全部をカバーできないのじゃないか、こういう事態が考えられると、実際に間接損害については補償できにくいのじゃないか。あるいはたとえばその後遺性といいますか、長く継続する障害あるいは被害、第三者のたとえば長崎、広島の被爆者の中で、今日まで療養を続けなければならぬ、あるいは今日に至るもなお転帰を見る人があるわけですが、そういう人たちの療養についての生活とかあるいは費用というものを含めると、そういうものまで出るかどうか。この一時金といいますか、これは五十億云々ということは一時金でしょう。そうすると、そういう人たちについては、これは事業についてもそうですけれども、長期給付が必要になる。あるいは年金化ということも考えなければならぬ。そうすると、基金でも作らなければこの災害について十分の救済はできないのじゃないか、青天井というが、完全の救済ができないのじゃないか、こういう感じがするのですが、その点いかがでしょう。
#24
○参考人(金沢良雄君) 御指摘の点はまことにもっともの点でございます。専門部会の審議のときにも資金の配分をどうするか、これは場合によれば人的障害を優先的にするとか、間接的な損害については後順位にするとか、そういう順位をきめる問題、あるいは一人頭人的損害について幾らというような自動車損害賠償法のような行き方、そういう行き方も必要ではなかろうかというようなことも議論になったわけでございまして、外国の立法例その他にはそういう点まで法律で一応チェックしている向きも見受けられるのでございますが、そういう問題につきましては、この法案の考え方としては、問題としてそういう点は事故が発生したときには、原子力委員会は政府にも国会にも報告されるし、また結局原子力委員会というようなものが中心になりまして、あるいはこの法案に定められております原子力損害賠償紛争審査会、これは事務的に審査会という性格になっておりますけれども、それには損害の調査及び評価を行なうというような義務もございまして、そういう点で、実際の運営で、そういう点は何らかの形で解決されるのではなかろうかというふうに期待しているわけなんです。御指摘の点は、理想的に言えば、そういう点も法律で基本ラインを明確にしておくということは必要であるかもしれないのですけれども、実際の問題といたしましては、今申しましたようにこの法案の運営によって、そういう問題を考慮しながら解決していくということにはなろうかと思われるわけです。
#25
○吉田法晴君 まあ行政委員会的なものにすべきだという意見も出されたけれども、紛争審査会になった。その点についての若干の不満というものも出ましたから、その程度にいたしますが、処理委員会なり、それから増額して一時金の支出という建前ではまかなえないのではなかろうか。鉱害問題については復旧事業というものができておる、これは継続軍業でやっておるわけですから、そういうものも必要じゃないかという疑問を持っておる。それから労災問題については、一柳さんから詳細に御意見がございましたが、先生として、私どもも労災法の適用あるいは災害補償法だけでは足りぬのじゃないか。その傷害の認定の問題もございますし、それから長期療養の問題もあります。それから療養の内容もある。それからあるいは生活保障について十分であるかどうかという点もございますし、意見書も出ておりますけれども、多少具体的にまでなっていないところもございまするし、この際御意見をあれば承りたい。
#26
○参考人(金沢良雄君) 根本問題は、労災の場合には労働力の回復ということに中心があるわけでございます。しかし原子力災害一般ということになりますと、単なる労働力の回復ということでなしに、さらには遺伝的、だから労災の場合は遺伝的損失は、これはカバーできないわけですが、一般的な原子力災害ということになりますと、その従業員に関する遺伝的損害というものまでもカバーする必要があるのじゃないかというような問題も、基本的には大きな問題としては出てくるかと思われます。それからこの労災でカバーするか、原子力損害補償の方でカバーするかということは、先ほど申しましたように、その両者によって差異を生ずることのできるだけないようにしていくということが必要なわけで、もし労災の方が労災体系の中で、先進国のように非常に進んでおれば、これは労災にまかしておいても、そういう遺伝的損失はこれは別としていいだろうという考え方も出てくるだろうと思われます。ただ日本の場合には、先ほど一柳さんからもお話がございましたように、その点なお十分に検討する問題が残っているように思われるわけです。たとえば長期療養補償ということは、先般のけい肺法の特別法の改正に際して、労災体系の中に組み入れられましたので、打ち切り補償をさらに長期療養補償に回していくということもできるようになった。これは放射線障害の場合に非常にいいことで、放射線障害の場合にも、そういう長期療養が必要とすることがいるわけなんで、これは非常に一歩を進めたということを先ほど申しましたのですが、なお問題になるのは、労災の場合には障害が、つまり何らかの形で障害が発生しないと、補償の対象にならない。ところが御承知のように放射線障害というものは、いつ出てくるかわからないというような状態、その場合にはいわば健康管理といいますか、そういうことが非常に必要になってくる。それはだれが一体その費用を持つのかということが、放射線障害の場には問題になるわけです。ですからこういう点について、労災の取り扱う問題になるかもしれませんが、なお、今後考えるべき問題があろうかと思います。
 それから、先ほど一柳さんのおっしゃいましたように、因果関係の証明が非常にむずかしい。そこで、たとえばフランスの労災でございましたか、たとえば職業病について一定の職場に一定の期間勤務して、そうしてこういう症状が発生すれば、それはそういう因果関係ありとみなして、反証のない限り推定ですね、推定して、それの労災を発動させるというような考え方もあり得るわけです。ただ日本の場合には、過去の経験がないものだから、十分過去の経験を言わば帰納的に、統計的に資料に基づいて、そういう一定の推定規定、あるいはみなす規定というようなものを設けるということも必要になろうかとも思いますが、今直ちにそういう方法に切りかえていくということについては、なお、関係方面でも命があるように聞いておりますが、将来はあるいはそういう方法が必要になるかもしれません。
#27
○川上為治君 関連して。今の問題に関連しまして、金沢先生にちょっと御質問をしたいのですが、この問題、一柳さんの方からもいろいろさっきお話がありましたように、どうも、損害補償の対象の範囲というのが非常に狭いじゃないか、もっとこれは広げるべきではないか、たとえば今の問題になりましたこの施設の従業員については、これは一般の労災でいって、そうしてこの法律の対象になっていない。第三者に対しては、この法律の対象になっていて厚く補償をするというような建前になっているとか。あるいはまた原子炉以外のものについては、これはこの法律では問題にしていない。ところがそっちの方の危険というのも相当あるのだ、だからそっちの方の、そういう損害補償の範囲というものをもう少し広げるべきではないかというような御意見を伺ったのですが、外国の立法例ですね、そういうのは、その辺はどういうふうになっておりますか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
#28
○参考人(金沢良雄君) 最初の労災、施設の従業員の関係でございますが、これは含まれているものも、含めていないものもあるわけです。この考え方は非常にむずかしいのでございまして、そこの施設の従業員はやはり別だ、第三者とは別のものだという考え方があるわけです。これはイギリスの政府の顧問弁喪主の人も国際会議で、彼らは彼ら自身の苦痛の上に立っているのだということを言っておったのです。つまりその考え方は逆に言いますと、施設の従業員はやはり従業員としての施設との関係において第三者と言い切れない。だからその人たちを補償することによって、まあ外国の例ではアップ・リミットを含めたり何かしておりますから、そのためその不安度が加わるということをむしろ防ぐという意味が強いわけなんです。だからこれはまた別に労災の方でカバーすればいいじゃないかという考え方があるわけです。で、労災制度が進んでいる国は、そういう議論が当然出てくるわけなんです。労災でそれはカバーすれば、それは十分だという考え方がある。しかし、問題は労災が非常に進んでおらない、おくれている国についてはどうなるかということだと思います。そんな国の場合には、同じ人間だから、第三者と同じように労災も人間として保護すべきだという考え方は当然出てくる。日本の場合ちょうど中間みたようなところにあるのじゃないかという気がするわけです。
 それからもう一つ、物的施設の関係でございますが、これはこの法律では二条の二項で――先ほど一柳さんからもお話がございましたが、私の了解しておるところでは、原子燃料物質の原子核分裂の過程の作用というものがまずありまして、または核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染された物の放射線の作用もしくは毒性的作用によるというわけで、これはかなり広い範囲が含まれておると考えられるわけです。たとえば東海村の原研のリアクターでなしに、廃棄物処理場か何かで事故を起こして、そこから放射線物質が出たということになった場合も、これは含んでいると私は解釈しておりますのですが、この点は念のために政府委員からの御答弁を得られればけっこうかと思います。
#29
○阿具根登君 ちょっと関連して、一問だけ御質問申し上げますが、もう参考人の方の時間も相当過ぎましたし、かえって御迷惑かと思いますから、金沢先生と一柳さんに御質問いたしたいと思います。
 私どもさっき出ましたけい肺病を防止するために、けい肺病は職業病として、原子力時代になってくれば、おそらくこういう障害が起こるだろうということで、けい肺法を審議する場合には、原子力の問題も一応頭に浮かべて論議にも入ったわけです。そうした場合に、たとえばけい肺の場合は、けい肺のおそれのある場所で働く人は一年に一回とかあるいは二回とか、あるいは三回とか、こういう身体検査を、精密検査をするようになっておるわけなんです。そういう意味では、原子力関係の従業員の方もそういうのに含めて、職業病としてそれに含めていくのが妥当であるかどうかという問題が一つ、これはあくまでも、一柳さんの御答弁によれば第二者の場合であって、第三者の場合の個人の補償に対してはどういうふうな考え方を持つべきであるか。
 それから一柳さんに御質問申し上げたいのは予防補償という言葉が使われておりますね。これは一般産業でいつ危険手当の意味なのか、あるいはそれ以外に何か特殊な考え方をお持ちになっておるのか、予防補償という言葉が私にはよくわからないので、一般は、たとえば船乗りにしても、あるいは警官にしても自衛隊にしても、あるいは炭鉱、鉱山労働者にしても、そういう危険の場所で仕事をする場合には、危険手当というものが一応認められて、それぞれ団体交渉で労働条件を改善しておると、こういうふうに見ておるわけです。で、そういうようなお考えで予防補償というものをうたっておられるのかどうか、その点お二人の方に御質問申し上げたいと思うのです。
#30
○参考人(金沢良雄君) 第一点でございますが、従業員の場合でございますが、これはやはり健康管理と申しますか、その職場々々で記録が、被曝の記録ということが明らかにされているということが第一条だと思うのです。
 それから第二点でございますが、この点につきましては、自然放射能といわゆる事故による放射能との関係なんかで非常にむずかしい問題が出てくる。そこで外国の立法例なんかによりますと、事故が発生した場合には、一定の区域の者は、およそその事故によって被曝すると考えられる区域の者は登録するという制度がありまして、この登録というのは、おそらくはその者は一応それによって被曝されたものとみなすと言いますか、推定するということが法律上の効果として考えられるわけなんですが、おそらくそういった措置でもしないと、第三者に記録を取らせておくというようなことはとてもできないわけです。一方においては、そのモニターということが非常に必要だと思いますが、先ほど一柳さんからのお話のようにモニターということが必要だと思いますが、平生からのモニターと事故が発生した場合の登録制度、そういうものが実際としては考えられてくるのではないかと思います。
#31
○参考人(一柳勝晤君) 予防補償という点についての御質問であったわけですが、その予防補償といいますのは、いわゆる危険手当というふうなものとは少し性格が変わっております。と申しますことは、放射線というものはたとえそれがどんな微量でありましても、それが当たりますと、人体に何らかの作用を及ぼすということであります。と申しますことは、ちょっと何と言いますか、専門的な話になりますが、放射線が当たりますと、その人体の組織、これは人体の組織に限らぬ、何でもよろしいのですが、それがイオン化されるわけです。イオン化されますと、これは非常に寿命の短いものでありまして、それがラジカル、フリー・ラジカルと申しますか、つまり遊離基、日本語で申しますと遊離基、あるいは活性物質のものであります。非常に化合力の強いものであります。そういうものになりまして、そうすると、化合度の強いものでありまして、それがあたりのものと結合していろいろなものができるわけです。そのいろいろなものができるわけですが、そういうふうなものが、ある場合には医学的な障害として現在認め得る程度に発現されてくるわけです。それがある場合には現在の医学では認められない程度の発現をしない場合がある。つまりそういう関係なのであります。その発現しない場合におきましても、まあ何と言いますか、全然平気な場合もありますし、人によってはえらい違いがありますのですが、全然平気な場合もありますし、何となくかぜを引きやすくなったとか、あるいは病気に対する抵抗力が減ったとか、あるいは放射線に当たった人の統計を取ってみると、普通の人より寿命が平均して短くなる傾向があるという意味におきまして、放射線に当たりますと微量なるものでも何らかの形で常人とは違った状態になる。予防補償というものは常人と異なった状態になるそれを回復しなければいかぬ、回復しておかぬと将来大きな病気になるわけです、それが原因になって。それが回復するためにはたとえば栄養をよくするのも一つの方法でございます。あるいは何と言いますか、あまりくよくよせぬというのも一つの方法であります。そういう方法を取る。それは将来大きな病気になるかもしれないそれを予防する、そういう意味の補償でございます。ですから単なる危険手当という概念と少し違っています。つまり何らかの意味において放射線によるダミジがあったわけです。それが現在の医学では検知されない場合があるから、検知されないという場合といっても、それは何らかの形で常人とは異なった形になる、それらの状態を回復するために手当をする、そういうふうに考えています。
#32
○横山フク君 それこそ時間がないし、臨時ですので簡単に伺いたいと思いますが、先ほど金沢参考人から廃棄物の場合のこれもこの法律の中に適用するという話なんですが、これは政府委員から聞いた方がいいというお話、私もそう思うのです。これは明後日ですか、委員会で政府委員に当然質問すべき問題だと思うのですが、質問の順序としてその点だけ簡単に原子力局長から、簡単でいいですから。
#33
○政府委員(杠文吉君) 先ほど吉田先生から御質問がありました第二条の第二項のすなわち範囲の関係、原子力損害の範囲の関係でございますが、その点については金沢先生おっしゃいましたように、例をあげられましたものはすべて含んでいるということをお答え申し上げておきます。横山先生も重ねて御質問なさいましたと思いますが、やはりここにあげておりますように、核燃料物質によって汚染された物の放射線の作用だけでなくて、毒性的作用のものも含めておるということをお答え申し上げます。
#34
○横山フク君 そうすると、まあ吉田委員からの御質問に対する金沢参考人のことは妥当だということがわかったのですが、先ほど一柳さんからお話の、たとえばホット・ラボラトリー、ヴァン・ド・グラーフ、こういったものの問題ですね、こういった急速中性子、こういったものも人体に被害を及ぼしますね、こういったものも、この中に入るのでしょうか。それが一柳参考人のお話には私は非常に同感するところがあるので、参考人の間で……。
#35
○政府委員(杠文吉君) 放射線の作用ということにおきまして、この中に入るというふうに御理解いただきたいと思います。われわれはそういうふうに考えております。
 それからまた毒性的作用ということがございますので、これらを摂取し、または吸入することによって人体に中毒または続発性を及ぼすのは損害である。ただ先ほど来御議論なさっておりますように、毒性的作用を及ぼしたか及ぼさないかわからない場合にも、ある一定量を、たとえば放射能の吸収と申しましょうか、そういうようなことがあった際にも、なおかつそこに損害が生じたという解釈でございますが、このことにつきましては、われわれの今回御提案を申し上げております立法の中には、そのための措置、すなわち予防的措置とおっしゃっておりますが、予防的措置については考えておりません。やはり損害という概念でとらえておりますものですから、それがはたして予防的であるか、損害であるかどうかという予防的という考え方はとっておらないということをお答え申し上げます。横山フク君 時間がないのですから答弁も簡単にしていただきたいと思うのですけれども、ただいま第二条にすべてが入るような政府委員の答弁なんです。まあ一柳さんはそれは違うといったような顔をされた、おそらくそうだと思います。私はこれは参考人のいる前でなくて別のときに、時間がないときに伺うのでなくて別の機会に政府委員に伺うべきかもしれませんけれども、参考人の意見書の中に入っているので、ここで伺いたいと思うのですが、これは保険制度によるわけですね。
