くにさくロゴ
1960/04/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第20号
姉妹サイト
 
1960/04/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第20号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第20号
昭和三十六年四月十一日(火曜日)
   午前十時四十六分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君
  理 事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           久保  等君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           八木 一男君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
  政府委員
   厚生政務次官  安藤  覺君
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省公衆
   衛生局長    尾村 偉久君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省保険局長 森本  潔君
  事務局側
   常任委員
   会専門員    増本 甲吉君
  説明員
   厚生省公衆衛生
   局環境衛生部長  聖成  稔君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日雇労働者健康保険法の一部を改正
 する法律案(内閣送付、予備審査)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正
 する法律案(衆議院送付、予備審
 査)
○精神衛生法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○結核予防法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○社会保障制度に関する調査
 (一般厚生行政に関する件)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(閣法第八六号)を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#3
○国務大臣(古井喜實君) ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 日雇労働者健康保険法は、日雇労働者の疾病あるいは負傷等に関して保険給付を行なうことにより、その生活の安定に資することを目的として、昭和二十八年に制定されたものであります。自来数次にわたる改正により、漸次給付内容の改善がはかられてきているのでありますが、現在でも健康保険のそれに比較しますと、かなり隔たりのある部面がありますので、この際事情の許す限り改善をはかることとしたのであります。
 一方、給付内容の改善をまかなう財源についてでありますが、日雇労働者健康保険の財政は、医療給付費を中心に保険給付費が年々増加するのに対し、保険料が定額制で弾力性を持たないため、ここ数年来急速に悪化してまているのであります。これに対処して、これまでも保険給付費に対する国庫負担率を引き上げるほか、暫定の措置として借入金を行なう等の方法を講じて参ったのであります。このような財政状況下において、給付内容の相当の改善を行なうには、さらに特段の財政対策を講ずる必要があるのでありまして、今回あわせて、国庫負担率の引き上げと保険料額の等級区分の改定を行ない、財政の健全化に資することとしたのであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。
 まず、給付内容の改善についてであります。
 その第一は、療養の給付期間を現行の一年から二年に延長することであります。
 その第二は、傷病手当金の支給期間の延長及びその日額の引き上げをはかることであります。すなわち、現行制度では、傷病手当金の支給期間は、十四日となっておりますが、これを二十一日にし、また、日額については、第一級二百円、第二級百四十円の二段階制となっておりますものを、保険料日額の等級区分の改定に伴い、三段階制して新一級を三百三十円とするほか、現行の二百円を二百四十円に、百四十円を百七十円にそれぞれ引き上げるものであります。
 その第三は、被保険者が分べんした場合に支給する分べん費の額を、現行の二千円から四千円に引き上げるとともに、配偶者分べん費についても千円から二千円に引き上げることとするものであります。
 その第四は、出産手当金の日額について、傷病手当金の場合と同様に三段階制にし、新一級を三百三十円とするほか、現行の二百円及び百四十円をそれぞれ二百四十円及び百七十円に引き上げることであります。
 その第五は、特別療養費の制度を創設することであります。現行の制度におきましては、療養の給付は、被保険者となってから、前二カ月間に通算して二十八日分以上の保険料が納付された場合等に行なわれることとなっております。このため、初めて被保険者となった者については、この間医療給付を受けられないという不合理が生ずるのでありますが、今回このような弊をなくするため、被保険者となった当初の約二カ月間五割の医療給付をしようとするものであります。
 次に、給付改善に伴う財政対策であります。
 第一に給付費の国庫負担率について、本保険の特殊性にかんがみ、これを現行の十分の三から百分の三十五に引き上げることとしたのであります。
 第二は保険料の日額の等級区分の改定であります。保険料の日額は、現行制度では、二段階制になっているのでありますが、これを三段階制に改め、比較的賃金の高い日額四百八十円以上の階層の者を第一級とし、これに対する保険料を三十円とするものであります。これに伴い、賃金日額二百八十円以上四百八十円未満の者は第二級、二百八十円未満の者は第三級となりますが、これに対する保険料日額は、いずれも従前通りとするものであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及び法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(吉武恵市君) 次に、本法案の細部について政府委員から説明を願います。
#5
○政府委員(森本潔君) お手元の資料の五ページをお開き願います。日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案要綱、これによって御説明申し上げます。
 第一の改正の目的でございますが、ただいま提案理由にございましたように、一つは給付内容の改善をはかることでございます。それから一方におきまして、国庫負担率を引き上げる等によりまして保険財政の健全化をはかることでございます。
 第二の改正の要点でございますが、要点は七つございまして、1から5までの五点は給付内容の改善に関するものでございます。それからあとの6と7は保険財政の財源の問題に関するものでございます。
 まず第一の療養の給付及び家族療養費の支給について、給付期間を二年、現行は一年でございますが、これを二年に延長しようとするものでございます。
 二番は、傷病手当金の支給期間を、現行の十四日から二十一日に延長いたしました。また、その支給日額を次のように引き上げるわけであります。等級区分が三級になりましたので、第一級におきましては、これは新設いたしまして、三百三十円の保険料でございます。それから第二級、これはもとの第一級でございますが、これを現行の二百円から二百四十円に引き上げます。第三級、これはもとの二級でございますが、現行の百四十円を百七十円に引き上げるわけであります。
 次の第三の出産手当金の支給日額でございますが、これはただいま申しました傷病手当金と同様の金額に引き上げをいたします。なお、期間につきましてはすでに前回の改正におきまして十四日を二十一日に延長いたしておりますので、今回はこれは改正する必要はございません。
 第四の分べん費でございますが、現行におきましては二千円の分べん費を支給しておりますのを四千円に引き上げる、また、被保険者の配偶者に対します分べん費につきましては、現行の千円を二千円に引き上げることにいたしました。
 第五には、日雇労働者が初めて被保険者となりました最初の二カ月間におきましては、それは療養の給付を受ける資格はございませんので、従来給付をいたしておりませんでしたが、今回その最初の二カ月間につきましても、被保険者及びその被扶養者に対しまして五割の医療給付を行なうことにいたしました。この五割と申しますのは、大体国民健康保険の給付が原則として五割でありますので、それに合わせたわけであります。
 以上が給付内容の改善でございます。以下6と7が財源の問題でございます。
 第六は、賃金日額四百八十円以上の被保険者につきまして、新たに三十円の保険料額を設けることにいたしました。
 それから第七は、給付費に対する国庫負担率でございますが、現行の三割を三割五分に引き上げました。
 次に、第三の施行期日でございますが、改正の要点中4の分べん費の問題と、5の特別給付費、この二つにつきましては公布の日から実施をいたします。その他につきましては四月一日から施行することにいたしております。
 これの財源関係でございますが、資料のあとから二枚目に四十三ページというものがございます。折りたたみになっております。四十三ページにございますように、現行と改正いたしましたもの、三十六年度におきます増加額、三つの欄がございます。まず最初に、保険料でございますが、ただいま申しましたように、現行から改正のように変更したわけでございます。改正の欄でごらん願いますように、一級におきましては、賃金区分、それから保険料、就労割合とございますが、一級に該当いたしますものは日雇労働者のうちの四六%が該当する見込みでございます。それから二級に該当しますものは四一%、三級に該当しますものは一%の見込みでございます。それから一番右の欄にございますように、この三十円、二十円、十八円というのは、どういう料率になるかと算出してみますと、一級におきましては平均保険料率が千分の四四・六、それから二級が千分の五三・二、三級が千分の七四・九という料率でございまして、健康保険におきますところの標準の最高料率千分の六五に比べますと、三級はこれよりも高く、一級、二級は相当低いという状況でございます。従いまして、一級三十円という保険料を設けましても、千分の四四・六という料率でございますので、必ずしも高額でないと、こういうような考えを持っております。
 それから保険料の等級区分改定によりまして増加いたします保険料収入は、その右にございますように約六億円でございます。
 それから次の行の国庫負担でございますが、三割の国庫負担を三割五分に引き上げることによりまして増加額が約三億五千万円でございます。
 それから次の給付改善に必要な経費、ただいま五点の改正点を申しましたが、それをトータルいたしますと七億九千万円、約八億という増額になります。その内訳は以下に書いてございますのでごらん願いたいと思います。
 以上がこの法案の改正点の概要でございます。
 その他細部につきましては、対照表あるいは各種審議会の答申等、資料を出しておりますのでごらん願いたいと思います。
#6
○委員長(吉武恵市君) 本案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#8
○委員長(吉武恵市君) それでは次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案(衆第一八号)を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#9
○衆議院議員(八木一男君) 私は日本社会党を代表して、ただいま議題と相なりましたわが党提出日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきその提案の理由趣旨内容の大綱につき御説明申し上げるものであります。
 日雇労働者健康保険法は、昭和二十七年健康保険制度の適用を受けておらない日雇形態の労働者諸君の熱心な制定運動、充実した内容をもった日本社会党案の提案によって制定の機運が醸成されたわけでありますが、それにこたえて提出された政府案はきわめて不十分なものであったのであります。
 昭和二十八年通常国会並びに、解散後の特別国会において、両案が審議をされ、政府案の大きな欠点が明らかにされたわけでありますが、与党の多数の力でそれが成立し、昭和二十九年二月より実際に適用が始まったわけであります。
 その後数回の改正が行なわれましたが、その改善スピードはきわめて遅々としたものであり、その急速な内容改善の必要性はおよそ社会保障を幾分でも知るもののまず第一に指摘するところであります。
 政府が今回このことを直視し、ある程度の内容改善に踏み切るため改正案を提出したことについてはその努力を幾分認めるにやぶさかではありませんが、その給付改善内容はまだはなはだ不徹底であります。しかも数次の社会保障制度審議会の答申を尊重し、当然国庫負担増額のみをもって給付の改善をはかるべきであるのにかかわらず、国庫負担増額はごく少額にとどめ大幅な保険料引き上げを財源としていることは、全く不当であります。以上の観点からわが党は正しい方向により完全な内容改善をはかるため本法案を提出したわけであります。
 以下内容の御説明に入ります前に、本法案作成の基本的な理念について申し上げます。
 第一に、私どもは医療保障制度が完全な状態すなわち、全国民に本人負担が一切なく制限の全くない医療が行なわれ、十分な現金給付が行なわれるところまで急速に前進されなければならないと考えております。
 第二に、その完成までの間において、労働者は生産手段を持っていないという事実を重視し、労働者であるものは、事業所の大小、雇用形態、労働形態のいかんを問わず、労働者の医療保障制度を全員適用すべきものであり、国庫負担と雇用主と負担の増額によってその給付内容の向上をはかるべきものと考えております。
 第三に、労働者の健康保険制度は一本であるべきであって、現在のごとく多くの制度に分離されていることはきわめて不合理なことであり、急速に統合への道が進められなければならないと信じます。
 制度統合が即時できないならば、その給付だけは即時同一にすべきであり、そのための費用は、国庫から全額支給すべきものであると考えます。
 元来社会保障的に考えれば、もし給付の差があるとするならば貧困な労働者の給付の方が上回るのが至当でありますのに、貧困な労働者の給付がある程度の生活を確保されている労働者よりはるかに低い給付しか受けられないというようなことは、全く話になりません。即時他の労働者の制度と同一の給付まで前進すべきであり、対象者が低賃金労働者であることにかんがみ、断じて国庫支出増加のみでこれを実現すべきであると考えます。
 以上のような考え方に立って、本法案を作ったわけでありまして、以下具体的な内容について御説明申し上げます。
 改正の第一点は、医療給付期間の三年への延長であります。政府改正案は二年でありますが、健保、国保等の給付から考えて三年に延長することが適切であることについては委員各位がすべて賛意を示されることと信じます。
 第二点は、傷病手当金の給付期間延長であります。現在の給付期間は十四日であり問題にならないほどの短期間であります。政府改正案で大幅延長がはかられることを関係者一同期待をしておったわけでありますが、わずか七日間の延長という内容で各方面から失望をされている現状であります。わが党案は低賃金労働者にとって、特に傷病手当金が重大な意義を持つものであることを直視し、健保並みにこれを百八十日といたしたわけであります。
 第三は、出産手当金の期間延長であります。政府改正案は、これに全く触れておりませんが、わが党案は、労働基準法の精神に従って、産前産後おのおの四十二日すなわち八十四日間にしようとするものであります。
 第四は、傷病手当金及び出産手当金の日額の引き上げであります。すなわち現在一級日額二百円を三百三十円とし、二級日額百四十円を二百四十円にいたすわけであります。賃金、生活水準、物価等の上昇から考えて当然の率と存じます。政府改正案も類似した考え方で日額の引き上げをしようとしておりますが、三級百七十円という制度を残していることはボーダー・ラインの生活引き上げ、特にたくわえのない貧困者の病気の際の生活保障としては低額にすぎ、二級に統合すべきものと考えます。
 第五は、分べん費二千円を六千円に、家族分べん費千円を三千円に引き上げることであります。政府改正案は引き上げ額を四千円、二千円といたしておりますが、健康保険法の改正案では六千円、三千円となっておりますことは全く不合理であることを御理解いただけると信じます。
 第六は、家族療養費のうち結核性疾病もしくは、精神障害またはこれによって発した疾病もしくは負傷にかかる療養については、現行五割の給付率を七割にしようとすることであります。右の疾病傷害について、政府は国保被保険老中生計の中心になるものについて七割の提案をいたしております。政府の認めているごとく、かかる長期間の保険事故については最低七割の給付がなければ極貧層の転落が防ぎ得ないことから考えて、われわれは当然給付率七割を国保の全被保険者、健保制度の全家族に及ぼすべきであり、特に日雇健保の家族の場合即刻実施しなければならないと考えるものであります。
 第七は、特別療養費制度の創設であります。これは現行制度では、保険制度の適用を受けてから二カ月間経過しないと保険給付が受けられないという欠陥がありますので、その弊害をなくしようとするものであり、政府案にも類似の改正点がございます。しかし、政府案では、この期間国保並みの本人家族とも五割の給付をしようとするわけでありますが、本案は二カ月経過した場合と同じく本人十割、家族五割(結核精神七割)の給付をいたすわけであります。健康保険適用者が制度適用と同時に完全な給付を受けられることから考えて、この考え方が妥当であることを御理解いただけると存じます。
 第八は、認可による被保険者の特例を設けることであります。これは同じく日雇形態の労働者でありながら本法の自動的な適用が受けられず、擬制適用を受けあるいはまだ擬制適用も受けていない日雇労働者に対して法的な円滑な適用の道を開こうとするものであります。国民皆保険、しかも労働者は労働者の健康保険が必要であるという正しい方向を具体化するために考えたものでありまして、事務、その他合理的な条文がすべて規定されていることを御理解いただきたく存じます。
 第九は、国庫負担の増率であります。現行法は三割であり、政府改正案は三割五分でありますが、本法案は五割の国庫負担とし、給付改善について保険料は引き上げない方針をとっております。政府改正案は給付改善については非常に不十分でありますが、その努力については前に述べましたごとくある程度認めるにやぶさかでありませんが、保険料を引き上げによって原資と作ろうとしていることは大きな間違いであり、我々の断じて承服しがたいところであります。特に一級保険料について一括五割を引き上げをすることなど、いまだかつて前例を見ない冷酷な態度であります。
 日雇健保会計が苦しいからという理由をつけるでありましょうが、貧困な労働者のみで健保制度を作れば会計の苦しいのがあたりまえで、しかもまた貧困な労働者にこそ十分な給付を確保しなければならないことを考えるとき、大幅な国庫負担増加のみをもって給付改善をすることが当然の帰結であります。本制度に五割の国庫負担を実施したとしても、全労働者にならして、国庫負担率を計算すれば、ほとんど国庫負担というに値しないほどの低い率になるわけであり、国民健康保険に比較して極端にバランスがとれていないわけでありますから、国庫負担の出し過ぎということには断じてならないのでありまして、むしろ五割でも少ないと言うべきでありましょう。
 このような観点から社会保障制度審議会等では、何回にもわたって、国庫負担増額により日雇健康保険法の給付改善をはかるべき旨の答申をしているわけでありまして、わが党案は忠実に審議会の答申を尊重していることを御理解いただきたく存じます。
 以上で御説明を終わるわけでありますが、何とぞ、社会保障推進の熱心な委員各位には、多数の国民の熱心な要望を省みられ、政党政派をこえた立場で、本法案について十分な御審議を賜わり、すみやかに満場一致御可決下さることを心から要望して御説明を終わる次第でございます。
#10
○委員長(吉武恵市君) それでは、本案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#12
○委員長(吉武恵市君) 次に、精神衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 補足説明はすでに聴取しておりますが、尾村公衆衛生局長からさらに補足の説明をお願いすることにいたします。
#13
○政府委員(尾村偉久君) お手元の精神衛生法の一部を改正する法律案参考資料の二十七ページから、御参考になります今度の法案改正の背景になっておる統計資料がございますので、これをごくかいつまんで御説明申し上げます。
 二十七ページにございます精神障害者の状況、これは二十九年に実施いたしました全国の精密な精神衛生実態調査の結果を現在の国民数に推計した数でございます。精神病、精神薄弱、それからその他、これには精神病質者等を入れました全国の推計数。それからそのうちで入院を要する病状の者がどれだけあるか。それからさらに入院は要しないけれども、外来その他の通院治療、あるいは在宅治療の方がどれだけあるかという資料でございます。そこにございますように、全国推計数、精神障害者百三十万人と推計されておりますが、そのうち精神病院要収容が三十五万であります。その一番の大多数は精神病であり、精薄並びにその他の精神病質者はその比率が低いと、こういう資料でございます。
 それから二十八ページの第二表は措置患者、いわゆる今度の法律改正によります強制措置の対象患者が従来のやり方、すなわち国庫補助二分の一の補助によりまして国費入院をさせておったのでございますが、その実績でございます。三十年から三十四年までの実績で、三十五年は、まだ集計が去る三月末日まででございましたので、終わっておりませんが、推定一万二千名、こういうことでございます。
