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1960/04/13 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第21号
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1960/04/13 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第21号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第21号
昭和三十六年四月十三日(木曜日)
   午前十時五十二分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君
  理 事
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           相澤 重明君
           小柳  勇君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           五島 虎雄君
  国務大臣
   労 働 大 臣 石田 博英君
  政府委員
   労働政務次官  柴田  榮君
   労働省職業
   安定局長    堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専
   門員      増本 甲吉君
  説明員
   労働省労働基準
   局監督課長   上原誠之輔君
   労働省労働基準
   局労災補償部長 村上 茂利君
   労働省職業安定
   局雇用安定課長 木村 四郎君
  参考人
   労働福祉事業団
   理事長     中西  実君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○港湾労働者の雇用安定に関する法律
 案(衆議院送付、予備審査)
○労働情勢に関する調査
 (労働福祉事業団の運営に関する件)
 (港湾労働者の雇用安定に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
○失業保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開きます。
 この際、お諮りいたします。本日の条件に追加して、港湾労働者の雇用安定に関する法律案を審議することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。港湾労働者の雇用安定に関する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
#4
○衆議院議員(五島虎雄君) 私は、日本社会党を代表いたしまして、港湾労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由を説明いたします。本法案を提案する第一の理由は、港湾日雇労働者の就業が全く不安定であり、従って、その生活も保障されず、また、労働災害の多発に悩まされ、今日では必要労働力が得られなくなり、港湾の効果的な運営に大きな支障を来たしつつあるという事実に基づくものであります。
 周知のように、港湾に働く日雇労働者は、関東では風太郎、九州では権蔵と言って、全く社会的にも蔑視された呼称をもって呼ばれています。そのように蔑視される理由は、これらの労働者が従来、労働者としての基本的権利を認められず、長年の慣習の中で、社会の最下層に押し下げられた結果でありまして、そういう慣習を作りあげた者は、旧支配階級であり、使用者であります。
 今私は、これらの労働者の生活の一端を御説明申しあげたいと思います。
 一例として横浜港における港湾の日雇労働者の生活状況を見ますと、本人以外の家族のいない者が全体の四五・三%を占めているという事実が示されております。これを一般の日雇労働者と比較してみますと、一般日雇労働者の場合、本人以外に家族のいない者は一六・四%となっており、港湾日雇労働者の生活がきわめて特殊なものであることを示していると思うのであります。
 港湾日雇労働者の大半が家族を持ち得ない根本の理由は、結局これらの労働者の賃金収入が少なく、就業が不安定であるためと考えられるのであります。
 また、一方港湾労働は非常な重労働である上に、現在でも一カ月四百八十五時間という長時間労働が強制され、連続二十四時間労働も行なわれており、そのために労働災害は全産業中の一、二を争うという実情に置かれているのであります。
 この労働災害防止については、ILO条約第三十二号まであるのに、政府は一こうにこれを顧みようとしないのが実情であります。
 このような港湾日雇労働者の労働状態を改善するためには、どうしても就業、つまり雇用を安定させる必要があると思うのでありまして、ここに日本社会党が本法案を提出する第一の理由が存するのであります。
 第二の理由は、国際収支の面から見て港湾作業料を低く押えることに問題があると思うからであります。御承知のように、わが国の海運事業は年々発展の一途をたどり、その年間取扱量水増大し、今日では年間四億トン以上の取扱量を示しているのでありまして、海運業の発展がわが国経済の発展にとって主要な部分を占めていることが明らかにされております。しかし問題は、わが国の政府が港湾作業料を低額に押える政策をとっている事実にあると思うのであります。これは国内の一般料金とは異なり、対外的な問題でありますとともに、国際収支面にも大きな影響を与えるものであります。たとえば諸外国の港湾作業料を見ますと、トン当たり平均五ドルというのがその相場であります。ところが、日本の場合はトン当たり平均一ドルでありまして、きわめて低額の料金となっているのであります。
 一方、年間取扱量四億トンのうち、二億トンが外国船取り扱いとなっているのでありまして、結局一トン当たり四ドルの損失と見まして、約八億ドルの損失をこうむっているのであります。政府が港湾作業料を低く押えるという方針をとっている結果、国際収支面でこのような問題を生じているのであります。この事実を私どもはきわめて重視し、対外的な方針の是正と、わが国海運業の正しい将来のためにも、本法案を提出する第二の理由が存するのであります。第三に、本法案はILOの港湾労働者の雇用恒常化に関する決議の線に沿うものでありまして、国際的見地から見ましても、本法案の成立が必要となってきているのであります。以上三の理由が本法案を提出いたしました理由でございますが、これらの理由の根本に、わが国の低賃金構造の問題があることを強調しておきたいのであります。御承知のように、わが国の労働者の賃金はきわめて低いのでありますが、それは結局、ここで取り上げている港湾日雇労働者のような低賃金労働者が無数に存在しているからであります。従って、わが国の低賃金構造を打破し、正常な労働関係を樹立するためには、これらの低賃金労働者へり対策を確立し、雇用の近代化と生活の向上をはかることが必要であると思うのであります。ここに私どもが、本法案の成立を重視し、その成立を期する理由が存するのであります。
 次に私は、本法案の内容を簡単に説明しておきたいと思います。
 第一に、日雇港湾労働者の不安定性を除去し、計画的な雇用を促進するために、日雇労働者の登録制を実施することにしました。
 第二に、港湾労働の計画的雇用を推進するために、中央港湾労働委員会と地方港湾労働委員会を設けることにしました。
 第三に、この港湾労働委員会が常に港湾労働事情の実態を調査し、港湾運送事業の合理的、総合的計画を立て、それによって各港湾ごとに必要な労働力の定数を定めることにしました。
 第四に、この必要な労働力に比して、常用港湾労働者数が不足する場合は、登録港湾労働者の中から不足せる労働者数を指定し、指定した労働者を優先的に雇用する義務を雇用主に課することにしました。
 第五に、この指定労働者が万一不就業の場合は、不就業手当を支給することにし、不就業手当は原則として雇用主負担とし、その一部を国庫が補助することができる、としました。
 右が本法案の趣旨並びに内容の簡単な説明でありますが、つけ加えておきますと、世界の先進海運国は一九四七年ころ港湾労働法を制定しております。一九四九年にはILOも港湾労働者の雇用恒常化に関する決議を採択して、各国に港湾労働法の制定を促しているのが実情であります。
 以上が港湾労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由の説明でありますが、何とぞ慎重審議の上、本案の採択を望むものであります。
#5
○委員長(吉武恵市君) 本法案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#7
○委員長(吉武恵市君) それでは労働情勢に関する調査の一環として、労働福祉事業団の運営に関する件を議題といたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#8
○坂本昭君  出席参考人を明らかにして下さい。
   ―――――――――――
#9
○委員長(吉武恵市君) なおこの際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働情勢に関する調査の一環として、労働福祉事業団の運営について、本日、労働福祉事業団理事長中西実君を参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、手続等については委員長に御一任願いたいと存じます。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ―――――――――――
#11
○坂本昭君 参考人に伺いたいのですが、参考人はこの二月に新しい理事長の職に就任をせられたと聞いておりますが、どういう新しい構想と新しい目標を持たれて就任せられたか、その決意並びに御方途をこの際承りたい。
#12
○参考人(中西実君) 御承知の通り、四年前にこの事業団ができまして、清水玄さんが理事長に御就任になって、二月までおられました。私そのあとを受けたのでございますが、労働省在任中からもちろんこの事業団のことには関与しておったのでありますが、直接担当いたしてみますると、いろいろの問題がございます。ことに当事業団は、労災病院の関係とそれから失業保険特別会計の諸施設、特に総合訓練所というようなものの管理をいたしておりまして、双方にいろいろな問題がございまして、実は今あらためていろいろと検討をいたしております。事業団に課せられました使命は法律ではっきりいたしております。この使命の達成に全力をあげて努力いたしたいというふうに考えております。ことに私運が悪いといいまするか、いまだかつてなかったのでありますが、労災病院の関係におきましては、ちょうど赤字のときに私就任したわけでございまして、いろいろの理由もございまするが、これはぜひ近いうちに根本的な検討を遂げまして、この病院経営の合理化とそれから赤字の解消ということに努力したいというふうに考えております。
#13
○坂本昭君 今の労災病院の運営の改善の問題についてはまた後にお尋ねしますが、その前に、前にも次官をせられた専門家であられますので、われわれとしては十分信頼し、十分なお考えを持っておられることと思いますが、この際、特に新しい雇用促進事業団が発足すると、あなた方の仕事はもう労災病院一本にしぼられてくる、従って、そういう点で労災補償とは一体何をいうのか、新しい理事長のお考えを一つ承っておきたい。労災補償とは一体どういうものだとあなたはお考えになっておられるか。つまりその内容には、労務災害を受けた労働者に対する補償責任は一体だれが持つべきであるか。また、その補償とは一体どこまでをさしていうのか。そうしてまた、当然それに付随してくる――これは事業団の仕事ではないのですが、政府が労働者災害補償保険法という法律をもって労働者の災害を補償しようとしている。その予算、そういったものの使用目的、使用範囲、こういったことは当然生まれてくると思う。で、その中で、まず災害補償の責任はだれが負うかということと、補償とはどこまでをさすかということ、その二点を主として理事長のお考えをこの際承っておきたい。
#14
○参考人(中西実君) これはいろいろと考え方もございましょうが、従来から産業災害に対しては、一応事業主が無過失の賠償責任を負うのだ、従って、事業主において、不幸傷つきあるいは職務上の病気になったという者につきましては、一日も早くこれをできるだけ元通りに回復せしめるということが事業主の義務であるということに従来から考えられております。大体原則はそうであろうと思います。ただ、だんだんと福祉国家といたしまして国が諸般のことにつきまして配慮をするということの度が深まるにつれまして、この産業災害につきましても、国といたしましても相当のやはりそこに配慮をしていく必要が生まれてくる。現に長期の労災の犠牲者につきましては、国からも若干の費用の負担をいたしましてやっているということは御承知の通りでございますが、原則は、やはり使用する者がその災害を受けた者に対しまして、できるだけすみやかに元通りにするような無過失責任を持っているというふうに考えております。
#15
○坂本昭君 もう一つ補償とは何か。補償の範囲ですね。どこまでが補償か。
#16
○参考人(中西実君) 今申しましたごとく、できる限りすみやかにもとの状態に復さしめる。そこまでのやはり義務がある。ただし、事業主にいたしましても、完全にもと通りということはもちろんこれは不可能な場合が多うございますので、そこで一定のところへ行きますればあるいは打ち切りというようなところで一応の責めは免かれる。しかしながら、原則はもと通りにする。災害につきましては大なり小なり本人の過失ということもございますので、そこは一応のところで打ち切るということもやむを得ないかと思いまするが、原則としましては、できるだけすみやかにもと通りに返すということの責任があると思っております。補償の範囲はそこまで及ぶというふうに考えております。
#17
○坂本昭君 理事長の答弁は、労災法一部改正前の答弁であって、そんなことでは新しい事業団を運営していく責任者として、私は無責任きわまる答弁だと思う。第一責任論の立場から言って、これは当然事業主の責任であるということは、これはもう福祉国家であろうとあるまいと、これは原則として決定したことなんです。それで先般の労災法一部改正で、じん肺の長期療養の人に対して国が補助金を出す、負担金を出すということになったのは、これは私はいろいろな問題点があると思うので、あのときの当委員会における審議の経過を通じては、これは当然事業主が全部負担すべきである。しかし、福祉国家だから国も見てよろしいというのではなくて、まだそこまで事業主の自覚と理解が十分でないから、この際長期療養の人たちに対して、打切補償という立場でなくて、ずっといつまでも見ていこうという立場から、財政的に事業主にも負担が加わるから、この際は国が見てやろう、しかし、あのときは私も現在おられる吉武委員長に附帯決議をつけてでもいい、将来は国がやめる、私は強くそれを主張した。だからあなたのように、この長期療養の人に対して、じん肺の患者さんに対して国が負担金をつけることがこれは福祉国家としての新しい行き方だというふうに考えられる見解は、これは私は根本的に間違っていると思う。もう少しこれは勉強し直していただきたい。それからさらに、この労災の補償ということは、もと通りにするということではないですよ。なくなった手をもと通りにしようたってできないです。補償ということは何をいうかということは、私が一番聞きたかったことは、なくなった手を、はやそうたってはやすことができない、それだけ労働力が落ちる、労働力が落ちるということは賃金の獲得が落ちるということです。その落ちた分だけを補償するというのが、これがつまり労災補償の根本理念です。たとえばこの両手がなくなってしまう、そうすると労働力がずっと落ちる、今まで三万円稼働力があったのが、もう月に三千円くらいしか働けないとなると、差額の二万七千円というものは、この労務災害補償で見てやろう。さらにそれだけではありません、両手がなくなったために寿命が短くなって早く死ぬかもしれない、そうした場合に取り残された家族の人、家族の人の、つまり遺族の生活を保障する、これが補償なのです。あなたは少しも遺族の問題とかいうところまでは全然言及されてない、いわんや打切補償が当然であるかのような言辞をされるということは、これは私はもってのほかだと思う。私はこの際、労働省の責任者に、労働大臣来ておられぬけれども、だれか、ちょっと一体今のような理事長の見解でほんとうに労災補償というものはやり得るのかどうか、私はこの際この考えをはっきりしてもらいたい、労働省の一つ責任ある見解を述べてもらいたい。
#18
○説明員(村上茂利君) ちょっと議論にわたって恐縮でございますが、労災補償の基本理念につきましては、これは学説一定いたしておりません。と申しますのは、無過失賠償責任、かように申しまするものを、それは民法の不法行為論としての無過失賠償責任であるかあるいは特別法に基づく無過失賠償責任であるかどうかという基本問題から争いがあるわけであります。
 それから補償責任を負うものにつきましても、事業主がその責任を負担するものという考え方が一般的にとられておりますが、これは日本なりの特殊の事情がございまして、日本の場合は工場法で扶助責任が課せられている、現在も労働基準法で個々の使用者に対する補償責任として、災害補償義務が課せられておりますが、各国の立法例としてはむしろ異例に属するのでありまして、たとえばドイツなどは最初から使用者の個別責任としての災害補償ではなくて、最初から災害補償保険法によりまして処理して参った。イギリスの場合も工場法の中に補償責任を規定しておりません。別にワークメンズ・コンペンセーション・アクトという法律によって労働者保護法、工場法の系統ではない、別な立法で措置して参ったといういきさつがありまして、日本の場合はむしろ異例なのでございます。しかし、日本独得の形として工場法の中に扶助責任が課せられ、現行労働基準法におきましては、基準法で災害補償責任が個々の使用者に課せられています。その場合の補償とは何かと申しますと、ただいま先生の御指摘ございましたように、労働能力の欠損または労働能力の永久喪失に伴いますところの損失を填補するという意味の補償でございまして、まあ英語で申し上げますと、セキュリティでなくてコンペンセーションである、損失の補償であるということが補償の本質であろうかと思います。ただその場合に、個々の使用者の責任として補償責任を課します場合、それは限定されない、無限の無過失賠償責任であるかどうかということになりますと、基本的には民法の不法行為責任に立脚しますところの損害賠償算定の範囲といったような技術的問題ともからみまして、使用者に民事上の不法行為責任としての限定されざる損害賠償責任を課するかどうかということになりますと、いろいろ問題がございますので、法律ではその補償責任の範囲を法定しておるわけでございます。そして迅速に補償するという趣旨から使用者に限定された補償責任を課しておるのでございまして、ここに個々の使用者に限定されざる補償責任を課すかどうかということになりますと、しかく自明なことじゃないのでありまして、これは各国必ずしも立場は一定いたしておりません。個々の使用者の責任ということになりますと、使用者の補償能力というものとも関連いたしまして、いろいろ議論がございますが、問題を保険制度に基づくところの労働者災害補償保険制度で、つまり個々の使用者の力ではなくして、全産業の負担と申しますか、保険料は使用者から徴収するが、制度としては国が運営する保険として行なう場合に、その補償の範囲をどうするかということになりますと、その補償能力が個々の使用者の場合と異なりまして、かなり拡大されて考えられる、こういうことになりますわけでございます。その範囲はどうかと申しますと、これは当然こうだということではなくして、各国ともおのおのそれぞれの理由がありまして発展しておるわけでございまして、イギリスの場合はこれは特例でありますけれども、社会保障、セキュリティという考え方の中に包括いたしまして、労働者も一部費用負担するという形でやっておりますので、たとえば補償額を見ましても、法律で補償額を限定しておるというような特殊形態をとっております。それに対しましてドイツの場合、フランスの場合などは、これはセキュリティじゃなくしてコンペンセーションというような考え方が非常に強く出ております。従いまして、使用者が保険料を全額負担する。それからソ連の例を見ましても、労働者災害補償は企業が全額保険を負担するというような形をとっております。イギリスの場合はむしろ例外なのでございます。いずれにいたしましても、使用者ないしは企業で保険料を徴収いたしまして、それに基づきまして法定された補償を行なうという態勢をとっておるわけでございます。その場合どの程度の補償が適当であるかということになりますと、先ほど先生が御指摘のように、労働者が業務上の負傷、疾病もしくは死亡によりまして失いましたところの労働力の欠損、その欠損によりますところの経済的な損失をどの程度まで填補するのがそのときその社会における水準から見て適当であるかということが議論されるわけでございます。そういう点から見ますと、一般論として申しますと、今後わが国の経済が発展して参りまして、一般的な生活水準が向上いたして参りますと、この補償の分野におきましても、外国の立法例などにかんがみましてさらに改善すべき余地はあるというふうに一般的には言えると思います。ただ、その場合、どの程度に拡大するかということは、一にかかって立法者の意思に存しておるわけでございまして、将来の問題として検討されるべきであると、かように考えるわけでございます。
#19
○坂本昭君 村上学説を長々とありがとうございます。――そういうことを私は聞いておったんじゃないんです。それは確かに歴史的には、民法上の個々の企業家の責任として発達してきて、それが近代国家の中においてソーシャル・セキュリティとして、その社会性の中から保険制度が出てきた、これが一つの過程であって、その中で日本の場合、日本の歴史を見るというと、大体日本は賠償とかいう言葉じゃなくて、一番最初は扶助という言葉で始まっているんです。そういうところにも日本の独自な特異性がある。その特異性があって、それが今日もなお、今日の労災補償法の中に残っておる。さらに事業団の運営の中にも残っている。だから、そういう点で、この際新しい理事長が新しい理念を持って、そして立法するわれわれにも影響を与えるような方途を、あるいはその訴えをしていただくことを私は期待をしてお尋ねしたんです。お尋ねしたところが、まだ労災法の一部改正前のような考えを持っておられるから、こういうようなことで一体労働省としてはどういう指導監督をしているかといって私は聞いたわけです。つまり、理事長の考えはあれでいいかといって、私はあなたの方の、労働省の見解を聞いたところが、前次官なものだからひどく敬意を表してしまって、長々と労働省のうんちくを傾ける。黙って聞いておられないけれども、まあ一応あなたも学者であるということを認めるという点において……。
 そこで次の問題、大事な点について伺っていきたいのですが、事業団の理事長ともなれば、私はやはり新しい構想を持ってやらないと、いろいろと労働省の今のような部長と、これはかつては職掌柄、上下の関係はあったかもしれないが、新しい事業を営む上においては、これは予算的な折衝などについて強く自分の考えを主張すべきであります。だから、そういう点での新しい考えを当然持っていただきたい。
 そこで、まず今の日本の労災補償のために取り立てられてきている保険料、この保険料というものはだれの所有に帰すべきものか、そして、それはいかなるものに使うべきものか、事業団の理事長としてはどういう見解を持っておられますか。
#20
○参考人(中西実君) その問題もあるいは基準局の方がよかろうかと思いまするが、私の考えは、保険を国が管掌しておりますので、徴収しましたものはやはり国がこれを管理する、国が特別会計でこれをやっておりますのですから、その帰属は当然それによって明らかになっておると思います。
#21
○坂本昭君 従って、その国が何に使おうが、それはかまわぬということになってきますね。そういうことなんですか。――たとえあなたの事業がうまくいかなくて、そして労災を補償する実があがらない場合でも、国が勝手にほかの方へその金を使っても、黙って目をつぶって見ているということですか。
#22
○参考人(中西実君) 特別会計の目的ははっきりしておりますし、それからこれは、ほかのというのはどういう御意図か存じませんが、とにかく労災補償というものが完全にいくように、もっぱらその目的のために使われるように行なわれるべきだということでございます。
#23
○坂本昭君 今の御趣旨は、私はけっこうだと思うのですが、それでは日本の労災補償というものは現実に十分に行なわれていると見られますか。
#24
○参考人(中西実君) 私は、今の法規のもとにおいては大体よく行なわれておるというふうに考えております。
#25
○坂本昭君 それは自画自賛であって、うまくいっておったら労災病院で医者がストライキやったりするようなことは、私は起こってくるはずはないと思う。やはりそういうところにうまくいってない点があるために、労災の患者も迷惑を受けるような、そういういろいろなトラブルが起こってきている。私は、そういう点ではもっとあなたの事業団の仕事が円滑に、かつ十分にできるように、予算をもっととるべきだと思うのです。私の議論は、何も理事長をいじめるために議論しているのじゃなくて、あなた方の果たさなければならない使命の上からいって、私は非常にこの予算が少ないと思うのです。もっと当然とってもいい分があるにもかかわらず、その予算が、政府が勝手に別の方に使い過ぎておるのではないか。たとえば業務取扱費、この間こまかい資料の請求をいたしまして約二十四億円のこの業務取扱費の内容を出していただきました。この業務取扱費というものが、これは全部完全に労務災害補償の業務に充当しているのかどうか、たとえばこの支出を見ますと、特殊自動車を各局に配置し、また、オートバイとか、いろいろのものがある。私はこれが労務災害補償業務のために使われているのかどうか、このことを労働省から一つ御説明いただきたい。ほかの面にもこれは使われているのではないか。私は労務災害補償のためのこの金は、今理事長の言われた通りに、そのために使うべきであって、ほかの方にびた一文でも使っておったとするならば、これは不当だと思う。いわんや労務災害補償の実が不十分である場合に、予算が余ったからといって回すなら別ですけれども、足りない場合に、こういうことをするということははなはだ不当だと思う。今の業務取扱費二十四億円の内容について、正しく労務災害補償の業務に使われているのかどうか、その説明をいただきたい。
#26
○説明員(村上茂利君) 業務取扱費の内容につきましては、印刷物でお手元に差し上げました通りでございます。三十五年度が約二十億五千万円、それが三十六年度におきましては二十三億八千万円というように約三億二千万円の増になっております。そのうちで大部分のものは人件費でございまして、これは労災特別会計のことでありまして、当然労災そのものの事務に使用されているということになるわけでございます。それから今御指摘がございました、たとえば業務機械化経費の中でオートバイあるいは自動車、これは労災のみに使われているかどうかということでございますが、そういった自動車、オートバイは主として保険料の徴収、それから災害が起きましたときに災害現場にかけつけまして事実調査をする。特に最近は交通災害が多うございまして、直ちに現場にかけつけて調べなくちゃいかぬという問題が非常に多くなって参りましたので、このような機動力を増大しているわけでございまして、その災害現場にかけつけます場合に、安全担当の職員、たとえば労災以外の職員とか、監督署長を乗せることがございます。一般的に申しまして、これは労災の業務に使用されているといって差しつかえないのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。その他、管理維持費あるいは保険料適正徴収納入督励費等がございます。これはいずれも労災の保険料の徴収業務あるいは給付に関する業務ということで、労災に特有な業務でございます。医療及び職業病対策経費、これは二百七十万円ほど減になっておりまするけれども、これは地方の局にチンダロ・メーターというような機械を備えつけまして、職業病の危険の発生などを測定するというために使うのでございますが、このようなものは、労災にも関係があるし、衛生対策にも関係があるという意味で、重複使用されるということはございますけれども、労災保険の特別会計から支出するということについては差しつかえないのだ、こういうふうに考えているわけでございます。
 なお、先ほど一般的にどんなものに使うかという御指摘があったのでございますが、これは費目としましては、労災保険特別会計法の中に、どのようなものを出すかというようなことが規定してあります。法律で、一応その支出すべき内容は、保険金であるとか、あるいは保険施設費、労働福祉事業団に対する出資金、交付金というように、支出すべき経費は法律で明示されておる次第でございます。
#27
○坂本昭君 一つ該博な村上先生に、この際お尋ねをもう一つしたいのですが、この労務災害の補償のために、保険制度で集められた金が、労働者の災害を受けた人の治療の病院を作ったり、あるいはリハビリティションの設備を作ったりすることは、私は、労働者が当然受けるべき補償の内容として至当だと私は思うが、その事故の現場に走っていくところの自動車そのものは、労働者の災害を補償する何ものでもないのです。それによって、自動車で走っていくことが、別に労働者の災害を補償するということにはならないと思う。これは事務的なことであって、私は別個の問題であると思う。従って、この業務取扱費というものは、労災補償の保険金で充てるべきではなく、別途国の一般会計で充てるべきではないか、私はそう思うのです。この私の考えと、諸外国における村上さんの知験と比較して、諸外国の場合は、この保険金をどの範囲にまで充当しているか、御説明いただきたい。
#28
○説明員(村上茂利君) 自動車のようなものは、いわゆる事務的なもので、労働者に支給されるべき補償費の中に入らぬ、そういうものは別じゃないかという御指摘がまずございましたが、私どもはかように考えておるのでございまして、補償を行なう第一前提は、業務上であるかどうかということが第
 一であります。従いまして、事故が起きました場合に、その事故が業務上であるかどうかということを調べるのは、これは当然労災補償業務の中に入るのでございまして、自動車でかけつけて、業務上であるかどうかということは、当然労災の保険業務の中に含まれている。それから次に、今度はそれがどのような疾病であり、入院しなければいかぬかどうかという判断に移るのでございまして、そのような意味合いからしまして、これは決して不適当な支出ではないというように考えております。
 それから、私も浅学でございまして、各国の例はあまりよく存じませんが、たとえばドイツの場合でございますと、保険組合が組合の経費で労災病院を設置しておるという例がございます。それから、フランスの例などにおきましては、これは中央金庫と地方金庫に分かれておりますけれども、災害防止のための安全金融をその金庫から行なうというような制度もありまして、これは各国それぞれの実情に応じまして制度がございます。従いまして、単に補償費のみに限定して保険料を徴収するのだというような考え方は、むしろ例としては少ないのじゃないか、そういった保険施設も含めまして保険料の徴収の対象とする、こういう例がむしろ多いのじゃないかというように考えておるわけでございます。
#29
○坂本昭君 今の説明だけでは、まだ納得できがたい点が多々あります。今の保険料の徴収にあたって、事業主がどういう考えで支払っているかについては、これは私も別途調査してみたいと思う。と同時に、なるほどその災害の現場に自動車で走っていく、その自動車の費用をみるということは、これは妥当なんですが、それを私は、国の一般会計でこれをみるのが妥当であって、労災の特別会計でみるのは至当とは言えないではないかという点は、まだ明らかになっていないと思う。しかし、きょうはまだ時間が足りませんが、もう少し伺いたいのは、今度は事業団に伺いたいのですが、団法の二十七条に交付金の規定が書いてあります。この二十七条には、「政府は、予算の範囲内において、事業団に対し、第十九条第一項第一号及び第二号に掲げる業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。」とあって、この「第十九条第一項第一号及び第二号に掲げる業務」というのは、これは「保険施設のうち、療養施設、職業再教育施設その他政令で定める施設の設置及び運営を行うこと。」、それから二号の方では、同じく「職業訓練施設、宿泊施設その他の施設の設置及び運営を行うこと。」、こう書いてあるのです。この中で、従来設置についてはわかっているのです。それから運営については、先般江下理事の説明では、新しく建設をされた一年の間だけはその運営費の交付を受けるという説明を受けましたが、これは運営の費用について交付金が出ることについて何か特別に規定がほかに設けられておるのかどうか。私はこの二十七条の交付金の意味は、これは労災補償並びに失業保険の建前からいって、今あなたの言われる意味の国が管理しておる機関――私は実は国が管理しておると思わないのです。この労災の補償の金というものは、だれが受け取るべきものかというと、失業保険と同じように、労働者が受け取るべきものなんです。だれもほかの人が受け取るべき権利はない。失業した労働者、労災を受けた労働者が受け取るべき金であって、これは一時政府が預かっておるけれども、本来の所有権と管理権は労働者にある。これが私は新しい考えであると思っている。この問題は、またあらためて議論しますが、そういう観点から、この交付金について二十七条に特に規定したのは、一応今のあなたのお考えをもってしても、国はこの交付金をもって十分なる責任を労災並びに失業保険に対してやっていくべきだと、こういう事業に対してやっていくべきだという建前をとっていると思う。ところが、今のところその交付金の内容についてきわめて不満足だと私は思うのですが、理事長としての見解並びに今後の御方針をこの際承っておきたいと思う。
#30
○参考人(中西実君) 今御質問をいただきました、法律の上におきましては、どの程度のものを交付金として出すかは書いてございません。ただ、今仰せになりましたように、現在は病院につきましては、まだ一人前にならない病院、これは期限といたしましては一年間は足らず前を交付金でみる。建設費は、もちろん国でみる。そこで、実はこの交付金の関係、これはやはり一定の基準を置きませんと、きわめて病院管理もだらしなくなります。従って、私どもが実は労働省におりました当時から、一応はやはり病院は、一人前になれば収支は償うというところでやらなければいけない。昨年から急に非常に収支がアンバランスになりて参りまして、これは労災だけではございません、病院経営も、どの病院もそういう状況になってきたわけでございます。そこで、実は私もここで一つもう一ぺんこの労災病院というものを再検討したい。そうして、労災病院の使命が達成されるように、そうして原則は、私はやはり、一応現状におきましては収支が償うべきものだと、償わなければ、どっかにやはり無理があるので、そういう無理は一つ考えていかなければならぬ。今後検討いたしまして、どうしても合理的に考えても無理があるというところが出て参りますれば、これは病院経営が成り立ちますように、その際は労働省あるいは大蔵省とかけ合いまして、必ず病院が成り立つように、そうして労災病院に課せられた使命が達成できますように、必ずやっていきたいというふうに考えます。
#31
○坂本昭君 それでは、今の労災病院の経営が成り立つ、私はその経営が成り立つという言葉は不適当だと思うのです。経営が成り立たなくともいい。労働者の災害が十分に補償されるような事業をしていただきたい。その点、一つお間違いのないように。私は労災病院の経営は赤字でもけっこうなんです。しかし、労働者の災害が十分補償される、もちろんこの事業団だけがこれをやっているのじゃありません。ありませんが、モデル的な、また開業医ではできないような、困難な面を担当するのがこれは労災病院の任務だと思うのです。従って、今のように病院の経営が赤字では困るというような、そんなものの考え方はこの際捨てていただきたい。それからあなたは一体、事業団の理事長として、病院が収支償うことを目標とされるのか、一体どうなのか、この問題をもう一ぺん伺っておきたいと思います。
#32
○参考人(中西実君) 労災病院を最初に作りましたとき、実は私基準局長で、担当しておったのですが、そのときはやはり労災病院を作るということは、労災患者にも非常に便利である。と同時に、やはり自分の会計の病院を持つことによって、診療というものが実効も上げ、しかも経済的にいくということが目標でございました。その点から言いますると、やはり一応収支が償うということを考えております。しかしながら、最近の医療の進歩、あるいはまた、医薬のいろいろな進歩に伴いまして、労災の医療上どうしても必要で、しかもそれがどう考えても赤字になるというようなことになりますれば、そういう結論を得ますれば、それはまた別途考えたいと思っておりますが、実は今から一つ根本的に検討いたしまして、そうして一つその実態を十分に把握した上で考えをきめていきたいというふうに考えております。
#33
○坂本昭君 ずいぶんのんきな話で、私はもう少し具体的な御意見があるかと思ったのですがね。私のような外部にいるものから見ても問題点二つあると思うのです、大きく分けて。一つは機構上の問題だと思うのです。それからもう一つは財政的な問題で、もっぱら医療保険そのものの、関係のある問題、機構上の問題から言いますと、新しいこの事業団になって、労災補償の実はむしろ低下している面があるのじゃないか。たとえば前は労災協会で三者構成でやっていた、それが参与制度になり、との間も承りましたが、ときどき、月に一ぺん以上参与の方に来てもらって飯を食って意見を聞いて、その意見を徴するというのですが、どうも飯を食っただけで十分に意見を徴していないからいろいろ問題が起こってきているのじゃないかと思う。それからまた、今度は事業団の本部に医監制が設けられるということも聞きました。相当な待遇をもって医師の専門家を入れていろいろと検討したいという機構上の話もあった。が、これらも現在の機構では私はきわめて十不分だと思うのですよ。だからこの際新しい雇用促進事業団が出発した後は、この機構上の改革について、理事長としてもっと積極的な見解を作っていただきたい。これは将来の労災病院の運営について私は重大な影響があると思う。ことに去年以来、この病院ストが現われてきたことの原因には、これは労働大臣が言っておられる通り、労務管理が悪いということと、それから医療保険の単価が低いということと、この二点ある。しかし、少なくともこの労務管理が悪いんだということが先だということは、労働大臣ははっきり言っている。あなた方の病院は、労働省のいわば指導監督している病院であって、そういうところに病院ストが起こったということ自体これは労働省の恥ですよ。だから私は、この労務管理の面におけるもっと積極的な機構上の改正また、病院として、病院の運営は何も厚生省だけではありません。かえってしろうとの労働者の方が運営せられてもかまわないので、もっとそういう点も機構上のそういう積極的な見解を私は述べていただくべきであったと思う、その点私は一つの不満を持ちます。
 それからもう一つは単価の問題ですよ。単価の問題については、この労務災害についての扱いは、健康保険の場合と違って医療上十分にして必要なことをやるべきだということは初めから出ている。この点は同じ医療保険の中にありながら労災の一つの独自性があるのですよ。独自性があるにもかかわらず、先般来労働省並びにあなたの国の理事の方の説明を聞いていると、たとえば病院の管理をよくするためには近い将来健康保険の単価が一〇%くらい上がりそうだから、その上がったところで見合っていく、そういうふうな厚生省におんぶした見解しか示しておられない。たまたま追及していくというと、労災病院では一割引きしておったのもやめますとか、あるいは特殊な物理療法など非常に不合理な点数の低いものがある、そういったものは改正していきますとか、きわめて枝葉末節の見解を述べられるが、もっと基本的な財政上のお考えというのは御説明がない。なるほど労災病院は全部の労災の事故の中のごくわずかの部分を請け負っております。請け負っておりますが、これはモデル的な、非常に大事な要素であるから、私はあなた方がもっと専門的な、少なくとも独立採算制をおやりになるというのがあなた方の建前であるならば、一応それを認めるとしても、独立採算制が自由資本主義のもとにおいても成り立つような仕組みをあなた方の労災制度の中で立てるべきだと思う。何もこれは健康保険に遠慮する、気がねする必要はないのですよ。そういう点の積極的な御見解というものは一つもない。私はこの際、特にこの労災の点数あるいは単価について、これはもう直接事業団が一番私は関係をしていると思いますから、理事長としての御見解を特にこの際聞いておきたい。
#34
○参考人(中西実君) 労災補償のいろいろの考え方につきましては、先ほどから話がございましたけれども、それはともかくとしまして、とにかく産業災害を受けた人につきましては、これはできるだけもとに戻るように、あるいはまた、できるだけ労働力が回復するようにしなければいけませんので、一般の保険でも問題になっております例の制限診療、これは労災においてはあってはいかぬと思っております。従って、十分な診療をして、そうしてそれがちゃんとやはり収支償うような点数の点につきまして考慮が必要じゃなかろうか。従いまして、特に労災特有な問題につきましては、十分にやはり、厚生省の関係もございますけれども、われわれの方の特別の事情といたしまして、十分に考えて点数等の点につきましても考慮していきたいというふうに考えております。
#35
○坂本昭君 いや、十分に考慮するだけではいけないので、いかなる機関をもって大体いつごろまでにこの構想をまとめていく、それくらいは……。これは事業団の理事長としてだけではできない仕事の面があります。あとで労働大臣がきたら、私はその点について、あらためて労働省はどういう具体的な構想をもってやられるか、それについて労働省のあとで大臣に聞きますが、補償部長から具体的な現段階の構想を一つ御説明いただきたい。
#36
○説明員(村上茂利君) 労災保険の医療費問題につきましては、現状におきましても各府県によりましてかなり方式が違います。これがどうあるべきかという問題になりますと、非常にむずかしい問題がございまして、いろいろ御意見があるわけでございます。たとえば全国的に統制したらどうかというような御意見、それと全然別に各地区ごとにきめるべきだという御意見、いろいろあるわけでごございまして、さらにそういった御意見も伺いつつ、労災診療費のあり方というものを考えたいと思いますが、いずれにいたしましても、必要な医療を行なうというのが建前になっておりますので、その本来の姿だけは絶対崩してはならぬ、かように考えておるわけでございます。ただ、今労災病院の診療費に関連いたしまして、労災保険の療養であるから健康保険と離れた別個の見地から特別の医療費を考えたらどうかという御意見でございましたが、その点につきましても、たとえば初診料であるとかあるいはレントゲン撮影であるとかいうものが健康保険と労災保険が違って、レントゲン撮影を労災保険だから特に高くすべきだというような問題になりますと、これは必ずしもそうはいかぬじゃないかと思うのでございます。この前の御質問にもお答え申し上げましたように、たとえば指の挫滅にいたしましても、労災患者に特有な傷というものを考える、それから脊損患者などにつきましても、包帯、脱脂綿のたぐいを非常に使いますので、そういうものは現状のままでいいかどうかというような問題点は私ども十分意識しておるつもりでございます。従いまして、そういう問題点を意識しておるのでございますが、今後健康保険の点数がもし実態に合うように改善されるならば、それをお借りするということも一つの方法でございましょう。従いまして、私ども寄り寄り研究はいたしておりますが、健康保険の単価よりむしろ点数のきまり方のいかんを見まして、従来非常に無理だと思われるという点を改善して参りたいというふうに考える。その際におきましても、労災病院だけ特別扱いするというのはちょっと困難ではなかろうか。つまり労災保険の立場といたしましては、国立病院であろうが、あるいは民間の指定病院であろうが、労災の医療においてかわりはないわけでございますから、労災病院だけ特に点数をよけいとるというようなことはちょっと困難ではなかろうか、やっぱり一般指定の問題とも関連いたしまして、適正な医療費をきめるという考え方の中に包摂いたしまして、適正化に努めて参りたい、かように考えるわけでございます。
#37
○坂本昭君 私は、労働省と事業団と両方にこの際伺いたいのですが、今、村上部長の言われたことは、それは確かに一つの現実であるとは思うのですが、労災病院を建てた趣旨というのは、やはり労災病院が独自の任務を帯びるために建てたと思う。場合によれば、山の中だとか、必ずしも人の大ぜい来ないような所、つまり一般の独立採算ではとうてい維持でき得ないような所に作ったのも、一つには労災の独自な、たとえばじん肺の患者を収容するとか、そういう一つの根本の目的をもって私は建てたと思うので、従って、その運営については、それに見合った私は団としての責任もとり、また、労働省としてそれをこれこそ補償してあげる責任もあると思う。今のように、確かに労災病院に入った患者さんの治療の仕方について倍の点数をつけるということはできないということはわかっている。わかっているけれども、それでは何のために労災病院というものを作ったのか、労災病院というものの運営が現在うまくいっていないということは、理事長もみずから言っている。去年から赤字になっている。そうすれば、この赤字の原因に対して二十七条の交付金をもって充当する以外にさしあたって適切の方法はないと思う。たとえばあなた方の方で単価を急速に改正して、その改正の内容から見ると、この程度収入が上がって、収支が相整いますというような説明はないところからいくというと、二十七条のこの適用以外に現在具体的のいい方法は私はないように思うのですが、そこで労働省並びに事業団は、このことについてお互いに検討し合い、あるいは大蔵省に交渉し、労災病院の運営を改善し、そうして労災の実をあげるための努力をなされるおつもりがあるかどうか、この際一つ労働省並びに理事長に承っておきたい。
#38
○参考人(中西実君) これは仰せまでもなく、この努力をぜひやっていきたいと思います。ただ、村上君からもお話がありましたように、ちょうど診療費の点につきまして、改訂の端境期にございまして、従って、これあたりともにらみまして、十分に折衝していきたい。そうして労災病院のおっしゃるような使命が十分に達成できますように当然努力していきたいと思っております。
#39
○坂本昭君 これは労災病院の独立採算制ということは根本的に考え直さなければいかぬ点があると思うんです。これは今申し上げました通り、山の中あたりにあるところの労災病院が、これが独立採算をやれといったってやれっこないんですね。従って、結局これは労働大臣も知っている通り、ほかの健康保険の患者など半数以上も入ってくる。そういう中で、労災病院本来の使命から逸脱するおそれがあるんです。だから私は、この二十七条以外にまだいい方法があるならともかく、二十七条の交付金のことについて、これは労働大臣は前からやると言っていますから、労働大臣には最後にまたお尋ねしますが、具体的にあと事務的に積み上げていくのは、主管の部長だと思うので、もう一度部長の方から労働省のお考えを承って、それから最後に、――労働大臣によく説明しておいて下さい。労働大臣からこの交付金の問題の扱い方についての意見を一つ承っておきたいと思います。
#40
○説明員(村上茂利君) 事務的な立場からの答弁を求められておりますので、私からお答えをいたします。事業団とはたえず連絡をいたしまして、たとえば今回のベース・アップの問題にいたしましても、かりに公務員並みに上げた場合にはどの程度の赤字が出るか、それをどういうふうに補てんしていくかといったような問題につきましても絶えず連絡をとりまして処理をしているわけでございます。そとで考え方としまして、実は独立採算とかあるいは赤字なしというような経理上の問題を強く御指摘なさっているようでございますが、労働省自体といたしましては、労災病院が保険施設本来の目的を達成いたしますことを第一の願いとしているわけでございます。ただ、一般論として申しますと、建物から、機械から全部国で金を出す、それから開院いたしまして完成するまでは交付金でみる、しかも税金はかからないというような条件の病院が当然赤字になるというような前提をとるのが常識的であるかどうかと申しますと、全体としてはうまくいくというふうに考えるのがむしろ常識的ではなかろうか。それからたとえば山奥の、一例を申し上げて恐縮ですが、花巻の労災病院、これは山奥に建っておりますが、この病院は非常に入院患者がたくさんおりまして、黒字なんでございます。そういう点を考えますと、立地条件が悪くても、病院の管理運営がよろしきを得ますならば、必ずしも赤字にならない。個別的な問題もございますので、私どもは、ややともいたしますと、との種病院がいわゆる赤字を出しても何とか国で見てもらえばというような気持をもし持たれますと非常に因りますので、正当な、正常な努力をいたしてもらいましてなおかつ赤字が出るということであれば、考えざるを得ない。しかし、過去の実績に徴しますと、ここ十年間の実績を見ましても、減価償却費を除きましての収支では、毎年黒字になっておるというようなわけでございます。労働福祉事業団ができる前も、労災協会時代におきましても、清算をいたしましたときには、出しました交付金全部返してもらいまして、それ以外の余剰金も国に返してもらったというような病院経理の状態でございましたので、当然に赤字になるとは私ども考えておらぬのでございまして、現在、赤字になる原因は、適正なる収入が得られない、しかも、社会保険の患者が約半分程度入っているといったような問題がございますので、労災だけの問題として処理するにはちょっと別な要素が入っているということも考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、適正な医療費が支払われまして、なおかつ赤字になるというような事態がはっきりいたしますれば、これは、労働省としましても、責任をもって処理せざるを得ない。しかし、それを、労災保険の交付金で処理するか、あるいは国で負担するかといったような問題につきましては、まだ社会保険の診療報酬の上がり方が確定いたしておりません、そういった今後の情勢も見まして処理して参りたい、かように考えておるわけでございます。
#41
○坂本昭君 それでは大臣に、今、理事長並びに所管の部長から説明がありましたが、部長の説明、答弁によると、交付金によるかあるいは一般会計からかその辺ははっきりしないがということですが、私は、団法の二十七条に、特に、病院の施設の設置並びに運営に対して交付金を出してもよろしいという規定があって、この点がまだ十分に活用されてない向きもあるのではないか。だから、その点について、団と労働省とは十分話し合いを進め、そしてこれを、この二十七条を利用してはどうかということで質問してきたわけであります。
 で、大臣は、先般来から、この労災病院については必ずしも収支償わさなければならないという見解よりも、労働者の災害を補償しなければならないという立場に立って、正しい立場の上から、国として、赤字の場合には見なければならないという態度をはっきり説明してこられました。従って、この際、具体的にこの二十七条でおやりになるか。あるいはどうされるか。また、具体的に、財務当局とどういう折衝をされるか。その辺の御答弁を、従来よりももっと具体的な答弁として御説明いただきたい。
#42
○国務大臣(石田博英君) 前から申し上げておるように、この仕事は、採算を合わせるとか、収益を上げるとかということに重点を置いて運営せられるべき性質のものでないことは、繰り返し申し上げた通りであります。ただ、ただいま労災部長がお話し申しましたように、他の一般の病院その他よりは、はるかに有利な条件の上に建てられておるわけであります。一般と申しますと、民間その他の病院に比べますと、有利な条件のもとに建てられておる。従って、経営その他よろしきを得て、そうして自立した経営、ほかの、それより不利な条件の民間の病院が自立できるのでありますから、従って、そういう方向への努力を最大限なすべきことは、やっぱり前提であります。その努力をした上においてなお赤字が出るというような場合においては、これは政府、労働省といたしましては、当然その始末をしなければならぬことは、これは今まで繰り返して申し上げた通りであります。従って、それを二十七条、今の交付金で行ないますか、あるいは財政支出でやるかというような問題は、財政当局との折衝ということも問題ですが、労災病院の実際上の運用されておる、利用されておる内容ということにも関連をしてくると思います。私は、やはりこの病院が、その主力を労災保険の患者、産業災害の患者を見るために充てられるべき性質のものだと思うのでありますが、しかし、まあいろいろな事情で、それに支障のない限りにおいては一般の患者を見ることも当然でありますから、それをどうこうという問題ではありませんが、しかし、結果論的に申しますと、その利用度が非常に高い場合は、労災特別会計だけの負担で処理せらるべき性質のものでもないように思われるのであります。従って、今後社会保険の保険料の値上げあるいはこれからの経営努力、これからの利用度改善等を通じまして、具体的な措置というものはその上に立って検討をしなければならぬと思います。しかし、結論的に申しますと、冒頭にも言いましたように、この病院の趣旨は決して収益を上げたり、独立採算でどうこうするというところに重点があるのではないのでありますから、終末的責任は労働省がこれを処理するということには変わりはございません。
#43
○坂本昭君 最後に、理事長の方に伺いますが、今のような労災病院の建て直しについてはわれわれとしても協力を惜しみません。大臣が今言われた通り、大臣の答弁の方が理事長の答弁よりもしっかりしています。金もうけのことばかり考えていて――大臣の方が労働大臣として十分適格性がある。
 そこで、今当面している労災病院のストライキの問題について、今あっせんの申請が出されている。これに対する団としてのお考えを承って、そうしてこの労災病院のストという、社会的にもわれわれが非常に憂慮にたえないこの事実を一日も早く解消して、大臣の今主張したような労災の実をあげていく。そういうためには、団としても当然これは、この解決のためには積極的に邁進すべき義務があると思うので、この際、現段階で、あっせん申請の出ている段階で、団としての方針を承っておきたい。
#44
○参考人(中西実君) 仰せのごとく、病院ストというようなものは、一日も早くなくしたい。ことに労災病院のことでございます。御承知のように、一度すでに中労委で、調停事案として中労委の手数をわずらわしたのでありますが、不幸にして不調に終わりました。組合の方は、まあ今のところは相変わらず八千円ベース・アップというようなことを申しております。われわれの方は、赤字ではございまするけれども、しかし、政府に準ずる職員でございますので、政府公務員並みの賃上げをしようということで対立しておる。そこで今度中労委、まあ第三者の手にお願いするとなりますれば、ここでおさめませんければやはりおさめるときがないのであります。従って、一昨日でございましたか、組合から中労委あっせんの申請が出されたようでございます。ここでわれわれも、最終的にこれを解決するように、それを受けて努力したいというふうに考えております。
#45
○坂本昭君 今の点について、これはもう労働大臣も、かねがねこのことについて非常な関心と、それからいろいろと監督の責任の立場からもお考えを持っておられたし、監督もしてこられたはずでありますので、現段階で、長い間、去年以来の各種の病院ストがそれぞれ解決の方向へ向かっている中で、労働省いわば所管の労災病院のストの解決について、大臣としては特段の責任も私はあると思うので、この際、今の労災病院の中労委あっせん段階において、大臣として、今の理事長の答弁に関連して、大臣の見解を一つ述べていただきたい。
#46
○国務大臣(石田博英君) 労働省所管の病院が、労使関係の安定を欠くということ自体遺憾でありますが、それが一番あとに回されるということはなおさら遺憾であります。従って、これの早急解決に向かっての努力を期待してきたわけでありますが、最終的あっせん段階に入りまして、従ってこのあっせん段階において話がまとまっていくことを、私どもは期待するわけであります。その内容その他については、第三者のあっせんに移ったのでありますから、これについて希望その他を私から申し述べることは、差し控えたいと思います。
#47
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#48
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
   ―――――――――――
#49
○委員長(吉武恵市君) それでは、この際、労働情勢に関する調査の一環として、港湾労務に関する件を追加議題といたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#50
○相澤重明君 せっかくの機会に大臣に御出席いただきましたので、港湾労務問題について、石田労働大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、実は社労委員になりましてから、長い間病院生活をしておりまして、本日初めて出席いたしたわけであります。同僚諸君のこれからも御協力をいただきたいと思います。
 そこで大臣に一つお尋ねしたいのは、一昨日、十一日に、全国的に港の荷役がストップした。これは昨日の新聞に出ておるから、おそらく大臣も御承知だと思う。東京が四十三隻、川崎が十隻、横浜が四十五隻、神戸が三十五隻、こういう内外船舶約百三十三隻も荷役がストップした。このいわゆる港の船がとまったことに対しては、これは私ども、特に社会労働委員会としては、非常な関心を持たなければ私はいかぬ問題だと思う。なぜこの港の荷役をストップしなければならなかったか、こういう本質的な問題を、この際労働省でも、一つ検討してもらわなければならぬ、こう思うわけです。そこで、労働省はそういう事実について、まず労働大臣はどのように把握されているか。もちろん直接の船の問題については、運輸省の所管でしょう。しかし少なくとも、港の労働者のこうした大きな争議問題等については、関心を持たなければならぬと思うので、所管の労働大臣として、石田労働大臣の一つ所見を承りたい。
#51
○国務大臣(石田博英君) ただいま御指摘の事案は、港湾労働者の荷役業務の、特に深夜における荷役業務の可否について、長い間労使の間に意見の対立があった結果だと承知いたしております。との問題は、私は原則としては、一般労働原則全体から見た原則といたしましては、やはりいろいろな点から、夜間の労働というのは好ましくないと思いますけれども、ただ、港湾の上にある特殊な条件、それから秩序、そういう点から見て、やはり船主、荷役業者あるいは関係労働者という間で、十分話し合いをしていただきまして、そうして解決点を見出していただくことが、一番望ましいことだと思っておる次第であります。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
#52
○相澤重明君 そこで、この港湾荷役等の問題については、昭和三十二年に、港湾労働対策に関する意見というものが、石井照久会長のところで答申をされているわけですね。これは港湾作業を担当する業者に、適正な事業収入を確保せしめる。あるいはこの下請の配分というものを適正にさせて、そうしてこの港湾労務のいわゆる不当な圧迫をさせないようにして、つまり雇用安定をせしめる。こういう関係で、港湾労働対策に対する意見というものが、当時出されておったわけでありますが、これに対して、政府としては、どういう措置をとられているのか、この点を一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
#53
○国務大臣(石田博英君) お説のごとく、三十二年七月の十九日に、港湾労働対策協議会会長石井照久さんの一お名前で、意見書が労働省に参っております。各般にわたっての詳細な意見書でありますが、これについて、政府がとって参りました措置は、関係事務当局から、具体的にお答えをいたします。
#54
○説明員(木村四郎君) 三十二年七月十九日、石井照久会長から答申がございまして、それにつきまして、政府でとった施策につきまして申し上げますると、まず第一点といたしましては、公共職業安定所の職業紹介業務の拡充というような点でございますが、ここにこの点につきましては、公共職業安定所の施設並びに職員の充実というものをはかっていって、そうして職業紹介業務の円滑なる需給調整をはかっていくということに留意したわけでございますが、まず施設といたしまして、東京、横浜、大阪、神戸、門司、名古屋の六大港につきまして、従来労働出張所というものが、港湾労働者のために設けられておったわけでございまするが、これを港湾労働安定所というふうに昇格いたしたわけでございます。昨年五カ所、本年一カ所、労働安定所に昇格いたしました。
 それから建物につきましては、全部これを新築並びに改造をいたしまして、東京は鉄筋、横浜も鉄筋コンクリート、大阪は木造一部鉄筋、神戸は鉄筋、門司はこれは木造でございますが、名古屋はコンクリート・ブロックというふうな耐火構造の建物に、改築あるいは新築いたしまして、こういった施設の強化もいたしたわけでございます。
 それから職員の増員につきましては、この安定所の昇格に伴いまして、職員も可能な限り、その業務に支障のない程度ふやすことにいたしまして、それぞれ数名ずつ増員をいたしたわけでございます。
 それから非常にこれは事務的なこまかいことになりますけれども、いついかなる場合に求人の申し込みがあるかわからないということで、絶えず職員が宿直をしなければならない。そのために宿直室を整備した。それから超過勤務手当について、特別な措置を講じたというようなことも申し上げておきたいと思います。
 それから港湾労働の対策に関して、事務的な打合会を、毎年これを数回ずつ、東京並びに兵庫、神奈川というふうな重要港湾所在地の都道府県におきまして、打ち合わせをして、実際その仕事に当たる職員の指導というふうなことに当たっておるわけでございます。
 それから求人者があった場合に、的確迅速にその労働力を配置充足するために、三十五年から、すなわち去年から日雇港湾労働者に職種の格づけというものを実施いたしまして、もちろんこれは登録は数年前からやっておりますが、昨年から何のだれがしはどういう職種にどのくらいの程度の仕事ができるかというふうな、いわゆる職種格づけというふうなものを実施いたしまして、これを実施する場合には、その六大港ごとに職種格付け委員会というものを設けまして、そしてその個々人についての職種格づけを実施いたしまして、それによって職業紹介の適格紹介を行なうというふうな職業紹介の態勢を整えておるわけでございます。
 それから日雇労働者が就業しないときにおける措置といたしましては、港湾荷役の浮動性というような点から、まああぶれた場合、その場合には失業対策事業、あるいは民間事業その他公共事業というふうな点に、そういった雇用の口にすみやかにこれを配置するというふうな措置を講ずることによって、日雇港湾労働者の就労日数の確保に努めておるところでございます。
 それから福利厚生施設の増設整備でございますが、これは港湾労働者の福祉施設といたしまして、簡易宿泊所並びに労働者住宅を失業保険の福祉施設として数年前から整えておりまして、現在では労働福祉事業団の事業といたしまして、これを都道府県に委託して運営せしめておるわけでございますが、簡易宿泊所は現在十五カ所でございまして、収容人員は千八百名収容できるというふうな施設を整えております。それから恒久的な労働者住宅といたしましては、大阪港と東京港にそれぞれ一カ所ずつ、大阪港では八十世帯収容、東京では四十世帯収容というふうな労働者住宅を建設しております。
 その他、労働基準関係、それから運輸省関係の点につきまして意見が出されておるわけでございますが、その点に対しましては、なお監督課長の方から説明をお聞きいただきたいと思います。
#55
○説明員(上原誠之輔君) 基準法の関係で、この答申の中で取り上げられております事項は、労働基準法に基づく監督行政の徹底ということが一つでございます。それから第二点は、港湾荷役作業における災害防止措置の強化ということでございます。それから第三に労務管理の合理化という点でございます。
 この点につきまして、まず第一の監督の強化徹底の措置の問題でございますが、すでに昭和三十一年におきまして、基準局といたしましては、港湾運送事業に対する監督指導の強化につきまして、管下の監督機関に対しまして港湾荷役作業における監督指導の強化につきまして指示をいたしております。その後、港湾作業における労働条件の非常に低いという点にかんがみまして、例年これを監督指導の重点行政として今日まで至っておるところでございます。
 それから災害防止の問題でございます。災害全般の状況を見て参りますと、港湾荷役作業における災害の発生率というものは非常に高いのでございまして、これに対しましての災害防止措置につきましては、従来から重点を注いで災害防止に力を入れて参ったところでございます。この災害防止の万全を期するために、特に港湾荷役作業を中心といたしまして現在労働基準審議会におきまして災害防止のための規則の制定を審議中でございます。この審議結果を待ちまして、さらに規則に基づく強力な災害防止の措置を講じて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それから労務管理の合理化の点でございますが、この点につきましても港湾荷役業者に対します個別的な監督指導と合わせて集団指導等を通じまして従来からこの港湾荷役作業における労務管理の合理化につきまして措置をして参っております。
  〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕
今後とも労務管理改善講習会等の措置を通じましてこの種業界におきます労務管理の近代化に努力をして参りたいと思います。
#56
○相澤重明君 三十二年七月十九日の意見に、さらに御説明をいただいた中でいま少し説明をしてもらいたいのは、特に労働者の生活安定ということで、労務費の算定ということについて具体的な意見が出ておるわけです。それはどういうふうにやっておるのか。私から読んでみますと、「運賃及び料金における労務費の算定に当たっては、客観的適正な統計資料を基礎とすることはもちろん、法に基づく労働諸条件の確保、すなわち日雇労働者の常用化等労働条件の確保向上を妨げる結果とならないよう港湾労働の特殊な実態に即した算定に努めること」こうなっておるわけです。これはどういうふうに指導、監督されておりますか。
#57
○説明員(上原誠之輔君) 港湾荷役作業における料金の問題は、これは運輸省の所管でございます。この料金の算定の基準等につきましては、港湾労働対策協議会において審議されておりますので、その経過につきましては雇用安定課長から御説明申し上げます。
#58
○説明員(木村四郎君) 港湾労働対策協議会の方からいろいろ意見が出されておりまして、その中で港湾運送事業運賃及び料金における労務費の算定に関する意見これが出されてございます。これに関しましては、この港湾労働対策協議会は、今監督課長からも申し上げました通り、協議会自体が運輸省、労働省その他関係官庁の方々に集まっていただいて、一つの話し合いの場として設けられておりますわけでございまするが、この問題は運輸省関係になっておりまして、運輸省の方におきまして、その後この料金及び運賃をきめて、そうして運輸大臣の許可を受けるというふうな場合に、その運送業者に対する指導は、運輸省の方からしておるわけでございまして、その内容につきましては、私が今ここで申し上げるのが適当であるか不適当であるかというふうにも考えられますので、運輸省の方と打ち合わせをしまして、そうしてはっきりとした点をあとで申し上げたいと思いますが、お許しいただけるでございましょうか。
#59
○相澤重明君 石田労働大臣、実は三十四年の三月に本院の運輸委員会でもって私からこの港湾労働法の改正のときに附帯決議をいたしております。それは、運輸省だけでやってはやはり雇用安定の問題についてはいかぬと、そういうことで労働者の生活を守るためには労働省ともよく相談をしなさい。そこでこの賃金等の問題は何といってもこれは労働省が主体的な任務を持っておるのだから、ただ荷主とか船主という問題になれば、これは運輸省のいわゆる監督上の問題になるかもしれないが、事労働者に対する問題についてはやっぱり労働省が主体的任務を持っておる。こういうことで、労務費の算定にあたっては特にそういう点を私は強調して、附帯決議を満場一致本会議でも確認をしておる。それは三十四年の話です。今の石井君が会長で出したのは三十二年です。労働大臣も言ったように、三十二年七月十九日です。従って、少なくともこの港湾労働対策協議会が出された意見というものが、今日二十六年になるのにまだ実態がつかめないというようなことでは私は困る。少なくともこれは政府の職務怠慢になると思う。だから、おそらくそうではなくて、運輸省の方におまかせきりというような印象を今の答弁では受けるわけなんです。そこで、この労働者のそういう権利を守るために、労働省がその審議会の中にも入っているわけです。当然労働省の意見が私は反映されなければならぬ、こう思っておるんだが、今まで労働大臣としてはどういうふうに関係者にそういう意向を反映されておるのか。これは一つ大臣からお答えいただきたい。
#60
○国務大臣(石田博英君) 三十二年の勧告は、実は私が前に労働大臣をしておるときでありまして、私が受け取りましたのでよく承知しております。それから三十四年の決議はこれも承知いたしております。で、それに基づきまして港湾審議会に私の方の役所から代表を出して、労働省の立場というものを主張さしておるわけであります。ただ、今答弁を今回差し控えると申しましたのは、荷役業者あるいは船主その他の所管が運輸省にございまして、それから賃金認可という問題も運輸省にあるわけで、決議の趣旨に基づいてわれわれの意見を反映させるように努力はしておるわけでありますが、最終的責任の主体は運輸省にありますから、従って、運輸省からお答えを申すのが適当だろうという意味の答弁でございます。従って、私どもは、その経過及び結論について十分参画はいたさせておるわけでありますが、しかし、最終的な、あるいはそういうものに対する責任ある答弁はやはり運輸省からやっていただくのが至当だろう、こういう意味でございますから、御了解をいただきたいと存じます。
#61
○相澤重明君 ですから、私が工事料金の問題とか、荷主、船主に対しては監督、指導をする、そういう問題については運輸省だろうと、こう言っているのです。しかし、少なくとも労働者の災害や安全を守るとか、あるいは雇用の賃金をきめるとか、こういう問題についてはこれは運輸省の問題でなくて、労働省の主管の問題だと。だから、片方だけではできないから、そこに両方が参加をして審議会を作っておる。協議会の意見というものもそういう中から出ておる。こういうことであるから、これは私はやはり労働省が積極的な意見を出して、それでこの中で政府の考え方というものをまとめていく必要が私はあると、こういうことを言っているわけなんです。だから、労働大臣の言う、運輸大臣の答えだけがまあ表面的な問題になるのだけれども、いわゆる、少なくとも労働者の災害、安全とか、あるいは生活安定の賃金をきめるというのはこれは労働省が無関心でおるなんということは、これはできるものじゃない。そういうことはどうでしょう。
#62
○国務大臣(石田博英君) それは御説の通りでありますから、そういう立場を代表いたしまして、港湾審議会に私どもの役所から係官を派遣をいたしておるわけでございます。しかし、その審議会の運営の主体は運輸省にあるわけでありまして、その審議会にこちらから派遣をして、そのつどこちらの立場と意見とを主張しておるととはお説の通りやらしているわけでございます。しかし、審議会の運営の経過や結論や見通しその他については、主管の衝である運輸省からお答え申し上げるのが至当だと、こういうことでございます。
#63
○相澤重明君 それで、一つ問題を深めていきたいと思うのですが、この十一日の全国的な大きい港における船が、先ほども申し上げたように、百三十何隻もとまってしまう、これは日本の港に対する非常な私は大きな打撃だと思うのですよ。そうすると、やはりこれは、もちろん労使関係の中だからという、政府が強制的にどうこうということではないわけですが、少なくとも労働者のサービス省としての労働省が生まれたいわゆる文明国家の中における大きな役割を考えれば、私はやっぱりそういう問題については、たとえ所管が運輸省であろうとも、事労働問題についてはやっぱり閣内において、特に石田さんはとにかくベテランなんだから、あなたはベテランだから、国務大臣としても運輸大臣にそういうことは十分言えると思うのですよ。だからそういう点を港湾上の、いわゆる港湾労働についてということであれば、さっきの審議会の答申ということになれば運輸大臣かもしれぬけれども、私はそういう根本的な問題を一つえぐってもらいたいという考えを持っているわけです。どうです、大臣。
#64
○国務大臣(石田博英君) 一昨日ございました事件につきまして、明日の閣議において当然運輸大臣から報告があると思いますが、なければ私の方からその事態について説明を求め、問題の解決方に協力をいたしたいと思っております。
#65
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#66
○委員長(吉武恵市君) 速記を続けて。
#67
○相澤重明君 次に、先ほども雇用安定課長からの御説明をいただいたわけですが、管理の合理化とか、荷主の災害防止とかということがあったわけですが、実際に現在の出先の職業安定所における労務者の実態というものを把握しているかどうか。私はこの点、非常に労働省が今までいろいろ国会では御答弁をいただいておるんだけれども、現地に行くと、実はこの職業安定法違反というものがたくさん出ているのじゃないか、特に神戸港等の問題を私ともいろいろ調べて見たのですが、そういう中には、全く、どてらを着た連中が窓口に来ちゃっているのですね。そうしてその者が、とにかくきょうの人夫はこちら、こういう形で、全くボスというか、先ほども日本社会党の港湾問題についての提案をしてもらったわけですが、この港湾労働者の雇用安定に関する法律の提案をしたのはそこにも一つの大きな私は意味があるわけです。これは神戸とか、そういうところを調べてみると、労働者が窓口に行って正式にその日の仕事にありつくのがこれは大へんなんです。ボスが寄って、その者が、おれの方でとワクをとってしまう、おれの方――こういうような形が現実に行なわれているということをわれわれは知っているわけなんです。ここに、一体職業安定所がどういうふうにその実態を把握しているかどうか。これは港の荷役について非常な重要な問題なんです。そういう点どうです。雇用安定課長の方では、そういう点どういうふうに把握しているか。
#68
○説明員(木村四郎君) 日雇港湾労働者の就労調整の問題で一番従来からガンとなっておったものは、いわゆる手配師と称する者が安定所の窓口を通さないで、そうして勝手に集めて手配師がそれぞれ配置をする、そのことによって強制労働が伴い、あるいはピンはね等が行なわれる、こういったいわゆる手配師の排除というふうな問題が非常に大きな問題として従来から検討されておったわけでございます。それで石井会長の答申にもあるように、そういった手配師の排除というふうな問題が大きく打ち出されておりまして、これはどうしても公共職業安定所においてその需給調整をはからなければならないというふうなことで、ただいま申し上げましたような、そのためには安定所の寄り場を広くしなければならない、あるいはまた、職員もよけい配置しなければならないというふうな一連の措置を進めて参ったわけでございまして、昨年度あたりからはいわゆる職種格づけというふうな方法をとりまして、そして安定所において適格紹介を実施するという態勢に進んでおるわけでございますが、なお一部におきましては、やはり現在日雇港湾労働者も不足であるというふうな事情もありまして、この手配師というものが発生して、それが就労配置をしておるというふうなうわさも私は耳にしております。特に大阪あたりにおいてはそういった傾向が顕著になっておるというふうな話も聞いております。われわれとしまして、安定所にもっと積極的にこの問題に取り組むように指導するのは、これはもちろんのことでございまするが、何と申しましても、この一つの理由として港湾労働者の不足というふうな面もございまするので、九州あたりの炭鉱の離職者等を――これは名古屋でございまするが、採っていただきまして、それを収容するための宿舎等も建設等の方法を講じて、まず労働者の数も確保するというふうな面も考えながら、この手配師の排除というふうな問題につきましては、さらに積極的にこれはやらなければいかぬ、かように考えておることなんでございまするが、決して十分であるというふうなことは私は現在申し上げる自信はないわけでございます。
#69
○相澤重明君 これは特に石田労働大臣に、あなた自身が一つ安定所に調査をさせたらいいと思うんです。今課長が言ったように、大阪は窓口がからっぽですよ、私どもの方の調査では。窓口ではもう門前募集と言って門のところで全部人を集めて、そうして窓口に行かせないんだ、実際そういう悪いことをやっているんですよ、私どもの調査ではそれが出てきたわけです。だから、これは明らかにもう職業安定所を無視した、いわゆる行政権というものを全く一部のそういう悪いやからにじゅうりんされることになる、これは職業安定法というものをせっかく作ったって全く無意味です。だから、これは十分一つ政府の監督をしてそういうふらちなものについては、これは取り締まらなければいかぬと思うのですよ。そういうことも港の荷役の問題には非常に大きな支障になっている。ですから、労働者の雇用安定という問題はなまやさしい問題ではないと私は思うのです。ぜひこの点は一つ労働大臣自身からやってもらいたい、そうしてさっきお話のように、おとといの十一日の全国的な百三十三隻もの船がとまったのがこの形のままでいけばまたそういう事件が起きないとも限らない。あなたが明日の閣議あたりで一つ運輸大臣にもそういう点をよく話されて、そうしてそういう事故が起きないことと、それからいま一つは労働者の権利を守る、幾ら口で働く安定場所を作ってやりました、宿泊所を作ったと言ったところで、職業安定所の窓口がからになってしまったでは、これは意味はないですよ。そういう点をこの際、きょう特に一つ大臣に要望しておきたいと思います。
#70
○国務大臣(石田博英君) 手配師その他職業安定法違反の事案については私も耳にいたしておりますので、そういう者の排除については格段の努力をいたすつもりでおります。
#71
○相澤重明君 大臣の努力を期待するとともに、一つ港湾労働者のそれぞれの事業体において労働組合が作られておる、そこで賃金の引き上げと、また、将来の生活設計としては退職金制度の問題が出ているわけです。特に退職金制度についても石井照久会長が三十四年に意見書を出しておるわけです。そのことを読んでみますと、こういうふうに言っておるわけです。「退職金制度については、最近漸次普及しつつめる現状にかんがみ、これを確保し、さらに推進するため、原価計算上その他その項目を明確にすること、なお労働条件の向上を期するためには、以上の諸点を原価計算上考慮するほか、一般福利費の醵出について課税の対象とならないような措置を講ずる等関係諸制度の総合的改善が必要である。」、こういう意見を具申しているわけですね。これは労働者にとってきわめて重要な問題なんです。これはこういう退職金制度の確立の問題について審議会としてももちろんこういうふうに出しておるんでありますが、労働省自体としてどういう指導方針をとられておるのか、この点も一つ承っておきたい、私はこれで終わりたいと思いますが。
#72
○国務大臣(石田博英君) 詳細な御報告は事務当局からいたさせますが、この勧告は三十四年の九月に出ておりまして、それに基づいて特に退職金制度について中小企業退職金共済制度等の利用をはかりまして、普及に努めさせておるのでありますが、具体的な問題は事務当局からお答えをいたします。
#73
○相澤重明君 例示しながら一つ答弁をさせて下さい、事務当局わかるはずだから。
#74
○説明員(上原誠之輔君) 退職金の制度の問題につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、退職金共済法の適用の措置という形でこれを促進するように努めるということが一つの方法かと思います。免税その他の点につきまして、これは運輸省当局とも十分連結をとりつつ善処して参りたい、こういうように考えております。相澤重明君  今の答弁はおざなりの答弁で、それは大臣の答弁と同じで、それじゃ事務当局の答弁にならぬよ、そんなものなら大臣が言っている。そこで大臣、事務当局に、とにかく三十四年にそういうことを言っているんだから、それについて指導をしておるなら、具体的にどういうところがそういうことを現実にやっているか、資料を一つ提示して下さい。これはあとで大臣から事務当局にやはり出さして下さい。
#75
○国務大臣(石田博英君) 資料は整理させまして、後刻お届けいたします。
#76
○委員長(吉武恵市君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それでは、午後二時より、失業保険法の一部改正に関する質疑に入りたいと思います。
 暫時、休憩をいたします。
   午後零時五十分休憩
   ――――・――――
   午後二時二十一分開会
#78
○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまから社会労働委員会を再会いたします。
 失業保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#79
○藤田藤太郎君 私は、今度の改正案の具体的な内容に入る前に、少し失業保険全体の問題についてお聞きをしたいと思うのです。
 まず第一の問題は、財政の問題ですけれども、政府は法律の定めによって云々ということから、失業保険の給付金の三分の一を四分の一に削減をされたわけです。それはまあ済んだことなんで、私たちは、社会党としては三分の一政府負担をすべきだという主張をいたしておるのです。しかし、その問題は、この失業保険料とそれから政府の一般繰り入れする四分の一財源との関係なんです。それで失業給付金は四百九億五千八百万円ですが、この四分の一が政府負担ということになるわけです。そこで保険料としては、ことし予定されているのは四百七十億になるわけであります。で、私は、これはこれだけ見ていると、これだけの差額があって、法律をたてにされると全体の七十億あまりの費用をとって、施設とかまたはいろいろの費用に使うとおっしゃるが、それはそれなりに理屈があると思うのです。しかし、現在九百四十四億も積み立てがあり、その運用利息が五十四億六千六百万も今度の会計収入の中に加えられている。それでいてなおかつ百七十五億という膨大な予備金をとっている。政府の方は四分の一にされるけれども、しかし、保険料の給付も幾らか下げられましたけれども、これだけの財源があれば、今の保険料とそれから給付との関係、他の収入との関係から見ると、保険料というものについて手を加えるという必要がありはせぬかと私は思うのです。まずこの関係について一つお聞きしたい。
#80
○政府委員(堀秀夫君) ただいまのお話のように、昨年の改正におきまして国庫負担は三分の一から四分の一に減少すると同時に、保険料の一部引き下げ、それから保険給付の改善等の改正をあわせて行なったわけでございます。ことし及び明年度におきまして、保険経済の状況はただいま御指摘の通りでございまして、先般の改正の際の法律の附則におきまして、この保険経済の問題については、昭和三十四年度から昭和三十六年度に至る三カ年間の財政の実績を見て、そうしておそくとも昭和三十八年の三月末までに所要の改正を行なわなければならない、とのような附則が定められているところでございまして、私どもといたしましては、今回の改正はとりあえず日雇被保険者の賃金が一時に比べると相当上昇したという見地から、これを放任しておくことは被保険者に対して非常にお気の毒になりますので、そのための改正を行なうことといたし、ただいま御指摘のような、失業保険の財政収支に関する問題は、これは三十四年から三十六年度に至る三カ年間の実績を見つつ、根本的な検討を加えたいと考えておる次第でございます。
#81
○藤田藤太郎君 まことにもっともらしいお返事があったのですが、去年の改正は、御承知の通り、非常にもめて、結局もめてもめてもめ抜いたあげく五十二億というのを政府はほったくりをした。三十四年度はそっくりそのままちょうだいをしておきます、三十五年度から保険料率を少し改正をいたしますということになった、過去の例は。それで三十四年度の分は政府はほったくりをした。そこで、保険財政が当時七百億という予想がありました。しかし、今日九百四十四億と百七十五億、千百億という、まあ予備金というものがどういうことになるか知りませんが、これを寄せると千百億からの予備金ができるということが予想される今日において、私は、三十八年度まで待ってそのときに実施するような手ぬるいことであっていいのかどうかというのが第一の大きな疑問です。あなたの今の答弁はその疑問を解消しませんよ。だから、それじゃ何をやるかという問題がそこに出てくると思うのです。それじゃその財源を私は政府が出せ、政府がよけい出したらいいという議論をしているわけじゃない。失業者を救済するというこの法の精神に照らしてこれでいいかという、これはしろうとの何にも関係のない人が聞いたら驚くと私は思う。驚くようなことが平気で続けられて、法律で三十八年に検討することとなっているからそのときに検討しますということだけでは私は理解ができないと思う。だから私は、ここでお聞きしたいのは、外国は失業保険というのは大体どういう工合にやっているのだ、私は、この法律の第一条の目的を見ても、失業保険に加入している人の生活安定をも目的にした失業保険を支給するのだという大原則をここでうたって、しかし、給付については九カ月を頂点として制限をしていく、こういうものなのかどうか、失業補償というものはこういうものなのかどうかという私は議論が労働省の中であってしかりだと私は思うのです。金を置いておければこれほど安心なことはないでしょう。しかし、金をただいたずらに積み立てるというのがこの法律の目的じゃない。ここをよく考えていただきたいと私は思うのです。だからそういう意味から言って、外国の失業補償、保険制度をやっているときの失業保険金の操作というものは、失業者が出たときの操作、または恒常的な操作というものはどうやっているかという例を一つ承りたい。
#82
○政府委員(堀秀夫君) いろいろ根本的な問題についていろいろな御意見が出されておることは私どもも承知しております。そこで、それならばなぜ今すぐこれを実行しないかというお話でございまするが、これは目下失業保険の給付の内容につきましては、他の社会保障全体とやはり調整を考えながら根本的に検討を加えることが必要であると考えまして、目下総理大臣から内閣の社会保障制度審議会に諮問をしておるところでございまして、審議会において他の社会保障との調整を見ながら目下御検討中の問題でございまするので、これらの御答申等を待ちまして、私どもは根本的に検討を加えたいと思っているわけでございます。
 外国の例でございますが、給付日数につきましては、大きな国を申し上げますが、アメリカは大部分の州で百八十日、イギリス百八十日、オランダ百二十日、フィンランド百二十日、スイス九十日、西ドイツ九十一日から三百八十四日、ニュージランド、これは失業の全期間、このようなことになっております。これに対しましてわが国におきましては、御承知のように、勤続年数等に応じまして区分けがしてございますが、原則として六カ月、それからさらに七カ月、九カ月というような延長措置を考えておりまするし、また、失業情勢の悪い地域につきましては、さらに二カ月程度の延長を考えておるわけでございますが、給付率につきましては、アメリカは大部分の州が五〇%ないし六五%でございます。あとスイス、ルクセンブルグ等が六〇%、フィンランド、ユーゴ、ギリシア等が五〇%、それからカナダが三五%から七〇%、西ドイツが四〇%から九六%、ニュージランドは生計費を調査の上そのときに応じて適当な金額を決定しておる、こういう状況でございます。これに対しましてわが国におきましては、御承知のように、六割ということになっております。従いまして、概括的に申し上げますると、西ドイツ、ニュージランドのようなところは相当給付内容が高くなっておりまするが、それ以外の国と比べますると、わが国の失業保険の内容は大体これらの国際水準に近いような内容に、あるいはそれを上回るような内容になっておるわけでございます。ただこれはもう言うまでもなく、わが国においては、いろいろ国際的に見て賃金が、これはいろいろな賃金の比べ方によりましても問題があると思いまするが、為替換算だけでいきまするならば米英等に比べまして相当低位にあるわけでございまするし、また、失業情勢が複雑でございまするので、一律にこれらの数字や率だけで日本の失業保険が国際水準を上回っておるというふうに断定することは適当でないと考えまするが、大体このような工合になっております。私どもといたしましては、これらの点を勘案いたしながら社会保障制度審議会等の御意見も伺いまして、基本的な検討を今後並行して行なっていくつもりでございます。
#83
○藤田藤太郎君 今外国の例がありました。しかし、今あげられたような国は、これはほとんど摩擦失業なんですよ。今離職した、次の職業に転換をするための摩擦失業の国なんです。だからたとえば短時日でいける場合もあるでしょう。日本のようにむしろ潜在失業というものが中心をなしている、失業したら次の就職というのはできぬというのが日本の状態なんです。そういう場合に、ここで問題になってくるのは雇用政策の問題なんです、まあちょっとこれはおくとしても……。だから頭にそれを描いて給付の問題その他を考えないと、根本的に私は間違っているのじゃないかと思います。しかし、まあ何といっても今のような政治が、失業対策の考えが続く限りは、まあ力量の問題だと思うのです。保険制度を続けているその中でどう処理するかという問題に議論が集中してくると思う。で、そうなってきても、先ほどの議論――千百億からの厖大な金は余しておいて、そうして肝心な潜在失業に、または貧困に落ちていく者を見て見ぬふりをしているというような労働行政というものは私はあり得ないと思う。だから、あれは百八十日ですけれども、この前にも私は一度議論のときに申し上げたと思うのですけれども、日本とアメリカの関係は非常に協力関係にあります。で、まああなたにその議論をするわけじゃないけれども、これは池田さんあたりと議論をしたいところだけれども、あのアイゼンハワーでも、二十六週の失業保険を大統領が命じて三十六週に延長するという措置をとった。今度のケネディは、失業者というものは期間を区切ってそれだけ責任を果たしたらいいという保護処置であってはいかぬのだ、失業した人は国の責任においてその生活安定を見なければいかぬのだというのが今度のケネディの第一方針なんですよ。労働省よく御存じだと思うのですよ。しかし、そういうアメリカの状態を一つとってみても、ほかの例をとってみたって、何ら理屈にならぬとおっしゃいますから私は申し上げませんけれども、そういう時代に今日来ているのに、この一千百億からの積立金をどうするのか。三十八年までこのままじっと待っている、三十八年になったら考えようというのか。もっと悪く言えば、失業者がよけい出るのを待っているのかというその裏の理屈が出てくるわけですよ。私はそんなんであってはいかぬと思う。まあほかの問題にこれはだいぶ議論が発展しそうですけれども、たとえば私はこの前も予算委員会で申し上げた通り、中高年の失業対策なんというものは全然ないと私はもう言えると思う。総合職業訓練所に九千八も入っておって二十五才以上の人はたった九十人しか入らぬ。一般の職業訓練所で職業訓練を受けたって雇い手かない、こういう状態なんです。中高年層の就職の機会は、殺到率から見ますと四倍以上にもなって、そうして実積の上ったのは一八%、そうして学卒は求人の方が求職の方の倍からある、こういう状態におかれているわけです。失業保険をもらうような人は中高年の人なんですね。そういう人が今まで失業保険を長くかけてきて、そうして最高をかけて、九カ月で追っ払いというのは少しひどいじゃないか。たとえば、もう一つは、低額所得者に対して単に六〇%というだけでは生活の維持ができない。こういう議論が出てくるのは私は当然だと思う。この当然な議論というのが、国会で議論される前に、労働省の中で議論されて当然のことだと私は思う。そういう議論はやっておられないのですかね、どうですか。
#84
○政府委員(堀秀夫君) 中高年令層の就職状況が非常に悪いということはお説の通りでございまして、最近いわゆる求人難ということが一面において叫ばれておる反面におきまして、中高年令層の就職は、ただいま御指摘のように、必ずしも容易になっておらないというのが現状でございます。私どもは、そういう観点からいたしまして、この際、中高年令層の就職促進対策というものを積極的に行なうべきである、こういう観点に立ちまして、いろいろな措置を目下始めつつあるととろでございまして、先般労働大臣が日経連その他経営者団体の首脳部と会談をいたしまして、中高年令層をやはり適当な職に採用することを促進してもらいたいという申し入れをいたしまして、これに対しましては協力的な返事をもらったわけでございます。また、特にこの純粋の民間よりも、まずその政府関係の、たとえば公団、事業団、公社というような機関におきまして、これは率先垂範するというような観点から、特に中高年令層を適職に雇用するということを積極的にやってもらいたいということを考えまして、つい最近でございますが、これらの公団、公社、事業団等の総裁クラスの方々にお集まりをいただきまして、労働大臣から積極的な要請をいたしました。これも協力しようということでございまして、目下これらの団体との間に連絡委員会を設けまして、そうして具体的に促進をはかる、こういう段階になっておるわけでございます。労働省といたしましては、ただいまのような呼びかけをいたすと同時に、中高年令層が適しておるような職種を、これは科学的に分析いたしまして、大体百十職種ばかりになりまするけれども、これらの百十職種については、第一線において求人がありました際に、中高年令層の適当な人をあっせんするようにということを労働大臣から都道府県知事あてに通達いたしまして、第一線でそのような措置なするようにしておるわけでございます。またこれらの裏づけといたしまして、今後、目下法案を提出いたしまして近く御審議を願うことになっております雇用促進事業団の事業におきましても、これらの裏づけを完全に円滑に行ないまするようにいろいろなことを考えておるわけでございます。私どもは、そういう観点からさしあたり中高年令層の就職促進対策を進めて参りたいと思っておりますが、あとその他失業保険等の面におきましても、さらにこれらの情勢を勘案の上検討する考えはないかというような御趣旨も入っておったと思いますが、私どもはもちろんそれも一つの大きな問題点といたしまして検討いたしたい。基本的検討にあたりましては、それらの点も大きな問題点として検討いたしていきたい、こう思うわけでございます。
#85
○藤田藤太郎君 このあなたの方で出しておられる労働経済指標を見て、その完全失業者が十一月三十三万、これは労働力調査ですね。それでいて保険金の受給者が十一月二十九万、その次が大体三十三万ですね。これはどうなるかという私はいつも疑問に思うのですが、職安局長、これどう見ているのですか。日雇労働者は今登録人員と適格証明を受けた人員は何ぼか、これちょっとこれには出ていないのだが、労働力調査というものと実態の失業者というものをどうつかんでおるのですか。
#86
○政府委員(堀秀夫君) 労働力調査、これは御承知のように、総理府統計局におきまして地域別に世帯を抽出いたしまして、そうしてその世帯の構成人員についてその面から抽出調査を行なっておるわけでございます。この失業保険の受給者の方は、これは失業保険を支給しております職業安定所関係の業務報告によりましてまとめました業務統計でございます。従いまして、調査の観点が別の立場からなされておるわけでございます。私どもの方は、従いまして、実数でございます。それから労働力調査は、ただいまのような世帯別に抽出して調査を行なうという観点からいたしまして、これは今までも再三御指摘がありましたが、私どもも一つのまあ失業情勢をはかるバロメーターとはなりまするけれども、ただ、これだけをもって即断するということは非常に問題があるというふうに考えております。労働力調査の改善等につきましては、私どもの統計調査部の方から総理府の統計局といろいろ打ち合わせして申し入れもしているようなところでございまして、今後さらに改善を加えていく余地が相当あるというふうに私どもは感じております。なお、ただいまお話にありました登録日雇いの人は、三十五年度の平均で五十四万二千人ということになっております。また、この失対の適格世帯は大体三十五万程度でございます。このように考えております。
#87
○藤田藤太郎君 私の言いたいのは、総理府でやっておるから矛盾があると思いますと最近になって言いにおなりになる。矛盾があると思いますというのなら、労働省は、これは一貫して、こういうことであっていいのかどうかということを、あなたの方がむしろ主体なんですよ。総理府統計局というのは職人なんです。だから実態を把握して対策を立てるというのはあなたの方だから、あなたの方の指導権によって的確に調査をするということにならなければ、同じあなたの方から出している表にこうして載せて、載せさえすれば事が済むじゃ私は済まぬじゃないかこ思う。これは何でしょうか、日雇登録が五十四万ですね、もっと私は多いと思うのですよ。玄関口ではねられるから、京都あたりの例だとその四倍あると言われています。失業して仕事がしたいという人、それはだんだんはねていくわけですから、これは一つの例ですけれども、たとえば五十四万と三十五万で九十万の失業者と、だれが見ても失業保険をもらっている人は失業者と見るし、登録している人は失業者と見るわけです。それが完全失業者には三十三万という数字しか出ていない。まだ把握できないのが無数にある。潜在失業者の調査では六百八十六万という数字が出ているのに、あの表にこれをお出しにならないのならいいけれども、あの表にちゃんと出してこういうものでございますというやつを並べてみて、いかにも矛盾だらけというものを並べてみて気が済むかということを私は言っている。もっと何で指導権をあなたの方がとって的確な労働配置、労働情勢というものを国民に知らせる、国会にもその実態をお知らせにならないか。こういう義務が私は労働省にある。もう一つは、さっきお話が出ましたけれども、これから日本の経済の計画をやっていく所得倍増というようなところに私は労働省の意見が入っていない、労働省の意見をあれだけ十年計画を立てた。所得倍増の計画の中に労働力の配置をどうするか、どうして国民の所得を高めていくかというのは、まず第一に、私は労働能力のあるものは完全雇用、能力のない人は社会保障だというものが基礎にならないで経済計画を幾ら立ててみたって、ほんとうに画にかいた餅と一緒なんですよ。あの倍増計画の中に雇用政策入っていますか。何にも入っていないじゃないですか。そういう問題のところに、私はあのとき労働大臣にも言ったのだが、請負になってはいけませんよ。労働行政というのは請負ではいかぬ。何としても労働政策というものが経済政策の基礎になければいかぬですよ。僕が言ったら、経企長官は泣きどころでございますから、研究さしてもらいますというような答弁だったから、もう私もあまり追及をしなかったわけだけれども、そういう日本の労働力、雇用という問題については、労働省はほんとうに消極的だ、経済計画を立てるにも消極的だと私は思うのです。だから、そういう問題をやっぱりやって、そして一つの失業保険会計の財源がそんなに余るようなことはけっこうなんです、実際問題として。財源が余ることはけっこうなんですから、けっこうならけっこうのように、困っている失業者の生活をどう安定するかというところに、あの第一条の法の目的を貫ぬくというところに、この保険行政というものは私は貫ぬくべきじゃないか。だから第一段階としては、完全雇用の計画、施策を立てる、第二段階には現在の失業者をどうするかということは、生活安定の問題、これをやっぱり職安局長、あなたは専門家だから、専門的の立場からそこまで意見をりっぱに出して、それが閣議で問題になり、経済計画で問題になるようにまで職安局というものは、私は出すべきだと思う。労働力統計でもそうですよ。さっき申し上げた通りなんです。そういうことは一つもおやりになっていないのじゃないかという気が私はします。一つもやっていないというと、また御意見があると思いますけれども、いかにも消極的だ、熱意が足らぬと私は言わざるを得ない。今度の法律改正はほんとうから言えば、失業保険ができてから長い間失業保険かけた人を、保険の経済の面から言ったって九カ月でいいかどうかということが、当然私はこういう保険財政のときに議論がされて当然だと思う。その面からも日雇いの方の改正は衆議院でも改正がされたようであります。まだ説明は受けていませんが、一応私も見せてもらいました。しかし、一般的の失業保険の問題をどう考えるか、三十八年まで待つということで済まされやしない。これは職安局長しっかりしてもらわなければ、私は困ると思うのだ。私は攻撃のためにものを言っているのじゃない。実際上の問題ですよ。これはどんな人に話してみても、これはこういうものでございますと言ってみても、ああさようでございますかと言う人ないです。革新的なといいますか、あまり豊かな生活をしていない人から見れば、ああこれも大企業の設備投資に回すために蓄積しているのだなあというくらいの意見が出てきますよ。私もそう思うし、労働者もそう思っている。そういう失業補償する目的のためにできた保険財政というものを、私はそういう目的に使っちゃいかぬと思うのです。金が蓄積されてけっこうだから、それを何も遊ばしておいて、一般の投資会計は全然シャット・アウトしてしまえというようなやぼのことは私は申し上げませんけれども、しかし、この法の目的というものは貫いてもらわなければ私はいかぬのじゃないかと思う。これを議論しているんです。どうなんですか。三十八年度まではこのままの情勢でいくということですかね。今の失業者がふえることはわれわれはもう反対なんです。何とかしてみな努力して失業者のないような世の中を作るために努力するわけですから、今この状態で失業保険の一千百億円もたまるというようなときに、三十八年まで手をこまねいて、そのときになったら一ぺん考えてみますというようなことで私は了解できませんよ。これはたれが見てもそうだと思うんだが、どうですか。漫然と待つんですか、それまで……。
#88
○政府委員(堀秀夫君) ただいまいろいろなお話を伺いましたが、長期経済計画の中に労働省の立場からいたしましてのいろいろな主張をいたしまして、たとえばこの経済発展のために、何といっても労働力の流動性をはかる対策が必要である。そのためには雇用促進、職業訓練その他の手段が講ぜられなければならないという問題につきましては、この計画の中にも大いに重点として打ち出されているところでございまするし、また、最低賃金制度の推進等に基づくところの所得格差の縮小という問題についても重点的に指摘されているところでございます。これらは、私どもといたしましては、労働省の主張が相当生かされているというふうに考えるわけでございます。ただ、これは経企庁長官も再三答弁しておられますように、長期の計画でございまして、具体的には年次計画によりまして漸次これを具体的に実現さしていかなければならない問題でございまするから、私どもといたしましては、今のような観点に立ちまして、具体的に言うべきことは大いに主張いたしまして、ただいま先生が言われましたような点につきまして大いに努力して参りたいと考えております。特に、今いろいろ御指摘がありました点につきましては、私も同感の点が非常に多いわけでございます。非常な御激励のお言葉をいただきましてありがたく思っているわけでございます。私どももそういう基本的な精神で今後大いに努力する所存でございます。
 なお、この失業保険の積立金の問題でございますが、千百億円というのは、昭和三十六年度がずっと過ぎまして、来年の三月末になりますと、そのようなことになりはしないかというふうな見通しでございまして、現在は九百四十億円程度でございますから、念のため申し上げたおきます。なお、この積立金の運用収入等につきましては、私どもは、これはただいま御趣旨のような点に利用すべきでありますし、まだ積立金自体の資金運用部に繰り入れてあります分の運用につきましてもなるべくこれが利用されることが望ましいことでございまして、これは労働省といたしましても、そのような考え方で今後大いに関係各省と打ち合わせまして推進して参りたいと考えております。
#89
○相澤重明君 今の局長の答弁を聞いておったんだが、少し内容を教えてもらいたいのだが、たとえば今藤田委員の質問に対して積立金の九百四十四億、この預金部運用資金として利用するものや、それから労働省自体がこの積立金を運用するやり方ですね。これについてやはりわれわれとしては十分精神を生かしてもらうということが今言われておったんですが、現実にどういうふうに使われているか、それを少し発表してもらいたい。
#90
○政府委員(堀秀夫君) 九百四十四億円の運用収入、大体五十四億円程度であろうと見込んでおります。その五十四億円は、失業保険の特別会計の収入に繰り入れまして、そのうちの大体三十二億円程度を失業保険の関係の職業訓練、福祉施設等のいわゆる福祉施設費に充当いたしております。
 なお、九百四十四億円自体は、これは資金運用部に預託いたしまして、産業開発、産業基盤の強化、民生の安定と雇用の拡大安定等に振り向けておるということは御承知の通りでございます。
#91
○相澤重明君 今の運用収入の方の利子五十四億六千四百万円か、そのうちの三十二億というのは職業訓練とか、福祉施設ということで、わかったけれども、あとはどうなんです。
#92
○政府委員(堀秀夫君) これは失業保険特別会計に繰り入れまして、結局失業保険の収入は保険料収入と、それから一般会計よりの、これは例の現在四分の一の国庫負担のことでございます、それとこの運用収入と、それからあと雑収入と、こういうことで収入を組んでおるわけでございます。
 それから支出の面は、保険給付費、それから業務取り扱い、それからただいま申し上げました福祉施設関係のもの及び予備費として組んであるわけでございます。
#93
○相澤重明君 次に、先ほどのやはりお答えの中で、三十四年度から三十六年度までの三カ年を検討してみて、結局三十八年三月までに所要の改正の手続を行なうということが答弁されておったわけですね。そこで、まあ藤田委員から三十八年まで積立金も、あるいは政府予備金支出等も含んでそのまま存続をするのかと、こういう質問をしたわけです。それで、たとえば三十八年の三月に所要の改正をするとして、そのときに一体労働省の雇用のあり方というもの、それからこの資金の運用の考え方というもの、こういうものをどういうふうに持っていくのか、いま少し具体的に事務当局の方から説明してもらいたい。
#94
○政府委員(堀秀夫君) 三十六年度が経過いたしますれば、ただいま申し上げました三十四年から三十六年度までの財政の収支状態が明らかになるわけでございますが、それらを勘案いたしましてさっそく検討に着手いたしたいと思います。その際におきましては、私どもとしては、やはり失業保険というものは第一番目に離職者の生活安定をはからなければならない。との基本線は、当然第一の重要な原則として考えて参りたい。それと並びましてこの離職された方々が職を求めて活動されまする際に、その雇用促進がすみやかに行なわれまするように、いわゆる失業者層の中に滞留することのないように、雇用促進という面も十分考えていかなければならない。要するに、離職者の生活安定、それからその雇用促進というこの点を二大眼目といたしまして根本的な検討をいたしたい考えでございます。
#95
○委員長(吉武恵市君) 相澤君関連質問ですから、少し……。
#96
○相澤重明君 いま少し聞いておきたいんだが、私の聞きたいのは、政府が昨年の国会の衆議院において、労働者の安定をはかれとか、賃金を上げろとか、そういうことで附帯決議がなされているわね、それに基づいて今回の法律改正についても一部出ていると思うんだけれども、ところが、今まで藤田委員の質問をしておることについて答弁を聞いておると、すべてが三十六年度以降待ちということなんだね、そういう答弁しかなってないじゃないか。これは委員長、少なくとも今の法律案を審議するのに、やはり労働省から場当たり的な印象を受けるような答弁を受けておったんじゃわれわれ国会議員としては許せない。だから少なくとも政府が今までは所得倍増計画とか、十カ年計画というものをやっておいて、そのうちに労働省が自分の所管のことについてすべて三十六年三月以降待ちでございますというような印象の答弁は僕らはそんなことは納得できぬよ。だから、もっと委員長からそういうことはこういう答弁をしなさいというくらいの誠意があってしかるべきだ。
#97
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの御発言でございますが、すべて三十六年度待ちというふうな印象を与えたといたしますれば、私の発言が非常に誤解を生じておるわけでございまするから、あらためて申し上げますが、この前の衆参両院の附帯決議の中の一つの大きな眼目は、日雇失業保険の失業保険金日額について改正するということでございます。これは今回の改正案の中に織り込んであるわけでございます。それから一般失業保険の定額給付という問題につきましては、これは御承知のように、失業保険法に基づく労働大臣の告示によりまして、賃金日額表というものがきまっておりまするが、私どもはこの分の低所得者の分につきましてはこの限度を引き上げるように行政措置をいたしたい。これは今年度中に行政措置をいたしたい考えでございます。それからなお、その日額表の最高限の分につきましては、これは今度の衆議院における与野党共同の修正によりまして三百円を七百円に引き上げるということになっておることを御承知願いたいと思います。なお、そのほかにこの五人未満の零細企業に対する失業保険の適用拡大について努力しようという決議でございました。これは御承知のように、失業保険法の中に一昨年の改正におきまして事務組合制度というものを設けまして、中小企業におきましては事務組合を作って適用を促進するということでございます。強制適用にすることは一番割り切った考え方でございますが、私どもは、この点は他の社会保険とのバランスを考えながら基本的に検討を加えたいと考えております。さしあたりの問題としては、この事務組合を活用して零細企業に対するところの適用促進をはかっていく。現在この零細事務組合におきまするところの適用加入の促進の一つの障害となっておりますものは、この中に奨励金というような制度がございまするけれども、奨励金のパーセントが少ない点が一つございます。これは今度の予算におきまして、従来の五%を一〇%に引き上げるという措置を講じたところでございます。それと同時に、もう一つのネックである事務の簡素化につきましても、事務が繁雑であるという点につきましても、これを簡素化するように措置をいたしたところでございます。従いまして、この国会におきまするところの附帯決議の趣旨はわれわれも十分体しまして、さしあたりできることはすべて措置をいたしたというところでございます。なお、根本的な問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、社会保障制度審議会に目下諮問しておりまするので、これらの御意見を待って善処したい、こういう考えを申し上げた次第でございまして、私の先ほどの答弁から何も手をつけていないじゃないかというような誤解がありましたとすれば、それは今のようなことでございます。
#98
○藤田藤太郎君 そこでね、私はもう一つさっきの話の続きを聞いておきたいのだが、あなたは今経済計画の中に職業訓練であるとか何とか入れたと、こうおっしゃいますけれども、中高年令の雇い手のない状態の中でその職業訓練をやってどうして就職の場につけるかという問題を解消しないで私はどうするかと。あの四千八百六十九万人ですか、最終年度の労働人口として、その中に四百九十一万人の農業労働者を雇用労働者に転換をする。で、職業訓練の問題が言われておるわけですね。しかし、私はこの失業保険会計から急迫しているという理由だけで五千五百戸もこの会計の金で住宅を建てるなんというのは、本末転倒していやせぬかという意見を持っています。しかし、それはさておくとしても、失業保険の金で余裕ができたから職業訓練所を作って、そして雇用転換のために職業訓練所を増設してそういう雇用のために、ひいては失業保険の、失業補償をしなくてもいいような状態にするという意義を持っているわけですから、そういうところに金をつぎ込んで、訓練をした人は就職の場に持っていく、行政指導で持っていく、こういう理屈が通るなら、私は失業保険の財源を訓練所に、職業訓練の中に入れるなんということは私はいいと思う、私の主観としては。しかし、ことしの計画を見たって全部合わせたって十三万じゃないですか、ことしの計画で全部合わせて、職業訓練全部加えて十三万、これだけ今後――余暇を楽しむというブームが、レジャー・ブームというようなことがよく言われている。外国では労働時間の短縮ということが――機械、生産、工場というものは人類がそれで楽しむというところに近代国家の姿というものがなっていくなら、当然私は、労働時間の問題も無関心でおれない重要な要素であると思う。これについても、労働省はあまり関心がない。それから、職業訓練はいたしましたと、倍増計画の中に入れましたと言ったって、訓練を受けた人は雇い手がないから、年のいった人は入らないということで結局何の役にも立っていない。まあこれはちょっと極端かもしれないけれども、そういう要素はなきにしもあらずです。だから、そういうところを考えてみれば、結局計画経済を打ち立てながら労働省の意見というものはどこに入っているか。入ってないと言われたって、入っていますというようなことが言えるかと私は思う。まあそれはいいとして、私は、そういうところからも問題というものを熟していかなければ私は意味がないんじゃないかと、こう思うのです。だからこの失業保険の保険の財政に戻りますけれども、保険の財政というものは意義のある方向に使ってもらいたい。国が住宅を建設したら、その住宅建設の中にいろいろの施策の住宅建設、これは入れていく。労働省の労働行政は三者が積み立てた金であるから雇用を促進するために訓練所を増設して、訓練所にたくさんの人の雇用転換をするための舞台を作る、訓練を終えた者は、私はやっぱり使用者教育といいましょうか、いろいろの労働行政によって必ずそれは就労の場につけるという前提があれば、今他に職業転換を希望している人がたくさんあって、農業労働者から転換してくる人でも進んで訓練所に入るという方向にいくわけなんです。ここで訓練所に入りなさい、入りなさいといってみたところで、入ってみたって使うてくれるようなところのないような訓練所に入ったってどうなるかということにとまっている。そういう職業訓練所の例が端的な例です、何といったって。だから私はそういうところを考えてこの失業保険の財源をどう使用するか、有効的にどう使っていくかというところにピントを合わさない限り、私はこの失業補償というせっかくできたこの法律の趣旨というものが生きてこないんじゃないかと、こう思うのですよ。だからそういうところを労働省はもっと勉強してくれというか、研究してくれというか、そういうことを私は言いたくなるわけですね。
 それからもう一つの問題は、今度は保険の問題に入りますけれども、せっかくかけた人を、今いろいろ言われました、基本的には三十六年度が済んでから一年間かかって三十八年三月三十一日までに立案、結論をつける、その趣旨でやるのだと言われるけれどもそれでいいか。この潜在失業者がたくさんおってとらえられない状態の中で、捕捉する、肝心のつかまなければならぬ労働力調査というものをあなたの方の統計にずらっと並べて意見は言うておりますけれども、言うことだけで、労働力調査というものが――日本の完全失業者ということで大手を振って今日通っているという姿というものは一日も早く是正をせなければならぬのじゃないか。そういうところにもやはり力を入れて、そうしてまず次から次へと関係する案件対策措置を労働省が作っていく。その中でしぼられた失業者をどう救済していくかというなら、財政が豊かになってくれば、たとえば期間の延長を、生活安定ということにこの法律の趣旨があるのですから、失業補償の趣旨があるのだから、その趣旨を生かすための方策というものを三十八年の三月三十一日まで待って、基本的なそういう問題は待ってというようなことでなしにやるべきじゃないか。本来からいえば三分の一を四分の一に縮めるなんというところに大問題があったんだけれども、これはもう法律が通った問題で、ここでまた議論を繰り返しませんけれども、私はあのいきさつを考えてみたって当然すべきことをしてないという印象を強く受けます。だから、私たちはただ口で言うばかりでなしに、今日の状態においてはこうすべきだという社会党は考え方を出したんです。この社会党の考え方について一つ意見を聞きたい。
#99
○政府委員(堀秀夫君) 第一番目に、職業訓練を受けた者、特にその中の中高年令層の者が、訓練を受けたが就職できないというような状況ではしようがないじゃないか。これはもうお話の通りでございます。
 最近最もわれわれが力を入れておる一つの例といたしまして、例の三池の離職対策といたしまして、荒尾に総合職業訓練所の分所を設置したわけでございます。その第一回生がこの三月九日に卒業をいたしました。これにつきまして、この第一回の卒業生の方は全体で百名でありました。百名のうち三十才未満は三十名にすぎなかったわけであります。それから三十才以上四十才未満が三十九名、四十才以上五十才未満が十六名、五十才以上が十五名、最高年令五十五才、こういうような構成でございました。これにつきまして私どもは、中央及び現地におきまして関係者を集めまして、この就職促進について推進をいたしました結果、卒業の三月九日の前日の三月八日までに全員百パーセント就職した、こういう成績が出たわけでございます。自営業が三名、それから就職が九十七名、百パーセント就職した、こういう実例が出ておるわけでございます。
 なお、この離職者の方々について、たとえば大阪その他の総合訓練所に入っておられる方もございますが、この総合訓練所を終了された場合にはやはり百パーセントの成績になっておるわけでございます。私どもはそういう最近の例からいたしまして、これはなかなか困難な問題でありまするけれども、関係機関が努力をすれば決してできないことではない、こういうふうに考えております。そうして現在は炭鉱離職者について雇用促進のための中央協議会及び地方におきましてはやはり重点的に協議会を設けて推進をはかっておりまするが、中高年令層一般につきましても先ほど申し上げましたような段階を経まして、今後においてやはり中央、地方にこれに準じたような協議会、連絡会等を設けまして、そうしてこの就職促進を推進して参りたい。また、雇用促進事業団におきましても、この関係の連絡費等も相当計上しておりますので、職安の紹介の裏づけといたしまして大いに関係者を啓蒙し、就職の促進をはかっていけば、先ほど言われたような中高年令層が職業訓練を受けました場合の就職も、相当好成績を上げることができるのではないか。そういう観点らいたしまして、この雇用促進事業団を設置いたしますのを機といたしまして、大いに転職訓練というものを活発に行ない、それから転職訓練を受けた者は、百パーセント就職を目ざして努力する、こういう方向で進みたいと考えております。
 それから、その次に労働時間の問題等でございますが、これは御指摘の通りでありまして、現在特に中小企業等におきましては、まだ基準法が守られておらない面も一部にあるようでございますので、これらの適用を厳格に行なうという面につきましては、労働基準局においても本年度の行政の再重点事項にしておりますので、これは今後推進して参りたいと思っておるわけでございます。
 なお、この潜在失業の問題等につきましても、最低賃金制の普及等によりまして、私どもは非常に困難な問題でありますが、日本の就業構造というものをだんだんと改善していく、こういう方向に当然進むべきである、こういうふうに考えております。
 それから社会党が当初お出しになりました修正案につきまして、内容は拝見しております。私どもも生活安定の見地からいたしますれば、この修正案によりますと、給付内容が改善されることは当然と考えておりますが、これらの問題につきましては、先ほどから何回も申し上げておりますように、目下社会保障制度審議会に諮問中のことでもありますし、他の社会保障制度とあわせまして、調整をはかりつつ、私ども基本検討をして、十分検討をいたしたい考えでございます。
#100
○藤田藤太郎君 まあ、そういう議論をしても長くなるのだが、雇用促進事業団の法案が出ているのだから、私はそのときやってもいいようなことだけれども、あなたがお出しになるのだから、同じような理屈になるわけですね。それで、たとえば、あなたの今おっしゃった荒尾でこういうことができました、百パーセント就職ができました、まことにけっこうでございます。けっこうでございますけれどもね、この前も労働大臣は荒尾の例をおっしゃいました。それで、それはけっこうだと私は言った。労働省はもう一ついいことをやっている。それは商業の店舗は九時終業するということを指導されておる。私はこれはまことにいいことだ、もっと短くしたらいいと思います。しかし、今荒尾の例を言われたけれども、あの雇用審議会の出した半失業、潜在失業者は六百八十何万もいるのですから、それをどうするかという基本の計画に立って、これはけっこうだけれども、よく考えてやってほしいということですよ。それから最低賃金も、またこれは議論になるから私は言いませんけれども、業者間協定で五十万適用があったと言うたところで、全体の今の最低賃金の適用を受けていない、たとえば八千円の基準から下の人が何人おるか。また、その五十万の適用を受けた人の賃金がいかほどかということを検討してですよ、ようやく二百円になりましたというのが、労働省の説明なんですよ。ざっくばらんに言って、二百円から高いところで二百二十円になりましたというのが業者間協定からきた最低賃金の説明です。私は、それで生活保障なんと言えるかという議論も出てきます。これはやめますけれども。それから中小企業の労働基準法の適用問題にしても、あなたの方がおっしゃったように、商店は九時になったら店を締めて下さいという工合にきちっとしてやってごらんなさいよ。半年もせぬで、監督官が少なくても、一ぺんにやらなくなりますよ。ただやって下さい、やって下さいというだけじゃ何年たっても……、そんな甘いものじゃありませんよ。これは基準法違反行為がいつまでたってもやむものじゃありません。労働省がほんとうに本気でやろうとしたら、一年で解決できますよ、基準法違反なんというものは。私はそういうものだと思う。そういうところに力を入れなければいかぬのじゃないかということを言いたくなってくるのですよ。それはいいとして、結局失業保険の内容については、私はやっぱりやらなければいかぬといって、私たち社会党としては、そういう考え方を出しております。これは自由に議論をしていただきたいと思って出している。政府の方としては、立場上社会保障制度審議会の方に諮問してますからということをおっしゃいました。それはそういうことに今の立場としてはなるかもわかりませんけれども、私はやっぱりそういうものを真剣に考えなければ、労働省何しているのだと言われても、私はしょうがないと思う。先日も中小企業退職金共済法というやつが出ました。商業行為で五十人も雇っている大企業に匹敵するようなところに一割の補償を出すという法案が問題となってくる。私は労働省から出てくる法律は、これはなんじゃ、このごろの法律はなんじゃという感じを持っております。がしかし、衆議院で日雇いの方だけは改正されましたから、それはそれとしていいですけれども、基本的な問題として来年度、ことしですね、三十六年度一千百億円からの積み立てができるという問題ですから、先ほど各地の低所得者の措置は、今年中にやりたいということをおっしゃいましたから、これはぜひ早くこの問題を処置してもらわなければ、私は労働省として説明ができないようになりますよ、ということをつけ加えておきます。
#101
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#102
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 この際、お諮りをいたします。本法律案は、本日衆議院において修正議決されました。修正点を衆議院の提出者より説明を願うのが建前でありますが、便宜上政府から要点の説明を聴取し、本案の審議を進めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それでは政府より説明をお願いいたします。
#104
○政府委員(堀秀夫君) 便宜上私から与野党共同の修正の要点を御説明申し上げます。
 政府の失業保険法の一部を改正する法律案の内容は、御説明申し上げました通り、最近における日雇労働者の賃金の実情にかんがみまして、日雇失業保険の保険金日額について従来の二段階制を三段階制に改めるとともに、その額の引き上げを行ない、これに伴って日雇失業保険料等についても、所要の改正を行なうことを要点とするものであります。これに対しまして与野党の共同修正の内容は、第一番目は、政府の提出法案には、一般失業保険における最高給付額に関する改正規定は設けられておりませんけれども、これを現行の失業保険法第十七条ただし書きにおいて三百円と定められておりますものを七百円に改めるというのが第一の要点でございます。現行制度では、この法律にはただいまのように三百円と定められておりますが、実際は同法の第十七条の三の失業保険金額のスライド制の規定によりまして現在は昭和三十一年にスライドいたしまして、五百九十円ということに日額はなっておることは御承知の通りでございますが、その後賃金もさらに逐次上昇しておる実情にかんがみまして、この際、基本的な、もとの十七条ただし書きの三百円というものを七百円に修正するということにされたわけでございます。
 それから第二番目は、日雇失業保険の保険金日額の修正でございますが、政府の提出案では、日雇失業保険金の日額は、第一級、これは賃金区分四百八十円以上の被保険者に対しまして、保険金日額を三百三十円、保険料は十六円、それから第二級、すなわち賃金区分二百八十円以上四百八十円未満の被保険者に対しましては、保険金日額二百四十円、保険料十二円、それから第三級、すなわち賃金区分二百八十円未満の被保険者に対しましては、保険料日額百七十円、保険料六円、こういう三段階になっておるわけでございますが、修正によりますと、この政府提出案の第三級を廃止するという内容でございます。すなわちこの修正によりまして、この日額、保険料額等は二段階に分かれまして、第一級、すなわち四百八十円以上の被保険者に対しましては、保険金日額三百三十円、保険料十六円とし、第二級、すなわち四百八十円未満、これは以下全部でございますが、その被保険者については全部保険金日額を二百四十円といたし、保険料は十二円とする、こういう二段階制に修正をみたわけでございます。
 なお、以上が改正の要点でございますが、施行期日につきましては、政府提出法案と同様、昭和三十六年六月一日とすることになっております。それから、ただし、一般失業保険の最高給付額の引き上げに対する改正については七月一日ということになっております。また、日雇失業保険につきましても、失業保険金日額及びその算定方法の改正については、事務的な経過がございますので、七月四日ということにされております。
 以上が政府の原案に対します衆議院における与野党一致の修正案の概要でございます。
#105
○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまの修正をも含め、本法律案に対する質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#106
○藤田藤太郎君 そこで私は、これに関係する問題として、もう一、二、きょうの段階では質問しておきたいと思うのですが、職業訓練の計画ですね。これを一つ、今年度、来年度、それからできれば、長期の計画があったら知らせていただきたい、現在と、収容している数からみな。
#107
○政府委員(堀秀夫君) まず現在について申し上げますが、昭和三十五年度におきましては、公共職業訓練は三百二十四カ所、職種は千二百一職種、訓練人員は五万六千六百名ということになっております。事業内職業訓練は、訓練人員一万五千名、こういうことになっておるわけでございます。昭和三十六年度におきましては、公共職業訓練は三百四十五カ所、職種は千三百十四職種、訓練人員は六万五百四十五名、こういうふうに拡大いたしたいと考えております。なお、事業内職業訓練は三万四千名ということに予定をいたしております。すなわち公共職業訓練において約四千名の増、それから事業内訓練において一万九千名の増ということを見込んでおるわけでございます。このために昭和三十六年度は、昭和三十五年度に比べまして、約三億円ほど増額いたした次第でございます。さらに長期的に見ますと、これは昭和三十四年度から四十五年度の間におきまする技能労働者の不足分が約四百二十万人というふうに見込まれるのでございまして、これに対しましては、第一に、公共職業訓練、事業内職業訓練の拡充をはかる、同時に一面において、理工系統の学部の増設をはかる、こういう考えでございまするが、労働省関係の職業訓練の分につきましては、大体におきまして、この三十四年度から四十五年度の間に公共及び事業内職業訓練によりまして、大体百五十五万人程度を充足いたしたいと考えておる次第でございます。それから事業円の訓練におきましては、約百八十五か人程度の充足をはかりたいというふうに考えております。長期的には、一応ただいまのような見通しを立てておりまするけれども、なお、具体的には、現在労働省に労・使・公益三者構成の職業訓練審議会を設置いたしまして、具体的な計画について御検討を願っておりまするので、これらの御意見を今後継続的に十分拝聴いたしなら、具体的な拡充計画を進めて参りたい考えでございます。
#108
○藤田藤太郎君 そうすると、今年度は十万ですね。十三万という工合にこの前から聞いておったのだが、今年席の訓練生の計画は十万、あと三万というのは工業学校系統ですか。
#109
○政府委員(堀秀夫君) 私がただいま申し上げましたのは、事業内職業訓練におきまして、補助対象になる者が三万四千名と見込んでおりまするので、それだけを申し上げたわけでございます。予算の補助対象になる対象、そのほかに約三万人が認定された職業訓練を事業内で行ないますので、事業内訓練といたしましては、ただいま私が申し上げたよりほかに三万人さらにあります。従いまして、十三万人ということになります。そのうち政府が予算を出し、あるいは補助するというものが約十万人近い、こういうことでございます。
#110
○藤田藤太郎君 そこでお聞きをしたいのですが、職業訓練とそれから職安行政の問題ですが、これはいろいろ問題が地方において起きていると思うのです。府県において失業対策事業を国の補助によって行なって、事業主体はむしろ県である。そうして供給するのは職安の窓口である。だから一般の職安行政というか、雇用就労の業務をやるところは職安の窓口である。そうなると監督行政といいますか、事業の一貫性が私はないんじゃないか、こう思います。国が全額やって、国の出先が事業の主体になって、職安がやるならば、それで一貫してやるならいいが、国が一般失業対策事業では三分の二、高率補助の五分の四もありますけれども、いずれにいたしましても、地方財源が三分の一とか五分の一を出さなければその事業というものは動き出さないということ、そうすると、保険の問題やその他は職安でおやりになりますけれども、そこらあたりの行政管轄の問題をどちらか一方にまとめたらどうかという私は気がする。だから保険とか雇用就労の関係は職安行政で、職安でおやりになっているけれども、肝心な政府緊急失対事業をやるときにはむしろ主体は――額は少なく出すけれども、その地方自治体の主体によって事業が行なわれておるということになってきたら、これがむしろ主体になっていくと思うのですね。だから私は、むしろ財源の補給は国がやればいいんだから、その事業を一貫して――職安行政一切、需給のバランスの問題とか、それから財政上の問題はそれは国がやって、実際上の業務その他についてはむしろ地方の府県庁にまかせた方が私は円滑にいくんじゃないかとこう思うのです。これにはいろいろの条件がありまして、一つは今の労働省の地方事務官の人事交流という格好からくる形態をしておるというものが一つある。
 もう一つの問題は、地方自治体の財源によって給与が支給されるから、給与の差がひどいところになると相当な格好で出てくる。この委員会でも東京都の職安を見て参りましたが、むしろ地方事務官の人不足で、芝の職安なんかですと、東京都の職員の方が多い。そんなことで職安行政をやっておる。だから、これに直接関係あるかどうかは知りませんが、この失業保険を円滑にやるためにも、その問題は私は考えざるを得ぬところへきておるんじゃないか、こういう工合な気がするわけです。だから、労働省でこのことを検討されたことがあるかどうか。私はむしろ国がやっぱりめんどう見ることで、一貫性からして、労働者の需給の関係におけるバランスを国の施策としてとっていく。それからもう一つの事業の主体は、事業の財政上の問題は国が見るが、実際地方がやっているのだから、それと両方マッチをして、一貫して国の持つものだけは持って地方庁に移す。身分その他業務の主体というものは地方庁に移してしまう、こういうことがむしろ効果を上げるのじゃないかという気がするのですが、まず研究をされたかどうか。これについてどういう工合に研究されたか、そういう点、今のお考え方、そういう点を私は聞いておきたいのです。
#111
○政府委員(堀秀夫君) この問題につきましては、労働省としても従来から検討をいたしております。御承知のように、ただいま言われましたような事務につきましては、地方都道府県知事に機関委任するという形によりまして、実施をしていることは御承知の通りでございまするが、私どもいろいろ検討して見まするが、この際いろいろ、たとえば外国等の例につきましては、御承知のように、ILOの職業紹介条約がございますが、これは御承知のように、職安組織が、国の直接の管理、監督のもとに行なわなければならない、こういうような条文になっております。その点と、それから他の外国の例等を見ますると、イギリス、イタリア、カナダ等は国の直轄、西独等は、これは公社の組織でやっておりますから、もう問題は出ておりません。いろいろな例があるわけでございます。
 それから二番目は現在のわれわれの考えておりまする職業紹介の今後の方向という問題にも関連するわけでございまするが、私どもは、労働力の流動性というものは、全国的な視野に立って、ますます積極的に促進していかなければならない時期にあると考えているわけでございまして、やはりそういう観点からいたしますると、現行の建前をこの際くずすということでなしに、現行の全国一本として運営しておりまする職業紹介組織というものを、有機的に活動さしていくという方向を現状としてはとっておくことが妥当なのではないか、こういう考え方でございます。
 以上がただいまの一応の結論でございまするけれども、なおこれらの問題は、地方制度の検討等とあわせまして、私どもも十分検討しなければならない問題であると考えております。以上、ただいまのところは、今申し上げましたような考え方でございます。
#112
○藤田藤太郎君 そんな、そういうお考え方であるなら、業務上、何といっても、どちらになろうとも、成績が上がり、業務効果が上がるということから行政というものが行なわれていくということが建前なんだから、あなた方がそういう一応の結論をもっているなら――私はそうは思わぬけれども、失業対策事業の三分の二とか、五分の四を国が持つというのを、全体を国が持って、事業主体は国がなれば私はいいと思うのです。そうでなければ地方の、たとえば事業の問題一つ取り上げて見ても、裕福な府県は、たくさんきめたところまではやれる。しかし、民間需要のないところは国がやるだけであって、民間需要は一つもない。民間事業、工業の発展している都市では十三日か、十四日組めば二十五日満配がある。そういうところでないところは、十九日か二十日やってもそういかない。労働者はどちらでもいいが、とにかく労働者が働いて賃金をもらって生活をするというのが緊急失業対策事業の趣旨なんだから、その根本をなしているんだから、地方自治体は、民間就労の多いところがよけい働いて、よけい賃金もらっている。片一方の方は国の補助金をよけいもらって、そうして一生懸命にやっていますよと言われたところで、五日も七日も少ないというのは意味がない。それなら国が全額もって、そうして職安行政の一貫性というものをとらない限り、今のあなたの理屈というものは通らないのじゃないか。だからむしろ私は、職安行政その他の保険行政、地方でやれないことはないわけだから、ただ、流動性からくる需要のバランスと財政上の問題だけ国が持てば、業務上の一切のものは地方庁にまかせればいい。それの方がむしろ一貫性があって、円滑にいくんじゃないか。それを国が持つというのなら、一切の費用を国が持つということでなければ意味ないんじゃないか、私はそう思うんだがね、まあそれだけしか答えられないというのなら、また次の機会にその問題は一つ大臣に答えてもらいましょう。
 そこで、まあちょっと横道に入ったような格好だけれども、これは横道じゃないんで、だから私は先ほど言われた、外国の例を説明されましたが、この資料とそれから潜在失業者が――さっきの例は潜在失業者じゃないんだから、摩擦失業だが、経済の繁栄との間にどういう工合に雇用関係が動いているのか、労働力の配置がどうされているのかという資料があると思いますから、これは一つぜひ出してもらいたいということと、先ほど大まかな訓練の状態を言われましたが、私は一つの例を言いました。総合訓練所の実態の中で、九千人の中で二十五才以上が九十三人か四人しかおらぬという例を言いましたが、今の実態は、その訓練所――事業内のは、これは別ですよ。事業内は、これは事業が自分の業務をやるためにやっているんだから。公共訓練所の中で、訓練を受けたあと就労の関係が全国的にどうなっているか、こういう資料を一つ出していただきたいと私は思う。いいですか、今のやつま……。
#113
○政府委員(堀秀夫君) 先ほど言われた外国の資料というのは、失業保険のやつですね。
#114
○藤田藤太郎君 失業保険のです。ほかのものはまた雇用のときにやりますよ。だからその失業保険のだけです。
 あとの分はわかりましたね。
#115
○政府委員(堀秀夫君) はい。
#116
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#117
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#118
○藤田藤太郎君 そこで、日雇いの失業保険の三段階にこういう工合に分けてこられて、衆議院ではこれあっさり二段階になったわけですが、これはどうです。労働行政上の思想的にはどうなんですかね、これは。百七十円、二百四十円、三百三十円というやつが百七十円をまあ衆議院では切ったということになった。労働省はこれをどういう工合に、――これはもうきまったんですから、こういうことだけでいいけれども、今の新しい三百八十六円になった賃金の東京から地域の分布についてどういう工合になりますかね、最低と最高、府県別、大体、賃金です。失対労働者の賃金。
#119
○政府委員(堀秀夫君) 失対労務者の労務費の平均は、ただいまお話のように三百八十六円でございますが、御承知のように、地域差があるわけでございます。今回の改訂によりまして最も低いところの県におきましては三百二十円程度でございます。それから最も高いところにおきましては四百二十六円程度でございます。最低が三百二十円程度、それから最高が四百二十六円ということになります。
#120
○藤田藤太郎君 これは府県クラスの平均でしょう。いえ、私はそれを聞いているのじゃない。一番地域の低いととろの、たとえば女子とかなんとかいうところはどうなるかというのです。
#121
○政府委員(堀秀夫君) これは御承知のように、各県におきまして賃金日額表をさらに作りまして、応能等によりまして賃金の格づけをしておるわけでございまして、私もその詳細な資料をただいま持っておりませんが、大体におきまして、ただいま申し上げた最も低い県におきましても平均が三百二十円程度でございますから、二百八十円未満という方はきわめて少ないだろう、こういうふうに思っております。それから逆に最高の方も、一番高いのが四百二十六円、平均で四百二十六円でございまするから、これは労働の態様が非常に高いその地域におきまする方で、たとえば東京、それから北海道、それからそれに準ずるような六大都市周辺というようなところにおきまして、密度の高いような作業に従事しておられます方が、この四百八十円以上という方が多少あると思いますが、全体から見れば大体においてこの第二級に該当する方が大部分である、このように考えております。
#122
○藤田藤太郎君 それはちょっと私は聞えぬ話だと思うのだがね。二百八十円以下百七十円というような少ないような人を、なぜ百七十円というような段階を法案提出のときに出したか。それから四百八十円以上は少ないというのになぜ出したか。
#123
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの御質問が失対労務者についてのお尋ねでございましたので、そうお答えしたわけでございます。御承知のように、日雇失業保険は失対労務者でない民間の日雇いの方々が相当多数ございます。従いまして、この地方におきまするところの民間の日雇いの方につきましては、全体を平均して考えてみますと、二百八十円未満の被保険者は全体の五%程度、それから四百八十円以上の被保険者は全体の一〇%程度、それからあとの八五%程度がこの二百八十円以上四百八十円未満、こういう段階でございまして、ただいまお答えしたのは失対労務者の賃金の場合でございます。民間の日雇いの方におきましては、この第一級に該当する者も相当おられまするし、それからこの原案の第三級に該当する方もまあ全体の五%程度はいると、こういうことでございます。
#124
○藤田藤太郎君 たった五%ぐらいのところをなぜ階段を設けて出さなければならぬ、まあ衆議院で直って非常にけっこうだったけれども、これはどうかね、職安局長、あまりにも勘定高すぎやせぬか、実際……。
#125
○政府委員(堀秀夫君) 御承知のように、この失業保険の給付の割と申しますのは、もと得ておった収入の大体六〇%という原則になっております。現行法で申し上げますとそういう建前になっております。従いまして、日雇いの被保険者についても大体それに応じて区分を設けておる。今までもそうであった。そこでただいまお話しのような議論もあるわけでございますが、原案といたしましては、やはり被保険者の五%というものが、二百八十円未満が残るわけでございますので、これについて六〇%原則というのは、この前の分科会でもお答えいたしましたが、必ずしもとっておらないので、二百八十円未満のものは相当率はよくして百七十円という段階にしたわけです。しかし、近い将来にはこの第三級というものは廃止するという方向でいきたい。やはり六〇%という原則がある建前と、従来からこの第三級の二百八十円未満という区分があったという経緯からいたしまして、過渡的にこの第三級というものは割合。パーセントは少ないけれども残しておいた方がいいのではないかという原案でございます。しかし、これについてはやはり引き上げて第二級の金額を支給する方がいいじゃないか、こういう与野党の修正でございまして、政府としてもこれに対しては異論がありませんと申し上げたところでございます。
#126
○藤田藤太郎君 僕の言っておるのは政府が異論がありませんと言った、そんな異論がありませんと簡単に言えるようなものをなぜ出してきたかということです。ほんとうなんだ。もっと実態に沿って、五%くらいのところを階段をつけて出してくるというところに、国会へいって修正されるわけですよ。だからもっと真剣に私は、四百八十円以上が一〇%だというのならもう少し四百五十円くらいまで下げてそうしてやって、上の方も見てやるくらいの親心があってしかるべきじゃないかという気がするのです。衆議院で変えたけれども、参議院では一つ四百五十円くらいのところのあと先切ってこれを適用するというくらいにした方がよさそうだが、どうも一〇%と五%ということで、だから私は非常に疑問にそこのところを思っておったのですが、今のような答になってしもうたわけです。そこで待期期間はこれでは幾日になります。
#127
○政府委員(堀秀夫君) これについては改正は行なわないということでございまして、継続三日、断続五日でございます。
#128
○藤田藤太郎君 その待期期間を縮小するという考え方はないのですか。
#129
○政府委員(堀秀夫君) 昨年の改正の際に、御承知のように、一日縮小したわけでございます。一日縮小いたしました結果といたしまして、この日雇失業保険につきましては、この受給者というものが非常にふえてきたわけでございます。そこで、この保険経済の観点からいたしましても辛うじて収支償う程度になっておりまするし、この問題は先ほど申し上げました全体の根本的検討と合わせまして私どもは検討を続けていきたい。さしあたりは、この問題については改正は行なわない。こういう考えでございます。
#130
○藤田藤太郎君 私は、やっぱり待期期間を短く、もう少し努力して短くしてあげなきゃ実態上困るのじゃないかという気がするわけです。普通のやつは、一般の失業のやつは長期のやつですからね。それで何カ月も失業保険が支給されるのですからね。その問題はその問題ですけれども、日雇保険というようなものは、待期期間はむしろ手続日数さえあればいい、一日あれば手続ができるのだから、一日あればあとは失業保険を上げるというようなことでいいのじゃないかと思うのです。労働者は失業保険をもらって生活するよりか、やっぱり働いて生活する方がいいわけですからね。やっぱりそういうところに主点が置かれると私は思うので、だからむしろ待期期間は全体として縮小するが、失対賃金は今お聞きしたのですが、三百二十円と四百二十六円ですね。これはあなた世帯主だけです。一般の二月世帯の中で一人しか適格証明の対象に入らないわけですから、それだから五人おろうと八人おろうと――まあ八人ということはそれは極端ですが、平均標準家族は五人といわれる。五人といえば奥さんが働けない。仕事がない。主人が働く。そうしてその賃金で生活をする。そうすると、この間も私が言いましたが、生活保護法の五人世帯と対比してみたときに、生活保護法の方が高くもらっている。働いている者が収入が少なくて、生活保護で何にもしていない者が多い。東京で一万一千円くらいになります。群馬で六千何百円で、安いところは岩手ですか――たしか岩手だと思いまするが、千五百円から二千円低いわけですけれども、そういうことのアンバランスを適格の審査のところに手心を加えて、全然収入がないからどうするかということにするか何かしなければ、このあなた失業対策事業で働いて、片っ方の手で失業対策で一日働いて賃金をもらって、片っ方の手で生活保護法の金をもらって、両方で食っているというような生活をされているというようなことは私は好ましくないと思うのですよ。そこらあたりは失業の問題で賃金論をやると長くなるけれども、問題は私はやはり適格の問題だと思うのですね。賃金の問題はいろいろ需要と供給の関係で、緊急失対の十条取っ払ってやればそれで事が明らかになるけれども、適格の問題は働く意思と能力があっても、働くときにそれじゃどうするか。民間就労がないところはなかなか国家財政上むずかしいけれども、民間就労のたくさんあるところなんか、たとえば例をとって、大阪府は十三日かそこらしかあの予算を組んでないで二十五日稼働している。隣の京都府は十九日も二十日も組んで民間就労が半日もない。そういうところでも適格だと、適格審査によってざっとやっている。あとは財政上の補給は交付税か何かでやらないかね。そういうところには一つ適格審査をゆるめて働けるようにしてあげるという考えを持つのは当然じゃないかと思う。そうでないと、片っ方の手で失対でおやじが働いて、片っ方の手で生活保護で補給金を高くもらって生活しているというような、そんなばかげたことはないですよ、あなた。そこらあたりは私は考えてあげなければいかぬじゃないかと私は思う。これは失業保険にも関係してくる。今失業保険は、今度改正されましたけれども、失対賃金四百八十円以下の人は保険金二百四十円ですね。三百三十円の人がこれで生活するとして、十日保険料をもらっても三千三百円、これじゃもう生活できませんからね。結局片っ方で生活保護をもらうということになる。これがだんなさんが四百八十円で奥さんが三百五十円くらいで働いておれば、これで生活は、私は生活保護法に厄介にならなくても、働く意思と能力があれば生活ができると思うのです。だから、一ぺんにずばっとやるというのは、なかなか国の予算財政の問題で議論しなきゃいけませんけれども、そういう特定の例があるわけですけれども、たとえば大阪府と京都府、兵庫県、そういう歴然と、道を一つ隔てて、県境が離れておるだけでそういう状態だというときに、京都なんかには地方交付税か何かで一般的に財政補給をして盛り上げてやるとか何とか手があると思う。しかし、大阪のように十三日かそこらの予算措置で民間就労を含めて二十五日満配しているようなととろは、私はそんなきびしいこと言わないで、そういうところにおる人も、だんなさんが失業対策事業で金をもらって、奥さん――奥さんとはいいませんが、家族が生活保護からもらっておるということはこれは少しおかしい。東京でも生活保護は一万一千――五人世帯で一万一千幾らになります。大かた一万二千円くらいになる。失対事業でどれだけいくかというと、これは四百八十円で満配は二十五日働いてどれだけになりますか、一万三千円、しかし、それだけいくかどうか、休まなければいけませんから、休養をとらなければいかぬ。だから私は、そういう点は失業保険をもらったって、賃金との関係において、従来六〇%という原則が流れてきておるから、そういうことの関係は、保険金はなるでありましょうけれども、しかし、保険金の母体は生活保護、失業保障なんですから、失業補償の生活をどうしてもらっていくかというところに私は少し力を入れていいんじゃないかという気がするのです。これは一つ御意見を聞かしてもらいたいのですがね。
#131
○政府委員(堀秀夫君) 失対労務者の生活の実態につきましては、毎年労働省におきまして調査を行なっておりますが、現在は昭和三十四年十一月の調査があるわけでございます。六大都市平均いたしまして、収入総額が一万四千八十六円ということになっております。このうち本人の勤労収入が八千五百二十九円ということになっておりまして、それ以外は世帯員の収入、それから本人についての勤労収入以外の収入ということになっておるわけでございます。これは二年前の数字でございまするから、その後約二五%程度失対賃金は上昇し、それから失対以外の勤労収入も上昇しておると思いますが、昨年の末におきまする調査ただいまやっておりますので、さらにその結果を待ちたいと考えております。以上のような考え方で、まあ生活保護の場合には勤労収入等が考慮をされるわけでございますが、失対労務者につきましては、ただいまのような実績からいたしまして、それ以外の収入もある、しかし、もちろんそうだからといって、失対労務者の賃金というものは低くていいのだ。こういうことにすぐにはなりませんけれども、そういうものも考え合わせなければならないと考えております。
 なお、最近におきます日雇労働事情を見ますると、民間への就労の伸びというものは相当目立って増加しております。三十四年度におきましては、一月平均いたしまして延べ民間への就労が百九十一万九千人でありましたのが、三十五年度におきましては二百十八万六千人、延べ二十六万七千人の増加になっております。来年度におきましても、景気の好調に伴う民間就労の伸び、それから財政投融資・公共事業等の増加によります就労増ということが予見されますので、職安といたしましては、一般失対労務者の方々につきましても、この民間就労、それから公共事業等への就労等を促進してあぶれを減少させていくという方向で進めたいと考えているわけでございます。待期問題について、いろいろ御意見があることは承知しておりますけれども、さらに昨年の改正におきまして、一日減少を実現したばかりでございますので、この点につきましては、さらに今後の問題として私どもは検討を重ねていきたいと考えております。
#132
○藤田藤太郎君 私の問題にしているのは、今賃金の問題を議論しているのじゃない、賃金はわれわれもわれわれなりの意見を持っているけれども、失業保険をもらう金かこれだけになるわけですから、働いている人が生活保護とこっちと両方からもらって生活をしているようなものは、同じ国の台所から出るのだからいいようなものだけれども、やはり片一方は働いている、生産を通じて労働力――生産を通じて社会に貢献をしているのですよ。片一方の方はそうじゃない、政府の補助金をもらって生活をしているのが生活保護なんです。本来完全雇用というものの基礎に立って、労働能力のない人の社会保障というところが本筋だと思う。仕事がないから、そういうことで、能力がありながら停滞をしている、そういう両方からもらっているようなものは、同じ国の台所から、財政から出る金だから、やはり社会に貢献するような場を何とかして作って、それが生産に転化するような形で、生活を維持するというところに目を向けていいのではないかということを私は言っているのです。そこのところはやはり重要な問題ですよ。非常に簡単なようだけれども、重要な問題だと私は思うのです。それが結局この保険の問題にも関係をしてくるということを言っているのです。だから、これは今さよういたしますと言えまいと思いますから、これは至急に検討をしてもらいたいと思うのです。
#133
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#135
○高野一夫君 私は、ただいまの藤田委員の御質疑に関連して質疑をしたいのでありますが、あるいは材料がなければこの次の機会までに資料として御提出願うか、詳しく説明を願いたいのは、今も安定所がお話のあった通り、本年度は財政投融資のワクの広がり、それで公共事業の拡大、また、今金融界で問題になっている通りに、設備投資に非常に金が使われるということは、民間産業の拡大が予想される。それで臨時に就業のできる者、恒久的に就業のできる者がおよそ経済企画庁なり労働省なり、通産省なり運輸、農林等と連絡をとればどの程度どういう方面の産業が拡大されてどの程度労働力が要るということの大よそ想定が私はできると思う。ただばく然とことしは拡大するから非常に失業状態の方も減ってくるだろうと、こういうことではなくして、もう少し私ははっきりしたデータに基づいて、そのデータが狂うかもしれぬ、狂うかもしれぬが、大体そういうような投融資そのほかの関係からいって、民間事業の拡大ということも大よそのところはわかっているわけなんだから、それから判定をしまして、そして恒久的にはとの程度、臨時的にはどの程度労働力の吸収がはかられるという私は数字が出てこなければならぬと思う。これは一つあなたの方で少し見当をつけて、あるいは二十何万、十何万と、こういう数字は必ず出てくるわけなんだから、それは五千や一万の相違は当然出てくるでしょうけれども、大よその見当はつけられる。これはきょうでなくてもいいですから、この次の来週の労働関係の委員会までに十分一つ検討されて、そして説明を求めたい。これには通産、経済企画庁、それから建設、運輸、農林、すべて引っかかってくるわけですから、そういう点も一つ考慮されて、政府全体としての連繋をとった一つそういう見通し、これを検討してもらいたい。それでもしもどうしても労働省が音頭をとって、各省の方でもよくわからぬというなら各省引っぱり出してわれわれの方からどんどん一つ審議を進めていく。しかし、これはまず労働省が中心になって各省と相談をされれば、必ずある程度の見通しがつくはずだと、こう思うのです。それを一つ政務次官にお願いしておきます。
#136
○藤田藤太郎君 私は、資料を要求しておきますが、雇用促進事業団のことと、雇用問題についてあまりこの国会で議論をしてないのですが、ことしの全設備投資計画は二兆八千五百億だけれども、三兆一千五百億くらいになりそうです。三十六年度は三兆六千億くらいになりそうなんです。だから、これが雇用にどう転化するかという資料を出してもらいたい。これは一週間で政府としても無理かもわかりませんが、合理化の面もその答申の要素の中にあると思います。どれだけ在庫投資に入るかもわかりませんが、これだけの設備投資が行なわれるのだから、雇用にどう転化するか、各産業ごとの就労人員はどういう傾向に今あるのか、化学とか機械とかセメントとかいろいろありますから、電気とか、そういう分類と、三十五年度三兆こえるから、三十五年度と三十六年度の投資計画の中で、就労に転化するのはどれくらいかということの産業別の分類とそれから見通し、これを一つ出してもらいたい。
 それから今年度農業労働者の工業雇用に転換をする農業の過剰就労と零細企業の就労のどれだけ転換していくかという見通し、こういう問題も一つ出してほしいと思います。残念ながら労働省で出してもらわなければどこもやるところがないので、経済企画庁でもお手あげですから、労働省で一つやってもらいたい。
 それからもう一つ。できれば経団連に、私の方から行ったって経団連は資料くれない。経団連から今日の機械設備の中でフル回転したときにはどれだけの生産ができ、今の操業状態はどうなんだ、各産業ごとの。もし今これは無理なら注文しませんが、あれば一つ出してもらいたい。これは私経験があるのです。五、六年前に、労働問題懇談会か何かで非常な議論して、労働省にありませんというのが経団連から一週間後にちゃんと出してきたという経験があるから、経団連に無理を言うて、これに関係がありますから出してもらいたい、これを頼んでおきます。全部来週といっても、私は期限は切りませんが、雇用促進事業団の審議をするためにも非常に重要ですから、来週でいかなければ再来週になるやつがあってもけっこうですから、ぜひ一つお願いいたします。
#137
○委員長(吉武恵市君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#138
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それではこれにて散会をいたします。
   ――――・――――

ソース: 国立国会図書館
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