くにさくロゴ
1960/04/26 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第25号
姉妹サイト
 
1960/04/26 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第25号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第25号
昭和三十六年四月二十六日(水曜日)
   午前十時四十二分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉武 恵市君
   理 事
           加藤 武徳君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委 員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           横山 フク君
           相澤 重明君
           村尾 重雄君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
   自 治 大 臣 安井  謙君
  政府委員
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省社会局長 太宰 博邦君
   厚生省児童局長 大山  正君
   労働省労働基準
   局長      大島  靖君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省社会局庶
   務課長     実本 博次君
   ―――――――――――
 本日の会議に付した案件
○社会福祉施設職員退職手当共済法案
 (内閣提出)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会福祉施設職員退職手当共済法案を議題といたします。
 すでに補足説明は聴取いたしておりまするが、さらに詳細な説明を政府委員より承りたいと存じます。
#3
○政府委員(太宰博邦君) 先般、提案理由に続きまして若干補足説明をいたしましたが、その数字の件につきましてなお少し補足して説明さしていただきたいと存じます。
 お手元に本法案の参考資料というものを差し上げてございますが、その六十一ページ以下に統計の資料のごく関係のありますものだけを書いてございますので、それについてちょっと説明をさせていただきたいと存じます。
 まず第一に、社会福祉施設の数でございますが、先般申し上げましたように、民間社会福祉事業施設の中におきまして、特に公の責任で措置いたすべきものを民間の社会福祉事業施設に委託していると、そういうものを取り上げまして、そこに働いている従業員の方々に、公立の施設で働いている方々に準ずる退職手当を支給いたしたいと、かような考えでございまして、それに該当する施設といたしまして、その数がどれくらいあるかということをそこに出した次第でございます。右側の下にございますように、民営の施設は五千四百六十四施設でございます。このうち、一番末尾にございまする婦人保護施設と結核回復者後保護施設は、政令でもって規定いたしたいと私どもが考えているものでございます。法律の第二条の五号で政令で定めるものに規定いたしたいと考えている施設をそこにあげた次第でございます。
 それから、次の(2)の、その施設に従事しておりまするこの法律で規定しました職員の数でございます。合計いたしまして三万五千九百七十六とございます。これは、右の上の方にございますように、三十五年の四月三十日調べでございまして、その後の自然増もございますし、さらにこの資料を取りましたときの資料に不備なものがあるために数字が取れなんだものも若干ございまするので、そういう点も加味しまして、この法律の実施になりますときの数字としては約四万人くらいに大体なろうかと、かように考えておる次第でございます。
 それで次の第三の表でございますが、これは、そういう施設に従事しておりまする職員の方、つまりこの法律で申しまする被共済職員の方々に手当を出しますそれの額の一応のめどでございます。これは法律の第八条以降に規定があるわけでございまして、それぞれの条項に基づいてほぼどれくらいになるかということをお示し申し上げた次第であります。たとえて申しますと、十年以下で退職した場合には、そこの左の欄にございますように、六万円以下を年次によって上げる。ただし、それが自己の都合以外で退職いたしました場合においては、それが少しよくなりまして八万円以下になる。さらに十年をこしまして十一年以上で退職いたしました場合には、十六万八千円以下である。それから二十五年以上で退職いたしました場合には、さらに割増しを二割五分ほどつけまして、たとえば三十年でございますると三十三万円というほどに相なります。それから一番右には、その退職が業務上の負傷疾病によって退職したという場合につきましては、さらにまた五割増しというようなところで計算いたしておりまするので、たとえば三十年であれば約四十万円近くのものを差し上げると、こういうようなことをめどとしてごらんに入れた次第であります。
 それから次の第四表でございますが、右に申しましたような退職手当金を支給いたしまする収支の措置でございます。大体先ほど申しましたように、この制度が発足いたしまする際には、まず四万人近くの方であろうというので、一応四万人とまるくいたしまして、それからその後の自然増及び退職された方との関連を考えまして、三十七年以降にこのくらいの方が加入してくるであろう、それから退職される方も普通の場合よりもかような制度ができますれば、幾分退職される方も腰を落ちつけて働いていただけるだろうということを若干予想いたしまして、退職の数を翌年から五千百というふうにして、だんだんとそこに書いてございます。こういう方々の中で一年未満の方などには、この退職手当金を支給いたしません。そういう手当金を受ける人の数というものは、そのうちの一部でございますので、そこの退職手当金受給者数というところにまず推計を書いてございます。そういう人々に先ほどの率で差し上げます退職手当今は、ほぼどれくらいになるであろうかというのが、次の退職手当金の総額がそこに推計が出ておるわけでございます。この手当金の総額を国とそれから都道府県から高率の補助をいたしまして、それぞれ三分の一、計三分の二を出し、それで施設の方で出すのが三分の一、結局そういうようなことで、三者が三分の一ずっということになりました。その負担いたしますちょうど三分の一の額が書いてあるわけであります、その額を、たとえば施設の場合でございますと、施設に働いております職員が一人当たりにいたしまして幾らで、頭割りで納めてもらうつもりでございますので、一人当たりの納める負担額を大体推計いたしてみたのが一番右の欄でございます。たとえば三十七年は、これはちょっと一人当たり七十三円と申しますのは、この年は支給が十月以降、下期にだけ支給が開始されまするので、半年分であります。そこでちょっと恐縮でございますが、その三十七年の欄でございまして、退職手当金受給者数、それもこの欄も半年分でございますから、翌年度以降に比べますと非常に低くなる。それから退職手当金額も従いまして半年分で低くなっています。それから都道府県の負担もそうであり、一人当たり年負担も半年分でございますので七十三円、翌年になりますと年間まるまるになりまして百九十九と、約二百円くらいになります。それから二十年くらいたちましても千七百九十一円くらいの一人当たり、従いまして、五人の従事員がおります施設の納めます、経営者が納めまする負担額は、これにたとえば五人でございますれば五倍したものを年額負担すればいいわけでございますので、従いまして、月当たりにいたしますれば千円そこらで済むと、かようなことでございまして、この程度でございますれば、今日の施設の経営者の方々も喜んで納めるし、また、納めることが可能である、かように伺っておる次第であります。大体さようなことで、簡単でございましたけれども、数字につきまして御参考のために御説明いたしました。
#4
○委員長(吉武恵市君) 御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
#5
○坂本昭君 まず、社会事業をやっておられる、特に民間の社会事業家に対して退職金を支給される、こういう考えのもとに立法されたこの法案の趣旨は、私は悪いとは思いません。退職金を差し上げるということはけっこうなことですが、まず内容的に非常に少ない額だということ、従来までもそうですけれども、今後も社会事業家に犠牲と献身をいわば強制することで、しかも、少額の退職金でがまんしてくれということは、どうもあまりにも事態を糊塗し、それから社会事業家を愚弄するもはなはだしいではないか。趣旨としてはいいが、こういう程度ではきわめて不完全だという私は感じをせざるを得ない。退職金ももちろん必要です。しかし、われわれが当面する問題は、一体、今日の民間の社会事業家は、毎日の生活の賃金と労働条件において、はたして十分な待遇を受けているか。そういう点を十分に検討を加えないで、退職金をやるからまあ一つがまんして勤めてくれ、二十年、三十年勤めてくれ――なるほど二十年、三十年後になると、比較的退職金もふえてきます。しかし、そういうことで、たとえば今局長から説明がありましたが、二十年後といえども何百万というものはもらえません。事業団の理事長あたりだと、四年勤めても三百万もらえる。ところが、社会事業家の人たちは事業団の理事長よりもっと苦しい勤めをやりながら、おそらく二十年、三十年勤めても、あとで質問しますけれども、二十万、三十万くらいの金しかもらえない。こういうことでは私はこの法案の根本的な趣旨にももとるので、この際、十分社会事業家、特に民間の事業家の生活の実態を検討をして、これを機会に将来十分な立法を考えていきたいと思う。
 一番最初に大臣に伺っておきたいのは、一体、社会事業に対する国の責任を大臣はどう考えておられるか、まずその点を御意見を承りたい。
#6
○国務大臣(古井喜實君) 一方から言いますと、国みずからがやるべきことを民間の方でやっていただくような面がありますからして、国として行き届かぬところをやってもらっているという面がありますから、それに応じて考えなければならぬという面があると思います。同時にまた、民間の自発的な精神、考え方で施設をやっていただくというところにも非常に尊いところがあるのでありまして、そういう考え方が民間でだんだんまたそっちにもこっちにも起こる、こういうことも、これも喜ばしい、歓迎すべきことでありますので、ただ国のお手伝いというだけで割り切ってしまうのもやはり若干問題が残るような気がいたしますので、その辺を両方考えあわせてこの問題を前進させべきものであると私は思うので、そういう考え方で今日のところは行きたいと思っております。
#7
○坂本昭君 先ほどの統計を見ましても、社会福祉施設、いわゆる法的に確認せられた社会福祉施設の公営と民営とでは、この数でいくというと、七千二百八十一と五千四百六十四とになっています。半々とは言えませんが、そう非常に隔差のあるものではない。それから、実はこの統計にあがってこないところの社会福祉施設というものがたくさんあるのです。これはたとえば社会福祉施設の中でも、六十三ページの左の方に、保育所のところを見ていただくと、公営が五千四百九十六に民営が四千二百四十一あります。ところが、そのほかに無認可の保育所というものもこれは何百かある、そういう点で私はこの統計に漏れたところの、ほんとうに自発的な福祉施設というものをあげてくるとこれは半々ぐらいにも上がるのではないか、そして今のように、大臣のように、その民間の神様のような社会事業家の自発的な意思におまかせするということは、これは非常にけっこうなことですが、私が最初お尋ねしたのは、こういう社会事業というものを、そういう国民の有志の自発的なことにまかせてはたして福祉国家を作ることができるか、そういうことでよろしいのか、つまり国の責任はいかにすべきであるか、そういう基本的なお考えを伺うのであって、もう少しその点明確にお答えをしていただきたい。
#8
○国務大臣(古井喜實君) むろんこれはその方面だけにたよってほっておく、こういうのはいけない、誤っておると思いますから、公の施設をすべきものはできるだけ整備して普及さしていくということはしなきゃならぬと思います。ただ同時に、自発的に民間の方であろうと、こういうのがそちこちに起こりますこともこれも歓迎すべきことでありまして、この社会をうるわしくする一つの面でもありますので、それはそれで大いに歓迎する、そこに肩がわりしてもらおうというのは度が過ぎますけれども、そういう方の方も大いに歓迎をして感謝しつつ伸ばすようにしていきたい、こういう意味で申し上げておるのでありまして、公の施設をそっちにまかしておいてこっちは手を抜いてほっておこう、こういう考え方ではないのであります。すべきことはしなきゃならぬ、こういうふうに思います。
#9
○坂本昭君 うるわしい社会を作るお考えはけっこうなんです。また、現実に社会事業というものは宗教家によって経営されている面もたくさんある、で、その宗教の中のあるものは特殊な基金を持って、そうして宗教的な信仰的な立場で財政を度外視した運営――その中でひたすら精神的な献身に重点を置いて運営されている面もあります。が、今日の社会事業というものの実態はそれよりもより強く財政的な面に支配されている。現に民間の福祉施設に国が委託している事業はたくさんあるし、そしてその委託費の中ではいろいろな内容が入っておって、何も必ずしも精神的なものにのみまかしているのではなくて、私はある意味では、今日わが国が福祉国家を目途とする以上は、この社会事業家というものを単にそういう精神的なうるわしい社会を作る特殊な人間として見るよりも、むしろ福祉国家を作るという大きな目標からいえば、公務員に、法律的な言葉で言えば公務員に準ずるような扱い、また同時に、それだけの責任、そしてなおその上に社会事業家の特性である奉仕的な、献身的な信仰的な宗教的なそういう行動をお願いをする、私はそれが建前であって、ただいまの大臣のお話を聞いていると、何かそういう特殊な人の特別な志にまかせ過ぎている印象を私は受けざるを得ない。私はもっと明確に福祉国家として立つ以上は、その運営が国あるいは地方自治体の責任であろうと、あるいは民間の責任であろうと、ともに公務員的な、つまり広く国民全般に奉仕するというそういう精神を要求するとともに、それだけの待遇も当然与えなければなるまい、私はそう思うのです。その点公務員に準ずるという言葉は少し強いかもしれませんですが、そういう待遇の面における大臣としての所見を伺いたい。
#10
○国務大臣(古井喜實君) 伺っているとあなたと少し食い違っている点があるような気もしたのであります。つまり、公の施設として整備していくものは整備していかなければならぬ、それはそうでありますけれども、また、奉仕的な民間の人の自発的な意欲によって、たとえば金ができた、飲んだり食ったり自分だけの栄華に使おうというのではなしに、社会事業の施設などをやってみようということは大へんいいことだと私は思うのです。それからまた、精神的にも指導するに足るような人がむしろそういう方面に奉仕してもらうということは非常にいいことだと思うのであります。こいつをみんな公務員だ役人だというみたいな格好にはめてしまってという考え方は、私はちょっと割り切れない。しかし、さらばといって、この社会的活動に対する敬意は表さなければならぬし、また、対価という意味ではありませんけれども、考えるべきことは考えなければならぬという点は残ると思います。けれども、型にはめてしまって公務員的にしてしまおうということは、これは少しまだ自由主義社会のあり方としては私は問題が残ると思うのであります。これはあるいは考え方の違いかもしれませんけれども、実際問題はそう距離があるわけではございませんが、あるいは少しそういう点がちょびっと残る点があるかもしれないが、両面を私は伸ばしていく方が望ましいのだ、こういうふうに思うのであります。
#11
○坂本昭君 大臣の言われるお考えはよくわかるのですが、大臣の御答弁は、それは二十世紀の答弁ではなくて十九世紀末葉の答弁です。これはイギリスだとかアメリカあたりのたとえば病院、そういったものはいわゆる慈善によって成り立っている、いわゆるチャリティによって成り立っている。そうしてたとえばアメリカの有名なジョーンズ・ホプキンズ大学、これはジョーンズ・ホプキンズ兄弟によって彼らの財産の上に築き上げられたすばらしいこれは医療施設になっている。が、これはそういう確かに言われる自由主義の考え方でできたのだが、今の日本にはそういう自由主義はないのですよ。そういうものなしに、われわれは今二十世紀のこの混乱の中でこの新しい福祉国家を作ろうとしている。私はその認識を欠かれたのでは、これは自民党左派の古井大臣とも私は言えないと思うのですね。私は、少し驚き入った次第なんです。こういうことでは困るのです。それは日本にその大臣の言われるリベラリズムがあって、日本の金持ちが、この間静岡県ではぼつぼつその財産を提供していろいろと社会事業に出していますけれども、日本の金持ちというのはほんとうに弱肉強食の古い、とにかくアメリカのジェファーソン以前の弱肉強食のリベラリズムであって、それはだからもう十八世紀のもっと前かもしれぬ。少なくとも今大臣の言われるのは十九世紀末葉であって、二十世紀には通用しません。そんな考えで日本の福祉国家をやっていこうとすることは、厚生大臣、私は見直します。だから私は、何も公務員に準ずるというのを何か型にはまったということではなくて、今日の社会事業家の給与というのは非常に低いのです、私は、その点についてはあとでこまかく局長から聞こうと思っておったのですが、どうも大臣の認識があまりにかけ離れておりますから、それではこの際一つ社会事業家の今の給与の実態を伺いましょうか。まずこの第一表にありましたが、公営と民営の給与について一つ統計的な数字を局長から説明して下さい。
#12
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#13
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
#14
○政府委員(太宰博邦君) ただいまの御質問でございますが、たまたま手元に養老施設につきましての公立と民間施設との職員の実態給与を調べたのがございます。それを申し上げてみますると、昭和三十五年の四月の調査でございますが、公立施設の職員の方が、これは本俸でございますが一万二千八十七円ぐらいでございます。これに対しまして民間の施設の職員は一万二百三十三円でございまして、公立の施設の職員に比べまして、お話のように、約八五%程度のところにございます。それで、この点につきましては過去のそれぞれの経緯はあると存じまするが、先ほどの御指摘にもありましたように、極力この民間施設に働いている方々にも安んじて働いていただくために給与の改善をいたしたいというので、昨年の補正予算におきまして御承知の通り、一一・九%のベース・アップをいたし、それから続いて今年度予算の際に、その上に七・五%のベース・アップをいたしました。大体それによりまして推計いたしてみますると、今日におきましては、約九〇%ないし九一%の線にまで近づいて参ったというふうに私どもは考えております。このほかに、たとえば年末、期末手当等は公務員並みに三カ月出すようにいたしました。かような点でまだまだ私どもも決して十分だとは思っておりません。先ほども大臣も申されましたように、この方々にやはり大いに働いていただくためにはいろいろな面でこちらも手当をせねばなりませんが、この給与の面につきましても今後とも努力して参りたいと存じますが、まあ一歩々々前進しておることは一つ御了承いただきたいと存じます。
#15
○坂本昭君 このこまかい統計についてはまだだいぶ疑義がありますから、あとで労働省の基準局長から、社会事業家の労働の基準がどうなっているかということとにらみ合わせてもう一ぺん詳しくお尋ねしたいと思うのです。まあ今は大臣が時間の都合があるというので、一応大まかなこの法案に対する心がまえを伺って、そしてそれからあと今度詳細な審議に入って、それからあとでまた締めくくりにもう一ぺん大臣に伺って参りたい。そういうふうに議事を進めますから……。
 それで今大臣は、公務員に準ずるということを、型にはまった社会事業を行なう、そういうようなことは精神的な自発的な社会事業家の運動を束縛するような御説明であったのですが、そういうことを言うならば、これははなはだ厚生省の公務員に対しての私は失言だと思うんですね。厚生省の公務員なぞというものはそういう型にはまったことはやっておらないのですよ。これは、たとえば太宰局長でもなかなか型にはまった人物ではないのですよ。ところどころに応じてなかなか名言を吐くし、卓説も述べられるし、やはり役人というものを型にはめて考えられるということは誤りであり、私はこの際非常に強調しているのは、公務員に準ずるということは型にはまったというのではなくて、待遇の点をつまり私は言っているのです。だから今お伺いしても、大体二割に近い差があって、それが一割に近いところまでこぎつけられたという点は、この統計的な事実はまあ私は十分納得しませんが、とにかく給与の点において、少なくとも公務員に準ずるその待遇を与えることによって、福祉国家としての任務を果たしてもらいたいということが私の言いたいことで、その点ならば大臣も賛成されて社会党にお入りになるのじゃないかと思うのですが、その点いかがでございますか。
#16
○国務大臣(古井喜實君) この民間施設の従事者の待遇を悪いままでほっといてよいとは思わないので、そのために、十分だとは申せぬかもしれませんけれども、ごらんのような施設を投じたり、積極的に始まっているわけでありますから、その点はあなたのおっしゃることと同じことであります。さっきの答弁は、民間の施設が興ったりすることはこれは悪いことじゃないので、民間施設は大いに歓迎すべきことであると、こういうことをさっきは言ったのであって、民間施設の活動に対しては大いにけっこうなことだし、感謝すべきことであるからして、喜んでその活動を受け入れると同時だ、立っていくようにこちらがすべきことはする、これは大いにそうしなければならぬと思うので、民間施設は大いにけっこうなことで歓迎すべきことだということを私はさっき言ったのであります。その点は大きな違いはないと思います。待遇などをほっといていいとは初めから思っておりませんからこそ、足らぬながらも前進をしておると、こういうことでありますから、これは社会党に入らぬでも入っても、やることは似たり寄ったりだろうと思います。
#17
○坂本昭君 それで大臣にもう一つ続けて伺いたいのは、今度のこの法案について口の悪い――口のいい人かもしれませんが、社会事業の社会事業だと批評している人もおるのですが、大体この民間社会施設に働いておる人たちの労働条件が劣っておると一いうことは、私は大臣も認めざるを得ないのですね。このことは安井自治大臣にも伺いたいのですが、地方自治体における各種の民間社会事業の施設における職員の労働条件がいいとはお認めになっておられないと思う。たとえば厚生大臣に伺いたいのですが、社会保障の中でまず賃金の問題、所得保障、それから厚生年金あるいは健康保険、失業保険、こういったものがいわゆる民間の社会施設の職員の人たちに十分に現在できているというふうにお認めになっておられますか。
#18
○国務大臣(古井喜實君) ただいまのお話は、社会福祉施設の従業員のことだけではないかもしれぬと思いますけれども……。
#19
○坂本昭君 いや、民間だけのことなんですよ。
#20
○国務大臣(古井喜實君) だけのこと……。十分にいっておりませんから、だんだんこういうふうな改善を加えていかなければならぬ、また、それは取り組まなければならぬというわけで取り組むということで、十分だったらほっておけばいいのですけれども、十分でないから、こういうことでやっておるわけであります。まだ、これで十分だとは、あなたもお考えにならぬだろうし、われわれもこれでおしまいだとは思っておりません。まだたくさんあると思っております。山ほどあると思っております。
#21
○坂本昭君 あとでこれは局長に数はお聞きします。ひょっとしたら、局長調べていないかもしれぬとさえ思うのですね。つまり、民間の社会事業家のそういう社会保障がどう行なわれておるかということの調査さえできていないのじゃないかと私は心配しているので、これはあとで伺いますから、その数をもってもう一ぺん大臣に伺いますが、一体、今後、この退職共済でどれくらいの金をもらおうと大臣は計算しておられるのですか。たとえば、今度任意加入で入れますね。入って、それで一体幾ら金をもらうのか。十分でない、十分でないと言われますけれども、一体どれくらいもらうというつもりで大臣は、一体、この法律案をお考えになっておられるか。
#22
○国務大臣(古井喜實君) 試験を受けるようなあんばいですが、あなたのおっしゃるのは、この金額をどれくらいこの案によってもらうようになるかということでありますが、ここにもあります通り、金額は、御説明を申し上げたかと思いますが、その通りの金額であります。十分だとは言っておりませんよ。言っておりませんけれども、今までなかったのですから、ここは買ってもらわぬといかぬと思うのです。なかったものを一歩でも二歩でも、これは前進だと思うのですよ。これはそこだけは一つ買っていただきたいと思うのです。
#23
○坂本昭君 一人について幾らということの説明は欠けているのです。もう一ぺん、それじゃ局長から説明して下さい。
#24
○政府委員(太宰博邦君) ちょっと御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが……。先ほど申し上げました、六十六ページ、七ページの第三の表が、各施設に働いている従業員が何年か勤務されて、そして何らかの事由によって退職をされまして、この法律によってその退職手当を支給する場合の一応の見取り図をお目にかけたわけです。従いまして、たとえば、十年で病気等のために退職されるという場合におきますと、その第三表の、自己の都合以外で退職をしたという、八条第二項の規定によりまして八万円、これは御承知かと思いますが、もう一ぺん申し上げます。
#25
○坂本昭君 それでは、先ほど、理事長が四年勤めて三百万円もらったということですが、四年加入して一万九千二百円です。ところが、実際は、これに加入してからの四年ですから、今まで二十年も三十年も勤めておった人も一万九千二百円しかもらえないという現実なんですよ。こういう現実では、苦労してこられた社会事業家に対しての、私は、十分な措置であるとは考えられない。
 さらに伺いますが、これだけのことをするために、国と、それから県と、それから施設とが、それぞれ負担金を出し合いますが、この法律案を見ますというと、その出し合う額について、十八条と十九条に、国は「退職手当金の支給に要する費用の三分の一以内」、それから都道府県は「費用の一部を補助することができる。」、こういうことになっておる。今日、先ほど来申し上げた通り、民間の社会事業施設というものは、経営も非常に困難であり、そのために、職員の労働条件も非常に悪い。そういう中で国は「三分の一以内」、「三分の一以内」ということは、十分の
 一も、百分の一も三分の一以内になります。それからまた、都道府県の補助というものは、「費用の一部」ということは、三分の一の場合もあれば、あるいは十分の一の場合もあれば、百分の一の場合もある。こういう不明確なことをすれば、全部施設の経営者に負担が、私は、かかってくるのではないかと思う。それに対して、まずこの法律に対する責任者である厚生大臣の所見を承りたい。
#26
○政府委員(太宰博邦君) ちょっと便宜私から御説明申し上げたいと思います。
 法律の十八条にはお話のように、予算の範囲内において、「支給に要する費用の三分の一以内」というふうな表現をとっておりますが、これは他の法令でも大体、間々こういうふうな「以内」という文字をつけたりすることがございますが、実際には三分の一は必ず出すということは私ども申し上げて差しつかえないと思います。
 それから都道府県の補助関係でございますが、これは今、自治大臣も御出席でございますので、御答弁お願いできると思いますが、私ども事務当局同士の話し合いにおきましては、これはこういう表現をとっておるけれども、十分協力するというふうに話はついておるわけでございます。従いまして、御心配のような、三分の一以内だから十分の一も以内、結局施設長にものすごい負担がいくのじゃないかという御心配は、私はそういう御心配はしていただかなくてもいいということを、この際確信をもって御答弁申し上げることができるかと思います。
#27
○坂本昭君 局長は確信を持ったって、われわれは確信は持てない。
 厚生大臣に伺いますが、この際、速記録に残しておきます。「三分の一以内」ということは、「三分の一」と同じだと……そんな数字は初めて聞きますが、「三分の一以内」ということは、「三分の一」と同じならば、初めから「三分の一」とちゃんと書いておいてもらったらいいと思うのですが、それだけはっきり責任を今後においてもとるというなら、この「以内」ということを消していただきたい。厚生大臣の責任ある御答弁をいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(古井喜實君) これは御案内のように、補助という法的な形式をとっておりますので、そこで、この負担金とかでなしに、それで普通の例に従って「以内」と書いておるのでありますけれども、しかし、事柄からいって、こういう社会福祉関係の施設の問題でありますから、運用の上では三分の一は必ず出そう、こういう考え方を持っておるのであります。運用の上では――法形式はこういうことになっておりますけれども、三分の一はぜひ出していきたい。今度もそういう考えでありますし、今後も後退するわけにはいかぬ、その考え方を堅持していかなければならぬ、こういうふうに思っております。
 県の補助のことは、自治大臣がお話でございましょうけれども、おそらく同じ――法の上の形は形として、事柄の性質からいって、特別な考えはないと私どもも思っております。これは自治大臣が御答弁になると思います。
#29
○坂本昭君 それでは自治大臣に、今の十九条の「費用の一部を補助することができる。」ということについて、所管の局長は十分に協力してくれることだと確信するという御答弁があり、厚生大臣も三分の一都道府県は出すという御答弁ですが、自治大臣としてもこの際、責任のある御答弁をしていただきたい。
#30
○国務大臣(安井謙君) 私どもといたしましても、この法律の趣旨は非常にけっこうなことだと思います。今の厚生大臣のお話で、十分であるかないか、いろいろ議論はありましょうが、これはぜひ実現した方がいいと基本的に考えるわけでございます。従いまして、地方団体におきましても、都道府県でもでき得る限りの援助はすべきであると心得ております。しかし、御承知の通り、自治体に対しまして幾ら出せという命令を自治省で出すわけには参りません。自治省としては、これに対して大体国が考えておると同じような程度で措置し得るような処置を今後三十七年度の予算でとっていきたいと思う次第であります。
#31
○坂本昭君 ということは、地方によっては再建団体もあれば、いろいろと財政の困難なところもある。そういうところで、また、そういうところこそ貧乏が多くて、社会事業が必要なんです。そういうところこそ、また、こういう社会事業の施設に対して、国なり地方自治団体が責任をもってあげなければならない。そういう場合に交付税あるいは特別交付税、そういった面において、都道府県の財政を十分にめんどう見ながら、今の十九条の三分の一という線を必ず達成するような行政指導を、また、予算的な措置をとっていただけますか、もう一度念を押しておきたい。
#32
○国務大臣(安井謙君) 今の十九条で、三分の一ということをはっきりうたっておらぬわけでありますが、自治省といたしましては大体交付税というものにおいて、そういった程度のものを今後来年度以降見込むつもりで考えております。
#33
○坂本昭君 それではこの三分の一以内ということと、費用の一部ということについては三分の一という理解で、この法律を来年度政府は責任をもつ、そう一応この際念を押して理解をしておきます。よろしいですね。
#34
○国務大臣(古井喜實君) その通りに思っております。
#35
○藤田藤太郎君 私は、自治大臣にこの際聞いておきたいんですけれども、地方自治体の給与に段階が非常にたくさんある。それからこれは退職金をやる分の法案ですが、退職金、年金、こういうものについても非常に高低の差があると思う、高い低いがあるんです。その中でこれは十年以下でやめる人というのは――この保護施設におられる人というのは、一般の会社と違った状態におられるわけですから、あとは厚生大臣に聞きますけれども、だから自己の都合というても、むしろ社会福祉的な格好で、結婚前の女性が非常に重要な役割を占めておる場合が多いと思うんですね。だから、そういうところを、こういう格好で百分の六十ということで扱っておるわけです。これは厚生大臣に聞きますけれども、こういうことになって、最後の表でいくと四年たって一万九千円くらいしかもらえないということですね。三年で一万四千円の額にしか――これから出発するのですからなっていないのです。本来自治体の職員としては、これは相当、もっと高いのじゃないか、もっといわゆる国家公務員よりいいところが非常に、六大都市なんかむろんそうですし、あるのじゃないかと思いますが、これはどうなんですか。一歩踏み出すという厚生大臣のお話がありましたけれども、自治省の立場から見たら、こういうものはもっと実質的ないいものを作らなければバランスがとれないような気をおもちになりませんか。それを一つ聞いておきたい。
#36
○国務大臣(安井謙君) ごもっともなお話だとは存じますが、これは何分今までの慣習もあり、財政事情もあろうと思いますので、今の御趣旨の線には徐々に沿っていくように今後も努力したいと思います。
#37
○藤田藤太郎君 それは徐々に上げていこうというお気持は、それで非常にけっこうだと思うのですが、今出発にあたって、あまりにも低いから、あなたの方の管轄における地方自治体のこういう退職金とか、年金とか、そういうものがあるわけですから、それと比べて見て、あまりにもかけ離れていやせぬかということ。徐々にやっていくと言えばもうそれまでです。現実に出発にあたってあまりにも低いのじゃないかという感をおもちになりませんかということを聞いております。
#38
○国務大臣(安井謙君) 公務員は相当な年限勤めた最終給与でこれをきめるというような建前でもありますし、民間のこういう種類の団体というものは、いろんな形もありましょうし、また、財政状況、あるいは仕事の内容もいろいろ変わっておりますので、ちょっと一がいにこれが低過ぎるなら低過ぎるという御議論はありましょうが、今は低過ぎるからこれを直ちに幾らに上げてほしいというのには、私どもとしても要求いたしかねるということでございます。
#39
○坂本昭君 それでは次に大きな問題として、振興会の問題を大臣に伺っておきたいと思います。
 今度の事業の主体は社会福祉事業振興会がすることになっていますが、一体今日この振興会を大臣はどう考えておられるか。そうしてまた、今度のこういう退職金共済ができるについて、この振興会を今後どういうふうに運営していくお考えか、その問題について御見解を承りたい。
#40
○国務大臣(古井喜實君) これはお尋ねの御趣旨をちょっとつかみかねるわけでありますけれども、振興会に対してどう考えるか、どう運営していくつもりかというお話だが、お尋ねの意味をつかみかねるわけでありますけれども、振興会は従来から御承知のようにそれなりの、それ独自の法律に基づいてあの通りに今日まで活動してきているわけでありまして、本来の仕事は仕事といたしまして、今度の仕事も振興会にやらせるか、独自の形でやるか、問題はあったでありましょうけれども、基礎もしっかりしているように思いますし、また、こういう形式でやった方がどうも適当だというので、振興会に今回の退職金の仕事もしてもらうことに考えているのでありますが、お尋ねの意味によりましてまたお答えいたしたいと思います。
#41
○坂本昭君 私の伺った意味は、今日の振興会は振興会としての社会事業に対する融資の面で、まず十分な活躍をしているかということが一つの問題。さらにこういう振興会が、今度の退職一共済というような仕事を受け持つのにはたしてふさわしいかどうかという、これが第二の点、むしろ他の機構をもってした方がいいのではないかという点が第二。それから第三は、しからば一応いろいろな欠陥はあるにしても、今後この振興会にさせるについては、今度の退職共済をさせる上で、運営機構を改めるとか、何かそういうお考えはないか。
 大体その三つの点を含めて伺っているわけですが、局長じゃなく大臣から。
#42
○政府委員(太宰博邦君) 大臣から答弁申し上げます前に、便宜先に私から一つ申し上げます。
 この事業を社会福祉事業振興会に行なわせますにつきましては、この仕事自身が長期にわたるものでございまして、従って、その事業主体が永続性を保証されていなければならない。それからこういう公的な国の施策としていたしますためには、その退職金の給付が確実に行なわれますためにも、国の監督が十分に行なわれるようなものでなければならないというようなことから、これはどうしても普通の団体ではいけない、いわゆる特殊法人というものであってしかるべきじゃなかろうかということでございまして、この種の仕事をやらせるということでありますれば、他にたとえば社会福祉協議会というようなものもあるいは考えられるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたようなことから、特殊法人であるというような点からいたしまして、これは社会福祉事業振興会に行なわせるのが適当であろう、こういう結論に達したわけでございます。社会福祉事業振興会は、申し上げるまでもなく、御承知の通り、法律に基づきました特殊法人でございまして、社会福祉事業の施設の振興をはかるということをその目的として設立せられた団体でございまするので、この団体にさせることがその点からいいましてもふさわしいことであろうと、かように考えておるわけであります。ただいまの振興会が今までのところにおいて十分な機能を発揮してきたかどうかということにつきましては、いろいろ御批判はあろうと思いますし、また、その御批判の点を私ども率直に承って、これをよりよきものにしたいという気持はやまやまあるのでございますが、今までこの振興会の事業に対しまして国から出資いたしました額が、三十六年度の九千万円を含めまして七億でございます。この七億円の資金をもって低利、長期の融資をしておるのでございまして、こういうような点からいたしまして、この資金の量がそういうふうに限られた資金でございます。という点からいたしまして、私どもといたしましては、まずまずその目的は果たし、民間の社会事業施設の方々にも喜ばれている。ただし、これが十分だとはもちろん申し上げません。御指摘のように、もし至らない点があり、また、私どもも考えまして今後伸ばして参りたいと思っております。この法律を振興会に行なわせることにつきまして、その運営機構等につきましては、事務的な内容等も強化いたす予定でございますので、また同時に、この地方の方面につきましては振興会だけではやれませんものでございまするから、適当なものにその事務の一部を委託して、そして施設との連絡をよくし、施設の職員の気持なども伝わるような仕組みも考えておる次第でございます。
#43
○国務大臣(古井喜實君) 従来の振興会の活動実績につきまして、今も局長が申しましたように、見方はございましょうけれども、これはこれなりに活動をしてきておると私は思っておりますので、将来さらに伸ばす点もありましょうけれども、活動は、必要な活動はしてきているという認識を持っておる。それからこの退職金の仕事をここでやらせるという点は、これも今局長から説明いたしましたが、この振興会の性格からいってそぐわぬわけのものでもない、まあ積極的にいえばふさわしい仕事かもしれませんし、また、それならほかの方法でどういういい方法があるか、よりよい方法があるかといえば、どうも多数の施設のあることでありますし、範囲も、分界も市町村などのようにはっきりしないような点もあるかもしれませんし、他に適当な方法、より以上の方法も考えにくいように思いますので、かたがたこの振興会にこの仕事をさせるというのが最善ではなかろうかという結論であるのであります。これをやっていくための振興会の整備というか、強化の問題は局長が申し上げた通りであります。
#44
○坂本昭君 もっと事務的な問題については、後ほど局長と議論をして、またあとで大臣に伺いたいと思うのですが、確かにこの振興会にこの仕事をさせるのがいいかどうかについては、厚生当局もずいぶん考えたろうと思うのです。非常にこれは問題があって、私自身もまた、今その方がもっとこの案がいいんじゃないかという案を積極的に出せといわれると、いろいろと私にも決定的な案はないと言った方が率直なお答えだと思うのですが、ただどうも、従来の振興会というのは理事が五人で、職員も十数人の金融機関、金額は七億程度ですね。そうしてまた、この金融機関のほかに今度は年金福祉事業団もできてくる。そうして年金福祉事業団も私的な、たとえば保育所あたりに融資をする。その場合は六分五厘あるいは六分五厘以下、この振興会の場合はもっと低くて五分五厘くらいであろうと思います。それと似たようなものができてくる中で、いわば社会事業家が多年望んでおった一つの厚生福祉的なものができてくる。そうしてきますというと、私は、社会事業家としては賃金も少ないから人手も少ない、労働時間も過重である。しかし、今度わずかながらも一応退職金がつくようになった、何かもっといい社会事業家としての厚生福祉的なものがないか。何かもっと福利を伴った付帯事業的なものもやってもらえぬだろうか。この今までの振興会でいけば、純然たる金融機関的な措置になって、考え方としてただ金はやる、それもけっこうですよ。悪いことではない、今までなかったのですから。しかし、もっと強い要望が私はあると思うのです。そういうことに対して振興会としてはいかがかと思われる点。ことに、ごく少数の理事、しかもこれは厚生大臣、先般来中央社会保険医療協議会の問題でも御承知の通り、とかく非常に厚生行政には官僚性が強いということを指摘をせられております。この振興会も非常に官僚性の強い存在なんです。これは大臣も十分認めていただきたい。そういうところでこういう機構ができても、ほんとうに社会事業家の福祉を考えて法律を改正したり、あるいはこの中でたとえば条件があります。この条件でたとえば掛金の納入の問題などもある。そういう場合に、銀行屋みたいな気持でやられたんでは、これは社会事業家としてかなわないと思う。従って私は、そういうふうな従来の振興会のあり方は、単に官僚的金融機関であるにしかすぎない面が強い。だから、こういうところに委託するということは、ほんとうに社会事業家の立場を考えるようになるかどうか、非常に問題です。だから、一応そういう過去の欠点も認めるとともに、今後はこれは改めるための、たとえば理事の改選、あるいは少なくとも医療協議会を改組したように、今度は振興会の運営機構を新しく作るべきではないか。そういう点での大臣の実は御意見を伺いたいのです。ですから、過去のことについてはこの際省略しておいて、将来の振興会の運営機構をもっと民主的に社会事業家が喜ばれるような、そういう運営機構にする御意図があるかどうか、その点を伺いたい。
#45
○国務大臣(古井喜實君) 今度のこの退職金の仕事だけに限って見ますと、これは比較的機械的な仕事になりますので、退職金の仕事だけから限って言いますと、きまった通りのきまった仕事をやるということになりますから、これはかりに金融機関的な性格が強い機構でありましても、支障はないだろうと思うのでございます。ただ、それでは別にその振興会自体の将来の問題ということになりますと、これはさらに検討すべきものがあるかとも存じますが、私もしかし、さればといって、今、振興会をこういうふうに直す、こういうふうな点が非常にまずい、そこでこういうふうにぜひしたいというところまでは、考えを持つに至って、おりませんので、だんだん各方面の御意見を伺ったりして、必要があればそういう方面のことも考えてみたいとは思います。きょうのところは、そこまでの考え方にはきてないのが率直な現状であります。
#46
○坂本昭君 それでは、振興会の将来の運営機構についての問題は、後ほど局長に、いろいろこまかい点を聞いていって、われわれも一つ考えをまとめて、さらにあとで大臣の御意見を伺うということで、では、とりあえず大臣に対する総括的な質問は、私は終わります。
#47
○藤田藤太郎君 私は大臣に一、二聞いておきたいのです。この法律の骨になっているのは、こういう福祉施設に働いている人に退職金制度を設けるというので、趣旨はまことにけっこうなんです。だから、含めて国と府県が補助をしていって、それを効果あらしめようというのだから、今の厚生大臣の御返事を聞いて、十八条、十九条との関係で、結局、民間の施設をやっている人が三分の一を負担して効果を上げようというのですから、私は非常にけっこうだと思うのです。問題は、昨年の暮れとことし七・五%をお上げになって、保育園の人を一つとってみても、この法律でも、第八条で書いているように、八千を下らない額云々という、下に、げす板をはめられているという格好になっている。ところが、実はこの施設はたくさんありますけれども、この中には、こういう施設に働く人というのは、何といっても若い御婦人の方が、やはりあらゆる角度から求められているところであって、そしてまた、実際のこの施設事業の効果を上げているというのは、若い御婦人方が非常に貢献をされているところじゃないかと私は思うのです。全部とは言いませんけれども、これをずっととって
 いきますというと、そういうところに非常に貢献されているし、また、そういう若い御婦人を必要としているのじゃないか。一般の会社なんかですと、たとえば一定の生産という、物を作ることが大体主体になって、労働力をどうそこへ提供していくかというのですが、だから、そういう意味では、物ができることに対して、労働力をどれだけ高度に提供するかによって、賃金、給与その他がきまっているということなんです。しかし、こういう施設については、総じてそればかりでなしに、経験からくる効果といいますか、そういうものもありましょうけれども、しかし、若い御婦人が入ってこられれば、短時間によって非常に効果を上げていくというのがこの実態ではなかろうか。だから、結婚前の御婦人が、私はこういうところにむしろ進んで参加してもらいたいという要素が非常に多分にあると思います。ところが、この八条からずっといきますと、十年以下の人で、五年までは百分の六十、五年から十年までは百分の七十五と、こういう工合になっているのです。だから、一般の会社なら、そういう生産ということの目的がありますから、そういうところで、せっかく仕事を教え込んで、これから生産の効果を上げてもらわなければならないときに、結婚のためにやめると困るから、そこらでこれは、労使の間で問題は調整が行なわれておる。しかし、この福祉事業というのは違うのじゃないかと思うのです。そういう意味からいえば、何のために八条、九条の中で、長期の人に優遇されることはけっこうだけれども、しかし、少なくとも、百分の六十とか百分の七十五に下げられたということが僕は理解できないのです。どこらを基準に置くかというのは、相対的な財源の問題からくることですから、これは多いほどけっこうですけれども、少なくとも理由のいかんを問わず段階をつけるというようなことは、私はこういう事業に関してはあるべきでないと思うのです。だから、そういう意味で、私はこの退職金を考えられた観点が少し違っていはせぬか、一般のこちらの方と並べておいた方がいいという観点なのか、こういう段階をつけられた根本的な観点をお聞かせ願いたい。
#48
○国務大臣(古井喜實君) 藤田さんのお話のような実際面もおそらくあるでありましょうけれども、ここに考えておりますのは、退職金の問題でありますから、退職金といたしますと、やはり勤めた年限ということがどうしてもこれは基礎になると思います。それとは別個に、お話のような面に対して措置を講ずるという問題は、それはないとは申しませんけれども、退職金ということになると、こういう退職金の問題としては、勤めた期間が短ければやはり減るということはやむを得ないことでありまして、他の公立の施設などに勤めている者も退職金はこういう式になっておると思います。といたしますと、退職金としてはいたし方がない。しかし、そのほかに実際面として退職金として割り切れない問題があるかもしれません。これはまあそれなりの一つの研究問題になると思うのでありますが、退職金としては、どうもこういうふうにいくしか仕方がなかろうと、こういうふうに今は思っておるのであります。
#49
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、一般の生産会社と違った要素をこの事業は持っていると言っている。だから、長年勤めた人を優遇してあげてすることはけっこうなんですよ。けっこうだけれども、一番ここで求めているのは若い御婦人なんですよ。そういう御婦人の方々を、こういう格好で切るというのはどうですかということを言っている。だから、少なくとも――給料が大体安いのですよ、そうでしょう、給料が安いのです。長年勤めた人は給料がまあ何といってもだんだん上がっていくわけです。これはまあこの面から見れば私どもは公務員並みにして上げなければいかぬということを非常に強く言っている。公務員並みにするとすれば、年金制度があります。老後を維持する年金制度がある。公務員の仕事にしたって、きょう入ってあすからなかなか、短時日では公務員の仕事というのは、技術や、それからなかなか覚えられるものではないのです。しかし、こういうところはそうじゃないと私は思う。そういう要素以外にお若い御婦人を求めている。そういう所が多いし、そういう短時日のうちに仕事も覚えられるのではないか、そういうことになってくると、単に貢献度、企業とか事業に対する貢献度というものを一般の生産会社や公務員の退職金や年金を考えられるような要素だけでは割り切れないのではないか。だから、結婚をするためにやめていかれるような方々には、まあ社会奉仕的な意味だといえばそれまでかもしれませんけれども、百分の六十とか七十五とかいうものを切るというところに、一般の退職金と同じような要素がここに入っているというところに私は理解できないものがある。これを言っているのです。だから、少なくとも一年勤めたら給料は安くても一カ月分は下の人には上げるということをしなければいかぬのじゃないかということを言っているのです。
  〔委員長退席、理事加藤武徳君着
  席〕
だから、一般の退職金の概念というものがこうだからいたし方ありませんということじゃなしに、事業の内容というものと照らし合わして、せっかくお作りになる退職金ですから、八条のこの前段の十年前の改正というものが百分の百というところに持っていってあげなければいかぬのじゃないかということを私は申し上げているわけなんですから、その少し、あなたの今御返事なさった一般の退職金は一般の退職金だからしようがないのだということでなしに、事業の内容と照らし合わしてどうですかということを聞いているのです。
#50
○国務大臣(古井喜實君) そこで、あなたは割り切れないものがあるという
 ことをおっしゃるけれども、それならどういう考え方でどう立ったらいいかということはまだあなたのお話ではとてもぴんと来ない。何か割り切れないものがあるのじゃないかというところまではわかる。そこで、退職金の問題だから、あなたも言われたように、長く勤めた人を優遇するのはあたりまえだ。これはあなたのおっしゃったように、退職金だから。この長く勤めた人を優遇するということは、逆に言えば、短い人は優遇をしてやることは悪いと、そういうことになる。長く勤めておるという人との比較論ですから。問題はそういうことではなくて、退職金であなたが割り切ろうとおっしゃるから私は問題がぴったりこないのではないか。特殊性はわかる。退職金で割り切れという問題が割り切れぬということはあるが、退職金という方式で割り切れという解決方法になるのか、あるいは給与を初任給からたとえば相当優遇するというような方法がもっと適切か、これは解決の方法はまだいろいろに考えてみなければならぬ点があるのじゃないかと私は思うのです。これは。そこで、何かこれは特殊性があるのではないかという、特殊性があるじゃないか、特殊性において考えてみる、知恵を出してみる必要があるのではないか。これは大いにその考えには傾聴いたします。それではどういう解決方法をとるか。すぐさま退職金だ、これは飛躍だと思う。まだ考えてみなければいけない。どういう方法が適切かというところにまだ一つ問題があるのではなかろうか。そういう意味で、一つなるほどごもっとも千万な着眼でありますので、どういうふうに考えたら一番適切か、これはなるほど研究してみたいもんだと、まあこういうふうに思うわけです。
#51
○藤田藤太郎君 少し僕の言っていることが理解できない……。
 まあ退職金というふうな制度をここでとっている国というのは、大臣、外国の例を見て例がありますかということを私は言いたい。年金にしても特殊な所は産業別な年金制度がありますけれども、しかし、主として社会の中でどれだけ貢献し、社会全体の責任で、老後、身体障害者、母子家族というものを社会の責任で生活の安定を来たそうというのが年金保障の根本的な考え方だと思うのです。日本の退職金の制度というのは、使用者の方から言えば、これは功労に対する慰労だと、こういうことを言っている。しかし、その労働者の側から言えば、賃金のあと払いだということなんですよ。そういうところで、はっきりしない中で何といたしましても、今、現実としてあるのが退職金の制度なんです。こういうものが将来それじゃそういう形のものが続いていいのかどうかという、日本の産業の特殊性だと言えばそれまでかもしれぬけれども、そういうあいまいな概念を持ったのが今の退職金制度じゃなかろうか。そういうものを一切期末や特別、年末に費用の要るようなものが必要なら、それだけを限界として、一切のものが一カ月の給与に織り込まれていくというのがこれからの近代的な労使関係や賃金体系に私はなっていくのじゃないか、こういうことを私たちは考えています。また、事実外国はそういう形になっているわけです。そういうことが退職金が外国にあまり例がないということと大きな……、例がないけれども日本で存在しているというのは、やっぱりその概念の一つには生産に貢献をした老後の慰労金だという理屈が一つつく。働いている者から言えば、これは賃金のあと払いなんだという格好で退職金すら――退職金すらという言い方は何ですが、退職金の問題がどこで確定するか、理屈はとにかくといたしまして、老後の生活安定というところに今の退職金制度というものがあることは事実です。しかし、私が言っているのは、それは何といっても使用者の立場からすれば生産に対する貢献の度合いという、過去の慰労金というような要素のものが現実の問題としてはそういう形で済んでいるのが退職金の制度じゃないかと私は思う。そうなってくると、何と言っても生産に対する貢献度合いによって退職金の額というものが高低があるというのが今のシステムではないか。物を作ること、生産に対して、どれだけの労働力をよけい提供しているかということが賃金にも一つ現われる、それから退職金にも現われるというのが一般の民間会社の退職金の制度である。公務員でも私はそうだと思う。だから、そういう意味で一人前というのは、その限界は別といたしまして、やっぱり年々積み重ねてきた経験や能力の蓄積によってより多くのより高度なその物の生産に対する労働力の提供というところに規制されていく。しかし私は、このような事業においてはそういう格好で退職金はあるけれども、これは退職金という、そこで働いた人とやめられた人に慰労金というか賃金の面から言えば、働いている人から言えば、あと払いと言いましょうか、私は二つの要素を含んでいる、とにかくその含んでいるという要素は別といたしまして、今まで、賃金も安いし、そして長いこと苦労してきたけれども何の恩典もないというところで、何とか厚生省がこういう制度を考えられたということは、私はけっこうだと思っているのです。けっこうだと思うけれども、この養老施設を初め福祉施設に働いている人の十年以下の自己退職する人が、この事業自身は、若い結婚前の御婦人を求めている、長期におられる方もおりますけれども、そういう方を求めている要素の事業が多いわけですから、この事業にはそう長いこと経験を積み重ねて、人の何倍も、この事業に対する貢献が人によって何倍も大きな効果を上げることもあるでしょうけれども、平易に短時日の経験でこの事業に参加されて、そうして働くことができるというような要素の仕事ではないかと思う、この多くの仕事を見てみれば。しかし、それを単なる退職金といういろいろの要素を含んで、日本にありまする退職金の一般の会社や公務員やその他のもののものさしではかって、年限の少ない人だけ、さっと削っていくというのは、他の事業内容と関係して少し違いはしませんか。年功に対して積み重ねられることは現在けっこうでございますけれども、あまりにも十年以下の方々に百分の六十とか七十五で切ることは、少し酷ではありませんか。少なくともそこらあたりのところにおいても百分の百の退職金を支給するような格好をしてあげていいんじゃなかろうかということを言っているのですよ。私は何も案を持っていないというのじゃない。十年以下の人にも百分の百というものを支給されていっても、他の一般の会社がこうだからこう、公務員の給与がこうだからこれもその率でこうだというだけでは割り切れないのじゃないですかと、こういうのです。だから私は案を持っていないのじゃない。十年以下の人に百分の百、たとえば一カ月分という格好のものを支給してあげなければ、給与面からいっても安いのですから、それくらいのことをしてあげても、こういう事業に貢献していただいた方々に当然そういう報いをしていいんじゃないかということを言っている、それが私の考え方ですよ。これはないのじゃない、きっちり申し上げているのですから。
#52
○国務大臣(古井喜實君) そこでものは率直に意見を申し上げた方がいいと思いますけれども、あなたの話を伺っていると、私はちょっと途中でわからぬようになっちまう点がある。つまり社会保障的にものを考える、つまり生活が安定するように生活を保障するような意味においてこういう施策を考えるならば、そういうことであるならば、それならば過去のことを、長く勤めたとか、あるいはどういう仕事をしたとかということを論ずるのじゃなしに、その人の生活の必要に応じてこういう給与は考えるのが筋だと私は思う、社会保障という式にすっきり考えれば。そういう意味の考え方があなたには出ておるのだ、今聞いておると。会社の問題についても、退職金の問題は日本はおかしいというような、いわば意味のこともおっしゃったが、過去の給料のあと払いであるとか、そういうにおいがあるとかおっしゃったが、そういうことは抜きにして、そうでなくて、生活を保障する意味において必要なものを与えろという考え方ならすっきりしている。やめた人すべて、その人の生活に応じて考えるのだという考え方、すっきりした社会保障的に考えるなら、これは通っておる。それならば過去に長かったか短かったかというようなこともあまり意味がないことじゃないか、関係が薄いことかもしれません。また、仕事がどうだったかというのもすっきりしない。過去の長い短いは関係ないじゃないかとおっしゃりながら、仕事の過去の性質によっては別に考えなければならぬのではないか。過去を、それをもとにして、退職金の金額を考えなければならぬというようなことになると、そこに私はちょっと実は伺っておって、どこか考えがふっと変わってしまうところがあるような気がしてならない。しかし、これはこれ以上言ってもしようがないから……。それとは別に、しかし、こういう種類の仕事に従事する人の特殊性、こういうものもよく考えて、そうして退職金の金額なども考えるべしというのは、これはその人がやめたあとどういう境遇に立つ生活の必要あるなしということとは別個に、特殊な仕事に従事している点を考えろという問題は一つの問題だと思うのです。そこで特殊の事情に応ずるように考えるという問題は、これは一つの研究問題だと思うのです。そこでこれは退職金の考え方というものをすっきり、一体社会保障的にもう切りかえてしまうような段階にきますれば、今後の生活をどうするか、こういうどうして保障するかという考え方に切りかえるという段階にきますれば、公務員の退職金も会社の退職金もみな共通に問題になってくると思うのであります。この問題だけでなしに共通に問題になってくると思うのであります。そういう考え方にくる段階にきますればそれはそれでいい、これはだいぶん飛躍ですね、先の問題です。それから特異性の問題はよく研究しましょう。
#53
○藤田藤太郎君 ちょっと少し大臣が私の言ったことを十分理解していただいていないので申しますけれども、私の申し上げているのは、退職金とか期末手当というようなものは外国では全部その日の賃金に盛り込まれて賃金体系というものが行なわれておりますということを言っておるのです、ほとんどの国が。それから老後の保障とかなんとかいうのは、社会保障として国民全般として、また、産業別のところから出ているところもありますけれども、これは社会保障として、年金の性格として老後の保障というものが現実に世界の国に行なわれております。しかし、日本では今日そこまでいっていないから退職金というものがある。この退職金の概念をどう見ているかというと、使用者の方は生産に対して貢献したそれに応じての慰労金だと見て、労働者の方はそれは賃金のあと払いだと見ている。しかし、いずれにしてもそういうものが今日あるのですという。だから私は、社会保障の問題まで今の議論を発展さしているわけじゃないのです。社会保障として生活給与の問題をどうするとか、老後の生活をどうするかということはあとの問題。退職金という形で出ていますけれども、一般の退職金は生産に集中してきている。それを集中して貢献度合いによって退職金の額もきまってくるのです。しかし、この事業は一般の事業、生産会社とか、公務員とか、経験を積み重ねなければできないという仕事でなしに、短時日の経験によってこれは仕事ができるのですから、同じ退職金であってもこれを年金の概念で全部給与をあと割り切れと言っているわけではない。せっかく退職金をお作りになるのですから、そうですから短時日のうちに経験実務ができるような仕事柄でありますから、十年以下の人に百分の六十とか、七十五をつけるというのは、一般の退職金の概念と、一般に行なわれている退職金とものさしを合わすのではなしに、退職金制度ですから、年いく人についてはより一般的に貢献の度合いが大きいから率を上げておやりにならなければならないのは事実ですけれども、この短い人は、特異性がありますから百分の百ということにしたらどうですかと、こういうことを言っているのですよ。
 それからもう一段の、大臣の言われた社会保障の問題はまたあとで質問します。
#54
○国務大臣(古井喜實君) あまり議論みたいになってもいけませんが、今伺っていると、私がさっき申し上げた、理解しておることと少しも違いないので、だから問題は、この種のものの特異性でしょうと私は聞いておる。特異性を考えるべきであるということをおっしゃっているんでしょう。そういうことになってしまう。その点は一つの研究問題になるほどなると思うが、給与を引き上げるということでいくか、あるいは退職金方式という場合、特殊な方式が考え得るか、方法の問題については、これはやはり研究の点がまだ――藤田さんにはもうないかもしれないが、私らの方にはありますから、その辺はよく一つ考えさしていただきたい。特異性があるという点は確かに啓発されたというのか、言われてみればそういう点がある、こういうふうに思うのでありますから、結論は、これは研究問題にさしていただきたい。
#55
○藤田藤太郎君 それを研究問題にしてもらっては法律を今通すか通さぬかというときに、これから研究いたしますじゃこれは話にならぬじゃないかと思う。
#56
○国務大臣(古井喜實君) これではむずかしい、この法律のときにはむずかしいと言っている。
#57
○政府委員(太宰博邦君) 補足して。お話の点は、大臣が申しましたように、特異性の点は大体御趣旨の通りだろうと思います。なるほど保育所の保母さんやなんかには十年という期間以内においてお嫁に行くというケースも私は多かろうと存じます。そういう方は、この第八条の規定でいきますると、基本額に百分の六十なり、七十五をかけると、こういうことに、もし自己のそういう希望で退職されるとしますればなると存じますが、これはしかしながら、従来はそういう場合におきましても私どもの承知している範囲内では、退職手当をもらわないで行かれる場合が相当ございます。それからかりに退職手当が出ましてもその額はきわめて少ない。それでせめてそういう退職せられた方に公立の同じような施設の保母さんなどが退職の際には、これは公務員並みの計算でもって受けておるわけでございまするから、せめてそれにできるだけ近づけるような退職金を上げたい。もちろんそれにプラスして施設がさらにアルファとして出されることは私ども大いに歓迎すべきことでありますが、最低保障としてそういうものを差し上げるようにしたいということでこの制度を考えておるわけでございます。
 そこで、公立の施設の保母さんはやはり短期で退職してお嫁に行くというような場合におきましては、これは他の公務員と同じ退職の計算方式によって受けておるわけでございまして、従いまして、こちらは公務員並みの計算方式を取り入れてこれを出したわけでございます。
 そこでお尋ねの百分の六十というのもやっぱりそういうものを見習いまして作ったものでございまするので、これはいろいろ御意見は――私は、ごもっともな点は、わかる点がありますけれども、ただいまのところはそういうことで苦労をいたしているわけでございまするので、この法律を直ちにそういうふうに改めるということにつきましては、ちょっとやはり私どもとしては問題があろうかと存ずるのでございまして、これは先ほど大臣も申しましたように、今後の研究問題にさせていただいて、今日のところにおきましては、そういう趣旨でこれが作ってあるのであるならば、こういうのは公立の施設の保母さんの計算と同じような大体これは計算をやっておるのだということで御了承をいただきたいと存ずるのであります。
#58
○藤田藤太郎君 まあ私は、これ以上この問題で議論しませんよ、厚生省がそういう工合に見ておられるというのだから。だからもう少し社会保障を伸ばしていく、それから国民の老後の保障やその他の問題で、退職金とか、それから今のような期末手当方式というような賃金の問題や年金の制度の問題やについてもう少し私は研究をしてもらいたい。どういう要素の中に今の退職金というものが生まれていく、外国はどういう形で賃金、給与、生活というものがつながっているかということを、私はこれ以上議論しませんから、よく研究をしていただきたいと思うのです。今のように単に公務員に準じたからこうなんだということだけで、非常に、ほとんどの人が結婚前にやめていかれるのですね、若い御婦人が。やめていかれる人にこういうことでいいのかどうか。私はそれを痛切に感じておりますから申し上げているところでございます。一般の生産に労働力がどう貢献するかというようなものをものさしにして、慰労金だというような格好で退職金を使用者側からは出されている。労働者は賃金のあと払いだということで額を引き上げて、その他で完全な老後保障やその他の問題がないから今のような日本の制度が存続しているわけでありますから、そこらの関係を、事業内容との関係で今行なわれている退職金というものをどういう工合につかんだらいいのかということは、私はやっぱしよく研究をしてもらいたい。これ以上私は議論をいたしません。
 それから厚生大臣が先ほど触れられましたが、今までの人ですね。これ出発することは非常にけっこうなんです、基準をきめていただいて。何とか私たちもこういう基準をきめてと思いましたけれども、まあ内容について少し意見を今述べたところですけれども、今日までの人、これから出発するわけですからね。今日までの人については恩恵が何もないわけで、これはいたし方がないのだと、こうおっしゃると思うのですけれども、少しそこらあたりの、もう退職金が出発して、今までの人たちのことは全然考えておられないかということをお聞きしたい。
 それから局長には、この八条、九条との関係で、これ何表ですか――三表ですね。三表の空白欄がありますね。十一年以上で退職した者と二十五年以上で退職した者のところだけしか書いてないが、これは法律に照らしてこの事項にこれは入るわけでしょうね。それも聞いておきたい。
#59
○国務大臣(古井喜實君) それではあとの点は局長からお答えすることにしまして、今までの在職に対しての問題でありますけれども、これはあなたもおっしゃったように、まあいたし方がないと、こういうことにこの法律はなっております。これは今後考えていいことなら過去の分にも考えていいじゃないかと、こういうふうにもなるのでありますけれども、これはつまり制度の発足がおそかったということのこれは結果であって、なぜ今までほっておいたかということになってしまうと、仕方がないでいいかどうかは別として、仕方がないということですから、この法律ではそう見ておらぬのであります。
 あとの点は局長からお答えいたします。
#60
○政府委員(太宰博邦君) 後段の御質問でございますが、第三表のところごらんいただきますと、十年目で退職した者についてのあれが一番左側にございまして、十年のところで六万になります。これは八条の一項というのが一番上の方でカッコ書きにございますが、八条の一項は十年をこえない場合の規定でございます。十年をこえました規定は、八条の三項以降になりまするので、それは第三表におきましてはちょうどまん中辺に十一年で退職した場合カッコ第八条三項でそれになるものでございますから、それでお読みいただきたいと思います。
#61
○藤田藤太郎君 そうですが。それでいいですか。――十年以上こえた人は百分の百から出発するわけでしょう。それから二十五年こえた人は、十年までは百分の百二十五でいくわけですね、十年までは。そうすると、この表は一番最後の表だけしか書いてない。そうでしょう。これは業務上の疾病のときには百分の五十からいくから、これだけしか書いてないので、まん中空白なんだから、これどうですかということを言っておる。どうですか、法律と照らし合わせて。
#62
○政府委員(太宰博邦君) これは第三項お読みいただきますと、十年をこえた人の退職金の額の計算の仕方として、十年までの分を百分の百で計算しよう。従って、支給されるのは十一年以降の人たちに支給する場合だけでございますので、その額をそこに書いたわけでございます。
#63
○藤田藤太郎君  そうですが。
#64
○政府委員(太宰博邦君) はい。
#65
○藤田藤太郎君  第九条読みますと、二十五年以上の場合については、「十年までの期間については、一年につき百分の百二十五」と書いて、「十年をこえ、二十年までの期間については、百分の百三十七・五」と書いてある。これはどうなんです。それはどうなんです。ここで空白に抜いているのはどういうことです。
#66
○政府委員(太宰博邦君) この今のお尋ねの第九条の方で申し上げますと、二十五年以上勤務された人が退職するわけでございまするから、その計算のやり方として、たとえば最初の十年までの分と、十年から二十年までの分と、それから二十年をこえた分とに三段階に分けて計算をして、そして、それを足したものが、その方に対する退職金になるわけです。最初の御質問は、多分その十年までの期間を百分の百二十五という点についてあると思うのでございますが、八条の一項の方は、十年未満で、短期で退職された人については基本額にかける年数かける百分の六十、こういうことになるわけです。これが二十五年以上になりますと、そういう百分の六十というものを取らないで、百分の百二十五でもって十年間のあれを計算し、それから次の十年間については百三十七というもので計算し、続いてのそれぞれの規定で計算したものを合算してかけると、こういうことです。
#67
○藤田藤太郎君 それを聞いているのじゃないのです。その法律に照らせば、二十五年以後だけしか書いてないから、これは一年から十年までは百分の百二十五で計算した額がこの表の中に出てこなければいかぬのじゃないですか、この空欄。
#68
○政府委員(太宰博邦君) これは結論だけでございます。計算の過程は抜いてございますので。
#69
○藤田藤太郎君 それじゃ表を抜いたというわけですね。わかりました。
 それじゃもう一つ大臣に聞いておきます。今度給与の問題なんですが、先ほどの関係で、たとえば、今度保育園の保育婦の給料を一一・九と七・五%お上げになりましたけれども、ここに書いているように、八千円の底入れをしなければならぬほど給与が低いわけですね、実際問題として。だからこの点については二回も努力されたのであって、そして期末手当は公務員並みというところまで努力してもらったので、私たちは喜んでいますけれども、給料の問題が少しまだまだ他の一般賃金から比べて安い。この点についてどういう工合にお考えになるか。民間でやれないときには、何らか補助処置をふやしてあげるとか、これは経営自身の問題ですから、そういう問題も一切含めてここで働いている人の給与を今後どういう格好で上げていくか。そういうことについての考えを聞かしてもらいたい。
#70
○国務大臣(古井喜實君) 今のお話のように、昨年の暮れの一一・九のベース・アップ、そのほかに今年度から七・五%のアップ、基礎を直す、低いのを直すという意味の是正の意味の引き上げを企てておるのでありますが、それでよい状態に、満足な状態になったかという点になると、まだ問題が残っていると思うのであります。さらに今後の段階でこの給与全体を引き上げる改善の問題を大いに考えていかなければならぬというふうに思っております。
#71
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#72
○理事(加藤武徳君) それでは速記を始めて下さい。
#73
○坂本昭君 今の藤田委員に対する答弁の中でちょっと問題になる点がありますから、これを確かめておきたい。その一点は、従前の勤務年数についてはこれはやむを得ないから考慮しないということで、きわめて冷談に突っぱねられたんですが、これは非常に私は問題だと思う。これについては具体的に確かに法律の中では処置しにくい点があるでしょう、ありますが、何か別の面でもこれに対しては応急に処置をするという心がまえが私はどうしても必要だと思う。かりに今まで三十年勤めてきて今度入った、それから来年十一月でやめたとします、もう何にもならない。かりに一年でやめたとして四千八百円、これではあまり私は冷談過ぎると思うのです。これに対しては何らか私はいろいろな措置は考えられると思うのです。そういうことを全然もう考慮しないという今の大臣の答弁は少し冷談過ぎると思うわけですので、その点もう一ぺん熟慮の上御答弁いただきたい。
#74
○国務大臣(古井喜實君) そこで、どういううまい方法があるかという方法論にもなってくるわけです。あっさり言ってしまえば制度を起こしてからあとの問題になりますが、そこで前の関係、これはどういう方法があるかという問題になってくるわけですね。これはなかなかむずかしいのじゃないか、うまい方法が考えにくいのではないかしらぬと私には思えるのであります。どういう名案があるか、これも伺ってみないというと、どうも最後的な意見を言ってしまうのも早いですけれども、ちょっと今考え方が浮かんでこないのでありますが、御意見があれば一つこれもお伺いしてみたいと思っております。
#75
○坂本昭君 これはあとでまた系統的にお尋ねしようと思っておったのですが、今でもいろんな労働協約、あるいは就業規則の中にこういう退職の手当の規則を作っている向きもあるのです。そしてその場合に、その原資がいろんなところから私は出ていると思います。ですから、たとえば共同募金と言い切ってしまうのも問題だとは思いますが、共同募金から出す、あるいは地方自治団体から特別に出費してもらう。国の補助はこの法律以外には困難であるとするならば、そういう行き方をもってしてでもこの際緊急の措置をはかっていただきたい。これは一つの一案でありますが、そういうふうな御検討をなさる御意図がおありか、お伺いしたい。
#76
○国務大臣(古井喜實君) ちょっと軽率に即答はできませんですけれども、募金の金を使う、あるいは自治体から出させる――なかなか困難があるのじゃないかというふうにすぐ頭に浮かんでくるところでは思われるのでありますが、まあなお研究はいたしましょうが、どうもちょっときょうの段階でむずかしいのじゃないかしらぬという気が一応するのでありますが、できるものか、できぬものか研究はいたしましょう。一応はそういうふうに思うわけであります。
#77
○坂本昭君 局長から答弁があったらこの際一緒に聞いておきます。
#78
○政府委員(太宰博邦君) どうも事務的な点で恐縮でございますが、こういう制度を作ります場合には、どうしてもお尋ねのようなどうも割り切れない、これは私どもが考えても割り切れないと思うのでありますが、そういう面はどうしても出てくると思うのであります。厚生年金保険なんかを作りましたときにもやはりそうでございました。ことに民間の施設でございますると、まあ他の役所なり大企業とも異なりまして、その給与体系もまちまちであれば、その記録もなかなかきちんと整理されておらないというようなことからいたしまして、今まで何年おられたか、そしてその年限はそれは何年おったということはわかりましても、その間休まれたとか、そういうようなものなんか出てきますと、なかなかこれは公に客観的に信用するようなデータというものは私はなかろうかと思うのであります。結局そういうところに何かするといたしますれば、これはこういう制度としてはただいまのところ乗りにくいのじゃないだろうか。やはりその面はその施設の中であれば一向に、それは施設長が考えてやるということであれば、これはけっこうな話でありまするし、望ましいことでもあると思うのであります。従いまして、制度としてこれをやりますのは、実は私どももその点も考えてみましたけれども、困難であるということでこれは見送ったわけであります。ただ、こういう制度ができますと、この制度自身も、先ほどから伺っておりますと、悪くはないがという程度であまりほめられておりませんようでございますが、従来のあれからみますると、施設の方々もこの制度でも非常に喜んでくれております。そして従来は施設でも決して冷酷な取り扱いばかりしているとは思いません。やはり財源がないから思うように、人様に恥かしいような額かもしれませんけれども、施設長は施設長なりにその職員に出す努力はしていると思いますが、それがかりにこういう制度ができますと、施設長は割にその点は今まで共同募金なりあるいはファンドなりから受け取った金が、ここにしました掛金だけ掛ければ、まあまあ従来よりいい制度が、退職する人に出せる、そうしますと、今までの経過的にこれからオミットされる人について、これはまあ気の毒だという気持はおそらくだれでもあると思いますので、その点に関する手当の方法については何と申しますか、考慮を余分に払って、今まで以上に払うということは、可能性は出てくるかと思うのであります。また、私どももそういうことを施設長としても配慮してもらいたいと思います。これは国なり地方の団体の一つの制度としてもそれを出すということになると、先ほど大臣が申し上げましたように、ちょっと今の頭では困難であると思いますが、このお気持の点はよく私どももわかっておりますので、この法律がもし幸いにして通過いたしまして制定になりました場合には、地方の人たちにも、そういう場合に、どうしても免れがたい経過的な退職の人について従来以上に配慮してやるような、これは何らかの気持で指導し、通知して参りたいと、かように考えておる次第であります。
#79
○坂本昭君 今の局長の一応事務的な答弁を通じて行政指導の面で今の私たちが指摘した点について何らかの、まあでき得べくんば格段の配慮の行なわれることを期待しておきます。
 そこで最初の議論の中で問題になっておりました点、これをもう少し藤田委員の質問の点ですけれども、児童局長と、それから基準局長来ておられますからお伺いしておきたいのですが、その第一表でも社会福祉施設の中で保育所が過半数を占めている。それからまた、人員の、職員の面においても児童福祉施設の保育所が二万三千九百九十三、これも過半数を占めている。そういう点で私はこの際、保育所の保母さんの、公営の保母さんの賃金と民営の保母さんの賃金の最も新しい数、正確に比較し得るものを児童局長から御説明いただきたいと、それからなお、それに関連して労働省もこういう社会福祉施設に対する労働条件というものはお調べになっておられると思いますので、労働省の御所見もこの際伺いたい。
#80
○政府委員(大山正君) 保育所の職員の給与につきまして最も新しい調査の資料は、昨年の四月の厚生省で行ないました給与の実態調査でございます。これは全国の保育所、公立、私立につきまして、十分の一の抽出調査でやった資料でございまして、その実績によりますと、本俸でございますが、本俸だけについて見ますと、公営の保育所の職員、これは保母を含んだ全部の職員でございますが、公営で九千四百六十円、私営、私立は七千三百六十二円、平均いたしまして八千四百三十二円というのが実績であがっている数字でございます。今回の補正予算並びに本予算におきまするベース・アップによりまして地方公務員であります公営の職員につきましては一一・九%上がっているというように推定されますので、その一一・九%を掛けますと、本年の四月の推定といたしましては一万五百八十五円になると考えます。私立につきましては一一・九と七・五が上がりますので、これを計算いたしますと八千七百九十円というのが実態であろうと推定されるのであります。
#81
○坂本昭君 それは今のその最初の三十五年四月は、これは反駁する理由ないのですが、プラス一一・九とプラス七・五で八千七百九十円というのは、これは算術計算であって、これは実態と言い得るかどうかはなはだ疑問だと思います。むしろこの点は労働省に、毎月の勤労統計からどういう数が出ておるかお伺いします。というのは、一一・九%ベース・アップされましても、給与には回らないで、施設の運営費の方にずいぶん振り向けられる。たとえば期末手当の三カ月分でも、これがまるまる給与の方に回っているかどうかについて、厚生省は私は保証できないと思う。そういう点で、むしろ今度は実態として労働者の毎月の勤労統計からどういうものが出ているか伺っておきたい。
#82
○政府委員(大島靖君) 私どもの方で賃金統計、毎月勤労統計でありますとか、賃金基本調査、賃金統計を集計いたしておりますが、ただ保育所でありますとか、児童福祉施設、社会事業施設ということで特に特定産業として出しておりませんので、私どもの方の統計ではわかりかねる、現在のところ、先ほど児童局長が申し上げました統計が唯一の的確な資料ではないかと、かように考えております。
#83
○坂本昭君 それは基準局長、無責任ですよ。この前、先般の当委員会で、婦人少年局長初め来ていただいて、婦人の労働問題についてお尋ねした。そしてそのときに、特に昨年以来病院ストというもの、病院ストはこれは看護婦のストライキと大体見てよろしい、特に婦人労働者の中の看護婦、で、次は保母さんもストライキを起こしますよということで、労働基準法の八条の扱いについても、あのときいろいろお伺いしたはずです。だから、あなたの方では、病院ストライキも一応終息の時期に来ている、保母さんも文句は言うまいということで、何もしないということなら、これは非常に怠慢だと思う。そういうことを言っておられるならば、次には社会事業家が、特に保母さん、これは皆さんも、労働関係も、日雇い労働者の方やその他がずいぶん保育所のお世話になって労働条件が満たされている。だから、私は特にこれに重点をおいて調査をしていただきたい。今そういう資料がないと言われるならば、期限を切ってすみやかに、特に、このほかのむずかしい社会施設についてはこの際申し上げません。保育所について、保育所の保母の実際に取っている賃金について御調査いただきたい、いかがですか。
#84
○政府委員(大島靖君) 社会事業施設あるいは児童福祉施設あるいは保育所の労働条件の問題について、かねて坂本先生から非常に格別に御心配をいただいております。実は私どもの方の基準法の監督につきましても、現在までのところ他の業種と一括して集計をいたしておりますので、社会事業施設だけの結果を今申し上げかねるのでありますが、ただ、去る三月に私どもの方といたしましては、本年度の基準監督の重点といたしまして、社会事業施設関係の労働条件について、特別にこれを調査し、また、指導していく、こういうことで私の名前で通牒を出しましたし、先般来全国の基準局長会議、労働部長会議におきましても私から指示をいたしました。なお、本日、全国の監督課長会議をやっておりまして、ここにおいてもそのことを指示しておきました。この監督と申しますのは、いわゆる摘発的な監督ではなしに、むしろ調査的な監督、この実施いたしました結果を私の方で集計いたしまして、さらに労働条件の向上につきまして、厚生省ないしは各県の民生当局と連絡いたしまして、労働条件の向上に努めたいと、かように考えております。
#85
○坂本昭君 今の基準局長の答弁だと、そういう通牒を出した結果、明確な労働条件が保育所について集大成される時期はいつごろになりますか。
#86
○政府委員(大島靖君) 大体、特に期限は切ってはおりませんが、私どもの年間を通じての重点計画にいたしておりますですが、私どもといたしましては、大体四月、五月、六月、この辺を監督実施いたしました結果を一応取りまとめてみたいと、かように考えております。
#87
○坂本昭君 この際伺っておきますが、社会事業関係の、特に保育所の労働時間の問題、これについて労働省と厚生省が見解を統一して、労働基準法の第八条については、保育所は十三号に該当する事業として規定をする。さらにまた、労働時間については一日九時間の五十四時間、そういう見解を統一せられて、そうしてこれは通牒として出されたのですか。これは労働省並びに厚生省にお尋ねします。
#88
○政府委員(大島靖君) 保育所につきましては、私ども基準法八条の関係においては、十三号と解しまして、全国的に私の名前で通知をいたしております。
#89
○政府委員(大山正君) 保育所の労働基準法の適用関係が第何号になるかという点につきましては、他の収容施設につきましては、すでに昭和二十三年に十三号該当であるということがはっきりいたしておったのでございますが、保育所につきましてははっきりいたしておりませんでしたので、労働省にいろいろ見解をお尋ねしておったのでございますが、先般残っておりました母子寮、保育所につきまして御回答がございまして、保育所については八条十三号であるという御見解にきまりましたので、私どもの方もそれを受けまして、各地方にその旨を通知し、労働基準法の適用について誤りのないようにということを通達した次第でございます。
#90
○坂本昭君 労働時間の問題……。
#91
○政府委員(大島靖君) 労働時間の問題について、特に通知はいたしておりませんが、十三号ということになりますと、十三号関係の労働時間の適用になるわけでございます。
#92
○坂本昭君 そうしますというと、今の公営の保育所の場合、一万五百八十五円、私営の場合は八千七百九十円、この二つにかなりな差がある。さらに労働時間からいって、かなり長期にわたっている。この場合、公営の場合に、他の保育所以外の職員の賃金はどうなっておりますか。
#93
○政府委員(大山正君) 御質問は、収容施設……。
#94
○坂本昭君 いや、一般の公務員です。つまりこれは公務員たる保母さんのあれは賃金でしょう。だから一般公務員の場合はどうかというのです。
#95
○政府委員(大山正君) 一般公務員の給与ベースのお話かと思いますが、的確な資料を持っておりません。ただ、公営の保育所につきましては、当然その市町村の俸給表に従いまして給与がきめられておりますので、その市町村のおおむね一般職員の俸給表を使っておりますので、一般の給与ベースに相当する。ただ、学歴でありますとか、経験年数でありますとかが違いますために、一般の職員のベースと保母だけを取りました場合に、金額としては違うと思いますが、基礎となります給与制度といたしましては、それぞれの市町村の給与制度に従っている、かように考えております。
#96
○坂本昭君 実は公営の保育所といえども必ずしもそこの市町村できめられたものでまるまる行なわれていると限らないのです。ということは、民間の保育所が非常に低いから、それに引きずられて落とされている面が多々ある。だから、私がこの際あなたに伺っているのは、去年の十月以来公務員ベースは二万六千八百円。だから同じ公営の中でも、一般公務員と保育所の人ではまた雲泥の差がある。その雲泥の差がある同じ保育所の中でも、公営と市営ではまた差がある。私はそういうふうにつかんでおるのですが、それはいかがですか。
#97
○政府委員(大山正君) これは各市町村につきまして、実情を、その市町村の一般職員とどうであるかということを比較しなければはっきりいたさないわけでございますが、私どもといたしましては、お話のような例も若干あろうかと思いますが、概括的に申し上げまして、やはり市町村の一般職員の俸給表によって、保母の給与がきめられている、さように考えております。
#98
○坂本昭君 それではこの際伺っておきたいのは、今の市町村の保母以外の人たちの給与が幾らになるか、そうしてその人たちの退職金は幾らになるか、そのことと、保母さんの現在のベースは、この四月では一万五百八十五円になっている、そうしてこの人たちが一年、二年勤めた場合の退職金は、先にこの表に示された通り、それとの比較はどういうことになりますか。
#99
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#100
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて。
 暫時休憩いたします。
   午後一時四分休憩
   ――――・――――
   午後二時八分開会
#101
○委員長(吉武恵市君) それではこれより委員会を再開します。
 休憩前に引き続き、社会福祉施設職員退職手当共済法案の質疑を続行します。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#102
○政府委員(大山正君) 午前中の御質問にお答えいたしますが、まず、各地方公共団体におきます給与の実態について自治省にも問い合わせてみたのでございますが、現在のところ、新しいベース・アップによる給与の実態についての的確な数字がまだはっきりいたしておらないようでございます。東京都と横浜市を調べましたところによりますと、三十六年の三月現在で、東京都では一般公務員のベースが三万九百円、保母につきましては公立の場合二万二千九百三十七円、私立の保母が一万八百五十六円、横浜市が、一般公務員が二万七千八百七十三円、保母は公立の場合二万四円、私立が八千七百九十九円、これはただいま電話で照会して得た数字でございます。なお、これは三月現在でございますので、私立の保母につきましては、七・五%のベース・アップがございますので、その点はまだ加味されてない数字になっております。
 それから全国の保母の平均の経験年数といたしましては、先ほど申し上げました昨年四月の実態調査によりますと、ほぼ七年というような数字が出ております。それから町村の方の実態につきましては、的確な数字がございませんのですが、高知県で昭和三十五年度に調査したところを御参考までに申し上げてみますと、高知県の市の女子職員の平均の給与が一万一千五百二十四円、町村の女子の職員は八千三百六十一円、それから保育所の保母につきましては、全体の平均が九千百四十五円、そのうち公立につきましては、公立の保母が九千八百七十五円、私立の保母が八千二百五十円という調査がございます。これは昨年の、昭和三十五年五月の実態調査でございますので、今回の一一・九%並びに七・五%のアップはない前でございます。それからその給与には、本俸のほかに暫定手当を含んだ基本給ということになっておりますので、つけ加えておきます。
 十分な調査ができませんでしたが、ただいままでにわかりました一般公務員のベースと、公立、私立の保母のベースの比較というので得られました資料だけ、御報告申し上げまして、お答えにいたします。
#103
○説明員(実本博次君) 保育所におきます保母さんの、私立の場合と、公立の場合の、退職金の比較表を作ってみましたが、手持ちの資料で、三十五年の四月現在で、公営の保母さんの勤続年数別の平均給与が出ておりますので、それを一一・九%ベース・アップいたしましたが、それぞれの地方公共団体でやっております退職手当の共通的な要素として、国家公務員の場合と同じ率で計算いたしましたものを読み上げます。
 一年の勤務年数で、一年でやめました場合、この制度で参りますと、御承知のごとく、普通退職の場合四千八百円、それから自己都合以外は八千円というふうになっております。公立の場合ですと、普通退職が四千五百円、それから自己都合以外が七千五百円、こういうふうになるわけです。それから二年でやめます場合を考えますと、普通退職で、こちらの制度におきましては九千六百円、それから自己都合以外の場合が一万六千円、こういうふうになっておりますが、それに対しまして公立の保育所におきます場合は、普通退職が九千八百七十円、それから自己都合以外の退職の場合は一万六千四百六十円というふうになってございます。そしてずっと参りまして、一番在職年数の最も多い七年をとって考えますと、この制度におきましては、普通退職で四万二千円、それから自己都合以外が五万六千円、公営の場合におきましては、普通退職で五万四千四百十円、自己都合以外で七万二千五百五十円。それから十年のところをとって考えますと、本制度におきまして、普通退職で六万円、それから自己都合以外八万円。それから公立の場合をとって計算いたしますと、普通退職が八万八千二百五十円、自己都合以外の場合が十一万七千六百七十円、こういうふうなことになるわけでございます。
#104
○坂本昭君  今の貴重な資料によって、保母の給与が一般の公務員よりも、特に東京と横浜の場合は、きわめて低いという、まあこれはもちろん女子という特異性もありましょう。しかし、私立の場合には、格段の差があるということが、非常に明確であります。さらに今の退職金の金額につきましても、七年程度のところで、やはり一万数千円の差がある。いろいろな点で、ふだんの労働条件も非常に悪いことは明白であります。
 で、こういう事実をもとにして、先ほどの厚生大臣と藤田委員との質疑の内容の、百分の百にするかどうかというような点も、これはあとでまたもう一度検討を加えてみたいと思いますが、この際さらに前へ戻りまして、民間の社会福祉施設の数については、ここに統計をあげていただきましたが、これのまた職員の数も一応出ておりますが、これについて、規模別の数というものはありませんですか。つまり五人以下の施設――五人以下というのは非常に少ないと思いますが、五人以下の規模の施設あるいは三十人以下あるいは百人以上、こうした規模別に、どういうふうに職員が配置されているか、こういう数字、御説明いただけますか。ということは、あとで伺いたいのは、今度のこの任意加入に、一体どれだけ加入するかという私は問題が検討できるのではないかと思う。厚生省では、四万人という数を見ておられますが、これは施設の大きいものは加入できるだろうが、施設の小さいところは、任意加入では加入しがたいのではないか。そういう点で、皆さんの方で、規模別に職員数というものをつかんでおられるかどうか、それを伺いたい。
#105
○政府委員(太宰博邦君) ただいまのお尋ねの件でございますが、どうも申しわけないのでございますが、規模別の資料というものは、ただいま私の方にございません。これはだんだんそういうものは、整備して参らなければならぬと思いますけれども、ただいまのところございませんので、率直におわびを申し上げまして、御了承を得たい。
 それからあとの方で、任意加入制度をとっているようであるが、その場合に、小さい施設では入りづらいのじゃないかという御懸念のようでございますが、私どもは先ほどの第四表でお示し申し上げましたように、一人当たり年負担額が最初の三十七年は半年分は別といたしまして、その趣旨から年間になりましても二百円からだんだんいって、これが年額でございますから、たとえば二十年後にいきましても千八百円くらいですから、一人、月にしますと百五十円程度になる。ある施設全体としては平均六人余ほどのあれでございまするので、中には大きい施設もございますが、小さい施設、かりに五人程度といたしましても、先ほどの二十年くらいたった後におきましても、二千円足らずのものの五倍にしますと一万円を年に払う。そうしますと、月に一人頭二千円足らずでございますから、施設の方としましても、従業員に気持よく働らいていただくための負担としては、これは十分負担してもらえるものと、こういうふうに私どもは考えている次第であります。
#106
○坂本昭君 先ほどの資料の第四表に加入者数を三十六年度は四万人と見、それからあと退職者数が三十七年、三十八年と大体五千人程度の退職者を見ておられます。この根拠は何かあるのですか。
#107
○政府委員(太宰博邦君) この退職の数は、三十五年の四月に給与の実態調査をいたしまして、その施設におきます、過去三年間におきます退職者の方々についての勤務年数ごとのあれを調べまして、そういうふうなものを基礎といたしまして、大体退職率を出しましたのが、約一六%というふうになっております。まあこういう制度が出ますれば、若干でもその腰を落ちつけていただけるであろうということによりまして、その退職者の減少を多少予定を修正をいたしまして、大体年間一三%くらいというふうに私どもの推計でございますが、それによって出しましたものが、先ほどの御指摘の数字でございます。
#108
○坂本昭君 そうしますと、七十三円の根拠になった退職手当金額の、たとえば三十七年度の八百八十万円、あるいは三十八年度の二千四百九十六万円、この金額は今の一三%に基づいて計算した退職手当金の総額になるわけですか、つまり勤務が一年くらいでやめる人もあれば、十年くらいでやめる人もある、相当これは複雑な計算だと思うのですね、相当な根拠がなければ七十三円というのは非常に安いからということは言いにくいと思うのです、そういう点についていかがですか。
#109
○政府委員(太宰博邦君) これは先ほどの午前中の質問にもございましたように、この制度がいわゆる平準化するまでには相当、三十数年かかるというふうに私ども考えている。従いまして、当初はやはり従来何年かおられた方も、一応一年とか二年という計算にしております。それで退職の数は先ほど申しました加入者のありましたものから一三%ほど退職される。それからやはり社会福祉施設が年々若干ずつふえていく、そういう自然、増を片方において出しまして、そういうような差引計算の結果が、そこに加入者数と退職者数の間が出まして、さらにその中で一年未満でやめたような方には退職手当が参らぬ建前にしておりますので、そういうものを落としますと、大体そこの右、ちょうどまん中辺に出ます、三十七年は半年分ですが、千八百三十四、三十八年が三千八百二十八、大体退職手当金受給者の数を基礎といたしまして、そして先ほどの計算で退職手当金の総額を出した、かように御了承いただけばけっこうだと思います。
#110
○坂本昭君 これらの民間の社会事業施設に働いている職員に対する健康保険、厚生年金保険、労災保険、失業保険及び中小企業の例の退職法、これが現在どういうふうに適用されているか、その実態を伺いたい。
#111
○政府委員(太宰博邦君) この社会保険関係では大体、大多数の場合は五人以上のものについて強制適用になり、これは私の施設でもみんな入っております。五人未満の場合には御承知の通り、任意加入になっております。それで、入っているものも若干はあろうかと存じますが、先ほど所管の局にもちょっと問い合わせてみたのでございますが、その辺がつかんでおりませんので、五人未満のものはちょっとお答えいたしかねます。それから中小企業退職共済にこういう施設が入っているものがあろうかというお話ですが、調べましたところ非常に少なうございまして、私どもの調べたところでは、五つの施設ですから、まあネグってもいい程度のものだろうかと思います。
#112
○坂本昭君 それではもう一ぺん念を押しておきますが、健康保険、厚生年金保険、失業保険、それから私は労災もたとえば精薄の施設とか宿提とか、そういうところでは暴力をいつこうむるかわからぬし、勤務上から労務災害の危険があると思うのです。そういう考慮は現に払ってありますか。
#113
○政府委員(太宰博邦君) たしかあれも強制適用になっておったかと思うのでありますが、私の方では、そういうものに必要な事業主の掛金は措置費の方でみておりますから、当然それは適用されておるはずであります。
#114
○坂本昭君 そのことはもう一ぺんあとでお尋ねしますが、どうもそういうふうにいってないように私は現実は見ていますが、次は、施設の経営の実態、一番心配するのは一応先ほどから厚生大臣、自治大臣は、それぞれ県と国が三分の一ずつ見るから施設は三分の一という一つの安心感を持ってますが、しかし、それにしても二十年後には約千七百九十一円で十人おれば一万七千円、そう軽い金額ではないと思うのですね。そこで、この際に施設の経営の実態を聞いて、この程度の金が出し得るという見通しを一つ伺いたい。まずその保護施設に対する委託事務費、それから全般的にここにあげられた民間の社会事業、社会福祉施設の経営の状況がどうなっているか。それから特に保育所、保育所については児童局長から保育所の経営の実態が今どうなっているか、赤字のために閉鎖された保育所もかなりあると私は見ております。その二つを伺いたい。
#115
○政府委員(大山正君) 保育所の経営についてでございますが、措置費によりまして現在保育所の経営をまかなっておるわけでございますが、昨年度の予算に比しまして本年度は人件費の面あるいは給食費の面等におきまして単価を上げましたので、昭和三十五年度の当初予算におきましては、全国平均で幼児一人につきまして千五円四十九銭という保育単価でございまして、本年度は千二百九十九円十七銭というような措置費の単価に相なっておるのでございまして、もちろん私ども十分とは考えません。公立におきましては公共団体において相当持ち出しております。私立におきましても若干施設において持ち出しておるという面があるのでございまして、十分とは申し上げかねますが、今後さらに特に人件費に重点を置きまして、これらの措置費を充実してその向上をはかっていきたい、かように考えております。赤字のために閉鎖になったというのは特に私具体的に承知いたしておりませんのでございますが、一、二他の施設に転換した、これは御承知のように、子供の絶対数が減ったために、ある地域において特にその現象が強く現われて適当な児童数が得られないというために、他の施設に転換したというような例は一、二ございますが、年々新しく保育所がふえて参ります。国庫補助の、保育所の設置の補助につきましても非常に要望が多いのでございまして、さらに民間において新たに作るために認可してほしいというのも年々多数ございまして、十分とは申し上げかねまするけれども、現在の措置費単価でまかなえる、かように考えております。
#116
○坂本昭君 今保育所の問題について児童局長から説明がありましたが、先ほど高知県の実例をあげておられましたが、高知県で卑近な例をとりますと、中村市という人口四万の市があります。そこでは例の措置費の改善の方式をとってから六つ保育所が閉鎖されている、それからごく最近は五つ保育所が部落に委託になっております。それらは全部経営の困難のためになっているのであって、もちろんその反面、今度の僻地保育所などに対して高知県は九十カ所くらいの要望を出していますが、今の局長のお考えだと、保育所の経営はどれもこれも黒字でうまくいっているというけれども、それは私は事実に反していると思うのです。ただ、そこでいま一つ伺っておきたいのは、今の委託事務費の中に保育所の場合は健康保険から労災、厚生年金、失業保険、これは全部入っておりますか。
#117
○政府委員(大山正君) 社会保険の負担金を措置費の中に計上いたしております。
#118
○坂本昭君 幾ら。
#119
○政府委員(大山正君) 労災につきましてはちょっとはっきり記憶いたしません。
#120
○坂本昭君 幾ら入っているか、金額で説明して下さい。
#121
○政府委員(大山正君) 社会保険の負担金といたしまして、地域によって異なりますが、甲、乙、丙の甲地といたしまして、年間一人当たり六千円、乙地四千六百八十円、丙地四千八十円ということに相なっております。
#122
○坂本昭君 その内容は健康保険だけ……。
#123
○政府委員(大山正君) 内容特に示しておりません。
#124
○坂本昭君 それはちょっと困るのですが、これはあれでしょう、健康保険、厚生年金保険、失業保険、それぞれ一体どれまで入れているものか、保母さんの社会保障についてはどれとどれとどれを見ているのか、その点はこれは明らかにする必要があるし、また、その甲地六千円とした場合、その根拠はどこから生まれてきているか、これは保険料の率もわかっているのですから、私は当然根拠があるはずだと思うのです。なぜやかましく申しますかというと、こうして退職金の問題についていろいろとしていただくことはまことにけっこうですが、その前に、今の健康保険だとか、失業保険だとか、厚生年金保険、こういうことの手がどうも抜いているのではないか、実際は生活保護の施設、社会局の施設には予算に入っていると私は思うのです。ところが、保育所には入ってないのではないかというので、特に保育所の問題についてもう少し明確な御答弁をいただきたい。
#125
○政府委員(大山正君) 今この内容の内訳の資料を持っておりませんので、後刻調べましてお答え申し上げます。
#126
○坂本昭君 それでは社会局の保護施設について御説明をいただきたい。
#127
○政府委員(太宰博邦君) 保護施設に収容している人の処遇費は、一般生活費、これは申し上げるまでもありませんが、運営のための事務費でございますが、これを養老施設で申し上げますと、これも収容人員のあれによって幾段階かに分けておりますが、一番少ない五十人までの施設で申しますると、一般事務費が、これが最高月額収容者一人につき三千六百三十五円、それから一番低いところで三千三百円、こういう事務費を支給いたしております。年額になりますと、一番高いところが二百十八万円、低いところは百九十七万九千……。
#128
○坂本昭君 こまかいところはいいです。経営の状況はどうかということです。
#129
○政府委員(太宰博邦君) 民間の施設の経営状況でございますが、これはどうもはっきりした数字は申し上げかねるのでございますが、午前中の御質問にもあったかと存じますが、わが国の社会福祉事業というものがそもそも伸びましたのは、民間のあれからスタートしてきたということで、社会保障ということになりましてから、国が急速に力を伸ばしておりますが、何と申しましても、その生い立ちが民間の施設から出てきたと申し上げてもいいのではないかと思うのでありまして、従いまして、古くからありまする施設には、やはりそれはそれなりに、相当年期の入った、筋金の通った経営をされているものもあると思います。ただし、中にはそれは今日から見ますると、非常に経営の、給与の面ばかりではなしに、経営のやり方につきましても近代的な感覚が欠けているものも私は間々あるのではなかろうかと、実はそういう点につきまして、時代がこういうふうに変わって参り、しかも政府も社会福祉事業の振興に一つ力を入れようというときでございますので、まあ民間の経営のよさはよさとして、いいところは残しておきますけれども、ただいま申しましたような取り残されている面は、施設長のまず第一に頭の切りかえから始まりまして、そしてそこに働いている職員の人たちにも、昔と違ってただ奉仕々々というわけにはもう参らない時代が来ておりますから、やはりそこに喜んで働いていただけるだけの給与なり、あるいは勤務形態なり、あるいは少なくともそこの職員の人たちに対する人格を認めて、みんなが協同、一緒に、気持を一にしてやる、そういうことでなければそこに収容されている人たちの処遇に欠けるところが出てくるのではないか、かようなことに考えましていろいろ指導をいたしておるつもりでございます。ただ、何と申しましてもその基本になりますものは、やはり給与その他の処遇の改善であろうかと思うのです。これはおくればせであるかもしれませんけれども、昨年来その方面にいろいろ手を打っているような次第でございます。なお、定数とか給与、勤務その他の条件等につきましておそらく足りない点もあろうかと思います。今後努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#130
○坂本昭君 きょうは施設の運営そのものについてこまかくお尋ねする機会ではありませんからそれを省きますが、ただ、今言われた中で、これは社会事業の施設だけではありません。病院の問題について、先年来の病院のストを通じて病院の管理のために特別な懇談会など作られて、そしてその病院管理の向上のために厚生省は今検討しておられます。私は、同じことが社会事業の各施設についても行なわれるべきだと思います。だから、その点は当然お考えになっておられると思いますから、その点は十分これをやっていただきたいことと、それからもう一つ、生活保護施設の場合には委託事務費の中に今の保険、国民健康保険その他のものが入っているというふうに私は聞いておったんです。で、それが先ほど、保育所の方はまああとで説明いただくということですが、生活保護施設の場合にはどういうふうに入っているか、その内容は何と何と何が入っているか。もしこれもあとでお調べになってからでないと説明ができなければあとでもけっこうです。
#131
○政府委員(太宰博邦君) この点は児童福祉――保育所も社会福祉所管施設も同じでございまして、児童局長が先ほど申し上げましたように、六千円という額でまるめて入っておるわけでございます。
#132
○坂本昭君 それでは後ほど児童局から……保育所の方にも入ってないという意見を私は聞いているんですがね。保育所の中にはそういうものを持っていない施設があるやに聞いておりますから、お調べの上で御説明をいただきたいのです。
 それから次に、今度はこの法案の内容に少しずつ触れていきたいのですが、まず、今度の退職金は、これはいわば賦課方式であります。そして、一般に民間ではもうかねがねから希望があったのですが、民間のかねがねの希望は積立方式を希望しておったと私は理解しているのです。で、その積立方式がなぜ今回とることができなかったか、その点はどういう理由があったか、御説明いただきたい。
#133
○政府委員(太宰博邦君) お尋ねのように、私の方では賦課方式を採用しておるわけであります。この積立方式をとらないで賦課方式をとったという点でございますが、大体、積立方式と申しますのは、厚生年金などの例でもとくと御承知の通り、将来、平準化いたしましたときに、所定の給付をいたしますその額をそのときの保険料でもってまかなうということにしてはあまりにその額が大きいために、あらかじめ積み立てをいたしまして、その積み立てたファンド――資金からの利子とそれから当該年度の積立金――掛金とでもって当該年度の給付をまかなうと、こういうのが大体積み立てをせにゃならぬ大きな理由だと思うのでございます。ところが、こちらの退職手当共済制度におきましては、先ほどからるる申し上げましたように、大体、最も多くなるのが三十数年後だと思いますが、そういう平準化しましたときにおきましても大体給付の総額は約四億円ぐらいだろうと私ども思っております。それを国と都道府県が三分の二を負担いたしますと、施設長が負担いたしまするのは一億何千万円という程度でございまして、この程度のことでございまするならば、あえて積立方式というものをとっておかなくても、その年のあれでもってまかなえるんじゃなかろうかと。それから、積立方式をとるとなりますと、それに伴いまして非常にむずかしい問題が出てくるわけでございます。ことに物価との関連というような問題が出て、これは今でも大きな問題として厚生年金等に問題になっておるわけです。で、私どもといたしましては、そういう無理をして積立方式をとらなくても、これでまかなえるということなら、もしそういうふうならばこの方がいいということが第一でございますが、さらに、もし積立方式をとるといたしますと、その将来の分についての見合う分も今からかけねばならないと、こういうことになるわけでございます。そこで私どもは、ちょっとずるいと申しましては恐縮でございますけれども、当面の問題といたしまして、なるべく公務員並みにできるだけ多くの額を退職した人には差し上げたいと、そしてしかも、それを負担する場合に、施設長が、経営者が負担できる程度にする、それも極力少なくして、というふうにしてあげたいと、こういうことでちょうど二律背反みたいでございます。掛金はなるべく少なくして、そして給付はなるべく多くしたいというようなことを考えているわけで、さような点からいたしますると、この制度の運営自体において常に効率的運営を考えなければならないし、何と申しましても、この積立方式ということになりますと、この分だけは掛金が余分になるわけであります。まだ民間の施設の方々も一〇〇%どんな負担をしてでも給付をよくするために全力を注ぐというには、私どもも今後この制度を運営しながらお互いに啓発し合ってだんだんいいものにしていきたいと思います。最初からすぐそういう点までやりますると、先ほど御心配がありましたように、全部がこれに入ってくるということを望ましいといいながら、それが二の足を踏むという人が出てきてはいけない、かような点を考慮いたしまして、今回は積立方式をとらないで、賦課方式をとったわけであります。大体労災保険などでも賦課方式をとっております。それから失業保険などにおきましてもやはりその本質は賦課方式であろうというふうに考えた次第でございます。
#134
○坂本昭君 大体従来厚生省は、積立方式が非常に好きなのです。今度賦課方式をとるということは、だんだんと社会党の考えに近づいてきたということで、これはしかしそのことと今回のこの方式との問題については若干いろいろまだ議論する点があると思います。ただ、民間の人たちが積立方式を希望しておったことは、その理由とする点は、まだほかにあったと思うのです。それは退職金を望んでおることは、これは当然であり、これによって非常に民間の社会事業家が喜んでいることも当然ですが、実は民間の人の希望は、やめるときに退職金もほしいが、ふだんから病気になった場合、あるいはいろいろな天災、地変にあった場合に、そういう場合にも、何らかの補償をしてもらいたい、そういう希望があった。そういう希望を満たすためには、賦課方式よりも積立方式で、言いかえれば単に退職金だけもらうだけでなくして、さらに一歩進んで厚生福利的付帯事業まで行なってもらいたい、それによって窮迫した社会事業家が生活に希望を持ち、自分の仕事に希望を持てるようになっていきたい、私はそこにねらいがあったと思うのですが、そういう点では今回賦課方式をとるとしても、将来そういう事業の中に社会事業家の福利をはかるための付帯事業的のことをお考えになる、そういう計画、御意図はありませんか。
#135
○政府委員(太宰博邦君) 積立金ができますれば、その積立金というものを有利に運営しながら、その一部をその関係の人たちの福利に使うということは、これは厚生年金でも、国民年金でもあるわけでありますが、しかし、当然それでいきますると、相当掛金の方もふえるわけでありますが、率直に申し上げまして、どうもそれはこの制度のねらいとしてはあくまでも副次的なものでございまして、やはりここではできるだけ、金もうけをやる事業ではございませんから、少ない掛金で効率的な運営をして、そしてできるだけその限度で有利な退職金を上げる。これに徹した方がいいんじゃなかろうか。
 それから今の民間のそういう施設のいろいろな福祉をはかるような措置も考えて参らねばならぬと私どもは思っておりますが、それは先ほど午前中出ました社会福祉事業振興会、あれは法律によりまして、社会福祉事業に従事する者の研修とか福利厚生というようなものに対して助成を行なうということがその目的の一つにあるわけです。これはただいまのところは資金がどうも十分でないものでございますので、そちらの方は率直に申しまして発足しておらないわけでありますが、近いうちにその資金の方でその辺のめどがつくようになりますれば、この振興会にそういうことをさせるようにした方がかえって効率的でないか。まあ積立金ができるのもけっこうでありますが、その運用をめぐりまして、またすったもんだの議論が出て、いろいろ、必ずしも私どもそれが望ましいと申し上げるわけにもいかぬ面もございます。ただいまのところはそういうように考えないで、退職金をできるだけよくしてあげると、こういう方面を中心に考えて参ったわけでございます。この辺で御了承いただければありがたいと思います。
#136
○坂本昭君 積立金のことについては、これは厚生省あまり遠慮しないで、私たち社会党は、大蔵省の資金運用部資金に入っていく厚生省からの積立金は全部厚生省に差し上げようと思っているのですから、あなたの方で遠慮しないで使っていただけるようにお願いしたいのです。
 そこで第二条のこの定義のところにあります第一項の問題ですが、民間の社会福祉事業に従事しておられるすべての職員の方々はみんなこの対象になるというふうな気持を持っておられるんだと私は承るのですね。ところが、実はこの措置を受ける施設にのみ限定をして、措置を受ける施設ということですね。そこで、たとえば団体は対象外になってきます。たとえば全社協とか県社協ですね、こうした一番社会事業家としての各地域のベテランの方々は、この団体におりながらこれは対象外になってくる。もちろん施設の職員は入ることができるんだけれども、その施設を経営している団体の諸君は入れない。こういう矛盾も起こってくる。この点については今後どういうふうに措置されるお考えですか。
#137
○政府委員(太宰博邦君) これは先般補足説明の際にもちょっと申し上げたのでありますが、民間の社会福祉施設全部を取り入れるとまでには至っておりません。まあその中で公的な色彩のきわめて強い、援護、更生等の措置を委託したものだけにこれはしぼりました。それは特にそういう施設におかれましては、本来国なり都道府県なり地方公共団体で行なうべきものをお願いしておる、その場合において、そこに働く職員の人たちにはせめて、給与の面もそうでございますが、この退職手当の面におきましても、その公立の施設に働いている人たちと同じようなものをしてあげたいと、こういうような気持から出ておるものでありまするから、さしあたりそういうものにしぼってこれをやったわけであります。それで特に国、府県から合わせて三分の二という、まあほかのこういう類似の施設では補助としては見られない私どもとしては高率の補助と思いますが、そういう補助を仰いでやるわけでございまするので、その点からすべてを入れるというわけにいきません。特にそういう色彩の強いものに第一段階においてはしぼってやって参った。従いまして、社会福祉協議会のような団体あるいはこの同じ施設を経営しておりましても、その本部に勤めている人には適用はいたしません。その施設に、ずばりその施設で働いておる人ということに今日はしぼったわけでございます。お尋ねのそういう人たちにつきましては、やはり今後の問題として、まあ、この制度の発展の過程において私どもも参加していただくようにはいたしたいという気持はございまするけれども、今日のところは、先ほど申しました趣旨でこれはある程度しぼらざるを得なかったということを御了承いただきたいと思います。
#138
○坂本昭君 次に、対象施設のうちで少し具体的な例をあげていきますと、売春防止法に規定する婦人保護施設、これは十二施設、約六十名、人数は少ないのですが、婦人保護施設ですね、これは第二条五の政令で定めるものの中に入れるおつもりですか。
#139
○政府委員(太宰博邦君) お尋ねの通り政令で入れるつもりでございます。
#140
○坂本昭君 同じように、今度は法務省関係の更生緊急保護法に規定する更生保護施設、これが百七十四施設、約六百名あります。これは法務省で見ておる更生保護会が運営しているようですが、これも実は県費が全然出されていないという関係で今度の対象施設になっておりませんが、これも今の第五項に入れるお含みですか。
#141
○政府委員(太宰博邦君) 更生緊急保護法によりまする更生保護関係の施設は、お話にもございましたように、都道府県の責任はないわけでございます。従いまして、今直ちに都道府県からの補助を予定しております本制度へこれを加入させるということはむずかしいと思います。しかし、実際この仕事の中身を見ますると、まあ社会福祉事業に類似しておるのでありまして、一部の府県におきましては若干そういう方面の補助もしておるところもあるわけでございます。将来は私どもはこの制度へも取り込むという方向で関係の省ともこれは御相談に十分乗っているつもりでありますが、ただいますぐにこれを入れるということは今のところは考えておりません。
#142
○坂本昭君 社会福祉事業法による授産施設、これも百六十七施設、七百六十八名おります。これはどうされるのか、こういう点を一つ。
#143
○政府委員(太宰博邦君) これは保護施設でございます場合においては第二条の第一項一号に書いてございますように入れますが、保護施設でございません場合におきましては、これは今後の問題でございまして、ただいまのところはこれは入れないつもりでございます。
#144
○坂本昭君 今の、保護施設でない授産施設も、これは民間の社会事業施設としては相当私は苦しい経営をしていると思うのですね。だから、これなどは一つ第二条の五の政令で定める中に入れるようにしていただきたい。また、その次にありますが、たとえば社会福祉法人の養老施設は九つほどあるようですが、身延山の功徳会、こういったものは今の政令で定める中に入れますか。
#145
○政府委員(太宰博邦君) 養老施設の生活保護法で認可を受けておりますものは、先ほどの一号の中へこれはまあ加えます。それが経営主体が宗教法人でありましても、私の方はかまわないと思いますが、もしそうでない、それ以外で養老事業をやっているということでございますと、先ほど来申しました趣旨で、今すぐにはちょっとむずかしいかと思います。
#146
○坂本昭君 そうしますと、たとえば無認可の保育所あたりはだんだんと大きな問題になってくると思う。これは一つ、数がどのぐらいあるか、児童局長から御説明いただいて、これも今の趣旨でいくと、これは入らぬということになりますが、これは民間の一つの社会事業として重大なもので、これも何とか政令の中に一つ入れていただきたいが、この点いかがですか。
#147
○政府委員(太宰博邦君) 便宜私から先に申しますが、無認可保育所につきましては、認可されていないというところに、私どもとしてはやはり一応の線を引かなければならぬと思います。これを認可する、あるいはこれをどういうふうに育てるかという問題は、前からありまして、児童局としても、お考えになっていることだと思っておりますが、その辺が固まらないと、私どもの方が先にこれだけ入れるということも、ちょっと困難であろうかと思います。
#148
○政府委員(大山正君) 無認可保育所につきましては、昭和三十三年に調べました資料がございますが、それによりますと、施設の数といたしましては、千三百三十八の無認可保育所がございます。このうちには、もちろん、非常にデラックスなと申しますか、自分たちで十分経営もできるということで認可を受けないというものもございますし、あるいは児童福祉法にいうような最低基準に合致しないために認可を受けないというような、いろいろ種類がございますが、私どもといたしましては、デラックスなものはともかくとして、そうでないものにつきましては、漸次認可を受けるように一つ指導をいたしたいと、どうしても子供の数その他で十分福祉法にいうような最低基準には合致しないというようなものにつきましては、僻地保育所のような制度も活用して参りたいと、かような考え方を持っておるわけでございます。
 それから先ほど御質問のございました社会保険の負担金の問題でございますが、これは厚生年金と、それから健康保険、失業保険、この三つを積算の基礎にいたしまして、本俸に批例した額で、先ほど申しましたような金額を単価の中に入れておるわけでございます。お話のように、実際に入っておらない施設も若干あるのでございまして、これらは一つ十分今後指導して、これらの点に欠けることのないように努めて参りたいと思います。
#149
○坂本昭君 次にもう一つ、医療保護施設になっている、たとえば賛育会とか、済生会病院、これの扱いはどうなりますか。
#150
○政府委員(太宰博邦君) 保護施設の中に医療の施設があるわけでございますが、これにつきましては、私の方で事務費も出しておりませんし、それから診療報酬の方にそこに働く人の退職引当金というものも見込んでおる由でございますので、私の方では今回は落としておるわけでございます。
#151
○坂本昭君 次に、第三条の契約の問題について伺いたいのですが、今回の法案では任意加入ということになっております。そこで、先ほどそう心配はないと言われるのだけれども、財政的に余裕のある施設は加入できるが、余裕のない小さい施設は入らないであろうということが予想されるわけなんですね。むしろこういう小さい施設にこそ退職金が必要なのだから、こういうものを加入させるように考えなければならないと思うので、そのために、むしろ強制加入方式をとるということも一応考えられるのではないか。そのためには、掛金の金額を委託事務費、施設の事務費の中に計上していく――今伺うというと、社会保険などはこれに含まれているということですが、この中に含むという形で、小さい施設もみんな強制加入というふうにしてはいかがかと思われるのですが、この点はどうですか。
#152
○政府委員(太宰博邦君) 小さな施設が掛金がだめなために入らないのではないか、こういうことでございますが、実を申しますと、私どもはそういう心配はしておらないわけであります。先ほど申しましたように、負担の程度があの程度でございますから、大体平準化したときでも負担はできるであろう。それからこういうふうに国なり公的な高率の補助を伴っておりまして、しかもこれはそこに働く従業員の人たちに気持よく働いてもらうという趣旨で始める制度でございますから、普通の場合でございますれば、ほっておいても入ってくるだろう。それから、私どもの方でもちろんできるだけ指導、勧誘いたしますから、その程度で十分ではないか。たとえよい制度でございましても、これを強制させるということにつきましては、またそういうものの考え方がほかの方で弊害が出てくる面もあろうかと思いまして、特に、退職金というものにつきましては、午前中もいろいろ議論がございましたが、他の社会保険の負担金などと違って、事業主の義務的な負担であるというまでには今日いかがかと考えておりまするので、そういうような面につきましては、私どもは大体任意加入でも指導によって十分目的が達し得るし、その辺が妥当ではなかろうかと、かように考えております。従いまして、掛金を先ほどの委託なり措置の事務費の中で見るということにつきましても、事業主の義務的負担ということにもちょっと今日では考えにくい点がございますので、これを委託費の中で見るということにつきましては、今日私どもは考えておりません。
#153
○坂本昭君 今のお話を伺っていると、任意加入に対するところの行政指導というのはあまり積極的にやらぬと、ほっといてもみんな入ってくると、大体そういうようなふうに理解してもよろしいのですね。
#154
○政府委員(太宰博邦君) 少し言い方が悪かったかと思いますが、決して放任しておくつもりではありません。私どもは、十分この制度の趣旨を普及いたしまして、経営者にいち早く入ってもらうように努力することは当然いたします。ただ、強制加入ということについて意見があるということでございます。
#155
○坂本昭君 今の第三条の第四項に――振興会が契約の締結を拒絶するための四項には、「厚生省令で定める正当な理由」というのがありますが、これはたとえばどういうことをさしているのですか。
#156
○政府委員(太宰博邦君) これは、ただいま考えておりますのは、まあ考えたくはないのでございますが、賃金なんかが未払いがあったり、遅払いがあったりするような施設でございますね。そういうような施設を入れます場合においては、こちらの方もほんとうにがっちりやっていってくれるかどうか期待も持てない。そういうものは、こちらは、必要な金はみんなが出し合うのでありますから、ほんとうに協力的な気持でやってもらわなければ困るわけですから、その協力関係に信頼が置けないような場合は遠慮してもらう。それからもう一つは、先ほどと逆でございますが、施設によってはそうたくさんないと思いますが、この制度よりも非常に有利な退職制度ができておって、あえてこんなものに入らぬでもいいというものも、これはないとは限らぬ。そういうようなものでございますれば、国や公共団体が高率の補助をしてまでそういうものにあえて入ってもらわないでもいい、そういうようなことがあるいはあるかと思います。その程度のものであると思います。
#157
○坂本昭君 第七条で退職手当金の支給の項ですが、第六条の第二項の第一号を除いて、第六条によって契約が解除になり、その後退職しても退職手当金は支給されないということになっています。被契約者は、これは施設の経営者、職員は受益者、そういう関係になっておりますので、職員には何ら責任がないにもかかわらず、その利益を喪失するということは、職員にとってきわめて不利であると思うのですね。この退職手当金の支給についての今の件、この件はどういうふうにお扱いになるおつもりですか。
#158
○政府委員(太宰博邦君) これは中小企業退職金共済制度などと違いまして、掛金を積み立てるという方式ではなしに、毎年の給付総額をみんなで分担するいわゆるお話の賦課方式をとっているわけであります。そこで、当然こういう制度は、みんなが協力し合って、そうしてこの制度がうまくいくために協力し合うということが前提でございまして、退職金を支給いたします場合も、やっぱり通常考えられる場合を頭に置きまして、そういう場合の退職というものについてできるだけ有利な退職金を差し上げる。そこで、通常考えられる普通の退職と申しますよりは、第六条の二項一号にございますように、まあ本人が自然退職する以外には、共済契約者が施設を廃止したとか、あるいは経営者がかわったとか、こういうような場合は、それに伴って退職するということがあるわけです。このあとで申しました経営者でなくなった場合につきましては……。
#159
○坂本昭君 これは除くのですよ、これ以外のことですね。
#160
○政府委員(太宰博邦君) その他の場合は、本来の退職金とみなされない場合でございますから、そういうものは先ほど来申し上げました退職率などの計算の際に入っておらないわけです。しかもこの場合は、下手をいたしますると、悪用されると言っては何でございますが、場合によりますと、非常に弊害の起こる余地がないではないと思うのでございまして、たとえば、六条の第四項によって、すべての被共済職員の同意を得たならば解除することができる、こういうことになりますると、たとえば急にまとまった金がほしいというような場合に、相談して、あるいは経営者の圧力をもってみんなの同意を得たりして、こういう規定によってまとまった退職金を得る。第四条の方でも、ごらんのように、負担金に比較いたしまして手当金の額が相当よいのでございまして、たとえば二年ぐらいでもってやめるとなりますと、二百円かなんぼ当たり出して、九千六百円かもらうというようなことでして、まあそんなのが間々起こっちゃ大へんでございますが、やはりそういうことも制度としては考えねばならぬ。そういうようなことも防がねばなりません。それからまた、掛金を滞納しておったり、それから不正行為をやったという場合におきましては、これはどこのあれにおきましても、そういう方々について退職金のあれを制限するということは、これはいたし方ないのでございまして、かような点から、結局退職手当金の支給という場合において、その退職というものがやはり本来考えられておる退職ということにこれをしぼり、そしてそれに対してみんなが協力する。その協力義務を果たさないというような場合においては、他の加入者の利益を守るために契約は解除しますけれども、その場合に退職金はやらない、こういうふうにしたわけであります。ただし、その場合におきましても、そこに働いております被共済職員の立場は保護しなければなりませんので、この職員の方々が他の施設に参りました場合においては、その期間も通算するように、第十一条においてその措置を講じておる次第でございます。
#161
○坂本昭君 その通算の問題はともかくとして、たとえば経営者が納付期限後二カ月以内に掛金を納付しなかったような場合には退職金を受け取ることができない、そういう場合の措置は、これは悪意に解釈しないで、善意に解釈して、何らかの措置ができないかということです。
#162
○政府委員(太宰博邦君) 掛金はそう大した額でございませんので、私どもといたしましては、大体経営者はみんな協力してくれる。また、それも可能である。そこで、納付期限が来ましても、それからさらに二カ月たっても納めてくれない、こういう場合は、やはり、普通の場合ならば、協力の責務を果たしていないものだと私ども考えなければならぬ。もちろん、たとえば天災とか、何か災害その他によりまして、意思があってもできないという場合がある。これは当然延期させるように法律の中で措置してございますが、通常の場合でございますれば、協力を求めて、そうむずかしくない、当然それくらいしてくれてしかるべきだと思われるものの義務は果たしていただきたい。それでなければこの制度というものが成り立たないのじゃないか。かような点につきまして、中小企業退職共済と違いまして、こちらは賦課方式をとっている点もございまして、この場合は解約するとともに退職金は支給しない、こういうふうにいたしておるわけでございます。
#163
○坂本昭君 次は第八条の金額の点ですが、「政令で定める八千円を下らない額」という、この「八千円を下らない」とされた根拠について。それから並びにこの根拠については、先ほど来御説明のプラス一一・九%とプラス七・五%、こういうものは含めてお考えになっているかどうか、簡明にお答えして下さい。
#164
○政府委員(太宰博邦君) これは、国家公務員の場合でございますと、最終俸給ということになっておりますが、民間の施設でございまするので、給与体系もできておりませんしいたしまするので、どうもこれをとるわけに参らないわけであります。しかも、国なり府県の高率の補助でもってこの制度を維持していきますためには、やはり公平に各施設の職員にその国なり地方公共団体の制度の恩恵の趣旨が及ぶ、こういう点からいたしまして、そこの基本額はある程度低くならざるを得ない、これはいたし方ないと思うのでございます。それで、この「八千円を下らない額」といたしましたのは、三十五年の四月に実態調査によりまして、大体極端に低いところをとりました平均の本俸額が約六千三百円でございます。先ほどからお話がありました保育所などはもっと低いのでございますが、そういう低いものは一応除きまして、六千三百円と押えまして、これが、その後一年以上勤務した者が六千三百円、それにベース・アップが一一・九%と七・五%、合わせて約二〇%のベース・アップ、それをいたしますと七千五、六百円になるかと思いますが、その辺を押えましてそれをまるくといいますか、有利にしまして八千円。従いまして、この八千円を下らない額でそうして政令で定めるつもりでありますが、まあ最初はそういう意味で八千円を私どもとしては一応めどとしておるわけでございます。今後そういうベース・アップが行なわれますような場合にはこの額についてもだんだん改善して参りたい、かように考えておるわけであります。
#165
○坂本昭君 次に第九条の第二項で業務上の負傷、疾病による廃疾、死亡による退職の特例を二十五年以上としてありますが、二十五年以下の場合、なぜこれに該当させないのか。業務上のときはこういうふうに二十五年で区切るというふうなことはしない方がむしろよろしいではないか、私はそう思うのですが、いかがです。
#166
○政府委員(太宰博邦君) これはちょっとお読み違いでございます。第九条の二項につきましては、二十五年以上ということはございません。十年以内におきましても最初から百分の百五十、この率によって計算して参ります。業務上年数抜きにしてあります。
#167
○坂本昭君 そうですが。それでは業務上による場合には二十五年で差別はしていないのですね。
#168
○政府委員(太宰博邦君) そこに各号にかかっているその通りでございまして、第三表をごらん下さいますと、業務上の場合についてはやっぱり一年からずっとお示ししてございます。それで御了承いただきたいと思います。
#169
○坂本昭君 第九条の二項に「政令で定める程度の廃疾の状態」、これは何か基準を置いてお作りになられますか。
#170
○政府委員(太宰博邦君) これは厚生年金保険の障害年金を支給する程度をもってこれを考えております。大体これは国家公務員の退職手当法にならって、同じような条文がございますので、それに従ったわけです。
#171
○坂本昭君 それから十一条の被共済職員期間の計算の点で、職員が退職をして別の施設に就職して再び被共済職員となった場合、こういうときでも退職時に退職手当金が支給されてその前後の期間を通算するということになっていない。これは非常に職員にとって不利だと思うのですが、こういう点について何らかこれを是正する御意図はないですか。
#172
○政府委員(太宰博邦君) ただいま通算の問題でございますが、これは私どもかように考えております。
 まあ退職金の性格については、午前中いろいろ意見があったということを伺いましたが、まあどちらにいたしましても、その施設に長い間勤務していただいた方々に対して、その施設をやめる場合に支給されるものでございます。これはやはり本来ならば、これは通算というものはおかしいので、その施設々々のその職場を去るそのまぎわにおいて考えるべきものではなかろうか。これは厚生年金とかいうような、将来二十年なり何年か勤めた後に年金をもらう。そういう場合においてたまたま二十年満たないために全部棒に振るというような場合とはちょっと考え方が違うわけであります。そして本来の退職でございますれば、やはり、この退職手当がそこで支給された方がいいのでありまして、もしその退職手当が支給されないで通算するということになりますると、場合によっては、また必ずしも通算が有利でないという場合もあるわけでございますので、何十年か後において、最後の場合においてその施設が義務を果たさぬために先ほどの、解除になって退職手当を棒に振るというようなことはないでもないわけでありますから、その点から言いましても必ずしも有利とは思いません。それで、これはやはり本来退職手当が出るべきときには差し上げるようにした方がいいのではないか。そこで十一条の第五項におきまして、それが先ほど申しましたように、施設の上で協力義務を果たさないために解除になった。その場合に退職手当を支給しないということになりますると、そこの被共済職員の方々が非常に失望いたすわけでございまするので、そういう方が他の施設にでもかわっていただいたならば、その期間は通算して上げるようにしようということを第五項に書いているのであります。第五項の文章がちょっと読みつらくて大へん申しわけないのでありまするが、一年以上被共済職員であった人が、それぞれの理由で解除された場合には、その者が五年以内に他の施設に就職せられました場合においては、前後の期間を通算する、こういう規定を設けまして、そういう方々の不利というものだけはこれは排除した、かようなことでございます。
#173
○坂本昭君 第十六条の納付期限のところで、当該事業年度の五月三十一日というものが期限になっております。このとき、人員の確認、つまり被共済職員の確認あるいは全額の計算、そういうものはどういうふうにして行なうのか。
 それから、「納付することができないと認める」というのが第二項にありますね。十六条の二項、納付することができないと認める基準、これはどういうふうにお考えになっているか、御説明いただきたいと思います。
#174
○政府委員(太宰博邦君) これは大体賦課方式でございまするから、当該年度にどれくらい退職者が出、その方々にどの程度の退職金を支給しなければならぬかというものをあらかじめ計算いたしまして、それを現在加盟しておりまする施設にそこの従業員の頭割りで納めていただく、こういうことを考えておるわけですが、その大体の職員の数は、前年の十月一日を基礎にいたしておりまして全部毎年調査いたしまして、その数字を基礎としてはじき出したい、かように考えております。その後、施設が新しく加盟する施設あるいはこの施設の経営規模が変わったという場合は、その分は手直しいたしますが、大体そういうことにして計算をして納めていただく。納めていただきますのは、やめる方はこの四月一日以降あるわけでございまするから、それの資金に窮しないために、大体当該事業年度の始まりから二カ月以内、こういうふうにいたした。これが五月三十一日、これが原則でございます。
 なお、この二項の「災害その他やむを得ない理由」云々という場合でございますが、格別ただいまのところはこの災害のほかに思い当たるところもないわけでありまするが、まあ何らかの不測の事態によって掛金の納付が客観的におくれるということもあり得ようかと思いますので、そういうやむを得ない理由によって云々という規定をいたしたわけでございます。
#175
○坂本昭君 最後にお尋ねしたいのは振興会の問題です。つまり経営の出資の主体の問題で、まず最初に伺っておきたいのは、先ほど七億円程度の融資をしておられるということですが、現在の振興会の運営の内容がどうであるかということ、それから業務方法書、現在の業務内容がわかる何か資料があればそれをいただきたいと思います。そうすれば簡単な説明だけで、現在振興会はどういう運営をしているか。その内容の詳しいものは資料としていただきたい。
#176
○政府委員(太宰博邦君) 先ほど申し上げましたように、これは政府の出資額を原資といたしまして、そして毎年民間社会福祉事業施設に長期低利の融資をいたしております。それで七億円でございますが、大体貸付額の実績を見ますと、三十三年度で一億九千六百万、三十四年度で二億三千八百万、三十五年度がおそらく二億七千万くらいになっておるかと思います。それだけのものを先ほどの原資として、前から貸し付けたもの、戻ったもの等によりまして回転して貸し付けております。貸付のおもな先は社会福祉法人の設備費、それから災害復旧費等がおもでありまして、若干運転資金もございますが、まずまず設備資金と災害復旧がおもなものであります。貸付利率は年利五分一厘、償還は従来十年以内でございましたが、本年から改正いたしまして特別の場合二十年までにこれを延ばすというようなことでいたす、詳細はお言葉によりまして何か資料で差し上げることで了承いただきたいと思います。
#177
○坂本昭君 そこで一番問題は、先ほども厚生大臣にいろいろと今後の運営の機構についてお尋ねしたのですが、現在の理事会並びに理事長の選任は、これはどういう方法によって行なわれていますか。
#178
○政府委員(太宰博邦君) 社会福祉事業振興会法第十二条の規定によりまして会長は厚生大臣が任命すると、かようになっております。
#179
○坂本昭君 現在の理事会、これは太宰局長さんもまたその理事の一人じゃないかと思うのですが、この貸付の対象は、これは民間の社会事業であるので、私はこれに対して民間の社会事業の代表の方も――現在どうもあまり民間の社会事業の代表といわれるにふさわしい人が幾人入っておるか少し疑問だと思うのですが、さらにこれはやはりこの社会事業施設で働く人たち、こういう人たちからも、ベテランがおるのですから、そういう人たちも理事に選任する、そういうお考えはないのですか。
#180
○政府委員(太宰博邦君) これは、理事になる方は――理事は大体限定しておりませんが、今日は学識経験者、それからその施設の方の立場を代表し得る人というもので構成しております。それから評議員会というのがございまして、これはやはり学識経験者及びその施設の事業の関係者の中から任命すると、こういうふうになっておるわけであります。従いまして、その点で別にそこに働いて従事している人は除外するというようなことはございません。適当な学識経験あり、この制度の運営に御協力いただくのにふさわしい方でありますならば、私どもは考えて参っていいと思います。また、そういう面などについても今後考えて参りたいと思います。
#181
○坂本昭君 特に今後こういう施設の職員の退職金を扱うというようなことになれば、私は施設職員の代表も当然入れるべきだと思う。特に今までの理事を見ますというと、木村さんにしても青木さんにしても太宰さんにしても皆お役所出身の人です。ほかの人は詳しく経歴知らない人があるのですがね。どうもほんとうに社会事業を監督してきた経験はあるが、社会事業のベテランというのにはふさわしくないと思う。いわんや身みずから神様のように社会事業に献身的に打ち込んできたような人は出ていない。今後これが退職金の仕事も担当することになれば、私はこれは当然そういう代表も入れてこの退職金の内容をよくする、そういうことについてもこの理事会並びに運営機構を改めていく必要があると思う。これは最後に大臣が来られてからもう
 一ぺんこの点については御質問しようと思う。ただ、今回この十数人の振興会で今度の事務をやろうとするというと、各都道府県の各施設との連絡はどういうふうにやっていくか。これは非常に私は困るのではないかと思うのですね。各都道府県に振興会の支部を置くということもできないと思うので、この事務はどういうふうにしていかれるおつもりか。また、そのための委託の事務費はどの程度予算を組んでおられるか。ちょうど中小企業退職金共済法の場合は、一件当たり五十円の予算が今度八十円に上がっております。そういう点は一件当たりどの程度の予算を組んでおられるか。そういう三つの点御説明いただきたい。
#182
○政府委員(太宰博邦君) お尋ねのように、現在社会福祉事業振興会に置かれております職員の数が十九名でございます。で、今後この退職手当金制度の仕事を振興会に委託いたしますにつきましてはそれだけふやさねばならないと思います。初年度の三十六年度では一応八名ふやすことにしております。それにしましても、それは数としては少ない数であろうと思います。しかし、私どもはできるだけこの制度の運営を効率的にやりますために、少ない数でそうしてがっちりやれるものなら少ない数でもってやるように、運営の効率化に心がけて参る。あまりそうたくさんにはふやしたくないと思います。
 それから地方の施設との関係でございます。これはまあ掛金を納めるとか何とかの、退職金を支給するという場合には、金が動きますような場合には、これはやはり間違いが起こるといけませんので、しかるべき金融機関なり何なりというものを使って参りたいと思いますから、これはまあ大体人手はそう要らぬと思います。ただまあこういう制度のPRとかあるいは施設との連絡というような面につきましては、まさしくお尋ねのように直接中央の振興会との間では無理であろうと存じます。これは地方のしかるべき団体にそういう面の仕事を委託しようと実は考えて、さしあたりたとえば各府県の社会福祉協議会というふうなものに、これは従来ともつながりの多いところでございますので、そういうようなところに一つ先ほど申し上げましたような面の委託をいたしたい、かように考えております。
 その委託の事務費などでございますが、これは事務量とのかね合いにおいてきめねばならぬわけでございます。しかしながら、先ほど申しました程度の事務費でございまするならばこれもそんなに多くは要しないのじゃないかと思いますが、これはどれぐらいかかるかは来年度の予算などにおいて特に十分検討をしてみたいと、かように考えております。
#183
○坂本昭君 大臣まだ来ないですか。
#184
○委員長(吉武恵市君) 今参ります。
#185
○坂本昭君 そうすると、今のところ一件当たり幾らという、そういう単価のところまでは考慮しておられないわけですね。そして、ただ県の社会福祉協議会を通じて事務を委託したい、大体そういうところの計画の程度にとどまっている、そう理解してよろしいのですか。
#186
○政府委員(太宰博邦君) 大体そういうことで御了承いただきたいと思います。
#187
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
   午後三時四十二分速記中止
   ――――・――――
   午後四時一分速記開始
#188
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
#189
○坂本昭君 最後に、実施主体の振興会の点について再度大臣に伺っておきたい。それは従来も振興会の運営については、とかく官僚的であるという評がちまたに多い。また、実際に理事の内容についても、ほんとうにこの施設を代表している人あるいは社会事業に専念をしてきた、そういう人の選ばれ方は比較的少ないように私は感じます。今度はそういう社会事業の福祉施設に働く職員の退職金の問題を扱う。従って、そういう職員の代表を私はこの運営機構の中に入れるべきである。で、さしあたって理事の中へもそういう面で、こういう今までのような官僚的な理事者ではなくて、そういう社会事業に実質的に献身された方を積極的に入れる御意思があるかどうかということと、もう一歩進んで新しい今度の法改正によって、運営機構をお作りになっていただいて、そしてその新しい運営機構の中には積極的に退職金の問題、さらに一般の社会事業家は付帯事業を望んでおられます。つまり退職金だけでなくて、もっと社会事業家の、福利施設、福利の問題についても考えてもらいたいというような要望があるので、そういうことも含めて一つ御検討をしていただけるかどうか、その点を一つ御説明をいただきたい。
#190
○国務大臣(古井喜實君) ただいま退職手当金の問題に関連して、この振興会の機構なり運営なりについてお尋ねでありまして、お答え申し上げますが、ここで振興会に十分新しい使命に対応して機能を発揮してもらうことは必要なことであります。私も任浅くてまだ振興会の実情をすみからすみまでつぶさにいたしておりません状況でありますが、実情もよく取り調べて検討いたしまして、必要な改善をする。これはもうちゅうちょせずに加えたいと思うので、活動の方面におきまして、今福利事業等の方面まで広げるように運営機構も考えたらどうかというお話もございましたが、この辺も今申しますように、実情をよく――私はうとい点もありますから十分検討をして、ことに活動をもっと充実拡大することは、今日の現行法のもとでもできないことではございませんし、最善の検討と努力をして参りたいというふうに思います。
#191
○坂本昭君 先ほど振興会の現状と、それから今後の退職手当金の問題について、事務機構をお尋ねしましたときに、局長の答弁で、現にある社会福祉協議会の協力を求めるというふうな御説明もあったわけであります。私はこの際、従来の五人の理事者で運営されるという形ではなくて、別に運営審議会、運営委員会、そういう機構を設けて、その数も、これは十数名が適当であろうと思いますが、その中には今の社会福祉協議会の代表、これには御承知の通り、各県の県社協もあれば、またそれをまとめた全社協もあります。この社会福祉協議会の代表、それから施設の代表、施設経営者の代表ですね、それから従事者の代表、それから学識経験者、いわばこういう四者構成と申しますか、こういう形で運営をしていったらいかがかと思うのですが、この点いかがですか。
#192
○国務大臣(古井喜實君) 具体的な案をお示しになってお尋ねでありますが、その辺も含めまして、実情をよく検討して、改めるべきものだというなら改めましょうし、十分含めて検討をさせていただきたいと思います。
#193
○坂本昭君 それでは最後に、今回のこの法律――社会福祉施設職員退職手当共済法案につきまして、午前からずっと検討して参りましたが、多年社会事業家、特に民間の苦しい経営をしておられる方々、また、献身的な仕事をしてこられた職員の方々が、多年待望しておりましたこの退職手当金の制度ができたということについては、われわれもその努力に対し敬意を表するものでございます。しかしながら、退職金の額は比較的公務員に準じてまだいささか見劣りするのでありますが、一番大事な点は、毎月々々の生活をささえる基本的な賃金が、これは非常に低い。局長の説明によっても、東京都内におきましては、民間の場合は公的な保育所の半分くらいにしかすぎない。しかも建物は悪く、人員も少なく、非常に悪い労働条件のもとに働かされております。従って、こういう退職金だけで、社会事業家が新しい希望をもって、勤労意欲を満たして、福祉国家を作り上げるために邁進していただけるとするには、われわれとしてはあまりにもお粗末なように思うのでございます。今後それらの点について、今回の退職金のこの法案を樹立するとともに、特に大臣の今後についての御決意を承っておきたいと思います。
#194
○国務大臣(古井喜實君) 退職手当金そのものも貧弱とおっしゃるなら、そういううらみがあると思うのであります。今後経済成長政策も一方やっていることでありますし、従って、所得全体の水準を上げようという努力もいたしていることでありますから、退職金自体についても、このままでいつまでも置いておけるものと私は思っておりません。さらに改善し、向上さしていく努力をすべきもんだと思っておりますし、同時に、今日の給与のベースが低いということは各方面から指摘をされておる問題であります。この事業が事業でありますから、これに対しては大いに奉仕的な気持でやっていただいておる点には非常に敬意を表しますけれども、そうは言っても、あまり給与が低いということは考えもんで、大きに問題でありますし、今回七・五%というのも必ずしも満足しておるわけじゃなかったのであります。ただ、財務当局はもういかにもこれは強い反対、消極論でありまして、七・五%上げますにもずいぶん困難がありました。私どもとしては一向満足しておるわけじゃないので、引き続いて全面的に給与改善という方向に極力精一ぱいの努力をしたいという考えでおりますので、その考えを率直に申し上げておきたいと思います。
#195
○坂本昭君 特に最近の傾向を見ますと、都会地では保母さんの求職の数が少なくなってきております。保母さんを得るために非常に地域的には困難な地域がある。しかも保母さんの平均勤務年数は七年、比較的短い期間にやめられる。こういう人たちが、若い御婦人が積極的に保育事業といった、こういうような面で活躍のできるために十分な御配慮をいただけるかどうか。また、さらに今回のこうした退職金の手当によって、今後二十年、三十年する方はよろしいのですが、従来のように二十年、三十年苦労して働いてきて、そしてあと一年あるいは十一カ月というようなことでやめられることでやめられる人に対しては、これは非常に退職金の点でお気の毒な点が多々出てくると思います。それらについてどういうふうに処置していただけるか、この際伺っておきたい。
#196
○国務大臣(古井喜實君) 特に保母さんの待遇が低いという点は、まことに同感の点が多いのであります。安い給与にもかかわらずこの仕事をやっていただいておるということで、まことに敬意は表する、ありがたいことだとは思いますけれども、さらばといってほうっておくわけにはいきませんから、引き上げ、改善に努力をしなきゃならぬと思っております。これについて従来とも一方措置費が高いという議論もありますし、それで負担が非常にふえるということではまことに気のきかぬものでもありますし、そういう方面もあわせ考えつつ、しかし、給与を改善するように、その方向に極力努力をしたいと思っております。なおまた、退職手当金制度が初めて行なわれますために、今までのことが大いに気になる点でありますが、この点は従来とても経済の非常に余裕のあるところはもうすでに自分でこういう制度を行なっておいでになるところもありますし、われわれの方でそのつもりで接触しますならば、理解を得て、各施設で考えていただけるようなところもあるいは相当あるかもしれぬとも思いますし、しょせんはそこの施設で経済が許すか許さぬかということにもなりますが、できるところもあるかもしれぬと思いますし、その辺については事情を含みまして、過去の関係についてもできるだけこういう制度を作った趣旨が広がって及ぶように行政の運用の上で努力をしていきたいと考えております。
#197
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#198
○委員長(吉武恵市君) 速記をつけて。
 それではほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。社会福祉施設職員退職手当共済法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#201
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって社会福祉施設職員退職手当共済法案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト