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1960/04/20 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第23号
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1960/04/20 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第23号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第23号
昭和三十六年四月二十日(木曜日)
   午前十時二十七分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君

  理 事       加藤 武徳君
           高野 一夫君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           久保  等君
           藤原 道子君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   労 働 大 臣 石田 博英君
  政府委員
   労働政務次官  柴田  榮君
   労働大臣官房長 三治 重信君
   労働省労働
   基準局長    大島  靖君
   労働省職業
   安定局長    堀  秀夫君
  事務局側
    常任委員
    会専門員   増本 甲吉君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○失業保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまから、社会労働委員会を開会いたします。
 失業保険法の一部を改正する法律案(閣法第三八号)を議題といたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○藤田藤太郎君 私は、きょうは、労働大臣に質問をしようと思っていたんですけれども、大臣が見えませんから、もう少し具体的な問題で局長にお聞きしておきたいと思うんです。
 第一の問題は、ことしの春の賃上げなんかを見てますと、どうも、今までの歴史を少し言うと、新しい機械化産業、主として生産力を独占している会社、大手メーカーというようなところがたとえば一〇賃金を上げると、中小その他は八とか五とか三ぐらい、またはゼロというような格好で今日まで来ておる。ところが、一昨年から日本の生産力、経済が非常な速度で伸びて参りますと、今度は大手筋の賃上げというものが少ない状態で、むしろ中小メーカーの方がことしの春の賃上げは多い。これは何を物語っているかということになってくるわけです。雇用にどういう工合で関係しているかということを見てみますと、大手メーカーは今まで膨大な利潤を得て、そして賃金は、要するに労務費は少なく、その利益の面からいうと、比率が少なくて、非常に利益を上げておる。ところが、少し経済が回転をしてくると、中小企業にも仕事の分け分が出てくる。そうすると、肝心の労務者が、大手も少しは雇用の、就労の問題が出てくるし、そういうことになってくると、中小の技術工というものが、ちょうど野球のスカウトのように引き抜かれている。こういう現象、大手に引き抜かれるのじゃなしに、それも一部あるでしょうけれども、むしろ中小同士でスカウト合戦をやって、引き抜き合戦をやっておる。こういうところから熟練工が逼迫をしておる、こう思うのであります。だから、その賃上げを見ると、むしろ大手より、中小の方が賃上げの額も多いという結果になっておると思います。自分の育ててきた労働者を他にやらないために賃上げをやる。だから、おかしな現象になっておるわけであります。実際上からいうと、賃金が低いのだから、それは私は大いに上げればいいと思う。上げてもらわなければ、日本の経済の面からも困ると思うが、そういう今の中小が上げている率で大手がほんとうに賃金を上げるということになれば、ことしなんか、六千円か、七千円か、一万円の賃上げをしても、まだ上がるという状態ではないかと私は思います。だからそこらあたりの問題が今のような動きをしているわけです。そこで熟練工を作るための職業訓練というのが非常に必要になってきているのじゃないか、こういう工合に思うのです。外国の例を申し上げますと、同一労働に対して同一賃金というならわしがあります。これはやはり賃金というものが生産に対して、熟練や、技術や、知能という分類になるでしょうけれども、そういうものから、生産に対してだれが一番労働力を提供しているかということで賃金がきめられていく。そういうものが基礎になっておりますから、熟練工と非熟練工との賃金の段階というものが非常に大きいと思います。しかし、それはやはり大きくとも、非熟練工という、そういう人たちもやはり生活ができる総体的な賃金額があるからそういうことができると思うのですけれども、日本ではやはり賃金の絶対額は少ない。特に三十才を中心にした以下の労働者の賃金が少ないから生活ができぬ。だから熟練工と未熟練工との関係を、単に生産ということだけで規制して、賃金をきめるわけにいかないというのが、日本の賃金の形態じゃないか。それであればあるほど、私は社内技術訓練や、一般職業訓練や、またはそういうものが今ほど必要なときはないのじゃないか、こういう工合に思うのです。だから、今日の経済と賃金と、今のような職業訓練との関係について、労働省はどういう工合に見ておられるか、将来どうもっていこうとしておられるか、そういう計画があれば聞かしてほしいと私は思う。
#4
○政府委員(堀秀夫君) ただいまお話のように、熟練工が不足しておりまして、特に中小企業方面におきましては、熟練工獲得のためにいろいろ深刻な事態が起こっておるということは、私どもも同感でございます。その意味から申しまして、私たちは職業訓練に対するところの、やはり長期的な計画というものを立てまして、これは国あるいは公共団体が行なうところのいわゆる公共職業訓練だけでなしに、ただいまお話のような事業内訓練というものに対する援助というものを活発に行なっていく必要があるのではないかと思っております。その意味におきまして、公共職業訓練につきましては、先般の委員会において概要の考え方を申し上げましたけれども、事業内の訓練につきましても、この援助のために、本年度は昨年度に比べまして、特に中小企業共同養成施設に対するところの交付金を、今までよりも五割ほど増加いたしまして、対象人員一万五千人から三万四千人ということに増加さしたわけでございます。さらに今後において、経済の発展と対応いたしまして生ずるところの熟練工の不足の事態、特に中小企業におけるところの熟練工の不足を補うために、事業内職業訓練に対するところの援助というものは、計画的に積極的に拡大していくように努めて参りたいと考えております。
 それから賃金問題でございますが、これもお話のごとく、わが国の賃金体系はいろいろな要素がからんでおるわけでございますが、やはりこういう技能のある者に対するところの、適当な賃金というものがやはりどうしても必要になってくるのではないか、その意味におきまして、こういうような、いわゆる同一労働に対する同一賃金の体系、あるいは職務給というような体系の問題につきましても、労働省といたしましても、根本的に研究を始める必要があるのではないかという観点から、ただいま労働省におきまして、給与審議室を中心にこの賃金問題についても掘り下げた検討を行なうということにいたしまして、目下関係各局からそれぞれ給与審議室に派遣をいたしまして、共同の作業を始めておるところでございます。これはなかなか民間の賃金体系につきましては、いわゆる統制的な指導をすることは、現段階においてはもとより適当でありませんし、また、できるものでもないと思うのでございまするが、労働省といたしましては、その研究の結果というものは、関係者に周知させて参考に供してもらうという方向から、この問題にまず取り組んで参ることを考えて参りたいと思っております。なお、熟練工の技能の程度の問題につきましては、これは技能検定制度を一昨年から始めておりまするけれども、この技能検定をさらに今後職種を拡大いたしまして、これはもとより労働組合側とも十分な連絡をとる必要がありまして、その了解を得た上で実施する必要があると思いまするが、目下、職業訓練審議会等におきましてお諮りをしながら、技能検定制度というものをやはり今後計画的に拡大していく、そしてこれによりまして、民間におけるところの技能者の技能の程度というものを検定いたしまして、やはりそれによりまして、各職場において、この工員はこの程度の能力があるということがはっきりわかるような形に進めて参りたい。以上のようなことをあわせまして、ただいまお話のような方向に事態が進展していくことをわれわれは推進して参りたいと考えておる次第でございます。
#5
○藤田藤太郎君 最賃の問題は基準局長の係ですから、私はあまり深く言いませんけれども、午後少し私は聞きたいと思うのだけれども、そういう工合に、今の中小業者が動いているのに、今時分に二百円という業者間協定を労働省が指導しているのはナンセンスと言わざるを得ない。実際問題としてまあそれはあなたには言いませんが、そこで今度は職業訓練の問題ですけれども、昼の職業訓練に行こうとしたら、もう若い学校卒業したくらいの人しか行けないのですね、実際問題として。だからもっとがんじょうなというか、非常に完備したというか、そういうものでなくとも就業が終わってから、たとえは五時に就業が終われば五時から七時までを、夜間の職業訓練所を労働者の密集しているようなところに何カ所も作っていくというようなことが一つあると思うのです。それからもう一つの問題は、私はあの倍増計画を見ても農業の労働者を工業労働者に移行していくということになれば、私はやはり農業の過剰就労をどうして工業に転換するかというなら、単に大都会の周辺ということでなしに、農村の中心地的なところに職業訓練所を設けて、これは私はむしろ夜といっても無理なところがありましょうから、これなら昼でもいいが、都会周辺のところは夜設ける、こういう配慮がどうも足らないような気がするのですが、これはどうですか。
#6
○政府委員(堀秀夫君) ただいまのお話、私ども全く同感でございます。まず第一に、このいわゆる学校出たばかりの子供でなしに、相当の、もう今までの前歴のある人、あるいは中年の人々でこれからよそに転職もしくは就職したいというような人々のための、いわゆる簡易な転職訓練的な内容を持った訓練を行なうことはぜひ必要であると考えております。これはいろいろ関係方面からも批判があるわけでございますが、たとえば総合訓練所におきます訓練にいたしましても、失業保険の被保険者であったものが占める割合というものが非常に少ないのが現状でございます。やはりそのようなことではわれわれは方法としては適当でないと考えておりますので、今後におきましては、総合訓練所におきましても失業保険の被保険者の訓練所中に占める割合というものはもっともっと増大さしていきたいと考えまして、具体的に案を練っておるところでございます。また、一般訓練所等におきましては、これはもとより転職訓練というものをやはり一つの大きな中心にして今後運営していかなければならないと考えておりまするし、また、今後御審議を仰ぐことになっております雇用促進事業団が設立されました暁におきましては、いわゆるこのような職業訓練とあわせまして、さらに、もうちょっと簡易な職業講習的な内容を持った技術講習というようなものをやっていく。その時間等については、昼間仕事がある人もあるでありましょうから、いろいろその人たちにとって便利な時間を選んでいくというようなことをあわせて考えて参りたい、このように思っております。
 それから第二番目の、農業からの転職の問題でございますが、これはお話のように、今後農村における近代化合理化が進むにつれまして、これは好むと好まざるとにかかわらず農業に従来従事しておった人々が、やはり第二次産業の就業者になるということは、これは避くべからざるところの事態にあるわけでございます。そのためには私は農村周辺におけるところの産業の振興ということも大いに推進していかなければなりませんが、それと同時に、その転職訓練というものを積極的に実施していくことが必要である。特にこれは従来の大都会中心というようなことではなしに、今お話のような農村周辺に転職訓練のための訓練所を今後新設していく、こういう方向でぜひ進めたいと考えております。
 御参考までに申し上げますが、昨年度におきましては、農村の二三男を主として対象にするところの一般訓練所を十四カ所設置したわけでございまして、これは建設も終わりまして、本年度早々から訓練を開始することになっております。また、本年度におきましては、これをさらにふやしまして、十八カ所建設をすることになっております。これもお話のように、農村周辺の適当な場所を選んで設置していく、こういう方向で参りたいと思っております。今後におきましても、このような方向におきましてさらに適当な場所に農村の二三男を対象とするような職業訓練所の設置、あるいは既存の訓練所の職種増設というものをはかって参りたい考えでございます。
#7
○藤田藤太郎君 堀さんは非常に答弁がお上手になられてうまく答弁をされる。しかし、あなた方労働行政に主観がない、私の見る範囲では。どうして、完全雇用といかなくとも、就労さしていくか、計画経済の国なら都会における失業者を工業労働者の就労につけるということをまず先にやり、農村は食糧生産の地域ですから足だめがまだできるから、幾らかある時期まで押えて、まず都会地における失業者を就労の場につかせる。そういうものがある程度進んで、農村の過剰労働を今度は工業労働者に転換をしていくというのが、大体世界の国を見て私は労働配置の計画順序になっていると思うのです。要するに、経済力の相違によって幾らかニュアンスは違うとしても、大体そういうことだと思う。計画経済じゃなくとも、自由経済、自由主義だと日本は言っているのですから、だからそういうことをおやりになるとしても、労働省は私は立場が違うと思うのです。労働省はやはり労働者保護の立場から完全雇用という建前に立って労働力の配置をやろうとしたら、私らしろうとが考えてもそういう形を意識に入れて職業訓練や就労の計画というものを僕は立てるべきではないか。それがただ何でもいい、いいところだけとったらいい、安かろう悪かろうという日本の雇用関係をこのまま助長していったら何が起こるか、起こっているかということは私は次の機会に申し上げますけれども、そういう関係が続けられるというようなことをあなた方が是正していかなければいかぬのじゃないかと私は思うのです。だから、今の現象の一、二をとってみますと、短時間で通勤できる大都会周辺の農村は二三男じゃありませんよ。中学卒業して長男から二三男まで残っている人ありますか、ほとんどないですよ。しかし、通勤のできない農村地帯には長男、二三男どころか、うようよ就職ができなくて、耕作反別が少なくて、むしろ家庭に問題を起こしているというのが私は現状だと思う。だから、そういう意味からいっても、私は都会周辺の細々ながら生活していかなければならない生活まで見ないのです。細々ながら低収入で働いている人を高度な生産過程につけるための講習と今おっしゃいましたけれども、まあ講習程度になるか、とにかく技術を手につけるための主要点は私は各所に、たくさん都会には作って、むしろ余暇に勉強してもらって、新しい職業生産についてもらうという、こういうことが私は必要じゃないか。それから農村においては、もう一つ都会ではやっぱり学校もある、技術学校などにも容易に行こうと思えば行けるわけです。便の悪いところには行けないのですから、そういう意味で全体の労働力の配置をどうするかという主観を持って、私は訓練の問題や就労の問題に当たらなければ私は実効を上げ得ないのじゃないか、こういう気がする。だから都会地、都会地周辺においては夜間の訓練をもっと力を入れてやり、農村においてはやっぱり総合訓練所や政府の一般訓練所というような訓練所を、それを需要供給ですから、工場を持っている人は、自分のところの事業内職業訓練をやり、そこで訓練をした者をちょうだいしますというのが都合がいいかわかりませんけれども、労働省としては、国家的見地に立って見ぬことであってはいけない、私はそう思う。だから、農村の総合訓練所とか、一般訓練所をむしろ進んで労働省がお建てになるということが先ではないかと私は思う。たとえば京都の問題を一つ見てみても、あの日本海沿岸の京都府ばかりじゃなしに兵庫県、福井県をまじえたあの中にある舞鶴あたりで一つたくさん敷地も提供しましょう、宿舎も提供しましょうと、単に京都府だけがこれを持つことじゃなしに、みな訓練所というのは大都会中心に行なわれているのですから、その周辺の職業訓練のために膨大な土地を提供して、そしてその訓練をやったら実効が上がるじゃないかということを言うのです。ところが、今の答弁していることは、そういうものは都会に作るべきものである、需要が高いのだから都会に作るべきものだと言って、これがもめてから三年もたっておる。いまだに京都府には訓練所ができない、総合訓練所ができない。ほかの府県は全部できたのに京都府だけできない。私はそういうことであっていいかどうか、私は思う。都会地で必要な訓練所も作って、農村の周辺のあの地方自治体が土地から宿舎全部提供していいというときになぜ訓練所をお作りにならないのか。ただ、そのもめ事がおさまったところでそれじゃ予算を持っていきますと、それじゃ私は、単にこれが十四カ所とか農村に十八カ所作りますと、訓練所を増設します、こうなるだけであって、いかにも作るような、国が負担をして作られるのでしょうが、地方の意見待ちというような格好でいかがでございますか。日本の全体の労働の流動性とかプール性がよく言われておるわけです。雇用職安行政のプール性とか流動性とかいうことをよく言われる。しかし、こういう問題についてはどうなんです。私はそういうことで労働省はあっていいかどうかという疑問を持って、今まで私はこの問題を取り上げていませんけれども、しかし、せっかくたくさんの施策を出しながら主観というものがないのじゃないか、こんなことで、職業訓練、それから就労転換できやせぬじゃないかと、私はそう思う。都会周辺の者だけがその恩恵に浴する。それじゃ地域や農村地帯の人はどうなるか、これはもっと真剣に考えなければいかぬじゃないか、こう思う。今の状態はどうですか。たとえば京都の問題と、それから前段の問題。
#8
○政府委員(堀秀夫君) お話のように、職業訓練所の設置場所につきましては、都会周辺においては比較的通勤もしやすいわけでございます。従いまして、通勤をさせまして、職業訓練をするということで、お話のような内容のものをやっていきたいと思います。しかし、交通の不便のようなところもあります。このようなところにおける現在の農業従事者で、他産業に転換を希望するという人々につきましては、やはり適当な場所を選びまして、その場所によりましては、これは通勤させるということなしに、寄宿舎も建設する、寄宿舎を付置させるということで、この寄宿舎に収容して一定期間の訓練を行なうというような形にぜひ向けて参りたい。ただいま話しました十四カ所、十八カ所の訓練所につきましても、場所によりましては寄宿舎を付置するというような方法でぜひ考えていきたい。現在すでにできているところもございます。また、雇用促進事業団におきましても、その一つの事業の重点といたしまして、訓練所に付置するところの寄宿舎の建設というものをやって参るように仕向けて参りたいと考えております。従いまして、私どもは、お話のように、職業訓練所の今後の設置につきましては、都会周辺も大事でございまするが、それと同時に、今後における農業問題を考えてみまするときに、農村部におきましても、適当なところに職業訓練所を設置する、あるいは種目を増設していく、こういう考え方にはわれわれも賛成でございます。
 そこで、具体問題の第二の京都の問題でございますが、これは御承知のように、いろいろ問題がございまして、目下京都府知事がいろいろ苦労をされまして、府内をまとめておられる段階でございますので、私ども労働省といたしましては、今この段階におきまして、どこがいいというようなことを申し上げるのは、今知事がまとめておられます段階におきまして、かえって妨げになるような気もいたしますので、京都において、具体的にどこの場所が総合訓練所に適当であるかということの意見を表明することは、ここで遠慮させていただきたいと思います。京都府知事におきまして、目下いろいろ関係方面と話し合いをしておられる段階と承知しておりますので、私どもはいましばらくそれにおまかせをいたしまして、私どもは適当な場所に一日も早く総合訓練所を設置するように考えて参りたいと思っておりますので、この段階におきましては、どこが京都府において適当であるかということを申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。
#9
○藤田藤太郎君 だからね、私は言っているのは、前段の問題ですよ。労働省が完全雇用を――この完全雇用というものは、やはり労働者が生産に効果を上げる形の中で完全雇用しなければ意味がない。それには訓練、学校教育というものが必要だと私は思う、そうでしょう。工業労働者に転換をしていくというのだから、そうなると皆さん方の主観というものはどこにあるのだということを、私は政治をやる大臣や内閣は政治的にものを扱うけれども、あなた方事務当局の主観はどこにあるのだということを聞いている。それくらいのあなた方事務当局が考えを持たない限り、ただおざなりに倍増論は出しました。十年後にはこういう工合になりますと言ったって、どうしてそれを就労の場につけていくということが何にもないじゃないですか。事務当局としては完全雇用という大きな柱が倍増論の柱になっているのですから、この完全雇用をするのに、こういう工合にやっていかなければ、具体的に完全雇用はできませんということの主観ぐらいは事務当局は持つべきだ。あなた方専門におやりになっている、その主観を持たないで、ただ内閣でどうきまろう、こうきまろうということは、私は知りません。あなた方が意見をはさむところではないかわかりませんが、しかし、あなた方の主観というものは、どういう工合にしたら完全雇用ができるんだ、これが生産に労働力として反映するのだ、これが経済につながるのだということをあなた方は持たなければいかぬ。その基本的な考え方を確立しないから、京都府知事におまかせしていますなんという答えになる。これ以上京都の今の問題については、私はあなたから答弁を求めようといたしませんよ、これは政治的な問題ですから。しかし、あなた方が完全雇用をやるという主観だけは、きっちり持っておってもらわなければ、意味がないのじゃないかと思う。ただ職業訓練所は作りました、これだけ作りましたからこうなりますというそろばん勘定だけでは、雇用の面は出てこない、こういうことを言っているのです。そういう点が一つもないのじゃないかと私は思うのです。
#10
○政府委員(堀秀夫君) ただいまのお話の基本精神、われわれは同じでございます。職業訓練を発展させます究極の目標は完全雇用であるということは、お話の通りでございます。私どもはそういう観点から、この十年間におけるところの長期経済計画に合わせまして、職業訓練の長期計画というものを策定いたしました。この十年間に百五十五万人の人を対象にいたしまして公共職業訓練を実施する。それと同時に、事業内訓練等に対するところの援助を積極的に発展さして参る考えであります。ただお話のように、このような数だけでは、事柄は解決されないのでありまして、問題は、それをどこに設置し、どういう内容で訓練し、どういう方面に振り向けていくかというのが、大きな問題になることは申すまでもないわけでございまして、その場合におきまして、私どもはごく基本的な考え方を申しますると、総合訓練所は、これは、京都は別でございまするが、全国各地におきましては、すでに大体一県に一つは設立されておるわけでございます。これをその地方における中心といたしまして、この内容の整備充実をはかりますると同時に、一般訓練所につきましては、各県の都会地のみならず、農村地帯におきましても昨年度十四カ所、今年度十八カ所という計画をさらに今後継続的に発展させて参りまして、農村におけるところの農業従事者が他産業に転換される際の転職訓練というものを活発に行なって参りたいと思っております。それと同時に、私どもは、卒業した訓練生が、適当な職場に、適当な労働条件のもとに雇用されるということが、やはり完全雇用の見地からきわめて必要でありますので、これは労働基準局等にもお話をいたしまして、特に中小企業方面におけるところの環境の改善、それから労務管理の近代化、合理化ということのために、中小企業に対するところのこのような指導を積極的に今後行なってもらいたいということで、基準局でも中小企業の労務管理近代化のための講習、指導というものを昨年度から始めておりまするが、これをやはり積極的に進めてもらいたいと思っております。それから先ほどもお話がありましたが、申すまでもなく、最低賃金制度の普及改善というようなことは、これも訓練生が中小企業に就職いたしました場合の適当な条件を形作るという見地から、非常に必要なことである。この点はいろいろ御意見もございましょうが、労働省といたしまして、やはり一つの大きな重点として今後指導して参りたいと考えておるわけでございます。
#11
○藤田藤太郎君 これは次官にお尋ねしますけれども、どうなんですか、労働省の職安行政は、職安局長がやっている、それから賃金その他の基準行政は、基準局長がやっている。それから労使関係は労政局がやっている、こういう分類がなされていると思いますが、そういう労働行政を見てみると、ほとんど一本なんですね。だからこの一本の状態を少し私は説明しますと、たとえはことしの状態を見てみますと、中小企業ならその賃金を上げなければ労働者が逃げるということになってくると、賃金を上げる。就職の場が少ないときには、できるだけしぼって、安い賃金で使う、そういう状態。そうして、賃金を上げなければ、熟練工が逃げるような状態になってくると、賃金を上げる。そのときには失業がなくなってくるわけですから、職安行政からいって一番いい条件なわけです。ところが、膨大な利益を上げているから労働者の賃金をよこせといって、少し長引けば、労使関係が少し行き過ぎとかなんとかいって、今度は労政局がそこで強権的なチェックをしていくという、これが今までの歴史ですよ。そうして今度のように、相手がそういう状態にならないけれども、どんどん上がっていくような状態になってくると、職安行政もやりやすくなる、そうですね。それから、最賃云々といって、安い――安いと言ったらいかぬけれども、低いところで業者間協定を指導している間に、二倍くらいの賃金がみなきまっていくというような地域が出てくると、何かこれもぼけてくる、そういうものを上げようとしていくと、労政がチェックする、行き過ぎとかなんとか言って、交渉の仕方が悪いとかなんとかいうようなチェックの仕方を今までよくやってきた。だから、そういう面を考えてくると、労働大臣、次官を中心にして、行政というものはもっと緊密に話し合ってといいますか、連絡をするといいますか、そういう中で総合指導というものがやられないと、職安行政の効果も上げられない、基準行政の効果も上げられない、要するに、労政の効果も上げられないということになるのです、ここで今質疑をしていますと……。職安行政の専門家ですから、それ以上のことを言うのも、どうも僭越だと思って、私は質問を控えるのですが……。だから、総合的に、そういう連絡会議や緊密な行政というものをどういう工合におやりになっているのですか、私は疑問を持つのですがね。
#12
○政府委員(柴田榮君) 御指摘の点は、総合されて全般的に不都合の起こらないように、しかもなお、目標といたしましては、先ほどから御議論の出ておりまするように、完全雇用を目標として生産を増強し、経済を伸長させるという方向でなくてはならぬのでございますが、ややもすると従来は、労務の問題が、産業あるいは全体の経済の中であとからしょっちゅうついていっているというような格好になっているところに大きな問題があって、それが、着々、産業が急激に発展され、しかも完全雇用を目標としていろいろの施策が重なって参ったというところに、御指摘のように、非常にばらばらの感じがするわけでございますが、あらゆる場合に、国全体がややもすると、たとえば炭鉱あたりを整備しなければならないのだ、そこで、中小の不良な炭鉱は買い上げて整備をするのだということが、さっと持っていかれる。そうすると直ちに失業者が出てくる。それを労働省で一体どうするんだということをいきなり労働省だけにおっつけられるというようなところに実はばらばらな問題が労働省以前にも相当あるのじゃないかという感じがいたしまして、これはまあ労働省としては、その総合計画の中にもっと最初から労働省が入り込まなければならないのだということで、そのことは積極的に意欲を持って連絡をし、計画に参加するという方向に参るように実は話し合いをいたしておるわけでございます。省内におきましても、御指摘のような点が非常に気にかかりながら毎日の問題に押されて現われて参りまするところは何か統一がないように見えるわけでございますが、しかし、事態は大へん労働行政を総合し、統一するのにいい環境が醸成されつつあるということでございますから、私どもといたしましても、行政の分担によりましてばらばらになるようなことのないように、省内では定期の連絡をいたしておりますが、やはりこれも積極化して参りたいというふうに考えております。なお、賃金の調整、向上等につきましては、非常に批判をされました業者間協定によります最低賃金の制定等の調整をいたして引き下げるなどということは、もうとうてい許されない現段階に来ておりますので、この際あるいはもう一歩出まして、労働省が指導をいたして妥当な方向に、業者間協定という方法を通じましても、妥当な基礎を作り出すような指導を強化して参りたいというふうに考えております。
#13
○藤田藤太郎君 一つ基準局長を呼んでいただきたいと思いますことは、職安行政と非常に関連があると思う。私はなぜそういうことを申し上げておるかというと、中小企業では団体交渉の拒否はいかぬということが労組法の六条にきちんと書いてある。で、団体交渉が行なわれてない例は最近たくさんありますけれども、今最近続いている争議をとってみても、たとえば十仁病院というのがあります。で、十仁病院は団体交渉をやらぬ。で、賃金がものすごく低い。資産関係を見ると、個人資産が一年に何千万円ずつ蓄積されている。何億という金を院長は握っている。そして団体交渉をしない。人権問題が中心になって争議が行なわれておる。いたたまれないからもう五割以上やめた。やめた人は職安行政でどうこれは処理するかという問題に入ってくる。こういう例はこれはまあ十仁病院の一つの例ですけれども、各所に実はあると思う。そういうことの連絡はどうするか、労使関係だから私は労政局長に何とかこれを正常なルートで団体交渉ができ、場合によっては労働委員会があるから調整事項に乗せてこの問題がいくようにやってもらいたいといって、こういう場所ではないけれども、お願いしているけれども、一つもルートに乗らない。そのままずっと何カ月もきている。今度は病院の方に、医療行為ですから監督的な立場から完全な医療行為が行なわれているかどうかということを監督してもらいたい、あれは東京都の衛生局でございますというようなことになってきて、これも一つもそこへいかない。それでは国会――立法府というのは何をやっているのか、何をやる機関か、国の行政というのは何をやる機関か、それならそれで東京都なら東京都の基準局なら基準局、そういう格好、職安局なら職安局、それから労政課なら労政課という工合に一体の形でこの問題が問題として下りていったら――私は労働組合はどうせい、会社はどうせいと言わないけれども、正常なルートの中でやっていくということ、舞台に上げない限り……。賃金が安いというのは基準局関係、やめていってしまえばこれはもう職安関係、五割から人間がやめている、こういうことでは私は意味をなさないのじゃないかと思うのです。行政指導――国の行政指導機関としては意味をなさぬのじゃないかと思う。そこらの問題を非常に深刻に現地にいる人は、おれがどこの行政の――労働省のどこの係でどうであるか、厚生省のどうであるかということは問題ではないのですよ。一番出発点は労組法の六条違反から始まっているのだけれども、しかし、実際問題というのは、私たちは正常な医療行為をして社会に貢献して生活も守りたいというだけで、そのほかは何もない。そこに働いている労働者は、しかし、今のような格好になってきておるわけでございまして、私は、そういう面では非常に残念だと思うのです。日経連タイムスというのを私のところへずっと送ってきております。それから生産性向上ニュースですか、ああいうようなものを送ってくる。これを見ますと、いろいろと資本家陣営といいますか、経営者の陣営の中でも混乱があるようです、今過渡的に。たとえば三井銀行の佐藤さんなんかがトップマネージメントというのですか、外国を見て来る。それからこういう日本が一昨年、昨年とこれだけ生産が上がったのだからこれによってどうして需要を高めていって、経済の繁栄の持続性を持たすかという、そういうところへ視点が置かれて、非常に意見を出されているようですけれども、まだ外へ出ませんが、今度も行かれているようですけれども、ガットのたとえば三十五条の援用の問題も密接な関係があるという立場から問題をとらえなければ、日本が工業国としていかないようなところに私は外国へ行って見れば見るほど追い込まれてくると思うのですよ。私たちはそう思います。ところが、この日経連タイムスのきのう送って来たものを見ますと、中堅の生産を持っている専務、常務というようなクラスが賃金値上げや労働問題に対しての酷評といいますか、たとえば公労協の賃金値上げに対する酷評というか、あした会社がつぶれるというような表現から始まって、ひどいものですよ、お読みになったかもしれぬが、とにかくそういうことでは日本の経済は発展しないという段階に今日きている。そういうものが中心で労働行政がとられていくというなら私は大へんだと思うのですよ。下の方で実際に生産をやっているところは熟練工を迎えるのに賃金を上げるという現実の問題まできている。大企業の主要メンバーの連中は三千円、二千何百円の賃金ではけしからぬといって口をそろえて公労協の攻撃をしているところです。三十四年に三〇何%の生産が上がって、日本の生産力が上がりました。それから昨年度は二五%――これはまだ決算ができておりませんけれども、二五、六%上がっている、三十三年に比べると六割あるいは六割五分も上がっている、ことしも三兆六千億設備投資をしようというのだから、これも二割も二割五分も上がる、生産性はどんどん上がっても所得は上がりはしないから、従って、購買力も上がらない、それで操業短縮、失業という問題が必ず出てくると思います。これはあなたと直接ここで議論しようという問題ではありませんけれども、そういう状態の中で労働省に一番意見を言う力のあるところが公労協の賃金をこぞって攻撃するような形で私は現われてきていると思う。もっと労働行政は深く、そうして日本経済との関係においてあなた方はもうその専門なんで、完全雇用という立場をどうして生かしていくかということを職業訓練との関係、それから国民生活との関係、労働者の生活水準との関係、これももう少し真剣にお考えになっていただかないと、そうしてまた、それに応じて完全雇用をどういう角度から、主観的な立場からやっぱりやってもらわないと、との問題の効果が上がらないんじゃないかという気がしているわけです。まあいろいろの意見の中で失業保険の積立金が三十六年度一ぱいで、千億近くになるというこの状態の中で、私は百歩譲って、職業訓練のために使ってもいいという意見を出している。一般の人はそんなものは賛成しませんよ。国家の一般会計からやるべきだというのが筋なんです。筋なんですけれども、雇用を進めるためにそういう措置もやむを得ないんじゃないかと私は意見として申し上げております。これは個人の主観として申し上げておるのだけれども、それすらおやりにならないで、その九百何十億の金がそのまま国の財政投融資の中にほうり込まれて、それは経済が成長することはいいでしょうけれども、そういうところにうまみがなければ意味がないんじゃないですか、私はそう思う。だから、これは保険の問題と雇用一般政策との関係なんですけれども、雇用計画という中から失業が出てくる、やり方いかんによっては失業も出てくる、失業保険の意義も出てくる、失業補償の問題が出てくるから、こういう議論をするわけですけれども、もっと私はそこらあたりにうまみがないものか。
  〔委員長退席、理事加藤武徳君着
  席〕
うまみをもって、あなた方事務当局として主観的な立場から完全雇用をどうされていくかというものが出てとないかということを、私は常日ごろ不満に思っている。ここへきて質疑をいたしますと、結局大臣や経済企画庁長官と同じような答弁を局長までされる。具体的にどうかと突っ込んだら、実効を上げているところがございますと、口をそろえて皆さん同じようなことを言われる。経済企画庁で雇用問題何しているか。私もよく言います、よく言いますけれども、経済企画庁では雇用問題できませんよ。実際に労働省がやらなければ、職安局がやらなければというか、労働省がやらなければ私は雇用計画なんてできないと思うのです。だから、そういう点はもっときめのこまかい具体的な方策を私は立ててもらわなければ意味がないんじゃないかという考えでございます、それから、失業保険の金がたまって参りました。失業者が出ないことはまことにけっこうなことなんですから、だから、この方策についてはいろいろこの前議論したからいたしませんけれども、しかし、この点もやはりもっと真剣に考えないと、えらいとんでもないことになりはせぬかという気がする。他の一般の国民の見る目が、金を取り込むだけが政府の施策だということにならないように、私はやっぱり考えてほしいと、こう思います。
 そこでもう一つ具体的なことを私は聞いておきたいのですけれども、根本的な解決は、これはなかなか今そうはいきませんけれども、社外工と臨時工との関係です。社外工と臨時工との関係について特に造船が多い。造船業という作業は、ああいう作業自身が持つ特殊性がありますから、ああいう状態が多いというのは、これは私はわかると思うのです。わかると思いますけれども、職安法の四十四条との関係というものが整理がされてないというのが、今の実態じゃないかと私は思うのです。これが一つです。だから人入れ稼業的な要素が勝手にボスによってやられている。一番極端な例が港湾労働者だと思います。港湾労働者のあの手配師ですか、手配師を中心にしたあのやり方というのは、職安行政で今私らが見ていると手が全然ついてないのじゃないか、つけられないのじゃないかという気がするわけです。だから、お尋ねしたいことは、たとえは造船の社外工のように、同じ職場で会社のあれをもって同じように頭を並べて仕事をしているのが、片一方は社外工で片一方は本工だ。こういう関係についてびしびしおやりになっているのか。これからどうしようとされているのかというのが一つです。それから港湾労働者の手配師というのですか、手配師や港湾労働者の雇用関係というものを実際に出先の職安で手がつけられないのかどうか。今後どうしようとしておられるのか。そこらあたりの意見を聞いておきたい。
#14
○政府委員(堀秀夫君) 先ほどからいろいろ御意見ございました。ただいまお尋ねの二点の前に、なお補足して、政務次官の申し上げたのに補足して申し上げます。
 いろいろな問題がありまして、私どももお話の通りに、特にこの問題になる中小企業におけるところの労働問題、これは雇用問題もございますし、労使関係の問題もあるし、労働条件の問題もある。いずれも密接不可分にからみ合っている。従いまして、これに対するところの総合的な考え方を統一すると同時に、現地におきましては、きめのこまかな指導をする必要があるというととは、私どもも同感でございます。先ほど政務次官からお答えいたしましたように、これは今後における労働行政としての最重点の一つだというふうにわれわれ考えておりますが、労働省の省議におきまして、今後ますますその問題の検討を重ねると同時に、最近におきまして、この問題の重要性にかんがみまして、労働省に中小企業労働関係連絡室というものを設けまして、これは労政、基準、職安等の関係者をもって室員といたしまして、中小企業における労働問題の合理的解決の方法を検討すると同時に、各局間の方針の統一をはかろう、こういう考え方で最近発足をいたしました。大いに努力をいたしたい考えでございます。また、現地におきましては、府県の労働部、これは労政課もございますし、職安課もございます。それと労働基準局あるいは婦人少年室というようなものを構成メンバーといたしまして、中小企業労働対策協議会というものを府県に設けることといたしまして、また、特に必要な地区におきましては、中小企業労働対策地区推進連絡会議というものを設けまして、これは安定所長、労政事務所長その他関係の出先機関をもって構成することにいたしまして、現地におけるところの対策につきましてもできるだけ統一をはかり、連絡を密にいたしまして、総合的なきめのこまかな指導をする態勢を作って参りたい、こういう考え方でございます。さらに今後努力をいたしたいと考えます。
 それからその次に、ただいまお尋ねの社外工、臨時工の問題でございます。造船方面におきましては、ただいまお話のような形態があるわけでございます。私どもといたしましては、これは職業安定局、基準局、緊密に連絡をいたしまして、職安法違反あるいは労働基準法違反というような事態の起こらないように、現在の社外工的な制度につきましては、これははっきりした直用もしくははっきりした請負に切りかえるという方面に指導を進めたいと考えております。目下関係者を集めましてそのような指導をしておる段階でございます。現地におきましていろいろな話も耳にいたしまするが、職安法違反あるいは基準法違反というような問題につきましては、私どもは強い態度をもってこの指導を行ないたいというふうに考えております。
  〔理事加藤武徳君退席、委員長着
  席〕
 港湾労働の問題につきましては、これもお話のように、非常にこの労働形態が複雑かつ特殊な問題を含む問題でございます。これにつきましては、労働省におきまして港湾労働対策協議会を設けまして、公益・労使の参画を得まして、その合理的な解決のためにいろいろな御意見をいただいておるわけでございまするが、まず、さしあたりにおきまして、私どもといたしましては、職安を中心といたしまして港湾労働者の登録を各主要港において行なうことといたしまして、目下これを実施しておるわけでございまして、この港湾労働者の登録制度というものを確立する方向で努力して参りたいと考えております。それと同時に、港湾労働における安全、衛生その他労働条件の問題についてもいろいろな問題点がございます。これも港湾労働対策協議会において最近指摘されたととろでございまするが、この点につきましては、労働基準審議会等に専門部会等も必要に応じ設けまして、そうして港湾労働におけるところの安全、衛生、労働条件の改善という問題についても手をつけて参りたいと考えておるところでございます。さしあたりは以上のような態勢におきまして指導をいたし、その間に労働基準法あるいは職業安定法の違反があれば、これはわれわれは強い態度で監督をいたし、是正をさせる方針でございます。
 なお、さらに将来の問題につきましては、この港湾労働対策協議会等の御意見を伺いまして、もう少し突っ込んだ根本的ないろいろな問題がございます。これはわれわれとして運輸省とも連絡協議の上、その根本的な対策につきましては十分検討を加えていきたいと思っておりますが、さしあたりは、ただいま申し上げましたような方向におきまして手をつけて参ることにしております。
#15
○藤田藤太郎君 そこで、今お答えのあった社外工1まあ臨時工のことはまずおいて、社外工の職安法四十四条の違反が中心だと私は思うのですけれども、なんか現地では権威主義といいますか、私たちが実態を調査に行くとか、労働省の皆さん方が、職安局の皆さん方が実態を調べるとかいうような問題になってきたところだけが摘発される。そうでないところはもう事なかれ主義で目をふさいでその前は通るというのが地域の職安行政の実態じゃないかと私は思うのです。こういう点、今たとえば職安法の立場からはっきりするんだとおっしゃいましたけれども、その指導監督はどうされているのですかね。私はどうも指導監督というものが十分にされていないんじゃないかという気がするのです。ただ、事業者の泣き言を聞いて、ああそうでございますかと引き下がるようなことであっていいのかどうかという気がするのです。静岡の、この前ここで少し議論しましたけれども、行って、労働省が少しこれはやっぱり問題を指摘するぞと言ったら、あくる日全部摘発してしまった。そういう情勢がこない限りは知らぬ顔をしているという状態ですね。だから、ほんとうにあなたの出先機関の職安――あなた方は一生懸命この方針でやろうとされている、それが下に通じないといううらみが非常に多いんじゃないかと私は思うのですよ。だから、これは何か定期的に打ち合わせとか何かおやりになっているんだと私は思いますけれども、しかし、もっと的確性を、本省でおやりになること、指導として立てられることが、地域においてもそれが的確に反映するという形でなければ意味をなさないのじゃないかと、私はそういう工合に思っております。だから、その点はどういう工合に地域とあなたの方との関係において職安と監督の関係について連絡をしておられるか、ここらあたりも一つ聞いておきたいと思います。
#16
○政府委員(堀秀夫君) 本省の方針が地方の出先機関に十分到達しないような話も一部に聞いております。私どもは、これはもう職安行政本来の姿からして非常に残念なことでございます。要するに、本省と地方との間に有機的な連絡を保ち、その方針がすぐ下部に伝わるということをぜひはかって参りたいと考えておるわけでございます。ただいまの態勢で、一応趣旨から申しますると、中央においては労働省の職業安定局、府県段階におきましては、府県知事、労働部長それから職業安定の事務官、それから現地におきまするところの職業安定所、こういう三段階になるわけでございます。そこで、この中央及び都道府県には、職業安定監察官制度も設けまして、中央、地方の間の方針の一体化という点についての監察指導を積極的に行なうという、こういう趣旨でございますが、それだけではなかなかまだ思うようにいかない面もあるわけでございます。これは私この職業安定局に参りましてからそのような点を痛感しておりまして、昨年初めての試みといたしまして、中央において直接現地の安定所長を指導するということもやはり必要ではないかと考えまして、これは今までやった例はないのでございますが、昨年初めて各ブロックごとに職業安定所長のブロック会議をやりまして、本省は、これは私も各地に参りましたし、部課長全部第一線に行きまして、そのブロック会議で直接安定所長とひざを突き合わせて懇談、指導をしたわけでございます。非常にその結果はよかったように考えておりますので、本年におきましても、この大体六月下旬から七月を中心といたしまして、各現地におきまして本省と安定所長と直接のブロック会議を開催いたしまして直接指導を行なう、こういう予定を立てたところでございます。こういうようなことを行ないまして、中央の考え方が出先の第一線の責任者にすぐ伝わるという方法をぜひやって参りたい。その場合におきまして、ただいまお話のありましたような問題につきまして、今後においても特に強い指導をいたしたいと考えておるわけでございます。
#17
○藤田藤太郎君 港湾労働者のいわゆる登録とか、登録を制度化するとか、安全、衛生の面をどうするというようなことが港湾労働協議会で審議されて、その通り実施に移される、こういうことを言われました、これはまことにけっこうだと私は思うのです。しかし、私の聞きたいのは、そういう方針をお出しになってやっていただくことは非常にけっこうだけれども、実際に手がつけられるのか、ついているのかどうかということです、実際問題として。そういう状態にあるのかどうかということ。労働省の権限でやれなければ、他の何の権限でこの正常なルートにこの問題を、せっかくおきめになったことを乗せられる方法というものは何があるか。そういうことを聞きたいのです。それはどうですか。
#18
○政府委員(堀秀夫君) その問題につきましては、各主要港湾におきまして、同じく労・使・公益の参画を得まして協議会を作っておりまして、まず、この場において十分な現地における問題の御意見をいただきたいと思っております。問題は、たとえば安全、衛生等の指導を現地においていかに徹底させるかという問題でございますが、これは私の所管ではございませんが、便宜私から申し上げますけれども、労働基準局におきましてもこの必要性を痛感いたしまして、安全課及び衛生課におきまして、特に衛生課におきまして、これは御承知のように、最近外国船等が入ったような場合に、その荷役をやるという場合に、有害な積荷がある。これによって中毒等も発生したような事例があるわけでございます。こういう事故を防止するために安全課及び衛生課におきまして専門的な調査をいたしまして、それに基づきまして最近においてこのような積荷に対してはこういうような措置をとらなければならないというような基準を作りまして、第一線の基準監督署にも通達を出しておるところでございます。この問題は先ほど申し上げましたように、大きな重要問題と考えておりまするので、私どもは、ただいまのような現地におけるところの事故の発生というものをなるべく減少さしていく、こういう方針で今後大いに努力したいと思っております。
#19
○藤田藤太郎君 だから、安全、衛生の問題は基準局長ですから、それは私はあなたがおっしゃったからちょっと申し上げたので、私があなたに質問したのはそうじゃないのですよ。正規に労働組合を組織するような正社員か準社員的な要素が一つおる。そのときには登録の網に引っかかってと言ったらなにだけれども、登録の対象になる労働者がおる。その下に町から集められてきた半分以上の労働者がおるということなんです。実態はそうなんです。それを職安局が登録制度にするといったところで、できない労働者がおるのじゃないか。そういう雇用関係をどういう工合にして職安局が指導してとらえられておるのかどうか。東京でも足立区でしたか、よく新聞に出ておりましたが、一つのたまり場にトラックを持っていって千人も、日によれば二千人もかっさらっていってそこに集めてきて、そこからトラックでどんどん供給していくということが新聞にも出ておりました。これと似たような形が港湾労働者においては恒常的措置として各港において行なわれておる。これを皆さん方としてはとらえることができないのかどうか、こういう人たちを労働省の出先の職安でとらえることや指導することができないのかどうか。私もなかなか困難だと思いますから、だから実際にとらえられますかということを聞いておるのです。そこのことなんです。
#20
○政府委員(堀秀夫君) これはお話のように、非常にむずかしい問題を含んでおります。従いまして、との解決につきましては、私どもはやはり漸進的に進んで参らなければならぬ、ただ方向だけははっきりしておかなければならぬ、このように思っております。まず、第一線におきまするところの組織の充実の問題、監督、指導の問題がございます。これにつきましては、主要な港湾におきまして、従来その港湾地帯におきましても、同じ一般の安定所の系統で指導しておる。やはりそういうことになりまするとなかなか手も回らないし、組織も十分いかないということでございまするので、昨年から本年にかけまして主要な港湾地帯におきましては特別な港湾労働安定所という制度を設けまして、独立組織を作ったわけでございます。これによりまして主要港湾におけるところの監督、指導組織というものが従来と比べて相当充実して参りました。この組織を通じまして実態の把握と指導を行ない、それと同時に、機動力の問題がございまするが、このような出先第一線におきますところの機動力の強化に対して、われわれは特に意を用いまして、本年度においても相当の措置を講じたわけでございます。
 それから、問題は恒常的な港湾労働者のほかに、臨時的な、ただいまお話のような形態があるわけでございます。現地においてこれは最近手がまだ足りないというような問題があると同時に、港湾におけるところの港湾労働者の福祉施設というようなものが整備していない点にも問題があるだろうというふうに考えております。私どもはそういう観点から、これは従来としては労働福祉事業団において一部手をつけておりました。今後においてはこの雇用促進事業団において手をつけてもらうことになりますが、港湾におけるところの労働者の簡易宿泊施設及び港湾労働者の福祉施設というものの整備にわれわれは努めて参りたい。これによりまして問題を根本的に解決するには、まだまだいろいろ問題がございますが、労働力の不足を補うと同時に、港湾労働者の福祉の整備をはかるということによって、ただいま起こりつつある弊害をなるべく減少いたしたい、このように考えております。
#21
○藤田藤太郎君 今のことについて私はまだ意見がありますけれども、これは次に譲って、その次は、臨時工ですね。臨時職員の問題なんですがね。これは官庁にもありますね。それから一般のところでも臨時が非常に多い。同じ仕事をして、同じ能力がありながら、臨時の二カ月交代ですか、更新をしていって、そうしてそのままずうっとやって、国会で定員制の問題が議論されるというようなことなんですが、実際の問題として。だから、臨時工に対して労働省は今どういう工合にとら、えられて、臨時工の実態というものをどういうふうにとらえられておるか。それから、こうした今のような不安定な状態をなくするにはどうしたらいいと思うか、意見をお聞きしたい。
#22
○政府委員(堀秀夫君) 臨時工の問題につきまして、ただいまお話のような形態が官庁等にも従来ありましたし、それから民間においてはこの形態が非常に多いということは御指摘の通りでございます。公務員につきましては、この臨時職員的な形態は、これは常勤、普通の公務員に移していくということで、措置をしております。ただ、民間におきましては、この問題は、日本の現在の経済の底の浅さにもからむ大きな問題でございます。要するに、今の日本の各企業は、景気のよい、人手の足りないときには、このような形態でなるべく労働力を補う、そうして不況になった場合におきましては、これを縮小していく、こういうことで調整をはかっておる。これは、やはり日本の経済の底の浅さにも関連する大きな問題でありますというふうに考えております。
 そこで、労働省といたしましては、現在の指導方針といたしましては、これは、たとえば労働基準法にいたしましても、職業安定法にいたしましても、臨時工でありましても、その実態が常用工と同じであるという、いわゆる常用的な臨時工につきましては、労働法の適用につきましては、全部常用工と同じ取り扱いをする、こういう基本方針で指導をしておるところでございます。ただ、現段階においては、このような方針で指導しておりまするが、もとより臨時工は廃止するような、禁止するような法制措置を講じておるわけではありませんので、また、これを今のような経済の段階において強行いたしまするときには、非常な問題が生ずることも、これも関係者の認めるところであろうかと思うわけでございますが、しかし、これをほっておくわけにも参らない。私どもは従いまして、現在の方針としては、常用的な臨時工については、労働法の取り扱いを、常用工と同じに指導するという方針を続けると同時に、今後におきまして、この臨時工のあり方というものをどういうふうに把握するかということにつきまして、これは先日労働大臣もこの委員会で答弁いたしたと思いまするが、労働大臣もこの問題について根本的に一つ検討してみようじゃないか、こういう意向でございますので、これは職業安定局と労働基準局、労政局、全部の問題にもからみますので、労働省の内部におきましてもこの問題をどういうふうにして今後扱っていくかということについて、根本的に検討を開始いたしたいと考えておる次第であります。
#23
○藤田藤太郎君 時間がないから基準局長に聞いておきたいのですが、午後にも一つ御答弁いただきたいのですが、今職安局長の関連において聞きたいのですが、日本の労働生産性と賃金の関係がどうなっているか、これが一つ。それからことしの状態に、三十四年度、三十五年度経済が成長して、三十六年度に入ってきて、各事業所において熟練工の不足といいますか、取り合いという状態が起きてきて、これが全体の賃金の面に反映をしてきておるという、ことしの賃金の上昇状態をもたらしてきておる、特に中小企業が多いと私は思う。だから、そういう面から見て、賃金はどれくらい上昇を今しつつあるか、生産性との関係、三年くらいの間をとらえてことしの状態、それからそれが雇用の問題にどう反映をしているか、どういうところに雇用の吸収工合がきているか。たとえばもっと具体的にいうなら労働者は生活本位になるのですから、賃金の高いところには生活が楽になるという建前で、そこへ労働者が吸収されていく、日本の経済が底が浅いとか低いという議論がありますけれども、今そんな議論をするような、五年やそこら前の経済と日本の経済は違うという、そういう立場から、今の問題がどうなっていくかということを聞かしていただきたい。
#24
○政府委員(大島靖君) 労働生産性の上昇と、賃金の上昇との関連の問題でございますが、御承知の通り、やはり賃金の上昇というものは生産性の向上と相伴うべきものだと思います。ここ数年来の状況は生産性も順調に伸びておりますし、また、賃金の上昇も相当な強さでございますが、ただ、これは数字的に上昇率がパラレルになっているかと申しますと必ずしもパラレルではない、ただ、生産性の向上と賃金の上昇とは、長期的、全体的に見ますれば、やはり相関連すべきものと思うのでありますが、この一年ないし二年、三年といった時期で、この両者の相関関係あるいは特殊の産業をとらえて、その相関を論ずるのはちょっと危険であると思います。全般的な産業全体あるいは国民生産全体としての上昇、また、これをかなり長期にわたってこの相関を見ることが必要であろうと思います。ただ、一時、二、三年来ヨーロッパ諸国におきまして生産性の向上と賃金の上昇との関連におきまして、いわゆるコスト・インフレの問題というのが起こったわけでございます。この辺の問題、ないしは今度は逆に生産性の向上と分配率の関係、こういう点においても各種の問題があろうかと思うのでありますが、全般的に見ますれば、ここ数年来の生産性の向上と賃金の上昇というものは、一般的に見ますれば、わが国の場合、比較的好ましい状況において両者とも伸びておるということが言えるのではないかと思っております。
 それから最近の雇用の関係と賃金との関係、ことに賃金のアンバランスの問題、これは御指摘のような点が、ことに中小企業において、また、特殊の技能者においてあろうかと思うのであります。この賃金のバランスの問題につきましては、地域的な賃金のバランス、それから職種間における合理的なバランスというものが、もちろん必要なわけなんでありますが、わが国の場合、やはり何と申しましても規模別の賃金格差があまりにはなはだしいということが、根本的な問題として横たわっておるのであろうと思うのであります。この点、規模別の賃金格差、このアンバランスというものの是正に、政府としては全力をあげていくべきであると思うのであります。同時に、職種別の賃金格差あるいは地域別の賃金格差、各種の賃金格差、そのアンバランス、この是正については、あるべき賃金の格差というものがつかめればいいわけなんでありますが、これは理論的にははなはだ困難な問題であろうと思うのであります。従って、全般的な賃金の現状から判断していくのが一番現実的な問題だと、こういう建前からいたしまして、三十六年度には先般御可決をいただきました予算におきまして、総合的な賃金センサスを実施いたしまして、ここで地域的な格差、職種別の格差、あるいは性別、年令別、その他各種の賃金の格差の現状を正確に把握いたしまして、そこからできるだけ適正な賃金のバランスを見出していこう、こういうふうな方向で努力をいたしたいと考えております。
#25
○藤田藤太郎君 午後に問題を移しますけれども、今の基準局長のお話じゃ一つも具体性がないので、一つの労働生産性にしたって、政府の発表しているのは生産性が五五%ですか、二十八年から三十五年度まで賃金の上昇が三八%、今欧州でコスト・インフレが起きたとおっしゃるけれども、OECですか、生産性と賃金水準との形というものは、同じ水準を維持しない限り、雇用というものは正常に行なわれないということをOECが出しています。それから国民所得の中における勤労所得はどういう形にあるのかという問題も、これは議論に一つなります。一つ午後に、具体的に御返事をいただきたいと思うのです。
 それから今の、賃金センサスをこしらえて、これから調査するということを言われる。それはまことにけっこうなんですが、今の中小企業における熟練工の不足ですね、今失業保険の、職業訓練の問題をやっているわけですが、職業訓練をして、生産労働者として生産についてもらわなければ意味がないと思うのですね。そういう点を訓練をしながら、たとえば労働時間短縮というような格好の中で、完全雇用を達成していく部面が必要な時期に来ているのです。この議論を少ししておったわけなんです。だからそういう中で、ことしなんかの現象というのは、大手は賃金を押えようとする、中小企業は熟練工が逃げていくから中小企業同士の取り合いで、賃金を上げなければ熟練工が逃げていくという現象がある。だから、そこらあたりの、ことしの現象をどうとらえているのか。それからそれが雇用関係にどういう格好で反映しているかというところが聞きたいわけなんです。これは一つ午後御返事をいただきたいと、問題だけを提示しておきます。お願いいたします。
#26
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#27
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 それでは暫時休憩いたしまして、午後は一時から再開をいたします。
   午後零時四分休憩
   ――――・――――
   午後一時十二分開会
#28
○委員長(吉武恵市君) これより委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、失業保険法の一部を改正する法律案(閣法第三八号)の質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#29
○藤田藤太郎君 これは議論しておれば幾らでもあるんだけれども、大臣に一つ聞こうと思っておったんですが、それじゃこまかしいことについて、もう少し局長に大臣が見えるまで聞きたいと思います。
 それじゃ基準局長、午前中の私の申し上げたことについて、もう少し具体的にお話を願えないですかね。
#30
○政府委員(大島靖君) 今朝来、御指摘の生産性の上昇と、賃金との関係あるいは賃金の上昇における大企業と中小企業との関係の問題、こういった問題についてけさ御答弁申し上げたのでありますが、若干数字的に補足申し上げたいと存じます。昨年一ぱいの数字がまとまりましたので、昭和三十五年と三十年の数字と対比して申し上げますと、各産業を通じて産業活動の全般の総合指数は、昭和三十年を一〇〇といたしまして、三十五年が二二四という数字になっております。これに対しまして雇用の増加は同じく三十年を一〇〇としますと、三十五年が一四三という数字になっております。従って、労働生産性指数の方は、三十年の一〇〇に対しまして、三十五年は一三〇になっております。これに対しまして生産性指数は、製造業におきまして一五三になっております。これに対しまして賃金指数の上昇は、三十五年が一三七という数字になっております。生産性の上昇が一五三でありまして、賃金の上昇が五年間に二二七であります。この上昇率のパーセンテージそのものは若干のズレがあるわけでありますが、これは藤田先生御承知の通り、生産性向上の成果は、もちろん資本の蓄積にも回ります、また、労働者の生活のための賃金にも回りますし、また、物価の引き下げを通じまして、国民全般に対する還元という点にも回ります。こういった関係で生産性の上昇の数字と賃金上昇の指数は必ずしも一致はいたしませんが、との期間を通じてみましても、また、戦後全般の数字をつかんでみましても、大体におきまして、わが国の場合生産性の向上と賃金の上昇というものは、ほぼ好ましき姿で逐次上昇しているということが言えるのではないかと思います。一方この賃金の上昇についての、各国とわが国の場合を比較いたしてみますと、一九五三年と五九年、この数字を比較いたしました表が、ILOの資料にございますが、これによって見ますと、日本の場合は一九五三年の一〇〇に対しまして、五九年は二二七と上昇いたしております。アメリカの場合はこの数字が一二四であります。イギリスの場合は一四二であります。一方、実質賃金の上昇は、日本の場合は一二五であります。アメリカの場合は一一四であります。イギリスの場合は一一八、こういう数字になっております。従って、各国に比べましても、日本の実質賃金の上昇は相当程度のものであろうかと思っておりますが、一方、この賃金の上昇の中で、けさほど御指摘のございました大企業の問題と中小企業の問題というのがございますが、基本的に今朝来申し上げましたような賃金の規模別格差の問題が大きく横たわっておりますが、最近の賃金の上昇傾向からいたしますと、まだ的確にこの傾向を指摘するわけには参りませんが、一応の数字を申し上げますると、昭和三十二年におきまして五百人以上の規模の賃金を一〇〇といたしました五人ないし二十九人の規模の賃金は四二・九でありましたものが、三十四年には四四・三となっております。さらに昨年の一月から九月までの数字をまとめてみますと、これが四七・四という数字になっております。従って、一応この数字から見ますと、小規模事業所における賃金上昇が、大規模よりは大きいということが言えると思うのでありますが、これは主として若年層の労働者の賃金の上昇率が中小企業において特に大きいということに基因いたしておるだろうと思うのであります。製造業における年令の賃金上昇率を見てみますと、十八才未満の者の賃金上昇率、これを二十九年から一二十四年の間における上昇を見てみますと、千人以上の場合は一七・九%上昇いたしておりますが、これに対して十人から九十九人の規模においては三〇・六%上昇いたしております。すなわちこういった弱年労働者層においては、中小企業において非常に大きな上昇を示しております。一方、新制中学校の卒業生の新規就職者の初任給の格差を見てみますと、五百人以上と、十五人ないし九十九人のところを対比いたしてみますと、五百人以上の場合、昭和二十八年三月の格差は六七・四でありましたものが、昨年の三月の数字をとってみますと、五百人以上一〇〇に対して、十五人‐九十九人のところが九一・七と非常に格差が縮まっております。すなわち新規学卒者の初任給におきましては、一般的にいわれます規模別格差というものはほとんどなくなっておるという状況であります。こういった問題に加えまして、今朝来、先生御指摘の、特殊の技能者の引き抜きの問題、こういったものに対する賃金上昇ももちろん加味せられまして、全般的に中小企業における賃金上昇率は高くなっておるわけでございます。全般的に申しますれば、著しい格差のある中小企業の賃金が、ことに初任給という賃金の一番基礎になりますところにおいて急激な上昇をいたしますことは、格差縮小の面から申しますれば、それはむしろけっこうな傾向なんであります。ただ、これが同時に、中小企業そのものの生産性そのものの向上と見合うならば、まことにけっこうなんでありますが、一面において、中小企業の生産性の向上がもしこれに及ばないとすれば、企業経営において非常に大きな圧力を受けることになるわけでございまして、従って、こうした傾向は、全般的にはけっこうな方向ではあると思います。同時に、関係者といたしましては、中小企業の生産性の向上そのものにさらに一段の努力を傾けなくてはならないのではないか、かように存じます。
#31
○藤田藤太郎君 そこで、私のお聞きしたいのは、前段なんですが、三十年から三十五年のところで生産性が一五三で、賃金が二二七、また二番目におっしゃったのは、一九五三年から五九年の名目賃金と実質賃金の差が言われたのですが、日本のこの中で経済成長、生産力というものはどう伸びたかというものと対比しない限り、アメリカが低くて、日本が高いといってみたところで、昨年、一昨年の数字を見て、日本は実質一七・七%も経済が成長しているが、アメリカは二・五%ですね。イギリスの的確な数字は、これは私は記憶はありませんけれども、イギリスもそんなに高くない。だから現代の賃金そのものの上にどれだけ賃金が上昇するかということ、それと国民所得の中で勤労所得がどういうウェートを占めているか、この勤労所得というものがどういう形で上昇をしているかということが問題の基礎なんです。ただ、日本に当てはめて、外国の賃金が云々と言ってみたところで、これはものさしにならないと僕は思う。それはどうですか。
#32
○政府委員(大島靖君) この賃金の上昇と国民経済全般の成長率、すなわち国民総生産の伸びとの関係、あるいは国民総所得の中で、賃金所得、勤労所得にどの程度回るかという問題、これが賃金問題について、基本的に重要な問題であるという御指摘につきましては全く同感でございまして、この点が一国の賃金全般の上昇についての一番大事な点であろうと思うのでございます。ただ、その場合に、国民経済全般の成長率ないしは総生産の伸びと賃金を対比いたします場合に、個々の産業について、ないしは個々の企業について、これを短期間に直接にこの相関関係を論ずるということは、これは非常に危険な結果になるだろうと思うのです。やはりかなりの長期間におきまして、しかも産業全般の関連において、広く相関を検討いたさねばならないと思うのでございます。その意味では、国民総所得における勤労所得の割合といったような問題が一つ大きなメルクマールになると思うのでございますが、ただ、わが国の場合の分配率、国民総所得における勤労所得の割合を諸外国と対比いたして見ますと、勤労所得の割合はかなり低いわけでございます。ただし、このことは日本の就業構造の諸外国に対する関係からいたしますと、外国におきましては、ほとんどの場合、雇用労働者の割合が非常に高いわけでありまして、日本の場合は雇用労働者の割合が非常に低いわけです。従って、勤労所得の割合が低いという関係になるわけです。従って、就業構造との関連において、国民所得の分配率を考えてみます場合には、必ずしも日本の場合分配率が低いという結論にはならないと思います。ただ、いずれにいたしましても、こういったただいま先生御指摘のような国民経済全般の伸び、あるいはこれと関連しての賃金の上昇、こういった観点の検討を私どもも始終いたして、賃金全般の推移を見ますると同時に、今朝来申し上げましたように、賃金の構造と申しますか、賃金の中において各種の格差、規模別の格差にいたしましても、地域別、産業別、職種別、年金別、性別の格差、こういったものの研究を賃金政策の結果を通じてできるだけ詳密に把握していく、こういった方向が私どもの賃金対策として考えていくべき点だと、かように存じます。
#33
○藤田藤太郎君 私は、きょうは失業保険の問題が一応区切りがついたら賃金の問題をと、こう思っていたのですけれども、今、だからここで問題にしたいことは、賃金の具体的な問題はたくさんあるわけですが、問題にしたいことは、今の国民所得の中で勤労所得というものがどういうウエートで進んでいるかということと、生産性と賃金の上昇というものがどういう状態にあるかということが雇用、失業との関係になってくるわけであります。そこを問題にしているわけです。ですから、私は午前中も言いましたけれども、ILOというのは非常に大きな私は歴史的な役割を来たしている。だからその役割を来たしてきておりまするILOの創立の精神、たとえば一九四四年のフィラデルフィアの宣言を見てもその点を最も明確に打ち出しているように、勤労の中でいかにして福祉国家を生み出すかというととろにピントが合わされていると私は思うのです。だから、欧州のOEEC、ヨーロッパ経済協力機構ですか、あそこらの方針を見ても、生産性と賃金の上昇というものが同じ状態で進まない限り雇用というものは置いてきぼりになるんだ、これが経済計画の基礎であるということを非常に強く言っております。だから、それが基礎になって完全雇用、それから失業状態・摩擦失業という状態になって社会保障が進む。こういう格好の雇用政策というものがここから生まれてこないと、たとえば三十年から三十五年までの間を見て、一五三に対して一三七だ、こう言う。こういうところに、いいところは安ければよかろうという労使関係、安ければよかろうという雇用関係が続いている一番的確な証左だと思うのです。そこで、コスト・インフレというものが出てくるわけですが、これはコスト・インフレというものは賃金が少な過ぎればその問題が起きてくるでしょう。しかし、お互いがいろいろ争っても、そう均衡を保っているところに完全雇用がなし得るんだという今日の産業国の私は一応の原則といいますか、大方向というものはそういうところに進んできていると、こう思うのです。そこらあたりと、国民所得の中における勤労所得の問題というものが、外国では――アメリカはたしか七〇何%です。みんなドイツにしたって、イギリスにしたって、どこにしたって、日本のような低いその比率というものは私はないと思う。これは産業構造の関係にもよります、中小企業その他の関係にもよりますけれども、そこらあたりの問題が非常に関係してくるんじゃないか、雇用に。雇用の根本の問題がやっぱり議論をされなければいかぬのじゃないか。そういう意味でまあお尋ねをしているところであります。しかし、これはあまり深く入るといけませんので、これは雇用促進事業団――雇用問題を議論するときに私は少し政府の見解を聞きたいと思うのですけれども、そういう今のお尋ねをしている、たとえば賃金の問題の上昇、名目賃金、実質賃金はこうなっていますということの説明を並べるだけでなしに、私はやっぱり労働省というのは気をつけてその国の経済がどう成長して、その中で賃金がどうなっているか、勤労所得がどうなっているんだという資料をやっぱり労働省としては出してもらいたいと思うのです。それでなければものさしになかなかなりにくいんじゃないか。そこを申し上げているわけでございます。
 ただ、今のお話を聞きますと、その次の問題について、大企業と中小企業との比率というのが今ちょっと上昇してきているということはまことにけっこうだと思います。しかし、五人以下の問題がまだ残されているわけです。しかし、なかなかこれは調査のできないところが多いと思いますが、これもやっぱり外国の今の関係からきて外国の例を見ますと、経済政策の、政府の保護政策その他の裏づけといいますか、五人以上の企業を一〇〇にして三○何%とか四〇何%の国は今日どこにもない。少なくとも八〇%ぐらいの賃金というものが中小企業の賃金では規制されているというのが今日の状態ではなかろうかと思うわけであります。それからその製造業の上昇の問題については、そういうものをアジャストするために幾らかよくなってきているという、たとえば一七%と三〇%、中学卒では六七・四が九一・七になってきた、なってきたということは、ことしはもう少し私はこの関係よくなると思います。それはよくなると思いますけれども、その基礎がどこにあるのだということを探究してもらわなければいかぬのじゃないかと思うのです。それで私は、午前中端的な表現の仕方で、結局スカウトですか、そういう格好で、京都なんかの例を見ますと、大企業はありませんけれども、大きい企業は賃金を据付――現在の賃金は高いのです、中小企業は賃金を上げなければ労働力が逃げていく、こういう格好で賃金が上がっているという現象、これはもう京都ばかりじゃない、どこもそうじゃなかろうか、こういう工合に思っております。だから、そういう格好で現在賃金格差が上がっている。何でそういう上がり方をしているかということを、一つはやっぱり職安行政と基準行政で、何で上がっているかというとらえ方をしてもらって、これが雇用の面にどういう工合に今反映をしてきているかというようなとらえ方を私はやっぱりしてもらいたいと思うのです。で、まあ今時期の問題ですからそう的確な数字は出なくとも、そういう一連の概念だけは主観的な立場から事務当局としてそういう考え方というものは私はやっぱり出してほしいということを午前中から申し上げているところでございます。ですから、今度は賃金センサスを作ってもっと的確なところをつかもうという努力をされているのですが、これはまことにけっこうだと思います。けっこうだと思いますが、そこで私はお願いしたいことは、もう一つ下の賃金ですね、五人以下の賃金、捕捉できない五人以下の賃金、この雇用関係がどうなっているかということなんです。流動的と申しましょうか、先ほど申し上げましたように、たとえば港湾の人入れ稼業的な、トラックで手配師の問題や、形において人入れ稼業的な、労働省の任免のない形の中で雇用が行なわれている、これは集団ですよ、一人や三人じゃないのであって、大きな企業に供給されている。そういう問題がなかなかとらえにくいわけなんですが、そういう問題も残しているわけでございます。ですから、そこらあたりの問題をぜひ的確に一つ努力して作っていただいて、私たちの勉強をするための資料を出してほしいと思うのです。それでなければ、われわれが統計をとるよりも、政府はちゃんと機関を持っているのですから、皆さん方のところでもっと的確な点をやってもらいたいと私はお願いしたいところでございます。それからそれに関連して、こういう工合に上昇してきた、三十五年度ですね、中卒やその他が上昇してきたというところですね。ところで、基準局長にお尋ねしておきたいのですけれども、最近、賃金、まあ、業者間協定は移動がいつもできる、しかし、最低賃金というのはそう簡単に移動ができないと私は思うのです。一応審議会にかけて監督官庁が認可しなければ最低賃金にならないのです。ですから業者間協定はこれは行政指導でおやりになることですから、これにとやかく私は言いませんけれども、この指導の方針なんですよ、今五十万の適用を二百五十万にするということを労働大臣はよく言っておられる。おられるけれども、ようやく二百円が二百二十円ぐらいになったというところに指導の方針があるとするならば、今の現実の賃金とものさしが異なっているんだということも私は重大な問題ではなかろうか、こう思っているわけでございます。だから、そのことについて一言、一つお答えを願いたいと思うのです。今日の事態に立って、今までの労働省の業者間協定や、それから最低賃金の指導の概念というものを変える必要があるのかどうか、ただ数をふやすばかりでなく、そういう現実に打ち当たっていると私は思うのだけれども、基準局はどう見ておられるか、それを聞いておきたい。
#34
○政府委員(大島靖君) 中小企業の労働条件の向上、ことに賃金の上昇につきましては、私どもの方の最も重要な仕事でございます。現在業者間協定による最低賃金の急速な普及に努めておりますが、ごく最近の数字で四月十五日現在におきまして決定いたしました件数が三百三十七件、適用労働者数が七十万一千人と、こういった数字にまで普及いたして参っております。この決定されました賃金額につきましては、百六十円から二百九十円の間に分布いたしておるわけでございます。その間最も数の多いのは二百円から二百五十円までのところが最も多いわけであります。昨年来私どもといたしましては、二百円以下の金額につきましては、従来きまっておりますものについてはなるべくすみやかにこれを改訂をしていく、並びに新しくできますものにつきましては、二百円以下のものにつきましてはできるだけ二百円以上に持っていく、よほど特殊な事情があります場合は別でありますが、大体そういう方針で内容の指導に当たって参っておるんでありますが、この二百円未満のものと二百円以上のものを分けてみますと、発足当時三十四年の八月から十二月までの間におきましては、二百円未満の最賃が十六件、二百円以上のものが三十二件程度あったわけでありますが、昨年の下半期におきましては、二百円以上のものが百二十二件に対しまして二百円未満のものは十一件というふうに、非常に二百円未満のものが減少いたしまして、よほど特殊な場合に限ることになっております。昨日全国の基準局長会議がございまして、私からなお二百円未満のものにつきましてはなるべくすみやかにこれを改訂するように指示をいたしておいたのであります。漸次この内容につきましても向上いたして参りたいと思っております。なお、二百五十万計画の普及につきましては、内容ももちろん重要でありますが、それよりもさらに大事だと思いますことは、現在の状況からいたしますればまだ最低賃金制というものが近代社会において欠くべからざるへそのようなものだという観念がまだなかなか普及いたさない、その意味でそういった近代社会に欠くべからざるものという観念を急速に社会的に普及して参りたい、なおかつ、内容につきましても逐次これを上昇して参りたい、こういうふうにいたしたいと思っております。
#35
○藤田藤太郎君 私は、大臣に失業保険法の審議にあたって伺っておきたいんであります。
 第一に伺いたいことは、今度失業保険法の一部改正をお出しになりましたけれども、これは日雇失業保険だけに限られておる、だから、ここでお聞きしたいのは、失業補償という概念を労働大臣はどういう工合に認識されているかということです。失業というのは個人の責任というよりかむしろ今日の近代社会では社会の責任という状態にまで今日の近代社会の常識化しつつある、そういう中で失業補償をどうするかというのが、そういう建前の上に立って議論をしなければならぬときが今日の事態ではなかろうかと私は思うわけであります。ですから、外国の例をとってみましても、たとえば社会主義国では失業というのは終生、社会主義国でなくとも失業したときの失業補償というものは終生保障をしている国があります。しかし、たとえば日本とアメリカとの関係を見ましても、アイゼンハワーのときに失業が出てくると大統領令で延長をする、今度のケネディ政策を見ておりますと、ケネディ氏自身が言っている、失業補償の概念というのは失業者の保険金というのは期限を切るようなものであってはならないんだ、思想としてはそうだ、どうしてそれに近づけるべきかということを、ケネディはあの大統領になったときからそういう概念を国民に訴えております。私は失業補償――社会が保障するということを言い出してきたのは、そういうところに――各国が競ってその失業補償の概念、失業補償というものをよりよいところに生かしていこうというところに私は問題の主点があるんではないか、こういう工合に私は考えておるわけであります。この点について大臣の意見を聞きたい。
#36
○国務大臣(石田博英君) 現在のような事態になって参りまして、失業の発生ということは、その失業した個人の責任というよりはむしろ社会の責任であるという考え方には私も同感であります。従って、そういう考え方に基づいて失業保険制度というものの現状を改めていかなければならないということも同感であります。政府は今社会保障制度審議会に総合的な社会保障制度の全般にわたっての御審議を願っておるわけでありますが、それとの関連をあわせて見ながら、しかし、失業保険制度独自の検討を加えて参りたいと思います。無期限にするということが理想であるということについては同感でありますが、さしあたってその給付期間の問題に三通りありますが、そういう点について私どもも改訂を加える時期が来ておるように思いますが、社会保障制度審議会の審議とにらみ合わせながら検討をして参りたいと思っております。
#37
○藤田藤太郎君 そこで先日からこの問題の審議をしておるのでありますが、職安局長から答弁で、三十八年度までには社会保障制度審議会の答申を経て、そしていろいろの問題を考える、こういうことを言われております。だから、それはそれとして、今のような九百四十四億もあり、今年一ぱいすれば一千百億になろうとする失業保険金の積み立てという現実の面にあたって、私が先ほど申し上げました失業補償をどうしていくかという、この問題の基礎がしっかりしていない。単なる保険制度として、積み立てた者がよけいもらうという、そういう形になってしまう危険がある。そこで、私は労働大臣にお願いしたいことは、失業補償の概念というものを、はっきりと一つ労働省は、今おっしゃったように、個人の責任でない、社会の責任で失業した人を補償していくのだという、その概念を明らかにきちっとしてもらわないと、いかに社会保障制度審議会にかけてみても、この基本方針がぐらつくと私は思う。それはぜひお願いしておきたいと思います。
 そこで問題は、今の問題です。今九百四十四億も失業保険金がある。それだけ今大臣がおっしゃったようにがっちりしたお考えを持っておいでになるなら、がっちりしたお気持をお持ちになっておるなら、今の失業保険の給付改善というものは、全般的に、社会保障制度審議会にかける前に、私はやるべき問題じゃなかろうかと思う。今年は三十六年度の始まりです――三十七年度、三十八年度、まる二年先にならなければ、この問題が表に浮かんでこないということでは、少し私は怠慢ではないかと思う。このうち八百億は大蔵省の資金運用部資金にそのままそっくり入れられているという。何も私は労働省に握っておれとは言いませんが、積み立てられた金が何らかの形で経済や社会のために貢献するという形は、私はそれにとやかく言いませんけれども、現実のこういう問題の処理というものは、もっともっとこの金をいかに運用して完全雇用の効果を上げるかというところに、私はやはり力を入れるべきではなかろうかと思う。
 それからもう一つの問題は、経済政策その他の成長の度合いから見て失業が出ないというなら、三者で負担しているのですから、負担の軽減という問題もここには出てきやせぬかと、私はそう思う。ですから、今度の失業保険法の改正で、日雇いの保険についてだけ手をつけられたということは、私はよくわからないのです。そして、答弁を聞くと、三十八年度から答申に基づいて云々と言われるけれども、これは少し了解がしにくいのじゃないか。だから、一般の労働者の感じというものは、これもまたしぼり上げるだけ金をしぼり上げて、そして国の財政投融資というところにこの金がみんな流れていくのだ、そういう方策を労働者保護の労働省すらとっているのかと、こういう批判があるところがございます。だから、私はその点非常に残念に思う。ですから、社会保障制度審議会の答申を待っていくのが三十八年度ですけれども、今からでも私はおそくないと思う。この問題を早急に立案されて、そしてその運用の面、給付の面の改善その他について、あなたのおっしゃる失業補償の概念を、近代的なあらゆる国家がとっている失業保険の概念を満たすような方式というものを私は立てられるべきではなかろうか、こういう工合に思うのです。
#38
○国務大臣(石田博英君) 第一は、社会保障制度審議会の御審議と御答申とをにらみ合わせながら私どもは検討していこうというのでありまして、それが終わるまでは、現行制度をそのままほっておくという意味ではございません。先ほども申しましたように、それとにらみ合わせながら検討を加える時期に来ておるのだと考えておるわけでございます。
 それから第二点は、給付の改善ですが、給付の改善は、やはりその年度に得られる保険料収入の限度において行なわれるべきものであって、積立金が多いからといって、それに食い込むような案を立てるべきでないと私は思っております。
 第三点は、しかしその積立金は、失業の予防、新しい雇用機会の増大という目的のために使われるべきものでありまして、現在資金運用部の取り扱っておる金も、これは財政投融資に回されまして、産業基盤の育成その他、やはり経済界の、あるいは産業経済の発展、ひいては雇用機会の増大のために貢献しておるとは思いますけれども、しかし、それはほかの資金運用部の資金とは性質が違うのでありますから、もっと直接的な目的に使わるべきものだと私は考えておる次第でありまして、たとえば職業の訓練とか、あるいはまた、特定の不況地域の振興のためとか、そういうような目的に積極的に直接的に失業の予防、あるいは雇用機会の増大に役立つように使われるべき性質のものと私は思っておりますので、現在あります余剰金の使途等については、そういう点を目下も主張し、さらにより具体的な実現のために努力をいたして参りたいと、こう考えておる次第であります。
#39
○藤田藤太郎君 今大臣のおっしゃった、その年度によって云々というお言葉がありましたけれども、これは連関をしてこういう積立金ができてきておるのですね。だから私は、連関をして毎年積み重ねていく、そういう中だから、給付の改善を今ここでやって何の不思議があるか。その趣旨で日雇いの方はおやりになったのだと思うのですけれども、しかし、一般のやつも私はやってよいのではないかという考えです。それが一つ。
 それからもう一つは、私は百歩譲っても、失業保険のこの積立金の運用の面にあたって、今熟練工が不足しておるというなら、職業訓練を何でもっと増大をして、職業訓練のところになぜ力をもっと入れないかという議論が出てくるわけであります。今年は総計これだけ不足して、三十四年、三十五年、今年と経済が成長してきているのに、今年の計画は十三万人ですよ。これではとても足らないと思うのです。そういうところになぜもっと力を入れないかと、私はそういう工合に思うのです。
#40
○国務大臣(石田博英君) 誤解をしていらっしゃると思うのですが、私は給付の改善をすべきだと思う。つまり、失業保険会計は各年度ごとに余裕金が出ているのですから、改善をすべきだと思う。しかし、その改善を、積立金がたくさんあるのだから、積立金に食い込んでもよいというような計画であってはならない。やはりその年度ごとの余裕金一ぱいの計画で考えるべきもので、一たん食い込み出すと、千億、千五百億というような積立金はすぐ食い込まれてしまうものですから、その余裕金が積み立ててあるから改善するというのではない。年度ごとに余裕金があるから改善をしていこう、こういう考え方で改善をして参りたいと思っておるということを申し上げた点が一つです。しかし、その余裕金をどう使うかということになると、その余裕金は、今でも財政投融資を通じて雇用機会の増大等に使われてはおりますけれども、それは間接的である。もっと直接的な、たとえば職業訓練というようなものにもつとより以上運用されるようにいたしていきたい。ただ、この際特に言いたいことは、実は私今中央職業訓練所の開所式に臨んで帰ってきたばかりでありますけれども、職業訓練を拡充するといいましても、金だけでは済まないのでありまして、これはどうしても指導員の養成と並行していかなければならない。で、現在指導員を見込みつつ、最大限に今計画を作っておるのでありまして、現在の計画でも指導員の獲得には非常に苦労をしておる。現在本年から第一期生が入りまして、これは四年制であります。ここで養成して参りますと、この養成した者が出てくるに従って拡大はしていけると思っております。しかしなお、一般職業訓練所等におきましては、各府県の準備、熱意の方が先行しております、われわれの予算計上より。それはできるだけ早い機会にその各府県の熱意にわれわれの予算的措置が応ぜられるように、これは格段の配慮をいたしたいと思います。
#41
○藤田藤太郎君 ちょっと大臣、おかしいんじゃないかな。その年度の中の収入の中で処理をすると、片一方では千億からの積立金がある、これには手をつけないようにするというそんな考え方が……。連関してこう積み立てられてきた金だと思います。何も全部一ぺんに食ってしまえとは僕は言いませんけれども、これだけの金を固定して残しておくと、こういう考え方で、これは固定して残しておく、そんなことであっては私はいかぬじゃないか。これは昨年もそういう理屈でこの失業保険金の改正が行なわれた。失業保険金の積み立てが多くなってくるから、政府の負担は三分の一を四分の一にします、しかし、バランスをとるためにもう少し手直しをいたしますといって、手直しをいたしました、訓練手当その他……。それでも昨年百五十億以上の金が積み立てられたじゃないですか。その積み立てられた金はそのままそっくりそこへ置いておいて、今年度、新しい年度の年度内で問題を処理するというようなものの考え方でいいですかね。いやそれはとんでもないことだと僕は思うんですよ。それじゃ一千億からたまっておる金はそこへ置いておいて、年度内でアジャストするのだ。それはそうじゃなしに、年度内でどうするかという計画を一つは立てるでしょう。立てるけれども、膨大な積立金というものをいかに完全雇用に有効に使うかというところにこの保険金の積立金を使わなければ意味ないじゃないですか。
#42
○国務大臣(石田博英君) 何も違ったことを申し上げているわけじゃないのです。余剰金というものの使用は、直接的に雇用機会の増大と、それからあなたのおっしゃるような方法に使わなければいけない。各年度における給付の改善というものは、その年度の会計ごとに常に予算を、1赤字が出ても積立金があるんだからその積立金を食ってもいいというような計画であっては困るので、やはりその年度々々の中で原則としてまかない得られるような給付の改善にしていきたい。各年度ごとで積立金を食っていく計画を立てておりますと、すぐなくなっちまいます。たとえば千億なり千五百億あっても。だから今、年度ごとに余裕金が出ることは明らかなんですから、従って、その積立金ということを考慮に入れないでも、給付の改善は当然なす余裕があるわけですから、従って、そういうワクの中でわれわれは考えていきたい。しかし、積み立てておる今の金は、失業保険という性質にかんがみまして、やはりこれは今のように間接的に産業の振興、経済の発展に役に立って結局は雇用の増大になっているんじゃないかというようなことじゃなくて、より以上直接的なものに使いたい、こういうことを申し上げているのです。
#43
○藤田藤太郎君 直接の給付の問題は年度内で調整してバランスがとれるようにする、まあこういう考え方、それは私もそれにどうこう直接言っているわけじゃないのですね。しかし、これだけの膨大な金を積み立てておく必要はないのであって、実際に失業で困っている人にこの分からどれだけ失業補償に回すかということの考え方は僕はあっていいと思うわけです。何でも食えとは言いませんけれども、こんな膨大な金をためておくことないと思うのです。年度で、会計が悪くなってきたら保険料を上げるし、国の負担をふやしていけばいい。千億をこえるような積立金をそのまま保存していくことはない。まあそれでもなさそうですから、この議論はこれでやめますけれども、もっと味のあるやり方をやってもらいたい。去年とことし、あの去年からことしに食ってきた――あなたはそのとき大臣じゃなかったから私はそれ以上言いませんけれども、あまりひどいですよ。そうでしょう。三十四年度から政府の負担だけを引いて、五十何億というものはそのままいただきますということになるのだから……。その三十五年度から給付は幾らか変えて、それから保険料も幾らか変えて、これでいきたいということで百五十億以上の黒字がぼっと出た、これも積立金です。これは手をつけられませんというような理屈になってきたらこれはとんでもないことになる。だから、できるだけ給付は、年度ごとの給付はバランスがとれるような方法でうんと向上してもらいたいということが一つです。それにつけ加えて、何も一千億からの金を置く必要はないのだ、だからこの失業補償の改善にだって、日雇いばかりでなしに今度の一般の失業保険の延長その他給付の改善を至急にしてもらいたいと私は申し上げている。大臣は、こういう工合に言われたと了解していいのですか。社会保障制度審議会の答申をお願いしているけれども、この結論ばかりでなしに、これと並行して内容を改善をしていくのだということを言われたと思うのです。そういう工合に了解していいですか。
#44
○国務大臣(石田博英君) その通りであります。
#45
○藤田藤太郎君 それじゃ、何も三十八年度という私は局長との論議の中で言われたことでなしに、今日からでも直ちにこの失業給付の内容改善について大臣はここでお約束された、至急に改善の方法を、処置をとるということをお約束されたと、そういう工合に理解して、まあこの程度でこの問題はやめておきます。
 そこで、今度の日雇労働者の賃金のこの給付の問題が改善されました。労働省から出したのに対して、衆議院で改善されました。私たち欲を出せばといいますか、私たちの気持は、もっと向上してもらいたいと思いますけれども、一応そういう工合に改善されたのですが、そこで労働大臣にここで一つお尋ねしておきたいのですが、この日雇賃金とPWとの関係、それからもう一つは緊急失対法の十条との関係、これはやっぱり改善する時期に来ているのじゃないですかね、これは。どうですかね。
#46
○国務大臣(石田博英君) 緊急失対法のPW等のいわゆる低賃金率の問題、あるいは重軽作業率の問題というものは、この事業の性質からいって、その建前を根本的にこわすということは私は考えておりません。ただ、今回のように、それを最大限に有利に計算をさせるということによってその賃金の、日雇労働者諸君の賃金の上昇に努力をいたしておる次第であります。
#47
○藤田藤太郎君 しかし、実際問題として、日雇賃金の問題は、緊急失対法の十条の関係について頭が押えられているけれども、実際働いている労働者の賃金をそのままに置いておくことができないで失対賃金をきめざるを得ぬところへ来ておる。大都会では低いけれども、地方の都市へ行けばそれだけでとどめることができないというような事態も私はあり得ると思うのですよ。だから、そういう面から考えても、この緊急失対法の十条の問題はもっと根本的に考えていただかなければいかぬのじゃないかということを私は思います。
 それから、時間がないようですから、私ももう二、三点これに関係した分だけを申し上げて、これはもうこの失業補償、この関係については、雇用問題が一番基礎ですけれども、雇用問題については次の機会にあらためます。
 そこで職業訓練の問題に入るわけですけれども、午前中も少し議論をしたのです。で、職業訓練所の増設で、今大臣は指導員が足らぬと、こうおっしゃっておる。まことに現状ではそうだと思います、私どもも。しかし、指導員に来る人が少ないというのは、給与、待遇が悪いから少ないのであって、労働省だけが労働省の訓練所を経なければ指導員にできないという理屈はない。それだけの技術、能力を持った指導員は一般の学校を出た人がたくさんおるわけです。ほんとうに一番肝心なことはそういう指導員を、未熟練の労働者に技術を与えるための指導員というのは、一般のところに働いているよりかより優遇して指導員を作ろうとしたら、たちまちにして指導員は労働省が幾ら要求されてもそれだけの指導員はできる。これはそういうところに物の考え方を進めてもらいたい。これが一つ。
 それからもう一つは、職業訓練所というものは、午前中も議論をしたのですけれども、都会の労働者はもう収入がないといったら何も収入がないわけです、失業したら。保険金で食うか、日雇いの登録がはずれたらそれこそ食うことができぬ。そういうことですから、まず都会の労働者の職業訓練というものは私はやっぱし失業している人全部が受けられるようにしてもらいたい。それには昼だけではだめなんですよ。夜適確な完備した職業訓練所以外に技術を教え込むような職安局長は講習所のようなと言われたけれども、そういうものでもいいから都会周辺においてはそういう訓練所を、ほんとうに通勤、通学ですか、通学の簡単にできるようなところで数多く作ってもらいたい。
 それから農村の過剰就労を工業労働者に移動しなければならぬのだから、ここにはがっちりとした、農村の集中地帯にがっちりとした職業訓練所を作ってもらいたいということを私は午前中も申し上げておいた。だからせっかくこの職業訓練をやろうというのですけれども、絶対数が今日もう足らないと思う。ことしの春の賃金の状態を労働大臣はどうつかんでおられるか知りませんけれども、結局中小企業の中では熟練工の取り合いなんです。熟練工の取り合いで賃金を上げなければ熟練工が逃げていくというようなところからことしの春の賃上げというものはそういうところに、むしろ争いが高まらないうちに賃金の上昇というものが高角度に上がらなければ逃げられるという角度で来ておるという現実の問題があるわけです。だから、そういう点もよく把握をしていただいて、職業訓練については、そういう角度で都会においては夜の職業訓練を、これから細々ながら低収入で働いておる人が仕事が終わってから夜の訓練で技術を上げる。農村においてはまだ農業労働者というものは食糧生産が主ですから多少余裕がある、生活上の余裕はありませんけれども、幾らか。都会の失業者と違うのですから、そこにはやっぱり集中しやすいようなところにりっぱな職業訓練所を建ててもらいたい、都会には学校もあることですから。そういうようなことが私は今必要ではなかろうかと思っておる。これについて伺いたい。
#48
○国務大臣(石田博英君) 第一点は、決して労働省の訓練所を出なければ指導員にすぐならないというような考え方ではありません。現に労働省の訓練所を出た者が指導員になるのは四年先であります。また、現在指導員が得られない理由の一つは、給与が安いということがあげられると思います。この改善に努力はいたしたい。ただやはり一般の公務員との関連を考えなければなりませんから、これだけを特別に取り上げてどうということにはいかないところにむずかしい問題があります。同時に、それだけの技術を持っておる人は一般の他の産業においても非常にほしいのでありまして、それとの競合関係にありますので、そういう点を調整しながらやっていきたいと思います。
 それから第二の問題、現在都心におけるいわゆる半失業的状態にある人が、よりよき雇用の機会を求められるように夜間の訓練所の設置その他、これは十分研究して早急に実施いたしたいと思っております。すでに研究は命じてあります。
 それから農村における訓練所の設置も、これはできるだけ、これは主として一般職業訓練所に期待をいたしまして、現在本年度は十八カ所新設の予定であります。
#49
○藤田藤太郎君 もう一、二点聞いておきたいのですが、その第一点は、ことしはこの職安行改というものと基準行政というもの、労政行政というものとは非常に関連があると思うのです。朝からもう申し上げたんですけれども、たとえば低賃金の企業が一つある。そうすると団体交渉に応じない。これは労使関係で、労組法の六条の団体交渉をけるということになる。そうしてそれは労政だと思うのです。ところが、そういう状態が続くから――賃金の面とそれから団体交渉に応じないという面が続くから、結局そこの人がぽつぽつやめてしまう。やめてしまえば失業になる。こういうことになる。そうすると、職安行政の分野で、この失業の人をどうするかという議論になってくるわけです。だから、そういう工合に非常に関連をしておるから、もっと三位一体といいますか、労働大臣が主体となって、午前中もそういう中小企業の労働者対策協議会か何かをもって大いにやるとおっしゃいましたけれども、しかし、労働大臣もこの問題は非常に関連する問題だから、もっと緊密な行政を統一一本化してやってもらいたいということを私は午前中から申し上げたんだが、大臣のこの点についての熱意と決意を聞いておきたい。
#50
○国務大臣(石田博英君) 労働行政の一元化ということは、私は前におりますときからかねがね考えておるところでありまして、この行政機構というようなものの緊密な連絡かつ一元的な調整というものについては熱意をもって検討したいと思っております。
#51
○藤田藤太郎君 もう一つ私は希望と意見を申し上げておきたい。
 労働大臣はきょうこれから日経連へ行かれるそうです。私は日経連タイムスをもらって読んでいるわけです。で、雇用行政、要するに完全雇用、経済の成長繁栄という道は、一つは生産です。それから一つは需要、そうして全体の国民購買力が上がるというところに進んでいって初めて経済的な繁栄、福祉社会というものが私は生まれると、こう思っているのです。まあ最近日経連の方針をこうじっとうかがって見ておりますと、佐藤さん――三井銀行の会長ですか、佐藤さんあたりがアメリカやその他へ生産性の問題で行かれて、日本の生産性と経済成長との関係で、国民の購買力、所得の拡大、こういう問題に真剣に力を入れなければ日本の経済自身が持たないのだということを言われたことを私は聞いております。ところが、まあ最近になって、公企体賃金に対して、その中段くらいの会社の指導者連中が、口をそろえて、あの公企体や公務員の賃金について、何というか、罵倒といいますか、反撃といいますか、そういう談話が出てきているわけです。私は三十四年度に三〇何%も生産力が成長し、経済の成長が一八%もあって、三十五年度に二五%から生産が成長し、そうしてまた、経済力が一〇何%も経済成長を来たした。ことしもまた三兆六千億くらいの設備投資が行なわれるだろうと言われ、生産が成長をする、こういう状態の中で国民の購買力を上げるというには、産業労働力の五割以上が労働者なんです。この労働者の所得をふやさないでどうして経済を維持するか。昔から日本の経済というのはそういう近代的な姿はありませんでしたけれども、これは日本と外国との貿易の関係においても、国民購買力を上げない限り日本の経済が維持できないということがわかっておる。その基礎になるのは、私はやはり労働者の賃金の向上や国民所得の中における勤労所得のウエートが向上していくことの問題でありますとか、生産性と賃金の上昇というものを外国並みに上げていこうというようなところも、そういう問題が真剣に私は考えられない限り、日本の経済の維持繁栄というものはあり得ないと私は思っている。そういう重大な問題を含んでおるのにああいう意見が出てきております。私は、労働大臣はきぜんたる態度でこの問題に処してもらわなければ、また、操業短縮、首切り、経済の回転が低下して、そして結局だれが痛められるかというと、労働者だけが痛められるということにならざるを得ない。これは日本の経済の歴史を振り返ってみたら歴然たるものであります。せっかく所得倍増をやろうという今日の状態にあって、がっちりした雇用政策、勤労の喜びの中に人生を全うするという完全雇用の政策というものは、労働省はほんとうに真剣に考えてもらわなければなりません。経済を担当する、経済の面においてもこれだけのことはきちっと労働大臣は腹におさめて処してもらわなければ、私は昔と同じ姿になるのじゃないかという懸念を多分に持っておるのです。だから、そういう点について労働大臣の決意を聞いておきたい。
#52
○国務大臣(石田博英君) 公労委の提示しました仲裁裁定の金額について、これが高いとか安いとかということを私は論評する立場ではありません。政府がこれを実施いたしましたのは、それが適当であるとか満足であるとかという意味で、その金額が満足であるとか、適当であるという意味で実施したのではなくて、これは仲裁裁定だから実施したのであります。その争議権を禁止してそのかわりとして設けられてある仲裁裁定でありますから、これは額のいかんを問わず実施するということが、相対的に労使安定の基礎であり、第三者機関の尊重ということが私は国の労働政策の根本であるから実施をいたしたわけであります。で、これについて高い安いという、安いという議論はあまりありませんが、高いという議論の中で民間産業への影響を言うておる人があります。これについて明確にしておきたいことは、公共企業体の従業員の賃金というものはいつでも民間産業を追っかけている関係にあって、その逆ではないということ、これはもう明確に申し上げてきたいと存じます。そこで、今回提示されましたその裁定の背景は、昨年の人事院の勧告、その人事院の勧告の背景は当時における民間の賃金であります。従って、公共企業体の賃金はそれを追っかけておる関係にある。従って、民間の賃金に対して影響があるとかないとかという性格のものでなくして、むしろ影響があるとするならば、逆に公共企業体の賃金が影響されておるということになると思います。民間の賃金は私はやはり生産性の向上に伴って上昇していくことが望ましい。つまり上昇していくことが望ましいし、その上昇していく歩みは生産性の向上に伴っていかなければならない。上昇していくことそれ自身はさっきおっしゃったように、購買力の増大となって、それは経済の繁栄の裏づけとなることも御意見の通りであります。私は、賃金について、特に公労委の裁定を中心とする賃金について以上のような考えを持っております。
#53
○委員長(吉武恵市君) 速記やめて。
  〔速記中止〕
#54
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#55
○高野一夫君 私は、先般この各種産業の就業についてのおよその見通しを資料として要求しておったのでありますが、それは趣旨は、失業保険法をあらゆる角度から検討して、その改善をはかることも必要であるけれども、それよりももっと根本にさかのぼって働けるものにはことごとく仕事を与えるような産業経済の世の中にすることが政治だと考えるので、それで今後十年間にわたる日本の各種産業の動きはどうなるか、これに対する労働力吸収状況はどうなるか、この見通しを一応立てて資料を出してもらいたいと、こういうことでお願いをしたのであります。それは出ております。これは見ればわかるのですが、このうちで特に第三表農業就業者の動向、これについてちょっと簡単でけっこうですから説明を願っておきたい。
#56
○政府委員(堀秀夫君) お手元に提出いたしました第三表は、文部省学校基本調査、総理府統計局の就業構造基本調査、農林省の農林漁家就業動向調査等の資料を用いたものでございます。そこで、この第一は昭和三十三年度と昭和三十四年度を比べましてこの一年間にどれだけの農業就業者の移動があったかという表でございますが、新しく学校を卒業いたしました生徒のうち農村に残りまして農業に従事するというものの数が十六万六千人でございまして、これは農業の就業者の面からみればこれだけ増加になったわけでございます。その逆に減少した面を申し上げますると、農業就業者のうち死亡もしくは隠居等の理由によって引退をしたという者の数が四十三万二千人でございます。それから農業から他の二次もしくは三次産業等に転換いたしました者の数が十四万三千人でございまして、この二つ合わせました五十七万五千人というものが一年間におけるところの農業就業者の減少になって現われておるわけでございます。従いまして、この減少した五十七万五千から増加分の十六万六千を差し引きました四十万九千がその一年間におけるところの純減の数字になるわけでございます。
 それから第三表の(2)につきましては、これは国民所得倍増計画に基づく推定でございまして、昭和三十五年度から昭和四十五年度に至るすなわち十一年間において第一次産業就業者がどのように動くかという推定でございまするが、これによりますると、ただいま申し上げましたと同じ考え方に基づきまして新規農業就業者の増加分が十一年間に百五十八万人と、これを平均いたしますと、一年間に十四万四千程度になります。それから、減少の分は死亡及び引退分が三百八十万人、一年間平均三十四万五千、他産業への転換が二百四十三万、一年間平均二十二万一千、すなわちこの減少分の累計六百二十三万、これから増加分の百五十八万を差し引きました四百六十五万が農業就業者――農業を中心とする第一次産業就業者の純減分になると読んでおるわけでございます。これを一年間の平均にいたしますると、減少が五十六万六千、増加は十四万四千、差引年純減平均は四十二万二千人程度、このような推定をいたしておるところであります。以上をもって説明を終わります。
#57
○高野一夫君 この減少の、他産業への転換というのは、従来農業に従事しておった者が他産業へ換転ずる者、こういう意味でしょうか。
#58
○政府委員(堀秀夫君) その通りでございます。
#59
○高野一夫君 そうすると、中学校を卒業いたしまして、新規に親のあとを継いだりなんかして、新規に農業に就業する者が百五十八万、こういうことになりますと、農村において中学校卒業した者の総数のうちで百五十八万人だけが農業について、そのほか同じ農村で中学校卒業したのだけれども、この統計には全然入らない、最初から別な産業に行ってしまう数があるわけですね、それはこの中には出ていない、そういうことになりますか。
#60
○政府委員(堀秀夫君) その通りでございます。
#61
○高野一夫君 それは大体どのくらいの見当になります。
#62
○政府委員(堀秀夫君) ただいま手元に資料ちょっと持ち合わしておりませんので、次の機会に御説明いたします。
#63
○高野一夫君 それでは、この次までお調べ願うことは、農村における中学校全体の卒業のうちで、新規に農業につく者がこれだけ、そしてつかないほかの者がこの数字には現われぬものがある。ところで、同じ最近の町村合併で新しい市ができておる。その市は、市の中のほとんど大部分はまあ農村が非常に多いわけですから。市であるからこの農村の統計数字に入れないということでは私はこれは工合が悪い、実態調査だから。でありますから、東京都においても練馬、板橋の奥においてもそういうような農業が行なわれている、いわゆる実際的の農村地域、農業地、そこの中学校を新規に卒業して、最初から農業につく者と最初からつかない者と、この区別を一応知りたい。これはこの次まででけっこうです。
 そこでもう一つ伺いたいのは、十一年間の間に四百六十五万人が減少するということになるわけですが、これは農林省も介在してのいろいろの検討だろうと思うが、まだきまらぬけれども、たとえば農業基本法が実施される。そういうようなことで作柄の転換がいろいろ考慮される。そういうことを全部考慮に入れての十一年ですか、ただ経済の伸びだけの十一年になっておりますか、これはどういうことになっておりますか。
#64
○政府委員(堀秀夫君) これは農林省とも相談している数字でございますが、この十一年間におきましては、経済の面においての伸展、一面において農村における合理化近代化を進める、こういうことを前提としての数字でございます。
#65
○高野一夫君 もう一点、しからば、この百五十八万の新規、四百六十五万の純減少というのは、これは自然とこうなる、自然の姿でこう推移してくるというものであるか、かくある方が最もいい、こういうようなふうの考え方であるかどうか。自然の姿でこうなるので、実際はこれじゃ困るのだ、こういう考え方であるか、こういう方がいいのだ、こういうことになりますか、その辺のところを。
#66
○政府委員(堀秀夫君) これは経済の伸展の過程におきまして、転職訓練、あるいは農村周辺における第二次、第三次産業の誘致というような施策を並行して行ないまして、そうして第二次、第三次産業の新規需要分について、それを充足すると同時に、農村におけるところの状態を合理化近代化するというために、いろいろな施策を並行してやる、その場合にそれによってこの程度のことが見込まれる、こういう数字でございます。
#67
○委員長(吉武恵市君) 他に御質疑のおありの方はこざいませんか。――御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。――御発言もないようでありますから、討論は終結したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。
 失業保険法の一部を改正する法律案(閣法第三八号)を問題に供します。原案は、内閣提出、衆議院送付案でございます。本案を原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#70
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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