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1960/03/02 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第9号
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1960/03/02 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第9号
昭和三十六年三月二日(木曜日)
  午前十時三十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉武 恵市君
   理事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委員
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           久保  等君
           小柳  勇君
           村尾 重雄君
  政府委員
   労働政務次官  柴田  栄君
   労働省労政局長 冨樫 総一君
   労働省職業安定
   局長      堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省医務局次
   長       黒木 利克君
   労働省労政局労
   働組合課長   辻  英雄君
   労働省職業安定
   局失業対策部長 松永 正男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正
 する法律案(内閣送付、予備審査)
○失業保険法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○労働情勢に関する調査
 (一般労働行政に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) それではただいまより社会労働委員会を開きます。
 まず、議事に入る前に、新任の柴田労働政務次官よりごあいさつがございます。
#3
○政府委員(柴田栄君) 前安部労働政務次官の病気御退任に伴いまして、私ほんとうにはからずも国会開会中の重要な時期に政務次官を拝命いたしましたが、御承知の通りのきわめて不敏な一者でございます。しかしながら、誠心誠意皆様方の意思に沿いまして、労政の推進の一翼をになわしていただきたいと思いまするので、格別の御指導と御支援を切にお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
#4
○委員長(吉武恵市君) それでは中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案、失業保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 まず、提案理由の説明を願います。
#5
○政府委員(柴田栄君) ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の、一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の大綱を御説明申し上げます。
 中小企業退職金共済制度は、中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興に資するため、昭和三十四年十一月に発足したのでありますが、今日までの普及状況は、昭和三十六年一月末で企業数二万二千六百九十七、従業員数二十七万八千百二十三人という実績を上げております。
 しかしながら、この制度が中小企業労働福祉対策の柱の一つとして、今後一そうの普及発展をはかるべきものであることにかんがみますとき、現行制度には、中小企業の実情に照らし若干の改善すべき点があると考えられるのであります。
 すなわち、その一といたしまして、現行制度では適用事業の範囲は、製造業で常用従業員数百人、商業またはサービス業で三十人以下の事業に限定されているのでありますが、これを越える中小企業においても退職金制度のないところが相当数あるのが実情であります。その二として、中小企業においては、短期離職者が比較的多いのでありますが、これらに対する給付が薄い等のため、比較的勤続年数の短い従業員を雇用している企業においては、勢い加入をしぶりがちという事情があります。そこでこれらの点につきまして改正を行ない、本制度の一そうの普及発展をはかりたいと存じまして、この法律案を提出した次第であります。
 次に、法案の内容について概要を御説明申し上げます。
 この法律の要旨は、右に述べた趣旨に基づきまして四点ございます。
 すなわち第一点は、本制度の適用事業の範囲について、現行制度では前に述べましたように、製造業等が常用従業員数百人、商業またはサービス業が三十人以下であるのを、製造業等では、常用従業員数二百人、商業またはサービス業では五十人まで拡大することといたしたことであります。
 第二点は、退職金等の給付額について、現行制度では掛金納付月数が三年半に達しないと掛金相当額とならないのを、掛金納付月数二年から掛金相当額とし、また、掛金納付月数五年から五%の国庫補助を行なうこととなっているのを、三年から五%の国庫補助を行なうことにいたしたことであります。
 第三点は、一の企業から他の企業に従業員が転職した場合の本制度適用上の企業間の期間の通算につきまして、現行制度では、自己都合で退職した者でない等一定の条件を満たした上にさらに、掛金納付月数二十四月以上の者に限って通算することとなっておりますが、この掛金納付月数二十四月以上の者に限るという条件を削除することにいたしたことであります。
 第四点は、適用事業の範囲の拡大に伴い、従来事業主団体等における自主的な共同退職金積立事業に参加していた事業主が、本制度へ加入する際、従前の積立事業の引継措置につき便法を講ずることといたしたことであります。
 なお、法案の内容につきましては、学識経験者及び労使それぞれの代表者をもって構成されています中小企業退職金共済審議会の答申を十分尊重して作成したものであります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  ―――――――――――――
 続いて失業保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 日雇失業保険制度は、日雇労働者の失業時における生活の安定をはかることを目的として、昭和二十四年第五回国会における失業保険法の一部改正によって創設され、社会保障政策並びに雇用失業対策の一環としてその機能を果たして参ったところであります。
 現行の日雇失業保険の保険金日額は、昭和三十二年における失業保険法の一部改正によって定められたのでありますが、最近における日雇労働者の賃金の実情にかんがみ、今般その保険金日額の引き上げ等を行ならとともに、あわせて日雇失業保険と一般失業保険との受給資格の調整制度の改正を行ない、制度の改善をはかることとしたのであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。
 第一に、日雇失業保険金の日額の引き上げについてであります。
 現行制度では、日雇失業保険金の日額は、第一級二百円、第二級百四十円の二段階とされておりますが、現行の日額は、すでに申し上げましたように昭和三十二年に定められたものでありまして、其の後現在までに日雇労働者の賃金額も相当に上昇しており、現行の二段階制をそのままとした場合は、実情にそぐわないうらみがありますので、この際新たに保険金日額を一段階設け三段階制をとることとし、第一級三百三十円、第二級二百四十円、第三級百七十円とし、給付内容の改善をはかることとしたのであります。
 第二に、日雇失業保険の保険料日額の改正についてであります。
 保険料日額につきましては、保険金日額の引き上げに伴い、日雇労働者の負担能力、保険経済等を勘案し、現行二段階制とされております保険料日額を三段階制に改め、現行第一級十円、第二級六円の保険料日額を第一級十六円、第二級十二円とし、第三級については従来通り六円といたしたところであります。また、新しい第一級、第二級及び第三級の保険料日額の区分は、日雇労働被保険者に支払われた賃金が四百八十円以上の場合は第一級、二百八十円以上四百八十円未満の場合は第二級、二百八十円未満の場合は第三級といたしたところであります。
 なお、保険料日額の改正に伴い日雇労働被保険者及び事業主の負担すべき保険料額は、それぞれ、第一級については八円、第二級については六円、第三級については三円といたした次第であります。
 第三に、保険金日額の算定方法の改正につきましては、今回の保険料日額の三段階制の採用に伴い、それぞれ三段階制に即応した算定方法に改めますとともに、第一級、第二級及び第三級の保険料が混同して納付されている場合でありましてその平均額が第二級の保険料の額以上であるときは、第二級の保険金が受けられることとするよう制度の改善をはかったところであります。
 第四は、日雇失業保険と一般失業保険との受給資格の調整制度の改善についてであります。