#36
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#37
○委員長(剱木亨弘君) 速記始めて下さい。
#38
○横山フク君 それではもう一つ参考人に伺いたいのですけれども、立地条件ですね、原子炉が集中されている、これは危険なことは私たちもわかっております。ですから東海村にあまり集中するということはよくないことだと思っております。でありますので、安全基準審査会にかけて審査する、先ほどお話のようにまわりの人口問題とか、あるいは敷地の工合や何かを当然参酌すべきだという御意見があったのです。まことにその通りだと思うのです。私たちが承知しているのは、安全基準審査会でもって立地条件の中にそれらのことは精細にした上でもってきめておると私は伺っておるのですけれども、あの安全基準審査会の立地条件というのではまだあまいと解釈されるのでございますか。
#39
○参考人(一柳勝晤君) 原子炉の敷地の基準ということでございますが、こういうようなところには原子炉を置いてもいい、こういうようなところには原子炉を置いてはいけない、そういう基準が現在まだないのです。
#40
○横山フク君 そうすると、立地条件というのにはそう入ってないということですね。安全基準審査会の立地条件の中にそういった意味の広い意味では入ってなくて、ごく狭い意味での立地条件しか入ってないと解釈されておるわけですか。
#41
○参考人(一柳勝晤君) つまり個々の原子炉につきまして、こういう立地条件だ、こういう立地条件だということはおきめになって、というより検討なさるわけなんですが、一般的に原子炉というものは、こういう基準のところへは置いてはいかぬ、あるいは一般にこういうところなら置いてもいいと、そういうスタンダードがないということを申し上げておきます。
#42
○横山フク君 わかりました。それから先ほどからのお話で労災法の適用や何かの問題について私もよくわかったのですし、また不満足だと思うのですけれども、現在具体的な例でいって原研ですね。原研で従業員に対するというか、あすこにいる人たちのいわゆる管理ですね、管理が適当に十二分に行なわれておると――管理が足りないというお話ですが、行なわれておるという形に解釈できますかしら、非常にむずかしい言い方だと思うけれども……。
#43
○参考人(一柳勝晤君) それは今おっしゃったように、非常にむずかしいことなんでございますが、まあとにかく原研には保健物理部というのがございます、組織の方に。そうしてそこで個人に対する線量の管理というものをやっております。それからその中で研究室に関する放射線の管理というのをやっております。しかしながら、それが果たして十分であるかどうかということについては、これは私から御答弁する立場にはないと、事実はそういう研究室で保健物理部という組織があって、そういうものが現状にあるということだけ申し上げさしていただきます。
#44
○横山フク君 もう一つ最後に伺いたいと思うのですけれども、まあこの原子力損害の賠償に関する法律案では、たとえば炉に対しての保険金という形が基準になっているわけですね、でありますので、炉ということが中心になっているということはいえると思います。炉の置かれているところの管理ということで、原研は一応代表的なものになりますけれども、そのほかにも炉というものは各所にあるわけですね。そういうところの管理も、私これも伺う筋に入るかどうか少し疑問ながら、あえて伺う形になりますが、まあ横の連絡がおそらくおありになるので、そういう方々から見た角度からいって、そうした炉の置かれているところの管理が原研と同じような形において管理がなされているかどうかということを伺いたいと思うのですけれども……。
#45
○参考人(一柳勝晤君) 今日本で動いている原子炉を持っているのは原研だけでございます。ですから、よそのところでどうなっているかということは、ちょっと私申し上げる筋合いじゃないと思うのですけれども、原研につきましては、少なくとも先ほど申し上げました保健物理部というのがあって、われわれのことは一応やってくれております。しかしながら、まわりの人たちのことは原研とは関係ない――関係ないと申し上げますと、はなはだ何といいますか、あれがありますが、まあ関係ないわけで、やっておりません。それでいわゆる野外モニタリングと申しますか、原研の周囲にところどころに移動して、車で引っ張っていくモニタリング車というものがあります。それを持っていって計ったことはあります。しかし、それは住民を保護するという建前で計ったのではございません。これは保健物理部の中で放射能がどういうふうに発散しているか、そういう研究のためにやったことなんでございまして、住民を保護するためにそういうことをやったということはございません。
#46
○横山フク君 あとは別の日に政府委員から伺うことにして、これで私は参考人には……。
#47
○牛田寛君 先ほど問題に上がったのですが、原子力損害の定義についてです。一柳参考人から原子炉に関係した物質から起こるところの放射線その他の作用による障害ということであって、一般の放射性物質による損害は含まれてないという御意見が出たわけです。で、政府委員の方からの御答弁によりますと、一切の放射性損害が全部含まれるというふうな意味に伺ったのでありますが、その点についてきょう御三名の方、おいでになりましたので、金沢先生の方から、私どももこの意見書の文章を読みますというと、やはりあらゆる放射線障害は含まれてないというような意味がとれるように思うのです。その点についてこの文章をどういうふうに解釈されるか、また一切を含むのならば、これで、この文章で十分であるかどうか、その点についてだけ御意見を伺っておきたいと思います。
#48
○参考人(金沢良雄君) すべての、たとえば大学の放射線科で出る放射線というようなものはここに含まれておらない。で、これは主として原子炉の運転に関連して生ずるもので、原子炉等規制法によって規制される原子炉の設置者、運転者、これを中心に考えて、その施設から発生する放射線というものは含まれますが、単なる放射線研究所みたいなところでやっておるのは含まれてない。その趣旨は単なるそういうものの場合には、非常に巨大な災害は発生しないだろう、それは放射線障害はあちこちでぴょこぴょこ出るかもしれないけれども、非常に広範囲にわたって被害が発生するというようなことはない。だからそういうものについては、一般の原則で処理したらそれでいいという考えであろうかと思います。
#49
○横山フク君 ちょっと今のに関連して、金沢参考人に伺いたいのですが、金沢参考人のおっしゃるのは、原子炉から発生するその放射線に対する損害だというお話なんですね、原子炉の運転に関する、それに関連してということで、私も解釈は妥当だと思う。しかし、先ほどのこの法律の解釈論になるだろうと思うのですけれども、ヴァン・デ・グラーフやなんかは原子炉の運転によって発生するところの放射能という形にはならないのじゃないか、あれは原子炉と関係ないのじゃないか、それを政府の方では入っているという解釈でおっしゃったと思うのでありますが、このところはどうなんでございましょうか。
#50
○説明員(井上亮君) だいぶ議論がどうも私どもの方の答弁がちょっと十分意を尽さなかった節があったと思いますが、補足いたしまして、簡潔に御答弁させていただきます。
 第二条の問題だと思いますけれども、第二条で、この「原子炉の運転等」といいまして、災害が起こります範囲の点をここで触れているわけでございます。第二条にございますように、ここで一号から四号まで一応範囲を掲げております。一号では、先ほど来議論のありますように、原子炉の運転の場合の問題でございます。それから二号におきましては、単に原子炉の災害だけではありませんで、燃料加工の問題につきましても、燃料加工の過程から生じます災害につきましては、本法の対象になるわけでございます。それから次は第三号でございますが、第三号は燃料を燃焼いたしまして、あと使用済み燃料というのができるわけでございますが、その使用済み燃料を再処理いたしますと、もう一ぺん燃料として使えるわけでございます。その再処理の過程というのは、相当程度その広範なやはり災害の危険性が理論的にあり得るわけでございますので、この燃料の再処理につきましても、本法の対象にいたしております。それからなお四号といたしまして、核燃料物質の使用ということをあげておりますが、これは燃料物質を使用いたしまして、いろいろ実験装置等に使いまして、原子炉のようにいわゆる連続的な該分裂を起こさなくても、やはり相当の危険のあるようなもの、たとえば臨界実験装置といわれるものにつきましては、やはり同じように、原子炉ではありませんけれども、本法の対象として、損害賠償の措置を講ずるようなことにいたしております。
 なお、以上申しました単に原子炉だけではありませんで、原子炉のほかに燃料加工、再処理、それからその他燃料の使用というような、これにさらに加えまして、第二条の最初の行にありますように、「次の各号に掲げるもの及びこれらに付随してする」運搬、貯蔵、廃棄というようなところまで、すべて本法の対象にいたしているわけでございます。ただ、最後に一言だけお答えいたしますと、一柳さんが御指摘されました点は、それに加えましてアイソトープの利用についての措置が抜けているのではないかという点をここで書いておられるわけであります。この点はまさに仰せの通りアイソトープの問題につきましては、一応本法の対象外ということにいたしているわけでございます。この趣旨につきましては先ほど金沢先生からおっしゃいましたように、要するにやはり広範な従業員災害は一応別途に考えるという立場でおりますので、別措置するという立場でおりますので、一応第三者災害補償、周辺の住民に相当巨大な災害を起こす、しかもその事業者に賠償負担能力もないというような状態、そういう大規模なことを一応前提にいたしておりますので、アイソトープの利用についてのみ一応本法については除外をいたしたということでございます。なお、このアイソトープの問題をこの第三者災害補償の対象とするかどうかという点につきましては、原子力委員会の中に設置されました災害補償専門部会でも相当慎重な論議をいたしまして、いろいろ世界各国の例も検討いたしました。世界の各国におきましてもこの点は問題にはなっております。問題にはなっておりますが、一応現行の法体系、アメリカ、イギリス、西独というような点におきましては、一応アイソトープは除外するという立場で考えております。日本におきましても、これを入れるべきかどうかという議論をいたしたのでございますが、一応その世界の前例その他にもならい、かつはまた日本の、参考にいただきましたこの方面の学者先生の御意見を参考として、やはり巨大な災害という点からいいますと、やはりここに列挙いたしました原子炉、加工、再処理等に比べますと、被害の程度が違うということで一応割愛といいますか、一応落とさせていただいたわけでございますが、しかしこの点はどこかしらに今後の、私どもも機会あるごとの検討問題であるというふうに考えております。
#51
○吉田法晴君 大へんおそくなりましたので、一柳さんに聞きたいことがあったのですけれども譲りますが、ただこれだけお願いしておきたいのです。
 先ほど障害、予防補償その他について理事者側に、これは事業主との間で協定に達して答申案を出しておる、こういうお話でございます。あなたの口述なり、先ほどいただきました意見書は従業員についての何といいますか、この法律の関係あるいは労災でまかなえないところが、まあうしろの方で、一ページ足らずになっておりますので、その辺を補う意味であとで、資料でいいですからお出しをいただきたい。
 それからもう一つは、「直接障害については完全補償であること。」云々と書いてありますが、その点について伺いたかったのですけれども、時間がございませんから、その点もあとで補足的に文書ででもいただけたら一ついただきたい。この法律の欠陥の一つは――たくさんございますが、従業員について、損害、障害を労災にまかせておる点に不十分な点があるという点一つの大きな点だと思います。先ほどいわれましたところ、あるいは補償審議会の従業員補償問題を中心としての報告書にございますけれども、衆議院段階での論議を通じて見ても、それから私どもが考えても、たとえば障害が大きく出てくればとにかくですが、最初の段階でそれを転換等については答申の中にも出ているのですけれども、手当だけでなしに、災害を早く防止し、あるいは転換をしたり、それから療養する方法について労災ではやはり不十分な点がある。それから長くなった場合に、今の労災で、これはまあ先ほど金沢さん、昨年の労災補償保険で長期療養給付ができる、長期給付ができるようになったといわれるけれども、その療養の内容についても、これは広島、長崎での原爆被災者、原子病患者についての療養の実態から見ても、今までのあの療養の給付では、あの規定ではまかなえないという点がはっきりしています。
 それから長くなりましての、家族を含めての生活保障の点では十分ではない、労災問題もございますが、労災問題の中に織り込むべき重点、問題点、それから問題点がどうあってほしいか、原子力事業に従事せられる従業員としての希望等をはっきり出していただきたいと思います。
 それからもう一つは、これは補償の中に入るかどうかわかりませんが、あるいは完全な労働力の回復という点からいうと、あるいは入るかもしれませんが、これは炭鉱で、通産省の公務員労働者ですが、爆発にあって体内に火焔を吸い込む、あるいは相当の火傷をして、二年ほど治療したら出てきたけれども、これは十分な仕事ができない。その将来というものの保証というものがなくなったわけですね。あるいは公務昂労働者としてその将来の不安あるいはそういう問題をどうするかという問題と、これは今の補償じゃなくて、もっと補償問題の範囲を広げなければならぬという問題になるかとも思いますが、それらの点について具体的に意見を出していただくことをお願いをいたしておきたいと思います。
#52
○委員長(剱木亨弘君) 一柳参考人に申し上げます。ただいま吉田委員から申し上げました点をお願いいたします。
 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#53
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
 他に御質疑はごさいませけか。――他に御発言がなければ、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。本日は大へん長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴してまことにありがとうございました。当委員会といたしましては、本日の御意見を十分参考として今後の審議を進めたいと存じます。どうもまことにありがとうございました。
 両案の審議は本日はこの程度にとどめまして、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時三分休憩
   ――――・――――
   午後二時三十七分開会
#54
○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を再開いたします。
 委員の異動がありましたので御報告いたします。
 先刻横山フク君が委員を辞任され、その補欠として大泉寛三君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#55
○委員長(剱木亨弘君) それではまず、機械類賦払信用保険臨時措置法案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#56
○椿繁夫君 この法律に関連して大臣にお伺いいたします。最近の国際経常収支の問題についてでありますが、先月もまた八千万ドルを超える赤字を計上しておるようでありますが、この機械の輸入ということについて制限をするとか規制をするとかいうようなことについてはお考えになっていませんか。
#57
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまのところは考えておりません。
#58
○椿繁夫君 設備の過剰投資ということが問題になっているのですが、この法律が成立することによって、中小企業の設備の近代化と機械工業の振興ということの二つを目的としてこの法案が提案をされておるように思いますが、こういうことによってでも設備の過剰にさらに輪をかけるようなことになりはしないかという懸念がございますから、そういう点についてどうお考えになりますか。
#59
○国務大臣(椎名悦三郎君) 結論としてはさようには考えておりません。なお、設備過剰投資の問題でございますが、大体において上昇率はもう峠を越したような状況だと思います。絶対の数、額はそれはもちろん去年より今年は多いにきまっておりますが、三十四年度の前年度比較が三二%増、三十五年度の前年度比較が三八%増、三十六年度は大体二〇%程度と、こう考えておりますので、設備投資の上昇率は三十五年度がピークであると、かように考えておりますが、しかしただいま申し上げるように、三十五年度は当初の予想を上回って三兆をちょっと上回る状況でございまして、これの二〇%増となりますと、三兆五、六千億ということになりますから、絶対の額はもちろん多いのでありますけれども、上昇率はすでに峠を越したと、かように考えております。機械の賦払いにより従来の日本の多種少量生産を、種類少なくしてむしろ多量に一種類のものに作って、そうして機械の性能を高める、ともにこれを中小企業の設備近代化に役立てようとしておるのでございますが、これは余剰投資というようなことにはならない。むしろそれでもなお近代化が思ったよりおくれをとるということになりはしないかということを懸念するのでございまして、これによっていわゆる設備過剰というようなものに拍車をかけるというようなことは万々ないつもりでおります。
#60
○椿繁夫君 三十五年が設備投資の大体のピークであろう、だから前年度に比較して二〇%程度の上昇であるからそう警戒を必要としないと、こういう大臣のお見通しのようであります。そこで三月でありましたか、私ちょっと大臣に中小企業の機械のいわゆる設備近代化、それからいま一つは産業の分野などを確定する必要があると私は思っていたものですから、八幡製鉄が、今中小企業でことに小さい零細な規模の経営でやっておりますボルト生産について、新会社を作る計画のあることを指摘いたしまして大臣の御所見を伺いました。その節、あまり突然のことでございましたので、お調べをいただいて後に、文書によって通産省から御回答をいただいたのでありますが、その後、聞くところによりますと、高圧機工株式会社と岡野バルブ株式会社とを合併せしめ、そこに八幡が三分の一資本を出資いたしまして、今零細企業でやっておりますところのボルト、ナット等の生産を始めよう、これはひとり八幡だけではございません。神戸製鋼、あるいは富士製鉄なども、そのような計画を持っているやに伺いますので、この機会に中小企業に対する当局の見解をただしたいと思うのですが、この八幡で計画されております新会社によって高張力ボルト、高温、高熱に対処いたしますボルトの生産をするための新会社を八幡が資本金の三分の一を出資いたしまして、最近新しい機械購入のために、それぞれ人を外国に派遣しております。こういうことによって新たな機械が外国から輸入されるそのことによって、現在それを専業といたします中小企業、零細な企業も入っておりますが、こういう業種の人たちの生産の分野というものが大資本によって圧迫される、こういう事態が起こってくるのではないかというので、今業界では大へんな心配と警戒をいたしておりますが、こういう事態に対して通産当局はどのような指導の方針を持っておられるか、このことについて伺いたいと思います。
#61
○政府委員(佐橋滋君) 椿先生からこの前の御質問がありましたので、資料でお届け申し上げておきましたが、ボルト、ナットにつきましては、ある会社に八幡がその素材を提供するという事実、これはあります。ただそれは従来七十トン程度生産しておりましたあるメーカーに対して、従来に増して百五十トン程度までただいまお話にありましたような高張力鋼を供給するという程度の話でありまして、ボルト、ナットの生産は年間大体一万八千トン以上の鋼材を消費しておるわけでありまして、その中のきわめて部分的な数量であり、同時にこれからの新しい需要をねらって、新しい鋼材を供給するという契約ができた事実は、その調査によりまして判明しましたが、中小企業の分野に大企業である八幡等が出ていくということはあり得ないことだと思いますし、今後もそういうことがないように指導して参りたいと、こういうように考えております。
#62
○椿繁夫君 前回、ただいま局長からお答えいただきましたような文書回答を頂戴いたしましたが、その後私の調査いたしましたところでは、当時、当面月産七十トン、将来の計画として百五十トン程度のものをやる計画のようだということのようでございましたが、新しい機械を外国から購入することによりまして、福岡県の行橋で月産三百トン生産の工場を作り、第二次計画として需要地に近いところに、大体東京、大阪と推定されるのでありますが、第二次計画として大阪に三百トン、東京で三百トンの計画を持っておるということが伝えられるのであります。同様のことが神戸製鋼においても、さらに富士製鉄、鋼管等におきましても計画があるやに伺いまするので、そういうことになりますと、ただいま局長御指摘の通り、年間一万七、八千トン、これは製品にして一万八千トン程度だと思いますが、そういう大企業が、零細な企業がやっておるような製品の生産にまで手を伸ばすというようなことが、一方においては具体的に計画が進み、さらに二次、三次の計画が伝わっておるものですから、大へん業界では警戒をし、心配をいたしておりますので、重ねてお尋ねをいたしたわけであります。こういう傾向が出てきました際の通産当局の行政指導の確固たる方針を伺いたいと思いまして、重ねてお尋ねするわけであります。
#63
○国務大臣(椎名悦三郎君) よく大メーカーが二次、三次の方までどんどん入り込んできて分野を乱すというようなことを聞くのでございますけれども、そのつど調べますと、そういう懸念はない、新分野を開拓するためには、どうしても既存の中小業者では相当の危険もあり、いわゆるイニシァル・コストも相当かかるというような点からやはりそれ相当の理由があるのであるというようなことがわかりまして、そういう事例は、私は幸いにしてまだぶつかっておらないのでございますが、今これに対する方針をお問いになりましたが、われわれとしましては、これは明確に分野を守っていかなければならぬ。そうしていやしくも原料メーカーが、みだりに二次、三次方面に入り込んで、業界のせっかくできておる秩序を撹乱することは、これは絶対に避くべきである、かように考え、そういう方針のもとに指導して参りたいと考えております。
#64
○椿繁夫君 大臣の御答弁で、一次メーカーが、二次製品、三次製品にまで進出をして、既存の生産体系というものを撹乱することのないようにという御方針はわかりました。
 そこで、これは八幡さんにえらい失礼ですが、八幡の名前が出ておりますので、重ねて申し上げるわけでありますが、八幡とか、富士とかいうような日本の代表的な製鉄メーカーが、この二次製品、三次製品の生産に直接かからないで、別会社を作って、しかも相当部分の資金を投ずることによって行なう場合の指導につきましては、いかがなものでしょうか。
#65
○政府委員(佐橋滋君) ただいまの大臣の答弁の中にも触れられておりますが、一次製品のメーカーである八幡あるいは富士、鋼管といったようなところが、新規の鋼種を編み出した場合、それが従来の中小企業の需要者といいますか、メーカーがそれを使い切れないとか、そういうような場合に、そういう新しい鋼種の需要を開くために、いわゆるパイオニア的な産業といいますか、そういうメーカーを作り上げるということは、これはそれぞれの品種の需要を拡大する上において、当然努力を払われると思いますが、それが先鞭をつけて、ほかの連中といいますか、ほかの企業がそれにならって、もしもその鋼種で作ったものが非常にいいという場合には、それにならわせるために一つの糸口をつけるということにおいて意味があろうかと思いますが、しかしただいま椿先生の御指摘のように、そういうものに大企業が大きな投資をして、その業界全般を混乱に陥れるというようなことのないように指導して参りたい、こういうように考えております。
#66
○椿繁夫君 中小企業では、新たな研究等を要するので、資金的にも無理がある。この企業化することができないという段階において、この研究などのために大企業が力を入れられるということであれば、これは了承はできるのでありますけれども、現にただいま申します高張力ボルトなんというものは、既存の業者で製造をしておるわけであります。ただ欧米において、もっと近代的な設備がございますために、そういうものを輸入をして、そうして近代化するということが、単独の資本をもってしては困難であるという状況にあるのであります。で、本法の趣旨から申しましても、そういう事態のときには、大きな輸入になって、国際収支の上にも影響があるというふうなことになれば別でありますけれども、大資本の大経営の会社において輸入を許されるようなものであるならば、既存の中小企業等協同組合を組織しておりますから、そういうところが協同をして、そうして設備の近代化を促進するためにも、外国からかくかくの機械を輸入したいというような計画を持ちます際には、大企業の方にそういうことを許さないで、中小企業によって組織されておる協同組合の協同化を推進する意味において、政府としてはそういうことに援助をする、指導をするという方途を講ぜらるべきではないかと私は思うのでありますが、御見解いかがなものでしょう。
#67
○政府委員(佐橋滋君) 中小企業でいろいろの品種を作っておるわけでありますが、そういうものを逐次高性能のものあるいは価格の安いものを作る方向へ馴致するのがわれわれの役目だと考えておるわけであります。従来のままで終始しておられたのでは、機械工業は総合工業でありますので、部品等が進まなければ、機械全体の性能もあがらないわけでありますので、そういった新しい機械というようなものを買う踏み切りに、あるいは大企業がリスキーな点を負ってやるとか、いうようなことで、先ほどちょっと申しましたが、系口をつける意味において、初めはそういうことがあり得ると思いますが、あとのそれ以降の場合には、ただいま先生が御指摘のように、従来の分野で協同化が進んでおるというような場合には、当然そういったものが、優先的にそういう新しい機械を購入して、設備を近代化していくというのが当然の行き方であろうと思います。それに、こういった中小企業が現在作っておられますような製品は、大企業がやるに適しないものが多いと思いますので、そういう点におきましても、ただいま先年御指摘のような方向に、既存の中小企業の協同化のための機械だとかというような形で、輸入する方を優先的に扱って参りたい、こういうように考えております。
#68
○椿繁夫君 関連でありますから、この程度にいたしまして本法についての疑点を二、三お尋ねをいたしますが、この第一条の目的で、「中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興に資することを目的とする。」とございますが、これはいずれに重点を置いて運用するおつもりでしょうか。
#69
○政府委員(佐橋滋君) われわれはこの法律を、「及び」で、両方をつないでありますように、両方を同列に考えておるわけであります。と申しますのは、この機械類賦払信用保険を実施することによりまして、機械工業のいわゆる多品種少量生産をやめまして、できるだけ専門化して、良質なものをコスト・ダウンさせるということを一つの大きなねらいと考えておるわけであります。
 そこで、そういうふうに生産されました機械を、中小企業の設備近代化に役立たせようという二つのねらいを持っておるわけでありまして、この点は衆議院でも御指摘がありましたが、大臣からもそういう答弁をされております。ただ、そのときどきに、若干、何といいますか、どちらをより直視するかというのは、そのときの経済環境と申しますか、社会情勢によってやや、ウエートをどちらの方に置くということがあり得るかと思いますが、われわれは法自体としては、ただいま申し上げましたように、二つの目的を同時に実施して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#70
○椿繁夫君 本法によりまして、賦払保険の対象を、工作機械、プレス、建設機械等を大体指定される御予定のように伺いますが、三十六年度の需要見込額を大体三千億と推定しておられる。で、この三千億の金額で、三つの機種の場合、一体その、大企業と中小企業別にこれを分類いたしますと、どういう比率に相なりますか。
#71
○政府委員(佐橋滋君) 今需要を、先生が三千億と言われましたが、われわれが考えておりますのは、金属工作機械が三十六年度、大体六百八十億、それから鍛圧機械が百三十億、それから建設機械が七百六十億と、大体、まあ国内生産は千五百億と考えております。で、これにさらに輸入を予定しておるわけでありますが、輸入は金属工作機械が大体四百億、それから鍛圧機械が、国内生産と回顧の百三十億、それから土建機械が五十億と、結局まあ二千二、三百億――二千二百億ぐらいの――若干輸出がありますが、二千二百億ぐらいの需要と、われわれは三十六年度はそういうふうに想定いたしております。
 で、これのいわゆる購入区分といいますか、中小企業と、それから大企業の購入区分でありますが、本法で予定しておるのは、大部分が中小企業でありますが、この全生産に対する需要というのも、もうやはり三別ないし四割が大企業で、あとは中小企業関係によって購入されるものと、こう考えておりますが、その場合の中小企業と申しますのは、いわゆる団体法等で言う、一千万、三百人というような中小企業ではないことを、念のために申し上げておきます。
#72
○椿繁夫君 いや、私ちょっと、それを先に伺うべきだったのですが、この法律では、中小企業の設備近代化をうたいながら、この中小企業団体組織法とか、協同組合法でうたっております中小企業の近代化、これも明記されていないので、私ちょっと伺おうとしたのですが、本法で言う中小企業とは、そういたしますと、どういうことになりますか。
#73
○政府委員(佐橋滋君) 本法では中小企業の定義をうたっておりませんが、まあわれわれ常識的に中小企業という概念にはまる企業を主として考えておるわけでありますが、ただいま申しましたように、団体法にあります、資本金一千万、それから従業員三百人と申しますのは、機械を需要する業者としましては、きわめて零細に属するのでありまして、大部分の、いうところの中小企業の機械工業というのは、資本金千万円以上になっておるのが多いと考えております。まあいうところの大企業でない中堅企業以下を含めた概念と、こういうふうに御了承を願いたいと思います。
#74
○椿繁夫君 重ねてお尋ねいたしますが、大企業でない中堅企業以下の事業体を中小企業設備近代化と、こううたってある。法律で解釈いたしますと、大企業と中堅企業との区別は、一体どういうところに――何か目安はあるのでしょうな。その一千万、三百人というふうなことではないにしても、何か目安はございませんでしょうね。
#75
○政府委員(佐橋滋君) 先般のあのアメリカの輸出入銀行からの借款に基づきます、中小企業向けのいわゆる機械購入の借款でありますが、あの場合のわれわれの実際上の運用は、資本金五億以下というふうに考えております。で、それ以上を、まあわれわれはいわゆる大企業に属するというふうに考えて運用いたしております。
#76
○椿繁夫君 資本金は五億以下、本法でいう中小企業とは、大体、そういうところに目安を置くと、こう御説明でありますが、これは政府の御見解として、中小企業を資本金五億以下ということになるのは、これは政府として、統一した御見解でしょうか。それともただ、本法を適用する対象としてのみお考えになる範囲でしょうか。大臣にお尋ねいたします。
#77
○国務大臣(椎名悦三郎君) これはもちろん統一見解ではございません。大体、運用上の当局の目安として、一応そういうことになっているわけでございます。
#78
○椿繁夫君 ここで五億以上が大企業と称するけれども、五億円程度の資本金の会社であれば、通産省は今後中小企業というものを、そういうところに目安を今後置かれますか。
#79
○国務大臣(椎名悦三郎君) これはアメリカの、今度の日本の主として中小企業のための機械借款というものを、それを運用する上の一応の手心として当局が考えておりますが、全般的に機械工業に、この観念を適用して適当であるかどうかということは、なお考究の余地があるのであります。
#80
○椿繁夫君 今後五億円程度のものを中小企業に含むかどうかということについては、研究の余地があるという大臣の御答弁ですが、この非常に中小企業の分野が、これまで資本金一千万円、従業員三百人というふうに、大体常識化されてきておる今日、中小企業の設備近代化を目的として本法が提案され、しかも中小企業の範囲が倍、三倍でなくて、これは何十倍になるのですか、五十倍にもなる見解がここに明らかにされたわけですが、この場合は、本法の適用対象とのみ限定して理解することにいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#81
○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん、さようになるものと思います。
#82
○椿繁夫君 ここで先ほど重工業局長から大企業、すなわち、資本金五億以上の企業の、この三機種については三〇%か四〇%程度を大企業の需要と見、それ以外の七〇%か六〇%程度のものが、三機種については、この一年間中小企業の方で需要するだろう、こういう見通しの御説明をいただいたのですが、大企業の場合と中小企業の場合との設備更新の度合といいますか、あるいは耐用年数と申しますか、こういうものは非常に開きがあるのではないかと、こう思うのですが、何かそういうものについてお調べになっておりましょうか。
#83
○政府委員(佐橋滋君) ただいま御質疑の点でありますが、現在大企業に対しまして、中小企業の設備近代化がおくれておるということは、これはもうほとんど常識になっておりますが、具体的にどの程度おくれておるかというのを数字で表わすのは非常に困難を感じておるわけでありますが、われわれが工作機械の設備調査統計によって調べたところによりますと、いわゆる何といいますか、三百人以下といったような企業が、工作機械の新品をどの程度買い、中古機械をどの程度買っておるかというデータは持っておりますが、これによりますと、大体需要のうち百人から三百人ぐらいの企業だと四七・八%というのが新品を買う比率でありまして、五二・二%というのが中古機械を買っておるわけであります。これはもっと小さくなりますればなりますほど、中古品の機械を入手する割合がずっと大きくなって、三〇%程度が新品、あとは中古機械を買う。これは大企業、一千人以上の工場になりますと、六五%以上が新品で、あと三五%程度が中古機械を買う、こういうデーターが出ておるわけであります。
#84
○椿繁夫君 この賦払信用保険によりますと、先ほども御説明ございましたように、工作機械で六百八十億、プレスで百三十億、建設機械で七百六十億程度の需要があるだろう、これは大きな国として道路計画二兆一千億ですか、二兆一千億の道路の何カ年計画というものが背景になって、そうしてこの建設機械の七百六十億という見積もりをしておられますか。
#85