 それから第三表、これは入院のベッド等の状況でございます、(イ)が。これは毎年の六月末の現在の精神病床数でございまして、そこにございますように、三十年の四万ベッドが三十四年は七万九千ベッド、三十五年のこの時期でございますと九万ベッドになっておる。それからそのうちでいわゆる国立、都道府県立――国公立の占めておるものがほぼそのうちの三割弱、そういうような数字でございます。いずれにいたしましても、その当時の在院患者数は一〇〇%をこえておりまして、いわゆる過剰収容でございます。ただ、三十一年に一〇七%の最高でございますが、三十年の一割一分もふえておったのに比べますと、最近はやや好転しておるわけでございます。
 それから(ロ)の方は、これは主たる治療費の支払方法、すなわち二種類、三種類と入っておるものも、その一番おもに加えられておるものによりまして所属を分類しました。在院患者の保護別の所属でございます。そこにございますように、全額自費、いわゆる自費だけでやっておる者は八・五%という少数でございます。もっともこれは三十一年でございますので、もちろん三十六年以降の皆保険になりますと、この分類は非常に狂ってきます。ここの部分はほとんどなくなる、こういうことになるはずでございます。そこにございますように、生保と、それから生保で一部もらっておる者、これを合わせまして四五%、半分に近くの者がこの生保、それから措置入院がこの三十一年、すなわち前ページにございます七千二百人これでいきましても一四%、ほぼ六〇%以上が生保及び措置入院といういわゆるオール公費に近いもので見られている、こういうことでございます。
 それから(ハ)は、在院患者の在院日数でございまして、これは逐次延長をいたしております。これは治療が悪くて延びておるのではございませんで、実を言いますと、これは途中でなおらずして退院する者が一部減ってきたことと、実際は死亡率が低下をして参りました。前は結核その他の合併症等で途中で死亡する者が多かった。それから梅毒性の進行麻痺によっての衰弱死亡、これが多かったのが減ってきたというようなことで、もちろんそれから治療が成功いたしましてなおすまでということの延長、これらの因子が加わりまして治療日数がふえております。
 それから第四表は、今回の改正によります三十六年度の十月一日以降どれだけを本制度によって保護するかという数でございます。前年度の一万二千名に対しまして、三十六年度の下半期は三万七千名、しかもこれはベッド数で三万七千ベッドをとってありますので、前のページにございます一年よりはもう少し在院日数が少のうございますから、これの回転をかけますと、これ以上の実人員が保護される、こういうことでございます。
 第五表、治療の効果でございますが、これはやはり三十一年の精細な実態調査によるものでございますが、現在はもう少し改善されておると思いますが、左側はそのときに入っておった長期、短期一切の精神障害者のそのときにおける診断見込み、診断による予後見込み、そこにございますように、寛解見込み、これはほぼ治癒するもの、それから軽快見込み、これを合わせまして四五%になるわけでございますが、右側はその年に、三十一年度中に退院した者のその退院の分類でございます。これに見ますと、治癒は在院患者全体の倍以上三八%、軽快も非常に多くて四〇%、合わせまして約八〇という者は退院者のうちよい成績で出ている。これは逆に言いますと、早期に発見いたしまして早期治療した者はどんどん退院をその部分でやっていく。それで慢性になりましておそく発見して、もう治療がなかなかむずかしいという固定患者は沈澱しながらそれが五年、六年と停滞しておる。従って、右の表に比べて全員を平均しますとこういうような治癒成績の見込みが非常に悪い。こういうことになるわけでございます。これは早く見つけて早く治療すればよろしいという一つの立証になるわけでございます。
 以上かいつまんで申し上げましたが、これに対する予算措置は先般議決を経ました予算措置によりまして、この下半期分のただいまの資料三十ページの第四表にあります三万七千百八十三名の半年分といたしまして二十九億円の国庫補助額を用意しております、この部分であります。さらにそのほかに七月から一応算定しております医療費の値上げ分、これにつきましては二億七千万円をほかに予算計上されておりますので、合わせまして約三十一億が、この制度改正に予算が組まれてあるわけでございます。前年度のこれに対する下半期分は四億五千万円でございましたので、ほぼ七倍近い予算がこの制度改正に、前年比組まれておる、こういうことでございます。
 なお、制度改正にございますように、今後は診療報酬支払基金にこの支払事務を委託するために、これに対しましても事務費を予算措置として組んでおりまして、半年分二百十七万円をこの部分として組んでおるわけでございます。
 以上そこに御提出いたしました資料について簡単に補足を申し上げます。
#14
○委員長(吉武恵市君) それでは、本件についての質疑に入りたいと存じます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#15
○坂本昭君 まず最初に、大臣に伺っておきたいと思いますが、今日結核それから精神、この二つの疾病によって国民の長期療養並びに多額の費用を要するために貧困層に転落していく、そういう数が非常に多いことから、今回のような改正案が出されたということは、まあ一つの進歩であることを認めます。しかし、今も補足説明がありました通り、要入院――入院、収容を必要とする、精神病院に収容を必要とする者の数が三十五万人という多数であります。それからまた、現在の病床数はまだ十万に足らないというふうに大体理解されています。それで一番最初に伺いたいのは、今後の精神病患者に対する病床計画をどういうふうに立てておられるかという問題であります。これについては、実はアメリカあたりは非常に膨大な精神科の病床を持っております。一九五八年の統計を見ると、アメリカにおける精神科の病床はおよそ七十万、結核が六万四千、それから一般総合病院が六十九万。つまり種類別に言いますと、精神科の病床というのが群を抜いて非常に多いのであります。日本の場合はまだ非常に少ない。そのためにいつも一〇〇%をこえる入院率を示している。特に最近は精神障害の中でも軽度の精神障害、たとえばノイローゼ――この間もブドウ酒殺人事件がありましたが、軽い気持で、ちょっとノイローゼにかかっておったので入れた、ああいう調子の精神障害というものがどんどんこれからふえていくのではないか。従って、こういうことに対する対策としても、精神病床の増加計画ということは非常に重大な意味を持ってくると思うのであります。従って、これについての大臣としての基本的なお考えをこの際承っておきたい。
#16
○国務大臣(古井喜實君) 精神病の関係につきましては、やはり一つには本人の負担を、本人というか、家庭に対する負担を軽くする問題と、病床をふやす問題を両方考えていくことが必要であるし、今日も問題が残っておると思うのであります。両面についてこれから不十分な点を改善したいと、こういうふうに思いますし、なおまた、具体的な病床の整備計画につきましては、局長から御説明申し上げたいと思いますが、基本的には両面を一つ考えていかなければならないということが大事な点だと思っておる次第であります。
#17
○政府委員(尾村偉久君) 現在計画しておりますところでは、昭和三十八年に一応の目標を十三万ベッド、現在の九万五千ベッドを十三万ベッド、さらに四十二年には十七万ベッド、これを実際に実現可能な数といたしまして計画をいたしております。これによりますと、現在人口一万当たり日本で一〇・二の精神病床を――人口も若干増加いたすのでございますが、大体十七万に持っていこう、こういうことでございまして、もちろんまだ不足でございますが、これはしかし、従来の精神病院の増床計画にいたしましても、その土地におけるいろいろな敷地拡充とか、あるいは新設の選択とかいろいろな条件が複雑なんでございまして、それらを十分勘案いたしまして、相当中身を突っ込んだ上での実現数をかように予定しているわけでございます。
#18
○坂本昭君 今の十三万床、さらに四十二年十七万床のこの計画の中で、公私の別はどうなっていきますか。さらにこの資金計画はどういうふうに計画されているか。それに対する国の補助はどういう方針をもって行なわれるか。
#19
○政府委員(尾村偉久君) 現在の九万五千床の国ないしは公立、公共立、これは先ほど申し上げましたように、約二五%がそれに当たっているわけでございますが、今後の計画といたしましても、可能性から見ますと、大体この比率はそう動かない。希望といたしましては、公立のベッドがより高い率になっていくことがこの措置の実施その他からも非常に必要なんでございますが、ただ、現在の病院の、国、公立の数、それからそれの増床の余裕の立地条件その他から見まして大体同率であろう。そういうような計画をいたしているわけでございまして、従って、この公立に対しましては、三十六年度も千五百ベッドの、国庫補助による補助ベッドの増床を考えておりますが、こういうような補助を続けていく。それからなお、公立に次ぐ準公立のような形で、公益法人立というものに対しては、やはり来年も五百ベッドの補助の予算を要求しております通り、これを準公立扱いにいたしまして、相当な条件を付して、指導も監督も行きわたると、こういうようなことで、これをやはり同じような率で今後ふやしていく。従って、残りのほぼ毎年一万ないし一万一千ベッドの全国的な精神病床増加のうち、ほぼ七割まではその他の法人、医療法人あるいは個人立と、これの増床を期待するわけでございまして、これは医療金融公庫その他の金融措置はできるだけこの医療機関としては厚生省として有利に考えていく、こういうような計画で増床を予定しているわけでございます。
#20
○坂本昭君 特に今度のこの提案理由の説明の中にも出ておりますが、自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれのある精神障害者、これの具体的な現在の数は幾らですか。
#21
○政府委員(尾村偉久君) これは具体的でなくて、まず第一に、この三十五万と推定される総数の中でどれだけあるかという、この実態数からの推定は約十万と、こういうふうに見ておりまして、さらにこれがどこのだれがということになりますと、現在入っております一万二千名の在院と、それから自宅監置をしております約二千名、これは保護拘束でございますが、二カ月で切りかえるわけでございますが、それとそれから年間を通じまして約二万人の新規申請がございます。従いまして、これは年を通じて次々と毎年出てくるわけでございまして、現在処理が終わらないものがたまってくるわけでございます。そういたしますと、月に平均約二千名がこれに加わってくる、こういうことでございますから、合計いたしまして一万六千名ぐらいが具体的にどこのだれということがつかめておる数、こういうことが言えるわけであります。
#22
○坂本昭君 今の数の説明を聞きますというと、今のような十七万床の計画ではなかなか間に合わないではないかと思われる。特に三十六年度の計画では、公立の精神病床は前年度と同じ千五百床にしかすぎない。それからまた、法人立の場合はこれは補助は三分の一ですけれども、これもわずか五百床程度にしかすぎない。こういうことでは十分な収容並びに保護というものが行なわれがたいのではないか。この際伺っておきたいのは、こういう精神病床は必ずしも公立のものに全部収容しなければならないということはありませんが、いろいろと研究などを要するので、国立の精神療養所の存在意義などというものは非常に高いだろうし、これはあなたの所管とは違いますが、こうした中で、精神病床の整備の中で、国立の精神療養所に対する任務と申しますか、方針はどういうふうになっていますか。
#23
○政府委員(尾村偉久君) これは従来は精神衛生法によりますいわゆる指定病院、措置を入れる指定病院と、それから指定をしないでも法そのもので優先的に必ず入れなければいけないという道府県立の病院と、これははっきりしておりませんが、国立ではしからば何ベッドくらいこの措置を指定にするかということがあいまいとしておったのでございますが、現在では国立ももちろん国なのであるから、府県と同様に府県知事の要請に応じて一定の措置患者を入れると、こういう話し合いができておりまして、さような形で運行しておると、従って、従来は措置中心よりも、どちらかというと全国的で珍しいケースとか、府県をこえての矯正を要する患者をお入れ願う。それからさらに土地を広く持っております最近非常に必要とされております作業療法、これをやるには最も国立が適しておりますので、さような方面の対象患者の治療と、そういう方面の研究のまあ促進という方の任務を持っていただいておったわけでございますが、しかし、現在約二千の国立のベッドがあるわけでございます。これは非常に貴重なものでございますので、しかもその業績というものはほかのに対しまして非常な模範的で、かなり指導的な内容でございますので、今後むしろ国土のベッドもできるだけふやしてもらうと、こういう計画で実は医務局の方にも精神対策の立場から十分お願いしておるわけでございます。さような線で将来の国立療養所あるいは国立病院の中の精神ベッド計画というものは、この精神対策とも十分にらみ合わしてやっていただくと、こういう了解は得ておるわけでございます。
#24
○坂本昭君 今の公衆衛生局長さんのお考えは、ちょうど医務局長来ていませんが、医務局所管の各種の病院あるいは結核療養所、こういったものをできるだけ精神療養所に転換をしていきたい、そういう方針をも含めての御返答であったのですか。
#25
○政府委員(尾村偉久君) この結核療養所をまあ転換という前提で国立の精神ベッドを増加してもらうというようなことは、一切私の方からお願いしてないのでございます。といいますのが、別に御審議を願います国立結核療養所のベッドも、結核予防法の今度の改正で、相当命令入所患者のいろいろ処理をお願いしにゃならぬ筋もございますので、一方が減って一方がふえたのでは、これは私の方としては両方の政策を今厚生省として伸ばしておるわけでございますから、必ずしもそうはいきませんので、一切その転換問題とは無関係に、精神は精神で私の方は国立にもできるだけ増床してほしい、こういうような意向を申し上げておるわけでございます。
#26
○坂本昭君 そうすると、公衆衛生の立場からは精神病も、また、結核も、これは同等に論ぜられているのであるが、少なくとも国立の病院、療養所について、結核療養所を精神療養所にするとか、まあそういうふうな考えは毛頭持っていないと、もし精神の病床を増加させようという必要が現在あるんですが、その必要を満たすためには、国立の結核療養所を精神に切りかえるという手段によるのではなくて、新しく精神の療養所を場合によれば国立、場合によれば公立、場合によれば私立の形でふやしていく、これが公衆衛生局長の立場だと、そう確認してよろしいですね。
#27
○政府委員(尾村偉久君) これは似ているお言葉でございますが、ちょっと私の考えておりますのは、精神は各種国立も含めましてベッドをふやしてもらいたい、従いまして、国立の中におけるベッドをどういうふうに処理してふやすか、あるいは新設でいくか、これはまあ私の方は一切注文しないと、この点につきましてはまあ医務局のお考えで、こちらのふやしてほしいというベッドさえ御提供願えればいいと、こういうようなつもりでございます。
#28
○坂本昭君 そうすると、ちょっと大臣に伺いたいのですが、大臣は、精神病患者の対策として病床をふやすことと、それから費用をなるべく逓減さしていきたい、二つの方法を行く行く考えたいということでしたが、なかなかこの精神病というものは治療に困難で、それからまあ一度病院に行かれたらおわかりの通り、非常に看護にも労が要る。昔は精神病の患者を入れておいて、食事もろくにやらないで、ずいぶんひどい虐待をして、そしてそのもうけを取るというようなことがされたり、また、言われておりました。しかし、近年の新しい精神医学の発達からはだんだんと作業療法とか、開放療法だとかいうふうにだんだん変わってきている。従って、精神病の患者もなおると同時に、非常に手がかかるのですよ。ですから、私は結核対策も同じですが、結核対策については国立の結核療養所が非常な大きな役割を果たしてきましたが、精神病対策においても非常にむずかしい点について、やはり国が責任をとってこれを見てやるというかまえをしないというと、なかなかこの精神病医学を発達させるのに困難があると思います。従って、そういう点では、今公衆衛生局長ははなはだ逃げているのですね。精神病の病床対策について国立をどうするというようなことは、まあ知らぬといわんばかりのことなんですが、私はこの際明確に方針を立てて、この国立の精神療養所というものが必要ならば、これを新設の形でするか、あるいは結核が減ってきてこれを転換するなら転換させるという一つの明確な方針を立てることが、私は日本の医学のためにも、また、その職場で働いている人たちの今後の研究、自分自身の研究のためにも必要なことではないかと、私はこの点全くフランクな気持で、大臣に一つその意見を伺っておきたい。精神病対策について国立の施設をどういうふうにふやしていくおつもりか、まああとで医務局長来ましたら医務局長にも尋ねますが、大臣としての率直な見解をこの際伺っておきたい。
#29
○国務大臣(古井喜實君) 今の結核と同じように、国でもって病院を作っていくという問題でありますけれども、これは私もよくまだ考えが立ちませんですが、とにかく今まだ県立の精神病院もないところも若干はあるくらいな現状でありますね、多数ではありませんけれども。で、やはり現在の状況が多数は県立の病院を持っている、持っていないところが若干あるというふうな状況でもありますから、県立中心ということで不十分か、国立でやっていかなきゃやっぱりいけないのか、その辺はもう少し検討してみて結論を出したいと思うのですが、今すぐ私自身に判断がつきませんので、とりあえずのことでありますけれども、研究しないという意味ではありません、今すぐ判断がつきませんので、その辺を研究してみて、そしてはたして国立が必要かどうかについての結論を出していきたいというふうに思う次第でございます。
#30
○坂本昭君 明敏なる古井厚生大臣としては、少しく謙譲に過ぎた言葉だと思うのです。というのは御承知の通り、結核について国立の結核療養所が果たしてきた意義というものは、私は大臣も十分知っておられると思うのです。これは技術的にも、全体の三分の一から四分の一ぐらいのベッド数を占めて、日本の結核医療をまあいわばリードしてきたわけです。さらに結核療養所は特別会計でなく一般会計の中で行なわれ、しかも二割引という、こういう低廉なる費用をもって国民にサービスをしてきたわけです。私は、従って、そういう点で日本の結核が今日のように死亡率が激減してきたことは、厚生省自体、国立の結核療養所の果たした役割というものは非常に大きいと思うのです。むしろ、この点を十分に認識されないというと、私はかえって厚生省が自分の使命の何というか、目標を失うのではないかと思うのです。もちろん精神病も十分私立の精神病病院でやっていけます。やっていけますが、同時に精神病の長期にわたる、また、非常に困難な、複雑な病状などを通して、研究的な施設というものが非常に必要だと思うのです。今日厚生省では精薄あるいは重度の精神障害の子供やおとなの施設を作りつつあります。しかし、これはきわめてわずかなものであります。私はアメリカのこの膨大な精神の病床を今すぐ日本に要求しようとは思いませんが、アメリカの病床の傾向の中に、日本としても将来精神病対策の示唆が与えられると思うのです。従って、私は、この際精神病対策について、国が一つの基本的なモデルを提示する、そういう意味では、もっと積極的におやりになってもいいではないか。そのことは公衆衛生局長も断わったように、何も国立の結核療養所を精神病療養所に転換するとか、そういうことではなくて、別に新しい構想を持って、この精神病対策を講じていただきたい。もちろんガンだとか、高血圧の問題も出てくると思います。私は、今日日本の医療は私的医療機関でも十分であると思いますから、何もかも全部国でやれというのではなくて、金のかかる、まあいわば採算に合わないような、また、モデル的な、研究的なことは国がやるべきではないか。そうであって初めて国立の医療機関というものの任務が果たされる。私はそういう点で大臣のいわば一つ新しい決意を要望しているのです。今さら検討をしたいということではなしに、もっと積極的な……国民皆保険というものも出発してしまったのでありますし、全部国でやれというのではないのですよ。社会党でさえも医療国営ということは考えていない。これはどうもいろいろな誤解を受けておりますが、われわれでさえも医療国営ということは考えておりません。しかし、開業医の人たちではできない非常に金のかかる特殊な研究というものについては、国が責任を持って金に糸目をつけずにやってもらいたい。精神病についても今回のこういう改正もけっこうですが、同時に、もっと根本的な国としての医療研究の一つ責任のとれる態度を示してはいただけないだろうか、そういうことなんですが、非常にむずかしい点ではありません。私は明敏なる古井大臣がこの際そういう一つの考えを省内に立てておいていただけることを実は要求して、こういうお尋ねをしておるわけです。
#31
○国務大臣(古井喜實君) 今お話の基本的な考えですね、国が非常に金のかかる、あるいはめんどうな病気に対する方面は引き受けていくという考え方は、これは非常に共鳴するし、そうでなければならぬと思うのです。そこで具体の精神病の場合をどうするかという点になりますと、現状等をにらみ合わせて将来ずっと先のことはともかくとして、現状から考えて私の頭にせめて県立でもどこでもちゃんと整備して整っているという工合にできぬものかというようなところがありますもので、考え方には大いに共鳴する、精神病のみならず……。でありますけれども、さっきのようなことを申し上げたのでありまして、しかし、もともとの考え方は今申す通りでありますから、そこら辺はひっくるめてよく研究してみたいと思うのであります。のみならず、病院というものは、どうあるべきかという――国立の病院あるいは公的の病院がどうあるべきかということは、病院の種類いかんにかかわらず、将来ずっと問題だと思うのであります。どれもこれもが患者かせぎで日を送っている、そうして開業医と衝突するというような格好は、どうもうまくないように思うのであります。その辺は全体としても問題があると思います。これは私も頭に非常にこびりついている問題の一つでありますので、結論まではまだ申し上げられませんけれども、そういうこともありますし、よく一つこれは研究させていただいて、ただおざなりでなしに、どう具体的にしたらいいかということを考えさしていただきたいと思います。
