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1960/05/16 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第28号
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1960/05/16 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第28号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第28号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
   午前十時四十七分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君
  理 事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           久保  等君
           小柳  勇君
           相馬 助治君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
  政府委員
   総理府総務長官 藤枝 泉介君
   厚生政務次官  安藤  覚君
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省保険局長 森本  潔君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   内閣総理大臣官
   房参事官    宮田 千秋君
   大蔵省
   主計局主計官  岩尾  一君
   厚生省医務局次
   長       黒木 利克君
   厚生省薬務局企
   業課長     竹下 精紀君
   国立予防衛生研
   究所副所長   柳澤  謙君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○あん摩師、はり師、きゅう師及び柔
道整復師法等の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○社会保険審議会及び社会保険医療協
 議会法の一部を改正する法律案(内
 閣送付、予備審査)
○臨時医療報酬調査会設置法案(内閣
 送付、予備審査)
○結核予防法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査(小児マ
 ヒワクチンに関する件)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#3
○国務大臣(古井喜實君) ただいま議題となりましたあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 現在、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為につきましては、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法により、何人もこれを業としてはならないことになっておりますが、昭和二十二年十二月二十日の同法公布の際、引き続き三ヵ月以上あん摩、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者で同法施行の日から三ヵ月以内に一定の事項を届け出たもの等については、なお昭和三十六年十二月三十一日までこれを業とすることができることとなっております。
 今回の改正は、これらの業者に対する経過措置が本年末をもって終了することになりますので、これら業者がその業務を行なうことができる期間及びこれらの者が特例のあん摩師試験を受ける期限を三年間延長して昭和三十九年十二月三十一日までとすることとしたことであります。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(吉武恵市君) 次に、政府委員から、細部についての説明を聴取いたします。
#5
○政府委員(川上六馬君) ただいまの説明を補足いたします。
 現在あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法におきまして、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復につきましては、免許者のものにこれを業とすることが認められておりますが、それ以外の医業類似行為につきましては何人もこれを業としてはならないことになっております。ただ、これにつきましては、多少の経過的な例外措置が、今回の改正もこの経過措置に関するものであります。すなわち、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法施行前につきましては、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為は都道府県の取締規則の規制のもとに一部これを業とすることが許されていたことなどの関係もあり、昭和二十二年十二月二十日の同法公布の際引き続き三カ月以上これら業務を営んでいた者で、同法施行の日である昭和二十三年一月一日から三カ月以内に一定の事項を都道府県知事に届け出た者についてのみ当初昭和三十年十二月三十一日まで当該医業類似行為を業とすることを認めたわけであります。その後この措置を終了する昭和三十年に至り法律の一部改正が行なわれ、従来あん摩、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為の一種であった指圧があん摩の中に取り入れられるとともに医業類似行為業者の業務期限が三年延長されて、昭和三十三年十二月三十一日までとされ、これとの均衡上従来指圧を業とした者はあん摩師免許がなくとも昭和三十三年十二月三十一日まで指圧を業とすることができるものとされ、また、この間におきましては指圧業者を含むこれら医業類似行為者は通常要求される養成施設における二ヵ年の修業を要することなく、また、通常より簡易な試験をもってあん摩師となることができることとされたのであります。その後さらにこの措置の終了する昭和三十三年に至り、これらの業者の業務期限と特例あん摩師試験の期限は三年延長されて、昭和三十六年十二月三十一日までとなり現在に及んでおりますが、この間に昭和二十三年当初一万四千七百三十五人いた業者は、昭和三十四年十二月末現在においてあん摩師への転業者二千二百六十六人を含め四千九百八十二人ほど減り、九千七百五十三人となっております。今回の改正は医業類似行為業者がなお九千七百余人もいる実情もあり、今直ちにこれら業者に対する経過措置を打ち切ることもいかがかと考えられますので、その業務期限とあん摩師への転業の措置をなお三カ年延長し、その間に推移を見、また、対策も考えようとするものであります。
 以上が今回の法律改正に関する経緯と趣旨であります。
#6
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#7
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 本案に対する取り扱いにつきましては、後刻協議することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#9
○委員長(吉武恵市君) 次に、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#10
○国務大臣(古井喜實君) ただいま議題となりました社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 現在、療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項及び社会保険の診療報酬に関する事項を審議するため、厚生大臣の諮問機関として、中央社会保険医療協議会が置かれておりますが、この協議会につきましては、御承知のように、ここ数年来とかく運営の円滑を欠き、そのために診療報酬の改定等の重要問題の決定に必要な手続を踏むことが困難となり、行政運営上多大の支障を生じているのであります。
 先般、この問題を含め、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためとるべき方途につき、社会保障制度審議会に諮問いたしましたところ、同審議会から、適正な診療報酬算定のルールを確立するために新たに医療報酬調査委員会を設けること及び中央社会保険医療協議会はその運営の円滑化をはかるためにすみやかに改組すべきことの答申を受けたのであります。政府といたししては、この答申の趣旨を取り入れまして、中央社会保険医療協議会の円滑な運営に資するため、その所掌事務の範囲及び組織を改めることとし、この法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の内容について御説明いたします。
 第一点は、社会保障制度審議会の答申の線に浴いまして、この協議会の所掌事務を健康保険、船員保険の適正な診療報酬額及びこれと関連の深い療養担当規則関係の事項とし、従前の所掌事務から療養担当者の保険診療に対るす指導監督に関する事項を除いたことであります。
 第二点は、これも社会保障制度審議会の答申の趣旨を取り入れまして、現在、「保険者の利益を代表する委員」、「被保険者、事業主の利益を代表する委員」、「医師、歯科医師、薬剤師の利益を代表する委員」及び「公益を代表する委員」各六人合計二十四人の四者構成となっております中央社会保険医療協議会の組織を、保険者、被保険者及び事業主を一グループにまとめまして三者構成に改め、各グループ八名ずつ合計二十四人としたことであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#11
○委員長(吉武恵市君) 次に、政府委員から細部についての説明を聴取いたします。説明を願います。
#12
○政府委員(森本潔君) 補足説明を申し上げます。
 お手元に配付してございます資料の二十三ページでございますが、先ほど提案理由の説明にございましたように、厚生大臣から内閣の社会保障制度審議会に対しまして、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためにとるべき方途いかんという諮問をされたわけでございます。これに対する答申が次の二十五ページにございますが、その内容にきましては、ただいま説明がございましたように、二点ございまして、一つは内閣に診療報酬算定のためのルールを確立する調査会を設けるべきであるということが一つと、それから第二点としましては、中央医療協議会を改組するということが二点でございます。こういうような答申が出て参ったわけでございます。この答申の趣旨に浴いまして条文を整理いたしました。
 説明といたしまして、便宜この新旧対照条文によって御説明いたしたいと思います。十三ページでございます。上欄が改正案でございまして、下欄が現行の条文でございます。
 最初に、まず十三条でございますが、現行の規定によりますと、十三条におきまして、中央医療協議会と地方医療協議会の設置並びにその所掌事務を規定いたしております。改正案におきましては、所掌事務は十四条に詳細に書くことにいたしまして、十三条におきましては、厚生省に中央医療協議会、それから都道府県に地方医療協議会を置くという設置のことだけを規定してあります。
 それから次のページの第十四条でございますが、この現行法におきましては、中央医療協議会の所掌事務として、十五ぺ−ジにございますように二つの事項がございます。一つは「療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項」、それから二号といたしまして「健康保険及び船員保険における適正な診療報酬額に関する事項」、この二つでございます。改正案におきましては、この二号の項目を一号に持って参りまして一号といたしまして、「健康保険及び船員保険における適正な診療報酬額に関する事項」というようにいたしました。
 それから旧第一号でございますが、先ほども申しましたように、療養担当者の保険診療に対する指導監督は、中央医療協議会の所掌事務から抜くのが適当であるという社会保障制度審議会の御意見がございましたので、それを抜きまして、社会保険診療の療養担当規則と診療内容に関する事項だけを諮問することにいたしたのであります。新しく二号におきまして健康保険法、あるいは船員保険法、あるいは国民健康保険法の条文を列挙いたしておりますが、これはそれぞれ各実定法におきまして書いてありますところの療養に関する原則的な事項を一々列挙したものでございます。結論的に申しますと、もとの指導監督に関する事項から指導の大綱に関する事項を諮問事項から除いたということでございます。
 それから次のページの第二項でございますが、これは条文整理だけでございます。
 次のページの十七べージの第十五条、組織の規定でございますが、これは改正の主要な大眼目でございます。下欄にございますように、中央医療協議会におきすしては二十四人の委員をもって組織しております。そうしてこれは保険者である一つのグループ、被保険者である一つのグループ、それから療養担当者である一つのグループ、公益代表である一つのグループ、四者構成でございますが、これを上欄にございますように、保険者と被保険者のグループを一括いたしまして一つのグループにいたしたわけであります。いわゆる三者構成に改めました。
 それから委員の総数は同様に二十四名でございます。
 それから次の十八ページの第二項の地方医療協議会でございますが、これは条文の整理をいたすだけでございまして、今回は手をつけておりません。
 それから二項以下、同様であります。
 法律におきますところの改正は以上でございます。
 なお、ごめんどうでございますが、四ページをお開き願いたいと思います。四ページに法律案の要綱がございますが、第一の改正の目的、第二の改正の要点はただいま申し上げたところであります。第三の施行期日等でございますが、この法律は公布の日から施行いたします。
 それから第二のこの法律の施行前に任命された現在約半数の委員がおられますが、この人は法律の施行、新法の施行と同時に一応やめていただく、御破算にしていただく、こういうことにいたします。
 それから第三といたしまして、新法の施行後に最初に任命されます委員のうち、半数は一年間、半数は二年間というように大臣が指名をしてきめる、こういうような経過規定を設けたいと思います。
 なお、この法案の立案につきましては、関係の審議会がございまして、二十九ページにございますが、社会保障制度審議会に法案要綱として諮問をいたしました。この答申はここにございますように、全会一致で法案の趣旨を了承されました。
 なお、御提案としまして保険医の身分の保障であるとか、あるいは診療報酬の請求権の保護については別途考慮すべきであるというような御意見がついておりますが、本法案に対しては全会一致の御答申をいただいております。
 それから三十二ページでございますが、これも関係の審議会といたしまして社会保険審議会がございます。これにも同様法律案を諮問いたしましたところ、全会一致をもって本法案の趣旨を御了承いただきました。
 なお、その際一、二の委員から若干の意見がついておりますが、これもここに記載してある通りであります。
 以上簡単でございますが……。
#13
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#14
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 それでは本法案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#16
○委員長(吉武恵市君) 次に、臨時医療報酬調査会設置法案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#17
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま議題となりました臨時医療報酬調査会法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 この法律案は、先般、厚生大臣より社会保障制度審議会に対して、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためにとるべき方途について諮問が行なわれ、それに対する答申の中で、社会保険等の適正な診療報酬算定のルールを確立し、そのために必要な調査を行なう中立的な機関として医療報酬調査委員会を設ける必要がある旨が述べられておりますところに従いまして、臨時医療報酬調査会を設けることといたすものであります。
 本調査会は、社会保険等の適正な診療報酬の決定に資するため、適正な医療報酬の算定基準に関する事項を調査審議する機関として総理府に置かれるものであります。本調査会による調査審議の結果によりまして、従来しばしば問題となっております社会保険の診療報酬に関し、各関係者はもとより、国民一般が納得することができる適正な診療報酬算定のルールが確立され、これによって、社会保険等の事業の適正円滑な運営が確立されることを期している次第であります。
 次に法案の内容につき、概要を申し上げます。
 まず、調査会の所掌事務は、適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議するものとし、みずから調査審議して内閣総理大臣の諮問にこたえ、または内閣総理大臣に意見を申し出ることといたしております。
 次に、組織につきましては、委員を五人とし、この方面に学識経験のある方の中から内閣総理大臣が任命することといたしました。また、これと並んで専門の事項を調査するための専門委員を置くことといたしました。いずれもこの種調査会の例にならい、非常勤といたしております。
 さらに、本調査会の調査に関し、関係行政機関、地方公共団体及び関係団体との間の協力関係を規定しております。
 最後に、この調査会の庶務は、総理府の大臣官房において行なうことといたしております。
 なお、附則で、本調査会の存続期間を一年としておりますが、その趣旨は、できる限り早期に結論を出していただくことを期待したことに出たものであります。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由及び法律案の内容でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#18
○委員長(吉武恵市君) 次に、細部についての説明を聴取いたします。
 説明を願います。
#19
○説明員(宮田千秋君) 補足して御説明を申し上げます。
 本法案は、去る三月一日の社会保障制度審議会の答申において、「何よりも先に、診療報酬問題を解決するために、内閣に、適正な診療報酬算定のルールを確立し、及びそのために必要な調査を行う中立的な機関として、医療報酬調査委員会を設け、」「広く一般に適正な診療報酬の観念、その構成要素及びその計算方法の確立……」
#20
○小柳勇君 ちょっと待って。ここのに書いてあるの。
#21
○説明員(宮田千秋君) 書いてございません。
#22
○小柳勇君 せっかくここに資料があるのに、準備しておるようだから印刷してくれたら……。
#23
○委員長(吉武恵市君) あとでそれを印刷してすぐ配って下さい、きょう中に。
#24
○説明員(宮田千秋君) 総理府からお配りしてございます資料の一番最後のページの……。
#25
○小柳勇君 書いてあるのをただ読むだけだったら大臣の証明と同じだ。
#26
○説明員(宮田千秋君) 十五ページから十六ページにかけて先般の社会保障制度審議会の答申が掲載されておりますが、大体これに基づいて今御説明申し上げておるわけでございます。
#27
○委員長(吉武恵市君) 続けて下さい。
#28
○説明員(宮田千秋君) 並びにそのために必要な資料の正確な整備をはかる」べきこととされている趣旨に従いまして、適正な医療報酬の算定のルールを確立するための調査審議機関として、総理府に臨時医療報酬調査会を設けようとするものであります。
 この調査会の任務は、社会保険等の適正な診療報酬の決定に資するため、適正な医療報酬算定のルールに関する事項を調査審議することにありますが、これについて、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議するだけでなくみずから調査審議して内閣総理大臣に意見を申し出ることができることとしております。
 次にこの調査会は、委員五人をもって組織することとし、委員は、学識経験者のうちから、内閣総理大臣が任命することといたしました。調査会の会長は委員の互選によって定めることとしております。
 また、専門的な事項を調査させるため、専門委員を置くことができることとし、専門委員は学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命することとしております。
 この調査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体または関係団体に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができることとしておりますが、このほか特に法案の第六条の第二項におきまして、調査審議を行なうにあっては、関係団体に対しその意見を申し出る機会を与えなければならないこととして、各関係団体の意見が十分反映されるよう配慮いたしました。
 調査会の庶務は、内閣総理大臣官房において処理することとしております。社会保障制度審議会の答申におきましては、専属の事務局を付置するよう述べられておりますが、本法案第七条におきましては、このようにいたしたものであります。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日に、その効力を失うとしておりますが、これは「さし当って臨時の機関として発足させ、」と審議会の答申にあることに従いましてできるだけ早く結論を出していただくことを期待する趣旨に出たものであります。
 以上をもちまして、この法律案の補足説明を終わります。
#29
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
 〔速記中止〕
#30
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
 本案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#32
○委員長(吉武恵市君) 次に、結核予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#33
○坂本昭君 四点ほど簡単にお尋ねいたしますので、明確な御答弁をいただきたい。いずれも大臣に伺います。あと事務当局から補足していただくならばけっこうであります。
 第一点は、生活保護の患者が今度の改正によって結核予防法の中に吸収され命令入所の措置を受ける、そういうことになってきまして、一番財政的にあわてているのは県ではないかと思う。今まで生活保護は、県は一割、それから市が一割、国が八割持っておる。それが今度はなるほど命令入所で十割公費負担になるが、県は二割持つわけです。ですからこれを計算してみると、県としては、むしろ財政的な負担がよけいかかってきて困るのではないか。そういう点について厚生省として社会保障を推進するために何らか特別な行政指導をお考えになっているか、まずその点であります。
#34
○国務大臣(古井喜實君) 従来地方団体のうちで県のみならず下部の団体がもっておるのが今度府県になってしまうと、それだけの部分は府県の財政負担にかかってくるわけでありますが、これについては地方財政計画でも十分その点は、どうせ地方財源全体のワクの中の問題でありますから、考慮をいたしておるはずでありますし、この点については、実施の上で、この法律が成立いたしまして実施しまする上で十分遺漏のないように指導をしていきたいという考えでおるのであります。
#35
○政府委員(尾村偉久君) ただいまのに事務的な面を補足いたします。
 ただいま大臣の御説明のように、一般の市は確かにこれまで生活保護を二割負担して、県は関係なしで、国は八割もっておるのでございます。この一般市のみが今回県に上がってくるということになりまして、政令市は政令市長が県知事と同じようにやることにいたしておりますので、政令市三十都市で相当な人口でございまして、これは従来と負担区分は変わりません。それから町村につきましては、従来とも県が負担しておりまして、それに対して国が八割と、こういうことでございますので、これも変更ございません。従って、政令市にあらざる小さい方の市の問題であります。しかし、それにいたしましても県、小さい県でありますと、ことにつらいものでありますので、これは優先的に交付税、交付金の算定にも十分最初から資料を出しまして、この法律の成立を予定いたしまして計算をやってもらっておりますので、この点では、措置としては一応カバーするようになっております。なお、生活保護は全部これはもってくるのではなくて、全額生活保護で受けておる大多数の患者は、これは生保そのまま残りまして、これは本人は経済的な負担がないわけでございますので、あえて今回のに切りかえないということで、一部負担のある者を今度の措置に切りかえる、こういう、原則にいたしておりますので、生保のうちのこれの切りかえ分は、全体の中で三割程度でございます。併給患者等は、そのまま残ります。従って、総額にいたしまして、これは何億という単位にはなりませんで、今回交付税交付金の方の算定いたしました県の増加分は、大体一億程度のものでございます。
#36
○坂本昭君 次の問題点は、命令入所の適用基準の問題でございます。この命令入所の適用基準の問題については、まず第一に、経済上の、生活上の基準、これについては、厚生省は大体年額三十六万円程度を見ておられたと思うのですが、一般患者の要求としては、せめて五十万円程度を要求しているように私は承知しております。で、この点についての経済上の基準を引き上げていく考えがないかどうかという点が第一。
 それから次は、医学上の基準であります。医学上の基準としては、空洞があるとか、あるいは菌を排出しているとか、そういうことだけではなくて、入院を必要とするすべての患者、たとえ現在は排菌していなくても、過去一年の間に菌を出しておったことがある、そういった広い範囲に医学的な基準を設定して、命令入所の対象とする、そういうことが医学的な基準としても必要だと考えられます。こういう医学上基準について、なるべくワクを広げて真に結核予防の目的を達するように医学的な基準を定めてもらいたいということ。
 それからさらに三番目の点は、適用を打ち切る場合の基準、ここでやめるという打ち切りの場合の基準、これについても、菌が出なくなって一定期間を経過した、だからもう打ち切ってしまう、そういうことではなくて、ほんとうに社会復帰のできるまで十分見てやる、こういう打ち切りの基準の問題、この三つの点について、基本的には、これは今回の予防法改正の趣旨にもかんがみて、経済的には引き上げ、医学的には広げ、また、打ち切りの場合に、なるべくこれをゆるやかに見ていくというのが私は建前だと思うので、一般論としては大臣の御見解を伺い、具体的には局長の見解を聞きたいと思います。
#37
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、結核対策を重視してのことでありますから、法の趣旨にのっとって、それで必要な最大限の……、これもしかし不必要なところまでいく必要はありませんのですから、必要な最大限度を適用のワクに入れるような考え方でいくのが適切であろうというふうに考えております。少なくともことさらに狭めるという形式の考え方はおもしろくない、こういう考え方でいきたいと思います。
#38
○政府委員(尾村偉久君) 大臣の御答弁に補足をいたします。
 項目別に申し上げますが、第二番目の医学上の問題、これを先に申し上げます。今度のは、あくまで公衆衛生立法である結核の社会防衛と、それから本人の治療、経済的救済、こういういろいろな点を含めまして、この入所命令という形によって進展させる、こういうことにいたしたものでございますので、やはりその諸条件を入れますと、一応医学上の基準といたしましては、全部でなくて、要入院の中で今の条件に合うもの、こういうふうにしぼりをかけたわけであります。従いまして、新たに入る場合には、やはり排菌ということが中心になります。あるいはただ、現に短時日の間に排菌の証拠のある者というような狭い運用ではなくて、過去何ヵ月以内にあったとすれば、まだそれは、当時検査では、偶然になくても、これはやはり検査すれば何回に一ぺんは出るということもありますので、そういう余裕はもちろん持ちますし、それから、空洞があるというような場合には、現に菌がなくても相当疑うに足る、こういうような場合も運用上これは対象にいたしますが、あくまで伝染のおそれ十分にあるもの、こういうふうに引いたわけです。
 それから、もう一つ、先に申し上げますが、第三の適用の打ち切りが、今度は逆の問題になるわけです。そういうような諸条件で入って、治療を加えれば、当然これはそういう条件を改善するのが目的の治療でございますから、なくなってくる。なくなると同時に打ち切ってしまって放すかどうかということでございます。もちろん理論的には、この入所命令の治療入院は終わりましても、要入院の状況が続いておれば、それぞれの保険なり生活保護に変え得るわけでありまして、決して直ちに退院を命ぜられるということはないわけでございますが、しかし、実際問題としては、他の条件である経済問題等もあるわけでございますから、そういうことが起こりかねないということで、この点については、一ぺんそういう条件で入れた以上は、帰ればまた同じような条件が環境にあるであろう、こういう関係からできるだけいわゆる治療の一応の完結、これまでを対象にしよう、こういうことで今計画いたしまして、結核予防審議会の医療部会に現在この基準の詳細をお諮りしまして、作業を続行していただいております。この点は、入院につきましても同様なことをやっております。従って、この点を将来、入所命令のやり方のままで要入院にまで拡大する、さらにまた、結核の治療をこういう方法で拡大するということについては、これは現在の考え方ではちょっと無理があると思いますし、これは結核予防法全体の他の条項もございますので、これらをあわせて、将来結核の治療を要する者を結核対策上どこまでこういうような見合いの形でやるかということは、さらに検討を要しますので、今後もそういう審議会等を通じまして必要という見解に立ち、他の諸病との関連もございますが、それらとの関連で、改正する必要があれば、ぜひそういうふうに持っていきたい、こういうことでございます。今回の改正の中でそういうふうに運用上拡大するということは、これは限度があるというふうに存じております。
 それから経済上の問題でございますが、これは一応所得税と納めない階層ということに大体見当をつけまして、予算等を一応積算しておりますので、今回はそういうことでいきたいと思いますが、ただこれも税法の改正がありますと、そのたびにこれは上がっていくわけでございます。それはスライドできるように政令以下できめたい、こう思っておりますが、ただしこれを先ほどの五十万とか、四十五万というふうな切り方をいたしますと、結局税金を納めている者も入ってくる。そうなると、いわゆる従来の福祉事務所でやっておりました生活保護と同じミーンズ・テストをここでやりませんと、これはなかなかわからないということになりますので、今回保健所長が全部掌握いたしまして、福祉事務所と連絡を十分にこの委員等でとりますけれども、むしろ公衆衛生上の必要ですみやかにこれを入れる。それでその該当者を決定するというような急ぐ問題からいいますと、これはなかなか骨であるということで、もうすでに前年からわかってしまっておる――所得税を納めているか納めていないかということは、市町村で一ぺんにわかる、こういうようなことが適当ではないか、予算積算の建前から、それから実際にこれが執行にあたっての実態から、一応そういうようなことでどうだろうというので、今、案を作成中でございます。まだこれは法律もできておりませんので固めておりませんが、大体考え方としてはそういうことで今進めており、将来やはり改めるべきものは予算の獲得等ともにらみ合わせてこれは改めたい、こう存じております。
#39
○坂本昭君 それでは次に伺いたい点は、今の医学上の基準や、それから適用打ち切りの基準に関連してくるのですが、今の説明の中でも基準からはずれた場合には、命令入所からはずされて、健康保険とかあるいは国民健康保険に入っていくということでありますが、この予防法の対象にならない、今問題にする軽症患者あるいは作業患者あるいは低肺機能患者、こういった人たちの医療保障がどうなっていくかという点が私は当然問題になってくると思う。で、こういう人たちはみんな自宅療養でよろしいということで、全部自宅に放置されるというと、これは結核予防法の本来の趣旨に私はもとる結果をもたらすのではないか、そういう点でこの対策としてはいろいろ当局も考えておられるようですが、私は一番問題になってくるのは国立結核療養所の使命だと思うのです。国立の結核療養所の任務は、長い間日本の結核医学の向上のために研究的な使命も果たしてきました。たとえば外科手術あるいは麻酔術等々について、医学の向上のための使命も果たしましたが、もう一つ何といっても見のがすことのできないのは、結核治療の普及のために経費減免の規定が各所長の手にゆだねられておって、いわゆるボーダー、ラインの人たちを救い上げることができた、また同時に、全般的には二割の減額措置も認められておった、こういう国でなければでき得ないところの任務を果たしてきておる、従って、今の結核予防法の対象とならないところの人たちに対して、私は一体厚生大臣としてはどういう考えを持っておられるか、まあ私は一案としてこちらから提案申し上げたいのは、約六万人にわたる国立結核療養所という非常に優秀な技術陣を含めたこの療養所を持っている、これを厚生大臣としては自由自在に使って結核対策に資してはどうか、そういう点で今の命令入所の対象にならない人に対する処置をどうするか。その処置としてこの国立療養所を全面的に動かす考えはないか。そうすれば国立結核療養所を本年度に新しい命令入所に伴う増床あるいはその他設備改新の計画がどうなっておるか、それらの点を、これは事務的な点もありますから、まず大臣から御説明をいただきたい。
#40
○国務大臣(古井喜實君) 国立の結核療養所も従来お話のように、相当成果を上げてきたと思っております。これらの活用の問題もむろんありますし、しかし、まあそれだけに限局するわけにもいきますまいから、他の諸機関の機能も一そう発揮させなければなりませんし、その中の一環としてやはり国立療養所の機能もだんだん整理するとかいうようなことばかり考えないでやっていくことは必要だと思います。お話も多分それだけでという意味でもなかろうと思いますから、両々相待っていきたいと思っております。
#41
○説明員(黒木利克君) 国立療養所の使命なり、性格の問題は、先ほど先生の御意見の通りでございますが、実は減免とか、あるいは軽費の患者を取り扱うという結核療養所の使命の問題につきましては、だいぶ当初の経緯から情勢が変わったというふうに考えておるのでございます。当初傷痍軍人の療養所を引き受けまして国立療養所にいたしました当時は、全額国の負担の患者を取り扱っておったものですから、そういうような経緯から二割引きとか、減免とかいうような規定が継続して参っておるのでありますが、しかし、公私の医療機関の取り扱いを平等にするというような一つの建前もございまして、そういう意味では、むしろ結核の医療保障の面を強化していって、そういう面で結核の治療費の問題というのは解決していこう、特に割引をすることによって私的な医療機関に対して圧迫を加えてはならないというような配慮も必要かと思いまして、現在ではだんだん結核の医療保障の方を強化して参りまして、その患者の取り扱いについては公私医療機関を平等にしていくということを建前にしつつあるわけでございます。しかし、現実にはまだ結核の医療保障の態勢が完全とは言えませんので、経過的に減免措置というものをある程度講じておる、かような現状であります。
#42
○坂本昭君 今の次長の答弁は、非常に重要な内容を持っておりますので、これは予防法の改正に直接関係のある点としてもう一ぺん伺いたい。それは予防法はもちろんのこと、厚生行政の目的は、結核の患者さんをなくするということが目的で、その人たちから療養費を取ってそれを公的医療機関と私的医療機関とに収入のアンバランスができては工合が悪いとかどうとか、そういうことを心配するのは目的ではないと思うのです。今日私的医療機関から、国立の療養所は二割引をしたり減免をしたりして、はなはだけしからぬという非難が起こっておりますか。それよりもまだちまたに入院できないで、たとえば生活保護の措置を受けられない、あるいは健康保険の対象とならない、そういう点で入院のできない患者さんの方が非常に多い。だからそういう人たちを開業の私的医療機関が預かればこれこそつぶれてしまう、だからこういう人たちはもう全部国が責任を持って国立療養所で見てあげる、私はそういう積極的な措置があってこそ初めて結核予防ができると思う。だから今公衆衛生局長はこういうふうな予防法の対象とならない作業患者や低肺機能患者やその他軽症患者のことについてまだ具体的な説明がありませんが、私はこれらを含め、さらにまたボーダ一・ラインの人たちの問題を含めて国立療養所の任務というものは、この際明確にする必要があると思う。厚生大臣、今の次長の見解を支持されますか、私はそういうことでは結核予防というものは全うされないと思います。国立の療養所がどんどん、どんどんベッドをふやしていって私的医療機関の結核のベッドを侵害している、そういうことでは困るという苦情があるならともかく、まだまだ国立の療養所のしなきゃならぬ任務は私はたくさん残っていると思う。その点の御認識はいかがですか。
#43
○国務大臣(古井喜實君) 今さっき申しましたのは、医療保障という方面をだんだん充実し向上させていくという結核に対してですね、ということを腰を入れてやっているということを強調したのでありまして、そういたしますと、広い面にわたってくるわけでありますが、必ずしも現状とかけ離れて国立の療養所の方は、これは眠らしていってもいい、こういった意味を言ったのではないのであります。つまり一方医療保障の方をだんだん充実し向上さしていこう、こういうことを強調しているのでありまして、その点は現状に即して国立の療養所を活用していく問題は一つも否定しているわけでもありませんし、私も両々相待って現状に即して考えたらいいというのが一番適切であるというふうに思っているのであります。
#44
○坂本昭君 もう一ぺん念を押しておきますが、それでは国政の結核療養所長の権限にゆだねられている療養費の減免の制度、これを十分に活用し、ということよりも、積極的にこれを利用して、国立結核療養所に結核の患者を入院させ、結核の予防を達成させる、そのために今の減免の制度を積極的に活用させる、そういうふうな御意図を各所長に徹底させるお考えございますか。
#45
○国務大臣(古井喜實君) 必要な人に対しては、ただいまのような考慮を払っていくことは当然のことでありますから、それは制度、実情に即して活用していったらよろしいと、こう思うのであります。
#46
○坂本昭君 命令入所の問題は、結核予防の面において非常に重大な役割を私は果たしてくると思うんですが、これだけではまだ予算的なワクがあったりして果たされない面がたくさんあるのですよ。従って、厚生大臣としては、公衆衛生局を持って、また、医務局を持っておる。医務局には約六万に近い国立のベッドがあるのだから、この法律で見ることのできない人たちは、片っ方の医務局の療養所で全面的に拾い上げていく。そういう私は積極的な心がまえを持ってもらいたい。大臣は十分そういうお考えを持っておられるように私は今判断をいたしましたが、医務局としてあらためてそういう点を十分各所長に徹底させるお考えはありますか。
#47
○説明員(黒木利克君) 大臣の御指示によりまして処置をしたいと思います。
#48
○坂本昭君 それでは、最後の問題として、今ずっと伺って参りますというと、一応命令入所の今回の改正は、一歩前進であろうとは思いますが、しかし、一番大事なことは、二つあると思うのです。一つは、あくまでもこの結核予防法は地方自治体が主体となって、責任となって結核の予防をやる。そして、それに伴ってあと国が八割見るという建前であって、私は、この際、国が全責任を持つ、そういうふうに法律の根本を変える必要があるのではないかという点が一点。さらに、結核の予防、それから治療、それから最近次第に問題になってきているアフター・ケア、後保護の問題、これらを一貫して系統的に見ていくところの考え。これらの二つの点を一つにして法律を基本的に変えていく必要があるんではないか。もちろん、今回のこの国会には間に合いませんけれども、そういうふうな基本的な考えをお持ちになっておられるかどうか、その点を伺っておきたい。
#49
○政府委員(尾村偉久君) お答え申し上げます。
 地方自治体中心で、まあ費用的には今回のような条項については国が八割でございますから、国の方にウェートがかかりますが、これを国一本でというお話でございますが、ただ、結核の態勢が、第二点の御指摘のように、予防、治療その他結核医療に関するものと予防に関するものは一貫性が望ましいのでございます。現行の法体系では、全面的に地方の自治体が中心になっております。健康診断の実施から管理から、その他保健所を中心といたしまして経営主体である地方自治体を中心にいたしておりますので、今回のような命令入所の部分だけを国に引き上げるということは、必ずしもこれはまあ全部面的に利害の点から考えて利益ばっかりではないというふうに考えますので、現在のところは、一小部分だけをそういうふうに改めるのは必ずしも適策ではないというので、そういう考えを持っておりません。しかし、これを第二点の御質問と同様に、全部を結核対策を一つの結核法的なものに一丸として、しかも、それは国でやるというようなことが諸般の情勢から許される、また、その方が他のものと比べて結核に関しては適切だというような結論が出ますれば、これはまたそういうふうに大きく考えると、こう存じておりまして、現在のところは、まだ直ちにそういうふうなことにやるというよりは、今回改正しましたような一歩丸々ふくらましたものの実績を見て、さらにそれらの総合した効果を上げるのに大改正が必要となれば考慮したいと、こういうような立場でおるわけであります。
#50
○坂本昭君 今の点に関連して今の問題の大臣の答弁をいただきたいんですが、特に大臣は、最近予防給付の問題などについて積極的な政策の考えがおありのように聞いていますが、この結核問題については、予防、治療それから後保護とこれは一貫した対策が私はきわめて緊要だと思うんです。こういうことについての行政的並びに立法的な対策をどういうふうに考えておられるかを最後に大臣に一つ伺っておきたい。
#51
○国務大臣(古井喜實君) 私も実はまだ突き詰めて結論までは持っておるわけではありませんけれども、まあ何さま持ちも下げもならぬ治療だけに、そこだけに腰を入れてやっておるというのではどうしても不十分である。早いこと発見し、早いこと治療するということもしなけりゃいかぬし、それからそれより前のもっと起こらぬように環境を整備するとか、衛生思想を普及するとかいう問題もございましょうし、起こらぬようにし、早く発見し早く治療する、それからさらに、後保護の問題まで一貫して考えるのが徹底しておるということには相違ないと思っておりますが、具体的に全部ひっくるめた構想というのは私もまだきょうのところは正直に言って持っておらぬ状況で、今後の研究問題として十分検討してみたいと思うんであります。
#52
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#53
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#54
○小柳勇君 私は、これは少しとっぴかもしれませんが、結核命令入所をされまして、残りました家族が心配なために、かえって本人にとってはきらうような傾向があります。結核に判断されることを非常におそれるという傾向があります。で、貧困家庭などにおきましては、世帯主が、生活能力のある方が命令入所されますと、当然生活保護などになると思いまするが、生活保護のわれわれの今現地を回ります実態では、なかなか申し出ることをきらうわけです。従って、こういう法改正、まあ今回は間に合わぬでしょうが、命令入所などされるときには、その家族は自動的に生活保護に入いるとか、あるいは生活保護からはずして家族に対する扶助をやる、自動的に移行できるような法的な措置が考えられておるのかおらないのか、お聞きしておきたいと思います。
#55
○政府委員(尾村偉久君) 生活援護の問題でございますが、御指摘のように、現在のところは、結核はもちろんでございますが、疾病その他で入院すると、その家族が生活困窮になるという場合には、生活扶助が発動されるわけでございまして、ただし、それにはもちろん一定の所得の制限があるわけでございます。それ以下にならないといかぬということでございますので、今度の命令入所の場合には、先ほど申しましたように、一応所得税の範囲でもしこれをきめますと、そこに家族も生活扶助と所得の差があるわけで、その間のものは一応適用できない。ただし、働き手がもし入院して、ある時期を経ますと収入皆無になりますから、現実に適用できるということになりまして、ある部分は生活扶助でカバーされます。あるいは健康保険等の傷病手当金等の該当者はそれでカバーされますが、それ以外のものはカバーされないということでございます。
 それで、特別に予防法の中で生活援護の規定をするかということでございます。今回は、それまでは考えておらぬのでございます。ただし、結核対策全般としては、援護問題は、やはり相当入院の障害になっておりますので、これは将来どの方法でいくかは検討を要しますが、ある程度研究を続けて、できるだけ入院医療の目的を達するようには近づけなきゃいかぬ、こう考えております。
#56
○小柳勇君 前段の方の技術的な問題はよくわかりますので、あとの方を今後の検討に期待いたしますが、第二問は、私は医者でありませんので、しろうとの質問でございますが、結核回復のときの判定もそうでございますが、入所のときの判定にいたしましてもぎりぎりの線において問題がありまして、何とかならないかと私どもしろうとにすら患者が泣きついてくる場面があるわけです。そのようなときに、現在判定審議会などはこれは信用のある医者三名ないし五名などでおのおの審査委員会を構成しているわけでございますが、この審査委員会の中でも多数決できめるような場面すらあると承っております。で命令入所になりますと、第一問で申し上げましたように、生活の問題にすら結んで参りますので、回復期の判定についても当然でございますが、命令入所の場合の判定についても相当の厳密さと、そこにはやはり愛情といいまするか、現在の判定の非常なむずかしさがあると思うわけです。そのようなものについての厚生省などの指導方針について承っておきます。
#57
○政府委員(尾村偉久君) 従来の保健所単位に置かれております審査会が、今回の改正によりまして従来の三十四条に基づく化学療法その他の判定のほかに、この今回の入所命令の適切な判定の任務を負うように改正したわけでございます。従って、全国の審査会が不公平でなく、しかも従来一万一千件という数が少なかったのが、ことしだけでも五万四千件に拡大されますので、これだけでも非常に対象を選ぶ余裕は出てきたわけでございます。これが適正に運行されて不平をなくすために、現在結核予防審議会医療部会に諮っておりますこの判定基準、これを全国にわかりやすく解説をつけまして流して、適切にできるようにしよう、
 こういうことで今指導を考えておりますので、法制定後にはすみやかにさようなことを徹底したい、こう存じております。
#58
○小柳勇君 最後でございますが、市町村の方では保健所長がその区域の家族の健康状態についての判定は非常に簡単だろうと思うのです。ところが、都市部になりますと、人口の移動も激しいし、健康の管理について相当問題があるように思うし、今言われました保健所長が所得税を納めておるかどうかの判定などについても相当困難だろうと思うが、そういう都市部における医療費負担免除並びに健康管理の措置について格段の措置がとられておるのかどうか、その点について最後に聞いておきたいと思います。
#59
○政府委員(尾村偉久君) 御指摘の通りに、中都市以上の問題はなかなかむずかしいので、これは職種も多数でございますし、非常に移動も激しくて、むずかしい対象でございます。そこで今回はこの政令市――いわゆる中都市以上であります三十都市でございますが、政令市は政令市長に今回の権限を府県でなくて譲りまして、ふだんから直営しております政令市の保健所、これは今度予防管理の意味で詳しい住民登録票もそこで作って、その市長の責任に帰しておるわけでございますので、それらを十分、みずからでございますので活用できるように、こういうことと、それから都市の、同じ市が持っております福祉関係の機関、これも同一の町の下にございますので、これらと連絡を密にして、とかく欠陥の起こりやすい市の業務を、ほかの町村の場合と劣らずによくいくように、重点的に今指導をやっておりまして、指示内容も政令市、都市部における今回の扱いについては、特に念を入れた別ワクの指示を従来もいたしております。今後もいたしたいと、かように存じております。
#60
○委員長(吉武恵市君) ほかにございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし「と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
 別に御意見もございませんければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(吉武恵市君) 御異議ない認めます。
 これより採決に入ります。結核予防法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって結核予防法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ―――――――――――
#65
○委員長(吉武恵市君) 社会保障制度に関する調査の一環として、小児マヒワクチンに関する件を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
 なお、本件に関し御出席の方は、尾村公衆衛生局長、竹下企業課長、柳沢副所長、岩尾主計官でございます。
#66
○坂本昭君 最初にポリオの流行の現況を簡明に御説明いただきたい。
#67
○政府委員(尾村偉久君) 本年の週報の正規のものがまとまりました四月二十九日現在で、全国の発生数五百十二名でございます。死亡者五十七名でございます。これを昨年と比較いたしますと、同じ発生概数の調べ、同じ方法による同日で五百二十六名、死亡数四十三名でございまして、前年度よりわずかに二%ほど患者数が少なく、死亡者は前年度よりも約三〇%弱多い、こういうような現況でございます。この流行の特徴といたしましては、この五百十二名の発生のうち、約六割近くを占めます五五%ほどでございますが、二百八十名というものは山口それから九州の長崎、佐賀を除いた他の五県、すなわち福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島、この山口をいれた六県で五五%を占めております。その他の四十府県ではむしろそれより少ない二百三十二名ということでございます。これを前年度の同じやり方で比較いたしますと、前年度の九州、山口の大県は五十四名でございましたので、これに比較いたしまして二百八十名という数は一月ないし二月までの年度当初四カ月間で前年比五倍半という非常な多数を示しておりまして、前年度と比べましてこの地区の大流行の兆を十分示しているわけでございます。その他の県は、従いまして前年度の四百七十二名に対しまして、その半数である二百三十二名でございます。全国的に四十六都道府県のうち四十都道府県につきましては、前半の同時期に比べまして、半数に減少していると、こういうような状況でございまして、これから見まして、もう四月の当初から、この九州六県の異常流行を心配いたしまして、四月二十日に、九州方面の防疫対策本部を公衆衛生局の出先機関として設けまして、これは福岡に設けまして、毎日日報をとり、さらに、それに基づきまして、この関係県に指示を逐次すると、こういう防疫対策をとって、諸種の、現在考えられます予防態勢を続行中でございます。
  〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕
#68
○坂本昭君 大臣に伺いますが、五千名を突破した昨年の流行は、いまだかつてない事例として、全国のお母さんを非常な不安に陥れさせました。ことしも、総数においても、昨年を決して著しく下回ってはいない。死亡などはふえておる、こういう状況から見て、大臣は、少なくとも、これは地方的なポリオの大流行とお認めになるかどうか、まず、その点をお伺いします。
#69
○国務大臣(古井喜實君) 先ほど来申しております通り、九州地方の状況を見ますと、この状況は、なかなか容易ならぬ姿どと思っておるのであります。で、普通のふうに考えておってよいものかどうか、大いに気を使って考えておる状況であります。
#70
○坂本昭君 この数年来、いろいろな労務災害、特に炭鉱の事故などが出まして、そのために、人が二十人、三十人死ぬことというのは、何といいますか、日本の国民は少しなれっこになった感があります。で、小児麻痺の場合は、一ぺんに何十人という発生は、一カ所には起こりません。一軒の家の全部が感染して倒れてしまうということはない。しかし、小児麻痺は一生の身体障害を残し、母親にとっては、むしろ一生身体障害が残るくらいなら、もう死んでくれた方がよろしい、また、そういう子供をかかえている母親は、子供と一緒に死んでしまいたい、そういう非常に社会的な悲劇を伴っている深刻な病気であります。しかも、これは予防が可能な病気であります。そういう点で、ただいま大臣が、これはゆゆしき大流行の兆が十分にあり、真剣に考慮しているという態度は、私は当然正しいことであって、また、それでも私は手おくれであるとさえ感ずる。
 特に、次にお尋ねしたいのは、予防接種が非常におくれております。これには、もちろん行政当局のみを私は責めようとは思いません。地方における無理解もあります。地方における医師でさえも、このソークワクチンに対して無理解の人もないことはない。しかしながら、もう今日定説になっておるところの、少なくともソークによるところの予防接種、これでさえも実施されておる実情を見るというと、非常におくれておって、今の見通しでは、二回接種が終わるのは六月の中旬ではないかと結論的に私は見ている。非常に接種がおくれている理由を端的に伺いたい。一体、これはだれの責任か、どういうためにこの予防接種の計画が、ずっとおくれているか、その御説明をいただきたい。
#71
○政府委員(尾村偉久君) 一才半までの前年度の暫定措置でやりましたものは、三月までにこれは終了いたしました。それから今回の法律改正によりまして、一才半以下のほかに、三才未満までの者に拡大をいたしまして、これを四月からやることにいたしました。これは実施中でございますが、四月早々から始めますと、二回目は一カ月おいた五月中には終わるはずでございますが、現実は若干おくれております。これは、やはり検定計画、それから検定後の、これはそれぞれの地方の計画をとりまして、それに基づいて配分をして、これらのいろいろな包装その他の発送の準備、こういうものがおくれおくれになりまして、今の御指摘のように、第二回目の終わるのが大体六月中旬までに終了する。こういう見込みに、一カ月ほど全国的に最終の完結がずれている、以上のような事情でございます。
#72
○坂本昭君 従って、今のおくれについては、生産における円滑さを欠いた点、あるいは検定に不合格であった点に、事務的に政令や省令をきめるのにかなり日数がかかったりしている点、そういう点で、この小児麻痺の大流行という、六、七、八にかけて。少なくとも五月、いな、四月ぐらいまでに終わるべきものがおくれてきたということは、これは相当問題になると思うのであります。しかし、きょうはもっと大事な点を論議したいので、次に専門家の柳沢博士に伺いたいのでございますが、今回あちらこちらでソークワクチンの予防接種をやっている。ところが、ソークワクチンの予防接種をやったけれども、二回やったけれども発病した。しかも、相当重症の発病をした。そういうふうなことの現状を訴えられるお母さんも比較的ある。それからまた、医者では関西の、大阪あたりの医者では、ソークワクチンによる免役効果というものは七二%程度であって、どうもこれでは不十分だ、どうもソークワクチンの免役効果というものは完全なものとは言えない。そういう専門家的な御意見もある。そこで、学者としての専門家の柳沢博士に伺いたいのは、ソークワクチンの免役効果の点はどうであるか、それからまた、これに対して生ワクチンの免役効果はどういうふうにお考えになっておられるか、その点を御説明いただきたい。
#73
○説明員(柳澤謙君) 日本では今回初めてでございますけれども、アメリカその他の国におきまして行なわれました成績を総合いたしますと、大体ソークの三回注射をやりました結果の効果というものは、大体七〇%ないし八〇%と称されております。ただいま、二回接種をやった者から発生ということを申されましたが、二回接種だけでは大体五〇%ぐらいの効果しか望まれない、あるいはそれ以下かもしれない、三回やっても七〇%から八〇%という成績になっております。また、生ワクチンの成績はソビエトが非常にたくさんやっております。また、チェコスロバキアでもずいぶんやっておりますが、それらの成績は、大体接種者の効果は九〇%前後であると称されているのであります。ですから、生ワクチンの方はソークワクチンよりも効果があるというふうに考えられております。
 なお、われわれの研究所で、北岡博士、多ケ谷博士などが昨年WHOからもらいましたワクチンを、多分昨年の四月十八日だと思いますが、新潟県の長岡できわめて小さいスケールでありましたが、やりました成績が、ようやく出ておりますが、これは発症その他のことではございませんけれども、血中抗体の上昇などの点から見ますと、ソークワクチンを三回やった、すなわち、八ヵ月御承知のようにかかりますが、八カ月後に調べたと同じぐらいの血中濃度が四週間後に現われているというような、これはきわめて小さい実験成績でありまして、それをもって全部を律することはできませんけれども、そういうような成績が出ておりますから、確かに生ワクチンの方がソークワクチンよりも効果があるということは、大体推定してしかるべきだと私は考えます。
#74
○坂本昭君 どうも大へん専門的な御所見ありがとうございました。特に、今の長岡地方における実験でソークの三回、八カ月を要して九〇%の免疫効果、それが生ワクでは四週間で出てくるということは、緊急事態の場合に、この生ワクを使用することが非常に切実な問題となってくる。そういう印象を私たちは受けるのです。そこでこの生ワクの大量実験について、どういうふうな条件が満たされたならば行なうことができるか、どういう不安が除去されたら今の大量実験を行なうことができるか、もちろんこれは立法的には国会を通らないというと、法律改正にならないというといかぬということになりますけれども、緊急の場合にその大量実験として行なう場合のその条件でございます。どういう条件が満たされたらよろしいか、それについての専門的な御説明をいただきたい。
#75
○説明員(柳澤謙君) 私たちは生ワクの、御承知のように、協議会を作って、各専門家の御意見を徴しておるわけでございますが、特に現場で接種をされる方は、このワクチンは国の検査、または検定に合格して安全であるという保証がなくては、たとえば今、坂本委員が申されるように実験という言葉さえも使っていただきたくないというのが小児科方面の先生の御意見でございます。従いまして、ほんとうにそのものが危険であるか、危険でないかは別といたしまして、すべての生物学的製々にのっとりまして、研究といえども国家検査を私は必要とするものであろうと思っております。幸いにして目下今年の三月イギリスのファイザー会社からいただきましたワクチンがなお五万人程度使用可能でございますので、五万人くらい残っておりますので、これをさらに一つ大量と申しましょうか、そう大量ではございませんけれども、これをこの際研究に使おうということを目下計画中でございます。
#76
○坂本昭君 そうすると、今の毒力検査が終わるにはやはり若干の日数がかかると思うのです。今のファイザーのはたしか三月から毒力検定をおやりになっておられますから、もう現在いつでもお使いになるだけの、つまり研究的な成果、結果というものが出ていると思いますが、今の一番大切な毒力の検定、これはまず三ヵ月程度かかると見てよろしいのですか。
#77
○説明員(柳澤謙君) 初めから申しますと、大体そのサルの健康管理、われわれカランティンと申しておりますが、これに六週間を要します。それからその健康であるというサルに接種をいたしましてから四週間の観察をいたします。それから解剖をいたしまして、それから四週間解剖の結果を検査するのにかかるということで、合わせて十四週間かかります。ただしこれは一型、二型、三型とございますので、それぞれについて十四週間ずつかかる。さらにアメリカのNIHからいただきましたいわゆる標準のワクチンというのが一型にございます。一型の標準ワクチンというのがございますが、それと比較してやるわけで、四つのものをそろえて十四週間やる。事実問題としてどんなに短縮してもそろえてやるということはなかなか困難でございますので、少しずつのばしてやりますので、どんなに努力いたしましても大体この間の協議会の幹事会のお話では、皆さんからお手伝いを願いましても十七週間はかかるであろう、こういうような結果になった次第でございます。
#78
○坂本昭君 今、日本の流行は何か一型であるかのように聞いております。これは間違っておれば訂正していただきたいのですが、そうしまして、すでにファイザーの生ワク投興に関する実験は一型はすでにお飲ましになったと聞いておるのであります。そうしますと、今のように一回飲ませばソークの何ヵ月かかるその長期の免役効果というものを生ワクの場合は得ることができるというふうに考えて私はよろしいのではないかと思うのですが、そこで一つ伺いたいのは、このソークの場合にもそれぞれ各会社、各メーカーのロットによって幾つも実験をやらなければいけない。ところが、生ワクの場合には一ロットで何百万、場合によれば何千万人というものの検定が可能であるというふうに聞いておりますが、そういう事実でございますか。
#79
○説明員(柳澤謙君) 一ロットはソークも生ワクも同じなんでございますけれども、ただ巷では、ソークのワクチンよりも生ワクチンは非常に安くできる。サル一匹からソークのワクチンの五十倍ないしはうまくいけば百倍できると、こういうふうに申されておりますけれども、事実ソークのワクチンを作ります場合のサルの選択、いわゆる健康、いわゆるサルのからだの中に一つもほかのヴィールスが、ポリオはもちろんのこと、ほかのヴィールスがいないというものをセレクトするためにはかなりの手数がかかるわけでございます。たとえばアメリカあたりにこの間用宮先生、北岡先生が行ってごらんになったところでは、うまくいって百匹の中から二十匹、まずくいった場合には百匹の中から五匹しか製造に使えないというようなことを申されておりますから、そういう点で簡単に大きなロケットが短期間にできるかどうかということについては、今後大いに検討しなければならないということは製造の問題に起こって参ると思います。
 それからもう一点は検定の問題でございますが、一見ソークのワクチンも生ワクチンもいずれも毒力を調べるなら同じじゃないか、こういようなふうにお考えになるかもわかりませんけれども、その検定に使用するサルにいろいろな病気があるわけでございます。特にわれわれの知らないヴィールス性の疾患がたくさんあるわけでございまして、こういうものにかかっていないということを証明することがまず第一に必要であります。それともう一つは、まかり間違うと、あるサルから他の健康なサルにそれをうつすということかあるわけでございます。従いましてサル舎などにつきましてもかなり大きなスペースをとって、サルとサルが手をつながない程度の距離にサルのかごを置くというのが今まで英国や米国においてごらんになってきた方のお話でございます。
 それからもう一点は、行なう人の問題でございますけれども、人はよけいに、たくさんいるじゃないか、ソークワクチンをやっている人はいっぱいいるじゃないかと申されますが、諸外国の例にも、また、われわれの常識でもそうでございますが、生ワクチンは言葉の示す通りに生のワクチンでございまして、ソークのワクチンを検定する人は、その日のうちに消毒もしないで、セービンのワクチンをやっている方はソークのワクチンのところへ行くということができないわけでございます。ですから、かけ持ちということはできないということが原則になっております。そういうような点でセービンの生ワクチンの検定というものはソークよりもかなり繁雑にもなり、手数もかかる、また、お金もかかるということは大体推定できると思います。
#80
○坂本昭君 ちょっと私のわからない点をもう一ぺんお尋ねしますけれども、ソークワクチンの場合に、かりに六百万人分入ってくるとすると、とても六百万人分の元になるところの検定をするためには、何ロットも使わなければならない。ところが、生ワクチンの六百万人分というのは一ロットだけやれば、実際上は水で薄めてあるので、それだけで十分間に合う、そういうふうなことを聞いていますが、その通りなんですか。
#81
○説明員(柳澤謙君) 六百万人分が一ロットであれば、それは一回の検定で済むわけであります。たとえば十万人が一ロットであっても七あるいは六百万が一ロットであっても検定作業としては変わりがございません。
#82
○坂本昭君 そうすると、実際上の問題として今一番たくさん作られているたとえばアメリカのセービンの研究所やイギリスのファイザー、モスクワあるいはチェコの場合、そういうところではかりに五百万人なり六百万人なりをどこかよその国で使用する場合に、その場合に検定する対象となるものは、そのうちの幾つのものの検定をしなければならないのか。たった一つだけを検定すれば、もうそれで全部わかることができるのか、その辺の実情はどうなっていますか。
#83
○説明員(柳澤謙君) ソビエトのことは私よく存じませんけれども、アメリカや英国ではそれぞれのロットごとに検定をやっております。会社の自家検定、それからイギリスでは御承知のように、MRC――メディカル・リサーチ、カウンシィルというところで国家検定をやって使っているという次第であります。たとえばアメリカにおきましても、いろいろのメーカーがございますけれども、そのメーカ1では自家検定をやり、そしてそれが政府のNIH――ナショナル・インスティチュート・オブ・ヘルスというところでさらにもう一ぺん検定いたしまして使用しているというような実情でございます。
#84
○坂本昭君 この際、薬務局に伺っておきたいのですが、接種がおくれている国民の側からの理由の最大の一つは値段のことですね。値段があまり高いものだから、みんな寄りつかなくて、結局接種が具体的におくれてきたと私は見ている。細菌製剤協会がコストを決定すると聞いていますが、一体このコストを決定する機構、それから決定権、これは一体どうなっているのか、ちょっと伺いたい。
#85
○説明員(竹下精紀君) 細菌製剤協会は公益法人でございますが、この公益法人の中にポリオのワクチンにつきましての小部会がございまして、そこで今御指摘の点につきまして相談をしてきめるというような仕組みになっております。
#86
○坂本昭君 それではあらためてその製剤協会の構成メンバー並びに小委員のメンバーをあとで一つ資料として見せて下さい。全員に配付をいただきたい。
 この際伺っておきたいのは、これは厚生省の広報にも書かれていますが、従来一cc三百四十円を本年四月以降二百六十四円に一律値下げすることになった。この二百六十四円に値下げすることになった理由、だれがこういうふうに下げたのか、どういう理由で下げることに決定したのか、なぜもっと前から下げることができなかったのか、その点を明らかにしていただきたい。
#87
○説明員(竹下精紀君) ポリオのワクチンにつきましては、国内の生産の現状がまだ初めでございますので、相当値段がかかる。これに対しまして、輸入の方は、値段が国内の価格に比較いたしますと百円程度でございますので、そういった両者の値段のプールをいたしましてきめているわけでございます。実は、昨年の計画におきまして、国内の生産と輸入の量と、この割合が、今年の初め国内生産の検定が不合格になりましたので、緊急輸入をする必要がございましたのと、それから需要がふえたのに対しまして輸入をふやした、そういう輸入の割合が従来の輸入の量に比較して急激にふえたためにこういう価格を安くすることができた、こういう状況でございます。
#88
○国務大臣(古井喜實君) 今課長が申し上げましたようなことでありますが、要するに、今申しましたように、国産とそれから輸入との数量の割合が若干変わってもきたし、それから国会でもいろいろ御論議もありましたし、私自身も下げられるだけ下げてみたらどうだろう、こういうことを言い出しまして、そうしてそろばんが立つ限り下げる、こういうことでやらしてみたのが今の二百六十四円という数字になっているようなわけでございまして、元は輸入品と国産品との数量の割合の変化で可能になった、こういうことに考えております。
#89
○坂本昭君 そんな奇妙不思議なことはないんですよ。それは厚生大臣は、中央医療協議会で医療費の単価を上げることについてなかなか筋を通したことをおやりになっているように拝見して、私は信頼しておったのですが、このポリオの問題はそれにも劣らない問題で、母親にとっては最も切実な問題です。しかもその予防注射が千円も二千円もかかる、場合によったら三千円もかかるという、そのために〇・一の皮内接種をやるというようなとっぴなことまで考え出されてくる現状の中でこの価格が大臣の一方的な決定によってきまるのではなくて、貿易業者と日本のメーカーの商売人がこれをきめている。そういうことははなはだけしからぬと思う。何のためにそういう人たちを擁護する必要があるんですか。擁護すべきものは日本の子供です。子供を小児麻痺にかからせないため、だから必要があったならば、百円なら百円の注射をして、それからあともうからないところの国内業者には別途これを補助してやる。それでも私は筋が通ると思うんです。きょうはこの点だけを追究していると時間がなくなりますので、この際委員各位の御了承を得まして、一ぺんこれは細菌製剤協会の方に来ていただいて、中の機構や、それから決定する。プロセスや、それから今一体幾ら金が余っているのか、私は膨大な金が余っていると思うんですね。そういう点をあらためてお尋ねすることにして、厚生省の方からは一つ今の機構とそれから決定権と、それから今できるだけ下げろといって二百六十四円に下げた、一体それにはどういう根拠があるのか、もっと下げられるのじゃないか、もっと百円まで下げたっていいと思う。その点を一つ資料と、参考人等を呼ぶことによって私たちはこれを明らかにしていきたい。この点については委員長並びに大臣の御了承を得ておきたい、いかがですか。
#90
○理事(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#91
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて。
#92
○坂本昭君 それではもう少し薬務局にお尋ねしますが、ソークワクチンの場合は製造の単価、輸入単価大体わかって参りましたが、生ワクチンの場合、これは大体どの程度で製造でき、あるいは輸入できますか。
#93
○説明員(竹下精紀君) 生ワクにつきましては、現在まだ輸入の段階にございませんので、寄贈を受けておる、こういうような状況でございますので、単価については承知いたしておりません。
#94
○坂本昭君 そんな不勉強なことじゃいけませんよ。もう大体この大流行を控えて、国民がずいぶん要望している。いざという場合にはどうするぐらいの腹がまえはもって、たとえばファイザーから買う、いつまでもただでばかりもらっておったんじゃ仕方がありませんよ。日本も金を出して買うべきものは買ったらいいじゃないか。幾らで買えるか、これは調べておらぬということは薬務局として非常な怠慢だと思う。あなたたちは生ワクは扱わない、国内の生産メーカーがソークワクチンを作って十分もうかるまでもうけさす、日本に小児麻痺の患者がどんなに出たってかまわない、こういう態度を薬務局としては独自に持っておられるのですか、それとも今のお考えは公衆衛生局も同じようなお考えなのですか。公衆衛生局は、場合によればファイザーが五万人分残っている、これは決定済みだ、同じロットのものがあればもっとたくさん入れてもらいたい、いざという場合にはそれだけの準備をする、その場合には幾ら、そのくらいの手配はしておられるのですか。その辺の事情をお伺いしたい。
#95
○政府委員(尾村偉久君) これは昨日も省内の関係局の連絡会議で検討した点であります。今までまだ正確な原価を入手していませんので、至急手配して方々に問い合わせてこういうことを決定したわけでございますので、今の企業課長が言いましたのは、今まで入手する機会がまだなかったわけでございます、これは努力して至急調査いたしたい、こういうことになっておるわけでございます。
#96
○説明員(竹下精紀君) 私が申しましたのは、正式――正式と申しますか、オッファーに基づいた輸入単価のことを申し上げておるのでございますが、商社からの情報としては、正確でございませんけれども、大体ソ連の製品につきましては一錠三十六円程度だという話は聞いております。
#97
○坂本昭君 そうすると、一錠三十六円で赤ちゃんが泣かないで、口から飲まして、そして四週間ぐらいでソークの三回、八カ月かかる分ぐらいの効果が出るということが明らかになってくると、私はこの問題は相当結論は明確じゃないかという印象を受けます。これは大臣も、また、この委員会の各位の方々も、たとえその作られるものがアメリカであろうと、イギリスであろうと、ソ連であろうと、チェコであろうと、どうも生ワクの方がいろんな面で行政の実施上の面からも非常に私は有効ではないかと思う。ただそこで、日本で今の研究協議会がやっておられる方式ですが、今一錠という言葉を言われましたが、研究協議会は何かボンボンみたいなあめ玉にして飲ましているのですか、それとも水に割って飲ましているのですか、どういうような方式をとっておられる。
#98
○説明員(柳澤謙君) これは協議会といたしましては研究ということが主体でありますから、一型、二型、三型というふうに一カ月の間隔で飲ませております。一型を飲ませたあとで、一型でどれくらい血中抗体が上がるか、すなわち効果判定ですが、あるかということ、それから一型を飲ましたあとでどれくらい生ワクチンがよそへ伝播するかということをやっておるわけであります。また、学者の一説によりますと、三つの型を一緒に飲ました場合には、ある型のワクチンはあまり腸内で増殖しない、ですから、一型の免役ができてから、一型のワクチンが腸内からほとんどなくなってから三型を飲ませ、それから二型を飲ます、この順序が一、三、二、とこうした方がいいということでございますが、多くの学者の御意見はそういうことでございますが、そういうふうにして研究を進めていく方がよりよい効果が得られるのではないか、また、研究としてもその方がいいのではないかということが言われております。
 それからもう一つちょっとつけ加えますが、四月に私の研究所の江頭部長が安全試験のためにアメリカに参ってその担当者といろいろ研究をして参りました。そのときにセービン博士とも会ったのであります。そうしてまた、日本のやっておる仕事についてもつぶさに向こうにお伝えしたところが、セービン博士の言われるには、この夏に向かってやるのはどうも少しまずいんじゃないか。研究としては。むしろ冬に向かうといいますか、寒いときにやるのがいいんじゃないかというようなことを言っておられたそうであります。その理由は、夏季には腸内のいろいろのほかのヴィールスがたくさんございますから、そういうようなことをまあ言っていたわけです。で、ほかの腸内ヴィールスの干渉を受けて、ほんとうのセービンの生ワクの効果が衰えるのではないかということを言っていたわけであります。
 それから形はボンボン形でございますので、検定ができません。一々つぶして中からワクチンを出さなければなりませんので、どうしてもそのボンボンの内容が入りますからできませんので、私たちはファイザーにお願いいたしまして、それぞれの型の液状のものをちょうだいして検定検査をした上でやっておる次第でございます。飲ませる場合ももちろんボンボンに作らないで、そのままスプーンで、ちょっと甘くいたしまして小児科のお医者さんが飲ませるというような次第でございます。
#99
○坂本昭君 こういうかなり微細な点にわたって私はそれぞれ各国で行なわれておる現状を見、また、各国の製造あるいは検定のやり方などを見て、すみやかに日本のこの差し迫った大流行に対処すべきだと思うのですが、それについて先般来問題になっておる学者の派遣の点でございます。これがどうなっておるか、一つ当局から御説明いただきたい。
#100
○政府委員(尾村偉久君) これは今回の生ワクの委託研究による研究が逐次進んでおりまして、国内におけるいろいろな先生が逐一その判定をしその実績の批判をするためにも、すでにやっております諸外国のいろいろな例あるいは製造方法から始めまして病態検査まで、こういうそれぞれの担当しておる主任者が見ませんと、非常に効果が薄いという、こういう協議会の各担当者の御意見があります。
 それから将来にいたしまして生ワクをそういうような見地から日本でどういうふうに取り扱うかという点でも、そういうようなつまり先進となっている国の実見が必要なので、強い要請がございまして、私どももぜひそういうような視察団が派遣できればいいと、こういう形でまず人選はどんなものだろうかということで協議会にお願いいたします。ごく最近一応候補者、これはそれぞれの部門複数ずつ一応お出し願って、これをさらにいろいろな行かれる間、重要な方でございますので、留守にできないものもございましょうと思いまして、それからさらに選択を今了するところで、それからこれに基づきまして必要なソ連を初め数カ国、これをそれぞれ比較研究するため回るわけでございますが、四十日くらい平均してかかるような御意見でございますので、それに基づいて積算してぜひ何とか経費がございませんので、予備費なりその他の方法でこの所要経費をまかなうようにお願いを各方面にする。端的に言いますと、これが委託研究費の研究の一環としてやりますと、こういうような研究の視察旅費として大蔵省に要求することになります。あるいは本省の国家公務員ばかりでございますればそういうような国家公務員の外国旅費というような形にもなると思いますが、そういうような形を今考えまして、要求をすべく作業を進めておるわけで、まだ省内で今やっておる、話だけは大蔵省にもお願いに参じておる。こういうような形でございます。
#101
○坂本昭君 大臣に伺いたいんですけれども、今の局長の答弁を聞いておりますと、ずいぶんゆうちょうなんですよ。なるほどその今の、計画の準備あるいはその経過は、間違いなく行なわれているでしょう。が、今われわれが問題としているのは、確かに、将来にわたっての計画と、同時に、緊急焦眉の計画、この二つあると思うのです。で、前々から、去年から計画しておったソークワクチンの計画でさえも、ちょっと二月ぐらいずれているような状態の中で、将来のことはともかく、少なくとも焦眉の緊急の要である、ことしの、この五千名をこえるであろうということの大流行に対する処置が、全然対策がないのならともかくも、今日生ワクの使用ということが、期間的にも、またいろいろな面においても、十分可能性があり、かつ、それによって、先ほど柳沢博士は九〇%とにかく救うことができる。そういうふうな段階、今のソークの結果で言うと、二回接種で五〇%以下だと。三回でも七〇から八〇%。それが、この生ワクの場合だと、出発はおくれているけれども、今から緊急処置をやるならば、四週間の間に九〇%ぐらいの効果を上げ得る。そういう見通しがわれわれの目の前にありながら、今、長期の、将来にわたっての計画なぞと言っている時期じゃ私はないと思う。だから、当然、学者を選ばれる場合には、私は、二つの意味で、緊急の対策を主として、同時にまた、将来についての研究もやっていただく、そういう二つのことを兼ね合わせて、わずか一月くらいの旅行であります、あしたでも出発すれば、そうすれば、六月中には結果を得ることができる。そうすれば、出発すると同時に、それぞれのところに対して、この生ワクの寄贈を、これは、申し出てもけっこうであります。現に、こっちから頼まなくたって、向こうから、やろうと言うところも幾つかあると聞いている。そういう状態でありますから、私は、学者の派遣については、緊急の措置としてまず考えていただきたい。大臣としていかがでございますか。
#102
○国務大臣(古井喜實君) ただいまのような視察団の派遣の問題も、これも一つ重要な問題だと思うわけであります。しかし、これはどっちかというと、恒久対策の問題になってくると思うのであります。まず第一はですね。しかし、同時に、昨今の流行の状況なぞから見て、さらに緊急対策をいかに考えるかという問題が、もう一つあるわけであります。これは、この流行の状況なぞ、実は、注意深くきょうまで見てきておるところでありまして、この状況を見きわめて、そして緊急対策は緊急対策としてまた、月並みにばっかり考えておるわけにいかぬかもしれませんので、これはこれとして考えを立てたいというつもりであるところであります。これは、視察団の問題という形にいたしますか、どういう格好にいたしますか、これはこれとしてまた考えてみたいと思っておるところで、ございます。
#103
○坂本昭君 いや、だから、私は、もう研究者の方の準備は、日本の学者、それだけ外国に一、二年おくれているかもしれませんが、ある程度の準備は私は十分できていると確信をします。従って、あしたでも、出発するといえば、それに困るような学者のグループだとは思いません。だから、今のように、もう慎重に、大流行になるかどうかと見ている……。しかし、先ほども一番最初に私お尋ねした通り、今日すでに大流行の兆は十分ある。もちろんこれは地方的な大流行であります。それで、この小児麻痺というのは、日本の国土を全部おおうというような形ではなくして、こうした地方的な形で出てき、そしてまた、来年も再来年も、地域を変えながら出てくると思われる。そういう、もうすでに去年を凌駕せんとするような状態の中で、まだ、慎重に考慮している、これで、ことしも何百人かの子供を殺しても、それでも厚生大臣はなお、慎重に見ておるから、そう言われるのですか。もう少し、その辺の、これはきわめてお気持の上のことであります、全国のお母さんに呼びかける言葉として、明確にその点申し上げていただきたい。
#104
○国務大臣(古井喜實君) ゆうちょうにかまえておるわけじゃありませんので、言うと言わぬとにかかわらず十分考えてきておるのであります。そうして、どう対策をとったらいいか、今までやっている予防接種という一本やりで一体たよっていていいかどうか、そういうことは十分考えてみておるとこりでありますから、そこでどういう出方にいたしますか、これは的確な処置を、また別途緊急にも考えてみたいと思っているところでありますから、今すぐどうということは申し上げませんけれども、考えは、あなたの御心配になっておることと同じことをこっちの方も、あなたも御心配でしょうけれども、こっちも頭痛むほど心配しておるわけでありますから、そういう状況をお含み願いたいと思っております。
#105
○坂本昭君 今の大臣の御答弁を、これこそ慎重に分析しますと、従来のソークワクチン形式だけでもどうにも不十分と判断する段階まで当局としても来ておられるやに今私感じておる。ということは、生ワクの使用についてももちろん慎重であるが、急を要する場合にはそれ相当の断固たる措置をとって、日本のポリオ対策を緊急に処置する、それだけの決意と計画は作りつつある、そういうふうに私は考えてよろしいですか、それが第一。
 次は、私も心配しているが、あなたも心配しておられるということですが、結局時間の問題ですよ、時間の問題。一体いつまでにそういうことをはっきりした明確な措置を公表されるなり、行動に移されますか。それが第二。
 それから第三点は、やはりこうした場合に、学者の能力をあげて動員することは非常に必要なので、今の第三点の、この学者の海外出張という、これは単なる視察と大臣言われましたけれども、そんなにあちらこちら研究して、視察して回るというのは、そんな手ぬるいことじゃあかぬと思うのですよ。実際に現場を当たって、そうして研究調査をしてくる。だから私は、この調査のために派遣される学者の出発の日時についても、私はある程度責任を持った答弁をいただきたい。そのためにきょうは大蔵省の人も呼んで、金があるんだかないんだか、大蔵省は出きぬつもりだか、どうだか、ここで聞こうと思っているので、まず大臣の決意を三点について承りたい。
#106
○国務大臣(古井喜實君) このいろいろな問題を、生ワクの問題も含めて考えてみておるということであります。
 それから今の、いつとおっしゃるが、これはいつと、きょう申し上げるという段取りに来ておりませんけれども、極力早く結論を出したいと、どういう方法をとるかですね、極力早く結論を出したいと思っております。
#107
○坂本昭君 来月になったらおそいですよ。
#108
○国務大臣(古井喜實君) それから視察団の出発の時期の問題は、ちょっと私も、実際の準備の状況は知りませんから、担当の方から申し上げます。
 この小児麻痺の問題、申し上げるまでもなく大問題ですから、大事なことを考える場合には、あまり興奮せぬ方がいいと僕は思う。冷静によく考えて、適策をとるのがよいことだと思う。大事ほど冷静に落ちついて考えて断行したらいいと思う。
#109
○坂本昭君 それじゃ私は、私も十分冷静なんですがね、これは大臣が誤解されるといけませんから、これは一つ、非常にこういうことを聞きたくないのですけれどもね、若干国民の中に、この理解もある、そうして十分進歩的な厚生大臣が、名前がフルイというばかりに、保守反動みたいに見ている人があるので、私ちょっと念のために、国民の一部のお母さんにかわってお尋ねしておきますけれども、どうも社会主義の国のものを使うというと、何か赤くなって、今度革命家にでもなりゃせぬか。それであぶないのじゃないか。そういうふうなことで大臣が政治的な決意を表わさぬじゃないか、そういうことを間々心配する人があるのですが、その問題について大臣の率直な御見解をちょっと聞いておきたい。
#110
○国務大臣(古井喜實君) これは何べんも、この席だったかほかの席であったか、申し上げたくらいで、別に薬に色がついているわけじゃありませんし、とにかく役に立つものならどこの国のものだってかまうことはない、何の関係もないことであります。
#111
○久保等君 この前この委員会で、ちょっと私このメモを見たら、三月十四日、海外に学者の調査団を派遣するという問題で質問をいたしました際に、たしか局長の方から具体的な日程等について、三名の派遣について何か検討せられておるというお話があったのですが、あれは片づいたのですか。
#112
○政府委員(尾村偉久君) これはあのときも御説明いたしました通り済みました。ただし、これはただいま坂本委員からの御意見の、いわゆる視察団――専門家の視察団とは別個にそれぞれ専門家、行政官でございますが、必要な者を、それぞれの若干別な任務を持っておりますが、それによりまして、すでに三名派遣いたしました、一名はセービン氏という発明者自身のもとに行きまして、大もとに行きまして調査をする。それから一名は私の方の防疫のこの方面の担当をいたしておる大池技官というのが去る十日に出発いたしました。それから今泉技官というのが予研の獣医の方ですが、いわゆるヴィールス、狂犬病その他、これはその方面で英国に行っております。それからもう一人は多ヶ谷、まだ行っておりませんが、ここ数日中に出発いたしまして、これは各国を回り、さらにプラーグに開催されておりますWHOの生ワクの会議に日本代表で出席すると、こういうことで決定いたしまして、もう準備中でございます。あのときのお話のはその範囲で大体実行いた
 しております。
#113
○坂本昭君 今度の調査団の問題、もうちょっと詳しく返事して下さい、いつ出発か。
#114
○政府委員(尾村偉久君) 先ほどの第三番目の大臣の答弁された点を補足いたしますが、これは先ほども私が御説明いたしましたように、今協議会と、大体候補者の推薦をいただきまして、これについて必要な経費の今算定をいたしております。これは厚生省内でなるべく早く中身をきめてもらいまして、直ちに大蔵省に御要望したいと、こういうことを言っておりますので、これももし決定すれば、もうできるだけすみやかに、こういうことで私の方としておるわけです。こういうことで、いつということは、まだそういうふうに全部が固まったわけでないので、これはちょっとまだ申し上げかねる状況でございます。
#115
○小柳勇君 関連して二つ質問いたしたいと思いますが、さっき担当官から報官があったように、九州の小児麻痺の蔓延情勢については、地元としてまことにおそるべきものがありまして、昨日、一昨日もわざわざ北九州から十名の主婦の方が汽車賃を使って陳情に来られた。主たる陳情は生ワクがもっと早く使えないものであろうか、こういうのが陳情の主体であります。今大臣並びに局長及び柳澤博士のお話を聞いておりますと、私どもふうに落ちないのですが、一つは一九五五年にソ連や米国はもう共同研究に入って相当使っておる。ところが、輸入するということはまだ正式にきめていないで、ファイザー会社からの寄贈品で実験をしておるという話を聞きました。それからもう一つは、実験装置についても非常に貧弱であるということと、それからポリオ・ビールスの研究をしておる方が、柳澤博士など何名かいらっしゃるでしょうが、非常に少ないということですね。外国ですでに六年前に共同研究に入ったものも、今、日本でこのような悲惨な情勢にありながら、研究態勢なり、あるいは実験の能力が隘路になって、たくさん子供が病気にかかるということについては憂えざるを得ないわけなんですが、調査が大事でございましょうが、そういう金も大事ではありますが、もっと生ワクチンを金をかけて輸入することができないか。それからサルが少ない点がございましょうけれども、実験についてもっと積極的に拡大できないものであろうか。まず、とりあえずこの二点について御答弁願いたいと思います。
#116
○政府委員(尾村偉久君) 今の第一におくれたことでございますが、諸外国と比べて、これは実は日本では数年前までほぼ千七百名程度の年間発生率、今度いろいろ手をつくしましたが、諸外国が日本の数倍ないし、七、八倍の発生率をもちまして、日の結核その他の重要な疾患とのウェートは日本は比較的少なかったということで、実は関心がすべての点で少ない、それが研究者にもむろんその数等に影響しておったわけでございます。外国は他のいろいろな諸疾患以上に非常なる脅威でございまして、それが促進をされた、こういう事情で若干のおくれが発生した、こういうことでございます。しかしながら、日本でもかつて十前年にも大流行の年は一回だけあったわけです。それからそれと同様なのが昨年来た、こういうことで、やはり十周年期ぐらいで来るという予測で、日本もやはり被害はほっておけば逐次来る。こういう建前で三十四年から、大体その程度の日本の被害の状況に合わした計画を立てさしたところが、それが十年目に大きく昨年来た。これがちょうど食い違いました。こういうことでございます。従って、日本としては三十四年ごろはまだソークワクチンでございましたので、ソークワクチンの研究、使用、生産計画を、年次計画を立ててきた、こういう状況でおくれたわけでございます。そこで今度昨年の異常流行が参りまして、外国ではソークにさらに次ぐに生ワクというものの発明が行なわれまして、逐次研究計画を進めておる、こういうことで、従って短期間にソークからさらに生ワクにも日本は取りかかる、こういう状況になったという次第でございます。そこで今の十万人分、これのうちの約五万人分は先般の毒性試験に使ったわけです。五万人分ほど残っておるわけでありますが、これはもう毒性検査は同じロットでございますので終わっております。いつでも使える。そうして寄贈を受けておるものでありますから、これは研究目的、さらにまた研究にも役立ちますので、九州等にも使えば集中効果も上がる、この両点の目的も達成せられる。さらにこれと同じロットで現在のところ三十万人分、全く毒性試験が終わったのと同一の液がファイザーにあるので、大体確実な情報でございますので、従って、これを今後どうやって入手するか、すなわち買い取るならばどういう価格、しかし、それにはまた経費の措置が要るわけでございます。これも至急検討する、こういうことにきておるわけでございまして、これらを先ほど大臣の言われましたほんとうの意味の緊急措置の前かもしれません。研究を兼ねて大量投与の効果実験ということでこれらを合わせた三十五万人が、もし九州地区等異常流行の地域に、研究目的と予防目的と両方兼ねてやれば、これもまず第一段階に考えられる緊急措置、こう考えられるわけでございます。それとあわせてソークワクチンがもっと完全に行なわれるように、さらにこれは三歳以下のみならず、流行地区には今五、六歳まで励行するように県と打ち合わせて今進行中で、この供給のワクチンも、この地域に対しては十分量用意して指示してありますので、これも大事な緊急措置であります。さらにソークワクチンは、先ほど柳澤副所長のお話のよう、三回目で七〇%、八〇%効果があります。これは七カ月をおくということを法的には原則にいたしております。これはその三回をやる場合の最高の効果を期待する、実験に基づいての法定でございます。これは平素を予定しておるわけであります。
 三回目はもし一ヵ月置きにどんどん続けていく、それでは全く無効果かというと、あるいは副作用があるかと申しますと、これは先般協議会で御相談した結果、それはそれなりに非常に効果が上がっていく。従って、回数も一カ月間隔で重ねていけば流行期にも相当緊急対策になるだろうこういう結論でございますので、このソークにやるやり方も法定ではございませんが、臨時的な緊急対策でつけ加えるのは経費の問題だけでございます。これも考慮していく、こういう計画であるわけであります。
#117
○坂本昭君 先ほどの学者の海外派遣ということについて、これはこの前の予算の中には海外の出張旅費というのは入っていないはずです。大体このことからして実は大きな誤りだったと思います。日本がアメリカあるいはソ連に一、二年、場合によっては二、三年おくれておる。従って、これを取り返すために外国の学者とも交流し、日本からも十分調査視察に出かける、そういう必要があったにかかわらず、海外旅費を組んでいなかったということは、緊急なる大流行を前に控えて非常に手抜かりであったと思う。これはいろいろの方法で予備費を取るなり補うことはできると思う。従って、この際、今回の小児麻痺の問題について予算的な措置の上で私は十分であったとは思いませんが、従来に比して格段と努力をしていただけた大蔵当局に、こうした海外出張旅費についてどういう御見解を持っておられるか、この際お尋ねしておきたい。
#118
○説明員(岩尾一君) 海外に出張の調査団の旅費の件でございますが、先生御承知のように、現在の外国旅費の予算には入っておりませんが、もしどうしてもそういった旅費が必要であるということであれば、流用措置をもって行なうか、あるいは予備金化してやるか、こういうことになるのでございます。ところで、予備費と申しますのは予算上予期せざる状況が生じた場合に支出するということに財政上の建前はなっております。現在の調査団につきまして予算策定のときにそういった必要性は全然考えられなかったのかどうか。現在の非常に緊急やむを得ざる措置に応じてこういうものを組まなくてはいけないということになるのか。そういった点を御要求の趣旨をよく検討いたしまして検討いたしたいと考えております。
 それからもう一点は、外国旅費予算と申しますのは、一応積算上はいろいろな会議等の出張ということで積算をしておりますけれども、過去の実績、あるいはわれわれの考え方といたしましても、これは全体の一つのワクであるというふうに考えております。従って、既定の厚生省に計上いたしました外国旅費の中でさしくりをいたしまして予算上の積算の際にはある視察旅行であったのを振りかえて、こういうふうに使いたいということは可能なわけでございます。去年よりも相当予算額も今年は厚生省の方一ふえておる状況でございますから、そういった実行予算の問題として検討いただくことも必要かと思っております。
#119
○坂本昭君 この防疫というものは、ほかの仕事と違って、非常に突発的に、かつ流行した場合には天変地異よりももっと大きな影響を与えることはこれは何人といえども否定できない事実だと思います。従って、このポリオ対策のいろいろな予算折衝の過程で厚生当局にいろいろな不十分な考え方や、あるいは手落ちとまでは申しませんが、そういうもののあったために海外出張旅費を組むことができなかった。しかし、今やこの生ワクの問題は、あなたも主計官として聞いておられて、おそらく、今のような審議を通じて生ワクが非常に重大な段階に来ておる。そして大臣もほぼ心の中においてはこれを採用しなければ緊急措置として間に合わないではないかという心がまえをもって、そのためにたとえばファイザーの三十万人分を購入しなければならぬじゃないか。そういうようなことも今の審議を通じて推測せられる。もちろんあなたの方ではソークの予算を組んでおいて生ワクに今度切りかえるというのはけしからぬと、これは一がいに否定さるべきものじゃないと思う。また、非難すべきではないと思うのですが、日進月歩している医学でありますから、変わったら変わったでいいものを使ったらいいし、ことに予算的にも単価三十六円という話がありました。私はある方面からわずかに十円程度だという話も聞いている。そうすると、現在の二百六十四円に比べても十分の一ぐらいなんですよ。十分の一くらいということはこれは非常に大蔵省も喜んで飛びつくことだと思う。従って、今のそういったすべてを含めて大蔵当局としては好意的な協力と同時に、このポリオ対策を徹底的にするために十分全力を上げていただけるかどうか。その決意だけこの際聞いておきたいと思います。
#120
○説明員(岩尾一君) ポリオの対策につきましては、われわれといたしましては、先生のおっしゃいますような普及性の問題、それから影響の重大な点、従来から非常に大事な問題として誠意を持って検討いたしておる次第でございます。
#121
○坂本昭君 それで最後の一番大事な点、先ほど小柳委員も触れておられましたが、生ワクの使用ということが緊急措置として免れがたいだろうと、われわれもこれは非常な心配を持って考えているところですが、それについて私がかりに私の子供なり、私の週辺の子供たちにソ連の生ワクチンを使用させた場合、これを法律的にそれは使用することができないといって拒否する何らかの根拠があります。これは一つ行政当局にお尋ねしたい。
#122
○説明員(竹下精紀君) ソ連の生ワクチンにつきましては、現在厚生省におきましては、医薬品としての許可をしていないわけでございますので、無許可医薬品になると考えております。
#123
○坂本昭君 無許可薬品であるが、実験的にたとえばガランタミン薬事審議会を通らなかったが、その前に各大学で実験的に使用して、その結果を認めて薬事審議会を通過して正式に運用のルートにも上がってきた。そうした点から実験的に全国の学者がこのソ連のワクチン、生ワクチンを使用したい、そうした場合、そしてまた、それに対して国民が応じた場合にこれをとめる何らかの法的根拠があるかどうか。それを伺っておきます。
#124
○説明員(竹下精紀君) 現在使用しておりますワクチンにつきましては、厚生大臣におきまして治験計画をとりまして、それを許可しておるわけでございます。従いまして、そういう法律上は一応治験用の医薬品というようなことは明記されておりませんが、そういうことで厚生大臣が必要があるということでやっているわけであります。
#125
○坂本昭君 そうすればファイザーは十万人分を寄贈していただきました。そして同じように十万人、場合によればもっと寄贈しようという、そういう国があれば、そうした場合に厚生大臣はこれが何ら特別な意図でない。そしてその製品も信用すべきものであると一応考えられる限りは、これを治験用薬物として許可し、これが実験を推進するお考えがございますか。大臣に伺います。
#126
○国務大臣(古井喜實君) まあ形に整わぬところはありますけれども、緊急対策の問題としてはそういうことも含めて検討したいと思っております。
#127
○坂本昭君 そうすれば、たとえばさらに日本のこの緊急状態を見て、イギリスのファイザーや、あるいはチェコやソ連が寄贈を申し出た場合には、大臣としてはすみやかにそれを受領し、そしてそれをわが国の方式に従ってすみやかに検討をする。そしてこれを誤りのないものならば国民にすみやかに行なう、与える、そういうお考えが十分にあるものと判断してよろしいですか。
#128
○国務大臣(古井喜實君) 結論的なことまでは申し上げておりませんでしたけれども、先ほど来申し上げておったところで、私の考えは御推察願いたいと思います。
#129
○坂本昭君 少しもはっきりしない、もう少しはっきりして下さい。
#130
○国務大臣(古井喜實君) はっきりするときには、はっきりすると言っております。含めて考えると言っておるのでありますから、それで一つ御了解を願っておきたいと思います。
#131
○坂本昭君 私は、ですからイギリスからでもチェコからでもソ連からでもアメリカからでも、こうした緊急事態に応じて申し出があった場合に、そはに頭からありがとうございますといっていただかなくてもいいと思うのです。それは謝意をもって受け取って、日本の学者の良心的な判断によって、やはりこれは検定をしなければならぬでしょう。最終は厚生大臣の責任ですからね、それを飲んでから子供がたとえば小児麻痺になった、悪くなったという場合には、責任は厚生大臣だから、その厚生大臣をささえて、厚生大臣が責任をとるときには、予防衛生研究所長の私も腹を切ります、それだけのやはり学者としての確信を持たなければ、ちょっと使えないでしょう。だから確信の持てるようなことにさせてあげるべきですよ。今のところは日本の学者は確信を持とうにも、いろいろな研究をしようにも、研究費もない、海外へ行く出張旅費もないということでできていない。ですから私はすみやかにイギリス、アメリカ、ソ連、チェコ、また、その帰り道に寄る所があるなら寄ってでも、一月あれば相当な見識を持って帰ってくることができる。ですから、その出発をあすにでもあさってでも、今週中にでもやってもらいたい。それはきめたときには、きめたと申しますと言っているけれども、そういうことでは困るのです。私はもちろん冷静に大臣にお尋ねしているのであって、防疫というものは時を失したらだめなんですよ。そして、その学者に与えられたこれからの約一カ月、あるいは二カ月というのがキー・ポイントを握っておると思いますので、そこで私はここでもう一ぺん念を押して、今の学者の派遣について、いつまでにきめるか、そんなにぐずぐずしておられたのでは、私ははなはだ迷惑であります。だから大臣の気持はよくわかったから、一つ行政当局はいつまでに出発させるようにきめるか、もっと責任のある答弁を下さい。それから今のようにチェコやソ連やイギリスから送ろうと言っている。送ろうと言っていないところもあるかもしれませんが、今後どんどん送ろうと言った場合は、すみやかに受け取るかどうか。受け取ってすぐ検定を始めたらいいじゃないですか。その点が第二点、その二つを伺いましょう。
#132
○政府委員(尾村偉久君) 出発は私どもとしては一日も早く、こういうことで努力いたします。先ほどもお話のありました通り、それぞれ関係先にお願いする、こういうことでございます。
 それから二の、さらに新たなものがいろいろな理由で入ってきた場合に、それを緊急対策として、あるいは制度がでるまでは使い方の形式としては治験用ということになりましょうが、その場合にどうするかということでございますが、御意見の通り、やはり最低の生ヴィールス自身の毒性安全をそれからBビールスその他の來雑物の毒性安全、この二つを最低限度いたしませんと、これは国が中に入りまして、国民に推奨するということはできませんので、それだけは絶対にやってもらい、その上で、ということが前提条件になっております。そこでそういうような現下の日本の国内における態勢には、今派遣の問題もございますが、そのほかにもうすでにファイザーをやった経験がございますので、従って、これは今ソークワクチンを実は夜の十一時ごろまでかかって毎日フルにやって、法律できめられた対象、さらに夏の臨時にやる問題、年令の上の者の任意接種の問題、これをフルにやっているわけであります。従って、予研の能力の問題がございますが、われわれは昨日来もう一度再検討を始めているわけであります。大体そういうようなことを検査の前提条件とする、こう存じております。
#133
○坂本昭君 今のソークワクチンの検定にフルに努力を傾けておられることは、これはもちろんけっこうですが、輸入業者やあるいは国内メーカーの利益ばかり考えて、日本の子供のことを考えないようなそういう対策は絶対にお断わりいたします。そういうことで扱われては、はなはだ迷惑であります。でありますから、そのことについては厚生大臣としては、きぜんたる態度で、これは進めていただきたい。そのために損をするなら、これはあとで一つ賠償をしても、これはやむを得ない、今の資本主義では、だから、そういうことが今後起こらないような態勢をこれは長期にわたる計画として立てていただかなければならぬ。
 時間もありませんから、最後に私は、学者を代表された柳澤博士に一つ御要望申し上げたい。ことしの状況も大流行の状態があるということを大臣も認めておられます。そうして国民の要望をになって学者の方々が去年いろいろ活動せられ、そうしてまた、おくれた日本のヴィールス学を取り返して、世界の先頭に立つために、われわれは、国民は心から期待を持って学者の方々を海外に送りたいと思っているのです。その学者の方々は、来年や再来年の後のことを十分根本的に考えていただくことも必要ですが、同時に、ことし五千人か六千人か送ろうとする、また、それによるところの被害は、金にかえたならば、おそらく何億、何十億にもなると思う。そういうことを思いますならば、私は緊急の措置としてその使命を課せられているということも十分に御配慮の上に、各地の実験、研究内容を見られて、そうして皆さん方が十分責任を負う限りは、場合によれば厚生大臣の責任だが、そのときにはわれわれだって絶対に責任を負います、それくらいの気持を持って、非常に今誠実に防疫対策を進めようとしておられる厚生大臣をささえてもらいたい、そのことを御要望申し上げて、学者としての御見識があれば、委員会の委員だけでなくして、国民に対する気持として御所見を一つ聞かしていたださたい。
#134
○説明員(柳澤謙君) 私たちポリオワクチンの問題については、昨年の十月のポリオ学会でいろいろ問題にしたのに端を発したと思います。それから急遽予算などを作りまして、昨年の十二月二十八日ぎりぎりいっぱいに大蔵省に持って行ったような次第でございまして、そのときはこんなに早く生ワクチンが実際に供されるというようには思っていなかったわけです、正直に申しますと。ことしもソークをやったにかかわらず、たくさんの患者が出ることが予想されるというような状態でありまして、今までの研究は、おかげさまで非常に円滑に進んでおります。しかし、それと同時にまた、諸外国のたくさんの研究も出ておりますので、これは協議会の各メンバーも、先ほど申されたような三人の方々の海外研究ばかりでなく、どうかできるだけたくさんの方が向こうへ行って、それぞれの分野において研究を一つ早急にやってきてもらいたいということは、協議会の全員一致した見解であることをここに申したいのでございます。
#135
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#136
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
 ポリオに関する質疑は、この程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○理事(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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