○政府委員(佐橋滋君) 土建機械に対する需要は、最近年ごとに急激に増加して参っておりまして、ただいま先生御指摘のように、新しい道路計画に見合う需要というものを考えておるわけであります。三十五年には大体国内の生産は、土建機械につきましては五百五十億であったわけであります。三十六年度は、その五割増し以上を期待しておるわけであります。三十七年度になりますと、これは一千億になると、われわれの方はこういうふうに概計をしておるわけであります。
#86
○椿繁夫君 毎日新聞の五月十四日の新聞を見ますと、「建設機械ブームに波紋」という見出しで、従来の土木機械などを作っておる会社のほかに、車両メーカー等が建設機械の製造に進出するということを大きく取り上げて報道しておりますが、この賦払保険法が成立をいたしますと、中小企業は設備を近代化するために、この保険を活用する、そうして、もしも不況その他によって、割賦払いができなくなったときに、この保険をつけて、製造メーカーに政府が補償をして上げる、こういうのがこの法律の趣旨だと、こう思います。設備近代化のおくれている中小企業にとっても、やや福音となりましょうけれども、考えようによりますと、建設機械を作っておる大きいメーカーの――それこそ大きいメーカーの保護、補償ということが、これは重点になっておるように考えられますが、そうでしょうか。
#87
○政府委員(佐橋滋君) この土建機械に対しまして、まあ何といいますか、最近車両というよりは、むしろ船舶を作っていた業者の陸上部門の強化という形で新しい企画を持っておるところが多々あるようでありますが、この法案でねらっておりますのは、従来のメーカーの、まあいろいろの品種を作っておるものを単純化して、いわゆる品質の良質化と価格の低廉化をねらっておるわけでありまして、現在土建機械を作っておりますのが百三、四十はあると思いますが、そういう方々の中で、需要者としての中小企業向けのある特定の機械を取り上げて、それに保険を付そう、こういう考え方でありますので、必ずしも先生御指摘のように不況時における大企業の擁護というようなことは考えておらないわけであります。
#88
○椿繁夫君 そういたしますと、建設機械の需要者、購入先、どういう点――これは土建業者になると思うのでありますが、そういうことになろうと思うのでありますが、どういうところが購入の見込み先であるかということについて推定しておられますか。
#89
○政府委員(佐橋滋君) これは土建業者が建設機械の一番大きな需要家でありまして、われわれは、その土建業者で、新鋭の建設機械を購入するのに即金では非常に困難を生ずるというような中小の土建業者といったようなものを主として考えておるわけであります。
#90
○椿繁夫君 その中小の土建業者というのが、資本金五億以下と、こういうことになるわけでありますか。
#91
○政府委員(佐橋滋君) 先ほど五億以下を、この本法の対象にして考えると申し上げましたが、これは普通は、もちろん先ほど来先生の御指摘のように一千万の資本金、三百人以下の従業員という中小企業を主として考えておるわけでありますが、この法案ではそれ以上の、いわゆるわれわれが中堅企業と申しますのも、この法律として割賦の損失補償の対象にしようと考えておりますので、先ほど資本金五億と申し上げましたが、われわれはそこまで一億から五億ぐらいの資本金のところを、いってみれば中堅企業と考えておりますので、それをこの法律案では除外する趣旨でないということを、まあ言いたかったわけであります。
#92
○椿繁夫君 除外する趣旨ではないが、重点はやはりまあ小さいところに需要があれば、そういうところを優先的に考えていく、運用をする、こういうわけですね。
#93
○政府委員(佐橋滋君) その通りであります。
#94
○椿繁夫君 重ねてお尋ねをいたしますが、工作機械、鍛圧機械、建設機械、この三機種に限るということが政令にゆだねられておりますが、これと衆議院で御審議中の割賦販売法との関係、これは三機種は、割賦販売の場合の対象の機種に指定されますか。
#95
○政府委員(佐橋滋君) 割賦販売法は、御承知のように割賦取引の秩序を確立するための法律でありますし、私の方は現在御審議を願っております法律は、機械の専門化と中小企業の設備近代化に資するために、むしろ割賦販売を促進をして、その目的に合致させよう、こういうふうにねらっておりますし、それから割賦販売法が主として考えておる対象は、いわゆる消費者保護と言いますか、ねらいは耐久消費材を主として考えておるわけでありますが、われわれの法律で考えておりますのは、いわゆるメーカーの設備機械の割賦版元を考えておりますので、ねらい自身は必ずしも合致しないわけでありますが、本法で適用されます予定にしておる三品種が、必ずしも割賦販売法で指定されるとは限りませんが、これは町方、施行後その必要があれば関係方面と折衝の上、割賦販売法にも指定するということがあり得ると思いますが、ここで指定したものが、当然割賦販売法で指定業種になると、こういうふうには考えておらないわけであります。
#96
○椿繁夫君 割賦販売法によりますと、十二カ月になるのか、二十四カ月になるのか、三十六カ月になるのかわかりませんが、最終の代金を完済したときでないと所有権が発生しないと推定されるということになっておりますので、これをお尋ねするわけですが、この場合ですね、やはり割賦販売法と同じように、賦払い契約の最終の払いを済ませなければ所有権は買い手のものにならないという考えのもとにこの保険を適用する場合に、一体どういうことになるかということをお尋ねいたします。
#97
○政府委員(佐橋滋君) 本法では、所有権移転の推定規定はないわけでございますが、普通こういった設備機械を売り渡しますときには、特約でその所有権の移転の時期がお互いの契約できまるわけでありまして、その機械を引き渡したときに、所有権が移転をする場合もありますし、それから最終代金を完済したときに移る場合もあろうかと思いますが、われわれの方はその場合、いずれでもかまわないというふうに考えておるわけであります。で、この三業種が割賦販売法の指定業種になりますれば、そういった特約がない場合に、ただいま先生御指摘の推定規定が働くということになるわけでありまして、まあ、われわれこういった大きな機械を売る場合には、当然特約で所有権の移転の時期というものが明瞭にされると思いますし、もしも指定業種にならない場合には、そういうことは割賦販売を行なうときに、業界に指導をしようと、こう考えておりますが、まあ、普通の場合は、引き渡したときに所有権が移転する場合も多い、こういうふうに考えております。
#98
○椿繁夫君 所有権の所在、その確定は、個々の契約にゆだねるしかないという意味ですか。
#99
○政府委員(佐橋滋君) その通りであります。
#100
○椿繁夫君 重ねてお尋ねをいたしますが、三機種が政令によって、この賦払い保険の対象となる。その場合に、中堅企業もさることながら、できるだけ中小企業の設備近代化等に役立てたいということでありますからお尋ねをいたしますが、この三機種であっても、相当大きな機械であれば、これは大企業が使うと、まあ大体認定される、この程度のものであれば、これは中小企業ないしは先ほど言われました中堅企業で使うんだろうということに、大体常識的に分類されるように思うのですが、政令策定の際には、そういうように建設機械だから、全部この保険の対象にする、工作機械であるから、すべてこの保険の対象にするというふうには考えないで、その機種の、何といいますか型式とか、あるいは金額とかいうようなものによって、この保険の対象にするということを定める御用意がありますか。
#101
○政府委員(佐橋滋君) このまあ包括保険契約を結ぶときに、政令で定める区分ごとにと、こう書いてあるわけでありますが、たとえばAというメーカーが、旋盤でも五種類作っておる。十八尺旋盤から三尺旋盤まで作っておるという場合に、主として中小企業が使うというのは、大体まあ小型なものでありますので、それをまあ専門化させるために、五品種の旋盤を作っておるときに、三尺旋盤はこの割賦に乗せると、こういうふうにするわけであります。で、かりにまあやや大きな機械でありまして、従来はこれはまあ中堅企業以上が主として利用するという場合でも、その性能が非常に優秀なために、中小企業にも、こういった機械を使わせたいというような場合は、例外的にそういうものも指定することがあり得ますが、大部分は中小企業が使う、主として使われる、しかもその近代化に役立つ機種を、たとえば工作機械の中でも選びまして、それを指定するわけであります。
#102
○椿繁夫君 よくわかりました。そこでこの機会にお尋ねいたしますが、さしあたって三機種のうち、特に中小企業の設備近代化に役立つようなものを政令によって指定をいたしたいということはよくわかりましたが、三機種のほかには、これをさらに広げて、この保険の対象にするお考えはございますか。
#103
○政府委員(佐橋滋君) 御承知のように、この法案は国会で成立いたしますと、七月から施行することになっておりますので、これに対しまして十八人の定員をつけていただいておりますが、まあ初めての仕事でありますのと、初年度であります、いわゆる執務体制の関係と、それから本年度の特別会計の資金が二億ということと、それから保険契約の限度を示されております関係上、とりあえずこの三業種で発足をして参りまして、自今こういった中小企業の設備の近代化に役立つと思われるもので、しかもまあ機械工業の専門化体制に役立つというものに逐次範囲を拡大して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#104
○小林英三君 ちょっと関連です。
 今、椿委員の御質問で局長がお答えになった中に、このたとえば旋盤でいえば四尺、六尺、あるいは十八尺、それ以上のもあるでしょうが、中小企業だからといって、いつでも小さいサイズの機械を使うとはきまらないのです。これは中小企業でも、工作機械は、何でもかなり大きなものも使っているところがたくさんあります。ですから、先ほどお話の五億円以下の資本金であれば、どんなサイズの工作機械、鍛造機械、建設機械を使う場合でも、この法案によって律せられるのじゃないですか、今、サイズによって何かされるような御答弁があったのですが、そうじゃないのじゃないですか。
#105
○政府委員(佐橋滋君) 必ずしもサイズによってきめるというわけではありませんので、中小企業が主として使うという機械をねらっておるわけでありまして、ただいま小林先生の御指摘のように、相当大きな機械でありましても、中小企業にぜひ使わせていきたいというようなものは、この指定に乗せるつもりであります。
#106
○椿繁夫君 大阪府で機械月賦販売の損失補償制度というのを作っています。最近岡山でも、この例にならって損失補償の制度が発足をするやに伺っております。大阪府の場合は、例の資本金一千万円、従業員三百人以下の中小企業に対して損失を補償することになっておりますが、対象の機械の機種というのは、相当広範にわたっております。
 そこで、本法が成立いたしました際に、こういう損失補償制度を持っております府県との調整については、どうお考えになっておりますか。
#107
○政府委員(佐橋滋君) 今現実に実施をしておりますのは、御指摘のように大阪府でありますが、大阪府はいわゆるまあほんとうの、ほんとうのといいますか、中小企業に必要な機械のあっせんを、割賦販売のあっせんをやると同時に、その代金の回収不能の損失補償をすることになっておりまして、機械自身の範囲も、工作機械、鍛圧機械ばかりでなくて、風水力機械とか、あるいは溶接機械だとか鍍金装置――メッキ装置ですね。といったようなものをやっておるわけでありまして、われわれはこの大阪府の制度と調整をする面が多々あると考えております。と申しますのは、大阪府は、府内の中小企業のあれを、中小企業を、対象にしておりますので、金額自身も比較的小さな金額であります。これは、たとえばそれを割賦販売をしますメーカーが損失補償と同時に、この政府の国でやります保険と両方かけて、実際の実損をはるかに上回るような損失補償と保険とを受け取るというようなことがありましてはいかがかと考えますので、そういった点についての調整が要る、こういうふうに考えております。
 だから、国でやりますのと両方一緒にかかるということも当然あり得ると思いますが、今言いましたような保険金の受け取りとか損失補償金の受け取り等の面で、いろいろ調整をする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。
#108
○椿繁夫君 この私の調べたところによりますと、大阪府は昭和三十五年の四月一日からこの制度を創設いたしまして、あっせん目標を六億と定め、そうして損失補償をその半額の三億といたしております。で、制度開設以来の、まだ一年余りですが、この申込件数が三百五十九件に上り、その金額は十一億円になっておりまして、あっせんの件数は三百十三件、七億九千八百万円、こういうふうに非常な成績をあげておるわけであります。
 そこで、私思いますのに、この法律ができて、損失金額の五〇%を、この補てんによって弁済をする、そしてその損失補償の制度を持つ大阪の場合、たまたま一致いたしました際には、さらに五割の補償を受けるというようなことはめったにないと思うのですけれども、こういう制度を持っていない府県の中小企業との間に、設備近代化のアン・バランスがこれは起こってくることは当然でありますから、こういう制度を持っている府県が次々とふえつつありますから、この調整につきましては、十分注意をして、府県でも、この式の損失補償の制度をだんだんと広げていくような指導、並びに予算的な措置を講じて、中小企業の設備の近代化に資するように両々相待って進める必要があるのではないかということを考えます。
 そういう点について、御所見いかがなものでしょうか。
#109
○政府委員(佐橋滋君) 何分、現在やっておりますのは、大阪府が充鞭をつけておるだけでありますので、その実績をよく伺った上で、ただいま申しましたような国での制度との調整をはかって参りたいと思いますが、いずれにしても、都道府県におきまして、管内の業者のために、これに似通った制度を設けられるということは非常に好ましいことだと思いますので、御指摘のような方向に推進して参りたい、こういうように考えております。
#110
○椿繁夫君 この法案によりますと、中小企業が近代化のための設備を購入する。そうして賦払いをやっていく。それによって、だんだんと能率が上がり、量産ができるようになって、賦払いも、そうえらいことはないのだ、楽になっていくのだということで、この法律の策定がされておるわけですが、私はこの前の機械工業振興臨時措置法の審議の際にも、ちょっと申し上げたのですが、保険制度もけっこう、損失補償もけっこうでありますけれども、近代化のための設備購入の資金について、政府がもっと直接的な援助をすることの方がより必要であるという感じは、今でも持っておるのであります。その際にも申し上げたのですが、開発銀行の金利、現状六分五厘のものを、どうやら大蔵省が強くて一分引き上げて七分五厘にせにゃならぬかもわからぬというふうな、当時の時点において御説明があったのですが、その後、外航船舶の利子補給の法律のごときは、同じ開発銀行の金を使って六分五厘では高過ぎるから五分にして、そうして、その外航船舶の建造を計画的に推進しようじゃないか。これはけっこうだと思いますよ、けっこうだと思いますが、外航船舶建造の方は六分五厘の利息が高くて、一分五厘政府が利子補給をやって五分にして、そうして、この中小企業の設備近代化のために融資する開発銀行の金利は、六分五厘じゃ採算が、とれぬから七分五厘にするということは、どうも私は了承ができかねたのですが、その後の交渉の経過はいかがですか、大臣。
#111
○政府委員(佐橋滋君) われわれも非常に遺憾だと思いますが、大蔵省の理財、銀行等の考え方は、海運あるいは石炭のような、言ってみれば斜陽の産業について、従来の六分五厘という線を維持する。それ以外のものについては、一般金利にするという強い方針を打ち出されまして、いろいろ折衝を重ねたのでありますが、中小企業といえども、機械工業はきわめていんしんではないか。資金量がむしろ問題であって、金利等は、比較的問題にならぬのじゃないかとか、あるいは何と言うか、僕の方も非常にどうも、従来六分五厘でやっておりまして、非常に困るわけでありますが、何分政府自身の、いわゆる原資の資金コストと言いますかが上がっておる等の点も考えまして、一分の事実上の引き上げになるということをのまざるを得なくなったわけでありまして、その点は、御指摘の通り非常に不満でありますが、これも情勢やむを得ないと、こういうふうに考えております。
#112
○椿繁夫君 これは局長が答弁されるのは気の毒です。これは大臣一つ、決意のほどを聞かにゃいかぬのですが、開発銀行の利息が六分五厘だった、中小企業設備近代化のために融資するというのは、それを今度は七分五厘に引き上げる、コストが高うついておるからと、こういうことで、どうも上がりそうなのだが、外航船舶の利子の補給を一分五厘やって、そうして、実際は五分にして、船舶建造というものを計画推進しよう。これはまあいい、いいのだけれども、その基準は、やはり六分五厘なんだ。それを中小企業の設備近代化のための開発銀行の同じ金の利息が、ことしからわざわざこう一分上がるというようなことでは、私はこの法律で、いろいろうたってありますけれども、中小企業の設備近代化のために政府の腰が、一体どこまであるのかということを疑わざるを得ない。もう少しこれは通産大臣、佐橋さんだけ苦しい答弁さしておってはだめですよ。
#113
○国務大臣(椎名悦三郎君) 局長からもお話を申し上げたんですが、斜陽産業と違って、とにかく今の機械工業はいんしん、成長産業である。金利体系等からいっても、ぜひこの際はということで、資金量は、そのかわり考えてくれるということにいたしまして、数倍――たしか五倍、金利の点は、どうしても話が折り合いませんで、まことに遺憾でございますが、一分上げたような状況であります。この点につきましては、今後機会を見て、できるだけ中小企業の近代化のためにあらゆる面において有利な条件を獲得するように努力いたしたいと考えております。
#114
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#115
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#116
○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表して、この法案に賛成をいたしますが、質疑の過程においても明らかになりましたように、この保険制度が運用されることによって、中小企業の設備の近代化は促進されましょうけれども、売り手である大企業の方が大きな利益を受けるのではないかという疑点はまだ残っております。従って、本法の運用にあたりましては、衆議院の委員会においても付帯決議をつけておりますように、「政府は、本法律の運用にあたっては、中小企業の設備の近代化を促進しようとする本法律の目的を逸脱して、大企業を優遇する結果を来たすことのないよう、充分配慮すべきである。」
 こういう付帯決議が、衆議院からもついて、こちらに回付されております趣旨を、十分政府としても留意されまして、本法の運用の適正をはかられるよう望みまして、この法案に賛成をいたします。
#117
○川上為治君 私は、自由民主党を代表いたしましてこの法案に賛成をいたしますが、今、椿委員から話がありましたように、特に中小企業の設備近代化という点について、重点を置いて法の運用をやっていただきたいということを希望いたします。
#118
○委員長(剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#119
○委員長(剱木亨弘君) 全会一致と認めます。
 よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
#120
○委員長(剱木亨弘君) 次に、商工会の組織等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
#121
○近藤信一君 今回、政府が提案いたしました改正案では、商工会連合会を設けるということですが、商工会の設立状況は、現在どのような状況になっているのか。本年二月末までに、この表を見ますると、千六百五十四で、これは今年度中に約二千三百に達するとのことでありますが、政府が初めに予想した通りの設立状況なのですか。また設立されたことと活動していることとは別問題であって、実際には、商工会の設立だけされて、活動ということについては十分でないのではないか。それが私は心配なので、その状況もあわせて御説明を願いたいのであります。
#122
○政府委員(小山雄二君) 商工会法が昨年できまして、本年二月末までに千六百五十四商工会ができております。従来任意団体の商工会は約二千六百ございましたが、法案審議の際にも申し上げましたが、初年度は千五百から七百ぐらいできるだろうという見通しを申し上げたわけでございますが、大体数からいいますと、その見込み通りにできたと思っております。引き続いて逐次設立もふえておりますので、本年度一ぱいでは従来の在世団体が全部法人格を持ちますとともに、それ以外のところにも設立されるのではないか、その数は二千六百程度までいくんではないかと考えております。なお商工会が設立いたしまして、商工会に一番期待しております事業は、小規模事業対策改善普及員を置きまして、小規模事業者の日常を指導する仕事でありますが、商工会が本年度できましたうちで、設立が比較的ことしに入ったというようなものは、まだ十分活動するに至ってないものもありますけれども、大部分のものは改善普及員を配置し、いわゆる日常の小規模事業者の相談という仕事を着実にやっているものと私どもは考えております。またそういうふうに指導して参っておるつもりでございます。
#123
○近藤信一君 この表を見ますると、特に大都市、東京、大阪、愛知――愛知は比較的数がありますが、京都、こういう比較的大都会をかかえておる府県というものは非常に進行が進んでいない。この欠陥は、一体どこにあるのか、この点いかがですか。
#124
○政府委員(小山雄二君) 商工会制度を作りますときに、普通の小規模事業対策をやってもらう場合に、大都市における従来の商工会議所と商工会の関係をどうするかと、いろいろ御議論があったわけでありますが、この商工会議所と商工会をダブらせないということで建前を進めてきておるわけです。従って東京、大阪というような大都市の市部が非常にたくさんあるところには、商工会議所にその仕事をやってもらっておりまして、商工会の設立の数が従って少ないと、郡部の方に商工会が多い、こういう関係になりますが、もっとも東京、大阪等は、予定から見ますと、まだ少ないのでありますが、全部予定通りできましても、その数は少ないという状況になろうかと思います。
#125
○近藤信一君 東京、大阪等は、商工会議所が大きいのがあるから、商工会の組織があまり活発でない。しかし神奈川県なんかも比較的少ないわけなんですが、これらの少ないところに対するところの今後の見通し、対策といいますか、そういうようなものはいかがですか。
#126
○政府委員(小山雄二君) 市部がたくさん、大部分を占めて、郡部が少ないというところは、終局的にも商工会が数が少ないわけであります。しかしこれの指導ということは非常に大事なことでありますので、東京、大阪あたりでも、行く行くは連合会を作らせて、おそらくそういうことになると思いますが、それを中心にして個々の商工会を指導し、商工会の小規模事業対策が徹底するようにやって参りたいと思いますが、まあ過渡的に数が少なくて、なかなか連合会ができない、できにくいような場合には、全国の連合会の会員、準会員というようなことで、そこと連絡をつけまして、それを中心として、そういう商工会を指導していきたいと考えます。
#127
○近藤信一君 府県で連合会を作る場合に、商工会の数というふうなことには関係はございませんか。たとえばこの資料の中にございまするように、現在では東京が三、大阪が二、この二つ三つの商工会のところでも、二つでも連合会、六十幾つでも連合会、こういうことで、連合会のもとには、商工会の数といいますか、それともまた人数でいくのか、この点はいかがですか。
#128
○政府委員(小山雄二君) 商工会連合会を作ります際には、任意加入でございますけれども、大部分が入っていただきたいのが理想でありますが、法律的には少なくとも半分入っていただく、こういうことになっております。それから、従って全体の数に関係はないわけであります。ただ設立手続をやりますときに、発起人は五人以上となっております。従って、まあ五人――五つ以上ありませんと、商工会の手続が済まぬわけでございますが、私どももいろいろ調べまして、各都道府県と連絡いたしておりますところでは、一番少ない東京で大体八つはできると、それらの大体設立の準備を進めておりますので、資料は三になっておりますが、現在五つできておりますが、八つはできます。大阪あたりで、これも現在少ないのですが、最終的には二十三ぐらいできる、こういうことになりますので、数の点からいいますと、法律的には差しつかえないということになっております。
#129
○近藤信一君 商工会の中心をなすものは、何といいましてもこれは経営改善普及員でございます。この普及員が適当の者で充足されているかどうか、これが問題でございまして、最近は一般に労働力不足といわれまして、中小企業では、特に労務者が得られないという状態で非常に困っている。今まで割合に供給過剰でございまして、まあ大学は出たけれどもと、こういうこともございましたが、大学の卒業生は、現在引っ張りだこだということでございますが、私はやはり、中小企業は求人ということで非常に労務者対策といいますか、大きな悩みを持っておると思うのです。きょうの新聞でも、そのようなことが出ておりまして、いわゆる求人どころでなく、離職者対策で非常に困っておるというふうなことも、中小企業としては今日非常に大きな悩みの一つだと思うのです。
 そういうときにいわゆる有能な普及員というものが商工会設立後も得られるかどうか、私は非常にその点が心配だと思うのですが、またいろいろと普及員ということになれば、相当いろいろな面に対して精通していなきゃならぬと私は思うので、そういう点、資格について御説明を願いたいと思います。
#130
○政府委員(小山雄二君) 初めて商工会制度を法制化しましたときに、相当たくさんの改善普及員を配置するということで、私どもそれを非常に心配していたわけでありますが、この改善普及員につきましては、一定の資格を設けまして、まあ府県知事等に相談して通産局あたりで基準と同等の指導能力があると認めた者という抜け道――空気穴があけてありますけれども、相当厳重な資格を設けまして、現在までのところ、その資格も大学出、それから旧高等専門学校出等の者が四十数パーセントにまで上ぼっておる、その他、多年そういう仕事にあたっていたという人もいますが、学歴的にそういうことでありますし、また今お説の通り、中小企業の求人難というものは非常に深刻な状況でございますが、この改善普及員の方は、比較的年令構成から見まして三十以上の人が合わせまして七〇%ぐらいになりますので、まあそういう面もあったかと思いますが、とにかく初年度所期しただけの数は、大体充足できたと思います。今年度また千八百人ぐらいふえますけれども、昨年度の状況からいたしまして、まあ大体、いなかの郡部の方でありますので、今年度の経験から申しましても、何とかまかなえるんではないだろうかというように一応考えております。
#131
○近藤信一君 やはり、いなかの方ということでございまするけれども、大学を出たような有能な人は、辺地にはなかなか行くことを好まない。そういうことになりますると、私は、有能な普及員を得ようとする場合、非常にそこに困難性が伴うんじゃないかと思うんですが、その点、今あなたがおっしゃったように、今年度千八百名ぐらいを予定いたしておるわけでございますが、この有能な人が、あなたの思惑のような結果が得られるかどうか。この点のあなたの御見解はいかがですか。
#132
○政府委員(小山雄二君) 今申しました数字その他は、実は商工会の改善普及員と商工会議所の普及員の両方を突っ込んで申し上げたわけでありまして、たとえば大学出とおっしゃいますと、やはり都会の方が多いんであります。これは事実でございますが、郡部の方の商工会にも、相当程度大学出はおります。おりますが、まあ学歴と都市・郡部とに分けてみますと、やはり都会の方が多いということは言えますが、いずれにいたしましても、割と何といいますか、案外われわれが心配したよりは充足状況は非常によかった。求人難がだんだん深刻でありますので、一がいには気は許せませんけれども、土地々々にはやはりそういう向きの人もいることと思いますので、各面工会当事者等を督励いたしまして、この充足には努力をいたしたい、こう考えております。
#133
○近藤信一君 普及員の有能な老を得たいとまず考えるならば、私は、もっと給与をよくして身分保障をしてやることがなければ、なかなか有能な普及員を得るということは非常にむずかしいと思うんです。給与について考えてみますならば、普及員の給与は、昨年度は月二万円であった。今年度から、これをあなたの方では一般が二万一千円、それから六大都市は二万三千円にするということでございますが、この程度の給料で、はたしてよい有能な普及員が得られるかどうか。私は、都会の二万三千円というのは、なかなかこれでは有能な普及員を得るということはむずかしいと、こういうふうに考えるんですが、この点いかがですか。
#134
○政府委員(小山雄二君) 給与は、今御指摘のように、今年度から一般は千円上げ、六大都市は三千円上げるということにいたしたわけでありますが、これは、まあ予算の積算の額でございまして、実際、現在置かれておる改善普及員の平均実額は二万二千円ぐらいになっております。ことしは二万円の予算でございますが、二千円ぐらい高くなっています。特に大都会、都会地等においては、それより相当差ができて、むしろいなかの方は、それより下の方というような格好になっておりまして、そこは土地土地の実情に応じまして、予算は一本でいっておりますが、実際は、その実情に合うような給与が支給されておるわけでございます。また、社会保険等につきましても、極力普及員にそういう制度を均霑をさせるように指導に努めておりますとともに、普及員の経費を補助します補助の条件といたしましても、たとえば、給与の問題、退職金の問題その他いろいろな働く条件について、一定の規定を設けて、改善普及員が働きいいようにするということを条件に補助するというようなことをやっております。今後とも、そういう面につきましては、安心して普及員が第一線に出て働けるというように、あらゆる面で考えて参りたい、こう考えます。
#135
○近藤信一君 それから、ただいまの給与の問題ですが、一律に二万一千円または二万三千円というのであるのか、有能の者には、もっと出されるのか。出さなくては来ないと思うんです。経験の浅い者それから経験の深い者、こういうことも、また考えられなければならないと私は思う。
 そこで、各地の商工会議所や商工会に、そういう給与の面については自由にお任せになっておられるのかどうか。
 それからもう一つは、これは官庁でも民間でもでございまするが、昇給や賞与というようなものがあるわけなんですが、この昇給や賞与の点は、どうなっているのか。この点、あなたのほうでは、一つの基準なり目標というものを持っておられると思うんですが、具体的に、この点ひとつ例をあげてお示しを願いたいと思います。
#136
○政府委員(小山雄二君) 給与の点は、さきほど全国平均で予算は二万円ということになっておるが、二万二千円になると申しましたが、都市のほうは二万四千円くらいになっております、平均が。そういうことで、都市のほうは高くなって、郡部のほうは、むしろ基準より少ないものもあると思いますが、そういうことで、その差額は商工会議所なり――主として商工会議所の場合が多いわけですが――商工会が自分で負担してもらう。補助の基準としては、これだけ助補しますということにいたしておるわけでございます。
 それから昇給、賞与等は、賞与は予算の積算に入れておりますが、昇給等は、市町村の吏員に準じて昇給制度をつくれといろいろ指導をいたしておるわけであります。
 それから、そういうことで結局、財源その他がショートする分は、商工会のほうで自分の経費で負担してくれ、こういうことにしておるわけであります。
#137
○近藤信一君 それから身分保障についてでございますが、昨年衆議院では付帯決議として身分保障の問題が取り扱われておるんです。やはり身分保障ということをまず考えなければ、今回の機械工業輸出検査員のああいうようないまわしい問題が起こってくる。あのときにも、新聞はやはり身分保障を考えなきゃならんじゃないか、こういうことが盛んにとり上げられておるわけなんです。そういう点から考えましても、私は身分が安定しない、そうすると、十分に普及員も働くことができない。時に誘惑に頂けて悪いことをするというふうなことも起こってくるんです。身分保障について、政府はどんな指導を行なっていくお考えでおられますか、この点いかがですか。
#138
○政府委員(小山雄二君) この身分保障の問題は、なかなか直接的なきめ手というものは、実は非常にむずかしいと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、補助をするためには、一般でそうあるべきと同程度に退職の問題、それから給与の問題、昇給その他の問題、退職金の問題その他を、ちゃんと規定を設けてやれと、そうしなきゃ補助はいたしませんぞということで指導しておるわけであります。一番問題は、商工会の普及員でありますから、採用それから退職ということを、かりに一方的にやるというような点につきまして、そういうことがありますと、普及員の腰も落ち着かぬわけでありますが、そういう点は、なかなかきめ手はないのでありますけれども、普及員を、前のをやめさせてかえるというような場合には、通産局長に相談をするというようなことをチェックを設けまして、今申しましたように部内の規定のみならず、そういうチェックも加えまして、一方的にそういうことのないように、普及員が安心して働けるようにという配慮をいたして、そういう方面に、実情に応じまして、なおきめ手がありますれば、逐次そういう方向で指導をして参りたいと考えております。
#139
○近藤信一君 待遇の問題につきましては、普及員の場合だけに限らないと私は思うのです。商工会には、普及員以外に職員もおりますし、商工会以外に中小企業には、いろいろな団体がございます。商工組合、協同組合や、それから信用保証協会、会議所などがありまして、こういう団体が中小企業には特に必要なのでございます。中小企業は、自分だけで何か仕事をするということが非常にむずかしい、共同で仕事をしなければならぬことが多いのです。そこで団体が、中小企業の一つ一つにかわって勉強したり、使い走りをしたり、また指導したり、連絡したり、こういうことを多くやらなければならないのでございまして、そういう団体の職員が有能で、気持よく働くかどうかということが、中小企業の私は盛衰に非常に大きな関係があると思うのであります。団体の職員が非常に安い給料で、身分が不安定だ、こういう場合に、ほんとうに努力して働けるかどうか、社会保険も利用できないという状態では、中小企業の振興ということは政府がいつも、これを口に唱えられる点でございまするけれども、中小企業の振興政策というものは、こういう点から私は非常にむずかしいと思うのです。特に農業では、農林漁業団体職員共済組合法という法律がございまして、農林漁業団体の職員の社会保障、また福利厚生、こういうものが考えられているわけなんです。商工団体には、そういうものが、今日できたという話も私は聞いたこともなければ、また作ろうという話もまだ聞いたこともございません。こういう点について、政府はもっと商工団体の職員、ことに中小企業団体の職員について、こうした社会保険制度の問題、社会保障の問題、こういうことを私は、政府がほんとうに中小企業の振興ということをはかられるならば、まず職員の待遇問題等十分考えてかからなければ、末梢的な問題だけでは、私は今日の中小企業というものは、振興が非常にむずかしい、かように考えるわけでございますが、この点、私は大臣から御所見を伺いたいと思うのであります。
#140
○国務大臣(椎名悦三郎君) 農林団体の職員の身分保障と申しますか、一種の共済制度というものが、数年前にでき上がっていることを今思い出したのでありまして、まだ商工会議所の職員の、これに類した組織もまだできておりません。いずれは、そういう共済制度というものは必要であろうと思いますが、これに関しては、厚生省あたりではまた別個の考えをもって、すべて国家の施設に全部総合するように今考えておるのでありますけれども、何か商工会議所あるいは商工会、これを一まとめにして考えると、かなり人数も相当の数に上りますから、何か一つ考えたい、かように考えております。
 お説の通り身分あるいは身分保障、その他離職の際の保障というようなものがないのに、ただ一生懸命働けということは、これは無理でございます。足元を十分にかためて、安心して職場に精進し得るような組織に、これはどうしても考えなければならぬ、十分にこれは御趣旨に沿うて考究していきたいと考えます。
#141
○近藤信一君 政府におきましても、また自民党においても、中小企業基本法というようなものが考えられているようでございますが、そうしていずれこれも、中小企業庁を独立さして、一つの省にしようというふうなことも、考えらられておるようなことが新聞に報道されておりました。そういう点からいけば、私は当然この中小企業関係についての、特に職員の問題については、私は十分配想がされてしかるべきだと思うのです。
 そこでやはり今私が二、三あげました団体のほかに、中小企業のいわゆる半官的な団体というものが相当あるわけなんです。これの職員も、膨大な数に上るわけで、今日それが、いろいろな身分保障の問題について、考えられていないということは、私が先ほど指摘いたしましたように、なかなか安心して働けない、そこで将来は何かそういうふうなことも考えていきたい、また厚生省でも、こんなようなことを考えているのじゃないか、こういうことでございますけれども、私はやはり中小企業振興という建前からいくならば、独自な立場で、そういう問題をまず取り上げてしかるべきだと私は思う。これは政府も大臣も、いろいろとその点は考えておられるのでございましょうけれども、実際に、これを具体化していくということになりますれば、今の大臣の見通しからいって、次の国会か、または通常国会くらいに、そういうふうなものをあなたの方で考えて、国会に提案されるというお気持があるかないか。この点いかがですか。
#142
○国務大臣(椎名悦三郎君) 農林関係の職員の共済制度は、大体三十万を対象にして現在あるのであります。関係の方は、組合をも加えてみますというと、十五万ないし二十万くらいに上る。大体の推算で申しますと、それくらいになる。相当に成り立ち得る数ではないかと考えておりますが、まだわれわれが予想しない困難な問題も、あるいは伏在しておるかもしれません。できるだけやすみやかに成案を得まして、国会に提案するようにいたしたいと考えます。
#143
○近藤信一君 ずっと前にも、これは中田委員から御指摘がございましたが、それはこの借入金の利息の問題であったのですが、それは農林漁業関係と中小企業とは、歩率においてだいぶ違うのじゃないか、こういう御意見があったわけです。
 それでいろいろな点を比較しますと、今の問題を比較いたしましても、農林漁業におきましては、すでにこれができて、職員も安心して働いている。にもかかわらず、中小企業の団体の職員は、今日なお不安定な立場に置かれておる。そういう点で私はやはり、同じ国が、こっちをやって、こっちをやらないという、そういう差別的なことでなくして、やはりお互いに職員のそういう身分というふうなことは、まずもって同じように考えてやってもらわなければ困る。かような点で私は、今、大臣に御所見を求めたわけでございます。大臣は、できるだけすみやかにこの点を検討したい、こういう御答弁でございまするから、この点私は、大臣に大きな期待を持っておるわけでございますが、やはり私はこの問題を、まず可及的すみやかに実施できるように御要望を申し上げておきます。
 それから三十六年度の予算で、連合会に対する補助は約二千三百万円計上しているとのことですが、その中身は、提出された資料では、都道府県連合会に対して二千六十万円、それから全国連合会に対しましては二百三十五万円、合計で二千二百九十五万円ということでありますが、これは主として指導員、または設置費ということでございますが、その給与は、どのくらいで、何人くらい配置するおつもりですか。
 それから都道府県連合会と、全国連合会の組織――その人的組織は、どんなものを現在お考えになっておられるのか。現在、すでにできておる連合会をみますると、これは役員ばかりで、職員の数が至って少ないのでございます。また、会長が一人というのは、これは当然でございますが、副会長の点については、ほとんど二人以上で、多いところは五人もいる。そうして専務理事も常務理事もいない連合会が十七もありますが、それでは、ただ連合会があるというだけで、ほんとうに仕事ということになりますると、何もできないじゃないか、私はそのように思うのですが、政府は、この連合会をどのように指導していかれるお考えでござ
 いますか。この点お尋ねいたします。
#144
○政府委員(小山雄二君) 都道府県連合会に対する運営指導員の補助、人件費は、予算の積算上二万七千円でございます。それから全国商工会連合会の運営指導員の補助は、予算の積算上三万円でございます。これを、都道府県には二人ずつ運営指導員を補助して、全国の方は八人運営指導員を補助しておる、こういうことでございます。
 それから商工会連合会ができましたときの人的組織の問題でございますが、役員といたしましては、現在あります任意の連合会は種々雑多でございまして、御指摘のような点も多々あるわけでありますが、今度できます、法制化いたしますものは、会長一人、副会長五人以内、理事二十人以内、監事三人以内、こういうことにいたしております。それから、事務局といいますか、事務職員の方は、これは法律的には何もきめておりませんが、今申しました二名ずつの運営指導員補助を中心といたしまして、これは連合会を指呼いたしまして、仕事が十分できるように、なるべく多く置いてもらいたいわけでありますが、現在、大体任意の連合会で、平均して六人程度になっておりますが、これは場所、場所の事情にもよりましょうけれども、なるべくたくさん置けるように、これは運営指導員の補助職員以外は自分の経費でやってもらわなければいかんわけでございますが、なるべく充実した事務体制がとれように指導して参りたい、こう考えております。
#145
○近藤信一君 この法律案の役員の方を見ますると、今、御説明がございましたように、副会長五人以内ということになっておるわけなんです。それから理事は二十人、全国連合会にあっては十人、この中には監事はあるけれども、専務、常務というものはないわけなんです。私は副会長五人も置くということになれば、当然専務理事というふうなものが置かれてしかるべきじゃないかと思うのです。副会長五人は、なぜ五人も置いたのだと、こう私が聞きますと、いろいろな商工会のバランスの上からみても、五人ぐらい必要なところがある、こういうふうなことでございますが、やはり私はこの場合、専務、常務といったようなものがいなければ、運営上非常に困る点があるのじゃないかと思うのですが、この点専務、常務が、この法律案の中に規定されていないというのは、どういう経過で、そういうことになっているのか。監意を三人以内置くことができるから、それで間に合うのだというお考えなのであるのか、その点いかがですか。
#146
○政府委員(小山雄二君) 商工会全部できますと、おそらく二千六百ぐらいになると思いますが、一県平均で五十ばかりになるわけであります。まあ個個の商工会と違いまして、多数の、そういう団体が集まった連合組織でありますので、何といいますか、地域的な、いろいろな関係を調整するために、ある程度――もちろん会長は一人でありますが、副会長という人は、最高五人程度は置けるようにして、その調整といいますかをはかっていくということが必要ではあるまいかと考えられたわけであります。
 なお、この役員の中で、事実上中心になって日常仕事に当たってもらうという意味で、専務理事というものは法律の役員の条文には書いてございませんけれども、事実上一人を専任的に世話してもらうという意味で、これを置くことを指導して参りたい、こう考えます。
#147
○近藤信一君 専務、常務はいなくてもできるというふうなことを言っておられまするけれども、「会長一人、副会長五人以内、理事二十人以内及び監事三人以内」、一体この中で、どの人が専従で日常業務に携わっていくか。そういう専従はいなくてもやっていけるのだ、こういうことであるのか。もし専従が必要であるというならば、何ゆえに専従の規定がどこにもないのか。そういう点、若干私は不可解でないかと思うのですが、この点いかがですか。
#148
○政府委員(小山雄二君) 専務理事あるいは常務理事というような規定は、たとえば日本商工会議所みたいなところは書いてあるのでございますが、たとえば中小企業団体中央会あたりには書いていない。何といいますか、ことに府県あたりの連合体あたりでは、一律にそういうものを置くというような規定はあまり置かないで、ただ理事のうち一定人数を限って、員外から理事を出せるという規定を設けておりまして、その員外から、会員外から出る理事の人が給与をもらって、実質上そこで専任で働く、こういうことに大体なって、これは定款で置くことになっていて、法律上はまつ正面から会長、副会長、専務理事という書き方をしないのが普通でございまして、立法例として、それにならいまして、事実上は定款で書いて、一人は必ず、そういう人を置くように指導して参りたい、こういうことでございます。
#149
○近藤信一君 それから第五十五条の十七の第二項、「都道府県連合会の役員は、その会員たる商工会の会員でなければならない。ただし、理事は、都道府県連合会の運営上特に必要がある場合には、その定数の五分の一以内に限り、その会員たる商工会の会員であることを要しない。」、こう第二項の方にはあるわけです。そうすると、商工会の会員でない者が都道府県連合会の場合には五分の一というと四名ですか、四名までは、商工会の会員でなくても理事になれるということになるわけなんです。
 この点私は、商工会連合会を作る上において、商工会の会員でない者が、二十人のうち四名も入るということには、若干組織上からいっても、おかしいのでないかと思うのですが、この点はいかがですか。
#150
○政府委員(小山雄二君) 政府提出の原案では、今お読みのようなことになっておりまして、その考え方は、まあ多少単位の商工会より連合会だから、高度の指導業務といいますか、多少指導業務の程度も高い、あるいは対外的ないろいろな関係が多かろうというようなことで、最高二十人の五分の一で四人ということにしておったわけでありますが、今、近藤先生の御意見のような御意見が出まして、衆議院で実は修正を受けまして十分の一以内ということになったわけであります。従いまして、最高二人は会員であることを要しない、こういうことに修正されたわけであります。
#151
○近藤信一君 修正案を、今もらったのでわかりませんので、質問したのですが、そういたしますると、修正案で十分の一ということになっております。そこで会員でないものが、たとえ十分の一でも入るということは、私は不可解だと思うのであります。会員で、商工会で連合会というものが組織されるわけなんです。会員でない者が、十分の一、二人入るということは、この裏を返せば、何かそこに考えられておるのじゃないか。たとえば役人の古手とか、また都道府県におけるところの県会議員の落選者とか、そういうことが裏に考えられて、この商工会会員以外でも差しつかえない、こういうことに私はなっているのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
#152
○政府委員(小山雄二君) 先ほどお話もありまして、専務理事とか、常務理事とかいうような人、要するに会員の人は、まあ大体自分の仕事を持っておられるわけでありまするので、毎日そこで仕事をしてもらう、直接指導してもらう、総会あるいは理事会のいろいろなきまった方針のもとで、毎日仕事をやってもらう人、これはなかなか会員に期待することは無理な場合があるということで、今のお話の会員でない者から選ばれる理事というものは、そういう立場で働いてもらおう、こういうことでありまして、多くの場合は、これは一人で済むと思います。一人で済むと思いますが、場合によっては、二人いなければならぬということで、十分の一とされたわけであります。本来ならば、会員ばかりで理事者が構成されるということが理想でありましょうが、そういう方々の、理事会あたりの意見によって、その意を受けて日常の仕事に当たってもらうということが、どうしてもこういう会の仕事上は必要である、単位の商工会も、これと同じで、理事に十分の一を限って員外から当ててもいいということになっております。
#153
○近藤信一君 その会員の人で、おおむねはそれぞれ事業をやっておられるから、仕事を専従するということは非常にむずかしい、よって、そういう人でない人が十分の一入って専従する、こういうことは、私は理解できるわけでございますが、そうすると、やはり私が今指摘したように、その専従でき得る条件ということになると、やはり役人の古手か県会議員の落選者か、こういうことが、どうしてもこれは予想されるわけなんです。そういうことで、私はせっかくこの発足しようとする連合会の組織の役職員という問題については了解しかねる点があるのであります。
 その点、あなたの方は、じゃあこれは、一体連合会の役職員は、これは連合会で選出するわけでございますが、その場合に、連合会で適当な人がないというときに、やはり県庁などに相談して、二人までは会員以外から選ぶということにもなってくると思うのです。こういう点、あなたの方は、そういうことをお考えになったことはないのですか、そういう弊害があるというふうにお考えになったことはないのでございましょうか。
#154
○政府委員(小山雄二君) そこは要するに、連合会は会員で構成して、理事者も会員から全部出す、これは建前としても当然であるし、理想でありますが、どうしてもそういう会になりますと、そういう意思決定あるいは執行機関の中の一人が、事務当局に任せないで、その中の一人が、きまった方針で日常仕事をするということが、どうしても必要になりますので、そういう立場の人のポストを考えるという趣旨であります。実際今任意の連合会等いろいろたくさんありますが、これはいろいろな人がございまして、御指摘のように、もと役人をやっておったというような人ももちろんおりますが、中にはこれは非常に、ことに任意の連合会等、非常に熱意をもって熱心にやらなければいかぬということで、自分は仕事をしながら、だんだん仕事は弟にやらしたりなんかして、自分は商工会の指導に専心しているというような人も実はいるわけで、そういう人も、そういう事情が許せば出てきて、一つそういう専務あるいは常務として指導にあたってもらいたいということを考えておるわけでございまして、その場合場合、いろいろあろうかと思いますが、特にこういう趣旨を設けましたのは、そういうものをもらってこようという意味で設けたわけでは決してないのでありまして、一番役にはまった人を出していけるという、要は、その人に働いてもらう、よく指導してもらう、こういう趣旨で、これを設けたわけであります。
#155
○近藤信一君 私は、まだ納得しませんけれども、時間の都合もございますので、次に移りまするけれども、やはり当然、これは役員は私は無償じゃない、有給だと思うのです。そういう点から考えましても、慎重にこういう問題はやっていただかなければならないと私は思うのです。なるべく会員以外の役員ということは、あまり好ましくない、かように私は思いますから、この点は一つ、十分今後の指導に留意されていただきたいと思います。
 商工会全国連合会の事業といたしまして、「技術又は技能の検定」が落してあること、これは第五十五条八の第二項にあるわけです。ただし、これは実際には、全国連合会も、第四号によって実施できることは明らかになっておりますが、それならば、むしろ最初からこれを全国連合会も実施できるように明記した方がよいと思うのであります。
 何ゆえにこんな書き方をされたのか、その理由をここでも明らかにしてほしいのであります。
#156
○政府委員(小山雄二君) 都道府県の連合会には「商工業に関する技術又は技能の普及又は検定を行なうこと。」と書いてありまして、全国連合会の方には「都道府県連合会の組織又は事業について指導又は連絡を行なうこと。」という一般的規定がありますので、その規定によって、都道府県連合会のやる、そういう検定事業等を連絡しながら指導して参るということ、場合によっては全国連合会が四号で、みずからやる、「全国連合会の目的を達成するために必要な事業を行なうこと。」という条項でやる、こういうことに解釈しておるわけであります。
 これは実は、商工会議所法もこういうことになっておりまして、単位の商工会議所が、「技能の普及又は検定を行うこと。」日本商工会議所の方は、その指導または連絡を行なうと、こういうことになっておりまして、実際問題としては、主体は第一線の都道府県の連合会が当たり、全国連合会は、それをそのおぜん立てをし、あるいはそれを実行する上に、いろいろ指導するという形でやるのが一番実情に即しているのじゃないかということで、書き方といたしましては、多少御指摘のような点もありますけれども、商工会議所の方の例にならいまして、こういう規定の仕方をいたしたわけであります。
#157
○近藤信一君 このような連合会の事業については、会議所の方ともよく連絡し、場合によっては共催で行なうこともよいと思いますが、両方でも実施することになると、その間にいざこざが起こる心配が多いのであります。政府は、どのように調整、指導するおつもりですか、この点お尋ねいたします。
#158
○政府委員(小山雄二君) 技術または技能の検定といいますると、いろいろあるわけでありますが、従来は商工会議所が日本商工会議所の指導のもとに、あるいは日本商工会議所と共催のもとに、各商工会議所が、いろいろ珠算だとか、計算尺とかその他いろいろなものの、こういう検定事業をやっておるわけでありますが、今回商工会の都道府県並びに全国連合会を作りました場合にも、それと同じような仕事をやると、こう規定したわけでありまして、もちろん両者がうまく連絡を緊密にしてやりませんことには、無駄も多いし、またその仕事の内容も、権威あるものにならぬという点もありますので、大体、私どもの考えとしては、都市部で商工会議所のあるところ、その近辺は商工会議所でやる、郡部の方では、そういう検定の仕事の利用がうまくできないという場合も相当ありますので、そこら辺は商工会議所でやる、やることの中身は、必要に応じましていろいろ連絡をしてやっていくということで、あまりいざこざが起こらぬように指導して参りたい、こういうことでございます。具体的な個々の検定等の仕事について、どうやるかということは、今一々まだ相談をしておりませんけれども、大体、そういう考え方で、いろいろ両者の調整をはかって参りたいと思います。
#159
○近藤信一君 次に、商工会議所との関係についてお尋ねいたしますが、商工会だけが、経営改善、指導をしていくというのではなくして、商工会議所も同様のことをしております。これは私どもといたしましては会議所、ことに六大都市の会議所は、小規模事業の指導など熱心にやるはずがないと思って、六大都市には重複してもよいから、会議所とは別に商工会を設立させるべきだと考えていたのであります。この考えは、会議所でどのくらい熱心に小規模事業の指導をやるか拝見してみようということになっておりますが、過去一年の実績は、はたしてどうなっているか、小規模事業指導の実情について、ほんとうに六大都市等におきましても、商工会議所が力を入れてやってきているのかどうか、こういうことは、中小企業庁の長官であるあなたが最も精通しておると私は思うのであります。こういう商工会議所の中小企業の経営指導に対するところの実情というふうなものをあなたが把握しておられると思うのです。その点いかがですか。
#160
○政府委員(小山雄二君) 現行法ができます際に、お話のような御議論がありまして、商工会議所は、小規模事業対策をやるに不適格者だ、こういうことを構成からいっても、従来の何からいっても、こんな御議論があったわけでありますが、私どもは従来とも商工会議所が、そういうことを私どもの指導のもとにある程度やっておりますし、今回は、商工会と同じように改善普及員制度というものを同じく作って、一つ腰を据えてやってもらわないといかぬということ、また一方地域を商工会と商工会議所を交錯させますと、またいろいろの点で摩擦、混乱が起こるということから、現行法のような原則で貫ぬいて参っておるわけであります。
 今お話のように、それならばこそ、なおそういうところで、その仕事を十分に的確に熱意をもってやってもらわなければいかぬわけであります。この点につきましては、法律制定の当時のいろいろの機運もありまして、商工会議所と私どもの方と、いろいろたびたび連絡会議をもちまして、具体的に申しますと、区ごとに支部あるいは支所というようなものを置きまして、それから従来ありますいわゆる中小企業の工場協会とか、市街地の商店街連盟だとか、いろいろそういういわゆる中小企業者の、それぞれの都市の中の部分的な、こういう組織があるわけでありまして、そういうところと、よく連絡して、そういうところの人を使い、そういうところの意見も入れて打ち合わせた上で、改善普及員を動かしていくというようなことが考え方の中心でありますが、そういうことのできましたところから、実は補助金をつけて参りまして、これもざっくばらんに言いますと、その当時に議論がありましたときには、われわれも、はたしてうまくいくかどうかということをある程度危惧しないでもなかったわけでありますが、そういう仕組みによりまして、関係の団体を小規模事業の指導の面で一緒にして、だき込んでやるという考えが大体できて参っておりますので、今後改善普及員その他のものがなれるに従って、効果もだんだん着実に地についてやっていけるのではないかと、こう考えております。各会議所でも、当時の議論で、会議所に対するそういう批判といいますか、見方があるということが相当こたえたといいますか、そういうことからいたしまして、会議所自体、非常に首脳部としましても、中小企業の方面の指導については、従来からみると、一段と熱を入れてきていると、私は存じているわけであります。
#161
○近藤信一君 特に大都市の商工会議所の中には、やはり中小企業部門というものは設けられていることは事実であるが、しかし、これはおざなりのことであって、実際商工会議所の運営については、大企業者が中心となって、商工会議所の運営というものはなされているんです。会議所の会議員をみましても、言いわけ的な会議員の選出が中小企業からなされている。常に商工会議所の中で、この大企業の会議員と中小企業との会議員との対立点というものが見られるわけなんです。そういう点から考えましても、小規模事業対策というものは、私はほんとうに商工会議所が、これをやるというふうには考えられないのであります。そこでやはりこの商工会議所は小規模事業対策というものができない。こういう点で私どもは、商工会議所の所在するところにも商工会の組織をさすべきだ、こういうことで、この法案が提案されたときに、私どもも御意見を申し上げたわけなんです。それが実際一年後の今日、やはり依然として中小企業対策というものは、実際商工会議所においては、私はあまり進んでいない、こういうふうに見受けるわけなんです。
 従って、あなたの方におきましても、政府においても、やはりもっと商工会議所の小規模事業対策というものの推進ということに重点を置いて、いろいろと働きかけなければならぬと思うんですが、その点いかがですか。
#162
○政府委員(小山雄二君) 数多い会社のことでありますから、なかなか不十分の点もあるかと思いますが、私は、大体において、そういう方に頭を向けていつも行っていたと思います。なお今後、そういう趣旨におきまして、会議所は指導をやっておりますが、役所内部でも、この仕事に関する限りは、私どもの方に人をもらいまして、一本でやっておりまして、会議所の方も、だいぶんそういうことに頭を向けてきたと考えておりますが、今後も、なお一そう、そういう方向で指導いたしたいと思っております。
#163
○椿繁夫君 ちょっと、今中小企業庁長官の話を聞いておるというと、商工会議所の零細企業に対する指導が、やや行き届いておるかのごとき考えは甘いと思います。本法審議の際に申し上げましたが、現在の商工会議所は、おおむねこの大きな企業家の集団であって、本法がねらいとする零細な業者の指導、特に技術指導とか経理の指導とかというふうなことというのはなされていないから、この商工会議所のある地域で、商工会に変わる組織を持つ場合には、普及員ですか、――これは指導員というのかな――普及員の選定にあたっては、当該地域の工業会であるとか、商店会連盟であるとかいうようなところに、たくさんの専従者がおるわけだから、そういう人たちの中で、適任者を推薦させて、そうして商工会議所の会頭が、これを指名をするという形にされませんと、実情に即した指導は困難ですからということを、すっぱくなるほど申し上げたのであります。
 ところが、今の長官の御説明を聞きますと、その審議の過程に出た論議を参考にして、普及員の選定を行なう、条件の備わったところから、補助金を出しておるかのごとく御説明されるのでありますけれども、そうではありません。これは、全部そうだとは言いません。そういうところもあるでしょうが、私の承知しておりまするところでは、商工会とか商店会連盟には、何らの意見を商工会議所は聴取されず、これこれの人をあなたの方へ配置することにしたから、事務所を適当なところを一つ作ってやってくれと、監督もあなたの方へ頼むと、こういうことで、今日の普及員が多く大都市においては任命されてきたように思います。大体、本法の審議の際に出た意見を尊重して運用に当たっておる、条件の備わったところから、補助金を出しておると、こう言われるから、実情は、そのようにはなっていませんぞということを私は申し上げたい。どういうところの報告を聴取されて、そのようにお考えになっておりますか。
#164
○政府委員(小山雄二君) 従来、現行法ができます前、相当の年月にわたりまして相談所の補助をやっております。これは法律にない任意の予算だけであります。そういうところにいた人は、だいぶ改善普及員を引きついでおりますから、そういう人は、何といいますか、従来待っとって相談に乗っていたわけです。そういう人は、そのまま普及員に乗り移る大体有資格者でありますから移っておりまして、それを各地に配置するわけです。
 そういう面はあろうかと思いますが、新しく採用する普及員等につきましては、今お話の、地元の団体等と相談して任命しておるはずでございます。
#165
○椿繁夫君 相談をしているところもあるかもわかりませんが、相談しておるところは私は承知しないで、逆のことを承知しておるのです。商工会議所から何の太郎兵衛と何の太郎兵衛を、あなたの方の普及員に指名をいたしました、この事務所は、一つあなたの方の事務所――工業会ですか、あなたの事務所の一室を一つ貸してもらいたい、それからどういうことをやるか、どういうふうに電車が走っておるかというようなことは、一つあなたの方で指導してもらいたい、こういうことで配置されているところが、大都市におきましては多いのであります。そこで、ははんこれは立法の際いろいろ御注意申し上げたけれども、その点が一つも尊重されていないなと、こう思って、実はいまだにその成果が上がらないことを遺憾に思いながら、これを見守っておるのです。
 一体どこが、そういう報告をしておるんでしょうか、通産局ですか、それとも商工会議所ですか、府県知事ですか、そういう報告をあなたの方が、大体法の趣旨に沿って普及員の選定を行なっておる、こうこの委員会に報告される根拠は、一体、どの報告に基づいて、そういう報告をされますか、府県知事ですか、通産局長ですか、それとも商工会議所の会頭からですか。
#166
○政府委員(小山雄二君) 府県知事が、場合によっては通産局を通じて、そこから来るものだと思います。
#167
○椿繁夫君 残念ながら、そういうふうにはなっておりませんので、これはまだ一年経過した程度でありますから、自分の管轄区域内での地理をまだ覚えていないだろうと思います、大都市の普及員の大部分の人は。ですから、そのうち地理も覚え、工場あるいは事業場、あるいは商店等の所在地がわかってくれば、間に合うようになるかもわかりませんけれども、残念ながらこれまでのところ、その地域の工業会、あるいはその商店会、業種別の協同組合等の意見というものは聞かれておりませんよ。これを急速に改められる御意思ありますか。
#168
○政府委員(小山雄二君) まあ多い中ですから、そう一々相談をして話があったところへというふうにいっていない場合もあるかもしれませんが、大体大筋としては、相談しながら、人選とか事業活動その他は、相談しながらやる、御議論がありますような趣旨で指導して参ったわけでありますが、その通りに、あるいはいっていないところがあるかもしれませんが、それらの点は、衆議院で付帯決議もつけられておるわけでありますので、もちろんその趣旨にのっとりまして、着実に、そういう実効が上がるような配慮はして参りたいと考えます。
 なお、御指摘のようなところ、どこでどういうふうなということは私にはわかりませんが、なお六大都市等の実情も調べまして、そういう趣旨に沿わぬ点は改めさせていきたいという考えでおります。
#169
○椿繁夫君 そういう、私が申し上げますような天下り的人事になっておりますために、本法のどこかに書いておりますように、特殊な政党の選挙の際の第一線の活動を受け持つような役割をするのではないか、こういう疑いを持たれることになるわけであります。そこで、衆議院では付帯決議もつき、本院におきましても、審議の際に、十分法の対象である零細企業の実情を理解しておる人を、地域的な事情もよく理解しておるような人を、各種団体の総合的な相談の結果、推薦される人を、商工会議所の会頭は普及員として指名をする、推薦は下から行なうのであるけれども、身分関係を明らかにするために、会議所の会頭か、これを指名する、こういうふうに、この本法審議の際には、十分申し上げたと思うのですけれども、私の聞いておりますところでは、それがございません。
 そこでそういうことがないまま任命をされておるような場合には、当該地域の団体の意向を聞いて、人の入れかえ等をやる御意思はございますか。
#170
○政府委員(小山雄二君) すでに任命されて働いておる人のことでありますから、なかなか一がいには申されませんが、その人について、その人の指導、仕事のやり方について、いろいろ地元の方で不満がある。不適当だということがありますれば、それはよく相談して、そういう措置はしてもらわなければいかぬかと思いますが、初めの任命のときには、御存じのように、ちょうど現行法が通ります国会の論議が、そのままわれわれも心配し、会議所関係団体もたびたび集めまして、東京を例にしてやったわけですが、東京あたりでは、こういうふうにやりますということを、両方で書きものにして、話し合ってやったわけですから、大体初めのやり方は、それでずっときているように報告も聞いておりますので、先ほど申し上げたわけであります。中には、そういう趣旨が徹底してない面がありまして、その人が、あるいは不適当だということがありますれば、それはすぐ考えなければいかぬことだと思います。
#171
○椿繁夫君 東京で商工会の、二月末現在で結成されておるもの三つ。大阪で二つしか商工会が組織されておりません。このことは、商工会議所の本法の趣旨に沿った活動に期待するところ大きいものがあることを示しております。しかるに、そういう大都市において、地域の零細な商売人、工業者等の指導を行なう普及興が、しかも国費の補助を受けておる普及員が地域の事情にも通ぜず、地域団体の意向も聞かない、天下り的に会議所会頭において指名されるような人事が、現に行なわれておる。こういうことは、本法の趣旨が生かされていないことを語るものでありますから、この衆議院の付帯決議、本院の審議の経過等にかんがみまして、この地域団体の意向を、十分私はくみ入れた人事をやらなければ、この目的を達成することができないと思います。
 ですから、この地域団体の意見を十分に入れて、そうして批判があるならば、その人事の刷新、入れかえ等も断行する。そうしてこの法の目的達成のために尽瘁せられる、こういうふうに、当局の方針を明確にされる必要が私はあると思います。重ねて大臣の所見を伺います。
#172
○国務大臣(椎名悦三郎君) 区域はどこであろうと、とにかくこの商工会の本来の趣旨に沿わないような人選は、極力絶対に、これは排撃すべきものであると考えます。まだ何分にも、早々の際でございますから、十分にすべての点がうまくいっているとは私は考えませんし、また考えることも無理な場合も、私はあると思うのであります。しかしあまりにその趣旨の、出発早々の際に、この商工会の門出をけがすような人事がありますれば、これはもう断固として対処しなければならないと思います。
#173
○近藤信一君 商工会連合会が、商工会の指導連絡に当たるように、日本商工会議所は、商工会議所の連絡指導に当たるわけであります。ところが、会議所の場合には、都道府県連合会のようなものが法制化されていないのであります。しかし現実には、都道府県に、会議所の連合会のようなものは、存在しているというところもあるというふうに聞いているわけです。ことに小規模事業対策につきましては、都道府県内の会議所と連絡する必要があるのでございまして、この種の会議所の連合会の必要は、多くなってくると思います。この会議所の連合会の実情は、今日どのようになっているのか、この点をお伺いします。
#174
○政府委員(小山雄二君) 会議所の連合会は法制化されておりません。ただ事実上、そういう連合会を作っているところはございますが、その実態は、何といいますか、特別に事務的な組織を持たずに、その地元の会議所が世話しているというようなことでありまして、しいていいますと、何といいますか、懇親的な集まりのものが多いといいますか、会議所は、数も少のうございますので、商工会のように府県の連合会を法制化して、府県単位に締めくくるということは、まずまず必要がないと思います。
 ただ、小規模事業者対策と似たような仕事をやります関係上、商工会の連合会、中小企業団体中央会と商工会議所との連絡は、都道府県単位に緊密にやらせて参りたいと考えております。
#175
○近藤信一君 商工会議所の連合会というようなものは、今日幾つぐらいございますか。
#176
○政府委員(小山雄二君) 四十一府県で、会議所連合会という名前のものができております。そのうち十四は社団法人、あとは任意団体でございます。
#177
○近藤信一君 都道府県で、連合会の、ようなものが、十四ですかございまして、そうしてこれが日本商工会議所という一つの連合体みたいなものになっているわけなんですが、日本商工会議所と、地方の各都市における商工会議所の関係は、どうなるのですか。
#178
○政府委員(小山雄二君) 現在商工会議所が四百四十ございますので、これが、直接日本商工会議所を組織しております。都道府県の商工会議所連合会というのは、構成的にも、あるいは経費その他の分担の関係でも、日本商工会議所とは全然連絡はございません。
#179
○近藤信一君 会議所の連合会が現実に行なっていることは、商工会の連合会とはほぼ同様のことであるとするならば、二つの連合会が、それぞれ別個に小規模事業対策というものをやっていることになります。この二つの連合会を見ると、一方は自発的にやっておりまして、補助金もございません。他方は法制化されておりますので補助金があります。そういうことになると思うがいかがですか。
#180
○政府委員(小山雄二君) 第一線の小規模の事業者に対する指導の仕事というものは、都市部では商工会議所、その他のところでは商工会にやってもらうわけでございます。
 ただ商工会の方は、あるいは未組織のところに商工会を作る指導をやったり、また商工会がそういう仕事を、単位の商工会がやるためのいろいろな指導をやるために、効果的な指導連絡等をやるということが、商工会の数も多うございますし、また一々の商工会が、それだけ何といいますか、一つ一つでは力が弱いというような関係がありまして、連合体を法制化して、これにある程度補助をして、そこに置きます人は、運営指導員といって、商工会を指導する人を置く、こういう関係になっております。商工会議所の方は別系統でございますけれども、一つ一つが割に組織も大きいし、財政的な基礎も比較的確実だというようなことで、これは日本商工会議所を通じて、あるいは都道府県等から直接いろいろ仕事の連絡をすれば、都道府県単位で見ますと、数も少のうございますから、そういう指導――商工会議所が小規模事業対策をやってもらう意味の指導は、連合会がまとまらなくてもできるのではないだろうか、こういう考え方で進んでいるわけでございます。
#181
○近藤信一君 私は、そこが問題だと思うのです。会議所の場合は、今あなたのいわれましたように、資金面が比較的潤沢である、だからそれでよいのだ、だが商工会の方は、今発足の半ばにあり、金もないのだから、商工会議所の方には補助金は必要ない、商工会の方には、補助金を出す、そのかわりに、小規模事業対策という点になりますると、商工会はみずからの問題であり、熱の入れ方が違ってくると思うのです。商工会議所の方は、今あなたのいわれましたように、資金面で政府は何も見ないから、そんなに小規模対策だけに力を入れなくてもいいだろうというのは、今日の状態でなかろうかと私は思うのであります。それがいろいろと、先ほど来椿委員も指摘されておりまするように、商工会議所の小規模対策というものが、なかなかうまくいっていないという点でもあろうかと私は思うのです。
 そういたしますると、これはやはり商工会議所のある都市の小規模事業者の不幸になると私は思うのです。商工会議所の所在地の小規模事業者には、商工会の組織ができない、どうしても、これは商工会議所に頼らなければならぬ、その頼る商工会議所が熱の入れ方がない、こういうことになってくれば、ただ不幸な目に会うのは中小企業事業者であると私は思うのです。私は、そういう点が非常に心配になるのですが、この点についてのお考えはいかがなものですか。
#182
○政府委員(小山雄二君) 単位の商工会議所には、商工会と同じような改善普及員の仕事、人件費を中心とした補助をやっております。これで小規模事業対策をやってもらうわけであります。商工会議所の県単位の連合会は、実は任意のものも、それほどはっきりした組織ではないわけで、人的な組織等も持っておらないものが大部分でありまして、数も非常に少ないわけでありますから、その個々の商工会議所に対して、県でまとまった、連合会が何かをしてやる、特にいろいろ世話して指導してやる、それに補助金が要るかという点につきましては、私どもは必ずしもする必要はないだろう、こう考えているわけであります。
 直接の小規模事業対策には、両者同じように補助をいたしまして、同じように努力してもらう、こういう考え方をとっておるわけであります。
#183
○阿具根登君 いつも関連で質問しますが、商工会議所と商工会が非常に似たものであって、そして商工会議所のないところに商工会を作る、こういうことで、これに私は非常に疑問を持っておるのですが、この法案の中に、事業の中に、この商工会が、「国会、行政庁等に具申し、若しくは建議すること。」こうなっているわけですね、この種の法律に、そういうことが書いてあるものがあったら教えてもらいたい。
#184
○政府委員(小山雄二君) これは、中小企業等協同組合法というのがありまして、それに基づく組合が、都道府県別に集まった都道府県の中央会、それがまた全国に集まった全国の中央会というのがありますが、それにも、こういう規定がございます。商工会議所及びそれが集まって日本商工会議所、それにも、こういう規定があります。
#185
○阿具根登君 商工会議所に、そういうのがありますか、商工会議所が、国会に具申しあるいは建議するというのがありますか、私は法律を見て聞いているのですが、事業の中にないでしょう。
#186
○政府委員(小山雄二君) 商工会議所法の九条第一号、「商工会議所としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議する」……。
#187
○阿具根登君 ああ、ある、ある。そうすると、これがないところは、国会に具申することはできない、行政庁に具申することはできないということになりますか。
#188
○政府委員(小山雄二君) 具申することはできないことはないと思います。大体、こういう団体の事業の書き方は、事業の全部または一部を行なうものとするということで、おもな事業を書いてある、そのどれも、全部やる場合もあるし、一部でもいい場合もあるわけですが、大体、こういう団体の仕事としては、こういうふうに書くのが普通でございますが、書かないからといって、具申できないことはないと思います。
#189
○阿具根登君 国会に対して具申することができる、それでは具申と陳情と請願と、どういうふうにお考えになっておりますか。
 これはこういう法律でなくて、これは日本国民全部に、これは許されておる日本国民の全部の権利であると私は思うのですよ。だからその権利を明記しなければならないとするならば、ほかの人には、その権利はないとみなさなければならない、そうはならないのかな。
#190
○政府委員(小山雄二君) 書いてないからといって、そういうことができないことはないと思いますが、こういう団体の、要するに法人格を認めて団体の構成法を作るわけですから、その団体の仕事としては、こういう仕事もあるぞという意味で書くのだろうと思います。
#191
○阿具根登君 それじゃ陳情あるいは請願、具申、どういうふうに違うか一つ御説明願いたいと思うのです。
#192
○政府委員(小山雄二君) 請願というのは、請願法に基づく正規の請願ではないかと思います。陳情は普通の、そういう形をとらずに事情を述べてお願いする、こういうことだと思います。おそらく具申といたしました意味は、こういう団体として、独立の団体法を作る……。ちょっとはっきりした三つの区別は、法制局の意見も聞かなければいかぬかと思いますが、具申というのは、ちょっと普通の陳情よりは、何といいますか重みがあるといいますか、広いといいますか、そういう感じ……。
#193
○阿具根登君 請願は。
#194
○政府委員(小山雄二君) 請願というのは、請願法に基づく正式な手続であります。具申と陳情が、まあやや似ているのですが、陳情というのは、どっちかというと事情を述べて頼むというか、具申というのは意見を述べて、これを考えてもらうといいますか、広いといいますか、少し意見としての――そういう団体には、そういう仕事が、その団体としては特に重要だぞと、こういう意味で陳情と多少違うのじゃないか、こういう感じを持っております。区別をしいてつければ、そういうことになると思います。
#195
○阿具根登君 そうすると、われわれは請願とか陳情とかいうものは、いつも受け付けておりますが、具申というものを、私はまだ見たことがないが、どういうものですか。
#196
○政府委員(小山雄二君) いろいろ経済問題その他地方の商工業に関する状況について意見書とかあるいは具申という言葉を使って書いて、書面にするときは書いてあるのもございます。
#197
○阿具根登君 それは、そういうような解釈はできるかもしれないけれども、個人でも、あるいはその他の労働組合にしたところで、商工組合にしたところで、あらゆるところから陳情、請願は受けるわけなんです。こういうものに限って、どうして具申という言葉を使わなければいかぬかというのです。現在具申という言葉があるのかどうか。
#198
○政府委員(小山雄二君) どの法律が一番古いのか、ちょっとわかりません。似たような何では、商工会議所法あるいは中小企業等協同組合法等の用例をそのままここへ採用したわけでございます。具申という意味は、先ほど申しましたような意味ではあるまいか、陳情と違うのは、そういう意味であるということでございます。
#199
○阿具根登君 それで建議は。
#200
○政府委員(小山雄二君) 建議も、大体意味は同じ意味だと思いますが、ただこの条文は、実は単位商工会のときには入っていなかったわけです。商工会の数が大へん多いわけですから、商工会を法制化し、その仕事としては、こういう仕事があるぞという意味で書くのには、まあ連合会ぐらい書けばいいのじゃないかというのでやっておいたのですが、実は原案を衆議院で修正されまして、入れられたわけであります。そのときの用例は、ほかの例を見まして、それを入れたと、こういうことでございます。
#201
○阿具根登君 これは極端なことを聞きますと、国会に具申することができるということになっておりますが、国会で具申、建議――具申されたり建議されたりした場合は、国会は一体どうするか。請願法によって請願をする、これは今日までやられているわけなんです。そのほかに建議とか具申とか出てきた場合、一体国会は、どういうふうにそれを扱うのか、請願とまるっきり迷うのか、陳情とまるっきり違うのか、私はどうも、その点よくわからないのです。おそらく国会に具申されるとか建議されるというならば、私どもがそれをやはり見なければならないと思うのです。
 そこでこれは特殊な意味をっもて、請願とか陳情などよりも、もっと重く取り扱わなければいかぬということになってくれば、また、審議について異論があるわけです。われわれ一体、これはどういうことだか、よく私には理解できない。
#202
○政府委員(小山雄二君) 請願法等の特別に法律制度のあるものと比べますと、具申もしくは建議ということには、それに対応する措置――法律制度がないわけでございますから、そういう点では、陳情と同じということで、今までやってきているのではないかと思うのです。これはなお法制局なに、実は私も聞いてみまして……。
#203
○近藤信一君 私は大臣から一言お聞きしておきたいのですが、大臣は、よく地方に商工会議所等からも、いろいろな要請を受けて出かけることもあり、また中小企業関係からも要請されまして地方に行かれまして、いろいろと要請を受けられるわけなんです。そこで大臣が、一番中小企業関係について、よく御存じのことだと思いまするが、やはり私は中小企業事業関係については、先ほど来質問しておりまするように、商工会議所の中小企業事業対策というものは、ほんとうに熱を入れてやっておるというふうには私ども受け取れないわけなんです。
 そこで、この商工会の組織についてもいろいろと、商工会議所があるにもかかわらず、また商工会議所のないところに、こういう組織を考えていかなければならぬということになっておるわけなんです。そこで、実際に商工会議所が、将来中小事業対策に本腰を入れてやるには、大臣十分な配慮をして、そういう点については、商工会議所の人たちとよく御面接をされる大臣としては、こういうような問題については、商工会議所に対して、いろいろと要請される機会が私はあると思うのです。こういう点について、大臣の御所見を私はお伺いしたいのであります。
#204
○国務大臣(椎名悦三郎君) この商工会のできた動機等については、私もあまりよく詳しく研究したわけではございませんけれども、とにかく商工会議所の制度、構成の現状から見て、区域外の商工業者、ことに零細業者、それらの地域的な組織というものがない。同じ業界で組合を作るとかいうことは、それは許されますから、それをとる、とらぬは、任意でありますけれども、地域的な団体としては、やろうと思ってもやれない。そういうような点に着目して、自然発生的に商工会というものができ上がって、その地域の商工業全体のために、いろいろな施策もしてきておったわけでありますが、そういったようなことが全般的に普及して、そして零細商工業の技術あるいは経営の改善というものを、一つ団体の力でやらせたいというのが、そもそも立法の趣旨だと私は考えております。
 ところが、そういう同じような目的を持って、商工会議所というのがすでに都会地においては組織されておるわけであります。でありますから、そういう何と申しますか、まだとりこぼしのあるところについて商工会を設ける。商工会議所があるならばできる、しかし、何もないところでは、どうにもならぬというようなことで、その点を補うのが、この制度のねらいではなかったか、こういうふうに考えておるわけでございます。あるいは間違っておれば、これは是正を願いたいと思うのであります。
 そこで商工会議所が、一体今日の小規模事業者、あるいは零細商工業者というものに対して、何らの施策もやっておらぬという、そういう前提ではないと思うのです。もし商工会議所というものは、それとは関係のないものであるとすれば、商工会議所の区域いかんにかかわらず、商工会というものを別に考えなければならなかったはずですけれども、商工会議所は、ピンからキリまでと申しますか、すべて商工業に関する問題については、事の大小を問わず、商工会議所という機関が受け持って、そして一応やるのだという建前を認めた上で、商工会というものを補完的に考えたのではないか、こういうわけでございますから、現在のような構成になっておると思うのでありますが、しかし、今近藤さんが、商工会はもうほんとうに身近かな問題であるから、これはもう自分の仕事として、これは大いにやる。商工会議所は、どちらかといったら大きな連中が大体役職員を占めておるから、零細の方には冷淡であるという感じでお話があったと思うのでありますが、しかし、まあそういう点があるいはあるかもしれませんが、しかし商工会議所の仕事は、割合に自治的にやっておりますから、会議所によっては、いろいろやり方が違うという点も出て参りますが、ずいぶん商工業全般に関するいろいろな施設をやっておるように私は考えております。
 そして零細商工業者の技術、経営の指導等も、当然その商工会議所のこれは任務として、まあ大きく言えば、国から責任を課せられておるというふうに、私どもは考えておるのであります。ただ、それを忠実に実行しているかいないかというだけの問題である。でございますから、制度創立早々の際でございますから、しばらく一つ、その実績を見まして、そしてほんとうに、これは何というか、国の指導によって、是正することができれば、これは指導を大いにやるべきである。しかし指導をしても、性格上、これはどうしても、はしにも棒にもかからぬものだというようなことがはっきりしますれば、今度は制度的に、われわれは考え直さなければならぬのじゃないか、こう考えるわけです。
 とりあえず商工会議所そのものの守備範囲でございますから、でありまするから、重複して商工会を設けないことになっているんだから、お前の守備範囲は、こういうところまであるのにかかわらず、やっていないじゃないかということを、大いに一つしりをひっぱたいて、そして、そういう方面に鞭撻督励をするということに、われわれとしてはやっていきたい。こう考える次第でございます。
#205
○近藤信一君 最後に、私は御要望申し上げまして、私の質問を終わるわけでありますが、本法が成立いたしますれば、商工会連合会というものができ、さらに十何カ所におきまして商工会議所の連合会というものがございます。この二つの連合会は、性格が同じようなものでございまするから、少なくとも小規模事業対策については、同じような面を並行するわけなんです。この二つの連合会が、連絡がうまくいく場合には、私はうまく指導ができるが、ややもすると、この二つの連合会が対立するごときことが出てくるかもしれません。そうした場合には、やはり不幸を見るのは、中小規模の事業者であると私は思う。そういう点を十分お考えになって、政府はいろいろと対策について間違いのない指導をしていっていただきたい。それでなければ、私は本法改正の、連合会組織の点の意義がなくなってくると思うのであるが、そういう点、政府は十分に気をつけて指導対策に当たっていただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
#206
○委員長(剱木亨弘君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述へを願います。別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
 本案に、賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#207
○委員長(剱木亨弘君) 全会一致と認めます。
 よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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