 現行制度におきましては、日雇労働被保険者が二月の各月において十八日以上同一事業主に雇用され、その翌月において離職いたしました場合は、その離職の日の属する月の前二月を一般失業保険の被保険者期間として計算することとしておりますが、これを単に翌月に離職した場合に限らず、その者が当該同一事業主に引き続き雇用された後において離職した場合には、その二月を一般失業保険の被保険者期間として計算することとし、一般失業保険の被保険者に切りかえられた日雇労働被保険者が一般の失業保険金の支給を受けやすくなるようにし、また、できるだけ保険料の掛け捨てがないように制度の改善をはかることとしたところであります。
 以上がこの法律案の要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(吉武恵市君) 次に、政府委員から細部についての説明を聴取いたします。説明を願います。
#7
○政府委員(冨樫総一君) 中小企業退職金共済法の一部改正法につきまして補足説明をいたします。お配りしてありまする逐条説明、おおむねこの逐条説明によりまして御説明申し上げたいと存じます。
 第一点は、適用範囲の拡大でございまするが、現在百人以下に適用してございまして、この適用対象労働者数が約八百万でございます。その後実施後調査いたしました結果、百人から二百人までの間におきましても自主的な退職制度を持たないものが過半数あるということで、労使代表よりも強い要望がございましたので百人を二百人、商業的企業につきましては三十人を五十人に上げることといたしたのであります。その適用範囲の拡大に伴いまして、対象労働者は約百二十万人ふえる予定でございます。
 第二点は、これは一つの企業から他の企業に転職した場合でございますが、退職給付金は御承知のように、いわゆる退職金カーブと申しまして、勤続年数に応じまして給付率が逓増する関係になっております。この逓増の利益を与えまするために現在その規定があるのでありまするが、それに条件がございまして、自己都合で退職したとか、あるいは悪いことをして解雇されて退職してよそに行ったというような条件はまだしもわかるのでありますが、現行法におきましては、そのほかに、前の企業に二年以上勤続しておった者という条件があるのであります。前に述べました条件がある以上、この二年間勤続しておらなければならないという条件があることは、つまりその前の企業がつぶれたといったように、本人に罪がない、そういう場合の転勤の場合でもこの二年勤続が必要であるという条件は、非常に理屈に合わないという感じ、実情に合わないという感じでこの条件を削除することといたしたのであります。
 第三点は、現在退職給付金には国庫から五%の補助金がつくことになるのでありますが、この五%の国庫補助金は、勤続五年以上の者にだけつくことになっておりますが、中小企業の勤続年数は、御承知のように短いので、短期勤続を奨励するという意味じゃございませんが、そのために加入を渋るという傾向もございまするので、これを三年以上勤務した者に五%の国庫補助金をつけまして、加入するについての魅力を一段と拡大したということでございます。
 次は、現行法によりますと、三年半以上勤続した者でないと元金がもらえないということで、長期勤続を裏から要請しておるわけでございまするが、その三年半なんというのも少し過酷だというので、前の改正の趣旨と即応いたしまして、二年以上勤続した者には元金に相当する給付をするということにいたしたいと考えたのであります。
 次は、施行期日でございまするが、前の国庫補助金の五%の関係が、予算におきまして四月から払えるという建前に組んでおりまするので、でき得べくんば、国会の通過がその時期までに終了するととを期待いたしまして、四月一日施行ということにいたしたのであります。
 次の附則は、技術的に非常にわかりにくくできておりますが、要するに、この法律施行によりまして、従来民間の業者が集まって、自前で退職金制度を団体的に作っておった、そういう事業主が、この法律の施行、今度特に二百人に拡大されたということに伴いまして、そういう自主的な退職金制度から、この制度に転入してくることを認める。その転入に際しまして、先ほど申しましたように、勤続年数、あるいは加入年数の長い方が有利でございまするので、自前のその退職金制度から出てきまして、そうして加入するときに、たとえば過去二年分の金を納めれば、二年前から入ったものとみなす、こういう趣旨でございます。
 最後につけてございますのは、前の規定と即応いたしまして、従来その自前の退職金制度というものに若干の条件がついておるのでありますが、それを大蔵大臣、通産大臣と協議してきめる、こういうことでございます。
#8
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険法の一部を改正する法律案につきまして、その細目を御説明申し上げます。お手元にお配りしてございます資料の提案理由説明の次についております法律案逐条説明によりまして、御説明を申し上げたいと思います。
 まず第一に、第三十八条の八の改正について御説明を申し上げますが、先ほど提案理由の説明でも申し上げましたように、前回昭和三十二年に失業保険法が改正になりましてから後におきまして、日雇労働者の賃金額が相当上昇しておる状況にかんがみまして、現行では第一級二百円、第二級百四十円の二段階制を採用しておる互層失業保険の保険金日額を、三段階制といたしまして、第一級は三百三十円、第二級は二百四十円、第三級は百七十円ということに改めたい考えでございます。
 次に、第三十八条のための改正でございますが、これは前条の日雇失業保険金の日額の改正に対応いたしまして、日雇失業保険金の受給者に支給されるべき保険金の日額の算定方法を改めるものでございます。すなわちこの第二項は、保険金日額が今回新たに三段階制となることに伴いまして、保険金日額について、これに対応いたしまして三段階制の算定方法を定めると同時に、第一級、第二級及び第三級の保険料が混同して納付されておる場合におきましては、その納付された保険料のうち、二十八日分の保険料の合計額を平均いたしました額が第二級の保険料の額以上である場合には、第二級の保険金の日額を支給することといたしまして、受給者に不利にならないように取り計らったものでございます。また、第三項は、ただいま申し上げました第二項の規定によりまして、第一級、第二級、第三級の保険料の平均額によって第二級の失業保険金の日額を支給する場合の、その平均額の計算方法を規定したものであります。すなわちその算定にあたりましては、第一級及び第二級の保険料の合計額に、保険料の納付日数が二十八日に達するまで第三級の保険料の納付額を加算した額を二十八で割ることといたしたものであります。
 次に、第三十八条の十一の改正について御説明を申し上げます。この第一項は、日雇失業保険料の区分と額を規定するものであります。日雇失業保険金の日額について三段階制が採用されまして、その額を引き上げることに伴いまして、これに対応いたしまして保険料額を改定するものであります。すなわち一日につきまして第一級は十六円、第二級は十二円、第三級は六円の三段階制をとることといたしました。また、その区分は、賃金の日額が四百八十円以上の場合は第一級、二百八十円以上四百八十円未満の場合は第二級、二百八十円未満の場合は第三級とすることとしたものでございます。
 また、第二項は、日雇労働被保険者及び事業主の負担すべき保険料額を折半ということになっておりますが、それぞれ第一級については八円、第二級については六円、第三級については三円とすることにしたものであります。
 次に、第三十八条の十五の改正でございますが、これは日雇失業保険制度と一般失業保険制度との間の受給資格の調整に関する規定の改正であります。すなわち現行の制度におきましては、日雇労働被保険者が二月の各月におきまして、十八日以上同一事業主に雇用されたときは、その翌月において離職した場合にのみ当該二月を一般失業保険の被保険者期間として計算する取扱いをすることができることとされておるのでありますが、これを改正いたしまして、その翌月だけでなく、その後において離職した場合にもこのような取扱いを行なうことができることといたしました。日雇労働被保険者についてその保険料の掛け捨てを少なくするとともに、その一般失業保険金が受けやすくなるように取り計らったものであります。
 以上が本則でございますが、附則の第一項は、改正法律の施行期日を定めたものでありまして、施行期日を昭和三十六年六月一日からといたしましたのは、新失業保険印紙の印刷、配布等の準備期間を考慮したものであります。ただし、後に申し上げますように、三十八条の十五の改正に関する関係は、この四月一日から通算期間が動くようにいたしたいと考えております。また、第三十八条の八及び三十八条の九の改正規定に関する施行期日を昭和三十六年七月四日といたしましたのは、附則の第二項におきまして、新しい日雇失業保険金日額の算定基礎期間が経過的に一カ月としておりますことに伴いまして、保険金日額算定基礎期間の一カ月の期間並びに連続三日間の待期期間を考慮して七月四日としたものでごいます。
 次に、第二項は、日雇失業保険金の受給者が、なるべく早く新しい制度による日雇失業保険金の支給が受けられますように、昭和三十六年七月における保険金の支給に関しましては、その保険金月額の算定基礎期間を経過的に一カ月とすることにいたしまして、同年六月の一カ月問における保険料の納付状況によって新しい日雇失業保険金の日額を決定することとしたものでございます。
 次に、第三項でありますが、本項は、昭和三十六年六月における保険料の納付日数が十四日未満であるために、前項の規定によって新しい算定方法による保険金の支給を受けることのできない日雇労働被保険者につきましては、同年五月及び六月において納付された保険料によって、新しい算定方法に基づく保険金を受けられることといたしました。この場合に、旧第一級の保険料は新しい第二級の保険料に、旧第二級の保険料は新しい第三級の保険料にみなして計算することとしたものであります。
 次に第四項は、改正後の保険料額及び日雇労働被保険者及び事業主の保険料の負担額は、日雇労働被保険者が、昭和三十六年六月一日以後において雇用された日にかかる保険料について適用することを定めたものであります。
 最後に第五項でありますが、これは改正後の受給資格の調整に関する規定は、日雇労働被保険者が昭和三十六年四月一日以後の二月の各月におきまして、十八日以上同一事業主に雇用された場合に適用することといたした次第でございます。
 以上をもちまして、失業保険法の一部を改正する法律案の細目につきまして、御説明を申し上げた次第でございます。
#9
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
#10
○委員長(吉武恵市君) それじゃ速記を始めて。
 両案に対する質疑は、次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#11
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
#12
○委員長(吉武恵市君) それでは労働情勢に関する調査の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#13
○藤田藤太郎君 この国会が始まってから予想される法案としては、雇用促進事業団という法案が予定されて、雇用促進のための関係した法案が出るのですけれども、しかし、今の雇用失業関係がどうなっているか、そういうものの具体的な把握を少ししておきたい。ですから、専門的にどういう今状態にあって、どういう工合に動いていくかというものを含めて一つ御説明を願いたい。
#14
○説明員(松永正男君) 最近の雇用失業情勢は、概括的に申し上げますというと、最近の経済の発展を反映いたしまして、全般的には非常に好況の状況にあるわけでございます。
 具体的に申し上げますというと、求人は非常にふえておりますが、これに対しまして求職は減少をいたしております。それからまた、雇用も大きく伸びて参っております。また、完全失業者の数は減少をいたしております。失業保険の受給の状況も、減少をいたしておる状況でございまして、全般的には雇用失業情勢が著しく改善を見ておるということが言えると思います。
#15
○藤田藤太郎君 いや、あなたから聞くのは、そういう概念じゃなしに数字ですよ。そういう概念はまた大臣その他から聞きますから、どういう工合に数字が動いていくか、それをちょっと聞かして下さい。資料はないですか。
#16
○説明員(松永正男君) 差し上げます資料は、ちょっとございまん。
#17
○委員長(吉武恵市君) 資料はあとでもいいから、数字の手元にあるやつをゆっくり読んで下さい。
#18
○説明員(松永正男君) 全般的に申し上げますというと、就業者の総数が三十四年四−十一月に比べまして、三十五年の四−十一月の平均を見ますというと、前年同期が四千四百七十八万人でございますが、三十五年の四−十一月におきましては四千五百七十七万というふうに九十九万の増になっております。
 それから雇用者につきまして見ますというと、三十四年の四−十一月の、平均が二千五十八万人でございますが、三十五年の四−十一月の平均は二千二百二十二万でございまして、百六十四万人の増になっております。これはいずれも労働力調査によります数字でございます。
 それからそのうちの常用雇用について見ますというと、これは毎勤統計によります指数でございますが、三十四年の四−十月に対しまして三十五年の四−十月におきましては、常用雇用の指数が一〇・六%というふうに増加をいたしております。増加率一〇・六%でございます。で、ただし産業別にはそれぞれございまして、全体といたしまして、各産業とも大体この程度の伸びを示しておるのでございますが、鉱業におきましては、前年同期に対しまして九二・九、これは石炭鉱業におきますいわゆるエネルギーの変化等によります状況を反映いたしまして、常用雇用指数も九二・九というふうに減少をいたしておりまして、その他の産業におきましては伸びを示しておるわけでございます。特に建設業は一四・八%、製造業は一三・三%というふうに伸びております。
 それからこれに対しまして臨時日雇いの雇用の指数でございますが、総数におきまして同じように四−十一月について見ますというと、三十五年は三十四年に対しまして総数におきまして一四・六%の伸びを示しております。特に伸びておりますのは、金融保険、運輸通信等の事業でございます。これが金融保険が三七・九、運輸通信が一四・二というような伸びでございます。製造業は九。九%の伸びでございます。この臨時日雇いにつきましても、鉱業におきましては九四・二というふうに前年同期に比べまして減少を示しております。
 それから失業状況の面から見ますというと、完全失業者の数は、三十五年の四−十一月平均でみますというと三十八万人でございまして、前年同期に比べまして十四万人の減少を示しております。
 それから失業保険の受給者でございますが、受給実人員におきまして、三十四年の四−十一月に比べまして、三十五年の同期におきましては三万六千人の減少を示しております。
 次に、一般の労働市場の状況でございますが、求人求職の関係を見ますというと、やはり三十五年、三十四年を四−十一月の平均で見てみますというと、三十四年におきましては月間の有効求職者数が百二十三万一千人でございます。これに対しまして、三十五年におきまして百八万六千人、十四万五千人の減少を示しております。これに対しまして、有効求人数の方は、三十四年が六十二万四千人でございますが、三十五年におきましては七十六万一千人、十三万七千人の増を示しております。従いまして、いわゆる求人、求職の比率、殺到率におきまして、三十四年におきましては二・〇でございますが、三十五年におきましては一・四というふうに、殺到率も〇・六だけの改善を示しております。
 次に、これが一般の求職、求人の関係でございますが、日雇い関係におきましては求職者の数は、これは登録の日雇い労働者の数は大体少しずつではございますが増加傾向を示しております。三十四年の同じ時期に比べまして、三十五年におきまして一万人の増を示しております。これに応じまして、求職の総延べ数におきましてやはり十四万六千人の増を示しております。これに対しまして、就労の延べ数も大きく伸びておりまして、十九万七千人の就労総延べ数の増になっております。従いまして、いわゆるあぶれ、不就労数は、前年同期に比べまして六万七千人の減という状況になっております。
 次に、新規学卒の状況でございますが、これは中学校、高等学校とも非常に求人が大きく伸びまして、求職者の実数を二倍以上上回るというような状況になっております。三十四年の三月お業者におきましては、中学校において求職者の数が四十四万六千百六十四人に対しまして、求人が六十六万七千五百六人というふうに大きく上回っておりますが、この傾向はさらに三十五年の三年卒業者について著しくなっておりまして、求職者の総数四十三万五千に対しまして、求人は九十四万九千といったような状況になっております。高等学校につきましても、三十四年は、求職者二十三万六千に対しまして、求人が三十八万、三十五年におきましては、求職が二十八万五千に対しまして求人が五十二万九千というふうに、いずれも求人が求職を大きく上回っておりまして、求人難の様相を呈しておるわけでございます。
 以上きわめて簡単でございますが、具体的な数字につきまして一応御説明を申し上げました次第でございます。
#19
○藤田藤太郎君 そこでこの大まかな数字はわかりましたけれども、中高年の常用工と臨時工、社外工的な要素がどのように変化しているかというような問題。それからもう一つは、日雇い登録の申し入れ等、適格者がどの比率ぐらいになっているかというような問題、そういうこと。
#20
○説明員(松永正男君) ただいま新規学卒につきまして、求人難の状況にあるということを申し上げたわけでございますが、これに対しまして、中高年令層の人たちにつきましては、ただいま藤田先生御指摘のように、求職難、就職難の状況が出てきております。具体的な数字について一つ二つ申し上げてみますというと、たとえば求人求職の比率、殺到率等について見ますと、年令が高くなればなるほど殺到率が高くなってきておるという状況を号しております。たとえば二十才未満の男について見ますというと、殺到率が一・六でございますが、四十才から四十九才までの男について見ますと、殺到率が三・六六ということになっております。これは三十五年十月現在の数字でございます。それから安定所の窓口におきまして職業紹介をいたしました紹介の実績、いわゆる紹介率を見てみますというと、二十才未満の紹介率が四二・五でございますが、四十才から四十九才までの年令の男について見ますと、紹介率が一八・〇というふうに非常に下回っております。また、最近離職者の問題といたしまして最も問題になっております炭鉱の離職者について見ましても、同じように年令階層の若いほど就職は非常に容易でございますが、高いほどむずかしくなっておる。これは常識的にそうでございますが、数字的にもそのような結果が出ております。
 それから失業保険の受給資格者について、これは多人数についての調査ではございませんが、定年退職者がどのような状況になっておるかという調べにおきましては、定年退職者のうらで就業をいたしましたものが三五・四%、それから、失業状態にあるものが四八・三%といったような数字が出ております。それから、賃金関係等におきましても、年令の階層の低い人たちが再就職した場合には、比較的前職に比べてそう下回らない賃金を受け得る。しかし、年令階層が高くなれはなるほど、再就職をした場合の賃金は、前職に比べて下回る率が多いというような結果も出ております。
#21
○藤田藤太郎君 その率はどれくらいになっておりますか、ちょっと……。
#22
○説明員(松永正男君) 前職に対しまして賃金が上回っておるもの、これを見ますと、二十才未満について見ますと、五四・一%に当たる人たちが、賃金を上回って再就職できておる。これに対しまして、四十才から四十九才のクラスを見ますというと、上回って就職できたものは三〇・九%一五十才以上になりますと、二六・六%といったように減少をいたしております。
 それから次に、第二の御質問の、月雇い労働者につきまして、有効求職者の数と、そのうちの失対の適格者の教でございますが、三十五年におきまして、有効求職者が、十二月をとってみますと、五十六万七千七百人になっております。で、これに対しまして、前年同期、三十四年の十二月は、五十六万五千四百人、このうち失対の適格者が、三十五年の十二月におきましては、三十六万五百人、それから三十四年の十二月におきましては、三十六万二千七百人という状況になっております。
#23
○藤田藤太郎君 そこで、最近の、たとえばはなはだしいのは、造船とか、鉄鋼とか、だんだん最近は自動垣工業にも移ってきているのですけれども、その就労の中の常用雇用、臨時、社外工の今年の比率、それから産業全体の現在の比率、どういうのはわかりませんか。
#24
○説明員(松永正男君) ただいま藤田先生御指摘の、産業別の的確な数字は、ちょっと今持ちあわせておりませんのですが、たとえば製造業につきまして見ますと、雇用者総数が七百八十六万人でございます。このうちの常用雇用は七百五十万人でございます。それからこれに対しまして、臨時が二十七万人、それから日雇いが九万人というような状況でございます。
#25
○藤田藤太郎君 その造船とか鉄鋼、自動車産業と三つだけ出してわかりませんか。
#26
○説明員(松永正男君) 造船、自動車といったような細分類についてはちょっと今わかりかねます。
#27
○藤田藤太郎君 そこで今あなたからお聞きした分ですね。その賃金と日雇い労働者のまずここから有効求職者、要するに登録と適格者の関係ですね。これについていいますと、賃金は二十才のときには前の職業より上回っているのが五四・一だと、四十九才までの人が三〇・九、五十才以上の人が二六・六という、これは何をどういう調査をされたのですか。私はそういうことにはなかなか、二十才の人はどうか知らないけれども、四十才以上の人が今までもらっていた賃金より上回って就職できるというような環境にあるのですかね、実際問題として。
#28
○説明員(松永正男君) ただいま申し上げました数字は労働省の統計調査部でやっております失業者帰趨調査からとりました数字でございます。
#29
○藤田藤太郎君 次に日雇いの登録申請をしたへと適格基準にマッチした人との関係、三十四年は五十六万五千四百と三十六万二千七百、三十五年が五十六万七千七百と三十六万五百人とこういう工合にあったんですが、これは全国平均をお出しになったのだと思うのですけれども、地域的には非常にアンバランスがあるように思うのですが、そういう把握は各府県ごとにできているのですか。たとえば私の最近調べた京都なんかの例ですと、大体四倍だと、四分の一しか適格パスしないと、こういっている現状なんです。ここなら倍にもならないですね。そこらの関係を少し話していただきたい。
#30
○説明員(松永正男君) 失業対策事業に就労をいたしますためのいわゆる適格基準でございますが、これは藤田先生御承知のように、失業者であること、主たる家計の担当者であること、失業者であることということにつきましては、現在失業をしておって就労の意思と能力があるということが内容になるわけでございます。この基準によりまして、全国各安定所におきましてそれぞれ希望者につきまして判定をいたしまして適格者をきめておるわけでございますが、全国的な数字におきましては、大体先ほど申し上げましたのは十二月だけの数字でございますが、大体景気の変動がございましても実際の状況におきましては適格者がそう減らないで、むしろふえてくるというような状況にあるわけでございます。で、各府県ごとに見ますというと、ただいま御指摘のように、ある程度のアンバランスはあるかと思いますが、これは適格基準についてのアンバランスというよりは、適格基準につきましては、労働省の方針によりましてそれぞれの地方の実情もございますが、大体統一的に公平な審査をしておるというふうにわれわれ考えておりますが、各府県ごとに多少の相違があるというごとも事実でございます。それは要するに、失対事業の就労希望者の状況が多少違っておるということが原因ではなかろうかと思うのでございます。
#31
○藤田藤太郎君 それ以上のことは議論いたしませんが、その次に、定年退職者の就労が三五・四で、失業が四八・二とこうなっているのだが、今定年というのは五十五才で、それからの生活に非常に因っている人が多いと思うのです。そこで定年退職者の賃金給与はどうなっているかという調査がありますか。
#32
○説明員(松永正男君) 先ほど申し上げました再就職者の賃金の状況でございますが、これは失業者帰趨調査からとりました数字でございます。先ほど申し上げました定年退職者の帰趨も同じくこの失業者帰趨調査からとりましたものでございます。で、定年退職者だけのものは現在抜き出した資料を持っておりませんが、先ほどの賃金はこの定年退職者のものを含んだ数字であるというふうに御理解を願いたいと思います。
#33
○藤田藤太郎君 ちょっとおかしいじゃないの。定年というのは大体五十五だから、五十才以上の人は含んでいるという意味ですか、松永さん。五十才以上というところに定年退職者も含んでいると、こういう意味ですか。
#34
○説明員(松永正男君) 先ほどは四十から四十九を例として申し上げましたが、五十才以上のランクもございまして、この数字も出ております。この中に入っておるというふうに考えられます。
#35
○藤田藤太郎君 これはその帰趨調査をいただきますけれども、どういう格好で調査されているか、まあこれはいいです。そこで紹介率と殺到率ですね。というのはここへ出てきておりまするが、おしなべて日本の今の失業問題というのは中高年の失業問題というのが中心に考えら九なければならぬのではないか、新しいオートメの中で若年労働者の失業者はあまりないので、むしろ農業労働者やその他から転換するのを求めるくらいの状況ではなかろうかと思うのです。そうなると、中高年の失業者がたとえば紹介率にしても一八%、四十才から四十九才、賃金についても実は三〇%というようなことは特殊技能以外の人にはそういう賃金はないので、私はちょっとこれはうなずけないのですけれども、そういう状態でございます。まあ定年退職の人は三五・四%しか就職がない。との就職された定年退職者の賃金というのは、普通の例からいえば大体半分以下になっているところが非常に多いというのが現状ではなかろうかと、こういう工合に私は見ている。労働省の今のを見ますと、全体衣プールして非常にやわらかく外へ出している感じだが、もっとシビアーに、厳密にその雇用対策というものを職安がそういうところにしぼってもっと厳密に摘出して、対策を立てるということがなければ今の状態ではいけないのじゃないか。それには職業訓練も必要でしょうけれども、だからそういうところに少し合ってないような気がするのですが、ただ学卒には求人がいい、半分、倍以上の求人があって求職と求人があるというようなところで、数の帳面づらだけは合うけれども、どうもそういうところの問題が少し問題である。
 それから私は、事実かどうか知りませんけれども、トヨタ自動車工業で、一万人雇って二百人が常用工で、九千八百人が社外工とか臨時工というようなことが週刊雑誌に載ってたことを思い出すのですけれども、そういうところに就労という姿が伸びているのじゃないですか、そういう調査をおやりになってないのですか。
#36
○説明員(松永正男君) ただいま御指摘の各産業別の数字はちょっと持っておりませんが、中高年令層の就職が非常にむずかしい、現在一般的に雇用状況がよくなっている中で炭鉱離職者等の産業構造の変化に伴う離職者というような、離職問題とあわせまして、中高年令層の就職問題が非常に大きな問題であるということにつきましては、われわれ部内においても検討をいたし、具体的な対策を研究をしつつあるところでございますが、中高年令層の就職が非常にむずかしいという問題の大きな根と申しますか、根本的な原因というものは、非常にいろいろな原因からきているのでございまして、御承知のように、従来のいわゆる日本の産業における雇用慣行、いわゆる封鎖的な慣行と申しますか、そういうような慣行の問題、また、賃金につきましても年功序列型の賃金といったような問題、また、雇用の形態におきましても、臨時工あるいは社外工といったような雇用形態の格好があるといったような問題、いろいろございまして、これらの面を解決をしていくことが、根本的な解決の問題であるというふうに考えるのでございますが、具体的な職業紹介、その他の雇用の面におきまして、たとえば安定所の窓口におきまして、新規学卒の求人に対しまして、できるだけ中高年令層の方々も採用するように、窓口で極力あっせんをするといったようなことをやっておりますし、また、たとえば中高年令層の人たちの適職と申しますか、現在の雇用の状態の中で、若い人を使わないでもいいような職種が相当あるのではなかろうか。こういう面につきまして日経連等とも相談をいたしまして、産業界の中にそういう中高年令層の求職者を採用していくポストをできるだけ具体的にはっきりいたしまして、また、特に政府に関係の深い政府関係機関、公団、公社等につきましても最近打ち合わせをいたしまして、できるだけ、道路公団の切符切りの例等もございますので、各団体の責任者の方にお集まりを願いまして、労働省から中高年令層採用の機運を作るように協力を要請するというようなことも計画をいたしておりまして、具体的にいろいろな面から中高年令層の就職対策を進めておるところでございますが、根本的には先ほど申し上げましたような対策の検討をしつつ、具体的にできるだけ有効な手を進めていくということで努力をいたしておるところでございます。
#37
○藤田藤太郎君 今までの資料は、今お話しになった資料はいただけますか。
#38
○説明員(松永正男君) はい。
#39
○委員長(吉武恵市君) それは全部の委員の方にお配りをして下さい。
#40
○藤田藤太郎君 何といってもこれは失業とか不完全就労、要するに潜在失業、完全失業というのは、やはり貧乏のもとになるわけですから、社会保障的な、社会が保障する要素というものと並行してこの対策を立てなければならぬと思うのだが、今の潜在失業者に対する概念その他はいいですが、労働省はどう取り組もうとしているか、それを一つ聞かしてほしい。
#41
○説明員(松永正男君) いわゆる潜在失業者というものが顕在的な、いわゆる完全失業者のほかに多数存在するということが日本におきますところの雇用問題の非常に重要なポイントになっておるということは、ただいま藤田先生御指摘の通りでございます。この不完全就業者の対策をどうするかということにつきましては、基本的にはやはり産業の発展によりますところの雇用の量的な拡大と、それからまた、職業訓練等によりますところの労働力の質的な改善というようなことが根本的な対策になるかと思うのでございます。現在いわゆる不完全就業者という人たちに対しまして直接にどういう対策があるかということになりますというと、雇用審議会等の答申にもございますように、直接的にはやはり賃金、労働時間等の労働条件を中心にいたしまして、基準法の適用監督といったような面で、こういう状態にある人たちの労働条件を改善をしていくということが、直接対策のおもな点になるのではないかというふうに考えられるわけでございますが、この直接的な対策とあわせまして、やはり基本的には先ほど申し上げましたような雇用全体を伸ばしていく、また、職業訓練等による質的な改善をできるだけ推し進めていくということをあわせまして不完全就業者の対策というふうに考えております。
#42
○藤田藤太郎君 私は、これくらいで事務当局に聞くことはやめたいと思いますけれども、大臣というのはよくかわるのだから、それで大臣が微に入り細にわたり一貫した数字の把握、それから失業、雇用の状況というものはなかなかっかみにくい、勉強もなかなかしにくい、しかし、あなた方は一貫してその作業におられるわけですから、だからその推移の中で問題がどこにある、それでどういうところをどうしなければならぬということの政府発表というか、ここはそういう意味で私はきょうは専門のあなたから聞きたいと思っていたのだが、どうも大臣の言うようなことになってしまったわけですが、最後は。だからもっとポイントをきめて、それに対するこういうことをやらにゃいかぬとか、そういう研究というのがどうもないような気がするのですね。たとえば今おっしゃったように、労働基準を上げる、労働条件を守る、要するに、賃金その他の労働条件を守るとかというお話がありました。それから労働時間の規制の問題も一つの大きな要素だとおっしゃる、しかし、私は、あなたは直接関係がないけれども、労働基準法の違反なんというのは、まあまあだんだん考えてきたときに監督官の少ないということも非常に支障になっておることは事実だけれども、労働省が八時間以上の労働をさせないのだ、四十八時間の規制をびしつとやれば、ものの半年か一年の間にそんな規制ができると思うのだけれども、初めからやる気がないからずるずるしている。賃金の問題にしてもまあ業者できめなさい、業者間協定をして、これは業者間で賃金を高めていくことはいいでしょうけれども、しかし、もっと賃金を上げて国の経済との関係でどうなるのだということを事務当局はもっとお考えにならないと、今の潜在失業の問題は解決しないのじゃないですか。そういうことを私は聞きたかった、事務当局はどういうお考えで勉強しておられるか聞きたかったのだが、今聞けそうもないのだが、ここで言えなければ違った場所で教えてもらってもなおけっこうだと思うのですが、どうですか。
#43
○説明員(松永正男君) ただいま当局も具体的な対策がないじゃないかというおしかりでございますが、先ほど申し上げましたような線で具体的な対策を進める方法といたしまして、雇用促進事業団というようなものも構想を考えておるわけでございます。先生のおっしゃるような、非常に直ちに効果のあるものを示せとおっしゃられますと、そういう知恵はないのでございますが、先ほど申し上げましたような線を推し進める方法といたしまして、事業団の業務内容等も工夫をいたしておりますようなわけでございまして、その結果、不完全就業者等の問題もだんだんに解決をしていくということで努力をいたしておるわけでございます。
#44
○藤田藤太郎君 もう一つだけ。そこで経済企画庁の所得倍増論の中に出ております雇用問題の報告の取り上げ方というのは、非常にラフな、といったら何だけれども、雇用問題が中心でなければならないのに、あの所得倍増論の中のウエートというものは非常に低い取り上げ方がなされておりますね。それはいいですが、あなたを責めませんけれども、労働省は所得倍増論に対する雇用計画というものはお作りになったのですか。もしお作りになったのなら厳密にそれを聞かしていただきたいと思います。
#45
○説明員(松永正男君) 経済計画を作ります際に、その非常に大きなウエートを雇用が占めるということは先生御指摘のごとくでございます。で、従来の雇用情勢におきましては、先進各国と異なりまして日本においては労働力がきわめて豊富である、経済計画を策定する際に労働力をどのように調達するかということについてはほとんど心配は要らない、日本じゅう労働力は非常に豊富であるというような状況がこれまであったわけでございます。従いまして、企画庁等で経済計画を策定する際に、むしろたとえは資金であるとか、あるいは原材料であるとか、あるいは輸出入の状況であるとかいったような面から経済の伸び率を策定をいたしまして、その結果雇用はこの程度吸収できるというようなのが初期のころの経済計画の作り方であったわけでございます。労働省といたしましては、そのような労働力過剰の状態はございますけれども、雇用ということが経済計画の終局的な目標であり、完全雇用の達成ということが目標であるということから、従来政府部内におきまして雇用問題の重要性を常に主張をしてきたわけでございます。最近におきましては、私どもの意見が相当に反映をいたしましたことと、それから労働力につきましても新規労働力の非常な不足とあるいは技能労働力の非常な不足といったような事態、一部に大きな求人難、労働の質並びに年令といったような面からの求人難も出て参りました現在におきましては、さらに雇用の経済計画におけるウエートというものが拍車をかけられてわれわれの主張をバック・アップするような状況で出て参っておりまして、経済計画、今度の所得倍増計画におきましてもやはり労働面のウエートというものは、これは従来の経済計画と比較をしてごらんを願いますとわかるのではないかと思うのでございますが、表面にもウエートが相当強く打ち出されてきておる。この傾向は将来ともやはり増していくであろう。われわれもまた、雇用のウエートを増加して、これが経済計画における非常に大きなポイントであるのだという主張は今後とも続けるつもりでございますが、この従来からの実情を見て参りますというと、藤田先生御指摘のような雇用のウエートというものがだんだん大きくなりつつあり、今後とも相当大きなウエートを持ち続けるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。具体的に倍増計画を策定する際におきまして、企画庁あたりにおきましても労働省の意見、主張というものは常にウェートをおいて聴取をいたして参りましたが、今度の計画におきましても従来に比べて、雇用についてのいろいろな計画叙述が相当具体的にかつウエートをもって表現をされてきておるというふうにわれわれは考えております。
#46
○高野一夫君 ちょっと伺いたいのは、定時にちゃんと就職している者と、先ほど藤田委員のお話の中にあったいわゆる臨時工みたいな者、こういう者を合わせて就業の統計の中に入っているということになりますか。これを区別した統計というものではできていないかということが一つと、もう一つは農村における不完全就業というか、あるいは潜在失業者というか、その辺の階層が約三百万あるということは四、五年前から言われておったのです。それが現在においてはどういうような数字になっているか、それは当然やはり労働省で調査した統計を出すべきだと思うのですが、そういう方面の調査ができているかどうか。まあきょうは詳しい数字は要りませんから、できていればできているでいいから、この次に一つ資料を提出してもらいたい。
#47
○説明員(松永正男君) 臨時工と常用工の関係でございますが、三十四年の七月の調査によりますと、雇用者の総数二千十六万七千人でございます。そのうち臨時労働者が九十六万三千人、日雇い労働者が百万人、それから季節的及び不規則的就業者二十五万六千人ということになっております。それで比率を見ますというと、いわゆる臨時労働者が雇用者総数に対しまして四・八%、それから臨時労働者と日雇い労働者の数が、雇用者全体に対しまして九・七%、それから臨時、日雇い及び季節労務、これを全部合わせますと一〇・一%、雇用者総数のうち、臨時、日雇い及び季節的な不規則就業者の総数が約一割というような現状になっております。
 不完全就業者につきましては、これはまず最初に、農村以外のものも含めましてでございますが、これは……。
#48
○高野一夫君 そんなのは幾らでもあるから要りません。私の言うのは、農村の中でも、工業もあれば、いろいろな産業があるわけです。そこで、農村の中で農業に従事している家庭におけるそういう、たとえば二男、三男対策というようなものが、そこから当然出てくる、その数がはっきりつかめなければならない。その数がどのくらいあるかということによって、都会のいわゆる工場労働者の中にどの程度転換していけるかということも、これからの見込みを立てなければならない。農業に従事している、いわば農業を専業としておる家庭における、今申し上げたような不完全就業、潜在失業のごとき。
#49
○説明員(松永正男君) ただいま御指摘の農業だけの数字につきましては、的確な資料がございませんが、雇用審議会におきまして試算いたしました数字を御参考に申し上げますと、約百五十万人というものが農村における不完全就業者であるという推定をしております。
#50
○高野一夫君 それはいわゆる農村における数であって、いわゆる農業を専業としておる家庭、そういうグループの中の数字ではないわけですね。これと非常に違ってくるのですよ。農業をやっておる家庭の、いわゆる農家の中におけるそういう潜在失業者と農村全体の潜在失業者とでは違っておる。農村といったって、相当な工業をやっておる農村がありますね。加工業やら何かいろいろある、漁村においても。だから農業をやっておる家庭、いわゆる農家ですよ、一口に言って。農家の中のそういう不完全就業、地方へ行くと二男、三男、ぶらぶら遊んでいて困る、こう言われるが、そういうような種類のものはその中に入るわけです。そういう統計があるかないか、こういうわけです。なければないでいいから、どこか適当か、企画庁にあるか、農林省にあるか知りませんが、これをつかまずしてほんとうの農村労務者対値、そういう全体の今後の就業対策というものは生まれてこないはずだと思う。ただ、全体を引っくるめて、不完全就業が幾らといっても、それは都会にどのくらいおって、農業の中にどのくらいおるかというようなことですね。農村といえば、そのうちの大部分がまあ農家であるかもしらぬけれども、今日の農村というものは、新しい市はほとんど大部分が農村ですよ。それから町村の中でも、りっぱに加工工業、その他の工業をやっている人もあるし、いろいろな企業者もあるわけだから、ほんとうの産業別に見た一つの数字を知ることが大事だと、これは私は労働省にもよく言ったけれども、そのときもなかったようだが、これはつかむ方法はないですかね。
#51
○藤田藤太郎君 これは過剰就業ですよ、過剰就業の労働力が幾らあるか、私はそれまで聞かなかったのだが、農林省は七百万おる、こう言っておる。それで並木氏説あたりによると百二十万だと言うのだけれども、そういう調査を労働省でしなければ、高野さんの言われるように雇用計画が立ちゃせぬじゃないか。静心の農林省が七百万と言って、よその方から勝手に百二十万とか、雇用審議会は百五十万と言ってみたところで、まず生活手段というものが基礎になって、一般的な近代国家における生活水準というものの中で、どれだけの過剰労働力があるかということの調査なんというものを、労働省はやらなければ意義がないということを高野さんは言われておる。私は言いたいととはまだあるのだけれどもやめたのだがね。
#52
○高野一夫君 この問題については、労働省一つ、どこか調査があるならどこでもいいから、労働省で一つまとめて、そういうような、いわゆる労働力吸収の対策の問題になるのだから調べてもらいたいということと、百五十万という数字は、私は従来のそういうような、今農林省が七百万と言っているかもしれぬが、何年か前は三百万と言っておった。そういうふうに、非常につかみにくいわけです。それだから、ただ農村というのじゃなくて、私は産業別に、第一次産業なら第一次産業におけるほんとうの数字を知りたい。それと同時に、東京都においてもしかり、大都市においても、中小の市においても、町村合併しているんだから、そういうのは農村の中に、その統計の中に入っているかどうか、いなかの市にいけば大部分農村ですよ。そういうものが入っているかどうかわからぬし、また、さっき繰り返して言ったように、町村の中にも工業部門もあるのだから、そこを産業別に区別して特に知りたいのは、私は農業におけるそういう統計を知りたい、なぜかというと、委員長理事会でいずれ打ち合わせて、今度農林委員会で審議される農業基本法の問題、この農業基本法の問題には、社労は労働問題の立場から私は一つやはり予備的といいますか、わきの面の審議をする必要があると思うのですよ、それが当然そういうチャンスがあればわれわれは持ちたいのですが、それには今農村に対する労働省側の見方というものをはっきりつかんでおいてもらわなければ何にもならぬ、ただ、農業基本法を農林の立場から審議してみたって、農村に関する、そういう労働力がとうなっているかということの把握をせずしては、基本的のこういう計画は今後立たないと思う。当然私は、農業基本法を一ぺんここでやるべき性質のものだ、その意味において。だから今答弁は要らない、これはいずれあなたから大臣にも一つ話しをされて、われわれはそれに対して的確なる労働省側としての御説明をもらいたいということで、今から一つ検討しておいてもらいたい。
#53
○坂本昭君 ただいまの高野委員の御発言に関連いたしまして、私も全く同感で、きのう戸叶議員から農業基本法に対する質問の際に、大蔵大臣は、農民削減に対してその処置をどうするかと言ったときに、本年度十数カ所の職業訓練所を作ってそれの対策を立てるという返答を大蔵大臣がしております。きのうは労働大臣出ておりません。私はそのときに、これは当然労働大臣が答えるべき所管事項を大蔵大臣が答えておる、これははなはだ異といたしましたので、ただいま高野委員が特に農業基本法の問題に関連して当委員会でも取り上げるということについては、与野党ともに満場一致して賛成するものだ、そういうことを一言付しておきたいと思います。
#54
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#55
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#56
○藤田藤太郎君 中小企業の賃金や争議の状態というものが、賃金の問題はあなたに直接関係がないかどうか知らないが、争議の状態というのは非常にむずかしいということで一つも改善されておりませんね。だから今大まかに、労使関係をあずかっておられる労政局長は、特に最近クローズ・アップしておるのは病院の問題、病院の労使関係の問題、これが非常にクローズ・アップしておる。だからたとえば十仁病院というところで例を一つとってみますと、平均賃金が六千五百円だということ、看護婦、医者も含めて最低三千五百円、最高九千円だというその賃金で争議が続いておって、そういう状態で長く争議が続いておるのに、私は労働省はどうこれを見ておるのか聞きたいわけです。その他にもそういう例がたくさんあると思うのです。だからそういう調査の実態を聞かせてもらいたい。
#57
○説明員(辻英雄君) ただいまのお話は、一般的には中小企業全体の争議の状況が第一点かと思いますので申し上げたいと思いますが、三十五年の六月から十二月までに発生しました企業全部を含めました争議件数は約千百六十でございます。そのうち従業員が三百人未満の中小企業において発生しましたものが約五百八十でございまして、総数の約半分を占めておるわけであります。全体の争議の件数は、企業全部を含めてみますと、最近全体としては減少の傾向にございますにもかかわらず、中小企業では逆に増加の傾向にあるということは非常に中小企業がやはり問題が多いという点は御指摘の通りかと思います。争議の内容についていろいろ特徴点もあろうかと思いますが、従来中小企業の争議は消極的要求と申しますか、賃金引き下げの反対あるいは首切りの反対という争議が一昨年あたりまで非常に大きなウエートを占めておりましたのが、最近の経済事情の好転あるいは労働組合の力の強くなった点もあろうかと思いますが、そういう点も含めまして、消極的要求よりも積極的要求がふえておるというのが最近の争議の内容的な特徴でございます。
 なお、争議に関連いたしまして、中小企業全体になぜかような争議が多いのかというのが御指摘のように基本的な問題でございますが、根本的に見ますと、やはり日本の現在の経済構造に非常に格差があって、その結果といたしまして、中小企業の労働条件が大企業に比べますとよくないということが一つの基本的な原因であるということは確かにさように申せると思います。
 第二に、やはり中小企業の労使双方が労使関係のあり方というものに未成熟でございまして、なれない、そのためにいろいろ無用なトラブルが起きやすいという点も一つの中小企業全体の争議の特徴であろうかと思います。それらの点、いろいろ基本的に問題がありますが、私ども労政関係を担当いたしておりますものといたしましては、根本的にやはり中小企業においても、近代的な労使関係というものが労使双方によって理解されるようなふうにしていきますことが当面の問題であるというように考えまして、すでに一昨年あたりから特に強くいたしまして、そういう旨の通牒等も出しました。昨年はことに国会等でも中小企業のそういうことのための補助金を少額でございますが、約二千四百万ほどちょうだいいたしまして、これによって、この当面の紛争の合理的な処理と同時に、基本的な労使関係の教育のためのいろいろな措置を講じておるというのが現在の段階でございます。従って、具体的に争議が起こりました場合に、労政機関が直接に介入するということは、これは十分に警戒し、自戒しなければならないのでございますけれども、大企業の場合と違いまして、労使だけで解決することが非常にむずかしい場合が多うございますので、向こうの方の御要望等に沿って、できる限り争議を円満に合理的に解決するように、やむを得ないものにつきましては、なるべくすみやかに労働委員会の揚で解決をするというような方法で、当面の問題の処理としては指導をいたしておる、かような概況でございます。
 なお、全体として、よくなってきたか、悪くなってきたかと申しますとむずかしい問題かと思いますけれども、日本全体の労使関係の中で、中小企業の面がおくれておりますのが、だんだんにそういうところの問題点が表に出てきておるというのが一つの現象でありますけれども、同時に、一昨年以来、一昨年は特に御承知の主婦と生活社でありますとか、田原製作所でありますとか、長期かつむずかしい争議があるいは時には非常に暴力的な行為等も出まして、遺憾な争議も多かったのであります。最近は比較的全体としまして、経済の好況もありましょうしあるいは労使が自覚してきた点もあろうかと思いますが、全国的に見ますと、非常に社会的な不安を起こすような争議は一般的には減りつつある。ただ、先ほど先生の御指摘のありましたような、たとえば病院でございますとか、そういうような労使関係がまだ近代化されていない点が強く残っている分野でまだまだ困難な争議というものが起こっているというように概況を私ども判断をいたしております。
#58
○藤田藤太郎君 私の聞きたいのは、労働省が労使関係に入ってどうこうせいとは私は言いません。そういう立場でない。しかし、労使の関係に紛争が起きておる内情というものは、私はやっぱり労働省は出先があるわけですから、十分にやっぱり調査をして、適切々調整機構といえば労働委員会だと思うのですよ、だから労働委員会がお世話をして、やはり争議が解決するように振り向けていくという労働行政の私は労働省に責任があると思う、そういう意味では。ところが、少し長い争議が出てきて、調整という問題より先に権力がそこへ動いて警官が入っていくとか、単に労使が不安だということで、警察権力がそこに介入していくというような格好に今までの例がよくあったのです。そういう危険も病院のたくさんな争議の中には出てきておるわけですよ。だからこういうものは、私は労働行政の立場から言って排除して、正常な労使関係な作り出すための指導というものは、私は労使にしていいと思うのです。争議の調整、あっせんということは労働省はできないですけれども、適切な指導というものはできる、教育というものは私はできる立場にあるのじゃないかと思うのです。ですから、具体的な調整の事項は労働委員会を通じてやるならやる。ただ、今申し上げた一つの例ですが、十仁病院のようなものがずっと昨年からやっていても、知らぬ顔といいますか、ちょっと言い過ぎかしらぬけれども、そういう状態、片一方では雇用拡大、労働者保護というような大義名分を立てておられる労働省が、こういうものに無関心だということは、それでいいのかと私はそう思うのです、どうですか、それは。
#59
○説明員(辻英雄君) お話のように、先ほど申し上げました中小企業一般の争議につきましても、なるべく労働委員会等の第三者の場で解決するように、労働省としても努力をして参るということは当然のことでございまして、私どもも今後ともさように努力したいと思っております。
 なお、病院の問題につきましては、特にこれが患者の生命、身体に直接関接に関連し、特に社会的に不安を起こしやすいという特殊な事情を持っておるかと思います。昨年の秋以来、東京都内のいろいろな病院で争議が起こりました際も、労働省としましては、ただいま申し上げましたような趣旨から、自主的な交渉で解決が困難なものは、すみやかに労働委員会の揚で解決してほしいということを労働大臣の名前におきまして申し上げたわけでございます。そういうことと関連しまして、都内の労働争議につきましては、昨年都の労働委員会が非常に積極的、活発な御活動がありまして、その当時からこまかい件数はあるにはありますが、まあ幾つかの大きな病院の争議その他非常にたくさん解決の方に進んでおります。
 なお、先生の御指摘の十仁病院の争議は、たしかことしになりましてからそういう行為が始まったのかと思いますが、これにつきましても考え方としましては、ただいま申し上げましたように、できる限りすみやかに労働委員会の場で合理的に解決していきたい、こういうように考えておるわけでございます。
#60
○藤田藤太郎君 私は今日の賃金、給与、生活の面からも、労働行政の面からも、こんな状態で、一つの例だけあげますが、ほっておいていいのかということで、厚生省にも私はお尋ねしたいことがあるわけです。黒木さん来ていただいておるんですけれども、東京の十仁病院というのを御存じですか。これは平均賃金が六千五百円、それで最低が三千五百円、最高が九千円という賃金で、それで働いておるわけです。そして争議が出ているんで、労使の争議調整というのは僕は厚生省の役割じゃないと思う。むしろ労働行政の問題だと思う。しかし、だんだん聞いてみると、医療行為機関として適正なことが行なわれておるかどうかということが厚生省関係では問題になると思うのです。たとえば争議をやっていて、問題を起こしているようなところで、適正な医療行為が行なわれているかどうかということについて調査されたことがあるのですか。
#61
○説明員(黒木利克君) 先般藤田先生から御注意がありましたので、本日東京都の衛生局を通じまして、十仁病院の給与を聞いたのでございますが、実は今手に入れました報告によりますと、給与は医師を除いて、基本給、物価手当等を含んで平均が一万一千六百七十円とういのであります。しかし、平均が六千五百円、一番安いものが三千五百円というような話もあるから、もう一度確かめて見るように頼んでおきました。これは再調をしてみたいと思いますが、ただ私の方の衛生部局としては、こういう給与の実態につきましては、の調査の権限がございませんで、これは労働省の方の、あるいは労政事務所の毎勤調査の方で、正確な数字が調査できるのではないかと思います。
 それから御質問の医療内容の確保の問題につきましては、医療法では、実は規定がないのでございます。医療法では、ただ設備構造とか、あるいは医師、看護婦等の医療従業員の定数の標準とか、そういうものを医療監視によって確保せしめるというような程度でございまして、医療内容はもし危害を与えた事犯がありまして、それが医師法なり、その他に違反するならば監督ができますが、医療内容についてはまかしてあるというような建前になっております。
#62
○藤田藤太郎君 たとえば私が話を聞くと、人権の問題があるわけです。これは労働行政にも、厚生行政にも関係すると思うのだけれども、要は厚生省の医療指導、医療行為、そこで働いて、実施しているものはやはり看護婦さんとか、そこの従業員なんですね。それで、だから私は両方の面からこれを適正に直さなければ、こっちは労働省だ、それは厚生省だといって、なわ張り争いしていちゃ、こんな問題は解決しないと思うのです。これはあんまりひどいのです。たとえば何億円わしは資産ができたと、ちょうど昔の徒弟、女中のような格好で、従業員を平気で使う。それでいてこんな給与しか上げないでいる。非常にこの病院は整形美容ですか、こういうことで利益をあげているそうですが、そういう環境に置いておいていいのかどうかというのが問題になるわけです。だから私は、労働行政の面から、長い争議が行なわれているから、この問題をやはり労働委員会を通じて調整の事項は扱う。それから労使慣行その他の問題は労働行政で指導、教育する。厚生省の関係からいえば、やはり適正な医療行為が行なわれているかどうか、環境衛生その他の面からいってもいいのかどうかという問題があります。そういう問題に私はやはり関心をもってもらわなければ、こういうのが続いているというのがおかしいのです。こういう類似のところが私はほかにもあると思います。そうあるような場合には、適切に、みんな出先があるわけですから、労働省も、厚生省も出先が、保健所があり、労働監督署があるわけですから、そういうところでこういうものの排除に力を入れなければ私はいかぬと思う。労使関係にいたずらに介入せいとか、私はそういうことは言いません。言いませんけれども、こういう具体的な問題になっているところについては、やはりおのおのの人権を守り、そうしてよりよい医療行為が行なわれるような条件を作るために毛、その適正化のために両方がやはり努力をすべきじゃないかということを考えるわけです。ここでその具体的な問題でどうせい、こうせいということは、今不当労働行為で部労委に問題がかかっているようですし、そういう問題でかかっていますけれども、しかし、やっている行為というものは今のような現状なんですよ。だから私は、それはそれでやってみたって、不当労働行為の人事管理の問題なんか、なかなかそう簡単に解決するものではけありませんしね、それよりか問題は労使が正常な形になるということがまず先なんで、そうすれば不当労働行為なんていうものはできなくなってしまうわけなんですから、その指導を私はしてもらいたいということをお願いしたいんですがね。何か今後おやりになる、どうしたらいいというような御意見を聞かして下さい。
#63
○坂本昭君 関連して。十仁会病院の給与の再調査をされるということですがね。まあ給与の再調査の調査権限は厚生省にはないというお話ですが、実は今のその十仁会病院の内容を、まあ収支決算伴っているか、経営者が非常に暴利――と言ったら悪いんですが、人権を無視するようなことをしているかどうか、そういったことが全然わかりませんので、そういうことをまあこの際公平に、正確に調べることができたら調べていただいて、今の給与をわれわれに見せていただくと一緒に、その収支の決算も見せていただけるかどうか、あわせてお返事をいただきたいと思います。
#64
○説明員(黒木利克君) 最初に藤田先生にお答えいたしますが、確かに先生の御指摘のように、厚生省におきましては、昨年の秋からの病院ストに対しまして、何分経験の浅いことでございますから、労使関係の問題だということで労働省にお願いをしたわけでございます。しかし、その後いろいろ労働省と協議をいたしました結果、やはり病院自体にも問題がある・厚生省自体にもやはり努力すべき余地が大いにあるということを自覚いたしまして、おそまきながら病院自体の改善を、近代化するために、一つ積極的な手を打ちたいと、しかし、官僚独善になっても困りますので、この方面の専門の方たちを、特に労働関係では労働省の御推薦によって、りっぱな委員の方をお願いいたしまして、三月の末を目途として、病院の経営管理というものをどうしたら近代化できるか、結論を、お知恵を出していただくということで進めておるわけでございます。
 もう一つは、結局は医療費の問題になる、経済問題になるというので、まあこれはスト以前から病院の医療費の問題について厚生省で検討しておりまして、今回一〇%のアップということが、一応答案が出たわけでございます。
 それから次には、しかしそういうような三月を待って手を打つのではおそ過ぎますから、病院の、何と申しますか、経営につきまして、今までは自由放任と申しますか、経営の内容については全くタッチをしていなかったのでございますが、今回は求めに応じて指導という、あるいは助言という格好で厚生省も積極的に、あるいは衛生部局を通じて、積極的に乗り出していこうと、ただ、権限の背景はやはりあくまでも持たないようにして、サービス行政としてやっていこうということで、労働省にもお願いいたしまして、とりあえずは管理者側の講習会というようなものを今盛んにやっておるわけでございます。まあ特に管理者側に近代的な労働立法の理解が薄いものでございますから、そういう点の講習会を厚生省みずから、あるいは各系統的な、済生会とか、日赤とか、そういうような団体がございますから、そこで講習会をやりまして、労働省からも講師の御推薦を願って、着々今やっておるのでございます。しかし、こういうつけ焼刃でなしに、本格的にやはり病院の経営管理についてメスを入れる必要があるというので、御案内のように、来年度予算で病院管理研究所というものを新たに作りまして、本腰を入れていこうと、それからこれを行政に移す手段として実は医務局に初めて指導課というものを作りまして、現在その準備室がありまして、実質的には指導にはもう乗り出しておるわけでございます。まあおそまきながらそういうような態勢がようやく整った次第でございます。この上は先生方のいろいろ御注意によりまして、こういうような態勢をさらに強化して、こういう病院ストを未然に防止するような、病院の経営が合理化、近代化ができるような態勢に至急持って参りたいと考えております。
 それから坂本先生の御要求の資料でございますが、実は私の方で私立病院の経営の実態がわかりますならば、こういうような医療費の問題の算定におきましても苦労がないわけでございますが、先ほど申しましたように、病院の経営自体については、政府としてはまあノー・タッチというような建前できましたために、何ら権限がなかったために、実態がつかめなかったわけなんですが、最近におきましては、病院自体でもやはりガラス張りの中で運営をしなければ通用しない、特に問題が労働委員会の手に渡りますと、どうしても経営の実態というものをあからさまにしなければ調整もできかねるわけでございますから、そういう点でいろいろ私の方に相談に見えるようになりました。私の方は、そういうような相談に見える機会に、病院の経営というものをつかんでいろいろ助言をしていこうということでございます。で、十仁会の場合でも、東京都に最近はそういう給与の大体平均がこうなっておるのだという程度のことまでは報告するというか、知らせるような態勢にはだんだんなったようでございますから、まあもう一歩進めてみたいと思います。もう一つは、医療法人の場合におきましては、決算報告というようなものを一応提出をすることになっておりますから、その決算の報告を、これは当該病院の了解がなければ公にはできないと思いますけれども、当該病院の了解を得られますならば、その決算報告の程度ならば提出ができるのではないか、かように考えております。
#65
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
#66
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#67
○説明員(辻英雄君) ただいま非常に詳細に厚生省の方から御説明がございましたが、基本的には、病院の労使関係が円滑にいかない原因には、初めに中小企業一般に申し上げましたような、労使関係者そのものが労使関係の近代的なあり方についての理解を十分持っていないということが第一点と、それから病院の場合について申しますと、ただいま厚生省からお話しございましたように、病院の労使関係あるいは人事管理の実態というものは、非常にこの医療ということと密接不可分につながっておりますので、それと切り離した一般的抽象的指導だけでは十分でないということで、ただいま厚生省からお話しありましたような特別の審議会を作って、そこに労働問題のわかる方も入ってもらいまして、そこで基本的な指導の方針をきめていただくということで、全体としては進んで参っておるわけであります。私どもの方としましては、それはそれといたしまして、やはり労使関係そのものについての考え方について、特に病院経営者に理解をさせていくということが重要なことでございますので、先ほど申し上げました全国的に中小企業一般にやっております中小企業特別指導の中で、特に病院というものについては、ぜひその対象の中に必ず組み入れてやるようにというように地方へ指導しまして、府県ごとにやっております中小企業労使関係講習の中で最重点としてこれを実施しておるというのが現在の状況でございまして、さらに今の厚生省の方の審議会の結論等を得ましたならば、また、新たにそれに沿って努力をして参りたい、かように考えるわけであります。
#68
○委員長(吉武恵市君) 本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これにて散会いたします。
   午後零時四十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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