#32
○坂本昭君 大臣のお考えと私の考えと根本的には、そう違いはないと思います。各県に一つモデル的なものをせめて作ってやりたいというお考えもけっこうですが、もうすでに精神病の治療の仕方というのは、開放治療法とか作業療法とか、非常に広大な土地を要することになってきて、私は、普通の私的医療機関では、なかなか開設さえ困難な点がふえてくると思うのですね。従って、せめてブロック的にも国の模範的な、モデル的な精神療養所を建てて、そこで研究を進めていく、そういう態度を私はこの際要望しておきまして、あともう少し別の専門的な質問に移りたいと思います。
 それは精神の病床を増すことも必要ですが、実はこの精神病は非常に特殊な専門科目であるので、医師あるいは看護婦、看護人ですね。こういう人たちの養成計画といいますか、これもこれに伴わなければ、ただ建物を建てて、精神病の患者をほうり込むということだけでは許されない、この辺の計画はどうなっておりますか。
#33
○政府委員(尾村偉久君) もちろんこれはベッドの増加に伴いましてぜひ専門従事員が要るわけであります。これがありませんと、入れるだけ入れましても内容がないと考えるわけであります。参考までに申し上げますと、昭和二十八年に精神科の専門医が八百二十九名でありましたのが、五年後の昭和三十三年では倍の一千六百十二名でありまして、専門療法で、しかも精神病に従事している医師は、ほかの科よりも割合と増加の率が高いということは、われわれも幾分希望を持っているわけであります。当時全医師の中の一・一%でありましたのが、五年後の三十三年には一・七%になったということで、精神科が非常に比重が高く見られてきたということでございますが、しかもこの傾向も、それ以上に医師の方では、こちらの分野に出ていただくことを期待するわけでございまして、これはあくまでも大学、大学院、あるいは教室に入る方が卒業後、公立の精神病院等に就職される方がふえることを期待する以外に、養成計画といいましても、直接にはなかなかできぬわけでございます。それの計画を示しまして、できるだけ関連機関に要望をする、もちろんこれには待遇の問題があるかと思います。それもかねまして獲得の推進をする、こういうこと。
 それから看護婦が問題でございますが、看護人でございますが、これも資料申し上げますと、看護婦が昭和二十八年、今の医師の線に見合う線でございますが、二十八年は精神病床百ベッド当たり有資格、無資格入れまして十六人半でありましたのが、五年後の三十三年には十八・一人というわけで、約一割の増加を見たわけでございます。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
患者比率において一割増加を見たということもこれも医師の問題とあわせまして、医師ほどではありませんが、幾分よい傾向を示している。これを逆にその他の病院、精神病を除きました結核も入れた全体の病院では二十八年が二六・七人でありましたのが逆に減りまして、三十三年には二五・一人という計数になっておりまして、一般的に減っておるにかかわらず、精神病では逆に一割ふえたということは、やはりこれは精神の方の仕事に対する医師、看護婦の希望がふえてきたということでございますが、しかし、将来毎年一万ベッド以上ずつふやしていくためには相当数が要るわけであります。従いまして、今医務局でいろいろ策定しております看護婦の養成充足計画、それは五百幾つの准看、正看養成所がございますが、それらの中にやはり四十二年に至るまでの先ほど申し上げましたベッドの増加計画というものを示しまして、十分考慮願うようにお願いしておるわけでございます。
#34
○坂本昭君 医師並びに看護人の養成の問題は非常にまだむずかしい点があると思うのです。このことに関連して精神衛生相談所というのが各都道府にできておりますが、一体医者がおるかおらぬか、内容と働きについて簡単に御説明いただきたい。私は、厚生大臣は各都道府県に一つの精神病院くらい作っていきたいと言っておられますが、実際に精神衛生相談所は各都道府県にできておるが、どうも内容的にほんとうの専門家が精神衛生相談所で指導しておるかどうかはなはだ疑わしいと思う。つまりこういう点にもまだまだ非常におくれた面があるのではないか、その点簡明に説明して下さい。
#35
○政府委員(尾村偉久君) 精神衛生相談所はこれは全国で現在五十二カ所ございます。公立の精神衛生相談所が五十二カ所ございます。御指摘のように、この五十二カ所全部が専門の精神科の医師をそろえてやっておるというわけには参りませんで、ほんとうの専門家を、しかもこの相談事業に練達な方を置いておるのはまだこのうちの三分の一、二十カ所足らずが専門のものを設けておる。その他は現在充足中でございまして、予算面でも毎年それを充足するように、本年度は八カ所分はいわゆるAクラスといいますか、Aクラスにするような予算をまた増加編成したわけでございます。それから活動状況は従いまして今の三分の二を占めるものは、ほんとうの相談所に来ましても、日をきめて県立の精神病院からの、いわゆる併任のお医者さんが来て診断をいたしまして入院をさばく、あるいは家庭治療でいいというようなことで、徹底したものはまだ不十分、それから三分の一は相当な業績をあげております。特にこの近辺では神奈川、あるいは東京、これらは相当な業績でございます。東京も一昨年始めましたが、昨年一年間に約四千件も実際に扱いまして、相当有力なさばきをやっております。それから神奈川もほぼ同数でございまして、神奈川、ここにもその概要の統計資料等ございますが、これで見ましても、神奈川県下の推定される患者の相当な率がここを利用しているということで、従来と比べましてこれが強化されましてからは、非常に能率的な精神病院への入院・それから退院者の在宅中のその後のアフター・ケア、これらは相当優秀な成績をあげている、資料は省いておきますが、さような状況でございます。
#36
○坂本昭君 つまり結核の対策は医療費を安くするとか、あるいは病床の数をふやすということだけではいけなくて、さらに専門医が十分な治療のできるような、そういう人の数をふやすということに私は非常に今後大事な目標があると思う。ちゃうど結核がなおる病気であるように、精神病も手術やその他の方法によってなおり得る病気であるということ、その点を確認して、十分なる行政指導と計画をとっていただきたい。
 なお次に、現在措置患者の在院期間について、先ほど説明の中では、だんだんと在院期間が二百八十七日から三百三十三日と伸びてきておりますが、私が別の資料で見たところでは、措置患者の在院期間が一カ月未満というようなものも若干ある。さらに一年未満というものを概算計算して見るというと、四割くらいある。あとの六割は一年以上の長期入院ですが、この四割が一年未満の在院期間で措置入院をしているということは、どうも私には合点がいかない。この理由はどういうところにありますか。
#37
○政府委員(尾村偉久君) 先ほどのお話の二十九ページの資料は、これは精神病愚考全般の問題でございまして、これはまあ措置だけではないのでございますが、大体私の方の資料では、措置患者の平均在院日数、すなわち措置期間でございますが、措置終わりましてから、また一般患者として入院のこともその中に相当数あるわけでございますが、この措置期間はほぼ十カ月ないし十一カ月でございます。平均いたしまして措置の期間は……。従いまして、今のお話の一カ月というようなのは、まことに工合が悪いわけなんでございますが、ただ、私の方の資料にも三十四年度の資料では、一カ月ないし一、二カ月の在院患者がごく少数でございますが、ございます。そういうような資料がございます。しかもデータを見ますと、六カ月未満というのは、全体の中で、月ごとに分類いたしますと同じくらい――二百人前後のものが六カ月までは毎月出る。それから六カ月から一年になりますと、とたんに六倍から七倍になるというふうになりまして、非常に短期間のものが、いわゆる度数分布で見ますと、異例な形であるわけであります。従って、これが私どもまだ原因を詳しく追求してないのでございますが、考えられますのは、この病状によりましていわゆる措置を要するおそれがあるというのに基づいて入れたものが、まあ起こらなかったので、従来は経済的な理由で、府県ができるだけ予算を倹約するということは、従来は事実ありましたもので、さような関係で発作のおそれがなかった、だから普通の生活保護等に切りかえた。措置による、いわゆる県と国との半々の負担による公費入院の期間を終わった、こういうのでこの措置期間の一カ月とか、二カ月とかというようなものが出たのではないか、こう想像しておりますが、このために退院さしたというのではなくて、おそらく費用の切りかえが行なわれたと思っておりますが、この点も今度の国費八割ということになりますと、こういうようなことはおそらくなくなり、いわんや自己負担の一部でもあります生活保護患者を全部こちらでまるまる引き取ることによりまして今の経費別の切りかえというようなけちな考えがなくなるであろう、こう考えておるわけであります。
#38
○坂本昭君 どうも今の局長の説明は納得しがたい点があります。やはりこの点には問題が二つあるのではないか。一つは、局長の言われた通り、精神病の特異性で一カ月くらいでなおる、そういうこともあるかもしれません。しかし、これはむしろ精神病の特異性からいって、そういうことはむしろ考えられない。一カ月以内で退院するということは、私は医学的な理由でなくて、やはり別な理由が私は大きいと思う。そうすると、このことが今度せっかくこうした公費負担の率を高めていっているけれども、依然としてこの理由が解消しないというと、ほんとうの措置入院の実を上げることができないのではないか。私はその理由の一つとしては、措置入院した場合の家族の生活保障がどうなっておるか、そういう点の検討が十分行なわれていないから、入院さしたけれどもすぐ舞い戻ったとか、あるいは措置入院をやめてしまったとか、そういうことが起こるんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
#39
○政府委員(尾村偉久君) 確かに、入院患者を世帯主あるいは主婦に出しますと、家族の生活問題などがございまして、これは経済問題と、生活を実施する問題と両方ございますが、そういうことがあるのでございますが、ただ、精神病の場合には、ほとんどがむしろ患者それ自体が家庭にいない方が、いろいろな意味で生活の負担が軽くなるという声の方がはるかに多いのでございまして、むしろそれがベッドが足らないとか、入院料がないために入れないで、むしろ待ちに待っているという方が多いのでございます。この点は、結核その他とは若干趣が違っておりますので、私の方の別の資料で見ますと、やはり先ほど申し上げましたように、一カ月目は措置で入るけれども、二カ月日から、ちょうどその数が、措置が減った部分だけが今度生保の在院患者がふえる、こういう置きかえの資料がございまして、やはりこれは本人が出てくるのでなくて、あくまで費用の負担別が入れかわる、こういうふうなのが大部分であろう、こう思っておりますが、今度はそれを全部、そういうことをしないで済むようにいたしますので、この点は解決されるのではないか、こう思っております。
#40
○坂本昭君 そうすると、措置患者が、今度は生保に切りかえるというようなことが起こらないから、こういう統計の上で一カ月未満の入院というような数は、今度の法改正が行なわれたら起こらないであろう、これはその後の経過を一つ見ることにいたしましょう。
 そこで、先ほどの説明として、年間約二万名の新規の申請がある、つまり措置入院の申請が二万名あるということですね。ということは、大体あなた方予算を組んでおるが、その予算の倍以上になろうと思います。そうすると、これが今度の新しい三万七千名ですね、この予算の組み方で十分に充足される見通しですか、いかがですか。
#41
○政府委員(尾村偉久君) この二万名でございますと、一年通じて二万名でございますが、先ほど申し上げましたように、平均在院日数十一カ月、三百三十日、そういたしますと、全体のベッドはほとんどまる一回転されるわけです。ですから、九万五千ベッドありますと、毎年理論上は新規患者が九万五千人入る。そのうちの二万名を措置ということでございますので、これは可能な数字でございます。ただし、その場合に、今度予算との問題でございます。切りかえのときには約一万六千名は現在在院しておる生保の一部負担のあるもの、残り二万一千をそれ以外のものに切りかえられるわけでございます。大体予定しておりますのは、そのうちの約半数弱、約三分の一が、現在在院しておる国保等の実際にこの症状を持った該当者がこれに切りかわるということでございますので、今の二万名の年間通告者数ならば、十分これは収容できます。ただ、われわれの考えますのは、従来の二万名というのは実は少ないのでございます。先ほど申し上げましたように、ある時期に、ほんとうは十万名ぐらいという数字上の推計でございますから、もう少し発見通告というものが増加することを期待しております。大体私どもの見込みでは、これが五割ふえまして三万になっても、三十七年度年間三万七千ベッドで、これを持っていれば、これは出入りで収容できる。しかもちょうど一年たちますので、ベッドも新規に
 一万ふえております。十分こなせるという見込みが立っております。それから先、さらに三万、四万と新たにつかまえられますと、また別個な考えを持たなければならぬ、さしあたりはそういう考えです。
#42
○坂本昭君 そうしますと、十月一日からの今度の予算書にも出されておる三万七千百八十三名、このうち生活保護からの切りかえが一万五千九百五十二名、国保から七千四百五十一、この数は現在入院している数の実績から出した数であるかどうかということを、もう一ぺん説明いただきたい。
#43
○政府委員(尾村偉久君) これは社会局で、現在の実績に、今後半年経過するために、九月末で若干の出入りを整理した結果、あるべき姿、それから国保についても同様な姿を推計したわけでございます。それに基づいて組んでおるわけです。
#44
○坂本昭君 そうしたら、この場合に、措置入院に切りかえてあとへ残るものがだいぶあると思うのです。その残るものと残らぬものとのその区別は、これはどういうふうにおやりになっているのですか。
#45
○政府委員(尾村偉久君) 生保に関しましては、実は精神病の場合には、一部負担のある在院の精神患者は全部切りかえるということ、といいますのは、生保で現在一部負担があってもなおかつ入っているのは、九九%までこの措置に該当するような相当な症状所有者でございまして、いわゆる自費入院とか、あるいは同意入院で入っている軽い者というのは、もう少なくて、ほとんど入っておらぬ。これは全部切りかえますので、一部負担のある生保は全部これで片づく。国保が問題であります。七千名のほかに、今度皆保険になりますので、それ以上に若干入ってくる。その場合には、国保の精神で入っている者は、少なくとも国税による所得税はほとんど納めておらぬ。従って、国保の患者数も、ほぼ国保の当時入っている入院患者のほとんどを実は尽くしている数です。国保による割当精神病患者の在院は、いろいろな事情で、少ないのでございます。従って、切りかえのときは、そう振り当てには困難でない。むしろ残りの部分の適用にいろいろな筋を引かなければならぬ、こういうことで、今の政令、あるいは省令で、引くべき筋を今精神衛生審議会にかけまして、この二十二日に確定いたします。それで審議してもらっているわけです。
#46
○坂本昭君 そうしますと、生保と国保の精神病の患者の重症な者は、ずっと措置入院の中に吸い上げられる。そうすると当然まだあとに、必要とした人で今まで申請もしなかった人たちが、またずっと出てくると思うのです。そうした場合には、これは一応大臣に伺っておきますが、あとで補正予算を組んで、その法律の趣旨を徹底するために補正予算を組むことも、つまり措置入院というものの必要が増してきた場合には、補正予算を組むこともあり得る、そういうことですね。
#47
○国務大臣(古井喜實君) これは必要な経費だけは、もし予算が足らなければ財政措置をしなければならぬわけのものでありますからして、その年の予算で補正等をやる機会があればそれをいたしますか、翌年度で精算をいたしますか、どっちかにせよ、必要なだけの予算措置は遺漏なしに講ずることに建前上もなっておる、そういたす考えでございます。
#48
○坂本昭君 それでは伺いますが、単価を今度五百三十六円というふうにしてあります。これは説明を簡単にしていただくために私の想像を申し上げますと、四百八十二円を今度四百九十六円にする、これが一〇%の医療費の引き上げを含めて五百三十六円になったと思うのですが、この四百九十六円とした理由はどういうところにありますか。これで十分措置入院の患者に対する手当ができるという十分な根拠がおありなんですか。
#49
○政府委員(尾村偉久君) 今回ので実際には従来精神衛生につきましては健康保険の例によらずに、県が直接精神病院と契約をしておるわけであります。それが低かったわけでございます。今度の数字は今の一割のベース・アップは除きましての数でございます。これはまず健康保険による従来の精神病の入院患者に対する費用の平均実績で、従って、上がるわけでございます、従来より上がる。これにさらに先ほど申し上げましたように、七月からの一割平均のアップをこのほかに予算を組んでおります。これは一割加わるわけでございます。そういうような形で組んでおりますので、これからは生活保護法、健康保険法による従来の患者と全く同じ待遇ができるような予算になった、こういうことでございます。
#50
○坂本昭君 そうしますと、まだそれだけでは五百三十六円ということの理由が出てこないのですが、それは非常に説明が複雑であるならばこの五百三十六円の単価の生まれてきた理由は、別の資料をもって出していただきたい。これはおそらく将来この法律によって各精神病院が措置入院を運営する場合の非常に重要な私は基礎になると思うのです。しかも精神病の患者は自分でなかなか意見をまとめたりする能力がありませんから。五百三十六円についてこまかい説明があるならば、別に資料をもってこの根拠を出していただきたい。と同時に、今お話のあった、従来医療費の算定方法というものは、県と病院との契約によって行なわれておったのですが、従って、それは県によって非常に違いがあったと思うのです。でこの契約の法律的な根拠はどうなっているかということと、それから今度この措置入院については少なくとも今度示された五百三十六円で全国一律に行なわれるものであると思いますが、その点いかがですか。
#51
○政府委員(尾村偉久君) 五百三十六円というのはどの御資料でとられましたか。
#52
○坂本昭君 熊崎さんの説明した予算書の中に……。
#53
○政府委員(尾村偉久君) 実は私の方では五百五十二円三十銭、下半期この制度改正後は予算を組んでおるわけでございまして、それにさらに医療費値上げ分が一割加わる、こういう計算でございます。従いまして、これは先ほどから言いますように従来の健康保険の実績、精神患者の入院実績、これに合わしたわけでございます。それが今の予算で申しますと五百五十二円三十銭、どういうことで予算を組んだわけでございます。それから従来の四百九十七円、精神措置の実際の実績が何で出たか、法的根拠でございますが、これは従来の法律では医療費については都道府県知事が定めるところによるということで、府県知事が指定をいたしまして、それから患者を預ける場合にその契約でなら預ける。それから指定を受ける方もそれなら引き受ける、こういう形で精神衛生法できめておるわけであります。今度はその部分を改正いたしまして、健康保険の例による。ただし特別の場合には、さらに精神衛生審議会の意見を聞いてワク外のものを、厚生大臣がさらに特別なものをきめられるように、この余裕も見たわけであります。こういう形でございますので、ただいまの予算措置で十分公平にいける、措置患者だからといって、一般の患者と区別して冷遇はしない、こういうことが今度確立したわけであります。
#54
○坂本昭君 さらに今度は支払事務を支払基金に委託することになりますが、一体事務がひどく複雑化してくるのではないか、今までは県との契約で、事務はむしろ比較的簡単だったのではないかと思うが、伝えられるところによると、十数枚の書類を作らなければならないという話があるのですが、今度支払基金に委託することによって、事務が複雑化するということはありませんか。
#55
○政府委員(尾村偉久君) 私どもとしては、むしろ簡素化するというような趣旨で、他のたとえば措置患者を入れる病院が全部保険患者も入れておりますし、それから生活保護も入れて、それと一緒の、同じやり方で出すのが一番事務の簡素化になる。むしろ、従来の方が特別の、県ごとに勝手にきめた請求書、そういうものでやっておったので、かえって複雑であったのではないか、こう思っているくらいでありまして、事務はむしろ複雑化することはない、こういうふうに思っております。
#56
○坂本昭君 それで、今度の制度になって、医師の不服申し立ての制度、これは別に今度新しく作られておりませんが、これについてはどういうお考えを持っておられますか。
#57
○政府委員(尾村偉久君) これは従来ともないわけでございますが、いわゆる支払い医師と言いますと、結局措置入院の指定病院が、たとえば取り消しを受けたとか、そういうようなときの不服、それからあとは支払基金でやります健康保険、その他同様にやる査定・があるわけです。診療の査定がある、それに対する不服かと思いますが、この点はほかのものと同じように扱うというふうに考えておりまして、特に、この精神衛生法の引き受けたものだけには押しつけがましくやるというつもりはないのでありまして、運営上は全く他のものと同じように扱っていくというつもりであります。
#58
○坂本昭君 現在の精神衛生法の六条では、精神病院及び精神病室の運営に要する経費に対して政令の定めるところにより補助をするということになっていますが、その額は従来どうなっておりますか。
#59
○政府委員(尾村偉久君) これは公立の場合は二分の一の国庫補助でございますが、それ以外の非営利法人、これに対しましては、三分の一の補助をいたしております。ここでは二分の一以内になっておりますが、最近のずっと実績は三分の一という国庫補助の実績でございます。
#60
○坂本昭君 いや補助は実際に出していますか。出していないのじゃないですか、法文はそうなっているけれども出していないじゃないか。
#61
○政府委員(尾村偉久君) このうちの六条の二の中の設置に関する経費、いわゆる新設費、増床費に対して今申し上げたので、運営費、すなわち経常経費に対してはこれは出しておりません。これは公立についても、それから民間についても同様でございまして、これはあくまでも直接運営経費に出してなくて、ただいままでの、これにありますように、いわゆる医療費の方の措置患者費を公費で負担するという形で入っているわけでございますが、それ以外には出しておりません。
#62
○坂本昭君 ですから、これからその精神病対策を進める上においては、この運営に対するちゃんとした法文上にある補助も出すべきではないか。それから今度は予算書を見ても、運営については予算を組んでない。せっかく精神衛生法には、そういう補助を出すということが明文がありながら、出しておらぬのはおかしいじゃないか、これも出すようにしたらどうか、出しているならばその額はどのくらい出しているか、具体的に説明してほしい、そういうことなんです。
#63
○政府委員(尾村偉久君) これは精神衛生法に基づく精神病院、国は別といたしまして、公私を問わず、一体出すとすれば赤字を埋めるという形になるだろうと思います。利潤があってなおかつ補助を出すということは普通補助のやり方じゃありません。ところが、まあ従来のところでは、現実には、全般的に赤字であるという精神病院は普通の場合にはないのであります。最近までのところは、措置入院費のようなことをたくさん出しておるわけでございますが、医療費の方に出しておるわけでございますが、過剰収容なくらいで収入は相当あるわけでございます。従って、国が県立病院なりあるいは市立の精神病院なりにそれだけの患者を命じて入れさせながら、なおかつ非常に莫大な赤字があるというようなことは従来実際にはなかったわけでございます。従って、もし今後考えるとするならば、これは五百幾つの官公私の精神病院の中で、偶然に赤字になったその一つか二つを埋めるということになりませんで、やるとすれば、全面的にやはり当然赤字になるべき入院料と、それからこちらが企画をきめてやる支出経費というものをきめて、その差額を見るということになるかと思いますが、現在のところはそういうような状態にありませんのでこれは発動いたしておりません。
#64
○坂本昭君 どうもそれは奇怪至極な説明だと思うのですね。法文には、赤字ならばやる、しかし、現在は過剰収容でとにかく医療法に違反するほど入れておいて、うんともうけろ、うんともうけろとやっておるから、赤字でないから現在までは補助を出したことはない。こんな精神病対策というものは、私はあっていかぬと思うのですね。当然この過剰収容というものはやめなきゃいかぬです。やめて、普通なほんとうに精神病患者を人道的に扱う、そしてその中からこの赤字の出る場合には補助をしていくという、この精神衛生法の法文の建前というものはくずしてもらっては困る、せっかくこうして設置費だけじゃなく運営についても補助を出すという明文がある以上は、私は精神病対策を積極的に推進する決意があるならば、何らかの形でこれは予算化していただきたい。そうすることによって私は精神病院の内容というものがよくなると思うのです。その点もう一度明らかにしていただきたい。過剰収容を推奨するようなことは困ります。
#65
○政府委員(尾村偉久君) これは訂正いたしておきます。過剰収容だからという意味ではなくて、あくまでもそれには全国の精神病院として精神衛生対策上これだけの病院管理運営はしてもらう、この基準が要るわけであります。ただいま精神衛生審議会での病院経営部会というのがいろいろ成案に近づいておりまして、これで精神病院の管理指導全般にわたる基準を答申を受けまして、これを全体に指導として流すわけであります。これをやりまして、一方でこの皆保険化並びにこういうような法的措置の医療費がいろいろ保障されてきます場合、それをまともに定床の中に入れて、過剰は取り消しておきますが、定床の中に入れて、それでやむを得ず赤字が出るとなれば、医療費の方へ入れてあげるのか、あるいは精神病院に関しては、この法があるからそれの差額をこれに基づいて補助するかという問題になるわけでございます。そういうことがあればもちろん精神衛生対策上この法律があるのでございますから、まずそういうことを考える。現在まではそういう実績がなかったわけで、今後あれば決してこれを無視するつもりはないわけでございます。
#66
○坂本昭君 この際、大臣に伺っておきますが、私はこの精神衛生法を作るときに非常に苦心をして今のような項目を生かされたと思うのです。そして精神病対策というのが今こうして軌道に乗りつつあり、そしてだんだんと発展さしていくためには、こうした点で医療費の単価を引き上げる以外にも、精神病院の運営を改善し、それによって患者を実際的に治療し、全快させるという財政的な根拠も出てくると思うのです。どうかこの点については、十分この第六条の趣旨を生かすように御検討いただきたい。その点についてお尋ねいたします。
#67
○国務大臣(古井喜實君) よく研究いたします。
#68
○坂本昭君 今回の改正の三十条についてお尋ねをしたいのですが、従来の第三十条は都道府県が支出する経費に対し、「二分の一を補助する」とあります。で今回は都道府県が支弁した経費に対し、「十分の八を負担する」とあります。つまり従来は「支出する」経費に対しとあったのが、今度は「支弁した」経費に対し、こうなっておりますが、このことの財政上の実務上の違いはどうなってきますか。
#69
○政府委員(尾村偉久君) 実質的には財政上同じでございますが、従来こういう法文で使い分けておりまして、支弁の方が義務的な意味が強い。従来も支出ではございますけれども、この法律に関する限り実質的には義務扱いにしておったわけです。それを一そう従来の財政用語の上で義務的な実態に合わすような言葉に変えた。こういうことで内容的な変化はございません。
#70
○坂本昭君 ただ、この支出する経費に対し、二分の一補助するということは、支出するであろうということであって、県当局が実際に金を支払ったのではないわけですよ。今度は支弁した経費となるというと、都道府県が実際に予算を組んで払わなければならぬということになってくるわけですね。これは今度の法改正をやると、都道府県の方はあとで金をもらうけれども一応財政上からは払っておかなければならぬということになりはせぬかという、そういうおそれを私は感ずるんですが、その点はいかがですか。
#71
○政府委員(尾村偉久君) これは都道府県は命令を出しますと、必ずその命令を出したことに対しては支弁の義務を負う。その支弁をしたものについてを今度国が負担に変えておりますが、従来は補助でありますが、負担に変えておりますが、これは国が県に対して義務負担をする。こういうようなことでございまして、従って、実質的には予算で組まれました経費額というものをあらかじめ府県に示しまして、大体の予算は年度初めにさせるわけでございますから、今のような趣旨からいきますと、命令がそれをオーバーして出される。これは病状上からやむを得ず出すわけです。その場合は自動的に県並びに国が義務負担になりまして、それが補正でやるなりあるいは従来伝染病予防法でやっておりますように翌年に繰り越し繰り越しで全部それは埋めていく。こういうようなことを非常に明白にした。こういうことでございます。従来もそれに近い扱いは旧法の条文でしておったが、あいまいでございますので強めた、こういうことでございます。
#72
○坂本昭君 それでは最後に伺うのですが、この措置入院の命令権者は都道府県知事になるはずですが、きょう午後また議論される結核予防法の改正のときには、結核診査協議会というものが新しく取り上げられてきたように思うのです。今後の措置入院の徹底をするためにもちろん知事はしろうとですからわかりませんが、これを具体的に措置入院の必要があると診断し決定するのは、その機関はだれであり、それは法文のどこに示されておりますか。
#73
○政府委員(尾村偉久君) これはちょうどその診査協議会にかわるもの、精神衛生法では二十七条にあります精神衛生鑑定医、これを県に置いてありまして、任命しております。専門家をもって。これの二名以上がこれを診断いたしまして、そうしてそれの意見に基づいて知事の強制措置を発動する。こういうのが従来からも全部そうなっております。これは確実に行なわれておるわけでございます。
#74
○坂本昭君 それでは、この権威ある精神衛生鑑定医の診断の結果に基づいて、措置入院の命令が出された場合には、今までと違って、国が十分の八の負担をする義務を負わせられまして、さらにまた予算的には三万七千人という従来の三倍程度になってきましたが、私はやはりこういうふうに法律が改正されてくると、それだけ国民の受ける恩恵というものもふえてきてそれだけまた患者もふえてくる、措置入院の数もふえてくる。これはもう非常にけっこうなことだと思うのです。こういうことは私は非常にけっこうなことだと思うのでありますから、どうかこの精神衛生鑑定医の権威に基づいて、国民の方から、今まで隠されておったそういう不幸な患者がどんどん出てきて、措置入院を受けるということになった場合には、予算的なことを惜しまずに、行政的にこれを押えたりしないで、どんどん国民のしあわせのために、予算も補正予算も組み直して、この法律改正を十分に推進していただきたい。そのことを最後に要望しまして、私の質問を終わります。
#75
○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#76
○理事(高野一夫君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
   ――――・――――
   午後一時四十三分開会
○委員長(吉武恵市君)それでは、午前に引き続き会議を開きます。
 この際、結核予防法の一部を改正する法律案を追加議題といたします。補足説明はすでに聴取しておりますが、尾村公衆衛生局長より、さらに詳細にわたる説明をお願いしたいと存じます。
#77
○政府委員(尾村偉久君) それでは、結核予防法の一部を改正する法律案関係資料の中で、今回の制度改正の背景になります統計的な問題等について御説明申し上げます。
 資料の一番最後の青い紙の挿入してあります六の参考資料につきまして御説明申し上げます。
 その中の第一表でございますが、これは最近のわが国が国際的に見て結核死亡の状況がどういうふうになっているかという一覧表でございまして、左の一番高い南ア連邦の有色人の人口十万対一四〇というのから始まりまして、日本がそれから八番目にございます。この日本のは、ただし年次を他の国と合わすために少し古くなっておりますが、現在はこれより低いわけであります。これは三十二年の四六・九というときの比率でございまして、現在は三十四年度が三五・四、それから三十五年はまだ集計しておりませんが、推計三二くらいになっておるわけであります。以下右の方に行きますように、一番右にありますデンマークのように、北欧の各国は非常に死亡率が低うございます。日本は死亡率が下がったとはいえども、まだまだ高い。こういうことでございます。この中で非常に目立ちますのが、たとえば南ア連邦の有色人が一番左で一四〇近い高率であるにかかわらず、南ア連邦、同じ土地に住んでおる白人種は、右の方から何番目かにありますように、南ア連邦(白人)はその七分の一くらいの二〇以下でございます。同様なことがアメリカにも言えるのでございまして、やはり有色人が同じ国内においても高く、白人は低い。アメリカ人は白人が――まん中よりもちょっと右の方に、スイスの隣に、白人がそこに出ております。かような工合でございまして――このまん中から右にありますアメリカの(白人)というカッコは黒人の間違いでございます。これは黒人でありまして、アメリカの白人は一番右から四番目の低い方にございます。かように、ほぼ二倍の差を持っておる、こういうことでございます。
 それから次のページにございますように、2でございますが、患者数のわが国の状況でございます。これは昭和二十八年に次ぎまして昭和三十三年に全国の精密な結核実態調査をやりました。その比率からの推計数でございまして、肺結核患者の要医療いわゆる医療を要する者が二百九十七万人、肺外結核七万人、合わせまして三百四万人という推計でございます。
 このうち、要医療患者のうちで自分自身が自覚している、気づいている――これは他からの健康診断によって発見されたりあるいはみずから医師にかかりまして発見されて自覚している者、この自覚の率は四分の一でございます。七十八万が自覚している、こういう数でございます。
 それから要入院患者――上述の三百四万人のうち入院を要するような病状にある者の推計は肺結核八十四万人、肺外結核二万で、合わせて八十六万人、これは五年前の二十八年にはこれに相当する数字が八十六万人に対しまして百三十四万人でございます。その点では五年間に比較的重症患者が減ったということはまあ事実でございます。
 それから、この入院という重い方のもので、自覚率はそれにいたしましても半分以下でございます。四五・三%、三十九万人が自覚している。
 それからさらに、これと並行するわけでございますが、別な数でなくて、この要入院の大部分が重なるわけでございますが、空洞を持っておる――これはほとんど全部菌を出していると思われますが、これが四十一万人。もしこれが全部要入院患者が含まれるといたしますと、ほとんどその半分が空洞を持っている、こういうふうに結びつくわけでございます。
 それから、保健所で把握しております、いわゆる届出に基づく登録結核患者でございます。毎年、ほぼ五十万人ぐらい届出が行なわれる。この登録が過去五年間蓄積いたしまして、二百五十七万人、こういうことになるわけでございます。ただし、この二百五十七万人は、届出されたものをそのまま蓄積いたしまして、この後死んだり、あるいは治療によって患者でなくなったという者の整理をいたしますと減るわけでございます。それが次のページにございます。推進地区による全国登録患者推計数というのがございます。この二百五十五万人を過去三十四年、三十五年にかけまして全国の半分の保健所地区では完全に今の転帰の整理をいたしまして、その推計数から全国の二百五十七万人に伸ばして整理をいたしますと百万人ほどがそういうふうに整理をされて、百五十五万人が登録患者の推計数になる。これはことしの九月までに残りの全国の半分の地区を同様な方法でやることになっております。もう進行を始めておるわけでございますが、その結果確実につかめる数がこの百五十五万人、こういうことに整理されるわけでございます。そのうち、今度の制度によって一番対象になるものの基礎数がそこで推定されておるわけでございます。
 一番上の活動性の九十万、この中の感染性の二十四万、このうち入院が十万人、それから在宅治療十一万人、治療しておらぬもの二万、不明一万、こういうふうに九月末までにはつかめるであろう、これは具体的な個人をつかまえられる数でございます。それからこの中の在宅治療の十一万人が最も問題になるわけでございます。それから活動性の九十万人の下は肺以外の結核の中にも在宅治療が二万というのが二行目にございます。入院が一万で在宅治療二万、これが若干問題になる、そういうような形でございまして、一番下の活動性の未確定というのは、今後のいわゆる管理検診を今年強化いたしますが、それによりましてこれの確定か将来行なわれる。そういたしますと、在宅治療の六万のうち、感染性であり、かつ在宅治療という、このうちのある数が一番上の在宅治療感染性の十一万にプラスされる、こういう見込みでございます。それから次が健康診断と予防接種の実施状況で、受診者数はそこにございますように、三十三年の三千七百十万人で一応高くなり、三十四年は三千五百万、約百四十万ほど減ったのでございますが、三十五年にはまたこれが再びふえまして、三千九百万に増加をいたします。三十四年が一時落ちました。それからツベルクリン反応で参考になりますのが、検査が、たとえば三十四年でございますと約二千二百万の検査をして陽性者が約千四百万人でございますので、この差八百万人が陰性者でございまして、当然BCGの接種をする、それに対しまして一番右にあるBCG接種数六百二十九万人でございますので、約百七十万人が陰性でありながらBCGを受けなかったということになりまして、ほぼ八〇%には必要な、せっかく発見した未感染者のうちこれにはBCGが行なわれておる、こういう実績でございます。
 それから次の七ページの四、現に医療を受けていない登録患者の管理検診の状況、これは先ほど言いましたように、全国の半数の地区、これで昨年の一月から三月まで三カ月間に詳しく調査いたしました実績でございます。ここにありますように、受診者が一〇〇%といたしますと、活動性の感染性のものが七・六%、それから非感染性が一七・八で、合わせて二五%、四分の一というものが呼吸器結核の活動性である、その他の七五%が現実に精密検診をやってみますと、登録はされておるが活動性ではない、こういう成績でございます。
 五の命令入所患者に関する資料でございますが、これは従来原則として二分の一の国庫補助、あとの二分の一を府県費、それが、三十年から続いておりまして、三十四年に全国の四分の一地区のみが三分の二の国庫補助というふうな形がとられましたが、三十五年度もそれの数をふやしてやる、その実績でございまして、それにありますように、七千件の予算件数に対して三十四年は従業禁止が百二十四、命令入所が六千二百で、このときは合わせて六千三百でございまして、予算で組みました七千に対して約九〇%の実施でございまして、むしろ一割余った、こういうことでございます。これはやはり
 三分の二の国庫補助とか、あるいは大部分二分の一の国庫補助という程度では、府県が十分に府県費を組んでせっかくのきめました数を消化しない、こういうずっと実績でございます。いずれも予算を消化しない、大部分近い数もございますが、とにかく消化していない。今回は国が八割になりますので、これは非常に改善される、こういう資料でございます。
 それから次が今回の制度改正による対象患者の簡単な数でございまして、三十五年度は先ほど申し上げましたように、命令入所は一万一千件、このうちの三千件が国庫補助二分の一、それから八千件が国庫補助三分の二と、こういう内訳の一万一千件でございます。これが三十六年度は半年は、四月から十月は従来通りのやり方で一万五千件とする。それから十月以降が本制度によりまして三万六千四十一件の生保の一部負担であったものの移しかえ、それからその他の分一万八千、合わせまして五万四千四十一件ということになりまして、三十五年度と比較いたしますと、ちょうど五倍という非常な増数になるわけでございます。
 それから次の六は結核病床と入院患者の状況でござい、まして、これがそこにございますように、三十四年、これが病床の登録数は二十六万床、これに対しまして入院患者数二十万九千、ただしこの二十万九千のほかに、この結核病床以外の一般ベッド、内科のベッド、外科ベッド等に入っております者が約三万人毎年ずっとありまして、これが結核患者の入院患者としてはプラスになるわけでございます。これはあくまで結核病床そのものに入っておる入院患者数、こういうことでございます。従いまして、この利用率はそこにございますように、三十四年で八割を割りまして七九%、それから平均在院日数はほぼ横ばいでございましてほとんど差がない、こういうことであります。
 それから次の最後の十一ページ、これは治療費の支払方法別でございます。これは年次別にそこに出してありますように、目立ちますのは健保本人が三十年度に四一%でありましたのが逐次減りまして、三十三年は三二%まで減りましたが、三十四年でまた少しふえておる。それから家族は一般的に横ばいでございますが、三十年ごろよりはわずかにふえておる。それから国保が著しくふえて参りました。これは要するに、国保施行の地域が非常にふえたわけでございます。医療率の増加もございましょうが、実際は全国的に国保の被保険者がふえたのが一番大きな原因であります。それから生保はそこにございますように、これは生保全般でございまして、全額とそれから一部に分けてございませんが、要するに、生保によるものがそこにございますように、横ばい――一時減りましたが、またふえまして大体横ばい、こういう状況でございます。それからその他には結核予防法等によるものが入っておるわけでございます。
 以上簡単でございますが、この資料に基づいて御説明申し上げました。
#78
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#79
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
   ―――――――――――
#80
○委員長(吉武恵市君) この際、結核予防法の一部を改正する法律案の質疑はあと回しとし、精神衛生法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#81
○相馬助治君 この精神衛生法の一部を改正する法律案を政府が提案して、この国費の補助の面、その他の面についてもずいぶん進歩しているという点については敬意を表しますが、この際、私は大臣にごく簡単に三点ほどお尋ねして所見を伺っておきたいと、こういうふうに思うのです。
 この精神病というのは、社会に不安を起こす、家庭内に不和を起こす、そしてこれに貧困が伴うというような意味できわめて重要な問題ですが、一面この治療の面から見ますと、私の見解が誤っていなかったら、実はこのやり方によっては精神病だけは企業として成り立つ、こういう若干悪評めいたお医者さんがあることは事実なのでありまして、そういうふうな現実からして私は精神病の治療ほど世の中で微妙なものはないと思うのです。その他の病気でしたらば患者がお医者さんの適格性を判断します。それから保険法、その他で審査、監査というようなものも行なわれるので、ある程度の秩序が保ち得るが、この精神病の場合は若干趣を異にしていると思うのです。従って、坂本委員が指摘したように、この困難な治療に当たる医者については、やはり国立というような制度を設けてモデル的な治療をやると同時に、積極的な学術的な研究をここでやらせる必要が私は十分あると思うのです。
 第二は、患者自身が医者の適格性を判断することのない病人ですから、どういうふうに指導、監督をして医療行為が行なわれているかということをやはり何らか特殊な方法で厳重に監督する必要が私はあるのじゃないかと、こういうふうに思うのです。
 それから第三の問題としては、今度は知事にその措置を命ずるときに、従前よりこの点が進歩しているのですから、こういう際に、府県に対してもうちょっと義務観を与えて、県立のないところは作らせる。それから特別に民間の精神病院なんかについては監督をし指導をする、こういうようなことが必要であろうと思うのです。
 従って、私のお聞きしたいことは、以上三点について、今度のこの非常に政府が進んだ法改正をやる際に、この種のものが問題になったのかならないのか。そしてこれについては将来厚生大臣としてはどのようにお考えになるのか。この点をこの際御参考までに承っておきたいと思うわけです。
#82
○国務大臣(古井喜實君) 第一点の国の研究並びにこの治療の施設の整備の問題でありますが、これは精神病の方の関係も医療、医術の方面はよほど御案内のように進んできておるわけでありまして、これは国立の病院という意味じゃございませんけれども、よほど進んできておりますけれども、しかし、なお一そう進歩をはかっていく必要はあるわけでありますが、治療の方面も国で引き受けて考えた方がいいという御意見もさっきあったようなわけでありまして、どっちも問題が残っていないわけではないと思います。ただ、治療の問題はやはり府県でもって府県立の病院等を整備さして、そしてそこから固めていくという行き方の方が今日の段階から言うと実際的ではないかというふうに思っておる現状でありまして、国としてのどうするかということは、さっきも申し上げましたように、含めてこれからの問題として検討したいと思うのですが、とりあえずはそういうふうに思っておるところであります。
 それから監督の問題は、これは特別、監督を厳重に、法で許されている範囲は監督をしていなければならぬはずでありますし、していないようだったら十分しなければならぬと思います。もし不十分な点があれば、十分考えていかなければならぬ、これはそう思います。
 それから県立の精神病院の問題でありますが、県立ということが大体今原則的な建前にもなっておるとたしか思っておりますが、それにかかわらず、まだ県立がないというところも数県ある状況でありますので、やはり方向としては、県立は整備をさしていく。県立のないところは作らしていく、整備さしていくという方向を歩いていくことが必要だと思います。実際問題でなかなか県によって事情のあるところもあるようでありまして、一時にきょうあしたというわけにいかぬというところもあると思いますが、方向としてはその方向で推し進めていきたいというふうにこれは考えております。
 第一点の点は、さっき申しましたように、この上研究さしていただいて結論を出したいと思います。
#83
○委員長(吉武恵市君) ほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。
 精神衛生法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって、精神衛生法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
   ―――――――――――
#88
○委員長(吉武恵市君) 次に、この際、社会保障制度に関する調査の一環
 として、一般厚生行政に関する件を議題といたします。
 先般小児麻痺の現状調査のため巡回防疫官が各地に派遣せられましたので、今回その結果について報告を聴取いたしたいと存じます。
#89
○政府委員(尾村偉久君) お手元に昭和三十六度熊本県急性灰白髄炎患者発生資料というのをお配りしてあります。それに基づきましてまず熊本の実地指導をいたしました結果をまず御説明いたします。
 第一ページにございますのは、熊本県も含めまして全国的な本年一月から以降、いわゆる本年になりましてからのポリオの発生状況でございます。そこに三十六年、三十五年と、それから、三十五年の、昨年の一月から十二月までの年間と、こういうのを出しております。患者の数を見ますと、一番下の合計の全国的な趨勢といたしまして、昭和三十五年――昨年の三月二十六日までに三百五十七名の発生がありましたのに対して本年は遺憾ながら若干の増加をいたしておりまして、三百八十四名と、一日違いでございますが、これは週がずれておりますので、週の統計でございますので、こういうことでふえております。しかも、そのふえております県というものは、ある県に集中をいたしておりまして、むしろ下から申し上げた方がいいのでございますが、鹿児島、宮崎、大分、熊本、福岡と、いわゆる九州の七県のうち佐賀と長崎という例外を除きまして、あとの五県でいわゆるこの増加のほとんど原因をなしておるのでありまして、この五県がもし前年と同数なりせばこれは合計いたしますと三百以下になりますので、全国的な趨勢は昨年よりも二割程度少ない状況でございますが、ここに集中をいたしております、これに次ぎますのが、やはり九州にすぐ隣合っております山口県、これが三名でありましたのが十六名、これが主でございまして、あとは数には影響いたしませんが、ごく上の岩手県が昨年この時期には二名でありましたものが八名という、率では四倍になっておりますが、数ではそれほど全国的に影響がない。その他はそれほどふえたのはまずまずなくて、むしろ昨年多かった県は横ばいないしは非常な減少を見ておる県が大部分でございます。さようなわけでございますので、私どもの方でこの九州地区を非常に重視いたしまして、あらかじめこの九州地区が昨年、率が比較的低かったものでございますので、ことにその夏までのは低くて、秋以降増勢をみたという特殊な状況にございますので、ここに派遣をいたしまして詳しく調査をしたわけでございます。その結果が次のページ以降に書いてございます。
 次のページにございますグラフは、一番上の非常に高いグラフは、過去十年間における一番その週ごとに高かった患者率というものを全部高いところだけを集めてやった最大値でございます。それから一番下の実線が過去十年間で、その月で一番少なかった年のその月ないしは週の数というものをやりましたのが最少値でございます。やはり月ごと、週ごとに見ますと、十年間でも非常な年によって幅があるということで、そのまん中の点線が十年間の平均中央値でございまして、それと比べますと、一番太い三月までの本年の冬における実績というものは、十年間の平均実績を上回った傾向を示したわけでございます。これがそこでわかるわけでございます。もっとも過去の一番高い年ばかり集めたものよりも少し低い。二月下旬はさらにそれを上回る、こういう数字でございます。疫学的に本年の立場を春までの状況で判断する資料でございます。
 それからその次が熊本県下の詳しく調べました数字でございまして、ここでごらんのように、昭年三十四年は六月から下が、いわゆる伝染病予防法の届出制度が六月からでございますので、指定いたしましたのが六月でございましたので、その以前のは非常に数値があやしいので、法によりまする以降をとったわけでございます。これをごらん下さいますと、昭和三十五年、昨年の三月までは累計、一月から三月まで八名でございます。一月一名、二月六名、三月一名、これが熊本県の実績でありましたのが、本年は三十六年の右にありますように、そこにございますように、一月三十二名、二月二十九名、三月は、これは十八日現在までの数で十七名、合計いたしまして七十八名、対比いたしますと十倍に近い非常な発生率、こういうことになるわけでございます。それを棒グラフにいたしますと、次のページにございますように、三十四年は普通の全国の率より低うございましたが、傾向といたしましては、夏に向かっての増加というのが三十四年、そこにきれいに出ております。ところが、昨年は全般的に低かったのでございますが、夏の多かった月は七月にぽんと出ておりますが、全体として全国の趨勢ないしは昨年多発した県の趨勢をとらないで、一月以降ずっと不整の波で一向ふえないということで、七月にふえて、八月に落ちまして、いわゆるここで落ちる波を形成するものと思いましたところが、十月から非常な増勢を見まして、むしろ夏の五、六、七、八の趨勢が十月から始まって冬に半年移向したような形で現在に推移しておるわけでございます。ちょうど三十四年の夏の波の次の波が間を抜いて、ここに非常な高い波で一つの山を描き出した、こういう形でございます。
 それからその次のページが先ほど言いましたように、これを発生率を普通疫学的にいう場合の人口十万対年罹患率に、これを三カ月の実績を形成した場合に、これを全国の率とそれから熊本県の率というのを対比いたしますと、全国率は人口十万対、この冬の間の年に伸ばしますと、二程度でございます。熊本はそこにございますように、十七、八、ことに週によりまして二月には二十幾つという高い波にいきます。今落ち始めた、こういうような形でございます。これをさらに次のページ、六ページにございますように、発生の町別に昨年出たところにまた出ているところと、それから昨年出ないところにことし高率発生した、これを分けてここに掲げてございます。ここで見ますと、二つございまして、熊本市とかあるいは次のページに出ておりますが、八代市、それから人吉市という、人吉保健所管内というのがこれに当たります。大きな三市につきましては、市でつかんだために昨年もことしも相当出ている。こういう形でございます。ただし、これはさらに市の中を町別、これは地域別に分けますと、必ずしも同じところに重なって出ているというのではなくて、昨年出たところとは別のところに発生するという状況も相当見受けられます。その他の村につきましては、かなり昨年出ておらなかったところに今年出ているというのが相当散見いたされます。いわゆる三十五年の方が棒が引いてあって、三十六年の方に三月まで出ているというのがここに出ております。こういうふうな工合でございまして、大づかみにいたしますと、九州の熊本県、ほかの県もそうでございますが、概して昨年の秋以前においては、全国よりも発生率が低かったというところが秋から増勢になりまして、今年は全国平均は非常に冬に向かって出た、しかもその同一県内におきましても、村別に見ますと、昨年、一昨年という工合に、皆無であったところに新発生を見ている、こういうような状況がうかがわれるわけでございます。
 それからずっと飛んでいただきまして、九ページというところに今の発生の状況の対比を地図に表わして、その熊本県の地図に表わしております。それでごらん願いますと、×印というのは、昨年一年かかって出した熊本県の総数でございます。熊本県全県下で一月から十二月まで一年かかって百十三名、それを×印、それを一名を一×といたしまして出たところを村別に一年間のを出しております。〇印は、今年のわずか八十日ほどの間に出ました七十七名の数を〇印で出しております。ここでこまかく言いますと非常に切りがございませんので、大まかに言いますと、先ほど申し上げましたように、熊本市、まん中は一年間に相当数出ております。そこに二十六名前年出ました。年間通じて出た。これがすでに三月間で十四名出ている。これが熊本市でございます。ただし、中のグラフは必ずしも重なっておらぬ、別な地域に出ているところが多い。同様なことが八代市、西の海側八代市、一番下の南にございます鹿児島県境にあります人吉市、これは昨年の年間五でありましたのが、今年は三月ですでに六名出ている、こういうような実績でございます。
 そのほかに、非常に注目いたすべきものは、熊本のここに川があるわけでございますが、この沿岸になるわけでございますが、東の方、熊本市から東の白水村というのがございます。これは昨年、一昨年出ておらぬところにすでに三月間に三名出ている。高森町も三名、久木野村もなかったところへ一名、蘇陽町というのが右下にございます。そこらのところがいわゆる新発生で、昨年、一昨年は全然出ておらぬために、四才、五才までおそらく未感染の、免疫のできておらぬものが多いと推定されるようなところでございます。それからその北側に行きますと、やはり洫水村というようなところ、それから大津町、これも昨年一年で一名がもうすでに二名というようなところ、それから西側の方、三名あるいは植木、有名なあの歴史的のところでございますが、植木もなかったのが一名出ているというふうに、大体熊本市の北側を横に帯状に昨年、一昨年出ておらぬかったところに出て、しかもこれは人口から推計いたしますと、この三名、四名とは言いますけれども、非常に高率に当たるわけでございます。この年代の子供の数から見ますと、三名自身が非常な高率になる、こういうふうなところでございます。南の方の地区では割合とそういうふうに全然出ておらなかったところまで発生したというのは少のうございます。帯状に特定なところにかなり傾向がある、こういうことがわかったわけでございます。その次のページ、最後のページの、図の5と申しますのは、これは、熊本県と、それから全国の、昭和三十四年の、これは年間でございますが、それと、今度の熊本県の多発の年令別の対比をいたしてみたわけでございます。そうすると、七十八名の熊木県の、白の方が熊本県の年令別でございます。この零才から始まりまして、一才が一番多い。それから二才、順次逓減いたしますが、ここの特徴は、三十四年度の、詳しくやりました全国の総発生の年令別百分率に比べまして、五才のところ、六才のところ、ここで、熊本の方が高い。それから三才のところも高い。二才もやや高い。こういうことでございまして、これで見ますと、いわゆる過去の三十四年のときの全国の大数計算による分布よりも、いわゆる今度の予防接種の対象になりました一才半、ちょうどこの一才に含まれますが、それをこえる二、三、五、六のところに相当分布しておるということでございまして、これは、先ほどの例から見るように、主として出しております熊本並びに熊本市の北側の帯状の地域が、過去において発生しておらない、従って、そのまま当時零才、一才の者が移行しまして、免疫のできないままに移行している率が高いであろう。そこに今度入ったために上がっておるということでございまして、これは、こういう地帯には、従って、高年令層まで、ある程度接種をしておかないと、今後危険である。こういうことになるわけでございます。
 さような意味で、今回、この熊本と、それから大体同様な、数ははるかに少ないのでございますが、大分、それから宮崎につきましても、同様な傾向がございまして――今度調査の結果でございますが、これは数が、二十一とか二十三でございまして、いわゆるこういう統計的な比較資料にまでなりませんので、大体同傾向の地帯を見つけておりますので、これを一括いたしまして、山口県を含めて、この九州地区については、特別対策を至急やる必要があるということで、九州の方面防疫本部というようなものを作って、地域も遠いために、電話連絡その他の指示も非常に徹底いたしませんので、さようなものを作りまして、来たる二十日に、福岡において、関係の衛生部長の本部作りの初会合を催す。それまでに私の方から専門の担当官を常駐させまして、この特別対策の指揮に当たる。それから、熊本初めこの濃厚県は、県自体にも対策本部をこの際至急作る。これは、昨年北海道に夏作ったと同様なものを今から準備をしておく。こういうような対策を立てまして、綿密なこういうような対象ごとに臨時予防接種をいよいよ実行する。それによりまして、危険である五、六才までのところの万全の免疫を作っておく、こういうような方策を、今度の派遣の結果きめたわけでございます。昨日までに、関係の衛生部長を全部東京に招集いたしまして、打ち合わせも済みまして、いよいよ二十日までには全部発足する、こういうことにいたしたわけでございます。もちろん、そのためには、ワクチンの供給は、ことに重点的にこれはスムースに必要量を増す、こういうふうにする予定でございます。
 それから、ごく簡単に北海道のことしのやはり派遣いたしまして調査した結果を申し上げますと、北海道は、昨年の同時期までに二十一名でありましたのが、ことしももう同数でございまして、二十二名。二十一名が二十二名でございます。大体横ばい。ただし、地域別に非常に問題でございますので、詳細な調査をいたします。昨年は、北海道を、南から北に向かいまして、いわゆる旭川を含むまん中の、道中央を縦走する濃厚地帯に、主として発生いたしました。千数百名を出したのでございます。ことしはその状況がどうかということで、道の西と東に未感染地帯が残っているので、ここに多発するのではないかということを調査の目的にいたしまして調査いたしました。現在まで二十二名のわずかな状況でございますので、明白にその疫学的な関連はまだつかめておりませんが、ただ、概して今度は全道に非常に散発しておる。この二十二名は東の方にも西の方にもごく散発しておる、集中はしておらないということでございますので、ことしは、従って、昨年の濃厚流行地帯にはそれほど出ない。出るとすれば、むしろ東と西の両わきの方に出る可能性がある。こういうことで、北海道については、かなり全道にわたりまして免疫調査を、子供の血液をとりましてそれぞれ抽出調査をいたしました。そのデータも出ておりますので、これに基づいて、北海道についてもことしはかなり能率的な人工免疫をやろう、こういうような計画にいたしております。
 ただ、予防接種の関係でございますが、熊本につきましては、この七十八名の発生と、すでに済みました予防接種の状況を見ますと、昨年度の夏、いわゆる任意接種といたしまして配給したものが若干ございます。そのほかに、本年の暫定措置によりまして、第一回目は一月下旬から始まりまして大体二月の上旬に終わる。それから第二回目接種は二月の下旬というよりも、三月の上中旬に二回目を大体終わった。約五万六千CCを配給いたしました。要請に基づいた分は全部出した、こういうことでございますが、これの実施率を見ますと、この施行率は大体八〇%ということでございます。これらの一月、二月に相当他の県より多発したにかかわらず、やはり実施率は悪い。で、今度だいぶ、県と多発した町村について調べたんでございますが、まだいわゆる公の方の機関のセンスというものは、それほど重大に思っていない。これは、全国的なよその県との比較が、中におりますとわからぬせいで、あたりまえのような程度と思っておるわけです。外から、非常な、他と比べて特別に多いということに初めて気がつくというようなことでございまして、今度、従って、対策本部等を作って、他と違って非常に重大な状況にその土地があるということを刺激もいたしますし、指導も厳重にいたしますので、これは上がる、こういうわけでございます。
 従って、今回の熊本県の多発と予防接種の効力の問題は、予防接種の方がおくれておりまして、発生の方がそれを先行したので、効果は云々できないということで、今後まあ何らかの効果がある。それから熊本県の七十八名の患者は、いずれも今回の暫定予防接種あるいは昨年の任意予防接種をいずれも全然受けておらぬ者のみから出ております。ただ唯一の例外は、大分県に二名だけ、本年の予防接種を受けた者から発生した者が二名、予防接種関係で出ております。従って、これは免疫は全然できておらぬ。従って、潜伏期間中に一回目の予防接種をやって発生したものと時期的に推定される、こういう状況でございます。
 北海道につきましては、暫定予防接種ではございましたが、二才半までこれを強制をいたしまして、北海道は、昨年にかんがみまして、三月までの暫定は全国的には一才半まででございましたが、北海道だけは二才半まで特別承認で拡大をいたしまして実施をした。これが北海道の、あるいは増勢を今後押える上に非常に有効かと、もちろん四月以降は法律改正により三才までは全国的にいたす。それから特別地区には臨時予防接種もかねてやる、こういう予定でございます。
#90
○委員長(吉武恵市君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#91
○坂本昭君 報告によりまして、九州方面に防疫本部ができるということ、これはまことにけっこうなことで、一日も早く完全な防疫指導を、各方面にわたって徹底されんことを特に要望しておきます。
 そこで、一番大事な点は、熊本県地方に多発していることは、率直に言って予防接種をしていなかったということに結論づけられるのではないかと思いますが、との実施率が八〇%ということは、九州地方、あるいは中国地方の他の県と比べて、どれくらい違うかということが一点。
 それからワクチンの配給状況について全然お話がなかったのですが、たとえば地元は非常に要求したにかかわらず、配給が円滑でなかったといった、こういうこともあったのではないかということが一つ。
 それからこれは熊本県、谷口先生いらっしゃいますが、予防接種の費用の点で、地区の住民が相当ちゅうちょしたために、接種率が下がったのではないか。そういう点の事実があるかないかということ。
 それからもう一つは、若干局長も触れられましたが、ソークワクチンの効果ということですね。大分県で受けた者が、やはり発病した者が二名あるというが、これは潜伏期の間に接種しただろうということですが、私は一番大事な点は、ソークワクチンの効果が、こういう事実によって確かめられると思うのです。そういうような、何というか、学問的な事実が見つからなかったかどうか。
 以上の点について御説明いただきたい。
#92
○政府委員(尾村偉久君) 現在のワクチンの実施率、先ほど八〇%と言いましたが、これは大まかにまるく言ってしまいましたので、実質は、今度調べましたのは、正確には七七%で、過去の第一回、第二回と合わせまして、二回まで完了した者が七七%、中国地方よりもやや落ちます。中国地方は平均して先ほど言いました八〇%であります。少し落ちております。その原因といたしまして、ワクチン配給があるいはどうかというお話でございますが、これはワクチン配給につきましては、法律の対象前ではございましたが、暫定措置で、とにかく一才半まではやるということで、これは必要なだけは平等に配給いたしました。ただ、先ほど申し上げましたように、熊本県、北九州につきましては、福岡も入れまして、よそよりもさらに少しよけいに必要ならば増配するという態勢を見せて、われわれの方が示しておったわけでございますので、これは、ワクチンは十分いって、ただ時期が一月十日に行なわれる予定のが、少し時期がずれまして、現地到着が大体十五日から二十日になりました。従いまして、実施が一月二十日以降に始まったわけでございます。時期のズレは、確かにワクチン配給の遅延のためにおくれた事実はございます。量の問題はなかったかと、こういうふうな実績になっております。
 それから費用の問題で、費用負担ができないでやらなかったかということでございますが、これは実は結果から見ますと、私どもの方では一〇%以上二二%まで無料のものがあるという見込みで、予算を用意しておったわけでございますが、実際には一切の町村税も所得税も納めないという方が無料になるわけでございますが、これは平均いたしまして、一割以下でございます。予算を下回ったということでございまして、むしろ、もしこの線でいくならば、予算的にはまだ十分与えられるということでございます。ただ問題は、所得税を納める階級が上の方の階級でございますが、これが三百四十七円の負担があるわけでございますが、これについて特に率が悪かったかということになるわけでございますが、実を言いますと、今度の調査では、その所得別、すなわち負担別の詳しい実施率までは調査できなかったのでございますが、今七七%が、もしかりに、今の、全額有償でやるものが、非常にこれは五〇%か六〇%で悪い。しかもその階層から出たとなりますと、これは非常に重大なことでございますので、これは今後続けて詳しく調査するつもりでございます。先般現地に行ったときには、そこまでは調査ができなかったということで、ただ県の衛生部長の話によりますと、費用問題は、一才半までの暫定接種については、それほど重大な意見はなかったように、今般出てきては言っております。
 それからソークワクチンの効果の問題でございますが、これは今申し上げました大分に出ましたのはちょうど第一回をやって一週間日でございますが、普通この潜伏期は、十日ないしそれ以上ということでございますので、当然この発病が、ワクチン注射の一週間目とすれば、感染はそれ以前、潜伏期間を経て出たと思われますので、この効果とは全然これは無関係と思います。また、従来も、外国で長い間やられた中にも、この一回目の注射をやった潜伏期間に発病したという例は、もちろんあるわけでございます。これは従来も、効果があるなしではなくて、潜伏期間中に、このソークワクチンをやったために、阻止能力がないということが、逆に言えるわけであります。発病するものは、その後追っかけて予防注射をやっても、これはきかぬと、こういうことであろうかと思います。
#93
○坂本昭君 中国地方と熊本地方とで、接種率はわずかに三%程度しか差がないにもかかわらず、比較的爆発的な流行が熊本に見られているということは、どうもこの接種率の三%という差が、これが要因だとはちょっと思われませんですね。むしろほかの要因があることを想像させるし、また、そういう調査をこれは迅速にやる必要があるのではないでしょうか。たとえば北海道で、今免疫の調査はやっておられるというけれども、こういうその免疫調査を、九州地区――山口県にかけてやる計画というものはできておりませんか。
#94
○政府委員(尾村偉久君) これは全国的に、実はことしはできるだけ地方衛生研究所を動員いたしまして、このヴィールス検査の可能なところは、免疫調査をぜひ全国的規模でやってほしいということを、昨年もうすでに通達を出しました。全国に協力を要請しているわけでございますが、ただ残念ながら、全国の地方衛生研究所なりあるいは大学も入れまして、集団的な相当数の免疫抗体の検査のできるというところは、そのうちの何パーセントかでございます。全部はできないということで、ことしの予算で、地方衛生研究所のヴィールス検査の実は補助予算が初めて通りまして、強化するというようなことでございます。計画としては、今のできるところではぜひやってもらうということで進めているわけでございますが、今までのところは、まだその実績はつかんでおらぬわけであります。
 それからなおつけ加えますが、先ほどの三%の中国との差ということでございましたが、先ほど申し上げましたように、実は中国地方は、広島を初め、昨年は九州よりもこの夏までのいわゆる盛期の流行期の発生数は、ずっと多かったわけでございます。これは年間を通じておりますので、熊本やなんかは、秋のこの高くなりましたものが昨年の方に入っておりますが、この九州の数は、実をいいますと、今回の流行の方に入るべきカーブの中に入っております。ところが、他の県は、昨年の夏までに相当ふえるものはふえ、秋、冬になって落ちてきた。こういうことでございますので、盛期の流行の対比では、中国が九州地区よりもはるかに去年は高かった。こういうような因子が、やはり今回の流行には、相当な既免疫者の差ということで出ているかと思います。それがお話のように、今の中和抗体の調査がありますと、正確に立証されて、対策も比較してよくとれるわけでございます。現在のところ、その点まだ全般的に実績を統計的にとるだけのまだ態勢ができておらない。ことしいよいよ今充実を始めている。こういうことでございます。
#95
○坂本昭君 熊本の場合ですね。六才までこれはワクチンの配給量やその他の措置を広げていくのですか。具体的にはどういうふうにやっていきますか。
#96
○政府委員(尾村偉久君) 大体今の熊本市の北側のこの一番過去の実績から見て非常に危険地域につきましては臨時予防接種を、いよいよ今度法律が出ましたので、これを府県知事が発動いたします。これによりますと六才でも七才でも、大体その村で危険と思われる年令まで強制をするわけでございます。それに対して二つの方法がございまして、一つは同じ強制措置をいたしましても、府県と市町村と国とが三分の一持ちのやり方、それから府県と国と二分の一ずつ持つやり方、この経済的には二方法がいずれもとれるわけでございます。これはやはり相手方の町村のまあ経済状態もよくにらみ合わせてできるだけ有利な方にやる、こういう形で高年令層まで臨時予防接種による措置を強制する地区を今度の対策本部によって認定しで選びます、そういう予定にいたしております。
#97
○山本杉君 さっきの北海道の坂本委員の免疫の御質問にちょっと関連してでございますが、これににらみ合わせて北海道の今度の予防接種をやっていらっしゃるわけですか。
#98
○政府委員(尾村偉久君) 北海道は相当数のこの免疫の実勢をつかんでおるのでございますが、もっともこれは一型、二型、三型によりましてこの陽性率がだいぶん違いまして、やはり昨年の流行の八〇%以上が一型によるものでございましたので、一型による免疫率が非常に高い、で、これに基づきまして今回のこの三十六年度における北海道の臨時予防接種をどこの地域にどういうように実施するかということはまだ確定はいたしておりません。このデータに基づきまして、先ほど言いましたように、やるとすれば道の東と西の昨年出なかった地域、この中の一番危険なところを選ぶのが一番能率的であり、また、正しいのでございます。それはこれもにらみ合わせまして必要なところには道の申請に基づいて発動する、こういうつもりにいたして指導もいたしております。
#99
○山本杉君 もう一つ。第一回の注射だけでもう免疫性は得られるものでございますか、今度の。
#100
○政府委員(尾村偉久君) 第一回では非常に免疫効果の上昇は低うございます。少なくとも二回をやりませんと相当程度の防疫力はできない、こういうことでございます。
#101
○山本杉君 臨時措置をなすって相当効果は得られるわけでしょう、それでも。
#102
○政府委員(尾村偉久君) 臨時措置の場合には、今言いましたように、定期接種を三才まではこれはもう全道といわず全国が当然これはやるわけでございます。従って、臨時予防接種を発動するというのは三才以上のものであります。これはおそらく北海道の例でも半数以上がもうすでに感染を受けて免疫性を持っております。こういうものについてはいわゆる一回だけの追加免疫でいいわけです。ただそれ以外の方についてはやはり二度三度、正規のやつも必要である、こういうことになるわけであります。
#103
○坂本昭君 今の臨時予防接種の予算は三千万程度しか組んでいないのですね。今の熊本県の場合に臨時予防接種をやる、これを決定するのは具体的には九州方面防疫本部が決定されると思うのですね。しかし、こういう地区が次から次に出てきた場合には予算的な措置はどうされますか。
#104
○政府委員(尾村偉久君) 第一段階は近く薬務局で算定して示されると思いますが、薬の値段が三割程度下がるということによりまして、この公費、国費負担も従って逆に三割はよけいに同一の予算内でできるということでございまして、まあこれは第一に考えられる。これによりますと非常に大きな数になるわけでございます。従来の数に対して延べにいたしまして約千万に近いあれがございますから、三回分にいたしますとそれに三割ふえて参る、これが第一にいたしますが、もちろん実際に全国的な様子によりまして臨時予防接種による年令階層の増加、それに対する公費、国費の増加があって足りなくなれば、これはこういうような事態でございますので、ぜひ予備費なり、また、時期によりましては補正的にこれをお願いする予定にしたい、こう存じております。
#105
○坂本昭君 今までの報告を総括しての感じでは、やはり接種率をできるだけ一〇〇%に持っていく努力をするということ、従って、そのための具体的な方策がどうも欠けているのではないか、先ほどもちょっと話がありましたが、熊本あたりではかなりやってない、こういう人たちに、結局母親の関心ですが、この母親たちに十分な関心を持たせて、接種に協力というよりも接種を受けさせるようにする、そういうことの具体的な方法がどうなっているかということが一つ問題だろうと思います。
 それからもう一つは、やはりこうなると、たびたび厚生大臣に申し上げてきたソークワクチンそのものの力価というか、効力ですね、効力が私は問題になってくると思います。これは今度の機会に学術的な検討を十分やっておいていただきたい。特にこの際例の中央ヴィールス検査室が予算的に落とされたということは、やはり今のように免疫の抗体の調査をやりまして、いろんな場合にやはりこたえてくると思うのです。ですからこういう際ですから、この中央ヴィールス検査室の予算復活の問題についても何らか緊急に手を打っていただきたい。この二つの点について局長の御意見を聞き、特に中央ヴィールス検査室の問題について、私はこれが相当重要性を帯びてくるのではないかと思うので、これは局長の返事のあとで大臣からもお考えを承っておきたいと思います。
#106
○政府委員(尾村偉久君) 御意見の通り、中心はワクチンの供給量が一つは問題である。これは供給に努力することと、もう一つは受ける側の母親、家族のPRといいますか、理解が一番必要でございます。毎年五月から六月にかけましては、衛生対策の重点方策といたしましては、消化器病、伝染病に対するいろんな地区の活動を重点的にやるわけでございます。これを繰り上げまして、こういうような地域におけるやはり地区の組織を借りませんとなかなか徹底しないわけです、いなかでございますから。それに重点を置いた保健所のポリオ予防の衛生教育、これに重点をぜひ置きたい、こう思っております。
 それからソークワクチンの効果との関連における予研のヴィールス検査室、これの予算がいろいろの過程で落ちたわけでございます。落ちましたけれども、決してこの仕事をやらぬというわけではない、現在のところは予研の中でできるだけやりくりいたしましてやる予定にいたしております。ただ復活といいましても、これは結局主体は建物であると、これの鉄筋コンクリートによる建物を増設いたしまして、実際の新建物による活動はその次というような最初からの予算の組み方です。従って、今建物をやりましても、ことしすぐには参りません、むしろやれば昨年やったごとくサルの中心の検定機関の増設を予備費で実はお願いしたごとき例もございますが、そういうような方法もいよいよ能力が出てくればあり得ると思います。実質は今の中で今度の生ビールスの研究が終わり、それから地方から七百五十……約千名分の追加検査の詳細なものが月に多数かえってくるわけです。これをやるわけです。この能力というものは急にまた済んだらやめるわけではないので、これを続行することが今の免疫の地方分散の検査に直ちに同じということになるのです。これを持続したい。予算はできるだけ経常費でやりくりしてやっていく。こういうつもりでおります。
#107
○久保等君 グラフの十ページのところに七才以上という最後のところはないと思いますが、七才以上というのは、最高は一体どういった年令になっておりますか。その最近の経過、わかる範囲内で数年間あたりの最高年令をちょっとお聞きしたいと思う。
#108
○政府委員(尾村偉久君) 実は、熊本に今回出ましたのは、七才以上のところに六名出ておるわけでございます。これは比率で一〇〇%の分配になっておりますが、実数は六名でございます。男二名、女四名であります。男と女の性別は今ちょっと記憶しておりませんが、最高十五才の子供が一名発生しております。あとの五名は大体七才、八才でございます。一名だけ飛び離れているということでございます。
#109
○久保等君 全国での、三十四年、あるいは三十五年、三十六年あたりのところで、やはり最高年令というと、どの程度の年令になっておりますか。
#110
○政府委員(尾村偉久君) これは的確につかんでおりませんが、相当な年令にまでいっておりまして、これは今ちょっと資料がございますので調べますが、四十才、五十才でも、年に一例や二例は出ております。
#111
○高野一夫君 私もちょっと伺いたいのですが、予防接種を身体にして、そうして小児麻痺の発生を防ぐということもけっこうだと思うけれども、それは私が考えるのに、どうも末梢的な対策にすぎないような感じがする。なぜ感染経路を遮断しないのか、なぜヴィールスを根絶する方法を講じないのか、その方法はどうしてもだめなのかどうかということをちょっと聞かせていただきたい。
#112
○政府委員(尾村偉久君) これは消化器系の伝染病でございますから、中途での遮断ということも、要するに、こういうような伝染病の場合には、患者がなくなれば菌がなくなるということが一つと、それからいわゆる感染経路をなくしていくことが一つと、それから人間から人間へうつる中間を遮断することが一つ、それから最後が、受ける方が受けつけないような抵抗力をつける方法、これは人工免疫も一つであります。まん中の点は、赤痢でもやっておりますように、病棟でありまして、これは人間のからだをいじらないで、一番望ましいわけでございます。ただ、今までの外国の例等では、日本以上に環境衛生の進んでいるところでも、ついに完全にはこれのみでは絶滅できなかった。相当な抵抗はできますけれども、やはり高年令に至るまでには必ずどうしてもかかってしまう。すなわち、ヴィールスそれ自体を、その国土から、環境衛生施設等のみによっては、従来のやり方ではどうしても完全には絶滅できない。しかしながら、これは必ず並行していくことが大事でございまして、できれば、環境衛生施設を完全にいたしまして、要するに、患者の大便から出るわけでございますから、他の人間に生きたままの菌が触れないようにするということが一番根本でございます。これは必ず並行してやります。また、そういたしていきませんと、比較的今度の例のような未感染の地域で環境衛生の悪いところに濃厚な強い菌が入れば・惨害が濃厚に出てくる。これがもし環境衛生がよければ、たとえ入っても、その患者を早く隔離すれば惨害はそれでとめられると、こういうことでありますので、これは必ず、予防接種による人工免疫と、患者の隔離と、それから中間である環境衛生の完備による遮断、これはもう並行してやらなければならぬ、こう思っております。
#113
○高野一夫君 たとえばコレラのごときは、これはヴィールス菌と違うのでしょうが、医学的なことは知らぬが、予防注射はあっても、もはや外地へ旅行するときのような法律、規則できめられた場合のほかは必要でなくなる。そういうように、コレラが起こってくるもとがすでに日本の国土においては絶滅したと見ていいわけでしょう。それならば、小児麻痺がいかにむずかしいかろうと、消化器系統の伝染で済むのであると、これの絶滅はできぬはずはないと私は思う。もしも糞便等によって伝染病が濃厚に起こるというならば、糞便を日本の農村でよく使う、そういうときに、たとえばそれを殺して後に肥料に使う、あるいはそういう地方における糞尿の肥料使用を禁ずるとか、何かそういう方法が私はできそうなものだと思うのですがね。それは並行してやることはもちろん必要ですが、予防接種をやって、患者が出てこないで、糞便にヴィールスも出てこないということならば、それで根絶するのでしょうけれども、またやはり起こってくる。だから、これは外国の場合と日本の場合とは違うので、それで先般附帯決議の中にわれわれがつけたのは、こういう対策は、ただ厚生対策ばかりでなく、農政関係の対策とあわせ行なわなければならぬということを痛感して、附帯決議をしたのです。それを考えた場合に、特に糞尿処理ということに対しては、厚生省と農林省が何か連絡をとって、それが伝染をする一番のもとであるならば、何か方法を講ずる道があるのではないかと私は思うのです。農村でどうしてもこれを畑にまく、肥料に使うというならば、殺虫剤、殺菌剤をまいた上で使えとか、あるいは使っちゃいかぬとかいうことをしませんと、いつまでたったって、予防接種ばかりして小さい子供をいじめて、相変わらずヴィールス感染の経路が横行ばっこしておるということでは、これは追っかけっこをしておるということになると思うのですね。これは非常にむずかしいことかもしれないが、ぜひやってもらいたい。それで、一昨年加藤先生が委員長の時代に、われわれは山口県に行ったのですが、私がこの委員会で二、三回取り上げたことがある密閉式堆舎、これは北九州に普及しておる。密閉式堆舎で堆肥の促成をやる、そうしてハエの絶滅をやる。そういう密閉式堆舎が普及しておるあの山陽町の地方では、小児麻痺が一人も出ないというここを保健所長から聞いたのです。前に出たのが、出なくなった。そうすると、そういうような処理も大いに役立つ一つの方法になるのではないか。しかも、農協が金を貸してやって大いに奨励して、二週間か、冬でもせいぜい二十日、夏の暑いときには一週間で堆肥の促成ができる。ハエのごときは絶滅してしまう。そうして、その堆肥が非常に有力な有機肥料になって、それをまいたたんぼのごときは非常に成長がいいというようなことで、そうしていろいろな伝染病が全くない。小児麻痺のごときは全然そこへ入ってこない。こういうことを考えますと、私は、そういう糞便の処理だけでなく、そういう方面にも何か特に農村方面においてやる道があるのではないかという感じを前から持っているのです。ただ、残念ながら、私はそういう方面の専門の学問を知らないから、どういうふうにしたら殺せるのかわからぬけれども、とにかく山陽町の保健所長が言っておるように、密閉式堆舎を一生懸命やって、それの普及している山陽町の地方ではとにかく小児麻痺が一人も起こらなくなった、ほかの伝染病ももちろんですが――これは大いに私は調査に値する事柄ではないかと思うのですよ。それで、予防接種もけっこうだけれども、それも大いにやらなければならぬが、予防接種をしなくても済むように、コレラみたいにならぬかと思うのですがね、これほど医学が高度に進歩している時代に。ただ、残念ながら、環境衛生なりのやり方が日本は特に外国と比べて劣っている。また、糞尿の利用なんというような特殊事情もあるわけですから、外国とは比べものにならないむずかしさがあると思いますけれども、それだけに私はまたやりようがはっきり出てくるのではないかと、こういうふうに思うのですよ。そういうことならば、それに相当の予算を組んで、どんどんそういう施設に方法を講ずることに金をかけているじゃないか、こういうふうに思うのですがね。これについて、もう少し衛生局長のその専門的見解をちょっと聞かしておいてもらいたい。
#114
○政府委員(尾村偉久君) これはもうもちろんあくまで消化器系の伝染、もちろん一部は飛沫伝染、いわゆるのどに出まして飛沫感染もあるようでございますが、大部分は糞便を通じてのことでございますから、もう環境衛生の処理施設、これはごみも含めまして、要するに、外界にばい菌が繁殖して他人に入るようなこういう経路というものは、もう完全に遮断するように当然文明施設としてやっていくべきものであると思います。ただ、現在も環境衛生施設整備費も相当増額も見つつ整備しておりますが、とてもこれのみをもってしては、今の情勢ではなかなかこれは油断が、安心ができませんので、そういう意味で両方を並行するということでございまして、もちろんこの伝染病の予防のためにも環境衛生施設の整備というものはもう第一に必要でございます。決してこれは生活がきれいになるとか便利になるということだけ以上に、もう第一義的に悪疫の予防のために環境衛生の整備はより必要である、こう考えておるわけでございます。
#115
○坂本昭君 ちょっと関連して。質問じゃなくて議事進行みたいになるのですけれども、高野先生の御意見はこの屎尿処理の点については、非常に正確な御意見だと思うのです。しかし、小児麻痺の問題については、少し私は御意見は違っておると思うのです。その点、今、ここで討論しておっても果てしがありませんので、小児麻痺の問題はたとえば屎尿処理が十分できて水洗便所ができたらなくなってしまうかというと、アメリカの例でも必ずしもそうではないのですね。ただ、こういうことは言えると思うのです。小児麻痺というものは、腸管内感染によるものですから、その免疫についてはソークワクチンのように注射によって免疫をするよりも、直接口の中に飲ますことによって免疫をする方がより合理的である、そういう点で今の生ワクチンの方がもっと合理的な立場をもつ、こういう議論も生まれてくるわけです。そこで、こういう立場でわれわれもこの生ワクチンの問題を非常に熱心に推進してきたのも実はそういう点にあるのです。どうも今の点、高野先生の御意見の小児麻痺の問題については、ちょっと御意見がずれているように思いますから、その点だけ一つ……。
#116
○高野一夫君 私はそうは思わない。
 これは具体的に研究してもらいたいのは、たとえば今、坂本さんから生ワクチンの話が出たけれども、生ワクチンを飲んだ場合に、あとでそれがどういうふうに糞尿に影響を及ぼすかという実験結果がまだはっきりしないということであった。そうしますと、もしこれが糞尿の中に非常にはっきり出てくるということになりますと、その糞尿を肥料として利用して野菜にかけて、その不完全な洗浄の野菜をわれわれが食うかもしれないのですよ。こういうことは、これは公衆衛生だけではなくして、農政関係にも関係があるのですから、そういうようなことを私はあわして対策を考える必要がある、こういうわけです。
 そこで、特にその山陽町の保健所長の報告もあるのですから、これはあなたの方で保健所長からさっそくその調査の結果を一つ求められて、そうしてはたしてどういうようなわけで保健所長が小児麻痺がこの山陽町から絶滅したと、まあ入らないと、こういうようなふうの結論を出したのかどうか。まあ僕はよく覚えておりませんから、その辺も一つ調べて聞かしてもらいたい。同時に、その生ワクチンの糞尿に出てくる実験結果を急がせることと、糞尿処理について特に肥料として農村で使われていくのですから、そのことがこの伝染を促進させるゆえんになりはしないかという懸念を持つのです。それだから、もしそういう懸念があるとするならば、そういうことの対策を一つ考えてもらいたい。それならば、対策ができるならば、われわれは一つ厚生省と協力して予算の獲得をやりたい、こう思いますから、これは大臣にも一つお願いしておきますから、一つ調査をして――とりあえず山陽町の方を調べて下さい。
#117
○国務大臣(古井喜實君) 今の小児麻痺とどういう関係があるかは一つの問題にいたしまして、屎尿や汚物の処理、環境衛生整備の問題は近来また非常にそういう機運が各地に起こってきまして、この状況を見ますともっと政府というか、こっちの方が乗り出していけばずいぶんこれは前進するのじゃないかというふうに感じているのであります。ことしもこの方面の資金ワクや補助などが非常に、この三十六年度も非常に、あれだけふやしたつもりであっても不十分でありまして、今の状況から見ると、とても希望に追いつかぬというようなふうに思っておりますので、よいことでありますからこれは大いに研究しなければならぬ問題だと思っておりますので、皆さん方も一つその辺を御指導願いたいと思っております。
#118
○谷口弥三郎君 熊本県の模様を聞きまして、ことに九州にかなり発生しているし、死亡者も多いようですが、罹病者などの治療という関係から、鉄の肺は今どのくらい九州にありますでしょうか。先日、私、久留米から……、久留米の大学で一つだけ鉄の肺を入れてやっているのですが、どういうような状況に今配置されておりますかどうか。
#119
○政府委員(尾村偉久君) 現在、五台北九州地区に配置されておりまして、国立病院が大村とそれから熊本であります。それから九州大学と、今のお話の久留米と、それからもう一台が八幡の年金病院、この五台配置してあります。なお、私の方といたしましては、現在、実は今週の初めから、全国から担当者を集めて鉄の肺の使い方の講習会を現在開いております。この結果、各地に、ブロックごとに今度は十二台配置いたしましたが、これはいつでも九州に、必要とあれば必要台数はいつでも応援に回す、こういう約束になっておりまして、この間調査の結果、六十五台足らない。九州地区で足らなければ今の対策本部の判断によりまして、われわれが応援をいたす、こういう形になっております。
#120
○谷口弥三郎君 昨年北海道で大いにしょうけつをきわめましたが、北海道にはかなり鉄の肺が行ったようですが、ああいう所はあまり使用になっておらぬなら、なるべく九州、山口という、今現にはやっておる所に一つできるだけ早く配置をするようにお世話願いたいと思います。
#121
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#122
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#123
○山本杉君 熊本の調査、なかなかよくなさいまして、私もいろいろ教えていただいたのでございますが、こういうふうに疫属を追いかけて、そうして厚生省が対策をしていらっしゃるということ、法律によって三才までの子供は必ず予防接種をする、それからその上の子供も場所によってはしてもらいたいということでございますが、さっきは坂本委員の御質問の中に、母親の関心を誘うためにというような御発言がございましたが、日本じゅうのお母さんたちはそれどころではなくて、もっと切実に注射してもらいたいということを願っているのでございますので、せめて小中学の生徒ぐらいには先手を打って注射をしてやるというようなことになると大へんでございましょうか。そういうお考えはありませんか。
#124
○政府委員(尾村偉久君) 実は都会地等で必ずしも発生と無関係に知識のある方々の地域では、できれば小学校全部、その上までも心配だから、こういう要望はございます。それから逆に、先ほど言いましたように、いなかでは一才、半才――法律が今度できてやるのだ、あるいは三才までやるのだということを理解させるのに大へんな地区がまだたくさんある。そこでそういうことは別といたしまして、高年令までことしソークワクチンを供給してやったらというお話がありますが、これは残念ながら今のところ行政上全員というわけにいきません。また、その発生率と免疫の状況から申しましても、三才以下と比べまして十分の一以下の発生確率でございますので、そこまでは予定いたしておりませんが、本年度におきましては相当数の任意予防接種、すなわち三才以上の分の供給を予定をちゃんと組んでおります。ただ費用の問題だけが、予算化にはしておらない、まず予防法の接種によるものだけはこれは当然やる、そういう工合でございまして、これはワクチンのある限り、検定が終わってどんどん出ていく限り希望に応じてこれは配給したい、こういう計画にいたしております。
   ―――――――――――
#125
○委員長(吉武恵市君) それでは次に、国立療養所の移管の問題について、御質疑のある方は御発言を願います。
#126
○坂本昭君 山口県山陽町国立埴生療養所の問題について、お尋ねいたしたいと思います。
 この問題は、当参議院の社労委員会でたびたび討論をされて参りました問題で、埴生の療養所の円滑な移管あるいはその後の運営については、われわれが最も関心を持っておるところであります。ところが、去る四月一日に移管が完了したということが伝えられておりますので、どういうふうな形で移管が完了し、その後の措置がどうなっているかということを、この際緊急御報告いただきたい。
#127
○政府委員(川上六馬君) 職員でございますが、当初に四十名残っておったわけでございますが、二十一名は国立の他の施設の方にかわることを希望いたしまして、そしてその方にすでに転任済みでございます。残る十九名が、初め埴生の療養所の移療に伴って山陽町に行くことになっておったわけでありますが、いろいろとその他の事情等もございまして、十九名の中の十一名だけが山陽町に参ることに相なりまして、そして八名はまた国立の方に残ることになっております。その十一名の者が、現在四月一日付で山陽町の職員に発令されておる次第でございます。それで今準備をいたしておりまして、山陽町といたしましては、その施設を譲り受けて開設しようとして準備をいたしておるわけでありまして、私の方で急いで開設するように言って、昨日も県の衛生部長にも指示いたしたわけでございまして、山陽町といたしましては準備をして、五月一日からこれを開設するようにしたいということで、現在努力しておるような次第でございます。
#128
○坂本昭君 私の一番聞きたい点は、職員の問題もさることながら、一番の問題は、施設を何にするかということです。これはこの前、医務局の次長を通じてあなたのところに山陽町の町議会の議事録をお貸ししてあるのです。あれを読まれたらわかる通り、町議会における議事の内容は、必ずしもこれを厚生省から移管を受けて、病院として運営していくことにあまり積極的でないのです。私はその議事録を見て、こんなに積極的でないような町議会へ国立の医療施設を押しつけるということは、将来禍根を残すのではないかという心配があったので、あの議事録をあなたの方へお貸しをしたわけですね。その後、四月一日に移管をしたというが、その移管の内容を私が伺いたいのは、全部を移管したのではなくして、必要な個所だけを何か町が借用するという形でやっておるかのように聞いているのです。これでは移管ではないのであって、もっと具体的に、一体埴生の療養所の敷地それから建物はそれを全部厚生省所管の国有財産としてこれをもう取りやめにして、そうして現在山陽町の所管に全都変わっているのかどうか。そうしてその中の建物は
 一体病院として使うつもりなのか、それともほかに町としては考えを持っているのではないか。とすれば、せっかく厚生省は医療施設として払い下げをすると決心をきめながら、肝心の町は、ほかの方にそれを利用することによって、あるいは厚生省の考えておった本来の方針と食い違いが生じてくるのではないか。そういう点を私は懸念するので職員のあとの処置のことについてもお尋ねしますが、まずその移管の内容がどういうふうになっているかということ、それからまた、山陽町はこれを国保病院の分院として発足させるやにも聞いておりますが、一体ほんとうに五月一日から病院としてやるのか。それとも一応払い下げを受けておいて、あとは今度は土地は切り売りをして、住宅の宅地として切り売りをして、町としてこれはもうかる仕事ですよ、そういうようなことに私は出ないこともないだろうと思うのです。そういう懸念はないか、そういうことを伺っておるのです。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着
  席〕
#129
○政府委員(川上六馬君) 私も、この前のお話もございまして、そういう点を非常に心配いたしまして、その点はよく聞きただしたわけでございます。決して今お話がありましたように、借り受けてこれを一部をほかの方に転用する、こういうことはいたさない。そうして現在国保の病院になっておるわけでございますが、結核患者が相当おる。その患者をこちらの方に移して、まず五月一日から五十床の結核を主にした病院にしていく、こういう計画を持っておるわけであります。それからだんだん将来は中の施設を拡充いたしまして、そうして拡充整備をいたしまして、将来百五十床くらいに、究極は精神病院にしたいという考えを持っておりますけれども、そういう方針でだんだん拡充整備していきたい、こういうことを確認いたしておるわけであります。
 それから現在借用を財務局の方に申し入れておるということを聞いておりますけれども、まだ、今結果においてどうなったかということを確かめておりませんけれども、決してふまじめな利用をしようということではない、これはたびたび出張所を通したり、県を通したり、私も県の衛生部長には、昨日も参っておりますが、そういうことにつきましては十分念を押したわけでございますけれども、議事録に出ているような、一部の議員はそういうような発言もあったようでございますけれども、町の責任者としてはまじめに考えておるようであります。
#130
○坂本昭君 それではもう一度確かめておきますが、今の借用ということは、事務的な処理の中間段階で一応借用という形になっているので、これは近い将来に完全に大蔵省所管の国有財産が山陽町へ完全に管理がえされるということは、これはもうわかり切ったことだと考えてよろしいですね。
 それからなお、そうした後に、今あなたの説明を伺うと、初めは結核の患者を主とした病院だった。そして現在入っている結核の患者さんを出しておいて、そしてまた結核の患者を主とした病院にされるというのですが、現在入っている患者さんは、地元の患者さんが入っていると思うんですが、これはまたずいぶんおかしなことをするのではないですか。もし結核の病院としていくならば、これは本来国がやっておったってかまわなかったはずじゃないですか。そんな無理なことをして移管しておいて、それからまた同じ山陽町の結核療養所にする。将来は精神療養所にするつもりだというが、しかし、その中間段階では、経営がうまくいったときには精神療養所にかえるけれども、うまくいかぬときには、場合によれば病院を閉鎖して土地を売りものにしてしまう。そういうおそれも私はあるだろうと思う。その点はいかがですか。
#131
○政府委員(川上六馬君) 現在は患者がいないのであります。これは国立療養所を廃止いたしましたときに、患者の希望によりましてそれぞれのところに移しております。現在おらないのであります。これからやはり患者を入れる、結核の患者を入れるということを今申しましたように言っておるわけであります。その場合は将来百五十床なら百五十床の精神療養所にしたい、こう言っておりますけれども、その辺は指導いたしまして無理のないようにさせたいと思うのです。それから今申しましたように、現在借用を申し出ておって、その状態つかんでおりませんけれども、どうもまじめにその土地のものの病院として利用すると言っておりますから、将来はほかに使うということはないと私どもは考えております。
#132
○坂本昭君 四月一日から現実に山陽町に残っているのは職員十二名というふうに私は報告を受けていますが、その中には五十五才以上の人が五人含まれている。この五十五才以上の人については、臨時職員として一カ年採用してその後は職員としての採用を断わられる。そういうふうな条件をつけているように聞いております。またその残った人たちが、たとえば学校の小使さんだとか、あるいは教育事務所だとか、そういうところに配置されているのですが、厚生省としてはこの町へ管理がえすることになった職員の人たちの将来についても当然責任を負われるだろうし、また、この施設そのものがりっぱな医療機関として発展して経営されるということについても、厚生省自身として責任をもって町当局に対して指導監督せられると思うのですが、この今の職員の問題についてはどこまで厚生省として責任をもって町当局を鞭撻されるか、それについてこの際伺っておきたい。
#133
○政府委員(川上六馬君) 今のような話しを実は伺っておらないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、山陽町には十一名、そうして事務職員が一名、タイピスト一名、炊婦が一名、水道手が一名、看護婦が二名、看護助手が四名ということになっております。これらはやはり私は将来開かれる病院の職員として長くその職につくことができるというように考えておるわけです。その他の職員につきましては、先ほど申しましたように、私の方の施設にそれぞれ転職をいたすことにいたしております。御心配の点は私はないだろうと思うのです。
#134
○坂本昭君 医務局長ないだろうと言われるのですが、私の報告を受けたのはごく最近であります。一昨日報告を受けていますから、私のこの十二名が残ったという事実はあなたの方よりも確かじゃないかと思うのですが、そこで最後に大臣に確かめておきたいのですが、国立の病院、療養所が閉鎖統合というのが最近あちらこちらにあって、いろいろ問題起こしている。私たちも中に入っていろいろと円滑な、たとえば管理がえやあるいは統合についてわれわれも援助をし、また、将来の結核対策あるいは医療対策の面から統合、廃止すべきではないものはわれわれとしてはならないという意見を述べてきたわけです。この埴生の療養所は足かけ三年くらいになりまして、そうしていよいよ四月一日をもって閉鎖されてしまう。ところが、あとまだ職員の問題など未解決です。医務局長は何とかしようと言っておられるけれども、何とかしようと言っている間にもうすでに身分はかわってしまっている。これが将来うまくいかない場合には、われわれとしても、あとに来るいろいろな各種の施設の統廃合の問題について、これは一つの前例を残すものであるので、この際大臣として職員のあとの身分保障については十分責任をとっていただきたい。なお、医療施設にするために、土地が山陽町に管理がえになったこの施設が間違ってほかのものになるというようなことがあれば、これはゆゆしき事件であります。従って、この点についても責任をもって監督していただきたい。この二つのことについて大臣のこの際お答えをいただきたいと思います。
#135
○国務大臣(古井喜實君) 今の職員の扱いの問題は、こういう場合には非常に大事な問題でありますし、これは周到に円満に解決するようにぜひしなければならぬと思います。行き届かぬ点があったら御注意願いたいと思うのであります。
 それから町の方で、これが町に移管になってからあと初めの約束と違うようなことに使うというような場合もありはせぬかという御懸念かもしれませんが、これは約束が違うことになりますので、もし約束以外のことに使いますれば、法律的にどこまで強制できるかは別にいたしまして、約束通りにやってもらうようにぜひしたいと、そういうふうに思いますので御了承願います。
#136
○理事(高野一夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#137
○理事(高野一夫君) 速記を始めて。
#138
○相馬助治君 私は、この際、厚生大臣に、環境衛生法に関する問題について、若干御見解を承っておきたいと思うんです。御承知のように、この環境衛生法ができまして三年間、この間の状況を見ますと、当初業者諸君が非常な期待をもって、この法律のできたことを喜び、そうしてこの法律によって一段と衛生施設等を向上し、かつまた、業者の自主的な結合ができて、自主的な業者の結合体を通じて、目的に向かって、環境衛生整備の点について向上されるものと期待をしていたわけでございますけれども、実態は必ずしもさようにいっていないように思うんです。従いまして、私は種々意見を申し上げる前に、厚生省としては、今日まで組合の設立状況と、事業運営の現況についてどのような実態を把握されているか、実態について承りたいと思うのです。
#139
○国務大臣(古井喜實君) 環境衛生部長からとりあえず御説明いたします。
#140
○説明員(聖成稔君) 環境衛生同業組合の設立の状況でございますが、現在先生御承知のように、この法律によりますと、十七業種の環境衛生関係の営業が組合を作ることができるようになっております。現在は下宿営業についてはまだ一件もできておりませんが、その他の十六業種については全国を通じて三百八十七の組合ができております。全国の連合会の組織がすでにできておりますものは、美容、理容、クリーニング、ホテル・旅館、浴場――公衆浴場、氷雪販売、興業場、そば、食肉販売及び食鳥肉販売の十業種について全国の環境衛生同業組合連合会ができておる、こういう状況でございます。
#141
○相馬助治君 ただいま組合の設立状況について概略承ったのでございまするが、せっかくこの当事者が組織を作って、その自主的活動によって環境衛生法の規定する組合組織というものを確認して、各府県において、全国的において努力をしているにもかかわりませず、この法律が当初目的とした常軌を逸した不当なダンピングというものの矯正であるとか、それから員外利用者の問題であるとか、それからこの組織自体の出資その他から来るところの確立化というものに対する不備の問題とかというようないろいろな問題が山積して、組合を作った人々が最近自信を喪失し、あるいは組合自体がこのままでは崩壊するのではないかと、こういうふうな状況に置かれているということも御承知だと思うのです。第一に、一番基本的な問題としては、この環境衛生法と同種類の法律である中小企業団体法と比較してみても、非常にこの環境衛生法というのは法律自体が不備な内容を持っているわけなのです。従って、これはしょせん法改正を行なわなければならないのでございまするが、今国会において政府は少なくともこの中小企業団体法程度の法改正の意思があるかどうか、ないしは政府自体にそういうことはないけれども、実態に徴して議員提案というようなものを期待している段階であるかどうか。これはきわめて高度の政治的な見解だと思いますので、この際古井厚生大臣の御見解を承りたいと思います。私は、ただ見解を承るだけじゃなくて、最近の厚生大臣のうちでは、お世辞抜きにしてやはり古井さんは実力者だと思うのです。で、なかなか考えたことはがんこに押し通す性格であるとも承っておるわけなんです。ですから一つそういうわれわれの期待というものも考えられて、この問題についてはある程度積極的な意思があらば承りたい、こういう願望を持って尋ねてみているという私の気持も察して、この際、率直に御見解を承りたいと思います。
#142
○国務大臣(古井喜實君) 環境衛生関係営業の適正化法運用の実績から見て、いろいろあるいは改善すべき点もあるかもしらぬと思うのであります。これにつきましては、改善になることならば改正することにやぶさかではないのであります。ただ、きょうの段階で改正する案を準備して出そうとしているとかというようなことはまだございませんけれども、しかし、よい改正案の内容ができるならば、改正しても一向かまわぬことでありますし、あるいはそれがよいのかもしれません。率直に申しまして、今改正する案を準備しているとか、具体的にかかえているというわけじゃありませんけれども、しかし、よい案が生まれるなら、これは政府であろうが、議員の案であろうが、よい案が生まれるなら、これは大きに考慮してみてよいと私は思うのですが、きょうはしかし、具体的に私の方で案を持っているわけではないというのが実情であります。
#143
○相馬助治君 答弁の内容についてはきわめて遺憾ですが、率直にそういうふうにおっしゃるので、ここでそのことについて議論をしてみても仕方ありませんから、以下私は質問をすることによって、厚生大臣自身も答えられながら、なるほどこの環境衛生法というのはこれはざる法などというのではなくて底抜け法で、このままではどうしようもないものであるということに一つ着目していただきたいと思うのです。で、中小企業団体法よりだめだというが、中小企業団体法ですら、不況要件を確認して組合をこの法律によって設立して、そうして過当競争を防ぐという効果は十分に上がっていないのです。環境衛生法はそのだめな中小企業団体法よりだめなのだから、これはもうまことに困った、しかも法改正をしなければならない法律であるということをまず私は前提として指摘をして、以下聞きたいと思うのです。
 第一に、組合の活動意欲を旺盛にして本法が示す本来の目的を達成させるためには幾つか改正をしなくちゃならない点があるのですが、その第一点に出資の問題について聞きたい。出資の限度についてはもちろん問題がありましょうが、組合の行なう共同施設及び共済に関する事業については、組合員から自由に出資させるということが正しいと思うのです。この法律が問題になった当時、社会党ではその点については組合の自主性を確認するということを強く主張したのだがこれが通らなかった経緯があるわけなので、この点については、現況からして、出資に関する措置をどのように御判断であるか、一つお聞きしたいと思うのです。
#144
○国務大臣(古井喜實君) 組合の活動をもう少し積極的に伸ばしますために考えるべき点として、出資の問題があるように思います。結論的に軽卒にも申せませんけれども、この点は大きに考えてみる価値があるのではないかというふうに思っております。
#145
○相馬助治君 第二には、私は営業施設の配置の基準の設定に関する問題を承りたいと思うのですが、現行法ですと、その営業施設の配置の基準を設定してみたところが、組合がその基準を守って組合員がこれを順守しても、昨今のようにどんどん新たに非組合員が開業をして、それで営業施設が増加していくというこの段階、しかも、これらの業者の人はみな中小企業以下なものですから、いろいろ失業した人やなんかが若干の資金をかき集めてきた非常に不備な形において新規開業をするという、そういう状況、それらのものが何らの制限を受けない。しかも自主的に作られた組合もそれについてはどうこうすることができない、こういうふうに考えますと、この際法律自体が適正化規程の内容というものを明確にするか、あるいはそれ以外の立法措置で、具体的にいえば新規開業については都道府県知事の認可にしてこれを厳密に取り扱うというような規定、何らか改正を行なわなければならない段階に来ているようなのでございますが、これについてはきわめて具体的なものですから、局長さんでけっこうでございますが、どういうふうにお考えでございますか。現況でよろしいとお考えですか。
#146
○説明員(聖成稔君) ただいまの新規の営業許可につきましては、各業種を通じまして、それぞれもとの法律、つまり食物の関係でございますと、食品衛生法に基づいて都道府県知事がその認可を行なうことになっておりまするし、たとえば旅館等であれば旅館業法、あるいは理容師、美容師であれば理容師法、美容師法といったような、もとの法律、つまり営業許可をいたします母法によって規制をするということを検討するならば、検討の余地があるいはあるかもしれませんが、環境衛生法で新規営業を押えて適正配置を行なうのは無理ではなかろうかと私は考える。御承知のように、現在公衆浴場につきましては、公衆浴場法によりまして新規営業の場合の通称、距離制限というものがあるわけでございますが、これは公衆浴場法によって公衆浴場の特殊性によってかようなことが定められておるわけであります。従いまして、もし問題とするならば、環衛法の問題ではなくして、他の法律の、母法の問題であるかと思うのでありますが、しかし、現実の問題としまして、これらの個々の環境衛生関係営業につきまして営業の新規許可というものを抑制していくということは、いわゆる職業選択の自由といったような問題ともからんで参りまして、非常にむずかしい問題ではなかろうかというふうに私は考えておるのであります。
#147
○相馬助治君 御答弁ごもっともなのです。その中小企業団体法のときにも問題になったように、私企業を抑圧する、しかも認可制にするということは、憲法違反の疑いもあるというようなことが議論になって、従って、環境衛生法一本で新規業者をびしびし押えていくというふうなことはすでに不可能であるということは私も知っているのです。知ってはおりますが、環境衛生法自体の目的とするところが、こういうふうな新たに出てくる非組合員によって破られているという事実は、これは見のがし得ないので、この法律自体の中でそのワクをきめていくことがかりに不可能であっても、そういう事態があるということを厚生省自体がよく認識されて、この法律の中で改正して、最大限に救い得るところはどこかということを測定して、そして一つは法改正の準備を考えてもらいたいし、それで規制できないところは別法によってそれと並行して効果を上げるというふうに、この点についてはお考えを願っておきたいと思うのです。
 第三に承りたいのは、福利厚生の事業に関する問題です。これは明らかに中小企業団体法と比べてみて差異があるのです。組合事業として各般の福利厚生の施設をやるということは、組合員の融和をはかる上に非常に大切なことだし、組合員に組合自体の魅力を持たせるためにも必要なことですが、現行法はこの禁止はしていないけれども、きわめて不備だと思うのです。現行法でも付帯事業として行なえば行なえないこともないのですが、厚生省はこれをどのように指導されているか。そしてその指導上現行法では無理であると思えば、これを法文的に明確にする必要があるのではないかと思うのですが、局長、この点についてはどのようにお考えですか。
#148
○説明員(聖成稔君) ただいまの問題でございますが、現行法でも組合の行ないます事業の付帯事業として行なうことができるという見解を持っておるのでございますけれども、しかし、今先生のお説のように、この福利厚生施設を組合にやらしていくということは、組合員相互の融和をはかる面におきましても、きわめて意義のあることではないかというように考えておりますので、さらにこれをはっきりと、法律改正の機会があるならば、明文化するということはいいことではなかろうかというふうに考えております。
#149
○相馬助治君  次に、これに関連して、この組合事業の員外利用に関する問題ですが、利用量の限度というものがかなり問題だと思うのですが、組合の行なう事業について、家族及び従業員その他の者の利用をもう少し積極的に認めるような法改正は、現行法では、必要とお考えですか、そのような必要はないという御見解ですか。
#150
○説明員(聖成稔君) これは、その組合が行ないます福利厚生施設の事業の種類によっても異ってくるかと思うのでございますが、この員外利用では、同業組合の行ないます福利厚生施設事業の本旨にかんがみて、先ほど申しましたような本旨にかんがみて、まあできるだけ利用の範囲をある程度まで認めるということが望ましいのではないかというように考えております。
#151
○相馬助治君 次に、組合員自体が今日勇気を失っておる一つのことは、この適正化規程の問題や、この適正化規程の自動発効に関する問題なんですね。この中小企業団体法に比較して、これが非常にまずくできていることは御承知の通りなんですが、この適正化規程の自動発効に関して、これを中小企業団体法等が規定しているような程度に、これは都道府県知事とか、公正取引委員会とか、いろいろ関連の問題はありまするが、何らか考えてやらなくちゃならないように思うのだが、この点についてはどういうふうにお考えですか。
#152
○説明員(聖成稔君) これはまあ適正化基準につきましては、連合会が定めます適正化基準につきましては、厚生大臣の諮問機関である中央の適正化審議会に諮問いたし、また、都道府県知事が認可いたします都道府県単位の組合の定めます適正化規程については、地方の審議会にかけることは御承知の通りでございますけれども、この審議会は、御承知のように、一般に環境衛生関係営業が、非常に国民の日常生活にとりまして必要欠くべからざる、非常に国民生活と密接な関係を持った営業であることは申すまでもないと思うのでありますが、かような観点から、審議会も、特に関係官庁の代表、学識経験者、そのほかに業界代表と、それから消費者代表を加えた、いわゆる四者構成になっておるわけであります。従来この四者構成審議会におきまして、それぞれの立場から慎重に御審議を願いまして、そしてまあ最終的な結論を出していただく、こういう措置をとっておりますので、一見、非常に法律施行後長期にわたっておるというような御批判もあるわけでございますが、中央の審議会の経過を若干申し上げてみますと、法律が昭和三十二年の六月に成立、九月に施行になりまして、その後組合ができ、あるいは全国の連合会が組織され、そしてさらに適正化基準の申請が行なわれるというようなことに、かれこれもう一年の日数がかかったわけであります。で、第一回の中央適正化審議会は、昭和三十三年の六月に開かれておるのであります。そして、当初はだいぶ消費者代表の方々からも相当この法律につきまして、特にこれが衛生立法であるのか、あるいは経済立法であるのかといったような、中小企業団体法とは、その辺、まあ非常に重要な違いがあると思うのですが、一般にサービス営業でもあり、国民生活に非常に関係の深い営業であるといったようなことから、ずいぶん根本的な議論も当初には行なわれまして、その結果、各業種を通じての適正化基準というものはいかにあるべきであるかということをまず定める必要があるということから、小委員会を設けまして、約半年にわたりまして、この適正化基準の一般原則というものが作られたわけでございます。それが結論が出ましたので、一昨年、三十四年の三月でありましたか、そこで直ちに、すでに連合会から申請の出ておりました理容、クリーニング、それからパーマネント、興行場、この四業種の連合会から出ております適正化基準を諮問いたしまして、二つの部会を設けて御審議を願ったわけであります。その結果、約半年の審議がかかりまして、一昨年の十月に理容とクリーニングの適正化基準の答申が出されまして、そうしてこれが十月に厚生大臣の認可になったわけであります。その間公正取引委員会等の同意というような手続も経まして認可になったわけであります。興行場とパーマネントにつきましては、さらに半年をかけまして昨年五月に適正化基準の認可が行なわれたわけであります。適正化基準が認可されますと、問題は初めて地方に移りまして、各県の同業組合が適正化基準をもとといたしまして、参考といたしまして、それぞれ適正化規程を作って、そうして知事の手元にその申請を出す、こういったことで、従って、適正化規程ができるまでは基準は実際には個々の業者には適用されませんから、実際に基準ができて適正化規程の審議の段階に入りましたのは、大体昨年の初めごろからなんであります。そうして現在までのところ、すでに東京都を初め、若干の府県で理容の適正化規程が結論を得、公取の同意を経て認可になった。クリーニングも一、二すでに認可になったものもございます。そういうような経過でございますので、過去の経過を考えますと、いかにも長くかかっておりますけれども、これから逐次理容なり、クリーニングなりの適正化規程の認可が行なわれるという段階に相なっておると思います。そういうことで従来この審議会におきましても、先ほど申し上げるような四者構成になっておりますので、十分委員の間で審議を尽くして、そうしていわゆる多数決できめるというようなことは建前上はできることになっておりますけれども、中央でもあるいは地方でも行なったことはなく、全員の総意で最終的な結論を出しておる。こういったようなやり方が行なわれておるのでありますが、これは団体法と違いまして、サービス営業であり、国民生活に非常に関係の深い営業であるというような点から考えまして、私は決して長くかかったというのがいいというわけじゃございませんが、確かに業界が強く要望されるように、もっと迅速にいきたいとは思いますけれども、しかし、やむを得ないのではなかろうか。それで今後におきましては、つまり基準ができるのに相当の日数がかかったのでありますから、これから逐次各府県の適正化規程も生まれていくんじゃないか、こんなふうに私は考えておるのであります。
#153
○相馬助治君 もちろん業者自身も、中小企業団体法に規定する業とは若干違って、サービス業が中心であるということを大いに自己反省して慎重を期していると思うのですが、基準ができるまでがずいぶん長過ぎたと思うのです、今のお話では。これは長くかかったことであとはうまくいくと言われますが、私は現行法の規定ではうまくいかないと思います。当該審議会というものが利害の対立するものの代表者を含めて構成されているのでありますから、勢いそこでは議論が多岐複雑にわたって、そうして組合自体が希望するところの結論に至るまでにはもう非常に長い時間がかかるということが目に見えています。ですから、当然問題はあろうけれども、中小企業団体法のように、申請後二カ月以内に認可または不認可の通知がないときは、その期間中に認可されたものとみなすというような促進規定がなければ、これを入れることは若干危険ではあるけれども、同業組合に勇気を持たせるためには、このくらいな積極的な法改正が行なわれない限りは、この法律というものは、いつまでも私は死文になるのではないかということをおそれるので、この点については、せっかく一つ御研究を願いたいと思うのです。
 次の問題は、アウトサイダーの事業活動の問題です。これは各府県の現場について見ますと、実に重大な問題です。このアウトサイダーの事業活動というものがいよいよひんぱんになってきておるという事態も厚生省は知っていると思うのです。これが組合員の健全な経営が阻害されて、衛生措置の確保に非常な支障を来たしておるのでありまするから、どうしてもこのアウトサイダーの事業活動に対しては、何らかの方法でもうちょっと強力に組合加入命令を出せるか、ないしは営業内容を基準に向かって改めるように勧告するかの強力措置が考えられなければならないと思うのですが、この点についてはいかがですか。
#154
○説明員(聖成稔君) 先生おっしゃいます通り、先ほどのお話のございました自動発効でございますか、自然発効、この問題にも関連するかと思うのでございますが、員外者の活動によってせっかく苦心惨たんしてできました適正化規程が、員外者の人たちがこれを守らない、組合員だけが守ろうと思っても実際には守れない。そこで、かような場合には、組合からの申請に基づいて員外者に規制命令が発せられるということに法律はなっておりますが、まだ東京都の理容の適正化規程が、昨年十二月二十四日に認可になって、二カ月の経過規定を経まして、去る二月二十四日から実際に動き始めたという段階でございますので、まだそれが一番早いという状況でございますので、員外者規制命令の申請は現在のところ一つもまだ出ておりません。あるいは今後出て参るかとも思うのでございますが、そこで、この員外者規制命令を出すにしましてもまた中央の審議会にかけなければならない。そうして公取の同意を経てそれから厚生大臣が発する、こういうことになっておりますので、その辺に非常にまた組合の、業界の皆さんが心配される点があると思うのです。そこで、先ほどのような自然発効といったような御意見が、要請が出てくるのも、その辺にあるかと私は考えておるのでありますが、私自身も確かに先ほど申し上げたような、非常に慎重な審議を経てできた適正化基準、そうしてまたこれをお手本にしてさらにまた、地方の審議会で慎重な御審議をしてそうして出された答申を、これまた公正取引委員会の重ねて同意を経て、そうして知事が認可いたしました、いわば相当の権威ある適正化規程を、これを員外者の諸君が全然無視をして協力をしない。そして組合員もこれを守らないということになってきますると、これは非常におかしなことになって参りまするので、この点につきましては、従来からも実は再度にわたりまして全国の都道府県に通知を発しまして、適正化規程が認可になった段階で一つ員外者の人たちにもぜひこれだけの経過を経てできた適正化規程であるから、これをぜひ順守してもらいたいと強い要望をして、強力に指導するというような趣旨の通知を従来も出しておるのでありますが、今後法律改正の機会がありますならば、適正化規程の内容に準じて、員外者の人たちも営業方法を変えるというようなことについて勧告ができるような規程を入れていったらどうだろうかというようなことを目下考えておるわけでございます。強制加入命令というようなことも団体法に例はございますが、いやがる者を無理に強制加入さしてみましても、はたして適正化規程を組合員であるからと、強制的に入れた組合員であるから適正化規程を守る義務があるといいましても、はたして協力をして守るかどうか、これは守らなくても適正化規程の場合には過怠金でございますので、これを組合が徴収するということにつきましては相当……また、簡単に払うようなんなら初めから言うことを聞くはずでございますから、相当めんどうな手続になってくると思うのであります。そういうようなことを考えまして、団体法の場合には、中小企業については小企業につきましては加入命令、それから大企業については規制命令、こういうな大体使い分けで、二本立で行っているように思うのであります。従いまして、強制加入をやるということになりますと、環境衛生関係の営業はほとんどが零細企業でございますから、強制加入をやるということになると、員外者規制命令は必要ないのじゃないかというふうな議論が出て参りまして、それよりもむしろ員外者に対しては適正化規程が認可になった場合に、組合員に強力にやるように、そしてまた営業法を、それによって適正化規程に準じてやるように、強力な勧告ができるような手続にいたした方がいいんじゃないかと、こんなふうに考えておるわけであります。
#155
○相馬助治君 部長は大へん正直なことをおっしゃっていて、事実はあるいはそうかもしれぬけれども、しかし・この法律の元締めであって、しかもこの法律の趣旨を守って環境衛生に関する業者を守る元締めの見解としてははなはだたよりないと思うのです。アウトサイダーの事業活動をしばってみたところが、無法者がいて守らなかったときには過怠金くらいしかとれないのだから仕方がないということを言っておるが、どの世界にもばか者と無法者とはいるので、そのばか者と無法者とをやはり法律自体は予想して、あとう限りそういう者の跳梁を防ぐような法的な措置というものを講じてやる必要があると思うのです。しかし、これはとにかく議論になるから、これ以上このことは触れませんが、今の部長の見解はまことにたよりないのであって、正直に言ったといえば正直であるけれども、きわめて私の不満とするところでありますので、その点を指摘しておきたいと思うのです。その他にも私は独禁法適用排除に関する問題であるとか、組合交渉権の問題、あるいは今もちょっと触れた加入命令、設備施設制限命令、それから規制命令の自動的発動に関する措置、こういうようないろいろの問題を今お聞きしたいと思ったのですが、事が進行中の面もだいぶあるようなもので、今これについては触れません。
 最後に一点尋ねたいのは、税金の問題、環境衛生同業組合及びその連合会というのは直接分衆衛生につらなるところの重要な役割を果たす非営利団体であろうと思う。ところが、その税法上については何ら守られていない。それから組合自体が事業をすることも不可能である。こういうふうに考えますと、この問題については厚生省はどのようにお考えになっているか。これは場所をかえて私は大蔵当局及び自治当局に見解を承るつもりですが、厚生省自身はどういうふうにお考えになっているか、その点を一つ大臣に承っておきたいと思います。
#156
○国務大臣(古井喜實君) 大体が小さい零細な事業者が多いようなことでもありますし、それから組合が健全に発達しますれば、公衆衛生の上からいっても非常によい結果が生まれるのですから、そういう点からいうと、この税の減免というようなことも一つの問題のように思いますけれども、これなかなか実際問題でこの話がうまく大蔵省や自治省とまとまりますか、ことに主管が自治省や大蔵省でありますので、私ども先に立ってどうこう言うわけにもいかぬと思いますが、なかなか私の感じではよいにせよ悪いにせよ、話がたやすくないのじゃなかろうかというふうな気がするのであります。これは所管が他でありますので、ちょっとそれ以上のことは申し上げかねますが、それは理由が全然ないという意味じゃありません。ありませんけれども、そういうふうにちょっと思いましたので、一応のところだけをお答えしておきます。
#157
○相馬助治君 最後に、厚生大臣に意見を申し上げて善処方についての御決意を承っておきたいと思うのですが、以上私が質問したように現行法は幾つかの不備を持っております。それで、現行法を厳重に厳正に施行することによって救われる面もありますし、ただいまの税金の問題のように、厚生大臣の御努力の結果解決し得る問題もありますが、残余の問題については、少なくとも中小企業団体法並みに本法を改正しなければならない理由というものが、ただいまの質疑の中で幾つかお気づきになられたと思うのです。伝え聞くところによると、政府与党の中でも、この一部改正を衆議院側等において議員提案で出そうという動きもあるやに承っておるのですが、私は確報を得ておりません。要するに、環境衛生法が施行されて三年、多くの不備が今日露呈されて、当事者である組合のものが非常に勇気を失っておる段階でございますから、厚生大臣はこの状態というものを明敏になお調査下さって、できるだけすみやかに善処方をお願いしておきたいと思うのですが、御見解いかがでしょうか。
#158
○国務大臣(古井喜實君) 冒頭にも申しましたように、実際やってみまして、運用の実績から見まして、こうもやったら、ああもやったらという改善すべき点もあるようにも思うのであります。でありますから、よい改善案がまとまるようなことにでもなりますれば、これはけっこうなことだと私は思っておりますので、それ以上の具体的のことはきょうは申し上げる準備を持っておりませんけれども、よい改善ならばけっこうで成り立ったらよかろう、こういうふうな心持を申し上げておきます。
#159
○理事(高野一夫君) 私から厚生大臣に相馬委員の御質疑に関連してお願いをいたしておきたいのでありますが、相馬委員の御質疑自体が、すでに中小企業団体組織法と全く密接な関連のもとに質疑が展開されております。それで両方とも環境衛生同業組合の法律も中小企業団体法もともに中小企業者の過当競争を防いで不況を克服しようというのが同じ目的なんです。そこでそれが共通した問題もあれば、全く違った問題もある。一方が強い、一方が弱い点があります。そうして団体法は主として通産関係でありますが、すでに厚生省自身薬務局企業課において団体法による仕事をやっておるのであります。従って、当委員会はできるだけ早い機会に環境衛生局、薬務局、通産関係の政府委員に御出席願いまして、両法案を比較検討しながら、実際の問題等とにらみ合わせての質疑をしたい、こう思います。具体的の問題は、いずれ委員長理事打合会にかけてきめますけれども、あらかじめ厚生省側にこのことを要請を申し上げておきます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
 別にほかに御発言もなければ、本件に対する本日の質疑は、これをもって終了したいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○理事(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後四時十九分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト