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1960/05/11 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第27号
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1960/05/11 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第27号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第27号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
   午前十時四十六分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
四月二十八日委員山本利壽君辞任につ
き、その補欠として郡祐一君を議長に
おいて指名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君

  理 事      加藤 武徳君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君

  委 員      鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           小柳  勇君
           村尾 重雄君
  衆議院議員
           小笠 公韶君
  国務大臣
   労 働 大 臣 石田 博英君
  政府委員
   経済企画庁総合
   計画局長    大来佐武郎君
   労働省職業安定
   局長      堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一
 部を改正する法律案(衆議院送付、
 予備審査)
○雇用促進事業団法案(内閣送付、予
 備審査)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を求めます。
#3
○衆議院議員(小笠公韶君) ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容を御説明申し上げます。
 この改正案は、本法の施行の状況及び駐留軍関係離職者の特殊事情にかんがみ実情に即した改正を行なおうとするのが、その趣旨でございます。
 その要旨を御説明申し上げますと、まず第一に、中央協議会の委員に、厚生次官を加えるため委員の定数を一名増加し、連絡調整を一段と強化することであります。
 第二は、中央協議会に事務局を設置し、機能の強化をはかることであります。
 第三は、条例によって置くことができるとなっております都道府県協議会と同様に、市町村にも駐留軍関係離職者等対策協議会を設けることができることとし、国は、これに要する経費の一部を補助することとして、実情に即した対策が講ぜられるようにすることであります。
 第四は、特別給付金の支給範囲を広げて、昭和三十二年六月二十二日の岸・アイク声明の行なわれたときに、PX従業員等、軍諸機関雇用労務者であった者が、引き続き在職し、政府雇用労務者に切りかえられた後、離職した場合には、前の軍諸機関雇用労務者であった在職期間と政府雇用労務者としての在職期間とを通算して特別給付金を支給できるよう改めることであります。
 第五は、駐留軍関係離職者で、公共職業訓練を受ける者には職業訓練手当を、公共職業安定所の紹介による就職のため居所または住所を変更する者には移転に要する費用をそれぞれ支給することであります。
 その他、本案は公布の日から施行するが、職業訓練手当及び移転に要する費用の支給に関する部分は、雇用促進事業団法の施行の日から施行するといたしておりますほか所要の改正を加えております。
 なお、本案施行に要する経費は本年度既定予算の範囲内及び予備費をもって充てることといたしております。
 以上が本案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(吉武恵市君) 本法案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
#6
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 それでは午後一時再開することとし、これをもって暫時休憩をいたします。
   午前十時五十四分休憩
   ――――・――――
   午後一時四十一分開会
#7
○委員長(吉武恵市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 雇用促進事業団法案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
 ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
#8
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○藤田藤太郎君 経済企画庁の方見えてますか。
#10
○委員長(吉武恵市君) 今呼び出しております。すぐ参ります。
#11
○藤田藤太郎君 雇用促進事業団が今度提案されているわけでありまして、この雇用促進ということより、むしろ完全雇用をどう進めるかということについては、これはもう政府ばかりでなしに、われわれ国会にとっても非常に重要なことだと、こういう認識に立って、この雇用促進、完全雇用の方向というものを私はきめなければならぬ、こういう工合に思っております。そういう意味で、この雇用促進事業団の目的というところに書いてあることを見ますと、よいことが書いてあります。書いてありまするが、私は雇用促進の大きな柱というのは、完全雇用を達成し、そして経済繁栄と福祉国家を達成するんだ、そのためにこれとこれと、こういうことが必要なんだ、こういうことを明確にここに書いてないわけなんですが、この法の目的について労働省がお考えになった御説明を願いたい。
#12
○国務大臣(石田博英君) 完全雇用の達成ということは、これは単に労働行政だけでなく、国政全体の大きな基本的目標であります。その完全雇用達成のためにこの雇用促進事業団は、現在雇用情勢の中にありまする各種の矛盾を調整しようという役割を持って誕生すべきものだと、こう考えておる次第でございます。
#13
○藤田藤太郎君 私は、雇用促進という字句が頭に使われる以上は、何といっても完全雇用の達成ということが主目標であり、この事業団の役割というものは失業者をなくするんだという目的が明確になって、労働行政の分野ばかりでなしに、日本の経済からあらゆる面においてこの事業団というものがリーダー格になって次から次へとそういう条件を整えて、そこからできたものを内閣が各行政分野において具体的に完全雇用に合わすようにしてゆくという意義のあるものだと、私はそういうふうに認識しておった。今の労働大臣のお話を聞いていると、完全雇用というのは内閣の問題であってその雇用問題、就業問題の調整をするんだ、こういうことをおっしゃると私たちの認識とは少し違うのじゃないかと思う。だから私は、大目的のために労働省が他の産業、いろいろの行政に優先して、雇用というのは経済計画を立てるのだ、あらゆる国の政策を立てるのにも基礎なんだから、完全雇用というのは。そういう大きな意義を持ってこの促進事業団というものができたと私は認識していたんですから、もう少しこの法を出された根本的なとらえ方、考え方というものを説明をしていただきたい。
#14
○国務大臣(石田博英君) もとよりこの雇用促進事業団の大きな目標というのは完全雇用の達成であることはこれは御説の通りであります。それはもう申すまでもないことなんでありますが、この目的の中にはその達成へたどりつくための具体的な問題をあげたのであります。従って、完全雇用の達成を目ざしてということは、これは書いてございませんけれども、これは当然のことで、そうしてそれを目ざして参りまする場合における雇用政策推進上の諸問題をこの促進事業団で取り上げていこうというのであります。
#15
○藤田藤太郎君 ようやく労働大臣の基本的な考えについてわかって参りました。完全雇用の達成というものが大目標であり、当然のことである、これは書いてないがそれが当然のことであるということですが、そういう当然な一大目標であるという建前に立ってこの法律案を作られたとすれば、もう少しこの目的の方は足らな過ぎるのではないか、あまりにも労働大臣は、今の内閣の中でほんとうに重要な役割をしておられる労働大臣としては少し遠慮をし過ぎておられるのではないか、そういう気がする。むしろ労働大臣が完全雇用達成というものを大目標にして、これが経済計画の基礎なんだということを、私はこの前もお伺いしたことがありますから、こういう法律案は、労働大臣の決意のほどを私は期待している一人として少し他に遠慮をし過ぎているという気がする。私は、その問題についてはいずれあとほどから議論の中に出てきましょうし、順次具体的な問題の中で私は何を具体的に目標にしているかということが明らかになってくると思う。ただ、この法文だけを読んで目的だけを見ていると、大目的である筋が通っていないというところに私たちはこれは石炭の雇用促進の事業団の塗りかえたものぐらいにすぎないんではないかという非常に狭められた消極的な見方があることは非常に残念だと思っております。私は、雇用促進事業団が生まれてきたときに大きな期待を持っておった、ところが、実質的にそういうものがそういう狭いもので塗りかえられることになるというと大へんなことじゃないかと私は思っている。そこで、今の日本の労働情勢、雇用情勢というものがどういう工合に推移しているかという問題については、これは大いに労働大臣もむろん行政官庁の責任者でありますから当然のことですけれども、国をあげてこの雇用の推移、完全雇用という問題については重大な関心を持たなければならないのじゃないか。ただその面では、労働問題とは経済問題なりというごとく経済の施策によって雇用の問題がどう動くか、これはもう私は重大な完全雇用の大前提ではなかろうか。だからきょうは迫水さんと労働大臣とに来ていただいて、大いに所得倍増計画であるとか、今日の経済の推移であるとか、こういう問題について御所見を承りたいと思っておったんですが、きょうは迫水長官は所用でお見えになりませんが、大来さんがお見えになっておりますので、どうかその点なんかについて御質問をしてゆきたいと思うわけでございます。大来局長はおいでになっていますか。
#16
○委員長(吉武恵市君) 今すぐ来ます。
#17
○藤田藤太郎君 それでは労働大臣にお尋ねをしたいんですが、第一にお尋ねをしたいことは、個々の問題は今日までだいぶ議論して参りましたが、これはあとほどすることにして、日本の人口問題の推移ということをどうとらえられているか、その中で産業労働力に転化する人口動態をどうとらえておられるか。それから日本では五十五才という定年制があるわけです、これは私は生産という面からいっても労働力を非常にたくさん持っている人を職場からほうり出してゆく、これは非常にもったいないことでありますけれども、政府の人口統計では六十才ぐらいが基準になって出てきておりまするが、五十五才ぐらいで首を切った方々、要するに、生産の場からこれをはずしておるわけですけれども、こういう人をやはり社会に貢献させる、生産の場につけてゆくというふうにするには、どういう方法をとっていったらいいのか、こういう人口問題を中心にした推移と見解についてお話を承りたい。
#18
○国務大臣(石田博英君) わが国の人口全体の推移は、昭和三十年ぐらいまでは大体年々百万程度の増加でありました、しかし、その後増加の絶対数は百万を割りまして、昭和四十五年には八十三万ぐらいの増加になり、増加の絶対数はその後も順次そうこれ以上の数字にはなるまいという見方をいたしております。ただ、四十年から四十三年ごろは減ってくる、数がうんと減るわけでございますが、しかし、その後今度はいわゆる成年人口もまた増加して参りますから、四十四年、五年になりますと、その前年よりはまた少しずつはふえてくるけれども、その増加率はそう多くない、そうして昭和四十五年には一億二百万程度の人口になるのではないかと推定をいたしております。そこで、新規労働力人口の伸びは昭和三十一年から三十三年ぐらいまでは大体いわゆる新規雇用希望者の数が百二、三十万でありますが、三十五、三十六年はまた一時百十七万程度に減少しておるのでありますが、その後三十七年から四十三年までは逐年増加をいたしまして、大体百三、四十万から百七十万程度のものが出てくる。その後四十四、四十五年からまた新規労働力人口は漸次減少してくるのではないかと推定を立てております。詳しいことはあとで事務当局から、お答えを要すれば答えたいと存じます。
 従いまして、そういう構成の中で推定されますことは、年令構成が、昭和四十五年ぐらいになりますと、いわゆる弱年層の数が相対的に減少いたしまして、中高年令がふえてくる、ピラミッド型から、何といいますか、長方形のような形にだんだん近づいてくるという状態になるのじゃないかと考えております。このことはわが国の産業労働力の確保という点から考えましても、いわゆる弱年労働者ばかりに多くを期待するということだけでは済まなくなってくると思います。そういう観点からも中高年令層の生産への参加ということを考えなければなりません。それから一般的に年令が延びて参りまして、従って、活動力、生産能力というものも持続されるわけであります。そういう意味から申しましても、中高年令、特に高年令の問題というものを考えなければいけない。従って、当然五十五才という定年というものは検討を加えられるべきものでありまして、われわれ現在政府関係機関と折衝をいたしております範囲では、事実問題としてもうそれぞれ数年間いわゆる定年は延びております。定年制を延ばすという問題は当然考えていかなければならぬと思っておる次第であります。しかし、それでも、一応定年という形が急速に撤廃されないといたしましても、やはり高年令層の生産への参加、あるいは雇用の確保という方法について他の有効なる措置を検討しなければならないと考えておる次第であります。すでに検討いたされております。
#19
○藤田藤太郎君 まあ人口の動向については今大臣がおっしゃったような傾向にあることも統計が示しておるところでございます。問題はその中で五十五才以上の人をどういう工合にして職場に、生産を通じて社会に貢献をしてもらうかという問題、その問題を議論する今日事態になっているのに、その前の状態、中高年令層の労働力、就労というものが非常に困難な状態にあるということが、まあこれより先という言い方は別といたしまして、非常に重大な問題であるわけでございます。そういう意味からいっても、私は所得倍増論のいろいろの計画を読んでみますと、非常に抽象的な、何もいい、かにもいい、何もやらなければならない、かにもやらなければならないというようなだけで、具体的な施策というものが一つも出てこない。だから、そういう点で私たちは認識を深めるのに非常に困っておるのです。だから、この雇用促進事業団の目的の項を一つ見ても、何かまた大目的大目標というものがはずれてしまったのじゃないか、具体的な法案として出てくるときにはずれてしまったんじゃないかというような懸念を持ってくるわけであります。そういう点は、今大臣がお述べになりましたようなことを具体的に一つどういう工合に進めていくのかということについて、一つ大来さん、堀さん、もう少し具体的な方法として、大臣のおっしゃったことの具体的な問題を一つ御説明を願いたい。
#20
○政府委員(堀秀夫君) 大局的な見通しにつき――ましては、ただいま大臣から御説明をいたしたところでございます。これに伴いまして、ただいま藤田先生御指摘の基本的な完全雇用の達成という目標に、わが国の雇用状態を近づけていくためには、政府、それから関係者において努力すべき幾多の点があると考えるわけでございます。基本的には、もとより国民所得倍増計画等に基づきまして、高度の経済成長を達成していくということによって、雇用の増大をはかることが必要であることは申すまでもありませんが、さらに具体的には、第一番目に、わが国の現状におきましては、技術者、技能者の不足と、熟練労働力の不足とい5点が目立っておるわけでございまして、これは今後において経済がさらに高度化するにつれましてその必要性は増大して参ると考えるわけであります。従いまして、第一番目に、技術者、技能労働力の養成を確保いたすために職業訓練の拡充強化ということをはかることが必要であろうと考えるわけでございます。第二番目に、その間におきまして、ただいまの現状においては、現在におきましても、産業間あるいは地域間におきまして、労働力の雇用状態のアンバランスという問題が出ておりまするが、今後においても経済発展の過程におきまして、そのような傾向は依然として続くことは予想されるわけであります。その意味におきまして労働力流動性の増大をはかるために、まず労働省の行政といたしましては、全国的な視野に立つところの広域職業紹介体制を確立するということが必要であると考えるわけでございます。ただ、その場合におきましてそのような見地で職業あっせんをいたすといたしましても、これによって動くところの方々について、その移動を円滑にするための裏づけが必要と考えられるのでございます。そのためには、まず第一番目に、専職訓練の拡充強化ということが必要であろうと考えます。それから第二番目に、移動労働者のさしあたって当面する困難な問題といたしまして住宅問題がございますので、移動労働者用住宅の建設等の措置を促進することが必要であると考えます。これと並びまして、労使間におきましては、労働移動を阻害するような企業の封鎖的雇用制度の改善ということが必要であろうと考えられるわけでございます。これと並びまして、低開発地域、また、失業者の多発地域につきましては、産業開発施設の整備、工場の誘致等の産業立地政策の適正化が必要であろうと考えられるわけでございます。第四番目には、これは申すまでもないことでございますが、最低賃金制度の充実、あるいは社会保障制度の拡充等によって、低所得者の層の解消をはかっていく、こういうようなことが必要であろうと考えるのでございまして、以上のような基本的な考え方に基づいて、政府の施策を積極的に推進していくことが必要であろうと思うわけであります。また、その過渡期におきましていろいろな摩擦を予防する措置といたしまして、公共事業あるいは財政投融資事業の弾力的な運営、あるいは失対事業の基本的な実施ということが摩擦防止のための過渡的な措置として必要となってくるであろう、以上のような基本的な考え方に立ちまして進めて参りたい、このために政府において行ないまするところの行政のきめをよりこまかにいたしまする意味において、政府の行政と表裏一体となって雇用促進事業団におきまして、政府の手が行き届かないような面につきまして、積極的に事業を実施いたしまして、労働力流動性の促進と同時に、熟練労働力の養成をはかって参ろう、こういう考え方でおるわけでございます。
#21
○藤田藤太郎君 私は、今のに関連して大来さんにお伺いしたいのですが、大来さんがここへ書かれておりまする「所得倍増計画の解説」というところで書かれているのを見ると、この労働力の流動性や雇用の問題として、「(1)低賃金雇用形態である臨時工、日雇労働者、社外工利用の是正。(2)技術革新の進展に対応して労働時間を縮小すること。(3)家族主義的労務管理である年功序列型賃金体系を是正して、同一労働同一賃金の原則を打ち立てることなどである。」という三つの個条をもってお書きになっているわけです。百十一ページですね。これはどの程度まで血が通っているのか、この考え方自身が、どういう工合にして実施されていこうとされているか。私はここに書いていることは当然のことだと思っている。しかし、これをどうして実施していくかということがやはり明らかにならないとこれはものにならないと思うのです。その見解を承りたい。
#22
○政府委員(大来佐武郎君) ただいまの御質問の点でございますが、一つは国民所得倍増計画を作成いたします過程で経済審議会の中にいろいろ委員会を置きまして、特にこの問題、ただいま藤田先生のお読みになりました部分は、賃金小委員会で議論のありました結果の要点が出ているわけでありますが、実は倍増計画全体としておおむね十年間に日本の経済規模を倍にするのだということを言っておりまして、その場合に長期的な政策のあり方、方向を示しておるという組み立てになっておりますので、この実施の細目はそれぞれの仕事の担当のところでお考え願うという建前でございますので、先ほど来、労働大臣、堀局長からお話ありましたように、具体的な細目については、労働省が特に中心になってお考えになることだと思いますが、ただ、倍増計画の委員会での考え方といたしましては、今のようなことが強調されて参りまして、ことに一つは必要という面と一つは可能性、両方の面があるわけでございますが、これまでいろいろ御答弁もありましたように、日本の労働力需給状態とそれから労働力の供給、将来の人口推移の状態から照らし合わせて基本的には労働力の過剰からだんだん不足状態へ向かっていく、その過剰から不足へ向かっていく状態が、今まで過剰なために行なわれていたようないろいろな雇用慣習とか労働条件というものをだんだん解消していく一つの強力な基礎を提供するのではないか。もちろんただ経済成長が行なわれればおのずからただいまお読み上げになったようなことが自然に進行していくということではございませんで、いろいろ政府側の施策も必要であると存じますが、ただこういうことがやりやすくなると申しますか、そういうことが必然的に要求されるような状態にだんだん変わっていくかと思うのでございます。ごく概略でございますけれども、一応考え方としてはその程度でございます。
#23
○藤田藤太郎君 今あなたはそうおっしゃいますけれども、まだこの倍増論の報告書にはいろいろのことが数字もあって、もっと書かれております。しかし、あなたがここで倍増論の最終決定案に対して、この計画の解説を書いたところに、この項――まだたくさんありますけれども、この項一つ取り上げてみても、今の労働省がやっておられる九項目ほど今おあげになったところに、あなたがこれを基本的にやらなければどうにもならぬのだ、これをやるべきだと主張しておられるのと労働省が実際にやっておられることとの関係というものはどうなんです。
#24
○政府委員(大来佐武郎君) この点は、実は倍増計画というのは十年間の問題を指摘するという形になっておりまして、その中で現在の段階で取り上げられる政策というのはおのずからある程度限られてくる面があると存じます。全体の経済の状態とか社会の状態等がございますので、倍増計画というのは、十年という期間を一貫してこういうものが望ましいということを申しておるわけでございますから、現実の政策はその中の実行の機が熟しておると申しますか、取り上げ得る段階に達したものから漸次実現していくというふうに私ども解釈いたしておるわけでございます。
#25
○藤田藤太郎君 労働力の流動性の面からいってあなたが考えた最低の条件だと私は思う。この問題は、あなたこの雇用促進事業団法案というのを今度労働省の行政管轄で国会に提案しているというのについて内容までみな御存じなんですか。
#26
○政府委員(大来佐武郎君) 実は詳細な内容は存じておりませんが、労働省から提案があることは存じております。
#27
○藤田藤太郎君 そうすると、経済企画庁というのはどういう役割をするところなんでしょう。内閣が経済の計画を立て、これは十年倍増論でありますけれども、三年計画をお出しになっております。その中には経済の投資はどうする、この産業は産業のもとをどういうふうに拡大して国民生活はどうする、雇用はどうするという計画に沿って労働、厚生、文部、建設、農林という工合に具体的な行政というものが行なわれてこそ私は池田内閣の政策だと思う。ところが、これは十年間の中でこれをやるんだ。しかし、これに出てくるのは最低の条件だ。これは今一時に実施すべきだという問題を私は言っておるんじゃありません。しかし、十年間流動性をやろうと思ったら、これは少なくともこの問題を初年度からぼつぼつでも取り上げて、根本からこれを達成するのにはどうするんだという具体政策というものがなければ、私はせっかくここで国民にあなたが書いて読まされた本が、国民はどういう感じでこの本を見、実際の行政と照らし合わさすかということをどういう工合にお考えになるか。だから私は、そういうお話になると、経済企画庁というものが内閣の中でどういう役割をするのかということが聞きたくなってくるわけです。
#28
○政府委員(大来佐武郎君) ただいまの御質問になりますと、実は大臣にお答え願わないとまずいのかと思うのでありますが、私ども従来から長期計画の立案の事務方を担当して参りまして、大体こういう日本経済の基調が自由経済といいますか、私企業の活動を中心にして行なわれておりますので、そういうところの経済計画というものがどういう役割を持つかという根本問題がございます。
 それから企画庁の仕事の立場と関係各省のそれぞれの担当を持たれた各省の仕事の分解ということもございます。現実の場面ではいろいろとそういう問題が出て参るわけでありますが、総合計画の立場から申しますれば、一つには経済の計画の中にかなり予測的な要素が入っておりますので、いわゆる経済計画体制の国の計画とは違いまして、さらに見通し的要素がある、そういう意味から申しますと、ある意味では計画が同時に政策といいますか、将来経済政策を考える上の方向の手がかりを提供するというような立場になって参ると思うのでございます。その場合にこの総合的な経済のバランスがはじいてございますので、関係各省なり、あるいは民間でそれぞれの担当の仕事を考えます場合に、全体としての政府の考え方なり日本経済の推移の方向はこういうことであり、また、こういうことが大体主要な、長期的な問題点であるということをそれぞれの立場からお考え願って、それに沿った活動がおのずから行なわれる。こういう役割が長期計画の働きであろうと考えておるのでございます。この計画の中に書いてありますことを、それぞれ詳細な点にまで企画庁が現実の過程で各省に対して要請をするということは、場合によりますと、いろいろ行政上の重複混乱を招くこともございます。私どもの考えといたしましては、これも実はこの総合部会というのが最近設立されたわけでございますが、もう少し長い目で、一応昨年の暮れにできました計画でございますから、しばらく推移を見まして、一年なり二年なりたちまして、現実の動きなり各省の政策の動きというものがこの計画で考えられたところと大体合っているかどうか、あるいはあの計画で考え足らなかったところがなかったかどうかという点をレビューいたしまして、そのレビューに基づいて、また関係各省に必要の場合にはこういうことを長期的な見地からお考え願ってもいいのじゃないかというような報告なり勧告を出すということも考え得ると思うのでございますが、さしあたりはこの計画を作る過程におきまして、関係各省全部この小委員会なり部会の審議に参加してやって参りましたので、現在は大体においてこのラインに沿って各省がこの政策を進めておられるというように私ども了解しておるわけでございます。
#29
○藤田藤太郎君 あなたのおっしゃったことを聞いておっても、私はよく労働省が今やろうとしておられることと、あなたがこの本をお書きになって、これは政府の公式な解説書であるのか、大来さん個人の解説書であるのかということを問わざるを得ぬようなことになってくるのでございます。だから先ほど冒頭にお尋ねしたように、雇用促進事業団法案というものを詳しく御存じであったかということもお聞きしたわけです。だから結局は、経済企画庁がこういう一つの絵をかいた。しかし、今お話を聞いてみると、各省の行政庁の代表が出て、これをお作りになったということをお聞きしてみると、そうでなしに、大来個人でなしに、やはり経済企画庁の倍増計画の骨筋というものがここに入ってこの解説書になったように思うわけです。そうなってくると、なおさら私たちはわからなくなってくるわけでございます。たとえばそのページのうしろの方にも失業者の生活の安定をはかるために云々というようなことが書いてございます。その前の方に来ますと、就労の計画も書いております、雇用の計画も書いております、その前のぺ−ジに。だからそういうものが、私は何といっても各省の総合によって立てられたのだから、そういうものをどうしてこの行政上生かしていくかというのがこの雇用促進事業団でなくてはならぬと、私はそう思う。これはだれが聞いても間違いのないところだと私は思う。労働省がたまたま業務の担当をされたけれども、この政府の経済計画の中の雇用の問題をどうするか、総合的な雇用の問題をどうするかというところに雇用促進事業団法案というのが出てきた。これは当然のことだと私は思う。しかし、今あなたのおっしゃったことと、労働省の今出してこられました事業団の大目的は完全雇用達成にあるんだ、こういうことを大臣はおっしゃいましたから、私は幾らかこの法案の目的の方から理解をしておりますけれども、そういう筋が、せっかくここにこういう工合にして書いておられるけれども入っていない。ことしの具体的にどうやるのかというと、今具体的な訓練の問題、それから流動性のバランスの問題、それから流動労働者の住宅の問題、それから工場の誘致の問題、最賃制の問題という工合にあげられました。具体的な問題として起きてきた事項について、起きてきている現象の問題の処理をどうするかというような行政を労働省はおやりになっている。根本的に完全雇用の大目的達成というところに労働省の行政は一歩も踏み出していないというところに、この倍増計画との関係がどうなるかということをお尋ねせざるを得ないのです。せっかく倍増計画でこうお出しになるなら、これがあらゆる各省の行政の面に具体的施策として現われてこなければ私は意味がないんじゃないか、こう思う。だから、そこらあたりのいきさつを、私はいずれ迫水さんに来てもらって具体的な問題についてお聞きしますが、あなたが計画の中心になられた方だから私は今まで聞いておった。しかし、いいです。それぐらいのことで、私はよくわかりませんが。
 そこで、私は大臣にお尋ねをしたい。だからこういう工合にして政府のおやりになる倍増計画、それからたとえば三年間の計画というものを見ましても、あの一番の大目標は完全雇用達成ということになっておるわけですけれども、今の倍増計画を見ておると、どうもそこらの筋になる問題が少し欠けておるような気がするわけです。大臣は、この計画できめられた倍増計画のこの施策との関係をどう今後処理していこうとされるのか、そこらの見解を聞きたい。
#30
○国務大臣(石田博英君) 労働省が雇用計画を立てて参りまする場合の具体的な施策は、これは大きくは所得倍増計画の立てられた線に合うように、そうしてその見通しに合致することを目標として立てて参るわけでございます。雇用促進事業団法案を提案をいたし、そうしてその事業団の今年の事業計画を御審議願いますのも、本年の時限における所得倍増計画内の労働省の役割をこの中で果たしていこうとしておるわけであります。そこでさらに、労働省として完全雇用の実現を目ざして参ります場合の最も根本的な態度と考え方は、計画の立案及び推進、諸経済政策の実施にあたっては人間の問題の処理を常に前提として考えてもらうということであります。従って、その人間の問題というものを私どもは担当いたしておるのでありますから、たとえて申しますと、石炭政策を実施する場合に失業者、離職者が出てしまってからその離職者の問題を処理するために労働省が計画を具体的に実施するというのではなくして、離職者が出る見込みであるならば、その離職者に対する計画と対策が実施せられたときに離職者が出る見込みの政策を実施するという取り扱いにしてしまう、持っていくということが基本的な労働省としての政策の方向であります。しかし、完全雇用の実現のためにはもとより労働政策だけが独立して進んで行っていいものではないのでありまして、やはり一般産業経済政策の実施、特に産業構造というようなものの変遷というものを考慮に入れていかなければなりませんし、それと見合っていかなければならない。ただ見合う場合には、先ほど申し上げましたように、そっちが先へ進んでその当然の結果として出てきたものを跡始末をするというのであってはいけないのであって、やはりその人の問題についての対策を具体的に立てた時期に新しい政策を実施するということを確保しておくことが私は諸計画の中における、所得倍増計画の中における労働省の根本的な問題であり、人を常に前提としてしなければならないという考え方の具体策であると考えております。しかし、相関的な問題でありまして、そういうことによって人の問題を円満に処理し、また、産業界を大きくいたします人々を訓練をして、あるいは要求する場所に要求する人を移れるようにすること自体がさらにまた経済界、産業界の発展に寄与して、相関的にその問題にもいい影響を及ぼして参る、こう考えておる次第であります。
#31
○藤田藤太郎君 私は、この雇用促進事業団という事業団の役割が大きいということを申し上げました。で、私は、今の潜在失業者をどうするかという問題が重要な問題であり、で、潜在失業者と失業者――まあ日本で言われる潜在失業者の概念というのはみんな含んでおりますから、だから分けますと、労働者の中の半失業者と失業者、それから農業の過剰就労者を、これをどうするかという問題。もう一つは、この前も私は議論したんですが、商業行為をやっている零細商業――最近、大商店、スーパーマーケットというのですか、そういうものができて、私の方なんかではばたばたみんな倒れていっておる。こういう人たちが生活の手段を講ずるのにどこかで働いて収入の面を得なければならぬ。その対象として私は三つ対象にしなければならぬのじゃないか。この三つの対象を雇用労働者としてどう受け入れていくかという問題が、この雇用促進事業団の中で考えられなければならないんじゃないかと、私はそう思う。しかし、この倍増計画を見てみますと、その雇用労働者の問題には触れておりますけれども、農業の過剰就労とか商業行為をやっている零細商業の方々の問題なんかは大きいワクの中で考えられているか知らないけれども、そういう問題には触れられていないんです。残念ながら触れられていないんです。で、それは第三次産業の商業行為の方は産業の方に吸収するということになるのかどうか知らないけれども、しかし、雇用労働者という姿でそれが転職をしていくわけです。第一次、第二次、第三次産業でもそういう姿で転業していく。農業の過剰就労者もそういう格好で雇用労働者として転業をしていく。こういう問題が私はやっぱし完全雇用をやっていこうというところに、そういうきめのこまかい問題までどういう工合にして就労を吸収していくかという問題が出てこなければ、これは購買力にも転化しないのです。経済繁栄の道にもならないですよ。そういう問題にはこのあなたの書かれたものには触れられてないような気がする。しかし、骨だけはぎっちり書いていただいておりますから、このさっき読み上げましたことはまことにいいことが書いてありますから、これをどう実施していただくかということを私は少し先ほど議論をしたんです。だから大来さんにお尋ねをしたいんですけれども、これは雇用促進事業団の、完成雇用を達成するための事業団の法案審議ですから、そういう意味であなたは農業の過剰就労と商業のそういうところの方々、それから労働者の方々をここに書いておりますが、どういう工合にして一つ完全雇用の方へ持っていくかというところの計画についてのお考えを一つ聞かしていただきたい。
#32
○政府委員(大来佐武郎君) 先ほど来の御質問の点でちょっとお断わりしておきたいと思いますのは、実は私の名前が出ておりまするが、これは経済審議会の答申が出ましたときに答申の解説という形になりまして、この後に政府計画の閣議決定が十二月二十七日にございまして、それはこの全体を要約したような形になっておるわけでございます。その辺、まあなかなかどこに線を引くのか問題でございますけれども、幾分そういう意味でこの本の方には審議会の答申といいますか、それの解説ということが中心になっておるわけでございます。なお、この閣議決定になりました分の中にも今の点について確かにあまり明確ではないかもしれませんのですが、第九表というのがございまして、産業別の成長率と就業者増加率と一人当たり労働生産性の増加率というものを出しておりまして、この中で一次産業が成長率二・八、就業者の増加率がマイナス二・八、一人当たり労働生産性五・六というような数字をあげておるわけでございますが、結局この農業以外の部門の生産性の増大にバランスして、できればそれより幾分高い率で農業の生産性が上がっていかなければならない。その場合に農業以外の非農業の一体雇用機会はどうなるかということを、生産の伸びと雇用の増大の関係からはじきまして、この非農業の吸収し得る割合は、農業の近代化、農業における生産性の向上との両方を突き合わせまして、就業者バランスというものを計画の中で考えておるわけでございます。で、一次産業以外の二次、三次の面、ただいま御指摘のように零細経営の部面がございます。で、これは統計上の、現在農業と同様に、零細企業については事業所の数及び就業者の数が減少いたしておるわけでございますが、私どもその傾向が将来も持続するんじゃなかろうか、全般的に近代的な雇用の機会がふえるに従いまして、やはり前近代的な零細企業における雇用が減少していくというふうに考えるわけでございます。で、その場合にただいま御指摘のように、割合若い労働力は、他の産業の近代的な雇用に比較的円滑に吸収されて参りますが、業主、経営者の立場にあります零細企業者、しかも中年になっている人たちの転業ということが非常に困難である。これは日本だけではない。各国もそういう問題があるようでございますけれども、これがやはり政策としては、中年者の転業の問題というのが政策の上では大きな問題になるかと思うのですが、労働省の方でも職業訓練等につきまして、この中年の転業者の職業訓練の問題は相当重視してお考えになっておるようであります。ある意味では、今までは割合にこの問題が現実として出て参りませんで、農業労働力にいたしましても零細の企業にいたしましても、今までは労働力の減少、それは農家の場合には若い労働力、二、三男の労働力の減少というような形、農家戸数があまり減らないというような形で参りましたし、零細企業でもその就業者が減るという形で、最近になって事業数も減り始めるというのでありまして、業主の転廃業というのはきわめて最近出て参りました現象でございます。そういう意味では幾分対策の面におくれがあるのかもしれませんですが、今後の問題としては、確かに重視すべき点だろう。計画の中に言っておりますことは、労働力の流動性の増大ということがやはり中年労働者に対しても共通の問題でございまして、一方において若年労働力の不足から初任給が上がって参ります。終身雇用制の賃金の年令別の傾斜がだんだん緩和して参る。このこと自体が中年労働力の移動についても、かなり可能性をふやして参ります。ということも考えられるわけでございます。特に商業の転業をどう考えるかというような点につきましては、特別に申してはおらないわけでございますが、今のような労働力の流動性の増大ということに、一般的に含めて計画では考えられておるわけでございます。
#33
○藤田藤太郎君 それじゃその農業労働者のとらえ方について、ここにやっぱりあなたのお書きになったところがあるのです。で、農業労働者は大体千四百万あって、それを千万から千百万くらいに四十五年度にする計画になっておるのだ、こういう工合に書いてある。しかし、農業労働者の実態というものは、これは農林省の方々も意見もつけ加えてお書きになったものでしょうかということを私はお聞きしたいですね。今の農業労働者の実態というのは、固定した農業労働者と、それから出かせぎ的な農業労働者と、それから家族労働者が、農繁期に動員されるか、この三つが一緒になって農業生産というものが行なわれておる。それをここでは、固定が千四百万だ、それが一時は千六百万にふえたけれども、順次千四百万ぐらいになっているのだ。これを千百万から千万ぐらいにしたい。まあ倍増計画を見ると、農業労働者は基準年度から四十五年度までに四百九十一万減らすのだと書いてあります。だからこれで大体千五百万から一千万にするなら大体符節が合うかもしれませんが、とらえ方の問題は、今の農業労働者が大体農繁期になりますと千七百万から働きます。その中の三百万ぐらいはむしろ家族労働者が動員されて、そのほかにあと三百万ぐらいが大体農業もやり、それから賃働きにも行く、こういう格好なのが農業労働者ではなかろうかと私は思っておる。そういう産業予備軍的な労働者がこの今の雇用労働者の中でどういう役割を果たしているかということを私はやっぱりよく考えていただいて、この雇用の推移というものを考えていただかないと実態と少し違うのじゃないかという気がするわけであります。たとえば労働省がどうして雇用を拡大するかという具体的な施策を七つばかりあげられました。基本的な問題は今触れておりませんけれども、そういう職業訓練とかその他によって正常な労働環境につけていくというのだけれども、しかし、農業労働者を一つ見ても、農繁期だけは農業をやり、その他は日雇いとかなんとかそういうところへ行くという三百万からのしょっちゅう移動している労働者というものを含めてこの問題の処理を労働省はせなきゃならぬ。しかし、この計画ではそういう問題が一つも触れられていない。そういうことを見てみても私は非常に倍増計画との間に問題があるんじゃないか。私の認識が間違っておるなら、そうでない、こうだという工合に指摘していただければ私も認識を新たにいたしますけれども、私はやっぱりそういう点は経済計画をお立てになるときには、実際の担当をしている労働省との関係で、血の通ったものが出てこなければ、それじゃこれを、あなたのお書きになったのが国民の前にいって、ああこういうことになるのかといって国民は期待するけれども、現実はそうでないというところが違う。やっぱり私たちにはもっともっと早く完全雇用をしたいという熱願があるわけです。まあもう一段の議論を進めますならば、先ほどお話しになりましたように、生活水準を上げるための賃金をどこまで引き上げていくか。生産性と賃金の比率が、これは池田さんも指摘しておられた生産性と賃金の率とが外国では大体並行な形で競争しているところに完全雇用と生活が守られる、国民所得の中の勤労所得の比率という問題を、これには触れられておりますけれども、そういう問題が一つある。もう一つは、これだけ機械が物を作ってくるのでありますから、時間短縮をどう具体的に進めて、そうして勤労の喜びの中に人生を全うさせるような方法というものも計画の中に突き進んだ議論として、私は具体的な施策としてそういうものが入ってこなければ意義がないと私はそう思う。だから、そこらあたりの点が労働省の実際の施策と経済企画庁のお立てになっているところとがどの程度血がつながっておって、どの程度具体施策としてなっていくかというところが、さっぱり僕には理解ができないんですよ。だから、この雇用促進事業団の審議にあたりまして、私はその問題を明らかにするということが一番大事じゃないか。私はそう思っておるんです。その問題を明らかにして、池田内閣なら池田内閣が経済の政策を立てるのに、完全雇用の達成を一番大きな旗じるしにしておられます。この完全雇用を大きな旗じるしの柱の一本として、経済の拡大方式を柱としていかれる中で、具体的に総合的な十年倍増計画を立てられる。これとあわせて行政というものがどう進んでいくかということが血が通っていなければわれわれはなかなか理解できない。そこのところあたりをぜひこの法案審議にあたって、私は筋を明らかにしてもらいたい。それでこの限界までを次の段階にはこういう工合に進んでいくのだということをこの社労委員会で明らかにして、そうして雇用促進事業団というものを歩かせるということに私はしたいと思う。これは迫水さんが来られ、場合によっては池田総理大臣の御見解も聞く。こういう場所があってもいいと思いますが、まあ総理は忙しいですから何もここに云々ということは言いませんけれども、その筋だけは、画期的なと言われておる雇用促進をしようという、今までこういう法律案というものはなかったんですから、雇用促進をやろうという、政府みずからやろうということでお出しになったんだから、その筋を明らかにして一つ経済計画との間に立って明らかにしてもらって、この法律が歩き出すという格好にならないと、私はやはり意義がないんじゃないか。国民が期待しているものとは違った形になるんじゃないか。これを私は考えておりますから、今の関係を、倍増論とそれから促進事業団との関係をお尋ねしているところでございます。まあそういう点をどうか一つよく理解をしていただいて、皆さん方もどうか筋を明らかに一つこの委員会を通じてしていただきたい。そうでなければ私はこの法案というものがちょっとこの前も言ったことがありますが、内閣や、経済政策を立てたやつの現象面に出てきたものだけを労働大臣が請け負うてやるというような格好に――そんな法律案じゃない、もっと画期的な私は九千何百万の国民の中で完全雇用を達成するための雇用促進事業団というものが、順次計画立案は内閣でするんですけれども、計画を具体的に実施していくという役割を果たすのが雇用促進事業団である。私はそういう工合に考えておるわけでございます。
 そこで、具体的に経済計画をお立てになった大来さんが、――大臣にはあとから質問するといたしまして、日本の経済の推移について、この計画の推移について少し私もこの議論を進めたり認識しておきたいと思いますので、少しお話をしていただきたいと思うのです。
 第一は、この設備投資です。三十四年、五年、六年の設備投資がどういう格好で進んできたか。それからこれに応じてこの設備投資の内容の問題ですけれども、生産に直結した設備投資や事業の、何というんですか、直結しなくても拡大とか事業設備その他に投資されるような格好で投資がされてきた比率の問題、そういう問題が一つ。それからこれがどういう工合に生産力に転化をしてきたか。それから国民所得の中にどういう役割を果たしてきたかというような問題でございます。それから生産性と賃金の上昇率との関係、これは一つ外国のOEECあたりの例を一つ専門家ですからお聞かせ願いたいと思うのです。OEECがやっているあれは各国でどういう工合に生産性と賃金上昇率との関係の中で、どういうところが維持されているかというような問題についてお聞かせを願いたい。一ぺんに言いますとなんですから、まずそれだけのことをお聞きしたい。
#34
○政府委員(大来佐武郎君) ただいまいろいろお話のありました点、私どももまあ日本の経済の近代化という見地からそういう筋であらねばならぬと考えておるわけでございますが、この御質問の点で設備投資、生産力、国民所得、生産性と賃金の関係、最近の推移等について、実は本日手元に資料を持って参りませんでしたので、ごく概略の点にとどまるかと思うのでありますが、この倍増計画におきましても、設備投資全体としては計算の出発点になりました昭和三十一、三十二、三十三と、これを基準年次として経済の型といいますか、構造を将来に伸ばして考えておるわけでございますが、その基準から考えましてやや高投資型になる。この国民総支出の中における資本蓄積、資本形成の割合が幾分上昇いたしまして三二%程度になる、ただその中におきまして総体的に民間設備投資と行政投資との関係、行政投資というのは道路とか港湾とか下水その他の公共的な施設でございますが、この方が従来より幾分比重を高める、これは日本のそういう公共的な基礎施設がいろいろな面で立ちおくれがはなはだしいという点から、計画の中でも行政投資の比重を高めるという形になっておるわけでございます。今現実にはこの設備投資が計画で考えておりましたレベルより相当大きく上がっております。この点をどう判断するかということは、新聞、各種雑誌でも御承知の通り、専門家の間にもいろいろな見解があるわけでございます。企画庁の方といたしましては、経済審議会の中に中山伊知郎先生が部会長の総合部会というものが設けられまして、その総合部会の場で設備投資なり国際収支なりの大きなバランスの問題を現状と計画と照らし合わせて議論して参るという予定になっております。明日その会合があるわけでございますが、一つには計画自体のはね返りの影響というものも私ども近ごろ感じておるわけでございますが、計画にある程度の数字が出ておりますと、まあそれをベースにして民間の企業が投資計画を組まれる。それでその場合に各企業ができるだけ自分の企業の生産の比重、いわゆるマーケット・シェアというものを高めていこうというような意欲もございまして、これがある程度投資を促進する、計画以上に投資を引き上げるというような影響を持っておるようにも近ごろ感じておるわけでございます。ただ、この投資が高いということは、さしあたり現在の消費との関係におきましては、消費の増大に対して投資の増加が大きいということになるわけでございますから、いわゆる高投資型、低消費型の経済になりますが、長い目で見れば経済の拡大を早め、雇用の状態の改善を促進する、完全雇用に接近する時間を短縮するという結果にもなるわけでございますので、まあこの投資の内容についで相当慎重に検討いたしませんと、はたして現在の投資水準が妥当であるかどうかという結論が、簡単には得られないように思っているわけでございます。で、その点が実は生産性と賃金の問題にも関連して参るわけでありますが、過去数年間、日本の経済は大体において投資の方が消費よりも早く伸びて参りました。蓄積の方が消費よりも高い率で伸びて参りました。もちろん消費自体も相当なテンポで上がっておりますが、それ以上高い率で蓄積、資本形成が伸びて参ったわけであります。そのことがまた投資の拡大を可能にしている。まあ生産性は大体国の経済全体の成長と比例するわけでありますが、その中で、総生産の中で消費に向かう割合が相対的に投資に比べて幾分低下しているということが、一つは経済全般として見た場合の生産性と賃金との上昇率の開きという原因になっておるかと思うのであります。しかし、その結果としてより多くの投資が行なわれておるという事実はやはり見落とし得ないように思うわけでございます。今後につきましては、そのような傾向が、ますます経済が高投資型になるということには限界があると思います。私ども今後はだんだんと投資の伸び率が落ちついて参りまして、それに対して消費の伸び率が相対的に高まってくる。で、消費と投資がバランスがとれた形で伸びていくということを予想いたしておりますし、また、政策としても大体そういう筋で考えるべきものだというふうに思っているわけでございます。OEECの資料等につきまして手元にございませんのですが、まあ大体完全雇用型の先進国におきましては、ほぼ生産性と賃金が比例して動いておるという状況になっておると思うのでございますが、日本もこの三年ぐらいが、今の貯蓄率、投資率が急速に上がってきております過渡的な状態とも関連いたしまして、生産性上昇率と賃金上昇率の間にある程度の開きがあるという状況になっておると思いますが、今申しましたような事情から、投資ばかりが無限に伸びていくということは経済の循環として考えられませんので、やがてまたこの消費と投資の均衡的な成長の段階に入る、そういたしますと、生産性と賃金の伸びも、ほぼ相伴っていくような形になるのじゃないか、概略そういうふうに考えておるわけでございます。
#35
○藤田藤太郎君 僕はここで議論をしようとは思いませんけれども、しかし、生産性が上がるということと、日本のように非常に低賃金なところの賃金率というのは、収益向上の面から見たら非常に外国と比べて低いわけです。そういうところでやって、昭和三十年から三十五年までの間に生産性が五三上がって、そして賃金が三七しか上がっていない、こういうところにこそメスを入れなければ、完全雇用という問題のとっかかりもできないじゃないですか。そういうところにメスを入れない限り、そういう肝心なところがふえてないところに問題があるのじゃないかと私は思う。だから私はまあ議論をやろうとは思いませんけれども、生産が幾ら上がっても消費、内需というものが停滞していたら、もうどういう結果が出るかぐらいのことは私が申し上げる必要もないことだと思う。一番肝心なところにメスが一つも入らない、設備投資もことしは何か四兆をこえるというようなことが新聞にちょくちょく出てくる。そういう状態で、自由経済ということで、一切その方は何のチェックも何もしないとどんどん設備が拡大していく、しかし、肝心なところにはメスを加えない、それでメスを加えないで、今度は労働行政でうまくやりなさいといっても、これは労働大臣の私は肩を持つわけじゃないけれども、それはできっこないと思うのだ。そういうところがここにあるわけです。だからそういうことを総合的に私は経済政策の中でもやって、そしてここで雇用問題をどうするか。あなたが三条件を掲げるのは私は賛成です。これをどういう工合に具体的に実施するかというところに、この法案が歩き出したときには、私はそれをかかえて歩いてもらうということでなければ意味がないのではないか。それが雇用促進事業団の役割であると私はそう思っているのです。これは間違いであったら、一つ大臣の御所見も承りたい。
#36
○国務大臣(石田博英君) 今所得倍増計画の中で完全雇用の実現を目ざす要件として労働力の流動性の確保、時間の短縮、それから封鎖的な雇用制度、あるいは賃金――年功序列型賃金体系の是正、あるいは同じ賃金問題でありますが、中小企業その他の低賃金層の問題の解決、こういうことが大きな目標として指摘してあるのでありますが、そのうちで労働力の流動性の確保という問題のこれを通じての雇用の促進という面を主としてこの雇用促進事業団が受け持ってやるわけであります。
 時間短縮の問題は、私はこれは一般的に生産性の向上を伴いまして、それと並行して、漸進的に進められていくべきものであると考えておるのでありまして、目標として、近くILOでは四十時間を目ざすことを勧告されるようでありますが、その目標に進んでいくことを私どもはやって参らなければならないと思っております。これをやります前の労働行政の部門として必要なことは、やはり各企業内における労働力の配置管理、そういう面の改善をはかることでありまして、現状のいたずらに拘束時間を長くして、そして生産性がそれに伴って上がっていないという状態の改善を指導していこうと考えておる次第であります。と同時に、非常に飲食店その他サービス業に多い長時間労働、これの改善をはかりますために、一斉閉店、週休制の実施、その他基準法上の要求を満たす努力をいたして参りたいと思っております。
 それから賃金体系の問題でありますが、この賃金体系の改善は先ほども大来君のお話にもありました通り、一面におきまして年少労働者の賃金が上がってくる。これからも上がってくるだろうと思います。そして、これのささえとして、やはり最低賃金制をもっと強力に実施しなければならない。その内容についても漸次改善を加えていかなければならない、こう思っておる次第でありますが、それと相見合って、やはり同一労働、同一賃金という方向に、つまり現在の年功序列型賃金というようなものが、それと見合いつつ変容してくるだろうと思います。しかし、それは自然に変容してくるのを待つのではなくて、私はこれは本質的な日本の賃金体系のあり方自身について、労働省としての方針を至急に検討すべきものと思っている次第であります。
 そこで残るのは、先ほど藤田さん御指摘の日本の最低賃金層、言いかえると、いわゆる不完全就業の状態にある人々の処置をどうするか。これがやはりこれからの非常に大きな問題になると思います。第一には、主として第二次産業に見られる不完全就業の状態、社外工、臨時工、日雇い、そういう形に見られる就業状態、これは基準法上の監督を厳重に行ないますとともに、同じ労働に従事しているにかかわらず雇用関係の違うということだけで、労働条件が違うということは、労働行政の上から見て看過ができないものであり、かつ景気変動の犠牲を労働者だけに転嫁しておるという状態も、われわれは承服しがたいところでありますから、この雇用関係の改善に進んで参りたいと思います。ただこれはこういう雇用関係がなぜ現存しておるかというと、日本における今までの間断ない過剰労働の結果であります。その過剰労働の状態というものは、やはり漸次改善されつつあることに伴って雇用問題を改善をしていきたい。それから農業における過剰労働者の問題、これは季節的な問題と関連をいたします。そこで季節的な労働者あるいは日雇い労働者、そういうような問題のあり方について私どもは所得倍増計画の中に、これはどういう形で存在をせしめるべきかという検討が必要だろうと思います。第一段の問題、第二段の問題、つまり日雇い労働あるいは臨時工の存在、そういう形態それ自身は、私は必ずしも悪いものとは思わない。しかし、過剰労働によって圧迫を受けた結果として、そういう状態にある者が不当に悪い労働条件にあるということ、それから低賃金にあるということが問題なんでありますから、その改善をはからなければならぬと思っております。零細企業者――脱落して参る零細企業者の問題でありますが、この零細企業者は、これは藤田さんは第三次産業の例をあげられたのでありますが、そのほかにたとえば石工、大工、左官その他いわゆる一人親方の制度がございます。これは失業保険の対象にもならず、労災保険の対象にもならない、さらにまた、零細企業者で家族労働だけで成り立っております企業者も同様であります。こういう一人親方の存在というものは、現在の労働法のいかなるものにも引っかかってこない、こういうもののまず救済措置、つまり他の一般の雇用労働者と同一の条件が付与されるような措置を検討すべきものと思っている次第であります。そうした上において三原則を進めて参るべきものと考えている次第でございます。
#37
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#38
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。それじゃ続行して下さい。
#39
○藤田藤太郎君 今御意見がありましたから、きょうのところはもう少しそれじゃこれに関連した問題だけを進めて、次の機会に譲りたいと思います。大来さんがこの次に来ていただければ、この次でもいいのですけれども、少しこれに関係した問題をもう二、三点大来さんがせっかくおいでになっておるのだから聞いておきたい。
 私が先ほど申し上げているのは、今大臣がいろいろな施策をやっていくとおっしゃいましたが、その基本的な経済計画との関係で、肝心なところを抜かしておいて手先の問題だけで労働行政をやろうといっても、これは無理なんですから、やっぱりきちんとその点はここに三つ掲げられておるのですから、それが経済計画との関係できちんとした経済計画投資、設備投資拡大というところからこの問題は問題点としてきちんとこの雇用計画につながっておらなければ、私は意味がないものだ、こういう立場から申し上げておるわけです。だから、そういう意味でもう少しお尋ねしておきたいと思いまするが、それは日本の総生産と国内需要と貿易との関係がどうなっているか、どういう格好で進むのがよいのか、こういうことでございます。それからこの中で、生活保障との関係があるわけですが、そこらあたりの問題をどういう工合に購買力に転化して、経済繁栄の道をつけていこうとしておられるのか。私の考えを申し上げますと、私は生活保障、社会保障ということは、当然労働能力のない人なんです。老年とか、身体障害者とか、母子家庭とか、そういう方々には保障するのはあたりまえですけれども、せっかく労働力を持っておる人を仕事もさせないでほうっておいて、生活保護法を適用しているという、これほどまずい政治はないと私は思っておるわけですから、そういう意味から、労働力を通じて社会に貢献し、それが貧困をなくす。それから購買力に反映するというふうな道を、どういう概念でこの倍増計画はお考えになっておるか、こういう点も一つ御所見を承っておきたいと思うのです。
 それからもう一つの点は、国民の階層別の所得のアンバランスをどうして調整をするか。第一、第二、第三といいましても、その中の産業別の、階層別の所得のアンバランスがどんどんこれから出てくると思います。そういうものをどういう調整をやっていくか。たとえば税制でやっていくのか。そうでなしに違ったどういう方法でやっていくのか、こういう点もこの倍増計画の中の私は重要な点だと思いますから、その点一つ構想だけを話しておいてもらいたい。
#40
○政府委員(大来佐武郎君) 第一の御質問の点で、総生産と貿易でございますが、十年倍増、経済規模は倍になるという場合に、大体輸出貿易として九十三億ドル程度のものが必要だろう。そのためには年率一割、大体年一割平均で輸出が伸びれば、ほぼその程度の輸出に到達する。それが日本の経済の、二倍の経済規模をまかなうに足る輸入をしていくことが可能になるというような計算になっておるわけでございます。日本の場合には、貿易というのは、購買力といたしましては、総需要の中の約一割でございますけれども、日本の経済の性格から申しますと、原材料を買わなければ産業が動きませんので、そういう意味では外貨が不足するということは、日本の経済活動、経済成長自体を制約する重大な要因になって参るわけでございますから、この輸出をできるだけ伸ばしていくという政策は、短期的にも、長期的にも、日本の経済の性格からいって必要だろうと考えておるわけでございます。しかし、総需要という立場から見・ますと、国民消費、国内の投資、行政支出というふうな大きな部分を占めるということは当然でございます。そういう意味で投資の拡大とともに、国内の内需も並行して増大して参ることが必要だ。それが参りませんと、やはり供給と需要のアンバランス、先ほど藤田先生の御指摘になりましたような問題が出て参るわけでございますから、ある場合には、これは時期的に投資が非常に急速に伸びるときもあろうかと思いますが、またある別の時期には消費の方が投資よりよけい伸びる。こういう形が交互にいく形で長期的にバランスをとる必要があると存ずるわけでございます。
 第二の生活保障の点でありますが、これは計画の中に、いろいろな社会保障の考え方が出ておりますが、一つには労働力をできるだけ、非常に極端にいえば救済的な社会保障支出がなくてやれるような社会というものが一番望ましいのだけれども、それは現実に母子家族とか、不具者とか、いろいろ労働力の劣った人たちがおりますので、全部正常な職業におって、正常な収入を得て、一人前の生活ができる経済状態にあることが一番望ましいわけですが、必ずしもそうもいかない。その面はできるだけ社会保障、生活保護で救済して参るということが一つと、それから貧困と病気の悪循環ということが厚生省の調査等にもよく出て参ります。できるだけ医療保障の面を充実することは、これは非常に生産的な社会保障である。つまり貧困化と疾病の悪循環を断ち切る。そういう意味で医療保障の充実ということを考えなければいかぬということが倍増計画の社会保障の方に述べられておるわけでございます。全体といたしまして、社会保障の一つの基本的な条件というのは、相当なスピードで成長する経済、常に雇用の機会が増大し、常に賃金水準が上昇し得るような成長力のある経済を維持していく、それがやはり基本的な社会保障政策であるということが、一方でこの倍増計画の基礎になっておると思うのでございますが、同時に、今のような形で労働力の不完全な人たちに対する救済、特に医療の充実によりまして、健康な労働力の再生産を可能にする。それが同時に貧困化の原因に対して大きな防壁になるというようなことが大体倍増計画で出ております線かと存じます。
 階層別の点につきましては、これも非常に論議の多い点でございまして、統計から見ます限りにおきましては、大体最近の推移といたしましては、上中下と分けてみますと、下は割合に上がっておる。いわゆる従来の低賃金層というところの賃金は相当急速に上がりまして、同時にそういう面では、労働力不足が御承知の通りいろいろな形で現われておるわけでございますが、中と上の関係は必ずしも現状では縮まっておらないという状況でございます。これはまあ大企業と中企業との関係で、将来一つの問題点だと思うのでございますが、やはりこの点につきましても、税制が一つの重要な階層間の格差の是正の手段だと存じますし、すでに欧米諸国も広く税制を通ずる所得の再配分をやっているわけでございます。日本の場合は、この点が、一つは戦争によりまして、激しいインフレーションによって、あらゆる労働が一度生活給に落ち込んだ、その生活給から今度はだんだんと職務なり、技能なり、責任に応じた賃金の体系にだんだん変わってきた。その過程におきましては、一応表面的に、統計的に見ましても、格差が拡大する格好をとるわけでございますが、これはある意味では、この戦後のインフレーションと最低生活水準にほとんど大部分の国民が落ち込んだということから、一面から言えば、所得の格差が過度に縮小したという面もあったかと思うのでございまして、その面が経済の復興に伴ってある程度復活して参る点がございます。しかし、これは早晩、今度は逆に上下の差を縮めるような税制、その他の財政政策で一般の水準が上がって参りますと、この格差を縮小する方向にいかなければならない。一面におきまして、労働需給バランスからいきまして、下の方が押し上げられるだろう。同時に、最低賃金制度等によって制度的にも押し上げられるということを期待しておるわけでございますが、さらに上層と中層との格差という問題については、主として税制等によって将来の対策が必要になって参るかと考えておるわけでございます。そのほか、この社会保障がもちろん最低層につきまして所得再分配効果を起こすということは当然でございます。
 概略御説明申し上げました。
#41
○藤田藤太郎君 その第一番目の問題ですね、年率一〇%伸ばして基準年度には九十三億ぐらいの輸出を持っていきたい、これはそういうふうに努力されることけっこうであるし、また当然だと私は思うのです。ただ、私はそこでもう一段伺っておきたいことは、さきの問題とも関連をしてくるわけですけれども、やっぱり貿易の原則というのはフィフティ・フィフティだと私は思うのです。昔と違って、この原則に立って日本の経済を拡大していこうという心がまえがなければ私は輸出も伸びないんじゃないかと思うのです。そうすると、どうしても日本の経済繁栄というものを来たそうとするのには、輸出を拡大しようとすれば国内のやっぱり近代化、生活の近代化ですね、そういうものをもたらさない限り輸出も拡大せないんじゃないか。ただ、いいところだけとろうなんといったところで、よその国は相手にしないというのが第二次大戦後の今日の事態ではなかろうかと思うのです。それはどこでやるか、それじゃどこで需要拡大、国民生活を引き上げて福祉国家の道を作るかということになれば、先ほどから議論するところにつながってくるわけであります。そこらの私は考え方というものにも通ずる。ガットの関係において私は言いませんけれども、その通りだと思うのですよ、今日の行き詰まりというものは。そういう根本的なところに問題のメスを入れないで、そうしてここで完全雇用と言ってみたところで私は成熟しないのじゃないか。だから、この点は次の機会にこの議論は譲りますけれども、何といってもその経済の計画、その経済の計画の近代化、今日から日本が産業近代国の仲間入りをしようというその仕組みを国の経済政策で立てるなら、これに合わせて雇用計画、雇用促進のこの事業団の役割というものは、そういう筋金が入った中で具体的な施策というものがこの中で講じられる。そういう大きな筋というものがきちんとしてこの法案が歩き出さなければ、私はこの法案の意義がないという格好をとっているので、問題の、前提になる問題の議論が私は、議論と言いますか、前提になる問題が明らかになっていないというのが現状ではなかろうかと、こう思います。きょうは皆さんの御意見がありますからこれで私は質問をやめますが、ぜひこの次も迫水大臣と一緒に大来さん来ていただいて御意見をわれわれに聞かしていただきたい、これをお願いをしておきます。きょうは大臣も来ていただいて基本的な目的の問題だけの御意見を伺いましたが、ぜひ私たちもよりよい雇用促進という重大な法案を審議するのですから、一つ今度はみっちりやりますので、どうぞ皆さん方もそういう筋を明らかにして、この法案が成立するようにお願いしておきたいと思います。
#42
○委員長(吉武恵市君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 では本日は、これで散会をいたします。
   午後三時二十五分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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